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1984-08-07 第101回国会 参議院 逓信委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年八月七日(火曜日)    午前十一時開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         大木 正吾君     理 事                 長田 裕二君                 成相 善十君                 宮田  輝君                 片山 甚市君     委 員                 大木  浩君                 岡野  裕君                 沖  外夫君                 志村 愛子君                 新谷寅三郎君                 西村 尚治君                 山内 一郎君                 大森  昭君                 中野  明君                 服部 信吾君                 佐藤 昭夫君                 中村 鋭一君                 青島 幸男君                 田  英夫君    国務大臣        郵 政 大 臣  奥田 敬和君    政府委員        郵政政務次官   関谷 勝嗣君        郵政大臣官房長  二木  實君        郵政省通信政策        局長       奥山 雄材君        郵政省電気通信        局長       小山 森也君    事務局側        常任委員会専門        員        酒井 繁次君    説明員        総務庁行政管理        局管理官     藤澤 建一君        防衛庁装備局管        理課長      沼倉 吉彦君        大蔵省主計局主        計官       日高 壮平君        大蔵省主税局税        制第二課長    小川  是君        厚生省年金局年        金課長      山口 剛彦君        通商産業省機械        情報産業局電子        政策課長     牧野  力君        通商産業省機械        情報産業局航空        機武器課長    渡辺  修君        労働省労政局労        働法規課長    廣見 和夫君        日本電信電話公        社総裁      真藤  恒君        日本電信電話公        社総務理事    山口 開生君        日本電信電話公        社総務理事    寺島 角夫君        日本電信電話公        社総務理事    児島  仁君        日本電信電話公        社総務理事    岩下  健君        日本電信電話公        社職員局長    外松 源司君        日本電信電話公        社営業局長    草加 英資君        日本電信電話公        社建設局長    藤田 史郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○日本電信電話株式会社法案内閣提出衆議院  送付) ○電気通信事業法案内閣提出衆議院送付) ○日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法の  施行に伴う関係法律整備等に関する法律案  (内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 大木正吾

    委員長大木正吾君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  日本電信電話株式会社法案電気通信事業成案並びに日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案、以上三案を便宜一括議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 服部信吾

    服部信吾君 この改革は、言うまでもなく明治以来という大変な大改革であります。まあ国民が納得できるようなやはり改革にしなくちゃいけないと私ども考えているわけでありますけれども、やはり公社から特殊法人民営化になりますと、一体どういうふうになるんだろうか、こういうことが大変国民の間では今いろいろ問題になっている、このように思うわけでありますけれども、特に公社から民営化するということによって、今まで税金がかかっていなかったとか、あるいは配当金が要らなかったとか、かなり——二千億以上、三千億ぐらいの金が即公社としては負担になってくる、あるいは電報ですね、これも毎年千二百億の赤字。こういう中において、また今回も出ているこの法案の中で、いわゆる東京大阪間いいとこ取り。今まで公社経営内容を見ておりますと、近距離は大変赤字だけれども、遠距離でその赤字も補っておる、こういうことで、大変ある面から言えば、新会社になっていろいろ環境が変化するということになると思います。そこ、で、特にこの改革によって料金値上げになるんじゃないかというのが国民の大きな関心であると思います。  そこで、今までその中でクリームスキミングと言われる、例えば東京大阪間、この辺のところに新規企業がどんどん参入してくる。これは当然この特殊会社の方にしても、これに合わせて値段を下げなくちゃいけないだろう。今までもうかっていたところが下げなくちゃいけない、そういうことで、これが料金改定につながるんじゃないかというおそれがあるわけですけれども、少しこの辺について公社として明確に、今回こういうふうに新規企業がどんどん入ってきたにしても大丈夫なんだという、この料金という面についてお伺いしたいと思います。
  4. 児島仁

    説明員児島仁君) 競争の入り方には二つあると考えております。一つはみずから設備を設置して、回線を設置して入ってくる。まあこれは大型から小型まであると思いますが、私ども想定といたしましては、当初から投下資本問題等がありまして、そう超大型の、しかも各種サービスをたくさん提供するような業者は入ってこないのではないかと思います。  そういたしますと、まず第一次業者から回線を借りて、手早く商売をするというふうな格好での新規参入がたくさんに入ってきて、それらがそれぞれ連帯的に共同体を組んだりして、だんだん大きくなっていくんじゃないかというような想定をしておりますが、そういった場合、私どもとしまして、確かにその新規参入業者一つサービスについては非常に高い技術力と精鋭をすくって仕事をやってまいりますから、一つサービスあるいは局地的にはその競争で非常に電電公社の場合が不利に立つということは考えられます。  ただ、私ども全体として全国サービスを提供する地域を持っておりますので、局部的、局地的には負けることがあるとしても、全体的な中でいろんな工夫と努力を重ねれば、所定の収益というものはやはり償っていけるのではないか。さらに、その新規参入業者が上げていく収入は、すべて電電公社が得べかりし収入というふうに考えられませんで、新たな需要に基づく料金と新たな需要に基づく開拓というふうに考えられますので、私どもとしては新規参入業者の姿、現在明確には見えておりませんが、しばらくの間私どもかなり大きなダメージを受けるというふうなことはない。したがって、料金を早急に上げなければこれに対処していけないんだというふうには考えておりません。
  5. 服部信吾

    服部信吾君 そこでお伺いしたいんですけれども公社から特殊会社移行すると、当然今料金値上げがないということなんですけれども、それでは例えば、昭和六十年から五年間ぐらい公社でいけば収支はこれくらいだと、また特殊会社、新会社移行した場合、収支は五年間でこのくらいになるんだ、だから値上げがないんだと、こういう点についてもう少し具体的に詳しく述べてください。
  6. 岩下健

    説明員岩下健君) 収支見通しの問題でございますけれども、ここ三、四年来、先生も御存じのとおり、公社制度幾つかの制約の中ではございますけれども、三千数百億円という収支差額を上げるという業績を出してきたわけでございます。この間、今般の中距離も含めまして四回にわたる料金の値下げを実施をいたしました。しかもなお、国庫納付金臨時国庫納付金を今年度含めて六千八百億円の負担をするという、こういう財務状況でやってきたわけでございます。  そこで、こういった現在までの業績を上げましたのは、やはり基本的にはお客様の御利用というものがあったということが第一でございますが、と同時に、職員の各現場から各機関にわたる増収努力というものもあずかって力があると思いますし、また、その経費の効率的な使用のために月次決算制度を軸にしまして各種施策を講じてまいりました。で、こういった業績を上げてきたものを、しかし率直に言いまして、こういった経営努力というものも現在のこの公社制度幾つかの制約のもとではおのずからやはり限界があろうというふうに考えておるわけでございます。今後、例えば数年間見通した場合に、何年に収支差幾らになるかということは明確には申し上げにくいわけでありますけれども、やはりトレンドとして見ました場合に、例えば収益の問題にしてもそうでありますが、費用面でも人件費あるいは物件費各種の諸経費効率化というものも今の制度の中ではおのずから限界があろうかというふうに考えております。  ここでこういった業績を踏まえまして、今回来年の四月から新会社移行するとしました場合に、先生指摘のように、確かに税の負担その他の新しい負担はございます。ございますけれども、同時に現在の制度の中ではできない各種施策経営の行動と申しますか、こういったものが可能になるわけでございます。端的に言いまして、会社への移行立ち上がり早々はそう楽観はできないと思います。思いますが、二年度以降こういった新しくとり得る施策というものの浸透を図ることによりまして、税負担はもちろん、また必要な、ある社会的な妥当なレベルでの配当実施をして、なおかつ一定の所要の内部留保を持つということも可能だというふうに考えておるわけでございます。  要は、私どもとしましては、現在あります四千三百万のお客様に対するサービスの維持、あるいはその改善、こういったものが私どもの一番基本的な命題でございますので、設備の改良あるいは改善も含めまして、サービスの良好な提供というもののために財務基盤の確立ということが一番の不可欠事でございますが、この点については今申し上げたような会社になりましてからの幾つかの施策浸透によりまして実施が可能だろうと思いますし、またそれによって御懸念のような料金水準の引き上げというような事態は我々としてはしないで済むと、済ますように経営としての力をこれから蓄えていきたいと、こういうふうに考えております。
  7. 服部信吾

    服部信吾君 まあ、そういう形でのいろいろな営業努力料金値上げはないんだと、こういうふうにおっしゃるんですけれども、ですから収支見通しをもう少し、例えば六十年度はこのくらいでこうで、収入がこうで支出がこうですよ、五年後の六十四年はこうですよ、これが公社でいけばこうなりますよ、しかし特殊法人になったときにはこうなりますよと、もう少し具体的なやつを示していただきたい、こういうことなんです。
  8. 岩下健

    説明員岩下健君) 今後法案の成立を待ちまして設立委員会において決定されるような、例えば資本金の規模ですとか、その他幾つかのファクターがございます。また、税にしましても、最終的に具体的な負担額がそれぞれ一体幾らになるのかというような点につきましてまだ見えない要素はございます。ございますけれども、現在の三千七、八百億円というこの収支差額を生み出し得る力を持って来年の四月を迎えるわけでございますから、税を払いましてもなおかつそのあと、例えば配当の問題になりますとこれはまだ具体的な数字を申し上げられるあれではありませんけれども、例えば六%程度配当といたしましても、税を払いまたその配当をしましても、なおかつ恐らく数百億円の内部留保を持つことは可能だろうというふうに考えております。やはり初年度あるいは二年度あたりが一番正直に言いまして苦しいかと思いますけれども、その後、先ほど申し上げたような幾つかの施策浸透によりまして、この業績の向上は我々としては十分可能だろうというふうには考えておるわけでございます。
  9. 服部信吾

    服部信吾君 そうなりますと、とにかくもし法案が通れば来年四月一日からになるわけですけれども、その四月一日から会社を設立してから云々というよりも、やっぱり公社独自に当然この収支見通しというのはつくっているというよりも持っているはずじゃないですか、ありませんか。こういうことは一回も試算したことはありませんか。
  10. 岩下健

    説明員岩下健君) 幾つかの仮定条件のもとで作業はいろいろトライとしてはやっております。やっておりますけど、まだ先ほど申し上げたような諸条件が未確定の非常に多いものですので、今責任のある数字として何年には幾らということを申し上げるだけのまだ自信がないということですが、しかし基本的に現在の料金水準のもとで提供しておりますサービス、これを向上させることはあっても、いささかでも後退させることはないという、そういう内部的な自信はございます。
  11. 服部信吾

    服部信吾君 それで、これはもう既に出ているやつですけれども、今後の事業収支計画についてと、五十七年六月に公社として発表されたのがありますね。これはじゃどういうことなんですか。これを見てみますと、現行公社制度、そして特殊会社移行後と、そういうことで、試算でありますけれども見通しが出ているわけです。これはどういうことなんでしょうか。
  12. 岩下健

    説明員岩下健君) 先生、今おっしゃいましたちょうど二年ほど前に一つトライとしてやった試算は確かにございます。その後、例えば収入伸び状況とか、あるいは経費支出、あるいはお客様需要動向等かなり変わってきておりますのでそのままのものではございませんけれども、そこに基調として出しておりました財務基盤の確保ということについては基本的には変わっておらないと思っておりますが、なお今後も、幾つかの条件確定を待ちまして、この収支あるいはその資金調達計画については進めてまいりたいと思います。  なお、先ほど申し落としましたが、例えば資金の方について考えました場合に、五十八年度あるいは七年度の実績等から考えますと、収支とは別の資金繰りの方でございますけれども、これについても会社移行後十分私どもとしてはやっていけるだろうと考えておるわけです。  その理由は、資金調達、これは何よりも内部資金の充実が第一でございますけれども外部調達としまして現在私どもが使っております資金ソースといいますか、チャンネルは三つございます。第一は財政投融資、それから第二が国内での資金調達、第三が海外での調達でございます。  財政投融資につきましては、会社移行後はこれは当然対象から外れるわけでございますが、としましても、なおかつほかの調達手段によって、現在、五十九年度の場合、七百億円予定をしておりますけれども、この程度資金はほかのチャンネルによって十分カバーできるというふうに考えておるわけです。と申しますのは、現在国内での資金調達としましては、銀行からのいわゆる協調融資という、いわゆるシンジケートローンでございますが、借り入れの形のがございますが、現在でも私どもとしましてはプライムレートで借り入れを行っております。  それから、国内の二番目の調達の方法は債券の発行でございますが、いわゆる公募によります政府保証のない公募債調達をしておりますけれども、これも現在地方債条件とそれから民間債で一番条件のいい電力債の中間、つまり電力債よりも若干安いコスト調達をしているというのが現状であります。これは政府保証はございません。したがって、この辺の国内での資金調達については、会社移行後もいささかも現在と変わるところなくできるだろうというふうに考えております。  海外での調達でございますが、五十八年度の場合五百億円、それから今年度が約九百億円程度予定をしておりますけれども、幸い、いわゆるトリプルAと呼んでおりますけれども、外債としましては一番高い格付をもらっておりますので、つまり最も安いコストで現在調達ができております。この辺は会社になりましても海外調達についてもかなりの部分を我々としては期待をしておりますので、そういった資金調達の面を総合いたしましても、現在よりも全体の資金コストは若干むしろ下げ得るんではないかというふうにも考えておるわけでございます。
  13. 服部信吾

    服部信吾君 要するに、今までの、五十七年度の公社が発表されたこの計画見通しが、今いろいろ料金をこれから値上げしないという根拠になっているということですね。それはいろいろな整合性があるかもしれません。これは、この五十七年度に発表された要するにこの見通しが基本になっている、こういう考えでいいわけですね。
  14. 真藤恒

    説明員真藤恒君) 今いろいろ細々と御説明を申し上げましたけれども、総括して申し上げますと、資金コストというものが現在がなり不自由な制限を受けておりますので、かなり不利な資金コストになっております。これが、この法案が通りますと、大体資金コストの運営の違いだけで会社になったときの配当金の半分ぐらいは生み出せるという考えをしております。  しかし、大局的に申し上げまして、新しい法案のもとで私どもが動きますと、一番大きくこたえできますのは、今まで私ども設備をして、そしてお客がそれに自動的に乗ってくることによって収入がふえたり減ったりしておるわけでございますけれども、今度は設備をする前にお客を募ってそれに見合う設備をしていく、あるいは設備をしながらお客を積極的につくっていくということができますので、その辺のところががらっと様子が変わってくるということと、もう一つは、新しいサービスがたくさん出てまいりますので、その面でお客をつくっていくというふうなやり方で様子ががらっと変わってくる。したがって、増収伸びが、会社に変わりまして二、三年するとかなり違った様子になってくると思います。殊に、今郵政でお考えになっているテレトピア構想とか、あるいは通産でお考えになっておりますニューメディア構想とか、あるいは各地方自治体でいろいろお考えになっているようなことに積極的に御協力申し上げるというふうなことで、今までとマーケットの性質が全然違ってくるんだと、電話と電報だけの世の中とまるで違ってくるということが一つ大きくございますので、なかなか公社制度のもとではそういう積極的なことができませんので、そこのところに大きな違いが出てくるというふうに考えております。  したがいまして、今申しましたように、第一年度ではかなりきついのですけれども——きついと申しましても株式配当はきちっとやってかなり内部留保をやるだけの余裕は十分見込んでおりますけれども、それから先はだんだん世の中が時間がたつにつれて、今おっしゃいました新規参入が具体的に動き出すまでの時期ぐらいまではかなり大きな伸びがだんだん加速度的に期待できるというふうに考えております。また、それができなければ日本の社会の高度特報化ということはできないわけでございまして、その辺のところを両方考えますと、幸いにして非常に恵まれた将来が見通せるんだというふうに考えております。要するに、積極的に注文をとれるということが今までとがらっと変わるということだけは御了解いただきたいと思います。
  15. 服部信吾

    服部信吾君 要するに、この当時の状況とちょっと五十七年の状況が違うと言うけれども、当然この新規参入によっていろいろな需要が出てきて増収が図られる。そういう観点からするならば、この計画はそんなに変わっていないと、要するにそういうことでいいわけですね。そういう観点、別に難しい話じゃないんで、要するにこの見通しを見てみますと、理公社制度で行きますと昭和六十年度収入支出では約一千八百億円の黒になっておる、六十一年度が千六百億、六十二年度が千三百億、六十三年度が九百億、六十四年度、五年後には五百億に、現行公社制度で行くと黒字がだんだん下がってきているということは、だんだん赤字になってきている。この辺までくると値上げじゃないのかなという気がするわけです。ところが、特殊会社移行すれば、六十年度の場合はまだまだ三百億の黒字、六十一年度は五百億、六十二年度は七百億、六十三年八百億、六十四年九百億、だんだんだんだん収支がよくなってきておる。  そういうことで恐らく今までの答弁値上げはないんだと、こういうことだと思うんですけれども、本会議においても、私の質問に対して、総理が、新会社がとにかく努力をして極力値上げは抑える、市内市外通話等値上げを抑える、こう言っているわけですけれども郵政大臣、この点はどうでしょうか。
  16. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) この法案を御審議願う前提として、私たちは、この法案が通過して新電電が誕生する、誕生して民営化された新電電国民に対して短時期のうちにまた値上げをしなきゃいかぬというような、サービスの還元どころか逆現象になったらこれこそ大変なことでございますし、何のための民営化かと、それこそ問いたださなきゃいかぬことになるわけで、私たちもこの法案を御審議願うに当たって、実は電電公社と再三にわたる将来の経営あるいはサービスの低下を絶対招かないという形のいろいろな資料を検討させていただいたことは事実でございます。そういったことから、現行サービスをもちろん最小限維持しながら、しかも建設計画というものを積極的に推進して、全国ディジタルサービスのネットをつくっていくという形において、最悪いかなるあらゆる条件想定しても六十四年度までは一切市内料金もいじらないような形の中でやっていけると。十分ある程度利益性も確保し、しかも附帯的サービスにおいては新しいメディアに対応した形の技術の開発も含めてやっていけるというある程度根拠を得てこの法案の御審議を願うということになったわけでございますので、いろいろ税の負担等公社の時代から見ればいろいろな負担増もあるわけでございますけれども、それだけに、また経営責任明確化によって現業の効率化合理化という面も促進され得るという形の中で、先般来の御論議の過程の中で新規参入等々も当然起こってくると思います。需要の多い箇所、地域に起こってくることも先生の御指摘のとおりであろうかと思います。しかし、アクセスチャージの問題あるいは単純再販をある程度私契約によって、禁止とは言いませんけれども、そういった形で公社全国ネットのサービスというものがある程度料金的にも維持され得ると、いわば公正な競争という形の中での恐らくサービス競争が行われるであろうということ等々から考えまして、先生の御指摘になる御懸念は新会社経営移行後もなかろうということで判断した次第でございます。
  17. 服部信吾

    服部信吾君 やはり国民が一番心配しているのはそこだと思います。そういうことで今回の会社法の五年の見直し、そういうこともありますので、ただいまの御答弁は要するにこの五年間は料金値上げしない、こういうことでよろしいですね。
  18. 真藤恒

    説明員真藤恒君) 今日から五年ぐらいなら今おっしゃいましたようなこと、何か第三石油ショックとかなんとかという世界的な経済界の激変がない限り問題は起こらないと思っております。この前の累次の御質疑のときも、私どもの今の目標は財務の許す限り長距離料金を下げることしか考えておりませんということを申し上げておりますので、それから一つも変わっておりません。
  19. 服部信吾

    服部信吾君 次に附帯業務についてお伺いいたします。これは衆議院の方の修正によって郵政大臣認可事項から除外されたわけでありますけれども、そこで修正について若干御質問いたします。  修正案の中に「附帯する業務に関し必要な事項は、郵政省令で定める。」とありますけれども、当局としてはどのような省令を考えていらっしゃいますのか、この点についてお伺いいたします。
  20. 小山森也

    政府委員(小山森也君) この前の衆議院修正の提案の理由を私ども検討いたしましたところ、収支相償うということによって公共料金である電気通信料金に支障を来さないこと、また公正競争というものを維持できること、こういった点を理解の上今回の附帯業務に関する認可を外した、こう理解しております。したがいまして、具体的には、新会社国内電気通信事業に附帯する業務を営む場合においては、当該業務に係る収支を明確にした上で収支相償うようにこれを営むものとするというような省令、さらにそうなりますと、私どもどのような形でこの附帯業務が行われているかということを知り得る立場にないといけないわけでございます。  ただ、これは審査するという意味ではございません。したがいまして、知り得る立場にならなければならないというところから、附帯業務を行う場合においては当該業務の概要を郵政大臣に届け出るということをしていただく、この二つの点を郵政省令として決めたいと思っております。
  21. 服部信吾

    服部信吾君 その収支相償う、そういうことでありますけれども、これは単年度を表示するものではない、このように理解していいですか。
  22. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 単年度では無理だと思います。例えば敷衍して申し上げますれば、端末機の販売をするという場合に、まず端末機の仕入れをしなければいけません。その仕入れをするときにはやはりこれもすぐ資金が要るわけでございまして、その資金がどのような形で、その内部でもって行われるかということまで行うのではなしに、中長期にわたって公共料金に影響を与えないという判断にしていくべきであろうと思っております。
  23. 服部信吾

    服部信吾君 民間では大変その辺は心配しているわけでありますけれども、新電電が民間と競合する分野に新規参入の場合、当初は当然電話事業で得た利益をつぎ込むことも考えられますけれども、いつまでもこれを続けられると民間業者はたまったものじゃない。分野を独立採算として、その補てんは厳に戒めなければならない。それをどうやって担保するのか。単に会計分離というだけではいつまでも赤字経営ということで、電話業務からの補てんが続けられることになると思いますけれども、この点はどうですか。
  24. 小山森也

    政府委員(小山森也君) これにつきましては、事業体そのものにおきまして、やはり新電電が経理を明確にして、省令に沿った形で収支を明らかにし、収支を明確にした上で収支を相償うようにするという努力をしていただく。しかも、これにつきましては内外に知り得ることになります。したがいまして、それが公正な競争を維持しているか維持してないかということは、一つの行政的なチェック以前に、あらゆる環境の方がわかるわけでございまして、その点につきましては当然新電電経営者もみずからの立場というのを十分理解して、これについて公正競争を害しているというような形の世間の非難というものは、当然経営者自身の責任においてまず第一にこれは防ぐと思います。それと同時に、私たちも省令等遵守していただくことによりまして、内外にそれを明らかにしていただく、このようにして担保したいと思っております。
  25. 服部信吾

    服部信吾君 附帯業務は、その性格上からいって大変限定される、そういうことですので、当局では附帯業務として具体的にどのようなものがあると考えておられますか。
  26. 児島仁

    説明員児島仁君) 先生、今おっしゃいましたように、附帯業務といいますのは、本来業務を補完するというか、オプション的なものという感じのものでございまして、例えば現実にもありますのは、電気通信と非常に似ておりますが実は電気通信ではないポケットベルサービス、こういったものがございます。それから、将来的には、今も民間でやっておりますが、あるデータバンクにアクセスしてデータをもらうという、それを電話でやるというテレホンサービス、それからそのテレホンサービスと似たようなケースでありますけれども、私どもの電話線を使ってある種のデータバンクを利用するという場合に、お客様から代金を徴収するときに、私ども通信料と同時にそのデータ番号を利用してお金を代理に取って差し上げてお渡しするというふうな、そういった附帯的な問題が中心でございます。あと、研究成果、これを内外に広く均てんしていけというふうなこともございますから、そういったことも附帯業務の中には入るのではないかと思います。あと、電気通信関係で、公社技術力あるいはいろんな能力に対しまして委託をしてくる場合がございます。そういったものは、適正な対価をいただいてその受託業務を行うということでございます。それからさらに、本委員会でも問題になりました端末機器の売り渡しというふうなことでございます。  いずれにしましても、私どもは本来業務をも補完する、非常に近接した格好で補完する、あるいはオプション的なものというふうに考えておりますので、その範囲はおのずから限定されておりますし、そう大きなものにはならないというふうに考えております。
  27. 服部信吾

    服部信吾君 もう少し具体的なことを伺いますけれども附帯業務として電話機器あるいはファクシミリ等の売り渡し業務があるわけですけれども、これは法案が通ったらすぐやるのか、大体いつごろからやりますか。  それから、こういう販売についていろいろとありましたけれども、大手メーカーに対して系列販売をさせようとか、いろいろ打診していると、そうありますけれども、その販売方法についてどのような基本的な考えを持っていらっしゃるのか、それと同時に、その販売については既存業界とよく話し合いをしたのか。この点についてお伺いしたい。
  28. 児島仁

    説明員児島仁君) 私ども、現在の端末機器の提供の仕方としましてはレンタルしかございませんわけでありますから、電電公社のこの機械は要らないと、民間の端末機を買ってしまいたいのだというお客様が現在でも非常にたくさんおられます。したがいまして、そういったケースではいわゆるレンタルバックということで電電の電話機を撤去してもらいたいということで、これがかなり倉庫に山積みになるような状態になっております。これは会計検査院からも指摘をされまして、これはちょっとおかしいのではないかということがございましたが、結局お客様の任意の希望によることでありまして、これはやはり制度を改めざる限りとがはないというふうな結論も出ております。  そこで、私どもとしましては、この現在の加入者四千三百万の方々にすべて端末機器がついておるわけでございますが、この方々から将来この法案が通りますと全部この電話機が開放になりますから、すべて一台目の電話機から民間の電話をつけてよろしいと、買い取りがいいんだということになります。したがいまして、私どもはこの会社ができましたらばその日から防衛的見地からと言ってよろしいかと思いますが、その千三百万のお客様が外に流れ出ていくのを幾ばくかでも私どもの手元に残したいという格好で販売をすぐ始めたいと思っております。  その場合の端末機器の種類でございますが、いろいろ諸準備もございますから当面は電話端末が中心になろうかと思います。したがいまして、大きなものでもビジネスホン以下ということになります。それらの販売の経過を通しまして、その他の端末、いろんなのございますから、極端な場合はOA機器というのもございますから、そういったことにいく場合には郵政省の御指導、御意見も受けますし、それから業界とも十分の話し合いをしながら共同協調の精神でやっていきたいというふうに考えております。それらの販売に至るまではかなりの時間があるというふうに思っております。
  29. 服部信吾

    服部信吾君 新電電がそういう業界におろしていくわけですけれども、よく出ていますマンモス企業、超大手の大会社、日本一の会社になるかもしれませんけれども、そうなったときに新電電が大量購入の大量販売に乗り出します。端末機器の市場価格が新電電に左右されることになると思うんですけれども、総裁、これはどうですかね。こういうような新電電が市場価格を左右するといいますか、そういう形になろうかと思いますけれども、プライスリーダーを発揮する、これはどのように思いますか。
  30. 真藤恒

    説明員真藤恒君) 私、正直に申し上げまして、今児島総務から話がございましたように、現在私どもの手を通ってお客の方へつけていただいている量をいかにして守るかということが実際問題には起こるだろうと思います。したがって、この端末機械が全部自由になった場合に、私どもが一体どこまで民間の一般の業者と対抗して既存の私どものシェアを守り得るかということが精いっぱいじゃないかというふうに、この面については余り積極的な望みを持っておりません。  と申しますのは、現在既に第二電話以下の自由に販売できる電話機の販売の数字の動きを見ておりますと、毎年毎年民間の方の販売の方へ持っていかれておるという明瞭な現実がございますので、今先生がおっしゃいますように、民間の既存の業者を不当に圧迫するということが、そこまで我々に力が出ればもう万々歳でございますけれども、逆のことになりはせぬかという心配の方が実は多いんでございます。この辺のことは今日までの私どものやり方が非常に制限されておりましてやりにくいということもありますが、互角に勝負ができればというふうに考えております、実際問題としては。
  31. 服部信吾

    服部信吾君 大変謙遜して言われたかどうかわかりませんけれども、でも先日の公聴会におきましてもこの業界の方の三村公述人は大変心配をされております。  特に、例えばそういう分野において新電電とそういう小さな業界といろいろ競合しておる、そういう場合において、今まではある程度郵政省のチェック機関があった。しかし、今回はこれを外されてしまったということで大変心配して、競合になったときに私たちはどこにこれを訴えたらいいのかということを盛んに訴えられておりました。そして、駆け込み寺というのですかね、そういう苦情処理機関、調整機関、こういうものをどうしても設置してほしい、こういう要望があったわけですけれども、この点は郵政当局は少し考えていただきたいんですけれども
  32. 小山森也

    政府委員(小山森也君) これは法的な形で一つの強制力を持った形の調整機構というのは、今回の修正の趣旨からいたしますと非常に困難だと私ども思っております。ただ、しかしながら、経営全体としての新電電の事業所管庁であります郵政省でございますので、そういった意味では新電電経営全体のあり方の問題としていろいろな意味での助言ということはできると思いますけれども、これを法的な形で強制力を持つということは、法の体系から見て問題だろうと思っております。
  33. 服部信吾

    服部信吾君 強制的に法的には無理だと言いますけれども、そういう問題が起きたときに、それでは、何とかしてくださいとそちらに行ってもこれは全然取り合わないということですか。何かそういうあれがあったら、そういう業界が大変だということで、その話に乗ってあげる機関とか、そういうもの、どうなんでしょうかね。
  34. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 全体の新電電の所管省でございますので、そういった意味での利用者あるいは業界等のトラブルということがありますことは、これは円満な電気通信事業運営において問題がありますので、そういった場合にはいろいろな相談に乗ることは当然のことだろうと思います。
  35. 服部信吾

    服部信吾君 それが陳情とか請願、その程度じゃやっぱり困るということを言っているわけです。余りしつこく言ってもあれですけれども、そういう問題が起きたときにはひとつできれば、法的には無理にしても、何かそういうような部門か何かを設けていただきたいと思いますけれども、どうですか。
  36. 小山森也

    政府委員(小山森也君) これは新電電経営の自主性とも非常にかかわりのある問題でございますので、新電電ともよく意思疎通した上で何らかの形のものをつくれるならつくっていく。ただしかし、あくまでもこれは新電電経営の自主性というのを損なわないということの原則に立つべきであろうと思っておりますが、先生の御趣旨よくわかりますので、新電電経営者とよく相談してまいりたいと思います。
  37. 服部信吾

    服部信吾君 ひとつよろしくお願いいたします。  それから、大蔵省きょう来ていらっしゃると思いますけれども、七月二十日の新聞で、大蔵省は今後電話器に五%から一〇%程度の物品税をかける方向で検討を始めた、こういうふうに報道されておりますけれども、大蔵当局の見解を聞いておきたいと思います。
  38. 小川是

    説明員(小川是君) お答え申し上げます。  御指摘の問題につきましては、現在具体的な検討をしているという状況にはございません。
  39. 服部信吾

    服部信吾君 新聞報道ではそう出ているわけですけれども、例えばもっと具体的にワープロとかファクシミリあるいはOA関連機器を初め電話機まで課税しようと、かなり具体的に出ているわけですよ。全く具体的になっていないというのであれば、これは結構なことだと、こう思いますけれども、あなたに聞いてもあれかもしれませんけれども、今後の情報化社会の到来を考えると、こういう問題は逆行するんじゃないか、こう思いますけれども、今具体的に検討していないならそれで結構ですけれども、この問題に対してちょっと御意見があればお伺いしたい。
  40. 小川是

    説明員(小川是君) 意見と申しますよりはこの間の経緯を御説明させていただきますと、昨年の十一月の政府の税制調査会の答申におきまして、物品及びサービスに対する、消費に対する課税のあり方につきましていろいろ御議論がございまして、その答申の中で、最近における消費や使用の実態を踏まえ、課税物品の範囲の拡大を図っていくことを検討すべきであるという答申がございました。そこで、五十九年度の税制改正におきまして、検討の過程におきましてはいろいろの問題を勉強いたしましたが、なお勉強すべき問題が多いということで結論を見送った経緯がございます。それがただいま委員が御指摘になりましたワープロ等の事務機器類でございました。そういう経緯があったということでございます。
  41. 服部信吾

    服部信吾君 まあそれはそれで結構でございます。  それでは次に、ちょっと国際電電の株式について、またこれから新電電の株式売却についてお伺いしたいんです。  この株式売却についてはいろいろと議論が今出ているところでございますし、その売却方法によっては大変いろいろな問題が起こるんではないか、こういうふうにも言われているわけでありますけれども、特に国際電電の場合、昭和二十八年、二十九年、三十一年の三年間にわたって政府がKDDの株式を五百二十三万七千三百八十八株売却した際、原則として一般競争入札でありながら、昭和二十九年二万七百三十三株をKDDの役員等に縁故随契で払い下げている、こういうふうに出ておりますけれども、これは実際事実かどうか。また、この二万七百三十三株は一体どのような根拠でだれにどんな方法で何株ぐらい割り当てられたのか、この辺について明確にしていただきたいと思います。
  42. 小山森也

    政府委員(小山森也君) これにつきまして詳しい資料を今持っていないのでございますけれども、第一次売り出しのときの二十八年五月には、従業員千三百四十一名に対しまして十九万八千百二十株、それから第二次売り出しの二十九年三月には、このとき総売り出し量は二万一千八百七十三株ですが、そのうち、従業員に対して、百八十五名、二万七百三十三株というものを割り当てたという記録がございます。これはKDD設立時の政府保有株式の処分に当たってというその資本参加ということの観点からなされたものと聞いております。
  43. 服部信吾

    服部信吾君 これは従業員何人に対して、これは全部役員とか、もうちょっと詳しく、今資料ないですか、それがわかれば。
  44. 小山森也

    政府委員(小山森也君) ただいまのは従業員という記録だけで、役員であるかどうかは不明でございます。第一回のときは先ほど申し上げましたように従業員千三百四十一名、第二次の二十九年三月は従業員百八十五名が対象になっております。
  45. 服部信吾

    服部信吾君 この販売方法というのは、これはどのようにお考えですか、売却方法ですね。
  46. 小山森也

    政府委員(小山森也君) ちょっと申しわけございませんが、当時の記録をきょうは持ってきておりませんのでなかなか明確に申し上げられにくいんですけれども、当時の様子を聞いておりますと、このKDDの株を売り出してもなかなか売却し切れなかったというような点があって、なかなか引受手がなくて売れ残ったという状況があったということを聞いております。そのために、いろいろな方法をとりまして、その後電電公社の共済組合にも引き受けていただいたというような経緯もございます。したがいまして、今考えられております新電電の株の売却の客観情勢と当時の客観情勢に大分差があったと聞いておる次第でございます。
  47. 服部信吾

    服部信吾君 私も本会議で、この株式売却については、いやしくも一部の者の利益——これはそういうことはありませんけれども、大変慎重に売らなくちゃならぬということでございますけれども、今回の例えば株式売却に当たって、今度の電電でございますけれども、こういうようなやり方はする考えはありませんね。
  48. 日高壮平

    説明員(日高壮平君) 株式の売却方法につきましてはいろいろな方法がございます。一般的に競争入札でやる場合もございますし、あるいはその他の方法、例えば証券会社等によりますシンジケート団を組んで売却するとか、あるいはそれ以外の道と、いろんな売り方があるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、株式の売却を行っていく場合には、そのときどきの株式市場との関連等、いろんな点を考えていかなければいかぬという問題がございますので、今後市場関係者の意見も聞きながら政府部内で十分に検討してまいりたい、このように考えております。
  49. 服部信吾

    服部信吾君 株式問題はこれからたくさんやりたいんですけれども、ちょうど時間もそういうあれなんで、また午後やらしていただきます。
  50. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時から再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十分休憩      —————・—————    午後一時一分開会
  51. 大木正吾

    委員長大木正吾君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、日本電信電話株式会社法案電気通信事業法案並びに日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案、以上三案を便宜一括議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  52. 服部信吾

    服部信吾君 午前中に引き続きまして質問さしていただきます。  株式の売却問題でありますけれども、この株式の売却問題については国民各層からも大変関心の高まっているところであります。そういうことで少し基本的なことをお伺いしたいと思います。  まず最初に、新電電の政府保有株式の売却に当たっては国会の議決を要するものとしていますが、これはいかなる趣旨によりますか、この点についてお伺いします。
  53. 小山森也

    政府委員(小山森也君) この新電電の株式というのは、委員御存じのとおり、いわゆる電電公社という法的に保護されました独占事業体、これによって支えられてきた事業、しかもこの資産を形成するに当たりましては、利用者の設備料とかあるいは電信電話債券というようなものの資金によって調達された資産であるということ、それから先ほど申し上げましたように、独占の一つの保護された形で保有された極めて公共的な色彩の強いものであるというわけでございます。この資産を今度は新会社が全部引き継ぐわけでございます。その内容といたしましては、当然人材もございますし、技術力もありますし、資産——物的な資産もあるということでございます。したがいまして、そういった非常に公的な色彩の強い資産、これを株式化して国に帰属させるわけでございますので、これを一般に売却する場合におきましては、国の非常に重要な国民共通の財産でございますので、国会の御意思を問いながらこれを売却していこうと、こういうことでございます。
  54. 服部信吾

    服部信吾君 それから国会の議決を求める具体的手続としてはどのような方法をお考えでしょうか。  それから当然この新電電の政府保有株式は、これはもう長年国民が債券を買ったり、大変いろいろ努力をされてやってきたわけでありますので、大変ある面から言えば国民の貴重な財産と、このように考えますけれども、こういった意味合いから、単に当該年度の予算に売却限度数あるいは売却予定収入を計上するのみでは不十分じゃないのかと。これはまた国会で十分に慎重に検討を加えるために、予算に盛るばかりでなく、個別案件として国会に提出すべきと考えますけれども、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
  55. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 売却に当たりましての国会議決の方法でございますけれども、株式売却収入は歳入予算の見積もりに計上されるというところから、それとの見合いで予算総則に処分限度数を計上して国会の議決をいただく方法を今考えて、この法案には盛られているわけでございます。  また、これにつきましては、今先生の御意見もございましたけれども、私ども予算において、そういったことで予算案の審議の中で国会の御意見を反映していただくと、または御意思がそこによっていろいろあらわせていただくということによって国会の御意思というものをいただけるのではないかと考えた次第でございます。
  56. 服部信吾

    服部信吾君 予算に盛るばかりでなく、個別案件というのは、これは難しいですか。
  57. 日高壮平

    説明員(日高壮平君) 一般的に申し上げまして、株式の売却を行う場合には、そのときどきの株式市場あるいは金融市場の動向等、種々判断しながら行っていかなければならないというのが一般的に言えることではないかと思います。  特に、今回の新電電会社の株式につきましては、先生指摘がございましたように、いわば国民共有の貴重な財産であるという考え方からいたしますと、それを安易に、また誤解を与えるような売り方をしてはならない。したがって、その都度、そのときどきの市場の動向等を考えて適正に売っていかなければならないというのが基本的な考え方であろうかと思います。したがいまして、個別案件としてその都度国会に御報告あるいは御承認いただくというのが現実的に難しいということもございましたので、いわば売却の限度数という、いわば上限の売却数を予算総則に計上して国会の御承認をいただくというのが一番望ましいのではないかというふうに考えた次第でございます。
  58. 服部信吾

    服部信吾君 それでは、政府としては新電電の保有株式をいずれ三分の二まで売却することになると思いますけれども、大体いつごろからこの売却を始めるつもりなんですか、その点について。
  59. 日高壮平

    説明員(日高壮平君) 今回の、今御審議をお願いしております法案の趣旨というものは、当委員会でもいろいろ御議論がございましたように、いわば事業の公共性に留意しながらも民間活力を導入すると、いわばそれを導入することによって事業経営の一層の活性化を図るというのが本法案の趣旨だろうと思います。そのような考え方からいたしますと、政府がいつまでも一〇〇%の株を保有しているのはいかがかなということで考えておりますので、私どもとしても漸次株式売却を行っていきたいというふうに考えたわけでございます。
  60. 服部信吾

    服部信吾君 漸次というのは大体どの辺の期限を考えているんでしょうか。
  61. 日高壮平

    説明員(日高壮平君) 今御審議いただいております法案が成立して、その後設立委員が任命され、そこで資本金が決定されると、そういうスケジュールになるわけでございますので、今御審議をお願いしている最中に、一切、いつからあるいはどのぐらいの規模で、どういうスケジュールで売るかという点についてはまだ確たることは申し上げられないと、その点御了解をいただきたいと思います。
  62. 服部信吾

    服部信吾君 先ほどKDDの株の売却方法についていろいろとやったんですけれども、その当時は大変買い手がなかったということなんですが、今度は大分買い手があるんじゃないかと思うんですけれども、大蔵当局としては、この株の売却方法について競争入札あるいは随意契約、株価基準等、いろいろあると思いますけれども、どのような方法で売却する予定ですか。
  63. 日高壮平

    説明員(日高壮平君) 先ほど申し上げましたように、株式の売却をどのような形で行っていくかという点については、今の段階で確たることは申し上げられないわけでございますが、一般的に申し上げまして、先生指摘がございましたように、競争入札でやる場合もあれば、あるいはそれ以外の、例えばシンジケート団を組んで売るとか、いろんなやり方があるわけでございます。したがって、そのときどきの株式市場の動向等も考えながら適正に売却を行っていかなければならないというふうに考えているわけでございますので、今後市場関係者なりあるいは郵政当局とも十分御相談をしながら政府部内でも慎重に検討してまいりたいと。今具体的にどういうやり方で売るかという点については、私どもとしてもまだ決めた腹案を持っているわけではございません。
  64. 服部信吾

    服部信吾君 新電電の株式を政府が三分の一所有することになっているとはいえ、株主の経営支配を排除する見地から、株式の公開に当たっては特定法人や特定個人に集中しないよう保有制限等の措置が必要であると思いますけれども、その辺の御見解はどうですか。
  65. 日高壮平

    説明員(日高壮平君) 現在御審議をお願いしておりますこの法案におきましては、いわば当面、まず発足当初は国が一〇〇%の株主でございますし、漸次売却を進めていくにいたしましても法定限度というのがあるわけでございます。したがいまして、いわば最大の株主は国であるということになるわけでございますが、先生が御指摘がございましたように、いわば国民の共有の財産でございますし、その売却に当たりまして、特定の者が利益を得るような形で売却を行い、その結果国民からの疑惑を招くことがないように今後厳正に対処していかなければいかぬというふうに考えております。
  66. 服部信吾

    服部信吾君 それに当たって保有制限等のそういうような措置を考えていらっしゃいますか。
  67. 日高壮平

    説明員(日高壮平君) 株式の売却を行う場合に、どういう形でだれにどのくらい割り当てるかとか、そういった点も含めまして、先ほど申し上げたように実はまだ腹案を持っているわけではございません。したがいまして、当委員会における御議論等も踏まえながら、特定の者の利益にならないように私どもとしても十分研究をしてまいりたいというふうに考えております。
  68. 服部信吾

    服部信吾君 新電電の株式の公開に当たり、一般経済原則にゆだねればこれは当然財界等に偏ってしまう。そこで地方自治体その他の公共機関に優先的に割り当てるなどの方法を考えていらっしゃいますか。
  69. 日高壮平

    説明員(日高壮平君) たびたびお言葉を返すようで恐縮でございますが、具体的に、例えばどういう法人にあるいはどういう地方公共団体に優先的に割り当てるのがいいのかどうか、その点も含めて、私どもとしてはまだ決めたわけではございません。
  70. 服部信吾

    服部信吾君 今まで、全部これから決めるんだと、こういうことですけれども、例えば電話の加入者とか、こういう国民に持たせると、これも一つの方法だと思いますけれども、これもまた考えなくちゃいけないんでしょうけれども、そういう面についてはどうでしょうか。
  71. 日高壮平

    説明員(日高壮平君) 加入者にも株の購入を認めるべきであるという御議論があることは私どもも伺ったことはございますが、実際にこれだけ電話の加入というものが進展してほとんど全世帯が加入しておられると、そういう現状から見ますと、本当に加入者全部に割り当てるのが現実的かどうかというのは常識的にちょっと考えますと問題ではないかなという気はいたしてはおりますが、私どもといたしましては、先ほど申し上げたように、そういう御議論も念頭に置いて実際にどういう売り方をするかは考えていかなければならないというふうに考えております。
  72. 服部信吾

    服部信吾君 今、これから何ですか、いろいろ委員会を設置してやるということで要望をしておいたんですから、そういうことでよろしくお願いをいたします。  それから株式の売却益の活用問題についてお伺いいたしますけれども、この使途については、いろいろと政府内部でも対立といいますか意見の分かれるところであろうと思いますけれども、資産形成の経緯から見て、一般会計の財政赤字の穴埋めに充てることは国民感情からいっても問題があるんじゃないかと、こういう議論もあるわけですけれども郵政当局では売却益の活用方策としてどのような考えを持っておられますか。
  73. 小山森也

    政府委員(小山森也君) まだこれにつきまして決まったというような意見はないわけでございますけれども、ただ、先生指摘のように、一般会計の赤字補てんのために使われるということは、やはり私どもとしては望ましくないのではないかと思っております。  それから電電公社の資産形成の経緯等にかんがみまして、電気通信技術に関する研究開発の推進のために使ったり、それから電電債券の償還のために使用したりということは、私ども一つの非常に貴重な御意見だと思っております。  なお、今国会におきまして、当委員会でもあるいは衆議院の委員会でも特に御議論ありましたもので、基金を設立してはどうかという御提言がございました。この辺は十分この御提言を尊重いたしまして、いろいろ検討いたしまして、財政当局であります隣におります大蔵省ともよく相談して、私どもの意向というのを十分取り入れていただくようにこれから努力したいと思っております。
  74. 服部信吾

    服部信吾君 もう一つお伺いしますけれども、その電気通信基金、二兆円構想いろいろあるようですけれども、これはどんなものでしょうか、ひとつ御説明を願いたい。
  75. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 実は、そういう構想は非常に御貴重な御提言だというところでございまして、それを具体的にどうやって展開していくかというようなこともまだ成案を得ているわけでございません。そのほか国会御審議の中でいろいろな御提言をいただいておりますので、これらは私ども一応全部貴重な御提案として検討しなければならないと思っております。その中の一つがこの基金構想であるということでございまして、まだこれにつきまして成案を得ているわけではございませんので、申しわけございませんが、ただいま時点におきまして明らかにできない段階でございます。
  76. 服部信吾

    服部信吾君 この問題について大蔵当局はどのようにお考えですか。
  77. 日高壮平

    説明員(日高壮平君) 私ども財政当局の立場からすれば、こういう国民共有の資産である株式の売却益につきましては、いわば特定の者の利益になるような形の、いわば特定財源として使用すべきではないという気持ちは持ってはおりますが、いずれにいたしましても、こういう貴重な財産でございますから、今後予算編成の過程を通じて政府部内で十分慎重に決めていきたいというふうに考えております。
  78. 服部信吾

    服部信吾君 先ほど来お伺いしておりますけれども、資産形成の立場から、やはり福祉電話対策だとかあるいは情報通信産業の基盤整備あるいは研究開発、こういうものに充てるべきだと思いますけれども、再度見解をお伺いしたいと思います。
  79. 日高壮平

    説明員(日高壮平君) ただいま申し上げましたとおり、私どもとしては他の財政需要と同じ土俵の場で本件使途についても決定すべきではないかと考えております。いずれにいたしましても、政府部内、特に郵政省とも十分調整した上で最終的な使い道について決定いたしたいというふうに考えております。
  80. 小山森也

    政府委員(小山森也君) これにつきましては、国会の御議論というのは重要なものでございますので、それに基づいた案で十分大蔵当局と協議をいたしまして、御理解を得ていきたいと、こう思っております。
  81. 服部信吾

    服部信吾君 次に、第一種電気通信事業の許可やあるいは料金、契約約款の認可等郵政大臣が重要な処分を行う場合、政令で定める審議会、すなわち電気通信審議会の決定を尊重してこれをしなきゃならない、このようになっておりますけれども、現在の電気通信審議会の概要はどのようになっているのか、この点についてお伺いいたします。
  82. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 現在の電気通信審議会の構成でございますけれども、委員二十名以内で構成されることになっておりまして、電気通信審議会令で定められておりますとおり、あるいはまた電気通信審議会が認められました際の国会の附帯決議等並びに国会の御議論を踏まえまして、あまねく各界各層から学識有識者としてふさわしい人を選考しております。
  83. 服部信吾

    服部信吾君 その中に利用者の代表も入っておりますか。
  84. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 先ほど申し上げましたように、各界各層の方々がいらっしゃいまして、あくまでもそれらの方々は現在おつきになっている職業ということに必ずしも着目しているわけではございませんで、広く学識経験を代表される方として選考をしております。今御指摘の、現在の委員の中にただいま業界の方がいるかという御質問に対しましては、業界のポストについていらっしゃる方もいらっしゃいます。
  85. 服部信吾

    服部信吾君 この問題につきましては、うちの同僚の中野議員からも先般質問があったわけでありますけれども郵政大臣としては大変理解を示している、いかほどな措置をしたい、またその審議会委員の国会承認ですね、特に、この問題について大変大臣も前向きのあれがあったわけでありますけれども、その後どのような検討をされておりますか。
  86. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 中野先生からも御指摘があったところでございますけれども、審議会メンバーの構成に関しては、ひとつ本委員会でも御指摘のあった点を尊重して検討してまいるということを約束いたしました。それと同時に、この委員の皆さんの構成につきましてもいろいろな御指摘もございました。その点もあわせて、中野先生の御指摘の点を踏まえて前向きに対処するということは申し上げました。また、審議会の一つの、例えば料金等の手続に関して、広く国民生活にも関係するところでございますので、公聴制度等々の採用はいかがかという形についても、そういった制度面を含めて検討してまいるという形の基本姿勢は変わっておりません。
  87. 服部信吾

    服部信吾君 ということは、公聴会は義務づけると、このように受け取っていいわけですか。
  88. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) そういう点も踏まえて前向きに検討ということでございます。そのようにしたいと思っております。
  89. 服部信吾

    服部信吾君 そういうことでよろしくお願いいたします。  次に、VAN問題についてお伺いいたします。  まず、基本的な問題でありますけれども、今回、事業法案では第二種電気通信事業の種類を一般第二種事業と特別第二種事業に区別して、前者を届け出制、後者を大臣の登録制としましたけれども、一定の欠格事由を設けている、この理由ですね、この点についてお伺いしたいんです。
  90. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 第二種の中の特別第二種と一般二種との切り分けの問題であると存じます。  これにつきましては、法案の中におきましても具体的に第二十一条におきまして、「特別第二種電気通信事業は、電気通信設備を不特定かつ多数の者の通信の用に供する第二種電気通信事業であって」、まず不特定多数の用に供するということ。また、「当該設備の規模が電気通信回線の収容能力を基礎として政令で定める基準」ということで、そのスケールにおきまして、大きさにおきまして、「回線の収容能力を基礎として政令で定める基準を超える規模である」ということで、まず不特定多数の態様であることと、回線数の数によって分けるということになっております。  そのことにつきまして、それではどういうような政令で定める基準にするかということでございますが、これは政令でございますので、本法案が成立いたしましたならば、これは郵政省が原案を出しまして政令をつくるということになるわけですが、原案といたしましては、千二百ビット換算、五百回線ということでこの回線数を規定いたしていきたい、こう思っております。
  91. 服部信吾

    服部信吾君 一般第二種電気通信事業と特別第二種電気通信事業の区別については、これは政令で定めることとしてい法律上明らかになっていないわけですけれども郵政当局としては政令でどのような基準を考えていられるのか、この点について……。
  92. 小山森也

    政府委員(小山森也君) ただいまちょっと申し上げましたんですが、この規模の問題でございます、政令は。政令で基準を定めるということになっておりますので、ただいまちょっと申し上げましたように、千二百ビット換算、五百回線というものを基準にしたいと、こう思っております。
  93. 服部信吾

    服部信吾君 郵政当局の考え方は、情報通信産業に対する主導権争いをしている通産省との話し合いができていると理解していいのですか。郵政省並びに通産当局についてお伺いしたいと思います。
  94. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 何しろまだ法律ができてないものですから、正式に協議するということが政令の場合できませんので、私どもの原案でございまして、これはまだ通産当局との相談は正式にいたしてないわけでございます。
  95. 服部信吾

    服部信吾君 通産省。
  96. 牧野力

    説明員(牧野力君) 今郵政省側からお話がありましたように、この問題以外一般的にすべてそうでございますけれども、法律が通りました後で主管官庁からいろいろ政令案につきまして御相談を受ける、それに対していろいろ意見を申し上げるということになっておりますので、現段階におきましては何ともお答えがしょうがないわけでございます。御了承いただきたいと思います。  ただ、私どもといたしましては、再三申し上げておりますように、特別第二種、一般第二種の間仕切りをつける、特別第二種につきましてそれなりの規制があるということは、これは当然かと思いますけれども、なるべく民間活力を十分に発揮するために規制は少なくしたい、少なくするのが適当であるというふうに基本的に考えておりますので、こういう観点に立ってこの間仕切りの原案が示されることを期待をしているという、一般論でございますが、そういうことでございます。
  97. 服部信吾

    服部信吾君 要するに、今まで全部いろいろ聞いておりますけれども、まだまだほとんど詰まってない、みんな政令でこれから決めるとか。大体これほどの大法案ですから、もう少し詰めていただいて、そして提案していただかないと、我々も要するに質問の仕方がないわけです。すべて政令等にゆだねる、それはいいんですけれども、もう少し詰めたもので出していただきたいなと思っているんです。  それから郵政当局としては、去る二月に電電改革法案の骨子を発表しました。その中で、特別第二種電気通信事業について許可制とし、原則的に外資規制を行っていくことが盛られていたと思いますけれども、なぜこれが削除されて登録制とし、外資規制が除外されたのか、この辺についてお伺いしておきます。
  98. 小山森也

    政府委員(小山森也君) これにつきましては、外国——外国といいましてもこれはアメリカよりほかないわけでございますけれども、アメリカの巨大通信事業者というものの資金力、技術力というようなものをかなり重く見まして、我が国の通信市場において大きな力を発揮するのではないかという一部の心配があったことは事実でございます。ただ、私どもこれを検討するに当たりまして、通信主管庁の立場からいきますと、これは貿易の問題ではなしに通信主権、いわば日本の通信というのは外国によって支配され、日本の神経系統がこれによって外国から制肘を加えられるということがないかどうかということが私ども観点でございます。  そういった観点から、改めていろいろ検討を深めまして、その結果、例えばアメリカにおきましては確かに十年前にVAN事業というのを自由化しております。ところが、このVAN事業を自由化いたしたといいましても、IBMとかATTというものはこれに参加することが禁止されていたわけでございます。それで、これがIBMとかATTというような大資本、あるいは大通信社がこれに参加できるようになりましたのは去年からでございます。  それでは日本の場合はどうかといいますと、これはかなり前から始めている、アメリカでいうと大型VANであるタイムネット、テレネットというものと日本との比較をしてみた場合でございます。そうしましたところ、電電公社が既に五十四年からDDXサービスという提供を開始しておりますし、国際電電でも五十七年からビーナスPサービスという大型のVANサービスをしているということです。またさらに、電電公社は十二年前から全国の銀行を対象とした為替交換システム——まさに大型VANでございます。ただ、このVANは、不特定多数ではなしに、銀行という一つの業界を相手にしたVANでございますけれども、こういったものを十二年前からやっているというような実績がございます。これに比べましてアメリカの場合は、このような大きなVANまではまだできていなかったということでございます。しかし、小型のVAN——これにつきましては当然日本より十年前から自由になっているということから、自由競争市場の中で切磋琢磨してかなりの実績を上げている業種であることは事実でございます。  ところが、大型VANは今申し上げたようなんですが、小型のVANというのはどういうようなものが特性がと申しますと、やはり一番の問題は、いろいろな企業通信の場合にきめ細かくサービスしていくということでございます。ということはどうかといいますと、アメリカで行っている、例えば帳簿の交換をするというようなことをシステム交換で行うというようなこと。アメリカのソフトをそのまま日本へ持ってきてもこれは全然通用しないわけでございます。日本の場合には商慣習も違いますし、帳簿のつけ方も違うということ。したがって、これに対しては十分日本独特のソフトであってこそ事業が円滑にいくのではないかというようなことを考えますと、ここでは何しろ外国企業と競争する、例えば一部の合弁会社というようなところで外国企業が参加してくるということがあっても、これは日本の事業者にとって刺激になっても、逆に今度は日本の通信事業が外国によって支配されるというようなことにはなり得ない、こういうような観点から、むしろ外資制限を設けないで内外企業が切磋琢磨するということは、むしろ利用者にとってよいことではないかというふうに判断をしているものでございます。
  99. 服部信吾

    服部信吾君 当初方針の変更というものがアメリカの圧力によって高度の政治判断で行われたと、このように巷間でも言われているわけですけれども国民もまたそういう観点からとらえているんじゃないかと思うんですけれども、この点はどうですか。
  100. 小山森也

    政府委員(小山森也君) この間にいろいろアメリカからの希望が寄せられていることは事実でございます。ただ、私どもこれは、私だけが判断するわけでは決してございませんでして、いろいろこれについて検討いたしましたが、決してアメリカから言われたということではなしに、日本の利用者がどちらがそれによって利益を得るか。またもう一つ、そのことによって日本の通信主権が本当に侵されるかどうかということの判断。この二点から判断いたしまして、自主的に当然政府自身の判断によってこのような方針を立てたものでございます。
  101. 服部信吾

    服部信吾君 次に、通信主権の権利でお伺いしたいんですけれども、ITU、国際電気通信条約の前文で認められている通信の主権は今回は確保された、このように理解してよろしいですか。
  102. 小山森也

    政府委員(小山森也君) ITU条約の前文に書かれているのは、そのまま我々としては貫いていると、こう考えております。
  103. 服部信吾

    服部信吾君 アメリカ側としては、特別第二種事業が提供するサービスは日米友好通商航海条約及び議定書で定めた公益事業や通信に当たらないので、外資規制は同条約の企業設立権との整合性に欠けるとの見解を示しておりますけれども、米国側は特別第二種事業を通信の範疇にないと考えているのではないかと思うのですけれども、この点はどうですか。
  104. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 私は当然日米通商航海条約における通信の範疇に入ると。したがって、これは日本自身がいろいろな判断をすべきものであると、こう考えておりまして、アメリカの考え方がどうであれ、私どもとしてはこの考えを変えるつもりはございません。
  105. 服部信吾

    服部信吾君 米国ではVANサービスを開始以来十数年たってようやく一年前に市場原理にゆだねたというところで、かなり基本と申しますか、そういうものが十分に準備期間が終わっていよいよこれから出てくるんだと、競争もできると、こういうような状況でありますけれども、我が国におきましては、一昨年十月、中小企業VANを臨時暫定措置として自由化したにすぎない。このような状況下で内外無差別の参入を認めることは、米国企業が圧倒的に有利な立場で我が国に進出することを大変国民また業界はいろいろ心配しているわけでありますけれども、これで果たして公正な競争ができるかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
  106. 小山森也

    政府委員(小山森也君) アメリカにおきましても十年間かかっているわけでございますけれども、十年前からはまさに内外無差別であったわけでございます。内外無差別というのは、どちらかといえば強い者が援用する言葉でございますけれども、そういった意味では日本に対しても門戸は開かれていたわけでございます。今回日本として内外無差別にして門戸を開くということにいたしましても、日本の通信が外国に侵され支配されるということはまず絶対考えられないというのが私どもの判断でございます。  また、それじゃアメリカのような場合に十年たって現状になっているということは、私ども日本自身もそのような形の自由化をしなければいつまでたっても、そういったアメリカのような形の競争原理が働いた中での努力、これによる技術の高度化というところになかなか追いつかない。むしろこういうことで、アメリカは十年たったかもしれませんけれども、日本においては急速な進歩がこれで図られるのではないか、こういうふうに思っております。
  107. 服部信吾

    服部信吾君 ずっといろいろな議論を聞いておりましても、大丈夫だ大丈夫だ、こういうことで絶対に大丈夫だと、こう言われておりますけれども、昨日の参考人の方の意見等を聞きまして、そんなに甘いものじゃないと思いますよ。どういう点で、どういうあれで大丈夫だと、こう言われるのか。
  108. 小山森也

    政府委員(小山森也君) そんなに甘いものではないことは確かでございますけれども、であるからこそ、またそれだけの競争力を日本の技術は持っているわけでございまして、これにつきましては、今まで通信の技術というのはほとんど一元的運用でございましたので全部電電公社に集中しているわけでございますけれども、この電電公社技術力を見ますと、これは十分にアメリカの技術、特にソフトソフトと申しますけれども、私どものいろいろな調査によりますと、ソフトにおいても必ずしもそう劣るものではない。しかも現実に運用している故障率などを見ますと、日本の方がよほど質的に高いものもある。無論、これは電電公社の今までの実績からの推測、推定値でございますけれども、そういった意味におきまして、この電電公社のノーハウというのが今後いろいろな電気通信事業者に対しまして公開されるわけでございます。そういうようなこともありますれば、この電電公社によって開発された技術力というのが、より広がりを持ちましてこれが発展していくであろうというところが私ども根拠となっておるわけでございます。
  109. 服部信吾

    服部信吾君 そういう大変自信満々でございますので、ひとつよろしくそういうことのないようにいろいろしていただきたいと思います。  次に、電報事業についてお伺いいたします。  毎年、この電報事業は大変一千二百億といいますか赤字が生じておりますけれども、この取り扱いについてはどのようにお考えですか。
  110. 寺島角夫

    説明員(寺島角夫君) 御指摘ございましたように、電報事業は年々大きな赤字を生じておりまして、五十七年度の決算におきましても千二百億の赤字を生じておるわけでございまして、収支率から申しましても四二八%という状況になっておるわけでございます。  この電報事業の収支改善という問題につきましては、既に十年来公社としては取り組んできたわけでございまして、その主なものを申し上げますと、例えば一一五番の受付局を統合いたしますとか、あるいは配達面におきまして委託を拡大していく、あるいは郵政省に委託をしております配達部門でございますけれども、この辺の合理化をやっていくとか、さまざまな施策を積み重ねてきておるわけでございます。その結果、赤字そのものはなかなか減るところにいかないわけでございますけれども収支率という面で申し上げますならば、若干の改善を年々見ておるところでございます。  それで、これからでございますけれども、今申し上げましたような合理化施策をさらに推進をしていきますとともに、もう一点、古くなっておりました設備というものの近代化を六十年度から六十二年度ぐらいにかけまして行いたいということで、現在着手をしておるところでございます。なお、電報につきましては、こういう形で収支改善を図りましても、なかなか大きな赤字でございまして、少なくとも我々といたしましては単年度の収支で均衡するところに近い将来持っていきたいという念願をいたしておりますけれども、これもなかなか楽な道ではないわけでございます。  そういうことを含めまして、現在におきます電報事業というものを考えてみますと、電報というのが一つの記録通信として配達を伴う記録通信という特性を持っておるわけでございますから、この点に着目をいたしまして、この点をさらに伸ばすことによって、電報をそういう観点からこれからのお客様方のいろんなニーズに合った多様なサービスの提供ということを含めまして、この電報事業の再生ということに取り組んでいきたいと、こういうふうに考えておるところでございます。
  111. 服部信吾

    服部信吾君 これが民営化した場合、国民値上げするんじゃないかというような懸念があると思いますけれども、この点は大丈夫ですか。
  112. 寺島角夫

    説明員(寺島角夫君) ただいまお答え申し上げましたように、収支改善ということにつきましては、いろんな面で収支両面にわたりまして取り組んでおる課題でございますけれども、今回の経営形態の変更ということによりまして、直ちに値上げをするとか、そういうことを考えておるわけじゃございません。
  113. 服部信吾

    服部信吾君 この電報について、公衆電気通信法に定められておる役務というものをどのような認識を持たれておりますか。
  114. 寺島角夫

    説明員(寺島角夫君) 御指摘のありましたように、現在、電報というのは公衆電気通信法によりまして公社がこれを独占的に提供いたしておる役務でございますけれども、ただいま御審議をいただいております新しい事業法におきましても、引き続き国内電報につきましては公社が独占的にこれを提供していくものだと、こういうふうに規定をされておると、そう理解をいたしております。
  115. 服部信吾

    服部信吾君 我々としては、やはり大変国民に密着した、また親しまれてきたと申しますか、そういう電報でありますので、いろいろこれが民営化されると、独自の民間委託とかいろいろなことを言われておりますけれども、私はこの電報は、これは当分と申しますか、当然民営化された後でも新会社でやるべきであると、このように考えますけれども、それは大丈夫ですか。
  116. 寺島角夫

    説明員(寺島角夫君) 御指摘のように、法の趣旨もそういうふうなことでございますので、私どもとしては引き続きこのサービスの提供に努めてまいります。  ただ、先ほど来申し上げておりますように、大きな赤字を生じておりまして、これが電話事業のいわば収入でもってこの赤字を補っておるということもまた事実でございますので、こういう事実認識の上に立ちまして、さらに経営努力を重ねまして収支改善を図っていきたい、こう思っております。
  117. 服部信吾

    服部信吾君 それでは次に、今回の法案によって郵政省の電気通信に関する行政事務が増加すると思われますけれども、そのための運営はどのように考えておられますか。
  118. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 今までも公衆電気通信法に基づくいろいろな許認可事務というのはかなりの数がございまして、これにつきましては今までの電気通信政策局、現在の電気通信局で引き続き中央では行うことにしております。また、地方につきましては、地方限りのいろいろな電気通信の問題、一部分にわたるもの、これにつきましては電波監理局を電気通信監理局に改組いたしまして、これによって事務を進めていくということでございますが、その人員等につきましては現陣容で行っていくということにいたしております。
  119. 服部信吾

    服部信吾君 そうなりますと、この要員はふえないということですか。
  120. 小山森也

    政府委員(小山森也君) ふやさない。そのことによって、仕事の内容を取りかえることによってカバーしていくつもりでございます。
  121. 服部信吾

    服部信吾君 次に、郵政大臣に伺いたいんですけれども、電気通信主任技術者試験または工事担任者試験に関する事務あるいは技術基準適合認定を指定機関に行わせることができるとしておりますけれども、当局のこの指定機関に対する考え方はどのようになっておりますか。
  122. 小山森也

    政府委員(小山森也君) これにつきましては、今までは工事担任者とかいわゆる主任技術者というのは電電公社の中の一つの資格としてあったわけでございます。これは当然電気通信事業というものを電電公社が独占で行っていたというところから、電電公社の認めるところはイコール日本の国の電気通信ネットワークでもって認められるということでございました。しかしながら、今回多数の事業者というようなことになりますので、今度はやはり国にかわるものとしての機関、特にこれについては民営でない形のものでございますけれども、そういった機関によって行われることが望ましいと思っております。また、法律にはそのように書いてあるわけでございます。法案成立後、この認定機関につきましては、申請に基づきまして認定していくというつもりでございます。
  123. 服部信吾

    服部信吾君 最後に、通信衛星について伺いますけれども、六十三年度打ち上げが予定されている通信衛星CS3の利用について、郵政省は出資に応じて民間事業者へも開放する方針である、このように報じられておりますけれども、この点はいかがですか。
  124. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) CS3についてのお尋ねだと思いますけれども、現在上げられておりますCS2が開発と利用の二つの側面を持っておりまして、主として電電公社を中心といたしました離島通信、災害通信等に使われておりますけれども、その周波数の余った部分を利用いたしまして、既に2の段階から一部の民間の方々に御利用していただくべく、現在パイロット計画と称しましてそのための計画を進めております。そうしたパイロット計画に基づく民間の参加の仕方あるいは利用の仕方を十分CS2の段階で見きわめました後、CS3につきましてはより広い見地からの民間の方々の参画を私どもといたしても期待しているところでございます。
  125. 服部信吾

    服部信吾君 六十三年度の打ち上げとなると、もうそう遅くない、タイムリミットも迫っていると思いますけれども、民間に開放する場合、利用を希望する業者が名のりを上げるタイムリミットは大体いつごろまで、また複数の業者が名のりを上げた場合はどのように処理するのか。
  126. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) CS3の計画につきましては、六十三年度に打ち上げるということで宇宙開発委員会に私ども計画、要望を出してあるところでございまして、それに基づいて現在その開発段階、設計から開発に向かって着々と準備をしている段階でございますが、実際の利用形態につきましては、先ほど申し上げましたようにCS2のパイロット計画における実需並びに実利用形態を見きわめました上で定めたいと思っております。まだ現在の段階では、先生指摘のようにCS3段階においてどのような民間の方々が実際の利用者として名のりを上げられるか十分把握するに至っておりません。
  127. 服部信吾

    服部信吾君 大変国民の関心が高まっているところなんで、最後に大臣のお考えをお伺いして、質問を終わります。
  128. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 御質問はCS3計画に関してであったかと思いますけれども先生の御指摘のように、できるだけ実用段階、通信衛星の場合は放送衛星と違いまして、もう既に技術的にも成熟というか定着してまいっております。したがって、実利用ということになっても、相当新しい業者も含めて、新電電はもちろんのことでございますが、多分に新しい新規参入予定にもこういった面での実利用計画が上がってくるものと期待をいたしております。また、そういった形があれば、これを前向きに処理していくという方向で臨みたいと思っております。
  129. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 服部信吾君の本日の質疑は以上で終わりました。
  130. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 前回の七月三十一日の質問で、私は電電公社における職員の思想調査、思想差別の問題を取り上げましたが、いろいろ応答の末、総裁としてもよく調査をし事実を明らかにしたいというふうに答えられたのであります。  そこで、その後の公社としての調査の結果はどういうことになっていますか。
  131. 児島仁

    説明員児島仁君) 先生の御指摘をいただきましてから早速関係機関に対しまして厳重に調査させましたのでございますけれども、お示しいただいたような文書の存在は確認できません。当時、東京無線通信部でこのような仕事に関係しておるであろうと思われる人間全部を集めて、お示しいただいた資料、事実関係を調べたのでございますが、このような文書についての覚えがないというふうな調査結果になっております。
  132. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 私は具体的な証拠物も提出をしてこの問題の提起をしたわけでありますけれども、そのような事実は確認できなかったということでありますが、関係者集まってよく調べたというのでありますけれども、どういうメンバー、いつ、どういう形で調べたか、もう少し具体的にお答え願います。
  133. 児島仁

    説明員児島仁君) 私ども職員局の者が、当時の無線通信部の関係者、既に退職しておる者もございますが、あるいは東京に住んでおらぬという者もございますが、そういったところに逐一派遣をいたしましてそれぞれに問いただした結果でございます。
  134. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 きのう、局長のもとで仕事をしておられるはずの職員局労務課長鈴木さん、私の部屋へ出向いて当時の、私が具体例として指摘をした東京無線通信部のそこのいわゆる職制、そういう人たちに集まってもらったということでありますけれども職員局からは参加したんですかと聞いたら、参加していませんということだったんですが、どっちが事実なんですか。
  135. 児島仁

    説明員児島仁君) ちょっと私聞き違いかもわかりませんですが、無線通信部の部長、次長、労務厚生課長等集めて事実を聞いておるというふうに私報告を聞いたものでございますから、当然本社の職員局の者がタッチしておったというふうに考えておったわけでございます。  今、担当の職員局長が参りましたので、職員局長からお答えをさせます。
  136. 外松源司

    説明員(外松源司君) 以前の委員会で先生指摘の件につきましては、私どもの方で関東電気通信局を通じまして、東京無線通信部に対して指示をして調査をいたしたところでございます。
  137. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 いや、私が尋ねておるのは二つあるんですよ。  一つは、東京無線通信部の現在の職制、この人たちの集まりを持っていろいろよく事情調査をするということも大事でしょう。しかし肝心なのは、私が問題として提起をした昭和五十五年度、この段階での無線通信部の職員で、現在電電公社職員として引き続き今も仕事をしておる人たちかなりありますね。この人たちに直接確かめたのかと、この点の答えがありませんから、そのことを一つ。  そういう人たちの集まりを持って確かめたと言うんだけれども、そこへ公社職員局からは参加をして本当に確かめたんですかと、きのうの労務課長の報告では、職員局からは出ていません、部長からの報告がそういう報告になっているんですということなんだから、この二つをきちっと答えてください。
  138. 外松源司

    説明員(外松源司君) おくれて参りまして大変失礼いたしました。  関係機関に対しまして先般の件につきましては厳重に調査を命じたところでありますけれども、お示しいただきました文書の存在というものは確認いたしておりません。で、古い文書につきましては、現在クリーンオフィス運動といいますか、そういうようなことで、MI運動とも呼んでおるのでありますけれども、古い文書を処分いたしておりますものですから、したがって、当時の東京無線通信部の関係者を呼びまして、そしてその事情を、お示しいただいた資料を見せまして事実関係を確認いたしたところでございます。その結果、そのような文書には見覚えがないということを言ったというふうに報告を受けているわけでございます。  それで、その場に職員局が立ち会ったかということでございますけれども、その場には職員局は本社として立ち会っておりませんけれども、そのすぐ後、東京無線通信部長が私のところへ参りまして、関係者が参りまして報告を受けておるところでございます。
  139. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 やっと長い時間かかって、とにかく部長からの報告がそういう形になっておる、そういう文書はないという報告になっていますということなんであって、前回ここの席上で応答をした、職員局が責任を持って局長ないしはそれにかわる人がそこへ出て、きちっと確認をした、事実状況の把握をしたということにはなっていないというのは明瞭じゃないですか。最初からそういうふうに答えなさいよ。  前回私が、繰り返して言うようですけれども、朱肉をついた、判こまでついた、あの実物も見せて、こういう証拠物があるということで提示をした、あの問題の証拠物は、東京無線通信部の傘下に三十九の中継所があると思うんです。この中のある一つから私は入手をしたんです、ごく最近、この間質問をした七月三十一日の直前に。そんなに遠い遠い昔の話じゃない。その段階で私が入手できだということは、それからまだ一週間たつかたたぬかぐらいでしょう。こういう状況ですから、あとほかに三十八の中継所があるんです。そこにも一つか二つぐらいはそういう物はあるはずだ。  しかも、この間提示をしましたあの資料にもきちっと文章として明記されておるように、現物はそれぞれの中継所に保管をして、その写しを通信部部長のもとに報告を提出するということになっておる。そうすれば、あの種の物はとにかく各中継所に一つずつ、そうして部長のところ、通信部のところに三十九通、同類の形式のそういう報告書が出ているはずだ。これがクリーン作戦か何か知りませんけれども、今一つもありませんと、こういう言い分が一体通るんでしょうか、どうですか。
  140. 外松源司

    説明員(外松源司君) 先生から東京無線通信部管内の現場機関も調査するようにという御指摘もございましたし、私ども東京無線通信部管内の現場機関の調査をいたしたところでございます。現在、ほとんどの局所で終わっておりますけれども、まだ一部調査が残っておる局所もございますので、これらについては早急に調査を終えたいというふうに考えております。
  141. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 まだ一部調査が残っておるということは、現在ただいまの段階で絶対にそういう事実はない、ああいう調査を裏づけるような資料は絶対にないというふうには言い切れないということに逆に言えばなりますね。  そこで、私はもう一つ確かめましょう。きょうの質問をするに当たりまして、あの問題の文書に判をついておられた御当人、当時東京無線通信部の労厚課長佐藤紀男さん、現在武蔵野通研建築技術研究主任、電電公社職員です。同じく当時東京無線通信部調査係長伊藤功さん、現在横浜市外局第三運用副課長、このお二人を当委員会に私の質問に対する説明者として出席を要求してまいりました。おられますか。
  142. 外松源司

    説明員(外松源司君) 先ほども説明申し上げましたように、事実関係について公社といたしまして十分調査してまいりました。そして、本日この委員会に経営の最高責任者であります総裁以下幹部が出席しておりますものですから、十分責任を持ってお答えできるということで、説明員として帯同いたしておりません。
  143. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 そんなことを言われても通用をするような論法だと思われますか。私が言っているのは、判こをつかわれた御本人、この御本人に特に聞きたいことがあること。このことを、それは上部職制で総裁以下局長課長いろいろおられるかしらぬけれども、それが全部かわって答えますと言ったって答えられるんですか。何か、私が言いましたこのお二人にここへ説明者として出席をしていただくとぐあいが悪いことが起こるんですか。
  144. 外松源司

    説明員(外松源司君) 先ほども申し上げましたように、当委員会には本社の幹部が参っておりますものですから、責任を持ってお答えするということでございまして、今先生の御指摘のようなあれはございません。
  145. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 とにかく、道理の通らない理由でこの委員会への出席、そうして私の質問に対する答弁を拒否する。こういうことは、結局、それは本人が国会へ出てきてうそをつくわけにいかぬでしょう。しかし、真実を言わざるを得なくなると公社にとって困ったことが起こる、こういう公社として今困る立場にあるから、わざと私がお願いをした二人を本日は出席をさせぬということじゃないかというふうに私は思わざるを得ませんね。  総裁、どうでしょうか、こういうふうに前回あなたも確認をされました、とにかく事実は徹底的に明らかにする必要がある、こういう立場から考えてみて、判こを使った御本人、公社職員として現存をされているんですから、その人にひとつ出ていただいて、この真偽のほどをはっきりしようじゃないですかと、これは真実を明らかにするためにも最もふさわしい方法になると私は思うんですけれども、総裁の決断はどうでしょうか。
  146. 真藤恒

    説明員真藤恒君) もうしばらく時間をかしていただきたいと思います。
  147. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 前回の質問において私は、この種の思想調査が単に東京無線通信部だけじゃない、全公社的にやられているんじゃないか、そして五十五年度だけじゃなくて、もっと以前から、それ以後も、現在も行われている疑いがあるということを提起しました。事実、その後我が党の調査によりまして、光電電公社の重要幹部であった人複数から、私が今申しました単に東京無線通信部という局部的にやられていることじゃない、もっともっと広い範囲でやられている、そうして相当以前からやられてきたし、今もやられているんじゃないか、こういうことを我が党の調査に対して証言をされているわけであります。こうした点から考えてみて、この問題は私今突然言うわけじゃない、前回も、そういう疑いがあるから、そういう点も含めて徹底した調査をやってもらいたいと言ってきましたけれども、調査をしてもらえましたか。
  148. 外松源司

    説明員(外松源司君) 先般の委員会でもお答え申し上げましたように、電電公社は思想調査というようなことはいたしておりませんし、いわんや本社としてもそのような指示はいたしておりません。したがって、先生の御指摘のような、そういったようなことはございません。
  149. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 電電公社といたしましては、そんなことをやっているはずはないから、調査するまでもなくやってない、こういうことを言われましても、それを一体だれが信用するんでしょうか。現にやってないはずだというある部署、東京無線通信部というところで実物を示して、こういうことが起こっているということですから、ほかにもあるおそれはあるじゃないですか。  こうした点で、総裁、あなたはもう少し時間をおかしくださいというふうに言われましたけれども、時間をおかしくださいというのは、もう少し時間をかけて総裁の責任で真実を明らかにすべくいろいろの方策を考えてみますという意味なんでしょうか、総裁。
  150. 真藤恒

    説明員真藤恒君) 事実を確認するまで、あるかどうかを確認いたすまで時間をかしていただきたいと申し上げていることでございます。
  151. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 私が前回から、きょうも引き続いてこれほどまでにこの問題の提起をしておりますのは、やはりよくよくの私としては事実を握って、国会の場ですから軽々にこの問題が提起できるはずがない、やはり明白な事実、根拠があればこそこういうことを提起しているんでありますけれども、しかし先ほど来の局長答弁を聞いていますと、一体当時どういう状況にあったのかということについて、職員局からは、公社本部からは参加しないで、結局東京無線通信部の報告を待っている、それに依存をしているという、こういうやり方ですね。そしてもっと広い範囲に、もっと長い年数にわたってやられているんじゃないかということについては、そんなことはあるはずありませんからということで調査もしようとしない。こういうやり方というのは、とにかく徹底した事実隠し、極力これで押し切っていこうという態度と言わざるを得ないと思うんです。  私は、この問題を提起しました以上、やはり民主主義の名において、憲法の名においてこんなことは電電公社にあってもらっては困るし、あってもらいたくない、こうした意味で徹底して今後とも事実を私としても追及をしていきたいと思いますし、我が党としても今後とも予算委員会とか決算委員会とか、そういう場もあります。そして最後までかたくなに事実隠しという態度を公社側がとり続けるなら証人喚問という、そういう方法もとらざるを得なくなる。こうした点で、ただ総裁に願わくは、お願いしたいのは、公社側が民主主義を大切にするという見地から、みずから進んでよく調査をし、事実を明らかにする。五十五年度の問題だけじゃありません。この長年の年度にわたって全公社的に状況はどうなっていたのか、どうなっているのか、このことを明らかにするひとつ特別の総裁としての努力をお願いしたいと思うんですけれども、さっきの答弁とのかかわりでどうでしょうか。
  152. 真藤恒

    説明員真藤恒君) この前の委員会でお答え申し上げたとおりでございます。
  153. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 この前のとおりだということでは私は簡単に引き下がれませんね。きょうもこれだけ新しい事実も含めて問題を提起したわけです。さっきも言いましたように、あしたで国会が終わったって、閉会中、決算委員会という場もあります。私、決算委員です。いろいろと今後のこの問題を明らかにする場もありますから、総裁を先頭にして電電公社側に厳重な反省を求めておきたいと思います。  それでは次の問題に、法案にかかわって移りますが、大臣、同僚委員からも今までいろいろ出ておった問題でありまするが、プライバシー保護の重要性という問題について、この法案ともかかわって、政府としてはどのように位置づけをされておるんでしょうか。
  154. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 法の、今回の事業法を含めてのプライバシーをめぐる保護規定については政府委員から答弁させますけれども、いずれにしても通信の分野の中で、今後の新しいメディアの技術革新によっていろいろな花が咲くという形で大きな期待をいたしております。と同時に、光と影と申しますか、そういった形の中で一番やはり通信にとって守られなければならないという形は、今御指摘になった個人のプライバシー保護の問題に尽きるかと思っております。そういったことを踏まえまして、今回の法案の中でもそういった面の機密の保持、個人の人権の保持という面に関しては詳しく明定をしてあるところでございます。  なお、細部にわたっては政府委員から答弁させていただきたいと思います。
  155. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 行政管理庁おられますか。——今の、そこでプライバシー保護の問題についての法的整備の準備状況を御説明ください。
  156. 藤澤建一

    説明員(藤澤建一君) お答え申し上げます。  プライバシー保護の問題につきましては、政府といたしまして、昭和五十八年三月の臨調の最終答申をいただいております。これを踏まえまして新行革大綱、これは五十八年の五月でございますが、閣議決定でございますが、及び五十九年行革大綱と申しておりますが、五十九年一月の閣議決定におきまして法的措置を含め、制度的方策の具体的検討を行う旨閣議決定をしております。  私どもといたしましては、現在各省庁の局長クラスによって構成される連絡会議等の場において検討を進めているところでございます。
  157. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 その準備作業はいつごろ成案を得る見通しですか。
  158. 藤澤建一

    説明員(藤澤建一君) 御承知のとおり、プライバシーの保護の問題につきましては、各分野との調整その他非常に詰めるべき問題等も多々ございます。そういうことで、慎重な配慮と手順を要する問題というように考えておりまして、現時点において見通しを申し上げるという段階にはございません。
  159. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 ところで大臣、ちょっと今もお言葉の中でお触れになりましたが、今回の法案の中に通信の秘密ということを明定化しているということなんですが、この通信の秘密ということを法案に書いておるということをもってプライバシー保護が全うできるのか、それでカバーできるのか、こういう問題ですね。  このプライバシー保護の考え方というのはいろいろありましょうが、一つは、OECDの御存じの八原則、さらには行管庁のもとにつくられましたプライバシー保護研究会、五十七年七月。ここで打ち出されております五原則、こういったものに要約をされてきているかというふうに思うわけでありますが、例えば行管庁、お尋ねをしますけれども、個人情報に関して集めてはならない情報、この先ほどの原則の中に、集めてはならない情報、利用制限、個人参加、適正管理、責任明確化、こういった問題を原則として挙げているわけですね。その中の集めてはならない情報としてどういうことをこの原則の中では考えているんでしょうか。
  160. 藤澤建一

    説明員(藤澤建一君) お答えいたします。  ただいま御指摘のプライバシー保護研究会、これは五十七年の七月に加藤一郎先生など専門家の方々でいろいろ御研究いただいたものでございますが、そこでプライバシー保護五原則というふうなこともおっしゃるとおり言われております。その中でただいま御指摘の関連では収集制限の原則というようなものを挙げられておりまして、その内容は、「個人データの収集に際し、収集目的を明確にするとともに、収集するデータの内容も、収集目的の達成に必要な範囲に限定すべきである。また、データの収集は適法かつ公正な手段によらなければならない。」というように言われているところでございます。
  161. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 もう少し私の方から敷衍をいたしますと、研究会報告冊子六十五ページ、そこに「思想、信条、宗教等個人の内心の自由に関するデータ、犯歴、逮捕歴、特定疾病歴等プライバシー侵害のおそれの大きいいわゆるセンシティブなデータについて収集を原則として禁止又は制限し、」云々、こういう方向に持っていくべきだということをこの研究会としても打ち出しておるわけですね。そういうふうにしますと、いわゆる通信の秘密というこのことをもってカバーし切れない重大な問題がプライバシー保護のかかわりでいろいろと考えられておるし、現にこういう提起がされておる。こういう点からいって、今度の法案に通信の秘密を文言として入れているから、したがってそれでプライバシー保護が万全にできるんだというふうには言えないはずだというふうに、政府のつくった研究会報告に照らしたってそう言わざるを得ないというこの点については大臣どう思われますか。
  162. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 先ほど総務庁の方からお答えがございましたように、現在日本におきましてはまだ統一的なデータ法あるいはプライバシー保護法というものはございません。したがいまして、各省庁におきましては各省庁所管の個別の法律の中でプライバシーの保護にかかわる規定を置くことにしているわけでございます。それらの見地から、今回の電電改革法案におきましても総則的事項といたしまして検閲の禁止と秘密の保護から始まりまして、プライバシー保護、データ保護を完遂するための諸措置を十条以上にわたって盛り込んでいるわけでございます。それは単に一条件としての例えば管理規定なり設備基準だけではございませんで、それらが侵害されるおそれのあるときあるいは侵害された場合における担保措置も含めて十分の措置を講じておりますので、少なくとも通信行政にかかわる分野、言葉を変えて申し上げますと取り扱い中の通信にかかわるデータ保護、プライバシー保護につきましては私どもの今回の法案で十分であるというふうに考えているところでございます。
  163. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 国全体としてのトータル的なそういう法律ができていないから各省庁別の法律の中でできるだけのなにをやるんだと言ったって、私が尋ねておる今度の事業法などの中に書き込まれている通信の秘密、こういうことをもってプライバシー保護が万全にできないんじゃないですか、研究会報告に照らしたって、というその点の説明にはなっていないじゃないですか。
  164. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 広くプライバシー保護という場合のプライバシーには、取り扱い中の通信にかかわるプライバシーのほかに、例えば、私的機関の扱いに係るもの、あるいはハンドマニアルによるものつまり手書きによるものと非常に幅広い概念がプライバシーの対象として考えられるわけでございます。OECDの勧告なり加藤研究会の報告は、それらプライバシー全般にかかわる問題につきまして総合的見地から報告書を出されたものでございますので、それらにつきましては総務庁が中心になりまして関係各省庁と協議会を持っておられますので、私どもも通信行政を所管する立場から積極的にこの問題に取り組んでいくというのが基本的立場でございます。
  165. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 そのような理屈を並べられても、しかし、現に二年有余経過をしておる衆議院逓信委員会で我が党の藤原ひろ子議員が当時質問したのに対して、政府としてできるだけ速やかに国会に御提示できるように作業を急ぎたいと言いながら、この作業も全く遅々として進んでおらない。こういう状況ではおよそ弁解にも値しないというふうに酷評しても余り政府として文句が言えませんね。  もう一つ、総務庁にお尋ねをしましょう。ことしの五月の三日、五十八年度の各省庁や特殊法人の電子計算機の利用ぶりについて調査をしたというその発表をしておりますが、国民一人当たり八・八件の個人情報が国の機関に集積をしているというんでありますが、一体、その中に国民の思想、信条にかかわる調査があり、一定部分は集積をされているというふうに普通常識的に思うんですけれども、どうなんですか。
  166. 藤澤建一

    説明員(藤澤建一君) ただいまちょっと手元にその資料を持っておりませんのでなにでございますけれども、私ども、各省にわたりましてそういう国民の、何といいますか、センシティブデータと申しましょうか、ということはなされていないというふうに考えております。
  167. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 そういう思想、信条にかかわるものはこの調査の中に含まれていないと思う、こう言ったって思想、信条にかかわるものは一切コンピューターにかからないようにコンピューターの仕組みをつくるということはできるんでしょうか。
  168. 藤澤建一

    説明員(藤澤建一君) コンピューターというのは、これは、もちろん御承知のとおり、一つの私どもが使います道具でございまして、それをいかように使うかということは、まさに使う方の主体によってシステムをつくるわけでございますから、それはそういうふうに目的に従って使い方はできるものだと思います。
  169. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 そんな説明をされたって、それはおよそ人を納得させるような説明にはなりませんよ。  もう一つ、総務庁に聞きましょう。一体、この問題の重大性を総務庁はどのように把握をしておられるかということのバロメーターになると思いますのであえて聞くんですが、きょうも冒頭、先ほど来電電公社の思想調査問題についていろいろ議論しました。プライバシー保護ということが大切だということを言いながら、そしてそのことを大切にしていく今後の民営新電電を目指していきますと、こう言いながら、しかし、現在の電電公社のもとで、プライバシーもくそもない、職員の基本的人権をじゅうりんするような思想調査が、これがもしまかり通っているとしたら、これこそ先ほどの研究会報告五原則にもとる重大事だというふうに行管庁としてはお考えになるでしょうね。どうですか。
  170. 藤澤建一

    説明員(藤澤建一君) プライバシーの保護の問題につきましては、まさに国民の権利、利益といいますか、基本的なところを擁護する上で重要な問題であると考えております。したがいまして、一般に個人情報に関する取り扱いに関しましては、プライバシーの侵害が生じないよう十分留意する必要があるという認識でおります。  なお、ただいまおっしゃいましたその電電公社云々という問題につきましては、私どもとしてはいまだ承知しておりませんので答弁を差し控えさしていただきたいと思います。
  171. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 この電電公社の問題については答弁を避けられるわけでありますけれども、それならば問題を一般化して、あるところで思想調査のようなことがやられておるという場合、今の政府の考えておる、総務庁が考えておるプライバシー保護のあり方とのかかわりで、そのことはいや別にそんなことがあったって問題じゃないというのか、そういうことは許されるべきではないという考え方なのか、どうなんですか。
  172. 藤澤建一

    説明員(藤澤建一君) これは研究会の報告に関連いたしましてお尋ねが先ほどからあるわけでございますけれども、研究会の報告のここで挙げております五原則といいますか、そういう考え方といいますか、精神からいきますと、御指摘のようなことはないことであるというように考えております。  なお、これは全くの念のためといいますか、つけ足してございますけれども、先ほど研究会の報告の中で一部御引用いただきました点につきましては、加藤研究会におきましても必ずしも結論をはっきり出しておるわけではありませんで、センシティブデータというようなものについては非常に法律的には特定することは困難であるということも御指摘になっておるわけでございます。これはほんの念のためでございますがつけ加えさしていただきます。
  173. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 大臣は「時の動き」という雑誌——政府発行の、ありますね。あの七月一日号でシステムのチェックを言っておるわけですけれども、これは大臣だけがチェックをするという問題ではなかろうと思うんですけれども、それこそどういう体制をつくってチェックをしていくのか、何か構想はあるんですか。
  174. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) ちょっと今、「時の動き」の中に私とのインタビューのような記事掲載があったことは事実でございます。しかし、その本文もまだ一あれも結構正直に言ったことが少し修飾されたり……
  175. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 政府刊行物だ。
  176. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 政府刊行物でもやっぱりそのような傾向に私はあるんじゃないかと思うのです。したがって、チェックという言葉がどういう形で使われたのか、特にシステムのチェックということになりますと、これは例えば一種事業あるいは二種事業の今度のいわば事業形態の区別がございます。その二種事業の恐らく大型特定VANに関してそういった技術基準がどうだとか、あるいは安全性がどうだとか、あるいは規模がどうだとか、そういった面に関しての厳しい基準資格が必要だという形でのチェックなら、私はそういう言葉を使ったような記憶がございます。
  177. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 まあちょっと唖然とするような答弁で再質問をする気持ちにもなりません。  それでは、次に問題を変えまして、これも大臣、本会議での代表質問の際に、私は民営化が必ずや料金法定制緩和、行き着く先は料金値上げに拍車をかけるというのではないかという、そういう危惧から出発をして、衆議院の審議の中でも総裁も表明をされてきた六十一年度料金体系の見直しを行うという、このことにかかわって料金値上げということが起こるんじゃないか、絶対に起こらないと、そういうことはしないというふうに約束ができますかと質問をしたんですけれども、意図があってかあらずですか、本会議での大臣は答弁をその点については避けられました。  そこで、まず再度その点をお尋ねをするわけですけれども料金体系見直しを機会に値上げをするということは、これは断じてないと、こういうふうに約束ができるのでしょうか大臣。
  178. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 一般論から申しまして、なるほど法定制の公共料金という形は、ある意味において国民生活の一つの最低の負担基準という点においては、非常に一元体制のもとでの料金体系というものはメリットがあると思っております。しかし、今回の民営化法案によって今までなかった競争原理が働き、サービス競争が開始されることは間違いないと思っております。もちろん公共性と公正競争という形の概念の枠でございます。一例を挙げるならば、すべての例えば交通体系の料金にいたしましても、じゃ公営機関が民営機関の交通機関より料金が安くてサービスがいいかということになると、あえて申しますけれども、恐らくその反対のケースが多いのが現実ではなかろうかと思っております。したがって、今後とも競争原理が公正に働く過程の中で、利用者に対するきめ細かいサービス競争という観点から見ましても、料金は下がる要素があっても上がる要素はなかろうと申し上げたことは事実でございますし、またこのことは、私が単に恣意的に申し上げておるのではなくて、公社当局自体も今日の新しい技術革新、技術水準のそういったもろもろの要件を考えた上でも、料金は下がることがあっても上がることはないという方向を明言いたしておるところでありますし、私もそのように深く期待し、またそういった形の言明が実施されることを望んでおるというところでございます。
  179. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 下がることはあっても上がることはない、このことはしかと国会としてもこの確認をしておきましょう。  さらに、もう一つ民営化がさまざまな形での国民収奪を強めていく、その一つの先触れの問題として、あれは六月ごろの段階だったでしょうか、当委員会で私も認可料金の工事料などの大幅値上げの問題を当委員会で取り上げたことがあります。それの表裏の関係で工事料金、例えば親子電話をつけるとか何をするとかという、そういう工事料金ですけれども、この工事料金は大幅に値上げをしながら、しかし実際に建設業者、工事の業者、そういうところへの発注単価はむしろ下がっているという現在の姿が出ているということ、大臣は御承知でしょうか、御存知ないでしょうか。まず大臣御存じかどうかということをお聞きしたい。
  180. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) この前の、期日の正確なことは忘れましたけれども先生から工事料の御指摘質疑があったことは確かに記憶いたしております。でも、その節の論議の経緯を聞いておりましたところ、工事料自体が四十九年ごろから据え置かれたままであって、現実の料金にはとてもそぐわない実態であるという形の中で、公社側の答弁ではございましたけれども、やむなく実施価格に近い形の価格改定をせざるを得ない状況ですという答弁でございました。私も昭和四十九年当時からの価格据え置きと、これは一つ料金規制の中での動きであったと思いますが、当時から見れば人件費にしても、あるいは物件費にしても相当な値上がりもあることでございますから、なるほど十年間据え置きの形のツケがそういった実施工事料に回ってきたのかなという記憶がございます。しかし、決してそれはいいと思ったわけではございません。そういった公社側の答弁内容であったなと、こういう形の記憶はしております。
  181. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 いや、私のお尋ねしているのは、今大臣言われましたように、工事料金値上げをするのは、工事実徴とのギャップが出ているからこの値上げをせざるを得ないという、そういう説明があったということは事実ですね。工事料金についてはそういうふうに上げながら、しかし実際に主事をやってもらう業者ですね、業者の方への発注価格、これはむしろ下がっている、こういう現象が今起こっていることを御承知でしょうか。細かい数字言ってますよ、私は。ということをまず尋ねております。
  182. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) そのような事実は残念ながら承知しておりません。
  183. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 例えばということで、幾つか実例を挙げてみましょう。もちろん物によって発注単価の切り下げの大小、これはもちろん幅がありますけれども、例えば電話の移転ですね、これが発注単価、関東地域地域によってちょっと違います。関東地域でいきますと、七千六百八十円が七千五百五十円。撤去するこの工事の単価四千五百円が三千六百円。その他、ホームテレホン新設一件三万五千六百九十円が一万一千九百六十円。ホームテレホンの撤去一万四千四百九十円が一万円。ボタン電話装置の新設一万一千四百円が七千九百九十円。ボタン電話撤去五千三百七十円が四千円。こういうことで、その他いろいろありますけれども、発注単価一覧表の、こういう表があるわけであります。  それで、大臣も御記憶ありますように、四月の二十五日付で、片や工事料金かなり大きく値上がって、こういうことになっているのは、これはどうも合点がいかぬというふうに思うんですが、電電公社説明ください。
  184. 藤田史郎

    説明員(藤田史郎君) お答えいたします。  先生の方から前回の国会におきまして、ちょうど工事料金の改定に関する御質疑のときでございましたが、工事料金の認可料金についての御質問等については、私よく心得ておるところでございます。今回先生の方からお尋ねになりました私どもの建設工事に伴って請負業者にどのくらいのお金で請け負わせているかということについての実態が、片方は上げているのに片方は下げているじゃないか、こういう御質問だと承るわけでありますけれども、私ども御承知おきのとおり、工事の単価につきましては、毎年労務費等も変わっておりますので、それについての改定と、それから本年に至りましては、特に積算における工数について一応見直しをいたしました。そういう工数の見直しとか、それから諸経費率等につきましても、何年かに一遍見直すわけでございますが、そういう見直しを試みまして、それによって適正な単価を毎年設定しているわけでございます。そういうことでございまして、決して単価を切り下げたと、そういう意図的なことで現在の単価が設定されるということになっておりません。お答えとしたいと思います。
  185. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 いろんな諸経費の変動に応じて、いわばそういう実勢に合わせて料金、単価のこの改定をやっているんだと言われても、同じ論法で料金は上がる、で、実際にやる仕事の業者のそこの発注単価、ここは下がるというのは、これどう考えてみたって納得がいかぬじゃないですか。  それで、もう少し具体例で言いましょう。  例えばボタン電話の工事料ですね。五台ワンセットとして二万五千円が工事料金。これは二万五千円が五万二千八百円と上がる。一方、業者に対する発注代金、主装置一万一千四百円プラス、これによりまして電話五台分、五千三百七十円掛ける五台分、合わせて三万八千二百五十円が、新しい料金でいきますと、主装置七千九百九十円プラス四千円掛ける五、その足し算イコール二万七千九百九十円。二七%の発注代金の引き下げでありますけれども、そうしますと、工事料が五万二千八百円。工事の発注料は二万七千九百九十円。倍近い違いが出てくる。片一方は上がる。片一方は下がる。こんなことが一体まかり通っていいのかというふうに言わざるを得ない。もっと悪く言えば、料金は高くして、国民といいますか、利用者からどんどん取る。実際に工班やる業者にはうんと低い額でしか金が渡っていかない。電電公社が、言うならピンはねをしているんか、こういうふうに思わざるを得ないような姿になっているというふうに思うんですが、説明してください。
  186. 藤田史郎

    説明員(藤田史郎君) 先ほども申し上げましたように、私ども実態調査をいたしまして、現在の適正な価額を設定しているわけでありますが、先生指摘の点の御質問の点になるかどうかちょっとわかりませんが、御説明します中で、私どもの従来やっております、一番今先生問題にしているのは、加入者に近いところの、一般御家庭に近いところの工事だと思っておりますが、最近、宅内をそのまま存置してそのまま引き継いでいってするものとか、それから屋内におけるいろんな配線がございますけれども、そういうものを残してお客様にかわっていただくとか、あるいは先行配線が最近非常に新築家屋で徹底してまいりましたので、そういうことから、かなり従来と工事の施工能率が変わってまいりまして、そういう点から私ども平均的に今の単価を出しているわけでございますが、いろんな実態が実際はございまして、それらをとりますというと、今言った施工能率というのはかなりよくなってきたような状況下にありますので、そういう点から低減傾向が出ていると想像しております。  ただ、私ども、下請関係につきましては、今工事の実態が、御承知おきのとおり、加入者の架設工事というのが四十七、八年をピークとしまして実際三分の一強に減ってきておりまして、直接家庭に近いところの工事というのはまさに架設の数でもって決定してまいりますので、かなりそういう面でその関係の業者さんが現在非常に苦しい立場にあるということはよく理解しておりまして、できるだけそういう方たちに対して幅広い、また綿密な指導ができるように努力しているところでございます。
  187. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 いろいろおっしゃいましたけれども、私が提起をした基本的な点、すなわち、利用者からお金をいただく工事料の方は上がっている、で、実際に業者の方に渡るお金の方はこれは減っているという、ここの根本問題、これは頭から否定はなさらなかったというふうに思います。ここが重大なんです。しかし、理由としていろいろ、物価等の変動もあろうし、何だろうし、年々変わるんですということですが、しからばひとつ電電公社に要求をしたいんです。事柄をひとつはっきりさせるために、例えば今年度なら今年度、現行の工事の料金、一連の工事料、そしてその工事についての業者への発注料金、これの前回と比べてどういうふうにそれが変わったかという一覧表をひとつ国会に対して資料として提出をしていただきたい。なかなか公社は、どうもこういうものを出したくないという態度を今まで続けてきているんですけれども、一層ひとつこの問題を公正にするために、ひとつそれを資料として出していただきたい。どうですか。
  188. 藤田史郎

    説明員(藤田史郎君) 今、資料提出の御要請がございましたけれども、私どもの建設工事は、ちょうどこの前認可していただきました工事料金の設定のように、お客様から料金をいただくということから、各電話局ごとに集約して料金設定をしておるわけでありますから、私どもの建設工事というのは、その工事の仕方によって一件一件決めて、それを平均したものでございますけれども、そういう形でそのまま対比するという形になかなかならないような仕組みになっておりまして、御要請の形の資料ができにくい状況にございますので、御了承のほどをお願いしたいと思います。
  189. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 納得できません。なぜそういう料金一覧表が国会に対して出せないのか。少なくとも今電電公社でしょう。そんなことを言われると、なおさら民営化になったらこれはどういう方向へいくんだろうということにますますならざるを得ない。今の電電公社のもとで、国民からいただく料金はこういう姿、発注業者に対してはこういう姿、これがなぜ出せないんですか、総裁。——いやいや、もうあなたはいいです。総裁、どうですか。
  190. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 担当者の後に総裁に答えてもらいます。
  191. 藤田史郎

    説明員(藤田史郎君) ちょっと言葉不足の点もございましたが、私ども決して工事内容について全く一般の方にお知らせしていないわけじゃございませんで、例の中央建設業審議会というのがございまして、そこでかなりの提言をいただいておりまして、工事単金積算要領等についての公開をできるだけしなさいということがございまして、私どももできるだけそういう公開をしたいということで、本年の四月から今申し上げた、先生からも御指摘を受けました宅内関係の工事の積算の要領、例えば工数、それから諸経費率等については一覧表にして、閲覧方式でございますけれども、私の手元に用意してございますので、そういう形で、わかるような形にはなっておりますので、ちょっと補足させていただきます。
  192. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 そういうことであれば、なおさら、せめて国会に対しては資料として提示するということはできる話じゃありませんか。ということで、総裁どうでしょうか、お考えは。
  193. 真藤恒

    説明員真藤恒君) これ私まだ細かく報告を受けておらない問題でございますので、よく調べまして後刻、どういうふうにするか、御連絡いたしたいと思います。
  194. 藤田史郎

    説明員(藤田史郎君) それから、先生もちろん御承知おきのことでございますが、従来からこういう資料出さないという御指摘を賜っているわけでありますが、内容的に私どもの工事は建設業法に基づいて、現在請負工事をしておりまして、一応競争入札という建前のもとでやっておりますので、ひとつそういう関係での私どもの資料につきましては、建設省その他が行っています形とほとんど類似の形でやっておるために、その内容等についていろいろ一般に公開することがしにくい状況にありますので、その辺ひとつぜひ御賢察のほどをお願いしたいと思います。    〔委員長退席、理事片山甚市君着席〕
  195. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 もう一つ、この料金価格の問題にかかわって、今も言いました実際に工事をやる業者に対しての発注価格、これはむしろ下がってきているという、ここに加えてそれが元請から下請の段階にいくと一層それが下がっていく、こういう現象があるわけですね。我が党はこの元請業者のピンはね問題を、この分野だけじゃありませんけれども、全体にわたって今まで国会でも何回か取り上げてきているわけですけれども、この分野について言えば、私いろいろ調査をしたところ加入電話の新設、引き込み線あり、これが三千五百六十円、引き込み線なしが千八百四十円、附属機器の新設千九百四十円ということでこれも公社発注価格の三二%、三八%、三二%、こういう価格で実際にやらされていますというふうに下請業者が語っているわけですね。こういう民主主義に反するやり方として、大いにこの下請泣かせのこの悪徳商法とも言うべきこのやり方については国会でも問題になってきたことでありますし、ぜひひとつ実情をよく把握をしてもらうということと、そういう過酷な下請いじめが起こらないような適切な対処をぜひひとつ検討してもらいたいというふうに思いますが、どうですか。
  196. 藤田史郎

    説明員(藤田史郎君) ただいま先生から御指摘もございましたように、下請関係に関する問題につきましては、過去におきましても国会等でいろんな場面で私ども御注意、御指導をいただいているところでございまして、特に今日のように私たちの総体的な工事量が従来のように伸びていない状況下におきましては、私たちも十分それを承知しておりまして、元請業者が不当な下請代金で契約することのないよう、これは建設業法関連法令に照らして、今先生の方からいただきました諸提言につきましては十分しんしゃくして私どもの建設工事の指導に当たっていきたいと思います。
  197. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 それで次は、電気通信の軍事目的にこれが民営化を通して利用されていく危険の問題について幾つかの質問をいたします。  七月の七日付の日経新聞に報道をされましたけれども、七月の十日から十八日ごろですか、にかけてアメリカの国防総省が日本の電子技術に関する調査団、これを日本に派遣をしたと、こういう報道があるわけですけれども電電公社と通産省の工業技術院の関係になりますが、それぞれにまず実際にこの調査団が来たのかどうか、それに対してそれぞれはどういう対応をされたのかということについてお答えをいただきたいと思います。
  198. 山口開生

    説明員山口開生君) お答えいたします。  ただいま先生が御質問の米国の国防総省の武器技術に関する調査団が去る七月の九日から二十日まで来日したことは本当のようでございます。その際に私ども電電公社の武蔵野通信研究所を視察をしたい、あるいは訪問したいという話もあったようでありますけれども、私どもは直接聞いてはおりません。ただ、政府筋で非公式に電電公社にそんなことはどうだろうかなというような話がございまして、私ども先生御承知のように公衆電気通信の設備機器の研究開発をやっておりますけれども、武器の研究をやっておりませんので、せっかくですが調査団がお見えになっても何ら私どもとお互いに話をする共通のものがないということでお断りをいたしまして、その後何もそれについて話がございませんでした。    〔理事片山甚市君退席、委員長着席〕
  199. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 通産省。
  200. 渡辺修

    説明員(渡辺修君) お答え申し上げます。  アメリカの国防総省からの調査団の件でございますが、窓口は防衛庁の方でアメリカ側と打ち合わせいただいた経緯がございまして、通産省と一般的な武器技術問題についてのディスカッションをしたいということで通産省の方に御訪問されました。それに対しまして、我々は機械情報産業局とそれから貿易局、両局が担当課長で対応いたしたというのが通産省に関する調査団の関係でございます。
  201. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 通産省の関係、工業技術院の電総研にアメリカの調査団が出向きたいと、こういう申し出があったんじゃないですか。
  202. 沼倉吉彦

    説明員(沼倉吉彦君) 先生御質問のアメリカ国防総省の調査団でございますが、七月の七日に来日いたしまして九日から調査をいたしております。七月二十一日まで調査をいたしました。それで、調査団の目的は、防衛分野におきます日米の技術協力という関連から、関連する企業の技術力とか状況を調査したいというのが調査団の来日の目的でございます。  ただいま御質問がありました訪問先でございますけれども、防衛庁といたしましては、従来から国防総省等が防衛関連の企業等に訪問したいということがございましたときには仲介の労をとっております。今回、電総研の問題につきましてはそういう希望があるように聞こえておりますけれども、日程調整の段階でそれが入る余地がなくてそのままなくなっておるというのが実情でございまして、向こうから訪問を希望してきたところについては十分仲介をしたわけでございます。
  203. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 そうしますと、工業技術院の電総研については、アメリカ側から希望はあったけれども日程調整の段階で無理と、こういうことになったということですね。
  204. 沼倉吉彦

    説明員(沼倉吉彦君) そのとおりでございます。希望があるように聞こえましたですが、直接希望の表明を受けてはおりません。
  205. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 そこで、防衛庁が窓口で、訪問先はいろいろ紹介をするんだということでありますから、この民間八社——三菱電機、日本電気、東芝、日立、シャープ、松下、富士通、住友電工ですか、ここらのところについては防衛庁が紹介をしたと。当然防衛庁は同行したんですね。
  206. 沼倉吉彦

    説明員(沼倉吉彦君) 正確には、防衛庁が直接仲介の労をとりましたのは六社でございますが、通産省にも仲介をお願いしたのが二社ばかりあるわけでございます。  いずれにいたしましても、仲介というのは全くの仲介でございまして、それから後こういう調査団を受け入れるかどうかというのは全く企業の自主的判断に任せてございます。  それから、同行について御質問がございましたが、私ども職員が、先ほど申し上げました六社につきましては立ち会いをいたしております。以上であります。
  207. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 通産省同行の話が今ちょっと言葉にもありましたけれども、通産省はどこどこへ同行したんですか。
  208. 渡辺修

    説明員(渡辺修君) お答え申し上げます。  先ほど来先生指摘のありました幾つかの企業がございましたが、これらの企業はいずれも当省の所管に関する企業でございますし、防衛庁と御相談を申し上げまして、調査団が訪問する暁には防衛庁に加えて我々も担当職員一名が同行した経緯がございます。
  209. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 防衛庁、この機会にひとつ全体の姿をはっきりさせるために日程表といいますか、何月何日アメリカの視察同がどこの会社のだれと会見をしたのか、また、視察をしたのか、こういう日程表を明らかにしてもらうということ似できますか。
  210. 沼倉吉彦

    説明員(沼倉吉彦君) おおむねそのような日程表をまとめられるかと存じます。
  211. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 やっぱり私は事は重大だと思うんです。この民営化を機会に、アメリカが我が国の電気通信を、安保条約体制のもとで今までもいろいろな形でのこれを軍事目的に利用しようという動きがさまざまあっただろうと思いますけれども、それが一層強まってくるという危険をやはりこの一事が如実に示しているんじゃないでしょうか。最終的には日程的に無理だったということでありますけれども、防衛庁の管下の組織だけじゃない。通産省のもとの電総研にまで行きたいという意向をかねがね持っておったということでありますし、それから民間会社とはいえ、そこへ視察に行くに当たって防衛庁の職員だけじゃない、通産省も同行をしている。こういうことは本当に日米一緒になって、アメリカと日本の政府一緒になって、今の段階でさえ日本の電気通信技術を軍事目的に使っていこうというこういう動向がいろいろ出ている。これが民営化されたらそれこそ、今さっきもおっしゃっておったように、今の電電公社が公衆法のもとで規制をされていますので、今このアメリカの武器調査団が来ましても、はいはいというわけにはいきませんということですが、これが民営化をされたら大変なことになるだろうという杞憂を持つというのは当然じゃないでしょうか。そうした点で、今の点にかかわって、もしも民営新電電になったら、アメリカから一遍日本の電気通信技術を見たいと、通研を見せてくれと、こう言ってきたときにどういうふうに対応するんですか。
  212. 山口開生

    説明員山口開生君) その前にちょっとお断り——あるいは私の説明がまずかったかと思いますが、私どもは公衆電気電信法で縛られているから今回の調査団にお話がないとこう申し上げたんではなくて、私どもがやっている仕事は国防的な武器を仕事としてやっておりませんので、したがいましてそういう調査団が公社に見えてもお互いに共通の話がないからお断りをした、こういうことでございます。私どもはやはり公衆電気通信というものを業としているわけでございまして、研究開発につきましてもやはりその目的に沿った研究開発をやっていこうと思っておりますし、それ以外の武器まで手を出すなんということは全然考えておりません。したがいまして、経営形態が変わりましても、先生が今おっしゃったようなことは起こらないと私たちは思っています。
  213. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 それでは、これは郵政省に聞きましょう。  民営新電電になった段階で、アメリカの武器調査団が例えば通研を視察したい、いろいろひとつ共同研究に協力をしてもらいたい、こういうことを言ってきたときに、この今度の新しい法のもとでは、法的にそういうことはできるのかできないのか、応ずることができるのかできないのか、どうなんですか。私は、現行法ではやっぱりそれはよろしくないというはずだと思うんですが、新法ではどうなっていますか。    〔委員長退席、理事片山甚市君着席〕
  214. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 現行法におきましても別に、だからできないということはないと思います。それと同時に、やはり関係のないことはお断りするというのは当然でございまして、民営になりましても、これは事業体として一切共通の話題がないということが明らかな場合、断るのは当然だろうと思います。  それから、これは民営であろうと、公衆法のもとにありましょうとも、そういった研究の結果、さらに個人の問題、秘密の問題やなんかにかかわる問題、このときに断るのはこれは当然のことでございまして、それにかかわる問題であるということならば、公社または新会社でも断りますでしょうし、これからも共通の話題がないというような場合においては断るのは当然でございまして、これは一にかかって事業体の問題だろうと思っております。
  215. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 電電公社に聞きます。  もし、民営新電電移行をするということになった場合、アメリカから軍事目的の技術研究のそういう協力申し入れが、日本側というか、通研側にあった場合には、どういうふうに対応すべきであるかと考えておりますか。
  216. 山口開生

    説明員山口開生君) 私ども現在でも、例えば公衆電気通信に関する共同研究につきましては、米国のATTあるいはIBMと共同研究をやっております。これはあくまでも電気通信に関する共同研究でありまして、お互いに長所を発揮して効率のいい研究をしていこう、こういう目的でやっております。それがまた日本の国の電気通信の発展に大いにプラスになって、利用者の皆さん方に還元していくものだと、こういう趣旨のもとにやっておりまして、したがいまして、経営形態は変わりましても、私どもは同様に、アメリカだけではなくて世界各国のいい技術があれば、それを十分に取り入れていこうという気持ちを持っておることは事実でございます。ただし、今、先生が御指摘になった武器の技術に関して共同研究なんということは全然考えておりません。
  217. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 それなら、もう一つお尋ねをしますけれども、通研において——これは通研にとどまらず、国公立の大学やらあるいは国の研究機関全般について、自衛隊との共同研究問題が国会でも何回か議論に上っておる問題であるわけですけれども電電公社の今のこの現状では、自衛隊との共同研究ということは一切やっていませんというふうに、国会でも答えておられる経過なんですけれども、民営新電電になったときにはどうするつもりですか。
  218. 山口開生

    説明員山口開生君) 基本的姿勢は先ほど申しましたとおりでございまして、ただ、私どもは、法律にもございますように、研究開発の成果を広く利用するようにという義務を負わされております。従来からも、国際会議あるいは国内学術会議といった学術会議で研究の成果を発表しておりますし、あるいは国際的なシンポジウムで成果を発表しております。したがいまして、私どもは防衛庁と共同研究をしようということは現在考えておりません。今言いましたように、私どもが研究開発しました成果を学会の論文でもって発表いたします。そういったものをやはりある意味でごらんになることは自由だろうと思っております。
  219. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 本日はこれで終わります。
  220. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 本百一国会が七十七日間の会期延長をいたしまして、そして、この電電三法が委員会に付託され、衆議院を通過いたしまして参議院に送付、いよいよ参議院逓信委員会における三法の審議も今やたけなわというところで、明一日をもって今国会は終了ということになりました。審議に携わってきた者として粛然たる思いがいたします。  そこで、けじめをつける意味で、私自身の観念の統合を図るためにも、その法律案作成の衝に当たってこられました小山局長に、いま一度この三法律案の目的とするところを大いにひとつ弁じていただきたいと思います。
  221. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 目的でございます。これは、我が国の電気通信はこれまで電信電話といった単純で画一的なサービスを中心として、電電公社公社制度のもとで一元的に運営してまいりました。この成果というのは、昭和五十三年度に至りまして、積滞解消、全国自動即時化というものを達成いたしまして、私どもの日常の生活のなくてはならぬ通信手段として、私たちの日常生活に立派な通信手段を与えてくれたということで、公社制度における電信電話を中心にした拡充計画というのは非常に立派な成果を上げてきたものだと、私たちは評価しておるところでございます。  しかしながら、最近の電気通信技術の進歩に伴いまして、電信電話以外の電気通信媒体、具体的にはファクシミリ通信、データ通信、ビデオテックスと言われるところのキャプテンシステムと言われます画像通信、こういった電気通信のケーブルを通しまして画像通信まで送れるというようなことになってまいりまして、このような技術の進歩と同時に、これに対しましてユーザー側といたしましても、そのような多様なサービスを希望するという人が非常に多く出てきたわけでございます。  そういたしますと、今までの電信電話という、単純なといいますか、一つの目的に向かって一つの事業体がまっしぐらに、人材といい、資金といい、また法律の保護を受けて、それに対して労使双方が努力をしてきたという場合と異なりまして、ファクシミリ通信、データ通信というような媒体を、今までのような画一的なサービス計画ではなかなか供給できないわけでございます。ある点におきまして、ある地域において、ある時点において、こういったサービスを欲しいというときに、全国的な規模でサービスをしていく場合には、どういたしましても計画性を持ってやりませんと効率が上がりません。そういたしますと、どうしてもある時点における地域的な要望というものに対しては時間的に延びるというようなことがございます。そこで、多様な媒体を多様な需要に合わせるという意味において、単一の事業体においてこれを行うよりも、むしろ多元的な事業体をつくることによりまして多元的に応じていくという方が、これからの電気通信としては最も利用者に適切なサービスができる形になるのではないか、こう判断したわけでございます。  そういたしますと、このような多元的な事業体によるサービスということになりますと、今までの電電公社は一元論でございますので、独占でございます。    〔理事片山甚市君退席、委員長着席〕 独占のために、非常に適した事業体の経営形態であったことが、多元的になりますと、必ずしも今度は適切な事業体ではない。むしろ多数の事業者間において切磋琢磨して、競争原理の中において自由な発想で、自主性を持った経営をもって、労使一体となって活力を持ってこれに当たるということが最もこれからの電気通信の世界に望まれることでございます。しかも、電電公社の後進であります新電電は、これからも加入者線等については恐らく相当期間は今のような状態が続くとなりますれば、ますます活性化した形で労使の関係によって自主性を持った、労使一体となった国民へのサービスということをしていただかなければならない。そういうことでございますので、経営形態も民営ということにいたしまして、ただ民営といたしましても従来の経緯からいたしまして、特別な任務を持った、特別立法によります特殊会社という形で民営化するということが適切な方途ではないかと考えた次第でございます。  なお、この両法案の非常に大きな展開でございますので、いろいろ関係するところの法律が多くあります。そこで、その両法案の変更に伴いましていろいろ関係する法律等をこれに伴って改正しなければなりませんので、両法に伴う整備法というのを出しまして三法案を御審議いただいているということでございます。
  222. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 そうしますと、今回のこの法律案のうち特にこの株式会社法にありましては、電電公社を株式会社にして当事者能力を付与する、それが一義的な目的ではなかったわけでございますか。
  223. 小山森也

    政府委員(小山森也君) これはどれが一でどれが二というわけにはまいりませんのでございまして、多元的な経営を導入することと電電公社民営化するということは同時に行うべきものでございまして、一義的、二義的ということはございません。どちらも一義的であると思います。
  224. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 大臣にお尋ねいたしますが、私の記憶に誤りがなければ、前任の箕輸大臣のときにやはりこの逓信委員会公社民営化論が議題となりましたときに、ここにいらっしゃる総裁は、やはり当事者能力を付与していただきたいという方向の答弁であったと思いますが、必ずしも箕輸大臣はそれにコミットする発言はなさらなかった、このように理解をしております。今は奥田大臣はその点におきましてはさような考えは全くございませんですか。
  225. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 私の先輩である箕輪元大臣が当委員会でどういう発言をなされたかということについて、まだ詳細な資料は持っていないわけでございます。しかし、考えてみますと二年前、当時の臨調の答申が出された直後の状態というのは、この民営化論というもの自体がまだ関係の皆さんにも果たして成熟した形で受け入れられたかどうかという形は非常に難しい問題だったと思います。しかし、箕輪そして桧垣前大臣と経由して私の番になったわけでございますが、この期間において、当初の臨調の民営分割という論議の中から、民営化はしてもやっぱり一元的運営での通信主権体制を確保する必要があろうということ等々、大変議論の経過も経てまいりました。各国の例もつぶさに検討もしたという経過もございまして、こういう形の中で今回の法案は特に民営化に当たっては経営責任を明確にする、そのことによってほかの特殊会社と違ってけた違いの日本一の大企業に変貌するわけでございますけれども、当事者能力を付与する、それによって目的とするところは国民に多彩なきめの細かいサービス料金のそういった安い料金サービスによって還元していただこうというわけでございますから、私としては最大限当事者能力の付与に全力を傾けたというところでございます。
  226. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 小山さんにお尋ねいたしますが、二次臨調の答申が出て、今大臣もおっしゃいましたけれども、本法律案はいわゆる行革関連法案一つであると、こう言われておりますし、我が党も行革与党といたしましてその一環としての本法の成立を強く望んできた経緯がございますが、小山局長、やはりこの三法は行政改革関連法案、すなわち行革の本旨とするところに合わすためにつくられたという面もあるわけでございますか。
  227. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 行革の精神に沿っているものであると考えております。
  228. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 確認をさせていただいておきます。  幸いにこの三法が成立をいたしました暁には、当然ながら郵政省は生みの親として、後どのように生み落とした子供が育っていくかを慎重に見守って、立派な大人になっていくようにするべき義務があると思います。  そこでお尋ねをいたしますが、本法成立後、巨大なる新電電が誕生いたします。あらゆる電気事業は平等互恵の原則に従って自由化されるわけでございますが、それに合わせた郵政省の政策の展開というものはどのようになっていくか、小山局長その抱負をひとつお述べいただきます。
  229. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 非常に難しい御質問なんですが、適切にお答えできるかどうか私ちょっと自信ございませんけれども、私どもといたしましては今回の法案が成立した暁におきましては、この法律を立案するに当たりましての一番の基本でありますところの電気通信というものが時間を超越しあるいは距離を超越し、それでいつでもどこでも使えるという状態にすることがこの電気通信のこれからの目指すところの役目でございますので、それに適した形の政策の展開が必要であろうと思います。特に料金関係につきましては、いつどこでも使えない、具体的に経済的に使えないような状態にあったならば、これは何にもならない、こう思っております。  そういうようなことが実現できるのは、この法律の一つの精神としてやはり競争原理の導入ということによりまして、それぞれの事業者が活力あふれた形の発想をとりまして、競争の原理の中におきまして公正な競争を展開していく、その中において最も良質低廉なサービスを行っていくということが一番大事なことではないかと思います。  そういたしますと、公正な形の競争原理の導入による公正競争ということをまず第一に実現していくことが私ども一つの責務だと思っております。  したがいまして、新電電は巨大ではございますけれども、新電電はまた同時に非常に電気通信に関します。ただ一つのノーハウの所有者でございます。そういった意味におきまして、みずからも競争原理の中で切磋琢磨していくということの使命も負っておりますので、競争原理の導入によりみずからも良質なサービスを提供していく、実現するためには、いわゆる第二電電、第三電電というものに対しましてもノーハウを公開していくとか、あるいは新規参入の枠組みの中においてなるべくお互いに共同し合って、共同のこれからの国民への奉仕の事業体であるという意識によりまして、よき意味のライバル、よき意味の共同者となっていただきたいと思っております。特に、今後の新規参入は第一種事業者につきましては許可制でありますので、完全な競争というのはこれは許可制というものには伴わないわけでございますので、したがいましてそれには市場価格というのは完全な形で反映いたしません。そういった意味におきましても、お互いに切磋琢磨する中において譲り合うということが必要ではないかと思います。それと同時に、国民の側から見ましても、一つの投資というものは非常に高価格で行われますので、これによって短期的な目で見た競争というのはかえって公正な競争ではない、かえって質の悪い高いものを利用させられるということになりますので、新事業者におきましてもそういった意味におきまして単に短距離的、短期間的に見た意味の競争原理の導入ということでない点から、今後こういった業界に活力を持って入っていただくことを期待しているところでございます。
  230. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 圧倒的な情報化時代に向けて、新しき革袋に新しき酒を入れるには新しい法律が必要ということで、まずもって本法律案がそれを目的として考えられ、結果としてそれが巨大なる株式会社を生み出し、またそれが結果として行政改革の本旨にも沿うものである、このように理解してよろしいかと思うんですが、大臣お尋ねいたしますが、やはり生み落とした親からすれば、余り過保護にあれやこれやと面倒を見るよりも、健全に自由奔放にその子供が育つ、これが結構なことではないかと思うんです。したがいまして、本法の趣旨からしても、多様な介入でありますとか牽制等々は、新電電あるいは第二電電等、兄弟となるべき会社についても必要ではない、私はこのように思うんですけれども、その辺についての御見解をお伺いいたします。
  231. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 基本的には全く先生の御指摘と私は同感でございます。また、そのようなことに配慮して今度の場合、特殊会社の、大体七つぐらいの特殊会社の例を引用して申し上げるまでもなく、これだけの巨大民営企業として誕生をするというはなむけと申しますか、国民の期待と申しますか、そういった形を何によってこれをあらわすかということになれば、もう先ほども申しましたように、緩やかな、できるだけ政治的な介入の少ない方向、そして新しい濶達な活力にあふれた労使関係も含めて、公共性という使命感もたぎらして、新しい形で発足をしてほしいと。できるだけ健康で、しかもだれからも褒められるようなそういった——こういう表現をしたらあれですけれども、同じ子供を産むなら正常児で、全部国民が祝福して、そう余り嫌がらせをしないで、できるだけそういった国民に祝福を受けた中で新しい民営会社が発足していただくということを切に希望しておる次第でございます。
  232. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 総裁にお尋ねいたしますが、今お聞きのように奥田郵政大臣も小山局長も本当に誠心誠意本法の誕生を、そしてひいては新電電の誕生を希求しておいでだ、こう理解いたしましたが、電電公社総裁といたしまして、この本法をどのように理解し、その趣旨をどのようにこれから生かしていかれるおつもりかお伺いをいたします。
  233. 真藤恒

    説明員真藤恒君) 私どもは、当事者の立場から、私ども民営化されるというのは、これからの高度情報社会に最も適切な電気通信サービスを日本の国に提供できるような法体系が考えられて、その一環として私ども公社から特殊会社に変わっていくというふうに了解いたしております。  したがいまして、私ども当事者といたしましては、その精神に沿ってできるだけきめの細かなそしてできるだけ合理的な料金で日本の電気通信社会を進歩させて、ほかの先進国の高度情報社会への変革におくれないように、またさらにそれよりもいいものをつくっていくということに全力投球することが使命だというふうに考えております。この法体系の中では、そういうことを自主性を持って、言いかえますと責任を持ってやる義務がある。したがいまして、社会的な責任というのは公社制度のもとよりも当事者にとってははるかに重たくなるんだというふうに了解いたしております。
  234. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 先日、公述人として全電通の山岸委員長に御意見をお伺いいたしました。その節、委員長ははっきり申し上げてあんまりもうかっておらぬところと一緒になって、総予算の枠をかけられて、そういうふうに我々が一生懸命働いて、せっかくパイを欠き、しても、そのパイの取り分がこないというのは困る、このようにおっしゃったんですな。  総裁は、そうしますと、急に次元の低い話をいたしますが、今おっしゃったような壮大な理想からすれば、電電公社が、今回の法律が成立することによって、株式会社になることによって、言葉をかえれば金もうけがしやすくなるから、だから本法律の成立を強く望むというふうには考えていらっしゃいませんか。
  235. 真藤恒

    説明員真藤恒君) 私の基本的な考え方は、企業の性質というものは企業の中の人間がどうあるかということで根本的に変わってくると思います。したがいまして、企業の中の人間が努力すれば努力するだけの、そしてそれが世の中から評価されれば評価されるだけ、やはりそこに働きがいがあるということにおいてのみ企業の中の人間の作業意欲といいますか、自分の仕事を通じての社会人としての使命感は高揚されるもんだというふうにかたく信じております。現状の状態ではそれはすべてが逆さまになっております。その点を山岸委員長ははっきり申し上げたものだろうというふうに了解いたしております。今のままでは、ほかの同類の事業団体とさま変わりなことをやっておりましても、一つもさま変わりなことには職員にとってはなりませんので、これでは幾ら理屈を並べてみても、国家使命的なことを言ってみても、これは無理だろうというふうに考えております。
  236. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 私もそのように実は承りたかったわけでございます。理想、目的、それは結構でございます。ございますけれども、やはり電電には総裁のもとに三十数万人の職員がいらっしゃいます。その人たちが一生懸命働いていろいろな新しい商品を生み出したり新しい企画をどんどん実現することによって、これが国民サービスにもなるし、それから社員にとってもそれが生きがいであり、働きがいであり、収入も向上するというのは私は大いに結構なことだと思います。ひとつ総裁、今の御趣旨に従って両々相まって頑張ってくださることをお願い申し上げておきたいと思うんです。  さて、それに関連いたしまして、この法律案は総裁からごらんになりまして、言うところの当事者能力は十分に担保されていると御理解でございますか。
  237. 真藤恒

    説明員真藤恒君) この当事者能力というのは、私はむしろ法文のいかんということよりも我々のあり方が第一義的な問題だと思います。私どもがとやかく山間から、また行政官庁の面からごらんになってなるほどという形で動いている限り、外部からの干渉というものは最小限度におのずとなっていくものだろうと、またなっていくものだというふうに思っております。それは一般の会社組織の企業の場合も同じでございまして、きちっとした形で動いておれば外部からだれも何も言わないというのが普通でございまして、何か妙なことになるとがたがたやられるということで、この自主性の問題は自主的な経営能力が、あるいは生産能力が、サービス能力があるかどうかということの方が先でございまして、いわゆる行政官庁とのやりとりというものは結果としてその姿が出てくるというふうに考えて、当事者としてはそういう考えに徹すべきだというふうに思っております。
  238. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 伺いまして、私は実は新規参入業者と比べてこの新電電にはイーブンな条件がないように思えるがどうかとお尋ねをしようかと思ったんですが、総裁そんなみみっちいことをお考えじゃないでしょうからこれは質問いたしません。  大臣にお尋ねいたしますが、もしこの法律案——会期はあと一日でございます。成立しない場合、その場合のデメリット、影響するところはどのようなものであるか、ひとつ端的にお示しをお願い申し上げます。局長でも結構でございます。
  239. 小山森也

    政府委員(小山森也君) まず今国会で成立しなかった場合、まずこれがいつになるかちょっと見当がつかないということ、四月発足ということが危うくなるということになりますと、今までもいろんな議論がありましたアメリカとの非常に技術の差というものを御心配なされております高度の付加価値通信、VANの制度でございます。これはただいま中小企業VANの参入ということでようやくアメリカ並みの電気通信の高度化というものが進んでいるわけですが、これが制度化されました場合においては、中小企業VANというのは限定的な閉鎖的なVANではなしに開放的にしかもかなりな高度なVAN業務というのが制度上認められるわけでございまして、これがまた延びるということになりますと、極めて我が国の通信事業といたしましては、特にアメリカと日本というのは世界で一、二を争っているというときに、いつも言われるように、一と二が余りにも差がまた激しくなるおそれがあるということで、ぜひともこれにつきましては、その格差というものを今縮めるということが、今の一年は後の何年にも該当するくらいの今の技術の進歩でございますので、その辺御理解いただきたいと思っております。  また、産業界といたしましての問題といたしましては、回線の利用の自由化と端末機器の自由化というものが今回組まれております。これは公衆電気通信法におきます役務というものの提供という概念から今度は事業法ですっかり変えたわけでございます。そういたしますと、端末機器の自由化ということは、これは非常に今の産業界に活性化の一つのモメントを与えることになります。それは何も産業界だけに限らず、そういった自由な営業活動を通じまして、最終的な利用者が、安い、よい器具というものが入手でき、かつ利用できるということでございます。この機会が遠のくということになります。  それから、今度は事業体側の問題といたしまして、特に電電公社というのは、今までの公社から会社に移るということは大変なことでございます。今の公衆電気通信法というのは、いわば約款法のような形が一部にはとられているわけでございます。それが今度の法改正によりますと私的自治ということで契約約款というのは全部事業体がつくるということになります。その事業体を新たに制定しなければならない。これは御利用になる皆様方と新電電との利審関係が直接に結びつく問題でございまして、これにつきまして、相当な程度の期間をもってこれを用意しないということは、結果的にサービスに当たりまして専業体と利用者との関係が非常に緻密な計画が打ち立てられないで発足するということになりまして、いわゆる権利義務関係が明確にならないというようなことがございます。  また、財務会計制度というのも、今はまさに予算制度でございます。これはどちらかといいますと、第一義的には税金を使う、そういった形の資金を使うときに最も適切な方法が予算制度でございます。事業をやるというためには必ずしも適しているかどうかわからない制度でございますが、それを商法、税法に基づく会計制度に全部直さなければならない。しかも全国二千五百局の日常業務に直接影響するということでございます。特に、地方税の関係になどなりますと、本社でもって一括してやるというわけにまいりません。各事業所が各事業体との関係において、いろいろな関係を整理していかなければならない、これは大変な作業だと思います。これは、事業体の方からお聞きいただきますともっと切実な話が聞かれると思いますけれども、私ども考えただけでもこれは大変な作業です。いわんや、この制度というのは形だけ整いましても、それを実際に運用する職員の方がそれに習熟していなければならない。そうしますと、その訓練というのは一日、二日でできるものではないと、こう思っております。  そのほか、今度の新しい競争原理の導入ということで、いろいろな企業プランを持ちましてこれからの制度にぜひ活力あふれる企業活動をしようとしている方々に対しまして、ある意味においては水を差すような形になります。これにつきましてはどれくらいプラスかマイナスかということはなかなか明確にはかれません。それがよいことかどうかということもいろいろ哲学のある問題でございますが、しかし、そういった大いなる希望を持って企業活動をしようとしている方は非常に落胆するのではないかと、こう思っております。  大体、完全なお話ではございませんけれども、このようなことが考えられる次第でございます。
  240. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 事の重大性が私にも十二分によく理解できました。  しかし、衆議院では私は十分なる審議の後に採決をいたしまして参議院に送られたと理解はしております。けれども、一方ではやはり参議院で十二分に審議をして、場合によればこれが例えば継続審議になってもみんなから祝福されて完璧なものにしてから生み出した方が、丈夫に生んで育てた方がいいじゃないか、こういう論がございます。その場合、あす一日です、会期は。あすじゅうにもし本法が成立しない場合のデメリットですね、しかしそのかわりに非常に立派な、みんなに祝福される赤ちゃんが、多少はおくれても誕生するかもしれませんが、その場合の立派な赤ちゃんが、少し月おくれではあるけれども誕生するメリットと、今局長指摘をなさいました本法があすじゅうにもし成立をしなければ、これだけのデメリットがあるということを相殺いたしまして、そのプラスとマイナスは、メリットが大きいですか、デメリットが多いですか、ひとつ確認をさしていただきたいと思います。
  241. 小山森也

    政府委員(小山森也君) これは、私どもといたしましては、国会に御審議を願っていることでございまして、それに対しまして、どれが健康な赤ちゃんであるかどうかということは国会の御意思によって決められるものでございまして、私どもがとやかく御批判するという立場にないわけでございます。ひとつ御理解のほど願いたいと思います。
  242. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 しかし、局長がるる述べられた点から、おのずからそれは明らかであると私は理解をさしていただきます。  総裁にお伺いいたします。  総裁、もしこの本三法があすじゅうに議了、成立をしない場合、新電電がそれだけ発足がおくれるわけでございますが、場合によれば、廃案を御主張なさっている政党もあるわけでございますから、誕生じないことになるかもしれませんが、その場合は、どういう影響、デメリットがございますか。
  243. 真藤恒

    説明員真藤恒君) いわゆる死に手になる危険性が多分にあると思います。そうすると、やはり大手術をやらないと母体が大変なことになるということになる可能性もあろうかと思います。その辺のところは、この前公聴会のときに組合の山岸委員長が端的に申し上げておりますが、私も同じような考えをいたしております。
  244. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 総務理事さんに伺いますが、少し具体的な、例えば手続上の問題でありますとか、局長がいろいろ指摘なさいましたね。そういう点について、公社から、もし本法があしたじゅうに成立しない場合はどういうことになるか。
  245. 児島仁

    説明員児島仁君) まず、具体的な問題と、後でちょっと全体的な話もさせていただきたいと思いますが、技術的には、ただいま私ども二つ大変な作業があると思っております。  それは、今回、公衆法がなくなるということで、お客様と私どもの間の契約、あるいは利用約款というものがなくなってしまうということでございますから、全く新たにこれをつくりかえて、郵政省の認可をいただかなくちゃいかぬ。これは私どもとしては大変な作業でありますと同時に、認可をされます郵政省としても相当の時日が要るだろうというふうに考えております。しかも、これはサービスでございますから、お客様方の利害に関するものでございますから、相当慎重に内容の検討もしなければならぬという意味においては重大であろうと思っております。これは相当の期間を要します。  それから、私ども、今官庁に準ずる予算制度でやってきておりますが、これはある意味では相当大まかな予算でございます。それが、私ども今後、株式会社になるということは、あらゆる税法上の問題、あるいは商法上の問題の上での税金その他のことがきっちりできるような会計制度にならなくちゃいかぬ。これは大変でございまして、本社だけがやって済むものではございません。本社がすべてやりかえて、帳簿類、伝票類まで全部整理をして、壇場の一機関に至るまですべてこれを徹底して、誤りなきを期すということでございますから、これも相当の時間がかかると思っております。これが具体的に、ほかにもございますが、遅くなりました場合にはこれは大変なことになるということだと思います。  もう一つ、全体の職員の雰囲気を申し上げたいと思いますが、臨調の検討が始まりましたころには、これは当班者電電公社、外もびっくりといいますか、いろいろ影響があったと思いますが、電電公社の中に暮らしております職員にとりましては、これは驚天動地の事件でございまして、古い者は官庁に勤めたままこの公共企業体に来ているという者もおるわけでございますから、これが民営、株式になるということはまさに大変なショックだったわけであります。そのショックと不安がいろんな論争を社内に巻き起こしまして、そこにまたいろんな情報が注入されて、その討論がまた一つの不安を生み、あるいは明るさを生んで、いろんなことをこの二、三年やってまいりました。職員にとりましては、これは管理者も同じでございますけれども、自分の肌で感じられる問題でございますから、相当真剣にこの問題は見詰めましたし、真剣な討論が、組合の立場でも、公社の立場でも、あるいは同僚の間でも行われたわけでございます。  で、今に至りまして私どもの社内は、一部あれかもわかりませんが、ほぼ、とにかくこの国際社会の中で電電公社が早く脱皮していかないとこれは大変なことになる。それから、国内における電電公社の位置づけというものも、ここで大きな転換を遂げなければ立ちおくれて、やはりみずからの職場を縮めることになるという危機感がかなり客観的に浸透したと思っております。そういった感じがございますものですから、いろんな現在行っておる施策も非常に真剣に取り組んでもらっておりますし、先に向けての展望の中でそれらの処理が行われているということで、これは私が申し上げるのもなんでございますが、非常に気合いが入ってきておるというのは、これはまさに事実だろうと思います。あらゆる会議、あらゆる訓練、あらゆる会合籍、ずっと押しなべて見ましても、過去一年前とは全く違ったものでございまして、この民営化を前提とする議論以外はないということは真実であろうと思っております。  したがいまして、この手の大きな改革というものは、そういった職員の気持ち、これは先ほど小山局長もおっしゃいましたが、私どももまことに同感でありまして、そういった気持ちがしっかりと根拠を持って高ぶったときにやるのが大変必要なことだろう。これは先に行きますと、やはり人間というものはちょっと感情を持っておるわけでございますから、非常に冷えたときにはまた火がつきにくい、一種の虚脱状態を招く、これは日常の業務にも大きな影響を与えるんではないかというふうに、私はその点は非常に懸念しておるものでございます。
  246. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 まさに衷心から出た答弁でございまして、私も今何いながら大きく胸を動かされることを覚えた次第でございます。  おっしゃるとおり、例えば事務量等は、これはみんなが一生懸命やればそれは消化してできないものじゃございません。しかし、感情です、士気です、気合いです。こういうものはタイミングを外したら、もう再び立ち上がることができないぐらいの打撃を人の心に与える、私はそのことを大いに憂えるものであります。ここまで論議を深めてきて、ここまで一体となって一生懸命やってきて、新しい電電が株式会社として発足するんだ、新しい情報化時代に向けてあらゆる電気通信事業は平等互恵の原則のもとに、電電もそのノーハウを公開して国際社会に伍して公正な競争を展開して、そして結果的に国民にすばらしいサービスを提供していく。その気合いが高まってきたときに、もしあす一日を残す今国会におきまして本法律案の成立が不調に終わりましたときには、今おっしゃったような影響が出てくる。私は、そのことを郵政当局並びに電電公社の皆さんとともに心から憂慮するものであることを申し上げておきたいと思います。  さて、これまでの論議で、この法案の中のスト権の問題でございますが、これは衆議院段階で修正がされまして、このスト規制につきましては、三年後の見直しという労調法の附則条項が設けられたんでございますが、大臣、ここまで審議を深めてまいりまして、例えば先日も、電電の山岸委員長によれば、いろいろ言い分はあるけれども、やはり廃止を含む見直しというのが、考えようによれば廃止を含まないというふうにもとれる、その見直しのときに廃止しないというふうにもとれるということを例えば自由民主党内で論議されているやに聞き及ぶが、その点において明確な見解が示されるならば、例えば全電通労働組合はいわばもろ手を挙げて本法律の成立を期したい、このような御発言であったと私は記憶をしております。  そこで、大臣といたしましては、労働省に例えば強く働きかけて、この廃止を含む三年後の見直し、この条項を削除するかあるいは明確に廃止を目途とするというふうに改めるか、そういった働きかけあるいは協議をなさるおつもりはございませんか。
  247. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) あらかじめ所管大臣が労働大臣であるということを明確にいたしておきます。  ただ、労働大臣との話し合いの中でも、あるいは総理が先般の本会議での答弁の中でも、三年後の見直しを、廃止を含めて見直しするという答弁でございました。私はしかし、所管大臣として本委員会でもたびたび申し上げておりますように、廃止されることを願望する、三年後に、という形の答弁をいたしてまいりました。私は、総理の、三年後の見直しの際に廃止を含めるという、言葉はそういう表現でございましたけれども、総理の心中は、お話の意図は廃止の方向で特例措置の見直しをするということであるように理解いたしております。
  248. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 郵政大臣のお気持ちを評価いたしたいと思います。  事業法三十一条によりますと、一種事業の料金について「適正な原価に照らし公正妥当なもの」とございます。コストによるといたしますと、離島などの採算のとれない地域に対して料金地域格差を生じる、このような心配はございませんでしょうか。
  249. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 適正原価主義でございますけれども、これは個別原価主義では必ずしもないわけでございます。何といいますか、総体としての費用が総体としての収入によって賄われるということを指しておりまして、まあ事業体によっては適正原価というものを個別原価と置きかえてもそれは法律上は別に禁止しているわけではございませんけれども、総括原価主義というものをとることも、これも自由でございます。それによって事業体みずからの判断によって行うということでございます。  そういたしますと、新電電の場合には、総括原価主義で、しかも採算地域と非採算地域を、しかも電話については責務として全国あまねくサービスすることを義務づけられております。そういった場合におきましては市外、市内、また市内におきましても採算地域、非採算地域を包括した中で、従来の歴史的な経緯によって積み立てられた料金というものの上に立ちましていろいろな判断をして総括原価主義でいくということはこの法律の建前と相反するものではございません。
  250. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 郵政省の原案では、特別二種業者を許可制にして、外資二分の一未満に規制をしておりましたが、これを登録制として外資規制を取っ払いました。その経過と理由をお伺いいたします。
  251. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 当初、原案といいますか、原々案みたいなものでございますけれども、これにつきましては、特別第二種につきましては「外資の二分の一を超えるものについては許可しないことができる。」、こうなっていたわけでございます。したがって、九〇%であっても許可する場合もあるし、一〇〇%であっても許可することがあるということでございまして、「二分の一を超えるものについては許可しないことができる。」と、こうなっていたものを、むしろ外資規制を何もなくしたということでございます。  これに至りました考えといたしましては、当初からの考えは、これは貿易問題として考えるのではなしに、通信というものが非常に国民生活において重要な機能を持つものである、しかもそれは個人生活だけにとどまらず、公的な一つの機能としても極めて大きなウエートを占めるということから、外資によって日本の通信というものが占拠されて、日本の通信というのが日本の意思とかかわりなしに外国によって支配されるということがあってはならない、こう考えて入れたものでございます。  しかしながら、その後詳細な検討をいたしましたその結果によりますと、最も我々が想定いたしておりましたATTとかIBMというのもこの二種事業への進出というのはこの一、二年のことでございます。それまでは全然これにタッチしておりません。そのほか十年前からアメリカでやっていた高度通信というのは、タイムネット、テレネットというのがございますけれども、これにつきましてはもうすでに電電公社が十二年前から事実上VANと同じような全銀為替システムというのができておりまして、この技術力は十分実用といいますか、極めて優秀なものでございました。そういったところを考えますと、今後電電公社のこの技術力、それから人材、ノーハウというものが、これから期待するところの新しい競争原理の働く電気通信の社会におきましては大いに民間に開放されるであろう。そういうことを考えますと、ここではむしろ通信というものが外国に支配されるおそれがないとするならば、むしろ内外無差別で切磋球磨して事業を行うことが——最終的な利用者の幸せにはどちらがよいか、要するに班業者ではなしに最終利用者がどちらが利益があるかというところに判断の焦点を置きまして、それでは内外無差別によって切磋琢磨して内外の技術が競い合って安い良質なサービスを受けさせることの方が日本の利用者にとっては利益になる、こう判断したものでございます。
  252. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 にもかかわらず、私は一抹の懸念は表明しておきたいと思います。  株の処分ですね、これは大臣、代表質問でもお伺いをさせていただきましたけれども配当益も含めてどのようにお使いになるおつもりですか。株式の処分益です。
  253. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) これは先生方の御論議も十分承って、売却益処分に関してはいろいろな御提案がございました。特に、電電公社の資産形成の経緯にかんがみ、また沿革にさかのぼって、ともかく株の売却によって生ずる利益というものは国民利益にひとしくいささかの疑念もない形で使用さるべきであろうという大局的な立場の御意見展開もございました。そして、個別的には、あるいは電気通信の研究開発に基金として使うべしというような御意見もございましたし、また広く国民に株をできるだけ持たせというような御意見、あるいは現在の資産形成に直接あずかってきた組合員各位にも株を、そういった形で自主性というか責任を持たすためにも、持たしたらいかがかという数々のいろいろな御提案があったことは事実でございます。  しかし、今後の問題でございますけれども、この問題の処分に当たりましては、限度数を国会の御承認に基づいて売却する、いささかも疑念なき形で公開で国会論議を踏まえてやるということ等々を踏まえまして、これらの逓信委員会並びに衆参の本会議で御提示された御意見を関係の——財政当局を指すわけでございますけれども、当然関係の向きと、こういった御意見の趣旨を実現していただけるように、御相談を申し上げるということでございます。
  254. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 仮に資本金一兆円の二分の一を五年間に売却するとすれば、これは超優良企業でございますから、ぬれ手でアワのつかみ取りといいますか、えらいプレミアムがつくと思いますな。仮に額面の十倍としたって一年一兆ですか、五年間に五兆円、物すごい金でございますが、大蔵省来ていただいておりますか——大蔵省、この益金はどのようになさいますか。
  255. 日高壮平

    説明員(日高壮平君) 本件株式の売却収入の使い道について当委員会初め、いろんな御意見が出ていることは私どもも十分承知はいたしております。  ただ、先般大蔵大臣が本会議あるいは衆議院逓信委員会でも御答弁申し上げておりますように、本件株式はいわば国民共有の資産、貴重な財産ということでございますから、私どもとしてはそういう事情にかんがみ、国益にかなうような形で売っていかなければいかぬ、そういう意味で、今後予算編成の過程を通じて政府部内で慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。
  256. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 時間がありませんのでこれ以上申しませんが、大臣ね、郵政省と大蔵省と仲よく、よく相談して、最終的に国民のためにこの金を使うということをいつでも念頭に置いて、大蔵省にもお願いを申し上げておきます。  最後の質問をさしていただきます。  大蔵省、もう一つお願いしてありましたが、省略さしていただきます。  佐藤委員もお尋ねでございましたが、プライバシー保護とデータの保護の問題につきまして、例えば著作権保護という問題につきましても、各国でもこれ動きが出ているようでございますが、文部省来ていただいていると思いますが、独自の立法を行うべきであるのか、それとも著作権法の改正で事は済むのか、その辺だけお答えをお願い申し上げます。
  257. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 連絡不十分のようで、文部省来ておりませんが、郵政省答えられますか。
  258. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 郵政省としての立場で。  プログラムの著作権にかかわる問題についてのお尋ねでございますが、この件につきましては先生もおっしゃいましたように、文部省、あるいはソフトとの関係で、通産省等関係各省の間で、まだ政府部内において意見がまとまっておりません。  いずれにいたしましても、郵政省といたしましては、この問題につきましては国際的な潮流を踏まえて対処するというのが基本方針でございまして、政府部内の各種の打ち合わせの際に、そのような立場で臨んでいるところでございます。
  259. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 どうも失礼申し上げました。私は文部省の方にはちゃんとお会いして言ってあったんですが、少し連絡不十分でした。  最後に大臣と総裁に、この一時間にるるお尋ねもいたしましたけれども、とにかく何度も申し上げますが、あと一日でございます。本法案の成立にかける熱意を一言ずつお伺いをして私の質問を終わりたいと思います。
  260. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 担当大臣として、単に功名心でお願いするのではございません。本法はINS社会と申しますか、高度情報化社会へのまさにテークオフをできるかできないかという先導的役割を果たす法案でございます。しかも、これらを果たすための基盤構築のために、何としても今国会で御通過を願いたいという法案であると思っております。  ただ、いずれにせよ大改革法案であり、慎重審議を願うことは当然でございますけれども、何とかひとつ民間活力の活性化を誘導する、あるいは国民サービスへの料金値下げによる還元をこの法案によって果たすことができるといういろいろな使命を持っておる法案でございます。したがいまして、ぜひ今国会で本法案が成立するということを心からお願いする次第でございます。
  261. 真藤恒

    説明員真藤恒君) 私どもは一日も早くこの法案が成立いたしまして一日も早く世の中により役立つ姿になりたい。殊に職員の不安と焦燥感が出ますと非常に難しい問題も二次的に発生する可能性もございますので、いわゆる熱いうちに早くたたいて仕上げていただきたいということを切にお願いいたします。
  262. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 終わります。
  263. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 中村君の質問は終わりました。
  264. 青島幸男

    ○青島幸男君 今度は民営に移るわけでございまして、それにしても公社には三十万を超す方々がおられるわけでして、三十二万と言いますと大変な規模の会社になるわけであります。これだけの方が苦心をしてやってこられたから今日の施設もできた、皆さん方の御労苦には切に私は敬意を表する次第ですけれども、新会社になりますと新たな対応をしていかなきゃなりませんし、今のままの組織そのままではとても新しい事態に対応するということになりませんでしょうし、またそのままでは新しい事態に対応するための意味がないということを考えますと、配置転換とか、あるいは新しい組織を別につくってその中で十分能力と知識を発揮してもらった方が個々の能力が活用できるんではないかというようなこともあって、別会社をつくり、そこに出向する人が出てくるというようなケースもあるでしょうというふうに想像するんですが、その辺はどういうふうに組織改革をしていくつもりか、その辺からまずお伺いしたいと思います。
  265. 児島仁

    説明員児島仁君) どこの企業でも同じだと思いますが、ある意味では合理化の歴史だろうと思っています。特に私どものような電気通信技術はもう日進月歩でございまして、もう一年もたてば今までの機械が陳腐化するというような状態でございます。機械が新しくなるということは、これは当然に人が要らなくなるということでございまして、あるいは少なくなるということでございまして、私ども現在の三十二万人体制というものは需要の増がありつつも、そうふえてはいかぬ、むしろ減少させることができるであろう。それは機械が新しくなるというほかに、今までただむちゃくちゃに電話をつけてきたという点の反省と、それの整理の問題がございますから、どうしても縮小していかざるを得ないと思っております。このことは既にここ、過去三年間の予算案の中でも年間百万以上の電話をつけ、かつその他非電話系のサービスも行いながらも減員をしてきております。現実に減員をしてきております。  このトレンドから考えましても、さらに私どもの目で合理化考えます場合に、これはもっとぜい肉が取れる、また取っていかなければいかぬということは考えております。その場合の今御質問のいわゆる余剰となる人間の措置の仕方でございますが、私ども今年間八千人ぐらいの退職がございます。現行運営形態のままでまいりますと、八千人の退職というのは即八千人の採用につながるわけでございますが、それは私ども全部が必要だとは思っておりません。ただ単に数合わせのほかに、私ども技術の革新に伴って若い職員の血を入れなければいかぬという非常に切実な問題がございまして八千人の退職見合いで一体何人のどのような職員を採用していくかということは非常に毎年毎年の悩みでございます。  そういったことを考えながらやっておりますが、しかし現実の問題、人はやはり減っていく傾向だろうと思っております。これらの人たちは、先生今御指摘のように、私どもの企業に十分尽力をしてもらった連中でございますから、この人たちの処遇というものはしっかり考えなくちゃいかぬ。その場合に、子会社あるいはその他の方法をとるわけでございますけれども、幸いにして新法案ではそういった子会社をつくって底辺を広げていく、いい意味での雇用の確保といいますか、働きがいのある職場を新たなフィールドにつくっていくということはできることになると思っております。  ただ私ども、今法案審議中でございますし、先ほど来の御審議でもありますように、附帯業務あるいは目的達成業務の範囲というものも社会的に容認を受ける範囲内で考えていかなくちゃいかぬというふうに考えておりますので、一体どういう子会社をつくれるのか、どういった新しい事業を本体内にまた盛り込めるのか現在検討中でございますが、足かな案を今作成するに至っておりません。しかし、方向としてはそのような新しいフィールドでの仕事というものをぜひ社会的容認を得つつつくっていきたいということを真剣に検討中でございます。
  266. 青島幸男

    ○青島幸男君 社会的容認を得つつというところが大変重要でございまして、既成の弱小業者を圧迫するというような格好でいきますと、そこにまた新たな摩擦が起こるということでございまして、特殊会社とはいえ会社になるわけですから、新会社を別個につくってそこに出向する人ができたりすることは当然許されることだと思うんです。  そうなりますと、これは郵政省にお尋ねするんですけれども、子会社ができた場合、それは特殊会社になるわけですか、それとも完全に民間会社になると考えてよろしゅうございますか。
  267. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 完全な民間会社でございます。
  268. 青島幸男

    ○青島幸男君 そうなると新会社へ転職あるいは出向した人間というのは、年金は共済年金で今までやってきているはずですね、公社の人たちは。その年金は継続していくようになるんでしょうかね。
  269. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 今回の整備法の中におきまして新電電からの出資が二五%以上ある場合、それから発足当時職員が五〇%以上が新電電からの出向社員であるという場合においては共済組合が全部適用になります。
  270. 青島幸男

    ○青島幸男君 そうすると、全く電電と関係のないような新しい会社ができた場合はその適用は受けないけれども、今言われた限度に入っていれば共済組合をそのまま継続していける、このように理解してよろしいわけですね。
  271. 小山森也

    政府委員(小山森也君) そのとおりでございます。
  272. 青島幸男

    ○青島幸男君 厚生省おいでになっていると思うんですけれども、民間会社は厚生年金という年金のあり方が大体普通とられているわけですけれども、これとそれから新しくできる、例えばさっきのある程度の人員とあるいは資本のパーセンテージを持っていれば共済年金でそのままいけると、ちょっと純粋民間会社ではない会社ではあるけれども、ほぼ民間会社に近い会社が厚生年金ではなく共済年金に加入しているということになると、そうでなくても今までに年金の問題は大変に錯綜しておりまして、これを何とか統合しなきゃならぬという傾向も出ている上からして、なお一層錯綜してくるんじゃないかという気がしますが、この辺はどう処理をするおつもりでしょうか。
  273. 山口剛彦

    説明員山口剛彦君) ただいま御指摘がございましたように、我が国の年金制度におきましては原則として民間の被用者は厚生年金を適用するというのが建前でございます。したがいまして、公社民営化されました場合にその適用をどうするかという問題があるわけですけれども、この点につきましては、一つは、御承知のように、公的年金の再編の一環といたしまして既に公共企業体の共済と国家公務員の共済を統合するという法律が成立をし、施行をされているという現実が一つございます。  それともう一つは、現行制度のままですと、共済組合と厚生年金の制度、給付設計その他も大変違っておりますので、直ちに適用を変えるということになりますと技術的にも相当困難な問題がございます。そういうことで、私どもも建前を崩すということにはなるわけでございますけれども、現実的な対応としましては公社民営化されました場合にも当面の間は引き続いて共済制度に残っていただくというのが現実的な対応ではないかというふうに考えております。  ただ、現在公的年金制度の再編成を進めておる段階でございますので、この適用の関係につきましても、その過程で全体の中で十分見直しを行いまして、その結果に従って処置をするということ、そういう方針につきましては今回の法律でもきちっと規定をいたしておりますので、そういうことで今後対応させていただきたいと思っております。
  274. 青島幸男

    ○青島幸男君 このことを私が申し上げたのは、電電の現在ある姿を営々として培ってこられた方が今度の会社になることにつきまして他へ出向する、しかもその出向した先が純粋に民間会社の建前で運営されるという会社へ行った場合、ほかの仲間は新電電の本社に戻って共済組合の恩恵に浴するといいましょうか、そういうことができるのに、ずっと給付年金の低いところへ押しやられて、そこに格差が生じて不公平を生じて新しく働く意欲を失ってしまうというようなことがあってはまかりならぬだろう、その人たちのために、そういう不公平がないような配慮が必要だろうという立場から私申し上げているのでありますが、この点の配慮はどのようになされておりますか。
  275. 児島仁

    説明員児島仁君) この問題につきましては厚生省、郵政省にいろいろ御配慮をいただいておりますが、二つのケースがあろうかと思います。新しい会社ができました場合に、ある種資本が公社と非常に結びつきが高い、それから創立早々の職員の構成に公社職員が非常に多いという場合には、その会社丸ごと現在私どもの社が受けております共済年金の適用があるということになっております。この場合は、退職していきましてもあるいは出向していきましても同じことでございます。  それからもう一つ、純粋の民間会社に出ていくという場合に、これは出向と退職していく場合とありますが、出向していく場合には、私どもの年金をしょったまま出てまいりまして、役務の一つの提供が終わりましたらまた戻ってくるということになります。それから、出ていく場合に、これはやめていくんだという者はこれは厚生年金の適用になりますが、それはその個々人の判断で、それの、何といいますか、平たい言葉で申しますと、損得を考えながら決定するわけでありまして、社内におけるような配置転換の場合はある種強制配置転換ということも私どもやっておりますけれども、この組織を切れて出ていくという者についてはそういったことは民法上もできないわけでありますから、個人の自由意思に従って、その辺知恵を使いながら職員の不利にならぬように運営していきたい、こういうふうに思っております。
  276. 青島幸男

    ○青島幸男君 電電の子会社の件でございますけれども電電の子会社として独立した会社には、これは労働省も来ておいでのはずですけれども、お伺いしますけれども、これは新電電にかぶせられたスト権に対する制約は別に受けないと私は考えますけれどもいかがでございますか。
  277. 廣見和夫

    説明員(廣見和夫君) 今のお尋ねの件でございますが、私ども提案申し上げております新電電に限っての特例調停ということでございますので、新電電が子会社をおつくりになる、それが純粋の民間企業になるということでございますと、その企業に対しましては調停の特例制度が及ばない、働かないというふうになっているということでございます。
  278. 青島幸男

    ○青島幸男君 それは当然のことなんですけれども、しかし感情としては、本社に——本社にといいますか、新電電に残った人には相変わらずスト権についてある種の制約があって、新しい会社に出ていった人間にはスト権がある。新しい会社は相対的に当然小さいものになるでしょうから、そこで敢然ストライキを打ったとしても何ら痛痒を感じないというような部分なんだろうから、スト権はそのままにしておくというような感じが私はするんですけれども、それが職員の側から立って見ると何となくすっきりしないような感じがするんじゃないかなという気がするんです。  ついでにお尋ねしますけれども、たばこ会社特殊会社でありながらスト権が認められておりまして、同じ特殊会社でありながら電電には認められてないというのは少しおかしいんじゃないかという一般の考え方がありますが、この点はどうなんでしょう。
  279. 廣見和夫

    説明員(廣見和夫君) たばこ産業株式会社との比較の点でございますが、御指摘のとおり、たばこ産業株式会社につきましても、公社から民営化されたという点につきましては今回検討されております電電公社の場合と同様でございます。  ただ、電電公社の場合、新会社になりましても、その行う業務につきましては公衆の日常生活あるいは国民生活に非常に重大な影響のございます電気通信事業を営まれる。また一方、引き続き公社時代と同様の、このようにして極めて重要な業務を営まれるわけでございますが、その点たばこの場合はやはり若干性格が異なるであろうということで、私どもこのような重要な電気通信事業を営む新会社に限りましては、そこにおける争議行為が国民経済等に大きな影響を与えるというような場合に、特にその争議行為について迅速な紛争調整を図るということから調停の特例を設けたわけでございまして、行っている事業の性格の相違というのが今申し上げました調停の特例の有無につながっていると、かように私ども考えておる次第でございます。
  280. 青島幸男

    ○青島幸男君 その辺もちょっと変なんですよね。確かに電話通じなくなったら我々の生活あるいは経済の上に大きな影響がある、それは確かにわかるんですけれども、しかし、電話の現在の発達状況を見ますと、実際この間、前回の委員会での電電並びに郵政当局の御答弁にもありますように、実際には非常にこう機械化が進んでおるので、実際に人間の手がタッチする部分は非常に少なくなっておるから、争議を起こされても痛痒を感じないと言っているわけですよね。  ところが、たばこの方は、売るにしてもつくるにしても非常に労働者、勤労者の手がかかっているわけですな。ですから、実際にストライキを打つとすればたばこの方がずっと実効性があるわけですよ。しかも、たばこを吸わなきゃ死んじまうということはないかもしれませんけれども、当委員会にもヘビースモーカーの方が大変おいでになりまして、たばこが切れると禁断症状と申しますか、痛痒をいたく感じる方もおいでになるわけでして、そういう理論から申しますと、たばこが公共性がなくて電話が公共性が強いというような理論はちょっとすりかえがあるんじゃないかという気がしますが、その点についてはどうですか。
  281. 廣見和夫

    説明員(廣見和夫君) 確かに先生が御指摘なさいましたように、それぞれの事業はそれぞれの目的を持ち、それぞれのまた重要性を持っているものだというふうに私ども考えております。  ただ、そういう中にございましても、やはり一般的にある事業が公衆の日常生活あるいは経済に及ぼす影響、こういったようなものにある程度の差を認めていくということは合理的に考え得ることではなかろうかというふうに存じます。現に、労働関係調整法におきましても、第八条で公益事業という概念を定めておりまして、この公益事業に該当するものにつきましては一定の争議行為のルール等について特段の規制を行っております。  その公益事業と申しますのは、一つが運輸事業であり、一つが今回の電気通信事業も入る、従来の表現によりますと、郵便、電信電話の事業でございます。それから三番目が水道あるいは電気、ガスの事業でございます。四番目が医療あるいは公衆衛生、病院を中心とする事業でございます。  このように、これらの事業は公益事業とし、一般の事業とはやはり異なる取り扱いを従来の労働関係調整法でも行っておるわけでございまして、この二号に該当する電気通信事業、そういう意味では争議行為の影響ということについての考え方は若干違ってきている、それは十分合理性のあるところではなかろうかというふうに私ども考えておるわけでございます。
  282. 青島幸男

    ○青島幸男君 実は、その辺のところは私もわかっておりまして申し上げているんですけれども、ただ感情的にひっかかっていたもんですから、何となくいちゃもんをつけてみたいというような格好から申し上げたわけでしてね。確かにたばこの公共性と通信の公共性というものは質を異にしておりまして、確かにおっしゃられるとおりのことでいいと私は思うんですけれども、しかし、法律の建前はそうであっても、生きている人間が国をつくり組織をつくりしているわけですから、そういう方々の感情というものをやっぱり無視して突っ走るということも考えぬのもいかがなものかと思いますので、その辺ちょっと文句をつけたいという気持ちで申し上げたわけでございまして、結構でございます。  さて、この電気通信事業法が成立しますと、第一種通信事業の許可を受ければCATVネットワークも通信に使うことができるわけでして、これは、郵政省はCATVのネットワークを使用しての電気通信の育成というものについてはどのようにお考えか承りたいです。
  283. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 現在当委員会において御審議いただいております電電改革法案が成立いたしますと、先生がいみじくもおっしゃいましたように、CATVを利用しての電気通信、CATVを利用しての電話的な利用が可能になります。ただし、もちろん、その場合には第一種電気通信事業者としての許可を得ることは当然必要でございます。  その場合に、CATVはこれまでほとんど主として放送的な利用をやってきておりましたけれども、新しく双方向のCATVが認められることによりまして、公衆電気通信網との接続等の問題も出てまいりますので、ある面ではそういった公衆網との接続に関する技術的な側面の解明、さらにはこういった双方向CATVを前提といたしました新しいCATVの利用形態を促進するために、税制あるいは財政、金融的な措置を講じてまいるつもりでございます。
  284. 青島幸男

    ○青島幸男君 そうしますと、CATVは専ら難視聴解消のためみたいに最初の時点では使われておりましたね。ところが、CATVを用いて新たな情報サービスをするというようなことが充実してまいりまして、それに対するニーズも広がってまいりますと、まあ各家庭に今テレビが行き渡っているように普及することに直ちになるとは思いませんけれどもかなりのネットワークが組織的につくられるようになっていくと思いますね。そうしますと、それに対して従来使われております電話線が接続されますと、かなり雑多なあるいは多岐にわたる使い方が可能になりますので、そこで電話の使い方と非常に似た感じの使い方ができますね。そうなりますと、従来あるところの電話のネットワークとCATVのネットワークが競合することになりますね。しかも、そこで料金問題なんかも起きてきて、その上に今度はINS、ディジタルでというようなことになりますと、これは将来的な話ですけれども、そこまでいかなくとも、CATVがただテレビを見る、受信が正常に行われるためにアンテナがわりにつけていたという感覚とは全く別に、違った使用法が出てくるわけですから、しかも双方向に絵が映る電話なんというものまで開発されてきますとね、この需要が非常に高まると、従来の電話の部分を非常に席巻してくるように思いますけれども、余り力を入れてこれを促進させますと、電話事業の方に大きな悪影響が出てきやしないかという気はするんですが、いかがなもんですか。
  285. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) CATVは御指摘のとおり、そのそもそもの起源は難視聴解消から始まったわけですけれども、その同軸ケーブルの持つ本来的な性能かういたしまして、次第に多角的な利用が進められております。現在御審議中の法案が成立することによりまして双方向CATVといったような新たな道が開かれることによりまして、さらに多目的にあるいは多様な利用の道が開かれるというふうに考えております。  その前に、既存の例えば公社線のような電話網との関係をどのように調整するのかという御質問かと承りましたけれども、その場合に、あくまでもCATVはCATVでございまして、CATVという言葉の語源がコミュニティー・アンテナ・テレビジョンという言葉からもおわかりのとおり、あるコミュニティー、ある地域社会を母体にした通信手段でございます。したがいまして、今後のテレトピア等におきましても、CATVというものはこれからの地域社会の高度情報化を支える非常に有力な手段だと考えておりますので、そのような位置づけにいたしまして私どもとしてはCATVの育成を図っていきたいというふうに考えております。
  286. 青島幸男

    ○青島幸男君 だからこそ私は危惧を感じているんですけれどもね。例えば大阪のCATVネットワークと東京のCATVネットワークがありますね、その間を新しい第二電電が安い料金で結びますね。そうなりますとまさに今まで電電のやっていた仕事と競合することになるだろうと。そうするとコミュニティーだけの問題ではなくて、これがだんだんとネットワークが広がってまいりますと、従来ある今まで営々として築いてきた電電のネットワークに伍するようなものがついには完成してしまうと。そこと競合するようなことになると事態は重大な問題を招くんじゃないかということを懸念しているわけです。
  287. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) CATVの一番高度な利用形態というとすぐアメリカのオハイオ州のキューブが引き合いに出されるわけですが、それに似たようなことを日本におきましても昭和六十年の筑波の科学万博で実験しようとしております。筑波の会場を舞台にいたしまして、これからCATVが地域社会において果たすべき双方向における利用形態というものをまず実用実験的に検討してみたいと。それが地域社会においてどのような利用形態として実際の需用とマッチするかというようなことを見きわめました上で、それからあと先ほども申し上げましたような公衆網との接続のまた技術的な問題等もありますので、それを研究してまいりたいと思っておりますが、たびたび申し上げておりますように、あくまでも基幹的な公衆網、電話綱の回線地域社会の高度情報化を支えるCATV網というものはそれぞれに目的を——ある面ではオーバーラップするかもしれませんけれども、基本的には違う面があるというふうに考えております。
  288. 青島幸男

    ○青島幸男君 ただテレビをきれいに見るからということの要求だけではなくて、CATVがある程度の段階までネットワーク化が進んでまいりますと、新しいそのネットワークを通じて新しい情報をサービスする、例えば劇映画であるとかあるいはスポーツの情報であるとか、そういうものをサービスする会社が当然出てきますね。そうなるとそれを見たい一心でまたネットワーク化が進むわけですね。ですから、そんなに遠くない将来にかなり緻密なネットワークが完成することが予想されるわけですね。ですから私はその問題が危惧されるわけです。  それからもう一つは、今現在そうなんですけれども、有線放送の業者電電の電柱とかあるいは電気の送電線の柱に無断でワイヤーを張るというようなことが大変問題になっておりますね。今まで電電公社がやってきたからこそ、責任ある立場で工事を進めてきたから余り住民の苦情とかあるいは人の権益を害するというような格好で線が張られたりしてこなかったわけですけれども、これが民間の業者になりますと、今は有線放送が勝手にワイヤーを張りめぐらしているような状況が再度出てきやしないかということが大変気になりまして、また訴訟問題が細かく起こったりしまして、しかも建設省ではそういうふうな事態を予想しまして、なるべくなら協調といいますかな、埋設するようにしたらどうかというような指導までしているようですけれども、この埋設ということになりますと、架線として張るよりも二、三十倍金がかかりますね。で、新しく参入してくる企業は営利目的でやるわけですから高い方は選びませんよ。それで、よっぽどの地震でもなければ上へつるしても地下に埋設しても、このごろの機材は非常によくできていますから、そう品質に差異があるとは思いませんのでね、勝手にまたそこら辺の看板だけの何かにまでワイヤーを張りめぐらして訴訟問題を引き起こす、現実の問題として有線放送業者がトラブルを起こしていることは日常ですからね。そういう事態を巻き起こすというようなことがあると、局長言われているように地域に向かってきめの細かいサービスは行き届くんですけれども、一面それが大変なトラブルのもとを招くことになるんじゃないかというふうな気がしますがね、その辺のところをひとつ御配慮いただきたいと思うんですが、どうですか。
  289. 小山森也

    政府委員(小山森也君) そのときにはやはり第一種事業者としての許可が必要でございます。したがいまして、第九条にございますように設備の概要とかそういったものについて許可条件がございます。やはりそういったときに正規の架線を張りめぐらさないというような形のものはやはり許可できないことでございまして、その辺で行政的な枠ははめられるのではないかと思います。
  290. 青島幸男

    ○青島幸男君 実は今の有線放送の業者もある程度法律的な枠がはめられているわけですけれども、なおかつそういうトラブルが起こっているので、私はその辺の懸念を申し上げているわけです。  今までの審議をずっと見ていましても、今度急選民間にした方がいいんじゃないかという議論が沸き上がったのも、急速な技術発展というものはまず底辺、そこにありましてね、基本に。で、これだけの技術改革があるんだし、これを複雑多岐に便利に利用できる可能性がある、この可能性を将来どうするかというのがまず電電民営化する考え方の一つの基本であったと思うんですね。でも、新しいものが何かできますと、そのブームに沸くように踊らされるといいますか、ちょっと興奮しまして、そのニューメディア振興ということに走り過ぎまして、そのほかの生活関連の法案の整理とかあるいは細かい配慮が行き届かないままに突っ走ってしまった傾向というのが私はあるような気がするんですよね。例えば、ニューメディアをやるのも結構だけれども、自宅で銀行取引をやるようなホームバンキングなんていうものがもし技術的に可能だとしても、あるいは切符の予約なんかができるホームリザベーションなどというようなものが技術的にできましても、それが旅行業法とかあるいは銀行法に抵触するんで、技術的にはできても法的に不可能だと。だから、技術的につくることは簡単なんだけれども、法的にそれを利用することの方がもっと難しいというようなことが次々に出てくると、実際にそういうものができて技術的な開発が進んでも何の役にも立たない。その法制が進まなければ実際現実のものにならないわけですから、そういうようなことがかなり起こってくると思うんです。  特にプライバシーの問題なんかはきちっとした法制ができていないうちにこれを行うのは大変私は危険だと思うのは、これは私は自慢げに申すのもなんですが、NHKのテレビで拝見したんで皆さん方もごらんになっていたかもしれませんけれども、そういう情報を売っている業者がいるわけですね。御存じだと思いますけれどもね、今や航空写真を撮りましてその航空写真を町内の地図に合わせまして、家屋の形態から資産形成から、そこの家の御主人が何年何月にどこで生まれてどこの学校を卒業して、いつどういう方と結婚して子供さんが幾人で、どこ製のピアノで何製の自動車に乗っているかというようなところまで持っている業者がいるんですね。何のためにこんな個人のデータが必要なのかと思いますと、私なら私がセールスマンとして新しくA社の自動車をどこかへ売り込みたいとしますね。そうしますと、そこの情報を買うんですよ。そうすると、私がこれからセールスマンとして担当する地域がありますね、そこの地域の地図を情報として買うわけですね。そうすると、何丁目何番地、どこのだれと特定する人間の資産形成からもう乗っている自動車の車種までわかりますから、これは何年ごろ切りかえるはずだと。そうすると、A系の自動車に乗っているんだから、私が行けばちょうど二年目で車検の時期だから売り込むチャンスはあるだろう、着実に光り上げを伸ばすことができるというようなケースからでもその情報を欲しいと思って買うわけですね。  何でそんな情報がそこに集まるのかといいますと、クレジットカードなんかに申し込みますと、クレジットカードなんかは割合きめ細かく資産とか状況なんかを要求しますね。あれが流れるそうですよ。こういう業者が現実にいるんですね。これが、コンピューターというものは実に大きな力を持ってまして、そこに参りましたレポーターが、私の電話番号は何局の何番ですと言うんですね。それをインプットしてみましょうといってぱたぱたと打つと、たちどころにその方の御近所の地図と、その方のもう普通、履歴書にしか書かないようなことがぱらぱらっと出てくるんですね。私はそれを見てびっくりしまして、個人の生活の秘密なんてどこにあるんだろうと思いましたね。本当に裸で歩いているような恐ろしさを感じました。実にコンピューターの能力というのは偉大なもので、そのくらいのことは現実の問題として今可能なんですね。  ですから、これを何かの方途に利用されるというようなことがもしありますと、そら恐ろしいことになる。ですから、きいた風なことを申し上げて大変恐縮ですけれども、そこまでコンピューターの技術というものは進んでおるということから考えますと、プライバシー問題はあだやおろそかにできないぞという認識があるんですが、改めて御決意承りますが、どうでしょうか。
  291. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) まず前段の、ニューメディアという技術的な側面ばかりが先行して、法制的な側面がおろそかにされているではないかという御指摘につきましては、確かにそのような面がないとは申せないところでございます。技術的に大変便利な手段が次々に開発されておりますけれども現行の法制がいわゆる電気通信回線を通じての即時決済というようなことを予定しておりませんで、すべて店舗決済、店舗取引を前提にしておりますので、ホームリザベーションにしましても、ホームバンキングにしましても、現行法の枠内に直ちには乗り切れないところはそのとおりでございます。  しかしながら、そのような面につきましては、ある面につきましては現行法の解釈なり運用なりでいける面もあると思われますので、その点につきましては、関係各省におきまして運用方でできる範囲内等につきましてそれぞれ指導していただくように今打ち合わせをしております。また、運用の範囲を乗り越えて法律改正をしなければならない場合には、この技術的な発展が逆に法制面から阻害されることがないように、これも関係各省と相談しまして法制的な整備を進めていきたいというふうに考えております。  それから、後段のプライバシー保護のことにつきましては、まさしく御指摘のとおり、プライバシー保護というものがコンピューター・ネットワークで形成される社会におきましては特に重要になるというふうに思っております。それだけに私どもといたしましても、少なくとも電気通信のシステムの中で処理される個人情報につきましては、いかなることがあってもこれが侵されることがあってはならないという見地から今回の法案も御提出申し上げているわけでございます。  ただ、一般的なプライバシー全般にかかわってまいりますと、先ほど先生が引用されましたようなものもその範疇に属するかと思いますけれども、私どもの通信の取扱中に係る分野を越えまして、一般的な社会全般におけるデータ保護なりプライバシー保護の問題になりますので、その点につきましては総務庁が中心になって政府部内をまとめておりますので、私どもも積極的に協力し、参加をしていくという態度をとっているところでございます。
  292. 青島幸男

    ○青島幸男君 この問題はただ単に郵政省のみの問題ではなくて、施設としてネットワークを提供する電電にしましても、そこでどういう通信が行われるかまではチェックしませんから、ですから使う方が悪いんだといえばそれまでですけれども、何らかの法的な規制あるいはプライバシーを守るという積極的な姿勢がないと、おちおち暮らしていられないという不安を国民に与えるということは事実だと思いますので、その辺は十分な御配慮が必要だと思います。  それから、私は先ほどCATVとの電話回線の結びつきが、全く新たな電話的な利用法が行われるようになると電話と競合するだろうということを申し上げましたけれども、そうなりますと新たな料金体系も考えていかなきゃならないと思うんですね。と申しますのは、そのCATVとCATVを第二電電が結んで、しかも低廉な料金でこれをサービスしますと、電電料金はとても太刀打ちできない状態になるわけですよね。というのは、今遠近格差が一対四〇ですか。それで、市内通話は諸外国より比較的安くなっているということですけれども、その遠近格差の上に成り立っておるということは先だっての委員会でも申し上げましたけれども、今はもうそういう時代じゃなくて、星を使えば、練馬から中野へかけても、練馬から中野へ戻ってきても、北海道へ行っても、これは誤差の範囲ですね。それで、大体今のシステムでも、東京から大阪へかける場合、〇六を回して東京の局から大阪の局を探すわけでしょうけれども、そこがいっぱいだったりすると北陸回っていくようなケースだってあるわけでしょう。それでも料金同じですね。だから、遠いから近いからということは、先日も申し上げましたけれども、これは歴史的な沿革の上に築かれた錯覚でしかない。  ですから、このことで新たに参入してくる業者と太刀打ちしていくことは大変難しくなるだろうという気がしております。即座にはそうなりませんし、諸外国もやっぱり遠いところは高いんだという認識でそういうふうになっていますから、我が国も新たな参入の業者が即座にダンピングをするということはないとも思いますけれども、ついにはこの遠近格差というものの中にあぐらかいて財政的基盤を支えているというわけにはいかなくなると思いますね。しかも、究極的な問題としましては、そうなった暁には、東京から沖縄へかけても北海道へかけても同一料金で同一条件だということは理想的な格好ですね。そうなって、まだ財政的な基盤が安定していて、しかもサービスを落とさないで続けられるという理想的な立場になればいいんですけれども、そうはならないと思いますね、即座には。  もう一つ考えなきゃならないのは、電話系通信と非電話系通信と申しますか、情報の交換と通信とは別のものだと考えなきゃいけないんじゃないかと思うんですね。つまりは、「もしもし」「はいはい」というアナログの会話につきましては、これは途中の回線幾らディジタル化されようと、電子機器がすばらしいスピードで開発されて、それこそつめの上に何千ビットというような装置が乗るというような事態になりましても、ふるさとの母親にかける電話で「もしもし」「はいはい」につきましては何ら有効ではないわけです、これは。「もしもし」「はいはい」と言ってかける心温まる情緒的なサービスと、あるいはその回線を通じて即座に何十万ビットというような情報を送るものと、たまたま一緒の線でできるものですから同一に考えがちですけれども、これは全く異質のものである。ですから、通信に支払われる料金というのは、情緒料といいますかね、いかなる機械をもってしてもおふくろの声を聞くにかわるものはないわけですねこれは、一方では。  だから、これはそれでいいんだと思うんですけれども、しかし翻って考えてみますと、田舎の郷里の母親と二十分も話しても、大体内容は原稿用紙二枚程度の情報量だと思うんですね。ところが、同じ電話回線を使っても、二十分間フロッピーとフロッピー、あるいはコンピューターとコンピューターをつなぎますと、二十分間駆動すれば優に図書館一つの情報が片っ方へ移るというような時代ですね、今は。そうすると、料金の算定基準は、遠いから近いからという問題ではなくて、この情報の質の問題と量の問題だというふうに先々は考えていかなければならないのじゃないかと思いますね。ですから、今まだ電電公社ですけれども電電公社は、将来の料金体系のありようについては、私が申し上げましたような方向で検討なさっているようなことはおありでしょうか。
  293. 岩下健

    説明員岩下健君) ただいま先生の御指摘の、例えばコストを取り上げた場合、コスト面の遠近の格差は縮小していると。そういう点から考えて、現在の料金というものの持つ問題の御指摘一つございました。さらにまた、例えば人間の肉声によるいわゆる通信と、ビジネス用に主として恐らく使われるであろう情報の伝達というものの差についての御指摘がございました。これは私はそのとおりだろうと思います。料金面のいわゆる遠近格差の是正は、当委員会でも何回も御説明申し上げておりますように、私ども経営上の大きな命題の一つとして取り組んでおりますし、今後さらに推進をするつもりでおります。  それから、各種技術の発達、特に長距離の伝送路のコストの低減に伴います料金体系のあり方につきまして、一種の情報の量を基礎とした料金の設定というものが考えられていいのではないかという御指摘については、私どもは将来の方向としては、少なくともそういうものを効用と並べまして料金体系のやはり基本の一つとして考えるべきだろうというふうに、一つの哲学として考えております。  ただ、これを現実の料金のいわばタリフといいますか、レートに置きかえ、また幾つかの条件を加味しながらやらなければいけませんので、まだ時日を若干要するかと思いますけれども考え方としては、そういう方向は一つの大きな柱といいますか、にすべきだろうというふうに考えておるわけでございます。
  294. 青島幸男

    ○青島幸男君 今即座にそうしなきゃならぬということではありませんけどね。今は、一挙に変えれば加入者の方も戸惑うわけですし、甚だしい混乱を招くのは私も望むところじゃありませんので。それから、現在行われている遠近格差の上に成り立つ原資で運営されておりますし、それを基礎にして今新電電になろうとしておるわけですけれども法案が成立すれば。それも従来の慣行にのっとってきっと運営されていくんでしょうな。即座にまた違ったことにはならないと思いますので、それはそれでよろしいとは思うんです。この法案が通るか通らぬかわかりませんが、新電電が発足したときには、当初それで計算していかなきゃとても原資も得られませんし、運営は無理でしょう。それはそれでいいんですが、将来の方向としては、そういう格好で検討されていかなきゃならないのだろうという気が私はしておりますので、それはぜひそういうふうに検討する姿勢を持っていないと、当然外国なんかは、先にそうした格好に料金体系もなってくるかもしれませんね。対応がおくれるのは好ましくありませんので、そういう考え方をひとつ指針に掲げておいていただきたいということを私は要望したい。  それから、これも将来的な話で恐縮なんですけれども郵政省ではテレトピアで通産がニューメディア構想ですか、それなりの実験を進めておられるようですけれども、実際にそういうふうなシステムが一般化するというのは大体いつごろになるだろうと想定されておられますか。
  295. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) テレトピア構想は高度情報社会をある一定の地域に先導的に導入していきたい、先行的に導入していきたいということでございますので、今年度十カ所程度をモデル都市として指定することにしております。これは先ほどのCATVなりあるいは地域INSなりというものをその地域に導入していくわけでございますので、そういったINSが全国的に各地域社会に導入されるのは今世紀末あるいは来世紀初めといったようなことになろうかと思います。
  296. 青島幸男

    ○青島幸男君 せんだって私はちょっと古い新聞を調べておりまして、明治三十四年か五年、つまり一九〇一年の正月の報知新聞というのにたまたま出くわしたのですけれども、そこでは、今我々が二十一世紀についてかんかんがくがく論じ合っておると同じように、明治の有識者たちが二十世紀の後半にはどういうことになるだろうかという予想を掲げておるわけですね。その中に、今に電話網が世界じゅうにつながるだろう。いながらにして外国の諸情勢を、欧州に戦雲暗たんたるを説き、通信社の居室にいてこれを知ることが可というようなことが書いてありまして、それからその先に、絵画も映像も映る。利用者は自宅にいて、電話線を通じてサンプルを鑑賞しあるいは点検し、これを注文すれば即座に現品は地中鉄管を通じて落手すると書いてあるのですね。この地中鉄管を通じて落手するところだけちょっと予想外なんですけれども、現実の問題として明治の人は、実際にホームショッピングというようなものを予測しているわけですね。  それだけやっぱり先見の明があって、途中ちょっと大きな間違いを犯しましたけれども、我が国は烈強に伍して発展してきておるわけですな。ですから、常に先を見据えて、夢もはぐくみながらそれがいつか現実になるものとしてはっきりと対決していくという意識がないと、新しい社会に的確に対応していくことはできないということをいたく感銘しましたので、この席で釈迦に説法のようなことをいたけだかに申し上げるつもりはないのですけれども、私はその感を深くしましたので申し上げているわけで、これから法案の成立いかんにかかわらず技術革新は進むわけですし、常々新しいことには柔軟にシビアに対処していくという決意がなけりゃならないのじゃないかということをそのときふと思いましたので、感じたままの意見を披瀝いたしまして、時間のようですから質問を終わります。
  297. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 青島君の本日の質疑は終わりました。
  298. 田英夫

    ○田英夫君 率直に申し上げて、会期もあしたまでになりました。きれいごとを言っていても仕方がないと思いますので、率直に現在の情勢におけるこの法案の問題をお聞きいたしますので、そういう意味を込めて大臣もお答えをいただきたいと思います。  と言いながら、まず、私も、この法案をめぐって同僚委員の皆さんの質疑応答あるいは公聴会、参考人の意見聴取ということを経てまいりまして、大変勉強させていただきました。つい我々、一つ法案をめぐっての審議の場合に、何時間質疑応答をやったというような考え方や、あるいは公聴会をやったとか連合審査をやったとか、そうした国会における手続を経たからこれで議了するとか、そうしたことを念頭に置きがちでありますけれども、実は言うまでもなく、公聴会をやればその公述人の御発言が審議の中で極めて重要な価値を持つものだと思いますので、内容の点も極めて重要だというふうに今度は特に感じたわけでありまして、そういうことを、先日の公聴会、参考人の皆さんの御意見ということの中から幾つかの点をまず取り上げてお伺いをしたいと思います。  最初に、先日の参考人の御意見の中で斎藤さんが言われたわけですけれども、いわゆる接続業務というものについて、従来の電電公社から国になるだろうという意味のことを言われているわけですけれども、その場合にこれはどういう形といいましょうか、仕組みになってくるのか教えていただきたい。
  299. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 東大の斎藤先生のおっしゃったのは、第一種電気通信事業者相互間の接続のことだと思います。  これは今までは電電公社が一元的に行っていたものですから、事業者相互間に接続するということはまずあり得なかったわけでございます。これが今度は、一種業者が複数になるということで、これを相互に接続するということについて両事業者間に常に平等な形での契約が存在するように国は維持すべきである、こういう御意見だったわけでございます。  要するに、通信可能な範囲が、一種業者相互間に接続いたしますとネットワークが広がってくるわけでございますし、そういうことはもう一つの点からいきますと、二重投資の防止ということにもなるということでございます。それから、利用者にとりましても、A社の利用者はB社のネットワークにも接続されるということで、自分の利用の範囲というのが非常に広まるということでございます。  ただ問題は、この事業者間が非常に公正な形での協定を結ぶということが大事でございまして、協定内容が一方の当事者に著しく不利で公正を欠くものとか、利用者に対する責任が一体どっちの会社がどこまで責任を持つかということが明らかでないというような場合には、その費用負担面の影響というものもありまして、どちらがどのような取り分になるのかということにもなります。そこで、そういった接続協定ということについて国の責任をもってそれは行うべきであるという御主張だったと思います。  これに対しましては、今回の法案におきましては、三十八条に第一項、第二項といたしまして、「電気通信設備の接続または共用に関する協定」ということで、第一種電気通信事業者相互間の協約の締結の公平性を維持しているわけでございます。
  300. 田英夫

    ○田英夫君 これは今回の改革の実は一つの非常に重要なといいましょうか、利用者の立場からも非常に重要な部分ではないかという感じを持つわけですね。いわゆる新電電そして新しく参入してくる者というところの中でいかに円滑に接続ができていくかということで、これが利用者にとって非常に直接の、新しい仕組みを生かすという意味では非常に重要なことになるだろうと思うわけです。今のお答えに加えて、郵政省がその協定の内容というようなことに対して指導をするのか。そしてそれをするとすれば、そういう接続業務について郵政省の中はどういう仕組みでこれをやっていくのか。今までは直接的にはその必要がないといいましょうか、電電公社が一元的にやっていたわけですから、新しい一つの仕事として重要な部分になると思いますが、郵政省の中ではどういう仕組みになりますか。
  301. 小山森也

    政府委員(小山森也君) この協定は、まず第一に私的自治が優先いたします。この法律全体が、いつも行政というのは、まず私的自治が先行して後から認可するとかいうことになっております。  今回の場合におきまして、この共用に関する協定も、これは第一種業者がまず私的自治でお互いに事業者同士で接続協定を結ぶ。その後そういった締結しようとするとき認可を受けるという形になります。それと同時に、この協定というものが両当事者間で、事業者間で協定が成立しないということもあるわけでございます。片方の主張に対して片方が、そういった協定ではとても接続できないというようなことがある場合があります。そういった場合には、これは三十九条に規定しておりますけれども、「当事者から申立てがあった場合において、当該接続又は共用が公共の利益を増進するために特に必要でありこというような場合においては、郵政大臣が「協定を締結すべきことを命ずることができる。」ようになっております。また、「細目について当事者間の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、郵政大臣の裁定を申請することができる。」となっております。またさらに、裁定したところに「当事者が取得し、又は負担すべき金額について不服のある者は、その裁定があったことを知った日から三月以内に、訴えをもってその金額の増減を請求することができる。」ということになっております。またさらに、これにつきましては、このような裁定を下す場合におきましては裁定を下すということの手順になっているわけでございます。
  302. 田英夫

    ○田英夫君 実際には第一種業者間ですから、一方は新電電になると思うんですが、電電公社の方では、その場合のことを想定して今のこの法案のやり方でいくと、どういうふうにお考えになっていますか。
  303. 草加英資

    説明員(草加英資君) お答えいたします。  接続協定に当たりまして私どもが基本的に考えることは、まず利用者にとって何が一番プラスかということでございます。さらに、我々新電電とそれから新しく接続を求めてまいります一種業者の間で、双方が協調、競争できるような形での考え方をとっていきたいということが基本の哲学でございます。その上で新しい新規参入業者の方と、例えば技術条件、ダイヤルけた数の問題、またはアクセスチャージ等々を含めまして契約に入るわけでございますが、その中で一番大きな問題はやはりアクセスチャージだろうと、このように思うわけでございます。  アクセスチャージにつきましては、私どもといたしましては、その新規参入の方が実際に私どもの例えば市内回線とか、それからダイヤルを回す際にいろいろ付加設備をつけるとか、私どもが実際にかかる実費につきましていわゆる接続料という形でいただくわけでございますが、そのほかに例えば市内、市外の価格差が存在したような場合、これは我々はできるだけ経営努力をいたしまして、新規参入の方が入ってまいります三、四年後までにできるだけ経営努力をいたして市内、市外の価格差の是正というものに取り組んでまいりたいと思いますが、現実問題として、その時点で不採算部門が残っている場合には、それらも踏まえまして具体的にどのようなアクセスチャージにするかということを検討していきたい、このように考えている次第でございます。
  304. 田英夫

    ○田英夫君 このことを伺ったのは、たしか同じ参考人の御意見の中で、増田参考人もアメリカの例を引かれまして、アクセスチャージの問題が、アメリカの場合はもっと接続ということが多いからでしょうけれども、問題化しているという御意見もありましたので伺ったわけです。  次に移りまして、前からしばしば伺ってきたことですが、附帯業務の問題に関連をして、これは服部さんもきょう取り上げておられましたが、先日の公聴会で三村公述人が中小企業の立場から、いわゆる端末機の販売ということ、あるいはファクシミリの例も挙げておられました。つまり、電話機とファクシミリが具体的には挙げられたわけですけれども、今度の衆議院における修正ということを経てきて新電電がこれをやられると、我々はもう駆け込み寺をつくってもらわなければかなわないというお話がありました。この点も、いわゆるガリバーの手足を縛るということであってはならないと思いますけれども、同時に、中小企業の皆さんとの関係ということで、非常に今度の問題点の一つではないかというふうに感じます。  この点について、郵政省の方はどういうふうにお考えですか。
  305. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 附帯業務でございますが、郵政省原案といいますか、法案におきましては、これは認可にしていたわけでございます。  認可にしたという理由はなぜかと申しますと、附帯業務それ自体は非常に本来業務に密接にかかわるものでございますので、それほど独立した業務としての性格は持たないとは思います。思いますけれども、なぜ認可にしたかというと、本来事業の利用者によって賄われている——端的に言いましたら電話料金、電話料金附帯業務の方に流れていってしまって、それによって業務が行われるということになると、本来の電話料金を払った人との間の関係がおかしくなる。それからまた、同種事業を営む方との関係においては、電話料金というものによって補助を受けるということになりますと、公正の競争の原則に反するということの点、その点さえ担保されるならば認可というようなこともスムーズに行われるというつもりでやったわけでございます。  しかし、今回これが認可から外されまして、郵政省令で定めるところによりと、こういうことになっております。そういたしますと、私ども郵政省令というのは、まず第一に、認可という行政行為に係らしめないというところから、事業者であるところの新電電の主性というものを尊重しなければいけない、それに介入するような形で郵政省令を定めることは、今回の認可を外した意味がなくなると思っております。したがいまして、その点については十分注意しなければならないと同時に、やはりその提案理由の説明にあるところの「収支相償う」ということにつきましては明確な形でこれが内外にわかる形で会計整理をしていただき、さらに実態的にも電話利用の料金等によってこれを補助するということのないようにしていただきたい。そのような形で実態を知り得る程度の省令であり、それを守ることによりまして新電電も内外にその公正さを明らかにしていただくということが適切かと思っております。
  306. 田英夫

    ○田英夫君 今のお答えの中で出てきました、要するに、認可から外れて郵政省令ということになると、考えようによっては郵政省の姿勢が、具体的には対応というものがますます重要になると思いますので、中小企業に対する配慮という点をぜひ重視していただきたいというふうに感じますね。  附帯業務ということに関連をして、けさの新聞にも出ておりますけれども、いわゆるキャプテンのキャプテンサービスという会社が既に動き始めているということが紹介をされておりました。そして、いわゆる情報提供企業を募集したところが、四百七社から申し込みがあった、こういうようなことが報道されているわけですけれども、これは電電公社でもあり得るのかもしれませんが、新電電になれば即座に、秋にはこの会社は具体的な動きをするようでありますけれども電電公社の方はこういう動きをどういうふうに受けとめておられますか。
  307. 岩下健

    説明員岩下健君) 今御指摘のキャプテン、これはいわゆるビデオテックスサービスのいわば日本版として、それのはしりとして登場しておるわけでございまして、私どもも新しいこの情報化社会の一つの典型的なサービスとしてこの技術開発には力を入れてまいりました。会社も発足いたしまして、業務の開始が今先生おっしゃいましたように、この秋十一月というふうに予定をしております。このための一般の利用者の方々への周知、それから今もおっしゃった情報提供者、インフォメーションプロバイダー、いわゆるIPの方々への周知等もやってまいりました。こういった一般的な社会的な関心を非常に呼んでおりますのは、私ども業者の立場としましても非常にありがたいことだと思っておりますし、また、IPの方々が積極的な関心を示しておられることも、非常に私どもとしてもそのお役にも立てるんじゃないかという感じがしております。  また料金につきましても、実際の利用者の、キャプテンを利用なさるユーザーの方にお払いいただく料金、それからIPの方々の御負担になるコスト、こういったものにつきましても一応基本的なものはできておりますので、今後利用者の方々並びにIPの方々へのPRも含めて、このサービスの積極的な拡充を図ってまいりたいと思っております。  サービス地域につきましても、当初は東京地域だけを予定しておったわけでございますけれども大阪を中心とします関西地域においても地元からの御要望が非常に強うございまして、来年に予定しておりました大阪地域でのサービス開始を繰り上げまして、東京とほぼ同時期に、この十一月にサービス開始ができるように現在設備等について取り運んでいるところでございます。
  308. 田英夫

    ○田英夫君 このキャプテンサービスの動きというのは、実はこれからのいわゆるニューメディア、新電電であろうと電電公社であろうと、そうした電気通信網を利用しての新しい庶民の生活の中に入り込んだニューメディアの動きとして、はしりであると同時に非常に重要なところへ発展をしていくんじゃないかという感じがしますね、青島さんもさっき言われましたけれども。それに対して法律の方の整備が、これはいろいろなところに影響しますから難しいでしょうけれども、政府としてもこれを急がないと、法律の方がおくれて対応できないようなことがあってはならない。  これは郵政大臣に特にお願いをしておきたいと思うのですが、さっき旅行業法の話が出てまいりましたけれども、これも旅行サービスについての情報提供も入っているようですね、きょうのあれであるいはマスコミ各社も情報提供者、IPの中に名のりを上げてくる。その行く先は、先日申し上げたファクシミリ新聞というようなところへまで発展をしていくかもしれませんし、何か将来に向かって発展する一つのきっかけといいましょうか、発端になるようなそういうものではないかという気さえいたしますので伺ったわけであります。  全く今昔の感で、もう三十年近く前ですが、私南極へ行きましたときに、南極から報道の原稿を送りますのに、私も国家公務員になりまして、電報の頼信紙に原稿を書いて、こんな厚さになるんですけれども、それを一人で片仮名で全部書かされましてね、それを「宗谷」の中の郵便局へ持っていくと、要するにお互いに乗組員同士なんですけれども、南極本部へ届く。わずか二十数年前のことでありますから、それがきょうのこのキャプテンサービスなんていうところを考えますと、全くスピードの速さに驚くわけで、恐らく今だったら「しらせ」という船でしょうけれども、そこから音声で読み上げれば文字になって出てくるというようなことが今すぐにでもやられているんじゃないかと思いますが、そういう発展の速力が、カール・ルイスじゃありませんが、ますます加速してくると、もうすぐそこへ来るんじゃないか、そういう気がしまして、先日も片山委員が情報基本法のことを言われましたけれども、情報と通信という問題も青島さんが取り上げておられますが、非常に接近をしてきた。  しかし、まさに情緒的と言われた部分を大切にしながら、しかもプライバシーを守っていくということを含めて情報というものはいかにあるべきかということを考えますと、情報基本法というものの存在というものがやはり私も重要になるんじゃないだろうか。私の言いたいのは、そういうことを含めて考えると、ニューメディア時代に対応する法体系というものを、今度のこの電電改革という問題だけじゃなくて、もっと広く見直しをしていかないと追いつかないのではないかという気がしているので、申し上げたわけであります。  公聴会や参考人の皆さんの御意見を参照しながらという言い方で、どうしてもやはりこの際申し上げなければならないのは、先日の公聴会の中においでをいただいた全電通の山岸委員長の御意見であります。  当該の電電公社職員の労働組合の最高の責任者が、この公の場である国会の公聴会において非常に率直に現状における自分たち考え方を表明されたわけでありまして、本来はこの電電法案には反対であるけれども、現実を考えたときに、修正または修正に当たる解則をして会期中に議了をしてほしい、こういう実に率直な御意見の表明があったということを私はやはり重視をしないわけにはいかないのでありまして、しかも解明を特に希望する四つの問題点を挙げておられます。一つは公共性に関する問題、二番目にスト権の問題、三番目に附帯業務の問題、四番目に当事者能力の問題、こう挙げられて、それぞれについて当事者としての働く側の御意見を言われたわけでありまして、この内容は繰り返しませんけれども附帯業務の問題についても今触れたとおりでありますが、あるいはスト権の問題についても同僚委員から繰り返し確認の御意見あるいは答弁を求める御意見がありました。  冒頭申し上げたように、もうあしたまでしか会期がないという状況の中で、この率直な御意見がここで表明をされたという、こういう状況郵政大臣はどう受けとめられるのか。特に、スト権ということに象徴される問題、これについてまず率直な御意見を伺いたいと思います。
  309. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 今先生から、公聴会等々における電電の山岸委員長の御発言内容を引用されてのお言葉もございました。公社三十二万の職員の立場を憂えるという立場においては、経営する側の責任者である幹部と働く側の立場を代表する山岸委員長の発言というものは、全く同じ立場に立って、恐らく新しく民営化される会社の前途も含めて、今日の公社状態のメリット、デメリットの面も含めて、慎重に発言したことであろうと思っております。しかし、その真情の期するところは、労使とも一日も早くこの民営化法案を通過させていただいて、新体制、新会社のもとでひとつ大いに労使とも頑張ってみようという基本的な方向においては、全く悩み悩んだ末に到達した方向ではなかろうかと思っております。したがいまして、私たちもできるだけ、この法案によってそういった意欲をさらに積極的な形でやっていっていただけることを大きく期待しておるところでございます。  ただいま御指摘になりましたスト権の特例の附則の問題でございますけれども、総理も、三年後の見直しの中には当然スト権の廃止も含めるという御発言内容でございました。私はさらにそのことについて、健全な労使基調の中で、三年間の見直し規定の際にはこれを廃止する方向であるということを恐らく言葉の外に、心中そういった形を込めて発言されたことと私は確信をいたしております。また、そのようになることを願望しておるという立場でございます。
  310. 田英夫

    ○田英夫君 今の大臣のお答えの中にありましたように、まさに三年後の見直しという場合には、率直に言って、これは廃止を含めてという言い方よりも、もっと明快なといいますか強いといいますか、そういうトーンであるというふうに理解をしていきたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
  311. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) ちょっと私は総理の心中を少し私なりに解釈したという面もあります。しかし、恐らく総理もそういった形でお答えいただけると確信をいたしております。
  312. 田英夫

    ○田英夫君 事実、これは山岸委員長も言われましたし、あるいは先日の参考人の中で芦村参考人あるいは矢加部参考人も触れておられましたけれども、全電通労組の従来の姿勢、それから電電公社における労使の関係ということを現実的に見たときに、しかも新電電という形になって、民間になって、労使ともに当然その新しい体制の中で円滑に、しかも新規参入会社と円滑な競争をしながら発展をしていきたいという心情になることは当然でありますから、そこに従来の姿勢を含めて考えたときに、まず労使の紛争状態というようなことは想定しにくい。これは今後のことは仮定の問題かもしれませんけれども、そう考えるのが常識的ではないかというふうに思いますので、今の大臣のお答えは、そういう意味を込めて極めて率直に受けとめさせていただきたいと思います。  そして、これから率直に伺いたいんですけれども、あと一日しかありません。きょうのこの委員会の質疑も私の後社会党一人ということで、こういう状況の中で、ずばり申し上げて、あしたこれが議了し成立をするのか継続審議になるのかという極めて微妙な情勢にあるわけでありますけれども、もし仮に継続審議というような形になった場合、今の今国会の終了の状況考えたときに、秋に臨時国会を召集される、これは政府・与党の問題でありますけれども、そういうことは想定しにくいと言わざるを得ないと思います。また、たびたびの自民党幹部あるいは政府の幹部の御発言の中から、今国会は再延長はしないというそうした暗黙の話があったように受け取れるわけであります。  そうなりますと、継続審議になった場合に次の通常国会まで審議の場がないということを予想しなければならない。その場合に来年四月一日発足というそうした日程ができるのかどうか、そうしたことをもう考えなければならないときに来ているんではないかと思います。そうした判断も含めながら我々自身も、きょう、あすの態度を決めなければならない。また、政府も電電公社当局も、あるいはそこに働く皆さんも当然でありますが、さらには新規参入を目指して動きを始めていらっしゃる、先ほど申し上げたキャプテンサービスを初めとする、あるいは第二電電を既に計画をし役員まで決定をしているそういう状況、あるいは利用者の側もある部分では新しい体制に夢を託しているというところもあるかもしれません。そういう問題を含めて考えたときに、来年四月一日というものが、継続審議になった場合にどうなるのかということを、この際郵政省側の見解として伺っていい時期が来たのではないかと思いますが、大臣いかがですか。
  313. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) まことに参議院に送付されてきた時期が、ある意味において衆議院審議の影響を受けて、非常に厳しい環境、時間制約の中での御審議ということに関しましては、私も非常に恐縮に存じております。内容が内容だけに、重大な法案であるという認識をしておりますだけに、そのことは切実な大きな悩みでもあるわけでございます。  しかしながら、もし先生の御指摘のように通常会までこの法案が継続という形の中でずれ込むということになれば、残念ながら四月一日からの新会社移行という形は、会社内部の準備、いろいろな問題点を先ほど来各委員からの御質問の経緯の中で公社側も答弁いたしておりましたように、とても事実上無理なことになるだろうと思っております。そういう形になりますれば、同じ法案が継続して通過されたと仮定いたしましたときに、私は公社の今日の労使双方に与える心理的な影響というものも、非常に憂慮すべきことになるのではなかろうかということも実は心配の種でございます。そういった意味合いにおきまして、限られた時間制約の中ではございますけれども、何としても今国会のうちに本法案の成立を図っていただきたいという懇請を申し上げる次第でございます。
  314. 田英夫

    ○田英夫君 その点、真藤総裁はいかがですか。
  315. 真藤恒

    説明員真藤恒君) 今の大臣の御答弁と全く同じでございます。
  316. 田英夫

    ○田英夫君 お聞きしたいことは実は細かな内容について多々ありますけれども、今申し上げたような状況の中で、我々も国民生活に直接関係をする重要な問題についての態度決定を迫られざるを得ないといいますか、そういう心境でありますので、残余の細かいことに及ぶ気がいたしません。むしろ我々の側は、この時点でどういう態度をとったらいいのかということをお互いに考えなければならないところに来ているのではないか、こういうことが今の心情であります。  終わります。
  317. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 田英夫君の質疑は終わりました。
  318. 片山甚市

    ○片山甚市君 私は、今まで余り論議をされなかったことで、この法案を通過させるためにはどうしても解明をしておかなければならない問題について触れたいと思います。  一つは、今次法案により電気通信技術者、工事担任者の制度が生まれ、その資格は試験によるということになっておりますが、新電電、国際電電、また下請企業においては長年の実績を持っております。したがって、新法移行に際しましては、経過措置として、経験年数等が評価され、新たに試験を受ける必要がないと思うのですが、どうでしょうか。  また、今後の取り扱いにおいて、一定の教育、訓練、経験を積むことにより同等の資格が得られるべきだと考えますが、どうでしょう。  事業法案第四十五条三項の二、三号の具体的な考え方について明確にしてもらいたい。  さらに、主任技術者の配置の基準について、どのようにされておるのか、伺います。
  319. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 実績を評価いたしまして、試験を経なくとも電気通信主任技術者及び工事担任者として認定することといたしたいと思っております。現に電気通信設備の工事、維持及び運用の監督、または端末設備の接続もしくはその監督に従事し、これらに関する専門的知識及び技能を有している場合には、先ほど先生指摘のように、第四十五条第三項第三号及び第五十四条二項に基づきまして、試験を経なくとも認定するということにしたいと思っております。  また、今後の取り扱いでございますが、企業内研修施設についても所要の研修課程が含まれている場合には試験を経なくとも済むよう、法案の第四十五条第三項第二号及び五十四条第二項に基づき、養成課程として認定するものとする予定にいたしております。
  320. 片山甚市

    ○片山甚市君 技術者の配置の方はどうですか。
  321. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 漏れがございました。失礼いたしました。  電気通信主任技術者の選任基準でございますが、電気通信主任技術者が監督できる電気通信設備の規模を勘案しながら、主たる事業場ごとに電気通信主任技術者を選任すればよいということにしようと思っております。なお、多数の事業場が地理的にも組織的にも近接している場合は、これらの事業場を直接統括する事業場に配置された電気通信主任技術者が、一定の範囲内、例えば同一県内の他の事業場の設備もあわせて監督できるものとする予定でございます。  なお、参考までに申し上げますと、現在の電磁公社の組織に即して申し上げるならば、主要な報話局、工事事務所、無線中継所、電話中継所あるいは電気通信部、地区管理部、都市管理部、搬送通信部、無線通信部等が電気通信主任技術者を選任すべき事業場と考えられます。  以上でございます。
  322. 片山甚市

    ○片山甚市君 電気通信主任技術者の配置の説明だったと理解します、選任というのが入っていたと思いますが。  次に二つ目に、地方電気通信監理局の任務、位置づけの明確化を願いたい。電気通信事業者に対する監督権はどうなっておるのか、これからどうやっていくのかについて説明を願いたい。
  323. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 電気通信監理局の任務、位置づけでございますが、電気通信事業の規律監督については、その業務区域が一つの管内にとどまる場合には地方電気通信監理局において行い、複数の管内にわたる場合は本省において行う方向で検討いたしております。したがいまして、新電電に対する監督は地方局で行うことはないものと考えております。
  324. 片山甚市

    ○片山甚市君 そこで、事業法、会社法、整備法の三法案を合わせますと、政省令に入れられた条文については大体八十五から九十五に及んでおると見られます。この運用を誤れば、経営の自主性、企業の活性化は大きく阻害される危険があると思います。したがって、政省令を理由に事業に対する支配、介入を行わないことを明確に示してもらいたい。そして、業務の範囲、基準に関するものなど、主要な政令、省令についての政府の考え方を逓信委員会説明するように言明してもらいたいと思います。
  325. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 委員会からの御命令でありますれば、当然私たちとして説明をいたす所存でございます。
  326. 片山甚市

    ○片山甚市君 大臣はそれにつてどうお考えですか。
  327. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 主要な政省令改廃については、当然、逓信委員会の御審議に応じて明確にさせることをお約束申し上げます。
  328. 片山甚市

    ○片山甚市君 今回の法改正の趣旨によると、競争原理を導入し民間活力を最大限活用することにあることを踏まえ、政省令を定めるに当たっては事業者の自由な活動をできるだけ保障するという考えですか、どうですか。
  329. 小山森也

    政府委員(小山森也君) そのとおりでございます。
  330. 片山甚市

    ○片山甚市君 そこで、事業法第九条第二項ですが、第一種事業の許可にかかわる内容として電気通信役務の種類とその態様、設備の概要についてであります。あくまでも大ぐくりとすることが経営の自主性から必要であり、主要なものを除いては概括的なものにすべきだと思いますが、いかがでしょう。
  331. 小山森也

    政府委員(小山森也君) そのように取り運びたいと存じます。  例えば「郵政省令で定める区分による電気通信役務の種類」というのがございますが、このような場合においては、今法定になっております電話であるとか電報であるとか専用線サービス、そういったような大ぐくりなものにしたいと思っております。
  332. 片山甚市

    ○片山甚市君 お答えは明快でありますが、今の答弁では十分に解明されたと思われません。具体的な意見については、今後さらに逓信委員会等でも論議をしたいと思います。  そこで、第四番目にお聞きします。  事業法第十四条の一項と二項に関することですが、第一種事業者の役務の種類等の変更許可から除外される軽微な変更について、電気通信事業における技術革新のテンポが速いことなどから、電気、ガスなどよりかなり大幅としているが、おおむね軽微なものは六〇%程度とすべきだと考えるが、よろしいか。  また、このことは、特別第二種、一般第二種の場合も、いずれも同じように考えてよろしいでしょうか。
  333. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 公益事業であります電気事業では、この変更の規模は二〇%未満、ガス事業では一〇%未満の設備、それらのものを軽微な変更としております。  しかしながら、御指摘のとおり技術テンポの速いこの電気通信事業におきましては、そのような数値ではとても現実のものには合わないわけでございます。ただいま先生の申されましたパーセンテージ、大体御指摘のような方向で考えてまいりたいと思います。  なお、特別第二種につきましても、基本的に同様でございます。
  334. 片山甚市

    ○片山甚市君 第二十四条の二項二号における特別第二種の役務の種類というのはどういうものですか。
  335. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 国内通信とか国際通信の別、それから音声、データ、ファクシミリ等、伝達される情報形態の別、それからパケット交換、メディア変換等、ネットワークの持つ機能、そういったようなものを定める予定にいたしております。
  336. 片山甚市

    ○片山甚市君 第三十一条四項と六項における料金の減免の基準とはどういうものであるか。それで、福祉用あるいは企業的な必要によるものについては経営の自主性に任せるのかどうか。二つお聞きします。
  337. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 第一種小業者サービスにつきましては、利用の公平の観点から同一役務、同一料金でなければならないという大原則がございます。現在の一一〇番、一一九番あるいは船舶、航空機の遭難通信のように、国民の生命財産の確保にかかわる公共性の高い通信についてはこのような減免の措置をしてもよい、それからさらに福祉電話というようなものにつきましては、他の利用者からの負担を一部いただいても、別にこれについては問題にならないと思っております。  なお、二番目に御指摘のありました事業者の都合によるものにつきましては、利用者の公平の観点という点から問題があるかないかということを判断しなければならないと思っております。
  338. 片山甚市

    ○片山甚市君 三十三条の「会計の整理」については、ほぼ公社が現在行っている大ぐくりな事業別に商法にのっとって行うと解釈してよろしいか。
  339. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 御指摘のとおり、まず原則は商法にのっとって行うことになります。しかしながら、会社として圧縮記帳をするとか、電気通信サービスに即応した収入科目等の電気通信固有の勘定科目を設定しなければならないとか、あるいは事業の区分及び共通費の配賦基準というものは、商法に基づく一般基準では十分対応できないと思っております。ただしかし、事業区分については、現在でもありますように、五分類程度の大ぐくりな事業区分として十分である、こういうふうに考えております。
  340. 片山甚市

    ○片山甚市君 三十一条の五項における特別第二種の提供条件について、第一種事業者と同様に、主要な料金以外は届け出を必要としませんか。
  341. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 御指摘のとおり、料金については主要な料金以外は届け出は不要でございます。
  342. 片山甚市

    ○片山甚市君 第四十一条における第一種、特別第二種における設備の維持に関する技術基準とはどのようなものか。それは公社が現在行っているものと同様と思いますが、どうか。
  343. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 結論といたしまして、現在公社において内部基準として定めているものと同様のものとする予定でございます。  なお、敷衍して申し上げますと、技術基準では耐震対策、故障検出機能の具備、通話品質、接続品質、漏話対策、送り出しレベル等の電気的条件責任分界点の設定、自己試験機能の具備というようなことでございます。これは、重ねて申し上げるようでございますけれども、現在の公社においての基準と同様のものでございます。
  344. 片山甚市

    ○片山甚市君 第四十三条の二項における管理規程として届け出る主たる内容を明らかにしてもらいたい。
  345. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 電気通信役務の安定性、信頼性を確保する上で必要な事項でありまして、第一が電気通信主任技術者の職務に関する事項、第二が設備の保全に関する事項、第三が障害の発生その他非常の場合にとるべき措置に関する事項等を定める予定でございます。
  346. 片山甚市

    ○片山甚市君 第四十九条の一項における第一種事業における端末設備接続の技術基準及び接続請求を拒み得る場合とはどのようなことかについての説明を願いたい。
  347. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 端末設備接続の技術基準は、端末設備が第一種電気通信事業者の電気通信回線設備に支障を与えることを防止する等の観点から、信号の最大送り出しレベル、最大電圧等を定めることにしております。  なお、接続請求を拒み得る場合とは、直営端末に限るという趣旨でございまして、課金上のトラブルを避けるために、公衆電話とか、電波干渉による使用不能の事態を避けるために、コードレス電話というようなものは直営に限るということで接続請求を拒み得ると、こうしたいと思っております。
  348. 片山甚市

    ○片山甚市君 第五十条の一項における端末設備の種類について説明してください。
  349. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 技術基準適合認定の対象となる端末機器でございまして、これは電話機とかファクシミリ装置、MODEM等でございまして、電話網に接続されるものを定める予定でござます。
  350. 片山甚市

    ○片山甚市君 第五十一条の一項における利用者が第一種事業者の接続検査を拒否し得る場合とはどういう状態を言いますか。
  351. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 拒否することが認められる場合といたしましては、例示的でございますけれども、第一に利用者の営業時間外に検査を行おうとするような場合、第二に、日没から日の出までの間に検査を行おうとする場合など、検査を拒否する客観的に世間的に認められる正当な事由がある場合を定める予定でございます。
  352. 片山甚市

    ○片山甚市君 五十三条の一項における工事担任者の監督の例外とは何を指しますか。
  353. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 例えば、差し込み式の電話機を接続するときのように、工事担任者による工事を必要としない場合を定めるものでございます。  なお、加えて申し上げますと、第一種電気通信事業者の直営端末を設置する場合は、当然のことながら工事担任者は不要でございます。
  354. 片山甚市

    ○片山甚市君 五十四条の一項における工事担任者の工事範囲について明確に言ってください。
  355. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 工事担任者の工事の範囲は、現行の工事担任者の種別に準じまして、電話、構内交換設備、データ通信端末等の端末設備、あるいは自営電気通信設備の種別で区別して定める予定でございます。工事担任者は端末設備あるいは自営電気通信設備の接続の技術基準に適合した接続工事を行わせるために設けた制度であり、具体的には電話や構内交換設備等の端末設備や自営電気通信設備と第一種電気通信事業者の電気通信回線設備との接続配線等の工事を行うものであります。
  356. 片山甚市

    ○片山甚市君 本日は、政令、省令に関する問題について十分に今まで議論ができておりませんでしたから、郵政省の、政府の考え方をお聞きすることができました。  八十五あるいは九十五程度の省令、政令が出ておりますから、本来ですと事業法を中心にきっちりと詰めなければ、やはりここは御承知のように自主性を損なう、介入が激しくなってくる、こういうことでありまして、心配しておりましたが、今お答えを願っておきましたから、これで終わることなく検討していきたいと思います。きょうは、そういう意味で、時間を本来はいただけなかったんですが、特にお願いをして、いただきました。  演説はこのぐらいにしますけれども、皆さんの言われたことについて十分に気にとめて、法案のあり方について対処していきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  357. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 三案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  暫時休憩いたします。    午後六時六分休憩    〔休憩後開会に至らなかった〕      —————・—————