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1984-04-07 第101回国会 参議院 内閣委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月七日(土曜日)    午前十時開会     ―――――――――――――    委員異動  四月六日     辞任         補欠選任      赤桐  操君     穐山  篤君  四月七日     辞任         補欠選任      秦   豊君     前島英三郎君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         高平 公友君     理 事                 亀長 友義君                 坂野 重信君                 小野  明君                 太田 淳夫君     委 員                 板垣  正君                 源田  実者                 沢田 一精君                 林  寛子君                 林  ゆう君                 桧垣徳太郎君                 堀江 正夫君                 穐山  篤君                 野田  哲君                 矢田部 理君                 峯山 昭範君                 内藤  功君                 柄谷 道一君                 前島英三郎君    国務大臣        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 藤波 孝生君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)       中西 一郎君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       後藤田正晴君         ―――――        会計検査院長   鎌田 英夫君         ―――――    政府委員        内閣官房内閣審        議室長        兼内閣総理大臣        官房審議室長   禿河 徹映君        内閣審議官    手塚 康夫君        内閣官房内閣調        査室長      谷口 守正君        内閣法制局長官  茂串  俊君        内閣法制局第一        部長       前田 正道君        人事院総裁    内海  倫君        人事院事務総局        管理局長     服部 健三君        人事院事務総局        任用局長     鹿兒島重治君        人事院事務総局        給与局長     斧 誠之助君        人事院事務総局        職員局長     叶野 七郎君        内閣総理大臣官        房会計課長        兼内閣参事官   渡辺  尚君        内閣総理大臣官        房管理室長    菊池 貞二君        内閣総理大臣官        房地域改善対策        室長       佐藤 良正君        北方対策本部審        議官        兼内閣総理大臣        官房総務審議官  橋本  豊君        総理府人事局長  藤井 良二君        総理府恩給局長  和田 善一君        青少年対策本部        次長       瀧澤 博三君        宮内庁次長    山本  悟君        行政管理庁長官        官房総務審議官  古橋源六郎君        行政管理庁長官        官房審議官    佐々木晴夫君        行政管理庁長官        官房会計課長   前山  勇君        行政管理庁行政        管理局長     門田 英郎君        行政管理庁行政        監察局長     竹村  晟君    事務局側        事 務 総 長  指宿 清秀君        常任委員会専門        員        林  利雄君    衆議院事務局側        事 務 総 長  弥富啓之助君    裁判官弾劾裁判所事務局側        事 務 局 長  西村 健一君    裁判官訴追委員会事務局側        事 務 局 長  青山  達君    国立国会図書館側        館     長  荒尾 正浩君        副  館  長  長野  裕君    説明員        法務省刑事局総        務課長      堀田  力君        会計検査院事務        総局次長     佐藤 雅信君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○昭和五十九年度一般会計予算内閣提出、衆議  院送付)、昭和五十九年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付)、昭和五十九年度政府関係  機関予算内閣提出衆議院送付)について  (皇室費国会所管会計検査院所管内閣所  管及び総理府所管総理本府、青少年対策本部  、日本学術会議宮内庁行政管理庁総務庁  ))     ―――――――――――――
  2. 高平公友

    委員長高平公友君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨六日、赤桐操君が、また本日、秦豊君が委員辞任され、その補欠として穐山篤君及び前島英三郎君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 高平公友

    委員長高平公友君) 予算委員会から委嘱がありました昭和五十九年度総予算中、皇室費国会所管会計検査院所管内閣所管及び総理府所管のうち総理本府、青少年対策本部日本学術会議宮内庁行政管理庁総務庁を議題といたします。  予算説明につきましては、国会所管及び会計検査院所管以外は去る三月二十七日の委員会において既に聴取しておりますので、この際、国会所管及び会計検査院所管予算説明を聴取いたします。  まず、国会所管のうち衆議院関係予算説明を求めます。弥富衆議院事務総長
  4. 弥富啓之助

    衆議院事務総長弥富啓之助君) 昭和五十九年度衆議院関係歳出予算について御説明を申し上げます。  昭和五十九年度国会所管衆議院関係歳出予算要求額は三百九十七億八百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、七億一千六百万円余の増加となっております。  次に、その概略を御説明申し上げますと、第一は、国会運営に必要な経費でありまして、三百八十七億百万円余を計上いたしております。  この経費は、議員関係の諸経費職員人件費並びに事務局及び法制局所掌事務処理するために必要な経費でありまして、前年度に比し十一億二千七百万円余の増加となっておりますが、増加したものの主なものは、議員歳費月額改定並びに議員秘書及び職員人件費等増加によるものであります。  なお、議員応召帰郷旅費につきましては、議員関係経費等に関する調査会答申もありましたので、これを廃止することとし、また、議員秘書退職手当制度につきまして改善を図ることといたしております。  第二は、本院の施設整備に必要な経費といたしまして十億円余を計上いたしております。このうち主なものは、本館等庁舎整備等でございます。  また、国会周辺等整備に必要な土地購入費は、一億円計上することといたしております。  第三は、国会予備金に必要な経費といたしまして、前年度同額の七百万円計上いたしております。  以上、簡単でありますが、衆議院関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどを御願い申し上げます。
  5. 高平公友

  6. 指宿清秀

    事務総長指宿清秀君) 昭和五十九年度参議院関係歳出予算について御説明申し上げます。  昭和五十九年度国会所管参議院関係歳出予算要求額は二百三十七億一千五百万円余でありまして、これを前年度予算額二百三十四億九千九百万円余に比較いたしますと、二億一千五百万円余の増加となっております。  次に、その概略を御説明申し上げますと、第一は、国会運営に必要な経費でありまして、二百二十三億八千万円余を計上いたしております。  この経費は、議員関係の諸経費職員人件費並びに事務局及び法制局所掌事務処理するために必要な経費でありまして、前年度に比し二億六千六百万円余の増加となっておりますが、増加したものの主なものは、議員歳費月額改定並びに議員秘書及び職員人件費等増加によるものであります。  なお、今回、議員応召帰郷旅費につきましては、これを廃止することとし、また、議員秘書退職手当制度につきまして改善を図ることといたしております。  第二は、本院の施設整備に必要な経費といたしまして十三億三千万円余を計上いたしております。その内訳は、昭和六十年度末完成を目途とする麹町議員宿舎第二期改築工事費九億四千万円余及び本館その他庁舎等施設整備費三億八千百万円余であります。  第三は、国会予備金に必要な経費でありますが、前年度同額の五百万円を計上いたしております。  以上、簡単でありますが、参議院関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  7. 高平公友

  8. 荒尾正浩

    国立国会図書館長荒尾正浩君) 昭和五十九年度国立国会図書館歳出予算について御説明申し上げます。  昭和五十九年度国会所管国立国会図書館関係歳出予算要求額は百三十八億六千六百九十万円余でございまして、これを前年度予算額百十三億八千百十万円余と比較いたしますと、二十四億八千五百七十万円余の増額となっております。  次に、要求額の主なものについて、その概略を御説明申し上げます。  第一は、管理運営に必要な経費であります。その総額は七十七億七千五百六十万円余であり、これを前年度予算額と比較いたしますと、二億千九百八十万円余の増額となっております。  増額の主なものは、職員給与に関する経費図書館資料を購入するための経費国際図書館連盟等拠出金等でございます。  また、海外移民関係資料の収集に必要な経費招聘外国人滞在費を新規に要求いたしております。  第二は、科学技術関係資料購入に必要な経費でありまして、千四百万円余を増額いたし、要求額は五億千七百十万円余であります。  第三は、施設整備に必要な経費でありまして、別館新営と本館支部上野図書館整備に必要な経費五十五億七千四百十万円余であります。  なお、別館新営に関しては、昭和五十九年度を初年度とする三カ年の国庫債務負担行為七十五億七千八百万円余を要求いたしております。  以上、簡単でございますが、国立国会図書館歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  9. 高平公友

  10. 西村健一

    裁判官弾劾裁判所参事西村健一君) 昭和五十九年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算について御説明申し上げます。  昭和五十九年度国会所管裁判官弾劾裁判所関係歳出予算要求額は八千五百四万五千円でありまして、これを前年度予算額七千八百七十五万二千円に比較いたしますと、六百二十九万三千円の増加となっております。  この要求額は、裁判官弾劾裁判所における裁判長職務雑費裁判員旅費及び事務局職員給与に関する経費事務処理費並びに裁判官弾劾法に基づく裁判官弾劾裁判に直接必要な旅費庁費でありまして、前年度に比べて増加となっておりますもののうち主なものは、職員給与関係経費増加によるものでございます。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  11. 高平公友

  12. 青山達

    裁判官訴追委員会参事青山達君) 昭和五十九年度裁判官訴追委員会関係歳出予算について御説明申し上げます。  昭和五十九年度国会所管裁判官訴追委員会関係歳出予算要求額は九千六十七万一千円でありまして、これを前年度予算額八千四百四十七万六千円に比較いたしますと、六百十九万五千円の増加となっております。  この要求額は、裁判官訴追委員会における委員長職務雑費及び事務局職員給与に関する経費並びに訴追事案の審査に要する旅費その他の事務費でありまして、前年度に比し増加となっておりますもののうち主なものは、職員給与関係経費増加によるものであります。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  13. 高平公友

  14. 鎌田英夫

    会計検査院長鎌田英夫君) 昭和五十九年度会計検査院所管歳出予算案について説明いたします。  会計検査院昭和五十九年度予定経費要求額は百億六千百八十八万六千円でありまして、これは日本国憲法第九十条及び会計検査院法の規定に基づく本院の一般事務処理及び検査業務を行うために必要な経費であります。  今、要求額の主なものについて申し上げますと、人件費として九十億四千四百二十五万七千円を計上いたしましたが、これは総額の九〇%に当たっております。これらのうちには、会計検査の充実を図るため、一般職員十人を増置する経費も含まれております。  旅費として五億九千七百九万六千円を計上いたしましたが、このうち主なものは、会計実地検査旅費が五億八千二百四十五万九千円、外国旅費が七百二十万七千円であります。  施設整備費として千三百八十九万八千円を計上いたしましたが、これは書庫整備等工事費であります。  その他の経費として四億六百六十三万五千円を計上いたしましたが、これらのうちには、検査の円滑な実施を図るための会計検査活動費五千二十万四千円、並びに検査業務効率化を図るための会計検査情報処理業務庁費四千三百一万二千円、電子計算機等借料四千八百九十四万三千円が含まれております。  次に、ただいま申し上げました昭和五十九年度予定経費要求額百億六千百八十八万六千円を前年度予算額八十七億四千八百五十四万二千円に比較いたしますと、十三億千三百三十四万四千円の増加となっておりますが、これは人件費において十二億七千九百五十八万六千円、検査業務に必要な経費において六千百三十三万四千円増加し、施設整備費において二千百三十五万一千円減少したことなどによるものであります。  以上、甚だ簡単でありますが、本院の昭和五十九年度予定経費要求額概要説明を終わります。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  15. 高平公友

    委員長高平公友君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  16. 野田哲

    野田哲君 まず、行政管理庁長官にお伺いいたしますが、官房長官時代のことについてちょっとお伺いしたいんですが、大韓航空機事件の問題についてワシントンポスト記者の書いたことに対してえらい御立腹のようでございますが、一体あれはどういう経過でありましたのか、ちょっと聞かしていただきたいんです。
  17. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) ワシントンポストの三日付の記事アンダーソンという方が、ソ連機交信記録アメリカに手渡したのは後藤田官房長官の反対を押し切った首相の裁断である、次が、交信テープ内容解読終了後少なくとも一時間は首相に知らされず後藤田官房長官の手元にとどめ置かれた、三番目、首相は、なぜ時間をむだにしているのか、アメリカ同盟国ではないかと後藤田官房長官をしかったと、こういう記事でございますから、全くの事実無根であるということを、私はきのうの閣議後の定例のクラブへの閣議状況説明機会がたまたまあったものですから、その機会に、これは日本国内のことで、しかも対外関係を考えなきゃならぬ記事でございますから、事実無根は迷惑であるということをきのう申し上げた次第でございます。このような事実は全くございません。この件の処理については、総理官房長官外務大臣防衛庁長官、四者の間にいささかの意見食い違いとか、そういうことはございませんでしたので、その旨をはっきりさしたわけでございます。
  18. 野田哲

    野田哲君 意見食い違いはなかったということであるようですが、事実はどういう経過であったんですか。
  19. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) この事件はまだ時効になっていないんですよ。殊に、原因といいますか、五百キロばかり西に航路がそれておりますが、それは一体どういうことなのか、INSといいましたかインプットするやつ、それの間違いであったのか、そこらの点がまだはっきりICAOの調査結論が必ずしも私は出ているように理解していない。殊に、日本にとっては多くの方が犠牲になられて、その件について、民事上の問題でございますから政府は直接ではありませんけれども、しかし日本人がああいった事件で亡くなっているわけですから、その民事賠償の問題でまだもめておるという状況でございますからいわば時効にかかっていないということで、細部を私が申し上げるのは差し控えさしていただきたい。いずれにいたしましても、あの時間帯を追ってのアンダーソンという記者記事でございますが、これは全くの間違いでございますから、その点だけを明らかにしたわけでございます。
  20. 野田哲

    野田哲君 その点、わかりました。いずれまた機会を見て伺いたいと思います。  もう一つ行政管理庁長官あるいは関係政府委員の方で結構ですが、臨時行政調査会答申の中で特殊法人等に対する改善措置についていろいろ出されていることに対して、きのうのある新聞の夕刊に、会計制度について何か行政管理庁の方で近く具体的な措置をとるという報道がされておりますが、臨時行政調査会答申では、会計制度だけに限らず、かなり広範な分野にわたって特殊法人制度そのものの全般についての改善措置がいろいろ出されているわけでありますけれども、これらの問題について一体どういうふうに今検討されているのか。それから、きのう発表されたといいますか、毎日新聞報道しておりましたけれども、会計制度について具体的にどういう欠陥があるのか、これに対してどういう改善措置を考えようとしているのか、この点にも触れてお答えを願いたいと思います。
  21. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 昨日、一部の新聞で御質問のように特殊法人会計処理基準についての標準化方針を固めたという報道がございますが、これはそういうことでありません。まだ検討の過程でございます。特殊法人については、臨調答申にも、御案内のように今たしか九十九特殊法人があると思いますが、これは整理統合しなさいということが一つ。もう一つは、特殊法人、いろいろ中身が違いますけれども、やはり活性化、もう少しそれをしなさいと。特殊法人というのは、いわば役所のいいところと民間会社のいいところをとってこういう形態のものが置かれたと思うんですね。ところが、世間の批判は両方の悪いところばかりじゃないかといったような批判がございますので、それを受けて、統廃合することのできるものは統廃合するし、もう少し活性化といいますか、いわば民間企業原則とでも言いますか、そういうようなものを取り入れて活力のある運営にしたらどうかとか、あるいはまた役員の構成等についても天下りの問題が従来から批判されておりますし、いろんなふぐあいな点を指摘されておりますので、それを受けて、全般的な考え方で行管庁としては取り組み、そしてまた内閣としてもそういう閣議方針を決定しているわけでございます。  その活性化の中の一つのあり方として、これは官庁とほとんど似たような運営をしなきゃならぬ特殊法人もありますし、それから民間会社に近い運営でできるものもありますから、一律にはなかなかいかぬと思います。しかし、やはり活性化の中の一つの柱として、企業会計原則に近いものをもう少し取り入れたらどうだという御指摘がそのうちの一項目としてございますから、それについて今民間学識者にお願いをいたしまして、実地検査もするし、検討していただいておる段階である。したがって、結論は出しておりませんが、いずれそういった方向に向けて結論を出していきたいと、かように考えておるんですが、細部については政府委員の方から御答弁申し上げたいと思います。
  22. 竹村晟

    政府委員竹村晟君) 個別の問題で補足いたしたいと思いますが、特殊法人会計処理基準に関しまして、その問題点でございますが、これは臨調の第三次答申で個別の指摘が幾つかございます。例えば、複数の業務を行っている法人における区分経理が不徹底である、あるいは諸引当金算定方法がまちまちである、また各法人財務諸表におきましても勘定科目の名称でありますとか、内容、配列が不統一であったり不明確である、これらの点が企業会計基本であります明瞭性継続性真実性、こういう原則から見て不十分である、そういったことで法人の事業の性格に対応した会計処理基準標準化を図る必要がある、こういう答申があります。大体こういったことが問題かと思われますし、まだ研究は中途でありますので、その詳細は御説明する段階でございませんけれども、例えば発生主義による会計処理の徹底の問題でありますとか、あるいは財務諸表の作成に当たりまして、財政状況でありますとかあるいは経営成績が明瞭に示されるようにする、それから引当金合理化を図ると、こういった点が問題点ではないかと考えております。
  23. 野田哲

    野田哲君 行政管理庁の方は終わります。  中西総務長官公務員給与の問題で若干伺いたいと思います。  公務員給与については、昭和五十六年度は人事院勧告に対して夏と年末と年度末の手当についてこれを旧ベースのままで凍結する、こういう措置がとられ、五十七年度については全面的に勧告を凍結する、そして五十八年度は六・四七%の勧告が出たにもかかわらず二・〇三%の引き上げしか行われなかった、こういうことでこの三年間ずっと人事院勧告は完全に実施されていない、削減措置やあるいは見送りの措置がとられているわけでありますが、主管大臣としてこのような措置がこの三年間とられてきたことに対してどういう所見をお持ちになっているか、まずその点から伺いたいと思います。
  24. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) お話の点については、過去の経過はそのとおりでございます。昨年の十一月二十七日、当内閣委員会丹羽総務長官お話しになっていますが、五十九年のことについて異例措置であるということをおっしゃっていました。私もそのように考えます。過去三年間についてのことを考えますと、人勧実施という基本方針は貫こうではないかという政府基本方針は揺るぎなく守っていきたいという政府方針、その中で大変な努力を政府自身もしたのだというふうに理解をいたします。しかし、お話のような結果になりまして、財政事情ということが主たる事情だったと思いますが、自然増歳出についてもカットせざるを得ない、そのほかいろんな財政上の厳しい措置が行われた、そういうような経過の中で公務員皆さん方にも痛みを分かち合っていただいたわけでございますが、御不満もあったということはよく理解できるところであります。結果としてはああいうふうになりました。厳しい環境のもとでまことにやむを得なかった措置であるというふうに理解をいたしております。
  25. 野田哲

    野田哲君 丹羽総務長官異例措置だと言ったのはこれは五十八年度のことですから、私から訂正をしておきます。  それで、昨年の十一月二十六日、二十七日になっていたんですか、前総務長官異例のことであったということと、それから勧告で出された給料表は尊重するという立場に立ってというようなことで五十九年度に向けての発言があるわけですが、これは中西総務長官としてもその立場に立ってやっていくということで受けとめていいわけですか。
  26. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) さように考えております。
  27. 野田哲

    野田哲君 総務長官も、それから人事院総裁もそれぞれかわられたわけです、去年のいきさつから。内海人事院総裁は、今までのこの三年間にわたる人事院勧告が削減されたり見送られたりしてきたことに対して、総裁に就任されてどのような見解をお持ちになっていらっしゃるでしょうか。
  28. 内海倫

    政府委員(内海倫君) 私、総裁に就任しまして以来、過去のいろいろな経緯、さらに勧告制度そのものにつきましてもいろいろ勉強をしてまいっておりますが、まず結論的に言いますと、人事院の勧告制度というものは厳しくやはり政府国会におかれまして尊重していただき、相なるべくんば完全実施ということが我々人事院のサイドからすれば最も望ましいことであり、しかもその人事院勧告というものは、単に数字を計算するということで勧告をしておるものではございませんで、これはやはり大事な代償機能として厳しい調査をやり厳しい検討をした上で公務員給与改善という観点から法律に基づいて勧告をいたしておるわけでございますから、そういう面からはぜひ先ほど述べましたように尊重していただく、でき得べくんば完全にこれを実施していただく、そういうものでなければならない。そういう観点からしますと、ここ数年間における抑制あるいは凍結、さらに抑制というふうな措置は非常に残念なことでございます。もとより、政府国会とされましては国政全般の観点からいろいろ御検討に相なった結果であみかもしれませんが、やはり公務員給与というものの意味合いを御認識いただいて善処していただくということが一番大事なことではなかろうか。これが私の所見でございます。
  29. 野田哲

    野田哲君 内海総裁、言葉じりをとらえるわけじゃないんですけれども、相なるべくは完全実施をという、この相なるべくはというのは今の段階人事院総裁が使ってもらっては私は困ると思うんです。これは必ずやってもらわなきゃならぬという立場をとってもらわなきゃ困ると思うんです。  そこで、給与局長に伺いますが、今は人事院の給与局としてはどういう作業をやっておられるわけですか。
  30. 斧誠之助

    政府委員(斧誠之助君) 本年も官民給与を比較するための調査を行う予定にしております。  前提で、ちょっと御説明が過ぎるかもしれませんが、申し上げておきたいんですが、人事院といたしましては国家公務員法の二十八条の第二項で実は年少なくとも一回は内閣及び国会に対して公務員給与が適当であるかどうか報告しなさいと、こういうことになっておるわけでございます。したがいまして、そういう報告の必要のためにも公務員給与が適正であるかどうかの検討のため官民比較を行う、こういう作業が必要でございまして、そういう意味で既に国家公務員側の調査、これは着手しております。現在、各省からの報告を回収中でございます。  それから民間企業の方につきましては、現在、各職員団体、あるいは各地方の人事委員会、そういうところから本年の調査に向けましていろいろ意見が出ております。そういうことも総合しまして検討いたしまして、来週中には調査計画を策定いたしまして、本年も従来同様五月の連休明けから六月の十六日ごろにかけて調査を行いまして、較差が出ればそれに基づいて勧告を行うと、こういう手順で現在いるところでございます。
  31. 野田哲

    野田哲君 去年六・四七%の勧告があって、これを削って二・〇三%しか実施していなかった、こういうことでありますから、従来どおりの勧告のやり方でいけば当然四・四四%が残っているわけでありますから既に四・四四%の較差が持ち越されている、したがってそれに加えてことしの民間給与の引き上げの実績が加わってくる、こういうことになるはずだと思うんですが、その点はそうですね。
  32. 斧誠之助

    政府委員(斧誠之助君) 昨年六・四七%の勧告に対しまして結果として実施されましたのは二・〇三%ということでございますので、昨年の官民の給与較差は埋め切れておりません。我々の調査は、四月時点での実際に官民において支払われた給与額、これを把握するわけでございますので、その埋め切れていない部分は較差としてなお残って反映してしてくる、こういうことになるであろうと思います。それプラス本年の春闘結果によります民間給与の変動、こういうものが較差になってあらわれるのではないかと予想しております。
  33. 野田哲

    野田哲君 官房長官に御出席をいただいておりますので、あと官房長官にお伺いいたしたいと思いますが、総理特使という制度、これはどういう制度なんですか。
  34. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) 突然の御質問でございますので、法律的なことは詳しくわかりませんが、特別の政治的な要務あるいは外交的な役割を担って総理大臣が指名をして派遣するというのが特使ではないか、ごく一般的にそんなふうに考えております。
  35. 野田哲

    野田哲君 政府委員の方がもし来ておられればその手続をちょっと説明してもらいたいんですが、わかる人がおるでしょうから。人事局長、わかりませんか。
  36. 藤井良二

    政府委員(藤井良二君) ちょっと知りません。外務省の方の問題だろうと思います。
  37. 野田哲

    野田哲君 前の官房長官もいらっしゃるんですが、これは手続はどういうふうになさるんですか、総理特使というのは。どちらでも結構ですが、手続はわかりませんか。
  38. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) 重ねて申し上げますと、法律的なことは今すぐにわかりませんけれども、一般的には総理大臣が何かの要務を命じて、そしてその任務につけさせるという指示をすればいいのではないか、丁寧にやろうと思えば閣議でそのことを総理が触れるということはあると思いますけれども、そんな感じではないかと思います。
  39. 野田哲

    野田哲君 そうすると、特使として命じたかどうかということは、これは総理と本人以外には全くわからないし、手続上の書類も何にも残らないと、こういう特使もあり得るわけですね。
  40. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) 全く法律的なことに基づかないでお答えをしておるのは大変よくないと思いますけれども、しかし総理が特使として何か要務を命じて指示をしたということであれば、総理大臣とその指示を受けた者との関係だけでなく、やはり総理特使という名前がある以上、公のものとしてただ二人だけの関係ではない、特使を派遣するあるいは特使を命じたという事実があれば、そのことはすぐにやっぱり内閣総理大臣の周辺においてそのことをきちんと事務的にもとらえなきゃいかぬ、こういうふうに思います。
  41. 野田哲

    野田哲君 旅費は、任務によって出どころがいろいろあるんでしょうが、これは決まっていないんでしようか、どこから出るかというのは。ただ、特使という以上は、どこかからやっぱり出るんでしょうね。
  42. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) 特派大使という形で出ます場合には、当然公の経費で見ることになりますが、特使の場合には特に定めておるところはありません。
  43. 野田哲

    野田哲君 東さんというんですか、東さんというんですか、この人は特使なんですか、どうなんですか、わかりませんか。
  44. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) 新聞で出ておりますのは東代議士のことかと思いますが、特使ではありません。総理が特に何らかの要務を命じて出かけていただいたということではないからでございます。
  45. 野田哲

    野田哲君 そうすると、外国へ行って自分が特使であるかのように売り込んだりした場合にはこれは官名詐称ということになりませんか。どうですか。
  46. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) 売り込んだかどうかもわかりませんので、事実関係を確かめてみないとわかりません。わかりませんが、自主的に、個人的にお出かけをいただいた、好意的にお出かけをいただいたとしましても、国会議員であるという身分は持っておるわけでございますので、その辺にもやもやしたものがあるのではないかというふうに思いますが、総理から特に任務を命じてお出かけいただいたものではないので特使ではない、このように理解をいたしております。
  47. 穐山篤

    穐山篤君 最初に、官吏任用叙級の取り扱いについてお伺いしますが、去年の三月二十三日、当委員会昭和五十八年度の予算の委嘱の審査が行われたわけです。その際に、我が党の山崎委員が官吏任用叙級令の問題に触れて、政務次官の発令がありますと一級、こういうのが辞令に出るわけですね。それから同様に、検察庁法におきましても検察官、検察事務官、検察技官についてだけそれぞれ一級、二級、三級というものが辞令に出る。この当否をめぐりまして昨年議論があったわけです。結論としては、総理府も法務省も検討をさしていただきます、そして結論を出すようにいたします、こういうことになっているわけです。  そこで、お伺いしますが、検討の結果、余分な理屈は要らない、残すことに決めたのか、あるいは廃止をすることにしたのか、あるいはその他の道を選ぶことにしたのか、結論だけ二省からとりあえず見解を承りたいと思います。
  48. 藤井良二

    政府委員(藤井良二君) 昨年三月二十二日の日に、山崎先生からそういうような御質問がございました。現在、官の級別が存続しておりますのは、国家公務員法の規定が適用されるまでの間の官吏の……
  49. 穐山篤

    穐山篤君 余分なことは要らないんです。結論だけ言ってください。
  50. 藤井良二

    政府委員(藤井良二君) 端的に申し上げますと、実際にこれを取り扱っておりますのは、検察庁とそれから内閣の人事課、ここでございます。内閣人事課の方にいろいろ問い合わせた結果でございますけれども、検察庁の方は検察庁の方から別途お答えがあると思いますが、内閣人事課の方といろいろ打ち合わせてみたわけでございますけれども、今一級、二級に叙するというのは余り実益がないのじゃないかというのが結論でございます。ただ問題は、これをやめますと任命権者が明確でなくなる部分がございます。したがって、その辺についてどういうふうな法的な手当てをすべきかという点を現在検討している段階でございます。
  51. 堀田力

    説明員(堀田力君) 検察庁の職員関係につきまして結論だけ申し上げますと、それなりの意味がございますので当面存続させていただきたいというふうに考えております。
  52. 穐山篤

    穐山篤君 去年、藤井総理府人事局長の答弁で、「この制度の存廃につきましては関係当局と相談しながら検討をしてまいりたいというふうに考えております。」、こうなっていますが、その前段で、今もちょっと触れておりましたが、問題の所在について、無用の長物とは言いませんけれども、実効がないというふうに思いますという答弁がそれぞれあるわけです。そこで、このような事務的な問題に一年間も何をしておるのかということを非常に不思議に思うわけです。これが政策的な問題で、あるいは対外的なことも絡んで内閣の重大な方針なら私一年間待ってもいいと思うんです。しかし、これは事務的な問題です。長官と官房長官に、この問題についてどう決断をしますか。きのう通告をしてあるわけですから、さらに一年間検討させてもらいますじゃ、これは内閣委員会の権威が全く地に落ちるわけです。決断を私はきのう質問の通告で求めたわけです。いかがですか。
  53. 藤井良二

    政府委員(藤井良二君) 今の点でございますけれども、この問題につきましては法令上の問題が残るわけでございます。ただ、法令を直さなくても実行上できるかどうかという点もございます。ただ、この点につきましてはまだ疑義がございますので、その点を検討しているということでございます。
  54. 穐山篤

    穐山篤君 官房長官は、政府の窓口ですね。技術的なことはそれぞれ担当のところで検討はもう  一年間しているわけです。答えをもらわなければみっともないと思うんですわ、こんな話で。どうしてくれるんですか。
  55. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) 官吏任用叙級の問題につきましては、従来いろいろな経緯があるようでございます。私も、政務次官に命ぜられたときに「一級に叙する」と書いてあるので、なぜこんなものが書いてあるのかなと自分でも思った経験がございますが、よく研究してみると、一応法律に基づいてということで来ておるという経緯を勉強させていただいたところでございます。しかし、国会における御論議も承っておるところでございますので、関係省庁とよく相談をいたしまして、なるべく早く御趣旨に沿うような方向で検討を進めさせていただきたい、このように思いますので、もうしばらくお時間をいただきますようにお願いいたしたいと存じます。
  56. 穐山篤

    穐山篤君 この問題でたくさん時間をとるわけにいかないと思いますから、私は委員長にお願いをしますが、去年の予算委員会からの委嘱審査の懸案事項です。それがまた五十九年度も同じような議論しているとするならば、これはもうほとんど問題にならぬと思うんです。  そこで委員長予算委員会が最終的に終わるまでの段階までに、この問題についての結論を得るように委員長に期待をしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  57. 高平公友

    委員長高平公友君) 予算委員会の終了までというと、余りにも時間がないのじゃないかと思うんですが。
  58. 穐山篤

    穐山篤君 三日もあればできる話ですよ、一年間勉強した話だから。
  59. 高平公友

    委員長高平公友君) 理事会で相談して、穐山さんにお答えします。
  60. 穐山篤

    穐山篤君 じゃ、そのようにひとつ取り計らっていただきたいと思います。  官房長官、時間の御都合があるようですから、次に靖国神社への公式参拝の問題についてお伺いをします。  今日ただいまの段階で、政府としてはこの靖国神社公式参拝問題についてどういうふうにお考えですか。まず、その点からお伺いします。
  61. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) 昭和五十五年十一月に、衆議院の議院運営委員会理事会におきまして当時の宮澤官房長官が読み上げたものがございます。これが政府の見解でございまして、その考え方は変わっておりません。
  62. 穐山篤

    穐山篤君 次に、自民党の靖国神社問題小委員会というのが見解を出されておりますが、これについて自民党の方から政府に対し説明なり何なりの手続がとられたんでしようか、あるいは官房長官は小委員会の見解にどういう御感想をお持ちになっているのか、その点いかがでしょうか。
  63. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) 自由民主党の内閣部会の中に靖国神社問題に関する小委員会がございまして、そこで御指摘のような御論議が重ねられてきておるということは存じております。また、時に、その小委員会の中に内閣法制局意見を述べるようにというようなお招きもございまして、出席をして法制局意見を述べてきているというような事実もございます。しかし、同小委員会のお考え方は一応この小委員長のもとでお取りまとめになられたということを聞いておりますが、正式に自由民主党の党議として決定をされたというふうにはまだ聞いておりませんので、党の方がその後どういうお取り扱いになるかということを見守っておると申しますか、そういうことに関心は持っておりますけれども、一応政府といたしましてはその小委員会において法制局意見を述べてきている、こういう事実関係にとどまっておるわけでございます。
  64. 穐山篤

    穐山篤君 政府の統一見解というのは、今もお話がありましたように、五十五年十一月の宮澤官房長官の読み上げたものがあるわけですが、昨年の七月三十日に、中曽根総理は出身地の群馬県に入りまして、県庁で記者会見をいたしまして、その際に、首相、閣僚の公式参拝について法律上憲法違反の疑いがあり慎重にとする内閣法制局の見解についてあいまいな点があり内閣としてさらに検討していきたいと、こういうふうに述べておられるわけです。したがって、中曽根総理大臣から官房長官に、その当時の官房長官もおいでになるわけですが、具体的に内閣として勉強しようじゃないか、してくれというふうに公式に指示がなされたんですか、なされていないんですか、いかがでしようか。
  65. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) 私も、当時、群馬へ総理が入れられましたときに官房副長官として一緒にその記者会見にも立ち会っていたところでございますが、この問題についてよく勉強してみようと、こういう御発言であったと思います。それを受けてと申しますか、自由民主党の中にもいろいろ御論議がございましたので、自民党の中でただいま申しました小委員会がいろんな御論議を進めていくことになった、それは勉強されたのであるというふうに理解をしておるわけでございます。総理からは特に当時後藤田官房長官にも私どもにも勉強するようにという指示はなかったと思いますけれども、総理大臣が何か発言をいたしましたら、それはそのままやっぱり勉強しようという発言であればみんな周りは勉強するということになるなと、そういうふうに思いまして勉強はしてきておりますが、むしろ法制局としては従来の見解がございますし、それらを中心にして勉強をしてきている、自由民主党の方は自由民主党の方で御勉強になって今日に至っている、こういう関係であるかと思うのでございます。
  66. 穐山篤

    穐山篤君 自由民主党の中の小委員会から内閣に対し意見を述べよと、述べた結果いろんなことを参酌して小委員会見解というものが出されたと思うんです。もちろん、私どもの知る範囲でも違憲の疑いがあるということを堂々と述べた学者もありますし、これは違憲ではない、そういう立場を述べた学者もあるわけですから、それはそれでいいと思いますが、内閣としてこの小委員会に見解を述べよと言われた際にどういう見解を公式に説明をされたんですか、その点を伺っておきます。
  67. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) ただいま手元に記録は持っておりませんけれども、従来の宮澤官房長官が読み上げたといたします政府の見解に大体準じて意見を述べたというふうに聞いております。
  68. 穐山篤

    穐山篤君 そうしますと、この公式参拝問題というのは、政府は五十五年十一月の見解に立っている、自民党の中の勉強会としては別な見解がある、こういう事実関係があるということだけは、私どもも了解はできませんけれども、理解はいたします。  実は、仄聞するところによると、この四月の二十九日ですか、これは祭日ですね、これまでに政府の公式見解を取りまとめをするのではないか、そしてある種の情報によりますと、正々堂々と公式参拝をしようじゃないかという説も流れているわけです。少なくともそういうプログラムはお持ちになっているのかいないのか、その点をお伺いします。
  69. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) 奥野小委員会でお取りまとめになられましたものが今後自由民主党の中でどういう取り扱いになりますかということが一つございます。それから、党の方から政府に対してどんなお話がこれからあるかということはこれからの問題としてあるかと思うのでございますが、今のところ四月二十九日までに政府の見解をまとめるとか、あるいはまとめるようにという党からのお話とかというものはございません。さらに勉強を続けてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  70. 穐山篤

    穐山篤君 管理は環境庁の所管で、儀式面は厚生省の担当になっております千鳥ヶ渕の戦没者慰霊碑というのがございます。官房長官は、お参りされたことがありますか。
  71. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) お参りしたことがございます。
  72. 穐山篤

    穐山篤君 時間がありませんので特にお伺いをしますが、諸外国から大統領、総理、その他いろんな方々が日本を訪問をし、いろんな儀式があるわけです。さて、外国の方が日本の戦没者に花輪をささげて礼を尽くしたい、こういう申し出があったときに、内閣としてはどこを御紹介して、どういうふうな御案内をするんですか。今までどういう実績があったのかをお伺いしておきます。
  73. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) ちょっと突然の御質問でございますのでお答えすることを私自身はばかりますが、主として外務省が対応しておるわけでございますけれども、よろしければ後刻御返事を申し上げたいと存じます。
  74. 穐山篤

    穐山篤君 官房長官、結構です。  次に、総理府にお伺いをしますが、戦後処理の問題でございます。  これは、実は私、昭和五十六年でしたか、予算の代表質問の際に本問題を提起しました。その際に、鈴木総理大臣は、いうところの戦後処理という問題は全部完結をしましたと公式に答弁をされた。私は、ああいう代表質問ですからそこで応答するわけにいきませんので、議事録としては完結をしたというふうになってしまったわけです。ところが、数日を出ずして、沖縄県の幼児といいますか、童子といいますか、戦闘員である問題についても私はこれは戦後処理の問題の一部だというふうに前々から指摘をしておったんですが、そういう問題を含めて完結をしてしまったと言っておったんですが、その後その問題について処理がされたわけですね。そして、さらに戦後処理の懇談会というものができた。私は、過去の経緯からいいますと、政府の対応というのは非常にその意味ではまじめさを欠いていたというふうに冒頭指摘をせざるを得ないと思うんです。  さてここで、懇談会がせっかく勉強しているわけですが、どういう角度からどういう問題を審議して、それからいつごろまでに見解をまとめられるのか、その点をひとつ冒頭に伺っておきたいと思います。
  75. 禿河徹映

    政府委員禿河徹映君) 今お話がございました戦後処理問題懇談会はこれまでに二十回開催されておりますが、昨年まではいわゆる恩給の欠格者の問題、それからシベリア強制抑留者の問題、それに在外財産の問題、この三つの問題を中心にいたしまして政府がこれまで講じてまいりましたいろいろの施策等のヒアリングを行う、と同時に関係民間団体からもヒアリングを行ってきたわけでございます。今年に入りましてから、この懇談会におきましては、今申しましたヒアリングを踏まえまして、これまでに講じられてまいりましたいろいろな施策というものがどういう背景ないし理由でとられたのかとか、あるいはそれらの施策の内容を現時点でどう評価すればいいのかとか、さらに戦後処理問題全般につきまして基本的にどのように考えるべきかとか、そういうふうなことにつきまして、自由討議と申しますか、いろいろの意見の交換が行われているところでございます。  いつごろ結論が出るかということでございますけれども、一昨年の六月末にこの懇談会が第一回目開催されましたときに、なかなか難しい問題でもあるので大体二年ぐらいはかかるのではなかろうか、こういうことでこれまで来ております。その点から考えてまいりますと、一応今年の夏ぐらいをめどに御意見の取りまとめということが期待されるのではないか、かように考えております。
  76. 穐山篤

    穐山篤君 そこで、主要な柱は三つ、そのことはわかりました。  さてそこで、事務当局にさらに伺うわけですが、自民党を含め、野党もそうでありますが、国会提出されております請願が数あるわけですね。これもいうところの戦後処理にかかわる問題についての請願がたくさん出ているわけです。旧満州国に服務した人たちの問題、それから旧満鉄派遣の職員あるいは既に一応の処理はされてはおりますけれども旧陸海軍の従軍看護婦の措置についての継続拡充、その他旧満蒙開拓青少年義勇隊の処遇の問題、いろいろあるわけです。これらの問題につきましては、この懇談会にどういうふうに反映をされているのか、あるいはこれは既に法律として適用になっているものはこちらの例えば恩給法の方で処理をするとか、あるいは援護法の方で処理するとか、そういう区分けを含めて事務当局としてどう請願の扱いをとっているのか、はっきりしていただきたいと思います。
  77. 禿河徹映

    政府委員禿河徹映君) 私から申し上げるまでもなく、御存じだと存じますけれども、いわゆる戦後処理問題というものを考えます場合、一体どのような問題をとらえていくのかというのは大変難しい問題でございまして、そのとらえ方いかんによりましては大変その範囲が広くなってまいります。それで、もともとこの戦後処理問題懇談会のメンバーの方にお願いいたしましたのは、先ほど申し上げました三つの問題が非常に大きく取り上げられてきておる、こういうことを申し上げまして、そういうものを踏まえてそもそも戦後処理問題というものをどう考えて、どう対応をしていくべきかということの御検討をお願いいたしたわけでございます。今お話がありましたような個別、具体的な対応の問題になってまいりますとこの懇談会でそのすべてを御検討いただくということは事実上困難でございまして、また先ほど申しました戦後処理問題というものをいかに考えるべきかというこの懇談会の性格からいきましてもそういう個別、具体的な問題を取り上げていただくというのはどうもその性格になじみにくいのではないかと、かように考えております。  ただ、今お話がございましたような個別の、例えば旧陸海軍あるいは日赤の従軍看護婦の処遇の問題とかあるいは満州の棉花協会等々からいろいろお話が出ておるとかいうふうな事柄につきましては、これは恩給欠格者問題に関連する事項といたしまして、この懇談会の席上、私ども事務当局からそういう御要望なり請願なりが出ておるということは御説明はいたしております。ただ、繰り返して恐縮でございますけれども、先ほど申しました三つの問題、これを中心に考えながら戦後処理問題、それを基本的にどう考えていくか、こういう御意見をちょうだいいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  78. 穐山篤

    穐山篤君 それで、この戦後処理問題というのは率直に言えば目の黒いうちに処理をしなければ問題が後代まで残ってしまう、こういう性格を持っているものです。私も幾つか関係をしたわけですが、若い国会議員の中には満蒙開拓義勇軍というのはどんな軍楽隊ですかというふうな質問をするほど風化しつつあるわけです。したがって、どういう答えが出るかは今後にまつところでありますが、積極的な姿勢をとって、私は銭金の問題を含むとは思いますけれども、これは国民全体の合意を得なければならぬ問題ですから積極的な姿勢と同時に節目をきちっとしてほしいということを長官に最後に希望しておきます。
  79. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) お気持ちはよくわかりますし、そういうことを踏まえて戦後処理懇談会でも議論をしていただいております。いずれにいたしましても、そう遠くない将来にいただくことができれば御結論いただきたいと思ってせっかく努力をしているところでございます。
  80. 穐山篤

    穐山篤君 次に、会計検査院。  私、ずっと長く決算委員会に籍を置きまして、検査院法の改正の問題につきましても決議をした一員であります。私は、院法改正の問題につきましては、峯山委員予算委員会の席上でただして今予算委員会の間に結論を出すようにする、こういう統一見解が出ましたので、それ以上は追うことはいたしませんが、少なくとも衆議院で五回、参議院でも四回の決議が与野党満場一致で行われたものであります。したがって、事の重要性、重大性というものを十分に理解していただきまして、積極的な対応をまず院長に要望をしておきます。これはお答えは要りません。  そこで、例の決議の中にも毎回出しているわけですが、機能の強化というものを図ることによって十分補強せよ、こういう決議が行われ、また検査院としても意欲的に取り組んでいると私は確信をするわけですが、どういう分野で機能強化が図られているのか、あるいは今後図ろうとするのか、その点まず基本的な部分でお伺いをしておきます。
  81. 鎌田英夫

    会計検査院長鎌田英夫君) 会計検査院の機能の強化ということでございますが、もちろん機能の強化には質的な面、量的な面、そういう面からの機能の強化というものが考えられるわけでございます。  ただ、量的な面と申しますと職員の増員ということでございますが、なかなか現在の状況下におきましては非常に難しいという状況でございます。しかし、この難しい状況の中でやはりこれは最小限度必要なことであるという意識を持ちまして毎年増員を要求している、こういう状況でございまして、少しずつではありますが実質増という形で増員がされております。ただ、一遍に増員されましても直ちに調査官として第一線に立って縦横な活躍ができる、こういうわけにもまいりません。非常に勉強して実力を養った上でないと調査官として第一線に出せないわけでございますので、その辺の絡み合わせもございます。したがいまして、少しずつでも実質増があればこれは将来において戦力になる。まず、量的な面ではそういうことでございます。  一方、質的な面で考えますと、これは調査官といいますのは非常に難しい、各省庁あるいは公団、事業団、そういったようなところの検査をいたすわけで、専門がございません。専門がないかわりに、工事をやったり経理をやったり非常に高度の科学技術、こういったものにも対応していかなければなりませんので、常時勉強が必要でございます。したがいまして、院内における研修、部外の研修機関に派遣しての研修、そういったもので勉強をする、また非常に検査院の職員は熱心でございまして、みずからもいろいろ勉強をする、こういうようなことでそういう面の質的な向上というものが図られているわけでございます。  なお、先ほど量的な面と質的な面と申し上げましたが、量的な面を補完する意味におきまして、五十七年度から準備に入りまして、会計検査情報システムというものを設置いたしました。これには必要な人員を内部でやりくりいたしましたわけでございますが、それの課長相当の人員はこれは増をしていただきまして、この機能によって事務的に、あるいは検査調査検査上の検索等、そういった面でプラスになるような、非常に人力によっては手がかかっていたずらに時間を要するという面もこのシステムによりまして軽減される。そういう量的な調査官の足らざるところを機械で補うと申し上げますとちょっとあれでございますけれども、非常にプラスになる、こういうシステムを開発いたしまして、今年度からこれが稼働していると、こういうような状況でございます。
  82. 穐山篤

    穐山篤君 検査対象箇所が非常に膨大であるということもありまして、実際の実調率といいますか、検査率というものは常に一〇%以内にとどまっているわけですね。それから加えて多大な影響を受けますのは、来年度、昭和六十年度六十歳定年というものが一つの垣根になります。これはどの省庁でもそうでありましょうが、なかんずく検査院はその影響なしとしないと思うんです。それから一人の検査官を養成するためにも相当の年限が必要になるわけです。そこで、院法の改正は別にいたしましても、国民から検査院の重要性も非常に指摘をされているわけですから、私は六十年度を境にした機能強化の特別策を考えてほしいな、こういう気持ちを持っているわけです。時間が来ましたので、私の気持ちが那辺にあるかを十分にひとつお酌み取りをいただきたいと思う。  それと同時に、一応検査の結果というものは政府並びに国会に報告をされておりますし、またその内容が一部市販をされているようでありますが、私は国民の目の前に前広に、検査の結果というものあるいは結果に対して国がどう改善措置をとったかということを多く知ってもらうためにはもっと広範な広報活動が必要であろうということも提起をしてあるわけですが、時間の関係でこの点はひとつ含んでこれからも対応していただきたいということを検査院には要望しておきます。  次に、総理府並びに人事院にお尋ねしますが、退職手当問題です。  これは御存じのように、昭和五十六年度に国家公務員退職手当制度が改変をされました。それに対応しまして三公社もこれに準じたわけですが、その際、審議を通しても御答弁がありましたし、附帯決議にもなりましたのは、六十年には見直しをしたい、こういうお約束であったわけです。このお約束を果たすためにはしかるべき調査活動を始められたと思うんですけれども、どういうプログラムで進められるのか、その点をお伺いしておきます。
  83. 藤井良二

    政府委員(藤井良二君) 退職手当制度につきましては、現在、退職手当制度基本問題研究会を設けるなど、鋭意検討をしているところでございます。この結論は、恐らくことしの五月ごろ出していただくことになると思います。その結果、見直しの必要があれば昭和六十年度までに間に合うように所要の措置を講じようというふうに考えております。  なお、現在、人事院に依頼して民間企業における退職金の実態を調査しておりますけれども、その結果に基づきまして官民比較を行い、その均衡が図られるように総合的に検討してまいりたいというふうに考えております。
  84. 穐山篤

    穐山篤君 これは調査報告が集約をされてから本格的な検討、議論ということになるわけですが、そこでお伺いをしておきますが、最近、民間を含めて退職手当増額という要求が非常に薄れているんです。薄れているといいますか、控えているところが非常に多くなりました。中小企業の一部の中ではこの春闘の中に賃上げと退職金と災害補償というふうな問題を要求して目下団体交渉をやっておりますが、民間の大手はほとんど退職金という問題を取り上げていない。これはなぜかといいますと、いうところの企業年金、それが導入をされたために労使の間で退職金の増額という問題についてはざっくばらんに言えば遠慮しよう、こういう状況がここ二、三年ずっと出てきたわけです。ですから、人事院が調べます民間の退職金というのは、本当によく中身を選別しませんと、従来の気持ちで民間労働者の退職金というものを眺めますとこれは大変な間違いを起こす、こういうふうに思いますが、その点どういうふうに状況を掌握されていますか。
  85. 斧誠之助

    政府委員(斧誠之助君) 人事院では、一昨年の秋に実は退職金の制度調査を行っております。これは今先生申されました退職金の一時金、それから企業年金制度、それから民間では加算金というものが支払われておりますので加算金制度、それから定年と退職金の関係、それから早期に整理退職になったような場合の退職金制度、それから勤務延長あるいは再雇用の場合の取り扱い、そういう制度について調査をいたしました。この調査結果は、既に総理府の方へ提出してございます。  昨年の秋に実際に支払われた退職金額というものを調査したわけでございますが、この場合は、実は昨年の民間給与実態調査で、勤続二十年以上の長期在職者の退職者が存在する企業調査してありまして、実際にそういう退職者がいる企業につきまして企業規模百人以上の二千三百社、これについて実地と通信で調査をいたしております。現在、その結果を集計中でございまして、集計ができましたらこれを総理府に提出する、こういうことにいたしたいと思っております。
  86. 穐山篤

    穐山篤君 この退職手当の問題について私の主張というものがどういうものであるかを十分認識していただいたと思いますので、改めてまた別の機会に問題の提起をしたいと思います。  さて最後に、五十九年度の行革といいますか、行革全体について長官にお伺いしますが、方針的には五十九年度に国家公務員三千九百五十三人の純減を行う、こうしておりますね。それから方針としては、六十年には五十九年度の二倍ぐらい、約八千人程度は純減を図りたいという、そういうお話を聞いているわけです。  さてそこで、先ほども問題にしました六十年六十歳定年というものが一つの節目になると思うんですね。それで、現業と非現業を分けまして、退職予想の数はおおむねどんなものでしょうか。まず、そこからお伺いします。
  87. 門田英郎

    政府委員(門田英郎君) ただいま委員指摘の、六十年三月三十一日定年制施行に伴います定年退職者の見込みの数についてお尋ねであったわけでございます。  現在、私ども、関係省庁にこの関係のデータの作成方依頼中でございます。各省庁における精査の結果を待たなければ正確な数字というのは申し上げることはできないわけでございますが、ただいま私どもが大略把握しております限りで申し上げますと、非現業で大体一万人程度ではないだろうかというふうに考えております。  なお、現業についてのお尋ねでございますが、現業につきましては、委員御承知のとおりかと存じますけれども、ただいま特例定年の取り扱いなど、いろんな関連する制度、これが未定でございますので、現段階ではこの数字は不明ということでございます。
  88. 穐山篤

    穐山篤君 時間が来ました。  そこで最後に、行政監察関係をお伺いしますが、総務庁設置法の改正が行われまして、行政監察の事務所の要員が六十三年までに百十人減るということになっています。そこで、人数が減りますと結果的に機能が弱るというふうになるわけですが、従前以上に成果を上げるためには何らかの補強工作、工夫をしなければならぬと思うんですが、その点についてどういうふうなアイデアをお持ちか、その点をお伺いします。  それから、ことしの予算の中にもオンブズマン制度の導入という問題があるわけですが、これからオンブズマン制度を研究するというのと現行あります苦情処理相談機構というものとの結びつきはどんなふうに政策的にお考えになっているのか。最後に、二問お答えをいただきたいと思うんです。
  89. 竹村晟

    政府委員竹村晟君) まず、事務所の方の定員の縮減に伴う工夫でございますけれども、業務の面で、私どもの方でやっております中央計画監察業務につきまして、定型的な調査につきましてはこれは管区に集中する、こういったことを中心といたしまして、原則としてこれらの業務を管区、局中心に運営する。  それから監察につきましては幾つかの調査項目があるわけでございます。それを管区と地方局との間で分担をいたしまして、特に管区の方にたくさん調査をお願いする、そういうことも考えております。  それから調査をした報告書があるわけですが、それの簡便化を図る。例えば意見にわたるようなことは余り書かなくとも事実関係だけを調べるとか、そういうことで合理化もできるのではないかというふうに考えております。  それから仕事を始める前に事前の研究をしっかりするとか、あるいは先行調査、こういったことで問題点をつかまえる、これらによりまして業務効率化を図りたいというふうなことでこれらの問題に対処したいというふうに考えております。  それからオンブズマン制度の調査研究と今やっております苦情救済活動のその結びつきでございますが、これは直接の関係はございません。制度の方は、今度の閣議決定にもありますように、制度としていろいろ検討をする。それから苦情救済活動の方は、既に出先の中で十局くらい活動しておるわけですが、それはそれで活動してもらうというふうな関係でございます。
  90. 小野明

    ○小野明君 私は、国内の人権問題といたしましては一番大きい問題と考えられます部落差別の問題について質問をいたしたいと思います。  我が国の政治は、内政、外交ともに私は非常に人権問題というものに対する取り組みが弱いように感じられます。その一つは、あらゆる形態の人種差別撤廃条約、これがまだ批准をされていない。いま一つは、総理も明年は批准をすると言われておりますが、婦人差別の撤廃条約の問題について国内法で今いろいろ検討がされておるようでありますが、なかなか実効のあるものになりそうにないという懸念があるわけであります。これらを見て、全体的に、内政、外交ともに我が国政治は人権問題に取り組みが弱い、鈍感ではないのか、こういった感じを持つわけであります。  そこで、主題に返りますが、部落差別というのは、同対審答申が三十年代に出されまして、それを受けて同和対策事業特別措置法、あるいはその期限切れ、延長の後に、三年前に地域改善対策特別措置法が制定をされてまいりました。それはそれなりに物的な環境問題においては効果を上げてまいったと思われるのでありますが、なかなかいまだに教育あるいは結婚あるいは就職、こういった面については根強く差別というものが残っていることは疑いのない事実ではないかと私は思うわけであります。  そこで、部落差別、部落の完全解放、部落解放行政をどう進めていくのかというのが大きな内政上の課題であると私は思いますが、ここで私は部落差別の問題については、やはり環境改善という問題はもちろん進めていかなければなりませんけれども、教育や啓蒙、啓発、こういった研修といった面を非常にウエートを持って実施をしていかなければならないのではないか、このように考えます。  そこで、大変これは遺憾なことでありますが、これらの行政を進める大臣あるいは政府委員、それに準ずる人たち、こういった人たちにこの認識が非常に薄いように思います。端的に申し上げますならば、差別発言というのが相次いで行われておるということが言えると思うわけでございます。  まず、総務長官にお尋ねをいたしますが、私はこういった基本的な認識に立っておりますが、総務長官のこれらに対する御所見を伺っておきたいと思います。
  91. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) 前段で国際的な諸条約の一部について批准をしていない、婦人差別の問題については今国内法を整備している、御発言のとおりでございます。そういった日本という国の立場で対外的にどうしていくかという大きな問題もございますが、御指摘のように差別発言というふうなものが時々出てくるというのも甚だ遺憾なことでございます。この問題は、国民的課題といいますか、人間としての課題であろうと、かように思います。そういう意味で啓発あるいは教育、そして教育の中でも役人の皆さんが特にいろんな研修活動を通じて事柄をよく理解してもらって、そしてお話のように環境について物的な面では大分進んでまいりましたけれども、いわゆるソフト面について特に重要な問題があるということが現段階の主要課題になりつつある、かように考えております。そういった面での遺憾のないように中央官庁はもちろんですが、地方公共団体も含めてよく理解をしていただき、行政の進展に過ちがないようにしてもらいたい、かように考えておるところでございます。
  92. 小野明

    ○小野明君 私が今さら政府高官の差別発言をここで改めて申し上げる必要もないかと思いますが、念のために申し上げておきたいと思います。  七八年の二月二十七日に当時の稻村総務長官が部落差別の問題を「そのような人種差別は、なくさなければならない」と、大変な誤った見解を言われたことがございます。  さらに、七九年の一月二十九日でございますが、水道産業新聞、これに、元厚生省水道課長、当時は水資源開発公団の監事をしておられた方がこういう発言をされております。「水道課時代の思い出」、こういうことで、「昭和三十三年頃の厚生省の中で水道課は特殊部落的存在であった。建設省の水道課についても同様に省内の特殊部落に私には思えた。」、続いて、「そして、水道が今日特殊部落から抜け出て一般社会の中にいつの間にか根強い成長を示していることに」云々と、こういうふうに特殊部落、一般の地区とは違う閉鎖的特別な地区、こういうイメージをはっきり植えつける、これはそういう意図でなかったかもしれませんが、そういう発言がございます。大変なこれは問題。  それから、八二年の五月十九日、人事院の公平局長ですね。現在の内海総裁のもとではございませんが、人事院の公平局長がこういうことを言われているわけです。社団法人日本経営協会が主催をいたしました関西公務能率研究会議の分科会でありますが、「世のなかには、とかく公務員は、いうなれば、特殊部落の存在であるというような感じがございますが、しかし公務員であってもやっぱり人間です」。公務員弁護論ではありますけれども、特殊部落という使ってはならない差別語でそれを言いあらわしている。それでは、この公平局長はこういった研修会あるいは研究をしていなかったかといいますと、そうではなかった。七〇年ごろからいわゆる同和対策審議会の研究会にも出席をしており、同対審答申内容も学習をしておる、その後も政府機関の研修を受けていた、にもかかわらず、そういった差別意見、差別発言を行っているわけであります。  事ほどさように、非常にこの差別意識というのは根強いものがあるわけであります。さすがに、この公平局長の発言を受けまして、人事院が昭和五十七年の十月十八日に管理局長名をもって通知を出しております。「地域改善対策特別措置法の施行に伴う措置について」、一項から五項までございますが、要点だけ読み上げますと、二項、「同和問題に関する研修等を通じて、この問題に対する職員の認識を一層深める。」、第三項は、「人事院が実施する各種の研修、会議等において、同和問題を取り上げるよう一層努力する。」、第四項、「国家公務員採用試験における面接試験官及び各省庁の採用担当官に対する同和問題についての啓発を一段と強化する。」、こういう通知を管理局長名で出しておられるわけであります。  そこで、人事院の総裁にお尋ねをいたしますが、質問の通告もいたしておりますが、この実施状況についての点検あるいは今後の研修計画、これはどのようになっておりましょうか。
  93. 内海倫

    政府委員(内海倫君) ただいまの御質問にかかわります経過その他につきましては主管局長から答弁をさせていただきますが、基本的に、ただいま御指摘に相なりました人事院の幹部が大変間違いのある話をしたということにつきましては私ども重大な問題として受けとめ、前総裁からも私に 対してこの点には厳しい形で事務引き継ぎを受けております。まことに遺憾な問題だったと思っております。  自来、人事院としましては、同和問題の早急な解決ということが国の責務であり、さらにまた国民的な課題であるという厳しい認識のもとに、従来からの人事院の所掌業務、例えば今御指摘の試験採用あるいは人事院の行う公務員の研修というふうなあらゆる機会をとらえまして真剣に取り組んでおるところでございます。今後もさらに、事柄の重要性にかんがみまして、所要の措置を講ずるとともに、解決に一層の努力をいたしていきたい、このように決心をいたしておるところであります。  御質問にかかわります経過等につきましては、主管局長から御答弁をいたします。
  94. 服部健三

    政府委員(服部健三君) 同和問題の重要性につきましては私ども十分認識を持って、業務実施に当たりましては従来から留意するということでやってきておりますが、特にただいま先生から御指摘のございました私ども局長通達につきまして、まず同和問題に対する職員に対する研修につきましては、私どもの内部の職員の研修体系の中に、カリキュラムの中に積極的に同和問題を取り入れるというようなこととか、それからまた会議等の席を通じまして職員に同和問題の認識と理解を深めるというようなことで折に触れて研修をする。同時にまた、総理府でも実施されております同和問題についての研修会に積極的に参加させるというようなことで、先ほどお話のございました院内職員に対する理解という二項の点につきまして実施している状況でございます。  また、各省庁に対する、先ほど先生が御指摘になりました同通達の三項についてでございますが、各省庁につきましては、私どものところで実施いたしております行政研修の中のカリキュラムに同和問題を積極的に取り入れると同時に、また地方出先機関の職員に対する各種の研修におきましてもカリキュラムの中に入れまして、この問題についての理解と認識を深めることによって所掌業務実施を遺憾なからしめるように措置しているというのが現状でございます。  また、その第四項にございますところの国家公務員の採用試験における面接試験官及び各省庁の採用担当者に対する同和問題につきましては、この問題についてもその試験の実施に当たりまして、同和問題についてあるいは人権問題について十分認識を深め、理解するということで、決して受験生等に対してそういった問題に遺漏のないように研修あるいは会議の席を通じて指導しているのが現状でございます。
  95. 小野明

    ○小野明君 そういうふうに同和問題に対する研修あるいは指導というのは結構でありますが、計画をお立てになるのも結構でありますけれども、その後の点検、どういった効果を上げているのか、いまだ足らざるところはどういう点なのか、そういう実施状況の効果の判定を十分ひとつしていただくように要請をいたしておきたいと思います。何か見解ございますか。なければ時間がないから次にいこうと思いますが……。  そこで、総理府の総務長官、いろいろ総理府で研修会をおやりになっていると思いますが、同時に、各省庁ごとの研修をより一層推進するための体制をつくり上げていただきたいと思いますが、総務長官いかがですか。
  96. 佐藤良正

    政府委員佐藤良正君) 総理府といたしましては、毎年幹部職員、特に局長、課長クラスとそれから一般職員に分けまして研修会を開催いたしておりまして、昨年はたまたま人権宣言三十五周年ということでございまして、人権の視点から見た同和問題等の講演とか、さらに初めて企画をいたしまして、総理府と県の連絡機関でございます全同対と共同企画をいたしました映画等を上映いたしまして、前者、課長クラスにつきましては二百十余名、それから一般職員につきましては九百余名の職員を集めまして研修をいたしました。これはずっと前から続けておりまして、今後ともさらに充実していきたいということでございますが、特に職員研修につきまして総合調整をされております人事院等とも協議いたしまして今後やっていきたいと思っております。  なお、個別的には、各省の講座等についてはいろいろ御相談を受けて調整をしておるというふうな状況でございます。
  97. 小野明

    ○小野明君 七月一日から総務庁設置法が施行されて、この設置法によりますと、地域改善対策事業関係あるいは部落解放行政というのはこの四十四項から四十七項までに規定されてございますね。そこで、総理府にあります同対室というのはかなりの働きがあったと私は思います。ところが、総務庁に移管されることに相なりますと、この四十四項から四十七項まで規定はされておりますが、これによって地域改善対策室の機能が従来よりも弱体化するというようなことはございませんか。
  98. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) 今度の総務庁発足に当たりましては、お話でございますが、弱体化させるようなことは絶対いたしません。総合的な指導的な立場で対処してまいりたいと考えておるところでございます。
  99. 小野明

    ○小野明君 そこで、新総務庁が単なる同和問題に関する連絡調整ということだけでなくて、各省に対する指導的な立場に立ってこれを推進するというものであるかどうか、その辺をひとつ御決意をあわせて伺いたいと思います。
  100. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) 法律の規定上指導というようなことは書けないと思うんですけれども、総合調整ということの中で我々読み込んでおります。先ほど来お話があった十年間の同対法の時期、それから二年延長、三年延長、今日に至っていますが、絶えず指導的立場に立ってきたと自負をしておるのが今の事務の皆さん方の気持ちであります。これからもそういった気持ちを持ちながら続けていけるようにしたいと思います。総務庁が発足すればなおさらのことでございます。
  101. 小野明

    ○小野明君 新総理府には広報室が残るようになっておるようですね。それで、昨年の人権宣言三十五周年、この際はかなり新聞、テレビ、ラジオ、週刊誌等宣伝が割合されていたように思います。でありますから、こういったマスメディアを使いまして、この同和問題、部落差別の問題をなくすためにひとつ大々的に宣伝をしてもらいたい。これは昨年でありますか、「結婚」という映画をつくられてかなり効果的であったように思いますが、そのあたりのこともひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  102. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) お話の「結婚」という映画については各方面からいろいろ評価していただいておりますが、これからの今の政府広報室との関係でございます。これは今までやってきましたが、同様あるいはもっと積極的に広報室とも連絡しながら同対室において善処してもらいたい、かような希望を持っていますし、総務庁に引き継ぎます事項といたしましても、重点を置いてそのように対処したいと思います。
  103. 小野明

    ○小野明君 終わります。
  104. 高平公友

    委員長高平公友君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩      ―――――・―――――    午後一時二分開会
  105. 高平公友

    委員長高平公友君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和五十九年度総予算中、皇室費国会所管会計検査院所管内閣所管及び総理府所管のうち総理本府、青少年対策本部日本学術会議宮内庁行政管理庁総務庁を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  106. 板垣正

    ○板垣正君 限られた時間でございますので、私は戦没者等に対する慰霊、追悼につきまして政府基本姿勢をお伺いいたしたいと思います。  まず第一に、鈴木内閣の時代でありますが、五十七年四月十三日の閣議におきまして、八月十五日を「戦没者を追悼し平和を祈念する日」と閣議で制定されたわけであります。この制定の趣旨につきまして、まず総務長官からお伺いいたしたいと思います。
  107. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) お話閣議決定でございます。これは戦没者を追悼して平和を祈念する日ということでございますが、さきの大戦において亡くなられました方々に対して哀悼の意を表し、そして平和を祈念するために設けられたものでございます。この趣旨は、国民の間に相当広く深く浸透してまいったように考えております。
  108. 板垣正

    ○板垣正君 この戦没者追悼の日のことにつきましては、総務長官のもとに戦没者追悼の日に関する懇談会、これは中山前長官の時代であり、この答申は田邊長官の時代でございますが、この報告の中に、  国家・社会のために生命をささげられたこれらの同胞を追悼することは、宗教・宗派、民族・国家の別などを超えた人間自然の普遍的な情感であり、その発露としての追悼の行事を行うことは、諸外国においても幾多の例を見るところである。この自然な情感をできる限り大切にしていくことが人間として最も基本的な営みであることは、言うまでもない。  また、大戦の犠牲者を追悼することは、単にそれのみにとどまらず、将来に向かって平和を願うことにほかならない。こうしたことが述べられております。戦後、遅まきでございましたけれども、国として戦没者追悼の日を改めて定められた。そして、このことは人間として国民として最も基本的な大切なことである、こうした趣旨も込められているわけでございます。  そこで、ひとつ伺いますが、今、内閣におきましては追悼の日の設けられた戦没者慰霊等についての担当大臣ということになりますと、これは総務長官がその御担当ということでございますか。総務長官に伺います。
  109. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) これは三十八年以来、厚生省が式典その他を実行しておるということになっております。総務長官としては何があったかということになりますと、「戦没者を追悼し平和を祈念する日」を定めるということについては総理府で決めました。その後の八月十五日に実施されてます追悼式等の各種行事、これは厚生省が担当する、こういうことになっております。
  110. 板垣正

    ○板垣正君 昭和三十八年以来、国の戦没者追悼式が行われてまいりました。これは厚生省が担当し行われてきたことは事実でありますが、改めてこの戦没者追悼の日が設けられたということは、やはりそれを一つの契機として、この基本的な慰霊、追悼の問題についてやはり内閣全体として取り組むべきではないか、したがってこうした問題について担当の大臣も決められ、この趣旨の徹底なり、またこれに関連する問題等についてもっと積極的に取り組む、そういう政府の姿勢が当然ではないかと思うわけでありますが、この点については官房長官いかがでございましようか。
  111. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) 今、総務長官からお答えをいたしましたような次第で、厚生省を中心として対応してきておるところでございます。所管大臣を明らかにして責任を持って進めるべきではないかという先生の御趣旨はよく受けとめさせていただきますけれども、実質的に仕事の面で政府全体として責任を持ち、かつ従来そういった経緯で対応してまいってきておりますので、そのことによって遺漏はない、こんなふうに考える次第でございます。
  112. 板垣正

    ○板垣正君 私がそうしたことを申し上げますのは、この戦没者慰霊の問題について決して平穏に行われておらない、この追悼の日を設けられた趣旨が十分浸透しておらない、こう思うからでございます。  つまり、中心的な問題として靖国神社の公式参拝の問題がございます。この問題は、既に長年の懸案でございます。また、各県議会におきましても、三十七県の県議会で決議が行われ、あるいは千五百三十四の市町村でぜひ実現をすべきであるという決議が行われておりますし、多くの国民、一千万を超える署名が行われておる、こうした経緯もございます。また、何よりも靖国神社と申しますと何か戦死した軍人だけが祭られているところだと、こういうイメージがございますけれども、決してそうではないわけでございます。  これは明治維新以来の関連された女性の方々もたくさん祭られておりますし、今度の戦争でも同様であります。二百四十六万柱のみたまが祭られておりますが、そのうち五万七千柱は女性のみたまであります。例えば沖縄のひめゆり、白梅の部隊の生徒の方々、対馬丸で遭難をされたこれはいたいけな学童の方々であります。あるいはソ連の不法侵攻で最後まで通話を続けた樺太の真岡の女子電話交換手、こうした方々も祭られております。あるいは民間防空組織の責任者として空襲中に活躍中に亡くなられた、学徒動員中に軍需工場等で爆死された学生、こうした方々も祭られておりまして、つまり戦場で戦死された軍人軍属ばかりでなく、文官、民間の方、女性を含めた多種多様の方々がお祭りされている。  したがいまして、日本国民のだれしもが崇敬し、今日までお参りも続けられている、こういうわけでございますが、この多年の期待にもかかわらず、まだ公職の立場の方々のその資格における参拝という問題について解決されておらない。この問題は、それだけにとどまらず、派生すると申しますか、全国的にいろいろな問題が起こっているわけであります。  これは昨年の九月に国会図書館でまとめた資料でございますが、国または国の機関が憲法二十条及び八十九条に関して問題となった多くの事例が掲載をされております。今申し上げました靖国神社、護国神社への参拝の問題、あるいは公金支出の問題、公有地、公的施設の提供の問題、行事への参加あるいは主催団体への参加、こうした問題があるいは訴訟となり、あるいは住民の監査請求、そういうような形でいろいろな抗争がもたらされておるわけであります。  詳細な紹介はあれいたしますけれども、岩手県なり、あるいは愛媛県、群馬県、栃木、長崎等々でもいろいろこのような問題をめぐって訴訟が行われておる。あるいは忠霊塔の敷地を提供していることについて、これは愛媛県の例でありますが、住民監査が行われておる。中には、大阪の例でありますが、町内会が市有地にお地蔵さんを建てたのは憲法違反だと、こういうことまで大阪地裁で現在係争中であります。  さらには、有名な箕面の忠魂碑の訴訟というようなものもございます。あるいは保谷市の例でありますが、市が慰霊祭に協賛をした、それで花を贈った、この生花代を贈ったのは憲法違反だ、返せというような市の監査委員勧告があった。あるいは石川県では、小学校のプール開きにお清めの塩をまいたらこれが憲法違反だといって問題化した。あるいは仙台市内の三十七の市立保育所ではクリスマス行事を中上したと、こういうこともございます。あるいは宮崎県国鉄南延岡駅に神棚を設けておった、これは安全運転祈願の黙祷を行う、こういうことであったわけでありますが、これも裁判になったわけであります。これは最終的には、福岡の高裁そして最高裁判決によりまして、黙祷は慣行化された駅内の組織上の問題であるということになった、十年かかって裁判で。  さらには、団体の奉賛会に県知事等が入ったというようなことについても問題にされる。だんだんこうやって、遺族会に県から補助金を出している、そうしたことについてもそれが慰霊祭に使われるのは憲法違反であるというような、まことに国が戦没者追悼の日を設け、これは人間として最も基本的な宗教、宗派を超えたものである、にもかかわらず、かえってそうした問題が各地に派生しておるということはまことに遺憾な状態であります。  これは帰するところ、やはり憲法上のいわゆる政教分離の問題をめぐってこの解釈がはっきりしておらない。そういうことで、いろいろな国民にも不安、動揺をもたらす、こういうことに相なっているわけであります。この政教分離についてもとになっていると申しますか、いわゆる昭和二十年十二月十五日の占領軍による神道指令、これが一つ大きな影響力をもたらした。そしてまた、その占領中に制定された憲法、現在の憲法二十条の信教の自由、政教分離の規定、これも極めて深く神道指令の影響を受けているわけであります。  私は、手元に憲法改正小委員会秘密議事録をまとめたものがございます。今の憲法は、昭和二十一年六月二十日に第九十帝国議会に提出をされて、十月七日に修正可決され、十一月三日に公布されたわけであります。この間、小委員会が設けられた、いわゆる有名な芦田小委員会であります。このもとで二十一年七月二十五日から二十一年八月二十日まで前後十三回にわたりまして芦田小委員会において検討されたこれが議事録であり速記録であります。  これにつきましては戦後公開されておらない。さらに、昭和三十一年五月には衆議院の議運委員会においてこれは秘密である、公開はしないということで、今日までどうしたわけか公開を見ておらない。たまたまその資料がアメリカに報告をされた。アメリカ公友書館におきまして最近これが公開をされた。公開されたものが日本国会図書館に来たわけであります。それをもとにしまして、衆議院の森清代議士でありますが、昨年まとめられたいわゆる秘密議事録であります。  これはいわゆる九条の芦田修正というようなことも、これを見ますと必ずしも今伝えられているとは歴史的事実は大分違うという非常にいろいろな問題もございますが、いわゆる政教分離をめぐってこの規定につきましても、この芦田小委員会においてはいろいろ論議が行われたという経緯があります。修正意見が出ております。いかなる宗教的活動も行ってはならない、これでは宗教教育等も行えないではないか、こういうことで国及びその機関は一宗一派に偏する宗教教育及び宗教的活動をしてはならない、こういう修正の意見が出され、これをめぐっていろいろな論議が行われた記録があるわけでございます。  最終的には、現在のいわゆる神道指令、神道の置かれた現在の情勢のもとでこれは触れることができないというふうな趣旨において修正を見送られたわけでありますけれども、同時に、その制憲の憲法帝国議会における二十一年八月十五日に、衆議院におきましていわゆる宗教教育を行えるという、情操教育を行うというふうな決議も行われた。また、それに基づいて現在の教育基本法が制定をされている。こういういろいろな問題のあった当時の占領下の、実質的には主権も制約されたもとにおけるこの憲法制定、そういうもとにおける神道指令を受けての政教分離の規定、そうした尾を引いて今日に至っているという点について指摘しなければならないわけであります。  こうしたことについては当然修正が行われておる。戦没者の慰霊等につきましても、昭和二十六年の九月でございますけれども、御承知だと思いますけれども、文部次官等の通達が出ております。今までは全く禁止されておりましたけれども、少なくとも民間団体の行う戦没者の慰霊祭、その他慰霊祭に県知事、市町村長等が参列して差し支えない、香華料、玉ぐし料等を出して差し支えない、弔辞等を読んで差し支えない、こうした通達が出されているわけであります。この二十六年の通達に基づいて行き過ぎた占領中の規制が正され、その後公職にある方々の少なくとも県、市町村段階における参列等が行われてきております。また、この二十六年通達は現在でも有効であるということは国会においても確認をされているわけでありますが、どうでしょうか、この二十六年通達は現在も生きておるという点について再確認をお願いいたしたいと思いますが、法制局長官、いかがですか。
  113. 茂串俊

    政府委員(茂串俊君) お尋ねの二十六年の「戦没者の葬祭などについて」の通達は、これは文部次官、引揚援護庁次長から出されたものでございまして、当局といたしましてその効力について公にお答えする立場にはございませんが、過去において文部省担当官が国会答弁におきまして、同通達は現在においても廃止されていないという答弁があることは承知しております。
  114. 板垣正

    ○板垣正君 これは現在においても生きておる。しかし、先ほどいろんな事例を申し上げましたように、神道指令はもう既に効力を失っております。しかも、それに縛られる、そして政教分離にひっかけて何もかもそうしたものは全部憲法違反であるという、まことに我が国の伝統、習俗も全く顧みないそうした風潮が見られる。また、最高裁におきましても、昭和五十二年の例の津の地鎮祭訴訟に関する判決、これも十年裁判で、最高裁がしかしこれは政教分離の憲法規定についてどう解釈すべきかという解釈基準を示したものとしてまことに画期的な判決であったと思うのであります。  この最高裁の判決におきまして、憲法における政教分離の原則は、国家が諸施策を実施するに当たって、宗教とのかかわり合いを生ずることを免れ得ない。政教分離原則を完全に貫こうとすれば、かえって社会生活の各方面に不合理な事態を生ずることを免れない。これらの点を考えると、国家と宗教との分離にもおのずから一定の限界がある。我が憲法の政教分離原則は、国家が宗教的に中立であることを要求するものではあるが、国家の宗教とのかかわり合いが、国の社会的、文化的諸条件に照らし相当とされる限度を超えるものと認められる場合にこれを許さないとするものであると解すべきである。こういうことで、やはり国の宗教的なかかわり合いはこれは否定できない。じゃ、それがどういう目的でなされたのか、あるいはそれによってどういう効果があるのか、そういうことを表だけの姿ではなくして、社会的通念の上に立って判断すべきであるという、まことに良識ある、また多数国民の心情に合致する判決であった。にもかかわらず、この判決にのっとっての行政の対応というものが私は非常におくれておるのではないか。それが先ほど申し上げましたようないろいろな要らざる混乱を巻き起こしておると言わざるを得ないのであります。  そういうことで、自民党におきましても、党の靖国問題小委員会におきまして、ひとり靖国神社の問題のみならず、政教分離原則というものはいかに運用されるべきものであるか、各方面の権威ある方々をお招きして検討が行われたわけであります。これにつきまして、私は昨年七月に中曽根総理にお会いをし、中曽根総理の御意向を受けたという経緯があることは事実であります。しかし、その中曽根総理のお気持ち、これは昨年九月十二日の参議院本会議における社会党の小山一平議員の質問に対する総理の答弁で総理のお気持ちというものははっきり議事録に残っておるわけであります。総理は、こう言っております。  靖国神社の問題について御質問をいただきましたが、殉国の英霊に対してよく皆様方も黙祷いたしますが、やはり殉国の英霊に対しまして感謝申し上げ、お慰め申し上げるということはどの国でもやっておる普通のことなのでございまして、わが国におきましてもそういう真心をささげるということは大事なことではないかと思っております。  ただ、この公式参拝につきましては、内閣法制局におきましてもいろいろな意見がございます。したがいまして、これらの疑義等につきましては党でよく勉強しておいてほしい、こういうことで目下、自由民主党において検討をし、勉強をしておるところでございます。このような勉強をし、検討するということは、タブーを設けないという前提からも当然行うべきことではないかと考えておるところでございます。こう答弁しておられます。まさにそうしたお気持ちで、総理の意向を我々も体して、自由民主党も正式の機関で取り上げて、三カ月にわたりまして各方面の権威者の意見を徴しつつ、奥野誠亮委員長のもとで見解をまとめたわけであります。  この見解の内容については、余り詳しく申し上げることはきょうは時間もございませんから省略をいたしますし、午前中の質疑にもございましたように、現在、党の政調会の了承までいっておる。いずれ近く党総務会の議を経て党の決定として政府の方に提出の運びになるであろうと考えるわけであります。  内容的には、先ほど申し上げました現在までの最高裁の判決等を中心とした判例に基づく、あるいは憲法、教育基本法、こうしたものの制定の経緯、またいわゆる宗教というものに対するヨーロッパのキリスト教の国の人々と我が国の古来の習俗、伝統、そこから出てくる宗教観、神に対する考え方、これは本質的に違うわけでありまして、我々は我々でやはり二千年来の培ってきた民族の伝統、文化、習俗があります。まして戦没者の慰霊という心の一番根源に触れるような問題、こうしたことにつきましては単に外国の考え方がそのまままかり通るということであってはこれは国民的な合意が得られるはずはありません。そういう点で、そういうことについても十分掘り下げが行われたわけでございます。  あるいは帰するところ、この神道指令によって一つの大きな区切りであって、あれから現在の人権を尊重する、信教の自由を守っていく、あるいは民主主義、これを貫いていくという点においてこれは評価するにやぶさかではありません。しかし、今やはり行き過ぎたところは改めなければならない。国みずからが戦没者追悼の日、慰霊の日を設け、宗教、宗派を超えた人間として最も基本的なことである、このような趣旨のもとに日を設けられる、こういう前提、こういう基盤に立ち、しかも今日見られるようないろいろなあいまいさゆえの不必要な混乱、不幸な混乱、こうしたものに思いをいたしますときに、やはりこれは行政、政府立場において積極的にこの辺で見直すべきではないか、けじめをつけなければならない、避けては通れないところではないか、このように強く思うわけであります。  そうした意味におきまして、近く党の正式の決定と運ばれるでありましようこの靖国問題の最終見解、こうしたものを政府のお立場においても真剣にひとつ受けとめていただきたい。これは党を挙げて取り組んできた、各方面の学者の方々の意見を聞いた、そしてまたその背後にありますのはまさにあの戦没をされた方々の声なき声がこもっておる、何千万日本国民の大きな願い、大きな期待がこもっておる、こういうもとにこの答申の作成がなされた。そういう面におきましては、今までになかった一つの区切りをつけるべき大きな機会ではなかろうかと思うわけであります。  そうしたことで、これをお受けとめになる政府として、官房長官に御決意のほどを率直に承りたいと思います。
  115. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) 戦後三十九年の間に、先生から今いろいろと御指摘がございました宗教の問題、公の立場と宗教との関係につきましては非常に難しい問題がございまして、現在の憲法のもとでいろんな御論議が展開をされてきたことは十分認識をしておるところでございます。特に、靖国神社をめぐりまして、あるいは国家護持でありますとか、あるいは公式参拝でございますとか、いろいろな関係者の御希望の意見や、また御批判意見などもそれぞれ繰り返されてまいりまして、国民的に大きな論議を呼んで今日に至っておりますこともよく認識をしておるところでございます。  その中で、中曽根総理が靖国神社の公式参拝の問題についてよく勉強しようというお話がありまして、自民党の内閣部会、靖国神社に関する小委員会におきましていろいろ御論議が深められてきておりますこともよく承知をいたしておるところでございます。自民党の方でこの小委員会でおまとめになりました案をどのような形でこれから取り運んでいかれますのか、それを詳しく伺っておりませんけれども、党の方から政府に対しましてこういった考え方が党の考え方である、政府としてもさらに検討するようにというような、もしそういった場面がございますれば政府といたしましてもよく勉強をさせていただきたい、そのように考えておる次第でございます。
  116. 板垣正

    ○板垣正君 法制局長官、御決意のほどを承ります。
  117. 茂串俊

    政府委員(茂串俊君) ただいま委員からいろいろ過去の経緯その他るるお述べになったところでございますが、党の方でいろいろ御勉強になられて、そして見解をまとめられたということは承っております。ただいま官房長官が御答弁になりましたように、私も同じような意味で勉強をさせていただきたいと、かように考えております。
  118. 板垣正

    ○板垣正君 終わります。
  119. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは、既に同僚の委員からも質問がされまして、あるいは予算委員会等でもこの問題は取り上げられておりますけれども、何と申しましても公務員皆さん方給与の問題、これは公務員皆さん方の生活あるいは士気に影響するばかりでなくて、恩給で生活をされている方、あるいは年金で生活をされている皆さん方、あるいは社会的立場の弱い皆さん方にもいろんな面で影響を与えてまいりますので、この場をおかりして私も取り上げさせていただいて確認をしておきたいと、このように思うわけです。  人事院は、例年どおり八月に給与勧告を行うということを前提にいたしまして既に国家公務員給与の実態調査等を実施していると思いますけれども、五十七年度の勧告は凍結、五十八年度勧告は二・〇二%に圧縮をされている。これは単純に計算しましても四・四四%の官民較差というのは残っているわけですけれども、そうなりますと、今年の勧告は少なくともこの較差の上にことしの民間春闘によるベースアップ分も上積みしたものになると、このように私たちは受け取っているわけですが、人事院としてはどのようにお考えでいらっしゃいますか。
  120. 内海倫

    政府委員(内海倫君) たびたびの機会にお答えを申し上げておりますし、けさほどもお答えを申し上げたところでございますが、人事院としましては人事院勧告というものの極めて重要な意味を政府にも国会にもお考えを願わなければならないと思いますが、既に過去数回にわたる抑制あるいは見送りというふうな事柄は極めて残念なことでございまして、本年におきましてはさらに資料を厳しく整えまして、民間給与公務員給与の較差をはじき出して、較差があった場合はそれに基づく勧告をしなければならないと考えており、その場合、昨年あるいは一昨年における見送りあるいは抑制というものに出てくる較差は今年の調査の中にもおのずから私は入り込んでくるものと思いますから、そういう意味で本年あらわれる較差について勧告を出さなければならない、こういうふうに思っておりますし、またその勧告は厳しく尊重し、かつ完全実施に最大限努力をして私どもとしてはぜひ完全実施をしていただきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  121. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 総務長官としては、どのようにお考えですか。
  122. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) 過去の経過についてはたびたびお話が出ておりますが、おっしゃったとおりでございます。先般、四月四日でございましたか、関係労働団体と政府と会合を持ちました。そのときにもお話ししたんですが、勧告制度尊重の基本姿勢、これは堅持するという立場に立ってまいりたいというお話をしました。いずれにいたしましても、労使関係が良好でなければならないということは大変重要なことでございますし、公務員の士気が低下するようなことがあってもまた困るわけでございます。そういったことがないように完全実施に向けて取り組んでまいりたいと、かように考えております。
  123. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 昨年の十一月二十六日の本委員会におきましてもこの問題は大きな論議を呼んだわけでございますが、その中でもございましたけれども、人事院勧告が連続して凍結あるいは抑制をされている、仮にことしの勧告が完全に実施できないとなりますと人事院勧告というのは形骸化してしまって公務員制度は根幹から崩壊する重大問題に発展するのじゃないか、こういうおそれが各委員からそれぞれ指摘をされ、ここで論議をされたわけですね。そのときに前人事院総裁であります藤井総裁からこの問題につきましてもお考えが示されました。  それは我が党の峯山委員の質問に対してお答えになってみえますけども、この人件費ということは基本的に申し上げて義務費であるということを第一点述べておみえになります。そして、この義務費である人件費というものは、生活の糧である給与というものはやはり財政状況を背景にしてこれは云々すべき問題ではない、基本的にこれは一番大事だと、このようにおっしゃっておみえになります。  続いて、第二点としましては、この給与の問題は申すまでもなく労働問題である、そしてこの人事院勧告の制度というものはこれは長きにわたって積み上げられてきた大事な慣行であって大変重要な意味を持っているのだということをおっしゃっておみえになりました。そして、もしも長期にわたりましてこの人事院制度という代償機能というものが無視をされたりあるいは軽視をされてきますとこれは基本権問題までさかのぼって論議しなきゃならないというような事態に立ち至るだろうと、このようにおっしゃっておみえになるし、憲法上の問題あるいは労働基本権の見直しというような問題も浮き上がってくるぞということをおっしゃっておりました。  私どももその総裁の意見と同じゅうしたわけでございますが、人事院総裁もこの前総裁の認識というものを同じようにお持ちでいらっしゃいますかどうか、お聞きしたいと思います。
  124. 内海倫

    政府委員(内海倫君) 人事院の基本的な考え方というものは総裁がかわったからといって変わる筋合いのものではございませんし、ただいま御質問、御意見の中で述べられております前総裁の考え方というのは私もまた引き継いでおり、またその考え方に立っておりますので、その点においてはいささかも変わるものでないのみならず、私自身ももし人事院勧告というものが尊重されないというふうな事態が今後たびたび続くようなことになりますとこれは極めて厳しい問題として受けとめなければならない、いろいろな論議を呼ばざるを得なくなる、こういうふうに考えておりますので、たびたび申し上げておりますように、そういう事態にならないためにもぜひ国会及び内閣においてこの問題は本当に重要な問題としてお考えを願いたい、こういうふうに思います。
  125. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 五十七年、五十八年の人勧の取り扱いは、これは言うまでもありませんけれども、昨年は給与の専門機関であります人事院が作成をしました俸給表を政府自身が改変したわけです。そのことにつきましては、当時の総務長官は当委員会でこれは異例のことである、このように認識していると発言しておりますけれども、ことしはこの俸給表には手をつけずに完全実施の線を守ると、このように総務長官としてお考えになっているのかどうか、御所見を伺いたいと思います。
  126. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) 昨年、丹羽総務長官が当委員会お話しになりましたそのとおり考えております。要するに、昨年の処理異例措置であったというふうに認識をいたしております。ことしどうするかということについて、ただいまここでどうするということは申し上げかねるわけでございますが、人事院勧告が出ましたならば誠心誠意努力をいたしてまいりたい、かように思います。
  127. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 ここに、ある公務員の組合の皆さんからの陳情書があるわけでございますけれども、政府人事院勧告を無視しまして俸給表を改定した結果、現在行政職(一)六等級十三号俸を受けている職員の方が昇格をした場合には、旧俸給表を適用すれば十九万九千七百円の本俸月額になるのに、この新俸給表を適用しますと十九万七千百円というふうになって、引き上げのための給与改定が引き下げのためになる。そして、この現在行(一)の六等級十三号俸を受けている職員の方はおよそ千三百人おみえになる、このように言われていますが、この給与法改定はこうした職員皆さん方の期待権を奪うものになるのである、こういう陳情をいただいておるわけでございますが、この俸給表の改定はこれほど重要な問題を含んでおるわけです。したがって、今年度もこのようなことが行われるとなりますと、先ほど申し上げましたように、これは重大な問題にまで発展するのは必至だと思いますね。官房長官、この点をどのようにお考えになってみえますか。昨年も給与法の改定につきましてはいろいろと御苦労されていたようでありますけれども、本年度はこの俸給表には手をつけないと、このようにお約束できますでしょうか。
  128. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) 昨年、非常に異例の状態で政府の態度を決定したということにつきましては、ただいま総務長官からお答えをいたしましたとおりでございます。あくまでも労働基本権を制約をするその代償措置として人事院勧告制度があり、これを尊重していかなきゃいかぬ、そういう基本的な姿勢に立ちまして従来歴代内閣もそのための努力をしてきたところでございますけれども、一昨年は非常な事態として財政状況がとらえられましたし、昨年もまた非常に厳しい状況の中で政府の態度を決めざるを得なかったのでございます。  本年、勧告が出ました段階で、政府部内それぞれ関係閣僚の討議を経まして政府の態度を決定していくということになると思いますが、総務長官がお答えをいたしましたように、また前総務長官国会において申し上げておりますように、昨年の措置は極めて異例措置であったという認識に立ってことし対応してまいりたい、このように考えております。
  129. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 官房長官、何かお忙しいそうで、あと事務的な問題になりますから結構です。  それでは、二、三事務的にちょっとお尋ねいたしておきますけれども、臨調答申によりますと、「内閣及び内閣総理大臣が、内閣総理大臣官邸を中心としてその中枢機能を十分に発揮するため、官邸に内閣官房機構等を収容するとともに、最新の情報通信施設を始めとする施設・設備の充実に努め、その機能の近代化を図る。」、このようにしておりますけれども、五十九年度の予算を見てみますと、官邸特別整備経費として一億六千万余が計上されていますけれども、この経費は各所修繕的なものでありまして、とてもこれだけでは不足だと、こう思うわけですけれども、今日の財政事情では官邸の近代化もなかなかこれは難しいのじゃないかと思うのですが、将来に向けての検討をどのようにされているのか、お聞きしておきたいと思います。
  130. 渡辺尚

    政府委員(渡辺尚君) 今、先生御指摘のように、臨調答申の中で官邸に内閣官房機構を収容する、あるいは施設、設備を充実するということが提言されておるわけでございます。総理大臣官邸におきましては、従来から事務処理効率化でありますとか、あるいは迅速化、こういったものを図るために逐次設備や機器の改善に行ってきておるわけでございます。  ただ、先生も今御指摘になりましたように、官邸に官房機構を収容するというようなことにつきましては財政問題等もございましてなかなか困難な問題もあるということで、将来の課題としてさらに検討を進めてまいりたいというふうに考えておりますが、なお施設あるいは設備の充実につきましては予算の範囲内で逐次進めてまいりたいというふうに考えております。
  131. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 内閣審議室につきましては臨調の第三次基本答申でいろいろと指摘がありましたけれども、どのような処置をとっていますか。
  132. 禿河徹映

    政府委員禿河徹映君) 内閣官房の企画調整機能の活性化ということで臨調基本答申で御指摘をちょうだいいたしておりますが、私ども日常の仕事を通しましてできるだけその趣旨に沿うように努めておるつもりでございますが、特にこの一、二年のやっております主なことを申し上げますと、例えば国鉄の改革問題に関連いたします国鉄再建監理委員会の設置の準備であるとか、あるいは公的年金制度の改革の問題、さらには型式承認などの基準認証制度の関係省庁挙げての改善の問題、あるいは最近におきましては新しい総務庁の設立の準備、そういうふうないろいろの問題につきまして、そのときどきの行政課題に応じました 所要の体制というものを内閣官房に設けまして機動的に対応するように図ってきたつもりでございます。
  133. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 予算の中に、毎年、内閣官房には情報の収集及び調査経費が計上されておりまして、五十九年度は十六億八千万となっておりますけれども、報償費として二億三千万ほど計上されていますけれども、この報償費というのは具体的にどのように使用されているのか、またその支給する基準はどのようにあるのか、具体的に伺っておきたいと思います。
  134. 谷口守正

    政府委員(谷口守正君) 現在、内閣調査室における報償費につきましては、御指摘ございましたように二億数千万円計上し、また五十九年度も現在御審議いただいているところでございますけれども、この調査費につきましては、内外の情報を収集調査する場合におきまして部外の協力者に対して謝礼的あるいは代償的な意味で支出している経費でございます。したがいまして、この報償費の支出につきましては、提供された情報の内容とか、あるいは代償的な意味合いからおのずと相当額が決まり、適正に執行されておるところでございます。
  135. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは情報調査委託経費、これは十一億三千万ほど予算が計上されていますけれども、これはどのような団体に委託をしているのか、どのような調査を委託しているのか、それはわかりますか。
  136. 谷口守正

    政府委員(谷口守正君) 五十九年度予算において委託を予定している団体でございますけれども、株式会社時事通信社、社団法人共同通信社、社団法人内外情勢調査会、財団法人ラジオプレスなど、十二ほどの団体に対しまして委託を考えているところでございます。  委託の内容といたしましては、内外のそれぞれのニュースの速報、あるいは海外情勢の分析、調査研究といったものでございまして、内閣が必要といたします政治、経済、外交、科学など、多くの分野の情報につきまして調査研究をお願いすることになっております。
  137. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは、十二社あるとおっしゃっていましたけれども、後でその団体の概要について資料として提出をしていただきたいと思いますが、よろしいですか。
  138. 谷口守正

    政府委員(谷口守正君) 資料として提出いたします。
  139. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは次に、いよいよ総理府は本年の七月に行政管理庁の組織とともに総務庁に移る組織と現状のまま総理府に残る組織に分割されるわけですけれども、庁舎問題とか、その他共通事項あるいは人事問題等いろんな準備があろうかと思いますが、その点はどのように進んでおりますか。
  140. 手塚康夫

    政府委員(手塚康夫君) 先生御指摘のとおり、あとわずかな期間になりました七月に、法律も通っておりますので、総務庁が新たに発足いたします。それについては事前の準備、いろんな項目がございます。したがって、内閣に置かれております総務庁設立等準備委員会、その下に私どもの準備室がついておりますが、それと総理府と行政管理庁三者が一体になって取り組んでいるということでございます。  当面、最大の問題でございます組織関係法令、政令を整備いたさなければいけません。これについては五月中にも成案を得るようにということで進めております。  それから庁舎の方も、第四合同庁舎の方に、環境庁の後になりますが、早々に入るということで、レイアウトも済み、予算が通りましたら内部の仕切りがえとか改装とかもやって七月には間に合うようにいたしたい。  そのほか、いろんな細かい項目もございますが、それぞれワーキンググループもつくって検討をして、七月一日には円滑な移行ができるようにということで万般の準備を進めているところでございます。
  141. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 先ほども同僚の委員からも質疑がございましたけれども、総理府総務長官の私的諮問機関、戦後処理問題懇談会、これがありまして、五十九年度予算にも五百万円の戦後処理問題の検討経費、これが計上されているわけです。  戦後処理の問題につきましては、昭和四十二年八月に引揚者等に対する特別交付金の支給に関する法律の制定がありまして、約三百十二万人の引揚者の方々に総額一千七百二十五億円の特別交付金を交付して、これは政府と自民党との間で覚書を交わして、戦後処理の終結を一応は宣言をしたということでございまして、これで解決済みという立場をとってきたわけですけれども、まだいろいろと問題は残っているということで五十七年に戦後処理問題懇談会が発足をして、経費として五百万が計上されて今続いているわけですね。その懇談会のメンバーあるいは検討項目、きょうまでの検討状況につきましては先ほどいろいろとお話を承りました。  この戦後処理問題懇談会で検討されている事項、これに関連している人たちは今どのような結論を出されるかということで非常に注目をしているわけですね。これはいろんな団体をつくって今陳情もされているようでございますが、中にはいろいろと会費を取って今度こそ絶対できるぞということで運動を展開されているそういう方もお見えになりますし、大勢の方がこれに熱い視線を送っているわけです。長年の苦労に対して政府はどのように報いてくれるのだろうか、こういう期待を持っていらっしゃるわけでございますが、やはり中には高齢の方もお見えになりますし、一人一人と世を去っていらっしゃる方々もお見えになるわけですから、早くこの結論を出して差し上げなきゃならない、このように思っておりますが、この懇談会は総務長官の私的懇談会でありますから、七月一日からは総務長官が廃止されてしまいますと困りますので、六月三十日までには結論が出されると思うんですけれども、そのように思ってよろしいでございましようか。
  142. 禿河徹映

    政府委員禿河徹映君) この懇談会のこれからの進め方でございますけれども、言ってみますればかなり最終的な論議の段階に入ってきておるということは言えるかと思いますけれども、六月三十日までに必ず御意見がちょうだいできるというところまで現時点で確たることは申し上げかねるわけでございます。  今、七月一日から新しく総務庁ができ新総理府にかわるということはメンバーの各先生方もよく御存じでございますけれども、これからの詰めの御論議の状況によってその御意見が出る時期が決まるものと思っております。ただ、大体二年経過いたしますので、この夏ぐらいまでには御意見がちょうだいできるのではないか、それを私ども期待いたしているわけでございます。
  143. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 今お話の中にございましたが、六月三十日までに結論が出なかった場合には、夏ごろをめどにしてということでございますが、そうしますと、この懇談会は七月一日以降は総務庁長官の私的懇談会となる、このように決定しているわけですね。
  144. 禿河徹映

    政府委員禿河徹映君) 七月一日から総務庁ができましたのと同時に総理府は衣がえをした新総理府になるわけでございまして、その担当の大臣は官房長官ということになるわけでございます。それで、今御指摘がございましたように、仮に七月一日以降においてもまたこの懇談会を開催しなくてはならないというふうなことになりますれば、官房長官のお指図を私ども受けていくということに相なろうかと思いますが、これはまだ今の段階で決定をしておるわけでもございません。そういうことは私は余りないことかとも思いますけれども、例えばこういう問題の担当大臣というふうなやり方もないわけではございませんものですから、現時点でどの大臣にお願いをするかとかいうふうなことは私の口から何とも申し上げようがございませんが、いずれにいたしましても、新総理府の審議室がこの懇談会の庶務を引き続いて行っていくという点には変わりがございませんので、この懇談会の開催につきまして支障を来すとかいうふうなことは事務的には問題ないと考えております。
  145. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 現在、この戦後処理問題懇談会で論議されている以外のいろいろと請願を受けている問題につきましても、同僚の委員から午前中にいろいろとお話がございましたね。私どもとしましても、そういった問題につきましては精力的にこれは取り上げていただかなきゃならない、このように思っておりますが、この委員会でも以前にいろいろと陳情を受けて与野党合意のもとに実現できた問題がございますが、それは旧日赤看護婦の皆さん方、これは昭和五十四年からでございました。また、旧陸海軍の従軍看護婦さんの皆さん方につきましては五十六年から、それぞれ慰労給付金が支給されているわけでございますが、これはできましてから今日まで増額をされていないわけですね。一方、恩給の皆さん方を見てみますと、五十五年には三・五%、五十六年には四%、五十七年にも五%程度引き上げられて、今度五十九年度二%程度増額を図られている、これは五十九年度非常に少ないんですけれども。これは当然恩給と慰労給付金というものは性格が違いますから、そのことは私たちも理解はしているわけでございますけれども、戦中、戦後を通しまして恩給の皆さん方と同じように苦労された方だけにやはりもっと思いやりを持って差し上げることが必要ではないか、このように思います。慰労給付金につきましても増額をする方向でひとつ総務長官にお考えいただきたいと思いますが、その点いかがでございましょうか。
  146. 菊池貞二

    政府委員(菊池貞二君) 慰労給付金は、ただいま先生お話しのように、女性の身でありながら戦時中に特段の御苦労をなされたということで、旧日赤救護看護婦、旧陸海軍看護婦等の方々の慰労をするために特別にとられた措置でございます。また、先生今お話のございましたように、この措置は恩給のようないわゆる所得を保障するという措置ではありません。そういう意味では、恩給のように増額をするのは非常に困難ではないかと私どもは考えております。しかし、この慰労給付金の今後の取り扱いにつきましては、こういった性格もございますが、また社会経済の変化等も見つつ、引き続き検討を続けてまいりたいと考えております。
  147. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 当然これは検討を続けていただきたいと思いますし、できれば早く実現もしていただきたい、このように要望しておきたいと思うんです。  次に、人事院のいろんな施策について二、三お尋ねいたしますけれども、人事院は昭和六十年を目途にしまして、任用制度や給与制度、あるいは研修制度、休暇制度等につきまして検討し、実施をしたい、このように言っているわけですけれども、今日までの進捗状況はどうなんですか。また、今後の具体化のための日程、手順、六十年実施という日程に変わりはないのかどうか、その点ちょっとお伺いしたいと思います。
  148. 服部健三

    政府委員(服部健三君) 人事院が行っております人事行政改善のための諸施策、いわゆる見直しにつきましては、五十五年に人事院の給与勧告の際の報告で問題の提起をいたしまして以来、調査あるいは各省庁の御意見あるいは職員団体の意見等を承りまして、昨年の給与勧告の際の報告の「別記」でそれらの諸問題につきまして骨子を取りまとめて、その後、各骨子ごとにそれぞれ各局におきまして検討をしておる次第でございます。  それで、主なものを申しますと、任用関係につきましては試験体系の再編であるとか、給与の問題につきましては専門職の問題であるとか等々いろいろ検討課題はございますが、これらにつきましては、その「別記」のところにも述べておりますように、今後さらに関係者の皆さん方の御意見を聞きながら、昭和六十年を一応めどといたしまして作業を進めていくという段階でございまして、現在の段階では、各関係者の御意見を承りながら、できれば六十年度において改正を要するもの等あればそれを順次実施に移していきたいということで現在作業を進めているのが現状でございます。
  149. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そのうち、任用制度につきましては、現在は上級甲試験、乙試験、中級試験及び初級試験とありますけれども、その中の上級乙試験と中級試験を廃止して新たに基幹職任用試験を実施する予定と、このように報じられておるわけですけれども、そうなりますと、いろいろと議論もあったと思いますが、短大の卒業者の方々を除外することにならないだろうかという危惧があるわけですが、その点はどのようにお考えでしょうか。
  150. 鹿兒島重治

    政府委員鹿兒島重治君) ただいまお話がございました上級乙及び中級につきましては、現在の試験の実施状況を見ますと、上級乙の場合には既に合格者が九十名ほどというぐあいに減少いたしております。また、中級試験につきましても、最近数年間の傾向を見ますと、大卒の合格者が九〇%を超えるという状況になっているわけでございます。したがいまして、昭和六十年度からこの二つの試験を廃止いたしまして、新たに基幹職の試験を行うということで再編成をいたしたい、こういう方向で現在検討いたしております。  お話がございました短大卒業者あるいは高等専門学校の卒業者につきまして、その受験資格等につきましていろいろ議論もあるところでございますが、私どもといたしましては、引き続き十九歳以上、現在は学歴は問うておりませんので、十九歳以上の者につきましては受験資格があるということで、短大及び高専の卒業者につきましても今後ともこの基幹職採用試験で採用していきたい、かように考えております。
  151. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 細かい議論は次としましても、次は給与制度についてですけれども、この現在の行政職俸給表(一)の八等級制を改めて十等級制あるいは十一等級制を考えている、このように言われておりますけれども、この改正のねらいと、どのくらいの等級制を考えてみえるんですか、その点お聞きしたいと思います。
  152. 斧誠之助

    政府委員(斧誠之助君) 現在の八等級制は昭和三十二年にできたものでございます。以来、二十数年間たっておるわけでございますが、この間、日本の社会経済状況というのは大変変化してきております。それに対応いたしまして、行政側も組織の改編とかあるいは新しい専門職の設置とかということで職務段階もかなり分化してきておりますし、それから専門職も上位の専門職から下位の専門職まで非常に多岐にわたって設置されるような状況になっております。この八等級制でこれらに対応しようといたしますというとかなり職責上差のある者が同じ等級に入ってくるというような現象が現在出てきておりまして、これはやっぱりその職務を明らかにして職務と責任に見合うような給与上の処遇、こういうものを考えていきませんと、職員の士気にもかかわりますし、また能率にも影響が出るのではないかということで、この八等級の現行制度を二つないし三つ等級をふやして職務と責任を明らかにしたいというのが給与制度改正のねらいでございます。  現在、二つふやすか三つふやすかということにつきましては、これは直接給与の管理をやっていただいております各省の人事担当者、それからそういう制度改正をもろに受けます職員側、双方に大変利害関係があることでございますので、これはいろいろ意見をお聞きしなくちゃならぬわけでして、最終的な詰めは、三つにするか二つにするか、この一年間ぐらいかけて検討いたしたい、こういうことでございます。
  153. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 現在検討中ということでございますけれども、この現在の八等級制が二つふえるか三つふえるか、十等級制があるいは十一等級制かになりますと、働いてみえる公務員皆さん方の中には、昇給のペースが制度上においてもあるいは運用面でも遅くなるのではないかという御心配をいただいている向きもあるわけですが、その点はどのようになるとお考えになっていますか。
  154. 斧誠之助

    政府委員(斧誠之助君) 制度上の問題といたしましては、現在の各等級、これに到達いたします資格基準とか、あるいは標準職務の評価とか、そういうものは変えるつもりはございません。間へ入っていく、こういうことでございます。今後、昭和六十年から定年制が発足いたしますというと、相当在職期間が長期安定化するというような現象もあるいは出てくるかと思いますが、その面から来る昇任昇格という面での、つまり新陳代謝から影響を受ける面ということはあるいはあるかもしれませんが、給与制度としての昇格のおくれというようなことはないのではないか、そういうふうに予想しております。
  155. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次に、行管庁にお尋ねいたしますが、予算委員会でも行政改革の問題につきましては我が党の同僚委員からも何回か取り上げて質問をさしていただいておりますけれども、やはり行管庁長官といたしましては、この行革は今後も強力かつ着実に行っていくという、そういう決意を予算委員会等でも述べてみえましたけれども、それはお変わりございませんね。
  156. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 変わっておりません。
  157. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それで、この一月に当面の行政改革の実施方針について閣議決定したんですけれども、五十九年度または六十年度に実施をする内容というのはわかりますけれども、臨調答申にこれは指摘をされておりました、そして新行革大綱で将来の課題とされておりました、例えば国土庁、北海道開発庁、沖縄開発庁の統合問題、これについてはどのように対処されていきますか。
  158. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 第三次の答申では御質問の三庁は統合すべしという御答申、しかしそれぞれの機関にはそれぞれ特別な理由があるからよく検討するようにと、こういう御答申であったと思います。御指摘のように、沖縄は御案内の特殊な事情がある。また、北海道は日本の人口あるいは産業、これらを考えてみますというと残されておるたった一つの地域だ、しかも道民所得は大体全国平均の半分以上になっておると思いますね。しかしながら、何といっても先行きの将来性のあるところであるが条件必ずしも本州側とは違う面があるといったようなことがございまして、やはりこれは相当期間を置いた検討課題であろうということで、政府としては統合に向けての、方向は間違いありませんけれども、もう少し検討を続けなければならぬ、かように考えておるわけですが、しかし同時に、国土の開発という面から見れば、国土庁、それから北海道開発庁、沖縄開発庁の三者の間に、これはいずれも調整の機関でございますから、その調整のやり方が食い違うといったようなことではぐあいが悪いということで、三庁の連絡調整機関をとりあえず設けて三者の間での調整にそごのないようにということで、今日の段階では三庁のそういった連絡調整機関を設けて行政を推進する、かようなことにいたしているわけでございますが、先行きの目標の実現に向けて検討をし、勉強していかなきゃならぬということについては間違いのない方向でございます。
  159. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 行管庁予算を見ますと、行政手続法制調査事業費とか、あるいは情報公開・プライバシー保護問題検討経費、あるいはオンブズマン制度調査研究費がそれぞれ計上されていますけれども、これらの諸問題というのはいずれも臨調から制度化を指摘されておりますし、また国会等でも論議を呼んでいるところでございますが、これはいつごろを目途に結論を出されるおつもりなのか。どうでしょうか。
  160. 門田英郎

    政府委員(門田英郎君) ただいま先生御指摘のように、行政手続制度、情報公開問題、あるいはプライバシー保護問題、オンブズマン制度問題等々について臨調の御指摘がございます。それぞれ臨調におかれましても、それぞれの問題の専門性、技術性、あるいは広範多岐にわたる関連諸制度等の問題、こういった指摘がございまして、臨調としては今後前向きに対処していくべきであるという方向での御答申があったということでございます。当庁では、かねてこれらの御指摘の四つの問題点につきましては部内的に勉強を続けてきていたわけでございまして、それぞれの研究事務費というものも当庁予算に計上してまいったわけでございます。  ただいまめどはいつごろなのかという御質問であるわけでございますが、申し上げましたとおり、大変に広い、かつ困難な課題をたくさん含んでいる、同時に、非常に専門的かつ技術的な問題でもあるということで、私ども着実に今後とも前向きに検討を進めてまいりたい。必要な時期において臨調で御指摘になっている専門的な研究機関というふうなものの設置、こういったことも考えてまいりたいと思っておりますが、ただいまの段階でいつごろをめどに法制化を行うのかということについては具体的にお答え申し上げる段階にないということでございます。
  161. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 プライバシー保護問題検討の中身はどんなものでしょうか。
  162. 門田英郎

    政府委員(門田英郎君) プライバシー保護問題、申し上げるまでもございませんで、国民の権利を擁護するという意味で非常に重要な課題でございます。いやしくも個人情報の取り扱いに関しましてこのプライバシーの侵害、情報の漏えいというふうなことが起こらないような対策を講ずる必要があるということで、臨調答申を踏まえまして、私どもの方としましても新行革大綱あるいは今回五十九年の一月二十五日に決定いたしました五十九年行革大綱、これにおきまして今後着実に検討を進めるという旨閣議決定しているわけでございます。現在、各省庁間の局長クラスで構成しております行政情報システムに関する連絡会議でございますが、こういった場において検討を進めているわけでございます。
  163. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 きのうもあるテレビ見ていましたら、個人のいろんなプライバシーが保護されないのは先進国の中では日本が一番おくれているのじゃないかということが報道されていましたね。今、先端技術の進歩によって情報化社会になっているわけですけれども、ある地図のことが報道されていましたけれども、コンピューターの上に地図が全部出まして、一軒一軒の名前まで出てくる。その家の家族は何人で、主人はどこの大学を出て、どこに預金が幾らあって、車は何に乗っているか、全部それがコンピューターに載ってあらわされてくるという状況ですね。あるいはカード会社に入っていると、そのカード会社の情報がどんどん流れていくというふうなことが報道されて、もう皆さん方、空から見ればみんな裸同然だということも報道されているわけですよ。そういう点を考えますと、このプライバシー保護の問題、いろんな問題もあろうと思いますけれども、やはり国民の基本的な権利をどう守るかということにもつながっておりますので、その点急いでやっていただきたい、このように思うわけです。  次に、会計検査院の方に移りますけれども、会計検査院、院法改正等で私たちもいろいろと皆さん方と論議を交わしてまいりましたが、いろいろの面で御苦労もあろうかと思います。その中で処遇の改善だけちょっとお聞きしたいと思いますけれども、かつて会計検査院は、憲法上の問題であって、広い意味の行政権に含まれているというところから、その職員は一般職であって、国会や裁判所の職員のように特別職ではない、しかしかつて検査院は人事院に特別職にするよう要請した経緯を持っているということでございますが、この問題は今日どのようになっておりますか。
  164. 鎌田英夫

    会計検査院長鎌田英夫君) 会計検査院は、お言葉のとおり、憲法上の特別機関でございます。その中で、国会や裁判所は特別職でありますが、会計検査院は一般職であると、こういうことになっております。ただし、検査会議の構成員である検査官だけは特別職でございます。そういう状態でございまして、これを特別職にしたらどうかということはかねて検討問題にもなりまして、昭和四十五年ごろだったと思いますが、そのころから鋭意内部で検討し、関係方面とも接触をして、いろいろ御意見を承ってきたことがございます。  その過程におきまして、やはり公務員制度全般にかかわる問題であり、なかなか難しいというような各方面の御意見もありまして、また内部で私ども考えてみまするのに、会計検査院国会あるいは裁判所と違いまして、組織的には非常に小さいたかだか千二百名ぐらいの組織でございまし て、これが特別職になった場合にどういうことが起こるかと検討したわけでございますが、もちろんそういたしますと人事院のいわゆる傘と申しますか、人事院から外れるわけでございますので、公平審査の機関を設けなくちゃいけないとか、あるいは給与表につきましても、これに準ずるという手もあるかもわかりませんが、やはりそういった面の調査機関もつくらなければならない、あるいは職員の採用についても一般職の公務員試験というものの合格者を採用するということもなかなか難しくなってくる。そうすると、試験制度、試験の出題あるいは任用というような問題も出てくる。結局、組織が非常にできる。検査院は検査をすることが目的であるところへそういう組織が非常にできてくるということは、やはり人員がもっとふえればそれも可能でありますけれども、そういうことが期待できない以上はなかなかそれも難しいのじゃないか、また法制上も非常に手数がかかるというような結論を踏まえて、なお検討を続けようということで現在まで参っております。現在もなお検討を続けている状況でございます。  ただ、特別職ということが果たしてどのくらいメリットがあるかということについてもあわせて検討しているということをつけ加えさしていただきまして、以上御答弁を申し上げます。
  165. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 検査院の方は、五十九年度の検査旅費というのは五十八年に比べますと約二千万ほど増額されて五億八千万円になっております。あるいは会計検査活動費というのはこれは五十八年と同額ということでございますが、そうなりますと財政も苦しいでしょうけれども、旅費がわずかしか増額されていない、あるいは活動費はそのままで据え置きだとなりますと、いろんな面で職務の遂行に不自由を感じられるのじゃないかと思うんですが、その点はどのようにお考えでしょうか。
  166. 佐藤雅信

    説明員佐藤雅信君) お答えいたします。  御指摘のとおり、ただいま御審議いただいております予算の中の検査旅費増加分がすべて実質的な旅費増加になっているというふうには申しがたいわけでございますが、現在の職員数を前提といたします限りでは、一人当たりの出張日数は現在かなりの水準に達しております。こういうことから、検査体制の充実につきましては定員の増加を図りましたり、それから電算機を導入いたしまして事務の改善も図るというような面で配慮いたしておりまして、会計検査院といたしましても厳しい財政事情のもとで議決された予算の範囲内で効率的な検査実施していくというふうに努力いたしておるわけでございます。  それからもう一点、お尋ねの会計検査活動費でございますが、これも五十九年度の予算に計上いたしております額は五千万円でございます。これは本院の主たる業務でございます会計実地検査活動を円滑に実施するために必要な電話料でございますとか、資料の収集費でございますとか、こういったものに使っておるわけでございますが、現在の状況ではおおむね所期の目的を達しているというふうに私どもは考えております。  以上でございます。
  167. 内藤功

    ○内藤功君 最初に、総務長官にお伺いしたい。  まず、戦争中に救護看護婦として旧軍の召集命令を受けて陸海軍病院等に配属されて戦時衛生勤務に従事し、戦傷病者の救護に従事し、軍の将兵と同様の苦労をして、敗戦と同時に外地に長期抑留をされた方もいる。こういう旧日赤及び陸海軍の従軍看護婦さんの慰労給付金について私からもお尋ねしたいと思うんです。  この慰労給付金制度が発足したのは、昭和五十四年度から旧日赤看護婦、五十六年度から陸海軍の看護婦と二度にわたって実施されてきました。しかし、この間給付金が一度も増額されていないわけであります。受給者の多くは老齢期に入りまして、多くの切々たる手紙も寄せられておりますが、老後の生活の一助としてこの給付金を非常に貴重なものとして期待をしておるのでございます。御承知のように、公共料金を含む物価が年々上昇して一般国民の生活が非常に苦しくなっている。当然ながら、これらの元従軍看護婦の皆さんも日常生活と同時に老後への不安が一層大きくなって、切実な問題になっております。前総務長官丹羽兵助大臣も、軍の命令により戦地に派遣され、戦時衛生勤務に従事し、戦後は抑留された方、抑留後留用された方には大変な御苦労をかけたという認識を持っていると、こういう趣旨の御答弁を昨年の本院の答弁でしておられます。さらに、将来、社会経済情勢の大きな変化があれば慰労給付金の増額改善について検討するという趣旨の答弁もしておられる。また、この従軍看護婦の慰労給付金につきましては、衆参の内閣委員会で再三にわたりまして増額検討の附帯決議がついております。この附帯決議を軽視することは私は許されないことだと思います。昭和五十九年度予算においてもこの増額を強く要求し、期待しましたが、遺憾ながら増額を見ておらない現状であります。そこで、ぜひ来年度は、この国会の再三にわたる決議、従前の担当大臣の答弁の線に立ちまして、元従軍看護婦さんたちの要求、請願にこたえる時期に来ているというふうに思うわけであります。この点の総務長官の御決意を伺いたいということが一つ。  二番目の質問もあわせて申し上げますが、もう一つは年金の通算問題であります。これは、別途、私厚生大臣に聞く予定でありますが、総務長官にお伺いしたいのは、私は従軍時代も現在の国民年金、厚生年金に通算して差し上げるというのが当然だと思っておるんです。現にこれらの方々のうち、その後公務員として御就職なさった方の場合は共済に通算をされておるわけでありますから、国民年金、厚生年金の場合も私はできると思うんです。この点につきまして、総務長官として、直接の御担当ではないと私わかっておりますが、この実現のために厚生省その他関係各方面と連絡をとられることを含めまして、せっかく御努力を願いたいと思います。  この二点につきまして総務長官のお答えをいただきたいと思うのでございます。
  168. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) 実は、私も現地で海軍病院に入って、こういった方々のお世話になった経験者であります。そういった意味で、皆さん方の御労苦にどういうふうに報いていくかということはやはり念頭から去りません。しかし現段階で、先ほど来夏ごろまでにという話が出ましたが、戦後処理懇でいろんな問題を議論していただいております。直接にこの日赤、旧陸海軍関係の看護婦さんの問題を取り上げておるわけではございませんが、しかし横並びで考えなければならない類似のケースが相当あるというようなこともございます。丹羽さんがどういうふうにお答えになりましたか、社会経済情勢に大きな変革というようなお言葉も入っておったように思うんですが、去年からことしにかけてどこまでどう変わったかということもちょっと判断しにくいような点もございますし、いずれにいたしましても附帯決議もあるというわけで、私どもとしては先ほど申し上げた戦後処理懇の推移と絡めて研究をさしていただきたい、かように思います。  なお、厚生大臣の所管になるんですが、厚生年金、国民年金にどういうふうにつなげるかつなげないかという御指摘もございまして、確かに共済年金にはつながっておるんですが、といって共済と同じ年金という言葉がつきましても、掛金出しておる出してない、いろんな制度上の仕組みの差もございますので問題があるということで今日まで至っております。この先どうするか、もう既に厚生省とは打ち合わせはしておりますが、改めての御指摘でございますので、これもあわせて検討をいたしたいと思います。
  169. 内藤功

    ○内藤功君 この附帯決議はそんな昔の話じゃなくて、去年の委員会でも決議をされている新しいものでございますから、ぜひこの附帯決議の国会の意思というものに沿ってやっていただきたい。この決議の尊重の点にしぼって、もう一回大臣の御決意を伺いたい。
  170. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) 附帯決議があることは十分念頭に置いて対処してまいります。
  171. 内藤功

    ○内藤功君 官房長官にお聞きしたいと思います が、去る四月四日に昭和五十九年度の人事院勧告、仲裁裁定をめぐりましていわゆる政労会談が行われた。この席上で、官房長官政府を代表されまして、昭和五十九年度人勧、仲裁は完全実施に向けて誠心誠意努力をする、取り組むということを労働側に御回答されたと報道されております。  そこで、私は今国会に入りましてからの予算委員会初め各委員会での政府の御答弁を議事録で調べてみましたが、私の調べた限りでは、人事院勧告を最大限尊重するという答弁はそこまでのものであって、完全実施という表現を使った答弁は会議録では私はまだ見当たらないのであります。あるいはあったかもしれない。ないと思う。政労会談におきまして官房長官は完全実施という言葉をお使いになった。これは五十九年度の人勧等に対しましてこれらの国会答弁よりも一歩政府の態度が前進の意味で変化をしたと、こういう意味に受けとめてよろしいかどうか。言葉だけではなくその姿勢というもの、官房長官のこの政労会談で労働団体の代表の皆さんに話されたその内容、決意というものをお伺いをしたいと思います。
  172. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) かねてから関係労働団体から仲裁裁定の実施人事院勧告の扱いにつきましていろいろ御要望を承ってきたところでございます。そこで、四月四日に改めて労働団体と政府とがお目にかかる機会ができまして、その席上で今、委員から御指摘がございましたような表現でお答えを申し上げたところでございます。  人勧の扱いにいたしましても、仲裁裁定の扱いにいたしましても、歴代内閣ともに基本姿勢といたしましては、ぜひこれらの制度を尊重をして、その趣旨を踏まえて政府の態度を決定したいということで取り組んできたところでございますが、先ほど来の御質疑でもお答えをいたしましたように、一昨年非常に厳しい財政状況の中で鈴木内閣人事院勧告の見送りを決定した、また昨年は勧告をずっと下回る数字で態度を決定せざるを得なかったというようなことがございまして、これらの態度決定をしてきたわけでございますけれども、人勧尊重、仲裁裁定尊重の基本精神は持ちつつも非常につらい判断をせざるを得なかったということで一昨年来推移をしてきておるところでございます。  それでは、ことしどういうふうに前進をするのかということにつきましては、具体的には人事院勧告が出ました段階で、あるいは仲裁裁定が出されました段階関係閣僚からいろいろな意見が出ましょうし、それらを総合的に判断をいたしまして政府の態度を決定をしていくということになると思うのでございますけれども、昨年来のいろんな国会の御論議等も踏まえさせていただき、あるいはその間にILOからの報告などもございまして、労働団体からはそういった点につきましても強い御指摘もいただいてきておるところでもございまして、では従来と特にどう変わるのかという御質問に対してこう変わりますという今実は具体的にお答えをするという時点に立っておりませんけれども、誠心誠意ひとつ完全実施に向けて努力をしたい、取り組むことにいたしたいと、こういう姿勢をお答えしたところでございます。具体的には、それぞれ勧告あるいは裁定が出された段階で判断をしてまいりたいと存じますが、その前向きの姿勢を御理解いただきたい、こんなふうにお答えをしたところでございます。
  173. 内藤功

    ○内藤功君 言うまでもなく、人事院勧告制度は一つには憲法上の争議権の代償であることはしばしば最高裁の判例も明示しているところであります。二つ目には、今、官房長官も言いましたが、ILOから、近くは昨年六月でしたか、非常に具体的な日本問題に限った勧告も出されておる。国際的にも非常に強く要求されている問題である、こういうことからいいまして完全実施が当然であります。五十七年度の人勧は全面凍結、五十八年度は人事院から出ているのに俸給表を内閣でつくってしまって、口をきわめて私は言いたくはないけれどもはっきり言わなきゃならぬのは、政府みずから設けた人勧制度というものが踏みにじられてしまうという極めて異例な事態、遺憾な事態になったわけであります。私は、五十九年度の人勧について少なくとも五十七年度、五十八年度のようなこういう措置を絶対にとるべきじゃない、こういうことを絶対繰り返しちゃならぬと思うんです。官房長官の御見解を伺い、また続いて人事院総裁の新総裁としての御決意を順次伺いたいと思います。
  174. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) いずれにいたしましても、人事院勧告が出ました段階で、労働団体にお答えをいたしましたように、完全実施に向けて誠意を持って取り組むことにいたしたい、このように存じておる次第でございます。
  175. 内海倫

    政府委員(内海倫君) 人事院勧告につきましては、たびたび私も基本的な考え方及びこれに対応する私どもの決意を申し上げてきておるわけでございますが、とりわけ五十九年度、本年行う予定になっております人事院勧告というものはぜひとも国会及び内閣におかれまして尊重していただき、私どもとしてはぜひ完全実施ということで実現をしていただきたいということを強く期待し、要望しておるところでございます。
  176. 内藤功

    ○内藤功君 昭和五十九年度の人勧では、五十八年にやったような俸給表を政府の方で切り下げたものをつくってしまったり、五十七年度にやったように全面的に凍結するということは少なくともそういうことはない、完全実施に向けて取り組むというのは私はそういう意味に理解したわけでございます。五十九年度の人勧は昨年の状況と比べまして恐らくどういうものが予想されるか。官民較差はさらに拡大しておりますから、六%から七%以上の勧告になることはだれが見てもはっきりしていると言っていいのじゃないでしょうか。しかも、政府は政労会談で前向きの回答を示しておる。私は、そういう意味でこの二年間と同じようなことはないと思われるし、期待をいたしますが、引き続きこれは夏に向けて何回も、私はくどいようですが、機会あるごとにお尋ねしていきたいと思います。  先へ進みますが、ここで軍事費のGNP一%枠という問題との関連がどうしても出てくると思います。政府は、昭和五十一年の三木内閣のときの閣議決定の方針はこれを守っていくと言明している。少なくとも六%から七%以上になる五十九年度の人勧、これを完全実施すれば当然これはGNPの一%を超すことになるであろう。五十九年度の人勧で凍結やあるいは俸給表を別につくって切り下げをするということをしないとすれば、完全実施があるいはこういうことがあってはなりませんが実施時期をおくらせる、この二つのやり方しか論理的には残されていない。とすれば、このままでは防衛費の一%枠をどうしても突破することになる危険がそこに出てくる。それでも、いや一%の枠に抑えるのだ、言うなればここで防衛費というものを、特に正面装備費などについても削減するということが必要になってくると思うんです。官房長官に伺いたいんですが、政労会談、四月四日のあなたの前向きの御言明の後での今の段階で改めてお伺いしたいのですが、この人事院勧告完全実施へ取り組むことと防衛費一%枠との関係、これにどういうふうに矛盾なく対応されるおつもりか、この点についてこの段階で改めてお伺いしたい。
  177. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) 予算委員会等で総理からたびたびお答えをいたしておりますように、GNP一%以内でいくという三木内閣方針決定をそのまま現内閣においてもこれを維持、尊重していく、守っていく、こういう姿勢を明らかにしてきておるところでございます。一方、人勧につきましては、先ほど来お答えをいたしましたように、完全実施に向けて誠意を持って取り組んでいくことにいたしたい、このように今考えて、ぜひ勧告が出ました段階政府の考え方、態度を決定するようにいたしたい、こう考えておるところでございます。  どうやってつじつまをつけるかというお話につきましては、今の段階で私も神ならぬ身のまことに予測しがたいものがございますけれども、これは全く防衛問題についての三木内閣以来の原則一つあるということと、人事院の勧告についてはこの制度を尊重して実施すべきものという政府の態度、これをぜひ前向きに取り組んでいきたいということとは、同じ政府が決めていく態度ではございますけれども、全く別個のものでございまして、片方の原則があるから片方がそれで拘束を受けるという筋合いのものではない、私はそう考えておる次第でございまして、いずれにいたしましても、どちらが時期的にどういうことになるかわかりませんけれども、政府原則として大事に考えてきておるものを一つ一つ守っていく。それが矛盾をすることになりますればその段階でそのことをどうするかということは考えなければならぬだろうと思いますけれども、それは人勧を大事にすれば防衛費一%云々がどうでもいいとかということではなくて、それはそれぞれに存在する大事な原則である。今のところ、そういうふうに考えておる次第でございます。
  178. 内藤功

    ○内藤功君 諸般の情勢の推移を見ながらこの問題も引き続きあらゆる機会にまた御質問していきたいと思いますが、私はこれは今の非常に突出している防衛関係費そのものにメスを入れるというのがすべての解決の基本だ、特に正面装備の予算についてあれだけの大きな艦艇、航空機の予算というものが何といっても削減の第一の対象にならなければならぬというふうに考えております。  官房長官、もういいです。
  179. 高平公友

    委員長高平公友君) 官房長官、いいそうです。
  180. 内藤功

    ○内藤功君 さて、次の問題でありますが、これは担当大臣としての総務長官を中心にお聞きしたいんですが、最近一部の週刊誌、月刊誌等においていわゆる性情報、それから暴力描写を非常に露骨に満載した少年少女向けの雑誌、これがはんらんしまして、ただ売れればいい、もうかればいい、こういう商業主義的立場から少年少女の心身の発達とは無関係に過剰な性情報を流し、かような現状に心ある人たちが非常に心痛しております。  私どもの党は、一九七五年の七月に文化的退廃の進行についての見解を発表しております。この中で退廃文化が子供の心をむしばみ非行を増加させつつあるという状況を明らかにして、その背景と要因を解明するとともに、具体的には子供の発達段階に応じた系統的な性教育の重要性、性的退廃現象への批判立場を確立し、現行法のもとで適切な取り締まりができるのだ、またあわせて社会的な討論と国民的批判による解決の道ということを提唱してまいりました。  時間をいただきましたが、以上がわが党の基本的な立場であります。この点から長官にお尋ねをしたいんですが、このような一部の雑誌に見られる行き過ぎた露骨な性描写や欲望を刺激する性情報のはんらんを抑えつけるために、新たな規制法律、有害図書規制法案などと称するものが、これは政府・与党の一部を中心に立法作業が進められているというふうに報道されておりますが、政府としては立法作業の検討あるいは準備は行っておるのかどうか、この点をまず伺います。
  181. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) 政府として政府提案をしたいという意図で作業しておるということはございません。
  182. 内藤功

    ○内藤功君 こういう状況の中で、政府・与党の法規制の動きが強まる中で出版四団体で構成している出版倫理協議会というところから出版社各社に対して出版の自由の危機に際して各位に訴えるという声明が出されておるわけでございます。この中では、特に、「公権力による言論、出版規制の強化策は、歴史的な事実に照らしても、功なくして失うものの多い施策であります。戦前の痛い経験に基づいて憲法に定められた「言論、出版の自由」は、国民各層の血のにじむ努力によって培われてきました。」、こういうことを中心とする訴えが出ておるわけであります。私はやはり新たな規制立法には賛成できません。  昨年の七月に総理府は少年非行問題に関する世論調査というものをやられまして、その中で、「少年に悪影響を及ぼす性・暴力の表現が多いか」という設問を設けて調査されておられます。これを見ますと、少年に悪影響を及ぼすような性や暴力の表現が多いと答えた者は、「非常に多い」が四六%、「やや多い」三九%、こういう認識を多くの人が持っておる。ところが、どのように対応したらよいかを聞いたところ、この中では、「少年が正しい性知識や判断力を身につけるよう教育、指導を充実する」という人が四二%、二番目が、「業界の自主規制をうながす」二五%、三番目が、「法令などによる取締まりを強化する」、これが二一%、四番目が、「地域住民の浄化活動を活発にする」七%。これでわかりますように、合わせて六〇%の人が新しい規制立法には反対である、要らないという立場であります。当然ながら、この世論調査政府の施策を進める上で尊重をされるべきものだと考えておるわけでございますが、大臣の御見解を重ねてお伺いしたいと思います。
  183. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) 世論調査の中身、今御指摘のとおりでございます。ただ問題は、それで済んでいるかということになると、各都道府県で、御承知だと思いますが、青少年保護育成条例というようなものをこしらえて、それぞれ地域での対応をしておるというのも現状としては否定することができませんし、そういった都道府県での有害図書指定あるいは販売の停止といったようなことも、特に有害図書の指定というのは件数も非常に多いように聞いております。それと、今お話関係業界の自主的な規制というようなものが今実行性を持って動いておるわけでございますが、そういったようなことを考えますと、公権力というのは何であるかというのは難しいですが、地方自治体でそういう動きがあるということはこれはやはり尊重していった方がいいのじゃないか。だから、そういったことも含めた上での世論調査での御理解なのか、そこはどういうことかと申しますと、調査対象になった人たちの知らないところで何が起こっているかという問題も実はあると思うんです。そういったようなことで、我々慎重に事態を見守ってまいりたい。また、これは先走った答弁になるかもわかりませんが、自民党でやっておるのも事実でございます。各野党とも相談すると言っておりますので、その推移も見守りたい、かように考えております。
  184. 内藤功

    ○内藤功君 私は、この問題が発生しましてから何軒かの知り合いの書店に行きまして、小売店の店主、社長さんに聞いてみたんですが、第一号は非常に売れたというんです、これらの雑誌。二号目からみんな買わなくなっている。こういうやはり健全な傾向も私は信頼して、立法による言論、出版の規制はあくまでこれはなすべきではないということを最後に申しまして、この問題についての質疑は一応ここできょうは終わっておきたいと思うんです。  最後に、裁判官訴追委員会の問題であります。  訴追委員会の申し立て案件の圧倒的多数は不訴追になっているわけです。しかも、この訴追委員会は非公開でありますから、裁判官とか裁判関係者あるいは一般国民の目に触れることもございません。しかし中には、極めて極めて少数でありますが、公平に見ておりまして、これは裁判官の態度、言動がよろしくない、訴追申し立てという非常手段に及んだ気持ちもわからぬではないという案件があります。しかし、訴追委員会というのは本来、罷免に値するかどうかを決める機関でありますから、罷免に値しないという結論になればそれで終わるのであります。これは制度上私はやむを得ないことだと思っております。  私は、このような案件を裁判官教育の中の材料に生かす方法はないかということを伺いたいのであります。例えば、こういうふうな裁判官の言動、原告にあなたはこんな訴訟を出したってだめだよとか、こんな証拠を出したってだめだよと突っ返されたというようなケースがあったように覚えておりますね。それから、出張をしたときに裁判官が相手と非常に親しげに話していて、相手の弁護士と一緒に飲食をしたというようなことがあるんですね。よくこれは多い。例えばこういうようなケースが裁判官に対して訴追という非常手段を温厚な無力でもある一国民がやらなければならないというケースを、これは名前を出さなくていいですから、A、B、Cというケースでいいですから、一般的にこういうケースが申し立てをされるんですよということを、司法研修所におきまして司法修習生の方あるいは若い判事補の方の研修のときの資料として、訴追委員会の制度の秘密というものを侵さない範囲において考えるというふうな工夫を考えてやってもよいのではないかというふうに私は自分の乏しい経験から思うことがあるわけなんであります。あるいは訴追委員会は既にそういう努力を最高裁人事局との連携の上でおやりになっているかもしれませんが、この点についてお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  185. 青山達

    裁判官訴追委員会参事青山達君) 内藤先生のよく御存じのとおり、訴追委員会という機関は議事非公開という定めがございまして、恐らく訴追請求事案の一つ一つの取り扱いが事と次第によりましては被審査裁判官の身分の剥奪ということにも及ぶことがあり得るという事柄でもございますし、あるいはまた司法権の独立とか裁判官の身分保障ということなどにつきましてくれぐれも慎重を要するという精神が非公開ということにもあらわれているのではあるまいかというふうに思っております。したがいまして、訴追委員会のことをよく御承知であられる内藤先生の御質問を耳を傾けて拝聴しておりました。お答えを申し上げる側の立場といたしますと、やはりここでも慎重な控え目のお答えをせざるを得ないことを御理解いただきたいと存じます。  なお、ほんの御参考までに一、二申し添えますと、あるいは先生のお尋ねのことと少し遠いかもしれませんが、訴追委員会の内部では過去に取り扱いました事案の数字上の統計資料というようなものもございまして、要するにそれは年度末の集計でございますけれども、何件新受を受理した、あるいは年間に何件件数を既済した、その内訳はどれだけが不訴追であるとか、そのうち訴追要がこれこれであるとか、あるいは弾劾裁判所に罷免の訴追をした件数はこれこれであるというようなこと等の例えば数字上の資料ではございますけれども、そういうものを内部ではおつくりしてございまして、訴追委員の先生、予備員の先生にお届けをしてございますけれども、もちろんそれも格別法令上積極的にほかの機関に配布しなければいけないということになっているわけではございませんので、現在のところ、一つの内部資料として私どもは整備しているわけでございます。  それからもう一つは、報道関係のことでございますけれども、たまたま事案を取り扱いますその以前に新聞、テレビなどで既に報道がなされているような案件につきまして、国会記者クラブなどから訴追委の委員長あてに記者会見の申し入れなどがあることがございまして、その求めに応じまして委員長記者会見をされました機会に、訴追委員会の事柄等について内容に誤りなきを期するという趣旨から記者会見をされたような例もあったかと思います。  いずれにいたしましても、そういうことでございますので、非公開の趣旨なり性格なりから慎重な取り扱いをしていかざるを得ないという立場でございますが、内藤先生のきょうの御質問の趣旨を訴追委員会の大西委員長によくお伝えをしておこうと思っております。
  186. 柄谷道一

    柄谷道一君 数人の委員より人事院勧告問題については御質問がございましたが、私は政府答弁にどうしても納得できませんので、再度この問題に集中して御質問をいたします。  私は、政府が五十六年度期末勤勉手当を旧ベースで支給する措置をとりましたときに、鈴木前総理に対し質問をいたしました。毎年異例措置という名においてこのようなことが続けられれば人事院制度は形骸化すると思うがいかんというのがその趣旨でございます。そのときに鈴木前総理は、明確に本年限りの異例措置である、こう答弁されております。ところが、翌五十七年度は凍結でございます。五十八年度は人事院勧告による俸給表の改ざんという形において人事院制度がゆがめられました。私は、このような問題につきましては、国家公務員法第一条が規定する、安んじて公務に専念できる条件というものを政府が担保していないということを如実に物語るものであると断ぜざるを得ません。三年連続の異例措置という名におけるこのような措置について総務長官人事院総裁基本的にどのような認識を持っておられるのか、異例とは何か、お伺いいたします。
  187. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) 過去の経過については、今、柄谷委員指摘のとおりでございます。しからば、政府はどういう基本的な姿勢を持っておったかということになりますと、これは従来から人勧の実施については格段の努力をしてきた、それぞれの年次において勧告をいただいて最大限の努力をしてきた、かように考えております。職員皆さん方には、財政事情等もこれありということで痛みを分かち合っていただいたということもよく認識しておるところでございます。総じて厳しい環境のもとでやむを得なかったということでございます。しかし、本年度については、またお尋ねもございましょうが、四月四日の労使の政労会談も踏まえて最大限の努力をしてまいりたい、かように考えております。
  188. 内海倫

    政府委員(内海倫君) たびたびお答えを申し上げてきておるわけでございますが、公務員給与の問題というのは、やはり公務員も俸給によって生活をしておるわけでございます。これに対する期待、あるいは公務員給与というのがきちっとしておることによっていい人材も得られるわけでございますし、また勤務しておる公務員の士気も高まるわけでございます。そういう点からも、これが見送られるあるいは厳しい抑制が行われるというふうなことが繰り返されますと、単に勧告制度そのものに対しても大きな影響が出るおそれがあるということのほかに、また公務員そのものの士気の上にも非常に大きな影響が出てくるものだと、こういうふうに思っておりますので、私ども人事院に勤務する者としては何としても今年はそういうふうなことが繰り返されて行われることのないように、そして人勧制度というものが正常に機能するようにぜひしていただきたい、これは特に国会及び内閣に私からお願いを申し上げるところでございます。
  189. 柄谷道一

    柄谷道一君 非常に回りくどい表現を使っておられますので、確認をいたしたいと思います。  昭和五十七年七月九日に、藤井前総裁は判定書を出しておられます。その判定書を、簡単ですから、読んでみます。人事院としては、「それが勧告どおり完全実施されることは、勤労者の憲法上の権利である労働基本権を制限された公務員について、適正かつ合理的な給与水準を確保し、労使間の良好な関係を維持するためのみならず、その士気を維持向上させ、かつ、公務への有為な人材の誘致を可能ならしめ、ひいては公務の公正かつ能率的な運営を確保し、公務員をして全体の奉仕者としての義務を全うさせるためにも欠かせないものである」。中略します。「勧告内容が一部なりとも変更されることになれば、給与改定の全体的整合性が失われ、給与は官職の職務と責任に応じて定められるとする基本原則に背離し、更に一部実施を見送られた職員の士気を低下させ、あるいは完全実施によって培かわれてきた労使の信頼関係を悪化させる等、給与制度の運営及び人事管理に対し少なからぬ障害を与える」。これが判定書ですね。このお考えは人事院としての不動の信念である、こう受けとめてよろしゅうございますか。簡単でよろしいです。
  190. 内海倫

    政府委員(内海倫君) そのとおりでございます。
  191. 柄谷道一

    柄谷道一君 それでは、人事院に伺います。  公務員給与は、民間準拠でその水準が確保されてまいりました。そこに国家公務員法二十八条の情勢適応の原則を全うし得る合理的な根拠を見出してきたと思います。私は、民間準拠方式による人事院勧告というこの定着した形が公務員給与水準を決定する唯一の現在のところ手法である、こう考えるものでございますが、ほかの公務員給与決定基準というものは考えられるのかどうか、この点をお伺いします。
  192. 斧誠之助

    政府委員(斧誠之助君) 公務員給与決定に当たりましてこれに絶対基準を求めるということは、現在の国民的な感情からいっても至難のわざでございます。公務員給与というのは、やはり納税者である国民の側、それからこれを直接受ける職員の側、双方が納得するものでないといかぬということが原則であろうと思います。そういうことからいいますと、民間準拠によって世間並みの給与というのが最も納得のいく手法であるということで、長い経緯を経て現在の比較方式ということが確立したわけでございます。このことは、臨調でもそういうことで支持を受けておりますし、その他関係者の方も、現在の人事院が行っております民間準拠方式というものについてこれに反論を唱える方々もいらっしゃらないように思います。私ども自身考えてみまして、これ以外の方法が現在考え得るかということになると、公務員給与について納得性を得るということではもうないのではないかと、そういうふうに感じております。
  193. 柄谷道一

    柄谷道一君 それでは、その民間準拠の凝縮されたものは俸給表であるわけですね。俸給表が政府の都合によって、改ざんという言葉を使っていいかどうか私知りませんが、修正されるということは、この民間準拠の原則を根底から覆す結果になるということですね。
  194. 斧誠之助

    政府委員(斧誠之助君) 今も申し上げましたように、公務員給与についても世間並みのものを与えて、そうして先ほど来総裁が言われております公務員の勤務意欲、士気、労使関係、そういうものを安定さしていく、そのことが国民に対しても公正で能率的な業務を提供するもとになるということでございます。俸給はまさに職務と責任に応じてこれをなすということでございますので、我々は民間賃金あるいは生計費その他人事院がいろいろ適当と考えます事情、これはつまり民間におきます職務段階別の配分状況でありますとか、地域別の配分状況でありますとか、あるいは職員団体、使用者側、そういう方々の御意見、そういうものも入れまして作成しておるわけでございまして、これが変更されるということは職務と責任に応じた給与に果たしてなっておるのかどうかという点で我々自身非常に疑問に感ずるわけでございますが、俸給表が政府の手でつくられるということそのこと自体が厳密な意味で適法か違法がということになりますと必ずしも違法という問題ではなかろう、問題は六・四七%という勧告に対しまして二・〇三%というふうに抑制を受けたそこのところに原因があるわけでございまして、先ほど来総裁が言われておりますように私たちとしてはぜひ勧告というものは完全実施していただきたい、そのことによって民間準拠も完遂されると、こういうふうに考えております。
  195. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は、適法、違法を聞いているのではなくて、俸給表が低く修正されたということは現時点においては民間準拠の原則が崩れているということになりますねということを確認しているだけです。簡単にお答えください。
  196. 斧誠之助

    政府委員(斧誠之助君) 昨年の官民の較差は六・四七%でございました。これが二・〇三%という給与改定でございますので、なお官民の間に較差が残存しておるということでございます。
  197. 柄谷道一

    柄谷道一君 総務長官にお伺いいたしますが、第二次臨調基本答申、「人事院勧告等の実施に伴う総経費の膨張は、新規採用の抑制、事務・事業の整理、民間委託、定員削減の励行、定員増加をもたらす施策の抑制、人事管理の適正化等行政の合理化、能率化の積極的推進等により、極力、抑制すべきである。」、人事院勧告実施というものは既定のものとして、これで膨張しますよ、しかし他の施策において総人件費を圧縮しなさいよと、これが基本答申内容ですね。  また、昨年十月三日、臨調委員であります瀬島龍三氏が衆議院行革特別委員会意見を述べております。それは、人勧制度の維持尊重、民間給与への準拠、総人件費の抑制の三点であります。そこで委員から、本来の臨調の精神は一人一人の給与を抑えることでなく、総人件費を抑えることと理解してよいかという質問に対して、御指摘のとおり、国家公務員給与という問題は構造的に考えるべきであり、人勧を維持尊重する、給与民間準拠、総人件費抑制という観点、すなわち構造的な問題の解決をすべきであるという趣旨で答申したと、こう明確にお答えになっているわけですね。昨年、一昨年の措置は、長官、この臨調答申に沿う政府措置であったと胸を張れますか。
  198. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) 臨調基本答申の中で、今お読み上げになりました項目があることは否定いたしません。と同時に、「公務員給与は、人事院勧告等を受けた政府及び国会が、国政全般との関連において、財政事情を考慮し、責任をもって決定すべきものである。」という項目も実はございます。そして、政府としては努力を一生懸命やったけれども諸般の情勢でできなかったということで、先ほどお答えしませんでしたが、それが異例ということの表現になったのだろうと思います。しかし、そういう情勢のもとで、先生は適法、違法は問わないとおっしゃっておりますが、政府としてはやむを得ず合法的であるという判断でそういう措置をしたわけでございます。
  199. 柄谷道一

    柄谷道一君 長官、余り臨調基本答申をそう便宜的にお読みになるのはどうかと思うんですよ。財政状態全般で考えなさいというその心は構造的に総人件費を抑えなさいということであって、一人一人の公務員給与を抑えることではありませんということは明確に基本答申で打ち出され、しかも臨調委員の責任者たる瀬島さんがこのことを国会で陳述しているわけですから、私は少なくとも臨調答申に沿い得ませんでしたということを率直にお認めになるべきだと思うんです。  そこで、時間が余りありませんので、人事院にお伺いしますが、国家公務員法二十八条、「人事院は、毎年、少くとも一回、」、こうなっているんですね。年一回と限定しているわけではございません。国家公務員法第三条によって、職員に関する人事行政の公正確保及び職員の利益の保護を人事院はつかさどる独立的地位にあるわけでございます。官民較差が現存すると今、局長も申されました。とすれば、再勧告もしくは再申し出をされることは法の精神に照らしても間違いではないと思うんですが、その用意はございませんか。
  200. 斧誠之助

    政府委員(斧誠之助君) 人事院は、官民較差に基づきまして勧告をいたしております。それは内閣国会両方に対して勧告をいたしておるわけでございますが、結果は、勤務条件は法定主義でございますので、国会におきまして法律として改正法が制定されるということによって実現されるわけでございます。昨年の場合はそれが二・〇三%ということで国会の決定があったわけでございまして、それはすなわち最高機関であります国会の御意思であるということで、これに対して再度勧告をするというのは、前回の先ほど先生お読み上げになりました措置要求書の「判定」の中でも示してありますように、限界を超えることになるのではないか。それではどうするのか、こういうことになりますが、公務員給与の現状は、先ほど来申し上げておりますように、昨年の官民較差は埋め切っていないというのが現状でございます。その現状にどう対応していくかということになりますと、今後において、その較差が存在するという状況を土台にしまして、しかも春闘もあるという情勢に適応するように人事院はこれから調査をし、必要があれば勧告をするということで対処することになろうかと思います。
  201. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は、さきの五十七年の「判定」がそのような趣旨で出されておることは承知しております。しかし、それは俸給表にまで手はつけられていなかったんです。今度は俸給表に手がつけられているわけですね。再勧告、再申し出はしないというのであれば人事院は出しっ放しということになってしまうわけですね。後は国会が決めれば、政府が決めればしようがないと。私は、そういうことでは人事院の権威というものは一体どこにあるのだろうと疑われるわけでございますが、これは言い合っておってもしようがないでしょう。  そこで、また観点をそれでは変えますけれども、財政法第十二条、これは年度独立の原則というも のが書かれております。すなわち、各年度の経費はその年度の歳入をもって支弁しなければならない。これに対して積み残しをつくったわけですから、私はこの年度独立の原則からはみ出す措置政府はとった、こう言わなきゃならぬわけですね。そういう過年度までさかのぼって実施する手だてが許されるとすれば、翌年に繰り越しだということが許されるならば、五十九年度の勧告に当たって過年度にさかのぼる勧告ということもあり得る、それができないということは片手落ちではないかと思いますが、解釈を人事院にお伺いします。
  202. 斧誠之助

    政府委員(斧誠之助君) 財政法の勉強を実は若干したことがあるのでございますが、なかなかこれは難しい問題でして、大蔵省のいろいろな解説書を見ましても必ずしもなかなか解明できない部分がございます。給与改定を行いまして、過年度にさかのぼって支払うということが可能なのかどうかという点は私どもではなかなか解釈つきかねるんですが、いずれにしましても、先ほども申し上げましたように、国会の御意思というものは政府機関であります人事院としても当然これは履行義務があるわけでございまして、そういう意味で、昨年の二・〇三%の改定が行われました際も、それを受けまして人事院は給与所管官庁としまして規則をつくり、通達を発出し、その実施の責めに当たったわけでございまして、人事院の立場はそういうものではないかと、こういうふうに考えております。
  203. 柄谷道一

    柄谷道一君 長官にお伺いしますが、単純計算ですと四・四四%の積み残しがあるんですね。ことしは、また民間のベースアップもあります。何%かはわかりませんが。相当の官民較差を是正する勧告が出されると常識的には考えるべきでございます。ところが、予算は一%分しか計上しておりません。人事院制度を尊重し誠意を持って対処すると言われる長官でございますから、一%しか計上していないが、人事院勧告が出された場合どういう財政上の手当てをするかということについては閣議に出席された総務長官として当然大蔵大臣から担保をとっておられるはずだと思うんです。担保がなければ誠意を持って実施するということは単なる口先だけということになるんですが、どういう担保をとっておられるんですか。
  204. 藤井良二

    政府委員(藤井良二君) 五十九年度予算案は、給与改善費として一%相当、約七百二十五億円が計上されております。これは給与改定が年度途中に行われた場合に備えての財政上の措置であると考えております。政府といたしましては、公務を支えている職員に対して安んじて職務に精励できる環境をつくっていく責任があると考えておりますので、国政全般について責任を持って処理していく立場にもございますけれども、この辺を中心にして考えていくことになるだろうと思います。本年度について人事院勧告が出された段階政府として誠意を持って取り組み結論が出た場合には、既に計上されている給与改善費を含め必要な財源措置をとっていくことになるものと思われます。
  205. 柄谷道一

    柄谷道一君 なるものと思われますじゃなくて、大臣に聞いているんですけれども、大臣、そういうお約束、大蔵大臣とされているんですか。
  206. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) 予算を最終的に提出するに当たっての閣議がございまして、一%計上についての確認をしました。同時に、こういうことを申し上げたんです。本年度の給与改定の経過にかんがみ、来年度、五十九年度の人事院勧告の取り扱いについては、勧告尊重の基本姿勢に立ち、良好な労使関係に十分配慮の上、適切な結論が得られるものと理解しておるという発言をいたしました。そのことについては、皆さんに御了解を賜りました。
  207. 柄谷道一

    柄谷道一君 それでは、長官にもう一つお伺いしますが、同じ勤労者の賃金決定の扱いにも差がございます。民間は労働三権を持ち、労働三法でいろいろの保護がされております。公共企業体は、仲裁裁定は労働協約と同一の効力を持つことが労調法三十四条で定められ、団結権、団体交渉権が保障され、公労委は労使同数の構成とされ、しかも仲裁の裁定結果は双方に努力義務と政府に対する実施の努力義務をうたっております。しかし、公務員に関しましては、人事院勧告に対する拘束力をうたう規定はございません。私は、同じ労働基本権を持つ勤労者に対してこのような差があるということ自体不合理ではないか。人事院勧告に対しても法的拘束力を明記するような国家公務員法及び給与法の改正は念頭にございませんか。
  208. 藤井良二

    政府委員(藤井良二君) 人事院勧告制度と仲裁、裁定制度は、労働基本権の代償措置であるという点については全く同一であると思います。しかしながら、両制度の対象職員の職務の公共性の程度、あるいは労働基本権制約の態様、勤務条件決定方式の差異等によりまして、国会及び内閣のこれに対する関与のあり方も異なっております。したがいまして、人事院勧告と仲裁裁定の拘束力の比較を直接行うことは適当じゃないのじゃないかと思いますけれども、いずれにしても、人事院勧告制度につきましては公務員の労働基本権を制約する場合に講じなければならない代償措置一つとして憲法上の評価が与えられているものでございますから、この制度が実効を上げるように勧告を受けた国会及び内閣において最大限の努力をしなければならないというふうに考えております。
  209. 柄谷道一

    柄谷道一君 この問題、もっと議論をしたいんですけれども、これは私は一つの検討課題として問題提起をいたしておきます。その是非につきましては、改めての機会にもっと論議を深めたい。  最後に、総務長官にお伺いしますが、昨年十一月二十七日の内閣委員会丹羽総務長官は、五十九年度以降の人事院勧告の取り扱いについては、具体的な勧告が行われるのを待って、人事院勧告制度尊重の基本方針を堅持しつつ、国政全般との関連を踏まえ、俸給表等の勧告内容を尊重した実施に向けて最大限の努力を尽くすものとすると、こう答弁されておりますね。私は、その折衝に当たった一員でございますし、現官房長官も当時副長官としてこれに関与されたわけでございますが、これは単なる総務長官の見解ではなくて、いわゆる官邸の了承も得られた内閣としての一つの見解であると、こう理解いたしております。同時に、この前総務長官の答弁の最も重要な部分は、俸給表の尊重と実施という、初めて俸給表というものがここに出てきておるということでございます。これは俸給表がいろいろ申しました民間準拠というものが凝縮されたものである、それに手をつけるということは人事院制度を形骸化せしめることになる、こういう認識があればこその回答ではないか、こう理解するものでございます。  そこで長官、人事院勧告はもちろんそのすべてについて完全実施するよう努力願わねばなりませんが、少なくとも俸給表には手をつけない、このことが長官として御確約ができますか、これは長官の決意ですから。
  210. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) ちょっと書いてある文章と柄谷委員お話があったお言葉が違いますので、今事務局に聞いたのでございますが、丹羽総務長官のお答えは全部読む必要はないと思いますが、なお書きのところで、「本年俸給表の引き上げ率の切り下げを行ったことは異例のことであると認識しております。」と、こう御答弁になっています。柄谷委員、関与したとおっしゃるのはこのことだろうと思うんですが、私もこのとおり考えておりますし、これは政府としてそのように考えたことであるというふうに伺っております。
  211. 柄谷道一

    柄谷道一君 終わります。
  212. 前島英三郎

    前島英三郎君 まず、総理府と行政管理庁の統合再編成、それから総務庁の設置に関連しましてちょっとお尋ねしてまいりたいと思うんですけれども、昨年の第百回臨時国会におきまして私は行政改革に関する特別委員会でこの問題にちょっと触れて質問いたしました。その際、総理は障害者対策に関する我々の熱意は変わらないと断言をなされている。また、当時、丹羽総務長官も、従来どおり、より以上に推進してまいる考えがあり、御安心いただきたいと、こういう答弁をいただきました。私は、その気持ち、その姿勢に疑いを差し挟むつもりは全くございません。しかし、本年七月に 新しい体制に移行するその時期が近づいてまいりましたので、改めてその後のことにつきまして確認をさせていただきたいと思うんです。  そこで、まず新体制への移行の準備状況といいますか、作業状況といいますか、全体的な進行状況などを伺っておきたいと思うんですが、今後の主な段取りもあわせてお答えをいただきたいと思います。
  213. 手塚康夫

    政府委員(手塚康夫君) 先生御指摘のとおり、七月一日に総務庁が発足するということで昨年の特別国会で法案を通していただきまして、その準備を目下進めているところでございます。  準備を進める体制といたしましては、内閣に置かれております総務庁等設立準備委員会、これが法案の作成等も行いました。それが中心になり、総理府、行政管理庁三者一体になって取り組むという体制でやっております。  それで、いろいろ細かい問題もございます。二つのものが一緒になるということでいろいろ細かい問題もございますが、大きく分けますと、法令関係整備ということで組織関係の政令等、これは五月中にも成案を得て決定をしていただきたいということでやっております。  それから、物理的には庁舎移転ということもございまして、第四合同庁舎の方の大体の部屋割り等の合意も見ましたし、あとは七月に向けて内部の改装等も行いながら間に合わせるようにいたしたいということでやっております。  その他の問題でやはり七月一日までに間に合わせなきゃいけない問題は数々ございますが、いずれにしても今のような体制で連絡会議等も開きつつ七月一日に円滑に移行できるようにということで目下やっているところでございます。
  214. 前島英三郎

    前島英三郎君 そこで、老人対策室とか青少年対策本部、交通安全対策室等は、これは総務庁の方に移るわけですね。総務庁所掌事務及び権限のうち特定の行政分野における事務の総合調整という部分に該当するであろうと思うんですが、一方、障害者対策あるいは婦人問題といったものも似たような意味における特定の行政分野ではあると言えるのじゃないかと思うんですけれども、どちらに置くのが一番いいのかというところにはいろいろ意見もあるかもしれませんけれども、どこにその区別をする基準というか、よりどころがあるか、行政管理庁長官にこの辺はひとつ承っておきたいと思うんですけれども、いかがですか。
  215. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 新しい総務庁をつくるに際して、総理府に残す仕事と新しい総務庁に移すものと、この区分けが実は大変厄介な問題で当時随分苦労をしたわけですが、基本の考え方は、ともかく内閣官房長官というのが大変忙しい仕事なんですね。そこで、二つの庁を合併するという以上は、残った仕事はどうしても官房長官の肩にかかってくるわけですから、できる限り残る総理府の方はともかく少なくする、スリム化する、そして新しい総務庁の方に一緒に持っていくと、こういう基本の考え方で整理したわけです。  そこで、たくさんの審議機関その他あるわけですけれども、当時たしか三十五ぐらいいろんな審議機関があったと思うんですね。ところが、一番事務に関係の深いそれぞれの省庁にできる限り返していこう、そして総務庁に移すことのできるものは移していこう、それで総理府に残すそういうものはできるだけ少なくしようと、こういうことなんですが、御案内のように役所というのは積極権限争議、これまたやかましいんですね。しかし同時に、よその省庁に関係しておるとそれぞれの独立した省で仕事をするというのもなかなか難しい面がありますから、そういうような関係総理府にいろんなものが集まってきておったわけですね。そうすると、引き取らないという消極権限争議、これもまた役所の中でやかましい問題でございまして、そこらを考えて、たしか三十五あったと思うんですが、そのうち十ばかりはそれぞれの一番縁の深い役所へ返す、新しい総務庁にはたしか四つでしたね、四つの審議機関等を移す、そうすると二十一残るわけですね。これはどうにも整理がつかぬということで総理府に残す。しかし、これは実際問題としては、例えば選挙制度審議会なんというようなものになると、これは総理府に置きませんとぐあいが悪いという性格のものもございますから、そういったような性格のものだけは残していこうということになったわけでございます。  御質問の身体障害者の関係の仕事、これは非常に政府としても重要性を置いた機関でございますから、これはたしか私の記憶では、間違っておったら直させますが、これは総理府に残したと私は考えております。そうなりますとだれが処理するのだということになると、これは当然のことながら官房長官総理府を監督するものとされていることからこれを処理していく、こういうことになると、かように私は考えております。
  216. 前島英三郎

    前島英三郎君 今、長官の方からいろいろ説明を受けたんですけれども、いろいろなものが総務庁に、そこにプライオリティーがあるかどうかは別としまして、我々の特に問題、一九八一年に国際障害者年を一つのきっかけとしまして、今まで障害者の問題は厚生省一辺倒じゃなくて、住宅の問題は建設省が考える、あるいは教育の問題は文部省が、その一つのアンテナを総理府に立てるというような気持ちの中で大平内閣当時にそのことが一つの約束事で総理府の中にできたと思います。できてそれからまだ三年、中におきましてもなかなかまま子扱いのところがありまして、実働的な部分の効果はこれからであろうと、そういうやさきに今度こういう総務庁という方向の流れの中で総理府の中に置かれる。それは重要だから総理府の中に置くのだという今の御意見があったんですけれども、どうも事務の総合調整という意味においては何となく総理府に残されている部門というものがややもすると軽んぜられるのではないかと、そういう危惧が誤解される部分にあるような気がするんですね。障害者対策推進本部及びその担当室を総理府の中に置いておくという、この積極的理由、メリットといいますか、これはどの辺にあるとお考えになりますか、行管庁長官あるいは総務長官でも結構ですけれども、承っておきたいんですけれども。
  217. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) これはやはり事務の性格ですね。厚生省だけにやらせるという考え方もそれはなきにしもあらずと思いますけれども、今おっしゃったように、これは建設省とか方々に関係をいたしますから私は総理府に残さざるを得ないし、また総理府に残しておいた方が、その長は今度は官房長官がおやりになりますから、私は従来と比べてもこの仕事の重要性ということから見てその方が適当である、その方が成果が上がると、私はさように考えております。
  218. 前島英三郎

    前島英三郎君 そうしますと、七月から総理府総務長官の職そのものが廃止になっていくわけですから、官房長官がその任に当たるということでございますけれども、今、総理大臣を推進本部長といたしまして、それから厚生大臣、総務長官が副本部長という形で長期行動計画も考えられているわけですけれども、そうしますと現副本部長として後任ということになりますと、これは内閣官房長官がその任に当たるということの理解でよろしいでしょうか。いかがですか。
  219. 禿河徹映

    政府委員禿河徹映君) 機構の問題で先ほど行管長官の方から御答弁ございまして、障害者対策推進本部の庶務を担当いたしますところの担当室はこれは総理府の審議室に現在あるわけでございまして、それがそのまま新しい総理府に残る。そうなりますと、その総理審議室の長は官房長官になるわけでございますので、官房長官がその長としていろいろそれを見ていただくということになるわけでございます。  反面、障害者対策推進本部と申しますと、これは総理大臣が本部長で、構成員は関係各省の次官それから副本部長の厚生大臣と総務長官ということになっておるわけでございまして、今回新総務庁が発足し新しい総理府ができます場合に、それに類似した各種の本部とか連絡会議とかというのがかなりございまして、その本部とか連絡会議総務長官があるいは議長あるいは副議長あるいは 副本部長という形で構成員に入っておられるのがかなりの数ございます。通常の場合でありますと、そこの総務長官官房長官にいわば切りかわるというのが通常であろうかと思いますが、各種の本部とか連絡会議等というのがございますものですから、そこの総務長官と現在書かれておりますところを官房長官というふうに直ちに切りかえた方がいいのか、あるいはほかに何かやり方があるのか、現在事務的には検討いたしておるところでございまして、その結果をもちまして上司とも御相談をさせていただきたいと、かように考えております。ただ、今、行管長官からお話がございましたとおり、障害者対策推進本部は非常に重要な組織でございますので、素直にこれを官房長官の方に切りかえていただくというのが有力な案ではないかなと、こういう感じがいたしております。
  220. 前島英三郎

    前島英三郎君 その辺も、検討の余地なくして私はすんなり官房長官がその副本部長の任務を私は引き継ぐべきだと思うんです。そういう意味では、今回の組織の再編の中でその機能を明確にしてさらに事務の充実を図る必要という部分ではちゅうちょすることなく、もう七月に向けてその作業が行われているわけですから、これから検討などという状況では私はないようにも思うんです。  国際障害者年の前後には行事も盛んに行われまして、また計画づくりとか資料づくりとかあるいは広報活動など、目に見えやすい活動が大変多方面に行われました。例えばポスター一つとりましても、今までの流れですと国際障害者年は大体厚生省という形でやったんですけれども、あそこが一つの始まりのように我々は理解しておりまして、総理府が関係十四省庁をまとめ上げて一つのイベントがいろいろな形でできていた経過などを踏まえますと、その後約二年を経過して表面的には極めて静かになってしまいました部分を思いますと、何となく寂しいな、総理の答弁あるいは総務長官の答弁とは違ってきているな、何となく福祉後退の兆しがこの辺にも出ているなどいう心配が大変強くするわけです。  今国会に提案されている各種のいろいろ法律改正案を見回しましても、例えば福祉法の改正とか、いろいろな問題がこれから障害者対策の制度的な意味での見直しというものが今重要になっている時期でありますから、私はそうした意味におきましてもぜひとも内閣でこの障害者対策という意味での役割はやっぱりしっかりと今までにも増したものを結論として出しておくべきではないかというような気がいたします。  そして、これは向こう十年、長期行動計画十年ということでありまして、始まりが一九八三年でありますからまだまだ今継続しているということでございます。しかも、国連の決議は、十年間の中間に当たる一九八七年を中間年といたしまして、そこまでの進みぐあいを国際的に評価することをうたっているわけですから、国際障害者年の当該年前後のいい意味でのムード的な盛り上がりから、地味であるけれどもこれからの残りの年度は実質的なものへやっぱり変えていく、そういう意味でもその任に当たる方々には大変責任があると思うんです。そういう意味でもぜひ官房長官に、お気持ちは、そのつもりはかなり強く持っておられると思いますけれども、ぜひ推進本部の副本部長として、総務長官から引き継ぐような形、検討などということではなくて、責任ある御答弁をいただければと思うんですが、いかがですか。
  221. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) 七月に向けて鋭意検討を急いでおるところでございますので、今確たる御返事を申し上げる時期ではないかと思いますが、先ほどの行管庁長官の御答弁を隣で聞いておりまして、これは官房長官が副本部長になるものだろうなと、そんな感じを抱いていたところでございます。障害者対策に積極的にお取り組みをいただいております先生の御指摘の線に沿いまして、前向きにその方向で検討さしていただきたい、このように存じております。
  222. 前島英三郎

    前島英三郎君 どうもありがとうございました。  さて次に、国会図書館の問題に移りたいと思いますけれども、今月四日の新聞で初の盲人弁護士の誕生が報じられておりました。皆さんもごらんになっただろうと思うんですけれども、この方は竹下さんという三十三歳の方でございまして、非常にさわやかな笑顔で今後の抱負を語っている写真が印象に残りました。大変すばらしいニュースだと思うんですけれども、しかし竹下さんがこんなにすがすがしい笑顔を見せてくれるまで約十年間はとても想像にかたくない苦難の十年であったようにもふっと描かれるわけです。当初は点字による司法試験が認められておりませんでした。点字受験が認められても、点字になる法律書や参考書がなくて大変苦労をされたようでございます。幸い、御家族や友人の協力で点訳してもらったり、あるいはテープに吹き込んでもらったりして難関を乗り切ってこられました。書物というものは、目に見えない人にとりましてはそのままでは単なる紙の束にすぎないということでしょう。  さてそこで、主として書物を集めて人々の利用に供している図書館というものは目の見えない人のためにどうあらねばならないかという問いが当然出てまいります。竹下さんのために図書館は何も役立つことはできなかったと思うんですけれども、そういう意味で国会図書館、竹下さんのためにというよりも視力障害者の人のために本当に有効に利用される環境にあるだろうかということを思いますと、まだまだそういう状況ではないように思います。もっと一般的な問題として国会図書館の障害者サービスといいますか、あるいは情報、文化面でのノーマライゼーションヘの努力というものをぜひ期待したいと思うわけでありますけれども、私のところに視覚障害者読書権保障協議会という団体がたびたびいろいろ情報を持ってまいりましてお手伝いをしているんですけれども、図書館側のまたいろんな回答では、近く増築するのでその際には大きく前進させる、それまではしばらく御不便だろうが待ってほしい、こういうふうな答えであったように記憶しております。  そこで、伺うんですけれども、別館の増築工事の進捗状況はどうなっておられるのか、六十一年三月の完成予定だと私は聞いておるんですけれども、そういう中における視覚障害者の一つ国会図書館の利用についての配慮はどういう形で設計され、また工事は進んでおるのか、その辺ちょっと伺っておきたいと思うんです。
  223. 荒尾正浩

    国立国会図書館長荒尾正浩君) お答えいたします。  ただいま国会図書館の建築中の別館は、地下八階地上四階の建物でございまして、地下部分を書庫といたしまして、地上部分は事務室と閲覧室にする計画でございますが、現在のところは地上一階と地下一階、それから地下七階及び八階コンクリート打ちをやっておりますが、工事は順調に進んでおります。  ただいま御質問の完成の予定の時期でございますが、昭和六十一年三月とおっしゃいましたが、私どもといたしますれば昭和六十一年度のなるべく早い時期に完成に持っていきたい、それは地下の一部を除きましてでございますが、そういうような計画でおりまして、ただいまの御指摘の点では私どもできる限りのそういったことを配慮しながら計画を進めてまいりたいと思っております。
  224. 前島英三郎

    前島英三郎君 その視覚障害者に対するサービス、そういうものの配慮はいかがでございますか。
  225. 荒尾正浩

    国立国会図書館長荒尾正浩君) 国会図書館では昭和五十年十月から学術文献録音事務局を設けまして、視覚障害者に対しまして学術文献の録音サービスを行ってまいりましたが、昭和五十六年の国際障害者年を契機にいたしまして視覚障害者図書館サービス協力室を設けまして、学術文献録音サービスを拡充するとともに、新たに点字図書、録音図書の全国総合目録の編集刊行、点字出版物の収集等の業務を行ってきております。  そのほか、昭和五十九年度以降別館完成時までの計画としましては、視覚障害者に対する図書館サービス機関の総合協力体制の推進とか、視覚障害者に対する各種書誌情報の提供を行うほか、関連機器の調査研究等も行う予定でございます。  さらに、別館完成時には、現在六室ございます録音室をできる限り増設いたしますとともに、モニター室も新設しまして学術文献録音製作の拡充と迅速化を図りたいと考えております。
  226. 前島英三郎

    前島英三郎君 それでフォローし切れますか。実際問題として、国会図書館への視覚障害者からのサービスの注文というのは恐らく応じ切れないほど殺到しているはずだと思うんです。  そのサービスのための予算は年度の半ばで使い切ってしまって、厳しい予算をやりくりして、流用してカバーしているのが実情だと私も聞いているんですけれども、特に視覚障害者の中には、対面朗読サービス、こういうようなサービスをぜひ国会図書館でもやってほしい、こういう注文が大変多いんですね。それと、今日の一般の人々の図書館の利用状況を見てみますと、コピーサービスが欠かせなくなってきていると思うんです。  点字の複製装置とか、あるいはまたこうしたものも通産省なんかでは委託研究によって開発されていますし、そういう新しい開発されたものを取り入れていきますと、まさしくこの辺にロボット化というのは、こういうところに使う言葉がどうかは別としましても、非常に人を配置せずとも技術によってかなりカバーできる面というのがあると思うんです。しかし、どうも六十一年の完成の中におきましては、何となく今までの延長線上でさしたる新しいものが見出せないのは大変残念に思うんですけれども、ぜひこの辺を検討して前向きに何とか視覚障害者の人たちの二ーズにこたえていただきたいと思うんですが、その辺はいかがですか。
  227. 荒尾正浩

    国立国会図書館長荒尾正浩君) ただいまお触れになりました件、二点ございますが、視覚障害者に対する点字プリントサービスが可能な点字複製装置の件でございますが、おっしゃるように現在既に研究開発されております。それで、一部商品化されたものもあると聞いておりますが、私どもとすれば現在応じ切れないほどの注文のある当館の学術文献録音サービスヘの対応とか迅速化を図ることが最優先でございますので、近い将来、御指摘のこれらの機器がサービスの向上にいかに役立つかをいろいろ調査しながらその導入について慎重に検討してまいりたいと、こう思っておるのでございます。  また、弱視者に対する拡大読書機や、それから拡大複写機等についても同様検討していく考えでございます。  それから、おっしゃいました視覚障害者に対する対面朗読サービスの件でございます。対面朗読サービスというのは、朗読者が視覚障害者を前にしまして要求する図書、雑誌などの目次や内容の一部などを朗読するサービスでございますが、これは一般の国内の公共図書館や点字図書館には着実に伸び広がっておりまして、現在は百館を超えるような状態でございますが、これは私どもの方でも大変関係の方々からそのサービスをするようにという要求は非常に強いのでございます。御指摘のように、大変毎年伺っておりますのですが、私どもといたしますれば今日までいろいろ検討を続けてきております。しかしながら、当館所蔵の学術文献の対面朗読を当館の職員が行うためにはこれに必要な人員を配置しなければなりませんが、それぞれの専門知識も非常に広範な分野に及びますので、その必要な人員の確保は大変困難な状況でございます。それで、現在、当館が行っております学術文献録音サービスの要求にも十分応じ切れない現状から見まして、その実現は非常に難しい状況にはあります。しかし、何とかまた検討を続けてまいりたいとは思っております。  それから、現在、当館資料を利用するために介添え者を同伴してこられます視覚障害者の利用者の方々には館員が館内に対面朗読のできる場所をその都度提供しておりますけれども、別館完成時にはしかるべき部屋を確保したい、こういうふうに今思っております。
  228. 前島英三郎

    前島英三郎君 検討だけでなくて、ひとつ実践に向けて……。  大変予算も厳しいというのは承知しております。今、国会図書館は、職員の方は何人ぐらいいらっしゃるんですか。
  229. 荒尾正浩

    国立国会図書館長荒尾正浩君) 八百四十七人おります。
  230. 前島英三郎

    前島英三郎君 私は、そうした場合、やっぱり視覚障害の人のいわゆる国会図書館への期待というのは、聴覚障害者が例えばテレビに手話を入れてくれという要求とはまた違った大変強い希望があるわけですね。そういう意味では、担当職員の中に恐らく視覚障害の方はおられないかもしれません、視力が落ちたら眼鏡をかける程度の障害は皆さんお持ちかもしれませんけれども。そういう意味でも、担当職員の中に視覚障害のある人を積極的に登用されて、そして視覚障害者の方々がこの国会図書館を利用しながら司法試験にも合格していく、学校の先生にもなっていく、単にはり、きゅう、マッサージだけがその生きる道ではなくて、あらゆる方面にノーマライゼーションの方向に沿って頑張っていくという道づくりを私は国会図書館もこれから率先してやっていただきたいと思います。ぜひ、その努力を心からお願いいたしまして、時間になりましたので私の質問は終わります。  ありがとうございました。
  231. 高平公友

    委員長高平公友君) この際、中西総務長官から発言を求められておりますので、これを許します。中西長官。
  232. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) 先ほど柄谷委員に対してお答えいたしました。その中で俸給表云々というお言葉が耳に残りまして、その項目だけを御紹介いたしましたが、ここで改めて丹羽総務長官の話されました全体について申し上げます。  五十九年度の人事院勧告の取り扱いについては、人事院勧告制度尊重の基本方針を堅持しつつ、俸給表等の勧告内容を尊重した完全実施に向けて最大限努める所存であります。  なお、本年俸給表の引き上げ率の切り下げを行ったことは異例のことであると認識しております。  私も、このように考えております。
  233. 高平公友

    委員長高平公友君) 他に御発言もなければ、これをもって昭和五十九年度総予算中、皇室費国会所管会計検査院所管内閣所管及び総理府所管のうち総理本府、青少年対策本部日本学術会議宮内庁行政管理庁総務庁、防衛本庁、防衛施設庁についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  234. 高平公友

    委員長高平公友君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二分散会      ―――――・―――――