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稲村稔夫君 私は、問題はやはり
肥料価格ということになりますときに、先ほどから出ておりますような回収あるいは副生というような形の中で
肥料部門というものを抱えているもの、
企業の中でいろいろなやりくりをしている、操作をしているのではないだろうか、こんなことも気になるわけでございますが、今の御
答弁の中では、統計的にもちょっと分類ができないというような
お話でありますので、その辺はもう時間もなくなりましたのでその
程度にとどめておきまして、次に、この
法律で
規定をされております
販売業者の立場について若干お伺いをしたいと思うのであります。
私は、先ほどから、
販売業者としては全農というものが指定をされて、それが
農民の代表ということも兼ねておる、こういうふうな
理解で対処をしてこられたように聞いてきたわけであります。しかし、ここで私は一つ
考えていただきたいと思
いますのは、
農民資本、確かに全農は
農民資本という形のものでありますけれ
ども、しかし、その
農民資本が、経済行為を進めていくということの中から
農民の手から離れて資本がひとり歩きをする、そういう危険性というものを多分に持っていると思うのであります。この辺について私はやはり指導的立場にある
農林水産省としては
一定程度のチェックの機能というものをきちっと果たしていただかなければならないのじゃないか、こんなふうに思います。
例えば、今の
肥料問題にいたしましても、
化成肥料、東日本ではコープケミカル、それから日本燐酸というような形で二大メーカーにくくられたような格好の中で、特にコープケミカルは全農の出資をしている会社、こういうことに相なるわけであります。そのコープケミカルに例えばカリあるいは燐酸の
原料を持ち込んでまいります。その購入の輸入元はこれは全農であり、そしてそれをまた港に揚げてコープケミカルまで送ってくる輸送会社、荷役会社、これまた農協系列資本のところがやっているわけであります。そして一方ではまた、経済連あたりが混合
肥料などというものも手がけ始めております。こういう格好で見てまいりますと、東日本ではそうしたコープケミカルという形で
化成肥料の会計が大きくくくられる。西日本では今度は宇部興産を中心にいたしまして今また大きくくくられようという動きが始まっております。これにまた農協資本がどういう形で参加するのかわかりませんけれ
ども、いずれにいたしましても、こんなふうにして農協の出資会社ができてまいりまして、それがそれぞれ担当します。
ところが、例えばある
化成肥料のあれを見ますと、
工場から出る
価格は二十キログラム当たりでもって九百三十三円で全農さんに渡される。ところが、それが農協の小売
価格になりますと千二百四十五円、これは決してそんなに高いあれがついているわけではありません。この中にはもちろんさらに横持ち運賃というのが六十円入ってそして農協さんの手数料が一一%ずつ入っている、こういう格好になる。私がこういうことを申し上げましたのは、少なくとも農協資本、
農民資本という範囲の中でいきますと、調べようと思うとすぐこういうふうにきちっと出てくるのです。それはやはり農協、協同組合というあれに従ってつくられている組織、いわゆる一般の商社とは違うということの中で私は出てくると思うのです。
ところが、こういう出資会社につきましては今度は秘密
部分が出てくるということになります。例えば、先ほどのように
原料についての交渉がありますと、その
原料というのは結局、
原料費、
原価というものは公開をされないということになる。一部の秘密を持つということがこれはやはりひとり歩きをしていくような非常に危険性にもつながってくる、そんなふうにも私は思うのです。要するに
農民資本がひとり歩きして、この
肥料価格安定等臨時措置法が切れたころには、一大コンツェルンの基礎ができていたというような形になったのでは、私は
農民のためにも協同組合のためにもよくない、そんなふうにも思いますので、その辺のところのチェック機能というものが果たしてあるのであろうか、こんなことをお伺いをしたいと思うのです。ただ、もう時間が随分なくなってしまいまして、本当に問題点がいっぱいありますだけに伺いたいことがいっぱいあるわけであります。そこで、私はこれから申し上げて、局長と
大臣のそれぞれの御
答弁をいただくということで終わりにしたいというふうに思うのであります。
そこで、私はこうしたことを踏まえてまいりますと、これからの
肥料行政というものは今までとまたさらに違った新しい分野に積極的に展開をしていってもらわなければならないのではないだろうか、こんなふうに思うのです。
その第一は、
化学肥料というものについての物の
考え方ということにもなるわけでありますが、幸い
農林水産省は先ほどの
お話では
大臣の特に
希望もあって、それこそ土づくり運動というようなことに積極的に取り組んでおられるということなのであります。そういう土づくりというものを積極的に進め、有畜
農業を中心にして堆肥を、有機物を土地に還元をしていく、こういう格好の
農業が強力に進められていきますならば、当然そこには
肥料というものの種類、
需要の種類というものもかなり変わってこようと思います。
それからまた、この間も
参考人から
意見のありましたように、それぞれの地域に合った、土地に合った、作物に合ったそういうきめの細かい対応をしていただかなければならないという側面も持っていると思うわけでありまして、そういうきめの細かい対応策をするといたしますと、今のような県の段階ですら
農業改良普及所が統合されて広い範囲で広域化するというような格好の中では、私はなかなかきめ細かい対応はできないと思う。きめ細かい対応をし、それぞれの地域に合った、この間のあれでいけば阿賀北配合なんという言葉がありましたけれ
ども、そういう対応策というものを講じていただかなければならないのではないだろうか、そのように
考えるわけであります。
肥料というものは今後の
農業生産にとって極めて大事でありますだけに、そうした今後への展望というものも十分に踏まえた上でこれからの
肥料行政をどう展開をされるのか、お伺いをしたいと存じます。