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1984-07-12 第101回国会 参議院 農林水産委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年七月十二日(木曜日)    午後二時一分開会     —————————————    委員異動  七月十一日     辞任         補欠選任      村沢  牧君     梶原 敬義君  七月十二日     辞任         補欠選任      刈田 貞子君     太田 淳夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         谷川 寛三君     理 事                 川原新次郎君                 北  修二君                 最上  進君                 藤原 房雄君     委 員                 浦田  勝君                 大城 眞順君                 岡部 三郎君                 熊谷太三郎君                 坂元 親男君                 高木 正明君                 竹山  裕君                 初村滝一郎君                 星  長治君                 水谷  力君                 森田 重郎君                 稲村 稔夫君                 上野 雄文君                 梶原 敬義君                 菅野 久光君                 太田 淳夫君                 刈田 貞子君                 鶴岡  洋君                 下田 京子君                 田渕 哲也君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        農林水産大臣   山村治郎君    政府委員        農林水産大臣官        房長       田中 宏尚君        農林水産省経済        局長       後藤 康夫君    事務局側        常任委員会専門        員        安達  正君    説明員        大蔵省主計局共        済課長      坂本 導聰君        大蔵省主計局主        計官       小村  武君        文部大臣官房福        利課長      岡林  隆君        厚生省年金局数        理課長      田村 正雄君        自治省行政局公        務員部福利課長  秋本 敏文君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員  共済組合からの年金の額の改定に関する法律等  の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送  付)     —————————————
  2. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨七月十一日、村沢牧君が委員辞任され、その補欠として梶原敬義君が選任されました。     —————————————
  3. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案議題といたします。  本案につきましては、衆議院において修正が行われておりますので、この際、本案衆議院における修正部分について便宜農林水産大臣から説明を聴取いたします。山村農林水産大臣
  4. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 衆議院における修正趣旨につきまして、便宜政府側から御説明申し上げます。  修正内容は、この法律案施行期日である昭和五十九年四月一日が既に経過していることにかんがみ、施行期日を公布の日に改めるとともに、標準給与の月額の引き上げについて昭和五十九年四月一日から遡及して適用する等、所要の規定の整備を行うものであります。  以上が衆議院における修正趣旨であります。
  5. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 本案趣旨説明につきましては前回聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 菅野久光

    菅野久光君 ただいま議題となりましたいわゆる農林年金についての問題でありますけれども、幾つかの問題点がありますので、その点についてお伺いをいたしたいと思います。それぞれの公的年金の中で、この農林年金だけが一番最後になってしまったということで、各団体方々から早くとにかく審議をしてくれという要望が非常に強いわけでありますが、そのようなことを踏まえながら、これから御質問を申し上げたいというふうに思います。  この公的年金制度につきましては、最近の経済社会の条件、とりわけ国の財政事情等を踏まえて、五十六年の七月十日には臨時行政調査会が第一次答申において、緊急に取り組むべき改革方策の中で、支出に関する個別的方策としてその改革指摘したわけであります。その中身は、年金国庫負担についてであります。そして、制度間の均衡に配慮しつつ、当面、負担率を引き下げる等その削減を図る。二つ目は、年金支給開始年齢段階的引き上げ等給付内容水準基本的に見直し、保険料段階的に引き上げる等、抜本的改正検討し、早急な実施を図る。三つ目は、五十七年度には、恩給費の増加を極力抑制し、新規の個別改善は行わない。四つ目として、事務費国庫負担保険料財源への切りかえを図る等々をうたっております。  ところで、政府はこの答申を受けて五十六年の八月二十五日に、「行財政改革に関する当面の基本方針について」及び「行財政改革に関する一括法案作成等について」を閣議決定して、公的年金関係措置事項をこれに盛り込んだわけであります。引き続いて政府は、これを各年金制度特別措置案要綱として社会保障制度審議会に諮問をし、その答申を受けて一括法案に取りまとめ、いわゆる行革関連特例法案として第九十五回臨時国会提出をいたし、そして成立をしたわけでありますが、この行革関連特例法は国の財政再建期間昭和五十七年度から五十九年度について、農林年金に関しても、厚生年金公務員共済等と同様の横並び措置を行ったわけであります。  その内容は、農林年金について、一つ目給付費に対する定率補助一八%を特例適用期間中はその四分の三、すなわち四分の一削減相当した額とする。二つ目は、特例適用期間経過後は、年金給付事業財政安定が損なわれないよう、国の財政状況を勘案しつつ、本来の定率補助の類とその四分の三の補助の額との差額の補助、その他の適切な措置を講ずるものとするという内容であります。  ここで、この特例的法的措置がとられた農林年金国庫負担減額を見ますと、五十七年度は決算で四十五億円、五十八年度予算額で五十二億円、五十九年度予算額で六十億円で、本年の年度累計では百五十八億円になるわけであります。年金にとっては、やはり年金財政がどうであるかということは極めて重要な問題でありますので、これらの累計百五十八億円を運用収入相当分を七%として計算すると、五十九年度末現在で百七十四億八千万、なお運用収入相当分を五。五%として計算すると、同年度末の累計額では百七十一億三千万円ということになるわけです。  そこで、この特例期間が本年度で終わるわけでありますが、その返還は何年間で、あるいはその利息はどのようにするのか、その辺のところについて農水省としてはどういうふうな見解を持っているのか、その辺をまずお伺いいたしたいというふうに思います。
  7. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) おっしゃるとおりに、五十七年度から五十九年にかけましての行革関連特例法によります補助金縮減分につきましては、同法により農林年金財政の安定が損なわれることのないよう、特例適用期間経過後において、国の財政状況を勘案しつつ、適切な措置を講ずることということになっております。  そこで、農林水産省といたしましては、特例適用期間経過後の補助金縮減分、そしてその金利収入相当部分の補てんにつきましては、当初からの考え方を変更することなく、財政当局と折衝していくという基本姿勢でおります。
  8. 菅野久光

    菅野久光君 三年間の財政再建期間を過ぎた、したがって、当初の予定どおりこれから財政当局と強い決意で当たっていくというふうに受けとめていきたいと思いますが、大蔵省はおいででしょうか。  それでは、国の財政が非常に大変だということは我々も承知しているわけでありますけれども、いずれにしても、法律趣旨からいって財政再建期間後、これらの問題については利子相当分を含めて返還をするということでありますので、大蔵省当局として現在時点において、六十年度予算でどのようなことをやらなければならないというようなことでの検討があるのかどうか、あるいは今までそれらのことについて検討したことがあるかどうか、その辺を含めてひとつ見解を聞かせていただきたいと思います。
  9. 小村武

    説明員小村武君) ただいま御説明がありましたように、行革関連特例法減額分につきましては、運用収入等を含めまして将来の年金財政の安定が損なわれることのないよう、国の財政状況等を勘案しつつできるだけ速やかに繰り入れに着手するという考えは変わっておりません。  ただ、減額分繰り入れ期間内容方法等につきましては、特例適用期間経過後における国の財政状況等を勘案する必要がございまして、現時点で、いつどのような方法でどういうふうにお返しをするかというところについては、まだ決まっておりません。
  10. 菅野久光

    菅野久光君 これは、年金は各年金ともそうでありますけれども、先ほど申し上げましたように、特に組合員の拠出、それから国庫補助、それから利子運用、そういうものによって財政を確立しているという観点から相当多額になるということで、ぜひこれは、特に退職年金にかかわってはやはり年金財政というものが極めて心配状況にある。各年金それぞれそういうわけでありますから、そういう退職された方々にも心配をかけないような、そういうことで今後大蔵当局として六十年度予算編成に当たってはこの辺について、三カ年の財政再建期間でこれを決めた段階での論議を十分踏まえて対応していただくように、この際、特に強く私の方からも要求をしておきたいというふうに思います。  どうも大蔵省ありがとうございました。  そこで、本制度における国庫補助の確保は、年金財政上、極めて重要でありますし、関係団体等意見では、今回の特例措置適用の間は暫定措置としてこの三年間はやむを得ないというふうに考えたとしても、この措置の終了後には従来の要求でありました定率補助厚生年金並み、すなわち二〇%それから財源調整費補助三%への引き上げを要請していくということにしているわけでありますが、この際、こうした意見に対する政府見解はどうかということをお伺いいたしたいというふうに思います。
  11. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 現在、法律補助といたしまして、農林年金につきましては一八%の国庫補助率、そのほかに予算補助といたしまして、低額でございますが、率に直しますと一・八二%の財政調整費の助成をいただいております。  この一八%につきましては、確かに厚生年金は二〇%ということでございますが、いわゆる共済年金グループについて申しますと、国家公務員地方公務員は一五%ということになっておりまして、共済年金グループの中ではこの一八%と、それから先ほど申しました予算補助の一・八二の率につきましても、私どもこれは法律上の根拠のあるものではございませんけれども、引き続いてその分についても確保すべく努力をいたしてまいるつもりでございます。
  12. 菅野久光

    菅野久光君 大臣も本当に大臣に御就任以来、いろいろ農畜産物輸入自由化の問題から米の問題から大変な中でやられておるわけでありますが、年金の問題については、先ほど申し上げましたように、とりわけ社会保障的なあるいは社会保険的な意味合いも持っているということから、この年金財政の確立については財政当局に、関係大臣とともに強力にこれが実現されますように、ひとつ御努力いただきますようにこの機会大臣に要請を申し上げておきたいというふうに思います。  時間もございませんので具体的な中身に入っていきたいと思いますが、既裁定年金の額の改定でありますけれども、既裁定年金については従来と同様に他の共済組合措置にならったものでありまして、五十八年の三月三十一日以前に給付事由が生じた各年金について、その年金の額の算定基礎となっている平均標準給与を五十八年度国家公務員給与上昇率平均二・〇%を基準として、旧法組合員期間、すなわち三十九年の九月以前にかかわる者については五十九年の三月分から、新法組合員期間、三十九年の十月以降にかかわる者については五十九年の四月分から年金の額を引き上げることにしております。  そこで、既裁定年金の額の改定は、四十四年度以降、前年度における国家公務員給与改善等に対応し毎年引き上げ改定がなされてきているわけであります。しかし、五十八年度は、五十七年度国家公務員給与凍結された、その改定凍結されたということから年金額改定は見送られております。今回の改正案では、先ほど申し述べたように、平均標準給与年額国家公務員共済組合制度に準じて三区分とし、その区分ごと増額指標を用いて平均標準給与増額を行うことにしているわけです。一昨年の改定においては、その実施時期を従来の四月実施から一月おくらせて五月実施としたほか、国家公務員給与改定におけるいわゆる管理職ベア据え置きを理由に退職年金等では平均標準給与年額一定額以上の者について、その支給の一部を停止する措置をとったり、昨年は国家公務員給与改定凍結に伴って改定は見送られている。また、本年の改定においては四月実施基本としながらも、恩給との連動から旧法組合員期間にかかわる者については特例として一月早い三月実施としているわけであります。  このように、年金改定やその実施時間が時の国の財政事情等によって左右されるということは一体どういうことであろうか。年金は、先ほど申し上げましたが、社会保障的な機能を有しているとはいえ、いわゆる社会保険でもあるということからいって、この点についての見解をひとつお伺いをいたしたいというふうに思います。
  13. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) お答えいたします。  農林年金年金額の計算は、現在給与比例方式のみで算定をいたします共済方式と、定額部分給与比例部分とをあわせた方式によりまして算定をいたします通年方式とがございます。このうち共済方式算定される場合と通年方式給与比例部分及び旧法最低保障額改定につきましては、年金額改定法によりまして、標準給与を前年度国家公務員給与引き上げ率基準として引き上げることによりまして年金額改定をやっておりますが、一方、通年方式定額部分及び新法最低保障額算定基礎となっております定額部分改正につきましては、厚生年金に準じまして消費者物価指数が五%を超えて変動した場合にはその変動率に応じて政令で改定をするという、いわゆる自動スライド方式をとっておりまして、農林年金年金額改定指標としましては、現在そういう意味給与物価の両者を組み合わせて用いているという形になっております。  先生公務員給与というようなものに連動するのはどうも客観性がないのじゃないかというお尋ねでございますが、公務員給与は、民間の賃金に準拠しまして公務員待遇改善を図るという観点から改定されるものでございまして、その改定率は、物価上昇率とは異なる一つの政策的な判断というものを持った性格のものでございます。  農林年金年金額改定には、やはり現役組合員給与水準との均衡が重要な考慮要因であるということを考えますと、この農林年金法第一条の二に「給付の額は、国民生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるため、すみやかに改定措置が講ぜられなければならない。」ということが書いてございますが、この第一条の二の趣旨に沿った改定指標であるというふうに私ども考えております。年金額改定公務員給与改定率を用いるということはもう既に相当長きにわたりまして定着をいたしておりまして、これはいろいろなやはり総合的な判断の上に立った公務員給与改定指標にしているということでございまして、指標が失われているということでは必ずしもないのではないかというふうに思っております。  もちろん、公務員給与改定決定に当たりましては、国の財政事情等も勘案される場合があるわけでございますが、農林年金額改定内容は、その前年度に確定をしました公務員給与改定率に基づきまして他の共済制度恩給制度との均衡を保って決定をされているものでございます。
  14. 菅野久光

    菅野久光君 今局長から答弁がありましたが、年金額改定をやはり本法第一条の二で、「この法律による年金たる給付の額は、国民生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるため、すみやかに改定措置が講ぜられなければならない。」というふうに規定をされている。従来から公務貫給与に準じてという形でなされてきている。これは昭和四十六年ぐらいからだと思いましたが、人事院勧告を完全に国が実施をするようになった。そういう時点からこの公務員給与に準じてということは、まさにこの第一条の二における条項に沿った改定だというふうに私は思うわけでありますが、五十六年度以降、御承知のように人事院勧告抑制凍結というものがあったわけです。したがって、公務員給与人事院勧告と直接結びつかない改定内容になっているわけであります。  したがって、この公務員人勧というのは、客観的に言えば諸事情変動を示す指標としての役割というものがあったというふうに私は思うのですが、既にその人勧を完全に実施しないということでその機能を失ってしまったのではないか。いわゆる客観性を有しない公務員給与改定ということになっているわけであります。この規定に照らしても私は疑義があるというふうに言わざるを得ないわけであります。したがって、従来行ってきた公務員給与改定の率をそのまま年金のところに当てはめていくということについては、やはり規定上問題があるというふうに私は思うのですけれども、その辺はいかがでしょうか。
  15. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 先ほど申し上げましたように、現在、農林年金年金額改定につきましては給与物価と両方を組み合わせて用いておりますので、物価につきましては消費者物価指数という指標によりまして改定される要素があるわけでございます。それから給与につきましては、御指摘のとおり、長きにわたって人事院勧告公務員給与改定というものが一致をしておりましたのが、近年それが乖離を生じているという問題の御指摘でございますが、この点につきましては掛金を掛けて給付を行うという仕組みからいたしますと、現役組合員給与水準との均衡ということをある程度考えなければいけないということになりますと、現在のところ、国家公務員給与改定率以外によりよい指標というものをなかなか求めがたいというのが実際のところではないかと思います。  いずれにいたしましても、公的年金制度改革というものの中でやはり農林年金の今後のあり方、仕組みも含めて検討をいたしていかなければいけないわけでございまして、そういった中におきまして年金額改定指標のとり方ということにつきましても当然検討事項に入ってまいるであろうというふうに考えておりますので、共済年金共通の問題としまして関係各省とも協議をしてまいりたいというふうに考えております。
  16. 菅野久光

    菅野久光君 非常に苦しい答弁にならざるを得ないというふうに私は思うのです。従来ずっと人勧をそのまま政府実施してきたときにはそのまま年金にはね返らせればよかったわけですけれども、そういう凍結抑制というような事態があって、結局公務員給与改定の率をそのままここへ持ってこざるを得ない。年金生活者というのはいわば社会的弱者といいますか、そういうことで、いわゆる年金だけで——若干の預金があれば預金利子等もあろうかとも思いますけれども、しかし、利子などというものはあったとしても微々たるもので、年金生活をしている方は夏期手当だとか年末手当あるいは年度手当という手当は一切ない。そういう中で結局、物価上昇の中で生活をしていく。それらを勘案して人事院勧告がなされる。  その人事院勧告よりもさらに低い額、そしてこれは標準給与額で二%上げたとしても、年金生活者の手元に実質的に来る金はいわば一%強、二%はいかないわけです。そういうことで、いよいよ生活が苦しくなっていくというような状況になっていくわけでありますから、そういう意味で、人勧抑制凍結をされている現況の中で公務員給与をそのまま当てはめていくということについては、やはり規定の上から言って無理があるし、納得ができないということを私はこの際申し上げておきたいというふうに思います。  それから、今回の改定の特徴の一つは、恩給連動部分、いわゆる旧法にかかわる部分の三月実施でありますが、これは恩給改定実施時期が、五十七年度公務員給与改定の見送りに伴って五十八年度恩給ペアがなかったこと、恩給受給者には老齢者戦没者の遺族あるいは傷病者等経済的弱者が多いこと等から、五十九年度限りの特例として従来より実施時期を繰り上げて三月実施とされた、結局これに連動して三月ということになったわけであります。  この一月でも繰り上げたということはそれなりに評価はできるわけでありますが、農林年金においても、これのために旧法組合員期間を有する者にとっては一月先に改善がされる。しかし、五十九年度改定において旧法期間の人だけとなっているわけです。それで、新法期間の人は従来のように四月からということになっているわけであります。従来は期間が同じ。しかし、いろいろな論議の中では、少なくとも公務員給与改定の時期に合わせるべきではないかという論議がそれぞれ委員会の中でなされたことは会議録の中でも私も承知をしているわけでありますが、この年度を越えて一歩踏み込んだ、それになぜ新法期間人たちも一緒にこの改定実施しなかったのか、その辺のところについて見解をお伺いいたしたいというふうに思います。
  17. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) この三月と四月の一月のずれにつきましていろいろ御議論があるわけでございますが、今の先生の御質問の中にもございましたように、昭和五十二年度以降この年金額改定措置につきましては、前年度国家公務員給与改善基礎としまして、恩給並びに他の共済制度と同じ時期ということで四月実施ということを原則にいたしてきたわけでございます。  今年度、五十九年度につきましては、恩給改定昭和五十九年三月とされたことから、共済年金のうち恩給仕組みとして連動しております旧法組合員期間にかかわる者につきまして、恩給と同様に特に一月分繰り上げたということでございまして、新法組合員期間にかかわる者につきましては従来からの原則どおりにいたしておる、こういうことなのでございます。
  18. 菅野久光

    菅野久光君 恩給連動して、それに全部追随というような形で、いわばほかの年金もそうであるから各公的年金については皆同様にということになるのだろうと思うのですけれども、しかし、こういう旧法組合員新法組合員ということで実施時期に差別があるということは、やはり年金受給者にとっては納得のできがたいことではないかというふうに思うのです。ここで思い切って何とか公務員給与改定と同一時期の改定というものができないのかどうなのか、その辺について検討されたことがあれば、この機会にぜひお伺いいたしたいというふうに思います。
  19. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 一月の差が生じましたことにつきましては先ほど申し上げたとおりでございますが、確かに実施時期だけを取り出してみますと一月ずれているではないか、こういうことでございますが、これは旧法組合員期間にかかる年金部分新法組合員期間にかかります年金部分につきまして、仕組み全体としていろいろな点が異なっておるわけでございまして、そういった仕組み全体の問題として考えますと、どうしても今回御提案を申し上げているような形の改正案にならざるを得ないということで御提案を申し上げているものでございます。
  20. 菅野久光

    菅野久光君 やはり年金受給者から見れば、差別的な実施時期ということについては私は納得しがたいものであろうというふうに思いますので、この点については納得できないということを申し上げておきたいというふうに思います。  これは、恩給実施時期、いわば恩給に準じた年金改定ということで、結局こういうような差が生じているわけでありますが、年金額改定恩給との関連で実施されてきているのが恒例になっているわけであります。その恩給法の関係からいえば、その時点、その時点でいろいろ部分的にスライド以上の改善を行ったり、基準的な方向でまちまちになっている部分が今まであったわけです。そんなことで、そういうような一貫性がないといいますか、その時点、その時点でいろいろなことがなされてきている、それにいわば旧法部分が準じていくということについては、相当私は問題があるのではないかというふうに思うのですけれども、その辺はいかがでしょうか。
  21. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) お答え申し上げることがちょっと重複するようで大変恐縮でございますけれども、制度の成り立ちの仕組み全体が、先ほど申し上げましたような新法期間旧法期間でいろいろな面で制度仕組みが異なっておりますので、その一部分だけを切り離して他方の制度に合わせるということがなかなかやりにくいわけでございます。
  22. 菅野久光

    菅野久光君 公的年金制度全体にかかわる問題だから、あるいは農林年金だけということにならないことは私はわかるわけですけれども、どうもこの辺に私は問題があるということの指摘を一応しておきたいというふうに思います。  既裁定年金改定でありますが、附帯決議等においても、政令により自動スライド等の改定措置がとれるようにすべきであるというような指摘があるわけであります。この点についての政府としての検討結果があればお伺いいたしたいと思います。
  23. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 農林年金につきまして、国家公務員給与に合わせて年金額改定するという方式が慣行としてほぼ定着していると考えられますので、前回の農林年金法の御審議の際の附帯決議にも盛り込まれていたところでございますが、これを自動スライド措置として導入したらどうかという御意見をいただいておるところでございます。国会の方から、一々国会の審議を要しないでもいいよということを言っていただくということはまことにある意味ではめずらしいわけでございますけれども、私ども附帯決議をいただきましたのでいろいろ検討してまいってきております。  ただ、やはりいろいろな議論がこれについてはございまして、その一、二を申し上げますと、一つは、本来各般の均衡を勘案の上で年金額改定率を定めること自体一種の政策判断であるということで、その性格上掛金の納付義務と並んでこれは法律をもって定める必要があるのではないかという議論、あるいはまた、法律上政令への委任規定を設けるという手法をとるにいたしましても、国家公務員給与改定率は政策判断の結果という性格のものであるから、物価上昇率のような客観性のある指標ではないために、政令委任というようなことをやる妥当性が本当にあるのだろうかというような議論、あるいはまた、国家公務員共済その他の共済制度との全体を通ずる問題として、こういったほかの共済制度との均衡をとった措置としてやる場合にそういうことでいいだろうかというようないろいろな議論が実はございまして、いまだ結論を得るに至っていないものでございます。引き続き検討さしていただきたいというふうに思っております。
  24. 菅野久光

    菅野久光君 現行の年金改定が、この農林年金の場合にはいわば給与スライド方式ということでやられているわけです。これは国家公務員給与改定が前年度物価上昇率等を反映した民間給与基礎にしてやっているわけであります。したがって、その次年度から改定される年金はいわば二年前の物価上昇に見合うような年金改定ということで言えるというふうに思うのです。しかし、厚生年金においては、もうすでに前年度物価上昇率に応じて改定される物価自動スライド方式が導入されている。ですから、各共済年金についてもその改定方法として給与スライド方式物価スライド方式のいずれが適当かということはやはり論議というものがあるのじゃないかというふうに思うのです。そういったようなことについてはどうでしょうか。
  25. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 共済年金年金額改定は、御指摘のように物価上昇率のような客観的な指標によるスライドとは違った政策的な改定という性格を持っておりますが、給与スライドがいいか物価スライドがいいかということにつきましては、これはなかなか一概には申し上げにくい点があろうかと思います。非常に一般論として申せば、やはり物価上昇率よりも若干給与上昇率の方が高いということが非常に長い目で見ればあるのではないかと思います。さもなければ実質賃金が低下をするということになるわけでございまして、そういう点から一般論として申せば、給与スライドの方が有利ではないだろうかというふうに考えておるところでございます。
  26. 菅野久光

    菅野久光君 いずれにしてもこの問題は、公的年金をやっているそれぞれの年金間でいろいろ論議をしていかなければならない問題だというふうに思いますが、時間がございませんので、このことだけをやっていくとあとのことができませんので、先に進ませていただきます。  退職年金等の最低保障額の引き上げでありますけれども、この最低保障額の引き上げは今回の改定によってそれが増額されることになるわけであります。その改定年金額が一定の額に満たない場合には最低保障額が適用されるわけですね。この最低保障額には新法の年金者のみに適用される本来の最低保障額と、旧法年金者を含めた全年金者に適用される絶対最低保障額とがあるわけです。今回の改正は、後者のいわゆる絶対最低保障額の引き上げであって、具体的には退職年金、障害年金及び遺族年金の絶対最低保障額を、年齢または組合員期間区分に応じて五十九年三月分から恩給制度改善に倣って一律二・一%それぞれ引き上げ、遺族年金については本年八月分からさらに〇・五%引き上げることにしております。  一方、この最低保障額は、厚生年金においていわゆる自動物価スライドが実施された場合、これに準じて政令によって改定されるもので、本年は四月から二%を基準とした引き上げということになっております。  そこで、この最低保障額の問題なのですが、年金制度本来の機能の上でこれは非常に重要な役割を有しているもので、特に農林年金においては組合員期間が短い、そして給与水準が低いという状況にあるために非常に年金の額が低くて、これを救済するためにも大変重要な問題だというふうに思うのです。  そこで、この最低保障額の引き上げに関してでありますけれども、旧法年金者が主として受ける絶対最低保障額のうち、六十五歳以上の退職年金者等を除いては、法本則に基づく最低保障額に比べて非常に低額である。このことからこの格差が問題とされてきたところなわけであります。今回の改定においても、遺族年金のみがいわゆる二段ばねで、八月時点で二・一%引き上げられるものの、他に一律二・一%の引き上げということになっている。また、新法最低保障と異なり、年齢区分組合員期間区分が設けられているなど、いまだに新旧年金間に格差がある。このことは、年金の受給事由が生じた時期によって社会保障的機能を持つ最低保障に差があることとなって、私は非常に不合理だというふうに思うのです。特に先ほどお話ししましたが、この農林年金は他の共済制度に比較して新法の施行時期がおくれた実態もあったり、そういうことで組合員期間が飼い、給与年額が低いといったようなこと等があって一層その改善が望まれるわけです。  そこで、農林年金のこういったような実情に照らして、最低保障額、特に絶対最低保障額の水準の妥当性、それから新旧年金間の格差是正、こういったようなことについて見解を明らかにしていただきたいというふうに思います。
  27. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 農林年金の最低保障額につきましては、確かに新法適用者と旧法適用者との間でその扱いに違いがございまして、旧法適用者のうち六十五歳未満の者、それから組合員期間が二十年未満の者について見ますと、新法適用者より平均して二〇%程度格差が生じているということは事実でございます。  これにつきましては、共済年金制度共通の原則といたしまして、年金額算定はその給付事由が生じた時点における制度によるべきであるという一つの共通原則のようなものがありまして、その意味恩給制度に準じて給付が定められます旧法年金に対しまして、制度的に新法年金、この新国家公務員等共済に準じます新法年金水準を保障するということは難しいというふうに考えておるわけでございます。しかし、この旧法年金者に新法最低保障を直ちに適用することは難しいといたしましても、従来から国会でもそういう御議論がございますし、新旧の格差是正には努力はしてきているところでございます。五十九年度におきましても旧法年金にかかわる絶対最低保障額につきましてはその改善を図るようにしておりまして、こちらの方は二・一%三月から引き上げる。それから、新法の最低保障額につきましては、これは厚生年金と横並びのスライド、政令によりまして四月から一・五%引き上げるということで、結果としましては新旧格差の是正に寄与する形になっておるわけでございます。  なかなか、これも新法、旧法制度仕組みの差というふうなことでそういう形になっているわけでございますけれども、今後とも絶対最低保障額の引き上げにつきましては努力をいたしまして、結果として旧法年金者の最低水準改善が少しでも期せられるように努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  28. 菅野久光

    菅野久光君 絶対最低保障額の水準引き上げる、あるいは新旧年金間の格差是正について今後とも一層努力をしてまいりたいということでありますので、その点強く私の方からも要求しておきたいというふうに思います。  次に、五十五年度以降における絶対最低保障額の改定を見ますと、五十五、五十六年度は従来の既裁定年金の額の改定の時期、いわゆる四月に合わせた改定のほかに、新法の最低保障額の改定の時期六月に合わせて、物価上昇分を織り込んだ形で再度引き上げるいわゆる二段ばね方式改定が退職、障害、遺族の各年金について実施されてきた。しかし、前回五十七年度改定から、このいわゆる二段ばね方式による改定は遺族年金についてのみになった。その改定の時期も、新法最低保障額改定時期と比べて前回で一月おくれ、本改定案では四月おくれの実施である。  そこで、いわゆる二段ばね方式による改定が遺族年金のみとされる理由は一体何なのでしょうか。そして、実施時期が新法の最低保障額改定期と異なることとなった理由は何だろうか。そのことをお伺いいたしたいと思います。
  29. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) ちょっと今御質問の中で二段ばねというお話がございましたけれども、先ほど申しましたように、年金額改定に二つの手法を使っておりまして、給与改定にスライドをいたす部分と、それから物価にスライドいたす部分がございまして、いずれかについていずれかの月にやっておるということでございまして、重ねて二回物価スライドをするとか、二回給与関係で引き上げるというようなことはないように承知をいたしております。
  30. 菅野久光

    菅野久光君 これが退職年金、障害年金、遺族年金とかあるうち、遺族年金だけがそういうような方式をとっているということについて、その理由は何かということをお尋ねしておりますので、そういうことでお答えいただきたい。
  31. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) この遺族年金の問題につきましては、遺族年金の最低保障額と寡婦加算の額との合計額が現在退職年金の最低保障額の八一%に相当する形になっております。五十九年度改正におきまして、五十九年三月分からこの最低保障額を二・一%引き上げることにいたしておりますが、寡婦加算の額につきましては数年前に大幅な引き上げをやったということがございまして、いろいろなバランス上、これを据え置くことにいたしましたために、遺族年金の最低保障額と寡婦加算の合計額が退職年金の最低保障額の八一%を若干割り込む形になることになりましたので、その均衡を図りますために昭和五十九年の八月分から遺族年金の最低保障額を再度引き上げまして、遺族年金の最低保障額と寡婦加算を合わせました額が退職年金の最低保障額の八一%相当に、今の割合になるように調整をいたすということでございます。  この措置は、給与改定に伴います通常の年金額引き上げとは異なるものでございますので、国の財政事情も勘案をしまして、五十九年八月分から恩給並びに各共済制度共通に実施をするものでございます。
  32. 菅野久光

    菅野久光君 そうすると、それは平均的なそういうもののために、今年度に限って遺族年金だけを二段ばねにするというふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  33. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) そのとおりでございます。
  34. 菅野久光

    菅野久光君 それでは、絶対最低保障額改定基準となる恩給の最低保障額の引き上げ、これは他の公的年金制度の最低保障額を参考としておって、五十四年度までは共済年金における最低保障額の改善に準じた改正を行ってきたわけです。しかし、五十五年度以降いろいろな状況が生まれて、絶対最低保障額の改定がその年度ごと独自の計算方式によって改定されてきたというふうに私は思うのです。  そこで、絶対最低保障額の改定指標について過去の経過を幾つか具体的にお示しをいただきたいというふうに思いますし、その客観的指標を何に求めるべきか、恩給準拠の是非を含めて政府見解というものを明らかにしていただきたいというふうに思います。
  35. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 農林年金旧法年金につきましては、その給付水準恩給に準拠しておりましたことから、当初最低保障制度はなかったわけでございますが、昭和四十一年に恩給に最低保障制度が導入されたことに伴いまして、恩給給付水準との均衡を図りますために、農林年金旧法年金につきましても恩給に準拠した最低保障を導入したという経緯になっております。  この旧法年金の最低保障額の引き上げ基準といたしましては、従来から恩給と同様に、前年度におきます国家公務員給与の最高上昇率基準として改定してきているところでございまして、五十九年度におきましては五十八年度国家公務員給与の最高上昇率二・一%を基準として引き上げるということにいたしておるわけでございます。
  36. 菅野久光

    菅野久光君 客観的指標を何に求めるかということもいろいろ論議のあるところだというふうに思いますが、その点はまた別な機会にやらしていただきたいと思います。  今回も前回と同様に寡婦加算額の引き上げというものが見送られていますが、その理由は何でしょうか。
  37. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 遺族年金給付改善につきましては、各共済組合制度一律に昭和五十一年度以降、最低保障額を毎年引き上げますとともに、数次にわたりまして寡婦加算の額の増額を行ってきたところでございます。  本年度給付改善に当たりまして、寡婦加算の額の増額を行わない、据え置くということにいたしましたのは、昭和五十五年度旧法、それから昭和五十六年度の新法につきましてそれぞれ行った寡婦加算の増額が大幅であったこと。例えば子二人を有します寡婦につきまして、それまでの八万四千円の二・五倍に相当します二十一万円に増額をしたというようなことから、寡婦の遺族年金と寡婦の方以外の遺族年金との均衡に考慮する必要があるという判断、また、この最低保障と合わせますと退職年金の最低保障額の八一%に達しているというようなこと等を考慮をいたしたものでございます。  なお、国家公務員共済組合制度その他の共済組合制度及び厚生年金保険におきまして本年度においては、寡婦加算の引き上げは同様に見送っているところでございます。
  38. 菅野久光

    菅野久光君 次に、新法の最低保障額の改定見通しについてお伺いをいたしますが、新法の最低保障額の改定は、厚生年金に準じ、物価上昇率に応じて政令で引き上げられるわけですが、本年は物価スライド率を二・〇%、これは予算上の見込みでありますが、これに応じて特例的に引き上げることが見込まれているわけです。しかし、四月二十七日の総理府発表によると、五十八年度物価上昇率は一・九%と政府の見通しを下回っているわけです。また、五十八年度は、五十七年度物価上昇率が五%に達しなかったことから物価スライドは見送られている。しかしながら、自動物価スライド制が導入された四十九年度以降、前年度物価上昇率が五%未満であっても、その上昇率に応じて特例としてすべて改定されてきているわけです。  そこで、本年の改定見通し二%という根拠は何かということについてお伺いしたいと思います。
  39. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 御案内のとおり、新法最低保障額算定基礎になっております定額部分改正につきましては、厚生年金に準じまして消費者物価指数が五%を超えて変動をした場合には、その変動率に応じて自動スライド制ということで、政令で改定をするということになっておりますが、五十七年度消費者物価指数上昇率が二・四%であったということで、五十八年度には自動スライド措置が講じられません。また、五十八年度上昇率も一・九%ということで、両年度合わせましても四・三%ということで、五十九年度におきましても自動スライドは行われないわけでございますが、五十九年度におきましては、公務員給与改定及びこれに連動しました共済年金の額の改定ということを考慮いたしまして、五十九年度特例措置としまして五十九年の四月から二%のスライド措置を講ずるということで、今回厚生省が提出しております国民年金法等の一部を改正する法律案の中でその旨を規定しているところでございます。  それでは、この五%に届かないにしても、二年分で四・三%の残りの部分はどうなるのか、こういうことが当然御疑問としてあろうかと思いますけれども、私どもといたしましては、四・三%から今回実施の二%分を控除しました部分につきましては、次回の自動スライド制の際あわせて引き上げることになるものというふうに考えております。
  40. 菅野久光

    菅野久光君 今もお答えにありましたけれども、五十六年度に比べて五十七年度が二・四%、五十八年度が一・九%、いわば四・三%強の物価上昇がある。したがって、こういうことから言えば、五十九年度改定はこの四・三%ということにならなければ物価上昇に合った形にならない。結局、その半分以下ということになるわけですね。さらに、来年度のこういう改定をやるとすれば、五十八年度基準とするということになれば、この五十七年度物価上昇分をどのように一体扱うのか、全く五十七年度からぼっと消えてしまうのか、その辺はどうなのでしょう。
  41. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 厚生年金法の方で、何といいますか、積み残し部分についてはカウントをされるような配慮がなされておるということでございます。
  42. 菅野久光

    菅野久光君 物価上昇が四・三%であっても二%しかやらないということになれば、来年度改定についても極めて問題があるということにならざるを得ないのだということを今の答弁から受けとめて、その点はまた来年度のこの時期にやらさしていただきたいというふうに思います。  次に、もう時間もございませんが、寒冷地に住んで受給している方がたくさんいるわけですけれども、ここの部分ですね、私は北海道ですから、年金受給者方々にはいつもこのことで語があるわけですけれども、冬季間の燃料は寒冷地に住む者については生活必需品です。しかし寒冷地に住む者も暖かいところに住む者も年金の受給ということは率からいけばみんな同じなのです。それであらば、暖かいところに住めばいいじゃないかという論議になるのかもしれませんが、やはり老後は自分の住みなれたところに、親戚だとか知人がたくさんいる、そういう中で長い間生活をし、仕事をしてきた、あるいはその方にとっていろいろ蓄積されたものをまたその社会に恩返しをしていくという意味合いもあって、自分の長く住んだところに定住される方が多いわけです。こういう人たちは、暖かいところに住んでいる人も寒いところに住んでいる人も、拠出するときには同じ金額しか拠出しないのだから、同じ受給ということはこれは公平の原則からいって当然だといえばそれまでかもしれませんが、少なくとも共済年金というそういったようなことからいえば、燃料手当的なものということについて何らかの検討といいますか、そういうことが今までなされたことがあるのかどうか、その辺をお伺いいたしたいというふうに思います。
  43. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) この給与仕組みというのはいろいろな団体ごとにかなり異なっております。こういう共済年金なんかの場合に、標準給与をとらえる場合に、給与の範囲をどういうふうに押さえるかということはなかなか難しい問題でございますが、この農林年金法におきましては、その第十二条に、「「給与」とは、給料、俸給、賃金、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、勤務の対償として受けるすべてのものをいう。ただし、臨時に受けるもの及び三月をこえる期間ごとに受けるものを含まない。」、こういうことで整備をいたしておるわけでございます。寒冷地手当に限りませず、いろいろな手当について御議論がございますが、法制定の際にいろいろな検討を経ましてこういう定義をいたしておるわけでございます。  例えば、国家公務員の寒冷地手当について申しますと、毎年八月三十一日現在における勤務地によりまして該当の有無を決めまして、同日に一括支給するというふうな形になっております。もし、そういう支払いの方法でございますれば、これはやはり年一回払いを臨時に受ける、あるいは三カ月を超える期間ごとに受けるということになりますので、標準給与の中には含まれないということになるわけでございます。  寒冷地に勤務いたします農林漁業団体職員につきまして、何らかの形でやはり燃料手当のようなものが支給されている場合が多いと私どもも思っておりますが、それが本俸に織り込まれているのか、年一回払いの手当であるのか、また、毎月の月給に伴う手当であるかというようなことが各団体ごとに種々であると考えますので、その点は燃料手当ということでというわけの扱いにはしにくい、こういうふうに考えております。
  44. 菅野久光

    菅野久光君 何か現在その職員として勤めている者の燃料手当的なことでお考えになっているようですが、私が申し上げているのは年金受給者についての質問でございます。これは各年金に共通する問題でもありますので、きょうのところは、この点についてはそういうような要望が非常に強くあるということをまず申し上げておきたいというふうに思います。  最後になりますが、五十六年二月における給与等の実態調査では、農林漁業団体職員の平均給与月額が、本給と諸手当の合計でありますが、県連で二十万五千円、市部の単位団体で十六万四千円、郡部の単位団体で十五万五千円となっている。これを地方公共団体職員の給与と単純に比較することは困難でありますけれども、その四月の実態と対比すると、県連と都道府県庁職員との間で九三・六%、単位団体と市役所職員との間で八一・二%、それから町役場の職員とでは九三・四%の水準になっている。五十七年度末における組合員標準給与等は、月額で、農林年金が十八万四千六百五十三円、厚生年金が二十万七千二百五十三円、私学共済が二十二万四千五百四十八円、地方公務員共済が二十一万七千五百七十六円等々、農林年金は他に比して非常に低いものになっているわけです。その結果、退職年金額を見ても、五十七年度末で農林年金が百三十万七百六十円、厚生年金は百三十五万六千四百七十五円、私学共済は百五十八万千五百八十二円、地方公務員共済が二百一万二千八百四十円といったような状況にあるわけです。  それで、他制度に比べて低額年金受給者が非常に多いこの農林年金制度について、何としてもこれを充実して、老後保障の充実といったようなことに努めてもらいたいというふうに思うわけですが、最後にこのことについての大臣の決意をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  45. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 年金制度は、各制度とも、基本的には国民が安心して老後生活を営んでいく上の重要な柱の一つであるというぐあいに考えております。他方、各年金制度は一定の拠出を前提として給付を行うという社会保険制度でもあり、本格的な高齢化社会を迎えた時代における給付と負担の均衡、そしてまた世代間の公平という見地からの配慮も必要であろうと考えております。農林年金につきましては、以上のような機能が発揮されるよう、農林漁業団体に人材が得られ、これらの団体が発展、ひいては農林水産業の振興が図られることを強く期待しておるものでございます。したがいまして、負担と給付均衡、また、世代間の公平等に配慮しながら、農林年金制度の健全な運営が図られるよう努力してまいりたいと思っております。
  46. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 ただいま議題となっております農林漁業団体職員共済年金について若干御質問するわけでありますが、大臣の提案理由の説明の中に、「この法律案は、農林漁業団体職員共済組合による給付に関し、恩給制度国家公務員共済組合制度その他の共済組合制度改正に準じて、既裁定年金の額の引き上げ等」云々とあるわけですが、私どもも、年金横並びで、いわゆる共済グループという年金の中での物の考え方というのは、飛び抜けて農林漁業団体年金だけがひとり歩きするということは、これは財源とかいろいろな諸情勢の中から、そういうことは別にいたしましても、年金制度そのものからいいますとわかるのです。しかし私は、きょうは本当は大蔵大臣にでも来てもらいたいぐらいなのです。また、厚生省の年金担当の関係のあれですね。  しかし、そうじゃなくて、農林漁業団体職員の共済にはそれの一つの歴史があるわけです。そういうことから、横並びでこういうふうになったのだからしようがないのだというのじゃなくて、同僚委員からも今いろいろ何点か指摘がありましたけれども、所管する農林省として主体的に主張するところはやはり強く主張していただくという姿勢が私は必要だと思う。今のお話ですと、一貫して、これは横並びでそういうことになっておりますのでということのようで、それに準ずるような考え方がその底に流れておる。一たん決まりますと、これはやむを得ないのかもしれませんが、しかしそこに至るまでは、農林漁業団体職員共済組合を所管する農林省としては、強い主張、強い訴えをやはりしていただきませんと、横並びだからということで、国で上の方から来ますとそれに並んでいるということでは、これは農林漁業の振興に命をかけてと所信表明でお話しになった大臣としましては、こういう姿勢では相ならぬだろう。決まってしまいますとこれは別ですけれども、決まるまではひとつ大いに議論していただく、立場を大いに主張していただく、訴えていただく、こういうことで進めていただきたいと思うのです。  このことについては今までもいろいろなことをやったのだろうと思うのです。我々はその経過はよくわかりませんからあれですけれども、共済グループとしてこの年金が定まるまでには農林省としても特に主張した点、特にまた強調した点、いろいろな問題については御主張なさったと思うのです。その辺のいきさつ等について、担当の方からお伺いしたい。大臣はわからないだろうから、事務局で結構です。
  47. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 先ほどの私の答弁が、やや横並び重視というふうに受け取られた点は私申しわけないと思っておりますが、御指摘のとおり、昭和三十四年に農林年金が発足をいたしました際、やはり農林漁業団体の重要な使命、これが農林水産業の振興にも非常に大きな決め手になる。そこに端的に申せば地方公務員に匹敵し、劣らないだけの人材を確保できるような共済制度というものを確保したいということからこの制度ができたわけでございます。私どもは、やはり共済年金制度全体の仕組みの中でこの農林年金制度というものを考えていかざるを得ないわけでございますけれども、その中におきまして、この農林年金制度がなぜできたかという、常に発足の原点というものは大事にしながら、今後また公的年金制度全体についていろいろ議論、検討が行われなければならないわけでございます。その際も、今お話がありましたような原点というものを常に踏まえながら取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  48. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 大臣、今お話がございましたように、三十四年ですか、これが厚生年金から独立するに至りましたのは。当時、厚生年金というのは制度そのものがまだ充実しておりませんでしたから、厚生年金と一緒にいるよりも、やはり農林漁業団体として優秀な人材を集めるために、老後についてもきちっとした制度にしようというのが発足の原点にあるわけですね。そして、大臣も日本の農林漁業再建のために命をかけようということですね。これはまさしくきょうこの法律案衆議院から来たばかりですから、本当ならもう少しいろいろな角度から我々も検討さしていただかなきゃならぬし、こんな短兵急に審議をするというのはどうかと思うのです。  しかし、年金という性質上、また衆議院でのいろいろな経緯を見まして、やはりこういう形であろうとも、できるだけ待っていらっしゃる方々のためにということなのですが、あくまでもそれは分離独立したときの原点の精神というものは忘れてはならないし、また、そこから出発しなきゃならぬ、私はこう思うのです。大臣、今回のものはこれはもうおぜん立てができているわけですからどうしようもないのですが、今後の農林漁業団体の共済問題につきましてはいろいろな角度から御検討いただきまして、農林漁業団体としての強い主張というものをぜひ共済年金の中に反映して何らかの実現を見る、こういうことで積極的にお取り組みをいただきたいと思うのですが、どうでしょう、大臣
  49. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 農林年金制度、これが農林漁業団体、農林水産業の発展と農林漁業者の地位向上という政策的にも重要な役割を果たすということで、そして昭和三十四年に厚生年金から分離したその基本の精神と申しますか、特色を生かすようにして今後もやってまいりたいというぐあいに考えます。
  50. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 先ほど同僚委員からもお話ございましたように、この退職年金を比較いたしましても、非常に農林漁業団体年金給付額が低いのです。それは給与が低いということで掛金が少ないということになるのだろうと思うのです。これは今日までもこの年金が当委員会にかかりましてよく議論しておるのですが、農業団体にお勤めの方々組合員方々給与がなぜそんなに低いのか。組合員数およそ五十万ですか、こう言われる組合員方々、農村におきましては地方自治体とかまた学校の先生とか、こういう方々と大体給料がそれこそ横並びであるのが理想的なのだろうと思うのですけれども、給与体系が非常にこれはまた力のある団体とそうでないところといろいろありますから、画一的にこれは論ずるわけにはいかないのだろうと思います。しかし、農林漁業団体方々が低い事実は事実です。  こういうことについては、それぞれ全部の比較というのはできないかもしれませんけれども、農林省としましても給与の実態、平均的には地方自治体、市町村にお勤めの職員の方との比較とか、それから学校の先生とか、こういう形でいろいろな比較があるのだろうと思います。私も古い数字は見ておるのですが、最近のもので給与の相違点、なぜこのように給与が低いのかということについては農林省としてはどういうふうに受けとめていらっしゃるのか、その辺のところをちょっとお伺いしておきたいと思います。
  51. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 給与水準についてちょっと申し上げますと、地方公共団体につきまして自治省が五十七年四月現在に調査をいたしましたものと、農林漁業団体につきまして農林年金が五十八年の二月に調べたものがございますが、これで申しますと、町村役場と郡部単位の団体の平均とを比較をいたしますと、町村役場が給与月額で十七万八千円、郡部単位の団体平均が十七万七千円という水準でございます。賞与を含めました平均給与月額ということになりますと、町村役場が二十五万一千円、郡部単位団体平均が二十四万九千円ということで、ごくわずか郡部単位団体の平均が下回っておりますけれども、町村役場とほぼ同じ水準までまいってきております。あとそれぞれ市役所と市部単位団体の平均あるいはまた都道府県庁と都道府県連との比較というようなものもございまして、これも市役所なり県庁と比較をいたしますと若干農林漁業団体の方が下回っておりますけれども、時系列的に見ますと漸次改善をされてきているというふうに認識をいたしております。  なお、この年金の額の水準の問題でございますが、五十七年度の受給者全体の平均額を見ますと、他の年金制度に比較してやはり低い水準にございます。しかし、五十七年度の新規受給者、新規発生者分について見ますと、農林漁業団体給与改善等を反映いたしまして他の年金との格差が縮まっておりまして、数字を挙げて申しますと、五十七年度末現在の既裁定者分の平均年金額が百三十万一千円でございましたか、五十七年度の新規発生者分について見ますと百六十一万二千円、これは平均組合員期間が五十七年度末現在の平均で申しますと二十四年でございますが、五十七年度の新規発生者分につきましては平均組合員期間が二十六年ということで二年延びていることがやはり影響いたしております。そういうことも影響いたしておりますが、百六十一万二千円ということで厚生年金の五十七年度の新規発生者分百三十七万一千円を上回るような状況になっております。  農林年金制度は、制度仕組みといたしましては他の共済年金に劣らない仕組みになっておりまして、仕組み上は厚生年金よりもむしろ高い給付も行い得る制度になっておるわけでございますが、現行の農林年金給付水準のおくれと申しますのは、やはり年金加入年数が他制度に比べて短いということが非常に大きく響いております。例えば、国家公務員共済あるいは地方公務員共済の平均の組合員期間と申しますのは大体三十年でございますが、農林年金の場合は二十四年ということでございます。  それから私学共済との対比では、農村部、都市部というような立地条件からの給与の地域格差と申しますか、これが影響しているというふうに私ども考えておりまして、農林漁業団体職員の約八割を占めます単位団体の所在地の大部分が農山漁村であるのに対しまして、私立学校はその所在地の半数以上が六大都市に集中をしているというような給与の地域格差もやはり反映をしているというふうに認識をいたしております。
  52. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 これは平均値だけで論ずるということは各地域の実情とか何かがございますから、数字的には一般論としてそういう今お話しになったようなことになるのかもしれませんが、今のお話にもございましたように、最近だんだん給与も役場にお勤めの方とそう違わなくなったということで、今まではどちらかというとやはり給与に差があった。それから通算年金といいますか、三十四年に独立したわけでありますから、その以前のというこういうこともあったのでしょう。  それから、農業団体の方はどちらかというとほかの年金に入っていてこちらに入られる方も多いようにも見受けられるわけでありますが、そういう点、ですから一概には論じられないかもしれませんけれども、相対的に農林漁業団体の共済の方々については水準としてほかよりも高いとは言えないし、またほかとの比較、低いところと比較をすれば別ですけれども、私学とかまた地方公務員とかこういうものに比べますと、やはりそう高いとは言えない現状にある。今の局長のお話にもそれは出ておりましたけれども。  こういうことで、順次掛けた年数とかの比較がありますから一律比較というわけにはいかないかもしれませんけれども、相対的には農林漁業団体の方で退職年金をいただいておる、またそのほかの年金をいただいている方々の方が低水準にあるということは押しなべてそういう形ということが言えるんじゃないかと思うのです。そういうことからしまして、これは過去のいろいろな経緯があるわけですから、それを今ここでどうするというわけにはいかないのかもしれませんが、そういう経緯の中で、これからの老後をどうするかという切実に生活に迫られておる方々がいらっしゃるわけであります。  今度国会にも、厚生年金国民年金、その上に基礎年金制度というのが提出されているようでありますが、そういう基礎的なものの上に、過去いろいろないきさつのあった中で、やはりどうしても低い給付に甘んじなければならないような方々の少しでも解消されるような方向に年金を持っていくべきだ。これは単にきょうのこの法律にかかわってくることじゃないのかもしれませんけれども、年金全体としてそういう形に持っていくべきであるというふうに私どもは主張もし考えているわけであります。過去のそういういきさつ、経緯というものの中で、ますますこれから老齢化の進む中で、年金受給者に大きな格差のないような方向に努力をすべきである。こういうことについてはどのようにお考えでしょう。
  53. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 今のお尋ねの中にもございましたように、本年二月の閣議決定で、公的年金制度の将来一元化ということを展望しながら全体的な検討を進めていくということになっているわけでございますが、先ほど来話が出ておりますように、農林年金制度の農林水産業政策の上での重要な役割ということを十分頭に置きまして、農林漁業分野での政策目的に沿った制度として運営されますように、この各種年金制度それぞれの目的、経緯、財政状況等いろいろ異なる面がございますので、農林水産業あるいは農林年金の立場から主張すべきは十分主張しながらこれに対応していかなければいけないというふうに考えております。  このため現在、共済年金制度合体について他の共済年金制度を所管をいたします省庁といろいろ協議を重ねているところでございますが、特に農林年金制度につきましては、事業主と組合員との利害調整あるいは加入団体相互のコンセンサスの形成等を図ってまいる必要がございますので、組合員代表、事業主代表、それに学識経験者も加わっていただきまして、農林年金制度に関する懇談会というものを開催いたしまして、関係者の御意見も伺っているところでございます。こういった慎重な検討を十分行いながら、今後の農林年金制度の対応につきまして誤りのないように対応をしてまいりたいというふうに考えております。
  54. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 しかも農林漁業団体では、賃金水準が今お話しのように今まで非常に低い。それはだんだん取り戻しつつあるというふうなお話ですけれども、場所によりましてもまだまだ低いところがあるようです。それから臨調答申もありまして、この年金問題については非常に大きな改革が今迫られたわけですが、一番大事な財政基盤、この財政基盤というものは現在のところ成熟度というものはほかのものに比べてそんなに悪くはないのです。  ただ最近の、大臣、ここが大事なところなのですけれども、農林漁業のここ数年の推移を見ますと、漁業については二百海里、農業につきましても御存じのとおり減反に次ぐ減反、さらにまた、林業につきましても木材価格の低迷、外材に押されておる。こういうことで農林漁業というものは非常に窮地に立たされておる。そういう中で何とか活路を見出そうとして漁業者も今一生懸命頑張り、また、その指導的な役割にあります農林漁業団体方々も頑張っていらっしゃるのですけれども、やはりこういう厳しい情勢になりますと、どうしても人員削減とか合理化とかこういうことを迫られ、ここ数年を見ますと、今までの団体方々の職員の増加数というものはだんだん減っております。数的なことは手元に資料があるのでしょうからあれですが、こういうことで、それは若い方々が職員としてお入りにならないということは、限られた財政基盤というものがだんだん縮小するということです。  やはり産業として農林漁業というものが繁栄をしたときには、それらしく基盤というものは確立されるのでしょうが、国鉄の二の舞にならないことを我々祈るのですけれども、農林漁業も何かしら不吉なそんな感じがしてならない。これは合理化一辺倒、そういう中で今国鉄が大変なところに来ているわけです。農林漁業の振興、それは国民食糧を維持するという非常に大きな使命があるのですけれども、それとともに、こういう年金のことを語るにいたしましても、その基盤が確立をいたしておりませんと、それにつながる方々が大変に苦慮する、年金財政基盤にも大きな影響をもたらす。こういうことで、何も農協職員をふやせということを私は言っているのじゃないのですが、農林漁業が本当に一歩一歩着実に前進をいたしませんと、こういう年金の財源にまでもまた大きな影響を及ぼすということです。  これは数的なこと等についてもいろいろ御検討をなさっていらっしゃる。また、最近の電算化といいますか、こういう時世でありますから、ますますそういうものが加速度的に進んでいくでしょう。こういうことにつきまして、農林漁業の団体職員の新規採用者がだんだん少なくなって職員数が固定化するといいますか、人員削減というか合理化とかいうものの方向に進みつつある。こういう現状、それと財政基盤ということについての将来の見通し等については今後どのようにお考えになっていらっしゃるのか。決してこれは安閑としておられない問題だろうと私どもは思うのですけれども、その辺のことをちょっとお伺いしておきます。
  55. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 確かにこの農林漁業をめぐります経済環境はまことに厳しいものがございます。農協について見ましても、低成長経済への移行に伴いまして、利益の伸びが停滞をするというような状況が出ているわけでございまして、やはりこういった時代の中で生き抜き、またさらに本来の機能を果たしてまいるというためには、経営の合理化をいろいろな面で進めていかなければいけないということで、私どもも農協等の経営基盤の強化のためのいろいろな指導等をいたしておりますし、農協におきましても、経営の刷新、合理化のためのいろいろな努力を開始いたしておるところでございます。  その結果、やはり職員数の動向ということになりますと、なかなかかってのような新規採用ということは難しい状況が生まれていることは事実でございまして、農林年金組合員数にいたしましても、かつて毎年一、二%伸びていたというのがだんだん横ばいに近いような状況になってまいっております。新規採用が困難な状況にあります一方、職員の人事配置の適正化とか定年制の延長というようなことも一方ではございますので、職員数につきましては、やはり現状程度で今後もしばらくの間推移をするのではないかというふうに考えております。  年金財政につきましては、現在は成熟度はそれほど高くはございませんけれども、ここ近年の成熟度の高まりのテンポということから申しますと、先生指摘のとおり、やはり年金収支率の将来の悪化ということを見通さざるを得ないような状況がございまして、五十六年の四月からは従前の掛金を引き上げて千分の百九に改定をしたという経過になっておるわけでございますが、今後、この公的年金制度改革に伴います共済年金制度改正の全体の検討ともあわせまして、負担の限界なり給付との均衡といったことも考慮をしながら、年金財政の健全化についてこれは真剣に検討してまいらなければいけないというふうに考えているところでございます。
  56. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 年金の問題に入りますが、私も、旧法組合員期間に係る者については、五十九年三月分、新法については四月分という一カ月の差があるというのは非常に理解しがたい。私どもも、当委員会でこの法案が今日までかかりましたとき、やはり社会保障ということから言うと、お年寄りの方々年金によって生活をするわけでありますから、そういうことから言いますと、ことしの公務員給与アップは即その年の年金に反映すべきだ、これが理想でありましょう。しかし、そういうことも主張し続けられ、いろいろな議論をし、附帯決議等についても、やはりできるだけその年の公務員のベースアップ、または団体職員の給与アップというものが何らかの形でそうおくれないで年金にはね返るというかスライドするというような形が望ましい。しかし、それもできることではございません。こういうことで、一年おくれてこういう形になってきているわけですね。しかし、このたびは旧法組合員については三月実施ということですから、必ずしもこれは一年おくれなくてもできるのだということならば、もう一カ月早めて二月にして、一月にして、十二月にしてということで、本当にできるだけ早く公務員、または団体職員の方々給与のアップが年金に反映できるような形。  これはいろいろないきさつのあったことは我々もわかるのですけれども、しかし、新法と旧法でこういう差をつけるというのは、いきさつはどうあろうとこういう形をとるということは、当然これは新法についても三月にすべきだろうというふうに私どもは痛感するのです。新法と旧法は今までの経緯がいろいろあるわけですけれども、この新法組合員というのは団体職員ではどのくらいの方がいらっしゃるのか。そしてまた、新法の方は一カ月の差で金額的にはどのぐらいのお金になるのか。これは農林漁業団体だけじゃなくてほかとの兼ね合いもありますから、ここだけで論じられることではないのかもしれませんが、人数とそれから金額的なことについてこれはぜひひとつお聞きし、改められるものならば是が非でもこれは改めるべきだというふうに私は思うのですが、どうでしょう。
  57. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 五十七年度末の農林年金の受給権者が合計八万八千六百九十二名おります。退職年金でございますが、退職年金の受給権者が八万八千六百九十二人おりますが、そのうち旧法者が千六百七十六人、新法者が八万七千十六人ということでございます。
  58. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 それに伴う給付、一カ月給付を早めるということにするとどのくらいになるかということも聞いたのです。一千百万ぐらいという大体見当なのですけれども、どうですか。
  59. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 国の財政負担といたしまして千百万程度というふうに考えられます。
  60. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 これはここの場でのことじゃなくて、ほかとの関連もありますからあれですけれども、これは本当に考えていただかなければならない、またいろいろな議論のあったところだと思うのですけれども、承服しかねると思うのです。  もう時間がありませんから一つ一つお聞きすることもできないのですが、私どもも毎回この法案の審議のときに附帯決議をつけておるわけです。その附帯決議についてはどのように御努力をなさったのか、また、それがどういう形になったのか、    〔委員長退席、理事北修二君着席〕  これは一つは確認しなきゃならないのですけれども、確認する時間がないからあれですが、私どももいろいろな議論の中から、やはりこういうことについてはぜひ実現せよ、努力せよということで、五十七年にも五項目にわたる問題点を提起しているわけです。この委員会での決議というものについてもう少し真剣に御討議いただき、先ほど申し上げたように、年金全体の、共済全体の討議のときにはこれはぜひ生かしていただきたいと思います。  最後に申し上げたいのは遺族年金ですが、遺族年金の最低保障額。寡婦年金、さっきもお話がありましたけど、見送られたというのは非常に遺憾なのです。五十七年の末の遺族年金の受給者、年金額八十万未満の人が七千人、それから最も多い百万未満という年金額しかもらっていない方々が全遺族年金受給者の九四・九%ということで、小さい子供さんを抱えた母子家庭ということで、遺族年金の最低保障額というのは非常に重要な意味を持っておると思うのです。それに伴います寡婦加算というのは、子供さんを抱えてその子供さんを養育するということではこの加算額というのは非常に重要な意味を持つ。  一つ一つお聞きする時間もございませんからあれですが、現在の遺族年金の寡婦加算額、子供さん一人十二万ですね。二人の子供さんがいらっしゃった場合二十一万、最低保障額で子供さんが二人いらっしゃって寡婦加算しても七十数万しかならないような、そういうところもある。こういう状況ですと、生活保護基準を非常に大きく下回る、そういう方もいらっしゃる。母子家庭を手厚く保護すべきだという観点からしますと、最低保障額というものは非常に重要な意味を持つので、これはぜひひとつ生活保護基準との兼ね合いということで、横並び、横並びと一生懸命言ってますけど、これこそ本当に横並びで見てもらわなきゃいかぬ。  生活保護基準では、例えば年齢三十歳で九歳、四歳の子供がいらっしゃる大都市では、生活扶助として月額十一万七千三百八十六円、子供の教育扶助や住宅扶助、合計で月額十四万八千七百八十六円、中小都市では十三万八千二百十七円、農村部でも十二万三千六百五十三円、こういう生活保護費になっているのですね。いわんや子供が義務教育を受けるとか、それからまた部屋を借りるとか、こういうことに対してはちゃんと手当が出るようになっている。そういうことからいきますと、農林年金の寡婦加算は、子供の就学状況とかそういうことについて非常に配慮が足りない。これは生活保護というものと年金というものと同一に論じられることではないのかもしれません。しかし、少なくとも遺族年金の最低保障と寡婦加算ということで生活保護基準を下回る、少なくとも農村部における十二万三千六百五十三円を下回るようなことでは、年金とは一体何ぞやと考えざるを得ないのです。  これは今突然申し上げて、そうですかということなのかもしれませんが、ぜひひとつこれは試算というか、いろいろな実態を御検討いただきたい。私どもは何もこういう数少ない人たちの最低の状況だけ云々しているわけじゃ決してございませんが、やはりそういう実態があるということは事実です。所管する農林省としましても、こういう遺族年金の最低保障というものは一体どうなっているのか、これはこのことだけじゃなくて、ほかのことでお調べになる、データをおつくりになることもあるのかもしれませんが、ぜひこの実態の調査というものをきちっとしていただきまして、    〔理事北修二君退席、委員長着席〕そういう中で、この遺族年金の最低保障と寡婦加算、これと生活保護基準というものとの兼ね合いというものをぜひ御検討いただいて、今後こういう問題について開きがある実態、私どももいろいろ聞いているわけですけれども、これをぜひ差を縮めていただく、そしてまた、年金本来の生活の基盤をなす生活保護基準に準ずるような額にお考えをいただきたい。  このことを最後に申し上げて、局長さんと大臣から今後のお取り組み、決意のほどをお伺いしておきたいと思うのです。
  61. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 生活保護基準との関係の御指摘がございましたけれども、生活保護基準公的年金制度支給をいたします年金とやはり性格に違いがございまして、年金額生活保護基準以上の給付を無条件に期待するということにつきましては、なかなか制度上限界があるというふうに私どもは考えております。  我が国の社会保障制度といたしましては、全く収入が得られない者につきまして生活保護基準がきめ細かく最低生活の保障ということをやっておりますが、この公的年金制度支給します年金額生活保護基準を下回る場合には、生活保護基準でその差額を補償するという仕組みにもなっておるわけでございます。他方、農林年金制度はやはり社会保険方式によります相互扶助でございまして、老後の生活なり組合員の遺族の生活の支えとして拠出に応じた年金支給をするということで、遺族年金の最低保障につきましても、給付と負担の均衡という面も考慮せざるを得ない点があるわけでございます。  ただ、今せっかくの先生の御指摘でもございますし、これから公的年金制度全体の検討ということの中には各種の年金の額のバランスというようなものも当然含まれてまいりますので、御指摘の点につきましては今後の検討の中で頭に置いて考えてまいりたいというふうに考えております。
  62. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 先生のおっしゃる生活保護基準、それを下回るようなというようなこともよく御趣旨はわかりますので、今局長から話がありましたとおり、検討さしていただきたいと思います。
  63. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 検討と、それから実態をぜひお調べいただきたいと思います。
  64. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 生活保護の関係は私どもちょっと直接に調べる手だてを持たないわけでございますが、農林年金の受給者の実態ということにつきましては農林年金で必要に応じて調査をいたしておりますので、そういった中で今お話のありましたような点に関する事項についても、実態を把握いたしますように努力をしてまいりたいと思います。
  65. 下田京子

    ○下田京子君 まず御指摘申し上げたいのは、農林年金が他の共済年金に比べて非常に年金額が低いという問題なのです。改めて申し上げるまでもなく御承知だと思うのですけれども、五十七年の平均年金受給額を一人当たり年額を見ますと、農林年金が百三十万七百六十円、これを一〇〇といたしますと、私学共済が一二二、それから地公が一五五、それに国公が一四四、こういう実態であることは御承知だと思います。問題はやはり、この辺を改善していく、そして最低の水準引き上げていくということが大事だと思うのですが、その御認識をお聞かせください。
  66. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 先生指摘になりました数字はそのとおりでございます。  ただ、制度仕組みといたしまして農林年金制度給付水準が低いということではございませんで、やはり平均組合員期間が短いという点がかなり大きく響いておるということでございます。今先生の方からお話のございました五十七年度末の既裁定者分につきましての平均年金額百三十万一千円ということでございますが、五十八年度末でつかまえますと百三十三万八千円。また、五十七年度に新規に裁定を受けました新規発生者分につきましては百六十一万二千円ということで、年を追って年金給付額もふえてまいってきておるということでございます。  それから、私学共済に比べますとかなり大きな差があるということもございますけれども、これは農村部、都市部という立地条件の差からどうしても給与の地域格差が反映をいたしまして、私立学校の場合には所在地の半数以上が六大都市、農林漁業団体職員の職場の大部分は農山漁村にあるというような点が影響をいたしておるというふうに考えております。
  67. 下田京子

    ○下田京子君 いろいろ弁解しなくたっていいのですよ。例えば私学なんというのは六大都市云々だとおっしゃいました。しかし、それは認識が甘うございまして、福島県も過疎地域の中にありましていろいろ問題が多いということも指摘しておきますけれども、農林年金の場合には問題はやはり、今お話しになった中での平均の報酬月額が余りにも低いということなのです。これも御承知だと思いますが、あえて申し上げておきますと、農林年金が一〇〇といたしますと私学共済が一二二ですね。それから地公が一一八、国公が一一三、こういうことであります。ですから、もうこれは他の共済年金に比べて低いというのは事実でございます。そこで、今現在、月額は若干上がっていますよということですけれども、それは他の共済年金も上がっているのです。しかも月額にしますとわずか三千円程度です。私がわざわざ数字を五十七年で言ったのは、他と比べるときにまだ地公が出ていないものですから五十七年で申し上げております。  月額約十万八千円という平均額なのですけれども、それ以下がどのくらいいるかというと、五十七年度末で何と六割もいる。これも数字で明らかになっています。そのような中で、五十八年は人勧凍結に伴ってゼロ、それから五十九年は人勧六・四%ということになったにもかかわらず、平均二%足らず。この間の消費者物価がどの程度上がっているかということなのですけれども、総理府統計局の資料によりましても、五十七年度が二・四、五十八年度が一・九で、合計の四・三%アップ。その中で二・一%というのでは、これは引き上げどころか引き下げだということを私は申し上げておきたいところでございます。いかがですか。
  68. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 二%の引き上げということで御提案を申し上げているわけでございますが、物価上昇率とそれから公務員給与改定の傘とどちらをとるかということにつきましては、先ほど来もいろいろ御議論がございますが、一般的にやはり給与の上昇というものは多少とも実質賃金のアップを長期に見れば含むということにおきましては、給与改定率をとる方がベターではないだろうかというふうに思っておるわけでございます。
  69. 下田京子

    ○下田京子君 あれこれ言われておりますけれども、実際は二%アップというのがアップではなくて引き下げだ。それはいろいろな実態調査なのですが、先ほど他の委員に対して、ある程度農林年金の実態をつかまえているというお話なのですけれども、年金生活者等がどういう状況かというと、生活への不安感を大変強めているという点の調査はまだなされていないのじゃないかと思うのです。というのは、資料はないかと言ったら、ないと言うものですから。  これは実は、農林漁業団体職員共済組合でことしの三月に、年金者の生活実態及び意識に関する調査報告書というのをまとめているのです。恐らくごらんになっていると思うのです。この中でいろいろ言っておりますけれども、老後生活の不安感を訴えている人が現在お勤めになっている人の中で六七・四%おります。不安の理由は何かというと、第一番目に健康問題なのですが、第二番目に生活費の問題、これが圧倒的だと。  それから、これは昨年の十月に全農協労連の皆さん方が全国にわたって抽出調査というようなことでもって労働者の家計実態を調査したわけです。こういう調査の結果を見ますと、昨年十月段階で実感として物価はどのくらい上がっているかと聞いたらば、一〇・一%ぐらい上がっていると。その実態はどうなのかということで、家計費をずっとよく調べまして集めた結果なのですが、一一・八%上昇している。じゃ、昨年十月時点政府統計によって物価上昇率はどうだったかというと一・四%なのですが、この差がどこから生まれているかというと、一つ政府消費者物価指数というものは日常生活生活費指数というものがあらわれていないということもございますし、あるいは税金だとか社会保険料の負担増というものも含んでいないという問題があるのです。  ですから、いろいろ言われていますけれども、とにかく安心して暮らせる老後保障という点から見て、現在の農林年金が置かれている実態の中での年金受給者生活、それがわずか二%アップということでは、とてもじゃないけれども大変なものだということはこれは認めざるを得ないことだと思うので、そういう御認識の上に立って今後の改革ということを考えていかなければならない、こう思います。
  70. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 先生がお示しになられました資料は、五十八年の十二月に農林年金におきまして退職年金受給者につきまして調査をいたしておるものでございます。その中に、年金受給者の六六%は老後に不安を感じているということがございますけれども、その第一は健康の問題ということになっております。  それから、給付水準につきまして、仮の話ですが、年金だけしか収入がない場合、現在の年金額であなたはどのくらいの生活ができると思いますかというのに、まあまあの生活あるいは最低の生活ができるということで約七割が生活できる、三割が今の年金だけでは生活ができない、こういったアンケート調査の結果を承知いたしております。
  71. 下田京子

    ○下田京子君 その最低生活の話なのですけれども、農林年金の特殊性といいますか、その点でもう一つはっきりさせておきたいのが、最低保障額該当者が非常に多いということなのです。これは残念ながら、担当の方にお願いしたら、もう定かな数字がなかったものですから、大蔵、自治省あるいは文部省と皆さんにおいでいただいております。大変お忙しい中恐縮なのですが、私が数字を申し上げたその確認だけいただきたい、こう思います。  大蔵省ですが、国公共済ですけれども、退職年金受給者数が二十五万五千四百八十二人、その中で最低保障額該当者が新法、旧法合わせて約五千人、その占める割合が一・九六と思いますがいかがですか。
  72. 坂本導聰

    説明員(坂本導聰君) 御指摘のとおりでございます。
  73. 下田京子

    ○下田京子君 じゃ自治省にお尋ねしますけれども、地公の場合、退職年金受給者数が六十五万四千六百五十六人。これも新法、旧法合わせて最低保障額該当者が九千八百四十一人と伺っておりまして、その割合が一・一%。間違いないでしょうか。
  74. 秋本敏文

    説明員(秋本敏文君) 数は御指摘のとおりでございますが、比率は約一・五%でございます。
  75. 下田京子

    ○下田京子君 ありがとうございます。  じゃ文部省なのですが、私学共済です。退職年金受給者数が一万一千八百五十一人で最低保障額該当者が千七十二人、その割合は九・〇四%。
  76. 岡林隆

    説明員(岡林隆君) 私学共済につきましてはそのとおりでございます。
  77. 下田京子

    ○下田京子君 そこで農林年金なのですけれども、退職年金受給者総数が七万一千六百五十八人です。最低保障額該当者が一万一千八百七十二人、その占める割合というのは一六・六%なのです。圧倒的に高い、こういう数字になっております。  大蔵、自治、文部省の皆さん、大変済みません。ありがとうございました。お帰りくださって結構です。  こういう状況の中でどれほど農林年金が低い水準にあるか。この最低保障額というのは最低ここまでは引き上げて保障しますよと、その底辺にこれだけいるということなのです。ですから、いろいろ言われておりますけれども、やはりこういう実態を踏まえた制度改正ということを考えていただきたいと思います。
  78. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 最低保障適用者の比率が高いということはそういう実態になっております。これは標準給与水準、それから先ほどもちょっとお話し申し上げましたが、組合員期間が相対的に短いというようなことが影響をいたしておるわけでございますが、そういう意味におきまして、この最低保障額というものを持っていることが農林年金におきましては非常に効果として大きな作用をいたしておるということになるわけでございます。
  79. 下田京子

    ○下田京子君 その最低保障額が実は生活保護水準と比べてもまた低い、これがまた問題になるわけです。農林年金の最低保障額ですけれども、今、改定後でも新法によって年額七十五万四千八百円ですね。旧法によって、六十五歳以上は八十万六千八百円、それで六十五歳未満が六十万五千百円、こういうことです。一方、生活保護水準はどうかということですけれども、これは一級地ですが、男子六十五歳、女子六十歳の場合で年額百十八万三千六百八十円です。ですから、まさに農林年金の最低保障額は生保の七割程度にしか該当しないということなのです。だから、もう時間が限られていて細かく言えませんけれども、そういう点から言っても年金生活者が少なくとも生活保護水準生活費はカバーできるような方向で政策的にもあるいは制度的にも検討しなければならないと思うわけでございます。
  80. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) ただいま先生から生活保護基準との比較のお話がございました。一級地というお話でございましたが、御案内のとおり、生活保護基準は一級地、二級地、三級地と分かれておりまして、一級地は大都市でございますが、農林年金の場合はどちらかと申しますと三級地との比較の方が適しているのではなかろうかなというふうに考えております。  なお、この制度の問題といたしまして、絶対最低保障額の問題でございますけれども、生活保護との関係ということについて申しますと、生活保護は国民の最低生活を保障する、保護するというもので、資産その他あらゆるものを活用してもなお最低生活を維持できない場合に保障されるというものでございますが、年金制度の場合には退職後の生活の支えを図るためのものでございますけれども、その給付のみをもって直接、最低生活を保障するというねらいを持っているものではございませんし、やはり負担があり給付があるという社会保険仕組みをとっておりますので、両者の間にはやや趣を異にする面があるというふうに私ども考えております。したがいまして、生活保護水準以上の給付を直ちに年金制度に期待をするということは制度上はっきり申しまして限界があると考えておりますけれども、絶対最低保障額の引き上げにつきましては、他の共済制度との均衡を考慮しながら今後さらに検討してまいりたいというふうに思います。
  81. 下田京子

    ○下田京子君 今の三級地の話ですけれども、私は黙っていようと思ったのですけれども、これは切り返しておきます。というのは、三級地でも年額九十四万二千百二十円ということで、何とこれは今度の新法であれしましても二十万以上差があるのです。お認めになるでしょう。  そこで、公的年金制度改善という問題が今出ておりますけれども、厚生省さんにきょうおいでいただいていますので、確認だけこれまたお願いしたいのですけれども、二月二十四日の閣議決定で、公的年金制度改革ということを出されました。現在、国民年金法等の一部改正をする法律案も出ておるのですけれども、そのポイントの一つは、全国民共通の基礎年金ということが入ってきていると思うのです。  第一の確認は、基礎年金なるものは何かということですが、保険料原則として二十五年間以上掛けて、六十五歳になりましたら老齢基礎年金がもらえますよ、これが一つ。それから、老齢基礎年金は年額六十万円で月五万円ですよ、ただしこの五万円は、年金制度が整った段階にあっては保険料を四十年間掛け続けた場合ですよ、不足の月数が出ればそれは減額されます、こういうことですね。
  82. 田村正雄

    説明員(田村正雄君) そのとおりでございます。
  83. 下田京子

    ○下田京子君 そこで、現行国民年金保険料なのですが、六千二百二十円だと思います。これは四十年保険料を支払った人は年金額はどのくらいになるかということなのです。これは月額七万六千九百円ぐらいになると思うのですが、どうでしょう。
  84. 田村正雄

    説明員(田村正雄君) 現行法のままですとそのとおりでございます。
  85. 下田京子

    ○下田京子君 ということは、現行法のままでいったって保険料を四十年積めばやがて七万六千九百円もらえるのに、基礎年金五万円だということになると、これは問題だなと思います。  この議論はまたおきまして指摘だけにとどめておきますけれども、要するにわかることは、掛金が六千二百二十円から一万三千円になって約二倍、ところが年金給付の方は約三五%引き下げ、こうなるのじゃないかと思うのです。  もう一つ問題なのは、今言ったようなことで給付と負担との考えなのですけれども、やがて高齢化社会を迎えて財政的に大変だ、大変だと言うのだけれども、実態はどうかということで農林年金中央共闘会議方々が次のような試算をしているのです。これは前にお話ししておいたので恐らく試算をやられたと思うのですけれども、国民年金保険料は今度改定ということになりますと一万三千円になりますね。これを四十年間積み立て、しかも農林年金の積立金の運用利子、今七・五%以上になっていますから、この七・五%の年利で運用した場合、物価上昇率が年二%という仮定のもとにあって、これを六十歳から六十五歳まで据え置いて、さあそれからもらうお金が基礎年金で約五万円ということなのですが、六十五から八十まで約十五年間もらったとしたとき、その十五年間で基礎年金分で給付に必要な額というのは約六百二万円、こう聞いていますが、その六百二万円を差し引いても何と二千百八十二万円というものが国庫の方に残る、こういう試算をされているのですが、数字的にはこういうことは成り立ちますでしょうか。
  86. 田村正雄

    説明員(田村正雄君) 今お話しのように、物価上昇率二%、利回り七・五ということを仮定いたしますと、計算上では確かにそうなりますけれども、私ども、実際には物価上昇率二%ということが四十年間ずっといくとは恐らく考えられないことだと思いますので、現実性はないのではないかというふうに思っております。
  87. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 時間です。
  88. 下田京子

    ○下田京子君 最後です。そういう状況の中で、物価の云々というのは経済で、政治の場でやる問題ですからそういう試算が成り立つ。  最後に大臣大臣に一言聞かないと。いろいろ今までお話を伺ってきてわかると思うのです。大臣、人材の確保だとか、あるいは老後の保障という点で、今後農林年金が持っている問題はよくおわかりになったと思うので、その辺を踏まえて対応いただきたいと思います。御決意のほどを。
  89. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) よく御意見を踏まえて、対応してまいります。
  90. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 大分質問も行われておりますので、できるだけ重複を避けまして、二、三の点についてごく簡潔にお伺いをしたいと思います。  まず第一に、この農林年金年金額改定に際して、国家公務員給与上昇率基準とするというのが慣行としてやってきたわけでありますけれども、その理由について、先ほども少し御説明ありましたけれども、再度お伺いをしたいと思います。
  91. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 年金額改定指標につきましては、農林年金で、物価スライドと国家公務員給与改定率と両方組み合わせた方式をとっておるわけでございますが、従来から、他の共済制度と共通をいたしまして、この給与改定率をとります場合には、やはり国家公務員給与上昇率というものを、国家公務員共済制度というものが共済制度の中の相当大きな部分を占めておりますので、これを一つ指標にして改定を行ってきているということで、方式としては長期間にわたって定着をしてまいってきておるものというふうに考えております。
  92. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私は、国家公務員給与一つ指標とするというのは、やはりこの農林年金の、農林漁業団体職員共済組合法の第一条の二にある「国民生活水準その他の諸事情」、こういうものに比較的連動する、また非常に明らかであるし、とりやすい、そういうところで国家公務員というものの給与一つ指標として使われておると思いますが、いかがですか。
  93. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) そのとおりでございます。
  94. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 ただ、いわゆる人勧が国の財政事情により凍結されたり、抑制されたりすると、私はこの事情が変わってくると思うのです。むしろ、国家公務員の場合は人勧によって、この人勧そのものが民間準拠ということで、民間の給与の動向というものから割り出して勧告をしておるわけでありますから、それが一つの民間準拠した指標であって、凍結とか抑制とかいうのはあくまで国の財政事情によるものであります。農林年金というのは、農協とか農林漁業関係の団体に働いておる人は国の財政の中から給料をもらっておるわけではないわけであります。だから、国の財政によって抑制されたものに準じて年金額を抑えるというのは筋が違っておると思いますが、いかがですか。
  95. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 先ほど申し上げましたように、やはり共済年金制度の中で国家公務員共済制度というものが大宗を占めているということも、この国家公務員給与改定率をもって指標としているということの大きな要素になっておろうかと考えております。
  96. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 共済年金の中で国家公務員の共済が大宗を占めておるとしましても、やはりこれは全く性格の違う団体である。農林漁業団体の場合には、あくまでもこれは民間であります。しかも、経済団体の性格が強いものであります。だからそういうところが、国家公務員の給料が抑えられたからといって年金額が抑えられるというのは、どう考えても筋が通らないと思うのであります。しかも、公務員に準拠するというのは慣行でありまして、法律的根拠は何もないと思いますが、いかがですか。
  97. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 法律的に国家公務員給与改定に準拠するということが定められているわけではございません。これもあるいはまた横並び論ということでおしかりを受けるかもしれませんけれども、今日までのところ、共済年金制度につきまして、制度仕組みなりあるいはそれの経済事情変動に合わせる仕組みというものも共通の要素をとり、共通の仕組みでやってまいったということがございまして、これの一部を動かします場合に、それではそれに応じて他の要素をまたどうするかといういろいろな問題が派生をしてまいるということがあろうかと存じます。そういうことで、従来の慣行ということでございますけれども、方式に従いまして今回御提案を申し上げているわけでございます。  民間の給与上昇率国家公務員給与上昇率、また、消費者物価の動向といったようなものが乖離をする可能性があるような状況のもとで、今後とも引き続いて今までのようなことでよろしいのかどうかというのが先生のお尋ねの核心であろうかというふうに思いますが、これは公的年金制度全体の問題としての議論の中で、年金額改定指標のとり方ということにつきましても、他の要素とあわせて当然やはり検討していかなければいけない問題ではないかというふうに思っておりまして、共済年金制度全体の問題として関係各省とも相談をしてまいりたいというふうに考えます。     —————————————
  98. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、刈田貞子君が委員辞任され、その補欠として太田淳夫君が選任されました。     —————————————
  99. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 共済年金制度をつくる場合に、仕組みとして公務員仕組みを参考にするとか、そういうことはあり得るし結構なことだと思いますけれども、ただ私は、あくまで慣行で指標として国家公務員給与というものが使われてきておるというだけの話とすれば、明らかに法律では、「国民生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるため、すみやかに改定措置が講ぜられなければならない。」、国家公務員がこの諸事情にマッチしなくなったとするならば、別のそういう基準というものを考え、それを適用するというのが法律に従って物事を行うということでありまして、慣行だからというので、人勧凍結されたから年金額凍結するというのは誤りではないかと思いますが、どうなのですか。
  100. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 私どもで現在とっております改定方式も、この「国民生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるため、」の改定一つ方式として、その趣旨に沿った改定指標であるというふうに考えております。
  101. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 政府は、国家公務員給与の場合にも、人勧は尊重するということを言い続けておるわけです。本当は人勧どおり引き上げるべきだけれども、国の財政事情から見て凍結するとか抑制するとか、しかし、いずれはこの人勧の線に沿ってこれを埋めていくのだということを言っておるわけですね。だから、あくまでも国の財政事情による臨時の措置であって、ただそういう国の財政事情による臨時の措置を、国の補助を受けておるというものの、基本的には経済的には独立した団体に適用するというのは明らかにこれは間違いではないかと思いますが、どうなのですか。
  102. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 私どもは、人事院勧告内容国家公務員給与の実際の改定率とが異なるということにつきまして、またそれが今後どういう扱いになるかということにつきまして、お答えを申し上げ得る立場にございませんので、その点は何とも申し上げかねるわけでございますけれども、先生の御指摘の問題の一つは、その問題に通ずることになると思います。  もう一つは、先ほども申し上げましたように、非常に長期に見た場合には、やはり人事院勧告制度というものが一つあり、そしてまた、それを長期的には尊重をしていくという仕組みがあります限りは、そこで行われます国家公務員給与改定の率によりまして、掛金なり給付のもとになります標準給与額改定していくというのも有効な一つ指標のとり方ではないだろうかというふうに考えておるわけでございます。
  103. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私は、本来なら人勧がそのとおり実施されない段階で、それにかわるべき措置というものを他の共済年金については考えなくてはならなかったと思うのです。それをせずに安易に横並びでやっているというのはどう考えても怠慢ではないかと思うのですが、いかがですか。
  104. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) この点につきましては、先ほど申し上げましたように、改定方式というものと年金仕組みというものと全体の中の一環としてとらえる必要があろうかと思いますので、やはり各種の共済年金の一番基本になります標準給与の扱いというものにつきましては、これをそれぞれの職域ごとに分けた指標をとるということは、現段階では難しいのではないかというふうに思っておるわけでございます。
  105. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 次に移ります。先ほども少し論議がありましたけれども、この国会に公的年金制の一元化への一歩として国民年金、さらに厚生年金改正案提出されるという運びになっておるわけであります。政府は、共済年金についてもこの改正趣旨に沿った制度改正を六十年中に完了する方針を決めております。農林年金の場合には大体どういう方向でこれが検討されるのか、農林水産省のお考えをお伺いしたいと思います。
  106. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 本年二月二十四日の閣議決定におきまして、昭和六十年におきまして共済年金について、国民年金厚生年金等の基礎年金の導入を図る等の、今年度提案されておりますこの改革趣旨に沿った制度改正を行うということが閣議決定されておりまして、こういった方向での制度間の調整につきまして基本的な方向は明らかになっているわけでございます。  しかし、例えば先ほど来御議論がございますように、農林年金制度には三十四年に厚生年金から分離発足したときのいろいろな経過なり目的なりございますし、また各種年金制度財政状況もいろいろ異なるという面もございますので、なかなかこれを機械的に整理するということにはやはり問題があるわけでございます。現在共済年金制度全体につきまして、他の年金制度を所管します省庁とも協議をいたしておりますし、また農林水産省におきましても、農林年金制度に関する懇談会というようなことで、関係者それに学識経験者も入っていただきまして検討を始めておるわけでございますが、まだ、どのように制度を直していくかというような具体的な結論のところまで入っておるわけではございません。  ただ、やはり今年度国民年金厚生年金改正におきまして、共通の基礎年金をつくるという方向に沿って共済年金制度もこれと調整を図っていかなきゃいけないという、基本的な考え方の上に立った制度の調整を考えていくという前提で検討を進めておるところでございます。
  107. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 今までいろいろと問題提示がされましたので、私はなるべく重複を避けて簡潔に申し上げたいと思います。  まず最初にお聞きしたいことは、私が特に気にしておりますことは、農林年金が他の年金に比較して非常に低いものになっておるということです。もう時間の都合で数字は読み上げませんが、この資料の中で明確に示されております。比較検討すればすぐわかります。そうしますと、退職年金額が低いということがそのまま厚生年金よりも低いということがわかります。そういった点から、他の制度に比べて非常に低額受給者の数が多い。ならば、農林漁業団体職員の老後の保障の充実について政府はもっと真剣に考えてもらわなければいけないのじゃないかと私は思うわけなのですが、御見解を承りたいと思います。
  108. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 確かに現状におきまして、退職年金水準が他の共済年金に比較しまして低いという問題がございますが、これには農林漁業団体給与水準の問題、それから組合員期間が他の年金に比べて短いというようなことが影響いたしておるわけでございますが、組合員期間につきましては、年々伸びてまいってきておりますので、その面での年金の受給者の増加ということは今後も年々続いていくだろうというふうに考えております。  問題は、農林漁業団体の職員の給与水準という点でございますが、これはやはり何と申しましても農協を初めといたします農林漁業団体の経営基盤の強化ということがございませんと、労働条件の改善、これは基本的には労使の間で交渉で決められていくべき問題でございますが、その経営体の経営基盤というものがしっかりしていなければやはり十分な給与を支払うという状態が生まれないわけでございます。そういう点につきましては、各団体ごとにいろいろ事情の差はございますけれども、押しなべて申しますれば、経営基盤の強化をする、そしてまた、事業運営を効率化していくというための各般の指導なり助成というようなものの努力を通じまして、農林漁業団体の体質強化ということを図っていかなければいけないというふうに思っております。
  109. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 農林漁業に誇りを持っておる、あるいは本当に自信を持って働いていく、こういう心構えを持つためにもやはり裏づけが十分保証されておらぬといけないのじゃないかと私は思います。  それで関連いたしますが、法改正の問題になりますと、いつでも私は沖縄のことが気になるのです。といいますのは、これは途中で沖縄は割り込んできたわけであります。それだけ過渡的な措置や、あるいは特別な配慮——ところが今日まで、格差を残したまままだ実質的に同一化されていないという面があるわけです。それにはそれなりの理由がありますけれども、結論的に言えますことは、沖縄自体が、県民自体が好んで求めた道ではない。これは国家行政の立場から特別の配慮がなければいけないのではないか。  それで、現在農林年金制度は、沖縄県も含めて一応全国一律の制度ということになっております。けれども、沖縄県における農林年金受給者について見ると、昭和四十五年一月一日より以前農協などで勤務しておった期間については、年金額の移行措置算定上四五%の減額措置を講ぜられております。このような減額措置は、同じ底辺に、同じ法のもとになったのだから廃止をして、沖縄県と他の県とのこのような減額措置がないように、完全に同一となるようにすべきではないか、すべきであると私は思うわけなのですが、いかがでしょうか。
  110. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) この問題は、当委員会で以前にも喜屋武先生から御提起のあった問題だというふうに承知をいたしておりますが、農林年金昭和三十四年に発足をいたしましたときに、当時沖縄は復帰前でございましたためにその対象外になっておりまして、その後昭和四十五年の一月一日から他の都道府県の農林年金制度に準じた沖縄独自の沖縄農林年金制度というものが発足をいたしました。さらに、昭和四十七年の五月十五日の沖縄の復帰に当たりまして、復帰に伴う特別措置に関する法律規定によりまして沖縄農林年金制度が本土の農林年金制度に承継されるというふうな経過を経たわけでございます。  その際、沖縄農林年金制度発足前の掛金の徴収が行われていない期間につきましては、この共済の退職年金等の受給資格の期間には、これは沖縄の、今おっしゃいましたように、好んでとった道ではないということで、掛金の徴収が行われていない期間についても受給資格の期間としてはカウントするということにいたしたわけでございますが、年金額算定に当たりましては、政令で定めるところによりまして四五%相当額を控除するということで、現在沖縄で農林年金を受給されておられます方の数は、ちょっと現在の正確な数は私持っておりませんけれども、かなりの数の方が四五%相当額の控除措置を受けているということでございます。  この点、喜屋武先生のお気持ちは大変私どももよくわかるのでございますが、何分やはり今申しましたような掛金の徴収が行われていない期間に所定の掛金を他の都道府県の農林年金組合員が負担をしてきた、そういう他の都道府県の組合員との均衡ということもどうしてもこの共済年金仕組みとしては考えざるを得ないというふうなことがございます。また、これは農林年金に限らず各種共済年金共通で設けられているものでもございますので、なかなかこれを廃止いたしますことは残念ながら困難であるというふうにお答えをせざるを得ないということでございます。
  111. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いや、繰り返すようですが、求めて得たものではなく、沖縄の特殊事情に置かれた立場から得た今の内容であります。ならば、もう復帰十三年、しかも同一法のもとに吸い込まれたということになっておるのに、いまだに内容的にそういった差があるということは、これはどうしても合点がいきません。ですから、今のところとおっしゃいましたが、もう第二次振計に向けて活発に沖縄の振興も動くわけでありますから、どうかこの問題はもうそれでおしまいとおっしゃらずに、問題点として取り上げて何らかの方法で名実ともに同一線上に、同じ法のもとに、このことを私は強く要望いたしておきますが、大臣いかがですか。
  112. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 今局長の方から御答弁したように、なかなか困難な問題のようでございますが、しかし、問題点として取り上げて検討してまいります。
  113. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次に、この農林年金の遺族に支給される遺族年金等の問題でありますが、遺族年金退職年金の五〇%ということになっております。それで、遺族の生活を考えてみますと、これでは低過ぎるのではないか、せめて五〇%を七〇%までは引き上げて、七〇%以上にすべきではないかという要望もあります。私もまたそれを痛切に感じておりますが、いかがでしょうか。
  114. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 遺族年金退職年金額の五〇%というふうになっておりますけれども、その給付水準が低位な遺族を救済いたしますために、例えば六十五歳以上の遺族年金の最低保障額につきましては、退職年金の最低保障額の六六%というふうになっております。また、遺族の生活実態等を勘案しまして、六十歳以上である者または子を持つ寡婦であります場合には寡婦加算制度を設けまして、実質的な支給率の引き上げを図ってきているところでございます。遺族年金支給率の引き上げにつきましては、共済制度の根幹に触れる問題でもございますし、各共済制度を所管します各省と協議をして慎重に検討してまいりたいと思っております。
  115. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それじゃ、最後に大臣にお尋ねいたしまして終わりたいと思います。  目下、この農林年金を含めた各種の公的年金制度については、現在全体的に改革検討されておる最中であります。特に、国民年金厚生年金については全国民共通の基礎年金制度を導入するための改正法案が国会に提出されておる、このような情勢の中で農林年金についてはどのようなスケジュールで改革検討が行われていくのか大変注目をいたしております。また、農林年金としては基礎年金制度の導入についてどのように対処していかれるつもりであるのか、以上の点について基本的な御見解伺いまして、私の質問を終わります。
  116. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 本年の二月二十四日に閣議決定を行いました「公的年金制度改革について」におきまして、公的年金制度の一元化を展望しながら、昭和六十年においては、共済年金について、国民年金厚生年金等の基礎年金の導入を図る等の改革趣旨に沿った制度改正を行うこととしておりまして、調整の基本方向は明らかになっております。  しかし、例えば農林年金制度は、農業者団体が農林水産業の発展と、そして農林漁業者の地位の向上という政策的にも重要な役割を担っていることから、昭和三十四年に厚生年金から分離発足したという経過を持っております。農林漁業分野での政策目的に沿った制度として運用されているように、各種年金制度はそれぞれその目的、経緯、財政状況等につき異なる面がございますので、これを機械的に整理することは問題があるというぐあいに考えております。  このために、現在共済年金制度全体につきまして他の省庁と協議を重ねておるところでございますが、特に農林年金制度については、事業主と組合員との利害調整、加入団体相互のコンセンサス、また、組合員代表、事業主代表、学識経験者等から今述べましたところの問題について農林年金制度に関する懇談会を開催していただきまして、いろいろ御意見を伺っておるところでございます。  このような慎重な検討を十分行いながら、今後の農林年金制度の対応に誤りのないように処理していきたいというぐあいに考えます。
  117. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) ほかに御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  118. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 御異議ないと認めます。  本案修正について上野君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。上野雄文君。
  119. 上野雄文

    ○上野雄文君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となっております法律案に対し、修正の動議を提出いたします。  修正内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。  これよりその趣旨について御説明申し上げます。  今回政府から提案されております改正案は、農林漁業団体職員共済組合による給付に関し、恩給制度国家公務員共済組合制度等の他の共済組合制度改正内容に準じて、既裁定年金の額の改定年金の絶対最低保障額の引き上げ等により、年金給付水準引き上げ等を行おうとするものであります。しかしながら、本共済年金におきましても、年金の額の改定国家公務員給与改善内容基準としていることから、昨年は五十七年度人事院勧告凍結され、国家公務員給与改定が見送られたため、年金額改定措置は講じられなかったのであります。加えて今回の改正におきましても、昨年の人事院勧告が圧縮されたことから、その給与改善内容に準じて年金額算定基礎となります平均標準給与を平均二・〇%という低率で引き上げることにしており、現実に受給権者が受け取る年金の額はわずか一%強程度の引き上げになるものと思われるのでありまして、今回の年金額改定内容は極めて不十分なものと言わざるを得ないのであります。  また、従来恩給改定実施時期に準じてきた年金改定実施時期が、今回は旧法組合員期間に係るものについては恩給等の措置に倣い本年三月から改定されることになっておりますが、新法組合員期間に係るものについては本年四月からとされており、両者の改定実施時期に差異を設けているのであります。  この年金額改定実施時期につきましては、現職者の給与改定時期と同時期の改定を行うようその改善が望まれていたものであります。しかし、今回のような両者の間に差異を設けることは理解しがたく、むしろ恩給改定実施時期に倣ってきた従来の経緯からすれば、後退とも言えるのであります。したがいまして、この点については特に認めることはできないのであります。  私たちは、こうした認識と立場から、この点に焦点を絞って本修正案を提出したのであります。  修正案の内容は、本共済年金における新法組合員期間に係る年金の額の改定実施時期を一カ月繰り上げ、三月から実施しようとするものであります。  以上が修正提出の理由と内容の概要であります。  委員各位におかれましてはよろしく御賛同をいただき、速やかに御可決くださいますようお願いいたしまして、修正案の趣旨説明を終わります。
  120. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  ただいまの上野君提出昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案に対する修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から本修正案に対する意見を聴取いたします。山村農林水産大臣
  121. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) ただいまの修正案につきましては、政府としては反対であります。
  122. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 別に御発言もなければ、これより原案並びに修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  123. 下田京子

    ○下田京子君 私は、日本共産党を代表して、昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。  反対の理由は、年金額改定について、人事院勧告を無視した国家公務員給与改定率を基礎として、平均わずか二%という極めて低い引き上げ率にとどめていることです。これでは到底年金生活者生活を保障し得るものではありません。しかも、五十八年度には年金額引き上げが見送られ、今回のわずか二%という引き上げ率では物価上昇分を償えないことは明らかであり、実質的には年金受給者生活水準を後退させるものです。これでは老後を不安なく安心して暮らせる年金の充実を求める農林漁業団体などに働く職員全体の声にも背くものです。  特に農林年金の場合、質問でも明らかにしましたが、他の共済年金に比べ退職年金の最低保障額給付の該当者が極めて多く、一層深刻です。  そもそも、年金の最低保障額は、それに満たない低い年金給付しか受けられない受給者に対して最低の給付水準を保障するものです。ところが現行の最低保障額は、憲法二十五条に基づき、国が保障すべき最低生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならないと定めている生活保護水準に比べても七割程度の水準でしかなく、年金受給者からその引き上げが強く望まれているところです。  なお、現在政府は、年金財政は危機的状況との理由を口実に年金水準を一層切り下げるなど、新たな制度の改悪を行おうとしています。しかし、老後の生活水準の充実が一層切実に求められている今日、すべての国民が六十歳になれば無条件で月額五万円の最低保障年金支給される制度をまず確立することであり、これを土台として今までの年金制度で積み立ててきた年金を上乗せしていくなど、新たな年金改革こそ必要であることを指摘しておきます。  最後に、社会党提出修正案につきましては、実施時期を一カ月早めようとするもので、この点については賛成ですが、ただいま指摘したように、政府原案の本質的な問題点を根本的に変えるに至っておらず、賛成しかねるものです。  以上で政府原案並びに社会党修正案に対する反対討論を終わります。
  124. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  125. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、上野君提出修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  126. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 少数と認めます。よって、上野君提出修正案は否決されました。  次に、原案全部の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  127. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  藤原君から発言を求められておりますので、これを許します。藤原房雄君。
  128. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 私は、ただいま可決されました昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合及び参議院の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、農林漁業団体職員の老後保障を確保するため、本制度の沿革等その特殊性を踏まえ、制度運営の円滑化が期せられるよう、次の事項を検討し、その実現を図るべきである。  一、基礎年金制度導入等の年金改革問題については、公的年金制度との整合性に留意しつつ、共済組合員の意向を尊重し、制度の長期的安定が図られるよう、十分な検討を加え、組合員の老後保障に万全を期すること。  二、本制度における給付の安定と年金財政の健全化を図るため、現行の国庫補助水準を確保するとともに、その財政基盤の強化等に努めること。  また、昭和五十七年度から同五十九年度までの間減額された国庫補助額については、特例適用期間終了後適正な利子を付して、その減額分の補てんを行うこと。  三、既裁定年金の額の改定については、自動改定ができるよう検討すること。  四、本制度給付の実情に照らし、最低保障額については、今後とも改善を図るとともに、その新旧格差の是正に努めること。  五、農林漁業団体については、経営基盤の強化に努めるとともに、団体職員の定年制の延長等雇用条件の改善が図られるよう適切な指導を行うこと。  右決議する。  以上であります。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
  129. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) ただいま藤原君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  130. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 全会一致と認めます。よって、藤原君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。山村農林水産大臣
  131. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努力してまいりたいと存じます。
  132. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  133. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十四分散会      —————・—————