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1984-04-19 第101回国会 参議院 内閣委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月十九日(木曜日)    午前十時一分開会     —————————————    委員異動  四月十七日     辞任         補欠選任      赤桐  操君     穐山  篤君  四月十九日     辞任         補欠選任      林  ゆう君     曽根田郁夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         高平 公友君     理 事                 亀長 友義君                 坂野 重信君                 小野  明君                 太田 淳夫君     委 員                 板垣  正君                 岡田  広君                 源田  実君                 沢田 一精君                 曽根田郁夫君                 桧垣徳太郎君                 堀江 正夫君                 穐山  篤君                 野田  哲君                 矢田部 理君                 峯山 昭範君                 内藤  功君                 柄谷 道一君                 前島英三郎君    国務大臣        大 蔵 大 臣  竹下  登君        運 輸 大 臣  細田 吉藏君    政府委員        人事院事務総局        給与局長     斧 誠之助君        総理府人事局次        長        吉田 忠明君        大蔵省主計局次        長        的場 順三君        大蔵省主計局次        長        保田  博君        兼内閣審議官        運輸大臣官房長  松井 和治君        運輸大臣官房審        議官       丹羽  晟君    事務局側        常任委員会専門        員        林  利雄君    説明員        人事院事務総局        給与局次長    藤野 典三君        総理府恩給局次        長        小谷 宏三君        外務大臣官房在        外公館課長    数原 孝憲君        厚生省年金局年        金課長      山口 剛彦君        労働省労政局労        働法規課長    廣見 和夫君        日本専売公社管        理調整本部職員        部長       伴内 昭彦君        日本国有鉄道常        務理事      岩崎 雄一君        日本電信電話公        社厚生局長    中原 道朗君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出衆議院送付) ○昭和四十二年度以後における国家公務員等共済  組合等からの年金の額の改定に関する法律等の  一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付  ) ○運輸省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 高平公友

    委員長高平公友君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十七日、赤桐操君が委員辞任され、その補欠として穐山篤君が選任されました。     —————————————
  3. 高平公友

    委員長高平公友君) 国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正する法律案及び昭和四十二年度以後における国家公務員等共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案の両案を便宜一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 穐山篤

    穐山篤君 最初に、国家公務員給与問題、人事院勧告のことについてお伺いします。  総理府並び人事院にお伺いしますが、過日、政労交渉が行われまして、一応文書で三項目にわたります政府答弁がございました。この政府答弁というものの具体的な精神といいますか、内容といいますか、そういうものについて改めてこの機会に再確認をしておきたいと思います。
  5. 吉田忠明

    政府委員吉田忠明君) ただいま先生言及されましたように、先般、四月四日に、官房長官総務長官労働大臣関係労働団体とお会いしまして、先ほど先生が申されたような三項目につきましての回答を申し上げた次第でございます。  その精神は、従来と同様に、労働基本権制約代償措置でございます人事院勧告制度を維持尊重する。この基本姿勢のもとで、五十九年度の人事院勧告の取り扱いにつきましては、人事院勧告が出されました段階で、先ほど申し上げました基本姿勢に立ちまして完全実施に向けて誠意を持って取り組む、こういうことでございます。それから第三点は、関係労働団体とは従来どおり誠意を持って話し合っていく。こういうような三点について申し上げまして、なお具体的には、勧告が出されました段階政府部内のいろんな意見を踏まえまして総合的に判断して決定する、こういうことも申された次第でございます。この精神でございますけれども人事院勧告制度、これをぜひ維持尊重しまして完全実施に向けて最大限努力を続けていきたい、こういう気持ちを込めて回答された、こういう次第でございます。
  6. 穐山篤

    穐山篤君 昨年二・〇三%、一昨年凍結ということになりましたが、昨年は、俸給表を改ざんしたと言えば語弊がありますけれども政府独自の俸給表をつくったわけであります。そこで、人事院勧告制度あるいは仲裁裁定制度を維持尊重するとの基本姿勢を堅持します、この意味は、具体的に俸給表人事院から勧告をされた場合に手直しをしない、そういうものがきちっと内容として整備されていなければこの尊重するとの基本姿勢を堅持しますというのは当たらないと思うのです。したがって、その俸給表手直しをしないということについて、これは人事院というよりも総理府の方から考え方をもう一度明確にしておいてもらいたいと思います。
  7. 吉田忠明

    政府委員吉田忠明君) 俸給表手直ししました五十八年度の措置でございますが、昨年秋の本委員会におきます審議の際に、前総務長官俸給表手直ししましたことにつきましては異例のことであると認識しておる、こういうぐあいに表明をされた次第でございます。総理府としまして は、この前総務長官の発言を踏まえまして、本年五十九年度の扱いにつきましては、先ほど官房長官表明にもございましたように、完全実施に向けて最大限努力をするということで誠心誠意その問題の処理につきましては当たらしていただきたい、このように考えておる次第でございます。
  8. 穐山篤

    穐山篤君 大蔵大臣人事院勧告完全実施とか、それから仲裁裁定処理とか、その種の話になりますと大蔵大臣がかなり重みを持つことになるわけですね。現実問題としてはそういうことだろうと思うんです。昨年の人事院勧告の問題につきまして、先ほど答弁がありましたように、六・四七%の俸給表でなくて二・〇三%の俸給表にいたしたことは全く異例のことである、こういうふうに前総務長官も言われているわけです。当委員会で、そのことは野田委員質問に対して繰り返し答弁があったわけです。もちろん、これは閣内全体の気持ちを代弁している、こういうふうに考えるわけですが、この四月四日の政労交渉政府統一見解として出されました三つの事項につきましては、当然財政を預かります大蔵大臣としてもその点はきちっと確認をされてこれが政府答弁になったものと私は理解をしますけれども、その点はいかがでしょうか。
  9. 竹下登

    国務大臣竹下登君) このいわゆる一、二、三項目につきましては、当然私どもの方もこの事実は十分承知をしておることであります。
  10. 穐山篤

    穐山篤君 くどいようですけれども、去年も制約を受け、おととしは全くの凍結異例なことが二年間続いているわけです。この政労交渉の第一項目政府統一回答というのは、異例事態は去年までで終わりで、これからは正常な姿に戻していく、そういう思想が込められていると私ども理解をしますけれども、その点、大蔵大臣としてはどういう考え方でありましょうか。今後は異例事態はない、そういう思想がこの答弁の中には含まれている、あるいは流れている、こういうふうに考えますが、どうでしょうか。
  11. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは、まず維持尊重するとの基本姿勢を維持する、そして二番目に完全実施に向けて誠意を持って取り組む、三番目に従来どおり誠意を持って話し合いをする、これが基本的な考え方でありまして、そのとき申し上げられたことを正確に申し上げますと、具体的には、出された段階政府部内のいろいろな意見を踏まえ総合的に判断して決定することになろう、このように申し上げたという、この全体についてまさに書いてあるとおりに認識しております。
  12. 穐山篤

    穐山篤君 昨年の政労交渉あるいは一昨年の政労交渉でもそうでありましたが、政府としては労働基本権代償措置としての人事院勧告仲裁裁定というものであるので十分尊重して最大限努力を約束したわけです。そして、最大限努力を約束し、誠意を持って当たると言いながら、結果として六・四七%が二・〇三%に化けてしまったわけですね。だから、組合といたしましても、我我といたしましても、念には念を押しておかないと、結局異例事態が毎年度続くということになってしまったのではまずい、こういうふうに考えるわけです。  釈迦に説法でありますけれども、去年は全く異例事態である、この政労交渉でも官房長官が代表して繰り返し異例でありました、済まぬと思っている、こういう答弁があったわけです。そういう答弁をよく吟味してみると、ことしはどういう数字が出るかはよくわかりませんけれども完全実施に向かって最大限努力をする、異例方法はとりたくない、そういう思想が込められていなければこの回答にはならなかったはずだと思うんですが、もう一度、大蔵大臣いかがでしょうか。
  13. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは最大限努力をするということはまさに当然のことであろうと、私も理解をいたしておるところでございます。穐山先生の御意見を交えた御質問でございますが、要は勧告実施に向けて最大限努力をするという言葉に尽きるのじゃないかというふうに考えております。
  14. 穐山篤

    穐山篤君 これだけ念を押しているわけですから、よもやということはないと思いますけれども、また改めて申し上げる機会があるだろうと思うんです。  さてそこで、人事院にお伺いしますが、目下、春闘中であります。もちろん、大手の組合は逐次妥結の方向で収束しておりますが、まだまだ未解決組合もたくさんあります。したがって、これからの作業になると思いますが、これからの人事院調査をしていく態度民間賃金調査をする態度、あるいは従来とってきました規模内容というものがあるわけですが、ことしはどういう観点で調査を開始されるのか、その点ひとつお伺いをしておきたいと思います。
  15. 藤野典三

    説明員藤野典三君) 人事院勧告官民比較の指標につきましては、長年の経緯を経まして、四月時点におきます官民給与比較する方法をとっておるものでございまして、本年の場合におきましても、そういう意味で精密に調査をいたしまして比較するということで作業を進めておるところでございます。それを具体的に申し上げますと、本年も例年と同様に連休明けから具体的な民間調査に入る予定でございます。
  16. 穐山篤

    穐山篤君 これは人事院で発行されておりますものでありますが、昨年の調査態度あるいは調査の対象、そういうものについてはこの資料で足りるわけですけれども、ことし、なおそれに従来の方針に加えて新しい問題提起といいますか、ことしはこういう分野にも手を広げてみよう、こういうようなものはないんでしょうか。
  17. 藤野典三

    説明員藤野典三君) この官民給与比較につきましては、現在のような人事院勧告凍結なり抑制という事態が続いておるために官民較差がいわゆる残存しておる状態でございますから、従来からの調査連続性ということがございますので、そういう意味におきましては特にそういう点が重要であろうと思いますので、余り変更を加えないということで本年は実施したいと考えております。
  18. 穐山篤

    穐山篤君 最近、民間賃金傾向につきまして従来と違った傾向が若干ずつ出ている問題もありますね、給与のみならず労働条件全体という意味で申し上げているわけですけれども。一例ですけれども週休二日制というふうな労働時間の問題につきましての変化というものが出ている。それから中小民間企業におきましては、退職金の引き上げ、労働災害の補償というふうな問題について新しい傾向が出ていますが、大企業については退職金は頭打ちという状況にもなっている。最近の経済状況労使関係から見まして若干ずつその変化があるわけですね。したがって、そういう点について、人事院としてことしの夏の勧告に向けて、変わりつつある労働条件労働環境というものについての調査を行う予定があるのかないのか、その点を伺っておきたいと思います。
  19. 藤野典三

    説明員藤野典三君) 先ほど御説明申し上げましたように、現在のような状況でございますので、基本的には従来どおり調査をすることが最も適当であろうと考えておりますが、先生指摘のように、週休二日制の問題につきましては、これも実は民間企業調査の際に調査をしておりまして、本年もそういう意味においては継続して調査をする考えでございます。
  20. 穐山篤

    穐山篤君 もう一つ人事院に伺いますが、五十六年度の人事院勧告、これは基本給の部分につきましては実施がされたわけですが、その他の期末などのところで若干の制限がございました。五十七年度は全くの賃金凍結ですね。昨年は二・〇三%。地方公務員あるいはいろんなところで影響を受けたわけですが、さて公務員、行(一)でも行(二)でも結構ですけれども、五十六年に受けた損失額、五十七年に受けました損失額、五十八年度に受けた損失額、そういうものがあると思うんですが、代表的なもので結構ですから、年度別にひとつ明らかにしてもらいたい。
  21. 藤野典三

    説明員藤野典三君) 実は、この凍結抑制によりまして不利をこうむっている額につきましては、いろいろ役職段階及び地域段階によって異な っておりますが、先生から今お話がありましたような点でまとめて申し上げますと、行政職俸給表適用職員平均で見ますと、五十六年が約七万円でございまして、五十七年、五十八年はいずれも約十八万程度でございまして、三年間で約四十三万円相当の額になっております。  なお、今申し上げましたように、役職並びに地域によって違っておりますので、例えば東京のような例で申し上げますと、係員クラスでございますと約三十一万円程度課長クラスになりますと約百二十四万円程度という額になろうかと思っております。
  22. 穐山篤

    穐山篤君 大蔵大臣も今数字は記録されていたようでありますので、公務員が受けました損害額というものがおわかりになったと思うんですね。  さてそこで、人事院大蔵大臣に所見を伺いたいんですが、こういうふうに損失額が大きいのが明らかになりまして、民間労働者に比べて大変な生活苦を余儀なくされるわけですね。そのことが国家公務員労働の問題、働く環境の問題にまで影響しているわけですね。その昔、勝手にしやがれという言葉がはやったときがありますけれども、どこまでおれたちを痛めつけるのかという感じはどこの職場に行きましてもみんなたくさん持っているわけです。きょうおいで皆さん方も、あるいはその後ろに座っている方々も、こんなに仕事を一生懸命にやって、こんなに抑えつけられたのじゃたまったものじゃないという意味で、勤労意欲にまで非常に影響していると私は率直に指摘をせざるを得ないと思うんですが、そういう点について人事院はどう考え、大蔵大臣はどういう感想をお持ちですか。
  23. 藤野典三

    説明員藤野典三君) この点につきましては、先生の御指摘にございましたように、公務員家庭生活にも相当なしわ寄せがあったのではないかということは十分推察できるところでございまして、そういう意味におきまして、職員生活士気等にも及ぼす影響がございますので、この点は十分考慮していただかなきゃならないと私どもとしては考えております。
  24. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 生活設計というものがそれぞれあろうかと思いますので、それに対しての影響というものが生活設計の中で出てきた面は大いにあり得るではないかというふうに考えております。  私も、一昨年になりますが就任して、すでに前内閣で一応の方針が決まっておったわけでございますけれども、その後予算編成をいたします際に、本当にこの人事院勧告、それこそ見送りのときでございますから、見送り段階で、一生懸命作業してやっと予算編成が終わって家へ帰って、やれやれ予算編成がやっと終わった、公務員給与もきちんと見送りということで合意に達したといって報告をしたら、奥さんが家計簿を見てください、こういって出したという話が当時ございましが、そうした認識は持っておるつもりであります。
  25. 穐山篤

    穐山篤君 大蔵大臣は、財政を握っているわけですから、そう気持ちよく何でもオーケーすることはできない立場はよくわかりますけれども、しかしこれだけ損害額が多いというのは予想外のことではないでしょうか。先ほども具体的に数字が言われました。標準的なところで七万円、十八万円、十八万円、しかし中堅のところ、あるいはそれぞれの省庁で重要なポストにおる方々損失額というのは百万円を超えるわけですよ。こういうことは全く異例中の異例であるし、今後そういうことはあってはならぬ、私は強くそこのところを指摘しておきたいと思います。  なお、公務員賃金年金とのかかわり合いは、後でもう一度申し上げたいと思うんです。  さて次に、労働省おいでになっていると思いますが、ことしの春闘状況賃金闘争についてどういうふうに観察をされておりますか。その点からお願いしましょう。
  26. 廣見和夫

    説明員廣見和夫君) ただいまにおける春季賃上げ交渉妥結あるいは回答状況でございますが、私ども注目いたしておるところでございますが、労働省といたしましては、例年主要企業調査を取りまとめておりますが、これは大体六月中旬ごろ取りまとめ、発表することにいたしております。私どもといたしましては、現在のところ、各関係団体等で発表されます状況、いろんな調査等につきまして注目して見ておるというところでございます。
  27. 穐山篤

    穐山篤君 春闘共闘委員会の公表したものを今私は手元に持っているわけですが、約千ぐらいの組合回答がありまして、そのうち二百四十の組合妥結をして、単純な平均でありますが、一万一千百四十六円、五・二%程度、こういうものが発表をされております。したがって、いわゆる春闘状況全体としては今後にまつということになると思います。  そこで、ことしの春闘妥結額なり、あるいは回答状況から見て、特別な特色は何か感じておりますか。
  28. 廣見和夫

    説明員廣見和夫君) 春闘共闘会議の発表されました数字等につきましてはただいま先生指摘のとおりでございまして、私どもも、春闘共闘会議状況あるいは同盟の方でも発表されております数字、例えば回答されたものあるいは妥結したものを含めまして、加重平均によりますと、現在のところ八千七百六十七円、四・四五%というような数字、あるいは日経連の方で発表されました、やはり同じように回答妥結を含めました数字で見ますと、九千百六十円、四・三八%というような数字を承知いたしております。  それで、先ほども申し上げましたとおり、私ども取りまとめは通例六月半ばごろやっておりますので、それに現在いろいろな形で妥結しているところももちろん出てきておるわけでございますが、中小その他はこれからというところもございまして、まだ現在のところでこれといったはっきりとした確定的な状況ということで申し上げるにはちょっと早いかなという感じをいたしております。
  29. 穐山篤

    穐山篤君 これは大蔵大臣にお伺いした方がいいんでしょうか。  三公社四現業公企体職員賃金問題というのは、建前で言いますと労使交渉ということになっているわけですが、現実問題としては、政府が何らかの理解を示すということによって具体的に賃金交渉が始まるといいますか促進をされる、こういう状況に従前もあったわけです。今回もそのことは否定できないと思うんですが、本日の閣議ではその点どういうことに決まったんでしょうか。その点、ひとつお伺いしておきたいと思うんです。
  30. 竹下登

    国務大臣竹下登君) きょうはたまたま閣議の日ではございませんが、いわゆる給与関係閣僚会議は、端的に申し上げますと、専売と造幣と印刷ということになりますと私が所管大臣という意味において、その会議が招集される長年の勘でタイミングではないかと思っております。私も、穐山さんの御質疑でございますから、そういう話も出るだろうと思って、官房長官最初記者会見が恐らく十一時だと思いますので、そのころには何か言ってくるのじゃないかと思って、ここへ座って待っておるところでございます。
  31. 穐山篤

    穐山篤君 それじゃ、その点、十一時までちょっと保留をしておきましょう。  労働省に、伺いますが、実はかつて私も国鉄労働組合賃金対策部長を長年やっておりまして、調停仲裁責任者であったわけです。その当時も、民間準拠、有力な参考資料というのでそれが使われていたわけですが、その場合に、例えば電力であるとか、造船、電機、私鉄というふうな代表的なところがある程度リード役を果たして、それに倣ってというよりも、ある程度重要な参考にしながら賃金を出したという経緯があるわけですが、最近は公労委の中で、もちろん物価の状況、経営の内容というものも大きな因子でありましょうが、民間賃金準拠というのが最大のウエートのような感じになってきました。  そこで、労働省理解として、民間準拠という場合にどういうものを内容として、指導を別にし ているわけじゃないと思いますが、公労委作業を進めたり、中労委が作業を進めている民間準拠というものはどんなものであるのか、どういう理解であるのかという点を少しただしておきたいと思います。
  32. 廣見和夫

    説明員廣見和夫君) これにつきましては、ただいま先生の御指摘もございましたとおり、公共企業体等労働委員会が主としていろいろと状況調査し、総合的に勘案し、いろいろな形で調停仲裁をなされるわけでございます。しかし、私ども理解しておりますところでは、一つ賃金水準そのもの比較という問題があろうかと思います。  すなわち、公共企業体等職員の方の賃金水準そのもの民間労働省方々水準そのもの比較でございます。これにつきましては、原則といたしまして百人以上の規模企業調査を土台といたしまして比較をするということをやっております。ただ、その比較に当たりましては、やはり従来からもいろいろ御意見等もございまして、例えばその規模についてもう少し大きなものをとった方がいいのじゃないかというような御意見等もございますし、また勤続年数等について加味すべきではないかというような御指摘等もございます。これらにつきましては、例えば公共企業体等労働問題懇談会というような場におきましてもいろいろ検討したりしているというような状況でございます。
  33. 穐山篤

    穐山篤君 大蔵大臣、三公社四現の問題については、まだ特別な御連絡はないんですか。
  34. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 事によったら十時半の記者会見かと思って今問い合わせしてみましたら、やっぱり十一時だと言いますから、私もここで心待ちしておるところであります。
  35. 穐山篤

    穐山篤君 そこのところはちょっと保留をさせていただいて、次に、国家公務員等共済組合の将来に重大なかかわり合いが出てきます新年金の問題をまず第一に取り上げておきたいと思います。  先日、衆議院の方に提示をされたと思うわけですが、この厚生年金、国民年金、船員保険の統合というものが当面の問題でありますが、これから原則的には十年かかって公的年金の統一をする、そういう閣議考え方に基づいて新年金というものが提示をされたわけですが、きょうはこれが本命ではありませんけれども、これからの共済組合の問題に重要なかかわり合いがありますので、この新年金の基本的な構想というものをまず第一に説明いただきたいと思います。
  36. 山口剛彦

    説明員(山口剛彦君) ただいま御指摘がございましたように、私ども現在の年金制度の大改革を目指します法案を今国会に提出させていただいております。その基本的なねらいとするところは、御承知のとおり、我が国の年金制度は、国民皆年金体制のもとで大勢としてはほぼ順調に発展をしてきているというふうに考えておるわけでございますけれども、これからの高齢化社会、また高度成長を経た我が国の経済社会の変化というものを考慮いたしますと、今の制度をこのままの状態にして高齢化社会に突入をするということについては問題があるという認識をいたしております。  したがいまして、そういう高齢化あるいはこれからの経済社会の変化に即応できるような年金制度にしなければならないということで、まず第一のねらいは、今の縦割りになっております年金制度の体系を、基礎年金という考え方を導入いたしまして再編成をして、より公平で長期的に安定した年金制度の確立を目指したいということと、もう一点は、年金は結局世代と世代の助け合いの制度でございますから、将来にわたって給付と負担のバランスがとれたものでなければならない、そういう意味で給付と負担の長期的なバランスをとるための対策というものに今着手をすることによって、高齢化社会になりましたときの年金制度にうまく軟着陸をするような体系をつくりたいということでございます。あわせて、そういう整理をする中で、従来の懸案でありました婦人の年金保障の問題、障害者の所得保障の問題についても充実を図りたいということを考えております。
  37. 穐山篤

    穐山篤君 私は、NHKのテレビで三、四回放映をされて、よく説明をされていたのも見ました。それから最近厚生省がいろいろな分野でPRをしております資料につきましても見ているつもりであります。これだけ冊子が出ているわけですから異常な熱意でPR活動をやっている、こういうふうにその点は理解をいたします。  さてそこで、この三つの統合を行う、これは基礎年金を土台にしてはしご段にする、段階にする、それから婦人の年金権を認める、こういうふうになっているわけですが、結局その基礎が固まるということはほかの公的年金制度もこれに倣っていく、年度はそれぞれあるでしょうけれども、倣っていくという意味ではこの新年金というのが基本になるものだというふうに思うわけです。私、最後までテレビを見ていたわけではありませんが、その中で御婦人の方もかなり注文をつけておられましたね。額の問題であるとか、経過措置の問題であるとか、幾つかのことが問題提起されておったんですが、皆さん方が国会に提案をする前に、そういう問題について、部分的ですが、国民の意見、要求というものをどういうふうにこの新年金の中に生かしていかれるのか、あるいはそういう配慮をしたけれどもなかなか入らなかったといういうふうな問題点が幾つかあると思うんですが、その点いかがでしょう。
  38. 山口剛彦

    説明員(山口剛彦君) 私ども、今回の制度改革をするに当たりまして、本格的な準備というのは二年半ほど前から始めておりますが、その間に関係の審議会で大変精力的な審議をしていただいて、改革に向けて御意見をいただきました。また、私ども年金制度についての有識者調査ということで、各層の国民の皆様から年金制度に対する注文あるいは意識というようなものを調査させていただくということもいたしました。また、そのほかにも、臨調を初めといたしまして、各界から年金制度の改革の方向についていろんな角度から御意見をいただいております。そういうものを私どもといたしましては総合的に検討いたしまして、もう一度審議会に戻して御意見もいただいたわけですけれども、ほぼ基本的には今回の年金制度の改革の基本方針というものは一応理解ができる、また審議会によっては早くこういう改革に着手をしなければならないというような御意見もいただいております。  そういう意味で、私どもはできるだけ各層の御意見を反映し、コンセンサスが得られたところで今回の年金改革案を取りまとめたというふうに考えておりますが、御指摘をいただきましたように、基本方向としてはともかく、細部にわたってはいろいろ確かに御注文、御意見等がございます。私ども、現在の案はそういう御意見もいただき、十分考慮した上で提案をいたしておるつもりでございますけれども、まだこれからの国会での御議論の中で御指摘をいただきますことにつきましては私ども考え方も申し上げさしていただきたいと思いますけれども、また十分に御議論をいただいて、私ども気持ちといたしましては、ぜひ今国会で成立をさしていただきたいというふうに願っております。
  39. 穐山篤

    穐山篤君 年金担当大臣というのは厚生大臣が指名をされたわけですから、建前としては一本なんですけれども、国会の機能としてはまだばらばらです。当委員会国家公務員をやり共済組合審議を行い、地行委員会地方公務員、社労ではこの新年金と、総合的な機能調整というものが欠けているわけで、これは非常に残念なことだと思うんです。しかし、今のところ、国会のありようとしてはそうなっているものでやむを得ない。  さてそこで、この年金の一元化という大きい柱があります。それに基づいて今それぞれ作業が進んでいるというのも十分確認はできるわけですが、従来、年金の議論として絶えなかった問題は、官民格差ということが指摘をされました。私の記憶によりますと、いろいろなところで議論がありましたけれども昭和五十二年の国会で、やや統計的といいますか、構造的に官民格差の問題が提唱されまして、それ以来やや計画的といいま すか、官民格差の問題について公にまた深く入ったと思うんです。たくさん官民格差の指摘があったわけですが、今まで指摘をされたものを新年金の制定に、あるいはこれから二段階はしご段の上に乗せるその他の公的年金の問題についてどういうふうに消化をされるのか、あるいは消化をしていくのかという点はいかがでしょう。
  40. 山口剛彦

    説明員(山口剛彦君) 今回御提案をしております年金制度の改革は、厚生省が所管をしております国民年金、厚生年金、船員保険の三制度についての改革案でございます。しかし、この法律案閣議決定いたしましたときに、今後の公的年金制度の改革の方向について政府としてのスケジュールを決めております。  御承知のことと思いますけれども、五十九年に今申し上げました私ども所管の制度について基礎年金を導入するということで、二階建ての年金制度体系に再編成をするという方向で改革をいたしまして、来年六十年に共済年金についてもこの基礎年金の導入を図る等の改革の趣旨に沿った制度改正を行う。そして、今回の改革は大変大規模な改革でございますので、二年後の施行を予定いたしておりますが、六十一年四月に新制度実施に移されるときには共済年金についても同時に実施するということを政府方針として決めております。  したがいまして、今回の制度改革の趣旨に沿った共済年金制度改革がどういうことになるか、これから御検討いただき、また私どもも協議をさせていただきたいというふうに考えておるわけですが、基本的には今回基礎年金を導入するという考え方をとっておりますので、私どもの希望といたしましては、ぜひ共済年金についてもこの基礎年金構想に乗っていただいて、従来指摘されております格差の問題につきましても御検討いただき、整合性のある年金制度にしていただけるものと期待をいたしております。
  41. 穐山篤

    穐山篤君 今厚生省からも話があったんですが、大蔵省としては、国家公務員等共済組合について、二月二十四日の閣議決定によりますと、「昭和六十年においては、共済年金について、上記の基礎年金の導入を図る等の改革の趣旨に沿った制度改正を行う。」、当然準備を始めたものと思いますが、その点どういう場所でどういう問題を議論して、それから当然それぞれの、今は共済組合審議会があるわけですが、それとのかかわり合いはどうしていくのか、その点を少し明らかにしてもらいたい。
  42. 保田博

    政府委員(保田博君) 国家公務員等の共済年金制度の大改正の作業に取りかかっておるわけでございますが、基本的な方向につきましては先ほど厚生省当局から御説明をしたとおりでございます。  とにかく大改正でございますので、我々行政当局だけで案をつくって国会に御提出するというわけにもまいりません。そこで、先月、学識経験者と、関係の政府機関の代表者によりまする改革のための構想を練るための検討委員会を発足させまして、目下問題点、それに対する考え方をどうまとめていくかといったようなことの洗い出しから作業を開始いたしておるわけであります。  問題点、検討を要すべき点は非常に多岐にわたるわけでございますので、現在我々が考えておりますのは、週一回程度このワーキンググループの検討会を精力的に行いまして、できることならば九月か十月くらいにはこの検討会を終えて、問題点に対する基本的な考え方を取りまとめたい。それらを念頭に置きまして、改革のための大まかな骨格づくりをいたし、国家公務員共済組合審議会等にお諮りをいたしました上で、来年の通常国会には改革案の国会審議をお願いしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  43. 穐山篤

    穐山篤君 国家公務員と三公社年金改革につきましては、財政調整を行う、それから給付の水準体系というものは国家公務員に準ずる、この二つを柱としたものが昨年決まったわけでありまして、これはいろんな見方がありますけれども、やっぱり一つの視点としては国鉄共済組合の運営について財政的な分野で援助、配慮をする、これが中心になってでき上がったものですね。それが来年また新しいものに、言いかえてみますと基礎年金という構想の上に乗っていくということになりますと、昨年統合いたしました諸問題も当然問題点として指摘をしなきゃならぬし、またその問題についての克服をどう図るかが重要な課題だ、こういうふうに思いますが、その点はどうなんでしょうか。
  44. 保田博

    政府委員(保田博君) 本年の四月から施行されております国家公務員共済組合並びに公企体共済組合の統合法案では、御指摘のとおり、国鉄の共済組合に対する財政援助と同時に、給付と負担の両面におきましてこの二つの共済組合にアンバランスがある、かつ長期的に見まして、公企体につきましては、負担に対して給付が高過ぎるという面について調整を行うということが二つの目的であったわけでございます。  国鉄共済組合に対しまする財政調整事業といいますか、援助の具体的な方策につきましては、本年四月一日から財政調整事業の運営委員会を発足させていただいておりますので、その委員会におきましてその具体策を検討されるということになっておるわけであります。基本的には、統合法によりまして六十年度から五年間にわたる調整計画をつくっていただいて、国鉄の共済組合の長期給付が円滑に行われるような案を策定さしていただくわけでありますが、同時に、時間的にはこれと並行いたしますが、共済年金につきましては先ほど来御答弁いたしておりますような基本的な大改革を行うわけでございまして、その際に、国鉄の共済組合に対する財政援助のあり方等についても当然検討の対象になるというか、課題になるわけでございまして、それらの検討を踏まえながら国鉄に対する援助のあり方を検討する。  いずれにしましても、六十年度から始まることが予定されております第一回の五カ年計画が完了いたしました後、引き続きこの国共済と電電、専売の両組合からの財政援助だけで国鉄の共済組合年金給付を円滑に行わせることが財政的にできるかどうかということは、大変疑問といいますか、大変難しい問題だと思います。そういう意味でも、今年行われまする六十年度の共済法の改正を目指した改革案の検討の過程で検討をさせていただくということになります。
  45. 穐山篤

    穐山篤君 その点は、今度かかっております共済年金法律のところでもまた改めて問題の指摘をしておきたいと思うんですが、高齢化社会の将来展望、それから財政的な問題、老後の生活保障、いろいろな要素が含まれて新年金の提案がされているわけです。少し気になりますのは、例の官民格差という問題であります。私は、機械的に単純比較をするというのはこれは間違いだと思うんです。それぞれの年金あるいは保険につきましては歴史的な過程があるわけですね。それを無視して単純に官民格差の解消をというのは当を得ていないと思いますが、しかし新年金の議論をしたり、あるいは国家公務員その他の共済組合が二段階制になるときにも依然として議論をしなければならぬ問題はこの官民格差、そのことは一生私はつきまとうと思うんです。  そこで、今まで公式に国会の中で指摘をされてきました官民格差の問題について、厚生省と大蔵省それぞれからひとつ、機械的に比較をするのはむちゃだと私もそう言っているわけですから、いずれそういう角度からの答弁になろうと思うんですが、考え方を示してもらいたい。官民格差でよく言われます問題は、共済組合年金というのは大変支給額が高い、こういうことが厚生年金あるいは国民年金の加入者あるいは受給者から単純比較で出るわけです。この点について、例えば平均額にしろあるいは最高限度額にいたしましても単純比較で出されて、それが世間に誤解を与えていることになるわけですが、この年金の支給額の問題についてどういうふうに感想をお持ちですか。まず大蔵省、それから厚生省、逐次お願いします。
  46. 保田博

    政府委員(保田博君) 年金の官民格差と言われ るものについて、一義的にその給付のどの部分が官民格差であるかということは決められない、なかなか難しい問題だとおっしゃる先生の御指摘は、まことに私、当然のことだと思います。その一つの例として、年金の給付の額がしばしば問題になるわけであります。共済の方が厚生年金の額よりも五割以上高いということは御指摘のとおりでございます。数字で申し上げますと、既裁定の年金の厚生年金平均が十万七千円程度である、それから国共済の一般の組合が約十五万円であるということで、五割程度高いという数字がございます。数字はそういうふうに現実に共済年金の方が高いわけではございますが、これも単純に現実の給付額が共済の方が高いからというだけではいけないわけでありまして、実は年金額を決定する一つの重要な要素としての組合員期間というものがございまして、これが現実に申しますと、厚生年金の場合は現在既裁定の平均が約二十四年でございます。それに対しまして国共済の場合は約三十三年ということで、四割程度組合員期間が長いといったようなことがございます。それらを考えますと、要するに掛金を掛けている期間が四割も長いということであれば、現実に受け取る年金について五割高いというのも当然といえば当然であるかもしれない、そういうふうに思います。  同時にまた、厚生年金はいわば社会保障の側面が非常に強いわけですが、国家公務員等の共済組合の場合にはそういう側面と同時に、一つ公務員制度の一環という面もあるわけでございまして、それらを考えますと、一義的に現実の年金額を比較して官民格差があると決めつけるのはいささかどうかというふうには私たちは考えておるわけです。いずれにしましても、この点につきましても、今後一年間をかけての共済年金改革の具体案づくりの際に、各方面の御意見を聞きながら勉強させていただきたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  47. 山口剛彦

    説明員(山口剛彦君) 年金の水準についての官民の比較は、今御答弁があったとおりだろうと考えております。平均の加入期間を合わせてモデル的に比較をいたしますと、やや共済の方が高いという程度で、ほぼ同じような水準になってきているということが私どもも言えようかと思います。ただ、年金額の計算の仕方等につきましても差がございますので、そういう差について一般の方々から差があるのはおかしいという御指摘があって、そういうものがほかのものも含めまして年金制度に対する一種の不信感につながっているというような事実もこれは否定し得ないことでございますので、これからの御検討の中で、私どもといたしましては、だれが見ても不合理だと思われるような格差についてはこれは解消をしていかなければならないというふうに基本的には考えております。
  48. 穐山篤

    穐山篤君 両方から指摘があったわけですが、それでもなおかつ、給付水準についての異論というのが民間の立場からは今後も出される。  そこで厚生省、基礎年金がある、その上に二段階のものが出る。その二段階のところは、国民年金は別にいたしますと、厚生年金とそれから船員保険法適用者につきましてはその上で調整をすることになるわけですね。その場合に、この給付水準をある程度考えなきゃならぬ。その考え方というのは、提案をしております厚生省の立場でありましょうが、当然これは老後の生活保障というものがあるわけですから、その年金の水準について大体夫婦二人で十万円、その上にどのくらい乗せれば典型的な老後の保障ということになるのかどうか、考え方だけで結構ですからお伺いしておきます。
  49. 山口剛彦

    説明員(山口剛彦君) ただいま御指摘がありましたように、二階の部分については、厚生省所管の厚生年金と船員保険についてはこの際統合をするということを考えております。今までの厚生年金と船員保険の年金額の計算上最も違っておりますのが、船員の場合につきましては期間計算をいたしますときに三分の四倍をする、船員の労務の特殊性等も考慮いたしましてそういう特例がございますが、これは将来に向けて廃止をするということで、基本的に厚生年金と合わせるという方向を今回考えております。  その場合の年金の水準でございますが、厚生年金の場合、現役の方の標準報酬との比率で年金の水準がどれくらいが適当かということでいろいろ御意見がございまして、大体現役の方の六割程度の水準を夫婦の老齢年金として出していくということが一つの目安ではないかということで従来ともやってきたわけでございますけれども、現実には年金の水準が六割を上回っておりまして、七割弱のところに平均的なサラリーマンの年金の水準が既に達しております。将来、このまま放置をしておきますと八割を超えてしまうというようなことで、これは負担という面も考えてみますと老若のバランスがとれないだろうということで、今回の改正で大体現在の平均的な水準七割弱のところで今後とも横ばいに推移をするというような形で、給付設計を軌道修正して給付と負担のバランスをとっていきたいというふうに考えております。したがいまして、御質問に直接お答えをいたしますと、私どもの一応の目安としましては、現役の方の平均標準報酬の七割弱のところを基礎年金プラス二階の報酬比例の年金を合わせた水準として保障をしていきたいというのが基本的な考え方でございます。
  50. 穐山篤

    穐山篤君 その次に、従来指摘をされておりましたのは支給開始年齢ですね。国家公務員等につきましては、法律の改正がありまして、従来原則五十五歳が今度原則六十歳になりましたが、この支給開始年齢の問題につきましては、新年金との比較においてどういうふうに理解をしたらよろしいんでしょうか。民間労働者意見を聞いてみますと、経過措置十五年というのは長過ぎる、二階建てにするときに全部合わしてしまえというふうな極端の意見もあるわけですが、その点はどういうふうに考えていますか。
  51. 保田博

    政府委員(保田博君) 支給開始年齢、厚生年金は男子の場合ですと六十歳でございます。共済につきましては五十五歳でありましたが、現在この六十歳支給に改めることになっておりまして、現在はその経過措置の進行中であります。それは先生指摘のとおりでございます。  ただ、その経過措置期間が非常に長いではないかという御指摘でございますが、いずれにしましても、退職をしまして老後の生活について不安を持つというようなことはやはりできるだけ避けていきたいというのは当然のことでございます。したがって、経過措置をとっておるわけですが、これは十五年、最も長い人で二十年でございますけれども、これは厚生年金について、たしか昭和三十年代でございましたか、二十年代でございましたか、五十五歳からやはり六十歳に引き上げましたときにも同じ実は年限を要しておるわけでございまして、そういう意味ではバランスがとれているといえばそう言えないわけでも実はないわけでございます。  ただ、この支給開始年齢につきましては、今回厚生省の方から提案をしておりまする厚生年金あるいは国民年金の一元化のための法案では六十歳で据え置きということになっておりますが、これは将来年金負担が高くなり過ぎないかといったような観点から再検討をされるという時期もあるいはあるのではないかと考えておりまして、そういう際には我々の方も同じような検討をしなければならないのではないかと考えております。
  52. 穐山篤

    穐山篤君 その次に、いつも問題になりますのは、計算をする場合の分母の置き方です。厚生年金の場合は、加入期間の賃金の総平均で算定する報酬部分と、金額の高低に関係なく加入年数によって算定される定額部分がある。ところが、共済組合の方は、四月一日以降ですけれども国家公務員に倣い過去一年間の平均賃金、こういうふうに改正をされたわけですが、官民格差を主張するものの人たちは、そこの部分もこれは合理的ではないじゃないか、この議論が現にありますし、新年金の改正に当たりましてもこの議論は絶えないというふうに思うんですけれども、この点につい て両省の考え方をひとつ明らかにしてもらいたい。
  53. 保田博

    政府委員(保田博君) お答えいたします。  確かに基礎給与のとり方が、共済年金の場合は退職前一年間の本俸の平均である、それから厚生年金の場合は全被保険者期間の給与の総平均であるという差がございます。これは年金制度が非常に古い沿革を持っているからということでもございますけれども、同時にまた、公務員等の給与というのは毎年御審議いただいております公務員給与法等によって非常に公平に決められておりまするし、その昇給等につきましても公明正大に行われておるわけでございまして、その様子は国民に広く知られておるところであります。しかし、民間給与というのは実はそういうことではございません。各企業賃金政策等々によりまして非常に差があるといったようなことからこういう扱いの差が実はできておるわけでございます。結局、基礎給与のとり方に差がございましても、総体としての年金額の水準がどうであるか、片一方が非常に高いか低いかといったところで総合的に判断されるべきものであって、基礎給与のとり方が御指摘のように差があるからというそのことだけで官民格差があるということには実はならないのではないかというふうに考えておるわけであります。  いずれにしましても、この点については、六十年度の共済法の改正案を作成いたしますときにこれもみんなで勉強をしていきたいと考えております。
  54. 山口剛彦

    説明員(山口剛彦君) ただいま御説明がありましたように、官民の給与体系に相当の差がございますので、例えば厚生年金について共済年金と合わせるということで、最終一年の給与をとるということができるかということを考えてみますと、民間の場合には年金の受給年齢に近くなってかえって給与が下がるというようなことも現実にこれは事実としてございます。給与体系等まちまちでございますので、今のまま単純に共済年金の方に合わせるということもこれは合理的ではないというふうに考えております。  そういった問題もございますが、ただいま御説明がございましたように、国民の皆さんに納得していただけるような形で年金の計算式が決まっていくようにいろいろまた検討をさしていただきたいと思っております。
  55. 穐山篤

    穐山篤君 その次は、これは負担と給付の見合いの問題なんですが、従前、共済組合でも厚生年金でもそうですが、国庫負担というものを計算に入れながら、厚生年金財政の基盤を十分に考えて掛金率、負担率というのはおのずから決まっているわけですが、さてこの保険料の分野でも官民格差があると従来から言われてきたんです。共済組合の方が厚生年金の負担よりも保険料は少し高いけれども給付金額は一〇〇対一五〇である、こういうことを指摘して、これまた不合理だ、官民格差だ、こういうふうな議論が常に残っているわけです。この点、これから二階建てにするにいたしましても、この保険料負担の基本的なベースというものが理論的にあるはずなんですが、その点はどういうふうにお考えですか。
  56. 保田博

    政府委員(保田博君) 保険料の負担でございますが、現在、国共済の場合は組合員の掛金率は五・一五%でございます。これに対して厚生年金の場合は五・三%となっております。ただし、掛金等の算定基礎となる給与等が、厚生年金の場合は諸手当を含んだ標準報酬である、これに対して共済の場合は本俸のみであるということを考えれば、共済の方が二割程度負担が少ないというふうにも見られるわけでございます。しかしながら、保険料率というのは、それぞれの年金給付の水準でございますとか、財政方式でございますとか、あるいは積立金の多寡、あるいは過去勤務債務の処理といったようなもので非常に異なっておりますので、厚生年金の方が高いというように見えますけれども、国共済の掛金率が制度発足当初は非常に高かったといったようなことを考えますと、一定の時期の保険料率のみで比較するというのもいかがかというふうに考えております。  いずれにしましても、財源の必要とする率は、制度が成熟化いたしますに従いまして高くなるというのは当然のことでございまして、所得水準との比較において負担がたえられないような高い水準に急激に上がっていかないように安定的な財源率を設定するということは共済の場合でも厚生年金の場合でも同様でございまして、同じような立場で長期的に検討しなければならない、比較もまた長期的な視野で比較しなければならない、こういうふうに考えておるわけであります。
  57. 穐山篤

    穐山篤君 それから、もう一つ解明を正しくしておいた方がいいと思うんですけれども、過去勤務債務、追加費用についての議論も依然として残っているわけです。これが十分理解がされていないために混乱が起きているのだろうというふうに思うんですが、新法、新年金移行という段階でありますので、それぞれの共済組合なり保険に加入している人たちの全体の合意を得ながらこれはスタートする必要があるだろう、こういう意味で追加費用、過去勤務債務という問題について考え方を明らかにしていただきたいし、また将来、この問題について何らかの手をつける気持ちがあるかどうか、その点を伺っておきたいと思います。
  58. 保田博

    政府委員(保田博君) 国家公務員共済の例でございますと、いわゆる新法時代は社会保険方式によっておりますので、基本的には公経済負担部分を除きますと労使の折半であるわけでございますが、旧法時代の期間にかかわる部分は当然ながら当時の事業主としての国がこれを負担するということで、恩給と同じような扱いになっておるわけでございます。この過去勤務債務については、共済年金制度の今後の改革の段階で当然検討はいたしますけれども、大きな変更は難かしいのではないか、やはり国が負担する以外ないのではないか、こういうふうに考えております。
  59. 穐山篤

    穐山篤君 先ほど答弁ありましたように、これから新年金に倣って二階建てにするという作業は八月ないし九月ごろまでに一応の成案を得たいということでありますので、それを見てからきめの細かい問題提起をしたいと思っております。  厚生省さん、結構であります。  さて、今回の年金法の改正でありますが、この改正の提案理由を読んでみますと、恩給の改定に倣いと、こうなっているわけです。そこで、どうしても共済組合の改正という問題を議論するためには恩給に触れておかなきゃならぬという意味で、いずれ当委員会に公式にかかるわけですが、今回の恩給法の改正の考え方、骨子、特徴点というものをひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
  60. 小谷宏三

    説明員(小谷宏三君) ただいま恩給法等の一部を改正する法律案を提出させていただいております。これに基づきます恩給の改善措置と申しますと、大きく分けまして三つに分かれると思います。  第一は、経済事情の変動に伴いまして、年金、恩給の実質的価値の維持に資するため、公務員給与の改善率を基礎といたしまして恩給年額を増額することでございます。  第二は、戦没者の御遺族のための恩給である公務扶助料、それから傷病者の方々のための恩給である傷病恩給、これらを改善いたしまして、この方々に対する処遇の一層の充実を図りたいということでございます。  第三は、普通恩給、普通扶助料の最低保障額の改善などでございまして、この思想は経済的に弱い立場にあると一般論として考えられる方々の恩給を改善すること。  この三つが基本的な柱でございます。  なお、改善の実施時期は、公務員給与の改善に伴う基本的な増額措置は三月から、その他の改善措置は八月または十月から実施ということを考えて法律案を提出してございます。
  61. 穐山篤

    穐山篤君 第一の恩給法の改正が公務員賃金に倣った、二・〇三%ということですが、人事院勧告というのは六・四七%ですが、なぜ二%を採用したんですか。
  62. 小谷宏三

    説明員(小谷宏三君) 恩給のべースアップの指標として何を使うのが最も適切であるかという議論はいろいろございますし、過去においてもいろいろな指標を使ったこともございますが、昭和四十八年以来、恩給のベースアップのこの率は、現職公務員給与改善を基礎としてずっと行ってきているところでございまして、恩給という元公務員に対する年金額の調整のあり方といたしましては、現時点ではこの方法が最も妥当であると考えられてまいりました。したがいまして、現在の厳しい財政事情のもとにおきまして、現職公務員給与改善が抑制され、その改善率が人事院勧告の率を下回ってはおりますが、やはり恩給につきましては、人事院勧告を指標としてベースアップを行うことは妥当ではなくて、現職公務員給与のベースアップ率を指標とせざるを得ないというふうに考えております。
  63. 穐山篤

    穐山篤君 恩給法の第二条ノ二によりますと、「年金タル恩給ノ額ニ付テハ国民ノ生活水準、国家公務員給与、物価其ノ値ノ諸事情ニ著シキ変動ガ生ジタル場合ニ於テハ変動後ノ諸事情ヲ総合勘案シ速ニ改定措置ヲ講ズル」、こういうふうに法的に年金額の改定の根拠を述べているわけです。なるほど、国家公務員凍結があり、昨年は二・〇三%ですが、国民全体の生活水準、国家公務員も国民の一人に入るわけですが、国家公務員以外の国民の賃金水準、生活水準というものにはかなり開きがあるというふうに思うわけですね。そういう点についての配慮というのは今回されなかったわけですが、なぜそういうものを総合勘案をしなかったのか。その点、いかがですか。
  64. 小谷宏三

    説明員(小谷宏三君) 恩給法第二条ノ二には、ただいま先生おっしゃいましたとおりの条文が規定されてございまして、ここには公務員給与に倣えとは書いてないで、諸事情を総合勘案しろと規定してございます。そこで、今までの恩給局の考え方昭和四十八年以来の考え方でございますが、物価水準その他の諸事情を非常に忠実に反映しておりますのが毎年の一般職公務員給与のべースアップであったというふうに考えてまいって、その結果として、従来から現職公務員のアップ率を基礎として恩給の改善をしてきたわけでございます。ただ、今回の場合は、人事院勧告の数値より低い数値で現職公務員のベースアップが行われまして、恩給の改善もそれに倣わざるを得なかったわけでございまして、確かに先生のおっしゃるとおりでございますが、これは大変な財政難の時代でございまして、恩給としてもまことにやむを得なかったというふうに存じて、御理解を願いたいところでございます。
  65. 穐山篤

    穐山篤君 これは政策の問題なんです。財政が苦しいというのは、物理的に見れば私はそうだと思う。ただし、その原因だとか、財政悪化をどう克服するかについては意見の違いがあるところなんですが、やっぱり恩給でも、後ほど申し上げます共済年金にいたしましても、一般の国民生活とふつり合いであってはならぬ、その意味で恩給法というのが旧軍人、文官に適用をされているわけですね。おまえさん方だけは少し低くてもよろしいということにはならぬと私は思うんです。毎年、附帯決議がついておりますのは、人事院勧告あるいは仲裁裁定民間賃金が出た翌年にそれを基本にして引き上げをしておる、このことは余り適当ではないじゃないか、こういう附帯決議が毎年つけられているわけです。言うてみれば、世間並みに合わせるというのが院の意思だというふうに私は思うわけです。にもかかわらず、単純に昨年抑制をされたものを基本に持ってきたというのにはこれは納得するわけにはいかぬ、こういうふうに思うんです。  それは共済年金の方でも申し上げますが、土光さんの第一次答申に基づいて一番先に国会で抑制措置をとりましたのは、厚生年金など国が助成しております国庫助成金につきまして四分の一を当面削減をしたわけですね。本来、こういう福祉なりあるいは生活保障という問題でばっさばっさと金を切っていく思想はこれはよくないということはこの前も指摘をしたわけですが、なかんずく恩給につきまして二・〇三%という根拠は薄いというふうに私は言わざるを得ないと思うんです。もう一度、その点いかがでしょう。
  66. 小谷宏三

    説明員(小谷宏三君) まず、毎回、附帯決議におきまして、恩給のベースアップの実施時期でございますが、公務員と同じ時期に一年早くしろという附帯決議をいただいております。これは私どもも慎重に検討いたしておりますが、恩給のベースアップは前年度における諸事情を勘案してその年の四月一日ごろ、公務員とちょうど時期的には十二カ月おくれているわけでございますが、前年度の諸事情を見て現在の年度の恩給のベースアップをするということでございまして、前年度の諸事情が何かというと、従来の例でございますと、前年の四月一日にベースアップされた現職公務員の俸給ということになるという考えでやっております。ただ、この考え方には御批判ございまして、毎回、附帯決議をいただいておりますので、なお引き続いて慎重に検討しておるところでございます。  それから、今回恩給の引き上げ率が人事院勧告に及ばなかったことでございますが、これは重ね重ねの御質問で甚だ私どもも痛み入っているところでございますが、何と申しましても、財政難で現職公務員のベースアップ率が平均約二%に抑えられた現在でございますので、元公務員である恩給受給者の方々あるいはその遺族の方々にもこの際我慢をしていただかなければならないというふうに考えている次第でございます。
  67. 穐山篤

    穐山篤君 私どもとしては、恩給が、抑制をされた人事院勧告公務員賃金が基礎になっている、このことについては全く賛成するわけにはいかない。また、それを受けて、共済組合年金につきましても下げた提案が行われているのは全く納得ができない。これは指摘をしておきます。  さて、恩給の実施期日が三月になっています。共済組合の方の改定は四月になっています。後ほどまた細かくは申し上げますが、なぜ恩給の改定時期を三月にして、年金の方の改定を四月にしたのか。大蔵大臣、理論的な根拠をひとつ発表してもらいたいと思います。
  68. 保田博

    政府委員(保田博君) 恩給の実施時期を例年の四月から一カ月繰り上げて三月にしたわけでございますけれども、これはいろいろ政府部内でも議論があったわけですが、五十八年度に恩給は据え置きになっているということでありますので、いわば二年ぶりの改定であるから、軍人その他お年寄りに対して何らかの配慮をという要望もだしがたく、五十九年度限りの特例措置ということで一カ月の繰り上げを決めたわけでございます。  それに応じまして、国家公務員の共済年金につきましても、恩給期間に係るもの並びに旧法期間に係るものにつきましては三月に一カ月実施を繰り上げたわけでございますが、新法以降のものにつきましては、厚生年金とのバランスでございますとか、あるいは結局OBの年金が一カ月早く改善措置が行われれば、その分だけ現職の公務員とかあるいは将来の被保険者の保険料負担にはね返るといったようなことを考慮しまして従来どおり四月の実施、こういうことにしたわけでございます。
  69. 穐山篤

    穐山篤君 納得はとてもできる話じゃないですね。だれに聞かせても、恩給が三月で年金が四月、今回特別な例であるという説明をしてみても、これは合理的な理由には余りならぬですね。  大蔵大臣、ちょっとお伺いします。  ここに「(秘)部内外絶体秘」という秘密文書があるわけですが、二階堂さん、細田さん、町村さん、田中六助さんのいずれも署名がある文書なんです。これは今回の三月実施の問題と無関係ではないので、読み上げて真意をお伺いしておきたいと思います。   大蔵大臣総務長官との了解事項は、次の趣旨のものとして了承する。(一) 昭和五十八年度中に公務員給与改定実施された場合には、恩給の改定昭和五十九年一月から実施する。この場合の改定率は、原則として昭和五十七年度において見送るこ ととした給与改定率を下回らない率とする。  なお、昭和五十九年度の恩給年額の改定は、従来どおりの方式によるものとする。(一) 戦没者遺族、戦傷病者及び老齢旧軍人等に対する処遇改善に対しても従来の経緯を十分尊  重配慮する。こうなっているわけですね。  前段の「恩給の改定昭和五十九年一月から実施する。」、こういう四者のサイン入りのメモがあるわけですが、これは大蔵大臣御存じだと思うんですが、いかがですか。
  70. 保田博

    政府委員(保田博君) うわさとして聞いたことはございますけれども、現実に拝見したことはございません。    〔穐山篤資料を手渡す〕
  71. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは町村金五先生がございますから、五十八年度予算を編成しますときに大臣折衝で総務長官と私との意見がなかなか折り合いませんでしたので、したがって、「この場合の改定率は、原則として昭和五十七年度において見送ることとした給与改定率を下回らない率とする。」、人事院勧告の取り扱いがまだ決まっていない状態のときでございますから、総務長官側の主張というのは、恐らくこの五十七年の見送り分に上乗せされたものが実施されるという、観念的にそういう考え方での主張があったというふうに記憶をいたしております。  この文書そのものは、別に私がサインしたものでもございませんので、この存在しておる、しないの問題は、私としてこれを知っておるかと言われると、この文書そのものは知らないということでございましょう。「戦没者遺族、戦傷病者及び老齢旧軍人等に対する処遇改善に対しても従来の経緯を十分尊重」されたいということは、そのときは政調会長は田中六助君でございますから、そういう主張があっておりました。結局、五十八年度予算で、要するに総理府総務長官なり政調会長の御主張のとおりに私自身が応じなかったということから、党内においての確認事項としてなされたものではなかろうかというふうに考えられます。
  72. 穐山篤

    穐山篤君 大蔵大臣、どうも歯切れが悪いようですね。この文書の前段というのは、総理府総務長官大蔵大臣の話を受けて出た代物なんです、知らないことにしたような感じの御答弁ですが。  そこで、予算折衝のときにはいろいろな政治的な配慮があるのは当然だろう、こう思うわけですが、「五十九年一月から実施する。」というふうにこの文書では理解をしているわけですね。それから恩給についての予算折衝で、一応事務的なレベルで折衝が行われ、必要なものは決まった。ところが、復活折衝で実は三月一日に変更になったんですね。そのことは大蔵大臣、承知しますか。
  73. 保田博

    政府委員(保田博君) 予算の政府案が決まる過程におきましては、当然大蔵原案を内示し、それから復活折衝を経てという手だてを踏むわけでございますが、原案でどうで、いつの段階でどうなったということは、いわば政府・与党の部内の折衝事項でございますので、この場におきまして公式の内客を御披露するのは差し控えさせていただきたいと思います。
  74. 穐山篤

    穐山篤君 しかし、それは全部の新聞にも書いてある公然たる事実ですよ。この「(秘)部内外絶体秘」のこの問題と、復活折衝で恩給の改定実施が三月一日に変更になった、そのかかわり合いはどういうふうに説明をされますか。
  75. 保田博

    政府委員(保田博君) 大蔵原案では、恩給のベースアップは四月実施ということで内示をいたしたわけでございます。政府案が決定する段階では三月実施に決まっていたはずでございます。その途中の経過については説明を差し控えさせていただきたい、こういうことでございます。政府案が決まりましたときには既に三月一日実施ということになっておりました。
  76. 穐山篤

    穐山篤君 そこで大蔵大臣、政策的な配慮ですから伺いますが、恩給が三月で、年金改定が四月、これはどういう理由で一カ月の違いができたのですか。具体的に答弁をお願いします。
  77. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 保田次長から正確なお答えがあろうかと思いますが、記憶を呼び戻してみますと、今のこの覚書のようなものはこれは五十八年度予算編成の際だと思います。五十九年度予算編成に際しては、その中で、要するに人事院勧告実施の方向が決まっておりましたので、それをべースにしてのお話でありました。ただ、私ども恩給問題について、この二年間ずっと抑えてきたということからして、いわゆる共済年金等との違いは、要するに一方的に国費の支出によってのみそれが決まって、いわば給付と負担という原則の外にある制度である、したがって最低限この従来の経過を尊重した場合に国費の支出でもって措置することのできる恩給部分についてはその一カ月間というものを適用することによって従来からの経過に対しての対応をした、こういうことであったと記憶いたしております。
  78. 穐山篤

    穐山篤君 いずれも胸にすとんと落ちるような答弁じゃないですね。  これは客観的に、担保するといえば語弊がありますが、問題の指摘をしましたのは、国家公務員共済組合審議会の答申が二月の十日に行われたわけですが、この答申におきましても、厳しく恩給のあり方と共済年金のあり方について指摘をされているわけです。これをどういうふうに大蔵省は受けとめているでしょうか。あるいは実施時期の問題についても、この審議会の答申は「理解に苦しむ。」という表現ではありますけれども、不合理を指摘しているわけです。この点、いかがでしょう。
  79. 保田博

    政府委員(保田博君) 今回御提案申し上げております共済年金額の改定法案を国家公務員共済組合審議会にお諮りをいたしましたときに、大きく分けて二点の御指摘があったわけでございます。  一つは、「年金額の改定が恩給との関連で実施されるのが恒例となっているが、共済年金制度の独自性から見ていかがなものであろうか。」という点でございます。  それから第二点は、「人勧グループと仲裁グループの給与改定率に差が生じた結果、両グループの新規裁定者の年金水準に差ができ」ているというのはどうか。  これらの点については「問題を拡大させることのないよう、速やかに検討を行うべきである。」という御指摘でありました。  ただいま御質問のございました第一点の恩給との関連で共済年金実施されることはいかがかという御指摘でございますけれども、そもそも現在の国家公務員共済年金制度というのは、その生い立ちが、御承知のとおり、古くからの恩給制度に淵源を発しておるわけでございまして、そういう現在の共済年金制度の生い立ちといったもの、それから従来の慣行的な扱いといったようなことからすればこれはやむを得ない措置ではないかと思います。しかし、いろいろ問題をはらんでいることは御指摘のとおりでございますので、この点につきましても今後の六十年改正を目指して勉強をさせていただきたい、こういうふうに考えております。
  80. 穐山篤

    穐山篤君 私は、恩給の三月、共済組合の四月、それから人事院勧告六・四七%に対して二%というものにつきましては絶対納得するわけにいきませんが、それにいたしましても、政府・与党の中で種々議論をした結果、衆参両院の与党の最高の権威者が署名をした文書というのは歴然として今日存在をしているわけです、見なかったかどうかは別にしてみても。与党の皆さん方は、関係の諸団体に対しても、こういうことでまとめたからひとつ了承してほしいということで、みんな了解を求めたと思うんです。岡田先生は、長年この問題については御苦労されて、現在も一生懸命に権威者として頑張っておられているわけですが、これは部分的に知らない人があったにしてみても、関係のところは全部知っているわけです。説明されているんですよ、皆さんが。この政治的な責任というものはどういうふうに考えられているんですか。この四名に来てもらえば一番いいわけですけれども、この文書の出だしは「大蔵大臣総務長官との了解」、その中身はこうでございますとい うふうに確認をして世間に流れているわけです。これは非常に大きな私は課題だというふうに思いますが、いかがでしょう。
  81. 竹下登

    国務大臣竹下登君) この問題につきましては、最終的には政府・与党一体の責任でこれは予算折衝を終えまして、そして今度は内閣一体の責任で政府原案を国会に提出し、御審議をいただく、こういう筋になりますので、この責任そのものは最終的には内閣一体の責任で、内閣が予算書を作成して御審議をいただいたわけでございますから、その責任の存在はもちろん内閣一体、私どもにあろうかというふうに考えております。  その今の文書との問題については、確かにその当時は五十八年度予算のときですから不確定要素があったというのは、人勧の取り扱いが、その時点の総務長官等のお考え、まだ人勧の出ないときでございますが、その扱いについての意見が決まっておったわけではございません。それから実施時期を、言ってみれば財政的な裏づけも共済年金等の負担と給付という関係にあるものでないので、これの扱いということについては、仮に一月というふうに理解されておったら、私の方がむしろそれを三月にしたとすれば与党の皆さん方には私どもがその確認事項に沿えなかったと、結果としてはそういうことではないかというふうに理解をいたしております。
  82. 穐山篤

    穐山篤君 私は、こういう問題というのは政治に対する国民の信頼という面からいってみても、ああそうですかというふうに引き下がるわけにいきませんが、これだけを取り上げているわけにいきませんので、後刻理事を通じまして協議していただくようにしたいというふうに思っております。  さてそこで、恩給と共済年金が、私は納得できませんけれども、昨年の人事院勧告二%を受けてこれをやったわけですが、恩給年額の増額のところで、兵の位でどういうふうに算定をしたのでありますか。
  83. 小谷宏三

    説明員(小谷宏三君) 平均約二%でございますが、上厚下薄でやっておりまして、二・一%アップということにしてございます。
  84. 穐山篤

    穐山篤君 兵の位から上は大将まであるわけですね。そこで、仮定俸給をつくって、それに該当する要員を乗じて計算をする、言いかえてみますとウエートをかけて算定をした結果、兵の位では二・一%のところでありますが、なべていくと今回恩給法の改正はどういう率になるんでしょうか。
  85. 小谷宏三

    説明員(小谷宏三君) なべて言いますと、約二%でございます。
  86. 穐山篤

    穐山篤君 さて、仮定俸給の問題について当委員会でも長年議論があるわけですね。それは仮定俸給年額というものの性格の問題と、それから片方では年金にかかわります公務員賃金との比較において問題が常にあるわけです。また、前回もそのことは指摘をされているわけです。私の記憶によりますと、山崎昇さんが仮定俸給とは何ぞや、この性格について相当突っ込んだ指摘がされています。それから兵の位で金額を示しているわけですけれども国家公務員の行(二)にないような数字を持ってくることについても重大な指摘を今までしてきたわけです。その二つについてどういうふうにその後研究をされたんでしょうか。
  87. 小谷宏三

    説明員(小谷宏三君) 先生指摘のように、仮定俸給の最下限にあるようなものが現実の現職の公務員俸給表には載ってないではないかということ、これは事実としては確かに御指摘のとおりでございます。  ただ、これにはいろいろ歴史的な経過がございまして、これも先生指摘のとおりでございますが、恩給の仮定俸給と申しますと、これは現在の公務員給与制度におきまして通し号俸が廃止されてしまっております。したがいまして、現職に適用される俸給表にぴったりと仮定俸給を合わせるということは困難になっております。現職の公務員俸給表を離れまして、一定の指標によりまして仮定俸給を毎年増額してまいってきたものでございます。  この間、指標のとり方にはいろいろございまして、初期においては消費水準であるとか、物価であるとか、それから物価と公務員給与の両方、これは恩給審議会方式と呼ばれておりましたが、いろいろな変遷がございまして、それで昭和四十八年以降は公務員給与の改善率を用いて古い仮定俸給表を改善するという方式をとってきたところでございます。  このような増額計画をずっとたどってまいりまして、その結果が現在の仮定俸給としてあらわれているわけでございますが、この毎年毎年の仮定俸給の増額方式と申しますのは、やはりそのときどきにおいてはその時代に合った有意義なものであったと思われます。また、仮定俸給というのは恩給制度の基本をなすものでございますので、現職の俸給よりも低額の仮定俸給があったといたしましても、これを変更することにつきましては非常に慎重に構えなければならないというふうに考えております。  それからまた、別の面でございますが、恩給受給者のうちでお年を召した方であるとか寡婦の方方など、経済的に弱い立場にあると一般論として思われる方々に対しましては、別の面で最低保障であるとかあるいは加算制度の導入などによりまして、実質的に仮定俸給を引き上げると同様の効果を生ずるような措置を続けてきたところでございます。しかし、仮定俸給のあり方につきましては、先生指摘のとおり、今後も引き続き検討いたしたいと存じております。
  88. 穐山篤

    穐山篤君 それから恩給についてもう一つだけ伺っておきますが、臨調答申によると、恩給について抑制を図りなさい、新規のものはだめですよ、こういうことが指摘をされているわけです。しかし、国会の請願書、ここ二、三年のものを調べてみますと、恩給にかかわる国民の要求、請願というものが数たくさんあるわけです。そういうことを承知で土光さんは答申をしたのかどうかよくわかりませんが、この二つの問題についてこれから政策的にどういうふうに考えていこうとしているのか、その点をお伺いします。
  89. 小谷宏三

    説明員(小谷宏三君) 恩給局といたしましても、臨調答申は基本的に尊重しなければならないと思っております。ただ、実は今回の恩給法等の一部改正法案におきましても、まさに改善ということを内容として盛り込んでございます。その一つは、公務員のべースアップに伴う仮定俸給の引き上げでございますが、もう一つ、それ以外の面で最低保障の引き上げなどございます。これは数年来問題となってきたところでございまして、やはりこのような恩給法全体の中で、前から問題が提起され見直すことを迫られているものにつきましては、財政事情を一方において十分に考慮しつつもこれを凍結するわけにはいかないというふうに存じております。
  90. 穐山篤

    穐山篤君 時間がありませんので、恩給にかかわることはきょうはその程度にしておきます。  さて、時間的なことがありますので、大蔵大臣、例の三公社四現業についての政府態度といいますか、賃金問題についてはどういうふうになったんでしょうか。
  91. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 正十一時の記諸会見で、本日午後六時十五分から公共企業体等給与関係閣僚会議を開き、公共企業体等の有額回答問題について検討することにした、なお同時に、官邸から、六時十五分に集まれ、こういう連絡を受けたということであります。
  92. 穐山篤

    穐山篤君 これから審議をされることですから、とやかく言うつもりはありません。ただ、大蔵大臣に考えてほしいと思いますのは、私も前段でもちょっと御披露申し上げたことがあるんですが、政府の意思ないしは理解として、かつてゼロ回答というのがずっと続いたことがある。調停仲裁を通りますとその二倍、まあゼロの二倍もゼロなんですけれども、結果としてはかなり高い裁定というものが過去出されております。私が言いたいのは、仄聞するところによると、去年と同じ回答がいいのじゃないかというふうなことが新聞に書かれています。その計算でいくと二・八%と いうことになりそうなんですが、春闘の歴史も昭和三十二年からずっと続いてきまして、最近はストなし春闘というふうな状況に、あるわけですね。言いかえてみると、その労使交渉労使の慣行というものは毎年毎年のその積み上げで打開をされてきているわけなんです。その上に立って、よき労使慣行というものが成熟をしていくわけです。  そういう点からいいますと、形式的な回答あるいは賃上げ率の明示というのはもはや今日的な処理の仕方ではない、私はこういうふうに思うんです。最近の民間労使関係を見ておっても、最初三千円ぐらいから始まって一万円になるというところもありますが、それが最近では七、八千円の回答を示して、次で勝負、妥結をするという方向が、非常に労働運動全体としてあるいは労使の関係としてふえてきたわけです。そういう状況から見まして、形式的な回答というのはこの際改めるべきではないだろうか、こういうふうに考えます。その点、どうでしょう。
  93. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは穐山さんおっしゃるのも一つの私は考え方だと思います、率直に言って。結局、合成熟したとおっしゃいましたが、確かに無回答の例、それから格差回答の例、ずっと今日に至っております。  そうしてなかんずく、私も去年だけに記憶を呼び戻してみますと、結局、国鉄と林野が合理化計画が二日ぐらいおくれたか何かというようなことで、あの時期が二日おくれたような記憶が確かにございます。だが元来は、本当はそれぞれの当事者間で、当事者といいますと、専売は総裁がおられますが、実質問題としては造幣局長、印刷局長にそれぞれ委任をしておりますものの、印刷と造幣ということになると法律的には私が当事者ということになりますが、それぞれの双方の労使当事者間で自主的に、仮にその自主的がばらばらであった場合、いわば広義な意味における公共性、それからもちろん法律のよってもって立っておる基礎からしまして、それも実態面としてはなかなか難しい問題じゃないか。そうすると、時期の問題は別といたしまして有額回答、それから委員長見解、仲裁、それから裁定と、そういうことを経過していかなければいけない。こういうような歴史的成熟した段階が今そうなっておる、こういうことじゃないか。現実、私も時に矛盾を感ずることもございますが、今の場合はそれがやっぱり一番、本俸についてでございますから、いわゆる手当、ボーナス問題の話じゃございませんので、そういうのが一つの定着した姿ではないか、こういう感じを持っております。  それで、春闘というものそのものの考え方というのは、これも成熟してきましたから、考えようによれば、春闘うというその文字は別として、あれは春に議論が行われて、それで妥結して、さあことし一年頑張ろうという、そういう労使双方ともだんだん意識がそういうところに来ておるという私は自覚をしております。  でございますが、扱い方については、私も長らく内閣官房専門みたいにおりましたので、これを考えて、いろんな歴史的なことを振り返ってみると、今の場合、そういう閣僚会議というのは、これは意見の交換という、建前上からいえばそういうものでございます。私の立場からいえば、二つの当事者であると同時に、財政当局者として各関係閣僚の意見を聴取するという立場にあるわけでございますが、今の場合、やっぱり本来のあるべき姿はどうかというと、結局いろんなことを考えてみると、成熟した姿の中で今のようなことが結局定着したものではないか、こういう事実認識をいたしております。角度は違っても、穐山さんのおっしゃることは私は一つの見識だと思いますが、そういう議論をいろいろ集約したのが今の形の定着した姿かな、こういう感じがしております。
  94. 穐山篤

    穐山篤君 大蔵大臣は使用者の一人でもありますし、また全体的な財政事情を見るという意味で二面性は持っておりますけれども、今晩六時十五分の会議におきましては最大の努力をしていただきたい、形式的なものはこれからは排除をしてもらいたい、こういう要望だけ申し上げておきます。  さて、今回の共済年金改定の問題ですが、時間ありませんから一々お聞きはしませんけれども先ほどちょっと残しました問題の中で、新年金がどういう形になれ発足をします。共済年金につきましても二階建てのものに、これもどういうことになるかわかりませんが、移行をする準備に入るわけですね。  さてそこで、前回統合法案の際に議論をした結果つきました附帯決議の中で、当分の間それぞれの共済組合は独自の自主性を持ってよろしい、自主性について尊重する、こういうことになっているわけですが、新法が発足しました四月一日以降、今日的な状況の中でこの自主性というのは保障をきちっと担保されているかどうか、それから新年金に六十年に移行する場合のそれぞれの共済組合の自主性というものはどういう形に変化をするんでしょうか。その点、伺っておきます。
  95. 保田博

    政府委員(保田博君) 御承知のように、統合法におきましては、当面、国共済と公企体共済の給付の水準を合わせるという作業が第一の目的であったわけでございまして、その点については法律が既に成立をいたしておるわけでございます。  その際に、いろいろ自主性の問題について御議論がございまして、附帯決議もあったわけでございます。附帯決議におきましては、自主性については、「国家公務員共済組合の運営を一層民主的に行い、組合員の意向が十分に反映されるよう努めること。」というような表現であったと思いますが、この点につきましては、従来から努力をしてまいりましたわけですし、今後ともその方向で努力をさせていただくということでございます。  御承知のように、国共済も、各公企体の共済も、それぞれの沿革を持っておりますし、したがってこの統合法の段階ですべての財布を合わせるといったようなことまでは、負担の急激な変化を避けるといったような観点も考えまして、これを行わない。当面、各組合の自主性を尊重しながらやっていくということで法律が通っておるわけでございます。その趣旨を尊重しながら、我々としましては、七十年を目途とする年金制度の一元化の基本的な方向に反しない限りにおきましては各組合の自主性を極力尊重する、こういう姿勢で今後とも臨んでいきたいと考えております。
  96. 穐山篤

    穐山篤君 大蔵省と専売、電電、国鉄にお伺いしますが、専売につきましては、御案内のとおり、たばこにかかわります新しい法律が国会に提出をされる、電電公社についても提出がされるということですから、これからの審議を待たなければならぬところですが、原則問題についてお伺いします。  どういう性格のたばこ公社ができるかわかりませんけれども、それによって行政改革、合理化、要員の配置、いろんなものが変化をすると思うんです、電電についても同じですが。そして、部分的には、ある部分は民間の活力を導入するということで、そちらの方に業務が移ることもあり得る。そこで、属人的に言いますと、公社員としてずっと残る人は問題がないにしてみても、退職して新しい分野に参入する、あるいは出向をする、いろんな形態のものが属人的には出てくると思うんですね。そこで、この共済組合の適用の問題について、専売、電電——国鉄はまだそのことはないと思いますけれども、原則的な態度というものを明らかにしてもらいたいと思うんです。
  97. 伴内昭彦

    説明員(伴内昭彦君) 専売公社の経営形態が変わった後の新法人の年金制度につきましては、先生御案内のとおり、第二次臨時行政調査会の答申及び共済年金制度基本問題研究会意見等に照らしまして、現在の共済年金制度の適用を継続していくことになると考えております。さきに制定されました公的年金制度統合再編の一環としての共済統合法もこのことを前提にしていると承知しております。  なお、新法人が発足しまして、新法人から他の企業に転出する者の取り扱いでございますが、 則的には転出先の当該企業年金制度が適用されることになると考えますが、新法人が業務の都合により復帰を前提としまして職員の身分を保有させたまま出向させる場合においては、新法人の共済制度を適用していくことになろうかと思います。
  98. 中原道朗

    説明員(中原道朗君) 電電公社につきましても同様趣旨の整備法案によりまして整備されるということになりますので、内容におきましては専売御当局と同様の扱いがされるものであるというふうに理解をしております。
  99. 穐山篤

    穐山篤君 そうしますと、制度上の問題ですが、国家公務員等共済組合というのは独立してある。新法に移行するまでは、新年金に移行するまでは厚生年金というのも歴然としてあるわけです。普通の常識でいけば、株式会社という会社になれば、これは共済組合で言えば厚生年金に該当するものなんでしょうね。しかし、それは政策的にどういう事情があろうとも、原則は国家公務員等共済組合を適用する、どれが柱であって、その他、今説明もありましたように、将来帰るであろうということを予約するような出向の場合についてはこの原則に基づいてやる、そうでないものについてはまたそれぞれ考える、こういうふうに御答弁されたわけですが、大蔵省としては、その形でこれからずっといくということになりましょうか。といいますのは、行政改革がいろんな形で、三公社のみならず、いろんなものがこれから省庁に出てくる感じがするわけですね。そういうものに全部これから関係をしてくるわけです。そのときどきの御都合で、これは原則でいきましょう、これは厚生年金でいきましょうということになりますと、制度としての混乱が生ずる。当然のことだと思いますが、その点どうでしょうか。
  100. 保田博

    政府委員(保田博君) 電電公社専売公社の経営形態が変更された後も共済年金制度に残るということにつきましては、統合法案でその規定がなされております。その具体的な運用につきましては、電電公社並びに専売公社の当局から御説明したとおりでございまして、大蔵省当局としてそれに異議を唱えるつもりはさらさらございません。  なお、経営形態と年金の適用制度は、原則として民間企業であれば厚生年金に移るのが当然ではないかというお気持ちは非常によくわかるわけですが、その場合には、先ほど来申し上げておりましたような共済年金と厚生年金との給与のとり方の違いでありますとか、現在までに積み立てられておりまする積立金をどう引き継いでいくかといったような非常にむずかしい問題がありますので、そういう特例を設けたわけでございます。今後、各政府機関についてそういう問題が生じましたときには、そのときそのときのそれらの企業の実態をよく勘案しながら支障のないような措置を講じていく、基本的にはそういうふうに考えております。
  101. 穐山篤

    穐山篤君 ことし四月一日に発足しました国家公務員等共済組合審議の際にも私は若干触れてありましたが、去年議論をしました当時の参考資料あるいは基礎的な資料といいますのは、国鉄で言うならば三十五万人体制、あるいは専売、電電におきましても第何次計画の要員というものを基礎にして議論をしたわけです。しかし、この一、二年の間に、これは率直に申し上げますと、当初見込みました要員の規模というのはかなり圧縮傾向にあるわけです。今満六十歳支給についての経過措置中ではありますけれども、当初計算をしたよりも成熟度が高くなる、年金受給者の数がふえる。ふえるというのは量的にふえるということもありますけれども、分母になります現職の職員の分母が小さくなる、そういう相関関係にあるわけです。そこで、この前、新法、新しいものを議論をしたときにはその問題については原則的な御答弁しかもらえなかったんですが、今日の段階では、例えば国鉄の場合、定員が三十四万五千名というふうに変化をしている。これはそれぞれ電電、専売でも同じことなんです。  さてそこで、国共審でそういうものについて総体的な議論をし、財政調整委員会できめの細かい算定をすることになるだろうと思いますが、当の三公社はその辺をどう分析して、これからの財政基盤強化のためにどういう方法を考えるのか。それが具体的に保険料率に重大な影響があるわけです。少し長くなりましたけれども、その点、三公社から個々にひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  102. 岩崎雄一

    説明員(岩崎雄一君) 国鉄の場合が一番要員の数の変化が激しゅうございますので私の方からお答えいたしますが、今やっております経営改善計画によりまして要員規模を次第に縮減をしてまいっておるわけですが、これによりまして、先生おっしゃるように、組合員の減少による保険料収入の減少という形で年金財政の上に影響が生じておることは事実でございます。このことも一つの原因になりまして六十年度以降単独運営が非常に難しいということになった次第でございまして、先回の法案で他共済から御救済をいただく、まことに心苦しいことでありますが、そのような措置をとっていただいたわけでございます。  今三十四万五千というお話がございましたが、五十九年度初における予算人員でございまして、今後どうなっていくかという見通しでございますが、今年度も引き続き合理化を一万数千名について行うということでございますので、それを加えますとかなりさらに減ってくる。年金者がふえるわけではございませんが分母の方が減ってくる、こういうことでございます。そのことにつきましては、大蔵省で出された試算を行います段階で、ある程度予測し得ることでございましたので、前提として最終的な落ちつくことが見込まれる要員数を前提に計算をしていただいたものが国会で御説明になった内容でございます。  それ以降どうなるかということにつきましては、今後の輸送量の推移等見てみないと、一体どの程度の要員規模が国鉄にとってしかるべきかということについては、まだ今の段階では何とも申し上げられません。いずれにしても、そういうことがあるとすれば、それは前提条件の変更ということで財調運営委員会の中で御検討いただくことであろう、このように考えております。
  103. 中原道朗

    説明員(中原道朗君) 電電共済組合の場合、前回も御説明申し上げてはいるのではございますけれども、成熟度、これから先の見通しというものにつきましても、なるほどこれからも当分はこのまま推移いたしますけれども、それから先は相当悪化をしていくということはこれは間違いのない見通しでございます。  ただ、非常に現在まだ若い組合でございますので、極めて近い将来を心配しなければならないというところではございませんけれども先生指摘のように、どちらかといいますと、分母と分子の関係で決まってくる分につきましては、これから先の経営の変動というものを見通しました際に、必ずしも予断を許さないものがあるということは言えると思います。あらかじめその種のことを想定されたこともございまして、今回の電電会社法関連の整備というものの中でも多少の御配意、御相談ができるような余地というものを認めていただくべく御相談さしていただいておるというところでございます。
  104. 伴内昭彦

    説明員(伴内昭彦君) 専売共済組合につきましても、先生指摘のような傾向が出ております。  今般の統合によりまして財源率を見直すことになっておりますので、その中で今後の問題については検討してまいりたいというふうに考えます。
  105. 穐山篤

    穐山篤君 大蔵大臣、この共済組合の問題について、私は具体的に年金改定の率、額の問題についても不満を表明しました。それから実施の時期についても合理的ではない、なかんずく恩給法との関係ではまずい、こういう指摘を強くしてありまして、そのことを十分にひとつ考えてこれからの処理にも当たってもらいたい。時間がありませんので、内容を詰めることができないのは残念でありますが、また別の機会に行います。  最後に一分ですが、公務員旅費に関連して、これは要望だけにしておきますが、私は在外公館の職員の待遇の問題について非常に心配をしてお ります。前からその点は気がついておりましたが、あっちこっちの国へ出かけてみたり、資料をとってみますと、インフレ率が何百%というふうなとてつもない国があるわけです。在勤手当などの問題につきまして、閣議が決定をして二十日から新しいものに移るという連絡がありましたので、私は中身を言うつもりはありませんけれども、本当に気の毒なんです。内国旅費の問題についても問題なしとしませんが、在外公館の方々の、例えば住居手当、交通の問題、それから子弟の教育の問題、それから日本からいろんな人が行きます、その場合の費用、なかなか属人的にも苦労が非常に多いんです。その点を十分にひとつこれから配慮をしてもらって、次の段階では在外公館の職員から余り不満が出ないように、当然友好の仕事が全うできたり、あるいは情報収集にいささかでも瑕疵がないように、この点は最後に要望して、きょうの質問は終わります。
  106. 高平公友

    委員長高平公友君) 午前の質疑はこの程度とし、午後二時四十分まで休憩いたします。    午後零時四十五分休憩      —————・—————    午後二時四十五分開会
  107. 高平公友

    委員長高平公友君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正する法律案及び昭和四十二年度以後における国家公務員等共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案の両案を便宜一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  108. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは、ただいま議題になっております共済組合法の問題に入ります前に、午前中にもいろいろと議論がありましたけれども、共済年金と密接な関連を持っております人事院勧告に対する大蔵大臣の見解、あるいは共済年金の改革の問題、あるいは財政調整に関する問題、そして本法律案の中身に関して若干お尋ねしたいと思います。  言うまでもなく、五十七年の人勧は凍結をされてまいりまして、その結果五十八年には共済あるいは恩給の増額は行われなかったわけです。今回の法律案も、昨年の人勧六・四七%が二・〇三%に圧縮をされました結果、共済年金も二%の増額が図られているにすぎないわけでございます。そして、昨年秋に成立しました共済組合の統合法、これによりましていよいよ本年十月から国鉄共済組合に対する財政調整も行うことになっているわけですけれども、その結果、国家公務員あるいは電電、専売職員の方が国鉄共済組合に掛金を拠出することになっています。しかし、このように共済年金や掛金に関係を持つ人事院勧告というのは、三年間にわたりまして完全実施をされていないわけです。ことしは昨年の積み残し分四・四四%を含めまして勧告がなされることは必至だ、このように思われるわけでございますけれども人事院、その辺の状況はどうでしょうか。最初にお聞きしたいと思います。
  109. 藤野典三

    説明員藤野典三君) お答え申し上げます。  先生指摘のように、昨年の勧告におきまして実施されなかった分が四%強ございますので、したがいまして本年は昨年と同様、いわゆる民間の四月における額の高さの調査をいたします関係で、そういう関係でいきますと、昨年実施されなかった分が当然本年の調査の際に出てまいると一般的に考えられますので、そういう意味では昨年の分がその中に加わった形で、その差として出てくるものと思っております。
  110. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そこで、財政を担当されます大蔵大臣としましては、人事院勧告に対しましてどのような御見解をお持ちになるのか、あるいは本年の勧告が出れば完全実施に向けてどのように対処される御所存であるのか、最初にお聞きしたいと思います。
  111. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 人事院勧告制度そのものにつきましては、これは当然のことながら労働基本権制約代償措置一つである、また臨時行政調査会の基本答申等におきましても国家公務員給与については人事院勧告制度によるべきものとされておるところでありますので、人事院勧告制度は維持尊重さるべきものであるという基本認識をまず持っております。  次に、本年の人事院勧告の取り扱い、こういうことになりますが、これは今日の時点で申し上げますことは、勧告が出されればその段階人事院勧告制度尊重の基本姿勢に立って、国政全般との関連において勧告実施に向けて最大限努力を尽くすということが私どもに与えられた任務であるという基本認識を持っております。
  112. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 基本的な認識はお伺いしたわけでございますが、この人事院勧告というのは、先刻御承知のとおり、今日では社会的な指標としましてこれはいろんな方面に活用されておりますし、大きな影響を与えているわけですけれども先ほど申しましたように、ことしの十月から財政調整を実施することになりますと、ことしの人事院勧告が完全に実施されませんと可処分所得の減少を招くことになりますし、まして五十七年のときのように人勧が凍結をされて仲裁実施をされる、こういうことになりますと職場内におきましても感情的にもいろんな問題が生じてくるのじゃないか、こういうことが非常に心配されるわけです。私は、この人事院勧告仲裁裁定の取り扱いに差があってはいけない、こういうように思うんですけれども大蔵大臣はどのようにお考えになりますか。
  113. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 仲裁人事院勧告ということになりますと、法律的には確かに別なものでありますし、慣行も異なっております。しかし、私自身、政治家として振り返ってみますと、人事院勧告についてはまず十月実施、それから九月、八月、七月、六月、五月を飛ばして四月実施、これが昭和四十五年であります。したがって、一つの慣行が定着する間にそれだけの時間がかかったわけでありますが、そうして一部不実施というような経緯を経て、その後いわゆる見送り措置、それから昨年のような形の実施という、言ってみれば逆戻りとでも申しましょうか、そういう経過をたどっておることは十分認識をいたしております。しかし、やはり当時の財政状態、そしてその後の社会情勢の変化からして、私もその都度閣内におりますので、内閣一体の責任においてやむを得ざる措置として御理解を願ってきた立場にあるわけであります。  その当時から、確かに仲裁と人勧というのは、法律が別で慣行も異にしておりますが、広い意味におきますところの公務に従事する方々給与問題、こういうことにおいてはまさに事実そのとおりであります。したがって、この問題についていろいろな御意見がございますが、さはさりながら、この完全実施ということにおきましても、事実、広義の公務ということで、それから中には同じ職場で働いていらっしゃる方々の扱いが違ってくるという状態も出てくることを十分承知いたしておるものの、現実こういう客観情勢の中で、片や本俸だけ、片や期末手当等も含めたものといたしましても、やっぱり制度、施策が異なっておる限りにおいて全く同じ扱いということは現実問題として難しい問題として理解をいただかなきゃならぬではなかろうか、なかんずく、ここ数年の経緯を見ながらやむを得ざる認識としてそのような認識をし続けてまいりました。
  114. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 この共済年金関係の法律は非常に複雑でわかりにくいんですけれども、五十七年に人勧と仲裁の取り扱いをまた異にしたものですから、今回の法案でも、五十七年度に仲裁裁定の適用を受けて同年度に退職をした者については年金の引き上げを行わない、このような措置を導入して、ますますこれが複雑化しているわけです。そして、国家公務員共済組合審議会の答申にもありますように、人勧グループと仲裁グループの給与改定率に差が生じた結果、両グループの新規裁定者に差ができたことは問題だ、こういう指摘もあるわけでございますので、人勧凍結あるいは圧縮 あるいは仲裁の値切りなどはいろんな面の整合性を欠くことになる、そのためにどうしても完全実施は行ってもらわなきゃならない、このように私たちは考え、また要望しているわけですけれども、再度お考えをお聞きしたいと思うんですが。
  115. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 太田さんのおっしゃった事柄自身は、私もわからないわけではもちろんございません。そうして、今要望というお言葉もお使いになりましたが、先ほど申し述べましたような考え方に沿って努力しなきゃならぬという問題意識は私も十分持っております。
  116. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次に、共済年金の改革問題について若干基本的なことをお聞きしておきたいと思うんですけれども、公的年金の一元化につきましての基本的な考え方、大臣、これはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  117. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは、二月の二十四日でございますか、あの閣議決定というものがやはり基本認識であります。すなわち、「七十年を目途に公的年金制度全体の一元化を完了させる。」、これが決定しております。さらに、この閣議決定におきましては、御案内のとおり、共済年金については昭和六十年に基礎年金の導入を図る等の制度改正を行う、こうなされておりますし、そうしてさらに、昭和六十一年以降につきましては公的年金全体を通じて給付と負担の両面における制度間調整を進めていく、したがって共済年金制度につきましてはこれらの過程全体を通じて今後各公的年金制度と相互に調整を図っていく、こういう順序になるという認識は私も閣議決定のとおりいたしておるところでございます。
  118. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 今二月二十四日の閣議決定のお話も出ましたのですが、やはりここで決定をされました措置というのは、お話のように公的年金の一元化に向けての措置でございますけれども、特に公務員年金制度、これについてはどのようにあるべきかということ、大蔵大臣として基本的な御見解をお持ちでしょうか。
  119. 保田博

    政府委員(保田博君) 国家公務典等の共済年金制度の性格づけでございますが、いわば二つの側面を私は持っていると思います。一つは、一般的な社会保障制度の一環、所得保障制度の一環という面でございます。と同時に、もう一つは、国家公務員制度に根拠を有する年金制度でございまして、国家公務員としての職務の特殊性あるいはいろいろな行為の制限といったようなことを受けております公務員としての特殊性といったようなことを勘案した制度であるという側面を持っておるわけでございます。  したがいまして、我々といたしましては、昭和六十年の共済年金法の改正作業に向けまして共済年金制度の全般的な洗い直しをするわけですが、その際には、所得保障としての共済年金制度の側面と同時に、もう一つ持っております公務員制度の一環としての側面、特殊性といったようなものも考えながら新しい年金制度の骨格づくりを進めたい、こういうふうに考えております。
  120. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 今お話がありましたように、確かに公務員年金制度というのは、国家公務員法百七条に規定されておりますように、これは単なる社会保険だけでなくて、公務員としての特質に基づくいろんな要素が加わっているために民間企業年金制度とはまた非常に異なった部分もあるのじゃないか、このように私たちも思っておりますし、ここで年金制度の一元化に向けてスタートしていくわけですから、国民年金あるいは厚生年金と同じように基礎年金を導入するということもやむを得ない措置ではないかと思いますけれども、その上にさらに公務員としての特質に基づく部分というのも検討されてしかるべきじゃないかと思うんですが、その点どのようにお考えになりますか。
  121. 保田博

    政府委員(保田博君) 御指摘のとおりでございます。  先ほど大臣が御答弁の中で申し上げました本年二月二十四日の閣議決定「公的年金制度の改革について」の中におきましても、我々の作業の目標としております六十年の共済年金の改正作業におきましては、当然基礎年金の導入を図るということを中心とした制度改正になるわけでございますけれども、さらにその上に、先ほど答弁申し上げましたような公務員制度の一環としてのいわば所得比例部分でございますとか、そういう二階建ての部分、あるいはさらに場合によっては三階建てといったようなものがあるかもしれません、そういうものが構築されるかもしれませんが、片一方ではまた官民格差論といった立場からの御批判もございますので、選択の余地は非常に狭いものになろうかと思います。我々が予断を持ってここでどういうふうに構築をするということを申し上げられる段階ではございませんけれども、そういう二つの方向からの御批判にたえ得るような年金制度の構築を進めたい、なかなか難しい作業ではございますけれども、各方面の御意見を伺いながら具体案を作成して明年の通常国会には何とか御審議をいただけるような方向に持っていきたい、こういうふうに考えております。
  122. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 今、政府から基礎年金導入のための国民年金法等の改正案が提出されていますけれども、これを見てみますと、五十九年度価格で基礎年金は年額六十万、月額五万円で六十五歳から支給する、こういうふうになっていますけれども、この基礎年金を共済年金にそのまま導入しますと、公務員は六十年三月から六十歳定年制が導入されますので、定年になって退職したからといって直ちにこの基礎年金が支給されないということになりかねないのじゃないかと思うんですが、これはどのように見ておられますか。また、どのように検討されておられますか。
  123. 保田博

    政府委員(保田博君) 年金の支給開始年齢と退職年金との間に差があり得るということは当然のことだと思います。厚生年金の場合にもそういう事例が個々のケースによっては生ずるわけでございますが、共済年金制度の今後の改革におきましてもその辺をどういうふうに持っていくのか、これは今後の重要な研究課題である、こういうふうに考えます。
  124. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 なお、お聞きしておきたいことは、厚生年金というのはこれは定額部分と報酬比例部分からできていますけれども、このうち定額部分を基礎年金に持っていき、報酬比例部分を厚生年金として上積みをするというやり方はわかるんですけれども公務員の場合はこのように分かれておりません。ですから、基礎年金を導入した後の公務員としての年金部分をどのように設定するかということは非常に難しいのじゃないかと思うんですが、今具体的なお話はされませんでしたけれども、その点はどのように検討されていくつもりですか。
  125. 保田博

    政府委員(保田博君) まさに先生指摘のところは今度の改革案づくりの非常に大きなポイントになると思いますが、とにかく今国会に政府として御提案を申し上げております厚生年金、国民年金、船員保険の年金制度の一元化に向けての法案は、要するに全国民の九割をカバーする非常に大きな制度の改革といいますか、カバーが非常に大きいわけでございまして、これらの改革が行われるということはいわば我が国の年金制度の非常に大きな方向をここで決定するわけでございますので、それらの作業を見ながら、共済年金制度はその制度の趣旨を尊重しながら改革案をつくっていく、こういう基本的な方向になるわけでございます。  したがって、今国会に提案されております厚生年金等の改正法案において基礎年金を導入する、さらにその上に報酬比例年金等を付加していく、こういうことについては今後作業を進めます共済年金作業におきましてもその基本的な部分は当然の前提として受け取って、さらにその上に二階建ての部分、あるいは場合によっては三階建ての部分をどう構築していくかということではないかと思います。  したがって、もう一度申し上げますが、基礎年金の導入はこれはだれが議論しても左右することのできない大勢であろうと思います。その上に公務員の特殊性をどう構築していくか、これが今後 の非常に大きな研究課題である、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  126. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 民間の場合は、基礎年金があり、その上に報酬比例部分である厚生年金があって、さらにその上に企業では企業年金が今いろいろと行われているわけですが、公務員の場合、基礎年金が導入されたとしても、その上に公務員としての年金だけが上積みされるのか、今二階建であるいは三階建てとおっしゃった、その三階建ての部分は民間企業年金部分も加味してこれに上積みをされるのか、その点のお考えはどうでしょうか。
  127. 保田博

    政府委員(保田博君) 今後の共済年金制度改革案の構想を検討する作業がごく緒についたばかりでございまして、まだ政府部内での問題点あるいは検討課題の洗い直しをさせていただいている状況でございます。したがって、いろいろな問題点なり検討課題についてこういう方向で処理をしたいという方針一つ一つについて申し上げられる段階では実はないわけでございます。  先ほど申し上げましたように、基礎年金の導入ということだけはおおむねコンセンサスが得られておるわけですが、さらにその上にどういうふうなプラスアルファといいますか、二階建ての部分あるいは三階建ての部分、厚生年金制度を前提としますと、報酬比例部分ないしは先生がおっしゃいましたような企業年金部分、それに相当するものをどう盛っていくかといったようなこともまさに今後の検討課題、目下我々としては白紙の状況でございますということを御理解いただきたいと思います。
  128. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 人事院にお聞きしますけれども人事院は「年金制度に関し調査研究を行い、必要な意見を国会及び内閣に申し出ることができる。」ということになっていますが、この民間企業年金の実態についていろいろと調査されていますか。
  129. 藤野典三

    説明員藤野典三君) 人事院といたしましては、従来から国家公務員の退職一時金給付の検討の参考といたしますために、民間企業のいわゆる退職金制度実施状況につきまして把握に努めておるところでございますが、最近でございますと、昭和五十七年の秋に、企業規模が千人以上の企業五百社を対象といたしまして退職金制度の実態を調査いたしました。その中で、企業年金制度のあるなし、具体的に申し上げますと、企業年金の種類であるとか、企業年金の従業員の負担のあるなしであるとか、あるいは選択一時金制度のあるなし等について調査をしております。
  130. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 この問題につきましては法案が出た段階でまたいろいろと審議したいと思いますけれども、どのような形でこれから検討が進み決定されるにいたしましても、給付水準の切り下げ、これだけは何とか防がなければならないと思うんですが、その点に対して大臣の御所信をお伺いしたいと思うんです。
  131. 保田博

    政府委員(保田博君) 先ほど来御答弁申し上げておりますが、今後の共済年金制度の改革のあらましの方向について御報告を申し上げられる段階ではないわけでございますが、将来の共済年金制度の給付の水準が現在より引き下げられる可能性はないのか、下げるつもりではないのかという御指摘でございますが、甚だ歯切れが悪いわけですけれども、要するに安定成長時代を迎えますその中で確実に到来してくる高齢化社会、そういう経済社会情勢の急激な変化のもとで長期的に安定的な年金制度をつくっていくということが国民の非常に大きな要望であります。いずれにしましても、給付の水準というのは結局負担によって支えられなければならないわけでございますから、そういう観点から現在の我が国の年金制度を大観いたしますと、やはり長い目で見た場合に、現在の給付の水準というのは負担の水準から見て高きに過ぎるということは否めない事実だと思うわけであります。  したがいまして、今国会に御提案申し上げております厚生年金等の改革案におきましても、一方では基礎年金の導入でございますとか妻の年金権の保障といったようなことも織り込んでございますが、同時にまた、長い目で見ますと、負担との関連において適正な水準に年金の将来の水準を維持していくといいますか、ある程度適正化する、平たく言えば、従来までのような勢いで引き上げを行うことはできないといったような観点からの改正も織り込んであるわけでございまして、公務員等の共済年金制度がそのらち外に置かれるというような生易しい状況ではないのではないか。そういう意味で、将来の共済年金制度の給付の水準につきましても負担との関連において適正なものにとどめられなければならない、そういう意味から慎重な検討を行っていかなければならない、こういうふうに考えております。
  132. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次に、財政調整の問題についてお尋ねをするわけですけれども、昨年秋の年金統合法案によりまして国鉄共済組合に対する財政調整が本年十月から実施されることになっているわけですけれども、その中で、財政調整というのは国家公務員共済連合会並びに学識経験者あるいは各公共企業体の組合の代表者をもって構成する財政調整事業運営委員会を設置して行う、こうなっておりましたけれども、この委員会のメンバーあるいは発足の時期はどうでしょうか。
  133. 保田博

    政府委員(保田博君) 国鉄共済組合財政に対して国家公務員共済組合の連合会並びに電電、専売の各共済組合から財政的な援助をさせていただくというために共済組合法等の統合法案を御審議いただいて、前臨時国会において可決、成立を見たわけでございます。その中では、先生指摘のように、国鉄に対する財政調整、平たく言いますと、財政的な援助のための具体的な仕組み、やり方は長期給付財政調整事業運営委員会を設けてそこで検討するということになっておるわけでございます。この委員会は、学識経験者二名、それから連合会及び国鉄、電電、専売の各企業体の組合を代表する者それぞれ一人、合計六人によって構成するという形になっておりまして、去る四月一日に任命をさせていただいております。たしか五月の九日だったと思いますが、これが第一回の検討のための会議を開催する、こういうことになっております。
  134. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 メンバーは決まったわけですか。
  135. 保田博

    政府委員(保田博君) 学識経験者といたしまして、渡部周治国民金融公庫副総裁、それから橋本司郎朝日新聞編集委員、この二名、それから連合会を代表する者としまして菅沼照夫委員、連合会の常務理事を現在しておられる方であります。それから各公企体を代表する者としまして、中原道朗電電公社厚生局長、岩崎雄一国鉄常務理事、伴内昭彦専売公社職員部長、以上の六人が任命済みでございます。
  136. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 現在、国家公務員の場合は長期掛金として本俸の五・一五%を拠出しているわけですけれども、たまたまことしの十月というのは財政再計算期になっていますし、しかも財政調整の発足の時期とぶつかっているわけですけれども、昨年共済年金の統合法を審議した際に大蔵省は八・五%プラスアルファぐらいの掛金になるのではないかと予想していたわけですけれども、修正率を〇・九から〇・八に落としたものですから若干掛金の率も低くなっているのじゃないかと思いますけれども、現時点で、一つは、財政再計算の結果どの程度の掛金率の引き上げとなるのか、あるいは二番目は、財政調整でどれほどの引き上げとなるのか、三番目は、両者合わせてどの程度の掛金率になるのか、予想としてどのような試算をされておりましょうか。
  137. 保田博

    政府委員(保田博君) 財政再計算の作業を現在行っている段階でございますので、具体的な数値を確実に現在予測してお示しできる段階ではないということをまず御理解をいただきたいと思いますが、現在、我々が持っております数値と申しますか、ある程度の予測を持ちまして実は五十九年度予算を組んでおるわけでございます。  その数値を御報告申し上げますと、まず国家公務員の連合会は千分の十九程度アップして千分の七十・五ぐらいになるのではないか、それから電 電でございますが、千分の十八・五上がって千分の七十程度になるのではないか、専売公社の共済組合は千分の二十七・五程度上がって千分の八十五・五程度に引き上がることになるのではないか、これが通常の財政再計算に伴うであろう引き上げでございます。  それから御質問の第二にございました国鉄に対する財政調整事業に伴い保険料が上がる部分ということにつきましては、財政調整事業の運営委員会が発足したばかりでございますけれども、ここでの検討にまつわけでございますので、これもまた現在予測数値を申し上げるのははばかるわけでございますが、実は我々が昨年成立させていただきました統合法案をつくりますとき、あるいは国会で御審議をいただきますときの参考のために大蔵省で試算した数字は千分の六程度引き上がるのではないか、したがって国共済並びに電電、専売につきましては先ほど申し上げたような千分の六程度上がるということになるのではないかと考えます。  ただ、その場合には保険料率が急激に上がる、それは余りにも酷ではないかという国会での統合法審議段階での御意見等もございましたので、国鉄の共済組合に対する援助のために引き上げられるかもしれない千分の六、これの引き上げは実は五十九年度にはこれを見送って六十年度から施行するというふうなことでいかがであろうか、そういう前提で五十九年度予算を編成いたしております。
  138. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次に、法案に関連しまして若干お伺いしておきますけれども、今回の共済組合法案につきましての国家公務員共済組合審議会の答申を見てみますと、「人勧グループと仲裁グループの給与改定率に差が生じた結果、両グループの新規裁定者の年金水準に差ができ、一方、仲裁グループは、今回の改定が行われても、昨年末の法改正により、年金は期待額に及ばないこととなる。基本的には給与の取扱いとも関連する問題ではあるが、財政再計算と国鉄共済への拠出との関係から一挙に掛金の引上げが予想されるため、組合内部には大きな不満をかもし出しつつある。」という答申の一項目がございますけれども、これはどのように措置される所存でございますか。
  139. 保田博

    政府委員(保田博君) 今回御提案申し上げております共済年金等の年金額の引き上げ法案を国家公務員共済組合審議会で御審議をいただきまして御意見を拝聴した際に、御指摘のような厳しい意見が出されたことは先生指摘のとおりでございます。ただしかしながら、退職前一年間の平均俸給をもって年金額算定の基礎俸給とするというその点は年金制度のまさに基本的なルールにかかわる部分でございますので、この点はいかんとも考え直しようがないということにつきましては国共審の先生方にも御理解をいただいたものというふうに考えておるわけであります。  それから、先ほど答弁申し上げましたように、財政再計算と国鉄共済への拠出との関係から一挙に掛金の引き上げが高くなるということにつきましては、拠出に伴う恐らく上がるであろう千分の六は半年実施を後ろへずらしたということでございます。いずれにしましても、先生の御指摘になりましたような国家公務員等の共済年金制度の持っております新たな問題点といったようなことも六十年改正へ向けての今後の大きな検討課題であろう、その作業の中で勉強させていただきたいというふうに考えております。
  140. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次は、この法律案を見ますと、共済組合法施行前の期間に係るものについては三月分から、それから施行後の期間に係るものについては四月分からそれぞれ年金の額が引き上げられることになっているわけですけれども、これは恩給を参酌しているとはいっても、なぜこのような差を設けたのかということです。特に、国共済の審議会の答申を見ましても、この施行期日の差異を設けたのは「理解に苦しむ。」、こうあるわけですけれども、どうして三月実施にしなかったのか。その点、どのように考えられますか。
  141. 保田博

    政府委員(保田博君) 共済年金額の改定は、従来から恩給における改定措置に倣って、それに準じて実施をしていく。したがいまして、引き上げ率とか実施時期につきましても、従来からそのような措置を講じてきたわけでございます。五十九年度予算編成の際には、恩給については、二年間恩給年額の改定が行われなかったといったようなことから改善時期の繰り上げについての要望が非常に強かったわけでございまして、二年ぶりの改定を一カ月繰り上げて一年十一カ月ぶりの改定にさせていただいたということでございます。  しかしながら、国家公務員共済組合等の場合には、必ずしもそれと歩調を一にするわけにはまいらない事情があるわけでございまして、共済年金額のうちで新法施行以前の恩給期間並びにこれと同じ扱いを受けております旧法期間については、恩給と均衡を図るということから一カ月実施を繰り上げまして三月の実施にしたわけでありますが、新法に係る部分につきましては、一カ月改善時期を繰り上げますと、これが現役の公務員あるいは後世代の公務員の保険料にはね返ってくるといったような事情もございます。現役の公務員給与改定につきましては平均二%といったような厳しい措置がとられておりますので、いたずらにこれらの方々の負担を引き上げるというのもいかがかといったようなことから、我々としていろいろな選択肢のうちから今回御提案申し上げたような案になっておるわけでございます。  一言で言いますと、恩給期間並びにそれに準ずる旧法期間の部分は恩給における改善措置に従って一カ月実施を繰り上げる、しかしその後の部分、新法の部分につきましては、先ほど来申し上げましたような現役の皆さん方の負担の問題、あるいはまた厚生年金年金額の改定が四月であるといったようなことも考えまして、これより仕方がないということでの選択であります。
  142. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 現在の年金額の算出、これに当たりましては一般方式と通年方式の二つの方法があるわけですけれども、恩給に倣いまして共済組合法施行前の期間についてこれを三月実施としますと、通年方式をとってもらっている人たちは何ら関係のない措置だということも言われるわけです。現在、通年方式で年金を受給している人はどの程度の割合になっていますか。
  143. 保田博

    政府委員(保田博君) 五十七年度末における退職年金受給者について見ますと、国共済全体で約五七%でございます。それから五十七年度の新規裁定者につきますと、これは四七%、こういう数字になっております。
  144. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 三月実施にしましても通年方式でもらっている人たちには余り影響ないということは、どのようにお考えになりますか。
  145. 保田博

    政府委員(保田博君) 通年方式といいますのは、厚生年金の定額部分が大幅に引き上げられた際、具体的に年次で申し上げますと、第一次石油ショックの後のインフレの時期に、給与水準も大幅に上がる、物価も上がるといったようなことから厚生年金の定額部分が大幅に引き上げられたわけでございますが、その際に、厚生年金との均衡を考慮いたしまして、共済年金制度につきましては四十九年にこの通年方式が導入されたわけでございます。いわば、それは厚生年金年金額算定方式に準じた計算方式ということでございますので、期間の扱いにつきましても、新法期間でございますとかあるいは恩給期間といったような区別を実はいたしていないわけでございます。  そこで、今回の改定法案におきまする三月実施分については、恩給との均衡を考慮して先ほど申し上げましたような一カ月繰り上げ実施をしたわけでございますが、厚生年金との均衡から導入をされた通年方式について三月実施とすることは、むしろ厚生年金とのバランスからいいますとそちらの方がより至当であるというふうな判断でございます。これを繰り上げるということは、公務員にとってはいいことかもしれませんが、片一方ではまた新たな官民格差を招来するといった批判もあり得るわけでございまして、我々としてはこの選択がベストである、妥当なものである、そういうふうに考えております。
  146. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それから国鉄から年金を受給している人たちは、今回最低保障額を受給している人だけが引き上げられて、そのほかの人たちは増額を行わないことになっているわけですけれども、統合法審議の際、三回ぐらいの年金の増額は我慢してほしい、こういう説明があったわけですが、五十八年、五十九年と二回ストップをしてきた現在ですから、これは本年の人勧にも関連しますが、前の見通しどおり、あと一回ぐらい我慢すればその後の増額が図られる見通しになっているのかどうか、その点お聞きしたいと思うんですが。
  147. 保田博

    政府委員(保田博君) 共済年金改定についての基準というのは、御承知おきのように、国共法第一条にその規定がございます。第一条の二でございますが、「国民の生活水準、国家公務員給与、物価その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情を総合勘案して、すみやかに改定措置を講」じなければならない、これが一般的な規定でございます。しかしながら、昨年成立を見ました統合法におきまして、国共法附則第二十条第三項という規定が設けられておるわけでございます。この国共法の附則第二十条第三項におきましては、国鉄の共済組合が支給している年金額の改定については、先ほど申し上げましたような国共法第一条の二に規定する諸事情のほか次のことを勘案しろと書いてあるわけです。その第一は、国鉄共済組合組合員の長期給付に要する費用の負担の状況、それから長期給付財政調整事業の実施状況、さらには他の公的年金制度における給付水準その他の諸事情を総合勘案して引き上げを行うべきかどうか、引き上げるとすればその幅を決めろ、こういう規定になっておるわけでございます。  その規定を現在の国鉄共済組合財政状況に当てはめますと、先生御承知おきのように、国鉄の共済組合財政状況は非常に逼迫をしておるわけでございまして、昭和六十年度からは年金の支給に支障を来すというような状況にあるわけでございます。したがいまして、昭和六十年からは統合法によりまして長期給付財政調整事業によって国共済、電電、専売の各共済組合から拠出していただいた交付金を年金給付のための非常に大きな財源として期待させていただかざるを得ないといったような状況にあるわけでございまして、国鉄の年金額を引き上げれば、現役の皆さん方の保険料を引き上げるか、あるいは先ほど申し上げました国共済、電電、専売からの拠出金をさらに増額をお願いせざるを得ないといったような状況にあるわけでございます。  片や、国鉄共済の年金額の水準というのは統合法によりまして一応国共済と合わせられましたけれども、既裁定年金については既得権の保障といったようなことが行われておるわけでございまして、年金の水準も必ずしも他の年金に比べて低くはない、むしろ高いといった状況にある。それから国鉄の現役の皆さんの加入しておりまする保険料も非常に高いという状況にあるわけでございまして、それらの事情を考えますと、国鉄の共済組合の給付の水準を引き上げるということは五十九年度についてはもちろん見送りをさせていただくわけでございますが、後何年間そういう状況が続くかどうかわかりませんけれども、現在の段階で六十年度以降こういう措置はとらないで済むと私がここで言えるような状況にはないと思います。いずれにしましても、その辺については発足したばかりの長期給付財政調整事業の運営委員会において御審議をいただき、我々もその御審議参考にしながら今後検討させていただきたい、こういうふうに考えております。
  148. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 今回の提案を見ますと、五十七年度に公企体共済組合法の適用を受けて退職した人は退職手当で三%減額というので、特例として二%の年金額の改定を行うことにしておりますけれども、なぜこれを五十七年度に限ってしまって五十六年度以前としないのか、また五十八年度退職者については今後どのように措置をされるつもりなのか、その点お伺いしたいと思いますが。
  149. 保田博

    政府委員(保田博君) 本年四月から施行されました共済年金の統合法が適用される以前の公企体共済の共済年金は、国家公務員の共済年金に比べまして給付の水準が非常に高い、要件も緩やかであるといったようなことで、国共済に比べて有利な制度になっておったわけでございます。それとの見合いといいますか、それをある程度調整するという観点から実は統合法成立前の公企体の職員退職金については三%の減額措置が講ぜられておったわけでございます。ところが、統合法が施行されるということで本年四月から公企体の共済年金国家公務員共済年金に給付の要件が合わされるということになりましたので、同時に、先ほど申し上げました公企体共済が国共済よりも有利な面がなくなるわけでございますから、その見合いとして行われていた退職金の三%カットという制度が廃止される、こういうことになったわけでございます。  昨年の秋の臨時国会でこの統合法を御審議いただく際に、昔退職した公企体の職員というのは別としまして、例えば五十八年度に公企体を退職した人、五十八年度に退職した人は当然退職金の三%カットが現になされておるわけですが、その有利な扱いが一年だけで終わってしまうというのは余りにもかわいそうじゃないかという御指摘があったわけでございます。そこで、前臨時国会におきまする御審議の際に、その点については今後年金額の改定法を国会に御提出いたします際に法技術的に可能であれば何らかの措置を講じさせていただきたい、こういう大蔵大臣の御答弁をさせていただいたわけでございまして、そういうことを念頭に置いて事務的な作業をやってみたわけでございます。  その結果、三公社についてサンプル調査実施いたしましたところ、平均的に言いますと、昭和五十六年度以前に公企体を退職した人は年金退職金を通じましてほぼ国家公務員と均衡がとれているということでございます。あるいは昔の人は有利な年金をたくさん長い期間にわたって受け取っておるからむしろ有利である、こういうことになったわけであります。五十七年度におきまして公企体を退職した人は、有利な年金が五十七年度あるいは五十八年度と一年半ないし二年しかないとしますと、退職金との関係でその点が不利になるということでございましたので、五十七年度の退職者については今回の年金改定法案において調整措置を講じさせていただいたということでございます。  なお、五十八年度に公企体を退職した人たちにつきましては、同様の措置を恐らく六十年度の共済年金改定法を御提案申し上げるときに同じような措置を講ずることになろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。五十七年度退職者と五十八年度退職者とで扱いが違うということにはしないつもりでございます。
  150. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 共済年金につきましていろいろとお話をお聞きしてきたわけでございますが、本年は財政調整あるいは再計算のときでありますし、いろんな面でまた負担がふえるのじゃないかというそういう状況にもございますし、公務員皆さん方もやはりいろいろな面で不安を持ってみえるのじゃないかと思いますが、先ほどいろいろお話ししましたように、公務員皆さん方の特質に合った年金の改正というのに努力をしていただきたい、こう思います。何と申しましても、大臣、先ほど奥さんから家計簿を見せられたというお話をお聞きしたわけですが、ことしこそは奥さんが家計簿を見せずに喜んでいただけるような、そういう給与改定を必ずこれは実施をしていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。  先ほど最大限努力をというお話もございましたけれども、実際に昨年度は、先ほど同僚委員からの質問の中にもありましたけれども人事院勧告、これが無視されて俸給表改定が行われてしまった、これは異例なことだということでございましたけれども、そのために大臣の所管されている税関関係の労働組合皆さん方からの陳情が来ておりますけれども、旧俸給表を適用すれば本俸月額が十九万九千七百円となる、これは現在の行 (一)六等級十三号の方の昇格の場合ですけれども、これが新俸給表を適用しますと十九万七千百円となってしまうということで、新俸給表を適用するよりも旧俸給表適用の方が本俸月額において有利であるという関係があったということで陳情が参っておりますし、ことしの人事院勧告につきましては俸給表改定については一切これは手をつけないということで大臣からの所見をお伺いしておきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  151. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 人事院勧告でございますから、率直に言って、公式答弁をすれば出た段階で諸般の事情と、こういうことにならざるを得ないわけでありますが、総務長官が昨年の暮れでございましたか、本委員会で発言された重みということは私なりには理解しておるつもりではございます。
  152. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次に、旅費法のことにつきましてお伺いしておきますが、今回旅費法が改正になるわけでございますが、その中で内国旅費改定が五年経過しているわけです、五十四年の改定以来。今回改定されなかった理由は、どのような理由によるのでしょうか。
  153. 的場順三

    政府委員(的場順三君) 御指摘のとおり、今回の旅費法の改定は、外国旅費に係る宿泊料と日当と移転料の改定ということでお願いしております。内国旅費については改定をいたしておりません。  その理由でございますが、一つは、昭和五十四年に改定をいたしまして、外国旅費とのバランスからいきますと、外国旅費昭和五十年に改定されて五十四年の改定を見送っているということとのバランスが一つございます。それから最近の実態を調べてみますと、確かに窮屈になっております。旅費というのは、公務の円滑かつ適正な執行と同時に、やはり経費をできるだけ節減するという意図をも裏に持っておりますので、調べてみますと、窮屈にはなっておりますが、この一両年は特に物価も安定をいたしておりますし、それからビジネスホテルであるとかあるいは各共済の宿泊施設の利用といった各般にわたる工夫をすれば、現行の定額は窮屈ではありますけれどもなお内国旅費については御辛抱いただく余地があるということで、内国族費の定額の改定は見送らしていただいたのでございます。
  154. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 確かに、いろいろとやりくりをされているとは思うんですね。しかし、五年もたっておりますと、これは宿泊費等の諸経費も値上がりしますし、特に最大の経費である交通費なども、国鉄運賃は五十五年以降連続して値上げが行われているわけですから、その中で改定が行われてきていないということは、皆さんが相当なやりくり上手になったか何か知りませんけれども、五十四年の改定というのが大きなサバを読んでいたのじゃないかという向きもあるわけでございますけれども、これは大蔵省、旅費改定する具体的な条件としてどのように定めてみえるわけですか。
  155. 的場順三

    政府委員(的場順三君) 旅費には実は運賃部分と宿泊、日当に相当する部分がございまして、運賃部分につきましては運賃が上がりますと実費を見ております。  それから宿泊、日当につきましてどういう条件が達成されればということでございますが、これは毎年度、予算編成段階ですべての経費についてその額が適当かどうか、当、不当を含め見直しているところでございまして、すべて検討いたしております。宿泊、日当についてどういう条件が達成されれば具体的に改定をするのかという、今その条件というのを具体的な数値等でお示しすることは困難でございますけれども、今年度におきましても、大変窮屈になっているというふうなことについては、実態の調査もしておりますが、ただ、まだ御辛抱いただける余地があるのじゃないか、宿泊場所等について工夫していただく余地があるのではないかということで見送った次第でございます。  それで、今後六十年度以降につきましては、各予算編成段階でこの内国旅費、外国旅費とも含めまして十分に検討して、実態との乖離がどの程度あるかということを含めて、どうしても無理であるという実態が明らかになりました段階改定をお願いするということにさせていただきたいと思っております。
  156. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 今回の外国旅費改定なんですけれども、これが改定されますのは八年ぶりですね。何でこんなに長く据え置いたままだったんですか。
  157. 的場順三

    政府委員(的場順三君) 五十年に実は改定をさせていただきまして八年ぶりの改定でございますが、五十年に改定をしたときの為替レートというのは、実は当時スミソニアンレートでございまして、三百八円でございました。五十四年に内国旅費改定する際に外国旅費もあわせて十分検討したわけでございますが、そのときの為替レートは円高がございまして百九十円ということになっておりまして、同一の円貨で買える外貨の量が六割ぐらいふえたという状態に、非常に幸運な条件が伴ったわけでございますけれども、ございました。したがって、五十四年の改定は見送ったというのが実態でございます。ただ、その後、円安の傾向がやや深まりまして、最近の実態を見てみますと、三百八円というレートに比べれば相当まだ円が高いレートでございますが、総合勘案して今回改定をさしていただいた次第でございます。
  158. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 外務省にお聞きしますけれども、外務省は、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律第七条によりまして、いろいろとそういう調査をして報告されていますね。こういう旅費、宿泊費関係についての実態も調査されているわけですか。
  159. 数原孝憲

    説明員(数原孝憲君) 旅費は、職員が出張するに当たりまして必要な経費を賄うためのものでございます。特に、外国旅費の場合、各地の実態に合わせて随時その見直しが行われ、その結果適正なものとすべきと私どもは考えております。外務省としましても、このような考え方から、従来から全在外公館を通じましてホテルの料金等につきまして各種の調査を行ってきております。  最近では、昭和五十四年、五十六年、五十八年、五十九年、各年度の予算の編成の過程でこのような調査を行ってまいりました。そのほかにも、実際に出張しました者からいろいろなアンケートをとったり、あるいは赴任とか転勤とか、帰朝してまいりました職員を対象に随時調査は行って正確な実態の把握に努めてきております。今後ともこのような調査を行いまして、出張する職員が自分で負担を強いられることのないように、円滑に公務を遂行できるように配慮していきたいと思っております。
  160. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 当然そうあるべきだと思います。  以前にこれは新聞報道されておりましたけれども、そういう海外出張をする際に、旅費を安く上げる必要上から団体の海外旅行団の一員となって出国するようなことが報道されておりましたが、そういった事実はあったんでしょうか。
  161. 数原孝憲

    説明員(数原孝憲君) 実際にそういうことがございました。私どもの場合、団体割引航空券を利用することが比較的しばしばございます。  数字でちょっと申し上げてみますと、昭和五十八年度の外務本省におります者が外国に出張した場合でございますけれども、手持ちの数字で申しますと、約千百名ほどの者が外国に出張しておりますが、それのほぼ三分の一に当たります三百数十名の者が団体割引、パック利用で出張してございます。
  162. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 これは外務省の職員皆さん方がそうしていろいろと苦労しているところでございますけれども、体面上の問題等もあろうかと思いますし、一方におきましては、資料を見ましても国際線の航空運賃も前回改定があってから八回値上げをしているわけですから、やはり何らかの配慮が海外旅費にとっても必要ではなかったかと思うんです。今回それが引き上げをされたわけでございますけれども、今後も定期的にこの実態調査等行いながら速やかに改定を行って、十分にそう いう国際的な活動ができますように大蔵省として配慮してもらいたい、こう思いますが、いかがでしょうか。
  163. 的場順三

    政府委員(的場順三君) 御指摘のとおり、外交活動というのは単に外務省にとどまらず政府全体にとって大変重要でございます。そのために必要な経費については、これはこういう苦しい財政事情ではございますけれども、できる限りの手当てをする必要があるという御指摘はもっともでございます。ただ、そうは申しましても、全体の経費それぞれすべてが重要でございますので、その中で極力体面を崩さない程度に工夫をしていただくということもこれまた大事でございまして、そういう点で工夫はしていただくことになろうかと思いますが、予算編成の時期において検討を十分加えて、必要があれば改定していくということを考えさしていただきたいと思います。
  164. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 大臣いかがですか。
  165. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは一つの話として申し上げますが、実はこの予算編成の前に、およそ私どもとしまして体験上各省でどの辺が問題になるかなと。よく言いますのは、外務省といえば、一番最初はやっぱり定員の問題、それからODAの問題、それから日本語教育とかいうような問題があるわけです、一応整理してみますと。ところが、ことしの場合、安倍外務大臣から私に、閣議の後でございましたが、大臣折衝に外国旅費を持って上がらなきゃいかぬというぐらいおれは本気なんだ、こういう話がありまして、それでその事実認識は、我が省も最近外国出張多うございますから、その実態は私も承知しておりましたが、そうは言っても二人で腰だめで決めるわけにもいかぬじゃないかと。外務省当局でいわゆる実態調査等がなり準備が進んでおりまして、伸び率からいえばODAを超す伸び率になるわけですね、それは金額は別としまして。そうは言ったところで大臣折衝マターでは——それはもとより事の性格上、絶えず我々としてはいろんな工夫を願いながらも、これらはいわば義務的諸経費として、外交活動等を行われる基本のものとして認識していなきゃならぬ問題だからというので、事務折衝、もとより大臣折衝などに持ち上げないで、二人が話し合ったことが今の法律の改正になって出たということを率直に申し上げます。  事ほどさように、外務省もとより、各省ともいろんな工夫をしておられたという事実は私も事実認識として十分いたしておりました。したがって、予算というものはそれは毎年毎年組むものでございますけれども、我が国こそインフレなき持続的成長が続いておりますけれども、それはインフレ率においても諸外国と我が国とは相違もございますし、絶えずこれは念頭に置いていかなきゃならぬ課題だという事実認識は、私としては初めて外国旅費というものに出会ったものですから、それだけに強く印象づけられておることを申し上げておきます。
  166. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 終わります。
  167. 内藤功

    ○内藤功君 国家公務員等共済組合法の一部改正法案に関連しまして、質問をいたしたいと思います。  特に、国鉄の共済組合の問題にまず絞ってお尋ねしたいと思うんですが、その前提として最初にお伺いしたいのは、国鉄の今日の莫大な赤字の問題であります。国鉄だけではどうにも処理されないところへ今追い込まれておる、この点では大蔵大臣もまた国鉄当局も十分に御認識は一致しておると思います。国鉄財政、ひいては国鉄共済年金制度が今日このように悪化して破綻をするようになった主要な原因はいかなる点にあると考えているか、この問題をまずはっきりさせることが必要だと思います。国のお台所を預かっていらっしゃる大蔵大臣からこの点についての御認識の答弁をいただき、引き続いて国鉄の常務理事からもお答えいただくということをまずお願いしたいと思います。
  168. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私は、大正十三年生まれでございます。ちょうど私どもの前後数年のことを想起してみますと、いわば満鉄とか朝鮮鉄道とか、その人々が復員されまして国鉄へお入りになった。まさに戦後における雇用の場とでも申しましょうか、表現が適切かどうかは別として、私は大変な役割をそのときに果たしたものだという事実認識を一つ持っております。  たまたま先般、国内出張しておりましたときに、ある駅の駅長さんが、駅長さんというのは私よりもちょっと年が下ぐらいでございますけれども、あの輸送力というものを国鉄に頼っておった時代に、あごひもを締めて、そしてデッキにつかまってお客さんをおなかで押すようにしてあの輸送力というものの確保のために一生懸命にやった、しかしやめなきゃいかぬ時期に達する今日、本当は共済制度というものが我々の勤務のいかんにかかわらずこういう状態になったことについて不安を感じておったのが、先般国会で法律が通ってこれが大変うれしかったという話を実感として承って、私も年が大体同じぐらいでございますから、何か本当にほろりとしたような感じがいたしたわけであります。  少し前置きが長くなくなってしまいましたが、したがって国鉄が現在のような財政状態に立ち至った基本的原因というものは、ちょうど私は昭和三十九年に内閣官房副長官をやっておりました当時、佐藤内閣ができまして、三十九年から赤字になりました。そのときに、私はこれは冗談で佐藤さんに、鉄道省出身の総理大臣ができたら途端に赤字になったということを申し上げた記憶がございます。やっぱりモータリゼーションを初めとする輸送構造の変化というものが基本的原因としてございますし、そうした国鉄を取り巻く情勢が厳しい状態となったにもかかわらず、従来の経過もありますが、諸般の情勢からそれに対応していくスピーディーな対応、合理化とか減量化とか、いろんな言葉で言われると思いますが、それが十分に行い得なかったということが一つの原因ではないかというふうに思っております。しかし、それは決して経営努力のみで解決したかどうか、こういうことになると、それは私は経営努力さえあれば解決したものだというふうに申し上げるつもりで申したわけではございませんが、大きな基本的原因の中にはそうしたものがあったのではないかという事実認識をいたしておるところであります。
  169. 岩崎雄一

    説明員(岩崎雄一君) 国鉄の年金財政の赤字、それから国鉄本体の赤字、両方の原因についてのお尋ねだったかと思いますが、年金につきましては先ほど大臣からお話もございましたが、他共済からお助けいただくということで大変心苦しく思っておりますが、職員一人一人は今回の法律の成立を大変喜んでおります。大変ありがたいことだというふうに受けとめております。  このような状況になりました原因は、一つは、これは各年金制度共通の問題かもしれませんが、必ずしも給付と負担というものがバランスしていないということが基本にあろうかと思います。国鉄が六十年度以降単独運営は無理だということでございますが、特に早く破綻をする原因の一つは、大臣からもお話がございましたが、戦中戦後の国鉄は当時、国の機関でございまして、戦中戦後の混乱期に雇用政策をみずから遂行したということによります大量の採用職員がちょうど今退職期を迎えておるということが年金者の異常な増加を見ておる一つの原因でございます。  それからもう一つは、御承知のような国鉄本体の経営改善ということで、現在、職員数の縮減というものに取り組んでおりますが、この結果、次第に職員数が減ってきておりまして、過去十年の間に四十数万人から現在三十四万というようなことになっております。結局、年金制度を支える組合員数が減少してきておる、この結果いわゆる分母が小さくなって分子が大きくなってきた、こういうことが大きな年金財政悪化の原因ではないかというように理解をいたしております。  それから国鉄本体というのはなぜ赤字になったのか。年金も本体もということなんでありますけれども、これも大臣がただいま大変温かい御配慮のある発言がございましたが、一つはやはり輸送 構造の変化ということで、輸送構造は道路整備が進み、モータリゼーションがどんどん進んでいく、空港整備も行われる、こういうような環境変化で輸送構造の変化というのが大変急速に進んでまいったわけでありますが、その結果、国鉄が過去の独占的な地位を失って、現在非常に激しい競争下に身を置いておるわけであります。このことが一つであろうと思います。  これに対しまして、国鉄経営各般の面におきまして敏速にそういう変化に対応しなければならなかったわけでありましょうけれども、これが必ずしも十分な対応がし切れずに今日に至った、減量化による経営の重点化ということが施策の面で立ちおくれたということは、これは否定できない事実でございます。  三番目には、その間、当然赤字を生ずるわけでありますから、赤字借り入れをする、また設備投資資金についてもほとんどの部分について借り入れを行う、そういうものに起因する利子負担の増大、それから先ほども少し触れましたが、職員の年齢構成のひずみに起因する退職金の異常膨大、そして年金負担金の異常な増加、構造的という言葉を使わせていただいておりますが、そういう負担が増大したことに大きな原因があるというように考えております。この点につきましては、現在、再建促進特別措置法に基づきまして経営改善計画に取り組んでおる、こういうことでございます。
  170. 内藤功

    ○内藤功君 国鉄の職員の人たちが、明治時代に鉄道が開かれて以来、特に太平洋戦争、それから戦争直後の大変な混乱期、人間と物と両方運ぶ文字どおりの動脈として仕事をずっと果たしてきた役割は、私は非常に大きいと思っております。この点は、先ほど大臣のお話の中にあったところであります。また、今、大臣及び国鉄の常務からそれぞれ赤字の原因について掘り下げたお話がありました。  私は、ちょっと別の角度からお尋ねしてみたいと思います。  さっき竹下大臣のお話にもあった駅長さんだとか、それから駅構内や操車場で働く現場の労働者の人や、あるいは運転士、乗務員の方、こういう現業の国鉄の職員の方にこの赤字の責任があると考えておられますか。
  171. 岩崎雄一

    説明員(岩崎雄一君) 国鉄再建のかぎを握るものは、あくまでやはり国鉄自身の企業努力だというように考えております。基本的に企業努力であるというように考えております。そういう意味で、現在の状況を打開するために全職員が当然力を合わせて努力すべきものである、こういうのが私の考えでございます。
  172. 内藤功

    ○内藤功君 今、答えが非常にはっきりしませんでしたが、私はこういう現場で働く労働省の方にこの赤字の原因はないと思うんですね。  私は、国鉄問題を今までもいろんな委員会でお尋ねしてきましたが、一つは、やっぱり国鉄の今までの設備投資が膨大な借金によってなされてきた。これは国鉄の常務理事も認められたと思うんですね。そして、大きなプロジェクトをやってきた。非常に計画性がない。それから二つ目は、常務理事を前において失礼ですが、国鉄当局の中にある官僚的な体質、それから一部の政治家が自分の利権、利益というものを中心に考えて国鉄というものを利用してきた点はなかったか。こういうところに今日の大きな原因の一半がある。それに何千社と言われる関連企業というものがあって、ここに国鉄の官僚が天下りをする。こういうようなことも、いろんな委員会の論議や、また報道で指摘されているところですね。こういうところにまた一部の政治家の名前が出てくる。私は、率直にこれを言わざるを得ないと思う。そして三番目には、総合交通政策を早くつくれ、モータリゼーションはわかっておるんですから、それにどういうふうに公共交通機関が生き残っていくかということを含めた総合交通政策をつくれと我々も言い、野党も言い、識者も言ったにかかわらずこれがなされていない、交通政策なき状態。こういうものが絡み合って私は財政危機が急速に深化したのだと思うんです。ですから、私が先ほどの御答弁につけ加えて申し上げたいことは、大蔵大臣は鉄道省出身の人が総理になったら赤字がふえたと言いましたが、そういうある一定の総理だけじゃなく、歴代のやっぱり政府の責任が累積してどうにもならぬところに来ている。少し長くなりましたけれども、私はそういうふうに思っておるんです。大臣あるいは常務理事から、この点について改めて伺いたい。
  173. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 佐藤総理はお亡くなりになっておりますし、私、大変指導を仰ぎましたので、その言葉は私が冗談として言ったというふうに受けとめていただきたいと思います。  私は、一番最初指摘された問題は、やっぱり五十七年のときの臨調答申というのも一つ考え方ではなかろうか。一は、まさに、「モータリゼーションを始めとする輸送構造の変化」。二番目に、「国会及び政府の過度の関与、地域住民の過大な要求、管理限界を超えた巨大な企業規模、国鉄自体の企業意識と責任感の喪失などの理由から企業性を発揮できず、いわゆる「親方日の丸」経営といわゆる事態に陥った」。それから三つ目が、「労使関係が不安定で、ヤミ協定、悪慣行の蔓延など職場規律の乱れがあり、合理化が進まず、生産性の低下をもたらした」。四番目が、「収入に比し異常に高い人件費比率、年齢構成のひずみからくる膨大な年金退職金、累積債務に対する巨額な利子負担、等が挙げられる。」。  これは臨調の御答申でございますから、別に学問的に何が何%といって整理されたものではないというふうに思いますが、観念的なこの主張の中で、今読み上げたものについては、そのときなるほどなという印象を受けたことは事実であります。
  174. 内藤功

    ○内藤功君 重点の置きどころについては多少大臣と認識が違うようですが、私の言ったことも今の言葉の中には含まれておるということを耳にいたしました。  そこで、国鉄にお尋ねしますが、今赤字地方交通線をたくさん抱えているのが赤字の原因だと、俗耳に入りやすい議論があるんですが、第一次選定の特定地方交通線及び第二次合わせて七十三線あると思うのですが、これらのローカル線の一番新しいデータで結構ですが、大体何百億円の赤字なんでしょうか。
  175. 岩崎雄一

    説明員(岩崎雄一君) 一次、二次を合わせまして、おっしゃるように七十三線でございまして、五十七年度の赤字は七百八十九億でございます。
  176. 内藤功

    ○内藤功君 国鉄全体の累積赤字、長期債務等から見ますと極めて小さなものだという感じがするんですね。また、事実そうなんです。ここには原因はない。  そうすると、先ほど私は過剰な設備投資ということを挙げましたが、一つ例を挙げれば、きのうの新聞でも報道されておりますが、世界一長い青函トンネルの建設事業費、最終的には一兆一千億円もかかると言われております。運輸大臣の私的諮問機関である青函トンネル問題懇談会が、きのうテレビで見ておったら、答申を出して、鉄道利用以外に方法はないとしながら、しかし国鉄による経営は不可能だと判断をして公的な負担を提言している、こういうことであります。また、開業しても黒字の見通しがないのに建設をしたのが東北新幹線、上越新幹線。この路線だけでも、建設の総工費はそれぞれ二兆八千億円、一兆七千億円余でございます。こういうところに無計画というべきお金を使って、そのツケは運賃の値上げと国鉄の職員のこういう共済の面にかぶさってきているというふうに私は率直に言って認識するわけです。  今国鉄の労働組合とか働いている人はここまで言いたいんですけれども、みんなやっぱり遠慮して言わないんです。どこかで言わなきゃならぬと思いますから、私は国鉄の悪いところはびしびし言いますが、しかしこういうところを考えてみると、今の共済年金の運営の上で余りに国鉄が悪者だというのでここのところに一つのしわ寄せがなされているという面も私は公平に言ってあるのじ ゃないか。去年の統合法、今度の法案の皆さんの説明は全部おなかの中に入れた上でなお私はそういう感を禁じ得ないわけです。こういった点について、働く人たちにこういう年金面の負担を負わせるという点についての私の今申し上げたような感覚、これは間違っているでしょうか。大臣あるいは常務理事に率直にお伺いしたいと思います。
  177. 岩崎雄一

    説明員(岩崎雄一君) 今いろいろな問題が出ましたが、先ほど申し上げました国鉄赤字の原因に立って今後の行き方というものを考えますと、やはり時代を経るに従いまして国鉄の役割というのはおのずから変化をしてきておるわけでありまして、そういうものに合わせた経営の重点化ということが極めて重要な課題ではないかというように考えておるわけです。つまり鉄道としての特性が発揮できる分野に経営を重点化していく、それ以外についてはできるだけ減量化を図っていくということが極めて重要だというように考えております。  先ほどお話のありました地方交通線につきましても、確かに赤字額からいいますと七百八十億ぐらいでございますけれども、この赤字はなかなか収れんをしない赤字だ。鉄道特性を喪失して、いろんな収支改善施策を講じても収支均衡させることは不可能な線区というのが実態でございますので、いつまでも収れんをしない。このほかの特定地交線でない地交線すべてを含めますと、全体の五十七年度の赤字は五千三百億ぐらいになるわけであります。解消しにくい赤字という点から考えますと、国鉄経営再建というのは最終的に収支の均衡を目指しておるということからいえば、たとえ七百八十億といえども国鉄経営にとってあるいは再建にとっては極めて大きな数字であるというように考え、この解消に取り組んでおるわけでございます。  その点、幹線につきましては、赤字額自体は地方交通線より大きいわけでございますけれども、全体の収入規模、経費規模から見ますと、これは収入一に対して一・四ぐらいの経費ということでありますので、今後の経営努力を重ねることによって少なくとも手の届く範囲にある、もちろん一定の政府の助成というのは必要でございますけれども、そのように考えておるわけでございます。それは、先ほど先生の御質問の中にありました事柄に対する私のお答えでございます。  それから、今回の国鉄年金の救済に当たりまして、自助努力は当然に必要だということで、いろんなことを考えております。国鉄本体の負担増というほかに、国鉄共済としては保険料の引き上げ、それから年金者には改定をしばらく停止して我慢をしてもらう、こういうような自助努力を考えておるわけでございます。何といいましても、財政調整というのは他の共済組合からお金をいただいて助けていただくということでありますから、その前提として当然でき得る限りの自助努力をしなければならない、内部的にはなかなか説得を要することでありますけれども、そういう決意をいたしておる次第でございます。
  178. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私は、昨年もここで御審議いただきました際にもしみじみと思っておりましたことは、要は、いわば共済あるいは年金の一元化というものの前提の中における国共済と三公社の共済組合との統合という形の法律案を第一歩として位置づけしておりましたが、その法律自身が提出前に国共審、それから制度審でいろいろ議論がなされました。私も何とか御答申いただきたいということで接触を精力的に自分なりに持ったつもりでございますが、そのとき最終的に感じたのは、国鉄以外の共済の方々の総合した労働連帯というものがとにかく不十分ながら答申という形でいただけたということを、その審議の過程においてつくづく感じたわけであります。そういう連帯というものが理解され、そして本委員会においてもろもろの具体的な問題点が指摘されたものが今度、また将来の問題点として逐次整理されていくという形で進んでいくのではないか、貫かれたものはまさに労働連帯、こういうものであったということを本当に事実認識をしております。
  179. 内藤功

    ○内藤功君 法案の中身について疑問とするところをお尋ねしたいと思います。  国鉄共済年金の掛金は昨年十月に改定されていますが、改定後と改定前の比率を数字で明らかにしていただきたい。
  180. 岩崎雄一

    説明員(岩崎雄一君) 千分比で申し上げまして、千分の七十四が五十八年十月一日に千分の八十七・五になっております。
  181. 内藤功

    ○内藤功君 その千分の八十七・五というのを今度は国鉄職員の一人当たりにしますと、平均して引き上げ額は幾らになりますか。
  182. 岩崎雄一

    説明員(岩崎雄一君) 俸給月額はほぼ二十万円でございますので、二千七百円程度でございます。
  183. 内藤功

    ○内藤功君 昨年の国鉄職員のベアは一人平均幾らでございましたか。
  184. 岩崎雄一

    説明員(岩崎雄一君) 仲裁裁定によるベア率は一・八一%でございます。
  185. 内藤功

    ○内藤功君 三千八百円ですが、このうち二千七百円から八百円が年金の掛金に取られる、こういう計算になります。これではほとんど実質的なベースアップがなされていないということが多くの国鉄職員から訴えられております。ほとんど掛金を納めるためのベースアップではないか、この声に常務理事はどう答えられますか。
  186. 岩崎雄一

    説明員(岩崎雄一君) おっしゃるとおりでございまして、ベースアップとの比較におきましてはベア分は平均すれば千円程度しか上がらない、これに定昇額を加えますと五千五百円程度の昇給、こういうことになるわけでありますが、先ほども申し上げましたように、将来は公的年金というのは統合に向かいますといたしましても、現在まで個別運営の長い歴史があるわけでございまして、そういう関係のもとで他共済から御救済をいただく、資金援助をいただくということを考えますと、国鉄共済としても自力でできる努力というものはできるだけしなければならない、それが世の中の常識のようなことではないかというふうに考えるわけであります。そういう意味で、職員には相応の負担、そして職員だけではなくてOBにも、三年程度と考えておりますが、年金改定をとめることによりまして給付額をできるだけ節減するという形で御協力を願いたい、こういうことで内部をまとめているわけでございます。
  187. 内藤功

    ○内藤功君 もう少し計数的なことですが、国鉄の共済年金の掛金は現在千分の八十七・五ですが、専売公社はどうか、電電公社はどうか、国家公務員一般職の場合はどうか、郵政職員の場合はどうか、大蔵省、この掛金を示してください。
  188. 保田博

    政府委員(保田博君) 年金保険の掛金率でございますが、電電公社は現在千分の五十一・五、専売が千分の五十八、それから連合会、国共済の一般組合員が五十一・五、それから郵政が五十五・五ということになっております。
  189. 内藤功

    ○内藤功君 これだけでも非常に問題でありますが、大蔵省はさらに今年秋改定を考えておられるようですが、どのくらいの改定を考えておるか。
  190. 保田博

    政府委員(保田博君) 国共済の財政再計算期が本年十月に到来をいたします。現在、各共済組合の理事者におきまして、その財政再計算の結果保険料率を幾ら程度引き上げる必要があるかといった作業中でございますので、確たることを申し上げられる段階にはございませんが、一応我々が試算をいたしまして五十九年度予算に組み込んだ数字で申し上げますと、電電は千分の七十、専売が千分の八十五・五、国家公務員の一般組合員が千分の七十・五程度になるということで予算の数字をつくっております。
  191. 内藤功

    ○内藤功君 国鉄の問題に絞って今いろいろお尋ねしたのは、この問題はひとり共済年金だけの問題ではなく、国鉄という国家レベルの交通政策、産業政策、あるいは国の政治のあり方というものすべてにかかわる大きな原因があって、その犠牲になっているのが国鉄職員であります。もとより、国家公務員の側の方々労働連帯の精神でいろいろと御負担、御苦労をかけている、この点は先ほどからの答弁を私は十分知った上での質問であります。私は、そういう点もひとつ今後の年金 政策の中で厳しくやはり考えの中に入れていかなくちゃいかぬと思います。特に、国鉄の今日の膨大な赤字の原因が解明されず、その責任がはっきりされないで、現場でまじめに働く人たちに負担がかけられ、その人たちは遠慮して世間に物も言えないという状況は、ひとつ大臣なり国鉄当局の首脳部の方の頭にしっかり入れていただきたいということを私は要望しておきたいと思うんです。  旅費法の問題がありますので、旅費法に質問を移したい。  まず、内国旅費の宿泊料につきましては、先ほども御質問がありましたので重複を避けてお尋ねしたいと思いますが、前回の改定時から五年間たっておるわけであります。この間に大蔵省のデータでは、宿泊費というものはどのぐらい上昇した、それからいわゆるサービス費というものはどのぐらい上昇しているか、日本の経済社会、世間ではどのくらい上がったと見ていらっしゃるのか。
  192. 的場順三

    政府委員(的場順三君) 旅費の定額を調べます際に、五十四年に決めました内国旅費の定額で宿泊できるかどうかということが一番問題でございます。したがいまして、先ほどのお答えにも申し上げましたように、確かに窮屈になっているのは事実でございますが、例えばビジネスホテルの割安のところができてきている。それから共済等の施設を使わしていただきますと、いわゆる下位等級の方でも足の出るようなことにはなっていない。一般の物価指数から見ますと確かに上昇しておりますし、ただ一両年は安定しておりますが、そういうことを踏まえまして、実費支弁の建前でございますから、窮屈にはなっているけれども工夫のしようではなお国内の出張は足が出るようなことはないということを踏まえて改定を見送ったものでございます。
  193. 内藤功

    ○内藤功君 今私の希望としては、あなたからもう少し数字的なものが欲しかったんです、本当を言うと。  私が言いますと、日銀のこの間の消費者物価指数、全国で見ますと、昭和五十四年一月から五十九年一月までに宿泊費というのは二六%ぐらいアップしているのじゃないでしょうか。これは認められますね。
  194. 的場順三

    政府委員(的場順三君) そういうことでございます。
  195. 内藤功

    ○内藤功君 衆議院で本法案が質疑された際に、大蔵省当局は毎年これは見直しをするのだと答弁しておられるようですが、どういう見直しをするんですか。
  196. 的場順三

    政府委員(的場順三君) 今お答えいたしましたように、予算の編成に携わる者として毎度使っております言葉と、そういう態度予算編成を行っておりますのは、各経費についてその経費の額が適当であるかどうか、単価が適当であるかどうかということを見直すという言葉を使っておりますが、これはいわゆる正確に言いますと検討するということでございます。  検討をするに際しまして、また繰り返しになりますけれども、全体として窮屈になっているという事実はそのとおりでございますが、全体の財政事情から見て、なお我慢していただいて、工夫によって措置できるということで五十九年度は見送ったということでございますから、六十年度以降も予算編成の際に十分検討を加え、実費の制度についてこれではとても運用できないという実態が明らかになりました場合には、また改定をお願いするということにしたいと思っております。
  197. 内藤功

    ○内藤功君 先ほど同僚議員の御質問にもありましたが、一体どのくらいの宿泊費のアップの状態になった場合に改定するのか、その基準がどうもさっきのお答えではないようなお答えだったけれども、これは人事院勧告でも、それから先日、当委員会審議をした皇室経済法にしても、何かそこに一つの基準がある。公務員旅費というのはやっぱり軽く見ちゃいかぬ問題だと思うんです。というのは、内国旅費の五十四年の改定のときは、私の調べたところでは二七%アップしておったんですね、宿泊費はその前に比べると。今二六%。大体上げる時点に来ているんです。そこらあたり基準がないというのか、大体こういう時点になったらやるという内輪の決めがあるのかという点、もう一回お聞きしたい。
  198. 的場順三

    政府委員(的場順三君) 計数的に見まして、平均的な物価の上昇率が何%、あるいは日本全国のホテルの宿泊料の実態が何%上がれば自動的に改定するということにはなかなかできない問題であろうと思います。それは財政状況全体にもよるわけでございまして、これは歳入、歳出のバランスということも大事でございますから、確かに旅費というのは公務の円滑な執行、適正な執行のために必要な経費でございますから、その経費でどんなに工夫をしても公務の執行ができなくなりますと、これは実費支弁という建前からいいましても改定せざるを得ないと思いますが、抽象的な数字の開差が幾らあればということを現段階でお示しするというのは非常に困難でございます。円滑な公務の執行に資するよう工夫と努力をお願いするということを、あわせて述べさしていただきたいと思います。
  199. 内藤功

    ○内藤功君 あるんですか、ないんですか、そういう基準は。
  200. 的場順三

    政府委員(的場順三君) 抽象的な基準はございません。
  201. 内藤功

    ○内藤功君 公務の円滑な執行というお話があったんですが、私、最後に一つ例に出したいのは、国立の試験研究機関で働く研究職の方の学会への出張旅費です。いろんな研究者の専門家がいますが、農林省、通産省、文部省、こういったところは特に多いようです。  これは四月七日のある新聞の報道するところですが、筑波研究学園都市の通産省と農水省系の研究所を中心に調査したところ、通産省系で年間一人平均五万七千円、農水省系が四万九千円かかる。大体こういう方は学会一つだけじゃなくて、二つから三つぐらいの学会に入っている人が多い。これは研究上、当然必要なことだろうと僕も推測しますね。ところが、この半分近くを自己負担している。その上、文部省系以外は公務出張扱いをされないために、休暇をとって出かけるケースが多いというようなことです。それから海外で国際学会が開かれるときなんというのは、アメリカで開かれた物性研究者のゴードンリサーチ会議に、電子技術総合研の研究者は、十四日間の休暇届を出し、五十六万円、私費を使って出席をしたというようなことが報道されております。  また、いろいろこういう機関に働く研究者の方々、博士がいっぱいおるわけですが、こういう人たちからも非常に深刻な状況が訴えられ、私のところにも陳情がございます。  こういった点は、日本の科学技術立国というようなことを考えてみた場合でも、また非常に重要な問題だと思うんです。ここらあたりの、特に多くの研究職を擁する省庁からの実情を大蔵省は聞いておられますか。
  202. 的場順三

    政府委員(的場順三君) 研究者、科学者等の学会出席旅費等の問題については、それぞれ予算編成段階で、各省庁と十分御相談しているところでございます。  御指摘の点、確かにそういう窮屈な点があるというのは私ども承知しておりますが、例えば五十八年度予算にいたしましても、五十九年度予算にいたしましても、まず事務費を節減合理化するということから始めませんと全体の財政再建ができないということでございますから、各省に喜んでいただけ、また各研究者の方々に喜んでいただけるほどの旅費はそれはつけようにもつけようがないというのが実態でございます。その中で、極力各省とも御相談をし、配慮をしていくということについては今後とも十分に相談をして努めていきたいと思いますが、現段階ですべての要望を満たすというのはそれはとても不可能でございますので、御了承いただきたいと思います。
  203. 内藤功

    ○内藤功君 大蔵大臣、今の専門的な研究職の学会等への出張旅費の問題、お聞きになっていただけたと思いますが、大蔵大臣としての所見を伺っ て質問を終わりたいと思います。
  204. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 学会出席旅費の予算計上ということになりますと、公務員まず隗より始めよというようなことからして、公務員全体にかかっておりますところのいわゆる節約ということからいたしますと厳しくなっておると私も思います。しかし、厳しい歳出抑制を行った結果生じたものについては、今の内藤さんの御指摘は私は観念的にもろちん理解できる話でございますが、やっぱりその中でやむを得ない措置として対応していかなきゃならぬ面もあるのではなかろうかというふうに考えております。
  205. 柄谷道一

    柄谷道一君 まず、外国旅費問題でございますが、八年越しの改定というのは遅きに失した感がございますけれども、基本的にはこれに賛成するものでございます。  なお、国内旅費につきましては、既に多くの委員から指摘があったところでございますが、民間においても事務費の合理化というものは、その必要性のチェック、認定、こうしたいわば管理の面を通じてその節減合理化に努めるというのが方向でございまして、出張する者にはそれ相応の処遇をしなければならぬ、こういうことになっていると思うわけでございます。私たちも行政改革は大いに行わねばならぬと思いますが、ちょっと視点を変えた目でこれを見る必要があるのではないか。そういった意味で、明年度はひとつ改定の方向で見直しをしていただくようにこれは冒頭に要望いたしておきたい、こう思います。  そこで、旅費について一点だけお伺いいたしますが、改定案は、総理大臣等が三区分、指定職、及び一般職員については三区分、合わせて七つの区分が行われているわけでございます。それぞれ役職に応じて区分するということは合理性があると思うんですが、ただ随員として上級職の者に随行した場合、これは多くの場合、ホテルも同様であり、同じ食事をとるということも多いわけでございます。そのために一般職の中には、実費支弁といいながら現実には持ち出しを余儀なくされているという声を多く聞くわけでございます。この点に対してどのような配慮をされているのか、お伺いいたします。
  206. 的場順三

    政府委員(的場順三君) 旅費は、確かにその公務の重要性の区分に応じまして、それぞれの職務の重要性に応じて等級を定めておりますので、差がございます。御指摘のとおりでございます。  まず第一に、随行の場合に大変不都合が起こるのではないかという点につきましては、随行の場合、同一のホテルに泊まりましても、ホテルの部屋によって格差がございますので、そこのところは工夫の余地があるのではないかというふうに考えておりますが、現行の法律でもその点についての救済規定がございまして、旅費法の四十六条第二項に、どうしてもこの定額の普通の旅費で不都合な場合には大蔵大臣と協議していただければ別途の措置を講ずることができるように法の規定でなっておりますので、例えば大臣の随行でどうしても一番安い部屋をとっても差がある、早朝から大臣と打ち合わせをする必要があるというふうな場合には、個別に協議をいただければそこのところは救済できるようになっております。  それから外国旅費について持ち出しが多いというのは、今までの定額が低かったということとの関連もあるかと思いますが、その点につきましては平均四〇%、高いところでは、指定都市等では五〇%強の値上げということになっておりますので、一般的にそういう問題は解消されるのではないかというふうに思っております。
  207. 柄谷道一

    柄谷道一君 規定で救済措置があることは私も承知しておるんですけれども、今日までその運用が機に即して弾力的に行われていたかどうかということに一番の問題があるように思うわけでございます。これは実費支弁でございますから、大臣、弾力的に、持ち出しということだけは御善処を願いたいと思うんですが、よろしゅうございますか。
  208. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今も次長からお話がありましたが、例えば私が行きますですね。そうすると、近ごろのことでございますから、飛行機の機上でいろんな会談することがございます。ところが、その場合、私はジャパニーズオンリーでございますから、ちゃんとその随行の秘書官もファーストクラスに乗っていないと国益を損ずる危険性もあるわけでございます。そういう場合、私も聞いてみますと、役所の方できちんとした配慮がしてあるという事実を私なりに知ってやれやれと思ったわけでありますので、御趣旨のいわゆる考え方自身は、私ども自分のことを中心にして考えても理解できる話だと思っております。
  209. 柄谷道一

    柄谷道一君 ぜひ、よろしくきめ細かな配慮をしてやっていただきたい、こう思います。  それから次に、私は、四月十日の予算委員会で、最近大きな社会問題になっております単身赴任の問題を取り上げました。その際、総理、大蔵大臣労働大臣ともに前向きの御答弁をいただきまして、期待しておるところでございます。  人事院にお伺いいたしますが、人事院民間準拠というのがすべての物差しですね。労務行政研究所が、全国八証券市場上場合社約千七百五十社と、資本金五億円以上で従業員五百人以上の主要上場会社約五百五十社、合わせて二千三百社を調査いたしておりますけれども、それによりますと、それらの民間企業の七三・六%が別居手当を支給しておる、そして交通費実費を何らかの形で支給しておるものが四三・一%に達しておる、こういう結果が出ておるわけでございます。そこで、公務員にとりましても単身赴任というのは深刻な問題だろうと思うんですね。この問題について人事院はどうお考えになり、今どういう検討をされているんですか。
  210. 斧誠之助

    政府委員(斧誠之助君) 最初に、民間準拠のことについて申し上げさせていただきたいんですが、民間準拠と申します基本は、水準を民間に合わせる、こういうことでございます。水準の中でどういう配分をしていくか、もしこういう手当を創設するとしますと配分の問題になってくるということでございまして、例えば扶養手当とか通勤手当とか、民間のどこの会社へ行ってもあるようなものはこれは民間に準じて配分をいたしましょうということでやっておるわけでございます。  この異動に伴いまして別居を余儀なくされるという方々、これは非常に最近問題になっておりまして、公務員関係ですと、組織が非常に全国的でありますという関係でもっとひどい状況があるかもしれないということでございます。そういうことで、最近、各省、それから職員団体、そういう方々からも大変熱心な要望がございます。  ただ、この問題は、果たして給与だけで解決がつけられるべき性質の問題であるのかどうか。住居の問題もありましょうし、旅費の問題もありましょうし、そういうようなことでございますので、いろいろな角度から検討しなければなるまい。しかし、私は給与局長として給与の担当でございますので、そういう問題も各省といろいろお話はしたいんですが、給与の角度からもこれは検討しなくてはならないというふうに考えております。ただ、まだ公務員の実態把握まで至っておりませんので、そういうところからおいおい始めたいと思っておるところでございます。
  211. 柄谷道一

    柄谷道一君 総理府職員を統括する立場にあるわけですね。公務員が安んじて公務に精励できるためにこれは、看過できない一つの問題点であろう、こう思います。人事院と十分連携をとって、速やかに民間の実態を把握し、公務員として公務員制度の中にこれをどういう形で織り込むべきか、その形態とか水準とかは別にしても、全然配慮がないということは問題ではなかろうか、こう思うんですが、総理府はいかがですか。
  212. 吉田忠明

    政府委員吉田忠明君) 先生の御質問を整理しますと、単身赴任の問題の人事管理上の問題はどうかということではないかと思います。単身赴任の問題を人事管理上の問題ということで抽象的に整理しますと、大きく言って二つの問題があるのじゃないか。  一つの問題は、任用等の問題で、単身赴任が発生しないような運用といいますか、そういうこと が可能かどうか、こういう任用面等の問題が第一の問題であるのじゃないかと思います。しかし、この問題につきましては、職員それぞれのいろんな事情がございますし、それから公務上の要請という問題も一面ございまして、単身赴任の発生を抑えるということはこれはまず現実的には無理じゃないか、こういうような感じでございます。  そこで、第二の問題としましては、そういうことでやむを得ず発生します単身赴任にどういう人事管理上の配慮をしていくかという問題であろう、このように整理をしております。そこで、その問題には、今、先生の御指摘のような手当の問題とか、それから先ほど人事院の方からも御指摘ございました住宅の問題とか、いろんな問題がその中に含まれるのじゃないか、このように思っております。  そこで、総理府としましては、私どもが主催しております各省の人事担当課長をメンバーとします人事管理官会議というのが毎月二回開催されております。そういうような席を通じまして、各省庁の人事担当者と十分な打ち合わせをしながら勉強を進めて、先ほど先生の御指摘にもございましたような人事院との連絡、協調も今後とも十分図っていきたい、このように考えております。
  213. 柄谷道一

    柄谷道一君 これは従来見落とされておった点ではないかと思いますので、ひとつ何分の積極的御検討を期待いたしますと同時に、大蔵大臣にもこうした問題を念頭に入れていただきまして、国務大臣としてもまた御善処を賜りたい。要望いたしておきます。  そこで、共済に入りますが、政府では去る二月二十四日、公的年金制度関係閣僚懇談会を開きまして、同日、引き続き閣議決定が行われたと承知いたしております。それは、六十年に公務員などの共済年金に基礎年金を導入する制度改正を行うこと。第二には、その上で六十一年度から厚生、国民、共済、各年金に基礎年金実施すること。第三に、六十一年度以降は給付と負担の両面において制度的調整を進めること。そして第四に、公的年金制度全体の一元化を昭和七十年度をめどに完了させること。以上、四点が主たる柱であると理解いたしますが、そのとおりでございますか。
  214. 竹下登

    国務大臣竹下登君) そのとおりでございます。
  215. 柄谷道一

    柄谷道一君 ということになりますと、当然、次期通常国会に共済年金法の改正法案が提出をされると理解してよろしゅうございますか。
  216. 保田博

    政府委員(保田博君) 御理解のとおりでございます。  目下、鋭意、予想される問題点、それから検討課題を洗い出しまして、部内での検討を始めておるところでございます。
  217. 柄谷道一

    柄谷道一君 厚生年金の場合は、従来、定額部分と報酬比例部分とに分かれておりましたので、比較的基礎年金構想を取り入れる素地があったと言えるわけでございますが、共済年金に関しては、これは初めての試みであり、新しい体系への大変更に通ずる問題であろう、こう思うわけでございます。それらの問題点の調整は大変難しいと思いますが、どういう機関で調整を図ろうとされるわけでございますか。
  218. 保田博

    政府委員(保田博君) 先生指摘のとおり、共済年金制度始まって以来の大改正になるわけでございます。したがいまして、我々の方では、現在、学識経験者と、関係します各省庁の実務者等に集まっていただきまして、先月末、共済年金制度改革のための構想を検討する委員会を発足させました。現在、一週間に一回程度の濃密なペースで、先ほど申し上げましたような問題点、検討課題の洗い直しから、それらについての大まかな改正の方向の検討に入った。そのタイミングの目標としましては、その検討委員会の取りまとめを一応九月末あるいは十月末程度予定いたしております。それらの検討を終えました後に、大改革のための骨子を決める国共審、さらには制度審等にお諮りをいたしました上で、明年の通常国会には提出をさせていただきたい、こういうタイミングで作業を進めております。
  219. 柄谷道一

    柄谷道一君 大改革でありますだけに、そのような方向での検討はもちろん必要でございますけれども、加入者の合意と納得を得るということが極めて重要であろうと思うわけでございます。我我も全年金に共通する基礎年金構想というものを推進する立場に立ってきたものでございますけれども、しかし理解、納得が不十分である場合、再び問題を惹起しかねない、こう思いますが、その点に対して、大臣、十分な御配慮はされますね。
  220. 保田博

    政府委員(保田博君) 組合員等の利害対立といったような面が非常に際立つという場面が当然予想されるわけでございますが、大局的な見地からやはり大きなコンセンサスを得ながら作業を進めていくということになるわけでございます。学識経験者その他、組合の関係者等の御意見を聞く審議会等もございますので、それらの場を大いに活用して立派な改革案づくりに努めたい、こういうふうに考えております。
  221. 柄谷道一

    柄谷道一君 厚生省では、昨年五月、二十一世紀の年金に関する有識者調査結果を発表しておられます。その調査結果の特徴的なことは、回答者の約七割が年金の一元化について支持をし、その一元化の必要性をまず第一に取り上げておりますのは、制度間の格差解消という視点でございます。制度間の格差、とりわけ官民格差の解消は年金一元化の必要条件になってくる、こう思うわけでございますが、大臣はこの問題について基本的にどのような御認識をお持ちでございますか。
  222. 保田博

    政府委員(保田博君) 現在の我が国の公的年金制度は七つの制度に分立しておるわけでございます。それぞれ古い歴史的な沿革、経緯もございます。給付や負担の間にも差異がございますし、制度間の調整も十全ではないといった御指摘があることは当然でありまして、我々もそういう事実があることはよく認識をいたしておるわけでございます。ただし、給付の面あるいは負担の面でもございますけれども、そのどの部分が官民格差であるのかといった点につきましては非常になかなか難しい面がございます。  御承知おきのように、共済年金制度は、社会保障制度の一環としての面と国家公務員制度の一環としての側面も持っておるわけでございまして、それらのいろいろな複雑な要請を取り込んだ年金制度でございますので、年金制度間の有利不利を比較することは共済年金の場合さらにまた難しいということになっております。しかし、いずれにいたしましても、先ほど来申し上げております六十年度の共済法改正に向けまして、各方面からの御意見を拝聴しながら大きなコンセンサスづくりに努めてまいりたい、そのコンセンサスに沿った年金制度の改革案を御提案申し上げたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  223. 柄谷道一

    柄谷道一君 来年は基礎年金の導入でございますから、これは共済サイドだけでも厚年の基礎年金とにらみ合わせながら作業ができると思うんですが、今度は六十一年以降の双方の調整ということになりますといろいろの問題が発生するわけでございます。これはまだ検討段階であると思いますので明確な答弁はできないと思うんですが、基本的な方向についてお示し願えればと思います。  まず、厚生省にお伺いしますが、支給開始年齢は、厚生年金は六十歳でございます。ところが、共済年金の支給開始年齢は、五十四年の改正によって六十歳に引き上げられまして、ここで統一が図られましたが、今経過期間中でございまして、六十歳が全面化するのは七十五年からでございます。したがって、閣議決定による七十年一元化といいましても、現実的には五年間この面において差が生まれてくる。これは現行法上当然のことになるんですが、しかしこの間、仮に厚生年金の支給開始年齢を再び引き上げるということになりますと、一元化に逆行し、両保険間の不均衡がさらに拡大する、こういう結果になります。簡単にお答えいただきたいんですが、昭和七十五年が一元化の時期ですね、閣議決定は。それまでは厚生年金の支給開始年齢はいじられませんですね。
  224. 山口剛彦

    説明員(山口剛彦君) 支給開始年齢の問題につきましては、私どもの基本的な認識としては、今 後の高齢化社会の到来を控えておりますので避けて通れない課題だというふうに考えておりますが、審議会等の御意見でも現在の雇用情勢を考えるとなお時期尚早だという御指摘がございますので、今回手をつけておりません。今後どうするかという点につきましては、これからの雇用環境の整備の状況等を勘案して判断をしていくことになると思いますが、その際には、先生指摘のように、当然公的年金制度全体の整合性を図るという観点が必要だと思いますので、いつまでにどうこうという判断は現在いたしておりませんけれども、そういう状況を総合的に勘案いたしまして判断をしていきたいというふうに考えております。
  225. 柄谷道一

    柄谷道一君 大臣、将来、支給開始年齢の問題を検討する場合、二つの視点が要るわけです。一つは、年金財政上、高齢化社会の到来に対してどうするか、この視点であります。もう一つの視点は、昭和七十五年になってやっと支給開始年齢が一元化される、その官民の支給開始年齢の調整をどうして行い、その整合性をどう持たしていくか。この二つの視点がそろわないと、一方だけをただ財政的視点だけでいじっていくということになると片方の原則がより乖離する、こういうふうに私は思うんです。大臣の御認識も同様でございますか。
  226. 保田博

    政府委員(保田博君) 御指摘のとおりでございます。二つのそういう御要請を念頭に置きながら、この問題についても今後の検討を進めていきたいと思っております。国家公務員につきましては、六十年定年制が実施をされるわけでもございますし、そういう雇用の問題、あるいは老後の生活安定の問題、雇用設計の問題、さまざまな要請ございますが、それらも総合勘案して制度をつくっていきたい、こう思います。
  227. 柄谷道一

    柄谷道一君 この点に対しましても、官民の間の整合性というものを今後十分に念頭に置いての大蔵行政というものを進めていただきたい。これは要望いたしておきます。  次に、厚生年金保険の修正率でございます。すなわち、修正率とは、平準保険料率と法定保険料率の対比でございますけれども、厚生年金の場合を見ますと、昭和三十五年の八一%から漸減いたしまして、昭和五十五年には五〇・二%になっているわけです。これは公務員共済の修正率と大きな違いがあるわけでございます。これは両省にお伺いいたしますが、今後どのように対処されようとするわけですか。
  228. 保田博

    政府委員(保田博君) 年金財政の長期にわたる健全性といった観点、それから年金の負担の世代間の公平性確保といった観点からいたしますと、修正率はできるだけ高い方がいいといいますか、何をもって高い、低いと言うかあれですが、修正は加えない方がいいのだ、そういうふうに思うわけであります。しかしながら、厚生年金と共済年金では、それぞれの制度の沿革、財政状況の相違、積立金の多寡といったような差異がございますので、先生指摘のような修正率の差は現実の問題としては存在する、これは否定できないわけでございます。しかし、いずれにしましても、六十一年度以降は各年金制度の給付と負担の両面にわたりまして制度の調整を進め、七十年の一元化に向けて調整作業を進めていくわけでございますから、その段階でこの負担の問題、その中には当然この修正率の問題も入りますから、その段階で修正率をどの程度に調整していくかということも検討される、こういうことになります。
  229. 山口剛彦

    説明員(山口剛彦君) 厚生年金の保険料を設定いたしますときに、私どもの基本的な考え方としましては、将来に向かって急激な負担増になってはならない、それから世代間にできるだけ公平なものでなければならないという視点に立ちまして、将来に向けて段階的に保険料を上げていくという考え方をとっているわけでございますが、実際の保険料もそういう方針で決めておるわけでございますけれども、今御指摘にございました平準保険料率、これは先生御承知のとおり、賃金、物価等の変動がないいわば静態的な経済を前提にして計算をして出てきた数字でございますので、私ども保険料を具体的に設定するときに平準保険料の何割が適当かということを必ずしも保険料を決定する際の指標にはいたしておりません。そういう意味で、年金財政の健全性等を判断する場合の一つの指標ではあると思いますけれども、実際の保険料を定めるときに、私どもは冒頭に申し上げましたようなことを基本にして定めておるということでございます。
  230. 柄谷道一

    柄谷道一君 財政を預かる大蔵省としては、なるべく早く、修正率はなるべく高く、これは当然のことそう思われると思うんですけれども、これも今厚生省が言いましたように、やはり激変緩和という措置からもいろんな工夫が行われているわけでございまして、ただ数字だけを並べる、そして機械的に両方の修正率を合わせていくということになりますと、これは激変が予想されるわけです。これは相当長い期間をかけての経過措置が必要であるということだけを本日の場合は指摘いたしておきたい、こう思います。  私の質問、全部言いますと二時間ぐらいの質問材料があるわけで、全部聞こうと思ったんですが、あと十分ぐらいになりました。  そこで、違いの問題点だけ私、指摘をしておきたいと思うんですが、例えば基礎給与のあり方につきましても、被用者年金たる厚生年金は全期間の平均標準報酬を基礎給与としていることに対して、共済年金の場合は退職時前一年間の本俸比例方式と通年方式のいずれかを選択する、これも大きな違いがございます。  さらに、体系からいたしましても、共済年金額は世帯類型別に分化されておりません。単身者でも有配偶者でも年金額は同一でございますが、厚生年金の場合は二十九年改正、五十五年改正でいわゆる加給年金方式をとって、逐次世帯類型別の実質的な給付水準の分化に向かって大きく踏み出しております。この調整も重要な問題の一つであろうと思います。  さらに、重複給付の問題につきましても、共済年金と厚生年金の場合、多くの重大な違いがございます。  また、退職要件につきましても、型式上はその保険集団から脱退した場合、こういうことになっておりますけれども、しかし公務員から民間へというのが一般的であるにかかわらず、一般から公務員へということはまずないわけでございますから、したがってこの退職要件の実質的な違いが年金つき再就職という民間の批判になってはね返ってきておる、これも重要な課題でございます。  さらに、在職老齢年金制度につきましても、例えば六十五歳未満の場合、厚生年金では月収が九万四千円の場合は二割の年金額カット、月収が十五万四千円を超えると八割の年金額がカットされるという形に対して、共済年金の場合は、六百万円を超え、年金額は百二十万を超えた部分の半分ということでございますから、六百万円を超えて、年金額は百五十万円の場合を仮定しますと、カット額は年十五万円、在職老齢年金のカットの内容についても大きな差がございます。  時間の関係で譲りますけれども、その他、民間における企業年金の実態と共済組合企業年金的性格の調整の問題や、官民の退職金の実態と年金の関連の分析の問題、このように数多くの問題を抱えていると思うわけでございます。  したがって、これは大蔵大臣にお伺いしますが、年金担当大臣は厚生大臣でございますけれども審議会は国共審と社会保険審議会の年金部会とに分かれているわけですね。これを統合して、より専門的に分析をし、両者の合意点を求めるという機構を工夫しなければ、なかなかこれらの問題の解決は難しいと思うわけでございますが、今後そういう配慮を持って臨まれますか。
  231. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 確かに、年金担当大臣を置くということで、今、渡部国務大臣年金担当大臣であるわけであります。したがって、そのもとで、まさに大作業でございますが、ただ、今、柄谷先生のおっしゃったこと、私は現段階においてやっぱり国共審、制度審、それぞれの形で機能しておると思います。したがって、いきなりその 統合というようなことには、にわかに私もそうでございますと言うだけの自信はもちろんございません。だが、専門家の皆さん方意見、各方面の意見を聞きながら対応しなきゃならぬその仕組みの一つとして、きょうのところ、将来の問題になりますが、私がお答えするのが適当かどうか別といたしまして、年金担当大臣もおるわけでございますから、勉強課題として受けとめさしていただくということで御勘弁をいただきたいと思います。
  232. 柄谷道一

    柄谷道一君 従来、ともすれば共済関係のデータは十分公開されていないうらみがございます。厚生大臣が年金担当大臣になったということでございますけれども、私が厚生省に実態を聞いてみましても、共済年金の担当は大蔵省で、厚生省は調整役であるという姿勢がうかがわれます。例えば年金財政の将来設計に当たって必要不可欠の資料は、全加入者の平均加入年数が将来何年になるか、この数値をつかまなければ年金設計もできないわけでございます。たびたび資料を要求しておりますけれども、どういう理由か大蔵省は出してくれません。きょうは具体的な資料の名前を言うことは差し控えますけれども、将来、年金統合化に向かって我々野党が真剣にその方向を求めるというために必要な資料は、これは国家機密でも何でもないわけですから、しかも統合の方向が明確になっておるわけですから、積極的に御提示を願って、これは与野党挙げての統合化に向けての検討というものが必要ではないか、こう思うわけでございます。一般論でございますけれども、大臣、そのような便宜を図っていただけますでしょうか。
  233. 保田博

    政府委員(保田博君) 共済関係のデータが余り公開されていないではないかという御指摘、もっともな点があると思うわけでございます。共済組合は、その性格が、広く一般国民を対象とするものではない、国家公務員等組合員を対象としたものだといった観点から、従来、その制度のPR等はいわば組合員向けのものに重点が置かれておって、一般的な公開といった点では確かに御指摘のようなところがあると思います。しかし、これまた先生の御指摘のとおり、公的年金制度全体を一元化するその方向に向かって各方面の御意見を伺うということでございますので、先生の御要望には極力沿うべく努力をさせていただきたい、こういうふうに考えております。
  234. 柄谷道一

    柄谷道一君 これも要望でございますが、今後一元化を考えていく場合、これは今井一男さんが提出した今井メモに書かれているんですが、現在の共済年金は、厚生年金の代行的役割と企業年金的役割と事業主の福利施設の代行的役割、この三者を合体したものが現在の共済年金の骨組みである、よって、今後年金一元化というものを考えるためには、もう一度、この境界線が現在不明確であるので、これは非常に難しい問題でございますけれども、この問題を解いていかない限り年金統合はあり得ないという鋭い指摘でございます。私は、何回も取り上げましたが、まだ手がつけられていないのではないか、今後の検討の中でこうした問題もやはり詰めていかないと今後重大な支障になるのではないか、この点は指摘だけをいたしておきます。  最後に、両省にお伺いしたいんですが、年金の国庫負担を四分の一カットすることなどを決めましたいわゆる行革特例法は、五十九年度で期限切れになります。また、一部にはこれを延長するということも報ぜられております。それは事実かどうか。そして、それが事実とすれば、年金財政への今後の影響をどう見るのか。すなわち、将来の返済額は巨額に及びまして、のど元過ぎればという結果を醸し出さないかと憂えます。この点に対する両省の考えを伺いまして、私の質問を終わります。
  235. 山口剛彦

    説明員(山口剛彦君) 行革関連特例法は五十九年までの特例措置を定めたものでございますので、五十九年度以降は本来の国庫負担の規定どおりに戻るというふうに私どもは認識をいたしております。
  236. 保田博

    政府委員(保田博君) 今後の年金財政、それから国家財政を考える上で非常に大きな問題点であろうかと思います。現在の行革関連特例法における規定は、先ほど厚生省当局から御説明をしたとおりであろうと思います。  五十九年度というのは何かと申しますと、五十九年度までには特例公債依存から脱却するということをこの法律制定当時の方針としていたといったこともあったわけであります。残念ながら、財政再建、財政改革がややテンポがおくれておりまして、その特例公債依存体質から脱却するという目標、努力目標ですが、これが六十五年度になったわけであります。そのことと借り入れた四分の一をどう返していくかという問題は、必ずしも直結するものであるというふうには理解いたしておりません。ただ、金額としても非常に大きいわけでございますから、六十年度以降の財政改革をどのようにするかといった観点も含めまして、今後政府部内において、財政状況でございますとか、社会経済情勢、あるいは年金財政の将来といったものを総合的に勘案して検討しなければならない、こういうふうに考えております。現在、方針を決めたということではございません。
  237. 柄谷道一

    柄谷道一君 時間が参りましたので、これは私の意見として申し上げておきますが、臨調の答申にも、ただ財政の技術的操作で問題を一時的に糊塗してはならない、これは強く指摘されておるところでございますから、この特例法を便宜的に使って、財政のつじつまを合わせるということだけは絶対に避けてもらいたい、このことを申し上げまして質問を終わります。
  238. 前島英三郎

    前島英三郎君 時間も大分経過しておりますが、最後になります。  初めに、共済年金の額の改定に関する法律の改正案につきまして質問をしてみたいと思います。  五十七年度の人勧凍結、五十八年度のわずか二%の公務員給与改定、これらに伴って年金の方も昨年度の改定はなく、また本年度におきましても二%の引き上げにとどまっていることは、私も甚だ残念に思う者の一人であります。  さて、共済年金につきましては昨年その統合が図られたところでありますが、今後、さらに厚生年金、国民年金との統合へ向かう途上にあると理解しているわけであります。きょうも、その辺は同僚委員からいろいろと質疑応答がなされておりますが、そこで年金制度の改革の手順についてお尋ねをしたいと思うんですが、きょうは大蔵大臣がお見えですので、共済年金の改革に絞って質問をさせていただきます。  本年二月二十四日の閣議決定によりますと、まず一として、国民年金、厚生年金、船員保険について述べ、続いて、二として、共済年金について「昭和六十年においては、共済年金について、上記の基礎年金の導入を図る等の改革の趣旨に沿った制度改正を行う。」、こういうぐあいになっております。  まず、伺いたいんですけれども、一は五十九年度において行い、二については六十年度である、しかし実施はともに六十一年度となっているわけでございます。共済年金の改革を一年後にした理由というのはどの辺にあるのでしょうか、伺いたいと思います。
  239. 保田博

    政府委員(保田博君) 今回の年金制度の改革は、国民年金、厚生年金等にとっても大改革でございますが、同時に、共済年金制度にとりましても大変な大改革であるわけであります。これらの年金制度それぞれ非常に長い沿革と歴史を持って給付、負担の両面において差がある、あるいは制度間の調整も十全でないといったようなことでございますが、これらの制度を将来の一元化に向けて改革をする際に、全制度を一度にやる方法ももちろんあろうかと思うわけですが、さはさりながら、現実問題としてこれはなかなか大変難しいわけでございます。  そこで政府は、二月二十四日の閣議で御決定をいただきましたように、五十九年度におきましては国民の九割をカバーする大年金制度であります厚生年金、国民年金を中心として、基礎年金の導 入をする、あるいは報酬比例年金をその上に乗せるという二階建ての年金制度を導入する、あるいは妻の年金制度を確立するといったような改正をするということで、今度の国会に法案を提出しておるわけでございます。  共済年金を同じテンポで改革する案をつくるということももちろん不可能ではございませんが、政府としましては、この五十九年度につくられる法律、厚年と国年の大きな改革の方向を前提として、大きい部分ではその方向に従った制度改正をしたい、そういうことで具体案をつくることについては一年間のずれがございます。しかし、いずれにしましても、六十年の通常国会には共済年金制度改革の法案を御提出いたしまして、若干の準備期間を置きました後、実施は六十一年の四月ということでテンポを合わせるということが現実的なのではないか、こういうふうに考えておるわけであります。
  240. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今、保田次長から申し上げましたとおり、私どもは、国共済とそれから三公社年金の去年お願いしたのがこれが第一着手だった。これにはもう一つ別な国鉄の救済という問題もございましたが、しかしあれが第一着手であった。そうすると、今度はやっぱり九割をカバーするものでここで柱ができて、そうしますと、今度は共済になりますと、公務員の独自性、いろんな問題が出まして、それを今からかかって何とか次の通常国会までには成案を得て提出して、したがって六十一年度同時スタートというのがいろんな角度から考えた今の場合のベターなスケジュールではないか、最終的には内閣一体の責任で判断をした、こういうことでございます。
  241. 前島英三郎

    前島英三郎君 そのために共済年金改革の検討をやるのだというやりとりを先ほど伺ったのですけれども、それは九月ごろまでには一定の原案をつくるのだという話も伺ったわけですけれども、今後検討するのですから検討してみなければわからないという面も私はあるのじゃなかろうかというような不安も若干、きょうやりとりを聞いておりまして、抱いたわけでございますけれども、ちょっと立ち入って質問したいのですが、基本的なあり方として、今国会に提出されている国民年金法等の改正案、すなわち国年、厚年の共通の基礎年金の導入、あるいは婦人の年金権の確立、さらには障害年金の充実といった内容、いずれもこの検討の対象となる、こういうことで理解してよろしいんですか。
  242. 保田博

    政府委員(保田博君) そのとおりでございます。
  243. 前島英三郎

    前島英三郎君 共済年金のうち旧国家公務員共済の場合、障害年金に公務中、公務外といった区分がございます。そして一方では、公務中の災害に関しては国家公務員災害補償法というのがございます。公務中の災害について年金と災害補償の給付がダブった場合の調整の規定もあるようですが、このあたりは何となくすっきりしないものを私は感じております。民間の場合は、業務中のものは労災で見ておりますけれども、厚生年金の障害年金は、業務中、業務外の区別はございません。共済年金の場合は、何か歴史の中の古いしっぽを引きずっているように思えてならないわけであります。  統合後の共済年金の中でも、国家公務員と公共企業職員とアンバランスが残されたままというのも何となく不都合ではないかとも私は思っております。公務の特別性とでもいいますか、その責任の重さと同時に、さまざまな面での拘束性のもとで公務についている、こういう面を制度の中にいかにして反映させるか、そういう配慮が要らないと言っているわけじゃないんですけれども、共済年金の中に何か異質なものが入り込んでいるような姿、それを今回の改革の中で整理していったらよいのじゃないかというようなことを感ずるんですけれども、その辺はいかがでございましょうか。
  244. 保田博

    政府委員(保田博君) 共済年金制度といいますのは、厚生年金のような一般的な所得保障、社会保障制度の一環という面ももちろんあるわけでございますけれども、古くは恩給制度に淵源を持っておりまして、現在の制度公務員の特殊性にかんがみまするいろいろな特殊性を持っておるわけでございます。国家公務員制度あるいは公企体の職員制度の特殊性に基づくものであります。したがって、今後の共済年金制度の改革案をつくりますときに、先ほど申し上げました二番目の部分、国家公務員制度の一環としての側面をどのように扱うかということも非常に大きな検討の課題になるわけであります。私は、もちろん今後、皆さん方の御意見を伺いながら検討されるべき課題だとは思いますけれども、感触としまして、やっぱり国家公務員制度の一環としての側面を無視するわけにはいかないのだと思います。しかし、他方ではまた、現在の共済年金制度に加えられておりまする官民格差論、そういう立場からの御批判もあろうかと思いますので、それらとの妥協点といいますか、まあこの辺でといったようなところのコンセンサスをどの辺に求めるかといったことではないかと思います。今後、各方面の御意見を聞きながら検討させていただきたい、そういう課題だと認識をいたしております。
  245. 前島英三郎

    前島英三郎君 衆議院大蔵委員会では、「共済年金への基礎年金制度導入等に当たっては、共済年金制度の沿革、性格をふまえ検討すること。」という附帯決議がつけられたそうですが、沿革を踏まえるということは沿革に縛られるということではないはずであろう、こんなふうにも私は考えるんですが、その辺も整理されたらいいのじゃないかと提案をしておきます。  さて、国家公務員共済組合審議会の答申、ことし二月十日付の答申なんですが、問題点の指摘をしておりまして、その一を見ますと、「施行期日の間に差異を設けたことも理解に苦しむ。」と書いてありまして、私もこの理解に苦しんでいた一人でございます。恩給法の審議も後日、当委員会でなされるわけですけれども、本日は、ただ一点、施行期日に差異を設けた理由、この辺を質問しておきたいと思うんですが、私も重要な判断の材料になりますので、ひとつ明快な御答弁をいただければと思うんですけれども
  246. 保田博

    政府委員(保田博君) 共済年金額の改定は、従来から恩給における改定措置に倣って実施の時期あるいは引き上げの率等を実施してきたわけでございます。恩給の改定措置は、前年度の国家公務員給与の改善内容に準じて実施をするという、これまた慣行があるわけでございます。ただ、五十九年度の恩給とかあるいは厚生年金改定実施の時期につきましては、先ほど先生指摘のとおり、恩給についてはその実施を一カ月繰り上げる。それはどうしてであるかということですが、御承知おきのような財政事情でもございますし、あるいは国家公務員給与改定が五十七年度には見送られたといったようなことから、恩給の改善は五十八年度には行われなかったわけであります。いわば二年ぶりの恩給の改善でございますので何とかその実施時期を早めてくれないかという要望もだしがたく、気は心といいますか、一月だけ繰り上げさせていただいて、一年十一カ月ぶりの改定ということに実はなったわけでございます。  ただし、その場合に、国共済の年金あるいは公企体共済の年金についてどう扱うかという残された問題があるわけでございますが、これらのうち、恩給期間あるいはこれと従来とも同じ扱いをしてまいりました旧令共済それから旧法期間につきましては、恩給の受給者との均衡を考えまして一カ月これを繰り上げたわけであります。これにつきましては、その一カ月繰り上げの費用は国あるいは公社といったような公経済が負担をするということで、組合員の負担にもならないといったようなことも勘案したわけであります。  しかしながら、共済年金の新法期間は、社会保険方式によりまして公経済負担にかかわる部分を除くほとんどは事業主と現役のサラリーマンの保険料の拠出によるわけでございます。この現役の被保険者の給与は、御承知おきのようなことでその引き上げについて抑制がなされております。ま た、改善が多少とも過度にわたるというような場合には後世代の負担にもなるといったようなことから、現役サラリーマンとのバランスも考えなければならない。さらにまた、厚生年金につきましてもその年金額の改定は四月から行われるわけでございますから、それとのバランスも考えなければならない。でありますので、新法期間をも四月に繰り上げるということは官民格差論からの御批判もあろうかといったようなことから、あれを考えこれを考えた末、こういう案を作成してお持ちをしたような次第でございます。
  247. 前島英三郎

    前島英三郎君 まだちょっと理解に私自身も苦しんでいますから、また後ほどゆっくりと御説明を伺いたいと思います。  今回の年金の額の改定内容を見ますと、二%の引き上げをしないグループがございます。五十七年度の退職者についてはやむを得ないのかなという気がしないでもありませんが、該当する人たちは、新聞報道などを見て自分も二%アップすると思っていたかもしれませんし、それがどういうわけか上がらないとわかってびっくりすることがあり得るのじゃないかと私は心配するんですけれども、さて問題は、国鉄共済組合から年金の給付を受ける者については、附則の二十条第三項ですか、諸事情を総合勘案して額の改定をするということで、今回のみならずしばらく年金の額が据え置きになるという点でございます。国鉄の共済組合財政破綻に直面して、それを年金統合のプロセスの中でいわば救済をするという形になった経緯を考えれば、そしてまた現在の現役の負担の大きさを考えればそこに一定の限度があることはわかります。きょうもその辺は十分やりとりがなされておりますが、しかし国鉄の場合、他の共済組合に比べてその業務の性格上、事故に遭う率も非常に高くて、障害年金、遺族年金の受給者の比率が多いという事情も考慮に入れる必要があるのではないかと私は考えます。この受給者状況の違いの実態、おおよそで結構ですから、もしお示しいただければ伺っておきたいんですが、同時にまた、この点について統合の際どのように配慮されたのかも、もう一度伺っておきたいと思います。
  248. 保田博

    政府委員(保田博君) 国鉄の共済組合からの年金受給者については年金額の改定が見送られるということになったわけでございますが、我慢をしていただかなければならないその事情につきましては先ほど来御説明申し上げたとおりでございます。  その際に、障害年金を受けておられる方々についてどうするかといった点も当然考えたわけでございますけれども、やむを得ず据え置かせていただいたわけであります。ただ、その際、年金額の比較的低い方々、と言いましてもかなりの額でございますが、最低保障額を受けておられる方につきましては他の共済と同様の引き上げは実施させていただいた、こういうことでございます。  今後どうなるのかといったことでございますけれども、この点につきましては、財政調整の運営委員会におきまして御検討をいただくということになろうかと思いますが、国鉄の共済組合財政状況でございますとか、年金の給付の水準、負担の水準といったようなことを考えますと、六十年度に現在と同じような措置をとらないで済むということを私が保証できるような状況にはないということでございます。
  249. 前島英三郎

    前島英三郎君 しかし、非常に障害を持った人も多くて、やっぱりその人たちはそこにすがらざるを得ない現実がありますので、いつごろから額の改定ができるようになるか、せめてそのめどでも明らかにしていただけると大変ありがたいと思うんですが、それはいかがですか。
  250. 保田博

    政府委員(保田博君) 国鉄の共済組合に対する財政調整の具体的な内容は、私ども申し上げましたような運営委員会において検討されるということでございますので、私がここで六十年度以降の方針について言及をすることはいかがかということで、差し控えさせていただきたいと思います。
  251. 前島英三郎

    前島英三郎君 なかなか厳しいものがあるようですが、時間も余りありませんので、次に、国家公務員等旅費に関する法律の改正案について質問をしたいと思います。  公務員旅費について、私は行政の実際の運営にとってかなり重要なものであると常々考えてまいりました。きょう、この部分はいろいろやりとりがありまして、重複するかもしれませんが、お答えいただきます。  行政というものは、机の上で書類をつくったり会議を開いたりというようなことばかりじゃないのは当然でございますし、現場を見たり、あるいはまた実態に触れる、こうしたことによって真に血の通った行政が可能になるのでございまして、そのことを具体的な形にするのが出張であり、かつまた旅費であるのではないか、私はこのように、理解するんです。ところが、大蔵省の旅費についての対応を見ておりますと、またきょうのいろいろやりとりを伺っていますと、旅費というものが行政にとってどのような位置を占めているのか、どのような意味を持っているのか、十分な認識をいささか欠いているのじゃなかろうかという、そんな気がしてならないんですけれども、例えば一昨年は一〇%、昨年は七%ですか、旅費を節約するよう各省庁に指示をされたと聞いております。こういった事実を見ておりますと、役所の出張というものは、何か物見遊山的なものが含まれていて、削っても大丈夫なものらしい、あるいは実費弁償という建前よりも多目の基準になっているのじゃないかとか、とかくささやかれる風評が真実味を帯びてきてしまう、こういう感がするわけなんです。  国家公務員の海外出張について、私は対照的な二つの体験をしたことがございます。  一つは、私が議員になりまして間もないころのことでありましたが、オーストラリアでFESPICという障害者のスポーツ大会がありまして、民間団体の海外派遣に対して政府から実は補助金が出たんです。かなりの額が出ました。ところが、その補助金のかなりの額が、その補助金を使って出かけた実は半数以上が公務員であったというケースなんです。当時、決算委員会で私これを問題にしまして、その後少しは改善されたと期待はしているんですが、これでは何のための補助かわからないし、また公務員の海外出張の旅費というものはこんな形でなければ出てこないものなのかと首をかしげたのも事実でございます。  もう一つの体験は、国際障害者年の前年でしたが、アジア・太平洋地域で国際障害者年にどう取り組むかという国際会議がタイのバンコクでございました。私としては当然日本から代表が行くものと思っておりましたし、国連の方でもそういう考えでいたようでございます。ところが、政府に照会してみましたところ、会議が開かれる現地の在外公館から参加させるつもりだ、こういうことなんです。私は、在外公館の方々の御苦労はよく承知しているつもりなんですが、国際障害者年にどう取り組むかという課題の性格から考えて、どうしても厚生省か、あるいは当時その担当室ができた総理府から一線の窓口の担当者が参加する必要があるということを強く実はお願いをしたんです。結論から言いますと、この両方から実は出張していただいたわけです。私は、もちろん自費で参りました。実りある海外出張をしてもらったわけでありますが、しかし相当これは難航したんです。予算がないとか、会議の重要性について関係省庁の幹部の理解が得られないとか、非常に壁が厚かったように思い出して言うんですが、現在、東京でESCAPの総会が開催されておりますけれども、議題の中の幾つかはあのときからの一つの継続の話でありまして、私もきのう、けさと出席をしてきたんですけれども、あのとき海外出張してもらっておいてよかったなと、実は胸をなでおろしているところなんです。  こうしたことを通じまして、私は国家公務員の出張のあり方につきまして一体どうなっているのだろうか、こういういわば問題意識が芽生えたわけですけれども、私の印象では、各行政部門が真に必要とする出張が必ずしも自由にはいかない、かなり予算的にも苦しい、しかし一方では修学旅 行的に温情的な出張もあるらしい、ともかくこういう感覚を持った次第なんですけれども、後に指摘いたしますが、一面ではそういう問題点もないではないと思います。しかし、全体として見れば、出張というものは行政にとって欠かすことのできない意味がありますし、ますます日本は国際関係、相互関係というものを重要視していく一つの外交政策ということを考えていきますと、この辺はやはり重要な私は問題だろうというふうに思うんです。  その辺、ちょっと多弁になりましたが、大蔵大臣旅費というものの行政における意味合い、その重要性につきまして基本認識を承れますれば幸いでございますが、いかがですか。
  252. 的場順三

    政府委員(的場順三君) 御指摘のとおり、旅費というのは施策を浸透させるために、つまり公務の円滑かつ適切な実行を期するために必要不可欠の経費でございます。したがいまして、必要な部分についてその旅費を計上するというのは当然でございますので、従来からそういう手当てを行っているところでございます。ただ、昨今のような財政事情でございますので、すべての政府の掲上しております施策はそれなりの重要性を持っておりまして、その重要性の軽重というのはなかなかつけにくいところがございます。したがって、例えば節約等の場合、他の事務経費と同じように、節約というのはそれより以上の緊急に必要な経費を捻出する必要が生じた場合でございますので、やらしていただいているということもございます。今後とも、先生指摘のような重要性を十分勘案して、各省とも相談をしていきたいと基本的には思っております。  それから御指摘民間に対する海外派遣旅費国家公務員が行っていることがあるということは、これは執行の問題でそれぞれ各省各庁のお立場から重要性を判断されるという面もございますし、それから補助目的に反するような、そういう場合に公務員が行くというのはこれは問題があろうと思いますけれども、その補助目的に照らして当該省庁の職員民間の方と一緒に協力を要請されて行く場合というのは、これはあり得ることだというふうに思っております。  大蔵省といたしましても、こういう旅費の事情がございますので、その辺は予算編成段階で各省庁と十分に相談をしていきたいというふうに考えております。
  253. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 施策を円滑に実行するための有力な手段でありますが、全体としてかなり厳しく節約をかけたりいたしますので、そこにいろんな矛盾、いろんな意味における疑念が生じたりすることはあろうかと私も思っております。ただ、かつて三月に、旅費が余ったから年度末は皆出張だとか、街の声としてそういうことがあった時代もございますけれども、そういう実態は今時の厳しい中で実際問題としてないだろうというふうに理解しております。  それと、ものによりまして、一般旅費でくくっておいて、そして特別な行事に対する助成という中に、やむを得ざる措置としてそういう場合はあり得たのかなという感じもしないでもございませんが、確かにその都度都度、各省におかれて、全体を大蔵省が掌握しておるわけでは必ずしもございませんけれども、そのときの重要性というものをきちんと、せっかくこうしてまさに八年ぶりに上げていただくわけでございますから、一層厳しい姿勢で対応しなきゃならぬ課題だということを徹底さしたいと思っております。
  254. 前島英三郎

    前島英三郎君 海外出張旅費につきましては八年ぶりの改定ということですが、変動相場制になって円高が進行したために、諸外国における物価の上昇を吸収してしまったということもあったようでございます。しかし、それならば今回の四〇%アップというのはちょっと幅が大きくて、時期がやや手おくれだったということになりはしないか、あるいは五十八年の調査ということでありますから現時点では既に実態を下回るような水準になっているのじゃないかとか、いろいろ考えるわけなんです。  私も、この委員会では新参者ですから、いろいろ審議を勉強させていただきますと、必ず附帯決議がつけられておりまして、五十四年の場合を例に挙げますと、「社会経済情勢の推移に即応して、時期を失することのないよう改定すること。」とございます。そういう意味では、どかんと四〇%出てくるというのも、何か今回の改正案提出に至る経過そのものに何となく一〇〇%納得いかない面もございますけれども、しかし基本的には賛成ですから後で手を挙げますけれども、外国旅行でありましても、旅費は円で支給されると思うんですが、現在のような変動相場制のもとにあっては、円高のときに出張する者は旅費に余裕がありまして、円安のときに出かける者はぎりぎりということになるわけでありまして、非常に不都合な面がいろいろ出てくるのじゃないかという気がするんです。変動相場制に対応するような旅費規定のあり方というものを検討する必要があるのじゃないかというふうな気がするんですけれども、この点、大蔵省としては検討はしているんですか。あるいはまた、今後検討するんでしょうか。その辺はいかがですか。
  255. 的場順三

    政府委員(的場順三君) 為替レートの問題というのはなかなか予見するのが難しゅうございまして、出張した段階でたまたま円高であったときに、そうでなかった場合に比べて得をするというのは、これは避けられないことだと思います。ただ、現在の旅費法にも規定がございまして、例えば急激な為替の変動がございまして、急激に円高になったり急激に円安になったりして、現在お決めいただいている定額で旅行することが到底無理な場合には政令で手当てをしていいという規定もございます、これは現実には使ったことはございませんけれども、また為替レートもそういう急激な変動はございませんけれども。それじゃドルで支給するということになりますと、今度は定額の方を改定しなければいかぬという、こういう話にもなりますので、我が国の法定通貨である円で決めさせておいていただくというのが最も妥当だというふうに考えておりますけれども、こういう法律の規定もございますので、これでやらせていただきたいというふうに思います。
  256. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今の問題、いささか饒舌になっては失礼でございますけれども、実はちょうど変動相場制に移行しました昭和四十六年、私、内閣官房長官でございました。それで、そのとき出た議論は、予算の修正をしろという議論が出ました、今直ちに変動しているじゃないかと。その議論は済みましたけれども、さあ四十七年度予算をどうして組むか、こういうことになって、スミソニアンレートというのが三百八円で決まって、率直に言ってやれやれと、こう思ったことがございます。  それからいろんな経過を経まして、今、次長からお話がありましたように、著しい変動があった場合、給与の場合もそれを適用することができるようにして、五十七年にとうとうやりまして、そういう仕組みをつくっておいてよかったなと思いました。  それは、そういう経験から申し上げたわけですが、とはいえ、初めからドルで組んでおくというわけにもなかなかいきませんので、難しい問題でございますが、その点は実際上困ったことがないような措置は十分配慮できると思っております。
  257. 前島英三郎

    前島英三郎君 外務公務員給与等に対しては、かなりそういう意味では社会経済情勢の推移に即応してというのでやっているようです。かなり実質的に外務省では取り組んでいるようで、一年単位で実勢が反映されているというふうなことをちょっと聞いたことがあるんですけれども、今回、各国各地のホテルの宿泊費はどうなっているか、外務省の協力を得ていろいろ調査をしてきて、やはりこれも外務省と大蔵省の連係プレーの今後の検討だというふうにも思いますので、ぜひその辺はまた検討していただければと思います。  次に、旅費等の額の等級区分にも、日当にしろ、宿泊料にしろ、七段階あるわけですが、かなり上下の開きがあるというふうに私は感じます。 表に従って海外出張をいたしますと、例えば部長、課長、平の三人が一緒に出張した場合、別々のホテルに宿泊し、昼食も別々に食べなければならない、そんなシステムであるようにも思うんですけれども、上の人は心ある人が多いでしょうから下の人の分をカバーしてくれるであろう、こんな期待もできるかもしれませんが、前日マージャンででも負ければこれはそうはまいりません。それも、国内の官庁の序列が海外出張の場合までそっくり移行しているという、これはちょっと疑問ではないかというような気がするんですけれども、私はもっと格差を縮小すべきであると考えるんですが、その辺はいかがでしょうか。
  258. 的場順三

    政府委員(的場順三君) 確かに宿泊料等につきまして、職務の等級ごとに異なる定額を定めております。これは職責に応じてふさわしい待遇をする必要があるということで、従来からそういう方針をとってきたわけでございます。今回の改定に当たりましても、その幅をどういうふうにするかということについて外務省ともよく相談をして考えましたが、例えば大臣にかばん持ちでついていく場合、同じホテルに泊まるというふうな場合には問題が生ずることがあると思いますけれども、それは先ほども申し上げましたように、現行法の中でも特別の配慮を大蔵大臣に協議していただければできるようになっておりますし、通常の場合、そういうことで非常に不都合が起こるということもございませんので、従来の格差をそのまま踏襲したいということでお願いをしているわけでございます。
  259. 高平公友

    委員長高平公友君) あなたの時間は六時三分までですから、最後に締めくくってください。
  260. 前島英三郎

    前島英三郎君 三分でちゃんとやめますので、大丈夫ですよ。  私が耳にした例でありますけれども、監察業務というのがございますけれども、監察というのは監督の監に視察の察を組み合わせたものでありますから、いずれにせよ現場まで出張していかなければ仕事にならぬわけですけれども、以前は二人一組で行っていたのが、旅費がかさむのでこのごろは一人で行くことが多いということを聞きました。四つの目で監察していたのを、その半分の二つの目で監察するようになったわけですけれども、当然、監察の精度は低下するというふうにも思います。そういう意味では、例えば会計検査院については予算どおりに使ってよろしいとしたごとく、大蔵省も多少はやはりそういう点も理解をしていただいて、使うべきところは使うという旅費出張でなければならないというような気がいたします。  委員長も非常に時間を気にしているようですから、三分まだ残っておりますけれども、いずれにいたしましても、旅費出張というのは実は国益に関する重要な公務員の仕事であるという一面で、むしろ国内における財政的削減はあっても、海外におけるそうした国益に関するような出張旅費については十分配慮をしていただきたいということを強く大蔵省にお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  261. 高平公友

    委員長高平公友君) 以上で両案の質疑は終局したものと認めます。     —————————————
  262. 高平公友

    委員長高平公友君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、林♯君が委員辞任され、その補欠として曽根田郁夫君が選任されました。     —————————————
  263. 高平公友

    委員長高平公友君) これより国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正する法律案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  国家公務員等の族費に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  264. 高平公友

    委員長高平公友君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  265. 高平公友

    委員長高平公友君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  266. 高平公友

    委員長高平公友君) 次に、運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。細田運輸大臣。
  267. 細田吉藏

    国務大臣(細田吉藏君) ただいま議題となりました運輸省設置法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  最近の運輸を取り巻く諸情勢を概観してみますと、我が国経済の安定成長への移行、国際化及び経済のソフト化の進展等により、輸送構造は大きく変化するとともに、輸送サービスの質的向上への要請が強まってきております。  中でも、国際的な相互依存関係の深化等に伴う国際関係に十分配慮した運輸政策の推進、高度化、多様化する利用者ニーズに対応した地域交通の確保、貨物流通の効率化及び合理化を図るための総合的な貨物流通体系の形成等の要請が強くなってきておりますが、これらの要請に適切に対応するためには、本省においては、従来の輸送機関別に問題に対処する縦割り組織を改めて、運輸行政の総合的運営の確保を図り、また、国際運輸、地域交通、貨物流通等の各分野ごとに政策を総合的かつ効率的に推進し得るよう組織を再編するとともに、地方においても地域交通、貨物流通等の運輸行政を総合的に推進するため、海運局と陸運局を統合し、地方運輸行政の中核となる地方運輸局を新設する必要があります。  これらの問題につきましては、昭和五十八年三月の臨時行政調査会の最終答申においても指摘を受けており、また、政府といたしましても本年一月の「行政改革に関する当面の実施方針について」の閣議決定において方針を決定しております。  本法律案は、これらの組織改革の一環として、地方に係る部分の改正をその内容とするものであり、具体的には地方運輸局という名称及び従来の海運、陸運両局の所掌事務を総合した地方運輸局の所掌事務を規定するとともに、これらに関連する所要の規定の整備を図ることといたしております。  なお、この法律案は、本年七月一日から施行することといたしております。  以上が、この法律案の提案理由であります。  何とぞ、意のあるところを御賢察いただき、慎重御審議の上、御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。
  268. 高平公友

    委員長高平公友君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案についての質疑は後日に譲ります。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時五分散会      —————・—————