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福間知之君 今非常に重要なことを二つ、三つさらりと述べられているわけですね。例えば、それぞれの地域の
ニーズに見合った、小回りのきく
サービスの提供ということがやはり必要になる。それでは今の
電電公社のような巨大な一
企業体ではやりにくいと。あるいはまた、
電話、電信だけじゃなくって、非常に多様な媒体というものがこれから
考えられるので、今までの
公社という体質だけでは不得手なものもあると。だから、
新規参入者と
競争することによってこなしていくことがいいんだと、こういうような
趣旨をおっしゃったですね。あるいはまた
料金の問題で、市外
料金というのはこれから特に下がるだろう、こうおっしゃいました。確かに今まで、ここ最近、
電電公社は積極的に市外
料金を下げてきましたけれ
ども、しかし、その延長線上で必ずしもこれは私は見れぬと思う。
例えば、
小山局長も御承知のとおり、アメリカのATTとあるいはその他の分割
会社との
関係、
新規参入の
関係から見ましても、例えば長距離部門の収益を今まではATTが市内につぎこんできた。ところが、二十二の
会社あるいは個々の地区の中間地方
会社、こういうものができて以降、発生している事態は必ずしもそうではないのじゃないかと思うんです。そう言うと、皆さんは、日本では過渡的には、それは市外の
料金をそう直線的に下げるわけにはいかぬかもしらぬと、こうおっしゃるかもしれないけれ
ども、逆に言えば、市内の
料金を上げなければ、これは新
電電も他の
新規参入とイコールフィッティングで競合することは難しくなるんじゃないだろうか。今家庭の市内の
電話を使っている
料金というのはほぼ七割でしょう。かなりのウエートを占めているわけですね。それで、長距離の
電話というのは、個人も最近は結構かけますが、何といっても
事業体が利用する比率が高いわけです。そういう
事業体は、
新規参入の方に、よりクリームスキミングでクリームをむさぼろうとする第二、第三
電電の方の長距離回線というものを使うであろうと。そうすると、新
電電は、その長距離の
料金を下げるわけにはなかなかいかないと、こういうことになってくる。下げようとすれば、必然的にそれは、市内の
料金今でも赤字なんだからそれを上げざるを得ないと、こういうロジックになるんじゃないんですか。これはアメリカの例から見ても、イギリスのBTとマーキュリーの結果から見てもそのことは言えるんじゃないかと思うんです。今の市内
料金は赤字なんでしょう、
電話番号の案内
サービスなんかも含めて、すべてコストはコスト割れしているんでしょう、この点は後でもう少しただしてみたいと思うんですけれ
ども。だから、そういう点を言うならばメリットではない、デメリットじゃないのかというふうに私は思うわけです。そもそもアメリカのATTが今年からそういうふうに二十二の地方
会社に分割されるに至ったという歴史的な経過というのは、これは全く今日本の
電電公社を民営化し
競争原理にさらすというふうなそういうこととは異質なものなんですね。似て非なるものなんです、これは。私はその点を、社会党としては調査団も出してアメリカもイギリスも調べてきているわけですけれ
ども、どうもそういう点で、もって他山の石とするような真摯な態度、そういうものが感じ取れないものですから、
衆議院の審議段階からも私たちは腑に落ちない、どすんと胸に落ちないものが残っているわけであります。
そこで、この
法律が仮に成立をしてみて新
電電の発足ということになったと仮定いたしましょう。従業員三十二万、地方の
電話局、
電報局二千五百、
資本金は一兆円、年間の売り上げ四兆五千億円以上、まさに歴史的に超マンモスの
企業が誕生するわけであります。ある報道の
言葉をかりれば、これは大怪獣
電電だと、こういうふうな表現をしているところもあるほど、まさしく歴史的な超大
企業の誕生、こういうことになるわけです。この新
電電を迎える
関係業界、電子機器あるいは通信機器、そういう工業会の加盟の
企業従業員は今トータル六十四万人であります。ほぼ倍でありますが、
企業の数、規模はもう圧倒的に中小零細が多いんです。そういう小人がこの大
電電に今までは寄りかかってきた部分もあるし、これからもそれはあるんでしょうけれ
ども、総じて
競争関係に入って、しかも新
電電としての自由裁量というものが一定水準で認められるということになりますと、これは既存の業界といいますか、
関係企業としては予想外の事態に直面するということが十二分に
考えられるわけであります。ましてや、新
電電がこれから一定の時間をかけて
企業の、あるいはまた仕事の面での分離あるいは分割などというふうな新事態が全く予想されないわけじゃありません。
仮にアメリカを例に言えば、二十二の地方
会社に分離されたATT、これはもう早速ATT自身がATTインフォメーションシステムという四つの部門を構成いたしました。またそうすることによって、逆の見方をすれば、新
電電に対する
新規参入の第二、第三
電電とのイコールフッティングの
競争条件も整備されるというふうな見方もあるわけです。ところが、当面は分離もしなければ分割ももちろんしない、こういうわけですから、まさに大怪獣
電電は巨大独占の条件を継承したままで市場に参入をするわけです、逆に。私はこういうことを
考えてみたときに、どういう大きな社会的な
影響というものが出るのだろうか、
考えるだにそら恐ろしいわけであります。ましてや、武蔵野通研だ、あるいはまた横須賀通研だ、あるいは茨城の通研だ、最近は厚木の超LSI研究の専門通研、こういうふうな巨大な研究所が
電電には存在します。今日まで日本の
電気通信その他に果たしてきた技術開発の役割は非常に大きいものがありました。しかし、
民間が寄ってたかっても、それだけの研究所のいわば中身、充実した
体制というものは、これはもう足元にも及ばないわけであります。したがって、私は今まで蓄積してきたそのような研究の成果としてのノーハウだとか、あるいはまた先ほど言った売り上げ、従業員数、店舗数等々の巨大性とか、そういうものから見た場合に、むしろ
新規参入は現在の
電電公社、いわゆる新
電電が市場に
新規参入するというふうな格好の方がむしろ性格的には強いんじゃないのか、そういう懸念を諸般の面で感ずるんですが、当局はどういうお
考えですか。