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1984-03-02 第101回国会 参議院 農林水産委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年三月二日(金曜日)    午前十時開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         谷川 寛三君     理 事                 川原新次郎君                 北  修二君                 最上  進君                 村沢  牧君                 藤原 房雄君     委 員                 浦田  勝君                 大城 眞順君                 岡部 三郎君                 熊谷太三郎君                 坂元 親男君                 高木 正明君                 竹山  裕君                 星  長治君                 水谷  力君                 森田 重郎君                 稲村 稔夫君                 上野 雄文君                 菅野 久光君                 刈田 貞子君                 鶴岡  洋君                 下田 京子君                 田渕 哲也君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        農林水産大臣   山村治郎君    政府委員        農林水産政務次        官        仲川 幸男君        農林水産大臣官        房長       角道 謙一君        農林水産大臣官        房総務審議官   塚田  実君        農林水産大臣官        房審議官     田中 宏尚君        農林水産大臣官        房審議官     中野 賢一君        農林水産省経済        局長       佐野 宏哉君        農林水産省構造        改善局長     森実 孝郎君        農林水産省構造        改善局次長    中川  稔君        農林水産省農蚕        園芸局長     小島 和義君        農林水産省畜産        局長       石川  弘君        農林水産省食品        流通局長     小野 重和君        農林水産技術会        議事務局長    関谷 俊作君        食糧庁長官    松浦  昭君        食糧庁次長    山田 岸雄君        林野庁長官    秋山 智英君        林野庁次長    後藤 康夫君        水産庁長官    渡邉 文雄君    事務局側        常任委員会専門        員        安達  正君    説明員        内閣総理大臣官        房参事官     松本 康子君        厚生省環境衛生        局食品衛生課長  玉木  武君        農林水産技術会        議事務局研究総  栗田 年代君        務官        通商産業省生活        産業局通商課長  新関 勝郎君        通商産業省生活        産業局繊維製品  竹内 征司君        課長        運輸大臣官房政        策計画官     亀甲 邦敏君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (昭和五十九年度の農林水産行政基本施策に  関する件)     —————————————
  2. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  農林水産政策に関する調査のうち、昭和五十九年度農林水産省関係施策に関する件を議題といたします。  本件につきましては、前回既に説明を聴取いたしておりますので、これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 村沢牧

    村沢牧君 私は、日米農産物交渉養蚕問題に絞って質問いたしますが、時間が限られておりますので、率直なひとつ答弁をいただきますように最初にお願いしておきます。  まず、日米農産物交渉はいよいよ大詰めの段階になったわけでありますけれども、今後のスケジュールについてお聞きをしたい。農林水産省は今までのような事務レベル交渉を積み上げて農林大臣責任において決着をされようとするのですか。あるいは伝えられておりますように、首相裁断による政治決着を図ろうとするのか。いずれにしても、その時期はいつを目途とするのか、お答えを願いたい。
  4. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 今先生おっしゃいましたように、事務レベルの折衝を重ねながら、最終的には担当大臣である私の責任においてこれは解決しようと思っております。今お話がございました総理にどうということもございますが、総理に判断を仰ぐことがあるかもしれませんが、しかしそれにいたしましても、最終的には私の責任ということで解決してまいりたいというぐあいに考えております。  時期につきましては、この前安倍外務大臣訪米いたしまして、帰りましてから二、三カ月内にということを言われましたが、恐らく二、三カ月内というのは、他の省庁との問題をみんな含めてという意味ではないかと思います。前大臣がいろいろ当委員会でも御答弁なすっておると思いますが、三月末をめどに何とか話し合いを、これを締結したいというぐあいに考えております。
  5. 村沢牧

    村沢牧君 山村農相就任早々記者会見で、日米農産物交渉日本農業を守るために蛮勇を振るい、政治生命をかけてもやっていきたい、こういう発言をしたということが報道されておりまして、まことにその決意は結構なことだというふうに思います。今答弁をお聞きすれば、農林大臣責任において決着をするのだ、頭越し解決はさせない、そういう決意であるというふうに受けとめておりますので、そのようにぜひやってもらいたいと思うのです。  それから、時期についてでありますが、けさの日本農業新聞を見ると、来週から事務調整に入って二十九日農相訪米決着も、ということになっておるわけですけれども、このように進んでいるかどうか、その点についてお答え願いたい。
  6. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 事務局を派遣することは事実でございます。しかし、その交渉がどのようなぐあいに進展するかはまだ全然わかっておりません。今のところ、いつ訪米するかというような私のスケジュールはできておりません。
  7. 村沢牧

    村沢牧君 この問題の決着を図るために農林水
  8. 村沢牧

    村沢牧君 全力投球はもちろんですけれども自由化はできないということが大前提、つまり決着するということはこの枠を拡大して数量の問題でひとつ決着しよう、こういうことなのですか。
  9. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 私としまして具体的に申し上げたいわけでございますが、しかしこれから交渉するわけでございますので、ひとつ当委員会決議申し入れ趣旨を十分尊重して、この趣旨に沿ってやってまいりたいということで御勘弁いただきたいと思います。
  10. 村沢牧

    村沢牧君 そのことについても答弁ができないとするならば話も進まぬわけですけれども、それでは枠の拡大もあるかもしれない、あるいはないかもしれないということですね。  そこで、大臣決意もまた聞きたいのですが、先ほど来話がありますように、当委員会は、昭和五十七年五月十三日、自由化反対決議をして、その後二回にわたってこの決議を尊重して対処するように政府申し入れをしている。この決議は、自由化はもちろんのこと、輸入枠拡大についても農業者犠牲にならないように対処せよ、こういうことになっています。当面自由化はしなくても、マスコミが報道されているような大幅な枠の拡大をするとするならば、実質は自由化と同じことなのです。日本農業は、外国の農産物、特にアメリカ農産物輸入の増加によって今日縮小再生産を迫られているわけでありますが、今回またアメリカ要求に屈したとするならば、将来は大変な事態になることはこれは必至であります。歴代農相は、国内生産で不足するものについては輸入せざるを得ない、しかし、国内生産可能なものについては輸入をしない、こういう方針を貫いてきた。しかし、その結果になっておりません。おりませんが、山村農相としてはどういうふうに考えるのか。こういうことから考えるならば、牛肉オレンジについても現在以上の枠の拡大に応ずる必要はない。大臣が本当に国会決議を尊重するという立場に立つならば、また農民農業団体消費者の要望にこたえるという気持ちがあったならば、牛肉オレンジについても現在以上の枠拡大に応ずべきではない、そのように思いますが、大臣見解決意をひとつ聞きたい。
  11. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 何遍も繰り返しになりますが、当委員会決議申し入れ、この趣旨を踏まえてやってまいります。
  12. 村沢牧

    村沢牧君 当委員会決議を尊重してやることは当然ですけれども国内で不足するものは輸入をせざるを得ない。しかし国内生産可能なものについては輸入をしない、枠もふやさない、その決意を聞くのです。
  13. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 私が今から交渉に参りますので、具体的なことを申し上げられなくて申しわけないのですが、当委員会での決議というものを尊重してこの趣旨に沿って交渉してまいります。よろしくお願いしたいと思います。
  14. 村沢牧

    村沢牧君 そんなことは何回言ったって同じことです。尊重しないなどと私は思っていないのです。これは牛肉オレンジに限らず、国内生産可能なものについては輸入をしない、輸入を規制していくのだという、これは牛肉オレンジに限らずその決意があってしかるべきだ。ましてや牛肉オレンジの現状を見るならば、これ以上輸入枠拡大をする必要はないではないか、私はそういう指摘をするのですけれども、その決意をさっきから聞いているのですが、当委員会決議を尊重することは何回も言わなくても当然のことなのです。その基本的な考え方はどうなのですか。
  15. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 本当に申しわけありませんが、当委員会決議申し入れ、これの趣旨を踏まえてやってまいります。その決意はこの当委員会決議でございます。
  16. 村沢牧

    村沢牧君 私の質問に答えていないのですからね。そんなことを何回言ったのですか、当委員会決議を尊重すると。そんなことは当然のことだと私は言っておるのです。国内生産可能なものは輸入は抑えていくのだ、足らないものは輸入してくるのだ、牛肉オレンジにも当てはまることだと。その決心があるのかどうか、それを聞いているのです。私はそんな答弁だったらもう答弁要りません。委員長の方で計らってください。
  17. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 当委員会での決議、これは農業者犠牲にならないように、我が国農業を着実に発展させるということが決議でございます。それに基づいての農産物輸入ということになるわけでございまして、私はその決議に沿って、農業者犠牲にならないように、我が国農業を着実に発展さしていくということを念頭に置いてやってまいります。
  18. 村沢牧

    村沢牧君 何を限度にして農業者犠牲にならない、そういうようになるかはっきり言えないと思うのです。ですから私が言っていることは、今までの歴代農林大臣は、国内で余って困るものを輸入して腐らすことはないのだ、そんなことはしませんということを言っていたのです。あなたはそういうことは言えないのですか。
  19. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 前大臣発言趣旨もよくわかります。農産物輸入に関しては、国内需給を見た上で、要らないものは要らない、必要なものを輸入するという趣旨であったと思います、金子大臣でございますが。私も金子大臣考えと一緒の方向で交渉には当たってまいります。
  20. 村沢牧

    村沢牧君 では、そういう決意を持って牛肉オレンジ交渉にも対処してください。  そこで、日本農産物市場を全面的に開放したとしても貿易摩擦解消にはならない。ましてや、牛肉オレンジ輸入枠拡大しても貿易収支改善に役立つものはわずかだ。これは周知のとおりであります。日米間の貿易バランスが回復しない限り、米国は第二弾、第三弾の対日要求は突きつけてくるであろう。一体大臣貿易摩擦解消日本農産物交渉をどのように考えているのか。そして、貿易摩擦が生ずる最大の原因は、これはだれが何といっても工業製品の集中豪雨的な輸出にあることは明らかだ。これを日本農業農民責任に帰すべき問題ではない。したがって、工業製品輸出という中心の経済政策を転換することこそ政府がまずとるべきことではないのか。大臣は、この貿易摩擦問題に関連してどのように考えるのですか。
  21. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 私は、今先生がおっしゃいましたような趣旨も十分申し述べてまいるつもりでございます。おっしゃいましたように、二百十六億ドルを超えるような対米黒字になっております。そしてまた、よく新聞紙上に出ておりますが、この牛肉オレンジを全部開放したとしたって五億ドルにもならぬと。そういうようなところで、特にまたその中にあってアメリカ輸出しておる牛肉の六割は日本輸入しておる状況でございますし、かんきつにいたしましても全アメリカ輸出量の四割を日本輸入しておるというような状況もございます。これらを踏まえて、私はやはり日本農業を守るということは日本農林水産大臣たる私の責任であると思いまして、そのことは念頭に置いておりますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
  22. 村沢牧

    村沢牧君 あなたは、国務大臣として貿易摩擦問題を解消するにはどうしたらいいというふうに考えますか。
  23. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) これは世界全体の問題でもございましょうが、やはり内需拡大も大きく図っていかなければならないと思っております。
  24. 村沢牧

    村沢牧君 それだけではないでしょう。だから、農産物市場を開放したとしても日米貿易摩擦解消に寄与するのはわずかである。したがって、その前に今お話があったような内需拡大をして、日本経済政策の転換を図っていかなければならない、そのように私は考え、強く指摘をしておきたいのですが、この問題で論議をしておると時間がかかりますから次へ進みます。  以上申し上げたような趣旨によって、私は輸入枠拡大についても、牛肉オレンジについて反対するものである。大臣見解を聞いておっても、日本で要らないものは輸入しないのだ、結論的に言うとそういうことになりますから、政府として 産省としても、例えば与党自民党に対していろいろ協議をして決めていくということが報道されております。そのことは政府として当然のことだというふうに思いますが、私たち野党としても、社会党としてもこの問題については何回も政府要求しておるわけです。さらにまた、当農林水産委員会も、後ほど申し上げますが、委員会決議もやっている。自民党とだけ話をして最終的な決着を図っていくのですか、それとも他の党に対しましても何らかのお話があるのですか。その辺はどうなのですか。
  25. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 先生おっしゃいましたように、与党自民党でございますので、自民党内の意見統一というものをお願いいたさなければなりません。しかし私は、当委員会で一昨年の五月に決議をいただきました。そして本年一月に申し入れもいただきました。この決議申し入れ趣旨を踏まえまして、農業者犠牲にならないように、我が国農業が今後とも着実な発展をするということを念頭に入れて交渉に当たってまいります。
  26. 村沢牧

    村沢牧君 そのことを念頭に倣いて交渉に当たることは当然であるけれども、このようにいたしたい、こういうことについて決着をする前に与党自民党の了解は得るけれども、先ほど私が申しました、私ども大臣に対してあるいは総理に対して要求しているのですから、その間において私どもに対しても何かの話もあるのですか。全然しなくて、与党自民党だけで話をしていきますか。
  27. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 与党自民党にも一応これは今先生おっしゃいましたように、いろいろ意見統一ということをお願いしてはおりますが、しかし最終的に、これがこうということの最後最後までどうということは、これはなかなか難しいじゃないかと思います。ある程度のことはひとつ、私ども責任を持ってやってまいりますので、お任せいただきたいというぐあいに考えております。
  28. 村沢牧

    村沢牧君 では、野党に対しては、農林水産大臣責任を持ってやるから見ておってくださいと、そういうことなのですか。
  29. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) そういう余り極端に言いますとおかしくなりますけれども、当委員会趣旨というものはもうこれを最尊重いたしまして、これで交渉に当たってまいりますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
  30. 村沢牧

    村沢牧君 どうも大臣答弁を聞いておりますと、野党には何らの話し合いもする必要もないようなお考えのようでございますから、私は余り時間がないから細かく聞きまませんが、では、かなりのことを要求しておきますからよく聞いてください。  佐野経済局長衆議院予算委員会で、協定の期限切れである三月末までにまとまらなければ現制度のまま輸入する、こういう答弁をしております。山村農相は同日の記者会見で、米国がこれまで強く求めてきた三月までの決着という話はやわらかくなったような気がすると述べた、ということが報道されている。また安倍外相は数日前に、マンスフィールド日大使に対して、当面二、三カ月間に解決、進展をするよう努力している、こういう表明をしているわけですが、以上のような発言の中から、政府態度は三月決着に必ずしもこだわらない、こういうふうに理解してよろしいですか。
  31. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 安倍外相訪米後、二、三カ月内にということで、我々もそれでは時間的な余裕がかなりあるのかというような感じもいたしました。二月に帰ってきて二、三カ月というのですから四月まで延ばしていいのかなというようなことも感じましたが、せんだってマンスフィールド大使が参りまして申しますには、米側として何としても前の大臣のお約束もある三月中にひとつぜひ決着をお願いしたいというようなこともございましたので、安倍外務大臣が帰りました直後の雰囲気とは変わりまして、三月中にやはり何とかこれは話し合いをつけなければならないという気持ちで我々はおります。
  32. 村沢牧

    村沢牧君 農相自身が、米国がこれまで強く求めてきた三月までに決着をせよという話はやわらかくなったような気がするという、こういう受けとめ方は今は持っていないということなのですか。
  33. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) その考え方は、安倍外務大臣が帰りまして、二、三カ月中にというような安倍外務大臣発言を踏まえて、私はそれでは少し時間的余裕ができたのかというようなことを感じましたが、せんだってのマンスフィールド大使農林水産省へ参りましての御発言等から見まして、やはり是が非でも三月中に決着をつけたいという気持ち米側も強いようでございますし、私も安倍外務大臣にもこれはただしました。が、安倍外務大臣に聞きますと、やはりつい細かいところまで言わなくて、全体を含めて二、三カ月中にというような意味発言であったということを伺いました。
  34. 村沢牧

    村沢牧君 佐野局長衆議院でこのような発言をしているが、どのように考えているのですか。
  35. 佐野宏哉

    政府委員佐野宏哉君) お答えいたします。  私どもは、三月末までに決着をするよう全力を傾けたいと考えております。
  36. 村沢牧

    村沢牧君 そうすると、くどいような話ですが、日本政府態度としては四月にずれ込むようなことはない、ずれ込むなどということは今から言えないでしょうけれども、そのように決意をしておりますか。
  37. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 何としても三月中に決着をつけてまいりたいというぐあいに考えております。
  38. 村沢牧

    村沢牧君 この交渉の内容については、農水省も今までも明らかにしていないが、今日段階でもアメリカ要求やこれに対する日本態度等についてこの場所で言えと言っても言えないというように私は思うのだけれども、しかし言えることは、アメリカ自由化要求は引っ込めないけれども、当面は棚上げにして大幅な枠の拡大で対処しよう、こういうことはあらゆる報道から私たちも知ることができるけれども、この点についてアメリカ態度をどういうふうに受けとめているのですか。
  39. 佐野宏哉

    政府委員佐野宏哉君) 本年に入りまして、アメリカ側は、輸入数量について満足のいく合意が得られる場合には輸入数量制限撤廃問題を未解決のまましばらくほうっておくことができないわけではない、ということを言うに至っておりますので、そういう意味では輸入数量制限の撤廃問題を回避しつつ合意するということは可能な状態になっておると認識をいたしております。
  40. 村沢牧

    村沢牧君 ちょっと聞き取れない面もあったわけですけれども、私が率直に聞いたことは、アメリカ自由化要求は取り下げない、しかし当面はこれを棚上げにして枠拡大で対処していこう、こういう態度になっているかどうか、それを日本側がどういうふうに受けとめているかということなのです。
  41. 佐野宏哉

    政府委員佐野宏哉君) 輸入数量について満足がいけば、いま先生のおっしゃったような解決の仕方もあり得るという態度であります。
  42. 村沢牧

    村沢牧君 輸入数量について、つまりアメリカ側から輸出する数量についてアメリカ満足いかなかった場合には、依然として自由化要求ということが表面に、この交渉の中にまた出てくるのですか。
  43. 佐野宏哉

    政府委員佐野宏哉君) もちろんさように認識いたしております。
  44. 村沢牧

    村沢牧君 そうすると、交渉もかなり長引くということが予測されますが、そのことは皆さんがおやりになることでありますけれども大臣としては輸入自由化はできない、そこで政府基本方針としては枠の拡大によってこれを決着しようとするお気持ちなのですか。
  45. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 今交渉中でございますので、詳細は申し上げられませんが、当委員会決議申し入れ趣旨を踏まえて全力投球でやってまいります。
  46. 佐野宏哉

    政府委員佐野宏哉君) アメリカ政府がこの問題についてどういうことを申しておるかということを明らかにすることは先方との約束上お許しをいただかなければなりませんが、東京ラウンド合意文書によって我が国政府協議をするべき義務を負っておるのは、牛肉トータルにつきましてはオーストラリア政府との間においてでありまして、アメリカとの間ではございません。
  47. 村沢牧

    村沢牧君 よくはっきりわかるように言ってもらいたいのですね。アメリカとやるのは高級牛肉だ、一般牛肉オーストラリアとの関係もあるし、アメリカとはやらないのだ、そういうことですね。
  48. 佐野宏哉

    政府委員佐野宏哉君) 日米間のこの問題につきましてのいかなる応酬が行われておりますかということについては、残念でございますが、お答えをお許しいただきたいと存じます。
  49. 村沢牧

    村沢牧君 あくまで、東京ラウンドのさきに決めた合意事項によれば、ことし協議をするのも高級牛肉について協議をすると書いてあるのです。だからこのとおり協議をすればいいことであって、これを一般肉についてもアメリカから要求があるようだけれども、こんなことまでいったらオーストラリアとの問題があって大変なことになるわけです。その辺はやらないと思うのですけれども局長の言うことが、ちょっと何か遠回しなことを言っておって、全然わからないわけじゃないけれども、言わんとするところはわかりますけれども、私のようなこういう理解でいいわけですね。——そのように受けとめておきます。  時間がないので次に移ります。  次は、養蚕の問題です。  日本養蚕製糸は、価格の低迷やあるいは養蚕農家の減少、それから製糸不況カルテルによって製糸機械を廃棄をする、封印をする、まさに八万ふさがりの危機的状況にあるのですけれども、しかし養蚕は我が国の伝統的な産業である。また養蚕でなくてはならない地域もある。したがって、これ以上養蚕を疲弊してはならないと思う。大臣は、我が国産業の中で養蚕を一体どういうふうに位置づけ、発展をさしていこうとするのですか。
  50. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 先生おっしゃいましたように、養蚕は重要な地位にあるわけでございます。特に養蚕の場合は戦前に比べて、農業全体の中におけるウエイトは、戦前は何か二五%ぐらい、四分の一ぐらいあったそうですが、今はかなり低下しておるというような状況でございます。しかし、山村及び農山村において農業経営上重要な複合作物の一つであると認識しております。繭糸価格安定制度の運営等を通じて養蚕業の保護育成を図っていくところでございます。しかしながら、最近における養蚕業をめぐる情勢は、生糸需給の大幅な不均衡に見られるように極めて厳しい情勢にございます。今後養蚕業の保護及び繭糸価格安定制度の維持を図るためには、生糸需給の動向に即応した減産もやむを得ないと考えております。現在生産者団体と協議を進めさせておるところでございます。他方、厳しい条件下において蚕糸業の健全な発展を図るため、低コスト養蚕経営の確立等に努めてまいりたいと考えております。これが基本的な考えでございます。
  51. 村沢牧

    村沢牧君 そんなことを何回も、毎年毎年そんなことを言っておるうちにだんだん養蚕が疲弊してきたのです。今の答弁を見たって全く消極的な答弁で、養蚕をどういうふうに発展をさせるという意欲もなければ方針もないじゃないですか。  それで、以下聞いていきますけれども、事業団の在庫はついに十七万五千俵にもなっている。私は、昭和五十七年八月十九日、第九十六回国会で、繭糸価格安定法の一部改正法律案を審議の際に、事業団の在庫の削減について質問をいたしたところ、小島局長、あなたは、適正在庫は五万俵でございます、農林省としては三年ぐらいで適正水準に持っていきたい、こういう答弁をしておるのです。その当時の在庫は十四万四千五百余俵、現在では十七万五千俵、逆にふえているのです。一年半前に答弁したことがこんなことになっておる。いかにして農林省の見通しが悪いというか、無責任というか、私はほとほとあきれ返った。一体農林省は需要の拡大とか輸入抑制に真剣に取り組んできたのか、どうなのですか。責任をどういうふうにお感じですか。
  52. 小島和義

    政府委員(小島和義君) 一昨年、繭糸価格安定法の改正の御審議の際に、おおむね三年ぐらいの間に五万俵ぐらいに縮減したいと、希望的観測とお断りして申し上げたわけでございます。当時の需給の状況でございますが、五十三年をピークとして毎年毎年需要が下降ぎみでございましたけれども、五十七年上半期は御承知のようにやや需要が持ち直した時期でございまして、その年の九月ごろでございますか、事業団の在庫も、いまおっしゃいました十四万五千俵ぐらいの数字より減少をいたしまして、十三万九千俵という台まで一時いったことがございます。そういうことに加えまして、あの法律の改正によりまして需要拡大のための新規売り渡しというふうな道も開かれたわけでありますから、それらが非常にうまい方に転がってまいりますと、在庫はだんだん減っていくことができるのではないか、こういう観測を申し上げたわけでございます。しかしながら、その後の推移を見てまいりますと需要の方は依然として減りぎみでございます。五十三年ごろに大体四十六万俵ぐらいの国内消費量がございましたものが、昨年の場合には……
  53. 村沢牧

    村沢牧君 ちょっと済みません、局長答弁中ですが、先ほども冒頭お願いしたように、私の持ち時間はあと十分しかないです。経過は私は知っているのです。知っているから、どういうふうに取り組んできたのか、また取り組んでいくのかということですね。その減った経過は知っているのです。
  54. 小島和義

    政府委員(小島和義君) そういうことで、需要の方が減る反面、それに反比例的に事業団在庫の方はふえてきて、今御指摘のような数字になっているわけでございます。  そこで、何といってもその需給改善を図る必要があるわけでございまして、一つは今おっしゃいましたように需要の拡大ということでございます。これは国内の絹の消費量の大体九割ぐらいは和服需要によって支えられておるわけでありますから、この和服需要の減退にいかにして歯どめをかけるかという問題でございます。いま一つの問題は新しい需要——洋装、インテリア等の需要もございますが、それをいかにして伸ばしていくか、この二つにつきましていろいろ業界の協力も得まして、また通産省の協力も得まして、新しい需要を喚起するための方策を講じてまいったわけでございます。また、あの折に御改正いただきました新規用途売り渡しにつきましても、一昨年の十一月以降約九千五百俵の売り渡しを実施いたしておりまして、新規用途の開発につきまして幾分なりともその効果を上げ得た、かように考えておるわけでございますが、全体の需要の減退を食いとめるところまでは至っていないという状況でございます。  それから、輸入の削減でございますが、これも御承知のとおり毎年毎年輸入数量の圧縮に努めておりまして、五十二年を一〇〇といたしますと、生糸の五十七年度協定数量は二九%にいたしております。それから絹糸につきましても大体五〇%、絹織物は、これはなかなか難しい問題があるわけでございますが、それでも五十三年を一〇〇といたしますと、面積ベースで六〇%というふうな水準まで輸入を減らしてきておるわけでございまして、この種の一遍自由化いたしました商品につきまして輸入を減らしていくという交渉がいかに大変なことであるかということは、ただいままだ自由化いたしておりませんオレンジの問題等についてありますように、この種の通商交渉としては相当のことをやってきたと私どもは思っているわけでございます。
  55. 村沢牧

    村沢牧君 お役人というか官僚は極めてのんきなもので、一年半前に、十四万の在庫があるけど三年かかって五万にしますとこの委員会で堂々と言ったけど、逆に十七万俵にもなっているので もこの大幅な輸入枠拡大に応ずる余地はないと。にもかかわらず、私たちのそういう要求あるいは農民農業団体要求を押し切って枠拡大で対処しようとする場合には、何を基準として輸入枠を設定し、アメリカ交渉するのですか。
  56. 佐野宏哉

    政府委員佐野宏哉君) 輸入数量米側合意をするに当たって何を規矩準縄と心得ておるかという御質問でございますが、私どもといたしましてはそれぞれ当該物資の需給事情なり生産事情なりを踏まえて、その中で当委員会の御決議を当てはめてその事態を眺めれば、いかに対処すべきものかということのガイドラインが得られるというふうに考えております。
  57. 村沢牧

    村沢牧君 大臣は先ほど来、国会の決議を尊重するとそれだけを言っておるのですけれども、しかし、具体的な交渉に当たる場合には数量的な基準というものをこっちも把握しなければならない。私は何を基準にするかと言えば、一九七九年東京ラウンドにおける日米合意のこの事項をこれも一つの基準にすべきではないか。その中に、例えば牛肉については、日本政府は、この評価及び牛肉の将来の需給関係の見通しに基づいて、両国の双方の利益となるよう一九八四年及びそれ以降における高級牛肉輸入を一層拡大するための方途につき合衆国政府協議を行う、つまりその協議が今行われているわけです。したがって、日本政府としてはこの輸入の限度枠を決める基準というのは需給関係だ。つまりこの期間における需要と国内生産、そしてどれだけ不足をするか、このことがやはり日本の枠を設定する基準なのだ。  日本には閣議で決定した牛肉需給の長期見通しがある、この見通しを達成するために昨年も酪振法を改正して、補助金を出して牛肉生産の自給率を高めようと今しているのです。したがって、輸入枠を増加するという方針についてはこうした需給関係考えることが大事だと思う。この協定を何年間にするのか、それはまだ不明のようですけれども、この期間における需給関係は農水省はどういう見通しを持っているのでしょうか、数字をもって示すことができますか、牛肉について、オレンジについて。
  58. 石川弘

    政府委員(石川弘君) 御承知のように、長期的な見通しといたしましてはいわゆる六十五年見通しということがございます。これは牛肉の需給の過去の推移を見ますと、この長期見通しを設定した以降におきましても短期的あるいは中期的にはかなり変動いたします。例えば生産の面をとらえましても、御承知のように日本牛肉の供給量の七割は酪農の方から出てまいりますので、酪農が生産調整をいたしまして駄牛淘汰をすると急速に生産が伸びて出てくるとか、そういう短期的変動もございますので、長期的見通しだけの線で算定することにはいささか不安もございますが、一つの大きな指針として、過去におきましてこの長期見通しの線の中でどのような動きをしているかということは、十分今後の需給を判定します場合の参考資料たり得ると思っております。したがいまして、私どもも中長期的な見通しをします場合にこういう長期見通しを一つのよりどころにしまして、それに加えまして短期的に起こりますいろいろな変動要素も踏まえて見通しの作業をし、それに基づいていろいろな考え方というものを決めていきたいと思っております。
  59. 村沢牧

    村沢牧君 私はこの質問を申し上げるに当たって、農林省に対してこの東京ラウンドの設定いかん、六十二年なのか六十三年なのか、六十七年になるかわかりませんけれども、その間における牛肉の需給関係はどうですか、なるほど六十五年の長期見通しはあります。その中間における見通しはどうか、その資料を出してくださいと言っているけれども、あなたたちは全然そんなことはできませんということで資料が出てきません。相手方と交渉する場合において、交渉の期間内における需給関係がどうだかわからなくて自信を持って交渉できますか、アメリカ要求が多過ぎるのだとか、べらぼうだとか、何を基準にしているのですか。その資料はないのですか、あるけれども言えないということですか、どっちなのですか。
  60. 石川弘

    政府委員(石川弘君) 御承知のように需給見通しては上限、下限ということを設けておりまして、それに対して国内生産は一本の線で引っ張ってあるという比較的単純な見通してございます。これを数字がないと申し上げたとしますればおわびしなければならないわけでございます。数字はあるわけでございますが、どういう数字を使っていろいろ算定するかということには、結果的に交渉の内容に入ることでございますのでお許しをいただきたいと申し上げたつもりでございます。
  61. 村沢牧

    村沢牧君 佐野局長交渉するに当たって、日本の協定期間内における需給の見通しはどうだと、そのことをあなたは十分念頭に置いて交渉するわけですね。それでなくちゃいけないと思うわけです。ところが、畜産局長はそういう答弁ですけれども、そんな六十五年の見通しはありますけれども、中間の見通しなどというものはありませんというようなことをあなたたちは言っているから、そんなことでアメリカと自信を持って交渉できるのか。私は当委員会へ、ここで、その交渉もあるでしょうから、直ちにここへその資料、いろいろなデータはあるけれども、そのデータによって資料を出してくださいとは言っても、あなたは出せないと思うけれども、その見通しはあるわけですね。しっかり見通しが立っていなければ交渉なんかできないじゃないですか、どうなのですか。
  62. 石川弘

    政府委員(石川弘君) おわびを申し上げますが、見通しはございますが、どういう見通しを使ってやるかということはそのまま交渉の内容になりますのでお許しいただきたいと申し上げたつもりでございます。
  63. 村沢牧

    村沢牧君 佐野局長、畜産局には見通しがある。だから、交渉の基準はあくまでその見通しによるべきであって、対外関係アメリカとの、レーガンさんと中曽根さんとの関係等いろいろ配慮して政治的に何か決着する。つまり、悪い言葉ですが政治加算ということ、これが政治加算になるかどうかしりませんが、政治的に積み上げる、そんなようなことがあってはいけないけれども、その決意はどうですか。
  64. 佐野宏哉

    政府委員佐野宏哉君) 私としてはあくまで行政官としての分をわきまえて協議に当たっておるつもりでございます。
  65. 村沢牧

    村沢牧君 大臣も、そういう農林省にある長期見通しあるいは需給関係、そのことを中心にして日本としての枠というか基準を出していく、その決意ですね。また、農林水産省は、こういう決意で出したけれども、それじゃアメリカは言うことを聞いてくれないからもう少し積み上げろといういいかげんなところ、そんな加算的なものはさせないという気持ちですね。
  66. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 先生御存じのとおり、農林水産省の役人は一番優秀でございます。この皆さんと一体となって農業者犠牲にしないようにということを念頭に置いて交渉に当たってまいります。
  67. 村沢牧

    村沢牧君 佐野局長にもう一点伺うけれども東京ラウンド合意事項は、八四年以降における高級牛肉輸入の方途について協議をするということになっている。ところが、新聞で報道されるところによると、アメリカ要求は、例えば一万トンは高級牛肉、一万トンは一般肉だと、こういうことが報道されておりますが、一般肉輸入まで拡大をして今回協議する必要はない、この東京ラウンドの協定からいっても。そのように考えますが、どうなのですか。
  68. 佐野宏哉

    政府委員佐野宏哉君) 現在、牛肉トータル輸入数量につきましては、東京ラウンド合意に基づきましてオーストラリア政府協議中でございます。
  69. 村沢牧

    村沢牧君 そうすると、アメリカとの協議はあくまで高級牛肉である、そういうことですね。アメリカから一般牛肉要求があっても、それを受けるとすればオーストラリア関係もまた出てくるということにもなってくるわけですけれどもアメリカともいま交渉し、今後交渉して詰めていくことは高級牛肉に限る、そういうことですね。 出をするという、需要が波を打っているということを前提としていまの制度はでき上がっておるわけでございます。今後、この絹需要の動向がどうなるのかということについてはまだ不透明な部分もございますけれども、この数年間で見る限り毎年毎年落ち込んでおる、このこと自体がいいかどうかは別といたしまして、現実としてそういう趨勢にあるわけでございます。そういう毎年毎年落ち込むという趨勢の中で、ただいまのように需要が波を打って変動しているということを前提とした制度がうまく機能するかどうか、このことがまことに問題なわけでございまして、ただいまの研究会の研究の焦点というのも実はその辺にあろうかと思います。それを見定めました上で今後どういう制度が成り立ち得るのかというふうなことがその次のステップの問題になるわけでございまして、今日の繭糸価格安定制度が国内養蚕を守るという考えに立脚いたしておりますことは私どもも承知いたしておりますので、今後の制度の検討に当たりましてもそういう問題意識を常に持ち続けながら検討をいたしたい、かように考えております。
  70. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 制度につきましては、いま局長からお話ししましたように研究会の結果を見て検討をしたいと思いますし、また、減反の問題につきましても、いま生産者団体、都道府県、それらと話し中でございますので、それは話の結果を見て結論を出したいと思います。  ただ、輸入につきましては、少なくとも農林水産省の立場といたしまして、国内において繭の減産を行わざるを得ないという事情があるわけでございまして、その事情を踏まえて、関係各省庁によくこの状況説明しながら、輸入数量の縮減については努力してまいります。
  71. 村沢牧

    村沢牧君 時間が参りましたから私の質問は終わりますが、養蚕農家犠牲を押しつけるような減産は絶対やっていけない。それからこの安定制度は堅持をすべきである。このことを強く要求してきょう時間がないのでこれで終わりますが、私はずっとこれからの委員会でやりますから、よく肝に銘じて対処してください。  以上、終わります。
  72. 上野雄文

    ○上野雄文君 大臣、初めて御質問を申し上げるわけでありますが、私は、言うなら農業問題、林業問題などは素人の部類に入るわけでありますけれども、幸い大臣のお名前は山村というお名前でありまして、農林大臣にうってつけのお名前のように思うのです。きょうは山の問題に絞りまして、この間から中曽根総理が緑の問題なんかを出してきましたけれども、タカ派発言の穴埋めのための発言では困るな、本当の意味でこの緑を守るというそういう立場に立ってほしいなと、こう願っているわけでありますが、総体的に基礎的な問題について現状認識というものを一致をさせておきたい。きょうは時間がありませんからそういう立場でお尋ねをしたいと、こう思っているのです。  そこで参考までに申し上げますと、総理府が発表した世論調査でありますが、その中の「国土の将来像」、その項目で見てみますと、「価値観の変化」というところで、物の豊かさを求めるというのが二九%に対して、心の豊かさを求めるというのが六四%というふうに非常に差がありますし、それからもう一つ、これから生活の便利さを求めていくのかということが三五%に対して、自然との触れ合いというものを求めていきたいというのが五七%に達している、こう言われているわけでありまして、私ども人間が生きざまとして将来にわたってこういうものを求めていきたいのだという気持ちが端的にあらわれているのじゃないかというふうに思っております。  そういう評価なんかについても大臣の御所見も伺ってみたいなと思いますし、さらに、今日的な状況の問題についてでありますけれども、一口に言って、高度成長期の直前、朝鮮動乱が終わって以降木材価格が物すごく高騰しました。その時期に一番権力の側がやりよかったのが、国有林に向けてどんどん切り出して価格安定制というようなことが行われたわけです。そういうツケが実は今回ってきているのではないか。それがもとになり山村の人口の流出、過疎化につながってきているのじゃないか。さらに加えて外材の輸入、それと同時に最近では住宅建築の不振、そういうものが絡んできてしまって大変な危機的な状態にあるというふうに認識しているわけでありますけれども、こういうような立場で大臣はどのようにお考えになっておられるのか、ひとつ総括的な御意見を伺ってみたい、こう思うのですが。
  73. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 先生おっしゃいましたように、近年、緑や自然との触れ合いに対する国民の関心は急速に高まっておるようでございます。このような中で、国民の求める緑を育て守る、このためには健全な森林を整備することが極めて重要であります。このため引き続き各般にわたる林業諸施策の推進を図るとともに、さきに決議されました緑化推進運動の実施方針に即して、国有林や公有林等の活用による森づくりを推進し、緑資源の確保に努めてまいる所存でございます。
  74. 上野雄文

    ○上野雄文君 お役人さんがお書きになったものを大臣が読まれて、何かもう一つ、いうところの心の触れ合いが読み取れるようなお話を聞きたかったと実は私は思っているのです。私なりにいろいろ調べてみたのですけど、大臣の選挙区には国有林はないように思いますね。
  75. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 全然ありません。
  76. 上野雄文

    ○上野雄文君 それから営林署もないようですね。国有林に行かれたことはございますか。
  77. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 国有林へまだ視察には参っておりません。ただし、この間全国の署長さんをお招きしていろいろ実情は伺ったところでございますが、行ったことはございません。
  78. 上野雄文

    ○上野雄文君 率直なそういうお話を聞かしていただくならば、私もこれからいろいろこの種の問題について率直な意見も申し上げられることができるのじゃないかと思うのです。  そこで、先ほど大臣答弁にありましたが、森林・林業に国民的関心が非常に高まってきたと。そこで、この前衆議院段階で質問もあって、我が党の代表に対しての答弁もあったと思いますけれども、この日本全土を覆っている森林の果たすべき価値をお金に換算してみると、年間二十五兆四千三百億にもなるという数字が示されております。これはもう大変な役割を果たしているというのをあらわしたものだろうと私も思うのです。  最近、我々が一番注目していかなきゃいけないというのは、ダムなどの堆砂の問題だとか森林の国土保全の機能、こういったものについて一体どういうふうにお考えになっているか。一例を申し上げますと、私は栃木県で、まあ千葉県の上流県ですね。それで、この間、去年の七月に大臣も御存じだと思うのですが、川治ダムというのができました。これは毎秒十一トンの水をつくり出すのに、何と約七百七十億、トン当たり七十億もの金がかかるわけです。大変な投資をする。それはもうほとんど全部住民の負担と考えても私は間違いないのだと思うのですけれども、そういう投資をする。こういうものもたった五十年ぐらいでつぶれてしまうというのではどうにもならないだろうと思っているわけです。そういうことについて、山を守るという立場で、そういう資料をどんなふうに把握をされているかお尋ねをしてみたいわけです。
  79. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 私は、国有林につきましては、ただ単に木材を提供するということだけではなくて、いわゆる国土、自然環境の保全を初めとして水資源の涵養、これらを含めた極めて重要なものであるというぐあいに考えております。
  80. 秋山智英

    政府委員(秋山智英君) ただいま大臣が申し上げましたとおり、森林には多雨的な機能がございます。特にいま先生指摘の土砂崩壊、土砂流出というふうな面におきまして、やはり森林の持っています根茎の機能を強化するということが極めて重要でございまして、そういう面から、やはり適正な森林制御をすることがこれからの重大な役 す。またぬけぬけとそういうことを言って、これをやったやったと言うけれども、何にもやっていないじゃないですか。ですからあなたたちは口で言うっきりで何もやっていないということを言うのです。あなた、これは重大な責任ですよ。農蚕園芸局長として重大な責任をとらなきゃいけない。  そこで、今話があったように、生糸あるいは養蚕関係を克服する最大の課題は需要の拡大、これに伴う流通改善輸入であるというふうに思うのです。そこで通産省にお伺いしますが、例えば着物、振りそでを例にとっても、原料として使われる生糸は約九百グラム、金にして一万三千円。ところが小売価格になって反物として出てくると一反が五十万も六十万もするわけです。これでは消費が伸びないのです。この流通改善を図らにゃいけない。特に繊維製品の流通の近代化を図らなきゃいけない。これについては通産省としてはどういう取り組みをし、どういう指導をしていくのですか。  もう一点、輸入の問題についても、なるほど生糸とそれから絹糸類の輸入は若干減った、しかし依然として絹織物、つまり着物生地が輸入はうんとふえているのですね。ざる法みたいな、一方は減らしても一方はふえていれば何にもならない。このことが今日在庫を多くしてこの養蚕業を痛めつけているのですけれども、この問題についても、農林省に行けばそれは通産省の所管だ、農林省では手も足も出ないというのです。一体通産省としてはこういう問題についてどういう取り組みをしているのですか。これまた時間がありませんから簡潔にひとつ御答弁をお願いしたい。
  81. 竹内征司

    説明員(竹内征司君) ただいま御質問にございました最初の点、流通の問題につきまして私の方からお答えいたしたいと思います。  御指摘のございました流通問題、これは大変難しい問題でございまして、確かに繊維の流通構造というのは非常に多層構造になっておるわけでございますが、この多層構造は別に絹製品だけでございませんで、繊維産業全般の問題であろうかと思っておるわけでございます。この各段階を見てみましたところ、その段階それぞれが大変利益を上げておるかといいますと、そうではない状況でございます。むしろ需要減に伴います経費の増大等に苦しんでおるというのが実情がと思うわけでございます。また、この流通の多層化構造を短縮したらどうかという御意見も一部にあるわけでございますけれども、この問題につきましても、繊維製品特有の商品の売れ残りの問題、あるいは回転率の問題等々がございまして、なかなかそのリスク分散という一面のメリットもあるわけでございまして、長い歴史的経過の中から形成されたものでございますから、これを一朝一夕に改善するということは大変難しいわけでございます。  いずれにいたしましても、先生の御指摘ございました流通の近代化の問題ということにつきましては、これは繊維産業全般の問題としてとらえていかなければならないし、その近代化の問題は今後大いに我々としても取り組まなければならない問題と考えておるわけでございます。あくまでも繊維産業全般の流通改善、あるいは生産近代化ということで問題をとらえてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  82. 新関勝郎

    説明員(新関勝郎君) 先生の御指摘の絹織物の輸入問題についてお答え申し上げます。  私ども、中国、韓国との政府間の二国間の取り決め、それから台湾との間の民間取り決めによりまして、こういう輸入削減問題について協力を求めてまいりました結果、絹織物の輸入数量に関しましては、二国間取り決めを実施する以前の昭和五十年に比べまして昨年の通関輸入数量は約五六%の水準にまで落ちている現状でございます。国内の厳しい絹情勢のもとで関係のいろいろな業界からさらに輸入の削減を強化せよとの声が強いことは承知しておりまして、引き続きの努力を続けたいとは考えているところでございます。しかしながら、二国間の取り決めを通じまして削減に次ぐ削減を求めてまいりました結果として、中国、韓国等関係国における調整の余地も相当狭まっている状況にございます。したがいまして、通産省といたしましては、絹織物の輸入削減を一層強化するために関係国に対してこれまで以上の協力を求めることは困難となりつつあると認識しているところでございます。
  83. 村沢牧

    村沢牧君 大臣に質問しますけれども、絹の需要は伸びないといっても、五十七年度の需要量は、暦年でいって三十六万七千余俵ある。これに対する国内生産は二十一万六千五百俵だ。つまり、日本で十五万俵は不足をするのです。この不足するものだけ輸入しておれば在庫もふえてこないのです、市況も混乱をしない。これ以上に輸入しているからこういう形になるのです。つまり、私はいままでいろいろ質問してきたけれども農林水産省としても、政府としてやるべきことを積極的にやっておらない。また、通産省の方も、難しい問題だ、あるいは絹織物の輸入削減はこれ以上困難だというようなことを言って、政府として何にもやることをやっておらない。  しかし今日、ことしの国内の繭の生産を三割減反しろと、大臣もさっき減反をするのだという答弁があったのですけれども、とんでもないことだ、まさに本末転倒なのです。養蚕農家は安定制度を維持するために、数年前ですか、亀岡農林大臣のときに基準糸価、繭価も下げた。その際農林大臣は、養蚕、この安定制度を守るために我慢をしてください、これで日本農業養蚕はよくなりますよという答弁をしているのです。なおまた、養蚕団体は自主減反を二回も三回もやってきた、そこへもっていって追い打ちをかけてことしまた三割減らせ。自分たちがやることをやらなくてなぜ生産農家にばかり犠牲を押しつけるのですか、こんな政策があるのですか。ですから、三割減反というのは撤回すべきである。大臣、どうなのですか、ことしこのとおりにやらせるのですか。
  84. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 今、生産者団体を初め各団体といろいろ話し合いをしておる最中だそうでございまして、その経過を見てひとつ決めたいと思います。
  85. 村沢牧

    村沢牧君 日本養蚕は、繭は足らないのですよ。足らないところへもっていってまた三割減らせ。これでは養蚕農家の死活問題だけでなくて、養蚕そのものが滅びてしまう。ですから、ことしの三割減反なんということは絶対撤回すべきだ。これで終わるわけじゃありませんから、ずっと要求しますよ、よく腹に置いておいてください。  それから、農林省は繭糸価格安定制度を見直すために研究会を発足さしている。どういうふうに見直すのですか。今日まで一元化輸入、繭糸価格安定制度は養蚕を守るためにあるいは製糸業を守るために絶対に必要な制度だ、これはあくまで堅持をしていく、そういう決意でもって研究をしなきゃいけないのですが、その決意がおありであるかどうか、大臣にこれもお伺いします。この安定制度は堅持をする、一元化輸入も堅持をする、いいですか、そうして、ことし減反なんぞをしない、その三つについて大臣答弁をしてください。
  86. 小島和義

    政府委員(小島和義君) 大臣からお答えあります前にちょっと経過だけ申し上げておきますが、先週以来繭の生産者団体、それから都道府県その他関係団体と協議を進めてまいりまして、減産の基本的な方向については御了解が得られた段階になっておりますが、目標数量を三割減ということにするかどうかという問題は、これは生産者団体の組織内の討議にゆだねられている段階でございまして、これから団体の意思統一を待って私どもと相談をしたい、こういう段階にございますので、三割ということで決まったような報道は誤りでございます。  それから、研究会の問題でございますが、私どもの問題意識といたしましては、こういう安定帯制度というのは、需要が減るときもあるけれども、ふえるときもある、したがって需要が落ち込みましたときに事業団が買い支えをいたしまして、需要が復活いたしますれば事業団がそれを放 考えております。さらに保安林地域につきましては、やはり崩壊防止のための松くい虫の被害緊急対策治山事業によりまして現在進めてまいるということで、できるだけこれを早く終息すべく努力しているところでございます。
  87. 上野雄文

    ○上野雄文君 ひとつ精いっぱい頑張ってやっていただきたい。  栃木県のことを申し上げますと、植樹祭を二年前にやったのです。天皇がおいでになるからそのときに一生懸命やったですね。植樹祭が終わったら何か急にふえるような感じがするわけです。あれはちょっと手を抜いたらもうどうにもなりませんから、よろしくひとつ頑張っていただきたいと思います。  次に、間伐の問題についてお伺いをしたいと思うのです。  日本の人工林の面積が千万ヘクタールで、これを対象にして間伐をやっていかなければならないわけでありますけれども、大体間伐必要面積はどの程度か、それから緊急に間伐をやらなきゃならないのはそのうちどのぐらいか、それからいままでの実績はどうなのですか、五十六年度まで。五十六年度は例の補助制度ができて急激にばんと伸びたというのが出ていますけれども、七年度、八年度、八年度は現在進行中ですからあれですが、七年度はどうだったのか。それからこの間伐のおくれの原因は一体何なのですか。こういうような点について御意見を伺いたいと思います。
  88. 秋山智英

    政府委員(秋山智英君) 現在の我が国の人工林面積一千万ヘクタールというお話でございますが、そのとおりでございまして、その約半分四八%が間伐の対象森林面積になっておりまして、間伐の対象となります林分と申しますと、大体十六年生から三十五年生でございますが、これが約三百八十万ヘクタールございます。その中で第一回目の間伐、初回の間伐を緊急に必要とする面積は約百九十万ヘクタールでありますが、なかなか難しい事情もございましてこれまで進んでまいらなかったわけであります。昭和五十四年が十五万ヘクタールでございましたが、五十六年に間伐総合対策を進めましてから五十六年は二十三万ヘクタール、それから五十七年が二十四万ヘクタールと逐次ふえてまいっておるわけであります。  なかなか計画を進め得ない原因として考えてまいりますと、この間伐した材を運び出す林道、作業道等が必ずしも十分でないということ、それから最近の木材価格の低迷等もございまして、特に間伐材の需要が不振であるというようなこともございます。それからもちろんまた生産費が増高しているということもございまして、意欲が低下していることもあります。それから戦後造林されました多くの方々というのは、いわゆる薪炭林を切りまして初めて人工林を造成したというようなこともございまして、なかなかそういう意味ではこの間伐に対する知識も不十分だったというようなことも私は原因をしていると思いますが、先ほど触れましたように、私どもこの間伐促進の総合対策事業でありますとか、あるいは森林総合整備事業でありますとか、間伐林道を作成するための新しい経費を導入するとか、さらには昨年森林法の改正によりまして森林整備計画制度というものを新たに導入したわけでございます。これらの方法を総合的にかみ合わせながら、さらに今度ごとし五十九年からは林業地域の生産活動を活性化するための総合対策事業も導入しているわけでございますが、これらを総合いたしまして、機動的に効率的にやってまいりたいと思っております。
  89. 上野雄文

    ○上野雄文君 長官、この間、農水委員会委員長と一緒に高知の方もずっと歩いてきたのです。あそこで木工団地へ行きまして、間伐材でつくった家だとか、それから知事が使っているテーブルだとかロッカーだとか、そういうのも全部見せてもらったのですけれども、間伐材でつくったモデルハウスが坪四十万というのです。これじゃちょっと手が出ないのです。それからテーブルやなんかのセット類が一式七十万というのです。ところが半面、今度は小学校の子供たちのいす、テーブル、これは高知県ではそれをつくるのについて年間、額は少ないけれども、三百万ぐらい金を出して間伐材の利用ということについて一生懸命取り組んでいるという姿勢が各県でも見られるわけです。ですから、ひとつ積極的にそういう面での問題を取り上げていってもらいたいと思うのです。  そこで問題は、さっき山村からどんどん人が都市へ行ってしまう。ところが、いろいろ世論調査をしてみると、都市部から外へ帰りたい、同じ世論調査でこういうのがあるのです。これは大臣によく聞いていてもらいたいと思うのですが、日本の将来の人口分布、二十年後は一体どうあったらいいか、こういうことについての、これは総理府の資料です。現在より大都市圏に集中することが望ましいというのはたった二%です。地方圏に分散するのがいいというのが七〇%です。その七〇%のうちの人たちで、政令指定都市のような札幌とか大きいそういうところへ行きたいというのは六%です。それから県庁所在地はどうでしょうか、ふえるでしょうかといったら、これは一三%なのです。県庁所在地以外の小都市がふえるでしょうというのは五六%なのです。私もこれを見て夢と希望があるなと思うのは、それ以外に二〇%の人が農山漁村がふえるだろうということを言っているわけです。そういう気持ちをみんなが持っているうちに私は手を打たなきゃいけないだろうと思うのです。  問題は、五十万人おった山林労働者が今や十八万人になってしまった。ちょうど昭和三十五年、三井三池のあの石炭の大争議のときに、炭鉱労働者は五十万だったのですが、今は十八万人です。同じ姿を歩んでいるのですが、山の方では騒ぎが起きない。これは一体何だ。それは長官も分析されていると思いますから、今こういうみんなの気持ちがあるうちに的確な手を打っていただきたい。今のうちに手を打たないと、いよいよ山林労務者が戻れと言っても戻れない状態をつくってしまったのでは大変なことになりますよというふうに思うのですが、その辺はどうですか。
  90. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 先生のおっしゃるとおりでございまして、何といっても緑豊かな森林資源を維持するというのには、林業労働を確保することが必要でございますが、そのためにはやはり山村における人々が希望を持って林業に取り組んでいけるように林業を活性化し、産業として魅力のあるものにしていくことが必要であろうと思います。  今、当省といたしまして、生産基盤の整備、林業従事者の生活の場としての山村における就業機会の確保と生活環境の改善、林業事業体の経営基盤の強化と労働条件の改善、これらを強力に推進してまいる考えでございます。
  91. 上野雄文

    ○上野雄文君 最後に、去年の農林水産委員会で、森林法及び分収造林特別措置法の一部を改正する法律案が通ったときに附帯決議が行われたのですが、特にこの五項目に、「木材の需給と価格安定を図るため、製材、木製品等外材輸入の適正な調整機能を発揮するよう努めるとともに、」とうのがあるのです。さらにその後段、「また、間伐等の施業を促進するため、」、こういう決議に沿った具体的な施策というものを私どもは強く要求をしていきたいと思うのです。前段の村沢理事の質問も、養蚕が外圧により本当にひどい目に遭ってきている、この山だって木材輸入、外材に本当にいじめられてきている、こういう同じパターンでいっているわけです。私は、山を守るためにもこの委員会の附帯決議を尊重してもらいたいということを申し上げて終わりにいたしたいと思います。
  92. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) いま先と言われました委員会の附帯決議、これを積極的に推進してまいります。
  93. 菅野久光

    ○菅野久光君 私は、水産行政について質問いたしたいと思います。  大臣が就任をされて、たしか北海水産新聞だと思いましたが、きょうちょっといま持ってくるのを忘れましたが、そこのインタビューで、自分の選挙に重大な影響といいますか、落選するようなことがあっても、全国の浜を回って歩きたいとい 割と思っております。  そこで、今国会に上程申し上げておりますところの保安林整備臨時措置法の一部改正も、保安林の中のそういう機能の低下したものをさらに強化しようという内容も含めました内容となっておりますのも、この重要性にかんがみての改正でございます。
  94. 上野雄文

    ○上野雄文君 国土保全という面から大変重要な役割を果たしているのだということについての認識はお互いに一致できる問題だろうと思うのです。最近では災害で一番大きいのは、おととしですか、長崎の土石流がありました。それから山陰地方の山崩れなんかもあったと思うのであります。最近のこういう気象による山の災害というものは現状どんなふうになっておりますか。私の見るところでは、急激にカーブを描いて上昇しているというふうに思っているのですけれども、その状況なんかについて。
  95. 秋山智英

    政府委員(秋山智英君) ただいま先生指摘の長崎の災害でございますが、これは五十七年の七月の災害でございます。そのときの最大時雨量が百五十三ミリと、これは史上二番目というふうに言われているものでございまして、これを最大日雨量で見てまいりますと四百八十八ミリ、長崎でございますが、全体の総雨量が六百五十一ミリということでございまして、これはかってないという非常に珍しい記録的な災害であったわけでございます。それに加えまして長崎は大変渓流沿いの急峻なところに人家が密集しておる関係もございまして、こういう悪条件が重なって土石流の災害が出たというふうに私ども判断しておるところでございます。
  96. 上野雄文

    ○上野雄文君 そういった災害、これはおたくの方で出している白書からとってみると、五十五年は七百八十八億円であったものが五十六年に千二百十九億円、そして五十七年には二千四百九十一億円というふうに物すごいはね上がりをしてます。  五十八年なんかはどうだったのですか。
  97. 秋山智英

    政府委員(秋山智英君) 五十八年は、御承知の島根県を中心とした集中豪雨並びに中部地方を中心としました集中豪雨がございまして、被害額総額は千九百八十八億円でございます。
  98. 上野雄文

    ○上野雄文君 こういう災害に対して、山の立場から何とか防ぐ手だではないものか。そういうようなことについて今日、山の立場での反省といいますか、そういうものは何かおありですか。
  99. 秋山智英

    政府委員(秋山智英君) 森林の持っております土砂崩壊、土砂流出あるいは水源涵養機能と申しますのは、いわゆる一定の量まではと申しますか、スポンジで申しますとちょうどスポンジが水を吸う段階までは森林としての機能が果たせますが、それを超える部分につきましては、これは機能を超える雨量等でございまして、必然的にそれが災害につながるということでありますが、私どもはやはり森林の持っています機能を十分発揮できるように森林の取り扱いを、具体的に森林制御と申しますが、それをしていくことが極めて重要であるということで、昨年の国会で決めていただきました森林法の一部改正もそういう考え方からいろいろの手だてを考えているところでございます。
  100. 上野雄文

    ○上野雄文君 次に、松枯れ、松くい虫の被害の問題でいろいろお尋ねをいたしたいなと、こう思っております。  私のところの栃木県も、松枯れは非常に少なかった方なのですけれども、最近は物すごく伸びてまいりまして、これは一体いつまでもつのだろうかという心配も実は出てきております。いろいろ資料を見てみますと、北海道と青森と秋田を除くとあとは全部やられているという状況のようです。  五十七年の三月に法改正が行われて新たな防除策が取り込まれたようでありますけれども、その結果どういう成果が上がってきているかというようなことについてその実績もお知らせをいただきたいと思います。ただ私、この白書による資料なんかも見せていただいているわけでありますが、大体ここのところ棒グラフでいくと頭がとまってきているという数字が出ております。五十四年に比べれば五十五年、五十六年どこうとまってきているかのように見えるわけでありますけれども、これだけ見ると何か被害が少なくなったという感じを受けてしまうのですね。じゃなくて、やられたところがずっと広がってきてしまって、これは新たにやられていくわけでありますから、どんどん減っていくというふうに見なきゃならない棒グラフなのだろうと思いますけれども、その辺のまず実績というものについてお話を伺いたいと思います。
  101. 秋山智英

    政府委員(秋山智英君) 松くい虫の被害の発生状況でございますが、これは五十四年がピークで二百四十万立米という非常に急激な増加を見たわけでございまして、その後鋭意努力してまいったわけでありますが、五十七年にはただいまお話がありましたとおり松くい虫被害の法律を改正いたしまして、総合防除体制の方式をとることにいたしまして実施しておるわけでございますが、五十七年におきましては首四十六万立米でございまして、約七割に、減になったわけでございます。これは新しい防除体制に基づいて各都道府県で鋭意努力したことと、さらには夏季におきますところの低温多雨という気象条件もこれはよい結果をもたらしたと思っております。さらに五十八年は、現在被害木の駆除をしておる最中でございますが、五十七年よりはやはり若干落ちるというふうな今数字をつかんでおります。  なお、さっき先生指摘の、現在発生していない県でございますが、これは実は秋田も若干出てまいりまして、青森と北海道だけになっております。  そこで、私ども昨年の松くい虫被害対策特別措置法に基づきまして、まず予防といたしまして空中からの特別防除を実施するわけでございますが、さらに予防を実施できない地域もございまして、それにつきましては、特に保安林であるとか被害がこれから発生するおそれがあるようないわゆる重要地域につきましては、これは特別伐倒駆除ということで、伐採木をさらに破砕するとかあるいは焼却するというような徹底した方式をとっております。それ以外につきましては、伐倒して薬剤散布というような方法をとっておりますし、私どもは今お話がございましたが、罹害地域と申しますか、東北あるいは新潟、長野、山梨というようなところにつきましては特に徹底した防除をしなきゃならないということで進めておるわけでございます。  そういう意味におきまして、また五十九年度におきましては、今申しましたいわゆる罹害地域についてはさらに徹底した防除を行うという考え方から、今までのもちろん対策は実施するわけでございますが、さらに新しい手法によりまして空中から被害木を一本一本ガンノズルスプレー方式で防除できる方式もできましたので、そういう方法を取り入れるとか、それから感染源を除去するための松の伐倒処理であるとか、さらには一般の松林だけでなくお号とかお宮その他の庭園と連携をとった防除をしなければならぬものですから、これらも徹底してやるような方式もとっています。  さらに、長期視点といたしましては、中国の馬尾松という松がこれが松くい虫に非常に強い松でございますので、日本の黒松とこれは交配させまして新しい品種をつくり出しまして、これを現在林木育種場で増殖中でございますので、これらを逐次進めてまいろうと、かように考えておるところであります。  それから、跡地の復旧問題というのが、これからのさらに非常に重要な問題になるわけでございますが、松くい虫の被害跡地におきましても、やはりクヌギとかヒノキが植わる部分については、松くい虫の被害地緊急造林事業ということでこれを進めると同時に、さらに土地の悪いところにおきましてはヤシャブシや、いわゆる豆科の植物でございますが、こういうやせ地にも生え得るそういうものを導入しまして、特殊林地の改良事業というようなことでこれを復旧しようということで したが、貿易問題は何か農産物の問題に今象徴されているようであります。本当にこの対応については大変苦慮をされているわけでありますが、水産物の貿易問題についてのある程度の中長期的な視点といったようなこともお聞きをいたしたいと思いますし、特にアメリカは自国の二百海里内への入漁問題とも絡めて我が国に水産物輸入の増大を迫っているようでありますけれども、それにどう対応していかれるおつもりなのか、その辺もひとつお聞かせいただきたいと思います。
  102. 渡邉文雄

    政府委員(渡邉文雄君) 前段のこれからの水産物貿易の長期的な視点といいますか、見方ということでございますが、御案内のように、現在輸入されておりますものはエビ、サケ・マス、マグロ、カニ、イカあるいは魚卵——ニシン、かずのこ等の魚卵、非常に単価の高いものでございます。これは国内でできないものがそのうちの相当部分を占めますので、この輸入が減るということは需要がある限りはなかなか考えられない。ちなみに、輸入されます、先ほど百万トンで一兆円とおっしゃいましたが、キロ換算をいたしますと千円を超える単価になるわけですが、一方、国内のは約一千万トンで三兆円ということでございますので単価はうんと安くなるわけでございます。恐らく三百円ぐらいの単価になろうかと思います。そういう意味で非常に高い、主として日本ではとりにくいもの、ベニザケなんかを含めまして、そういったものの輸入というのは需要との絡みもありまして、また、消費者対策の観点も考えればこれをやみくもに抑え込むということはなかなか難しいことではないかと思います。しかし逆に言いますと、それ以外のものにつきましては従来も輸入は余り国内の需給を脅かすほどにはふえていないと思いますし、これからもさほど心配はないだろうと思っております。それはそれといたしまして、今後とも輸入の動向には十分意を用いながら、業界の指導につきましては落ち度がないようにいたしたいと思っております。  それから、後半の米国との関係は、これはもう率直に申し上げさしていただきますが、大変むずかしい問題でございます。昭和五十二年に二百海里を米国が引いた当時は、ソ連も含めまして、二百海里水域の運用につきましてそれなりのルールらしきものがあったわけであります。あのとき五十二年に一挙に二百海里を宣言されまして、二百海里の水域の中の漁業資源は沿岸国が主権を持つという宣言をされたわけであります。その割り当てをもらわなければとれないということになったわけでありますが、従来の伝統的な漁獲国、米国にしてみれば日本だと思いますが、それについての実績はこれを尊重するという暗黙のルールみたいなものがございました。ソビエトにつきましても、同様な考え方がお互いにあったわけでありますが、ここ二、三年の様子を見ますと、そういった二百海里が始まった当時のルールというものはほとんど姿を消しまして、むしろ貿易政策あるいは政治問題等にこの割り当て問題が利用されるようになってきたという現実があるわけであります。  これは、それをいいとか悪いとか言いましても、その主権を行使するという沿岸国の態度についてはいろいろな批判というか言い分があるといたしましても、それを覆すということはなかなかできないわけでございまして、そういう中でもやはり従来の実績を尊重し、日本との漁業面を通じての友好関係云々というようなことを言いながら従来の実績を確保する努力をするよりほかにないと思っておるわけであります。  特に貿易問題について言えば、たとえばアメリカ昭和五十二年から数年間は年に一遍百二、三十万トンを日本に割り当ててくれたわけでありますが、一昨年からは年に三回に分けてこれを日本に割り当てる。一月に半年分、四月に三月分、七月に三月分と。その割り当てる時期のたびにいろいろな注文がつくわけであります。あるいは貿易量をもっとふやせとか、あるいは先ほど申しましたスケトウのジョイントベンチャーの数量をもっとふやせとか、そういったことを認めないならば割り当て量を減らす、協力をしないのなら割り当て量を減らす、減らすといいますか、考えるぞというのがアメリカ国内法としてその後できたわけであります。  マグナソン法という法律でございまして、それによりますと、米国水産物に対する貿易障害があるかないか、その障害の程度、あるいは米国の水産業の発展に対する協力の有無あるいはその程度というものを勘案して、国務省と商務省は相談をして対外割り当てをしろというアメリカの法律があるわけでありまして、我々と交渉の相手になりますアメリカの役人もこの法律には従わざるを得ないということで、その中で従来もあるいは日本の現実を踏まえましてできるだけの協力をしてもらっていると思いますし、またその協力をさせるような意味での粘り強い交渉というものがこれからもますます必要ではないかと思うわけであります。  そういった意味で、ただいまサケ・マスにつきましてもその九割は現実に今アメリカから入っているという現実を考えますと、多少、多少といいますか、国内でいろいろそれに関連する問題がもし仮に生じたといたしましても、直ちにそれをもってアメリカからの輸入を抑えるというようなことが、アメリカに出漁しております非常に多くの日本漁船の操業減に直につながるおそれが多分にあるわけでありますので、大変に難しい問題でございます。なるべくそういった具体的な意味での被害が及ばないように粘り強い交渉をしながらこの問題に対処していきたいというふうに考えておるわけであります。
  103. 菅野久光

    ○菅野久光君 アメリカとの関係は、大日本水産会が米国の二百海里水域内の外国漁船に対する入漁料は高過ぎるということでワシントンの米連邦地裁に訴訟を起こしているということなのですね。特に日米の漁業関係が一昨年の一月から期限五年の新協定が結ばれて、米国政府は漁獲割り当て枠などに一方的裁量権を持ったということで、本当に大変なことだというふうに私ども考えているわけですけれども、何としてもこういったような一方的なあり方というものはやはり今後の漁業にとっても大きな問題ですので、ぜひこういった対日漁業政策の再考を迫るような、そういったようなこともまたアメリカに対してするべきではないかということ、このことについて申し上げておきたいというふうに思います。  次に、具体的なサケ・マスの輸入問題について、先ほど長官からも一定のお答えがあったわけでありますけれども、サケ・マスは我が国においては本当に代表的な魚種で、国民の食生活上も昔からなじみの深い魚であることは今さら言うまでもないわけです。また、それに対応してサケ・マスを対象とする漁業も古くから発達をして、現在でも母船式や基地独航船による刺し網漁、小型漁船によるはえ縄漁、沿岸の定置網漁等さまざまな漁法で漁獲されております。特に二百海里時代に入ってふ化放流事業が盛んになって、沿岸に回帰したサケ・マスを定置網によって漁獲したり、河川に遡上したものを漁獲することが盛んになりました。その結果、供給量に占めるいわゆるアキサケと呼ばれるこれら沿岸物の割合も順次高まってまいっております。一方、輸入サケ・マスの数量も五十年代に入ると急速に増加して、先ほど長官がお答えになったようなことになっているわけです。  総じてサケ・マスの年間供給量は、持ち越し在庫量の増大とも相まって、五十七年にはついに三十万トンの大台になったということで、五十八年には三十三万五千トンに上って、いわば消化不良を起こして価格の低下、それによって大変な打撃を生産者が受けているわけです。とりわけアキサケ生産の大宗を占める北海道においては、サケ・マスの定置の漁獲量は増加したものの、価格の下げ幅が大き過ぎたために赤字に転落する経営体が続出をしております。漁獲共済の支払いを受けるものがこれによって急増してきたわけであります。  ちなみに、五十四年度から五十八年度までのア うような旨の発言をされたのが載っておりました。大変その意気込みは本当に漁業関係者にとっては心強いことではないかというふうに思いますが、これからも水産行政、特に生産が三兆円弱、大体二兆八千億程度の生産で、借金が大体三兆円ぐらいあるというような大変な状況の中での問題でありますから、それだけにひとつ初心を忘れず頑張っていただきたいと思います。  先ほどから農産物輸入自由化、そして林業もまたその輸入の問題で大変なことになっておりますが、漁業も水産物の関係についても輸入で大変な状況になっている。一次産業はすべてそういうような状況になっているわけですが、我が国の水産物の総生産量は、昭和四十七年に一千万トン台を達成して以来、二百海里体制の定着化等さまざまな問題を克服しながら今日までその水準を維持確保してきた、その努力は大変なものでありますが、特に五十五年以降五十七年までは、イワシ、サバ等浮き魚の大量水揚げによって千百万トン台を確保して、生産条件が厳しくなった中で生産量を伸ばしてきたわけであります。また、生産量の伸びと魚価の上昇に支えられて総生産金額もほぼ順調に増大して、五十一年には二兆円を突破し、五十七年には二兆九千七百八十四億円と、三兆円をちょっと切るというところまでになってまいりました。  一方、我が国における水産物の輸入量は、高度経済成長期を通じて中高級魚の輸入量が大幅に増大してまいりました。それが年々ふえ続けてきまして、五十二年には百万トンを超え、五十七年には百二十万トンを数えるに至っております。それに対応する輸入金額は、年によって変動はしながらも増大を続けて、五十七年には一兆円を超えるに至っているわけです。五十七年の数値を例にとって国内生産輸入との関連を見ますと、数量ベースでは国内生産量の約一〇・六%程度の輸入にすぎないわけですけれども、金額ベースで見ますと、国内生産金額の約三五・一%が輸入されているということになっているわけです。  ところで、この水産物は食糧自給率の向上を急務としている我が国にとって自給率を高水準に保ってきた数少ない品目の一つであるわけです。そうした意味からも、水産業は、食糧の安全保障が声高に唱えられている今日、重要な食糧産業として位置づけられておるわけです。しかし、水産物輸入の現状は、足らざるものを補うということでは既になくなっている。もはや国内水産業の生産と競合する品目も数多く含んでおりまして、国内の水産業の発展を阻害している側面があるように思うのであります。  こうした事態から、過日道漁連の石崎会長以下関係の方々から、恐らく大臣のところにも「水産物輸入対策に関する要望書」が行っているというふうに思うのです。こういったようなことなどを考えあわせて、こうした水産物の輸入が我が国の水産業を維持発展させる上でどのような影響を及ぼしていると政府考えているのか、大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  104. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 今先生がおっしゃいましたように、水産物の輸入は金額ベースで三〇%を超えておる、大変な額になっております。私は、国民の食生活において重要な地位を占めている水産物の供給につきましては、極力国内生産で賄うことを基本としてやってまいりたいと思っております。  ただ、消費者の需要が強い魚介類につきましては、今後ともある程度の輸入に依存せざるを得ないものとこれは考えざるを得ません。しかし、このようなことから、今後水産物の輸入に当たりましては、イカなどの輸入割り当て品目につきましてその制度の適切な運用を行いながら需給動向を踏まえた輸入が行われるように努めてまいりたいというぐあいに考えております。
  105. 菅野久光

    ○菅野久光君 今の大臣からの、国民の需要といいますか、そういう国民の要求にある程度見合うような形でということ、そのことはそれでいいわけですけれども、先ほど言いました競合する品目を数多く含んでいる。そのことがある意味でいえば魚価の低迷を招いている。それが今、実は水産業界では大変な問題になっておりますので、競合する品目についてどのように考えるか、そこのところをひとつお答えいただきたいと思います。
  106. 渡邉文雄

    政府委員(渡邉文雄君) ただいま先生から御指摘のございました北海道の沿岸の漁業者からの陳情は私のところも受けております。  競合する品目という意味でそのとき具体的に挙げられましたのはサケ・マスが一つ。それからスケトウダラだと思うのです。サケ・マスにつきましては、御案内のように、数字からいきますと、二百海里の直後の五十三年ごろに四万九千八百、五十四年が五万五千、それから五十五年に若干減りまして四万、五十六年が七万、特に五十七、五十八年が十万トン、あるいは九万九千トンとふえたということで、大変沿岸のサケ・マスの関係者が心配をしてお見えになったわけでありますが、輸入自体がふえた原因は割合はっきりいたしておりまして、たしかボツリヌス菌というものだったと思いますが、缶詰の中にそれが入っているために大変な事故が起きまして、缶詰の需要が激減をいたしました、アメリカからの対外輸出量が。そのために生食用に回ったサケ・マスが五十七、五十八と日本になだれ込んできたというのが直接の原因であろうと思います。  それはそれといたしましても、そういった数量の増加というものがありまして、サケ・マスの値段が昨年からは非常にさえなかったということが一つあろうかと思います。これにつきましては先生お詳しいと思いますが、サケ・マスの輸入もふえた反面秋サケの回遊量が、これは予想されたこととはいいますものの、十二万トンを超す、およそ従来では考えられなかったほどの大量の回帰があったということもあったわけでございます。  それから、別にこれは言いわけするわけではございませんが、輸入されますサケ・マスと国内へ帰ってまいりますサケとは種類が大分違っておりまして、御案内のように、輸入されますサケ・マスの七割はベニザケでございまして、最近、関東も含みますけれども関西方面もかなり需要がふえてきているサケの種類でございます。シロザケは余り関西の人は食べないのでありますから、大体関東が多いわけてあります。そういうベニザケが非常に多いということで、これは日本国内ではベニザケの生産はないわけです。回帰は全部ほとんどがシロザケもしくはマスでございます。そういったこともあろうかと思いますし、必ずしも輸入が十万トンあるいは九万トンあったということが直接それだけが原因であるかどうか、いろいろ議論の分かれるところではないかと思います。  それから、これは先生の御指摘にもあろうかと思いますが、サケ・マスのこれからの輸入の抑制の問題とも絡むわけでございますが、スケトウダラにつきましては、特に御指摘アメリカとの漁獲割り当てとの関係アメリカ側から強く要求されましたジョイントベンチャー、洋上買い付けの数量が前年二十万トンを三十三万トンというふうに引き上げざるを得なかった。そのためにスケトウダラの輸入が急増するのではないかということで大変価格面に悪影響を及ぼしたわけでございますが、これは数字的に言いますれば、そういうことにはならないわけでありまして、ジョイントベンチャーがふえた分だけ対日割り当て量が減っております。したがいまして、アメリカ水域から日本へ持ち込まれるスケトウダラはむしろ前年より減っているわけでありまして、ただ、相場商品的な要素もございますので、一挙に二十が三十三にふえたということが短期的に北海道周辺のスケトウダラに影響を与えたということはあろうかと思います。現在スケトウダラの値段はかなり御存じのように回復しておりますので、その意味での心配はもうなくなっていると思います。ただ、サケ・マスの問題につきましては、国内の回帰あるいはこれからのサケ・マスの増殖政策等々にもいろいろな意味での波紋を呼んでいるわけでございます。
  107. 菅野久光

    ○菅野久光君 競合する問題について、特にサケ・マス、スケトウダラの問題について話がありま 員はアメリカの法律を守らなけりゃいけないわけでありまして、向こうの法律には貿易制限の程度によって割り当て量を左右するという法律規定があるわけでありますから、そういう数量約束を取り交わせれば直ちにアメリカからの対日割り当ては激減するということは火を見るよりも明らかでございまして、とてもできないことではないかというふうに思うわけであります。  しかし、それはそれといたしまして、沿振法の話は後ほどいたすことにいたしまして、そういった関係の商社と生産者が事前にいろいろな協議をいたしまして、全体の魚についての需給事情を踏まえた適正な輸入がされるようにそれぞれ意見を述べ合う場をつくるということはそれなりに意義のあることだろうと思っております。具体的にそれを役所であっせんしてくれないかという希望も出ております。関係方面とも相談をしながらそういう場がつくれますように、現在でも部分的にはやっておるわけでありますが、何かもう少し体系的なものができるかどうか関係方面と今鋭意検討をさせているところでございます。  それから、沿振法の話でございますが、御指摘のような条文がございまして、これはそれを文理的に解釈する場合、あるいは実態的にそれを運用する場合、いろいろな物の見方があろうかと思いますが、サケ・マスにつきましては、現在の価格の低落というものが輸入によるものなのか、国内生産増大によるものなのか、品種等を見ますと議論のあるところでございまして、それが直ちに、文理的にいきましても今の法律に該当するかどうか、いろいろ議論があるだろうと思います。  それからさらに、具体的に実態的に合わせてみた場合に、これはあえて先生に申し上げるほどのこともないかもしれませんが、必要があればそういうことをしろという法律の規定がありますが、その必要があるかどうかの実態判断のときに、もし仮にそういう輸入制限をして対米の、アメリカ沖で数百隻の船が百万トン以上のものをとっているものを失う方がいいのか、あるいは国内でやや沿岸の関係者も品種の改良等について努力することによって両立するように少し時間を稼ぐ方が賢明なのか、これもその必要があればそういう規制をしろということの判断のときには必要になってくる判断材料ではないかと思いますので、この問題につきましてはそれなりに慎重な対応が必要ではないかというのが私ども考え方でございます。
  108. 菅野久光

    ○菅野久光君 確かに、サケ・マスだけではなくて魚種全体にかかわる問題でございますから、大変難しい問題はあろうというふうに思いますが、いずれにしても、サケ・マスの魚価の安定ということで言えば、例えば品質の悪いブナケをそのまま市場に出しているところにもまたいろいろな問題があるのではないかというふうに私は思うのです。こういったようなことについても、生産者だとか漁協、商社、そして行政も何とかこれに付加価値を高めるような積極的な手を打たなければならないというふうに私は思うのですが、魚価の安定、消費拡大につなげていくためにも、そういったようなことでの努力をそれぞれの団体にひとつ行政側としても働きかけていくようにこの際要請をしておきたいと思います。  時間がございませんので、最後になりますが、日朝の民間漁業協定の問題についてちょっとお伺いいたしたいと思います。  いわゆる日朝の民間漁業協定が一昨年六月の末に失効してから早くも二年近くになります。御承知のように、この協定は朝鮮民主主義人民共和国の二百海里水域内に我が国の漁船が入漁するためのものでありました。本来なら政府が結ぶべきところを、国交がないために超党派の国会議員で構成する日朝友好促進議員連盟が仲立ちをして、我が国の日朝漁業協議会と朝鮮側の朝鮮東海水産協同組合連盟との間で、日朝漁業暫定合意書として締結されたものであります。いわば準政府間協定とでも言うべき性格を持つものであります。この協定が切れたのは、漁業問題などの予備折衝のため訪日しようとした朝鮮代表団の団長玄峻極氏の入国を政府が拒否したことが直接の原因になったことはよく知られているところであります。その後、政府は入国を認める方向に方針を転換したのでありますが、一度こじれてしまった関係は容易には修復しがたく、今日に至ってしまったわけであります。  そこで、政府はこの問題についてどう責任を感じているのか、また今後どう取り組んでいくつもりなのか、その点を一点と、協定が生きていたころは、我が国の漁船は千八百隻余りが出漁して四万トン強、約百五十億の水揚げをしていたのであります。イカ釣り、マスはえ縄、マス流し網、カニかごなどでありますが、協定失効と同時にこれらの漁業が苦境に陥ったことは言うまでもありません。政府は、これら日本海側の零細経営の困窮の実態を一体つかんでおられるのか、つかむための努力をされたのかどうか、その点についても明らかにしていただきたいと思います。そしてまた、こういったようなことで非常に打撃を受けておるわけで、これらの漁民などに対して長期低利の融資あるいは交付金の交付など、そういったような対策をぜひきちっとやるような方向でひとつ努力をしていただきたいというふうに思うわけですが、その点をお伺いをしておきたいと思います。
  109. 渡邉文雄

    政府委員(渡邉文雄君) 御指摘のように、日朝の漁業暫定合意が一昨年の六月に切れたままになっておるわけであります。そのために、関係のイカを中心といたします漁業者が大変困っておるということは、私どもももちろん十分承知をいたしております。関係の漁業者も時々私どものところへお見えになっております。私どもとしましては、残念ながら国交がないために表面に立つことができないわけでありますが、何とかこの交渉といいますか、民間の合意が再開できますように、私どもなりと関係の漁業団体と一緒にいろいろ努力をしておるわけでございます。  今のところ、何とかこの漁業交渉の再開、民間協定の交渉を再開して合意を取りつけるということが最大の努力目標という意味で、そちらに重点を置いておるわけでありますが、一方、その再開が長引きます場合には、関係の漁業者が大変経済的にも苦境に陥るということが考えられるわけであります。幸い、北朝鮮の水域は関係漁業者の操業の区域の中の一部でございますので、他の区域での漁獲が十分にあった場合にはさほどの打撃はないかもしれない。しかし、魚群の形成によりましては逆なことも起こり得るわけでありまして、そういった意味での経済的な困窮について、お申し出があれば私どもの方もできるだけの措置を講じたいというふうに考えておる次第でございます。
  110. 菅野久光

    ○菅野久光君 いずれにしましても、漁業はもう二百海里時代で、本当にいわば漁業外交とでも言うべき大変な問題を抱えております。それだけに御苦労も多いというふうに思いますが、何としても国民の食糧、たんぱく資源を確保する、そして日本の漁業をしっかり守っていくという立場で、特にこれからまた日ソのサケ・マス交渉どもあるわけですから、ひとつ頑張ってもらいたいということを申し上げて私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  111. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 きょう実は大臣に、それこそ米の問題は大変大きな転換期にかかっているというふうに私は認識をしているものですから、ひとつ基本的なお考えをいろいろとただしたい、こんなふうに考えておりましたけれども衆議院の方の予算委員会に出席をされるそうでありまして、審議の経過の中でやむを得ない、こんなふうにも思うわけであります。それにまた時間の方も十二時半までという時間の中でございますから、それこそいろいろなことはとても聞いている時間がございませんので、米の問題を中心にいたしまして若干御質問を申し上げますので、ひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。  最初に、米の今年度の需給の問題についてでございますけれども、たしか昨年の十月五日の委員会での食糧庁長官の御答弁がございまして、あの キサケ定置網経営体が漁獲共済の支払いを受けた件数と金額の推移を見てみますと,五十七年までは年間件数が百件前後、一件当たり平均受け取り金額は五百万から六百六十万程度でありますけれども、五十八年度は件数が一挙にふえまして百七十四件、そして一件当たり平均金額は一千万を超えているという状態であって、本当に浦浜では大きな問題となっているわけであります。  我が国の沿岸や河川で漁獲されるサケ・マスの魚種は、シロザケやマスが主であり、しかも産卵間近のブナケと呼ばれる比較的質の劣るものが多い状態であります。それに対して輸入サケ・マスは、先ほど長官のお答えのように、商品価値の高いベニザケやギンザケが主であるわけですね。そういったようなことで、我が国の沖取り物もベニザケやギンザケを多少含んでおりまして、シロザケであってもギンケと呼ばれるもので、品質は比較的よく、沿岸物に比べれば価格は高いのが通常であるわけです。しかしここ二、三年、輸入物とひね物と呼ばれる持ち越し在庫等の影響を受けて、国内価格が商社の買い付けした価格よりも低くなる状態が続いて、アキサケ価格にもそれが影響して価格が大幅に低下をしております。こういったことが昨年は端的な形であらわれまして、定置網等の経営を悪化させたわけであります。  そこで、北海道のサケ・マス定置網業者は長い間本当に不漁に苦しんで、ようやく五十年代に入って官民挙げて取り組んだふ化放流事業が実を結んで活況を呈してきたのであるわけですが、その経営が価格の大幅な下落によって危機に陥ったのは、サケ・マスの需要実態を無視した無秩序な輸入量の急増にあったのではないかというふうに思うのでありますが、水産庁としてはこの点に関してどのような分析をしておられるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  112. 渡邉文雄

    政府委員(渡邉文雄君) サケ・マスの価格自体について申しますと、これはいろいろな見方がございます。表面的に見ますれば、総供給量がふえたということで価格が下がったという見方、これも一面正しいと思いますが、反面、先ほど申しましたように、輸入がふえた、ふえた輸入の七、八割はシロザケではなくてベニであるというようなこと。国内ではベニはとれない。国内でふ化放流の結果、これは過去のふ化放流事業の努力がある意味では実ったわけでございますが、一挙に八万トン、九万トン、十万トン、ことしは十二万トン、来年は、次回は恐らく十三、四万トンになるのではないかと思いますが、そういう形の中でそれに需要がついていかなかったというようなことのために、それがもろに価格に及んだ。これも一つの考え方でございますが、特に本年は、漁期の後半になりまして北海道に、ただいま先生指摘の質の悪いブナケがかなり戻ってきたのをとって、それが市場に出回った。それがさらにサケの値の足を引っ張ったという卸関係からの話も伺っておるわけであります。  さらに、そういうことが言えるかどうかまた難しいわけでありますが、そのサケの値段が下がったということが、あるいはハマチあるいはマグロの赤身までの足を引っ張ったということまで訴えに来る人もおるような次第でございまして、やはり昨年一年間の魚全体の漁獲量が対前年一割程度ふえたということがベースにあります。それから個別に、例えば割合品質のいいお魚ですと、いろいろな説があるのですが、単品で二十万トンあるいは三十万トンを超すと大暴落するという過去の経験もございます。そういったことが競合して本年の魚価全体、その中でも特にサケ・マスに強く出てきたのではないかというふうに思っておるわけであります。  御指摘のような、ブナケみたいなものを漁期後半といえどもたくさんとるということは決して賢明な方策ではないわけでありまして、今後何とか先生指摘の品質のいいギンケの回帰量をふやす努力というものを、ふ化の関係者とも相談をしながらこれから努めていかなければいけないのではないかというふうに考えておるわけであります。
  113. 菅野久光

    ○菅野久光君 サケ・マスは、稚魚を放流すればまたそこに戻ってくるということで、比較的安定した漁業種類の一つであるわけでありますが、とりわけ定置網漁はコストも低い業種であって、省エネ化を要請されている漁業全体のうちでもいわば優等生の部類に入るのではないかというふうに思うのです。そうした特色を持つ漁業種類であっても赤字に陥るような経営体が出るということはもうよほどのことなのでありますが、今日の事態を打開するためには、一つは、やはり輸入量の制限を早急に実施して需要に見合った供給体制を確立すべきだというふうに思うのであります。しかし、サケ・マスは自由化品目でありますから、いきなりIQ品目にして輸入を規制することは、アメリカやカナダ両国が主な輸入相手国であることなど、現在の国際情勢だとかあるいは貿易環境下ではそう簡単に今できることではないというふうに思うわけであります。  しかし、そうはいっても、IQ品目にしなくても、輸入承認制や事前確認制あるいは一元輸入等を援用することで実質的な輸入規制が行えるのではないでしょうか。事実、自由化品目であっても生糸は事前確認制で、砂糖も事実上一元輸入に近い形でなされておりますし、水産物においても、かつてはノリが一元輸入で、マグロは現時点でも事前確認制でそれぞれ輸入を調整しております。サケ・マスについても、これらを適用して輸入量を抑制できないものなのかどうか、この点をひとつお伺いをしたいと思うのです。  なお、時間がございませんので、沿岸漁業等振興法の第三条、これは政府の義務規定であるわけですが、その一項六号の規定には、「水産物の輸入によってこれと競争関係にある水産物を生産する沿岸漁業等に重大な損害を与え又は与えるおそれがある場合において必要があるときは、輸入の調整等によって、経営の安定を図ること。」となっております。まさにアキサケを対象としている漁業は沿岸漁業等であり、その漁業が大量の輸入サケ・マスによって国内価格が暴落しており、損害を与えられているわけであります。これらの事実関係と法文上の規定から、私はサケ・マスの輸入規制を政府はする義務があるというふうに考えるのでありますけれども政府見解を伺いたいと思います。  あわせて、時間があれですので、さらに、サケ・マスを輸入している商社や大手水産会社は、国内価格が低迷しているために五十六年から三年連続して、各社を合わせれば数百億円に上る赤字を計上しているというふうに言われております。こうした事態は明らかに過当競争による無秩序な輸入が行われているからにほかならないわけであります。そこで、こうした機会をとらえて行政側としても、生産者だとかあるいは消費者は難しいかもしれませんが、流通業者、輸入関係者等を一堂に集めた何か協議会的なものをつくって働きかけて、少しでも秩序のある需給関係が成立をして価格が安定するような、そういったことをすべきではないかというふうに思いますので、時間がありませんのでちょっとまとめて質問いたしましたが、お答えいただきたいと思います。
  114. 渡邉文雄

    政府委員(渡邉文雄君) まず第一点の、輸入のコントロールについて事前確認的なものを、例えばマグロなどについてやっているではないかということでございます。御指摘のとおりでございますが、事前確認という制度は先生御案内のように、確認すべき何かのものがあるわけであります。これは大体数量約束、マグロでありますと四半期に一遍韓国と打ち合わせをしまして、この四半期は大体何万トンにすると、その約束がありまして、その約束の範囲内に現在の輸入量がおさまっているかどうかというのを確認するという意味で事前に約束がなきゃいかぬわけです。  そこでその次に、ではそういう、例えばサケ・マスについて対米で数量を幾らくらいにするという約束が事前にできるかということでございますが、先ほど申しましたようなことでそれが円満にできればこれにこしたことはないわけでありますが、向こうの担当の役人がいかに好意的に我々に接触してくれたといたしましても、向こうの公務 の技術を忠実に励行しているかどうかということもまた影響しているという点が見られるわけでございまして、私どもは「たくましい稲づくり」という運動をことし推進することにいたしておりますが、そういった稲作の基本技術を励行してまいるということが、これからの稲の作柄の安定を図る上に非常に重要であろうということで指導をしてまいりたいと考えております。
  115. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 気象条件ももちろんあるけれども、そればかりではなくて、言ってみれば生産者の生産意欲とでもいいましょうか、そういうものも影響をしている、こんなふうに今お答えになったと思うのです。そうすると、生産者の生産意欲が減退をしている、これは私は事実だと思うのでありますけれども、その意欲が減退をしている原因はどこにあるのか、その辺についてはどういうふうにお考えになっているのか。私も水谷先生もおられますが、愛知、三重県に本委員会の派遣で行ってまいりましたけれども、そのときの単収など伺って、私どもの新潟県などに比べればかなり低いということに改めて驚いたところもあるわけです。同時に、そういう中で例えば三重県でも約四〇%くらいコシヒカリをつくっておられる、こういう話を聞いて、特に収量の低いと言ったらおかしいですけれども、気象条件にも弱いそういう品種をつくっておられる。その辺のところと、それから兼業化の問題とかいろいろのことがひっかかっていたようでありますが、私は、現在の生産意欲を減退させていっているのがどこにあるかということと、もう一つは、そういう生産意欲を持たせるためのいろいろな手だてというものがどういうふうに工夫をしておられるのか、必要だと思うのですが、その辺のところも伺いたいと思います。
  116. 中野賢一

    政府委員(中野賢一君) これまでも各県で稲作につきましてはいろいろな名前を使いまして運動を展開しておるわけでございます。ただ、そういう運動を展開しておりますが、やはり全国的レベルで運動に、対する共同意識といいますか、支援的な体制といいますか、そういうものがありませんといまひとつどうも腰が入らないということもございまして、ことし大臣お話もございまして、「たくましい稲づくり」というそういう運動を起こしたわけでございます。  農家の生産意欲の問題についていろいろ御議論があったわけでございますが、農家の生産意欲が必ずしも減退しているというふうには我々は考えておりません。例えば、いろいろ技術の問題について議論がありましたのは、今御指摘のありました兼業農家の問題もございますが、そういった兼業の問題につきましても、いわゆる中核農家を中心にいたしましてその地域の稲作の組織づくりをする、そういうことによりまして全般的なレベルの水準を高める、技術レベルの水準を高める、そういったことがこれから必要でございまして、そういうことをこれから指導をしてまいりたいというふうに考えております。予算の方もそういったことで確保しているつもりでございます。
  117. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 そうおっしゃいますけれども、現実の問題としては兼業化がますます進んでいくという傾向にあるわけですし、これからも進むだろうと思うのです。兼業化することによって、水の管理一つにいたしましても、どうしたって手抜きが起こってまいります。収入の重たい方に関心がいきますから、そうすれば農業はますます副業的な地位に置かれてしまう、こういうことに追い込まれていくのではないでしょうか。今の私はそれだけがそうだとは言いませんけれども、例えば減反政策も、稲づくりを真剣になって進めて、これで生活をもう少し何とかしていこうと、そんな意欲につながっていかない重大な要因の一つになっているのではないか。そういう現在の農政の展開の中で、私は、ますます農家が生産意欲を、特殊な方々は別ですけれども、一般的に減退をしているのではないか、こんなふうに思うわけです。  そこで、もう一点伺いたいのは、稲作の今後の単収についてどの程度のものを見ておられるかということ。六十五年の長期見通しというのがありますけれども、この長期見通しの単収五百十キロ、この水準が今のこういう状況の中で果たして達成できるのかどうか。こんなことも今の動向を見ているだけで心配になるわけです。これは前の委員会でも聞きましたけれども、もう一度確認をしたい。
  118. 中野賢一

    政府委員(中野賢一君) 単収につきましては、いろいろ基盤の整備であるとか技術の改良といったことの見通しが前提になって決まってまいるわけでございます。現実問題としましては、そのほかにその年々の気象条件等もございます。したがいまして、単収が非常に伸びるときもあれば逆に余り伸びないというときもあるわけでございまして、現時点で六十五年の見通しの単収について、そのとおりいくかどうかということについて今ここではっきり申し上げるわけにはなかなかまいらないというふうに考えております。ただ、現時点ではこれを大幅に修正するとか、そういった必要はまずないのではないかというふうに考えております。
  119. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 そういたしますと、例えばこういう異常な気象が続いている中で考えていけば、技術的な側面から単収を上げたいという方向を追求すれば、一つは寒さに強い超耐寒品種の研究というようなことが非常に大事だと思うのでありますけれども、かつては随分その辺の研究というのが稲育種の言ってみれば中心課題だったと思うのです。最近はその辺がやや弱いのではないかというふうに思いますが、その辺の実態はいかがでございますか。
  120. 栗田年代

    説明員(栗田年代君) ただいまのお尋ねにお答えいたします。  育種目標のようなお話かと思いますけれども、従来から寒さに強い、あるいは病害に強いということは育種目標の大きな目標になっていたわけでございます。ただ、最近ある時期に消費者、国民の皆様から味のよいあるいは品質のいいお米をという御要望が非常に強くなってまいった経過がございます。その途中経過におきましては、やはり味のよいあるいはいろいろな意味での品質のよいお米をつくるというための育種を研究の対象としてまいったという経過は確かにございます。ただ、その場合におきましても、いま御指摘のように、寒さに強い、病気に強い、虫に強い、あるいは肥料をやっても倒れない、その他栽培しやすいような性質を兼ね備えた水稲をつくるということがやはり育種の基本ではあったわけでございます。
  121. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 今の技術のいろいろ発展をしている中でありますから、ぜひ食味がよくて、そして耐寒性のあるそういう品種が一日も早く出てきますように、つくられますように期待をしてやまないわけです。しかし、現状の中でいきますと、消費者のニーズの問題もあって、うまい米をつくるというところに関心がずっと集中しております。  そうすると、例えば私どもの新潟県で言ってもコシヒカリをつくれば、そうすれば大体今までつくっていた多収品種に比べれば一俵以上の差が出てまいります。それだけ少なくなってまいります。こういうことになるわけであります。したがいまして、私は長期見通しで言う単収の増加というものにはやはり依然として今の状況の中で疑問を持たざるを得ないわけでありまして、むしろ逆にこうしてつくりづらいけれどもうまい米、そしてしかもそれをつくるときはいろいろと生産者は忙しくなって手抜きをする場合が多い、こういう状況がこれ以上続いたら大変だと思うのです。その辺のところを考えてまいりますと、私は、先ほど食糧庁長官の御答弁になったように、ことしはまあ何とか乗り切れるとこうおっしゃいましたけれども、それこそ長期見通しに立ったら米の需給というものについては極めて不安要素が大きい。この辺で今までのあり方をひとつ見直して検討し直してみなきゃならない、そんな時期に来ているのじゃないだろうか。そのことを真剣に考えていただきたい。私は要望してやまないわけなのでございまして、この辺になりますと大臣のそれこそ御決意が聞きたかったところなのでありますけれ ときは作況指数九九という段階で、五十九年末の持ち越しといいますか、在庫数量についての推定を伺ったわけであります。  そこで、大体作況指数一〇〇として、多分五、六十万トンが在庫になるであろう、そのときに九九であるから、ほぼ三十万トン程度になるのではないか、こんなふうに御答弁になりました。しかし、その後の推移の中で水稲の作況指数は非常に悪くなりまして、九六というふうになってきております。そしてその統計情報部の速報での数値でありますけれども、水稲ですともう千三十万八千トンというようになっているわけでありますから、そうすると、あのときの千七十二万トン程度と言われたのに比べるとかなりの差が出てきているわけであります。大変心配になるわけであります。そこへもってきて、また新聞報道等もことしは五十二万トンも足りなくなるのじゃないかなどと言われております。その辺が大変心配なので、ことしの需給についてひとつお伺いしたいと思います。
  122. 松浦昭

    政府委員(松浦昭君) お答えを申し上げます。  五十九米穀年度の供給及び需要につきまして、その予測を当委員会で稲村委員に先回御答弁申し上げましたときには、確かにそのような状況であったことは私存じております。その後、残念なことに五十八年産米は四年連続の不作という状況に見舞われまして、ただいまおっしゃいましたように一千三十七万トンという状況に相なったわけでございます。これを前提にして五十九米穀年度の需給の状況を予測するわけでございますが、このような状態になりましても前年産の持ち越し十万トン、これは確実に持っております。かつ、この前は申し上げなかったのでございますが、五十三年産米が十万トンから十五万トンは引き続き売れる見込みである。これはもちろん強制ではございませんで、そのような需要に応じた供給をしていくわけでございますが、そのような売れる見込みもある。このように考えてまいりますと、需要はこの前申しましたように一千五十万トンということを前提にいたして考えますると、やはり翌米穀年度、つまり五十九から六十へ移る際に、十万トン程度の持ち越しをもちまして五十九米穀年度の需給の操作ができるというふうに考えておりますので、お米の需給については依然として不安はないというふうに申し上げてよろしいと思っております。  また同様に、端境期の問題が非常に重要でございますが、端境期におきましては、毎年十月末までには新米が大量に供給されます。政府米で大体二百万トン、自主流通米で百五十万トンという供給量が見込めますので、五十九米穀年度の端境期におきましても供給に問題はないというふうに考えておるわけでございます。ただ、前回申し上げておりましたときよりもゆとりのある需給操作ではないということは事実であろうと思います。したがいまして私どもは、年度末の在庫が十万トンになった五十八年の米穀年度と大体似たような状況でございますので、その際も売買操作には非常に気を使いまして万全を期したわけでございます。今回もこのようなことで、同じような状態ということでその状況を見ながら十分にこれに対応できるというふうに考えておりますけれども、なお私どもとしましては、円滑な米の供給をして、かつ国民に不安がないように十分に対応しなきゃならぬということで、検査、集荷の段階から需給操作には万全を期していくつもりでございます。
  123. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 そういたしますと、十万トンくらいになるだろうという見通しの数字はわかりました。しかし今、端境期のお話の中で、五十九年産の米とのかかわりが出てくると思うのでありますけれども、五十八年のときには五十八年産米の早食いをやりました、こういうふうにも聞いているのでありますが、そうすると、端境期における早食いをしたのがどの程度だったのか。そして、今の千三十七万トン、これは陸稲含めての収量。その中にもう早食いをしているということになれば、この数値の中へ入っているわけでありますから、その辺との関連で今の十万トンという数字が出てきたのですか。
  124. 松浦昭

    政府委員(松浦昭君) 五十八米穀年度におきますところの早食いの状況、これをまず申し上げますが、これは当然五十八年産米を食べたわけでございますけれども、それが大体六十五万トンというふうにお考えになっていいと思います。これは大体毎年五十万トン程度の早食いと申しますか、早場を中心にしました当年産の米を食べているという状況でございまして、去年は需給操作上それより若干十五万トンほど多い早食いをしたというのが現況でございます。  それから、お尋ねの五十九米穀年度末において十万トン程度の在庫をもって持ち越すということにつきまして、これはもちろん一千三十七万トンを前提にしての需給の計画でございますが、その状態におきましても今の通常の早食いの状態は依然として連続するわけでございますが、そのようなことを前提にいたしまして需給計画を立てているということでございます。
  125. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 十五万トン去年は多く食べたわけですね、十万トンのあれで。そうすると、ことし、今度の五十九年末もその十五万トンは加えて想定をしているのですか。
  126. 松浦昭

    政府委員(松浦昭君) その十五万トンがすでに早食いをされているということを前提にして今のことを申し上げた次第でございます。
  127. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 米の需給問題は、これはその年その年の作柄とも重大な関係を持つわけでありますけれども、今もお話がありましたように、四年連続の不作ということでありました。四年連続の不作というのは極めて異常なことではないかと思うのでありますが、過去の歴史の中でも四年連続というのはちょっとないと思うわけであります。それだけに四年連続の不作というふうに見ていくべきなのか、それともこれが通常の姿だと見るべきなのか、その辺のところで随分需給計画にも違いが出てくると思うのです。四年連続、ことしまたそうであれば五年連続になれば、まさに統計上のあれで言ったって一つの期間をとるわけでありますから、通常になるのではないかと思うのですが、その辺はいかがですか。
  128. 中野賢一

    政府委員(中野賢一君) 過去四年連続の不作でございますが、気象のデータを見てまいりますと、その間例えば百年に一遍の低温が来ているとか、非常に発生する頻度の低い気象条件になっております。したがいまして、基本的には気象要因によってその不作が起こったというふうに考えられておりまして、それを異常というふうに言うかどうかというのは、いろいろまた議論があるとは思いますが、そうめったに起こる現象ではないというふうに考えております。
  129. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 今発生頻度が低いというお話がありましたけれども、これは言ってみれば気象の記録がいろいろ整えられてきてからの判断であろうと思うのでありますけれども、気象学者の中には、今までの気候条件というのが氷河期、間氷期というものを通じていって、それこそ地球の中では異常に安定をしていた時期であって、気象はその変動が非常に激しいのが大体地球の長い歴史の中では常態なのではないか、こういう見解もあるわけであります。世界各地で起こっているここのところの連続したいろいろな気象の異常状況、こんなものを考えていきますと、これを異常というふうにだけ考えてもろもろの対策を推計をしていくというのには少し危険があるのではないか、そんなふうに思うのですが、いかがでございましょう。
  130. 中野賢一

    政府委員(中野賢一君) 御指摘のように、昨年までの四年連続の不作につきましては、基本的には気象が原因というふうに考えておりますが、やはり子細に各地域に参りまして見てまいりますと、同じ隣り合わせの圃場でありましても片っ方はよくできている、片っ方は余りできてない、そういったばらつきの現象が見られまして、それはやはり稲作の技術について基本を忠実に守ってやっているかどうか。例えば土づくりから始まりまして、適期に苗をつくりまして、適期に移植をする、それから水管理も適時やる。そういった稲作 果、一〇%出捐金とか、そういう名目で協力したというふうに私は記憶しておるのでございます。またもやその二〇%云々の問題が出ているという話を聞いているのですが、その点はいかがでございますか。
  131. 渡邉文雄

    政府委員(渡邉文雄君) 御案内のように、ここ一年間、非常に需要も低迷いたしまして漁価がさえなかったというようなこともございます。したがいまして、融資関係の保証をいたしております各県の基金協会あるいは中央の信用基金等につきまして、いわゆる代位弁済あるいは保険事故というものが最近かなりの額に上がっているわけでございます。  昨年も同じようなことで代位弁済というのがふえたために、これに伴いまして中央基金の収支も大変悪化をいたしました。そういう状況のもとで、今後とも中小漁業者に対します資金の円滑な融通を確保するためには、水産金融の信用補完制度として不可欠な中小漁業融資保証制度の機能を十分維持させていく必要があるわけでございまして、そのために今年度におきましても、御案内のように五十八年度の補正予算で穴があきました三十億円の補てんをいたしましたし、現在御審議をいただいております来年度予算におきましても、新規に三十四億円の中央基金の穴埋めのための保険資金の政府出資等を行うようにいたしているわけでございます。  しかしながら、このような事態に対処するために政府だけがそういった財政的な手当てをするということは厳しい財政事情の折でもございますし、これは適当ではないのではないかということで、信用基金協会あるいは金融機関等の関係者がそれぞれの応分の負担をすべきではないかという議論がございまして、たしか昨年度におきましてもいわゆる先生指摘の特別出資につきまして関係漁業団体とのお打ち合わせをして行ったわけでございます。現在、さらに三十億ないし当初予算で三十四億円の追加の補てんをする、出資をするということに絡みまして、昨年度行いました特別出資措置につきましても、若干その割合の引き上げ方につきまして、現在関係方面とも御協議をいただいておるところでございます。
  132. 星長治

    ○星長治君 減船の問題で、マグロの場合は二〇%減船をやった、カツオの場合は一六%しかやれないということで、マグロとカツオに対する今度の負債整理の問題がどうも差があるやに聞いているのですが、この問題はどうですか。
  133. 渡邉文雄

    政府委員(渡邉文雄君) 特定漁業再編整備ということで、自主的な減船によりまして漁獲努力量と資源量をマッチさせる、あるいは適正な需給に持っていくということで、二、三年前から特に問題がございましたカツオ・マグロ——カツオは現在実行中でございますが、減船を御指摘のようにやっておるわけであります。これに対します助成といたしましては、特定漁業再編整備に伴います助成といたしまして、金融措置並びにその共補償を円滑にさせるための負債整理のための特別の金融措置等々の助成を行っておるわけでありますが、御指摘のようにマグロが先行し、カツオが後からついていくという意味で、その助成の中に差があるというふうには私ども理解をいたしておりません。ただ、漁業規模の差によりまして限度額等に若干の差が生ずるということはあり得るとは思いますが、事の性質上、別扱いにするという考えは全然持っておりません。
  134. 星長治

    ○星長治君 先ほど菅野委員からもいろいろ質問ございましたが、皆さん御案内のとおり、水産はかつてない危機に覆われております。恐らく漁業者の負債が三兆円突破するだろうと言われております。どの漁業をとってもいい成績ではございません。もちろん、漁船漁業、沿岸漁業、養殖漁業、近海漁業、さらにまた水産加工、どれをとってもいい漁業というものはない。そのために何とか振興対策をとらなければならない。そのためにはいろいろ項目があるでしょう。いわゆる共済制度の確立、金融対策、また先ほど申し上げたような水産物の輸入の問題、それからまた単協を強化しろ、それから流通機構の問題、消費の拡大等たくさんございます。こういうようなときに当たりまして、長官は水産振興対策に対してどういう対策をとればいいかどうか、ひとつ御抱負をお聞かせ願いたい。
  135. 渡邉文雄

    政府委員(渡邉文雄君) 先ほど来御答弁の中で申し上げましたように、現在遠洋漁業につきましては御指摘のように大変厳しい状況にございます。かてて加えまして、水産物の需要が伸び悩んでいるということもございまして、魚価も低迷している。それから漁業の生産手段として一番大きなウエートを占めます燃油でございますが、これが二度にわたるオイルショックのために、従来の漁業経営に占めます燃油のコストがかなり大幅に上がってきているという現実があるわけであります。若干燃油価格は下がったとはいうものの、依然としてその重荷は大変なわけでございます。そういってみますと、漁業関係全般を見渡しますと、大変暗い、なかなか難しい話ばかりのようでございますが、中にはやはり明るい話題もあるわけでございます。  例えば、十数年前から関係者の御努力によって進められてまいりました沿岸漁業の整備促進事業あるいは栽培漁業等が実を結びまして、沿岸漁業は着実に力をつけてきております。数年前に二百二、三十万トンでございました沿岸漁業生産額は現在三百万トンを超すに至っております。さらにもう一つ明るい面といたしますれば、いわゆる魚の持つ栄養というものが、日本人の健康のために非常にいいという魚食の健康的なよさというものが最近非常に見直されてきていることは御案内のとおりだと思いますが、そういった沿岸漁業が伸びてきている、あるいは魚食の栄養的なよさが見直されてきているというような明るい面をこれから大いに伸ばしていきたいと私は思っているわけでございます。  遠洋漁業につきましては、国際的な体制を覆すということは現実問題としてはなかなか至難のわざだと思いますので、粘り強い漁業外交を繰り返しながら既存の漁業権益というものを守る努力というのを積み重ねるよりほかにないと思いますし、沖合漁業につきましては、資源量と漁獲努力等とあわせまして、いわゆる適正な資源管理のもとにおける安定した漁獲を続けるという努力がなされるべきだろうと思っております。  私は水産行政の職にある者といたしまして、これからの水産行政を進めるに当たりましての現在の考え方は以上のようでございます。
  136. 星長治

    ○星長治君 今、長官は、沿岸漁業が相当明るい見通したと言っておりますが、現実におきまして日本全国の漁協の預金高を見ますと、伸びが五%を割っているのです。普通の地方銀行は一五%ぐらい伸びているでしょう。しかし五%を割っている。これで明るいとは私は言えないと思う。  それで私は、自分の持論でございますけれども、この機会にひとつ申し上げたいと思いますが、現在の漁業共済制度というものは確立していない、こう私は言いたい。なぜかと申しますと、まずもって漁業共済組合が七十億の赤字をしょっている。各県の共済組合が軒並みに赤字をしょっている。これでは漁業のためにはならない。いま少しこの内容を検討して、本当に漁業者のためになるような漁業共済制度というものを確立しなければならない。例えば漁獲制度の問題。百トン未満しか漁獲共済に入られない。それですから、二百トン、三百トンのマグロ漁業者は全然これは共済制度に入られない。例えば災害に遭ったとしても、共済制度というものが万全でないためにいろいろなおくれをとっているというのが現在の実情です。これについていかがですか、この共済制度の改正ということをお考えになっているかどうか、お伺いいたしたい。
  137. 渡邉文雄

    政府委員(渡邉文雄君) 漁業共済制度につきましては、十数年前に、数年間にわたります試験実施を踏まえまして、法律に基づきまして制度化され、今日に至っているわけでございますが、御指摘のように、制度の習熟度がまだ十分でなかったというようなことによりまして、過去におきましてかなりの赤字を背負ったわけであります。そう ども、特に需給を担当しておられる長官はその辺をどうお考えになりますか。
  138. 松浦昭

    政府委員(松浦昭君) ことしの需給については不安はないということを申し上げ、かつ、ゆとりのある需給操作ではないから万全を期したいということを申し上げたわけでございますが、これから先の米の需給ということを考えてまいりますと、私は非常に問題があると思っておりますのはやはり在庫の水準でございます。先ほども五十八米穀年度から五十九米穀年度へ、五十九から六十へおのおの十万トンの在庫ということを申し上げたわけでございますが、この水準は決して高いものであるということを申し上げられないと思います。これを回復して適正在庫と申しますか、不安なく需給操作ができるような状態に持っていくということが非常に重要でございます。  そこで、第三期の転作の対策の中におきまして、御案内のように、本来でございますと潜在生産量と需要量との比較において各年七十万ヘクタールの転作をしなきゃならぬわけでございますが、それを六十万ヘクタールということで抑えまして十万ヘクタールの分、これはお米に直しますと毎年約四十五万トンの積み増しをしていくということになります。このような在庫の積み増しをしてまいりまして初めて需給の操作に安定性を期し得るというふうに考えておるわけでございまして、さような点で我々としてはその後の対策も考えておるということでございます。  それからいま一つは、やはり先ほどから審議官が申しておりますように、ある程度までの気象的な状況に耐え得るような、そういう状態における稲作の技術というものを普及するということが非常に重要でありまして、このような基本技術の励行ということを目指しました「たくましい稲づくり」運動ということも展開いたしまして初めて将来の需給というものが安定的に推移され得るというふうに考えている次第でございます。
  139. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 終わります。
  140. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 本件に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十一分休憩      —————・—————    午後一時三十分開会
  141. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、農林水産政策に関する調査のうち、昭和五十九年度農林水産省関係施策に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  142. 星長治

    ○星長治君 川原先生の御配慮によりまして予定が変更されたわけでございます。それで私は最初は農政問題、そして水産問題を質問しようと思ったのでございますが、予定を変更いたしまして、まず水産問題からお伺いいたしたい、かように思うものでございます。  去る二月の十五日、北洋海域におきまして衝突事故がございまして、協和丸の船員十六名が犠牲になりました。心から御冥福をお祈りする次第でございます。関係官庁である水産庁、そして海上保安庁、海運局、これらの関係監督庁が、今後こういうことのないようにひとつ御指導を賜りたいと思います。  さらに、私がこの事故におきましてお伺いしたい点は、まず第一報の安洋丸の報道によりますと、これは新聞報道でございますから定かではございませんが、米国人のいわゆるオブザーバーが乗っていた、オブザーバーの移乗によって云々、こうありますけれども、その後、協和丸の漁労長さんが、そういうことはない、あくまでも魚群を発見したためにこうなったのだということを言っておりますけれども、この真偽のほどをひとつ長官から御説明願いたいと思います。
  143. 渡邉文雄

    政府委員(渡邉文雄君) 去る二月の十五日、ベーリング海におきまして遠洋底びき網漁船第十一協和丸が沈没いたしまして大勢のとうとい人命が失われたことに対しまして、私も心から哀悼の意を表する次第でございます。  御指摘の今回の事故原因でございますが、当初、新聞報道では、ただいま先生指摘のような報道もあったわけでございます。その後、乗組員が帰国しましてからの保安庁からの連絡によりますれば、漁場に向かう途中、うちのオブザーバーの移転ということの予定はあったけれども、直接そのこととは関係なくて、漁場に向かう途中の事故であったような報告があるやにも聞いておるわけでございます。いずれにいたしましても、本件が米国オブザーバーの転船と関係があるのか否かを含めましてまだその事実関係は私どもには具体的に明らかになっていないというふうに理解しておるわけでございます。そのうち第十五安洋丸も帰国する用意もございますので、保安庁の聞き取りによって全容が明らかになるのではないかというふうに考えております。
  144. 星長治

    ○星長治君 米国人のオブザーバー、いわゆる日米漁業協定によりまして、北洋底びき船並びに母船式サケ・マス、こういう船に乗っていることは承知しておるわけでございますが、なかなか海上における移乗というものは御案内のとおり難しい。それで、今後の日米漁業交渉については、このオブザーバーの問題について配慮しながらひとつ交渉に当たっていただきたいということをここで要望いたしたいと思います。  さて、お伺いいたしたいことは、カツオ・マグロ漁業が二〇%転換をいたしました、いわゆる構造改善事業がございます。それで、五十八年度から漁業経営負債整理資金、五十九年度から漁業構造再編資金、こういう名目のもとに、今、日鰹連、金融機関、こういう方々がいろいろ作業を進めておるわけでございます。この問題につきまして金融機関との云々はありますかどうか、まずこれからお伺いしたいと思います。
  145. 渡邉文雄

    政府委員(渡邉文雄君) 御指摘のように、現在、従来負債整理資金と言っておりましたものについての運用が行われているわけでありますが、ただいまの大変恐縮でございますが、金融機関の何とおっしゃったかちょっと……。
  146. 星長治

    ○星長治君 大体十二月で八十億の金が消化されたということを聞いております。さらに二百億を消化するだろうと言われておるのですが、その間におきまして負債整理資金にしようとしても、金融機関が云々と言ってそれを拒否したり得たしたことがあるかどうかが一つと、もう一つ、あなた方が出した要領によりますと、いわゆる系統金融機関以外、金融機関もこれは含まれておりますが、たとえば燃油資金とか造船、それからまた仕込みやそういうものも負債整理に入るという要領がございますが、この問題につきましてどうなっておりますか。
  147. 渡邉文雄

    政府委員(渡邉文雄君) 御質問の後段の方からお答え申し上げたいと思います。  油の買掛資金などのことではないかと思いますが、そういったものにつきますものが整理対象債務として入るかどうかということにつきましては、私どもの実施要領等によりましては、御指摘の油の買い掛けに伴う一般債務に含めて逆用することにいたしておるわけでございます。  前段とも関連をいたすわけでございますが、融資機関が融資の審査に当たりまして、そういった債務を、これはいいけれどこれはいやだというような形での選別があるかどうかにつきましては、具体的には私どもの方は承知をいたしておりません。ただ、いずれにしましても金融融資でございますので、金融機関が何がしかの判断に基づいて、限度額その他の決めもございますし、丸々融資希望者の言うとおりにあるいはならなかったという例もないわけではないという感じはわからないではないわけでありますが、具体的にこういうものが対象外になる、こういうものは対象の中に入るというような運用を特定の金融機関がしているという報告には接してはおりません。
  148. 星長治

    ○星長治君 二年前でしたか、漁業信用基金協会の保証制度の問題について、いわゆる関係のある金融機関が二〇%云々という問題がございました。それが、団体と水産庁がいろいろ接衝した結
  149. 渡邉文雄

    政府委員(渡邉文雄君) 御指摘のように、現在の特に遠洋漁業を中心といたします漁船漁業につきましての経営上の悩みというのは非常に深刻なものがあるわけであります。関係者の持っております借入金の相当部分を占めます漁船の建造資金につきましても、御指摘のように農林公庫資金が相当割合あるわけでありますが、これにつきましても延滞のやむなきに至っている事例も数多くあると思うわけであります。  私どもの方は、むしろ公庫とも横で連絡をとりながら、非常に困難な状況にある漁業者から無理に約束事であるからといって償還期にあるものの償還を督促するようなことになれば、生きるものも生きがたくなるという場合もあり得るわけなので、むしろ私の方からも公庫の方にお願いをいたしましてできる限りの実情に合った償還期限の面倒を見るようにというようなこともあわせてやっておるわけであります。  それから別途、先生からはそれでは不十分だという御指摘があるわけでありますが、現在あります融資制度をできるだけ弾力的に運用することによりまして、事態がどうやら好転するまでの間のつなぎを何としてでもつけていきたい。  それとあわせて、やはり一番問題なのは魚の需要が現在伸びていない。むしろ減りぎみであるということの方がベースの深刻な問題としてあるわけでありまして、そういう中長期的な視点に立った需要喚起策というものもあわせて行うということによりまして、何とかこのむずかしい時期を切り抜けていきたいというふうに考えるわけであります。
  150. 星長治

    ○星長治君 水産問題の最後になりますけれども、長官、本当にいろいろなことをお聞きいたしましたが、どうぞひとつこのカツオ・マグロと同じような負債整理というものを一日も早く実行させるように、例えば底びき、イカ、まき網、いろいろな漁種がこの問題を待ち焦がれているような状態でございますので、その点を配慮していただき、これは答弁を求めませんから要望いたします。どうもありがとうございました。  あと一つ、農政関係の質問に移らしてもらいます。  食糧庁長官がおられますけれども、長官を見ると水産庁長官に見えて困るのですが、一言申し上げておきます。  第三期水田利用再編対策について先ほど稲村さんが質問したのでございますが、需要供給計画です。この問題がいろいろ論議されましたが、どうも先ほど稲村議員が言うとおり不安でしょうがない。なぜ不安かと申しますと、やはり単収が四百八十四キロですか、それが四百五十四キロしかとれていないでしょう。それと同時に、二百八十四万ヘクタールが二百八十万ヘクタールしかやってない。そうなってきますと、この四十五万トンというのはまさしく余るのですか。この点からまずお伺いしたい。
  151. 小島和義

    政府委員(小島和義君) 今期の水田利用再編対策の前提となっております米の需給の見通してございますけれども、まず水稲の潜在生産量、生産調整を行わなかった場合にどれだけ米ができるかということでございますが、水稲で千三百七十万トン、別途陸稲五万トンを加えまして千三百七十五万トンと見ておるわけでございます。そのベースになっております潜在作付面積、つまり転作が行われなければどれだけ米がつくれるか、この面積でございますが、これは昭和五十七年度の潜在作付面積、これから壊廃等の見込みを差し引きまして二百八十四万五千ヘクタールというふうに見ております。  また、単収の問題でございますが、御承知のように五十八年の平年単収は四百七十八キロ、実際には作況指数九六ということで四百五十九キロでございます。予定どおりの生産が上がっておりませんが、その平年単収をもとにいたしまして、今後の三年間の平年単収というものを見たわけでございます。これは実は実際に作況で発表されますものは、その年に米をつくっております分の平年の収量という格好で出てまいりますが、私どもは潜在的なものでございますから、それよりは多少数字が少ないわけでございまして、四百八十一キロというふうに第三期の単収を見ております。それらをもとにいたしまして必要な主食用の米の量、さらには在庫積み増し量というものをはじきまして、差し引き幾ら調整を必要とするか、こういうことで需給計画ははじいておるわけでございまして、作柄が平年どおりであれば、この需給計画どおりの数字が実現するというふうに見ておるわけでございます。
  152. 星長治

    ○星長治君 どうも時間もありませんので、大臣にお伺いしたいと思います。  牛肉オレンジ等の農産物輸入自由化、粋拡大も我々はこれに反対しているわけです。やはり農業を守らなければなりません。第一次産業を守っていかなければなりません。そういう意味においては、我々は自由民主党のいわゆる総合農政調査会なり、そしてまた農林部会におきましてたまたま言っております。何としてもこれは守っていただきたい。  それで、私が不思議に思うのは、ある新聞の報道ですが、二月の二十六日、「総理決断で来月中決着」、これは内容をつぶさに書いているのです。これが真実かどうか伺いたい。
  153. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 全然当方の関知しないことでございます。そうかといいまして、では私と総理農産物で話し合ったかと、これもまた全然しておりません。この新聞記事に関しましては、当方は全然関知しないことでございます。
  154. 星長治

    ○星長治君 最後になりますけれども、しつこいようで甚だ恐縮でございます、私は東北生まれでございますので。どうぞひとつこの第一次産業を守るために、自由化枠拡大を絶対阻止するように頑張っていただきたいことをお願い申し上げます。終わり。
  155. 川原新次郎

    川原新次郎君 時間がございませんので、簡単に御要望を兼ねて申し上げたいと思いますが、実は昨年の十一月にアメリカに行ってまいりました。そして向こうの農業団体のトップの方々との接触、あるいはまたオレンジの中心地、サンキストを中心にした幹部の方々との接触、続いて今度はワシントンの農務省でいま農産物をバックで握っているといわれる大統領補佐官のトレーシーさんからの面会を向こうから要求されましてお会いしてきました。  そして、その三つの間でいろんな詳しい、厳しい話し合いもいたしましたが、その間に、申し上げると、佐野局長がここにおられますけれども局長は役人の立場ではありますけれども、今日まで向こうとの接触の中でいろいろ厳しくやっておられるということは非常にありがたく、力強く感じたことをばこの機会に敬意を表してお礼申し上げたいと思います。ところがそういうふうにやってもらえているが、しかしまだ非常に厳しい状態に置かれて、いま日本の農村がてんやわんやの非常な悲痛な叫びを上げておるようでございます。  これを例えて言うならば、大臣がかつてハイジャックされた飛行機に乗って、その乗せられている乗客は震え上がっておったであろうと思うのです。ところが、いままさにこの日本の果樹農家、畜産農家というのは、そのハイジャックされている飛行機の中にいるような気持ちだと思うのです。いつアメリカがこれを爆破しようとするのか、それを守ろうとし、守らなければならないときに、たまたまいまの大臣がまたそのハイジャック機に乗り込んでおられる。まことに何か因縁だと思いますけれども、あのときの気持ちを持ってひとつこれに対処していただきたいと思うのですが、これは対処しなければならない理由が農水省としては大いにある。  というのは、そのハイジャック機に例えて言うと、いま乗り込んでいる果樹農家、畜産農家はだれが手を引っ張っていって乗せたかというと、日本政府が乗せたのであって、農水省が乗せたのだ。というのは、昭和三十年代の半ばに、農業基本法というものを制定して、そして、もう普通作じゃだめだ、畜産だ果樹だ、行け行けどんどんとやらしたのは農水省なのだ。ところが、その線に いったことを踏まえまして、一昨年、五十七年度に大幅な漁業共済制度の改正が行われたわけでございまして、御案内のように、長期共済契約方式の導入とか、あるいはそれまで義務加入制度になじむものについて掛金の補助等があったわけでありますが、その限度を従来二十トン未満であったものを一昨年に百トンまで引き上げるというようなこともいたしたわけでございます。その他財政的な手当てもいたしまして、当時百数十億ありました赤字のうち、たしか七十億と記憶しておりますが、それにつきましてはこれを棚上げをする、その間の金利につきましては政府が助成するというふうな措置も講じてきているわけでありまして、もちろん先生指摘のように現在の漁業共済制度に全然問題がないというふうに私も思ってはおりませんが、関係方面の努力によりまして、さらにこの制度を健全なものにするように努力はしてまいりたいと思っております。
  156. 星長治

    ○星長治君 私は今長官の話を聞いたのですが、なるほどこれはいろいろ改善されていることはございますが、なかなか思うような改善がされていないというのが今日の状態でございます。  それで、私はこの漁獲制度というものを取り上げまして、担保力にするような方法をとったらどうだろう、いわゆる金融の担保にするような方法をとったらどうだろう、そうすれば基金協会というものの行き方というものを考えられるだろう。それからもう一つは、今漁船保険というものが担保になっております。これは皆さん御承知のとおりだと思いますが、やはり企業者でございますから、担保によって金融の道が開ける、こういうことでこの関越をひとつ御検討なさっていただきたいと思いますが、いかがでございますか、お伺いしたい。
  157. 渡邉文雄

    政府委員(渡邉文雄君) 御案内のように、漁船保険の場合は物の保険でございますので、金融を伴って漁船を建造した場合には恐らく例外なく質権設定がされ、それを担保にして金融が行われているというふうに私は理解をいたします。  漁業共済につきましても、先生指摘のようにまだまだ不十分なようではございますが、ある程度そういった動きも出てきているようでございますので、先生の御指摘等を念頭に置きながらこれからこの面での円滑な運営に心がけてまいりたいと思っております。
  158. 星長治

    ○星長治君 先ほど菅野議員が指摘しましたが、水産物の輸入の問題について触れてみたいと思います。  何といいましても漁業の不振というものは燃油の高騰、それからまた二百海里の問題、輸入の問題が大きな原因になっている。  先ほどマグロの問題を出したわけでございますが、二〇%マグロが減船した。しかし、果たしてこれがいいのだろうかどうだろうか。ほかの国々のために二〇%減船したのだったらこれは大変なことになる。この問題もマグロならマグロの調整というものはどうすべきか。  それからまた、サケ・マスでございますけれども、先ほどサケ・マスのことで云々されましたが、確かに国内産は相当、十二万トンとれております。ところが、ふ化のやり方についても私は欠陥があったのじゃないだろうかと思います。現に私はふ化をやっています。ところが、われわれも悪かったとこれは痛感しておりますが、最初はできる限り卵の安いのを買ってやろうというような考え方を持った。これは私一人ですから、ほかの組合はどうだかわかりません。それで北海道の安い卵を持ってきた。ところがこれがいわゆる黒い魚になって四年後にあらわれたというのが現在の状態です。それですから、十一月過ぎ、十二月にとれる魚は内地でみんな黒い魚ばかり。本当に食べても何にもうまくないサケがとれてきている。これが相当値段の足を引っ張っている大きな原因になっております。これらはやはりわれわれとしても是正していかなければなりません。  それにつきましても、大体二十五万トンぐらいしか食べていないサケだったのでございますが、今日の状態でアメリカから十万トンも十一万トンも輸入するなどということは五年前六年前に考えられなかった事態でございまして、あの当時はせいぜい三万トン、四万トンであればこれは大きな数字だと言ったのですが、九万トン、十万トン。ベニザケだからといってサケに変わりはない。サケに変わりはないのですから値段の影響というのは大変なものでございますので、やはりマグロなりサケなりこういうものに対しては輸入というものを調整しながらやっていっていただきたいと思いますが、それについていかがでございますか、お伺いしたい。
  159. 渡邉文雄

    政府委員(渡邉文雄君) マグロにつきましてはもう先生御案内だと思いますが、数年前から事前確認ということで韓国の水産庁と私どもが三カ月に一遍打ち合わせをいたしまして、その期間の価格動向等を見ながら数字を決めまして、その数字の範囲内におさまるかどうかを確認するという手続を経て、比較的円満に運用してきていると思っております。  ただ、国産の水揚げが予想以上にふえたようなときには韓国からの輸入盤を即座に調整するということが至難のわざのために、時々値崩れを起こすことがあるわけでございまして、そういうときにはその次期の限度数量等の取り組みにそれを反映させますというような形での調整を今日まで行っておるわけであります。  サケ・マスにつきましては、そのような仕組みが、相手の国に大量に入漁しているという事情もございましてなかなかいたしにくいわけでございますが、いずれにしましても、一つには先生からも御指摘ございましたように、国内のふ化放流の結果回帰してくるサケ・マスをより品質のいいものにする。ギンケ——ブナケではなくてギンケに、要するに早い時期に戻るようなものにしていく。あるいはサクラマス、できればベニにまでふ化放流の輪を広げたいというふうにも考えているわけでありますが、そういった努力をする一方、当面、輸入につきましてやはり輸入業者と国内生産者がそれぞれ話し合う。そして国内の需給に見合った輸入が行い得るようお互いに理解を求めるということはそれなりに大変意義のあることだと思いますので、先ほども答弁申しましたように、そういう機会をつくることにつきまして役所としても一緒になって努力をしてみたいというふうに考えておるわけでございます。
  160. 星長治

    ○星長治君 いろいろお話を承りましたが、大詰めに参りましたので今度は金融問題に絞ってひとつお伺いしたいと思うのですけれども、マグロの場合は大体二〇%減船をいたしまして負債整理を適用してもらった。しかしながら、底びきもイカもそれからまだ他種が相当あるわけでございます。  それで、先ほど申し上げましたとおり、大体いまの漁業家の借入金が三兆円あるだろうと予想されております。ところが、私がここでそんなことを言って甚だ恐縮でございますが、いま仮にこの三兆円を払えとなったら一兆円が支払い不能になるのじゃないだろうか、こう考えております。  それで、制度資金、いわゆる国が関係した制度資金で、基金協会保証が毎年代位弁済をしている数字が相当大きくなってきている。私はその数字は何ぼあるかということは求めません。それと同時に、農林公庫が扱っておりますところの建造資金の延滞も相当な数字になっているのじゃないだろうか、こう思うのです。それで、毎年六百五十億円ぐらいの維持資金とか経営安定資金を出したのではどうにもならない。これはちょうど車のようにくるくる回るだけのことだ。果たして回ればいいけど、そこで回れなくなったら一体どうなるのだろうか。ところが、基金協会の代位弁済も公庫の代船建造の延滞金もこれは全部政府のものだ。そういたしますと、三年後、四年後のことを考えましたならば、現在のままでいったら三〇%ぐらいの倒産者が出てくるだろう。そして関連して、いわゆる保証人になっておりますので相当な数字の倒産者が出るのが目に見えている。ここで思い切った金融対策をとらなければならないと思いますが、それについてひとつお伺いしたい。 ぱな話じゃ本当に申しわけないのですけれども、きょう午前中から林業のこと、農業のこと、漁業のこと、いろいろお話がございました。それで、私は先ほどもちょっとお話がございましたけれども、漁業のことにつきましては国内的な施策、何せ規模の小さい、そしてまた脆弱な基盤の上に立っておりますから、沿岸漁業にいたしましても、明るい兆しがあるといいましても、なかなかそう大きく変わるわけではないだろうと思います。いわんや、遠洋漁業につきましては減船、過日はまた、とうとい生命を失うような事故が相次ぐということで、さらにまた、漁業交渉、漁業外交ということを踏まえてこれを進めなけりゃならぬ、こういうことで、漁業、水産業についても大臣の所信でもいろいろ述べれらていますから、これはひとつ漁業問題についてもしっかり漁業外交について強力に推し進めていただきたいということでお話しするのですが、御答弁はどうでしょうか。
  161. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 漁業外交に対する基本的な考え方ということでございますが、昨年末行われた日ソ・ソ日漁業交渉、あるいは米国との漁業交渉の結果を見ますと、我が国漁船の各国二百海里水域内での操業に各沿岸国の水産業の発展、政治問題、貿易問題により大きく左右されるような状況に今ございます。二百海里体制下でこうした各国の動きは今後ますます強くなってくるのじゃないかと思っております。私といたしましては、粘り強く関係国との交渉を行っていくと同時に、また海外漁業協力の推進、これらを通じて我が国の漁業の海外漁場の獲得、これらも目指してまいりたいと思っております。
  162. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 時間がありませんから、また後日それらのことを踏まえてお話ししたいと思います。  きょうは、大臣はまた衆議院の方にいらっしゃるということで、時間が非常に短いものですから、ここで同僚議員の方が後になると時間がなくなるというので、大臣にちょっと御質問したいということなものですから、お譲りしたいと思います。
  163. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 大臣にお伺いをいたしますが、先日の所信を読ませていただいて、その中に、来年に「国連婦人の十年」の最終年を迎えておるにもかかわらず、婦人の問題について一言も触れられていないことにつきまして、大臣も婦人問題企画推進本部の構成員の一員でおありになりますから、所轄の農水省の事業あるいは問題として婦人問題にどんな御所見を持っておられるか、一言お伺いしておきたいと思います。
  164. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 婦人の問題を忘れておるわけではございません。農家、農村において重要な役割を担う婦人の地位向上ということは今後の大きな課題であると私は思っております。生活改善普及事業等の充実を通じて農村婦人の地位向上に今後とも努力をしていく考えでございます。
  165. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 細かい事業の内容については後ほど所轄の課からお伺いいたしますけれども、午前中からいろいろ伺っておりますと、農村の問題というのはどんな条件を伺っても明るい見通しの話がない中で、そういうしわ寄せは全部農村の婦人の肩に重くのしかかっていくという実情がかなりあるようでございますので、どうぞ大臣もその点お心に置かれまして、ぜひその施策に励んでいただきたい、このように希望いたします。
  166. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 それでは食糧問題といいますか、当面する問題をちょっとお伺いしたいと思うのでありますが、国民食糧の安定供給を確保するということは政府にとりましては非常に重要な役割、責務だろうと思うのであります。このことについては大臣も所信の中で「今後の世界の食糧需給の展望を見ましても、中長期的には楽観を許さないものがあります。このような状況のもとで、一億二千万人にも及ぶ国民に食糧を安定的に供給するためには、国内生産可能な農産物は極力国内生産で賄うという方針のもとに、農業生産の担い手の育成を中心として、農地、水資源の確保、技術の向上を含めた総合的な食糧自給力の維持強化を図ることが肝要であると考えております。」、このように述べられておるわけです。これは金子農林大臣も同様に自給ということについて原則的には、しかし、足らざるものは輸入しなきゃならぬ、そういうことで進めなきゃならぬということをおっしゃったことがございますが、中長期的な世界の食糧需給見通し、こういう中で国民食糧の安定供給確保ということについて今いろいろなことが言われておるわけなのですけれども大臣はここらについてはどのような御認識を持っていらっしゃるのか、お伺いしておきたいと思います。
  167. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 国内生産できるものは国内生産して国内で賄うということを基本にいたしまして、そしてどうしても土地制約上等ございまして輸入しなければならないものは日本農産物の需給状況を見まして、この日本農業というものが着実に発展を続けるというようなものと調和のとれた形で輸入というものは行っていくべきであるというぐあいに考えております。
  168. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 我が国の自給率ということがよく言われるのですけれども、自給率、自給力といいますか、カロリーベースで五〇%とか言われておるのですが、そういう中で国内生産、これは終戦直後の水準ということが言われているのですね。こういうことで安易な輸入というものに依存しますと国の行く手にまた大きな禍根を残すということが叫ばれ、国会決議委員会決議とかいろいろなことがなされておることは御存じのとおりであります。こういう日本の自給率が非常に低いということは先進国の中でも異例といいますか、イギリス、フランス等においても自給率が上昇しつつある、こういうことから見まして、中長期的に見ますと現在の日本の自給の状況というのは決して楽観し得られるものではないし、これに対しては何らかの施策はしなきゃならぬ、そういうことで今日までも着実に対策は講じられてきたのだと思います。しかし、世界のいろいろな諸情勢の変化の中でなかなかこれが進んでいないのが現状です。農産物の自給の現状というものに対して大臣がどのようにお考えになっていらっしゃるのか、先ほどもちょっとお話ありましたけれども、ひとつ見解をお伺いしたいと思うのです。
  169. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 確かに先と言われましたように、カロリーベースで自給率を見ますと、日本の場合は五三とか言っておりましたか、アメリカが一三三、フランスで一一九、西ドイツで七五、イギリスで六〇というようなことをいろいろ勉強させていただきました。何にいたしましても、国内で今後ともやはり自給できるもの、特に穀物自給率は三三%ぐらいということも聞いております。しかし、麦だとか大豆だとか、これらについてはもっともっと力を入れていくべきではないか、そういうぐあいに考えております。
  170. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 今まで当委員会はもちろんのことですが、本会議の代表質問等におきましても総理は、食糧は自給が基本だ、このように胸を張っておっしゃっておりました。また、金子農林大臣も中曽根内閣の国務大臣としまして、今日の需給動向から当分の間牛肉についても輸入枠拡大の必要なし、このようにはっきりおっしゃっておりました。この点については大臣がかわっても考え方には変わりはないだろうと思うのでありますけれども、新大臣をお迎えしてまずそのお考えをお伺いしておきたいと思います。
  171. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 金子大臣がおっしゃいましたのは、国内の需給状況を見て要らないものは要らないということを言われたと私は思っております。私も金子大臣と同じような考えでやってまいりたいと思っております。
  172. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 今日の需給動向から当分の間牛肉についても輸入枠拡大の必要なし、こういうお話だったですね。その基本的な考え方については大臣も同じだということですね。  ところで、農産物のというか、牛肉オレンジを中心といたします輸入問題については、これは相手のあることですからなかなか大変な問題だろうと思います。しかし、日本日本の国情があ 従ってなるほど畜産、果樹という方向で努力をしていた。畜産も大いなる施設が要る、長期化も要する、金の返済がかかる。果樹というのは植え込んでも四十年間際に植え込んだミカンは昭和五十年になってようやく採算がとれるようになるのだ。これは私が農家の本人だから。自分の子供が五名、孫子一緒にいま二十五名住んでいる男ですから、農業のくわを握って。それだから農業の味は酸いも辛いも全部わかっておる。そういうふうなものなのだ。  ところが、それが借金をその間抱えて、まさにそれをば払い込んでいけるか。ミカンがなり出したというような、あるいは牛飼いもなれたというときには、今度はこれはだめだからやめなさい、自殺しなさいと言わぬばかりのような結果を出そうとするのは、これはとても忍びないことであって、やはり農水省が指導をしてきた責任大臣はかわっても、役人はかわっても、先輩がやらしてきたことをば何らかの形で守っていかなければならない。当初申し上げた、私がいろいろな接触をやってきたアメリカの中でこれは容易ならざることであるということ等もよくわかりました。  その中で言われたことに、レーガンの選挙が来年来る、去年の十一月会うたわけだから。と同時に、中曽根さんの選挙も来るじゃないかという言葉が出てきた。それが私は頭に来て、何を言っているのだ、私はこういうふうな農民の立場におるのだぞ、レーガンさんのために政治をやっているのじゃない、中曽根さんのために選挙をやっているのじゃない、日本農業を守り、日本農民の将来を守るために私は闘っている男だから、これはそう守りながら仲よくいけるならば結構なことだ、そういうような議員がやはり日本の国会の中にたくさんいるのだということを考えてやらなかったならば、これは大変なことになりますよ、という議論をしたわけですけれども、そういうような議論をした私としましては、いまこれは厳しい状況にあるということはわかっております。  今度は、さっき変な例えで言いましたけれども、あのハイジャックの中で、韓国まで飛んだときの大臣の心境で、今度はおれが引き受けるのだ、どんなことがあってもこれは普通じゃ引っ込めないと。かつて中川大臣が、あのアメリカでの接触の中でけんかになって、決裂してそして引き揚げて飛行場まで来た、それをアメリカが逆に呼び戻してようやくあの案がまとまったということは、中川大臣本人から当時詳しく私は一農民の立場で聞かされました。そのようなひとつ体を張る決意をばここでしてやっていただきたいということをあえてお願いし、激励いたしまして終わりたいと思います。
  173. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) ただいまの御趣旨を体して交渉に当たってまいります。特に当委員会は一昨年、五十七年五月の十三日、農畜水産物の輸入自由化反対に関する決議、そしてまた本年一月二十六日の農畜水産物の輸入自由化枠拡大問題に関する申し入れ、この趣旨を体しまして農民が、農業者犠牲にならないように、我が国農業が着実に発展していくということを念頭に置いて交渉に当たってまいります。
  174. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 きょうは大臣が初めて当委員会に参りまして質疑をするわけでございます。所信に対してということでございますから、各般にわたる農業を取り巻く諸情勢、農林漁業に関する諸問題があるわけでございます。どちらかというと大ざっぱな話になるのかもしれませんが、私ども当面する問題について大臣の所信を過日承ったわけでございますが、それをさらにまた大臣のお考えをひとつ明確に御答弁をいただきたいものだと思うのであります。  最初に大臣に申し上げたいのは、過日の内閣総理大臣の施政方針演説、三十分近い演説でありましたが、現在日本の内外にわたっております諸問題は各般にわたりますから、それはもう一つ一つ取り上げることはできないことは重々わかりますが、しかしながら、これだけの演説の中に、今私どもがこんなに真剣に論議をしております農業問題——自民党先生でももう目を怒らして激励をしておるという、こういう状況です。それなのにもかかわらず、総理大臣の施政方針の中に一行も入ってないのです、農林漁業の問題は。「生産性の向上を中心とした農林水産業対策の推進こという、これだけです。これは農水大臣としまして、閣僚の一人として、この現状の非常に急迫を告げる認識があるならば、当然これは、総理大臣の原稿を変えるなんというわけにいかぬかもしれぬが、事前に何らかのお話があってもしかるべきだし、またこの現状を憂える気持ちがなければならないと私は思うのですけれども、男山新さん、こういう現状をどう受けとめていらっしゃるのか。  私は、今もう衆議院の一般質疑もございますから、かけ持ちで大変だろうと思うのです。心もなかなか落ちつかない、今お水を飲まれたようですから落ちつかれたかもしれませんが、これは何もけちをつけるわけじゃないのだけど、また軽視しているわけじゃないのかもしれませんけれども、ちょっと我々としましては寂しいといいますか、そんな軽視されたのか——教育も大事ですよ。私どもはこの教育については一生懸命取り組んでいきたいと思いますが、それはそれとしましても、半行にも足りない。これで農林漁業問題が終わられるという、それに対してまた一言もお考えもないということですと、これはちょっと我々も考えを変えなきゃならない、こう思うのですが、まずひとつ大臣の御所見をお伺いしたいと思うのです。
  175. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 総理農業を軽視しておるというようなことは絶対にないと思います。私が農水大臣をやってくれということで言われましたときに、何にしても一番重要な農業問題だ、しっかりやっていただきたいということを言いましたので、その言葉でも軽視ということはないと思っております。
  176. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 それは、各大臣が行ったら、運輸行政をしっかりやってくださいと言うに決まっているのです。厚生大臣には、厚生行政をしっかりやりなさいと言うに決まっているのだ。だから、私は何も軽視しているわけじゃないだろうと思うのだけれども、現在山積する諸問題がありますから、全部のことを網羅するわけにはいかないだろうと思いますがね。総理の演説をあのひな壇でお聞きになったと思うのだけれども、やはりこの農林問題にもう少し力を入れてもらいたいなというお感じがあったのかないのか。まあ、しようがないやというお感じだったのか。もう少し総理も力を入れて何かしゃべってもらいたいものだ。おととしですか、所信演説には、総理になって初めのときは三行ありました。今度は半分ですよ。もう来年はなくなるのじゃないかと思うのです。総理というのは全体の日本国内情勢、国際情勢を踏まえて、その認識、その所見を述べるわけでありますから、多い少ないということで私は言っているのじゃないのですけれども、それは山村農水大臣が大きくカバーするということだろうと私は思うのです。そこらあたり何だかそっけない答弁じゃなくて、きちっとひとつ……。
  177. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 一番大事な農林水産行政と申しましたので、きっとほかの大臣にはそんなことは言わないと思います。私には本当にはっきり、一番大事なのでひとつしっかり頼むということを申されました。私もそのつもりで一生懸命取りかかってまいるつもりでございます。
  178. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 その意気込みで、意気込みといいますか強い決意でひとつ、現在のどの面を見ましても明るい兆しのない農林漁業の問題につきまして真剣に破り組んでいただきたいし、山村農水大臣のときにこういう方向性がきちっと見出されたというような実績をぜひおつくりいただきたい。外務大臣は留任になったのだけれども、農水大臣の留任というのは余りないみたいだけれども、これはもう本当に一つの実績をつくるまではこの職を離れないぞというぐらいの意気込みでやっていただかぬと、一年ごとにかわられて、まあ、かわってもいいのですけれども、ひとつ強い決意で臨んでいただきたいということであります。  それで、漁業についても総括的に、余り大ざっ す。言葉をかえて申しますと、期間的に、あるいは地域的に米が偏在するというようなことがございますると、どこかで米の不足が起こるという状況になりますので、それを絶対に避けるということが必要になってまいると思います。また同時に、ただいま先生がちょっとおっしゃいましたけれども、仮需要といったようなものがございまして、流通段階に不要な在庫があるといったようなことになりますと、これまた問題が起こるわけでございます。そこで、真の消費者の需要に見合った形で米の供給を行っていく、それによって需給の売却操作をやっていくということが必要な段階である。これはそのとおりであると思っておるわけでございます。  そこで、これをうまくやってまいりますために、私どもは三つの期間を設けまして、この期間の中で売却予定量というものを公表いたしまして、これを操作していくということにいたしております。米穀年度というのは、先生御案内のように、十一月から始まりまして翌年の十月までまいりますので、最初の第一・三半期と申しておりますが、これは十一月から二月まで、それから次が今問題になっております三月から六月、第三・三半期というのが七月から十月、この三つに分けておるわけでございます。  そこで、ただいまの問題になりました第二・三半期でございますところの三—六月における売却予定量をどう決定するかということで、実はこれを二百二十四万トンということで公表をいたしまして、つい二十九日に公表いたしたわけでございますが、この部分が奏に比べて少し少ないではないかというところに、あるいは米の不足が起こっているのじゃないかというようなことで議論がされた次第でございます。  ところが、この売却予定量と申しますのは、既に私どもが去年十一月に公表いたしております年間供給予定総量、これを六百六十万トンと想定をいたしております。先ほど連続性のお問い合せがございましたので申し上げますが、この六百六十万トンに対応いたしておりますところの五十八米穀年度の計画は六百七十万トンでございました。それに対しまして六百六十万トンということでこれを設定いたしておるわけでございます。この六百六十万トンのうちで第二・三半期を二百二十四万トンということで設定いたしたわけでございます。二百二十四万トンと申しますこの計画が、実は前年の実績、これが三—六月で二百三十八万トンでございましたために、これが約五%程度平均して減っているということからあるいは削減されたというふうに考えたのではないかというふうに思うわけでございます。  ただ、これは先ほども申しましたように、私どもはむらなく平均的に、計画的に政府米の売却をするということが必要でございまして、それを考えますると、前の期間でございます十一月から二月までの第一・三半期におきまして実はやや政府米の売り渡しが多くなっておりました。ところが実態は、家計調査その他から消費の動向を見ますと、明らかにこれは、それほどふえておらないというよりもむしろ末端の需要は減っておるわけでございます。そこで、恐らくこれは在庫の積み増しがかなり流通段階であったのじゃないかというふうに考えられます。さらに加えまして、この期間は明確に、二月の十五日に消費者米価の値上げをいたしておりますので、そのための仮需等もあったのではないかというふうに考えられます。したがいまして、このような流通の在庫で調整をすべきものは調整をしなきゃいかぬということを一つ考えました。  それからいま一つは、この三—六月期における売却予定量は当然実態的な消費者の需要に見合ったものにいたさなきゃならぬというふうに考えましてこの二百二十四万トンを設定したわけでございます。こういうふうにいたしますと、一番肝心など申しますか、要するに端境期、我々が最も売却の操作におきまして重要視しております七月から十月までの期間、この期間において最も適当な政府の手持ちも持ちましてこの時期に備えていくということができるわけでありまして、さような観点から実はこの三—六月をこのような形で設定したということでございます。  ただ、これはあくまでも供給予定量でございまして、私ども消費者が購入されます数量をカットするなどということは全然考えておりません。要するに、このような状況で過不足なく操作を行っていくためにこういうことをやっただけでございまして、もちろん末端のお米屋さんにお米が切れるというようなことがあったら大変でございますから、その点は十分にこの計画の実態を見ながら実施に当たっていくということを考えておるわけでございまして、さように御理解をいただきたいと思います。  要は、先ほど申しましたように、むらなく適切に売却を行っていくということのために行ったものでございます。
  179. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 最初に大臣にお伺いいたします。  質問がこま切れになって大変恐縮ですけれども大臣の時間もこま切れなのでいたし方ないと思います。それと、同僚の藤原議員が先ほど質問した内容とダブる点もありますけれども、ちょっと角度を変えて大臣にぜひお伺いしたいと思います。  大臣の所信については先ほど一端をお伺いしましたけれども大臣も千葉県でございますし、私も千葉県でございますので、千葉県は農業県として有数の県でございますので、その千葉県におられる大臣にとっては、農業については深い理解と厳しい現状の認識はだれ以上も持っておられる。こういうことで全国の農業者は新大臣に大変期待をしておるわけでございます。  しかし、日本農業の現状といえば非常に厳しいものがございます。食糧の自給率から始まって自由化の問題、農産物の価格の問題、それから高齢化した労働力の問題、加えて日本の食生活の問題等でございますけれども、こうした問題を抱えて、大臣の目指す日本農業のビジョンといいますか、これはどのような構想を大臣は持っておられるか、その点を最初にお伺いいたします。
  180. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) いま先生がおっしゃいましたように、確かに農業の内外からのいわゆる難問題、外からは市場開放要求、また内にありましては行財政改革の推進ということで、効率よい農業の推進ということを求められております。このような状況に対処しながら、農業者が将来に夢を持ち、意欲を持って農業に取り組むことができるようということで、中核農家の経営規模の拡大、それと農業生産基盤の整備、技術の開発普及、村のすべての住民に就業と生きがいの場を与える「豊かなむらづくり」の推進、これら各般の施策の推進によりまして生産性の向上を図りながら、我が国農業の体質強化と農村社会の活生化に努めてまいりたいというぐあいに考えております。
  181. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 私のお聞きしたいのは、大臣のここはと言いたいところをお聞きしたかったのです。いままで各大臣の所信は国会が開かれるたびに行われるわけでございますけれども基本方針は大筋で変わるところはございません。この大臣の所信表明を見てもわかりますように、これは六ページですか、「このような基本的な課題にこたえ、二十一世紀へ向けて、夢のある明るい農林水産業、農山漁村の実現」というふうに書いてあります。これは私から言わせれば、いつもおっしゃっていることでもございますし、日本農業の実情を知らない方々に二十年後、三十年後の日本農業のいわゆるPR用パンフレットを読んでいるようなものではないか、このように思うわけです。  そこで、大臣、新大臣になって所信の中で国民に特に訴えたいものは何なのか、この点はいかがでございますか。
  182. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 特に出しましたのは、まず四年続きの不作ということもございまして、「たくましい稲づくり」、それとともに「健康な土づくり」、「豊かなむらづくり」ということで、夢を持って農業に取り組んでいただけたらということで、新しいものとしてはこれが出たと思 り、今申し上げたように自給率が低い。それを何とかしなければというので国内的な政策、これは去年も酪振法を改正いたしまして肉牛につきましても対策を講じよう、こういう施策を、そしてまた今後の計画も立てて進めていこうというやさきであります。こういうことですから、相手のある交渉ではございますけれども日本日本として踏まえなきゃならないことが、絶対譲れないものがあると思うのです。私は、この農産物交渉が始まったときに、アメリカでは日本の現状について日本が余りにもPRが足らないのじゃないか、外務省や農水省は一体何をやっているのか、こんなことをよく言ったのでありますが、ここ四回、五回の交渉の中でお互いに国内の事情というものについては知り過ぎるほど知り過ぎる現状にあるのではないかと思うのです。そして、きのうからもう三月に入りました。こういう中でいつまでも同じことを繰り返して言い合っていてもこれは解決の糸がほぐれるわけじゃございません。  最近、いろいろな雑音といいますか、我々は新聞情報しかないものですから新聞情報でお話しすると、そんなことはございませんと言う。詳しく言えと言うと、それはちょっと言えませんと。どうすればいいのか、本当に。では任じてください、任すといったって、これは本当にどういうふうになっているのか。先ほどから大臣大臣の腹の内をということでお話ししておるわけで、聞かれないことを聞こうなんていったって無理なことなのだろうし、また外交交渉ですからそれは私にもよくわかりますけれども、とかく今日本の国もこういうものを一歩一歩確保していこうということで法律もつくり、そして法律も改正し、そして着実に進めつつあるという現状であります。この交渉事はきのうきょう唐突に話が出てきたわけじゃありません。そういうことで、お互いの事情というのはお互いによく知り合っている仲間でのこの三月いっぱいで何とか決着をしよう、こういう現状ですね、こういうことになっている現在、頭越し政治決着のような形とられたり、それからまたお金で何とか解決しようなんと、そういうことがあっては、農民の納得のできないような解決方法といいますか、交渉結果で妥結するような結果になってはいかぬ、私はこう思うのですけれども大臣どうでしょう。
  183. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 新聞でいろいろ皆さん宸襟を悩ましておるということで申しわけなく思っておりますが、実はいろいろ新聞に出ておりますが、我が方は全然、農林水産省としては関知しないことでございまして、頭越し政治決着というようなことはございません。近日中に農林水産省としても担当官をアメリカへ派遣いたしまして、いろいろ周辺の地ならし等をやらせる予定になっております。
  184. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 交渉の相手はアメリカの通商代表部ですね。国務省から、それからまたあちこちからいろいろな、どう言ったこう言ったというそういうことで一喜一憂しているという、一番アメリカの窓口になるそこと話をしなきゃならない。通商代表部の責任者との話というのは、そこの話は非常に確実な話なのでしょうけれども、周辺を固めるといいますか、周辺に理解を与えるということは大事なのでしょうが、新聞に出ているのはどっちかというとその周辺の話が主なのです。しかし、新聞情報が必ずしも、関知しないという大臣お話ですけれども、当たらずとも遠からずという感じもあるのではないかという感じもします。そういうことだけに、私どもにはどうなっているのだという気持ちが払拭し切れないものがあるのです。今、国会は衆参予算を中心にして非常に多忙をきわめておる中であります。そういう中で三月に決着しなきゃならぬという大きな任務を背負っておるわけでありますから、これはいずれにしても大臣もそのときが来たらもう一肌も二肌も脱がなきゃならぬ。さっきのお話じゃありませんが、一億二千万の人たちをハイジャックされているようなもので、この解決のためにはもう命が幾つあっても足りないような状況ですが、この改正のためには強い強い決意で、そしてまた今日まで営々と築いてきた農業者を泣かせることのないような決着でありたい、こう私は思うのですが、どうでしょう。
  185. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 先生のおっしゃるとおりの当委員会での決議申し入れをいただいております。私も農業者犠牲にならないように、我が国の農業が着実に発展していくということを念頭に置いて交渉に当たってまいります。
  186. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 時間がありませんから次をお伺いするわけでありますが、米の需給問題についても最近大きく話題をにぎわして、また午前中からいろいろお話がございました。  一、二点だけちょっとお伺いしておきたいのですが、数字や何かについては私もいろいろ資料をいただいておりますからわかるのですが、今度の三月から六月末の卸売業者への販売量の五%削減といいますか、五%を減らしたということについて、農水省としましては、これは仮需要があるのだからそれを圧縮したことで消費者には大きな影響はないのだという言い方をしておるのですが、去年の実績どことしの現状、それからまた、ここに至って手直しをしなきゃならないということは、さっき食糧庁長官も言っていましたけれども、やはり米の現状というのは非常に厳しい、それをきめ細かにしなきゃならぬのだと、こういうことだということもちょっとお話の中にはあったようでありますけれども、きめ細かにやるのはいいのですが、あるものは限られておるわけですから、机の上の数字の計算でやりくりしましてもないものはない、こういうことで、一体現状はどうなのか。去年も早場米を少しもう食い過ぎてしまっているわけですから、ことしの暮れには一体どうなるのだという、こういうものがあるのですが、そこらをやはり消費者生産者の納得のいくようにひとつ御説明いただきたいと思うのです。
  187. 松浦昭

    政府委員(松浦昭君) まず、全体の需給について御説明をし、それから政府管理米の需給について御説明をするのが順序かと思います。  全体の需給につきましては、先ほど御説明をいたしましたように、余り細かくは繰り返しませんが、五十九米穀年度の総供給量、これは五十八年産米が残念ながら四年連続の不作でございまして一千三十七万トンとこの数字は決まっているわけでございます。これに前年産米の十万トンの持ち越しと、それから五十三年産米の今後の引き続きの需要、これが大体十万トンから十五万トン、あるいはもう少しこれがふえるかもしれませんが、このような五十三年産米の売り渡しということを加えまして供給をいたしてまいりました。一方におきまして、一千五十万トンの需要ということを前提にいたしまして考えるならば、米の需給に問題はない、こういうことで御答弁を申し上げた次第でございます。その結果、十万トン程度の持ち越しで翌米穀年度に引き継げるであろうというふうに申し上げたわけでございます。  ただ、この数値は、あくまでも農家の手持ち、保有といったような部分が入った数字でございまして、実際上の需給の操作の面で一つの大きな要素でございますのは、政府管理米、つまり自主流通米とそれから政府米、政府が直接に買い入れ、売り渡しておりますところの政府米、この両方から成り立っておる政府管理米がどうなっているかということにあろうと思います。この点が先ほど御指摘ございました五%削減とか制限とか言われておりますことに通じておるわけでございます。  そこで、その点を御説明いたしますと、政府管理米につきましても、私どもとしましては全体としては国民の必要とする米穀の数量は確保できる、特に問題はないというふうに考えておるわけでございますが、これも先ほど御答弁申し上げましたように、ひところに比べまして政府米の在庫水準がかなり低下いたしておりますので、その意味では私どもは必ずしもゆとりが十分にあると言えない状況での操作に万全を期していかなきゃならぬというふうに考えているわけでございます。  そのようなことで考えてまいりますると、この政府管理米を全期間かつ全国むらなく安定的に供給していくということが必要なわけでございま けれども、そういう対応がないために特にこういう大きな被害になっておる。千葉県でも一番暖かい房州の先端に被害が大きく出ているということでございます。  被害の施設としては、今言ったビニールハウス、ビニールトンネル、作物はトマト、キュウリ、イチゴ、シュンギク、こういうために農業生産者は大きな打撃を受けて政府の援助を今待っているわけです。この被害状況からして一つは激甚災の指定、それから天災融資法の発動、自作農維持資金の貸し付け、こういう資金対策の点についてどうされるのか、現時点で結構ですからお答え願えればありがたいと思います。
  188. 佐野宏哉

    政府委員佐野宏哉君) お答えいたします。  天災融資法の発動につきましては、被害状況を見きわめる必要がございまして、被害状況を見きわめるについては、先ほど田中審議官の方からお答えいたしましたように、融雪を得たざるを得ないという事情がございますので、今のところ確たるお返事がしにくいわけでございますが、いずれにしても被災者の資金対策につきましては、農林漁業金融公庫法の主務大臣指定施設資金の災害復旧費といいますもの、それから自作農維持資金、そういった資金を活用いたしまして、被害の実情に応じた適切な対処をしてまいりたいというふうに存じております。
  189. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 もちろん、雪が解けて集計をしないとこれはわからないわけでございますけれども、現時点の状況からいって激甚災の指定、天災融資法の発動ができそうなのかどうなのか、その辺はどうなのですか。
  190. 佐野宏哉

    政府委員佐野宏哉君) 今のところちょっと天災融資法につきましてはいずれともお答えしにくい状況でございます。  それから、激甚災害法につきましては、天災融資法に係る部分の激甚災法のことを指しておられるのだと存じますが、これは天災融資法が発動できるかどうかということが今まだ私どもとしてはいずれとも判断しかねておるような状況でございますので、同様でございます。
  191. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 もう一つ豪雪地域を視察した結果、農産物について、これは細かいことかもしれませんけれども、先ほど言ったように積雪量は多い。それでことしの雪の状態というのは、例年でいくと、一月にどっと降って少し休んでまた二月に降る、三月に降るときもありますけれども、こういう状況で降雪がある。しかし、ことしの場合は一月も多かったけれども、二月に入って急激に多くなる、こういう積雪状況です。それも連続的に降っておる。そこへきて例年になく寒気がひどい、寒い。そういったことから雪質が例年よりも細かいというか、締まるというか、そういう状況でスキーにはいいのでしょうけれども、いわゆる雪が締まって結局解けにくい、こういう状況だと地元では私は聞いてまいりました。そうなると、当然雪解けを待って春耕する農家にとっては、これは春作付にしてもちょっとおくれてしまうわけです。そういうことであるということになれば、作付はおくれ、そこへきて今度は生育はおくれ、品質は低下してくる。こういうことが予想されるわけです。  そこでお聞きしたいのは、春耕作業がおくれ、農業被害も大変予想されるという現状で、春耕対策については万全を期して、いわゆる耕地の消雪対策をとっていかなきゃならないのじゃないか、こういうように思うのですけれども、この対策についてはどんなふうに考えておられるか、お聞きしたいわけです。
  192. 小島和義

    政府委員(小島和義君) ただいまお話がございましたように、ことしの豪雪の状況並びに気温の状況からいたしますと、融雪が遅延いたしまして農作業の開始がおくれるという懸念があるわけでございます。農林省といたしましては、毎年一月の末に春夏作の技術指導というのを県に通達をいたしておりますが、その中におきましても、気象条件の推移によっては必要な融雪促進剤をまく、さらには融雪時の融雪水の排水対策ということについて特に指導の徹底を図るようにということを各県に対して御通知いたしておるところでございます。  昭和四十年代におきまして、この融雪促進剤の助成ということをやった時期もあるわけでございますが、何分にも消耗品の補助であるということ、それから個人補助であるというふうなことから、昨今ではそのような助成をいたしたことはございませんで、今次豪雪に対しても同じような扱いをせざるを得ないのじゃないかという感じでおるわけでございます。ただ、こういう雪の問題というのはもちろん毎年あるわけでもございません。何年かに一回はあるわけでございますから、その都度の融雪促進剤の助成というよりは、むしろ融雪時に速くしかも均質の健苗を大量に生産できる共同育苗施設の設置を進めるということの方がより本格的な解決であろうと存じまして、過去数年来そのことの促進、助長をいたしてきたわけでございます。全国で眺めてみますとまだカバー率というのは必ずしも多くないわけでございますが、北陸あたりに行きますと、もう三割ぐらい共同育苗施設でカバーしておるという数字も出ております。今後ともそういったやや恒久的な対策というものにウエートを置いてこの問題に対処したらいいのではないかというのがただいまの私ども考えでございます。
  193. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 助成もやってもらいたいし、融雪促進剤の利用ということで研究されておるようでございますけれども、先ほどから言っているように私は千葉県なので余り雪の経験というのはないのですけれども、今日まで私は災害対策特別委員会でやってまいりまして、雪害についてはいろいろ承知をしているつもりでございます。雪国の人にとっては我々の想像以上に苦労されている。除雪の問題から始まって、先日行って、これは笑い話かもしれませんけれども、例えば融雪剤、火力発電所のすすですか、それを融雪剤に使う。使えば黒いものですから太陽の熱を吸収して速く解ける、こういうことで使うのでしょうけれども、一反歩千八百円ぐらいというふうに聞いております。それは融雪剤の一つとして方法かもしれませんけれども、何しろそこを今度は猫が夜歩く。猟というのは一晩に一里も二里も歩く。これが帰ってきて汚い真っ黒いのがうちへ上がって畳が真っ黒になる、布団が黒くなるという被害がある。これは我々が実際に地元の人に聞かなきゃわからない。こういう笑い話みたいなものがありますけれども、いずれにしても農作業がおくれれば先ほど言ったように作付もおくれる、品質も低下してくるということでございますので、雪国の人の苦労を真に受けて助成もぜひとも、また特例でも結構ですからやっていただきたいし、この融雪剤の研究にも真剣に取り組んでいただきたい、これを要望しておきます。  次に、養蚕の振興について小島局長にお伺いしますけれども養蚕業界には農家だけでなく製糸業、絹織物業者など約十五万人が従事しております。大臣も御存じかと思いますが、養蚕農家製糸業者、蚕糸関係者等の現状というのは、日本農業と同じようにその一つとして大変な深刻な問題になっていることは事実でございます。蚕糸砂糖類価格安定事業団の在庫がだぶついて、ことしは一月現在十七万五千俵となっているわけです。これは御承知のとおりです。したがって、在庫の増加、生糸価格の低落で蚕糸業界は不況で最悪の事態になっているわけです。大体この不況の原因はどこに起因をしているのか。もちろん価格の低落とか需要の低下ということは聞いておりますけれども、実際にこういった不況の原因はいろいろあるでしょうけれども、具体的にどこに起因しているのか、お教えいただきたい。
  194. 小島和義

    政府委員(小島和義君) 非常に端的に申し上げれば、需要が年を追うて減ってきておるという一語に尽きるだろうと思います。ちなみに昭和五十三年ごろ我が国の絹の消費量は四十六万俵ほどございました。それが昨年の場合には三十万俵を少し切るというところまで落ち込んできておるわけでございまして、そういう消費の減退が価格の低落にもつながり、また事業団の在庫増加にもつな っております。
  195. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 農業というものは国の基であり、それから基幹産業というふうに言われているわけでございます。しかし、先ほど言ったように、現状というものは非常に厳しい日本農業の現状になっておるわけです。  特に、この問題も先ほど取り上げられましたけれども日米農産物交渉の問題ですが、日米農産物市場開放については、この一年半ですか、二年ですか、何年来かの大きな政治問題になっておるわけでございます。生産者にとっても、先ほどハイジャックの話が出ましたけれども、深刻な問題になっている現状でございます。  東京ラウンド交渉において、一九七九年にかんきつについては日米間で、牛肉については全体の輸入数量について日豪間で、いわゆる高級牛肉について日米間で合意が成立しておりますけれども、その日米間の合意期限も今月いっぱい、三月いっぱい、こうなっているわけです。  当初、私の聞いている範囲では、新大臣になって二月の初めころアメリカへ行って農産物自由化問題について決着をつける、こういう話も私は聞いてはおるのですけれども、その後大臣は何か消極的になったような感じも受けられないでもないわけです。先ほどからお話があるように、相手があることですから難しい点もあるかと思いますけれども、どうも農林大臣として消極的になったような、そういうふうに感じられてならないわけです。私は、言うべきところは大臣が先頭に立って訪米してきちっと決着をつけることが、勇気ある皆さんの期待を受けた新大臣ではなかろうか、こういうふうに思うわけです。日米農産物の問題は外交問題かもしれませんけれども、これは外務大臣がやる問題でもなければ、大蔵大臣がやる問題でもなければ、最終的に責任を持って決断をするのは大臣だと思うのです。  そこで、この現行の協定期限の切れる三月を目前に控えてその対応策はどういうふうに思っておられるのか、先ほども聞きましたけれども、もう一度大臣から伺いたい。  それと、今言いましたように、大臣が先頭を切ってこれはやらなきゃならない、こういう問題であると思いますので、大臣訪米はするのかどうなのか、ひとつお聞きしたいと思います。
  196. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 先生のおっしゃるように、大臣になってすぐ二月にも行ってもらうことになるかもしらぬというような話がございました。ところが御存じのとおり、一月二十日に向こうからも事務当局が参りまして当方と話し合ったわけでございます。ところが、全然隔たりが大き過ぎてどうにもならぬということでございまして、それを受けてというような形になりますが、安倍外務大臣訪米になったわけでございますが、安倍外務大臣が参りまして、アメリカも弾力的にはなってきたと。初めはかなり強硬だったそうでございますが、弾力的になってきたから日本側もひとつ弾力的に何とか三月末までに話をつけるようにしてもらいたいと。しかしまだ行っても、今先生がおっしゃいましたように、行ってけんかをやって帰ってくるのは簡単でございますけれども、これでは日米間というものを険悪なものにしてしまいますし、また今まで実は話し合いによって日米合意というものがこの農産物であるということでアメリカの議会の対日強硬派に対する抑止力にもなっておるということも聞いております。ですから、行った場合にはやはり何としても話はまとめて帰ってくるというような自信を持って行かなければなりません。  そこで、先ほども申しましたが、近日中に農林水産省の事務当局が向こうへ行っていろいろ土台づくりと申しますか、話をするわけでございますが、それにしましても、先生のおっしゃるように三月末が期日でございます。安倍外務大臣が行って帰ってきたときには実は二、三カ月中にということで、ゆっくりこれはまだ余裕があるのかと思いましたら、せんだってマンスフィールド大使がおいでになって、何としてでも三月中にこの話し合いをつけることが日米関係の友好につながるのだからというようなお話もございまして、今鋭意努力中でございます。
  197. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 重ねてお聞きしますけれども、それでは大臣は行くつもりはあるのですね。
  198. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) もう大体決着がつくというようないろいろな方面からの交渉を重ねて、その時期が来ればいつでも参ります。
  199. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 三月末だけど、その時期が迫ればと、もう迫っているのですけれども、どうなのですか。近いうちに行くのですか。
  200. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 二、三日うちに担当官がアメリカへ参ります。そして向こうの状況等をよく調べてこちらへ連絡が来るわけでございますが、何とか三月中にこれを妥結したいという気持ちでございます。
  201. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 わかりました。  それでは次に、豪雪の被害について端的にお伺いしますので、答えの方も端的にお願いしたいと思います。  ことしの冬の異常豪雪は、所によっては三八、五六豪雪ですか、それをしのぐ積雪量でもあり、また規模では全国的な降雪がございました。余り雪を見ない太平洋側も何十年ぶりという降雪があったわけでございます。したがって全国的に被害が出ておるわけでございます。政府も二月十日には豪雪対策本部を設置して、道路交通の確保、当面の重点項目を決めて緊急対策を講じておられることは私も承知をしております。  私も実は、二月の二十七、二十八日ですけれども、つい先日新潟県の豪雪地帯であります小千谷市とか十日町市、川西、塩沢、中里、被害のあった中里へ行ってまいりました。けさ実は十日町の方から電話がありまして、きのう、おととい降った雪が二日間で一メートル五十という話もありました。したがって、予想以上の雪がことしは降っているわけでございます。それに加えて、ことしの降雪量というのは多い上に寒さが非常にきつい、こういうことで根雪の深さというのですか、これが特に生活する住民に大きな悩みの種となっているわけでございます。農林水産委員会でございますので、この農業被害についてのみ一、二点お聞きしたいと思います。  まず、ことしのこういう状況の中で、今日までどのくらい農産物の被害が起きているのか、簡単に御説明いただければと思います。
  202. 田中宏尚

    政府委員(田中宏尚君) ことしの豪雪の被害につきましてはまだ雪かかなり積もっておりまして、全国的な被害状況の把握というのは融雪を待ちませんと確定いたしませんけれども、現段階で我々が県からの報告として集計しておりますのは全体で三百六十四億という額に上っております。  その内訳で、一番大きいのはビニールハウス等の施設園芸関係の被害でございまして、これが二百二十二億、それから農作物なりの被害といたしまして百二十四億、それから林野被害が十八億というふうに報告されているわけでございます。  地域的に見てみますと現時点でございますので、四国、九州の被害額の報告が多うございまして、北陸なり東北というところの豪雪地帯の被害につきましては地域の状況から申しまして、農作物被害というものが大きなものでなかろうかと思いますけれども、林野でございますとか、果樹でありますとか、こういうものが融雪を待ちまして結構な被害額というものが出てくるのじゃないかということを心配しているわけでございます。
  203. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 この被害でございますけれども、首都圏の食糧基地といいますか、私は千葉県なので申し上げるのですけれども、千葉県においては二月二十三日現在で被害金額が十億九千五百万で、被害面積は一千三百ヘクタール。特に多いところは九つの郡部がありますけれども、安房の被害面積が一千六十四ヘクタール、被害額が六億八千万という数字が出ているわけです。この数字の上から見ると、いま審議官のおっしゃったように、雪に対する対応がなかったということが大きな被害をもたらしているのじゃないか。例えば四国であるとか九州であるとか、雪が降るだろう、降るだろうということで作付をすればこれはまた別です は、これならいけるのじゃないかという感じを受けましたので、ぜひそういうことで振興政策を強硬にやっていただきたいと思います。    〔委員長退席、理事北修二君着席〕  それで、たくさんあるのですけれども、もう二点だけちょっとお伺いしたいのです。  蚕糸振興のためにまず生糸と絹織物等の輸入削減、先ほど言いましたように三つぐらい大きな点はあるでしょうけれども、そのうちのまず第一が輸入削減ではないかと私は思うのです。しかし、生糸、絹織物、これは輸入自由化されておりますのでなかなか難しい面もあると思いますけれども、私は政府がこの点について非常に苦労され、この数年輸入削減の努力を続けていることはよく承知をしております。しかし、繭生産者としてはまだまだ輸入が多いという実感を持っているのはこれは確かでございます。そういうことでございますけれども、それにもかかわらず農水省は二月十四日に乾繭六百トンの輸入を公表したわけです。これは新聞に載っておりますけれども、どんな理由で余っておるのに輸入しなきゃならないのか。これは具体的にどうしてこうしなきゃならないのか。抽象的なお答えではなくてお答え願いたいのですが。
  204. 小島和義

    政府委員(小島和義君) これは繭に限りませんで、繭はもちろん生糸、絹糸、絹織物、ただいまの需給事情からすれば、これを極力減らしていきたいというのは私どもの願望でございます。恐らく通商産業省におかれても同じような思いでこの輸入圧縮に御協力いただいているものと考えておるわけでございます。  ただいまの繭でございますが、これもいわば自由化商品でございますから、かつては相当大量に輸入されておったわけでございます。五十三年ごろの数字で申しますと、約四千トンぐらいの繭が輸入されてきております。これが生糸になり、日本全体の生糸の需給事情を圧迫するわけでございますから、数年前から何とかしてこれを抑え込みたいということで、年々その輸入数量を減らす努力をしてきたわけでございます。  具体的な手段といたしましては、事前確認制度というものによって調整をいたしておるわけでございます。この事前確認数量の対象になっております繭のトン数でございますが、五十七年度の場合で申しますと九百トンぐらいということにいたしております。ことしは先ほど申し上げましたように、より一層需給が厳しいわけでございますから、それをさらに減らしまして六百トンということにいたしたわけでございます。したがって、繭につきましてもかつて相当日本に対して輸出をしておった国があるわけでございまして、いずれもこれは発展途上国でございます。日本にもっと買ってくれという大変強い外交的なアプローチがあるわけでございまして、その中で抑えに抑えてここまでした、こういうふうに御理解いただければありがたい次第でございます。
  205. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 それではまだこの件についてお伺いしたいのですが、最後に一点だけ、大臣がおりませんので局長からお答え願いたいと思います。  先ほど村沢委員の方からもお話がありました繭糸価格安定制度の問題ですけれども、これは昭和二十六年にスタートしたわけでございます。当初は、日本は生糸の輸出国であり、余剰生糸は輸出で消化することができた時代もあったわけです。しかし、現在では事業団の在庫が先ほど言いましたように十七万五千俵、借入金は千八百七十六億、一年間の金利、保管料、これは実に百六十億というふうになっておるわけです。この数字は間違いないですね。この事業団の運営方法も今後改善しなければならないと思いますけれども、いわゆる繭糸価格安定制度については、引き続きどうしても堅持する必要があるのではないか。いわゆる製糸業者などを守っていく立場からそうしなければならぬではないか、私はこういうふうに思うのですけれども、重ねてこの点について局長からはっきりとお答えをいただきたい。  これで質問を終わります。
  206. 小島和義

    政府委員(小島和義君) 繭糸価格安定制度の基本的なねらいといたしましては、糸の価格を安定させることによりまして国内養蚕を守る、こういう仕組みであろうと思います。現在のいわゆる価格安定制度、特に中間安定制度と申しますのは、需要の変動が循環的に来るということを前提として成り立っておるものだと思います。つまり、需要が落ち込みましたときには事業団が買い支えをする。しかし、いずれまた需要が増加いたしましたならばその手持ちのものを放出いたしまして供給を潤沢にすると同時に価格を冷やしていく、こういう前提で成り立っておるわけでございます。  最近の絹の消費の動向を見てまいりますと、五十三年ごろをピークといたしまして毎年毎年落ち込んできておるわけでございます。この趨勢がこのまま無限に続くのかどうか、それは何とも申し上げる段階ではございませんけれども、このように需要の落ち込みが続いていく、反発がないということになりますと、事業団が買い支えをして、いずれ需要の回復を待つという仕組みが根本的におかしくなってくるわけでございます。果たしてそうなのかどうかということがまた一つの論点でございますし、心配いたしておりますように需要がさらに落ち込んでいくということになりますと、ただいまのような安定制度ではなかなか対応し切れないという問題が出てくるわけでございます。この点につきましては、ただいま繭糸価格安定制度の研究会をつくって、学識経験者を中心に研究を願っておりますが、その結論を踏まえながら、制度についても今後考えなきゃならないと思っておるわけでございます。  いずれにいたしましても、基本的な考え方は糸値の安定を通じて養蚕を保護していく、こういう考えでございますので、その基本的な視点というものは私どもは常に念頭に置いて検討を進めるつもりでございます。    〔理事北修二君退席、委員長着席〕
  207. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 今後改善しなければならないという理由もわかりますし、また仕組みも私はよくわかっているつもりなのですけれども養蚕農家、それから製糸業者の立場を考えて現時点では堅持をしていく、こういうことに受け取ってよろしいですね。
  208. 小島和義

    政府委員(小島和義君) 内容につきましてはいま申し上げたように、いろいろ検討を煩わしている最中でございますけれども、価格安定を図っていくという基本的な考え方につきましては答申のとおりでございます。
  209. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 私は先ほど農林省の所轄の婦人対策事業についてお伺いをし、頭だけを先にいただきましたけれども、その前に緊急で大変申しわけないのですけれども、消費地における野菜の高騰に対する対策についていささかお伺いをいたしたいと思います。  昨日の新聞によりますと、農水省が消費地における野菜の高騰について緊急対策を講するという報道が出ているわけですけれども、この中身についてもう少し詳しく御説明を願いたいと思います。
  210. 小野重和

    政府委員(小野重和君) 去年の秋以来乾燥と低温が続き、またことしの一月十九日以降大変な降雪、それから低温でございまして、野菜の出荷が、生産もそうでございますけれども、減っておるわけでございます。このために野菜価格が大変上がっております。去年は大変豊作だったのでそのために低かったのですが、平年に比べても高いということでございまして、特に三月は端境期でございますので、三月期を中心に総合的な野菜価格対策をやりたいということでございます。  柱は四つございまして、一つは出荷団体あるいは集荷業者に対しまして出荷あるいは集荷の促進の指導をする、要請をするということでございます。  二番目は、野菜供給安定基金がバレイショ、タマネギを保管しておりますし、またキャベツなどにつきまして契約栽培をしております。これを集中的に放出する。  三つ目は、キャベツ、大根などの重要野菜につ がっておる、こういうことが最近の蚕糸関係状況を端的に申し上げた姿であるというふうに考えております。
  211. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 それはそれとして、それじゃこれは一体どうすればいいのか、この点はどうなのですか。
  212. 小島和義

    政府委員(小島和義君) 基本的にはその需給改善を図る必要があるわけでございまして、これまで数年間にわたりまして私ども考え得るありとあらゆる対策を講じてきたつもりでございます。  まず、比較的需要の多かった時代に入っておりました外国産の生糸、絹糸、絹織物といったものの輸入数量を圧縮するということをやってまいっておりまして、生糸で申しますならば、五十三年当時を一〇〇といたしまして二九%という水準まで、これは協定ベースの数字でございますが、圧縮をいたしておるわけでございます。それから絹糸につきましても五〇%ぐらい、絹織物については面積ベースで六割ぐらい、こういう水準まで輸入を減らしてきております。また、供給を圧縮するだけではございませんで、需要の喚起ということもぜひ必要なことであろうと思っております。  我が国の絹の需要は九割までが和服の需要でございます。最近、生活様式が変わってまいりまして、生活の洋風化と申しますか、着物離れの現象があるわけでございます。特に、若い人ほどそういう傾向が顕著でございます。その意味日本の着物のよさを認識してもらうということが必要でございますし、また若い人向けに着つけ教室とか、あるいは簡単に着られるいわゆるひとり立ち着物の開発、普及といったことも努力をしてきておるわけでございます。  それから、いつまでも和服だけの需要に頼るということでも問題でございますから、洋装でございますとか、あるいはインテリアでございますとか、そういう新しい需要の喚起ということも必要というふうに考えておりまして、先年改正していただきました繭糸価格安定法によりまして、新規用途等については事業団の在庫を市価よりも安く売るという制度をつくっていただいたわけでございます。その制度を活用いたしまして、これまでに全体で九千五百俵ほどの売り渡しをいたしておりまして、新しいものをつくって売ろうという方にはかなりな刺激的な効果があったのではないかというふうに考えておるわけでございます。そのほかに製糸業の構造改善でございますとか、あるいは大変物議を醸したわけでございますが、基準糸価の切り下げ、あるいは繭の計画生産の推進、いろいろ対策を講じてまいったわけでございますが、全体の需給の改善という目に見えた効果が出てまいりませんで、依然として需要が順次減っている、こういう中でございます。  その意味で、これまで国産の繭生産については余り手をつけないということで過ごしてまいったわけでございますが、ここまで事業団の在庫がふえてくるということになりますれば、大変この制度の維持というのが難しくなるような心配をいたしておりまして、本年産については相当な減産をお願いせざるを得ないのではないかと思っておりまして、現在生産者団体等と協議を進めておるという状況でございます。
  213. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 この不況の打開には、端的に言えばいろいろ方法はあると思いますけれども、需要の喚起とそれから輸入の削減と生産調整、こういうことになるかと思います。  通産省にお伺いします。  今、小島局長がいろいろ言っておりましたけれども、絹消費の中で、絹織物のうち着物の場合は大変消化されているようですけれども、現在では洋服に使われている分野は率直に言って残念ながら非常に少ないように思われます。  先日、私は有楽町に昨年できたジャパンシルクセンターですか、あそこへ行ってまいりましたけれども、これは安定事業団の助成事業と主要関係団体の分担金をもってつくられたというふうに聞いておりますけれども、正直な行ってみての感想としては、品物によっては高価な物が一部ある、これは確かにありますけれども、一般的に絹製品だから高いというこういうイメージは、あそこに陳列され、販売されているものを見ると、私はそうは感じませんでした。製品の見た目、耐久性、それから肌ざわりとか、また価格等々を考え合わせると、他の繊維製品よりずっといい感じを私は持ったわけです。しかし、一般的には絹製品というこういうことで高いというイメージがまだまだ消費者にはあるように思うわけです。したがって、今言った需要拡大のためにはさらに流通経路の見直し、そして適正な価格で売れるようにすれば需要はふえるのではないかというふうに思うわけです。流通経路の改善とそれから販売促進のPRの点については通産省としてどういうふうに努力されてきたのか、またこれからどうされるのか。簡単で結構でございます。
  214. 竹内征司

    説明員(竹内征司君) ただいま絹の需要をもう少し洋装方面に拡大してはどうか、こういう御意見と、そのための流通機構の整備という御質問でございました。  洋装需要の拡大につきましては、私どもの方も、今後絹の需要が伸びるとすれば洋装方面であろうということで、新製品の開発に対する助成措置とか、あるいはシルクフェアの開催とか、ニューヨークで展示会を開きましたし、いろいろその分野の拡大策を図っておるわけでございます。ただ、洋装分野になりますと、どうしましてもやはり他の繊維との競合というのが非常に厳しい状況になってきます。したがいまして、他の繊維と比べて絹がどれだけ品質的に価格的に、その他デザイン的に魅力のある商品を提供できるかということにかかっておるのではなかろうかと思います。なお一層努力したいと思いますけれども、一朝にして急激に伸びるということが望めないような状況にあるわけでございます。  また、流通問題でございますが、絹の流通事情、流通段階というのは非常に多段階にわたっておるという点はよく言われるわけでございますけれども、それぞれの段階におきまして大変苦労しながら売っておるというふうな状況でございます。それほど利益率も高くないというふうな状況、あるいは絹の需要が減少しておるという状況で、どうやって売れるのかということを苦労しておるわけでございます。しかしながら、絹の流通段階の多段階の問題はこれは絹だけとは限りませんで、繊維製品一般がそういうふうな流通段階が多段階にわたってございます。  なぜそういうふうになったのかということでございますが、やはり繊維製品全般といたしましては流行がある、あるいは売れ残りができる、そういうものをどうやってリスク分散していくかという点もございまして、流通経路の短縮がすなわち需要の拡大にすぐ結びつく、あるいは安定に結びつくということにはならないところが非常に難しいわけでございます。長い歴史的経緯の過程から生まれました経路でございます。これを一朝一夕で変えるということは非常に困難かと思いますけれども、我々といたしましては、繊維産業全般の流通の近代化という点につきましては、これは全般の問題として今後ますますやっていかなければならないと思っておる次第でございます。
  215. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 PRは。
  216. 竹内征司

    説明員(竹内征司君) PR関係につきましても、洋装関係でございますと、まず商品をつくりましてそれを展示していくということが非常に重要でございます。したがいまして、その展示会を国内及び海外におきましてやっておるわけでございます。海外というのは大体ニューヨークだけでございます。そのほか政府の直接補助ではございませんけれども、都内の各百貨店あるいは近畿の各百貨店の御協賛を得ましてシルクフェアを開催いたしまして、その期間を通じまして百貨店協会等におきまして積極的にPRしていただいているという状況でございます。
  217. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 日本の技術というのは世界に最たるものがあるわけですから、流行があれば流行に乗っていけばいいのであって、そんなことは私は心配することはないと思うのです。需要拡大のためにPRをしっかりやっていく。私の見た感じで 家の健全経営をどう確保していくか、こういう問題意識でございます。  三番目には、農家特有の問題といたしまして、生産と生活の場が同一の空間で営まれているということがございますので、その生活空間をどのように改善、合理化するかという問題でございます。これは生産空間の改善という問題と調和をとりながら進める必要があるわけでございまして、具体的に申し上げますならば、住居でありますとか、あるいは生活に関連する諸施設を改善していく、こういったことについての役割というものがあるのではないかと思います。  大変抽象的で申しわけございませんが、包括的に申し上げれば、以上のようなことが農家における婦人のために今後力を入れていくべき分野ではないか、かように考えております。
  218. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 それでは、さらに細かく生活改善普及事業のことについてお伺いいたしますが、この生活改善普及事業の五十九年度予算が減額になっておりますけれども、この理由はどういうところにございましょうか。  私の考えでは、こういう時期にも到来いたしておりますし、婦人問題には特に力を入れていただきたいということで、この減額は大変腑に落ちないわけでございますが、その点御説明をお願いします。
  219. 小島和義

    政府委員(小島和義君) これは五十九年度予算編成に当たりまして、政府の一つの統一的な方針がございます。補助金に関して申し上げるならば、一律一〇%カットという各省通じての統一的な方針があったわけでございます。この生活改善関係の予算も、生活改善普及事業の交付金を除きましてはかの経費は、そのほとんどが補助金になっておるわけでございます。その意味で、一定割合の削減は免れなかったわけでございますが、ならして一〇%と言っておる中では、この予算は六%程度だったとたしか記憶いたしますが、できるだけ減額率を低くとどめるようにいたしたつもりでございます。  なお、内容的には、これまでやっておりました事業が終了いたしまして減額になるという部分もございますので、決して六%というのは頭から決まってきたということではございませんで、積み上げの結果そういうふうになったというふうに御理解いただきたいと思います。
  220. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 私が厚生省から出ている国民健康調査で調べさしていただいたところによりますと、農家世帯の有病率は年次を追ってふえてきているということで、五十一年ごろまでは都市部の方が有病率は多かったのが、五十二年ごろからは漸次郡部の方に有病率がふえてきているという実態がございます。それからまた、一般勤労世帯よりも農家世帯の方に有病率が高くなってきているという調査もございます。  それからまた、農水省の農林婦人等健康推進特別事業報告の中では、農村婦人の健康について調べた結果で、おのが健康を異常なしと答えた者が四一・一%、あと要注意、要治療を含めて五八%の人が何らかの健康の異常を訴えているという実情があるようでございますけれども、こういう実情を踏まえてこの生活改善普及事業の中の健康対策の事業についての推進方、やはりこれも予算減額になっているわけですけれども、どんなふうになるのでございましょうか。
  221. 小島和義

    政府委員(小島和義君) ただいま御指摘のございましたように、農村婦人の疾病状況と申しますか、大変高くなってきております。これには一つには、農家の中における高齢者と申しますか、この割合が一般の家庭よりは高いという年齢差がございますから、一概には言えないのでございますけれども、多年にわたって農作業、家事に従事してこられた御婦人の方が高齢になって障害が出てくるということが十分あり得ることだと思っております。その意味で私どもも、この農村の婦人対策、生活改善事業でもそうでございますが、健康対策というのは一番の目玉と申しますか、重要なアイテムだと思っております。いかなる経営、いかなる生活といえども、やはり主婦の健康ということなくしては保ち得ないということでございます。  具体的な対策といたしましては、まず農業の方の問題があるわけでございまして、農業それ自体の進め方において過重な労働をしなくて済むようなシステムを考えたい、これは農業生産対策の重要な柱であると考えております。  それから、生活の領域におきましても、食生活の問題あるいは日常の時間管理の問題、その他健康に関連いたします幾つかの指導項目があるわけでございまして、それらを重点的に普及事業の項目としていきたいと考えております。  それから、最終的には医療という問題が出てくるわけでございまして、私どもは直接農村における医療にタッチする仕事をいたしておりませんので、これは厚生省初め関係のところとよく連携をとりまして、その医療とか保健とかという面からの指導ないしは治療活動というものと私どもの握っております健康のための普及対策をうまく調和させ、連携をとりながら進めていくというふうに考えております。
  222. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 今、局長が言われたことはもっともなことでございまして、私はそういう意味からも農村における婦人の生活指導というようなことが大変重要な役割を持っているというふうに思い、その任を担う生活改良普及員の存在を大変重要な役柄だというふうに思っているわけでございますが、この生活改良普及員の職員数もここ五年の資料を見ますと減っていっているように思うのですけれども、この実態はどうなのでしょうか。
  223. 小島和義

    政府委員(小島和義君) これは生活改良普及員だけではございませんで、一昨年まで農林省においていろいろな種類の補助職員制度を抱えていました。私ども国家公務員もそうでございますが、数次にわたっていわゆる定員削減というのを実施してきておるわけでございまして、補助職員につきましてもほぼ同様の率で逐年補助対象人員を減らしてくるということが行われてきたわけでございます。かつて、たしか生活改良普及関係職員が二千二百人程度おったかと思いますが、最近時点では二千人をちょっと割っているというようなことに相なっておるわけでございます。  そこで、実は臨時行政調査会でもこの補助職員のあり方につきまして大変厳しい指摘がございまして、このままいきますと補助職員であるがために事柄の重要性とは別個にどんどん人間が減ってくるという心配もございまして、昨年通常国会におきまして農業改良助長法を改正していただきまして、普及事業につきましては一括の農業改良普及事業交付金という形にしていただきまして、予算定員上どんどん人が落ちていくということは避けるようにいたしたわけでございます。もちろん予算定員に匹敵するものがなくなったわけでございますから、どれだけの人を置くかということは挙げて都道府県の御判断にゆだねられるということになります。考えようによりますと、それは大変いい結果を生む場合もございますし、逆に県の方針いかんによりましてはどんどん減らされていくという場合もあり得るわけでございます。  そこで、法改正に当たりまして、国がこの普及事業の運営につきましての基本方針を示しまして、県がそれを受けましてまた運営の計画をつくる、そこで両者すり合わせまして、具体的な人数を指図するという仕組みになっていませんが、国の考えと各都道府県の考えがうまく調和をされまして、この事業全体が円滑に進められるようにという法的な手当てをしたわけでございます。この結果どういうふうに人員配置が動いていくかということはこれからの問題でございまして、一方で指導を進めながらその行方を注意深く見守りたいというふうに考えております。
  224. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 そうすると、農業改良助長法改正の結果、予算措置が変わったことに関する結果はまだつかめないわけですね。私は改悪ではないかというふうに思ったりもいたしますのですけれども、いかがなものでしょうか。
  225. 小島和義

    政府委員(小島和義君) これは改良助長法の改正の際にも私は申し上げたのでございますが、い わゆる定率の人件費補助と申しますか、これはこれなりに大変安定した、助成制度としてはすぐれた点を持っているということは私も否定するつもりはございません。ただ問題といたしましては、補助職員全体についてかなり厳しい批判が出てきておる。この中で改良助長制度をどうやって維持さしていくかという視点に立ちますと、ただいまの交付金側度もあながち悪い点ばかりではない、むしろ制度の安定性という点から見れば相当にいい点もあるのではないか、こういう判断をいたしまして、長短両方の面を比較検討いたしました結果改正に踏み切ったという経過でございます。したがいまして、この結果どういう定員の趨勢をたどるかという問題は今後において見きわめなければならぬ問題だというふうに考えております。
  226. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 私は生活改良普及員制度を大変重視いたしてぶりまして、今後ともこの問題に関心を寄せていきたいというふうに思います。  それから、「国連婦人の十年」の国内行動計画後期重点目標を農林水産省の立場でつくられてございます。三点ございますけれども、この三点についておおむねどんな状況と把握なさっていらっしゃいますか。
  227. 小島和義

    政府委員(小島和義君) お話がございましたのは、一つは婦人が農業技術の高度化とかあるいは経営の多角化に対処した知識、技術を十分発揮できるように農業経営技術等に関する普及指導の充実を図るという問題がまず第一点でございます。  この点につきましては、先ほど申し上げましたように、従来農業改良普及事業、生活改善普及事業と別々の体系、別々の助成の仕組みを持っておりましたけれども、予算面で交付金ということで一体化いたしたのみならず、具体的な現場の指導といたしましても両普及事業が一体的に普及事業に当たるということで婦人に対する農業面の普及指導活動が従来にも増して強化されることになろうというふうに考えております。  それから二番目の問題は、農業生産、農家生活の担い手であります婦人が住みよい環境の中で適正な労働に従事して健全な生活を営むことができるように作業条件の改善等、農村生活全般にかかわる総合的な指導を行うということでございまして、先ほど私が申し上げましたようなことがすべてこれにかかわる問題でございます。健康対策などもまさにこのアイテムに含まれる問題だと思います。  それから三番目の問題でございますが、婦人の自主的な社会参加を進めるための慣行の見直しでありますとか農業委員会、農協等の委員、役員等に積極的に参加できるような環境づくりのための啓発指導を行う、こういうふうなことが述べられておりまして、これは実は農村のいわゆる慣習にかかわる問題でございまして、なかなかその事態を変えていくことが難しいテーマでございます。難しいテーマと知りつつあえて挑戦をいたしておるわけでございまして、いろいろな農協の役員とかあるいは農業委員等に対する婦人の参加状況等を眺めてみますと、なかなか目に見えるほど顕著なものはない状況でございます。これからも関係の部局と連絡をとりながら、要はやはりそれぞれの地域における意識の問題がございますので、行政の力ばかりではなくて、いろいろな社会啓発活動を通じまして改善を図っていく、こういう問題だろうと思います。
  228. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 婦人対策がなかなかいい方向には進まないというようなお話もございましたけれども、今後ともそういう問題についてぜひお力を入れていっていただきたいと思います。  それから、最後総理府にお伺いいたしますが、ただいま農水省の方のお答えがありましたけれども、来年の批准に向けて国内法整備等でいろいろ動いている中で農林省所轄の婦人対策をどのようにとらえていらっしゃいますでしょうか、お伺いいたします。
  229. 松本康子

    説明員(松本康子君) 農山漁村の婦人の福祉と地位の向上につきましては、やはり国内行動計画の重点実施事項の一つでございますので、特にただいま農林省の方からお話のありました三点につきまして一層推進が図られるように期待しているところでございまして、私どもも今後とも省庁間の連絡を密にいたしまして目標の達成に向けて鋭意努力してまいりたいと考えております。
  230. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 いずれにいたしましても、細かく連絡をとり合いながら農山村の婦人の地位向上、福祉充実ということに力を入れていっていただきたいことを希望いたしまして、質問を終わります。
  231. 下田京子

    ○下田京子君 ちょっと待ってください。経済局長食糧庁長官もいないのです。それじゃ始められませんから、見えるまでよろしく。
  232. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 速記をとめて。    〔午後三時五十八分速記中止〕    〔午後四時十五分速記開始〕
  233. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 速記を起こして。
  234. 下田京子

    ○下田京子君 農産物交渉問題がもう本当に最終段階に来たのではないかということで、いろいろ問題がございますけれども、今局長が見えないので、来週早々に塚田審議官が訪米されるということもございますので、農産物交渉の基本的な姿勢についてだけまず一点ただしたいのです。  御承知のように、米側要求が余りにも不当で、このまま農産物市場開放ということに応じたら大変だというのは農業関係者、生産者はもとよりのこと、消費者の側からも大変な不安とそれから怒りの声が広がってきているのは御承知だと思います。  特に私が今尋ねたいのは、農産物を際限なく自由化することに不安を持っているのが生産者だけでなくて消費者も含めてだ。できるだけ自給率を高めて、国内で安定的に安全な食糧を供給してほしいというのが大きく広がっていることは御承知だと思うので、その辺をきちっと踏まえた上で対応されていると思うのですけれども、いかがでございましょう。
  235. 塚田実

    政府委員(塚田実君) 牛肉、かんきつの貿易交渉問題につきましては、御案内のように一昨年の十月からもう一年半以上にわたって、五回になりますけれども日米間の事務ベースで協議を行ってきたところでございます。私も今御指摘のように来週早々アメリカに立ちますけれども、このように五回も一年半にもわたって協議を行っておりますということ自体は、協議の内容が非常に厳しくかつ激しいものがあるからであります。  私どものこの交渉に長い間当たっております基本的な考え方を申し上げますと、この交渉におきましては、何はともあれ我が国の農業を守るという立場を堅持しておりまして、今後ともこの態度は崩す気持ちは全くありません。それから当委員会を初め全会一致による衆参両院の委員会決議、一昨年の五月でございますけれども、あります。それから本年一月にはやはり両委員会から申し入れがありまして、そういう趣旨を踏まえまして農業者犠牲にならないように今後とも農業を着実に発展さしていく、そういうことを念頭に置きまして対処して交渉に当たっていくという決意であります。
  236. 下田京子

    ○下田京子君 今おっしゃったのは当然大事なことですが、私が今述べましたのは、農業者生産者のみならず消費者も特に安全な食糧を安定的に確保せよ、この辺は大事なのですから踏まえておやりになっているのでしょうねということで質問したつもりでございます。当然踏まえておやりいただけるというふうに信じております。  そこで、食糧庁長官にお尋ねしたいのですけれども、実は緊急な問題といいますか、最近殺虫剤でありますEDBの薫蒸問題が大きなマスコミの一つにも取り上げられておること御存じだと思います。  昨年九月の三十日にアメリカの環境保護局がこのEDBの土壌薫蒸を即時中止というふうなこともありまして、私も当委員会で十月五日でしたか、質問しました。そのことによって、政府の方も土壌薫蒸の実態がどうなのかということで調査をしたが、検出されなかった。しかし、今度は実際に野菜やなんかに、土壌薫蒸がやられているその時期にまた新たにやるのだ、こういうお話も聞い ております。  そこで私が伺いたいのは、先般、穀物、特に小麦のEDB薫蒸のことが問題になってきているわけです。これはなかなかまた新しい問題なのです。それだけに米側で実際に穀物、特に小麦玄麦について、EDB薫蒸されている量がどのぐらいあるのか、その実態を把握されておれば御報告ください。
  237. 松浦昭

    政府委員(松浦昭君) アメリカ側におけるEDBの薫蒸の状況でございますが、御案内のように、米国の環境保護庁は本年の二月三日に、貯蔵穀物の薫蒸用としてのEDBの即時禁止を決定したということは御承知のとおりでございます。それで、現在はこれは使用されていないというふうに考えております。  ただ、使用禁止以前において穀物薫蒸用といたしまして、わずかでございますがEDBが使用されている模様でございまして、米国環境保護庁の推定によりますと、一九八三年におきましてEDBで薫蒸処理されている穀物の数量は、小麦で一億六千万ブッシェル、トウモロコシで千四百万ブッシェルということになっております。
  238. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 申し上げます。  理事間で協議いたしました結果、下田君の事務当局に対する残余の質疑は、喜屋武君の質疑の後続行していただきます。  なお、政府委員に申し上げます。委員から要求のあった時間に不在ということは大変遺憾であります。厳重に注意をいたします。
  239. 下田京子

    ○下田京子君 委員長、質問続行させていただきます。それは強制的です。(「それは理事間で協議したのだから」と呼ぶ者あり)理事会といって、私も理事のオブザーバーですが、一メンバーです。本人抜きで勝手に決められたところで、本人の問題です。とんでもないでしょう。
  240. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 理事間で協議した結果です。
  241. 下田京子

    ○下田京子君 すべてそういう形で委員会の運営をやられたらどうなりますか。
  242. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 下田君、後にしてください。田渕哲也君——喜屋武君の後に続行してください。
  243. 下田京子

    ○下田京子君 それはもうだめです。(「協力してください。」と呼ぶ者あり)協力といって、本人に一言もまだないでしょう。今の理事会も本人を除いて勝手にお決めになったお話じゃありませんか。
  244. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 下田君、次のあれをしますから。
  245. 下田京子

    ○下田京子君 それはいけないです。
  246. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 田渕哲也君。
  247. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それでは、私の質問をさしていただきます。  まず、国有林野事業についてお伺いをしたいと思います。  国有林野事業は、現在極めて厳しい状況にあるわけですけれども、そういう中で、国有林野事業改善特別措置法に基づく国有林野事業の経営改善はどのように進んでいるのか。今までに四営林局の支局化あるいは十六営林署の統合、廃止を実施したと聞いておりますけれども、その結果がどれだけ経済的効果、経営改善に対する効果を上げておるか。また、それが職員の労働意欲や地域社会の評価にどうつながっておるのか、この点についてまずお伺いをしたいと思います。
  248. 秋山智英

    政府委員(秋山智英君) 営林局署につきましては、昭和五十二年十二月の閣議決定に即しまして統廃合を進めてきたところでございます。営林局につきましては、昭和五十三年度に、北海道の五営林局を一営林局、四営林支局に再編整備を行いました。また、営林署につきましては、五十三年度に九署、五十六年度に七署、合計十六署の統廃合を実施してきたところであります。この営林局署の統廃合は直ちにその効果が発現するものではございませんが、長期的に見ますと、間接管理部門の簡素化、間接経費の節減という面につきまして効果があると考えております。  営林局署の統廃合につきましては、従事する職員は国有林野事業の厳しい現状としてこれを受けとめまして、この難局を克服すべき意欲を持って職務に当たっていると私ども認識しているところでございます。また、地域社会におきましては、当時国有林野事業の後退というふうに受けとめる向きもあったわけでございますが、統廃合実施に当たりましては、地方公共団体などの理解と協力を得るように最善の努力を払うとともに、国有林野事業の機能の低下を来さないように、また地元関係者に対するサービスの低下を招くことのないように配慮して行ってまいっておりまして、地元の御理解は得ているものと考えておるところでございます。
  249. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 事業所もかなりの数が整理統合されておるわけです。この実情はどのようになっておりますか。
  250. 秋山智英

    政府委員(秋山智英君) 事業所につきましては、長期にわたりますところの事業規模というものを見通しまして、その事業の機能的能率性というものを勘案いたしまして、昭和五十三年度当初千二百十四事業所あったわけでございますが、五十七年度までの五カ年間に二百六十三カ所の統廃合を行ってきたところでございまして、これによりまして総体的に作業能率の向上、経費の節減が図られたところでございます。
  251. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 さらに、定員内、定員外含めて人員、要員もかなり減っておりますけれども、その状況もお伺いをしたいと思います。
  252. 秋山智英

    政府委員(秋山智英君) 国有林野事業の経営改善にとりまして、要員規模を適正化するということは極めて重要な課題でございます。五十三年度以降でございますが、国有林野事業の改善に関する計画に基づきまして、高齢者の退職促進、新規採用の抑制などによりまして五十七年度までに約一万人の縮減を行いまして、五十三年度当初約六万五千人でございましたが、五十八年度当初には約五万五千人となっております。
  253. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 非常に急ピッチに営林局あるいは営林署の統廃合というものが行われておるわけでありますけれども、またさらにこの五十九年度の予算編成に当たりまして、十九営林署プラスアルファの統合、廃止が計画されておる。それからさらに、要員も中曽根総理が公務員全体で三千九百名の削減という方針を出されたけれども、林野庁だけでそのうち千七百人というふうに言われておるわけです。こういう急ピッチに削っていっておることが果たして経営改善につながってきておるのかどうか。少なくとも今までの傾向では、損益の状況も余り改善されておらないと思うわけですけれども、この辺の見通しはどうですか。
  254. 秋山智英

    政府委員(秋山智英君) 国有林野事業がその使命を十分に全うしていくためには、何と申しましても経営の健全性というものを確立することが不可欠の要件でございまして、今後とも一層この経営改善努力を重ねていく必要がある、かように考えておるところでございます。特に、現在の財政を見てまいりますと、業務収入で人件費が賄い得ないというふうな実態がございまして、そういう面から見てまいりましても、組織の簡素合理化、要員の縮減というものは、私どもは避けて通れない課題であると考えております。  先般の臨時行政調査会からも、また林政審議会からも、これを強く求められておるところでございます。しかしながら、やはり国有林の内容を見てまいりますと、これは財政事情が悪化したゆえをもちまして国有林野事業の管理経営をゆるがせにするということはあってはならぬことでございます。したがいまして、今後私どもは作業能率の向上とかあるいは事務の改善、合理化などを積極的に進めまして、緑資源の確保の問題、国土保全を全うするといういわゆる公益的機能の発揮に遺憾のないようにしてまいりまして、国有林野の経営の万全を期してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  255. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私は、事業の合理化とかあるいは行政改革の趣旨に沿った効率化ということに反対するものではありませんけれども、余りにもこれは目先のつじつま合わせということにとらわれ て、肝心のところで大きな問題点があるような気がするわけです。  一つは、国有林野事業というのは確かに木材生産という目的もありますけれども、もう一面では、やはり緑資源の保全あるいは治山治水、そういった意味での役割も果たしていかなくてはならないわけです。それを主として木材の伐採によってその費用を賄うということ自体まず基本的に無理があるのではないかということが第一点です。  それから第二点は、やはり林野事業というのはかなり長期にわたる事業でありますから、短期だけのことを考えて対処すると将来に禍根を残すのではないかということであります。確かに最近は材価も下がっておりますし、それから伐採量そのものも減ってきておる。伐採量が減ってきておるのは、やはり過去の乱伐ということがたたっておると思うのです。しかし、長期的に見てもあと十年ぐらいすると森林が育って伐採量もどんどんふえていく。それで現在のように林野関係の要員の削減というものは七人退職して一人しか補充しない。これは他のところに比べても極端にひどいわけです。ほかの三公社五現業の場合に比べても林野はもう極端に落ち込んでおります。それから新規採用がこれだけ少ないということは、十年後の林野事業の対応ということを考えた場合に、果たしてそのときに対応できるだろうか。  まず第一が森林の保全、治山治水に果たす役割、そういうものと木材生産のあれで賄うというやり方そのものにまず問題があるのじゃないかということと、それからもう一つは、長期的に見ていまのやり方がどうかという不安があると思うのですけれども、いかがでしょうか。
  256. 秋山智英

    政府委員(秋山智英君) 五十三年から私どもは経営改善に取り組んでまいっておりますが、これは先ほど触れましたように、国有林が持っておりますところの使命を果たすために健全性を確保しょうということでございます。したがいまして、五十三年からは御承知のとおり保安林の造林であるとか基幹林道の繰り入れであるとか、あるいは治山事業につきましては一般会計から全部繰り入れるというようなことで、それなりに一般会計からの繰り入れも入れてもらい、しかしながら将来におきましては、やはり国有林野事業は現業としてこれを将来までもちろん充実強化しながら使命を果たしていくわけでございますので、そういう中での健全性の確保こそ私どもは極めて重要であると思っております。  それからもう一つ、今御指摘の脊梁山脈地帯の不採算株分の問題等もあるわけでございますが、これにつきましては、やはり私どもは早急に森林の持っています機能につきましていろいろと調査をいたしまして、その機能をより発揮するためにはどういう形で森林の取り扱い方をすべきであるとか、あるいは経理区分をどうすべきであるかというようなことを検討いたしまして適切な対応をしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  257. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それから問題なのが、もう今ちょうどこの時期が迫っておるわけですけれども、期末手当の問題なのです。これはいつも林野事業の経営内容がよくないということで連続的にカットされております。しかし、林野事業の赤字というものの構造的ないろいろの面もあると思います。非常に厳しい人員削減、あるいは生産性も徐々に向上してきておるわけでありますけれども、そういうシビアな努力をしながらやっておる職員が、赤字だからという理由で毎年その期末手当をカットされるようなことではこれは意欲にかかわるし、それからこれからもさらにこの厳しい合理化が続く中で果たしてそれに対する協力ということができるだろうか、これも疑問を持つのですけれども、この点はいかがですか。
  258. 秋山智英

    政府委員(秋山智英君) これからも国有林野事業は大変厳しい道でございますが、経営改善を推進するに当たりましては、職員一人一人がやはり意欲を持って積極的に取り組むことが極めて重要であるというふうに私ども認識しております。  今先生から御指摘の年度末の手当でございますが、本年度におきますところの年度末手当につきましては、公務員の給与をめぐる世論の動向であるとかあるいは国有林野事業の財務状況というものを総合的に勘案いたしまして、現在真剣に取り組んでおる段階でございます。
  259. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 林野事業というものがやはり先ほど言いました森林管理とか国土保全といった面も含んでおる。それから長期的に見てたまたま伐採量が減っておるというようなことで現在赤字になっておる。だからといって、私はほかの赤字の公社と同じようにカットするということ自体ちょっと問題があるのじゃないかと思います。しかも今非常に厳しい合理化をほかのところより数倍のテンポで実施しておる最中でありますから、この点はぜひ配慮をしていただきたいと思います。
  260. 秋山智英

    政府委員(秋山智英君) ただいまの御意見を十分拝聴いたします。
  261. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それから最後に、桜島の降灰対策についてお伺いをします。  これは、昭和四十七年以来桜島の噴火によって降灰が続いておるわけですけれども、これの被害がもちろん林野のみならずいろいろなところに出ておるわけであります。特に冬場は風向きによって大隅半島あたりがもう降灰で、特にこれが林野の事業に対して非常に大きな影響を及ぼしております。五十四年にも民社党も視察をしまして、そのときに日林労からの要求が出されております。労働者の健康管理、通勤対策、避難対策、宿舎の整備等々の要求が出されておりますけれども、まだ完全にこれが実施されていない部分が少し残っております。  私も先日現地を視察しまして、実際の作業状況を見ましたけれども、やはり作業をすると灰がばあっと当たってあたりが見えなくなるぐらい。それを防ぐためにマスクをしておりますけれども、マスクの周りが真っ黒になるという状態であります。したがって、前回目林労から要求された事項をぜひ完全実施していただきたいと思います。いかがですか。
  262. 秋山智英

    政府委員(秋山智英君) 今御指摘の桜島の降灰に伴う対応でございますが、私どもはこれまでもやはり現地の実態に即応しまして、臨時健康診断の実施であるとか、降灰状況を勘案した作業箇所の変更であるとか、アノラックとかあるいは安全地下足袋、マスクというふうなものの備えつけもやってまいりましたし、また庁舎の冷房化あるいは公務員宿舎の窓枠のサッシ化というようなものもやってまいったところでございますが、私どもは今後も降灰の状況等を十分検討しながら適切に対処してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  263. 下田京子

    ○下田京子君 質問が中断されまして、先ほど食糧庁長官から米国における小麦についてのEDBの薫蒸の量が御報告ございました。一億六千万ブッシェルということですが、これは日本に換算しますと四百三十五万四千トンということになろうかと思います。この実態はいつどのようなルートでお調べになったのでしょう。
  264. 松浦昭

    政府委員(松浦昭君) 私どもに小麦を初めといたします輸入食品中の残留農薬の検査を所管している厚生省の方からこの問題について連絡がございました。これは二月の初めごろでございます。その前から実は私どもアメリカの動きには注目をいたしておったところでございます。そこで私どもアメリカ政府に問い合わせをいたしておりましたが、先ほど申しました数字につきましては、実はいろいろと調査をいたしてみましたけれども十分わかりませんで、最終的にはきのうこの数字をつかんだ次第でございます。
  265. 下田京子

    ○下田京子君 昨日数字はつかんだ、どんなルートでつかみました。
  266. 松浦昭

    政府委員(松浦昭君) 私どもは新聞の報道等の非公式な資料はございましたけれども、国会の御審議に要する資料でもございますので、米国環境保護庁の発表が適当と考えまして、昨日急を要するために情報機能の十分なアメリカのポートランドに駐在する商社に調べさせまして、それでつかんで御報告申し上げた次第でございます。
  267. 下田京子

    ○下田京子君 輸入商社を通じて緊急につかんだ。そういう状況ですと、実際に輸入されている小麦の玄麦の中でEDB薫蒸された量が日本にどのくらい入っているかということは数字的におわかりになりませんね。
  268. 松浦昭

    政府委員(松浦昭君) それはわかりません。
  269. 下田京子

    ○下田京子君 厚生省にお尋ねしたいのです。  ただいまの小麦に関するEDB薫蒸の実態なのですけれども、これはいままで水際でチェックをやられておったのでしょうか。特に厚生省の場合に、年間数千万トンの輸入食品が入ってくる中で、六十一人の職員で全国十六のチェックポイントで本当にどうなのだろうかといろいろなことも言われている中なのですが、実態はどうでございましょう。
  270. 玉木武

    説明員(玉木武君) お答えいたします。  ただいま先生から御質問のございましたのは、輸入穀類であろうと考えております。現在、穀類の中の米穀及び麦の輸入につきましては、食糧管理法に基づきまして食糧庁が一括購入されております。その際に、食品衛生法に適合していることを条件とされておられます。この条件を確保するために食糧庁では従来から輸入者に残留農薬の検査をさせており、輸入穀類の安全性は確保されていると考えております。  以上でございます。
  271. 下田京子

    ○下田京子君 残留農薬のことを私は伺っているのではなくて、EDB薫蒸した小麦を水際でチェックするのは厚生省の役割だと思います、それをおやりになっていましたかと聞いているのです。
  272. 玉木武

    説明員(玉木武君) EDB薫蒸で特に問題になっておりますのはかんきつ類と穀類、特に小麦類、であろうと考えております。小麦類につきましては先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。かんきつ類につきましては、我々が所管しております検疫所の食品衛生監視員がチェックを一〇〇%いたしております。  以上でございます。
  273. 下田京子

    ○下田京子君 私はかんきつなんて全然聞いていないのです。小麦についてチェックしていましたか、していないでしょう。
  274. 玉木武

    説明員(玉木武君) それは先ほど申し上げましたように、小麦については食糧庁の方でおやりでございます。  以上でございます。
  275. 下田京子

    ○下田京子君 EDB薫蒸も含めてそれは食糧庁がということはないでしょう。水際チェックはおたくの方でやるでしょう。何を言っているのですか。
  276. 玉木武

    説明員(玉木武君) 失礼しました。今のは農薬問題でございます。
  277. 下田京子

    ○下田京子君 そうです、EDBのことをついているのです。どうなのですか。
  278. 玉木武

    説明員(玉木武君) 先ほどの小麦の問題は、農薬問題について食糧庁の方でチェックをされております。EDBの問題は、先ほど御答弁が農水省からございましたように、近ごろわかったわけでございますからチェックはされていないように聞いております。
  279. 松浦昭

    政府委員(松浦昭君) ただいま厚生省の方から御答弁ございましたけれども、ちょっと私どもとの関係を申し上げますと……
  280. 下田京子

    ○下田京子君 結構です。しているかしていないかだけでいいのです。
  281. 松浦昭

    政府委員(松浦昭君) 実は二月の初め十日ごろに、輸入小麦の残留EDBにつきまして厚生省が検査を行う方針で検討しているからサンプルを提供してほしいというお話がございましたので、私どもはこの御依頼にこたえた次第でございます。さようなことで私どもは厚生省に協力をいたしております。
  282. 下田京子

    ○下田京子君 農水省の方は、厚生省から初めて今回サンプル調査をという依頼があって協力をしたと。  厚生省にお尋ねしますが、そういうことでサンプル調査した結果、輸入小麦の玄麦について、調査件数とその結果について詳しく御報告ください。
  283. 玉木武

    説明員(玉木武君) これは玄麦類とそれから最終食品について……
  284. 下田京子

    ○下田京子君 玄麦だけでいいです。
  285. 玉木武

    説明員(玉木武君) よろしゅうございますか。  玄麦類につきましては検体が十二検体やっております。その中で最高が一四〇ppb、〇・一四ppmでございます。最低は全然検出いたしておりません。  以上でございます。
  286. 下田京子

    ○下田京子君 詳しく言ってくださいと申し上げたのですが、十二検体のうちアメリカのものが十検体で、うち検出なかったのが一検体、あと九検体は検出され、いまのお話のように最高が一四〇ppb、他の二検体はオーストラリアとカナダのもので、これは検出されずということでよろしいですね。
  287. 玉木武

    説明員(玉木武君) そのとおりでございます。
  288. 下田京子

    ○下田京子君 そこで食糧庁にお聞きしたいのですが、先ほどのお話ですと、アメリカでEDB薫蒸数量がわずかに六%程度だというお話がありました。実態はいまのようにアメリカのもの十検体のうち九検体から出たということなのです。さっきも聞きましたけれども、緊急なもので私が質問するということで、アメリカ輸入商社に問い合わせて数量をつかんだということですから、これではやはり責任を持つ態度とは言えないと思います。実態を外務省ルートを通じて正確に調査し、報告をいただきたいと思うのです。これはもう大臣お答えいただかなきゃならないと思うのですが、本当に今のお話はなかなかお答えをくれなかったのですが、お答えできないというか、何か初めて聞いて私もびっくりしたのですけれども政府責任を持って調査して報告すべきだと思います。大臣
  289. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) ちょっとこちらが先にやって次にやります。
  290. 松浦昭

    政府委員(松浦昭君) 実はこの問題がございましてから、ただいま申し上げましたように食糧庁といたしましては厚生省からの御依頼に基づきましてサンプルも提供いたしまして、水際でのチェックをしていただくということもいたしてまいりましたし、またアメリカの機関に対しましても、私どもはこのような問題を聞いているがどうなっているのかということで先方に対して問い合わせもし、また依頼もいたしております。さらにまた、厚生省を通じて情報の入手もいたしておったところでございますが、なかなか正確な情報が入らなかったというのが現状でございました。さような私どもはいろいろな努力はいたしていたことはひとつ御理解をいただきたいと思います。
  291. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 早速外務省を通じてできるだけ詳しいデータを取り寄せます。
  292. 下田京子

    ○下田京子君 大臣、事は重大なのです。今食糧庁長官は、それから厚生省もそうなのですけれども、物事をすりかえているのです。農薬についてのチェック体制はあったし、チェックしているのです。EDB問題についてはやっていないのです。そこはさっき明確にお答えになっていますから、やっていないとか云々でなくて、EDB薫蒸のことについては今度初めて政府も動き出した。ですから責任を持って対応しなきゃならないということで御理解いただいて対応すると言うのですから、よろしくお願いします。  そもそも殺虫剤のEDBがどんな毒性があるかということなのですけれども、これは昨年十月、私が質問した際に厚生省に実は問い合わせしたのです。当委員会で時間もないから問い合わせして、EDBの発がん性について国内で試験を行う必要はないのかと聞きましたときに、ちゃんとペーパーを持ってきまして、そのペーパーによりますと、「EDBの発癌性については、米国立癌研究所においてマウス及びラットを用いて実験が行われており、その結果、経口投与についても軽気道投与についても癌の発生が認められており、国内で改めて再実験する必要はないと考える。」、それほどはっきりした発がん性物質であります。そしてさらに、その米国立がんセンターの繁殖試験によりますと、ここにございますが、かいつまんで 御紹介しますと、EDBを牛に投与しますと、精子の生成が阻害されまして、異常精子が見られるようになる。それからEDBをマウス、ラットに投与しますとこれが一時不妊を起こす。それからEDBを鶏に投与すると卵の重量が減少して産卵数が減少する。つまりいずれも遺伝性毒性が明らかになっている。そういうものなのです。  そういうものであるということを御認識いただいて厚生省にお伺いしたいわけですけれどもアメリカでは最終製品にEDBが見つかって騒がれたと思います。厚生省として最終製品にEDBがあってはならないと私は考えてしかるべきだと思うのですが、その辺いかがですか。
  293. 玉木武

    説明員(玉木武君) 厚生省としてはそのように考えております。
  294. 下田京子

    ○下田京子君 もう一点EDBの小麦玄麦における残留基準というものは国内にないと思います。かんきつについては例のチチュウカイミバエの薫蒸と相まって五省庁連絡をとりながらとられたわけで、当然残留基準が小麦玄麦等についても今後とられてしかるべきだと思いますが、厚生省はいかがですか。
  295. 玉木武

    説明員(玉木武君) そのように考えております。  先ほど御説明しましたように、かんきつ類については消費者の食する段階におきまして検出値以下というような基準で対応いたしておりますが、穀類につきましても最終食品に残留しないレベルのガイドラインを設定する方向で検討してまいりたいと考えております。
  296. 下田京子

    ○下田京子君 こういうものですから、大変なものであって、当然食糧庁、政府が挙げて監視体制をとるというのはもう言うに及ばないことだということを改めて御理解いただけたと思うのです。  次に、畜産局長はお見えですね。——飼料に、えさについてもEDBが検出されたということは御存じだと思うのですが、実は畜産局長は御存じだと思いますけれども、「フィードスタッフ」というアメリカのえさの業界紙、局長御存じでしょう。これによりますと、昨年、食肉三百点の検査をやった結果、一点のみであったけれども検出がされているということは御承知かと思うのです。そういう中で、国内でどういう対応をされているのか、まず聞きたいと思います。
  297. 石川弘

    政府委員(石川弘君) 先生がお示しの資料は私ども承知をいたしておりますが、飼料穀物のトウモロコシをEDBで薫蒸いたしますのは大変まれな例のようでございますけれども、やはりあることはあるわけでございます。全体の〇・三%というような数字を承知いたしておりますが、今お話しになりましたように、向こうで三百体のうちの一点ではございますが、そういうことがあったということでございますので、私どもも今後輸入してまいります飼料原料のEDB薫蒸なり、あるいはそれが畜産物にどのようにあらわれてくるかというようなことにつきまして関係各省とも十分連絡いたしまして、慎重な扱いをしてまいりたいと思っております。
  298. 下田京子

    ○下田京子君 関係各省と連絡をとって、これから国内でも独自に検査だとか対応すると。今後なのですが、実際にアメリカが示したガイドラインだとか業界紙の報道によっても食肉三百点云々ということだけれども、一体どの肉をどういうふうにやったのかとか、そんなところも問い合わせして調べる必要があると思うのですが、その辺どうお考えになっていますか。
  299. 石川弘

    政府委員(石川弘君) 飼料穀物を一番多給いたしますのは、御承知のように鶏卵とかブロイラーでございまして、あるいは豚肉等もございます。いずれにしましても全体の給与量の中でこういうEDB薫蒸されましたものが使用されます頻度というのはかなり低うございますけれども、向こうでも現実に例があったわけでございますので、どういう地域でどのようにEDBの使用がなされているかということ、それが我が国に輸入されましてどのような形で給与されるというようなことを関係業界等を通じまして十分把握をして、その上で対策を考えたいと思っております。
  300. 下田京子

    ○下田京子君 アメリカに聞くのか聞かないのか明確でないですが、ちょっと時間もございません。大臣がいる時間はわずかだから大臣お答えください。
  301. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) はい。
  302. 下田京子

    ○下田京子君 調査はまだしていないのです。緊急に問い合わせしたところと言いつつも、しきりに、少量であるとか、わずかであるとかというのを必ずくっつけるのです。この姿勢は大変危険だと思います。  さっき厚生省がはっきりと最終食品に入っていたら問題だと言っているわけですが、アメリカでは最終食品からも出てきているのです。これはミックスケーキなんかでも一六九・九ppb出ています。今細かくは述べる時間もございませんが、そういう最終食品が日本に入ってきているというのも事実なのです。  さっきの穀物の問題なのですけれども、八一年の輸入量で——さっき長官がお答えになったのは八三年単年度です。それで貯蔵されているのはどうなのかなとということは全然報告していないわけです。八一年に国内輸入されただけでもどういう状況かというと、穀物は飼料用を含めて二千四百四十二万トンのうちアメリカのが千八百四十九万トン、シェアにして七五・七%です。さっき十検体のうち九検体見つかっているのに少々だなどと言っている認識は間違いだと思います。それから小麦なのですけれども、これも飼料用を含んでですが五百六十三万トンのうちアメリカから三百三十九万トン、これはシェアにすると六〇・二%という状態ですから、やはりきちっとした対応をとっていく。特に大臣が所信でお述べになっているのです。「国民に健康的で豊かな食生活を保障すること」を大事にしていきます、今のことはこれに本当にこたえているのだろうかということをもう言わざるを得ないわけです。そういう重大なことだという認識を踏まえて大臣、御答弁ください。
  303. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) そこで、第一に外務省を通じてすぐ報告を求める、前向きの姿勢で取り組んでまいります。
  304. 下田京子

    ○下田京子君 日米農産物交渉の問題なのですが、他の委員からもいろいろお話がありました。大臣は必ずお答えの際に、もう目の前に迫っている——来週は審議官がお出かけになるということもあったり、とにかく当委員会決議あるいは申し入れ等の趣旨を踏まえておやりになる、こういうことをおっしゃっているのですけれども政治決着というのが心配なのです。大臣は、私が責任者だから責任を持ってやりますと、こう言われました。ですけれども総理に相談をしてやります、こうも言いました。
  305. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) いやいや、それは違います。
  306. 下田京子

    ○下田京子君 違うのならいいです。  総理に相談するということがどういうことなのかということで私はあえて申し上げて御答弁をいただきたいのですが、中曽根総理は一月の二十六日、安倍外務大臣訪米する前に、農業団体の皆さん方が私たち委員会の皆さんと一緒に行ったときに、農業団体の皆さんは総理に会っていたのです。そのときに言われたのは、国益のために我慢できる範囲なら辛抱しなさい、こういうふうに言われた。今の状況の中で、一定でも枠を拡大したり数量をふやしてそれで辛抱せよということが果たして日本農業を守ることになるのだろうか、国民の食糧を守ることになるのだろうか、それが衰退の方向になることは国益に反しないのだろうか、そこをよく押さえた上で——グレープフルーツの例もあるのです。選挙の前には絶対輸入しません、自由化しませんと言っていたのに、終わったらぱっと自由化してしまった。政治決着というのはそういうことなのだなということでみんな心配している。そのことを踏まえて、私が責任者なのだという立場で交渉されるのかどうか。
  307. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 総理に相談してという話がありましたが、それは違いまして、総理に相談することもあるのか、あった場合は、総理か ら言われれば相談することもあるだろうけれども、最終責任は私ですということを申し上げたつもりでございます。部分だけを取って言われるとこちらも困ってしまいますので、ひとつよろしくお願いいたします。  それと、今言われましたように、政治決着というようなことがあるのかどうかと。私は、何遍も申しますが、当委員会決議申し入れ趣旨を体して、農業者犠牲にならないようにということで交渉に臨んでまいります。
  308. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 大臣が来られましたので、まず大臣に基本的なことについて質問をしたいと思います。  大臣は、所信表明の中でも農林水産業の重要性を力説しておられるわけでありますけれども、最近の我が国の農林水産業を見た場合、非常に不安な要素が多いと思うのです。  農業の面で言いますと、米は減反政策というものを余儀なくされておる。それから米価というものも、もうどんどん米価を上げていくということが不可能な時代になってきております。  さらに、林業はどうかというと、材価の低迷等によりましてその経営内容は非常に厳しいものになりつつある。さらに、その経営が衰退しますと担い手がもうなくなりつつある、こういう状態であります。  さらに、水産業はどうかというと、各国の厳しい二百海里規制によって漁獲量が制限されるだけでなくて、最近は入漁料等もどんどん引き上げられておる。こういう面から考えますと、我が国の農林水産業は下手をするとだんだんじり貧になるのではないか、こういう危機感も持たざるを得ないと思うのですけれども、まずこの点についてどう考えられますか。
  309. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 先生の御指摘のように、我が国の農林水産業は内外ともに重大な時期でございます。この重大時期を乗り切るために、農林水産業の体質強化ということを基本にいたしまして、農業生産性の向上と需要の動向に応じた農業生産の再編成に努めてまいります。  また、林業につきましては、林業生産基盤の整備、農林業の一体的振興ということを考えてまいりたい。  また、漁業につきましては、「つくり育てる漁業」の推進、そしてまた、漁場獲得のために粘り強い漁業外交の展開を図り、これらの諸施策を進めながら農林水産業に新たな展望を開いていきたいというぐあいに考えております。
  310. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 ある意味では私は大きな曲がり角を迎えておるような気がするわけです。例えば農業自由化に対する国際的な圧力というものも非常に強くなってきておる。もちろんこれはアメリカを主としておるわけでありますけれども、大体農産物というのは従来ガットの場でも工業製品とはちょっと違った考え方で扱われておった。最近は工業製品も非常に規制みたいなことが行われておりますけれども、このガットの場においても、農業製品、農産物自由化の圧力はさらに強まってくるだろう。それだけある意味では国際化の時代を迎えつつある。同時に、これはハイテクノロジーといいますかバイオテクノロジーといいますか、アメリカの特に大規模の企業経営農業というものを中心として、これはあくまでも世界産業、世界企業的な見地から世界戦略をもって企業経営をしてきておる。こういうことが自由化の圧力にもなってくるわけでありまして、そういう点から考えますと一つの転換期を迎えておるのではないか、だから我が国の農業も果たして今までのやり方を継続しておっていいのだろうかという気がいたします。これが第一点。  それから第二点、曲がり角を迎えておる第二点の問題は我が国の財政事情でありまして、財政が非常に厳しい状況にあって、今までの食管制度も見直しが求められる。あるいは減反政策にしても、あるいは各種補助金にしても、行政改革と相まって見直しが求められる。これがやはり我が国の農業のあり方に大きな変革を求めていく。  それから、こういうものと関連してやはり食糧の安全保障ということはこれは重大な問題ですけれども、安全保障に対する考え方も従来のままでいいのだろうかという気がするわけです。まずこの点はいかがでしょう。
  311. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 先生が今おっしゃられましたように、食糧の安全保障の面で日本農業をこのまま続けていったら問題ではないかということでございますが、これは、米につきましては国民の基幹食糧であり、今後とも完全自給ということでやってまいりたいと思っております。ただ、米の消費が減退して、需要に見合った範囲の生産というものをやはりやっていかなければならないのじゃないかというぐあいに考えております。また、単に米を減産を行うだけではなくて、需要に即して、国内での生産が少ない麦や大豆、これらの飼料作物への転換も進めることにより、国内での食糧供給能力の維持強化に努めてまいりたいというぐあいに考えております。
  312. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私は、米のことを言われましたけれども、これも一つの問題点だと思うのですが、穀物全体では自給率は三三%にすぎない。そしてもはや国民の食生活の中で米が本当に主食と言えるのかどうか疑問に思うわけです。そういう中で、余りにも米偏重の農業政策というものが今見直されなくてはならないわけでありまして、米だけ自給できると言ってもいられないのじゃないかと思うのです。むしろその米偏重の農業政策がひずみをもたらしておるのが今の状況ではないかと思うのですけれども、いかがでしょう。
  313. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) 今御指摘のように、確かに米は主食としての地位は減ってきておるということは事実でございます。私どもは米だけでなしに、やはり多様な国民の食生活を前提にいたしまして、米、あるいは畜産物、果実、野菜というものを総合的に国内でできるだけ生産性を高めながら生産力を上げていくということによりまして国民の食生活も満たしていく、安定的に保障していくような方向に現在政策を持っておるわけでございまして、水田利用再編対策そのものも、やはり米重点の過去の農政から、総合的な食糧供給、豊かな食生活の保障という方向に現在農政を向けておるわけでございます。
  314. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それから、大臣の所信の中にも、農産物国内生産できる物は極力国内生産をすべきだという言葉があります。これも私はやはり問題ではないかという気がするのです。確かに国内でつくるのがいいにこしたことはないけれども、外国から輸入した方が安くて質もいいという物もあるわけです。何でもかんでも岡内で生産しようとすると、かなりの補助を出さざるを得なくなるとか、財政の負担が高くなるとか、あるいは国民に高い物を食わせるということになるわけでありまして、ただ単に国内生産できる物は国内生産すればいいということでは不十分ではないかという気がしますが、いかがでしょうか。
  315. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 先生のおっしゃられるとおりでございまして、特に我が因では農地面積等から完全自給は困難と言われるような物もございます。また、国内生産品と輸入とを適切に組み合わせながらやはり食糧の安定供給を図っていかなければならないというぐあいに考えております。
  316. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 やはり農業生産性の向上ということが一番大事だと思うのですけれども生産性の向上をどうしてやるかということが私は問題だと思うのです。やはりある意味では市場原理というものが働いて、そこで自由な競争が行われる。そういうものがこの農業においても一つの改革や活気をもたらすと思うのです。ただ、今までの農業政策のやり方はかなり制度化された中で財政的な面倒を見たり補助金を出したりする面が、いわゆる政府が介入する部分がある意味では多過ぎる部分がある。それが農業の活力というものをそいでおるという事情もあると思います。さらにこれからの財政事情から見ますと、何でもかんでもそういう形で面倒は見切れないようになってくる。先ほどの自由化の問題もそうですけれども、私が申し上げたいのは、自由化は反対だということで 今までやってきたけれども、結局するずる押し切られてだんだん枠も広げていく、自由化にせざるを得なくなってきておるわけです。それならば日本農業の国際競争力ということを考えてもっと体質強化のためにこそ力を注ぐべきである。ずるずる押し切られて結局はじり貧になってしまったのじゃ仕方がないと思うのです。  それから同時に、財政的に面倒を見るといっても、だんだん財政が困難になって面倒を見切れなくなる。それでまた競争力がなくなっていくようなことではこれは仕方がない。私の申し上げたいことは総花的に何でもかんでもというのじゃなくて、もう少し戦略というものを考えるべきではないか。だからやはり食糧の安全保障から見てこれは絶対守らなければならない、それからこれはある程度自由化もやむを得ない、あるいは競争原理というものを導入した方がいい、そういう多角的なことを考えて優先順位を決めてやらないといけないのじゃないかという気がするのですけれども、いかがですか。
  317. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) 先ほど御指摘ございましたように、農林水産省といたしましては国内でできるだけ生産できるものはつくりたい。ただ自然条件から見まして、たとえばトウモロコシであるとか、パン用の小麦等いわゆる国内でできないものも、あるいは相当の期間をかければできるかもしれませんが、現状では収益性あるいは技術力から見ましてできないものがございます。これにつきましてはやはり従来から外国に依存しているというようなこともございますので、品目別に自給の目標というものを立てまして、例えば米は完全自給、小麦につきましてはパン用小麦の開発を進めていくにしましても、当面は技術的に非常に難しいということで、めん用のものは国内自給とか、大豆につきましても食用のものは国内で相当部分を自給をしていく。ただし油脂類のものはなかなか国内ではできないというようなこともございまして、品種別に物を選別をいたしましてそれぞれの自給目標を定めているわけでございます。  また、そのための手法といたしましては、確かに伝統的な手法だけではなかなかまいりませんので、最近ではバイオテクノロジー等の手法も当然品種改良という面でなければいけませんし、特に生産性の向上という観点からは規模構造改善とか、土地条件、日本の場合には特に経営規模であるとかそういう面に恵まれませんし、外国との関係におきましてはやはり規模が零細である、こういうところに一番問題があるわけでございますから、これを農地利用増進であるとか利用権の集積であるとか、地域営農集団というような形でできるだけ規模拡大を図っていく。ただ、農業の場合には非常に時間がかかります。特に日本のように地価が高い場合、利用権の集積といいましてもなかなか一朝一夕にできないというような事情もございますので、これは長い目でごらんをいただきたいというように考えております。  また、先ほど言われましたように、私どもとしては農業の特性から見まして完全に自由にするわけにはいかないわけでございます。やはり小規模多数の方々は競争した場合には、特に農業の場合には自然条件で一年不作になれば一年間何も収益がないというような事情もございますから、経営の安定あるいは片方では消費者の家計安定という面から見ましても、市場変動を防止するためにやはり私どもとしては価格政策というものもとらなければいけないわけでございまして、これは過度に保護してはいけないという点は田渕先生の御指摘のとおりでございますが、いまのような財政事情でございますから、私どもも限られた予算はその中でできるだけ重点的に使っていくという方向で努力をしているわけでございます。
  318. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私もやはり農業というものは完全にすべて自由化はすべきでないし、またできるものでもないと思うのです。しかし、一番大事なことは、自由化圧力というものはどんどんこれからも高まってくるだろうと思うのです。その場合にわれわれが対抗するまず第一は、やはり日本農業も国際的に競争力を持てるぐらいにする、あるいはアメリカなんかに勝てないまでも、できるだけその水準に近づける、それが何より大事なことだと思うのです。  それから、これから農業の進歩というものは予想外に目覚ましいものがあるのじゃないかという気がするわけです。テクノロジーがどんどん農業分野に入ってくる。そういう場合に競争力を持つためにはかなり経営的に活力あるものにしないと、保護農政だけではもうとてもだめだという気がするわけです。  それともう一つ、食糧の安全保障の問題ですけれども、私は今まで日本の国に本当に食糧の安全保障政策があったのかどうか疑問に思うわけです。といいますのは、ただ単に自給率を見てこれならいいとか悪いとか判断しておることは私は本当の意味の食糧の安全保障政策ではないと思うのです。まず食糧の輸入がとまったときに当面すぐ役に立つのは何かというとやはり備蓄であります。それから将来長期化する場合にはどうかというと、今までの自給率などというのは当てにならないわけです。たとえば石油づけの農業などと言われるように、肥料がなくなる、あるいは農機具を動かす燃料がなくなる、そのときにいままでの米にしたって自給率が保てるかどうか疑問であります。だからそういう石油がストップしたりいろいろな経済的な世界的な条件が変わった場合にどれだけの食糧が生産できるかということを考え、そのときの対応を立てておくのが食糧の安全保障だと思うのです。そういう意味では私は、やはりそういった見地からの安全保障政策を考え直すべきではないか、ただ単に米は一〇〇%自給率だから安心だなどと言っておられないと思うのですけれども、いかがですか。
  319. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) 御指摘のとおり、食糧の安全保障というのは私どもは非常に重要な政策だと考えております。ただ自給率だけで云々するわけにはまいりませんので、これはそれぞれの品目別にどのように考えていくかということが大事だと思いますが、ただ現状におきましては穀物につきまして食糧用で見れば大体七割、ほぼ外国並みのものは自給、維持されております。  たまたま先ほど来穀物自給率が三〇%という御指摘がございましたが、これは主としてえさ用のものでございます。飼料穀物が生産性の関係日本ではなかなか生産しにくいという関係からそういう事情になっているわけでございますので、今後私どもが畜産自給率を上げる、あるいは畜産を考えていく場合には飼料穀物に依存をしない、特に大家畜などについては草地開発というようなことで飼料作物依存の方向に持っていく、そういうようなことを考えていく必要があろうかと思います。  また、不測の事態、特に有事の事態についてお話がございましたが、私どもは有事の事態には現在の耕地でどの程度の生産ができるか、特にこの場合にカロリーの商いものに転換をしていかなければならない。したがって今の高級なたんぱくあるいは特に動物性のものでございますが、こういうものについてはむしろ芋類だとか、そういうできるだけカロリーの高いものに変えざるを得ないような事態も不測の場合にはあるかもしれません。そういう事態につきまして現在内部でどういうことが考えられるか、またその場合にはどのように転換をスムーズにやっていくかということにつきましても部内で今検討を進めております。
  320. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 最後に林業の問題に触れて終わりたいと思いますけれども、先ほども少し政府委員の方に質問しておったのですが、国有林野事業にしても非常に経営内容が厳しいからというのでどんどん人員もいま減らし、あるいは営林署その他も減らして対応しておるわけでありますけれども、私は林野事業というのは一つは緑の保全、治山治水、水質源の確保、こういった多角的な国土を守るという大きな目的を持っておりますから、ただ単に木材の伐採でどれだけ収入があったから赤字だとか、そんなことだけでは判断できない要素があるということが一つと、それからこれは長期にわたる事業ですから、今赤字だからというの ですぐ何もかも人を減らせとかそういうことをやって長期的に果たして大丈夫だろうかという不安があるわけです。  それから、これは極めて現実的な問題ですけれども期末手当の問題。今まで毎年林野の職員の期末手当は赤字だからというのでほかのところよりカットされているわけです。これも果たして今申し上げた点から考えるとどうなのだろうか。むしろ厳しい合理化に協力しておる状況から見ても、その意欲にこたえるためにもそういうことはやめるべきではないかということを先ほども申し上げたのですけれども大臣のお考えを伺って質問を終わりたいと思います。
  321. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 先生の言われましたように、林野というものはただ単に木材を生産するというだけではございませんで、国土、自然環境の保全、水資源の涵養など重要な役目を負っておるものと、こういうぐあいに認識しております。そしてまた、いま先生指摘の年々カットされておるというような問題もございますが、やはり何といっても職員の意欲向上を図ることがこれは重要であるというぐあいに考えておりますので、国有林野事業の年度末手当につきましては、現在林野庁において諸般の情勢を総合的に勘案しながら真剣に検討しているところでございますが、私も鋭意一生懸命やってまいります。
  322. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 今、国際的には農産物市場開放の貿易台風と申しますか、嵐が吹きまくっておる。国内の中では日本型食生活の定着をといった要望が強いわけです。そこで、私は大臣の所信表明あるいはけさ来の御答弁をお聞きしながらこういうふうにメモしてあるのです。農産物市場開放、この自由の嵐が吹きまくってくる、大臣はどこまでもそれを、農民を守るのだという防波堤を築いておられる、そしてまた、その背後に農業者犠牲にならないようにするという護岸を築いておられる、そしてそのまた中身として、国土で生産できるものは最高度に生産する、不足するものは輸入する、こういう柱を立てていらっしゃいますね。そういう柱から、当然農業生産の再生産を図る必要がある、こういうふうに柱を立てていらっしゃる。このことが花開き実を結ぶためにはどうすればよろしいかということになるわけであります。  そこでお尋ねしたいことは、姿勢は勇ましい、果たしてこれで持ちこたえなさることができるかなという不安感もありますけれども、早朝来の御決意のほどはまことにさわやかで勇ましいそのものであるようでありますが、どうかその厳しい台風にも耐えて乗り切ってこの所信を必ず実現していく、こういうことを今、私また再確認をいたしたいと思うのですが、どうですか。
  323. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 先生の今の御激励とも受けとれるいろいろな御意見、私としましては、はっきり申しまして全力投球で打ち込んでまいります。これはここでお約束いたします。
  324. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 全力投球はしたけれども、結果的にはどうにもならなかったということになるとこれはまた困ったことでありますので、どうか今の決意によもやうそがないよう、偽りがないように私は信じ、期待いたします。  そこで、お尋ねしたい第一点は、いまの方針を受けて、私が先ほど申し上げました農政審議会の報告の柱に基づいて五十六年以降十年間に中核農家約七十万戸、そしてまた農地流動化が必要であるという前提のもとに九十万ヘクタールを必要だ、こう述べておられる。その十年計画のことしは四年次になるわけですね、五十六年からですから。それが進捗状況、そしてその展望、見通しはどうなっておりますか、また、どうなりますかということをお尋ねしたい。
  325. 森実孝郎

    政府委員森実孝郎君) 流動化量がどのくらいあるかということでございますが、昨年の十二月末の利用権の設定面積は十三万三千ヘクタールということになっております。こういった利用権の設定の動きがかなり高まってきている事情を反映いたしまして、年間における所有権の移転を含めた移動量というのは、大体五十七年では八万八千ヘクタールという数字になっています。ただ問題は、それがどういうところに集中しているかということも一つあるだろうと思いますが、やはり圧倒的に一町未満階層の土地が一町以上の階層の土地に集積されるという方向に進んでおりますが、何と申しましても土地の貸借関係でございますので、やはり上位階層がかなり大きく傾斜して集中していくには時間がかかってくるだろうと思います。  それから、これ以外に、作業の受委託もかなり平場の水田を中心に進んでいるわけでございますが、御案内のように、現在全面的な作業受委託の面積が大体六万六千ヘクタールぐらいという形になっておりまして、こういったものが次の段階においては、いわば利用権の設定につながってくる動きであろうと見ているわけでございます。そういう意味で、今までのところは当初考えております流動化量に大体見合う移動をしている、この三年なり四年の実績としては、という感じを持っておりますが、今後どうなるか、なかなか難しい問題もありまして、そういう意味で地域農業集団の育成なりあるいは村づくりの問題に取り組むこととしているわけでございます。
  326. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 十年の時の流れの中でいろいろ困難も、紆余曲折もあるかもしれませんが、ぜひこれが予定どおり進捗しますように努力してもらいたい。  次に、先ほどもちょっと触れました農産物市場開放の問題です。これは国民全体の問題、国全体の問題であります。私は沖縄の出身でありますが、特に沖縄の抱えておる立場から一つだけお尋ねいたしたいと思います。  それはパイナップル缶詰の市場開放の問題でありますが、米国は昨年でしたか、パイン缶詰そして果汁を含む十三品目をガット違反だという理由で提訴しております。その後の経過が一体どうなっておるのか、その経過と見通し、そしてさらにそれに対する我が国の態度を私はお尋ねしたい。すなわち、この二国間協議が不調に終わった場合、当然第三国の判断に任されるわけでありますが、その判断に対してもし従わない場合に一体どうなるのであるかということに対する政府の御見解を尋ねたい。
  327. 佐野宏哉

    政府委員佐野宏哉君) お答えいたします。  パイナップルを含む十三品目につきまして、お話のとおり現在ガット二十三条一項に基づき協議段階にございますが、実はこれは昨年の七月及び九月と二回協議が行われて、その後アメリカ側は九月の段階で提示した日本側見解をそしゃくした上で今後の取り進め方について追って連絡をするということを申したまま協議は中断をされております。現在のところ、アメリカ側が今後どういう態度をとってくるかということは余断を許しませんが、私どもとしては二十三条二項の手続に移行する前に妥協の機会があればこれを取り逃したくはないというふうには思っております。しかし、妥協できることにもおのずと限度があるわけでございますので、現在のところアメリカ側態度を見守っておるという段階でございます。  それで、先生御心配のように仮に二十三条二項に移行して、それでその結果出された結論に対してどう対処するかということでございますが、何せまだ現在二十三条一項の協議が途中で中断したままという状態でございますので、二項に移行するかどうかということさえ定かではございませんので、いまの段階でそこまでお答えをするということは私どもとしては時期尚早ではないかというふうに思っておるわけでございます。
  328. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 これも全国民にとっての農産物の問題と同じように、沖縄にとってはこれは死活問題であるわけですから、どうかそのこともひとつ進んで解決をしていただきたい、そのことを要望します。
  329. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) パイナップルの問題につきましては、特に沖縄における重要な産業の一つということでもございますし、この間の事情をよく米側説明して理解を求めるよう最大の努力を傾注してまいります。そしてまた、今後も一 層の努力というものを続けてまいるつもりでございます。
  330. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 大臣は所信表明の中でも、私も先ほど触れましたが、日本型食事を定着させるということを非常に強調しておられますが、その考え直す背景は一体何であるか、これが一つ。そして日本型食生活を定着させる具体的な施策はどのように考えておられるか。
  331. 小野重和

    政府委員(小野重和君) 日本型食生活を私ども農林水産省が提唱しておりますが、その背景でございますが、二つあると思います。  一つは健康という面でございます。御案内のことと思いますが、いまの日本人がとっている食事の内容でございますけれども、たんぱく質、脂肪、でん粉質のバランス、それからたんぱく質の中での動物性と植物性とのバランス、半々でございますが、動物性の中では畜産物と水産物が大体半々、こういう姿というのは大変健康上望ましいということが言われておるわけでございます。しかしながら、えてして若い人、若年層を中心に欧米風に行きがちである、これはやはりチェックする必要があるのじゃないかというのが一つ。  それからもう一つは、やはりお米とか、魚もそうでございますけれども、消費がどうも減っている、現に米も減っております、魚もそういう傾向がある、そういう傾向を防ぐ必要があるのじゃないか。こういういわば農業生産という立場からの意味合いもあるかと思います。そういうことで、私どもは新しい日本型食生活の創造ということでいろいろやっておるわけでございます。  具体的にどういうことをしているかということでございますが、何分にも食べ物のことでございますので、いろいろなPRが中心になると思います。調査研究あるいは正しい食生活についての情報提供、啓蒙普及、テレビその他のいろいろな媒体を通じての普及でございます。それから地域の活動がございますが、そういうものを促進するというようないろいろなことを総合的に進めていくということでございます。  それからまた、来年度の予算におきましても、特に日本型食生活の推進ということで、食生活改善実践活動モデル事業というものを新規に計上いたしまして、そういうものをさらに加えて日本型食生活の普及、定着を図っていきたい、かように存じております。
  332. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 米の問題は、戦略物資という立場からも、よく日本人の命を守り、健康で丈夫にするという立場からも見直すということは、戦後日本の若者が、若者だけでもありませんが、特に最近アメリカを中心とする欧米型に流れていった。ところが、アメリカを中心にした欧米では日本食の魅力を今見直しつつあるわけなのです。そこに我々が考えなければいけない問題点があると思う。特に米に対する超古米の安全性の問題、それからあるいは学校給食における米を中心とした給食のあり方の問題ですが、これも見直される時期に来ておるのじゃないかと私は思うのでありますが、その点どうでしょうか。  次に、基本的な点で大臣に聞きますが、沖縄の農業が全体的に立ちおくれておるということは認めておられると思います。これは統計も持っています。ところがその基盤整備の立ちおくれは、生産性の向上というつながりにおいて、例えば農業用水の問題、土壌改良の問題、機械化の問題、あるいは圃場整備の問題、農道の整備の問題、かんがい排水施設のもろもろの問題、これらが立ちおくれておるわけですが、この基盤整備は日本農業の中での沖縄農業をどう位置づけて、そしてどのように解決していこうと思っておられるか、まず基本的な姿勢を大臣にお聞きしておきます。
  333. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 沖縄は我が国で唯一の亜熱帯気候地帯に位置しており、豊かな太陽エネルギー等、温暖な自然特性を生かした沖縄農業の発展が期待されているところであります。  そして恐らく、今度先生、これは調べていただいておわかりのように、全国の平均よりも沖縄へはかなりの予算措置は上回ったものがいっていると思っております。これは後でまた政府委員の方から詳細に説明いたします。そして近年、野菜、花卉等の生産の著しい伸びを背景に、農業者の営農意欲も上向いてきているということで、我が国の中でも明るい農業の展望が開かれていると承知しております。そして私は今後とも、沖縄の農業につきましては積極的に振興策を図ってまいりたい、これが基本の考え方であります。
  334. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 予算措置も配慮されておるということは存じております。ところが、十年を一くさりとして、本土並みにはさらに格差が大きいので第二次振興開発計画が打ち出されておるのです。だから当然なのです。多くやることは当たり前。足りないから、なお格差を持っておるということ。それに沖縄の亜熱帯の特殊性、これを十分に国土開発の一環という立場から、一億一千万国民の食糧資源の生産地としてという、こういう位置づけでやってもらわなければいけません。
  335. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 今、最後に申し上げましたように、沖縄の農業につきましては今後とも積極的に今まで以上に努力を重ねてまいります。よろしくお願いします。
  336. 下田京子

    ○下田京子君 養蚕危機が非常に当委員会でも問題になっている中で、まず農蚕園芸局長にお尋ねしますが、去る二月の十七日だったでしょうか、主要な養蚕五県の代表の方々と懇談もされ、その際に三割生産削減の方向を打ち出して、繭の思い切った減産が必要だということをお述べになったと思うのです。その際に、関係者の方からこれは大変だということで御要請があったことはもう御承知だと思います。  実は、私のところにも農水委員会があるということを聞いたのでと、御承知のように群馬に次いで私の住んでいる福島県は養蚕県の第二位になっておりますが、農家だけにそういう三割減反ということをやってくるというのは全く死活問題だ、基本的にやはり絹織物などの輸入をこそ抑えて、そして生きていく道を探さなきゃならないのじゃないか、こういう強い要請が届いております。私どももそう思うのです。  こういう状況になったという背景などはよろしいですから、とにかくこうした関係者の声を大事にして対応いただきたいと思うわけなのですが、基本的な姿勢についてお聞かせください。
  337. 小島和義

    政府委員(小島和義君) お話のとおり需要が減退しておるわけでございまして、国内も減らさなきゃならぬという時期でございますから、輸入の削減というものにつきましては今まで以上に努力をする必要があると思っております。  ただ、これまで生糸については五十三年対比ですでに七割減らしております。絹糸で大体五割減らしております。絹織物は面積ベースで四割減らしております。こういう実態にありますこともぜひ御承知願いたいと思います。
  338. 下田京子

    ○下田京子君 国内生産は縮小、輸入はふえる、とりわけ絹織物等については問題があると思うのです。やはり解決策の基本は、需要をどう伸ばしていくかということ、いろいろ工夫されているということは承知していますが、同時に実効ある輸入規制をどう行うかということが一つのポイントだと思います。そして、養蚕農家製糸業界と絹織物業者が一体となってとにかく、他の委員にも御答弁ございましたが、日本の伝統産業を守っていくという姿勢で対応していただきたいと思いますので、再度そういう方向でひとつ御検討をいただけるように御答弁いただきたいと思います。
  339. 小島和義

    政府委員(小島和義君) 私どももこのまま事態が推移いたしますと、ただいまの繭糸価格安定制度、事業団の在庫の重みと借入金の累増という中で、制度自体が機能しなくなるのではないかという心配をいたしておるわけでございまして、減産という大変難しい問題を持ち出しましたのも、何とか日本の蚕糸絹業を生き残らせたいという思いからスタートいたしておるわけでございます。
  340. 下田京子

    ○下田京子君 何とか生き残らせるということでもうだあっとしりすぼみになるというような、そういう経緯が心配されていますから、再度、どういう立場で対応すべきか、申し述べたとおりでありますので、よろしく頼みたいと思います。  経済局長にお尋ねしたいのですが、とにかく三月末までに決着をしたいということでいろいろ苦労をされているようです。中身については交渉中でもあるから述べられないということですけれども、伝えられる話では、アメリカ輸入枠拡大要求というのは高級牛肉で一万トン、一般牛肉一万トン、計二万トン、オレンジで一万五千トンという話も出ています。この数字がどうだったかということは別に聞くつもりはございませんが、とにかくはっと気がついたらすでに自由化されていたと言うに等しい、限りない自由化に近い枠の拡大ということはあっていけないと思います。ただ、国内にあってやはり一致して対応できないというところが、この農産物交渉問題が政治化されてきている一つの原因にもなっていると思うのです。  塚田審議官が「地上」という雑誌の二月号ですか、また来週行かれるそうですが、こういうふうにお述べになっているのです。とにかくアメリカを勇気づけているのにはいろいろあるけれども、一つは日本国内の事情もある、特に「彼らを勇気づけておるのは、日本の財界の一部で自由化を支持している人がいるということです。また、アメリカに向かって自由化を売り込んできている人がいることも彼らは知っています。だから、時間さえたてば、日本は必ずアメリカ要求に屈服するはずである、というふうに見ているのではないかと思います。」、こういうふうに述べております。そういうことでアメリカを勇気づけていることは大変私どもも残念に思うのですが、また実態だと思うのですけれども、その辺の局長のお考えを聞かせていただきたい。
  341. 佐野宏哉

    政府委員佐野宏哉君) お答えいたします。  だれがどうというわけではございませんが、確かに今先生のお述べになりましたような雰囲気を漂わせるような言動をなさる向きがあるという感じは私もいたしておりまして、それが確かに私どもアメリカとの協議をやりにくくしているということは、これは否定しがたい事実であると思っております。
  342. 下田京子

    ○下田京子君 国内にそういう問題があるということになりますと、局長もかつてお述べになったと思うのですが、アメリカはやはり日本が絶対に譲らないぞという態度を示さない限り、一つ譲れば二つよこせ、二つ譲れば根こそぎよこせというような感じで自由化の旗はおろしていない、そういうニュアンスのお話をされたこともあると思うのですが、アメリカは今回、自由化の旗というものを、それは交渉の具体的な場では言っていないでしょうが、本当の姿勢としてはおろしたというふうに見ておられるのかどうか。  それから、今言いました、だれが言ったことは別にしましてもという話ですが、財界等で自由化論に対する具体的ないろいろな提言が出ているのは御承知のはずで、とすれば、それに対して逆に積極的に農水省として、担当として反論が必要ではないか、こう思うのですが、この二点について。
  343. 佐野宏哉

    政府委員佐野宏哉君) 前段のお話でございますが、やはり日本国内の事情がそういう一部の人の言っているような事態ではないのであるということをわからせるということが何と申しましても大変重要なことでございまして、その点は、私ども行政官の立場の人間が口でよく説明をするというだけではなかなか足りないところがございまして、そういう意味では、当委員会の御決議ども十二分に活用をさしていただいておるところでございます。  それから、第二の点につきましては、私どもも機会をとらえてしかるべく反論はいたしておるつもりでございます。
  344. 下田京子

    ○下田京子君 何とも自由化の旗をおろしたかどうかの話はどうも歯切れが悪いのですが、結局否定していませんから、そういうアメリカの基本姿勢は変わらないというお気持ちなのだなと理解します。  積極的に反論すべきだという点では、それなりにおやりになっているということなのですが、実は、昨年九月に肉用牛問題で私は質問主意書を総理に出しました。その際に、総理からも今局長がお述べになったように、それなりにやっている、政府広報等を通じて説明している、今後も努力を続けていきたい、ということで御答弁をいただいているのですが、具体的に政府広報でどんなのをお出しになりましたかとお尋ねしましたら、「なぜ農産物輸入制限をしているのですか。南田洋子さんのキッチンからの4つの質問。」などということで出しております、また農業新聞なんかにも掲載されている、それからあちら向けにも出されていると。ですが、これはいずれも五十七年度なのです。五十八年度は全然やっていないのです。どうしてかと聞きましたら、事務方さんのお話では、どうも予算の都合があってみたいな話でございましたが、これはなかなかいいと思うのです。積極的に活用すべきではないかと思うのです。  特に私は、農業新聞などを見ましたら、そういう一連の財界などに対する反論文書をつくった。「最近の農産物自由化論について」ということで、官房企画室でつくられたものをいただきました。図入りで非常にわかりやすくて、当委員会答弁されているのは、これを見ていたら大臣が何を言うかというのが全部わかります。これだけのものを本当にわかりやすく国民にも、ここにもお出しになったらいいのじゃないかなと私は思いましたが、そういうものをおつくりになるおつもりはございませんか。
  345. 佐野宏哉

    政府委員佐野宏哉君) せっかくのお話でございますので、官房広報室などと相談してみたいと思います。
  346. 下田京子

    ○下田京子君 それはぜひおやりいただきたいと思います。やっていますという総理答弁だったのだから、見たらそれは五十七年度の予算で五十八年度は全然ない。もうあと一カ月で終わりになってしまう。しかも、今大きな最大の重要なときに出していない。やはりお出しになるべきだと思います。  そこで、これはせっかくこういういい資料がつくられていて、私はどんどん活用されているのかと思ったら、新山村農林水産大臣のための勉強の資料につくったのだということなのですが、読んでみましたらなかなかいいことがあって、特にさっき大臣が、勉強していました。今やカロリーベースでも半分以上海外に日本は依存している状況でありますからと、こういうお話がございましたが、そのくだりのところで「食料をこれ以上海外に依存することは、世界の食料需給事情が中長期的にはひっ迫基調を強め、不安定の度合を増すとみられること等から、これ以上輸入に依存することは危険極まりないことである。」、こうお述べになっております。  こういう立場で農水省は対応されていると思うのですが、あくまでもこれは部内資料だということで、あえてお尋ねするのです。政務次官はかんきつのところからお出になっていろいろと頭も痛めていると思うのですが、こういうお立場で、大臣それから皆さんと一丸になって対応されることとは思いますが、その御決意のほどを一言お聞かせいただきたいと思います。
  347. 仲川幸男

    政府委員(仲川幸男君) まず、下田先生の今の資料の問題について。  結局、今の資料に書いてありますことが、自由化の問題にもぱしっと歯どめを入れていることは同認識であります。それと同時に、自給力の維持強化を図って、国内を強化しなければならないことも当然であろうと思いますので、そのことに対しては指導、努力をいたしたいと思っておるわけであります。  農産物自由化の問題については、きょう一連の大臣発言と同じでございます。
  348. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 時間になりました。
  349. 下田京子

    ○下田京子君 最後に、二十秒ぐらいありますから。  これ以上輸入に依存することは危険きわまりないことだということは、枠の拡大もないというふうに信じて対応していただけると思います。  以上です。
  350. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次のことをお尋ねいたしたいと思います。  沖縄の農業は、豊富な太陽エネルギー、農業の多様化、そしてしかも端境期の栽培、こういう方向に順調に進みつつあるわけであります。例えば、特に沖縄で今最も力を入れて広がりつつある切り花、菊の切り花ですが、この一例をとってみますと、五十一年には八ヘクタールから始まって、それが五十六年には二百八十一ヘクタールと、三十五倍に四、五年で広がっておるのです。こういうふうに順調に進展はしつつあるが、まだまだ可能性という面からは前途遼遠である。こういうことを見通した場合に、輸送体制の強化ということが非常に問題になって、今壁になっているわけであります。この輸送体制の強化をどのように考えておられるか、お伺いしたい。
  351. 亀甲邦敏

    説明員(亀甲邦敏君) 先生も御承知のとおり、沖縄の関係の物資輸送関係は船舶によるもの、それから航空によるものの両方あるわけでございますけれども、私ども承知しております限り、現在のところではいわゆる需要に十分見合うだけの供給力が提供されておるというふうに考えております。  また、今後の問題につきましても、沖縄における農産物生産の伸びと、それに伴います輸送需要の伸びとを十分見定めまして、供給体制に問題がないように十分注意してまいりたい、かように考えております。
  352. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 今おっしゃる御答弁は、かいつまんで申せば、量が多くなって引き合うならやる、今のところ引き合わぬというふうにも受けとめておりますが、私は次のことを申し上げたい。  今、国鉄のないのは沖縄県だけです。その国鉄並みの輸送体制、あるいは運賃が国鉄のようになるならば、沖縄の物価は一割以上すぐ安くなることは間違いありません。そのように、県民生活の立場からも、それから農業の多様化によって、従来の基幹作物、キビ、パインだけでなくして、ピーマン、サヤインゲン、トウガン、あるいはカボチャ、ニンジン、こういうふうにどんどん他県に移出しよる。また、非常に好評を受けておるわけです、喜ばれている。特に最近花弁園芸、菊の花ですね、これがもう非常に広がりつつあるわけなのです。ところが、豊作はしても、精いっぱいつくってもそれの輸送の体制が整わぬ、また運賃が高くつくという隘路があるわけなのです。  それで、もう少し聞きたいのですが、私が申し上げる輸送体制というのは、沖縄は離島県である。さらに今度は多島県である。全国で一番島の多い沖縄である。だからこの体制の強化は、沖縄県内における体制の強化とそれから沖縄と他県との強化、この二つの面から解決しなければいけないと思っておりますが、その点からひとつ御見解を承りたい。
  353. 亀甲邦敏

    説明員(亀甲邦敏君) 沖縄関係の物資輸送の状況を見ますと、現在のところ本州なりあるいは九州なりから沖縄へ向けて輸送される輸送量の方が圧倒的に多うございます。したがってその輸送力のいわば帰り便と申しますか、そちらの方で沖縄から出る物資輸送については量的な面では十分賄われておるというふうに私ども認識しておるわけでございます。  それから、運賃関係につきましては、例えば花弁、花のたぐいになりますと、やはり航空で運びます関係で、航空運賃は御承知のように国鉄等と比べればどうしても高目にならざるを得ないのでございますけれども、例えば船舶で運ぶ場合を考えますと、同じ距離を国鉄で運んだ場合で考えますと、それよりも格段と安い運賃で運ばれているのが現状でございまして、私どもとしては、現在のところでは十分その辺の輸送体制はできておるという認識をしておる次第でございます。
  354. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 例えば、国鉄に値する国鉄冷凍船、この計画はいかがですか。
  355. 亀甲邦敏

    説明員(亀甲邦敏君) 国鉄冷凍船という話は私ども大変恐縮でございますがちょっと承知していないのでございますけれども……。
  356. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いや、冷凍船です。いま飛行機とおっしゃったが、これもいまのところ飛行機で間に合っています。ところが量がふえますとそうはいきません。だから国鉄に値する足の速い冷凍船を建設してもらえば大丈夫なのです、冷凍船装備であれば。
  357. 亀甲邦敏

    説明員(亀甲邦敏君) そういった冷凍船で運ぶような物資輸送は、ただいまのところでは先生のおっしゃるとおり航空で運ばれているのが実態であろうかと思いますが、冷凍船で運ぶだけの物量が出てまいり、かつ、いわばこれは当然経済ベースに乗らなければ、例えば運送事業者の方でもなかなかむずかしいと思いますが、その辺の客観的情勢が整うような情勢が出てまいりましたならばこれは当然検討に値する話であろうというふうに考えます。
  358. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いまの勢いで多様化の線に沿ってどんどん生産を高める方向に行くと思いますから、ひとつその見通しもつけていまから計画してください。
  359. 亀甲邦敏

    説明員(亀甲邦敏君) きょうの御指摘は、また戻りまして十分検討さしていただきたいと思います。
  360. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次に、沖縄の立ちおくれておる一つに——これは林野庁に関係するものですが、非常に立ちおくれておる林道網の整備促進の計画がどうなっておるか。そのことについて、統計的にもヘクタール当たりの林道密度が全国平均の約半分ですね。二・二メートルしかいまいっていない。沖縄の林業を盛んにする点から林道網をどうしても強化しなければいけない、伸ばしていかなければいけないけれども、計画はありますか。
  361. 後藤康夫

    政府委員(後藤康夫君) 林道につきましては、森林の多面的な機能を発揮させるためにも、また地域振興と申しますか、地元の生活をしておられる方々の利便という点からも非常に基本的な施設でございます。  そういうことで、私どもは森林計画制度に基づきまして林道の整備を進めているところでございますが、お尋ねのございました沖縄県の林道整備でございますが、昭和五十二年度末のヘクタール当たりの林道延長、これを私どもは林道密度と言ってございます。五十二年度末では全国平均で三・〇メートルであるのに対しまして、沖縄県は一・六メートルということで、全国平均の半分ちょっとというような密度であったわけでございますが、五十三年度から五十七年度までの五年間のヘクタール当たりの開設実績は、全国平均が〇・四メートルでございますのに対しまして、沖縄県は〇・六八メートルということで、整備の進度は全国平均に比べますと一・七倍というふうになっております。  現在、なかなか公共事業のマイナスシーリングというようなことで厳しい状況でございますけれども先生指摘のように、林道整備の水準がおくれているということは私どもも十分認識をいたしておりますので、今後とも沖縄振興開発特別措置法の趣旨に即しました高率の国庫補助率を適用するというようなこと等によりまして、開設、改良等の諸事業を積極的に推進してまいりたい、かように考えております。
  362. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 沖縄林業のほかの面も隆路がいっぱいありますが、特に林業と関係して申し上げたい点は、森林法がまずストレートに適用できぬですね、金網の中には。したがって、松くい虫が金網の中で発生しても、治外法権の金網の中ですから、森林法がストレートに適用できればベストですけれども、それができぬために、及ばないためにそこに隘路がある。  次に、米軍の実弾射撃演習による被害。例えば植樹を奨励するけれども、緑の山を、林をつくることを奨励をするけれども、実弾射撃によって山に撃ち込まれて木はなぎ倒される、それから山火事が頻繁に発生する、こういった自然破壊、基地につながる演習、こういう一連の因果関係がありまして非常に困っておるのです。そのことをどのように理解され、そしてそういった現実をとらえて、どう沖縄の林業を進めていこうと思っておら れるのか、お聞きしたい。
  363. 後藤康夫

    政府委員(後藤康夫君) いろいろな御指摘がございましたけれども、後段で御指摘のございました米軍の演習との関係につきましては、米国との間の協定の問題等もございます。この問題につきましては過去にも先生から御指摘もちょうだいをしている点でございますが、先ほど冒頭に申し上げましたように、いろいろな面におきまして林道整備の水準だけではございませんで、沖縄の林業につきましては国内と異なった要素あるいはこれから改善をしなければならない要素、いろいろ含んでおりますので、先生お話の中にございましたような実態を踏まえまして、私どもとしてできるだけの手は打ってまいりたい、かように考えております。
  364. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 時間も来たようでありますので、最後になると思いますが、次に、資源管理培養型漁業についての具体的な施策を聞きたいわけでありますが、つくり育てる漁業あるいは栽培漁業ということは日本全体の問題でもありますけれども、特に沖縄がそれに適しておるということは第二次振興開発計画の中にもこのようにうたわれております。「広大な沖縄周辺水域の高度利用を図るため、漁場環境の維持保全に努めつつ、沿岸漁場の整備開発、栽培漁業の展開等資源管理培養型漁業を推進する」必要があるということが非常に強調されております。そういう一面においては、もう典型的な恵まれた沖縄の自然環境であります。ですから、国として、沖縄の立場からということも大事でありますけれども、国土開発の立場から沖縄をどのように重視していかなければいけないか、こういった発想に立って資源管理培養型の漁業の推進をするという姿勢を明確にしてもらいたいという、これに対するお答えと、それじゃ具体的施策をどのように考えておるのか、以上、お尋ねします。
  365. 渡邉文雄

    政府委員(渡邉文雄君) ただいま先生指摘のように、沖縄の整備計画におきましても沖縄のこれからの漁業問題につきましては、大変広大な海に囲まれているという沖縄の地理的な特性を生かす、それから沖縄は非常に日本ではただ一つの熱帯水域でございまして、魚の場合にもえさつきがいいというようなこともありまして、成長が早いわけでございます。そういう意味で、沖縄の気候的な有利な点を生かしました魚の増殖というものに努めるということがこれからの沖縄漁業の振興のかなめであるというふうに私ども認識をいたしておるわけでございます。そういう形でこれから御指摘のつくり育てる漁業の振興を図っていくわけでありますが、具体的な中身といたしましては、御案内のように栽培漁業の振興あるいは沿岸漁場の整備開発というような意味で五十七年から、当時県からも大変強い御要望がございました国営の栽培漁業センターを石垣島に建設を進めておりまして、五十九年、来年度に完成をするということで現在鋭意建設を進めているわけであります。  対象魚種といたしましても、ハタあるいはマチ、ノコギリガザミと、生食用としましても刺身としても珍重される魚類でございますが、そういったものが来年度完成するテンポで現在進めておるわけでございます。県の栽培漁業センターというものも同時に着工し、これは今年度完成するということで、本部町に、たしかもう建設を今急いでおるわけであります。そこでもクロダイ、フエフキ、クルマエビ等、大変刺身としましても喜ばれる魚を中心に栽培漁業の振興を図ってまいりたいと考えております。  それから、栽培漁業とあわせまして漁場づくりでございますが、沿岸漁業の生産基盤であります漁場の整備開発、沿岸漁場整備開発事業の予算の執行につきましても、沖縄につきましてはできるだけその整備を進めるという視点で現在行っているわけでありますが、予算の配分等につきましても、沖縄の日本におきます漁業の生産額のシェア等に比べますとはるかに高いテンポでの予算の執行をいたしておりましたし、これからもそのように心がけまして、御指摘のつくり育てる漁業の振興に積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。
  366. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 本件に対する本日の質疑はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時十四分散会      —————・—————