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1984-11-08 第101回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年十一月八日(木曜日)    午前十時四分開会     —————————————    委員異動  十月四日     辞任         補欠選任     安武 洋子君      内藤  功君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         大島 友治君     理 事                 亀長 友義君                 坂野 重信君                 穐山  篤君                 太田 淳夫君     委 員                 板垣  正君                 源田  実君                 沢田 一精君                 高平 公友君                 林  寛子君                 桧垣徳太郎君                 堀江 正夫君                 小野  明君                 矢田部 理君                 峯山 昭範君                 内藤  功君                 柄谷 道一君    国務大臣        文 部 大 臣  松永  光君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 藤波 孝生君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  後藤田正晴君        国 務 長 官        (防衛庁長官)  加藤 紘一君    事務局側        常任委員会専門        員        林  利雄君    説明員        内閣官房内閣審        議室長      吉居 時哉君        人事院総裁    内海  倫君        人事院事務総局        給与局長     斧 誠之助君        総務政務次官   岸田 文武君        総務庁人事局長  藤井 良二君        防衛政務次官   村上 正邦君        防衛庁長官官房        長        西廣 整輝君        防衛庁防衛局長  矢崎 新二君        防衛庁教育訓練        局長       大高 時男君        防衛庁人事局長  友藤 一隆君        防衛庁経理局長  宍倉 宗夫君        防衛施設庁次長  小谷  久君        外務省北米局長  栗山 尚一君        外務省北米局安        全保障課長    沼田 貞昭君        大蔵省主計局主        計官       西村 吉正君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調  査並びに国防衛に関する調査  (有事法制研究に関する件)  (国家公務員給与改定に関する件)  (防衛費に関する件)  (臨時教育審議会に関する件)  (相模原総合補給廠への米軍装備搬入に関する  件)  (米軍海上演習フリーテックス85)に関す  る件)     —————————————
  2. 大島友治

    委員長大島友治君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動についてご報告いたします。  去る十月四日、安武洋子君が委員を辞任され、その補欠として内藤功君が選任されました。     —————————————
  3. 大島友治

    委員長大島友治君) この際、国務大臣及び政務次官から発言を求められておりますので、順次これを許します。藤波内閣官房長官
  4. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) このたび再度官房長官を拝命し、引き続き内閣官房及び総理府本府の事務を担当することになりました。今後とも誠心誠意職務遂行に当たる考えでありますので、委員長初め皆様方格別の御指導、御鞭撻を賜りますよう心からお願い申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。
  5. 大島友治

  6. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) このたび再度総務庁長官を拝命いたしました。今後、引き続き総務庁設立趣旨を踏まえて、行政改革の推進を初め各般の課題について誠心誠意取り組み、職務遂行に当たる所存でございます。委員長初め皆様方格別の御指導、御鞭撻を心からお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。
  7. 大島友治

  8. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 今般、防衛庁長官を拝命いたしました加藤紘一でございます。  内外の諸情勢が殊のほか厳しいこの時期に国家存立基本にかかわる防衛行政を担うこととなり、その責務の重大さに改めて身の引き締まる思いがいたしております。私は、我が国防衛のため、国民理解と支持のもとに、防衛力の着実な整備充実を図るとともに、日米安全保障体制信頼性維持強化最善努力を払ってまいる所存でございます。  何とぞ委員長並びに委員各位におかれましては、格段の御支援、御協力を賜りますとともに、よろしく御指導を賜りますようお願い申し上げまして、私のごあいさつといたします。ありがとうございました。
  9. 大島友治

  10. 岸田文武

    説明員岸田文武君) このたび総務政務次官を拝命いたしました岸田文武でございます。  長官を補佐して全力を尽くす所存でございます。委員長初め皆様方の御指導、御鞭撻を心からお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。
  11. 大島友治

  12. 村上正邦

    説明員村上正邦君) このたび防衛政務次官を拝命いたしました村上正邦でございます。  加藤長官を補佐し、最善を尽くして職務を全うしてまいる所存でございます。委員長初め理事、各先生方の御指導、御鞭撻を賜りますよう心からお願い申し上げます。     —————————————
  13. 大島友治

    委員長大島友治君) 国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国防衛に関する調査を議題といたします。  まず、有事法制研究について加藤防衛庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。加藤防衛庁長官
  14. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 有事法制研究について御報告申し上げます。  有事法制研究は、昭和五十三年九月二十一日の見解で示しておりますように、有事に際しての自衛隊任務遂行の円滑を図るという観点から、法制上の問題点整理を目的とするものであり、昭和五十六年四月、防衛庁所管法令を中心とした問題点について中間報告を行ったところであります。  その後、他省庁所管法令につきまして、現行規定のもとで自衛隊行動の円滑を確保する上で支障がないかどうかを防衛庁立場から検討し、検討項目を拾い出した上、当該項目関係する条 文の解釈、適用関係について関係省庁と協議、調整を行ってまいりましたが、今般、問題点整理ができましたので、ここに御報告いたします。  今回の検討作業においては、問題点整理する上で便宜的に自衛隊行動等の態様に応じて区分しておりますので、以下この区分に従ってその概要を御説明いたします。  部隊の移動、輸送については損傷した道路等部隊が滞りなく通行するため道路法との関係が、土地使用については陣地の構築などに際し速やかに土地使用するため海岸法河川法等との関係が、構築物建造については航空機用掩体指揮所等を速やかに構築するため建築基準法との関係が、火薬類取り扱いについては所要の火薬類を速やかに運搬するため保安技術上の観点から設けられている規定との関係が、衛生医療については野戦病院等を速やかに設置し医療実施するため医療法との関係が、戦死者取り扱いについては戦死者埋葬等を適切に行うため墓地、埋葬等に関する法律との関係が、会計経理については工事資材等を円滑に調達するため予算、決算及び会計令臨時特例との関係が、それぞれ問題になると考えられます。  なお、電気通信については、有線電気通信法電波法等について検討いたしましたが、現行法令上必要な措置がなされており、自衛隊任務遂行に当たり問題がないと考えられます。  他省庁所管法令について問題点は以上のとおりであり、問題点整理はおおむね終了したと考えております。  また、これまでの検討を踏まえて整理いたしますと、有事における、住民の保護避難または誘導を適切に行う措置民間船舶及び民間航空機の航行の安全を確保するための措置電波の効果的な使用に関する措置など国民生命財産保護に直接関係し、かつ自衛隊行動にも関連するため総合的な検討が必要と考えられる事項及び人道に関する国際条約に基づく捕虜収容所設置等捕虜取り扱い国内法制化など所管省庁が明確でない事項が考えられ、これらについては今後より広い立場において研究を進めることが必要であると考えております。  なお、申し上げた内容について整理したものをお配りしております。  以上、有事法制研究についての御報告とさせていただきます。
  15. 大島友治

    委員長大島友治君) これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  16. 穐山篤

    穐山篤君 最初に、今年度の国家公務員賃金の問題についてお伺いをしますが、去る十月三十一日に本問題について閣議決定が行われております。その点について概要を御説明いただきたいと思います。
  17. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 今回の人事院勧告取り扱いにつきましては、八月の十日に勧告が出されまして以来、四回にわたって給与関係閣僚会議を開催いたしまして検討を進めてまいりました。その結果、一般職公務員につきましては本年四月一日から平均三・四%内の給与改定を行うということに政府の態度を決定いたしまして閣議決定をする運びに至ったところでございます。
  18. 穐山篤

    穐山篤君 毎回、毎年度本席でも人事院勧告完全実施ということを私どもは主張しました。なかんずく、昨年の昭和五十八年度の二・〇三%アップの際に相当厳しく私ども政府の責任を追及したところであります。昨年十一月二十七日のこの当内閣委員会丹羽総務長官から政府統一見解が出ました。よもやお忘れではないと思いますが、非常に重要な発言でありますので私がもう一遍繰り返します。「五十九年度の人事院勧告取り扱いについては、人事院勧告制度尊重基本方針を堅持しつつ、俸給表等勧告内容を尊重した完全実施に向けて最大限努める所存であります。」。  言いかえてみれば、俸給表手直しをしないということを念頭に置きながら昭和五十九年度の人事院勧告については尊重する、そういうことを政府統一見解として示したはずであります。ところが、今、官房長官が代表して言われておりますように、六・四四%引き上げに関して三・四%内という閣議決定でありました。これはまことに残念であると同時に、遺憾のきわみであります。  そこで、人事院総裁伺いますが、公務員人事院勧告といいますのは、昭和五十四年からいろんな形を変えて、凍結をしたり抑制をしたりあるいは実施をおくらしたり、いろんな方法がとられて五年間にわたりまして人事院勧告体制というのは形骸化されつつあるわけであります。公務員制度基本にかかわる問題に今や逢着したと考えるわけですが、人事院総裁としてその点はどういうふうに認識をされ、また政府に対してどういう意見を持たれておるか、その点明確にしてもらいたいと思います。
  19. 内海倫

    説明員内海倫君) 人事院勧告が、ここ数年、私ども勧告にかかわらず、抑制あるいは見送りというふうなことが継続してきておるわけであります。その主たる理由は、やはり政府の御見解あるいは国会において御審議の間において財政事情真にやむを得なかったということでございますが、私ども勧告をする人事院所掌任務あるいは人事院のあるべき立場からしますと、私ども勧告というものが政府において尊重され、さらにこれが勧告のとおりに実施されていくということが必要である、こういうことについては何ら疑点を差し挟む余地のないものであります。しかも、政府におかれても、そういうふうな考え方というものについては在来もお示しになっておるところであります。  しかし、なおかつ今年もまた六・四四%に対して三・四%内というふうな政府側の御決定が出たわけであります。その点につきましては、在来ども歴代総裁がその所見を申し述べておりますように甚だ遺憾五ことでございます。その点については私どもはひたすら、いわば公務員にとりましては給与改善の唯一の機会であり、しかもその改善のための勧告というのは厳しい調査の結果であり、また勧告をいたしますにつきましてはいろいろと私ども意見を申し述べてきたところでありますので、そういう点から考えますと、今後において再びこういうことが繰り返されることのないことを心から期待するとともに、私どもにおきましてもさらに政府にも事情を申し述べて今後における慎重なお取り扱いをお願いしなければならない、こういうふうに思っております。  なお、私ども勧告国会及び内閣に行うことになっておりますので、願わくば国会におきましても十分に御審議を願いまして、勧告というものの取り扱いについてその本来の趣旨が十分に尊重されるように御検討をお願いすることを期待しておるわけでございます。
  20. 穐山篤

    穐山篤君 担当の総務庁長官にお尋ねをしますが、今、人事院総裁も厳しく人事院勧告体制精神について述べられました。しかるに、今回の政府決定というのは、言ってみますと不完全実施、三・四%内というのは不完全実施であります。この三・四%内という理論的な根拠あるいは科学的な合理性といいますか、その点を含めて、なぜ完全実施できなかったのか、さらにこれから努力をすれば完全実施に近い方向もとれると思うわけですが、閣議決定で三・四%内ということを決めた理由について明確にひとつお願いをしたいと思います。
  21. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) しばしばお答えをいたしておりますように、政府としては毎年官民較差を御調査になって人事院から勧告をちょうだいするわけでございますが、政府としてはこの人事院勧告制度を尊重するという基本姿勢に立って国政全般との関連の中ででき得べくんば完全実施をしてしまうということが当然であろう、こう思いますけれども、現在の厳しい財政事情であるとか、あるいは公務員給与をめぐっての一般国民の批判、世論、今行政改革のさなかでございますので各般の御辛抱を願っている面もあるわけでございますから、そういった点もあるし、しかし同時に、政府としてはやはり公務員士気の問題とか、いろんな点を広い目配りのもとにやらなけ ればならない。一方において、つまり厳しい公務員給与をめぐっての客観情勢がある。しかしながら他方、政府としては公務員の皆さんに安心をしてもらわなければならぬ、こういったような面もある。ここらを考えて、政府としては何とか一日も早くいわゆる不完全実施、こういうことは完全実施に向けて努力をしていかなきゃならぬといったようなことの中から厳しい選択を迫られて、ことしも苦渋の中での決断であったということをぜひ御理解をしていただきたい、こう思うわけでございます。  先ほどの御質疑の中にもございましたけれども、当時の丹羽長官は、俸給表手直しということはこれはまさに異例のことであって何とかやめたいといった趣旨の御答弁があり、私もその際に、人事院勧告というのは率の勧告と、もう一つ俸給表その他の配分の勧告、二つあると思うということで、これらを含めて完全実施に向けて努力をすべきである、こういう御答弁をした記憶があるわけでございますが、いずれにいたしましても、今日までの数年間の経過というものは私はやはり異例処置であるという基本認識のもとに立って、その中での政府としてのとり得る最大限処置をやらなきゃならぬ、こういうようなことで本年も三・四%内の給与改善をやる、こういう閣議決定をしたわけでございますが、三・四%内というのは三・四%弱である、こう御理解をしていただきたいと思うんです。  その中身をさらに具体的に申し上げれば、三・三五ないし三・三九。なぜそうなるかといいますと、俸給表が百円刻みであるといったようなことで、いろんな技術的な作業の過程である程度の幅を考えざるを得ない。それでは、どうして三・四%弱という決め方をしたのか。私は、一日も早くある程度めどを立てないと、今までのような完全実施に向けて最大限努力をするというだけでは一体見通しがどうなるのだろうかという不安感がやはり職員の中にはあるであろう、ならば少なくとも政府としてはともかく来年客観情勢がこれを許すということであれば完全実施に踏み切るべきである、こう思います。しかしながら、仮に来年も続いて相変わらず厳しい客観情勢であっても、ことしの決め方を御検討していただければわかりますように、私どもとしては少なくとも三年をめどとして完全実施をしていこう、こういう政府の決意というものを明らかにしたい、こういうようなことで三・四%弱、こういう決め方をしたわけでございます。  いわゆる従来の積み残しというのが四・三六あるわけでございます。それらから計算をいたしまして、ことし大分その面が三・四弱ということになるといわゆる積み残しの幅が減ってきますから、来年できれば完全実施したいんですけれども、仮にできなくても少なくともことしの積み残しの解消程度、それ以上は何としてもやらなきゃならぬではないか、一つめどとして三年を目安にやる、こういうことで本年の三・四内、こういう目標のもとにことしの政府方針決定したのだとぜひ御理解をしていただきたい、かように思うわけでございます。
  22. 穐山篤

    穐山篤君 総務庁長官の時間が来ていますから私も長く質問をするつもりありませんけれども一つだけ指摘をしておきたいと思うんです。  いわゆる積み残し分という世評言われている数字は私ども承知をします。それは数字として承知をします。しかし、今の説明でいきますと、計算で三年を目途にという目標をつくったわけです。そのことは、公務員に対しあるいは国会に対しまして三年間は不完全実施を予約いたします、そういうことと同じ意味になるんです。これは人事院だって承知はできないし、また公務員も了承はできないし、また国会もそれを素直にイエスと言うわけには絶対にいかないと思うんです。ですから、私ども三年間のめどという話は公式の席上で聞く耳を持たないといえば語弊がありますけれども完全実施という精神からいうならばそれは無用な私は発言だと思うんです。その点、私どもといたしましては不完全実施を予約してくれという話は一切お断りをする、そういうことを申し上げておきたいし、さらにこれからの経済状況から考えてみて三・四%内で今年度済ましてしまうというわけにもいかないと思うんです。ざらに努力をする必要が政府国会もあろうと思うんです。その点を私は厳しく指摘しておきたいと思うんです。  それから、総務庁長官時間がないようですから私の方から申し上げておきたいと思いますのは、御案内のように、ことしの四月一日から国家公務員、専売、電電、国鉄の共済組合が一元化をしました。財政調整が必要になりましたので、国家公務員相当負担をすることになったわけです。今回の三・四%内の計算でいきましても、税負担の部分と共済組合掛金を控除した残り、言いかえてみますと、実際の手取り賃上げ分というのはごく少々になってしまうわけです。公務員の生活というのは、民間労働者その他に比べて相当較差を持たざるを得ないという状況にあるわけです。そこで、士気を上げるとか能率を上げるというふうに政府がかけ声をかけることはいいと思いますけれども、今や公務員は我慢の限界にある、私はそういうふうに思いますが、総務庁長官、その辺についての考え方を示してもらいたい。
  23. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 今のそれは不完全実施の宣言みたいで了承できない、これはよくわかります。それだけに、私が先ほどお答えいたしましたように、客観情勢が許すならば少なくとも来年だって完全実施に向けて最大限努力をします、しかし仮にそれが不可能であっても、今までのように完全実施に向けて努力しますと言いながら抑制をする、そしてそれがいつになったらどうなるのかめどが立たぬということではかえって公務員不安感を与えるではないか、ならば、やはりどんなに厳しい客観情勢であっても政府としては三年を目安にいわゆる積み残しというものは解消しようということを何らかの形で明らかにする必要があろう、こういう政府のいわば苦渋の中での決定であるということだけはひとつ私は御理解をしていただきたい、かように思うわけでございます。  それから、今のお話共済掛金が十二月からでございましたか一・九%上がる、それから来年の何月からですか、これが〇・六ぐらい上がるはずでございますから、それらを考えればとても公務員士気を云々言う資格がないではないか、こういうお話でございますが、今度のこの三・四弱というのを決定する中で、実は厳しい財政当局の御意見もございましたけれども、そういった点も私どもとしては頭の中に置いて決めたのだということもぜひ御理解を願いたいと思うんです。  ただ、やかましい理屈を言えば、御案内のとおりに、共済掛金というのは後で返ってくるわけですからそれは貯金ではないかなんというような議論をする人さえおるわけです。私は、理屈としてはそういうことはあり得るだろう、しかし毎月毎月御主人から俸給をもらい家計を維持しておる家族の立場に立てば手取り幾らだということに影響することも当然のはずですからそこらはやはり考えなきゃならぬではないのかということで、三・四内ということを決める際の一つ考え方として取り入れたつもりであるということもお答えをいたしておきたい、かように思うわけでございます。
  24. 穐山篤

    穐山篤君 まだ質問はありますけれども、時間の関係がありますので御退席いただいて結構です。  さて、この公務員賃金改定関係をして注目を浴びておりますのは、GNPに対します防衛予算とのかかわりだと思うんです。私があえて説明をすることはないと思いますが、ことしの五十九年度の一般会計予算五十兆六千二百七十二億円、そのうち防衛費が二兆九千三百四十六億円、当初見込みGNP見込みが二百九十六兆円、最近経企庁が見通しについて見直しをしました結果GNP二百九十六兆四千億円、こういう数字に変化をしております。なお、当初見込みによります と、防衛費GNPに対しまして〇・九九一%、既に国会の中でも議論をされておりますが、一%枠までになるにはあと二百五十四億円というのが天井である、限度である、こういうふうに公表されていたわけです。  そこで、お伺いしますが、防衛庁の当初予算で一%の人件費というのはどのくらいなんですか。
  25. 宍倉宗夫

    説明員宍倉宗夫君) お答えいたします。  当初予算で一%分として五十九年度のベースアップ用ということで積み込んでおります数字は百二十二億円でございます。
  26. 穐山篤

    穐山篤君 大著いますか。——大蔵省、今の一%人件費というのは大蔵省の査定で幾らであったんですか。
  27. 西村吉正

    説明員西村吉正君) ただいま防衛庁からお答えのありましたとおり、百二十二億円と承知しております。
  28. 穐山篤

    穐山篤君 百二十二億円というお話はわかりました。  十月十六日の衆議院の安保特別委員会説明によりますと、百二十億円を超え、百三十億円以内であろう、こういう概略の説明があったというふうにお伺いをしているわけです。  さて、そこで百二十二億円ということを計算の基礎に置きまして三・四%ということになりますと、GNPの当初見込み、それから今回改定をしましたGNP二百九十六兆四千億円でいきましてどういう率になるでしょうか。
  29. 宍倉宗夫

    説明員宍倉宗夫君) ただいまの御質問を伺っておりまして、若干御説明をし直さなきゃならないところがあるように思います。と申しますのは、先ほど私お答え申し上げましたように、五十九年度当初予算で一%所要分として積み込んでございます数字は百二十二億円でございますが、今、先生お尋ねのお話でございますと、今回ベースアップを行いますときに一%所要額は幾らか、こういうことに相なるわけでございまして、その数字はただいま俸給表を作成中でございますので定かでございませんが、あえて申し上げれば百二十億円台の後半の数字になろうかと思っております。  そういたしますと、その百二十二億円と先ほど言ったのと違うではないかということになるわけでございますが、当初予算で一%分所要額として積みます数字につきましては人件費全部の分について一%計上いたしませんので、一部につきましてはそご、違いがあるわけでございます。でございますから、今、先生お尋ねの数字で百二十二億円に三・四%内ということで掛けてまいりますと、ちょっと数字が違った形になってこようかと思います。前提といたしまして今考えられますのは、先ほど申し上げましたように、一%で要るお金は百二十億円台の後半になろうかと思います。百二十五億から百三十億の間かと思っておりますけれども、その辺で計算をいたしますと計算というのは出てくると思いますけれども、先ほども申し上げましたように、今幾らかということにつきましては作業中でございますので定かに申し上げるわけにはまいらない、こういうことでございます。
  30. 穐山篤

    穐山篤君 そうなりますと、また少し問題が出てきますね。当初予算で一%というのは百二十二億円で計算をした、しかし今日の段階では百三十億円に近い百二十億円台である、こういうふうに説明がされました。もちろん細かい数字はお持ちでありましょうが、仮に百二十二億円と百三十億円の間で一億円ずつ、例えば百二十三億円、百二十四億円、逐次積み増しをして計算をしたものもあるわけです。今私はこうやって持っておるわけです。最高の百三十でいきますと率直に申し上げて一%枠を超える、こういうことに計算上なります。今まで政府統一見解であった一%以内に抑える、責任を持ってその枠内にとどめるというこの政府統一見解とのかかわり合いはどういうふうに認識されていますか。
  31. 宍倉宗夫

    説明員宍倉宗夫君) ただいま先生の計算、いろいろ前提を置けばそのとおりになろうかと思います。例えば、今、先生おっしゃいましたように、百三十億円ということで三・四%内ではございますけれども三・四から三・三五ということで大まかに言いますと、四百三十から四百四十億円ぐらいの所要額になるかと思います。GNP数字は、まだこれも定かではございませんが、経済企画庁のレビューの数字をとりますと、先ほど先生御指摘のように一%の金額とのすき間が二百九十四億円あるわけでございまして、それに、先ほど私申し上げましたように当初予算で百二十二億円積んであるわけですから、足しまして四百十六億円財源がある、こう考えますと、四百三十とか四百四十という所要額に対しまして十ないし二十億円台の出っ張りが出る、こういうことはそういう計算になろうかと思います。  ただ、政府が申し上げております一%を守るということは、分母がGNP見通しであり、分子は予算でございます。ただいまの時点におきましては予算は当初予算のとおりでありまして、いずれこのベースアップの決定がなされれば俸給表ができ、法律を国会で御審議いただきまして、同時にそれが成立するということになりますれば、予算が足りなくなるわけでございますから何らかの手当てがなされることになる可能性が強いかと思いますが、その場合に仮に補正予算というものを考えるといたしますれば、そのときに分子に出てくるのが補正予算数字でございまして、分母と分子の関係で一%を守るというようなことで私どもとしては努力いたしたい、こういうことでございます。
  32. 穐山篤

    穐山篤君 数字議論はこれ以上いたしません。  官房長官加藤防衛庁長官にお伺いをしますが、三・四%内で配分については人事院勧告趣旨を十分踏まえてこれから計算をする。人事院が具体的に俸給表の相談をされるわけでしょう。防衛職員の場合につきましては一般の公安職員の俸給表というものを十分ににらみながらつくるだろう、こういうふうに思うわけですが、従来から言っておりました一%の枠は守る、この基本方針は変えていないと思うんです。そこで、我々は完全実施をなお望むところでありますけれども、仮に三・四%内という計算をいたしました結果、政府としては一%以内を厳守する、そういう確認をいたしますが、御両人いかがでしょうか。
  33. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) この問題について当委員会でたびたび御質問がございまして、人事院勧告完全実施を目指して努力をするということとGNPの一%以内という防衛費の従来の原則をどう調整するのかという御質問に対しまして、それは全く二つのものである、片方は片方の理由であってはならないということを申し上げてきたところでございます。今御答弁申し上げましたように、数字の上でいろんなこれからまだ不確定の部分がございますし、最終的にどのような結果になるか、まだ全部やってみないとわからないわけでございますけれども政府といたしましては、三木内閣閣議決定をいたしましたGNPの一%以内の防衛費として守っていくという方針をこれからも守っていきたい、このように考えておる次第でございます。
  34. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) ただいま官房長官が申されたように、幾つかのまだ不確定な要因もございますけれども、私たちとしても五十一年の三木内閣時代の閣議決定方針を守っていく努力をしてまいりたいと思っております。
  35. 穐山篤

    穐山篤君 人事院勧告問題、以上で終わりたいと思います。  さて、教育臨調の問題について文部大臣にお伺いします。時間がありませんので、私の方から前提について申し上げておきたいと思います。  御案内のように、八月の八日に、私ども野党は反対しましたが、成立をしました。国会の同意を得ないで八月の二十日に委員を総理大臣が任命をいたしました。九月の五日に第一回の審議会が開かれて、そこで諮問が行われたということになるわけです。二十五名の委員国会の同意を得ないで発足したことについて私ども不満の意を表しておきたいというふうに思います。  そこで、お伺いをいたしますが、私の質問は少なくとも設置法の範囲内においてお伺いをするわけです。文教の政策という問題は、また別の委員会でしかるべく議論をされるでありましょう。  まず第一は、総理の諮問の前提条件にもあるいは設置法の前文にも教育基本法を十分に尊重しながら二十一世紀に向けて教育の改革を行う、こういう趣旨でありました。また、私どもも教育基本法の精神を尊重すべきであるという主張を相当厳しく行ったわけです。したがって、二十五名の委員を私ども国会ではまだ同意をしておりませんが、事実上動いておりますからお伺いをしますが、この委員二十五名のうちの幾人かは、私は教育基本法についてはこの際再検討すべきである、こういう委員もおります。それからもう一人の委員は、これは新聞紙上を通じてでありますが、民主的国家の再建という言葉を入れるべきである、こういうふうに主張されました。  そこで、私はこの方々の発言というものをよく読んでみましたが、逆に言いますと、この審議委員の中には憲法をよくお知りになっていない先生方が多い、教育基本法の前文とそれから十一条にわたります個々の条文を読んでいない先生が非常に多いということをしみじみ痛感をしたわけです。内閣委員会国会で論議になりましたことを踏まえて臨時教育審議会委員を発令したというふうに皆さん方はお考えのようでありましょうが、スタートにおいて重大な欠陥を残しているんです。そういうことについて新大臣はどういうふうにお考えですか。
  36. 松永光

    国務大臣(松永光君) 穐山先生の御質問お答えする前に、一言だけごあいさつを述べさせていただきます。  このたび文部大臣を拝命いたしました私が松永光でございます。浅学非才の身でありますが、一生懸命職務に精励して職責を全うしたいと存じておりますので、よろしく先生方の御指導をお願いいたします。  穐山先生の御質問お答えいたしますが、先生よく御承知のとおり、このたびの臨教審は、その設置法第一条に書いてありますように、教育基本法の精神にのっとって必要な改革を図り、それによって教育基本法の規定する教育の目的達成に資するために設置されたのでありまして、あくまでも私どもは今回の臨教審で審議をしていただき、それに基づいて教育改革を進めるに当たりましては教育基本法の精神にのっとってこれをやっていかなきゃならぬというふうに考えているわけであります。  なお、この臨教審設置法の御審議国会でお願いいたしました際に、この国会審議会の委員の人選のあり方、審議事項あるいは審議会の運営のあり方等についていろいろな御意見をいただきましたので、その御意見最大限尊重していかなきゃならぬというふうに考えておるところでございます。  選ばれました二十五人の委員につきましては、今申し上げましたような国会における御意見を十分尊重しながら、広く国民各界各層の意見が反映されるような基準で選考申し上げ、かつ各界の代表的な方々、そして立派な見識を持っている方々にお願いをしたというふうに考えているわけでございます。さような次第でございますので、私どもといたしましては立派な先生にお願いをしておるというふうに考えているところでございます。
  37. 穐山篤

    穐山篤君 抽象的なお話を聞いているわけじゃないんです。当時二十五名の委員が発令をされたときに、新聞紙上を見ますと、多彩で無難である、こういうふうにマスコミの皆さんはよくお書きになっていましたが、大変な分析ですね。無難どころの話じゃないんです。宗教心とか、国を愛する心とか、伝統文化というふうなことを具体的に提示して教育基本法を直しなさい、直さなければならないという主張をしている先生が委員になっているわけです。それから民主的国家の実現というのは教育基本法の前文にちゃんと書いてあるんです。ですから、私は名前を申し上げませんが、憲法と教育基本法を十分お読みになっていない先生が大分発令をされている。  そこで、文部大臣、やっぱり主務大臣として、ここは基本にかかわるわけです。衆参両院で長い時間をかけて論争した結果は、教育基本法を尊重して二十一世紀をしょって立つ青少年の教育改革の推進、こうなっているわけです。したがって、今私が申し上げましたような教育基本法を尊重しないような人の委員の任命あるいは発言というものはこのまま放置しておいていいんでしょうか。あるいはそれについて主務大臣である文部大臣としてどういうふうに審議会に対し配慮をしていくのか、具体的なことを少しお伺いしておきたいと思います。
  38. 松永光

    国務大臣(松永光君) 私どもは、今回の教育改革は先生御指摘のとおり教育基本法の精神にのっとってやるわけでございますから、しかもそのことをよく私どもとしては理解をいたしているわけでありまして、また各先生方もそれぞれの分野の経験豊富な識見のある方々でありまして、先生御指摘のような憲法の精神を知らない方とかあるいは教育基本法を尊重しない精神の方とかはいらっしゃらないものと考えておるわけでございます。
  39. 穐山篤

    穐山篤君 そうしますと、そういう発言は今後委員の中からは出ない。議論の過程で教育基本法の精神議論をされたり、あるいは解釈について大いに論争をしてもらうことは結構であります。しかし、見直しを求めるというふうな発言が今後は出ないと私は今の答弁の中で確認をいたします。よろしゅうございますね。
  40. 松永光

    国務大臣(松永光君) 繰り返し申し上げますが、政府としては教育基本法の精神にのっとって必要な教育改革を進めるために臨教審を設置し、そして委員にお願いをしたわけであります。したがいまして、私どもとしては臨教審の答申も教育基本法の精神にのっとって出されるものと期待をいたしております。ただ、具体的な審議の場においては、各委員の方々の発言を制約したり、枠を設けたりすることは考えておりません。あくまでも自由闊達な御意見は出していただきたい、こういうふうに思うわけであります。  今、先生の御指摘は一、二の委員の先生が個人的に発言されたことだと思うのでありますが、臨教審の委員会そのものとしては、今私が申したとおり、教育基本法の精神にのっとって論議をしていただき、かつそれにのっとった答申をいただ分るものと私たちは期待をいたしておるわけでございます。
  41. 穐山篤

    穐山篤君 今後は大臣の言われたことを十分私も肝に銘じて、別の機会にもう一遍具体的にたがしておきたいと思います。  それから諮問の問題です。内閣総理大臣が直接諮問をする、その場合に文部大臣の意見を十分に聞く、こういうルールになっておりまして、九月の五日に総理大臣から諮問がありました。私が諮問を読んでみます。「我が国における社会の変化及び文化の発展に対応する教育の実現を期して各般にわたる施策に関し必要な改革を図るための基本的方策について」諮問をいたします。  実は、きょう臨教審の会長さんも参考人でお呼びをしたわけですが、事情で来てもらえません。我々が内閣委員会でどういう事柄を諮問をするのか、尋ねるのかということを繰り返し繰り返し特に私は念を押して質問をしたわけであります。その当時の答弁とこの中曽根総理大臣の今の諮問事項というのは大変違いがある、あるいは非常に抽象的である。臨教審の委員はこのたった二行の諮問事項をどういうふうに理解認識しているのか、その点が非常に不安であります。その点について大臣はどういうふうに引き継ぎを受けておりますか。委員会全体の心構えといいますか、審議会の方向といいますか、その点についてはどういうふうに心得ておりますか、お伺いをしておきたいと思います。
  42. 松永光

    国務大臣(松永光君) 先生御指摘のように、去る九月五日に開かれた臨教審第一回総会における内閣総理大臣からの諮問はやや抽象的という言葉が当たるかもしれません。しかし、この種の諮問は大体包括的な諮問をする、やや具体にわたるこ とについては諮問をした際における大臣のあいさつその他においてやや具体性を持たせる、こういう大体の例のようであります。したがって、今回の場合も総理大臣からは今、先生がお読みになったような諮問になっておりますが、同時に、そのあいさつの中でやや具体的なことも申されておるわけであります。文部大臣もやや具体的に申されておるわけであります。それらを総合して私は審議会では教育改革に関する審議がなされるものと期待をいたしておるわけでありますが、臨教審におかれては既に七回にわたる審議をしていただいたわけでありますけれども、各委員方にそれぞれ御意見を出していただきまして、昨日、第八回総会で四項目を具体的に出していただきまして、それに基づいて審議をしていただく、こういうふうに進んできたわけでございます。
  43. 穐山篤

    穐山篤君 きょうは岡本会長さんがおいでになりませんので、残念ながらその点について、諮問をした側と諮問を受けた側の認識について対比をすることができませんでした。改めて別の機会にしたいと思いますが、少なくとも二十五名の先生方には憲法とか教育基本法とか衆参両院の審議の経過というものを十分に知ってもらって具体的に議論がされるように私は特に望んで、この問題については終わりたいと思います。  時間がありませんので最後になりますが、前内閣におきまして総務庁の設置法に伴って大臣の所管、所属が変わりました。中西国務大臣が特別の任務を総理大臣から受けたと思うんです。その特別に受けた特命事項というのは箇条書きに言うとどういうことでありましょうか。
  44. 吉居時哉

    説明員吉居時哉君) 中西前大臣が総理から受けられました特命は三つございました。その一つは、危機管理問題に関する検討研究でございまして、これは主として大地震であるとかハイジャックなどの突発的な大事件が発生した場合の政府のとるべき措置についての調査研究、こういう点でございます。それから二つ目は、国公有地等の有効活用など民間活力の導入の推進の問題でございます。それから第三番目は、在ベルリン旧日本大使館の再利用問題。この三つでございました。
  45. 穐山篤

    穐山篤君 そこで、お伺いいたしますが、私の記憶によりますと、中曽根総理は、かつて加藤六月国土庁長官の問題について予算委員会で説明がありまして、大地震の災害など危機に当たってもらうには適当な人だ、適当な場所であるという、そういう発言が残っているんです。ですから、そういう問題は中西国務大臣のところではないと私ども理解しておったわけです。したがって、いうところの危機管理というそういう問題を私どもは懸念をいたします。しかし、そのことはそれでいいのですが、その処置は今どういうことになっているのか。いわゆる危機管理の問題についての取り扱いです。簡単で結構です。
  46. 吉居時哉

    説明員吉居時哉君) ただいま申し上げましたように、中西大臣が総理から特命を受けられましたのは、突発的大事件が発生した場合の政府のとるべき措置についての調査研究でございました。実は、こういうふうな危機管理の問題につきましては、従来からその態様に応じまして内閣官房を初め関係省庁においてそれぞれ対応してきたところでございますが、今回、中西前大臣のところでもって検討を加えられましたこともありまして、今後また関係省庁におきまして引き続き必要な検討を続けていく、こういう態勢でございます。
  47. 穐山篤

    穐山篤君 そのほかの民間活力と西ベルリンの旧大使館、この取り扱いはどういうふうにされるんですか。
  48. 吉居時哉

    説明員吉居時哉君) まず、国公有地等の有効活用など民間活力の導入の推進の問題でありますが、これは今般、河本国務大臣にも同様の特命がなされておりますので、この特命事項の中に含まれている、こう解釈しております。  それから在ベルリン旧日本大使館再利用の問題でございますが、これは実はこれまでも実質的には外務省において取り扱われていた点も多うございますので、この点につきましては今回外務省に移管する、こういうことにしております。
  49. 穐山篤

    穐山篤君 仄聞するところによると、危機管理審議室というのですか、これは解散をされたわけですか。そうしますと、この危機管理にかかわる問題というのは、これから所管はどこで担当をされて、どういう問題にさらに継続して当たろうということにしているんでしょうか、ちょっと明確にしてください。
  50. 吉居時哉

    説明員吉居時哉君) 中西前大臣がこのような特命事項を受けられましたことに伴いましてその事務局を設置いたしましたけれども、今般、中西大臣がかわられましたことに伴いましてその事務局は解散をいたしました。  ただいま御質問の危機管理の問題でありますけれども、先ほど御説明いたしましたように、実は従来からこの点につきましてはそれぞれの態様に応じまして内閣官房初め関係各省庁で勉強もしてきたところです。したがいまして、今後は従来と同様にこれまでの議論ども踏まえながら、参考にしながら引き続き関係省庁においてそれぞれの態様に応じた検討を続けていく、こういうことにしております。
  51. 穐山篤

    穐山篤君 各省庁で進める。検討はそれはいろんな省庁で勉強されるんでしょうが、いわゆる民間防衛に関する問題も、新聞その他で見ますと、危機管理室で相当研究をする構えでいたような報道がされているわけですが、これから各省庁が危機管理について研究する場合、大地震というふうなことは当然でありますが、民間防衛というふうなたぐいの問題はこれからどういうふうに措置をされるんですか、その点をお伺いしておきたいと思います。
  52. 吉居時哉

    説明員吉居時哉君) 少なくとも中西大臣が担当されました特命事項は先ほど来申し上げておりますようなことでありまして、いわゆる有事規制といったような問題については含まれていない、こういうことであったわけであります。ただいまおっしゃいました民間防衛というものがどういうふうな内容を持つものか私は定かには存じませんけれども、その内容に応じましてこれまで各省が担当していた問題につきましてはそれを各省庁でもって検討を続けるということに相なりましょうし、また新しい問題が出てきた場合にはそれにどう対応するかということは今後またその都度検討していかなきゃならない問題かと思います。
  53. 矢田部理

    ○矢田部理君 防衛庁長官伺いますが、非核三原則、これは日本の国是であり、国の基本的な方針だというふうに理解をされておりますが、防衛庁長官はどうお考えでしょうか。
  54. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) そのように考えております。
  55. 矢田部理

    ○矢田部理君 したがって、これは自衛隊員だけではありませんが、自衛隊員としても国の最高の方針でありますからこれを守っていくということが基本でなければならないと思いますし、逆に言えばこれを批判したり、これに反対する言動は厳に慎まなきゃならぬというふうにも思うのですが、いかがでしょうか。
  56. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 国、内閣が国是と考えるほど重く考えている政策については、公務員たる者はそれを守っていく任務があると思っております。
  57. 矢田部理

    ○矢田部理君 防衛大学の教授は隊員でしょうか、また公務員でしょうか。
  58. 友藤一隆

    説明員友藤一隆君) 防衛庁職員でございます。
  59. 矢田部理

    ○矢田部理君 当然、自衛隊法の適用がございますね。
  60. 友藤一隆

    説明員友藤一隆君) 自衛隊員でもございます。
  61. 矢田部理

    ○矢田部理君 したがって、非核三原則を初め国の基本方針は守っていくべき義務があることは、先ほどの御説明のとおりというふうに承ってよろしゅうございますね。
  62. 西廣整輝

    説明員西廣整輝君) 行政として国の基本方針を守っていくということは当然のことでございますが、防大教授あるいは研修所の所員等いわゆる学問、研究をする者につきましては、アカデミックフリーダムと申しますか、それなりの理論、研 究等について言及することはあろうかというふうに考えております。
  63. 矢田部理

    ○矢田部理君 特に国の方針、国是とも言われるべきものについては、これは防衛大学の教授も隊員でありますし防衛庁の職員でありますから、当然自衛隊法の適用があり、かつこれを守っていかなければならぬというのは改めて指摘するまでもないと思うのでありますが、防衛大学の教授佐瀬昌盛という人でありますが、ことしの九月号の「諸君!」という雑誌に非核三原則を非難し、これを改めるべきだという論文といいますか文章を書いておるわけであります。  若干紹介をしてみますれば、本来、非核三原則というのは宗教上の戒律みたいなものだということを指摘した上で、「豚を食べないことが回教徒にとっては第一義的には健康の問題なのではなく、宗教的戒律の問題であるのと同様に、非核三原則の遵守は、「唯一被爆体験」国民にとっては第一義的には安全保障次元の問題ではなく、戒律レベルの問題なのである。ところが、わが国の現実はどうかというと、非核三原則の不可侵性を声高に論じることがすなわち安全保障論議であるかのような光景が支配している。」と述べた上で、「宗教的戒律を守りさえずれば健康でいられると思い込むのは錯覚にほかならない。そういう錯覚は人間の健康にとり、ときとして危険である。」というふうな議論を展開した上、幾つか文章の中には問題点があるわけでありますが、時間の関係上省略しますが、特に非核三原則の中で持ち込みの問題を改めるべきだ、こういうふうに言っているわけです。「極東水域に展開される米国海上核の日本領海通過および一時寄港を不問に付すことである。つまりは、非核三原則中の「持ち込ませず」原則の拡大解釈を止め、「持ち込まない」とは核兵器の地上配備および領土上貯蔵を行わないという意味だと本来の姿に戻すことである。」、こういう主張を展開をしている。  これは明白に国の方針、非核三原則の国是に違反する言動だというふうに思いますが、いかがでしょうか。長官認識を聞きます。——いや、ちょっとお待ちください。これはやっぱり国の基本的な問題ですから、事務方が答えるべき問題じゃない。長官認識を聞きます。
  64. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 非核三原則は、私たちも堅持していくべき重い政策であると思っております。これに伴って公務員がどのような態度をとるべきかにつきましては、先ほど私が申し上げましたように、公務員たる者はその国の方針を守っていかなければならぬ、こう思っておりますが、先ほどの御指摘のような場合は、官房長も申しましたように、学問、研究の自由という問題もあり、その点につきましては若干の一律に言えない部分がアカデミックフリーダムとの関係であるのではないかという点等あろうかと思っております。
  65. 矢田部理

    ○矢田部理君 今私が指摘をした非核三原則のうち持ち込ませずの原則を改めるべきだ、あれはもともと拡大解釈だ、持ち込ませるべきだという主張は、学問上の問題でもなければアカデミックな問題でもありません。政策そのものの問題だ。こういうことを公然と言い放つような職員、隊員はこれはもってのほかだというふうに考えざるを得ないわけでありますが、いかがですか。
  66. 西廣整輝

    説明員西廣整輝君) 繰り返すような御答弁になりますが、御承知のように学者というものは、他にもたくさん国立大学があるわけでございますが、例えば憲法の解釈等にしろ政府の統一的な、基本的な見解と違った御解釈をされる、あるいは見解を述べられる、それらもすべて含めて憲法で保障しておるやはり学問の自由ということで、そういった学問、研究についてはそれなりの自由を認めておるというように私どもは考えております。
  67. 矢田部理

    ○矢田部理君 もともと国立大学といいますか、学校教育法に言われる大学の位置づけとはちょっと違うわけです。特に自衛隊員については、これは防衛庁の職員も含めて、言うならば政治的行為、政治活動については一般公務員以上に厳しい規制規定自衛隊法そのものに、施行令も含めて置かれているわけです。これに照らしたって、こんなものはアカデミックの話でもなければ学問、研究の問題でもない。国の基本政策そのものを公然と誹謗する、その改定を迫る、変更を求めるというようなことはこれは断じて許すわけにはいかない。そんな答弁では満足できません。
  68. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) その点につきましては、防衛大学校の先生でございますか、佐瀬さんは。その防衛大学校の教授と、それから例えば東京大学の教授とどういった性格の違いがあるかということについては多くの論議がこれからあろうかと思いますが、私たちょく新聞等で見ますように、国立大学の先生も公務員でございます。国家公務員でございますが、私たちの政策をいろんな分野で、それは単にアカデミックな、学問、調査研究じゃない他の分野でもいろいろ御批判いただき、その批判をいただきながらも私たちの政府がしっかりとした弾力性を持ち、そして民主主義を守っていくというのが我が国民主主義の強さだと思っております。そういう意味で、少なくとも国の公務員ということであったらすべてのアカデミックな人たちも発言を許されないということは簡単に割り切れない問題ではなかろうか、こんなふうに思っております。
  69. 矢田部理

    ○矢田部理君 大学における自治とか学問、研究の自由とかということを私は否定するつもりはありません。それは本来の大学の姿なのであって、防衛大学というのは大学校なのでありまして、本来の大学ではない。また、しかしその差を論ずるのではなくて、これはアカデミックな問題や学問、研究のことで名論卓説を言っているのじゃないんです。これはずっと読んでいけばわかりますが、国の政策を公然と誹謗して、とりわけ防衛に関する基本的な柱、この改定を求める、変更を迫る、これは明白に、例えば、これは時間がありませんから指摘はしませんが、自衛隊法に言う政治活動の規制というのが自衛隊員にはかぶっております。政治目的を持って政治活動を行ってはならぬということで幾つかの関連する条項がありますし、それからそれに見合った服務の宣誓をやっているわけであります。その隊員がこういうことを公然と言い放っておって、それは自由なんだというようなことを言われたのではたまったものじゃありません。もう一回、これは私は了解しませんので、長官から答弁を求めます。
  70. 西廣整輝

    説明員西廣整輝君) たびたび申し上げるようでありますが、学問の自由なりあるいは言論の自由、そういったものとの調和というのはなかなか難しい問題でございますが、先生御指摘のようなこと、例えばそういう自分の見解を発表するというようなことにつきまして、我々はそれそのものがいわゆる政治活動に当たる、公務員法あるいは自衛隊法で規制をしておる政治活動に当たるというようには考えておらないわけでございます。
  71. 矢田部理

    ○矢田部理君 直ちに政治活動違反だというふうになるかどうかということはもう少し当てはめをしていかなければなりませんが、いずれにしたって国の基本方針を、前段の確認で言いましたように、公然と批判をし、その変更を迫るというようなことは許すべきでない、このことだけは防衛庁長官しかとやっぱり押さえてもらわないとシビリアンコントロールも何もなくなってしまいます。非核三原則を改めるべきだというような先生が防衛大学校で教えておったのでは、そういう生徒が育つことになる。そういう隊員がどんどんこれから幹部として出てくることになるという影響力から考えてみてもこれはゆゆしきことだという認識で対処をしていただきたいというふうに思いますが、長官に最後に一言だけ答弁を求めたいと思います。
  72. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 私たちは、非核三原則を堅持してまいりたいと思っております。  それから防衛大学校の職員、教員と学問の自由の問題につきましては、実はきょうそういう御質問を想定していなかったものですから担当の局長が参っておりませんけれども、私たちとしてはアカデミックフリーダムの観点からそう一概に言えないことではなかろうか、こう考えております。
  73. 矢田部理

    ○矢田部理君 ちょっと不満なんです。ちょっと不満というだけでなしに、アカデミックの問題でも学問、研究の問題でも全くないということだけは幾ら長官でも御理解いただけるでしょう、この問題は。
  74. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 防衛大学校とほかの国立大学との区別の問題等若干専門的にわたる問題でございますので、改めた機会でまた答弁させていただきたいと思います。
  75. 矢田部理

    ○矢田部理君 いずれにしても、そのほか、時間がありませんから全部指摘はしておりませんが、随所にこの非核三原則に対する批判等々の問題が出ておりますので、一度検討されて、調査の上改めて答弁を求めたいと思いますが、いかがですか。
  76. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) そのようにさせていただきます。
  77. 矢田部理

    ○矢田部理君 次の問題に移ります。  米軍の相模総合補給廠、ここはベトナム戦争以後しばらく補給廠としては冬眠状態といいますか、ほとんど動きがなかったのでありますが、この春先から急に装備が、とりわけ各種装備がいろいろ補給廠に持ち込まれるというような状況が出てまいりまして、マスコミなどの指摘では、 .配備、ポンカスではないかという指摘などもなされておるんですが、その状況をどんなふうにつかんでおられますでしょうか。
  78. 栗山尚一

    説明員(栗山尚一君) 御質問の点につきましては、私どもも新聞報道等もございましたので米軍の方に照会いたしましたが、ただいま先生がおっしゃいましたいわゆる米軍の用語で申しますとポンカス、すなわち部隊単位での必要な装備の事前集積、そういうような計画との関連で相模の補給廠を利用する、あるいはそういう事前集積の構想そのものが日本において在日米軍との関連で存在するというようなことはないというふうに米軍は申しております。
  79. 矢田部理

    ○矢田部理君 最近どんなものが持ち込まれているか、その目的は何であるのか、今後その持ち込まれたものをどうしようとしているのかなどについて外務省なり防衛施設庁は把握をしておるでしょうか、防衛庁と言ってもいいと思うんですが。
  80. 栗山尚一

    説明員(栗山尚一君) まず、原則として米軍の方は個々の部隊ないし装備の運用ぶりについては公表しないということになっておりまして、この点は私どもといたしましても軍の運用という観点から理解しなければならないというふうに思っておりますが、御指摘の相模補給廠の問題につきましては、私どもが米軍の方から得ております情報によれば、韓国において在韓米軍の装備の更新というものが行われておりまして、その関連で当面必要でなくなった車両等の装備というものを一時保管するために相模の補給廠を利用する、こういう関連で若干の装備の移転が行われておるというふうに承知しております。
  81. 矢田部理

    ○矢田部理君 在韓米軍の装備更新に伴って古くなったもの、要らなくなったものをたまたま相模に持ってきて保管をするのだ、しかもそれは一時保管だという説明が確かになされているのでありますが、例えばM109自走りゅう弾砲が数両運び込まれているという指摘もあるわけですが、このM109は在韓米軍は持っていなかったわけですね。少なくとも我々の調査ではそういうものを持っていなかった。それが持ち込まれたということになりますれば、アメリカから直接持ち込まれた可能性が強いわけでありますが、その辺はどうつかんでおられますか。
  82. 栗山尚一

    説明員(栗山尚一君) 先ほど御答弁申し上げましたように、米軍は原則としましてそういう具体的な個々の装備の移動状況については軍の秘密という観点から公表しないということになっておりますので、そういう点につきまして私どもといたしましては具体的な詳細について承知しておりません。御指摘の自走りゅう弾砲の有無につきましても、私どもとして今ここで申し上げられる立場にございません。
  83. 矢田部理

    ○矢田部理君 新聞等でも具体的な指摘があり、我々の調査でも、これは数については四両説、六両説、あるいはもう少し多いのだという説などもありますが、少なくとも数両持ち込まれていて、中で走行テストなどが行われているという事実が指摘をされているのに、しかもそんなものは在韓米軍は持っていなかったのに、ただ把握していな  いということでは済まないのじゃありませんか。韓国からのお古をたまたま持ってきて貯蔵しておくのだ、一時置いておくのだという説明では説明し切れない問題が出ているわけですが、どうお考えになりますか。
  84. 栗山尚一

    説明員(栗山尚一君) 先ほど御答弁申し上げたことの繰り返しになりますが、基本的には、先ほど申し上げましたように、在韓米軍の装備の更新との関連で当面必要がなくなった車両等を一時的に保管するという目的で装備の移動が行われておるというふうに承知しておりますが、自走りゅう弾砲の点につきましては私どもも具体的に承知しておりませんで、どういう目的で搬入されたかということについてこの場で申し上げることはできませんので、その点は御了解いただきたいと思います。
  85. 矢田部理

    ○矢田部理君 今後、車両を一千両以上、これは車両という中には戦車なども含む可能性があるわけでありますが、一、二個旅団分の装備を相模補給廠に備蓄するといいますか蓄えるというような指摘もあるのですが、その辺はどうつかんでおられますか。
  86. 栗山尚一

    説明員(栗山尚一君) 先ほど申し上げました以上のことは私どもとしては承知しておらない次第でございますし、それから先ほども矢田部委員がおっしゃいましたいわゆるポンカス、部隊装備の事前集積ということになりますと、これは当然のことながら日本に配置されております米軍の態勢のある意味では非常に重要な問題でございますので、そういう問題になればこれは当然日米間でいろいろ協議、話し合いが行われてしかるべき問題だというふう考えますが、現在米軍の方におきましてはそういう考え方というものは全く持ち合わせておりませんので、先ほど御説明申し上げました域を出ないということでございますので、そのように御了解いただきたいと思います。
  87. 矢田部理

    ○矢田部理君 この補給廠の要員を十二月にはおやす、マスコミの報道によれば七十人から三百人ぐらいの規模で要員をふやすという状況はつかんでおられますか。
  88. 小谷久

    説明員(小谷久君) 今お尋ねの件につきましては、去る八月に在日米陸軍司令部から防衛施設庁の労務部に対しまして概略これから申し上げますような情報提供がございました。ただし、この情報提供は、現地の従業員関係機関において雇用上の不安等を招きかねないおそれがあるので、その心配はないことをあらかじめ知らせる趣旨から行われたものでございます。  一つは、在日米陸軍司令部は、相模総合補給廠における物資の保管、修理等の業務の一部を近く業者委託することに決定した。しかし、これに関連する駐留軍従業員の人員整理はない。  それからもう一つは、現在、在日米陸軍司令部は入札により業者を決定し、契約を締結するための諸準備を行っている。業者委託の実施は本年末ごろと見込まれている。  三番目に、委託業務に必要とする労務者数は、確定的ではないが、約七十人から三百人と見込まれている。  こういう情報提供がございました。
  89. 矢田部理

    ○矢田部理君 そこで、私が大変わかりにくいと言うのは、相当数の装備が既に、とりわけことしの三月ごろから持ち込まれてきている。従来、ベトナム戦争が終わってから十年近くほとんど休眠状態だったこの補給廠がにわかに活況を呈するようになってきた。下請か外に仕事を委託するのか知りませんが、いずれにしても相当数の要員を確保してその業務を遂行しなければならぬ事態になってきている。在韓米軍のお古を持ってきたのだというだけでは説明がつかない。M109なども持ち込まれているという状況から考えてみますと、ヨーロッパ等で行われている事前配備ではないという説明だけではちょっと説明がし切れないので はないでしょうか。  なるほど、アメリカの議会筋などを見ておりますと、アメリカ軍が装備を事前配備するよりも日本にやらせろというような抵抗が強いものですからヨーロッパ流のポンカスということを即持ち込むことにはいささか無理があろうかと思いますが、在日米軍がかつては北海道の島松を考えていた。しかし、これは公然とできないので相模補給廠をいわば活用する形で装備の事前配備といいますか、これに着手したと見るのはそう無理のある見方ではないというふうに私は実は受けとめているわけであります。特にアメリカの政策の変更というのは、御承知のように米戦略が日本のNATO化をねらっているということなどをあわせ考えてみると、よりそれは説得性があるのではないかというふうに考えるわけです。  特に防衛庁や外務省にただしておきたいのは、アメリカと有事、際に共同対処をする合同訓練も盛んに今やっておる。ところが、在日米軍がどんな装備を持ち込んできているのか、何をやろうとしているのか等々についてはほとんどわからないのだという今の外務省の御説明です。これは、しかしいかがなものでしょうか。制度上、それは事前協議事項あるいは原子力を推進力とする艦船の寄港、B52などについてはその通告があるという枠組みにはなっておりますが、それ以外のことはどんなものを持ち込んでいるのか、どんな装備を持っているのか、どんな力、能力を日本の中に蓄えているのかということがほとんどわからないということでは国民は納得しにくいのではないでしょうか。その辺を含めて答弁いただきたい。
  90. 栗山尚一

    説明員(栗山尚一君) 日本に配備されております米軍の具体的な装備、能力等につきましては、外務省もさることながら、防衛当局の方におきましてはさらに詳細によく承知しておられるというふうに理解しております。  私ども一般的な知識は持っておるつもりでございますが、先ほど申し上げましたように、具体的な個々の装備の変更、移動等につきまして、一つ一つの特定の時点におきます具体的な状況の一々までは私どもとしては把握しておらないわけでございまして、他方、もちろん安保条約に基づいて提供されております施設区域でございますから、そういう安保条約、地位協定の規定に従って米軍が施設区域を運用していかなければならないという大枠がございますし、そういう原則に従っての施設区域の運用が行われておるか否かということにつきましては、私どもも平素から米軍あるいはアメリカ側と密接に接触いたしまして、いやしくも条約、協定に反した施設区域の運用が行われることがないように注意しておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、細かい部隊、装備の移動につきましては、これはやはり米軍の特性、軍隊の特性というものを理解してやらなければいけないわけでございますし、そういうものにつきまして一々公表できないということについてはこれは政府としても理解すべきであろう、こういうふうに考えておる次第でございます。
  91. 矢田部理

    ○矢田部理君 この程度で終わりにしたいと思いますが、在韓米軍の装備更新に伴ってお古を持ってきたのだ、一時的に預けてあるにすぎないのだというのはやっぱり納得しかねるわけです。つまり部外委託という方法かもしれませんが、要員の数をふやすというようなことも考えてみますると単に一時的なものというふうにも理解できないし、それからM109を数車両持ち込んでいるというような指摘もあるわけですから、これは付近の住民の不安などもあるし、単にポンカスではないという結論的な説明だけでなくて、少しくやっぱり在日米軍当局に問題の状況を当たるということで調査を求めたいと思うんですが、いかがですか。
  92. 栗山尚一

    説明員(栗山尚一君) 私どもといたしましても、今後とも米軍の動きにつきましては十分アメリカ側とも情報の交換等を続けてまいりたいというふうに思っております。しかしながら、繰り返しになりまして大変恐縮でございますが、詳細につきまして米側が公表できないということはこれはまた理解すべきであろうと思いますので、ただいまの先生の御質問に対しましても今申し上げた以上のことは差し控えさせていただきたいと思います。  自走りゅう弾砲自体につきましては私どもよく承知しておりませんが、一般的にあえて推測で申し上げれば、当然、在韓米軍の装備更新ということに伴って古い装備をこちらへ持ってくる、かわりに向こうへ持っていく装備が一時的に相模補給廠に保管されて、また韓国の方に運ばれるということも、それは全く排除はできないことであろうというふうに思われます。要は、いずれにいたしましても、事前集積というような在日米軍あるいは安保条約の適用がある米軍の日本におきます基本的な配備体制というものに重要な変更があるというようなときにはこれは当然日米間において十分な話し合いが行われて、そういう双方の了解のもとに実施、実行されるべきものだろうというふうに考えますが、そういうような動きは現在のところはございませんし、日米間においてもそういう話し合いが行われておるということはございませんので、その点は十分御理解いただきたいというふうに思います。
  93. 矢田部理

    ○矢田部理君 これは強い希望として申し上げておきますが、在日米軍が日本のさまざまな基地を使っています。そこに駐留もしたり装備を持ち込んだりしているわけですが、これは全部アメリカが自由にやれるのであって、日本はこれについてお聞きすることもできない、お尋ねすることもできない、アメリカが何を持ち込んでいるのか、どんな装備があるのか、どんな力、能力を持っているのかということを掌握することもできないでどうして共同対処できるんですか。これは逐一全部とまでは言わないけれども、少なくとも大綱的なものはつかんでいるというのは日本として当然のことじゃありませんか。その点で今の外務省の説明は必ずしも納得しかねますので、十分私の意のあるところを酌んで、とりわけこういう具体的な指摘があるような問題等については再度照会をするというぐらいのことはしていただきたいと思いますが、もう一回簡単に答弁を求めます。
  94. 栗山尚一

    説明員(栗山尚一君) 本件につきましての米軍への照会につきましては、先ほど申し上げましたように、基本的には在韓米軍の装備の更新に伴う車両等米軍の所要の装備の移動という性格のものであるというふうに米側から説明を受けておりますし、そういう性格のものであればこれは安保条約、地位協定の枠内で米軍として行って当然なことである、基本的には当然のことであるというふうに考えられますので、それ以上の詳細にわたりまして米側に公表できる形で説明を求めるということは現段階では必要がないのではないかというふうに考えております。
  95. 矢田部理

    ○矢田部理君 そういうふうに言われると、例えば施設庁の小谷さんの記者会見における談話を読んでみますと、「西ヨーロッパにおけるような事前配備ではないとの回答があった」、しかし「なおくわしく照会中だ」、こう言っているわけでしょう。照会中なんでしょう。どうなんですか。
  96. 小谷久

    説明員(小谷久君) 記者会見の席でその種のことを申し上げましたときは、さっき御説明しました当庁労務部が得ました情報では部外に委託するという業務が新たに追加される業務というふうに受けとめられましたので、その点について確かめたわけでございますが、その結果、相模総合補給廠の従来の業務と何ら変更はない、業務量と申しますか仕事はふえるのであるが任務そのものには変更はないということがわかったわけでございます。その点、記者会見の後に確かめた事項でございます。
  97. 矢田部理

    ○矢田部理君 いずれにしても住民の不安もあり、かつ国民の関心も高いわけですから、この点の詳細は別の機会に譲りますけれども、やっぱり外務省なり防衛施設庁はもっと内容を把握して国民の前に明らかにすべきだ、特に具体的な指摘があったような場合についてはそうすべきだということを強く要望しておきたいと思います。外務省結構です。  それで、人勧の問題、時間が少なくなりましたが、少しくお聞きしておきたいと思います。  官房長官、この人事院勧告を極めて抑制的にことし政府部内では仕切った。その際、談話を発表して、ただ今後三年ぐらいをめど官民較差の解消を図るというふうにも言われたようでありますが、そのとおりでしょうか。
  98. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 具体的にそのことを示唆するような発言をいたしました。
  99. 矢田部理

    ○矢田部理君 これがまた大変問題なんです。例えばILOに対する文書を提出して、その文書の中にも「今回の給与改定により改定後の官民給与較差は昨年度の四・三六%から二・九%程度というように一・五%程度縮小されたと考えている。したがって、来年度以降、少なくとも本年度と同程度較差縮小に努めるということは、本年度を含めて概ね三年を目途として官民給与較差が解消され、人事院勧告完全実施されるよう鋭意努力するという考え方である。」、こういう文書になっている。  三年めど論ということになりますと、来年もそうすると抑制する。まだ人事院勧告も出ないうちに来年の分まで仕切ってしまう考え方を明らかにしてしまうということはこれはとんでもないことなのでありまして、人事院ももともと存在理由が根底的に問われてきたわけでありますが、来年の分まで勧告も出さないうちから抑制基調の方針が出されているということは、官房長官、いかがなものでしょうか。また、人事院総裁見解を求めたいと思います。
  100. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 八月の十日に勧告が出されまして以来、四回の給与関係閣僚会議、そのほかにもたびたび労働団体からのいろいろなお申し出を受けましたり、あるいは総務庁長官と大蔵大臣が何回も何回も回数を重ねて会談をいたしましたり、あるいは閣議の席上でもいろんな閣僚から完全実施に向けて努力するようにという発言がありましたり、政府と与党との協議も重ねましたり、いろいろな機会を通じまして完全実施に向けてのあらゆる努力をしてきたところでございます。  最終的には、矢田部先生よく御高承のところでございますので、時間の関係もありますので簡潔に申し上げますが、いろんな角度から総合的に判断をいたしまして三・四%内という決着を見ざるを得なかったのでございますが、あらゆる努力をしてここに落ちつかざるを得なかった、こういう情勢にあるわけでございます。  それらのいろいろな議論の中で、とにかくことしも完全実施に向けてあらゆる努力をしようということで論議を煮詰めていくということの中で、それではことしもし完全実施をやれない場合に官民較差が非常に大きなげたを履いて出てきておるこの状況をどう考えるのかというようなことについても随分心配した。これが公務員士気に影響するとか、あるいは公務員の生活実態から考えて将来に希望を失うのではないかといったような非常に深刻な議論が出てまいりまして、どうしても完全実施できないということであるならば、せめて何年ぐらいたったら較差が全部解消するのかということについての希望を持たせるような何らかの表現はないのか、こういうふうな論議がございました。  しかし、それをやりますと来年度の人事院勧告を初めから完全実施しないと内外に明らかにするようなことになるので、そのことが一番人事院制度、勧告制度の根幹に触れていくことになるのではないかという実は心配も各方面から出まして、よほど慎重にしなければいかぬなということになったのでございますけれども、それらも十分踏まえまして来年は来年で完全実施を目指して最善努力をやっぱりするべきものだ、当然のことだ。  先ほど来、穐山先生の御質問に対して総務庁長官から答弁がありましたように、来年勧告が出たら完全実施を目指して最善努力をする、しかしそれでもなお完全実施ができないというようなことになった場合にでも三年をめどとしてこの官民較差の解消をやるという政府の最小限の何といいますか、時間的な問題についてのこれは公務員の皆さん方へのお約束といいましょうか、決意の表明といいましょうか、それだけはしておくことが大事なのではないか。それがいつになったら完全実施めどが立つのかわからない、官民較差がいつになったら解消されるのかわからない、五十七年五十八年の凍結、抑制をいつまで引っ張っていくつもりなのか、そういった心配があってはいかぬ。  こういうような角度からの御議論が随分相次いで出ましたので、こういうふうな言い回しで公務員の皆さん方の御理解を得たい、こう思いまして、実は今申し上げましたように三年をめどとして解消するということを示唆するような発言として内外にお話を申し上げたところでございまして、ことしも完全実施を目指して最善努力をした、来年も人事院勧告が出た段階でこれを完全実施するために最善努力をする、このことが前提であることは言うまでもありませんので、どうかひとつ深い御理解をいただきますようにお願い申し上げたいと思います。
  101. 矢田部理

    ○矢田部理君 三年めど論というのは、何か将来の展望を示したかのように、あるいは前向きの姿勢を示したかのようにとる向きがあるとすればそれは間違いなのでありまして、逆に三年間は完全実施しない、来年も抑制を続けるのだという内容に読める。そうだとすれば、特に今まで政府がやってきたことが、誠心誠意努力するとか最善努力をすると言ってきておりながら、努力の結果、あれは特殊異例だと言ってきていながら毎年のように特殊異例状況じゃなくて常態化してしまっているということになりますと、来年も一生懸命やりますなどという言葉が非常に宙に浮いてくるわけであります。  そして、三年めど論を出してきたということになりますれば、来年も結局抑制基調ではないか。これではたまったものではありません。人事院は無用宣言をされたみたいなものです。いろんな手間暇かけて民間賃金を調べた、勧告をした、凍結、抑制がずっと続く、これじゃ代償措置も何もない。人事院は、これほど無視され、むしろ根底そのものを否定されるような態度をとられて、それでいいんですか。ただ完全実施を望みますなどという決意表明では到底相済まないところへ人事院としても来ているように思われますが、総裁いかがでしょうか。
  102. 内海倫

    説明員内海倫君) 大変難しい質問でございまして、当然人事院立場に立ちますれば苦心して、しかもたびたび申し上げておりますように、そしてまた政府の方でも十分理解した上でのことでありますけれども、労働基本権の制約のもとにおける人事院勧告というものでございますから、私どもとしてはこれは政府において尊重し、ぜひそのとおりに実施していただかなければいけないということを繰り返す以外にないのでございますけれども、今年における政府案の決定の経緯を見てみますと、私も随分今回は政府に対してもあるいは与党その他の関係に対しましても完全実施ということの意味と必要性を申し上げ、また政府においても最後のぎりぎりに至るまで論議をされたことは私もこれを十分承知しておるわけでございますが、なおかつこれが認められなかった、このことについては先ほども申しましたように遺憾であると言わざるを得ませんけれども、だからといって人事院勧告が無視された、これは結果論は無視されたということになるのでしょうけれども、私どもの出しました人事院勧告というものを俎上にのせて何とかこれを実現しなければいけないという観点から政府としても努力をされたわけですから、やはり人事院勧告というものあるいは人事院勧告制度というものを政府が否定されたとかあるいはこれを完全に無視したとかというふうには私ども理解はすべきではなかろう。  しかしながら、そういう状態が続いておることについて人事院はみずから考えてどうすべきか、これもいろいろ問題はあるわけでございますが、今日の段階におきましては、なおまだ国会におい ても御審議を願い、その国会には私ども勧告をいたしておるわけでございますから、さらに私ども国会においていろいろと意見を申し述べていく、こういう努力はいたしたいと思っておりますが、願わくば人事院というものの勧告制度の基本というものが揺るがせられることのないように、政府におかれましても国会におかれましてもぜひお願いを申し上げなければいけない、また私どもでできる限りにおける努力はいたさなければならない、こういうふうに思っております。
  103. 矢田部理

    ○矢田部理君 総裁、今長々と説明をいただきましたが、こんなことなら責任をとってやめるというぐらいの重大な決意で臨んでもなおかつ足りないぐらいの深刻な事態ではないのでしょうか。  後藤田長官伺いますが、丹羽総務長官の時代に政府の手で俸給表の書きかえなどをやるつもりはこれ以後ありませんとちゃんとここで答弁をしているんです。それがまたまたことしも俸給表の改ざんという、単に率を抑えただけではなくて、勧告のもう一つの重要なポイントであるその内容の書きかえまでやってのけようとしている。これは総理府総務長官がかつて答えたことと相矛盾しているというだけではなくて、後藤田さん自身もこれは特殊異例なんだ、特殊異例なんだと強調してきた。特殊異例も三年も五年も続くということになりますと異例どころではなくて常態化してしまう。これは制度の基本をどう考えていったらいいのかというところまで問い直されなければならないような事態になってしまった。ILO自身も制度の再検討を求めるような向きの指摘までに既になされておるわけでありますが、その点長官としていかがお考えですか。
  104. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 人事院勧告完全実施に向けて努力しなければならぬのはこれは当然でございます。その中に、先ほど言いましたように、やはりパーセンテージの問題と俸給表の問題がございます。ただ、俸給表、これは完全実施の場合であっても、人事院勧告でございますから、毎年毎年政府が責任を持って政府の案として出しているということはこれは間違いのない事実であろう、こう思うわけでございます。仮に抑制しなきゃならぬという場合であっても、これは本来どちらがベターかといえば、当該年度の月数で抑制をせざるを得ない場合でもやるというのが私はベターなのであろう、私かつてそういうお答え官房長官時代にした記憶があるわけでございます。ただ、今日のこの厳しい財政状況等から見まして、月数でできれば一番いいんですけれども、御承知のとおりに多額なはね返り分がございます。一%上げた場合に大体給与だけで七百億余り、はね返り分が六百億、こういうようなことでございますから、なかなか今日の財政状況等から見て財政当局としても踏み切れないという現実があるわけでございます。  そこらを考えざるを得ない今日の立場から、政府の手において抑制をせざるを得ない場合においても、異例措置として俸給表の作成を政府がやらざるを得ない。しかし、その場合でも、政府俸給表をつくる際に人事院勧告の線に沿ったつくり方、これは私はやはりやらなきゃならぬであろう。こういうようなことで、昨年の丹羽さんの御答弁、また私の答弁も十分頭に置きながら、まさにことしも異例措置として俸給表政府の手においてつくらざるを得なかったのだ、ここはひとつ政府の苦衷の存するところをぜひひとつ公務員の皆さんにも御理解をしていただきたい、かように思うわけでございます。  しかし、それにしてもなお不完全実施でないかといったおしかりを受けることは、これは建前の論議として私は当然であろう、こう思いますけれども、やはり公務員の諸君に何らかの形でめどだけははっきりしないと、今までのように当然人事院は毎年の官民給与較差をお調べになって勧告をなさる。政府は、それを受けて完全実施に向けて国政全般との関連で最大限尊重しますと言いながら、結果としては抑制をする。一体いつになったらめどが立つのだといったようなことを考えますと、建前は建前として、矢田部さんのおっしゃることは私はよくわかるんです。しかしながら、今日の内外の厳しい客観情勢を考えれば、政府としては最大限努力をしておるのだ、そして何らかの安心感を与えにやならぬというようなことでことしのようなやり方にならざるを得なかったのだ、ここをぜひひとつ御理解をしていただきたい、かように思うわけでございます。
  105. 矢田部理

    ○矢田部理君 先ほど穐山議員からも指摘がありましたが、共済年金の掛金率が上がったりしますとほとんど実のないものになってしまう。公務員の生活の深刻さはやっぱり予想以上だというふうに思われますし、したがってまた例えば理科系の公務員希望者が今激減しているんです。そういう面でも非常に重大な状況が出てきているわけです。加えて言えば、これは労働者基本的な権利の問題、かつてここでも論議をしましたが、やっぱり憲法上の問題にまでかかわってきているわけであります。どんなに後藤田長官説明をされても結構でしたと言うわけにはまいらぬのでありまして、人事院勧告総裁からもお話がありましたように国会に対する勧告でもありますから、当委員会としても今後論議をしていかなきゃならぬと思うのでありますが、防衛庁長官に最後に伺っておきたいと思います。  防衛庁は、今度の勧告ないしその実施の面でことしもまた一%以内を守るということを言っておられますし、やりくりして何とか守られるのだという説明も聞いておりますから、その論議は時間もありませんから余りしませんが、防衛庁長官に一言、留保なしに率直な気持ちを承りたいのでありますが、いよいよGNP一%論がぎりぎりのところへ来ているわけです。長官に就任時は割合さわやかに私は一%を守りますと言ってきたように思うんですが、ここ一両日の記者会見の模様などを見てきておりますと、防衛庁に少し押されたのか、何か工作が入ってきているのか知りませんが、少しさわやかでなくなってきているような感じがしているんです。少なくとも自分の在任中、軍事費を一%を突破させるようなことは絶対にいたしませんという約束できますか。
  106. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 就任当初から発言はそう変わっておりませんので、私たちも、前長官の申しているように、五十一年の三木内閣におきます閣議決定方針はできるだけ守っていくように努力してまいりたい、こう思っております。今後の、将来のことについていろいろな不確定な要因がございますけれども、その点につきましては私たちはできる限り守っていく努力をしてまいりたい、こう思っております。
  107. 大島友治

    委員長大島友治君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時十五分まで休憩いたします。    午後零時十三分休憩      —————・—————    午後一時十六分開会
  108. 大島友治

    委員長大島友治君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国防衛に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  109. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 初めに、給与の問題についてお伺いをしたいと思います。  本年の人勧につきましては、もう既に午前中、社会党さんから随分質問がございました。多少同じような質問になるところもあると思いますが、できるだけ重ならないようにして質問したいと思っておりましたが、中身が中身だけにどうも同じような質問になる点も御容赦願いたいと思います。  いろいろと質問したいことがたくさんありますんですが、何はさておき人事院総裁の御心境をまず聞いておきたいと思うんです。これはやっぱり総裁、前段でことしの夏、総裁の方から勧告が出た段階で総裁のお考え等、また今回の勧告等についてもお伺いをいたしました。きょうの委員会は、もう既に政府の方が方針を決めた後の委員会であります。まだ正式な法案等は出ておりませんが、 ことしはがっちりした体制はでき上がってしまっているわけであります。そういうふうな意味で、ことしの政府取り扱い等を含めまして、これからの人事院のあり方等も含めて総裁の御見解を初めにお伺いしたいと思います。
  110. 内海倫

    説明員内海倫君) けさほど来、今回の閣議決定といいますか、政府方針決定に基づきましていろいろ御質問をいただいておるわけでございますが、これに関して私の所見をお求めくださったんですが、まずやはり人事院というところは、しばしば御答弁を申し上げておりますように、多くの機能は持っておりますが、その中における給与に関する報告及び勧告というものも極めて大事なものであり、とりわけ公務員という本来いろいろな労働基本権が与えられることも考えられるそういう存在に対して、その職務の性格あるいは国民すべての人に奉仕しなければならない公務員立場を考えて、三権が制約されておるわけですから、その中における勧告ということになりますと、私ども人事院としての総力を挙げて勧告の案をつくって、そして勧告内閣及び国会に対していたしましたところでございますから、私どもとしてはぜひこれが完全な実施ということを希望もし期待もしてまいったわけでございます。その間、政府御当局あるいは各党の関係の方々あるいはいろいろな職員団体の方たちにもこの必要性あるいはその意味というふうなものを訴えまして、その実現方を要望しておるわけでございますが、今回の政府におかれての六・四四%の勧告に対して三・四内の御決定ということになりますので、その点に関する限り私どもとしては遺憾に存じております。  しかしながら、私がいろいろな形で承知します限り、政府におかれましても最後のぎりぎりまでいかにしてこの完全実施あるいは公務員の期待にこたえ得るかということで論議されたと承っておりますし、かつまた官房長官及び総務庁長官決定後の談話等を拝見いたしましても全力を挙げたというふうに理解される内容でもありますし、また私ども勧告の中に述べましたいろいろな必要性と、これが行われない場合におけるいろいろな意味、影響というものを考慮していろいろ検討をされたようでございました。しかしながら、にもかかわらず、私どもは繰り返して申しますが、勧告というものをあだやおろそかに我々もしておるわけでもございませんし、政府においてもこの勧告をあだやおろそかにしていただいてはいけないのでございまして、国会でもこれから法案審議という形で御論議もありましょうし、のみならず、国会にも勧告申し上げておりますので、さらにいろんな点で論議をしていただくことを期待しておるわけでございます。  大変長く御答弁申し上げましたが、私の所感でございます。
  111. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 人事院の仕事というのは、総裁、この給与調査並びに勧告、この仕事が大体人事院の仕事の半分ぐらいですか、三分の一ぐらいですか。大体大まかに言いまして、どうでしょう。
  112. 内海倫

    説明員内海倫君) 三分の一とかあるいは半分とかということの比率を申し上げるということになるとこれはまことに難しい問題でございますが、今人事院が担当しております公務員の勤務諸条件とか、あるいは公平問題、あるいは公務員の採用の試験とか、その他諸般にわたる人事行政の内容を持っておるわけでございますから、人事院勧告という勧告もまた大事た私どもの仕事でございます。とりわけ、勧告がここ数年来不完全な状態で実施されておりますことを考えますと、なお一層給与勧告というものは重要なもの、ただし、どのくらいの割合かと申されますと、これは私も今一概に言い切れないのでございます。
  113. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 人事院から給与勧告を取ったら、あと残らないですよ。あとはっけ足しみたいなものです、私遠慮して三割とか五割言いましたけれども。そういうような意味ではこれは給与勧告、いわゆる給与調査、市場調査を含めまして、また今まで私たち内閣委員会でいろんな様子を聞きました。コンピューターを入れて全国のいろんなモデルをピックアップして調査する様子等を聞きましても、人事院の役目というのはそういうような意味ではこれは大変な私は仕事だろうと思います。それを取りますと、あとは本当にささいな、ささいなと言ったら怒られるかもしれませんが、多少やっぱり柱の抜けたものになってしまうのじゃないかと思います。  そういうような意味で、人事院総裁というのは確かに私は、総裁も大分おっしゃっております。答弁を聞いておりましても非常に真剣でございますし、また言葉の中にもあだやおろそかにしてはいけないということが何回も出てまいりますし、そういうような意味では深刻にとらえていらっしゃるようでありますが、しかし政府に対する理解というのはえらい早いですね、いわゆる総裁の談話を見ましても。それは、私はもっと人事院総裁というのは怒ってもいいのじゃないか。  官房長官総務庁長官も物すごい一生懸命やってくれている、えらい格好よく政府の一生懸命やったことをよしとしているという点が私はちょっと、人事院総裁としてはもうちょっと骨のある、がっとかみついて絶対あれはかなわぬと、総務庁長官やみんなが人事院総裁の顔を見ると苦虫かみつぶしたような顔をして逃げて通るというような感じにならないと、やっぱり公務員立場から見ればもうちょっと何とかということになるのじゃないかという感じもするわけです。そういうふうなあれでいらっしゃると思うんですが、私はそういうような意味で、本当に今まで一生懸命やっていただいておりますし、これからもしっかり頑張っていただきたいと思っております。  そこで、官房長官並びに総務庁長官にお伺いをいたしますが、これも午前中から多少質問がありましたが、今回三・四%内、こう決めておられるわけです。この平均三・四%内と決めた根拠、これはどういうことなんでございましょうか。一遍ちょっと教えていただきたいと思います。
  114. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 私どもは、人事院勧告最大限に尊重するという基本姿勢に立ちながら、いわゆる過去の積み残しがあるものですから、これをどのように理解し、どのように解消すればいいかということを実は最大限の課題として取り組んだつもりでございます。  もちろん、公務員給与、これは公務員の生活に重大な関係のあることでもございますし、したがってまた従来のように最大限尊重すると言いながら、結果としては甚だしい場合は凍結といったようなことで公務員士気も大変見逃せないといったようなこと、一方では六十五年まで財政再建という厳しい状況がありますから、公務員立場から見るならばこれは場合によれば財政再建ができ上がるまで抑制せられるのじゃないかといったような私は危惧の念も率直に言ってあるのじゃないか、これは大変公務員士気に大きく影響する、これは何としてでも避けなければならぬのではないか。他方、今申した厳しい財政事情、それと同時に、公務員の生涯給与あるいは公務員の仕事っぷり、こういうものについての世論の厳しい批判があることも事実でございます。  こういったことを幅広く目配りをしながら私どもとしては今回の三・四%弱というめどを一応立てて、人事院勧告は当然のことながら毎年、官民較差をお調べになって勧告があるわけでございますから、政府としては事情が許せば最大限努力をして完全実施に向けていかなきゃならぬ。これは当然のことでございますから、六十年度そういう客観情勢が許せば完全実施に向けて場合によりゃできるかもしれませんからこれは最大限努力をする。しかし、仮にそれができなくても、少なくとも三年をめどとしていわゆる較差の解消を図って一日も早く公務員の諸君に安心を願わなければならぬといったようなことで、いわゆる過去の積み残しが四・三六%ある、それをことしの給与改定で大体残りが二・九ぐらいになると思いますが、そこらも頭に置きながら今回の決定政府としてはしたのだ、ここの事情はひとつ公務員の諸君にもぜひ御理解をしてもらいたい。また、這般の事情をよく話をするならば、公務員の諸君も厳 しい状況ということはわかっておりますから御理解をしていただけるのではなかろうか。もちろん、不満なお気持ちがあることは百も承知しておりますが、万やむを得ないなといった程度の御了解は得たい、また得られるのではなかろうか、こういうことで三・四%弱ということを決めたわけでございます。
  115. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 政府財政状態の厳しい情勢とか、それからいろいろ今おっしゃいましたが、結局三・四内と決めた根拠は余り説明しておられません。これは何で三・四なのか、どこからこの数字が出てくるのか。例えば積み残し分四・三六でしたかを幾らかのあれに分けてこの三・四というのを割り出してきたのか、あるいはことしは財政事情上これだけしかどうしても予算がないから三・四というのを割り出したのか、そこら辺のところ、この三・四という数字がどこから出てきたかということを一遍詳しく知りたかったんです、本当は。何かこういろんな数字の積み重ねとか、過去の分析とか、いろんなものからこれは出てきた数字なんですか。あるいは大蔵省が三・四しかいかぬ、これ以下だということで予算関係でそうなったのか、そこら辺のところはどういうふうな割り出しなんですか。根拠を先ほどからお伺いしておりますが。
  116. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 先ほど申しましたように、いわゆる積み残しが四・三六ございます。これが一つ頭の中にあるわけです。何とかこれを早く解消したいということ。そこで、新聞等にも出ておりましたが、七年だ、五年だ、三年だとありましたけれども、これは今日まで一般の職員の場合でも五十六年から、幹部の職員になると五十四年からいろんなやり方で抑制しておりますからこれは一日も早く解消しなきゃならぬ。そうしますというと、やはり積み残しを三年を目安にしてということになればおのずから率が出てくる。と同時に、本年度の分を私ども計算では大体一・九九、こう算定をいたしておりますから、そこらを合わせまして三・四弱ということを決めたわけでございます。これが根拠でございます。
  117. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうしますと、三年をめどという話のことしが一年目に入っている。それで、あとは二年、そういう意味ですか。——それはそういうことだとうなずいておられますから、そういうことで。  それから三・四%内ということについて先ほどちょっと説明がありましたが、今までこういう何%内という決定、これは初めてなんですが、この点について詳しく一遍説明していただけませんか。
  118. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 今のような考え方で、三・四%内ということを決めたんですが、率直に言いまして厳しい財政当局との折衝の過程でこういう数字が出てきたわけですが、先ほど言いましたように、三・三五ないし三・三九、この一定のアローアンスをとったのは、百円刻みで俸給表はつくっていきますから技術的にある程度の幅がないといけないといったようなことで三・三%後半、つまり四捨五入と言ってもいいかもしれませんが、そういうことで決めたわけでございますので、表現として三・四%内、つまりは三・四%弱である、こういう理解でお願いをいたしたい、かように思うわけでございます。
  119. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私は、こんなことは、先ほどから何遍もいろいろお伺いしておりますから、ないだろうと思うんですが、この三・四%と決めた根拠を大臣はそういうふうにおっしゃっておりますが、従来の積み残し分四・三六%を五十九、六十、六十一の三年間で解消するということにしますと、一年間の較差分が一・四五%、それに民間春闘分の約二%を加えて三・四%、こうなるわけです。ちょうどなるわけです、ことし計算すれば。そういうようにすると、結局政府は初めからこの較差分については三年で解消する、来年も再来年も完全実施はあきらめているのじゃないか、こういうふうな感じがするわけです。そこら辺のところは、先ほどの答弁を聞いておりましても、いや、そういうことはないのだ、財政状況が許せば来年も完全実施するつもりなんだという答弁が先ほどありましたが、そういう点も含めまして、ここのところをもう一遍総務庁長官から御答弁をいただいておきたいと思うんです。
  120. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) そこが大変難しいところでございます。もちろん、当然のことながら官民較差を毎年毎年人事院がお調べになって勧告するんですから、政府としてはどんなことをしたって完全実施に向けて努力しなきゃなりません。そういう基本的な責任が政府にある。しかしながら、今日のこの厳しい財政状況、また率直に言って公務員給与については厳しい批判がございます。それはなぜかというならば、生涯給与の問題あるいは勤務ぶり、これもさることながら、もう一つは定期昇給の二・〇八%というものがございます。これらを足すと一体どうなるのだといったようなことで、なかなかやはり厳しい批判も一方にはございます。そういったようなことを考えて、客観情勢が許せば来年だって完全実施をやります、しかしそれができなくとも公務員の生活あるいは公務員士気、こういうことを考えれば三年を目安にして解消するのだという将来のめど政府として決める必要があろうということで今回のような決定をしたということでございます。
  121. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 たとえそうであったにしても、これは人事院の方に一遍お考えをお伺いしておきたいんですが、人勧の問題ですが、昭和五十四年から異常な状態になってきたわけであります。その前ずっと約十年ほどが完全実施されておる。五十四年、五十五年が指定職が十月からということになりまして、それから五十六年が管理職だけ翌年の四月実施、そして五十七年が全面凍結、こうなったわけです。そして、昨年から俸給表の改正が始まったわけであります。そして、五十九年、ことしがまたいわゆる俸給表をいらわなければならないというような実情であります。そして、これからまたあと二年間ということになりますと八年間これは異常な状態が続く可能性があるわけです。  これは人事院総裁の談話の中にもありますが、大変遺憾な状態が続いているわけであります。「勧告内容とは異なる結論に至ったことは極めて遺憾であります。」というふうにことしの談話の中にありますけれども、これはしかし実際問題として何とかしなきゃならないというふうな状況になりつつありますし、勧告のあり方そのものについても考えなきゃならない事態が来ていると私は思うんですが、そういう人事院制度のあり方も含めて、総裁はどういうようにお考えになっていらっしゃるか、この点もう一回お伺いしておきたいと思います。
  122. 内海倫

    説明員内海倫君) 人事院のあり方という問題になりますと、今ここで軽々にお答えをするということはかえって不見識の批判も受けると思いますので、そのことについてまでの答弁は本日はいたしかねますが、かねてから私どもとしてはこういうふうな問題が継続する限りにおいてはその根本にさかのぼって問題を考えざるを得なくなるのだから早く完全実施に踏み切っていただきたい、これはことしが一つの大きな山でもありますということを申し上げてきておるわけですが、しかしながら今度もこういう結果に今やなろうとしておるわけでございまして、されば今後勧告制度をどうするか、あるいは勧告の仕方をどうするか、ひいてはさらに人事院の組織、機構の問題あるいは存立に至る問題までもどうするかということになりますと、これは一総裁立場だけで考えても余りにも重要な問題であると思いますから、やはりそういうものは国会あるいは内閣においても十分検討されなければならないもの、私どもはただ現在人事院に与えられておるこの職掌について厳しい気持ちを持って今後もこの人事院勧告という制度を守り切っていかなければならない、そのことが今人事院にとっては一番大事な問題であろう、こういうふうに思っておる次第でございます。
  123. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 総務庁長官にこれもお伺いしておきたいと思いますが、何回かおっしゃっていることではありますけれども、確認の意味でお伺いし ておきたいと思います。  この三年計画の話なんですが、来年の春闘の状況とかあるいは景気の動向にもこれはかかわってくるわけでありますけれども、国の財政事情が好転すればこの積み残し分については三年計画でなく直ちに解消する、それは当然だと私は思うんですけれども政府としてはそういう決意でなきゃいかぬと思うんですが、その点についてここでもう一回、後の分も含めまして総務庁長官のお考えを明確にしておいていただきたいと思います。
  124. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 当然のことで、客観情勢がこれを許すならばこれは完全実施に向けて国政全般との関連の中で最大限努力をしていく、それが仮に不可能だといったような場合でも三年が目安である、こういうように理解をいたしておるわけでございます。
  125. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 八月の委員会で私はこの俸給表を作成する法的根拠というのをお伺いしたわけです。今回はまだ俸給表が提出されておりませんので、これはこの次の法案が出てきた段階でこの議論は一遍もう一回したいと私は思っております。したがって、これはぜひ俸給表政府でつくる法的根拠というのを明確にしておいていただきたい、そういうふうに考えております。  それから、これと同じように、先般の委員会で、俸給表を今まで人事院がずっとつくってきた、人事院がつくってきた俸給表を昨年政府がつくった、それに当たって、いわゆる位は昇格したが給料は下がった、そういう事例があるのではないかと私はここで聞いたんです。そしたら、事務当局はそういう事例はありませんという答弁がありました。これはそうだったですね。違いますか。
  126. 藤井良二

    説明員(藤井良二君) お答えいたします。  昇格の際の飛びつき号俸の問題だろうと思います。具体的には、六の十三から五の九だとか十に上がっていった事例を指しておいでじゃないかと思います。ただ、これは人事院勧告の中で飛びつき俸給表が変わったという事例でございまして、この飛びつき俸給表が変わったというような事例は過去においてもございましたということを御答弁申し上げております。
  127. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ですから、人事院がやる場合には人事院はそれなりの手当てをきちっとしておるわけです。やっぱり人事院は専門家です。そういうような事態が起きそうなときにはそれなりの手当てをきちっとしているわけです。政府がつくった場合はそういう手当てをしていなかったのじゃないですか。
  128. 藤井良二

    説明員(藤井良二君) 私ども俸給表をつくりました際にもこのことには気づいておりまして、それでこの点については人事院がこの俸給表実施する際に経過規定として措置していただいております。
  129. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いずれにしましても、そういうふうな細かい問題等もいろいろあります。そういう点につきましてもこれはきちっと解決をしなきゃいけない問題だと思います。  それから、午前中にも少し社会党の同僚議員の中からも質問ございましたが、最近の上級職の試験の状況、これはどういうふうになっているのか、これを一遍状況をお知らせ願いたいと思います。特に文科系の試験の申し込み者というのは非常に多い、ところが理科系が非常に落ち込んでいるということを聞いているわけですが、どういう状況なのか。これがもし人勧とかそういうことにも多少影響されているとすれば非常に将来の問題としても大きな問題だと思いますが、そういう問題についてこれは総務庁長官なり人事院総裁はどういうふうに考えていらっしゃるか、そういう点を含めまして御答弁いただきたいと思います。
  130. 斧誠之助

    説明員(斧誠之助君) 私から応募状況の経過を御説明いたします。  法文系の場合で申し上げますと、上級試験で一番ピークが昭和五十三年でございましたが、このときが二万三千三百人程度、それが五十九年では一万六千八百人、こういうふうに減少しております。ところが、理工系になりますというと、これが五十三年当時二万五千五百人という応募者がありましたのが五十九年では一万一千四百人というふうに激減いたしておるわけでございます。  それが応募状況でございますが、この応募者減というのは原因はいろいろあろうと思います。一番大きな原因は、民間の景気の状況とか採用意欲、ここら辺が過去の例に見ますと大きいわけですが、しかし最近のこの給与取り扱い、このことも影響が出ているのではないかということで人事院としては大変心配をしておるところでございます。
  131. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 総務庁長官、今大分、二万五千五百人から一万一千四百人という点でいきますと、人事院も心配しているそうですが、これは長官どうですか。
  132. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) この問題は、昔私どもの時代は高等文官試験、こう言っておったんですが、そういう時代も実際は給与は大変よかったんです、その当時は。それでもやはり毎年の志願者の数というのは、主としては民間の採用、つまりは景気、これが大きく作用しておったと思います。戦後の公務員制度になってからも年によって多くなったり減ったりというのが実態でございますから、私は主としては景気の問題が大きく公務員の志願者の増減に影響しておる、こう見るのが素直かと思います。しかしながら、同時にまた公務員給与民間と比べてどうだといったようなこともこれはやはり影響しておる一つであろうかということは我々としては認識しなくちゃなりません。  殊にまた、五十四年以来、上級職として採用になって先行き幹部になるといったような人の場合、最近の傾向として幹部職員の給与が私は非常に抑えられておるということはこれは見逃せない事実であろうと思います。しかし、これは人事院が毎年是正もしておられると思いますけれども、上下の開きが非常に少なくなってきております。民間の会社の幹部と公務員の幹部の給与の開きというのは一般の職員の官民の開きよりははるかに私は幹部職員の待遇は悪くなっている、こういったことが一つの影響を及ぼしておるのではなかろうか。これは別段科学的に調査した資料を私持っておりませんからここで即断するわけにはいきませんが、そういうようなことも公務員給与を決める際に十分配慮しなきゃならぬ一つの要素ではないのかというぐらいの、私は確たる科学的根拠があるわけではありませんから言えませんが、そういうことはやはり頭に置かなければならぬのかというふうには感じておるわけでございます。
  133. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私、先日の委員会のときにも特に仲裁と人勧の問題につきまして法制長官においでいただいてこの委員会でお伺いをしたことを覚えておりますが、特に法制長官は仲裁と人勧の扱いについてはそう差異があってはいかぬというような感じの御答弁をされました。  そこで、これはことし国家公務員共済年金のいわゆる財政計算期に当たっているわけです。そうしますと、現在の年金の掛金率というのは本俸の五・一五%だそうです。それが十二月から七・一二%となりまして、一・九七%上がるわけであります。それはそれでいいとして、また来年の四月からは国鉄の救済分としてさらに〇・五三%が上積みされる、こういうふうに予定されているわけです。そうしますと、合計で一般公務員の皆さんで二・五%上がるわけです。こういうふうに計算してまいりますと、三・四%弱の人勧を実施しても実質的には〇・九%のアップにしかならない。午前中の質問で、大臣、あれは自分で後で受け取るのだからという話がありましたが、それは自分で受け取る分はいいにしても、仲裁のいわゆる国鉄の分というのもあるわけです。  そういう点からいきますと、国鉄の皆さんには申しわけないんですが、国鉄の皆さんはそれじゃ仲裁はどうなっているかといいますと、これは御存じのとおり、本年は定昇込みで四・一六%、定昇抜きで一・九四%、二%に近いベースアップが完全実施されているわけです。こういうふうな人勧が凍結され、あるいは五十七年以来完全実施され ていない状況の中で一般公務員の皆さんの気持ちというのがあるわけです。そういうふうな意味では、これはやっぱり一般公務員の皆さんに感情的になっちゃいかぬよ、お互いに助け合ってるのだから辛抱せい、こう言ってもこれはなかなか納得しにくい点もあるわけです。そういうふうな意味では、これは人勧は我々国会の方にも人事院の方から勧告をされているわけですから、私たちは何とかこれを、人事院勧告というものを、法案提出までに多少時間がありますから、検討していただいて、これはもうちょっと何とかならぬものか、完全実施してほしいという私たちの気持ちがあるわけですが、そういう点を含めて大臣の御答弁をいただいておきたいと思います。
  134. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 共済掛金が十二月から一・九、国鉄の分が来年〇・六弱で二・五程度掛金がふえるわけでございますが、これは午前中申しましたように、将来の備えであるといったようなことで建前は全然別だ、こういう議論、これは私は筋論としてはそのとおりだ、こう考えておりますが、しかし実際家計を維持している者の立場、奥さん方にすれば問題は御主人から毎月もらう実質手取りが一番問題なんです。だから、そこらはやはりことしの三・四弱というのを決める際に少なくとも私どもの頭の中には入れておったということだけは申し上げても差し支えないのではないか。  ただ、公労協あるいは民間、これは御案内のようにベースアップと定期昇給を含めて民間の場合が四・四六、公労協が四・二六、こうなっている。人事院勧告は御承知のとおりに定昇は別であるということ。ここらで実は政府がこういうことしのような決め方した場合にも、皆さん方のようなお立場からは完全実施しないのはけしからぬとおしかりを受ける、これもまた私にはよく理解ができます。しかし同時に、これは甚だもって高過ぎるというので実は私はおしかりを受ける。両方からおしかりを受けておるのも実態でございます。あれこれ、本当にことしの決め方というのは、いろんな点を配慮した上でこういう政府としては決断をしたのだということは何とか御理解を願えぬかな、私自身はさように考えておるわけでございます。
  135. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは、次に防衛問題に移りたいと思います。  加藤長官、戦後育ちの若い防衛庁長官が誕生いたしまして、私たちも非常に喜ばしい限りだと思っております。私は、長官はやっぱり自分の信念に従って周りの人のことを余り気にしないで自分の思うことをすぱすぱ言ったらいいと思うんです、言いにくい点もあるかもしれませんが。僕はぜひそういうふうに言ってもらいたいと思うし、周りの官僚の皆さんの顔色を見て一々、本当に周りの人はできるだけ物言わさぬように、できるだけ問題が起きないように一生懸命やっておるわけです。それはそれでいいんでしょうけれども、僕らが楽しみにしておりますのは、やっぱり日本の防衛というものを考えて、我々の考えていることとそんなに変わらぬと僕は思うんです。そういうふうな意味で、防衛庁長官としてがっちりやる、言うべきことは言う、まずい点はまずいでぴしっとやる。午前中の社会党の同僚議員の皆さんが質問をしておられました例の非核三原則なんかの問題については、やっぱり今非核三原則は中曽根内閣としてもきちっとしておるわけだからぴしっとすればいいわけです。まずい点はまずいで注意する、僕は本当はそのくらい言ってほしいわけだ。しかし、非常に慎重な方ですからそこまでおっしゃらないでしょうけれども、私の期待はそういうことなんです。  そこで、いろいろとお伺いしたいんですが、長官の憲法感覚というのを初め聞きたいんです。というのは、僕は、長官は大体ハト派だと思っているわけです。もともと宮澤さんに私淑しておられますし、そういうことも聞いております。また、宮澤さんの書かれた本も私も何回か読んでおりますし、そういうあれから見ますときっとそうだろうと私は考えているわけですが、現在の日本の憲法についてどういうふうな感覚でとらえていらっしゃるのか。私、ここで時間がちょっとしかないので全部紹介できないんですが、本当は宮澤さんが書かれた本の中身を大臣に御紹介して、私が紹介するまでもなく、大臣はよく御存じのことだろうと私は思うんですが、例の「東京−ワシントン密談」という本があります。池田・ロバートソン共同声明の内幕をずっと書かれた本があります。あれの中身の憲法に対する宮澤さんのお考えをがっちり書いたところがあるんです。要するに、宮澤さんが平和憲法の正しさというのを粘り強く、根気強く、それは特にアメリカに対してがっちり言わにゃいかぬというふうなことを書いておられるところがあるんです。これは私は非常に大事なことをおっしゃっているなと思って見てきたわけですが、そういう点について大臣の現在の憲法に対するお考えを初めにお伺いをしておきたいと思います。
  136. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 確かに私は戦後教育を受けて育った人間としては初めての防衛庁長官でございます。そして、私たちの世代は新憲法のもとで教育を受けておりますので、現行の憲法のかなり根底から影響を受けて育っていると言っていいのだと思いますが、現在私たちの政府がとっております憲法についての解釈も、それから現在の防衛政策も、この基本は現行憲法を非常に忠実に守りながら進めているのではないだろうか、こう私は思っております。非核三原則ということも、それから近隣諸国に脅威を与えるような軍事大国にならぬという政策も、それからまたきっちりと守られておりますシビリアンコントロールの原則も、戦後の大きな流れの中で防衛政策は新憲法のもとで進められていると思って私は評価しておりましたし、防衛庁長官になりましてもその気持ちは変わりません。特に防衛庁から言われたわけではなく、みずからそう思っております。
  137. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ここら辺のところは、これから何回かの機会を通じて議論したいと思うんです。  それから、これは私きょう聞くつもりはなかったんですが、一遍ちょっとお伺いしたいんですが、私も戦争に行った経験ございません、戦後育ちですから。戦前に生まれましたけれども、戦後育ちです。私も常々一遍聞いてみにゃいかぬと思っていたことがあるんですけれども、私非常に劣等感を感じるんです。それは何かといいますと、内閣委員会におりますと必ず自衛隊の基地に見学あるいは視察に行くわけです。そこには必ず戦前のいわゆる軍人さん並びにそこに行った人がいっぱいおります。そして、戦前の話ががあっと出てくるわけです。そうすると、我々全然知らぬわけです。なるほど、先輩は苦労したんやなというのはわかるんです。  例えば、この間江田島へ行ってまいりましたが、あの史料館を見ましても、息が詰まるほど我々の先輩が苦労したというのはよくわかるわけです。よくわかるにはわかるんですが、戦後育ってきた我々としては、こういう人たちがまたある一面では日本をああいう事態に引き込んでいったということもあるわけです。ですから、そこら辺のところは、非常に私たち気持ちとしては先輩を、これは大変な苦労をして、また太平洋戦争の最中に国を守るためにこれだけ苦労したのだなというその気持ちと、その裏腹というのもあるんです。その裏腹というのは絶対言えないですね。言えないです、やっぱり我々としては。大臣もきっとあそこへ行ったら言えないと思います、そこら辺の気持ちというのも。今まで私たちの先輩というのは、戦後育ちの私たちの気持ちというのがわかるだろうかなという気持ちがするわけです。  大臣はどうお感じになるかわかりませんが、大臣がこれからいろんな基地やいろんなところを視察に行きますとそういう場面がいっぱい出てくると私は思います。そしてまた、そういう思想に、あるいはそういう考え方にがっちり固められた人たちが周りにいっぱいおります。そして、そういう人たちの話を聞いておりますと、ある面では、僕は言ったらこれは悪いですが、余りこれ以上言いませんが、本当にそういう話がとうとうと語ら れているということです、昔はああだった、こうだったということが。僕はそれがいいのか悪いのか、これはちょっとわからないわけです。そういうことを今どんどんしゃべることがいいことなのか、あるいはそういうことはしゃべらない方がいいことなのか、これは非常に私は考えなきゃいけない問題だと思っております。したがって、そういう問題についても大臣は私の今の話を聞いて率直にどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、一遍お考えをちょっとだけお伺いしておきたいと思うんです。
  138. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 確かに私たちの世代というのは、戦争とか実戦とかというものは若干一部の幼児の記憶としてはございますけれども基本的には人づてに聞いたものであり、またいろんな書き物で見た世代であろう、こう思っております。そしてまた、みずから国を守るという実戦を体験された方の経験というのは私たちの世代にはとても実際に感じようと思っても感じられない、越えがたいものがあるということも一つの事実だろうと思います。それは先生が御指摘されたとおりだと思います。  しかし同時に、これからどうするかということは、まさにシビリアンコントロールで私たち政治家がみずからの力で考えていかなければならない分野なのではないでしょうか。また、実戦という意味で、部隊に行きますとそういう方がいっぱいいるはずです、こうおっしゃいますけれども、現在の自衛隊の制服の人方も、ちょっとわかりませんけれども、ほとんどの方が実戦体験のない方になってきているような感じがいたします。だからといって、防衛をしっかり私たちが考えられないといって済むものではないし、考えなければならない世代に来たのではないかなという感じがいたしております。したがって、私たちは過去の経験等については十分お聞きしながらも、私たちのみずからの発想で防衛の問題を考えていかなきゃならぬ時代に来たのではないか、こんなふうに卑屈に思わないで考えてまいりたいと思っております。
  139. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 その点は、私も何も卑屈になろうとは考えておりません。もっとフランクに考えていいと思っております。  そこで、もう一点。大臣は外交官の御経験がおありだそうでありますが、特に日本の自衛隊というのは非常に特殊な状態にあるわけです。言いますと憲法上の制約もありますし、言いますと軍事力を持っていない国、軍事力というのか何というのかわかりませんが。そういうような意味で日本の安全保障についての考え方、日本が軍事力を持っていない、バックが余りない、弱い、その国が外交をする場合に国際的に見てやっぱり非常に特異な存在だろうと私は思うんです。そういう体験いろいろおありだろうと私は思うんですが、そういうふうな場合にこの軍事力の位置というものを外交上どういうふうに位置づけすればいいものなのか、あるいは日本の国というのはこの軍事力が一般的には国内的にはないわけですから、その場合、外交上日本の国というのは安全保障という問題についてどう考えればいいのか、こういう点について非常にいろんな経験を持っておられると私は思うんですが、そういう点についてのお考えも一遍聞いておきたいと思います。
  140. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 一つの国の安全保障というのは、やはりまず第一に対外関係において近隣諸国及びできるならば世界のすべての国と良好なる関係を保つ、まず争いが起こらないようにする、そういうことが一番の安全保障ではないかと思います。  それと同時に、第二番目に、みずからの国の中で経済的、社会的にしっかりとした内政諸施策をとって国民の間にしっかりとした国内の統一の機運が、そして政治的な安定が生まれているということも重要なことではないかと思います。そして、そういうもとでやはり現在の国際情勢の中ではみずからも適切な規模の防衛力を持ち、その抑止力を信頼のあるものにしていくということが重要であり、また我が国としては現在アメリカとの安全保障体制をしっかりと堅持していくことが現在の我が国の安全保障政策のために重要なことではないか、こんなふうな骨組みで考えております。したがって、私は、今御質問の我が国における防衛力をどう評価するかということは、それだけでは済むものではございませんけれども、重要な安全保障上の要素であると考えております。
  141. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 もう一点だけお伺いして終わっておきたいと思います。  これも午前中から、あるいは大臣が就任当時から問題になっております一%枠の問題ですけれども、これはまず今年度の給与改定に当たりましてこれを突破するかどうかという問題がありまして、大臣も何回か御答弁になっていらっしゃるように、ことしはやりくりして何とか一%の枠内で頑張ろう、そういうような御答弁であったと私は記憶をいたしておりますが、来年度の防衛関係費の予算編成に臨むこの基本的な考え方、これを一遍お伺いしておきたいんです。といいますのは、来年度は明らかにいろんな情勢の変化はありましょうけれども、これは一%を突破する可能性がいろんな角度からあるわけです。  そこで、これは五十一年の十一月五日に閣議決定をされまして、それで防衛力整備方針閣議決定というのがありまして、いわゆる一%厳守というような閣議決定をしているわけです。これを変更して例えば一%程度、ある程度少し変更するという意味ですが、そういうふうな方針でいくか、あるいは今の「百分の一に相当する額を超えないことをめどとして」と、そうなっているんですが、この「めど」というのを、そこに着目して解釈の幅を持たせて現在の閣議決定のままで逃げ切るか、あるいは三番目には、現行の閣議決定のまま予算編成においても百分の一以内にがっちり抑え込んでいく、どうしてもオーバーしそうになったらどこかの装備なり何なりをぐっと減らす、そこまで強い決意でいくか、大体この三つぐらいに、ほかにもっとあるかもしれませんが、そこら辺の方針というのをこれはどこかに決めないと、もう差し迫ったところまで来ているわけです。ですから、そういうふうな意味では、これはさしあたり何とかしなきゃいけない問題だろうと私は思います。この問題について大臣はどういうふうにお考えなのか、大臣のお考えをお伺いしておきたいと思います。
  142. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 午前中にも御質問があり、御答弁申し上げたんですが、私たちとしては一%の問題がかなり微妙な時期に来ているということも数字上は事実だと思います。もちろん、来年度のGNPがどの程度になるのか、これはまだ大きな不確定要素でありますし、それからことしの予算編成の中でどの程度大蔵省との闘いができるかということもまた分子として不確定要素でございます。しかし、私たちは本年度の夏に概算要求いたしました七%をできるだけ全額確保したいという気持ちには変わりありませんので、そういう面から見ますと、これからいろいろ考えていかなければならない問題もあろうかと思っております。  ただ、私たちは、何としても昭和五十一年の三木内閣決定されました方針をできるだけ守っていきたい、軍事大国になりたくないという、そういう精神で決められたその方針はできるだけ守っていきたいと思いますし、同時に、私たちの安全保障政策の中で、防衛の大綱を早期に達成しなければならないというもう一つの要請もございます。そういう中でどのようなバランスをとってまいりますのか、これからまた考え続けてまいりたい、こう考えております。
  143. 大島友治

    委員長大島友治君) 峯山君、時間です。
  144. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 有事法制の問題について質問をする予定にしておりましたが、時間が参りましたので、官房長官まことに申しわけないですが、この次に譲って、これで終わります。
  145. 内藤功

    内藤功君 まず、いわゆるフリーアックス85演習、この問題についてお伺いしたいと思います。  アメリカ海軍が十月から太平洋及びインド洋にかけて行っているこの演習につきまして、その期 間は一体いつぐらいの期間か、また演習の実施される海面、場所、それからそれに参加する艦船、部隊の規模、この演習はどういう目的を持った演習か、またもう一つ、日本の海上自衛隊はこれと時期を同じくして訓練を行うと言われておるけれども、この日本の自衛隊の訓練とのかかわり合い、こういった点についてまず具体的にお答えいただきたい。
  146. 大高時男

    説明員(大高時男君) ただいま先生お尋ねのフリーテックス85でございますが、これはアメリカの海軍が実施いたしますフリーテックスと称する艦隊レベルの演習の一つでございます。  この訓練におきましては、複数の空母群を含みます第三、第七艦隊の艦艇、航空部隊、これが対空、対潜等の複合脅威のもとにおきまして、ただいま先生御指摘のように、十月の十八日以降第三、第七艦隊の活動いたします広大な水域にわたりまして各般の訓練を実施しているというものでございまして、非常に高レベルの訓練であるというふうに理解をいたしております。アメリカ側の発表によりますと、演習は十一月の中旬に第七艦隊担当区域に移行してくるわけでございまして、当初五隻の米空母でございますが、この第七艦隊の担当海域に入りましてからは四個の空母部隊行動する、こういうような形に理解をいたしております。  一方、海上自衛隊でございますけれども、海上自衛隊は、今月の十五日から本州の東、南方海域におきまして米海軍と第二回の対潜特別訓練を実施する予定でございますけれども、この対潜訓練の終盤の時期、十一月の二十七日から三十日の早朝でございますが、フリーテックスに参加をいたしております米空母部隊が付近を行動する予定でございまして、この空母から対潜特別訓練に効果的な状況を現出するということから支援を受ける、こういうふうに考えております。
  147. 内藤功

    内藤功君 このフリーテックス85というアメリカ海軍の演習は、私は今外形的な御説明局長からありましたが、私の見るところ次の四つぐらいの特徴があると思うんです。これを認められるかどうかお聞きしたいんです。  一つは、太平洋、東西太平洋からインド洋といういわば二つないし三つの大洋につながる非常に広範な演習だということです。  二つ目は、この艦隊の行動区域の中にはソ連の領土、領海に非常に近接したところ、ここで行動する。こういうふうにして、これはソ連に対する軍事行動というものを予定した。高レベルというのはそういう意味の一つだと思うんです。かつてフリーテックスの82、83というのが行われたときに、アメリカの司令官ワトキンズという人は上陸作戦も予定しているということを言ったことがあります。  三つ目は、したがってこの演習自体がデモンストレーション、示威行動に当たる、軍事的にそう見られるのじゃないか。  四つ目には、そうじゃないとあなた方が言っても、それは主観的にそう見ても、相手国あるいは関係国はそのように見るおそれが非常に強いのではないか。現に、前のフリーテックスのときには、これに対抗してソ連の艦船、航空機が出動してきておるという事実も報道されて承知しております。  それから五つ目には、もう一つ最後に言えば、これはこういう演習に海上自衛隊が情報支援を受けるという形でかかわり合いを持つということは、これは専守防衛という基本方針、さらに海上自衛隊があくまでこれは自衛のため必要最小限の武装力であると言われている見解から見て私は非常に重大な問題をはらむと思います。私は、したがって、これは可能、不可能を言うのじゃないが、このような形のかかわり合いを持つことは防衛庁としてはおやめになることがよろしい。訓練の練度向上であるにしてもこれは適当ではない、今後もかかわり合いをこういう演習では持たない方がよろしいというのが私の見解であります。  時間がないので、これについての長官なり局長なりの御感覚、どういうふうにお考えになるか、私の言っているところで間違っているところがあるとおっしゃるならおっしゃっていただきたい。
  148. 大高時男

    説明員(大高時男君) ただいま先生御指摘のフリーテックス85でございますけれども、これにつきまして私ども理解をいたしておりますのは、アメリカ艦艇部隊の艦隊レベルの練度の向上を図るためのものである、その訓練を効果的に行うために当然戦術的な想定があるわけでございますけれども、特定の国からの攻撃を念頭に置くとか、あるいはまた特定の国あるいは地域を防衛するといったような戦略想定はないというふうに理解をいたしております。しかしながら、この活動の範囲がどの程度に及ぶかという点につきましては、私どもの方ではこの訓練それ自体に参加をいたしておりませんし、内容については詳細を承知していないわけでございますが、私ども理解をいたしております範囲におきましてはそういったことでございまして、特に示威にわたる行動、そういったものはないというふうに理解をいたしております。  それからまた海上自衛隊でございますが、この訓練の際に米空母から戦術情報の提供をその訓練の末期において受けるわけでございますけれども、この対潜訓練とそれから米側の行いますフリーテックスという訓練は全然別個のものでございまして、米側の方では当方に戦術情報を提供いたしますけれども、これはあくまでフリーテックスの訓練を遂行する過程におきまして情報を提供してくれるということでございまして、特に当方の対潜訓練のために特別なことをするわけではない、すなわち若干針路等を変更することはございますけれども基本的に二つの訓練は別ものであるということでございます。  先生御承知のように、航空母艦と申しますのは非常に強力な対潜、対空能力を持っておりまして、こういった各種の情報収集手段を持つ航空母艦が近傍にあるということにおきまして対潜訓練に参加する艦艇の方につきましても非常にリアルな状況で訓練もできますし、また得られた対潜航るいは対空についての情報を我が方が入手することによりまして、より訓練を効果的に遂行できるという大きなメリットがあるわけでございます。そういった見地からいたしまして、当方といたしましては対潜訓練を遂行する傍ら、こういった情報を得、あるいは空母の背後に出現することによりましてリアルな状況を現出いたしましてより効果的な訓練を行ってまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  149. 内藤功

    内藤功君 見解の相違点は大体わかりましたが、あなたの言われる中で練度の向上、それは強力な部隊の中に参加すれば練度の向上になる、その面だけ言えばそうでしょう。しかし、日本の今の防衛政策、日本の自衛隊のとっておられる今までの方針、そういうものから明らかに私は変わってきていると思うんです。どんな部隊でも練度が上がれば訓練に参加していいというものじゃないと思います。私は、そういう意味でこの点さらに今後も明確にするように究明をしていきたいと思います。  次に伺いたいのは、午前中に矢田部委員からも御質問のあった相模補給廠の問題であります。相模補給廠へのM109百五十五ミリ自走りゅう弾砲数門の搬入というのは、朝鮮で古くなったものを一時ここに入れたのだ、こういう情報を得ているという御答弁であった。しかし、こういう見方があります。これはある新聞の解明するところですが、「余った兵器を蓄えることによって、事実上の事前配備を始めようと考えていることを米軍・自衛隊筋が明らかにしている。だが、これは米政府の公式承認を得ていないため、表面上は韓国で余った装備が他に送られるまで、相模補給廠に滞留しているにすぎず、事前配備ではない——という形式をとることにしている。」、こう解説している新聞があります。  私は、このことは現在米陸軍の専決事項でできる在韓米軍の装備更新で余った装備を相模補給廠に持ってくるという形をとっているが、それは米 政府の公式承認を得るまでの間の問題で、公式承認を得れば事前配備、いわゆるポンカスにする、こういうものではないのか、そう見るべきではないのか。この点再度伺いますが、これは事前配備、ポンカスではないという明確な言質を米政府からとっておられるのかどうか、この点を伺いたい。
  150. 沼田貞昭

    説明員(沼田貞昭君) ただいま先生から御指摘のありました報道もございましたので、私どもから念のために米側に照会いたしましたところ、今その相模補給廠でやろうとしていることは欧州で行われているような米軍装備の事前配備と申しますか、すなわち部隊単位ごとに直ちに使用し得るような状態で装備品を保管するというポンカスというようなものではないし、また我が国においてそういうことを行う計画もないという旨の回答を得ておるところでございます。
  151. 内藤功

    内藤功君 午前中、栗山北米局長はここでの答弁で矢田部委員に対しまして、韓国から装備が相模補給廠に一たん持ち込まれて、またそこからその装備品が韓国などに持ち出されるということになることはあり得るということを認められておるわけであります。私もそれは大いにあり得ると思います。  そこで、米政府の公式承認がない、またあなたの言う西ヨーロッパのようなポンカスではないにしても、ここから再び持ち出される、韓国から来てまた持ち出される、これは事実上の事前配備、ヨーロッパと全く同じとはいかないけれども、そういう形の事前配備と事実上同じ役割を果たすことになりませんか。
  152. 沼田貞昭

    説明員(沼田貞昭君) 午前中に、今、先生から御指摘のありましたように、北米局長からの御答弁した点でございますけれども、今回の相模の補給廠について私どもが照会したのに対して米国側からは、まず第一に、具体的にいかなる装備をどれだけ保管しているか、あるいはその使用目的はどういうことであるかというような点につきましては軍のオペレーションに関することでもございますのでこれは公表しないという方針をとっている旨の説明がございまして、これは私ども理解できるところでございます。それと同時に、米側から私どもが非公式に聞いておりますところでは、今回相模補給廠に保管しようとしているものは韓国における兵器を更新するがために韓国では使用しなくなったけれども引き続き保管しておく必要のあるようなもの、これが保管のスペース等の関係で相模総合補給廠に持ってくるということである旨聞いております。  それから午前中、北米局長から答弁いたしましたのは、一つの可能性として、そのうち韓国に持っていくことがあり得るようなものを一時相模に滞留させるというようなことは一つの可能性としてあり得るかもしれないということを申し上げた次第でございます。  それから第三番目に、事前集積云々という点につきましては、私ども、先ほど申し上げましたとおり、米側からこれはいわゆる米軍装備の事前配備というようなものではないということをはっきりと聞いているわけでございます。
  153. 内藤功

    内藤功君 地元の神奈川県相模原市では市長以下が、この補給廠は今まで衣料中心の備蓄だったのだが、もしこういうりゅう弾砲などの兵器備蓄ということになれば性格が変わってくるので、これは返還の問題についても非常に重大な関心を持たざるを得ないという意思表明をしておるようであります。  それで、先ほどからいわゆる事前配備についてヨーロッパの例を出し、これだけが事前配備のモデルであるように言いますけれども、ほかにもあります。例えばインド洋上のジエゴガルシア島、これもやはり私は一つの事前集積施設だと思います。ヨーロッパのようなというところにあなた方の問題があるのであって、アジアの形、日本の形、それぞれ適した事前集積ということは私はあり得る、起こり得ると思うんです。  先ほども局長言われましたが、この事前集積というのは、ことしの二月一日に出されたワインバーガー長官の国防白書の中にも事前集積の強化という問題が特に報告をされておりますし、それからジェゴガルシア、西ドイツを初めとするヨーロッパの現状を見ると、世界の中、地球の中にわずか数カ所ぐらいしかない。そういうものがもし日本のこの東京、神奈川という人口密集地に置かれるということになるならば、これは重要な問題だと思うんです。これらの問題の重大性の認識については政府はどう考えておられるのか、この点を伺いたい。
  154. 沼田貞昭

    説明員(沼田貞昭君) お答えいたします。  いわゆる事前集積、例えば今、先生がお触れになりましたような国防報告に言っておりますような事前集積と申しますのは、欧州におけるものがあると思います。それから今、先生の御指摘のありましたような南西アジア方面というかペルシャ湾方面というのも一つの事前集積かと存じますが、その意味するところは部隊単位ごとに有事に直ちに使用し得るような状態で装備品を保管するということではないかと私ども考えているわけでございます。  私ども米側に対しましてこの相模の保管というのは事前集積ということであるのかということを聞いておるわけでございますけれども、それに対しまして先ほど来お答え申し上げておりますように米側からは、事前集積というものではないし、日本においてそういう事前集積をしようという計画はないという旨の回答を得ているわけでございます。  それから午前中、北米局長からも答弁いたしましたように、仮にその事前集積というような問題が我が国において出てくるとすれば、それはそれなりに日米間においてしかるべき話し合いの対象となるべきものかというふうに考えております。
  155. 内藤功

    内藤功君 しかるべきどころか、重大だと私は思うんです。  もう一つ私が指摘しておきたい点は、最近アメリカの空軍大佐二ール・K・ウェザービーという人がアメリカの空軍通信電子協会機関誌シグナルという雑誌のことしの二月号に論文を出しておりますが、この中に、アメリカ軍の全世界的な軍事指揮管制システム、この指揮管制のコンピューターの自動データ処理の端末拠点を日本の横浜に置くことが計画されておるということが出ております。私の持っているのは、これは長尾氏の翻訳であります。  これが横浜ということになりますと、相模補給廠から横浜に十六号線で持っていって、そこから海路アジアのほかの国へ行くわけであります。横浜と相模原は切っても切れないわけです。そうすると、この動きというものと考え合わせた場合に事前集積の可能性というものが非常に私は強くなってきておるというふうに思います。この点をひとつ調べていただきたい。  もう一つは、その場合に、日本の自衛隊の輸送部隊が横浜のノースドックというところにおりますけれども、この相模補給廠から出てくる物資、そこへ入る米軍物資の輸送に自衛隊部隊が関与するということはあり得るのかどうか。  この二点、二点目は防衛庁ですが、伺いたい。
  156. 沼田貞昭

    説明員(沼田貞昭君) ただいま御指摘のございました雑誌の論文でございますが、この点については私は詳細を承知しておりませんが、今伺いました限りでは果たしてその相模補給廠の問題と直接結びつくような問題なのかどうか、そのような結びつくようなものを頭に置いたターミナルというようなことを言っておるのかどうかというのは私ども若干疑問に感ずるところでございますが、いずれにしても今の時点でこの雑誌の記事についての詳細は承知しておりません。  自衛隊部隊との関係については防衛庁の方からお答えいただきたいと思います。
  157. 矢崎新二

    説明員(矢崎新二君) 御質問のようなケースが具体的にどういうことであるか必ずしも明確ではございませんが、分けて考えてみますと、一つは平時における問題かと思います。平時の米軍の軍事物資の輸送という問題でございますれば、これは米軍が自分で考えてやる分野、問題でございま すから、そういったことを自衛隊に頼んでくるというようなことはほとんど考えられないことでございますし、現にそういった話は聞いたことがございません。  それからもう一つ有事、つまり日本が武力攻撃を受けた場合にどういうことになるかという問題でございますけれども、その点につきましては日米共同対処で事に当たるというのが基本の原則でございますし、それをどうやってやっていくかということをガイドラインの中でいろいろと考え方を示しているわけでございます。後方支援の分野におきましても相互に密接な、緊密な協力をやっていこうという考え方を示しているわけでございます。具体的にそういうものをどういうふうに実施していくかということにつきましては、これは今後ガイドラインの枠内でいろいろと研究をしていこうじゃないかという話になっているわけでございます。
  158. 内藤功

    内藤功君 防衛問題の最後の点としまして、今の点とも関連するんですが、いわゆるインターオペラビリティーという言葉が出ております。これはことしの六月の日米安保事務レベル協議、それからこの間の九月の前長官とワインバーガー長官との防衛首脳会談で出ておる。括弧して相互運用性と新聞には書いてあるんですが、相互運用性と言われたってわからないですよ。私にはわかりません。あなたにはわかるかもしれない。皆さんにはわかるかもしれません。どういうことなんですか、インターオペラビリティーというのは。私もいろいろ調べてみた。国防総省の国防辞典やいろいろ見ても何も出ていない。  それからもう一つ、具体的に日本ではアメリカはインターオペラビリティーの名のもとに何をやってくれというのか、日本はそれに対して具体的に何をやろうとしているのか、国民にわからないままインターオペラビリティーなるものがひとり歩きしますと、これはひょっとしたら国民のわからないいろんなことが出てくるかもしれない。これを明確にしてもらいたい。
  159. 矢崎新二

    説明員(矢崎新二君) このインターオペラビリティーという英語を日本語で表現いたしますと相互運用性というような言葉で従来から呼んでいるわけでございます。これを厳密に定義をしたということは必ずしも明確にはないわけでございますけれども、物の考え方といたしましてどういうことかというのは従来からの共通の理解がございます。それは同盟国間におきましていろんな共同対処行動をやる場合に、戦術の面とか、あるいは装備の面、あるいは後方支援等の面におきまして共通性あるいは両用性、そういうものが確保されておりますと共同対処行動がより円滑かつスムーズにいくということは常識的に御理解をいただけるかと思います。そういった意味の共同対処能力の向上を図るということのためにいろんな部面においての工夫が必要であるというのが従来からの私ども理解でございます。  これをインターオペラビリティーという言葉で表現をしておるわけでございますけれども、この考え方は日米防衛協力のための指針、つまりガイドラインの中におきましても各所にそういった共同作戦行動を円滑に実施するために後方支援等の面も含めまして作戦面その他お互いに日ごろから十分研究をし、準備をしておこうじゃないかということがうたわれているわけでございまして、そういう意味で私どもはこのインターオペラビリティーの問題というものはガイドラインの枠内で従来考えておりました日米両国間の研究、準備の作業をより一層充実させていくということによって対応しようというふうに考えている次第でございます。
  160. 内藤功

    内藤功君 時間がないので深く突っ込みませんが、この充実という言葉の中に私は今のC3Iですか、いわゆる指揮、通信、統制、情報、こういった軍事戦略の新しい段階の中で一層このアメリカの戦略に組み込まれていくという危険を感じるんですが、これを論ずる機会がありませんので別の機会に論ずることにいたします。  施設庁に伺いたいんですが、三宅島の基地、NLPの三宅島選択、三宅島にこのNLPの理雄を選択するという問題についてほぼそこに絞られてきたという報道が出ていますが、これは事実かどうか、この点を伺いたい。
  161. 小谷久

    説明員(小谷久君) 艦載機着陸訓練場の問題につきましては、関東地方及びその周辺地域において円滑に着陸訓練が実施できる施設を確保すべく、一つには既存飛行場において所要の訓練ができるかどうかの調査、もう一つは飛行場の新設について適地の調査、それからもう一つは浮体飛行場についての資料の収集、こういったことを行ってまいっておりますが、現時点では残念ながら具体的解決の見通しを得ておりません。このような状況でございまして、一部新聞で報道されたような三宅島一本に絞ったという事実はございません。
  162. 内藤功

    内藤功君 反対の住民の強力な意思を無視して強行するようなことは断じてあってはならぬ。アメリカ側に対しても、このような反対のあるところを押し切ってNLPの基地を設置することについて厳重な態度をとられることを要望いたします。  最後に、人事院勧告の問題についてお伺いをしておきたいと思います。  まず、人事院総裁に対しましては、この人事院勧告というものが憲法上どういう地位を持っているか、これを繰り返し私は論じているところですが、前総裁はこの人事院勧告完全実施が緩むような場合は憲法上の問題、さらに私がこの委員会外でお話ししたときは裁判上の問題にまで発展する見通しというものまで言っておられたことがあったんです。この争議権の代償と言われる人事院勧告完全実施ができないまま推移するということは国の基本法である憲法の建前から重大な問題だと思うんですが、その点について私は改めて総裁  の見解をお聞きしたい。  もう一つ、立ったついでで大変失礼ですが、お二方にもお伺いしておきたい。  官房長官には、十月の三十一日に官房長官の談話が発表されました。私はこの談話を拝見をいたしましたときに、その中に「来年度以降においては、給与改定後の官民較差が、少なくとも本年度程度更に縮小されるよう鋭意努力してまいる」というようなのが載っておりますが、このままの表現から見ますと来年度の完全実施は断念している、こういうことじゃないか、こう受け取れる余地があります。この点についての真意を伺いたい。
  163. 大島友治

    委員長大島友治君) 内藤君、時間です。
  164. 内藤功

    内藤功君 はい、わかりました。  最後に、総務庁長官には、あなたは最大限努力政府として尽くしたということを言っておられる。これは最高裁判所の判決、少数意見も意識しての御発言だと思うけれども、今いろんな新聞に出ている投書、私のところに来るいろんな意見を見ても、もう生活ぎりぎりだ、それからこれについては公務員の我慢が限界に来ているという意見が非常に多いですね。最大限努力をしたとはなかなか納得してもらえないのじゃないでしょうか。私は、最後に総務庁長官には、この公務員の人たちのそういう不満に対してどういう決意を持って今後の完全実施を速やかにやるという方向で考えていらっしゃるかを伺います。  以上で質問を終わります。
  165. 内海倫

    説明員内海倫君) 御質問の件に関してお答えを申し上げます。  この問題につきましては在来もしばしば申し上げておるわけでございますが、人事院勧告制度というものは憲法に保障された労働基本権制約の代償措置として設けられたものであり、そしてまた私ども人事院が行います勧告というものはそういうふうな代償措置として国会及び政府に対していたしておるものでございます。そういう意味から考えますと、勧告制度というもののそもそもの淵源は憲法に由来している、こういうふうに考えなければならないと思います。したがって、そういうふうな制度についてはこれを維持し、あるいは尊重するということが極めて重要な要件とたるわけであります。もし、また長期にわたる不完 全実施というふうな状況がずっと継続するというふうな状態になりますれば、時と場合によりましては憲法上の論議が行われるというふうなこともあるかもしれませんが、この点に関しましては、憲法の解釈あるいは憲法にどう対応しているのかという問題に関しましては私としては答弁外のことでございますので、一応以上のとおりに申し上げておきたいと思います。
  166. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 本年度の人事院勧告完全実施に向けてあらゆる努力をしてきたということにつきましては、今朝来の御答弁で申し上げてきておるところでございます。その中で非常に苦慮してまいりましたのは、総務庁長官からも御答弁がありましたように、五十七年度見送り、五十八年度大幅に抑制、こういう二年間の非常に厳しい現実がございますので、その中で生じてきております四・三六%の官民較差という問題をどう考えるかということが、建前は別といたしまして、いろいろ論議をしていく中で実際に一番頭を痛めた問題でございます。そんな中で、ことし一・四%程度縮小するということになりましたので、そういう意味では四・三六%から二・九%というところまで較差は縮まってきておるということでことしの決定を終わっておるわけでございます。  来年度、言うまでもありませんが、人事院勧告制度を尊重いたしまして、来年度勧告が行われましたならば来年度の勧告完全実施するようにあらゆる努力をしていかなきゃいかぬ、これは当然のことでございまして、その決意というものが一つあるわけでございます。  ただ、それでもなお従来のこの較差が非常に大きゅうございますので、来年度完全実施ができない場合に一体どうなるのだというようなことがさらにいろいろ論議が重ねられてまいりましたので、来年度完全実施に向けて誠心誠意努力をするけれども、来度度完全実施ができない場合でも、さらに残っておるこの較差を、ことしは一・四、来年も再来年もということで、あと二年間をめどにしてひとつ較差を解消していくようにしよう、ことしの分も含めまして三年をめどにして従来の較差を解消するということを考えていこう、こういう本音の論議をいたしました。  ただ、それをそのままこの官房長官談話の中に盛っていくのでは、それでは来年度勧告があってもやらぬということを初めから言っておるのと同じことになるではないか、先生御指摘のとおりのそういう疑問が生じますので、非常に漠然とした表現でございますけれども、「来年度以降においては、給与改定後の官民較差が、少なくとも本年度程度更に縮小されるよう鋭意努力してまいる所存であります。」というふうな表現にいたしましたのは、来年度完全に実施ができない場合でも、ことしと同じようにさらに較差を縮めていって、そして再来年までかけて完全に較差を解消するということを意味するのだということをこの言葉の中で示唆をした、こういうことになっておりまして、記者団からの質問に答えましては、これは三年をめどにして較差を解消するものだということを申しましたのは、来年度完全実施を目指して努力してもなおできない場合にでもそれだけの枠組みだけはことし決意表明として書き込んだのだ、こういうことをお答えをしておるところでございまして、くどい御答弁を申し上げましたけれども、どうかひとつ意のあるところをぜひ御理解をいただきたい、このように考える次第でございます。
  167. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 御質疑の中にございましたように、私のところにも組合員の諸君の中からは、それは数万通の完全実施を求めるお手紙「はがき等をちょうだいいたしております。それからまた逆に、今度こういう決定政府がしたのについて、公務員はそのほかに二%余りの定期昇給があるではないか、今度の決め方は甘過ぎるといったような、また他方にも厳しいお電話なり手紙なりはがきなりが来ておることも事実でございます。私としては、そういった各般の御意見等も頭に入れながら、幅広い目配りをして政府として本年やり得る最大限努力をしたつもりでございます。もちろん、人事院勧告の尊重ということは当然でございますから、今後とも私は国政全般との関連の中でできるだけ早く完全実施の線に持っていくように最大の努力をいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  168. 柄谷道一

    柄谷道一君 総務庁長官に率直にお伺いいたしますが、異例というのはどういう意味でございましょうか。
  169. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 異例異例でございます。それ以上ちょっと申し上げようがないのじゃないかと思います。通常ではないということであろうと思います。
  170. 柄谷道一

    柄谷道一君 私も、異例という言葉を政府が大変使われるものですから、広辞林を引いてみました。「普通と違った例」、「前例のないこと」、こうございます。  そこで、官房長官談話、総務庁長官所感、いろいろ読んでわからない点があったんですが、今までの質問に対する答弁を聞いておりまして、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。これは人事院勧告を尊重しなければならないという趣旨を十分考えたが、苦渋の中での選択であった、情勢が許せば来年いわゆる積み残し分を含めて完全実施を図りたい、もしそれができない場合でも本年を含めて三年、すなわち六十二年度以降再び俸給表に手をつけるということはしない、これがお考えでございますか。
  171. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) そのように御理解なさっていただいて結構でございます。
  172. 柄谷道一

    柄谷道一君 人事院総裁にお伺いいたしますが、総裁のお考えは、十月三十一日に発表されております「給与関係閣僚会議決定について」、こういう談話の中にすべて尽くされていると思うんです。今までも質問がありましたから重複を避けます。  そこで、一点だけお伺いしたいことは、現に四%強の積み残しがあるわけです。これはそのとおりいくかどうかはこれから国会審議にゆだねられるわけですが、仮に政府閣議決定どおりのベースアップが行われたと仮定した場合、来年の人事院勧告は、三・四%内、どうなるかわかりさせんが、上がったという公務員給与民間ベースが対比されて勧告が出る、すなわち積み残し分は来年勧告の中に当然含まれると理解してよろしゅうございますか。
  173. 内海倫

    説明員内海倫君) 今までもたびたび御答弁申し上げておりますように、人事院の場合は積み残しという観念が非常にはっきり私どもはいたしませんので、要するに人事院としましては、来年は来年の一定時点をとらえて、そこの時点で国家公務員給与民間給与とを対比してその較差を出すわけでございますから、出てきた較差の中に恐らくはいわゆる積み残しというものが当然入り込んでくることには間違いないと思います。そういう意味では、私どもが来年の勧告いたします場合には、本年の政府決定案のとおりもし決まったとした場合は、そういうものを前提としてどういうふうな較差が出てくるか、そういうものを見ることになろうかと思います。
  174. 柄谷道一

    柄谷道一君 総務庁長官にお伺いしますが、去年、官邸から当時の藤波官房副長官、それから自民党から山本参議院議員、社会党野田さん、公明党太田さん、民社党から私と、いろいろ完全実施を折衝し、求め続けてまいりました。そして、その結果出されたのが総理府の長官答弁、すなわち「なお、本年俸給表の引き上げ率の切り下げを行ったことは異例のことであると認識しております。」、いわばこれは政府統一見解でございます。ところが、さきに私甚だ失礼な質問をいたしました。前例のないこと、普通の状態でないこと、これが異例です。ところが、俸給表に昨年手をつけました。前例をつくりました。ことし、また手をつけますね。来年完全実施されれば二年で終わるんですが、仮に最悪の場合六十一年にはくっつけるということであれば再来年また俸給表に手がつけられなければならぬという事態が生まれるわけです。この異例という国文学的な解釈とこの現実との間をどう説明されるんですか。
  175. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 文学的な問題は別としまして、やはり政府が、人事院勧告というのはこれは労働三権の代償の措置なんですから、この制度を前提にする限り、いずれにせよ、どんな形にしろ抑制するということは私は異例だと考えておるんです。これは完全に実施するのが通例であって、その通例に従わざるものは異例である、かような認識のもとに私どもとしては公務員給与を扱うべきである、こういうような考え方でございます。
  176. 柄谷道一

    柄谷道一君 この問題はこれ以上やっておりましても同じことの堂々めぐりだと思うんです。ただ、私たちとしては、前国会における総理府総務長官答弁を本年限りである、本年限りの異例措置だ、来年は俸給表というものについてこれに手をつけるということはやめにしたい、こういう率直な趣旨であったと受けとめているわけでございます。この認識の問題には大きな差がございますけれども、これはやがて公務員給与法が本委員会にかけられてまいりますので、その節改めてじっくりと総務庁長官とまた意見を闘わしたい、こう思います。  人事院総裁はお風邪を召しておるようでございますから、どうぞ。総務長官もお引き取りください。  次に、防衛庁長官にお伺いいたします。  長官、非常にシャープな頭脳の持ち主だとお伺いいたしておりますので率直にお伺いいたしますが、現時点で長官は五十九年度のGNP国民総生産を幾らとお考えか。もっと具体的に申しますと、政府の当初見通し、いわゆる閣議決定をされた二百九十六兆円程度と見ておられるのか、経済企画庁が九月レビューで出しました二百九十六兆四千億円程度と見ておられるのか、いかがでございましょうか。
  177. 宍倉宗夫

    説明員宍倉宗夫君) ただいまのGNP見通しにつきましては、今、先生おっしゃいましたように、二通りあるといいますか、二つあるわけでございます。政府見通しといたしましては二百九十六兆、それから先日のレビューにつきましては、企画庁の御説明によりますと、経済運営の基本的態度と一体をなす政府経済見通しを変更するのではなくて、あくまでも四−六月期のQEの結果を踏まえて予想される五十九年度経済の姿を試算したものである、こういうふうに説明されておりますので、そういった意味での試算値としては二百九十六兆四千億というものがある、こういうふうに認識しております。
  178. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は、これは国務大臣として聞きたいんですけれども、経済企画庁の九月レビューは最後に注書きをつけております。「この試算は、経済企画庁限りのレビューであって、政府統一見解ではない。」と、こう書かれているんですから、閣議決定された当初見通し政府としての現時点におけるGNP見通しである、こう受け取らざるを得ないと思うんですが、いかがでしょうか。
  179. 宍倉宗夫

    説明員宍倉宗夫君) やや技術的な問題でございますから私から先に答弁させていただきますが、今、先生おっしゃいましたように、政府としての公式のものは二百九十六兆だけでございます。ただ、それでは経済企画庁が試算したものが何ら根拠がないということではないだろう、経済企画庁は経済企画庁の名におきまして試算したものでございますから、二百九十六兆四千億という数字につきましてもそれなりの重みのあるものだ、こういうふうに考えております。
  180. 柄谷道一

    柄谷道一君 これも議論しておったらしょうがありませんけれども、今まで経済企画庁がレビューをやりましたら必ずそれは閣議決定にかけられたんです。そして、上方修正なり下方修正が行われた。これが従来の例です。ところが、ことしはどこに政治的意図があるのかは別にして、閣議決定をあえて避けたということですから、経済企画庁のレビューがむちゃくちゃだと私は申しておるわけじゃないんですが、公的なGNP見通しは二百九十六兆、閣議決定が変更されない限り。それをもって現時点におけるGNP見通しととるのが筋じゃないですか。長官、いかがでしょう。
  181. 宍倉宗夫

    説明員宍倉宗夫君) 何度も申し上げておりますが、政府としての見通しとしては、先生おっしゃるとおり二百九十六兆ということだと思います。
  182. 柄谷道一

    柄谷道一君 そこで、三・四%弱ですが、仮に三・四%といたしましてベースアップを試算いたしますと、私の計算では、当初予算一%ごとに百二十二億円として、新たな予算措置を必要とするのは二百九十二億八千万円。これは計算は簡単です、百二十二億掛ける三・四マイナス百二十二ですから。仮に百三十億といたしますと、新たに三百二十億の積み増しが必要である。算式は百三十億掛ける三・四マイナス百二十二、これは間違いがないと思うんです。そこで、五十九年の防衛費予算は二兆九千三百四十六億円でございますから、それぞれの金額を足しますと、Aの場合は二兆九千六百三十八億円、Bの場合は二兆九千六百六十六億円、こういうことになる。これは極めて素直に数字計算してみました。すると、冒頭申し上げましたように、政府GNP見通しの一%は二兆九千六百億円でございますから、いずれの場合も超えておる、超えざるを得ないという現象がここにあらわれてきたということが言えると思うんです。  そこで、これまで総理大臣はもちろん、本日も長官は三木元総理時代のGNP一%枠は守る、こうおっしゃいました。来年度を考えましても、既に防衛庁は概算要求では三兆一千四百一億円の概算要求を出しておられますが、これに本年度のベア分、これは見込まれておりませんから、二百九十二億円を加えただけで三兆一千六百九十三億円。しかも、ただいま総務庁長官のお考えでは、来年の民間ベースアップがどれだけになるのかはわかりませんけれども、場合によれば積み残し分を一挙に改善すべく努力する、こう言うんですね。とすれば、この防衛庁概算要求に来年のベア分、しかも政府方針であるできれば来年完全実施をしたいという方針を考えますと、一%枠を突破するという趨勢にあることはこれはおのずと明らかではないか、こう思うんです。  そこで、長官にお伺いするんですが、防衛計画いわゆる中業の下方修正または達成時期をおくらせても一%を守るというお考えなのか、防衛計画すなわち中業達成を第一義として一%枠に弾力を持たせてもやむを得ないとお考えなのか、これは極めて重大な問題でございますので、長官の率直なお考えをお聞きします。
  183. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 柄谷先生からの御指摘の政府GNP見通し幾らであるかということを直接お答え申し上げないで失礼いたしておりますけれども、どのような位置づけをするのか、これはかなり技術的な問題が含まれていると思います。しかし、五十九年度につきましては当初の予算案の段階でGNP一%というのは十分枠の中におさまっていたと思いますし、その後GNPの修正が仮に政府の正式なものであるのか、それからまだ現在は経企庁限りのものだがいずれ政府改定見通しになるのか、その辺はこれからの推移といたしましても、いろんな形で努力の結果五十九年度につきましてはGNP一%というのが枠の中におさまり得るのではないだろうか、防衛庁としては大体そんな見通しに立っているところでございます。  さて、では六十年度の場合はどうなのかというお答えでございますが、五十九年度の人勧の問題もございますし、それからさりとて、今、先生おっしゃいましたように中業を下方修正するということは、言うならば私たちがぜひ早期に達成したいと思っております防衛の大綱の達成をよりおくらせることにもなりますので、その辺はかなり微妙な段階に来たのでないかというふうに思っております。かなりまだ不明確な部分がございます。例えば来年度のGNPがどうなるのかということもかなり不明確な部分がございますけれども、この点につきましては今後まだ若干いろんなところを勉強させていただきたい、こう思っております。  いずれにいたしましても、五十一年の三木内閣当時に軍事大国にはならないという精神決定されました閣議決定方針をできる限り守れるように最大の努力を続けてまいりたい、こう思っております。
  184. 柄谷道一

    柄谷道一君 概算要求の基本方針は、正面と後方のバランスに配慮しつつ五六中業三年目の着実な防衛力の整備、練度の維持向上等現体制の維持、さらに基地周辺対策と提供施設の整備、これを三つの柱として概算要求されておるわけです。確かに来年のGNP見通しが一体幾らであるのか、人事院勧告が一体どうなるのか、不確定要因はございますけれども、仮に一%枠を来年守るということになりますと、五六中業計画は達成するというのですから正面装備は削れないというふうに仮に考えますと、維持、訓練費か、施設庁費か、装備品等購入費か、施設整備費か、このいずれかを抑え込むことによって一%枠を守るということしか方法はないと思うんです。そうなりますと、今度は概算要求基本方針による自衛隊の運用自体に障害をもたらすという問題も出てくると思うわけでございます。  そこで、長官、率直にお聞きしますけれども、そう言っておかれて、今自民党の中で何か検討されておるようですけれども、それを期待して待っておられるというのが本音でございますか。
  185. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 自民党の方でも今いろいろな形で意見が闘わされていることは私たちも承知いたしております。与党でございますから、自民党の意見は私たちにとって重大な影響を及ぼす、重大な意味を持つ意見の集約ではあります。それと同時に、各方面の意見を聞きながら私たちまた政府としての意見を固めてまいりたい、こう思っております。
  186. 柄谷道一

    柄谷道一君 くどいようですけれども、前長官は、マスコミの報道によりますと、この一%枠という歯どめについてこれを弾力的にするような期待を持っているというような趣旨お話をされたと報ぜられているんですが、長官はそういう期待とかなんかじゃなくて一%は守る、六十年度も守る、そういうお考えなんですか。
  187. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 前長官がそのようにおっしゃったということは、まだ寡聞にして存じておりません。非常に親しい前長官でございますので、きょうも昼御飯を一緒に食べましていろいろ連絡もいたしましたけれども、この問題につきましても話し合いましたが、そういうような発言をしたという引き継ぎはございませんでした。いずれにいたしましても、かなり不確定要因がございますけれども、できる限り三木内閣方針を守れるように努力してまいりたい、こう思っております。
  188. 柄谷道一

    柄谷道一君 長官の言葉じりをとるわけではございませんが、できる限りということと努力したい、一種のそういう願望を込めての心境である、そのことの是非につきましてはまた改めて議論をしたいと思います。  時間もございませんので次の問題に移りますが、新聞報道によりますと、アメリカは超長距離の最新型オーバー・ザ・ホライズン・レーダー、いわゆるOTHの日本国内設置、そしてその共国運用を求めている、こういう報道がなされております。  そこで、防衛庁は、日米防衛首脳定期協議に臨む日本側のトーキングペーパー、これはある新聞にそれが全部出ておるわけですが、ちょっとこのことについて一点だけお伺いしておきたいんですが、防衛庁は共国運用をするということになると集団的自衛権につながるおそれがあるということで消極的立場であるとされているところはそれなりにわかるんですが、日本がみずから設置し、みずから運用するということも防衛大綱上問題がある、こうしておられる理由はどういうことなんですか。
  189. 矢崎新二

    説明員(矢崎新二君) アメリカがOTHレーダーというものについて近年非常に関心を高めまして、具体的に調達をしたり、そういう配置を米本土で始めているということは私ども承知をいたしておりますけれども、本件に関しまして日本に対しまして特別の要請というものはございません。  それからただいま御引用になりました記事につきましては、先般の栗原長官の訪米に際しましてそういったような資料を作成した事実はございません。したがいまして、その報道につきまして私どもとしてコメントすることは差し控えたいと思います。  それからまた、現在本件について私ども技術的な意味では一般的にいろんな技術の進歩に関心を持ったり資料の収集をしたりということはもちろんやっているわけでございますけれども、それはそれだけの話でございまして、具体的にこういったOTHレーダーを計画するというようなことを今現在考えてはおりませんので、最後に御質問のございました問題点等につきましても今ここでお答えをできるだけのものは何も検討はしていないという状況でございます。
  190. 柄谷道一

    柄谷道一君 一つだけお伺いしておきますが、それでは日本に設置する場合の軍事的有効性について結論は出ていないが研究はしている、こういうふうに理解してよろしいですか。
  191. 矢崎新二

    説明員(矢崎新二君) これは一般的な軍事技術の世界的な動向につきまして防衛庁としては常に世界の各国の状況に関心を持っておりますから、そういう意味でアメリカのそういった状況等についても関心を持っているということはもちろんでございます。しかしながら、それを具体的に我が国の防衛力整備計画の中に取り込んでどうこうするというようなことは現在考えておりませんので、したがいまして内容及びどういう問題があるか、あるいはどういうふうな機能かといったところまで私どもがここで具体的に申し上げ得る状況にはございません。
  192. 柄谷道一

    柄谷道一君 相模補給廠問題は既に何人かの委員から御質問されたわけでございます。今日までの答弁を要約してみますと、これは在韓米軍の設備更新に伴う一時的滞留である、それからM109自走りゅう弾砲の搬入についてはまだこれを確認していない、軍事機密にも属するのでこれを公表することはアメリカでも行わない、大体そういう答弁がずっと繰り返されております。それはそれで横へ置いておきましょう。  そこで、長官にお伺いするんですけれども、日米安保条約というものを否定する側に立てばとんでもないということになろうと思うんです。日米安保条約を今度は肯定する立場に立ちますと、これは有事来援を前提にしての安保条約でございますから、どの程度の規模をどこに置くかという問題は別として、事前備蓄というものは必要だという論もまた出てくるわけです。政府は日米安保条約を当然肯定する立場に立っておられるわけでございますから、その立場からお伺いするんですけれども、今後アメリカから事前備蓄問題について正規の協議が申し込まれた場合、防衛庁はどういう方針で対応されるんですか。
  193. 矢崎新二

    説明員(矢崎新二君) 御指摘のように、日本が有事の場合に安保条約に基つきまして日米は共同してこれに対処するということが基本でございます。したがいまして、一般論として申し上げますれば、有事の共同対処に備えまして平素から日米両国がそれぞれにいろんな準備を進めておく、あるいは共同訓練をしておくといった広い分野での事前のいろんな対応というものが好ましいということは当然だろうと思います。  ただ、先般来問題になっておりますこの事前集積、いわゆるポンカスというような計画がアメリカ側から要請されたというふうな事実がないということを繰り返し政府側からお答えをしているわけでございます。そして、しからば仮に要請されたらどうするのかというようなお尋ねでございましたけれども、これは現在具体的にそういう話がございませんし、そういう仮定の問題につきまして私どもがここで具体的なコメントをすることは必ずしも適当ではないと思いますので、現時点におげるお答えは差し控えさせていただきたいと思います。
  194. 柄谷道一

    柄谷道一君 差し控えさせていただくというとこれ以上聞いても無理なんだけれども、しかし国の安全保障ということに対してはやはり一つは何らかのシナリオを持たなければならないわけでしょう。そのシナリオに基づいて、有事来援というあらゆる場合を想定して我が国の平和と安全保障に対して万遺憾なきを期すというのが僕は防衛庁長官の任務だろうと思うんです。何も話がないから我々は来るまでほうっておくのだというので果たしていいのだろうかという疑問を持ちますけれども、これは時間がありませんからまたの機会に聞きます。  最後に、有事立法ですけれども……
  195. 大島友治

    委員長大島友治君) 時間ですから簡潔に願います。
  196. 柄谷道一

    柄谷道一君 十月十六日の衆議院の安保特で中間報告を立法化するつもりはない、こういうお答えがあったと記録に出ておるんですが、私は単なる研究だけではいつまでたっても現行法制の欠陥は是正できない、こう思うんです。そこで、私たちがこの問題を取り上げておりますのは、超法規的な行為というものは避けるべきだ、立法上これを整備することによってシビリアンコントロールというものが充実できるのであるという立場から申し上げておるわけです。最後に、立法化へのプロセス、防衛庁としてどうお考えなのか、これをお伺いして質問を終わります。
  197. 西廣整輝

    説明員西廣整輝君) かねてから申し上げておりますように、このたび行っております有事法制研究というものは、自衛隊有事行動する場合に法制上の問題があるかないかという問題点の摘出とその整理ということ自体を目的としておるわけでございますが、と同時に、我々としてはそういった問題点があるとすれば、それらについて一般的には法制が整備されるということが望ましいということはもちろん当然のことでございますけれども、前々から申し上げておるように、今回の作業そのものはその整理が目的である。しからば法制化はどういう段階でやるかということになりますと、やはりこれは非常に重要な問題でございますので、議会なりあるいは国民の世論あるいは国会の御審議等を踏まえまして、そういった状況を十分勘案して政治的に御判断をいただくという問題であろうかというふうに考えておるわけであります。
  198. 大島友治

    委員長大島友治君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時二十七分散会