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政府委員(澤田茂生君) 金融の自由化、特に庶民の家計と
関係がございますのは金利の自由化ということだろうと思います。私
どもの郵便貯金は、
先生おっしゃるとおり、小口の貯金の集積でございまして、今日の金融の自由化の進展というものを見た場合に、大変今後に対する対応というものに真剣に取り組まなければならないというふうに思うわけでございます。特に金利の自由化というものが、我が国におきましては一層そうでございましょうが、低く政策的に金利が抑えられてきたということでございまして、金利の自由化が進展いたしますれば当然金利は上がるであろう。本来得べかりし金利というものを個人が手にすることができるであろう。また、金融商品につきましても、いろいろニーズに合った商品というものを選択することができるであろう。そういった個人の貯蓄、預金者の利益というものの増進という観点からも特に自由化というものについては積極的に取り組むべきであろうということで、私
どももそういうことを前提にいろいろ
検討を進めているわけでありますが、対応といたしましては、自由化の進展までの間における高利回り商品の開発とか、しかし何といいましても、
先ほど来御説明申し上げておりますように、金利の自由化に対応する運用の仕組みの変更ということについてはまず何が何でも第一に取り上げなければならないというふうに思っているわけであります。
先ほどからお話がございます、金融の自由化の進め方という観点から一点意見を申し上げたいと思いますのは、小口の預金、貯金につきましては大口が済んでからということのようでありますけれ
ども、我が国の場合の小口預金というものは若干外国に比べても特殊性を持っているであろう。外国は確かに大口から小口へということでございますが、我が国の場合、
先ほどもお話ございましたように、非課説預貯金というものを三百万、これを一応小口としてとらえてみましても、個人の預貯金あるいは貯蓄というものの中に占める割合というのが六割ございます。小口といいましてもこれが六割であります。アメリカの場合、小口、大口論の境目は一応十万ドル、二千三百万というところに引いておるようでありますけれ
ども、これは大体二五%程度ということでございますので、日本の場合、小口小口といいますけれ
ども、小口が集まったところの大口でございます。また、民間金融
機関の当然その預金の保有高の中に占める割合を見ましても、大銀行においてもかなりのウェートを占めておりますけれ
ども、中小金融
機関なんかを見ますと、いわゆる小口といわれるようなものが七割、八割というものを占めておるわけでありまして、小口預金はまさに我が国の金融における絶対多数の座を占めておるということでございまして、この絶対多数を占めておるものを後回しに放置しておいて金利の自由化というものが果たしてうまく進められるのだろうかという点を危惧するわけであります。
先ほど来申し上げておりますように、金利の自由化が個人へもたらす利益というものを
考えますと、これはいたずらに後回しにしておけないのではないか。
それからいま一点、自由化というのは何も恩恵的に自由を与えてやるということではなくして、規制があることによってなお一層の金融秩序の混乱が生ずる、だからやむを得ずでなく必然的にその規制を取っ払っていかなければならないということだろうと思うわけでありまして、小口は今六割あると申しましたけれ
ども、それを規制金利の枠の中に閉じ込めておけるという前提で物事を
考えておればこれは間違いであると思うわけであります。現に、高利回り商品の方にシフトいたしております。これから、さらにそういう高利回り商品というのが開発されるでございましょうし、そちらの方に資金は流れていくであろうと思うわけであります。水は高いところから低い方へ流れる、逆に金の流れは金利の低い方から高い方に流れるわけでありまして、おまえは小口だから低いところにとどまるべきであるという議論は通用しないわけでありまして、小口がシフトしていってしまった後の金融
機関というものを
考えた場合に、資金のない金融
機関というものは商売ができないわけでありますから、取りつけ騒ぎも起こりかねない。むしろ、そのためにも自由化というものは進めなければならないというのが実際の動きであろうというふうに思うわけであります。
したがいまして、大口と小口というものの自由化に我が国においてはタイムラグということを置くべきではなかろうというのが私
どもの
考え方であります。少なくとも
検討するぐらいのことは、大口が済んでからでなくして、やはり今日時点においても
検討を進めるべきであろうというふうに思いますし、私
どももそういった点についてのいろいろ理解を深めていただくためにも
関係の向きともいろいろ今後とも対応について話をしてまいりたい、こういうふうに
考えているところでございます。