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1984-03-29 第101回国会 参議院 農林水産委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年三月二十九日(木曜日)    午後四時開会     —————————————    委員の異動  三月二十六日     辞任         補欠選任      竹山  裕君     河本嘉久蔵君  三月二十八日     辞任         補欠選任      河本嘉久蔵君     竹山  裕君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         谷川 寛三君     理 事                 川原新次郎君                 北  修二君                 最上  進君                 村沢  牧君                 藤原 房雄君     委 員                 浦田  勝君                 大城 眞順君                 坂元 親男君                 初村滝一郎君                 星  長治君                 水谷  力君                 森田 重郎君                 稲村 稔夫君                 上野 雄文君                 菅野 久光君                 刈田 貞子君                 鶴岡  洋君                 下田 京子君                 田渕 哲也君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        農林水産大臣   山村治郎君    政府委員        農林水産大臣官        房長       角道 謙一君        農林水産大臣官        房総務審議官   塚田  実君        農林水産大臣官        房審議官     中野 賢一君        農林水産省経済        局長       佐野 宏哉君        農林水産省農蚕        園芸局長     小島 和義君        農林水産省畜産        局長       石川  弘君    事務局側        常任委員会専門        員        安達  正君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (畜産物等価格安定等に関する件)  (畜産物価格等に関する決議の件)  (蚕糸業振興に関する決議の件) ○肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正する法  律案内閣提出)     —————————————
  2. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  農林水産政策に関する調査のうち、畜産物等価格安定等に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 村沢牧

    村沢牧君 日米農産物交渉は、先週の事務レベル交渉が不調に終わったけれども、昨日シュルツ米国務長官から外交ルートを通じて日本に親書が来たというふうに言われており、さらに本日の衆議院予算委員会においては中曽根総理は、できるだけ早い機会山村農相を訪米させて決着を図りたい、というような趣旨発言があったわけであります。その総理発言は、農林大臣とも全部打ち合わせ発言であるのかどうか、さらに、こうした総理発言を受けて農水大臣としてはどのように対処されていくのですか。
  4. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 最初に、総理とは打ち合わせ済み発言ではございません。総理発言は、できるだけ早く行った方がいいのじゃないか、しかし、これは私個人の考えだ、正式には政府全体で協議して進めていきたい、というようなことを言われたわけでございます。私としましては、このたび佐野局長が参りまして、事務局ベースのは話が実らなかったわけでございますが、それを受けまして、余りにも隔たりが大きいということで、後は向こう出方を慎重に待つというような態度でおったわけです。向こうからもまた、弾力的にというようなことを言ってきております。しかし、目下のところは今慎重に検討中でございます。
  5. 村沢牧

    村沢牧君 大臣答弁を聞いても、さらにまた、佐野局長交渉経過等を仄聞いたしましても、私は、この時期に山村農相が慌ててアメリカへ行って決着を図るべき必要はない、また、すべきではないという見解を持っております。これは私の見解です。しかし、いずれは行くでありましょうけれども農相が先日の当委員会においてもたびたび決意も表明されているわけであります。そのような決意を持って、毅然たる態度を持って交渉にも当たってもらいたいし、また、政府意見統一の場においてもそのような決意でもって臨んでもらいたいと思いますが、改めて大臣決意をお聞きしたい。
  6. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 私はたびたびこの農林水産委員会で申し上げておりますとおり、我が国農業を守るという立場を堅持してまいります。せんだっての事務局交渉に当たりましても、実は余りに差が大きい、これでは行っても決裂してしまうということで、アメリカ出方を待つということにしたわけでございますが、今後も外交ルート等を通じましていろいろな情報を取りまとめた上で、これならばというときに渡米したいというぐあいに考えております。
  7. 村沢牧

    村沢牧君 早速畜産問題に入ります。  農水省は、畜産振興審議会に対して食肉安定価格加工原料乳保証価格据え置き諮問した。食肉は三年連続であり、また、乳価は六年連続実質据え置きであります。このような諮問試算価格を形骸化するだけでなくて、生産農民の切実な要求を無視したものであるというふうに私は断言いたします。畜産農家は大きな借金をして規模拡大をし、生産向上努力をしているわけでありますけれども生産を高めれば価格が上がらないということでは、生産性向上や日ごろの努力メリット農家に還元されないのではないか。大臣はどういうふうに思いますか。
  8. 石川弘

    政府委員石川弘君) 今回の価格につきましては二つあるわけでございますが、一つ牛肉豚肉につきましては、御承知のようにあの算定方法需給実勢方式でございます。過去におきまして実現しました価格をもとにしまして、その間の生産費の変化を加味した算定をしておるわけでございます。これは御承知のように、その価格帯の中で価格が実現する中で生産も合理的に向上をしてまいりまして、その間の価格の中で消費も順調に拡大してきたという実績をとちえた算定方法でございますので、畜産農家としましては、各種の合理化努力をやっていることは事実でございますが、そのメリットがすべて奪われるということで はございませんで、所得向上にもつながると同時に消費拡大にもつながってきたのではないかと思います。  それから、もう一つ乳価でございますが、これは御承知のように生産費所得補償方式をとっておりまして、例えば労賃等につきましては、製造業労賃評価がえをする等のことをやりまして生産費所得を補償するという方式算定をいたしております。したがいまして、これは当然そういう生産費上昇なり労賃上昇部分を織り込んだ算定でございます。今回の試算におきましては、従来の試算方法をそのまま使いますと前年度よりも減額になるというような数字であったわけでございますが、御承知のように、資本利子等評価を有利な方にかえまして水準を据え置いたという形でございますので、生産者が御努力さった分については当然価格の中に織り込んでいるつもりでございます。
  9. 村沢牧

    村沢牧君 畜産局長答弁でありますが、価格を据え置くということは、農家努力に、あるいはその努力したメリットに還元するものではないと私は思いますので、以下質問してまいります。  価格決定に当たって、生産条件需給事情その他の経済事情を総合的に考慮して据え置きにしたというふうに言っておるわけでありますけれども価格支持政策というのは生産者所得を補償し、再生産を確保することに重点を置くべきだというふうに思います。最近、農林水産省需給調整操作機能価格に求めておるわけですけれども、一体どちらを重点に置くのですか。
  10. 石川弘

    政府委員石川弘君) 法の定めるところに従いますれば、そういう需給事情を無視してつくれば結果的に、でき上がります価格低迷をするわけでございまして、そのことがまた生産制限を余儀なくされるということでございますから、基本的に需給が均衡するようにということは前提にございます。しかし、需給が均衡するようにということだけを頭に置いておりまして再生産が確保できないということになれば、逆に生産がそれに追いつかないということになるわけでございます。  酪農の場合で申しますと、かつての一番苦しい需給の不均衡時期は一応突破をいたしまして、五十六年以来五十七、五十八と需給状況は比較的好転をしたわけでございます。ただ、五十八年後半から五十九年にかけましていささか乳製品等の供給が過剰になり、安定指標価格につきましても値下がり傾向が出てきておるわけでございますが、別にかつてのような過剰ということではございません。よく言いますけれども、アクセルをふかすわけでもないし、ブレーキを踏むわけでもなしという調子で生産が続きますならば需給問題はいいと考えておりまして、そういうことを前提にして、今御指摘のありましたような再生産が確保できるようにという趣旨で今回も算定したわけでございます。
  11. 村沢牧

    村沢牧君 畜産物需給事情は、牛肉にしても豚肉にしても、あるいは乳製品にしても多量の輸入によって供給過剰になっている。この輸入を伴った供給過剰、需給事情を重視して価格を据え置くということは再生産を確保するという畜安法の趣旨にも矛盾するものである、さらにまた、国内生産強化にもつながらない。したがって、輸入を削減するとともに国内生産強化につながるような価格に引き上げるべきである、このように私は主張いたしますが、どうですか。
  12. 石川弘

    政府委員石川弘君) 乳製品につきましては、米に次ぐと申すとおかしゅうございますが、最も厳重な管理をしているわけでございまして、主要な乳製品事業団一元輸入、その他の乳製品につきましてもIQを使いまして割り当てているわけでございます。今入れておりますものは、御承知のようにえさ用の脱粉とかあるいはカゼインといったような国内価格水準では到底つくられないもの、それからもう一つは、ナチュラルチーズのようにかって国内生産が余りございませんで、そういうもので不足しているものを量的に補完しているもの、先生の御指摘は、多分ナチュラルチーズ等につきましては国内でもっとつくり得るという御指摘かと思います。これは御承知のように、価格面でいたしますとかなり格差がございまして、関税割り当て制度等を使いながらバランスをとっているわけでございますが、先日もお答えいたしましたように、昨年からことしにかけての乳製品輸入は、全体としては若干でございますが減少をいたしております。  したがいまして、私どもは、国内で合理的な生産によってつくり得るものについては国内で供給するという基本的な考え方に立ちまして畜産物輸入政策をやっておりますので、そういう意味で、国内において加工原料乳なりあるいは飲用乳なり、国内需要が若干でも改善されればそれは当然国内生産をしていくということで、年率数%の伸びを確保いたしておりますので、今後ともそういう考え方でやっていきたいと思っています。
  13. 村沢牧

    村沢牧君 乳製品輸入が前年度に比べて若干減っておるという説明でありますが、そのことは数字の上ではそういうことになっておりますが、いずれにしても、しかし豚肉にしても乳製品にしても輸入があるわけなのですね。これが国内生産を圧迫していることも事実で、そのことによって計画生産にしていることも事実なのです。したがって、輸入を減らしていくという政策とともに、国内生産強化につながるような価格でなくちゃいけない。今決めた価格国内生産強化するという自信をお持ちですか。
  14. 石川弘

    政府委員石川弘君) これは価格を上げてまいりますればますます競争力を失うわけでございます。端的に申しますと、例えばナチュラルチーズのような輸入も入り得る、国内生産もでき得るというのは、外国との関係で申しますと、国内競争力が強い状態ならば入り方が少ない。国内生産が極端に値が高くなれば輸入品が有利だというふうに働くわけでございますので、これは両方から入り得るナチュラルチーズを例で申し上げたわけですが、その他のバターとか脱粉は原則的に国内でつくるという前提で、調整をするための若干のもの以外は入れておりませんから、そういう意味では問題となりますのは、ナチュラルチーズのようなところが先生指摘国内生産をやって外国から来るものを少しでも少なくできるところだと思います。何しろえさ用脱粉とかカゼインのたぐいは価格差が余りに違い過ぎまして、国内生産しようという意欲は全くないわけでございますから、こういうものについては国内で必要なものだけ買う。そういうことが乳製品に関する一般的な輸入政策であり、それを前提として国内生産を伸長していくつもりでございます。
  15. 村沢牧

    村沢牧君 乳製品だけについて答弁があったわけなのですが、食肉についてはどうですか。そして、据え置き諮問をしたこの価格国内生産強化につながるのかどうか、その点どうでしょうか。
  16. 石川弘

    政府委員石川弘君) これは例の肉用牛生産振興に関する基本方針ではっきりしていることでございますが、国内合理的生産を基礎としながら必要なものを計画的に輸入するという建前になっております。したがいまして、国内における合理的生産というものが確保できればできるほど別に輸入に頼る必要はないわけでございます。  その合理的生産と言われておりますものは、先日も申し上げましたように、例えば昭和五十年の価格を一〇〇として乳用雄牛は今でも一〇〇という水準でやってきている。これはそういう意味で大変な合理化をしていただくと同時に、でありますればこそそういう国内生産を伸ばして、それ以外の需要との差額を輸入するという政策ができているわけでございまして、国内生産のいわば支持価格をどんどん上げていくというようなことになりますと、国内合理的生産でやっているのだという説明がなかなかしづらくなる。そこが私どもの一番のつらいところでございまして、今回の価格につきましても、そういう趣旨でたまたま算定方法をとりましてもほとんど動かない数字が出てまいっておりますので、据え置いたわけでございます。こういう価格水準生産と申しますか経営合理化で対応していただければ、私はその種の 国内生産伸びというものは国内消費者にとりましても受け入れられるものだと考えております。
  17. 村沢牧

    村沢牧君 算定方式説明があったわけですけれども政府算定方式は、食肉についてパリティ方式にしてもあるいは需給実勢方式にしても農家が過去において販売した価格基準としておる。つまり、これでは再生産が確保できるという裏づけはない。また、所得が今後果たして保証できるかどうかというこうした断定もできない。したがって、生産費所得補償方式によって算定すべきものだというように思いますけれども、なぜこうした方式に変えることができないのかどうか。畜産農家が安心して生産に励むことができるような水準にどうしても価格を引き上げなければいけないというふうに思いますが、どうなのですか。
  18. 石川弘

    政府委員石川弘君) 現在の需給実勢方式価格帯というものを設けまして、その価格帯の中に価格を安定させることによって生産消費伸びるという仮説の上に立っているわけでございまして、御承知のように、この方式を使いまして五十年以来の運用を見ておりますと、生産の方も順調に拡大をしてきた、それから消費の方も順調に伸びてきたわけでございます。したがいまして、万が一この方式試算をいたしました結果、例えば国内生産が激減するということになりますれば、この需給実勢方式なるものは採用できなくなるということでございますし、この需給実勢方式が大変高い値段が出ておりまして消費が減退をするというようなことが起こりますれば、この需給実勢方式を採用できないような事態になったと考えるべきでございます。幸いこの方式を用いまして以降も、ほぼこの価格でやりながら生産あるいは消費が順調に展開しているというところで私どもはこの方式を現在採用しているわけでございます。  もう一つ、御承知のように食肉は牛にしろ豚にしろ、いずれも市場において自由に価格が形成されるものでございまして、米価に見られますような政府買い入れ価格とか、それから乳価保証価格のように農民にとって加工乳メーカーに納めます場合に保証する価格というような一本価格ではございません。したがいまして、肉につきましてはこの考え方をいろいろと、これは算定方式等について勉強すべき点はあると思いますが、今この方式にかえて例えば生産費所得補償方式といったものを直ちに採用するような時期ではないのではないかと思っております。
  19. 村沢牧

    村沢牧君 この算定方式が誤りであったとするならば国内生産は激減するというふうな答弁みたいですが、激減をするといっても、設備投資をしてこれだけ畜産をやっておって、算定方式が悪いからやめましょうと、そんなことができるわけじゃないし、また、我慢をして経営しているわけなのです。ですから本当に再生産が確保できるような、あるいはそれを保証することの裏づけがあるような方式にすべきである。当面本年はできぬとしても、そういう立場からやはり私はことしの据え置きということについては納得がいかない。先ほどから申しておるように、畜産農家が安心して生産に取り組めるような水準価格を引き上げるべきだ、このことを強く主張しておきます。  それに関連をして、子牛の価格が非常に畜産経営を苦しめておるわけです。子牛価格安定対策の必要もあるわけですけれども、これは今度の価格決定に当たってどのように配慮したのか、そして今後どのように対処していこうとされるのですか。
  20. 石川弘

    政府委員石川弘君) 子牛の価格水準が五十七年の中ごろ以来低迷をいたしておりますことは私ども大変心配をいたしております。食肉価格決定に当たって考えるべき事項といたしましては、これは皮肉なことではございますが、肥育経営にとりましては資材費が安いという形で経営的にプラス要因に出てくるわけでございます。したがいまして、今度の価格決定試算等をいたします場合に、素畜費が下がっているということは、肥育経営にとってはすべて経営条件プラスに出ているということでございます。それを特別価格決定のときに考えるというわけではございませんけれども、このような事態の場合は主として繁殖農家の方々が大変困窮をなさっているわけでございます。したがいまして、五十七年の低落以来、子牛価格安定基金から相当程度の資金を既に交付して農家実質手取りが下がらないようにやっておりますけれども、その結果、基金が余裕が薄くなったとかいろいろな事態がございますので、今回の価格決定の際に、子牛の生産農家価格安定のための助成のあり方、これは一般会計でもいろいろなことをやっていますが、それに付随をいたしまして、例えば子牛生産奨励であるとかあるいは雌牛の繁殖の方に回していくための施策だとか、そういう施策価格決定する際の関連対策として決めたいと思っております。現在検討中でございまして、なるべく早い機会に出していきたいと思っております。
  21. 村沢牧

    村沢牧君 ぜひその対策を早急に充実してくださることを要望しておきます。  次に、限度数量ですが、この限度数量もわずか七万トン拡大、二百二十二万トンを諮問したわけであります。しかし、既に酪農会議乳製品需給動向を踏まえて、みずからも計画生産対策に取り組んでおる中で加工原料乳を二百四十万トンに設定して、御承知のとおり既に各県に配分してある。ところが、農水省計算方法は昨年の計算方法によったと言うけれども、さらにこれを数字操作して七万トンに抑えたのです。しかも不足払い財源は、メーカーが支払う基準取引価格を引き上げることによって七万トン拡大しても政府財源は痛くもかゆくもない、何にもふえるわけではないのです。つまり、こういう状況の中から畜産振興事業団放出状況なりあるいは乳製品需給動向、さらに計画生産の実態から見て限度数量はやはりふやさなけりゃいけない、ふやすべきだというふうに考えますが、どうですか。
  22. 石川弘

    政府委員石川弘君) 限度数量につきましてはいろいろ御意見があるところでございまして、基本的に申しますと、私どもは過去におきます過剰在庫をくぐり抜けまして、ここ二年半ばかりようやく乳製品につきましてバランスのいい状況に来たわけでございますが、実は歴史を振り返ってみますと、そういう後にまた過剰を繰り返すという苦い経験があるわけでございます。私は必ずそれが来るという意味で申し上げているわけではございませんけれども、やはり限度数量を考えます場合に、一つ限度数量総量生産を刺激するという効果生産者としては大いにつくれるという刺激効果というものがございます。そういうことで勢いがつき過ぎるということに大変懸念をいたしておるのが一点ございます。  それから、需要があるからつくるのだという考え方の中では、よく御承知のように、実は生乳から真っすぐしむけられているような分野発酵乳とかいろいろございますけれども、そういう分野のところに財政負担を伴った乳製品が向けられるということは、農家手取りの観点からいえば同じ水準、例えば九十円七銭なら九十円七銭の水準メーカーが買い取れば同じことでございまして、そこに一遍財政負担が入って逆流するということは国民経済的に見ていささか問題があるのではないか。そういういろいろな要素を考えまして今回の水準の設定をしたわけでございます。  実は、御承知のように過去三年、去年その前三年間は百九十三万トンという水準で、これは過剰期でありますから三年据え置いたのでございますが、昨年は需給状況その他を勘案しまして思い切って二十二万トンふやしたわけでございます。二十二万トンふやしました際には、この水準に近いところで何年がやることによってバランスをとっていけるのではなかろうかと思っておったわけで。ございますが、今回、試算で出しましたように若干数量を増加したわけでございます。昨日の審議会審議経過の中でもいろいろとこの数量につきまして御議論がありまして、答申の中にございますが、最近における牛乳乳製品需給事情に つき慎重に考慮して、という文言が入っておりますのは、つくらせ過ぎてもまずいという御心配とか、あるいは逆の立場からもう少しやらしてもいいのじゃないかという御議論がここに集中していることを見ましても、この数量というものは大きければ大きいほどいいというものではなくて、微妙な判断をすべきところに来ていると私どもは思っております。御指摘の面は十分わかりますが、私どもとすれば、今回お願いをしましたようなトン数の中で操作をしていきたいと思っております。  御承知のように、牛乳需給計画生産計画の見通しといいますものは大変天候に左右されまして、好天が続けばうんと伸びますが、早く寒さが来るというようなときは牛乳消費が激減するということがございます。ことしの長期予報等についても何か早く秋が来るというようなことで私ども心配いたしておりますが、そういう状態も頭に入れながらつくりましたものでございまして、決して金があるから、ないから、財源があるから、ないからということを第一義的に考えたものではございません。私どもはこういう数量でやりますと同時に、もう一つその他の助成として、例えば市乳が余った場合にどう処理するかというところの援助と、そういうほかの面でいろいろお手伝いはできるかと思いますが、この限度数量につきましては、私どもの原案につきまして審議会においてもお認めをいただいておりますので、この線でやっていきたいと思っております。
  23. 村沢牧

    村沢牧君 審議会は、農林水産省がそういうふうに諮問すれば、それ以上にやるなどということはどの審議会でもやりっこないのです。限度数量については、加工面から御承知のとおりいろいろ問題点が出ていますから、最終決定をするときにおいては十分今までの意見を踏まえてさらに再考を願う、そのことを要請しておきます。  最後に、養蚕関係ですが、基準糸価も据え置き諮問されたわけでありますけれども、繭の生産費は農林省の統計情報部の発表によっても三千四百二十八円になっている。しかし基準糸価は一万四千円、基準繭価は二千五十円、実勢糸価が低迷することに伴ってこの繭価も二千円を割っているのです。繭の生産費が三千四百二十八円かかるのに農家の繭の価格というのは二千円以下だ。一体この現実をどういうふうにとらえるのですか。これが本当に再生産可能な繭糸価格というように言えるのですか。  さらにまた、繭の生産調整が不当である。私はこのことを先日の委員会でも指摘をし、その撤回を求めた。また、同僚の上野議員からも切実な現地の実態が報告され、大臣もまさに答弁に窮しておったわけであります。しかるに、農林水産省はその後二五%の減産を決めた。当委員会審議などということは全然無視した態度であると言わざるを得ません。この二五%減産を決めるときに、全養連はただよろしゅうございますと言ったわけじゃない。つまり絹織物、生糸の輸入を阻止すること、安定制度を堅持強化すること、それから計画生産にかかわる助成措置を講ずること、こうしたことを条件としてやむを得ず涙をのんで農林省の方針を受けたというふうに私は聞いていますが、内部は大変に混乱しています。そこで、こういう方針を出すことについて輸入は絶対に阻止する自信がおありなのか、そのことをこの委員会で確約できますか。
  24. 中野賢一

    政府委員(中野賢一君) 輸入につきましては、主に日本に対する主要な輸出国は中国、韓国でございます。両国につきましては政府間折衝を通じまして数量を協定いたしておるわけでございます。生糸にいたしますと、最盛期の五十三年ごろに比較いたしまして……
  25. 村沢牧

    村沢牧君 時間がありませんので、それは知っていますから、決意と結論と、織物も含めて言ってくだされば結構です。
  26. 中野賢一

    政府委員(中野賢一君) 現在では三〇%ぐらい下げておる。これからも確かに全養連等の生産者団体の指摘もございまして、現在の国際情勢からまいりますと非常に難しい課題でございますが、こういう非常事態でございますので輸入につきましてはできるだけ抑制したい。私どもも相手国のある話でございますが、全力をもって交渉に当たりたいと思います。
  27. 村沢牧

    村沢牧君 これだけの減産を農家農民に要請する限りにおいては、できるだけ一生懸命やりますという答弁ぐらいで済まされる問題じゃないのです。そんなことは今まで何回も言ってきたじゃないですか。絶対農林水産省が責任を持って輸入は阻止する、いいですか。それから安定制度はもちろん堅持をする、計画生産に見合う助成措置を講ずる、絶対このことはやってもらわなきゃ困る、そのことを強く要請します。あとまた委員会でどんどん指摘してまいりますから。  そこで、時間が参りましたから、最後に大臣に要望と質問をいたします。  畜産物価格は今夜かあした決定されるでありましょう。しかし、いずれも農家やあるいは農業団体の要請にこたえたものではない。したがって、大臣はそういう据え置きだとかあるいは限度数量も要望にこたえられない形で諮問をしたけれども、当委員会質疑、要請、これから採択されるであろう当委員会決議を踏まえて、日本の農業の発展のために再生産が確保できるように前向きな決定をしてもらいたい。そのことを強く要請をするとともに、大臣の気持ちを伺って私の質問を終わりたいと思います。
  28. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 指定食肉の安定価格につきましては、「指定食肉生産条件消費の動向及び需給事情その他の経済事情を総合的に考慮すると、試算に示された考え方でその安定価格を決めることはやむを得ない。」という畜産振興審議会の答申の趣旨を踏まえまして、また加工原料乳保証価格等につきましては、「最近における牛乳乳製品需給の動向に慎重に配慮しつつ、審議経過を踏まえて適正に決定すること。」という、やはり畜産振興審議会の答申、この趣旨を踏まえまして適正にやってまいりたいと思います。
  29. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 最初に、過日来当委員会議論をいたしておりまして大詰めにまいりました農産物交渉でございますが、今日までもいろいろその経過とか、それからまた、大臣決意ということについてはいろいろ伺ってまいりました。そういうことですから、多くを聞こうという気持ちもないのでありますけれども委員会でのいろいろな私どもの各同僚委員からの質問の中にもありましたように、農産物交渉ということで一番の責任者は農水大臣農水大臣が当委員会決議とか、また申し入れとか、こういうものを踏まえまして対処するという決意は何度も披瀝をしているわけでありますけれども、頭越しに政治決着のような形を一番おそれ、そういうことのないようにということが同僚委員からも異口同音に言われておりました。大臣が渡米するような環境にない、そういう中では、行って実りのある話のできないようなことでは、行く必要がないといいますか、行かないのだというようなお話もございましたが、大詰めにまいりましてシュルツ国務長官からの昨日来のこういうメッセージが来ておる。一面から見ますと、非常に政治決断を迫るようにもとれますし、また、非常に誠意のある何とか妥結しなければならないのだということのようにもとれる。こういうことで、非常にこの受けとめ方というのはその立場立場でいろいろあるかと思うのですが、山村農水大臣は内閣の一員という大事な立場にあります。先ほどもお話がございましたけれども、内閣の一員という立場で、総理もあのような御発言をなさったようであります。政治決断、政治的な決着、政治的なものがそこに入ることではなくして、あくまでも私どもは今日まで議論をし、大臣もまた強い決意を表明しておりましたように、内閣の中でいろいろなお話があろうかもしれませんけれども、どんな事態に至りましてもやはり農水大臣として毅然として交渉には当たっていただく、こういう農水大臣としての、この段に至りまして、さらに強い決意のほどをお伺いしたいと思うのですが、どうでしょうか。
  30. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 実はこの農産物交渉に入ります前にちょうど対外経済閣僚会議がございまして、これは経済企画庁長官が座長格でやるわけでございますが、大蔵大臣、外務大臣、それと通産大臣、あと官房長官、私というようなメンバーだったと思いますが、そこの席上でも、少なくとも日米農産物交渉に関する最終責任者は私であるということをひとつお忘れなく、最終的には私が私の責任で解決しますからということを強く申し入れてありますので、これはそれぞれ閣僚の皆さんもよく御存じであろうと思いますし、私もその責任の重大さは身にしみて感じております。その責任を果たすために全力を挙げてやってまいります。
  31. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 局長がいらっしゃったようでありますからあれですが、現在は外務省それから農林省の国際部長さんですか、かわりにいらっしゃるのですね。これは現在も話し合いは進めておるというふうにとらえていいのか。今日までこちらの言い分というのは十分に話しているわけでありますから、農水大臣が行けるような状況というのは、これはこちらの主張はいろいろ話し合いの交渉の中であったのだと思いますけれども農水大臣が出かけていくというか、出るべきだというゴーサインが出るにはそれなりの環境ができなきゃならぬ。そういう環境のできるためには、残った方々との事務レベルでのある程度の話し合いがあって、その決断をするのはやはり局長が現地へ行って、最終的な確認をした上で大臣がいらっしゃるのか、現在の状況の中で大臣が行くようなこともあり得るのか、その辺はどうなのでしょうか。
  32. 佐野宏哉

    政府委員佐野宏哉君) 先生の御指摘のように、私どもの国際部長が私が帰国いたしました後もワシントンに残りまして、大河原大使を経ましていろいろ米側と接触をいたしておるわけでございますが、現在までのところ事態は流動的でございまして、私どもとしてまだ決心をするには至っておらない状況でございます。それで、今後その決心をするまでの段取りとして事務当局としてどういう仕事を事務レベルでやることになるかということにつきましては、今のところちょっと事態が流動的なものでございますので、私どもとしてもしかとした見通しは立たない状況であります。
  33. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 そうしますと、これは残られた方々の話し合い、どういうお話がどういうふうに進んでいるのか、そういうことのわからない中での議論ですから、深いお話をしましてもあれですが、いずれにしましても、きょうは時間もございませんから、長いお話を一々お話しすることはできませんが、当初から話しておりますように、高いレベルか低いレベルか知りませんけれども、政治決着などということじゃなくて、あくまでも、大臣がさっきお話しになりましたように、農水大臣の責任の上においてというお話がございましたが、そういうことで、内閣の一員としまして毅然と対処していただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。  きょうは、何といいましても農産物価格決定という大事な問題をめぐっておりますので、今日までも価格決定に当たりましては私どもはいろいろ実情については申し述べてまいりました。党といたしましても申し入れをいたしましたし、また、いろいろな角度から議論もしてきたのであります。諮問案を見ましても、先ほど同僚委員からもお話がございましたが、これが本当に生産者所得補償のできるような価格であるかどうかということについては、私どもも非常に疑義を抱くものであります。価格政策だけで農家経済というものを押し上げる、こういうことだけを私どもは主張しているわけでは決してありませんが、六年も七年も価格が据え置かれる。物財費というものが低いとはいいましても、少なくとも農機具等においてはこれは一年に二%、三%の価格上昇はあるわけであります。また、労賃につきましても、五年も六年も据え置かれますと、やはり五年、六年の間に労賃の差というのは当然出てくる。農家の方々も必死になって努力をなさっているわけでありますけれども、こういうことからいいまして、先ほど私が申し述べたように、生産者所得を補償する価格というものについては、本当に疑義を抱かざるを得ないのであります。  畜産振興審議会におきましても、やむを得ないものという答申が出たようであります。しかし、それはそれとしまして、建議といたしまして何項目かにわたって意見が述べられております。これらのことにつきましては、一つ一つ申し上げる時間もございませんけれども、やはり価格政策はとれないということであるならば、それに対応するものとして当然農家経済の安定のためになさねばならないことが周辺の環境の問題としてたくさんあるわけであります。特に、私どもが今日まで申し上げておりますように、こういうことからいいましても、輸入自由化とか輸入枠の拡大のようなことがありますと、これはせっかく基盤づくりのために歯を食いしばってやってきたものが水泡に帰すということは当然言えるわけであります。  さらに、負債の問題につきましても、施設がどんどん高度化、高級化し、施設は立派になりましても、それは反面では負債が大きくなっておるという現実は御存じのとおりであります。また、粗飼料の自給率向上ということも、過日もちょっと申し上げたのでありますが、これは言われながら、現実、その実効性というのはなかなか上がってこない。こういうことからいたしまして、やはり農家経済安定のために長期にして低利の融資、そしてまた、農家経済が希望を持ってやっていけるような施策といいますか対処というものが今急を要するのではないか。負債整理のための資金も導入されて今日まで対処はしておりますけれども、全般的にそれが大きな効力を発揮したということではございません。ごく限られたところでありまして、総体的に畜産価格の安定のための畜産農家は、一面からいいますと、複合経営というようなことで奨励をされた一つのまた柱でもあるわけであります。これが倒れるようなことがあってはならないということで、私どもは、やはり価格は適正な価格に決めるべきだということは当然のことといたしまして、農家経営の確立のために、畜産振興審議会でも出されましたこの建議を受けて、農水省としては、これからこれらの項目についてはどのように対処をしていこうとしていらっしゃるのか。ここらあたりをきちっといたしませんと、今回の決定がどういうふうに決まるかわかりませんけれども、そのような私どもの願う適正な価格とは思えない。そういう中で、どちらもきちっとしていないということになりますと、農民にとりましては踏んだりけったりといいますか、どうしようもない現状だと言わざるを得ません。  そういうことで、審議会における建議につきましての所感といいますか、これに対する農水省としての受けとめ方をぜひひとつお聞きしておきたいと思うのです。
  34. 石川弘

    政府委員石川弘君) 食肉部会におきましても、それから酪農部会におきましてもかなり長時間の審議をしていただきまして、さらに意見開陳があったわけでございますが、その中の特に皆さん方が強調をなされ、ぜひ政府としても取り組めということがこの建議に入っておるわけでございます。  私どもは、価格決定の際には、価格政策だけで事柄が終わらないわけでございますので、まず長期的に考えますと、こういう建議の中でいろいろな重要項目を取り出しまして、毎年毎年の予算のときにそれを一つの核として要求をしておるわけでございますが、畜産の場合は、一般会計でいろいろやります施策のほかに、この価格決定の時期に畜産振興事業団助成事業等を通じまして臨機応変の措置がとれる仕組みになっておりますので、今回も、両部会におきまして私どもに出していただきました建議につきましては、中身を十分検討いたしまして、一般会計の予算、あるいはこの価格決定時に決定をいたします畜産の周辺対策の中でこれを取り上げていきたいと考えております。建議の中には長期にわたっての勉強を求められているものもございますので、これらにつきましてはまた一般の行政の中で研究をさらに深めて いきたいと思っております。
  35. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 一つは融資対策、それから子牛の価格のことも先ほど触れておりました。それから飼料の問題、粗飼料のこともありますが、建議の中に、「現行の算定方式における算出の方法につき検討を加えること。」ということもございます。これについては先ほどもちょっと同僚委員からお話がございましたけれども、いろいろ意見議論のあるところだと思いますし、南北に長い日本列島、これをいろいろな諸条件の中、立地条件の違う中での全国一律の価格決定ですから、非常に難しい面はあると思うのですが、実情に合わせた形にするためにはいろいろ検討を加えなければならないこともあるだろうと思います。私どももやはり原則的には生産費所得補償というこの考えの上に立つべきだと思うのですけれども、建議の中にもあります、算定方式検討せよということについてはどのようにお考えでしょう。
  36. 石川弘

    政府委員石川弘君) 牛肉及び豚肉価格安定帯を定めます需給実勢方式算定方式につきましては、算定方式自身が問題であるという御指摘ではございませんで、算定方式の中の「算出の方法」と書いてありますのは、これは実は牛で言いますと七年間、豚で言いますと五年間の生産費の変化を算定をする算式でございます。若干細かくなりますが、各生産費が毎年毎年ウエートが変わってまいります。例えば、機械化がだんだん進めば、機械の償却費みたいなものが大きくなって労働費が小さくなるわけです。それが七年間つながりますと、そういう生産費を構成します各要素のウエートが変わり、かつ毎年毎年物価の上がり下がりがございまして、それを七年後の現時点で算出するときに大変複雑な算出方法をとっておりましたが、これにつきまして委員の非常に多くの方々から、余りにも算出方法が複雑で、例えば農民の方が見て、こういう算出法が果たして理解ができるのかというような御指摘もございました。正確さをとうとびますとだんだん難しくなるわけでございますが、この場合そういうことが大事なのか、よりわかりやすい算出の仕方もあるのではないかというような御指摘もございましたので、これは私どももいろいろと考えてみたいと思っております。
  37. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 審議会でのやりとりについては、私の方も議事録があるわけではございませんし、公開されて私どもが知っているわけではありません。きょうちょっと局長から今話がございましたけれども、いずれにしましても、算出の方法をこれはやはり実態に合わせた形で、複雑とか何かいろいろな議論があったようであります。基本的な考え方に返りまして、生産費が補償されるような形での算出方法というものになすべきであって、この数字をいじることによって生産農家が不利益になるようなことがあってはならぬということだけは申し添えておきたいと思うのであります。  また、繭糸のことについてもいろいろ意見を述べたいことがあるのですが、これは過日、同僚の鶴岡委員からもお話のございましたように、非常に厳しい現状の中にありまして、これは国内問題ということよりも輸入問題が一番大きな問題だろうと思います。伝統ある産業が今危機に瀕しているといっても過言でない非常に重大な危機というか、重大なときにかかっておる。こういうことから、繭糸価格決定に当たりましては、これも本当に重大な配慮がなけりゃならぬと思いますが、今後の取り組みにつきましても価格決定とともに個々の養蚕農家につきまして、ここにも伝統産業として栄えてまいりましたものに対しての国としての施策は、大臣の特別な御配慮、いろいろな施策を考えていただきたいものだと思いますが、どうでしょう。
  38. 中野賢一

    政府委員(中野賢一君) お答えいたします。  蚕糸につきましては、大変今厳しい情勢にあるわけでございまして、本日繭糸価格につきましては、基準価格につきましては現状の据え置き諮問いたしておるわけでございます。その審議の結果を踏まえまして適正に決定をいたしたいと思っております。  それから、いわゆる足腰の強い養蚕産地の育成につきましては、これからも一層の努力をいたしたいと思います。
  39. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) いろいろ二五%の御協力をいただいてこのようなぐあいにやってまいったわけでございますので、私としてもできるだけのことをやってまいりたいと思います。特に、輸入の縮減ということでなかなかむずかしい問題のようでございますが、全力を挙げてやってまいります。
  40. 下田京子

    ○下田京子君 最初に、日米農産物交渉問題でお尋ねしたいのです。局長がおいでのようだから一言お聞きしたいのですけれども、事務レベル協議が不調に終わった、途端にアメリカから非常に攻勢的に農相の早期訪米を求めてきているわけです。その対応に当たってどういうふうにお感じになったか。私ははっきり言いまして、もう日本で譲歩すべきところはないのじゃないか、むしろ譲歩すべきはアメリカではないかと思うのですけれども、その点はいかがですか。
  41. 佐野宏哉

    政府委員佐野宏哉君) 私どもも、現在の局面を打開するためには米側がその立場を考え直してくれることが先決であるというふうに考えておりまして、この点は私が帰国いたしました後も、大河原大使初めいろいろなレベルで引き続きそういう意見を米側に伝えておるところでございます。
  42. 下田京子

    ○下田京子君 大臣も今の局長態度は同じだと思うのですけれども、今回の交渉の何か推移を新聞報道等でも見る限り、また、今のお話も伺いまして特別感じましたことは、まさにアメリカの姿勢というものは、日本への圧力はかければかけるほどいいのだという格好で攻めてきているように思います。といいますのは、シュルツ国務長官が安倍外相を通じまして、とにかく早期に農水大臣アメリカにいらっしゃい、こういう言い方ですね。やはり日本側がさらに譲歩してこいということだと思うのです。こういうことでいきますと、日本の農業を守るなどということにはいきませんし、一つ譲れば二つよこせというような格好で限りない譲歩ということにつながります。繰り返し念押しでお聞きしたいのですけれども、先般の委員会でも私は大臣に尋ねました。例えガットに提訴されようとも日本の農業を守るのだというあの選挙時の公約を守っていきたいという御決意を、改めて伺いたいと思います。
  43. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 今度佐野局長が行って事務ベースの交渉が不調に終わったわけでございますが、もしこちらが期限にとらわれてということになれば、佐野局長に帰ってきてというようなことをしませんで、私がすぐ飛んでいくことになるわけですが、いろいろ話を聞きまして、そしてこれはとても受け入れられない額だということで延ばしておるわけでございます。最初の私が申しました、当委員会決議そして申し入れ、これらを踏まえまして我が国農業を堅持するということを徹底してこの交渉でやってまいるつもりでございます。
  44. 下田京子

    ○下田京子君 当委員会決議等々ということ、それは大いに結構で大事なことです。ただ、私が申し上げましたのは、選挙公約で、例えガットに提訴されようともという、こういう姿勢をはっきり貫いてくださいということ、それは否定しないわけですから、そういうふうに受けとめておきます。うなずいていらっしゃるからよろしいと思うのですが、頼みます。  次に、乳製品価格問題でお聞きしますけれども、第一番目に乳価の点で、加工原料乳保証価格据え置き諮問を出されました。これは大変納得できないことでございます。生産者意見を十分聞いて、過去六年連続据え置きにも等しいような事態の中で、決定段階では幾らかなりともそういう新たな生産者の意向を酌む形で対応していただきたいと強く要望したいと思います。  そこで、具体的な点でお尋ねしたい点なのですけれども、五十八年の乳製品安定指標価格、例えばバターの場合ですとキロ当たり千三百二円に決められていたと思うのですが、実際の取引はそれを六、七%上回るような値段であったかと思う のです。つまり、昨年の四月の段階ですと六十七円ぐらい上回ってキロ当たり千三百六十九円で取引されている。その後ずっと見てみましても、八十円、九十円以上の価格で取引がされていますから、それだけメーカーの利益がかさ上げされているというふうに判断できると思うので、その利益を当然原料乳の生産者であります酪農民に還元してしかるべきではないか、こう思うのですけれども、いかがですか。
  45. 石川弘

    政府委員石川弘君) 価格問題につきまして今御指摘のように、最近好調に推移しまして、一○四を上回るような水準がしばらく続いていることは御指摘のとおりでございます。かつて過剰下におきまして、一番極端な場合は安定指標価格対比で十数%下がったという苦い経験、そういう期間も長くあったわけでございますが、比較的順調に推移しているということは事実でございます。そういう中で生産者も当然いろいろと今までの取引条件に加えまして何らかのメリットを還元するということを行っておりまして、例えば北海道のホクレン等につきましては、メリット還元ということを要請し、それについてメーカーも受け入れてメリット還元が行われておりますし、私どももそういう良好な条件が長く続くような期待が持てる状況でございますと、さらにそういうことも拡大するかと思いますが、最近の状況は必ずしもそういう高い水準じゃなくて若干下がりつつあるし、物によっては少し心配をしている品物も若干あるわけでございます。
  46. 下田京子

    ○下田京子君 昨年四月からことしの一月までの十カ月間を見てみますと、今私が申し上げましたように、六十七円プラスが昨年四月段階で、ことしの一月でも八十三円ですね、安定指標価格をバターの場合は上回っておりますし、脱粉にありましても一万三千八百四十円ということで安定指標価格比七百円を上回っているというような実情でございますから、その差益は大変あると思うのです。計算をされましたか。
  47. 石川弘

    政府委員石川弘君) これは個別に何をもって直ちに差益と言うかということはなかなか問題がございまして、一〇〇を超えたら全部もうけだというわけにはいかないと思います。  それから、変動の幅がいろいろ動いておりますので、ごく大ざっぱに言いますと、過去におきましてアメリカ側からは一〇〇をかなり割ってて、そのまま受けた損失というものはまだしばらくの間は全く回収できないというようなことをよく言いますけれども、これとて一〇〇を例えばちょっとでも割ったら損失と見るのかどうかということがございますので、そういう意味で、何が余剰の利益で何が損失かということはなかなか一概に言い切れないものだと思っております。
  48. 下田京子

    ○下田京子君 一概に言い切れないと。昨年の場合、バターは安定指標価格キロ当たり千三百二円というふうにお決めになりましたでしょう。この中には卸業者のマージンがキロ当たり三十六円も入っています、それから製造業者の販売価格は千二百六十六円です、製造業者の利潤も十五円入っているのです。つまり、安定指標価格の中にきちっと一定の利益を見込んでいるわけです。ですから、それを超えて取引されたというのは、より以上の利益が上がったということにそれははっきり言えるわけです。  この十カ月間を昨年四月からことしの一月まで見ますと、私は試算してみました。バターの場合で、この十カ月間で五十五億一千二百万円のより大きい差益が生まれております。それから脱脂粉乳の場合に三十九億五千万円の差益が生まれております。ですから、合わせてざっと九十四億六千二百万円という結果が出てまいります。これだけ安定指標価格を上回ってよりメーカーが利益を得たということです。ですから、加工原料乳基準取引価格が昨年、五十八年の場合にはキロ当たり六十八円三十六銭に決まって、そして実際に生産者には補給金として二十一円七十一銭を国の財源から出しているわけでしょう。だから、一方で国が補てんしつつその結果によってメーカーは利益を得ているということになるわけですから、その分をやはり大変な酪農民に還元するというのは当然でないかと思うわけです。これは大臣、ちょっと検討していただきたいと思います。
  49. 石川弘

    政府委員石川弘君) 今も申し上げた、例えば上回っているときは全部利益だ、したがって吐き出せ、損しているのはおまえのその商売が悪いのだとはなかなかこれは言いづらいわけでございまして、実は酪農の歴史の中で、大変そういう苦しい時代をメーカーも耐えてきたということはあるわけでございます。それで、メーカーと申しましても、これは決して商業主義のメーカーだけでございませんで、御承知のように北海道で最も活動していますのは、農民そのものが経営している北島乳のような工場もあるわけでございます。私どもは、こういうところはやはりメーカーと指定生乳生産者団体という、要するに生産者の代表に交渉の権限を持たしておりますから、だれが考えても還元すべきというようなものは還元しているのが実態でございます。ただ、計算をしまして高いときだけこれは返せといいましたら、今度は逆に安いときはどうしてくれるという話が返ってくるわけでございます。これは御承知のように最近高い水準が続きました。したがいまして、北海道におきましては現実にメリット還元が行われているわけでございます。
  50. 下田京子

    ○下田京子君 最後に一言だけ。  大臣、これは検討を希望します。お答えがないからあえて言うのですが、計算されたかということではお返事がなかったのです。少なくとも、じゃこの数年こうだということがあってしかるべきですし、やはりこういう状況の中にあって、メーカーが約百億近い差益が出ているわけです。それで北海道の場合にはメーカーが還元しているとおっしゃいますけれども、二十五銭程度です。ほんの一部なのです。ですから検討いただきたい。お願いします。
  51. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 特にきょうは持ち時間が少のうございますので、駆け足でいたしたいと思います。  まず、おとといでしたか、開かれた食肉部会の政府資料を見まして私は大変遺憾に思っておることがございます。それは政府案と畜産振興審議会に示された数値価格のことなのです。それは内容的に申し上げますと、ことしも昨年、一昨年同様に、政府試算価格として示されたそれと乖離した数値価格を別途政府案として出しておられます。そのことに対して政府案の試算価格というのは、あくまでもこれは諮問に当たっての参考であると私は理解いたしております。そこで、法律に基づいて試算した数値価格審議会に示したにすぎないはずであるにもかかわらず、ここ数年間、試算価格と乖離した数字を示しておられます。これは解釈によっては意図的に政策価格を抑えるための提案じゃないか、政府の姿勢を私はそのようにこの数字から受けとめておるわけであります。  そこで、政策価格諮問に際して試算価格以外に政府案を出す必要があるのかどうかということなのです。あるとすれば、その提示した理由は一体どこにあるのか。まずそれをお聞きしたいと思います。
  52. 石川弘

    政府委員石川弘君) 先生の御指摘が、試算をしました中心値と最終的に示した実との間に差があるという御趣旨でございましょうか。それでございますれば、先ほどから申し上げておりますように、食肉価格のは、いわば農民にその価格を保証するというような意味価格ではございませんで、この価格安定帯というものの上下限の中に市場流通価格が落ちつくように政府が責任を持って管理をしていくという意味価格でございます。したがいまして、例えばことしで申しますと、試算をいたしました去勢和牛の中心価格がキロ当たり千六百三十八円八十一銭という試算があるわけでございますが、それを中心にしまして上下一三%開きました数字、それは端数がつく小さな数字でございますが、価格安定帯ということで表示をいたします場合は、中心のいわば中心価格の動きが大変小さい。安定帯という一つの幅でございますので、こういう小さい場合に微少な動かし方をすることに特に意味はございませんで、例えば千 八百二十円から千四百円の間という決め方をするための切り上げ、切り下げと申しますか、これは審議会でもこういう何銭ということは意味がないのではないかという御指摘もありまして、たしか五十七年度から丸めた数字でございます。こういう、いわば五の単位までの端数で動かしているわけです。  もう一つ今御指摘の点は、一・九という中心価格上昇をネグったではないかという御指摘かと思いますが、これにつきましては昨年もそうでございますが、安定帯につきましては、単位が大変大きく出てまいります場合はこの安定帯は相当動くわけでございますので、そうすべきだと思いますが、たまたま去勢和牛の上がり方一・九というものが出てまいりました数字の中身を見ますと、昭和五十四年、五年ぐらいでございますが食肉価格が大変暴騰しまして、特に和牛の価格だけが高くなっているわけです。そのときに上限に張りつきました数字が大変大きく働いてこの一・九上げになっているのですが、逆に算定の仕方としますと、今後しばらくの間は子牛が下がったことが働いてまいりまして、むしろ下がる傾向が出てくるわけでございます。七年間の数字を平均してやりますので、その下がりがまだ出てこないということで若干上がっておりますけれども、私ども算定考え方では、ほとんどそういう意味で同じ算定方式を使いますと必ずこれが下がるように働く数字でございますので、一%前後のものを上げたり下げたりするのは適切ではないということを審議会にもはっきり申し上げまして、こういう数字政府諮問案としたわけでございます。したがいまして、不足払いの方の算定とは若干趣を異にしておりまして、こういう取引をなさいますときの一つ基準としてある程度丸めて、かつ水準としてわかりやすい数字をつくるのが、こういう安定帯の場合の政府諮問として適切なのではなかろうかと思っております。
  53. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 時間もいよいよなくなり、迫りましたので、私はまとめて尋ねますから、一括して答えてください。  次は、五十九年度指定食肉安定価格総括表がございます。これを見まして、その中の去勢和牛肉について持つ疑問を……。  安定価格は一・九%アップしております。にもかかわらず据え置き数字が出る根拠は一体何なのか、これが一つです。そのいきさつ、真相を語ってもらいたい。と申しますのは、このことは、いろいろの全国の生産農家が非常に危機に瀕しておるといういきさつは申し上げるまでもありませんが、特に沖縄もその例外ではないということでお伺いしておきたいと思います。  沖縄農業の粗生産額、これに統計が出ておりますが、畜産の割が三〇%を占めております。こういう実情から、特に豚と肉用牛についての関心が非常に強うございます。そういう立場からも、沖縄にとってもこれは重大な意義を持っております。それと、全国の農協中央会の調査を見ましても、はっきりいたしておる統計数字が出ております。もし政府案のその状態でいきますと、だんだん肉用牛は締め出されて、乳用種にかわるのではないか、押し切られるのではないかという不安も数字の上から出てまいります。そこで、このことがあるいは杞憂、憶測かもしれませんが、もしこの理由がEC並みの価格の実現と輸入圧カへの対応を急ぐ余りこのような対応をしておるとするならば、私はこれは問題である、必ず禍根を将来に残すであろうということを心配するものであります。それに対する明確な御見解と、それから要望を含めて、政策価格決定に当たっては、生産費、それから適正に評価し、再生産所得の確保が可能であるようにしなければいかぬ、これをひとつ決定する要求を含めて、明確に答えていただきたいと思います。  以上です。
  54. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 先生、この去勢和牛肉が一・九%アップしているのに据え置き諮問したのはどういうことかということですが、ちょうど昭和五十九年度の指定食肉の安定価格試算値、これは中心価格で去勢和牛肉が一・九%の上昇、そのほかの去勢牛肉では〇・一%の低下、豚肉では〇・二%の上昇ということになっております。しかし、これらの上昇率、低下率はいずれも小幅でありまして、安定価格趣旨から考えまして変更を行わなければならないほどの変化はないことと、最近の生産条件需給事情及びそのほかの経済事情等を総合的に考慮すれば、五十九年度の指定食肉の安定価格については前年度の水準に据え置くということが適当であると考えたからでございます。
  55. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 答弁は簡潔に。
  56. 石川弘

    政府委員石川弘君) 今御心配のECをねらってというお話でございますが、私どもがECと並ぼうとしておりますのは乳用種でございまして、和牛ははるかにそれよりも高級な牛肉でございますので、特にそういうことを考えているわけではございません。それから、これらの算定方式におきましても農家の方々が再生産の確保ができる、したがって、この需給実勢方式の中でも現に生産拡大をしていっておりますし、消費拡大をしてるわけでございますので、再生産が確保できますように、価格だけではなくて、周辺のいろいろな対策も集中していきたいと思っております。
  57. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 本件に対する質疑は本日はこの程度といたします。  川原君から発言を求められておりますので、これを許します。川原君。
  58. 川原新次郎

    川原新次郎君 私は、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合及び参議院の会の各派共同提案による畜産物価格等に関する決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。    畜産物価格等に関する決議(案)  最近の我が国畜産業は、畜産物価格低迷に加え、牛肉等に対する市場開放要請が一段と強まる中で、極めて厳しい事態に直面している。  よって政府は、昭和五十九年度畜産物政策価格等の決定に当たっては、酪農畜産経営の安定と発展を図るため、次の事項の実現に万全を期すべきである。 一、加工原料乳保証価格については、昭和五十二年度以来実質的に据え置かれている実情並びに五か年にわたる計画生産の実施等による酪農経営への影響を考慮し、生乳の再生産を確保することを旨として適正な水準決定すること。   また、加工原料乳限度数量については、最近における乳製品需給価格の動向を勘案し、適正に決定すること。 二、豚肉及び牛肉の安定価格については、畜産農家が安心して生産に励むことができるよう、再生産の確保を図ることを旨として適正な水準決定すること。   また、最近における子牛価格低迷状況にかんがみ、価格安定対策の充実強化に努めるとともに、肉用牛生産振興のための施策を積極的に推進すること。 三、牛肉をはじめとする畜産物輸入の自由化、枠拡大要請に対しては、過般の本委員会における決議及び政府に対する申し入れの趣旨に従い、畜産農家が犠牲となることのないよう対処すること。   なお、調製食用脂等の輸入については、適切な指導を行い、牛乳乳製品国内需給に悪影響を及ぼすことのないよう対処すること。 四、酪農経営の健全化を図るため、酪農経営負債整理資金については、必要に応じて引き続き貸付けを継続するとともに、必要資金枠の確保に努めること。 五、飲用乳については、秩序ある取引と適正な価格形成が図られるよう引き続き指導するとともに、消費拡大対策を積極的に推進すること。 六、粗飼料自給率の向上を図るため、草地開発事業を計画的に推進するとともに、未利用山  林原野等の畜産的利用の促進を図ること。   また、耕種農家畜産農家の連携による粗飼料等の効率的な利用を促進すること。 七、飼料の需要に対応した安定的供給を確保するため、飼料穀物の計画的な備蓄積増しを推進するとともに、配合飼料価格安定基金財源の充実を図ること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
  59. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) ただいまの川原君提出の決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  60. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  村沢君から発言を求められておりますので、これを許します。村沢君。
  61. 村沢牧

    村沢牧君 私は、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合及び参議院の会の各派共同提案による蚕糸業振興に関する決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。    蚕糸業振興に関する決議(案)  我が国の伝統産業である蚕糸業は、国内における絹需要の大幅減退、外国産の生糸及び絹製品の輸入圧力、蚕糸砂糖類価格安定事業団の生糸在庫の累増等最近にない厳しい情勢を背景として、実勢糸価の長期低迷、養蚕農家等の経営の不安定等現下の事態は極めて憂慮すべきものがある。  よって政府は、繭糸価格安定制度の趣旨を体して、生糸及び絹製品の輸入の秩序化を図り、昭和五十九生糸年度の基準糸価等の決定に当たっては、次の事項の実現に努め、蚕糸業の安定的発展を期すべきである。 一、養蚕農家等の経営状況を踏まえ、再生産可能な繭糸価格の実現に努めること。 二、繭の計画生産に当たっては、地域特性を考慮して適切な指導を行ない、生産基盤の確保に留意しつつ、生産性向上のための対策を講ずること。 三、生糸及び絹製品の輸入については、これが国内需給に悪影響を与えることのないよう、二国間協定の締結に当たっては事業団過剰在庫を考慮し、適正な輸入数量とするとともに、現行の輸入承認制及び通関時確認制等の厳正なる運用に努めること。 四、絹需要拡大を図るため、積極的に流通の改善合理化を指導するとともに、洋装分野を含めた新規用途の開発、普及等抜本的な需要増進対策を講ずること。  右決議する。  以上でございます。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
  62. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) ただいまの村沢君提出の決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  63. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  ただいまの両決議に対し、山村農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。山村農林水産大臣
  64. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) ただいまの御決議につきましては、その趣旨に従い、最近の我が国畜産業及び蚕糸業をめぐる厳しい情勢を踏まえつつ十分検討いたしてまいる所存でございます。     —————————————
  65. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 次に、肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。山村農林水産大臣
  66. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  肥料価格安定等臨時措置法は、肥料の価格の安定を図るため、その取引を適正かつ円滑にするのに必要な措置を講じ、あわせて肥料の輸出を調整するため、その輸出体制を整備するものとして、昭和三十九年に制定されたものであります。自来、今日に至るまで、肥料の価格の安定及び肥料の輸出調整を通じて、農業及び肥料工業の発展に多大の貢献をしてまいりました。  この法律は、昭和五十九年六月三十日までに廃止するものとされておりますが、最近における我が国の農業及び肥料工業をめぐる状況にかんがみ、肥料の価格の安定を図るため、なおこの法律を存続する必要があると考えられます。  すなわち、農業においては、農産物需給の緩和、諸外国からの市場開放の要求の高まり等内外の厳しい状況に適切に対処する必要があります。このため、土地利用型農業の体質強化等により農業の生産性の向上を推進するとともに、昭和五十九年度から実施される水田利用再編第三期対策等により、地域の実態に即しつつ需要の動向に応じた農業生産の再編成を進めることとしております。これらの施策を強力に推進し、あわせて農家所得の確保を図っていくためには、農業生産の基礎資材である肥料の価格を安定させることが従来にも増して必要となっており、現行の価格取り決め措置の存続が強く要請されております。  一方、肥料工業は、累次の石油危機による国際競争力の低下等によって構造的に困難な状況に陥っております。このため、特定不況産業安定臨時措置法に基づく諸対策に引き続き、昭和五十八年から、特定産業構造改善臨時措置法に基づき、アンモニア、尿素等の製造業について、大幅な過剰設備の処理等を内容とする第二次の構造改善を進めているところであります。肥料の安定的供給が確保されるためには、肥料工業の経営の安定が不可欠であり、この構造改善に加えて、現行の価格取り決め措置の存続がこの方面からも求められております。  以上申し述べました理由から、この法律が廃止するものとされる期限を昭和六十四年六月三十日まで五年間延長することとし、本法律案を提出した次第であります。  なお、肥料の輸出調整措置につきましては、肥料の輸出が大幅に減少したこと等により、日本硫安輸出株式会社が昭和五十七年に解散したことから、今回の改正に当たって、その関係規定を削ることとしております。また、これに伴い、法律の題名を肥料価格安定臨時措置法に改めることとしております。  以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  67. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ります。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十分散会