○林寛子君 ぜひそうしていただきたいと思いますし、そうでなければこれだけの
審議が
意味がないものに終わってしまうと思いますので、期待をしているところでございます。
その中で、先ほど申しましたように、道徳
教育というものがないことが不満のトップに来ているということ、二三%でトップでございます。私、浅学なものでございますから、間違いがあってはいけないと思って、もう一度、広辞苑を読んでみました。「道徳」というところを引いてみましたら、道徳とは「或る社会で、その成員の社会に対する、或いは成員相互間の行為を規制するものとして、一般に承認されている規範」とありました。言葉が難しいので小さな字引を引いてみましたら、ほかのものには、「自分の良心によって、善を行ない悪を行なわないこと。」と書いてあるものもございました。私は、この広辞苑に書いてある、道徳とは「その成員の社会に対する、或いは成員相互間の行為を規制するものとして、一般に承認されている」というこの言葉の重み、しかも私は
教育の中で道徳
教育がされていない不満というものがいかに今日の社会の趨勢になっているか。大人はみんな学校で道徳
教育がおくれていると認識している。
しかも、四十六年六月十一日に中教審が答申として出されました
教育改革のための基本的施策、この冒頭の第一章にもちゃんと書いてある。「
教育は人格の完成をめざすものであり、人格こそ、人間のさまざまな資質・能力を統一する本質的な価値であることは、変わることのない原則である。」と書いてある。しかも、第一章、
大臣もよく御存じであろうと思います。「人間形成の多面性と統一性」というところに、この答申はちゃんと「社会生活を営む人間として、さまざまな人間
関係を結び、社会的活動に進んで参加し、その中で、自分と他人をともに生かすことができるような社会的な連帯意識と
責任ある態度・行動能力を体得すること。」と書いてある。けれ
ども、果たして今の
教育の中でこの人間形成の基本となる「社会的活動に進んで参加し、その中で、自分と他人をともに生かすことができるような社会的な連帯意識と
責任ある態度」というものが徹底できているかどうか、私はそれが大問題であろうと思います。
なぜならば、先ほど申しましたように、友だちが言うんです。自分は子供の宿題を見てあげられない、
教育制度が変わってしまってわからない、
大学も出ていない、だから子供が宿題でわからないと言ったのは、学校の
先生に聞きなさい、学校へ行って聞いていらっしゃい、学校の
先生に教わりなさい。その子供が運よく親切な
先生に放課後教室で宿題を見ていただいた。喜んでいると、廊下を通ったある
先生が時間外勤務をなぜするのだと言って、私の友だちの子供はせっかく教えてもらっている
先生に途中で帰られてしまわれた。私はそのときに、どうして学校の中で、母親が
先生に聞きなさいと言っても子供を教える
先生がいないのかな、しかもせっかく教えようとした
先生がなぜ他の
先生に注意をされてそこから出ていくのかなと。
私は、ここに「八四年度運動方針案決まる」という日教組の
新聞、
教育新聞を見ています。手元にございます。この運動方針案の中に、こういうのがございます。
勤務時間短縮をすすめるため、実質超勤をなくす運動をいっそうつよめます。このため、職場において勤務時間に関する
要求について
検討協議し、県・支部の組織的な
指導のもとに職場交渉を展開し、職場協定を締結します。そのため、本年は、とくに「給特法」にもとづく各県協定の実施
状況を詳細に点検し、協定の形骸化を許さないたたかいを重視して進めます。
また勤務時間の延長と関連する学校行事、出張、官製研修、
研究指定校などの
内容についても職員会議で十分意思統一をはかり、過重にならないよう精選し、一方的な職務命令による本務外の雑務排除をふくめた仕事量の軽減をはかりま
す。とある。
これが私が今申しました、私の友人の子供の時間外にわからない部分を
先生に教えていただいている、それが時間外勤務に当たるのか、あるいはここに言っている「勤務時間の短縮をすすめる」、この日教組の綱領によるのか、私はわかりません。けれ
ども、私が聞いた中では、日教組の運動に反するのだから時間外勤務はやめなさい、時間外の生徒
指導はこれに反するのだといって、私たち母親にとってはありがたい子供の面倒を放課後も見てくださる
先生が、日教組の
先生方のこの時間外勤務あるいは時間外
指導というものは一切排除しようというこの日教組の運動によって私たちの子供は迷える子羊になっている。親も教える能力がない。この人たちが、今言われるように、世の中で七五三という言葉が使われております。私
ども母親は、七五三というのは子供の成長を願って七歳と三歳の女の子、五歳の男の子を神社に連れていってその成長を願うのが一般通例の七五三という言葉でございます。それが今の現状においては七五三というのは小学校では七割の子供がついていけて、中学校では五割の子供が授業についていけ、高校に至っては三割しかついていけないというのが世に言われている七五三でございます。
私
どもは、母親というものは全部が全部学歴を持っている人間ばかりそろっておりません。
教育というものは、
先生を信頼し、わからない宿題は、わからないところは
先生に聞いていらっしゃいと言うのが大半の母親でございます。しかも、高年齢になればついていけません。正直言って、私のような頭では小学校四年生ぐらいしかせいぜい宿題なんて見てやれないものです。けれ
ども、私今言ったように、七五三というような
教育界での隠語といいますか、隠語とまで言うと悪いかもしれませんけれ
ども、七五三と言われるような子供の学校のついていき方、授業の理解度、そういうものを排除するためには、あえて私
どものような一般的な母親が、教師の能力に頼り、教師を信頼し、そして教師を尊敬して、子供のわからない部分を補習授業してください、時間があれば
個人的に教えてやってくださいと言うのがなぜできないのでしようか。
私
どもが尊敬する、信頼する
先生が、この日教組の運動方針のように堂々と
教育新聞の中で時間外勤務は短縮しろ、そういうことはしなくていいのだというような運動方針を
新聞で出すような
先生方に教えてもらっているのであれば、申しわけないけれ
ども、私は教える現場の
先生に子供を
教育する心というものがなくなったのでは、私はどんなりっぱな答申ができ、
教育改革をどんなりっぱにしようという法律をつくって
文部大臣がどんなに頑張っていただいても、現場の
先生方が運動方針を堂々と発表するようでは、これでは子供たちが私は改革の波に押されて迷うだけだと思うんです。
ですから、私は、日教組をつくっていることが、
文部大臣が悪いと言っているのではないんです。こういう母親が教師を尊敬し、信頼している
先生の立場というものを、もう一度私は
文部省の通達によって各県の
教育委員会から
先生の
指導というものを見直すことも
審議会の
審議の
内容の中で
検討していただきたいという注文をあえてつけさせていただきたい。
審議内容の御注文の中に入れていただけるものでしょうか。一言だけ。