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1984-06-21 第101回国会 参議院 農林水産委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年六月二十一日(木曜日)    午前十一時開会     —————————————    委員異動  五月十七日     辞任         補欠選任      刈田 貞子君     高桑 栄松君      鶴岡  洋君     三木 忠雄君  五月十八日     辞任         補欠選任      高桑 栄松君     刈田 貞子君      三木 忠雄君     鶴岡  洋君  六月二十日     辞任         補欠選任      菅野 久光君     山田  譲君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         谷川 寛三君     理 事                 川原新次郎君                 北  修二君                 最上  進君                 村沢  牧君                 藤原 房雄君     委 員                 浦田  勝君                 大城 眞順君                 岡部 三郎君                 坂元 親男君                 高木 正明君                 竹山  裕君                 初村滝一郎君                 星  長治君                 水谷  力君                 稲村 稔夫君                 上野 雄文君                 山田  譲君                 刈田 貞子君                 下田 京子君                 田渕 哲也君    国務大臣        農林水産大臣   山村治郎君    政府委員        農林水産政務次          官        仲川 幸男君        農林水産大臣官        房長       角道 謙一君        農林水産省構造        改善局長     森実 孝郎君        農林水産省農蚕        園芸局長     小島 和義君        食糧庁次長    山田 岸雄君    事務局側        常任委員会専門        員        安達  正君    説明員        厚生省環境衛生        局食品化学課長  市川 和孝君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (米問題等に関する件)     —————————————
  2. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨六月二十日、菅野久光君が委員辞任され、その補欠として山田譲君が選任されました。     —————————————
  3. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 農林水産政策に関する調査のうち、米問題等に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 村沢牧

    村沢牧君 国民主食であり、日本農業基幹作物である米は国内生産全量自給をすることが政府責任でありますが、需給見通しを誤り、外国から輸入しなければならないという農政の基本にかかわる重大な事態が発生したわけであります。これに対して、実態を明らかにし、政府責任を追及し、抜本的な対策を実現するために、日本社会党を代表して以下質問いたします。  まず、米の需給の現状と見通しについてであります。  政府の五十九米穀年度需給見通しによれば、前年度米在庫十万トン、五十八年産米一千三十七万トン、五十三年産米十ないし十五万トン、合計一千六十万トンの供給に対し、需要は一千五十万トン、六十米穀年度に繰り越し十万トンとなっていますが、五十八年産米のうち早場米先食い、すなわち昨年の米穀年度消費した数量政府管理米集荷計画量不足する数量、また、需要をオーバーする数量について明らかにしてください。
  5. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 五十八年産米早食い量、それから集荷計画に対する不足量等につきましては、米穀年度内におきますところの新米売却については、全般的に新米の出回り量が早くなっている、こうした中におきまして、近年恒常的に行われているわけでございますが、五十八年産米につきましても、政府米自主流通米等を合わせまして約六十五万トン程度実施された、このように把握しておるわけでございます。また、五十八年産米集荷につきましては、通年集荷の努力をなお継続しておるわけでございますが、現在のところ六百九十六万トンでございまして、七百二十万トンの計画に対しましては約二十四万トン程度の減になろうかと、このように私たちは把握しているわけでございます。
  6. 村沢牧

    村沢牧君 もう一つ需要をオーバーするであろうという見通し
  7. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) また、五十九米穀年度主食用需要についてでございますが、現在年度の途中でもございまして、正確にこれを見通すことは困難な段階でございますが、十一月から二月の実績等から見まして、一応年間予定量といたしましては六百六十万トン程度予定しておったわけでございますが、この数量を多少上回るような結果になるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  8. 村沢牧

    村沢牧君 多少は上回るということですが、その数量見通し
  9. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 今の段階でどの程度になるのか、昨年の年間消費量といいますか、需要量は六百八十三万トンであったわけでございますが、その前年におきましては六百七十万トンというふうなことでもございますし、一人当たりの消費量等から見ますと、依然消費は減少しておるという傾向に趨勢としてはあるわけでございますので、今六百六十万トンが具体的数字としてどの程度になるかはちょっとまだ申し上げるようなところまでいっていないような実態なのでございます。
  10. 村沢牧

    村沢牧君 今の説明によれば、五十九米穀年度では八十九万トン約九十万トン不足をする。なお、これに加えて需要増がある。需要増を十万トンと見込んでも百万トンくらい不足するのではないか。そのことは否定しますか、認めますか。
  11. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 今先生の御指摘の点は、多分五十九年産米早場米に対する需要といいますか、供給量といったものがどの程度になるか、こういうことではなかろうかと思うわけでございますが、こうしたものにつきましては、先ほどの消費量といいますか、需要量がどの程度になるか、六百六十万トンがどの程度上方修正しなければならないことになるか、それによりまして早食い量等も変わってこようかと思うわけでございます。なお、今の需要量が最終的にどのようになるかによりまして、早食い量等も変わってくるというふうに考えております。
  12. 村沢牧

    村沢牧君 変わってくることはわかるけれども、これから需要がどうなるかはまだわからない面があるとしても、今までに食い込み分、それから集荷不足分はわかっているじゃないですか。だから早食い量はどのくらいか、そのくらいの数字ははじいているでしょう。はっきり言ってください。
  13. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 通常早食い量でございますと、恒例として最近におきましては五十万トン程度でございましたが、昨年六十五万トンで通常年よりも十五万トン程度多かったわけでございます。その早食い量が今年におきましてはどの程度になるか、その十五万トンをどの程度上回るかということはちょっとまだはっきりしないわけでございます。
  14. 村沢牧

    村沢牧君 はっきりしないけれども、早場米集荷計画を立てるには今からどのくらい不足になるか、五十九年度にできる米をどれだけ食い込まなければならないか、そのくらいの腹構えがなくちゃあなたたちの作業はできないじゃないですか。どうなのですか、言ってください。
  15. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 早場米集荷につきましては、先ほど申し上げましたような五十八年産米集荷量が多少ショートしておる。それから需要面におきましても、私たち年度当初計画しておりました六百六十万トンよりは数量が上回るであろうというふうにも考えられますので、できるだけ多くの早場米集荷を把握いたしまして、それを供給に回すきめの細かい安定的な需給操作をやっていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  16. 村沢牧

    村沢牧君 私は早場米操作を聞いておるのじゃないのです。早場米にどのくらい食い込むか、そのことがわからなくて需給操作ができますか。しかも、米はこういう事態になっているのです。その見通しがないのですか。はっきりしてください。
  17. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 今の段階で、昨年の六十五万トンぐらいの早食い量に対して今年どの程度数字になるかということを申し上げるには、まだちょっと時期が早くて検討も必要なのじゃなかろうか、このように思う次第でございますが…。
  18. 村沢牧

    村沢牧君 どうしても言わないですか。それじゃだんだん詰めていきましょう。  私は、今年の米はおよそ百万トン程度食い込まなければ操作ができないであろうというふうに見ていますが、そのことは否定しますか。
  19. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 先ほど来申し上げておりますように、まだ具体的数字といたしましては十分なるそういった数量になるだろうという見通しも立たないような状態でございますけれども、今先生指摘のような百万トンといった早食いにも対応し得るかどうか、このような点につきましては私たち検討はしておるわけでございます。
  20. 村沢牧

    村沢牧君 いずれにしても、百万トン程度早食いをしなければならない、そのことは私たち調査でも明らかになっているわけです。このことは、いかに弁解しようとしても、需給見通しを誤ったものです。農水省は既に米穀の管理に関する基本計画あるいは実施計画を公表しているわけでありますが、この修正をしなければならないと思いますが、どうですか。
  21. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 現在、基本計画につきましては三月に発表さしていただきまして、その基本計画に基づいて四カ月ごと供給計画等をつくっておるわけでございます。その基本計画がそのとおり一万トン、二万トンと小さな数字なりに変更されるということはあろうかと思うのですが、それ以上の数字変動ということも考えられるわけでございますが、現段階基本計画の変更ということまでは考えていないわけでございます。
  22. 村沢牧

    村沢牧君 実施計画は。
  23. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) いま実施計画という御指摘でございますが、これは供給計画というふうなことで四カ月ごとに決定しておりまして、その計画につきましては今月末までに次の七月から十月までの計画をつくるということで、現在最終的な検討段階に入っています。
  24. 村沢牧

    村沢牧君 この本年度の米の需給は、今次長から答弁あったような十万トンや十五万トンの狂い、そんなものではない、かなり狂っているわけなのです、そのことは御承知と思いますが。  大臣に聞くけれども、このように米の管理に関する計画見通しを誤る、そしてまた国民に不安をかけているこの事実に対してどういうふうに大臣はお考えになりますか。
  25. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 今回の五十三年産米の問題に関連いたしまして、関係各界のみならず国民皆様方に多大の不安と混乱をもたらしましたことはまことに遺憾でございます。私といたしましても、この問題につきましては最終的には私の責任で対処、処理するという基本姿勢でやってまいりたいというぐあいに考えております。
  26. 村沢牧

    村沢牧君 大臣、私はまだ五十三年産米のことについて聞いているのじゃないのです。本年度の米の需給に対して既にこれだけの計画が狂ってきている、このように見通しを誤ったことについてどう考えるか。
  27. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 私が聞いておりますところでは、少なくともゆとりのあるということは言えませんが、国民皆様方に安定的に供給できるというような体制にあるということを聞いております。
  28. 村沢牧

    村沢牧君 大臣、全然答弁になってません。あなたが所管している米の管理ですよ。それがこのように基本計画から見て計画がうんと狂ってくる。ことしできる米を早食いをたくさんしなければならない、これについてあなたはどう考えるか。大臣です、大事な問題ですよ。大臣に言っているのだ。
  29. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) お米の、特に主食用の御指摘であろうというふうに思うわけでございますが、主食用の問題につきましては、全体の総量というものと関連するわけでございまして、総量的には先生が先ほど冒頭に御指摘されましたように、十万トンの五十七年産米持ち越しと、それから生産量が千三十七万トンの供給量、その他といたしまして十ないし十五万トンの五十三年産米供給、こういうふうな点を考慮しておりまして、そうした面におきます供給量には変化がないわけでございまして、需要サイドがどの程度になろうかと、このようなことはあるわけでございますが、トータルの千五十万トン程度というものにつきましては、多少の変動はあるということは考えられるわけでございますが、総体としては数量的に賄い得ると、このように私たち考えておるわけでございます。  なお、こうした段階にございましても、年度末の持ち越し量というものが十万トン程度でございますし、ゆとりのある需給操作というふうなことではございませんので、そうした面におきまして、いろいろときめの細かい需給操作を今後やっていかなければならないと私たちは考えておるわけでございます。
  30. 村沢牧

    村沢牧君 先ほど来くどくど言っているけれども、基本計画は五十八年度産米千三十七万トンですか、これでもって操作していくのだという基本計画になっているのですね。完全に狂っているじゃないですか。できないじゃないですか。できるのですか、あれは。できませんよ。ですから、そういう基本計画から見て見通しが狂っているのだ。早場米を食うから何とかできるということじゃないのです。そのような基本計画すら毎年狂うということについて大臣はどう考えるか、そのことを聞いているのです。大臣に聞いているのです。
  31. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 先生の言われるこの基本計画は、生産量等変動等によりまして狂ってまいりましたが、しかし、需給につきましては万全を期してやらせてまいりますし、今後はもっとゆとりを持ったものにしていかなければならないというぐあいに考えております。
  32. 村沢牧

    村沢牧君 大臣、米の需給について万全を期すのは当然のことです。しかし、政府の立てる計画は毎年毎年狂ってきておる、そこが問題だと私は言っているのです。そのことについて大臣はどう考えるかと言っているのです。
  33. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 数量の方は一応千五十万トンというようなことで、そのようなぐあいにやってまいりますが、しかしそれにしましても、食糧というものが国の安全保障にもつながる問題でもございますので、もう少し今後はゆとりを持ったものとしてやらせていかなければならないというぐあいに考えております。
  34. 村沢牧

    村沢牧君 大臣は、米問題で集中審議をするというのに、米のことについて基本的にも理解しておらない。そんな答弁では納得しません。  次に進みますが、五十九米穀年度における計画が狂ってきた。このことは当然に六十米穀年度にも狂いが生じてくるわけです。六十年度計画も既に発表しておりますが、この計画によると、六十年末には五十五万トンの在庫を持ち、四十五万トンの在庫積み増しを行うということになっておりますが、五十九年度がこんなに狂っていますから、六十年度だって当然狂ってくる。つまり、四十五万トンの在庫積み増しが持てないという結果になりますが、どういうふうに考えますか。
  35. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 今先生指摘の、六十米穀年度におきますところの計画、それから六十年の十月末におきますところの前年産米持ち越し量、こうしたものが変動するのではなかろうかという御指摘でございますが、確かに現在の段階におきまして、五十九年産米生産量がどの程度に落ちつくか、一応計画では千九十万トンと見ておるわけでございますが、そうしたものの変動要素がございますので、なおもう少し時間をかけさせていただきまして、その生産量が天候その他によってどの程度影響されるか。なお、現在におきましては、たくましい稲づくり運動をいたしまして、生産の安定といいますか、そういった手は打っておるわけでございますが、そうした効果をも踏まえまして、最終的に五十九年産米生産量がどうなるかということによりまして、今の基本計画に掲上されておりますところの供給量がどうなるか、こういうことではなかろうかと思うのでございます。今の段階で、大幅に狂うかどうか、この辺はちょっとまだ定かに申し上げられないのではなかろうかと思うわけでございます。
  36. 村沢牧

    村沢牧君 次長、大事なときですから、私も何も知らずに質問をしているわけじゃないのです。かなり勉強しているつもりだし、研究しているつもりですから、余分なことを言わずに、まじめに答弁してください。つまり、六十年度で使用する米、五十九年産生産量は平年作だったら千九十万トンを予定している、こういうことです。ことしは平年作だかどうかわからない。しかも、これに対して百万トン近くもう食い込みをしているのです。ですから、六十年度へ回って五十五万トンの在庫、四十五万トンの積み増しは今の数字から見てできないということは明らかじゃないですか。何を言っているのですか。
  37. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 今先生指摘の点につきましては、生産量千九十万トンというふうに見ても、なお積み増しができないような状態になるのではなかろうかという御指摘ではなかろうかと思うのでございますが、先ほど来御説明さしていただいておりますように、端境期におきますところの早食いがどの程度になるかというふうなこととも関連し、また作柄等がどの程度に落ちつくかということもございますので、今の段階で絶対にできないのだということはちょっと申し上げかねるのでございます。
  38. 村沢牧

    村沢牧君 次長、時間も私もそんなにありませんから、もっと率直に答えてください。つまり、ことしの米をもうかなり食い込みをしているのです。足らないですね、うんと食い込みをしてくる。そうすると、千九十万トンというのは平年作であってこれだけとれるのです。ことしのように異常気象のときはとれるかどうかわからない。そこでなお六十米穀年度において四十五万トンも積み増しができるのか。できないと思うでしょう、あなた。わからないということじゃない、わかっているのです、数字をどこかへ合わしていけば。
  39. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 最終的な六十年の十月末の積み増しがどの程度になるか、こういうことにつきましては先ほど御説明さしていただきましたように、今の段階でどの程度減るのか、全然できないのか、こういう点までちょっとまだ申し上げるような数字を十分詰めておらない段階でございます。
  40. 村沢牧

    村沢牧君 米の需給がこんな形になっているのだ、不安だということですから、ことしの見通しばどうだ、来年の見通しはどうだと、はっきりしたものを持っているというふうに思うのですが、この委員会で明らかにすることができないようなことでは、責任を持って米の管理なんかできないじゃないですか。  私は率直に申し上げますが、ことしの需給操作が来年の需給操作に影響して第三期対策の四十五万トン積み増しはできなくなる、このように判断しますが、そういう立場に立って、大臣、第三期対策の目玉の一つとして在庫積み増しというのがあったのです。これができなくなってくる、私はそういうふうに思います。また、そのようになるであろうと申し上げますけれども、大臣はそんなことになったら責任をどういうふうに感じますか。
  41. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 今次長から申し上げましたとおり、いろいろ作況等もございますし、それらを含めまして第三期対策というものを、本年度作況を見た上で弾力的に考えていきたいというぐあいに考えます。
  42. 村沢牧

    村沢牧君 弾力的に考えていくということは、後ほどまた伺ってまいりましょう。  そこで、食糧庁は、米の需給ゆとりがあるとは言えないけれども米不足心配はない、こういうことをいつも言っている。なるほど机上の計算では米はあるはずになっているけれども、地域実態はどうか。  私たち日本社会党は、生産地消費地を全国的に調査いたしました。このことは食糧庁の失政を追及するということじゃなくて、米の需給心配だからやったのです。その調査結果、内容は全部持っていますけれども、時間がありませんから一一申し上げません。しかし、いずれの地域でも米が不足関係者は不安に陥っているのです。  例えば、長野県における政府米在庫は、五十七年三月末に対して五十九年三月末は三分の一の減だ。五十四年、五十五年、五十六年、五十七年の米は一粒もない。米の倉庫には五十三年と五十八年度産米だけがわずかに入っているにすぎない。これは今申しました長野県だけではなくて、私たち調査したすべての生産県に共通する問題であります。生産地にも米がなくなったことは事実が示しているのです。そしてまた、農業倉庫には米がありませんから農業倉庫の経営も悪化してきておる。これに対して何らかの対策政府は立てなければいけない。生産地実態をどういうふうに考えるのか、あるいは消費地はどうか。東京都も大阪も神奈川も、二年前に比較して三分の一から四分の一の在庫量である。卸から小売に対する供給量が非常に減って、例えば大阪の場合は小売業者在庫維持日数は、昨年までは二十日以上あったけれども、今日は十二日か十三日。つまり、消費者の注文にこたえ得るぎりぎりの線まできているわけです。  特に政府米供給量が少ない。したがって卸は原料調達が思うようにいかない。それから小売政府米不足自主流通米で補ったり、あるいは五十三年産米やくず米を混入して供給しているという業者もある。また、中間卸だとか、やみ業者が横行して流通が乱れに乱れているのです。こうしたことは、食糧庁が米が少ないからということで卸への売却量を五・八%も削減したことにも起因しているのです。食糧庁がいかに米の需給心配ないと言ったって現地はこういう状態なのです。  これでもって消費地流通に不安はないのか、不正規流通はどうするのか、以上の点について答弁してください。
  43. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 五十九年産米需給事情につきましては、先ほど来総量としての御説明はさしていただいておるわけでございますが、五十九米穀年度におきますところの品質別供給量という点について見ますと、先生今御指摘のように、自主流通米取り扱い数量といいますものは多少余裕を持っておりますが、政府米数量、特に政府米の中におきましても低品位のものにつきましては、北海道の昨年における冷害に伴う供給減ということ等もございまして、販売業者段階におきましては精米の仕立て方等の面におきまして小売業者が直接希望されるような低品位のものだけ供給していない、こういった面は多少出ておろうかと思うのでございます。  全体といたしましては、品質別の細かいものに、すべての面で需要にこたえない点は多少出ておるということもあろうかと思うのですが、全体は大丈夫でございますし、本米穀年度米需給につきましては、先ほど来申し上げております、決してゆとりのあるといったものではございませんので、販売業者の方々の御理解と御協力を願いながら、精米の仕立て方等につきましても計画的にひとつやっていただく、そういうことをいろいろ指導いたしまして、真の消費者需要といったものには十分こたえていかなければならない、このように私たち考えまして、計画的な需給売却操作を現在実施しておるところでございますし、国民に不安を与えないように細かい対応を今後とっていく、こう考えておる次第でございます。
  44. 村沢牧

    村沢牧君 次長は私の質問に答えておらないのですが、よく私の質問を聞いて答えてください。  あなたは、多少いろいろ問題はあるけれども不安はないというような答弁なのですが、例えば消費地実態調査をごらんになったことがありますか。
  45. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 消費地実態につきましては、食糧事務所長等から報告を受けて聞いております。
  46. 村沢牧

    村沢牧君 だからあなたは現状を知らないのです。私たちは全国各地にわたって調査しているのです。あなたが知っていればそんな答弁は返ってこないわけだ。消費地だって大変に不安に陥っているのです。  一つだけ聞くけれども、さっき答弁していないけれども、大阪不正規流通はどうするのですか。
  47. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 大阪におきます不正規流通につきましては、私たちは改正食管法の施行以来、不正規流通の撲滅作戦というふうなことで積極的に対応してまいったのでございますが、大阪地区におきましては特に中間卸的な特異な販売ルートが従来ございまして、こうした中間卸というふうなものに手を引いていただきまして、食管の期待しておる流通ルートの特定と申し上げていいかと思うのでございますが、卸と小売によるルートを特定化すべく従来から指導しております。最近におきましてはその中間卸的な業者の業務ということがだんだんと縮小されておりますし、小売におきましても、不正規流通に関与している特に無許可の卸といったものは、だんだんと減ってきておるように私たちは理解しておるわけでございます。
  48. 村沢牧

    村沢牧君 そんな答弁をしているから、現地を知らないということなのです。私が申し上げますから、今後調査してください。  私たちに米の登録業者が証言したことによると、大阪における許可店は小売業者が約五千五百、いわゆる無許可の業者が二千二百あるというのです。こんな実態を許しておいていいのか、調査して報告してください。いいですね。  それから、先ほども質問しましたが、生産地においては農業倉庫にも米がほとんどなくなってきておる。しかし、米の倉庫として許可をとっているのですから他の物を入れるわけにもいかない。こういう場合には何らかの措置をとりますか。米が、入れる物がなくなって不安になってきた、こういう農業倉庫の経営に対しては何らかの措置を考えますか。
  49. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 農業倉庫におきますいわゆる生産地在庫量についてはだんだんと減少しておる。特に五十四年ごろの過剰米が六百五十万トンぐらい累積しておりました段階には、農業倉庫もまさに満席になって保管の余裕がないというふうな状態に相なっておったわけでございますが、過剰米の処理の五カ年計画をもってその処理に努めてまいりまして、一応今会計年度をもって終了するということでございます。それに四年続きの不作ということもございまして、政府在庫量は今年十月末に五十八年産米が十万トンぐらいになるという点もございますので、確かに先生指摘のように、当時と比べますれば相当大幅な在庫が減少しておるという実態には相なっておるわけでございます。  そうした場合に、倉庫対策として何らかの手当てができるかどうか、こういうことの御質問ではなかろうかと思うわけでございますが、過去におきまして、その種のたぐいの措置はとったことがあるやに私は聞いておるわけでございますが、そのころの情勢と現在の情勢が大きく違っております。過去におきましては農業倉庫と営業倉庫の料金体系にも格差がございまして、農業倉庫の料金体系の場合は低かったということにもなっておったわけでございますが、その後の料金改定におきましてだんだんとその格差がなくなりまして、現在におきましては、一応営業倉庫の保管料率とそれから農業倉庫の保管料率がおおむね同じ水準にもきているような状態でございますし、かつまた、今の国の財政といたしましても非常に苦しい立場にあるような次第でございまして、財政的な援助といいますか、助成といったものはなかなか困難ではなかろうかというふうに考えております。
  50. 村沢牧

    村沢牧君 財政的な援助は困難であるという答弁ですが、なかなか大変な実態にありますから、今後ともさらに検討をしてもらうことを強く要請しておきます。  そこで、五十九米穀年度不足分は本年度とれる早場米でもって充てると言っているわけでありますが、政府管理米の現在の在庫数量は幾らありますか。その水準でいつまで持ちこたえることができるというふうに考えていますか。
  51. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 本年の三月末の政府管理米自主流通米の合計でございますが、この在庫数量につきましては、過剰米を別にいたしますと三百十万トン程度ではないか、このように見込んでおります。  それ以上近くなる、こういうふうなことに相なりますと、自主流通米につきましては良質米の奨励金の支払い等との関係から指定法人と卸売業者、末端の販売を確定させるのに時間を要する、こういうふうな…
  52. 村沢牧

    村沢牧君 次長、発言中ですが、待ってください。  次長は私の質問に答えておらない。きょうは長官が米価審議会に行っているから、やむを得ないからあなたが政府委員だから出すということなのです。だから長官と同じ立場に置いて私は質問していますから、はっきり答弁してください。  私が言ったのは、三月ではない。だから質問通告でも言っておいたのです。五月末現在の政府米在庫数量が幾らになるか、そしてその水準で何月まで持ちこたえることができるのか。簡単な質問です、余分なことは言わなくてもいいです。
  53. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 御質問の趣旨の五月末でございますが、五月末につきましては、なお自主流通米等におきまして数字がなかなか押さえられないというふうなこともございますので、今三月末の数量といたしまして、政府米としまして百七十一万トン、それから自主流通米百四十万トン、合わせまして三百十万トン程度になろうかと、こういうふうに思っておるわけでございます。  それで大丈夫かというふうな御質問でございますが、それにつきましては、今後の需給操作できめの細かい操作をやっていけば端境期も乗り切れるというふうに私たちは考えております。
  54. 村沢牧

    村沢牧君 次長、これだけ米の問題が重要なときになっているのですから、三月末あたりの数字じゃなくて、あなたは現時点の数字をつかんでいなきゃいけないのです。少なくとも五月末の数字はつかんでおかなきゃいけない。それがやっていないとすれば全く無責任と言わざるを得ない。だから、その数字でもってどういうふうに切り抜けるかじゃなくて、その数字でもって推していけばいつまで政府米で持ちこたえることができるか、それを聞いているのです。
  55. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 先ほど申し上げましたような三百十万トンを三月末に持っておりまして、それで一応月々の需要量が五十五万トン程度というふうに考えられるわけでございまして、こうしたものを基礎といたしまして一応食いつなぎのできるところというふうに計算してみますと、おおむね今米穀年度内は供給し得るのではなかろうかと考えておるわけでございます。
  56. 村沢牧

    村沢牧君 次長、後のことがどうかはっきりしなかったのですけれども、今米穀年度中は食いつなぎできるということなのですか。三百十万トンを三月に持っておって、毎月五十五万トンずつ消費をしていくのだと。いつまで食いつないでいけるのですか。
  57. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 失礼しました。三百十万トンが一応食いつなげる計算をさしていただきますと、先ほどの五十五万トン程度消費量を予定いたしますと、九月中旬までは五十八年産米で食いつなげるのではないか、こう考えます。なお、それ以降につきましては、新米早場米供給ということも期待してやるということでございます。
  58. 村沢牧

    村沢牧君 初めからそういうことをはっきり言わなきゃいいのだよ。何を言っているのですか、本当に。  そうすると、今言いかかったように、十月末までには三百五十万トン以上の早場米が出回るから心配はないというふうに言っているわけですね。十月の終わりに早場米がどっと入ってきたって食いつなぎができない。今の米は九月中旬までしかないのだ。そうなると、その後は九月、十月の早場米集荷計画需給操作を示してください。
  59. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 新米の月別の集荷数量につきましては、作柄なり収穫時期の天候等によりまして多少の変動はございますが、近年におきますところの八月から十月の出荷状況を見ますと、おおむね九月末までに百万トン程度のものが集荷されておりますし、十月末までには四百万トン程度になろうというふうに私たち見通しておりまして、本年産米につきましてもこの程度集荷になると思っておるわけでございます。
  60. 村沢牧

    村沢牧君 その早場米集荷計画についても伺っておきますけれども、いずれにしても今政府の持っている米は九月の中旬というような話があったけれども、そこまで持ちこたえるかどうかわからない。そこで早場米を入れなきゃならないけれども、昔から新米は、とれたときにはお祝いとして食べるけれども、新米がとれるのを待っておって直ちに食べ始める、こんなことは農家だってやっていないし、めったにないことなのです。そこで、米が足らないためにどうしても新米を早く出してもらわなきゃならない、しかも九月から食べなきゃならない。そうだとするならば、早く出してもらうような手当てをしなきゃならない。それについてはどういうふうに考えますか。具体的に言って、早場米を早く出してもらうためには奨励金も必要でしょう。いろいろな対策が必要だと思いますが、どういうふうに考えていますか。
  61. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 本米穀年度の端境期におきますところの円滑な流通、また売却操作を図るという観点から、五十九年産早場米集荷につきましては、集荷体制の整備と流通秩序の確保を図ることによりまして、適正かつ円滑な集荷の推進に努めていこうと考えておるわけでございます。具体的には、食糧事務所や都道府県を通じまして集荷業者生産者に対し理解と協力を求めよう、また関係者による予約限度数量の適正な配分と、これに即した予約の確保、政府米自主流通米の並行検査の実施、不正規流通防止対策の徹底、庭先集荷の実施等を通じまして、積極的また円滑なる集荷ができますように私たちは努力してまいりたい、このように考えております。
  62. 村沢牧

    村沢牧君 そんな抽象的なことで早場米が集まりますか。天候が不順で、九月は早場米が入ってこなかったらどうするのですか。そんなことで早場米は集まりません。もっと積極的な対策を立てなきゃいけない。したがって、早場米の奨励金ぐらい出せという声も出ている。大臣、どうですか。
  63. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 早場米をできるだけ早く出していただくということでございまして、これがまた予算も関係してくることでございまして、ひとつもう少しちょっと検討さしていただきたいと思います。私とすればそういうようなやりたい気持ちはやまやまでございますが、ただ予算ということもございますので、これは御賢察をいただきたいと思います。
  64. 村沢牧

    村沢牧君 予算が伴うことは当然ですけれども、いずれにしても、ことしの生産者米価を決定するごろまでには方向づけをしなきゃならない問題だというふうに思いますから、大臣がひとつ積極的に取り組んでいただくように要請をしておきます。  そこで、大臣政府は、主食については心配はないというふうに言っておりましても、今持っている米は、先ほど来答弁がありましたように、九月の中旬、よくいってそこまでしかない。したがって、なりふり構わない早場米集荷とピストン輸送によって新米早食いという異常調整をしなければならない。つまり、米不足実態早場米によって覆い隠しているにすぎない。主食供給がこんな危ない綱渡り的な操作でいいのか。大臣はどういうふうに考えますか。
  65. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 今回本当に皆さん方にいろいろ御心配をおかけし、申しわけなく思っておりますが、今後はやはりもっとゆとりを持ったことをやっていかなければならない。これは農林水産大臣として食糧安全保障と申しますか、これらを含めまして、何にしても国民の皆さんに心配をかけないということが第一でございますし、もっとゆとりを持った食糧の確保というものを心がけていかなければならないというぐあいに考えております。
  66. 村沢牧

    村沢牧君 つまり、大臣、今までのような需給操作需給計画ではいけない、このことを反省をし、今後は改めていくというお考えですか。
  67. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 先ほども申し上げましたように、本年度作況を見ました上でこの第三期対策というものも弾力的に運用してまいりたいというぐあいに考えております。
  68. 村沢牧

    村沢牧君 そこで、米の需給見通しが狂ったことは異常気象があったからやむを得なかった、こういうことを農水省の皆さんはよく言うのです。なるほど、私も四年続きの異常気象ということを否定するものではないけれども、農産物は常に天候によって支配されるのです。したがって、米の生産計画なり需給計画を立てるときには、災害があっても不測の事態があっても困らない、そのことを考慮して立てなければならないのですけれども、今までそういう計画は、災害などということは考えずに立てたのですか。
  69. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 水田利用再編対策の二期等におきましても、多少のゆとりを持って需給操作をやっていかなければならない、このようなこともございまして、転作面積の調整等を図って対応してまいったわけでございますが、御案内のような四年続きの不作というふうなこともございまして、その都度積み増し数量が期待されたほど確保されてなくて、現在十万トンという実態になっておるわけでございます。
  70. 村沢牧

    村沢牧君 そんな原因を聞いているのじゃないのです。ですから、不作がある、災害があることを予測して需給計画を立てなきゃいけない。そういうふうに今までやっていないじゃないですか。  それから、米の生産が減ったということは、自然災害のためだけじゃない、長い間にわたる減反と米価の実質的を据え置きによって農家は生産意欲を失っているのです。また、銘柄米志向や機械化などによって画一的な米づくりになっている。これは天災ではない、人災なのです。政治災害なのです。今までは米をつくることを悪者扱いにしておって、それから米の生産技術をほうっておいて、ことしから新稲作運動を始めようとしておる。これが農水省のやることですか。遅過ぎたのです。猫の目農政というのはこういうことを言うのだ。ですから、米の不作を異常気象、天候だけで糊塗するのは極めて誤りである。それについてどう考えますか。
  71. 小島和義

    政府委員(小島和義君) この数年間におきまして稲作技術をなおざりにしてきたということでは決してございませんが、御指摘ございましたように、気象条件に加えまして社会的な条件と申しますか、米作の担い手の兼業化が進展する、あるいは老齢化が進んでいるというふうな事情もございますし、労働生産性の向上ということに熱を上げる余り、単収の維持向上という問題に力が及ばなかったという点もございますので、そういうことについて見直し、反省の上に立ちまして、本年度から特にたくましい稲づくりということで、単収面におきましても計画予定数量を確保するという観点から、各都道府県、農業団体の協力を得まして、各地におきましてかなり活発にこの運動を進めておるという状況でございまして、今後ともそういう点については力を入れてまいるつもりでございます。
  72. 村沢牧

    村沢牧君 米の生産が落ちたことは異常気象だけじゃない。その他、人災的なものがある。このことをよく肝に銘じておいてください。  それから、大臣にまた重ねてお伺いしますが、以上指摘をしましたように、米の需給は楽観できる状態ではない。米は過剰であるから今後米不足になるような心配はない、こんなことを毛頭言えるような状態ではないのですけれども、大臣はどういうふうに思いますか。
  73. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 先生御存じのとおり、潜在的にはやはり需要を大きく上回るというような状況にあることは御承知のとおりでございますが、しかしまた、今局長から話がありましたとおり、今年度におきまして新稲作運動が遅過ぎたと言われましたが、一生懸命取り組んでおります。せんだっても知事会の代表の皆さん、市長会、町村長会、そして農業者の代表の皆さん、皆様お集まりいただきまして御協力方を要請したところでございますが、今後もこの需給というものを完全にしていくということで努力してまいりたいというぐあいに考えます。
  74. 村沢牧

    村沢牧君 重ねて伺いますが、大臣は米の過剰傾向にあるということをいつも言うのですが、本当に今年度に限って言っても米は過剰である、こういうことをずっと言い続けるのですか。
  75. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 少なくとも今年度においては過剰ということは言えないと思います。
  76. 村沢牧

    村沢牧君 従来、生産者米価を決定する場合においても、これは法律によって決めるわけですけれども、食管法の趣旨を無視して低米価を押しつけている、その最大の原因は米が過剰である、だから経済的な事情を判断して米価を据え置くのだというようなことを出したのですが、ことしに限って米は過剰でありませんから、生産者米価の決定の時期も近づいてまいりますが、過剰だということは言いませんね。
  77. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 生産者米価決定に当たりましては、米の再生産というものを念頭に置きまして、物価、それから経済状況、それらを含めまして米審に諮問いたしまして決めてまいりたいと思います。
  78. 村沢牧

    村沢牧君 その他の経済事情の中で米が過剰であるということを最大の要因としておったのですけれども、ことしはそのことを言いませんね。
  79. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 先ほど申しましたように、ことしは過剰ではないということですが、しかし、潜在的には過剰であるということはひとつ御理解いただきたいと思います。
  80. 村沢牧

    村沢牧君 そこで、先ほど来潜在的過剰だと言うのですけれども、そのことについて私はただしておきたい。  米の潜在生産量は千三百七十五万トンあるので過剰傾向であると大臣も大蔵省も言っている。千三百七十五万トンというのは、減反面積を全部やめて日本の水田に全部米を植えたらそういうことになるのだ、そうでしょう。第三期対策で言う減反面積の六十万ヘクタールを入れれば千三百七十五万トンもできるのですか。幾らできるのですか、六十万ヘクタールで。
  81. 小島和義

    政府委員(小島和義君) ただいまの三期対策需給のフレームといたしましては、潜在生産量は、陸稲も含めてでございますが千三百七十五万トンと置きまして、需要在庫積み増しを差し引きますと要調整量として二百九十万トンという数字が出ておるわけでございます。もちろん、その実際の転作の中には相当程度に定着化の域に達しておるという高収益の転作もございますし、また、永年性作物のように現に樹木が植わっておるというものもあるわけでございますから、仮に水田利用再編対策を全廃したといたしました場合に、この二百九十万トンが直ちに米の出来高になるとは私も決して思いませんが、この中の相当部分というのは米の在庫という形で積み上がってくることは間違いないわけでございます。  そういう状態を続けるということになりますと、三たびまた過剰在庫を招くという心配もあるわけでございますから、その程度についてはいろいろ御議論もございましょうが、この潜在的な過剰の状態を何らかの政策的努力によりまして埋め合わせをしていきまして、それによって米の極端な過剰状態を招かないような調整をしていく、そういう必要があるという事態においては以前と余り変わりない。短期の問題につきましてはいろいろ御議論もございますし、また、私どもが想定いたしましたような事態に必ずしもなっていないということもございますので、先ほど大臣からお答えいたしましたように、この三期の間じゅうは転作目標面積の六十万ヘクタールは変えないということでスタートいたしておるわけでございますが、そういう建前に拘泥することなく、実際の作柄を見ました上で来年以降の問題については弾力的に対応いたしたい、かように申し上げておるのであります。
  82. 村沢牧

    村沢牧君 今答弁があったように、大分転作をしているから全部水田に戻すことはできない、したがって、千三百七十五万トンという数字は確保することはできない、という答弁もあったわけですが、第三期対策で六十万ヘクタール減反しているのですよ。その収穫量は幾らかと聞いているのです。六十万ヘクタールを減反しておるのでしょう。ですからその生産量を幾らに見込んでおるのだ。数字だけでいいです、数字だけで。
  83. 小島和義

    政府委員(小島和義君) 今おっしゃいました六十万ヘクタールに見合いの生産量、すなわち要調整量を二百九十万トンというふうに見ておるわけでございます。
  84. 村沢牧

    村沢牧君 そうじゃないですよ。六十万ヘクタールも減反しておる。したがって六十万ヘクタールを減反して、他の水田に出てくる生産量を幾らに見ているのですか。だって三期の基本計画に書いてあるじゃないですか。千九十万トンと書いてあるじゃないか。六十万ヘクタール減反して千九十万トンできる。ですから千三百七十五万トンというのは全部減反面積をやめてのことなのです。そこに潜在生産量が多いと言えるのです。やめますか、どうですか大臣
  85. 小島和義

    政府委員(小島和義君) これは仮に日本じゅうの水田で全部米をつくればそれだけの米ができてしまうということを申し上げておるわけでございます。先ほど申し上げましたように、今の時点で仮に水田利用再編対策を全廃したといたしました場合に、二百九十万トンが直ちに過剰として積み上がるかということになりますと、既に相当定着性の高い転作が行われている場所やら、あるいは永年性作物を植えておるという転作地もあるわけでございますから、この二百九十万トン分が直ちに過剰になるというものではございませんけれども、相当部分は稲作の生産に戻る。そういたしますと、単年度において相当の過剰が出るということを申し上げておるわけでございます。
  86. 村沢牧

    村沢牧君 ですから、この減反政策をやめるという気持ちがあったらそういう長々と答弁してもいいのですよ。やめる気持ちはないでしょう。少なくとも第三期対策においては三年間固定をしている。六十万ヘクタールの減反をしている。その生産量は千九十万トンじゃないですか。違いますか。
  87. 小島和義

    政府委員(小島和義君) 要調整量を差し引きますとさような数字になるわけでございます。
  88. 村沢牧

    村沢牧君 そうでしょう。ですから、潜在生産量が過剰であるから米は過剰になるということは言えないのです。大臣、自後過剰基調にあるなどということは、減反政策をやるからにおいては言わないでください。減反政策を全部やめればいいですよ、やめればそういうことは言えるけれども。わかっていただけますか。大臣の見解を聞いている。大臣ですよ。もう局長はいいです。
  89. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) やめれば過剰になるということでございまして、減反政策を続けて御協力をいただいておる。これで適正な需給ができるということでございます。
  90. 村沢牧

    村沢牧君 そうでしょう。だからやめるつもりはないのに、米は過剰傾向、米は過剰傾向などと言えないじゃないですか。ですから、以後農水省としてはそういう言葉を使わないようにしてください。
  91. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 潜在的に過剰といったことでございまして、今後は減反政策をやめればということで言ってまいります。
  92. 村沢牧

    村沢牧君 そうしてください。大蔵省にもよく言っておいてください。
  93. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) はい。
  94. 村沢牧

    村沢牧君 そこで、私は米の生産について、潜在生産量に大変大きな疑問を持っているのです。そういうことは、政府が予定をした予約限度数量には毎年達しておらない。それでは農家に保有米や縁故米があるかというと、そうでもない。一体この潜在生産量千三百七十五万トンでもあるいは千九十万トンですか、これでもいいですけれども、これだけあるという調査はどこでするのですか。自信を持っていますか、これだけの生産量があるということについて。
  95. 小島和義

    政府委員(小島和義君) この潜在生産量は、今の水田利用再編対策を行い、それに御協力をいただきました方々に転作奨励金を出している、その場合の一つの前提となる基礎数字でございまして、先ほども申し上げましたように、仮に転作を全部やめました場合に千三百七十五万トンの米が直ちにできるということを意味するわけではないわけでございます。要調整数量の中に入っておりますいわゆる六十万町歩の中には既に相当程度定着性の高い転作を行っているところもございますし、永年性作物を植えてしまったというところもあるわけでございますから、直ちにこれが米に復元するということじゃございませんが、そういうものも含めて要調整数量、したがって転作目標面積を出しておきませんと、その分についての転作奨励金の支払いということの根拠を失うわけでございますから、その意味におきまして千三百七十五というのが、日本じゅうの水田で全部直ちに米をつくったとした場合にこれだけの米ができ上がるという数字だと御理解をいただければよろしいわけでございます。
  96. 村沢牧

    村沢牧君 ですから、潜在生産量というのは転作奨励金等々から勘案してこういうことだと、こういうことになりますから、それではいけないと思う。米の状態がこういうときに、日本で本当にどれだけ米がとれるのかということを農水省がしっかり把握しなきゃいけない。私は、千三百七十五万トンにしても潜在生産量というのは極めて疑問に思っている。しっかりした調査をしてみる気持ちはありませんか。  なおあわせて、米の需要は減っていると言うけれども、これは現地へ行ってみれば、あるいは現実の問題として農水省の言っておるような傾向に減っているのかどうか、これだって疑問なのです。やはり潜在生産量と米の需要について農水省としてしっかりした調査をして、そしてその数字を把握するべきだ、このことを申し上げておきますが、大臣、どうでしょうか。
  97. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 御趣旨はよくわかりますので、努力してまいります。
  98. 村沢牧

    村沢牧君 努力することは当然ですけれども、こうしたことははっきりつかまなければ、将来にわたって米をどうしていくかという見当がつかないですね。ぜひやってください。  そこで大臣、今まで指摘をしてまいりましたように、食糧庁は毎年、米の需給計画を立てるけれども、この計画と実績とが毎年大きく狂ってきております。そしてまた、その結果は第三期の水田利用再編対策のいわゆる備蓄も危なくなってきた。こうしたことは予期しなかったことではない。農業団体もそして私どもも国会もたびたび指摘をし、警告を発してきたところです。ところが、政府はこうした意見には耳をかさない。財政問題だけにとらわれて需給操作を行ってきた結果が今日の事態を招いているのです。このことは米の管理責任を持つ政府、特にその衝に当たっている農水大臣責任は極めて大きいというふうに私は指摘をしますが、大臣の見解はどうですか。
  99. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) おっしゃるとおりでございまして、そのためにこのたびの本年五十九年度を見まして、そして第三期対策も弾力的にやってまいります。
  100. 村沢牧

    村沢牧君 今後の方向は何回も聞いています。こうした事態になったことについての農水省としての大臣としての責任はどういうふうに考えますか。
  101. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 農林水産省最高責任者でございますので、私の責任であろうと思います。
  102. 村沢牧

    村沢牧君 需給計画が狂ったばかりではありません。政府は、昭和四十六年以降減反政策に多額の国費を使ってきた。すなわち四十六年から五十年までに七千四百四十六億円、その後の水田利用対策に二兆三千九百三十六億円、合計三兆一千三百八十二億円の金を使って減反政策をしてきたのです。しかし、その結果は米が不足になっている。財政再連が言われるときに、こんなたくさんな金を使って米が不足になってしまっている。このことに対して大臣どうです、責任はどう考えますか。
  103. 小島和義

    政府委員(小島和義君) 確かに転作にこれまで使ってまいりました金もばかにならない金を使っておるわけでございますが、逆にまた、大量の過剰を出しました場合の財政の負担というものと比較をいたしますと、その金額的な規模においては、私どもの粗っぽい計算でも大体その三分の一ぐらいの金額ということになるわけでございます。したがって、財政的な面だけから言っているわけじゃございませんが、財政の観点から見ましても、いたずらに過剰をそのままにしておくということよりは、やはり日本にとって必要な他の農産物もつくっていくという対策というのは今後とも必要であるというふうに考えておるわけでございます。
  104. 村沢牧

    村沢牧君 局長に聞いているのじゃありません。そんな説明を聞いているのじゃない。これだけの金を使って減反をして需給操作をうまくやろうとやってきたけれども、不足になってしまった、大変な事態になった、このことについての責任をどう考えるか。局長が答弁できる立場ですか。
  105. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 先生の言われるのもよくわかりますが、過剰米が出て、過剰米処理ということを考えると、今局長が粗っぽいと申しましたが、三分の一ぐらいということでございますが、金銭的にはそういうようなことということで済む問題ではないと思います。そこで、本年度作況を見て第三期対策も弾力的に考えていくということで御理解いただきたいと思います。
  106. 村沢牧

    村沢牧君 大臣責任を認めておるようですから、その責任問題については後ほどまとめてまた聞きましょう。  それで、食糧庁にこれまた指摘をしてお伺いしますが、次長、あなたたちは机上の計算ではじき出して通達だけ出せばそれで済む。ところが現場の職員はどうか、食糧事務所の所長なり職員は、去年の春までは減反をしてくださいと農家や農業団体を回って歩いた。秋になったら、米が足らないから、農家の皆さん、米を出してくれませんか、農協や役場へ頭を下げていく。そしてことしになったら、減反を余りやらないようにしてください、一〇〇%にどうかとめておいてください、これ以上やっては困ります、こういうことを言って歩いているのです。そしてそれに加えて米の輸入だ。他用途米なんか協力できないと。一体現場の職員の気持ちをどういうふうに考えているのですか。大変なことですよ。それはあなたたちが机上ではじいた計算が間違ったからこういうことになったのだ。あなたは部かの心情をどういうふうに思いますか。
  107. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 私たちの食糧事務所の職員等の士気にもかかわる問題でございますので、常時需給の動向等は実態を認識するように努めておりますし、その都度国民に対して安定的供給をしていくという立場から諸般の努力をするようにと、このように私たち趣旨の徹底に努めているところでございます。
  108. 村沢牧

    村沢牧君 よく農家や農業団体に当たっているあなたたちの職員です。そのことも十分考えてやってください。大変ですよ。  そこで、大臣は先ほど来政策の転換を図っていくというような答弁をされておりますが、私は、きょうの質問で農水省や政府責任だけ追及してそれで事足りる、そんな気持ちは毛頭持っておりません。米が少ないということは私も心配だ。特に国会議員として、農水委員として何とかしなければならないという気持ちを持っているのだ。そこで、今後の対策をどうするか、私の意見も申し上げますので、ひとつ前向きな答弁をしてください。  まず一つは、私は米の単年度需給基本とする政策は、これは改めなければいけない。そして、備蓄ができるような政策にすべきだ、このように指摘をしますが、どうですか。
  109. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 第三期対策におきましても、御存じのとおりに、四十五万トンずつ備蓄ということで百五十万トン何とかというようなことでやっておりますが、私も、先生おっしゃったとおり、備蓄というものは食糧安全保障上必要なものであるというぐあいに考えております。
  110. 村沢牧

    村沢牧君 第三期対策の話も出ましたが、それすら危なくなってきておるのです。単年度需給では困難です。米の操作は単年度需給ということは間違っている。ですから、米の操作が単年度需給ということについてどう考えるか。それと同時に、備蓄も必要だという答弁でありますから、農水省が考えている備蓄の数量はどのぐらいだったら需給操作がうまくいくのか、そのことについてはっきり答弁してください。
  111. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 従来から備蓄水準につきましてはいろいろと議論のあるところでございますが、御案内のように、昭和五十年八月の総合食糧政策におきましては、当時の国際的な食糧危機というようなこともございまして、二百万トン水準ということを一応決定したわけでございます。その後二度目の過剰というようなことも経験しておりますし、また、古米の充当率とか、財政上の問題ということもございまして、水田利用再編第三期対策におきましては、一応年々平均四十五万トンの積み増しを図ろうということで進めさしていただいたわけでございます。なお、今年におきましては、出来秋における作柄等も見ましてさらに弾力的に対処するその方向の必要性、こういったものを検討していかなければならないと考えております。
  112. 村沢牧

    村沢牧君 率直に、例えば何万トンぐらい必要だという答弁をしてください。それから、単年度需給という今までのシステムでうまくいくのかどうか、そのことについて答弁してください。
  113. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 水田利用第二期対策までにおきましては、一応単年度需給均衡を図る、ここに主眼を置きまして計画が策定されておったわけでございますが、第三期対策におきましては、今申し上げましたように、年々平均四十五万トンの積み増しを行うということで進めさしていただいておるような次第でございます。  なお、先生の御指摘の備蓄の水準を具体的に幾らということの御質問でございますが、備蓄の水準につきましてはいろいろと多面的な検討を必要としようかと思うわけでございまして、作柄なり需要水準の動向なり、こうした問題も多々考えまして最終的な結論を出さなければならない、こういうことでもあろうかと思いますので、今直ちに幾らぐらいの水準というふうなことが申し上げられないような次第でございますので、御理解いただきたいと思います。
  114. 村沢牧

    村沢牧君 備蓄の水準が、目標を示さなくて何で積み増しできるのですか。国会では言えないけれども、外部であなたたちは言っているじゃないですか。四十五万トンを三年積み増しして百五十万トンにしたいとか、どうするのだとか言っているじゃないですか。なぜはっきり言えないのですか。くどくどしい答弁は要らないのです。
  115. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) ただいまの食糧庁次長答弁を補足さしていただきますが、第二期までは過剰米がございました関係で、単年度需給ということで水田利用再編対策を考えてまいりました。確かに本年の需給については、今、村沢先生指摘のような問題もございますけれども、第三期対策に入ります段階では、既に過剰米は五十八年度に処理をするということでございましたので、第三期対策におきましては単年度需給ということではなしに、適正な政府在庫の水準をつくっていくという前提でいろいろ考えたわけでございます。第三期対策の最後におきまして、私どもは当面大体百四、五十万トンというものが備蓄の規模であろうと。ただし、そこから先につきましてどうなるかという点につきましては第三期対策の終了した段階でまた考える必要がございます。現在、私どもとしては第三期対策段階で百四、五十万トンというものを頭に置いております。  これも補足さしていただきますが、先ほど山田次長から二百万トン、五十年当時と申し上げましたわけでございますが、当時の米の需給規模は大体千二百万トンでございます。最近では大体千五十万トン、早晩一千万トン程度の水準になりますので、現在の需給規模から見ました場合にはおおむね百五十万程度が妥当ではないかという感もいたしますし、反面また、在庫をどのように処分していくか、これはやはり回転備蓄というように毎年毎年国民の食ぜんに供しませんと、棚上げをいたしますと今回のようなまた問題も生ずるということで先入れ、先出しと申しますか、備蓄したものはできるだけ消費に回していくということになりますと、古米として食ぜんに供するには限度がございます。したがいまして、梅雨を越す前に処理できる量ということになれば、大体百四、五十万トンというのが一つの努力目標になるというふうに考えております。
  116. 村沢牧

    村沢牧君 備蓄は百四、五十万トン必要だと思われるという答弁ですから、その言葉を覚えておきましょう。  次に、他用途米についてでありますが、他用途米の契約状況は現時点でどうなっておりますか。
  117. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 他用途米につきましては、現在各都道府県におきまして最終的な生産出荷契約締結の手続段階に入っておるような次第でございまして、なお、トータルでどの程度になるかというふうなことにつきましては、現段階では見通しかないような情勢でございます。
  118. 村沢牧

    村沢牧君 他用途米も第一、二段米価である。それから韓国から米を輸入してくるという事態になって農民の抵抗が強いわけです。他用途米で協力しようという意欲を失ってしまった。そこで、この他用途米の目標数量は達成できると思っていますか。
  119. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 可能な限り私たちは目標数量の達成に努めるべく関係者の皆さん方に強力に協力を要請しておるような情勢でございまして、二十七万トンの目標というものの達成を期待しているわけでございます。
  120. 村沢牧

    村沢牧君 努力していることはわかるけれども、現在の契約数量、契約状況から判断してその目標数量は達成できるのか、自信あるのか。達成したいという気持ちがあるならば、一体きょう現在の契約状況はどうだ、毎日つかんでいるでしょう。それから判断してどうなのですか。
  121. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) まだ系統組織で申しまして県段階から全国団体の指定法人に取りまとめをいただいておるような段階でございますので、具体的に今どの程度の契約がなされておるかというところまではいっていないような実情でございます。
  122. 村沢牧

    村沢牧君 そこで皆さんは努力をしていく、そのことは当然ですけれども、達成できなかった場合にはどうするのですか。予定数量を達成できなかったその場合にはどういう措置をとりますか。
  123. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 一応他用途利用米につきましては加工原材料用に充当すべく考えておりますし、二十七万トン程度需要を何とか達成したい。こういうことでやっておりますし、ぜひともその未達成ということで不足を来さないように努力していかなければならないと考えております。
  124. 村沢牧

    村沢牧君 達成できるかどうかはこの数カ月先にわかるのです。達成できなかったらどうするのか、それを聞いているのです。
  125. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) これは現在、生産者と需要者との間におきまして一応供給契約を結んでいただいておるわけでございますので、もし達成されなくて原料がショートするということになってはなりませんので、そうした段階におきます原料手当てをどうするかということにつきましては、その事情、実態を見きわめながら決めていかなければならないのじゃないかというふうに考えております。
  126. 村沢牧

    村沢牧君 私は、達成できなかったらどうする、そのことを聞いておるのです。はっきり答弁ありませんが、達成できないとしても、再び韓国米を持ち込むということはありませんね、外国から持ち込むなどということは。どうなのですか。
  127. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 私たちといたしましては、需要者に対しまして原料を安定的に供給しなければならないという供給責任を持っておりますので、こうした需要に対しまして国内産で賄っていただくということがぜひとも実行されることを期待しまして、そのように関係者にお願いをしていきたいと思っております。
  128. 村沢牧

    村沢牧君 そんなことを聞いているのじゃないのです。達成できなかったら、できなかった場合であっても海外から米を持ってくることはしない、そのことを断言できるかどうか。大臣に聞きましょう。
  129. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 米は絶対に輸入しません。
  130. 村沢牧

    村沢牧君 じゃ聞いておきましょう。いいですね、食糧庁いいですね。他用途米は目標二十七万トンを達成しなくとも外国から持ってくることは絶対しない、大臣の約束だけ聞いておきましょう。  そこで、他用途米は今申し上げたように目標達成が大変に困難だ、したがって今年度は他用途米は全量政府が買い上げて、他用途米については別途の措置を講じたらどうなのか。例えば他用途米には規格米の米を使うとか、いろいろなことも考えられるわけなのです。他用途米も今のような状況だから政府米と同じように買い入れろと、そのことを私は要求しますが、どうですか。
  131. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 先生も御案内のように、他用途米の生産に着手する段階におきましては、今後の水田の効率的利用を図ろうということで、生産者と実需者との間で契約を結ばれるような方向で考えられたわけでございますが、私たちといたしましても応分の助成をしていかなければならない、こういうことを考えて制度を仕組んでおるわけでございます。こうしたものにつきまして、やはり主食用と同じような政府買い入れを行い、かつそれにつきましては原材料用価格というふうなことで、主食用以上の財政負担もしなければならないということに相なりますと、主食用以上の財政負担ができるかどうか、また、消費者がそういった問題を納得してくれるかどうか、財政が許すかどうか、こうしたいろいろの問題もございますので、当面、現在の他用途利用米制度というものが今後円滑に推進されることを期待して進めていきたいと考えております。
  132. 村沢牧

    村沢牧君 いろいろ条件はあるけれども、他用途米は絶対に政府が買い入れることはできない、そうおっしゃるのですか。今後とも検討していくということなのですか、どちらなのですか。他用途米を全量政府が買い上げるということはできないとはっきり言うのか、今、次長答弁を聞いているといろいろ条件等があるのでという話があった。条件があることは承知をしておるけれども、今後政府が買い入れることができるかどうか検討して、前向きな姿勢で取り組むのか、どうなのですか。
  133. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 他用途利用米につきまして政府買い入れということは非常に困難でございます。かつその実需者に対しましてやはり原料を安定的に供給しなければならないということもございますので、現在の他用途米制度でひとつ推進させていただきたい、このように考えております。
  134. 村沢牧

    村沢牧君 そこで大臣、政策の転換ですが、大臣は先ほど来、ことしの作況状況を見て第三期対策の減反政策についても考えていくというような答弁を繰り返しております。そこでお伺いいたしますけれども、作況指数を見るまでもなくもう米は足らなくなってきている。平年作だって足らなくなってくる。したがって減反政策を来年度は緩和しなければならないわけですけれども、それをどういうふうに見直しをしようとするお考えなのですか。
  135. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 弾力的にやってまいります。
  136. 村沢牧

    村沢牧君 弾力的というのは、具体的に言って内容はどういうことなのですか。
  137. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 作況を見た上でやらしていただきたいと思います。
  138. 村沢牧

    村沢牧君 作況を見た上ということは先ほど来言っているのですが、弾力的にやるということはどういうことなのですか。減反面積を減らすとか、あるいは別な方策を考えるとか、どういうことなのですか。
  139. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 転作等についても弾力的に考えてまいります。
  140. 村沢牧

    村沢牧君 大臣がそれだけおっしゃるについては、これは財政との関連もしてくるわけです。大蔵省との関連もしてくる。したがって内閣の問題ということにもなってきますが、財政問題についても既にそういう弾力的に対応するということについて了解を取りつけてありますか。
  141. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 私は農林水産大臣でございますので、食糧の安定供給ということが一番の責任でございますので、これは政治生命をかけてやってまいります。
  142. 村沢牧

    村沢牧君 大臣が政治生命をかけてやるというようにおっしゃいましたから、期待をしておきましょう。  そこで、次の問題に移りますが、過剰米についてであります。いわゆる過剰米の五十八年十月末の在庫量、それから五十九年五月末までの用途別消費量及び残量について示してください。数字だけで結構です。
  143. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 五十四年度から過剰米の処理を行っておりますが、五十八年の十月末までの用途別の処理数量につきましては、工業用で百十二万トン、輸出用で二百八十二万トン、飼料用で百四十八万トン、合計五百四十二万トンの処理を行っております。ほかに業務用といたしまして約三十万トンの売却をやっておるわけでございます。  それから、過剰米の五十八米穀年度末の在庫量について申し上げますと、五十一年産米で約十万トン、五十二年産米は十万トン、五十三年産米が六十万トン、合計八十万トンでございます。概数でございますが、一応そうなっております。  五十八年の十一月以降五十九年の五月末までの売却の一応見込み数量でございますが、主食用で十三、四万トンの売却になっておろうかと思っております。工業用で同じく十三、四万トンぐらいでございますし、輸出用で二十五万トン、飼料用で五万トン程度、このような数字になっております。
  144. 村沢牧

    村沢牧君 残量は。
  145. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 五十九年五月末の残量でございますが、五十三年産米等といたしまして約二十万トンという数字を持っております。
  146. 村沢牧

    村沢牧君 五十三年産米五月末在庫量二十万トンは、臭素問題が発生しなかったらどのように使用していく計画であったのですか。
  147. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 五十三年産米等につきましては、一応従来から加工原材料用を主としておりまして、あと需要に応じまして業務用にも売却するというふうに考えておりまして、加工原材料用等といたしましては当初十三、四万トン程度の販売が見込まれるのではないかというふうに見ておりました。
  148. 村沢牧

    村沢牧君 答弁になっていません。二十万トン残っていたと、それは今米穀年度のうちにどういうふうに処理をしていこうとそれぞれ残った分については計画しておったのか。例えば加工用に幾ら、主食用に幾ら、輸出に幾ら、えさに幾らと、今後も残ったものを出していかなければならないわけでしょう。その計画はどうだったのですか。
  149. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 当初、一応見込みでございますが、二十万トンの処理について考えておりましたのは、先ほど申し上げましたように、加工原材料用といたしまして十三、四万トン程度でございました。それが多少変動することはあろうかと思うのでございますが、そうしたものを基礎とし、さらに業務用というものにつきましても、今後需要がありますれば売却していかなければなるまいと考えておりました。
  150. 村沢牧

    村沢牧君 そんな抽象的な答弁でなくて、過剰米の処理計画があるじゃないですか。加工用米は五十九米穀年度で、例えば二十五万トン消化したい、主食には需給計画によって十万ないし十五万出すのだ、輸出は二十八万とか、あるのじゃないですか。そこから数字が出てくるじゃないですか。時間をかけないで、そんなのは通告してあるのだからはっきり答弁してください。
  151. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 五十九米穀年度の加工原材料用の需要量につきましては、先生指摘のように二十五万トン程度と当初見込んでおったわけでございます。
  152. 村沢牧

    村沢牧君 それも答弁になっていませんね。私の言うことが間違っておったら指摘してください。  加工用について二十五万トン使おうという計画であった。五月までに十三ないし十四万トンもう使ったからあと十万トン残っておる。それから、主食用については十万ないし十五万トン使おうと思ったが、十三ないし十四万トン使ったからあとは一万トンだ。輸出については二十八万トン予定をしたけれども、今まで二十五万トン出したので、残っているのは三万トン。えさは五万トン計画して五万トン出した。この数字は間違いありませんか。
  153. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 先生から今御指摘計画数量の前段部分につきましては、私たちもそのように見込んでおったわけでございますが、なお、今後の見込みといたしましては、ある程度用途別に需要変動があろうかと思っておりますし、直ちにあとその引き算どおりにはならないのではなかろうかというふうに思っております。
  154. 村沢牧

    村沢牧君 じゃ、どこがだめですか、どの点が。
  155. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 今御指摘の用途別の問題におきましては、業務用におきましても変動があることだと思いますし、それから加工原材料用につきましても最近需要が非常に強いというふうなこと、さらには輸出用でございますが、輸出用につきましては、当初見込んでおりましたもののうち、今回の五十三年産米の残留農薬のような問題もございまして、あとの残量につきましては輸出し得ないのではなかろうかというふうにも考えておりますし、そういった面の変動があると見込んでおるわけでございます。
  156. 村沢牧

    村沢牧君 私が言っていることは、重ねて申し上げますが、加工用に二十五万トン使おうという計画だった。また要るわけですね、二十五万トン。それに対して五月末までに既に十三ないし十四使用しているのです。ですから、あとは六月から十月まで十万トン必要だ、これはわかりますね。  主食については、食糧については十万ないし十五万要ると供給計画に入れているのです。しかし五月末までに十三万ないし十四万トン出している。したがって、あと一万トンだ。輸出については、もう臭素があったから出せないということになる。えさも計画どおり出したという、私の指摘が違っているのですか。
  157. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 加工原材料用につきまして二十五万トンの計画中、十四、五万トン出ておる、処理はそのようになっておるわけでございますが、あと残量につきましては他用途利用米の出回るまでの食いつなぎということで円滑に供給し、実需者に不安のないようにやっていかなければならぬというふうにも思っておりますし、今先生指摘の引き算の約十万トン程度ということよりはさらに上回るのではなかろうか、こう考えております。また、当初予定しました業務用等につきましても、一応計画では十ないし十四万トンということでございますが、今十四万トン程度売れたといたしまして、その引き算の一万トン程度で終わるかどうか、これも大分需要が強いということもございますし、そうしたことにつきまして変動が出てくるのではないかと見ております。
  158. 村沢牧

    村沢牧君 それでは重ねて伺いますが、なるほど加工用米に新しく出てくる他用途米が出回るまで、つまり十一月から十二月、二カ月程度だというふうに思いますけれども、多く見ても、十万トンプラスどれだけ必要なのか。  そして、もう一つ答弁ですけれども、ことしの需給計画の中に五十三年産米を十万ないし十五万入れるとはっきり出しているのです。それを今の答弁ではまたもう少しふやしていきたいなどという答弁ですが、それこそいいかげんなやり方だというのだ。十万ないし十五万入れるというこの計画をまたふやすのですか。どうなのですか、はっきり言ってください。
  159. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 工業原料用、加工原材料用でございますが、それにつきましては平均約二万トン程度でございますが、月によりまして二万五千トン、それ以上のこともございます。したがいまして、他用途利用米の出回るまでの間の食いつなぎということでございますが、今年は他用途利用米の制度が発足した初年度でございますし、その円滑な供給が図れるには多少の期間的余裕も持って見なければならないのではないか、こういう考えでございまして、その辺を検討していかなければならない。  なお、もう一つの業務用についてでございますが、一万トン程度の残と計算上は相なるわけでございますが、この辺についても変動する、動かざるを得ないのではなかろうかと、今の需要の動向等から見ましてそう考えておる次第でございます。
  160. 村沢牧

    村沢牧君 ですから、あなたは業務用、業務用と言うけれども、業務用でも主食になるのです。例えば病院に行くじゃないですか。米飯給食などで外食用へ行くじゃないですか。みんな主食なのです。ですから、ことしの計画へ五十三年米を十万ないし十五万入れておる、それをまだふやしていくということですね。これは納得できません。これはだめです、そんなことは。  それで推してみると、なるほど一歩譲って他用途米を十一月ないし十二月分も加えても、あと十四万トン、それから主食用には一万トン、二十万トン残っておるうち十五万トンがそういうところにいくというふうに理解しておきましょう。いいですね。
  161. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 先ほど来から申し上げておりますように、加工用、業務用等の需要につきましては今後ともある程度の余裕を持って考えなければなりませんし、そうした面におきましても、今先生指摘の当初の計画から最近時点までの供給量を差し引いたものが即今後の供給残でございますが、その辺に実績はおさまる、こういうふうに見るのはどうもちょっと問題があるのではなかろうかと思いますし、ある程度変動というものは見込まざるを得ないのではないかと考えております。
  162. 村沢牧

    村沢牧君 当初の計画におさめるには問題がある、しかも当然だというような言い方ですが、この需給計画には、ことしの米は五十三年度産米は十万ないし十五万入れますと天下に公表しているじゃありませんか。それをまたふやしていくということで、そんな簡単な操作でいいですか、責任問題ですよ。しかも業務用、業務用と言うけれども、業務用は主食にならないのですか。業務用は米の主食の中に入れているでしょう。業務用だって主食なのです。五十三年産米主食に回さないと言って国会でも答弁をした、あるいはまた、国民に対してもそういう約束をしたにもかかわらず、ずっと五十三年産米主食に入れているじゃないですか。この国会答弁、今までの公約との食い違いをどうお考えですか。大臣大臣に聞きます。
  163. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 当初、過剰米の処理計画におきましては、先ほど申し上げましたような加工用なり輸出用なり、またえさ用というふうなことでスタートしたわけでございますが、加工米を処理してまいりました各年の品質別供給の事情というふうなものを見てまいりますと、低品位の米の供給が極端に下がりまして品質別のきめの細かい需給操作をやっていく、こういった面から見まして低品位に相当するものの需要を満たす必要もございましたし、またそうした卸、小売からの希望も非常に強うございまして、私たちといたしましては五十三年産米を業務用に限りまして充当さしていただいたような次第でございます。
  164. 村沢牧

    村沢牧君 五十三年産米は業務用に限って供給したと言うけれども、実際の小売店に行けば五十三年産米と五十八年産米とブレンドして消費に供しているわけです。こういう実態を皆さんも承知だというふうに思うのです。ですから、需要に応じてと言うけれども、むしろそういう面で需要があるのです。消費者が五十三年産米を食べたいからということじゃない。その辺についてはどうなのですか。その辺は後からまた一緒に答弁してもらいますけれども。  そこで、今、臭素の問題で検査を行っているけれども、五十三年産米在庫数量で検査対象になっている倉庫数は幾つあるか、それから、検査の結果について明らかにしてください。
  165. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 過剰米の倉庫数でございますが、大体過剰米の保管されております倉庫は約二千程度に上るわけでございます。これらの倉庫のサンプルをとりまして現在調査をしておりますし、その合格したものを今の加工原材料用の需要に売却してまいっておるわけでございます。なお、現在のところ全体の数量調査は二、三割程度にまで進んでおる段階でございまして、全体どの程度の五〇ppm以上の基準を上回るものがあるかどうかはっきりしない段階ではございますが、六月の上旬に一応セーフになったものの売却指令を二万六千トンほどやらしていただいておりますが、それの対象になりましたアウトになったものの数量は、大体同程度数量のものがアウトになりまして、セーフのものが二万六千トンぐらい確保されておるという実態に相なっております。
  166. 村沢牧

    村沢牧君 そうすると、今まで検査したうちの半数はアウトになっているということですね。
  167. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) はい。
  168. 村沢牧

    村沢牧君 そこで、このアウトになった米については今後どういうふうに利用していくのですか。
  169. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 残留基準五〇ppm以上のものの処分につきましては、まだ十分どのような用途にしむけられるかということにつきまして検討がなされていないような情勢でございまして、これにつきましても、関係の方々といろいろと協議いたしまして結論を見出していかなきゃならぬというふうに考えております。
  170. 村沢牧

    村沢牧君 それは加工用にも出荷しないですか。
  171. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 加工用と今御指摘でございますが、人の口に入る加工用、先生は多分こういう御指摘ではないかと思うのですが、そうしたものにつきましては、先般来の、五〇ppm以上のものは供給しない方がいいということでもございますし、そちらに向ける考えはございません。
  172. 村沢牧

    村沢牧君 そこで大臣、またお伺いしますが、五十三年産米の安全性については当委員会でも同僚委員から何回も指摘をされてきたところである。また、消費者団体からもいろいろと要望が出されておったわけでありますが、食糧庁からはその都度御心配要りません、問題はありませんという答弁がはね返ってきた。そうして最後には、それほど国会でおっしゃるなら念のために調査をしてみましょうということになった。それがつい先月です。ところが検査をした結果はこうなのだ、半分は五〇ppm以上になっているのです。大臣、このことについてどういうふうにお考えですか。大臣大臣ですよ。
  173. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 食糧というものは安全が第一でございますので、今後念には念を入れて、ますます慎重にやらせてまいりたいと思います。
  174. 村沢牧

    村沢牧君 今後やるのは当然だけれども、今までの国会に対して答弁したり、大衆団体に言ってきたでしょう。そのことについてどういうふうに考えるのですか。何にも責任を感じませんか。
  175. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 先生御存じのとおり、厚生省の方で御調査いただきまして、健康には問題はないがというようなことも出ております。そういうこともございましたが、しかし、五〇ppm以上のものは食べない方がよろしいということでございますので、それに徹底してまいりますが、これはもっと厳重に検査をすべきであったというぐあいに考えております。
  176. 村沢牧

    村沢牧君 そこで、五十三年産米を十五万トンもつぎ込まなければことしの需給操作ができない。次長はまださらに五十三年産米需給操作のために入れるのだと言っております。そのことは私は納得できませんけれども、当初計画した十五万トンに対して十四万トン既に出している。あと残りは一万トンなのです。ほとんどのものはもう消費者のところに回っているのです。たった一万トンしか残っていないときに検査を始めたというこの無責任さですね。余りに消費者をばかにしたことじゃないのか。五十三年産米主食に供さなきゃいけない、業務用に供さなきゃいけないとわかったらば、その時点でなぜ検査をしなかったのか。しかも、五十三年産米は全部処理されてしまったわけじゃない。流通段階にはまだある。加工用にも供することができない危険な米であるとするならば、流通段階に回っている五十三年産米についてもこれは何らかの措置をとらなければいけない。回収するなり検査をしなければいけない。たった一万トンしか残らないときに、今までのはすべて出してしまって、わずかしか残りのないときにこんな検査を始めて、そして韓国から米を輸入しようとしている。全くもってその態度は許せないと思う。流通段階にあるものはどうするのですか。
  177. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 今回の薫蒸薬品による臭素の残留の問題につきまして、多少御説明さしていただきますと…
  178. 村沢牧

    村沢牧君 いいです、そんなことは。ちょっと待って。私はそんな説明を聞いているのじゃないのです。私の質問に答えてください。そんな説明なんか聞いているのじゃありませんから。どうするのかと、流通段階のものはどうするのだと。そして、一万トンしか残らない、すべてのものを出してしまった後に検査を始めたというこの心構えはどうなのだと。
  179. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 残留性につきましては、先ほど大臣からもお答えさしていただきましたように、現在の残留性程度では、臭素につきましては日常、食事でもほかの食品からも摂取されていることでございますし、特に健康に問題はないというふうに残留農薬部会でも結論が出されておりますし、現在流通しておるものにつきまして回収するとか特別の措置をすることはないが、今後のものにつきましてはさらに一層の安全性を確保する、こういう観点から五〇ppm以上のものは売らないようにということで暫定基準が示されましたので、私たちはこうした厚生省からの通達を十分守りまして、検査の上でより一層安全なものを売却していくというふうに対応しております。
  180. 村沢牧

    村沢牧君 そこで、加工用にも回すことのできないような心配のある米、しかし、厚生省はそれほど心配しなくてもいいという御指摘だと言うのですね。そうだったら加工用にも回したっていいじゃないですか。あなたが今言われるように、厚生省からそういう御指摘があったのでこういうふうにしたと。じゃ加工用ぐらい使ったっていいじゃないですか、どうなのですか。
  181. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) この臭素の残留性の基準につきまして、WHO等におきまして一日当たりの摂取許容量というのがございます。それによりますと、体重一キログラムにつきまして…
  182. 村沢牧

    村沢牧君 そんな説明を聞いているのじゃない。
  183. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 一ppmということでございまして…
  184. 村沢牧

    村沢牧君 そんな説明を聞いているのじゃないですよ、あなた。
  185. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) そうした基準によりますと、一応現在の供給されておるものについて健康を害するというふうな問題にはならない、こういうふうなことでございますが、さらに一回の安全性を確保するという点から、五〇ppm以下のものを売却するようにというふうに私たちも通達を受けておりますので、その線で対応しているわけでございます。
  186. 村沢牧

    村沢牧君 米の管理責任を持つのは農水省なのだ、食糧庁なのだ、農水大臣だ。厚生省から指摘を受けたからこういうふうにするとか、厚生省が大丈夫と言ったからこうですということじゃなくて、先ほど来言っているように、ことしの需給計画には五十三年の米を使うということが最初から決まっていたのだ。その時点でなぜ検査をしなかったのか。やる気がなかったのか。
  187. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 当初におきましては、薫蒸剤としましては三つの農薬取締法で指定されたものでございますし、その薫蒸剤の有効成分は非常に揮発性が強うございますし、全部揮発して残留しないというふうに考えられましたし、また厚生省の方でも、そういった特性から見まして直ちに健康に害があるわけではないというふうな御見解も示していただいておりましたので、私たちといたしましてその段階でもって直ちに調査というふうなことに踏み切れなかったような事情でございます。  なお、今後につきましては、今回のこともございますので、できるだけきめの細かいそういった配慮もしていかなければならないと考えております。
  188. 村沢牧

    村沢牧君 そのことも国会で、この席で何回も指摘をしたことなのです。指摘をしたけれどもあなたたちはやらなかった。その責任は大きいです。国会軽視も甚だしいから、この責任はまた後から追及しましょう。  次には、米の輸入ですが、国民の食糧は自給力を高めて国内で確保することが政府責任であります。特に米は加工原料米も含めて国内で完全自給をすることが農政の基本であります。改めて大臣の見解を求めます。
  189. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 米につきましては、先ほども申しましたように、国内で完全自給するという基本方針でやってまいりたいと思います。
  190. 村沢牧

    村沢牧君 今回の韓国米輸入に対して農水省は輸入という言葉は使わないけれども、輸入という言葉を使わなければ何か責任を免れるようなこういう態度、韓国に米を貸したのだから返してもらうのだとか、海外備蓄だとぬけぬけと言っているわけです。しかし、いかに強弁しようとしても、海外から物を入れることは、法的に見ても、通関から見ても、また常識的に見ても輸入である、このことは間違ないが、否定しますか。
  191. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 先生指摘のように、関税法等におきます規定といたしましては、韓国から現物の返還というふうなことであろうとも輸入ということで取り扱われることは事実であろう、私はこういうふうに考えるわけでございます。  なお、私たちとしましては、食管法上の規定で物を考えてみますと、お米を貸すことができる、こういった規定にのっとって私たちは韓国に貸したお米でございますし、それをこのたび返還していただく。食管法におきましては別途に、政府みずから輸入する規定と、それから政府は第三者に輸入さしてそれを買い上げる、こういうふうな規定はあるわけでございますが、こうした輸入関連の規定ではなしに、物を貸し付けることができるという規定を準用して貸したものでございますし、それを今回返還していただこう、こういうことで取り進めておるわけでございまして、こうした事情を私たち説明に使わしていただいているという実態でございます。
  192. 村沢牧

    村沢牧君 いずれにしても、日本から米を出すときは輸出であって、他国から米を持ってくるのは輸入である、このことについては間違いない。大臣、これから輸入ではないなどという詭弁はひとつ言わないようにしてください。いいですか。
  193. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 今申しましたように、関税法上ですと輸入でございますが、農林水産省といたしますと、現物返還ということでもございますので、どうかその点は御理解いただきたいと思います。
  194. 村沢牧

    村沢牧君 そこで、この輸入に踏み切る前に、農水省としては不足分を確保するために努力する手段があったのではないか。まずやるべきことをやって、なおかつそれでも足らないから輸入をせざるを得ない、そういうふうに踏み切らなければならないと思うのですけれども、そういう方法を講じたのかどうか。幾らでも方法があったと思う。例えば、あの当時だったらまだ全国で米の作付の終わっていない地域もあった。そこへ米を作付してもらう手もあるでしょう。あるいは青刈りの予定地を青刈りにするのではなくて収穫するまで生育さしてもらう、こういうこともあるでしょう。農家の皆さん方にもう一回呼びかけて、こういう状態ですから、食糧庁操作を誤ったから、何としても足らないから手持ちの米を出してください、協力してくださいと、やる方法は幾らでもあったと思う。こういう手段を講じたのですか。
  195. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 先生指摘のようないろいろと国内におきますところの考えられる対応策があるかどうか、このようなことは検討はさしていただいたわけでございますが、何分、他用途利用米が出回って供給するまでの間におきますところの穴埋めといいますか、安全基準をオーバーするもので、不足を生ずるおそれがありますので、そこの需要を十分埋めていかなければいかぬ、こういうことになりますとタイミング的になかなか間に合わないということが一つ考えられますし、そのほか、その発生したものにつきましてやはり実需者に不安のないような供給体制をとっていくためにもある程度確たる数量ないしは供給体制を確保しておかなきゃいけない、こういうふうに考えまして、やむを得ない緊急的な措置といたしまして韓国に貸し付けをしておりましたお米の返還を求める、交渉する、こういうふうに判断したわけでございます。
  196. 村沢牧

    村沢牧君 五十三年産米が多分使えなくなるであろう、このことはもっと以前にわかっておったはずなのです。だから早くから手を打ては何とかこの不足分の十万トン程度のものは確保できたはずだと思う。実際本当にやろうと考えたのですか。どういうことを考えたのですか。
  197. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 国内で調達する手といたしましては、先ほど先生指摘の五十九年産米の緊急作付によってある程度数量供給され得るかどうか。これはタイミングとしてなかなか、仮に早場米というふうなことを見ましても間に合わないのではなかろうかというふうに考えられますし、また、第三期の水田利用再編対策、こうしたものから見ましても、特定の地域に傾斜さしてそれを作付していただくことに対するいろいろと問題も出るのではなかろうか、こういうことではございます。また特定米穀、くず米等を供給し得るかどうか、こうした点につきましても検討はしたわけでございますが、安定的な供給源として期待するものがなかなか見出し得ないというふうにも判断いたしまして、先ほど申し上げましたような韓国からの現物返還というところへ進んでいったわけでございます。
  198. 村沢牧

    村沢牧君 私は努力したとは思えない。やり方は幾らでもあったと思うのです。それをやらずして韓国から米を持ってくるなどということは余りに安易な考え方だ。大臣、こういう考え方であるから農産物の自由化や枠拡大の圧力が海外からどんどんかかってくるのです。  山村農相がブロック農務長官と会談したときに、ブロックは、アメリカには日本に米を輸出する用意がある、こういうことを言われて、新聞報道によれば、大臣は、米については日本では微妙な問題である、こういう消極的なお答えをしたということが報じられておるのです。なぜ微妙な問題ではなくて、米は絶対に輸入することはできませんと毅然たる態度で返事ができなかったのか、そういう姿勢の問題があるのです。
  199. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) せんだって、アメリカのブロック農務長官がおいでになりました折、農林水産省へ表敬訪問に参られました。そしてその折、アメリカでも米は供給することができるというようなことをひとり言のような形にしゃべりまして、決してこれを買ってくれとかなんとかということではございませんで、それですぐほかの話に行きまして、決してこれは答弁するような問題でもございませんもので、私は別にこれは答えなくてもいいと思って答えませんでしたら、向こうからも返事は求めませんでした。そして、今先生心配されましたのは、私がそれじゃそれを黙ってにこにこ聞いていたのかということですが、そうじゃございませんで、その後で実は農務長官御夫妻との会食もございまして、その折にはもうはっきり、日本はこのようなぐあいに生産調整をやっておるということから始まりまして、米は完全に日本では自給していくのだ、アメリカでもし日本へ米を輸入するというような考えがあるのでしたら、そういうようなことは一切考えない方がよろしいですよと、そういうようなことまではっきり申し上げておりますので、その点はひとつ御心配なく、アメリカの方では、日本に対して米の輸出というようなことを考えておらないような雰囲気でお帰りになったものと思っていただいて結構でございます。
  200. 村沢牧

    村沢牧君 そうすると、今後いかなる事態があってもカリフォルニア米を輸入するというようなことは絶対ない、こういう確約をできますね。
  201. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 絶対いたしません。
  202. 村沢牧

    村沢牧君 重ねてお伺いしますが、国会は食糧自給力強化に関する決議や、農産物自由化、輸入枠拡大反対の決議などを行っておりまして、山村農相を含めて歴代の農相は、米は国内で完全自給をする、米の輸入などということは絶対にないという答弁をたびたび当委員会でも言明してきたところであります。しかし、今回のような方針を出したということは、これまた余りに国会軽視と言わざるを得ませんが、大臣の見解を求めます。
  203. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 先ほど来申し上げておりますように農林水産省から見ますと、食糧の管理制度の条文にもございますように、貸すことができるということでございますので、現物返還ということでございまして、先生御存じのとおり、当初六十二万トンお貸しいたしまして、そして返還期日が参りました折に現物でということでございましたが、日本ではちょうど米が過剰でございました。そしてまた、韓国におきましては何か米が足りないような状況であって、両方でそれではお金の方がいいじゃないかということで、金銭でお返ししていただいたということでございましたが、今回の問題に関しまして、それでは現物返還をお願いしたいがということで協議をしたわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、この五十三年産米の問題に関連いたしまして、関係各界、そしてまた国民の皆さんに不安と混乱をもたらしたということはまことに遺憾でございます。これは最終的には私の責任としてこれらの問題を処理してまいりたいというぐあいに考えております。
  204. 村沢牧

    村沢牧君 米を韓国に貸してあったから返してもらったと。そういう安易な考え方も私は問題だと思う。米をなぜ韓国から入れなければならないという事態になったのか。その責任と、今までやってきた需給操作こそ問題なのです。と同時に、国会においても、韓国へ米を貸してある、そして日本で不足になった場合には返してもらうのだ、そんな答弁なんか一回もなかった。加工米も含めて米は日本の国で自給するのだという決意であり答弁であったのです。今になっていろいろ弁解していくことは余りに今までのやってきた政策に対して、あるいはまた国会の論議に対して軽視するものではないでしょうか。
  205. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 国会軽視とかそのようなことは毛頭ございませんで、やむを得ざる緊急的なものということでございますが、それにいたしましてもいろいろ御心配をおかけしたことはおわび申し上げます。
  206. 村沢牧

    村沢牧君 次は、米を生産する人たちの立場に立って考えてみましょう。農家、農民は、米は過剰であるから、こういう理由のもとに長期の減反政策を強いられ、低米価を押しつけられてきたけれども、今度は足りなくなったから輸入すると。まさに背信行為ではないですか。  さきの日米交渉で牛肉、オレンジや十三品目についても輸入枠を大幅に拡大をして、その上に米まで輸入するということは農民の心情を逆なでするようなものです。まさに自民党政府によって踏んだりけったりされておる農民のこのやるせない気持ち、ふんまんの気持ちを農水省の幹部は承知しておるのですか。
  207. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 今先生指摘の点につきましては、私たちも水田利用再編対策におきましていろいろと理解と協力を求めながら実施している、こういう中にありまして、韓国に対して貸付米の返還ということではございますが、返していただいて、一応当面の需要の穴埋めをしなければならないという事態に相なりましたことについては、非常に私たちも遺憾であると反省しております。
  208. 村沢牧

    村沢牧君 言葉だけの反省で済まされる問題ではありません。今後農民の信頼を取り戻すようなことを米問題について農水省として責任を持って考えるべきだ。いずれその時期も参ります。そのときにまた指摘をしましょう。  そこで、大臣も米は日本で自給をしていくのだということでありますが、我が党も米の輸入は絶対にこれは認めることはできない。韓国との交渉も妥結に至るようでありますけれども、話はそういうふうにしたけれども、韓国から輸入はしない、この方針は撤回しなさいと私は要求いたしますが、どうですか。
  209. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 農林水産省としての一番重要な役目の食糧安定供給というこの問題を考えますときに、緊急やむを得ざるということで御理解をいただければありがたいと思います。
  210. 村沢牧

    村沢牧君 そのような措置をとってきた農水省の態度について、方針について、御理解をいただきたい——いただけませんね、御理解できませんから。ですから、いろいろ私どももこれから国会運営の中で、あるいはまた農民運動の中でだんだんこの責任を求めてまいりますから、承知しておってください。  そこで、韓国米を輸入することを認めることは絶対できないけれども、どうしても輸入をするとするならば、念のために次のことを聞いておきたい。  韓国米輸入に関する日韓合意はきょう日韓両国から正式に発表されるというように聞いておりますが、この時点でその内容を言えるのかどうか。言えるのかどうかというよりも、もう数時間後には発表になりますから、その数量、内容について明らかにしてください。
  211. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 今先生お尋ねの日韓の返還交渉の最終決着につきましては、間もなく発表になるというふうな段取りになっておるわけでございますが、なお、交渉経過等公式に、発表するまでの間におきましては、公式な説明等は差し控えるようにと両国間で約束いたしまして交渉に入っております関係上、こうした公の場におきまして私から説明さしていただくことは御勘弁願いたい、このように希望するわけでございます。
  212. 村沢牧

    村沢牧君 あなたが説明しなくとも、新聞には報道されているし、テレビでも報道されている。もうわかっているのです。数量十五万トン、これはこのとおり受けとめていいですね。
  213. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 先ほど申し上げましたような関係から、その数量、また大筋はどうだというふうなことにつきまして、この場でコメントすることにつきましては差し控えさしていただきたいと思います。
  214. 村沢牧

    村沢牧君 だが、すぐ発表になるでしょう。きょう言えないとすれば、発表になってから私はこれから後の質問を全部保留してやります、数量まで言えないとするなら。
  215. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 数量その他大筋の点につきまして、ただいまそれを説明しろということは御勘弁さしていただきたいと思います。
  216. 村沢牧

    村沢牧君 きょうは何時に発表になるのですか。二時ですか。
  217. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 一応二時ということが予定されております。
  218. 村沢牧

    村沢牧君 私はそれまで保留さしてもらいます。
  219. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  220. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 速記を始めて。  本件に対する質疑は午前はこの程度とし、午後二時三十分まで休憩いたします。    午後一時十五分休憩      —————・—————    午後二時三十分開会
  221. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、農林水産政策に関する調査のうち、米問題等に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  222. 坂元親男

    ○坂元親男君 私は、米の需給関係について最近の実情をお尋ね申し上げたい、こう思っております。  御案内のように、五十五年は大変な在庫を抱えました。六百六十六万トンという在庫がありましたが、その後いろいろ減反政策あるいは米価、あるいはまた生産者の意欲低下、さらには気象条件等が伴ってまいりまして、ここ四年ぐらいの間に全く底をついてきたという現状であるということをいろいろ言われておるわけでありますが、このようなことは生産者農家のみならず消費者サイドからもいろいろと話がありました。米の需給について不安が出てきたということで大変心配が流れておるわけであります。その間に農業団体等は再再集会を行いまして、その心配はないのかということについて政府当局にも質問をしたり、あるいはいろいろな点で陳情したりいたしておるわけでありますが、今政府が抱えておるたくさんの農業倉庫、農業協同組合が六〇%、商系といいますか、米商連関係の農業倉庫が三〇%、政府倉庫が一〇%という比率で政府米管理されておるわけであります。そのような倉庫の中に本当にどのくらいあるのか、その辺のところを明確に示していただきたいと思います。
  223. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) お答えさしていただきます。  五十九米穀年度におきます食糧等の供給といたしましては、五十八年産米が千三十七万トンのほかに前年産米持ち越し十万トン等がございまして、需要と見ております千五十万トンには十分対応し得るというふうに考えておるわけでございますが、ゆとりがある状況と言えるような実態ではございませんので、端境期におきましては、早期出荷を初めといたしまして私たちはきめの細かい需給売却操作を行い、万全を期していかなければならない、このように考えておるわけでございます。  なお、御質問の、今どの程度在庫があるのかということでございますが、五十九年の三月末でございまして、多少古い資料ではございますけれども、千七十一万トンの政府在庫を持っておりまして、そのほかに自主流通米といたしまして三月末現在で千四十万トン程度在庫があると推定されますし、合わせますと三百十万トン程度在庫ではなかろうか、こういうように把握しておるわけでございます。(「ちょっと数字がおかしい」、「数字が合わない」と呼ぶ者あり)済みませんです。じゃ、もう一度申し上げさせていただきます。  五十九年三月末におきましては、政府在庫としまして百七十一万トンでございます。それから自主流通米在庫につきましては百四十万トンでございます。それで合わせて三百十一万トン、三百十万トン程度というふうに見込んでおるわけでございます。どうも済みません。
  224. 坂元親男

    ○坂元親男君 政府在庫に対する基本計画というものが策定されておるわけでありますが、それによりますと、五十九年、六十年米穀年度需給見通しは、五十八年の十月末に前年産米在庫量は十万トンというふうに示されておるわけでありますが、この数字は本当にどのくらいの確度があるのか、そういう点をひとつお願いします。
  225. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 今お尋ねの点は五十八年産米生産量でございましたでしょうか。
  226. 坂元親男

    ○坂元親男君 前年在庫で、五十八年の十月末…。
  227. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 五十八年の十月の持ち越しにつきましては、政府管理米十万トンということで私たち把握しているわけでございます。
  228. 坂元親男

    ○坂元親男君 計画がこのような計画でありますが、実際にどのくらいの確率があるのかということを私はお尋ねをしておるわけでありまして、計画どおりにいっておるということに受け取っていいですか。
  229. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) おおむね計画どおりにいっていると申し上げてよろしいかと思います。
  230. 坂元親男

    ○坂元親男君 それから、さらにまた五十九年米穀年度では、昭和五十八年の生産量が千三十七万トン、その他が十万トンから十五万トン、供給計が千六十万トン、需要量が千五十万トン、差し引き十万トン、これが在庫だと、これもそのとおりですか。
  231. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) そのとおりでございます。
  232. 坂元親男

    ○坂元親男君 昭和六十米穀年度によりますと、計画では五十九年の生産米の生産数量は千九十万トン、供給量が千百万トン、需要量は千四十五万トン、昭和六十年の十月末前年産米在庫というのは五十五万トンだという計画でありますが、これはそういうふうになりますかどうか、見通しですね。
  233. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 計画といたしましてそのとおりでございます。
  234. 坂元親男

    ○坂元親男君 私の県の実情を申し上げますと、気象条件が非常に変化が多い。私のところは今、早期水稲をほとんど終わってかなり伸びておるわけでありますが、朝晩の気象の変化ということによって大変心配しておる向きもあります。専門家に聞くと、この状態というのは通常なのかどうかということに対しては、まあまあ作況指数を想定するなら一〇〇%であろうというような話も聞いております。このような状況で推移すれば大変いいわけでありますが、米につきましては自然の気象条件とか、あるいはその他のいろいろなファクターがそれを正確に確保できるかどうかという心配は常に伴うわけであります。  今、米の推移をいろいろ見てみますと、大変米につきましては日本の農家が努力をし、また指導者の各位が大変立派な指導をしていただいている。政府も、県、市町村の行政も、この問題には大変熱心に取り組んできた。明治初期におきましては単収が二百三十キロぐらいであったという記録がありますが、今日では最高九百キロというような生産、非常な努力をされて、非常な数量を確保されておる農家もあるわけであります。こういうふうにして米の生産というものは続いてきたわけでありますが、それがいろいろな状況によって、施策によって需給に不安を来しておるということについて政府は一体どういう考え方をしておられるか。今日までの経過、これは実務官庁としての食糧庁あるいはこれと一体の立場にある農水省、このような状態が四年間続いたということについて食糧庁と農水省はどういうふうに現状を把握されて、これが措置を何とかしなきゃいかぬとかというようなそういう時点はなかったのかどうか、この辺はいかがでございましょうか。
  235. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 四年連続の不作という問題に遭遇いたしまして、国民に食糧を安定的に供給しなければならないという立場から、私どもといたしましても、水田利用再編対策の多少の手直し等を行っていただきまして、それで、でき得れば年度末の持ち越し量といたしましては五十ないし六十万トン程度持ち越し量を確保するような対応策を講じさせていただいたわけでございますが、不幸にいたしまして天候等の影響でそれが実現されていないような情勢でございます。
  236. 坂元親男

    ○坂元親男君 米のみならず、我が国の農産物というものは最近大変主要なものが減ってきておる。特にこれらのものについては外国からの輸入というものが非常にふえてきておる。三十五年から五十七年の間においては四・五倍もふえておる。昭和五十七年輸入金額は百四十億に達しておる。特にアメリカからの輸入増加が非常に著しいわけでありまして、トウモロコシのごときは八〇%、あるいは大豆のごときは九六%というシェアを占めておるわけであります。農産物全体で四〇%に及んでおるという状況がずっと続いてきておるわけであります。安易な依存思想というものがやはり流れておるのではないかというような気もするわけでありますが、そういう点はどうなのか。ある時期には歯どめをしなきゃならぬ、これはいろいろ施策の面ではやられておりますけれども、現実にはこういうような状況をたどってきておるということについて、何とかこの問題を考慮しなきゃいかぬというようなことについてのお考えを伺いたいと思います。
  237. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) お米につきましては、国民主食であるということから、また稲作が我が国農業の基幹をなすものであるという認識のもとに、米の供給につきましては国内産で全量自給するという方針のもとに対応しておりまして、この方針は今も変わっておりませんし、今後とも堅持していかなければならないと考えておるわけであります。
  238. 坂元親男

    ○坂元親男君 先般来、日本の食糧対策というのが、日本型食生活というものを確立していこうということでこの計画が樹立されたわけでありますが、しかし、この内容をよく検討してみますと、今のような輸入食糧という面からも、我が国で自給される食糧の国民一人当たりのカロリーというものが非常に低い。日本型食生活では、御案内のように日本独特のものと欧米型のものとを組み合わしてそういうものがつくられたわけでありますが、その計画では二千五百九十カロリーぐらいのものが日本人の体格、体位その他の関係から適当であるということで協議をされ、検討されて決まったわけであります。しかし、日本の自給する食糧はカロリーの面でいえば千三百八十カロリーぐらいだそうでございます。こういう問題は、やはり今後国民の食糧というものが理想的に確保され供給されないと常に大変な不安が伴うのではないか。これらのことはよく御承知ですかどうですか。
  239. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 最近におきます日本人の食生活の平均像と言われますものは、カロリーの摂取量、また栄養素ごとの構成比、全体の平均といたしましては非常に好ましい状態のように評価されておりますし、その日本型食生活におきますところのお米の重要性ということにつきましても、やはり重要な問題だと私たちも受けとめておりまして、そのことがひいては食糧の安全保障なりにもつながる問題でございまして、お米の消費拡大の対策等、そういった面で私たちは今後とも積極的に対応していかなければならないものではなかろうか、こういうふうに考えております。
  240. 坂元親男

    ○坂元親男君 今お答えになりましたようなことは、歴代の大臣も、国内で生産できるものは一〇〇%絶対自給するというふうな考え方を常に言われておるわけでありますが、それが一向計画が整ってこないというところにやはり問題があるのではないかというふうに私どもは心配をしておるわけであります。国民安全保障について、我々は食糧の面でこの問題をしっかりと確保していかなきゃいかぬということは、これは絶対不可欠の問題でありますから、いささかの動揺もないように、常にあらゆる面の農業生産に対して食糧庁は、米、麦、そんなものばかりでなくて、国民の食糧を守る、特に主食を預かっておる実務官庁として、そういうような心構えを持って進んでいただかなければならぬと思っておるわけであります。  もし米が本当に足りない、今言われておるような需給に不安がある、こういう関係で、消費者の面で米のことについて非常に心配をされて、四十八年石油ショックのときにいろいろありました、パニックが起こりました。これは主要食糧でありますから、そういうことはないと思うのであります。そのくらいの対策というものは必ずできる、こう思っておるわけでありますが、しかし、もし仮に買いだめ等が行われる、今十キロ消費しておるところの消費者が十五キロとか二十キロ買っておこう、そういうことがどんどん広まってきた場合におきましては大変な心配が起こってくるわけでありますが、そのような問題に対してどう対処されるのか。そういう心配はないということであれば結構でありますが、そういうことについてどう考えておられるのか、承っておきたいと思います。
  241. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 五十九米穀年度におきます端境期等に対する供給でございますが、供給体制につきましては、私たちきめの細かな需給売却操作ということを通じまして万全を期していかなければならない、このように考えておるわけでございます。なお、消費者等のパニック的な動き等があってはならない、こうも考えておりまして、食糧事務所、都道府県、こういったところから販売業者等の関係者を通じまして趣旨の徹底を図るとともに、また、こうした問題を消費者に対しましても十分理解していただきまして、無用な不安を抱かせないよう、また、混乱を生ぜしめないように今後も努めていかなければならない、このように考えております。
  242. 坂元親男

    ○坂元親男君 先ほど申し上げましたように、昭和六十年の十月末には、計画によりますと五十五万トンということでありますが、こういう数字で安心ができるのかどうか。また、かねがね備蓄の問題等が言われておるわけでありますが、農水省では五十九年、六十年、六十一年の三カ年にわたってそれぞれ四十五万トン備蓄をしていこうという計画が策定されておると承知しておるわけでありますが、その備蓄計画は実現性があるのかどうか。こういうような状況になってまいりますと、備蓄の問題は大変重要である、大事だということが考えられるわけでありますが、そのことについて実現の可能性があるのかどうか。もう既に五十九年は壊れておるわけでありますから、六十年、六十一年でこの問題に対しては手直しをしようという計画もあるやに聞いておるわけでありますが、その辺のことについてひとつ御説明を願いたい。  同時に、世界で食糧の備蓄というのはスイスが極めて完璧に近いような態勢をとっておるということを聞いておるわけであります。軍事費もかなり大きいですけれども、一朝事あるときの国民食糧の安定確保については非常な意を用いておる。しかもこれが計画的に数字の上で明確にしておる。乾パンが幾ら、あるいはコーヒーが幾ら、あるいは粉ミルクが幾ら、こういうことが政府責任においてぴっしゃりしておる。しかもそれが現実に確保されておるという実態がある。こういうことに対しまして、我が国の備蓄というのはまことに心細い。来年も、いわゆる五十九年の米の生産が果たしてどうなるのかと、一部には非常な不安もいろいろな悪条件のもとに心配をされておるということが伝えられておるわけでありますが、そういう点についてどう認識をされておるのか、この点を伺いたい。
  243. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 御案内のように、水田利用再編対策におきましては、各年四十五万トンずつの積み増しを行う、このような計画に相なっておるわけでございまして、順調に平年作が続き、かつ需要変動がないということでございますればおおよそ百五十万トン程度の備蓄が行われる、こう相なるわけでございますが、今後の作柄がどのようになるか、消費の動向等につきましても多少また変動する、このようなことも考えられますので、今後とも米の需給作柄等に応じた適切な需給計画のもとに、弾力的な対策の推進ということが必要ではなかろうかと考えているわけでございまして、今年におきましても、今年秋の作柄を見きわめながら転作等について弾力的な対応をとろうというふうなことが今考えられている次第でございます。
  244. 坂元親男

    ○坂元親男君 私はけさ日本農業新聞というのを見まして、「韓国米輸入を強行 十五万トンで合意」というような記事が出ておることを見て大変びっくりしたわけでありますが、この問題は、五十三年産米出荷予定の二十万トンのうち、約十万トンが臭素汚染のためにどうしても使えないので韓国から十五万トンの輸入を要請をしたと。この話は前からあったわけでありますが、この新聞で見る限り一新聞記事でありますから、どの程度の正確さがあるかわかりません。しかし、韓国側の財政事情にいろいろ問題があったけれども、十五万トンの米の輸出のめどがついたから日本側の要望と合意をしたという点がありますし、また、当初五万トンから七万トンの水準でしか応じられないと、これは財政事情によるからそうだという、考え方であったようでありますが、この水準の輸入では日本側の米不足の穴埋めはできないので十五万トンまで積み上げたものである、こういうふうに言っているわけであります。なおまた、第一便は五万トン程度が上陸することになると。  また、「この韓国産米の緊急輸入は、米の需給計画に組み込まれていた五十三年産古米に、五〇ppmを超える臭素が検出され、出荷にストップがかかったことに端を発した。」、こういう記事がありまして、さらに「今回の十五万トンの水準での合意は、加工原材料用米の需要が毎月二万トン程度である実態からみて、韓国米は加工用にとどまらず、一部主食用として業務用需要にも向けられるものとみられる。」というふうに書いておるわけでありますが、先ほど日本側と韓国側でこの問題について合意したということで、正式に両国がこの問題を発表したということでありますが、この新聞に書いてあるような内容のものであるのかどうか。そこのところはそうだとか、そこのところは違うというような点があればお示しを願いたい、こう思っております。
  245. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 本日午後二時に東京とソウルと、双方におきまして韓国から返還されますお米につきましての大筋の合意がなされたことの発表を行ったわけでございますが、その大筋と申し上げますのは、一といたしまして、「韓国産水稲うるち玄米十五万トンを一九八四年に現物で返還する。」ということが一点でございます。それからあと一点は、「船積みは七月に開始し、できるだけ早期に完了する。」というのが第二点でございます。それから第三点といたしましては、「細目について引き続き協議し早急にとりまとめる。」このような点が大筋として決まったわけでございまして、細かい今申し上げました細目等につきましては、これから協議をして取り決めていこうということでございます。  今先生指摘の、数量等いろいろあったではないかというふうな点でございますが、これは私たち交渉上の経過的な数量等についていろいろ取りざたされ、また交渉に影響してはいかがかというようなこともございまして、経過報告は一切公表はしていないわけでございます。韓国サイドからの、日本はいろいろと要請を出しているようだということで、五万トン、六万トン、七万トン、十万トンそれから二十六万二千トンでございましたか、そういった数字が、いろいろの情報が飛び交ったわけでございますが、私たちはこの件につきましては、加工原材料用に向けることを予定しておりました五十三年産米でございますけれども、それにつきまして安全性等の観点から不足するおそれが出ましたので、これにゆとりを持った供給体制をとっておかないと今後支障を来すのではないかということで、最終的に韓国から返還していただくということを考えまして、今十五万トンの数量を返還していただくという妥結を見ているわけでございます。
  246. 坂元親男

    ○坂元親男君 返還してもらうという米につきましては、この十五万トンを含めてその他のその後の返還米についても現物で返してもらうということなのかどうか。そして、この米は韓国産なのかどうかということも確認をしておきたいと思う。  と同時に、ここでもし韓国米の返還の姿をかりていろいろうわさをされておるような加州米の迂回輸入、こういうものがあるのではないかという誤解も生じておるわけであります。これはやはり数年前に、絹織物というものが通産省の発表した数字と業界の数字とが合わなかった、いろいろ検討してみたところが、たくさんの国内の保有が出てきておるが、これはなぜ入ってきたのか、関税法違反ではないかというふうなこともあったりして、我が方も通産省に対しては非常にきつい措置を求めたこともあるわけであります。そういうこともかつて繊維関係にあったので、米についても迂回輸入と申しますか、そういう加州米あたりが韓国を経て入ってくるのではないか、こういうような誤解が生じておるということも否定できないわけでありますが、そのような誤解を一掃するという上から、このことにつきましてはそういうことはないと、あるいは将来あるかもしれぬということがあればひとつ明確にしておいていただきたいと思います。
  247. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 先ほど読ませていただきました大筋の合意のラインの第一項に、「韓国産水稲うるち玄米十五万トン」、こういうふうに申し上げましたが、これは大韓民国の農産物検査法による検査を受けまして、同法に基づく農産物検査規格により格付されました韓国産米というごとでございまして、一部うわさのございました、おそれのあるというふうに言われました加州米が入ってくるというふうなことは決してないと申し上げてよかろうかと思います。  それから、今後の輸入についてどうかということでございますが、今回の十五万トンは今年限りの緊急的な措置といたしまして、船積みは七月に開始していただきまして、できるだけ早期に日本に返還していただくということを考えておるわけでございますし、この点も合意されておる点でございます。
  248. 坂元親男

    ○坂元親男君 この十五万トンは加工用として業界に払い下げられるのだろう、その後に起こってくるそういう米もそういうことだろう、こういうふうに受け取っておるわけでありますが、それはどういう方法でどういうルートに乗せてということであるのか。  それからもう一つは、これは現金返済とかあるいは現物返済というようなことでいろいろ経過があったと聞いておるわけでありますが、この当初の米というのは、これは九州の佐賀から出ていったという話もある、四十四年でありますが。その当時、こういう輸出入についての代金決済、その当時延べ払い制度というのはなかったわけでありますが、四十七年に延べ払い制度ができた。その辺のことも明確にしておいていただいた方がいいのではないか。誤解を生む大きなやはり一つの原因になると、こういうこと。
  249. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 現物貸し付けの経緯についてでございますが、四十四年と四十五年に韓国に向けまして合計六十三万トンの現物貸し付けを行ったわけでございますが、この根拠は、食管法に、貸し付けることができるという規定がございましたものをもって一応進めたわけでございます。しかしながら、現物貸し付けによって、後十年据え置き、二十年間の平均的な償還ということではございますけれども、現実の問題としましてこれを実行するにはやはり物を貸し、返してもらうというにはなかなか弾力性を欠くところもある。したがいまして、より弾力的な対応がし得るようにということにつきまして、その後におきましては延べ払いによる輸出、売却ということが可能にされましたのですが、その延べ払いによる輸出がなされるまでの間、韓国に今申し上げました数量の貸し付けが行われ、パキスタンに約十万トンであったと思うのでございますが、貸し付けが行われておるという実態に相なっております。  これに関連いたしましては、今申し上げました十年の据え置き期間があるわけでございまして、韓国に貸し付けられましたものの十年後の償還が始まりましたのは五十四年からでございます。五十四年におきましては日本は御案内のような過剰な状態でございましたし、反対に韓国の方では非常に不作が続いて輸入をしなければならないという事情にもなっておりまして、双方協議いたしました結果、現物ではなくて当分の間金銭返還にしてはどうかということで協議が進められ相調いまして、当分の間は現物にかわって金銭による返還をしていただくということになったわけでございます。その場合の金銭の単価といいますのは、国際価格で返していただくということで支払っていただいておったわけでございますが、今年に至りまして、五十三年産米の安全性にかかわる問題で先ほど申し上げましたような加工原料用に不足を来すおそれが出てまいりましたので、やむを得ずこうした返還の問題を取り進めさしていただいたような事情でございます。
  250. 坂元親男

    ○坂元親男君 この返還される韓国米は、もう一度念を押しておきたいと思うのですが、加工原料用と説明されておるわけでありますから、これはいかなる場合にでも加工用である、こういうことを再度ひとつ伺っておきたい。
  251. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) その前に、先ほど御説明さしていただいた中で、年度で私は誤りを申し上げたようでございます。貸付米の返還の開始年度を五十四年と申し上げたかと思うわけでございますが、一年違っておりまして、五十五年から返還の開始が始まっておる。そこで金銭返還ということで話がつきまして、金銭で返していただいていたということでありまして、おわびして訂正させていただきます。  それから、返還されるものの用途でございますが、先ほど来申し上げておりますように、加工原料用の用途に穴があくおそれがありますので、それに充当するということで一応私たちは韓国から返還してもらうというふうに考えております。
  252. 坂元親男

    ○坂元親男君 今後の米の需給については、責任を持って的確にやっていただくということを要請したいわけでありますが、御案内のように、自主流通米制度等もできまして、大変需給には苦労があるだろうと思うわけでございます。しかし、生産数量あるいは集荷数量集荷もまたいろいろあるわけであります。さらに限度数量だとか、それから自家保有とか種もみとか、あるいはまた贈答用とかそういう分野に分かれておりますから、これらの数字を非常に的確に需給調整の数字に乗せるということについては大変苦心があると思うわけであります。そういう点については今後さらに一層の努力をいただきまして、そういう点でそれぞれ時期時期にこういう問題が起こってきました際に、明確に安心のいくような説明を今後していただけるように御要望を申し上げておく次第でございます。  それから次に、汚染の問題でありますが、古米が食えないということにつきましては、特に薫蒸の際の薫蒸剤の残留によってこれが起こってくるわけです。農業倉庫でホルマリン消毒等をやっても、かなりやはりホルマリンが残る。この米の薫蒸につきましては臭化メチルの薫蒸であるわけでありますが、これも厚生省の基準によりますと体重五十キロに対しましては五十ミリグラムまではよろしい。一キロに対して一ミリグラムという基準が決められておるようでありますが、こういうことがなるべく起こらないように、しかも早く早期発見ができる。今、古米の中で半分はもうだめだという認定が下されておるわけでありますから、こういう問題が大変今後食糧の安全性という点におきまして消費者の不安を買うということは大変な問題だと思うのであります。  今時にいろいろなスーパー等で、野菜でも果物でも薬害のない、これは農薬が使ってありませんとか、これは残留するような肥料が使ってありませんということが安全食糧の立場から非常に求められておるわけでありますが、主食たる米がそういう薬剤の残留によってもう使えない。基準はありましても、これは食べる方も気持ちが悪い、大丈夫かなというような、そういう心配が起こってくることは大変な問題だと思うわけであります。これは政府管理している以上、米についてはそういう心配がないような処理をされることが大変大事だと思っておるわけであります。  そういう意味におきまして、今後のそういうことにつきましての食糧庁対策とか対応というものについて御説明を願っておきたいと思うわけであります。
  253. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 今後の米麦の安全性の確保につきましては、保管管理により一層の注意を払うとか、また、保管管理が長期化するという場合には、現在低温保管倉庫が二百万トン以上の収容力であるわけでございますので、低温保管の倉庫の活用による薫蒸をできるだけ回避していく。こういった方法等をとることによりまして、可能な限り安全性の確保、またそれに対応した措置ということをやってまいりたいと考えております。
  254. 坂元親男

    ○坂元親男君 次に、水田利用再編対策についてお尋ねを申し上げておきたいと思います。  これは第三期対策が進められておるわけでありますから、今後も推進されていくことと思いますけれども、この再編成をやるかやらぬかというときの当初の考え方についてはいろいろ議論があったことを承知いたしております。しかし、やはりいい田んぼも悪い田んぼも、あるいは生産に適しておる地域も適していない地域も、公平な配分というような名において全国的に再編の政策が示され、そのとおりに実行してきておるわけであります。私は、地域における生産性の向上を図るとか、あるいは経営の合理化を進めていくというようなことについて、そういう前申し上げましたような考え方はいささか誤りもあるのではないか。  地域分担の問題だとかあるいは適地適産の問題だとかというものを、やはり全国的に政府で指導体制を明確にして、そしてできるところ、できないところ、高い水準のところ、低い水準のところ、そういう地域的にこれをやっていくことの方が、将来の狭い日本の耕地面積から高い水準の生産を上げるためにはそういうような考え方が出てきてもいいのではないか、こういうふうに思っているわけでありますが、その点についてはどういうふうにお考えになっておりますか、これは大臣にひとつお伺いしたいと思います。将来の米の生産あるいは需給の円滑化を図る意味において、安定したそういう施策をやるためには第三期対策の手直しをしてもいいのではないか、そういうことが起こってくればやってもいいということを示唆されたように私は承っておるわけでありますが、今申し上げましたようなことも含めて、これは大臣のお考えをひとつお示しをいただいたら大変ありがたい、こう思っております。
  255. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 水田利用再編対策は、全国の農業者の皆さんの理解と御協力を基本としながら、地域の特性に応じた農業生産の確立を図る方法で推進しておるところでございます。  このような見地から、都道府県別の転作、また目標面積の配分にあたりましても、農業生産地域の特性、産米の品質、また特定作物の転作可能性等を総合的に勘案して行っておるところでありますが、今後とも地域の特性を十分に考慮しながら対策を推進していく必要があると考えます。特に三期対策につきましては、本年度作況を見た上で弾力的に運用していきたいというぐあいに考えます。
  256. 坂元親男

    ○坂元親男君 よく御意見の点はわかったわけでありますが、かねがね大臣は非常に熱意を持って農政に取り組んでいくという姿勢を示されておるわけでありますが、その点につきましては私ども非常に敬意を表しておるわけであります。特に大臣は決断の人であるということでありますから、よろしくひとつ御決断を願って日本の農業の安定政策の確立に邁進をしていただきたいと思いますが、大臣の農政、食糧問題に関する基本理念というものをもう一たび説明をしていただきたい。簡単で結構でありますから、お願いを申し上げたいと思います。
  257. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 食糧は国民にとりまして最も基礎的な物質であります。一億二千万人の国民に対しまして安定供給、いわゆる食糧の安全保障の確保を図るということは国政の最重要政策というぐあいに考えております。このような観点に立ちまして、今後の農政の展開に当たりましては、総合的な食糧自給力維持強化を図ることを基本といたしております。中核農家の経営規模の拡大、そしてまた優良農地の確保と農業基盤の整備、農業技術の開発と普及、需要の動向に応じた農業生産の再編成、村のすべての住民に就業と生きがいの場を与える豊かな村づくりの推進、これらの各般の施策を推進することにより我が国農業の体質の強化に努めてまいりたいというぐあいに考えます。
  258. 坂元親男

    ○坂元親男君 最後に、大臣にもう一つお示しを願いたいと思うのでありますが、予算編成の時期に入っておるわけであります。臨調その他の関係もマイナスシーリング、あるいは大蔵当局もマイナスシーリング、昨年の予算のマイナスシーリングを見ましても、必ずしも農水省も被害なしとしないというような実態ではなかったかと思うのでありますが、予算編成を通じて農政に対する大臣のお考え、決意のほどを承りまして、私の質問を終わりたいと思うのであります。
  259. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 農業予算のみならず、全般の予算が苦しい中でございました。しかし、農業予算というものは国民にとって最も基礎となる食糧の供給という重要な使命があるわけでございます。二年続きのいわゆる予算縮減ということでございまして、今の財政事情から見ればやむを得ない、残念でございますが、そのようなぐあいに考えます。しかしながら、内容面では農業をめぐる諸情勢に対応するために質的充実に配慮いたしまして、重点的かつ効率的な配分に努めてまいります。  今回の事態は、加工原材料米の臭素残留問題が起こしたものでございますけれども、しかし今後とも、米の安定的供給に必要な予算の確保には全力を挙げてまいります。
  260. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 あと六分しかありませんので、簡単に私はお願いをいたしたいと思います。  今回の韓国米の輸入について、農政そのものが根本的に国民から不信を買われたということは事実であろうと思う。また、消費者にしても国民全体にしても、これでいいのかというように不安を私は感じたと思います、私自身がそう思うのだから。  そこで私は、やはり備蓄というものは、少なくとも先進諸国の例を見ますると日本が一番少ない。国防ばかりが国の安全保障じゃありません。米が大事なのです。食う物が大事なのです。そういう意味からいたしまして、私は少なくとも六カ月以上の備蓄が欲しい。この決意のほどを。  そうすると、当然第三期水田利用対策問題も見直さなければいけない。あなた方が水田再編成をやって六十万ヘクタールの中に他用途米をつくらしておる。ところが、今回の騒動でその他用途米を出荷しないという動きがある。こうなった場合に皆さん方はこれに対する不足をどういうふうに考えるのか。  あるいはまた、現在私の耳に入ったところによれば、青田、田んぼの中で一俵三万円で買いあさっておるという情報が私の耳に入ってきておる。これを考えた場合に、需給計画が根本的に狂うのではなかろうか。あなた方は九月、十月の端境期の米を待っておる。それだけ米が不足しておることは事実なのです。これがもし青田買いの三万円に売ってしまって実際の集荷ができなかった場合の責任はどうなるのか。これを率直に考えますから、これに対する大臣の率直な意見を、弾が大事か米が大事か、これの率直な御答弁を願って私の質問を終わります。
  261. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 主食であります米につきましては相当の備蓄が必要であるというぐあいに考えております。ただ一つございますのは、石油の備蓄と違いまして、消費者には新米嗜好というものもございます。そしてまた、三たびの過剰ということを起こしてもならないと思いますし、食管制度の堅持というものもやっていかなければなりません。  そこで、私はこれらを勘案した上で、本年の作況を見た上で第三期対策というものを弾力的にやってまいりたいというぐあいに考えます。
  262. 村沢牧

    村沢牧君 日韓合意事項が発表になったようでありますから、先ほどの保留した質問について続けます。  先ほどの答弁を総合すれば、五十三年産米を五月以降加工原材料に振り向ける数量は十一万トン、他用途米が出回るまで必要数量を二カ月分四万トンと見ても十五万トンであります。このほかに五月末現在では二十万トンの五十三年産米が残っておった。今申しました加工用米十五万トンを含め、さらに主食用に今後一万トンを回していくとすると十六万トンで、残りは四万トンということになります。四万トンのうち半分が臭素に侵されているとしても、二万トンは五十三年産米を使える。さらに十五万トンのうち半分臭素に侵されていても七万トン使える。そうすれば差し引き五万トンあればできるのではないか。何も十五万トン輸入する必要はない。どういうふうに考えますか。
  263. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) ちょっとベースが違っておろうかと思うのでございますが、先ほど来説明さしていただきました五十三年産米在庫でございますが、五月末を基点といたしますと約二十万トンの在庫があるわけでございまして、そのうち六月以降の加工原材料用に振り向ける売却量としましては一応当初十三、四万トン程度を予定しておったわけでございますが、他用途利用米への円滑な移行ということを考えまするときに、他用途利用米制度が初年度でもございますし、新米穀年度当初から直ちに利用され得るかどうか疑問なしとしないところでもございますし、やはり加工原材料用の実需者にその供給について不安を与えないような万全の備えをするという考え方で、私たちといたしましては十五万トンの返還を求めることにいたした次第でございます。
  264. 村沢牧

    村沢牧君 今お話がありましたように十五万トンが加工用米に必要だと。だから五十三年米を十五万トン充てようとしておった。ところが臭素に侵されてこれが足らなくなった。全部が臭素に侵されているわけじゃないです。半分侵されておる。十五万トンを予定しておったけれども、半分侵されたなら七万トンあればいいじゃないですか。さらに、先ほど私が後段で申しましたように、加工用に十五万トン向けても、主食に一万トン向けても、なおまた二十万トンのうちに残りは四万トンあるのだ。そのうちの半分が侵されても二万トンは使えるのだ。そうすれば、十五万トンなんて輸入する必要はないじゃないですか。時間がありませんから、簡潔に御答弁を願いたい。
  265. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 先生指摘の点は、基本計画数字がベースになっておるのではなかろうかと思うのでございますが、現計画におきましては、一応米穀年度限りで考えておるわけでございます。この加工原材料用につきまして私たちが他用途利用米の充当ということで充当し得るのは、前米穀年度をいっぱいに供給し得るかどうか、多少の加工原材料用、五十三年産米を繰り延べて、そこでも充当しなければならないのじゃないかと、当初からそのようにも想定しておりまして、私たちといたしましては、やはり万全の備えをするという考え方のもとにおきましては、十五万トン程度の確保が必要ではなかろうかと考えたわけでございます。
  266. 村沢牧

    村沢牧君 だから、数字の点についてやっていませんね。これから加工用米が十五万トン要るのだとおっしゃっていますね。    〔委員長退席、理事北修二君着席〕 それで五十三年産米を加工用に十五万トン入れようと思ったけれども、臭素に汚染されているから七万トンしか使えないということなのだ。ですから、十五万トンなんて必要はないじゃないですか。ゆとりのあるというか、何か需給操作にこれを役立てようとしてそういうことを考えているから十五万トンという数字が出てくるのです。  具体的にお伺いしますが、韓国米の輸入を計画した背景には、輸入米を含めて需給操作する、そして主食不足分を補おうというねらいがあるのじゃないか。輸入米をなるほど直接主食に回すことはないとしても、加工原料米を輸入で補って、加工原料米に予定した五十三年産米主食に回すということを意図しているのじゃないですか。
  267. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 今さっき私が申し上げましたように、今回の韓国産米の返還につきましては、五十三年産米が一応安全性の問題で不足する事態が起こった、それを埋めようということでございまして、その際、他用途利用米への円滑な移行ということを考えますと、他用途利用米の出荷等につきましては、一応新穀について主食用と並行検査等の手続はとるといたしましても、現実の問題といたしましてはやはり主食用等が優先することが想定されますし、また、加工原材料用の需要につきましても、今後端境期ごろから需要期に入る。したがいまして、二万トンというふうなことで大丈夫かどうか、二万五千トンというふうなことも想定されるのではなかろうかと考えられますので、先ほど来申し上げておりますように、万全の備えをするという考え方で今回十五万トンに踏み切った次第でございます。
  268. 村沢牧

    村沢牧君 その数字も納得できませんが、そうすると、五十三年産米主食に回す需給計画は最大十五万トンですね、これ以上は回さない、そのことは確認していいわけですね。
  269. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 主食用への充当でございますが、従来からこれは業務用というふうなことで回しておりまして…
  270. 村沢牧

    村沢牧君 業務用でも主食だということをさっきから言っている。何を言っているのだ。
  271. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) その点は否定するものではございませんが、大量に外食産業等で利用されるものでございまして、こうしたものにつきましては基本計画上では、当初十万から十五万トンというふうに見込んでおったわけでございますが、この需要も、北海道産米、低品位米といいますか、五類、四類等のお米の供給が昨年の不作で少なくなっておるというふうなこともございまして、根強い需要もありますことから、十五万トンというふうなところでは多少おさまりにくいのではなかろうか。さらに多少大きい需要にもこたえていかなきゃならないのじゃないか、このように想定しております。
  272. 村沢牧

    村沢牧君 基本計画で、五十三年産米を十五万トン主食に回しますと。それだって問題があるのです。それを公表しておって、また現時点になって十五万トンではおさまらない、もう少しふやすなどということは、これは全く先ほど来言っている国会軽視だし、国民軽視なのです。五十三年産米をくださいなんて国民は言っていません。ですから、韓国から米を入れて加工原料米を浮かして、そしてその五十三年産米をまた主食に回してくる、そういうことになるでしょう。大臣、どうですか。
  273. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 五十三年産米につきましては、先ほど来申し上げているように、一応基本計画では十から十五万トンというふうなことでございますが、やはり基本計画につきましては、一千万トン程度需要量なり供給量といったものを想定する中のことでございますので、多少の変動はあろうかというふうに考えておる次第でございまして、その辺御理解いただきたいと思います。
  274. 村沢牧

    村沢牧君 ですから、基本計画の重要な部分を変更するのですから、基本計画の変更の必要がありませんかと質問したら、あなたは必要がないと言った。基本計画の重要な変更なのです。十五万トンしか使わないという五十三年産米をまたさらにふやすということは大きな変更なのだ。ですから、そのことは私も納得できませんから、今の答弁は納得できません。また後日質問をする時間がありますから申し上げます。  それから、韓国米の安全性についてでありますが、新聞の報道するところによれば、韓国米は五十六年産というようなことになっておるわけでありますけれども、この使用農薬、あるいは貯蔵法など十分確かめ、安全性を保証できるものですか。
  275. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 韓国から返還される米の年産等につきましてはなおまだ定まっていないような情勢でございまして、細目についてはさらに協議を重ねて取り決めるということに相なっております。  韓国の保管の状態でございますが、これはほとんどがもみで保管されておるようでございます。したがいまして、保管の状態、品質の状態といいますか、それは良好ではないか、このようにも思うわけでございます。今先生指摘の安全性の確保につきましては、先生指摘のような薫蒸剤が何であるか、また農薬等はどういうものが使われているか、これをチェックする調査としてどのように対応していったらいいか、こういうことにつきましても、現在交渉事項といたしまして両国の間で協議さしていただいている次第でございます。
  276. 村沢牧

    村沢牧君 相手国に対して、米は日本が足らないからぜひ返してください、輸出してくださいとお願いする立場ですから、いただく米を、大丈夫ですか、安全性だなどと、国が違いますからそんな失礼なことは言えないでしょう。もしそういう安全性が不安な場合、不安でなくても、日本に輸入される農産物ですから、日本国内において検査をしなければならない。それは当然だと思いますが、どうですか。
  277. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 安全性の確保につきましては、十分安全性が確保できるように両国間で対応していくことを考えておりますし、また、国内に搬入されるものにつきましてもその辺のチェックはやっていきたいと考えております。
  278. 村沢牧

    村沢牧君 韓国との協議は今後にまつでありましょうけれども、輸入される米については国内でも検査をする、そのように理解していいわけですね。
  279. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 国内に搬入されるものにつきましては食品衛生法が適用されるわけでもございますし、こうした食品についての安全性のチェックということにつきましては、関係省庁とも協議をしながら適切に対応してまいりたい、このように考えております。
  280. 村沢牧

    村沢牧君 先ほど来指摘をしたように、また同僚議員からも指摘があったように、他用途米についても果たしてそれだけの数字が確保できるのかなと非常に心配をされるわけなのです。したがって、他用途米がまた確保できなくなったと、五十三年産米は韓国から輸入したけれども、他用途米が確保できなくなったからまた韓国にお願いをする、そのようなことは絶対にありませんね。
  281. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 他用途米が確保できなかったというふうな前提で物を考えることがなくて済むようなことを私たち期待しておりまして、また、そうした協力体制なり供給体制を今後とっていかなければならない、このように考えさしていただいております。
  282. 村沢牧

    村沢牧君 大臣、先ほどの答弁にもありましたが、今回の輸入は今回限りだ、あとは絶対いかなる事態があっても輸入しない、ぜひひとつ確認をしてもらいたいと思いますが。
  283. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 先生おっしゃいますように、私は今回限りということで、今やっておりますこの第三期対策が順調に遂行なされますならば、今回限りということでございます。  ただ心配なのは、いわゆる他用途利用米そのほか、これがそういうようなことがないということになりますと…。しかし、私としてはしないつもりでございます。
  284. 村沢牧

    村沢牧君 今順調にいったらしないという答弁なのですけれども、それでは納得できないですね。先ほど来言っているように、外国の米は輸入しない。はっきり言ってください。自信がありますか。
  285. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 少なくとも私の代にはいたしません。
  286. 村沢牧

    村沢牧君 山村大臣がいつまで農水大臣をやっていただくか私はわかりませんが、農水省の見解ですよ。  そこで、私も時間が参りましたから、一つだけ資料要求し、また要望して質問を終わりたいというように思います。  五十九年産米の処理計画、それから臭素汚染によって処理ができなくなるであろうと思われる数量、それを補うための韓国米輸入をどういうふうにするのか、資料でもって提出していただけますように要請しておきます。
  287. 北修二

    ○理事(北修二君) 食糧庁次長、いいですか。
  288. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 検討さしていただきます。
  289. 村沢牧

    村沢牧君 検討さしていただく、提出ですね。
  290. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) はい。
  291. 村沢牧

    村沢牧君 それでは大臣、最後に申し上げますが、いずれにしても、私が二時間半にわたって指摘をいたしましたように、政府は米の管理、食糧政策に重大な誤りを犯して国民に不安と負担を与えているわけです。この内容については時間がありませんから多くを申し上げませんが、多額の国費を使い農民に長期の減反を押しつけてきた結果が米不足を招いた。また、第三期水田利用再編対策の初年度でつまずいている。それから、超過米の安全性の点検を怠って危険な米を国民供給してきたこと。そして米の輸入に踏み切ったこと。また、国会決議や答弁を無視し国会に対しても背信行為を行っているなど、挙げれば数限りない失政を犯しているのです。  大臣は今までの答弁の中で、すべて私の責任だと言って頭を下げておりますが、政治家が責任を認めて、そして頭を下げている限りにおいては口先だけではならぬ。それにふさわしい態度をとってもらわなければいけない。また、これだけの過ちを犯したのですから名実ともに責任をとるべきだと思うのですが、大臣の見解はどうですか。
  292. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) たびたび申してまいりましたが、今回のこの五十三年産米に端を発しまして、関係各界そしてまた国民の皆さんに不安と混乱を起こしましたことはまことに遺憾でございまして、私の責任において処理いたしてまいります。
  293. 村沢牧

    村沢牧君 今後の対策を私の責任において処理するということもあるでしょうけれども、今まで犯した失政に対して責任をとってもらわなきゃならぬ。これは大臣、当委員会はこの二十五日に総理の出席を求めて、要請をしたり意見を聞くということになっていますが、申し上げておきますけれども、責任というのはどういう責任をとるのか、その前にひとつ大臣の決意を固めて出席をお願いしたいと思います。
  294. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 最終的には私の責任においてということで御賢察いただきます。
  295. 村沢牧

    村沢牧君 時間ですから。
  296. 刈田貞子

    刈田貞子君 私は消費地を代表いたしまして、今のお米の問題についてお伺いさしていただきます。  昨日もある婦人の団体の会合に参りましたらば、話の中身はほかの問題のはずだったのでございますけれども、話は一切米問題に集中をいたしまして、消費地の主婦たちがいかに今回のお米の問題について関心が深く、そしてまた不安を持っているかということが大変よくわかり、私も実は農水に籍を置いている者といたしまして、むしろ恐縮をしたという感じのところがあります。そしてまた、一方消費地代表とは申しながら、苦しい減反を強いられてきた生産地の方々、そしてそのあげくに外国からの輸入という結果になってしまった、このことへの生産者の怒りというものでしょうか、これは私としても非常に痛いほどわかる者の一人でございますが、大臣、おひとつここらで政治責任の重大さをもう一度私のために述べてください。
  297. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 今回、ただいま申しましたように、関係団体そしてまた国民の皆様に多大の不安、混乱をおかけいたしましたことをまことに遺憾と思っております。今回のこの問題につきましては、最終的には私の責任ということにもなりますので、私の責任において処理いたします。
  298. 刈田貞子

    刈田貞子君 まず、五十三年産米についてお伺いをいたします。  私は、ことしの一月二十日、米の需給関係について、決算委員会で五十九年度米穀年度に対する需給関係を質問いたしました。そのときに、五十三年産米の中身をちょっとお伺いをしたわけですけれども、在庫がどのぐらいあるか、こういうことに対しては、きょう長官がおられないので大変言質をとっているだけに残念でございますが、八十万トンあるということでした。それではその中で主食に供することのできるものはどのくらいあるかという質問を私はしております。  これは実は、五十三年産米が薫蒸という行為の中で汚染されているであろうことを私は既に考えておりましたので、そういうものを下地にこういう質問をしたわけでございますけれども、そのときには十五万トンほどは主食に供することができるという話でございました。そうすると残りの部分は、頭の中では主食としては使えないものであるというお考えがあったのかどうなの生食糧庁、この辺のところはどんなふうにお考えでございましょうか。
  299. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 一月にお答えさしていただきました数量についてでございますが、多分私の想像するところでは、米穀年度末の在庫量について御説明していただいたのではなかろうか、このように思うわけでございますが、その後の売却状況について見てみますと、先ほど申し上げましたような主食用につきまして十二、四万トン、それから加工原料用につきまして十三、四万トン、輸出用で二十五万トン輸出さしていただいておりますし、飼料用で五万トンの処理をさしていただいておりまして、大体トータルで六十万トン程度を処理しておるわけでございまして、あと五月で二十万トン程度に相なっておる、こういうことでございます。
  300. 刈田貞子

    刈田貞子君 今おっしゃられたのは計画上の問題でありまして、実質五十三年産米というものが主食として使えるという認定を持っていたかいないかという質問を私は合しているつもりでございますが、実は昨年秋、十月に私は一人で政府倉庫を見せていただきに参りました。そのときに既に私はこの薫蒸処理について大変疑問を持っておりましたので政府倉庫に参ったわけでございますけれども、国会議員として政府倉庫にやってきたのはおまえさんが初めてであるというふうに言われまして、褒められたのかしかられたのかわかりませんが、大変恐縮をしてその政府倉庫を見てきたわけです。    〔理事北修二君退席、委員長着席〕  そのときに感じたことは、この薫蒸処理という行為に対して非常に軽々な感覚を持っておられることを私は感じたのです。実はこれも消費者団体からの要望等がありまして、政府倉庫で大分怖いことをやっているようだ、これを見てきてほしいということで実は私は出かけていったのでございます。大丈夫でございます、これはもう大したことでありません、薬はこれを使っております、それがこの缶でございますといって全部見せられまして、そしてこれは大変揮発性が高いものでありますので使用いたしましてもすぐに蒸発をしてしまいます、したがって、残留などということは一切ないということを現地で説明を聞きました。そしてこの薫蒸処理というものに対する考え方に非常に浅いものがあった、認識不足だったと私は大変思ったのです。だけれども、大丈夫だというものを大丈夫でないという証拠を私はそのときに持っておりませんでしたので帰ってまいりましたわけですが、その後、三月十六日、そして先回六月に二度、三回政府倉庫に行っています。  そこでお伺いするわけですけれども、この薫蒸処理というのは、このたびこういう事故が出て初めて大変危険なものであろうかという程度の御認識をお持ちになったかと思いますけれども、もともとこの薫蒸処理なるものを安全な行為だというふうにお考えになってやっておられたのかどうなのか、この点を確認さしてください。
  301. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 最初の御質問の点でございますが、私たち基本計画等で計画しておりました数量につきましては、安全性については問題ないものである、こういう理解で一応基本計画は策定しておりまして、加工原料用にいたしましても、また業務用にいたしましても、そうした安全性について特に問題がないというふうな認識で計画は策定しておったわけでございます。  それから、今先生指摘政府倉庫等における薫蒸の認識が、非常に安全性についての留意が足りなかったのではないかという点でございますが、私たちといたしましては、薫蒸薬品は三つほどあるわけでございますが、それらのものの有効成分はいずれも非常に揮発性のものでございまして、その薫蒸後における操作等においてもそういう有効成分はすべて消失してしまうだろうと考えておりましたので、そういった面から特に安全性について問題はないと理解しておったわけでございます。  臭化メチルの場合におきましても、臭素というものが安全性について検査をした結果残留しておるということが判明したわけでございますが、それにつきましても一日当たりの許容量といった基準で見れば直ちに健康に害はないという御見解でもございます。そういった面からは大丈夫だというふうにも言えるわけでございますが、農薬の残留部会におきましては、一層の安全性を確保するという観点から、今回五〇ppm以下のものを供給するようにという御要請でもございました。それを受けまして私たちはそれを守って供給体制を整えていこう、こう対応しているわけでございます。
  302. 刈田貞子

    刈田貞子君 安全だという認識がなければこういうことはなさらないであろうというふうに私も思います。三十検体を取り出して調査をした最初の調査の問題でございますけれども、五〇ppmを超えたものが一検体であったということなのです。そしてこれは五回以上の処理をしているものということですね。  私の持っているこのデータでちょっとお伺いしますけれども、一回から二回の処理をしたものについては平均的に七ppm、それから三回から四回の処理をしているものについては平均二一ppm、そして五回以上の処理を行っているものについては三一ppm、これは平均値で何か出ているようです。この考え方ですけれども、一検体だけあったというのは五七を示していますね。これは何回やったら五七になったのでしょうか。
  303. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 薫蒸回数は五回であったというふうに理解しております。
  304. 刈田貞子

    刈田貞子君 それでは三十検体の問題は別といたしまして、先ほどこの三十検体の問題が出たことによって、二千にわたる各地の倉庫の状況のいわゆる五十三年産米について総検査をしたということで、その中で作業が二、三〇%進んだのですか。そして二千六百トンがアウト、そして半分がセーフ、こういう感じのデータが出たというふうにおっしゃったわけですね。  それで伺うのですが、この二千六百のアウトになった部分の方のところ、この五十三年産米というのは一体どのくらいの処理をしたためにアウトになったのか、数値はどのくらいのものを平均的に示しているのか、この辺のところはデータとしてお持ちだと思うのですが、いかがでしょうか。
  305. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 今先生の御質問の中で二千六百ぐらいだったねという点でございますが、これは私、けさほど申し上げましたのは二万六千トンという、一けた違っておりましたので御訂正願いたいと思います、二万六千トンというふうに申し上げたと思うのでございますが。  これを私たち検査した結果、五〇ppm以下のものが二万六千トン確保されまして、そうしたものを加工原料用に供給すべく売却さしていただいておるということでございます。  なお、それを確保するに当たりまして大体同じぐらいの量のものが五〇ppm以上であったということでございますが、その以上あったものにつきましてどの程度の濃度のものであったか等はまだ十分私たちまとめて処理していないような状況でございまして、できるだけ早く安全なものを確保さしていただきまして、それを従来の流れに支障を起こさせないように売りつないでいかなければならないということで対応してまいっている次第でございます。  その回数等につきましては、むしろ今定められておりますところの暫定基準といいますのが五〇ppm以下のものというふうなことでございまして、私たちはその点に着目しまして、それ以下のものを合格品として流すようにということでやらしていただいておりますので、回数の点はちょっと定かに把握していないような実態でございます。
  306. 刈田貞子

    刈田貞子君 この臭素に関しては、米、穀物に関して現在日本で残留基準がない現状です。それで私はこの際、こういう事故が出てきたことを一つの契機にして、そういうものの基準づくり等も考えていかなければならないであろうというふうに思っておりますので、そういうことの意味合いも含めて、これは捨てるための問題を先に考えるとか、五十三年産米の汚染された分については何に使うのかということを考える前に、ぜひ一つの犯した誤ち、起きた事件を教訓にするためにも、そういう追跡調査をして資料づくりに供していただきたいと思うのですけれども、いかがですか。あと、まとめていないとかわかっていないというのは、今我が国の需給関係にとっては大事な五十三年産米をあたら捨てるのでございますから、大変なことなので、ぜひそういう形で考えてもらいたいと思うが、いかがでしょうか。
  307. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 今の食品衛生法上の基準になっていないというふうな点でございますが、確かにその点は、お米につきましては臭素の残留性等についての基準はなかったように私も実は認識しておるわけでございます。  今後の問題といたしましては、こうした点が基準の設定等で生かされるかどうか。この点直接には厚生省の所管の事項でございますし、私の方からとやかく言うのもいかがなものかと思うのでございますが、私たちの所管しております米麦につきましては、安全性の確保につきましてできるだけの対応をとっていきたいというふうに考えております。
  308. 刈田貞子

    刈田貞子君 その点ぜひよろしくお願いをいたします。  ところで、この五十三年産汚染米について通達をお出しになっておられますが、その中で二点ほどお伺いをしたい。  一点が、これはおたくが出しになったのじゃなくて、厚生省が出された「くん蒸処理された米の取扱いについて」というものの中で、一、二、三というふうにある。私大変気になります、三の部分。「関係業者に対し、速やかに本基準設定の趣旨の周知徹底に努めるとともに、本年七月一日以降本基準を超えるものが販売、加工されることのないよう適切な指導をされたいこと。」という一項がありますが、この「七月一日以降」という七月一日という日にち、期日は、これはどういうものを意味しているわけですか。
  309. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 今御指摘いただきました通達は、厚生省から都道府県に発せられたものだというふうに理解しておりますが、そのとおりでございます。今御指摘の項でございますが、この点につきましては、こういった暫定基準を設けまして、具体的に実施に移す段階におきましては、多少のこういう暫定基準が施行されるといいますか、遵守するようにという決まりを徹底させるための期間というふうなものも必要であるということで七月一日と。五月二十八日に残留部会の結論は一応出されたわけでございますが、私どもの方には厚生省から、翌日でございましたか、通達をいただいたわけでございます。それに関連しまして約一カ月程度の、規則の徹底といいますか、ということで御配慮になったのではなかろうかと思います。  このことは、先ほど来申し上げております暫定基準といいますものでは五〇ppmでございますけれども、それがない段階におきましても一応安全性について、今までのデータ等から健康に害があるというふうなことではないという御認識もありまして、流通在庫等について回収等を行う必要はないというのが残留部会における意見でもあったようでございまして、その辺にも配慮されてこの三という項目は設けられておるのではなかろうかというふうに私は理解しておるわけでございます。
  310. 刈田貞子

    刈田貞子君 五月二十九日に通達が出ていて、七月一日以降これを超えるものについては販売、加工なされぬことという、私、この時間の猶予をどういうふうに読み取ればいいのかと思って随分と考えました。この間にさらに流通するということはあり得るのかないのか。
  311. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 私どもといたしましては、新たに流通させるものにつきましてはすべて検査を行いまして、五〇ppm以下のものを供給しようということで対応しておりますし、六月売却分につきましては合格品をもって対処するということで臨んでおります。
  312. 刈田貞子

    刈田貞子君 それではもう一つ、食糧事務所の所長さんあてに長官から出ている通達の中で、五十三年産米についての後半の部分のところですが、一番最後のくだりですけれども、「なお、これまでに売却してきた五十三年産米については、別添三のとおり、厚生省より都道府県知事あて通知されているので、これらを十分了知の上、」云々というところがありますね。これですけれども、これまで売却してきた五十三年産米についてこれでどうせいとおっしゃっているのですか。
  313. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) この点につきましては、流通在庫等についてどう処理すればいいかというふうなことになろうかと思うのでございますが、食糧庁から実需者等に売却をいたしまして、現にまだ残っておるようなもの等はどうするのか、こういうことに関連する問題であろうかと思うのでございます。  私たちは、それについては七月一日までの間においては、今流通在庫として流通しているものを買い戻せとか何とかいう、多少新聞等にも出ておったような次第でございますが、そういった問題は、厚生省の方のお考えも、回収とかそういった措置はとる必要がないということでございましたので、その辺にかかわる事項としてはそういう通達が出ておる、こういうふうに説明したわけでございます。
  314. 刈田貞子

    刈田貞子君 要するに、今ちまたでは、五十三年産米の既に流通の経路に乗ってしまったものも回収してほしいというような話がたくさんあるわけです。そして、先ほどの、二千六百じゃなくて二万六千ですね、二万六千のフィフティー・フィフティーでアウトが出てきているような状況の中で、流通経路に乗ってしまっているものをどう考えるかという問題を大変問題に思っているので、これをどう解釈すればいいのかなというふうに頭をひねっている次第でございます。
  315. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 今御説明さしていただきました流通経路にあります在庫でございますが、卸さんなり小売といった方々にも流通在庫は多少、数量は非常に小そうございますが、あるわけでございまして、これは小売でございますれば全国に七万軒程度小売さんがおられますし、卸さんは三百強の卸がおられるわけでございまして、こうしたところとか加工原料用の処理をしておられる、みそ、せんべいといったようなところにも相当の数量の方々がおられるわけでして、これらを全部回収ということにつきまして、現実的な対応としても非常に困難な面があるわけでございます。それで先ほど来申し上げておりますように、今あるものが直ちに健康に悪影響を及ぼすというものではないが、一層の安全性ということで五〇ppmという相当の安全度を持った、許容度を持った五〇というふうな数字でもございますし、それまで回収する必要はないだろうという御意見でございましたので、私どもとしましては、それは回収することはしないというふうに決定したわけでございます。
  316. 刈田貞子

    刈田貞子君 私のところへもたくさんの要望が参りますわけですけれども、それによれば、流通させっ放しでほうり出して、手元に残っている分だけについて安全性を確認していくということは片手落ちじゃなかろうかということで、大変不満の声があるようでございますので、そのことをお伝えしておきたいと思います。  先ほど同僚議員の中からも、需給関係についてはいろいろとお話が出ておりましたので、私が今改めてお尋ねすることもないかというふうに思いますのですが、やはりいかんせん気になりますのは、本年端境期の主食の状況がどうなっていくのかということは、私ども心配をいたしているわけでございます。  それで、先ほどもお話が出たかと思いますけれども、五十八米穀年度においてのいわゆる実際の需要ですね、実績。これを確認させてください。
  317. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 五十八米穀年度主食用需要につきましては六百八十三万トンと把握しております。
  318. 刈田貞子

    刈田貞子君 それで、五十九米穀年度計画の中では、主食用として六百六十万トンが計画の中に入っておりますね。これは昨年の実績から見て低い数値で抑えられておりますけれども、まさか数字合わせではないでしょうと思いますが。
  319. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 確かに御指摘のように、六百八十三万トンと六百六十万トンを御比較いただきますと低い数値というふうに相なっているわけでございますが、一般の個人的な消費数量等からいろいろ検討してみまするに、六百六十という数字は趨勢の中では消費の全体の減少する中で妥当な水準ではなかろうか、このように見られるわけでございますが、なお現実の数値といたしまして、今米穀年度に入りまして売却の実績等を追跡してみますと、この数字を多少上回るような結果に相なるのではなかろうかというふうに見込んでおるところでございます。
  320. 刈田貞子

    刈田貞子君 わかりました。  その次は、この需給の関係の中で、この前、決算委員会でも私はお尋ねした早食いの問題があるわけですが、早食いをするということは早場米を早く集荷しなければならないわけで、先ほど同僚議員の中からも、早場米がどのくらい集められるのかというお話が出たわけです。その数量を伺うについて、昨年どのくらい集められたのかという実績を、私ちょっと通告しておかなかったので数字があるかどうかわかりませんけれども、伺いたい。昨年どのくらい集められたのか、その実績でことしどうかということですが、それを大変恐縮ですが細かく伺いたい。八月末で昨年どのくらいの集荷量を得たか。九月上旬でどのくらいの集荷量が得られたか。九月中旬でどのくらい得られたか。出ますでしょうか。
  321. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 御質問の点につきまして申し上げます。  一応月ごとの末の数量は把握しておるわけでございます。五十八年産米につきましては、八月末におきまして八万トンでございます。九月末におきまして百七万トンでございます。十月末におきまして三百九十八万トンでございます。これらの数字につきましては作況指数と年によって相当変動があるわけでございますけれども、これらの月末の出回り量とこういったものに大きな変動はございません。  それで、九月末等でちなみに申し上げますれば、五十五年の作況指数八七といった、これは不作の年でございますが、九年末におきまして九十七万トンという数字でございますし、次の五十六年におきましては作況指数九六でございますが、そのときにおきましても九月末の出回り量は九十六万トンでございます。以下五十七年が百七万トン、五十八年が先ほど申し上げました百七万トンといった実績になっておりまして、作柄と極端なつながりなしにおおむね九月末には百万トン前後のものが集荷されるのではないか、このように私たち見込んでおる次第でございます。
  322. 刈田貞子

    刈田貞子君 そうしますと、昨年の早食いの実績は六五ですね。そうしてさっきの主食のマイナス分が二〇あって、これを足すと八五で、要するに、この厳しい端境期を何とかなるというふうにお思いですか。
  323. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) この端境期の問題でございますが、全体の数量といたしましては供給需要に見合っておるというふうなことでもございますし、今先生の御指摘早食い量といいますか、早場米への依存といいますものは、秋にだんだんと早場米の出回り量が多くなっているというような傾向もございまして、平均的には五、六十万トン程度早場米で十月末までに消費されているわけでございます。今年におきましても先ほど申し上げましたような早場米の出回り量は想定されるわけでございまして、こうした早場米供給をも活用しながら需給消費者に不安を与えないような対応をとるべく万全の措置を講じてまいりたい、このように考えております。
  324. 刈田貞子

    刈田貞子君 ちまたで、特に消費地の人たちも大変心配でいろいろ勉強しているようでございまして、その方たちから八月の第四週と九月の第一週が心配でございますが大丈夫でございましょうか、こういう手紙をもらっていますが、いかがでしょうか。
  325. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 先ほど御説明さしていただきましたような早場米の活用も考えながら支障なく需給操作をやりまして、御迷惑をかけないようにしていきたいと思っております。
  326. 刈田貞子

    刈田貞子君 需給関係についてはぜひ厳しくやっていっていただかなければ大変なことになるのではないかというふうに思います。  それで、あわせて六十米穀年度需給見通しとそれから計画でしょうか、ちょっと御説明いただけますか。
  327. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 六十米穀年度の一応基本計画上の数字を申し上げさしていただきたいと思います。  五十九年の十月末の持ち越し量を前年産米で十万トンと見ておりますし、六十米穀年度におきましては五十九年産米生産量を千九十万トンというふうに考えておりまして、供給量全体では千百万トンでございます。それで需要量といたしまして千四十五万トンの需要量を見込んでおりますので、六十年の十月末の前年産米在庫量は五十五万トンになる。こういう一応計画に相なっておるわけでございます。
  328. 刈田貞子

    刈田貞子君 ここら辺が一番心配なのですが、相なっております、というふうにおっしゃられますので、さようにいたしておきたいと思います。  それで、ちまたの実情についてちょっとお伺いをいたします。  三月一日に五%削減をお出しになってから以降やはり市場は大変詰まっているような感じがありまして、それにあおられて、小売店からのいろいろな口コミもあると見えて、消費者も大変不安をあおられているというような感じがあります。この五%削減がどういう意味を持ったのか、私は大変気になるところでございますけれども、卸にしても小売にいたしましても今手持ちが大変厳しくなっていることは確かのようで、私もあちこち潜りまして聞いてきた限りではその実情のようでございます。そしてそういうところを縫って、先ほど同僚委員の中からもいろいろ出ていましたけれども、いろいろな商売が出ているわけです。  商売の問題は別として、いわゆる特定米の問題ですけれども、くず米、規格外米、これなのですが、これも今後いろいろな功を奏するものになるのではないかというふうにも私は思うわけです。先ほど韓国米を輸入するかしないかの検討をしたときに、この特定米穀についてもこれで切り抜けられるかどうかを検討なさったというふうに伺いましたので、この特定米の流通状況についてお伺いしたいと思います。
  329. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 特定米の流通状況でございますが、特定米穀という規定になりまして、従来くず米というふうな概念だったわけでございますが、改正食管法におきまして特定米穀というふうな位値づけがなされたわけでございます。この数字につきましては、なおまた日が浅いわけでございまして、五十七年産米につきまして約三十万トン、五十八年産米につきましては三十四万トン、これは五十九年の三月末の数字でございますけれど、この程度の検査数量がありますので、こうしたものが流通に乗っかっておるのではなかろうか。より細かいところは把握されていないような実態でございますが、こうしたものが特定米穀としては流通しているというふうに私たちは見ております。
  330. 刈田貞子

    刈田貞子君 いわゆる俗称くず米というのは、主食に向けられてよろしいものなのですか。主食に使っていいものなのですか。
  331. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 特定米穀の中身でございますが、非常に漠としてといいますか、品質のぶれが、非常に悪いものから主食に回るような粗も含まれておる、そういったものもあるわけでございます。加工業者等におきまして何回もふるい等にかけまして主食に回せるものだけを選別いたしまして、それを特定の用途に使うというものもございますし、みその原料になるものもございますし、またせんべい、それからビール等の原料の砕米部分に充当されるもの、品質が非常に幅の広い品質のもので、用途の範囲が非常に広いわけでございます。
  332. 刈田貞子

    刈田貞子君 一般家庭に売り渡されるところの普通米の中に混ぜてもよろしいのですか。
  333. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 今御質問の点でございますが、一般用には普通使われていないわけでございます。特定されまして、そういった立派なものが選別されまして出てまいりますれば、それは食糧事務所長の検査等を受けまして許可をもらって一般用にも充当し得る部分はございますけれども、そういったものは数としては非常に少ないというふうに私たち理解しております。
  334. 刈田貞子

    刈田貞子君 五%とか三%とかという削減なさった分だけお米屋さんの店頭に行くと、混じっているのです。きょう消費者団体のお米に関する調査が届いて、出回っているのですよ、どうしますか。
  335. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 今の御質問の点でございますが、特定米穀の中で品質の非常にいいもので、選別されたものにつきましては業務用等に混米されておるということは聞いておりますが、一般の主食用では、特別の分類でもしなければ余り売られていないのではないか、このように思いますが。
  336. 刈田貞子

    刈田貞子君 先ほど同僚委員が申し上げましたように、余り市場の実情を御存じないようでございますので、このお米のことだけについても話しますと二時間ぐらいかかります。それでこれはやめます。  それであと、今食糧庁があるいは農水省と申し上げればよろしいのか、農家の自家米といいますか、保有米といいますか、これの吐き出しを一生懸命お願いしておるというようなことを聞いておるわけでございますが、推定したところ農家というのはどのような保有米をどのぐらい持っておられるのでしょうか、お伺いをいたします。
  337. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 農家保有米というものを推定するのは非常に難しいのでございますが、全体の生産量が千三十七万トンという数字が五十八年産米でございますればあるわけでございまして、それから流通に回っておりますものが集荷されたものでございます。それを差し引きますと、今年集荷された現段階におきまして六百九十六万トンという数字でございまして、その差額部分が一応計算上は農家消費等というふうなことに相なるわけでございまして、一部は縁故米でございます。縁故米として都会におる子弟等に送られるもの等も含められておるわけでございまして、残量部分について申し上げれば、最近におきましては四年続きの不作ということもございまして、大体三百二、三十万トンから三百万トンぐらいのところを推移しておるのが傾向として言える数字じゃなかろうかと思います。
  338. 刈田貞子

    刈田貞子君 それから、これは全部ちまたの話の集約をいたしておりますので、お米屋さん自身にはお米が比較的ないのだという話を持っていながら、いわゆるやみ米業者というのでしょうか、日曜日ごとに三トントラックでしょうか、引っ張って、そして団地の中に売りに来る、大変に安売りをしますということが出ております。そして消費者団体の調査の中でも、あなたの近辺で安売りをしておるか、それからあなたは安売りの米を買いますかというのに対して、かなりの人が安売りの米をやはり買うということを答えております。そういう実情があることを訴えております。一方ではお米がないというふうに言っておりながら、その仕組みのよくわからない人たちは、あのお米は何米ですかと、このように聞かれるようなものが出回っているようでございますけれども、こうした実情をどのように把握しておられますか。
  339. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 今御指摘の、米の品質なり安売りされておる米があるということでございますが、私どもとしましても従来からそうしたものの実情の把握、それからそうしたものの米の品質等もチェックして見ておるわけでございますが、先生先ほど御指摘の、特定米穀等の相当品質の悪いもの等も入っておるようなものも見かけましたし、一律にこんなものというふうには申し上げかねるのでございますが、相当の幅の品質のものが供給されておるという実態ではなかろうかと思うわけでございます。過度の過当競争といいますか、廉売というものもいかがなものかというふうにも考えますし、やはり適正な価格で安定的に供給する、されるようなことを今後私たちとしては進めていかなきゃならないのじゃないか、こう考えておるわけでございます。
  340. 刈田貞子

    刈田貞子君 そのやみ米業者というようなものについては厳しく取り締まりをしていただかないと大変に不公平なことにも相なりますし、それから、事お米の問題でございますので、やはり社会的問題じゃなかろうかというふうに私は思うので、こういうのはしっかりと監視、管理をしていっていただきたいというのが要望でございます。  そしてもう一つは、同じ安売りでも、スーパー等のいわゆる大型小売店等で売る安売りの米については六九・一%の人が利用しているということ、そしてその値引きの例は大体一般米穀店で買うものよりも九百円の差額があるというのが出ておりますけれども、こういう問題はどのように考えたらよろしいでしょうか。
  341. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) スーパー等で大量に販売される場合のコストの低減部分というのは確かにあろうかと思うのでございますが、そうしたものの内容が品質との関連でどの程度の安さであろうかという点は、やはり品質等をつぶさに見た上で評価されなければならないのじゃなかろうか。ただ値段だけで一キロなり五キロなりが幾らと言ったところで、非常に安いとかどうかということは規定できないのではなかろうかとも思うわけでございます。
  342. 刈田貞子

    刈田貞子君 品質とおっしゃいますけれども、きのう聞いてきたばかりですけれども、コシヒカリなのです。そして本来五千七百円のところが九百円の差だから四千八百円なのです。それで、うそでしょうと言ったら、そうなのですと。大変おいしいので、売る日が決まっているけれども常用して買っている、このチェーン店では全部どこの店でも一斉にこの日にこれをやっておりますというような話であるのです。
  343. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) ちょっと中身がどの程度のものであるかという点がはっきりいたしませんので、品質等名実ともにそういった安さのものであるかどうか、今直ちにここでコメントすることが困難ではなかろうかと思うわけでございます。
  344. 刈田貞子

    刈田貞子君 ただ、非常に今市場が混乱しているということだけは確かであろうと思いますので、そういう現状をしっかりと把握をしていただきたいというふうに希望をいたします。  それから、先ほどの韓国産米のことでございますけれども、これも団体代表の方たちから、またやはり同僚議員の中からも出ましたように、韓国産米を輸入するということは我々も本意ではない。なぜなれば、せめて米だけは自給一〇〇%を誇りにしていきたいのだということで、消費地の人たちからもこういう声が出ているわけでございますので、ぜひこの点を肝に銘じておいていただきたいと思うわけです。したがって、韓国産米輸入については大変反対である。しかしながら、既に契約も成立していることであろうしということが前提になりまして、この韓国産米の安全性を非常に心配し危惧するものでありますが、この点細かい御配慮をいただきたいという声が届いております。  それから、約束事の中に、貸与したときの同質米ということがうたわれておりますけれども、この同質米なるものの概念はどういうものなのですかという質問が私のところに届いておりますので、この点についても御説明をお願いいたします。
  345. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 今御指摘の安全性につきましては、現在いかにしてそれを確保するかということで交渉しておるところでございますが、この点には十分留意いたしまして、安全なものを返還していただくということで対応さしていただきたいと思います。  なお、同質の問題でございますが、現在韓国にあります現物を見まして、それがどのようなものであるか、また用途としてどういうふうなものに向けられるものであるか、こういった点も今後検討しながら最終的には向こうの品質等についても決定していかなければならない、今後の交渉を待ってその辺も決着をつけていこうと考えておる次第でございます。
  346. 刈田貞子

    刈田貞子君 時間もだんだんなくなくってきたので、飛び飛びの質問をさしていただくことになりますが、私が調べさしていただいた五十九年度の予算の中で、米消費拡大事業というのがあるわけです。米不足がこれだけ論議されている中で、米消費拡大運動というのはどうもなじまない言葉になってまいりましたが、二百六十五億という予算がついておりまして、この中の大部分は学校給食の予算になるわけですけれども、二百四十一億でしょうか、学校給食分が。これはまさか米が不足だからといって、消費拡大運動の中でこの学校給食米の問題をないがしろに扱うということはございませんでしょうね。
  347. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 米の消費拡大対策につきましては、やはり長期的な観点から行わなければならないというふうに考えておりますし、現在の需給事情等から見て、今はやめて、また余ったら消費拡大すればいいといった問題ではなくて、特に今先生指摘の学校給食等につきましては、学童等の消費する現在の数量はそう大した問題じゃございませんが、そうした方々が成長した晩における消費量というものを考えますと、やはり重要な米消費拡大対策の対象ではなかろうかというふうにも考えられます。私どもとしましては、やはりまだ給食回数等をふやしていこうという計画にもなっておりますので、臨時行政調査会等の間では、父兄負担に乗りかえたらどうかというふうな御意見等もあるわけでございますが、五十九年度予算編成におきましても、六割助成といった線は存続きしていただいておるような次第でございます。
  348. 刈田貞子

    刈田貞子君 あと、この消費拡大事業の中にいろいろ普及啓発に使う費用がたくさんついているわけです。私もお米がないないと言いながら一生懸命食え食えの普及啓発をするのはどんなものかなと、一生懸命その啓発普及の費用を考えましたのでございますけれども、ひとつその費用を、今、米の需給関係がこんな事情になっているというような情報を国民に知らせる手だてに使っていただけるものかどうか、ちょっとお伺いします。
  349. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 消費拡大の中におきまして、正しい知識の普及とか啓発、また、地域におきます消費拡大の拡大対策とかございまして、地域ぐるみでいろいろと計画をつくり、情報交換なり正しい知識の普及ということもやっておりますので、現在の需給ポジション等につきましても理解を深めるということをやっていきたいと考えております。
  350. 刈田貞子

    刈田貞子君 ぜひそういう形で正しい情報を教えていただきたいと思います。  それから、今後の日本のお米の問題の長期展望について、消費地の代表といたしまして大変いろいろ危惧を持っているわけですけれども、先回決算委員会でこれも質問さしていただいたときに、新しい一つ計画として、発想でしょうか、新稲作連動が大臣から打ち出されたわけでございまして、この新稲作運動が発足してどんな状況が今生まれつつあるのか、御説明をいただきたいと思います。
  351. 小島和義

    政府委員(小島和義君) 新稲作運動は、四年連続不作という事態を踏まえまして、その主な要因は気象的な原因でございますけれども、やはり栽培管理の粗放化でありますとか、あるいは稲作意欲の低下という問題があるのではないかということから、山村大臣の御指摘もございまして、本年からたくましい稲づくりを目指した運動を進めるということにいたしたわけでございます。  具体的な動きといたしましては、本年一月から動きを開始したわけでございますが、現在まで四十五県がこれに参加をするということで、地域の実情に即しましていろいろ創意工夫を凝らしながら運動を展開しておるわけでございます。  運動の名称あるいはスローガン等を見ますと、総じて新稲作運動の趣旨に即しまして、特に東日本におきましては作柄安定への取り組みということが中心になっています。また、土づくりの問題も各県押しなべて取り上げられているわけでございます。また、西日本になりますと、良質米の生産ということも項目として取り上げられておりますし、かなりな県におきまして稲作のコスト低下ということも一つの目標にしておるわけでございます。  重点的な技術指導事項といたしましては、健苗の育成、土壌、施肥の改善、水管理、病害虫防除の徹底といった基本技術の励行を重点課題といたしております。  また、運動の方法といたしましては、各種の連絡会議、検討会議の開催を初め、最も農業者に身近な運動とするためにマスメディアの利用、それから展示圃設置あるいは共励会の実施といった手段も各県でとられておるわけでございます。  以上申し上げましたように、この一月から全国的な運動として始めたわけでございますが、運動の内容につきましては相当に浸透してきておるということでございます。稲作は何と申しましてもこれからが勝負でございますから、今後の気象の変化にも十分注意を払いながらさらに指導を強化してまいりたい、かように考えております。
  352. 刈田貞子

    刈田貞子君 私は、稲作というものは、先ほど同僚議員からもお話がありましたように、今生産者が生産意欲をなくしているというふうな話が出ておりましたが、私もそのように思います。  それで、やはり生産者の生産意欲をどのようにつくっていくか、これが大変大事な事柄ではなかろうかというふうに思うわけですけれども、強い稲、苗あるいはまた多収穫の苗、このようなものを生産者自身がつくり出していくこと、あるいは発明していくというのでしょうか、こういうふうな事柄がどんどんなされていっていわゆる新稲作運動が充実していくのじゃないかというふうに思うのです。  そこで、先回、農水の一般の部で私ちょっとお話しいたしました例の種苗法の問題を再度確認をさしていただくわけなのですけれども、一人の生産者がすばらしい笛を発明したということについて、今生産者はその新品種に対して自分たちへの保証がないのだというふうな話があるのですけれども、これはどういうふうに考えたらよろしいのか。  それともう一つは、いわゆる苗の自家栽培ということをしている農家は今どのぐらいあるのか、その問題を伺わしてください。
  353. 小島和義

    政府委員(小島和義君) まず、新品種の育成の問題でございますが、新しい品種をつくりました者がすべて種苗法に基づいて登録を受けるとは限らぬわけでございますが、権利としては出願の機会があるわけでございます。種苗法五十三年の施行以来にこれまで出願ございましたものが稲の場合五十七件ございまして、うち二十九件はすでに登録をとっております。それから、そのうち個人で育成いたしましたものが出願十件ございまして、既登録のものは四件に相なっております。  問題は、その種苗法の保護がどこまで及ぶかということでございまして、これは国際的な条約がございまして、植物についての品種保護は農業者の自家採種及びその品種を利用しての新しい品種の改良には及ばないというのが世界の原則でございます。これは非常に権利の保護としては弱いのではないかという問題もあるわけでございますが、同時に植物の特性といたしまして、自家増殖できるわけでございますから、それにすべて権利が及ぶということになりますと農業の実態から見ると非常に問題がある。権利者の保護という点から見れば大変手厚いのでございますが、農業の側から言うと反面問題がある。そこで、権利の及びます範囲は種として販売をする者にしか及ばない、これが種苗法の原則でございます。  最近は、稲作の場合においても種の更新というものが非常に高まってきておりまして、従来ですとほとんどのものは自家採種ということでございましたが、最近、正確な数字は覚えておりませんが、たしか三分の一程度のものは、更新している、種として新しく買うということになっておりますから、そういう意味では種として販売をする者にその育成者の権利が及ぶということでも権利保護としては相当なものである、こういう理解でございますから、そのことがネックになって育種の促進が行われないというふうな実態にはなっていない、かように考えております。
  354. 刈田貞子

    刈田貞子君 いずれにいたしましても、生産者の人たちの意欲を何とか盛り立てて差し上げたいというのが私の願いで、そんな問題もあわせて考えてみたわけでございますが、先日、宮崎の田舎の人から百年ヒエという話を聞かされました。    〔委員長退席、理事北修二君着席〕日本人の穀物に関する感覚というものは百年を単位に物を考えているのだということを私は改めて知ったわけでございますけれども、百年前のヒエを天井裏に保存しておいて万が一のときのために備えているという、この私たちの先輩の生きざまは見事なものだなということを私は感じたわけで、単年度需給とか、二、三カ月備蓄しておけばいいような物の考え方はかつてしていなかったように思うわけでございます。先ほども申しました種の問題といい、この備蓄の感覚といい、私は、今私どもが日本の農政というものを考えるについて一つのテーマとしてお互いに考えていかなければならない課題ではなかろうかということを感じております。ありがとうございました。  以上です。
  355. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 午前中からいろいろ質疑がございましたが、このたび集中的にお米のことについて今議論になっているわけでありますが、これは食管法から言いましても、また国を守るという食糧安全保障ということの上から言いましても非常に重要な意味を持つということでございますから、これはきょう一日の質疑応答で簡単に終わるということではないだろうと思います。  実は去年の春から、どうも減反が厳し過ぎるということで、米不足ということがいろいろ議論になっておりました。当委員会でも同僚委員から何度かありましたし、また本年に入りましてからいよいよ切迫した状況の中でこの問題の提起がございました。しかし、そういう一年有余にわたります推移の中で大変に問題だということで提起になっておりましたが、そういう中にありましても、それぞれ大臣、また関係の局長さん方、担当の方方は胸をたたいて、今心配はない、需給については任しておけということであったのであります。私どもが全国の何千という倉庫を調べて歩くわけにもいきませんし、実際は皆さん方のそういう統計——農林統計は世界に冠たる統計だそうでございますけれども、そういうものを信頼する以外にないということで来たわけでございます。  先ほど刈田さんからもお話ございました現場の消費者のいろいろな立場の方々の声や、また農村におきます方々の声やそういうものを見るにつけ聞くにつけまして、どうもこれは非常におかしいぞということが私どもの胸の中にどうしても去らなかったのです。そういうことで当委員会におきましていろいろ議論になったわけでありますが、しかし胸をたたいて、我々を、食糧庁を信じてくださいということであります。信ずるのはいいのですが、相手を誤るとこれはえらいことになるのです。今日とうとうこういう事態に至ったわけです。これは単に食糧庁の問題ということより、全国民に不安を与えたということで政治問題として非常に重要な意味を持つ、こういうことから、何度も大臣にこういう責任をどう感じておるのかということでお話があったのです。私はやはり同じように、まず冒頭に、大臣は神妙な顔をして言っておりましたけれども、どこまでこの問題について真剣に受けとめておるのか、この責任問題について大臣にお聞きをしておきたいと思うのであります。
  356. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 米の需給に不安はないと繰り返し申してきたところでございますが、これにつきましては、五十九米穀年度における主食等の供給としては、五十八年度産米千三十七万トンのほかに五十七年度産米十万トンの持ち越しがありまして、需要は約千五十万トンと、これに大体見合ったところの供給が確保されておると考えておりました。ゆとりがある状況とは言えませんけれども、端境期における早期出荷を初めとして、きめ細かな需給売却操作等によりまして万全を期してまいる考えでございます。  なお、今回の韓国からの貸付米の返還につきましては、国民の皆さんに対し、その用途に応じまして安定的に米穀を供給するという重要な責務を果たし、食管制度を堅持するために真にやむを得ない措置であったと決断したものでございまして、御理解いただきたいと思います。
  357. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 これは、消費者もそれから生産者も、ともに一億の国民ひとしく大変な予想もしなかったといいますか、今まで危ないぞという気持ちでおりながらとうとうやっぱりやったのかという、こういうことです。来るものが来たぞということですから、その責任は非常に重大だということを大臣がどのように認識していらっしゃるのか。これから頑張りますとかなんかということはわかりますけれども、当然これは頑張ってもらわなければいけません。その責任をどう受けとめていらっしゃるのかという、その心境をお述べいただきたいと思うのです。
  358. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 今回の米の需給につきましていろいろ関係各界国民の皆さんに多大の不安と混乱をもたらしましたことはまことに遺憾でございまして、この問題につきましては最終的には私の責任で処理してまいりたいというぐあいに考えております。
  359. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 去年からこの議論がなされてきましてここに至ったということであります。しかし、その経緯を見ますと、大臣需給計画ができたり予算が編成になったりしたその後に大臣になったわけですから、これはおれには直接関係していることではないという、そういうことではなくて、非常に真摯に受けとめていらっしゃる、その気持ちは私どもも十分に酌み取れるということでありますが、これは、ないそでは振れぬということで、どんなに私の責任で頑張りますと言いましても、きちっとした需給計画というものが国民の前に公表になり、またしょっちゅうそれが変わるようなことがあったのでは、これはますます不安を起こす。正直に物事は言っていただきませんと。  確かに一人当たりの消費量が減少傾向にあることも事実でありますし、また米の十アール当たりの収量のふえ方というものも確かに技術の進歩によってありますけれども、やはり何といいましても、三年、四年の気象状況を見ますとだれもが不安を抱かずにはおれなかった状況というものは確かにあったわけであります。  こういうことから、大臣も減反政策については作況指数を見て見直すのだというお話ではありますが、私どもは農家の方々や消費者の方々とお話をいたしますと、これはどうも余りにも厳し過ぎた減反の反動がこういうふうになったのではないか、気候を相手にするとはいいながら、農業というものは非常に難しい、そういう難しい産業でありながら、そういうものに対する過信といいますか、おごりといいますか、そういうものが今日このような結果を招いたのではないかということも言われているわけであります。これはぜひひとつ、三期計画につきましてはいろいろな諸条件があろうかと思いますけれども、見直していただいて、少なくとも国民の安定的な食糧、そうしてまた安全な食糧というものの確保のために、農水省が全力を尽くしてもらいたいと思うのです。いかがでしょう。
  360. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 水田利用再編第三期対策でございますが、米はやはり過剰基調にあることは間違いございません。しかし、この第三期対策におきまして、本年度作況を見た上でこれを弾力的に運用するというぐあいに考えます。
  361. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 それから、大臣も直接農業に携わったことがあるかどうかよくわかりませんけれども、先ほど同僚の刈田委員からもいろいろなお話がございました。答弁答弁として、また、需給計画等いろいろな数字というものもきちっとしなければならないのは当然でありますけれども、それは、数字合わせみたいな話はポンポン出てくるんですけれども、その話を伺っておりまして、どうもそこに真実味といいますか、血の通ったものが何か響いてこないのです。男山新といって、本当に十数年前には大変な命を張ってなさったわけですけれども、これは一億国民の米を、主食をどうするかということでありますから本当に命を張ってもらわなければなりませんし、そのためには農業団体の方々とかまたは消費者の方々とかと忌憚なく意見を交換し、そうしてまた現場というものを数多く場数を踏んで、本当に現実というものを見ていただかなければならぬと私は思うのです。  大臣も暇なときはないのかもしれません。非常に忙しいスケジュールかもしれませんが、その中で、ぜひひとつ農業団体の方々とお会いをする。そうしてまた、各地のいろいろな状況についても、いいところは御案内するかもしれませんが、いいところも、また大変な御苦労なさっておるところも見る。今日まで農業団体のトップの方々とは、陳情とかいろいろな要請なんかでいらっしゃったときお会いになったのかもしれませんが、やはり最前線で御苦労なさっているそういう方々とぜひひざを交えてお話しする。本当に山村大臣ならほかの方々と違って忌憚なくそういうことはしていただけるのじゃないかと私は思うのです。  それから、消費者のことについても今いろいろ刈田さんからお話がございましたが、現実は皆さん方が机の上で数字をはじいているのとは違って、想像できないいろいろな問題が出ている。食管法というこんな法律があって、また五十六年ですか、改正をして現実的なものにしていこうということでありますけれども、それすらも守られていないというような御指摘も先ほどございました。こういうことで大臣、食糧、主食、お米の安定供給のための大事な施策を立てる大事なときであります。ぜひ先頭に立って、各地の現状やいろいろな方々との対話、もっとこれは大変なのだ、何とかこうしようとか、こういうことは大丈夫だぞとか、みずから現場を踏んで確信を持って言えるように、何か後ろから来たのを読んでいただくというのではなくて、自分が身をもって何か我々にぴんと感ずるようなこういう大臣であっていただきたいと私は心から思うのですけれども、どうでしょう。
  362. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 安定供給に関しましては農林水産省の最大の責務でもございますので、先頭に立ってやってまいります。
  363. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 今まで農業団体とか消費者団体とかいろいろな要請とか陳情とかあったと思いますが、大臣はどういう方々と直接お会いになってお話しなさったか、お伺いしておきたいと思います。
  364. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 全農の岩持さんを初めとする団体代表の方、それからあのときは北海道の農民連盟の方々、全日農の皆さん、それと一番身近では私の地元でございます佐原の農業協同組合長、これらの皆さんとお会いしました。
  365. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 謙虚な方だから、もっとたくさん会ったのだけれども、ほんの五本の指で余るぐらいのお名前を並べられたのかもしれませんが、北から南から、また山間部から、地域性とか現状いろいろな実態がございますので、ぜひひとつもっとお話し合いをしていただいて、そういう体験の中からにじみ出るいろいろなお話、そういうことで現実的な問題を踏まえて今後のかじ取りをやっていただきたいものだと思うのです。  前置きが長くなりましたが、きょうは麦価の審議会をなさっているわけであります。私どもは詳しいことはまだ承っておりませんけれども、きょうの諮問については据え置きといいますか、こういうことだろうと思うのです。  今いろいろ審議なさっていらっしゃる過程でありますが、農水省として、農民の方々が三年にわたります据え置きに対して何とか上げていただきたい、こういう強い強い要望があったことはよく御存じだと思います。それからここ数年、特にことしの秋まきの麦につきましては、異常気象のために大変地域によりますとおくれておったり、また病害でやられておったりということで大変な苦労をしているようであります。また、土壌の問題とかいろいろな問題の中で、転作奨励の中の大事な作目だということでこれは努力していらっしゃる。皆さん方もそういう実態については十分に御存じの上で、現在の経済情勢とかいろいろなものを勘案して諮問をなさったのだと思いますが、きょうの諮問に当たりまして、この麦価について一番考慮をし配慮をし努力をし、そして検討してきたところについてお伺いをしておきたいと思います。
  366. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 五十九年産麦の政府買い入れ価格の算定につきましては、本日米価審議会の方に諮問案を提出さしていただいておるわけでございますが、その諮問案の中身といたしましては、麦価の構成要素といたしましてパリティ価格部分とそれから麦の生産振興のための調整額、こういった二つの部分に分かれておりまして、パリティ価格の上昇率につきましては対前年〇・七七%程度の上昇でございまして、それを反映さしていただきましてもごくわずかな値上がりというふうなことに相なるわけでございます。  なお、麦の生産振興のための調整額は、過去におきましてパリティ価格以外の生産振興奨励金部分を価格の中に織り込んだものでございまして、この部分につきましては麦の生産性の向上を反映させるということが従来から行われておるような次第でございまして、今年も反収の増、それから労働時間の節約部分、こうしたものを織り込ましていただいた次第でございます。そういたしますと、麦の生産振興のための調整額につきましては多少昨年よりは額が減額されるということに相なるわけでございまして、その部分が六十キログラム当たりで六十一円にもなるということでございますので、こうした部門につきましては麦作農家の生産振興に配慮いたしまして前年の価格と同額にする、こういった再度補正を行わしていただきまして、最終的には昨年と同額の、小麦でございますれば一等六十キログラムにつきまして一万一千九十二円という価格にさしていただきまして、本日諮問さしていただいているような次第でございます。
  367. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 これは試算の一つの計数、こういうことについてはまた後日聞きたいと思いますからあれですが、    〔理事北修二君退席、委員長着席〕米価もまた近くあるだろうと思いますので、それらのときに詳細のことについては聞きたいと思います。  いずれにしましても、計数で計算すると本当は六十何円低いのだということのようですが、それを何とか現状にとどめたのだという言い方をしておるのです。何も米価にしましても麦価にしましてもウナギ登りに上がればいいということを私どもは言っているのでは決してありませんが、今一番言われていることは、やはり生産意欲の持てる、再生産のできる価格ということが一番問題になっているわけです。今まで麦については特にいろいろな品質奨励金、こういうことでありましたけれども、品種改良にいたしましてもまた技術的なことにしましても、しばらくの間奏などというのはほとんどつくっておりませんで、最近だんだんだんだん奨励されてつくるようになってきた。技術的な面についても確かに米なんかよりもさらにつくるのも非常に難しい面があるだろうと思いますが、こういうことでせっかく転作をし、そしてその方向で進もうという方々の意欲をそぐことのないような手だてというものもぜひ考えていかなければ、米もだめ、麦もだめ、そういうことですと、農民は一体どちらの方に行くのかということです。  私どもは、価格面が非常に重要なウエートを占めるのですけれども、農民の意欲を創出させるということは何にもかえがたいこれは重要な問題で、そういう地域のいろいろな現状等がございます。それらのことを勘案をしまして、今後、審議会で審議をなさった後、またいろいろ御検討なさるのだろうと思いますけれども、ぜひひとつ現実を踏まえた上に立ちまして、この価格の決定についてはお決めいただきたいものだと要望しておきます。  前に戻りますが、米不足ということで今騒がれておるのは、皆さんからするとそれは飯米じゃない、加工用の米だということでありますけれども、そのことについてはこれからいろいろお話ししますが、その前に、厚生省に来ていただいておりますので、そちらの方のことについてお伺いをしておきます。  さっきも同僚委員からいろいろお話がございましたが、今までお米の薫蒸ということについて、主食でもありますし、日本の国でこれだけ多くの一千万トンを超す米が消費されるわけであります。特に四十年代から五十年代、米が過剰ということで古米とか超古米というようなことが言われ、そういうことがありましたけれども、こういう薫蒸そのものについては食品衛生法の中でこれを検査をするとかなんかということは該当にならなかったわけですか。どうなのでしょう。
  368. 市川和孝

    説明員(市川和孝君) お答え申し上げます。  従来から確かに穀類の薫蒸というものが行われてきたわけでございますが、私ども食品衛生法のもとでは、小麦につきまして過去にこの臭素についての基準が定められてございます。小麦につきましては、その多くが輸入されているということがございまして、輸出国におきます薫蒸の状況というものも把握しにくいというようなことから残留基準が設けられてきたわけでございますが、米につきましては、私ども従来から食糧庁におきまして適正な管理が行われておるというふうに考えてまいったものですから、基準が設けられなかったということでございます。
  369. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 それは現在のように、古米がなくなってほとんど単年度バランスでやっておるようなときならばいいのですが、四十年代の初め、四十三、四年ごろからだんだん米がたくさん余り出した。何年も倉庫に置かなきゃならないというようなことになりますと、これは国内のものといいながら何度か薫蒸するということになりますと、特に今問題になっているのは五十三年米ですね、もう五年たっておるわけです。こういうものについては、やはり検査した方がいいのじゃないかというふうなことは部内ではいろいろ検討にはならなかったのでしょうか。どうなのですか、その辺の経緯は。
  370. 市川和孝

    説明員(市川和孝君) 今回の五十三年産米の件につきましては、私どもも大変反省をしているわけでございますが、今回私ども直接の担当をしている者といたしましては、この問題が去る三月に国会で御指摘を受けるまで、こういうものが使われているということについては実は承知をしておりませんでございました。当然もっと以前の時代においても、そういうことがあったとすればその時点で十分な対応をしておくべきではなかったかというふうに反省しておるところでございます。
  371. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 こういうことはやってみなきゃわからぬことなのでしょうが、過去のことをいたずらにやり過ごしてもあれですけれども、やはりこういう実態が出たわけですから、今後のものにつきましては部内でもいろいろ御検討なさっていらっしゃるのだろうと思います。今五〇ppm以上というのは、これは国際規格に準じて暫定的ということですね。暫定ということは今回に限るのか、今後もそういう形でいくのか、これはもっときちっとした固定的なものに何らかのものをきめるのか。米は東南アジアとか限られたところのことですから、国際規格ということになりますと、これは世界で広く用いられるものでありませんから、そういうことからいうと、日本は日本独自でいろいろな検査をなさってきちっとお決めになるということでなきゃならないだろうと思うのですけれども、これらのことについては部内ではどのような御検討をなさっていらっしゃるのでしょう。
  372. 市川和孝

    説明員(市川和孝君) 今回は、これは緊急に一つの基準をつくる必要があるということから暫定的な基準としたわけでございますが、いずれこれにつきましては正式な基準とするということで内部では考えております。
  373. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 食糧庁につきましても、これは食糧庁だけでできることじゃない、厚生省と連絡を取り合ってということなのでしょうけれども、ここ一、二年の間につきまして、またその前についても、消費者の方々は安定的供給と最近は安全ということに非常に注目をしております。そういうことからこういう声はあったわけですけれども、今年に入りましてからにわかに衆議院、参議院それぞれで声が大きくなってからようやく腰を上げるということで、それまではそういうことは余り念頭にない、そんなことがあるわけはないというようなことでどうも来たみたいにしか我々は思えないのです。今までも厚生省と話し合うとか何かそういうことはあったのですか、それとももう大丈夫なのだということで今日まで来たのですか、この辺どうでしょう。
  374. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 米の薫蒸に関する残留性につきましては、私どもといたしまして安全であるというふうな認識のもとに、この問題に関しまして従来から厚生省にいろいろと御相談申し上げたということはないわけでございます。したがいまして、今後こうした薫蒸に関する残留性の問題なり、また他の米麦に関する安全性の問題等につきましては、より一層緊密な連携のもとに安全なものを安定的に供給していくということに留意してまいりたいと考えております。
  375. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 検査をする基準といいますか、今年とれた米をすぐ検査する必要はないのだろうと思うのですけれども、薫蒸を何回以上したらどうするとか、どういう検体についてはどうするのかという、そういうことについてもっと詳細に御検討いただかなければ同じ轍を踏むことになるのではないでしょうか。そういうことから、また今回こういうことを契機にしまして、消費者が神経質になっております安全ということに対して、食糧庁国民主食ということですから、もっと真剣にこの問題について御検討いただかなきゃならぬ。今厚生省でも、暫定基準じゃなくてきちっとしたものをつくらなきゃならぬということを部内では御検討なさっているようであります。そういうものも受けて早くにしなきゃならぬと思うのですけれども、今食糧庁としてお考えになっていることについてお伺いしておきたいと思うのですが。
  376. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 具体的問題といたしましては、従来薫蒸というふうなものにつきまして、残留ということに不注意であったということも認識いたしまして、今後の保管管理におきましては、極力残留というふうなものが少なくなるように、低温倉庫に保管するなり、また薫蒸をできるだけ少なくするというふうな保管管理体制につきまして、今後改善できるところは積極的に改善してまいりたい、このように考えております。
  377. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 この問題については以上でございますので、厚生省の方、結構です。  あと、需給バランスのことについても、これは随分今まで議論になっておりますからあれですけれども、一つは、南北に長い日本の国で供給地と消費地を結ぶということはこれは大変な日数と労力とお金のかかることだろうと思うのです。でありますから、私どもは去年からお話を聞いておりまして、需給計画で十万トンあるから大丈夫なのだとか何か言っておりますけれども、長い輸送経路の中で、また卸から小売倉庫から卸業者、こういう経路を考えますと、ぎりぎりの計画というのはいかがなものかと、これはもう前からそういう気持ちでおりましたし、また、いつか言ったこともあるのです。今、需給上は早場米が八月の末になりますと八万トン、九月になると百九万トンですか、こういうことで御迷惑をかけませんと言うけれども、しかしこれは本当に綱渡りみたいなものでありまして、やはりある程度の余裕といいますか、流通経路の中でのこういうものはなくてはならぬだろうと思うのです。こういうのは食糧庁としてはある程度の算定といいますか、そういうものについての幅というものはお考えになっていらっしゃるのじゃないかと思うのですけれども、どうですか。
  378. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) お米につきましては国内で自給することが基本でございますし、ゆとりのある需給計画とすることが重要と考えております。しかしながら、余りにもゆとりを持たせるということになりますれば、新米志向に逆行する問題があるとか、また財政負担の問題があるとかいろいろ問題もございますので、最近におきましては、水田利用再編第三期対策でございますが、そこでは各年約四十五万トンの在庫積み増しを図っていこうということで、現在転作の方の対策を進めておるわけでございまして、今後ともお米の需給作況等に対応いたしまして、適切な需給計画のもとに弾力的な対策の推進に努めていく必要があるというふうに考えております。  なお、先生から先ほど御指摘いただきました運送等の問題につきましても、最近における国鉄の貨車の合理化問題等もございまして、それに対応したほかの代替される輸送手段、例えばトラックの問題であるとか、また船舶を使うとか、こうした問題にも配慮しながら、一方において運送コストを軽減することを考えながら、かつ円滑な運送を図る、こういう両面につきまして十分検討し、成果を上げていきたいと考えている次第でございます。
  379. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 四十五万トン云々とか、これは備蓄でしょう。備蓄をそれに 充てる。そういう考え方が今回からにわかに出てきたわけじゃなくて、当然今までの考え方の中にもあったのだろうと思うのです。それが十万トンぎりぎりの綱渡りのような状況でここまで来たというのは、これは四年連続冷害ということのために予定収量が生産できなかったということが一つの大きな要因なのかもしれませんが、しかし、これは決して予測でき得なかったことではなくて、二年も続いた気候が急によくなるなどということは、気象学者のお話を聞きますとそういうお話をしております。  それから、ことしの白書は大分また変わった書き方をしておるようですけれども、兼業化がどんどん進んで、もうそういう趨勢の中で稲作技術というものについて見直さなきゃならぬということで、一生懸命、今、新稲作運動と太鼓をたたいてやっておるわけですけれども、こういう状況は何もことしに限ったことじゃございませんで、二、三年前からあったわけであります。そういう点からいうと、減反政策というのは、本当に過剰米で四苦八苦したあのときのことが頭にこびりついて、とにかく余らしてはならぬという方向にウエートが余りにも行き過ぎたことの一つのツケがここに来たのじゃないか、このように思わざるを得ないのですけれども、どうですか。
  380. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 現実の実態につきましては、今先生から御指摘いただきましたような結果に終わっておるというふうに私も思うわけでございます。四年続きの不作ということでございまして、減反面積等の緩和につきましても、ここ最近におきましてはその緩和に努めて、五十万トン程度在庫は持つようにするというふうなことで進めてまいったわけでございますが、その程度、また作況というふうなものからいかんせん年度末の在庫を十分持ち得なかった、こういうふうな状態でもございます。今回大臣の御指示によりまして、私たちといたしましても、今年の出来秋の作柄を見きわめながら、転作対策といったものについて弾力的な対応を図るべく検討してまいりたいと考えております。
  381. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 最近の作況指数を見ましても、五十五年は八七か幾らですけれども、あと五十六年からは九六です。全国的に見ますと、そう大きな落ち込みというのは何年も続くことではないわけです。そういう不作、それはその年の気候状況によってはいろいろあるでしょう。しかし、そのぶれというのはそんな大きなぶれではないはず。そういう中で需給調整を余りにも絞り過ぎるということが一つの反省材料として、大臣から先ほど第三期水田利用再編対策については作柄状況を見て弾力的にというお話がありました。これはもう弾力的というか、一たんこれは閣議で決まったことなのかもしれませんけれども、これは是が非でも変えていただきませんとならないと思います。  一方で減反を強いておいて、そして一方で不足を生むということでは、どんなに理屈を並べ立てて強弁しましても、これは生産者としましては納得のいくことじゃありません。こういうことで米価も近いことで、価格等の問題もございますけれども、需給関係につきましては、何度も何度も言って申しわけございませんけれども、少しでもこれは現実に沿った形にしていただきたい、そのためにぜひひとつ大臣、いろいろなところで現場を見ていただきたい、また話も聞いていただきたい。  それから、最近、日本型食生活ということが言われて、さらにまた、先ほどもお話ございましたけれども、米の消費拡大ということ、国会でも純水酒などということで大いにPRをしようという議員連もあるのです。そういう動きがある中で、消費もその年、その年によっていろいろな状況がありますから一概には言えないのかもしれませんけれども、やや減少傾向にある。そういう推移等を見てまいりますと、これは是が非でもここでひとつ見直していただかなきゃならないときに来たのではないかと思います。  それから、もう一つ申し上げておきたいのは、今お米屋さんで不足しているというのは、自主流通米よりも政府米です。これが不足をしているという声を聞くわけでありますけれども、この政府米が非常に綱渡り的であるという。政府米が特に消費がふえたわけではないのだろうと思いますが、消費者団体のいろいろなデータなどを見ますと、最近は単年度需給ということで新しいお米は政府米に出回るということから非常においしいという。こういうことで非常に売れ行きがいいのだというようなデータもあるようです。政府米が非常に不足ぎみであって自主流通米の方は案外余裕がある、こういうようなことについてもいろいろ言われておりますが、こんなのは食糧庁としてもいろいろ把握してその究明ということをなさっておるのじゃないかと思いますが、どのように認識していらっしゃいますか。
  382. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 先生今御指摘の点につきましては、類別の需給というふうなことであろうかと思うのでございますが、良質米の需要、それからそれに対する供給体制といいますものはおおむね整備されておりまして、順調に伸びておるというのが実態ではなかろうかと思っております。  良質米以外のところの需要部分につきましては、必ずしも供給面が安定的に推移していない、そういった生産地の低温等による被害等もございまして生産量が伸び悩んで供給量が減退しておるということもございますし、今先生おっしゃいましたように、需要面におきましては、数年前までの需要でございますと相当の過剰米も持っておりましたし、政府米と言われますれば、その古米の充当率が非常に高うございまして、古米ばかり買わされるといった実態もあったわけでございますが、昨年来、古米の手持ちも非常に少のうございますし、ほとんど政府米におきましても新米といいますか、当該年度ないしはその翌年のもので供給さしていただいておるといった面もございまして、全体の需給バランスといいますか、類別の細かいところの需給バランスにおきましては、どちらかといいますと、上位のものよりは下位のものが窮屈になっておるという実態になっておるわけでございます。特にそうしたものの需要先でありますところの業務用等におきましては、非常に競争等も激しゅうございますし、できるだけ価格の安いもの、こういった需要も強うございまして、その辺の需要が現在良質米はともかく、そういった相対的に品位の下の方のものの供給がタイトになっておるという実態に相なっておるわけでございます。
  383. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 食管法からいいますと、食糧庁としましては、政府米というのは安定的に確保しておかなければ、消費者が買いに行ったら、政府米はございませんでしたということでは、これは食管法にもとることになります。国民の嗜好というものも今どんどん変わりつつある。また、長く置いた米ならいざ知らず、三類ぐらいでも新しい米ですとそれなりのまた味もあるだろうと思います。そしてまた、小売屋さんがいろいろなところでこれをブレンドするのにまた安いお米を使うということも言われております。こういうことからいうと、うまい米志向ということが言われて自主流通米が今まで一つの大きいウエートを占め、クローズアップされてきたのですけれども、そういう施策だけではどうも立ち行かなくなってきたような感じがします。北海道、青森というところで三類の米が減少するという現象が起きかねないというか、こんなことも私は耳にするわけですけれども、こういうことからいうと、全体のバランスというのはなかなかこれは難しいことになるなという感じもしておるのです。  こういう全体の日本型食生活とかいろいろなことが言われて、そういう方向にどれだけ進みつつあるかわかりませんけれども、そういう中にあって、やはりおいしい米、おいしい米というのは何も自主流通米だけではなくて、政府米についても最近はだんだん需要というものはふえつつある。こういうこと等を勘案しまして、食管法にもとることのない需給バランスといいますか、こういうものを食糧庁できちっとかじ取りをしていただきませんと、これはお米屋さんに行きましたら何らかの不足を来したというようなことがあったり、また、今回のような加工用とは言いながら、実際こういう不足を来して韓国から輸入をしなきゃならぬというこういう事態を起こすとか、こういうことで安全性や安定性ということの上においてバランスを欠くことのないような、今回いろいろなことがありましたが、こういうことを教訓として、是が非でもこれはひとつ御検討いただき、そしてまた、誤りのない施策を組み立てていただきたい。  ことしも、きのうですかおとといですか、長期予報を見ますと決していい天候が続くようではございません。私も東北各県を回りますと、やや天候がよくなったということで田植えのおくれは取り戻されたようでありますけれども、しかしこれは、七月にまた寒い日があるとか、八月がどうとかいろいろ言われております。決して楽観できるような状況じゃありませんし、また、どんなに技術が進んだといいましても、それをカバーする技術というものは大変なことだろうと思います。そういうこと等を考えあわせまして、是が非でも、国民に安定的な供給を約束しております食糧庁が二度と再びこういう不安を抱かせないような施策、それは先ほど来申し上げておりますように、締めに締めた減反政策ということについて是が非でもこれはもっと余裕のある稲作のできるような方向で御検討いただき、消費者には安心して供給のできるような体制をつくっていただきたい。このことを一つ最後にお聞きしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  384. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 御指摘の各部門につきましては私たち十分留意いたしまして、食管法の規定しました安定的な供給がきめ細かな供給といたしましても実現されますように今後とも全力を挙げて努めてまいりたいと、このように考えます。
  385. 下田京子

    ○下田京子君 大臣、私は、本日六月二十一日、正式には午後二時に公表された韓国米十五万トン輸入、これには厳重なる抗議をしたいと思います。理由は言わずと知れていると思います。大幅な減反を強行してきました。どれだけ多くの人たちが苦労してきたことでしょう。国会で再三輸入しないと言明してきました。国会でも自給に向けての決議もしております。全部裏切ったということなのです。しかも、私が抗議する内容は、輸入しないためにあらゆる手だてを尽くしたかどうかということなのです。尽くしていないとすれば、今回の決定はやはり撤回すべきだと私は申し上げたいのです。その責任をどうお感じになっていますか。
  386. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 今回の問題は、五十三年産米の臭素の問題でございます。加工原材料用の米が厚生省の五〇ppm以下というこれに触れるわけでございまして、当農林水産省としては国民に食糧を安定的に供給するという立場に立ちまして、緊急のものでございますので、これはひとつ御理解いただきたいと思います。
  387. 下田京子

    ○下田京子君 緊急のものだから御理解せよといっても、そういったことについて何度も何度も繰り返し私たちは警告してきたのです。しかも五月二十八日の朝の新聞に、韓国から輸入か、というのが出まして、私のところにもすぐに抗議の電話が届きました。私はすぐ大臣のところに行きました。大臣、私とだけで、二人だけで会うと。  そのときに言われたことを覚えていますでしょう。輸入となったらショックだから、先生、いいことを考えてあるのだと。今にして思うと、いいことというのはつまり輸入ではなくてこれは現物返還なのだと、そういうことに受け取れるのかなと思います。前から、輸入じゃないのだ、現物返還だ、これはまさにごまかしたと思います。なぜなら、言わずと知れたことだと思いますが、外国から物を持ってくるその際の手続は通関統計上輸入でしょう。関税法上も輸入でしょう。こういう二重のごまかしがある。しかも、私はそのときにもあらゆる手だてをとるようにということで、いろいろと考えます、こう言っていたのです。考えた形跡がなくて、すぐにきょう、こうやって発表するということは、即もう手だてを始めたのですよ。  そこで、この韓国との交渉に、実は、「M商事のベテランのバイヤーが同行しているという。」六月十四日づけの米穀新聞の報道がございます。詳しくは申し上げませんけれども、もういよいよ韓国から米がやってくるということで、販売業界は、いつどういう米がどのくらい入るのかとかたずをのんで、出かけた。M商事というのは恐らく三菱商事のことと思います。事実関係をぜひ調べていただきたいと思います。  この新聞によりますと、韓国では毎年アメリカから二、三十万トンの米を買っている。豊作の年も契約によって買っている。それは残って倉庫に入っている。一応これも韓国米である、こういうことも言っております。だから、うーんと、こうなるわけですね。いずれにしてもそのM商事のベテランバイヤーなる者がどういう形で同行して、どうだったか、この新聞の真偽なるものについて調査いただきたいと思います。
  388. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 今先生指摘の、M商事のベテランバイヤーが向こうに出張をしておるというようなことが報じられておるようでございますが、私たち関知せざるところでございまして、その辺につきましては後ほど調査させていただきたい、このように思います。
  389. 下田京子

    ○下田京子君 ところで、その十五万トンという数量なのですけれども、先ほどから伺っていますと、これは加工原材料用なのだというふうに言われておりますけれども、すべて加工用ですか。業務用という形で主食に回すという意思は全くございませんか。
  390. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 今回の韓国からの返還米を受け入れることを決断しましたのは、先ほど来御説明させていただいております五十三年産米の加工原材料用に不足を来すおそれがあるということでございまして、他用途利用米に円滑に移行するためには、先ほど説明させていただきました玄米十五万トンの現物の返還を要請する、こういうことで進まざるを得なかったわけでございます。
  391. 下田京子

    ○下田京子君 主食用に回すことはしませんね。はっきり答えてください。
  392. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 加工用ということで私たちは考えております。
  393. 下田京子

    ○下田京子君 ということは、現在の五十三年産古米をすべて主食用に回す計算になるわけですね。これは輸入は加工用だから問題なしということを言っておりますけれども、まさにところてん方式じゃないか。つまり、五三古米を主食用に回す、そのために輸入しなければならない。つまり主食用不足を補う手だてとして今回の輸入ということになったわけでしょう。
  394. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 先ほど来説明さしていただいておりますように、加工原材料用の供給不足を来してはいけない、他用途利用米に円滑に移行するために私どもも考えておるわけでございます。
  395. 下田京子

    ○下田京子君 じゃなぜ加工用に不足が出てきたかということです。五三米を主食に回した需給計画上の問題がそこにあるのじゃないですか。そもそも今回の韓国の米輸入の出発点というのは、安全性が問題にされている五十三年産米の常温古米を主食供給計画に織り込まざるを得なかったというところじゃないですか。まさに需給計画の破綻です。  しかも、今後加工原材料におおよそ十三から十四万トンを予定していると聞いています。一方、主食用に五十九米穀年度に五月末の供給実績で五三米を十三から十四万トン出しているでしょう。ぴったり符合するのです。五三米を主食用に回すことをしなかったら、そういう需給計画上問題なかったなら、何にも加工用は不足しない。よって韓国から輸入しないで済んだのです。そうじゃないですか。
  396. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 今先生の御指摘のような数量的な面で、結果的にはそういうふうなことが言えようかと思うのでございますが、何分ゆとりのある需給ではないわけでございまして、そうした中におきまして、品目別、品種別といいますか、需要にこたえていくためにはある程度の五三米の業務用等への充当というふうなことも考えざるを得なかったという事情を御理解いただきたいと思います。
  397. 下田京子

    ○下田京子君 御理解できないです。私は御理解いただきたいのです。需給計画上の破綻を認めることを抜きにしてこの問題の根本的な解決策は出ません。なぜなら、五十九米穀年度に五三常温古米供給を決めたのは一体何が理由でしたか。五十八年三月末に立てた米穀の管理に関する基本計画のときには五三米の常温米を入れるということはなかったでしょう。ありませんね。
  398. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 今御指摘の時点におきましては、五十九米穀年度において五十三年産米を充当する計画は持ち合わせませんでした。
  399. 下田京子

    ○下田京子君 そうなのです。しかも、五、六十万トンの持ち越しになるという計画だったのです。  私は、実を言いますと、昨年の四月十四日に今質問した五十八年三月末に立てた基本計画なるものについて質問しているのです。そのときの質問のポイントは二つなのです。一つは、五十九年十月末に五十から六十万トン持ち越し量になると言っているけれども、不作になったら吹っ飛んでしまいますよと。なぜそう言えるかという根拠としては、現に五十八米穀年度の場合に、つまり五十七年三月末の計画で九十万トン持ち越し量を見込んだのだけれども実際は十万トンしかなかった、八十万トン落ち込んだのです。だから、ゆとりある需給計画を立てなさいと言ったのです。私の指摘したとおりになったじゃありませんか。ですから、昨年時点でゆとりある需給計画を立てたらこんな結果にならなかった。認めるでしょう。
  400. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) その段階におきましても、転作面積の緩和等も考えて対応したわけでございますが、異常気象等によりまして、結果としましては生産量の減ということで今のような持ち越し量に相なっておるわけでございます。
  401. 下田京子

    ○下田京子君 天候のせいだけにするのは簡単なのです。ゆとりある需給計画という立場に立てなかった姿勢にあるのです。  続いて言いますと、私は、ことしの端境期の需給についても去る四月六日に質問しているのです。その際に、五十九米穀年度に十万トン持ち越しと言っているけれども、本来五十九米穀年度で食べるお米というのはもう五十八年産米を六十五万トンも早食いしてしまっているのですよと。集荷はあの時点で私の推定したのは二十万トン足りないと言ったのです。今聞いたら、それより集まらない、二十三万トンも足りない。さらに需要の方も前年実績並みで見ていけば二十三万トンふえることになりますよと、そうすれば、合計で百八万トン不足すると、これは三月末に供給計画が出たときに、四月六日に質問しているのです。そのとき長官は何と言ったか、大臣も何と言ったか覚えているでしょう。決してゆとりある需給計画とは言えませんけれども、米の輸入などということは毛頭ない、そして安定的に心配のないようにやりますと言ったのです。それから何カ月たちましたか。しかも、今になって私の指摘したとおりでしょう。百万トン程度早食いということも場合によっては考えられる、そういう検討もやられたのでしょう、どうですか。
  402. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 私どもといたしましては、主食用供給はもちろんのこと、加工原材料用等につきましてもやはり安定的な供給をしていく責任がありますので、多面的な検討はしておるわけでございまして、その一つといたしまして早場米の手当てということについて検討はいたしております。
  403. 下田京子

    ○下田京子君 それで、その早場米の話なのですけれども、実際にどのくらいの早食いが必要なのかということなのです。一般的には百万トンとか百五万トンとかと言われておりますね。これはもう確実だと思います。というのは、今までの答弁を聞いていましても、政府は既に六十五万トンを去年もう食べてしまっているわけでしょう。集荷は二十三万少ないわけでしょう。しかも政府計画六十六万トンに比べて、それを上回るということを否定していないわけでしょう。とすれば、少なくとも十五万程度以上になるのです。合わせたら百五万トンぐらいになってしまうのです。つまり、このことはもう九月上旬にお米はなくなるということなのです。  そこで聞きたいのです。昨年実績でこの九月上旬に早場米は幾ら集荷されていますか。私は二十二万トン程度と聞いています。
  404. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 八月及び九月上旬までにおきますところの新米の出回り量は、検査ベースで見ますと、多少の年度による変動はございますものの、おおむね三十万トン程度でございます。
  405. 下田京子

    ○下田京子君 そうすると、これは否定していないわけですね、八月末で八万トン——いや、おかしいな。九月の上旬で二十二万トンですよ。三十万トンでないでしょう。累積で二十二万トンのはずです。若干狂いはあるかもしれません。検査の中で規格外や何かもあるかもしれません。検査数量と実際に回したのとでは、ずれはあると思います。私は実際に回したのは二十二万トンと聞いています。
  406. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 今私が申し上げましたのは通年ベースで申し上げておるわけでございまして、先生指摘の点は五十八年産米につきましてのケースではなかったかと思うのでございますが…
  407. 下田京子

    ○下田京子君 ちゃんと昨年と聞いていますよ。
  408. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 失礼しました。  それで、昨年におきましては、九月上旬までに、私の方で把握しておりますのは二十三万トンというふうに把握しております。
  409. 下田京子

    ○下田京子君 九月上旬に二十三万トンですね。そうすると、まさにこれは穴をあけないようにするというのは大変な、もう芸術的な問題になると思うのです。例えばこれも東京都の担当の方に行って聞いたのですけれども、お母さんたちが十キロ袋一つ買っただけでもパニック状態になる。そういう状況の中で、主食心配ありませんとか、安定的に供給するのは私たち責任だとかよくも言えたと私は思うのです。心配かけない、十分だと言えないのは当たり前だと思うのですね。そういう大変なものなのだという御認識の上で、いろいろ考えられていらっしゃるのでしょうか。これは大臣に。
  410. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) パニックを起こすようなことがあってはなりませんし、そうした原因はできるだけつくらないようにということで、消費者なり関係者には十分理解と協力を求めるようにやっていこうというふうに従来から対応してまいっておるわけでございます。
  411. 下田京子

    ○下田京子君 従来からというのは問題です。今はもう本当に綱渡り的なのです。  そこで、六十米穀年度需給問題なのですが、出来秋になったら第三期対策をその実態を見て見直すというお話が何度も言われております。大臣、それでは遅いです。さっきから私の責任においてとおっしゃっていますが、責任のとり方はいろいろあります。まず、今の問題にどう対応するかということをやらなきゃならないと思うのです。  そこで、これは共産党の発行する赤旗新聞が試算しました。早食いを百五万トンとして、需要量を昨年並みの六百八十三万トンと見て、作況を九六で計算しました。九六をとってきたのは、過去三年間の不作がみんな九六なのです。それで見ますと、作況九六ですから、六百七十二万トンです。早食いを百五万トン引きますと五百六十七万トンになります。月々消費量五十七万トンですから九・九月分しかございません。お米のなくなる日、来年八月二十七日、こういうふうになってきます。そうすると、さっきのようなことで、八月末には八万トンしか出てこない。完全にパンクします。  それから日本農業新聞です。この日本農業新聞の試算を見ますと、早食いは同じ、需要量も同じ、作況九四、不良で見た場合にどうなるか。何と米のなくなる日、八月二十一日になります。出来秋では遅いのだという、こういう試算、政府はおやりにならないのでしょうか、やりましたか。
  412. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) いろいろと多面的な検討はしていかなければならないし、私たちもやっておるわけでございますが、今先生指摘のような消費量等の見方、これは随分と変動するわけでございまして、いろいろの要素に変動部分があるわけでございますので、そういった試算もあろうかと思うわけでございますが、もう少し多面的な検討も必要ではないか、こういうふうに思うわけでございます。
  413. 下田京子

    ○下田京子君 そうすると、もう少し多面的な研究をしているということですね。いろいろ弁解されていますが、消費量というのは不確定要素なのです。不確定要素だということの、その最悪の事態も想定して需給計画を立てるというのが政府国民責任を持った、ゆとりある安定的な需給計画と言えるのじゃないですか。  大臣は、ゆとりある需給計画が必要だと認めているのですから、そう認めたら、今言うように不確定要素の中での最悪の状況ということを見なきゃならないのです。今の試算でも転作が一〇〇%だと見ての結果なのです。ですから、不確定要素は何があるかというと、早食いの増加がわからないでしょう。次に転作が超過達成したら大変でしょう。さらにことしの夏、冷夏だったらパアでしょう。そういう状況を見て考えろということなのです。たくましい稲づくりというものをやられております。これは大いに結構だと思います。しかし、本当に責任を持った需給計画というものは、そういうことを考えてやるべきだということなのです。そうして今やれることは、できるだけ増産体制をやることです。大臣責任を持つとこう言っているのですから私にここは答えてください。いいですか、責任を持って答えていただきたい。  早場米地帯に特別奨励金、これは予算が伴うものだから推察していただきたいという話がありましたが、私はこれは当然のこととして対応いただきたい。これが一つです。  二つ目。増産体制で今やらなきゃならない問題は、例えば青刈り稲問題の主食用の話もあるでしょう。あるいは全中などもう皆さんも言っておりますが、マル化米、他用途利用米の主食用の買い上げ問題も検討しなければならないでしょう。つまりことしお米をどれだけ主食用として確保しておくかということが、来年の需給計画に不測の事態を起こさないという、そういう意味を持つのです。  同時に、米価の季節です。意欲を持った稲づくりがやれるように、労働徴を償うように、それから特にことし言いたいのは、条件の悪い地域でも生産費を償う米価を決めていただきたい。  いろいろ申し上げました。総合的な対策というのは、そういうことだ。それらを踏まえて、責任ある対応をいただきたいと思うのです。
  414. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 今後の安定供給を図るためのいろいろの施策につきまして、先生から御指摘いただいたことだと思うのでございますが、私どもといたしましても生産原局を初めとし、食糧庁、構造改善局といろいろの政策につきまして総合的に今後の生産を安定させよう、また、供給が安定化し得るような対応策といったものをとっていくべく努めてまいりたい、このように思っております。
  415. 下田京子

    ○下田京子君 大臣の御答弁を。
  416. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 次長の言ったとおりでございます。
  417. 下田京子

    ○下田京子君 次長の言ったとおりというのは、ちょっと情けないじゃないですか。私の責任で対応しますと本会議でも言っていたじゃないですか。そうしたら責任ある答弁をまずいただきたかったと思います。  そこで言いたいのですけれども、第三期対策というのは出来秋を見てでは遅いです。しかも弾力的などというのは甘いし、それはその場しのぎです。私は根本的見直しを要求します。  次に移ります。  厚生省は見えてますか。——五三米の臭素検査のことなのですが、厚生省が国立衛生試験所並びに穀物検定所にこれらの検体をいつ収集され、いつ検査開始し、いつ結果が出たか、お知らせください。
  418. 市川和孝

    説明員(市川和孝君) お答え申し上げます。  今回の五十三年産米の残留調査につきましては食糧庁と相談しながら進めてきたわけでございますが、実際の試験は私ども厚生省とそれから食糧庁で分担して実施するということになりまして、私どもが食糧庁の方から検体をもらいましたのは四月の初めでございます。それですぐ衛生試験所に届けております。それで食糧庁の方の分は、直接私は承知いたしておりませんが、私どもより若干おくれてスタートするというふうに聞いております。  それで、検査の結果が出てまいりましたのは国立衛生試験所の私どもの方の分は五月の十九日にもらっております。それから食糧庁の方で分担されました分については、五月の二十二日に食糧庁から受け取っております。
  419. 下田京子

    ○下田京子君 食糧庁にお尋ねしますが、東京都の都立衛生研究所で検査されたと思うのですが、正式にいただいた報告は五月一日付文書であったと担当者から伺っております。間違いないですね。
  420. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 私の方の出先の東京食糧事務所の受理しました月日でございますが、間違いございません。
  421. 下田京子

    ○下田京子君 ところで、五月中に五三米はどのくらい売却されていますか。
  422. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 五月の売却実績でございますが、概数で四万七千トン程度になろうかと思います。
  423. 下田京子

    ○下田京子君 いやいや驚いちゃった、もう余り多くて。これは安全性の姿勢で物すごく問題だなと思いまして、ちょっと驚いて、今立てなかった。なぜなら、国会で大論議になっていて、大丈夫だ、大丈夫だ言っていたでしょう、これも問題なのです、五三米の臭素の問題で。それで、ようやく検査に入ったのです。ところが、その検査なしで売っていたという点でも問題なのですけれども、今の聞いたら、五三米の今までの、五月末の実績というのは十三から十四万トンでしょう。十一、十二、一、二、三、四、五、七カ月、これは駆け込みじゃないですか。まさに大臣、これは大臣に聞きたいのです。また答えないのかしら。答えてくださいね、いいですか。  今言ったように、五月一日付文書で、東京都の衛生試験所の結果で、四検体やって、うち半分に五〇ppm以上出たのです。それがわかっているのに、それは確かに暫定基準というものがないにしても、その実態も公表しないで、なおかつ五月中に五三米を売却し続けていたというのです。これは大変安全性に対する姿勢として問題です。少なくともストップすべきじゃなかったですか。
  424. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 次長から答弁させます。
  425. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 今先生の御指摘数字でございますが、私、トータルで申し上げておりまして、四万七千トンの内訳を申し上げますと、加工原材料用としまして約二万トン、主食用といたしまして二万七千トン、この売却の傾向につきましては、三月、四月もいずれも同じ水準で売却はされておるわけでございます。
  426. 下田京子

    ○下田京子君 反省がないじゃないですか。いいですか、私は数字で驚いちゃったということもありますけれども、どうして五月一日でそういうものを聞いていてストップしなかったのかということを言っているのです。とにかくそういう姿勢がなかったということははっきりしたわけです。重大だということが明確になりました。  時間が限られていますが、食糧庁にちょっとまだ続けて聞きますが、五三米の在庫供給についてお尋ねします。  まず、在庫ですけれども、五十九米穀年度、当初八十万トン。内訳、五十一年産米十万トン、五十二年産米十万トン、五十三年産米六十万トン。間違いございませんね。
  427. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 間違いございません。
  428. 下田京子

    ○下田京子君 供給の面でお尋ねします。用途別です。主食用に十三から十四万トン、工業用が十三から十四万トン、輸出用が二十五万トン、飼料用が五万トン、計五十六から五十八万トン。間違いないですね。
  429. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 相違ございません。
  430. 下田京子

    ○下田京子君 そこで、もう一つ。五月末で今現在五十一、五十二、五十三、それぞれどれだけ残っていますか。
  431. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 私たち、五十三年以前産につきまして、輸出用を含めまして約二十四万トンということでございまして、輸出用を除きますと約二十万トン程度というふうに申し上げている次第でございます。
  432. 下田京子

    ○下田京子君 それは念のために聞いたのですが、まあいいです。  工業用なのですけれども、既に十三から十四万トン供給しておりますね。これは何年産でしょうか。五十一、五十二が入っていますか。
  433. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 五十一年産米の米が一部入っております。
  434. 下田京子

    ○下田京子君 輸出用二十五万トンは何年産でしょうか。
  435. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 主として五十一年産米でございます。
  436. 下田京子

    ○下田京子君 二十五万トン、これは在庫量から見ていったら次長数字が合わないです。五十一も五十二も五十三も入っているということでしょう。  そこで、厚生省にお尋ねしたいのですけれども、五十一、五十二年産米はいわゆる臭素の検査をしましたか。
  437. 市川和孝

    説明員(市川和孝君) 今回検査の対象にいたしたものはすべて五十三年産の玄米ということで検査をいたしました。
  438. 下田京子

    ○下田京子君 大臣、五十一年、五十二年については臭素の検査をしていないのです。これも常温水、しかも、今の数字を聞いていて御存じのように、工業用に、さらに輸出用に行っております。これをどう感じますか。
  439. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 先ほど私の方から説明させていただきました五十一年産米につきましては、これは加工原材料用の中でも主としてしょうちゅう用の原料として売却しているものでございます。それから輸出用の中には若干の五十三年産米も含まれておりますので、その点もあわせて訂正させていただきます。
  440. 下田京子

    ○下田京子君 大臣、答えなさいよ。輸出向けといえども、五十一年、五十二年まで入って、そして他の国の皆さんの口に入っている。それは未検査米、臭素があるかなしやもわからない、そういうものが輸出されているのです。それから工業用、これも同じなのです。工業用だからいいと言えますか。今回の扱いは、五三米については主食用も工業用も同じような扱いじゃないですか。出てしまったことについては責任がないと言えるのでしょうか。国際的に見ても、人道的に見ても、政治責任から見ても、どれ一つとってよしと言えるものはないじゃないですか。とにかくお答えください。
  441. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 御質問の点につきまして、五十一年、二年、三年産米、それで加工原材料用、これは食用に向けられるものでございますが、そうしたものとか、また業務用等で充当しておりますもの、いずれにも、今回の暫定基準といいますものは適用されるというふうに私たちは理解しておりまして、そのような対応をとっておるわけでございます。
  442. 下田京子

    ○下田京子君 今後は、いろいろ対応を全部やられるのは当然でしょう。私は、過去にそういう未検米が出ているのですよ、そのことについての責任をどう感じますかと聞いているのです。大臣は答えられない。答えられないのが答えだと思います。しかし、それで責任を持って対応するなどと全国民が本当に納得いけるような態度だというふうに言えますでしょうか。
  443. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 私は、先ほど下田さんから二人っきりで話をしてということを言われました。信頼しておりました。会議中でございました。わざわざ別の執務室まで来て、そしてお話をいたしました。それを、私が揚げ足を取られるところがあったかどうかはわかりませんが、二人っきりで会ったのをこうだとかああだとか、これは二人っきりの話でございます。それを、下田さんの見解を一方的に言われるのは、はっきり申しまして甚だ心外でございます。
  444. 下田京子

    ○下田京子君 だから大臣お述べくださいと言っているのです。私は心外なのですよ。なぜ二人きりでというふうに私だけ呼びつけられたか私はわからないのです。それを、いいですか、そういうふうにおっしゃったら——みんな新聞を見て驚いたのだから、真意はどうなのだと言ったのですよ。そんなことで…。
  445. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 私は、先ほど申しましたように会議中でございまして、そして一生懸命農林水産問題でみんなで会議をしておりました。そこへ下田さんが来た。だけど、これだけ会議しているところだからそれは無理ですと。そうしたら、一人だけでもいいから会ってくれということで二人で会ったわけです。それで一方的にあなたからどうこう見解を述べられるのは心外でございます。
  446. 下田京子

    ○下田京子君 心外なのは心外でも結構ですけど、大臣、そんなに心が小さいのですか、私とのやりとりがどうのこうのと。その前には日本の食糧事情に責任を持ったあれなのですもの、それはそれとしてそのことは答えてください。私はそこの点では信頼申し上げます。きちっと申してください。国際上の問題でもあるのです。そんなことでお答えできないというのじゃだめです。——次長答弁はいいです。  最後に——結構です。私…
  447. 山田岸雄

  448. 下田京子

    ○下田京子君 結構です。  大臣いいですか、大臣が非常に感情の豊かな方だということは私も承知しています。しかし、そういうことで怒って、責任をとらないで、答弁もしないで、本当に責任を持った態度などとは言えないでしょう。安全性だけだって問題です。きちっとお述べください。——いいえ、大臣からお答えください。
  449. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 次長の申したことは私が責任をとります。
  450. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 大臣から安全性について正確に御理解を得るように説明しろということでございますので、私から説明さしていただきますが、今先生の御指摘の点では、未検査物は全部健康に害ありと、このような感じで申されておるわけでございますが、先般五月二十八日の残留農薬部会におきます結論におきましても、従来のものが健康に害があるかというふうなことにつきましては、直ちに害があるとは言えないという結論でもございますし、さはさりながら、今後のものにつきましてはより安全性を確保する観点から、五〇ppm以下ということを暫定的な基準として定めて運用してはどうかというふうなことでもございますので、先生指摘のような未検物オール健康に害あり云々と、これはちょっといかがなものであろうかというふうに私は思うわけでございますが。
  451. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 時間になりました。
  452. 下田京子

    ○下田京子君 健康に害ありとは言っていません。それも含めて検査もしない政治姿勢を問題にしたのです。
  453. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 まず、今回のような米の需給が逼迫した原因についてお伺いをしたいと思います。
  454. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 需給の問題でございますが、全体需給といたしましては、午前中から御説明さしていただいておりますように、十万トンの持ち越し量生産量千三十七万トンということでございまして、その他米等も合計いたしますと供給面では千六十万トンに相なるわけでございまして、需要面が千五十万トンというふうなことで需給はバランスしておる。総体といたしましてはそういうふうに見られるわけでございますが、主食用等におきます管理米需給といいますか、その面におきまして今御指摘のような買い入れ量等につきまして二十万トン程度の狂いがある。また販売量、消費量でございますが、消費量につきまして、主食用六百六十万トンと当初計画では見込んでおりますが、その辺が多少多目の消費量に相なるのではなかろうか、こういうことでございまして、そういった面の変動というふうなものが想定されるわけでございます。
  455. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 いずれにしてもことしも、主食用は別だと言われますけれども、かなりタイトな需給状況であることは間違いがありませんし、また、来年になると非常にさらにそういうおそれも出てくるわけであります。しかも、天候のことも言われますけれども、昨年の作況は九六で、そんなに予想外のひどい凶作ということではありません。そういう点から見ますと、やはり需給計画生産計画そのものが非常にぎりぎりのところで立てられておるということは否めないと思うのですが、この点はいかがですか。
  456. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 四年連続の不作ということに出くわしまして、先生指摘のような生産量等における狂いが相当ございましたことが大きな要因だと思っておりまして、それが積み重なってまいりまして今の時点に来ておるのではなかろうか、こういうふうにも思いますし、今後の積み増し等の問題といたしましては、第三期の対策におきましても四十五万トン程度積み増しを三カ年にわたって続けていこうというふうに判断しているわけでございます。
  457. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 やはり持ち越す量にしても非常に少ないし、また早場米を先食いしなくてはならない。こういうぎりぎりの計画を立てる理由は何なのですか。
  458. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) ゆとりを持った計画をつくるべく一応対応してまいったわけでございますが、結果的には先ほど来申し上げておりますような四年続きの不作と、このようなことでございまして、その実態の不作ということが響きましてゆとりをなくしておるということでございます。
  459. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 不作といいましても、四年前の作況は八七ですか、非常に悪かったわけです。その後五十六年は九六、それからずっと九六が続いておるわけです。四年間手をこまねいておるという必要はないわけで、悪ければ若干手直しをしてややゆとりのある計画を立てるべきだと思うのですが、それはどうなのですか。
  460. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 多少ゆとりを持った積み増し、このようなことを予定いたしまして転作面積等の軽減も図ってまいったわけでございますが、それを行う際には、一応前提といたしまして、平年作を前提として立てましたものが、毎年九六程度作況に陥りまして、多少積み増しをふやそうというものが完全に打ち消されてきたというのが今までの経過でございます。
  461. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私は、その背景としてあるものはやはり財政事情ではないかと思うのです。過剰米というものが大量に出て、それは全部処理するのに二兆円を超える財政負担がかかっておる。それから、今までは多少とも過剰米が残っておる。それから、そういう財政的な面からできるだけぎりぎりの生産計画を組もうというような意図があったのではないかと思いますが、いかがですか。
  462. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 確かに先生指摘のように、過剰米を三たび現出してはならないということにも配慮しまして、備蓄水準といいますか、積み増しの水準としましては、四、五十万トン程度を三カ年にわたって積み増しをしていけば三カ年で百五十万トン程度のものに相なる。また、そのことは過去におきます備蓄量といたしまして二百万トンという数字を打ち上げたこともあるわけでございますけれども、その当時よりも消費がある程度毎年減っておるというふうなこととも関連しておりまして、大体百五十万トン程度が適当ではなかろうかというふうにも考えておるわけでございます。なお、その辺につきましては、今年の作柄を見きわめながら転作等において弾力的な対応をとってまいりたいと考えている次第でございます。
  463. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私は、やはり過剰米の失敗に懲りて、あつものに懲りてなますを吹くといいますか、ややそういう嫌いがあったのではないかと思うのです。  それと、計画に幾らか余裕を持たせて平年作を常に想定しておるというのはちょっと甘いと思います。やはりやや不良ぐらいあり得るわけですから、それぐらいを想定して計画を組むべきではないかと思います。もっとも、幾らか余裕を持った計画だといいましても、余り持ち過ぎるとまた過剰米ができるというおそれもあるわけでありますから、適正な幅というのは大体どれぐらいのところに置けばいいと思われますか。
  464. 小島和義

    政府委員(小島和義君) これは水田利用再編対策の期別の計画を立てますときに、常にその期間にどれくらいの米ができると想定をするか、具体的に申しますと、その期間中の単収をどう見るかという問題になるわけでございます。その対策が始まりまして、当初の第一期のときでございますが、昭和五十三年におきましては平年単収を四百六十キロと見ておったわけでございますが、御承知のようにあの年は大変な豊作でございまして、四百九十九キロとれたわけでございます。翌年は平年単収の数字をやや強気に見まして四百六十六キロと置いたわけでありますが、実際には四百八十二キロとれた。その次の年の昭和五十五年が先ほど御指摘のように不作だったわけでございまして、豊凶変動が繰り返されるという前提で作柄は一〇〇と見ておるわけでございます。  今おっしゃいましたゆとりを見た需給計画というのは、単収の水準でゆとりを見るということだけではございませんで、全体の需給の中で、例えば需要をどの程度見るか、あるいは在庫量、備蓄の積み増しというものをどれぐらい見るか、そういうほかのファクターの中においてゆとりを見ていくという姿が正しいのだろうと思いまして、翌年の単収を想定単収の何掛けで見るという形での需給計画というのは常に裏もあるわけでございますから、なかなかそういう形で需給計回を組むことは難しいということだろうと思うのです。先ほど来、しばしばお話に出ておりますように、今日の需給状態が極めて窮屈になっているということもあるわけでございますから、来年度の水田利用再編対策の推進に当たりましては、ことしの作柄も見た上で弾力的な対応をしていこうという腹を決めておるわけでございます。
  465. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 安定供給のための必要な備蓄の水準はどの程度と考えられますか。
  466. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 米の備蓄水準につきましては、かつて昭和五十年八月の総合食糧政策におきまして、先ほどもちょっと申し上げさしていただいたのですが、二百万トンという数字を一応決めたわけでございます。その後二度目の先生指摘の過剰というふうな経験もしてまいりまして、米の備蓄のあり方につきまして農政審等さまざまなところで機会を通じまして検討が重ねられまして、今回の第三期の対策におきましては、在庫水準につきまして今のいろいろの問題点を踏まえまして、各年四十五万トンずつ三カ年にわたりまして百五十万トン程度というふうなものを算定しておるわけでございます。この数字は、先ほどちょっと申し上げましたが、二百万トンといった数字を決めたときの全体の総需要量がだんだん減っているわけでございますから、そうした面を今日的ベースに出しますと、おおむね見合いの百五十万トン程度に相なるのではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。  なお、備蓄の数量といたしましては、安全度といった面から見ますれば、多いほど安全度が高くなるわけでございますが、備蓄した場合の古米化の問題だとか、また財政負担の問題だとか、いろいろと問題も生じてまいりますので、やはり極端に大きい数字というものには問題もあるのではなかろうか、こう考えている次第でございます。
  467. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 備蓄の問題で、今のは安定供給のために必要な備蓄という考え方ですけれども、もう一つ食糧の安全保障といいますか、万が一不時の事態が起こった場合に食糧を確保するといった観点からの備蓄についてはどう考えられますか。
  468. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) ただいま説明させていただきました備蓄の水準といいますのは、通常といいますか、極端に大きくないところの不作等への短期的な対応といったことを念頭に置きました数字でございまして、より以上大幅な変動等におきましては通常の備蓄水準では対応し得ないのではなかろうか、こういうふうにも考えられますし、そうした場合の対応策といたしましては、またこうした備蓄の問題以外の対応策ということでも対応してまいらなきゃならないのじゃないかというふうに考えます。
  469. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 そうすると、現在のところは全くこれに対する対策は考えていないということですか。
  470. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 今のところでは百五十万トンということを一応のベースにしておるわけでございますけれども、今年の秋の作柄等も見きわめながら、それをどうするかというふうなことも検討の対象にしていこうと考えておる次第であります。
  471. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 次に、最近やはり米の需給逼迫を反映して自由米の相場が上昇しておるということが報道されておりますけれども、実態はどうですか。
  472. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 自由米の相場につきましては、新聞等におきまして大分急な上昇をしておるということも伝えられておるわけでございますが、自由米の真実どの程度数量が一応取引の対象となってその価格が形成されているか、こういうふうなことははっきりわからないような段階でございます。なお、こうした玄米ベースの価格等におきましては大分変動があるわけでございますが、現在のところ精米ベースにおきましてはおおむね鎮静化されて推移してきておるというふうに私たちは見ております。
  473. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 もし、ことしの天候が不順で、ことしもかなり作況が悪かった場合には、やはり米の需給がさらに逼迫するおそれがある。そうなると、それを見越して仮需要が起きる。そして、こういう自由相場がさらに暴騰する可能性もある。こういうものに対する対策は考えておられますか。
  474. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 端境期の対応策といたしましては、当面の手持ちの在庫をできるだけくまなく、余りよどみのないような、真の需要に対応し得るよう計画的な販売をしていこうと考えておりますし、また、早場米を弾力的に活用することによりまして、需給に支障のないようなきめの細かい売却操作等を実施してまいりたいと考えております。
  475. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 その程度のことでおさまれば結構だと思いますけれども、おさまらない場合もあり得ると思うのです、最悪の場合は。その場合はどういう対策を立てられますか。
  476. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 極端な問題、冷害その他の場合にはどうかというふうに思うのでございますが、五十五年の作況が八六でございますか、そういった場合におきましても早場米集荷ということにつきましては、先ほど御説明さしていただきましたような九月末ベースで百万トン前後のものが集荷されますし、また、十月末には四百万トンに近いものが集荷されることでございますし、端境期の乗り切りということにつきましてはきめ細かな売却操作等で対応し得るのじゃないか、またしていかなければならない、このように考えております。
  477. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 今回、韓国から輸入する米は加工用であって、主食用には回さないということでありますけれども、韓国にはまだ貸しておる残があるわけです。これも一つの安全弁として使うことはあり得るわけですか。
  478. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 韓国との契約につきましては、一応現物を貸与いたしまして現物を返還していただく、これが基本の契約に相なっておるわけでございますが、双方の需給事情等によりましてお互いに協議をし、その結論によりまして過去におきましては金銭返還というふうなことをやったわけでございます。今年におきましては、今年限りの措置といたしまして現物で返還していただくというふうなことを考えておるわけでございまして、私どもといたしましては、国内の需給で、国内産米で需給される限りにおきまして、この返還米を受けるということは念頭に置いておりません。
  479. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 国内で需給がバランスする限りはもちろんこういうことをする必要ないわけでありまして、私が言っているのは、国内の需給のバランスが崩れた場合、一つの安全弁としてそういう可能性があるのかということを聞いたわけであります。  さらに、他用途米という制度を導入したわけでありますけれども、これもいざ主食用が足りないというときには主食用に回すという一つの安全弁に使えるわけです。これもそういうことはあり得るわけですか。
  480. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 他用途利用米につきましては、現在問題になっております加工原材料用として充当しております五三米に引き続きまして今後の加工原材料用に充てていこうと考えておるわけでございますので、他用途利用米の方の供給をないがしろにして主食用と、こういうことにはなりませんし、そういたしますと、今度は他用途利用米の供給についてどうするか、こういう問題もございますし、やはり他用途利用米についてはそちらの方のルートで安定的に供給がなされるように努めてまいらなければならないと考えております。
  481. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 建前はそのとおりなのですけれども、やはり相手が農産物ですから、これは非常にいろいろなことが起こるということがあるわけで、いざという場合の安全弁というものを持っておかないといかぬと思うのです。輸入も一つの安全弁でしょうけれども、これはなかなかそう簡単にはやれない。そうすると、それにかわるものとして、余ったときに米をどこかに貸しておいて、足らぬときに返してもらうというのも一つの方法だと思うのです。それから、他用途米も十分そういうときの代用はなり得るわけです。そういうものを周辺に持っておかないと、なかなかうまくいかないのじゃないかと思いますが、いかがですか。
  482. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 弾力的な対応をすることが可能であれば、そういうふうな道も選べるわけでございますが、今他用途利用米制度を仕組みまして、工業加工原材料用の用途に仕向けようということで、生産者と実需者の間で契約をしていただきまして円滑な流通を図ろう、こういうふうにも考えておるわけでございます。不用意にそれを主食用に回す云々というふうなことでは、制度としても成り立っていかないのではなかろうかと考えられますし、現段階におきましてはやはり、他用途米の需要に対して安定的な供給体制をしいていく、こういうことで考えていかなければならないのではないかというふうに思っております。
  483. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 最近アメリカのブロック農務長官が、カリフォルニア米の対日輸出について発言しました。この真意はどこにあると判断されますか。
  484. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) せんだってブロック農務長官が来日しました折、農林水産省に表敬訪問に参られまして、我が国も米の供給はできますよ、というようなことを申されました。しかし、それはちょっとひとり言のような形でございまして、私が答える暇もなく次の話題へ移ってまいりまして、それからの米に対する話は一切ございませんでした。その後でいろいろ会食等の機会がございましたので、その席で、日本におきましては全量、これははっきり言えば国内で賄うということになっておるので、アメリカでもし日本へ対する米の輸出というようなことを考えておられても、私が農水大臣をやっております間、そしてまた次の農水大臣、その次の農水大臣だれが出ましても、日本は、米の輸入ということは受けられませんからということでそれをはっきり申しましたので、農務長官はそれで、日本へは輸出はできないなということをお考えになってお帰りになったと思います。
  485. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 もちろんアメリカのブロック農務長官もそういうことは百も承知の上で発言しておると思うのです。ただ、私は、当面それは不可能だということはわかっておりますけれども、では、将来にわたってアメリカが日本に対する米の輸出を全く考えないかというと、そういうことはないと思うのです。  現在、米の価格の内外の格差はどれぐらいありますか。
  486. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 米価の内外価格差につきましては、各国の農業の置かれた国土条件等によりまして格差が生ずるというふうなことでもあるわけでございますが、やはり国内価格と国際価格との間におきましては、我が国の価格が三十万円程度であるのに対しまして、海外の場合は変動要因等もございますが、五万円から八万円程度に推移しております。
  487. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 この格差について政府はどう考えますか。
  488. 山田岸雄

    政府委員山田岸雄君) 内外の価格差が余り拡大いたしますと、消費者等の理解も得がたくなるのではないかというふうにも考えられますし、極力価格差が拡大しないようなことでまずは考えていかなければならないのではないかと考えております。
  489. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私もそのとおりだと思うのです。米は重要な主食だから一〇〇%守らなければならないということも妥当だと思いますけれども、しかし、余り格差が開いた場合にはやはり貿易摩擦の大きな要素になる。それから国内の世論においても、輸入をしろという、世論の中にそういう声が起こってきます。  したがって、米が大事だから守ろうとするならば、国内外の格差というものをできるだけ縮める努力を怠ってはならない、このように思うわけでありますけれども、将来これについてどの辺を目標にされますか。
  490. 小島和義

    政府委員(小島和義君) これは、将来の米価水準を幾らに持っていくという数字にあらわしたような目標というものは、農林省として持っていないわけでございます。  ただ、水も、稲作も土地利用型の農業でございますから、規模の拡大によるメリットというものはそれなりにあるわけでございます。また、技術的な対応、それから土地基盤整備といったことでの対応も相当程度に可能な作物でございますので、その意味におきまして農林省の今後の稲づくりの対策といたしましては、不良条件を克服し得るようなたくましい稲づくりという問題もございますけれども、同時に、今後の生産対策を通じまして生産性の向上を図り、コストの上昇というものを抑えていくという努力が必要なことでありまして、具体的に何年後の米価を幾らにするということについては、申し上げる意図はございません。
  491. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 国産米の価格が割高な最も大きな原因は、やはり日本の農業の規模が零細である、しかも構造改善が遅々として進んでいないというところにあると思いますけれども、これに対して今後どういう方針で取り組まれますか。
  492. 森実孝郎

    政府委員森実孝郎君) 御指摘のように、確かに米の生産性の向上というものはほかの作物に比べてもおくれていることは事実でございます。この十五年間の例で申しますと、労働生産性自体は約二・五倍ぐらいに米も上がってきているわけでございます。これは主として機械化の過程の所産と単収の増加の中でもたらされたものでございまして、なかなか実質生産費は下がっていない、約十五年に一割程度というふうな見方ではないかと思います。この意味で、やはり中核農家の育成が基本課題であろうと思います。  この場合にポイントになりますことは、どうやって利用を集積して規模拡大を図るかということと、もう一つは、やはり利用の面的集積を同時にどう実現するかであろうと思っております。昨年来、米価決定の際に決められた政府・与党間の方針でもこのことを基本課題としてとらえておりまして、地域農業集団の育成による規模拡大政策の進展ということを標榜しているわけでございます。本年度から、正確に申しますと昨年度から本格的にこの集団的な土地利用調整に取り組んでおりますし、また客観条件も、生産性向上格差が規模でかなりはっきり出てきていると思います。  それからもう一つは、跡取りのいない農家というものもかなり出てきているという実態がございますので、やはりこの土地の利用集積政策というものを組織的に進めていくことが基本だろうと思っております。今回本委員会にも御審議をお願いしております法案等も、こういったいわば土地の利用調整に着目した構造政策を進める視点から村づくりという問題に取り組もうということで、次の段階の政策手段として提言してお願いをしているわけでございまして、こういう方向に即して六十五年度生産目標を念頭に置きながら、規模の大きい農家の実現ということに総合的な努力をしてまいりたいと思っております。
  493. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 最後に私は、今回の韓国米輸入の事件というものでいろいろ問題になっておりますけれども、今度の事件というのは一つの現象にすぎない、やはり米、少なくとも米を中心にして今までの日本の農業政策が果たして成功してきたのだろか、私は疑問を感ぜざるを得ません。農水省の方々も皆一生懸命やってこられたと思いますけれども、結果として見た場合に、日本の国のあらゆる政策の中でもいい結果を上げていない部類に属するのではないかという感じを持たざるを得ないのであります。  それから、食糧管理法というものがあるわけでありますけれども、これは本来は国民の食糧の確保、さらに国民経済の安定、それから生産者の側に立ては再生産の確保、消費者の側では消費者の家計の安定、生産者にも消費者にもバランスをとって日本の食糧を安定的に供給しようという趣旨であります。ところが、今の食管法が果たしてその精神に、目的に沿った結果を生んでいるかどうか、私はこれも非常に疑問だと思うのです。現在、日本の消費者は国際価格の五倍の米を食わざるを得ない。もちろんそれも食糧の安全保障とかそういった見地から必要なら、私は必要なコストは消費者は負担すべきだと思う。しかしそれにもかかわらず、米の安定供給も不安にさらされるということになれば、何のためのコスト負担かということにもなりかねません。こういう点を考えてみますと、もはや今までの米政策は破綻を来しておるのではないか、私はその感じを深く持つわけであります。まず、そこの価格の問題です。  先ほど言った過剰米の処理にあれだけの金がかかるというのも、米の価格が二重制度です。主食として売る場合には高く売れるけれども、他の用途に売る場合にはそれの何分の一にしか売れない。今度の他用途米の導入もそうであります。同じ米でありながら、主食用に売る場合と加工用に売る場合とでは、うんとその価格を低くしないといかぬ。これは私は今の経済社会の一つの原理に反することだと思うのです。こういう状態になっておるということは、もう既に今までのやり方が破綻しておる。急激に制度を変えるわけにいきませんけれども、私は一つの制度というものは一つ生産の型を生むと思うのです。だから今までの米の生産の型を改善していこうと思うならば、私は制度を変えていかなくてはだめだということを感ずるわけであります。この点について最後に大臣の所信をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  494. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 確かに先と言われますように、ゆとりのないぎりぎりの政策もやってまいりました。しかし、本年度作況も見まして、第三期対策は弾力的に運用したいというぐあいにも考えております。今先生の言われました諸点については、これからも一生懸命勉強させていただきます。
  495. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 本件に対する質疑は本日はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時五十分散会      —————・—————