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1984-06-21 第101回国会 参議院 内閣委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年六月二十一日(木曜日)    午前十時三分開会     —————————————    委員異動  六月二十日     辞任         補欠選任      前島英三郎君     木本平八郎君  六月二十一日     辞任         補欠選任      源田  実君     吉川 芳男君      堀江 正夫君     藤田  栄君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         高平 公友君     理 事                 亀長 友義君                 坂野 重信君                 小野  明君                 太田 淳夫君     委 員                 板垣  正君                 岡田  広君                 沢田 一精君                 林  ゆう君                 桧垣徳太郎君                 藤田  栄君                 吉川 芳男君                 穐山  篤君                 野田  哲君                 矢田部 理君                 峯山 昭範君                 内藤  功君                 柄谷 道一君                 木本平八郎君    国務大臣        郵 政 大 臣  奥田 敬和君    政府委員        郵政大臣官房長  奥山 雄材君        郵政大臣官房経        理部長      高橋 幸男君        郵政省貯金局長  澤田 茂生君        郵政省簡易保険        局長       奥田 量三君        郵政省電気通信        政策局長     小山 森也君        郵政省電波監理        局長       鴨 光一郎君        郵政省人事局長  三浦 一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        林  利雄君    説明員        大蔵省主税局税        制第一課長    伊藤 博行君        大蔵省銀行局保        険部保険第一課        長        藤原 和人君        厚生省年金局企        画課長      渡辺  修君        郵政省郵務局次        長        白井  太君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○郵政省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 高平公友

    委員長高平公友君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨二十日、前島英三郎君が委員辞任され、その補欠として木本平八郎君が選任されました。     —————————————
  3. 高平公友

    委員長高平公友君) 郵政省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 峯山昭範

    峯山昭範君 郵政省設置法の一部を改正する法律案の審議に当たりまして、二、三質問したいと思います。  最近、自動車電話というのが非常に普及してきているそうでありますが、最近の普及状況とか使用状況等、どなたかわかる人おりますか。一遍、教えていただきたいと思います。
  5. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 自動車電話につきましては、現在の普及台数約二万八千台でございます。
  6. 峯山昭範

    峯山昭範君 これは大体現在どういう地方で使われているわけですか。例えば東京はどのくらい、大阪はどのくらいとか、わかりますか。
  7. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) ほぼ全国主要都市と申し上げてよろしいかと思いますけれども個々都市におきます台数はちょっと今正確な数字を持ち合わせておりません。恐縮でございます。
  8. 峯山昭範

    峯山昭範君 急なことですから数字は後ほど教えていただくとしまして、全国主要都市にこれは電話がかけられるわけですね。そうしますと、二万八千台というと非常にまだ少ないように思うんですけれども、今後の普及見通し等についてはどういうふうにお考えなんですか。
  9. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) およそでございますけれども、毎月、現在の状況でまいりますと、千台ぐらいずつふえていくのではないかというふうに私ども見込んでいるところでございます。
  10. 峯山昭範

    峯山昭範君 これは全国で毎月千台でしょうから非常に少ないペースですが、大体どの程度普及するようにお考えなんですか。
  11. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 現在ございますのは県庁所在地を中心にいたしてございますけれども、余り長期なところまでの見通しは立てかねておりますが、今年度末、つまり来年の三月までの見込みで申し上げますと約四万台程度というふうに見込んでいるところでございます。
  12. 峯山昭範

    峯山昭範君 四万台といいますと、現在の電話台数とか、そういう点からいいましても、また車の普及状況からいいましても、まだまだ少ないと思うんですが、これはその設備とか、そういうふうな後方の設備、そういうようなものがいろいろあると思うんですが、これは全国的にきちっとそういうふうな面も最近は整備されているわけですか。
  13. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 自動車電話は、御案内のように電波を使う無線局としての扱いになるわけでございますので、当然のことに無線局といたしましての一定の技術基準のもとに行われているものでございます。
  14. 峯山昭範

    峯山昭範君 これは実際、自動車電話をつける会社は別会社になっておるようですが、何というところがやっておるんですか。
  15. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 現在、全国二つ会社でカバーいたしておりますが、一つ日本自動車電話サービス株式会社一つは新日本自動車電話サービス株式会社でございます。
  16. 峯山昭範

    峯山昭範君 これはいずれも郵政省なり電電公社が幾らか資本参加とか、いろんな面で参加しておるんですか。あるいは全く民間的なものですか。
  17. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 正確な数字はただいま申し上げられる状況にございませんが、電電公社からの出資が行われているというふうに理解いたしております。
  18. 峯山昭範

    峯山昭範君 現在、これは全国二つ会社独占しているわけですね。そうですね。
  19. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 当該の会社がやっておりますのは、自動車電話電話機の取りつけ等のサービス提供ということでございます。先ほど申しましたように、事実上、現在二つ会社サービス提供をしておるという状態にございます。
  20. 峯山昭範

    峯山昭範君 こういう問題についての、例えばきょうの朝のNHKのテレビで、自動車電話から自由に盗聴器をつけて要するにそれを聞ける。そういうようなのがどんどん売られておって、簡単な部品でそういうような自動車電話を簡単に聞ける。そういうのがあって、今度はそれを邪魔するやつを研究しておる。そういうふうなのをテレビできょうやっていたわけですが、そういうことについてはどういうふうにお考えなんですか。
  21. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 現在、先生指摘のような機器が社会に出てきているという事実は私どもも承知いたしております。ただ、これは先ほど申しました無線を利用するという問題からいたしましても、また公衆電気通信業務の一環をなすという点からいたしましても、御指摘のような形は法的にも許されないものというふうに考えております。
  22. 峯山昭範

    峯山昭範君 この問題は、これから自動車電話がどんどん普及していくでしょう。今、局長が御答弁になった台数よりもっとふえるかもわかりませんし、全国的に見て四万台なんといいますと、まだまだ少ないように思います。したがって、この問題はそれぞれの委員会で具体的に質問があると思いますので、きょうは法案に関連いたしまして幾つか質問したいと思います。  初めに、郵政事業の基本問題についてお伺いしたいと思います。  大別して郵便事業為替貯金事業、それから簡易生命保険郵便年金、この三つから成っているわけでありますが、臨調最終答申でもこういうふうな問題についていろんな角度からの指摘が行われておりますので、専門的な問題についてはそれぞれ逓信委員会で議論をしていただくといたしまして、この三つ事業の基本問題に関連いたしまして郵政大臣の御意見をお伺いしておきたいと思います。  まず初めに、郵便事業の問題についてでありますが、この郵便事業の問題につきましては、現在でも一部民間委託というふうな問題もとられているようでありますけれども、実際問題としてはいろんな問題があります。通信秘密はどうなるかというような問題もありますし、国営でやらなければ秘密が守られないのではないかというふうな問題もありますし、いろんな問題が絡んでいるわけであります。しかしながら、そういうふうな中でこの郵便事業、大幅な民間委託をやってはどうかという意見も強いわけであります。  そこで、この郵便独占制というのを緩和して、民間にもある程度やらした方がいいのじゃないか。最近ではバイクによる私信の配達なんていうのが相当都内でも普及してきているようであります。これは多少性格は違いますけれども、その問題は後ほど別の機会に質問するといたしまして、郵便事業そのもののいわゆる民間委託現状独占制の緩和という問題について、大臣、どういうふうにお考えになっていらっしゃるか、その点をお伺いしておきたいと思います。
  23. 白井太

    説明員白井太君) 最初に、事実関係について若干御説明をさせていただきたいと思います。  まず、臨調答申におきましては、各般にわたりまして事業の効率的な運営という角度からいろいろな御指摘等をいただいておるところでございまして、そのかなり重要なポイントの一つといたしまして、事業について部外への委託を積極的に進めるべきであるという観点答申が出されておる次第でございます。  私どもといたしましては、事業運営していく上でできるだけ民間の力をおかりするという角度から、事業運営上効率的なものにつきましては、法の規定に基づきまして、できる限り民間への委託を実施しておるところでございまして、特に運送関係の部門につきましてはほとんど一〇〇%部外への委託をしておると申し上げて差し支えなかろうかと思います。  また、郵便集配関係につきましても、できるだけ部外への委託をして、外部の力をおかりするという形で事業運営を進めているところでございます。  そのほか、これは一昨日の当委員会においてもお答えをしたところでございますが、例えば局舎の警備でありますとか、あるいは各種設備の維持、保守等につきましても、部外の力をおかりするということをやっておるところでございます。  それ以外に、さらに委託推進するという点につきましては、私ども推進をするという立場でいろいろ取り組んでおりますが、ただ、ただいま先生が御指摘になりましたように、やはり郵便というものの重要性と申しますか、通信秘密の確保の重要性というようなことにも十分配意しなければならない点もございまして、そうした点を十分勘案しながら業務の効率的な運営を図ってきておるつもりでございます。  それからバイクによる配達についてのお話がございましたが、確かに最近におきましては、東京とか大阪などにおきまして一部バイクによる物品の送達が行われておるということは私どもも承知いたしております。しかし、この点につきましては、私どもとしては、信書送達に当たるということになりますと現在の郵便法に抵触するということで、それぞれ業者の方には御注意を申し上げておるところでありまして、また業者の方もその点については十分承知しておられるというふうに承知をしておる次第でございます。  いずれにいたしましても、私どもとしては、郵便については独占を維持していくという必要性は十分考えておりますが、しかしその独占の弊害というものが私ども事業運営を行う上で出てきてしまっては問題があろうかと思いますので、その点につきましては十分注意しながら事業運営を効率的に運営してまいりたいというふうに考えております。
  24. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 今、事務的に答弁を行いましたが、先生の御指摘のように、独占を緩和する意思ありやなしやということでございますが、事業効率を進めていく、そういった観点から申しますと、現在でも輸送あるいは団地配達等々でそういった民間のお力をおかりしておるといったことは事実でございます。しかし、基本的にはやはり個人信書送達個人秘密というものに深く関与する事業でもございますから、基礎的にはそういった意味合いにおいて、人選等々も含めて、たとえ民間団地ママさんにお願いするにいたしましても、たくさんの候補の中からこういった形に間違いを起こさないように、そういったことをよく徹底研修した上での依頼でございますし、また今後においてもこの信書送達という基礎的な大事なサービスでございますので、この上においてはこの独占体制を緩和するという意思は持っておりません。  ただ、先生の御指摘のように、独占の上にあぐらをかくような形でのサービスでは、今後はなかなかそういった世論の高まりもございますでしょうから、私どもとしては鋭意そういった形の御批判のないように努力してまいりたいと思っておるところでございます。
  25. 峯山昭範

    峯山昭範君 郵便事業の問題について、もう一つお伺いしておきたいと思います。  それは、最近の郵便需要伸びという問題と郵便料金の問題であります。これは特に最近の電気通信の発達によりまして、各種通信メディアの競合があるわけであります。そういうふうな中にありまして、郵便需要伸びというのは今後そう多くは期待できないのではないか、そういうふうに私たち考えているわけです。そういうふうに考えてまいりますと、今度は郵便料金値上げという問題も限界がありますし、値上げしたからといって、それじゃすぐ増収につながるというわけでもない、そういうふうに思うわけであります。そういう点から考えまして、現在の郵便料金という問題、これは現在の郵便料金がいつまでもつのかという問題もありますし、この郵便需要伸びという問題と絡めまして、どういうふうにお考えか、お伺いしておきたいと思います。
  26. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 確かに非常に通信手段が、最近はニューメディア論議が華やかでございますから、今後の先行き、確たる形でのお答えはできませんけれども先生から伸びがだめになるのじゃないかという方向に御示唆をいただきましたが、私はむしろ郵便事業はこれから伸びていくと思います。それは便利になって、なるほど聞いたり見たり意思送達手段は簡便になってまいりますけれども、私はやはり本当の、かえってそういった時代になればなるほど心の触れ合いと申しますか、そういった手書きのいろいろな信書も含め、例えば年賀なり暑中見舞いなり、事例は単純かもしれませんけれども、現に郵便はふえつつあります。わずかずつではございますけれども、ちょっと値上げをいたしました五十六年は多少減少傾向を示しましたけれども、その後七年、八年、九年、順調に伸びております。ことしあたりも、史上最高と申しますか、百六十二億通くらいの年間の郵便取り扱いをやっておる。私も就任早早から、この郵便事業前途につきまして最初は少し悲観的な気持ちを持っておったことは事実でございますが、最近は非常にやる気も職員間にも出てまいりましたし、そしてまた非常に各界の協力も、この郵便事業に関しての関心と同時に御支援もいただいております。  先般も、暑中見舞い夏便りでふるさとの皆さんとの心の交流をもっと盛んにしてくださいということで、街頭で私陣頭に立ってやりましたけれども、自分から言うのもおかしいですけれども、大変な人気で、それが誘い水になりまして、今全国郵便学窓口においても、この暑中見舞いに対するデザイン募集なんかで民間協力も得たりしたわけですが、また、うちわも百枚ほど買っていただいた人に景品に配ったり、少しは前垂れがけの精神で販売努力をして、ことしは昨年の大体三割増、大体二億通くらいを目標に暑中見舞いが出していただけるのじゃなかろうかと期待しております。中間報告でございますが、非常に順調にいっておるという報告も受けております。  そういう意味で、私は郵便事業ニューメディア時代になっても、むしろそういった時代になればなるほど人間の心の豊かさを求める機運が高まってくる。そういう形の中で、これはダイレクトメール等々もございますけれども、私は郵便事業の将来というものは決して悲観したものではない。先進国のアメリカあるいはヨーロッパにおいても郵便伸びというのは年々逐増しておるという実態も含めまして、私は我が国の郵便事業前途についてもそういう悲観していかないで、むしろそういった面こそ啓蒙して協力をいただいて、ひとつ頑張っていこうと思っております。二十三日、毎月「ふみの日」を設定いたしまして、今度は小学生、中学生の皆さん協力も得て、懸賞募集して、夏場には少しそういった協力を得た形の中で、国民皆さん郵便を通じてお互いのコミュニケーションを高めるという方向こそ大切なんだということを訴えていこうと思っております。  そこで、結論でございますけれども値上げ問題等々どうだと。私たちは、やっぱり基礎的なサービスであると同時に、そういった心の触れ合いを大事にしていくという観点において、国民負担をどうしても重くしていくような形は歯を食いしばって何としてもこういった増収策によって乗り越えていかにゃならぬということで、毎回五年ごとに値上げパターンが出てくるような風潮は何としてもこの際打破しよう。ことしはもちろん、来年の予算においてもこういった形は、先般の御質疑でもお答えいたしましたけれども、やりませんし、再来年においても、個々サービスの改善において、ここ何年とは断定的には申せませんけれども、そういった値上げにまいらないように全力を挙げてまいりたいということで、来年度の予算要求に対しましてもこういった値上げのお願いをするようなことはいたしません。
  27. 峯山昭範

    峯山昭範君 大臣がおっしゃるように、私も前段の特にニューメディア時代になればなるほど人間の心の豊かさを求める時代、そういうお考えは賛成です。ぜひ、そういうふうになっていただきたいと思います。しかし、それが暑中見舞いがふえたからそうだという問題は、印刷してとにかくわっと配るというのは大臣のおっしゃる人間性豊かな話と直結するかどうか、多少無理があるようにも思いますけれども。  それからもう一つ為替貯金事業。これの問題も郵便貯金の問題と臨調でもいろんな角度から指摘がされているわけでありますけれども、私はいろんな問題は別としまして、今後とも利用者である国民立場からいわゆる高齢化社会の到来ということもありますので、高金利の福祉貯金創設という問題や、それから貯金限度額の大幅な引き上げ、あるいは個人向け貸付制度創設あるいは拡充、こういう問題について努力してもらいたいという声が随分あるわけでありますが、この点についての御見解もお伺いしておきたいと思います。
  28. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 最近、いろいろな批判の中で、貯金なんかも、あるいは簡保、年金も含めてでございますが、民営分割したらどうだ、電電並みのそういった形こそ活力をもたらすのじゃないかとか、いろいろな御意見がちまたにもかしましいわけでございますが、私はやはりこれが官業として郵政は三事業一体体制でやってまいりました。そして、全国あまねくというような、山間僻地におけるようなサービスも含めて町中のサービスと変わらないという形の中で、普通の民間でうまいところだけを食べてしまうというような形がなじまない面も持っておることでございます。そういう意味からいって、私は今後ともこの三事業国営企業として三事業の緊密な連携体系のもとにやっていくのが適当であろうと思っております。  しかし、今、先生の御指摘にありましたような、郵便貯金が果たすべき方向というものは、あくまでも勤労の結晶である形の、教育なり老後なりあるいは病気なり、そういった不安に備える、非常に自助努力に基づいた長期性の大事な貯金でございますし、こういったものをいかにして国が守っていくか、金利を確保していくかという姿勢はもちろん大事でございます。したがって、今日のように何か貯蓄があたかも国のいろいろな面を圧迫しておるというような批判に対しては本当に心から怒りを感じておりますし、先生の御指摘になったような福祉貯金という面こそ今後はうんとこの方面に力を入れていくべきじゃなかろうか。例えばシルバー貯金制度というような老後自助努力というものをむしろ大きく奨励するような、そういった形においての自助努力に対する私たち福祉貯金制度創設推進というものにこそ政治家としても努力をしなきゃならぬじゃないかということを感じております。  また、身体障害者に対する問題、あるいは例えば貸し付けなんかにいたしましても、郵貯はある程度、住宅なりあるいは教育なり、こういった面に関しては多少なりとも幅を広げていただきたい。そして、福祉貯金というような制度創設の過程の中では、これは与野党の先生方が一致して、国民自助努力というものによってむしろ国財政再建も大きく言えばなされていくし、物価の安定も果たされていくという、大きな国家財政に寄与するといったような面も含めて、ぜひそういった方向制度創設ができれば大変ありがたいし、このことは将来の日本福祉基盤をつくる上においても大きな助太刀になると信じております。どうか、よろしくお願いいたします。
  29. 峯山昭範

    峯山昭範君 もう一点だけお伺いしておきたいと思います。  簡易生命保険事業の問題でありますけれども、この問題は民間生命保険事業と競合するところがあるわけでありますが、この最高限度額が現在一千万円になっているようです。この一千万円の引き上げというのはなかなか難しいようでありますけれども、今後この問題についてどういうふうに考えているかということと、それから郵便年金について、新制度になってからまだ日は浅いわけでありますが、その現状と、初めの構想どおり事業運営されているかどうか、こういう点についてお伺いしておきたいと思います。
  30. 奥田量三

    政府委員奥田量三君) 初めに、簡易保険加入限度額の問題でございますが、ただいま御指摘のとおり、現在の限度額一千万円は昭和五十二年に設定されまして、現在まで既に約八年据え置きになっているわけでございます。その間の生活水準向上等によりまして、一応の生命保険としての機能を果たすにこの額では不十分であるというふうに私ども考えております。また、現に国民生命保険に期待される平均額は、最近の調査で約四千万となっております。それに対しましても四分の一にしかすぎないという状況になっております。このようなことから加入限度額引き上げについてはぜひ実現をしたいと鋭意努力いたしておりますが、これまでのところ残念ながら実現を見ておりません。今後一層努力して、早期にこの引き上げ実現したいと考えているところでございます。  また、郵便年金につきましては、昭和五十六年に、時勢に即応いたしまして逓増制あるいは配当金による年金の積み増し、これによりまして年々年金額がふえていくという新しい工夫を凝らした年金を発売いたしたわけでございまして、その後、三年足らずの期間でございますが、現在の保有契約は二十二万件余りということになっております。発売当初といたしましてはそれなりに普及をしているわけでございますが、二十二万件と申しますと、千人当たりの普及率で見ましてもまだ二%にも満たないというような状況でございまして、今後の高齢化社会推移等にかんがみますと、これが普及に一属努力する必要があると考えている次第でございます。
  31. 峯山昭範

    峯山昭範君 それでは次に、放送衛星ゆり二号の故障の問題についてお伺いをしておきたいと思います。  ニューメディア時代の先兵として、NHKが大きく宣伝しておりました実用放送衛星ゆり二号aが本年一月に打ち上げられまして、五月十二日からいよいよ世界初の衛星放送が始まろうとしていた矢先の三月二十三日に三系統ある放送用中継器のうち一系統が故障し、さらに五月三日には新たに一系統に異常が発生したために、郵政省は当面の措置として、五月十一日にNHKに対して一チャンネルの放送試験衛星局の免許を与え、NHKは五月十二日から残り一系統を用いて試験放送を開始したということになっておりますが、私の手元にもこの二号aについての故障の状況について報告が来ておりますが、この間のいきさつ、故障の原因、それから機能回復の見通し等についてどういうふうになっているのか、この際、お伺いしておきたいと思います。
  32. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 異常が生じましたのが三月二十三日と五月三日の二回で、いわゆる中継器A系統、それからR系統に故障が生じたというのは、先生、今お話のございましたとおりでございます。  この故障の原因につきましては、現在この開発を担当いたしました宇宙開発事業団を初めといたします関係機関の総力を挙げまして鋭意原因の究明作業中でございますけれども、まだその結論を得るに至っていない状況でございます。  また、宇宙開発委員会、これは御案内のように宇宙開発計画をいろいろ検討される立場でございますが、この中で放送衛星対策特別委員会というのが特に設けられておりますが、こちらの方でもこの具体的な原因究明、あるいは今後の対策についての審議が進められているところでございますが、先ほど申しましたように、原因そのものについてまだ最終的な究明が得られていないという状況でございます。  したがいまして、先生御質問の回復の見通しそのものにつきましても、現在の段階では何とも申し上げられない状況にございます。
  33. 峯山昭範

    峯山昭範君 この問題はいろいろと問題があるようでありますが、三月二十三日に一系統が故障した時点で、たまたま昭和五十九年度のNHK予算が国会で審議中であったわけでありますが、しかも四月から放送受信料が値上げされるということにもなっておったわけでありますので、予算が上がるまでは故障を発表しなかったのではないか、勘ぐっているかどうかわかりませんが、そういうふうな批判もあるわけでありますが、この点はどうなんですか。
  34. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) この問題につきましての発表の経緯でございますが、開発を担当しております宇宙開発事業団の方におきまして、現象としてA系統の中継器がおかしいということに気がつきましたのが三月の二十三日でございます。  私どもも、これは後から宇宙開発事業団からの説明として聞いたわけでございますけれども、その段階では、これは技術的な問題でございますけれども、太陽電池を利用いたしておりますが、ちょうどそれが陰になるためにきかなくなる時間というものがございます。春分、秋分の年二回の時期に起こってくるわけでございますが、その蝕と申しております現象によるものではないかというふうなことが宇宙開発事業団側内部の問題として検討の対象になっていた。本当の故障なのかどうかという点に関して、そういった状況の中で蝕の原因によるものかあるいは物理的な事故なのかということをいろいろ検討されたようでございます。その結果、宇宙開発事業団自体におきまして、四月四日に至りまして、やはりこれは蝕ではなくて物理的な故障の可能性があるという判断をされて、四月五日に私どもその旨の報告を受けたというのが経緯でございます。
  35. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 先生にぜひこのことだけははっきりいたしておきたいわけでございますが、過日も、三月二十三日に異常な事故発生の報告があったにもかかわらず、NHK予算審議の過程であったということでそれをひた隠しにしておったのじゃないかという御指摘もいただきました。しかし、このことだけははっきりいたしておきたいのは、私もこれは政治家としての名誉にもかかわりますし、担当大臣としてのみならず、大変な事態の問題でございますから、厳重に事実を調査いたしました。  私のところへ報告のあったのは、これは克明に覚えておるわけですが、四月五日の夕刻でございました。そして、郵政省事業団から報告があったのはやっぱり四月五日のお昼と聞いております。NHKの方にもこれを厳しく問いただしましたけれども、NHKの方にも四月五日に報告があったようでございます。したがって、三月二十三日段階における三つの系統のうちの一つの中継器の異常という形は、これは全く技術屋さんの間でまだいろいろな検討段階で、どうもおかしいなというような状況の中で、決してNHK値上げの審議中であったがゆえに委員会審議、国民を代表される皆さん方の審議の前に事実を隠しておったというようなことは全くこれはなかったのだということを御理解賜りたいと思います。
  36. 峯山昭範

    峯山昭範君 この問題は、非常に国民の期待も大きいわけですから、今後の問題としても大事に取り扱っていただきたいと思います。  放送衛星の打ち上げによりまして、約四十二万世帯と言われるNHKのテレビの難視聴世帯を解消し、また小笠原や大東島の住民にも直接空から電波を送って日本国民全員にあまねく映像文化を享受させるために計画された、そういうようなことが言われているわけであります。そういうふうな意味で非常に大事な計画であります。  しかし、これは六年前に実験用の放送衛星「ゆり」を打ち上げて、これもやっぱり三系統の中継器が大体二年二カ月ぐらいで全部故障してしまって使えなくなったという経過があるわけです。そういうふうな点から考えてみますと、今回の故障箇所と前回のいわゆる実験用の放送衛星の故障箇所が同じかどうかとかいうようなことは私も技術的な問題でありますからわかりませんが、前回の故障箇所が具体的に解明されているのかどうか。そして、それに基づいて前回の故障簡所の解則によって今回もどういうようなところが故障しているということを解明できるのかどうか。あるいはまた、実用化について時期尚早ではなかったかというような批判もあるわけでありますが、そういう点も含めましてどういうふうにお考えか、これもお伺いしておきたいと思います。
  37. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 五十三年に打ち上げられましたBS、実験用の放送衛星の中継器の故障につきましては、先生からただいまお話がございましたような経過でございますけれども、この中継器の故障原因につきましては、いささか専門的でございますけれども、高圧電源部の絶縁劣化という形での原因が明らかにされております。それで、今回のBS二シリーズ二aにつきましては、この絶縁材の改善等の対策を講じた上で打ち上げを行ったということでございます。  今回のBS二aの故障の関係でございますけれども、故障の原因につきましては、現在、先ほど申しましたように、宇宙開発事業団等関係機関で究明中でございますが、現在あらわれております現象同体を見る限りにおきまして、これは宇宙開発事業団からの報告でございますけれども、六年前打ち上げましたBSで生じた故障とは現象が異なっている、つまり絶縁材の改善等が行われたために前回の事故原因とは別な形の原因によるものであろうというふうに考えられているわけでございます。  それから、この打ち上げが時期尚早ではないかという点でございますけれども、宇宙開発という新しい分野での問題ではございますけれども、BSという実験段階も経まして、そしてまた宇宙開発委員会における計画の策定というふうな過程で、郵政省も含めまして関係機関の総力を挙げて計画し、そしてまたその計画に際しましても、可能な限りの全力を挙げての計画を練ったという中での今回の打ち上げでございます。その中で、今申し上げておりますような、三本の中継器の中の二本が異常になっているということにつきましては、私ども大変遺憾な状態であると考えているところでございますけれども、ただいま申しましたように、現在の日本の総力を挙げて最大限の配慮をして打ち上げたものであるというふうに確信いたしているところでございます。
  38. 峯山昭範

    峯山昭範君 私の手元に来ております郵政省の五月十五日の「(BS—二a)について」の三項目に、「速やかな原因の究明及び機能の回復等については、目下、関係機関において、最大限の努力を傾注しているところであるが、BS—2b及びBS—3の計画実施についても万全を期することとし、」と、こういうふうになっておりますが、これは実際問題としてBS二bの打ち上げというのはことしの八月と聞いておりましたんですが、これは故障原因が解明されないうちはbの方は打ち上げないのかどうか、あるいはそこら辺の打ち上げ計画は今どういうふうになっているのかというのが一つ。  それから、このBS二bの方が打ち上げられないうちに、仮に今使用している一系統が故障するようなことがあった場合ということを考えているのかどうか、そういう点についてはどうですか。
  39. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) BS二bと申しますものは、BS二aの予備機ということで打ち上げますが、予備機とは申しましても当然同じ性能、機能を持ったものということで、性能的に甲乙つけがたいものとして打ち上げるわけでございますが、打ち上げの計画時期は先生指摘のことしではございませんで、来年の夏季ということを予定いたしております。  ただ、このBS二bとの関係でございますが、私ども今回発生いたしました二aの方の異常原因の究明にただいま全力を挙げているところでございます。これをできるだけ二bの方に反映させまして、当然のことながら同じ異常が生ずることがないような措置を講じていこうというふうに考えているわけでございますが、いずれにしましても、原因そのものがまだつかめておりませんので、現在この究明に関係機関挙げて取り組んでいるというところでございます。  それから現在BS二aではB系統の中継器一本が動いているということで、これまた先生からお話ございましたように、放送試験衛生という形で運用いたしているわけでございますけれども、このB系統の中継器につきましては現在順調に作動いたしておりまして、異常の兆候は見られないという状況にございます。したがって、私どもB系統の運用につきまして関係者の間で万全を期していく、そういう心組みで取り組んでいるところでございます。
  40. 峯山昭範

    峯山昭範君 これは実際問題として、時間がなくなってまいりましたので、余り詳しくできませんが、新聞報道によりますと、小笠原の問題がやっぱり大きく取り上げられております。それで、この放送衛星が使用を開始されることによりまして、現地のいわゆるCATV局の廃止とか、そういう運用の問題等と絡みましてこの問題が大きくクローズアップされているわけでありますが、そこら辺のところの運用のいわゆる現地の状況とか、そういう問題については郵政省としてはどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、またそこら辺の調査をしていらっしゃるのかどうか等を含めましてどうお考えか、これも聞いておきたいと思います。
  41. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) ただいま御質問のございました南大東島におけるCATVの運用でございますが、これは事業者、たしか組合を結成した形で運用されていたと承知いたしておりますけれども、したがいましてCATV事業者としての自主的な判断にまつというのが基本的なところでございます。私どもといたしましても、その成り行きということにつきましては大きな関心を払っていたところでございますが、事実上の問題といたしましては、五月の十二日以降、放送衛星が運用に入るという日からCATVといたしましての運用を取りやめるというふうに聞いているところでございます。  ただ、その後の取り扱いにっきましては、これはせっかく張られた貴重なメディアであるということで、町の方での運用を期待するということで話し合いがされているというふうに承知いたしておりますが、まだその方の結論が得られたというところまでは承知いたしておりません。
  42. 峯山昭範

    峯山昭範君 次に、もう一点だけお伺いして終わりたいんですが、放送衛星の保険の問題です。  これが新聞でも相当、放送衛星について、打ち上げについては打ち上げ保険というのが掛けられていたから、打ち上げは成功したのだからそれは問題がなかったのだけれども、新聞の報道によりますと、いわゆる寿命保険とか、それ以後のいろんな保険が掛けられていなかった。それで、国とNHKの詰めの甘さとかいうことで随分新聞でも書いておりますが、特に今回の放送衛星、これは相当大変な金額で、私が聞いておるところによりますと、六百十億円、NHKが六割、国が四割の割合で負担をしていると聞いているわけでありますが、そういうふうないろんな点から考えまして、この保険の問題、これはどういうふうになっているのか、そういう点もあわせてお伺いしておきたいと思います。
  43. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) ただいまの御質問にお答えいたします前に、先ほど私CATVの関係で南大東島と申し上げました。大変恐縮いたしました。これは小笠原島のことでございます。訂正させていただきたいと思います。  それで、保険の関係でございますが、これは打ち上げ保険とそれから寿命保険という二つに大きく分けられるかと思います。  打ち上げ保険の方でございますが、BS二aにつきましては、ロケットに点火した時点から九十日目あるいは衛星を宇宙開発事業団が通信・放送衛星機構に引き渡す日、九十日目か、その引き渡す日か、いずれか早い日までの期間において成功条件を満足しない場合に保険金が支払われる、そういう内容の打ち上げ保険が掛けられておりました。  保険金額は、BS二aということでございますので、先ほど先生指摘の六百十億の六対四の割合という数字の中からBS二aの保険金額といたしまして約百六十億円というものが対象になっておりましたが、これにつきましては、保険料といたしまして、宇宙開発事業団とNHK合わせまして約十八億円の保険料が支払われていたわけでございます。  この打ち上げの成功条件と申しますのは、三本積んでございます中継器のうちの二本が有効なことということになっております。したがって、ちょうど九十日目であり、また引き渡しの日まででもございました四月二十一日の段階では一つの中継器だけの異常ということでございましたので、保険金の支払い対象とはならなかったわけでございます。  それから寿命保険につきましては、引き渡しを受けた後、運用中の衛星に支障が生じた場合の損害を担保するというものでございまして、これももちろん貴重な放送媒体でございますので、私どももそう考えておりましたし、また当事者といたしましてのNHKもそういうつもりで保険契約に関する折衝を鋭意行っていたわけでございます。  ただ、あくまでも保険契約ということでございますので、NHKが保険金社との間でその条件について詰めを行っていたわけでございますけれども、その詰めの中で、一つは、引き渡しのときまでに起こりましたA系統の異常ということでいわゆる保険料の再調整ということが問題になったということでございまして、そしてその再調整のための時間がかかっている間にさらにR系統に異常が生じたということが重なりまして、いまだに契約が結べないという状態で今日まで経過をしているというのが実態でございます。
  44. 峯山昭範

    峯山昭範君 こういう問題は、保険の問題も要するに打ち上げるまでにやっぱり全部詰めてきちっとしておいてもらいたいなという感じがするわけです。事故が起きてから詰めるというのは、いろんな問題も出てまいりますし、それはいかぬと思います、実際問題として。いずれにしても、これはほんのわずかなところでその効力があるかないかということにもなりますし、この問題はがっちり詰めていただきたいと私は思っております。  最後に、大臣、時間参りましたので、いずれにしても、この放送衛星の国産化率というのはまだまだ低いわけでありますし、大変多額な費用をかけて運用しているわけでありますけれども、なかなか完全な形で運用するというのも難しい状態にあるわけであります。しかし、一方ではやはり難視聴地域の早期解消という問題、国民皆さんにあまねく放送文化を享受させなければならないといういわゆる公共放送事業体としてのNHKの使命、そういう問題があります中で、近い将来にはまたゆり三号の打ち上げということもあるようでありますし、今回の放送衛星の故障といういわば貴重な教訓を踏まえて、今後の放送衛星のあり方について郵政大臣としての基本的な考え方をお伺いして、私の質問は終わりたいと思います。
  45. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) まことに残念でございます。世界初の期待を担った実用放送衛星でございましたけれども、結果においては三系統のうち二系統がダウンする、しかし一系統は正常に今のところ動き、そういった離島の難視聴地域の方々にも非常に鮮明で良質な音声の画像を届けておることができておるわけでございます。しかし、当初の目的が完全にできなかったという形は大変遺憾でございます。しかも、その結果が、今御指摘いただきましたように、NHKといえども事業団のそういった衛星経費といえどもみんな国民の血税でございますし、結果的にはこういった大きな犠牲が国民のツケに回るということになるという、そういった厳しい認識をさらに新たにいたしまして、今後のBS二b、ゆり二号のb、そしてまた新しいBS三計画に至りましては拙速というような形で絶対行わないで、今日の事故の原因究明を徹底的にいたしますことによって、何とか今後の宇宙開発計画というものを安全な信頼のおける形で進めてまいりたいと思っております。  とりわけ残念なことに、BS二、ゆり二号のこの星の実態が事故の結果明らかになったことでございますが、心臓部に当たるようなところが全部アメリカのGE製であるとか、あるいはフランスのトムソン社製であるとか、衛生の国産化率はこの実用放送衛生に関する限りにおいてはまだ三〇%程度という技術水準であるということも大変残念でございます。  今後は、この事故の反省を機に事故究明を徹底的にいたすと同時に、こういった国産化比率を高めるという、技術的な錬磨によって何とか国民皆さんの御期待に沿うに厳しい態度で実は臨んでおるところでございます。今後とも、こういった過ちのないことを期して頑張りますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
  46. 内藤功

    ○内藤功君 まず、郵便貯金昭和五十八年度末の現在高、それから簡易保険の同じく五十八年度末の契約件数、保険金高の数字をお示しいただきたいことと、それからその両方について、ここ五年間の増加の大まかな推移を御説明いただきたいと思います。
  47. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 初めに、郵便貯金の現在高、またこれらの五年間の推移についてお答えを申し上げます。  昭和五十八年度末の郵便貯金の現在高は八十五兆七十七億円でございます。  また、過去五年間の推移でございますけれども昭和五十四年度は五十一兆九千百十八億円、昭和五十五年度は六十一兆九千五百三十四億円、昭和五十六年度は六十九兆五千六百七十六億円、昭和五十七年度は七十八兆一千二十六億円、昭和五十八年度は八十五兆七十七億円ということでございます。
  48. 奥田量三

    政府委員奥田量三君) 簡易保険昭和五十八年度末における保有契約件数は約五千三百四十七万件、保有保険金額は七十兆六千億となっております。  五年前の昭和五十四年度は、件数が五千二百六十五万件、保険金額が四十六兆五千三百億円でございまして、この四年間に件数では約一・六%、保険金額では約五二%の増加となっております。
  49. 内藤功

    ○内藤功君 私、最近、臨調の部会長をやった加藤寛氏ほかの著書「郵貯は崩壊する」という本を読んだんですが、その中で、この木の二十一ページのところですが、「郵貯特会のコストであるが、預託利率の決定責任のある大蔵省(理財局)は、定額貯金の預入時期別、適用金利別の残高など承知していない。郵政省が教えてくれないという。」、こう書いてあるんです。これはどういうふうに理解したらよろしいか。
  50. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) どの金融機関にどのような種類の預金がどのくらい入っているかということは、ある種の金融機関の秘密ということに当たるのではなかろうかと思うわけでありますけれども、現に郵便貯金についても、いつごろに大量の定額貯金が満期になるかということで、その争奪作戦というものをお立てになって、全店に指令を出してというような例も見たわけでありますが、臨調の審議を通じましても、民間金融機関の方々からそういう資料を提出するようにというような話もございました。これがないようでは郵便貯金のコストというのもでたらめな計算でしかできないはずだというようなお話があったわけでありますけれども、では郵便貯金の場合一体どうなっているのかということを御説明申し上げなければならないわけであります。  先生お尋ねの郵便貯金の例えば定額貯金の現在高、これは先ほど申し上げました郵便貯金の中の大体九割近くを占めておりまして、現在八十兆というのが定額貯金の現在高でございます。このうちの期間別、適用金利別の現在高というのはそれぞれどうなっているかということでございますけれども、実はこういう計算は私どもはとっておらないわけであります。  では、どうやって支払い利子、コストというものを計算するのだということに疑問を持たれるわけでありますけれども、これは定額貯金の特殊性というものからくる計算、効率的な、合理的な、私どもはそう思っておりますが、合理的な計算方法というものを長年の経験から生み出してやっているわけであります。民間金融機閥にはこの定額貯金という種類の貯金はございませんので、こういった計算は恐らくしていないだろうと思うわけであります。ですから、民間金融機関がやっているとおりのことをやっていないから郵便貯金はコスト計算ができていないだろうというのはちょっとこれは当たらない話ではございます。  では、どういうことかと申しますと、定額貯金は預け入れられた月から起算して六カ月経過するごとに利子を計算して元本に加える、こういう仕組みになっております。六カ月ごとの複利元加、こういうことでございます。そういうことでございますので、すべての定額貯金を対象に利子計算をして、その元本自体の合計もするという必要は実はないわけでありまして、定額貯金の証書が今現在二億八千万枚ございます。この証書について、全国の二十八地方貯金局がございますけれども、それぞれで分けて所管いたしております。そこで利子計算をすべき月の到来したものだけについて計算しようということでございます。例えば預入月から計算して六ケ月目のもの、ちょうど一年目のもの、その前の一年六カ月前のもの、こういうものだけについて各月別に支払い利子を積み上げて計算をすればいいわけであります。これを毎月繰り返していきますと一年間の支払い利子というのが正確に計算ができるわけであります。  こういうことで、ある時点における全体の期間別、支払い利子別の現在高というものを計算するという必要はないわけであります。しかも、二億八千万枚という大変膨大な枚数を持っております。しかも、一年間にこれがそのままずっとじっとしているわけじゃございませんで、約一億一千万ぐらいのものが出たり入ったりするわけでありますから、この計算を、六カ月一通ずつの計算をやるということだけでも大変な手間がかかっております。そういう意味で、今申し上げたような方法でこれを計算しておるということでございます。コスト計算というのも、そういう意味で私どもは正確に把握いたしておりまして、コストも民間金融機関のいずれに比べましても低いコストということでございまして、事業経営上私どもはそういう点について完全に行われているというふうに理解いたしているところでございます。
  51. 内藤功

    ○内藤功君 それでは問題を変えまして、郵便の問題についてお伺いしたいと思います。  五十九年二月、いわゆる五九・二計画が実施されてからこの方、東京の場合に郵便サービスの低下の声を非常に多く私は聞くのであります。そこで、お伺いしたいんですが、普通郵便一日一度、速達が一日三度ですか、こういう配達体制になって、午後に出した速達が、午後の割と早い時間に出したのだが当日配達にならない。それから電報為替の場合に三時間で届くやつが配達の都合で翌日回しになる。それから電報為替を今送ったのだという連絡を受けて待っているけれども届かない。それから普通郵便でも、これまで午前中に事務所なりお店に配達されていたのが夕方遅くにならないと配達されない、私の事務所で私自身が経験していることなんですが。郵便物が遅いという苦情がふえているのが非常に心配されることなんですが、これらの実情をどう認識されているか。特に、四月中に郵政省として実情調査をされたように聞いていますが、その調査結果も含めましてお答えいただきたいと思います。
  52. 白井太

    説明員白井太君) お答えを申し上げます。  本年二月にかなり大幅な郵便の輸送システムの改善を行ったことは、ただいま先生指摘のとおりでございます。ただ、私どもといたしましては、システムを変えました直後におきましては、システムの改善がかなり大幅だったこともございまして、あるいは作業の不慣れでありますとか、あるいはたまたま時期が二月であったということで雪害の影響を受けたりしたというようなこともございまして、全国的に見ましても一部利用者の皆様方に御迷惑をおかけしたということがあったことは率直に認めざるを得ないわけでございますけれども、その後におきましてはだんだんとシステムの方も定着してまいりまして、私どもとしては、全国的に見まして、サービス自体は所期の目的どおり大いに改善されたというふうに理解しております。  先生のお尋ねは東京都内のサービス状況についてでございますが、私どもとしては必ずしも東京におきます郵便が二月以降でサービスが低下したという見方はしていないわけでありまして、確かに配達の度数を一度に減らしたというようなことから、たまたま配達の順路によりましては、それまでは午前中に配達を受けていたのが午後にならないと配達の順番が回ってこないというような地域があるということはもちろんございますけれども、全体として見ますと、先ほど申し上げましたように、二月の輸送システムの改善というのは郵便のスピードアップを図るということが一つのねらいでもあったわけでありまして、東京において逆にサービスがダウンしたというふうには私どもは見ていないわけであります。  それから具体的に速達についてのお尋ねでございますけれども、速達につきましては、実は当日配達になりますものは、例えば配達を直接受け持っている郵便局に出された場合でありますとか、あるいは配達をする郵便局と自動車で直接つながっているような郵便局に出された場合でありますとか、あるいは東京中央郵便局の受け持ち区域あてのやつを出したものとか、そういう特別の地域にあてたものを除きましては午後出していただいたものはその日のうちに配達をするというのは実は難しいわけで、そのようなダイヤは組んでいないわけでございます。したがいまして、やはりその日のうちに東京都内におきましても速達を届けたいという方につきましては、午前中に出していただくということをお願いしなければならないわけでありまして、このような事情は何も東京だけに限ったことではございませんで、全国的にそのようなシステムになっておりますものですから、さように御承知をいただきたいと思うわけでございます。  それから電信為替でございますけれども、この電信為替につきましては、御案内のとおり、現在は郵便局すべて貯金のオンラインシステムでつながっておりまして、相手の配達局に送るメッセージはすべてこのオンラインシステムを利用してやっておりますので、これに時間がかかるということは考えられないわけであります。したがいまして、郵便局で為替貯金の事務を行っております午後四時までにそのメッセージが届いた場合には、私どもとしては必ずその日のうちに電信為替はお届けしなければならないのでよく注意するようにということを郵便局に対して指導させておるところでありまして、私どもとしては、少なくとも形の上では配達局の貯金の仕事をしているところに午後四時までに着いたものにつきましては必ずその日のうちに配達になっているはずだというふうに理解しておるわけでございます。ただ、いかなる場合にも絶対一〇〇%そのようなことになっているのかということになりますと、場合によると非常に速達郵便物が錯綜したとかというような場合に万が一おくれるということも絶対ないとは私どもとしても言い切れないとは思いますけれども、指導といたしましては絶対そういうことのないように、四時までに着いたものは必ず配達をするようにということを強く言っておるところでありまして、今後ともそうした指導を徹底してまいりたいと思っております。  それからさらに、この四月に実態の調査を行ったはずだがという御質問もございました。確かに、私どもは毎年郵便物の流れでありますとか郵便物数というのを正確に把握する必要がありまして、毎年定例的に五月にはいわゆる物数調査というのを全国郵便局で実施しております。ただ、本年につきましては、先ほど冒頭に申し上げましたように、二月に郵便の輸送システムを大幅に改正したということがございまして、できるだけ早く改正後の実態をつかみたいというような気持ちもありまして、例年より一カ月早めて四月に調査を行ったわけであります。しかし、この調査は全国郵便局を対象とするというかなり膨大な調査でございまして、現在その調査結果を集計中の段階でありまして、この調査結果の取りまとめにはまだかなりの時間がかかるというふうに申し上げざるを得ないわけでありまして、そうした調査結果がわかりますれば、その結果に基づいて改善と申しますか、調整をしなければならない点については調整をいたしますとかいうようなさまざまな手だてを講ずるわけでありまして、なお何カ月かをそれまでには要するということでございます。
  53. 内藤功

    ○内藤功君 そこで、今問題になったこういう一般の利用者の苦情というのは郵便局へ電話をかけるわけなんですが、郵便局では郵便課というところの電話番号を見てそこにかける人が非常に多い。そこで、その郵便課の人が大変困惑する事態が起きると現場から聞いておるんです。その場合に、集配課に本来これは聞いてもらえばわかるというのも郵便課に来ちゃう。それから、じゃ集配課ではどうか。現場の話ですが、そうすると、最近、さっき話に出た団地の奥さんたち委託配達をやっている。そういう場合に、物は本来の郵便局の局舎から離れているところに行っている。そこで、その掌握が十分できない。こんな混乱が現場で起きているようなんです。本省としては御存じでしょうか。  それから、この苦情に対するこういう処理と対応を迅速、正確にやれる体制をもう少し考える必要があるのじゃないか。苦情はどこの課に電話をしたらいいか。こういうのはどこの課に電話したらいいのかというのを電話帳なりあるいは住民にお知らせするというふうなことはやっぱりやっていただくべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  54. 白井太

    説明員白井太君) ただいま先生お話がございましたように、郵便サービスにつきましての苦情の取り扱いについては、私どもとしては本当に苦情を申し出られる利用者の方のお立場に立ちまして誠心誠意これに応対をするということでなければならないと思っておりますが、その苦情の処理の仕方についての苦情というのもないわけではございませんでして、一番よく言われますのが、まさに今、先生が御指摘になりました、いわばたらい回しのような扱いをされたというようなお話も聞くことがあるわけでございます。  苦情を直接受けるという担当の部署というのを決めておるわけではありませんものですから、それぞれの受け持ちの部署でないと的確なお答えができないということで、例えば配達に対する苦情が、郵便局の中で仕事を受け持っておる郵便課の方に電話がかかってきたというようなときには、配達についての的確なお答え配達を担当しております集配課でないとできないというようなことで、結局集配課の方にお尋ねいただきたいというようなことを申し上げているのだと思います。それはそれでやむを得ないわけではありますけれども、しかし利用者の方のお立場に立ちますと、あちらへかければこちらというふうなことは大変煩瑣でもありますので、私どもの指導といたしましては、苦情を申し出られた方の連絡先などをお尋ねしておいて、それでただいまの例でありますと、改めて今度は集配課の方からその利用者の方にお電話を差し上げて苦情をお伺いするというようなことで気を使えというようなことをいろいろ言っております。  この苦情の扱いにつきましては、ここ二、三年というよりも何年も前からそういうことについてはいろいろ言っておるところでありますけれども、なお不十分な点がありとすればこれは私どもとしても大いに反省しなければならないところでございますので、今後ともそうした心のこもった苦情の処理、応対をするように郵便局を指導してまいりたいと考えております。
  55. 内藤功

    ○内藤功君 同じく郵便につきましてもう一問ですが、東京都の練馬区、板橋区にまたがる旧グラント・ハイツ、米軍の基地跡地ですが、ここに今光が丘団地というのが建設中、一部入居しております。昭和六十七年度には一万二千戸、最終には六万人に上る大住宅団地ができようとしております。しかし、ここには郵便局もまだ建設されておらないし、ポストも設置されていない。今二千四百戸が入っているんですが、それでもない。引き合いに出して失礼ですが、電電公社さんの公衆電話は既に十八カ所できて、今後予定二十五カ所と決まっていると言うておる。非常に不便を感じておる。特に、共働きの人が一日じゅう昼間留守だと、書留が来て、いないのでいわゆる保管通知というのを置いていく。そうすると、練馬局までとりに行かなきゃならぬが、そこまで行くのに公共交通機関が非常に不便だというふうなこともあります。そのほかいっぱいありますが、そういうことで団地内にまず一つは特定局の開設が必要なんですが、もう既に予定地は決まっているんですが、この促進方についてどういうふうな今御努力をされておるか。  それから、まとめて聞きますが、私も現地を見てきましたが、切手、はがきの売りさばき所が全然ないということも一つの苦情として出ておりますので、この対策をどうしたらいいか。  それからもう一つ、三番目には、普通郵便局、集配局の設置が当然必要であります。この団地の予定地のおおむね真ん中に郵便局の設置の予定地も設けられているんですが、大蔵省との関係での用途変更などの話し合い、折衝は一体どうなっておるのか。人口の増加のテンポが非常に早うございまして、六十年じゅうに一万二千人、六十一年四月には二万人という、こういう急テンポでありますので、これはやっぱり都会における新設大団地の対策として特段の御検討を願わなければならぬ問題だろうと思います。  以上の点、三つばかり申しましたが、まとめてこの対応、対策をお聞きしたいと思います。
  56. 白井太

    説明員白井太君) 東京都の練馬区の光が丘団地に開発計画が進められているということは私どもも承知いたしております。  そこで、まず第一点の郵便局の窓口機関を設置することについての推進状況はどうなっておるかというお尋ねについてでございますが、もともとこの地域を開発するにつきましては、東京都の方から郵便局の窓口機関を設置してもらいたいという御要請を大分前に既にいただいておりまして、郵政省といたしましてもその御要請に従う方向でいろいろと考えてきておる段階でございます。ただ、現在の段階では完全にこの入居が終わったというような段階でもないようでありますし、また郵便局の窓口の設置につきましても、その設置の仕方いかんによりましては予算上の措置を必要とするというようなこともあったりいたしまして、現在この団地の開発状況を見ながら窓口の設置についての問題についても検討を進めておる段階でございます。  それから売りさばき所がないのも不便だという御指摘でございますが、切手やはがきの売りさばき所につきましては、これは部外の方にお願いして、いわば郵政省の方で委託するような形で切手、はがきの売りさばきをしていただいておりますので、そうしたことに適した方から切手の売りさばき等のお申し出があることがまず前提になるわけでありまして、そうしたお申し出があった場合には、場所でありますとか、あるいは別の売りさばき所との距離でありますとか、必要な要件をよく調べまして、できるだけ利用者の方の便利なように取り計らいたいと考えております。  また、書留郵便物などについて不在の場合に配達があったときに遠い集配局までとりに行かなければならないとか、あるいはそれとの関係で集配を受け持つ郵便局そのものを近くにつくるという計画はないのかというようなお尋ねだったかと思いますが、確かに郵便局の場合、書留とかあるいは小包等を配達に参りましたときにそのお宅が御不在である場合には、配達に参りましたというようなはがきをそこに置きまして郵便局に持ち戻ることになっております。そして、持ち戻った小包、書留等につきましては、利用者の方の御指示によりまして特定の日に改めて配達をし直すとか、あるいは局にとりに来ていただくとかいうようなことをしておるわけでありますが、昨年から私どもとしては特に利用者の方からの御指定で隣近所の方などを指定していただきますと、その隣のお宅に配達するというようなことも始めておりますので、今の段階ではそうした隣の家に配達するというような制度を御利用いただくということをお願いしたいわけでございます。  それから集配を受け持つ郵便局の設置の計画については、結論的に申し上げまして、現在のところ、この団地の近くにそのような郵便局をつくるという具体的な計画は持ち合わせておりません。やはり集配を受け持つ郵便局を設置するということは経費の点でもかなり大きな負担になることは間違いないわけでございまして、その地域全体の発展状況でございますとか、あるいは住んでおられる方の人口増加の状況でありますとか、さまざまな要因を総合的に勘案いたしまして、他面、先ほど申し上げましたような事業の効率的な運営ということも一方には頭に入れましてつくるつくらないということを決めていくわけでありまして、今のところこの地域に具体的な計画があるわけではございませんが、今後の発展状況いかんによってはいろいろと考えていくこともあり得るということでお答えは勘弁していただきたいというふうに思う次第でございます。
  57. 内藤功

    ○内藤功君 団地の人口増加の状況はちょっと認識が不十分なように思いますので、これはよく調べていただきたい。急速な人口増加が予想されているということでありますから、ひとつ東京都その他に当たってあなたの方でも独自に調べていただきたいと思うんです。  それで、この団地の大体真ん中の地点に今大蔵省の持っている国有地がありますが、これとの折衝はどんな段階に今なっておりますか。
  58. 白井太

    説明員白井太君) ただいまお尋ねの具体的な折衝の模様につきましては、私、現在承知いたしておりません。
  59. 内藤功

    ○内藤功君 担当者はだれですか。
  60. 白井太

    説明員白井太君) 当該地域を受け持っております東京郵政局というのがございますので、そちらの方でもしそうしたことについてやっておりますといたしますと、東京郵政局がやっておるということになろうかと思います。
  61. 内藤功

    ○内藤功君 では、この点につきましてはまたさらに東京郵政局その他の担当者に具体的に詰めることにいたしまして、次に、民間放送局の問題について質問したいと思います。  これは電波監理局になると思いますが、新規に民間放送局を開設する際に郵政省としては厳しい審査基準を設けていると思いますが、その基準を御説明願いたい。特に、これは郵政省令の放送局の開設の根本的基準というのが出されておりますが、これは現在厳格に守られていると思いますが、この点もあわせて御答弁願いたい。
  62. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 御指摘のように、私ども放送局と申しますものの社会、公共におきます重要性にかんがみまして、開設、つまり免許いたしますに当たりましての基準は十分厳重な形でこれを行っているところでございますが、民間放送局の免許につきましては、基本的には放送の公正かつ能率的な普及を図るという観点からいたしまして、地域密着性の確保、それからマスメディアの集中排除、さらにはできる限り多数の方による放送局の開設というふうな考え方で対処してまいっております。
  63. 内藤功

    ○内藤功君 そこで、具体的にお尋ねしますが、これは一般論としてですが、ある申請者がテレビ会社の経営者であり、そしてその社長をしておる、さらにその人は地方新聞の経営者でもあるような場合です。その人がさらに新規にFM放送局の開設を申請する。こういう場合には、ある一人の人にこういう新聞とテレビとFM放送局、こういうようなものの開設を認可する、こういうことは私はさっきの基準に照らしてできないものだと解釈をするんですが、これは一般論としていかがでございますか。
  64. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 一般論といたしまして、私ども、いわゆる複数局支配ということ、つまり既設の放送事業者が複数局を支配する、あるいはテレビ、ラジオ、それから新聞、この三つ事業を支配する、私ども事業支配と言っておりますが、こういった事態が起こらないようにということで特に配意をしている次第でございます。こうした点からいたしまして、ただいま御質問のございましたFM局の免許ということにつきましては、既にラジオあるいはテレビまたは地方新聞を経営している者にFM局の免許を付与するということは私ども考えておりません。
  65. 内藤功

    ○内藤功君 これはこのように理解していいですね、一般論として。その人が直接申請はしないが、ダミーといいますか、身がわり、自分が実質的に経営権を持ち株式も相当数持っておる、そういう会社を通じて申請する場合、そういう場合でもやはり実質的に見て同じように考えて、厳格に根本基準に従って審査をする、こういうふうに理解してよろしいでしょうか。
  66. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 私ども、先ほど申しました複数局支配、あるいは三事業支配というふうなことを申しておりますその支配の仕方につきましては、具体的な形といたしまして、その役員の数、あるいは一の社の代表権の有無あるいは常勤の役員であるかどうかといったようなことを具体的な形で見ているわけでございますけれども、ダミーの申請という点につきましては、これは何をダミーというふうに見るかというのが大変難しい問題であるわけでございますが、私ども仮に実際上放送局を開設する気持ちがないのに、他人からの働きかけによって放送局の免許申請を行うというふうな場合があるといたしますと、このような申請については厳に自粛してもらいたいというふうに考えて対処してきておるところでございます。
  67. 内藤功

    ○内藤功君 できましたら大臣お答えいただきたいんですが、今の問題。私は、この郵政省令、放送局の開設の根本的基準というのは、一人の人間テレビだとか新聞だとかFMだとかマスメディアが集中するということは、これはある地方の世論をある偏った方向に誘導するということで、民主主義の問題、大きく言えば憲法の言論、表現の自由の面から厳格に守られなければならぬ、こういう精神に立つものだと思うわけであります。  そこで、大臣にこれは一般論として結構なんですが、ある特定地域において一人の人物が地方新聞、テレビ、さらにFM放送の免許をも取得しようとすること、特に政治家の力だとか、あるいは不当な手段、工作を用いてそういう権益を得ようとすることは許されないし、あってはならぬ、これは郵政行政上の根本の問題だと思いますが、大臣もそのようにお考えになっておられるかどうか、この点をちょっとお伺いしたいと思います。
  68. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 私も、先生と同じ考えに立っております。とりわけ、三事業独占という形が御指摘にも明らかなような形に、また放送の免許を与えるようなことはありません。私が在任している限りはないということでございます。
  69. 内藤功

    ○内藤功君 きょうは一般論の質問にとどめますが、具体的な事例はまた別の機会を得て取り上げたいと思います。  次に、有線放送の問題であります。有線放送業界の大手である株式会社大阪有線放送社、株式会社ゆうせん及び株式会社日本ゆうせん、この三社はいずれも同系列の会社であると理解しております。以下、まとめて私は大阪有線と略称してお聞きしたいと思うわけです。  ところで、昨年五月に議員立法で有線ラジオ放送事業法の一部改正が行われまして、全会派一致でこれは可決成立されたわけであります。郵政省では、この六カ月の間に業界に対する指導に力を入れて、昨年の十二月一日から施行されたわけですが、本年に入りまして三月二十八日に、大阪有線の全国十の施設に対し三十日ないし四十五日間の業務停止処分を行ったわけであります。大阪有線は、現在この郵政省業務停止処分に対してどういう態度をとっておりますか。行政当局は、この業務停止処分を通知した後でどのような措置をとっておられるか、端的に御報告を願いたいと思います。
  70. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 昨年、議員立法をしていただきまして、有線ラジオ放送法の三条の二というものができたこと、そしてまたその後の経緯につきましては、ただいま先生のお話のとおりでございます。  端的にということでございますが、私ども法施行前におきましても、法施行までの間約半年間ございまして、この間に関係団体に対しましての正常化の手続をとるような指導を繰り返してまいったわけでございますけれども、施行後におきましても秩序維持のための正常化ができないということで、四月の二日から三十日ないし四十五日間の業務停止命令を発出したところでございます。全国で、事業者といたしましては三事業者で、放送所といたしましては十のものについてでございますけれども、この停止処分につきましては、私ども大変残念でございますけれども、この停止命令に従ったという事実がございません。
  71. 内藤功

    ○内藤功君 もっと端的に言いますと、この大阪有線に関しては、処分が発表された三月下旬から連日、複数の社員とこの大阪有線に雇われていると見られる人物が、郵政省の本省、それから各地の電波監理局の担当課長や担当課員の職場、それから自宅にまで押しかけてきている。嫌がらせ電話をかけてきている。役所にも来て、長時間机の周りに立ってまとわりついている。ひどい場合は、ほぼ一日近くいて仕事にならないという状態もあると私は聞いておるわけですが、こういう事実があるのかどうか。私が直接つかんでいる例でも、最近自宅の電話番号を、余りそういう電話が多いものですから、別の番号に取りかえたという管理職の切実な話も聞いておるわけであります。大変遺憾な事態だと思います。こういう事態が起こっているのじゃないですか。
  72. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 処分をいたしましたのが四月の二日でございます。この処分の後、四月の四日ごろから、事業者がこの処分に従わずに業務を継続すると同時に、本省を初めといたしまして、先ほど申しました十カ所の対象施設を管理いたしております十の地方電波監理局に対しまして、先生指摘のようないわば抗議行動と言われる形での行動がほぼ連日のように行われているというのは事実でございます。
  73. 内藤功

    ○内藤功君 これは、国会の全会一致で決めた議員立法に基づいて郵政省業務停止処分をしたということに対して従わないんですから、郵政省に対すると同時に、言葉を大きくして言えば、国権の最高機関に対しても抵抗しているというふうに言われても仕方がないと私は思っておるんです。それで、どうしてこういう傍若無人の態度をとると思われますか。普通ではこれはやらないことであります。私がここで思い当たるのは、ここに幾つかの大阪有線に関する文書を持ってきたので、後でごらんいただいて結構です。  一つは、業務停止を受けた後、社長である宇野氏が放送所長を集めて話した訓辞というか、話の概略のメモを私はここに持っているんです。ここでどういうふうに言っているかといいますと、「議員立法作った議員さんもよくわからない。商売の自由は憲法で保証されている。社会福祉に反するもの以外、又営業停止処分を出来るのは許可制のもの、許可事業以外のものは営業停止はない。そんなもの前例がない。」、それから「監督官庁の郵政省は電柱と道路の間に入って仲介の役割を果さなければいけないのに道路に押し切られてしまった。」。私はよくわかりませんが、思うに、電柱というのは電力会社のことじゃないか、道路というのは建設省のことじゃないか、私はそう判読したんですが、要するに、郵政省は電力会社と建設省の間に立って、それから大阪有線の間に立って仲介するべきところ、こういう認識のもとに押し切られちゃったと、こういうことを言っております。役所に対する相当なこれは中傷ではないかと私は思います。こういうようなのがこの背景にあると思います。  それからそのほかには、東京都内、神田放送所発行のお客様への「お知らせ」という文書がここにあります。関東地方にばらまかれておりますが、これには、顧客の利益のためにかかる横暴役所と闘う姿勢で臨むとか、紛争双方の事情を詳しく知りたい方は、関係当局の電話、担当者名を書きますから、ここに電話をしてくださいということで、課長クラスの方、補佐の方の名前と電話番号まで書いております。こういうようなことが出ております。  その他、いろんな資料がありますが、時間の関係で一々読み上げることは省略いたしますけれども、こういうような、大阪有線はみずからの違法行為を反省するというのならともかく、そうじゃなくて、行政処分を行う監督官庁、それから各会派一致でやった国会の議員立法のあり方、こういうものに攻撃をかけてくるという姿勢は、ちょっと私は前例がないのじゃないかと思うんです。こういう姿勢をとらせるのは、郵政当局の姿勢にも毅然たるものが一つ欠けているのではないかとも思われるわけなんです。現に、ほかの中小の同業者の方は誠実に行政指導や規則に従っているわけですから、ここは一番の大手だそうですが、この大手がこういうことをやってまかり通ると、ほかの業者に対しても不公平感が起きてくると思います。私は、これは告発を含む厳しい態度で臨むということがこの際大事なんじゃないかと思います。この点につきまして、郵政省当局、さらに大臣の御所見を伺いたいと思うんです。
  74. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 私どもといたしましても、今回の停止命令に相手側が従っていないということにつきましては、行政あるいは立法に対する大変な大きな問題であるというふうに考えております。したがいまして、基本的にこの問題を今のような状態のままに放置するつもりはございません。  先ほどのお話にございました電力、建設の問題でございますが、実は私ども、先ほど申しました正常化の指導につきましては、関係機関といたしましての建設省、それから電柱に関しましては電力のほかに電話のための電柱もございます。したがいまして、電電公社、そして電力関係の電気事業連合会、それに私どもを含めまして四者が協力して正常化の指導をしていこうというふうなことをこれまでに申し合わせ、またいろいろな形で意思疎通を図りながらやってきているところでございます。したがって、我々が建設省等に押し切られてと言われているようなことは決してございません。  逆に、私どもといたしましては、議員立法をしていただきました有線ラジオ放送法の厳正な適用をしよう。この具体的な中身は、先生御案内だと思いますけれども、第三条の二という形で追加されましたもので、その中身は、「有線ラジオ放送の業務を行う者は、その設置に関し必要とされる道路法の許可その他法令に基づく処分を受けないで設置されている有線電気通信設備」、それが一つ、それからまた「所有者等の承諾を得ないで他人の土地若しくは電柱その他の工作物に設置されている有線電気通信設備によって有線ラジオ放送をしてはならない。」という規定があるわけでございます。これは改正条項でございます。それの違反につきましては、同じく同法の第八条で運用制限がかけられ、業務の停止が命じられるようになっているところでございます。したがいまして、私どもは、行政機関といたしましてこの法律の厳正な適用をしていこうということで対処いたしているわけでございます。  今回の行政処分を背景といたしました状況の中で、マスコミ等でも報道された状況にございますけれども、電柱関係につきましては一部ではございますけれども正常化しようという方向あるいは手続がとられているというふうな状況もあるわけでございますが、全面的な正常化の姿勢が見られていないということでございます。  それからまた、先ほど御指摘のような行政処分無視の行為があったということで、私どもとしてはこれは見過ごすことのできない状況だと考えているわけでございます。したがいまして、告発というふうなことも、これもまた法律の規定に罰則があることも事実でございますけれども、先ほど申し上げましたような行政処分、これは従っていないという状況にはございますが、若干の相手側の動きも出てきているということから、そうした正常化への取り組みが進むかどうか、いましばらく見守っていきたいというふうに考えておりますが、何にしましても、事態の進展によりましてはさらに厳正な処置をとりたいというふうに考えているところでございます。
  75. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) この問題は、明らかに法に対する挑戦と受けとめております。随分いろいろな嫌がらせの事例もあります。聞いてもおりますし、実は私も経験いたしております。しかし、まず第一弾として先ほど行政処分、停止命令を決断したわけでございます。  その後、改善の歩み寄りが全然ないかというと、私のところにもいろいろそういった動きがございましたけれども、毅然とした対応で臨んでおるということもございまして、歩み寄りに関しては、電柱使用に関しては相当過去にさかのぼって、金額も相当な巨額に上ります。細かい数字は別として、電柱使用料だけでも五億円、六億円というくらいの相当な巨額に上ります。道路占用も含めますと、経営に直接、これがもうだめになってしまうということか別として、相当な形の経費の負担も当然出てくるわけでございます。したがって、今のところ、全然歩み寄りがないという形であった場合には直ちに厳正な処置を決断するところでございますけれども、目下交渉して一部にはそういった形で歩み寄りも出てきておる。したがって、その経緯を、決してこれは時間をかけるという状態ではなくて、ある程度法秩序に従うという誠意のほどを、ここのところちょっと時間をかしていただきたいということでございます。もちろん、この問題にも応ずる誠意がなければ、私としては厳正な告発を含めての措置をとっていくということは当然でございます。
  76. 内藤功

    ○内藤功君 次に、いわゆるパーソナル無線の問題についてお伺いいたします。  私の理解するところでは、パーソナル無線というのは、これまでの不法な無免許の市民ラジオによるテレビの受信妨害や電波の奪い合いをなくし、不法な市民ラジオを一掃するため郵政省が一昨年の十二月から使用を認めた簡易無線である、こういうふうに聞いておりますが、このような理解でよろしゅうございましょうか。
  77. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) パーソナル無線制度でございますが、御指摘のように、昭和五十七年、一昨年の十二月に関係省令を改正して導入したものでございますけれども、現在モータリゼーションという状況社会に出てきております。そういった中で、だれでもが簡単に車に搭載したりあるいは携帯して使用することができる無線機ということで、こうした要望にこたえるという側面、そしてまた、ただいま御指摘のございました、社会問題化しておりました不法市民ラジオの撲滅といった観点から、無線従事者の資格なしに、そしてまた簡易な免許手続で使用することができるものとしての制度として導入をしたものでございます。
  78. 内藤功

    ○内藤功君 パーソナル無線の愛好者が幅広くふえつつあると聞いておりますが、現在正式に開局が届けられているのは、全国及び東京でそれぞれ何万局ぐらいありますか。
  79. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 五十七年の十二月に制度をスタートさせたわけでございますが、ことしの五月末現在で全国の局数が六十三万一千局、東京都につきましては二万六千八百局余でございます。
  80. 内藤功

    ○内藤功君 このパーソナル無線というのはアマチュア無線と違って資格試験がない、この機械を買った人は購入後、管轄の電波監理局に届け出をすればいいということになっているので今お話しのような六十万を超える件数になっておる、今後も需要が高まると予想されるのであります。  そこで、私は将来に向けての対応に関連してお尋ねしたいんですが、いろいろ報道を読みますと、パーソナル無線は出力が弱いので、これを自分勝手に増幅器などを接続して出力アップを行って電波を遠くへ飛ばす、そのため電波妨害、混信が起きて、場合によっては他の業務用緊急通信にも重大な支障を来すおそれがある、こういう場合も考えられると思うんです。規格外の増幅器を勝手に設置するのはこれは電波法に触れると思うんですが、悪質な事例、端的なものでいいですが、非常にわかりやすいものでいいですが、どんなものがありますか。
  81. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) パーソナル無線は、お話のように電力を制限しているわけでございますが、その中で規格外の空中線を使用する、あるいは増幅器を接続するというふうなことで予定されているものよりも強い電波が発射されるという事例がございます。具体的なということで申し上げますと、気象庁の筑波の高層気象台のラジオゾンデの電波に妨害があったというものが、ことしの三月に同気象台からの申告で見つかったケースがございました。
  82. 内藤功

    ○内藤功君 そのような今まで電波監理局として発見した違反件数、これはどのくらいあるか、それからその中で特に悪質なものとして告発した件数がどのくらいあるか、その件数をお聞きしたい。
  83. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) パーソナル無線関係の違反と思われるもので外部からの申告を受けましたものが、五十九年の三月末日までの間、これは制度が導入されてからでございますが、ことしの三月末日までの間で全国で七十二件ございます。  告発といいますのは、このうち特に悪質なもの一件でございますが、これが先ほど申し上げました気象庁の筑波高層気象台のラジオゾンデに妨害を与えたもので、これは告発を検討中でございます。  なお、そのほかに、捜査機関で摘発したものが二件あるというふうに承知いたしております。
  84. 内藤功

    ○内藤功君 こういうことの起きる背景としましては、電波やラジオ、テレビの専門誌などに部品を紹介する広告が非常に大きく載る、それから簡単に手に入るという点が背景としてはあると思います。  私は、そうは言うけれども電波国民のものである以上、国民だれもが簡単に操作でき、開局できるという簡易無線は、元来それ同体は決して不法とか違法とか言えない、歓迎すべきものだと考え立場なんです。しかし、国民の安全や生命を守るために最優先で使用されるべき電波が一部のこういう不心得な人によって妨害されるとこれは大変な事態が起こる、したがって悪質な者には厳しい姿勢で臨む、これも当然だと思います。  また、もうけ主義の一部の業者へのPRの自粛も郵政省としては求めている、こう聞いておりますが、どんな指導を行っているか、こういう点についてお伺いしたいと思います。
  85. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 私ども電波国民各層各界でできるだけの利用をされるということが、ニューメディア時代と言われる特に最近の社会では重要なことだと思っているところでございます。そういう意味電波監理行政に携わっているわけでございますけれども、こうした不心得な者につきましては、当然のことにそういった正常なあるいは効率的な有効な電波の利用という観点からこれを断固抑制するということが必要であるというふうに考えております。  先ほど申しました増幅器をつけるとか、特殊なアンテナを使用するということにつきましては、電波法に違反する不法無線局ということで捜査機関に告発をするというような措置をしてきているわけでございます。  お話にございましたような違法無線機器を製造あるいは販売する者につきましては、去る三月の二十九日でございますけれども、専門雑誌がいろいろございますが、その専門雑誌に違法なパーソナル無線用の電力増幅器等の広告を掲載しましたメーカーの九社、それからこれらの広告が掲載されている雑誌出版三社に対しまして、法令違反となるような機器の広告掲載をすることがないよう警告文書を発送したところでございます。対象は、先ほど申しましたように、メーカー九社、それから雑誌出版社三社でございます。
  86. 内藤功

    ○内藤功君 私の問題にするのは、暴力団の介在があらわれているということなんです。次に申し上げたいのは、パーソナル無線愛好家を暴力団がねらって、愛好者のクラブの組織化を図って、そこに入会しろと、入会金の支払いを強要するという事態がいろいろと起きているようであります。各地の電波監理局にもこういうことが持ち込まれているだろうと思います。これについてはどういう対応を今されているかということ。  もう一つ、これに関連して、ある専門誌、これはラジオライフという雑誌ですが、これに千葉県のある人からの投書が載っております。これは五月号です。具体的に書いてありますが、やくざ風の人に○○会に入会しないかと町で言われて、断ったら、アンテナを半分に折られてしまったというふうなことから、具体的な例がずっと出ております。このような話は、日本全国のあちらこちらで暴力団がこの問題に介在して策動しているということを示しているのじゃないかと思いますので、事が大きくならない間に郵政省のこの面での厳重な監視体制、フォローというのが非常に必要じゃないかと思います。この点の御見解を伺っておきたい。
  87. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 私どもも、そうした暴力団がそのような行動に一部ではございますけれども出ているというふうな苦情を承知しております。こうした一部のいわゆる心ない利用者によって交信中にクラブヘの加入を強要されるというふうなことにつきましては、一つは、申請者に免許状をお送りするときにこうした加入に応じないようにしていただく、免許を受けられる方がこうしたことに全く関心を持っておられないで、いきなり今お話がございましたようなおどし的なことを言われますと、気が動転してつい加入してしまうというふうなことがあり得るわけでございますので、そうしたことがないように加入を拒否するというふうなこと、つまり免許とこうしたクラブヘの加入といったことは全く無関係であるということなどの注意喚起のパンフレットを同封していたしてございます。  そうはいたしましても、嫌がらせあるいは暴言あるいは入会強要というふうなことがあり得るわけでございます。そうしたケースにつきましては、最寄りの地方電波監理局に連絡し、また具体的な被害を受けたときには警察に届け出るように指導いたしているところでございます。もちろん、電波監理局自体といたしまして、電波監視を強化いたしまして事実の把握に努めるという努力もいたしているわけでございますが、その中で先ほど申しましたような加入強要とか脅迫といった通信を行っている者が、これは電波のことでございますので、いつどこでどういうふうに行われるかというものの把握ということがなかなか難しいという側面はございますけれども、私ども可能な限りでの電波監視を強化していくつもりでございます。そうした中で今申しましたような不心得な者が把握できました場合には、電波法違反ということで所要の措置を講じるつもりでございます。
  88. 内藤功

    ○内藤功君 郵務局にもう一問だけ聞きたいんですが、質問通告してあった問題ですが、四月十九日に衆議院の方の逓信委員会で私どもの方の党の佐藤議員が、東京の京橋郵便局管内で一日二度配達地域があるが、土曜日も含めて午後にしか配達にならない、あの辺は商社、商店の多いところですから午後二度という配達では土曜日の午後不在のところが多い、非常に仕事や商売に差し支えるという例を挙げまして質問し、郵務局長が実情を調べて改善していきたいという御答弁をなさったわけですが、その調査の結果対応された措置、あれから二カ月たっておりますが、どうなっているか御報告いただきたいと思います。
  89. 白井太

    説明員白井太君) お答え申し上げます。  ただいま先生がお話しになりましたように、四月十九日の日に衆議院の逓信委員会の方でそうした御質疑があり、郵務局長の方からおおむね先生がおっしゃいましたような御答弁を申し上げたということは事実でございます。  その後、京橋の郵便局に私ども実情を聞いたわけでありますが、当該局の説明によりますと、やはり一部の地域で御指摘のように一回目の配達が午後になるというような地域が確かにあるということでございます。私どもは、この配達度数につきましては臨調答申の線に沿いまして一度化を進めておるところでありますが、非常に郵便物の通数が多い商業地域など一部の地域におきましてはなお二度配達を確保するという措置をとっておるところでありまして、御質問の京橋郵便局の受け持ち区域の一部の地域もそのような地域に該当しているわけでございます。  それで、当該局の説明によりますと、この地域につきましては、現在取り集めの作業などについての見直しを郵便局の方でも考えているようでありまして、その見直しとあわせまして、この二度配達の地域につきましては、特に最初の一度目の配達時刻につきましてもその際あわせて調整を行いたいというふうに考えているようでございまして、それまで若干時間をかしてほしいというようなことでございましたので、できれば二度配達をする地域については午前一回、午後一回というような形が望ましいので、できるだけ早くそのような方向で調整を行うようにということを指示したところでございます。
  90. 高平公友

    委員長高平公友君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時二十分まで休憩いたします。    午後零時十七分休憩      —————・—————    午後一時二十一分開会
  91. 高平公友

    委員長高平公友君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、郵政省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  92. 柄谷道一

    柄谷道一君 郵政事業のうち、まず郵便事業の問題について御質問したいと思います。  郵便事業の赤字の現状についてでございますが、資本収入のうち五十九年度の借り入れ予定額は千五百七十九億円、このうちいわゆる赤字に対する借入金が三百八億円、一方、借入金償還九百二十二億円余のうち五十九年度分の建設財源償還分が百五十二億円、したがって三百八億円から百五十三億円を差し引きますと、五十九年度は単年度百五十五億円の赤字になる。また、視点を変えて、収益、業務収入の二兆三千四百十四億円から業務費、予備費、減価償却費等の費用二兆三千五百六十九億円を差し引くと百五十五億円になる。したがって、五十九年度の郵便事業については単年度百五十五億円の赤字、五十九年度末の推定累積赤字額は四百四十八億円に上る、こう理解いたしますが、間違いございませんか。
  93. 高橋幸男

    政府委員(高橋幸男君) ただいま御指摘のございました郵便事業の損益こそございますが、予算どおりに執行されるということにいたしまして、損益ベースに置き直した場合、先生のおっしゃるとおり、単年度で百五十五億、五十九年度の年度末におきまして四百四十八億の赤字ということ、御指摘のとおりでございます。
  94. 柄谷道一

    柄谷道一君 昭和五十五年の十二月に郵便法の改正が成立いたしまして以来、五十五年度に二千四百九十四億円ございました累積欠損金は五十六年度千百七十四億円の黒、五十七年度七百八十一億円の黒、五十八年度は二百四十六億円の黒字を計上いたしまして、累積欠損金は二百九十三億円に減少いたしましたが、利益額は年を追って減少いたしております。そして、五十九年度は予算どおり執行されるとすれば逆に赤字に転じて四百四十八億円の累積欠損金が見込まれる、こういう経理の状態であると思います。したがって、このままでは今後累積赤字が累増することも懸念されるわけでございます。しかし、こういった収支決算の状況というものが、郵政事業特別会計の貸借対照表を見る限り、明確に読み取れないと思うわけでございます。それはいかなる理由によるものか、御説明を願いたい。
  95. 高橋幸男

    政府委員(高橋幸男君) 先生御承知のとおり、郵政事業特別会計の決算は、郵便事業だけではございませんで、貯金、保険、その他受託業務等の業務を全部一括して取り扱っているところでございます。ただいまお話のございました郵便事業の損益計算につきましては、昭和五十五年の郵便法の改正を受けまして、昭和四十九年度以後の損益について、これは国会にも御報告申し上げることになっておりまして、国会にも御報告申し上げているところでございますが、そういうシステムに乗ってこの郵政事業特別会計の中から郵便事業の損益だけ取り出して国会の方に御報告申し上げているところでございます。そういう関係もございまして、郵政事業特別会計の財務諸表にただいま御指摘のあったような数字がストレートに出てきていないということでございますので、御理解願いたいと思うわけでございます。
  96. 柄谷道一

    柄谷道一君 国会に別途報告されておるのでそれを見ればわかるということでございますけれども、私は貸借対照表のつくり方についても一工夫あってしかるべきではないかという感じを持っておりますが、これは非常に専門的にわたるわけでございますので、これは改めての機会にまた意見の交換をいたしたい、こう思うわけです。  そこで、大臣にお伺いいたしますが、郵便事業は、「郵便の役務をなるべく安い料金で、あまねく、公平に提供することによって、公共の福祉を増進する」という法の目的に沿って、百有余年にわたりまして我が国の基本的通信手段として重要な役割を果たしてきた、こう評価するものでございます。そして、現在も全国で約二万三千の郵便局、さらに共通管理部門を除いて約十四万人の職員によりまして、年間約百五十億通の郵便物を取り扱っております。しかし、近年、郵便に対する需要伸びは鈍化いたしております。  今後も急速な電気通信メディア普及発展によりまして、需要伸びをそう大きく見積もることは難しいと思うわけでございます。これは五十七年度の資料でございますが、まして全郵便物の八一・三%が企業等の業務用であるということを考えますと、今後料金水準とサービスの質いかんによりましては郵便物離れの傾向が恒常化する懸念すらあると思わざるを得ません。事実、昭和五十五年に講じました特別の措置によりまして一時好転いたしておりました収益状況が五十九年度はついにまた赤字に転ずる、こういう事態が明らかになっているわけでございます。  そこで、郵政大臣としてはこのような厳しい情勢の中で郵便事業の赤字を解消する見通しを持っておられるのか、もし持っておられるとすれば、その具体的な方策として何をお考えになっているのか、大臣立場からひとつお答えをいただきたいと思います。
  97. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 現状においての御指摘の点は、全く先生のおっしゃるとおりでございます。  ただ、昨年度だけの数字で申しますと、郵便は五十六年度の値上げをお願いしたときの減少期から徐々に利用数が増大しておることも事実でございます。昨年度の場合百六十億通を突破したという形で、最近の数字でございますけれども郵政省始まって以来の郵便物数の取り扱いがふえたということにもなります。  しかし、これは御指摘の中にもございましたけれども、企業メールと申しますか、ダイレクトメールあるいは企業通信等々の増加が大きく寄与しておることも事実でございます。そういう点からいうと、ニューメディア時代、いろいろな便利な機器が発達することによって果たして現状数字が維持できるかどうかということについては絶対的な自信を持っておるということは言えません。しかし、私たちは、この記録をつくりつつある郵便需要増というものを何とか維持してまいりたい。そのためには、今までのように出してくださるお客さんに単に受け身で配達するという形だけではだめだということで、いろいろな企画を持ってやってまいりました。  一例を申し上げますならば、またかと言われるかもしれませんが、今年度の暑中見舞いにおいても、デザインの募集を広く国民に求め、そしてできるだけ夏のふるさと便りあるいは夏の便りで人間のコミュニケーションを増していただきたいということで、ちょっといろいろな形では、官業なるがゆえの批判もございますけれども、景品もつけよう、ことしは急な企画でございましたから、うちわを一つつけるにしても、何せ一遍で何百万本という注文ですから、とてもきのう思い立ってきょうやれるというような状態ではございませんでしたから、それでも全国の中小のそういった業者からかき集めまして、ともかく三百万本近くは用意してそういった暑中見舞いの売り出しに協力していただこうということで、今のところ非常に順調に推移しております。  それと同時に、「ふみの日」、毎月の二十三日、特に七月二十三日をいまひとつピークにいたしまして全国的に手書きの便りを大事にしよう、そういったキャンペーンも、これもあすくらい発表することになると思いますけれども、小中学生を含めた全国からの懸賞のデザイン募集で、Tシャツなりいろいろな形の奇抜なアイデアを出して、ともかく心のコミュニケーションというものが今ニューメディア時代であろうと何であろうと一番大事なんだ、我々は今これが欠けておるという形で積極的なPRを展開いたしております。したがいまして、ことしの郵便扱い高は五十八年度をさらに上回る記録的な数字が出ることを実は期待いたしております。  それと同時に、小包なんかにおきましても、ふるさとの名品というものを、商売の流通屋さんのようにいろいろあっせんをするわけにはまいりませんけれども、そういったパックなりあるいはふるさと一品運動に便乗したような形で、一例を申せば、去年は富山のチューリップあたりは富山のある一都市の扱い高だけでも六万件近くも扱ってくれる等々というような、そういったふるさとの特産品を郵便小包に生かしていただく。しかし、質の高い宅配便に劣らぬあれをするためにはスピード性に欠けておりますから、そういった形の配送システムも改善する等々いろいろな面で努力をいたしております。恐らく、ことしは郵便、小包扱い高とも相当な数字を記録していただけるのじゃなかろうかと期待しております。  したがいまして、今、経理部長からお話しになりましたけれども数字上はこのままで昨年同様の形で推移してまいれば百五十五億という赤字計上にはなりますけれども、我々は記念切手のシリーズも含めまして、記念切手一つでも五百万からの国内に切手愛好者がいるわけですから、一つの記念切手を出しても三千万枚くらいは直ちに、安易な形ですけれども全国の各地、各県から一点ずつくらいの伝統工芸のシリーズで、そういった切手販売と同時にその県の特産品を全国にも紹介する等々のアイデアを生かしましてこの百五十五億の赤字は絶対になくする、ことしは黒字の実質計上をするようにということで士気を鼓舞しておるところでございます。  したがいまして、決算の実質的な数字が出てこなければ大きなことは言えぬわけでございますが、ことしの百五十五億は労使双方一体となっての前垂れがけの精神での販売作戦も含めまして赤字をなくする、そういう形の中で対応してまいりたい。したがって、値上げ等々はもってのほかである。今日のような諸情勢の中で効率的な運用によって値上げはしない、国民に負担はこれ以上増加させない、現状を最後の歯どめとして、むしろこれからは黒字体質を目指すという形の中で努力していただいておることも事実でございます。ですから、単年度赤字を解消し黒字へ転化するという目標の中で頑張っていきたいと思っておるところでございます。
  98. 柄谷道一

    柄谷道一君 官業といえども、これは企業でございます。したがって、今、大臣が述べられましたその期待が実現することを期待するものではございますが、郵便事業というのは本来労働集約的体質を持っているわけでございます。事実、諸表を分析いたしましても、総経費の約九〇%は人件費が占めていると理解いたしております。その人件費は政府が仲裁裁定、人事院勧告等を忠実に完全実施すれば、これは上昇していくことは避けられないわけです。これはまた当然のことでもあります。  一方、需要伸びが鈍化いたしまして、これが恒常化するということになりますと、労働集約的体質と需要伸びというこの相関関係で、よほどの合理化を推進しない限り、繰り返し料金値上げを行わざるを得ないというおそれがあるわけでございます。そして、料金を上げればなお郵便離れを促進するという悪循環すら招きかねないというこの体質については、大臣も十分理解されているところであろうと思います。  今、大臣は、合理化とアイデアを生かした事業活動によって料金値上げは当分考えていない、こうおっしゃったわけですが、そのように再確認して結構でございますか。
  99. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) そのとおりにお考えいただいて結構でございます。  給与は確かに、先生の御指摘のとおり、上がっていくことは間違いありませんし、またそれを手をこまねいておって、郵便伸びないわ、小包は伸びないわという形になっていけば、人力依存度の多い事業でございますから、また値上げが何年か越しに繰り返されるという悪い循環パターンを繰り返すわけでございますが、人力依存のそういった面の実態を把握しながらも、やっぱりいろいろな面でシステムの合理化も図ってまいらなければならぬわけでございますので、できるだけ値上げ時期の幅を先送り先送りして延ばしていって、この体質から脱却するように努力いたしたいと思っております。
  100. 柄谷道一

    柄谷道一君 大臣は私の質問する前に小包のことにも触れられましたけれども民間宅急便、これは昭和五十三年には約二千万個程度でございましたが、これが自後急速な伸びを示しまして、五十七年度には一億七千四百万個に達しております。これもこのような宅急便の急増と反比例いたしまして、内国小包郵便物は普通、速達、書留を合わせて五十四年から急速に減少の傾向を示しております。すなわち、昭和五十四年で約二億個近かったものが五十七年には一億三千九百万個、約三割の減を示しているわけでございます。また、信書につきましても、例えば社急便、またシルバー人材センターによる公文書関係の配付などなど、実質上独占ということが崩れつつあるとも言えるわけでございます。大臣は、こうした内容についてアイデアを生かして回復を図る、こう言っておられるのでございますが、そんな安易な認識で乗り切れるとお考えでございますか。
  101. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 決して反論するわけじゃありませんけれども、現実に数字伸びてきておるということも事実でございますし、今現象面の形をとらえられましたけれども、確かに昨年度あたりまではそういった傾向があったかもしれません。  これは小包一つでもやる気を出すということが物すごく大事でございますから、アイデアだけではありません。例えば切手売りさばき所だけでも全国に十二万店ぐらいあります。こういったところが、切手は売りさばいておるわ、横に赤電話を置いてあるわ、そして結局荷物の受付所はペリカンなりクロネコなりというような形になっておるという形の実態からして、実際は私が来た当初に矛盾を感じました。ですから、直ちにまず実行に移すために、全国で今五百店ばかりの切手売りさばき所に郵便小包の受け扱い所を設ける、そしてこのことを全国の今切手売りさばき所の事情の許す限りにおいてそういった小包扱いもさせるというような形の中で、決して安易じゃなくて、今までやってきた体制の中でアイデアを生かして実行に移していけばまだまだ民業に対してもサービスの面においても実行面においても対抗していけるという形の中で、私も百五十五億の赤字はなくしてみせるという生意気なことをこの委員会の場で言っておるわけですから、いささかもそんな先生に安易な形に基づいて言っておるわけではないということを御承知願いたいわけでございます。
  102. 柄谷道一

    柄谷道一君 大臣の決意と、また御努力につきましては、評価をいたします。  ただ、第二臨調の特に第四部会は、今、大臣が述べられました努力とある部分は関連するとは思いますけれども一つは、業務委託推進、集配送システムの省力化、自動化等による組織、要員の合理化、第二には、サービスの向上と民間への開放の検討、第二点としては、郵便学窓口取り扱い時間の見直し、配達一日一度化の促進等サービス水準の適正化、第四に、郵便作業近代化の促進、小包郵便業務の改善、多角的業務委託推進、鉄道郵便制度の見直し、経営管理システムの充実など、具体的項目を挙げまして改革意見を提起いたしておるわけでございます。  私は、こうした臨調答申を踏まえての個別改善事項を盛り込んだ中長期的な経営改善計画の策定というものが必要ではなかろうか。そして、この策定した計画に基づいて、大臣指揮のもとにこれを計画的に強力に実施に移していくという体制づくりが必要ではないかと思うわけでございますが、そうしたお考えはお持ちでございますか。
  103. 白井太

    説明員白井太君) ただいま先生指摘になりましたように、臨時行政調査会におきましては、第四部会報告において郵便事業の効率的な経営ということについて十数点にわたりまして具体的な御提言をいただいておるところでございます。  それらは、ただいま先生がおっしゃいましたことになるわけでありますけれども、私どもといたしましては、臨調の方で御指摘になりました十数点の改善についての提言につきましては、そのほとんどについて既に実施に移した、あるいは実施に移しつつあるということを申し上げて差し支えないと思っております。  例えば輸送システムの改善につきましては、午前中の当委員会でも申し上げたのでございますけれども、二月に改善に着手いたしまして、その改善によって一方においてはサービスのスピードアップを図るということと、他方におきましては仕事の効率化を図るということで予算上約六百名の減員を予定させていただいております。  そのほか、いろいろな改善施策を進めることによって、ふえる者、減る者差し引いて五十九年度予算では約二百七十名の人員を減員するということを予算上見込んでおりまして、なかなか事業体が大きいがために確かに先生方からごらんになると小回りのきかないというような点があるいはあろうかと思いますけれども方向としては着実にそちらの方向に向かって努力をいたしておるつもりでございますので、もう少し長い目でひとつ見ていただきたいと思っておる次第でございます。
  104. 柄谷道一

    柄谷道一君 現在、行政改革推進審議会で臨調答申の措置状況についての評価が近く行われる、こういうふうに私は承知いたしております。再び行革審からその措置状況十分ならずという指摘を受けないように御努力を願いたい、これは要望いたしておきます。  次に、郵便貯金事業についてお伺いいたしますが、郵貯事業は三千五百二十七億円の繰越欠損金を抱えまして、五十九年度も千二百四十五億円の赤字、累積が四千七百七十二億円になると承知いたしておりますが、間違いございませんか。
  105. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 郵便貯金特別会計の収支につきましては、先生指摘のとおりでございます。五十九年度では単年度で千二百四十五億円の赤字が見込まれております。ただ、五十九年度の赤字は、昭和五十八年度の二千三百二十六億円の赤字に比べますと約一千億円減少しているということでございます。  なお、今後の収支の見通しでございますが、金融、経済等の諸情勢というのが流動的でございますので、断定的なことを申し上げるのもいろいろ問題があろうかと思いますけれども、このような現在の状態を考えてみますと、現在預託利率が七・一%、それから郵便貯金の最高利回りが五・七五%ということでございまして、その間の利差が一・三五%ございます。したがいまして、郵便貯金の経費率、大体これが五十七年度決算で見ましても〇・七%ということでございますが、これを上回っているわけでございますので、来年度予算では単年度黒字というものが計上できるであろう、それから六十一年度には累積赤字も解消するという見通しでございます。  この郵便貯金特別会計に赤字が生じたのは何かということでございますけれども、赤字の生ずる原因は、郵貯会計が放漫経営である、コストが非常に高いということであるのか、入ってくるべきものが少な過ぎて赤字になるのかということだろうと思うわけでありますが、コストの方を見てまいりますと、郵便貯金のコスト、これは支払い利子率とそれから経費率というものを足したものの比較でございますが、民間金融機関のコストと比較いたしますと、これは過去七年間を比較いたしましてその平均でございますが、都銀の場合が七・八二%、長期信用銀行が八%ということでございます。これに対しまして郵便貯金は七・二六%ということでございます。長期信用銀行は、長期の預金を集めるということでこれはコストが高くなります。都銀の方は、短期でございますからむしろ低くなる。郵便貯金の場合は中期でござます。また、小口預金というものを集めておりますのでコストとしては高くなるはずでございますけれども、いずれのものよりもコストが低いということでございます。したがいまして、郵便貯金がコスト無視の経営をして赤字が出ているということはこれは当たらないであろうというふうに私ども考えているわけであります。  そうしますと、なぜ赤字が出るのかといいますと、これはやはり私ども郵便貯金資金を資金運用部の方に全額預託いたしておりまして、その預託利率というものに問題があるというふうに考えざるを得ないわけであります。一時的にせよこういう赤字が出たというのは、同じ国の資金である国債に比べましても郵便貯金の資金は低いわけであります。これも過去の平均のあれで見ますと、国債が七・六七一%、政債は七・七四二%ということで、郵便貯金の預託利率、これは七・一六二%になりますけれども、この差というのが約〇・五%ございます。郵便貯金の現在高約八十五兆円ございますが、これを掛けますと年間約五千億という数字が出てまいります。ということは、同じ国の資金を集めるのに、郵便貯金で資金を集めた方が国庫としては毎年五千億ずつ安く上がっておるということでありまして、言うならば、郵便貯金特別会計から国庫一般会計へ五千億ずつ補助金を出しておるということも言えるのではなかろうかと思うわけであります。  こういう一番低いコストさえも賄えないような預託率に抑えられているということが一時的にもせよ赤字が出た原因であろうと思うわけでありますが、私どもすべてが預託利率が低いからということで何もしないということではございません。今までも効率的な経営ということに努力してまいりました。また、職員の努力により貯蓄の増加ということにも努力してまいったわけでありますし、今後とも一層の努力を重ねてまいりたいと思うわけでありますが、今後の自由化進行というものを見ましても、高利回りの商品の開発というために私どもはこの預託利率制度というものの改善が必要であろう、こういうふうに考えておるところでございます。
  106. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は、端的に言いまして、この郵貯事業、これが民間の金融機関と最も異なるところは、いわゆる集金部門は郵政省、すなわち郵便局、ところが貸付部門は大蔵省理財局、いわば一元的運営を行っている民間金融機関に比べていわゆる集金部門と貸付部門が別々であるというのが最大の特色でございます。  そこで、現在の利差一・三五%ということでございますが、これは過去最高の水準でございます。したがって、経費率約〇・八八%ということであるとすれば、これは確かにペイできますし、また赤字も逐次解消していくことができる、こういう計算は成り立つと思うのでございますが、過去、異積赤字を生じましたのは、私なりの理解では、昭和五十五年度に定期貯金利率が八%に上がりましたときに二十数兆円の金がシフトした、その場合、預託金利が抑えられておりました関係で利差は〇・五%になった、これがこの赤字を生んだ最大の要因である、こう思うんです。  そうなってまいりますと、これから金利自由化、金融界の激しいしのぎが削られるというこの中で、これは国家の財投資金と郵貯というものの関連というものは非常に難しい問題ではございますけれども、当然そこに自主運用という問題が浮かび上がってくると思うわけでございます。  そこで大臣、大蔵大臣はこれは物すごい抵抗をしておられますが、郵政大臣はこの自主運用についてどうお考えですか。
  107. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 確かに、一元運用という形になっていないというのは郵貯の特質でございます。私の方は集める人、向こうは使う人と言ったら怒られますけれども、運用する人という形で、本当にそういった意味では、先生の御指摘のように、財投の預託率の額いかんによっては常に大きな赤字要素にもなり、黒字要素にもなっていくということです。  ただ、世間で非常に誤解されて伝えられておりますのは、郵便貯金は官業であるがゆえにコストが高いなんというようなことをいろいろ御批判を受ける向きもあるわけですけれども、先ほども貯金局長が言いましたように、コストの面は確かに他のいかなる金融機関、いかなる金融機関と言うと大げさですけれども、銀行あるいは長期的な信託諸機関、民間の金融機関の一流どころのコストと比べまして、私たち郵貯の集めておる資金コストというのは運営も含めてどこよりも低いということですから、しかも八十七兆という巨額に達する安いコストの金の運用いかんによってはこれは大きな形で利益も出てくるのは当然でございます。  しかし、そこが郵貯の郵貯たるゆえんで、財投資金原資としてのまた別な意味の国家使命も果たしておるわけでございますから、ただし、そういう形の中であったとしても、今後の金融自由化の趨勢に対してやはり全面的な一元運用ということはとても今日の財政情勢からいって望むべくもありませんけれども、しかしせめて一部でも運用し、そして今日のように、利回り、コストの中で多少でも運用利益を出すことによってそれを少額の預貯金者に還元していくという形の中からでも、ぜひ一部の自主運用というものは、例えば国債を昨年も要求したように、同じ大蔵省の資金運用の資金で国債を買うなら郵貯資金によって一部国債を自主的に買うとかいうような方向の中で、とりあえず一部自主運用の実績を果たさせていただきたいというのが要望でございました。  昨年はついに大臣折衝まで持ち込みましたけれども、断念をいたさざるを得ませんでしたが、私は、これからの金利自由化、金融自由化の趨勢に当たって、郵政大臣としては郵便貯金者の金利は断固守り抜いていかなきゃなりませんから、そういった意味合いにおいては、私たちにも自主運用の機会を与えていただいて、そういったことに対応さしていただきたいというのが願いでございます。
  108. 柄谷道一

    柄谷道一君 今も大臣少し触れられましたけれども、金融の自由化ということになりますと、民間金融機関では今後ますます預金者のニーズに対応した個人預金の商品性の改善、すなわち高利回り商品の開発というものが進んでいくことは避けられないと思うわけでございます。これに対して郵便貯金においても、国営であるということは当然考慮しなければならないが、何らかの対抗商品の開発というものがなされなければ競争できない、こういう時代をこれから迎えていくと思うんです。しかし、その対抗商品をつくろうと思った場合、預託金利を引き上げるということは、これは国家全体の大きな問題でございますから、それはできないとすれば、一部であるにせよ自主運用によってその財源を生み出すということが実現しませんとこれは先細りだということになっちゃうわけだ、こう思うんです。  大臣、去年は大臣折衝まで上げて御努力された経過は私はよく知っておりますが、来年、六十年度予算で一部ともそれを実現する確信はお持ちでございますか。
  109. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 確信というとあれですけれども、何とかそういった突破口を開くように努力いたしたいということでございます。  ただ、今郵貯の面の問題でございますけれども、例えば簡保の資金、これは郵政大臣のいわば一つの裁量範囲で運用でき得る。もちろん、預託に関する制約は厳しくあることは事実でございます。しかし、これらの中においては大変な実効的な形でいい成績を上げておることも事実でございます。今年度だけでも昨年度の実績から六千四百億という、もちろん二十三兆という簡保の資金の中での六千四百億でございますけれども、六千四百億の配当剰余という形で利用者の皆様に還元したということで、制約を受けながらも自主的な運用によって大いに利用者に還元ができるという形の実績はもう既に持っておるわけでございますから、郵貯においてもぜひ一部自主運用によってそういった預貯金者に利益を還元したいというのが偽らない心境でございます。
  110. 柄谷道一

    柄谷道一君 郵便貯金の残高約八十五兆円、しかしこれは大蔵理財の関係になるんですけれども、その運用先であります財投機関には、国鉄、林野事業など実態的には償還の見通しがつかないというのが多いわけです。貸借対照表からは確かに数字ははじき出せますけれども、これはいわゆる不良資産と民間では言うべき部類に属すると思うんです。  そこで、大臣は、貯金者の預金払い戻しの安全性の担保、確保という点についてどうお考えでございますか。
  111. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 郵貯は国がお預かりしておるのでありまして、証書一枚にも私、したがいまして郵便貯金法によってその払い戻しは国が保証しておるということになりますので、その点は決して預金者に御迷惑をかけるものではないということでございます。
  112. 柄谷道一

    柄谷道一君 ということは、おれらは金を集めるのだ、貸し出しは大蔵省だ、しかもその全体の担保は国で行っているのだ、郵政大臣、これは逃げておられるのじゃないですか、甚だ失礼な質問ですが。
  113. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 法的な根拠なり国が責任を持っておる、そういった面については担当の局長から答弁をさせますけれども、国が預金者に対して絶対の保証をしておるということで、たとえこの運用の貸出先が国鉄であれ、国鉄の場合、今非常に巌しい財政危機に立っておる。いわば民間金融からいうと一つの焦げつきのような状態になっておる。不良貸出先をたくさん持っておる形において郵貯が主要なる財投の原資であるということからいえば、おまえらの貸出先というのは全く回収のめどの立たないようなところばかりじゃないかという御指摘であろうかと思います。  もちろん、そういった企業の面において今国鉄が厳しい財政状況下にあることも事実でございますけれども、しかしこれはあくまでも国が、大蔵省が運用の責任を持って貸し出しておるわけでございまして、郵便貯金の方は貸し出した原資をあくまでも国の運用に任しておる、要するに相対責任というのは国にあるわけでございます。郵政大臣としては郵貯の預金者を絶対的に保護していく、財投の運用先がどうあれ、ともかく国が第一番に優先の形で郵貯の資金担保はしてもらわなきゃいかぬということになると思います。したがって、預金者には絶対に御迷惑をかけないということだろうと思います。
  114. 柄谷道一

    柄谷道一君 これ以上申し上げませんけれども、預金者に対して直接の責任を持っておられるのはやはり郵政大臣です。したがって、国鉄の再建、林野の再建、この問題についても、おれは郵政大臣だからという立場を越えて、何も私はそういうところへ貸し出してはいかぬと言っているのじゃないですよ。これらの投資先そのものの体質が改善されてこれが永遠に焦げつきにならないというためにも、もっと建設的かつ積極的な意見の反映というものが郵政大臣としてなされるべきであり、またそういう姿勢で閣内で御努力されるべきではなかろうか、こう思っておるわけでございます。この点は、ひとつ私の意見として申し上げておきたいと存じます。  次に、簡易生命保険事業についてお伺いいたしますが、この制度が大正五年に発足しまして以来の沿革につきましては時間の関係で省略をいたしたい。ただ、現在では民間生命保険との競合の時代に入っているということだけは明らかな事実であろうと思うわけでございます。昭和五十六年度末で資金量シェアの三四・四%を簡易保険が占めまして、生命保険市場で大きなウェートを占めておるわけでございますが、既に五十七年七月時点で生命保険の世帯当たり加入率は九二・三%の率に達しまして、一種の飽和状態があらわれてきているのではないかとも読み取れるわけでございます。  そこで、簡保年金資金につきましては自主運用が一部認められておりますけれども、財政状況見通しについて、細かな数字は結構でございますので、概略明らかにしていただきたい。
  115. 奥田量三

    政府委員奥田量三君) 簡易保険事業の経営状況でございますが、おかげさまで当面着実な推移を示しておりまして、先ほど大臣お答えいたしましたとおり、今年度におきましても配当金の増額を行うことといたしましたし、また本年の九月から保険料の引き下げも可能な状態になっております。  しかしながら、最近における新契約の伸び方についてこれを見ますと、五—七年前に比べますと、いわゆる経済の状況の反映としての可処分所得の伸び悩みということもございましょうか、若干新契約の伸び方が頭打ちの兆候を示しているということも事実でございまして、今後簡易保険といたしましては、その点に十分留意しながら一層経営の効率化、合理化に努めるとともに、加入の限度額引き上げ制度の改善にも努力し、かつまた資金運用の向上、これについても努力してまいらなければならないと考えているところでございます。
  116. 柄谷道一

    柄谷道一君 端的に伺いますが、公的年金の不足分を自助努力で補うという視点に立って、郵便年金商品についてさらに、バリエーションを加えるお考えは現在お持ちでございましょうか。
  117. 奥田量三

    政府委員奥田量三君) 郵便年金につきましては、昭和五十六年の秋から従来の郵便年金にいろいろと工夫を加えまして、年金逓増制あるいはまた配当金による積み増し例というふうな新しい工夫を加味いたしまして、装いを新たに再出発したところでございます。  現在、再出発から三年足らずという状況でございまして、この間の普及状況は、件数にいたしまして約二十二万件ということでございまして、発足当初としてはそれなりの成果が上がっておりますけれども国民全体に対する普及率は極めて低いという状況でございますので、当面は現在のこの新しい郵便年金国民の方に理解し、利用していただくということに全力を挙げてまいりたい。その中で加入者の御要望あるいは需要というものを具体的に酌み取りながら、ただいま先生指摘の新しいバリエーション、例えば一つの課題といたしまして掛金一時払いの年金というふうなことも課題としては意識をいたしておりますが、これらの問題についていま少し時間をかけて検討してまいりたいと考えております。
  118. 柄谷道一

    柄谷道一君 簡易生命保険事業に関しましても、臨調は経営合理化と加入者福祉施設の見直しを具体的に提言いたしております。これに対して、どのように対処されますか。
  119. 奥田量三

    政府委員奥田量三君) ただいま御指摘のとおり、臨調の御答申の中で、簡易保険事業そのものの経営の合理化と加入諸福祉施設の見直しないし効率化という点についての御指摘がございました。  簡保事業そのものにつきましては、主として簡易保険におけるオンラインシステムによる総合機械化を中心として効率化を進めることといたしておりまして、現在既に集配普通局のオンライン化は完了いたしました。引き続いて集配特定局のオンライン化を進めているところでございまして、これにつきましては明昭和六十年度までに全国の集配特定局のオンライン化が完了する見込みでございます。  なお、このオンラインあるいはオフラインによる総合機械化の成果といたしまして、既にこれまでに約二千名の要員の節減が図られておりますが、ただいま申し上げました集配特定局の残余の部分のオンライン化によりまして、さらに数百名の要員の節減が可能になろうというふうに考えているところでございます。  また、加入者福祉施設につきましては、臨調答申の中で、一つは、会館、宿泊施設等の新設を原則として中止するようにという趣旨、また福祉施設の経営そのものを一層効率化するようにという点について言及されているわけでございますが、福祉施設の新設につきましては、昭和五十八年度、五十九年度、両年度の予算において新規の計画は計上いたしておりません。今後の福祉施設のあり方については、加入者の皆さんからは引き続き非常に強い要望もございますし、今後の扱いについて慎重に検討してまいりたいと考えております。  また、加入者福祉施設の経営の効率化につきましては、これはこれら施設の運営に当たっております簡易保険郵便年金福祉事業団の仕事でございますが、事業団といたしましても、従来から各種業務民間委託を積極的に行うなど経営の効率化に努めておりますが、今後とも私どもは同事業団に対しまして一層の合理化、効率化の努力を求めていく考えでございます。
  120. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は、今まで郵政事業について御質問をしてまいりましたけれども大臣を初めとする当局の努力というものは評価したいと思います。  ただ、三事業を取り巻く環境が従来になく厳しいし、また今後その厳しさは一層増していくであろうということだけは否定できない。しかも、臨調は官業としての郵便貯金簡易保険がいかにあるべきかということの見直しを求めておりまして、ただ競争だけで民間に打ちかっていこうということにもまた臨調の基本理念からすれば問題が出てくる。非常に今難しい曲がり角に郵政事業は直面していると言わざるを得ない、こう思うわけでございます。  そこで、今後郵政省が本腰を入れて経営、監査、診断という三つの充実と成果の公表、事業の弾力的運営、機構と要員の近代化、合理化等々を実践しようとする場合、やはりその前提、基盤になるべきものは労使関係の健全化、近代化であろう、こう思います。大臣の基本的な姿勢と決意を、この際、改めてお伺いしておきたい。
  121. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 三事業とも、いろいろな性格こそ違え、人力に極めて頼らなきゃいけない事業であることも事実でございます。しかし、従来ともすれば官営であるがゆえのぬるま湯に浸っておったという経営管理体制というものが、やはり今日臨調などからもある程度厳しい指弾を受けておる原因でもあろうかと思っております。しかし、今日の郵政の労使関係を一口で申しますと、非常に良好かつ安定的な関係にあることも事実でございます。そういった意味で、現在の人力依存度の多い三事業、その中にあってやっぱり労使関係の安定的な、友好的な労使関係の環境というのが大事でございます。職場環境ももちろん大事でございますし、こういったいい風潮の芽を大切に育てていきたいと願っておるところでござい ます。  したがって、先般来のいろいろな諸手当の問題等々におきましても、いろいろな形での不満も労組側にはあったかもしれませんけれども、いろいろな配置転換を含む大きな事業としての改革にも全面的に協力をしていただいておりますし、今後ともこのいい形の労使慣行というものを持続、さらに改善して双方の士気を鼓舞してまいりたいと思っております。労使問題は、まさに郵政事業そのものであると言っても過言ではないと思っております。
  122. 柄谷道一

    柄谷道一君 次に、電電公社民営化に関連して若干の御質問をいたしたいと思います。  この二法案は、別途法律案として提出されておりますから、深い議論はその際に行うことといたしたいと存じますが、私は、去る五月十七日、行管庁長官に対しましても質問したところでございますが、臨調の理念は、従来、公社に対する監督、規制が強過ぎて企業性を損ないがちであったことを鋭く指摘いたしました。政府の関与は必要最小限にとどめて、特殊会社が責任を持って事業の遂行に当たるということを基本といたしまして、当事者能力を高め、経営を効率化するというところに目標が置かれた、こう理解するわけでございます。  ところが、政府の原案を見ますと、役員人事に対する政府の関与は従来正副総裁であったものが、今度は取締役、監査役の全役員が郵政大臣の許可ということで、人事関与の面は逆に強化されております。また、予算や資金計画の取り扱いも法案上は明確にされておりません。したがって、その取り扱いや運営いかんによりましては従来の公社と何ら相違がなくなる、そして臨調の理念というものが生かされない、いわゆる看板のかけかえに終わるという危険すらあると思うわけでございます。  郵政大臣は、今提案されております政府二法案が臨調答申に忠実に沿ったものと理解されているわけですか。
  123. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 今度の電電改革三法案、これは公社が新会社に移行いたしましても、その中に盛られている基本的な方向は、やはり自主性を重んじて、そして企業の効率化、弾力化を図ることによってそのメリットを国民に還元していただこう、そのために新しい民間の企業の参入も含めて競争原理を働かしていただこう、究極はサービスの還元というものを国民にしていただきたいというのが願いでございます。  したがいまして、今、先生の御指摘のように、役員人事を含めて政府関与がむしろ厳しくなったのじゃないかという御指摘でございます。私ども、この法案策定に当たりましてまず一番先に考えたことは、臨調精神にのっとりまして政府の関与をできるだけ少なくするという方向で取り組みました。今例えば御指摘になったような人事の面でございますけれども、確かに現行の公社では総裁、副総裁に対する内閣の任命権が今度は役員の全部に網がかかった認可になったのはけしからぬというような御指摘ではなかったかと思います。しかし、あくまでも任命という形は、これは政府の、はっきりいたしまして、命令でございます。認可ということになりますと、向こうが能動的に企業体としてつくってきたのが適格か不適格かであるということを受け身で、不適格までいかなくてもその形を受け入れるということを前提に置いた上での認可でございますから、おのずと役員人事に対する関与というものはそれほど厳しくなっていないと思っております。  それはなぜか。特殊会社七つございますけれども、結局役員人事に網をかけている。しかも、その上に、日航のように今度は副社長なり代表権を持った役員に二重にチェックするというような会社もございますし、電電の場合、むしろ全役員が郵政大臣認可になっておりますけれども、あくまで企業体が独自に決めてきた形をこちらが受け入れるという形の認可条件でございますから、電電が既に三十二万の職員体制、五兆円という資産と言われておりますけれども、それは実態的にはもっともっと大きいものになると思いますが、しかもその形成の過程が国民協力というか国民資産とも言えるような資産形成の過程、しかも行う事業がそういった個人秘密、企業の機密を含む公共性の非常に高い企業であるということを考えれば、日本一の巨大企業であるという実態、果たしておる役割等々から考えれば、大臣のそういった許可事項というものだけを取り上げられていると、そういうことでございますけれども、私たちはあくまでも企業の自主性、効率性を尊重した上に立っての認可であるという点において、決してこの企業の性格からいったら厳しいものではないと思っております。臨調の方針にも全く合致しているものだと思っております。
  124. 柄谷道一

    柄谷道一君 資金運用、事業計画について。
  125. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 失礼いたしました。  資金運用の面においても、私の方は細かく投資に関しましては関与いたしません。  事業計画は、もちろん提出させます。事業計画よりもっと厳しく予算あるいはそういった形の面についても認可事項にしている特殊会社もございます。しかし、事業計画に関しての認可の制をとっております。もちろん、その背景には、予算等等にわたっても事業認可にまつわる前提条件として、それに関してもある程度の報告を受けることは当然でございます。これはなぜこういう形にするか。これだけの巨大性、これだけの投資力を持った会社がむしろこの電気通信分野あるいはこれに関連する分野の事業以外に何でもかんでもにやっていけるという体制になった場合にはこれは大変なことになりますから、そういった意味合いにおいて事業計画は、ほかのいろいろな業界からの希望もあります、そういった形において事業計画は認可条件といたしたわけでございます。  投資に関しては、投資は自由にいたしましたけれども、しかし事業計画の認可を通じてこれが余りルールを外さない、よって来る会社の沿革からいって、そういった形については厳しいモラルが必要だと思って認可条件といたした次第でございます。
  126. 柄谷道一

    柄谷道一君 この内容につきましては、大臣はそのように御理解になっていると思うんですが、我々の読み方からすればまだまだ多くの問題点がございますけれども、これはむしろ法案審査を通じまして議論すべき問題だと思いますから、きょうはこれ以上触れません。ただ、臨調のこの問題を直接扱われました第四部会長は、端的に言って、評していわく、採点六十点、臨調の理念からすれば六十点の点数しか上げられない、こう言っているわけです。  そこで、大臣は、当然法案を出されているわけですから、本国会の成立を期して全力を挙げたいし、また立法府の対応も期待しておられる、こう思うんですが、やはり六十点より七十点の方がいいわけであり、七十点より八十点がいいわけです。これは今後の審議を通じまして我々の意見に謙虚に耳を傾けまして必要な修正には応ずる、それだけの弾力性をお持ちでございますか。
  127. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) ただいまこの三法案は、政府が現在の段階において最良という形で御提出申し上げたものでございます。しかも、この法案の中には、事業法案が三年、会社法案に関しては五年の見直し規定を盛っておるという形において現在の時点において最上、しかし今後、この法案を成立さしていただいて、運営した後にまたいろいろなそういった環境面の変化あるいは経済情勢等々の中で、果たして競争原理が的確に動いたか否かというような問題等も含めて見直し規定が設けられておることも事実でございます。  そういう意味合いにおいて、現時点において提出申し上げた法案は私たちとしては最良の法案と信じて御審議願うということでございますが、あくまでも百年に一度の改革法案と言われるくらいの重要な国の神経系統に当たる、しかもこういったいろいろな企業機密、個人秘密を含めて通信という一つの根幹に触れる事業の改革案でもございますので、慎重に御審議を願い、その過程の中でその御批判にたえ得られないところがあるとすれば、やはりここは慎重に御審議を願った上で私としてはいろいろな決断もしていかなきゃならぬと思っておる次第でございます。
  128. 柄谷道一

    柄谷道一君 今の段階で大臣にこれ以上の答弁を求めることは無理だと思いますけれども、しかしやはり野党の問題提起にも、それが建設的なものであり、より臨調の理念に沿うというものであれば謙虚にこれを受け入れていくという、そういう基本姿勢だけは必要であるし、その場面に直面しましたときにまた大臣もそういう姿勢で対応願いたい、これは強く希望いたしておきます。  そこで、この電気通信事業法をめぐりまして郵政、通産両省の間にいささか争いがございましたが、これは明らかに権限争いではなかったか、私はこう思うわけでございます。そういう批判は別として、通産省は情報処理業を所管するということでございますけれども、私は、通信事業者ではないにしても、通信回線を利用するという面からは通信政策の対象になるものだと思うわけでございます。アメリカのFCC、すなわち連邦通信委員会考え方をいろいろ資料を取り寄せてアメリカの実態をいろいろ勉強してみますと、「第二次裁定によるFCC規則の修正」という中に多くのことが書いてありますが、その結論的なものは、「「高度サービスについて、一切の規制を排除し、自由な活動を認めた」ものではなく、通信秘密、緊急時の特別措置等の規制は、通信事業者として当然に乗せられている。」、「高度サービスに関し、FCCは管轄権を有する。」、「高度サービスに関し問題が生じた場合、FCCはその管轄権を発動し、介入する。」という、大激論の上、アメリカではその理念を一応確立いたしておるわけでございます。  私は、郵政省通信事業の主管庁であるという立場をもっと明確にすべきではないか、こう思うのでございますが、いかがでございますか。
  129. 小山森也

    政府委員(小山森也君) お説のとおりに、FCCはそのような裁定を下しております。我が国の通信放送の今度の提案の中でございますが、確かに情報処理、これは通産省でございますけれども、情報処理を通信回線で行いますデータ通信、いわゆるデータ通信という言葉であらわされるものにつきましては電気通信事業法におきましても電気通信としてとらえておりまして、御指摘のように、当然ながら我が国においても通信政策の対象となるもの、このように規定いたしております。  ただ、この問題は、この法案の第二条に定義してございますように、電気通信事業としてデータ通信をとらえておりますけれども電気通信事業者としての規律の問題でございますけれども、これについては通信秘密の保護というような義務規定、これはこの法律によって規制されますけれども、そのほかの電気通信事業者としてのとらえ方は通信秘密の保護以外はしていないわけでございます。すなわち、データ通信事業通信政策の枠内であるけれども、今回の電気通信事業法の中では通信秘密の保護以外については適用除外をしているというのが今回の電気通信事業法の内容になっております。  なお、これにつきましては、従来からも、公衆電気通信法の現在におきましてもこれは通信事業としてとらえておりまして、したがいまして、いろいろデータ通信のネットワークにおける推奨通信方式であるとか、暗号化手法の開発であるとか、国際間データ流通や国内データ通信の実態調査というものは現に郵政省で行っている次第でございます。
  130. 柄谷道一

    柄谷道一君 電気通信事業にこれから民間の参入がある。例えば民間通信衛星事業が今後開始されるということになりますと、通信政策と電波政策を一元的に推進する必要が生まれてくると思うわけです。私は、これはそう遠いことではないわけですから、こういう事態に備えて体制づくりを行っていくということは極めて必要ではないか、またこのための総合的なビジョンというものを明らかにする必要があるのではないか、こう思いますが、いかがでございましょうか。
  131. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 今回の機構改革に伴う案件でございますので、そういった問題に不備な点があればまた担当の政府委員から補足説明させるということにいたしまして、今まさに先生が御指摘いただいたような情勢にあるという認識に立って今回、今までは電気通信、有線、無線という体系の中で電気通信電波監理局という二局体制でございました。これは全く有線と無線だけの区別の行政区画でございましたけれども、今回政令で七月一日から施行いたそうというのは、これを三局体制に変えまして、そして今言われた宇宙通信、そして地上回線を利用するそういった電気通信、まさにこれらが融合一体化していくところに新しい通信政策の時代が参るものでございますから、今回は放送行政と電気通信電気通信の中には有線、無線電波、そういった機構改革、そしてそれをグローバルな形で全体を見守っていく通信政策という三局体制に移行しようといたしておるわけで、先生の御指摘のとおりに、今まさにそういった機構改革をやっておることは事実でございます。
  132. 柄谷道一

    柄谷道一君 時間が参りましたので、最後の質問にいたしたいと思うんですが、今、大臣申されましたように、従来有線、無線に分けまして、それぞれ電政局及び電監局が通信政策等の行政と許認可をあわせ取り扱っていたという体制を、七月一日から通信政策局が有線、無線一体の政策活動を担当して、電気通信局と放送行政局が許認可等のいわゆる行政を預かる、そのように内局を再編成するわけでございますが、そのメリットについて再度お伺いいたしたいと同時に、今度は人事局を廃止して官房のもとに置かれるわけです。このことによって、人事管理、労使関係の改善等の面で後退するおそれがないのか、あわせてお伺いいたしまして、質問を終わります。
  133. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 先ほど大臣答弁申し上げましたように、戦後の電気通信行政機構は、幾多の曲折がありましたけれども、基本的には有線、無線の区別による機構を踏襲してまいりました。  ところが、先ほど来先生からも御指摘ありましたように、宇宙通信のみならず、VANあるいはニューメディア等新しい電気通信技術の発達に伴いまして有・無線の区別、境界自体が急速に消失しつつございます。そのような時代になりますと、有線、無線を行政客体とする行政自体が無意味になってまいっております。片やまた、これも先ほど先生が申されましたように、新しい電気通信事業法が国会で成立させていただきました暁には電気通信事業分野に競争原理が導入されまして、これまでのように単一の公衆電気通信事業独占しておりました公社あるいはKDDといったような単一の事業体を相手にした行政そのものが意味を失ってまいります。それやこれやを考え合わせまして、この際、臨調の言葉によれば、変化への対応並びに効率的かつ簡素な行政機構への改編という二つの目的を達成するために今回の内部部局の再編成を考えたわけでございます。したがいまして、そのメリットと申しますのは、一言で申し上げますと、新しい行政需要に対応する時代の新しい行政への対応措置であるということでございます。  また、これに伴いまして、本省内部部局だけではもちろん対応できなくなりますので、新しい電気通信事業法の中におきまして、地方における行政機椎、つまりこれまで電波監理局という名称でございましたけれども、これを地方電気通信監理局という名称に改めまして、名実ともに新時代に対応し得る地方行政機構をも来年四月一日を期して発足させることを考えております。  なお、そのことが、政策部門と許認可部門を分離することによって若干問題があるのではないかというふうな御指摘かとも思いましたけれども、これは今日のような複雑多岐にわたる行政態様になってまいりました場合には、郵政省のみならず、運輸行政におきましても運輸政策局を基本的な交通政策の担当する局とし、その下に貨物流通局と地域交通局を置く、私どもと同じような政策と許認可の部門を分離する方向でございます。これが臨調の目指す精神であろうというふうに考えているところでございます。  最後に、先生が、人事局が官房人事部に改組されることによりまして職員の労働意欲、勤労意欲に支障を来すのではないかというような御懸念が表明されましたけれども、先ほど大臣がるる申されましたように、三十万の職員を擁する事業体で郵政事業が成り立っており、この職員の勤労意欲がいささかでも欠けるようなことがありますとお客様へのサービスの低下にもつながりますし、事業に対する信用の失墜にも結びつくものであることは私ども十分承知しておりますので、官房人事部の中に人事局が吸収されますけれども、従来どおり人事、労務、職員管理、訓練、福利厚生等等広い意味での人事行政につきましては遺憾なきを期してまいりたいというふうに考えております。
  134. 木本平八郎

    木本平八郎君 まず最初にお伺いしたいのは、今度のこの法案の骨子になっております地方郵政局内に地方貯金局及び地方簡易保険局を統合するというふうになっておりますけれども、これのメリットというか、具体的にどういう効果を求めておやりになるのか。ということは、こういう簡単なことでも相当省内では議論されたと思うんです。その結果こういう法案を出してこられたと思うんですけれども、その辺の背景というか、表面的なことじゃなくて、相当突っ込んだ議論があったと思いますので、その辺ちょっとお伺いしたいんですが。
  135. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 今回御提案申し上げております郵政省設置法の内容といたしまして、これまで本省直轄のもとに独立した地方支分部局でございました地方貯金局と地方簡易保険局を郵政局の傘下に入れまして、貯金事務センター、簡易保険事務センターという機構に改組することにしておりますが、ここに至りますまでの過程におきまして、先生申されましたように、真剣な、かつ長期にわたる検討が繰り返されたことは事実でございます。  その一番大きな論点でございましたのは、貯金局及び保険局、それぞれ非常に長い歴史を有し、かつ成立した背景並びに業務の性格が必ずしも地方郵政局がこれまで所掌していた事務と一致しない、これが果たして円滑に地方郵政局の組織下に入り得るかどうかというところが一番問題であったわけでございます。  しかしながら、地方分権の時代でもございますし、かつ、先ほども申し上げました変化への対応とそれから簡素にして効率的な行政機構を考える上には、何とか工夫して中央における行政組織を極力スリムなものにしたいということで、いろいろ知恵を絞りまして、臨調にもヒアリングの際にそういった点について御説明申し上げました結果、普通の統廃合とはいささか形の違った形態ではございますけれども、本省の仕事の一部をひとまず全部地方郵政局にゆだねる、つまり地方郵政局を第一次地方文分部局として位置づけまして、さらにそれにぶら下がる形で、その一部を貯金事務センター並びに保険事務センターに委譲する形で第二次地方文分部局として両局を位置づけるという今回の改正案が出てきたのでございます。それによりまして、地方郵政局を中心とした業務の一元的、一体的な試行体制が確立されるということが最大のメリットであろうかと存ずる次第でございます。
  136. 木本平八郎

    木本平八郎君 その地方分権というのは非常に結構なんですけれども、それで相当大幅に権限を委譲するというふうにお聞きしたんですけれども、人事その他がどうなっているかということと、それに伴って、それなら当然本省の方の機構も相当縮小されていいのじゃないか、仕事が向こうへ行くわけですから。ところが、本省の方は課を少しいじくるだけです。これはその地方の何が変わると管轄が変わりますから、それは多少課ベースで当然変更があると思うんですけれども、今の御答弁を聞いている範囲では、もっと大幅に本省の方の機構改革があっていいのじゃないかと思いますけれども、その辺はどういうふうにお考えですか。
  137. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 今回の改正によりまして、地方に大幅に事務委譲、権限委譲いたしました結果、本省における仕事の質が変わってまいったところでございます。先生の御質問も、それならば本省の貯金局なり保険局の組織改正は余りドラスチックなものではないではないかという御指摘だろうと思いますけれども、確かに表面上の局並びに課をとりますとそのように見えるかもしれませんけれども、実態的にはかなり変わったものになっております。  つまり、本省は、今回の改正によりまして、政策立案、企画調整部門、経営管理といったようなものにほとんど専念する。したがって、地方における実際のお客様との接点である郵便局の事務並びにその後方事務であります貯金事務センター、保険事務センターに対する指導、監督等は挙げて郵政局にゆだねる。つまり、現場管理は郵政局にほとんどゆだねてしまう。本省の最高方針を受けて、地方郵政局がそれぞれの管内に一番適した方策を模索してそれをアダプトしていただくというようなふうに転換したわけでございます。したがって、本省の課の名称も、今までにない営業課とかあるいは経営企画課といったような民間の手法を片方で導入しながら、かつ経営管理部門を強化するようなものに多少衣がえしているところでございます。
  138. 木本平八郎

    木本平八郎君 そうすると、かねて臨調なんかも言われていまして、懸案だった、郵政省が現業部門から後退していると言ったらおかしいんですけれども、政策官庁に非常に大きく転換していっている。これはなかなか簡単にはいかないでしょうけれども、例えばタンカーが方向を変えるように、大きくずっと回っていっているというふうに理解してよろしゅうございますか。
  139. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 郵政事業は、国営形態として一元的に、一体的に運営するところに最大のメリットもございますし、お客様方に十全なサービス提供できるのも、一にかかってその三事業の一体的運営があるからでございます。したがって、国営による一体的運営というものは今後とも堅持すべきであろうと思っておりますし、臨調におきましてもそのような結論をいただいておるところでございます。  ただ、その中における事務の配分につきましては、本省という中央組織は極力、政策、企画調整部門に徹し、中間管理機構としての郵政局に現業第一線の指導はゆだねるという形で事務の再配分を行ったというふうに御理解いただきたいと思います。
  140. 木本平八郎

    木本平八郎君 そうすると、いわゆるプロフィットセンター的な利益責任というのは、今までは本省の郵務局長とか貯金局長、そういった方がお持ちだったわけですね。今度は地方郵政局長がそういう責任を大幅に持つというふうに解釈していいですか。
  141. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 組織の改編と並行いたしまして、先ほど柄谷先生も御指摘になりましたけれども、経営成果の公表並びに新しい業務成果の分析方法等も検討するように臨調で御指摘をいただいております。  したがいまして、五十九年度から新しい地方に権限を委譲した場合における経営管理手法並びに原価分析手法を、民間のさる非常に著名なシンクタンクと共同いたしまして目下開発中でございます。NIPAというアメリカのATTで開発されました一番最新の手法等も勉強しながら今私ども考究しているところでございますが、何しろ全国的に一元的に画一的なサービスをあまねく供給するという使命を持っておりますので、そのようなナショナルネットワークの責任と、それから地方における分権とをどう組み合わせるかということがこれからの私どもの経営管理手法の一番のポイントだというふうに認識しております。また、六十年度におきましても、その勉強を続けていくつもりでございます。
  142. 木本平八郎

    木本平八郎君 ちょっとかみ合わないというか、私の発想が非常に民間的なんでおわかりにならないかもしれませんけれども、要するに支店長に責任を持たせているのか、本社の事業部長が責任を持っているかということなんです。それで、今まではやはり本省の方で相当責任を持っておられた。ところが、今回は地方に責任がいったというふうにさっきおっしゃったわけです。そうすると、もうからなかったとか大きく損をしたということですね。  今シンクタンクをお使いになるというのは、またその辺もお聞きしたいんですけれども、一体どなたの責任でお使いになるのかということです。まさか大臣の責任だとはおっしゃらないでしょうね、こういう程度のことは。どなたがそれじゃそのシンクタンクの意見を採用してやるか。やった結果については当然採用された方が責任を持たなきゃいかぬわけです。その辺の責任の所在が今までと同じなら同じで結構なんです。変わったのなら変わった、どういうふうに変わったかということをお伺いしたいわけです。
  143. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 郵政事業の各経営単位は郵便局でございます。二千人以上を擁する中央郵便局でありましょうと、山間僻地の二人局の郵便局でありましょうと、経営単位はすべて郵便局でございますので、経営単位としての最高責任は郵便局長が持っております。  ところが、余りにもその規模が違い過ぎますし、先ほど私が申し上げましたように、郵政事業というのはいずれも全国画一事業でございますので、ある郵便局で預け入れをして、それをよその郵便局で払い出しをされる、その帰属をどちらにどのように配賦するかというようなことは非常に専門的かつ高度の経営分析手法になってまいるわけです。今度地方に権限を委譲いたしましたけれども、権限と責任というものはもちろん表裏一体でなければなりませんので、その権限を委譲しただけで、責任が伴わなければ意味がない。したがって、新しい時代における経営単位責任というものをどのような形で計算したならばその経営成果が一番はっきりするかということを今考究中であるということでございます。  と申し上げますのは、一番端的な例で申し上げますと、人件費というのは、幾らそこの郵便局長が逆立ちしても人件費を上げたり下げたりすることはできないわけです。そういったことをどういう形で各局長に配賦したならばその局長ごとの経営成果が出るか、各支店長ごとの成果が出るかということを確定するのがまず先決だ、こういうことでございます。
  144. 木本平八郎

    木本平八郎君 それは、どなたがそれを決められるんですか。まず先決だとおっしゃったけれども、どなたなんですか。地方の郵政局長ですか、それとも本省の局長さんですか。
  145. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 最終的には大臣権限でございますけれども、もちろん大臣の権限を財務会計面から所掌しておりますのは官房経理部長でございますので、官房経理部の方で今その勉強並びに調査研究をしているということでございます。
  146. 木本平八郎

    木本平八郎君 私、官庁の機構というのはよくわからないんですけれども、私が今申し上げているのは、先ほどの郵務局長ですか、貯金局長、それと今度の地方郵政局長ですね、今までの地方郵政局長と新しい機構の郵政局長というのは権限その他責任が違うのかどうか、その辺ちょっとまずお聞きしたいんですが。
  147. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 今回の設置法の改正によりまして、本省の権限が委譲され、また地方貯金局、保険局がこれまで本省直轄でありましたものを下におろしたわけでありますから、当然その部分が違ってきておるわけでございます。
  148. 木本平八郎

    木本平八郎君 詰められていないのなら詰められていないで結構ですから、余り今のような議論を繰り返していますと、また審議ストップだとかなんとかになりかねないから、私そういうことは趣味じゃないからやりませんけれども、わからなきゃわからないで、もうそこで、まだ詰めていないとかやっていないとか言っていただけばいいんです。  私が今申し上げているのは、やはりこれは一つの行革の一環で、行革というのは、いろいろなことをいらう前に、精神的というか、物の考え方とか、やり方の変換というのはあると思うんですよ、これは後で相当その辺申し上げたいと思うんですけれども。確かに、人間というのは洋服をちゃんと着ていると精神的にもしゃんとするという、形から入っていくという面がありますから、もちろんそれはいいんですけれども。  今のことで、私、これは議論していてもしようがないから私の意見を申し上げますと、やはり今までのプロフィットセンターの利益責任が当然本省の局長にあったと思うんです。これがやっぱり今回は大幅に地方の郵政局長にいっているのじゃないか。また、いかないと一元的な運営できないと思うんです。ということは、従来の地方の局長さんたちおられるし、その下のずっとおるわけです。長い間組織がやってまいりますと、おのおの、変な話ですけれども、閥みたいのがあるわけですし、なかなかそう簡単にぱっと一緒にならない。それをやっぱりコントロールしていくには、きちっとしたそういう一つの責任と権限を持ってコントロールしなきゃいかぬ。今までのように、ただ単にやっただけではうまくいかない。  逆に、私が非常に恐れるのはそこなんです。名前は変わって、いかにもそういうふうにヒエラルキーができたようだけれども、内部の意識改革が全然できていないとかえってマイナスになっちゃうんです。その辺を今回どういうふうにお詰めになったのか。私、これは率直に申し上げて、多分官庁とかお役人の方はそういうことは余りお考えにならないだろうと思うんです。私のように民間におりますと、もうけなきゃいかぬということがあるから、すぐそういうことを考えるわけですけれども、その辺をぜひとも今後詰めていっていただきたいと思うし、まだまだこの程度のことでは、後で申し上げますけれども郵政の現業部門というのはこれからの競争場裏で大変だと思うんです。その辺のことがありますので、まず、しつこくお聞きしたわけです。  その次に、ちょっと実は官業でこういう郵政事業をやっていかれるということのそのメリットがどこにあるのかということです。その辺について少しお聞きしたいんですけれども、一度にお聞きしても何ですから、分けまして、まず簡易保険のことについてお聞きしたいんですけれども局長さん、昔のことは御存じないと思いますけれども簡易保険というのは大正五年ですね、スタートしているのは。その時分は一体どうして官業でこういう保険をやらなきゃいけなかったのだろうか。その時分にも民間生命保険というのがあったはずです。それにもかかわらず、わざわざ官業でこういうものをやろうということになったそのいきさつというか、背景というか、その辺おわかりになっている範囲でちょっと教えてほしいんですが。
  149. 奥田量三

    政府委員奥田量三君) ただいま詳しい資料を持ち合わせておりませんので、私の記憶している限りであらまし申し上げさせていただきますが、簡易保険はただいま御指摘のように大正五年に創業されたわけでございます。  それ以前、明治時代から大正の初めを通じまして、民営の生命保険が既に営まれてはいたわけでございますけれども、明治時代においてはどちらかといえば大きい保険が主体でありました。また、店舗その他の普及も少ないというようなことから、いわゆる庶民と申しますか、一般市民の方方の手の届く生命保険というものが必ずしも普及していなかったというような事情があったかと思います。そこで、そういう状況に対応するために、国営の、非営利で、そしてまた手続あるいは保険料の払い込み等の簡便な保険ということで簡易生命保険が創業をされたというふうに承知いたしております。  その後、戦前にかけまして簡易保険はそれなりの成長を遂げてきたわけでございますが、戦後、特に終戦直後のインフレ等の混乱の中で、簡易保険もそうでございましたが、民間生命保険もいわばインフレに極めて弱い性質の仕事でございますので、経営上の困難を来す。そういう状況の中で民間の保険の方からの強い御要望がありまして、それまで基本的には簡易保険独占でありました無診査保険の分野にも民間保険が進出をされる。そういうふうないわば簡易保険独占廃止という、法律改正が行われまして、それによりまして、以後無診査保険の分野においては民間の保険、簡易保険相ともに国民一般の保険需要にこたえるという形で今日に至っているというふうに承知いたしております。
  150. 木本平八郎

    木本平八郎君 それでちょっと簡易保険の話を進める前に、六月の十九日付の新聞に出ていたんですけれども、九月一日から簡易保険料の引き下げ、平均八・六%引き下げるということが言われていますけれども、これは一体どういういきさつがあったのか。まだ私ちょっと勉強していないので、新聞しかわからないんですけれども、例えばほかの民間生命保険との競争条件を有利にするために下げるとか、少々保険が伸び悩んでいるのでこの辺でばっと契約量をふやすとか、いろいろな思惑があったと思うんですけれども、その辺のいきさつをちょっと教えてほしいんですが。
  151. 奥田量三

    政府委員奥田量三君) これは必ずしも簡易保険だけではなく民間の生保においても同様であると承知いたしておりますが、いわゆる生命保険料を計算する基礎となりますものは加入者の死亡率が一つございます。それからお預かりした積立金の運用利回り、レートの問題がございます。それからいま一つは、契約の募集あるいは集金あるいは保険金の支払い等に要する事務経費。この三つの要素から保険料はなっているわけでございます。これらの要素につきまして、簡易保険におきましても、また民間生命保険におきましても絶えず見直しを行っているわけでございます。  簡易保険の例で申しますと、最近では五年前の昭和五十四年、その前はまた五年前の昭和四十九年という時点におきまして、ただいま申し上げたような要素の見直しを行い、それによってこの保険料の改定、具体的には引き下げを行ってきたという状況がございます。民間生保におかれても大体似たような仕組みで、簡易保険の保険料引き下げのしばらく後で同じような見直し、したがって保険料の引き下げということをやってこられたという経緯がございます。  今回決定いたしました保険料の引き下げも全く同じ考え方から出ているものでございまして、まず死亡率につきまして私ども五年前と引き比べて調査いたしましたところ、男女ともにそれぞれ二ないし三歳の平均寿命の伸びが見られます。また、資金の利回りを幾らと見て保険料をはじくか、これを予定利率と申しますが、これにつきましても、現在適用している予定利率よりも最近の運用状況にかんがみてこれを引き上げることが可能であると判断いたしました。それに加えまして、事務経費についても所要の手直しをし、新しくはじき直した保険料を九月から適用する、こういうふうに決定した次第でございます。
  152. 木本平八郎

    木本平八郎君 消費者としては非常にうれしい話で、今後ともどんどん下げていただきたいんです。私、率直に言って、日本の保険料は外国に比べて高いのじゃないかという印象があるんです。これは実際数字を調べたわけじゃないですけれども、どうもそういう感じがしていたので、今後ともどんどん下げていただきたいと思うんですけれども。  大蔵省の保険の方にも来ていただいていると思うんですけれども、ちょっとお伺いしたいんですが、それで民間の生保も足並みをそろえて下げていただくということなら非常にありがたいんですけれども、私も民間生命保険の人たちの話を聞く時間がなかったんですけれども、みんながウイリング・ツーでフォローしていく、簡易保険、官業の保険にフォローしていくという状況なのかどうか、その辺、差し支えない範囲でちょっとお答えいただきたいんですが。
  153. 藤原和人

    説明員(藤原和人君) 結論的に申しまして、今回簡保が発表されました保険料の引き下げ、これを受けて民間保険会社がどういうふうにするかということにつきましては、まだ具体的なことが決まったというふうには私ども伺っておりません。  ただ、先ほど簡保局長がおっしゃいましたとおり、繰り返しになりまして恐縮でございますが、民間の保険料といいますのは三つの要素から決まっておりまして……
  154. 高平公友

    委員長高平公友君) 保険課長、ちょっともう少し声を大きくしてください。
  155. 藤原和人

    説明員(藤原和人君) 死亡率と、それから予定事業費率と、それから予定利率という三つの要素で保険料を決めておりまして、そこである一定の予測をして保険料をとるわけでございますが、そしてお預かりした保険料はいわゆる運用をいたしまして、安全、確実、できるだけ有利に運用するということで、その結果は配当という形で契約者にお返しをする。したがって、最初の保険料がございまして、それがまたその配当を加えて実質保険料という格好になるわけでございますが、生命保険各社とも経営の努力をいたしまして大変競争が厳しい状況にございますので、表定保険料につきましても戦後八回引き下げを行ってきております。また、配当につきましても、剰余が生じれば増配をするというようなことでやってきております。ただ、今回の簡保の低料につきましてどうするかということは、冒頭申し上げたとおり、まだ決まっていない、こういうことでございます。
  156. 木本平八郎

    木本平八郎君 過去八回とおっしゃいましたけれども、その八回の値上げのときのいつもリーダーは官業だったのか、それとも民保の方がリードしたこともあるというのか、その辺どちらか、おわかりになっている範囲でお開きしたいんですが。
  157. 奥田量三

    政府委員奥田量三君) 古い過去のことについては、申しわけございません、ただいま承知いたしておりませんが、先ほど私が申し上げました昭和五十四年、そして昭和四十九年、この二回の保険料の引き下げについては、たしか簡易保険の引き下げのしばらく後に民間保険の引き下げが行われたと記憶しております。
  158. 木本平八郎

    木本平八郎君 そういう状況なら非常にありがたいので、今後ともどんどんひとつリーダー役をやっていただいて下げていただきたいと思うんです。  そこで、ただ私が非常に恐れるのは、やはり簡易保険の場合には非常に恵まれた経営条件のもとにあるわけです。それで、例えば局舎なんかの償却もしなくてもいいとか、税金も払わないとか、そういう点があるので、それに任せて余り暴れられると非常に秩序が乱れるのじゃないかという心配をするわけです。かつて私もそういうことをちょっと聞いたことがあるので、やはり官業ということでいろいろメリットもあるけれども、制約される面もある。それは皆さん方の方がよく御存じでしょうけれども、そういうところを、いわゆるオーダリーマーケティングというんですか、秩序ある範囲でやっていただきたいということなんです。  それから、先ほどの簡易保険が始まったときから、いわゆる今の月掛けで、無診査で、それから集金方式ということ、これはずっと昔から全然変わっていないわけですか。
  159. 奥田量三

    政府委員奥田量三君) ただいまのお尋ねにつきましては、細かい技術的な手直し等はあったかとも思いますが、基本的な無診査、月掛け、集金という性格については創業以来変更がないものと承知いたしております。  なお、一言お許しをいただきたいのでございますが、先ほど保険料の引き下げの時期の先後につきまして私申し上げましたうち、前回の昭和五十四年の引き下げについては簡易保険の方が先でございましたが、その前の四十九年につきましては、ちょっと今はっきりいたしませんところがございます。ほとんど同時か、あるいは簡易保険の方が少し後だったか、ちょっと記憶が定かでございませんので、恐縮でございますが、先ほどのお答えは取り消しにさせていただきまして、後ほど先生の方に御報告いたしたいと思います。
  160. 木本平八郎

    木本平八郎君 それで、簡易保険も、先ほどの同僚議員の話にもありましたように、資金シェアで三四・四%ですか、相当大きなシェアを占めて非常に強くなっているわけです。それで、十倍型特別養老保険ですか、こういう特別なものもやっておられる。これはやはり簡易保険独特の商品なんですか。それとも、一般にもやられているんですか。私、全然その辺よくわからないんですけれども。それで、これ以外に特別の商品というものがおありになるのかどうか、あとは民間の民保と同じなのか、商品の差、その辺はどうでしょう。
  161. 奥田量三

    政府委員奥田量三君) 簡易保険の種類をごく大まかに分類いたしますと、養老保険、終身保険、定期保険、特別養老保険、それからバリエーションといたしまして学資保険というようなものがございまして、それぞれの具体的な商品構成につきましては民間保険各社の間でも若干のバラエティーがございます。同じような意味において簡易保険民間保険の商品の間にもバラエティーがございますが、ごく大まかに分類しました今の保険種類という点については同じでございます。  なお、特に御指摘の十倍型の特別養老保険というものも簡易保険独特の商品ではございませんで、民間生保においても同じような保険商品が提供されているという状況でございます。  なお、一言つけ加えさせていただきたいと存じますが、ただいま簡易保険の資金量について伸びているという御指摘がございましたけれども生命保険伸びあるいは規模を見るにつきましては、資金量のほかに保有保険金額あるいは保有契約件数というような手法もございまして、それらについてここ二十年ばかりの長期的な傾向を見てみますと、保有保険金額、保有契約件数、いずれも簡易保険の生保全体の中に占める占率は、例えば件数につきましては昭和三十年代中ごろに約五〇%でありましたものが現在は十数%、それから保険金額につきましては二〇%台でありましたものが現在は七、八%というふうに残念ながら低下いたしております。ただ、資金量につきましては、先ほどおっしゃいましたように三十数%ということで、ほぼ同じ割合で推移いたしておりますが、これは簡易保険保有契約が主として貯蓄性の高い養老保険が主力であるということから出てくる特徴であるということを付言させていただきます。
  162. 木本平八郎

    木本平八郎君 そうすると、簡易保険について最後に一言だけちょっとお確かめしたいんですけれども、この簡易保険自身はいわゆる官業ではあるけれども十分にひとり立ちして経営的にも民間の生保なんかとは競争していける。先ほどのように、値下げのリーダーでもあるという非常に強い面もあるわけです。だから、十分に独立で競争力を持っているというふうに解釈してよろしゅうございますね。
  163. 奥田量三

    政府委員奥田量三君) 簡易保険は非営利の国営生命保険事業ということで、端的に申しまして、全国の採算の必ずしもとれないところまであまねくサービス提供する、あるいは保険金について加入の限度額という制限がある、あるいは資金運用の範囲につきましても、これはお客様からお預かりした積立金でありますが、同時に、公的性格ということから運用範囲についても一定の制約があるというような条件はございますけれども、その中でこれまで簡易保険としては精いっぱいの経営努力をいたしまして、事業費等についてもかなり低水準でやってまいっております。というような状況から、今後とも簡易保険としては私どもが新しい工夫と絶え間のない企業努力を続けるならば健全な経営を維持することができるであろう。そのために、加入限度額引き上げとか、資金運用範囲の改善でありますとか、そういった課題もございますけれども、そういうことによって健全な経営は維持することができる、またやってまいらなければならないと考えております。
  164. 木本平八郎

    木本平八郎君 それじゃ次に、郵便年金のことについてお伺いしたいんですが、先ほどと同じように、この年金というのはいつごろスタートしたのか私ちょっとわからないんですけれども、厚生年金だとか、国民年金とか、いろいろ個人年金もありますね。それに対して官業でこういう郵便年金というのをスタートされたという、その一つの背景というか、社会的ニーズというか、そういう点をちょっとお聞きしたいんですが。
  165. 奥田量三

    政府委員奥田量三君) 郵便年金は、大正十五年の創業でございます。簡易保険が大正五年の創業でございますが、簡易保険創業の当初から当時の先輩がいろいろ研究をいたしまして、大正十五年に創業されたという状況でございます。  その後、戦前におきましては簡易保険と相並んで順調な成長を遂げていたわけでございますが、戦後のインフレーションによりまして年金は特に深刻な危機に直面し、打撃を受けたわけでございます。その後、昭和五十六年に至りまして、次第に進展する高齢化社会、その中での国民自助努力必要性というようなことに着目いたしまして、年金につきまして年々一定の率で増加をし、かつまた配当金によってさらに年金額を積み増すというスタイルの年金創設いたしまして、以来三年近くの日時が経過している、こういう事情でございます。
  166. 木本平八郎

    木本平八郎君 大正十五年に公的年金がスタートしたというそのニーズというか、背景というか、そういう事情は民間にあったはずですね。それに対してどういうニーズがあったわけですか。
  167. 奥田量三

    政府委員奥田量三君) 恐縮でございますが、非常に細かくその辺を勉強しているわけじゃございませんが、恐らく先生指摘のように、大正十五年時点においても民間個人年金も存在したのではなかろうかと思います。しかしながら、恐らくそれは生命保険よりももっと普及は低いということであったかと、これは想像でございますけれども、申し上げさせていただきたいと思います。そういう状況の中で、基本的には簡易保険と同じように広く国民老後生活の安定を図るという目的でスタートしたものと考えております。
  168. 木本平八郎

    木本平八郎君 それで、先ほど同僚議員の質問に対して、今現在公的年金の存在理由というか、存在意義というものを老後の老齢年金その他の補完として、福祉としてよりいい生活をするためにということを言っておられましたけれども、それ以外に理由があったら教えてほしいということが一つ。  それから、そういう面は民間生命保険会社なんかでも今必死になってやっております。それに対して郵政省がこういう郵便年金でやっていかなきゃいかぬという、何か必然性というか、そういうふうなものがあるかどうか。逆に言えばずっと過去からやってきたので、それの惰性と言ったら何ですけれども、ずっと今行きがかり上というか、それを続けてやっているのだということなのか、それとも、いや今ここでこれはやめるわけにいかないのだという必然性があるのか、その辺どうでしょう。
  169. 奥田量三

    政府委員奥田量三君) まず、公的年金との関係につきましては、あるいは既にお答えしたかとも存じますが、公的年金といいますのは、厚生年金国民年金違いはございますけれども国民全体に老後のためのいわば基礎的な所得を確保するという意味の一種の強制年金であると考えております。その給付水準は、もちろん高ければ高いほどよろしいわけでございますけれども、財政事情あるいは成熟度、そういったいろんな問題からいたしまして、おのずから一定の水準にとどまらざるを得ないものと考えます。したがいまして、その余の必要部分について、国民の一人一人がいわゆる自助努力によりまして、できる限りみずからの老後の手当てをする必要がある、そのための手段提供するのが任意年金の役割であろうというふうに考えているわけでございます。  また、民間年金との関係について申しますと、昭和五十六年に郵便年金が先ほど申し上げましたように内容を改善いたしまして新しく発売いたします前後から、実はそれ以前の状態においては必ずしも任意年金普及民間においてもはかばかしくなかったと承知しておりますが、郵便年金が新しくスタートする前後から民間における個人年金普及状況も急激に伸びているというふうに承知しております。しかしながら、現時点におきましては、千人当たりの郵便年金普及率は一・数%という水準でございまして、今後の高齢化社会の進展等見ますと甚だ低い普及状況であろうというふうに考えております。  そういった意味で、この任意年金につきましては、民間郵便年金も相ともに国民の間に普及していくことが務めではなかろうかというふうに考えているわけでございます。
  170. 木本平八郎

    木本平八郎君 そのニーズはわかるんですけれども、仮定の質問になって恐縮ですが、今そういう必要性というのは、民間の生保がはやキャッチアップしてきているわけです。そういう状況にあって、今郵政省が仮にこの郵便年金というのをぴしゃっとやめたらどういう混乱が起こるとか、国全体としてどういう不都合があるだろうかという点はどうなんでしょう。
  171. 奥田量三

    政府委員奥田量三君) ただいま御指摘のように民間の任意年金も次第に普及してまいることと思いますが、何と申しましても、全国津々浦々あまねくところにサービスステーションを持っておりまして、簡便な手続、方法でこういった年金商品を提供できる、しかもそれを非営利のべースでやっていくという意味におきまして、これからのいわば日本年金構成全体の中で郵便年金が果たす役割というものは大きいのではないかというふうに考えているわけでございまして、そういった意味で私どもとしてはやめてしまったらというようなことについてはちょっと考えられない次第でございます。
  172. 木本平八郎

    木本平八郎君 それは考えられないと思いますけれども、やはりこういう事業をやっていかれるときには本当にこういうものが必要なのかどうかということを、公的であればあるほど常に反省していただかないといけないのじゃないかと思うんです。もうやめられないというふうに思い込みでやっておられると、後になってみて、今の行政改革やなんかと同じで、あっと気がついたときにはもうどうしようもないというところに行きかねないということを心配するわけです。  私が実はなぜこういうことを言うかといいますと、これは厚生年金のときに私これも非常に問題にしたんですけれども、現在ちまたで厚生年金は破綻するというルーマーがあるわけです、これは皆さん御存じだと思いますけれども。これはやはり民間の生保が自分の個人年金を売りたいためにそういうことを言っているわけです。それで、まず厚生省の対応も悪かったと思います。保険料がなんか上げたり、うまく合併させるので少し故意に、故意というか、数字を言わなくてもいいというふうに隠しておられた面もありますけれども、いずれにしても生保がそういうことを言って非常に不安をかき立てているわけです。だれが考えたって、もしも厚生年金だとか国民年金が払えなくなったら国が滅びるときですから、また政府はそういうことには絶対しちゃいかぬわけです。  それから、私はやはり政府が国民の必要な最低限のものを保障していくということだと思うんです。それ以上に、夫婦で海外旅行に老人になってから行きたいというふうなお話もありましたけれども、そんなのはやはり民間の生保会社個人保険か何かに任しておくべきじゃないか。政府がそこまでやることはないので、またやれっこないわけです。したがって、郵便年金というのも今おっしゃったようなそういう二ーズがなくて、むしろ例えば一番こわいのは、二十年、三十年後になって減価していくわけです。今の保険なんかでもそれが問題あるわけですけれども、例えば十万円もらえると思ったのが二十年後になったら全然足しにならない。そうすると何かだまされた、郵政省にだまされた、国にだまされたということがあるわけです。今厚生省が別にお考えになっている方はやはりこういうことなんです。インフレというか、物価スライド制でやっていこうということなんです。国としてはそうでなきゃいかぬと思うんです。インフレは起こしませんとおっしゃいますけれども、絶対に緩慢なインフレというのは避けられないわけですから、自由世界では。  そういう状況において、私、個人年金というのが将来国民をだましたということになるのじゃないかという心配があるわけです。したがって、やるとすればやはり物価スライド制とかなんとかということ、民間ではやれないものをお考えになる必要があるのじゃないかという気がするんですが、その辺はいかがでしょう。
  173. 奥田量三

    政府委員奥田量三君) 厚生年金国民年金等のいわゆる公的年金が崩壊するとかだめになるとか、そういうふうなことは私としてはにわかにそういうことはあり得ない、起こり得ないことであろうと考えております。  ただ、各種の調査等によりますと、大体老後の御夫婦二人の生活費として月々どれぐらいのものが必要であろうかという調査については幾つかの数字がございますが、最近の調査でございますと、十九万円とか、そういった数字が出ているわけでございまして、それに対して現在の厚生年金国民年金等の給付水準はかなり及ばないものであるということは十分御承知のとおりでございます。したがいまして、その不足する部分について国民皆さんそれぞれのお力でできるだけの老後の手当てをなさる、そのためのサービス提供が任意年金の仕事であろうというふうに考えます。  また、その際に、物価スライドの御指摘がございました。確かに、先ほど申し上げましたように、戦前の任意年金は戦後のインフレで大きな打撃を受けたわけでございまして、その辺の配慮も十分必要であろうかと思いますけれども、任意年金であります以上、一定の保険数理による計算に基づく給付以上のものはお約束ができないわけでございまして、そういう意味からいたしまして、私どもは直接物価スライドではございませんけれども、先ほど申し上げましたように、毎年一定の逓増をまずお約束し、その上に運用の改善によって上積みされた部分についてはさらに年金額を積み増す、そういうことによって極力長期の保証に耐え得るものとしての郵便年金を改めて新しく発売した次第でございます。
  174. 木本平八郎

    木本平八郎君 厚生省の方に来ていただいていると思うんですけれども、それでちょっとお聞きしたいんですが、今の回答で十九万円要る、十九万円か二十万円かわかりませんけれども、私がついこの間委員会で聞いたときは、厚生省としては必要なものはちゃんとやっていくのだということで計算もきちっと出しておられたと思うんです。それで、今の厚生省の計算では、個人年金ですね、郵便年金あるいは生保の年金の助けを得ないと生活の必需というか、ぜいたくは別ですよ、その辺の計算はどうなっているんですか。
  175. 渡辺修

    説明員(渡辺修君) 私ども郵政省が実施しておられます郵便年金は、木本先生指摘のように、民間生命保険会社等が販売しておりますいわゆる個人年金商品と本質的には同じものではないか。公的年金はいわば世代と世代の助け合いの仕組みでございまして、公的年金の場合には物価や賃金の変動がありましても、これに対応して年金の実質価値を維持し続けることができる、そこに公的年金の本質があろうかと思っております。  ただ、今申し上げましたように、現役の勤労世代が引退をされた老齢世代を全体として扶養するという仕組みでございますから、それぞれの世代間の適正なバランスをとるということが肝心なことだ、こう思っておりまして、やはり給付の水準にはおのずから限度があるのではないか。今私どもが国会に御提案をしております厚生年金の場合で申し上げますと、ごく標準的なケース、二十歳前後で就職をされて六十歳前後で引退をされると加入期間が四十年、これが将来は極めて普通のケースになると思われますけれども、そのケースで五十九年の平均的な賃金、これをもとに御提案申し上げている年金改正法の中の給付設計をもとに計算いたしますと、大体月額にいたしまして十七万六千円ぐらいの水準かなと、こういうことでございます。  ただ、個人個人によりましてそれぞれ老後の生活のニーズというものに違いがございますから、より豊かな老後生活をしたい、こういう方にありましては適宜個人年金、あるいはより広くは個人的な私的な貯蓄、さらには企業と勤労者が共同で育てていくべき企業年金、こういったものを活用される必要があろうか。それで公的年金を基盤にしつつそれをそのような私的な努力で補っていく、こういうあり方が望ましいのではないかと考えております。
  176. 木本平八郎

    木本平八郎君 そのとおりだと思うんです。  それで、この年金の問題はサラリーマンにとっては一番関心が高いわけです。私どもの方でいろいろ相談を受けたりなんかする機関をつくったんですけれども、そこでもこれはやかましく年金問題というのは、半分以上そういう相談なわけです。しかも、その中にやはり郵便年金に対しては非常に信頼感があるんです。それで、相談に来られる方の半分ぐらいはインフレヘッジができるというふうに錯覚を起こしておられるわけです。そういうやはり非常に錯覚を起こしやすい商品であるわけです。その辺を考えていただくということが一つと、今御説明を聞いていまして、何も無理して官業でやる必要はないのじゃないか、民間に任しておいてもいいのじゃないかと思うんです。ただ、やめるわけにいかないから続けるということは別問題ですけれども。  そういうことで、ただ一つ、私としては率直に申し上げて、政府が全然別の系統の年金をやっているということ自身がおかしいし、これは合併されて、両方をどこか統一的にコントロールしてやっていかれるのが本当じゃないかと思うんです。なかなか省がまたがると、我々が簡単だと思ってもできないでしょうけれども。しかし、やはりその辺は常に考え方をすり合わせていただいて、少なくともさっきおっしゃったように、それはないと思いますけれども、末端でもいわゆる勧誘したい一心で公的年金は破綻するからやっぱり個人年金でやっておいた方がいいなんというつまらないことが一切ないようにこれはしていただかないと、全体の混乱を起こすし、サラリーマンにとっては一番不安の材料になると思うんです。その辺で、どうなんですか、厚生省の厚生年金と打ち合わせられるということはあるんですか。今まで一回でもありましたか。それとも全然そういうことはなかったですか。
  177. 奥田量三

    政府委員奥田量三君) 同じ政府の中の一員としまして、公的年金状況や、それについての厚生省の考え方というようなものについては私どもも随時情報をいただきますし、また簡易保険郵便年金の情報についても必要なものは提供してまいっているということでございます。しかしながら、繰り返しになりますけれども、基礎的な強制年金とそれから自助努力による任意の年金ということからいたしまして性格も任務も異なるわけでございまして、これをにわかに合併するということについては私どもはなじまないものがあるというふうに考えている次第でございます。
  178. 木本平八郎

    木本平八郎君 時間がなくなってきましたので、少し郵便貯金のことについてもいろいろお聞きしようと思ったわけですが、私の考え方を述べますと、先ほどからできたときの背景とかニーズはどうだったかということをお聞きしているわけですけれども、それはできたときはそれなりのやっぱり意味があって生まれたわけです。ところが、何十年もたっていると、時代もどんどん変わってくるし、例えば民間の方もどんどんそういう商品ができてくるということで、何も官業でやらなくてもいいのじゃないかということがあるわけです。そういう点からいって、郵便貯金の方でも今あらゆる存立の理由というのがなくなってきているのじゃないかという気がするわけです。ただ、いわゆる局舎も要らない、税金も要らない、そういうことで非常に競争力があるということで、それはそういうものが先ほどのように保険料の値下げとかというふうな形でいくのは大賛成なんですけれども、その辺で常に見直していただきたいと思うわけです。  そこで、ちょっと郵便貯金について一つだけお聞きしたいのは、郵貯の外務員が相当動いているということなんですが、この外務員というのは三十一万人の中に含まれているのかどうかということが一つと、それからこの人たちは郵貯の仕事だけやっているのか、それとも簡易保険だとか、ほかの仕事もやっているのか、その辺はどうなんでしよう。
  179. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 郵貯の外務員は三十一万人という郵政事業の職員の数の中に入っておりまして、大概の場合は郵便貯金を専業といたしましてこれをやっている。ただ、小さな局などに行きますと、いろいろな業務を総合的な服務をしてやってもらうということはございます。
  180. 木本平八郎

    木本平八郎君 それで、実は私、決算委員会でサラ金問題をやったんですけれども、そのときに、ああいう状況になったというのは、要するに庶民金融というものがなかった、都市銀行その他がやらなかったわけです。やったけれども、間接だった。それからサラ金が出てきて非常に高い金利でやり出した。それで、今確かに法律では郵貯なんかの金はこれは全部運用部の資金に吸い上げられる、財政投融資に向かうということはいいんですけれども、こういうもので今郵貯では何かゆうゆうローンですか、それから進学の積み立てとか、そういうことをやっておられて極めて安全なものしかおやりになっていない。しかしながら、社会的な面で考えた場合に、公的なこういう金融機関がサラ金なんかにも出て、多少のリスクはあるでしょう、しかしこれだけもうかっているわけだから、そのくらいのリスクを負ってやっぱりやる。それで、民間の信用金庫だとか農協だとか、そういったところではやれないことをやるということに意味があるのじゃないかと思うんです。言ってもまずだめだとおっしゃるでしょうけれども、官業としてそういう必要性というふうなことはどうお考えになりますか。
  181. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) サラ金の成長が著しいということは、これはやはりこういったニーズに対する民間金融機関の対応が消極的であるということのあらわれであろうと思うわけであります。諸外国には非営利の貯蓄銀行というのがございます。これが個人の金融活動についての取引を行っているということで、諸外国ではそういった面がかなり緩和されているというふうに思われるわけです。日本の場合はやはり営利の金融機関だけであるということで、非営利の貯蓄機関というのは郵便貯金だけであるということでありまして、郵便貯金といたしましてもそういった個人の金融分野の充実という観点からいろいろ検討はいたしております。  実は、郵政省郵政事業についての審議機関といたしまして郵政審議会がございますが、そこからも答申が出ておりまして、今後個人の健全な資金需要に応じた安定した貸し付けサービス提供していくという意義は大きいので、幅広い視点に立って郵便貯金がこれに対応していくように検討するというような宿題も出ているわけであります。私どもも、できる限りにおいてやはり個人の金融活動の充実、発展というためにいろいろ検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  182. 木本平八郎

    木本平八郎君 ぜひ考えていただきたいと思うんです。それで、私もやはりこの問題は政府としても総合的に対策を講じていただかなきゃいけないのじゃないかということをそのときにも強く申し上げたわけです。したがって、今後ともこういう庶民の金融というか、そういった点には御配慮を、頭の隅には常に置いておいていただきたいと思うわけです。  時間がなくなってまいりましたので、私がるるいろいろ申し上げていたのは、要するに臨調答申では一応国営を続けていくということですけれども、あの答申を見ていましても、底流にはやっぱりこれは民営に切り離すべきだという意図がありありと出ているわけです。多分それには皆さん御異議ないと思うんですけれども、その時期、タイミング、それからどういうふうにしてやるかという方法論だと思うんです。  先ほどから申し上げましたように、三事業とももはやそういう社会的な必要性というか、ニーズというか、存立の意義というのはなくなって時代が変わってしまっている。したがって、これは官業というのは皆さん御存じのように非常に効率が悪いわけです。例えば公共サービスというのは、普及させていくというときにはコストを無視してやらなきゃいけないので、官業とか公社、公営が一番いいわけです。また、それでなきゃだめなんです。ところが、一たん行き渡ってしまって、これを効率的に動かす、やっていくということになってくると、これは官業では非常に効率が悪い。やっぱり民営にしなければだめだということは、これは経済理論の当然のことなんです。  私は、けさからずっとお聞きしていて、やはり官業としてはよくやっておられると思うんです。それで、それなりの効果も非常に上げておられると思います。しかし、やはり私の感覚からいえば相当もうけ損なっているという面もあるわけです。もっとうまくやればもっともうかるのじゃないかという感じもするわけです、これだけのいい条件に恵まれているんですから。したがって、もうこの辺で民営化するということは、早急にはできないにしても、これはもうスタディーはお始めになっているかもしれませんけれども、やはり進められる必要があるのじゃないかという気がするんですが、その辺、これは大臣にお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  183. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 先生の御意見方向は私も十分わかります。ただ、郵政大臣として、すぐそういった形に踏み切るというような形での御意見は今差し控えさせていただきます。  ただ、民業と違って、民業というのは、それはなるほど利益、効率を追って効率的かもしれませんけれども、うまいところだけ食ってしまう。そして、今郵政省が果たしておる三事業のように全国あまねくというような、いわば山間僻地も含めてのネットというのは、これは長い歴史の沿革の中でこそ初めてできてきたものだと思っております。しかも、今日二万三千というやはり末端の郵便局のこういったネットを動かして、全国あまねくという一つのモットーを持っておるということも事実でございます。しかも、簡保の資金といい、郵便貯金は特にそうでございますけれども民間と絶対に違うという、これが果たしている財投原資としての役割というものにも大きく配意していただかなければならぬと思います。確かに効率を求めるという形で、所期の目的は果たしたということであれば、そういった財投原資としての役割という面も大きく貢献したという点において、もし仮に——今日のいろいろな恩典の上に立っておることも事実でございます。例えば郵便貯金は非課税という制度創設以来の恩典、また簡保は限度額一千万といえども無診査、こういった形の中での現在の伸びがあるわけでございますけれども。  それでは、今民間の人たちが言っているように、この郵貯が民間になった場合に、世界一の貯蓄銀行、八十七兆の原資を持つという形になった場合、あるいは保険機関としても、なるほど生保等いろいろ言われますけれども、生保が束になっても簡保の持っておる二十三兆の資金量というのは巨大なものでございます。そういった形が、今コストの安い資金を持っておる郵貯、そして全国あまねくネットを持っておる簡保、こういったのが民間に転業した場合に、これがいかにプライスリーダーとして大きな力を持っていくかということも、民営論を訴えられる人が、逆に民間の生保、民間の金融機関にとってみるとこれはもうたまらないというような実態にもなるかもしれません。したがって、官業としての本質をよくわきまえて、全国あまねくというサービス、効率とコストを考えるという形においては、今後官業としてのエキスだけは大事にしていくという形の中でお互いに補完し合っていくことが一番適当であろうかと思います。
  184. 木本平八郎

    木本平八郎君 今の議論は、これは幾らでも際限なくあると思うので、余りやっていてもしようがないと思うんですけれども、ただ、約二万局に今オンラインができたとか、今のこういう二万三千ですかの局舎を、これだけのものを今投資するとなれば大変な何十兆とかかるわけです。これだけの大きな資産、蓄積があって、それが出ていったら銀行だとか生保が大変だということもわかりますけれども、しかし私は、国全体を考えた場合に、むしろこれだけの資産を有効に使っていただいていないということの方が困るのじゃないかという気がするわけです。したがいまして、今後とも省内ではこういう議論は詰めていただきたいと思うんです。  ちょっと最後に、実は電気通信事業法案なんですけれども、この中の二十四条、ここに、「特別第二種電気通信事業を営もうとする者は、郵政大臣の登録を受けなければならない。」というふうに入っているわけです。この問題は、届け出か許可かということで通産省と郵政省で大分やり合われましたね、去年からことしにかけて。それで、やっと最近決着がついて、何か片一方は限りなく自由に近い届け出とか、片一方はほとんど許可に近い登録とかいうふうになったわけです。  この問題、これ自身は私は何も取り上げて問題にする気はないんですけれども、実はプレスリリースされた英語のテキストで、ここにこういうことがあるんです。「ゾーズ フー ウィッシュツー オペレート イン スペシャル クラスツー テレコミュニケーション ビジネス マスト ビー レジスタード バイ ザ ミニスター  オブ ポスツ アンド テレコミュニケーションズ」。要するに、マストビーレジスタードバイザMPTです。こういう表現は、外人が受け取ると、非常にやっぱり厳しい郵政省のチェックがあるというふうに受け取るわけです。私自身も余りそんなに英語のエキスパートじゃないんですけれども、要するに、ここに登録だとはおっしゃっていても、実際に郵政省のチェック、あるいは下手なことをしたらリジェクトされるというふうなニュアンスが入っているわけです。  こういうことは、いわゆる郵政大臣による審査とか、登録受け付けを拒絶される可能性が民間としてはあるわけです。その辺、表現としてどうもよくないのじゃないか。例えば国会の答弁なんかもおよそやる気がないのに善処する、こういうなにがあります。それで、どなたかのときに、通訳官が間違えて、善処するというのをそのまま訳したら、アメリカ側で非常に誤解を受けちゃったということがありました。  そういう非常に言葉遣いで、これは霞が関言葉がどうかわかりませんけれども、およそ民間人にとって、あるいは外人にとっては全然理解しにくい言葉があるわけです。例えば、通産省関係委員会で質問したんですけれども、届け出と事前相談と、それから行政指導と許認可とどう違うのだということをお聞きしたんですが、そのときに余りいい答弁はいただけなかったんですけれども。  例えば郵政省の場合でも、CATVはあれは届け出です。ところが、実際はどんどん届け出られて、積んでおいて、全然受け取られたのかどうかわからないというふうな不安もあるのじゃないかと思うんですが、その辺はどうなっていますか。
  185. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 有線テレビジョン放送法によりまして、CATVの場合は二つに分かれております。五百端子を超える場合は許可、五百端子以下の場合は届け出ということでございます。
  186. 木本平八郎

    木本平八郎君 いや、私が申し上げているのは、要するに届け出というのは届け出ればいいわけです。ところが、実際はなかなか決裁を受けられないとか、これは郵政省の件はよくわかりませんけれども、例えば通産省の関係なんかで、石油、ガソリンの輸入なんというのは届け出制度です。ところが、嫌がらせされたりなんかしてなかなか実際は輸入できないわけです。  これはちょっと最後に、大臣としてお聞きしたいんですけれども、こういうふうな、要するに届け出、こう言っていながら実際は嫌がらせされちゃうとか、それから輸入は自由だと言いながら実際は輸入できないとか、そういうことが余りにも多過ぎるのじゃないかという気がするわけです。建前と本音が違う。そのために外国からは、例えばガットの関係なんかでも、日本は非常に自由化している、ところが、実際は相当関税障壁があり、そういう輸入制限しているじゃないかということを言われるわけです。今度の通産省と郵政省の論議、自由化すべきかどうか、許可か届け出かという論争も、やっておられるお互い同士はよくわかっても、国民の方は全然よくわからない、言葉がよくわからないという面があるわけです。こういうことが非常に最近行政に対する不信感を呼んでいるのじゃないか。  例えば、届け出だとおっしゃっても、届け出ても簡単に許可されないのじゃないか、あるいは嫌がらせされるのじゃないかというふうなことがあるわけです。そういうところを、極めて簡単なことなんで、まず行政改革というのはそんなに難しいことをやらなくても、言葉の整理をやるだけでも大分効率が違っちゃうのじゃないかという気がするわけです。お互いに意味のないことで逃げ回ったり揚げ足取りやったりということ、私は行政改革というそんな難しいこと、そっちの方は大変ですけれども、その前にこういうことを少し整理されたらどうか。少なくとも郵政省だけでもきちっと言葉を整理されて、届け出はこうであり、事前相談は、事前相談というのはあるかどうか知りませんけれども、行政指導はこういうときに言うのだとか、許認可はこうだとかというふうな言葉の定義づけをされる必要があるのじゃないかと、私今実はこれを読みながら非常に感じたんですが、その辺はいかがでございましょう。
  187. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 今の先生の御指摘は、通信回線を借りてやる第二種電気通信事業、これに対しての問題だと思います。しかし、これははっきり言っておきますけれども通信事業というのは総論的には全部、相手の情報処理であれ、通信であれ、企業機密なり個人秘密を扱うというものでありますから、信書送達と一緒で、あくまでもこれは秘密を守るという一つのモラルを持った事業であるということが前提でございます。したがって、第二種の電気事業に関する限りにおいてもこの前提は絶対に必要でございます。  と同時に、一般の第二種事業は届け出だけということにしてあります。これは全く行政的に差別をいたしません。内外無差別でございますし、そういった意味合いにおいては届け出の義務というのはございますけれども、これは決して差別をいたしません。と同時に、届け出の内容も会社の代表、所在地、行わんとする営業行為、そういった形を担保してもらうだけでございます。これは、先ほど言いましたように、通信事業を営む一番大事な原点を破って他人の機密を横流しして金もうけするような不届きな者がいた場合には業務に対する改善命令も担保しておくという意味においてはこれはほかの事業と違って当然であろうかと思います。  なお、許可に近い形の登録制を設けたゆえんは、やはりこのVAN事業に対しても、全国あまねく不特定な多数のネットを持って営業を営むというような形に対しては、これは単に届け出というだけじゃなくて、やはりある程度の資金力、技術力、そしてそういった信用力も含めてあらゆる形から政策的に担保してまいらないと、これが万一のことがあった場合においては、これは流通段階においてもあるいは情報処理段階においても大変な混乱を生ずるというような規模のものでございますから、これはただ届け出に近い形でぽんとやって、あんなうまいことを言っていだけれど規制も審査の基準も厳しいじゃないかと言われてもこれはやむを得ないと思います。私たちは、許可に近い登録である。特別第二種は、それだけの事業体質とそれだけの大きな通信事業としても大きな媒体としての能力を発揮するということにおいて、今度の法案にもそういう形で明定いたしました。
  188. 木本平八郎

    木本平八郎君 最後に、もう一つだけ。  私が申し上げたのは、やはり届け出なら届け出ということで国民の方もその言葉どおり信用して行動を起こせるというふうにしていただきたいということでございます。  これで終わります。
  189. 矢田部理

    ○矢田部理君 同僚議員の質問も数多く行われておりますので、多少重複する点があるかと思いますが、できるだけ端的にお答えをいただきたいと考えております。  最初に、今回の郵政省設置法の改正についてでありますが、内容は、説明がありましたように、地方レベルで保険と貯金を一緒にして地方郵政局でくくるという筋の中身になっていようかと思うのでありますが、この改正のメリットといいますか、意味というようなことについて、まず御説明をいただきたいと思います。
  190. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 今回御提案申し上げております設置法改正案の内容につきましては省略させていただきまして、端的にメリットを申し上げます。  郵政事業に係る地方支分部局の総合化と効率化と抽象的に言えるわけですが、具体的に申し上げますと、総合化と申しますのは、現在本省の直轄のもとで設置されております単独の地方支分部局としての地方貯金局と地方簡易保険局を郵政局に統合いたします結果、それぞれの地方機関、地方ブロックごとに、営業の現場であります郵便局と直結した形で貯金事務センター、簡易保険事務センターの仕事が営まれるということになりますので、管区単位に貯金事業並びに簡易保険郵便年金事業の一貫した営業活動並びに業務振興活動ができるということでございます。    〔委員長退席、理事亀長友義君着席〕  それから二点目の効率化ということでございますが、これは貯金局並びに保険局を郵政局に統合いたします結果、地方郵政局へ移管可能な事務が出てまいります。例えば訓練とか福利厚生といったいわゆる人事関係の事務、あるいは式紙とか消耗品あるいは物品の調達といったような会計事務、あるいは決算事務、予算関係事務等、一口に言って管理共通事務が郵政局に移管されますので、そのことによる減量経営が可能になるということでございます。
  191. 矢田部理

    ○矢田部理君 この省庁の機構の改革に当たっては、行政の側から見てどう効率化とか総合化を進めるかという観点だけではなしに、国民立場から見てどういうプラス効果が出てくるのか、メリットがあるのかという点がもう一つ問われてこようかと思うんですが、国民サービス立場から見てどんなふうにこの問題はとらえてよろしいんでしょうか。
  192. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 今回の改正によりまして、国民の側からするメリットといたしまして、直ちに定量化した形でのメリットを数量的に申し上げることが難しいわけですが、先ほど申し上げましたように、管内ごとに地域の実情に応じた業務の運行体制ができます。その結果、さまざまな諸活動を郵政局が一元的に郵便局並びに地方貯金局に対して指導するということになります。  郵便局というお客様の接点の窓口機関としての事務、貯金を受け入れたり払い戻したりあるいは簡易保険の募集をしたりという事務は、結局はその後方機関であります地方貯金局並びに地方簡易保険局にその事務の後処理がゆだねられまして、そこにおきまして預金の利子計算なりあるいはお客様からのいろいろな請求事項に対する処理等が行われるわけでございます。あるいは契約締結の業務が行われるということでございますので、郵便局の窓口と地方貯金局、簡易保険局はいずれも一連の流れの仕事をしております。今までは地方貯金局の方は本省が直轄し、それから郵便局の方は本省から郵政局に指導がいき、郵政局から郵便局にいく。ところが、仕事自体は郵便局の仕事の後方事務が貯金局であり、保険局であるという、非常に同じ仕事の流れの初めと終わりがダブルトラッキングで指導されていた。  ところが、今回の改正によりますと、郵政局がそれを一元的に処理いたしますので、それぞれの管内ごとに実情に応じた仕事ができます。例えば、一つだけ申し上げますと、つい先年、貯金の利子が比較的有利になったということで、これまで古い預金をお持ちの方が一斉に預けかえということで郵便局の窓口に殺到されたことがあります。預けかえられた方が有利ですよというPRが効き過ぎたせいもあるんですが、お客様が殺到されまして、結局お客様が郵便局の窓口に預けかえで殺到されますと、郵便局は窓口で受け付けますけれども、結局その受け付けた事務処理、預金の記入なり払い戻しの事務は全部後方の貯金局でやりますので、それが予見されませんでしたために、郵便局で受け付けた、後方の地方貯金局ではその事務処理ができなくて大変お客様に迷惑をかけたということがございます。これらも、片方は本省が直轄し、片方は郵政局から指導したということの非常にデメリットでございまして、今後におきましてはかりそめにもそのような事態は起きないわけでございまして、一つの事例として申し上げましたけれども、具体的なメリットとして例えば考えられるのはそういうことでございます。
  193. 矢田部理

    ○矢田部理君 国民立場から国民サービスの向上に役立つということが一つの視点であると同時に、もう一つやっぱり考えなければなりませんのは、効率化ということを余り性急に推し進めたり、行政の側からだけ見ますと、その結果、職場の労働者の労働条件や労働環境にいろんな響きが出てくることが考えられます。この点についてはとう対応されてきたのか、またどんな響きが考えられるか、その点について御説明をいただきたいと思います。
  194. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 先生指摘のとおり、それぞれの貯金局並びに保険局は郵政局とは違った背景で今日まで経過してきておりますので、そこにおける職員の気質といいましょうか、それから職場風土といったものが確かに違っております。したがいまして、組織を変えたからといっていきなりそれらのものをごっちゃにして、かりそめにも地方貯金局あるいは地方簡易保険局に従事する職員に不安を与えたり動揺を与えたりするようなことがあってはならないと思っております。したがいまして、この改正案を提案するに当たりましては、関係の労働組合とも十分意思疎通をいたしまして、また法案が成立した暁におきましてもそのようなことがないように、十分経過的、過渡的な中で、職員の勤労意欲並びに労働条件の取り扱い等については従来の経緯等も踏まえた上で意思疎通を図っていくということになっております。
  195. 矢田部理

    ○矢田部理君 後でいろいろ論議をいたしますが、簡易保険の仕事あるいは貯金業務などは、結局やっぱり一番ポイントになりますのは第一線の労働者だと思うわけです。したがって、そういう人たちにいろんな不安や問題が起こらないようにひとつ十分配意してほしいというふうに考えるわけでありますが、同時に、この仕事の内容に関連して業務面と管理面とがあろうかと思いますが、それぞれについてどんな響き、変化が起こるであろうかということについて、御説明があったらちょっと説明をしておいていただきたいと思います。
  196. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 業務面におきましては、それぞれの組織で取り扱っております仕事自体に変更はございません。これは為替貯金事業にしましても簡易保険事業にいたしましても、従来どおりお客様に対する所定のサービス提供するわけでございますので、その業務内容については変化はございませんし、また変化させたりあるいはサービスを低下させたりしてはならないと思っておりますので、在来どおり庁舎の統合等を行うつもりもございません。  それから管理面につきましては、先ほどちょっと申し上げましたが、いわゆる管理共通事務につきまして郵政局に統合されますので、その分については郵政局が貯金局並びに保険局に対して指導をし、監督をしていくということになろうかと思います。
  197. 矢田部理

    ○矢田部理君 話題を変えたいと思いますが、まず大蔵省に伺っていきたいと思います。大蔵省、見えておりますか。  少額貯蓄非課税制度の問題でありますが、その前に、大蔵省自身として最近利子課税制度を全面的に見直していくというような動きがあると伝えられているわけでありますが、この経過と考え方についてお話を伺いたいと思います。
  198. 伊藤博行

    説明員(伊藤博行君) お答えを申し上げます。  利子課税の問題につきましては、先生御案内のように、グリーンカードの問題を契機といたしまして、その見直しを行うということで、昨年から税制調査会におきまして、いわば利子配当課税はトータルとしてどうあるべきかということで御審議いただいております。  昨年の秋に、審議のそれまでの段階での経緯を取りまとめていただいたものが中期答申という格好で出されております。そこでは相当のページ数が割かれて答申が出されておりますけれども、貯蓄の実態あるいは非課税貯蓄の課税の実態等々についてのいろいろな問題点等が指摘されまして、利子課税についていま一度基本的な見直しが必要である、その際にも非課税貯蓄を含めて検討すべきではないかという趣旨のことが述べられております。  ただ、具体的にどういう課税方式あるいは取り扱い方式がいいのかという点につきましては、中期答申の段階では答えが出されておりませんで、その後も引き続き検討はされましたが、実はこの五月末をもって税制調査会の先生方の任期が切れまして、先月の終わりごろにいわば前調査会の締めくくりということで、会長談話という格好で取りまとめがなされております。  ただ、そこで述べられておりますのは、昨年秋に取りまとめられた中期答申の基本的な考え方を踏まえて今後具体策を検討すべきである、具体的な策については新しい税調で検討をお願いしたいという趣旨の談話でございます。その意味で、具体策については今後新税調において御議論いただくということで現段階に至っているわけでございます。  新税調の方は、現在メンバーの選任中でございまして、まだスタートしておりませんが、メンバーの選定が終わりまして税制調査会として成立いたしましたならば、当然この問題も引き続き検討されていくというふうに考えております。政府といたしましては、大蔵省を含めまして、税制調査会での議論を踏まえてどう対処するかということの検討に入っていくということに相なろうかと思います。  現状は以上でございます。
  199. 矢田部理

    ○矢田部理君 その大蔵省の考え方、最終的には税調の答申を得てということになろうかと思いますが、今伝えられるところでは、幾つかの方法論みたいなものが提起され、その中で非常にポイントになると思われますのは少額利子控除制度というようなのがございますね。その考え方の内容と大蔵省の受けとめ方というようなことについて、ちょっと御説明いただきましょう。
  200. 伊藤博行

    説明員(伊藤博行君) 新聞あるいは雑誌でいろんな方がいろんなことを述べておられます。同じような言葉でおっしゃりながら具体的な中身が同じものを念頭に置いておられるのかどうか、その辺がはっきりしませんので正確なコメントというのは非常にしにくうございますが、今世の中で、いろいろな議論の中で言われている中の一つ先生おっしゃるようなのもあるようでございます。  ただ、少額利子非課税とおっしゃいましたか、控除とおっしゃいましたか、そういうのが一体どういう仕組みを想定しておられるのか。言葉としては出されているんですが、その具体的なやり方とか、どういう執行を考えるかというようなところの各論的な議論まで必ずしもはっきりしていないということで、私どもの感じは、現行のマル優等の少額貯蓄を含めて税調では大いに検討すべきであるということになっておるんですが、具体的なやり方ということになりますと、全く現時点では、率直に申し上げて、これから決めるということなものですから、もう少しいろんな議論が各論的な議論として、いろんな観点の検討というのが進みませんと、いいとも悪いともちょっと言いようがない。御指摘のような案につきましても、その案の仕組みがどうかというところをもう少し具体化しないとちょっとコメントをしにくいなというのが率直なところでございます。
  201. 矢田部理

    ○矢田部理君 大蔵省、今の説明を聞いてもしかとしないというか、あいまいにして税調にみんな問題を任せて、そこからちょうちんが出てくると、それを何か後ろ盾にして一気に走るのではないかというような心配をする向きもあるわけであります。例えば、大蔵省の元事務次官であった谷村さんなんかが出している案がありますね。こういうことを大蔵省としては、特にOBがかなり発言をしているということになりますと、ねらってこの税調を動かしていくのではないかと心配している向きがあるわけでありますが、その点はいかがですか。
  202. 伊藤博行

    説明員(伊藤博行君) 税制調査会は、相当多くの方の合議体でございます。そのメンバーの方も、新メンバーまだ決まっておりませんが、旧メンバーでごらんいただきましても、いろいろな分野の方が参加しての合議体でございますので、特定の人でどうこうということではなくて、やはりそこの中でいろいろな立場の方々の議論の結果といいましょうか、問題点をそれぞれの立場からミニマムにするという議論が闘わされて税制調査会としての案ができ上がってくるのじゃないだろうかというふうに思いますので、特定の方の意見が、現在、谷村先輩も一つの案を言っておられますけれども、そのほかの案もいろいろ世の中言われております。そういったのも当然今後の検討の素材にはなろうかとは思いますけれども、今から税制調査会がどういう意見になるのだろうかというのを私ども立場からは予測できないというのが率直なところでございます。
  203. 矢田部理

    ○矢田部理君 私どもも、かねてから不公平税制の是正という立場でグリーンカード制等を問題に供してきたわけでありますが、どうも最近の大蔵省を見ておりますと、不公平税制の是正という視点よりも財源調達、国家財政が大赤字を抱えているものだから何かねらって財源を捻出しようという意図がぎらぎらしておって、そのねらい目で税制調査会を動かしていくのではないかというような懸念、心配も多いわけでありますが、その前提としてどうもこの郵便貯金は脱税の温床ではないかというような疑いを絶えず大蔵省は持っているのではないかと思われるような動きを示している節もあるんですが、この点はいかがですか。
  204. 伊藤博行

    説明員(伊藤博行君) 私ども郵貯がどうという特別な観点で物を見ているのではなくて、税の立場から申し上げますと、少額貯蓄全体が適正に運営されているかどうかという観点での物の見方になろうかと思います。その意味では、銀行のマル優等も含めまして、その実態がどうであるかということには常に関心を持っているわけでございます。国税庁のいろいろな調査事例等から、銀行のマル優にいたしましても郵便貯金にいたしましても、かなり本来予定されている利用の仕方をはるかに超えるような例が相当見受けられるというような事実でございますが、だからといって、すべてを脱税の温床とか、そういうふうな観点で一義的に見るというようなことではございません。
  205. 矢田部理

    ○矢田部理君 確かに一部に、郵便貯金制度、特に少額貯蓄制度が税制上恩典を受けている、優遇されていることを悪用してやっている向きが全くないとは言えないでありましょうけれども、ただ、本質や全体はやっぱりそういうものではないのでありまして、この制度意味については後でまたいろいろ論議していきたいと思いますが、少なくともここから脱税の温床にしているというような見方で物を処理するのは間違っているということだけは指摘しておきたいと思いますのと、やはり基本的には少額貯蓄の非課税制度は残すべきである、守るべきであるという立場で私は考えているわけでありますが、その点、大蔵省いかがですか。
  206. 伊藤博行

    説明員(伊藤博行君) 税制調査会でその部分に関して、各論的な議論はまだ今後でございますけれども、先ほど申し上げました去年の秋の答申の中で少額貯蓄、これは郵貯に限らず、常に私どもは少額貯蓄ということで郵貯とそれからマル優全部込みにして理解しておりますけれども、その際に、現時点でといいましょうか、税制調査会の答申に示されております範囲で申し上げますと、この問題についての基本的な認識といいましょうかは、まず個人貯蓄の中での非課税貯蓄の割合というのが約六割にも達しておる、この六割という数字は過去の数字と対比してみますと相当な大きな比率でございます。それから他の所得種目、今申し上げましたその六割というのは元本、残高ベースで申し上げておりますので、端的に所得に比例するという言い方はやや問題かもしれませんけれども、非常にラフな言い方をいたしますと、いわば利子所得の六割相当分あるいはそれに近いものがまず頭から課税の外になっておるというのが実態である。  少額貯蓄とは何ぞやという議論がいろいろございます。それから少額貯蓄を非課税にする理由は何であるかというのもいろいろ議論されておりますけれども、税調の中期答申の段階での御議論では、かつて言われておったような政策的意義が今日も同じ程度にあるかどうかという点についても相当数の方の問題提起がなされております。疑問があるのじゃないかという観点からの問題提起がなされております。そのことと、そういう政策目的という問題と、それから実際実態として六割をも占めるという非課税貯蓄というのがどうあるべきかというのは相当基本的な検討が要るのじゃないかというところまでは昨年秋の中期答申でも述べられておりまして、だからどうこうという具体策がないところが非常に歯切れが悪うございますけれども、現在の調査会の認識というのはそういったところにあるのではないかというふうに思います。
  207. 矢田部理

    ○矢田部理君 郵政省に伺いたいと思いますが、そういう動きの中にあって、昨日でしたか、少額貯蓄制度の見直しについてという見解を郵政省としてまとめられて発表があった。この内容と特徴といいますか、郵政省としての考え方について御説明をいただきたいと思います。
  208. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 非課税制度の見直しということについての経緯は今大蔵省の方からお話があったわけでございますが、そういう事態を踏まえまして、私どもとしての考え方あるいは見直しについての問題点等について整理をしたものをクラブで御披露したということでございます。  その中身でございますが、かいつまんで申し上げますと、まず基本的には、非課税貯蓄制度見直しについて議論されている貯蓄の重要性ということについてでございます。見直し論の根底になっているものは、どうかすれば貯蓄の重要性というものが既に薄らいでいる、もはや貯蓄を奨励するという時期ではないというような考え方があるやに見られるわけでありますけれども、私どもは決してそうではない。貯蓄は経済社会発展の基礎であるということでありまして、過去におきましても、戦後の日本の復興あるいは高度成長というのも高い貯蓄率によって得られた豊富な資金によって支えられてきたということ、また今日の国債の大量発行下におけるインフレをはねのかし、あるいはクラウディングアウトというものを生じさせないで経済の安定が図られているというようなこともこういう貯蓄によるところである。こういったことは諸外国からも高い評価を得ているというようなこと。今後の状況を見ましても、十兆円を超え、あるいは二十兆円を超えるような国債の大量償還というものが予定されている。そういった中で借りかえ償還というのが非常に大きな財政問題になっているわけでありますから、こういったものを考えれば、国民の貯蓄が軽視できるような状況はこれからも出ないであろうと思うわけであります。  なお、いま一つ重要性考える場合に、高齢化社会という我が国の社会の特殊な状況というものを考えていかなきゃいけないだろうと思うわけであります。急速な高齢化社会の到来ということで老後に対する不安というものがふえておる、また老後に対する備えというものを自助努力によって行わなければならないということの必要性というものが非常に高まっているわけでありまして、こういったことに対する対策というものをやはり考えていかなければならないであろうということでありまして、税の観点からの議論として、税の不公平是正という観点がいろいろ一つの議論になっているわけでありますけれども、これにつきましても、基本は第一次所得の捕捉率の問題であろう。クロヨンとかトーゴーサンと言われる言葉にありますように、国民の税に対する不公平感というものは、第一義的には第一次所得に対する捕捉率の不十分さということにあるわけでありまして、利子配当課税に限って見ましても、課税貯蓄の把握というものをあきらめて非課税貯蓄のみを見直すというようなことになりますれば、結局は少額貯蓄の利用者のみに負担を強化するというようなことになるわけでありまして、こういう税の公平の観点からの幅広い議論というものが必要であろうと思うわけであります。    〔理事亀長友義君退席、委員長着席〕  いま一つ観点から、先生の御指摘ございました財源確保の面という議論が出ているわけであります。非課税制度を廃止すれば三兆円入るのだというような議論がございます。これも計算としてはそういう計算いろいろできるかと思いますけれども、実態から見ましても、二百兆に七%の利子、十四兆円の年間利息の発生、それに二〇%の税金をかければ二兆八千、約三兆円の税収が入るのだということでありますけれども、二〇%の税金を納めている層というのは、勤労者層におきましては九〇%が二〇%以下でありますので、それに税の還付というような問題が出てまいるわけであります。さらに、資金のシフトというようなことが当然考えられる。かのグリーンカードの問題のときにもいろいろな資金シフトが出てまいりました。ゼロクーポン債というようなことで大変騒がれたような状況がございます。最近の状況を見ますと、なお一層自由化の進行と相まちまして、より高利回りの商品あるいは節税商品というようなものへのシフトということがしやすいような状況になっておるであろうということも考えられるわけでありまして、高額のものを持っておる者はシフトをしてしまう、結局は逃げ損なったものだけが税金を取られるというようなことにもなりかねないということであります。  なお、貯蓄率が非常に高いということが言われておりますけれども、我が国の貯蓄率、時系列で見てまいりますとずっと減っています。下降現象であります。貯蓄だけを見た場合にはこの十年ぐらいで半減いたしておりますということでありますが、そのほかに、さらに高齢化社会というものが必然的に持っておる貯蓄率の低下という構造的なものがございます。高齢者は貯蓄をするのじゃなくて貯蓄を使う層でありますから、その層がふえれば当然貯蓄率は下がっていくという計算でございます。また、貯蓄を考える場合に、利子所得というものを考える場合に、やはり目減りということ、物価上昇率との関係考えなければならない。これを見た場合に、十年間というものを見ましても、物価上昇率の方が上回っておりまして、実質的に一四%目減りをしているということであります。利子所得というのは、第一次所得をとられた後のものの使用の仕方でありますけれども、しかし利子所得というのは名目だけであって、実質的にはマイナスの所得である、これに課税をするというようなことは実質的には排除すべきではなかろうかというふうな問題等もあるわけであります。  こういうような問題をいろいろ抱えており、我が国において高齢化社会に対する自助努力というようなことも考えた場合に、貯蓄あるいは長年にわたって培われた貯蓄心というようなものに水をかけるというようなことになりますれば、これは一朝一夕に戻るようなものでもないということを考えますれば、むしろ現時点においては貯蓄優遇策ということこそ必要ではなかろうかということで、私どもといたしましては、現在の限度額引き上げとかあるいは高齢化社会への対応としてのシルバー貯金というような制度創設するというようなことこそ喫緊の課題であるというふうに考えているというようなことを資料としてまとめまして御披露したということでございます。
  209. 矢田部理

    ○矢田部理君 大蔵省に、その点について伺いたいと思います。  今、郵政省から説明がありましたように、郵便貯金の果たす役割というのが国民生活にとっても非常に重要である。例えば病気その他の不時の出費あるいは災害、高齢化社会が急速にやってきている。先般の人口問題に対する白書においても、この速度は異常なまでに速いというようなことで、老後保障に備えるためにも郵便貯金が非常に大きな役割を果たしている、貯蓄率が高いのは社会保険制度の貧困のあらわれだという指摘もあるわけだし、私もその点は否定はいたしませんが、現に役割を果たしてきているという点。また、そこで集められたお金が財投の財源として欠くべからざる役割を果たしている。その結果が日本経済にも相当程度貢献をしているというようなことをあわせ考えてみますと、郵便貯金の役割は依然として非常に重要性を持っているというふうに私も理解をし認識をしているわけでありますが、その点は大蔵省はいかがでありますか。
  210. 伊藤博行

    説明員(伊藤博行君) 先ほどいろいろな御議論、論点を並べられましたけれども一つだけ申し上げたいのは、郵貯を含めておよそ貯蓄全般という議論で申し上げたいと思うんですけれども、貯蓄の重要性という問題と、それから貯蓄といわば利子課税の関連性というのは別個の問題であるという点を申し上げたいと思います。  よくマクロの貯蓄率を議論される。マクロの貯蓄率とそれからミクロの議論が時々混同されて議論されているような感じがするわけですけれども、マクロの貯蓄率といわば税以前の問題として利子率との関係は、いろんな学説等もございますが、通説的に言われておりますのは、利子率が上がった場合に、その効果として所得効果と代替効果がある、所得効果はマイナスの方に働く、代替効果はプラスの方に働く、利子率が上がったときの両者を合成した効果というのは理論的には一義的な方向は言えないというのが理論上の通説だろうと思います。  問題は、実証的に、じゃ所得効果と代替効果はどっちが大きいかという議論かと思いますが、これもいろんな学者の研究がございますけれども、企画庁での研究等も含めまして、国民経済計算上見たマクロの貯蓄率と名目的な利子率と有意な関係はないというのがどちらかというと通説じゃないだろうかと思います。  ただ、ミクロの関係では、いわばパイの大きさそれ自体と利子率とは余り相関度はないけれども、パイの中での金融資産の選択という点につきましては利子率というのは極めて重要な意味を持ってくる。その意味で金融資産の選択に関連して税を当てはめますならば中立的なものでなきゃならぬだろう。税によって金融資産の選択にゆがみをもたらすようなものであってはならないだろうということは当然言えますけれども、マクロの国民経済計算上出てくる貯蓄率と利子率との関係は有意な関係はないと仮にいたしますならば、税が中立的な制度である限りはその点はニュートラルであるというふうに言えるのではないかと思います。その意味で、貯蓄が重要かそうでないかという議論とは別個に、いわばそういう相関関係をどう考えるかというところの議論が大きなポイントになるのじゃないかと思います。  それから先ほど澤田局長がおっしゃった中で、いろいろな御議論されましたけれども、例えば第二次所得論というようなのも時々言われますが、利子所得を二次所得だという議論の根底は、いわば何らかの、事業なら事業で得た所得に対しては税がかかる、かかった残りを預金するのだから、そこから出てくる利子にもう一回かけるのは二重課税だという議論だと思うんですけれども、もしその議論を敷衍いたしますと、例えば課税後の事業所得をもう一回事業に投下する、そうして出てきた所得というのも当然二次所得ということになってしまいます。同じように、例えば家をつくって賃貸に回すとしますと、賃貸所得も二次所得になってしまう。じゃ一体一次所得とは何だろうかということになりますと、非常に極端な言い方をいたしますと、物とか金を使って得る所得はみんな二次所得になってしまう。体を使って得る所得のみが一次所得ということになりかねない。これはいかにもおかしいのじゃないだろうか。国民経済計算上、およそ所得の議論をいたしますときにも、当然利子所得は他の所得と並んでそれ自体新たな付加価値であるということで国民経済計算の一部に組み入れているわけでございますので、そういった意味で二次所得論というのはいかがなものか。  そのほか、いろんな論点ございますが、長くなりますので、若干気がついたところだけ感想を申し上げておきたいと思います。
  211. 矢田部理

    ○矢田部理君 マクロと、ミクロの問題ということで両面から説明されておりますが、余り問題点をすりかえて説明をされても困るのでありまして、やっぱり庶民の立場から見ますと、長いこと郵便局の貯金というのは定着をしてきているわけです。今の制度はそういう立場で、しかもこれは大衆的に非常に便利な預金が可能だという点でも利用もされてきたわけであります。ところが、最近の傾向を見ておりますと、どうしても他の商品などが開発されるとそちらに流れるというようなことを見ましても、やはり利子がどうなるのか、それに対して税制がどう出てくるのかというようなことは庶民の気持ちからすると非常に大事なことなんでありまして、マクロの話を幾らされても、そうですかということには実はならないのであります。その点で、大蔵省の説明は必ずしも説得的だとは考えていないのであります。  もう一点、大蔵省が正式に言っているかどうかわかりませんが、どうも郵貯にお金が大分集まっている、その集まっている数が、口数と言うんですか、口座数と言うんですか、証書の数なども含めて三億五千万にも上っている、このことから郵貯が税金逃れにかなり使われているのではないかという指摘をする向きもあるようなんでありますが、これについて昨日発表した郵政省の資料の中で幾つかの反論めいた話が出ているようでありますが、ちょっと数字その他がわかりにくいので、少しく説明をいただけませんでしょうか。  それからもう一点、あわせて、そういう指摘があるとすれば郵政省としてそれに対してどう対応しようとしているのか、現にしているのかというようなことも含めて答弁をいただきたいと思います。
  212. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 郵便貯金の口座数といいますのは、通常貯金の口座数を私どもは言っているわけでありまして、これは大体が人口の六割というのが郵便貯金を利用いたしておるということと大体合うのだろうと思うわけでありますが、約六千三百万口座ございます。これがよく三億五千万とか三億口座というようなふうなことで言われておりますのは、これは定額貯金の証書枚数を合算した数字であらわされているのではなかろうか。定額郵便貯金の証書は現在二億七千万枚程度あるわけでありますけれども、これは限度額三百万以内ならば何枚持ってもこれは可能なわけであります。千円から郵便局にお預けいただければ千円ごとに証書を一枚差し上げるということができるわけでありますから、これは何枚あろうと限度額がルーズであるということとはかかわりのない話でありますけれども、これを合算した数字として人口の三倍もあるような口座があって、いかにも脱税の巣であるような印象を受けるわけであります。まことにこの点については私どもも遺憾に思っているわけでありますが、十分その辺のところについても理解を得るよう努力をしてまいりたいと思っております。  私ども、現に厳正な限度額管理ということでいろいろ対処いたしておりまして、年間かなりの額について限度額オーバーのものを発見いたしておりまして、これは年間、最近におきましては五、六百億になろうかと思います。こういった人たちについて、全部が悪意とは思いませんけれども、オーバーしたものについては発見いたしましたら御本人に連絡いたしまして、その分を減額さしていただいておるというような実態でございまして、決して言われるようなルーズなあれではないわけでありますが、さらに今後、郵便貯金が簡便な貯蓄手段であるということで提供しなければならないということからいたしましても、お客様に迷惑が余りかからない、しかもメリットがあるようなシステムでこの限度額管理というものができるような方法はないかと大臣からも検討を命ぜられているところでありまして、そういうことについてもいろいろ鋭意検討を進めているということでございます。
  213. 矢田部理

    ○矢田部理君 少額貯蓄の非課税問題はもっといろんな議論があるわけでありますが、時間の関係もありますので、他の問題に移りたいと思います。  簡易保険について今度また問題になるわけでありますが、この簡易保険現状はどんなふうになっているか、将来についてどういうふうに考えておられるか、この点を伺いたいと思います。
  214. 奥田量三

    政府委員奥田量三君) 簡易保険事業現状といたしましてはおかげさまでおおむね着実な推移を示しておりまして、現時点において保有契約件数およそ五千三百万件、保有保険金額七十兆円余という状況になっております。伴いまして経営状況も現在の時点ではおおむね順調でございまして、本年度においても相当の増配を行い、また死亡率あるいは資金運用利率の改善等に伴いまして、本年九月から保険料の引き下げも実施する予定ということになっております。  ただ、最近の諸契約の伸び方を見てみますと、近年における可処分所得の伸び悩み等を反映するものと思われますが、その伸び方は若干伸び悩みの兆候を示しておりまして、保険事業といいますものは、いい結果、悪い結果というのはある程度長期のものとして出てまいりますので、先行きとしては必ずしも手放しで楽観は許されない。したがいまして、私どもとしましては、経営の効率化、合理化に努めますとともに、一方では加入限度額引き上げ等、制度や商品の改善に努め、他方では資金運用の利回り向上に努めるなどして一層経営の改善に努めていかなければならないと考えております。
  215. 矢田部理

    ○矢田部理君 これは郵貯、それから簡易保険、両方に通じて言える問題でありますが、既にこの限度額が実情に必ずしも合わなくなっているという向きの指摘もあるようでありますが、これはどんな問題点があるんでしょうか。それからまた、今後郵政省の将来設計としてどんな数字、どう考えているんでしょうか。両局から御説明を願いたいと思います。
  216. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 郵便貯金限度額につきましては、現在一般の限度額が三百万ということになっております。これは十一年前そういう三百万に上がったときそのまま据え置かれているわけでありまして、その間の物価上昇率等を見ましても実質的には三百万というのが半減いたしているということが言えるだろうと思います。戦前の限度額というのは家一軒買えるようなのが郵便貯金限度額だったわけでありますので、これをぜひ引き上げてまいりたい。私ども、昨年の予算要求段階におきましては、これを五百万に少なくとも引き上げるべきではないかということを要求してまいったわけであります。  そのほか、高齢化社会に対する対応ということで、高齢者世帯においては別枠の一千万円というものを非課税貯蓄枠として設定をすべきではないか。特に、サラリーマンの退職金というようなものを老後に充てる場合、こういったものについては非課税措置でこれを守っていくということが必要ではないかというような観点から、主な点につきましてはそういうこと。  もう一つは、住宅積立貯金という制度がございますが、こういったものについても限度額をさらに引き上げて持ち家制度の促進というものに役立てるべきではないかというようなことを主張いたしているところでございます。
  217. 奥田量三

    政府委員奥田量三君) 現在の簡易保険加入限度額は一千万円でございますが、これが定められましたのが昭和五十二年でございまして、以来約八年間据え置きという状態になっております。その間の国民生活水準向上等によりまして、この額をもってしては生命保険としての一応の機能も果たしにくくなっているのではないかというふうに考えております。  ちなみに、この一千万円に引き上げました五十二年当時もそうでございましたが、私どもの市場調査によりまして、国民生命保険にどの程度の額を期待されるかという過去の調査の結果におきましては、大体半分くらいが簡易保険限度額と答えられておりましたが、最近の調査では、国民生命保険に期待される額の平均が約四千万となっておりまして、現在ではその期待額の四分の一程度ということになっている次第でございます。  したがいまして、利用者の方からも御要望があります。また、昨年、衆参両院の逓信委員会におきましてもこの引き上げ実現するようにという満場一致の附帯決議もいただいているところでありますが、ここ数年、この引き上げを提起いたしておりますけれども、残念ながら今日なお実現を見ていないという状況でございまして、今後早期にこの引き上げ実現したいと考えているところでございます。
  218. 矢田部理

    ○矢田部理君 まとめて大蔵省に、これは答弁は要りませんが、今出た論議について注文をつけるというか、お願いをしておきたいと思うのでありますが、やはり郵貯の三百万について非課税という現状はきちっと守ってほしい、それがささやかな庶民の気持ち、願いでもあるということをひとつしかとかみしめて今後の税制調査会に臨んでいただきたい。あわせて、この三百万というのは最初決められたときの物価から見ましても、物価そのものが二倍以上上がっているわけです。そうすると、今郵政省が出している五百万という要求もかなり私から言わせれば控え目な要求だというふうにも考えられるわけでありますので、この点もひとつ大蔵省としても考えてほしいし、また簡易保険の一千万円をさらに上積みするという考え方についても理解を示すべきではないかということについて特に大蔵省にお願いして、大蔵省の方は結構でございます。  最後に、郵政省に幾つか問題点を伺って質問を閉じたいと思います。  郵政大臣、まだ一言も伺っておりませんが、郵政事業の中で貯金と保険がきょうの論議の中心でありますから、この両事業を中心にして今後の将来展望といったようなものについてどんなふうにお考えになっているかお示しをいただければと思いますが、いかがでしょうか。
  219. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 先ほどからの先生の御質疑の過程を聞いておりまして、大変ありがたい御助言をたくさんいただいたと思っております。  ただ、郵貯と簡保が制度創設以来果たしてきた役割を考えますと、この制度創設以来郵貯は非課税、そういった沿革の中で今日の八十七兆という国民資産をお預かりしているということになります。簡保も無診査という形の中で制度創設以来そういった形の恩典を受けておるわけでございますが、これとて最近の老齢化社会に対応しての自助努力ということを考えるときに、これが果たしている役割は、資金の面もともかく二十三兆という巨額の資金をお預かりして運用させていただいておるわけでございますが、これらについても大変今日においては大きく国家社会に貢献してきておると思うわけでございます。  ただ、将来展望ということになりますと、先ほど来の御論議の過程にもございましたように、例えば利子に対する課税の徹底という国民的な世論も他方にはございます。しかし、汗の決勝である少額貯金、しかもこの制度は守って堅持してまいらなきゃならぬことは当然でございますが、他方において今脱税の温床になっておるといったような声もございます。これは私たちとしては甚だ遺憾でございますけれども、しかし限度額という形というものはきちんと守っていくという一つの郵貯の創設の原点に立って、やはり私たちは守るべきものは守る、受けるべき恩典は恩典としてあまねく国民が享受するという形でなけりゃならぬと思っております。  そういう過程の中から、先手を打ってと言うたら語弊がありますけれども、我々は郵便貯金のそういった使命と原点に立って守るべきものは守る、限度額もチェックをできるだけして頑張るということで、先般来、郵貯利用者にはそれぞれの身分証明にも匹敵するような形のマルU、これは一般銀行とは違う、郵政省が主体において管理するというカードもやるべきじゃなかろうかということで、貯金局長初め関係者に検討を今目下命じておるところでございます。  ただ、これに関しては、一律なマルUという、何かローマ字のUということでマルUと、郵政省の部と、現在の優遇課税の優をとった形の共通したようなカードならいいのじゃなかろうかといった等々の論議もございます。しかし、郵便貯金というのはあくまでも郵便貯金法によって金利決定の自主的な原則も明定されておることでございます。しかも、預けた預金者は郵政大臣に対して移管管理という形をさしていただいておるという責任もございます。運用責任は資金運用法によって大蔵大臣にあれされておるわけでございますが、あくまで郵貯は自主的に管理しながらも限度額を維持してまいりたいという形の方向で頑張っていきたいと思っております。  また、そういう方向で進むならば、簡保も郵貯も含めて国家的に大きく貢献している資金であると同時に、国民はさらに安心をした形で、全国あまねく張ってある二万三千のこの郵便局のネット網において、そういった形で御利用いただけるのじゃなかろうかということを思っておる次第でございます。したがって、将来展望も含めて、これは将来においても、果たすべき役割と同時に展望においても官業としての自意識に徹しながら頑張っていきたいということでございます。
  220. 矢田部理

    ○矢田部理君 大臣からもお話がありましたが、少額貯蓄の非課税制度を基本的に守っていくということ、同時にまた、それを悪用して脱税に利用するというようなことにつきましては、これは大蔵省の指摘もありますように、厳に慎まなければなりません。その点で、郵政省としても特段の管理面において注意していただきたいということが第一点であります。  もう一点、集めたお金が財投の原資になる。それはそれとして、日本の経済に果たしてきた役割を全面的に否定するわけではありませんが、預金者の立場からしますと、集めたお金を財投にということではなしに、もう少し自分たちも利用できないか。とりわけ、不時の出費とか、あるいは災害とか、教育とかというようなときに手軽にこの小口金融ができないだろうかという郵政省に対する期待もまたあるわけです。特に、最近はサラ金などが非常に横行している現状は、やっぱり郵便局を含む全金融機関がそういう小口金融といいますか、庶民金融のエリアに入り込めない、そこを怠けていることにも一つの原因がありはしないかと私はひそかに思っているわけでありますが、この点は将来の問題としてどんなふうに考えておられるか、検討していることなどがあればお示しをいただきたいと思います。
  221. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 各国の貯蓄銀行は、主として先進国でございますけれども、やはり個人のニーズに対しての貸し付けという形も併用しておることは事実でございます。残念ながら、我が国の郵貯制度のもとにあっては、先般来、教育あるいは住宅に対する、少額ではございますが、こういったローンもつくられてまいったことも事実でございます。  今、先生の御指摘のように、サラ金禍と申しますか、こういった形に走るということは、やっぱり個人の生活が多様なニーズを持っておるときに、わずかな出費に対して相談に乗ってあげる相手がないということであろうかと思います。したがって、御指摘に今挙げられました教育とか、あるいは結婚資金とか、あるいは住宅設備の一部に対してどうしても必要だとか、あるいは不時の急病等の病の支出によって、だれが見ても納得でき得るような利用のときには、個人のそういった形の御要望にも沿っていくような制度に持っていかにゃいかぬということはかねて思っておるところでございます。  郵政審議会においても、こういった形にこたえるべきであろうという形の御答申もいただいておることでございますので、今後とも諸先生方の御支援を得ながら、こういった個人サイドのわずかな用途におこたえすることができれば、今日のサラ金禍で悩む人たちの幾分かを吸収していけるのではなかろうか。それがまた、ある半面においては、郵貯の自主逆用ということばかりではなくて、それが大きくそういった庶民の悩みにもこたえられるということは郵貯の一つの目的でもなかろうかと思っておる次第でございます。
  222. 矢田部理

    ○矢田部理君 最後の質問になりますが、もう一つの点は、機構はいろんな点で改革したが、実際にそこで働く人の労働条件なり労働環境についてはこれまた非常に大事なもう一つ観点でありますので、それを重視していただきたいというふうに基本的に考えるわけでありますが、特に当面の問題といたしましては仲裁裁定の即時完全実施という例年の問題があるわけです。  ことしも政府は、また議決案件ということで、政府みずから決定する責任を回避して国会に問題を預けてしまった。こういう態度は使用者としての政府のとるべき態度ではないというふうに私はかねがね思っているわけであります。つい最近、国会を正常化するに当たって、自民党からも今国会中に処理をするという向きの回答があったわけでありますが、担当大臣郵政、電電の職員にかかわる責任大臣として、この仲裁裁定に対して国会に預けたからもういいわということではなしに、きちっと早期にこの問題の決着がつけられるよう政治的な努力をしてしかるべきだというふうに考えますが、いかがでしょうか。
  223. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 電電を含め、職員を抱えておる担当大臣、抱えておるという言い方は語弊ございますけれども、そういった電電職員三十二万体制、郵政も三十万という、特に郵政の場合は人力依存度の多い事業でございますし、労使関係が安定で、しかも働いてくれる職員が士気が旺盛で、そういった使命感に燃えて頑張ってもらわなきゃいかぬことは事実でございます。幸いに郵政の労使関係、もちろん電電も含めて非常に良好、安定な状態でございます。こういった形にありまして、先般来の期末手当を含むいろいろな問題点において責任大臣としては極力政府の了解を求めて先般来の決定になった経緯もございます。  ただ、仲裁裁定におきましても、もちろん公労法の三十五条精神に基づいて早期実施ということは当然でございますし、そういった形に立って、先般来、政府間の部内調整も図ったところでございます。したがいまして、仲裁裁定も議決案件というような形をとっておりますけれども、これは表面上も承認に近い議決ということで、しかも今国会中という前提つきの形で、ある程度折衝の中では相当当方の即時実施という形の主張も受け入れた形の中でそういった玉虫色と申しますか、そういった形になったことも事実でございます。しかし、今国会中誠実にこれを実施に移すという前向きの姿勢の中での議会にお諮りするという姿勢で、早期実施の精神というものが働く人たちの士気を停滞させないように今後とも努力してまいりたいということでございます。
  224. 矢田部理

    ○矢田部理君 終わります。     —————————————
  225. 高平公友

    委員長高平公友君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、源田実君及び堀江正夫君が委員辞任され、その補欠として吉川芳男君及び藤田栄君が選任されました。     —————————————
  226. 高平公友

    委員長高平公友君) 以上で本案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  郵政省設置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  227. 高平公友

    委員長高平公友君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決するものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  228. 高平公友

    委員長高平公友君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十五分散会