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1984-04-12 第101回国会 参議院 農林水産委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月十二日(木曜日)    午後一時開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         谷川 寛三君     理 事                 川原新次郎君                 北  修二君                 村沢  牧君                 藤原 房雄君     委 員                 浦田  勝君                 岡部 三郎君                 熊谷太三郎君                 坂元 親男君                 竹山  裕君                 初村滝一郎君                 星  長治君                 水谷  力君                 稲村 稔夫君                 上野 雄文君                 菅野 久光君                 刈田 貞子君                 鶴岡  洋君                 下田 京子君                 田渕 哲也君                 喜屋武眞榮君    政府委員        農林水産省農蚕        園芸局長     小島 和義君        通商産業省基礎        産業局長     野々内 隆君    事務局側        常任委員会専門        員        安達  正君    参考人        全国農業協同組        合連合会常務理  田中  昇君        事        日本農民組合新        潟県連合会副委  堀   武君        員長        日本硫安工業協        会会長      土方  武君        日本化成肥料協        会会長      草野  操君        日本化学エネル        ギー労働組合協        議会事務局長   久村  晋君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正する法  律案内閣提出)     —————————————
  2. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案につきまして、お手元の名簿にございます参考人方々から御意見を拝聴いたしたいと存じます。  この際、参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙中のところ当委員会に御出席をいただきましてまことにありがとうございます。  本日は、肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお伺いいたしまして、今後の委員会の審査の参考にさしていただきたいと存じます。よろしくお願いを申し上げます。  それでは、これより御意見をお述べいただきますが、あらかじめ議事の進め方について申し上げます。  御意見をお述べ願う時間は、議事の都合上お一人十分間程度とし、その順序は、田中参考人堀参考人土方参考人草野参考人久村参考人といたします。参考人の御意見の開陳が一応済みました後で、委員からの質疑にお答えをいただきたいと存じます。  それでは、田中参考人からお願いいたします。田中参考人
  3. 田中昇

    参考人田中昇君) 全国農業協同組合連合会常務理事をいたしております田中昇でございます。よろしくお願いします。  肥料安定法延長につきまして私ども立場からの意見を申し上げますけれども、まず結論といたしまして、私どもはこの法律延長につきまして、従来の輸出会社等関係の条項を削除されて五カ年間の延長をされるという案に賛成をいたしておりまして、ぜひこの方向で御審議お願い申し上げたいと考えているわけでございます。  そういうことでございまして、この法律が三十九年に発足をいたしまして既に三回延長をいたしまして、今回四度目の延長ということになるわけでございますので、私どもとしましては、既に一年ほど前からこの法律の行方について内部でいろいろと議論もいたしまして、結論的には、内部肥料農薬委員会あるいは生産資材委員会というものにかけまして、さらにまた、この十二月に全農理事会に付議いたしまして、全員一致延長しかるべしということで機関決定をいたしております。同時に、これは農政問題でございますので、全中も独自の立場から二月の十四日に理事会に諮りまして決定をいたしておりますので、私ども機関としての決定はこれで行われたというふうに見ているわけでございます。その後、経済連なりあるいは県の中央会理事会等にもこの問題が付議をされまして、今のところごく一部の反対意見がございますけれども、問題なく経過をいたしておりますし、さらにまた事業の上からも、経済連等では、各農協の参事あるいは専務、常務会議等を開いてこの問題を付議いたしておるということで、まずまずスムーズに行われているというふうに考えております。  そこで、こういった結論に至るまでの私ども立場からの理由づけにつきまして四点ほど申し上げておきたいと思いますが、その前に、私ども肥料に対してはどういう認識でもって仕事を進めているかということをひとつ申し上げておきたいと思います。御案内のように、肥料農業生産に対して不可欠の基礎資材でございます。生産性向上ということの前に、どうしてもやはり肥料がなければ農業生産が成り立たない、こういう立場のものでございます。したがって、今非常に全中中心にして進めております農畜産物枠拡大自由化阻止という運動の中にも、食糧安全保障という立場から、その一環ということで肥料問題は取り上げられている、こういうことに認識をいたしておりますので、そういう立場からの理由ということでお聞き取りをお願いしたいと思います。  第一点は、この安定法が過去三回の延長を経て今回四回目の延長ということになりますと、ちょうど二十年になるわけでございます。今日までこの安定法が果たしてきた機能あるいは評価ということにつきましては、いろいろとあるかと思いますけれども、やはり肥料は不可欠の資材である、そして同時に、それを使う時期を外してしまったら役に立たないという代物であるし、北は北海道から南は沖縄島々まで、四百五十万の農家の庭先に届ける責任を私どもは持っております。そういう立場からしますと、何か事あったときに、国内で使うものが足りなくなったり、あるいは物がなくなったりということではまことに申しわけないわけでございますが、そういう点の歯どめといたしまして、いわば安全装置としてこの安定法が非常に機能した。特に第一次、第二次の石油ショック等を見ますと、通常言われておりましたように、トイレットペーパーとかあるいは合成洗剤とかが影を潜めて取りつけ騒ぎを起こしましたにもかかわらず、肥料につきましては、輸入原料との関係価格値上がりということが一部にありましたけれども物そのものにつきましては全く混乱なく農家手元に届いた。こういう点からいたしますと、事あるときの安全弁ということで、非常に大きくこれは農家のためになっているというふうに見ているわけでございます。  同時に、こういう法律があるから価格が高位に安定しているのじゃないかという意見もございますけれども、私どもからいたしますと、価格水準の引き下げということが一つ目的になっておりますが、二十九年度にこの法律の前身である肥料二法ができましたその時点からいたしますと、現在の肥料値段は、硫安で一四四%、ちょうど三十年の間に五割足らずの値段で過ごしてきておる。尿素に至っても一四二%ということでございます。反面、農畜産物価格が停滞しているといいますけれども、米は約五倍、それから生産資材、全体の農業機械あるいは資材関係等を含めますと約三倍。にもかかわらず、肥料だけが、あるいはメーカーの方からしますと、不当じゃないかと言われるほどに私どもは低く抑えられてきた。これはあくまで安定法の持っている価格抑制機能ということでもあるというふうに考えております。  それから、第二点といたしまして、現在置かれている農業環境からいたしますと、極めて重要な時期に来ておりますが、米だけでなくて、畜産果樹等を含めましてすべてこれは生産過剰ぎみに推移いたしております。したがって、価格についてもかなり不振であります。こういう点からいたしまして、いろいろと生産資材に対する抑制価格抑制ということの要求がかなり厳しく私どもの方には突き上げられております。そういう中で、やはり生産コストを下げなきゃいかぬ、特にEC並みコストに下げようという運動系統農協全体として起きておりますけれども、非常に難しい問題を抱えておりまして、なかなか時間も必要になるというふうに考えておりますが、そういうためにもやはり内需優先で、しかも価格を低位に安定させるという目標を持った安定法がどうしても必要であろう、こういうことが第二点でございます。  第三点は、肥料工業の側面からでございますけれども、現在産業構造改善特別法が昨年発足いたしまして、何とか国際競争に太刀打ちできるまでの内需中心とした合理化をしようということの努力が官民挙げてされております。しかも、この肥料というものがかつては二割あるいは三割という各企業のシェアであったにもかかわらず、現在では需要の停滞もありますけれども三%あるいは五%、さらにまた、既にこの十年の間に肥料生産はやめた、化学工業合理化は脱肥料であるというふうな認識も深まりまして、俗な言い方をしますと、いささかこれはこういう場でどうかと思いますけれども首つり寸前だといったような感じを持っているわけでございます。  そういう点からいたしまして、先ほどからの内需に見合うものをどうしても私どもとしては手元に置きたい、こういう観点からいたしますと、今ここで安いものがあるから買ってしまうということはいつでもできるかもしれませんが、系統農協が必要とするだけの大量のものをそう今の値段であしたも買えるというわけにはならないし、国際情勢は常に流動いたしておりますので、どうしても内需に見合ったようなものは国内で私どもとしては賄いたい。こういう点からいたしますと、ぜひ現在の構造改善法のもとでの合理化メーカーの方にも努力をしていただきたい。そのためにやはり肥料価格の安定ということにつきましても、極力合理的なコストで安定をしていただくような努力が必要だという点からいたしましても延長が必要であろう。同時に、その中で合理化メリット農家あるいは消費者にも均てんをするように、この方向づけについて私どもとしては法律の中で監視もしていかなきゃいかぬだろう、こういう感じがいたしておるわけでございます。  四番目に、物流問題でございますが、北から南まで非常に長い日本列島でございますけれども、私ども肥料値段だけが北は北海道から南は沖縄島々まで一本の値段でつくられているということはほかの物資に見ない特色だと思っております。そういう点からいたしましても、今回の国鉄の拠点駅集約ということはかなり大きな物流コスト上昇につながる問題をはらんでおりますし、一本価格に対してもひびが入るという面も持っておりますので、この点を極力この安定法のもとで安定させながら一本価格により近いものに持っていくことが必要であろう。そのためにどうしても今回は安定法が必要だと考えております。肥料が減ったとはいいましても、約八百万トンの肥料が動いて、そしてそれが大なり小なり日本の四百五十万戸の農家に使われております。これをどうしても必要な時期に間に合うように届ける責任は私ども系統農協としての最小限の責任でございますから、この点に事故の起きないように物流対策を講じていきたいと考えております。  そういう四つの理由から私ども延長賛成をいたしますが、特に申し上げてお願いをしたいのは、輸出会社等による輸出に対するチェック機能がいささか薄れてまいりますので、ぜひ内需をどうやって守っていくかということについての行政の指導ということを強化していただくということをお願い申し上げたい。  それからもう一つは、やはり合理化についてのメリットは、これは企業そのもの、さらに労働者、そしてまたこれを使う生産農家それぞれへの均てんを図るべきものであろう、こういうことを考えておりますので、そういったものを含めて運営をさしていただきたい。  もう一つは、構造改善法が六十二年の六月までに第二次構造改善を終わるとなっておりますけれども、これにぜひ強力な努力をしていただき、私どもコストを下げる方策に向かって私どもなりの努力をして協力をしたいと思いますので、怠慢のないような努力をしていただくようにお願いしたい、こういうことでございます。  以上、ちょっと時間が過ぎましたけれども、私どもとしての考え方を御披露さしていただきました。
  4. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) ありがとうございました。  次に、堀参考人お願いいたします。堀参考人
  5. 堀武

    参考人堀武君) 私は、新潟県北蒲原郡聖籠町というところで農業を営んでいる者であります。現在、日本農民組合新潟連合会の副委員長を務めておりまして、また、聖籠町町会議員も務めております。昨年までは地域農協理事も務めておった者であります。  私たち農民は、以前には自分の土地に合ったように単肥を配合して作物に施していたものでありますが、今では農家にそういう余裕が全くなくなりました。ほとんど農協に依存しておるのであります。農協営農指導面積予約がセットされた形で、農家としては選択余地が全くない、そういう状態にまでなっておるのであります。それはいたし方ないことと思うのでありますが、経済連から供給される肥料ではどうしてもその土地作物に合うものがないという農民不満もまた出ておるのであります。そこで、私の農協では随分苦心をしまして私たち土地に合った配合肥料をつくって、これは阿賀北配合と呼んでおるのでありますが、農家求めに応じたりして苦心しておるところであります。また、農家が支払う肥料価格にしましても、それが本当に高いのか安いのか、農家自身がこれを見きわめる方法が全くありません。単協もまたみずからの努力で若干手数料に手心を加えるくらいしか農家求めに応じる余地は残されていないのであります。  私は、農業に携わる一人として、また、農協役員経験からしてこの肥料安定法運用に多くの疑問を持っておりますので、その立場から若干の意見を述べさしていただきたいと思います。  私は、率直に言って肥料価格安定法需要者農家のためになっているのかどうか、したがって、これをさらに延長する必要がどこにあるのかとの疑問を持つものであります。私ども農家にとって不満であり疑問に思うことは、肥料国内売りと輸出との間の価格差が余りにも大きく、しかもそれが長年続いていることであります。我々農民が最も注目してきたことは、第十四条の肥料メー力ーに対する独禁法適用除外規定であります。すなわち、ここでは「第二条第一項又は第十一条第一項の規定による届出に係る取決め及びこれに基づいてする行為並びに輸出会社の行なう正当な行為」には独占禁止法適用せずとして、メー力ーカルテル行為の道を開いていることであります。第二条第一項とは、メーカー全農との価格取り決めであり、第十一条第一項とはメーカー輸出会社との間の各般の取り決めでありますが、どちらも「これに基づいてする行為」にまで独禁法適用が排除されていることに注目しなければならないと思います。  既に先生方十分御承知のように、肥料問題が政治の俎上にのりましたのは昭和二十年代からのことであります。その契機は、外国には安く国内には高くという輸出赤字国内転嫁をやめさせることにありました。それが昭和二十九年の肥料二法の制定となり、そして三十九年に肥料価格安定等臨時措置法へと引き継がれてきたのであります。  その間、時限立法であった肥料安定法延長延長を重ねてきましたが、一向に国内価格国際価格と同じにはなりませんでした。例えば、全農資料によりましても、輸出価格国内価格に対する比率は五十七肥料年度でも硫安で五七%、尿素で六二%となっております。依然として国内価格国際価格が縮まらないのはなぜなのか。理由価格安定法の仕組みにあるのか、運用にあるのか、ここは国会審議で十分詰めていただき、存続廃止かを決めていただきたいと思うのであります。  そして、それとの関連で私どもが日ごろ思っている疑問を率直に申し上げますと、政府肥料コスト調査がどの程度厳密なものなのかどうか。聞くところによりますと、メーカーが提出したものがそのまま用いられているのではないかと言われています。そうだとするなら、農家にとっての肥料価格安定法メーカーカルテル行為を公認するだけのものでしかないということになります。  また、国内価格を決める場合のメーカー全農交渉にしましても、なれ合いではないかといった話を聞くことが少なくありません。生産資材価格を決めるに当たって、メーカーとの団体交渉でこれを決めるというあり方は大変いいことなのでありますが、全農元売業者であると同時に、単協を通して小売業者立場もあり、また、みずから製造工場を持つ生産業者でもあります。なれ合いではないかとか、なれ合いになっても不思議ではないと見られるのは、全農の持つこのような経済事業という性格からきていることであります。全農だけが価格交渉権を持つことが果たして妥当なのかどうか、疑問の声が少なくないのはこのためであります。  今日、食糧自給率向上など農業安定的振興国家的課題となっておりますが、農家経済における農業所得は相対的に低下しております。したがって、農産物生産コストの低減が強調され、農家もまた真剣に取り組んでいるところであります。農家経営コストに占める肥料代割合は約二割にも達しており、しかも、その肥料代に占める硫安尿素高度化成割合は約六割と言われております。  このように、農業にとって極めて重要な特定肥料農民として選択余地のない状態で供給されているのであり、そのコストも果たして妥当なのかどうかの検証も他との比較もできない状態であることが不安であり、不満であります。価格決定交渉需要者農家代表として、例えば全日農など農民団体から代表を参加させることは、今日最も妥当であり説得力のあることかと考えます。この法律運用に当たり、これらの配慮をされることをお願い申し上げるのであります。  最後に、もう一点だけつけ加えて申し上げたいのは、最近食糧安全保障が強調されておりますが、食糧国内生産肥料は切り離すことのできない重要物資であるということであります。食糧同様国内生産確保をどうするのか、そのための審議も十分尽くしていただきたいことを申し添えて、私の意見陳述を終わらしていただきます。
  6. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) ありがとうございました。  次に、土方参考人お願いいたします。土方参考人
  7. 土方武

    参考人土方武君) 日本硫安工業協会土方でございます。  諸先生方には常日ごろ化学肥料工業に対しまして多大の御指導と御鞭撻を賜りまして、この席をかりまして厚く御礼申し上げる次第でございます。  本日はせっかくの機会を与えられましたので、化学肥料生産に携わる産業立場から、現行の法律規定されております価格取り決め措置存続について賛成意見を述べさせていただきたいと思います。  御承知のとおり、現在の法律はいわゆる二法廃止後の措置といたしまして昭和三十九年に制定されて、その後三回にわたり期間延長を行う等の改正が行われて現在に至っておるわけでございまするが、この法律目的とするところは、農業生産基幹的資材である化学肥料価格肥料需給安定化を図ることによりまして、農業化学肥料工業の健全な発展に資することでございます。  具体的にはまず、化学肥料価格決定に関しまして、政府交付資料等に基づきまして販売業者生産業者とが価格取り決めを行うことが認められておるわけでございます。その交付資料として政府の調査されました実績原価が用いられ、この実績原価をもとに両当事者が自主的な話し合いによりまして合理的な価格取り決め政府に届け出ることになっております。  こうして取り決められました国内肥料価格は、従来、ともすれば大幅な変動を繰り返しておりました国際価格と比較いたしますと、極めて安定してまいったという実績がございます。また、価格取り決めの過程では、輸出部門赤字が出たような場合でも、これとは完全に切り離して国内価格取り決められてまいっておるわけでございます。  同時に、需給安定化に関しましては、政府が各肥料年度前に需給見通しを策定されまして、これに基づいて生産業者は計画的な生産を行ってまいりました。さらに、従来は需給見通しに基づきまして適正規模輸出が実施されておりまして、内需を優先的に確保しつつ需給安定化を達成することができたわけでございます。  このような合理的な価格取り決め制度中心とする本法律は、肥料価格の安定と需給の安定に極めて多大の効果を挙げてきたと評価されるわけでございます。特に、この十年間に二度にわたって経験いたしました石油危機等の場合におきましては、本法に基づく適切な素早い対処によりまして大きな混乱を避けることができたのでございます。  一例を申しますと、第一次石油危機が起こりました直後の昭和四十八年から四十九年にかけまして、硫安国際価格は三倍近くにも高騰いたしましたが、国内価格は四割程度値上がりにとどめられたという実績がございます。  次に、化学肥料価格需給安定化のために法的な措置が引き続き必要であると考えられます理由につきまして、若干述べさせていただきます。  第一に、化学肥料農業生産に欠かせない重要な基幹資材といたしまして安定供給が何よりも強く求められており、価格面では、農産物価格との関係から全国一律の価格で供給することを求められているという性格の製品でございます。  申すまでもなく、肥料需要全国農家に広く分散しておりまして、かつ季節的な変動が非常に大きいのでございます。一方、化学肥料生産する私ども工場特定地域にいわば偏在しておりまして、年間を通じてほぼ二足の操業を行っております。したがいまして、必要な時期に必要な場所化学肥料を供給するためには、前送りとか保管等を含めた非常に計画的な生産物流が不可欠な条件でございます。最近では国鉄貨物輸送合理化に伴いまして、輸送コスト上昇物流上の制約が一層増加してくるという状況が予想されるに至っております。  こうした状況のもとで、これまでどおり全国どの場所へも一律の価格肥料を供給していくためには、従来から実施してまいりましたような法的措置に基づく合理的な価格取り決め制度を、今後とも存続させることがぜひとも必要であると考える次第でございます。  第二に、原料価格等外的要因に関する点でございます。  ナフサ等の原燃料の価格需給動向は、現在は安定しておりまするけれども、今後の見通しとなりますと多分に不透明な面がございます。また、化学肥料国際需給価格動向につきましても先行きを正確に見通すことは難しいのでございます。今後これらの外的要因に大きな変動が起こる等の事態が発生いたしました場合におきましても、こうした異常事態に適切に対処して化学肥料国内価格需給の安定を図り、農業生産を確保することができるような体制を整えておくことが非常に重要だと考える次第でございます。  第三に、当化学肥料業界が現在取り組んでおります構造改善事業との関連がございます。  御高承のとおり、当業界は二度の石油危機後の国際的な肥料情勢の急激な変化の中で大幅な過剰設備を抱えるに至りまして、こうした構造問題の改善のために昭和五十四年から特定不況産業安定臨時措置法、いわゆる特安法の指定を受けまして、過剰設備の処理を中心とした第一次構造改善対策を実施してまいりました。しかし、その途上で第二次石油危機の影響を強く受けてまいりまして、さらに輸出が減少する等の事態によりまして、昭和五十八年より新たに特定産業構造改善臨時措置法、いわゆる産構法の適用を受けまして第二次構造改善対策を実施しているところでございます。今回の第二次構造改善対策におきましては、我が国の化学肥料工業の規模を国内需要中心とする規模にまで縮小させるとともに、生産コストの低減のための諸対策を導入することによりまして、過度の縮小を避けて供給の安定を図り、同時にコスト合理化することを目的としているのでございます。  具体的には、過剰設備対策といたしまして、私どもの業界の関連では、例えばアンモニア六十六万トン、尿素八十三万トンといった設備を追加処理することになっておりまして、またコスト低減化対策といたしましては、原燃料の転換あるいは省エネルギー対策の推進、高能率設備への生産の集中、こういった合理化対策を強力に進めておるところでございます。こうした合理化効果を価格に適切に反映していくことは、肥料需要家と生産者の双方にとりまして有益なことであると信ずる次第でございます。  このように、現在私ども化学肥料業界では安定供給コスト合理化のための構造改善事業というものに取り組んでいる途上でございますので、こうした構造改善の円滑な推進を図るためにも、この時期、肥料価格が安定的に推移することが従来にも増して強く望まれる次第でございます。なお、構造改善事業の実施の過程におきましては、関連産業、特に中小企業に対する影響とか、雇用、地域経済に対する影響等につきまして十分に配慮して進めてまいる所存でございます。  以上るる申し上げましたが、現在の当業界をめぐります状況を考えますと、農業生産を支える重要な基礎資材である化学肥料価格需給の安定を図るためには、従来から実施されてまいりました法律に基づく合理的な価格取り決めの仕組みが今後ともに存続されることがぜひ必要であると考える次第でございます。  私ども化学肥料工業といたしましては、現在取り組んでおります構造改善事業の円滑な推進によって、今後ともに化学肥料の安定的かつ合理的な価格で供給責任を果たしていく所存でございますので、本法律延長による化学肥料価格安定化の法的な措置を強く要望する次第でございます。  以上をもちまして私の陳述を終わらしていただきます。どうも御清聴ありがとうございました。
  8. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) ありがとうございました。  次に、草野参考人お願いいたします。草野参考人
  9. 草野操

    参考人草野操君) 私は、日本化成肥料協会の会長をしております草野でございます。  高度化成肥料生産しております業界の立場から、肥料価格安定等臨時措置法の改正、延長について意見を申し上げたいと思います。  御高承のとおり、肥料農業経営費の一三%強を占める基礎的な農業生産資材でありますので、その価格と供給の安定が図られることは非常に重大なことでございまして、私どもといたしましても、この点を常に念頭に置きながら経営を進めてきておる次第でございます。  肥料需要には大きな季節性がございまして、これに対しまして、工業生産は年間を通して平均して計画的に行うことが経済的に最も好ましいわけでございます。また、供給を安定的に行う面から見ましても、これが必要なことでございます。現行の価格取り決め制度は、安定的な生産を確保いたしまして円滑な流通を実現し、季節的な需要にもうまくかみ合うという役割を果たしておるというふうに判断をしておるわけでございます。  高度化成肥料が、本法の特定肥料として政令の指定を見ましたのは、第一次石油危機直後の昭和五十年のことでございます。当時、燐鉱石あるいはカリの価格が異常に高騰をいたしまして、高度化成肥料価格も相当大幅な上昇を余儀なくされたわけでございますが、その後の国際的な肥料情勢の落ちつきから、高度化成肥料取り決め価格も年々引き下げが行われてまいりました。さらに、五十三年になりまして円相場の急上昇がございましたために、これは年度の途中ではございましたけれども、円高の差益を還元するということのために取り決め価格の引き下げを実施いたしております。  ところが、五十四年に至りまして第二次の石油危機が起こりまして、これによって燐鉱石、カリを初めといたしまして、アンモニア原料のナフサ、これらも再び大幅な上昇を見たわけでございます。このため、高度化成肥料取り決め価格も残念ながら再び上昇を余儀なくされたわけでございますけれども、本法の価格取り決め制度の効果もございまして、価格の著しい高騰を回避できたわけでございます。五十六年以降は再び原料事情の落ちつきや肥料工業合理化の成果によりまして、年々取り決め価格の引き下げを見ております。  以上申し述べましたように、高度化成肥料はその粗原料の大部分を輸入に依存しておりますために、これら国際価格変動が直ちにコストに影響いたしてまいります。それが肥料価格取り決め制度によりまして価格が適正に取り決められてきましたことによりまして、価格はもちろん、需給混乱も防止されまして、流通も円滑に行われてまいったというふうに私どもは考えておる次第でございます。  しかしながら、こうした累次の石油危機を経過いたしまして、化成肥料製造業は、次第に国際競争力の低下を示し始めまして、また需要の面におきましても低迷が続くようになりまして、我々企業経営は不安定になってまいりました。  このような中で我々企業は、それぞれ省原料、省エネルギー対策を初めといたします生産合理化努力を傾注してまいりましたものの、過剰設備の顕在化によりまして構造的に極めて困難な状況に直面することになったわけでございます。  このため、我々化成肥料製造業は、昨年の六月に特定産業構造改善臨時措置法の御指定を受けまして、年間総生産能力六百十八万トンの一三%に当たります八十一万トンにつきまして設備処理等の構造改善対策を行うことになった次第でございます。これは過剰設備の処理によりまして適正な稼働率を確保するとともに、企業の合併や提携などのグループ化等による適正競争基盤の確立、さらには流通面の合理化もあわせて進めていくことによりまして、化成肥料製造業の構造改善を目指すものでございます。  また、高度化成肥料の原料となります湿式燐酸につきましても、五十四年の特定不況産業安定臨時措置法によります指定に引き続きまして、今回の特定産業構造改善臨時措置法の御指定を受けまして、年間総生産能力七十六万トンの一七%に当たります十三万トンの設備処理を中心とする合理化を推進してまいることとなっております。  このような状況に加えまして、本年の二月から国鉄の貨物輸送の合理化によります新輸送体系への変更が実施に移されました。肥料は御案内のとおり重量物資でございます。と同時に、大量に集中生産をいたしまして、それが地方に分散消費されるという典型的な形のものでございました。したがいまして、従来から国鉄による輸送に大きく依存するという性格を持っておるわけでございます。しかしながら、今回の国鉄輸送合理化によりましてこの肥料の輸送体系は大きく変化をすることになったわけでございます。  このような事態に対処いたしまして、業界といたしましても肥料の流通に支障を来さないよう最善の努力を払いまして、新物流体系へのスムーズな移行とその定着を図ってまいらねばならない、かように考えておる次第でございます。  以上申し述べましたように、現行法に基づきます価格取り決め制度は、肥料価格と供給の安定に多大な力を発揮したものと私ども業界におきましてこれを高く評価しているところでございます。  高度化成肥料は、農業に不可欠の基礎資材でございまして、私ども業界といたしましては、農業に対する安定供給の責務を負っておるという認識を持って仕事を進めておる次第でございます。  こうした観点から、今後化成肥料製造業を合理化いたしまして、構造改善を積極的に推進するとともに、物流の変革に対応いたしまして、肥料安定供給基盤を確立することが我々にとって重要な課題であると考えております。そのためには、適正かつ円滑な肥料の取引が確立されることが不可欠でございます。私どもといたしましては、今後とも現行価格取り決め制度が維持されることが必要であるというふうに考えておるものでございます。  このような趣旨から、化成肥料業界といたしましても、この法律価格取り決め制度存続を強く希望するものでございます。よろしく御審議のほどをお願い申し上げたいと思います。  簡単でございますが、以上をもちまして意見開陳にかえさせていただきます。ありがとうございました。
  10. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) ありがとうございました。  次に、久村参考人お願いいたします。久村参考人
  11. 久村晋

    参考人久村晋君) 久村でございます。発言の機会を与えていただきまして感謝いたします。  この法律は、肥料価格の安定を通じて農業及び化学肥料工業の健全な発展に資することを目的昭和三十九年に制定されて以来、三度にわたって延長されておりますが、この間、両産業を取り巻く内外の環境は大きく変化しております。  農業について見ますと、食糧自給率は低下傾向をたどっていますし、化学肥料工業はかつての輸出産業から内需中心産業に縮小し、化学工業に占める地位は著しく低下しております。しかし、このことは我が国にとって両産業の重要性が低下したことを示すものではなく、今後の国民生活の安定向上にとってますます重要になってきているとの認識が必要になってきておると思います。  世界の食糧需給は、中長期的に見ますと不安定の度合いを強め、穀物が大幅に不足する事態が予測されています。特に発展途上国では多くの栄養不足人口を抱え、FAOの推定によりますと二〇〇〇年には六億人が食糧不足に苦しむという深刻な事態が予測されています。  現在、我が国の食用穀物自給率は七割程度でありますが、飼料穀物を含めた穀物全体の自給率は三割強であり、先進国の中では最も低い率となっています。このため、我が国における食糧安定供給安全保障の確保の見地から、食糧自給力の維持強化が求められていることは今さら言うまでもありません。このような食糧自給力の維持強化、緑資源の維持培養、さらには高齢化社会を迎えて豊かな活力に満ちた農村社会の建設のためにも農業の健全な発展が不可欠となっております。  一方、化学肥料農業生産にとって欠くことのできない基幹的資材であり、その供給の安定と価格の安定が食糧の安定的生産のためには必要不可欠であります。同時に、アンモニア工業は化学肥料工業の中核部門であるとともに、各種工業薬品、合成繊維、合成樹脂などの原料となる化学工業の基礎的な製品であります。したがいまして、化学肥料工業は国民生活の衣食住のすべての分野になくてはならない製品であり、その健全な発展は極めて重要であると存じます。  戦前及び戦後の昭和二十年代におきましては化学肥料工業化学工業の中核部門でありましたが、昭和五十六年では総出荷額五千三百四十八億円で、化学工業全体の十八兆七百二十三億円の三%を占めるような状態になっております。この理由は、化学工業内部において石油化学製品、医薬品などが急成長したことに加えまして、石油危機以降、原燃料価格の高騰から我が国の化学肥料工業の競争力が低下して、輸出が激減した結果によるものと存じます。  したがいまして、我が国化学肥料工業は、強い国際競争力を背景に輸出産業として発展してきました時代から、内需中心国内産業に位置していると考えます。とはいいましても、化学肥料は基本的には価格弾力性が乏しい上、各国においても国内自給を優先させる傾向があるために、国際的な需給関係によって国際価格が乱高下する製品でありまして、一般の化学製品とは異なる製品特性を持っております。このことは最近では第一次石油危機前後の国際価格に明確にあらわれています。このようなことを考慮しますと、農業の健全な発展にとって不可欠な基幹的資材であります化学肥料の供給を輸入に依存することが望ましくないことは明らかであります。そのためには、化学肥料工業国内産業として健全に存在することが不可欠でありまして、それを支える化学肥料工業に働く労働者が安定して生活できる所得を確保することが必要であります。  この法律化学肥料の供給の安定及び価格の安定を通じて農業の健全な発展に貢献してきたことは明らかであります。しかし、立法時点に比較しますと、農業は新しい国際的な環境下において望ましい発展を遂げるためには構造改善が必要であるという厳しい立場に立たされています。また、化学肥料工業は、石油危機に伴う資源、エネルギー価格での格差の発生、さらには資源保有国の工業化の進展により、これまた厳しい立場に追い込まれています。このため、我が国の化学肥料工業は、昭和五十四年から特定不況産業安定臨時措置法の構造不況業種の指定を受けまして構造改善を実施したのに続きまして、昭和五十八年からは特定産業構造改善臨時措置法の指定を受けて設備の縮小と活性化に取り組んでいるのが現状であります。  具体的に見ますと、アンモニアでは昭和五十四年一月に年産四百五十六万トンの能力がありましたが、第一次で百十九万トン、第二次で六十六万トンの設備を処理しまして、昭和六十年には二百七十一万トンと五十四年能力の六〇%まで縮小することになっております。さらに、尿素については三百九十九万トンが百四十九万トンと、実に六三%の設備が処理されることになっています。  こうした設備処理に際しましては、生産の受委託により高効率設備に生産を集約化する一方、原料多様化、省資源、省エネルギーの推進により、コスト国際価格並みに引き下げ、国内農業に安定的に肥料を供給する体制を確立するということが予定されております。したがいまして、こうした構造改善が着実な成果を上げるためにもこの法律延長が必要と考えている次第です。  とはいいましても、設備処理を中心とする構造改善の実施は、化学肥料工業に働く労働者の雇用の確保及び賃金その他の労働条件に多大な影響を与えています。加えまして、この法律に基づく価格取り決め下の賃金決定の経過を見ますと、化学肥料工業に働く労働者の賃金と他産業に働く労働者の賃金との格差が拡大しているのが実情であります。  例えば、日経連の調査により化学肥料工業に働く労働者の平均年間所得と全調査対象平均年間所得を私どもが試算し、比較してみますと、昭和五十一年におきましては、全調査対象が約二百二十九万六千円であるのに対しまして、化学肥料は約二百二十万三千円でありまして、その差は九万三千円でありましたが、昭和五十八年には全調査対象が約三百五十五万七千円、化学肥料は約二百九十四万八千円で、その差は六十万九千円と格差は格大しまして、化学肥料工業労働者の労働条件の低下が目立っております。さらにこうした中で、一部の工場におきましては、化学肥料生産の基幹的な生産部門に臨時雇用労働者が採用されるケースなども問題となって出てきております。したがいまして、この法律延長が認められました後の運用に当たりましては、化学肥料工業に働く労働者化学肥料を購入される農業がともども成り立ち得るような適正な価格決定されるよう、特に配慮されるよう求めたいと存じます。  現在、農業及び化学肥料工業ともに、新しい国際環境下におきまして構造改善を進めなければならない立場にあると考えます。そして、農業化学工業は、化学肥料を初め農薬、各種の合成樹脂製品などを通じて極めて密接な関係を持っております。また、将来を考えてみますと、農業におきましてはバイオテクノロジーなどの革新的な先端技術の活用によりまして、食糧生産の飛躍的な向上を図ることが期待されておりますし、一方、化学工業にとりましても、従来の化学肥料、農薬、各種の合成樹脂製品などの農業資材の供給に加えまして、バイオテクノロジーを初め各種の科学技術を総合的に有効活用することを通じて、農業の新しい発展に寄与できる条件が漸次整いつつあると思います。その意味におきまして、農業化学工業は新しい農工両全の時代を迎えようとしておると私は考えているものであります。したがいまして、今後我が国における新しい農工両全の成果は、国内のみならず、当然のことですが、世界的な食糧確保に寄与するものでありますし、ひいては人類社会の平和の維持、貧困と疾病の追放、緑の革命による地球的規模での環境の保全などに貢献することは言うまでもないと存じます。  適正な肥料価格決定は、以上申し述べました新しい農業化学工業の両全の基礎であることを再度申し述べまして、この点をお含みいただきまして本法案を御審議の上、成立さしていただくようお願いいたしたいと思っておる次第でございます。  以上です。ありがとうございました。
  12. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) ありがとうございました。  以上で参考人方々の御意見の開陳を終わります。  それでは、これより参考人方々に対し質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  13. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 それぞれの参考人の皆さん方には、本委員会審議に当たりましてただいまは貴重な御意見をそれぞれいただきまして、大変ありがとうございました。私どもはこの法案の審議を深めてまいりますためにも、今それぞれ御意見をお聞かせをいただきました中で、若干もう少しこの点お聞きしたいという点もございますので、それぞれにひとつ御質問申し上げますので、よろしくお願いをいたします。  最初に、田中参考人にお伺いをしたいのでございますけれども肥料を購入される場合に、生産メーカーをどのようにしてお決めになるのか、すべての生産メーカーを対象にされるのか、それとも一定の基準でお決めになるのか、あるいは、すべてのメーカーを対象にされるといたしますと、その数量の割り当て等はどういう基準でなされるのか、その辺がおわかりでしたらお聞かせいただきたいと存じます。  二点目は、それぞれその価格決定するに当たりましては、生産費がやはり問題になるのであろうと思うのでありますが、この生産費はお買いになる立場としてどのようにして御確認になっているのでございましょうか。  それからまた、国鉄合理化の話がそれぞれ参考人から出ているわけでありますけれども、この国鉄合理化によるコストへの影響というのはちょっと試算をしてごらんになっているのでございましょうか、もしあればその辺もお聞かせをいただきたいと思います。よろしくお願いをいたします。
  14. 田中昇

    参考人田中昇君) ただいまの先生の御質問でございますが、全農といたしまして肥料の購入について、メーカーの選定をどうするか、あるいはまた全メーカーか、こういうことでございますが、私どもとしましては、農協からの年間あるいは春、秋に分けました面積予約ということでの受注をいたしておりまして、それに基づきましてメーカーにそれぞれ振り向けていっているわけでございますが、その対象はほぼ全メー力ーにわたっております。ただ一部、私の記憶では、多木肥料が私の方はやっておらないと思いますけれども、大部分の一次メーカーにオーダーをお願いをして出荷をしていただいているということでございます。そのメーカーごとの、品目ごとの数量につきましては、それぞれ多い少ないがございます。これは私どもとしましては、合理化なりあるいは技術開発の力を将来において展開できるものに重点を置いて、極力コストが安くて生産できるメーカーの方にオーダーを振り分けたい、こういうつもりでございます。もう一つは、先ほど出ましたように北から南まで物流ということが非常に大事でございますので、その地帯の需要に見合って極力物流コストの低下につながるような工場配置に向けてオーダーを出す、こういう二つぐらいのものを基準といたしまして、これを重点購買ということで全体のコスト水準を下げていこうという努力をいたしております。  それから第二点の、コストはどう確認をするかということでございますが、この法律のもとにおけるコストにつきましては、政府が権限をもって各社に立ち入り、あるいは聞き取りし、あるいは資料の提出を求めコストの調査をしていただいております。これにつきまして、私どもの方が内需における相当量の販売をしているということで、消費者代表ということで自主的にメーカーの側とその年度の値段を決めさしていただいているということでございます。この確認につきましては、私どもとしましても行政の方から出てくるコストを十分に尊重もいたしますが、私どもなりに多年蓄積をしたコストの上積み調査というものを持っておりますので、それと対比したり、それからまた、国際情勢なりあるいは肥料需要動向等も含めまして、出された値段はこうだけれども、まだもう少し下げる要素もあるというふうなことがあればそういったものも加味し、あるいは操業度等についても、六割しかない操業度だということがありますけれども、従来の輸出等を見ますと、それを含めた操業度ということで装置産業としてのメリットは出ていっているわけですから、そういうことを絡めて価格保証をいたしております。  それから、国鉄合理化案につきましては、今各県の経済連といろいろ対応策を協議いたしておりまして、現在のところトラブルはございませんけれども、従来全農の扱いが、主な肥料が全体で六百万トンといたしまして、約七割と見まして四百二十万トン、これが大体全農が庭先まで届ける責任のある肥料になりますけれども、この中の大体四割の約百六十万トンぐらいのものが国鉄お願いをしておりました。これが拠点駅集約ということになってまいりますと、従来の物流コストで、あるいはまた、物理的に国鉄を利用できるという数量は約半分に低下いたします。八十万トンぐらいしか国鉄に依存ができないということになってまいりますので、あとのものにつきましては極力直送をする、特にトラック輸送等についての直送体系を重点にして中間的なクッションのない形でコストの軽減につなげていこう、あるいは船輸送をする、内航船を利用する、あるいはトラックと船輸送と組み合わせる、こういったような問題。それから、国鉄につきましても極力コンテナ輸送という形で合理化を図っていきたいと思っておりますので、    〔委員長退席、理事北修二君着席〕 どれくらいの試算になるかということになりますと、まだその辺が明確に詰まってきておりませんけれども、少なくともこの年度においてはそういったもののかかりが価格に反映をしないように過ごしていきたい、こういうつもりで対応いたしております。
  15. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 ありがとうございました。  それで、なおもうちょっとお聞きしたいのでありますが、メー力ーとの契約について、いろいろとコストを下げるための努力をしておられるメーカーを大切にしたい、こういうことも私は大いにわかるのでありますけれども、そういたしますと、オーダーは大体ほとんどのメー力ーにしているけれども、しかし、量的にはかなり差があるということになるのでございましょうか。
  16. 田中昇

    参考人田中昇君) はい、そういうことでございまして、特に系統に対して従来から非常に協力をしていただいたメーカーなり、あるいは従来業者の方に重点を置かれたメーカー、そういうようなものにつきましてはオーダーの配分について差別をいたしております。
  17. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 そこで、さらに生産費についてのお答えがあったわけでありますけれども、これは行政の出してくるものだけでなくて、今までの経験の中から独自に積み上げてこられたものや国際価格等々を勘案しながら価格面での交渉をしておられる、こういうお話なのでございます。そこで、行政の方で出してこられた生産費といいますのは、全農さんの方で大体この程度だろうと押さえておられるものとほとんど同じでしょうか、それとも物によっての差がありましょうか。
  18. 田中昇

    参考人田中昇君) それは差がございます。それは行政の方で出していただくものは十二月までの一年間の実績でございます。したがいまして、私どもが来肥料年度値段を決めますのは、ことしですと七月以降の値段を決めるわけでございまして、その間昨年の十二月までの実績コストとの間には半年間のずれがあるわけでございます。したがいまして、その間における例えば現在の定昇、ベアをめぐった春闘、あるいは国鉄等の値上がり要素、あるいはまた石油等の需給情勢等も含みまして、新しい要素も加味しながらいかなければいけませんので、昨年度の実績コストをそのまま適用するということは、これはむしろ問題の格差を広げるということになりますから、そういうふうなことを加味したものを大体基本にいたしまして、ことしの七月から来年の六月までの値段を決めるということになっております。  同時に、この間に影響しますのがカリとか燐鉱石等につきましては全部輸入でございますので、これはすべて為替問題が絡んでまいります。したがいまして、為替の見通しにつきましてもかなりシビアに検討いたしませんと、年度内にまた値段を変えなきゃいかぬというふうなことがあって農家に非常に迷惑を及ぼしますので、この辺に一番神経を使っているわけでございます。残念ながら為替の見通しは、経済学者が幾ら寄ってもなかなか本当の見通しが立てられないような状況になっておりますので、ときとして上がり下がりがありますけれども、今のところ大体私ども見通しました値段の範囲に為替がおさまっておりますので、本年度も大体六月までは全く値段をいじらないでいけるということになっております。そういうふうに約半年間の時間的なずれ、その間に起きている要素、それから来年度の一年間にいろいろと想定をされる要素、    〔理事北修二君退席、委員長着席〕 こういうものも積み重ねて決めさせていただいておりますので、政府コストとは違ってまいります。
  19. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 重ねてで恐縮でございますが、私が聞いているところによりますと、例えば尿素等でメー力ーの方の企業秘密とのかかわり等もあって、なかなか厳密な原価というのはつかめないという話も聞いたことがありますけれども、その辺はいかがなのでございましょうか。
  20. 田中昇

    参考人田中昇君) コストというのはどちらかといいますと、企業サイドからしますと一つの生命線だと思います。恐らく私ども法律なしでコストをつかめと言いましたら、相当これは難しい問題はあると思います。したがって、権限を持ちまして一枚一枚着物を脱いでいくようなコスト調査というものは、私はメー力ーサイドに立ては非常に苦痛であろうと思っておりますけれども、私どもが今考えておりますのは、それがすべて正しいかどうか、一〇〇%正しいかどうかということは別問題といたしまして、今とられ得るコスト調査の方式からすればベストではないか、こういうふうに考えております。
  21. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 どうもありがとうございました。  そこで、土方参考人に一点お伺いをしたいのでございますけれども硫安工業におきましては国際競争力とのかかわりもあるわけでございましょう。例えば、製鉄とかあるいは化学繊維等の生産からの副産物を原料とされる場合に、原料の多面化の方にいろいろと転換の御研究をされ、そちらの方へも力を入れるというお話を伺ったことがございますけれども、こうした副産物等を原料とする場合は原価というのはどういうふうにして計算をされるのでございましょうか。
  22. 土方武

    参考人土方武君) お尋ねのとおり硫安につきましては、現在、回収硫安と副生硫安とございまして、それぞれいろいろな他産業の副産物あるいは回収品ということでつくっておるわけでございまして、大変ややこしい関係にあるわけでございます。そこで、各社がそれぞれ主生産物、副生産物についての原価計算をいたすわけでございますが、それぞれの原価処理方式に基づきまして処理しております。各社によって若干異なるところもございまして、よそはどういうふうになっておるのか、私どももわからぬというところもあるわけでございます。これをすべて統一するというのは非常に困難ではございますが、企業会計原則の範囲内で行われておるわけでございまして、若干の相違はこれはやむを得ないというふうに思っておるわけでございます。  各社のやり方につきましてはそういうことでございますが、現実に出てまいります原価というものを政府の方ではいろいろな点で各要素ごとに調査されまして、そういったものを重要な参考として決められておるものが交付資料として出てくるということでございまして、平均ではございませんけれども、いろいろな要素が入り組んだ計算になっておるということが言えると思います。
  23. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 それで、また重ねて恐縮ですけれども一つは、そうした副産物のそれぞれのメーカーでの原価の計算というのは、要するに全農さんなら全農さんに提示をされるということもあるのでしょうか。  それからまた、今政府の方の調査の話もございましたけれども、その政府の方の調査というのは、現実に皆さんの生産過程を確認しての調査でしょうか、それとも申告を中心にしてのことでしょうか、その辺いかがでございましょう。
  24. 土方武

    参考人土方武君) 政府の方は、各社ごとに非常に厳重にいろいろな資料を要求されまして調査をされます。私どももそれに対しては真実を答えておりますので、政府としては正確におつかみになっておると存じておるわけでございます。  それを全農さんに対してはどうであるかということになりますと、全農さんに対しては、法律に基づいてもおりませんので、そういった資料を提出も求められておりませんし、出してもおらないわけでございます。
  25. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 どうもありがとうございました。  次に、草野参考人にお伺いをいたします。  化成肥料業界といいますのは、かなり規模の小さいメーカーも含めて数があると思うのでございますけれども硫安工業界あるいは尿素等との生産とは大分生産の条件というものが違うと思うわけです。そういう中で、特に構造改善のことに触れられましたけれども、この構造改善を進めていかれる中で、今後企業で置き去られる企業といいましょうか、そういうものの心配、それから、いずれにいたしましても労働力を省力化するという形の中で進むと思われます。それだけに雇用問題というものがかなり深刻になるのじゃないかということも心配されるのでありますが、この点はどのようにお考えになっておりましょうか。
  26. 草野操

    参考人草野操君) お答えいたします。  ただいま稲村先生御指摘のように、私どもの化成肥料業界は比較的小規模の会社が多いわけでございますので、御指摘ございましたとおり、これから構造改善を進めていくという上におきましても、かなり難しい問題があることは十分承知しております。ただ、我々の業界といたしましては、やはり現在の業界が置かれている事態に対する認識というものは、協会の各社ともにかなり深刻にこれは受けとめておりますので、問題の難しさはさることながら、この構造改善は何としてもやっていかなきゃいかぬというふうな考え方で取り組んでおる次第でございます。  それから、二番目に御質問のございました労働問題でございますけれども、これから我々が取り組んでまいります企業の、あるいは集中、あるいは生産の委託であるとか、設備の休止、廃棄であるとか、そういうことが具体化してまいります段階ごとに、それぞれの企業の置かれている状況によって、これはかなりバラエティーがあるのではなかろうかというふうに考えます。  例えば、先ほども別の参考人からお話がございましたように、現在既に脱肥料というふうな言葉で象徴されておりますように、主として大型の企業におきましては肥料のウエートというものはかなり低下をしておりますので、他の兼営事業を持っております場合には、他の部門への労働者の配転であるとかそういうことが比較的行いやすい状況にもございます。こういう場合は別といたしまして、中小型の会社の場合におきまして他の兼営部門を持っていないというふうな場合には、政府の方でお考えいただいております雇用対策のいろいろな諸施策等も活用させていただきまして、ケース・バイ・ケースで、十分その辺は遺漏のないように進めてまいるように我々協会としても指導してまいるつもりでございます。これからの問題でございますのですが、その辺についてはいろいろまた政府のお知恵も拝借しながら、重大な問題になりませぬような配慮、勉強等もこれから進めてまいりたいと思いますので、いろいろまた御指導をちょうだいいたしたいと思う次第でございます。
  27. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 これも重ねて恐縮でございます。皆さん方は経営のベテランでもいらっしゃるわけでありますから、五年後ということを目指して、そして今の需要関係もある程度わかっておられるのでしょうし、そういう中でこれからの構造改善ということが進められるということで、私はその五年後のことについては極めていろいろ心配が多いわけなのですけれども、その辺はいかが感じておられますか、お感じで結構であります。
  28. 草野操

    参考人草野操君) 非常に難しい御質問をちょうだいいたしました。五年後に一体どうなるのかということになりますと、私も定かにはお答えしかねるわけでございますが、少なくとも与えられた期間内に構造改善の仕事をやり遂げようという考え方で現在業界は進んでおるわけでございます。五年後にどういう姿になりますか、その場合に一体、法律は別といたしましても、この法律に盛られておるような精神がどういうふうになっていくのであろうかということにつきましては、これは全くの私見でございますけれども、何らかの形でのやはり供給の安定あるいは価格の安定というものが図られなければ、極めて農業生産にとって重大な資材でございます肥料問題というものが、そう簡単に私は解決がつくものではなかろうというふうに個人的には考えておるわけでございます。しかしながら、それも五年後の姿が一体どうなるかということがあくまでも前提でございますので、これは非常に先生は難しい御質問をなされまして、恐縮でございますが、私はその程度しかお答えしかねるわけでございます。御勘弁をいただきたい。
  29. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 時間も大分経過いたしましたので、大変恐縮でありますが、簡単に一つぐらいずつお尋ねいたします。そこで、久村参考人にお伺いをしたいと思います。  今もいろいろとお話がございましたけれども、五年後に向けての雇用問題というのは、労働者立場でかなり不安をお持ちになっているのじゃないだろうかというふうにもお察しするわけでありますけれども、その辺のところの率直なお気持ちをお聞かせをいただきたい。  それから、もう一つは、企業が今、東の方はコープケミカルというような形でかなり企業連携が進んでまいりました。西の方でも何か宇部興産さんを中心にして今その動きが始まっているようでありますが、そういたしますと、こうした企業の方はそれぞれ大きなグループにくくられていくのでありますけれども、そこで働く皆さんの方はその辺をどういうふうにお考えになっているのか、この辺をひとつ簡単で結構でございますから。
  30. 久村晋

    参考人久村晋君) まず、五年後にどういう雇用状態になっているかということは非常に難しい問題ですが、私が先ほど申しましたように、やはり食糧という問題が非常に重要な問題である。だから、それと一体的に化学工業がどうなるかという問題で、例えばの話でございますが、やはり種子の問題であるとかあるいは肥料のより効率的な問題であるとか、あるいは効率性を種子で求めますならば病虫害というような問題もあるでしょう。そういう面におきますところの農薬の問題であるとか、そういうような方向に化学肥料工業あるいは広義の化学工業と言っていいかと思いますが、そういうような形で言いますならば、アグリビジネス的な方向に化学工業農業とのかかわり合いにおいて展開をしていくことによって、雇用問題の大きな展望というものを考えられるのじゃないか。ところが、そのようなことを考えましても、それにはやはり時間的な経過を必要とすると思います。その際に、やはり真っ先に失業が発生するかどうかという点につきましては、私どもは現在の産構法に基づきますところの協議のためのいろいろなシステムが法上ございますが、それを十分にやっていきたい。  それから、ちょうどきょうは参考人として硫安工業協会の土方会長もお見えですが、土方会長はまた日本化学工業協会の会長でもあられまして、私たちとは化学産業労使会議というものを形成いたしております。それで、構造改善に取り組むに当たって、お互い労使はどのようなふうにしようかということを話し合いまして、そのためには労使は協議を尽くしまして、企業内雇用を第一義的に考えるということで基本的な合意を得ておりますので、現在時点のところ、それぞれの企業内の配転という形で進んでおります。  ところが、将来的に言われますと、今申されましたように、今後やはり、先ほどの参考人のお話にもありましたように、事業提携、集約ということが多分非常に進んでまいると思います。そうした場合の配置転換というものにつきましては、ある種の期間を置いてこれはやってもらわないと、短兵急なことをやられますと、雇用不安というものが発生するという懸念は抱いております。  やはり今後の……
  31. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 済みません、もう一人お聞きしたいものですから、今の、不安がおありになるかどうか、特に強い懸念をお持ちになっているかどうかをお聞かせいただきたい。
  32. 久村晋

    参考人久村晋君) そういうような点で、現在までのところはございませんが、今後やはり期間をかけて進めていかないと問題の発生する懸念ありと、このように考えております。
  33. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 堀参考人にお伺いをいたしますが、先ほど阿賀北配合というようなお話がございましたけれども、それぞれの地域に合った肥料設計というものを特別にお考えになったその動機といいましょうか、それからそれをやっていく上で、いろいろ何か壁といいましょうか、うまくないところとか問題点とかというようなものがおありでございましょうか。これも簡単で恐縮ですけれどもお願いいたします。
  34. 堀武

    参考人堀武君) お答えいたします。  私のところは水田地帯と砂丘地帯の二つに分かれているところでありますが、その砂丘地帯のところは良質な果樹生産地帯であります。ところが、非常に古い歴史を持つ技術の高い果樹生産地帯でありますが、経済連から供給されるのに果樹有機などという配合肥料はあるのでありますけれども、とても我々のところには合わない。非常に技術が高いものですから、こんなもので使えるかということで、むしろ農協を突き上げる形の中で農協の技術員が随分苦労して、最初は私のところは聖籠町というところでありますが、聖籠農協で聖籠配合というのをつくったのであります。それが比較的好評でありましたので、隣に木崎農協というのが、やはり同じような果樹地帯がありますが、その木崎農協と一緒になって阿賀北——阿賀野川の北という意味であります、阿賀北配合ということで、砂丘地の果樹地帯に合うのをつくりまして今供給しております。これは比較的好評でありまして、相当売れているようであります。  終わります。
  35. 北修二

    ○北修二君 参考人の皆さん、大変御苦労さまでございます。心からお礼を申し上げたいと存じます。  先ほど陳述がございましたが、私は実は時間が十五分しかございません。四十一分で終わりでございますので、一遍に皆さんに御質問をさせていただいて、大体二、三分でお答えをちょうだいいたしたい。先ほどお話をいただきましたが、要点だけ申し上げますので、簡単にお願いをいたしたい。  私は肥料を使っておる農家でございます。一方、組合長でもございます。長年組合長をやっておりまして、肥料の諸般の情勢は一つ一つ全部覚えておるつもりでございます。しかし、本委員会審議をする上に、皆さん方の御意見を聞かしていただいて参考にいたしたい、かように思ってお聞きをいたす次第でございます。  まず第一に、田中参考人にお聞きをいたしたいと思いますが、全農さんはいろいろ肥料の諸般の問題で、この法律に対して考える会というのがあって、実は皆さん方のお考えと大分相違のあるグループがおるとお聞きをしておりますが、その考える会はどんなことが不満全農に対してお話をされておるのか。あわせて、それらの人と話し合って理解をしていただいたのか、その点をまず第一にお聞きをいたしたい、かように存じます。  次に、堀参考人にお聞きをいたしますが、いろいろ価格設定について全農だけではだめだ、我々みずからの農民の声を聞いてもらいたい、どういう方法で交渉をされたいと考えておるのか、全農と話し合ってともに交渉しようとお考えになっておみのか、その点をお聞かせ願いたい。  それから二番目に、今お話がありました。私は、言葉では出ておりませんでしたが、どうも価格不満がある、したがって、これは外国の価格との問題等も加味されて不満があるのではないだろうか、こういうふうに感ずるわけでございます。肥料法案は必要がない、したがって、輸入も競争させてはどうかというようにも感じられたわけでございますが、その点はどうなのかお聞きをしておきたい、かように存じます。  次に、土方参考人にお聞きをいたしたいと思いますが、構造改善で大いに御努力をされておる。私も肥料会社——私と同じ村に東洋高圧さんの砂川工場がございますのでよく覚えておるつもりでございます。生産地で肥料をつくって、石炭を燃料でやった。しかし石油が非常に交うございましたから、臨海にほとんど工場を持っていった。そういういろいろやられたわけでございますが、持っていくと同時に、また石油が上がった、大変厳しい情勢に相なってきた。いろいろ不満がある内容について、どういう不満があるかといいますと、二重価格の問題、国内価格輸出価格の格差があることは御案内のとおりであります。なぜそういう二重価格にしなければならないのか、その理由をお聞きをいたしたい。  さらに、構造改善に大変御努力をいただいておるわけでございますが、将来、国際価格に対応できるそういう構造改善を目標にしておるのかどうか、そこら辺をお聞きしておきたい、かように思うわけでございます。  次に、草野参考人にお聞きをいたしますが、高度化成の問題で大変苦労されて、努力をしておる点については敬意を表したい、かように存じますが、これまた非常に厳しい経営状態であることは私も理解をいたしておるわけでございます。堀参考人からお話がありましたように、土地あるいは作物別にもう少し農家の希望に適合した高度化成というか、そういうものを注文したらつくってくれるのかどうか、そういうものはできるのかどうか、経営が厳しいから単純化してくるのかどうか、そこら辺をどうお考えになっておられるか、お聞きをいたしたい。  さらに、先ほどのお言葉の中で、今後構造改善その他で最善の努力をするが、これも余り言葉の方に出ていませんでしたが、顔色でちょっと拝しますと、非常に厳しい、場合によっては価格で皆さんに御協力を願いたいというような感じの顔色でございましたので、本音をひとつ陳述を願いたい、かように思うわけでございます。  次に、久村参考人にお聞きをいたしますが、農業あるいは工業、そして労働組合の雇用の安定、この三位一体で努力をしていきたいというようにお聞きいたしたわけでございます。しかし、肥料業界は非常に経営の合理化を、構造改革をしていかなきゃならぬ。その中で、使用者と十分話し合っていかれるというお話でございますが、より一層これを合理化した場合に、皆さんの中に犠牲者が出るのではないかという感じが私はいたすわけでございますが、そういう不安はないかどうか、以上お聞きをいたして、二分ぐらいずつで、ひとつ要点だけで、あと九分ぐらいしかございませんので、よろしくお願いいたします。
  36. 田中昇

    参考人田中昇君) お答えいたします。  考える会につきましては、いろいろ御心配をかけておりますけれど、大体農協の中に二百三十ぐらいの組合長あるいは組合の専務の方とかいう方々が入りました研究集団でございます。したがいまして、四千三百の総合農協の中の約五%、その中で、今回この肥料問題についていろいろな考え方や意見を出されました方々は、大体三十名ぐらいの研究グループがその中にありまして、継続討議をしたという形で出てきております。私どもの対応といたしましては、組織内で幾ら議論があってもいいと思っております。反対意見があるのは当然だと思っております。したがって、その辺につきましては、意思の疎通がよく行き届くように了解工作なり説得をしなければいかぬと思っております。今回の場合は、ああいう形で朝日新聞等に先にいろいろなことが出ましたので、多少ぎくしゃくいたしておりますけれども、これからはそういう組織内の問題ということで理解を深めていきたいと考えております。  以上でございます。
  37. 堀武

    参考人堀武君) お答えいたします。  価格交渉農民代表を参加させていただきたいという意見でありまして、これは米価審議会などでも、純然たる生産代表という形で、全日農などそういう農民団体から代表が出ておるわけであります。そういうことで、実際の需要者であり食糧生産者である農民価格交渉に参加するということは、全農さんにとっても、またメーカーさんにとってもむしろいいのではないか、こういうことで、この価格交渉農民代表を参加させていただきたいということであります。  それから、私たち肥料の輸入は望んでいないのであります。これは、国内生産体制を整備して、そして肥料工業が成り立つような、特に中小のメーカーが成り立つような施策をやはり国の政策の中で盛り込んでつくっていただきたい、これを我々は安定した肥料供給として望んでおるところであります。  終わります。
  38. 土方武

    参考人土方武君) お答えいたします。  御指摘の、価格国内価格輸出価格と二重であることは従来ございました。そこで、くだくだとした説明は避けますが、今まで輸出することによって生産量をふやして、国内価格を下げてきたということは言えると思います。同時に、輸出による赤字国内価格には一切転嫁しておりません。ところが、最近のように非常に大きな格差が生じましたので、今やもう輸出の方向はやめまして、国内価格中心に、国内需要中心生産体制を整えていきたいということに構造改善をいたしておるわけでございます。その構造改善ができた暁に国際価格に対応できるかどうかということでございますが、これは法律によりまして余分な設備を排除し、その他原料、燃料の転換、多様化、省エネルギー対策、高能率設備への生産集中、そういうあらゆる努力をいたしまして、五年後には国際価格に対応できるように努力をするということでやっておりまして、少なくとも日本の内地へ入ってくるようなことはない、十分対抗できるというつもりでおるわけでございます。  以上で終わります。
  39. 草野操

    参考人草野操君) お答えいたします。  第一問の方でございますけれども、非常に特殊な地域における特殊な成分を必要とする肥料はできないのかという御質問でございますが、これは私ども一社だけでも数百銘柄の肥料を登録しております。恐らく全国的に見ますと数万という銘柄が肥料登録を受けておるわけでございまして、米を初めといたしましてあらゆる農作物に対してほぼ適合できるような肥料というものは、現在存在しておるのではないだろうか。  ただしかし、非常に特殊なそういう御要望があります場合に、製造上できないということであれば別でございますけれども、製造上できるということであります場合に一体どうかということになりますが、先ほども触れましたが、少量生産でなく、いわゆる大量集中生産というものが一番合理的な生産方式でございます。その場合に小ロットの特殊肥料ということになりますと、どうしてもこれはコスト高になり得るものでございます。その点が排除されますならば、今御指摘のようなものは、恐らくどこかのメーカーでつくれる余地はあるいはあるかもしれない。しかし、でき得るならばそれが一定の生産規模に達するようなロットであることが望ましいということが一つございます。  それから、第二点でございますが、私の顔色がどうであったか、どうも非常に恐縮でございますけれども構造改善が難しいということをつい申し上げたために、それがそういうふうにお取り上げになったのではなかろうかと思いますが、構造改善は難しくても、これは業界としてやろうという意気込みで現在努力しております。それと価格との関係でございますけれども、現在非常に、田中さんもおられますけれども全農さんとの交渉の中では極めて厳しい価格交渉の中で御決定を見ておるわけでございまして、その点があるいは顔色に出たということであろうかと思いますので、お察しをいただきたいと思います。
  40. 久村晋

    参考人久村晋君) 雇用不安があるのか、犠牲が出るのかということですが、私たちの基本的な考えは、やはり進歩をしていく場合には変化が伴うであろう。その変化の場合にはある種の時間的な余裕が必要ではないだろうか。だから、その時間的余裕を超えた場合には犠牲は発生すると思います。  それで、私たちがこの肥料工業とのかかわり合いで考えますならば、特に私たちの素材を供給する方とは、先ほど申しましたように労使会議等を持って犠牲が出ないようにしてまいりたい。ところが、最近は非常にバルクブレンド方式などが、先生も御承知と思いますが、各地でいろいろとおやりになる。そうしますと、そのバルクブレンド方式を全農さんがおやりになることによって、化成肥料の中小メーカーというものが一体どうなるか。それで、本日たまたま控え室で田中さんとも名刺交換させてもらいましたので、私たちはやはり苛性肥料の中小企業のあり方論と、全農さんの今後の作物に適した、あるいは土壌に適した肥料指導員を使って普及していく場合のバルクブレンドの問題等につきましては、これからももし田中さんの方がお許しいただけるならば話し合いをさせていただいて、その時間というものを十分考えてまいる、このように思います。  以上です。
  41. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 きょうは大変御苦労さんでございます。  この改正案についてまた政府の行政指導とか、それから考え方については次の委員会等でお聞きしたいと思いますので、参考人の皆さんですから、参考にお聞きしたいと思います。四点お聞きしたいと思います。  第一点は、全農田中参考人にお伺いしたいのですが、全農家への販売数量の約七割が全農の方でやっておられる、あと三割の方は商社その他ということでございます。この価格が決められておりますけれども、自由主義経済、また農業生産合理化、また省力化等の環境を踏まえて、この点について特に弊害はないのかどうなのか、量の点で、弊害はないのかどうなのか、これを田中参考人にお伺いいたします。  次に、堀参考人にお伺いしたいのですけれども、これはさっき北先生の方からお話があったのとダブりますが、もうちょっと具体的に、この価格決定については全農メーカーだけではなくて、どういう方々がどういう形で、いわゆる供給側と使用者側、特に堀参考人は元組合長もやっておられた。また、今町議会議員ですか、やっておられる。実際に自分で農家をやっておられる。こういう立場から参考として、どうしたら一番理想的なのか、具体的にお伺いしたい。これが一点です。  もう一点は、これも同じですけれども国内価格輸出価格が違う。これは当然今の情勢からいけば、国際価格変動がございますし、また、輸送機関等も多少違ってくるわけです。したがってそこに価格の格差が出てくるのじゃないか、こういうふうに私は認識をしておりますけれども、これをどういうふうにしたら一番理想的というか、堀参考人の考えておられる考え方をお聞かせ願いたいと思います。  もう一点は、久村参考人にお伺いしたいのです。構造改善が今第二次に入っておるわけですけれども、雇用関係の点で先ほどからお話を聞いていると、五年後はわからないと。これは当然わからないわけですけれども、私も心配をするわけです。そこで、第一次の構造改善のときにどういう弊害が起きたか。もう一つは、五年後終わるわけですけれども、これからどういう弊害がまた起きそうなのか、その点についてどう対応していくのか、この辺をお伺いしたい。
  42. 田中昇

    参考人田中昇君) ちょっと先生、失礼でございますけれども、御質問の趣旨をもう一度。七〇%扱っていることがどういう弊害ということですか。
  43. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 七〇%をおたくの方では扱っていると。また、三〇%はどこからか入っているわけです、商社を含めて。そういうことで競争というのですか、そういう弊害が末端へ行ってないかどうか。
  44. 田中昇

    参考人田中昇君) はい、わかりました。  私の方は七〇%を扱っております。恐らく農協の段階になりますと九〇%の扱いになるかと思っております。したがいまして、競争はやはり制限をされてまいりますけれども、私どもとしましては価格水準の引き下げということを一つの取引の目標ということでやっておりますので、卸の段階から経済連に多少行くもの、あるいは小売の段階で業者から買われるもの、それぞれあるわけでございますが、やはり市況というものは販売競争の中に出てまいっておりますので、競争というものは損なわれてはおらないと考えております。ただ、先ほどの価格交渉におきましては、私どもメー力ーと協議をして決めたものにつきまして、ほぼこのあとの三〇%のシェアで業者扱いになっているものは右へ倣えということになりますので、それよりも高くということはまずあり得ないと思っております。そういたしますと、競争阻害ということか若干あるにしても、これは私どもとしましては、農家のためにはむしろ、かつて我々が子供のときに障害物競争で網をくぐっていくやつがばかで、二番目に行くやつが一番利口だといったようなそういう場面にはならないのじゃないかというふうに考えておりますので、競争はございますから、弊害ということについては考えられないのではないか、こう考えております。
  45. 堀武

    参考人堀武君) お答えいたします。  この価格交渉に参加を農民が希望しているということは、これは法律の中にもありますように、政府資料全農に提供されてそういう強い立場での交渉権を持っている。私たちはそのことについてそれは評価しているのであります。しかし、実際のあれとしては、さっきも話がありましたように、単協を含めて九〇%のシェアを持っている全農さんだけが交渉に臨んでおるということが、また一方、なれ合いではないかとかいろいろな問題がやはりあるわけで、特に我々需要者の立場からいたしますと、一体この価格がいいのか悪いのかというそのあれが何にもわからないわけであります。そういうことでいわゆる押しつけられている価格としか受け取れない。  今まで、次の質問にもかかりますけれども輸出価格との差ぐらいのことは我々には見えてきているわけであります。そういうことでありますので、最も民主的に価格決定をし、そしてメーカーも、そこに働く労働者も、それから全農さんという大きな元売から小売まで持っている販売業者も、そしてそれを使う、それもまた、肥料というのは全く農民しか需要しないわけでありますから、そういう特定立場需要者である農民というものがそこへ価格交渉に参加することがより民主的になるだろう。その際、じゃ農民代表というのはどうするのかといっても、これはなかなかむずかしいことでありますので、やはり民主的な農民団体全国的には全日本農民組合とか、あるいは全農総連とかあるわけでありますが、そういう代表価格交渉に参加させることによって非常に信頼の置ける価格決定ができるのではないか、こういうことを私たち生産農民としては望むところであります。  それから、国内価格輸出価格の差のことについて、じゃどうしたら見られるのか、これは私たちにそういうことをお聞きすることがちょっと無理なことでありますけれども、事実今までやったことでありますし、それは今の肥料工業というものは国際競争を失いつつある。だから、輸出メリットというものは確かに少なくなっていることでございましょうけれども、また、産業として成り立つためには輸出に頼るという面も決してないではないでありましょう、これは経営の立場でありますから。そうなりますと、やはり輸出価格を抑えながら輸出を多くしていこうという、これは経営としては当然あり得ることだと思うわけであります。それは国内価格にしわ寄せさせないというお話は聞いておるし、また先ほどもお話を承ったわけでありますから、私たちはそれに信頼はしたいのであります。しかしながら、必ずしも我々はそれを全幅的に信じてはいられないと思うのであります。したがって、これは国内における生産業者生産態勢というものを整備し、それにはやはり国のいろいろな援助も必要だと思うのでありますが、そういう形の中で国内価格輸出価格の格差を縮めていく、これは極めて政策的な努力が必要だろうと思うわけであります。
  46. 久村晋

    参考人久村晋君) 今先生から御指摘いただきましたように、第一次のときどうであったか。それで私は、五十四年の三月二十二日に参議院の農林水産委員会で決議をいただきましたが、改めましてこれを今思い出しまして、まず、これに感謝しなければならないと存じます。  そのときの三月二十二日の決議をちょっと見てまいりますと、肥料構造改善を進めるに当たっては、「雇用の安定及び労働条件の整備につき適切な対策がとられるよう指導すること。」、この附帯決議を決めていただきましたことは、やはり非常に有効に働いたと存じます。  それで、第一次のときも第二次のときも、今日まではまだ希望退職の募集というものはございません。配置転換とか出向というような問題であります。ところがやはり、私が先ほど時間をかしていただきたいと申しましたのは、同一地域におきましての配転でございますとこれは余り問題はないわけですが、住居を異動するということになりますと、現在の住宅事情並びに教育制度下におきまして非常に難しい問題が生まれますので、そのような点も総合的に考えるべきではないか。私どもは労働組合という立場から、そういうことをそれぞれの個別企業の経営者にそれぞれの単位労働組合が言って解決を図っておりますので、今後ともこの構造改善を進めるに当たりましてはそのような配慮をそれぞれの関係者がするような、そういう形の決議を今回もまたいただければ非常に幸いと存じます。  先のことがどうかと言われますと、これは先ほど申しましたように確たることは申し上げられませんが、やはり発展をするという中においてそれぞれの企業が雇用吸収をするという形でやっておりますので、その延長線で推移するとするならば余り大きな問題には発展しないのではないだろうか。しかしながら不確定要因が多くありますから、そういう要因に対してそれぞれが先行きの見通しを、企業労使間、産業労使間でも我々は話し合ってまいりたい、このように考えております。  以上です。
  47. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 確認ですけれども、そうすると、第一次構造改善のときには、あの附帯決議を踏まえてさしたる弊害はなかったということですか。
  48. 久村晋

    参考人久村晋君) そうであります。希望退職という形には出ませんでしたが、住居の異動ということからやはり十分に考えていただいた、このように思っております。
  49. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 ありがとうございました。
  50. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 土方参考人と、また草野参考人関係することだと思うのでありますが、どちらかというと原材料の輸入依存度の高いものについては非常に将来先行き不安材料というか、こういうものもなきにしもあらずという感じがするのです。これは構造改善のためのいろいろ御努力をなさって、また将来計画、施設を処置しなきゃならないというようなことでいろいろ御努力をいただいていらっしゃるわけですが、そういう中で、原料の安定輸入ということ、またそのための省エネとかいろいろな対策が講じられなきゃならぬわけです。五十二年ですか、この構造改善の目標というものは実際現実問題としては非常に厳しいものがあろうかと思うのです。そしてまた、非常に流動的な現在の社会情勢の中で、一生懸命努力をするというこの場での話はいいのですけれども、現実問題、当面するこれからの円高の問題にもつながるでありましょうし、また、原料の輸入問題も絡んでくるだろうと思いますし、また、工場そのものの御努力もいただかなきゃならぬと思います。さらにまた、輸出もいささかしておるわけでしょうが、こういう企業を取り巻くこういう環境の中で、先ほど来お話しございましたように、働いておる方々にも他産業とそう差のない賃金を提供できるような形でこの構造改善努力しなきゃならないわけです。  この法律は臨時措置法ですから、本来ならばもう二十年近くもやっておるということになると臨時措置法ではなくなっておる、しかし、大きな経済変動がありましたからそれなりの意味はあったのだろうと思うのです。こういう中で、やはりこれはあくまでも臨時措置法にのっとるものなのだということからすると、四年後、五年後を目指して最大の御努力をいただかなきゃならぬということで、企業家としましてこの五年後の見通しをどのようにお考えになっていらっしゃるのか。先ほどもちょっとお話はあったのですけれども、もう少し突っ込んでお話しをいただきたい。先のことですから不透明なところもあろうかと思いますが、特に原材料の安定輸入といいますか、こういうことを視点にしましてお考えをお述べいただきたいと思います。
  51. 土方武

    参考人土方武君) お答えいたします。  先生に御心配いただきましたとおり、まことに原材料の問題が重大でございまして、この点の見通しがまた甚だ難しいわけでございます。ただ、従来石油といいますかナフサを原料とする一辺倒の肥料工業も、石油危機以来体質改善の必要を生じてまいりまして、原料につきましては特にそういったものの一辺倒にならないように、あらゆる安い原料を探求してこれを利用するということに今最大の努力を注いでおるわけでございます。例えば、LPGが安ければLPGを使うとか、あるいはまたコークス炉ガスの利用を図るとか、あるいはまた、先ほどもちょっと出ましたように石炭をガス化してこれを原料とするといったように、あらゆる面で安い原料を確保するということで努力したい。同時に技術の方も日進月歩でございますので、極力技術の革新を取り入れて合理化を図りたいということで、原料、燃料、エネルギー面について努力をいたしておる次第でございます。  そういうことで、五年後の形というのはまことに難しうございますけれども、私どもは最大の努力を傾注してまいりたいと思うわけでございまして、安価な原料源のところに立地して外国から肥料をつくって持ってくるということも考えられるわけでございますけれども、これは雇用問題にも非常な影響もございますし、そういうことはもう最後の最後に考えまして、国内におきまして何とか内需に見合うものは絶対に確保いたしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  52. 草野操

    参考人草野操君) 私ども化成肥料業界の原料と申しますと、若干今土方参考人の言われたものとは違いまして、御案内のとおり、燐鉱石、カリというものが主要原料になっております。日本国内生産されます主要原料といたしましては硫酸、これだけは国内で自給ができるわけでございますが、やはり燐鉱石、カリという主要原料が全量輸入によっておりますので、これらの恒久的な安定供給を受け得るようないろいろな配慮というものは十分我々も心がけて、御指摘のような点は留意してやっております。  石油と違いまして、アメリカ、アフリカあるいは一部オセアニアというようなところが燐鉱石の主要生産地でございますので、副次供給先というふうなものも対象にいたしながら、将来にわたっての供給の安定化を図っておるわけでございます。その点は御注意のありましたように十分心がけて進めてまいりたい、かように考えております。
  53. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 五人の方々のお話は、いずれも日本農業のために安定供給しなきゃならぬということで御努力なさっておる、そういうお立場からのお話であったわけであります。しかし、それぞれの持つ企業内のいろいろな問題もございますので、そういう構造改善を迫られているという厳しい環境の中で御努力いただく。ですから、使う側としては安い方がいいわけですけれども、しかしまた、多くの従業員を抱えている企業としましては、やはりそれぞれに見合うものでなきゃいかぬということで、そこが非常に大事なことになるのだろうと思います。  そういうことから、先ほど田中参考人堀参考人からございましたように、価格取り決めというのは非常に重要なことになるのだろうと思います。これは法律にのっとって、政府の出された資料をもとにしていろいろ話し合われるのだろうと思うのですが、実際にコストの調査、それからコストの現状というものを明確に信頼のできるそういうものが得られなければ、どうしても不信感がわくのだろうと思います。堀参考人も、決めるときに参加さしてもらう形のことはお話ししておりましたが、出された資料というものが納得いくものであれば、それなりに価格決定に当たりましては不信感というものはある程度払拭されるのじゃないかと思うのです。そういうことで、価格決定ということは非常に重要な意味を持つし、これをどういう形にするのかということは、今後の私ども委員会におきましても一つの大きな課題になるだろうと思います。  そこで、時間がありませんからあれですが、田中堀参考人、そういう値段を決める価格決定のときの場に居合わせるということも大事なことだろうと思うのですが、出された信頼のできる資料のものにこういう決定をしたのだということもまた大事なことの一つだろうと思うのです。その辺はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  54. 田中昇

    参考人田中昇君) お答えを申し上げます。  堀参考人からそういう参加の希望がございましたけれども、私どもはやはり農協経済連、それから全農と、こういう三段階の組織を持っております。それについての是非論というものもあるかと思いますけれども、少なくとも現在のところそういうふうにやってきておりまして、価格決定につきましては肥料農薬委員会あるいは生産資材委員会、この生産資材委員会というのは十七名の農協の組合長、それから十七名の経済連の専務、常務、そういうクラスの方で構成をいたしておりまして、そこに価格交渉に入る前に、今年度の価格交渉についてはこういう状況、こういう条件があるのでこういう方向で交渉に臨みたいというふうなことをお諮りをして、そして交渉に入ってまいります。したがって、経済連はまた各地区の支所がございますから、それをもとにして経済連会議を開いてその了承をとっていくということをする。それから、価格交渉の結果につきましては、また改めてこういうことで交渉を始めて、結果としてこういうことになるということについても白書的なものを出して、これはすべて農協段階まで届けられるような意思の疎通のシステムをやっておりました。したがいまして、現在の私どもとしましてはそういう形で理解を得ているということでございます。
  55. 堀武

    参考人堀武君) お答えいたします。  この価格交渉に参加したい、させてもらいたいということにつきましては、これはそのとおりでございます。資料の公開ということが果たしてできるのかどうか。それぞれの企業の内情に至ってまでの政府からの調査が全農へ出されて、そこで資料となるわけでありますが、それが公開されているのかどうかということもあるわけであります。私たち全農さんのお取り組みについては非常に敬意を表しているのでありますけれども、私も役員の経験からしまして非常に矛盾を常にはらむわけであります。やはり自分のところの組合員に健全な営農をしてもらいたいということから、例えば土づくり運動というものを、厩堆肥の有機質の大量投下ということを指導しながら、一方は化学肥料を売る、それを多く売らなければ農協の経営にまた困難がある、こういう矛盾を常に末端の農協ははらんでいるわけであります。そういうことがずっと積み重ねられて全農という大きな組織、しかもその全農さんはさっきも申し上げましたように元売業者でもあるけれども単協を通じての小売業者でもある、あるいはさっきのお話のように、燐鉱石などは全くほとんど全農さんが輸入しているという輸入業者でもある、あるいは、系列を通じたり、みずから経済連等肥料工場を持ったりしている製造業者でもある。こういう多面的な性格を持っている全農でありますので、その点では全幅的に需要農民の信頼を得ているとは言い切れない。私は、そういうことで大事な肥料価格決定ということが国民みんなが納得のできる状態で、特に需要農民が納得できる価格決定をしてもらいたいというところで民主的な農民団体の参加をお願いしている、こういうことでありますので、その点ひとつ御理解いただきたいと思います。
  56. 下田京子

    ○下田京子君 参考人の皆さん、御苦労様でございます。  まず、田中参考人に二点ほどお尋ねしたいのです。  一つは、国内向け価格輸出価格価格差問題でございます。実は「系統農協を考える会」の代表にぜひ参考人にお出かけいただきたいと思っていたのですが、実現しませんでした。その「系統農協を考える会」が全農に対しましてこの肥料安定法に関して質問をお出しになっていると思いますが、その一つ国内輸出向けの価格差問題であると思うのです。この質問に対しまして全農の回答では、輸出価格は不採算価格である、それから国内価格は再生産維持のための限界価格であるというふうにお述べになっていると思うのです。つまり、価格差があることを当然視されていると思うのですが、農業者の立場からいえば、財界から国内農産物価格のいわゆる割高攻撃がなされております。そういう中にありまして、市場開放攻撃も一段と高まっているわけです。その割高論を言うなら、資材の占めるウエートも年々高まっているという中にあって、肥料価格についても国内向け価格輸出向け価格と同様の方向に行かないものだろうかというのは、非常に私は正当な要求だと思うのです。この点について一点、どう思っていらっしゃるか。  それから、二点目にはコスト問題でございます。コストに基づいて国内向け価格を決めているというふうに言われておりますけれども、例えば硫安でございますが、これは銑鉄生産の際コークス炉の排ガスからつくられるのが副生硫安だと思いますし、また、合成繊維の原料製造工程から回収されるのが回収硫安で、現在合成品の硫安というものはもう事実上ゼロであると思います。そういう中にあって、理論的に硫安の原価というものが把握でき得るものなのかどうか、これが二点目でございます。  続いて、時間の関係で恐縮です、お尋ねしますが、土方参考人、同じようにこの硫安の原価についての考え方でございます。  今申し上げましたとおりでございますが、硫安の場合には需要と無関係に、化学工業品だとかコークス等の生産に伴って回収あるいは副生、その際に生まれるのが硫安だと思います。これについてどのように計算されているのか、お聞かせください。  それから、堀参考人にお尋ねいたしますが、この法案の延長に対していろいろな角度から疑問の意見が、あるいは御要望が出されました。今私が述べております、例えば硫安の原価等々を含めましたことについても触れながら、結局はこの法案に対する態度はどうなのか、その込もうちょっとお詳しくお述べいただければと思います。  それから、草野久村参考人にはせっかくおいでいただいたのですが、時間もございませんで、今回は失礼させていただきたいと思います。
  57. 田中昇

    参考人田中昇君) お答えいたします。  非常に率直な御意見をありがとうございました。考える会が申しました硫安輸出価格国内価格の格差の問題につきましては、この法律延長問題を醸すたびに速記録等を見ますと常に問題になっているわけでございます。それからさらにまた、この法律の前身であります肥料二法の時代、これは公定価格が出ていたわけでございますけれども、その時点でも輸出価格というものは国内価格よりも下回っている、こういうことに従来なってきておりますが、私どもは、国内価格につきましては、現在の資本主義生産体制の中ではやはりコストプラス適正利潤ということで、再生産を可能にする値段でなければ価格としては理論上成り立たないだろうと考えております。  ただし、輸出価格につきましては、そういう内需を満たしてさらに国際需要が極めて強調であればともかく、これは石油ショックのときに三倍になったということを先ほど土方先生は言われましたけれども、そういう場合はともかくといたしまして、すべてこれは国際市況というものに拘束をされるということで考えてまいりますので、経済の仕組みとしてそこらについての考え方が、これは見解の相違ということになるかもしれませんが、相なるべくはそれは国際価格国内価格と合致することが望ましい、これは私どももそう考えます。しかし、国際価格ということになりますと、場合によってはこれはコストを割ったダンピングということが行われているのも事実でございます。そういう点からいたしますと、極力近づけたいというふうに考えてはおりますけれども、この乖離は私としてはやむを得ないだろうと考えております。これが全農の姿勢でけしからぬと考える会が言っておりますけれども、私はその辺については恐らく見解の相違ということで平行線をたどるだろうと考えております。  これは四月二日の日本経済の切り抜きでございますけれども、ダンピングということで出ております。輸出国の業者が輸出価格国内価格よりも低くしている、そういうことについての国際協定みたいなダンピング防止法というものがあるわけですけれども、現在、一九八〇年から八三年までに世界各国に起きたダンピング提訴が五百八十件ある。そのいろいろな品目が出ておりますけれども安定法があるからダンピングが起きるのだというようなことの背景になるものは私はほとんどないと思っております。ですから、これはほかの国もそうじゃないかということで、そういう甘い考え方をしておるわけではありませんけれども、仕組みとしてこれはやむを得ない。格差が生ずる、あるいは高い場合もある。しかし、今ダンピングとなると、これはすべて安くなるわけです。そういう実態がありますので、基本的にその辺の調整というものは私としては非常に難しいのじゃないかというふうに考えます。  それから、第二点のコストの問題でございますけれども、おっしゃるとおりに、非常にコストをつかむということは難しいと思います。したがって、先ほど申し上げましたように、農水、通産共同でこの法律に基づく許容された権限のもとに各社に立ち入ってコスト調査をされる、それがやはりベストではないかと思っておるわけで、それ以上に私どもが理論的にこうだと言っても、これは一つの観念的なコストは出るかもしれませんが、真実に近いコストであるかどうかということになりますと、それなりにやはり問題もある。行政の価格がそれだけ一〇〇%正しいかということになると、それも若干問題がないとは言いませんけれども、比較した場合には、行政でこれだけの調査をしていただいたコストがやはりベストということで判断せざるを得ないというのが私どもの気持ちでございます。  その中で副生硫安、回収硫安値段をどうするか、ただじゃないかという意見もございます。また、そういう考え方もあり得るかもしれませんが、副生硫安にしろ回収硫安にしろ、何にもない施設投資の中からこういったものは出てまいりません。それをつくる過程の中で、やはりどうしてもこれは副生として伴って出てくるもの、随伴物として出てくるもの、あるいはまた、これはその企業としては必要ないけれども、こうすれば硫安になるという回収されるもの、これがあるわけですが、それをつくるにはやはり施設投資なり労務費なり経費なりというものは私はかかっていると思うのです。ただという理論は成り立たないのじゃないかと思っております。そういう点からしまして、どの程度これをほかの物資コストとして押し込んでいくかということも問題はありますけれども、ただというふうな主張で、考える食あたりが一種のアジテーションみたいな形で主張されるのは、いささか私どもの組織としては心外にたえないと考えております。  以上でございます。
  58. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 土方参考人、まことに恐縮ですが、簡潔にお願いいたします。
  59. 土方武

    参考人土方武君) ただいま硫安の原価の方法につきまして御質問がございましたが、今田中先生からお話もございましたようなことでございますので、これに若干付加させていただきますと、下田先生のおっしゃるとおり、今の硫安は七割が回収硫安で、三割が副生硫安ということで、もう全く合成はいたしておりません。この硫安は、工場別に製法別に非常にまちまちでございまして、原料評価の仕方もいろいろございます。どんな計算をなすっておるかということは企業秘密で、私もよそのことはわからぬわけでございますが、いずれにしましても企業会計原則というものが示されておりまして、それに準じて全部行っておるわけでございます。政府資料の中には、そういった原価調査の際にこれを項目別に恐らく加重平均をされて算出されておるというふうに了解しておるわけでございます。  それから、もう一つつけ加えますと、おっしゃいましたように、コークス炉ガスの中のアンモニアなどは恐らくゼロ評価をしておるのでございましょう。ただし、これには新しく硫酸を付加しなければ硫安にはなりませんので、硫酸代が加わる。それから、回収硫安の方では硫酸が出てくるわけでございまして、これにはアンモニアを新たに付加しなきゃいかぬということでございまして、それに田中先生のおっしゃった設備その他で原価が構成されてくるわけでございます。
  60. 堀武

    参考人堀武君) お答えいたします。  今お話のような副生硫安、回収硫安につきまして、私たちはむしろこういう価格交渉の中に加わって、そして正確な資料を提供していただいてともに検討していく、そういうことが今の答弁のような食い違いがなくなってくるのではないか、このように私たちは思うわけであります。  それから、私たちとしましては、この法律ができないきさつからしまして、そしてそれが臨時措置法ということで、時限立法時限立法として繰り返されてきたところに問題があるのではないか。それはさっき申し上げましたように、この運用に問題があるのか、それともその法律の仕組みそのものに問題があるのか、これはひとつ先生方に十分審議していただいて、我々需要者が本当に信頼の持てるような肥料政策を立てていただきたい、これが私たちお願いであります。
  61. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 時間がありませんので、質問を二点まとめてお伺いしますので、お答えをいただきたいと思います。  まず第一点は、田中参考人土方参考人にお伺いをいたしますが、この法律は、独占禁止法適用除外といった点であくまでも臨時措置法であり、したがって時限立法として定められておるわけであります。これが既に三度延長され、今回で四度目の延長を迎えるということであります。これだけ延長されてきたというのはそれなりの理由があってのことだと思いますが、どういう状態になればこの法律が必要でなくなるか、この点について、まず、お二人の参考人にお伺いをしたいと思います。  第二点は、久村参考人に対してでございまして、この肥料価格というものがどう決められるか。それと、化学肥料工業労働者の賃金が他産業に比べて低い。この関連をどう見ておられるのか、お伺いしたいと思います。  また、この法律の第三条第三項による「勧奨」あるいは「助言」、それから第四条による「調停」というような行政の関与の仕組みがあるわけでありますけれども、この行政の関与のあり方についてどのように考えられておるのか、お伺いをしたいと思います。  以上です。
  62. 田中昇

    参考人田中昇君) 延長が今回で四回ということで、私どもも果たしてこれはその辺どうかなという感じがしたこともございます。ただ、振り返ってみますと、やはりこの法律は五年ごとにいろいろそういう反省を加えられながら、法律自体は今回は輸出問題が取り除かれますけれども、ほとんど変わっておらない。品目を追加をして、特定三品目ということで今回来ておりますけれども、ちょっとこれは極端な例えかもしれませんけれども、非常に肥料行政、肥料事業にはなじんだ一種の空気みたいな存在、空気がなくなったら困るぞ、こういうことと同じように五年ごとに空気のありがたさを感じるような、私はそういう法律になってきていると思います。その点、甘いということもある面もあるかもしれませんけれども、そういった点で私ども立場からしますと、農業生産、したがって農家のためにもなっているという感じがいたしております。  これから先五年間の延長をということになっておりますが、今後果たしてどういう時点、どういう状況になれば延長しないで済むかという御質問でございますけれども、その間にいろいろな情勢等もまた複雑に展開してまいると思います。油だってこういう情勢でいくのか、その辺の問題等もあり、あるいは第一次石油ショックのときにわらじを履いて、カリ、燐鉱を探し求めたという経験もあります。そういったようなことで、国際的な情勢の流動ということもよほど考慮に入れなければいけませんし、内需決定的に問題がなくて、しかも先ほどからメーカーの方が言っておられるように、構造改善国際競争に太刀打ちできる合理化ということをぜひとも私どもはやってもらいたいと思う。この実現の暁には、もう一度そういう法律のあり方ということを検討する時期が来るであろうというふうに考えます。  したがいまして、この法律は輸入を禁止しているわけではございません。ですから、ここで絶対に輸入をしませんということを私どもとしては言いかねます。合理化がサボられるというような事態になれば、ある程度適正な輸入をしてそれに対する刺激ということも与えながら業界の合理化の促進を図っていかにゃいかぬし、また私どもとしましても、例えば先ほどからおっしゃっておるように、化成肥料の銘柄は大体登録されたものが二万ぐらいあります。現在生きているものが一万二千ぐらいあります。私どもの方の銘柄でも約七百ぐらいありまして、千トン未満という銘柄が六割ぐらいを占めております。こういうことを考えますと、そういった問題の整理、あるいは交錯輸送等の排除等を含めまして極力合理化によるコストダウンに協力をしていく体制を私ども立場で考えていきたい。そこらを含めまして今後五年の間に本当にさっきも申し上げましたような合理化が遂げられたということになれば、後々必要かどうかということを改めて検討する必要があるだろう、こう考えております。
  63. 土方武

    参考人土方武君) お答えいたします。  私の意見も大体ただいまの田中先生と同じでございますが、要するに、日本農業にとりまして肥料価格を安くするということと肥料価格及び供給を安定させるということ、この二つが車の両輪のごとく大事なことであろうと思うわけです。肥料価格及び供給の安定ということは、時期にかかわらず重要な課題であると思いますので、本来時限立法でなくてもいいのではないか、恒久立法でもいいのではないかと私は思っておるわけでございます。日本農業の条件が非常に変わった場合にはその法律を改正されればいいわけでございまして、私は、この価格、供給の安定ということはずっと続けていかなきゃならぬという意味におきまして、恒久化でも非常にいいのじゃないかと思っておるわけでございます。  条件がどう変わったらいいかということにつきましては、私どもはよくわかりませんが、ただいまのような現状の肥料の配給状況を見ておりますと、全農さんの果たしておられます役割というものが、非常に重要でかつ非常にうまくいっておるというふうに感じておるわけでございまして、そういった面から考えましても、何か特別な環境の変化が起こらない限りは、今のような法律が続いていくのがいいのではないかというふうに考えさしていただいておるわけでございます。
  64. 久村晋

    参考人久村晋君) 非常に化学肥料工業の賃金決定というのは特殊な、ほかの産業にない状況下にあろうと思います。例えば公益事業ですと、その認可料金をどう決めるかという際に、いろいろなコストの中に適正利潤というようなものが入っておる。ところが、この法に基づきます価格取り決め資料に基づいて双方が自主的におやりになる、こういうスキームになっております。しかしながら、先ほど申されましたように第四条の調停というのはいまだ一度も発動されたことがないということは、両当事者が合意されている。合意されているという状態ですから、私たちはその価格決定はおかしいということは申し上げようとは思っておりません。  しかしながら、先ほど申しましたようなこと、例えば昨年の年末の一時金を見てまいりますと、それはやはり随分な開きがある。例えば、大体五十三万七千円ぐらいですが、肥料関係では三十八万円ぐらいしかもらわない。年齢が一方は大体三十五歳であるのに肥料の方は大体四十歳と、それぐらいの違いでこういうことになぜなるのだろうかといいますと、やはり先ほどいろいろそれは、限界価格なのかどうなのかということですが、価格決定がそういうことに影響を与えているのではないだろうかというふうに言いたくなるというのでありまして、私どもとしましては、したがいまして、適正な価格で、農業化学肥料工業に働く労働者の所得もみんなそれぞれ、両方とも大体平均所得に近づけるような方向でありたい。  そのためには、先ほど各先生が申されました、法の三条の三項ですか、「勧奨」とかいう条項があるわけでありますから、そういう「勧奨」とか「助言」というものを、適正な価格形成をするというような立場において十分に行政当局も関与してもらった方がいいのではないか。ところが、やはり自主決定でありますから、その関与の仕方というのは非常に難しいかと思いますが、特殊な状況下にあるということでお願いをいたしたい。私どもとしましては、今から五年前のこの状態を思い起こしますと、肥料価格というのは、常に低廉で低位な価格安定供給する責務があるということを言われましたし、産構審の際にもそのようなことが議論になりました。私どもとしましては、やはりそれは農業も工業も、そこに働く労働者も再生産できるような価格にありたい、そうなってほしいということを強くお願いをいたしたいと思います。  以上であります。
  65. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 御苦労さまでありました。  気になることがございますので、そういった気持ちでお伺いいたしたいと思います。  まず、田中参考人に対して。先ほどの、一部の反対があるかという発言がありましたが、それはどういう反対であるかということと、もう一点は、これまで生産農民立場をそれなりに踏まえてこられたと私は理解したいのですが、その生産農民の要望は、これからもまたどのようにして吸い上げていきたいと考えておられるか。  次に、堀参考人に対して。先ほどのお話の中で、国内価格と国外価格の差が一向に縮まらないということを述べておられましたが、ずばりおっしゃって、こうだからという、これが聞きたいのです。  次に、土方参考人に対して。国外輸出見通しについてはどのように今後考えておられるか。  次に、草野参考人に対して。この構造改善合理化の抱き合わせで、その上に立って価格安定と低廉供給が当然予想されるわけですが、それが保証されるという前提で考えておられるのであるか。  次に、久村参考人に対して。雇用の安定とかあるいは待遇の改善とか労働条件の改善は当然だと思いますが、そういった立場から、あなたの揚げておられる組合の立場から、身分の安定と待遇の改善ですね、他の産業労働組合との比較からどういう状態にあるのでしょうか、この点。  以上お尋ねします。
  66. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 参考人方々にまことに失礼でございますが、お答えは簡潔にお願いいたします。
  67. 田中昇

    参考人田中昇君) それじゃ簡単に。  一部の考え方の反対と申しますのは、先ほどから話題に出ております考える会の立場でございます。第一点は、輸出価格国内より安いじゃないかということが一つ。そして、それを国内に転嫁していないかという意味のこと。それから第二点は、安定法がここまで続いてきても肥料工業合理化がさっぱりされていないじゃないかということが一つ。第三点は、組織討議が不十分じゃないか。この三点が考える会の主張の反対意見でございます。  それにつきましては、私どもとしましても、こう考えるということで回答を申しておりますし、それから、全農の中での「全農通信」というもので、特集号を二回組みましていろいろと説明をいたしております。多少その辺の行き違いが出ておったことは事実でございます。それから、生産農民立場をどう酌むかということでございますが、生産農民立場といっても、ただになればいいということじゃないと思っておりますので、十分話し合っていけばおわかりいただける、こういうふうに考えておりますから、これは組織を通じて、そういう意見あるいは不満等については十分吸収をして対応していきたい、こう考えております。
  68. 堀武

    参考人堀武君) 簡単にお答えいたします。  価格差でありますが、これは我々は全農さんの発表の資料等にしかよれないのでありますけれども全農さんの発表によりましても、例えば五十七肥料年度硫安につきましては五九%の比率がある、こういうことを先ほど申し上げました。四十八年から五十七年まで十年間で平均として七五%という数字が全農さんの資料にも出ておるわけであります。もちろん、これを国内価格に換算いたしますれば相当修正される、上積みされるということは承知しております。しかし、それでも格差はあるわけでありますから、私たちはそういう点ではやはり、発表されたものでもこうなのだからというふうに受け取らざるを得ない。この価格差を埋めるという努力がなければならぬじゃないかということで、先ほど申し上げたような疑問を差し挾んだわけであります。
  69. 土方武

    参考人土方武君) 輸出の問題でございますが、尿素につきましては、大体内需中心の設備残存ということでまいりますので、今後は余り輸出を考えないということでございます。それから硫安につきましては、これは副産品、回収品でございまして、国内需要よりも余計にできてまいりますので、この部分は輸出に回すつもりでおりまして、ただ、外国でも硫安の固定需要がございますので、相当な価格で売れるような見通してございます。
  70. 草野操

    参考人草野操君) 一言で申し上げます。  構造改善及び合理化というものは、肥料安定供給及び価格コストの引き下げに十分寄与し得る性質を持っておる、かように理解しております。
  71. 久村晋

    参考人久村晋君) 他産業と比べてどうかと申されますと、先ほど申し上げましたような私どもの試算でまいりますと、八年間ぐらいで平均所得が二百五十万ぐらいの累積差額になっておるというような実態からも御理解いただけるのじゃないだろうか、このように思います。  以上です。
  72. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 以上をもちまして、参考人方々に対する質疑を終わります。  参考人方々に一言お礼を申し上げます。  本日は、皆様には御多忙中にもかかわりませず当委員会に御出席をいただきまして、大変貴重な御意見を述べていただきましてまことにありがとうございました。当委員会代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十九分散会