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1984-11-08 第101回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年十一月八日(木曜日)    午前十時開会     ―――――――――――――    委員異動  十一月二日     辞任         補欠選任      川原新次郎君     中村 太郎君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         北  修二君     理 事                 高木 正明君                 谷川 寛三君                 最上  進君                 村沢  牧君                 藤原 房雄君     委 員                 岡部 三郎君                 熊谷太三郎君                 小林 国司君                 坂元 親男君                 初村滝一郎君                 星  長治君                 水谷  力君                 稲村 稔夫君                 上野 雄文君                 菅野 久光君                 刈田 貞子君                 鶴岡  洋君                 下田 京子君                 田渕 哲也君    国務大臣        農林水産大臣   佐藤 守良君    事務局側        常任委員会専門        員        安達  正君    説明員        公正取引委員会        事務局取引部景        品表示指導課長  黒田  武君        経済企画庁調整        局調整課長    西藤  冲君        農林水産政務次        官        川原新次郎君        農林水産大臣官        房長       田中 宏尚君        農林水産省経済        局統計情報部長  大坪 敏男君        農林水産省構造        改善局長     井上 喜一君        農林水産省農蚕        園芸局長     関谷 俊作君        農林水産省畜産        局長       野明 宏至君        農林水産省食品        流通局長     塚田  実君        食糧庁長官    石川  弘君        林野庁長官    角道 謙一君        水産庁次長    斉藤 達夫君        通商産業省通商        政策局南アジア        東欧課長     小沢 通成君        通商産業省生活        産業局長     篠島 義明君        通商産業省生活        産業局通商課長  新関 勝郎君        建設省建設経済        局民間宅地指導        室長       深沢日出男君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (当面の農林水産行政に関する件)  (派遣委員報告に関する件) ○理事補欠選任の件     ―――――――――――――
  2. 北修二

    委員長北修二君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十一月二日、川原新次郎君が委員を辞任され、その補欠として中村太郎君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 北修二

    委員長北修二君) この際、佐藤農林水産大臣及び川原農林水産政務次官から発言を求められておりますので、順次これを許します。佐藤農林水産大臣
  4. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) このたび農林水産大臣を拝命いたしました佐藤守良でございます。  農林水産行政はまことに重要な時期を迎えている折から、その責務は極めて重大であり、身の引き締まる思いがいたします。  農林水産業は、申すまでもなく、国民生活にとりまして最も基礎的な物資である食糧などの安定供給を図るという重大な使命を担っております。さらに、健全な地域社会の形成、国土、自然環境の保全など、我が国経済社会の土台を支える重要な役割を果たしております。  私は、皆様方の御支援を得て、農林水産行政責任者として我が国農林水産業に新たな展望を切り開いていくよう最大限努力をする決意でございますので、よろしくお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。(拍手
  5. 北修二

  6. 川原新次郎

    説明員川原新次郎君) このたび農林水産政務次官を拝命いたしました川原新次郎でございます。  我が国農林水産行政は幾多の困難な課題を抱えておりますが、佐藤大臣を補佐いたしまして全力を傾けてこの難局に当たりたいと存じております。委員各位の御支援のほどをお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。(拍手)     ―――――――――――――
  7. 北修二

    委員長北修二君) 農林水産政策に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 村沢牧

    村沢牧君 佐藤大臣、このたび農林水産大臣に御就任、おめでとうございます。また、川原政務次官、おめでとうございます。  農業を取り巻く情勢が厳しく、また重要な課題が山積しておるときだけに、日本農業を守り発展をさしていくという決意と誠意を持って農民の信頼にこたえていただくようにまず要請をしておきます。  就任のごあいさつをいただきましたが、私は基本的な問題について若干大臣の見解を伺っておきたいというふうに思います。  その一つ食糧政策であります。我が国農業にとって食糧自給率を高めることが最大課題でありますが、とりわけ米の完全自給備蓄制度を確立することが重大であり、そのためにも水田利用第三期対策減反緩和することを明確に打ち出さなければならないが、どうか。  第二点、農産物対外経済政策についてであります。日米農産物交渉はこの四月、我が国大幅譲歩によって一定の決着を見たものの再燃の動きがあり、加えて最近、発展途上国から市場開放動きが高まっています。農産物自由化阻止はもとよりのこと、輸入枠拡大についても、途上国を含めてこれ以上の市場開放措置を絶対に行うべきでないが、どう考えますか。  第三点、農林水産予算確保についてであります。農林水産予算は年々減額をされ、総予算に占めるウエートも低くなっています。六十年度予算編成の時期になっていますが、農林予算を減額させることなどのないように強い決意で対処すべきであります。  大臣就任に際しての記者会見で、消費者米価を上げるがごときの発言をしたということが報道されておりますが、この真意についても伺っておきたいというふうに思います。  以上の点について大臣決意方針を示してください。
  9. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 今村沢委員から四つの点について御質問がございましたので、お答えしたいと思っております。  第一番には、食糧完全自給備蓄制度をどうしたらいいかという問題だと思いますが、これは食糧安定供給安全保障確保することは国政の基本とも言うべき重要課題だと思います。このため農政の展開に当たりましては、需要動向に応じた農業生産の再編成を推進するとともに生産性向上を図りつつ、国内で生産可能なものは極力国内生産で賄うことを基本に据え、総合的な食糧自給力維持強化に努める所存でございます。  特に国民主食であり、かつ我が国農業基幹作物でありますお米につきましては国内産で自給する方針を堅持するとともに、三たび過剰を招くことのないよう配慮しつつ、ゆとりのある需給を目指していきたいと考えております。  本年度の転作目標面積につきましては、このような考え方に基づいて目下鋭意検討中でございます。そして、先生のおっしゃった点につきましては、先般の国会決議方向努力いたしたい、こういうように考えておるわけでございます。  第二点の日米農産物交渉についてと、それからLDCの市場開放要求問題等でございますが、ことしの夏以来、タイを初めとするASEAN諸国韓国などの開発途上国より農林水産物などの関税引き下げなどの市場開放に対する要求が強く出されておりますが、これらの要請品目は、国内産業実情等からすれば、いずれも対応が難しいものばかりでございます。四月に対外経済政策を取りまとめたばかりであり、軽々にこれ以上の市場開放措置を行うことは農業者農政に対する信頼を揺るがせることになると思います。私といたしましては、我が国農業を守り農業者犠牲とならないよう慎重に対処してまいりたいと考えております。  第三点の農林予算確保でございますが、昭和六十年度農林水産関係予算につきましては、七月三十一日に閣議了解されました概算要求基準に沿って、五十九年度に比べ六百八十億円減の三兆三千九百十七億円で概算要求を行っているところでございます。今後本格化する財政当局との調整は厳しいものが予想されますが、農林水産業をめぐる内外の厳しい情勢を踏まえ総合的な食糧自給力維持強化基本とし、生産性向上による体質の強い農林水産業の実現を図るため、必要な予算につきましてはこれを確保すべく努めてまいる決意でございます。  第四点の消費者米価の問題でございますが、私は、就任後の記者会見におきましてお米の価格を話しまして、お米は安いということをお話ししたわけでございます。そして日本農業はやはし国基本でございますゆえ、国民全体で守っていただきたいということをお話ししたわけでございまして、消費者米価については一つも触れておりません。このことを御了解いただきたいと思います。
  10. 村沢牧

    村沢牧君 大臣決意方針について答弁をいただいたところでありますが、二点について伺います。  米の減反政策については、国会決議を踏まえて努力をいたしたいというような趣旨答弁でありますが、国会決議転作面積緩和について弾力的に対応せよということでありますから、国会決議を踏まえてということは、緩和方向努力する、それでよろしいですか。  もう一点、米については安いというお考えを持っているというお話がありましたから、安いから消費者米価をお上げになるという気持ちがあるのですか、ないのですか。
  11. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 減反の問題でございますが、先ほど言ったようなことで、先般の国会決議方向努力をいたしますということでございます。これで先生に御理解を願いたいと思うわけでございます。  それから、第二点の消費者米価の問題ですが、現在、食管法を遵守して慎重に考えたいということでございまして、消費者米価の値上げについては現段階では考えておりませんということでございます。
  12. 村沢牧

    村沢牧君 重ねてお伺いしますが、国会決議方向というのは緩和です。そのように理解してよろしいですね。
  13. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 大変繰り返して恐縮でございますが、国会決議方向でということで御理解願いたいと思うわけでございます。
  14. 村沢牧

    村沢牧君 私はそんなことを聞いているのじゃないのです。国会決議方向は「緩和」と書いてある。その方向でよろしいのかどう史それを聞いているのです。
  15. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) その方向努力いたしたいということでございます。
  16. 村沢牧

    村沢牧君 はい、わかりました。  この際、食糧庁長官に一点伺っておきますが、我々の絶対反対という意志にもかかわらず韓国米輸入した。ところが、輸入韓国米の一部が主食に回ったのではないかという疑問が持たれて、食糧庁調査をしているが、その調査結果と今後の対応策について明らかにしてください。
  17. 石川弘

    説明員石川弘君) 先月の十九日付の新聞におきまして、加工用としまして売却をしました韓国産米が関西の方面で数トンから十数トン、十トン単位で取引をされているという報道があったわけでございます。私ども直ちに関西の八つの食糧事務所管内につきまして、韓国産の丸米販売を受けました業者に対しまして立入検査をいたしました。業者数で二十五業者、それから工場数で四十九工場でございます。そういうことで、調査といたしましても買い受け数量加工いたしました数量、それからできました製品の出来高、それから在庫量、こういうものを定めておりますところの加工受け払い台帳等調査しますほか、製品原料米在庫をすべて現物確認調査をいたしました。  さらに、問題のあるものにつきましては、売却しましたものの伝票確認のほかに売却先等も追跡いたしまして事実を確認するほか、特に空袋、空の袋等についても調査をいたしたわけでございます。  そういう調査をしまして、現在まで行いました結果を御報告いたしますと、先ほどございましたように、数トンとか十数トンでそういうものが動かされたという実態はないと思っております。  しかし、二つの点につきまして売却をいたしました我々の趣旨、それから売買契約の内容から見て問題があるという事案がございまして、この点につきましてはさらに調査をいたしておりますが、売却要領等に照らしてかなり問題があるのではなかろうかということで、これらについてさらに調査を進め所要の処分をするつもりでございます。  問題となりましたのは、一つ穀粉加工いたしております。ある業者におきまして韓国丸米三十袋を買い受けたわけでございます。そのうち二十八袋につきましてはそのまま現存をいたしておりますが、二袋につきまして、これは精米あるいは穀粉加工として処理中でございますが、これが一部サンプルとして使われたとかあるいは自家消費をしたという申し立てを行っております。これらが売り先その他で確認をされませんものですから、これの確認をいたしますと同時に、いずれにしましても、例えば自家消費ということは売買をいたします際の契約条項に反することでございますので、この二袋をさらに追及をいたしておるわけでございます。  それからもう一点は、玄米茶加工業者でございますが、この方は五十袋を買い受け全量他業者加工を委託いたしております。その加工段階におきまして、加工業者がそれにさらに特定米穀、くず米でございますが、これを加えて全量製品化をいたしておりますが、結果的には加工いたしました特定米穀も含めたものを玄米茶として販売する、いわば増量をされているという事態がございます。したがいまして、これはすべて加工されている数量には間違いがないわけでございますが、そういう取引の中で他のものと混今されているという事態があったわけでございます。  いずれにしましても、これらは少なくとも原材料用等米穀売却要領で定めておりますものと、あるいは売買契約書で定めております趣旨に違反をいたしておりますので、これらの要領等の規定に照らしまして、近日中に厳正な処置をするつもりでございます。  それから、こういうことがごく一部、しかもそれは主食転用という形で確認される段階ではございませんが、少なくとも売却要領に反するような行為でございますので、これからの販売につきましては、御承知のように十月二十三日以来丸米販売を停止をいたしておりますが、今後丸米として販売いたしますもののいわば使途、これはどうしても丸米売却いたしませんと製品化が困難なものもございますので、これはすべてを丸米販売することを停止することはできないわけでございますが、そういう場合におきましても極力使途制限をするということが一点でございます。  これが業界におきまして適切に管理されますような、いわばチェック体制というものを現在も行っておりますが、さらにこれを強化する必要があろうかと思います。それと同時に、例えば先ほどの委託加工の問題にもございますような個別の業者の審査というようなこともさらに厳重にする必要があろうかと思いますし、これは現在も行っておりますが、食糧庁職員による報告聴収あるいは現場立ち入りといったようなものもさらに強化をしていく必要があろうかと思っておりまして、先ほど申しました二つ業者に対する処分とあわせて今後の取り扱い方針を定め、これが関係業界に徹底するような体制を組み立てるつもりでございます。
  18. 村沢牧

    村沢牧君 売買条件に反する取り扱いをした二件の例について説明があったわけでありますが、それ以外には絶対にないと、はっきりこの場で言い切れますか。
  19. 石川弘

    説明員石川弘君) かなり厳格な調査を重ねておりますので、私は今のところこの二件が報告に挙がっておりまして、他については原材料及び販売先等が照合されておりますので、今までやりました韓国米の、特に関西におきます八事務所管内におきましてはこの二件であろうと思っております。
  20. 村沢牧

    村沢牧君 それでは、その問題については他の同僚委員からの御質問もあろうと思いますし、今後の推移も見守っていきましょう。  そこで、私は本日は主として蚕糸業の問題について質問したいと思いますが、蚕糸業我が国の伝統的な産業であり、養蚕畑作地域における農業経営上主要な複合作物として定着しており、養蚕でなくてはならない地域もある。ところが、最近の蚕糸業を取り巻く情勢は極めて厳しく、このまま推移していくならば我が国蚕糸業は崩壊してしまうことが必至でありますけれども日本から蚕糸業をなくしてはいけない。したがって、農水省としては今日の危機を乗り越えて将来にわたって養蚕製糸を守っていくという方針を確立しなければならない重大な局面に立たされていますけれども大臣の認識と決意について伺いたいと思います。
  21. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 御存じのとおり、養蚕業農業生産全体に占めるウエートは低下してきておりますが、農山村における重要な複合作目一つと考えております。また、製糸業も伝統的な地場産業として地域経済の中で重要な地位を占めております。しかしながら、最近における蚕糸業をめぐる情勢は引き続く需要の大幅な減退蚕糸砂糖類価格安定事業団における大量の生糸在庫の累積と事業団財政の行き詰まり、在庫圧力による糸価の低落と大幅な逆ざやの発生など極めて厳しいものがございます。このような事態蚕糸業関連産業にさまざまな弊害をもたらしております。したがって、将来にわたりまして蚕糸業安定的発展を期するためには、膨大な生糸在庫を含め需給の不均衡状態をできるだけ早く解消することが避けて通れない課題となっているものと考えております。このため、先般の繭糸価格安定制度に関する研究会報告を踏まえて早急に検討を進め、速やかに今後の蚕糸対策の確立を図ってまいる所存でございます。
  22. 村沢牧

    村沢牧君 私は、蚕糸業がこのような事態に陥ることを憂慮して何回も本委員会で、また、党の蚕糸対策委員会を通じて政府の積極的な対策要求してきましたが、農水省施策はその易しのぎであり、何らの有効的な対策を講じてこなかった。今まで農水省の講じた主要な対策といえば、基準糸価引き下げ及び据え置き、生産調整製糸業操業短縮などまさに生産者犠牲と負担の押しつけであったわけです。結果的には事業団在庫を増大させ、糸価は暴落をし、政府の公約であった輸入抑制需要拡大もできず今日の危機を招いておるわけであります。この政府行政責任は極めて重く、単に需要減退したなどということで済まされる問題ではない。農水省が今まで行ってきた蚕糸対策についてどのように反省しておりますか。官房長答弁を求めます。
  23. 田中宏尚

    説明員田中宏尚君) 最近の厳しい蚕糸情勢をもたらしました基本的原因といたしましては、何といいましても絹需要の大幅な減退ということでございますけれども、こういう大幅な減退につきまして的確な予測ができなかったということは我我としても率直に認めざるを得ない点と思っております。しかしながら、一方で五年間で残念ながら内需が四割も大幅に減少するというようなことが、我々の通常の予測を超えた激変でありましたことや、あるいは需要の大幅な減退に対しましてはいろいろな手を打ちまして絹需要増進対策でございますとか、あるいは二国間の協議等を通じまして輸入抑制ということにつきましても、いろいろ御批判はあろうかとも思いますけれども、我々としては最大限努力をしてきたということについても御理解いただきたいと思っているわけでございます。  いずれにいたしましても、今後はこういう従来の反省に立ちまして、省を挙げまして、より的確な需要動向の把握というものにも努めまして的確な対策というものを講じてまいりたいと考えているわけでございます。
  24. 村沢牧

    村沢牧君 官房長から答弁があったところでありますが、後ほど申し上げる農蚕園芸局長私的諮問機関である研究会報告を見ても、今までの政府施策について反省すべきところがたくさんあると指摘をされている。今の答弁では極めて不満足でありますが、そうした反省の上に立って今後の施策を進めていかなければならないことは以下申し上げていきますけれども、今日の蚕糸業の不況を招いた原因繭糸価格安定制度そのものに起因するものではなくて、その運用のまずさ、政府需給見通し誤り輸入抑制政策の手ぬるさ、時代推移対応する積極的な対策を講じ得なかったことが最大原因ではないか。農蚕園芸局長はどういうふうに考えますか。
  25. 関谷俊作

    説明員関谷俊作君) 先ほどの大臣からのお答えにもございましたように、今また先生指摘の中にございました繭糸価格安定制度に関する研究会報告、これが関係学識経験者の方の真剣な御議論の結果としておまとめいただいた報告の中にございましたように、非常に現在の事態需要減退あるいはそれに対応します価格のこういういわば低迷と申しますか、そういう事態に対して今まで適切に対応し得なかったというその運用上の問題というのは非常に大きいということがございまして、そういう意味で今後の制度及び運用も含めて真剣に見直しをしなければいけない、こういう御指摘になっているわけでございます。  その間、私ども行政当局としましては需要増進面努力あるいは現在の安定制度のもとでの最大限努力ということで、蚕糸砂糖類価格安定事業団による買い入れ等も実施してきてまいったわけでございますが、それが結果的に大変大きな在庫をもたらして、ずっと五十七年十一月以来でございますが、買い入れ一方で在庫が増加している。こういうような形でございますので、やはり私どもとしましては、そういう需要面の問題それからお話にも出ました輸入調整の問題、こういうことも全体に含めまして早急にこれからの対策を確立しなければいけない、こういう時期に来ておると考えております。
  26. 村沢牧

    村沢牧君 今後の方針については伺っておくけれども、私が指摘したように、政府需給見通し誤り輸入抑制措置の手ぬるさ、時代推移対応する積極的な政策ができなかった、このことについてどういうふうに反省しているのですか。
  27. 関谷俊作

    説明員関谷俊作君) 特に輸入面について申し上げますと、これはこの数年来の傾向をごらんいただきますと、全体的に、近く五十三年あたりの絹の全体需要一つのピークにしまして、この五年間ぐらいで大変激しく内需が減少してまいってきておるわけでございます。その間の生糸生産面については御承知のような減産指導もしておりますが、同時に輸入面につきましては、極力これを圧縮するということで実施をしてまいりまして、生糸につきましては少し前ですと年間五万俵とか、時によりますと六万俵近くの輸入もありたわけでございますが、五十八年をとりますと、一万二千俵というようなことで大変圧縮をしてきております。  それから一方、これは通産省の所管でございますが、絹糸、絹織物、二次製品関係につきましても、かつての少し前の十三万俵台から五十八年は九万四千俵と、大体九万俵ラインに近いところまで抑制をしてきておるわけでございます。ただ、特に絹織物関係絹製品関係につきましては御承知のように自由化商品でございまして、現在、原料でございます生糸に相当大きな内外価格差があることもございまして、かなり輸入圧力が強いということで、中国、韓国との二国間協議におきましてもなかなか絹織物輸入を圧縮する上での限度がある。こんな感じでございますが、私どもとしては、これはこれからの問題といたしましても、生糸のそういう輸入のいわば調整をいたします一方で、絹織物につきましては今の仕組みの中で最大限圧縮にまた御努力いただきたいということを通産省に対しても御要望いたしたい、かように考えておる次第でございます。  ただ、こういう需給規模全体から見ますと、やはりまたこれは非常に難しいことでございますが、少し先も見まして非常に慎重にこれからの日本国内内需の規模を考え、また、それに応じて輸入調整、それから生糸の生産面に対する指導ということも実施していかなければならないとも考えておりますし、また、価格安定制度の面でも現在の事業団制度及び運用についてかなり基本的な見直しもしなければいけないという御指摘もいただいておりますので、これらも含めまして対策を考えたい、こういうことでございます。
  28. 村沢牧

    村沢牧君 今後の対策についてはこれからだんだん聞いていくのだけれども、今までの施策について反省がほとんどないのです。言いわけばっかりしている。今までの施策はどこが悪かったと、この反省がなくては新しい施策発展がないじゃないですか。あなたたちは全然行政責任を感じていないのですよ。ですから私は何回も指摘をしてきたのです。だんだんこれからその内容を言っていきましょう。  局長の諮問機関である繭糸価格安定制度に関する研究会は、去る十月三十一日、討議結果を答申しておりますが、この報告書の評価と性格について伺いたい。すなわち農水省はこの報告書の内容を評価し、尊重して、今後の施策に反映をしていくのか。この答申を今後の蚕糸政策の柱とするならば、予算制度、法律事項など重要な改正を伴ってくるけれども、そのスケジュールについてはどう考えているのですか。
  29. 関谷俊作

    説明員関谷俊作君) 繭糸価格安定制度に関する研究会は昨年の八月から発足いただいて、相当回数の御検討、また、議論を踏まえて今回の御報告になったわけでございますが、私どもとしましてはそういう経緯、また、これは第二次臨調以来の行政改革の一つの項目としまして、繭糸価格安定制度の抜本的検討ということも行政改革の方針として出ておりますので、この研究会報告は、研究会の性格は局長の諮問機関でございますけれども、やはりここで真剣に御議論いただいた点を踏まえまして、早急に対策を講じたい。そのスケジュール的なこととしましては、やはり基本的な対策としましては、この研究会報告の内容を実現するといたしますと、関係の法律の改正なり立法措置、それから六十年度以降の予算措置というものが必要でございます。  また、なお研究会報告でのそういう将来の基本方向を踏まえますと、その展望のもとに当面今我我の直面しております価格の逆ざや等の非常に緊急の問題に対してどういう措置を緊急に講ずるか、こういうことも含めまして、今年度中に早急になすべきこと、それから来年度以降の立法、予算措置ということについて来年度の予算編成期までに早急に具体化を図りたい。また法律につきましては、当然のことでございますが、また国会で御審議をいただく、かようなことになろうと考えております。
  30. 村沢牧

    村沢牧君 この研究会趣旨を尊重して、予算については明年度予算編成までに方針を出す、それから法律改正については次期国会に提出する、そういうことですか。
  31. 関谷俊作

    説明員関谷俊作君) 研究会報告に盛られました基本的な方向についてはまさに御指摘のとおりでございまして、六十年度予算、それから次の通常国会関係法案を提出するということでございます。
  32. 村沢牧

    村沢牧君 それではこの研究会報告農水省としては尊重し、この報告を柱にして今後の蚕糸政策を進めていくというふうに理解いたしますけれども、私も研究会のこの答申を何回か読ましてもらいました。しかし、この中身を見ますと、これはあくまで財界主導の臨調答申、政府の行革大綱に基づく制度改正、事業団の赤字解消に主眼点が置かれています。そしてその骨子は、輸入規制については極めて消極的であるけれども養蚕家や製糸業に対しては規模の縮小や合理化を求め、基準糸価引き下げを誘導しているのです。また、需要増進や流通改善対策については抽象的な言い回しをしているにすぎない。このような報告書は安定制度を残すということを名目にして養蚕製糸業を大幅に縮小しようとするものであって、蚕糸業危機を打開するものでもないし、農業発展のための抜本的な提言ではない、このように私は思います。こうした提言を実行に移して蚕糸業の抜本的な発展が図れますか。
  33. 関谷俊作

    説明員関谷俊作君) この研究会報告基本的な立場でございますが、これは中にもございますけれども、現在の運用状況からしますと、現在の価格安定制度が崩壊の危機に瀕しておるというような指摘がございまして、これをこの価格安定制度を中心にして日本養蚕業発展させていく、そういうためにはどうしたらいいか、こういうことでございまして、この研究会の中にもございますが、「将来にわたって蚕糸業安定的発展を期するためには、膨大な生糸在庫を含め当面する需給均衡状態を、それをもたらした原因とともに早期に解消することが避けて通れない」課題、こういう認識でございまして、決して我が国蚕糸業をいわば発展を考えないということよりは、むしろ発展をさせるためには大変厳しい制度見直しも含めた改善を図らなければいけないのだ、こういう立場に立っておられるものと理解しております。
  34. 村沢牧

    村沢牧君 この報告書が我が国蚕糸業発展に資するものであるかどうかについては、後ほどまた指摘をしてまいりますが、その前に大臣に一点だけ伺っておきますが、大臣国会決議や法律運用に対する附帯決議を尊重されていきますか。
  35. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 尊重してまいります。
  36. 村沢牧

    村沢牧君 衆参両院の農水委員会は、過去において蚕糸業振興に関する決議を何回も行っています。その項目を要約いたしますと、一つは繭糸価格安定法を堅持し、その趣旨を体して蚕糸業安定的発展を期すること。二つは再生産が可能な繭糸価格の実現に努めること。三つは輸入抑制すること。四つは国産繭の生産体制を整備し、生産性向上と増強に努めること。五つは積極的な流通改善と需要増進対策を講ずること。おおよそこのような趣旨であります。研究会報告を今後の施策に反映するとするならば、このような国会決議との関係はどういうふうになりますか。国会決議との矛盾が大分出てまいります。どういうふうに考えますか。
  37. 関谷俊作

    説明員関谷俊作君) ただいまございました国会決議につきましては、私どもこの趣旨に沿って対策を講じてまいっておるわけでございますし、ただいまの研究会報告の内容のそれに従います今後の対策基本的なラインにつきましても、ここに書いてございます決議の内容と、これは一つの見方でございますが、方向において矛盾する、あるいは逆行するというような趣旨のことではないというふうに私ども理解しております。いずれにしましても、こういうここにございますような決議趣旨に沿った考え方をしていくとしますと、これからの制度運用についてもかなりなむしろ見直しを必要とするというようなことではなかろうかと思っております。いずれにしましても研究会報告の具体化につきましては、法律なり予算という形で御検討いただくこともございますし、またそれから当面の需給問題、緊急対策等につきましてもさらに検討を深めてまいりたい、かように考えております。
  38. 村沢牧

    村沢牧君 それではこれから進めていく検討予算あるいは法律改正は国会決議に沿ってそのような方向で進めていく、よろしいですね。
  39. 関谷俊作

    説明員関谷俊作君) 御指摘のとおりでございます。
  40. 村沢牧

    村沢牧君 この報告書は、養蚕業については生産規模の合理化は不可避であるとして今後さらに生産調整を進めることを提言しています。しかし、絹の需要量は我が国国内生糸の生産量では賄うことができないのではないか。生糸の消費量が減っているとはいえ、絹需要動向を見れば五十七年生糸年度の絹の需要は三十四万一千俵に対し、国内生糸生産量は二十一万五千俵で、需要量に対して十二万六千俵も足らない。また五十八生糸年度では三十一万七千俵に対して十九万四千俵であるので十二万三千俵も不足をしている。大臣、このように国内生産量は需要量に対して四〇%も不足しておるのに、なぜ国内の繭を生産調整しなければならないのか。農政の立場からするならば、繭の生産調整をするどころかもっと増産をして養蚕日本農業として発展をさせるべきであるというふうに思いますが、大臣はこういう現実を見てどういうふうにお考えになりますか。大臣の政治家佐藤大臣としての見解をお聞きしたい。
  41. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 今おっしゃる意味はよくわかるわけでございます。できるだけ自給体制をとりたいという考えは持っておりますが、国際的な環境等もございまして、その辺が十分でないという感じがしておるわけでございます。
  42. 村沢牧

    村沢牧君 あなたはこのたび農林水産大臣に御就任になったのですから、農業という面で考えてもらわなければいけませんが、その点は私は申し上げておきたいと思います。よろしいですね。  次に、農産物需要と生産の長期見直しを閣議決定をしているのです。この中で養蚕について言うならば、目標年度の昭和六十五年には生糸需要量は三十九万俵桑の栽培面積は十三万ヘクタール、生糸の生産量は三十万俵になる。このようにしているのですけれども、この長期見通し研究会あるいはまた政府の今の見解はどうなのですか。
  43. 関谷俊作

    説明員関谷俊作君) 長期見通しの内容につきましてはただいまお尋ねの中にあったとおりの数字が掲げられておるわけでございます。これは基本的にはその当時自体におきまして我が国の経済の安定成長期のもとでフォーマルな絹織物の消費面でかなり需要が見込まれることとか、あるいは成人女子人口の増加等、こういうような順調な増加を見込んだことに対応するものでございますし、その中で国内生産の割合もかなり高く見込んだわけでございます。これがその後の状況としましては生活様式の変化、所得の伸び悩み、そういうような要因が非常に大きく作用いたしまして、かねて御承知のとおり、五十八年には三十万俵台を割り込むというような急速かつ大幅な減少になったわけでございます。これはやはり長期見通しの線から見ますと大変なそういう意味では予期せざる事態を生じたということでございますし、また一方、その中の内需トータルの中の輸入のシェアにつきましては、ただいま大臣からもお答えがございましたけれども、こういう現状で生糸の内外価格差がございますと、生糸もそうでございますし、絹織物製品関係でもやはり日本に対する流入圧力がかなり強まってまいりますので、そういう意味で結果的に輸入のシェアもかなり見通しで見ましたよりも大きくふえてきた、こういうような形でございますので、こういう意味では私ども率直にこの長期見通しのいわば見直しという事態を必要とすることになっておる、かように考えております。
  44. 村沢牧

    村沢牧君 局長、時間も余りありませんからひとつ答弁質問に対して簡潔にやってもらいたいと思うのですが、長期見通しを見直しする、長期見通しなんというものは閣議で決定して日本農業の将来の方向を示したもので、そんな軽々しいものじゃないですよ。長期見通しどおりにいかなかったということは重大な責任じゃないか。そのことについては、いつ見直しをするのか、また後日追及してまいりましょう。  そこで、率直に聞くけれども日本養蚕は今よりさらに減少、縮小していくのだ、そういう方向ですね。簡潔に答弁してください。
  45. 関谷俊作

    説明員関谷俊作君) 現在の需給の傾向、今後の傾向の予測、またそれから輸入調整努力、こういうことを全体勘案しましても、研究会報告にもございますが、やはり養蚕の規模としては縮小という方向をとらざるを得ない、こういうふうに考えております。
  46. 村沢牧

    村沢牧君 現在のような糸価あるいは繭の値段でも養蚕産業としてまさに成り立たなくなっておるけれども、さらにこれを縮小するとするならば、山村傾斜地の養蚕というものは全く崩壊してしまう。養蚕も縮小する、たばこも生産調整をする、一体こうした地域では養蚕にかわって何をやればいいというのですか。具体的に示してください。
  47. 関谷俊作

    説明員関谷俊作君) 現在のところでは、実際に桑園をあるいは整理をしましたり縮小しましたりしまして転換する先としましては、従来の傾向でまいりますとやはり野菜、果樹関係がかなり多い。それから一部の地域の特作物等もございますが、そういうような現地の実態に即した転換ということがどうしても避けられないわけでございます。そういう方向におきまして、やはり全体の生産規模の調整、縮小が必要である状態のもとにおきましては、そういうような一種の転換が円滑に進むような行政面でのそれぞれの作目の生産振興なりそういう面で配慮をしてまいりたい、かように考えております。
  48. 村沢牧

    村沢牧君 そんなことを口で言ったって、今養蚕をやっているような地域が簡単に野菜をつくったり果樹をふやしてもいいのですか。そんな地域じゃないのです。私は、そういう答弁ですから、後日局長に来てもらって、この地域は桑をなくしてしまうけど、何をつくったらいいのですかと具体的に御指導いただきますから、よく承知しておってください。  さらにこの報告書は、糸価について現在の異常変動防止措置を廃止して、新たな価格安定帯を設けて需給調整機能を図れというふうに指摘をしていますが、この考え方は、生産費を基準にして安定価格を算定するという従来の方針をやめて、需給のバランスを見て安定帯を決定せよということであって、従来の価格決定の趣旨と全く異なる発想でありますけれども、この安定帯のとり方によっては、制度は残っても生産者にとっては有名無実になってしまう、それをどういうふうに考えますか。
  49. 関谷俊作

    説明員関谷俊作君) 生産費基準の問題でございますが、これは現在の法律には生産費を基準としてということでございますが、現在の異常変動防止措置におきましても、その生産費を基準とする基準の仕方については、政令で基準のとり方としまして通常の場合で八五%まで、時によりますと臨時的には六割までというようなことが下位価格についてございまして、そういう形でやはり生産費を基準としながら需給実勢も見ていくということが、考え方としてもともと異常変動でございますからあるというふうに考えておりますが、研究会報告としましてはその点を特に明確に取り上げまして、生産費基準ということをとっておる現在の異常変動防止制度がやはり一つの問題になっておる、そういうような指摘をされておられるわけでございます。
  50. 村沢牧

    村沢牧君 だから、これからの糸価は生産費基準ではなくて需給のバランスを見て糸価を決めていくのだと、これの言っていることはそのことですね。はっきりしてください。
  51. 関谷俊作

    説明員関谷俊作君) これは研究会報告の最後の要約のところにございますように、需給実勢というものに注目をした価格安定帯の設定をすべきであるというのが研究会報告基本的な価格についての考え方でございます。
  52. 村沢牧

    村沢牧君 それでは全然生産者の生産費は補償されないじゃないですか。需給のバランスなんて今ずっと崩れている、それで来年の糸価を決めようとする場合には現在の水準よりも下げなきゃならないということになるでしょう。しかし、養蚕家を守っていくという立場に立つならば、基準糸価については来年度も現行水準は下回っていかない、そのことをはっきりここで表明してもらいたいが、どうなのですか。
  53. 関谷俊作

    説明員関谷俊作君) 研究会報告のこれも最初の方にもございますけれども、これは研究会報告の中では、実際の水準については一切具体的な指摘を避けておりますが、やはり全体の考え方としましては、従来の、現在に至ります価格安定帯の水準がやはり実勢から見ると高過ぎたために現在のような在庫増なり、あるいは安定帯の下の方で実勢が推移する、こういうことの事態を生じたという意味で、安定帯の下限の水準としましては現在よりかなり低い水準を頭の中に置いているということは事実であろう、こういうふうに考えております。
  54. 村沢牧

    村沢牧君 研究会報告はそうであるけれども、現行の水準のような糸価を守っていくという決意があるのか、守れないのか、その辺はどうなのですか。
  55. 関谷俊作

    説明員関谷俊作君) これには当面の問題が絡んでくるわけでございますが、私どもの今の状態としましては、蚕糸砂糖類価格安定事業団在庫なり今年の買い入れの状況から見ますと、現在の価格水準でこの安定制度によります買い入れを続けていくということが非常に困難になっているという事態には来ておる、かように考えております。
  56. 村沢牧

    村沢牧君 養蚕はもっと縮小しなさい、価格は下げなさい、これが何で養蚕発展する報告なのですか、政策なのですか。農水省の統計情報部の五十八年度繭の平均生産費は、キロ当たり三千四百二十八円です。しかるに、現在は初秋蚕は千七百円、晩秋蚕は千五百円の仮渡し金しか農家に渡ってないのです。繭一キロつくるのに二千円も赤字になっている。これは大臣、余りにも無理じゃないですか。しかも、それをさらに下げようというのです。  それで、具体的に伺うけれども、なるほど現在の安定法を発動してことしの春蚕については基準糸価をどうにかこうにか守った。しかし、今私が申し上げたような、千七百円だとか千五百円しか渡っておらないこの初秋、晩秋蚕についてはどのようにすべきだというふうに思うのですか。これはやむを得ないと思うのですか。生産費は、去年の調査で三千四百二十八円かかるのです。ことしはもっと上がっておるのだ。
  57. 関谷俊作

    説明員関谷俊作君) 従来の繭価で申しますと、繭価水準自身が生産費調査にあります生産費の結果をむしろ下回っておるという状況、現在の中間安定等の価格等でもそういう事態になっておるわけでございますが、これは農家の所得という面から見ますと、この中の例えば物財費部分をカバーしましたそれを上回る部分は、所得として農家に労賃報酬なり、あるいは地代資本利子等の形の所得として所得があるわけでございまして、そういう意味で、むしろ従来から見ましても繭価水準が生産費調査結果を下回るような状態でも、結果的に生産はかなりの水準で維持されておったというような状況でございます。  それはやはり所得に対する効果があった、こういうことであると思いますが、当面、御指摘のございました今年の繭価につきましては御承知のような、今お話のございましたような水準の内渡し金協定がございまして、これから最終的にこの内渡し金を上回る部分について価格の水準がどうなるかということにつきましては私ども、今年産の繭の生産農家の手取り問題、所得問題としまして、これから価格の水準をにらみながら、最終的にこの内渡し金で決まるということではございませんので、必要に応じまして適切な助言もし、また価格安定制度関係におきまして対策を講じてまいりたい、かように考えております。
  58. 村沢牧

    村沢牧君 ですから、現在のような糸価でもって農家の所得を補っているなどと、そういう甘い認識だから養蚕対策ができないのです。いろいろ言っているけれども、今困っている、血のにじむような努力をしている養蚕家の気持ちなんというものを局長は全然理解していないじゃないですか。そんなことで局長が務まりますか。  そこで、輸入の問題については先ほど来いろいろ言われているところでありますが、通産省にお聞きをしますが、通産省も、生活産業局長私的諮問機関として絹問題研究会を設けて近日中にその報告書を公表するようでありますけれども、絹製品輸入調整についてはどのような前向きな方針を出しますか。絹製品輸入調整についてお聞きをしたい。
  59. 篠島義明

    説明員(篠島義明君) 具体的には現在、主要な輸入国である中国、韓国それから台湾と、それぞれ政府間の協定ないしは民間の協定で輸入数量を抑えておりますが、これは相手方の日本の蚕糸あるいは絹業に対する理解を前提として格別の協力を得てやっておるわけでございます。それから一方、三国以外につきましては、これはガットルールの原則に基づきまして、しかしながら、いろいろ三国からの輸入が迂回して入ってくるのを抑えるとか、あるいは日本へ入ってきまして織物だった物が糸にばらされるとか、そういった不正な輸入が行われないような監視体制をとりながら、できるだけ秩序ある輸入を行わせるようにいろいろ努力をしておりますが、このやり方が今後もとり得る最善のあるいは最適の方法ではないか。具体的に三国に対する輸入絹織物等の数量については、日本の実態を十分話し合ってできるだけ抑える方向で協力してもらうというのが最大のポイントだろうというふうに報告書ではいただいております。
  60. 村沢牧

    村沢牧君 報告書でそのように書かれており、そのことが通産省の方針でもあろうというふうに思うのですけれども、今答弁をお聞きしても何ら前向きなものが出ておらない。生糸絹織物輸入規制については国会でも何回も論議をされておるが、少しも前進をしない。また、輸入がふえることが蚕糸業を苦境に陥れているのです。  五十八年度における輸入を見ると、生糸は三万一千俵、絹糸が一万八千俵、絹織物が五万二千俵、二次製品が二万七千俵、合計十二万八千俵にも達しているのです。ところが事業団在庫は十七万五千俵もあって、これで困っている。そのために法律改正をしなければならない。こんなに在庫があるのに、何でこんなに輸入するのですか。それが政治としてできないところに日本政府の問題点があるのです。今局長答弁を聞いてもほとんど前向きなものは出ておらない。  なるほど絹織物が自由化製品であることは知っている、二国間協定による努力によって輸入を減らしてきたことも知っているけれども、しかし、その反面他の国から輸入がふえている。しかも、和装用の小幅生地の輸入は減っておらないのです。一体どうして実効ある措置ができないのか。さらに言うならば、現在の輸入は総量、つまり面積の規制で輸入しておるけれども、これを重量の規制の対象にならないのか。かねてから言われておることなのです。これについても何ら手を打っていないのじゃないですか。通産省、局長はどういうふうに考えますか。
  61. 篠島義明

    説明員(篠島義明君) 絹織物輸入でございますが、これは例えば繊維についてはガットのルール以外の、特別の各国間におけるMFAという輸入調整の条約がございますが、これに基づく運用についても、毎年六%程度の輸入の増加というのは規制を行う場合も確保しなければならぬという原則があるわけでございますが、絹につきましては、これは中国、韓国ともにここ数年間毎年、前年度を下回る数量を設定してもらっておるということでございまして、ちなみに五十年の絹織物国内の生産量に対して五十八年度で三割ぐらい減っておりますが、それに対する両国間の絹織物輸入の減少率は五〇%になっておるということで、国内の生産量よりも高い輸入の減少率を一応向こうとして協力してくれておるわけでございます。  それから、重目の絹織物輸入が次第にふえておるという点は確かにそのとおりでございまして、数量ベースに比べて重量ベースで見ますと削減率は多少低くなっております。しかし、これについても我々として別枠規制というのはこれは非常に難しい問題でございますが、できるだけ重量ベースでも遠慮してもらいたいということを頼んでおりまして、向こうもそこら辺のところはある程度理解してくれておるという状況でございます。
  62. 村沢牧

    村沢牧君 次は製品の生産地表示についてなのですけれども、生産地を表示することは公正取引委員会でも義務づけをしておるところでありますが、日本に入ってくる製品がどこの国でつくったか全然わからない。私も現物を見ておりますけれども日本製品と同じようなマークを使い、その文字も一字か二字を変えているにすぎない。したがって、絹製品は国産品の方がいいというイメージを与えるためにも表示を輸入物についてもっと正確にすべきではないか。公取はどういうふうに取り組んでいますか。
  63. 黒田武

    説明員(黒田武君) お答えいたします。  公正取引委員会では商品の原産国に関する不当な表示といいます告示を制定しておりまして、その中で外国品につきましては文字による表示の全部または主要部分が和文で表示されている場合であって外国品であることを一般消費者が判別することが困難であるようなものを不当表示として指定しております。したがいまして、ただいま御指摘のような外国品につきまして、外国品である旨を明瞭に表示していない場合について、小売業者が看板とかポスターなどで国産品であると一般消費者に誤認させるような表示をしているときには不当表示に該当するわけです。したがいまして、そういう方針のもとに私どもの方といたしましては、五十六年の六月には絹織物に関して関係団体にただいま申しましたような方針のもとで表示の適正化を図ってくれという要望を出しておりまして、また最近になりましては、再度、いろいろと絹織物につきまして不当な表示があるというとかくの苦情がありましたものですから、日本織物中央卸商業組合連合会初め各小売団体などにも表示の適正化を図るよう指導しておるところでございます。
  64. 村沢牧

    村沢牧君 指導はしておるけれども、現実に産地がどこだかわからないようなものがどんどん出回っていますからもっと積極的にやってください。強く要請しておきましょう。  それから次は、絹製品の流通についてでありますけれども、流通過程の複雑さ、あるいはコストマージンの大き過ぎることが従来から指摘をされ、その改善が求められておったけれども、通産省の研究会検討の結果、どのように改善を図ろうとするのですか。
  65. 篠島義明

    説明員(篠島義明君) まず、マーケティングの面でこれはもう一つ保守性を脱却する必要がある。最近の消費者の需要動向というのは構造的に非常に変化しておりまして、高付価値化あるいは多種多様化、個性化、そういった動きが顕著になると同時に、価格に対する反応もかなり敏感になっております。そういった点に十分対応できるように積極的な、価格ゾーンの取り方だとかあるいは生産を需要に直結させるような形のいろいろな工夫、そういった面で今までのやや保守的であった体質からむしろ積極的なそういう需要を開発するようなマーケティングをやるべきだというのが第一でございます。  それからもう一つ、これは繊維全体にいわゆる取引が非常に多層化しておりまして、あるいは多元化しておりまして、やや前近代的と申しますか、そういった取引条件で取引されておる実態もございます。  これにつきましては、昨年の十月、先進国型の繊維産業ビジョンというものを繊工審で御答申いただいておりますが、その中でも、そうした取引の近代化に対する思い切ったこの際前向きの対応が必要であるということが言われておりまして、現在民間ベースで繊維取引近代化推進協議会というのを設けていろいろ検討していただいておりますが、生活産業局長の諮問機関として取引改善委員会というのを近く設けて、民間の方の協議会とあわせながら取引準則といったものを中心に取引近代化を一層進めるという方向でやろうとしておりますが、そういった取引の近代化もこの際絹関係については思い切ってやるべきだという点が今回の報告書の主要なポイントでございます。
  66. 村沢牧

    村沢牧君 いろいろと御答弁いただいたけれども、今まで当委員会で通産省から答弁したことから一歩も出ておらない。結論的に言うならば、研究会検討してもらったけれども、今まで通産省がやっていたことが最大限度のものだ、これ以上はできないということじゃないですか。ただ、通産省のやったことが間違っていなかったとそのことを証明するための研究会です。こんなことでは輸入規制なんかできないです。そのことを強く申し上げておきましょう。もっと研究しなさい。  大臣養蚕のことについて最後にお伺いいたしますが、私は蚕糸問題について今質問いたしました。時間がありませんから多くを申し上げることはできないけれども、このほかにも例えば生糸の問題、それから事業団在庫の問題、需要増進問題、重要な問題があるわけです。このことは本日は省略いたしますけれども農水省や通産省が今考えておるような、またこれから法律改正も含めて実施をしようとするような政策では日本蚕糸業はつぶれてしまうのです。  蚕糸業の歴史を見ると何回か困難な時期もあった。しかし先人の努力によってそれを乗り越えて今日日本農業の中で主要な産業として受け継がれてきたのです。世界でも最大の絹の消費地は日本なのです。この日本養蚕をつぶしちゃいけないのです。あなたが大臣のときに養蚕をつぶすような方向を出しちゃいけないのです。そのことをしっかり踏まえて予算なり法律改正に取り組んでもらいたいと思いますが、決意はどうですか。
  67. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 先ほどから聞いておりまして、実は私はまだなって八日目ぐらいでございますが、基本的にやはり需給のバランスが崩れたというようなこと、そんなことで、いかにしてこの販路を拡大するかというような問題もあるかと思います。そんなことで、実は先ほど局長が申したようなことでございまして、いろいろな反省に立って農林水産省は考えておりますが、私は今聞いておりまして、もちろんこの養蚕の問題は日本の伝統的な地場産業というようなことをもちまして、どんなことをしても守りたいという決意を持っております。そんなことで通産省には重ねてそういう問題もお願いいたしますとともに、私は対策二つあると思います。  一つは緊急対策一つは長期対策でございまして、一番問題は、ことし秋あるいは冬に取引される繭につきましては、やはり価格の問題につきまして何らかの措置を考えてみたいと思っております。  それから、長期対策につきましては先ほど局長が言ったようなことでございまして、いろいろな御不満な点はあるかと思いますが、全力を尽くして国会決議あるいは研究会報告に沿いまして頑張るつもりでございますが、よろしくお願いいたします。
  68. 村沢牧

    村沢牧君 最後に林野庁に一点伺っておきます。  政府の行革方針及び国有林野事業改善計画によって林野庁は営林局の一局削減を検討しているようであるけれども基本的な方針について伺いたい。
  69. 角道謙一

    説明員角道謙一君) 営林局の一局の統廃合につきましては、行政改革の一環といたしまして、また林野庁の経営改善の一環といたしまして、昭和六十年の三月三十一日までに統廃合のために必要な措置をとるというように、既に農林省設置法でも定められておりまして、私どももその方向に従いまして現在検討を進めております。  これをやるに当たりましては、国有林野事業というのはやはり林野を管理をいたし、そこで素材生産をし、また販売もしているという一種の現業官庁でございまして、一般の行政機関とは性格を異にいたします。国有林野事業の円滑な実施というものに支障を与えないような範囲でその内容について現在検討を進めておりますが、その具体的な方法、時期、統廃合の対象等につきましてはまだ私どもは最終的な結論を得ておりません。予算編成過程におきまして、関係省庁とも折衝しながら結論を出したいと考えております。
  70. 村沢牧

    村沢牧君 今答弁をお聞きしておると、予算編成時まで、おそくとも来年の三月までには一局廃止の方針を出さなければならない、そのように受けとめるわけでありますが、私は、長官も御承知のように、今まで進めてきた臨調行革には批判的な立場をとってまいりました。特に、国有林の一局、署、事業所の統廃合の縮小は国有林野事業の真の改善にならない、こういうことを主張してまいりましたけれども、改めて強調しておきたいというふうに思います。そして、今までの経過があるにしても、他の省庁との関連もあるでしょうが、これも洞察して営林局の統廃合については慎重に検討することを強く要請しておきます。  それでも、強いて統廃合を強行しようとするならば、何を基準にしてこの廃止局を選定するのか。私見を申し上げますならば、営林局は現業局でありますので、大都市に集中することは誤りであります。統廃合する因子は、現在の局の管理面積あるいは保安林比率及び資産投資額、自然公園、人工林比率、蓄積率、さらには営林署の数、職員数、販売収入額や純益、こういうことを十分勘案して、そして大きな局、比率の高い局は廃止の対象にすべきではない。このような局を地方のセンターとして、緑の山づくりと林業の発展が期待できるような国有林にすべきである。長官の見解を求めます。
  71. 角道謙一

    説明員角道謙一君) 今村沢先生指摘の要素は、私どもが今後統廃合を考えるにおきまして非常に重要な要素であると考えております。ただ一点、営林局はやはり都市にあってはいけないというような御意見はございますが、これは現に大阪、東京、名古屋、前橋等の主として都会にございまして、あとの局はどちらかといいますと、山、現場に近い状況でございます。営林局自体は、実際には直接に事業を実行するのは営林署でございまして、むしろ営林署を通じて営林局が事業の実施を担当しているということになりますので、必ずしも営林局は現場に近くなければならないという点については、私どもいささか意見を異にするものでございますが、現在の営林局の設置場所につきましても長い歴史的な経緯もございますので、こういう点も十分勘案をしてまいりたいというふうに考えております。
  72. 村沢牧

    村沢牧君 時間が来ましたので、これでやめますが、私が申し上げました検討の因子、これは重要な要素であるというふうに思いますが、このことについてはどうなのですか。
  73. 角道謙一

    説明員角道謙一君) 先ほど御答弁申し上げましたとおり、非常に重要な要素であるというふうに考えております。
  74. 村沢牧

    村沢牧君 時間ですから。
  75. 北修二

    委員長北修二君) 本件に対する質疑は午前はこの程度にとどめます。     ―――――――――――――
  76. 北修二

    委員長北修二君) この際、理事の補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 北修二

    委員長北修二君) 御異議ないものと認めます。  それでは、理事に高木正明君を指名いたします。  午後一時まで休憩いたします。    午前十一時十五分休憩      ―――――・―――――    午後一時一分開会
  78. 北修二

    委員長北修二君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、農林水産政策に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  79. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 午前中に我が党の村沢理事からいろいろと米の需給についてのことにも触れられて、ことしの見通し等もいろいろと大臣にお聞きをしたというところでございますが、大臣が新たに就任をされまして、今大変厳しい農業を取り巻く情勢、こんなふうに言われている中でございますが、それこそ日本農業を守るという観点からこれからひとつ御勉強いただいて御努力をいただきたい、そのことをまずお願いを申し上げたいと存じます。  私は、質問の順序といたしまして、ことしのといいますか、昨年の米穀年度における需給の実績等について伺っていきながら、最後に国会決議等の関係もございますので、この問題についての大臣のお考えをお聞きをする、こういうふうにしたいと思いますので、ひとつよろしくお願いをいたします。  そこで、五十九年度は米の需給問題については大変厳しい状況になりました。それこそ私どもは反対をしたのでありますけれども加工原料米が不足をするということで韓国米輸入、この輸入という言葉も、私ども輸入と言いますけれども、貸付米の返還というような言葉が使われております。いずれにいたしましても韓国米に一部頼らざるを得ない、こういう結果だったわけでありますが、米穀年度も十月の末で一応終わったわけであります。それからまだ一週間程度のことでありますけれども、一応五十九米穀年度の米の需給について、実績についてどのようにとらえておられるか。きちんとした数字はまだとらえておられないようでありますけれども見通し等をここでお聞かせをいただけたらと思うわけでございます。とりあえず、まず昨年の米穀年度の需給実績について、ちょっと数字の面でお聞かせをいただきたいと思います。
  80. 石川弘

    説明員石川弘君) 十月の三十一日で五十九米穀年度が終わったわけでございます。最終的な取りまとめはもう少し時間がかかるわけでございますが、概括的なことを申し上げますと、五十九年に立てました基本計画におきましては、供給面におきましては五十八年から持ち越します古米を十万トン、それから五十八年産米を七百二十万トン、それから、その他といたしまして主として五十三年産米を十万トンないし十五万トン前後を予定いたしまして、総計七百四十五万トン程度の供給を予定したわけでございます。  実際の姿といたしましては、十万トンの持ち越しはこれはございますのでそのままでございますが、五十八年産米の集荷につきましては、私どもの数字で申しますと六百九十六万トン、約二十四万トンの不足でございます。それに対しまして、これも最終的に詰めなければなりませんが、現在のところ五三米の使用につきましては十ないし十五という数字に三万トン前後プラスになっているかと思いますが……
  81. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 五十三年産ですか。
  82. 石川弘

    説明員石川弘君) 五十三年産米でございますが、それで十五という数字が若干これを上回って十八とかその辺の数字になろうかと思います。そういたしますと、供給量全体で二十万トンから二十一万トンの供給不足ではなかろうかと思います。  これに対しまして需要でございますが、当初の需要量は七百三十五万トンを想定をいたしておりまして、六百六十万トンの主食、それから五十万トンの酒米、それから二十五万トンのモチ米で七百三十五万トンになるわけでございますが、そういう需要量と十万トンを次年度、六十年度に持ち越すという計画をいたしておりましたけれども主食用の売却につきましてはこの六百六十万トンという数字の上に約二十万トン程度ふえるのではなかろうかと思っております。これはああいう需給事情のもとで政府に対する供給を求めるものが相当多うございまして、多分二十万トン前後ふえまして六百八十万トン程度になろうかと思います。そういたしますと、先ほど申しました約二十万トンの供給不足とそれから約二十万トンの需要の増、差し引き四十万トンの差があるわけでございますが、先ほど申しました十万トンを次年度に繰り越すということは実態的ではございませんので、この十万トンを食う。これはほとんど、若干のものを除きまして年度内に消化をするということを考えますと、差し引きで約三十万トンが計画面よりも不足をするというわけでございます。  私どもが従来から申しておりましたように、そういうこともございまして、五十九年度の米穀年度中にいわゆる五十九年産米、新米を前年に比べて約三十万トン早食いをしなければならない。昨年の新米早食いが六十五万トンでございますから、今言いました供給と需要、それから持ち越し量を差し引きました差約三十万トンを早食いをいたしまして、年度内に約九十五万トン新米を供給するという見込みを申し上げておったわけでございますが、ほぼそういうような形で、数万トンというところはまだ詰めておりませんから御容赦願いたいのですが、大体それくらいのオーダーで五十九年度の米穀年度は米が使われたと考えております。
  83. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 そうすると、計算の仕方はなかなか私もよくわからない、難しいところありますけれども、全体で差し引きをして三十万トン程度が五十九米穀年度においては不足であった、こういうことになるのでしょうか。
  84. 石川弘

    説明員石川弘君) 不足になったと申しますか、その分は新米を充てて供給を終わったということでございます。
  85. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 新米を充てたにいたしましても、言ってみればそれは五十九米穀年度における供給計画というものに対してその分だけ不足をした、こういうことになるのでしょうね。
  86. 石川弘

    説明員石川弘君) 計画面で申しますと需要と供給の差は四十万トンあるわけでございますが、十万トン持ち越しをする予定のものをこれは持ち込しをしませんで使います。したがいまして差は三十万トンでございます。昨年は六十五万トンの新米を年度内に食べたわけでございますが、ことしはその上に三十万トンを乗せまして、前から申し上げております約九十五万トン程度のものの新米を五十九年度内に使用をして年度が変わってきたということでございます。
  87. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 毎年早食いをしている分が大体五十万トンというふうに私は聞いていたのでありますけれども、こういう数字の扱い方にもまたいろいろと問題もないわけじゃないと思います。それにしましてもことし、毎年食べているものは来年もまた予定をして早食いをするということですから、差し引きゼロと考えまして、新米を九十五万トン、こういうお話でありましたが、そうするとその毎年の五十万トンを引けば四十五万トンが新米に食い込んだ、こういうことになるのじゃないですか。
  88. 石川弘

    説明員石川弘君) 新米は御承知のように、不足するからということだけじゃございませんで、新米の嗜好性で食べられるわけでございますが、私どもはごく普通に考えれば、約五十万トン前後のものが新米として前の米穀年度に食べられるのが非常に通常の姿だと思っております。それに比べまして、今回の新米の供給はかなり大きなもの、約四十五万トン、それを上回る規模で供給をしているということでございます。
  89. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 どうも数字の面で私もわからない面がいろいろとあります。そうすると、五十九米穀年度で一体日本国じゅうにすべてのお米を含めてどのくらいあったのだろう、こういうことでいきますと、何かまたわからなくなってくるのですが、昨年の作況指数で予測をいたしました主要生産量は千三十七万トン。そうですけれども、五十八年度に早食いをしていた分が大体十五万トンぐらいということでありますから、それは収量から差し引いて見なければならないでしょうから、ということで千二十二万トンですか。ところが、政府の方の手持ちになっておりましたものが、五十八年産米とそれから五十三年以前産米含めて全体で九十万トンというふうに委員会でも答弁をいただいてきているわけですね。そうすると、九十万トンとにかくあったわけでありますから、千二十二万トンに九十万トン足せば千百十二万トン、こういうことになるわけであります。  しかし、そのうちで今度はまた途中で超古米の臭素残留が問題になりました。あの当時で確か二十万トン程度在庫をしておられるということで、全部検査をされて五〇ppm以上のものは販売しない、こう言われて、その当時まだ約半分ありましたから、約半分ということで聞きましたが、約半分で十万トン、これまた引いても千九十二万トンというような数になります。これだけのものにさらにその新米の早食い分というものを加えて、これはなかったけれども、新米として持ってきたのですから借金と同じわけであります。そうすると、それは今の新米を食った分の四十五万トンを加えると約千百三十万トン以上というものが日本国内で米としてあったと、こういうことになるわけですね。  それで、その需給計画でいくと、全体で千四十五万トンでしたか、というのが需要の総計というふうに予想しておられたと思うのですけれども、そうすると約百万トン近く、八十万トンというのが、こういうのはどういうふうに見たらいいのでしょう。米の総体で計算をしていくと、どうもその辺の勘定が、今の細かい計算をされますと何かわかったようなわからないような気がいたしますけれども、今度は総体でいくとどういうふうになるのでしょうか。
  90. 石川弘

    説明員石川弘君) 今先生の御指摘になりましたのは、初めの計画から申しますと、五十九年の基本計画の当初計画におきましては、御承知のように米の生産量は千九十五万トンあるという前提で計算をしたわけでございます。御承知のように作況がダウンしてまいりましたので、ここで計画を変更しまして、生産量、集荷量、これは全体の生産量は千三十七万トンとこごでまずダウンをさせているわけでございます。そのことの結果といたしまして、しかし、そのときにはまだ予約限度数量は七百七十五万トンというのを予定をいたしておったわけでございますが、単に作況が下がったということだけではなくて集荷も計画どおりいきませんで、七百七十五万トンから五十五万トン引きました七百二十万トンを改定後におきます集荷目標といたしたわけでございます。その目標に対しましてもさらに実行面で約二十四万トン足らない六百九十六万トンになったというのが集荷の面での、当初計画から改定をし、実績でさらに下がったという経緯でございます。  それから需要の方は、御承知のように当初千五十万トンの需要、これは千四十五万トンを真ん中に置きまして前、後ろに切っておるものですから、このときには七百三十五万トンの政府管理米と三百十五万トンの農家消費等を考えたわけでございますけれども、この七百三十五と申しましたものの中身のうち、主食売却の六百六十万トンが、私が先ほど申しましたように六百八十万トンぐらいの実績になるのではないか。この二つの差が約四十万トンございまして、先ほど申しました備蓄に持ち越し予定をした十万トンを、むしろ備蓄といいますか、来年度回しにする十万トンをほぼ年度内に消化をした上で三十万トンの早食いをさらに行ったということでございます。  先生の先ほどのおっしゃっておりました数字の中で、実はこの計画に入らない、要するに過剰米処理の対象として加工原料に向けられるもの、あの二十万トンとおっしゃいましたものの中にはそういうものが含まれているわけでございまして、あれはすべて主食用に回るという数字ではございませんで、そこは主食に回るものは当初から十ないし十五万トンという想定をしておったのが若干ふえたということでございます。
  91. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 いや、今主食に回るか回らないかということを別にしまして、というのは、総体でいけばそれは加工原料用であろうと総需要量ということで中に含まれるわけであります。そこで今度は、そうすると作況指数が確定をした段階で千三十七万トンということになりましたが、それは千三十七万トンなかったということになるわけですか。
  92. 石川弘

    説明員石川弘君) なかったと申しますよりも、それを前提にして政府が、政府管理の中で考えておりました集荷量が達成をできなかったということでございます。
  93. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 その集荷量が達成できなかったというお話はわかりますが、だから総体の米として、日本全体の米として、そうすると、ある程度のそういう政府の集荷というものを通じないでもこれだけのものがあるであろうという、そういう計画を立てるときは当然必要なわけでしょうけれども、そこはどういうふうに推定されるわけですか。
  94. 石川弘

    説明員石川弘君) 多分先生の御質問趣旨が、政府管理以外に三百十五万トンの農家消費等というものがございます。等と申しておりますのは、農家が消費しますもののほかに農家の周辺でやはり動いておる米が相当あるわけでございます。この場合に過去の経緯から申しますと、作が悪くなってまいりますと、実は政府管理の外側にある米の量もだんだん小さくなってまいりまして、そのことが政府管理米に依存する度合いを強める。逆に、大変作がよくなってまいりまして過剰傾向になりますと、むしろそういう農家消費等と言われているものの動きます最がふえてまいります。そういうことになりますと、政府が予定をしておりました政府管理米のいわゆる供給量をむしろ逆に圧迫するという傾向がございまして、たまたま五十八年から五十九年にかけましては御承知のように連続の災害ということもございますし、それから農協等が大変集荷に努力をしていたという経緯もございますので、私どもの推測では、世に言う農家消費等のボリュームというものは比較的小さい形ではなかったのだろうか。そのことが政府米に対する依存度を高めまして、当初私どもが考えておりました六百六十万トンの主食以上の需要が出てきたのではなかろうかと思っております。
  95. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 いずれにしましても、その見通しを立てる段階にいろいろと問題があるのではないかというふうに私は推測をするわけであります。といいますのは、例えば今農家の保有についてのこともありましたが、最近の農家の状況は十月まで、年度内いっぱいに米を持っているという農家はかなりまだ多いわけでありますけれども、従来ですと年内というものが多かったのが、最近は新潟あたりでも十月末にはもう自分の手持ちの米はなくなるという状況でありますから、そういう面では農家保有量の推定というものにいろいろとまた問題点があるのではないか、こんなふうにも思います。  数量の問題は、後でいろいろとまた数字も検討させていただくといたしまして、そこでその中で五十三年以前産米の問題があります。これは本委員会決議の中で、五〇ppmを超える臭素残留米については、「早急に完全な検査を行い、今回定められた基準を超えるものについては、主食用、加工原材料用として、市場において販売されることのないよう措置すること。」、こういうふうになっておるわけであります。この「早急に完全な検査を行い、」という決議があるわけでありますから、当然検査をされたというふうに報告は受けておりますけれども、私どもが聞いていた範囲ではまだ全量完了というふうには聞いていなかったわけであります。これは全部完了されましたか、そしてされたといたしましたならば、その結果はどういうことでありましたか。
  96. 石川弘

    説明員石川弘君) 五十三年産米、若干五十一、五十二もございますが、そういうものを含めました問題の臭素の含有を懸念されますものの検査につきましては先般検査を終了いたしました。数字で申し上げますと、五十一、五十二、五十三、大半が実は五十三年産米でございますが、総計いたしまして二十三万八千トンの中で基準に適合するものが十一万三千トン、基準に適合しないものが十二万五千トンでございました。
  97. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 そうすると、これは基準に適合しなかったものということでありますが、約単数と聞いていましたが、半数をちょっと上回っておりますね。それで、これはどの程度の幅がありましたか。臭素含有量というのは、やはりこれは大きな問題だと思うものですから、そのデータは公表されますか。
  98. 石川弘

    説明員石川弘君) これは第一義的に申しますと、五〇ppmが境でございますので、これから以下のものは適合、それ以外のものは不適合ということで、五〇ppmを超えますものはこれは直接の食用に供することは御承知のように制度上禁止をされておるものでございますから、特段公表するというふうに考えておりませんが、若干の段階で分けたものでございますれば私ども数字は持っております。
  99. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 私どももこれはそれこそ国家を挙げていろいろと議論になったものでありますから、それだけに重要なことだというふうに思うわけであります。したがいまして、これについては検査をされた結果の資料を提出をしていただきたい。これは国会決議にもあることなのですから、ぜひ資料については、「完全な検査を行い、」ということがあるわけでありますから、当然私どもにそれを知らぜていただきたい、このように思いますので、資料を請求したいと思いますので、長、よろしくお願いいたします。
  100. 北修二

    委員長北修二君) 長官、どうですか、よろしいですか。
  101. 石川弘

    説明員石川弘君) 私どもの方で調製をして提出をさしていただきます。
  102. 村沢牧

    村沢牧君 資料提出は、この場所で出るのでしょう。資料を提出するだけでしょう。
  103. 石川弘

    説明員石川弘君) 提出をするということをお答えしているわけでございます。
  104. 村沢牧

    村沢牧君 提出をしてください、あるのじゃないですか。
  105. 石川弘

    説明員石川弘君) 適合するもの、適合しないものという表なら今すぐお出しをいたしますが……。
  106. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 適合するもの、しないもの、当然いただきたいと思います。  そしてさらに、今そこになければ検査の結果についての資料もいただきたいというふうに思います。あるものはすぐいただきたいと思います。
  107. 北修二

    委員長北修二君) よろしいということで……。
  108. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 はい。  十一万三千トンのうち加工用原料米として使用したものと主食として使用したものとどのくらいになりますか。
  109. 石川弘

    説明員石川弘君) 業務主食用に、これは業務用でございますが、売却しましたものは六万二千トンでございます。
  110. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 そしてこの決議の中でやはり五〇ppmという「暫定基準についても国民食糧の安全性の確保の観点から、法律に基づく基準とすることを検討すること。」ということが盛られております。農水省としてはこの点についてはどのようにお考えになり、どういうふうに対処をしてこられておりますか。.
  111. 石川弘

    説明員石川弘君) 五〇ppmを決めていただきますときに、御承知の食品衛生法上の審議会にかけまして、いろいろ御意見をいただいたわけでございますが、「暫定」というのが一応頭についているわけでございます。これをいわゆる暫定ではなくて、もっと恒久的なものにするかどうかにつきましては厚生当局と御相談をしたいと思っております。
  112. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 したいと思いますと言うけれども、されましたか。
  113. 石川弘

    説明員石川弘君) 現在はまだ実は私どもこの五〇ppmの問題のほかに五〇ppmを超えますもののいろいろな使い方等について御相談をしておりますので、五〇ppmの暫定基準そのものを今すぐ直すかどうかという意味での御相談は厚生省とはいたしておりません。
  114. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 これは私は、一つのことをやっていれば一つのことができないという形では大変ぐあいが悪いと思うのでありまして、早急にそのことの相談をしていただきたいと思うわけであります。  さらに、今の五〇ppm以上のもの、十二万五千トンありますのはこれはどういうふうに処置をされるつもりですか。
  115. 石川弘

    説明員石川弘君) 安全性ということを考えました上で、極力財政負担の軽減ということもございますので、効率的な使用の仕方はないかということで、いろいろな実験を重ねておりまして、現在その内容等につきまして厚生省と相談をしているところでございます。
  116. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 五十三年以前産米の臭素残留問題というのは、これはいわば農薬の取り扱いそのものについてもいろいろと問題点があるものと思いますので、これはまた別の問題として後ほど時間があれば伺いたい、このように考えております。  そこで次に、この決議の中では自給体制の確立についてうたっておりますが、これは先ほど午前中の大臣の御答弁の中でも、自給のために努力をするという方向性を御答弁になりましたので、ぜひそうお願いをしたいというふうに思います。  さらに、三番目の決議の中で「水田利用再編第三期対策転作面積緩和についても弾力的に対処すること。」と書かれているわけであります。この点につきましても午前中の村沢委員の御質問にそういう方向でという御答弁がありました刃内容的に、明確に具体的にそういうお話に、言葉としては十分に私どももまだ受け取りかねているわけでありますけれども、こうした国会決議で「転作面積緩和」ということを明確に言っているわけでありますから、そうすると今度の六十年度の水田利用再編対策というものはどの程度かということは、これはまだ今検討中かもしれませんけれども緩和をされるということにきちんと確認ができますでしょうか。
  117. 関谷俊作

    説明員関谷俊作君) 本年産米でございますが、御承知のような大豊作になりまして、米の管理面では当面ゆとりが出てきたわけでございますが、こういうような状況を踏まえまして現在、転作目標面積について検討中でございます。ただ、この問題につきまして各方面で論議のございました七月の時点と今と比較しますと需給事情について変化もございます。そういう意味では慎重な検討が必要なわけでございまして、趣旨としては三度目の過剰を招かないような配慮も必要であるということで、そういう面の配慮もしながらゆとりある米需給を目指していきたいということが基本的な考え方でございます。  いずれにしましても、五十九年産米の作柄それから最近の需要動向だけではなくて、六十年産の作柄の変動という点、これの米管理への影響の度合いなども十分見きわめながら来年度の転作目標問題を考えていかなければならないということで、目下鋭意検討中でございます。
  118. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 どうも局長に御答弁をいただくと何か少し後退したのじゃないかなと心配になってくるのであります。といいますのは、やはりまた第三の過剰にならないようにという言葉が一緒にくっついてまいりますのでね。何かいつもそういうあれが一つくっついてくると、後に方向が変わっていったときには、そのことを申し上げていたはずだと、こういう話になっていくので、私はここのところが非常にひっかかるのでありますけれども。  ことしは豊作だというふうに言われました。そこで、ちょっと局長には待っていただいて、ことし豊作というとどの程度の豊作と見込まれておられるのか。この間、十月十五日現在のものが報告ありました。資料が出されましたけれども、今後これで大体確定できるのかという問題が一つと、それからもう一つは、こうした豊作になった要因というのはことし特にどういう特徴があったのだろうか、その辺についてはどういうふうにとらえておられるのか、これを先にちょっと聞いておきたいと思います。
  119. 大坪敏男

    説明員(大坪敏男君) 本年産米の作柄についてでございますが、最も新しい調査といたしましては、ただいま先生指摘の十月十五日現在の調査があるわけでございまして、この結果によりますと、まず水稲の十アール当たり単収でございますが、これは全国平均で過去最高の五百十五キロということでございまして、また作況指数につきましては一〇八で良でございます。そこで十五日現在では予想収穫量を出しているわけでございますが、この予想収穫量は水陸稲合わせまして千古八十四万一千トシということでございます。なお、この数個は前年に比べますと、数量で百四十八万トンの増、率で申しまして一四%の増、こうなっているわけでございます。ただ十月十五日現在の調査は、全国的に見ましてまだ刈り取りが八割程度という状況でございますので、逐次刈り取りが終了するに伴いまして数字を確定していくということでございますので、確定的な収穫量につきましては例年のように十二月末になるのではないか、したがって、本年産米の確定的な数値は十二月の末には公表できるのではないかというふうに考えております。
  120. 関谷俊作

    説明員関谷俊作君) 豊作の要因の方でございますが、これはもちろん現時点では十分な解析もできませんので、私どもの概略の考え方でございます。  基本的には、やはり稲の重要な生育時期に非常に好ましい気象条件に恵まれたこと、それから稲づくり運動等の推進の中で適切な栽培管理ということが行われた、との二つの要因が重なったことが基本的な要因であろうというふうに考えております。  その気象面の問題につきましては、これはもうよく御承知のように、育苗、田植え期に北日本等で低温に見舞われたわけでありますが、その後はまれに見る高温多照という天候になりまして、非常に稲の生育が促進されたわけでございます。特に七、八月、いわゆる冷害を受けやすいこの時期に全国的には平年を一度C以上上回る高温で推移しまして穂の形成、開花ということが平年より早まりましたし、登熟期間中も東日本を中心に記録的な多照となりました。また台風、病害虫の被害も少なかった、こういうことで粒の肥大、充実が非常に順調に進んだということが特徴的であったわけでございます。  それと、栽培面の要因としましては、四年連続の不作の後でございますので、不良条件を克服するたくましい稲づくりということの推進を目指し、そういう新稲作運動を展開いたしました過程におきまして、農家、指導者、また地方公共団体、そういう各方面の方々の稲作に対する取り組みの機運が非常に高うございまして、例えば技術面でも落水の時期をおくらせるというような、いろいろに気象条件を巧みに生かしました、また登熟を高めるようなきめ細かい水管理をやる、こういうような要因も相まちまして、こういうような結果になったのではなかろうか、現時点では概略の見方としてはこんなふうに見ております。
  121. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 今局長のことしの豊作になった要因分析について、気象についてのことは私もそれはそれなりにわかるのであります。しかし、たくましい稲づくり運動の評価というのは、これは私は必ずしもそのまま手放しでその効果が大いにあったなというふうに言えるかどうか大変疑問に思うわけであります。私は自分の周りを見るからそうなのかもしれませんが、やはり何といいますか、極端な言い方でありますけれども、兼業化、朝晩休日農業化の傾向というのは全体的に言えばちっとも改まっていない。そういう状況の中でありますし、そしてまた、今の米価水準で本気になって稲づくりに夢中になってやろうという人たちも、それは若干出てはいる。農業について、もう米の価格がどうであろうと一生懸命にやろうという人も中にはいますけれども、やはり全体から言えば例外的でありましょう。ということで私は、もうほとんどがやはり天候に助けられた結果ではないかと思うのです。  それだけに、局長も先ほど、六十年度の状況もまた考えながら、予想しながらというふうに言われましたが、そうすると、こうした言ってみれば天に助けられたような特殊な条件は中に入れないで、やはり全体に計画を立てていかなきゃならぬ、こういうことになると思うので、そこで第三期対策については、私は今の転作面積について大幅に緩和をしていただきたい、こんなふうにも思うわけであります。  くどいようですけれども、この緩和についてはやられますかどうですか。そして、そういう需要見通し、「需給事情に的確に対応するため、需給計画について必要な見直しを行う」ということもこの決議の中では言っているわけであります。その需給計画の見直し等もやられますか。この点をお聞きしたいと思います。
  122. 石川弘

    説明員石川弘君) 三期の対策で米の需要量というものを一応想定しまして三期の計画を立てているわけでございますが、需要量につきましてはやはり各年ある程度の変動をしているわけでございます。そういう中で六十年度の需要量をどう見るかということはやはり大事なことでございまして、私ども今回の五十九年における需給の問題というものも頭に置きながら、六十米穀年度の需給見通しを目下鋭意詰めているところでございます。  傾向といたしまして、例えば過去の歴史を見ますと、先ほどちょっと申しましたように、比較的不足型で推移しますときに比較的政府の米の需要、要するに政府としては売りやすい環境ができ、それから豊作型になりますとその反対というようなこともございます。それから毎年毎年の一人当たりの消費量の変動も、傾向としては御承知のようにずっと下がってきたわけでございますが、下がるときのカーブについてもいろいろございます。そういういろいろな要素を考えながら、私どもとしまして六十米穀年度の米需給というものを極力合理的に算定をしたいと思っております。
  123. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 昨年の第三期対策があれになったのはたしか十一月上旬だったと思いますけれども、ここでこうした六十年度の第三期対策に対する転作等についての見直し等を含めての方針が決まるのはいつごろですか。
  124. 関谷俊作

    説明員関谷俊作君) これは、実は今食糧庁長官からお話のございましたような需給の計画の問題も含めまして財政当局ともよく調整をしながら決定を図るわけでございまして、昨年十一月九日に農業生産対策中央協議会を開催しました。そういう時点から見ますともう一日も早くというような情勢でございまして、私どもとしましては時期的には大変限度にきておるというような感じも持っておりますので、早急に決定をいたしたいと考えております。
  125. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 局長、衆議院の農水委員会で我が党の松沢委員がその点について伺っているときに、局長からは「できるだけ今月中に」というようなことが言われているわけでありますが、今でもまだできるだけ早急になんというお話ではちょっと時期が遅過ぎるのじゃないかという気がしますけれども
  126. 関谷俊作

    説明員関谷俊作君) したがいまして、現時点では昨年から見ますと、十一月九日という時期からしますと本当にもう限度にきております。いずれにしましても早急に決定をするということで、近々のうちには方針を出さねば地方公共団体への御連絡も含めまして、実行に取り組んでいただく時期としてはもう限度にきているということで、本当に近々ということを申し上げておる次第でございます。
  127. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 衆議院の委員会からまた何日たっているのですかということも言いたいわけでありますけれども、とにかく農業団体もあれでしょうけれども、生産農家の立場からいきましても、刈り入れが済むと次の来年の種もみの確保から何からみんな準備をするわけでありますから、それだけに計画は早く出していただかないと対応が非常に難しい。そのためにまたせっかく準備したのにだめだったとかいろいろ出てきても困るわけでありますから、その点はぜひ、まだできていないと言うのならしょうがありませんけれども{それこそお話のように早急にやっていただきたいと思います。  次に、時間も随分経過をしましたので、最後にもう一つこの需給問題で伺っておきたいと思います。  これは、決議の四番目のところで、「不測の事態に備えた米の適正な在庫の積増しを行い、備蓄体制の確立に努めること。」と、こういうふうになっているわけであります。そこで、備蓄体制の確立ということについてどういう準備を今しておられますか。
  128. 石川弘

    説明員石川弘君) まず第一に必要なことは、三期でも決定をいたしております、各年どれくらいのお米を積み上げていけることができるかという計画をきちっと立てることだろうと思います。  それから、その次に必要なことは、やはり今回の臭素米等のことを頭に置いて考えますと、備蓄をいたしております米をどのように主食販売の中に組み込んでいけるか。そのまず前提といたしまして越年をしたものをつくわけでございますから、極力良質のものをということでございますと低温倉庫を活用していくとか、そういうことが必要かと思いますし、それから、これにつきましてもどういうものをどのような分量でならば次年産米、前年産米が組み込んでいけるかというような技術的なこともございます。  そういうようなことを全般的に考えまして、これは御承知のように、かつての食管法改正の際に米穀の基本計画というものをつくっておりまして、そういう中でそういう思想も打ち出していたわけでございますが、今回はさらにそういうことも含めまして量だげではございませんで、そういう回転のさせ方、販売の方法といったような質の問題も含めてこういうものが順調に回転できるような方式を考えているところでございます。
  129. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 どうもいつも御答弁が複雑になってくるとわからなくなってくるのですけれども、極めて単純にあれしまして、そうすると回転備蓄をお考えになっているのですか、棚上げ備蓄をお考えになっているのですか。
  130. 石川弘

    説明員石川弘君) 基本的には回転備蓄でございます。
  131. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 私は、一つはもちろん備蓄については回転備蓄という行き方に疑問がいろいろとあるわけであります。しかし、今、政府がそういうふうにお考えになっているというのであれば、それでも備蓄として前進をされることは大いに評価をしたいわけであります。  ただそこで、備蓄をその都度、そのときの米の需給事情によっていろいろと検討し直すみたいな形というのはやはり私は問題があると思う。というのは、特に決議で言っておりますのも、「不測の事態に」ということも考えておくということにもなるわけでありますから、そうすると、これは一定程度制度的にきちっとしていくことが必要なのではないか、こんなふうにも考えるわけなのでありまして、やはり制度として御検討になっているものはあるのかないのか、そこのところをお聞きしたいと思います。
  132. 石川弘

    説明員石川弘君) 先ほど申しましたように、食管法改正の際に米穀の管理に関する基本計画ということを入れておりまして、当時の国会でもお答えをいたしておりますが、そういう基本計画の中に米の管理に関する基本的なことでございますから、どういうような形で米を備蓄し、またこれを使用をしていくかということを定めたいと思っておるわけでございまして、そういう意味ではこれは食管法制度に基づいた備蓄と考えていただいて結構だろうと思っております。
  133. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 その制度として私どもがきちっと局長の方から、こういうふうにいたしましたということを聞かせていただけるのはいつごろになりますか。
  134. 石川弘

    説明員石川弘君) そういう基本計画を策定しまして、これは非常に今の場合はかなり抽象的に書いてありますが、私はやはり量だけではなくて、管理の態様といったことも書いてしかるべきではなかろうかと思っておりますので、基本計画を策定します段階で御説明をしたいと思っております。
  135. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 ぜひそういう方向で早急に方針を確立していただきたいと思います。  そこで、長期計画に基づいて米の需給というものが計算をされ、推測をされているわけでありますけれども、これはずっと米の消費量が低下をしていくという傾向で数字がとらえられております。しかし、私はこれは需給が減っていくのに合わせて物を考えるという、そういう態勢というところに何か極めて消極性というふうに言わざるを得ないのじゃないかというふうに思うのでありまして、米の需給については積極的なむしろ需要拡大というための努力が、今までもしてこられたというふうに言われると思いますけれども、そこの努力が積極的に展開をされていかなければならない。米の需給が減っていいということは言えないのではないか。それを減っていいという計画になっているところに、何か私は抵抗を感ずるのでありますが、米の需給拡大していくという方向ではどういう御努力をされてきましたか、また、されようとしておりますか。
  136. 石川弘

    説明員石川弘君) 米の需要につきましては、御承知のように、これを拡大いたしますために、最大施策は学校給食でございますが、その他いろいろ消費拡大のための対策をつぎ込んでおるわけでございますが、これは御承知のように日本型の食生活、米というものを中心にいたしまして、それにバランスのよいたんばくなり、あるいはその他の食物を絡めて、そういう食生活が国民の体位の面でも非常にいいのだ、しかも、これは国内で自給可能なものだということでやってきたわけでございます。かつてのように米か麦かというような関係でのいわばカロリーの奪い合いということはございませんで、御承知のように麦は既にここ数年一人当たり三十一キロという水準でとまっております。むしろ米が代替されておりますものは副食物でございます。私どもも米がずっと今後も今のテンポでただ減り続けるとは思っておりませんで、どこかで小麦が三十一キロでとまりましたような、そういう水準があろうかと思います。したがいまして、先ほど申しましたようないろいろな改善措置を加えながら消費拡大努力をいたしておりますが、残念ながら現実の姿は、若干ずつではございますが減っているわけでございます。  したがいまして、私どもは長期の見通しを立てます際に、そういう現実的な姿を余り無視をいたしまして、われわれの消費拡大努力に期待し過ぎることによって需給ギャップが出てはまずいと考えておりますので、ある傾向値はそのまま置きましてやっておりますけれども、これは消費拡大努力で定着化ができれば、決して下がることを望んでおるわけでございません。そういう時点でやはり需給見通しというものをもう一遍見直す必要があろうかと思いますが、実際のところは、御承知のように若干ずつではございますが減っているというのが現状でございます。
  137. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 私は、こうした長期計画についてのやはり見直しというものをしていかなければならない、そんな要因が出てきているのではないだろうかと、そんなふうに思うわけであります。昨年のというか五十九年度の米の消費量は予測を上回ってふえたわけでありますが、これは必ずしも米不足とかなんとかという、そういう側面だけではないでしょう。やはり米についての需要というものが一定程度、下降現象がとまってきたということではないかというふうにも思いますけれども、その辺のところ、また少し傾向を見ながらということになるのでありましょうが、ぜひこうした長期見通し等も私は大胆に見直さなきゃならないときは見直していただいて、そして間違いのない計画を立てていただきたい、このように思うわけであります。  そこで、需給問題についての最後は、他用途利用米について伺いたいと思います。ことし何か随分ややっこしい取り決めがいろいろとありまして、それで他用途利用米でいくのか、農家が自助努力で出してくるものでいくのか、いろいろもめたりいたしました。政府の方は結局、農協さんが責任を持つ形でお任せになったという格好のようであります。ことしそこで農協さんの方が取り組んだのは、結果としては大体二十万トンくらいを目標にして他用途米で出してこようと、こういうことであったようであります。  そこで、他用途米として、これは政府が直接押さえているわけじゃないでしょうが、予測としてはどの程度見ておられるか、それからまた他用途米として出されたものの米の等級はどういうふうに掌握をしておられるのか、その辺ちょっとお聞きしたいと思います。
  138. 石川弘

    説明員石川弘君) まだ進行中でございますので途中経過としてお聞きをいただきたいわけでございますが、検査をやっておりますところで押さえております数字で申しますと、これはまだ他用途ということだけではございませんで、一緒に主食転用というものも含めて、大体農協サイドとすれば八割は他用途、二割は主食買い上げということでございますので、そういう形で、主食転用含みの数字で十月二十日現在で約六万七千トンが検査をされております。これの大体八掛けぐらいのところがしたがって他用途にいくものと考えてよかろうかと思いますが、これは十月二十日現在でございます。  それから等級につきましては、御承知のようにことしは一等米が全体の八〇%という大変高位の等級の多い年でございますが、他用途の世界で申しますと、一等の検査に合格しておりますものが先ほどの六万七千トンと言いました数字の中の約三万トンでございます。それから二等該当が二万三千トン、三等該当が一万四千トンというのが検査の結果でございます。
  139. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 もちろん制度的な問題として、私は他用途利用米の問題がいろいろあると思うのです。ということは、同じ米が、全く規格が違う米であればこれまた別でありますけれども、同じ米が価格が違う、二つ価格で買われる、これは衆議院でも問題になったようでありますが、そういうところに大きな問題が一つあると思います。それがいろいろと末端で混乱を起こしていることも事実であります。今もお話がありましたように、六万七千トンのうち八〇%くらいが他用途米に回るであろう、その六万七千トンのうち三万トンくらいが一等米であるというお話であります。  私の周囲でまいりますと、新潟の平場地帯ではかなり一等米が出されております。一等米しか出さざるを得ないのでありまして、ことしはそういう状況なのです。ということになりますと、加工原料米、今まではくず米、規格外米をかなり利用していた部分があるはずでありますけれども、ということはくず米が出ていないということです。規格外というのが余り出てこないということであります。ということになりますと、加工用原料米の方が今度は気になるということにもなるのでありますが、その辺はどのような見通しを立てておりますか。
  140. 石川弘

    説明員石川弘君) 先生の御指摘数量的な問題でございますれば、御承知のようにくず米というのは各時期時期に発生の量が相当変わっておりまして、三十五万トン程度のものが動いていると言われておりますけれども、量は豊作時に少なく凶作時に多いというのは昔からのことでございます。そういうもので、総量で申しますと、くず米が足らなければ、全部それでは加工用米なり、あるいはかつてありました政府米の破砕米に流れるかと申しますと、やはり価格関係によりまして、余りこれが高くなってまいりますと他のでん粉原料に振りかわるというようなことで、ある程度の調節がなされているわけでございます。したがいまして、私どもはそういう用途その他を考えまして、今年の場合くず米と、それから韓国産の返還米の破砕米、それにこの他用途米として今度新しく供給されますものをもって供給すれば足りると考えておりまして、それ以上のものを特段に供給する必要はなかろうかと思います。
  141. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 そうするとそこで、先ほど午前中の村沢委員質問で、韓国米の横流し問題というのがマスコミで報道をされて、食糧庁の方も調査をされるということでございました。本当に流れたかどうかというのはまだよくわからないみたいですけれども、私は、韓国米でさえそういうことが、少なくとも新聞で報道された事実があったかどうかということ、いろいろと見方あるでしょうけれども、わずかだかどうか、量的なことはあったにしても、起こってきたのだろうと思います。そうすると、韓国米でさえ起こるのであれば、一等米がかなり多い、そういう形で出てくる加工原料米ということであれされたもの、ものによって随分いいものがいっぱいあるのです。そうすると、その辺、農家から買うときは二重価格で買われたものが、流通の段階になってくると何かわけがわからなくなってしまう、こういうことはありませんか、起こりませんか。
  142. 石川弘

    説明員石川弘君) まず大原則は、破砕をいたしまして流通をさせます。したがいまして、そういういわば主食転用ができない形にして流しているわけでございます。今度起きました事案は、丸米として流しましたものの一部について私ども、量としましては先ほど言いました例えば穀粉業者の場合は三十袋のうちの二袋のそのうちの一部の行方をまだ追いかけているわけでございます。そういうことがございましたけれども、これは例えば玄米茶といったようなものは丸い形でありませんと製品にならない。あるいはこうじみそというものもそういうことがございます。したがいまして、そういうものにつきましては万が一にもそういうことがないような体制づくりをした上で、しかも関係業者も、私は呼んで皆話しておりますが、先生が御心配のように、農家の方々のいろいろな努力によってできましたものが万が一でもそういう不正使用をされるということになりますと、こういう制度自身が成り立たなくなるわけでございます。  加工業者の方々も、できれば国内産の原料を使いたいと言っているわけでございますから、これは私ども、先ほど申し上げましたように、対象業種を絞り込む。それから、関係する業者について自律的な規制ができるような体制をつくる。それから一つ一つ工場等についても我々が立ち入ってやる。これは今までもやっておりますが、そういう体制強化する。いろいろなことをやりました上で、万が一でも、私ども先生と同じように、そういうことが自由に行えるようではこの制度が成り立たぬわけでございますので、そういうことをきちっとしました上でやろうといたしておりまして、そういう体制ができるまでは丸米販売を停止しているわけでございます。
  143. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 ぜひそんなことが起こらないように十分チェックの体制をとってもらいたいと思うのであります。しかし一部の報道によりますと、関西のことが出ましたが関東にもあるのではないかなどということが書かれております。そうするとそういう疑いが持たれるとするならば、それに対してはどう対応されますか。
  144. 石川弘

    説明員石川弘君) 私どもは既に関西地区だけではございませんで、丸米を使用しております企業種につきまして調査を行っております。さらに破砕等の工場につきましては、これは比較的厳格に今までもやっておりますが、そういうものにつきましても万が一にも疑われることのないようにということで調査をいたしておりまして、そういうことを、これは実はこういう業界、大変うわさの多い業界でございますので、私どもそういううわさだけではなかなか動きにくいわけでございますが、現実的にはほとんど全部のものに調査をいたしておるわけでございます。いたしました上で、先ほど申しましたように私どもがこれならばいけるという確信をとるまでは丸米販売を停止するという形をとっております。
  145. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 今の他用途利用米を初めといたしまして、そのほかに規格外米等の取り扱いについても、いろいろと今新しい問題が出てきているように思います。  これも私の周辺での話で恐縮でありますけれども、ことしは規格外米、水分過多とかカメムシにちょっとやられたのが混入しているとか、そういう規格外米というのが大変高く売れておりまして、大体二万円で買っていかれております。これは特に米のいいところでありますけれども、そうするとこれは政府米を出すのが今度はばかばかしくなってくる、こういう問題も起こってまいります。そういたしますと政府の集荷にも重大な影響が出てくるのではなかろうか、こんなふうにも思いますので、そうした米の対策というのは私はいろいろと難しい問題がいっぱいあると思いますけれども、やはり万全を期するために御努力をいろいろとしていただきたい、このように思うわけであります。  そこで最後に、今のやりとりいたしましたけれども、それをお含みいただきまして大臣、この国会決議に基づいての御努力ということを午前中言われましたけれども、それをもう少し具体的にどういうふうに考えておられるのかということをひとつお答えをいただきたいと思います。
  146. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 先ほどからいろいろ議論が尽くされておるわけでございまして、私も午前中、村沢委員に申し上げたとおりでございまして、国会決議を尊重しながら努力するということでひとつ御理解願いたいと思いますので、よろしくお願いします。
  147. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 国会決議を尊重しながらという言葉は、大臣のお言葉としては今の段階ではそれ以上のことは出ないのかもしれませんが、そうするとそれぞれ決議文に書かれております文言のとおりに努力をいたします、こういうふうに言われたと受け取ってよろしゅうございますか。
  148. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) そのように受け取ってもらって結構だと思います。
  149. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 そこで、最後に私は、農薬の安全の基準について、これはもう時間がありませんから要望をいたしまして、後で資料を出していただきたい、このように思うわけであります。  それは現在、農薬についてはそれぞれ急性、慢性の毒性試験等をすべてやってそして登録がきちっとされる、こういうシステムになっているはずでありまして、これは局長通達も出ているわけでありますから、なっているという建前になっていますが、例えば慢性毒性試験などは免除をされているものもあるわけであります。これは多分、例外規定もありますからということになるのかもしれませんが、そうすると農薬についてそういう毒性試験免除をしているものはどういうものがあるのか、そしてその免除の理由はどういう理由なのか、そのことのリストをいただきたいというふうに思います。  以上であります。
  150. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 最初に大臣にお伺いをいたします。  先ほど村沢委員の方から、消費者米価の御発言についてお尋ねがございましたけれども、私もこの大臣の御発言は大変気になりますので、もう一度実は確認をさせていただきたいわけでございます。先ほど大臣は、そういう意味のことは申さぬというような御答弁のように思われましたのですが、けさの日経の新聞にも、これは大変御立派に消費者米価を引き上げなければならぬという意味のことが書かれておりますので、この辺の真意についてお尋ねをいたします。
  151. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 私が就任直後の記者会見におきまして、実は、米は安いと思うかという質問がありましたので、個人見解として、一食当たりの価格としては他の食品に比べて非常に安いと思って答えたわけでございます。しかし、農林水産大臣として消費者米価をどうするかということを申したのではございません。あくまでも日本農業国民全体の皆さんでひとつ守っていただきたいということをお話ししたということでございます。  そんなことで、米穀の政府売り渡し価格取り扱いにつきましては何も決めておりません。これから食糧管理法の規定に従いまして、家計費及び物価その他の経済事情に十分配慮いたしまして、消費者の家計の安定を旨として適正に対処してまいりたいと考えております。
  152. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 それでは、十二月になりまして米審を招集して消費者米価についての御諮問をなさいますか。
  153. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 今何も決めておりません。
  154. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 私どもは、大臣が新しく御就任なさって早々から消費者米価の話が飛び出してまいりまして、その筋の代表といたしまして大変緊張いたしておりますので、またその節にはよろしくお願いをいたします。  私は今日はカドミ汚染米についてお伺いをするわけでございますが、今なぜカドミかということで聞かれるとすれば、これも先ほど局長お話でしたか、ございましたように、うわさでございまして、うわさの中に、町場のうわさでカドミ米が流れているのではないか、流れているらしいみたいな話を聞いてそういうものを持ってまいった者がおりますので、私は私なりにそのことを調べてみましたけれども、よくわかりませんのでお伺いをするという次第でございます。  御存じのように、富山県のカドミ米と言えば神通川流域の汚染米のことをすぐ頭に浮かべるわけですが、富山県のイタイイタイ病がいわゆる公害訴訟として全面勝訴して以降十二年たっております。しかし、当地の汚染田はまだ復活作業がそうはかばしくない状況の中に農民が置かれておるわけですが、建設省のお方から、まずその作業状況について御説明をいただきたいと思います。
  155. 深沢日出男

    説明員深沢日出男君) まことに申しわけありませんが、ちょっと先生の御質問の御趣旨をもう一度、まことに申しわけないと思いますけれどもお願いしたいと思います。
  156. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 一号地域、二号地域と合わせて当初は千五百ヘクタールの汚染田があったというふうに聞いておるわけですけれども、その後、復元田がどのぐらいできて、そして一号地、二号地の割合がどんな状況になっているかということなのですが、それはわかりませんか。おたくじゃないのですか。
  157. 深沢日出男

    説明員深沢日出男君) 済みません、農水省の方で答えさしていただきます。
  158. 井上喜一

    説明員(井上喜一君) それでは私の方からお答えいたします。  神通川流域のカドミの汚染地区の水田の復元状況というような御質問かと思います。現在、汚染田の復旧のために農用地の土壌汚染対策計画に基づきまして県営の公害防除特別土地改良事業といたしまして区画整理、客土等の事業を実施しているところでございます。この地域は、ただいま御発言のとおり関係面積が約千五百ヘクタールという非常に大きな地域でございまして、川の上流から下流にかけまして広がっておる地域でございます。そういうことから自然的な条件、あるいは土地改良事業の場合は関係者の同意を得て行うというような状況でもございますので、地域を幾つかに分割いたしまして対策の計画をつくりまして、順次事業を実施しているところでございます。  そこで、第一次に着手いたしました地区としましては、神通川の上流の方になりますが約九十一ヘクタールの土地を対象にいたしまして昭和五十四年度から事業を開始いたしまして、これが本年度昭和五十九年度完了の予定になっております。次に、第二次地区につきましては四百四十二ヘクタールでございまして、これを対象に昨年度から総事業費約百十七億円でございますけれども、そういう事業を開始いたしております。本年度までに事業費約七億六千万円を使っておりまして、進捗率が六・五%ということに相なっております。これからこの第二次地区の事業を進めてまいるわけでございますけれども、事業の重要性あるいは緊急性等を考えながら事業の推進を図っていきたい、このように考えます。  なお、これのほかにもまだ相当の面積が残っているわけでございますけれども、地元におきましてこの地区の土地をどのように今後利用していくのかにつきましていろいろな意見もあるようでございます。そのような地元の土地の利用計画全体を勘案しながら、できるだけ早く対策計画をつくってまいりたい、そういう上で事業を実施していきたい、このように考えている次第でございます。
  159. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 今の第三次以降の計画のことですけれども、これに建設省はかんでおられるのですか。三次以降の計画のことを今まだ具体的になっていないとおっしゃいましたが、地元ではいろいろな話が出ているのです。
  160. 井上喜一

    説明員(井上喜一君) それは構改造善局の建設部の所管の事業でございますので、あるいは先生は建設省ということをおっしゃっているのじゃないかと思いますけれども、私どもといたしましては土地改良事業をするそういう地域につきましてなるべく早く計画を立てたいと思っております。ただ、土地改良事業の場合には農用地区域の中で実施いたしますので、例えばその地域工場団地を誘致しますとか、そういうようなことに相なりますとそういった地域は除外しているわけでございます。現在いろいろな計画があるようでございますので、地元のそういった計画との調整を図った上で全体計画をつくっていきたい、このように考えている次第でございます。
  161. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 そこで、お米の話に入ります。  この一号地域は休耕地なので米はできていないということで、二号地域における稲の作付の問題についてお伺いをしたいと思いますが、二号地域のほかに神通川流域では自主停止地域がございますね。その自主停止地域と、それから二号地域、つまり汚染はされておるが稲の作付をしてもいいという地域、この地域からとれる米の量はわかるのでしょうか。
  162. 石川弘

    説明員石川弘君) 神通川ということではございませんが、富山県のカドミ汚染地域政府が買える米、したがいまして〇・四から一の間でございます。一を超えますと買えませんが、報告によりますと約四千三百トンがございます。
  163. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 今おっしゃいました〇・四ppmから一ppmまでの間の買い上げる分、この分が四千何がしですね。もう一つは、以上のものについてはどういうふうに、どこが管理しているのですか。
  164. 石川弘

    説明員石川弘君) まず、一を超えますような場合は政府買い入れもいたしませんし、自主流通もできぬわけでございますので、一つは転作指導といいますか、不作付指導をやっておりまして、つくらないというのが一つの大原則でございます。  それから、結果として出ましたものを、これは神通のことではなくてごく一般論で申しますと、汚染者、原因鉱山等がございますとこれが買い入れをいたしまして、そして処分をするという事例もあります。一番困りますのは、そういう対象者と申しますか、原因者がいわばつぶれてしまったとか、そういうことで問題になっているものがございますが、今は大半のものは不作付か、あるいは作付けたもので一を超えますものを原因者が購入をして処分をする。その処分につきましても、一を超えますものは我々の方の移動許可が要るものでございますから、これは特定の加工業者、のりが大半でございますが、のりの業者等に売り渡すことを誘導しておるわけでございます。
  165. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 それから、二号田でできるもので〇・四ppm以下のものはどういうことになるのでしょうか。
  166. 石川弘

    説明員石川弘君) 〇・四ppm以下は何の問題もございませんから、普通の米として流通をいたしております。
  167. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 それで、一から〇・四までの食糧庁で買い上げられた分の凍結米、これは買い上げられて地元の農協倉庫に確保されておかれて、そして漸次工業用ののり等、接着剤なんかに売却されていくというルートになるわけですね。これはそのとおりでしょうか。
  168. 石川弘

    説明員石川弘君) 御指摘のとおりでございます。
  169. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 このお米が一般の食用米として出回るようなことは一切ございませんでしょうか。
  170. 石川弘

    説明員石川弘君) そういうことがないように、例えば保管等につきましても県を通じまして厳重な指導をいたしておりますし、それから御承知のように発生量そのものが漸次減ってきておりまして、今申し上げましたような形で処理をいたしておるわけでございます。
  171. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 私がいろいろ調べて伺ったところで、五十七年産米それから五十八年産米、つまりことしの夏と去年の夏、倉庫の米が今までとは違った形の移動の仕方をしたというふうに観察している者があります。工業用品に回るときはこれが漸次量が動いていくのだそうですが、ある日突如、全部なくなるという形のことを観察して、米が足りないからこの米まできっと出ていったのであろうかという話が出ておりました。これはうわさと推察だと思うのですが、本当にこの汚染米は一般米として出回ることはないのですか。
  172. 石川弘

    説明員石川弘君) これは保管をいたしておりまして、しかも横流れ防止をいたしますために、売却に先立ちまして委託加工工場におきましてベンガラを混入しまして破砕処理をいたして売却をするわけでございます。例えばそういう政府の米を丸いままで持っていこうと思いましても、これは政府の米でございますから、そうすれば政府の倉庫の米の量が減っていくわけでございますから、そういうことを我々が見逃すわけじゃございませんし、万が一渡してからどこかへ流したという話でございますれば、渡す前に委託加工、ベンガラを混入して渡しますから、これは食用に向くわけにはまいりませんので、御心配はなかろうかと思います。
  173. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 それからもう一つでございますが、カドミ汚染地産米、二号田でできた米を自家米として使わなければならないような農家の分については等価値の非汚染米と交換をするということが原則になっております。ですけれども、交換される米がまことにまずい米を交換される。したがって、それよりはどこを見てもおれがつくった米の方がうまそうだということで二号田から出た米を自分で食べているという実態があるのですが、これはどんなものでしょうか。
  174. 石川弘

    説明員石川弘君) 実はこの一ppmと申しますのは、御承知のように厚生省の基準では、一ppm以下は食用に供してもよいということでございます。かつてのカドミウム問題ができました際に、さらにそれをより安全にということで〇・四ないし一という形で運用したわけでございますが、当初の時期におきましては今先生指摘の交換を求める農家が大変多うございまして、数で申しましても四百戸以上もそういう交換申し込みがございまして、大体百九十トンぐらいでございますか、トン数がございましたけれども、漸次片側では改善されまして、いわばそういう汚染度が下がってくるというようなこととか、いろいろなことがございまして、五十八年度の数字で見ますと、交換を要望なさいました農家は三十七戸、数量で十四トンでございます。  これは決して私どもの方はまずいのにかえるということじゃございませんで、ごく普通に考えれば、その食糧事務所管内にありますもので交換するわけでございますから、そういうまずいのとかえたからどうこうということではなくて、農家としては現段階では、当初大問題になりました当時から比べれば交換要望が少ないのではないかと思っております。
  175. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 それで、当地では学童、児童の尿の検査をすると、通常の二倍から九倍に匹敵するカドミが尿の中に出るというふうな話もいろいろあるわけで、私は、二号田から出た自家米を食べていていいのかどうなのかなというのは、素人考えなのですが大変心配をしております。  それは別問題として、二号田でとれた米でも食べられるのだということが通常の認識として定着してきている。その米をやみ業者が買いに来ている。したがって農家はそれを売っておるという事実があるようでございますが、これはいかがでしょうか。
  176. 石川弘

    説明員石川弘君) いずれにしましても私どもは、超えますものにつきましては政府の検査もいたさないと同時に、自主流通という姿にも乗せていないわけでございます。政府が買うような場合はいいわけでございますけれども……。ですから、そういうことで私どもがいわば買ってもいいとか流してもいいとかということを進めている事実は全くございません。やみ米を買いに来るというようなことを一般論として全く皆無にすることは不可能かと思いますけれども、やはり基本的にはそういう汚染度の高いものをつくらないように、そういう先ほど申し上げましたような基本的な圃場の整備をしていくとか、そういうことが必要かと思っております。何かこれを超えますものについて、これは普通はそういう汚染があるということになるとなかなか売りにくいわけでございます。したがいまして、売りにくいにもかかわらず政府は〇・四から一の間を買っているわけでございますから、そういうルートに通常上がってくるわけでございますので、私どもとすればそういう現在やっておりますような姿が今後も行われるように指導するつもりでございます。
  177. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 後半の部分の方がちょっとよくわかりませんでしたけれども、要するにやみルートに乗って農家保有米が、汚染米が出回っているということは確かではなかろうかなというふうに私は認識をいたしました。  それからもう一つ、これは今度五十九年産米のことに話がなるわけでございますけれども、神通川流域のその地域の真ん中に当たる問題の婦中町のことですけれども、この婦中町は対策地域が九百十二ヘクタール汚染地帯としてあるわけでございますが、この九百十二のうちの三分の一強に値する面積にことし他用途利用米が植えつけられたということなのです。当地の言い分にしますと、割り当てが、できれば対策地域の面積を引いてその耕作地に対して割り当ててくれればいいのだが、汚染地も含めた面積に対して他用途利用米の割り当てが来る、だから我々はそこに植えつけるより仕方がない、そういう指導もありますとこういうことで、九百十二ヘクタールの三分の一は他用途利用米を植えつけて、そしてそれはこの秋既に経済連を通じて出荷されたということですけれども、これはどういうふうに考えたらよろしいでしょう。
  178. 石川弘

    説明員石川弘君) ちょっと個別案件でございますので、私ども今即答を差し控えさせていただきますが、他用途であろうが何であろうが一ppmを超えましたら食用に動かせないわけでございますから、多分そういう一ppm以上が出るようなところで他用途の米をつくらすという事態はなかろうかと思います。それは一ppmを超えることが明瞭なところで他用途米生産をさせたということでございますとこれはむしろ問題でございますが、調べてお答えをさせていただきます。
  179. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 ですから、地元の要望としてはその汚染地域の面積はぜひ抜いたものに割り当てをしてほしい。つまり余計割り当てが来るわけですね、他用途利用米。これは安いでしょう。だからどうしてもみんなやりたくないのだけれどもやらなきゃいかぬ。それで、そういうところへつくっておいてこれはよろしいのでしょうかと私は聞かれましたので、よくないと思いますということなのです。これは実態をぜひ調べていただいて御指導を私はお願いしたい。つくっている人たちが納得いかない、そういう形で、だから他用途利用米の中に汚染米が出回るというふうに私は考えておりますし、先ほどの長官のお話の中では主食転用も含めた他用途利用米というふうなお話もおっしゃっておられることを考えますと、主食の中にこのカドミ米、汚染米が出回るということはこういう事実を見ても私は考えられるのではないか。都会のおばさんたちの耳は確かなものだなあというふうに私は思っておりますのですが、これはいかがでしょうか。
  180. 石川弘

    説明員石川弘君) ちょっと正確に申し上げますけれども、産地の方々は、例えばその土地の米でカドミウム汚染をしているということを大変自分たちの商品の流通のために注意をいたしております。そこの町の米が一ppm以上の米がつくられてそれが他に売られているというようなことになりますと、農民としましてはその土地の米の評価が大変下がるわけでございますから、そういう汚染地域では極力そういうものは発生しないように、発生しないようにやっているのが農民の現状でございます。したがいまして、今先生がおっしゃったように無理して出るところにつくってそれを加工原料にする。加工原料といってもこれは食用になるものですから、そういうものをやっているということを私は言うというのは非常に不思議でございますので、これはきちっと調べましてお答えをしませんと、そういう事実が万が一なかった場合に現地に大変迷惑をかけますので、よく調べた上でお答えをいたします。
  181. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 ぜひしっかりとお調べをいただきまして御指導をお願いしたいと思います。  私は、この神通川流域のカドミ汚染田がいかにも復元、回復がおくれていることを大変にびっくりいたしました。そこに田があり、そこで作付すれば米もできるという現状の田んぼを前にして、そして米はつくれない、あるいはつくっても食に供することはできないというものを抱えているやはり農民の悩みと申しましょうか、それは大きいのではなかろうか。一方で一反に対して八俵半の補償をもらっている、それで楽だというふうな話もなくはないので、確かにあるわけです。だけれども、それは仮説の状況であって、自分たちはやはり土地と勝負をしていくのだということであれば、この汚染田の問題を早く解決をしていただかなければならないのではないかというふうに私は現地の者と接触をして思いました。大臣、この点の御所見はいかがでしょうか。
  182. 関谷俊作

    説明員関谷俊作君) カドミウム関係の汚染地域の状況は、現在では既に指定された地域五千三百八十ヘクタールございまして、客土等対策事業が完了したものが一千八十ヘクタール、こういうような状況で、若干でございますが進展をしました。そういう抜本対策の進展もございまして、先ほど長官からもお答えがございましたが、一ppm以上のカドミ汚染米の発生状況はひところの一千トンを超えるような状況から見ますと非常に減りまして、私どもの持っております五十五年、五十六年あたりでは五十トンを下回るような状況にもなっておりまして、これはいろいろ抜本対策の進展、それから汚染地域の確定、さらに若干の原因者負担によります休耕、買い入れ、こういうような関係もございましてかなり改善をされているわけでございますが、御指摘のございましたようなことで地域指定をまだ若干今調査中のところもございます。これらも含めまして早急に対策事業の進展を図って抜本的な解消を図るような方向にさらに努力をしてまいりたい、かように考えております。
  183. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 現地の要望もそのようでございますので、よろしくお願いをいたします。  次に、対外貿易の問題についてお伺いいたします。先ほど村沢委員の方からもこれもお尋ねがありましたけれども、対外経済対策のうちで懸案となっております農産物関税引き下げあるいは自由化の問題について少しお伺いをしたいと思います。  昨日、レーガン大統領が再選されて強いアメリカを背景に農産物も含めた市場開放に関する対日要求もまた再燃してくるのではなかろうかという危惧を持つものですが、この春、牛肉、オレンジあるいはオレンジジュースの輸入枠拡大あるいはグレープフルーツジュースの自由化など譲歩してきた我が国にとっては大変厳しい現状に迫られるのではないかというふうに思います。私は、きょうはその中でもう一つの貿易摩擦になりかねないと言われている対アジア貿易の問題についてお伺いをしていきたいと思いますけれども、時間がたくさんございませんので簡単にお尋ねいたします。  日本は先進国に対しては市場開放は熱心だが、途上国には冷た過ぎるというような批判がASEANの諸国から強く出されているわけでありますが、中曽根総理がことし四月末から五月にかけてASEAN諸国を訪問をされてきた折、市場開放を約束されてこられたような節がございまして、取りまとめ役の経済企画庁でこの問題についていろいろ調整をなさっているやに伺っておりますが、まずその御報告から伺わせてください。
  184. 西藤冲

    説明員(西藤冲君) ASEANを中心にいたしますアジアの諸国からの市場開放に対する要望の最初の大きな契機といたしましては、七月の二十五日から二十七日の間、日タイ貿易合同委員会というものがございまして、そこでタイから要望が強く出されまして、その後ASEAN諸国韓国などから、ことしの四月につくりました対外経済対策への不満が出されまして、これは今先生がおっしゃいましたように、この対策は主として先進国向けではないか、アジアに対する配慮が足りないということなど不満が出されまして、強い日本の市場に対する開放の要請があったわけでございます。  この問題につきましては、中曽根総理から七月三十一日の閣議におきまして各省で検討するようにという指示がございまして、また同日、私ども経済企画庁が中心になって取りまとめるようにという御指示がございました。その後、関係省庁の間で話し合いをしておるわけでございますが、何分四月の対策を決定して間がないことでありますとか、これらの国々からの要望品目の大部分が非常に難しい第一次産品が中心になっているというようなことがございまして、本件の調整には種々の問題があるというのが実情でございます。こうした中で、先月の十九日には対外経済問題に関する関係大臣会合が開かれまして、十二月の関税率審議会に向けまして今後とも努力を継続していくということが確認されております。ただ、調整は種々問題があって難航しているというのが現状でございます。
  185. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 調整は種々問題があって難航しておりますということでございますが、その中身は。
  186. 西藤冲

    説明員(西藤冲君) この点は、先ほど申しましたように、やはり何といいましても四月の末にかなり大がかりな対策をいたしまして、その中でできる限りのことをやってきたという経緯もあって、その時点からわずかな期間しか経ていないということ。それから、内容がハードコアの多い一次産品が中心になっているということが大きな問題だと思います。
  187. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 新聞で読ませていただきました対外経済対策閣僚会議で出た三国間援助の構想について少し御説明してください。
  188. 西藤冲

    説明員(西藤冲君) 三国間援助の問題でございますが、既に御承知のようにアフリカでは現在食糧危機が非常に深刻化いたしておりまして、ことしの六月のFAOの調査では、さらに食糧の必要量が七十三万五千トンに及ぶというような調査が出ております。一方、発展途上国の中には農産物の輸出拡大を希望している国がございます。したがいまして、そうした途上国食糧をアフリカヘの援助物資に充てるということも一案であろうというふうには考えておるわけでございます。しかしながら、こういう構想につきましては予算面の制約がありますほか、どの国のどういう食糧をどこへ援助するかというような点で、我が国食糧援助政策上慎重に考えなけりゃいけない問題もあるというふうに聞いておりまして、今後の取り扱いにつきましては、無償援助を所管しております外務省の考え方も十分尊重しなくちゃいけませんし、農水省を初め御相談をしまして、政府部内で検討していきたいというふうに考えております。
  189. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 農水省にお伺いいたしますが、農産物関税引き下げなど今のお話で出てきております。大変厳しい要求があるわけですけれども、この問題については先ほど大臣からも、日本農政を守るために一歩も譲れないのだというお話でございましたけれども、その態度を今後もお続けになりますか。
  190. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) ことしの夏以来、タイを初めとするASEAN諸国より農林水産物等の関税引き下げなどの市場開放に対する要求が強く出されておりますが、これらの要請品目国内農業実情等からすればいずれも対応が難しいものであると考えております。先ほど経済企画庁からもおっしゃったようなことですが、四月に対外経済対策を取りまとめたばかりでございまして、軽軽にこれ以上の市場開放措置を行うことは農業者農政に対する信頼を揺るがせることにもなります。私といたしましては我が国農業を守り、農業者犠牲とならないよう慎重に対処してまいりたいと考えております。
  191. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 そこで通産に伺います。  おたくの統計によりますと、日本ASEAN諸国との貿易収支、白書で見させていただきましたけれども、ASEAN側で二十三億ドルの赤字、中でもタイの場合は貿易対日赤字は三十億ドルです。こういう不均衡な状況が続いていくと、アジアの中の日本ということが大変厳しい立場で問われていくわけでありますし、また対日感情というものが非常に悪化をしていくであろうということが危惧されますが、ASEANに対する貿易収支の改善と対日感情を改善するということをあわせてするとしたら、どんなことができるでしょうか。
  192. 小沢通成

    説明員(小沢通成君) ただいまASEAN各国と日本との貿易収支の数字の御説明がございましたけれども、私どもの通関統計で見てまいりますと、ASEANと日本との間の貿易収支は、ASEAN全体で二十三億ドルの日本の赤字ということにこれはなっております。国別に見ますと、日本に対して赤字の国、黒字の国とございますが、国別に申し上げますと、八三年の日本とASEAN各国との貿易収支はインドネシアで六十八・八億ドルの日本に対し黒字、マレーシアでは三・六億ドルの黒字、それからタイでは先生先ほど三十億ドルの赤ということでございましたが、十四・九億ドルの赤でございます。フィリピンは四・四億ドルの赤字。それからシンガポールが二十九・八億ドルの赤字ということでございます。  こういうことで国によりまして赤字の国、それから黒字の国というのがございまして、赤字の国ということになりますと、タイ、フィリピン、シンガポールというようなことになりますが、私どもの所管の鉱工業製品ということになりますと、これはまず国際的に見ましても、日本の市場は非常に開放が進んでいるということでございまして、私どものジェトロ等を通じまして、そういうASEAN各国からの輸入促進という努力もいろいろお助けをしておる、また経済技術協力等も通じていろいろ協力しておるということでございまして、ASEAN諸国製品の持ちます国際競争力が強化されるということが一番重要かと思います。これはなかなか短期間にはまいらないかと思いますけれども、そういう方向に向けて私ども努力を続けたいというふうに思います。
  193. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 これは十一月の二十六日にガット総会がありますが、このガット総会に向けては日本はどういう態度を持ちますか。
  194. 西藤冲

    説明員(西藤冲君) 今御指摘ありましたように、十一月の二十六日から二十九日の間にガット総会が開かれるわけでございますが、それまでにただいまの対策の結論が出るかどうかということは現在の段階ではかなり難しいのではないかというふうな情勢になっております。しかしながら、事務的には十二月の関税率審議会に向けて、この問題につきまして対応をすべく努力をして続けていきたいというふうに考えております。
  195. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 大臣、今伺っていると、やはり大臣は頑張ってくださるのですが、いろいろと厳しいです。それで、今の十二月の関税率審議会、あるいはまた十一月二十六日から始まるガット総会、このあたりを中心にして農水省も腹をくくらなければならないときが来るかもしれないのですが、もう一度御決意のほどを伺って質問を終わります。
  196. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 今先ほど申したとおりで御理解を賜っておるわけですが、私としてはとにかく我が国農業を守り、それから農業者犠牲とならないよう慎重に対処して頑張りたいと思います。よろしくお願いします。どうもありがとうございました。
  197. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 きょうは大臣大臣就任なさって初めて当委員会に御出席いただいての審議でありますが、午前中からいろいろお話がございました。私も、新大臣としての決意というか、就任早早ですが、農林行政についてどのようなお取り組みをいただくのかということで、ダブるところがあるかもしれませんが、基本的なお話をいたしたいと思うのであります。  大臣はけさのNHKに出られまして、質問者から、運輸関係の方は非常にベテランでいらっしゃるけれども、農水の方は初めてでどうですかというような御質問があって、私はお米が好きですからということでお話があったようであります。お米の好きな大臣は農林省がりっぱにやっていけるという保証もないかもしれませんが、非常に好意的に、好意的というか、非常に就任以来いろいろお勉強なさって、みずから、選挙区にもあるいは農家の方もいらっしゃるでしょうし、そういう点では十分に御認識をいただいて本日ここにいらっしゃったのだろうと思います。  御存じのとおり、内外にわたりまして非常に多くの問題が山積をいたしておりまして、この解決はどれ一つをとりましても非常に難しい、そして国民の合意のもと農民の協力を得なければ解決のできない問題が山積をいたしておるわけであります。まず、大臣大臣就任なさって農林省の現状というものをいろいろレクチャーされて、今日こういう大きな諸問題についてどのように率直にお感じになられ、そしてまたこれに対して、大臣になった以上はそれに真剣に取り組もうという御決意だろうと思うのですけれども、こういう難しい問題の一つ一つに、その決意のほどを最初にお伺いをしておきたいと思うのであります。
  198. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 私、実は個人的に申して恐縮でございますけれども、尾道の対岸の向島というところで生まれました。小さいときから農林漁業を見てまいりました。特に、実は私も果振連の幹事長とか広島県のお米の代表として頑張ってきたということでございまして、また、国土庁の政務次官をやりまして多少は農政を勉強したというようなことをもちまして、ひとつ皆さん方の御指導を仰ぎながら頑張りたいと思っておりますが、どうぞよろしくお願いいたします。  私は農水省へ参りまして、現在、今藤原先生のおっしゃったとおりでございますが、農林水産業をめぐる諸情勢を見ると、三つの点で大変問題を抱えていると思います。その一つは米など一部農産物需給不均衡、規模拡大への停滞でございます。二番目には諸外国からの相次ぐ市場開放要求でございます。三番目は行財政改革の推進などがあり、極めて厳しいものがあると感じております。  こういう情勢にかんがみ、今後の農林水産行政の推進に当たっては、総合的な食糧自給力維持強化基本として、生産性向上を図りつつ、農業生産の再編成を進めるなど各般の施策を展開してまいりたいと考えております。
  199. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 大臣が今日まで歩まれた人生の中では確かに農林漁業に直接関係したこともいろいろあるだろうし、そういうこととまた今日の抱えている問題、今三点お挙げになりましたが、どれ一つをとりましても非常に難しいことだろうと思うのであります。  ところで、率直なお話大臣、ことしは一〇八ということで大変なお米がとれた。数カ月前まではお米が足らないということでこの委員会でも白熱した議論があったのであります。どうなることかということであったのでありますが、皆さんの心が天に届いたか、ことしは一〇八であります。ああよかったとみんな笑みをたたえて農林水産省の方々は当委員会にいらっしゃるものだと、こう思っておったのですけれども、なかなかまた難しい問題もあるようでありまして、大臣、このことしの豊作、四年不作が続いて、ことしが史上かつてないほどの豊作だ、大臣としてこれは心からもろ手を上げて喜んでいらっしゃるのか、頭を抱えていらっしゃるのか、率直な御感想をお伺いしたいと思うのであります。
  200. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 先ほどから藤原委員もおっしゃったようなことで、各先生から御審議ございましたようなことで、ことしの豊作につきましては農林水産当局も全力を尽くしてまいりましたけれども、五十三年来の豊作、天候がよかったというようなことも大きく左右しているということでございます。これによって当分米管理はゆとりが出てきたと思いますが、このような状況を踏まえまして、転作目標面積については目下鋭意検討をしておるというのが現状でございます。  ただ、この問題については各方面で論議された七月の時点、七月には予測できなかったわけですが、今とでは需給状況が変化していることでもあり、慎重な検討が必要なわけでありますが、三度目の過剰を招かないように配慮しつつ、ゆとりのある米需給を目指していきたいと考えております。
  201. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 いみじくも大臣がおっしゃいました米を初めといたします需要供給の不均衡の状況、また外圧の問題、行革の問題、これらのことに結局私の話も触れることになるし、大臣の率直なお考えをお聞きをいたしたいのであります。  まず、お米でありますが、今の大臣答弁ですと喜び半分、頭の痛いのが半分、半分か七三か、大分お米のとれたことは、この数カ月前の状況から見ますとそれなりのゆとりができたということであります。さて、三度目の過剰な状況をつくってはならぬということでまた大変頭を痛めておられるようでありますが、どうもこの十年間を見ますと、昭和五十年代、五年間は不作で、五年間はややお米がとれたという感じでして、長い一つの統計的に見ますと大体うまくいっているなという感じがするのです。しかし、ことしは五十年来という大臣お話もありましたように、こういうふうにたくさんとれますと、いつの日かまたたくさんとれないときがあるのかもしれません。こういうことで、非常に、どんなに人知が発達いたしましても、技術が向上いたしましても天候に左右されるという一面がありますから、そういう点では不確定要素があるわけなのですけれども、押しなべて、ことしのようにとれますと、前の二回で三兆円もお金を使って大変な苦労をしたということが頭に来て非常に恐れおののくような態度がどうも見られて、またはいろいろな論調の中にもそういうものがあって、農林水産委員会の一員といたしまして、来年にそういう平年作以上の作が保証される条件もないにもかかわらず、余りにも心配し過ぎはしないのかというこんな感じを持っておるのです。  単年度需給という物の考え方、これはこれでよかったのか、やはり長い目で見ればそう豊作の年が続くわけでは決してない。しかし、一方では錦の御旗、行政改革、財政再建、こういうことですから、以前とは違って非常に厳しい状況にあることは私どもわかります。しかし、この本会議の決議委員会決議にありますように、米の自給につきましては国民に心配をかけてはならぬ、また消費者も、きょうも全国の消費者大会をやっていらっしゃって、お米のこともいろいろ議論なされるようなこともちょっと新聞でも見ましたが、やはり消費者も米だけは完全自給であってもらいたいという強い願いが七割、八割あるように伺っております。  そういうことですから、先ほどいみじくも大臣お話の中にゆとりある需給計画というお話がございました。これからまた一つ一つお聞きをしていきたいと思うのですけれども、三度目ということで余りしり込みしないで、ひとつ科学的な状況判断とか現状とかいろいろなものを見た上で、そしてまた、今日本農業食糧完全自給ということで国会決議どもいたしておりますけれども、水田の休耕、転作というものがほかの畑作にも大きな影響をもたらしておる。そういうことから、後ほどまたいろいろ申し上げますけれども、こういうことからいうと、本当に限界にきているのじゃないか、こんな感じもいたしておりますので、三度目という言葉にしり込みをしないで、今後の、あと数日中に計画をおつくりになるのだろうと思いますが、そういう点、実際に額に汗して働く農民の方々の声といいますか、意思といいますか、そしてまた、ことしのように緊急に輸入をしなければならない、不足を来すなどということのないような需給計画というものをお立ていただきたい、こう思うのですが、どうでしょうか。
  202. 関谷俊作

    説明員関谷俊作君) ただいまの先生お話の中にございます基本的な問題として、日本の稲作の、いわば生産力と申しますか、作柄の変動の問題というものが基本にあるわけでございます。ことしの豊作につきましては、これは今まだ非常に客観的な分析は、概況を見るというような状況でございますが、例えば北海道をとってみますと、非常に高温の要因が働いた。例えば五月から九月の積算気温で見ますと、平年に対しまして五%増、出穂後四十日間をとりますと一一三%というようなことで、非常にまれに見るような登熟過程へのいい気象状態であったというようなことが言われております。  一方、その前の四年の不作の原因というのも、これもいろいろな機会に検討はされておるわけでございますが、こちらの方も、気象の要因から見ますと、やはり地域的には、要因によりましては十年とかあるいは五十年ぐらいに一遍というような異常な低温なり何なり、そういう異常な不利な気象条件がその四年間には出現した、こういうふうに非常に気象の面でもって左右されている。例えば、ことし非常に偶然というか何というか、台風が一度もこちらに参らなかったわけですが、一回台風が来ると十万トン減収すると一般に言われておりますが、そういう要因もなかったということで、非常に気象面による要因が多いわけでございます。私どもとしてはそういうものを克服して、できる限り基本的な土づくり、それから水の管理その他の基本技術の励行を徹底するということでこの作柄の安定性を増していきたい、かように考えておる次第でございます。  こういう中で、来年度に向けての米の需給についてもできる限り実態に即して見通しを立て、また来年の稲の作柄による米管理への影響という面も、これも今のようなことで大変難しゅうございますが、見込みながら、早急に来年度の転作目標面積の決定をしてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  203. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 今大臣にお尋ねいたしましたが、局長の御答弁でございました。  そういう基本的な土づくりや、また水の管理とか技術的なことにつきましては決しておろそかにしているわけではない、今日までもやりてきたことでありましょう。しかしここ三年か四年、連年冷害があったということで、やはり基本に立ち戻らなきゃならないという農民の意識も非常にあったようであります。何といっても、ことしの作柄のいいのは気候というものが大きな要因であったことは否めない事実だろうと思います。これが来年も続き、そしてまた来る年も同じような条件であるわけは決してないだろうと思うわけであります。そこをどう判断するかということが非常に重要なことだろうと思うのであります。  いずれにしましても、私ども農業を語るときには、また論じ合うときには基本にやはり国会決議というものを十分に脳裏に刻み込んでいかなければならないと思うのです。大臣就任なさって、衆議院でも決議をいたしましたから十分に心得ていらっしゃることだろうと思うのですが、これは一に米にだけではなくて、食糧自給力強化に関する決議を見ますと、農産物全体としてやはり自給率を高めなければならないぞということで、また五十三年ですか、六十五年を目指しての長期の需給見通しというものを見ましても、六十五年を目指して自給率向上の指数がちゃんと出ておる。こういうところを念頭に置いて、米は完全自給であることは当然といたしましても、ほかの作物等についても自給率を高めていくということが今、日本農政に課せられた一つの大きな課題である。これは国会決議の中に明確にうたわれており、今日までも議論を重ね、また中曽根内閣におきましてもそのことは確認をしているところである。この点について大臣はどのように御認識になっていらっしゃるのでしょうか。
  204. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 先ほどおっしゃった点につきましては、国会決議を尊重しながら今後は総合的な食糧自給力維持強化基本として、生産性向上を図りつつ農業生産の再編成を進めるなど各般の施策を進めたいと考えております。
  205. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 さて、間近に迫りましたが、三期計画の二年目に入るわけであります。この二年目の作付面積ですが、これは同僚委員からもいろいろお話がありました。国会決議を尊重してとかいうお話でありますが、尊重するということはゆとりある計画にのっとって、総理も、当時こういう作況指数とか何かそういう点はなかったのでありますけれども、弾力的というか、いろいろな言葉を使っておりますが、あるいは一時期といえども不測の事態国民に大きな不安を起こし農民に不信感を抱かせるようなことはあってはならないということで、この委員会にも総理に来ていただき、総理からもはっきりとゆとりある需給計画をしますと答弁があった。先ほどのお話では減反緩和ということについては国会決議を尊重して、それはそういう前向きの姿勢で取り組むのだということですが、再度同じことを言って申しわけありませんけれども、その点についてはそう認識して、そう受けとめてよろしいでしょうか。
  206. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) そのとおりでございます。
  207. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 さて、緩和方向検討しよう、しかしこういう現状の中ですから私どもは大幅な緩和をと考えておりますけれども、現実問題としてどういうふうにこれを見定めるかということは実に難しいことだろうと思います。何といっても今財政当局との折衝という大きな壁にぶつかっているのだと思いますが、これは財政当局財政当局としまして、まずは大臣の強い強いこれに対する決意がございませんと、当委員会ではいろいろ申し上げましたが、どうも財政当局が厳しくてということではこれはますます農民の不信を招くことになるし、総理や前大臣、そしてまた今日までいろいろな論議をしてきたことが、決議をしてきたことが一体何であったのかという、こんなことにならないように、二年続いて豊作が約束されたということならば私どもも考えますけれども、ことし一年、先ほどお話がありましたように四年不作が続いていて、ことしがこういう気象状況の中にあったという中でのことですから、やはりこれは農林省としましては非常な検討と、財政当局につきましてはやはり強く主張していただかなきゃならぬ。大臣、今日までもいろいろな事務的な折衝等をやっているのだと思いますが、はっきりこの問題については、今も進んでいるこの経緯の中で強い決意のほどをお述べいただけますか。
  208. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 実はお米につきましてはもう皆さん御存じのことでして、余り過ぎてもいけないし足りなくてもいけない。いかにして完全自給のもとに安定供給をするかということが一番大切なことだと思って実は努力しているわけですが、先ほど言いましたようなことで、国会決議を尊重しながら最善の努力をいたしたいと考えております。
  209. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 国会決議を踏まえているのはそれはわかっているのですが、今まで財政当局との話し合いも今日までやってきているはずですし、そういう中で数字的なことはここでは述べられないのかもしれませんが、ある程度の大枠としてこれだけはということで大臣が折衝しておるこの場で話すことのできる範囲内でその決意といいますか、私どもが今一番心配している問題についての大臣の考え方というものをお伺いしておきたいと思います。
  210. 関谷俊作

    説明員関谷俊作君) 第三期の二年目の目標面積の決定に際しまして、これは大きく申しますと生産側の要因、特に今後の単収の、変動も多うございますからその幅なり、それから面積についてはそう大きな違いはないと思いますけれども、そういう供給側の一つの幅というものがございます。一方では、これは需要の計画、第三期対策を仕組みますときに需要見通しというか、需給計画に基づいて需要側の要因についても見定めておりますが、それを最近の時点でどう見るかという両面の要因からくるわけでございます。その場合に、ただいまの大臣のお答えにもございましたような本会議の御決議の尊重という考え方に立ちまして、ただ両面の配慮をしなければいけないと申しますのは、一方で第三回目の過剰を来してもいかぬ。しかし、ことしの六、七月ごろの経験にかんがみましてよりゆとりのある米管理と申しますか、そういう面への配慮、両面をするということでございまして、いずれにしましても最初に結論ありきというようなことではなくて、今申し上げました諸要因を慎重に見きわめながら最終的な決定を図っていく。その気持としまして本会議の御決定の方向ということが一つの我々の考え方の基礎にある。そういうことで大臣の御指示のもとに今鋭意大蔵省とも折衝しながら最終的な決定を早く見たい、かように考えている次第でございます。
  211. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 最初に強い決意がないのですか。何か決まりたものの中にその基本には強い決意があるみたいな話で、こんな具体的な数字もなくしてただ押し問答してもしようがないのだけれども、とにかく大臣、新大臣としてやはり農業問題をいろいろレクチャーなさって今これが最大重要課題だということの御確認はあるのだろうと思いますし、大臣、前大臣からの引き継ぎもいろいろあったろうと思う。先月三十日ですか、総理にも、需給計画をやらなきゃならぬということで山村前大臣もおっしゃったようでありまして、かたずをのんで、そしてまた明年の作付の準備ももうしなければならぬということで一日も早いその決定を待っておるわけであります。また、この決定がやがては日本農業を左右するほど重要な意味を持つことも間違いありませんので、その点について政治経歴の抱負な大臣、しっかり頑張っていただきたい、こういうことをまず御期待申し上げておるのであります。どうでしょうか。
  212. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 大変歯切れの悪い答えばかりで申しわけありませんが、実はこの問題の重大性を考えまして最善の努力をいたしておりますということを申し上げたいと思います。
  213. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 最善の努力と言っても、はかる方法がないものですから困るのですけれども、そういうわけで、ただ我々は頑張れ、頑張れという話だけで本当に申しわけないのですが、気持ちはよくわかります。ひとつ最大課題として再び同じような轍を踏まないように、二度あった過剰米処理に余りにもおびえて不足を来すなんていうことのないようなやはり農民の納得のいく対策を講じていただきたい。  そこで、現在の第三期計画の現状を見ますと、一番三期計画を立てるときの理念というのがあるわけで、その一つは定着化を図るとか、そういうことによって第三期計画が始まったのですけれども、余りにも需給見通し、消費の減退や、それから冷害が続いたというそんなこともございまして、非常にあれは不測の事態を招いたのです。地域的に見まして、私はこれはいつも問題になるのですが、私が北海道だから言うわけじゃありませんが、四四・一%の減反の現状というのはどこから見てもこれは大変な状況です。東京、高知は三十何%。今農業は御存じのとおり大規模化の方向に、生産性を上げるようにしなければいかぬ、そのためには規模拡大というものも進めなければいかぬ、こういうことで推し進めておるのですが、最もそういう条件にかなった北海道に最も過酷な減反の割り当てが進められておる。  それで、その減反されたところには転作作物を植えておるわけでありますが、転作作物といいましても結局畑作。あの畑作の大きい、北海道で言えば三品ということですが、これを見ましても実質的据え置きであると同時に、ビート等につきましては少し過剰ぎみでつくっちゃいかぬ、でん粉ももう余りぎみだぞ、こういうことで減反したところに何をつくるかといったら、やはり寒冷地作物として奨励しておりますてん菜、それから大豆というものをつくるわけですが、これが過剰で余りつくるなということになりますと農民は一体どうすればいいのでしょうか。今までは奨励金やいろいろなことで悩みながらやってまいりましたが、北海道の減反率が多いということは、畑作にこれは大きな影響力を及ぼし、そしてまた、それが畑作の価格が低迷するだけではなくして、将来はだんだんこれは減らしていくのだぞということになるとどういうことになるのだろうか。  過日、十勝に行きましたけれども、十勝では北海道の中で争うわけにはいかないから頑張っているけれどもということですが、確かに減反したところに寒冷地畑作物を植えられると競合する点が出てくる。これはもう当委員会でも何回も議論になっていることですが、こういうことからいって、やはり四〇%を超える減反の現状というものは非常に過酷であり、そしてまたそれを補い得るものがそこに見出し得ないという現状の中でそういうものをつくるということは非常に厳し過ぎるのじゃないかと、私は、過日北海道に行ってみてしみじみそう思う。  先ほど刈田先生お話がございましたが、諸外国の市場開放というものや関税の引き下げ、いろいろな問題についても全部関連があるわけでありますけれども、まず日本の国でつくっているものは一体何か、そしてそれはどれだけの不足があるのか、その不足のものについては輸入をせざるを得ないというのが、基本的な食糧需給の中にはその精神があるのではないでしょうか。外国からどんどん圧力があるということで、外国から入ってくるものが基本にあって、そしてそれで国内で生産するものを調整するようなことはゆめゆめあってはならないことだし、今日までもそういうことについては厳しく当委員会でも論議されてまいりました。しかし、北海道の畑作についてもそういう事態、このたびの三品の価格決定に当たりましてはそういう事態が今決められたということは、これは米のことだけ言っているのですけれども、全部これは関連のあることであり、しかも畑作は御存じのとおり輪作体系の中でやっておりますから単品だけで論ずるわけにはいかない。こういうことで、これは非常に北海道の農民の方々が今苦悩しておる、そしてまた政治に対しての大変な不信感を抱く一つの大きな要因になっておる。この問題については価格決定に当たりました農林省としては当然十分に承知の上であろうかと思うのですが、この点についてはどういうお考えでしょうか。
  214. 関谷俊作

    説明員関谷俊作君) ただいまの御質問趣旨にございました特に転作面積の配分の問題、またそれと関連する特に北海道の場合の畑作との関連、こういう御質問でございますが、水田利用再編対策のいわゆる都道府県別の配分につきましては、大きな考え方として、これはかねて御承知のことでございますが、稲作の生産性、あるいは稲作へのいわば依存度と申しますか、それから圃場条件というような地域の特性でございますとか良質米の生産の度合い、それから特定作物と言いまして麦、大豆、飼料作物等のそういう重要な作物への依存の度合い、こういうようなことを勘案して第一期以来基本的な考え方に立ちまして配分をしているわけでございまして、この間、第一期対策の最終時期でございます五十五年度の時点と現在の第三期対策の配分の状況等を比較してみますと、総体の面積においては、御承知のように五十三万五千ヘクタールから六十万ヘクタールへ全国ベースでは二一%の増加を遂げたわけでございます、五十五年度と第三期との比較でございますが。  この間、北海道についてはこの両年の比較で六・一%増ということで、伸び率から見ますとかなり北海道の伸び率を抑えておる。確かに転作率は四四%でございますが、全国シェアで見ますと、第一期の五十五年のときが二〇%台でございましたのが、第三期対策の場合には辛うじて二〇%を割りまして一九・四%ぐらいにまでなっておるということで、この問題は、基本的な考え方と同時に、例えば今後の転作目標面積を全国的にいわば見直していく、特にそれを減らすような方向での見直しがなされるとした場合に、今御指摘のございましたような都府県のそれぞれの事情を十分念頭に置きましてまたこの配分をその時点において考えていくという気持ちでおるわけでございまして、こういう問題につきましても、先ほど来お尋ねのございます六十年度の転作目標面積検討の重要な一項目として私ども認識をしておるような次第でございます。  なお、畑作全体につきましては、現在のところは、例えば北海道の畑作全体の中で合理的な輪作体系を確立しまして、小麦、豆類、それからバレイショ、てん菜、さらに飼料作物、こういうような基幹的な作物を輪作の体系のもとで実施してまいるといたしますと、大体現状のいわば面積というか作付面積のバランスというものが全体的にはほぼ四分の一ぐらいとか、あるいは大体均等ぐらいというようなことでできておりますが、こんなような考え方をやはり基本に置いて、水田からの転作によります畑作物の生産というものについても十分考えていくということであろうかと思います。  その具体的なあらわれとしましては、今年産の大豆で申しますと、特に北海道では、稲作ということで他用途米生産に若干傾斜しました関係から大分転作の大豆が減ったということで、御指摘のような畑作大豆との関係が少しながらでも改善されているというようなこともございますので、この畑作との関係につきましても、水田転作、特に北海道の水田転作を考える場合に、重要な事項として常に忘れてはならないことである、かように考えております。
  215. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 現状をある程度御認識していただいておるようで、確かに水田と畑作との関連というのは、面積が大きいだけに大きな影響力がある。そしてまた、日本は瑞穂の国と言うほどに稲作中心で参りましたから、これは本当に先人の知恵だったと思うのですが、畑は連作障害ということで同じものを何年もつくるわけにいかぬ。畑作には輪作体系というものをつくらなきゃならぬ。畑作に転換いたしますと、非常にそういう難しい問題に直面するわけであります。そういうことから言いまして、十分にそういう状況ということも踏まえて、地元の状況をよく認識した上でこれはお考えいただかなければならない。これは先ほど私が申し上げたとおりです。  さて、このたびの畑作物の価格決定に当たりまして、さっきもちょっとお話の中にもありましたが、農民の方々も長い間の据え置きの中で大変に努力をしてまいりました。コストの低下の努力やら資本装備、こういうことで一生懸命やってきておるのですが、本年はてん菜は実質的には、価格面では同じかもしれませんけれども、将来に対して大変な不安を残すような状況の中にある。でん粉や豆につきましては、もう三年連続据え置き。でん粉についてもやがて過剰の時代が来るぞということで、これまた大変な不安の種が残っておる。長期需給見通しは六十五年ですから、これはただ絵にかいたもちだと言えばそれまでですけれども、しかし、閣議決定をして根拠のあるものだろうと思うのです。今やはり減反のために特に作付が多くなった。いろいろな制度の誘導政策政策的にそうしたということももちろんあるんでしょうけれども、まだ六十五年の状況には達してはいないのは当然のこととして、転作という、そういう政策一つの現状の中で、余りにもその方針が変わり過ぎるということは、農業は御存じのとおり二年や三年、五年やそこらで方針を変えるというわけにいかない。  私は戦時中、帯広とか各地に勤労動員で援農で行って実際に農家をやったことがあります。長い間やりたわけじゃありませんが、そんなことから考えてみますと、本当にああいう大面積を抱えて、そして一つの作物が過剰になって、好ましくないというか、非常に採算が合わぬということになりますと、輪作体系というのは非常に困難を来す。今回の三品の価格決定に当たりましても、それなりの状況判断をしてお決めになったのだろうと思いますが、今回のこの決定に当たりましては、地元でも大変な不満と不信、将来に対する希望のない現状というののふんまんを訴えております。これは基本的に、この価格決定に当たりましてはどのような考え方でなさったのか、ちょっとお聞きしておきたいと思うのだが、だれかいますか。
  216. 塚田実

    説明員(塚田実君) お答えいたします。  今般、てん菜、バレイショ等につきまして価格決定をいたしたわけでございますが、その際の基本的な方針ということでございます。御案内のようにそれぞれの法律によりまして、価格決定に当たりましてはパリティ指数を基準とし、その他の事情を総合的に勘案して定めることになっております。パリティ指数は〇・九%上昇しておりますが、その他の事情、私ども需給事情等を総合的に勘案しまして決めたわけでございます。  例えばてん菜につきましては、先生指摘のように合理的な輪作体系を確立するということが必要でございますし、そういう状況から見ますと、北海道のてん菜の最近の生産の状況を見ますと、一部の地域で合理的な輪作体系が崩れてきているというようなこともございます。それからバレイショにつきましては、やはり全体的な需給事情が非常に厳しいというようなこともございます。ただし、でん粉につきましては、私どもは国産のでん粉の優先処理ということを基本としておりまして、そういう基本の中で需給事情の非常に厳しい中でいろいろ制度運用しているわけでございますが、そういう事情を踏まえて価格決定をしたわけでございます。
  217. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 パリティは〇・九三。しかし、実際いろいろ事情があったということですが、いずれにしましても、てん菜では実質的には手取り価格が引き下がるということで、大臣も規格外ということで、五〇%以下の基準を設けて交付金対象というものを決めましたから、こういうことでは、これは突然降ってわいた話ではないのかもしれませんけれども、十アール当たり十万の目標で頑張ろうと七万、八万、そういうことで努力しているところにやみくもにこういう価格決定といいますが引き下げにも通ずるような措置をされますと、畑作にも本当に意欲を持てない。  今、政府が目指している大規模化、稲作につきましても、上川町だと大体三町歩ぐらいですか、一農家当たり稲作農家で平均しますと一千五百万ぐらい、ところにもよるのですけれども、負債を背負っておるということ。酪農についてもこれは設備が大きいですからあれですが、十勝とか向こうの方へ行きますと、二千五百万からの負債ということで、もちろんこれは個人差がありますから一概には言えないのかもしれませんけれども、稲作で三町歩、四町歩やっていて千五百万の負債を背負ってきゅうきゅうしておるという。これじゃ今農林省が目指すこの目標というのは、一体規模拡大というのは何なのだ。規模拡大だけが生産性向上、そしてまた健全経営ということではないのかもしれませんけれども、そういう努力をしながらも、四四%の転作ということですから、大変な思いをしておることです。それにしましても現状というのは非常に厳しいという、この認識だけはしっかり持っていただき、大臣も、南北に長い日本列島であります、それぞれの地域の現状というものをぜひひとつ把握していただきまして、御配慮をいただきたいと思うのです。  時間もありませんから長々しゃべっているわけにもいきませんで、そのほか米のことについてもいろいろお話ししたいことがありますが、また後日にいたしまして、酪農について一点だけお伺いしたいと思います。  ことしは非常に暑くて、一部では粗飼料、牧草があんまりよくなかったというところもありますけれども、今はもう乳量は回復をしてきたように私どもはいろいろ現地の話を聞いておるのです。ことしは暑いということで非常に生乳というものの需要があったようでありますし、また、今まで事業団が持っておりました粉乳等につきましても底をついたということが言われております。生産者の方々もわずか前までは、余るということで搾った乳を投げなきゃならぬというこんな事態がありました。ようやくおさまったかというと、今度は米と同じように不足の状態、不足であるのかどうかという数字的なことはよくお伺いしておりませんけれども、新聞等の報道によりますと底をついておるというようなことです。危惧することは、やはりこういう現状の中で結局農家だけにそういうしわ寄せ、政策的な欠陥といいますか、いろいろな諸問題が起きますと、農民にそれが結局はしわ寄せになる。こんなことで物の解決が進められて押しつぶされるようなことではたまらないというのが現地の様子です。  それから、先ほど申し上げたように負債金額が非常に多いということで、負債整理資金、五十六年にやっていただいて一部ではそれなりの解決をしておるようでありますけれども、やはり酪農が五年や十年や十五年で健全な経営ができるわけはありません。やはり長期低利な資金というものをぜひこれはお考えいただかにやならぬ。規模拡大のためには土地取得資金という制度もありますけれども、これはもう枠が少なくて現実的には余り役に立っていない、総合資金とあわせてということで、なかなかこの進行状況も、いろいろお話を聞きますと、制度そのものが余り生きていない。こんなこと等をいろいろ考えておるのですが、酪農の乳量の不足を来しておるというような現状と、それからまた今後の酪農の融資制度等を絡めての育成のための施策、こんなことについて簡単にお伺いしておきたいと思います。
  218. 野明宏至

    説明員(野明宏至君) 生乳生産の最近の状況でございますが、昨年度それから一昨年度と大体前の年に比べて三%ぐらいの伸びを示しておるわけであります。本年度につきましても計画的な生産を進めるということでやっておるわけでございます。そういう中でただいまお話の脱脂粉乳の需給につきましては、ことしの夏の猛暑によりまして生産が前年より夏の時期減る、他方乳飲業が非常に伸びるというふうな中で需給はタイトになりまして、局間在庫も薄くなる、価格も安定指標価格に比べてかなり上がるというふうなことでございまして、こういった状況を踏まえまして畜産振興事業団が持っております脱脂粉乳の在庫、約八千数百トン持っておったのでありますが、十月ごろにかけまして全量放出を行ったようなわけでございます。なお適正な在庫水準に比べればなおかなり低いものになっております。ただ、その後秋口になりまして生乳生産も回復の道をたどっておりまして、在庫水準につきましてもこれまでよりは逐次回復しておるような状況でございます。なお推移をよく見ていく必要があろうかと思っております。  そういったような最近の状況でございますが、酪農対策につきましては、先生お話ございましたように負債整理対策につきましては五十六年度から五年間の予定で酪農負債整理資金の貸し付けを行うことにいたしまして、ことしがその四年目になっております。そういった貸し付けとあわせまして農家みずからの経営過程全般にわたる努力と、それから地元の関係団体による経営指導を通じて、問題のある農家については経営の改善向上を図っておるところでございます。いずれにいたしましても、酪農につきましてはやはり需要はこれまでのような伸びは期待できないわけでございますが、逐次今後も伸びていくというふうなものでございます。したがいまして、今後やはり土地利用型農業の基軸といたしまして、昨年制定していただきました酪農及び肉用牛生産の近代化方針と、法律に基づく方針に即しまして今後も各般の振興対策を講じていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  219. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 時間もありませんから、次に漁業の方に移りますが、大臣、当初申し上げましたように、農業も漁業も林業もみんないろいろな問題を抱えておりまして、今最大の問題は日ソ漁業協力協定、それから今、長官がいらっしゃっております捕鯨協議会。ソ連との漁業交渉、アメリカももっともっと厳しい条件が付されておりますし、また捕鯨問題、これを一つ一つお伺いをしたいところでありますが、時間もございませんから……。  山村前大臣はみずからモスクワにいらっしゃった。いらっしゃる前に九月の初めに当委員会がございましていろいろ申し上げたところであります。漁業問題も大臣がいらっしゃって決着を見るかに見えましたが、なかなかそう簡単にはいきませんで、また交渉再開ということが近々あるわけでございます。また捕鯨問題、これらのことについて大臣基本的な考え方、そしてまた現状をお伺いしておきたいと思います。
  220. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 日ソ間の漁業関係には当面の懸案でございます日ソあるいはソ日漁業関係やサケ・マス漁業に関する新協定締結問題のほか、実態面におきましては、日ソ双方の漁獲のアンバランス等の問題がございます。私は日ソ漁業関係が両国を結ぶ太いきずなであり、また多数の我が国業者がこれに依存して生計を立てていることから、その一層の安定化を図ることが重要であると考えております。去る九月の山村前大臣とカメンツェフ・ソ連漁業大臣との会談におきましても、今後とも日ソ漁業関係の一層の緊密化を図るべきであることについては合意が見られております。私としましては、この両国大臣会談を通じまして醸成された相互理解と協調の精神で当面する諸懸案の解決に取り組み、我が国北洋漁業の安定的継続を図ってまいりたいと考えております。
  221. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 今、長官がいらっしゃっている捕鯨問題の交渉の経過とか見通し等についてちょっとお伺いしておきたいと思います。
  222. 斉藤達夫

    説明員(斉藤達夫君) 本年の六月のIWCの会議におきましてマッコウクジラにつきまして実質的ゼロ枠という決定が行われました。我が国はこの決定に対しましては、既にそれに先立ちまして八一年に異議申し立てをしておりますので、この決定には拘束されない立場にあるわけでございます。しかしながら、米国には二百海里内の漁獲割り当てと捕鯨問題とをリンクさせる国内法がございまして、日本がこの操業を強行いたしますと二百海里内の漁獲割り当てを半減する、二年目には全部ゼロにするという法律がございます。したがいまして、日米間の衝突を回避するために佐野長官が現在渡米され、十一月一日及び二日の両日にわたって協議をしたわけでございますけれども、現在のところ合意に至っておりません。交渉は継続中でございます。協議の内容につきましては、まさに現在交渉中の問題でございますので、具体的に述べることは差し控えさしていただきたいと思うのでございますけれども、アメリカ側の態度は極めて強いものがありまして、我が方としても非常に厳しい対応を迫られておるということでございます。  以上でございます。
  223. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 ソ連との漁業は、日本が、先人が開いたカムチャッカを初めといたします千島周辺の北洋における漁業というのは大変な努力をして切り開いたものです。そういう意味では歴史的な経緯もこれあり、ソ連ともいろいろな交渉をしてまいりまして、皆さんの御努力もあって今日あるわけです。しかし、年々交渉の中で条件が突きつけられて縮小という形になっているのです。一方、アメリカの方は歴史的なことから言うとソ連とは違うのか、環境保護団体か何かの方々、地元から厳しい条件が付されておりまして、友好国のアメリカが非常に厳しいということです。これは同じにソ連の漁場とアメリカの漁場とは単純には比較できないいろいろな経緯があるのですけれども大臣、外国との漁業外交といいますか、これは今までも各大臣に一生懸命お取り組みをいただいておるのですが、これは新大臣に課せられたまた一つの大きな課題でもありまして、ぜひひとつこれに真剣にお取り組みの上切り開いていただきたい。  漁業の現状は、私が長々申し上げるまでもないと思うのですけれども、今も輸入が一兆円という。漁獲高が一千万トンとかいいながら年々漁場が狭められ、そしてまた今まで漁業に携っておりました方々が大変な苦境の中にあることは御存じのとおりです。そういう点で漁業外交の展開ということで取り組みをいただきたい。  私は、山村大臣就任したとき、大蔵大臣、外務大臣が留任して農林大臣も留任して引き継いで長期にわたってやるようでなきゃいかぬと叱咤激励をいたしたところであります。しかし、より清新な闘志に燃えた大臣がいらっしゃったわけでありますから、ぜひ前大臣に負けないよう御努力を願いたい。  私ども公明党といたしましては、農業、漁業いずれにしましても民族生存の基幹産業ということでありますから、また、中曽根総理も生命産業などということも言われておりますけれども、こういう重要なことにかんがみまして、いろいろな問題がありますが、ひとつお取り組みいただきたい。  時間もありませんから最後に、ことしの概算要求がいろいろ議論になっておりますが、これはいつも言って申しわけないのですが、四十年には総予算の一割、一〇%を占めておった。五十九年度は六・八%ということです。ことしはもっと下がるのではないか。概算要求段階で八・二%ぐらいというのですか、それで政府全体が行革ということですが、新しいものにはどんどん予算をつけて何かやろうという、そういう取り組みは大事なことだと思います。  しかし農業というのは、新しいバイオテクノロジーや何かそういうものに随分今度はお取り組みになる、金額的には大したことはないのかもしれませんが、そういう新しい分野の技術開発に取り組むのはもちろんとしまして、やはり食糧の安全 確保ということは古くて新しい問題でありまして、新しいものにどんどん予算がついて、最も大事な、古くても新しいこういう問題についてのおろそかな手抜かりがあるようなことであって、ことしのように一億国民不安を招くようなことがあってはならぬ。今度の予算につきましては、今度は前の大臣がというのじゃなくて、佐藤大臣がお取り組みになるわけでありますから、ぜひ真剣にお取り組みいただきたい。このことについての大臣の御所見をお伺いして終わりたいと思います。
  224. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 今御指摘ございましたことでございますが、農業というのは国の基本でございますし、また、食糧安定供給というのは政治の一番大切な要請でございます。そんなことで、実は今後本格化する財政当局とも調整は大変厳しいものがございますが、御指摘のように全力を尽くして頑張りたい、このように考えておりますゆえ、よろしくお願いいたします。
  225. 下田京子

    ○下田京子君 新大臣就任されてきようで八日目、他の委員からも御質問がございました消費者米価の引き上げ発言、これは先ほど大臣、お米は安い、日本農業国民全体で守ってほしいということで消費者米価には触れていないとおっしゃいました。実際にはどうなのかというお尋ねに対して、現段階では考えていない、食管法の立場から考えていきたい、こういうことなのですが、よりもうちょっと具体的にお聞きしたいのです。  けさの日経では、「今年十二月の米価審議会で消費者米価を上げろという意味ではなく、国民全体が日本農業を守る姿勢が大切だ。」、こういうふうにお述べになっていますが、「個人的な意見だが、」と言いながら、「消費者米価は引き上げるべきだ。」、こういうふうにも報道されております。そしてその理由として、「政府米の売買逆ザヤは七月に生産者米価を引き上げたため五・六%に拡大し、年間八百億円近い赤字を産んでいる。食糧管理制度がパンクしてしまう。」というふうに言われていますが、そういう御認識でございますか。
  226. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 実はきょう再々この問題についてお話をしているわけでございますが、私の言葉が足りなかったのか、真意が理解されたのかよくわかりませんが、私、お米というのは安いと思うかという御質問でございましたものですから、個人的な見解としてお米は安いということを実は具体的に申し上げたわけでございます。  それともう一つは、やはり日本農業は我々国民全体で守るべきではないかという話をいたし、そういう形の中に食管会計の内容は話をしましたということだけでございまして、別に消費者米価については触れておりません。だからその新聞は、私は実はきょうの日経を読んでおりませんけれども、私は消費者米価については上げるとか下げるとかというのは一言も言ってございません。そういうことでございます。
  227. 下田京子

    ○下田京子君 現段階では値上げしない、これは確実ですね。現段階というのは十二月も含めて……。
  228. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) まだ決めていません。きょう申し上げたことでございまして、結局食管会計の規定に従いまして家計費及び物価その他の経済事情に十分配慮し、消費者の家計の安定を旨として適正に対処してまいりたいということでございます。
  229. 下田京子

    ○下田京子君 現段階では値上げは考えていないとおっしゃったのです。現段階というのは今時点だけでなくて十二月も上げないというふうにやはりきちっとしてほしいと思うのです。  ただ、私がはっきり指摘しておきたいのは食管会計の問題なのです。これはパンク寸前だという御理解はいかがかなと思うのです。大臣もいろいろ勉強されて御承知かと思うのですけれども、五十年の一般会計の中で占める食管会計の割合というのは四・四%です。ことしはどうかというと、一般会計予算の中で占める食管予算というのは一・六でむしろずっと下がっている。国内米管理勘定で見ましても、売買逆ざやは五十年当時が三千八百八十一億円だったのが、ことしは一千三百二十四億円ということで三分の一以下になっているのですから、パンク寸前だという御認識はやはり改めていただいて、むしろ国民生活の実態やお米の消費拡大、そしてまた食管法基本ということだったら引き上げというのは考えられない、そういう立場で大蔵としっかり折衝いただきたいと思います。
  230. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 今、私はパンク寸前という言葉は使っておりません。私がお話をしたのは、食管会計の赤字が今の農政の足を引っ張っておるという話はしたと思います。そういうことでございますからその点は御理解願いたいと思うわけでございます。
  231. 下田京子

    ○下田京子君 弁解だけじゃなくて、大臣決意を述べなきゃね。今、大蔵と折衝するわけですから。私はそちらの方を強調して御答弁いただきたかったわけです。食管の状況というのをどう見るかということなので、国民の必要な経費を赤字と見るかどうかというところが、やはり本当に国民食糧に責任を持つ大臣としての姿勢が問われることだということはあえて申し上げておきたいと思います。  次に、減反の問題なのですけれども、これも他の委員質問に対して国会決議方向で見直しを考えているというふうにおっしゃいました。これは総理もゆとりある需給をということで公約をされております。ただ、作況一〇八ということでもって、三度過剰は起こさないのだというふうなことが中にはあるのでしょうが、やはり減反緩和基本問題というのは、生産者、消費者ともに不安と混乱、不信を招かないということだと思うのです。つまりことしのような綱渡り的、峰歩き的なそういう需給計画であってはならない。ましてや外米輸入輸入じゃない、返還米だなんということでもってやるようなことはもう起こさない、これが根本だと思います。  その一つなのですが、見直しの基本一つは、やはり平年作を前提とした計画ではなくて、通常予想される不作を織り込んだ計画とする、これが一つ。それからもう一つは、現在の需要量の見込みについて、ことしの場合は昨年に比べまして計画について約二十万トンオーバーしているという点から見て、この政府売却の実績、需要量も見てみなきゃならない。潜在生産量なども検討して適正なものにしていくというのがやはり見直しの基本ではないかと思うのですが、よろしいですか。
  232. 関谷俊作

    説明員関谷俊作君) 今年産米が大豊作というような状況が出ました状況のもとで、私ども当面は米管理に、従来の時点でこの問題が議論された事情よりは大変需給事情が変化してまいったわけでございまして、そういう点も考慮に入れなければなりませんが、同時に、今お尋ねにございましたような来年度の作柄の変動も含めましてことしの産米の作柄、最近の需要動向、さらに来年の作柄の変動というものも含めました米管理の影響度合いについても考えながら、一方において三度目の過剰を招かないような配慮、また一方において、ことしの経験にかんがみましたようなゆとりある米管理、米需給、こういう両面を考慮しながら早急に決定を見たいということで、現在転作目標面積について、今申し上げましたような諸点についての数字的な見きわめも含めまして、最終決定をできるだけ早くいたしたいということで鋭意検討しておる最中でございます。
  233. 下田京子

    ○下田京子君 数字的な検討をなされているということだったからあえて申し上げておきますけれども、やはり押さえなければならない大蔵と折衝する際の基本としては、これは私の試算ですけれども、とにかく一つは早食い九十五万トンは異常です。通常四、五十万トンというところに戻さなきゃならないでしょう。それからまた需要の問題、消費拡大ですが、これも二十万程度はことしよりも見込むということが大事ではないか。さらに三つ目に、過去三年間の不作の状況というふうなことを見ますと、やはり五、六十万トンということも数学的に出てくるでしょう。さらに私どもとしては、加工用米はこれはもう政府の責任でちゃんと需給計画に織り込むということで、二十七万から三十万トンというものをちゃんと見込んだ形でのゆとりある需給というふうな計画をお出しいただきたい。これは重ねて要望申し上げておきます。  そこで、他用途米問題なのですけれども、いろいろな問題を引き起こしておるのは御承知かと思います。私はここでひとつ紹介したいのですけれども、新潟県のある自治体です。「青刈稲はもう一度考えて 他用途米は、全て政府米として買入れる旨通知して来ましたが、未だ価格は不明です。ただし他用途米の価格一万八十円でなくなったことは事実です。」ここなのです。「ことしの米価は一万八千六百六十八円となりましたが、仮に一万五千円の買い上げ価格となったとすれば、青刈計画田十アール当り七俵収穫すれば十万五千円となります。一方、転作として青刈した場合の奨励金は三万一千円ですので、七万四千円の差が生じます。」こういうものをお出しになって、青刈り稲をもう一度考えてというふうに奨励しました。  そして、これは自治体だけじゃなくて、新潟県でもこういう通知を出しているんです。「青刈り稲等の他用途利用米への移行に係る取扱いについて」ということで、「農業者が希望する場合他用途利用米は、主食用米として買上げされることになりました。この決定に関連して、青刈り稲から他用途利用米への移行にとどまらず、当初、主食用の稲作付田を青刈り稲に計画変更し、これを他用途利用米に移行する動きがあると聞いております。」、こういうことで、御丁寧にこういう場合はいいです、こういう場合はだめですよということで、他用途利用米の主食買い上げと転作カウントで、最初から他用途米を主食に買い上げる、これは転作カウント・オーケーです。これを一段跳びと言います。次に、青刈り稲を今のようにあれして他用途米に今度変更して、それを主食に買い上げてもらった場合も転作カウントでオーケーですよ。これは二段跳び。だめだというのは、非転作で、最初の一般栽培の稲を実は青刈り稲に変えて、青刈り稲だと称して今度はまた他用途米に変えて、それで主食買い上げというのは、これは転作カウントはだめですよと。三段跳びと。こういうのがある。  とにかくこういう状況にあって、農家の皆さん方がもう輸入に対する抗議と怒りということもさることながら、主食転用という点での大変な期待が広がっていった。安い他用途米は受け入れられないというようなあらわれで、県としてもそういう動きを察知してこういう具体的な図まで示して指導をなされたということ、これは御承知されていると思いますし、またそういう中での農民の苦労というもの、お気持ちを理解されているかどうか、長官にお聞きします。
  234. 関谷俊作

    説明員関谷俊作君) ただいまの問題は青刈り稲という転作の一形態と関連しますので、私の方からお答え申し上げますが、今の引用になった図は、私、実は今初めてそういうものがあるということを承知するような次第でございます。ただ議論として、今何段跳びというようなそういう形態が予想されるということは一つございますが、私ども非常に基本的な考え方としては、かねてからの指導としまして青刈り稲ということで転作として仕組んだものを、これはもともと望ましくないものであるから、本来の転作に戻すなりあるいは米をつくるということであれば他用途利用米に持っていく、そういうようなことが望ましいという指導を御承知のようにしたわけでございます。  その過程で今引用のございましたような青刈り稲から他用途米へ、それから青刈り稲から他用途米になってその他用途米が例の主食用転用の扱いでもってカウントされる、こういうことは当然青刈り稲からの他用途米への移り変わりを指導しました以上、結果として形態としてとられることは十分予測されるわけでございますが、最後の段階のものになりますと、こういう措置を非常に都合のいいようにと申し上げると恐縮でございますが、一つの形として、本来もともと青刈り稲でないものを、一回主食用だったものを青刈り稲にして、それで転作扱いにして、それから他用途米へということになりますと、やはり転作行政上からすれば非常に望ましくない形態である。こういうようなことで、これはあらかじめそういうことをやってもいいかという照会が私どもにあったわけではございませんが、若干そういうようなことが行われそうだというような話が地方局段階でもありましたときに、私どもの担当の方としましては、その最後に三段跳びというお言葉でおっしゃいました形態はやはり本来とるべきものではないということは回答いたしておる次第でございます。
  235. 下田京子

    ○下田京子君 今のような実態を初めて聞いたようなお話が最初にありましたが、余りに現状を知らないというか、知ろうとしないというか、無関心というか、やはり大変問題だなと思いました。  新潟県で新たに青刈りから他用途に転用したのが、面積で言いますと約一千四百ヘクタールです。数量で五千四百トンというふうに私は聞いております。そういう中で出ている矛盾なのですけれども、青刈り稲の場合には最初から実取りということでないですから、一般的にそれはもうきちんとした肥培管理をしなさいよと言っても実態は違ってきて数量は落ち込むわけです。これは御承知だと思います。したがって他用途米の契約基準数量についても、最初から他用途米とした場合と、それから今言うように、実際に青刈りを今度途中で他用途米に変更した場合とでは数量の差が出てくるわけです。実際にやってみたらひどいところは二、三俵、よくても四、五俵と。だけれども、実際の契約は七、八俵ということになりますと、とれていないのに別なところで充てなきゃならないという矛盾が起きるわけですから、背刈り稲を他用途米に変更した、こういうことにあっては現実に合った形でやはりその数量対応される、これは当然だと思うのですが、念のために確認したいと思います。
  236. 関谷俊作

    説明員関谷俊作君) 青刈り稲の場合は、単純にそのまま面積として転作にカウントされるという扱いになるわけでございますし、他用途米になりました場合には、出ました契約数量を単収で換算する関係から、今お話のございましたようにずれが出てくるのだろうと思います。ただ、この問題は、他用途米の仕組みがそういうふうにもともと自主流通的な集荷業者への契約ということで流れますので、先にどうも数量が出てくる、その後でそれを単収で換算をして面積に割りつけまして転作カウントするということでございますので、その辺のずれが出てくるのは結果的にはやむを得ないということになるわけでございます。  なお、ちょっとお尋ねの中にもございました全体……
  237. 下田京子

    ○下田京子君 結果的にずれていてやむを得ないなんということはおかしいです。ちゃんと答えてください。
  238. 関谷俊作

    説明員関谷俊作君) そこは青刈り稲のような初めから面積で来るものと、それから他用途米のようにとれました、あるいは出ました契約数量の方から換算されるものという仕組みのずれがある以上、そこのところはどうしてもやむを得ないということで、仕組み上の問題としては対応措置がないというふうに考えております。
  239. 下田京子

    ○下田京子君 対応しようがないじゃなくて、実際にとれてないのですから、その現場できちっと対応して実情に合った形でカウントしていくというのは当然でしょう。それを覆っているのです。そうでしょう。そうすべきだということ。
  240. 関谷俊作

    説明員関谷俊作君) とれていないという実態をどういうふうなことでおっしゃっているのか、私もちょっと十分理解がいっていないのかもしれませんけれども、他用途米の仕組みの方が契約数量の方から出てくるということでございます。
  241. 下田京子

    ○下田京子君 そんなことを聞いているのじゃない。契約数量じゃなくて、普通は青刈り稲から他用途米に途中で変更したわけですから、そのときの契約というのは、その契約のときに、じゃ、実態が二、三俵ということで契約していればそれでいいですねと、そういうことです。私はそういうふうに指導していただきたいと思います。  それでまた矛盾があるのですけれども、他用途米が一等で対応しなければならないというのがかなり出ているのですね。これは秋田で具体的な数量もいただいておりますけれども、時間がありませんから申し上げませんけれども、ことしはとにかく三等米が足りない、くずも足りない、これはもう御承知だと思うのです。そういう中で、秋田のをちょっとだけ言っておきますと、秋田県で二千トンのうち他用途米の検査で一等が比率五七・九%で二等が二五・八、三等が一六・主なのです。だから農民の気持ちとしては一等米を一万四百四十円で加工用に売られて破砕されるということに大変納得できないわけです。一方、消費者の方から見たらどうかというと、今度、三等米が政府米として主食用に売却される、これもまた納得できないわけです。こういうのはどういうふうに調整されるのか。調整されてしかるべきだと思いますが。
  242. 石川弘

    説明員石川弘君) 御承知のように大変作がよろしゅうございますので、全体の米の比率で申しましても一等米は八〇%の比率でございます。したがいまして、他用途米を出していただく方の中でそういう低位米を持っていらっしゃらない方が一等米を出される場合もこれは十分あり得るわけでございます。ただ、先ほど申しましたように、先ほどの先生の御説明でも、一等米の比率が四十数%とか五〇%ということは、主食用に向けられます比率よりもやはり低い形で、極力いいものは主食用に、そうでないものを他用途にという振りかえを行っているわけでございまして……
  243. 下田京子

    ○下田京子君 置きかえなのでしょう。
  244. 石川弘

    説明員石川弘君) 置きかえと申しましても、これは人によって、地域によって置きかえられるものは既に置きかえた結果がそのような数字になっているのかと思っております。
  245. 下田京子

    ○下田京子君 私は個人の置きかえの話を言っているのじゃないのです。政府としてちゃんと調整しなかったら問題じゃないかということを言っているわけです。これははっきりしていますでしょう。  次に、また大きな問題ですけれども、これは新潟県に日本一と言われる特定米穀業者、くず米選別工場というので藤井さんという商店がございます。私は現地に行ってきたのですけれども、その際に一番先に言われたのは、ことしくず米がとにかく不足している、価格の方も上がってしまってキロ百三十五円前後だと。今まででしたら八十円から九十円で手に入ったのに、採算が合わないというふうなことをおっしゃっておりました。サンプルもいただいてきたのですけれども、私も初めてわかったことは、くず米を比重選別機にまずかけるのですね。そして上中下という玄米に分けます。その次に今度は色彩選別機にかけるのです。  そうしますと、大臣や皆さんにも見ていただきたいのですが、ここに特上白というのができます。これは主食に回します。その次に上白というのが出ます。その次、特中白というのが出てきます。それからさらに並み白というのがつくられます。さらに今度は白ビール用のお米になります。そして今度黒ビール用のお米も出てきます。さらにこのくず米による米ぬか油が搾られる、こういうことなのですが、この間にもう一ランクあって、実にこれは八つぐらいのランクに分けられるということで、くず米だと言いますけれども、スムーズにそういう格好でいくのじゃないのですね。これは長官も御承知だと思うのですけれども、そういう形でくず米が主食にも回っていくというのも御承知だと思います。  私が聞きたいのは、ことしのようにこのくずの原料が集まらないというふうなときに一体どうするのかということなのです。どうしますか。
  246. 石川弘

    説明員石川弘君) 大変作がよろしゅうございまして、いい米ができているということは基本的にいいことでございます。くず米がたくさんできているということの方よりははるかにいいことでございまして、もちろんくず米のそれなりの用途があるわけでございますから、量が少なくなれば、これは自由な価格の世界でございますから、それなりに価格が上がってくる。そういう価格が上がってきますと、安い価格対応をしていました部類につきましては、くず米から出てきます。途から、例えばコーンスターチの用途に変わるというような形で、おのずとバランスがとられているわけでございます。ただ、ことしの場合、今まで数年間冷害というような中で、御承知のようにくず米が比較的潤沢で、安いくず米に頼っていた方が今回大変対応に苦労なされているところがあるわけでございますが、そうかといって政府はくず米をわざわざ供給をさせるような仕組みをつくるわけにはこれはいかないわけでございます。結果的に不足するものについて、一定量はくず米の世界以外に加工原料として、過去においては破砕米を、ことしにおきましては返還米の一部とこの他用途米を充てるわけでございますので、私は、作がいいということから、結果として出てはまいりますけれども、これはこれなりの対応が可能なものだと考えております。
  247. 下田京子

    ○下田京子君 私は、くず米について対応云々じゃなくて、加工用の、つまり他用途米の世界の話というのが、一般的に全体で加工原材料というのはどのぐらい必要なのかと言うと、今までのお話をずっと聞いて総合しますと、くずの世界で三十万トンとも言われていましたが、きょうはちょっと三十五万トンなんてさっき言っていました。そのほかに二十七万トンが必要なのだと。ことしは二十万トンだという話なのですけれども、くずの世界から主食にも還流していくというような中で、今コーンスターチという話が出ましたけれども、そういう他の代替物で補えないというのははっきりしているのじゃないですか。これは政府の資料によっても、みそは九・四万トン、それからお菓子用が五・四万トン、それから米穀粉が五・三万トン、そしてしょうちゅうが三・三万トン、その他一・六万トンで二十五万トン程度はもう絶対必要なのだということなのです。だから、くずの世界が減ったら、じゃ他用途米、いわゆる加工原材料をよこせと、こうなってくるじゃないですか。それで、そのときにどういう手当てをするのだと私は聞いたのです。  そこで、本来他用途米という制度は何でつくったか。安い原材料が必要だ、それで安い輸入のものか安い他用途米か、その選択で農民の皆さんは、輸入よりは安くともということで泣き泣き全中は引き受けてきた。だけれども輸入しないと言っていたのに、今度輸入をやって、怒って集まってこない。それでさっき言ったようにいろいろな矛盾を引き起こしているのです。こういうことをもうあちこちで出していったら大変な事例が出てきます。  私が最後に言いたいのは、これは大臣に御答弁いただきたいのですが、福島県からこういう御要望をいただいているのです。各県からいただいておりますが、私の地元だから出しますけれども、ここで、他用途利用米の生産については、「当面必要な加工原料用米確保のため、(他)米新規格の設定、現行奨励金水準の確保、超多収品種の育成促進を図ること。」こう言っています、当面は。しかし、「備蓄制度の確立によりこれを廃止すべきもの」だと、こうおっしゃっているのです。私もそう思います。そうでないとやはり安心して国が責任を持ったそういう自給というものはやっていけないと思います。こういう点で他用途米制度そのものも含めた見直しを真剣に検討いただきたいと思います。大臣のお答えを。
  248. 石川弘

    説明員石川弘君) 他用途米制度につきましては、本年発足をしたばかりでございます。たまたま買い上げ問題等でいろいろな混乱が起きているわけでございますが、生産者団体といたしましても、御承知のようにこういうものを育てていって、極力国内で供給できるものは供給をしていこうということを話しているわけでございまして、私ども制度につきましていろいろ改善すべきものは改善をいたしますが、基本的にはこの他用途米制度を育てていくことが日本農業のためにも、あるいは現在、この原材料に頼っております国内加工業界のためにも必要ではなかろうかと思っております。
  249. 下田京子

    ○下田京子君 大臣、答えてください。絶対それでは輸入しないと。
  250. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 今の石川長官の言ったとおりでございます。
  251. 下田京子

    ○下田京子君 いや、輸入しないのかどうか。
  252. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 主食たる米につきましては完全自給を約束したためにそれは輸入いたしません。
  253. 下田京子

    ○下田京子君 主食たるお米については云々というのがやはりついているのですね。これはもう加工原材料は、いつでも他用途米制度という世界は輸入と背中合わせになっているということをいみじくも今大臣は証明したようなことになって、これは問題だと思います。  次に移りますが、生糸問題なのです。異常な生糸相場が今引き続いております。この打開の方向なのですけれども、どうあるべきかということなのです。  御承知のように五十八年五月以降、生糸価格基準糸価一万四千円を割っています。それで、ことし五月末からさらに下がってしまって、安定下位価格である一万三千二百円を前後しているというふうな状況になっておりまして、大幅な逆ざや現象が出ております。  こうした異常な生糸相場の中で、一体養蚕農家はどうかといえば、もう減産で大変苦労をしており、あげくの果てに安い繭価格です。製糸業者はどうかというと、生糸が売れない、かつてない経営の危機に追い込まれています。しかも機屋さんはどうかというと、これも相次ぎ織機の共同廃棄というふうなことをやっているけれども、相変わらず絹需要減退ということでもって大幅な生産縮小に追い込まれる。三すくみなのですけれども、私は、こうした危機打開の方向がどうあるべきなのかという点で申し上げたいのは、養蚕製糸、絹業とも営業と暮らしが成り立つ、原則はそういう三位一体の方向で考えていかなきゃならないと思うのです。とすれば何をやればいいか、絹の需要増進も必要でしょう。絹織物等の輸入をさらに抑制していくということも必要でしまう。そういう立場からきちっと対応していただきたいと思うのですが。
  254. 関谷俊作

    説明員関谷俊作君) まさに御指摘のとおりの事態でございまして、現在、いわゆる逆ざや現象まで生じました関係から、非常に物の流れも停滞しておりますし、今年産繭の繭価協定も今仮り渡しの状態で行われている、こういうような状況でございますので、先般、私の方の私的諮問機関として報告の出ました研究会報告によります基本的な対策をどうするかという問題、それから今年度、今生糸年度のこれからの問題としまして現在の糸価水準からどういうふうに対処していくか、この関係のいわば緊急対策と申しますか、これからの対応、両方含めまして早急に対策を立てたい。また、来年度の問題につきましては、法律なり予算措置を仕組みましてまた御審議いただきたい、かように考えておるわけでございますが、いずれにしましても、全体的に非常に需要が予想以上に減退が激しいということなどがございまして、大変な事態に至っておりますので、早期に関係養蚕業製糸業、絹業、こういう面の一つ需要に即した生産活動なり流通が行われますような方向を見出したいと、かように考えております。
  255. 下田京子

    ○下田京子君 基本的に伝統産業を守るとか地場産業を守るというふうなことでしたら、現状に対するその対策の重要なポイントは何かという点でやはり国産をどういうふうに活用していくかということを基本に置かなきゃならないと思うのです。さっき局長は、輸入が五十三年ピークであったのに比べたらだんだん減っているよというお話があったのですけれども、実際にその農家の人たちから見たら繭の減産を始めたのはいつかといったら五十六年でしょう。五十六年の生糸及び絹製品の総輸入量は、生糸換算でいけば五十六年度九万五千俵、それで五十七年度が十二万二千俵、五十八年度は十万六千俵、そんなに減っていないのです。しかも重量ベースで見ますと、五十六年度は二千四百八十トン、五十七年度が二千五百九十四トン、五十八年度といえば二千三百八十八トンで、これは横ばい状態なのです。それで特に絹織物の中でも品目別に見ますとどうなのかということなのです。  通産省においでいただいていると思うので数字だげ確認いただきたいのですけれども、小幅紋織物、これは通関ナンバー五〇・〇九の一四一ですか、これで見ますと、五十一年度三百三十二トン、五十八年度が六百十五トンになっています。それから小幅無地の織物、これは通関ナンバーが五〇・〇九の一四九ですが、五十一年度が七十八トンだったのが五十八年度は八百二十トンと大変なふえぶりなのですね。これは着物の表地であり、あるいは絹の白生地産地であります京都の丹後産地やあるいは長浜産地、そういう機屋さんに大きな打撃を与えたというふうに私は見えると思うのですが、どうです。
  256. 新関勝郎

    説明員(新関勝郎君) お答え申し上げます。  ただいまの先生の御指摘でございますが、重量ベースでの輸入状況はどうかということでございます。  御承知のように、現在中国、韓国等と行っている絹織物の取り決めは輸入数量を面積単位で規定しておりまして、このために面積単位では年々減らしてきているわけでございますが、輸出国としましては削減している分を比較的軽目のものに充てた結果といたしまして全体は非常に減っているわけですが、その中では重目のもののウエートが相対的にはふえているということは事実でございます。私どもこうしたものにつきましては、関連の産地ということについては競合問題ということで問題だと思いますので、関係国に対しましては、非常にそういうことで日本国内で問題を生じているのだということはるる説明をし、理解を求めるべくやっているところでございます。
  257. 下田京子

    ○下田京子君 さっき局長から現在の糸価対策の問題が出たのですが、私はこの対策のことでしたら事業団の今の機能をきちっとやるべきだと思うのです。先ほどから他の委員の御答弁を聞いていますと、もう制度改正の方向でどんどんやっていって、今の非常に低い糸価を前提とした形で何か物を考えようとしているのは問題だと思うのです。基準糸価というのは繭糸価格安定法の第十二条の五にありますが、これは生糸の生産条件及び需給状況その他の経済状況を見て適正に農水大臣が責任を持たなきゃならないのでしょう。この基準糸価が下がった場合には買い入れもしなきゃならないのでしょう。隔離しなきゃならないのでしょう。なのに隔離してきましたか。大変下がっているときに、買いは控えてそれで売りはどんどん出すといったら、値は下がっていくの当然じゃありませんか。そういうことで十分責任を持った対応をされたというふうには見えないのです。その責任はどうお感じですか。
  258. 関谷俊作

    説明員関谷俊作君) 今生糸年度につきましては、中間買い入れの三万俵というものの買い入れを実行しておりまして、結局現物価格一万三千二百円ぐらいに推移しておりますが、事業団は中間買い入れ価格でことし決められております一万三千九百円で今日なお買い入れを継続しておりまして、先ほど申し上げたのはそういう五十八年十一月以来の国産糸の買い入れの継続によりまして、非常に借入金の増大なり欠損金の増加あるいは損失の増加というようなことが見込まれる状況において、研究会報告等にございますような制度の崩壊の危機に瀕しておるので、早急に対策を講ずべきだというような報告が出ておる次第でございます。  なお、輸入関係につきましては、生糸につきましては、今年でございますと六月から輸入は実施しておりませんが、その前の段階で実施しましたものは大体実需者売り渡しと申しまして、いわば絹業者に、活性化するというか……
  259. 下田京子

    ○下田京子君 数字はわかっているのです。
  260. 関谷俊作

    説明員関谷俊作君) 絹業者の経営安定の意味で実施をしてきた買い入れでございます。
  261. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 もう既にかなり質問もされておりますから、ダブる点は省略をしまして、それから大臣就任してまだ間もないことですから、できるだけ具体的な問題ではなくて基本的な問題について二、三質問をしたいと思います。主として大臣にお尋ねをしたいと思うのであります。  現在、我が国の農林水産事業の置かれておる状態というのは極めて厳しい状態だと思います。加えて、いろいろの面で行き詰まりというか、の悪化ということが見えるわけであります。例えば米を一つ取り上げましても減反政策あるいは他用途利用米制度等、数々の矛盾を生み出しておる。しかも食管赤字というものもなかなか解消されない。また、先ほどから話題になっております蚕糸価格安定制度自体も行き詰まりを生じております。  一方、水産業では商業捕鯨の禁止とか、漁獲割り当ての減少と入漁料の高騰等、これまた年々厳しさを増しておるわけであります。  さらに、林業では国有林経常は膨大な累積赤字を抱えておる。こういう中で農林水産大臣の職責というものは非常に重要であるし、また困難だろうと思います。まことに農林水産大臣になられた大臣には御苦労さまだと思いますけれども、これらの問題をどのようにとらえ、どういう対策をもって当たられるのか、まずお伺いをしたいと思います。
  262. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 今田渕委員から全く御指摘のとおりでございます。農林水産業をめぐる内外の厳しい情勢はもう御指摘のとおりでございますが、今後の農林水産行政の推進に当たっては、総合的な食糧自給力維持強化基本とし、経営規模の拡大、生産基盤の整備、技術の開発の普及などにより生産性向上を図るとともに、農業生産性の再編成を進めるなど、各般の施策を練ってまいりたいと考えております。
  263. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私は、従来の農業政策そのものに若干疑問を持ってきておるわけであります。確かに農業というものは他の産業とは一律に論ぜられない面が多いわけですから、例えば輸入制限、価格支持政策あるいは補助金というものが不必要とは思いません。しかしながら、無目標で、しかも惰性的なこういう保護政策は、決して日本農業発展には役立たない。そればかりでなくて、最近高まりつつある、欧米先進国はもとより、発展途上国からの輸入自由化に対する圧力は強まっております。それから消費者の側に立てば、輸入すればもっと安い食糧が食えるのに、この保護政策というものは困るというような声も出ております。やはり私は、こういう輸入制限とか価格支持政策というのはあくまで消費者も含めたコンセンサスがあってこそ初めてこれは成り立ち得るのであって、そういうコンセンサスがないと、こういうものは消費者の不満となり、世論が分裂する。それがまた外国のつげ目になって輸入圧力が高まるということになるわけであります。  さらに、この財政的な困難な事情を考えると、補助金もマイナスシーリングの範疇の中に押し込められてしまう。したがって、私はこれらの保護政策そのものを不必要とは言いませんけれども、やり方そのものを考え直すという一つの曲がり角に来ておると思いますが、いかがですか。
  264. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 今御指摘の点はごもっともな点があるのでございますが、実は一番の問題は生産者と消費者の両方に不安を持たせないことが一番大切なことだと思うのです。そんな形の中に、今一番大切なことは、やはり日本食糧の安定需給ということ。農は国の基本ということでございまして、結局今の農家の皆さん方の足腰をどうして強くするか、生活の基盤を強くするか、そういう形の中で本当に喜んで農業に精進してもらう、こんな形をまず第一番に私は考えるべきじゃないか。そんなことで、実は現段階政策につきまして議論はございますが、保護政策をとりたい、こう考えておるわけでございます。
  265. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 基本的には大臣のお考えも私の主張と余り違いはないように思いますけれども、私はやはり基本政策としては構造改善をもっと積極的に進める。生産性向上努力をする。それからできる限り日本農業も競争力をつける努力をすべきだ。確かに自然条件とか、あるいは地理的条件で簡単にはいかない面がありますけれども、しかし私は、日本農業はもともと外国に対してはだめなのだという前提に立つこと自体がやはり間違いだと思うのです。したがって構造改善、生産性向上、あるいは競争力の強化ということをもうちょっとやり方があるのではないかという気がします。  しかし、もう一方、考えなければならないことは、やはり食糧安全保障の問題でありまして、いざという場合に食糧安定供給のために安全保障というものは必要だと思いますけれども、私は安全保障政策についても、ただ単に漠然とそれを唱えるだけではだめで、もし食糧危機がいろいろな事情で来た場合にどう対応すればいいのか、そういう観点から、保護政策にしても、もっと選別的あるいは重点的にやるべきではないかという気がします。あくまでも日本農業は力が強くなる方向で、それから安全保障という観点、この二つの面を兼ね合わせながら、私は限定的、つまり選別的しかも時限的な保護政策を組み合わせていくべきだと思いますけれども、いかがですか。
  266. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 今の点も全く私は同感な点があるのです。ただ、先ほどちょっとおっしゃっていただきましたと思うのですが、日本の地理的条件あるいは国土の条件というものがあって、構造改善事業が非常に進めにくい点がございます。例えば日本の土地の利用度は三割前後ということ、そんなことで、そういう形の中に実は経営規模の拡大も難しい。例えば果樹などを比べてみましても、日本のミカンなどは一ヘクタール、二ヘクタールですが、アメリカは最低百ヘクタール。千ヘクタール以上で七五%までをつくっている。この姿をどう見るかということでございまして、実はその意味においては本当に限界を感じる。そういう形の中に補助制度というものが大切な気もいたします。  そういうことでございますゆえ、やはり私はこの日本が島国という形の中に、いかにして食糧安全保障を保つか。実はこれは多分、ある民間世論調査会社でございましたが、例えばお米の場合でも、お米は輸入していいかどうかという世論調査の場合、七五%の国民輸入してはいけないと。これは日本のそういう食糧安全保障を知っていることだと、こう思います。  そんなことで、実は趣旨を踏まえながらこれからも頑張りたいと思っています。どうぞよろしくお願いする次第でございます。
  267. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 安全保障政策で一番緊急の場合にまず役に立つというのは、私はやはり備蓄だと思うのです。もちろん基本的にはエネルギー換算の自給率向上だということだと思います。しかし、具体的にまずいざというときに間に合うのが備蓄だ。備蓄制度というものについて大臣のお考えを聞きたいのであります。  今まで日本の農林水産省が進めてきた備蓄というのは、私は必ずしも食糧安全保障という見地じゃなくて、豊作か不作かという場合の需給調整という意味で食管制度の枠内で考えられてきたと思いますし、また私は、水田利用再編第三期対策におきましての百四十五万トンの備蓄というものもそういう発想の域を出ていないと思うのです。そういうことではなくて、もう少し一たん緩急というか、不測の事態があった場合には食管制度の枠外にこの備蓄制度というものをつくる必要があるのではないかと思いますが、この点はいかがですか。
  268. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 今の点につきましては大変おっしゃる意味はよくわかるのですが、特に国の財政が厳しいという形の中に、恐らく農林水産省当局もそういうことを理解しながら財政上の問題で実は現在の形をとっているということだと思います。  私は、食糧安定供給確保を図るためには生産や輸入の安定を図ることが基本的に大切だと思っていますが、一方、国内の不作やあるいは輸出国の港湾ストとか輸出規制などによる一時的な食糧供給の減少という不測の事態に対処するため備蓄の確保を図る必要があると考えております。現在、食糧の備蓄につきましては、輸入減少の事態が生じた場合に重大な支障を生じる小麦、飼料穀物、大豆を対象として実施しており、また国民主食でございます、我が国農業基幹作物である米につきましてはゆとりのある需給計画のもとに適正な在庫の積み増しを、ただしこれは先生からすれば大変不十分な姿かもしれませんが、こんな形で百四十五万トンという在庫を考えていると思います。食糧安定供給確保は重要な責務でありますので、今後とも適正な備蓄在庫水準の確保に努めてまいる所存でございます。
  269. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 水田利用再編第三期対策について、まず食糧不足、凶作の連続による米不足という問題から見直しという議論が出てきて、またそれに対しても決議等も行われておるわけであります。今度は本年度の大豊作ということで若干情勢が変わってきた面もあるわけですけれども水田利用再編対策そのものについてこういう状況を踏まえてどのように見直されるのか、お伺いをしたいのです。
  270. 関谷俊作

    説明員関谷俊作君) 水田利用再編対策につきましては現在の対策がおおむね十年単位ということで発足しまして、現在がその第三期対策の一年目でございまして来年が二年目ということでございますので、私どもとしましては第三期対策の仕組みについてはこの現在の仕組みで三年間まいるということがまず第一の条件ではなかろうか。これはやはりこれだけの関係の多い、農家の多くの方、また地方公共団体も含めて推進しておりますので、仕組みを軽々に今変えるわけにはまいらないわけでございます。ただ、かねてからの問題でございます今年の米の作柄、最近の需給の状況、それから来年にかけましての米の作柄のいわば見通しと申しますか、いろいろなことを考えますと、かねてから問題になっておりました転作目標面積についての一つ検討ということはすべきではなかろうかということで、目下早急に結論を出すべく鋭意検討中でございます。
  271. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 転作面積検討というのは、米不足の状態から緩和する方向でいろいろ論議されてきたと思います。ことしの豊作がそういう判断にどういう影響を与えるのか。しかし、豊作であっても来年がまたどうなるかわからないから、少し前に論議された方向を継続して減反面積の緩和という方向検討されるわけですか。
  272. 関谷俊作

    説明員関谷俊作君) これはやはり米の需給均衡を図っていくということからしますと、一方において、かつてございましたような過剰を三たび起こしてはならない、またそれから一方においては、やはり作況の変動等も含めました需給の変動に対応し得るようなゆとりのある米管理を図るという両面の要請の兼ね合いを考えながら、ことしの七月に経験しましたような非常に需給に不安のあるという、ああいう状態が再び来ないように、そういうような配慮をするということで最終的には面積で極めて具体的な数字になるわけでございます。従来の経験から申しますと、非常に米は一方過剰へ動くときがございましたり、一方不足の方へ動く、こういうことで非常に難しい状態でございますが、諸般の要素を勘案しまして、また大臣から申し上げておりますような、国会決議も尊重して鋭意検討をして結論を早く出したいというふうに考えております。
  273. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それから、米価の問題で大臣にお伺いしたいのでありますけれども、現在の米価は割安であるという発言をされております。これは消費者米価値上げにつながるということで新聞等でも報道されたわけですけれども大臣の真意はどういうところにあるのですか。
  274. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 実はきょう何回も御答弁をしたわけでございますが、就任後の記者会見において、米は安いということで実は具体的に一食三十円ぐらいという話をいたしたということでございますが、これは私の個人的見解を申したわけでございまして、他の食品に比べて安いと答えたわけでございますが、農林水産大臣としては消費者米価をどうするかということを言ったわけじゃございません。  米穀の政府買い入れ価格については、今後とも食管法の規定に基づきまして「生産費及物価其ノ他/経済事情ヲ参酌シ米穀ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ」決定してまいりたいと考えております。また、政府売り渡し価格についても、食管法の規定に基づき「家計費及物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ消費者ノ家計ヲ安定セシムルコトヲ旨トシ」決定してまいりたいと考えております。
  275. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 これは生産者米価と消費者米価とうまく使い分けるわけにはなかなかいかないのでありまして、逆ざやというものの解消についてはどう考えておられますか。
  276. 石川弘

    説明員石川弘君) 今大臣からお答えしましたように、生産者米価を決めます原則と消費者米価を決めます原則は、実は違った原則ではございますが、そこに生じております逆ざやということにつきましては、これは二つの原則が違うことは当然逆ざやがあるということではございませんで、双方が成り立ちかつ逆ざやが解消されるような状況ができますれば、これは大変好ましいことでございます。一方におきまして御承知のように非常に極端な逆ざやというものは米の流通という面にいろいろな不正規な面も出てまいります。臨調等の答申におきましても逆ざやの早期解消ということが言われているわけでございまして、私ども二つ価格の決定原則に背かない限りで逆ざやがより解消されることは望ましいと考えております。
  277. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 いずれにしろ逆ざやにしろこれは財政負担ということになるわけで、つまり逆ざやがあるということは直接消費者が米を買う、受益者が負担するか納税者が負担するかという差でありまして、いずれにしろ私は生産者米価と消費者米価というものは無関係のものではないと思うのです。これは余り無関係なものにするというところに私は一つの矛盾が出てくるのじゃないかと思います。だから米が安過ぎるというのは、私は生産者米価も消費者米価も含めた大臣発言だと思うのです。そうすると消費者米価を上げるということにつながってこざるを得ないのであります。  ただ、日本の米がそれなら安いのか。確かに消費者の生活費に占めるウエートというのは大臣の言われるように極めて小さいものかもわかりません。しかし、ウエートが小さいから高くてもいいということにはならないと思うのです。特に日本食糧というのは全般的に非常に高いわけで、世界一ぐらいに高いわけです。だから私は、例えば国民の収入の面において、もう日本はヨーロッパに追いついたとかなんとか言っているけれども、中身を見れば、食糧は高い、住宅は高い、実質的な生活水準というのは非常に低いわけであります。こういう点から考えましても、消費者サイドから見たら、やはり食糧安定供給してもらいたいし、また安くて質のいいものが欲しいのは当然であります。  したがって、農業政策を進める上において、従来ややもすれば生産者サイドの側からの政策が多過ぎるのではないか。確かに生産者に比べて私は消費者の声の方が小さいと思います。生産者はそれで生活をしておりますから、死活問題ですから勢い声が強くなる。それから農協という圧力団体もある。消費者の方ははるかに数が多いにかかわらずなかなか、米は二%程度、少々上がったってどうということはないという面もあるかもわかりませんし、消費者団体というのは農協ほどの団結力はない。だからどうしても生産者サイドに偏りがちになると思いますけれども農業一つ産業でありますから、産業が健全な発展をするためには消費者の利益を無視した産業は、私は健全には発展しないと思うのです。そういう意味で大臣にお願いしたいことは、ぜひ生産者の側も消費者の側もバランスのとれた農業政策をやっていただくようにお願いをしたいと思いますが、いかがですか。
  278. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 御存じのように、食糧国民生活には基本的な物資でございまして、国民各層の関心が高いところでございます。したがって、食糧に関する政策を進めるに当たっては、生産者も消費者も含めて広く国民の理解を得るようにすることが重要な案件であると思っております。そんなことで、先ほど先生のおっしゃったような諸施策を推進するに当たっては、食糧政策にかかわる各種審議会に生産者のみならず消費者の代表にも御参加いただいて、これらの方々の意見をよく伺いながら進めていきたい、こう考えております。
  279. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 終わります。
  280. 北修二

    委員長北修二君) 本件に対する質疑は本日はこの程度といたします。     ―――――――――――――
  281. 北修二

    委員長北修二君) この際、派遣委員報告に関する件についてお諮りいたします。  先般、当委員会が行いました農林水産業の実情調査のための委員派遣については、北海道班及び青森・秋田班からそれぞれ報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に掲載することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  282. 北修二

    委員長北修二君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十三分散会      ―――――・―――――