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1984-07-25 第101回国会 参議院 農林水産委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年七月二十五日(水曜日)    午後一時十一分開会     ―――――――――――――        委員異動  七月二十三日      辞任        補欠選任       稲村 稔夫君    福間 知之君  七月二十四日      辞任        補欠選任       福間 知之君    稲村 稔夫君       刈田 貞子君    三木 忠雄君  七月二十五日      辞任        補欠選任       野田  哲君    菅野 久光君       三木 忠雄君    刈田 貞子君     ―――――――――――――      出席者は左のとおり。     委員長         谷川 寛三君     理 事                 川原新次郎君                 北  修二君                 最上  進君                 村沢  牧君                 藤原 房雄君     委 員                 浦田  勝君                 大城 眞順君                 岡部 三郎君                 熊谷太三郎君                 坂元 親男君                 高木 正明君                 竹山  裕君                 初村滝一郎君                 星  長治君                 水谷  力君                 森田 重郎君                 稲村 稔夫君                 上野 雄文君                 菅野 久光君                 刈田 貞子君                 下田 京子君                 田渕 哲也君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        農林水産大臣   山村治郎君    政府委員        農林水産政務        次官       仲川 幸男君        農林水産大臣官        房長       田中 宏尚君        農林水産省農蚕         園芸局長     関谷 俊作君        食糧庁次長    山田 岸雄君    事務局側        常任委員会専門         員        安達  正君    説明員        農林水産省経済        局統計情報部長  大坪 敏男君    ―――――――――――――  本日の会議に付した案件 ○連合審査会に関する件 ○農林水産政策に関する調査  (昭和五十九年産生産者米価に関する件)     ―――――――――――――
  2. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) ただいまから農林水産委員会開会いたします。  連合審査会に関する件についてお諮りいたします。  たばこ事業法案日本たばこ産業株式会社法案塩専売法案たばこ事業法等の施行に伴う関係法律整備等に関する法律案及びたばこ消費税法案、以上五案について、大蔵委員会に対し連合審査会開会申し入れることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ―――――――――――――
  5. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 農林水産政策に関する調査のうち、昭和五十九年産生産者米価に関する件を議題といたします。  まず、政府から説明を聴取いたします。山田食糧庁次長
  6. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) それでは昭和五十九年産米穀政府買い入れ価格につきまして昨日米価審議会諮問いたしましたので、その内容について簡単に説明さしていただきます。  五十九年産米穀政府試算につきましては、中長期的な視点に立った米の需給事情財政事情農家経済生産事情等を勘案いたしまして、五月の米価審議会で採択されました米価算定に関する米価審議会委員会報告趣旨及び前広米審等での論議を踏まえて算定いたしました。  その主要点について申し上げますと、まず、方式といたしましては生産費及び所得補償方式によって算定したわけでございます。それから対象農家及び主な算定要素とり方につきましては次のとおりでございます。  対象農家につきましては、農家生産費の低い順に並べまして、その累積生産数量潜在生産量に対する需要量比率、八一%でございますが、までの農家とすることにしました。この比率につきましては潜在生産量分の総需要量で求めたものでございまして、この場合の潜在生産量は、水田利用再編第三期対策における潜在生産量千三百八十万トンから永年性作物等の面積に係る生産量十一万トン及び他用途利用米生産予定量二十七万トンを控除することといたしました。  それから、都市均衡労賃による家族労働費評価がえでございますが、その点につきましては昨年と同様の方法によることといたしました。  それから、自作地地代評価につきましては、昨年までは旧統制小作料の水準によるという考え方でやってまいりましたが、本年産米試算におきましてはこれにかえまして、土地資本利子という考え方に立ちまして行うこととしまして、元本評価固定資産税評価額により、利率につきましては十年利付国債応募者利回りを採用いたしました。  このような要素によりまして算定した結果について申し上げますと、基本米価一―五類一、二等平均包装込みで一万八千五百三十一円でございます。これは六十キログラム当たり価格でございます。ちなみに前年の価格を申し上げますと、一万八千二百六十六円でございますので、引き上げ率は一・四五%になりますし、額といたしましては二百六十五円になるわけでございます。  以上、簡単に御説明さしていただきました。
  7. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 以上で説明聴取を終わります。  これより本件に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 村沢牧

    村沢牧君 農水省が厳しい米需給現状を無視して、また生産農民の切実な要求を裏切って、わ ずかに一・四五%アップという低米価諮問した。このことは行革審大蔵省米価抑制方針農水省が屈服した以外何物でもない。大臣はこのような低米価諮問したことにつきまして、一体どのように思っているのですか。     ―――――――――――――
  9. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、野田哲君が委員辞任され、その補欠として菅野久光君が選任されました。     ―――――――――――――
  10. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 今年の政府買い入れ価格につきましては十九、二十日の前広米審等でいろいろな御議論がございました。この御議論も踏まえまして、当面の米の需給の実情は決してゆとりある状況とは言えないものの、依然として生産調整を行わなければ需給均衡が図れないという状況にあること、また、米の管理に係る財政運営も厳しい局面に直面しておること、他方、四年連続不作等農家経済を取り巻く最近の厳しい諸情勢のもとで稲作の生産性の向上に努めるとともに、農業生産の再編成に取り組む農家方々意欲を持ってもらいたいというようなことも考えまして、実は二十三日の晩から明け方までかかって、二十四日の朝までかかってやったのですが、財政当局はなかなか厳しい情勢でございまして、諮問案ができ上がりません。そこで朝七時半でございますか、大蔵省大臣が訪れましてそして会談をいたしましたが、ここでもなかなか話がつきません。最終的に八時四十五分、ぎりぎりの線でございましたが、一・四五%というような今回の値上げ諮問というものを行ったような次第でございます。
  11. 村沢牧

    村沢牧君 私は諮問の経過を聞いているのじゃないのです。このような低米価諮問したこのことについて大臣はどう思っているのか、自信があるのかということ。
  12. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 諸情勢を考えた上でやったわけでございまして、一・四五、今も米審で御審議をいただいておるところでございますが、この御意見等も十分踏まえて御答申をいただいて何とか決めていきたいというぐあいに考えます。
  13. 村沢牧

    村沢牧君 この諮問は、大臣が今の米需給や六年間も米価を据え置いてきたそれにこたえる諮問であるかどうか。この六年間に米の生産費は三五%以上も上昇し、その上四年続きの冷害等によって農業所得は減少し、農家米生産意欲は減退をして、その結果が深刻な米不足の原因を招いており、ついに米まで輸入せざるを得ないような事態になった。このような農家の実態や、減反をしながら米を輸入するという政府失政を見るならば、昨年米価よりも〇・三%低い、一俵当たりだった二百六十五円のアップ、こういう諮問しか出てこないこれに対して、大臣は一体どういうふうにお考えになるか、重ねて大臣見解を求めます。
  14. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 御存じのとおりの行革審等報告にもかなり厳しいものがございましたし、また国の財政事情等を考えながら、できるぎりぎりの線というような線で一・四五%というものを諮問した次第でございます。    〔委員長退席理事北修二君着席〕
  15. 村沢牧

    村沢牧君 農水大臣としては責任を持って十分な諮問米価である、そういうお気持ちを持っているのですか、どうなのですか。
  16. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 先ほども申し上げましたように、二十四日の朝ぎりぎりまで大蔵大臣とも折衝もいたしましてこの一・四五というものを諮問するということにしたわけでございまして、私たちでできるだけのことはしたつもりでございます。
  17. 村沢牧

    村沢牧君 努力はしたことはわかるけれども、その結果が全然米需給現状農民の切実な要求にこたえておらない、そのことを指摘しながら、次の質問をしてまいります。  諮問米価は低米価であるけれども米価は最終的に政府決定するところであるから、この決定に際しては米審意見に耳を傾け、また、農民の切実な要求にこたえる価格決定しなければならない。野党の五党は今回の米価決定に当たって共同歩調をとって、今回の米価農民団体要求する額を最低として引き上げること、さらに良質米補助金等を削減をしないこと、あるいは加工原料米は、他用途利用米全量政府が買い上げること、さらに国会決議に従って米の輸入などということは絶対にしないこと、こういうことを大臣に既に申し入れております。本日も、先ほどは当院内におきまして野党の総決起大会を開いた。むんむんとする中で今申しましたようなことを決定をし、決意をし、総理にも申し上げました。  この際、大臣に申し上げておきますが、大臣は今まで米の需給の計画を誤った、減反をしながら米を輸入するという失政を招いた、その政治責任は極めて重大であります。食糧庁長官を更迭したぐらいで済ませる問題ではない。我が党は、既に山村大臣責任を感じているというのだから、責任を感じておるなら身分的にも責任をとれ、とってもらいたいという申し入れをしていることは御承知のとおりです。今回の米価決定で再びこのような過ちを繰り返すことがあるとするならば、いよいよもって大臣責任をとってもらわなきゃならない、そういう決意を我々は持っておるし、大臣に申し上げておる。それに対して、今諮問した米価に対して大臣はどういうふうに思っているのか、大臣責任というのはどこにあるのか、はっきり言ってください。
  18. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 米価審議会に際しまして諮問をしなければならない、これは農林水産大臣としての大きな責任でもございますので、早朝から一晩がかりでやって話がつかなかったものを、何とか諮問案をということで財政当局と話をいたしました。私として、今後もこの農林水産大臣として果たすべき責務は全力を挙げてやっていくつもりでございます。
  19. 村沢牧

    村沢牧君 この諮問とその後において大臣決定をする米価内容を見れば、大臣責任はますます重大になってくる。ですから、今までの過ちを再び繰り返すことのないように、これ以上農水大臣が、農水省農民団体の不信を買わないように決意を持ってやっていただきたいと思います。どうですか。
  20. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 米価審議会答申をいただきまして、関係方面とも相談をしながらこの米価決定を我々は行っていきたいというぐあいに考えます。
  21. 村沢牧

    村沢牧君 米価審議会諮問をまって各方面相談をしながら米価決定をしていきたいということが、米審政治加算をもってこの農民要求にこたえていく、そういう気持ちをお持ちなのですか。
  22. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 米価審議会の御意見はもちろん尊重いたしますし、その答申をいただいた上で関係方面とも相談しながらやっていきたいというぐあいに考えます。
  23. 村沢牧

    村沢牧君 米価審議会のそうした審議を見て、諮問米価最低としてそれ以上に考慮していくというふうに受けとめていいですね。
  24. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 諮問をいただきまして、関係方面ともよく相談しまして決定してまいりたいと思います。
  25. 村沢牧

    村沢牧君 私は、農水省米審諮問をする、しかし、その諮問審議をしてもらうけれども、それ以外にまた別なところで米価加算していく、それもしかし、わずかな加算しかできないだろう、これじゃ全く米審を形骸化するものである。そのことについて私は賛成をすることはできない、そういうことがあってはいけないということを指摘をしておきますが、いずれにしても諮問米価でもってはこれは切実な要求にこたえておらない。したがって政府決定するのですから、私も野党の中でもさっき要求したのですけれども政府米価最終決定をするためには、十分要求にこたえて決定をしようという申し入れをしておりますから、その趣旨を十分尊重してください。  そこで、仮にそのような決定をするについてもそれに要する財源は国民の税金だ、自民党が決め るわけじゃない、政府が決めることなのです。ですから私どもは、このような政治加算をするとするならば書記長幹事長会議を開いてそこでやろうじゃないか、こういう要求までしているのです。その辺についてどういうふうに思いますか。
  26. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) これは各党間のことでございますので、私がどうこう申し述べる立場にはないと思いますが、私としましてはできる限り適正な米価というものを確定していきたいと思っております。
  27. 村沢牧

    村沢牧君 そこで、先ほど説明がありましたように、政府は五十九年産米穀政府買い入れ価格試算生産費及び所得補償方式によって行った、こういうふうに言っておるわけでありますが、一口に生産費及び所得補償方式といっても、その算定要素とり方によって価格はどうにでもなるわけです。  例えば、昭和五十五年に採用した平均生産費方式によって昭和五十九年産米政府買い入れ価格算定するならば二五・六%のアップになる。また五十六年に採用した必要量平均生産費方式によれば一〇・九%のアップになるのです。五十八年方式というのは潜在需給ギャップ反映必要量平均生産費方式及び一ヘクタール以上農家平均生産費方式を総合的に勘案、何だかわけのわからないのを勝手につくり出してこういうこととして決めた。そうしてこの五十八年方式でやったならば、〇・一%しかアップになりませんよということで盛んに宣伝をしておる。そうして〇・一%しかアップにならぬけれども、一・四五%アップにしましたと、さも政府が、農水省が努力したようなことを言っているけれども先ほど申しましたように最初に答えを出している。数字のつじつまを合わしたにすぎないではないか。この算定方式を毎年変えていくならばどんな数字だって出てくるじゃないですか。今回諮問したこの方式農水省として正しいものであるとでも思っているのですか。
  28. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) お答えいたします。  先生今御指摘にように、私ども生産費及び所得補償方式によりまして、各年々におきますところの経済事情、その他の事情を勘案いたしまして適正に算定し、それを米価審議会に諮っておるところでございます。
  29. 村沢牧

    村沢牧君 そんなことを聞いているのじゃないのです。毎年生産費及び所得補償方式といっているけれども要素は毎年変えているじゃないですか。皆さんの御都合のような様式をとって、結論を最初に決めていて数字を合わしているにすぎない。こんな決め方でいいのか、こんな諮問算定の仕方でいいのか。
  30. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 算定要素とり方につきましては、年々の経済事情なり需給事情なり、こういったものが変動しているわけでございまして、そういった事情を勘案しながら算定することといたしておりまして、今年度の審議会諮問いたしました私ども生産費及び所得補償方式に基づく算定につきましては、先ほど説明さしていただきましたように、米価審議会のもとに設置されました米価算定小委員会におきまして報告されました、その報告書を十分踏まえまして算定したものでございます。
  31. 村沢牧

    村沢牧君 そこで、今説明がありましたように、年々の経済事情なり需給事情を勘案してその都度算定要素も用いているということでありますが、従来は米が過剰であるということで、そうした趣旨算定方式を用いられて米価は据え置きになり実質引き下げになった。ことしは米は不足なのです。したがって、不足のときにはそれにふさわしい米価算定をしなければならないのですが、米が不足だという事態はこの算定の中でどういうふうに考慮したのですか。
  32. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 具体的に不足ということが直ちに係数として上げられているかどうか、これにつきましてお示しすることは困難でございますが、今までの算定方式よりもいろいろと中身について検討いたしまして、例えば潜在需給ギャップ反映必要量平均生産費方式をとるに当たりましても、潜在生産量といったものを検討いたしまして従来とは変えておるわけでございますし、また、家族労働費都市均衡労賃に置きかえるに当たりましても、最近の事情を踏まえまして、算定については賃率調整というふうなことをやっておるわけでございます。
  33. 村沢牧

    村沢牧君 先ほど私が申し上げたように、従来は米は過剰であるというそういう名目のもとに算定方式を変えた。ことしは不足するのだ。不足するというもとにおける算定方式は何も考えていないじゃないですか。今潜在生産量の話がありましたけれども潜在生産量を千三百四十二万トンにした。これは、大臣の時間がありますから、この問題については後ほど質問しますが、これについてだって私は皆さん方が絶対的に責任を持てる数字じゃないと思う。潜在生産量とり方自体だって間違っていると思う。後から議論しましょう。ですから、勝手にこういうことをやって、米の不足のときの事態に相応したような算定方式ではない、そのことを指摘をしておきますが、大臣どうですか、大臣自信を持っていますか。
  34. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 正しい算定方式でやったものと思っておりますし、また今回の米価というものが一・四五%、一万八千五百三十一円ということで諮問したのは適当な米価でございますということ以外にちょっと申し上げられません。
  35. 村沢牧

    村沢牧君 大臣米審諮問したのはあなたです。正しい算定方式でやったものと思っていますなんて、そんな無責任なことが言えますか。もう一回答弁しなさい。思っているだけですか。
  36. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 正しい算定方式でやったと確信しております。
  37. 村沢牧

    村沢牧君 正しいか正しくないかはまた後ほど議論いたしましょう。  そこで、今度の諮問米価決定する事前の交渉で他用途米問題について紛糾をし、今日まで解決されておらない。これも後ほど指摘をいたしますけれども、六十年度の米の需給操作も大変苦しい見通しであるとはっきり申し上げます。したがって、他用途米主食として買い上げて、加工原料米については新たな検査規格を設け国内生産で対応すべきことを重ねて私は要求いたしますけれども大臣見解を聞きたい。
  38. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 他用途利用米につきましては、御存じのとおり可能なものはできるだけ国内生産で賄うという方針のもとに生産者実需者の間で自主的な取り決めを前提といたしまして、そして実需に見合った価格で供給するという趣旨で第三期対策の一環として取り入れたものでございまして、我々といたしますと、何とかいわゆる農林水産省の大きな役目の一つでございます食糧の安定供給ということを果たす意味からも、今生産者皆様方にもお願いいたしまして御理解と御協力を願っておるというところでございます。
  39. 村沢牧

    村沢牧君 他用途利用米扱いについては、米価決定する段階では方針を出しますか。
  40. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 今回の米価に絡みまして、生産者団体等から他用途利用米主食用政府買い上げという要望が非常に強いわけでございます。本件につきましては必ずしも米価そのものとは関連いたしませんが、今回これだけ米価と絡んでまいりましたので、でき得れば米価決定時点までにどういう基本方向でことしからスタートした他用途利用米扱いをするかという基本方向は決めておいた方が、生産者団体なり農業者の他用途米の取り組みにとっても必要だと思っておりまして、現在鋭意生産者団体等といろいろなことを詰めているところでございます。
  41. 村沢牧

    村沢牧君 私は先月二十一日当委員会で、さらにまた二十五日、総理出席を求めてこの委員会でこの問題についても質問いたしました。そのとき農水省答弁と、最近の新聞紙上に見られるような農水省態度とは他用途米について若干の相違がきている。私が言うならば、若干前進をしているというふうに見受けられますが、他用途米扱いについて基本的にどういうふうに考えます か。
  42. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 当時の答弁と格別変わっていないと思いますけれども、その後の事態の進展といたしましては、他用途米を買い上げてくれという要求が非常に強い。それで、仮に他用途米を買い上げた際に、その後をどうするかという問題が具体的スケジュールとして議論がされてきておりまして、それを契機といたしまして新聞等でいろいろなことが出ていることは十分承知しておりますけれども、我々といたしましては、他用途利用米を去年いろいろな苦労のもとでスタートさせ、その第一年でございまして、他用途利用米の定着ということを何とか願いたいという気持ちでございます。
  43. 村沢牧

    村沢牧君 公式な答弁はそうですけれども、他用途米政府が買い上げる、あるいは買い上げるという要求をするならば、加工原料米輸入をしますよ、まさにあいくちを横っ腹に突きつけるような、こういう態度をあなたたちはとっているじゃないですか。他用途米を買い上げれば加工原料米不足になるから輸入しますと言っているじゃないですか、あなたたちは。
  44. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 両院委員会なり本会議での御決議があるわけでございますし、それから我々としても、他用途利用米を発足させましたのは輸入をさせたくないということでああいう制度をつくっているわけでございます。それで、我々と団体とのいろいろな接触も別に、なくなったら輸入などというようなことを言ったことは一度もございませんで、他用途米を仮に主食用で買うという事態になった際に、現実に加工原料米を使う多くの中小企業方々がいる、そういう人に対する原料手当てを一体お互いどうするのだろう、そういうことについての知恵出しをしない限りは、他用途利用米主食用として横にするということはなかなか難しいという話をいたしておることは事実でございます。
  45. 村沢牧

    村沢牧君 国会に対して当委員会ではそういうことは言わないけれども、しかし団体に対しては言っているじゃないですか。農林水産省が言わないとしても、与党が言っているじゃないですか。そのために農業団体がどうするかということでさんざん検討をした経過は既に明らかになっているじゃないですか。そのことはあなたたちがそういう意図を持っているから言うのです。他用途利用米を買い上げたら加工原料米輸入するなんてとんでもない話だ。  そこで、大臣にお伺いいたしますが、大臣、参議院は去る七月二十日、米の需給安定に関する決議をやった。当委員会もそれ以前に決議をやっています。この決議の中で、米は「国内生産による完全自給の方針を堅持する」、参議院には「完全自給」、「完全」という言葉も入っている。これはどういうふうに受けとめておりますか。
  46. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 国会の御決議は一番重いものというぐあいに考えておりまして、今後とも食糧自給力強化に関する決議、また米の需給安定に関する決議、これらの趣旨を体しまして、米の供給につきましては国内産で自給すべきものであるという方針は堅持してまいります。
  47. 村沢牧

    村沢牧君 その場合、完全自給ということは加工原料米まで含めて自給するいうことですよ、そのように確認いたしますね。
  48. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 国会での、米は国内産をもって自給すべきものであるという方針は、この御決議にありましたとおりでございますので、決議を堅持してまいります。
  49. 村沢牧

    村沢牧君 重ねて申し上げますが、大臣は先日の委員会で、他用途米の目標数量を達成できなかった場合であっても輸入しないことは確約できますかという私の質問に対して、米は絶対に輸入いたしませんとはっきり言いました。今日もその方針決意には変わりありませんね。
  50. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 国会での当委員会での決議もございましたし、また、本会議での御決議もいただきました。この方針は堅持してまいります。
  51. 村沢牧

    村沢牧君 それでは、他用途利用米もこれから論議するでありましょうが、その際、加工原料米輸入するなどということは絶対にあなたたちの口からはちらつかせないようにしてください、いいですね。  それから、大臣にもう一点だけお伺いしますが、今回の諮問どおりに米価決定するとするならば約二百三億円の財源を必要とする。もう少し上げろ、もっと上げろと私は要求していますからそれ以上の財源を必要といたしますが、大臣米審の会場の中で、その必要財源は食管会計の中で何とかやりくりをするというような答弁をしておるように私は聞いております。そうだとするならば、良質米奨励金等を削減しなければならなくなってくる。良質米奨励金は、これまた国会の参議院の決議で、「自主流通制度の定着を図り、」と決議しているのです。こういう定着を図っていくとするならば、良質米奨励金を削減するなどということはできないはずだ。必要財源は別途に確保する、したがって、米価を上げたその財源の見返りとしてこうしたものを減らすようなことは絶対あってはいかぬ、そのことについて、もう一点確認をしておきます。
  52. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 良質米奨励金などいわゆる自主流通助成につきましては、臨調から御存じのとおりに厳しい指摘が行われているところでありますが、本年産の自主流通助成につきましては、制度の健全な発展を図るという観点に立ちながら、自主流通米の流通実態、また、政府米の財政負担との関連等をも踏まえて検討を行う必要があると考えておりますし、その具体的なあり方については今検討を行っておるところでございます。
  53. 村沢牧

    村沢牧君 検討を行うということは削減をしない方針で検討する、そのように受けとめていいですね。
  54. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 自主流通米の流通実態、また、政府米の財政負担との関連等も踏まえながら、いわゆる具体的なあり方について当初から検討中でございます。
  55. 村沢牧

    村沢牧君 大臣、参議院が「自主流通制度の定着を図り、」という国会決議をしたということは、具体的にこの良質米奨励金を削減してはいけないなどという言葉は盛れぬからこういう表現を使ったのです。したがって、大臣国会の意思を尊重するとするならば、これから検討するに際しても、これを削減するなどということが絶対にあってはいけない、国会決議を尊重してもらいたい。  私は、大臣に対する質問の時間がこれで来ましたからまた質問は後に譲りますけれども、そのことの答弁をもう一回お願いします。
  56. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 慎重に検討してまいります。
  57. 星長治

    ○星長治君 私は、大臣にたった六分間しか与えられませんので簡単に質問しますから、明瞭に御答弁を願いたいと思います。  まず第一に、第一次産業、農業、漁業、林業がこれ以上疲弊こんぱいしてはならぬと思います。そういたしますと、それは第一次産業の主管大臣であるあなたの双肩にかかっているわけです。今後の第一次産業発展のために、簡単で結構でございますから決意のほどを示していただきたい。
  58. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 農林水産業をめぐる内外の情勢というものはまことに厳しいものがございます。しかし何といいましても、国民の一番基本となる食糧というものを預かっておるわけでございまして、私は、農林水産業の発展に対しては全力を振るってやっていきたいというぐあいに考えます。
  59. 星長治

    ○星長治君 そういたしますと、将来ともに保護政策をとるということに解釈してよろしいかどうか、お伺いしたい。
  60. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 農林水産業の発展に全力を尽くしてまいります。
  61. 星長治

    ○星長治君 そういたしますと、きょうは時間がございませんから農業に絞ってお伺いしますが、かつて、この委員会におきまして臭素の問題、米の不足問題が盛んに叫ばれました。しかしながら、結果におきましては韓国から輸入せざるを得なく なった。これは大臣がいつ当局からお伺いしたか、それを説明していただきたい。
  62. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 韓国米、輸入という言葉で言われましたが、実は食管法の中の外国に対して米を貸し付けることができるという一項にのっとって我々はやったつもりでございます。しかしそれにしましても、現物の返還ということにつきましてはその前から話がございまして、韓国との交渉、これは知っております。
  63. 星長治

    ○星長治君 あなた方は返還米と言っても、我々は輸入と思っているのです。国民も輸入と思っているのです。  それで私は、これを輸入しない方法がなかったかどうかということを聞きたい。そして皆さん方が、こういう事態になったらば、なぜ生産者団体とこの問題について相談しなかったか、したのか、その点を御返事願いたい。
  64. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 大臣と御相談した際にも、国内でどうにかならぬかということで我々はいろいろと真剣に検討いたしましたけれども、結果的に韓国米の返還という道しかことしは残念ながらないということになったわけでございます。
  65. 星長治

    ○星長治君 私はそれを聞いているのじゃないのです。生産者団体相談したかしないかと聞いているのです。
  66. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) その次に答えようと思ったわけでございますけれども。  そういう事態になりまして、生産者団体と、正直申しまして、もう少し事前に相談していたらもう少し不信感やなんかはぬぐえたのじゃないかという感じがいたしておりますが、あの時点では正式には生産者団体とは御相談はいたさなかったということを後悔しております。
  67. 星長治

    ○星長治君 そうすると、この結果はよかったか、それとも失政だと、こういうことのどっちをあなた方はとるのですか、その点を私は聞きたい。
  68. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 今回の韓国米の現物返還ということについては甚だ遺憾でございます。
  69. 星長治

    ○星長治君 そうすれば、今度の米審諮問になぜ書かなかったか。諮問に臭素米の問題それからまた米の不足の問題が全然書いてない。そして一・四五を出したということは、どこにあるのですか、私はその点をお伺いしたい。
  70. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 今回の一・四五の諮問ということでございますが、御存じのとおりに、これは二十二日そして二十四日早朝まで事務当局でやりましたが、諮問案が出てまいりません。そこで私、異例でございましたが、大蔵省へ参りまして大蔵大臣とも会いまして、七時半でございましたか、いろいろ話し合いもしました。しかしまだ話し合いがつきませんで、最終ぎりぎり、八時四十五分、一・四五という諮問案を決めたような次第でございます。
  71. 星長治

    ○星長治君 我が自由民主党の農村振興議員協議会が試算いたしましたところ、四・八%という数字が出ております。この数字は我々は是なりと信じておる。これで訂正するお考えがありますかどうか、お伺いしたい。
  72. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 今、米価審議会をお開きいただきましていろいろ御意見をお伺いしているところでございます。そして、この米価審議会答申をいただきまして、尊重いたしまして適正な米価にしていきたいというぐあいに考えます。
  73. 星長治

    ○星長治君 他用途米の問題でお伺いしたいのですが、先ほど、自由民主党が外米を輸入するとかいう云々があったのですが、これは一、二の人はそういうことがあったかもしれぬけれども、党議にかかったわけでも何でもありません。国会決議したのですから、外米を輸入するなどということは絶対しない、その点を私からもあなたにお伺いしたい。今後絶対しないかどうか、改めて私はお伺いしたいと思います。
  74. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 本衆参両院の国会での御決議がございます。この御決議を外しましてこの方針を堅持してまいります。
  75. 星長治

    ○星長治君 そういたしますと、ことしはどうも米が足らないということは皆さんおわかりだと思いますが、来年度からの問題、これはどうしても減反を調整していかなければならない。第三期水田再編成に当たって、一番米産県であるところの宮城、福島、岩手、青森が減反対象になっている。あなた方はおわかりでしょう。こういうものを全面的に改革してもらいたい。その心構えを大臣からお聞かせ願いたい。それで終わります。
  76. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 第三期対策につきましては、本年の決してゆとりのある需給状況ではないという状態を踏まえまして、いろいろ作況もございますし、またいわゆる転作の実行状況もございます。これらを勘案いたしまして弾力的にこれはやってまいります。
  77. 星長治

    ○星長治君 じゃ、後で申しますから、大臣はこれで終わります。
  78. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 もう自民党の星先生でもこのようにお怒りになっているのです。私も過日申し上げました。(発言する者あり)
  79. 北修二

    ○理事(北修二君) 静粛に願います。
  80. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 こういう食糧問題については、政党政派じゃございません。そういう意味じゃない。一億一千万の国民にこの主食を安定的に供給する責任は農林大臣にある。農林大臣は就任のときに、非常に厳しい農業問題、農政問題の矢面に立たされたということで、農林大臣を受けるということは大変な決意が要るようなことをお話しになったことがございました。しかし一たび引き受けました以上は、これはもう男山新じゃないけれども、どんなつらいことがあろうと、どんなことがあろうとそれを必ずやってみせるという強いお気持ちがあったと私は思うのです。何度も聞いているのですけれども、今一つの大きな米価をめぐります諸問題、大きな問題を前にいたしまして、大臣のこの決意に変わりがないかどうか、もう一度確認をしておきたいと思うのです。
  81. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 我が国の農林水産業をめぐる内外の情勢はまことに厳しいものがございます。おっしゃられましたとおり、農林水産大臣をお引き受けするとき、まことに身の引き締まるというような感じもしました。我が国の農林水産業の発展にひとつ全力を傾けてやっていきたいというぐあいに考えます。
  82. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 米価決定当たりましての大蔵大臣とのやりとりについては先ほどお話がございましたが、これは命をかけてやるというのですから、何時になろうと一生懸命頑張るのは当然だというか、その御努力には私どもは敬意を表します。しかし、報じられるところでは、大臣の一・五%と大蔵大臣の一・四%のその中をとって一・四五にしたとか、いろいろなことが言われている。また、試算の数値につきましても、先ほど来お話がございましたように、私どもの承服できないいろいろな問題がございますが、これは後ほどまた申し上げます。  この米をめぐる諸情勢というのは今までの状況とは違う状況にある。しかも、他用途米の制度をつくったのは、皆さんに言わせると、外国からたとえ加工用米といえども輸入するようなことがあってはならぬということでこういう制度をつくったということですが、韓国米を輸入するということが決定してもう間もなく入るのですから、輸入しないという前提は崩れたのです。そういうことであるならば、他用途米については、今盛んに農業団体方々が言っておりますように、主食用として買い上げるということもこの時点では考えなければならない重大な問題ではないでしょうか。  これは韓国米の輸入というような問題も起きないで、そして綱渡り的であっても国内で何とかやりくりができるならいいのですけれども、できない現時点においては、当然決めたこととは言いながら、もうその壁が、前提条件が崩れたのですから、ここからこの他用途米主食用への買い上げということについては再考しなきゃならぬ。そういうところに対して、そんなことをすると来年度の加工用米が不足して、また輸入しなきゃならないことになりますよなんという、こういう恫喝と もとれるようなことを言うということは絶対に我々は承服できない。  大臣、これは農業団体とか自民党とかいろいろな中での話の中から出てきたのかもしれませんが、いずれにしましてもこれは政府として、その最高責任者の大臣として、そういうことは絶対にない、この他用途米のことについては最大限努力をして、農業団体と話し合いをしてどうするかという、農業団体についても、自家米を出そうとかいろいろなことを言われておるわけですけれども、最大限努力をして何とかしようという気持ちになるのか、最終的にどうしようもなければもう輸入ということもあり得るのですよという、そういう気持ちが片隅でもあるのか、その辺どうですか。
  83. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 御存じのとおりに、他用途利用米国内生産で可能なものはできるだけ国内生産で賄うという方針で、加工原材料米を確保すべく農業団体の御理解も得ながらここに三期対策の一環として出てきたわけでございます。しかしまた一面、農林水産省の重大な責務でございます食糧の安定供給ということもございますので、今農林水産省といたしましても、農業者皆さんのかなり他用途利用米主食への買い上げという意向も強いようでございますので、これを農業者方々に御理解をいただきながら何とか御協力をいただくようなぐあいで今話をしている最中でございます。
  84. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 理解いただくのはもう当然です。  そこで、来年の加工用米がなくなりますのでというその後段の部分については、農林省としては片隅にもそんな考えはないと言い切れるかどうか。これは衆議院の農水委員会大臣は、この加工用米のことやいろいろな問題が出たときに、余り厳しく言うと憂慮すべきことが起きかねないことを私は心配するなどという発言があって、ちょっとこれは問題になったことがございますが、大臣の心の片隅にもそういうことがあるのかどうか、現時点では一体どうなのか、その辺を聞いているのです。
  85. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 御存じのとおりに、両院の農林水産委員会、そしてまた両院の本会議において御決議をいただいたこの米の需給安定に関する決議、そしてまたその前には食糧自給力強化に関する決議、これらを踏まえまして、米の自給等につきましては国内産で自給すべきものであるという方針を堅持してまいります。
  86. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 本会議決議では、「国民の主食であり、かつ、わが国農業」云々とありまして、「国内生産による完全自給」とあります。「国民の主食であり、」云々とこうありますけれども主食はもちろんですけれども、「完全自給」というのですから、加工用も含めてお米については国内生産輸入することは絶対にない、このように私どもは理解をしているわけです。大臣、この点についてはどのように受けとめておりますか。
  87. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 先ほど申しましたように、院の決議はまことに重いものでございます。この決議を私は堅持してまいります。
  88. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 堅持するのはわかるのですが、「主食」というのはそれは主食用であって、加工用は別だなんという解釈の仕方をしかねないから私は言っているのです。「国内生産」、この後の文章を見ていただけばわかりますが、加工用といえども完全自給ということで、輸入することはないというこの国会決議の精神を踏まえる、このように理解してよろしいですね。
  89. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 国会での御決議は何よりも重要なものと理解しております。この御決議を堅持してまいります。
  90. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 さて、米審のあり方については過日来、二度、三度この委員会で私もいろいろ申し上げました。この米価審議会の設置というのは法律にのっとって設置されておるのです。設置されているにもかかわらず、米審にかけた後政治加算、こんな政府と自民党との調整で後から加算するようなことが何度かあって、また去年などは特にもう事前に調整が行われておった、こういうことに対して米審委員から厳しい話があって、会長からもいろいろな意見が出されておりました。これはもう過日私は申し上げた。  それから、米価審議会がすべてではないのかもしれませんが、しかし、米価審議会審議というものが重んじられる、法律にのっとって設置されている以上は、それが主要な意見集約の場であり、そしてそれを尊重する姿勢というものを貫き通していきませんと、米価審議会で一応の諮問をし、答申を受ける、それはそれとしてということだと何のためにわざわざそんな審議会を置くのか。  これは過日いろいろ申し上げましたが、本年の様子を見ますと、また政治加算という言葉がちらほら出ておる。新聞の報道ですから確実性はないとは言うかもしれませんけれども、二%とか二%前後とか言われておりました。それが一・四五ということで、結局は政治加算でという、こんなことを報道されるようなことでは、米価審議会の存在意義というものは、私が憂慮したとおり、またまた本年も非常に危惧するような状況にあると言わなければならない。こういうことで、農林省がこのたびの米価算定当たりましては責任を持ってやったわけですから、答申審議会でいろいろな意見があって出たものについては最大限尊重する、これを基本にするということについては大臣も異論はないと思うのですが、どうですか。
  91. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 米価審議会の御意見は最大限に尊重をいたします。そしてまた、他の省庁もあることでもございますし、関係方面とも慎重に相談して適正な米価というものを決定していきたいと考えます。
  92. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 十九日、二十日行われました前広米審におきましては、いろいろな議論が行われましたが、消費者団体や中立委員方々にも米価を据え置くべきだという強い意見はなかったと言われております。その点はどうでしょうか、大臣
  93. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 実は今、三番町におきまして最終的にいろいろな御意見を伺っておるところでございますので、その御意見を尊重いたしまして、ひとつ米審皆さんに御苦労をおかけいたしますが、適正な米価というものをやっていきたいというぐあいに考えます。
  94. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 御存じのとおり、今、米価審議会でいろいろ議論しているわけですから、その中に私どもは言葉を挟んでどうしろ、こうしろということを言っているのじゃないのです。一つは、向こうの審議会でやっていることと別に、自民党が上積みするのだなどという、こういうことではなくて、審議会というものはちゃんと権威あるものにしなければいかぬということを私は申し上げた。これは審議会以前の問題として、政府諮問する数値を算定した、その前に環境問題について十九、二十日、前広米審でいろいろ論議をした。この事前の問題について私は申し上げているのだけれども、こういう十九、二十日の議論を聞きましても、報ずるところでは、今日のこういう米をめぐります厳しい情勢の中であり、据え置くべきだという強い意見がなかったと報じられています。そのことについては、当事者である大臣が一番よく御存じだと思いますから私は聞いているのだけれども、どうですか。
  95. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 十九、二十日、御存じのとおりに事前の米審があったわけでございますが、その御意見もよく伺いまして参考にさせていただきまして、そして今回の一・四五%、一万八千五百三十一円という引き上げ案を諮問した次第でございます。
  96. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 食糧庁、農林省というのはやはり農業者の立場というものをよく考えて物事をやる省庁なのでしょう。農民に向かって何か抑えつけるところではないはずだ。後から試算のことについて申し上げますけれども大臣、わずかの時間しかないので、基本的なことだけお聞きしているのですが、最初数字ありきということが新聞にも言われている。大体どのぐらいにするかということでいろいろ同僚委員からもお話ございましたように、同じ算式であっても入れる数字によって出てくるのが相当な幅がある。ことしは今回のこ の米をめぐる情勢というものは非常に厳しいことは私が長々申し上げるまでもないと思うのです。  少なくとも法律に基づいて国の運営があるということから言うならば、食管法の三条の第二項、「生産費反物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ米穀ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」というのがございますが、    〔理事北修二君退席、委員長着席〕 あるときは経済事情を参酌しということが米価抑制に大きく働く。あるときというよりも、実際今日までのこの六年間というのは、米価は実質六年間で六%ですから、こんな六年間で六%しか上がらないようなものは今までいろいろなものの中にあったでしょうか。米価だけです。「其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ」というところが非常に難しいところというか、これをいろいろに利用する。しかし、今回は前広米審でも、米をめぐる需給関係やそれから農家の経済やいろいろなことを参酌すると、消費者や中立の方々でも据え置くなどという強い意見はなかったということですから、米をめぐる諸情勢についてはいろいろな立場を越えて、米価算定当たりましては適正な米価算定をすべきだ。生産者団体は七・七%という試算をいたしておりますが、そういう極端な据え置き、絶対上げてはならぬという強い声がなかった、こういうことが報じられております。  こういうことに対して、大臣なんかは今度の本米審諮問するに当たりましては、前広のいろんな意見、論議というものも十分に勘案してやるのだろうと思いますけれども、どういうふうにそれを受けとめていらっしゃるのですか。そのあたりちょっとお聞きしておきます。
  97. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 前広米審での意見をいろいろお伺いいたしまして、それも参考にさせていただきまして今回の一・四五という値上げ諮問をしたわけでございます。
  98. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 大体六年間で消費者物価が二九%も上がって、また基準内賃金ももう四八%ですか、しかるに生産者米価が六%です。今までは過剰基調ということで、農家方々も食管を維持するためということで歯を食いしばって今日まで来た。今やここに来て、この経済情勢を考えてみますと、今までのままではならないというのはやはり米審の各委員の心の中にはあることでありましょう。そういう中にありまして、今度の審議会諮問した諮問米価が、余りにもこれは作為的というか、今までと何ら変わらない農林省のそういう姿勢であるということに私どもは本当に憤りを感じます。そしてまた、他用途米についても先ほど申し上げたとおりです。  さらにまた、良質米奨励金についても、ようやくこの制度が今緒につきつつあるというところで、猫の目農政ということもあるのだけれども、定着もしないうちにちょいちょい一つの制度が猫の目のように変えられる、こういうことだけは是が非でも払拭していただきたい。多くの方々がいろいろな角度から検討して決められた以上はそれをやはり貫き通すという農政。今はつらくても先々必ず明るい希望が持てるのだという希望の持てる農業。  大臣は、就任いたしましてまだ半年ちょっとたったというところかもしれません。しかし、大臣に就任するに当たりましてはそれなりの決意をしてなったのだという先ほどお話がございましたが、今一番大事なところにかかっているわけであります。私どもが過日来、こういう問題が起きたときに大臣は私の責任でと言っておりましたが、大臣に対しての責任をもっと厳しくするべきだという多くの意見のあることも御存じのとおりです。そういう中でのこのたびの米価審議会です。農業者が現在の中で十分にやっていけるような米価算定というものについては、これをもっと配慮していただきたい、このことを述べて大臣の所信をお伺いしておき、私の質問を終わりたいと思います。
  99. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 頑張りまして、できるだけ適正な米価というものを決めてまいりたいと考えます。
  100. 下田京子

    ○下田京子君 大臣、一・四五%という諮問をされた率直なる現在における大臣のお気持ちを聞きたいのです。  きのう、米審会場前で多くの農民大臣に一・四五%は納得できない、撤回せよと大きな怒りの声が集中したのは御存じのとおりです。そのとき大臣が言われたことは、私はいろいろ頑張ったのだ、努力した、大蔵にも二度もかけ合ったのだ、もう寝ないでやったのだ、決して農家皆さん方が満足いく、納得いくものではないかもしれないけれども、どうぞ頑張ったその気持ちは酌んでくれ、こうおっしゃられました。つまり、農家皆さん方が満足いく、納得いくものではないけれども頑張ったのだ、それが大臣の今の気持ちでしょうか。
  101. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 御存じのとおり農業者の代表の皆さん要求というのは七・七%でございます。それが一・四五ということになれば、満足しないのはこれは当然でございます。そこで、私は頑張ったことは間違いございません。頑張ったその実際私のやってきたことも申し上げました。そして、できるだけ適正な米価というものを決めていきたいという気持ちでございます。
  102. 下田京子

    ○下田京子君 満足できるものではないということを大臣も御認識されている。それは具体的に過去のたび重なる算定方法の変更の末に不当に抑えられてきた昨年の米価を基準にして一・四五%ですから、決して納得できるものでないということは、改めて農民皆さんが言うまでもなく、私たち指摘するまでもなくこれは御存じだと思うのです。  改めて申し上げますけれども、五十二年生産者米価を一〇〇としたら、五十八年の米価はわずか六%アップ。この間に第二次生産費が四二・三%も上がっている。しかも、物財費は五七・七、農機具費などは何と七三・二%、こういう状況の中で大臣、希望を持って意欲的に農業に取り組めるというふうに確信できますか。
  103. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 誤解のないように言っておきますが、農民皆さん要求が七・七%、それで今度私が諮問したのが一・四五%、そこで皆さんの御満足する額ではないけれどもと、これは当然のことでございます。これはひとつ誤解のないように。  それとまた、今私としてこの諮問をいたしましたのは、私としてはこれが少なくとも適正じゃないかということでやりましたが、これは今開かれております米審皆さんの御意見を尊重して、そして各方面とも連絡をとりながら適正な価格決定していきたいと考えます。
  104. 下田京子

    ○下田京子君 大臣、納得いくものだというふうに思っているのですか。意欲が持てる米価だと思っているのですか。農業が末長く発展し、国民に安定的に食糧を供給できるような、そういう政策だと確信を持って言っているのですか。
  105. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 私が諮問したのは、確信を持たないものを諮問するわけはありません。
  106. 下田京子

    ○下田京子君 大臣は私が率直に怒りを込めて言うとだんだん開き直ってしまうものですから。  大臣、きのうは大蔵の壁が厚くて困ったのだとおっしゃったのです。私はもっとやりたかったとおっしゃったのです。ここは大事なところだと思います。  そこで、決して農民皆さんもそして私どもも納得できるものではありませんし、少なくても七・七%以上のアップを、米価審議会皆さん意見を聞くなら当然引き上げるだろうというふうに私は申し上げておきます。  そこで、他用途米の問題なのですけれども、この他用途米問題というのは、私ども共産党としては、同じお米なのに一万八百円程度でつくれと、こういうまさに二段米価、食管制度を崩していくような制度そのものを認めていません。しかし百歩譲っても、農家皆さん方も泣く泣く、お米輸入なのか、それとも国内で安い加工原材料を生産するのかというようなことの中で、他用途米を引き受けて生産にいそしんでまいりました。輸入しないと言って他用途米を認めさせてきたのです。 それを破ったのは政府じゃないですか。だから怒って農家皆さんが約束違反だ、他用途米主食用に回せ、主食用価格で買い上げろ、こう言うのは当然じゃないかと思うのです。にもかかわらず、輸入か、他用途米主食に回れば安い加工原材料がなくなるから、一体どっちなのだという二者択一、こういうやり方ということはいかがなものでしょうか。第三の道は考えられませんか。
  107. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 御存じのとおりに、農林水産省としては食糧を安定的に供給するという大きな責務があるわけでございます。そういう意味からも、私はいろいろな話し合いの場に出ておりませんもので、今農業団体皆さんともいろいろ話し合いをしておるようでございます。団体皆さんに何か御理解をいただいて御協力いただくという線で今話し合っておるようでございますので、それについては話し合い出席者の方から申し上げます。
  108. 下田京子

    ○下田京子君 そうすると、第三の道は考えられるということですね。  農家皆さん農民団体皆さんは言っているのです。いいですか。加工原材料というのはトン当たり六万円ぐらいで輸入して十二万円で実需者に売り渡せば、そこでトン六万円ぐらいの財政的な余裕ができる、三十万トン輸入したらざっと百八十億近くになる、そういう財政事情から、これらの全体的な需給は逼迫しているけれども、他用途利用米主食用に買い上げるということはまかりならぬと、こういう話になっている。しかし農家は、農業者団体は、きちっと米価の方で財政的に保証するならそれこそお芋を食べたって出しますよと、こう言っているのです。きのう全中の岩持さんとも生産者委員ということで私たちは懇談もやったのです。そういう道が考えられるということですね。私ども共産党は、そういう立場で国が責任を持ってきちっと対応すべきだと思うわけです。
  109. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 今話し合いをしている最中です。
  110. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 時間になりましたから簡潔に。
  111. 下田京子

    ○下田京子君 それじゃ最後に。  今最後に、話し合いをしているということですが、その話し合いというのは、他用途米か加工原材料で安く回すのか、それとも輸入がではなくて、第三の道、政府がきちんと責任を持って主食用価格で買い上げて、そして加工原材料も確保していくということで対応されることを最後に重ねて申し上げて、終わります。
  112. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 暫時休憩いたします。    午後二時二十分休憩      ―――――・―――――    午後二時四十五分開会
  113. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  114. 村沢牧

    村沢牧君 若干内容にわたって質問をいたします。  まず、潜在生産量ですが、諮問米価算定に当たって十アール当たり平均生産費算定が大きなウエートを占めておるわけでありますが一その基礎には潜在生産量がある。従来政府は、米の潜在生産量は千三百七十五万トンあるから過剰だといって米価を抑制してきたわけでありますが、今回は潜在生産量を千三百四十二万トンとして対象農家評価がえを行っておる。今回適用した潜在生産量千三百四十二万トンは、農水省責任を持って言える数字であるかどうか。  同時に、この数字を今後三期対策を初め米の問題の基礎数字にしていくつもりなのか、二点について。
  115. 関谷俊作

    政府委員(関谷俊作君) 千三百四十二万トンの根拠でございますが、これは第三期対策を仕組みます場合に、五十九年度の潜在生産量を私どもは千三百八十万トンと見込んでおります。これは面積にして二百八十六万ヘクタールぐらいの水稲の作付面積が見込まれるところ、単収を四百七十九キロと置きまして、これで生産量を見込み、それに陸稲分六万トンを加えました数字であります。  これが第三期対策の前提になっておるものでございますが、今回の米価算定の場合には、これから十一万トンの果樹など定着したもの、あるいは定着性の高いものを差し引き、さらに二十七万トンの他用途米生産予定量を引きましたものを千三百四十二万トンとして用いているわけでございます。したがいまして、これらのそれぞれの数値の見込みにつきましては、私ども例えば最初の千三百八十万トンにつきましては、水稲の作付面積がこのぐらい見込まれる、あるいは単収も平年であれば四百七十九キロという見込みでございまして、正常な状態ではこのぐらいの生産力があるということであります。  なお、これを今後の水田利用再編対策ではどういうふうに扱うのかということでございますが、この米価算定の場合に引きました十一万トンあるいは二十七万トンと申しますのは、水田利用再編対策の上では、いわば転作等として扱う必要があるものというふうになっておりまして、例えば十一万トンの中に含まれております果樹永年作物は、果樹永年作物を転作しました場合には奨励金を交付しております。ですから、これは第三期の計画上は生産能力の方に入れておきまして、これだけ生産調整で減らす必要があるというふうに見込んでおきませんと奨励金が出ない。  それから他用途米の方も、第三期対策の方では主食用に回る米のいわば生産量を調整しておるわけでございますから、これも転作の扱いにしておいて、実際に他用途米をつくりました場合には目標面積の中で転作されたという扱いにするということでございます。十一ないし二十七万トンにつきましては、水田利用対策上は転作扱いということにいたしませんと、転作政策の方でむしろ転作推進ができないことになります。そういうことで水田利用再編対策の方では従来どおり千三百八十万トン、第三期の真ん中であります昭和六十年産米については、御質問の中にありました千三百七十五万トンを使うという考え方でございます。
  116. 村沢牧

    村沢牧君 米価算定するときにはこういう数字を使う、水田利用再編のときには別な数字を使う。ですから、私が指摘をしたように、米価算定農家とり方によっても、その都度数字を変えてつじつま合わせしているにすぎないのじゃないですか。  ではお聞きしますが、十一万トンは定着しているから差し引いたというのですけれども、十一万トンに値する面積の農政局別のものを出してください。
  117. 関谷俊作

    政府委員(関谷俊作君) 十一万トンの内訳は私ども……
  118. 村沢牧

    村沢牧君 ちょっと待ってください。十一万トンに相当する面積、しかも十一万トンだと言うならば各農政局の積み上げになっていると思う。農政局別の内訳を出してください。内容は要らないです。
  119. 関谷俊作

    政府委員(関谷俊作君) 十一万トンは五十九年度に十一万トン見込まれるということでございまして、お尋ねのような農政局別の内訳ではなくて、過去の転作実績から平均等をとりましてあくまでも推定をいたしました全国レベルでの数字でございます。
  120. 村沢牧

    村沢牧君 ですからそれは推定にすぎないじゃないですか。十一万トンだか十五万トンだか、二十万になっているのか推定にすぎない。そうでしょう。確固たる自信を持って内外ともに発表ができる数字ですか。
  121. 関谷俊作

    政府委員(関谷俊作君) これは何分にも五十九年の数字でございますので、現時点では推定より方法がないわけでございます。
  122. 村沢牧

    村沢牧君 では五十八年度転作定着面積を農政局別に示してください。
  123. 関谷俊作

    政府委員(関谷俊作君) ただいま手元に所持しておりませんが、これに該当するもの、五十八年度以前の分については御提出ができるというわけでございます。
  124. 村沢牧

    村沢牧君 それを出してください。私は資料を要求していたのだから出してください。そういうことを自信を持っておっしゃるなら農政局別に示してください。要求していたのだから言ってください。それまで質問は待ちましょう。
  125. 関谷俊作

    政府委員(関谷俊作君) ただいまのお尋ねの中で、事前に農政局別のということは私ども準備しておりませんでしたが、早急に資料をつくりたいと思います、
  126. 村沢牧

    村沢牧君 では十一万トンは自信ありませんね、見積もりですから。後から聞いていきましょう。  十一万トンに相当する面積は幾らですか。
  127. 関谷俊作

    政府委員(関谷俊作君) 面積にいたしまして推定二万二千七百ヘクタール程度でございます。
  128. 村沢牧

    村沢牧君 関谷局長は先日の当委員会で、生産調整をしている六十万ヘクタールについては水稲が作付をされる可能性があるという趣旨答弁をしております。今回十一万トンに相当する二・二万ヘクタールですか、六十万ヘクタールからそれを差し引いた残りの五十七、八万ヘクタールは水稲に戻る、こういうふうにお考えになっているわけですね。
  129. 関谷俊作

    政府委員(関谷俊作君) これは転作の政策上は、二万二千七百も含めまして転作政策としてはすべて取り上げるということでございますから、例えば果樹はことし奨励金を交付いたしましたけれども、それでは来年すぐ木を抜くか、こういうことになりますとそういう可能性は非常に薄いわけでございます。しかし転作の政策としては、従来例えば果樹でありましたものは一定年間は転作としてカウントするとか、そういう扱いで転作の政策の中では奨励金を交付したりカウントしたりしまして転作定着化を促進しておる、あるいは確保しているということでございます。したがいまして、お尋ねの中でございますと、例えば六十万ヘクタール転作目標でそれぐらいやったとしまして、それがお金を全部外した場合にすぐ全部水田に戻るかということになりますと、それは非常に可能性としては少ないわけでございます。
  130. 村沢牧

    村沢牧君 水田に戻らないとするならば、潜在生産量の対象にするのはおかしいじゃないですか。  そこで、去る六月二十一日の当委員会で小島前局長は、私の質問に対して、六十万ヘクタールの中には既に相当程度の定着性の高い転作を行っているところもあるし、永年作物を植えているところもあるので、直ちに米に復元することはできない、今の時点で水田利用再編対策を全廃したとしても千三百七十五万トンの米ができるというものではありません、千三百七十五万トンというのは転作奨励金を出す前提としての基礎数字でございます、こういう答弁をしているのです。局長も同じ考え方ですか。結論だけで結構です。
  131. 関谷俊作

    政府委員(関谷俊作君) ただいま申し上げたのは小島前局長と全く同じ趣旨でございます。
  132. 村沢牧

    村沢牧君 ですから、千三百七十五万トンとか八十万トンというのは転作奨励金をもらうための数字なのです。それを対象にして潜在生産量が二百九十万トンなどというのはおかしいじゃないですか。ですから、それからまた幾ら減らしますなどということは全く理屈に合わないじゃないですか。それをもって米価算定の基礎数字にするなどということは、これは全く理論的にどういうふうに説明するのですか。もとが、例えば千三百七十五万トンが、今申し上げたように、この数字は実際の潜在生産量じゃなくて奨励金をもらうための数字だ。架空の数字だ。架空とは言いません、奨励金をそれに出していますから。その数字から十一万トン減ってどれだけ潜在生産量があるなんて言ったって、実際の潜在生産量じゃないじゃないですか。
  133. 関谷俊作

    政府委員(関谷俊作君) 転作政策上の潜在生産量というものは、今確かに先生のおっしゃいました性格を持っております。これはあくまでも、奨励金を交付したりあるいはカウントをしたりすることによって転作を進めあるいは定着させる、そういう対象をどうやって見込むかという場合の見込み方としてあるのが潜在生産量でございます。したがいまして、これが転作政策をやめな場合に全部すぐに戻るかということになりますれば、それは全部戻るということは可能性が少なくて、定着したものもあるわけでございます。
  134. 村沢牧

    村沢牧君 わかりました。  私が質問しておることは、その奨励金をもらうための数字の千三百七十五万トンを対象にして、それから十一万トン減らして千三百四十二万トンを今度の米価算定基礎にして算定をしているわけですね。だから千三百四十二万トンと言ったって何もはっきりした数字的な根拠がある数字じゃないじゃないですか。政策上の数字じゃないですか。違いますか。もとが大体実際の潜在生産量じゃないのだから、もとは転作奨励金をもらうための数字なのだから、それから幾ら減らしたから潜在生産量が幾らありますなんて言ったって、これは説明できる数字じゃないじゃないですか。
  135. 関谷俊作

    政府委員(関谷俊作君) 今回の米価算定の場合の千三百四十二万トンを算定するにつきましては、米価算定上の考え方として永年作物等に転作されるものあるいはその形で定着したもの等については米価算定上は潜在生産力から外そうという考え方のもとに行われたわけでございまして、そこに、確かに、お尋ねのように転作面積をどう決めるか、つまり水田利用再編対策上の潜在生産力と米価上の問題が、確かにそこの考え方の違いが出たわけでございます。
  136. 村沢牧

    村沢牧君 待ってください。私も時間が余りありませんから官房長にお伺いいたしますが、わかっていただけましたか。千三百七十五万トンは転作奨励金をもらうための潜在生産量、それから十一万トンだか二十七万トン引いて千三百四十二万トンになった。これをもって今度の対象農家八一%をとる。全然数字的に合わないじゃないですか。どういうふうに説明するのですか。
  137. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 千三百七十五万トンの中にそういう転作が仮にやまったら水田に返らないであろう、その時点でも、という数字が含まれていたことは確かでございます。その点につきましては前から議論があり、それからさきの米価委員会においても、そういう現実に戻ってこない十一万トンというものを潜在生産力に入れていた従来の計算がおかしいじゃないかという議論がございまして、今回はその十一万トンというものを根っこから引かせていただいた。それから別途二十七万トンの他用途利用米につきましても、主食の場面じゃございませんのでこれも分母から引かしていただいたということで、我々の認識といたしましては、むしろ一歩的確な潜在需給量に近づいたというふうに理解しておるわけでございます。
  138. 村沢牧

    村沢牧君 今回それは減らしたはいいけれども、千三百七十五万トンというもとの数字潜在生産量じゃないというのです。奨励金をもらうための数字じゃないか。――ちょっと待ってください。六十万ヘクタールが全部水田に戻るか。実際に戻りません。戻らないところに千三百七十五万トン潜在生産量があるということで、そこで今回は十一万トンないし二十七万トン減らしてこういう数字にした、それでもって米価算定の基礎にした。もとは補助金をもらう対象の数字です。実際のものじゃないじゃないですか。
  139. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 補助金をもらう数字であるという点は確かでございますけれども、それと同時に、潜在生産力として従来水田であって奨励金をもらっているものも全部含めて潜在生産力を一たん計算し、その中から奨励金はもらっているけれども奨励金がやんでも水田に戻らないという数字が今までは十一万トンという形で混在していたわけでございます。この部分を今回抜いたというわけでございます。
  140. 村沢牧

    村沢牧君 それはわかった。それはわかったから、千三百七十五万トンという数字は本当に潜在生産量であるのかどうか、これははっきり統一見解を示してください。
  141. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 六十万トンという現在転作対象になっているものも含めまして、水田本 地に現在の平均単収を掛けたものがそういう数字になっておりますので、見込みとしての潜在生産力としては間違っていないと思っております。
  142. 村沢牧

    村沢牧君 見込みの、自信のないところから、もとが自信がなくて、それから引いて、さもこれが潜在生産量でございますからこれでもって対象農家をとりますなんて、こんな無責任算定の仕方はないじゃないですか。ですから、もうくどくどい答弁は要らないから、千三百七十二万トンというのは本当に潜在生産量であったのか、七十五万トンは潜在生産量であったのか、それで、今回算定をした千三百四十二万トンは皆さん自信を持って言える潜在生産量であるのか、そのことについて統一見解を示してください。
  143. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 事柄の性格といたしまして、潜在生産力でございまして、潜在しているものでございますから、これを目に見える場面で積み上げるということは非常に難しゅうございまして、推計という手法しか具体的にないわけでございますが、我々といたしましては、この推計に基づく潜在生産力というものが的確であるというふうに思っております。
  144. 村沢牧

    村沢牧君 そんな答弁じゃ理解できないのです。ですからこの諮問は、潜在生産量とり方が間違っております。奨励金をもらうための数字をもとにして、それから何万ヘクタール減らしたって、何トン減らしたってもとが間違っているのだから数字が間違っているに決まっているじゃないですか。その点をはっきりしなきゃ私は質問できません。
  145. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 潜在生産力は全体が奨励金をもらう基礎ということじゃございませんで、一般の水田、現在生産力のはっきりしております水田プラス六十万ヘクタールというもので潜在生産力をはかっているわけでございます。この六十万ヘクタールの中には、去年はそれを全部潜在生産力にカウントしたわけでございますけれども、いろいろな御議論の結果、その中に十一万トン分、これについてはもう水田に戻らないじゃないかということでそれを引きましたので、今回の計算というものは的確というふうに考えているわけでございます。
  146. 村沢牧

    村沢牧君 じゃ今までのやり方が間違っておった。しかし、今回だって正しいとは言えないです。だって小島前局長が答弁しているじゃないですか、この千三百七十五万トンというのは奨励金をもらうための数字だと。六十万ヘクタール、水田に戻すことはできませんし、ですから、実際の潜在生産量は千三百七十五万トンではありませんということははっきり言っているじゃないですか。そうでしょう。それをあなた方がいろいろなことを言うことはないじゃないですか。もとが違っていれば、どれだけ引いたって引いたものは違うに決まっているじゃないですか。
  147. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 小島前局長の発言にむしろ合わして今回の計算をしたわけでございまして、小島前局長の発言にありましたように、現在生産調整をやっておりまして、六十万ヘクタールに奨励金をやっているわけでございますけれども、これのうち全部が全部水田に返ってくることはないということが確定的になってきている部面がありますので、その部分を今回潜在生産力から引かしていただいたという経緯になっているわけでございます。
  148. 村沢牧

    村沢牧君 いずれにしてもこの千三百七十五万トンは、皆さんはこういう数字を出さないと大蔵省から奨励金がもらえないからこういう数字を出しているわけなのですね。きょうは大蔵省がいないからいいけれども大蔵省の前では言えないでしょう、こんな潜在生産量を実際ないものを千三百七十五万トンあるなどと。こんなものを対象にして対象農家をとるなんてもってのほかだ。ですから、既に諮問してしまった後なのだが、私はできれば、とり方が違っている、この諮問をやり直してくれ。  同時に、要請しておきますけれども先ほどは私は、十一万トンは農政局別に見てどういうふうに減っているのか数字を出してくださいと言った。今言った千三百四十二万トンの潜在生産量はどこへ、これも農政局別に数字を出してください、どういう潜在生産量が。よろしいですね。委員長に要請しておきます。私は資料をいただきたいと思います。
  149. 関谷俊作

    政府委員(関谷俊作君) 十一万トンという数字は、五十九年度でそれがどのくらいになるかという数字でございまして、これをつくる場合に、従来の数字はこれは農政局別に整理すれば出てまいります。五十九年については今行っていることでございます。
  150. 村沢牧

    村沢牧君 それで、十一万トン出すにしても、見積もるためにはやはり、この農政局はどうで、こっちがどうでというふうに、ただ農蚕園芸局長が頭の中で考えてこの程度というわけにはいかないでしょう。各局別の配分が大体できるわけです。それを出してください、見積もりでいいですから。  次は、米の需給についてお伺いしますが、五十九米穀年度における七月から十月までの供給計画を示してください。
  151. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 供給計画といたしましては、二百二十二万トンと私たちは計画しております。
  152. 村沢牧

    村沢牧君 二百二十三万トン、つまり六月末二百二十二万トンあったというのか。私が聞きたいことは、七月から十月までですから、六月末に何万トンあって、そして毎月どのくらい供給していくのか。  さらにお聞きをいたしますが、そうしていくと、今政府の手持ちである政府米並びに自主流通米はいつまでに終わるのか、食いつぶすのか。さらに、この中には五十三年米も含まれているのかどうか。その点についてはっきり答弁してください。
  153. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) お答えいたします。  六月末の在庫につきまして、正確に把握がまだできませんので恐縮でございますが、五月末で、多少それでも自主流通米につきましてはまだ正確性につきまして変動要因はあるわけでございますが、それで申し上げさしていただきますと、政府管理米の在庫量につきましては、五月末で政府米が百十万トンでございます。それから自主流通米が八十万トンでございまして、合計百九十万トン程度というように押さえておりまして、月間の需要量が五十五万トンから五十七万トンぐらいじゃないかというふうに考えられますので、九月中旬までこの在庫量をもって対応可能ではないか、こう計算上はなるわけでございます。  なお実際には、八月の下旬から新米が供給されますので、五十八年産米が九月中旬にすべて消費されるというふうなことにはならないのではないかと見ておるわけでございます。このような状況から、端境期の需給といたしましては……
  154. 村沢牧

    村沢牧君 そんなことまで聞いているわけじゃないです。数字だけ言ってください。
  155. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) はい、失礼しました。
  156. 村沢牧

    村沢牧君 五十三年米はその供給計画の中に入っておりますか。
  157. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 五十三年産米につきましては、最近におきますところの低価格のものの供給が少ないというふうなこともございまして、需要があれば、また希望があれば売却するということにしておりまして、この今申し上げた中には入っておりません。二、三万トン程度か、それよりも多少上回るくらいが最終的には売却されるんではないか、このように見込んでおります。
  158. 村沢牧

    村沢牧君 委員長に申し上げておきますが、先日の私の質問に対して、七月からの供給計画については六月末までにこの計画をつくるとはっきり答弁しています。こういう答弁がありながら、六月末の在庫が幾ら残っているかわからないような、そんな答弁は全く委員会軽視だと思うのです。はっきり答弁してください。  それから、五十三年度米の米について、基本計画では十万ないし十五万トン供給をするといって、これは既に十万トン以上は出しているわけです。それを、なおかつまだ二万トンから三万トンないしそれ以上というようなことを言っているのです。五十三年の米が足らないから韓国米を入れ てくるのでしょう。主食の方は計画どおりに、以上に出していく。こっちでは足らないといって輸入してくる。この矛盾はどうなのでしょう。あなたたちは基本計画を立てるけれども、守ったことはないじゃないか。基本計画は十万ないし十五万トンを主食に回すという。それ以上また二、三万トン入れたい、それ以上に入れたいなんて言っているじゃないですか。そんな無責任答弁でいいのですか。そんな無責任な操作でいいのですか。
  159. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 基本計画につきましては、おおよそこの程度ということで一応数字を織り込んでいるわけでございまして、その後におきますところの需要の変動その他によってある程度の変動はやむを得ないのではなかろうか、このように考えられるわけでございます。今先生御指摘の点につきましては、基本計画で十ないし十五万トンと御指摘のございましたのは、五十九米穀年度における需要というふうに見ておるわけでございまして、他用途利用米に移行するまでの間におきましてはなお新米穀年度、六十米穀年度におきましても多少の供給が必要ではないかということは当初から予定されておるわけでございまして、そういうことも考えまして韓国米の返還ということをお願いしたわけでございます。
  160. 村沢牧

    村沢牧君 私は他用途米のことを聞いているのじゃないのです。主食用に十五万トン五十二年を入れます、それだったら反対です、今までは入れないと言っておったものを入れるのですから。しかも、既に十四万トン以上出しているのじゃないですか。それでなお十月までに五十三年米を二万トン、三万トンもっと入れたいなどと言っている。五十二年米が足らないからといって韓国から輸入するのですよ。主食にそんな回す余裕があるのですか。あったら十五万トン入れる必要はないじゃないですか。加工米のことを聞いているのじゃない。どうなのですか。
  161. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 主食につきましては、全体の数量は先ほど申し上げたような数量になろうかと思うのでございますが、質的な問題といたしまして昨年は北海道産米の凶作というふうなこともございまして、そうした面にかわるものの需要が非常に強いわけでございまして、可能なればそういった需要に対しましてこたえていくということも必要ではないか、こう考えられますので、五十三年産米を供給さしていただいている次第でございます。
  162. 村沢牧

    村沢牧君 そんな答弁では納得しませんから、もう一回数字の上から答弁してください。七月から十月までに五十三年産米をさらに主食に供給をしていく、はっきりした数字を言ってください、加工用を言っているのじゃないですよ。
  163. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 申し上げます。  五十三年産米主食用への売却でございますが、十一月から五月までの間におきまして十三、四万トンと申し上げておったわけでございますが、これが十三万四千トンぐらいではなかろうかというふうに思っております。  それから六、七月におきましては一応三万トンを上回るぐらいの需要があるのではないか、こういうふうに見ておりますし、今後におきましてもある程度の需要は期待されるわけでございます。
  164. 村沢牧

    村沢牧君 だんだんおかしくなったのじゃないですか。十一月から五月までに十三万四千トン五十三年米を主食に供給した、六、七月に三万五千トンをやるとこれで十七万トンになりますね。それへまたさらに、七月から十月まで二、三万トン、それ以上にやりたいとなれば、だんだん五十三年米が主食に回っていくのじゃないですか。そうでしょう。そうすれば私が指摘をしておるように、五十三年米が足らないから韓国から輸入してくる、主食の方へは五十三年米を回していくのじゃないですか。こんな矛盾したやり方があるのですか。次官、聞いていていらっしゃいますか、お答えいただけますか。
  165. 仲川幸男

    政府委員(仲川幸男君) 先ほどからお話のある韓国米の輸入がかかわった今の需要の問題との問題であると思うのですが、御答弁を申し上げましたように、その時点ではもろもろの数字の計算の上から、韓国米の返還を受けることが最もいい手段だというふうに考えてまいったわけでございます。
  166. 村沢牧

    村沢牧君 基本的なことはいいです、せっかくの御答弁のところ済みませんが。  五十二年米がともかく足らないのだ。それで十五万トン最初に供給を予定したけれども、今言った数字で言うと、既に二十万トン近く五十二年米を五十九米穀年度で使うことになるのです。一体そんなことでいいのか、その理解です。官房長答弁してください。
  167. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 先ほど食糧庁次長からも答弁しましたように、国全体として一年間を通ずる食糧の需給としては、ゆとりはございませんけれどもどうやらやっていけるわけでございます。しかし、その中で品質別なり類別について若干不均衡がございまして、ちょっと先ほど話がありましたように、去年北海道で十月になりましてからかなり大雪でということで五類等が減りました。その結果、低品質の米というと北海道に怒られますけれども、そういう米について需要の強い業界というものがあるわけでございます。こういう外食産業等を中心といたしましてそういう低廉な一定の品質の価格の米というものに対して需要が多うございまして、先生から御指摘ありましたように、基本計画ではああいう計画をつくったわけでございますけれども、その後なおそういう需要が引き続きございまして、五十三年産米で持っておりました中で五十ppm以下という安全なものにつきましては、そういう要望に応じては若干出さざるを得ないということが現実かと思っております。
  168. 村沢牧

    村沢牧君 幾ら要望があったって、なけりゃ出せることはできないのです。五十三年米が足らないからといって韓国から輸入する。幾ら要望があったって、ないものは出すことはできないじゃないですか。おかしいじゃないか。韓国から輸入して余ったものをこっちへ……。だから、私が指摘をしているように韓国から十五万トン輸入して、そうして加工用に回す五十二年米をそこで浮かす、浮かしたものを主食に回す、そういう操作をやっているのじゃないですか。それはやっている。いいです、答弁は要らないです。わかっています。そんなことで一体いいのか。そのことは絶対認めることはできませんから、次の委員会で聞きましょう、きょうは時間がないから。  そういうことで、いずれにしてもことしの十月までの操作は大変に困難である。五十九年度産米を十月までにどのぐらい早食いするのですか、それだけ言ってください。
  169. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 九十五万トン程度、これはいろいろの前提がございますので、その点ひとつ御了承いただきたいと思いますが、需要量の変動といったものがありますから、その点は今後も動く可能性はあるわけでございますので、今のところ九十五万トン程度というところを見込んでおります。
  170. 村沢牧

    村沢牧君 五十九年度産米を九十五万トン早食いをする、しかし、第三期対策の計画によれば五十九米穀年度で十万トンの積み越しをする、そうして千九十万トンの五十九産米の生産を見込む、そうして需要を引いて六十年の十月末には五十五万トンの在庫、四十五万トンの在庫積み増し、つまり備蓄ですね、こういう計画なのです。したがって、九十五万トン、それ以上食い込んでしまえば当然これは備蓄もできないし、来年の繰り越しもできないわけです。ですから、備蓄を百五十万トンするといったことは、ほぼ農水省の、これは中曽根総理も知事選の演説なんかに行って堂々と言っているのですから政府の公約なのです。三年間でできないじゃないですか。初年度でつまずいてしまう。  そうしてみると、六十年度の備蓄ができないと同時に、五十九年度産をこんなに食い込めば、来年の需給操作は大変だ。これは一々答弁は要りません。答弁をくどくど言っていたって事実がそういう見通しになっていますから。そうすれば先ほどから言っておりますように、他用途利用米で あっても主食を優先とするならば、やはり政府が買い上げなければいけないのじゃないですか。好むと好まざるとにかかわらず、そうしなきゃ操作ができないのじゃないですか。備蓄ができないじゃないか。どういうふうにするのですか。これから天候を見てなんてそんな抽象的な答弁じゃだめです。
  171. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) ちょっとお言葉を返すようでございますが、今のところ今後の作柄を見まして五十九年産米がどの程度収穫されるか、こういったところを見なければ今後の問題、転作目標等の弾力的対応についての結論が出しにくいわけでございますので、その点御理解いただきたいと思います。
  172. 村沢牧

    村沢牧君 先を見なくたってわかっている。ですから、あの計画どおりに来年の十月に五十五万トンの在庫を持つ、四十五万トンの積み越しをするとなれは  千九十万トンの平年作の作況指数でもってはじいた数字ですよ、しかも五十九年度産米を九十五万トンないし百万トンも食い込む。じゃ、作況指数が幾らにならなきゃうまく数字が合ってこないのですか、一〇〇じゃだめですよ。
  173. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 仮定の数字でございますので恐縮でございますが、三ポイントから五ポイントの間ぐらいではなかろうか、このように想定されるわけでございます。
  174. 村沢牧

    村沢牧君 だから五十九年度産米が五%、一〇五にでもならなきゃそんな数字は出てこない。需給操作は大変に困難になる。したがって、先ほど来申し上げているように何らかの手を打たなきゃいけない。そんなのは他用途利用米政府が買い上げてくれなんていうことは渡りに船だ。皆さん方の口からは言えないから、それを受けてやるべきだ、やらなきゃできないじゃないですか。このことを強く指摘をしまして、あとは私の時間が来ましたから上野議員に譲ります。上野さん、やってください。
  175. 上野雄文

    ○上野雄文君 私からわからないことについて逐次質問をしていきたいと思うのですが、先ほどの星委員の質問で輸入という言葉を星委員が使われました。直ちに農水大臣の方から文言について否定をするお話があったわけですけれども、そのことについてやはりそういう認識なのですか。
  176. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) お答えいたします。  輸入か返還か、こういう問題であろうかと思うのですが、食管法上の規定によりますと、私どもが貸し付けをやりました条項がありまして、その貸し付けることができるという条項を使って貸し付けをし、その対価として今回返還してもらうということでございますが、食管法上では輸出入の規定はまた別途条項で定められておるわけでございます。なお、実体的な通関の問題だとか関税法上で規定されている点につきましては輸出なり輸入、今回の問題につきましても税関法上の取り扱い等は輸入というふうなことになっております。
  177. 上野雄文

    ○上野雄文君 そこできょうは政務次官がせっかくおいでなのでありますが、同じ議員の出身ですから、私は国会決議について認識の相違はないのだろうと思うのです。そこで農林事務当局の皆さんの認識はこの部分についてはどうなのだということを実はお聞きしたいわけです。  この間決議をした決議の二番目に、「国民の主食であり、かつ、わが国農業の基幹作物である米については、その供給を外国からの輸入に依存するというような事態が今後生じることのないよう、国内生産による完全自給の方針を堅持すること。」、こう決議をされたわけですね。ここのところで、「その供給を外国からの輸入に依存するというような事態が今後生じることのないよう、」ということは、現に輸入という事態が起こっているのだ、こういうふうに私どもとしては認識すべきではないかと思うのですけれども皆さんの考えはいかがなのですか。
  178. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 国会決議をどういうふうに我々が読むかということは、国会決議でございますので、我々としての論評は差し控えさしていただきたいのですけれども、我々としては今回の他用途利用米にいたしましても、外国に米という民族の糧をできるだけ依存しないという心でやってきているわけでございまして、そういう基本姿勢というものは今後とも貫いてまいりたいというふうに考えているわけでござます。
  179. 上野雄文

    ○上野雄文君 だとすると、私は先ほど委員輸入という文言を使われ、我々が野党席の方から、輸入と言ったじゃないか、与党でも言ったじゃないかと、こういったことについて、すぐに言い回し方を変えるような話をそちらの側からするというのは少しおかしいのじゃないですか、その辺はそういうふうに思いませんか。
  180. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 先ほど次長から話がありましたように、韓国米の返還も通関上は輸入に当たることは確かでございます。しかし、韓国米はあくまでも食管法で向こうに貸しており、そして現在でもずっと食糧管理特別会計の財産として計上されておるものでございます。言ってみると、食糧管理特別会計に計上されておる財産が韓国にある、その韓国にあるものが通関上は輸入という手続を経て日本に返ってくるということでございまして、通常に言っている、我々がもう防ぎたいと思っている輸入とは様相が若干違うのじゃないかということの表現を大臣がしたと思っております。
  181. 上野雄文

    ○上野雄文君 そういう言い回しをしなければならぬということがこれからの米の問題全部について素直に理解し得ない、そういう種を皆さんの方がまいているのじゃないですか。与党の議員さんだって輸入ということをわかりやすくざっと核心をついておるはずなのです。私はそういう大臣に変な答えをさせるような補佐役をするのは間違いだというふうに思っているのです。これは答弁をいただかなくて結構ですが、そういうことのないようなやはり心遣いというのが私は欲しいなというふうに思うのです。そのことは農民に対しても同じように、言い回してやり込めてやれば何とか乗り切れるのだという、そういう魂胆が見え見えではないかというふうに私は思っています。そのことをまず最初に申し上げたいと思うのです。  きのう統計情報部から早場米についての七月十五日現在における作柄概況というものを配っていただきました。私も五年連続不作であってほしいなんて願っている一人ではないのです。毎日毎日ごとしは何とか米がたくさんとれるように、そうあってほしいと願っている一人なのです。  せっかくここにこの状況報告が出たわけですけれども、これについてちょっとコメントをしてもらいたいと思うのです。
  182. 大坪敏男

    説明員(大坪敏男君) ただいま先生御指摘のように、私どもでは本年産の水稲の作柄概況につきまして七月十五日現在をもちまして、早場地帯でございます十三道県について調査してまいったわけでございますが、その結果がまとまりましたので一昨日公表した次第でございます。  その概要について簡単に申し上げますと、本年の水稲作につきましては融雪のおくれや春先の低温等によりまして一部地域で田植えがおくれるなど若干の懸念があったわけでございますが、田植え期以降、特に六月以降好天候に恵まれまして成育は順調に進んでいる状況でございます。その成育の良否につきましては北海道は良、東北のうち青森、岩手、秋田、山形の各県はやや良、宮城、福島の両県及び北陸の四県、それに関東の茨城、千葉につきましては平年並みというふうになっているわけでございます。  今回の調査は対象を早場地帯に限ったものでございますが、これら以外の田植え期の遅い西日本等の地域につきましての稲の成育状況につきましても、別途現地からの情報を集めまして総合いたしてみますと、大体におきまして平年並みないしはやや良という状況にあるわけでございます。
  183. 上野雄文

    ○上野雄文君 昨年と比較してどうですか。
  184. 大坪敏男

    説明員(大坪敏男君) 昨年の七月十五日現在の成育の良否でございますが、全体的には一本でしかございません、手元にはございませんが、不良ないしやや良という概況でございます。
  185. 上野雄文

    ○上野雄文君 先ほど村沢委員の質問の中にありましたけれども、たしか次長が御答弁になったと 思うのですが、ことし全体の見込みについて、これらが出た状況での判断というものをお聞かせをいただきたいと思うのです。  私は申し上げておきたいと思うのですけれども、お互いに本当のことを言い合ってだれもが理解し合えるような条件が生まれてきて、それで結果として前に言ったことと違うことが出てきても、それはお互いがおまえはうそつきだという話にはこれはならないと思うのです。米価の問題で村沢委員から片言隻句をとらえてのばちんとやられるから、できるだけ多くを語らないということでは、これは話にならないと私は思っているのです。そういう立場で、今までの推移の中で過去のいろいろな統計、また経験からこうなってほしい、こうなるのではないかというようなこともひっくるめて、それなりの見解というものをこの辺で出してもいいのではないかと思っているのです、どうです。
  186. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) お答えいたします。  非常に難しい問題でございますが、今統計情報部長の方から御報告いただきましたとおり、現在までのといいますか、七月十五日までの作況は非常に平年作以上で、早場地帯の作柄はもちろんでございますし、またそうでない関西地方以西の方も大体平年並みというふうなことでございます。こうした状況が持続されれば平年作以上が期待できると申し上げてもいいかと思うのでございますが、何分天気の問題でございますので……
  187. 上野雄文

    ○上野雄文君 だからそこは聞きたくなくて、弁解なしで答弁をしてほしいというふうに言っているのです。
  188. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) ということでございますので、私どもが行政上使っております数字は、一応平年作ということを前提にして需給計画その他は策定さしていただいているような次第でございます。
  189. 上野雄文

    ○上野雄文君 四年連続不作ということなのですが、四年も五年も同じ状態が続いてくると、それが平年作になるということになりはしませんか。
  190. 関谷俊作

    政府委員(関谷俊作君) その前に、ことしの水稲作について私からちょっと補足して御説明申し上げますと、現在までの生育状況は統計情報部の発表されたとおりでございますが、言ってみれば、これから一番大事な時期が来るわけでございます。早場地帯ですと七月半ばからかけましていわゆる生殖成長期に入りまして、穂ばらみ、それから減数分裂という一番とれぐあいに影響があるところがまいりまして、六月二十日に気象庁が出しました三カ月長期予報では、その辺のところにどうも何かちょっと少し低温があるのではないかというようなことが出ていまして、そういう意味で、非常に現在までの生育状況がいいことは、もちろん悪いよりよろしいわけですが、大変心配しております。私ども生産原局としまして、そういう大事なところで仮に低温などが来ました場合に影響を受けないような技術指導、例えば低温が予想されるときには深水にするとか、そういうような指導をしたいというふうに考えておるわけでございます。  なお、平年単収との関係につきましては、御承知のように四年間大変大きな平年収量よりもダウンがございまして、去年も九六でございますし、ことしについては四百七十九キロという平年単収を想定しているわけでございます。これがまさにこれからも今のような状況で左右されるわけですが、全体としては普通の気象条件であれば、この程度は単収が期待できるというものが平年単収の性格でございます。そういう意味で、これから我々生産担当者としては指導の面で万全を期してまいりたい、かように考えております。
  191. 上野雄文

    ○上野雄文君 私も、いい天気が続いて四年連続の不作から脱却をしてもらうということができるように心から願っているわけですけれども、こういう面についてまた一層の御努力をお願い申し上げたいと思うのです。  さてそこで、私も一度どうしてもお聞きしておきたいと思っておったのですけれども、今度の米価に関する資料の七十八ページを見せていただきましても、米の消費量がどんどん減ってきているという統計資料が載っているわけであります。私どもは生産県ですから、毎月八の日は米の弁当持参でみんな出て来いというようなことで、県庁の中もスピーカーで流れできますし、私は生協を担当もしておったのですけれども、生協の飯の売り上げが減るほど影響があるのです。一生懸命取り組んでいるわけですけれども、この減りっ放しの現況というものについてどういうふうに把握されておりますか。
  192. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 米の消費度現況でございますが、この問題につきましては高度成長下にありまして、食生活が非常に多様化しておることがございますし、このような食生活の多様化される中にありましては、摂取されるものが脂肪なりたんぱく質なりそういう摂取量が多くなっておるわけでございまして、こうした脂肪等の摂取量が多くなるようなことから見まして、でん粉質のものの摂取量が減ってきておる、こういった面が大きいのではなかろうかと私どもは見ておるわけでございます。  お米と麦の関係について見ますと、麦の消費量の方は、麦類につきましてはおおむね一人当たり消費量横ばいということで経過しておりますので、お米の方の減少といった問題は、他の食品の摂取量がふえることによって減退してきておると考えております。
  193. 上野雄文

    ○上野雄文君 何か少し足りないのじゃないですか。あなたの答弁も米の消費量を減らすと同じように随分省略してしまっているのじゃないのですか。農水省としては、それでは米の消費量を上げるような運動をどんなことをおやりになるのですか。
  194. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 米の消費の拡大につきましては中央、都道府県、それから市町村段階におきますところの官民一体となった推進体制の整備を図りながら、米の正しい知識の普及、それから地域ぐるみの米消費拡大の啓発運動とか、米飯学校給食の計画的推進また米の加工品の開発普及といったものを進めておるわけでございます。
  195. 上野雄文

    ○上野雄文君 一生懸命地方公共団体や農業団体も消費拡大をやっています。ただそこで、私たちみたいな田舎者が東京へ出てきますると、お昼に何を食べようという相談になるのですね。そうすると、東京へ出てきたときは米を食うな、まずいものを何も食うことはないじゃないか、せっかく東京へ出てきたのだから東京でうまいものを食おう、こういう話になるのです。私は県会議員時代も農林委員ですから、米の消費拡大だから東京へ行っても米は食おうじゃないか、こう言ったのだけれども、いや、それはあなた、何もまずいものを食うことはないよ、こういう話になるのです。こういう原因は何なのですか。
  196. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 食生活におきますいろいろと嗜好の問題にもかかわろうかと思うのでございますけれども、一応所得水準がだんだんと上昇しておる中におきましては、やはり多様化というふうなこともございまして、今先生御指摘のようないろいろのものを食べようという対応もあろうかと思うのでございますが、私どもといたしましては、米の消費を拡大していくことが農政にとっても、また国民の食糧の安全保障といった観点からも重要な問題だと理解しております。
  197. 上野雄文

    ○上野雄文君 私なんかは思うのだけれども、古くてまずい米を食わされているからみんな食わなくなるのじゃないですか、違いますか。
  198. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) できるだけ古い米でまずい米というものは供給しないようにというふうに考えてもおりますし、また、備蓄水準等の議論におきましても、大量の古米を売るというふうなことに相なりますれば、今先生御指摘のような問題も起きるわけでございますので、適正な水準の備蓄ということをやっていかなければならないとも考えております。過剰の累積が出ますとそうした問題も起きるわけでございますので、新鮮な米で、かつまた、そうした新鮮さを失わせないような保管管理ということも今後心がけていかなければならないと思っております。
  199. 上野雄文

    ○上野雄文君 ことしの二、三月ごろ五十三年産米が問題になりましたときに、消費者団体の間から、学校給食にその米が回りそうだといううわさがぱあっと広がったのです。結果的には、まさに食糧庁もその辺は心得ておられて五十二年産米はお出しにならなかったようですし、私もそう信じているわけですが、その話を、そのころある農協の組合長に話をしたのです。そうしたら、彼は烈火のごとく怒り出しまして、学校給食にそんなまずい米を食わせたら大変なことになる、子供のころから米というものはまずいものだということを印象づけたら、そうでなくても消費量が減りっ放しという状況のときに輪をかけるようなことになる、それは上野さん、全力を挙げて阻止してくれなくては困るよと、こう言って怒られて、結果的にそうはならなかったから、私が頑張らなくても皆さんの方がとっくに承知をしてそういう措置になったのだろうと思うのです。  問題は、じゃどういうふうにしたらいいか。これ以上減らすことがないようにというふうに私は願っているわけですが、今食糧庁では、この調子で減っていって、一体どの辺で抑えようというふうにしているのですか。その目標というのはどの辺に立てているのですか。
  200. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) お答えいたします。  米穀等の需要と生産の長期見通しにつきましては、六十五年度の見通しを持っておりまして、一人当たり六十三ないし六十六キロ程度というものを推定しておるわけでございます。
  201. 上野雄文

    ○上野雄文君 今度はこれから逆算をすると、先ほど村沢委員からの潜在生産量議論がありました。とめどなき議論だと思うのですけれども、これは一体、人口の問題と一緒に考えるとどういうふうになるのですか。
  202. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 御質問につきましては、米の総需要量ということになろうかと思うのでございますが、六十五年度の見通しにおきましては九百七十万トンから千二十万トン程度に見通しておるわけでございます。
  203. 上野雄文

    ○上野雄文君 さてそこで、今次長が途中で、いかにしてうまい米を供給できるようにするか、そのことをそろそろ考えていかなきゃいかぬという話でありますが、端的に言って、もみ貯蔵はどうなのですか。今度の米不足の問題、とりわけ五十三年産米の問題をめぐって私たち農家を歩くと、何で全国に散らばっている農家の力というものを利用しないのだと。保管料がかかる、どうだこうだと皮をむいてしまって、そして強制火力乾燥で全部米を殺してしまって、それでうまい米になるはずがないじゃないか、うまい米をみんなに食べてもらえるようなことを農家の知恵を絞って、農家で全部分担するような方法を考えればできるはずなのだ、そういうことを真剣になって考えてくれなきゃ百姓はつぶされちゃうぞと、こういうことを何回も訴えられているわけですけれども、これらについてどういうふうに考えているのか、検討の中身等をお知らせいただければと思います。
  204. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 今先生御指摘の点につきましては、少量のものを非常に人力等によりましてもみ貯蔵するということでございますれば、品質保持という面から非常に好ましいことかと思うのでございますが、大量にもみ貯蔵するということになりますと、やはり倉庫のスペースの問題だとか、また、そうしたもみを移動した後におきますところの精米の場所におきまして、もみ殻の処分等の問題もあるわけでございますし、品質的には、現在低温貯蔵というものがございます。年間摂氏十五度以下に倉庫の温度を保とうという施設を持った倉庫でございますが、低温貯蔵倉庫に保管されるものにありましては、もみ貯蔵したものと品質的には劣らないという結論も出ておりますので、私どもは大量に保管をするということになりますれば、低温貯蔵によって保管した方がより効率的に行われるのではないかと考えておる次第でございます。
  205. 上野雄文

    ○上野雄文君 そうすると、今のところ、従来の発想を全く変えようという意欲はないというふうに受けとめていいのですね。
  206. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) この問題につきましては、現在、カントリーエレベーターというものもございまして、これは単に保管する施設といいますよりは、一部は合理化された流通施設とも考えられるわけでございます。カントリーエレベーターにありましては、現在我が国におきまして六十五万トンぐらいの収容力もあるわけでございまして、こうした一応合理化された流通保管施設におきましてはもみで貯蔵されておりまして、出荷時においてもみずりが行われ、玄米で出荷されておるということでございまして、その他のものにつきましては低温貯蔵等を中心にいたしまして、ほかには、今後より一層の保管管理面で注意をして品質保持に努めるということではなかろうかと思っております。
  207. 上野雄文

    ○上野雄文君 私は、さっきも農家皆さん意見ということも申し上げたわけですけれども、各戸が少量でしかもいい状態で保管できるようなことをやろうとすればできないわけはないと思うのです。保管料は、それは初年度は多少お金がかかるかもしれませんけれども農家皆さんの協力を得れば、その低温貯蔵なんて手間をかけずに、全体で保管の役割を果たすことだって可能なはずなのです。そういうことが出てこないというのが実は一つ問題ではないかという指摘を受けているので、こういう面について検討する気は全くありませんか。
  208. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 農家に保管していただくということになりますと、一たん国に所有権が移りまして、いわば国が買い上げましてそれを保管していただくということになりますと、保管管理面におきますところの物品管理という問題も起きるわけでございます。そうした問題が、個々の農家に保管していただいたものの完全な物品管理が可能かどうかという点もございますので、私どもといたしましては、国の操作するお米が直ちに農家に保管していただけるかどうかということについては非常に難しい問題があるのではなかろうかと思うわけでございます。そうなりますと、計画的な需給操作、出荷等をしていただく場合におきましても、果たして農家の方でおこたえいただけるかどうかの問題もあろうかと思うわけでございます。
  209. 上野雄文

    ○上野雄文君 聞きようによっては農家不信というふうに受けとめられるのです。結局やりたくないということを今長々と引き延ばして御答弁をいただいたということだけの結果しか出ていないわけですから、研究する気もさらさらない。これはさっき村沢委員の質問だったと思うのですが、農業団体にも米輸入の問題をめぐって相談もせずにばたばたとやったということにあらわれているように、自分たちだけの範囲でしか物事を考えない。行革だとか臨調だとかということについて皆さんの方が今までの発想よりも一歩踏み出す、そういうものを生み出してこない限り、ただやられてくるだけの話でして、一つも新鮮味を感じないじゃないですか。農家皆さんは、飯米を出してでも輸入はやめろということまで言っている状況でしょう。その中でこれらの問題が組織的に計画的に進められないなんていう話は私はないと思うのです。農家方々をもっと信頼するという立場に立った発想を盛り込んでください。  そこで、最後にお尋ねしたいと思っているわけですけれども、これまた今私どもの選挙区を歩きますと、食糧事務所へ行くと、合理化であそこの事務所もここの事務所もあれもつぶすのだという話ばかりです。専売公社も今度は半分ぐらい営業所も生産事務所もつぶします、そして、営林署も今度は合理化でどんどんなくしていきます、こんな話ばかりなのです。米が足りなくて輸入しなきゃいけないという状態のときに、どうして食糧事務所まで手をつけなきゃいけないのですかというふうに言いたくなるくらいなのですが、今の合理化計画はどんなふうですか。
  210. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) お答えいたします。  私どもが持っております計画といたしましては、支所にありましては昨年から始めまして四十 カ所の支所を全国で整理統合するという案を持っておりますし、また食糧事務所の検査官につきましては、現在の人員を六十三年度まででございますけれど、四千人縮減するという計画を持ちまして現在進めておるわけでございます。この問題につきましては、できるだけ検査なりまた買い入れ等の事務万般につきまして合理化いたしまして、生産者等にもできるだけ御迷惑のかからぬような対応をすべく努力していくつもりでございます。
  211. 上野雄文

    ○上野雄文君 もう時間がありませんが、さっき消費の減少の問題だとか、もみ貯蔵の問題だとかいろいろお尋ねをしました。さっきの答弁を聞いておりまして、六十五年度の目標ということになってくると、だんだん米はもう減らしていく、皆さんも食べるのをどんどん落としていってよろしゅうございますと。大臣答弁は、日本の農業を守るためには全力を挙げて頑張りますという答弁を繰り返し行われています。だけれども、この面でこういうふうにじわじわ落としていって外国からの輸入をどんどんふやしていくような政策をとり続ける、そういう魂胆だというふうに私は受けとめざるを得なくなってしまうのです。米の検査員だってこんなにばかんと減らしていく、全体の検査数量がなくなってくれば減らざるを得ないわけですから、そういう政策をおとりになっている。これは大臣答弁と全く逆のやり方をやっている。  日米農産物のあのときの騒ぎ、わあわあやりましたけれども、ああいう騒ぎが起こらないように少しずつ攻め上げていってやる。こういうふうな政策ではないかなというふうに私が疑うのは無理はないでしょう。もっとしっかりやってください。さっきから聞いておりました質疑応答のやり方の中でも、私はこっち側がしゃべるよりも、星先生がこれから勇を奮って皆さんを追及するようですから、私は多くの時間を割いてやりたいぐらいの気持ちでいっぱいです。そんな長期戦略にまんまと乗せられて、こっちが黙っていなければならぬなんてばかな話はない。こう思っていますので、また継続して、私はまだ任期が五年も残っていますから、五年間言い続けるということをまずきょうは申し上げて、私の質問を終わります。
  212. 星長治

    ○星長治君 どうもただいまは褒められてありがとうございました。私は自民党の参議院議員でございますから、その点ひとつよく御理解していただきたいと思います。  それで、先ほど余り時間がないので急いで質問したのですが、今度はゆっくり質問したいと思います。  まず第一に、前年方式政府試算が〇・一%と記憶しているのですが、それで間違いございませんか。
  213. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 間違いございません。
  214. 星長治

    ○星長治君 そうすると、今度の米審に出したパーセンテージは一・四五%、そういたしますと、前年方式でやると〇・一%しかないものを一・四五%出したという根拠ですね。先ほどどなたか言ったとおり、農水大臣大蔵大臣が大体話をつけて一・四五か一・五ぐらいに決めようじゃないか、じゃそれによって逆算していこうかというようなことでこれを試算したのかどうか、その点をお伺いしたい。
  215. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 前年方式と今回の諮問米価の基礎になっております政府試算との間の開きでございますが、これは前年方式によりましては潜在生産量分の総需要量とり方等において違っておりましたし、そのことによります比率が昨年は八〇%から今年は八一%に相なっておるわけでございまして、対象農家とり方がさよう違ったことから引き上げ額が大きくなった点が最も大きなポイントであろうかと思うわけでございます。その他資本利子の見方とか、自作地地代等がありまして、今回一・四五%の引き上げ率になっているわけでございます。
  216. 星長治

    ○星長治君 そうすると、対象農家の見方を八一%にした、それから資本利子を四・二三%にした、それから自作地の地代その他で〇・二二%プラスして合計一・四%になったということですね。
  217. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) さようでございます。
  218. 星長治

    ○星長治君 そういたしますと、これは政治加算とか何とかといろいろな批判を仰がないように私は弁明しておきたいと思いますが、我が党の農村議員懇話会が二日間にわたってこの試算米価というものを検討した、その結果出たのが四・八%と出ているのです。この内容を申し上げますと、いわゆる諮問では四・四八%ですが、この面では農協の一年定期利率五・六%を採用した。そういたしますと〇・九六%アップになる。そうして第二は、土地資本利子につきましてもこれまた一・一%アップになる。第三には、必要量比率、いわゆる潜在生産量、これが我々の計算では八四%になる。そして一・二%アップ、合計四・八%アップになるのですが、これについてはいかがですか。
  219. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) ちょっと私、今先生御指摘算定方式におきますところの要素とり方につきまして、詳細にわかりませんので、その可否について御批判するといいますか、意見を申し上げることを差し控えたいと思うわけでございます。
  220. 星長治

    ○星長治君 御批判じゃなく、やはりこれも我々は真剣になって検討したのですから、あなた方も真剣になって、あなた方の出した試算が正しいか、我々の出した試算が正しいか、これは検討すべきだと思います。前向きの姿勢でやっていただきたい。
  221. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) まず、対象農家とり方におきまして、私どもといたしましては八一%というとり方算定しているわけでございますが、現在の八四%という比率がどのようにして算定されたものであるかどうかよくわかりませんので、それについてコメントすることができないわけでございます。それから資本利子につきましては、私どもといたしましては、昨年と同じような方式でやりますと今年は落ちるということもございまして、昨年度並みの資本利子をとっておるような次第でございますし、自作地地代算定につきましては、これは米価審議会算定委員会におきますところの御意見としていただいております固定資産税の評価額を基礎にして私ども算定さしていただいているわけでございますが、今自作地地代算定が一応どのような基礎で実施されたかについてもちょっと定かでございませんので、その辺についてコメントすることができないような次第でございます。
  222. 星長治

    ○星長治君 いろいろあるだろうから、私たちも根拠を持って、自信を持ってこれを算定しております。いつでもあなた方に頼まれれば申し開きしますから、ひとつ御了承願いたいと思います。  それで、私は続いて米の需給の問題で質問いたしたいと思いますが、皆さん御承知のとおり、ことしの九月になったら米が不足するだろう、主食がもう足らなくなるだろうということでうわさになっておる。これは事実だと思います。それで、今の需給体制というものをひとつ説明してください。
  223. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 御説明さしていただきます。  端境期の需給につきましてでございますが、現在、私どもの手元に持っております在庫といたしましては、五月末におきまして政府米が百十万トンございますし、自主流通米につきましては、一部推定でございますが八十万トン程度あるわけでございます。そういたしますとこれは合計百九十万トンになるわけでございます。最近におきます月間の需要量といたしましては五十五万トンから五十七万トン程度になるわけでございまして、これを五十八年産米だけで今後ずっと食べるということに相なりますれば、九月中旬ぐらいまで供給し得るという計算になるわけでございます。実際には御案内のように、八月下旬から新米が、一番早いものは八月の上旬から出ます。八月からずっと新米が出回ってまいりますし、九月に入りますれば百万トンぐらいの新米の出回り量があるわけでございます。十月末におきましては四百万トンぐらいの新米の出回り量が期待されるわけでございますから、こうした新米の活用ということによ りまして、端境期においては国民に御迷惑をかけることのないように操作していけると考えております。
  224. 星長治

    ○星長治君 そうすると、昨年度は五十八年産米を六十五万トン先食いした。本年度もそのとおりの先食いしますと、いわゆる計画である四十五万トンの備蓄というものはことしは不可能だということですね、いかがですか。
  225. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) ことしの十月末におきます私どもの古米の持ち越し量といたしましては、計画におきましては十万トン程度ということでございまして、六十米穀年度末におきまして五十五万トン程度の在庫積み増しが行われる。御案内のように、今年は生産量を五十九年産米につきましては千九十万トンということで計画しておりますので、そうした持ち越しが行われるという計画になってるわけでございますが、今先生御指摘のように早場米の先食いということもやらなければならないような事情でございますので、六十米穀年度末におきます積み増しということにつきましても、計画どおりに達成することは難しいのではなかろうかとも思われるわけでございます。ただこの問題につきましては、五十九年産の作柄がどのようになるかということによりましてもある程度変動するわけでございますので、こうした問題は今後の作柄等も見きわめながら考えていかなければならないと思っている次第でございます。
  226. 星長治

    ○星長治君 そうすると、私は逆に質問したいのですが、他用途米の二十七万トンというものは主食として取り扱った方があなた方にすれば一番安心だということですね。どうですか、これは。二十七万トンの他用途米主食用として買い上げるということは一番安心だ。日本人一億二千万がみんな安心していられるということです。それについていかがですか。
  227. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 主食用需給にありましては、決してゆとりがあるという実情ではございませんが、今申し上げましたように新米早食い等もやりまして、また需給操作には万全を尽くしてまいりますので、これは端境期もしのいでいけると思っておるわけでございます。  なお、他用途利用米が供給される光といたしましては、加工原材料用、みそ、せんべい等の用途でございますが、そこを当てておるわけでございまして、来米穀年度以降におきましては加工原材料用の用途に他用途利用米を使っていただくということにもしておりますし、他用途利用米主食として政府買い上げをしてしまいますと、みそ、せんべい等加工原材料用の供給に支障を来すおそれがありますので、そうした問題につきましては検討していかなければならないし、なかなか今いい名案が見つかっていないような次第でございます。
  228. 星長治

    ○星長治君 他用途米主食にするか加工用にするかというのはいろいろ大きな問題だけれども、これは前にさかのぼるのです。いわゆる韓国から輸入しなかったとか、臭素米が出なかったときはこれはこのとおりでいいのだ。ところが、この問題が出ているのですから、あなた方はメンツばかり考えないで、一億二千万の国民の食糧需給をどうするかという基本に立って、なりふり構わず確保するのが私はあなた方の使命だと思う。これについていかがですか。
  229. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 今御指摘のように、主食用の原料も加工用の原料もやはりともども供給の責任を果たしてまいらなければならないわけでございますし、私どもはそういった面で万全を期していく覚悟でございますが、なお、他用途利用米の安定的な供給につきましても、生産者皆さん方関係方々ともども、円滑な供給をやっていかなければならない、このように考えております。
  230. 星長治

    ○星長治君 米の需給問題を考えてみると、大体韓国米が十五万トン入荷しますと、米は十万トンぐらい余る、そうすると、他用途米主食に回しても、あとの加工米が十四、五万トンあれば間に合うということを聞いているのですが、それはいかがですか。
  231. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) これは今後の加工原材料用の需要をどのように見るかによっても多少の変動はあろうかと思うわけでございますが、私どもが現在韓国から返還していただいておるものを充当するといたしましても、来年の早々には他用途利用米の供給に依存しなければならない。といいますのが、みそ、せんべいの方でございますが、そういうふうなことになりますと、やはり二十万トン以上、二十五万トンくらいの供給量がないと、みそ、せんべいに対する安定的な供給ということが難しいのではないか、こういうふうに見通しております。
  232. 星長治

    ○星長治君 そうすると、大体来年、六十年度のことはこの次にして、現在五十九年度の問題を解決しなければならないと思います。その場合に、他用途米主食に使って、あといわゆる団体が十五万トンぐらいは何とかして、各農協からひとつ皆さんで協力しようという体制づくりが成っていると私は聞いているのです。そうなりましたならば、これを素直に受けて、他用途米主食、そしてこの加工用の問題をいろいろ御協力をもらったならばこれは可能だと思うのですが、その点いかがですか。
  233. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 今先生御指摘の点につきまして、来米穀年度の問題につきましても、多少他用途利用米制度を円滑に運営していくに当たりましては、まだ今年スタートさして初めてでございますし、多少のゆとりを持ったものを持たなければ、米穀年度の初めにおきまして直ちに他用途利用米が供給し得るかどうか問題があるところでございまして、その辺についてはゆとりを持たなければならない。といいますのが、主食用の出回りと他用途利用米の出回りと同時並行でうまくいくかどうかという問題もあるわけでございます。したがいまして、そういうことにも配慮しながら、もちろん今先生御指摘のように、私どもも集荷団体だとか生産者団体とかこういう方々と、円滑な主食用はもちろん、加工原材料用につきましても安定的な供給ができるような方途を見つけ出していこう、こういうことで努力しておる次第でございます。
  234. 星長治

    ○星長治君 私、今度この問題を逆に考えて申し上げます。こんなことを言えば、自民党の国会議員で甚だ軽率だと言われるかもしれないけれども、お許しを願って、もし、他用途米をあなた方は従来どおり加工用としての価格で買うということになったとする。わかりますか。他用途米主食でなく従来どおりのいわゆる一万幾らで買うとする。二十二万トン契約したというけれども、果たしてこの二十二万トンが集まりますか。半分も集まらないと思う。どうですか。私はそういう考えを持っている。だから、不見識だと思いますけれども、お許しを願ってしゃべるのですが、そんな簡単なものではないです。米に色はついていないのですから、一万九千円、二万円で売れるものを一万円で売る人がありますか。私はこれを気にしておる。だから、その点をお伺いします。
  235. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 他用途利用米制度発足の当初からそうした問題につきましてはいろいろ御議論があったわけでございますが、主食用需要量以上の需要量を開発するためには、やはり実需者の言い分として安いといいますか、主食より安い価格なら二十七万トンぐらいの需要がある。そのことは水田の高い生産力を今後とも保持するということとか、また、農家の転作が非常に困難といった中におきます対応としてやむを得ないというふうなこともございまして、生産者の御理解、また、生産者と一緒になりまして私どももそれに対応してまいったわけでございますし、それにありましては、政府といたしましてもトン七万円の助成をするという予算も確保しておるわけでございます。  今先生の御指摘の集荷の問題でございますが、これは現在契約がずっと締結されつつある段階でございまして、集荷業者、農協だとか経済連だとかそれから全農、こういったところを中心にやっていただくわけでございますが、そうした方々とともどもどもも懸命に集荷体制の整備ということを通じましてやってまいりたい、こう考えております。
  236. 星長治

    ○星長治君 それは韓国米を、私は輸入と言っているのですが、あなた方は買い戻しとかなんとか言っているけれども、私は輸入と言わせてもらいましょう。輸入しない前ならばこれはいい。輸入した後の信頼関係なんかどうなっていくか、あなた、現場へ行ってみなさい。そういう悪条件の中にあるのですから、この点はよく慎重に考えてもらわなければならない。答弁は求めません。  それでもう一つ、一年に四十五万トンの備蓄をしなければならない。その場合に、減反の再編成をしなければならないが、どのくらい見直しするか、簡単に答弁願いたい。それで終わります。
  237. 関谷俊作

    政府委員(関谷俊作君) これはことしの作況、それから転作実施状況というものに応じて決まるわけでございまして、極めて客観的に数量で申し上げますと、作況指数が一%違いますと十万トン、いい方でも悪い方でもプラスマイナス十万トンでございます。それから、転作の方も実は例年超過達成しておりまして、これは一%超過達成しますと大体三万トンぐらい米が少なくなる。ですから、仮に一〇三%転作達成いたしますと、その分で九万トン米の生産が減りまして、一方、作況がよければカバーできるということの、それが結局来年度の目標面積を決めます場合に、四十五万トンというものをどうするかというところの段階で具体的に数字を決める、かようなことになるわけでございます。
  238. 星長治

    ○星長治君 終わります。
  239. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 先ほど大臣にもいろいろお話を申し上げたわけでありますが、今もまた星先生からもお話がございました。私も限られた時間でございますが、何点か申し上げたいと思います。  一つは、きょうは政務次官がいらっしゃっていますので、政務次官にお話を申し上げるのはこれが最初でございますから、まずテストじゃございませんが、認識のほどをお伺いしておきたいと思うのであります。  私からこんなことを申し上げるのはどうかと思うのですけれども、最近の農業白書やそれから最近の統計等を見れば、御存じのとおり、農業基本法で中核農家を育成するということで三十五年以来ずっと参りましたのですけれども、社会情勢の変化や最近の諸情勢の変化の中で、全農家数の中で専業農家は一割少々、一七%ぐらいですか、それで二兼農家が非常に多いのです。七割近いということを言われております。これは流動的ですから、ある時点をとらえての数字はいろいろ御存じだと思います。  なぜそのように二兼が多くなったかということは、それは高度成長から低成長になりました社会情勢の中でいろいろな変化があったわけですけれども、農業だけでは生活ができないという層がだんだん多くなってきた。かつては、その時点時点でも違いますけれども、一町歩で何とか努力すればできた時代もある。一町五反、一町歩前後、一町歩未満でも生産費が償えるある程度の生産ができた時代もありました。最近ではもう二町を超しても生産費が償い得ない。六年間で六%しか米価が上がらない、そして諸物価が三〇%、四〇%上がる、それから物材費等諸経費が上がるという状況の中ですから、農家経済が立ち行かなくなるのは当然のことです。  こういうことで専業農家と言われる方々、農業を専門にやろうという、皆さん方を言うところのいわゆる中核農家として育成しようという、そういう人たちが頑張れば頑張るほど窮地に陥る。ある程度の規模拡大ができている方々はいいといたしまして。ところが、統計上は専業農家がふえていることになっているのです。ふえていることになっているのですが、実際六十五歳以上のお年寄りの方々が農業に専念するということで、若い人が本当に農業に専念し、中核となってやっていくという数というものは、現在非常に少ないという現状にある。こういうことから、数字だけ見ておりまして専業がふえたというが、その中身は決して好ましい方向に進んでいるのではないのだということが言われている。また、北海道のように大きく専業をやっている方々がかえって負債を背負っているという現実。数字的なことやなんかもたくさんありますから述べれば限りないのです。  そういう現況に対しまして農家方々は、このままでいきますと皆さん方が机の上で計算しているようなわけにはいかぬ。本当にここで何も臭素米が出たということだけではなくて、農業全般に対して見直さなければならぬ、農家方々の厳しい未来に対する反省と米価というものも適正な価格にすべきだ。農業団体が何で七%という、それはもう我々から言うと本当に控え目な数字だと思いますが、そういう農業団体要求が出るこういう環境。これは政務次官も我々と認識を同じゅうするのではないかと思うのですけれども、このように専業農家の実態というものが好ましい方向に決して進んでいるわけではないというこういう現状。二兼農家がどんどんふえて、結局は片手間に農業をやる方が一番安定しておるこういう現状。このよって来るところのものはこの低米価政策にあるのだと私は思うのですけれども、政務次官はどうお思いですか。
  240. 仲川幸男

    政府委員(仲川幸男君) 実は私も農家で、現在も農地の所有者でもございまして、その点は周囲も田舎は農家がいっぱいでございます。特に、今の原点となりますもののもろもろの問題は後継者問題にお話は及ぶと思うのですけれども、農業学校の同窓会長もし、月に一回ぐらいは学校へも伺っておるようなわけでございます。ただ、それが今お尋ねのように今度生産者米価算定の基礎というところへ結びつけておるようでございます。  いろいろ現在の専業というのはごくごく数字の上で見るのとはいささか、これは私の感じでございますから、答弁書に書いていないのを申し上げておりますのでお許しをいただきたいと思うのです。専業の数字というものはあのままであろうかと思いますが、確かめたわけではないからわかりません。実は数字の上の細かい数字はわかりませんけれども、二ヘクタールでないと勘定が合わないということになって数字の上であらわれておるわけでございますから、今後の専業が限られた土地に、まことにそれを二ヘクタール、三ヘクタール持っていくということは、北海道などは別でございますが、大変難しいことであろうと思います。  生産者米価と率直にお尋ねがあったかと思いますけれども生産者米価の一・四五の問題につきましては、先ほどから大臣もお話をしておりますように、現在不自由であるけれども、まだまだ依然として生産調整を行っていかなければならないという問題が一つ。もう一つは財政事情の問題もあります。だが、片や農家意欲を持って働いていけるものということにいかにすればいいか、そういうところが、大蔵省という話も出たそうでございますけれども、そのあたりは別として、大臣も懸命の折衝をもろもろのところにいたしましてここへ今諮問をいたしておる数字でございますので、私といたしましても、感じを言えというとまた別の感じは出ると思いますけれども、これで御審議をいただきたいと思うわけでございます。農家が専業農家も兼業農家も含めまして意欲を持ってやるということにつきましては、構造改善その他のあらゆる施策を講じて今後やらなければならない、こう思っておる次第でございますので、そのように指導をしていきたいと思います。
  241. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 みずから土地を持って農業をやっているというのですから、何も私はすぐ米に結びつけてどうということよりも、その前の今農家構造というものがだんだん変わりつつある、そのよってくるところをどう考えるかということをお聞きしたのです。これは当然社会が大きく変動するわけでありますから、昔と同じ耕作面積で同じ収入がずっといつまでも得られる、同じ耕作面積で同じような生活がずっと続けられるわけはないだろうと思いますけれども、しかし、農業につきましては余りにも極端過ぎるこういう現状。  五十九年一月一日現在、これは農林省の五十九年農業調査結果です。これによりますと、数字的に申し上げますと、総農家数が四百四十七万三千 戸、前年比で四万九千、一・一%減っておる。専業農家が六十万五千戸、これが九千戸ふえておる。専業農家がふえておる。ところが、男子の生産年齢十六歳から六十四歳という方々がいない高齢専業農家がふえて、特に十六歳から五十九歳までの基幹男子農業専従者、年間自家農業で百五十日以上従事するこういう方々がいる農家が九十万八千戸で、三万五千戸減少しておる。数字的にもこういう農林省の統計の中に出てきているのですから間違いないですけれども、こういう流れがだんだんUターンして若い人が帰ってきてやっているところもあります。土地が集約されてだんだんいい方向に向かっているというところもあります。そういう特殊なところを見ればいい傾向のところもあることは私も十分知っております。しかし、総体的に見ますとこういう傾向。そして二兼農家が非常に大きな比率を占める。  なぜこのように農家の働き手というものが大きく変動、変化をしつつあるのか。この辺のことについてさっき私も申し上げたのですけれども、これに対して仲川さんみずから土地を持って農家だと自認していらっしゃるならばどうお考えなのか、どうでしょう。
  242. 仲川幸男

    政府委員(仲川幸男君) 大変難しい問題でありますし、それがすかっとわかりましたら対策も立ちよいわけでございますが、今、藤原先生のお話のことで一番痛切に感じておるのは、農業を教えておる農学校がその問題と一番痛切に後継者問題とあわせて考えておるわけでございます。  どういう対策をやったらよかろうかという話になりますと、私もそれが、こうしたらいいであろうというお話はなかなかお答えが難しいのじゃなかろうと思いますが、今後その方向に向かってやらないと農業がつぶれてしまうということだけは同じ認識でございます。
  243. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 困っていると言うから私が教えているのです、米を上げればいいのだということ。ただ、これはお金のかかることであり、財政的な裏づけがなきゃなりません。適正なということで六年間六%しか上がらないというようなことで、他産業と化するようなことが、物価は三〇%、四〇%上がっている、物材費その他どんどん上がっている。そういう中で米価だけが置かれるということは、これは余りにも物の考え方にへんぱがあるのではないか。こういうことをこの前も申し上げたし、今もそういう気持ちが政務次官のお話を聞いても払拭できないし、さっぱりわからない。  結局、こういうただ米を上げればいいという単純なことを私ども申し上げているのじゃないのだけれども、他産業と、また諸物価、税金そのほかいろいろなものの中で、六年間六%に抑えられた米価というものが妥当なものであったかどうかということは、これは政務次官も大きな疑問をお持ちになっていらっしゃるだろうと思うし、ここらあたりを適正にすることが後継者問題や、今大臣からお話しありましたようなことを解決する一つの方途であろうと思うのです。  この前私は、農林予算というのは一般会計の中で随分削られて、皆さんもゼロシーリングの中で大変努力なさっているというが、集中的に一般会計に占める農林関係予算というものが大幅な減額になっていると。我々の頭の中では、大体国家予算の中で一割前後は農林関係予算というような一そのくらいのイメージでありました。現在、政務次官、どのくらいだと思いますか。これは本当に五十六年が八・一、五十七年が八・○、五十八年の予算の中では七・二です。  それから、一般会計との関係もまた大事なのだけれども、さらに農林関係予算の中に占める食管会計が目のかたきのように、食管会計が赤字だということで言われておるわけですが、農林予算の中に占める食管会計のウエートというものも、これは大変ひところから見ますとウエートがだんだん下がっておる。これは減反政策とか過剰事態から今日このようにだんだん不足ぎみになっているという、いろいろな要素がありますから単純に比較はできないのかもしれませんけれども、この農林関係予算の中に占める食管会計の割合というのは四十年代、四十年なんか二九・八%です。それから三六から四〇%台というときもありました。  現在、五十八年度の予算ベースで二五・三%です。四十九年、五十年、ここらあたりがちょうどあれですが、五十一年ごろから過剰傾向があったのでしょうが、四〇%、三六%。農林省としてはこういう予算全体規模から見まして、とにかく一般予算のいろいろな厳しい財政事情の中で数字だけ見ますと本当に涙の出るような努力をしておる。また、食管会計の中でも、臨調等から厳しく指摘をされておりますから、このことにつきましても相当の努力をしておる。しかし、その圧力が結局は今日の単年度需給というようなことで綱渡りになって、その綱渡りも渡れなくなってきたところに来たというふうに見ざるを得ない。  過日も同僚委員からお話がございましたが、備蓄ということになりますとまた食管会計が膨らむ、こういうことで備蓄なんか別会計にしたらどうかというようなお話もございました。これは食糧の安全保障ということの上からいきまして、農林予算の中で食糧管理費は削れば削るほどいいということにはならないと私は思うのだけれども、今度の米価決定当たりましても、他用途米との関係で食管会計の問題がいろいろ議論されているようです。私は今日までの全体の一般会計、それからまた一般会計の中での農林予算、農林予算の中で占める食糧管理費ということを見まして、これ以上さらにどこかをへこませるようなことになりますとまたまた、これは金のことだけで物事が済むとか問題が起きるということじゃないのですけれども、そういうことをやりますと、結局はどこかにしわ寄せが来て、一億一千万の国民に不安を抱かせるような事態に至るというふうに私は考えざるを得ない。  ですから、何もこういう財政事情の中ですから、お金なんかどうでもいいのだということを言っているのじゃ決してないのですけれども、やはり適正な在庫、適正な予算措置というものが私はあるのだろうと思うのです。やがて概算要求もなさるわけで、これは大臣の所管なのかもしれませんが、まずそこらあたりのことについて、政府当局や政務次官のお考えをお伺いしておきたいと思います。
  244. 仲川幸男

    政府委員(仲川幸男君) おっしゃったとおりのようなことの、五十年度の四一・七%のときに引き過ぎて、大変努力をし過ぎたところに貸付米の返還の問題も起こってまいったわけでございますから、十分このことも踏まえまして、今後苦しい財政の中でございますが、努力をいたしたいと思います。
  245. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) こういう厳しい財政事情でございますので、先生御指摘のとおり、国全体の予算に占める農林水産省の予算のシェアというものが減ってきておるわけでございますけれども、若干弁解がましくなりますが、国全体の予算の中で、国債費でございますとかあるいは地方交付税のウエートというものは年々莫大に膨らんできておるわけでございます。こういう国債費なりそれから地方交付税という中にはかなり農林関係の占めている分野があるわけでございます。例えば国債費で申し上げますと、これは主に公共事業についての国債でございますが、公共事業の中では土地基盤を初め農林関係が大きなシェアを占めておりますので、そういう部面にも隠れたるシェアというものが若干あるわけでございます。  いずれにいたしましても、ここのところシェアが落ち、それから実額においても前年からことし落ちたということは残念ではございますけれども、全体の関係の中でやむを得なかったのじゃないかと思っております。しかし我々といたしましては、限られた予算の中でできるだけ将来の農業の明るさを取り戻すということで重点的あるいは効率的な配分ということに心がけまして、限られたパイではございますけれども、効率的な活用に努めてまいりたいと思っております。  それから、食管会計につきましては、御指摘のとおり現時点で二五%というところまで下がってきたわけでございますけれども、これは過去の莫 大な過剰米の処理なりあるいは過剰米の累積に伴う金利負担、そういうものと大きな逆ざやということで四〇%というような、ただいま政務次官から話がありましたようなシェアのころも五十年代の初めあったわけでございます。しかし、徐々にそういうものを整理いたしまして、できるだけ前向きの分野ということで今度拡大させてまいりました。これ以上下がっていくということはいろいろな関係で問題もございますので、限られた中で来年度の予算要求当たりましては、これから概算要求でそういう要求基準というものも設定されるわけでございますけれども、そういう中で精いっぱいの努力を省を挙げてやってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  246. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 その国債費や交付税の話はこの前我々も十分わかっております。こういう比率とか数字とかだけで言っているわけじゃないのですが、何か言いますと、やはりこういう厳しい財政の中ですからということに帰着して、財政が厳しいからあれもできない、これもできないというような言い方するから、それならば現在の一般会計の中で農林予算はどういう位置を占め、どういう位置にあるのかということや、食管会計はどういうふうに今後推移していくかということを見ざるを得ない。  そういう中から言いますと、決して農林省が今何もしないで大きなお荷物になっているわけじゃ決してない。相当な努力をしてきておることは間違いないことだし、国民の生命産業と中曽根総理が言いましたけれども、そこに不安を抱かせる、そこに携わる方々意欲を失わせるなんということではならぬということを私は申し上げている。ぜひ新しい来年度を目指しての予算、これは概算要求をこれからいろいろなさるのだと思いますが、それを目指しましてこの辺等も頑張るところは頑張るといいますか、今の農業の現状ということについては、ここのところ集中審議で相当いろいろな角度から議論もありました。現場の声等もお聞きになっていると思いますが、それらのものを勘案しまして農業に携わる方々の期待を裏切らない、そういう要求、予算要望とともに、その確保のために頑張ってほしいと思うのです。  さて、米価算定でありますが、個々の数字については先ほど来同僚委員からお話もございましたが、私は、過日、今までの算定の中で労務費をどう見るかとか、それぞれの数値、いろいろな要素があるわけですが、四十年前後から今日にかけましての社会の変動の中で大きな変化というのはやはり地代だろうということでこの前申し上げました。特に自作地の地代をどう評価するかということは非常に大事なことだ。これは非常に四十年代、四十年代から見ますと高度成長、地価が上がりまして、当時、米価決定の中で占めるウエートというものはたかだか七%前後ぐらいだと思いますが、現在は地価の上昇、これは農民が上げたわけじゃない、政治政策でそのように上がったわけです。ですから地代の占めるウエートというものは非常に大きくなっているのです。これが現在、昨年度で計算しますと一七%ぐらいですか、これを低く見られると米価は非常に低米価になる。  農業団体から、自作地地代評価固定資産税評価額を正常売買価格に修正し、これに土地資本利子を付与すること、こういうことが要望の中にあります。固定資産税評価額というのは税金を納めるときの一つの尺度になっているわけですから当然のことだと思いますが、正常売買価格に修正する、ここらあたりになると農林省としてはそういう考え方はなかなかとろうとしないのです。これは実態に即して考えますと、正常売買価格というものを考えることが当然だろうと私は思うのですけれども、今度は資本利子等については国債の長期のもので見直したということです。これは遅きに失したみたいなもので、統制撤廃になりました五十五年当時からそのままの数値を今日まで用いておったところに問題があるのです。  しかし、自作地地代についてもまだまだ考え方に開きがあると私は思う。今回の算定当たりまして、この辺については部内でもいろいろな議論があっただろうと思いますけれども、今日こういう試算をするに当たりましての議論と、それから過日、委員会で私が、農業団体とこの問題についていろいろお話ししたのですが、その件についてはどういうように検討をしたのか、この間のことについてちょっとお伺いしておきます。
  247. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) お答え申し上げます。  自作地地代の問題につきましては、米価審議会価格算定委員会におきまして、水田を土地資本としてとらえ、その土地資本に対して他の経営資本と同様に一定の資本利子を付与するという考え方に立って行うことが考えられると。この場合の元本評価としましては、適正な時価によるという考え方のもとに全農地について定められている固定資産税評価額によることとし、利率については土地資本の持つ性格を考慮した適切なものとすることが必要である、というのが一つあるわけでございます。なお、このほかに、土地資本利子考え方による場合の元本評価を固定資産評価基準における正常売買価格によるという考え方もある、こういう案があるわけでございます。  この辺の問題につきまして私どもは検討をしたわけでございますが、一般的に土地につきましては正常売買価格をもって適正な時価といたしまして評価し、固定資産税の課税が行われることになっていますが、農地につきましては、その売買が一般に、農業経営を可能とする程度の規模の農地を単位として売買が行われていない、ほとんどの場合切り売りだとか買い足しというふうなかっこうで行われることが多いわけでございまして、その価格が一般に割高に決定されているという事情にもありますし、正常売買価格ではなくて、これに五五%を乗じたものをもって適正な時価一すなわち固定資産税評価額と相なっておるわけでございます。したがいまして、自作地の地代の評価におきましては、土地資本利子考え方に立って行う場合の元本評価固定資産税評価額によることが適当であると判断いたしまして、今回の諮問案のように、私ども固定資産税評価額を採用して算定さしていただいたわけでございます。
  248. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 そこはちょっと私もいろいろ意見があるのですけれども、きょうは時間がありませんから。  もう一つ、これは衆議院でも質問があったかもしれませんが、構造政策ということはまた農業の一つの大きなあれになっているわけですが、構造政策の推進の中で大事な土地改良事業というものは農家にとりましては大変なお金がかかるわけなのです。こういう土地改良に投資したお金、国の補助もありますけれども、個人負担も相当な金額になるわけです。この土地改良に投資したお金というものは生産費調査の中でどういうように見られているのかということなのです。  全対象農家の中からこれをどういうふうに見るかということは非常に難しいことなのだろうと思いますけれども、これはちゃんと算定の考えの中に入っているのか。それから、全対象農家、農業全体から見ますと土地改良というものは非常に重要なことで、その農家にとっても相当な支出ということになるのかもしれませんけれども、こういう問題については今度の米価算定のときには十分に考慮していることなのか、その辺ちょっと伺っておきたいと思うのですが。
  249. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 土地改良費の問題でございますが、農林水産省において行われております生産費調査の中には、土地改良の設備の減価償却費やそれから維持修繕費及び水利費といったものが含まれておりまして、これらの費用は、米価におきましてはこうした生産費調査の結果を使わしていただいて算定しておりますので、それは反映されておるものと理解しております。
  250. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 じゃ、この数字やなんか見ましても、どの部分にどういうふうにそれは数字の中で計算されて入っているのか、これは難しい計算の中だからなかなか出てこないのかもしれませんけれども、我々は感覚的に見まして土地に対する評価というのは非常に低いという中で、果たして土地改良に対する減価償却などというようなことが 本当に考えられているのかどうか、入っているのかどうか、非常に疑問を抱かざるを得ないのです。そういう地代ということや、また、土地改良の減価償却ということ等も両方十分に考えているということだったら、もう少し数字的には高くなる数字が出るのじゃないか。これは一つ一つの数値を挙げて計算してここで一々説明してもらう必要はないのですけれども、こういうことだからこのことはと説明ができる範囲内で結構ですから、もしありましたらおっしゃってください。
  251. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 生産費調査におきますところの費目の中に一例えば種苗費だとか肥料費とか農業薬剤費等いろいろございますが、今先生御指摘の土地改良関係の費用といたしましては、水利費とそれから建物及び土地改良設備費といった中に入っているわけでございまして、私どもはこうした生産費調査の結果を生産費及び所得補償方式におきましては採用しておりますので、そういったものも反映されておる、このように御理解いただきたいと思います。
  252. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 ことしの試算の中ではどのくらいの金額でこれは算定されているのですか。   ちょっと細かい事務的なことになりますから、後からそれは説明してください。  それから、時間も余りありませんからあれですが、潜在生産量、細々しいところから大きい方へ戻りますけれども、この潜在生産量とそれから単収をどう見るかというのは、米価算定当たりましては非常に大きなウエートを占める大事なポイントになるのですけれども、今、三期にわたります減反政策の中で永年作物に転作をして、もう水田には返らないという農地があります。皆さん方潜在生産量は、そういう永年作物でもう水田には、稲作には戻り得ないのだというところは別にして、本当に稲作にいつでもできるというようなところを計算をしていらっしゃるのか。私どもはどうもいろいろあちこち見て試算をしたりなんかしますと、現在減反奨励金で出している面積というものの中から出ているような感じがしてならないのです。これはその奨励金を出している面積と実態とは大きな違いが出てくるわけですから、その点とういうようにこれは調査をなさって潜在生産力ということを言っているのか、その点ちょっと御説明ください。
  253. 関谷俊作

    政府委員(関谷俊作君) 潜在生産量は、今回の米価算定の基礎になっておりますのは、五十九年度産米についてはまず根っこに千三百八十万トンという数字がございまして、これは五十七年の水稲の実際の作付面積に転作政策の方で対象にしております転作等の実施面積を加えまして、それから若干壊廃、その後の水田のつぶれた面積を引いております。これで二百八十六万ヘクタールという面積を出しまして、それに四百七十九キロという平均単収を掛けまして、その掛けましたもとに、陸稲六万トンを加えたものが千三百八十万トンでございます。これは水田利用再編第三期対策のいわばベースになりまして、どれだけ転作政策の対象とするか、奨励金を交付し、あるいは転作としてカウントする、そういう水田利用再編対策上の潜在生産量、いわば政策対象をどうやって決めるかという観点から決められているものでございます。  今回、米価に使われております潜在生産量の方は、これから十一万トンの永年作物等の転作面積あるいは定着化したものを生産量で見込みまして引きまして、さらに二十七万トン他用途米の生産予定数量を引きました千三百四十二万トンというものを用いているわけでございます。  これの考え方は、例えば十一万トンというものにいたしますと、これは転作政策上は奨励金等を交付しまして対象にしているわけでございますが、その実態においては果樹が作付けされているということで、これはそういう意味で転作が定着をしているものをこの中に十一万トン見込むということが今回の米価算定上用いられました潜在生産量でございますし、二十七万トンの方は他用途米として予定したものなので、主食用としての潜在生産量からはそれを除外したということでございます。
  254. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 これもちょっといろいろ意見があるのですけれども、次に単収ですが、過日の委員会におきましてもこの問題でいろいろ申し上げたのです。また、法案審議のときにも随分いろいろ議論になりましたが、この四年間の冷害といいますか、不作というものをどう見るかというのは一つの大きな問題だろうと思うのです。確かに五十五年度には作況指数八七ですか、あと五十六、五十七、五十八は九六ですか、そういうことが三年も四年も続いた。確かに気候が悪かったことは事実です。しかし、全国同じということでは決してございませんで、いいところ悪いところそれぞれあったろうと思うのですが、作況指数は九六というところを推移しております。  今我々は農家方々といろいろお話ししてみて、またこの実態をよく調査なさっている方々のお話を聞きますと、ここしばらくの間の米価がなかなか上がらないということや、それから社会情勢が低成長というか、大きく変化をした中にありまして、農家方々の生産意欲というものが非常に低下をしている、そういうことですから、良家に、農業にしがみついておりましてもだめだということで、他産業に、先ほど申し上げたように二兼農家がだんだんふえるという方向に流れてきました。  そういう中から、管理の手抜きとか、また機械化、有機肥料の減少。この前、地力増進法などというものの審議のときにも、いろいろこのことについては議論になったわけでありますけれども、さらに単一品種の一斉作付ということの中からだんだん生産力の低下ということが大きな問題として取り上げられておる。ですから、四年続きの不作というものも、天候が不順だったということが一つのきっかけになってこういう弱いものが噴き出したといいますか、こういう作況指数が九〇台に落ちるという問題になってくるのじゃないか。これも法案審議のときに随分議論になったわけであります。  こういうことから考えますと、皆さんは、最近は天気がいいからことしは作がいいだろうというようなことも言われているようですが、天候不順というのは一つの大きなマイナス要因であることには間違いがないと思うのですけれども、これは天気が回復したからもどのような単収が得られるかというと、先ほど申し上げたようなこういう条件がずっと積み重なっている。そういうことから、回復するといいましても、全国平均でいいますと、そう単収というのは大きな回復をするということではないのではないかということが言われているようですが、私も各農家のいろいろな実態等のお話を聞きますと、どうもそういう気がしてならないのです。  こういうことから、この米価算定当たりましての大きな要因であります、単収をどう見るかというこのたびの数値に対しましても、非常に疑問を持たざるを得ないという思いでいっぱいなのです。これを算定するに当たりまして、農林省でもいろいろな調査なり、また今までの経験等でこれをお定めになられたと思うのですけれども、その間のことについてどういう御検討の中から今日のこの単収というものが得られたのか、この点について御説明をいただきたいと思うのですが。
  255. 関谷俊作

    政府委員(関谷俊作君) 昭和五十九年の平年単収四百七十九キロにつきましては、従来の例によりまして、過去の単収の推移から推定をし、今おっしゃいましたような技術要因等も若干加味しながら、前年より一キロ増の四百七十九キロというように設定されたわけでございます。これが特に四年連続の不作との関係で申しますと非常にある意味で高いということになるわけでございますが、これは私どもそういう平年単収が安易に実現するというふうにはもちろん考えておりません。  四年連続の不作は、毎年を見ますと、五十年に一度とか百年に一度というような非常な低温が一部の地域に出ております一方で、そういう中でも地方増強とか稲づくりを一生懸命やったことによって、それほど気象の影響を受けていない米を とっている農家がある一方で、一般的にはまさに先生のお尋ねにございましたような、地方づくりを怠っておるとか、あるいは非常に基本的な技術もおろそかになるというような面から気象要因が非常に発現した、気象による影響を非常に受けたということ。  これは確かにあるのだろうというふうに考えておりますので、単収を過去の傾向、技術の発展動向を加味して見る一方で、私どもとしましては、かねてから進めております稲づくり、さらに地力増進法の制定に伴います土づくりの推進、あるいはさらにその基盤にあります村のいわば生産を支えるような技術面、あるいは営農面での組織的な活動というものを助長しまして、こういうことによってやはり気象条件等の不利な条件の中でも安定した稲作ができる、こういう指導を一生懸命やらなければならない、かように考えております。
  256. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 皆さんがこれを算定するに当たりましてはそれぞれに根拠があったと思いますが、確かに四百七十九キロは専門的な農家方々に言わせますと、そう一年、二年でこの単収というのは――農家方々も四年も続きましたから非常に危機感もある、そういうことで一生懸命やるようになったという声ももちろん私も聞いておりますけれども、やはり一度落ちたものの回復力というのはそう急には戻らないのだということを言う方も非常に多い。ことし天候が回復して作のいいことを心から願うので、何も作がよくなるわけはないなんということを私は言っているのじゃないのです。しかし、単収の見方、四百七十九キロというこれがまた米価に大きな影響力を持つだけに私はいろいろなことを申し上げているのです。  地力増進法というような法律もできて、土地、土壌ということに対して、相当農家方々もこのままではだめだという意識は確かにお持ちのようであります。そういうことから、一生懸命同じ気候条件の中でありながら、管理をした人はそれなりの収穫があるということも私どもは聞いております。しかし、先ほど申し上げているように、やはり二兼農家がだんだん多くなって、やろうと思っても実際にやる手間暇のない方々も非常に多い。そういうことで、この回復力というのは、そう皆さん方が考えているみたいな回復力というのはあるのかどうかということも、農家方々には非常に危惧する人たちが多い。そういう点も考えあわせて今回の数値というのはお考えになられたのかどうか。  机の上では幾らでもできますけれども、実態的に農家構造というのは、先ほど申し上げたように、専業でもお年寄りの方々が非常に多くなるという傾向の中で見れば、そういう結果がちゃんと出るのだということがわかっていても、現在農村にお住まいになっている方々の労働力というのは大きく変貌している中で、皆さんが考えるような生産力というのは、単収というのは出てくるのかどうか、こういう疑問がどうしても心の中に残るのです。その点については、今日までもいろいろ御検討なさったと思うのですけれども、もう少しその算定の根拠になるようなものについて何かございましたらお聞きしておきますけど。
  257. 関谷俊作

    政府委員(関谷俊作君) 単収の確保ということでございますが、稲作の当面の問題は、何と申しましても従来から進めておりました生産性の向上、コスト低減ということよりも、さらにその直近の問題として、作柄安定あるいは稲づくりの体質強化ということが一番大事だというふうに考えております。  例えば、ことしのことにしましても、一昨日出ました七月十五日現在の早場米地帯の稲の育ち方というのはよろしいわけですけれども、これからということを考えますと、幼穂形成、穂ばらみ期を控えまして、そういうところで非常に気象条件が悪いという予想もないわけではないわけです。そうしますと、私どもの技術陣の考えでは、例えば低温時には少し深水かんがいをするとか、それからこのごろ非常に研究が進んでおりますが、いわゆる肥料を施す場合に固めてやらないで、分けてきめ細かく肥料を施す、こういうような面なんかでの稲作技術のいわば基本的なものの励行というのは非常に必要でございます。  そうなりますと、やはり常に田んぼを見回って稲の顔を見ながら農作業をするということが必要になってまいるわけであります。こういうような努力をすることによって、仮に余りよろしくない気象条件が来ましても、それによる影響をできるだけ最小限に食いとどめるという、こういう稲作に持っていかなければならないわけでございます。そうしますと、どうしても個々の農家の努力だけではなくて、地域の組織的な活動とかあるいは市町村の指導あるいは普及員の指導というようなことも考えながらやっていかなければならない、こういうように考えております。
  258. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 そういうもろもろのことをした上に花咲くのであって、机の上でそろばんをはじいてそういうふうになるわけじゃないのだ。ちょっと時間がかかるのじゃないかということで、一生懸命何とかしようという意欲も出て、取り組もうという姿勢はあることは十分我々も知っていることですけれども、そういうことからしますと、単収の見方というのは少し甘さがあるのじゃないかという危惧を抱かざるを得ないと申し上げておきます。  もう時間になりましたからあれですけれども、最後に政務次官、審議会で今いろいろ審議をしておるのですけれども米価審議会でぜひひとつ、先ほど大臣にも申し上げましたが、物価がもう三五%も上がる中で、国民負担、税負担が八〇%も上がるような……
  259. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 時間になりました。
  260. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 こういう状況の中で米価が低く抑えられるなどということのない、再生産のできる、法律にのっとったそういう適正な価格を定めていただくことにぜひ政務次官の御努力もいただきたい、こう思いますが、決意のほどをお伺いして終わります。
  261. 仲川幸男

    政府委員(仲川幸男君) 私、きのう一日米審にくぎづけでおりまして、お説のことは十分承知をいたしまして、答申を今夜いただくはずでございますから、それを受けて最大の努力をいたしたいと思います。  よろしくお願いいたします。
  262. 下田京子

    ○下田京子君 一・四五%という諮問が本当に生産費及び所得補償方式の名に値するのかという点でまずお尋ねしたいのですが、先日、十九日ですか、私は昨年の米価そのものの不当性、問題点をお聞きいたしました。その際に、とにかくたび重ねて算定方法を変更してきた。その結果、米価がいずれも低く抑えられてきた。特にその変更の中心は何かといえば、家族労働の評価であり、あるいは生産費対象農家とり方などであったと思うのです。その結果、改悪前の五十二年方式で昨年産米価を計算すると、決定米価よりも四千三百四十三円上回るものになるのだ、そしてざっと五千億円も農家に不利益を与えることになるのだということが明らかになったと思うのです。  しかも、第二次生産費の戸数をカバーする率、つまり生産費を償える農家というのがわずかに一六%程度に落ち込んでいる。家族労働報酬の方も五十二年で比べますと名目で何と四割もダウンしているのだということを明らかにしてきたと思うのです。ところが、現在、米価審議会に今諮問されて議論されているわけですけれども、もう基本的に不当な五十二年産の米価決定と同様の算定方法をおとりになっているという点で大きな問題があるということを私は重ねて指摘しておきたいのです。  そこでお尋ねしたいのですけれども、一六%程度の農家しか生産費が償えないというような状況、そしてまたその家族労働の報酬が四割もダウンしているというような状況の中で、最初に申し上げましたが生産費所得補償方式によってやられたというふうに言えますでしょうか。
  263. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 生産費所得補償方式といいますのは、先生も御案内のように稲作に実際に要した費用を補てんずるとともに、家族労働部分につきまして都市均衡労賃評価がえをする ということが算定方式の基本でございまして、こうしたことは本年度も採用しておりますし、本年において昭和五十三年以来とられておりました方式を採用しているところでございます。  このことにつきましては、米価審議会米価算定小委員会報告においても、生産費所得補償方式を採用することが最も妥当であるということでもございますので、私たちはこの報告趣旨を踏まえまして今回試算させていただいた次第でございます。
  264. 下田京子

    ○下田京子君 一六%の農家生産費しか償わないで生産費を償っただとか、あるいは名目で四割もダウンしているのに家族労働費を賄ったなどということは、あれこれ言ったってこれは言えないわけですね。  具体的にお聞きしたいのですけれども、五十二年産と同様の算定方法であった場合に、ことしの米価、基準価格は幾らになりますか。
  265. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) お答え申し上げます。  五十二年、五十五年、五十六年の政府買い入れ価格と同様の方法によって算定いたしました場合の試算値につきましては、基準価格でそれぞれ五十二年におきまして二万二千五百九十八円、それから五十五年の方法によりまして二万二千五百九十六円、五十六年の方法によりまして一万九千九百六十円、いずれも六十キログラムでありますが、そういうことになっております。
  266. 下田京子

    ○下田京子君 御丁寧に、私五十二年産だけで計算したらと聞いたのですが、五十五、五十六とも答えてくれたので大変時間が省けましたけれども、今のお話のように五十二年、五十五年の方式ではほぼ同じような米価になると思うのです。つまり、五十五年方式の場合に諮問米価に比べて二三・七%も高い米価になると思います。その格差というのは約四千三百円です。  五十五年どことしと比べて需給事情はどうなのか。少なくとも実転作目標面積で言えば変わっていないじゃないでしょうか。なのになぜことしの米価がこんなに不当に抑えられたのか。よく需給事情がどうのこうのと言うのですが、この点どうですか。
  267. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 需給事情につきましては、私ども生産費対象農家とり方の面に反映させていただいておりまして、そうしたところに、必要量生産費といった算定方式を五十五年等はとっておりましたのですが、今年度におきましては潜在需給ギャップ反映必要量という方式を採用さしていただいておるわけでございます。  それぞれの年度におきます需給事情には若干の相違はございますが、過去におきましては過剰米その他を擁しておりました点で相当の在庫を持っていたという事実はございます。
  268. 下田京子

    ○下田京子君 私、五十五年の方式で、五十五年と現在との需給状況を見たときに一体どうかといったら、転作の実面積で見たってほぼ同じじゃないか。数字で申し上げますと、実転作面積が五十五年の場合には五十三万五千ヘクタールでしょう。五十九年、ことしは他用途米、マル化米を除いて五十四万四千ヘクタールでしょう。ほとんど差がないじゃないですか。しかも、在庫量の方はどうかということになりますと、これは五十五年当時よりも、ことしは韓国米まで輸入しなきゃならないということで非常に逼迫しているのです。どうして五十五年と同じような算定方法をとれなかったのかということなのです。
  269. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 先ほど申し上げました米価算定に関する小委員会におきましても、需給事情を反映させる場合の対象農家とり方といたしまして、潜在需給ギャップ反映必要量といった方式をとることが適当である、こういうふうな御指摘もございまして、それを踏まえて私ども算定したところであります。
  270. 下田京子

    ○下田京子君 そこが大きな問題なのです。需給事情を正しく反映したなどということにはならない。つまり五十五年、五十六年以降大きく変わっていって、そういう低い形で抑えられていった根本がそこにあるのだということが一つはっきりしたと思うのです。しかも家族労働費とり方なのですが、諮問米価では、家族労働費評価がえ賃金、男女込みで一時間千四十八円三十九銭となっておりますね、この労賃を五十五年産と同じように計算した場合。つまり五人以上一千人未満で、労働者数の加重平均賃金、そういうことで評価がえした場合に、ことしは一千三百二十三円十八銭という数字になると思うのですが、いかがですか。
  271. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 男女込みで千三百二十三円十八銭になります、一時間当たりでございますが。
  272. 下田京子

    ○下田京子君 どうしてこういうふうに差が出たかということなのです。稲作の労働の評価、五十五年に比べてことしが一時間当たり二百七十四円七十九銭も引き下げられているのです。なぜ同じようなとり方ができなかったのでしょうか。
  273. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 問題は二つあろうかと思うのでございますが、都市均衡労賃算定する場合に、五十五年におきましては都道府県別の賃金を労働者数で加重平均しておる点が一つございます。  あと一つは、対象農家とり方でございますが、従来は必要量比率でもって対象農家をとっておりましたけれども、今年におきましては潜在需給ギャップ反映必要量比率ということで算定さしていただきました。そのことによりまして、今御指摘のような差が出ていると考えられます。
  274. 下田京子

    ○下田京子君 つまり、そういう形で家族労働費とり方も改悪してきた結果なのですね。その結果、五十五年の米価の場合、家族労働費評価賃金というのが五十五年当時千九十三円四十五銭でした。ことしは諮問米価で幾らかといえば、千四十八円三十九銭でしょう。つまり一時間当たりの賃金が五十五年当時に比べても現在の方が名目で下回っているという結果になっているのです。四年間も名目賃金ですら引き下げられている。そういう労働賃金のとり方も改悪してきた。これで稲作労働費を正当に評価したと言えるのでしょうか。
  275. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 私ども米価審議会算定委員会報告に基づきましてそういう方法を採用さしていただいておりますので、現在の時点における諸般の事情を勘案すれば適正に評価したものと考えております。
  276. 下田京子

    ○下田京子君 適正とかなんとか言われても、五十五年当時に比べても名目でダウンしているということがはっきりしたのです。それでもって稲作労働費を適正に評価したということは言えない、これもはっきりとしたと思うのです。この間十アール当たりの労働時間は五十五年が六十四・四時間、五十八年は六十一・二時間、つまり三・二時間も農家皆さん方が一生懸命苦労する中でもって労働の質を高めてきたのです。しかし、一方でもって今言うように、米価算定評価という点で労賃の方は大変な改悪をしてきた。全然農民皆さんの労働の苦労が報われていないじゃないでしょうか。
  277. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 今御指摘の点につきましては、生産費算定する際の過去三カ年の平均をとらしておりまして、生産性の向上といったものも平均的には織り込まれて算定しております。
  278. 下田京子

    ○下田京子君 指摘していったらたくさんあるのです。とにかく米価評価がえの都市労働賃金の男女込みの場合、これは五十二年当時九百十九円二十七銭でやっていましたね。これは実際に農家がどれだけ補償されたかという生産費の方で見ますと、五十二年当時は八百八十六円ということで余り差がなかったのです。ところが五十八年、昨年がどうなっているかということになりますと、これは男女込みの評価がえの賃金が千三十七円二十二銭ですけれども、実際に生産費で見た場合の家族労働報酬費というのは何と一時間当たり五百、四十一円なのです。たった五百四十一円です。そういうことで大変な事態になっている。しかも、所得の方で見ましてもこれもダウンしている。こういう実態の中であれこれ言われても、まさに労働の評価を大改悪してきたということがはっきりしてくるのじゃないかということを私は指摘しておきたいと思います。  次に、他用途米の問題でお尋ねしたいのですけれども、先般大臣との話のときでもありましたが、輸入なのか、安い他用途米か、どっちなのだという論議であってはならないと思うのです。  そこで聞きたいのですが、第一次過剰処理が済んだ後の第二次過剰処理が始まるまでの五十年から五十三年までの間にどのような対応をされましたか。
  279. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 加工原材料用の売却につきましては、五十年から五十三年度におきまして全国の国内産の古米を充当さしていただいております。
  280. 下田京子

    ○下田京子君 古米を充当したということですけれども、正確に言いますと、第一次過剰処理が終わった後で過剰米がなくなったわけで、そのために五十年の四月から十月分まで加工原材料が不足する、そのために前年の四十九年産において在庫積み増しということで二十万トンを充当する計画をきちっと立てていたと思うのです。その上で古米積み増し分四十万トン、合計六十万トン在庫積み増しを行った、そういうことですね。
  281. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 恐縮でございますが、今の年産別の処理状況は、ちょっとはっきり今資料を持っておりませんので確認できないわけでございますが、いずれにしましても古米を充当したというふうに私ども理解しております。
  282. 下田京子

    ○下田京子君 次長の頭に入っていないほど軽んじているのです。だからこういう結果になると思うのです。  これは委員要求資料の中の「加工原材料用米穀の安定供給の必要性」というところで何と書いてあるかといいますと、「ア 米が絶対的に不足していた昭和四十年代前半までは、輸入砕米により充当してきた。イ 過剰米が生じてからは、過剰米処理により充当してきた。ウ しかしながら、過剰米処理の終了に伴い、加工原材料用の需要について、輸入に依存することなく国内生産でまかない、実需に見合った価格で供給する必要性が生じた。」、こういうふうなことで、実際には五十年から五十三年まで四年間政府がちゃんと主食と同じ値段で買い上げて充当してきた、しかも、五十年のときにはもう足りないということがわかっていたから、四十九年の当時にちゃんと足りない分まで計画して織り込んでやっていたということなのです。なぜそういうことをきちっとこういうのに書かなかったのかということなのです。どうですか。
  283. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) その辺はちょっと今私は資料でチェックしていないのでございますが、私ども大体過去におきます売却の概要を申し述べればいいということで取りまとめたのではないかと推察するわけでございます。
  284. 下田京子

    ○下田京子君 委員長、日だけ、もう十秒ぐらい。  本来加工用の原料というのは、主食、加工用の区別なく、今私が申したようにかつてやっていたことあるのですから、全体としてゆとりある需給計画の中でもってちゃんと供給していくのだ、これが原則なのです。そういうことをきちっとやはり米価審議会の資料の中にも盛り込んでおきなさいということです。それだけ主張しておきます。  以上です。
  285. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 先生、過去の実態と現在の他用途利用米制度等につきましては、水田利用再編対策の転作の一環としてやってきた、こういう事態の変わっていることもひとつ御認識いただきたいと思います。
  286. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 村沢君から発言を求められておりますので、これを許します。村沢君。
  287. 村沢牧

    村沢牧君 私は、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合及び参議院の会の五派共同提案による昭和五十九年産生産者米価等に関する決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     昭和五十九年産生産者米価等に関する決議(案)  政府は、米価審議会に対し、昭和五十九年産生産者米価について、稲作農家の期待に反する低米価諮問を行った。  生産者米価は、長期にわたる減反政策のもとで、実質的に据えおかれてきたが、この間に米の生産費は三十五パーセント以上も上昇し、その上四年続きの冷害等も加わり、稲作農家の経営と生活は極めて厳しいものとなっている。  このような状況の中で、政府は、減反政策を継続する一方で、加工原材料用米の不足を韓国米をもって充当する等の食糧政策を行い、国民の不安を招いたことは、まことに遺憾である。  よって政府は、減反政策を根本的に見直し、米の生産拡大と国内生産による完全自給の方針を堅持するとともに、次の事項の実現を期すべきである。  一、昭和五十九年産生産者米価については、試算米価をさらに検討して、稲作農家の所得を補償し、再生産を確保できる水準に決定するよう措置すること。  二、稲作農家の要望を実現し、生産の活性化を図る観点に立って、自主流通制度の定着を期すること。  三、他用途利用米については、主食用として政府買い入れの対象とすること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。特に与党委員各位にも御賛同いただきまして、本委員会全会一致で御採択をお願いいたします。
  288. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) ただいま村沢君から提出されました決議案の取り扱いにつきましては、理事会において協議いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十四分散会      ―――――・―――――