○藤原房雄君
最後の方の声が小さくて、御
理解という言葉だけしか聞こえなかったのだけれど、それは理由のあることである、また、
皆さん方のお考えがあったことだろうと思いますが、聖域を設けないといっても、現実に防衛費には聖域があるのだし、私
どもはそういう中で
食糧安保という観点からしますと、特に農林
予算に概算要求のラインよりもさらに食い込んできたということについては、やはり当
委員会の一員としまして、また、
日本の
農業を憂える者としてこれは納得のいかないところです。
今日までの推移を見ましても、五十八年から伸び率がだんだん減ってまいりましたし、それから一般歳出の中で占める割合というものもどんどん落ちておる。私
どもは実際に
農家を回ってみまして、補助金ということになるとすぐ農林省というふうに言われるのですけれ
ども、適正な補助金というものが
農業振興、
農業の発展のためにどういう役割を果たしておったのかということから言いますと、いろいろ問題があったということは私
どもはこの
委員会でも提言をいたしております。
過日も申し上げたのですが、補助金ということですからそれは厳格でなけりゃなりません、国民の税金を使うのですから。しかし、山の中に建てる牛舎に三階や四階のビルの建つような鉄筋コンクリートの基礎が何で必要なのか、もっと現場に合った姿であるべきではないか。もっと安くできるはずだ。この前、NHKでもやっておりましたけれ
ども、電電公社の廃材または選挙に使いましたベニヤ板、電柱などを使って安くできたというのがありました。私も岩手県で実際にそれを見たことがあります。自分でつくればもっと安くできる。ところが、補助金をもらいますと建築基準法にのっとらなきゃいかぬ。ですから、役所の中でも
農業を担当する人は、これはもっと安くできるのじゃないかと思うのだけれど、建築関係の方は、やはり建物としてはちゃんとしなきゃいかぬと。補助金をいただきますとそれなりに監査はあるわけでありますから、きちっとしなきゃいかぬ。
避難、誘導、牛に避難、誘導の矢印をつけたところでわかるわけはないだろうと思うのですけれ
ども、そういうことまでお金をかけなきゃならぬ。そうでないとしかられるというか、許されない。これはもう構造改善でも何でもそうです。現在までの構造改善で学者などのお話を聞きますと、もっと半分ぐらいでできる、二割ぐらいでできる、三分の一でできると、いろいろなことで、工事のやり方とかそういうものについてのお話があります。実際使うのは
農家の方が使うのであって、自分たちがこんな弱いものでは、こんなことでは長くもたぬぞということは十分わかるわけでありますから、いいかげんなものをつくるわけはありません。国民の税金ですからある程度の基準がなければなりません。しかし、余りにも教条主義的過ぎるというこんなことがもう各所にあります。そういうものをもっと変え、もっと現実的なものにしなきゃいかぬ。そしてその補助金によってより
農業が安定的なものに推移していくということでなきゃならぬ。
最近、
農家の中には、補助金ほど高いものはない、補助金といっても全額出るわけじゃありませんから自己負担がある、その自己負担の方がかえって高くなると、こんなことが言われるようなことで、最近いろいろ見直されて、今度は酪農の資金につきましても、無利子のものを出そうなどということで変わられたようでありますけれ
ども、そういうことでいいのかどうか。今まではとにかく補助金をもらいますと高いものを、頑丈なものを、耐用年数というのがありますから一応の規格はなきゃならぬでしょうけれ
ども、そういうことでもっと現実的に合ったものを、
農家の方々の使いやすいものを、こういう農村の長い歴史的な蓄積というものに合致したものを、こういうことが現場で今言われておるわけであります。補助金が忌みたいなことで、それをカットするということが
行政改革に決してそぐうというのじゃない。その出したものがより
産業の
振興に生きていけばいいわけでありますから、そういうことで
中身の問題についていろいろ
農業団体または当事者の方々も研究していらっしゃるようでありますけれ
ども、そういう
中身のことでぜひ見ていただく。
一部の方々の言われておりますように、とにかく補助金というのはもう切らなければならないみたいなそういう観点でなくて、ぜひひとつ
農業、それも今一つの大きな転換点に立ち、その危機から脱出しようということで真剣に
農業従事者が取り組んでおるという現実も御認識をしていただきたい。そういうことで昨年に続いてことしさらにまた
農業予算だけがどんどん削り取られるようなことになりますと、
国会で自給率
向上ということを五十三年ですか、
決議したのです。こういうことでこの
国会決議ということが、国民の意思というものが果たして達成できるのかどうか、こういうことを私は非常に危惧するわけであります。
農業を担当なさる大蔵省の方々につきましても、ただ切り込むということだけじゃなくて、
中身をもう少し見ていただいて、そしてことに
農業の発展、
農業の進展のためにそれが大きな役割を担うことのできるような形での
施策というものに対してぜひ目を見開いていただきたい。そうでなければ、このままどんどん推移してまいりますと
農業は打つ手がない。
最近、
農林水産省もいろいろ考えていまして、土地づくりとか明るい農村をつくるとか、何かまたいろいろなキャッチフレーズでほかのことを言っております。そういうことも大事なのですが、やはり人、
基盤が何といっても根本になるわけですし、最近は中核的な
農家ということですから、牛でも五十頭も百頭も、農地もまた十町、こういう大型の
農家をということですから、多くの費用のかかるのは当然でございます。そういうことで
農林水産省当局の
農業に対する認識というものを、今日までも十分にあろうかと思いますけれ
ども、さらに現実を直視していただいて、今後の
農業の発展のためによりよき御
判断をしていただきたいものだと思うのです。今日までずっと推移してまいりました農林
予算の減額、金額だけのことで私は云々しているわけじゃないのですけれ
ども、端的にこういう形にあらわれるわけですから申し上げるわけであります。ぜひこの
農業予算の今後のあり方についてこういういろいろな角度からひとつ御賢察いただきたい、このことを申し上げたいと思うのですが、いかがですか。