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1984-06-19 第101回国会 参議院 内閣委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年六月十九日(火曜日)    午後一時一分開会     —————————————    委員異動  五月十七日     辞任         補欠選任      林  ゆう君     園田 清充君      沢田 一精君     徳永 正利君  五月十八日     辞任         補欠選任      園田 清充君     林  ゆう君      徳永 正利君     沢田 一精君  六月十八日     辞任         補欠選任      峯山 昭範君     桑名 義治君  六月十九日     辞任         補欠選任      桑名 義治君     峯山 昭範君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         高平 公友君     理 事                 亀長 友義君                 坂野 重信君                 小野  明君                 太田 淳夫君     委 員                 板垣  正君                 源田  実君                 沢田 一精君                 林  寛子君                 林  ゆう君                 桧垣徳太郎君                 堀江 正夫君                 穐山  篤君                 野田  哲君                 矢田部 理君                 内藤  功君                 柄谷 道一君                 前島英三郎君    国務大臣        郵 政 大 臣  奥田 敬和君    政府委員        郵政大臣官房長  奥山 雄材君        郵政大臣官房経        理部長      高橋 幸男君        郵政省貯金局長  澤田 茂生君        郵政省簡易保険        局長       奥田 量三君        郵政省人事局長  三浦 一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        林  利雄君    説明員        大蔵省主計局主        計官       小村  武君        大蔵省主税局税        制第一課長    伊藤 博行君        大蔵省理財局資        金第一課長    水谷 文彦君        大蔵省銀行局大        臣官房企画官   永田 俊一君        厚生省年金局年        金課長      山口 剛彦君        郵政省郵務局次        長        白井  太君        日本電信電話公        社業務管理局長  神林 留雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○郵政省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 高平公友

    委員長高平公友君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨十八日、峯山昭範君が委員辞任され、その補欠として桑名義治君が選任されました。     —————————————
  3. 高平公友

    委員長高平公友君) 郵政省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 穐山篤

    穐山篤君 今回、二十八貯金局、それから七つの簡易保険局郵政局統合する、こういう法案が提出されているわけですが、最初のことでもありますので、統合する背景といいますか、根拠といいますか、そういうことについて、まずお尋ねいたします。
  5. 奥山雄材

    政府委員奥山雄材君) ただいま御提案申し上げております郵政省設置法改正背景でございますけれども地方貯金局並びに地方簡易保険局、いずれも非常に長い歴史を持って今日に及んだわけでございますけれども、先般の臨時行政調査会最終答申、五十八年三月十四日に出されました最終答申の中におきまして、行政改革、特に行政組織あり方につきまして改革方向が示されております。  その中で、総論といたしまして、「行政組織は、いついかなる場合でも、変化への対応力に富み、総合性及び整合性が確保され、簡素にして効率的」でなければならないということが指摘されております。さらに、この基本理念に基づきまして、地方支分部局、特にブロック機関の再編成につきまして御指摘がなされております。「複数系統総合等」という項目のもとに、地方貯金局並びに地方簡易保険局地方郵政局統合する方向が示されております。  この最終答申に基づきまして、ことしの一月二十五日、「行政改革に関する当面の実施方針について」の閣議決定がなされまして、今回御提案申し上げておりますような地方貯金局地方簡易保険局郵政局への統合を行うことにしたものでございます。
  6. 穐山篤

    穐山篤君 たしか昭和五十七年ごろのときと記憶しますが、貯金業務本省直轄である、簡易保険業務についても本省直轄である、これはそれぞれ業務の性格も異なる、したがって機械的に統合することには異議ありと郵政省当局は反論といいますか、意見を開陳しておったはずだと思うんです。その当時の状況からいいますと、にわかにこの統合ということに踏み切った大きな背景、原因というものは実際何であったのでしょうか、その点詳しく伺っておきたいと思うんです。
  7. 奥山雄材

    政府委員奥山雄材君) たしか昭和五十五年の行革の際も同じような議論がございまして、その際には、今、先生がおっしゃいましたように、貯金局並びに保険局はいずれもその成り立ち、沿革からいたしまして本省直轄が適当であるということで、九地方貯金局、十九のセンター構想、九計算センター並びに、十九地方貯金局というような形で当時の行政改革考えたことは事実でございます。  ところが、この構想を進めてまいります過程におきまして、地方貯金局並びに地方簡易保険局郵政局との業務のかかわり合いをつぶさに検討してまいりましたところ、確かに沿革的には本省直轄機関でございましたけれども地方における為替貯金業務並びに地方簡易保険業務を一体的に遂行するためには、現在のような本省直轄方式は必ずしも適当でないという結論に立ち至ったわけでございます。ただし、その成立沿革並びに経緯背景がそれぞれございますので、単純にそれらを垂直統合するなりあるいは水平統合するような形では地方貯金局並びに地方簡易保険局の問題を扱うことはできないという主張は、私どもも今回の臨時行政調査会においてもるる申し上げたところでございます。  その結果、臨調におかれましても、その辺のこれまでの経緯並びに歴史的な背景等につきましては十分御理解いただきました結果、今回御提案申し上げましたように、第一次地方ブロック機関としての郵政局に連なる第二次の地方支分部局という形で位置づけしたものでございます。
  8. 穐山篤

    穐山篤君 経過があって地方郵政局統合する、こういうふうに最終的に決断されたわけですが、この地方郵政局統合することによって、どういう効果といいますか、従来の組織に比べてどういう点、どういう面で効率化が図られるのか、あるいは省全体からいうならば、形の上では総合化という感じがしますけれども、具体的にどういう点で総合化が促進され、どういう効果が生まれるかという点について、どうお考えでしょうか。
  9. 奥山雄材

    政府委員奥山雄材君) 今回の統合によりまして生まれてくるメリットでございますが、まず一つは、各地方単位為替貯金業務並びに簡易保険郵便年金業務郵政局統轄のもとに一体的に運営できるということが最大の効果でございます。つまり、実際の為替貯金業務なり簡易保険郵便年金業務を行いますのは、申し上げるまでもなく窓口機関としての郵便局でございますが、その郵便局の仕事を、最終的に権利義務関係並びに計算事務等を確定いたしますのはそれぞれ貯金局であり保険局であるわけです。それらの実際にお客様との接点になる郵便局と、その後方における事務とを一体化して、為替貯金業務並びに簡易保険郵便年金業務一貫性のある執行体制のもとで行われるということになるわけでございます。  それから第二点のメリットといたしまして、管理共通事務地方郵政局に集中することが可能になります。管理共通事務という中には、訓練関係事務、あるいは厚生福利関係事務、さらには式紙消耗品といった資材関係事務、また会計、決算、経理、予算といったような関係事務等、俗に言う管理共通事務郵政局統合されますので、そのことによりましてさらに経営の減量化が図られるという、この二点が主な効果でございます。
  10. 穐山篤

    穐山篤君 形の上で総合化、一体的に運営することができるというのはわかります。それから、なかんずく管理部門共通した分野統合されるという点についてはよくわかると思う。しかし、少なくとも総合化効率化を図る、あるいは地方本省権限を委譲して地方で自主的な活動が展開される、業務が運営されるということにならなければ本来の意味効率化にはならぬと思うんです。  そこで、具体的にお伺いしますが、それぞれ点在しておった共通部分中央に上げるとして、何を地方郵政局あるいは貯金センター保険センター本省権限というものを委譲するのか。委譲することによって地方業務運営が円滑にあるいは効果的に進めることができるか否かという部分については、どういうふうに考えていますか。
  11. 奥山雄材

    政府委員奥山雄材君) 現在、郵政省職務規程というものに各機関職務権限が規定されております。現行の規定でまいりますと、先生が御指摘になりましたように、地方貯金局並びに地方簡易保険局はいずれも本省直轄でございますので、本省機能を一部分掌するという形になっております。それを今回の改正によりまして地方郵政局統合いたします結果、本省におきましてはそれらの地方支分部局上部機関といたしまして、極力調査企画、政策的な権限といいますか機能を充実強化してそれに絞る、むしろ徹底するというようなことで、本省内部部局の若干の改編をも考えております。  その結果、地方郵政局並びに地方貯金局並びに地方簡易保険局におきましては、これまで本省で所掌しておりましたものが地方に移管されます。つまり、これまで本省が直轄して指導しておりました地方貯金局並びに地方簡易保険局に対する業務執行権限はほとんど大半地方郵政局に委譲いたします。ただし、保険契約締結事務はこれは本省簡易保険局長権限ということで法律に明定されておりますので、この部分につきましては、今後におきましても本省貯金局長から直接地方簡易保険局長に委任するという形になります。しかし、いずれにいたしましても、これまで本省が持っておりました大半の権能を郵政局を通じた形で地方貯金局並びに地方簡易保険局にゆだねるということになります。
  12. 穐山篤

    穐山篤君 そこで、法案成立後、提案で言えば七月一日から施行、こうなっているわけですが、予算上の措置を見ると、従来と今年度は変わりがないですね。その点はどういうふうにお考えでしょうか。
  13. 奥山雄材

    政府委員奥山雄材君) 先生指摘のとおり、五十九年度予算につきましては在来どおり計上になっております。これは七月一日から新しい組織がえを予定しておりますので、七月一日以降管理共通部門中心とした諸事務逐時郵政局に移管してまいります。できるものは即日行うものもありますし、中にはある程度の期間をかけながら事務処理を移管していく必要のあるものもございます。  非常に卑近な例で申し上げますと、例えば資材関係事務あるいは式紙なんというものはこれまでの在庫ストックといったものもありますので、そういったものはこれまでの現在ある状態を逐次状況の推移に応じて郵政局に委譲していくということでございますので若干の期間がかかります。したがいまして、六十年度予算は、必ず新しい組織編成後における予算計上にするつもりでございます。
  14. 穐山篤

    穐山篤君 施行されても逐次移行するわけですから今お答えのようなことになるだろうと思いますが、さてそこで、来年度昭和六十年度で、言うならばこの統合することによって、財政の面でも、あるいは組織機構の面でも、要員の面でも、あるいはその他の分野でも、節約と言えば多少語弊があると思いますけれども変化が当然生ずるわけです。また、それを期待しての統合だろと思うんですが、一例としてお伺いしますのは、要員の問題につれて、統合することによって共通のものは中央に上がるにいたしましても、その他の分野では、貯金センターにしろ保険センターにいたしましても、要員規模というのはどういうふうに変わっていくのか、具体的にひとつ考え方を明らかにしてもらいたいと思うんです。もちろん、これは貯金業務の場合にはオンライン化近代化というものが既に行われているわけですから、それと切り離しはできないと思いますけれども、来年度の物の考え方をお伺いしておきたいと思います。
  15. 奥山雄材

    政府委員奥山雄材君) 来年度に向けまして、先ほども申し上げましたように、事務の移管を見きわめながら要員縮減等所要措置予算計上していくつもりにしておりますが、現在との程度の人員が縮減されるかということにつきましてはなお計算中でございますので、現段階ではまだ数字を得ておりませんが、いずれにいたしましても、八月三十一日の概算要求までには、まず初年度における要員措置というものを計上してまいりたいと思っております。  それ以外の、共通部門以外の要員措置でございますが、この点につきましては、既に地方保険局におきましては昭和四十四年から、それから地方貯金局におきましては四十五年からいずれも機械化、さらにはそれの進展した形としての総合オンライン化というもので逐次要員削減を行ってきております。地方貯金局関係でこれまでに四千四百名、保険局関係で二千名というものの削減を行っておりますが、これは機械化オンライン化に伴う縮減措置でございますので、これらは今後の地方貯金局等におけるオンライン事務の進展に応じて今後とも検討してまいる予定にしております。例えば、若干具体的に申し上げますと、まだ一部オンライン化されていない業務が残っておりますけれども、そういったものをオンラインに切りかえることによって出てくる人員措置が今後の六十年度以降における予算措置計上される予定でございます。
  16. 穐山篤

    穐山篤君 統合することによって、具体的な例で申し上げますと、貯金局事務センターの方々 の言うてみますと要員の操作の問題は統合することによって従来よりも弾力性が出てくる、こういうことはよくわかるわけです。言いかえてみれば、配置転換可能な地域が相当広くなる、そういうふうに理解するわけですが、それで間違いないでしょうか。
  17. 奥山雄材

    政府委員奥山雄材君) 郵政局中心とした一元的な、一体的な業務執行体制になりますので、郵政局中心に人材の交流あるいは人事配置がえ等は従来以上にスムーズにいくものと考えております。
  18. 穐山篤

    穐山篤君 そこで、お伺いしますが、東京都あるいは名古屋、大阪という都市部は別にいたしまして、地方都市にあります貯金局、つまり事務センター要員を若干調べてみたわけでありますが、勤続年数平均年齢にいたしましても、他の業務機関よりも貯金局の方が相当高いわけです。したがって、人事操配交流という問題についても特別の配慮をしなければできない問題ではないかというふうに思うわけです。他の業務機関の方では欠員があれば補充をする、新規採用をする。ところが、貯金局の方では、要員の事情から考えてみまして極力セーブしてきたといういきさつがあるわけです。過渡期ですから、いろんな問題があろうと思うんですが、私の出身の山梨甲府市の場合を具体的に調べましても、五歳前後、四歳から五歳ぐらいの年齢的なあるいは勤続年数格差があるわけです。これは何も山梨県のみならず、地方都市におきましてはそういう現象だろうというふうに理解しますけれども、今後の要員上の操配あるいは配置転換という問題について、どういうふうにお考えでしょうか。
  19. 奥山雄材

    政府委員奥山雄材君) 先生が御指摘になりましたように、確かに地方貯金局等における平均年齢は、当該地域における郵便局職員平均年齢より若干高くなっております。  これは一つには、今、先生甲府の例を引かれましたけれども、例えば甲府地方貯金局でありますと四百数十名の職員がおりますが、甲府というマーケットを考えた場合に、非常に大きな、かなりの求人力のあるといいましょうか、職場でございますので、なかなかそれだけの人員を吸収する職場というものは山梨県内にはそうたくさんはないわけでございます。  そういうことから、一応貯金局等に入りました職員は比較的郵便局等に出たがらないというこれまで傾向がございましたけれどもオンライン等効率化等が進みます過程で、次第に地方貯金局等職員も意識が変わってまいりまして、昨今では郵政局あるいは郵便局等との交流を望む気持ちがかなり強くなっていると私どもも把握しております。そのような状況をとらえまして今回の改正が行われるわけでございますので、私どもといたしましても、できるだけ彼我の交流をこれから促進するような方途、方策を考究してまいりたいというふうに考えております。
  20. 穐山篤

    穐山篤君 組織機構上、地方支分部局としては郵政監察局以下簡易郵便局まで七つございますね。それで今回、二つの貯金局簡易保険局地方郵政局統合化が図られる、そのための法律が出ているわけです。  さて、郵政大臣、今回のこの措置をもって、その他の支分部局統合あるいは改廃というふうなことについて検討はされているんでしょうか。その点いかがですか。
  21. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 私の方の郵政省としては、このほか電波監理局の問題もございます。また、郵政監察局に関しても答申を受けておるところでございますけれども、目下のところ検討中という段階でございます。
  22. 穐山篤

    穐山篤君 私は、郵政三事業という意味電波監理の方はちょっと除外したわけですけれども監察局あり方の問題だとか、あるいは地方郵便局あり方の問題だとか、部内的には常に研究して効率化を図るということは結構だと思うんですが、いわゆる法案を提出して具体的に審議を願うという意味でこの地方支分部局改編というものについてどういうふうにお考えですか。もう一度お伺いします。
  23. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 御指摘のように、法律事項としての改編はありません。
  24. 穐山篤

    穐山篤君 ないですか。
  25. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) はい。
  26. 穐山篤

    穐山篤君 さてそこで、この問題に関連して少し労働問題についてお伺いしておきますが、ことしの二月、くしくも郵政国鉄が五九・二という改正を行ったわけです。そこで、郵政の場合には鉄道輸送というものを原則的に廃止して、自動車、車両によるところの輸送というものに重点を置いた。国鉄の場合には直行輸送というものを中心にして、その他の貨物、客荷物輸送を全面的に撤収する、こういう五九・二のダイヤ改正があったわけです。  率直に見まして、郵政の場合と国鉄の五九・二の場合では随分違いがあったなというふうに私も関係者の一人として痛感しているわけです。平たい言葉で申し上げれば、郵政の五九・二というのは相当御苦労が多かったけれども、よく労使で協議してまとめていただいたという感じであります。国鉄の五九・二の問題はまだ依然として尾を引いておりまして、御案内のように二万五千人も言うところの過員が生ずる。  そこで、こういう事実に照らしてみまして、ダイヤ改正にいたしましても、あるいは統合、廃止にいたしましても、労使の協議というものが非常に今日では重要な因子を持っていると思うんです。私は、一般的な観測として先ほど郵政労使についての一応の評価をしたわけですが、この五九・二を終わってみての大臣の感想はいかがでしょうか。
  27. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 率直に答えさせていただきますけれども、就任まだ半年でございますが、郵政労使間というのは非常に今、過去のことの細部にわたっては知りませんけれども、私が担当いたしましてから本当にうまくいっておると思います。特に人力に頼る作業が多い分野ではございますけれども、非常に最近は労使間において話し合いもスムーズに行われておりますし、士気も上がっておるといったのが実情だろうと思います。  とりわけ、この五九・二の輸送システム改編に伴いまして大変な配置転換等々が全国的規模で行われたわけでございますが、これらについても若干一部にまだ、これは労使間の問題ではなくて、ダイヤ等編成関係で多少問題点がないというわけではございません。しかし、これらも逐次改善の方向に向かっております。特に需要者である、利用される国民の皆さんには小包便を含めて非常にスピード化も図られましたし、この点については率直に申してまことに良好な関係を維持しておるということを喜んでおるというのが私の率直な気持ちでございます。
  28. 穐山篤

    穐山篤君 それで、今回の統合を行うことによって、いわゆる労使関係というのには特に変化が生ずるのでしょうか、それとも従来どおりでしょうか。
  29. 三浦一郎

    政府委員三浦一郎君) 統合関係、今回の地方貯金局地方保険局関係統合というぐあいに理解するわけでございますけれども、今、大臣が申されましたように、現在のところ郵政省労使関係というものは比較的安定しておるというところでございまして、今後ともさらに正常で安定した労使関係というものを築きたい、このように努力してまいりたいと思っておるところでございます。  したがいまして、今回の統合後の地方貯金局あるいは地方保険局労使関係でございますけれども、こういった基本的な方針に基づいて適切に対処していきたい、このように考えておりますので、統合後において、労使関係において特段の変化が生ずる、こういったものはない、円滑に移行する、こういったことで今後とも関係労働組合と十分な意思疎通を図っていきたい、このように考えております。
  30. 穐山篤

    穐山篤君 そこで、一つ注文があるんですが、労使関係というのは、立場の違いはあったにしま しても、信頼関係の上に成り立っているわけであります。しかし、全国ネットの商売でありますので、北海道から沖縄まで皆それぞれのところでそれぞれの部署を守っているわけです。必ずしも機械的に物を判断するということはなかなか難しいと思うんです。過密地域もあるだろうし、過疎地域もある。そういうことを考えてみますと、労使関係についての従来の安定的な労使慣行というのはいいと思いますが、なおきめの細かい、業務運営を円滑にしていくためにも、やはり地方におきます労使慣行といいますか、労使関係というものを十分に安定さしていく必要があるだろうというふうに思うわけであります。  専門的なことは申し上げる必要はないと思いますが、それぞれの県庁所在地には統括局もありますし、そうでないところにはまたそうでないような役所の配置もあるわけです。我々とするならば、中央ももちろんそうでありますが、地方においても十分な話し合いが行われて、労使関係が安定することを特に期待したいと思うんですが、その点、大臣いかがでしょうか。
  31. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 御指摘の点をよく踏まえて、今後とも対応してまいります。特に、今お話のありましたように、過密局と申しますか、そういった形と、地方においてのそういった労務条件のいろいろな格差のあることも事実でございます。それらを子細に話し合いまして、やはり休息時間等々においても現状に合ったような形で柔軟に対応するということも当然必要であろうかと思います。また、その方向で先般来も幾つかの問題について話し合ってきたところでございます。
  32. 穐山篤

    穐山篤君 それから、先ほど五九・二のお話を伺ったわけですが、仄聞するところによりますと、来年の三月も一つの節目である。六〇・三、私は国鉄出身なものですから、六〇・三ダイヤ改正というふうな意味郵政省の六〇・三というのはどういう構想なんでしょうか。
  33. 白井太

    説明員(白井太君) 最初にお断りを申し上げておかなければならないと思いますが、郵務局長が国際会議に出席のため外国に出張中でございまして、本日の委員会欠席さしていただいておりますので、お許しをいただきたいと思います。  そこで、お尋ねの六十年三月についてでございますけれども、実は、私どもといたしましては、まだ今日の時点におきましては国鉄側の計画が十分わかっていないような状況でございまして、今日の時点で六十年三月に郵政省としてどのような改善、改革を行うかということについては、時期的に少し早いということでお許しいただきたいと思います。
  34. 穐山篤

    穐山篤君 わかりました。  さてそこで、この機会でありますので簡保、郵便、あるいは郵貯などについてお伺いするわけですが、その前に、郵政三事業なかなか厳しいものがあろうと思うんです。それぞれが、郵便事業を除きましては、民間におきましても同種の保険あるいは金融機関があるわけでありまして、郵政省が持っております公共的な役割を競争の中でどうやって生かしていくか、非常に難しい場面に立たされていると思いますけれども、この郵政三事業についてこれから大臣はどういうふうに構えて国民の期待に沿っていくのかというその基本的な部分について、ひとつ大臣考え方をお伺いしておきたいと思います。
  35. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 三事業とも、全く国民生活に最も密着した事業であるということは共通しております。  郵務関係におきましては、非常に厳しい環境に立たされております。特に、民間宅配便との競合という問題において、先ほども申しましたように、相当大規模なシステムの改善、配置転換等々でこの厳しい難条件を切り抜けようと目下懸命に努力しておるところでございます。特に今年度は、単年度で郵務事業に関しましては百五十億ばかりの赤字を計上せざるを得ない環境にございますけれども、これとて何とか国民にそういったしわ寄せを招かないようにということで、目下暑中見舞いのはがき一つ取り上げましても、倍増運動という形で前垂れがけ精神で、各人、労使ともそういったセールスマンの形で国民に大きく利用していただこうという啓蒙運動を初め、私もいろいろな先生方から寄せられましたアイデアを実行段階に移すことによって、この今年度の赤字を、全くなくするということは難しいかもしれませんけれども、それに近い状態にまで何とか持っていきたい、そういった気構えでおります。  また、簡保、年金関係、郵便貯金も含めてでございますけれども、大変なお預かりした貴重なお金でございます。したがって、これらの利益還元、潤沢な利息の確保も含めて、非常に民間との競合の体制の中でこれもまた厳しい環境に置かれておることも事実でございます。  簡保、年金に関して言わしていただくならば、これが制限額一千万という限度の中ではございますけれども、集まっておるお金というものは二十三兆を突破するという状態にございます。しかしながら、これだけの巨額資金でありながら、多少なりとも民間とのハンディキャップを感じておることも事実でございます。これは率直に申して運用面においてでございます。ですから、民間生保と比較いたしまして、私たちはこれを株式あるいは投資信託あるいは金融ローンあるいは住宅貸し付け等々にするわけではございませんし、ごく限られている公共債等々で多少の制度の改善は見られておるとはいうものの、まだ非常に厳しい制約下の中で大半が預託運用ということで資金運用部の資金として国家財政に寄与しておるといったのが現状でございます。  しかしながら、この簡保、年金の大きな資金がそういった形で国民生活に大きく貢献しておるという理念に立てば、こういった形で制度の改善を努めてまいると同時に、こういった使命感も持ちながら今後とも努力してまいりたいということでございます。したがって、先生方にお願いしたいのは、今後こういった簡保、年金の資金の運用をめぐって今後とも国民に利益が還元されるようにひとつ御助力、御支援を賜りたいということでございます。  なお、そういう環境下にもかかわらず、五十八年度では六千五百億円近い金額を利用者に還元することができたということですから、この関係者は非常に頑張ってくれておるという形の御報告ができるかと思います。  なお、郵便貯金においては、これも既に八十七兆円を突破いたしました。最近の預貯金動向の低迷といいますか、これは郵貯にも押し寄せておることは事実でございます。しかし、これとても、今後運用といいましても、私たちの方は集める立場で、使う立場というと悪いですけれども、これは大蔵省に預託しておるわけでございますから、ただ、そういった形で今後金利の自由化等々の動きに合わせて、郵貯とて市場実勢に合わしていかなければならない。しかも、そうしなければ預金者の利益確保につながらないという事態を考えますと、これからますます厳しい条件に立たされてくるだろう。  今日のように、預託利率が比較的にコストの安い郵貯を上回る形で決められておりますから、今年度も含めまして、比較的良好な形の成績の中で、今までの累積した郵便貯金の赤字が、非常にコストが高くついて何かむだをやっておるというような誤解がございますけれども、郵貯は依然として他の民間金融機関いずれと比べても一番安いコストでやっておるという実態。そういうことから申しますと、今日の預託利率が確保されればここ一、二年足らずして郵貯の赤字はもちろん解消いたしますし、そういった形の中でこの三事業の健全な発展を図っていこうと、目下懸命に労使含めて国民各位の御理解を得ながら努力してまいろうと思っておるところでございます。
  36. 穐山篤

    穐山篤君 今の三つの問題はこれから逐次またお伺いしますが、最初に簡易保険の問題です。  簡保全体についての話を伺う前に、簡易保険保険料の引き下げという問題が近々行われるというふうに聞いているわけでありますが、具体的にはどういうように保険料を引き下げていくのか。 これは多分新規加入者を対象にした場合のことになるだろうと思いますが、既に加入している者などとのかかわり合いというのは当然調整せざるを得ないと思いますが、この簡保の改正について、とりあえずお伺いしておきたいと思います。
  37. 奥田量三

    政府委員奥田量三君) 昨日、郵政審議会の御了承を得まして、本年九月から幾つかの制度改正を実施することを決定いたしました。  主要な内容は二点ございまして、まず一点は、ただいま御指摘のありましたように、簡易保険保険料の引き下げでございます。これによりまして簡易保険利用者に対する一層のサービスの向上を図りたいと考えておりますが、基本契約と特約の両方の保険計算の基礎を改めまして、それぞれその保険料を下げたいと考えております。今回決定いたしました基本契約、特約両方の保険料の引き下げを平均いたしますと、平均で現行に比べ約八・六%程度の保険料が下がることになるわけでございます。  それから、いま一つ改正点は、特約の入院保険金額の改正でございまして、これは御承知のように、病気やけがで加入者が入院された場合に一日当たり幾らということで保険金をお払いするわけでございますが、この入院保険金につきまして、これについて詐欺のような行為が行われる。これを悪用いたしまして保険金を詐取するというようなケースが発生するのを防止いたしますために、加入後二年間の入院保険金の額を、二年以降のものに比べまして最初の一年間は三分の一、一年から二年までは三分の二というふうに保険金の額を小さく定めようというものでございます。  改正の主要点は以上の二つでございますが、なお、御質問のありました、既に簡易保険にお入りになっている方々につきましては、本年九月以降も今までどおり保険料をお払いいただくわけでございますから、いわばその差額に相当する部分につきましては、その差額分に相応の利息を付しまして配当金の増額という形でお返しする、それによって調整させていただく、こういうふうにいたしたいと考えております。
  38. 穐山篤

    穐山篤君 わかりました。  さてそこで、年度の途中でありますけれども、こういうふうにある意味ではサービスということを考えられたわけですが、簡保の場合に基本的に五つの保険があるわけです。今回九月の改正の場合でも、多分これは平均余命の伸長という問題や、それから運用の利回りが上がるという、そういうふうなことも手伝ってサービスとしてこういう改正になったと思うんです。その意味からいいますと、基本的に五つあります簡保につきましても、おいおいそういうサービスというものを検討せざるを得ないのじゃないだろうか、こういうふうに思いますけれども、その点はいかがでございましよう。
  39. 奥田量三

    政府委員奥田量三君) ただいま申し上げました保険料の引き下げは、簡易保険のすべての種類につきまして行うものでございまして、ただ、引き下げの割合等は種類あるいは加入年齢、保険期間、そういったものによって幾らかの違いが生ずるというわけでございます。それを全部平均いたしまして、先ほど申し上げましたように八・六%ということになるわけでございます。  ちなみに、御指摘がございましたので申し上げますと、この保険料を八・六%引き下げるという基礎といたしまして、先ほど保険料の計算基礎を改めるということを申し上げましたが、その保険計算の基礎といたしまして主要なものが三つあるわけでございますが、その一つでありますところの予定死亡率、裏返しますと加入者の平均寿命ということでございますが、現在使っております生命表に比べまして、九月から採用する新しい生命表におきましては平均寿命が男子で約二・六歳、女子で約三・一歳延びる、こういう表を使うことになっておりますし、それから利回りの点につきましては、保険料の予定利率を現在保険種類によりまして五%あるいは五・五%となっておりますが、これを六%に引き上げる。その予定利率、死亡率、二つの見直しに伴いまして、いわゆる付加率、事業費率でございますが、これにも所要の手直しをいたしまして、あわせて平均八・六%の引き下げということになるわけでございます。
  40. 穐山篤

    穐山篤君 それで、資料を見ますと、どの保険が一番利用されているかというのを調べてみましたが、普通養老保険あるいは学資保険、特別養老保険というそのほとんど七、八○%を占める、こういう状況になっています。  そこで、先ほど指摘しましたが、民間生保との競争関係にあるわけでありまして、民間の方もいろんな新商品を開発しております。そこで、当然議論になりますのは、新しく契約を大勢の人にしてもらうためにどうするか、あるいは継続の契約をどういうふうにさらに延長してもらえるか、こういう活動というものがこれからある意味では死命を制するというふうに思うんです。なかなか厳しい面があると思いますが、その点は具体的に何かお考えがありましょうか。
  41. 奥田量三

    政府委員奥田量三君) ただいま御指摘のとおり、生命保険という商品は、どちらかといいますと、窓口に座っておりましてお客様がお見えになってお入りになるということではございませんで、生命保険の従業員が積極的にお客様に呼びかけて保険の必要性あるいは保険のよさというようなことを御説明し、御理解いただいてお入りいただくという性格の商品でございます。そういった意味で、生命保険あり方の基本を決めるものはとりわけお客様と直接接触する外務員の力、あるいは知識あるいはやる気、そういうものが基本であろうというふうに考えております。  そういう意味で、簡易保険におきましてはこれまでも従業員教育、特に外務員教育に力を入れてまいりましたけれども、これからのことを考えてみますと、いわゆる金融の国際化あるいは自由化、多様化、そういった大きな波が生命保険の世界にも当然波及してまいるわけでございまして、そういう意味からいたしまして、ただお願いしますというような形での保険の普及ということではなく、外務員が生命保険商品はもちろんのこと、広く金融全般あるいは財政経済、そういったことにも相応の知識を持ってお客様の生活の御相談相手になって差し上げられるような、そういった質の高い職員になっていく必要があろうというふうに考えております。そういった意味での従業員教育というものに、今後特に力を入れていかなければならないと考えております。
  42. 穐山篤

    穐山篤君 さて、簡保、年金についての会計面上からの問題点について、郵政並びに大蔵省からお伺いしたいと思うんです。  現行の定めによりますと、余裕金と積立金というふうに分かれています。積立金の方につきましては、御案内のとおり積立金の運用にということで定められているわけであります。従来、郵政当局が大蔵省との予算要求の際に常に問題にしておりましたのは、余裕金の性格、余裕金のあり方、あるいはその運用の問題について意見が分かれているやに私ども見ているわけです。もちろん、それは現行法規で言えば余裕金と積立金の運用が違う、法律に定められているからそのとおりでいいと思うんですけれども郵政省当局としてはこの余裕金の運用の問題についてどういうふうにすることが一番適切であるのか、死に金にならないのかという意味考え方があろうと思うんですが、いかがでしょうか。
  43. 奥田量三

    政府委員奥田量三君) ただいま御指摘のとおり、簡易保険、郵便年金におけるいわゆる余裕金、これは御承知のとおり当該年度において新しく増加する資金のことでございますが、これにつきましては、当該年度中は会計制度上余裕金という整理で資金運用部に預託することになっております。  そういたしまして、この余裕金の運用利回りは、積立金、つまり郵政大臣が自分で運用しておりますその余の大半の資金の運用利回りに比べますと低い方の格差があるわけでございます。現行規定上、余裕金ということで整理はされておりますが、私どもといたしましては、余裕金と申しましても当該年度に新しく加入者からお預かりした 保険料あるいは年金の掛金でございまして、その意味におきましては前年度以前までに積み立てられている積立金と基本的に性格は変わらない、つまりお客様からお預かりし、これを有利に運用すべき保険、年金の積み立て原資であるという意味においては同じであると考えておりまして、これを発生の当初から、つまり当該年度から積立金と同様に直接運用したいというふうに考えている次第でございます。ただ、残念ながら、これまでこの点について政府部内の合意が得られていないという状況でございまして、これにつきましては私ども引き続き政府部内で努力してまいりたいと考えております。
  44. 穐山篤

    穐山篤君 この余裕金を資金運用部に預託する場合の最低の利率というふうに見ましたが、預託の利率は年に直して何%の計算ですか。
  45. 奥田量三

    政府委員奥田量三君) 資金運用部に余裕金を預託いたします場合の利率は、期間によっていろいろございまして、一番長いもので一年以上が七%、以下三カ月以上が三・五劣、一カ月から三カ月が二%というように差がございます。そして、私どもの余裕金の預託の方法といたしまして、簡単に申しますと、年度初めに発生しました余裕金は例えば一年間預託いたしますが、年度末近くに発生いたしましたものは一カ月とか三カ月とかいうような短期で預託せざるを得ないということもございまして、それらを組み合わせながら預託しているというのが実情でございます。
  46. 穐山篤

    穐山篤君 そうしますと、年度当初の余裕金を預託する場合には三カ月以上一年未満三・五%という計算ですか。それから、その一番最低でいきますと、一カ月以上三カ月未満ということになりますと年二%、この計算で間違いないんですか。
  47. 奥田量三

    政府委員奥田量三君) 御指摘のとおりでございますが、ただいま申し上げましたように、年度の早い時期の発生したものは、同じ預託金と申しましても、先ほど申しましたように、長期と短期のものでは五%の利回りの差がございますから、一年以上のもので七%、一番短い一カ月から三カ月のものでは二%ということでございますので、いろいろ計算いたしましてなるべく有利なようにということでいわゆる一年物、つまり七%の利率の適用を受ける、そういう形の預託が一番多いわけでございます。
  48. 穐山篤

    穐山篤君 大蔵省にお伺いしますが、今法律的に言うと、余裕金と積立金の運用の違いはそれは定めでありますからわかりますけれども、この余裕金を資金運用部資金に預託しない、あるいは別の運用の仕方を郵政省が要請しているようでありますが、それについて大蔵省はどういう見解でありますか。この余裕金の性格から考えてみて、こういう国庫金の取り扱いは理論的にどうすべきであるというふうな根拠があろうと思うんです。その点をひとつ明らかにしてください。
  49. 水谷文彦

    説明員(水谷文彦君) お答えいたします。  先ほど指摘のございましたように、郵貯資金あるいは簡保資金といいますものは、財投の原資として私ども運用さしていただきます大変貴重な財源でございます。そういった中で、簡保の資金についてのお尋ねでございますけれども、私ども運用部というものに預からせていただくわけでございますけれども、国の制度あるいは信用を通じて集められますいろんな資金、それは簡保もございましょうし、郵貯もございましょうし、そのほか各種の年金、資金等がございましょうが、そういったすべての資金は資金運用部資金に統合して運用さしていただくというのが大原則でございます。  このような統合運用の原則といいますものは、そういった資金を統合的に運用することによりまして、政策的な重要性に応じまして資金をバランスよく配分するとか、あるいは私どもが所掌しております財政政策あるいは金融政策と整合性をとりながら運用するとか、あるいは運用の効率性を図るというような、各種の見地から最も合理的な統合の運用の仕組みであるというように考えているわけでございます。  したがいまして、ただいま申し上げましたように、国の制度あるいは信用を通じて集められます資金というものはすべて統合さしていただくというのが大原則、建前でございます。そういったことで、国の各特別会計の余裕金、積立金というものは全都運用部に預けていただいている、そういうわけでございます。  そういった中で、ただ一つ、御指摘がございましたような簡保の積立金につきましては、創設以来の歴史的な経緯等もございまして、これが唯一例外的に分離運用になっているということでございまして、その分離運用が私どもの立場からしますと例外でございます。したがいまして、ただいま余裕金につきましてどういう考え方かという御指摘ございましたが、余裕金につきましては、冒頭申し上げました統合運用の大原則の中で私どもの方に預託され、運用さしていただいているということになるわけでございます。
  50. 穐山篤

    穐山篤君 政策的な話ですから、大蔵大臣とまた別なところでよく詰めたいと思いますけれども、後ほども指摘しますけれども、金融の自由化というふうな新しい問題も出てきているわけです。それから財政が経済に与える影響というものも無視できないことは十分承知しますけれども、民間資金の活用ということも今日的な課題にあるわけです。そういう状況のときに、御用金的な古い考え方で何でもかでも資金運用部に金をまとめればそれでうまくいくのだというふうな考え方はやや古典的に過ぎるというふうに思うんです。考え方はわかりましたけれども、私ども考え方からいいますと、必ずしも資金運用部資金に全部集合するということについては賛成しがたい、こういうふうに大蔵省には申し上げておきたいと思うんです。  郵政大臣、どうでしょうか。ただ単に郵政大臣という職責のみならず、閣僚という立場から考えてみて、もうこの辺で国の金の運用の問題について新しい発想に立つべきだと私は考えますけれども、その点いかがでしょう。
  51. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 郵貯にいたしましても簡保の余裕金にいたしましても、資金運用部に預託して日本経済の発展に大きく貢献しておるということは十分私どもも認識いたしておるところでございます。しかしながら、これからの金融の国際化、それに伴う金利の自由化というとうとうたる大勢の流れと申しますか、そういう情勢を先んじて考えますときに、私たちが日ごろ主張しておる一部自主運用ということにも当然私たちは前向きに検討してまいらなきゃならぬと思っております。  今日のような、例えば日銀のガイドラインあるいは大蔵省が規制している金利の細かい上下限を決める、そういった調整がこれからきかなくなってくるという形の中で、私たちも預金者からの貴重な預金を預かっている立場として、何としても市場実勢に合った金利、他の民間金融機関にまさるということはなくても劣らないだけの金利は確保してましらなきゃならぬということになりますときに、この一元的に運用されておる政府の預託率自体、果たして預貯金者のこういった金利を守っていくことができるのかということも非常に重要な関心事でございます。したがって、私たちはやはりせめて国債利回りに同等あるいは追随するような形の中での資金運用を図ってまいりたいということでございます。  したがって、今日の情勢になりますと、私たちはそういう流れの中で今後の自由化に対応していくためにも、そういった限られた分野ではございますけれども、自主的な運用面の形も検討して道を開いていただきたい。今年度の予算編成に当たりましても、これは最後まで大臣折衝で両省で折衝したという経緯もございます。今年度は断念いたしましたけれども、引き続きこういった視点に立って努力してまいりたいと思っております。
  52. 穐山篤

    穐山篤君 次に、郵便事業に移りますが、郵便事業に関連して電報の配達の話から先に伺います。  電報というのは電電公社の固有の仕事、業務内容なんですが、まず郵政当局にお伺いします。  郵便局で電報の受け付けをする、この業務があ ります。それから郵便局を通して配達する、この配達は電電公社業務の委託業務として行う、こういうルールになっていることは間違いないですか。
  53. 白井太

    説明員(白井太君) ただいま先生がお話しになりましたとおりでございます。
  54. 穐山篤

    穐山篤君 電電公社にお伺いしますが、電報は電電公社で受ける、電電公社で配達する、直営が主たる業務になっているわけですが、配達に関して民間に委託もしている、そういう理解で間違いないでしょうか。
  55. 神林留雄

    説明員(神林留雄君) 先生指摘のとおり、民間にも配達を委託しております。
  56. 穐山篤

    穐山篤君 先に数字のことをお伺いしますが、時間ありませんから私の方で申し上げてもいいと思うんですが、電報の受け付けというのは全部で四千万通というふうに、概算ですけれども、数字を伺っております。それから郵便局で受け付けるのがその一割ぐらいの四百二十万通ぐらいである。  そこで、委託でありますが、民間の団体に委託する場合、一通幾らの委託料を払うのか、それから郵便局に配達を委託する場合に一体幾らの委託料を支払うのか、その点ひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
  57. 神林留雄

    説明員(神林留雄君) お答えいたします。  私ども民間に委託する場合は、五十七年度の実績ですけれども、これは委託する場所によって単金が当然違うわけです。都会地の密集したところは安い、地方の方は高い、こういうことになりますけれども、全部平均いたしますと、一通当たり六百十三円の委託単価になります。郵政省の場合には、最初に結論だけ申し上げますと、一通に換算しますと、今実は委託費の支払い形式が一通ごとというふうになっておらないんですけれども、あえて一通に換算いたしますと二千九百五十四円、こんなふうになっておりますけれども、当然郵政省に委託している分というのは、地方といいますか僻地分が多いので、いわば私どもで委託しても単価の高いところが多いかと思います。  以上です。
  58. 穐山篤

    穐山篤君 この六百十三円対二千九百五十四円、一見だれが見ましても、これはどういうことになっているのだろうという疑問を持つのは当然です。素人になるほどというふうな説明はできましょうか、伺いたいと思うんです。
  59. 白井太

    説明員(白井太君) 私の方から事務的にちょっとお答えをさせていただきたいと思いますが、ただいま電電公社の方からお話もございましたけれども、もともと電気通信関係の仕事というのはかっては逓信省ということで実は一本でやっておりまして、それが昭和二十年代に二つに分かれて今日に至っておるわけでございますが、電電公社と郵政省が分かれましたころの時点におきましては、電話につきましてもあるいは電報につきましても、ある意味では半分以上を郵便局を通じて今のような委託という形で仕事をしてきたというような経緯がございます。  それが今日、電話についてはすべて自動化とともに電電公社の方に移しかえをしておりますし、電報につきましてもだんだんと公社の方の直営化に切りかえをしてきたところでございますが、先ほど公社からもお話がございましたように、公社へ移管するにつきましては、都市部の方からだんだんと直営に移すということをやってまいりましたので、今日郵政省が委託を受けるという形で電報の特に配達などの仕事をしておるのは山間、辺地、離島など、いわゆる過疎地が大部分というふうになっておりまして、その辺がこの委託費につきましても反映しておるということは申し上げざるを得ないというふうに考えております。
  60. 神林留雄

    説明員(神林留雄君) 現在の委託費体系というのは、ただ民間に委託する場合には一通ごとに幾ら、一通このくらいかかるからこのくらい、こうなっておるんですが、郵政省さんとの間では、今、白井次長からお話がありましたように、前からやっていただいたやつを引き続きやっていただいておるわけですが、言うなれば、スタンバイ体制といいますか、一通当たりというよりも電報を受けつけるあるいは配達する体制、私どもあえて言うと、民間に委託じゃなくて、電電公社が直営でやっておった、自分でやっておったときと同じような思想で現在委託しておるわけで、率直に申し上げて相当単価が高いのでございますが、若干先に走るかもしれませんが、私どもとしても民間委託の場合に比べて相当高過ぎるということもございまして、実は現在、鋭意、郵政省さんの方ともこの単価といった問題についてもう少し改善するような折衝を現在しておるところでございます。
  61. 穐山篤

    穐山篤君 電電公社の会計制度全体からいいますと黒字でありまして、また今年度も国に幾ばくかの金を拠出してもらうというそういう法律が出ているわけですから、経営としてはなかなかすばらしい。ただ電報に関して、電信関係昭和五十七年度の決算書を見ますと、電信収入、電報料と加入電信料で五百八十九億八千百万円というふうに計算がされております。それから業務委託費のうち電報に関しましては五、六十億でありますから約一割程度だと思いますが、この電報に関して独算制で処理した場合には当然私は赤字になるのじゃないか、こういうふうに思いますが、計算上はどういうことになるのでしょうか。
  62. 神林留雄

    説明員(神林留雄君) 五十七年度の決算数字をべースにいたしまして私どもで電報関係の事業分計をしておりますけれども、五十七年度の数字を申し上げますと、収入が三百六十六億円、支出が千五百六十六億円、収支差額は赤字の千二百億円、営業係数といいますか、収入と支出の比率という意味では四二八%、こんなような数字になっておりまして、御指摘のとおり大変な赤字でございます。
  63. 穐山篤

    穐山篤君 この電報に関する会計はマイナス千二百億円、公社当局から見ればささいな金額でしょうが、個々の独立した部門から見ますと容易ならざる状況だと思うんです。  さてそこで、構造的に出てきますものですから、政策的にこれは改定なり見直しをする、こういうことにならざるを得ないと思いますが、その点についての考え方はおありでしょうか。
  64. 神林留雄

    説明員(神林留雄君) 電報の赤字は本日突然始まったわけではなくて、かつて七、八年前にはむしろ七〇〇%ぐらいの営業係数でもっと悪かったわけでございますけれども、料金値上げ等の御支援をいただいたこともあるんですが、一方、運営の仕方、サービスの仕方、これを徹底的に合理化しようということで、実は今まで四十六年以来三回に、わたっていろんな合理化をしてまいりました。一例だけ申し上げますと、一一五番というところで電報を打つ受け付けをやったわけですが、この局をいわば統合してうんと絞っていく。しかし、率直に申し上げて、五十七年度の結果は今お話ししたとおりでございまして、これではいけないということになりまして、現在四次の合理化を、いわば効率化といいますか、手がけることにしてございます。  その骨子を簡単に申し上げますと、現在使っている電報を通信する設備といったものが大変実は古い設備でございまして、かつ非常に能率が悪いということがございます。そこで、言うなれば、いわば一番アップ・ツー・デートのシステム、要すればコンピューターを使いました新しい電報の疎通の設備を採用するとか、それから今ちょっと申し上げましたが、一一五番の数が現在まだ二百二十八局ほどあるんですけれども、これをざっと半分にするとか、配達については民間委託を相当やってきたわけですけれども、まだまだ直営、私ども自身で配達しておるのが半分以上、六〇%ぐらいでございます。これを極力といいますか、でき得れば全部委託ベースにするとか、そういうようなことを考えておりますし、同時に、先ほどちょっと触れましたけれども郵政省さんとの間で、郵政省にお払いしておる委託費も相当大きいものですから、これをどうにかして縮めていきたい。今その折衝をやっておるところでございますけれども、言うなれば、こんなようないわば仕事 のやり方の効率化ということを今までやってきた以上のペースでこの三年ぐらいの間でやって、極力収支均衡に持っていきたい、こう思っております。
  65. 穐山篤

    穐山篤君 先ほども申しましたが、電報、電信業務というのは電電公社の固有の仕事である、こういうふうに前々から聞いていたわけですが、かなり創意工夫を凝らしたにいたしましても、財政的に黒字に転化するというのは容易ならざる業務だと思うんです。ここで臨調が一席出てきて、そんな赤字なら民間で引き受けましょうというふうなお話はないんでしょうか。固有の業務として将来も電電公社、法律が今かかっておりますけれども、電電公社が固有の業務としてこれからも継続をしていく、こういう考え方でいるんでしょうか。あるいは全面的に電報の業務というものを民間委託を考えたことがないのかどうか。あるいはこの部門について臨調はどういうふうに考え方を整理されたのか、その点あわせてお伺いしておきたいと思います。
  66. 神林留雄

    説明員(神林留雄君) 臨調でも、あるいは例えば会計検査院、行政管理庁さんの方でも電報問題について今までいろいろ扱われてきました。御存じのとおり、臨調では、電報のやり方の要すれば効率化、合理化を図れという点と、それからとりわけ夜間については必要な見直しを行え、この二点の御指摘がございました。検査院、行政管理庁等についてもほぼ同じような御指摘を実はいただいておるわけですが、先生指摘のように、この分野から電電公社は手を引け、我が方にゆだねる、こういうお話はございませんでした。  さて、公社としてどう考えるか、民間等に任せないかというお話ですけれども、この電報サービスについて現在私どもが課されておる法律上の制約、ということは日本じゅうどこでもやりなさい、こういう枠組みになっているわけでございます。こういった枠組みの中では、なかなか民間にお任せするといっても、実際上、収支見通し等も立ってやろうというところは恐らく出てこられないのじゃないか。もちろん、どこでもいい、東京の中でやる、しかも東京の中でお祝い電報だけで結婚式場向けに打つのだけいいよと、選別的なサービスが許されれば民間で出てくることはあり得ると思いますけれども、今のような仕組みの中で日本全国あまねくという格好ではこれはなかなか無理じゃないかと私は思うわけですけれども、それはわきに置きまして、この辺のことについてはまさに政策当局あるいは国会の御判断ということになるかと思いますが、私どもとしては、電報といったものはそれなりに固有の特性がある、大変簡便に打てる、電報というのは記録サービスでございますから電話と違う点があるわけですが、そういったような、ファクシミリ等持たないでも使える、あるいはすぐ配達する、あるいは口で言ったものが様式になって出てくる秘書的なやつですね、いわばそういった付加価値もございますので、このサービス自体お客様の需要があるサービスだと思っております。  現に、昨今、電報は、慶弔主体ですが、微増という傾向が過去五年間出ております。そういうことで、私どもとしては続けていくというふうに考えておりますが、ただ、今のままでいいかどうかという点については大変問題があるわけです、まずもって大変赤字だということで。これは先走った話ですが、電気通信事業法等で競争の導入が想定されておりますけれども、そういう状況下ではなかなかほかのもうけを赤字部門につぎ込むというのも大変難しく、すべきではないし、できなくなってくるだろうということもございますので、私どもとしては電報は電報なりに収支均衡を図っていくということをせねばならぬ。そのためには、運営の徹底的合理化、効率化ということと、もう一つ、実は現在の電報は片仮名の電報、皆さん御存じのような電報なんですけれども、一転して、例えば記録通信という目から見ますと、ファクシミリみたいなものも出たし、コンピューターを使った、図形等も送れますし、調書等も送れるとか、いろんなことがありますので、最近メディアといいますが、いわばメディアの多様化といったようなことを含めて新しい形の電報といったものをいろいろ考えていきながら、両々相まって、一方ではニーズにおこたえし、他方では収支均衡を図っていく、こういった格好で今後とも続けていきたい、こう思っております。
  67. 穐山篤

    穐山篤君 一日に直しますと約十二万通の電報が発せられているわけですから需要はあるというふうに言わざるを得ないし、この業務を切ることも不可能だと思うんです。しかし一方、財政的に見ますと構造的な赤字が累積していく、そういう宿命も負っているわけです。電電公社はこれからも固有の業務としてやっていきたい。  そこで、この問題についての最後ですが、直営の部分を可能な限り民間に委託していく、これは都市部であろうと思いますが、それから郵便局の配達のルートに乗せて業務委託をやっていく、この筋というのは変えずに経営改善をしながら収支償うように努力していく、こういう考え方でしょうか。
  68. 神林留雄

    説明員(神林留雄君) お答えいたします。  民間の方に配達を委託していくのはどんどんやっていきますが、現在郵政省さんにお願いしておる受け付けとか配達、これを全くなくすというようなことは考えておりません。ただ、お願いするとしても、ざっくり言えばひとつなるべく安くやってほしい、いわば委託条件の改善ということを中心に今お話を進めさしてもらっております。
  69. 白井太

    説明員(白井太君) 委託の関係につきまして、一言付言させていただきたいと思います。  実は、私どもといたしましては、郵政省への委託の経費が高いということが電電公社における電報事業の経営の圧迫要因になっているという形になるのは好ましいところではございませんし、大変つらいところでございまして、今後の電報の受託業務の見直しにおきましては、先ほど電電公社の方からお話がございましたように、民間に委託する場合の経費の算出の仕方というのを参考にいたしましてその委託費の算出をしたらどうかという基本的な考え方でもって現在公社の方とお話し合いを続けておるところでございます。
  70. 穐山篤

    穐山篤君 大変なことだと思いますが、ひとつ努力を払ってもらいたい。  これに関連して、五十六年の七月に実験的に始めました電子郵便サービス、この効果というのはどういうふうに評価をされているんでしょうか。それから財政の規模からいうとそれほどでもありませんが、逐次毎年毎年予算計上してこれの拡大を図っていっているわけです。結果的に、電子郵便というのは本来どういう性格なものなんだろうかということを感ずるわけです。電報にとってかわるものであるのか、その代替のものであるのか、あるいはその他のいうところのサービス向上という面で新しい商品を開拓したというふうにとっていいのか、その点はいかがなものでしょうか。
  71. 白井太

    説明員(白井太君) 電子郵便につきましては、ただいま先生からお話がございましたように、五十六年の七月から私ども郵政省におきまして郵便の一つのサービスという位置づけの中で実験的にサービスを続けさせていただいております。ただ、現在はこの受け付けを行うのが全国で十四の郵便局にすぎないというようなこともございまして、必ずしも実験としても十分でないというようなところもございまして、もう少しできるだけ早い段階にこの実験の規模を拡大して実験サービスの提供を行いたいというふうに考えておるところでございます。  ところで、この電子郵便の性格についてのお尋ねでございますが、私どもといたしましては、送達過程の一部に電気通信手段を用いるということで、引き受けあるいは配達とも現在の郵便システムの中で行うということで郵便サービスとしての位置づけをしておるところでございまして、諸外国におきましてもやはり郵便サービスというような形で提供されているということについては、先生も御案内のとおりであろうかと思います。  ただ、この電子郵便と電報との関係につきましては、特に私どもとして電報との関係を特別に何 か意識しておるというわけではございませんで、電子郵便には電子郵便としての特色もございますし、電報には電報としての特色もあるわけでありますので、両々相まっていわば多様な通信手段というか通信サービスというのが国民に提供されるということで、利用される国民の方々にとりましても好ましいことではないかというふうに考えておる次第でございます。
  72. 穐山篤

    穐山篤君 それでは、本来の郵便の事業でありますが、さっき大臣指摘されましたが、非常に厳しい状況である、競争関係にそれぞれがあるわけですから、なかなか容易ならざる事態だと思うんです。  さて、それを受けまして昭和五十九年度の予算を見てみますと、従来にない赤字会計といいますか欠損を計上しているということになっているわけです。これから判断しまして、これからの郵便事業の見通しというものについて、郵便あるいは小包の配送というふうな両面をとらえてこれからどういうふうに展望したらいいのか、その点をひとつ伺っておきたいと思います。
  73. 白井太

    説明員(白井太君) 郵便事業につきましては、私ども郵便事業の収支にあらわされますような財政関係というのが大変重要な要因になろうかと思っております。郵便事業の収支につきましては、五十五年度、一部五十六年度にかけまして実施させていただきました一連の郵便料金の改定によりまして、事業財政というのは幸い徐々に改善されて今日に至ってきているものと考えております。  また、郵便の物数、仕事量につきましても、五十六年度は料金改定のマイナスの影響が出て物数減という結果になっておりますが、その後は徐々に物数も回復してきておりまして、つい先ごろ終わりました五十八年度におきましては、過去最高の約百六十二億五千万通の扱い数に至っておるということが申し上げられるところでございます。  ただ、収支につきましては、やはり費用の伸びが収益の伸びをオーバーするというような傾向がございまして、収益の幅もだんだん小さくなってきており、そのために五十九年度の予算におきましては、ただいま先生が御指摘になりましたように、残念ながら予算上百五十五億の損失を予定せざるを得ないというところに至っております。  しかし、私どもとしては、今日のような厳しい郵便事業を取り巻いております環境を考えますと、一方においては一銭でも多く収入を確保するということを図らなければなりませんし、他方におきましては一銭でも節約する、効率化を図るということが必要でありまして、この面において従来とは異なった格段の努力が必要とされるものと考えております。そのような努力ができますれば、今までの傾向から判断いたしますれば、飛躍的な伸びは期待できないといたしましても、なお基本的な通信手段ということで国民の皆様に御利用していただけるということができるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  74. 穐山篤

    穐山篤君 たしか五十一年に値上げしたわけです。その次に五十六年ですか。五年間ローテーションと言えるかどうかはわかりませんけれども、百五十五億の赤字の計上ということを私どもがよく地域で話をしますと、先生もう次に値上げですかと、直観的に市民の皆さんはそういうことを尋ねるわけです。  そこで、そういうふうにしたくないという気持ちはお互いに持っているわけでありますが、そのためには需要喚起といえばちょっと語弊がありますけれども、例えば先日も十五日からの新しい夏の季のはがきというものを三種類発行されたわけですが、そういうふうなことを考えざるを得ない現状にあろうというふうに思うわけです。サービスを含めて営業活動全体を拡張していく。それから小包郵便、宅送につきましては、クロネコにしろ、あるいはペリカン、カンガルー、いろんな競争相手が出てスピードと料金と安全を担保にした競争関係も激しいわけです。これらについて、国民がなるほど郵政省としては新しい努力をしているなというふうに感じ取れるような営業活動の展開というものを明示する必要があるだろう、こういうふうに思いますが、その点はいかがでしょうか。
  75. 白井太

    説明員(白井太君) 先生がただいま御指摘になりましたとおりであろうかと私ども考えておる次第でございます。  先ほど大臣からもお答えがございましたように、六月十五日に発売を開始いたしました今年度の暑中見舞い用のはがきにつきましては、発売日当日に大臣、政務次官にもお出ましいただきまして、東京の街頭で最初のいわば売り初めをしたというようなことでございまして、私どもとしてはまさに、大臣のお言葉にもありましたように、前垂れがけの精神で積極的に利用者である国民の皆様方の中に飛び込んでいくということをしていかなければならないというふうに考えております。  また、このサービスの改善の面につきましても、大変細かなものではございますけれども、また官業ということでなかなか小回りのきかない点もあるというような御批判もいただくわけではありますけれども、例えば小包を送るための段ボール箱を発売することを始めますとか、あるいは小包に張るためのラベルをサービスすることを始めますとか、あるいは小包料金のいわば実質上の値下げを行うとかいうようなことを、精粗かなりまちまちでございますけれども、できるだけのことをやっていこうということで取り組んでいるつもりでございまして、なお一層、先生のお話にございましたような御趣旨を踏まえてこれから積極的にこうした活動に取り組んでいかなければならないというふうに考えております。
  76. 穐山篤

    穐山篤君 そこで、先ほども触れましたが、昭和六十年度の予算概算要求というものを間近に控えているわけですが、大臣、来年度、郵便につきまして値上げを骨子にした予算の要求をするというふうなことは考えていないんでしょうか、どうでしょうか。
  77. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 今ほど申し上げましたように、アイデアも絞り、あらゆる国民の皆さんに御利用を拡大していくという方向の中で全力を尽くしてまいります。  また、五年ごとのパターンの値上げ云々という御指摘でございました。そのこともよく私たちも話題にするわけでございますが、五十六年度からの値上げによって、相当たまっておりました赤字も、二千五百億近くありましたやつも、今日は三百億まで小さくなってきた。しかし、ことしは百五十五億の赤字を計上せざるを得なくなった事情もお話しを申し上げました。しかし、この赤字はあくまでも今年度の私たちの努力によって、また国民の皆さんの御理解と御利用によって解消され得るものでもございます。したがって、今年度はこの赤字解消と申しますか、赤字を出さない運動をモットーに大変な展開をしておるわけでございますが、来年度の御指摘でございますけれども、来年度値上げはいたしませんし、できれば再来年においてもそういった形をいたさないという方向で全力を挙げてまいるということでございます。とりあえず、来年についてはそういった形は要求いたしません。
  78. 穐山篤

    穐山篤君 次に、郵便貯金事業についてお伺いします。  これも非常に厳しく、伸び悩んでいる、こういうふうに総括的には伺っているわけですが、その主たる原因というもの、何が背景になっているのか、その点をお伺いします。
  79. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 郵便貯金、先生指摘のとおり、最近の伸びの状況は芳しくございません。  この原因といたしまして私ども考えていますのは、経済の安定成長への移行という一般的要因がございます。例えば所得の伸びが低下している、あるいは借金をする者がふえるというようなことのほかに、個人の金利選好が高まってきているということで、そういった個人の金利選好が高まる中でビッグとかワイドとか、あるいは中国ファンド、国債の窓口販売等を組み込んだ高利回り商品というようなものが金融自由化の動きの中で開発 されて、言うならば金融資産選択の多様化が進んでいるということが、今までの規制金利の預貯金というものからそちらの方に金が流れているということが起こっているのではなかろうかというふうに考えているところでございます。
  80. 穐山篤

    穐山篤君 郵便貯金の資金の運用のことはまた後で質問しますが、こういう厳しいときだけに、新しい事業を郵便貯金にもさしてほしい、こういう要望が出るのも無理からぬことだと思うんですが、これは率直にお伺いします。  昨年あるいは一昨年、予算編成段階におきまして、郵政省当局から大蔵省その他に対して、新たに郵便貯金の業務の中にあるいは受付窓口でこういう商品を扱いたい、こういう商品を売りたいというふうな要望が出たものと記憶しておりますが、考え方についてお伺いしておきたいと思います。
  81. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 私どもかねてから申し上げていることにつきまして、主な点についてでございますが、一点は郵便貯金の非課税限度額の引き上げというものでございます。実は、私どもの郵便貯金は限度額がございまして、これが現在三百万ということになっているわけでありますけれども、これが三百万に決まりましたのが十年以上も前になっているというようなこともございます。その後の物価上昇等いろいろな状況を見ましても倍以上になっているということで、実質的には当時の半額になっているというようなことでございます。  そういうようなこと、また個人の預貯金の貯蓄動向というようなものを見ましても、この限度額というようなものをぜひ引き上げてほしいという要望もかなり強いわけでございまして、こういった点の引き上げ、あるいは我が国の当面いたしております高齢化社会への対応ということのために、一つは退職金というものがやはりサラリーマンにとりまして一世一代の大きな収入でございます。これが老後の蓄えになるわけでありまして、こういったものについて非課税優遇措置をもって当てていきたいというようなことの要望もかなり強いわけでございまして、そういった老後に備えるという意味での別枠、今申し上げました三百万とは別枠に一千万程度のシルバー貯金制度というようなものをぜひ実現してもらいたいというようなことをいろいろ折衝してきているわけであります。  いま一つは、先ほど大臣からも御答弁を申し上げた中に触れられておるところでございますが、金融の自由化というものの情勢に対応いたしまして郵便貯金も適切な対応をしていく必要がある。そのためには、資金の運用の面、現在はすべてを資金運用部の方に預託いたしておりますけれども、こういった形では対応ができないというので、資金の運用の仕組みを変えてもらいたいということで、とりあえずは一兆円の国債というものを郵便貯金資金をもって運用するというようなことについて、今後の自由化への対応の一つの仕組みをつくるという観点からかねてから要望をいたしているというようなところが主な点でございます。
  82. 穐山篤

    穐山篤君 郵政省当局の意向はわかりましたが、さて大蔵省に、今代表的に四つの問題が指摘されたわけですが、大蔵省として、限度額の引き上げ、あるいはシルバー貯金、あるいは自主運営、国債の取り扱いなど、こういう諸問題が提起されたわけですが、これについて大蔵省はどういうふうな態度でおられるでしょうか。まず、そこからひとつお伺いしておきます。
  83. 伊藤博行

    説明員(伊藤博行君) 御質問の中の最初の二つにつきまして、私の方からお答え申し上げたいと思います。  まず、限度額の引き上げの点についてでございますが、少しマクロの数字で恐縮でございますけれども、現在、個人貯蓄が五十八年三月末で約三百八十兆でございます。その中で非課税貯蓄、これは郵便貯金だけではなくて、マル優も含めてでございますけれども、同じ時期で二百二十六兆円でございます。それで、両者の比率を見てまいりますと約六割ということで、これは残高べースでございますけれども、個人貯蓄のトータルの中で六割が非課税になっておる。というのは、所得の種類として見てまいりますと相当大きな比率でございます。こういったマクロの計数が一方にございます。  さらに、ミクロの観点で見てまいりますと、現在の貯蓄動向調査等の貯蓄の実態を見てまいりますと、勤労者世帯で平均で大体五、六百万であったかと思います。その中で、これらは広義の貯蓄を含んだ概念でございますので、マル優とかあるいは郵便貯金に関連した部分のみを取り出してみますと、ちょっと手元に正確な数字を持っておりませんが、二百八十万ないし二百九十万程度であったと思います。これは郵便貯金及び銀行預金の定期性預金の部分でございます。その中の郵便貯金の割合はたしか八十万程度であったやに思います。ということで、ミクロの次元で考えてみました場合の平均貯蓄の実態という観点からいたしましても、現在の預入限度額等は十分に高い水準ではないだろうかというふうに考えております。  それから第二番目のシルバー預金の関係でございますが、高齢化社会に向かうというときに、将来の所得の確保という観点から何がしかの優遇措置考えるべきではないかという御議論かと思います。この点につきまして、確かに高齢化社会を迎えるというのは当然予想される方向ではございますけれども、その場合の老後段階での所得の確保あるいはその際の政策の対応の仕方というのが、利子課税といいましょうか、そういった方向からアプローチするのが最も適当かどうか。広く申し上げますならば、いろいろな歳出等を含めました広い観点からの議論が当然必要でございますが、仮に税制に絞って考えてみた場合にも、所得税制の中で見てまいりましても、例えば老人の控除あるいは年金控除等々、いわば老齢者に即しての施策というのもございます。これに対しまして、利子課税によるそういった対応というのはかなり間接的なものでございます。  預貯金というのは確かに預ける段階ではいろんな目的を持って預けておるわけでございますけれども、その使用の方法というのは、老後に備えるという目的ももちろんありましょうけれども、不時に備える、あるいはその他必要な物を買うというようなことにも使い得るというようなこと等々ございまして、果たして目的に対して政策手段として最も適切かどうかというような点から私どもとしては相当疑問であるといいましょうか、消極的に解すべきじゃないかということでいろいろ御意見を申し上げておるというのが現状でございます。
  84. 穐山篤

    穐山篤君 郵便貯金事業についていろいろ問題点がありますが、時間の関係がありますので、話を資金運用部資金あるいは財政投融資の方に移していきたいと思うんです。  そこで、厚生省にお伺いします。  行革の第一次答申に基づきまして、あるいは行革特別委員会が設置されて、その第一弾として厚生年金あるいは船員保険、厚生省はそこの守備範囲でした。そのほかに児童手当であるとかあるいは過疎地域におきます助成金の削除、こういう問題が提起されて、国会で成立しました。あのときに、厚生年金で申し上げますと、従来四分の四を国が助成しておりましたものが四分の三を限度にいたしまして四分の一の助成が削除されたわけです。五十七、五十八、五十九年、三年間は御辛抱をいただきたい、そういう法律が出たわけであります。  そこで、お伺いしますが、この三年間、厚生年金に限って政府とすれば幾ら助成金を節約されたのか、それから本来四分の四を助成しておった場合には、当然利回りというものも計算をされるわけですから、その合計額で三年間で幾らになるのか、まずその点をお伺いしておきます。
  85. 山口剛彦

    説明員(山口剛彦君) 御指摘の行革関連特例法によります厚生年金保険の国庫負担の繰り入れ減額分でございますが、五十七、五十八、五十九年度の三年度合計いたしまして六千四百億程度でご ざいます。さらに、この減額をいたしませんで運用部に預けたとした場合の運用収入相当額は、一定の仮の計算でございますけれども、九百四十億円程度、合計いたしまして、運用収入の相当額も含めました繰り入れ減額をした分は七千三百六十億円程度というふうに見ております。
  86. 穐山篤

    穐山篤君 さてそこで、本来でいきますと、この厚生年金保険制度を通じて集められました金が財投資金に運用されるわけです。当然、三年間のこの措置によって七千三百六十億円程度助成が少なかったわけですから、いろいろ問題点があろうと思うんです。  そこで、あの法律の議論のときに、鈴木総理あるいは大蔵大臣と随分議論がありましたのは、六十年度以降財政状況を見て返済いたします、これは返済するということが先決だ、しかし政府としては財政事情を考える、その財政事情の中に二つありまして、国の財政事情と厚生年金にかかわる基金の運用あるいは支払いなどを考えた財政上の問題があります、こういうふうに答弁がされていたわけです。  そこで、具体的にお伺いしますが、この五十七、五十八、五十九年、三年間に限った措置は今年度で終わり、来年からはもとの四分の四に戻すという考え方に立っているかどうか、そのことをお伺いします。
  87. 山口剛彦

    説明員(山口剛彦君) この行革関連特例法によります措置は、特例適用期間中三年間の特例措置を定めるものでございます。したがいまして、私どもは、この特例適用期間経過後には国庫負担の規定は本来の姿に戻る、本則に戻るというふうに理解いたしております。
  88. 穐山篤

    穐山篤君 その点について、大蔵省どうですか。
  89. 小村武

    説明員(小村武君) ただいま厚生省から御説明がありましたように、行革特例法は五十九年度までの特例期間中の規定でございます。六十年以降どうするかということにつきましては、六十年以降の財政改革をどう進めていくかという、そういう議論の中で検討されるべき問題かと存じます。私どもとして、現時点において今定かにどういうふうな方向でやっていくかということについては十分譲論を尽くしたわけではございません。そういう状況でございます。
  90. 穐山篤

    穐山篤君 まだ未確定ではある、しかし厚生省としては本則に戻してもらう、これは意見の違い、また我々も本則に戻るべきだ、こういう主張をするわけです。  これは政策的な問題ですが、いつまでに本則に戻る、あるいはこの時限立法について延長する、あるいはまた別の方法をとるというふうな基本的態度はいつまでに大蔵省としては決めたい、あるいは決めるという考え方をお持ちですか。
  91. 小村武

    説明員(小村武君) 行革特例法が提案された時点では五十九年度特例公債脱却という目標がございました。御案内のように、それが不可能になり、現在六十五年特例公債脱却という一応のめどを立てているわけでございますが、本特例法が当然六十五年まで延長するとか、そういったことにはならないと存じます。ただ、いつの時点でどういうふうに予算を組んでいくかということでございますが、六十年度予算編成過程において当然論議される問題の一つだと存じております。
  92. 穐山篤

    穐山篤君 今の答弁で伏線をあらかじめ張っている感じですが、さてその財政投融資の面からいいましても、あるいは厚生年金の運用の面からいいましても、不確定なことであっては困ると思うんです。  まだ最終態度が政策的に決まらないということでありますので、それ以上の追及は無理かと思いますが、厚生省に伺いますが、本則に戻るということを仮定した場合に、簡保だとかあるいは郵貯という問題もありますけれども、厚生年金から財政投融資に回す金の考え方、本則に戻る、あるいは戻らない、いや応なしに二つの方法が考えられるわけです。そのことについて、どういうふうに厚生省としては考えられているのでしょうか。もちろん、それは大蔵省との折衝でしょうが、原局であります厚生省が、厚生年金の金からおおむねこのくらいを財政投融資の方に運用したい、こういう考え方も当然出るだろうと思う。本則に戻る場合と戻らない場合ではかなりの資金量の上で違いが出てくる、こういうふうに思いますが、その点どうでしょうか。
  93. 山口剛彦

    説明員(山口剛彦君) ただいま御指摘のございました点の的確なお答えになるかどうかわかりませんが、まず減額をした分あるいはその運用収入相当分につきましては、先ほど御答弁いたしましたように、三年度限りの措置ということで、その後につきましては、御指摘がございましたように、できるだけ早くその繰り入れに着手をするということは国会答弁を通じましてもお約束してきたことでございます。ただ、御指摘がございましたように、二つの観点から十分考慮してということでございますので、具体的な時期等についてはこれから財政当局と十分協議していきたいという態度でございます。  また、もう一つの御指摘の積立金の運用問題につきましては、この繰り入れの減額をしたということと私は全く関係しないことであろうかと思いますが、基本的には被保険者からお預かりをした大事な原資でございますので、できるだけ有利に運用するという基本方針のもとに、その改善策についても現在財政当局と協議を続けているところでございます。
  94. 穐山篤

    穐山篤君 これに基本的なことですから、いずれ予算委員会などでも議論になると思いますが、厚生年金あるいは児童手当の助成の削減など一連の行革が行われ、時限立法ですから三年間という限度を持っているわけです。我々とすれば、来年は本則に戻る、戻るべきであるということをこの機会に強く主張しておきたいというふうに思います。厚生省、ありがとうございました。結構です。  さてそこで、郵便貯金からの財政投融資の問題でありますが、先ほども一部指摘されましたように、六〇%ないし六一%の原資を郵貯で担当しているわけでありまして、その意味では非常にウエートの高い金であります。財政投融資そのものについて大きな議論があることは当然でありますが、この六〇ないし六一%常に平均的に原資を捻出しております郵貯として、これから郵便貯金事業の拡大、安定的な発展ということと相関連をしなければならぬと思います。  先ほどもお話がありましたが、郵貯の資金をことごとく財政投融資に運用するというのでなくして自主運用をさしてほしい、こういう強い意見があるわけですが、この問題について他の金融機関、民間金融機関からの厳しい注文もあります。それからイコールフッティングという意味からいってみても、金融機関以外の専門的な方々からも注文がつけられているわけです。しかし、これからの経済発展あるいは高齢化社会を迎えて、郵政当局としてはそれに見合った新しい発想の商品をつくりたいという希望もある。そういう状況の中で自主運営、自主管理ということなんでしょうが、自主運営をする場合に国民がなるほどこれならば自主運営、自主管理してもいいじゃないか、そういう国民から賛同の得られるような形の商品というものが問題提起をされなければ国民のコンセンサスを得るということは非常に難しいというふうに思うんです。その点につきまして、先ほどごく簡単に伺ったわけですけれども、財投のところで改めてもう少し詳しいお話を承りたいと思うんです。
  95. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 私ども自主運用についていろいろ意見を申し上げているわけでありますけれども、その第一点は、最近非常に問題になっております金融の自由化ということに対応する郵便貯金の仕組みを構築したいという点でございます。  従来、よく言われる郵貯戦争とか、あるいは臨調の過程においてもいろいろ郵便貯金のあり方等が議論に出たわけでありますけれども、その時点における議論を踏まえてみた場合に、今日議論されております金融の自由化という観点というものが欠けておったというふうに思うわけでありま す。過去の仕組みの中における郵便貯金がある一時期に伸びたということをとらえて始まった御批判等が多かったわけでありますけれども、私ども現実の対応といたしまして、金融の自由化というものが喫緊の課題になっておる。その中で郵便貯金がどう対応していくかということを考えているわけでありまして、金融の自由化というのは現実に進行いたしておりまして、現に高利回りの金利自由商品というものが開発されてそちらの方に資金が流れているということは先ほど申し上げたとおりでありますけれども、さらに自由化というものが進展してまいりますれば、すべての金融機関が、市場実勢は踏まえるものの、それぞれの独自の立場で金利を決め、また商品を開発していくということに相なろうと思うわけでありまして、現在のようながんじがらめに規制された金利あるいは商品開発というものが抑制されたお仕着せの商品ということでない形になるわけであります。この点は、昨年の十月、アメリカにおいて金利の自由化がほぼ完成したという、それ以降のアメリカの状況をごらんいただければつぶさにわかるわけであります。  そういった中で、郵便貯金が金利の自由化というものに対応できないとするならば、郵便貯金の預金者のみが低い抑圧された金利、そしてまたニーズに合わない、選択の余地のない商品というものを押しつけられるということに相なろうかと思うわけであります。これでは国民の貯蓄手段というものの基本的な部分を担当しておる郵便貯金の役割を果たしているということにはならないわけでありまして、郵便貯金の預金者も市場実勢というものを踏まえ、またニーズに合った商品というものを選択できる、郵便貯金を通じてそれを受けられるという形にせざるを得ないわけでありまして、その場合に出す方の金利の方だけが自由化されておりましても、入ってくる資金、私どもは現在は資金運用部にすべてを預託いたしております。そこからの運用利回りをもってお客様に預金金利をつけ、また私どもの経費というものを捻出いたしておるわけでありますけれども、こちらの方が現在のように政策的に低く抑えられている。言うならば、コストとしては非常に私どもの郵便貯金は民間金融機関に比べても低いわけでありますけれども、ある意味ではそれが賄い切れないような低い預託率による収入ということで現在若干ながら赤字が出ておりますけれども、こういったことではとても自由化に対応するわけにはまいらないわけであります。今後ますます進展していく、また自由化というものを進めざるを得ない情勢の中において、郵便貯金の自由化というものをスムーズに、積極的に取り組んでいくためにも自主運用というものをしていかなければならないというのが基本でございます。  いろんな議論があろうかと思います。先ほども話に出ておりましたけれども、資金の一元的運用という従来の原理原則はございましょうけれども、ある意味では簡易保険の資金を郵政大臣みずからが運用いたしておりますけれども、財投協力という観点におきましては、これはその仕組みというものを通じまして一元的な財投の運営というものが行われているわけでありまして、どこかの機関が単一で行わなければ有効な資金の運用ができないということでもないわけでありまして、現に今まで資金運用部に預けられた八十七兆というものの運用というものもございましょうけれども、こういったものを一挙にあしたからすべてどうこうということには、現実的な対応はできないわけでありますので、その辺につきましては、いろいろ今後とも十分関係の向きとも話してまいりたい。そして、郵便貯金が自由化に万全な対応ができるように、またそういったことを通じて日本の金融の自由化というものが円滑に進められるようにぜひ各界の御協力また御理解を賜りたい、こういうふうに考えているところでございます。
  96. 穐山篤

    穐山篤君 金融の自由化の問題とそれからグリーンカードにかかわる諸問題は引き続いてお伺いしますが、ちょっと大蔵省にお伺いします。  実は、臨調の委員でありました加藤寛という方が、「郵貯は崩壊する」という本を出しているわけです。評論家、一学者としてならば言論の自由があるわけですから、いかなることを言われてもそれほど気にはいたしませんが、臨調委員が具体的に数字を挙げて郵便貯金あるいは財政投融資について非常に切り込んでいるわけです。かねて私どもが政府に要求しておった部分もこの本には書かれています。部分的には賛同のできるところでもありますが、基本的な流れております思想上の点で私は難が非常にある。こういう方が臨調委員として適切であったかどうかということはまた後世批判が出るでしょう。  この本の中で重要な問題について、大蔵省と郵政省に聞きます。  その一つは、五十五、六年ごろの郵貯の財政状況はともかくとして、最近の郵貯の状況を見ておりますと極めて危機的な状況にある、次の段階では崩壊するというふうに全編を通じて指摘しているわけであります。もちろん、コストの点についても触れております。それが第一です。  それから第二は、もう既に郵貯の使命というのは終わった、もしあえて継続するとするならば民間金融機関の補助的な分野にとどめるべきである、こういうふうに郵貯につきましてはずっと具体的な例を挙げて示しているわけです。  それから三つ目の問題としては、財政投融資には産業特別会計もありますし、資金運用部資金もありますし、簡保もあるわけですけれども、財政投融資というのはぐうたらな公社、公団を助けるものであって、これは資金の効率化の面からいってみてもやめるべきである、全廃すべきである、こういうふうに触れております。財政投融資というのは、なるほど政府関係機関あるいは公社、公団、特殊法人などもありますが、地方公共団体にも今年度の予算編成上から見ますと一五、六%前後のものが編成されているわけで、すべてを切ってしまうというふうな粗っぽい議論がこれに書かれているわけです。  この本を書くに当たりましては、行政管理庁のお役人さんも何か手をかしたというふうに部分部分でよく見えるわけです。これほど臨調委員にたたかれて、ああそうでございますかというふうに政府は思わないと思うんです。  さて大蔵省、今私が申し上げました問題についてどういうふうに考え方を整理されているでしょうか、お伺いします。
  97. 水谷文彦

    説明員(水谷文彦君) 財投のあり方につきましていろいろ御指摘があります。その点についてお答えを申し上げますならば、財政投融資は、御案内のように、第二の予算としまして、国の一般会計あるいは特別会計ともども、我が国の経済の発展であるとか国民生活の向上といったところに重要な役割を果たしてまいりました。特にまた、最近のように一般会計が御案内のような厳しい状況にありますと、財投に期待される役割というのもひとしお大きいものがあるのではないかというように考えております。そういう意味で、現在の財投の役割あるいは枠組みそのものというものはこれを堅持していかなければならないというように考えております。  ただ、そういった中で社会経済の情勢の変遷というのはもとよりあるわけでございます。したがいまして、これまでもそうでございましたけれども、財政投融資というものはそのときどきの経済社会的な要請といったものを受けながら編成を行ってきたわけでございまして、そういった意味では、今後いろいろな社会的な要請、それもまた変遷してまいりましょうけれども、そういった変遷に即しまして、基本的には国民の貴重な貯蓄が財源でございますから、より重点的、効率的な配分に努めてまいらなければならないというように考えておりまして、そういったことは臨調の答申の中でも指摘されているような問題もございます。いろいろ御議論はありましょうけれども、いろいろな御批判を受けながら今後とも財投につきましては見直しを進めてまいりたい、かように考えております。
  98. 穐山篤

    穐山篤君 郵政省
  99. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 「郵貯は崩壊する」という本でいろいろ指摘されている点でありますけ れども、私ども率直に申しまして、この題名からどうもいただけないという感じでございまして、何々銀行は崩壊するという本をもし書かれたとすれば大変な社会的影響も起こるのではなかろうか。そういうことが起こらないという前提でお書きになっているとすれば、やはり題名と中身が即していないというふうに、感じるわけであります。  また、先生指摘のコストの問題等につきまして、若干私どもも御説明をさせていただきたいと思いますが、郵便貯金が現実には今若干の赤字でございますけれども、これがなぜ出てきたかということでございますが、赤字といいますのは、そもそもが使い方が非常に荒っぽいということから出てくる経費のむだ使いであるということが一点、あるいは入るのが余りにも少な過ぎるから赤字になるというようなことが考えられるわけでありますが、実は私どものコストの方は、これは他の民間金融機関とも比較いたしまして見た場合に、どの金融機関よりもコストが低いわけでございます。そういう意味で、郵便貯金が非常にコストを無視したような経営をやっているということは当たらないわけでありまして、むしろ赤字の原因というのは、私どもの預託利率、預託の利回りというもの、これを比較いたしますと、またこれが各金融機関に比べても一番低い。ましてや、同じ国の資金を集める国債でございますけれども、国債のコストよりも〇・五%程度平均すれば低いということでございまして、この一番低い郵便貯金のコストさえも賄い切れないような預託利率であるからやむを得ざるものとして赤字が出るということでございます。この赤字も、来年度は単年度で黒、再来年度は累積も黒になるという見通しでございますが、そういう意味で私どもの郵便貯金事業というものがそういうコスト無視というものではないということを御理解いただきたいと思うわけであります。  なお、郵貯の使命は終わったというような観点からの論議がなされているようでありますけれども、私どもの郵便貯金、少額の個人の基本的な貯蓄というもの、郵貯サービスというものを提供しようというのが百年以上にわたっての事業の根幹であるわけでありますが、これは金融の今後を見ましても、金融の自由化というような状況を見ましても、我が国の金融の仕組みというものを見た場合に、どうも外国に比べまして足らないのは、個人の金融サービスという面についての配慮というものが欠けているのではなかろうかという気がするわけであります。と申しますのは、諸外国におきましては、非営利の貯蓄銀行というものがかなり大きな役割を果たしておりまして、個人の金融活動という面について直接いろいろそういった点からアプローチをしている。  ところが、我が国におきましては、そういうものはかっては制度としてはございましたけれども、現在はなくなっており、郵便貯金だけである。金融自由化になりました場合に、ただ、今まで余りにも低く個人の預金金利というものが抑えられておったためにこれが上がるであろうことは間違いないと思うわけでありますけれども、各個人も金融機関をそれぞれ選択する余地ができるわけであります。金融商品も選択できる、また金融機関も選択できるわけでありますけれども、片や民間金融機関の方もお客様を選択することができるわけであります。そういった中で、とかく出てまいりますのは、小口、個人の預金というものが過去においても非常に冷遇されておったということもございます。やはり本来あるべきものが金融サービスとして個人が受けられるようにする、そういった意味での基本的なサービスを提供していく一つの基準としての郵便貯金の役割というものも今後とも重要であろう、こういうふうに考えているところでございます。
  100. 穐山篤

    穐山篤君 大蔵省にお伺いしますが、今年度の財投の資金というのは二十一兆一千億円という膨大なものです。第二予算と言われるものですが、この原資が郵便貯金あるいは厚生年金などから拠出されて運用部で管理されているわけですが、仮定の話だから返事ができないと言われればどうかと思いますが、この資金運用部資金というものに郵便貯金なり厚生年金の金が集まらなかった、原資がないとすると、財投というのはどういう性格を持ってくるのでしょうか。あるいは、財政投融資というのは今後も引き続き十分行われなければならぬ宿命に日本経済はあるわけですから、資金運用部に金がない、こういう事態を考えた場合に、社会資本の充実というものはどういうふうにして考えようとしているんですか。もし私案があれば意見を聞かしてもらいたい。
  101. 水谷文彦

    説明員(水谷文彦君) 大変難しい御質問でございますけれども、御質問ございましたそのとおりに仮に全くないとするならばということでお答えするならば、先ほど申し上げましたように、財投というのは一般会計等補完しながら大きな社会的、経済的な機能を果たしていたということでございますので、そういった機能を十分に果たし得ないということが御答弁になろうかと思います。
  102. 穐山篤

    穐山篤君 多分そういうことになると思いますので、いろいろな意見があったにしてみても、資金運用部資金、財政投融資資金というのは適切でなければならぬと思うんです。かって私ども同僚から財政投融資計画があっても十分消化されていないとか、効率的な資金が使われていないというふうな指摘がありましたから、私ども大いに注文はいたしますけれども、基本的に財投資金、資金運用部資金がなくなるということは想定したくない。そういう意味でいきますと、郵便貯金、厚生年金の原資というのは非常に重要なウエートをこれからも大いに持つであろう、こういうふうに思うわけです。  その見地から、郵便貯金にもう一度戻りますけれども郵政大臣、事柄の重要性にかんがみて、この郵便貯金事業についてのこれからの発展計画、質の強化について考え方、決意を伺っておきたいと思うんです。
  103. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 郵貯に対するいろいろな御批判はございますけれども、まず第一に指摘しなければいかぬことは、郵貯は他の民間金融機関に比べてコストが安く、しかも長期、安定した資金を集めてきておるという形がとても大事なポイントだろうと思います。そして、しかもそのお金が財投の主要な原資として大きく国家経済に役立っておるということでございます。  先ほどからいろいろな御議論の過程の中に「郵貯は崩壊する」云々ありましたけれども、コストの最も安い資金、しかも長期安定的な資金がどうして崩壊するのだ、それははっきり言った場合、運用面においてそれが効率的でないという場合も指摘されると思います。ですから、私たちは今後この少額な預貯金者に最も有利な形の安定した貯蓄を生かしていただく、しかもそれにこたえていくためには何としても適正な金利を確保してまいらにゃならぬということになります。  したがって、今後ともいろいろな国民の皆さんに利用していただきやすいような、例えば、先ほど担当の局長から一部提言いたしましたように、国民の老齢化社会に対応する自助努力の確立という意味においても、こういった社会保障制度、公的な制度を補完する意味においてもシルバー貯金の創設によってこういった老後に不安感を与えないようなサービス商品も提供してまいりたい等々、もちろん私たちは今国家財政に寄与している財投原資であるという形を全然そういった形で無視できるものではございませんし、今後ともその使命を果たしていくと同時に、今のように運用面に関しては全く金利自由化、金融の自由化体制のリングの上に両手をくくられて上がるようではこれはとても対応できない、せめて片手ぐらいはほどいてもらわないと今後のそういった新時代に対応していけないということを強調しているような次第でございます。したがって、この資金コストの安い、長期安定的な郵貯の皆さん方に何としても適切な運用もあわせて行うことによって努力してまいりたいというのが私の気持ちでございます。
  104. 穐山篤

    穐山篤君 そこで大臣、この本なかなかよく売れているんです。先ほど指摘がされたように、 あの銀行はつぶれるというふうになりますと、言ってみれば金融不安、社会不安というものが起きる。我々国民全体は、まさか郵便局がつぶれることはないだろう、こういうふうに考えますけれども、しかしなかなかしっかりこれはつぶれますよというふうに正確に書いているんです。単なる評論家とか学者なら私はそれでもいいと思う。こういう説があるなということでいいんですが、臨調委員がわざわざ筆をおろしているわけですから、世間的に言えば信用のある本ということになるわけです。  十分研究されていると思いますが、郵貯はつぶれないという言い方は語弊がありますけれども、これに反論すると言えば語弊があると思いますが、世間の誤解を解くようにきちっと啓蒙しておくこともこれは郵政省の役割ではないか。誤解のままに金融の自由化の問題なりあるいは例のグリーンカード問題について国民の意見が集中をすると、また解決に非常に複雑さを与えることになると思うんです。その意味で、この本がかなりいろんな点を切り込んでいるわけですけれども、郵便貯金に関する問題についての正確な態度を表明しておいてほしい、こういうふうに考えますが、その点、大臣いかがでしょう。
  105. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 先生にはまことに申しわけございませんけれども、早速読んで勉強さしていただきますが、今のところ本屋さんの店頭でそのセンセーショナルなタイトルのあれを見ております。内容は詳しく見て今お答えできるという段階ではありません。ただ、郵貯は崩壊すると思ったことはございませんから、何か売らんかなのためにはえらいタイトルをつけるものだなと思ったことは事実でございます。  ただ、先ほども申しましたように、加藤先生というのは、別に個人を批判したりするのじゃありません。大体がすべて民営化の中での競争原理というものを導入していくという一種の民営論者という立場ではっきりといろいろな問題点においてすべての論調というのが、いろいろテレビ討論等々で聞いておりましても、そういうことであろうと思っております。  郵貯はなぜ崩壊しないか。それは、郵貯は先ほど申しました最もコストの安い形での資金である、長期的、安定的な資金でもあるということでございます。したがって、安いコストで集めた資金で、運用がよければ崩壊するはずはございません。そういった意味合いにおいて、将来とも郵貯が崩壊するという事態は、まさに国自体、そういった財政的な運用面において全く大変な事態を想定したとき以外には考えられない形でございます。  ただ、もし郵貯は崩壊するという形が、郵貯が余りにも巨大であり過ぎて金利自由化体制の中においてはプライスリーダーになり得る、だからこういった巨大な郵貯というものがいわば民間金融とイコールフッティングの立場に立った場合において、これはまさに郵貯という形を悪玉、怪物に仕立てて、これをむしろ民営化、分割化するという方向に持っていく論議の過程としてこういったセンセーショナルな題名がつけられたのじゃなかろうかという程度に私は考えております。反論の余地等はございません。問題にならないと思っております。
  106. 穐山篤

    穐山篤君 それでは次に、先ほどから出ております金融の自由化の問題についてお伺いします。  私は、前回、大蔵委員でありましたので、大蔵委員会で金融の自由化の日米円ドル会議のことについていささか大蔵大臣と議論したことがあります。経過は別にしまして、今金融の自由化問題について日米の間ではほぼ合意点に達しておると思います。それから国内の状況からいいますと、金融制度調査会が中間報告というものを示した、こういうふうに私どもも理解しているわけであります。  さて、それを受けまして、金融の自由化というのは、日米双方の自由化の問題、それからそれを受けて国内の自由化の問題、もちろん日米のみならずアジアとかECとかASEAN諸国その他にも関係するわけでしょうけれども、今の大蔵省の計画では、この自由化問題についての手順、これからこういうふうにしていって、例えば金利の自由化はこういう視点でおおむねこのころからこういう形でやりたいというふうな手順を目下検討しておると思うんです。そのことについて状況を、簡単で結構ですから、お伺いしておきたいと思います。
  107. 永田俊一

    説明員(永田俊一君) お答え申し上げます。  先生指摘の金融の自由化についての今後の手順といいますか、進め方につきましては鋭意検討を進めてきているところでございまして、先ほど先生おっしゃいました日米の関係の円ドル委員会の報告書、これが五月の三十日に双方で公表されましたが、同時に国内、あるいはその円の国際化につきまして「金融の自由化及び円の国際化についての現状と展望」という形で大蔵当局といたしまして今後中期的にどのような基本的な考え方で取り進めていくか、これにつきまして公表したところでございます。  金融の自由化は、先生指摘のとおり、国際化とかあるいは大量の国債発行といったような状況でとうとうと事実の問題として進んでおるわけですが、これに対応する基本的な取り組み方といたしましては、我々その「現状と展望」のペーパーでも述べておるところでございますが、基本的には自由化に前向きに取り組んでいきたい、ただし日本の金融制度でございますので主体的に取り組んでいく。同時に、自由化というのは、競争の激化とかあるいは金融環境によりましてはいろいろ中小企業金融とか影響するところも多うございますので、漸進的にソフトランディングで進めていきたい、これが基本的なスタンスでございます。  例で申し上げますと、「現状と展望」の中身は相当多岐にわたっておりまして、先生おっしゃったように、余り時間をとれませんので、例えば金利の問題について申し上げますと、金利につきましては、この中で申し上げておりますのは、大口預金の金利の自由化から始めまして次第に小口の預金の検討に入っていくという手順を述べております。これはやはり現実的なアプローチといたしまして、国債資金移動が激しくなっている、あるいは債券市場でのマーケットメカニズムによる金利裁定が活発になっている、こういうものが基本的に大口の金利から進んできておるところがございますし、外国の例で見ましても、例えば大口のCDの預金金利の弾力化というようなところから入りまして次第に小口に及んでくるということもございまして、大口から小口に至っていくというような手順を示しておるところであります。  具体的に申しますと、例えばCDの単位が現在三億円となっておりますが、これをさらに最小口化して一億円に持っていくとか、あるいは市場金利に連動して決まってまいりますところの大口の預金というものを考えていくとか、そういうところから入りまして、大口の預金金利の自由化を規制の緩和ないし撤廃という形で進めていきたいということを述べておるところでございます。
  108. 穐山篤

    穐山篤君 自由化、国際化という問題は議論すれば長い時間かかるわけですけれども、これも金融の自由化と同時に信託業務にも参入をしてくる、こういう状況にあるわけですから日本の金融業界というのはかなり変貌してくると思うんです。今お話のありましたように、今は規制金利でありますけれども、これが自由化される、それも大口から自由化を始めるということになりますと、資金シフトはかなりの速度をもちまして移動することは私は間違いがないというふうに思うんです。その場合に、小口といえば代表的なものは郵便貯金、庶民の感覚で言えばそうなるわけです。  そこで、郵政当局としては、今の政府全体の考え方からいきまして、金利が自由化になり、大口が先に出て、それから数年たって小口になる。そうなりますと、魅力ある商品というのは残っていなくなっちゃう。その意味で郵便貯金の存在そのものに重大な影響を与えるものと予測しなければならぬと思うんです。そのことについて、前々か ら研究をされていると思いますが、どういうふうな影響を受けるだろうか。それを十分に受けて立って、小口金融機関として、庶民の銀行としての郵貯がどういうふうな対応を示したらいいか、これは国家百年というか、郵政百年の私は問題だと思うんです。そういうふうに深刻に考えてみると、相当の研究はされていると思うんですが、その辺についてお考え方はいかがでしょうか。
  109. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 金融の自由化、特に庶民の家計と関係がございますのは金利の自由化ということだろうと思います。私どもの郵便貯金は、先生おっしゃるとおり、小口の貯金の集積でございまして、今日の金融の自由化の進展というものを見た場合に、大変今後に対する対応というものに真剣に取り組まなければならないというふうに思うわけでございます。特に金利の自由化というものが、我が国におきましては一層そうでございましょうが、低く政策的に金利が抑えられてきたということでございまして、金利の自由化が進展いたしますれば当然金利は上がるであろう。本来得べかりし金利というものを個人が手にすることができるであろう。また、金融商品につきましても、いろいろニーズに合った商品というものを選択することができるであろう。そういった個人の貯蓄、預金者の利益というものの増進という観点からも特に自由化というものについては積極的に取り組むべきであろうということで、私どももそういうことを前提にいろいろ検討を進めているわけでありますが、対応といたしましては、自由化の進展までの間における高利回り商品の開発とか、しかし何といいましても、先ほど来御説明申し上げておりますように、金利の自由化に対応する運用の仕組みの変更ということについてはまず何が何でも第一に取り上げなければならないというふうに思っているわけであります。  先ほどからお話がございます、金融の自由化の進め方という観点から一点意見を申し上げたいと思いますのは、小口の預金、貯金につきましては大口が済んでからということのようでありますけれども、我が国の場合の小口預金というものは若干外国に比べても特殊性を持っているであろう。外国は確かに大口から小口へということでございますが、我が国の場合、先ほどもお話ございましたように、非課説預貯金というものを三百万、これを一応小口としてとらえてみましても、個人の預貯金あるいは貯蓄というものの中に占める割合というのが六割ございます。小口といいましてもこれが六割であります。アメリカの場合、小口、大口論の境目は一応十万ドル、二千三百万というところに引いておるようでありますけれども、これは大体二五%程度ということでございますので、日本の場合、小口小口といいますけれども、小口が集まったところの大口でございます。また、民間金融機関の当然その預金の保有高の中に占める割合を見ましても、大銀行においてもかなりのウェートを占めておりますけれども、中小金融機関なんかを見ますと、いわゆる小口といわれるようなものが七割、八割というものを占めておるわけでありまして、小口預金はまさに我が国の金融における絶対多数の座を占めておるということでございまして、この絶対多数を占めておるものを後回しに放置しておいて金利の自由化というものが果たしてうまく進められるのだろうかという点を危惧するわけであります。先ほど来申し上げておりますように、金利の自由化が個人へもたらす利益というものを考えますと、これはいたずらに後回しにしておけないのではないか。  それからいま一点、自由化というのは何も恩恵的に自由を与えてやるということではなくして、規制があることによってなお一層の金融秩序の混乱が生ずる、だからやむを得ずでなく必然的にその規制を取っ払っていかなければならないということだろうと思うわけでありまして、小口は今六割あると申しましたけれども、それを規制金利の枠の中に閉じ込めておけるという前提で物事を考えておればこれは間違いであると思うわけであります。現に、高利回り商品の方にシフトいたしております。これから、さらにそういう高利回り商品というのが開発されるでございましょうし、そちらの方に資金は流れていくであろうと思うわけであります。水は高いところから低い方へ流れる、逆に金の流れは金利の低い方から高い方に流れるわけでありまして、おまえは小口だから低いところにとどまるべきであるという議論は通用しないわけでありまして、小口がシフトしていってしまった後の金融機関というものを考えた場合に、資金のない金融機関というものは商売ができないわけでありますから、取りつけ騒ぎも起こりかねない。むしろ、そのためにも自由化というものは進めなければならないというのが実際の動きであろうというふうに思うわけであります。  したがいまして、大口と小口というものの自由化に我が国においてはタイムラグということを置くべきではなかろうというのが私ども考え方であります。少なくとも検討するぐらいのことは、大口が済んでからでなくして、やはり今日時点においても検討を進めるべきであろうというふうに思いますし、私どももそういった点についてのいろいろ理解を深めていただくためにも関係の向きともいろいろ今後とも対応について話をしてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  110. 穐山篤

    穐山篤君 いずれ大蔵大臣にもよく真意を確かめてみたいんですが、先ほど言われますように、CDについて小口化を図るというふうなことも一つの手順でありましょう。  先日、信用金庫連合会の総会がありまして、大蔵大臣とそれから日銀の総裁があいさつをされまして、金融の自由化、国際化についても触れました。ところが、信用金庫協会の会長から、この自由化の問題について、あるいは金利の自由化の問題について、今もお話がありましたように、信用の秩序あるいは金融の混乱を起こさないようにという厳しい注文もその席上でありました。会員の中からは、相当な意見を持っていると我々は聞いているわけであります。  言うまでもなく、金利を大口から自由化するということになれば、物理的に国民全体の気持ちは有利な商品、金利の高い商品に資金が移動する、シフトするということはいかなる場合でも同じだと思うんです。大口が先で小口が後というこの思想、これは私が先ほど言いましたように、信用の保持あるいは金融の混乱を避ける、それから極端な資金の移動というふうなものを避けるためにはもう少し調整の必要があろうと思うんですが、大口から始めるというその思想は何が基本になっているのか、影響力を考えて発表されただろうと思いますけれども、まだ真意は十分にのみ込めていないんです。その点、もう一度明らかにしてもらいたいと思うんです。
  111. 永田俊一

    説明員(永田俊一君) お答え申し上げます。  大口からという思想がわからないとおっしゃられた件でございますが、先ほど私お話し申し上げましたように、ちょっと重複になるかもしれませんが、自由化は既に大口から始まっているということがございます。したがいまして、ソフトランディング、自由化させていくという観点からいきますと、やはり既に始まっておりますところの大口商品から手をつけていくということが現実的ではないかというふうに考えておるわけであります。  それから、もちろん小口の預貯金金利について何も考えないということではなくて、手順として、そのタイミングの問題はあろうかと思いますが、やはり大口から進めていくということを申し上げておるわけでありまして、例えば小口の預金金利について申しますと、確かに大宗をなすのが小口の預金金利ではあるわけでございますが、これにつきましてはまだ、例えば先ほど先生お引きになりました金融制度調査会の中間報告とか、そういうところでいろいろ御議論していただいたり、あるいは識者の方々の御議論の中にも小口の預金金利を自由化するということに一足飛びにいくことについて、小口のものにつきましては金利がある程度安定しておるという観点もあろうかと思われるわけであります。  確かに、今の状態での議論をいたしますと、やや金利は必ず上がり、それに伴い小口の預金者の金利収入も上がるという御議論になるかと思いますが、ヨーロッパ諸国、金融の自由化が進んだ、あるいは日本より先に進んだところを見てみますと、大口というのは、やはり大口でございますから資金を集める方につきましてもコストがかからないというところがありまして、自由化というのは反面である程度競争原理の透徹といいますか貫徹というところがございますから、したがって大口の預金者には金利の高いものを出す、小口については低いものというような状況も出てくるわけでございますので、それは金融情勢によって違ってくるとは思いますけれども、そういうことも考えられます。  したがいまして、金利変動のリスクも、また大口については、最近の国債資金移動、それから為替の動向等から見て、アメリカの高金利が日本の金利にかなり敏感に反映してくるようなこういう時代でありますと、金利変動のリスクというものも考えなければいけないかと思います。したがいまして、もう少し小口の預貯金金利については預金者のニーズあるいは金利の動き方といったものを十分検討していく必要があるのではないか、その間に大口の預金金利の現在進んでおりますところの自然の自由化の現実的なステップが進んでいくのじゃないか、そんなように考えております。
  112. 穐山篤

    穐山篤君 時間がなくてまことに残念ですが、自由化の問題は、影響力が非常に大きいものでありますので、また後日、別途の機会に質問いたします。  さてそこで、最後になりますけれども、グリーンカード、利子配当課説の問題であります。仄聞するところによりますと、政府税調で十分検討するということのようであります。三年間凍結になりましたので、昭和六十一年一月まで現状でいき、一月以降は本来ですと解除になる、これが理屈であります。  率直にお伺いしますが、政府税調としてはどういう方向でこの利子配当課税、グリーンカードの措置について作業が進んでいるのか、その点ひとつお伺いしておきたいと思います。
  113. 伊藤博行

    説明員(伊藤博行君) グリーンカードの問題は、先生御案内のように、五十八年度の改正で当初の予定の五十八年一月一日からというのを三年間施行延期されております。したがいまして、三年後と申しますと六十一年一月一日でございますが、年度で申しますと六十年度でございます。したがいまして、その後の利子課税のあり方をどう考えるべきかということで、昨年の夏から税制調査会におきましても今後の利子課税のあり方というのを御議論いただいております。  昨年の秋、十一月の段階で中期答申という格好でおまとめいただいておりますが、これはいわば基本的な問題点のピックアップということで終わっておりまして、さて今後どういう具体策をもって対処すべきかという点につきましては、なお税調としてのお答えは出されておりません。年明けまして、ことしの一月の年度答申をお出しいただくときにもこの問題につきまして御議論がございましたが、引き続き検討ということで、ただその場合にも、先ほど申し上げましたように、施行延期の関係ではでき得ればことしの夏までに答えを出すのが望ましいということで、その旨が答申にも書かれております。  片や税制調査会の方は、この五月をもちまして従来のこれまでの委員の方々の任期が切れ、今、次の委員の方々の選考に入っておりますけれども、引き続き新しい税調で御審議いただくということに相なろうかと思いますが、去る五月二十二日に、その時点での税制調査会としての本件に関する意見の集約を行うということで、会長談話という格好で取りまとめられております。内容的には、昨年の秋の中期答申等の議論を踏まえながら利子課税のあり方について抜本的な見直しを行うべきであるということを柱にして会長談話が出されております。しかし、具体的にどうすべきかということは次の税調で詰めるべきであるということで、いわば課題としては次の税制調査会に残されておるというのが現状でございます。
  114. 穐山篤

    穐山篤君 時間が参りました。  そこで、きちっと言っておく必要があろうと思いますが、昭和五十五年にこの問題が提起されたときは、不公正税制をどう正すか、こういう意味で議論が起き、そして管理の方法として分離がいいか、総合がいいか、あるいはグリーンカードがいいかというふうな、そういう議論になってきたわけです。ですから、その根本的な思想を忘れてもらっては困ると思うんです。いかにして税金を増収するかという角度で物事を考えてもらいますと本末転倒だと思うんです。釈迦に説法だと思いますが、そのことをきちっと念頭に入れて行政当局としても作業を進めてもらいたいと思うんです。具体的な話というのは、時間が切れましたので、後日に譲りたいというふうに思います。  非常に時間がなくてまことに残念ですが、以上で終わります。     —————————————
  115. 高平公友

    委員長高平公友君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、桑名義治君が委員辞任され、その補欠として峯山昭範君が選任されました。     —————————————
  116. 高平公友

    委員長高平公友君) 引き続いて審議を行います。
  117. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 最初に、ただいま議題となっておりますところの法律案につきましての内容と目的についてお答えいただきたいと思います。    〔委員長退席、理事坂野重信君着席〕
  118. 奥山雄材

    政府委員奥山雄材君) ただいま御提案申し上げております郵政省設置法改正の内容でございますけれども、現在本省直轄機関として独立した地方支分部局の形で置かれております地方貯金局及び地方簡易保険局地方郵政局統合いたしまして、郵政局を頂点としました各地方業務運行の執行体制を一元化するという内容でございます。それに伴いまして、地方貯金局及び地方簡易保険局郵政局の貯金事務センター及び簡易保険事務センターという名称に変わるわけでございます。
  119. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 この提案理由の説明の中に、「郵政事業に係る地方行政機構の総合化及び効率化を図るため、」とありますが、具体的にはどういうことですか。
  120. 奥山雄材

    政府委員奥山雄材君) 提案理由の中にも、「総合化及び効率化」とございますが、総合化と申しますのは、地方における為替貯金業務並びに保険、年金業務を現在郵政局郵便局を統括する形で行っております反面、原簿関係事務あるいは契約締結事務郵便局の後方事務本省直轄で行われて、地方貯金局並びに地方簡易保険局で行われておりますためにいわば二重の事務処理系統になっております。それを郵政局地方貯金局並びに簡易保険局事務統合することによりまして、一元的な業務執行体制を企図したものでございます。これが総合化意味でございます。  効率化の方でございますけれども、このような統合化を行います結果、地方貯金局及び簡易保険局における管理共通事務郵政局に集中されますので、その結果、機構の簡素化並びに要員の縮減等業務全般にわたっての簡素化、効率化が図られるというものでございます。
  121. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 ただいまお話がありましたように、今回の改正は、地方貯金局あるいは地方簡易保険局をそれぞれ地方郵政局の貯金事務センター簡易保険事務センターとする、地方郵政局事務の一部を分掌することになっておりますけれども、現行の制度によりますと、地方貯金局もあるいは地方簡易保険局本省に直接結びついてこれが行政事務を行っているわけですけれども改正案になりますと、今度は地方郵政局を通して本省に結びつく、こういうことになるわけですね。行政事務権限地方の出先機関におろすことは、これは非常に結構だと思いますけれども、行政事務の簡素化という見地から見ますと、現在の方がスムーズに行われているのじゃないかと思うんですけれども、その点の組織改正メリット はどの点にあるんでしょうか。
  122. 奥山雄材

    政府委員奥山雄材君) 確かに、沿革的には地方貯金局及び地方簡易保険局本省事務を分離する形で生まれたという経緯がございます。それは、そもそもの発生の由来がそれぞれ貯金の原簿を地方に分散する、あるいは保険の契約締結の事務地方に移管するといったようなところから始まったために、そのような形になっているわけでございます。つまり、本省直轄の形になっております。  ところが、現在ではこのような原簿事務並びに保険契約事務はもちろん大事でございますけれども、そのほかにも地方貯金局及び地方簡易保険局におきましては大変幅広い事務を包括して行っております。一言で申し上げますと、郵便局というお客様との接点であります窓口機関を通じていろんなサービスの提供が行われますけれども、その後方機関として計算事務あるいは証拠書類の検査等の事務は挙げてこれらの機関で行われるわけでございますので、もしこれが地方郵政局統合されることになりますと、郵政局が頂点になりまして、いわゆる現場機関であります郵便局とそれからその後方的機関であります地方貯金局とを一括して管理することになりますので、さまざまなサービス提供が一貫処理体制の中でできるということになります。といいますと非常に抽象的でございますけれども、例えばお客様との間で生じてまいります貯金サービスあるいは保険サービスにつきましていろんな後方事務の改善措置等が必要になった場合でありましても、現在でありますと、郵便局から郵政局郵政局から本省本省から地方貯金局等という非常に迂遠な形を経由して指導になりますけれども、新しい改正案になりますと両方一遍に郵政局が指導できるということになるわけでござます。
  123. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと、郵政省さんとしてはかっていろいろなデメリットがあるという御意見を出されておりましたけれども、その点につきましてはすべてこれは乗り越えることができたわけですね。
  124. 奥山雄材

    政府委員奥山雄材君) 先生がおっしゃいましたとおり、かつて郵政省といたしましては、関係各方面に地方貯金局及び簡易保険局郵政局統合することにはデメリットが相当あるということを申し上げたことは事実でございます。その主たる内容は、それぞれの歴史的、沿革的な発生の理由並びにその誕生してまいりました背景がそれぞれ違っているために、郵政局といういわゆる現場を管理する中間管理機関統合することについては慎重でなければならないというのが主たる論点でございました。  それらの問題点を私ども臨調のヒアリングの過程でも率直に申し上げまして、単なる水平の移動あるいは上下機関の垂直移動というような形ではこれらの統合は無理であるということを臨調の先生方にも十分御理解をいただきまして、事業体制の簡素化を図ると同時に、お客様へのサービスの低下をもたらさないためには、今回御提案申し上げましたような形の統合が一番効果的であるという結論を得ましたので、御提案申し上げた次第でございます。
  125. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 ちょっとお尋ねしますけれども、現在の地方貯金局、それから地方簡易保険局の設置数はいつから現在の数になっていますか。
  126. 奥山雄材

    政府委員奥山雄材君) これはそれぞれ非常に長い沿革があるわけでございますが、先ほど来申し上げておりますように、それぞれ本省事務の一部を分離する形で出発しております。貯金の業務が始まりましたのが明治八年でございます。その後、十一年たちまして明治十九年に、初めて大阪と赤間、現在の下関でございますけれども、二つに現在の地方貯金局に相当する機関を設けました。それから逐次むしろ遠隔の地から拡大してまいりました。次が福岡、小樽といったような状況ですが。一方、簡易保険局につきましても、本省の契約原簿等を移管する見地から、まず簡易保険業務が始まりました大正五年以後かなりの年数たちまして、昭和九年に至って初めて福岡に地方簡易保険局の最初のものをつくったという経緯でございます。  ところが、その後業務量が増大してまいりましたので、逐次貯金局保険局をふやしてまいりましたのですが、保険局の方は先生御承知のとおり七局でございますので、一般の地方ブロック機関よりはむしろ数が少のうございます。しかるに、貯金局の方は、昭和十一年ごろから振替の振興ということが非常に盛んになりまして、振替業務はむしろ振替の口座を郵便局になるべく近いところに分散しておいた方がいいという見地から、当時一県一口座所管庁つまり一県一地方貯金局主義というものが唱えられまして、昭和十一年以降県ごとに置くという方針が定められたところです。ところが、戦争になりましたのでそれは一たん中断いたしまして、戦況が苛烈化するのと同時に、今度は軍事貯金といったようなものも加わりましたために、貯蓄増強の見地から貯金の原簿を分散し、あるいは戦争末期には貯金の原簿を疎開させるというような見地から逐次ふえてまいりまして、結局最終的に終戦時でほぼ現在の数になっております。終戦後、貯金局につきましては宇都宮が一つふえて、逆に震災でつぶれました福井が一つ減りましたけれども、差し引きプラス・マイナス・ゼロでございますので、結局郵政省昭和二十四年に発足いたしました際以降、現在の地方貯金局が二十四、簡易保険局は七という体制になっております。
  127. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 このたびの地方郵政局への統合を機会に、特に設置数の多い地方貯金局を減らす考えはなかったのでしょうか、どうでしょうか。
  128. 奥山雄材

    政府委員奥山雄材君) 地方貯金局は二十八という数字でございますので非常に多いように思われるわけでございますけれども先ほど来申し上げておりますように、後方機関として郵便局の日々の業務と密接不可分の仕事をしておりますので、非常に事務処理の迅速性と地元の密着性というものが要請されます。したがいまして、今後この再編成の暁におきましても、利用者サービスを低下させないという前提で私どもは法改正考えておりますので、この設置数を減らすことは考えていないところでございます。    〔理事坂野重信君退席、委員長着席〕
  129. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いろんな歴史的な経過とかお話しいただきましたけれども、皆さん方がお出しになった資料によりますと、「地方貯金局組織についても、オンラインによる業務処理の変化に合わせ昭和五十六年度から昭和五十九年度までに二十八の地方貯金局を九局に再編成することとし、現在段階的に実施中のものである。」という報告をされています。五十五年三月の閣議決定に基づいているということでございますが、そういう考えはこの際なくなりまして、地方事務センターとして二十八そのものを存続していく、こういうお考えですね。
  130. 奥山雄材

    政府委員奥山雄材君) 確かに、五十五年行革の際には先生が御指摘になりましたような形で再編成考えたことは事実でございます。ところが、先ほど来申し上げておりますような理由からいきまして、今後は思い切って地方郵政局の中に統合して、本省から地方郵政局、それから地方貯金局という一貫体制をとるということで踏み切ったわけでございます。
  131. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 その五十五年行革のときに「オンラインによる業務処理の変化に合わせ」とありますように、最近はどんどん通信網も発展してまいりますし、これからINS等も拡充されてくると思うんですけれども、それで高度情報社会の到来によりましてますますこれから距離感がなくなってくるわけです。そうしますと、この地方簡易保険局あるいは地方貯金局の設置数についてもやはり考える必要が、皆さん方がおっしゃっているようにあるのじゃないかと思うんですけれども、その点どうでしょうか。
  132. 奥山雄材

    政府委員奥山雄材君) 総合オンライン化を私ども進めてまいりまして、逐次合理化できる業務効率化、簡素化してまいったところでございます。先生がおっしゃいますように、さらにこの趨 勢は今後も進むと思いますが、オンライン化という形で機械化事務処理になじまない業務が依然として地方貯金局には相当ございます。  貯金の利子計算とか、それから預け入れ、払い出しの記入とか、そういったものは申し上げるまでもなくすぐ機械に乗るわけですけれども、実は余り知られていない地方貯金局の役割でございますが、非常に重要な役割といたしましてオンラインに乗らない業務の処理、例えば郵便振替等は郵便局から直接入力できませんし、それからそのほかに利用者の方々から日々たくさんのいろんな請求、例えば転居した通知だとか、あるいは判こを変えた、改印と言っていますけれども、改印通知だとか、そういったお客様からの諸請求の処理、逆に今度お客様の方へ地方貯金局の方からいろいろ御通知申し上げるもの、例えば満期になりましたよという通知、あるいは元利金の通知、元金利子がこれぐらいつきましたよといったような通知のサービス、こういったものはいずれもオンラインでは処理できません。  かてて加えまして、地方貯金局はあらゆる貯金業務の最終的な証拠書類の審査機関であり、検査機関でございますので、そこでは膨大な証拠書類が取り扱われます。地方貯金局で取り扱われます証拠書類の数は二百八十種類ございますが、一日当たりの証拠書類の数は二百八十万件にも上る膨大な量の審査を行っているわけでございますので、これらはどういたしましても手作業等に頼らざるを得ない部分が大部分でございますので、コンピューターが発達いたしましても、これらの業務を担当する地方貯金局の数を減らすこと自体は困難であるというふうに考えております。しかしながら、先生がおっしゃいましたように、いわゆる計算センターとしてのコンピューターの活用ということは今後もさらに私ども検討していかなければならないと思いますので、従来どおりどもはそのような事務処理を心がけてまいりたいというふうに考えております。
  133. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは、為替貯金業務あるいは簡易保険事業におけるこれまでの合理化、効率化はどのように行ってきたのか、お伺いしたいと思いますし、またこれらの事業というのが国民生活の向上にますます貢献し寄与していくことは明らかだと思うんですが、その点、郵政省としてはどんな施策を考えてみえるでしょうか。
  134. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) まず、貯金の方から御説明させていただきたいと思います。  為替貯金業務における合理化、効率化というものにつきましては、昭和四十四年度から五十三年度にかけまして地方貯金局十八の局で通常貯金の原簿の事務あるいは振替の事務、こういったもののEDPS化といっておりますが、初期の段階でのコンピューターによる事務処理でございます。こういったことから手始めまして、五十三年度からは為替貯金業務の総合機械化、いわゆるオンライン化というものに着手いたしまして、本年の三月末にやっとオンラインの全国ネットワークというものが完成を見たところでございます。  郵便貯金は、国民生活に非常に密着した幅広い個人金融サービスというものを全国津々浦々で設置された郵便局を通じて提供しているところでございまして、これからも預金者の立場というものを十分重視いたしまして個人金融の分野の充実に努めてまいりたい、またこれから多様化してまいります国民の皆様方の貯金に対するニーズというものにこたえていかなければならない、こういうふうに考えているところでございます。  なお、今後は、エレクトロニクス化の進展に合わせてこのネットワークというものを活用してまいりたい。特に、今後の金融情勢を眺めてみた場合、金融における競争は単なる金利の自由化、金利の多寡ということだけでなくして、エレクトロニクス化というものを組み込んだ付加価値的なサービスというものをどういうように提供していくかということであると言われているわけでありまして、こういった点も踏まえて新しいサービスの提供に真剣に取り組んでまいりたい、このように考えておるところでございます。
  135. 奥田量三

    政府委員奥田量三君) 簡易保険、郵便年金事業におきましても、まず昭和四十年代にオフラインによる機械処理を導入いたしました。また、昭和五十二年以降オンラインによる総合機械化を推進してまいっております。既に、集配普通局についてはすべて完成いたしておりまして、現在進めております集配特定局のオンライン化も明昭和六十年度までに完成するという段取りに至っております。これらのオンライン化中心に、そのほか事務効率化、合理化等に努めますとともに、一方では資金運用の利回り向上等と合わせまして、その結果これまでに例えば保険料の引き下げでありますとか、あるいは配当金の増額とか、そういった形で利用者へのサービスの向上に努めてまいっているところでございます。  今後につきましては、特にこれから我が国におきまして高齢化社会の急激な進展が予測されるところでございますが、一方、財政事情等からいたしまして、いわゆる公的保障等については種々問題の生じているところでございまして、こういう状況の中で国民の自助努力を基本とする生命保険の役割は一層大きくなっていくだろうというふうに考えられます。このような状況の中で、簡易保険、郵便年金事業といたしましても、ますます高度化する国民の生活保障ニーズにこたえられますように、加入限度額の引き上げ、あるいは資金運用制度の改善、あるいは時宜に即した新しいサービスの開発、さらに経営の一層の効率化に努めまして、なるべく安い保険料でよりよいサービスを提供できるように最大限努力してまいるつもりでございます。
  136. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは、この統合によりまして具体的にどの程度の要員面の合理化ができるのか、その点どうでしょうか。
  137. 三浦一郎

    政府委員三浦一郎君) 今回統合いたしまして、地方貯金局それから地方保険局、それの中の人事あるいは会計、そういった共通関係事務につきまして統合メリットがあるものを地方郵政局に移管する、そういうことを検討いたしております。これによりまして、従来各種の合理化、効率化によってやってきたものとは程度は違いますけれども、ある程度の要員の合理化ができる、このように考えております。
  138. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと、統合によりましても組織的には少しも変わりはないし、要員面の合理化といっても具体的に何がされるのかさっぱりわからないという状況じゃないかと思うんですね。  この皆さん方の出された資料によりますと、「為替貯金業務オンライン・システムによる総合機械化は、本省直轄の下に昭和六十年末を目途に推進中であり、この合理化の実施によって約三千人の要員の節減が見込まれている。」、こういうことが書かれているわけです。そうしますと、この統合を実際にされましたところ、そういう要員面についての具体的な数は出てきませんし、組織についても変更はない、何もこれはメリットがないということになるのじゃないでしょうか。どうでしょうか。
  139. 奥山雄材

    政府委員奥山雄材君) 今、先生が御指摘になりましたのは、五五行革の際にもくろみました今後の効率化計画であろうと思います。その際に私どもが御説明申し上げました要員の縮減等は、今現在でも変わっておりません。つまり、当時は、昭和四十五年から始まりました地方貯金局における機械化並びにその後進であります総合オンライン化を踏まえて、さらにこれを踏襲し発展させていくということで考えた数字でございます。既に、昭和四十五年以降五十八年までの間に地方貯金局におきましては、EDPS化並びに総合オンライン化を含めまして、四千四百人の減員をしております。いわゆるオンライン化に伴う定員の圧縮措置というものは今後もさらに継続してまいることでございます。今回の改正は、さらにそれに加えまして、管理共通事務をも郵政局統合して、さらにスリムな事業運営体制をつくりたいということでございますので、これまでの計画にさらに上積みされて、これらを総合して私どものいわゆる効率化計画がフィニッシュに達するというふうに考えているものでございます。
  140. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 余り歯切れのいい答弁じゃないですけれども、それではもう一点お聞きしますけれども統合することによりまして、郵政本省あるいは郵政局及び貯金、保険事務センターの指揮命令系統、これはどのようになるんでしょうか。あるいは本省郵政局との二重の指揮命令系統ができて、混乱を生ずるようなことはないでしょうか。そうなりますと、行政組織上問題が出てくるのじゃないかと思うんですが、その点どうでしょうか。
  141. 奥山雄材

    政府委員奥山雄材君) 今回の改正によりまして、本省直轄でありました地方貯金局並びに地方保険局事務郵政局統合されますから、ほとんどすべての事務郵政局を通じて所掌されます。つまり、本省が最終的に郵政省の所掌事務の要所を所管することは言うまでもございませんが、それを第一義的にはほとんどすべて郵政局にゆだね、郵政局がさらにそのうちの必要なものを貯金事務センター並びに簡易保険事務センターにゆだねるという形になりますので、二重行政にならなくて一本化された体制になるわけでございます。ただ、簡易生命保険及び郵便年金の契約の締結事務といった若干の事務につきましては、簡易生命保険法第三条及び郵便年金法第三条に基づきまして、本省簡易保険局長から直接簡易保険事務センターの長に委任することとされておりますので、この部分だけは郵政局長の指揮権、監督権が及ばないで本省直轄になるということでございます。
  142. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 これは皆さん方の言によりますと、地方簡易保険局というのは、郵便局を通じて申し込みのあった簡易保険あるいは郵便年金契約の申し込みについて、これを法的基準、医的基準に照らして審査し締結する事務保険金支払い請求について同様の審査を行う事務、その他簡易保険あるいは郵便年金契約の権利義務に関する事務を処理することを主に業務としている。これに対して地方郵政局は、主として簡易保険、郵便年金の奨励を担当している。このように両者は全く異なる業務を行っているものであり、その結果、両者の間にチェック機能が働き、簡易保険、郵便年金契約の締結、保険金の支払いの適正が保たれている、このようにおっしゃっています。ですから、両者を統合しますと、現在機能しているそのチェック機能というのが失われていくのじゃないか、こういう心配がされるんですが、その点はどうでしょうか。
  143. 奥田量三

    政府委員奥田量三君) 地方簡易保険局は、機構改革によりましてセンターとなることを予定しておるわけでございますが、その地方簡易保険局の仕事の内容は、ただいま太田委員指摘のとおり、日常の保険料受け入れ監査、整理等の仕事のほかに、特に新しい契約の締結の可否に関する判断あるいは保険金の支払いの可否に関する判断といったような法的、医的な知識も含めた審査、判断の業務があるわけでございます。したがいまして、今回の組織改正の後におきましても、これらの審査、判断の仕事につきましては、先ほど官房長が申しましたように、直接本省からセンターの長に委任いたしまして、本省から直接委任された責任者としてセンターの長がこれを行う、そして日常運営の分野につきましては、これは地方郵政局に合体いたしまして、そのセンターが所在する地域全体とのいわば整合性総合性を図っていくというふうに、いわば審査、判断の仕事と日常運営の側面とを区別いたしまして、それによって支障のないように取り計らっていく、こういうふうに考えております。
  144. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 例えば地方郵政局の所在するところにもそういった簡易保険事務センターというものがない地域もありますね。例えば、中国郵政局の中には簡易保険事務センターはない。しかし、そういったところで、今まで四国にありました高松地方簡易保険局、これが両方見ていたという経緯がございますけれども、今おっしゃったことで、高松簡易保険事務センターとして四国郵政局の中に統合しながら中国郵政局の分まできちっと事務処理ができるのかどうか、その点の心配はないでしょうか。
  145. 奥田量三

    政府委員奥田量三君) 例えば、ただいま御指摘のように、中国郵政局管内の簡易保険契約締結事務あるいは保険金支払い決定事務等は京都地方簡易保険局でこれを受け持っているわけでございますし、機構改革後も同様の形になるわけでございますが、先ほどお答え申し上げましたように、これらの審査、判断という権能につきましては、直接本省と連結した形で京都のセンターの長がこれを行うという、こういうやり方によりまして、近畿、中国ということにかかわりなく事務処理の遺漏なきを期してまいりたい、またできるというふうに考えているわけでございます。
  146. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次は、昭和五十九年一月の閣議決定では、我が国の高度情報社会の到来に対応して、総合的な電気通信行政の推進を図るため、郵政省内部部局の再編成を行うこととした三局構想を決定していますけれども、これに対して郵政省はどのように対応しようと考えておりますか。
  147. 奥山雄材

    政府委員奥山雄材君) 電気通信行政にかかわる機構の再編成についてのお尋ねでございますが、現在の電気通信行政機構は、先生御承知のとおり、電波監理局と電気通信政策局の二局体制で行われております。これは、今日までさまざまな沿革はありましたけれども、基本的には戦後一貫してとってまいりました有線、無線の区別を今日まで踏襲した格好になっております。幾多の曲折はありましたけれども、基本的にはそのような図式が今日にまで及んでいるわけでございますが、昨今の電気通信技術の著しい発達に伴いまして有・無線の融合化現象が行われておりますし、また情報化の進展に伴いまして電気通信行政に対する需要も質的にも量的にも高度化、多様化しておりますので、このような新しい行政需要に即応できるように今年の七月一日を期しまして電気通信行政機構の再編成を行うこととしたわけでございます。  既に、これに対する措置といたしまして、去る六月十三日に郵政省組織令の一部改正を行いまして所要の準備を完了したところでございますので、七月一日以降の本省における電気通信行政機構は、電気通信局、通信政策局並びに放送行政局の三局体制でとり行われることになります。
  148. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 三局再編成が七月一日発足するわけですけれども、これらの部局における職員の数はどのようになりますか。
  149. 三浦一郎

    政府委員三浦一郎君) 三局化に伴いまして、五十九年度の定員は、三局化前の五十八年度の定員と比較いたしまして六名減員、そして一千五百九十六人となる予定でございます。
  150. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 今、職員の数が減少するということのお話でございましたけれども、電波、電気通信等、今後ますます情報通信行政というものは量的にも質的にも拡大してくると思うんですけれども、やはり必要なところに十分そういった要員配置をして、これからのそういった高度情報社会に適応していくことが必要じゃないかと思うんですけれども要員面でマイナス六人ということでございますけれども、それで十分な情報通信行政というものができるかどうか。組織だけの変更ではなくて、私どもとしましては、必要なところに十分に人的、物的な面にわたって充実さしていく必要があるのじゃないか、このように思うんですけれども郵政省としてはどのようにお考えでしょうか。
  151. 三浦一郎

    政府委員三浦一郎君) 御案内のとおり、この電気通信分野は、技術革新それから高度情報化社会ということで非常に急速な進展を遂げているということでございます。これに対しまして行政が的確な対応をするということは、今後ともますます求められると考えております。しかしながら、一方、厳しい財政事情、そういった問題もありますけれども、我々といたしましても、電気通信行政を主管する立場からいたしまして、こういう行政の推進に必要な要員につきましては、関係の向きとよく相談して、必要な数をぜひとも確保していきたい、このように考えております。
  152. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それに関連しますけれども、これからいろいろと郵政省においてもテレトピア構想 の推進等考えてみえると思いますし、これから地方におけるそういった電波・電気通信行政の必要性というものは高まってくると思うんです。これに対応しまして、やはり地方においてもいろいろな行政の機構についても考慮していかなきゃならないときを迎えているのじゃないかと思いますけれども、その点についてどのようにお考えでしょうか。
  153. 奥山雄材

    政府委員奥山雄材君) 在来の電気通信行政の地方機構につきましては地方電波監理局が存在するわけですが、ここにおきましては、無線局の検査、あるい免許、または無線従事者の国家試験といったような、いずれにいたしましても無線中心主義であったことは否めないところでございます。  これは、これまでの地方電気通信行政というものが、ほとんど電波を除きました電気通信分野とかかわりが薄かったことに起因するものでございます。つまり、これまでの電気通信行政というものは、公衆電気通信事業体が一元的に独占しておりましたので、ほとんど地方としてはかかわり合う余地がなかったわけでございますけれども、現在国会に御提案申し上げております電電改革関連三法案が通りました暁には、先生がまさしくおっしゃいましたように、地方におきまして電気通信行政とのかかわりが非常に強く出てまいります。  さらに、ただいま先生から御指摘ありましたように、テレトピア構想の推進といったような問題は、地方自治体との関連を深めなければとてもいい結果を生むことは期待できません。さらにはまた、これからのニューメディアの一つでありますCATVといったようなものも、これも自治体等地域社会と非常に強いかかわり合いを持っているものでございますので、今後の電気通信行政に関連する地方組織につきましては、私どもも行政需要に対応したものになるように鋭意検討してまいりたいと思います。  なお、現在御提案申し上げております電電改革法案の一本といたしましていわゆる整備法案がございますが、この整備法案の中におきまして、これらの電気通信関連事業法の施行に合わせまして、来年の四月一日から地方電波監理局地方電気通信監理局と改称させていただくことにしておりますので、よろしくこの点につきましてもお願い申し上げる次第でございます。
  154. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは、先ほど郵政三事業について同僚委員から質問ありましたが、私もその中の臨調答申との関連でちょっとお聞きしたいと思いますが、臨調答申の中に、郵便事業について民間開放を含めその扱いを検討すべきである、こう述べられていますが、これを検討を進めてまいりますと、郵便法第五条の郵便事業の独占に対する考え方の変更も含めた検討というのがこれは余儀なくされてくるのじゃないかと思うんですが、先般の山形県米沢市の私設郵便事件への対応もあわせまして、この郵便の独占に対する郵政省のお考えをちょっとお聞きしたいと思いますが。
  155. 白井太

    説明員(白井太君) お答え申し上げます。  まず、山形の米沢市におけるいわゆる人材センターの件でございますけれども、四月の二十日ごろだったと思いますけれども、新聞に報道されたりしまして、郵便局の方で人材センターの方へ信書の送達に当たるのではないかということで御注意を申し上げたところ、人材センターの方でもそういうことではということで、そのまま通知書等の送達の仕事はおやめになっておられますので、問題としてはその後起こっておりません。  ただ、基本的な郵便の独占についての見直しの考えはないのかというような先生の御指摘かと思いますが、結論的に申し上げますと、見直しをする考えは持っていないということでございます。なぜそうなのかということになりますと、結局は私どもが現在従事しております郵便というものに対しての基本的な考え方の問題になってこようかと思いますが、私どもといたしましては、郵便あるいは手紙、はがきの配達というのは最も国民の基本的な通信手段であって、これらのサービスはあまねく全国にできるだけ安い料金でサービスを平等に提供する、また安定的に提供するというのが最も大切な機能ではないかと考えておるわけであります。  ところで、そのような手紙、はがきの配達の分野について独占を緩和いたしますと、どうしてもいいとこ取りになる危険性があるわけでありまして、ただでさえ今日においていわゆる宅配便の進出の問題とかあるいは電気通信手段の発達というようなことの環境の中におきまして、郵便事業の経営が大変苦しい状況に置かれておりますことは先ほど来申し上げておるわけでありますが、そのような状況の中で独占について緩和いたしますと、結局は郵便事業が成り立たなくなってしまうということにつながってしまうのではないかということを心配しておるわけであります。  要は、親方日の丸であるとかあるいは独占の上にあぐらをかくというふうな言葉にあらわされるような安易な事業経営に陥ってはいけないということが基本であろうと思いますので、私どもとしては必ずしも安易な経営に陥っているとも思いませんけれども、そのような御指摘をいささかもいただくことがないように厳しい態度でこの事業の経営に当たっていかなければならないというふうに考えております。
  156. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 同じく臨調答申の中では、「事業全般にわたって従来の枠を超えて業務委託を積極的に行う」必要がある、こういうふうに述べているわけですけれども先ほどから郵便事業につきましては約百五十億の赤字があるということで、大臣以下前かけ精神で今赤字解消を目指して一生懸命努力されているということでございますし、今お話ありましたように、業務委託を進めた場合にはそういう効率的な黒字のところだけとられてしまうというような心配もされている向きがありますけれども、やはり郵便事業はこれから重要な役割を果たしていくと思いますけれども、いかんせん、そういう人力依存の事業であるため、この効率化を図っていくためにはどうしても民間を含めた業務の委託というのが必要になってくるのじゃないかと私たちも考えているわけですけれども、また答申の中に、退職者も含めて地場の高齢者に雇用機会を与えるべきじゃないか、こういう意見も述べているわけですが、その点も含めて郵政省はどのようにお考えでしょうか。
  157. 白井太

    説明員(白井太君) 事業経営を効率化させるという見地から、他の民間会社などに委託できるような仕事につきましてはできるだけ部外の力をおかりするという形で部外への委託を実施することによりまして事業経営を効率的に行おうということについては、私どもとしても今までもいろいろ力を入れてやってきたつもりではございます。  もちろん、民間に委託すると申しましても、制度上何もかもすべて委託するというわけにもいかないような制度にもなっておるわけでありますけれども、特に郵便の運送とか配達とかいうような部門におきましてはあらゆる角度からの民間への委託等を実施しておるわけでありまして、そのほかにも、あるいは清掃でありますとか、あるいは局舎の警備でありますとか、あるいは事業用品の保守、あるいは清掃などの作業でありますとか、局舎関係の維持、保守でありますとか、そのようなことについてもできるものはできるだけ民間のお力をおかりするという形で部外委託を進めてきておるつもりでございます。  五十九年度におきましては、必ずしも部外委託だけではございませんけれども、千名を超す合理化等による要員の縮減を予定しておりまして、もちろん減るだけではなくて他方においてふえるものもありますので、プラスマイナスいたしますと約二百七十名の定員減ではございますけれども、そうした合理化を図るということも考えております。  なお、部外委託の方法といたしまして、ただいま先生が御指摘になりました民間の力をかりるにしても、特にあるいは民間の高年層の方のお力をおかりするとかいう、あるいは地場産業の力をおかりするとかいうようなことについての考え方は持っていないかというようなお話だったかと思い ますが、私どもも、具体的な民間委託、あるいは委託ということではなくて郵便局のいわば臨時の非常勤職員としてそうした方を採用して仕事をお願いするとか、あるいは現在もう既にやっておりますが、いわゆる団地配達と言われますように、家庭の主婦の方の労働力をおかりするというようなことも考えておりまして、具体的な実施の中においてはそうした先生のお話の中で示されましたような考え方も生かしていきたいというふうに考えております。
  158. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 今、団地等のパート配達のことにちょっとお触れになりましたけれども、これも時として問題が発生しているわけですけれども、この業務委託とかあるいは集配作業におきまして業務委託を図っていく場合に、特に通信の秘密の保持ということが十分これは配慮していく必要があると思うんですが、郵政省、これに対してどのように対策を考えてみえるでしょうか。
  159. 白井太

    説明員(白井太君) 郵便の仕事につきましては、特に一年を通じましても季節的な波動性が大変高いものがございまして、どうしても私ども事業経営を効率的に運営していこうということになりますと、民間に委託するとか、あるいは臨時の非常勤職員の方の力をおかりするというようなことをして仕事をやっていかなければならないわけでありますが、しかしそういうことをすることが、ただいま先生指摘になりましたように、最も手紙、はがき等の配達の生命線とも言ってよいような信書の秘密の保持あるいは確保という点において抜かりがあるようなことになっては大変なことでございまして、私どもは、例えば年末などに多くのアルバイトの学生さんを雇って仕事をするわけでありますが、そういうときにおきましても、何度も繰り返してそうした趣旨というのをアルバイトの学生さんにもよく理解してもらうことをしておるつもりでございますし、また団地配達などで手紙の配達をお願いする主婦の方々に対しても、そうしたことについていささかも一般の利用者の方から疑いを持たれることがないようにということで、できるだけの配慮はしておるつもりでございます。
  160. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは次に、貯金関係でちょっとお尋ねしておきますが、先ほど同僚委員からも金利の自由化についての質問がされましたが、やはり私も決算委員会でこの問題につきましては局長の御意見も承りましたけれども郵政省としてもどんどんと国民の財産を守る立場からPRしていく必要があろうかと思うんです。その中で、先ほど大蔵省の説明員の人が、金利というのはこれは安定したものじゃないのだというお話がありました。高くなるばかりじゃないのだ、低くなるときもあるのだ、それは市場の実勢によって決まってくるのじゃないか。そういうこともあります。ですから、高金利の商品ばかり考えておりますと思わぬ場合も生ずる可能性もありますね。その点についての対応はやはり郵政省もしっかり勉強されて考えておみえになると思いますが、一言お願いいたします。
  161. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 金利の自由化になった場合に、確かに規制金利と違いまして、市場実勢というのが、世界の金融という状況を反映いたしまして、場合には、時によりけりでございましょうが、乱高下するということも考えられるだろうと思うわけであります。だから、情報量の少ない小口については規制しておいた方がいいのだという理屈には私はならないのじゃなかろうかと思うわけであります。  確かに、預金者が情報不足等によって大変危険な状況になるということはこれは避けねばならないわけでありますが、預貯金というものはやはり確定利回りというものを前提にいたしているわけでありまして、元本がなくなるような商品というものを郵便貯金として自由化に対応して直ちに考えるかというところまで私どもは実は考えていないところでございますけれども、ただ言えることは、いろいろなお客様がございます。  長期に安定した貯蓄というものを希望なさる方もございましょう。短期にあるいはある程度の高利回り、ある程度リスクというようなものを前提にした資産形成というものをお考えになられる個人もいらっしゃるだろうと思うわけであります。それは個々人の選択に任せる。そしてまた、個々人のそれぞれの需要に応じた商品というものを開発して提供する。そしてまた、金融混乱というものが起こってはならないわけでありますから、その辺のところについては十分な金融情報というものが提供できるような仕組みというものをあわせて考えていくというようなことも考えていくべきであろうと思うわけであります。  したがいまして、個人は小口は手間がかかるから、よって後回しだとか、あるいは情報不足による危険負担というものをなるべく避けるために規制のまま置いておいた方が望ましいのだという議論というのは、やはり工夫と知恵というものを出し合っていけばよりよい自由化における個人の金融資産の選択ということが可能になるのではなかろうか、むしろそういうことを促進させるためにも自由化というものと早く取り組むべきである、こういうふうに考えているところでございます。
  162. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは、時間もなくなりましたので、あと一点だけお聞きしますが、少額貯蓄制度見直しというものが政府の税制調査会等で今検討をされていますけれども、この郵便貯金というのは非課税ということが長年にわたって国民の間に定着しているわけです。この見直しの問題は郵貯にやはり大きな影響を及ぼしてくるのじゃないかと思うんですが、そういう中で、現在貯蓄過剰であり、貯蓄を奨励する必要はないと主張する向きがございますし、郵政省として影響する問題点、あるいは今後のそれに対する省の見解等をお聞きしたいと思うんです。
  163. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 少額貯蓄非課税問題につきましては、この八月をめどに政府税調においても検討を進めていこうということでございますが、私どもこの問題についていろいろな観点から大変危惧いたしておるわけであります。  御承知のように、郵便貯金は、制度創設以来、非課税貯蓄というものでなじんできた制度でございます。そして、今日の非課税貯蓄制度の見直し部分の中で、一つは貯蓄不要論というものがあるという御指摘でございますが、そのとおりでございまして、私どもはこの貯蓄につきましては、貯蓄の重要性というのは、過去を振り返りましても、戦後の日本の復興あるいは高度成長というものを支えてまいりましたのは国民のこの高い貯蓄率、これによる豊富な資金、こういったものが産業の投資というものを活発にして今日の日本の経済というものを支えることができた。あるいは今日時点におきましても、百十兆からの国債というものの大量発行がなされておるにもかかわらず、我が国においてはクラウディングアウトとかあるいはインフレというようなものが伴わずに比較的安定した経済成長ができておるということも、これは高い国民の貯蓄率による豊富な貯蓄があるからだということでございます。  この点につきましては諸外国からも高い評価をされているわけでありまして、諸外国においても貯蓄増強という観点からの取り組みということがむしろ行われようとしているというのが情勢でございます。今後の状況を眺めてみましても、国債の大量発行に関連いたしました借換債の発行というようなことがございます。今後とも活力ある経済社会を実現していくというためにはこの貯蓄心の涵養こそ重要であろうと思うわけでありまして、貯蓄は不要だということは時期尚早であると思うわけであります。  なお、貯蓄の観点からいま一点考えなければならないのは物価との関係でございますが、最近は物価が非常に安定いたしておりますけれども、長期に見た場合、例えばこの五、六年というような関係で見ましても、物価の上昇率とそれから預金の平均率、これを見ましても逆転いたしております。これは言うならば貯蓄が長期においては目減りをしているということでございます。  もともと貯蓄というのは第一次所得としての所得税を払った後でのものでございます。そこのも のにあるいは税金をかけるという発想自体が二重課税ではないかという議論も出るわけでありますけれども、第二次の実質マイナスの所得に課税をするというようなことが果たして公平な課税であると言えるかどうか。  特に、こういう目減りの中におきましても、財政窮乏の折から高齢化社会に備えてのいろいろな福祉の見直しというようなことも言われているわけでありますから、国民としては老後に対する不安というものを抱え、老後に備えての貯蓄というものも現実に貯蓄動向としてはふえているわけでありまして、そういった観点から、むしろ貯蓄心に水を差すということではなくして、こういう自助努力に対して政策としては手を差し伸べていくということこそとるべきであろうと思うわけでありまして、私ども先ほどから申し上げておりますように、限度額の引き上げあるいはシルバー貯蓄の新しい創設というようなことこそ今日とるべき問題であろう。  なお、財源確保という観点からの議論がいろいろ出ているわけでありますけれども、これはどうもとらぬタヌキの皮算用というような感じの御意見が私どもとしては見受けられるわけでありますけれども、少額貯蓄だけに対して目をつけて課税しようといたしましても、現実に節税商品というものがございます。例の五十五年、グリーンカードというものが出たときに、ゼロクーポンとかあるいは金を買うということで行列ができたというようなことがございます。  現実に今もそういう商品があるわけでございますから、非課税貯蓄、現在のマル優あるいは郵便貯金だけに税金をかけるという観点から取り組むということは大変大きな混乱を招くであろう。また、先ほど来申し上げますように、一時的な財源確保のために長年にわたって培われた日本の国民の貯蓄心というものに水を差すようなことはとるべきではないというふうに考えているのが現状ですし、またそういう意味で非課税貯蓄制度というものは今後とも存続すべきであるというのが私ども考え方でございます。
  164. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 最後に、今の問題に対する大臣の御意見と、それからやはりこの五十七年九月三十日に出された郵政省の御意見、統合に対するデメリットの問題はすべてこれはクリアされていないと思います。今回の法律には賛成ですけれども、この法案につきましては、郵政省自身もいろんな矛盾点やら何か包含しながら進められていくのじゃないかと思いますが、法律として成立した以上は、きちんと大臣としてこれは監督もし、指導もして進めていただきたい、このように思いますが、その点御意見を承って質問を終わりたいと思います。
  165. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 今ほど御質疑をいただきました非課税の問題でございますけれども、これは郵貯の制度創設以来、郵貯は非課税ということは今日においては国民の中で広く定着いたしております。そこに貯金があるからという、安易な形での税収手段としての増税策には全くくみすることはできないわけでございます。  特に、今日言われているような大口預金者の隠れみのに郵貯がなっておるという御批判に対して、これはやはり今後とも限度額を遵守していく。オンラインの設備もできたことでもございますし、私たちは名寄せ等によって、今日そういった形をほかの金融機関にもシフトしていただくようにも指導しておるところでございます。これによって、一部、一つの発想として郵貯の限度額を守るという形の中で、マル郵の、「ゆう」は郵便の「郵」でございますけれども、独自に限度額管理もしっかりやってまいりたいという一つの発想を含めて目下検討さしておるところでございます。  今ほど貯金局長申しましたが、貯金の果たしておる役割というものは、くどくど申し上げるまでもありません。インフレ防止にもつながっておりますし、今日の物価安定のみならず、大量の国債発行の中でも金融的な混乱が起こらないといったような形は、まさに日本は貯蓄率が他国の状態に比べて圧倒的に高いということが今日の経済安定の基盤になっておるという形において、この非課税制度というものを何としても堅持してまいりたいというのが私の気持ちでございます。  なお、後半に御指摘されましたけれども、確かにいろいろな競争条件の厳しい環境下に郵政三事業はことごとく立たされております。したがって、行革、そういった臨調答申を別にしても、スリムな体質づくりのためにあらゆる形で、労使間の良好な関係をさらにいい方向に構築しながら、こういった今年度の郵務事業の赤字、これの解消に向かって、さらに国民の皆さんが心配されているような安易な形での値上げをお願いするという態度ではなくて、すべて前垂れがけの精神で、ひとつ郵政三事業の国民にサービスを還元するという基本的な姿勢に立って遂行してまいりたいと思っておるわけでございます。  御忠告ありがとうございました。
  166. 高平公友

    委員長高平公友君) 本案についての質疑は本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時六分散会      —————・—————