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1984-08-02 第101回国会 参議院 逓信委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年八月二日(木曜日)    午前十時一分開会     ―――――――――――――   委員異動  八月一日    辞任          補欠選任    大森  昭君       福間 知之君  八月二日    辞任          補欠選任     福間 知之君      梶原 敬義君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         大木 正吾君     理 事                 長田 裕二君                 成相 善十君                 宮田  輝君                 片山 甚市君     委 員                 大木  浩君                 岡野  裕君                 沖  外夫君                 志村 愛子君                 新谷寅三郎君                 西村 尚治君                 山内 一郎君                 梶原 敬義君                 福間 知之君                 中野  明君                 服部 信吾君                 佐藤 昭夫君                 中村 鋭一君                 青島 幸男君                 田  英夫君    国務大臣        郵 政 大 臣  奥田 敬和君    政府委員        郵政大臣官房長  二木  實君        郵政省郵務局長  塩谷  稔君        郵政省通信政策        局長       奥山 雄材君        郵政省電気通信        局長       小山 森也君    事務局側        常任委員会専門        員        酒井 繁次君    説明員        労働省労政局労        働法規課長    廣見 和夫君        日本電信電話公        社総裁      真藤  恒君        日本電信電話公        社総務理事    児島  仁君        日本電信電話公        社総務理事    岩下  健君        日本電信電話公        社営業課長    草加 英資君    参考人        日本電信電話公        社経営委員会委        員長       吉國 一郎君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○日本電信電話株式会社法案内閣提出衆議院  送付) ○電気通信事業法案内閣提出衆議院送付) ○日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法の  施行に伴う関係法律整備等に関する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件 ○連合審査会に関する件     ―――――――――――――
  2. 大木正吾

    委員長大木正吾君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  まず、委員異動について報告いたします。  昨日、大森昭君が委員辞任され、その補欠として福間知之君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 次に、日本電信電話株式会社法案電気通信事業法案並びに日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案、以上三案を便宜一括議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 中村鋭一

    中村鋭一君 大臣代表質問でもお尋ねしたんですけれども、今回の会社法案は、どうもやっぱり全体として、例えば目的達成業務等々におきましても規制が強過ぎるといいますか、行政当局介入、牽制、制肘といいますか、そういうニュアンスが強いように思うんですけれども特殊会社とは言い条株式会社でございますから、こういうことはやっぱり少ない方がいいには違いないわけでございまして、これでいかがでしょう、会社経営権というものは十二分に確保され得るとお考えでございますか。
  5. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 今回の民営化法案最大目的と申しますか、目標は、経営責任を明確にする、そして自主的な今まで従来なかったいろいろな、もちろん労使のそういった交渉も含めてでございますけれども会社自主性というやつを付与することによって民営会社として効率といいますか、経営効率を上げる。そしてまた活性化ですね、事業そのものがやっぱり競争原理対立業者も出てくることでございますから、そういった意味では、それに対応でき得るような活性化を持ってもらうということが基本でございます。  したがいまして、引き続きこの電気通信事業公共性というものには最大の配慮をしなければなりませんけれども会社自体のそういった形については最も緩やかに、これはまあ先生とそこのところが御意見が違うところかもしれませんけれども、緩やかな形でのそういった政策的な担保だけをしておるということでございます。例えば労使賃金決定はもちろん自主交渉で行われるのは当然でございます。例えばスト権にしても、今度の場合には三年間という特例的なものはついてはおりますけれども、労働三法によるスト権というものは当然のことでございますし、そういった形での中で体制が激変するわけでございますから、それらの経過的な形の中ではいろいろまだ規制とか云々とかという御指摘もあろうかと思いますけれども、これだけの巨大企業一つの民営化される経過措置としては、私としてはこれは非常に緩やかなものになっているんじゃないかと。例えば役員一つとっても、一応大臣認可になっていますけれども認可というやつはもちろん任命とは違いますし、全役員のあれに対しても初めに認可がありきじゃないんで、もう本当にそういった形の役員が、取締役というのになるんですか、そういった株主構成の中では、今後どうなるかは別として、それが後で承認認可というような形になるわけでございますし、経営者内部から自主的に自分たち代表者を選ぶという形においては、むしろ代表者を特定して任命するよりも、その方が経営自主性経営民主化といいますか、そういった形については私はむしろこれは緩やかな形での担保としてやってきたと思っております。
  6. 中村鋭一

    中村鋭一君 その決められたことに対するスタンディングポイントが違うということかもしれませんけれども、例えば今真藤総裁もお見えでございますけれども電電公社にしても、総裁と副総裁のみが内閣任命となっておりますし、それから先般成立いたしました関西新空港法を見ても、これも認可代表取締役だけですね。同じ特殊会社ですね。なぜ電電会社だけがそうでなければならないのか。  また、大臣おっしゃるように、皆さんの総意に基づいて選ばれた者を事前にではなく事後に認めるということであれば、なおさらそういう必要はないんじゃないかと、こう考えるんです。これが勘ぐりであれば結構なんですけれども、一部、例えば新聞紙上などでは行政当局がこの巨大な新会社に対して、例えば天下り先を確保しておくためにかようの規制を、関与といいますかを行っているのではないかと。「李下に冠を正さず」ということもございますから、こういう憶測を否定するためにも私は、このようなことはない方がいいと思いますし、それから中曽根総理大臣常々民間活力の導入、これが行政改革の真骨頂であるというふうにおっしゃっているわけでございますから、いま一度その点についてのお考えをお示し願いたいと思います。
  7. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 経営責任をはっきりさせてもらうということで、民間活力というのは、まさに人材というものが全く競争の中から出てくるというような形の中にやはり民間会社の特徴があると思っております。したがって、今言われましたような天下り先云々という形で関与することは当然あってはならないことでございますし、今後も、人材として懇望される特例ケースの場合は別といたしましても、天下り先云々という世間の御批判先生の御指摘のようなことが万々ないように、厳重にここではっきりと、そういう形の御批判を招くようなことはいたさないという形を明言いたしておきたいと思います。
  8. 中村鋭一

    中村鋭一君 真藤総裁、私は総裁には質問の通告をしておりませんので、もしなんでしたらお断りいただいてもいいんですけれども、今の大臣のお言葉の中に、特に懇望されれば別だということがありました。しかし、そうでない限りはさような懸念は一切無用であると明言をなさいましたが、それも含めて総裁は、例えば代表取締役選任だけに限った方がいいのか、それとも本法律案に見るように取締役全員事後とは言い条認可対象である方がいいのか、その辺についての御感想をお聞かせ願いたいと思います。
  9. 真藤恒

    説明員真藤恒君) 実際の運営状態のことを考えますと、今大臣がおっしゃいましたようなことがきちっと守られさえすれば、どちらがいいとも悪いとも実質上は関係ないんじゃないかと思います。
  10. 中村鋭一

    中村鋭一君 どちらがいいとも悪いとも実質上は関係がない。ちょっと総裁、私理解が行き届きませんが。
  11. 真藤恒

    説明員真藤恒君) 商法の方でまいりますと、株主総会承認を得て取締役のメンバーが全員決まりまして、その後で取締役の中で推薦をして代表取締役が決まるという形になりますので、政府の方が大株主という形はこの法案では最後まで続くことになっておりますので、そっちの方の考えから申しますと、取締役全員政府認可を受けると。政府認可というのがちょっと引っかかりはございますけれども株主総会認可を受けるということでございますから、実質上はあんまり変わらないんじゃないかという意味でございます。
  12. 中村鋭一

    中村鋭一君 大臣のお言葉をそのとおりに受け取りまして、この法案の根本の趣旨を体して、今後とも、例えば取締役選任も含めて、あらゆることについて行政の過剰な介入がないようにお願いを申し上げておきたいと思います。  附帯業務についてお伺いいたしますが、附帯業務をこれは衆議院の段階で認可対象外といたしましたが、この趣旨から、附帯業務を始めるに当たって、その内容についての事前の報告、届け出は不用である、このように考えるか。また、郵政省令で定める必要のある事項とはどういう内容考えておいてか。これは局長に御答弁お願い申し上げます。
  13. 小山森也

    政府委員小山森也君) 衆議院修正の御趣旨によりますと、附帯業務について収支相償うなどの要件が担保される必要があるとされております。それにつきましてですから、これにつきまして何にも把握してないというのは、これは行政側としてできないことでございますけれども事前にこれをいろいろ審査するということにはなじまない。要するに、開始するときに直ちにと言いますか、遅滞なくそれについて御報告いただくなり届け出ていただければ結構であって、事前に何らかの機関を置いてそれに対してチェックするというのは、私どもこの修正趣旨ではないと思っております。したがって、そういう事前にいろいろなチェックをするための事前審査というのはしないということにすべきであろうと思っております。  それから、郵政省令内容でございますけれども、これは御趣旨によりますれば、附帯業務に関して収支区分を明確にすることと、附帯業務収支相償うように行うことというようなことをやはり決めるべきであろう、こう思っております。
  14. 中村鋭一

    中村鋭一君 一種事業料金認可の範囲についてどのようにお考えでございますか。これも衆議院で御答弁がございましたけれども、確認のためにここで具体的に明らかにしておいていただきたいと思います。
  15. 小山森也

    政府委員小山森也君) これにつきましては、公共料金でございますので、認可というものは何かということを考えますと、利用者保護という点だろうと思います。したがいまして、基本的な料金、これは認可という制度をとって、それを通じまして国会等に対しまして行政責任を持っていくということでなければいけないということで、これは認可にしなければならないと思います。そのほかの付加的な料金それからオプションのような料金、これは事業体の自由な形での競争原理を導入するわけでございますから、そういった中での価格形成ということに任せるべきだろうと思います。  なお、ちょっと長くなりますけれども、それでは主要な料金として認可にする事項はどういうことを考えているかということを申し上げます。電話関係では基本料ダイヤル通話料設備料及び公衆電話料電報関係では基本料累加料。それから専用線関係では設備料回線料DDX関係では設備料基本料通信料ファクシミリ通信網及びビデオテックス関係では通信料。それからデータ通信設備サービス関係では設備料回線使用料及び中央装置使用料。大体こういったものが認可対象になると私ども考えておりまして、このような基本的な考え省令をつくるつもりでございます。
  16. 中村鋭一

    中村鋭一君 そうしますと、この郵政省令内容は、今、小山さんおっしゃったように、公正競争を確保するために収支区分を明確にすることに限定をする、このように理解をしておいてよろしゅうございますね。
  17. 小山森也

    政府委員小山森也君) 今のは附帯業務でございましょうか。
  18. 中村鋭一

    中村鋭一君 はい。附帯業務です。
  19. 小山森也

    政府委員小山森也君) 附帯業務につきましては、収支区分を明確にすることと収支相償うことという規定をしたいと、こう思っております。
  20. 中村鋭一

    中村鋭一君 特殊会社に移行後、収支相償うかどうか、この点について郵政当局の御見解をお教え願いたいと思います。一口で言えばちゃんとやっていけるかどうか。
  21. 小山森也

    政府委員小山森也君) 全体事業収支相償うかという点だろうと思います。これにつきましては、現在高度情報社会に向かおうというときに、電気通信はその基盤的な設備であり、機能を果たすものでございますので、当然情報化社会が進みますれば進みますほど電気通信需要というのは伸びる、したがいまして総体の通信需要というのはふえると、こう思っております。  なお、これに新規参入という形で他の会社が入りましても、全体のトラフィック増加は、市内回線網はやはり相変わらず新電電が全部責任を持たなければならないという状態でございますので、そのトラフィック増加市内通信網の量の増加となって戻ってまいりますので、それと同時にさらに経営側といたしましても、自主性を持った責任ある経営体制で臨むということと両々相まちまして、この収支というものは非常に相償うものであると、そういうふうに考えております。
  22. 中村鋭一

    中村鋭一君 電電公社はどのようにお考えでございますか。
  23. 岩下健

    説明員岩下健君) 新会社になりましてからの例えば資本金あるいは租税公課負担が最終的に一体幾らになるのかという確定額等まだ見えてない要素がございますけれども基本的にはただいま郵政省から御答弁があったとおりに私ども考えております。  つまり、現在の私ども電電公社としての収支は、先生御存じのとおり、ここ三、四年来、三千数百億円という黒字、これは現在の諸制度の制約の中でもなおかつこういった実績を上げておりますし、一方で料金値下げをしながら、なおかつ国庫納付金納付をしておる、こういう状況がございます。こういったいわば事業としての体力といいますか、お客様を抱えて新しい会社に移行するわけでございますが、会社に移行いたしますと税負担その他出てまいります。したがって、端的に申し上げまして、発足当初はそういう楽観視はできないだろうと思っておりますけれども、しかし必要な最小限度配当を行う、あるいはまた内部留保も行うということは可能だろうと思っておりますし、後年度に従いまして、ただいま郵政省から御答弁がありましたような新しい会社によって得られる今までなかった経営自主性なり機動性、こういったものを経営の各施策に浸透させることによりまして、徐々に業績の向上を図ることは可能だろうと思っております。  また、この結果、必要な配当はそこでは当然でございますけれども、この配当につきましても、おのずから公益事業としての一定の社会的妥当なレベルというものはあろうかと思います。それを超えるものにつきましては、例えばこの遠距離料金値下げですとかいう形で利用者への、お客様への還元を図るべきだろうと思っておりますし、またそういったお客様への還元を図り得るような余力といいますか力を持つということ、これが私ども財務面から見た新しい会社での最大の使命だろうと、かように考えております。
  24. 中村鋭一

    中村鋭一君 公社として、新会社になりまして広範なサービスというものを多種多様に展開していかれるわけですが、今お言葉の中にありましたけれども、具体的にどうでしょうね、遠距離料金というのは比較的短期に値下げ可能性があるというふうに見ておいででございますか。
  25. 岩下健

    説明員岩下健君) 遠距離料金値下げは、これは当委員会でも御答弁申し上げておりますように、私ども経営に当たってのお客様に対する最大の当面の責務だろうと考えておりますが、ただこれをいつどの時点からどの程度ということは、実はつい先月、中距離の値下げという第四弾の実施をしたばかりでございますし、もう少し状況を見極めた上で方向を決めたいと、かように考えております。
  26. 中村鋭一

    中村鋭一君 そういうふうに多様なサービスを展開するためにも、なるたけフレキシブルな会社のあり様が必要だろうと、こう思うんですが、郵政省にお尋ねいたしますが、この事業法案によりますと、第一種電気通信事業者の事業を始めるに当たって、言うところの需給調整を行うように解釈ができるわけでございますが、これは先ほど来からお話に伺っておりますような公正で自由な競争原理と背馳矛盾するものではないんでしょうか。
  27. 小山森也

    政府委員小山森也君) 需給調整という世に言われております言葉そのものの適用をいたしますとちょっと私どもの立法の精神と若干そぐわないんでございますけれども、世に言う需給調整ずばりではございませんけれども、やはりその一部のような形の効果はあると思います。これは、要するに最終的には利用者の利益とどういうふうな形ですり合わせていくかということを目的といたしているわけでございまして、複数の事業体の任意の判断に全くゆだねた場合に個別の事業体には非常に妥当であるということでございますけれども、ところが事業全体として見た場合必ずしもそれが妥当なものではなくて全体としては著しい過当競争になってしまって、結果として事業体が共倒れとなったり、あるいは過剰設備分というのはこれはもうなかなか他に転用できないというようなところもありますので、その結果利用者料金にそれが全部上乗せされてくるというようなことを防ぐために、著しく過剰な場合を想定しているわけでございます。  ただ、ここで先ほど先生指摘がありましたように、需給調整というような形で最初から行政電気通信サービス需要量の枠を設定して、いわゆる官製の需要量を策定して、その枠の中において事業活動をさせるという、いわゆる教科書に言う需給調整、この精神では全くございません。特に成長度の高い電気通信サービス需要というものをそのような形で初めから枠にはめるということは、結果的に企業活力ある創意工夫というものも抑えられますし、未発掘の需要というものもそれで抑えるということになってしまいます。  それでは、どういうときに発動するのかということですが、これは明らかにある地域においての需給が著しく過剰であることが予見されて、その結果まさに利用者にその設備負担分が転嫁されるおそれがあるときという意味で、ここに言う意味をこの中に入れましてこの条項を入れているわけでございます。
  28. 中村鋭一

    中村鋭一君 御説明伺っておりますと、よくわかるようにも思うんですけれど、しかしやはり例えば過剰設備一つにしても、その過剰な設備が発生をいたしましても、それは例えば料金値下げによって新たなニーズが喚起され、したがってその過剰設備は新たなニーズが発生することによって解消されていく。で、またそれがいいサイクルをいたしまして新たな需要を引き起こしていく。したがって、今おっしゃったような形でも、国が言うところの需給調整――局長はそういう言葉は当たらないとおっしゃいましたけれども、そのように解釈できるいわゆる設備量を調整する等のことは全く必要ないんじゃないかと、こう考えるんです。いま一度お聞かせ願いたいと思います。
  29. 小山森也

    政府委員小山森也君) そういうお考えも当然一つはあると思いますが、私どもといたしましては、やはり公共性の高いだれでもが日常使わなければならない電気通信というものの料金というものが明らかにその過剰設備によって料金に転嫁されるということがわかる場合にその措置もできないということは、やはり行政としての責任からとらざるを得ないんではないかと、こう思っております。
  30. 中村鋭一

    中村鋭一君 一種電気通信事業事業開始許可申請に当たっては省令で定める各種の事項についても提出をしなければならないと、このように定めておりますが、その中で電気通信役務、この種類については具体的にどのような内容をお考えでございますか。
  31. 小山森也

    政府委員小山森也君) 今までは公衆電気通信法役務法定されておりました。その中に法定されておりました、大体そのような枠の中で決めたいと。例えば電報電話加入電信データ通信回線使用契約、そういったような形で分けてあります。それからさらに最近ではこれが法定になっておるものですから、実際は事業活動していても法律の中に入らないということで、試行役務というような形で、実際は試行役務というような状態ではないんでございますけれどもファクシミリ通信網サービスなんていうのがあります。これを役務区分としたいと、こう思っております。
  32. 中村鋭一

    中村鋭一君 これ非常に大きなくくり方でいいんじゃないかと、こう思うんですがね。少し細か過ぎるんじゃないですか。
  33. 小山森也

    政府委員小山森也君) ただいまおっしゃったかなり大きな大ぐくりだと思っております。今法定でやっている電報とか、電話とかいうだけでよろしいと思っておりますので、大ぐくりというのは基本考えております。
  34. 中村鋭一

    中村鋭一君 まあ大ぐくりという解釈についても、それはまた例えば電電当局あるいは我々の考え郵政当局考えは多少違うかと思いますが、これは非常に大ぐくりなものでしかるべしと、このように考えますので、その点もお願いを申し上げておきたいと思います。  「設備概要」は著しい過剰設備の防止を目的として許可対象としている、このように考えられるんですが、この趣旨からいたしますと、「設備概要」もマクロ的な判断をするに必要なものであれば足りる、こう思います。ですから、個々の設備許可対象としているものではないと、このように理解をしてよろしゅうございますか。
  35. 小山森也

    政府委員小山森也君) そのとおりでございます。
  36. 中村鋭一

    中村鋭一君 代表質問でもお尋ねいたしましたけれどもスト権の問題ですが、本来労使関係というのは労使の間の交渉にゆだねるべきでございまして、大原則であります。したがって、職員の賃金等については労使が自主的に当然ながら決定すべきでございまして、政府介入というものは一切必要ない、こう考えますが、いかがでございますか。
  37. 小山森也

    政府委員小山森也君) 労使間の賃金その他の労働条件自主決定について介入するつもりはございません。
  38. 中村鋭一

    中村鋭一君 新会社にはスト権が与えられることになるんですけれども争議行為によって、ユーザーといいますか、利用者に具体的にどのような影響が生じることが予想されますか。
  39. 小山森也

    政府委員小山森也君) ただいま非常に自動化が進んでおりますので、私ども考えるところでは交換手による番号案内、一〇〇番通話というような人手を要する業務を除きましては、直ちに利用者に大きな影響を及ぼすというおそれは少ないと考えております。ただ、争議行為の規模や争議行為時における異常事故の発生というようなこと、これは何とも一般的な予見ではできませんが、こういったことはこれは別でございまして、ただ、長期にわたって、もう予想以上の長期にわたるとなれば、何事におきましても長期に不正常な状態が続きますれば、障害は起きるのは当然でございます。したがいまして、ただいま先生が御指摘になった、通常の場合だったらば手動によるもの以外はそれほどの障害はないのではないかというふうに、業務的には見ております。
  40. 中村鋭一

    中村鋭一君 労働省来ていただいておりますか。――どのよう影響があるとお考えか、まずお教えを願いたいと思います。
  41. 廣見和夫

    説明員(廣見和夫君) 新会社の労働関係の問題につきましては、私どもといたしましても、郵政省とも十分連絡をとらさせていただきまして、いろいろな形で立案に関係してまいったわけでございます。この問題につきましても、私どもいろいろと郵政省とも意見交換もさせていただきました。したがいまして、基本的には今小山局長からも答弁ございましたように考えております。大幅に自動化もされておりますので、単なる労務不提供という形での争議行為によっては直ちに通信がとまるというふうな形での影響というものは少ないんではなかろうかというふうに考えておりますが、やはり争議行為の態様によりましては、今局長申申されたような形で事故その他のような場合には影響も出てくることもあり得るだろうということでございます。  なお、人手によりますもの、交換手による一部の番号案内あるいは一〇〇番の電話等につきましては人手でやっておられるわけでございますので、これが労務不提供という形での争議行為になりますと、それは直ちにそのもの自体は影響が出る、かようなことはあろうかと思います。  以上のように考えております。
  42. 中村鋭一

    中村鋭一君 このスト規制については、労調法には総理大臣による緊急調整の規定がございます。これで十分と考えるんですが、労調法の附則による規制をさらに加えることの実効性について、どのようにお考えがお教えを願います。郵政省と労働省。
  43. 小山森也

    政府委員小山森也君) これはいろいろ労働省とも御相談したところによるわけでございますけれども、公労法の世界から一般労働三法の適用へと労使関係の法的基盤が急激に変化するということで、特に迅速な労使紛争の処理を図るため設けたということでございます。  ただ、これにつきましては、最初からスト権を抑制しているというものではなし、そのような事態に立ち至った場合ということでございまして、緊急調整を発動すべきほどの事態でない場合にも、今のような基盤的な労働環境が変わったというところから置いたものであると承知いたしております。
  44. 廣見和夫

    説明員(廣見和夫君) 緊急調整との関係でございますが、私ども、緊急調整という制度につきましては、非常に争議行為によりまして大規模な影響が出てまいる場合、全国的に国民経済に影響を与える、あるいは国民生活に非常に大きな影響を与える、かような場合に緊急調整が発動されるというふうに考えております。現実に、この制度ができましたのは昭和二十七年でございますが、その後緊急調整が決定されましたのは一度、二十七年の秋から暮れにかけましての石炭での大争議のときでございました。で、その当時の非常に国民経済に与えた大きな影響から緊急調整が決定されたということでございまして、こういうふうに非常に大規模な影響の場合と、このように考えております。  これに対しまして、今回私ども考えました特例調停と申しますか、調停の特例につきましては、そのような規模に至らない場合であっても、通信というのは非常に重要なものでございますので、そのようなものに争議行為によって実際上の障害が出てくるというような場合、それを防ぎながらできるだけ早くその紛争を解決するというための特別の調停ということで考えたものでございまして、言ってみれば、緊急調整に至るような大規模な場合でもない場合であっても機動的に対応できるような趣旨考えたものでございます。
  45. 中村鋭一

    中村鋭一君 総裁にちょっとお尋ねいたしますが、附則四条ですね、これは総理は、郵政当局も、三年後に廃止を含む見直しということをおっしゃっているんですけれども総裁御自身どうなんでしょう、このスト規制の問題についてはどのようなお考えをお持ちでございますか。
  46. 真藤恒

    説明員真藤恒君) 今日まで全然ストを全面的に禁止される労働環境の中におったわけでございまして、それが今度は労働三法の方へ移っていくという、非常に大きな変革になるという意味で、この変革の途中の措置として暫定的にというふうなお考えから今先生のおっしゃったようなことに今日なっておるわけでございますけれども、私どもの立場から申し上げますというと、私どもの今の労使関係の姿、考え方、それから過去の労使関係のあれを考えましても、この暫定措置ということがほとんど空文になるじゃなかろうかというふうに考えております。また、私ども当事者といたしましては、この暫定措置が空文になっていくように持っていく責任がここでかえってこちらに出てきてるというふうに解釈いたしております。
  47. 中村鋭一

    中村鋭一君 ということは、総裁は、このような附則は簡単に言えば、あってもいいし、なくてもいいというふうにお考えなわけですか。
  48. 真藤恒

    説明員真藤恒君) そこまでは割り切りはできぬと思いますけれども、今申し上げましたように、私ども労使両方で合理的な討議をしながら進んでいくということで、これを空文にすることが社会的責任をまずスタートで果たすということだというふうに、私は当事者としては考えております。
  49. 中村鋭一

    中村鋭一君 電電の労働組合の皆さん、三十万人近い方がおいでになって、これまではいうところの官公労の組織内で、例えば賃金一つ上げるにしても当事者能力が付与されていない、ストライキも自由にできないというために、まあ一言にして言えば不利益をこうむっていたと私は申し上げてもいいんじゃないか、こう思うんです。幸い電電公社労使間の慣行はこれまでは平穏に安定して推移しているように理解はしておりますけれども、しかしこのやっぱりストライキというものは本当に伝家の宝刀で、労働者にとりましての固有の権利でありますから、こういうものを規制することは好ましくない。しかも、新しい会社がこれから船出をしようとしているときでございますから、やっぱり働いている皆さん方に、ああ我々は頑張って一生懸命仕事をすればこれだけ報われるし、もし我々の言い分というものが通らなければ我々にはこのような伝家の宝刀があるんだという自信を持っていただくためにもこの附則は撤廃すべきが妥当である、こう考えておりますが、総理は代表質問のお答えでも、判で押したように三年後の廃止を含む見直しとしかお答えになりませんでしたし、たしか奥田大臣もそのようにお答えであったと思いますけれども、三年後の廃止を含むというこの廃止を含むということは肯定的に廃止の方向と理解してよろしいのか、それとも、三年後に廃止を含むけれども、逆に言えばそれがリバースになって廃止をしない場合もあり得ることをも含んでの三年後の見直しというふうに解釈すべきであるのか、その辺をはっきりとひとつ御答弁お願い申し上げます。
  50. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 総理答弁でも明確になっておることでございますが、廃止の方向で特例措置が三年後に見直されることを願望いたしておるということでございます。廃止の方向でやっていただきたいということでございます。
  51. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 大臣答弁はっきりいたしません。もう一遍お答え願います。
  52. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 今御指摘のように、三年後の見直しという形の際に廃止も含めてということでございましたけれども、廃止の方向でいくことを願望いたしております。
  53. 中村鋭一

    中村鋭一君 廃止の方向でいくことを願望していると、こうおっしゃいましたが、願望はアイ・ホープ・ソー、それと、いやしくもこれは法律でございますからアイ・ホープ・ソーではちょっとぐあいが悪いので、改めて大臣、これはもう三年後に附則三条は廃止をいたしますと、このように今この委員会の席でお約束を願うわけにはまいりませんでしょうか。
  54. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) そういった形でお約束したいわけでございますが、所管大臣が労働大臣という関係で、私としては労働大臣にそのような気持ちは十分伝えてあるところでございます。
  55. 中村鋭一

    中村鋭一君 多々質問をしたいことはございます。たくさん質問も用意してまいりましたけれども、今回の法律案の大眼目は、行政改革の一環として百十余年に一度の電電事業の大改革でございます。昔の電信電話のイメージはここに全く払拭されました。新しい情報化時代の夜明けがまさに来ようとしております。我々の党はこの法律案の成立が一刻も早からんことを心から願っております。十分に慎重な審議をいたしまして、その後にこの法律案が整々として成立をいたしまして、電電三十余万の職員のみならず、この皆さんが率先挺身して働かれ、国民に対する多種多様なサービスを提供される、その日の一日も早からんことを委員の一人として心から願うものでございますが、その点につきましてこの法案の成立についての大臣の御感想を、それからまた真藤総裁の御感想をお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
  56. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 確かに新しい高度情報社会へ向けてのテークオフができるかできないかという、本当に画期的な大法案でございます。したがって、新法案成立と同時に、現在の電電労使関係を含めて、あらゆる多彩なそういった国民ニーズにもこたえていく実力のある会社になっていただきたい。そのためには今回の法案をぜひ慎重な御審議の上御可決いただきますように心から願っておることは、先生の今御指摘のとおりでございます。よろしくお願いいたしたいと思います。
  57. 真藤恒

    説明員真藤恒君) 私当事者の責任者といたしまして、今度の法案の体系の中で私ども責任を持ってこの新しい情報社会に対応していくということについて、現在の私どもと私どもの職員全体の相互関係ということから考えまして、この法案が通りましたら、この法案趣旨に沿って十分高度情報社会の御要求に応じていくことができるというふうに考えておりますので、やはり今大臣がおっしゃいましたように、一日も早くこの法案が無事御承認いただくことを心からお願いしておるものでございます。
  58. 中村鋭一

    中村鋭一君 終わります。     ―――――――――――――
  59. 大木正吾

    委員長大木正吾君) この際、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  日本電信電話株式会社法案外二案の審査のため、本日の委員会日本電信電話公社経営委員会委員長吉國一郎君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  61. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 参考人お疲れでしょうが、直ちに質疑に入らしていただきます。
  62. 中野明

    ○中野明君 きょうは経営委員長、大変お忙しいところわざわざ御出席いただきましてありがとうございます。  今回のこの電電法案はいわゆる電電公社としてはもう大改革、日本の通信行政の大改革ということで、経営委員長は五十一年の十月以降約八年間、長期にわたって公社経営委員会委員、そして現在は委員長として公社の運営に携わっておいでになります。  そこで我が党といたしましても、民営化、自由化の方向については賛成であります。しかしながら、大改革でございますので、もし後になって、しまったというようなことが起こってはもう取り返しのつかない重要問題でございますので、慎重に審議をし、今まで公社経営、運営に携わってこられた委員長からもいろいろ御意見もお伺いして審議の参考にしたいと、このように思っておるところでございますが、経営委員長公社の現行の公社制度についてどのような問題点があると、こういうふうにお考えになっておるか、最初にお聞きしたいと思います。
  63. 吉國一郎

    参考人吉國一郎君) 吉國でございます。  現在の日本電信電話公社法は約三十年前に公衆電気通信法及び有線電気通信法とともに制定されたものでございまして、何と申しましても三十年の昔でございますので、現在のような高度情報社会というようなものを念頭に置いて制定されたものでないことはもちろんでございます。したがいまして、現在の公社形態による電気通信業の経営形態というものについては、例えば国民の高度かつ多様化いたしましたニーズにきめ細かにこたえるためには、現在の独占体制では極めて困難である。また、独占事業を営む国の機関といたしまして、予算統制でございますとか給与総額制でございますとか、国あるいは政府による規制が強く行われておりまして、経営者たる執行機関に当事者能力がいわば欠如しているというような問題がございまして、責任ある経営体制が確立してないというような問題がございます。また、何と申しましても国の機関でございますので、卑俗な言葉で申し上げまするならば、いわゆる親方日の丸意識というものがどうしても抜け切れないというような問題がございまして、現在の公社制度については、やはり抜本的に考え直さなければならないというのが私の認識でございます。
  64. 中野明

    ○中野明君 私は、公社制度の中にありまして、電電公社の現在までの経営状態といいますか、従業員の皆さん方の努力と、ここまで発展してきたということについては高い評価を持っております。しかしながら、今のお話のように、やはり日進月歩のこういう時代の態様に対して、一定の制度改革というものが必要であるということは認めておるわけでございます。  私、一度経営委員会の皆さん、特に委員長にお聞きしたいと思っておりましたことは、御承知のとおり、電電公社は受益者負担に基づく独立採算制をとってまいりました。ところが政府は、国家財政再建の一助として、五十六年に特例法を設けて臨時国庫納付金制度をつくりました。五十六年から四年間に四千八百億円、これは利子まで公社の方で持てと。そして本年度、五十九年度も新特例法によって二千億円の国庫納付金納付させております。  私はかねがね、国会審議の場でも、政府の恣意的なやり方について疑問を呈し、反対をしたわけでございますが、経営委員会電電公社の重要事項についての議決をする権限を持っておられるんですが、国庫納付金につきまして、経営委員会委員長としてどういう感想といいますか、所見といいますか、お持ちになっておるかということを最初にちょっと聞きたいと思います。
  65. 吉國一郎

    参考人吉國一郎君) ただいま中野委員指摘のように、昭和五十九年度は二千億円を国庫納付金として納付いたすことになっております。また、昭和五十六年度以降、累計四千八百億円に上る臨時国庫納付金納付を既に済ましております。このような特別の負担を課されることにつきましては、経営委員会でもいろいろ議論をいたしたところでございます。  日本電信電話公社は、現在の法律のもとにおいても、経営の改善、効率化を図りますとともに、年々高度化し、かつ多様化いたします利用者ニーズにこたえまして、サービスの拡充、改善に万全の努力をいたしておるところでございます。そういたしまして、二十一世紀を展望して、いわゆるINSの形成に向けまして、本格的な取り組みを開始しているところでございます。  そのような中で日本電信電話公社は、みずからの財務基盤の強化を図りながら、三回にわたって中遠距離の料金値下げを行いまして、さらに本年の七月には第四回目の値下げを行うようなことでございます。その四回の値下げによりまして、約五千億を超える金額の利用者に対する還元を行っているところでございます。  このように公社は万全の努力をしているところでございますが、それによって出た金額を臨時国庫納付金として国庫に納付しなければならないということについては大変つらいところもございますが、現在の極めて困難な国家の財政状況というものを考えまするならば、やはり国の機関として国の行政の一翼を担っている日本電信電話公社といたしましても、財政再建が国家緊急の課題であるという認識のもとにおきまして、やむを得ない措置として容認せざるを得ないというところで、五十六年以降の臨時国庫納付金についてもやむを得ざる特例措置であるという認識のもとに経営委員会としても賛同いたした次第でございます。
  66. 中野明

    ○中野明君 今るる述べておられますが、もともと公社経営努力によって出てきた収益というものは当然加入者に還元させるというのが筋道であると思います。一部はなさったようですが、それを横から国庫が苦しいからというので取るということは筋違いも甚しい。公社の本来の行き方はそういう行き方を示していないわけですから、だから経営委員会として私は、こういう問題について何がしかの意志表示といいますか、それはしてほしかったなといまだに思っております。何か政府の方で、我々の手の届かぬところで決められたんだから、おかしいけれどもしょうがないわと、こういうことでは困るわけでして、その点はいまだに残念に思っておりますし、特にことしはいわゆる新法を提出するそういう時期に当たります。そのときにまだ五十九年度も新特例法で二千億円取るというのは、私はどう考えても、このどさくさに紛れて取るものは何でも取ってしまえと、こういう政府考え。それに対して郵政省も抵抗できなかったという非常に歯がゆい思いをしております。  こういうことが、これから先も、いわゆる郵政大臣の権限が介入をして、そして新会社がせっかく設立されても自由にコントロールされて自由な形ができないということになる、この底流にこういう思想があってはかなわぬということから、政省令のことについてもあるいは郵政大臣認可事項についても、私どもは慎重に、そしてまた具体的にけじめをつけてもらいたい、こういうことを言っているわけでして、公社の現在の――現在はまだ公社制度が生きているわけですからね。法律は出されただけでその中でまだ土壇場までこういうことをされるということ、これ非常に私納得できないものを持っております。経営委員会でもたびたびこれ問題になされたと思うんですが、予算の編成を承認されたとき以後にこの問題が出ているわけですから、やはり私は経営委員会としてはっきり議決をされるべき事項だろうと思っておりましたが、結局報告で事後承認というような、そういう形式を何回もとってこられてきていることは遺憾に思っております。  済んだことを幾ら申し上げてもしょうがないのですが、そういう点についてせっかく国会で承認人事で内閣任命ということになっているんですから、そういう面については毅然たる態度をとってほしかったなという私の願望だけは申し上げておきます。  そこで、今回の改正につきまして、専門的なことは専門の人が関心を持っておられましょうけれども、一般の国民の関心というのは、やはり料金問題が一つあります。それから、公正競争の確保ができるかどうかということ、そしてこの膨大な加入者とそして公社の職員の皆さんが営々として築き上げてきた現在の公社の資産、これに株式会社になりますと株式の売却益というもの、あるいは株式のだれが株を持つか、こういうことが非常に大きな関心事であると思います。それからもう一点は、外資の規制、外資規制はどこまで必要かということ、この大きく分ければ四点だと思うんですが、経営委員長の立場からごらんになって、長年にわたって蓄積をされてきたこの貴重な財産、加入者が電話債券まで買って、そして従業員、公社経営陣、一致協力して努力して積み上げてきたこの財産を新しく株式会社にするわけですが、政府保有株式の売却益の使途ですね、これについて、どのようなことが望ましいか、お考えがあればおっしゃってください。
  67. 吉國一郎

    参考人吉國一郎君) 中野委員のただいまの御質疑の前に申されました、特別納付金の問題についてでございますが、経営委員会におきましてもその納付金の問題については何回も議論をいたしました。そうして、本来ならばこういうものは納付するような制度を立てるべきではないという意見を申しまして、その意見は公社当局を通じて郵政省にもあるいは大蔵省にも十分に伝わっておったことと存じます。ただそれにもかかわらず、やはり政府の決定といたしましては、現在の財政再建の緊急課題ということでやむを得ずそういう措置が講ぜられたわけでございまして、私どもといたしましてもその政府の最終結論にはやはり従わざるを得ないということでございますので、経営委員会といたしまして初めから賛成をしたというようなことはございませんので、一言申し上げておきます。  それから、今度の新しい日本電信電話株式会社の株式の売却益の問題でございますが、そういう問題につきましては、どうも現在の日本電信電話公社法のもとにおきまする経営委員会の一委員といたしましては、これは本来政府が決定されるべき問題でございまして、私がとやかく申すことは、現在の職責からいたしましていささか外れるのではないかと思いますが、三十年前に日本電信電話公社法なり公衆電気通信法の制定に内閣法制局の参事官、部長として関与をいたしましたし、また法制次長、法制局長官時代にも郵政省あるいは日本電信電話公関係法案の審議立案には参与をいたしましたので、そういう前歴のある者としてお答えを申し上げまするならば、既に政府の統一見解といたしまして、この国民共有の資産であることにかんがみて、国益にかなうように今後政府部内において慎重に検討していくということが政府の統一見解として表明されたそうでございますので、そういう趣旨によりまして、今後政府部内で慎重に検討して適正な結論を出すということになると期待をいたしている次第でございます。
  68. 中野明

    ○中野明君 確かにおっしゃるとおりだと思いますが、やはり現在まで公社経営委員長として公社の運営に関与してこられた方としての願望はお持ちかなと思って申し上げたわけです。  そこで、郵政省にお尋ねをしますが、きょうの朝刊に、郵政省の素案として、新電電の株式益、売却益、半分以上を一般会計にして、あとは基金をつくるというような、電気通信基金ですか、この名前はどうかわかりませんが、そういうことが報じられているんですが、郵政省として、この考え方まとまったんですか、教えてください。
  69. 小山森也

    政府委員小山森也君) 郵政省といたしましては、今国会の御審議の過程におきましていろいろな御意見いただきましたので、それぞれについてどういうことになるかということについては、当然私どもとして貴重な御意見を勉強するということはしなければならないものとしてやっております。ただ、しかしこれはまだあくまでも担当者段階のしかもただ一つこれだけをということではなしに、複数の検討課題の中の一つのテーマでございまして、決まったわけではございません。
  70. 中野明

    ○中野明君 かなり具体的に報じられているんですが、こういう考えもあるということですか。  ちょっと申し上げてみますと、郵政省電電公社民営化に当たって、この特殊法人の電気通信基金を設立して株式の半分を保有をさせると、基金保有株を五年、十年かけて売却してその益金のうち二兆円までを運用してニューメディアの研究開発などに使う云々と、こうなっているんですが、どうですか。素案ではありましょうけれども、ここまで具体的に出ているということはかなり省内でこういう話が煮詰まってきているんじゃないかというふうに私どもは受けとめるわけですが、もう一度御返事いただきたいと思います。
  71. 小山森也

    政府委員小山森也君) 残念ながらそういうことは煮詰まっておりませんで、まだそういうような具体的な検討をしておりません。
  72. 中野明

    ○中野明君 衆議院からずっと引き続いて当委員会でもそうですが、この問題は非常に重要な問題でして、郵政省としては私はこれでも控え目というんですか、郵政省の案としても不満足だと僕は思っておりますけれども、しかし、これ以下の考え方で郵政省はおられるということになると私は問題だと思う。もう最大限譲ってこれだろうというふうに私なりに見ましたですけれども大臣ね、大蔵とこれから折衝になるんでしょうけれども、こういう重要な部分が郵政省としてきちっとした腹が決まらないと、私はこの委員会においてもせっかくみんなが将来のことを心配し、国民の合意と納得が得られるという、こういう点について議論をしているわけですので、重ねて大臣の方からこういうこれを含めて決意を述べていただきたいと思います。
  73. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 答弁者にお願いいたしますが、衆議院における審議におきましても本院の審議におきましても極めて重大な議論が何回となくありまして、前委員会におきましても大蔵と郵政の見解の違いがあることを私から御注意申し上げでございます。今朝の新聞でございますから、素案のないところで記事が出るわけじゃございませんから、責任ある答弁をぜひお願いいたします。
  74. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 本日の一部の報道に見られる形については私は全く知っておりませんし、事務当局にももちろんそのような形で具体的な素案としてまとまったものでは断じてありません。  しかしながら、今先生指摘のように電電公社が今日まで形成されてきた資産というのはまさに国民が共有の形でなされてきたことでございますし、しかも、それから新会社の株の売却、将来方向としてここから相当な売却益というものが予想されるといたしますれば、その使途に関しましては、当然よって来った沿革から考えても、電気通信の研究開発等々、これらの将来のメディアの利用によって国民に還元さるべき研究開発等々については、当然これらの売却益は、どれだけという具体的な形は、これは政府部内の今後の検討課題といたしましても、郵政省としてはこのことを強く主張してまいるというのが基本的な姿勢でございます。
  75. 中野明

    ○中野明君 これは意識的に漏らされたのかどうかわかりません。しかしながら、このようにマスコミにも取り上げられるということは国民の非常に関心の高いところである、そしてみんながそれをやはり注目しているということをぜひ心にとめていただいて、ただ国の財政の穴埋めのために便乗的にこれを利用されるというようなことだけはぜひ避けていただきたいと、私は強く要望しておきます。  それで、きょうは時間が限られておりますので何でございますが、もう一つ、先ほど申しましたように料金の問題、これがやはり一般の国民には、新電電になって一体料金はどうなるだろうかということが一番大きな身近な関心であります。このことについて経営委員長の御意見もお伺いしておきたいと思いますが、現在の公社料金制度は遠近較差が確かにあります。この公社料金制度について経営委員長としてはどういう見方をしておられるか、これをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  76. 吉國一郎

    参考人吉國一郎君) 我が国の通話料の体系は、過去四回にわたります値下げによりまして遠距離及び中距離につきましてはぼ先進諸国並みに近づいたと思っておりますが、さらにより利用しやすい料金といたしますために、今後も財務上の余裕を生み出すことによりましてさらに中距離及び遠距離料金の引き下げを検討していく必要があるというのが私の認識でございます。
  77. 中野明

    ○中野明君 それで、総裁にもちょっとお尋ねをいたしますが、この前もちょっと申し上げましたが、少し日本と状況が違うようですが、今アメリカではATTの解体によって市内料金がぐんぐん上がっているという問題も伝えられております。同時に、その市内料金を上げることを抑えようとすると、いわゆるアクセスチャージといいますか、接続料をかなり大幅に取らなきゃいかぬということで非常に大きな問題になっているようでございますが、アメリカのこういう例を一応総裁も御承知だと思いますが、今回この改正によって新会社になって、市内料金といいますか、この値上げが起こるようなことはないかということと、それからアクセスチャージ、いわゆる接続料ということについてどういう考えをお持ちになっているか、この二点お答えいただきます。
  78. 真藤恒

    説明員真藤恒君) 私どもは、今経営委員長からも御説明がございましたように、当分の間財務の基盤を強固にしながら、余裕が出た限りにおいては長距離料金のさらに一層の値下げを進めていくというのを当面の目標にいたしております。  今度の法体系で私ども公社と違った制度の中に入りますと、電気通信サービス一種事業業者といたしまして、総経費がこういう公社制度のもとでは硬直化してしまいましてどうにもならない点がございますけれども、その硬直化したところの枠の大部分が外されることになりますので、職員によりよい職場をつくりながら、そしてまたよりよい生活状態に入れながら、通信事業にかかる総経費を弾力的に運用することができる可能性を与えられるわけでございまして、このために、当分の間長距離料金値下げということだけに全力投球をするつもりでおります。  新規参入が入ってまいりますのにまだかなりの時間がございますので、その時間の間にできるだけ長距離料金を下げて私ども競争力の準備をするということと、今先生の御質問にありましたアクセスチャージというものをできるだけ取らなくても済む方向に努力していくべきだというふうに考えておりますし、そのときの向こうの競争相手の入ってくる入ってき方の状況に応じてまたそのときに考えなきゃならぬ問題ではございますけれども、このアクセスチャージを取らなきゃならない理由というのは、市内料金が、あるいは近距離料金収支バランスしていないためにアクセスチャージが要るわけでございますので、その辺のところをこれからどういうふうに新規参入が入ってくるまでの間に処置していくかということが、これからの私どもに与えられた責任だろうと思っております。  ところが、現在、市内料金及び中距離、長距離料金につきまして詳細な科学的なデータが私どものところに今とる装置がございません。それで今それを急いで整備しておりますが、再来年の秋になりますとその数字がだんだん科学的な数字が出てまいりますので、それの動きを見ながら、新規参入が具体的に入ってくるまでの間にいろいろな経営の努力を続けながら、どうするかということはそのときでないと今のところは何とも申し上げられないと思いますが、趣旨といたしましては、あくまでも長距離料金を下げでできるだけ市内料金をさわらずにおくということも、どこまで突っ張れるかということが問題だと思っております。
  79. 中野明

    ○中野明君 アクセスチャージのことでちょっと確認をしておきますが、できるだけ取らないというこれは結構な方針でございますけれども新規参入が出てくるとどうしても接続をしなきゃならぬから新たな接続の施設は必要ですわね。それは当然新規参入の業者からお取りになるんですか、そこのところを。
  80. 真藤恒

    説明員真藤恒君) それは当然新規参入の投資項目の範囲内というふうに心得ております。
  81. 中野明

    ○中野明君 それから、市内料金の値上げを抑えるために新規参入からかなり大幅なアクセスチャージを取るということになると、今度は新規参入の方が参入するのに障害になりやせぬかという心配もこれは出てくるわけでして、その辺のところはなかなか難しいところだろうと思いますが、やはり接続するわけですから何がしかの設備が必要になってくるわけですから、これはどこかが負担せなければならない、こう思います。  ただ、一般の加入者がそれによって電話料が上がるとか、それからもう一つ心配なのは、今総裁がおっしゃった二年後に原価がある程度出てくる、その時点でがばっと市内料金が上がるというようなことになるとこれは大問題でして、それだったら今の公社のままでやってもらった方がいいというようなことになりかねないものですから、今最大限努力するとおっしゃっているんですが、市内料金は、まあ基礎的な二層があれば結構でしょうけれども、いろいろそういうことを考えますと、公社が民営化に移行するに当たって、特に私はさっき申し上げた納付金の問題がやはりこれは後々まで尾を引いてくるんじゃないだろうか。これがそのまま料金の遠近較差の是正なんかに使われておったとしたら、もっともっと早く遠近較差も是正できておったろうし、一般の国民も納得できたんじゃないかなという気持ちをいまだに私は捨て切れません。まあ、しかしながら、これから先のことが大事でございますので、ぜひこの会社法によって料金に大幅な変動が、特に市内料金にしわ寄せがこないように最大の努力をこれはお願いしたいと、私はこう思っております。  それで、ちょっともとへ戻りますが、株の売却益のことを申し上げましたが、もう一つの国民の関心は、一体株はだれが持つんだろうかということなんですが、郵政大臣、一番の理想から申し上げれば、現在四千二百万ちょっと超える電話加入者がおりますね。だから、加入者に一株ずつ持ってもらうというのが一番理想だろうと思うんですが、しかし物理的にはちょっと言うべくして難しい問題だろうと思います。そういう考え方、株というものの公社の資産の成り立ちから見て、加入者がただの一株ずつでも持ってもらうというそういう方向が一番これは私は正しいと思っております。しかしながら物理的に無理なものですから、そういうことをいろいろ考えますと、だれが最終的に株をお持ちになるかということは非常に国民的な関心も高い問題でございますので、今私が申し上げたように、電話の加入者が一株を持つことが一番ベターだなと私は思っております。こういう考え方がやはり国民の中にかなりあると、このようにお考えをいただいて、株のいわゆる売却に当たって頭の中に入れて置いてもらいたいなと、このように思うんですが、大臣どうでしょう。
  82. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 今後の問題でございますけれども、株のそういった市場に放出するに当たっては、先生の御指摘のように国民の疑惑をいささかも招かないように公平な形で、だれの目から見ても納得できるような形でしなきゃいかぬということは当然でございます。したがって、その際にこういった国民の共有資産というような形で今日の公社の沿革と経緯があるわけでございますから、それにちなんで先生の言われるように加入者に等しく配賦できるようなというような趣旨を生かした形で、あるいは現在働いてきた、資産形成に直接携わってきたそういった公社職員にも経営自主性と使命感を持たすためにもそういった形で広く行き渡ると、特定な形に偏らないという形は公益的な事業性格を継承する形を含めまして大変大事な御指摘であろうかと思います。そのような方向、そのような国民の声を代表される御意見もあるということを踏まえて、関係当局と今後の措置については御相談申し上げるということでございます。
  83. 中野明

    ○中野明君 それじゃ経営委員長に最後に一点だけお尋ねいたしますが、電報でございます。  電報は、これは新会社も独占として継続するようになっている。現在も公社の独占になっておるわけです。電報事業ということについて経営委員長としてどういうお考えをお持ちになっているか、ちょっとお考えを聞かせてください。
  84. 吉國一郎

    参考人吉國一郎君) 電報は緊急な連絡手段としての利用は最近は減少してきたと言わざるを得ないと思いますが、百年余にわたって旧逓信省時代から最近の公社に至るまで築き上げてまいりました電報に対する社会的な信用というものは大きなものでございますし、現在慶弔電報を主体といたしまして国民生活に深く密着をしておりますと考えられるこの電報サービスは、引き続き提供すべきものでございまして、現在の提案されております電気通信事業法案の附則の第五条にございますように、日本電信電話株式会社及び国際電信電話株式会社が当分の間は第一種電気通信事業としてこの経営を行うというのが適当であると考えております。ただ現在、年間千二百億円以上の赤字を生んでおりますような形態をそのまま続けてまいりますことは、経営的にも極めて重大な問題でございますので、電報事業収支の改善には会社を挙げて全力をもって取り組む必要があるということを考えております。
  85. 中野明

    ○中野明君 総裁に、この電報ですが、今経営委員長が申しておられますように、新会社になった、そして独占でやるということ、これは当然やってもらわなきゃならぬし、当然のことなんですが、これがいわゆる競争するに当たってやはり一つの足かせになってくるんじゃないかという心配をする声もあるんですが、この電報事業の将来と、そして電報事業収支の改善ということについて総裁としてのお考え、あるいは将来の構想というものがおありでしたらお聞かせいただきます。
  86. 真藤恒

    説明員真藤恒君) この電報問題につきましてはこのままで放置することはできませんので、一昨年から組合の方と私どもの方と非常に長い間かかりましていろんな討論をやってまいりまして、それで将来はこの電報事業というものを広く通信という形の考え方で、新しく入ってくるメディアとコンバインしたもっと使い勝手のいい、もっと便利に使えるようなものも導入しながら近代化していく、サービス内容を近代化していくということと、それから電報関係設備も現在技術革新の目で見ますと、もう古くなっておりますので、これを根本的に入れかえようということで、その入れかえに既に設備投資に着手いたしております。それと、この電報というものが、これは特徴として人間で配達するということになっておりますので、この配達の方法ということを従来の行き方から根本的に見直すということでかなり改善ができるめどが今見えてきつつありますので、今先生の御質問の中にありました競争相手と競争するのに足かせになりはせぬかということでございますが、このままおいておきますと確かにそうでございまして、その競争相手が出てくるころにはかなり改善をしておかなきゃならぬという一つのこれは問題がございますが、今かなりその先が見えてきはじめているということは、はっきりここで申し上げることができると思います。
  87. 中野明

    ○中野明君 せっかくのこれはぜひやってもらわなきゃならない事業でございますので、過日来問題になっておりました公社の新会社事業の中で、やっぱり電報も法文の中に明記すべきじゃないかという私もそういう考えは持っておりますけれども、それはそれとして、ぜひこの収支の改善に努力をしていただいて、早急にいい結果を出せるような御努力をお願いしたいと思います。  私いただいておりました時間、先日に続いて終わりましたのできょうはこの程度にとめさしていただきますが、経営委員長、忙しいところどうもありがとうございました。  じゃ、きょうはこれで終わります。
  88. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 吉國委員長、お忙しい中をありがとうございました。  午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後一時より再開することとし、休憩いたします。    午前十一時三十分休憩      ―――――・―――――    午後一時九分開会
  89. 大木正吾

    委員長大木正吾君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、日本電信電話株式会社法案電気通信事業法案並びに日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案、以上三案を便宜一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  90. 福間知之

    福間知之君 今回の電電公社特殊会社化、民営化という大改革は、関係当局、政府等におきましては、かなりの時間をかけていろいろと構想を練り、今日法案提出にまで至り、国会の審議が行われているわけですが、国民のサイドから見ればもうひとつわかりにくい諸問題を含んでいると私は思うわけであります。例えば、当委員会でも既に、切りかえることによって、民間化することによって国民に与えるメリットはどうなのか、あるいは産業界に与えるメリット、デメリットはどうなのか、具体的には、料金は果たしてこれから上がらないのかどうか、さらにはまた、電話の回線を使用する場合のダイヤルのけた数はふえないのかどうかと、いろんな疑問が残っているわけですけれども、まず、私は総括的に国民の側に立った今回の改革のメリットとデメリットを当局はどう考えているかということをお聞きをしたいと思います。
  91. 小山森也

    政府委員小山森也君) 今回の改革のそもそもは、ただいま電気通信の技術が非常に進んでまいりまして、従来電気通信というものが電話というものと電信に集約されておりまして、それによって電気通信すべてが行われていたわけでございますけれども、その後技術革新によりまして多くの媒体が出てまいりまして、その媒体を利用者側から見て、いつでも望むときに望む場所で使えるという状態にするには何がよろしいかということにつきまして、今までの一元的な運用であるよりも、多数の事業体がそこにあらわれ、複数の事業体によってそれぞれ望むときに多元的な形でサービスを提供してもらえるということにした方がよろしいと。そうなりますと、一つ事業体ではなしに多数の事業体、複数の事業体の中で競い合っていくという競争原理を導入するということになりますので、電電公社も、今までの独占の体制の形で仕事をしていくためにつくられた電電公社というのを、今度は複数の事業体で、競争原理の導入の中でそれらしく活動していくというためには株式会社化する方がよろしいということで、今回電電公社を複数の事業体の中の一つとして株式会社化しようというわけでございます。  それでは、具体的にどのようなメリットがあるかというお尋ねでございますが、まず第一には、私が先ほど申し上げましたように、電話とか電信とかという一つの画一的なサービスの場合においては、一つ事業体でもっぱらそのサービスを国民に提供していくのは極めて能率的でもありますし、その質も高くいくということでございますが、多数の媒体をそのときどきの利用者需要に合わせていくというのは、どちらかというと不得手な形になるわけでございます。なぜならば、全国にあまねく一律に同質のものをという原則でございますので、ある地域にあるサービスを求められたときに直ちにそれに応ずるという体制にはなかなかなり得ない。そこで、小回りのきくようなそのほかの事業体もそこに置くということになりますと、まずこの辺におきまして、それぞれの需要に対して対応できる事業体ができるという点でメリットがあろうかと存じます。  次に、料金の問題でございますけれども、いろいろな事業体がそれぞれ比較し合いながら、それぞれの事業体同士の競争というものを通じまして、よりよい質のものをより安くという競争の原理が働くということになりますので、料金はお互いの切磋琢磨によって下がる傾向になるであろうと、特に市外電話料金においてはその傾向が著しいことになるのではないかと思われます。  ただ、それでは、そういうような形になりますと、市内料金はどうかということになります。これにつきましては、ただいまも技術革新というもので非常に電気通信の量というのがふえていく。量的に増加する。それが、電話のみならず、いろいろな媒体によって総トラフィックというのは増加する。ただ、しかしながら、市内網というのはやはり新電電株式会社がほとんど事実上受け持つことになる。そういたしますと、一体として移りました株式会社化された新電電会社の市内網のトラフィックもそれに伴って当然ふえてくるということになりまして、少なくとも現在の料金というもので、市外は安く、市内は現状を維持できるということで、お客様の最終的な、実質的な通信料というものは高くならないで済むと、このような点が考えられるわけでございます。
  92. 福間知之

    福間知之君 今非常に重要なことを二つ、三つさらりと述べられているわけですね。例えば、それぞれの地域のニーズに見合った、小回りのきくサービスの提供ということがやはり必要になる。それでは今の電電公社のような巨大な一企業体ではやりにくいと。あるいはまた、電話、電信だけじゃなくって、非常に多様な媒体というものがこれから考えられるので、今までの公社という体質だけでは不得手なものもあると。だから、新規参入者と競争することによってこなしていくことがいいんだと、こういうような趣旨をおっしゃったですね。あるいはまた料金の問題で、市外料金というのはこれから特に下がるだろう、こうおっしゃいました。確かに今まで、ここ最近、電電公社は積極的に市外料金を下げてきましたけれども、しかし、その延長線上で必ずしもこれは私は見れぬと思う。  例えば、小山局長も御承知のとおり、アメリカのATTとあるいはその他の分割会社との関係新規参入関係から見ましても、例えば長距離部門の収益を今まではATTが市内につぎこんできた。ところが、二十二の会社あるいは個々の地区の中間地方会社、こういうものができて以降、発生している事態は必ずしもそうではないのじゃないかと思うんです。そう言うと、皆さんは、日本では過渡的には、それは市外の料金をそう直線的に下げるわけにはいかぬかもしらぬと、こうおっしゃるかもしれないけれども、逆に言えば、市内の料金を上げなければ、これは新電電も他の新規参入とイコールフィッティングで競合することは難しくなるんじゃないだろうか。今家庭の市内の電話を使っている料金というのはほぼ七割でしょう。かなりのウエートを占めているわけですね。それで、長距離の電話というのは、個人も最近は結構かけますが、何といっても事業体が利用する比率が高いわけです。そういう事業体は、新規参入の方に、よりクリームスキミングでクリームをむさぼろうとする第二、第三電電の方の長距離回線というものを使うであろうと。そうすると、新電電は、その長距離の料金を下げるわけにはなかなかいかないと、こういうことになってくる。下げようとすれば、必然的にそれは、市内の料金今でも赤字なんだからそれを上げざるを得ないと、こういうロジックになるんじゃないんですか。これはアメリカの例から見ても、イギリスのBTとマーキュリーの結果から見てもそのことは言えるんじゃないかと思うんです。今の市内料金は赤字なんでしょう、電話番号の案内サービスなんかも含めて、すべてコストはコスト割れしているんでしょう、この点は後でもう少しただしてみたいと思うんですけれども。だから、そういう点を言うならばメリットではない、デメリットじゃないのかというふうに私は思うわけです。そもそもアメリカのATTが今年からそういうふうに二十二の地方会社に分割されるに至ったという歴史的な経過というのは、これは全く今日本の電電公社を民営化し競争原理にさらすというふうなそういうこととは異質なものなんですね。似て非なるものなんです、これは。私はその点を、社会党としては調査団も出してアメリカもイギリスも調べてきているわけですけれども、どうもそういう点で、もって他山の石とするような真摯な態度、そういうものが感じ取れないものですから、衆議院の審議段階からも私たちは腑に落ちない、どすんと胸に落ちないものが残っているわけであります。  そこで、この法律が仮に成立をしてみて新電電の発足ということになったと仮定いたしましょう。従業員三十二万、地方の電話局、電報局二千五百、資本金は一兆円、年間の売り上げ四兆五千億円以上、まさに歴史的に超マンモスの企業が誕生するわけであります。ある報道の言葉をかりれば、これは大怪獣電電だと、こういうふうな表現をしているところもあるほど、まさしく歴史的な超大企業の誕生、こういうことになるわけです。この新電電を迎える関係業界、電子機器あるいは通信機器、そういう工業会の加盟の企業従業員は今トータル六十四万人であります。ほぼ倍でありますが、企業の数、規模はもう圧倒的に中小零細が多いんです。そういう小人がこの大電電に今までは寄りかかってきた部分もあるし、これからもそれはあるんでしょうけれども、総じて競争関係に入って、しかも新電電としての自由裁量というものが一定水準で認められるということになりますと、これは既存の業界といいますか、関係企業としては予想外の事態に直面するということが十二分に考えられるわけであります。ましてや、新電電がこれから一定の時間をかけて企業の、あるいはまた仕事の面での分離あるいは分割などというふうな新事態が全く予想されないわけじゃありません。  仮にアメリカを例に言えば、二十二の地方会社に分離されたATT、これはもう早速ATT自身がATTインフォメーションシステムという四つの部門を構成いたしました。またそうすることによって、逆の見方をすれば、新電電に対する新規参入の第二、第三電電とのイコールフッティングの競争条件も整備されるというふうな見方もあるわけです。ところが、当面は分離もしなければ分割ももちろんしない、こういうわけですから、まさに大怪獣電電は巨大独占の条件を継承したままで市場に参入をするわけです、逆に。私はこういうことを考えてみたときに、どういう大きな社会的な影響というものが出るのだろうか、考えるだにそら恐ろしいわけであります。ましてや、武蔵野通研だ、あるいはまた横須賀通研だ、あるいは茨城の通研だ、最近は厚木の超LSI研究の専門通研、こういうふうな巨大な研究所が電電には存在します。今日まで日本の電気通信その他に果たしてきた技術開発の役割は非常に大きいものがありました。しかし、民間が寄ってたかっても、それだけの研究所のいわば中身、充実した体制というものは、これはもう足元にも及ばないわけであります。したがって、私は今まで蓄積してきたそのような研究の成果としてのノーハウだとか、あるいはまた先ほど言った売り上げ、従業員数、店舗数等々の巨大性とか、そういうものから見た場合に、むしろ新規参入は現在の電電公社、いわゆる新電電が市場に新規参入するというふうな格好の方がむしろ性格的には強いんじゃないのか、そういう懸念を諸般の面で感ずるんですが、当局はどういうお考えですか。
  93. 小山森也

    政府委員小山森也君) もし委員長、お許しいただければ、先ほどアメリカの例の料金のことがありましたが、それについてちょっとよろしゅうございましょうか。
  94. 大木正吾

    委員長大木正吾君) どうぞ。
  95. 小山森也

    政府委員小山森也君) それではちょっと、先ほどの料金の問題でございますが、アメリカの場合は確かに市外から市内へ同じ会社でもって補助していたわけでございますが、これが会社が分割になってしまったということでこの補助というのがなくなってしまったというところが、まず会社が別々になってしまったということでございます。それと同時に全体の会社の数が千五百社ございます。千五百社ありますと、トラフィック全体の増加が、ある会社には分厚くいくけれども、ある会社には全くそのトラフィック増加がメリットがないという会社も出てくるわけでございます。そういたしますと、せっかく新しい電気通信全体のトラフィック増加してもある会社には何も財務的なメリットはないということがありますと、やはりそこでは値上げという問題が出てくるんではないか、これはいろいろ推計もまじっておりますけれども、大体そのような傾向のようでございます。  日本の場合におきましては、全体のトラフィック増加というのは、電電公社がそのまま一体となって会社に移行するものでございますので、全体の増加はイコールまた市内のトラフィックの増になって戻ってくるということで若干アメリカの事情とは違うということを御理解いただきたいと思います。そのことは新会社イコール電電経営の危機ということにならないかと思います。  また、後ほど先生もいろいろ詳細にお尋ねあるようなことでございましたけれども、もし日本の料金体系におきまして市外から市内へ援助している、補助しているという体系がありましたら、新規参入も同じような形でやはり市内網を使うための負担はすべきだろうと思うわけでございます。大変時間をいただきましてありがとうございました。  なお、今後の新規参入の問題でございます。  これからの問題といたしましてはやはり制度的に常に新規参入会社と新電電というものが同じような形の法規制を受けていく、その中において同様な形で進んでいくということが法の枠組みとしては基本であろうと、こう考えるわけでございます。
  96. 福間知之

    福間知之君 まあ、しょうがないでしょう、その程度の抽象的な説明で今のところは。  しかし、私のお聞きしたのは、デメリットという観点からいえば、値上げになるということはデメリットじゃないかと思うんですよ。例えば今おっしゃったように、アメリカでも基本料が三倍にもなる地方が出てきているわけでしょう。三倍にもなるところが出てきて国民的批判が強まっている。日本では、基本料とは言いませんけれども、それはないのか。  仮に今局長が最後におっしゃったように、第二、第三電電が新電電の市内の回線にチャージする場合、アクセスチャージというのがありますね。これを私は今現在では電電公社は出せないんじゃないかと思うんですよ。出すべきですよ。出さなければこんなものは審議にならない。最も進んだ設備を持っている電電がこんなものは二年か三年か先でないとわからないようではこれ困るんで、市内におけるコスト、市外におけるコスト、そういうものを、経理処理としては総括でやっていても、やっぱりこの法案の審議については出してもらわなきゃならぬのですが、それは後の問題にいたしましょう。必ず、その場合によいとこ取りをするその第二、第三電電競争するわけにいかぬのだということで、アクセスチャージを一定の水準で設定して、しかもそれと契約するときは主権を新電電は持つということは今度法律で認められるわけですね。契約約款については電電の意思を貫かなきゃならぬわけです。それはアクセスチャージを一定の水準以上でとれるようにしようということですからね。ということは、平均的に言って市内の電話料金というのが上がるのじゃないのか。ということは、先ほど冒頭で言った、逆に市外料金を今まで下げてきた電電の政策は、そこで一時破綻を来すんじゃないのか。  もちろん、その第二、第三電電が来年できる、再来年できるとは思いません。郵政大臣もいろんな構想を発表されて、経団連、ソニーや京セラやあるいは建設省・道路公団、国鉄等々、いろんなそんなのはできるだけ一本化すればいいのと違うかと言ってみたら、公取からそんなことはけしからぬと言われてみたり、いろんな今状況にあるんですが、したがってそれは何年か先のことでしょう。しかし、彼らはやはり依然として新規参入であって、その企業基盤というのは弱いんであって、クリームスキミングをやると言ったところで、それはある意味では当然だし、逆にそれに対して巨大な新電電はいろんな面で援助をしてやらなきゃならぬという要求が出てくるに違いないわけです。そうすると、ほぼ助成体制の中における市場原理のいわば喪失というふうな時期が続くわけですね。しかし、料金面では国民から見れば今まで以上に決してプラスにはならないというふうに私は思うわけですけれども、それはどういう見通しなんですか。具体的に何十銭が何円になるとか、そんな話は別にしまして、具体的にはどうなんですか。当分市内料金というのは上げないでいくということは決意として述べられますか。
  97. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 今度の法案によって電電公社が民営化に移行する。そこで新しい当事者能力も付与いたしますし、競争新規参入も出てくるというムードだけで、まだ法案はもちろん御審議願っている最中でございますけれども、これは私が言うのではございません、電電の当局、総裁を含めて、必ず現行の中長距離料金を含め値下げの方向で企業努力するし、その実現は今日の技術革新の体制からいって確実にそれをやり通す自信があるということを表明しておるわけでございます。  また、今度の新しい法案によって目指すところも、国民への多彩なサービス還元という言葉の中で最も主要なる点は、料金が安くなるという形での国民へのサービス還元ということに私ども解釈をいたしております。現に、そうすれば世界水準の中では高い現在の中長距離料金、それがだんだん今各国のレベルに少しずつ値下げの方向で努力をいたしていただいておりますけれども、しかしそれとてまだ四十対一という各国のいわば通信先進国と言われている国となぞらえればまだまだ高い、私自身もそう思っております。これは電電当局もそういう認識のもとにおることも事実でございます。  ただ、市内料金が世界水準から見て比較的安いということも事実でございます。しかし、公社総裁を含めて、六十二年まで、つまり市内のコストの十円が高いか安いかも、現実のところ、公社もコストの厳密な実績、コスト調査という形についてはまだやっていないと言ったら語弊がありますけれども、それにそういった調査のデータを含めて国民の皆さんの前にコストとして明確にすることがまだできていない。しかも、新機器導入によって、ここ二、三年の間に確実にそういった市内コストの現在料金が高いか安いかということを含めてのデータを提出するように、もう既に機器の導入も始めたようでございます。したがって、六十二年までは絶対市内料金は現在の状態を維持する、中長距離は下げる、そういった形で明言もいたしておることでございますし、このことはもう既に競争原理が導入される。新しい新規参入がたとえ小人であれどういう形であれ、これが形態的に衛星通信を利用するか、あるいはマイクロウエーブで来るのか、あるいは光ファイバーで来るのかの方途は別として、新規参入を迎え撃つというだけで、既に電電としては、組織の効率化を初め中長距離料金において一層のサービスをして必ず国民の皆さんに還元するということを明言いたしておるわけでございますから、この法案の意図するところ、またこの法案の成立を待たずしても、そういうムードが既に働いてきておるということは国民側にとっても喜ぶべきことではなかろうかと思っております、
  98. 大木正吾

    委員長大木正吾君) ちょっと委員長から確認をとりますが、ただいまの大臣の発言に対して電電公社側御意見ありませんか。
  99. 真藤恒

    説明員真藤恒君) 今大臣のおっしゃっているとおりでございまして、一連のこの御審議の中で、繰り返し私は今大臣のおっしゃったようなことを申し上げております。
  100. 福間知之

    福間知之君 総裁よりは、ただいまの大臣の御説明ですね、中長距離、世界で一番高いです、これを下げていくという決意が明確に述べられましたから、私はそれも期待をしたいと思います。ぜひ下げなきゃならぬと思っています。  ところが反面、市内料金は安いと、確かに安いわけですね。フランスの半分ですしね、西ドイツの三分の一以下ですね、安い。ということは、ここにはまだ国民に負担能力がある、こういう発想にも逆に言えばつながっていくわけです。ましてや、先ほど来申し上げたような新しい電電とのアクセスチャージなどを考えた場合に、膨大な設備料が新電電にはかかってきますからね。それをやっぱり市内料金の方に転嫁をしなきゃならぬというふうな事態が十分に予想される。しかもまだ一番世界では市内料金は安いというようなことですからね。これは乱そういうように感じているのです。  かつてこの問題が出る前にこの委員会でも、小山局長も御承知のとおり、電電の市内の料金制についてはそれ自体の改革をしなきゃならぬのじゃないか。イギリスのようなグループ制を採用して、隣接地域は市内と同じ十円なら十円でいける、あるいは十二円なら十二円でいける、三分を二分三十秒にする、いろんな改革によってもう少し合理化せなきゃいかぬというような議論をやったことが何回かあるわけです。  それはそれとして、今また新しい観点での議論なのですが、中長距離と市内との関係新規参入のアクセスチャージとの関係電電の新設備投資に対する負担、そういういろんな要素を考えた場合に、これはあくまでも六十二年まではもう絶対にそれはさわらないとおっしゃるのは結構ですけれども、なおひとつ十分な吟味をしていただいて、単なる三分十円が高いか安いかだけではなくて、もう少し多面的にこれは考えなければいかぬ要素が過去からもあるわけですから、ぜひひとつこれは研究をしていく必要がある、こういうふうに思っております。  次に、この事業法案の中では、高度情報社会形成の基盤を担うところの電気通信分野に競争原理を導入する、そして効率化あるいは活性化を図ることが目的だと書いてあるわけですけれども新規参入業者との公正な競争条件を確保することが今申し上げたように非常に重要なのですけれども事業法案ではどういう配慮をされておりますか。
  101. 小山森也

    政府委員小山森也君) まず第九条におきまして、参入の許可というところで、新電電新規参入者も同一の扱いになっております。以下申し上げるところが大体同一の扱いという条項でございます。「電気通信役務の種類等の変更」、第十四条でございます。それから「利用の公平」、これは第七条。「重要通信の確保」、第八条。それから第三十四条では、「正当な理由がなければ、その業務区域における電気通信役務の提供を拒んではならない。」ということで、これは第一種事業者はどちらにもかかっております。  また、不公正な競争が行われないよう料金認可ということで、この料金認可でどちらにも同じような公正競争ができるようにしております。また三十三条で、「会計の整理」ということをしております。また四十一条で、技術基準というものを国で決めて、どの第一種業者も同じような形で技術を守るということ。  また、第一種業者同士の相互接続、これを確保できるように三十八条、三十九条で担保しております。また、端末の接続条件、これも国の基準ということにいたしまして、新電電新規参入者も同じような条件でいくということが四十九条、五十二条ということでございます。  また、土地の使用に当たりまして、公平に取り扱うように、どの事業者も工事等を行うときに特別な権利を与えているというのは第三章に規定しております。  また、端末機器の認定を国が行った場合において、工事担任者というものを置きまして、これは五十条、五十二条で決めておりまして、国が端末機器の認定を行ったり、工事担任者というものの資格を決めていくということでございまして、これはいずれも新規参入者、それから新電電、同じような規定になっておるわけでございます。
  102. 福間知之

    福間知之君 長々と述べられましたが、法案提出している側としては、これで公正条件は確保できると、こう考えておいでだと判断をいたしますが、逆説的に先ほどの話を申し上げてお聞きしますが、いわゆるクリームスキミングについては、これはその公正条件の維持確保という面からいって、当局はどう考えますか。
  103. 小山森也

    政府委員小山森也君) 競争原理の導入ということは、そこに需要がある場合においてのみ競争原理というのは出てくるわけでございます。したがいまして、競争原理を導入した場合において、利潤のあるところに、ということは、需要のあるところに、その新規参入者が参入してくるということは、これは当然あり得ることでございまして、それなるがゆえに企業は成り立つのであろうと思っております。  ただしかし、クリームスキミングの一番の、もし欠点はどういうところかと申し上げますと、私の思っているところでは、そのことによって他の事業者の存立が危うくなるというようなことであろうかと思いますけれども、そこに需要が生じて、需要というものがあって、そこに競争原理が入ってきて、その競争会社ができたという場合においては、それはお互いに需要をさらに伸ばす意味において取り合うということが、大体パイが大きくなる形で新しい需要を開拓していくということが普通の現象だろうと思います。また、現状におきまして、市内網に新規参入者が入るということは、この数年といいますか、近い将来におきまして事実上不可能に近い。そういたしますと、やはりこのすべての、先ほど申し上げましたように、トラフィック増加というのは市内網に増加として戻ってくるというような形になりまして、まあ簡単に言いますれば、新電電の財務的な基礎を危うくするようなことはないと、こう思っております。
  104. 福間知之

    福間知之君 要するに新電電としては横綱相撲で、どんとこれは受けて立つべきであると、そういう雅量が今示されたと思うんです。ところで、今その新しい需要というものが全体としてふえるから、まあ需要がふえるから、新しい需要が創出されるから、新電電としてもマイナスにはならないと、こういう発想がそこにあるわけです。だから横綱相撲でいこうと、まあそれは私理解はしたいと思います。  しからば、例の電報で、電報業務で千二百億も赤字を出してきたと、これ今まで我々取り上げてきましたな、どうするんやどうするんやと。これは新電電にはその責務が課せられるわけですね、新規参入には課せられませんね。これも横綱相撲で、それはもう当然のことだと。新電電も実は、おまえら知らぬけども、これからはファクシミリやら電子郵便にだんだん変わっていくんやと、だから、社会党の言うふうに電話と同じ責任電報に対しては、電報事業に対してははっきりしないんだと、どうも顔に書いてるようなんですなあ、郵政大臣の顔に。  まあ、それはともかくとして、電報もだから逆にこの電電負担をある時期までは当分の間すると、それはまあ新規参入にはさせないと、こういう考えでそれで結構なんだと、こういうことですか。
  105. 小山森也

    政府委員小山森也君) 電報に限らず、新電電はやはり今まで長い間法的独占という中で積み上げられた人材、それから施設、技術を受け継いだことでございまして、当然それなるがゆえに特別の任務を持った特殊会社という位置づけになっているわけでございます。そういうことになりますと、今まで積み上げられた、独占の中で保護されたものというものもありますと、やはりこういった特別の任務を持つということになる中にやはり電報も入ってくるわけでございます。  電報はしからばどういうふうに考えるかと申しますと、ほかの事業体にやらなくてもよいというのではなしに、逆に、新電電の独占にしなければこの事業はなかなか成り立たないということで、ほかの役務は独占になってるものは今度の本体系にはないわけでございますけれども、新電電に独占ということをむしろ位置づけているわけです。じゃあ、独占ということでしなければなぜ成り立たないかと申しますと、現在でも実は千二百億円の赤字が大体見込まれてるわけでございます。しかし、片方において年間四千三百万通という取り扱いがあるということでございます。これはやはり通信役務としては非常に重要なものでございます。そういたしますと、やはり従来からの電電の営業のすべてを引き継ぐ新電電が、この重要なものも引き継いでいっていただかなければいけない。しからば、それを経営するためには、もうかるところだけを他の企業で引き受けるということになりますと、これは全国ネットでもってやらなければできない仕事でございます。特に配達網というようなものがどこに穴があってもいけないという仕事でございますので、それを全国くまなくしかも同質のサービスをしていくためには、やはり採算地域、非採算地域あわせて独占でやっていただくよりほかはないということでございまして、ほかに義務をつけるというのではなしに、むしろ独占を保障することによって今以上に経営的に困難にならないような形にすべきであろうと考えてるわけでございます。
  106. 福間知之

    福間知之君 ついでで悪いんですけど、電報の話になりましたんで、これどうですか、私先ほど解説的に小山局長のおなかの中をえぐってみたんですけれども、将来的に、電報というものを大改革をやると、やめるというならば。そういうあれはないんですか。
  107. 小山森也

    政府委員小山森也君) 近い将来においてはまず考えられないことでございます。  ただ、今の現状におきますような負担をかけるということにつきましては、これは事業体におきましてまず合理化ということを考えていただかなければならないんじゃないかと思います。ただ、しかし、こういう大事な通信媒体でございますから、事業体がやっていれば、後は行政は黙って見ていればいいというようなことでは決してございません。そうするならば、やはりいろいろこれから検討をいたしまして、ファクシミリ電送とあわせたサービス形態であるとか、テレックス方式で漢字も送れるような形態とか、いろいろな形でいろいろな媒体をうまく融合させまして、今の電報の機能を何ら利用者に不自由をかけない形でしかも安くということを考えるのは、私どもこれからの非常に重要な課題だと思っておるわけでございます。
  108. 福間知之

    福間知之君 ぜひひとつ、これはもうこれ以上この場では時間がないのでやりませんけれども、慶弔電報が多いと軽く一口で言われるんですけれども、実際あれは一つの私たち日本の社会における文化でもあるわけです。父が危篤だというふうな場合に電報がどんなに有効かということを、我々も身をもって感じていることはあるわけですね。だから、その「当分の間」、しかもまだ、これは電話並みの新電電の責務という考えでやっていただかなきゃならぬわけで、我々の要求は、文言上も法律上も電話と同じような性格づけをしてもらいたいわけであります。どうもこれが衆議院段階でも了解されないということで、改めて私どもは要求をするわけですけれども、一応念頭に置いておいていただきたいと思いますね。これは大臣、よろしゅうございますね。  それから、先ほどの話で気になるのは、新規参入によって新しいニーズが生まれてくる。その新しいトラフィックあるいはまた需要というものはどれくらいだと見ているんですか。電電はそれが出てくることを期待しているわけですけれども、じゃ、どの程度期待されているのかな、こういうふうに思うんですよ。新規参入によってそれが期待されるというんであれば、どの程度見ておられるんですか。
  109. 岩下健

    説明員岩下健君) ただいまのいわゆる新規参入等によってトラフィックが全体でどのくらいふえるのかという御質問に直接のお答えにならないかもしれませんけれども、現在、そういった将来を卜するといいますか、端的なものがデータ通信のための回線の利用、つまり特定通信回線でございます。これは専用線と違いまして、全く新しいメディアのために使われておるわけでございますが、これの収入のベースで見ますと、回線収入の伸び率から見ますと、ここ数年来、年率一二ないし一五%程度の増加を見ております。また、データ通信の設備サービスの収入もやはり二けたということになっておりますので、現在のような回線利用制度のもとにおいてすらと申し上げてよろしいかと思いますけれども、そういうかなり高いトラフィック増加がございますので、これが新法のもとにおきまして利用制度の改善、より使いやすくなるという状態のもとにおきましては、かなりの利用増を私どもとしては見込んでおるということでございます。
  110. 福間知之

    福間知之君 いや、それは今一五、六%とか、データ回線二けたとかおっしゃいましたけれども新規参入が実現することによってそれはそれ以上拡大する、こう見るんですか。
  111. 岩下健

    説明員岩下健君) 現在の公社の独占形態のもとで、かつまた現在の回線利用制度のもとにおいての伸び率が先ほど申し上げましたようなものでございますので、これが競争関係によりまして、より使いやすい形でのまた回線利用制度が実現するわけでございますので、そういう意味一つの証左といたしましてかなりの伸びを私どもとしては期待していいだろう、こう思っておるわけでございます。
  112. 福間知之

    福間知之君 皮肉な見方をすれば、電電一生懸命やってきたけれども、新電電になってさらに新規参入が加わることによって需要がさらに拡大するということですね。逆を言えば電電だけじゃそれだけふやすことはできないんだ、こういう見方なのかもしれませんけれども、いわゆるアメリカにおけるATTだとか、GTEだとか、MCIだとか、いろんな会社がありますけれども、非常に多様なサービスを手がけていますわね。それはその新しい電電になった場合に、例えばアメリカの場合はVANをいただいていますね、日本ではどうなんでしょうか。そういう新規の事業需要の開拓ということを電電自身が今度の法律によってやるのかやらないのかということであります。
  113. 児島仁

    説明員(児島仁君) 私どもの今データ通信本部で営業としてやっておりますいわゆるデータ通信業務といいますのも、いろんな形態はございますが、通信処理に比重が非常にかかっておるもの、あるいはデータ処理に非常に比重のかかっておるもの、いろんなケースがございますが、一口に大ぐくりで言いますと、これは一種のVANの業務であろうと、過去データ通信と言っておりましたが、実は今言っておるVANに近いもの、あるいはVANそのものだろうと思います。したがって、これは現行経営形態の中でもこの分野には力を入れて進めていこうと思っておりますが、今後この法律が変わりまして新会社になりました後はいろんな工夫もできると思います。  したがいまして、私どもとしては、今後許された場合、現在は中小企業VANしか許されておりませんが、大型のVAN業者も出てくるだろう、そういった方々と切磋琢磨をして技術革新を競っていくという中で需要もまた多くなってくるだろうし、料金もまた値下げに向かうだろう、サービス内容もよくなるだろうと思っております。私どもとしては、そういった大型VAN業者の一員としてやはり仕事を進めていくべきだろうというふうに考えております。
  114. 福間知之

    福間知之君 次に料金の件でございますけれども事業法三十一条二項一号で「料金が能率的な経営の下における適正な原価に照らし公正妥当なものであること。」、こういう定めがあります。その趣旨はどういうことなのか。あるいは、「適正な原価」というのは各サービスごとの個別原価を指すのか、それとも全体の総括原価を指すのか、この二点を伺いたい。
  115. 小山森也

    政府委員小山森也君) この条項でございますが、「料金が能率的な経営の下における」云々というのは、事業者として当然なすべき経営努力を払った場合における経営を前提として考えるということでございます。このような能率的経営を前提として、設備の償却費、それから営業費及び一般管理費等の費用のほか、資金の調達に必要な支払い利子を原価として算定して、これに公益事業として社会通念上公正妥当と考えられる報酬、これを合計したものが料金として我々は考えているということでございます。  それでは、総括原価方式がどうかということでございますけれども、総費用を賄うに足る総収入という考えであってよろしいのではないか。したがって、総括原価方式をとることも可であるということでございます。
  116. 福間知之

    福間知之君 総括原価主義をとるということはまあ理解できるんですが、その場合の限界ですね。限界というとちょっと飛躍ですけれども、黒字の部門から赤字の部門に補てんをするということが総括原価主義の場合はできるし、そのために総括原価主義をとるわけですけれども、しかしおのずからそこには新規参入との関係では社会的にここは問題になってくるであろうと思うんですけれども、いわゆるイコールフッティングでないというふうなことを言われないためには、おのずから一定の、黒字から赤字に補てんをするという限界があるだろうと思うんですね。それは何によって判断されますか。
  117. 小山森也

    政府委員小山森也君) まず第一に、そういったそれぞれの役務に対する経理が明確になっていることが必要でございますけれども、今現在の電電公社を例にとりますと、今の電気通信事業の中でその限界といいますか、著しくこの関係が損なわれているというのは電報事業だけでございます。それじゃ、電報事業がそれであることはどうかといいますと、電報事業が今現在非常に重要な国民の基本的通信の一つであるということから考えますと、単なる量的な意味での料金の相互主義というふうには考えられない。やはりそこには国民的な理解が得られるのではないかと思います。その他につきまして、現在のところ、他の役務から他の役務へ大きくそのような相互補助をしているというのが、今何しろ一つ事業体しかございませんので、電電公社には行われていないということでございますので、今後ともこのような関係は続くのではなかろうかと考えております。
  118. 福間知之

    福間知之君 また電報の話へ返っちゃいましたけども、それはそれとして、今当局はこの電気通信料金のあり方について電通審に諮問されてますね。その具体的な中身とその電通審の答申はいつごろ予定されるんですか。
  119. 小山森也

    政府委員小山森也君) まず、諮問でございます。まず諮問したことの考え方でございますけれども、実は従来からもこの料金というものに対する論理的な解明というものについては、これは事業体である電電公社、それと同時に私どももあわせまして、明確な論理的な説明がなされていないのではないかということ等が国会から御指摘を何回も受けているわけでございます。そこで私どもといたしましては、こういった重大な御批判に対しては早くこたえるべきであろうということで、いろいろ検討会などを開いてまいったわけなんでございます。検討会を開いてまいりましたけれども、これは結局、実は独占体制下における料金のあり方ということで終始してたわけでございます。非常にそういった点におきまして、今後の問題ということと若干色合いが違ったということでございます。  それじゃ今後はどうするかということですが、実は非常に言いにくいのでございますけれども、この法案が成立した暁に、本来なればこういうことについて検討を正式に開始するのが私どもの当然の建前なんでございますけれども、何しろ今まで独占体制が長かった、四月からは独占体制でなくなる、競争体制に変わるということになった場合、それに準備すべき何物もないというのは、また次の批判を受けるということになろうかと思いまして、電気通信事業法案を国会に御提出したと同時に、実は電気通信審議会にこの新しい競争――多数の事業体の中における電気通信料金というのはどういうものであるべきか、まず水準はどうなるか、またそれをどのような形で個別の料金に敷衍していくべきか。というのは今後とるべき料金政策、それが今後の二十一世紀に至る電気通信というものを左右するものであるというところから、五月に諮問をしたわけでございます。  なお、これに対する諮問のお答えは三月にいただく予定にしてお願いをしているところでございます。
  120. 福間知之

    福間知之君 これは、私なぜ聞いたかというと、今大きな改革が進もうとしているわけですね。いずれにしましても、新電電への移行とか、新規参入とか、まさに高度情報社会のその変革が一気に突き進んでいくかどうかというふうな、まあ出発点に今あるわけですね。こういう時期に、当局がよくこれからの料金について諮問委員会考えていただきたいと言い出したもんだなあと、こう感心しているんですよ。  というのは、それならばそれを可能にするためのいろんな資料を電電公社なり郵政当局は電通審に提供しているはずだと思うんですね。でなければ、電通審の人たち神様じゃないんだから、ああこんな大きな変革が考えられる時期に、とてもじゃないが将来的な電気通信料金のあり方についてそう簡単に答申が出るということは私はないと思うんですね。  例えば先ほど来から議論していますように、市内料金と市外料金との関係、今コストの状況がどうなっているかとか、新しく変化が予想される新規参入との関係における遠距離料金等への影響、そういうものをどう判断しているのかということが一定の素材として提供されていると思うんですね。そういうものは我々国会にはなかなか出てこないんですよね。だから、私はそういうことは諮問機関だけじゃなくて、我々国会でもかねがね問題提起をしているわけですけれども、適切な裏づけになる資料は提供されないということを非常に遺憾に思っているんですよ、正直言って。で、そういう諮問機関には一定の資料を出して諮問している。これは、そういうことをやってないと言えばうそになりますよね。やっていられるはずなんです、公社も当局も。だから、そういうことが国会でも明らかにされながら、やはり今続けているような議論というものをやっていかないと、これからこの大きな改革をする今の法案は、このままで私たちは納得ずくで了解するというわけには実際いかぬですよ、正直言いましてね。だから、諮問機関に提起されているような資料があるとすれば、それは私は国会の方へも提供を願いたいと思うんです。  これは委員長の方でひとつよろしく理事会で取り計らっていただきたいと思います。
  121. 大木正吾

    委員長大木正吾君) ただいまの件につきまして、関係当局の意見も聴取しながら理事懇で相談いたします。
  122. 福間知之

    福間知之君 次に、新規事業に関する幾つかの質問を申し上げたいと思いますけれども、民営化によって電気通信事業以外の新たな分野に新電電としては進出ができることになります。そこで、新電電としては新規事業に対してどういう基本方針、基本政策を持っておられますか。
  123. 児島仁

    説明員(児島仁君) 私ども、本委員会でも討議をしていただいておりますように、本来的に公益事業ということで、公益性を重んじたスタンドポイントで仕事をやっていかなければいかぬと思います。ということは、私ども法に定められた本業に全力を尽くすということがまずなければいかぬと。したがいまして、新しい事業を興すということも、その本業のためになるときのみ許されるものというふうに考えております。現在、そういった観点から私どもとして将来どのような新規事業を行っていくべきだろうかということを検討中でございますが、私ども、今この法案審議中でもございますし、その辺の検討はまだ非常に未熟でございます。いずれにしましても、繰り返して恐縮でございますが、先ほど申しましたような基本原則の上で、社会的に効用がありかつ世間に迷惑をかけないというような格好で考えていきたいというふうに思っております。
  124. 福間知之

    福間知之君 今の御趣旨は投資の面についてもそうですか。
  125. 児島仁

    説明員(児島仁君) 法の建前から申しますと、投資についてはすべて自由というふうなことになっておりますから、極端なことを言えば何にでも投資ができるということになると思います。しかし、この投資も、ただいま申し上げました新規事業に手を出すということと、やはりこの行為につきましては同じ感覚でやっていかねばならぬと思っております。本業のためになる、本業のためというのは国のため国民のためになるというところに収れんされるような格好で投資を行っていきたいというように考えております。
  126. 福間知之

    福間知之君 冒頭申し上げたように、巨大なガリバーでございますので、そういう力量をもってしては、進出の態様いかんによってはかなり社会的影響考えられるわけですね。  そこで、新電電がまさか建築事業に投資してみたり鉄鋼の仕事をしてみたりというようなことは考えられないにしましても、最も近似的な、関連の深い電気通信機器の製造とか、あるいはまた、これは附帯業務的な面かもしれませんが、販売とか、そういう面に進出をするということは考えられますか。
  127. 児島仁

    説明員(児島仁君) 現在電気通信技術の面に使っております機械は非常に広範なものがございますが、これらはすべて非常に技術革新が速くて、陳腐化が速いものでございます。しかも、今後VAN業務等がどんどん日本じゅうに広まってまいりますと、それに使われます端末機そのものも非常に各種各様のものがふえてまいると思います。そうなりますと、物品の生産というものも、言ってみれば多品種少量生産、しかもライフサイクルの非常に短いものを生産していくということになろうかと思います。  したがいまして、私ども製造業に手を出して、あらゆるそういった商品をつくり出していくということはもうまず不可能だというふうに考えておりますし、現在の日本の業界を見ますと、一社としてはある製品に非常に力を入れて大量の生産をしているように考えられますが、ナショナルワイドで見ますとそれはちょうど多品種少量生産というふうな格好で、非常にバランスがとれておるのではないかと思っております。したがいまして、私どもは当面こういった製造業に手を出すよりは、むしろ各メーカーに競争していただいて製品を安く買わせていただくということが事業上も非常に適当ではないかというふうに思っております。いずれにしても、現在、当面製造業に手を出すということは全く考えておりません。  それから、販売の面でございますが、現在私ども営業部門としてやっておりますのは月々何円かの料金をいただくというレンタル制だけでございますが、今後この法案が通りますと機器の売り渡しということもできます。私ども営業というものをとらまえますときに、物を売る、あるいは物をつけてそこで利潤を上げるということも非常に大事だと思っておりますが、現場段階で話をさせていただきますと、営業が努力をして物を売る、物をつけていただくという努力をすることが、建設部門あるいは保守部門あるいは料金部門その他のサービス部門の仕事を非常に刺激して企業として非常に活性化を図るということになると思います。したがいまして、私ども営業をやるということは、それ自体できるだけ利潤も上げたいとは思いますが、やはり企業活性のための中心点であると、そういったことで非常に私ども関心を持っております。  したがって、私どもはそういった意味では非常にこの販売部門というのは大事に考えてはおりますけれども、今申し上げましたとおり、その販売をするということが社内の活性化を呼ぶということである以上、これを直ちに分離をして別会社でやらせて、本体は機械だけの保守を行うんだということはいささか適当ではないというふうに考えております。当分私どもとしてはこの営業というものを本体の中に抱いて仕事を進めていきたい。ただ、将来電気通信事業というものは一体どういうふうに進展していくか不透明な部分もありますので、将来的にはまた周辺の状況、国内状況考えて検討もさしていただきますが、当面今申し述べたようなことで考えております。
  128. 福間知之

    福間知之君 御説明の限りに関しては理解をしたいと思うわけであります。しかし、これは、今冒頭新規事業に関して申し上げたときに、品物を製造するとかあるいは投資をするとかということについてはどうか、ついてはまた販売ということについてお聞きをしたんですが、私はこれは非常に重要だと思っているんですよ。新電電としてはまさに百十年の電気通信の日本における歴史を変えて、独占体から民間へ、むしろ電電の方が民間に参入すると僕は逆にこう言っているんですけれども、しかもそれはガリバーであるということから、これが既存の業界に与える影響は非常に大きいものがある、こういうふうな見方で関係筋は心配をしているということですね。これは真藤総裁に私とくと申し上げておきたいと思うんです。  ちなみに、私はこの際例を一つ挙げてみたいと思うんです。電電公社はトラックⅠのファクシミリ装置を競争入札させたことがありましたね。これは昭和五十六年十月でございます。そのときに一部のメーカーが公社の大量購入を当て込んで市場価格の四分の一以下という超低価格で落札をしたんです。その場合に考えなきゃならぬのは、私はそういうことが――電電はいい品物がより安く購入できればいい、これは原則ですね。その限りにおいてこれを非難することは当たらないと思うんです。また、むしろ逆に、そういう超低価格で納められるようならばそれでもうかっているんだという見方もできるかもしれない。そう思われても仕方がない。しかも、そうでないとするならば、これはもうかなりのダンピング、超ダンピングなんですから、これはもうやっていけないはずです。そういう営業は関係企業に利益はもちろんもたらさないし、むしろ極論すれば倒産に追い込まれるわけであります。いわんや多くの下請は言うに及ばずであります。  しかし五十六年には、一見申し上げたような姿の納入ということが行われたわけですね。これはその後電電内部でも、果たしてどういう価格でリースするかとか、大問題になったはずでありますが、私は、そのことによって業界が受ける、あるいは関係企業が受ける影響、あるいはまたその企業のディーラー、サービス会社等が受ける影響というのはもうはかり知れないものがあるわけであります。  このときは業界は挙げて郵政省に陳情いたしました。そして郵政省の公正的確な判断を仰いで、市場価格の維持に見合う料金をもって電電が対処するということになったのであります。一応最悪の事態は防げた、こういう事実があるわけです。これを考えたときに、今その公社が民営化してそしてフリーハンドでもって新規事業附帯業務というものに進出ができるとなると、これは当然のこととして今まで以上に心配は大きくなるはずであります。  私はかつてこの委員会で、こういう民営化問題が出る前でございましたけれども電電公社も決して人が足らないというふうな状況ではない、むしろ余っているとも言えるんじゃないか、これはさながらNHKがそうであるごとくに、新しい仕事をやはりやるということが必要じゃないかと。これはNHKだって問題があって、それと引き合わして私は言ったことがあるんですね。そして、今度はこういう法改革を通じて新規事業に出ていくという場合に、製造はやらないとこうおっしゃるわけですけれども、それはともかくとして、営業をやる場合に、雇用を確保していくという意味で、本体から職務転換、配置転換で営業部門に回していく、これは多分に考えられているわけですね、労使の間で。それは果たしてどうなのか、果たしてそういう方向だと見ていいのかということですね。  あるいは、既存の多くのメーカーの長年つき合ってきた販売網にいわゆる端末機を購入してそれを店頭に並べていくという、そういう営業方針をとるのかどうかですね、これはこれで一つの大きな問題が出てくるはずであります。そこらについての御検討はなされたのかどうか。一口で業界に急激な変化、悪影響を与えるようなことはしないと、こうおっしゃるんでしょうけれども、私は、過去のこの例からいっても非常に心配しているということを申し上げざるを得ないわけなんです。
  129. 児島仁

    説明員(児島仁君) 先生ただいま御指摘されました御心配は私どもにもよくわかるお話でございます。ただ、ちょっとお言葉を返すようで恐縮でございますが、私ども電電公社は非常に巨大で民間の販売業者が小さいという説には、いささか果たしてそうであろうかという感じを持っておりまして、私ども現在全国で営業をやることが可能な局所というのは二千店でございます。一方、この端末機だけに関しまして話をさせていただきますと、各メーカーの代理店、小売店、それからデパート、スーパー、いろいろなところで今後そういった商品が並べられると思いますが、そういったものも五万店、場合によっては十万店ぐらいになろうかと思っております。したがって、私どもは、むしろ我々の方が大変小さいのではないかというある種の危機感を実は私どもとしては持っておりまして、さらにその商売のノーハウ等も考えますと、私どもやはり今まで営業で頑張ってきたとはいいながら、なかなか一般民間企業の方々には追いつけないんじゃないかという危惧も持っております。  現在、私どもこういったところで販売に力を注いでいかないと大変なことになるなというふうに考えておりますのは、当面その端末機部門でございます。ただいままでは、電電公社の回線に加入していただきますと、一台の電話機はいやでも応でも公社電話をつけさせていただくと。つけさせていただいた以上は月々何がしかの料金を毎月定常的にいただくと、これがかなりの収入源になっておるわけです。ところが、今後この法案が通りますと、今後新設の加入者はもちろん、現在あります四千三百万という加入者の方々も、もう公社電話は要らおいと、民間から好きな電話を買ってきてつけるから公社の機械は外してくれと、こういうことになるわけでございまして、この四千三百万の加入者というものが一般の市場に展開されると、言葉は悪うございますが、各業界の草刈り場になるということでございます。その場合に、私ども売り渡し――レンタルだけではなかなかこのお客様を維持していくわけにいきませんものですから、やはりレンタルで電話をつけると同時に、その四千三百万の何割になりますかわかりませんが、これは私どもの端末を買っていただくお客様として維持をするために売り渡しをさせていただきたいんだと、それを附帯業務というものの中でやらせていただきたいということが念願なんでございます。  したがいまして、私どもとしましては、民間の業者の方々が持っておられるシェアの中に殴り込みをかけるというよりは、むしろ私ども、今まで固有のお客様として安定的に持っておりましたお客様民間の各販売業者の方々に、言葉は悪うございますが、とられてしまう、それを少しでも防護したいと、そういう感じでおりますので、日本の市場を席巻しようとかそういった大それたことは考えておりませんで、大変素朴に、謙虚に考えておみつもりでございます。
  130. 福間知之

    福間知之君 一応精神的な、抽象的な考えとしてはわかるんですけれどもね。その新しい附帯的な業務というものに関してですけれども電話機だけじゃないと思うんですね。今電話機の話がクローズアップしていますが、電話機とファクシミリを考えておられるわけでしょう。電話機とファクシミリの市場の状況は全く違うんですね、全く違う。電話機に関しては、今おっしゃられたような話ではある程度理解できるんですけれども、ファクシミリの業界の事情はまた違うわけです。その点はどうお考えになっていますか。
  131. 児島仁

    説明員(児島仁君) ファクシミリは商品としては古いと言えば古いんでございますが、新しいと言えば新しい、非常に技術革新が急激に進んでおる部門の商品だというふうに考えておりますが、その過程の中で、機能が非常に高くて値段の高いもの、あるいは機能が低くて安いもの、いろいろございます。つまり私ども電電公社が持っておりますネットワークの機能に大変依存をして、端末そのものは非常に簡便な安いものにする。あるいは電電公社のネットワークには期待しないで端末機そのものに非常にインテリジェンスを与えて高機能のものをつくる、いろんなものがございます。したがって、その商品の価格というものが非常に雑多でございまして、設計の仕様によりまして非常な変化が出てくると思います。私どもこういった商品につきましては、電電公社としてのお勧め品というふうなものの販売もいたしますけれども、先ほど先生の御質問がありながらお答えするのを失念いたしまして大変失礼いたしましたが、今後は各社の商品も取り次ぎ、あるいは場合によっては店頭に並べて紹介もし、荒らしていただくということもやはり複合的に行っていく世の中になってくるだろうというふうに考えております。  先ほど私電話機の端末だけ申し上げましたが、ファクシミリその他いわゆるOA機器端末、そういったものについては、何といいますか、平たい言葉で言いますとイコールフィッティングの中でやっていきたいというふうに考えております。
  132. 福間知之

    福間知之君 要するに、電話機の市場というのは、電電公社が本電話機で一〇〇%持っているわけですね。その他の電話機類でも大きなシェアを持っておるわけで、まさに公社主導の市場である、電話機に関しては。そう言えるかと思うのですね。したがって、販売自由化後におきましても、公社電話機納入メーカーとの関係においては一定のバランスというものが保持できると、そういうふうに思うわけです。だから大して混乱が出ないかなと、こういうふうに思うわけであります。ところが、ファクシミリを中心にしたいわゆるOA市場というのは全く逆であります。民間で長年苦労して築き上げた民間主導のこれは市場でございます。したがって、現状でもファクシミリの市場における公社のシェアは数%にしかすぎないはずであります。新電電が自由裁量によりまして、装置価格とか保守料、あるいは工事料等、いわゆる料金を自由裁量で設定をして、公社から継承された巨大な販売網、独自の販売経路を持って乗り出してくるんじゃないのか。そうすると影響は非常にはかり知れないぞと、こういう心配なのであります。OAの販売業界におきましてはほぼ十万社に及ぶメーカーあるいは販売会社、販売店、サービス会社等、中小企業の軍団が底辺には存在をしておるわけでありまして、日本の伝統的な一つの販売流通経路の仕組みそのものなのでありまして、これが壊滅的な打撃を受けるのじゃないか、そういう危惧を持っているわけですけれども、いかがですか。
  133. 児島仁

    説明員(児島仁君) ただいま先生指摘の点は、私ども率直に、確かに私どもの商売の仕方によりましては御心配のとおりになる局面もあろうかと思います。  ただ、私どもやはり、再三申し上げて恐縮でございますが、全国に持っております店舗はせいぜい二千店でございますし、それからそれらの職員が今後配置転換で営業部門に人をふやしたとしましても、あらゆる万般の商品に対して非常な知識を持ってそのすべてを売り歩くということはなかなか不可能ではないかと現実問題として考えております。したがって、やはり各社別に、OA機器の中でもある種類のものが非常に得意な販売会社、そういうふうな得意得意の分野があろうかと思います。私どもは確かにずうたいは大きゅうございますけれども、各種商品すべていろんな会社に常に勝つだけの商品をそろえ、かつ、その販売技術を持ち、販売ルートを持つということはなかなか現実の問題としては難しかろうと思います。しかし、そういった御心配があるのも事実でございますから、私ども電気通信事業をやってまいります場合に、電電公社だけがひとりよがりで商売ができる、あるいは製造ができるというふうに考えておりません。今後各業界の方とそういった御不安のある点その他につきましては、共同、協調の精神の中で十分話し合いをしながら、そういった不安を解消して商売をさしていただきたいというふうに考えております。
  134. 福間知之

    福間知之君 私は、ちまたではそういう心配があるというこの認識の上で、以上幾つかの質問を申し上げまして感想をお聞きしたわけですけれども関係業界にとっては私はある程度当然のことだろうと思うんです。  それはなれないことをやるんだからと、こういうお話のようですけれども、しかし目抜き通りにやっぱり二千店以上の電報電話局そのものが新しい投資をそんなに必要としないで営業店舗になるわけですね。若干の訓練をすれば若干の人数は配置できるということですけれども、やはり巨大な信用とブランドとバックにしてやるとなると、それは心配が出るのも私当然だと、こう思うわけでありまして、製造や販売小売り会社等々、戦々恐々と実はしているわけでありまするから、そこへ持ってきて製品を新電電に買っていただかなきやならぬ、こういうふうな弱い立場にもあるわけですから、そこに私が申し上げる心配が出てくる。あるいは当然だとこれは思うんです。だから、私はこの問題は後ほど委員長にもお願いをして、やはり問題が出た場合に電電の皆さんは善意でやっていかれると私信用していますし、組合との約束でも雇用も確保する、こういうふうにいくと私は思うんです。だから、それは心配はいたしませんが、だが現実に生き物の社会で既存の業界との間で一定以上のあつれきが出れば、例えば何らかの調整をする場が必要じゃないか。調整機関的なものが、駆け込み寺的なものが必要じゃないか。そういうようなことを思っているわけでして、ここの議論で決着をつけることは無理ですが、今後のひとつ議論の中で何らかの方途を考えていただきたいものだ、そういうふうに申し上げておきたいと思います。  次に、外資の規制の問題についてお聞きをしたいと思うんです。  郵政当局は当初この改革法案を発表した際には、特別第二種については許可制、原則的に外資規制を行うということであったわけですね、これは。思い起こせば、通産省さんの方は外資規制を外す、こういうことがあったわけですけれども、結果的にこの許可制が削除されまして登録制ということになったわけですけれども、これはどういう経過とまた決断をされてこうなったんですか。
  135. 小山森也

    政府委員小山森也君) 当初外国、特にアメリカの巨大通信事業者の巨大な資金力とか技術力及び長年にわたる経験を持っているということから、我が国の通信市場において大きな力を発揮するのではないかといった点で心配したわけでございます。これは貿易の問題というよりかは、我が国の通信というものが外国によって席巻されるということによる通信というものの公共性が損われるのではないかと。また、そこにあります日本の安全性というものも問題があると、こうしたわけでございます。  しかしながら、その後一般的な一つの見方として、もう一度詳細に見るべきではないかといういろいろな意見がございまして、それにつきましていろいろ調査したわけでございます。そういたしますと、アメリカの場合には、まず十年前に既にVAN事業というものを始めております。その中にありますのがタイムネットとかテレネットというものでございます。ところが、このような事業は既に五十四年からDDXサービスということで電電公社がやってたわけでございます。これは民間事業者にはVANを開放しておりませんでしたが、独占の原則からいったところの電電公社が既にDDX網というもののサービスをやっていたということでございます。また、国際電電でも五十七年からビーナス・ピー・サービスというのをやっております。また、アメリカにおきます一番大資本、大資金量を持つと言われておりますIBMやATTというのがこの分野に参入したのはつい昨年のことでございまして、これになりますと電電公社というものは既に十二年前から始めておりまして、全国の銀行を対象とした為替交換システムというものを既にやっているわけでございます。それと同時に、一般的なもっと小さいものでもどうかというふうに考えたんですけれども、今のは大型のVANでございますが、確かにアメリカの小企業のVANというのは十年の経過がありますので、かなりソフトなどがすぐれておりますけれども、ただVAN事業の特性というのは、日本の企業の取引の実態とか商慣習を十分踏まえませんと、これはなかなか入ってこれないわけでございます。アメリカの帳簿をそのまま日本でやってもこれは通用しないというようなことで、企業取引の実態など全く異なっているという点、それから技術対応力から見ましても十分日本の企業による健全な市場が形成されていくということがわかりました。そういった点から、事業者の問題ではなしに、今度は利用者の面から見たらば、それでは内外無差別で事業をやってどうなるかということを考えましたところ、むしろ内外無差別、競争の原則でやることによってお互いに切磋琢磨して、より安い、より良質なサービスというものが得られるんではないかという結論に達しまして、このような外資規制を外すということにいたしましたわけでございます。  なお、御指摘がありました通産省との関係でございますが、通産省はこれにつきまして個別にこれに問題があると言って我々に要求してきた点はございません。ただ、通産省の原則といたしまして理解していただきたいという一般的な要望として、外国等の関係においては障壁を設けないでいつも自由な貿易というような立場から考えをいただきたいと。これは私たちが考えている次元と若干違う点があるんですけれども、そういった要望は確かにありましたが、個別にこれにつきましての強い要求というものはなかったということを御報告申し上げておきたいと思います。
  136. 福間知之

    福間知之君 いろいろと申されましたけれども、国民の目から見れば、これは今からもう半年近く前に新聞その他の報道で世論は知ったわけですよね。そのときに、三月の十三日の新聞でもあるんですけれども、アメリカがかなり厳しく自由化を要求してきたということがあるんですよ、新聞報道に関する限り。しかし、それは私は新聞だから関する限りと言ってんですけれども、事実アメリカの公式政府見解として、その文面まで載ってるんですからこれはうそではなかったと思うんです。そういうものが一方にあって、政府は結局通産省の自由化の方向に軍配を上げちゃった。国民はそういうふうに理解している。アメリカの圧力に屈したと見てるんです。私は、許可制が登録制になったということは、それはそれなりに理解できるんですけれども、外資の規制を全く外したということについてはいまだに納得できません。アメリカだって今も外してないんですから、こちらがなぜ外さなきゃいかぬのか。そういうことで、これは我が党としては衆議院段階からも修正を要求してきていますけれども、なお引き続いて当参議院でも私たちは政府の猛反省をひとつ求めたい重要なポイントなんですけれども、なぜアメリカがまだそこまで来てないのに日本だけそうやらなきゃいかぬのか。これは一般的な関税貿易面でもそうですよ、日本の最近の関税率は決してアメリカから批判されるほど高いものではない、これからまさに高度情報社会に入る、そのまた支えである高度技術というものの結晶体と言える情報通信の分野で、いわゆるハイテクの分野で自由化を認めるということは我々としてはちょっと納得ができない。アメリカとイコールフッティングではない。どうですか。
  137. 小山森也

    政府委員小山森也君) 日本におきましても第一種はこれは外資規制がかかっております。アメリカもかかっております。ただ、第二種という観念はアメリカはないんでございますけれども、VAN事業は自由でございます。これだけちょっと御報告さしていただきます。  それから、アメリカとの関係につきまして、ちょっと所管が違いますので、私ども答えはこれだけにしておきます。
  138. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 先生が新聞記事で引用されました米国の見解でございますが、恐らく三月五日付で米国通商代表部のブロック代表から郵政大臣、外務大臣にあてて示されました日本の法案骨子に対する見解の部分だろうと存じます。この二月十六日に「電気通信法体系の改革について」という法案骨子を発表すると同時に、各党に御説明いたしました際の原案と、それが最終的に政府原案として四月五日に閣議決定されました段階での特別第二種をめぐる外資の問題の経緯につきましては、先ほど電気通信局長が申し上げたとおりでございます。その過程で出されましたブロック通商代表の見解表明は、貿易問題を担当するブロック代表が自由貿易を推進するという見地から、郵政大臣あるいは外務大臣に対して単に要望を寄せてきたものというふうに受け取っておりますし、それ以上のものではあり得ないというふうに理解をしております。したがいまして、特別第二種の外資規制につきましては、あくまでも政府部内の自主的な判断に基づいて最終原案が策定されたものでございます。
  139. 福間知之

    福間知之君 それはわかっているんです。小山局長、そのVANの話なんですよ、私の申し上げているのもVANの話なんです。それはアメリカはいわゆるITUなどの条約を盾にとってそれを日本が認めないのはけしからぬということだけれども、それは、じゃなぜ郵政省当局は最初からこの点については外資二分の一以下というふうにされておったんですか。そうでしょう、いきさつとしては。規制をしようというのは郵政省であったんでしょう、VANについても。
  140. 小山森也

    政府委員小山森也君) これにつきましては、先ほど申し上げましたように、二分の一規制ということを考えたわけじゃないんでございます。要するに、外資が二分の一を超えていて、かつ日本の通信が外国によって支配されるおそれがあるときは規制することができると、そういう条項にしておいたわけでございます。二分の一になったら自動的ということではなかったわけなんです。  ところが、その後の状況は、要するにこれは貿易問題としてとらえたのではなしに、日本の通信が外国によって席巻されるかどうか、特に少数の外国資本によって日本全体の通信がカバーされてしまうというようなことがあったならばそういったことは規制するべきであろう、こういう発想だったわけでございます。しかし、その後のいろいろな調査によりますと、まずそれはあり得ないと。特に日本全体として考えた場合、電電公社はもうもともとこれにつきましては独占でやっていたわけですから、十分なキャリアを持っているということから、こういったおそれはなくなるということが判明いたしましたので、こういった規制は、むしろ規制をするよりかは切磋琢磨した方がいいと、こういうことでございます。
  141. 福間知之

    福間知之君 私は素直だから、小山局長にそう説明されればそうかなと思うのですよ。心配はないなあと思うのですが、我が党は衆参一体で実はそうじゃないじゃないかと、こういうことなものですから、私は声を張り上げて心配を説いているわけでございましてね。それは既にVANに乗り出そうというような報道もありますわね、アメリカから。だけれども、それはそんなに心配はないんだと、こう説明されれば私は素直だからそうかなと思うのですけれども、しかしなかなか世間はそうでもないのでありまして、やはり心配は残っているわけですよ。  というのは、VANはやっぱり日本は向こうに比べればおくれているんです。確かにおくれているのですよね。それで、向こうの方はもっと大きな資本のもとで直接にそれが日本に資本投下する、そして会社を設立するというふうな方法ではなくて、日本の関係企業と提携してそういうことが行われ、日本の慣行もよくつかんだ上でやるわけですからね。だからやっぱり危険を感ずるわけです。まあ同じ日本人の心情として、同じVANを使って仕事をする上でも、やっぱり日本のVANの方が身近でいいやと、こういうことになるだろうということを期待して私は小山局長のその答弁理解したいと思うのですけれども、しかしやはり我が党が心配するような側面もこれはやっぱりあると見なきゃなりません。  そこで、仮に通信の主権というものが侵されるというふうな事態があれば問題だというのだけれども、そういう事態は予測はされないわけですね。そんなことは心配ないと、こういうことですね。
  142. 小山森也

    政府委員小山森也君) 私どものいろいろな調査によりますと、まずそういうことはあり得ないということでございます。  なお、これにつきまして現に大型VANというものを手がけております公社御当局の方も深い自信を持っているということでございます。委員長、よろしければひとつ公社御当局にも聞いていただければわかるわけでございますけれども、それにつきましては、私どもよくいろいろな意見交換を十分した上での結論だということを申し上げておきます。
  143. 福間知之

    福間知之君 じゃ公社にお聞きしましょう。  まず、アメリカにおけるここ十年来のVANの実情、これはどうなっていますか。一年前から市場原理にゆだねられたと、こう聞いておりますけれども、現状はどうなっておるか。  それからもう一つは、我が国では一昨年十月ごろから中小企業のVANを臨時的な措置としてやってきた、自由化をやってきた。電電公社を含めて現在我が国のVAN事業についての実態はどうなのか。この二点をお聞きしましょう。
  144. 児島仁

    説明員(児島仁君) 過去のアメリカの状況につきましては、ちょっと手元に資料がなくて大変恐縮でございますが、VANが非常に強いかどうかということにつきましては、先ほど郵政省の方からお話があったと思います。私ども実務家の立場から、ちょっと御質問とはすれ違いになるかもわかりませんが、申し上げますと、資本の問題、二分の一云々というのは、私どもは意見を申し上げる前に郵政、通産論争が始まりましたので、とても口を挟むいとまはなかったので、これはまた政策問題でございますから申し上げられませんが、VANと一口に言いましても大変いろんな形があると思っております。例えば私どもが持っておりますような公衆通信回線を使って汎用的なVAN、全国民が共同して使えるような大型のVAN、それから例えば私が会社を持っておるといたしますれば私の会社だけのVAN、それからそういった共同体を組みました協同組合的なVAN、大商社、大メーカーをユニットにしたようなVANがいろいろあると思います。それらの各大きさの類型によるVANも、内容的には、先ほどほかの質問でちょっと申し上げましたが、非常に電話系に比重のかかっておるVAN、通信処理に非常に比重のかかっておるVAN、それからデータ処理に比重のかかっておるVAN、結局一個一個のユーザーが升の目に入っておるような格好になっておりまして、そういったものにVANを売り込んでいくという際には、資本力そのものが大きければ必ず勝つということでもございませんし、技術力が非常に高ければ必ず勝つ、あるいは販売力が強ければ必ず勝つということにはならぬのではないかと私ども考えております。  つまり、そういった個々の類型化され、かつその機能が非常に個性を持ったVAN需要に対して一つ一つこたえていく、それにコンサルティングをし、設計をし、建設をし、保守をしていく、メンテナンスをやるというふうなことになりますから、確かにアメリカの基本的なソフトは非常に高度なもので我が国はおくれておるというふうなことになっておりますが、個々のユーザーのニーズに基づいたソフトを組み直すという点においては、日本の国の電電公社のほかにもたくさんのメーカーさんがいらっしゃいますが、そういった方々の技術陣営の能力から見て、私はそうおくれをとるものではないと思います。  したがいまして、一口にATTとかIBMが入ってきたらば、大資本だ、大変技術力は高いといいましても、個々のユーザーを摘出してやってまいります場合にはそういった大資本が直ちにきく、技術力が直ちにきくということにはならぬ、そういった意味ではある種楽観的な考えかもわかりませんが、私どもを含め日本の技術陣は技術的にも十分対抗できますし、商売上も対抗できるのではないかというふうに考えておる次第であります。
  145. 福間知之

    福間知之君 流通部門で、西武だとかダイエーだとか既に電電公社システムとIBMシステムを両方導入してやろうというふうな若干の競争が今もう既に具体化しているんでしょう。(「ハードばっかりだ、ソフトが問題だ」と呼ぶ者あり)  私は、今片山理事もここで怒っていましたけれども、ハードばかり言っている、ソフトの面が問題じゃないのかと。そういう点は、コンピューターでも実際問題として大分キャッチアップはしてきましたけれども、コンピューターを活用するソフトの面ではかなりおくれているというのはこれは一般的な見方なんですよ、正直言いまして。そういう点で、無差別な侵入を許すということになると、実は極端に言えば、我が国の通信主権がかなり侵される、こういうような心配を持つものですからお聞きをしているわけであります。  これはここでなかなか決着はできる筋のものじゃありませんけれども、したがって先ほどの問題に返るわけでして、ところで、それに関連して公社さんは、先ほど小山局長は十分相談をしてやってきました、こうおっしゃっているんですけれども、この外資規制については、郵政当局に意見調整があったときにどういうお答えをなさったんですか。
  146. 児島仁

    説明員(児島仁君) 先ほどちょっと申し上げたのですが、政府原案を郵政省がおつくりになって、私どもに提示される前に新聞情報に流れまして、そのとたんに郵政、通産論争というものが始まりましたものですから、私どもの意見を申し上げるいとまがなかったのが実際で、本当のところでございます。
  147. 小山森也

    政府委員小山森也君) 私どもの原案をつくるときまでには、確かに公社御当局とよく相談しておりません。ただしかし、その後いろいろ調査して、これでいいかどうかということについて、実態的な技術の力はどうかということにつきましては、その後電電公社といろいろ御相談申し上げたということでございまして、最初の案をつくるときには公社御当局とは余りよく相談していなかったというところでございまして、それがまた練れてないうちに新聞に出てしまったというのが実情でございます。
  148. 福間知之

    福間知之君 新聞が悪いんだと言わんばかりのお話でございますが、電電公社さん、本格的に今後VANに参入していくとした場合に、アメリカとは厳しい競争ということになると私は思うのです。これは先ほどもちょっと出ていましたが、向こうは貿易摩擦解消の一つのターゲットとしていますからね。かなり厳しい競争にさらされる。結果としてこの部門の収支が果たしてどうなるのかということは検討されていると思うのですが、どうですか。
  149. 岩下健

    説明員岩下健君) 端的なお答えとしましては、まだ数字をもって自信のあるものをお答えできるようになっていないということなんでございますが、ただ、現在、既に先ほどお答えしましたように、VANという名前こそ付してはおりませんけれども、DDXのサービス、あるいはデータ通信関係設備サービスでも、いわゆる通信処理を主体としたサービスもやっております。この種のサービスにつきましては、初期の段階では正直申しまして設備のキャパシティーに対して需要が追いつかないといったような事情もございまして赤字でございました。  データ通信設備サービスについて申し上げますと、その赤字も年々縮小をいたしまして、今年度、五十九年度中には収支相償うと、単年度におきまして、という見通しを得ております。したがいまして、こういったお客様の種類なりあるいはマーケットの広さ、私どもの今まで使いましたハード、ソフト両面におきます技術、こういったものを駆使することによりまして、新会社になりましてから行うVAN事業につきましても、十分収支、採算がとれるものにする一応の自信が現状でもございます。
  150. 福間知之

    福間知之君 郵政当局にちょっとお聞きしますけれども、社団法人日本情報通信振興協会というのがありますね。ここから郵政省に対して提言があるでしょう、それを言ってください。
  151. 小山森也

    政府委員小山森也君) 「通信開放に関する緊急提言」というのが五十九年二月十七日に、日本情報通信振興協会から出されております。  この内容でございますけれども、一般的な問題として、通信開放に関する緊急提言として、従来から開放を求めてきたが、今回の問題は「関係者一同にとってまことに喜ばしいこと。あり、基本的には速やかに新法制定に至ることを切望する」ということが前提になっておりますけれども、「次の観点から外国資本に対する自由化につきまして、極めて慎重に対処されますよう、緊急に提言申し上げます。」ということでございまして、これは全部申し上げると長くなるわけですが、当分の間外資というものには制限を加えるべきであるという意見でございます。
  152. 福間知之

    福間知之君 それは局長判断で私向けに言いたいことを一部言われたのですけれども、もう少し継ぎ足しますと、同協会の提言におきまして、対内的自由化の実施と同時に相互平等主義の名のもとに対外全面自由化を行うことは、一方的にアメリカ企業が圧倒的な立場で我が国に進出する、これでは公正な競争とは言えない。さらに、仮に我が国企業が逆にアメリカに進出を計画した場合、これがアメリカ政府より必ず認められるという法的保証はないと考えるべきだ、こういうふうに言っているんですよね。この点についての当局の御見解はどうですか。
  153. 小山森也

    政府委員小山森也君) 我が国が第二種につきまして外資規制しなかったのは、相互主義ではなしに、我が国企業の技術力と開発力、利用者の利益というものを総合的に判断したということでございまして、アメリカ政府が我が国からの進出を認めるかどうかということは一応関係はないものとして、日本の国内の通信というものが、先ほどもるる申し上げておりますように、外国によって支配されるおそれがないかどうかということを判断基準にしたわけです。米国側からは原則的に何ら制限はないという説明を受けております。
  154. 福間知之

    福間知之君 時間の関係で、もう一問でこれはやめますけれども奥田大臣、これ四月時点でのことで、今から言うと少し前になってしまいますから、先ほどから私もやりにくかったんですけれども、一応我が党としては問題点として指摘をしなきゃならぬと思ってやっています。  四月五日に安倍外務大臣がマンスフィールド大使に対して、政令や省令もこれまでと同じように、必要であればアメリカと協議する用意がある、そう言っている。はしの上げおろしまでアメリカと相談せにゃいかぬのかな、こういうちょっと憤慨を覚えているんですね。あるいはそのあくる日に、同じく安倍外務大臣がブロック通商代表に対しまして書簡を出しました。その書簡の写しはここにありますけれども、通常は十年以上もかかる電気通信市場の開放という大事業を、我が国においてかくも短時日のうちにやることになりました、注目すべきことではありませんかということで書簡を届けている。さながらこれは、アメリカの大統領選挙をにらんだ何か日本側のプレゼントのような気がするんですよね。それで、こういう書簡だとか発言を見て、そのときの感想はいかがなものですか、これ、郵政大臣としては。
  155. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) この法案をつくる過程の中で、正直に申しますけれども、ブロック通商代表から私あての書簡をいただいたことも事実でございます。同様の形の書簡が外務大臣にも行ったということも明記されております。また、マンスフィールド大使も私を御訪問なさって、そしてできるだけ内外無差別という形で外資の規制は緩やかにやっていただけないだろうかという御要請を受けたことも事実でございます。しかし、あくまでも通信主権の建前はもとよりのこと、我が国のこれは通信の最も根幹に触れる問題でもございますから、相手方も非常に慎重な応対で来たことも事実でございます。したがって私たちは、アメリカ側のそういった期待表明であるという形で、実際にそういった態度で応対したことも事実でございます。  ただ、安倍外務大臣がアメリカ側に対してそのような書簡を出されたということも聞いております。しかし、十年かかってやったこと云々というくだりについては、これは私ども関知するところではありません。しかし、個人的にはコメントすることではありませんけれども、確かにそのような表現のよかったか悪かったかの問題は別として、今度の通信改革はアメリカの自由化政策にも負けない、日本としては世界においても先導的な形での一つの大改革であろうという形をそういった表現になぞらえたのではなかろうかと思っております。その点については、確かに先生が御指摘のように、言いなり放題に振り回されておるという形の御指摘であったと思いますけれども、私は少なくとも通信主管の担当大臣としてアメリカ側にもきちっとしかるべき筋を通したつもりでございます。  そして、ただ一つ付言さしていただくならば、先般来の参議院の予算委員会あるいは衆議院の予算委員会段階で先生の御指摘のような形というものを厳しく御質疑をいただきました。その際にも正直に申し上げました。私たちは外資規制に関しては第二種の特別大型に関して緩やかに政策的に担保しようと思ったことは事実でございます。それはアメリカの巨大資本、そしてまたすぐれたハード、ソフトの技術を含めて、わが国を特定の大型VANが席巻されるというような、オンリーワンで非常に全国的な不特定多数のネットを持った巨大VANが外国資本によってもしも独占的に支配されるようなことがあったらこれは困るじゃないかという形で、原則は自由にいたして、それで緩やかな政策担保をして、場合によってはそういった規制もあり得るという表現になっておったことは事実でございます。  しかし、今申しましたように、オンリーワンで独占大型VANという形でやられるおそれありと、それがあるかどうかということは最大のやはり一つの問題点でもあったわけでございます。ですから、その後、局長も答えましたけれども、私たちは特定な、例えば通信機器工業、日本の大手として代表されるような個々のメーカーの名前を挙げてあれですけれども、それぞれの代表の皆さん、工業会を形成されておられる皆さんあるいは電電公社当局、個別的な企業、そういった人たちの御意見も聴取いたしました。もちろん今ここにソフトの業者の皆さんの御陳情もいただきました。しかし、そういった話し合いの経過の中から、これは決してオンリーワンで独占されるようなことは絶対ないという一つの実証的な公社の今までの実績からいっても、そういった形で自信を持ったものですから、はっきり言って緩やかな外資規制担保措置というのを撤廃するという形に、内外無差別という形で、これはどこの国にも負けない形で、一つの二種事業民間参入の機会を全面的に内外無差別でやろうということを自主的に決断したということでございます。
  156. 福間知之

    福間知之君 今、大臣が一定の経過を含めて民間とも話をしてきた経過のお話がありまして、それは大変ありがたい御答弁だったと思っていますけれども、ぜひひとつ今後――そうは言うものの七月の当初の新聞でも、ATTインターナショナルの社長は、やっぱり日本の数社と提携してVAN事業を日本で始めると。IBMも虎視たんたんとしておりますと。それは全く心配ないということも保証はないんですから、ちゃんと国内の大きな変革を遂げようとしているだけに、まだ足腰が弱い部分が多いんですから、慎重にひとつやっていただかなければならぬと思います。これは要望しておきたいと思います。  それから次にこの問題と関連して、KDDのことについて。  KDDには、局長、国の出資はあるんですか。
  157. 小山森也

    政府委員小山森也君) ありません。
  158. 福間知之

    福間知之君 特殊会社で国の出資のないのはKDDだけです。日本航空その他ありますけれども、KDDだけです。国の出資のない国際電電事業計画を郵政大臣認可する際に、なぜ大蔵大臣と協議をするのですか、出資もないのに。
  159. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 答弁できませんか。
  160. 小山森也

    政府委員小山森也君) これらの出資の有効な適切な問題として、普通は大蔵大臣協議というふうになるんですが、大蔵大臣の協議にしているのは、特別法の設立根拠を有するいわゆる特殊会社においては、その事業計画の作成変更について主務大臣認可にかかわる使命とともにということで、大蔵大臣との協議を要するものとされています。これらの会社については、政府の出資あるいは財政的援助を前提とするものがほとんどでありまして、これらの出資の有効適切な使途を確保するとの観点からも、主務大臣認可に加えて国の財政的見地からこういった協議制をとっているものでございます。しかしながら、KDDは現在、先生指摘のように、政府からの出資はもとより国庫からの財政援助も皆無でありますが、事業計画の認可につきましては大蔵大臣の協議を要するものとされています。これは、この会社設立の際、公社からの現物出資に対しまして公社に割り当てられた株式を政府公社から譲渡を一度受けまして、それを一時的経過措置として保有したことに対する経過措置と、要するに一度政府が受け取ったわけでございます、政府が受けてこれを売り渡したという経過がございまして、それがこのまま残っているわけです。この点につきましては、確かに今後検討していくべき問題だと考えております。
  161. 福間知之

    福間知之君 今回、整備法の四十九条でKDD法の改正を行っているわけですね。その中で、したがっていろんな今おっしゃられた経過はあるにしろ、この際は電電の大改革とあわせてKDDについても大蔵大臣事業計画を相談するというふうな、協議するというふうなことは削除すべきだと思うわけであります。  それから次に、この新電電は国の出資は一〇〇%ですね、当面一兆円とか言われているわけですけれども。しかしこれは、この株式を政府が無償譲渡を受けることになるわけでして、実際金を出すわけじゃないんじゃないか。とすれば、この新電電事業計画についても大蔵大臣との協議は、これは必要がないんじゃないか、そういうふうに考えるわけです。この点、どうですか。
  162. 小山森也

    政府委員小山森也君) 先生指摘のとおり、確かに形のといいますか、実態的な上では政府の出資は、何しろもともと公社の財産を一つの形式上の問題といたしまして公社が新たな新会社に現物出資をして、その出資した結果、今度は公社が株を受け取ったと。株を受け取った公社は即日解散ということで、これは国庫に帰属するということで、普通財産という形で国が保管するという形になります。そうなりますと、実態的な動きはともかくとして、形の上では新会社は設立時政府出資一〇〇%の会社だということになります。それから、会社法上も政府に対して三分の一以上の出資割合を義務づけるということとしておりますので、やはりこういった法的な一つの枠組みの中としては、他の特殊会社との関係もありまして、新会社事業計画について大蔵大臣の協議としているわけでございます。
  163. 福間知之

    福間知之君 だけど、もうそれは必要のないことじゃないかと言っているんです。例えば事業計画の内容にしましても、これは国民利用者へのサービスの提供の関係、そういうサービス計画と建設計画、これを正面に掛えているわけですね。収支計画、資金計画、これは添付資料になっているわけですな、今度は。それならばなおさらのことであって、大蔵大臣と協議する必要のないようにすべきではないか、KDDもあわせまして。そういう一つの問題提起ですがね。何も別に大蔵大臣とそれ協議しなければならぬということにはならぬ、必要性はない、郵政当局でいいんじゃないか。これは先ほど朝の議論でも出てました二兆円資金構想ですな、そういうものとも関連するわけですけれども、郵政だけで電電と対応していけば事が済むのに、何もそんなところまで大蔵省は入ってくる必要はないじゃないか、それを削除をした方がいいんじゃないかと、こういうことなんですね。
  164. 小山森也

    政府委員小山森也君) 先生の御趣旨よく私ども理解するところでございます。  ただ、やはり財政の枠組みというのが、それと同時に財産の保有という枠組みの中におきまして、確かに形式的であるとはいえ法制上やはり普通財産として大蔵大臣が国有財産を保管しているという立場がございますので、なかなか新電電の場合にはいろんな論議から難しい点になるのではないかと思います。ただ、KDDにつきましては、確かに先生の御指摘と今までの経緯からこれに残っているという点もございます。今後先生の御指摘に従いまして真剣に検討をして大蔵当局と協議したいと、こう思います。
  165. 福間知之

    福間知之君 時間がありませんから、大蔵当局と協議しても、この国会審議の時間というのは十分ないんで、法律修正するとするならば急がなきゃならぬわけです。だから、ちなみにその特殊会社で今申したKDDそれから日本航空、電源開発、東北開発、沖縄電力、日本自動車ターミナル、中小企業投資育成、この七つ、これに今度は新しく新電電が加わるわけですけれども、それらがどうなっているのかというようなこと。これは民間活力だとか活性化だとか言いながら、とにかく大蔵省はどこにでも首を突っ込まなきゃ気が済まぬという、そういう官僚根性はこれはやっぱりみずから払拭していかなきゃならぬのでありまして、これはあえて申し上げておくにとどめたいと思います。  時間がありませんので、最後にプライバシーの問題でちょっとお聞きしたいんですけれども、この法律事業法の中でまずプライバシーにつきましては、その保護についてどういう措置がとられておるのか。それから国際的に見てOECDが一九八〇年の九月に「個人データの国際流通とプライバシー保護に関するガイドライン」というものを設定していますけれども、これに基づいてこれからの我が国におけるプライバシー保護問題については考えていくことになろうと思うんですけれども、そういう前提でプライバシー保護を含めていわゆる情報基本法案というものについてはいつごろをめどに国会で提案され、審議されることになりますか。
  166. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) まず一点の、今回御審議いただいております電気通信事業法案におけるプライバシー保護の関連規定でございますが、条文だけ単純に勘定いたしましても十以上にわたります。多少内容をカテゴリー別に分けますと、総則的事項として三条の「検閲の禁止」、四条の「秘密の保護」というものがございます。特に秘密の保護につきましては、憲法二十一条の規定に基づく重要な規定でございますので、これにつきましては第三者からの侵害はもとより、事業に従事する者の守秘義務をも課しております。そうした総則的事項を前提にいたしまして、電気通信事業者事業を開始し、運営する過程、全事業体としての業務分野に係る事項といたしまして若干の規定がございます。一つは、ハードウエアとでもいいましょうか設備基準的なもの、もう一つは管理運用的なもの、ソフトウエアと言っていいかどうかわかりませんが、そういった両方の側面がございます。  例えばまずその設備規則的な面で申し上げますと、第四十一条の電気通信設備の維持に関する規定、それから第四十二条の技術基準関係、あるいは四十四条の電気通信主任技術者関係等が挙げられようかと思います。それからさらに、そういった設備を前提にいたしまして実際の業務を運営する過程におきまして常に維持しなければならない義務づけといたしまして、第四十二条に管理規程を設けなければならないという義務づけを行っております。それらが事業当事者に課せられた義務でございます。  さらにそれらを担保するものといたしまして、第三のカテゴリーといたしまして、罰則、刑事罰を含めるさまざまな規定がございます。百四条と百七条の罰則の規定、さらには通信の秘密の確保に係る業務の改善命令、第三十六条、第三十七条が該当いたします。それから先ほどちょっと申しましたが四十二条の技術基準の適合命令もこの一種かと思われます。  いずれにいたしましても、このように各般にわたるプライバシー保護の規定を置いておりますので、電気通信行政の分野においてはプライバシーの保護の措置は今回の法案で十分のものであるというふうに考えております。  それから第二点目の、OECDの勧告人項目のその後の日本国における受けとめ方と措置状況でございますが、昭和五十五年にOECDから先生指摘のとおりプライバシー保護に関する八項目に上るガイドラインが示されております。それを受けまして、OECDの勧告にもありますように、各国は国内法、あるいはさらにコード、綱領、あるいはガイドラインを設定するようにというサゼスチョンも行われておりますので、各国それなりの対応をしております。  日本におきましては、その二年後昭和五十七年に、現在の総務庁でございますが、その総務庁の前身である行政管理庁が加藤一郎座長をキャップといたしましたプライバシー保護に関する研究会を設けまして、OECDのガイドラインを日本流に焼き直して五項目の一つの準則を設けております。さらにその後、第二次臨時行政調査会の最終答申におきましても、「国民意識の動向」、ということはコンセンサスを得てという意味だろうと思いますが、並びに海外の動向も十分踏まえてプライバシー保護について十分検討することという答申が行われましたので、政府といたしましてはそれを受けまして、現在総務庁が中心になりまして関係各省庁の連絡協議会を設け、さらにそれを掘り下げて検討するために現在作業グループを設けて、郵政省はもちろんその一員に入っておりますけれども、鋭意プライバシー保護にかかわる検討をしております。  申し上げるまでもないことですが、総務庁が中心になってやっております事項は、単に電気通信分野にかかわるプライバシー保護のみではなくて、プライバシー保護全般にかかわる問題について、例えば手書き――マニュアルと言っておりますけれども、手書きに係るものをどうするかといったようなもの、あるいは言論、表現の自由との関係をどうするか、情報公開との関係をどうするかといったような問題を含めて幅広い検討を行っております。  第三点の情報基本法案をどうするのかというお尋ねでございますが、情報基本法案という名称で言われます場合のいわゆる情報というものは非常に幅広い概念でございまして、単に電気通信にかかわる情報のみでなく、あらゆる情報がこれに該当いたしますので、情報基本法案という形での郵政省の立場は、総務庁が中心になって検討しております情報システムに関するさまざまな研究会、先ほど申し上げましたプライバシー保護もその一つでございますが、に積極的に参加し協力をするという立場でございます。  ただしかし、ことしの一月に電気通信審議会から二十一世紀に向けての電気通信の長期構想が示されまして、その中で電気通信分野における一つの情報基盤を整備するためのコード化指針を速やかに法制化すべきであるというような御提言をいただきましたので、私どもといたしましては次期通常国会を目指しまして電気通信分野における基盤整備を行うための法律案提出すべく、省内におきまして鋭意作業中でございます。
  167. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 答弁者にお願いしますが、時間の関係もございますのでなるべく簡潔に要領よく答えてください。
  168. 福間知之

    福間知之君 いろいろと出番が少なかったかして申されましたけれども、結論がなかったですね、結論が。  おっしゃるとおり、通信だけに関するプライバシーのみならず、情報社会における万般のプライバシー、言うならば、言葉をかえれば、自分の情報をコントロールすることが、情報の流れをコントロールするということがやはりできるようにならなきゃいかぬのですよね。知らぬ間に自分の情報が他人様に知らされているということが、これが今情報社会で一番問題になっているわけで、今局長がおっしゃったように、一応関係機関において審議されている、その中には積極的にひとつ参加していただいて、情報化社会、情報社会というものに対応していく郵政当局としては、単に電気通信のみならず、広く個人のプライバシー保護に向かっての知恵を提起していただきたいと思うんですね。それは今おっしゃるとおりです。  そこで、情報基本法案という名前になるのかどうかは知りませんが、いわゆるそれはいつごろ出されることになりそうですかと聞いている。その結論だけ伺って、私、質問を終わります。
  169. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 電気通信審議会から答申を受けました、電気通信分野における高度化基盤のための法制化につきましては、次期通常国会を目途に提出すべく、鋭意郵政省内部で現在作業をしております。
  170. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 以上で福間知之君の質問は終わりました。     ―――――――――――――
  171. 大木正吾

    委員長大木正吾君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、福間知之君が委員辞任され、その補欠として梶原敬義君が選任されました。     ―――――――――――――
  172. 梶原敬義

    梶原敬義君 私は真藤総裁ともちょっと関係があります大分の出身ですが、今なぜ電電公社を民営化しなければならないのか、するのか、どうしてもわからないんです。私どもはもう毎週地方に帰りまして国会報告会をやり、あるいは県民の意見を聞いて、そして電電の問題も聞くんですが、いやもう電電を早う民営化してくれという意見というのはほとんどない。そしてやはり電電公社は、私どもが関知している状況では、よくやっているじゃないかと、こういうのがずっと根にあるですね。    〔委員長退席、理事片山甚市君着席〕 そして今、福間議員とのやりとりを聞いておりましてもどうしても納得できませんから、この点についてもう一度、郵政大臣、それから一生懸命これを進めようとしたんでしょうが真藤総裁の、とにかく腹を打ち割って聞かしていただきたいと思うんです。
  173. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 先生御存じのとおり、電電公社電気通信の一元体制のもとで果たしてきた功績というものは大変顕著なものがございます。国民の皆さんも、このすぐつく、どこからでもという即時自動化を踏まえ、従来のちょっと積滞解消という言葉で言っておりますけれども、そういった電話がまさに国民生活の必要不可欠な形で全国あまねく公平にサービスを提供でき得るようになってきたという形は、今日の公社体制の本当に大きな一つの実績の結果であると思っております。しからば、その使命が終わったのかというとそうではありません。ただ、今日のように電話中心の電気通信の実態から大きく世の中が変わろうとしておるということは御承知のとおりでございます。ニューメディアという言葉で多彩で多様なサービスの展開という形が一部は既に実用化されつつあります。今後、特にこの電気通信を利用しての新しい情報社会という形は、まさに我が国はこれからその社会に向かってテークオフをしようとしている段階であると私たちは感じております。そして、このような企業であれ個人であれ、いろいろなメディアの利用というものは、すなわち結果的には国民のニーズにこたえていくというきめの細かいサービスを含めて展開しなければならないということになります。    〔理事片山甚市君退席、委員長着席〕  そういうことになりますと、今日のように現在の一元体制のままでそういったきめの細かい、例えば二種業務に象徴されるようなそれぞれの地域にもニーズに合ったようなサービス提供が果たして可能だろうかということになると、この際公社を民営化することによって、しかも公社内部が新電電として企業効率化、そして企業活性化を図っていただくということ、そしてまた民間新規参入の業者とサービスを競い合っていただくという形の中で、公共性を確保しながらもそういった公正競争を通じてやっていただくことが国民のメリットとして還元されるであろう。すなわち、料金が安くなるという形で具体的にはそういった形で還元されるであろうし、また好みに応じてのメディアの利用というものも多彩な形で恐らく提供されるであろう。ちょうど電波が開放されて、NHKの一元体制の公共放送システムからこれに民営、民放等々の参画によって非常に華やかな時代を到来したように、電気通信分野においても競争原理の導入が必ず国民の皆さんにとっても活力を呼ぶ方向に行くだろうという形で今回の法案提出し、公社の民営化を意図したわけでございます。
  174. 真藤恒

    説明員真藤恒君) 今大臣のおっしゃったのに尽きますが、私ども当事者として少し申し上げますと、とにかくちょっと例がよくないかもしれませんけれども、陸上の交通機関として鉄道だけしか考えられなかった時代の鉄道行政というものと、高速道路ができて自動車が非常に発達した、あるいは飛行機が非常に発達したという時代というこの大きな変革が、やはり鉄道というものの昔のあり方というものが根本的に見直さなきゃならなくなった、あるいはそういうのも一つの私どもにとっていい参考だというふうに思えます。  今大臣がおっしゃいましたように、電話電報だけの電気通信であった時代と、これからの新しい技術に伴う変革と、電気通信のあり方の変革というものを考えますと、陸上交通機関の変革というものよりももっと大きな影響が出てくる可能性を多分に含んでおると思います。そうしますと、やはり日本の通信の根幹を担っております私どもの組織を、早くそういうふうな変革に柔軟に対応できるという形に今やっておかないと、手おくれになると大変なことになるんじゃないかという感じは、私ども当事者として非常に強く感じているわけでございます。特に、今日までの電気通信の法体系の中の公衆電気通信法というものが公社制度と裏腹なものになっておりまして、かつて局長も御説明ありましたけれども、べからず集の羅列のような法律でございまして、これを根本的にこの際見直しておかぬことには、日本の電気通信事業というものは先進諸国に比べて急速におくれていくんじゃなかろうかという危機感は当事者として非常に強く持っております。この公衆法を直すとなりますと、どうしても私ども企業形態というものはその裏返してございますから、今度の法案に盛られておるような考え方に現在の社会制度ではならざるを得ないというふうに私ども当事者としては考えております。
  175. 梶原敬義

    梶原敬義君 真藤総裁、まあ後の方はお伺いしましたが、電電がこれまで果たしてきました、公社が果たしてきました役割あるいは評価ですね、この点については総裁はどのようにお考えでしょうか。
  176. 真藤恒

    説明員真藤恒君) この社会の五〇年代、六〇年代、七〇年代の急速な高度成長ということでありましたけれども、国営事業としてよくここまでやってきたものだというふうに私は思っております。世界じゅうの国営事業の最優等生であるということだけは確かだという自信はございます。
  177. 梶原敬義

    梶原敬義君 先ほどお二人から新しいニューメディアの時代とか、あるいは高度情報化社会への対応とか、こういうお話がずっと基調にあったわけですが、テレビとか、あるいは飛行機とか、あるいは道路とか、いろんな例えもあったんですが、一般国民生活の家庭における情報化社会でこれが高度に発展して一体何が変わるのか、どうもあなた方は言葉は巧みにいろいろなことを言って、いかにもニューメディアあるいは高度情報化社会で何か家庭の生活がよくなるようなお話をどんどんやっておりますが、私もこの前あそこの武蔵野通研に行きまして、一体何があと十年あるいは二十年先ニューメディアが家庭を本当に豊かにするのかどうなのか随分見してもらいました。テレビの横に電話とテレビがセットしてるやつなんかは随分高いですわな。自分の家もないような者がああいうものをつけるような時代というのはもっと随分先。しかし、今あなた方さっきから答弁し、議論しているのはここ二、三年からあるいは五年ぐらいの先のことしか具体的にはお答えになってないんですね。だから、一体ニューメディアというのは国民生活にとって一体どことどこに具体的に五年あるいは十年後にあなたの生活、家庭はこう変わりますよ、こんなに便利になります、いわばテレビのような形の表現をすればこうなりますよと、ひとつそこを大臣、よくわかるように言ってください、国民にわかるように。
  178. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) なかなか厳しい御指摘だと思います。ですけれども、具体的に今度の新法案が通過することによって、要するに良質で安い料金体系に、むしろその方向に促進されるだろうということだけは、これはメリットの大きな一つでございます。  では、今のニューメディアが一体どういう形で具体的な生活の中に入ってくるかという形になりますと、具体的に例を挙げて言う形はまだ成熟した分野ではないことは事実でございます。ただはっきり言えることは、今度の形によって二種業種、つまり新しいVAN事業とかそういった企業効率化という面には大いにこういった形は利用されてくることは当然でございます。そしてまた、個人の家庭によっても今直ちに言えることは、もうこの秋から実用化段階にありますけれども電話とテレビのない家庭はないわけでございますから、そういった形を応用したキャプテンサービス、例えばそういった図形なり動画なり情報紹介なりというものは自分たちの生活に直接利便性という形で、そういった形で家庭に――全部の家庭というわけにまいりません、これも月額の負担という形も多少出てくることでございますから。しかしそれらの利用方法は最も簡便な形で出てくるであろうということは言えます。しかし、今後世上言われているような買い物を在宅で全部やる、あるいは在宅で学習をやる、ホームスタディーとか、あるいはホームショッピングとか、あるいは銀行預金等々ホームバンキングというような形は技術的には幾らでも実用化できるという見通しはありますけれども、果たして国民が全部生活の中に取り入れるかどうか、それは個々の家庭の好みであろうと思います。自動車で、マイカーを好む人もおれば汽車を依然として好む人もおれば、それぞれの嗜好であろうと思います。  ただ言えることは、高度情報社会においてもう既にそういう方向に行っておるわけですけれども、少品種で大量生産の時代からむしろ多品種で好みに合ったような時代の趨勢の中に恐らく新しい高度情報社会も対応していくべきであろうということだけは間違いなく指摘されますし、個人のニーズ、それぞれの好みというものは今日非常に多様化しておると。もう既に同じ形のものじゃなくて自分の好みに応じた利用の仕方というものの嗜好自体が大きく変革の時代を迎えておる、これが言ってみれば高度情報社会の進む方向であろう。それにこたえていく具体的なケースについては、まだこれからもう多彩な形で恐らく展開されるであろうということだけは間違いなく指摘できるのじゃないかと思います。
  179. 梶原敬義

    梶原敬義君 安い通信というのは、後からもう一度掘り下げて質問さしていただきたいと思うんですが、これは特に電話意味しているんですね、さっき言われたが、そうとっていいですか。  わからぬのですよ、そのキャプテンシステムとかあるいはホームバンキング、ホームショッピング、家庭学習ね。しかし、我が国はフランスに比べてバカンスも、この暑いのに――フランスの労働者というのは二十日あるいは一カ月どこか山や海に行って家族ぐるみで休養してまたその後の労働に備えるような生活をしているようですが、家族ぐるみで一週間も旅行にも行けないような平均的な国民生活の中で、あなた方が情報化情報化とこう言っているけれども、ここ五年か十年、二十年ぐらい先に、二〇〇〇年ぐらいに、これが国民生活にとって、一般の家庭にとって一体どうなるのか。あなた方が民営化して競争原理を入れてどんどんやるというのが何のために、どこをどうするために、国民生活が豊かに、どうなるためにやらなきゃならぬのかさっぱりわからぬのですよ、今やらなきゃならぬという……。私はもう専門じゃないから、原稿も何もなしであなた方の話を聞きながらこれから質問を進めていきたいと思うものですから、できるだけそういう意味大臣総裁も率直に答えていただきたいと思うんです。
  180. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) ニューメディアの活用自体が今回の電電法案に直接全部関係するわけではございませんが、例えば先ほど大臣が言われました相互CATVの活用などというものは、今回の法案が成立することによりまして初めてCATVという、本来非常に多目的機能を持っている通信手段でありながら……
  181. 梶原敬義

    梶原敬義君 日本語で言ってください、何かわからぬ。C何とかと言ったってわからぬが。
  182. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 有線テレビジョン放送のための施設でございます、有線テレビジョン放送。
  183. 大木正吾

    委員長大木正吾君) マイクをしっかり使ってください。
  184. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 本来多目的利用に供される通信手段でございますが、現在の法制度ではほとんど一方的な放送でないと使えないような制約がございます。ところが、今回の電電改革三法案によりまして双方向機能、つまりツーウエー機能が、だれでもこれに参画することができるような道が開かれます。そのことによりまして新しく、いわゆる有線と言っていますが、有線のテレビジョン放送として敷設されております、あるいはこれから敷設されます。その線路が、わかりやすく申し上げますならば、その線路がより多目的に使われます。それが家庭とどうかかわるかという御質問でございますが、実は私ども家庭におけるニューメディアの活用方法について調査会も設けて、主婦、学生あるいは一般の方々、さらには専門家、幅広い方々から直接いろんな御意見も聞き、ヒヤリングも行っております。  その中で少なくとも申し上げられますことは、好むと好まざるとにかかわらずこれから高齢化社会が来る、あるいは豊かな家庭生活を、物質的な豊かさが満たされると精神的な豊かさを求める時代が来る。そのような場合に、やはり家庭の主婦であれ学生であれ子供であれ、それから老齢者であれ、精神的に満ち足りた、あるいは文化的に満ち足りた快適な生活を送っていくためには、電気通信手段をできるだけ良質かつ低廉なもので使いたいという要望がございます。したがいまして、今回の法案……
  185. 梶原敬義

    梶原敬義君 良質かつ何ですかね。
  186. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 良質かつ低廉でございます。  良質かつ低廉な電気通信サービスを極力享受したいという欲求は非常に強いものがあるところでございますので、そのような国民のニーズに応じた形で私どもニューメディアの振興を図ってまいりたいというふうに考えております。
  187. 梶原敬義

    梶原敬義君 いいですか、高齢化社会になってニューメディアを使えば快適な生活ができるというようなことをちょっと言われましたけれども、年とってあっちこっち、もうようわけわからぬ電子がどんどんどんどんやって何かしらぬ忙しい時代になるが、それで実際に快適でゆとりのある生活になるのか、どうなんですか。あなたもう言わなきゃ私はそういうことは質問しないんだけれども、あなたがそう言うからちょっとその点についてあなたの物の考え方を聞かしてください。
  188. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) これは私の意見と言うよりも、先ほど申し上げましたような幅広い国民の方々からの御意見を集約いたしましたところでは、まず家庭におけるニューメディアの普及といいますのは、身体の御不自由な方々あるいは老齢の方々等、外に若い者のように余り出歩けない人たちから普及するであろうし、また普及させてほしいという御要望が非常に強うございます。それはやはり在宅検診あるいは遠隔地検診というような形での健康問題に対する関心が非常に現在どなたも深いわけでございますので、これから老齢化社会に向かってそのような道を開いてほしいというお気持ちが非常に強いのでございます。
  189. 梶原敬義

    梶原敬義君 今すべてのように言われたけれども、在宅検診を中心に頭に置いて言われたんですかね。  しかし、福祉のあり方というのはやっぱり考え方が違うんじゃないですかね、福祉の考え方というのは。病人があれば家族、あるいは家族がいないならばホームヘルパー、そういう人と一緒になって一体どうするかという考え基本にないと、何か機械があって何でもやれるようなお話がすべてのようなあなたの話、そこからすべてが出ているような、国民生活が豊かになる、だからそれに対応するためにどんどん競争原理を入れてやる――首をひねることはないでしょう。一体、今さっき言われたホームバンキングとかあるいは何とか、幾つか言われたやつがどんどん家庭に、そんならいつごろから入るんですか、そういう情勢が来るんですか。そして、それがどれだけ国民生活を豊かにするんですか。
  190. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) ニューメディアにも非常にいろいろな種類がございますので、全部が全部直ちに実現するわけでもございませんし、また先生がおっしゃいますように、すべてがこれが国民生活にとってプラスになるあるいは好ましいものになるという確証はございません。したがいまして、私どもは現在、それらを国民の需要、欲求とよくにらみ合わせながら逐次その実用化を図っているところでございます。  それではいつごろからこのニューメディアが普及していくのかということでございますが、そのまず手始めといたしまして、現在テレトピア構想というものを郵政省では先導的な措置として考えているところでございます。テレトピア構想というのも勝手な名称ではないかと言われるかもしれませんが、要するにそういった将来二十一世紀に向けて高度の情報通信システムが全国的に実現するその先駆的、パイロット的なモデルケースといたしまして、まず今年度中に十カ所程度全国地域から指定いたしまして、そこにCATV――と言うとまたおしかりを受けるかもしれませんが、有線テレビジョン放送の現在機能として使われております有線のシステム、それから双方向テレビといったようなもの、あるいはキャプテンシステムといったようなものをひとつ先行的にそこに導入いたしまして、その実験といいながら、これは単なる補助金行政に基づく実験ではございませんで、あくまでも実用を前提といたしまして、どの程度有料でどの程度の家計負担であればどのようなニューメディアが家庭に受け入れられるか、あるいは社会に受け入れられるか、あるいは企業に受け入れられるかということを個別に十カ所地域からまず試行的に判断材料を集めてみたいと、そして行く行くはその中から取捨選択して好ましい全国的な高度の電気通信ネットワークへの構築に結びつけていきたい、こういう構想でございます。
  191. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 電電公社関係者の中から補足はありませんか。
  192. 岩下健

    説明員岩下健君) 今郵政省からいろいろお話ございましたけれども、私どもは日々お客様サービスを提供しておる事業者の立場から、ある意味の実感でございますけれども、ちょっと申し上げたいと思います。  高度情報社会とは一体国民生活に何を意味するのかという御質問でございますけれども、言ってみれば情報なり通信という側面から見た、かたい言葉を使えば障壁といいますか、あるいはバリアーといいますか、こういったものを克服、これが私ども事業者に与えられたいわゆる情報の高度化、あるいは高度情報社会責任というものだろうと思っております。つまり距離あるいは時間、あるいは耳が遠いとか目が御不自由だといった肉体的なハンディキャップ、場合によっては外国語との間のいわば言語の障壁、こういったものをなくす、あるいは少しでも縮めていくと、これが一つの面から見た情報化社会あるいは情報の高度化というものであろうかと思います。  例えば同報通信というのがございます。これは、一つの原始データといいますか、オリジナルな情報を同時に二十なり三十なり、場合によっては百あるいは五百といったたくさんの方に同時に情報を送る仕組みでございます。これが技術的に今現在可能になっておりまして、例えばこれはファクシミリを使います場合でも、学習塾がこの同報通信を使用しておられます。つまり、学習塾で先生が問題を同報通信の形で、ファクシミリで各学習生のお宅の方へ送ると、その場で解答を書いてまたファクシミリで送りますと、そこで採点をする、あるいは必要なインストラクションをつけて送り返すと、こういった使い方が現実に既に今あるわけでございます。これも通信の処理という技術を使いました一つの、情報の高度化と言うのも大げさでございますが、形かと思います。  さらにまた福祉用の電話機器としまして、今年度中に開発をする予定でございますけれども、可なりあるいは口の御不自由な方が、音声で通信するのでなしに目で通信をするといいますか、つまりファクシミリをもっと簡易にした、パッドの上に文字なりあるいは図をかきますと、相手の方にそれがディスプレーに出てくると、こんな形のものも一つのバリアー――障壁の克服かと思います。こういう形で私どもの技術を実際にアプライをしまして、少しでもこの障壁を少なくする。この辺が事業者の立場に立った、現実の問題としてのいわば情報の高度化の努力というふうに考えているわけでございます。
  193. 梶原敬義

    梶原敬義君 大体、それでも、学習塾の話も出ましたけれども、私は余り、国民生活がこれでびっくりするように、テレビができて、テレビ見るようには変わらぬと思うんだな。さっきからずっと説明があるぐらいのことは電電公社で対応できるんじゃないの。競争原理入れるとかなんとか言わぬで、電電公社の中で切磋琢磨して、真藤さんが音頭とってやりゃいいんだ、さっき言われるくらい。どうなんだ。  それからもう一つは、いいですか、家庭のことをよく言われたけれども、やっぱりねらいは企業でしょうね。私どもはこの前東芝を社会党で見学に行きましたら、在庫管理にしてもあるいは営業の情報にしても、世界、全国の情報がそのうちにわかるような、結局企業がやはりこういう非常に求めているその側面は、やはり競争が激しいですから、ある程度は理解できるんです。情報化社会が家庭にとってもう本当に何かいいようなことが来るようなニューメディアのお話どんどんありますが、さっきからずっとあなた方が言われているぐらいのことなら、電電公社で対応できるでしょう。何でやらないんですか。今やってきているじゃない。
  194. 真藤恒

    説明員真藤恒君) 家庭で御自由にお使いになれるということは、まず料金が家庭で御自由にお使いになれる料金にならなきゃいかぬ、これが前提だと思います。殊に、これから先は地方と中央との情報格差というものが何とか早く解消いたしませんと、とても本当のいいことにはならないんじゃないかというふうに思うんでございます。で、安くて遠近格差のない料金体制というものをつくっていきますのにまた相当の努力と時間かかりますけれども、それができる可能性を持つということは、今度の法案であれば公社制度よりももっといい、強い可能性を持つというふうに私どもは確信いたしております。  この世の中に役立つか役立たぬかということは値段次第でございまして、技術的にできることと役立つこととは別問題なんです。安くするために、今度の法案は現状よりもずっと可能性が近いということははっきり申し上げられると思います。これに尽きると思うんです。例えば、先生の選挙区と東京のど真ん中ととんでもない情報格差があることは御存じのとおりです。
  195. 梶原敬義

    梶原敬義君 ないですよ。
  196. 真藤恒

    説明員真藤恒君) ありますよ。東京のど真ん中ですと、どういうものでも今の状態ですと一時間お使いになっても二百円です。大分になくて東京にあるものをお使いになると三分間で四百円。この格差を何とかしなきゃ話にならないというふうに私ども考えております。幾ら情報社会といいましても、この格差が今みたいな大きい形ではどうにもならない。そういうことで、まずそこへ到達するのには全体の需要をふやさなきゃいけませんので、全体の需要をふやすためには、まず先生の今おっしゃったような企業用で全体の需要をふやしてもらって、財務の基盤を拡張しながらそういうことができるように漸次近づけていくということが一番大事じゃないかと思います。  家庭電器の発達の過程を申しましても、明らかにその歴史をたどっておると私は思っております。そういうことで先進の文明の、先進のこの家庭電器なりその他の普及、便利さというものの歴史を後追いでたどりながらいかなきゃならぬというふうに私は考えております。
  197. 梶原敬義

    梶原敬義君 総裁のせっかくのお言葉ですが、大分と東京、我々が生活する上においての情報の差、これはもうほとんどないですね、生活する上においては。確かに企業の立場に立つとそれはあるかもわからぬ。しかし、個人生活をするのに、もう今大体東京で巨人が勝ったか負けたかぐらいの話は大分だってすぐ同じですよ。そう二時間も三時間も差はないですよ。だから、企業の立場で物を考えていると言うのなら、私はそれなりに議論を次に発展さしていきたいと思う。どうせまた後でそこは答えていただきます。  それで、いろいろ言うけれども、土光第二臨調がやっぱり前に来て非常に強い力でプッシュをして、そしてお弟子さんの真藤さんがやっぱりその気になって、そうしてこれが事実上どんどん電電の民営化を進める一つの原動力になったような気がするんですが、間違っておればこの点についてお答え願いたい。
  198. 真藤恒

    説明員真藤恒君) 先生のおっしゃるように、与えられた情報ならば、大分と東京、差はございません。しかし、自分の欲しい情報を求めようとなると、そこに大きな差があることは現状では否定できません。都会と地方と差があるというのは、自分の求めたい情報に対する格差が大きい。費用の面でも選択の面でも大きいということがあってはならないと私は思います、これから先の世の中では。  例えば、子供の学習をやります場合に、入学試験前の子供の勉強は、東京に出てきて勉強するのと地方で勉強するのと格段の相違が、ハンディキャップがつくということは今の状態では否定できないんでございますけれども、こういうふうな問題が地方も中央もその格差をだんだん縮める方向に持っていくというのにニューメディアというものが大きく物を言ってくるだろうというふうに考えております。  それと、後の御質問の土光臨調の弟子だということでございますが、私ども政府の御指示に従いながら今日まで来ておるわけでございまして、それを無視した動きをして今日まで来ておるんじゃないということだけをはっきり申し上げて、お答えにしておきたいと思います。
  199. 梶原敬義

    梶原敬義君 もうお互いにこじりが詰まるような話で恐縮なんですよね。それなら東京の子は皆試験もようできて成績がいいはずなんだけれども、そういうわけにいかない。九州でも鹿児島へ行きましたらラサールという高等学校がありますね。これは随分地方でもいいわけですよ。だから、ちょっとした情報で総裁やあるいは郵政大臣がこういう学問あたりに声を大にしていくような、そういう内容じゃないと私は思うんです。  それじゃ、政府の指示に従ってこの民営化を進めていくということですが、政府はやっぱり土光臨調答申の影響を受けているかどうか、郵政大臣お答え願います。
  200. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 臨調答申の意を受けて政府内で民営化の方向を決断したということでございます。
  201. 梶原敬義

    梶原敬義君 ですから、私はやっぱりある日突然民営化の話が出てくるようでは、これは本当に十年あるいは二十年、あるいは二十一世紀を展望しておるのかどうなのか。やっぱり本来民営化の話が出るんなら、既に電電の中でもう五年も前ぐらいから恐らくこういう新しいニューメディアの開発というのはある程度は想定できるでしょう、どういうところにどうなるかという。そうすると、もう五年ぐらい前からやっぱり民営化という話がぼつぼつあって、そして今回やろうじゃないかというのなら私は筋が理解できる。  ところが、何かようわからぬまま、今言われましたように臨調から言われてやる。なかなかこれは主体性がない。その後、やるようになって、いろいろニューメディアの対策あるいは高度情報化社会に対応するため、あるいはコストの安いサービスを提供するために、こういう条件を後からつけられてきているような気がするのです。そうでしょう。それでいいんですね、そうとられても。
  202. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 臨調の答申は五十七年ころ正式に出されたと記憶をいたしておりますけれども、その二年ほど前に、答申が出たその前からこういった新しい情報社会へ向けての施策検討というものは当然行われておったと記憶いたしております。
  203. 梶原敬義

    梶原敬義君 前にそうあったと言ってもそれは聞きませんよ、そういうのは。五、六年前から民営化の動きが内部から泉がわくようにじゃあじゃあわいてきたようなのがあったら、後で委員長のところにそういう動きを出してください。お願いします。  それから次に移りますけれども競争原理の導入という問題ですね。私は、真藤さんは後から来たから別として、それは、前からこの電電公社を一生懸命頑張ってここまで仕上げてきた技術者や、あるいは電電のかじを取った人というのは、何か競争原理を入れなきゃもうだめだと言われたら私は浮かばれぬと思うのです。それなら今まで競争原理が導入されなきゃ何もできぬのかどうなのか。やる気になれば競争原理なんということを言わんだって既にやってきたし、やり方をもう少し、それなら民間真藤さんが来たならば、真藤さんの立場で民間のいいところを取り入れてやれば民営にせんだってやれるのじゃないか。それが筋というものじゃないですかね。どうなんですか、その点は。
  204. 児島仁

    説明員(児島仁君) 私、電電公社になりましてから入社させていただいた者でございますが、私どもこの三十年間、電電公社で仕事をさせていただきまして、民営云々という話の前に、私ども仕事をしておりますのは独占の形態でやっておるわけでございます。独占ということになりますれば、やはり横暴を抑えなければいかぬということで、国家的規制があるのはこれは当然だと思っております。しかし、この規制の中で仕事をするということはなかなか事業としてはやりにくい点がございまして、すべてそれが端的に申しますと予算という格好で決まります。したがいまして、その予算も大含みの予算、それから内訳の予算というものがございます。  したがって、ある種、例を申しますと、企業全体としては倒産状態でありながら、その内訳の予算は生き生きとして生きておると。その予算を、企業は倒産状態でありながら実はまるまる使っても何の責めも受けないと、こういうふうな予算の形というのはいささかおかしいのではないか。それから収入と支出が完全にリンクしておりませんで、企業でありますならば当然収入を上げるために支出を考えるということだろうと思いますが、この我々が今生きております制度の中では収入と支出というものが全く関連ない格好で決められる。もちろん、それは私どもの知恵と努力で工夫をして接合をしていかなくてはならぬと思いますが、いずれにしましても私申し上げたいのは、この公共企業体というのは公共企業体論、経営形態論という格好で発生したというよりは、むしろこれは統制の概念でとらえられておるというふうに考えています。したがいまして、先生御承知のとおり、もう五回、六回、現行経営形態の中で改善をせい、それからある種の制度の改革を行えというふうな御提言が第一次臨調以来ございますけれども、それらがすべてかなわなかったのは、やはり企業形態論から論ずるというよりは、国の機関としての統制概念でこの問題をとらえて論議したところに決定的な問題があったのではないかと思っております。  したがって、私どもわがままをするために民営にはなる気はございませんが、本当に事業としてのいいところをやっていくというためにはやはり民営の手法あるいはその機構、形というものをやるのが、この三十年の間に何回も改善意見がありながらもできなかった中では最善の方法ではないかというふうに考えておる次第であります。
  205. 梶原敬義

    梶原敬義君 郵政大臣にお尋ねしますけれども、統制の概念とか、今までは収入を上げるために収入と支出とのバランスのとれた経営計画あたりがやられていないなんということを今言われていますが、何でそれがやられていないのかさっぱりわからないし、こんなことは民営化しなくても経営計画を立てるのは簡単にできるじゃないですか。その部分を法改正しなきゃならぬなら法改正をしてやればいいんじゃないですか。どうしてやることをやらぬで即ぽっと民営化に持っていくのか、ここの飛躍についてやっぱり矛盾を感ずるんですね、いかがですか。
  206. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 今の公社形態のよかったところははっきり先ほど指摘いたしました。はっきり言うと、これはコスト主義じゃなかったからやれてきたんです。全国あまねく自動化、小笠原の離島でも即時自動化というような、いわばコストとは無関係にともかく全国一律の通信ネットを形成すると、全国自動化を形成するという形はこれは公社体系の一つの大きなメリットであったことは事実でございます。  ただ、経営責任が明確であったかということになると、今ほど公社側からの答弁でもありましたように、そういった形で当事者能力というものが付与されておらない、ある程度の監督責任の中ではやりますけれども、法のあるいは公社制度の枠の中でコスト主義に頼らないで経営責任が明確でなかったということは事実指摘できるんではなかろうかと思います。そういうところから、今日の公社は確かに片方では大きな実績目標を達成してきたけれども、今後もこういった技術革新の分野においては親方日の丸の形の経営責任の明確でない形の姿勢のままでいいんだろうかという形で、今度の改革法案の中では当事者能力も付与し、経営責任を明確にし、事業としての活力を生かして、そして国民にサービスとしての料金のコストダウンも含めて還元をしていただこうということでございますから、今度の法案審議に当たりましてはその方向で御審議をお願いし、御理解を求めておるところでございます。
  207. 梶原敬義

    梶原敬義君 どうも理解ができないんです。児島さんですかね、電電公社に入っておられて、あなたが局長になられるまでに、こういう矛盾があるなら中で矛盾をやっぱり打ち破るために、これはこのままじゃいかぬというために公社の中で頑張ってきてないから、あなたは今こうなって、手のひらを返すように、いやこれはもう公社方式じゃうまくいかぬと、こういうことを堂々と言えるんでしょうが、今言われたような、当事者責任を持ってやるというんなら何でもやれるというように聞こえるんですが――大体やれるというように聞こえるんだ。それでいいんですか、そういうとり方をして。
  208. 児島仁

    説明員(児島仁君) 私ども企業形態は変わりましても行っていきます事業は変わらないわけでございますから、公益性、公共性ということは当然念頭に置いて行わなければならぬと思っております。そういった限りにおいては、すべてから自由ということは当然にあり得ないというふうに考えております。ただ、私が申し上げたいのは、企業というものがやはり自分で事業責任を負ってやっていくと、まずい点は結果で評価をされるというのが企業として非常にありがたいことじゃないかと思っておりますが、先ほどから申し上げております統制、まあ予算を中心とする統制というものはかなり方法論的なところまで規制が及ぶということでございます。  例えばどこかに行くときに、バスで行く、タクシーで行く、歩いて行く、いろんな選択がありますが、そのときに何を選ぶかということはその状況によって判断をしていくべきだと思いますが、そういうときにバスでなければいかぬとか、歩いていかなきゃいかぬというふうなところまで統制が及ぶとすれば、その事業をやる立場からは非常にやりにくいというふうに思っております。ですから、そういった限りにおいて統制を外していただいて職員がやる気を起こせるような職場をつくって、活性をつくっていきたいという願いでございます。
  209. 梶原敬義

    梶原敬義君 どうも飛躍しますけれども、その頂点に民間から来ました真藤総裁がおりますがね。要するにそういう当事者責任を持ってやればやれるということですから、真藤総裁、国鉄苦しいんですからね、国鉄へ行ってその調子で立て直したら、電電の問題もなるほどよくやりますね、よくわかりましたと、私はこう言うんですがね。この点についていかがですか。
  210. 真藤恒

    説明員真藤恒君) 幸いにして電電公社任命されましたので、もうこれからは国鉄に行くことはできないと思っております。
  211. 梶原敬義

    梶原敬義君 いいですか、国鉄は約二十兆円の借金を持って金利がどんどんついておりますよね。これは、真藤総裁が行こうが土光さんが行こうが、この二十兆円の借金と金利の問題を片づけなければ、民間民間といったって民間企業で引き受け手ないですよ。ありますか。だから何でもかんでも民間民間民間競争力と。まあ私も民間の出身ですよ。私も企業経営計画も立てたことがありますよ。いろんなことをやったことがありますよ。しかし、あなた方が言っていることは、まあ電電だからどっち転んだってやれるんじゃないかと、国鉄の問題を前にして物を言うならこういうことは恐らく言えないでしょうね。どうしてもそこのところが、あなた方は民間でやればうまくいくと、こういうことを言っているんですけれども、どうも主体性をぴんと感じないんですよ。ある程度はそれはやれるかもわかりませんが。  次に移りますけれども、コストダウンあるいは安いサービスを提供すると、こう言いよるんですけれども、京セラやあるいはウシオ電機とか、これは大変な経営者ですね。裸一貫であそこまでやり遂げた人たちが今度は関東と近畿の間に光ケーブルを走らせて勝負をしようというんでしょう。特に商店とか大企業電話料金とかあるいは通信費をたくさん払っているところに売り込んでいくわけですね。そういういいところの通信網もこれから新しく出ます新規参入が食い込んできますよね。ここ数年間は、真藤総裁も、世話ないと、早う育てとこう言っておりますが、これは二十一世紀とあなた方が言いますが、二十一世紀の姿というのは、言っているような形で自由競争をやらせれば、相当なやっぱり打撃を新電電は受けるんじゃないか。その結果は、九州とか大分とか、もう遠いところは、あるいはひょっとすれば分割するかもわからぬ、あるいはしないにしても原価主義に、そこの地域地域で原価をはじくようになるでしょうね。高い料金を払わなきゃならないようになる可能性だってある。結局、二十一世紀に向けて将来私どもが非常に危倶するのは、まず過疎やあるいは地方の電話料や、あるいは電報料というのは非常に高いものを払う。それから、田舎の中小企業は、これによって、都会と比べると非常に格差がついてくる。それから、電電の三十二万の職員は、まあ十万か何ぼかわかりませんが、相当減ってしまわなきゃ新しく出てくる企業との競争には勝てない。非常に厳しくなってくる。ここ数年はいいでしょう。私はこう思うんです。この点についてのお考え真藤総裁から聞かしてください。
  212. 真藤恒

    説明員真藤恒君) 今の公社のままで自由競争ということなら確かにそうなるだろうと思います。しかし、新規参入と同じようなやり方ができる状態競争をさしていくということなら話は変わってくると思います。
  213. 梶原敬義

    梶原敬義君 やはり新規参入企業というのは関東と近畿を中心にやるでしょう。  では、ここが電電の今の収入に占めている金額あるいは割合、これは大体どのくらいになっているんですか。
  214. 岩下健

    説明員岩下健君) これは五十七年度の実績でございますが、私どもの総収益、これが四兆三千四百億円でございますが、この中で東京通信局、これは行政区域の東京都の全域でございますけれども、ここで上がりました収益が八千億円でございます。したがって二割弱になろうかと思います。それから、近畿通信局が同じく七千八百億でございますので、一七、八%くらいになろうかと思います。
  215. 草加英資

    説明員(草加英資君) お答えいたします。  五十七年度の収入が今申し上げました四兆三千億でございますが、この中で電話の占める比率が三兆九千億、約九〇%でございます。  この収入が東京―大阪間でどの程度あるかということにつきましては、実はコスト分析が十分に行われておりませんので正確にはわからないわけでございますが、東京―大阪間が五百キロ未満の区域に入っておりますので、三百キロから五百キロの間の通話が大体一二、三%を占めておりますので、大体三千億程度の収入が約三百キロから五百キロの間にある、こういうようなことでございまして、東京-大阪間という形ではちょっと、私ども把握してないのでございます。
  216. 梶原敬義

    梶原敬義君 そこを把握していなくて、新しく出てくる新規参入企業との競争にいや勝ちますよと言ったって、二十一世紀になった瞬間に負けているんじゃないですか。たった一二%ぐらいでしょうかね。とにかく神戸から太平洋沿岸ベルト地帯の新幹線が走っているあの線に光ケーブルを敷くというんでしょう。そうすると、日本の人口から見ますと、ここは四〇%ぐらいおるんじゃないですか。もっとおるんですか。ここに一本、線を引くというんでしょう、新規参入企業が。ここを集中的にやっぱりねらわれていけば、郵政大臣が先ほど言いますように安いサービスを提供する、確かに競争によって一定程度、ある地域、そこの競争する地域は安いかもしらぬ。しかし、新規参入企業が進出をしてない北海道とか東北とかあるいは九州とか、こういうところに将来、未来永劫比較して安いサービスを提供できるようになるのかどうなのか、これは難しいんではないんですか、どうですか。
  217. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) ちょっと先生誤解されておる向きもあると思うので訂正さしていただきますが、この新しい通信時代という形は、今電電公社形態の中で既に北海道あるいは九州間に光ファイバーのネットを築いておりますけれども、はっきり言うとディジタルのサービスネット網という形を全国的に形成していこうということになります。そのことが、ある意味において高度情報社会の新しい通信時代の一つの基盤の構築でもあるわけでございます。そういう形になると、つまり情報格差をなくしようという形は、全国ディジタルネット網が形成されることによって遠近の格差をゼロに限りなく近づけていくという形は、技術的にはもう既に実証されておるところでございます。したがって、今後といえども電電が、新規参入の業者と違って先行的に既に日本の基幹動脈に関してはそういった最高の通信技術網というものを形成しつつあるということをまず念頭に置いていただきたいと思うわけでございます。  したがって、東京-大阪間ということで例示を挙げられましたけれども、それは確かに東京―大阪間は、効率あるいはコストの上からいうと一番うまいところに相当するでしょう。そういう形のところは、当然民間新規参入業者が意図してくるということも十分考慮に入れて考えなきゃいかぬことだと思います。しかし、これからの時代は、電話が中心の時代ということは、これは電話があくまでも基幹サービスであるということは変わりませんけれども、今言う二種事業を含めて多彩なメディアの利用ということは、全く電話が中心の時代から新しい時代を迎えるということになることを意味するわけでございます。したがって、電話の通信量も、電話通信だけじゃなくて、電気通信全体の使用もうんとふえることでしょうし、それによっての収益あるいは予想という形は、今日の電話中心の時代といささか趣を異にした形になってくるということは当然予想されます。  そしてまた、新規参入のそういった形の人たちでも、恐らくは当初、企業中心ということでサービスを開始することになろうと思います。もちろん各戸の家庭にまで至るサービスというものは、これは新規参入業者といえども電電公社が民営化された役といえども、これに頼らなければいけないという時代が当分続くと思います。そういう形の中で新電電新規参入業者は一面競争関係にあるということで料金は安くなるでしょう。しかし一面、協調関係もなければならない。アクセスの最終点は結局新電電との協調関係においてなされるということでございますから、競争と協調を生かしていただくことによって料金は必ず安くなるということは断言できます。
  218. 梶原敬義

    梶原敬義君 大臣が誤解をしているんですよ。四兆三千億の今の売り上げで電電が上げております経常利益というのは逆に四千億くらいですか。そうしますと、一番いいところで食い合いになりますと、競争をせにゃいかぬからやっぱり値も下げなきゃいけない。そうして売り上げも比較して伸びがとまる。そうしますと、その経費を算出するためには、地方も安くしたら結局この新会社が利益が出ないようになるんじゃないですか。だから、そういう意味からしますと、この一番いい太平洋沿岸ベルト地帯のところを競争でどんどんやるものですから、ここの一番新電電の利益率の高いところが食われて競争に行きますから、そこが利益率が落ちますから、だから地方の電話の国民生活に及ぼす影響、これは非常に困ったことになるだろう、こう言っているわけです。  それから問題は、結局今九〇%占めておりますけれども、あとほかの通信とか何とか言っても、企業の問題は別として一番考えなければならないのは、各家庭に全部入っておりますから、今九〇%以上占めているというのですから、ここのところが一体将来どうなるのか、ここが上がるのか下がるのか、ここが基本でなければならないと思うんですね。ですから、そこはそうとっていただきたいと思うんです。
  219. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 私は後で公社からも説明していただきますけれども、一体公社の利益が、ことしは二千億の特例納付を含め三千五百億くらいの利益ということになってまいりました。しかし、公社自体一体何を基準にして利益を出してきたかというと、支出計画と収入との間にそれだけの差があったということです。大体一兆七千億くらい去年の建設投資計画でもやっておるわけです。ことしもそういった形で逐年進めてきておる。要するに、公社が今まで公社形態の中であまねく全国のそういったディジタルネットを構築するために投資してきたはかり知れない莫大な投資額というものは、とてもきのうきょうできたものではないということでございます。毎年毎年二兆円近い投資、その実績の上に立って今日の公社があり、それを継承しての民営化であるということになります。  したがって、新規参入が光ファイバーのケーブルを設置することになるでしょう。あるいは衛星を飛ばして遠近格差のない形の中でのサービスも開始することになるでしょうけれども、現実に築き上げてきた形は果たして利益が三千億程度であったかどうかという形ということになると、これからはトータルのコストの計算の中で出てくるわけでございますが、大体投資の段階も恐らく主要な投資段階というもの、ディジタル交換機の敷設、あるいは光ファイバーケーブルネットの敷設、幹線網の完成という形が既にできておると。全国のあらゆる都道府県所在地における光ファイバーの敷設計画も含めて、最近は大変顕著な形で工事も進行しておるようでございますから、民営化するという時点はやはり今をおいてはないんじゃなかろうかという形でこの法案を決断させていただいたわけでございます。
  220. 梶原敬義

    梶原敬義君 先ほど福間委員質問の中で、料金体系を見直す審議会で来年の三月ぐらいに審議にかけるということですが、答申が出るということでしょう。  それで、私はその原価計算の計算の方法は、九州なら九州を一体どのように原価計算やるかわかりませんが、いずれにしても地域別にやっぱり国鉄がやっているような形で見ると、あっ、九州は赤字だとかどこはどうやというような計算が出て、地方の電話料金は、もしかすると将来は――ここ二、三年は、六十年も上げぬというんですから、そこから先は上げなければならないような答申内容になってくるかもわからない。多分そうなるでしょうね。  それで、真藤総裁ね、これはこのままいったら、やっぱり合理化をして電電の三十二万の従業員の首を切り、さらに九州とか北海道とか地方の料金は比較するとやっぱり上がっていくと、こういうような民間競争原理を入れて、そして民営化をしたあげくは、そして中小企業もなかなか厳しくなる、このような帰結に二〇〇〇年ごろにはもうなるんではないですか、どうでしょうか。
  221. 真藤恒

    説明員真藤恒君) このままでほっておいた方がそういう状態になるのは早いと思います。  なぜかと申しますと、このままでほっておけば、今おっしゃったように、コストを下げるためには人間を首切らにゃいかぬというよりほかに方法はないんです、今の公社法の姿で人間を減らすとなれば。だけれど、新しい法案では、私どもの努力次第によってそういうことをせぬでもコストを下げることが可能なような法案になっておるということをさっきから申し上げておるわけでございまして、先生の今までのいろんなお話を承っておりますと、コストはインフレキシブルだ、コストは固定化しているというならば先生のおっしゃるとおりでございますけれども、今度の法案で私どもが努力すればコストを変えることができるんだという可能性を大きく持っておるというのがポイントでございまして、今の状態でいきますと、御存じのように何もかも横並びでございまして、六千八百億も金取られても我々の職員には何も恩典はないんでございます。それで働きがいのある職場と言えるか、こんなことは民間には起こりませんよ。そこのところをはっきり職員のためにお考えいただきたいと思います。
  222. 梶原敬義

    梶原敬義君 真藤総裁ね、現状でこのままいったら先細りだというのは、先ほどからずうっと福間議員のお話を聞いておりまして私は矛盾を感ずるんですね。なぜなら一五、六%の新しい需要が伸ぶというんでしょう。これほっておっても伸ぶというんでしょう。さらにそれに新規参入が出てがちゃがちゃやればもっと伸ぶというような先ほどの答弁でした。一六%ぐらいの伸びがこのままあれば公社の中でどうしてやっていけないんですか。やっていけないことはないでしょう。
  223. 岩下健

    説明員岩下健君) 先ほど私が申し上げました十数%というのは、申し上げましたようにデータ通信のための回線料の伸びが十数%ということを申し上げたわけでございます。このデータ通信のための回線収入の金額は現在のところ約千四、五百億でございますから、総収入に占めますウエートは五%前後になろうかと思います。したがいまして、全体の売り上げに占めますシェアというのはわずかでありますので、最近の傾向を見ますと、電話収入の伸びはせいぜい三ないし四%台、これに対してデータ通信関係の収入の伸びが高いということを申し上げたわけでございまして、したがって収入全体としましては四%台というのが現状でございます。
  224. 梶原敬義

    梶原敬義君 どうも一貫性がないんだね、言っていることに。結局あなた方がずうっと言っていることは、これは大変なニューメディアの時代が来て、そして高度情報化社会の中でいろいろ出てくるから需要も伸ぶから、だから新しい企業も入れて、そして競争さしてどんどん伸ばしていこうと、こう言っているんです。ところが、今のお話ではこれは伸びは大したことはないんだ、売り上げから見て知れていると、そういう伸びのない厳しい状況の中でまた新規参入のところへ入ってきてがたがたやったら、あなたの言うことを真に受ければ、これはなかなか厳しいんじゃないですか。さらに厳しくなるんじゃないですか。
  225. 岩下健

    説明員岩下健君) 先ほどの答弁は御質問がVANに関連した問題でございましたので、いわゆる第二種事業といいますか、この回線を利用した通信処理、こういった領域についてのトラフィックの伸びはどのくらいかという御質問に対しまして一つの傍証といいますか、例証としてデータ通信用の回線収入の伸びを申し上げたわけでございます。したがって、トラフィック全体がこのままで黙っておっても電話数を含めまして十数%伸びがあるということを申し上げたわけではございません。
  226. 梶原敬義

    梶原敬義君 それではお尋ねしますけれども、ではこれからあなた方も民営化をやって、そして電電を変えていく、改革するというんだから相当な見通しを持っているはずですね。しからば、電電のやっている電話あるいは通信、これらの部門で一体どのくらいの伸びを日本全体で二十一世紀に向けて見ているんですか、トータルで。
  227. 岩下健

    説明員岩下健君) 現在そういった収支の伸びを正確にはかる幾つかの前提条件は必ずしも明文ではございませんので、極めてマクロ的な言い方になるわけでございますが、収益、売り上げ全体としましては、恐らく四%台というふうに考えておるわけでございます。四ないし五%くらいかと思います。  それから、片方で費用の方でございますが、これは新しい会社になりますと、現在できなかったような幾つかの施策も経営の構造として可能になろうかと思います。例えば、資金繰りの問題等もその代表的なものでございますが、こういったことによるいわゆる合理化、あるいは経営改善の努力の結果を含めまして、費用の伸びを三%台程度におさめることも可能だろうというふうに考えておるわけでございます。
  228. 梶原敬義

    梶原敬義君 どうも聞いていることに答えてもらわぬと、貴重な時間ですからね。  新電電が計画を立てるの、四%、三%ということを聞いたんじゃないんですよ、先ほどは。日本全体として新電電関係するようなそういう部門の需要の伸びというのは、一体どうなっているのか。
  229. 岩下健

    説明員岩下健君) これは日本全体の情報通信の使用量といいますか、トラフィック全体の伸びがどうかということになりますと、さっきも申し上げましたように、だから前提になる条件が確定いたしませんけれども、少なくとも四%台のものが昭和六十年度の初頭からやると思いますし、またこれが今回の改革法等によりまして、回線の利用方法の自由化その他によりまして、恐らく最初はビジネス用から始まりまして、かなり加速度的にこの利用というものはふえるだろうというふうに我々は期待をしておるわけでございます。
  230. 梶原敬義

    梶原敬義君 郵政大臣、相当な需要の伸びだと、あなたは一番最初言われましたね、電気通信事業全体の。今のお話じゃ当初四%ぐらい、それから先少し加速度的だと、こういうことなんで、少し矛盾感じませんか。
  231. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 現状の電話中心だけでもそれぐらいの伸びがあるということで、四%くらいの、平均してのトータルで。私はこれはもうこの法案施行される段階に至りましたら、花の咲くようにいろいろなトータル利用が出てくると思います。ですから、公社当局が控え目に言っておりますけれども、私は電話通信も、電話中心の世界から新しい時代の夜明けが来るんだと。その形においては、今日の電話中心利用よりもいろいろな多彩な、今ちょっと触れましたようなメディアの利用というものは、まさに加速度的にふえてくるであろう、そういうことに対応するための今回の法案ということになろうかと思います。
  232. 梶原敬義

    梶原敬義君 電電公社大臣のもうニュアンスは全く違いますね。違います。それで――総裁、それなら。
  233. 真藤恒

    説明員真藤恒君) 私の考え大臣と同じでございますし、今岩下総務理事が言いましたのは、そうでないことを考え答弁したようでございまして、私が訂正いたしておきます。
  234. 梶原敬義

    梶原敬義君 真藤総裁は船をつくっておられまして、石播でずっとやっておられて、私はあなたの見通しが必ずしも合っているかどうかというのは、私はあなたの経営姿勢をずっと見てきまして疑問に思う。  個人的なことになって恐縮ですが、言わしてもらいますと、大分の臼杵鉄工の過半数の株を石播がお持ちになって、そして途中から臼杵鉄工を閉鎖すると、こう言い出した。結局はもう再建については見通しかないと、だからあの三万トンぐらいの船台はもう安定協会に売れと、こういうことで、私どもは、売ったらあの地域の佐伯市あるいは臼杵市というのはもうこれでだめだと、非常に重要な産業ではないかと。だから、あれは売るか売らぬかは大変な社会的な批判も受けて、結局売らなかった。そして、今臼杵鉄工の再建というのは、あなた方は、石播は相当腰を引いたけれども、結局あの三万トンの船台が残っているから、今更生計画ができ、今会社更生の途上にあるじゃないですか。そういう点で、あなたは今大変なバラ色の見通しをこう言いましたけれども、それはあなたがやってきたことをずっと見れば、なかなかはいそうですかと、こういうわけにいかぬですがね、どうでしょうか。――臼杵の問題についてはもういいです。
  235. 真藤恒

    説明員真藤恒君) 造船というものはここで論議する問題じゃないと思いますが、御質問がありましたのでお答えしておきますが、石油ショックという問題が出てきたというのが一つの大きな変化の原因でございます。あのときに三万トンは売ってしまえと申しておりませんで、売らざるを得ないところは安定協会へ売って方法を講じなさいと、自由意思でお決めなさいということを申し上げたんでございまして、決して強制的にああしろこうしろということを言える立場にもおりませんでしたし、言うべき立場にもいなかったということを申し上げておきます。
  236. 梶原敬義

    梶原敬義君 私は全部知っていますよね。石川島播磨、総裁の口から言わぬでもそういう指導はしておったんですよ。  次に移りますけれども、これは総裁、分割といいますか、このままいきますと、あるいは十年ぐらい、あるいは二〇〇〇年ぐらいになりますと、分割の可能性が非常に強まってくると思うんですよ、これは経営がうまくいかなくて。そして、差額料金を地方の皆さんに出してもらうとか、そういうような可能性が非常に強まってくると思うんですが、新電電はもう分割はやらないと、こういう決意と受け取っていいわけですね、これは。
  237. 児島仁

    説明員(児島仁君) 臨調等でいろいろ御意見がございまして、それから私どもの方、経営形態を論じますときにいろいろな団体からいろいろな御意見が出ておりました。その中では分割ということも出ております。それにはいろいろ理由がございまして、非常に巨大だから管理限界を超えておるという言い方、したがって非能率だという言い方、いろいろなことがございまして、私ども考えますのに、現在、先ほど来申し上げておりますように、国からの統制ということは予算を中心とした統制ということですが、となれば、これは当然に中央集権的な本社の一元統制という手法を使わないと最終的に数字が集まってこない、最終的責任がとれないという格好になっております。したがって、地方分権と申しましても、トータルで例えば地域の事業部をつくって、そこに手段、方法を含めて任すと、目標は本社が与えるという経営手法はなかなかとりにくいわけでございます。なかなかとりにくいのでなくて、これは絶対できない、技術的に現実の問題としてできないと思っております。  しかし、今度この法律が通りますと、いろんな形の事業部制、特に私どもの場合は日本全国非常に応うございますから、さしあたっては地域的な事業体制というものをつくっていくと、そういった中で効率も上げ、また所期の目的を達成していくということは十分できると思います。私どもは現在そういうふうに考えておりますし、今後そういったことでずっと推移をしていき、分割はしなくてもいいというふうに我々としては考えております。
  238. 梶原敬義

    梶原敬義君 今、原価計算の方法は総括原価主義を採用しておりますね。ですから、これはいいところというのはやっぱり太平洋沿岸ベルト地帯あたりの比較的いいところの分を地方の方の、沖縄の島の話も出ましたが、あちこちに電線を張りめぐらして通信網をつくっていただく。そして地域にも、北海道でも九州でも遠いところの料金は総括原価計算をして、そして若干地方は厳しくてもそれはいいところで賄うといういい点を残していく、こういう判断に立っていいわけですね。
  239. 児島仁

    説明員(児島仁君) 先生指摘のような点も十分その根拠としてあるわけでございます。
  240. 梶原敬義

    梶原敬義君 基本的には私はどうも今これを民営化しなきゃならないということについてはどうしても今見通しがつかないし、見通しをひっくるめて皆さんが言っていることについて理解ができないし、あるいは二十一世紀に向けて、恐らくもう五年も十年も先になりますと、きょうここで議論した結果が出ることですから、そういう意味では反対でありますけれども、次に移ります。  事業法の三十一条の契約約款の認可の問題のところでありますが、電話の端末機の問題でありますが、今電話機というのは非常に競争が激しくて、新しい法案、今提案されている内容では基本的には認可を外すべきだ、こういう観点に立っておりますが、今黒電話では基本料金は千八百円ですか、それ以外にプッシュホンとか、ボタン電話あたりをつけた場合に、プッシュホンの場合五百五十円さらに料金を払っておりますね。この問題でありますが、今買い取り方式とレンタル方式になっておりますね。このうちのレンタル方式の範囲というのは基本料金の千八百円を負担している黒電話の範囲までが要するに認可の限度と、こう見ていいわけですね。
  241. 小山森也

    政府委員小山森也君) これは現在のお話でなしに、これから先の新しい法案になったときにどうかというお話かと存じます。  そういたしますと、確かに実はこれは前々からもいろいろ議論があるところでございました例の第三十一条の「郵政省令で定める事項」によって料金認可を外す点がございます。その料金認可を外すというのは何かというと、付加的な料金あるいはオプション的な料金ということでございます。そういたしますと、これから先端末機を売る場合と今度は役務を買う場合と両方ありますが、そういった場合役務を買うとなると、これ全体が役務の提供でございますので、これは認可対象になりますけれども、ただ付加的な部分、これは先ほどから申しているようにこれは認可対象にしない、こう言っているわけでございますから、そういうことになるわけでございます。
  242. 梶原敬義

    梶原敬義君 わかりました。  次にストの規制の問題ですが、特に先ほどから自信を持って、そして熱意を民営化について持っておられます真藤総裁、今スト規制問題というのは非常に総理の答弁もありましたような問題になっております。争点の一つになっておるんですが、我々社会党が言っている内容について御理解されておると思いますが、総裁の方もやはり民営化をかじを取る総大将として、これはやっぱり真剣にその意を酌んで努力をしていただきたいんですが、いかがでしょうか。
  243. 真藤恒

    説明員真藤恒君) 特例のところが私の立場では一日も早くなくなるということを願っております。
  244. 梶原敬義

    梶原敬義君 この法案の審議というのは、もうここぎりぎり言ってあと何日しかないわけですから、その点については、やはり引き受ける当事者として、三十二万の総帥ですから、これははっきり、これから非常に厳しい仕事に民営化していくというのなら、本当にその点については責任を持って総理あるいは政府を口説き落とす、こういうような行動をぜひとっていただきたいんですが、決意のほどを重ねてお願いします。
  245. 真藤恒

    説明員真藤恒君) この法案が通りましたら御趣旨に沿ってやる覚悟でございますが、この法案が通ったということをときどき考えますけれども、この法案が通りますと、顧みて他を言うことは一切許されないということだけは覚悟いたしております。
  246. 梶原敬義

    梶原敬義君 いや、法案を通すために今努力をしてほしいというんです。どうでしょうか。
  247. 真藤恒

    説明員真藤恒君) 御趣旨に沿って努力いたします。
  248. 梶原敬義

    梶原敬義君 その点についてはおっしゃられましたから、ここ何日かの間ですから、期待をしております。  大臣、その点についていかがですか。
  249. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 所管が労働大臣でございますけれども、通信主管の大臣といたしまして、こういった特例措置は一日も早く廃止されることを願望いたしております。
  250. 梶原敬義

    梶原敬義君 最後に、もう一度念を押すようでありますが、どうしてもこの際に分割民営化をやらなければならないというのは、先ほどの答弁を聞いておりまして、やっぱり臨調答申が基本にあって、そしてその後ニューメディアあるいは高度情報社会に対応するために競争原理云々というのがどうも基本答弁であったようでありますし、納得のいかないことが非常に多いんです。私が一番心配するのは、これをやった場合に、本当に地方の電話料は上がる、電報代は上がる。この結果、逆に先行き非常に厳しい状態になるような気がしてなりません。  それからまた、特にこのニューメディアというのは、情報だけでも、今日本では五百万から六百万ぐらいの民間の中小零細企業というのがあるんですが、これはなかなかそう簡単に言ってもこの恩恵をこうむりにくいと。そこが逆に料金や何か上がって非常にしわ寄せをされる可能性も出てくるし、同時にまた、電電の一生懸命頑張ってきた人たちが、いっときすると競争が激しくなってどんどん合理化で首を切られてやめていかなきゃならない、こういうことが非常に悪くとれば想定をされるわけであります。どうしても納得ができないのであります。  真藤総裁につきましては、若干個人的なことに入りまして大変失礼をいたしましたが、以後一生懸命頑張っていただきますようにお願い申し上げまして終わらしていただきます。
  251. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 梶原君の質疑は終了いたしました。
  252. 服部信吾

    ○服部信吾君 私に与えられた時間は三時間なんですけれども、きょうの委員会が五時半ということですので、時間が参りましたならば質問をやめさしていただきまして、その残った時間は保留さしていただきます。委員長、よろしくお願いいたします。  電電公社については、創業以来国民とともに歩み、国民の手であり足であると、国民生活と大変密着をして、切っても切れない関係であると。ですから、この改革に当たってはこれはもう当然国民の声を聞いて、また国民納得の上でしなきゃならない、このように考えるわけです。    〔委員長退席、理事片山甚市君着席〕  まず最初にお伺いしたいんですけれども、この法案提出する前に、やはりいろいろ国民の各層の方たちあるいは各業界の方たち等々の意見なんかも、私はこれは当然聞いて、そしてこの法案にいろいろ対処すべきだと思うんですけれども、この点何かございましたでしょうか。
  253. 小山森也

    政府委員小山森也君) 実は五十七年七月に臨調の答申を受けまして、いろいろの提言をなされたわけでございます。片方、今度は電気通信の実態を見ますと、二十一世紀へ向けましていろんな技術革新と同時に、電気通信システムというのは非常に世の中のインフラストラクチャーとしての価値が高まるであろうということが感じられましたので、五十七年十月から五十八年八月、この間約十カ月にわたりまして郵政省電気通信システムの将来像に関する調査研究会というのを設置いたして、いろんな方にお集まりいただいて検討したわけでございます。  その中におきまして、実はこういうことをやっております。まず、五十七年十月には、首都圏、京阪というところの学界、行政分野、産業分野、消費分野の四分野の方たち六十名に対しまして電気通信システムの現状に対する要望、不満調査というのをやりまして、次に五十八年一月に、首都圏の一千世帯に対しまして面接をいたしまして、暮らしと電話や情報についての調査というのをやった次第でございます。さらに、五十八年の五月から六月にかけまして、学界、産業界の有識者二百五十六名を対象といたしまして、電気通信システムの将来像に関する有識者ヒアリング、これは一人一人の面接ヒアリングでございますけれども、これを実施したということでございます。  また、この後も、それではこれを受けてどうするかということで、今度は正式な審議会においても御検討願おうということで、電気通信審議会においても、昨年九月以降長期構想委員会を設けまして、これに対する答申をいただいたということでございます。この間いろいろな方たちに話を伺っておりますけれども、大体この長期構想委員会におきましても、いろいろな方から三百三十二件にわたりまして要望が寄せられているわけでございます。  私どものいろいろ調査といいますと以上の点をやったわけでございます。
  254. 服部信吾

    ○服部信吾君 何かアンケート調査みたいなものをやっておりますか。
  255. 小山森也

    政府委員小山森也君) アンケート調査はやっておりませんが、一千世帯に対して面接した調査というのはやっております。
  256. 服部信吾

    ○服部信吾君 その調査結果はどのようになっておりますか。
  257. 小山森也

    政府委員小山森也君) これは複数調査でございますので、若干重複したパーセントになっておりますけれども電話や通信の機能に対する将来ニーズというようなところが何項目にも分かれておりますが、自動ダイヤル電話、全部ダイヤルしなくてもワンタッチで相手を呼び出せるような方式にしてくれというのが四二・九%、通話録音装置というのが一二・七%というように、大分これ何項目にもわたっておりますので、御報告申し上げるのに時間がかかるんですが、ちょっと変わったところでは、自動伝達電話、相手が話し中のときは伝言を自分の電話に録音しておき、一定時間後自動的に送るという装置が欲しいというようなのも二一%ございました。それからポケット電話、持ち運んでどこからでもかけられる電話というのが四八%。それからファクシミリ、これをもう少し拡充してくれと――ファクシミリ通信網でございます。これが一八・六%。テレビ電話、これは特に買い物なんかの場合にも必要であるというのが三七・四%で、案外高い数値を示しているというところでございます。  以上、大体概要でございます。
  258. 服部信吾

    ○服部信吾君 最近、いろいろ私のところに、電話なり手紙で、どうなっているのだかさっぱりわからないというようなことが国民の方から大変来ておりますので、やはりこれだけの重要問題ですから、それだけの調査をされて、いろいろあったようでございますけれども、その中で、いろいろな声があって、それをこの法案に、何か業界なり、あるいは国民の間の要望がなんかで入れたというようなことがあるんですか、反映したというような項目はありますか。
  259. 小山森也

    政府委員小山森也君) こういうのを受けまして、具体的にこれをサービスに変えていくのは、やはりいろいろな事業体の役目になっておるわけでございますけれども、それじゃ省としてはどうかというと、法的な、制度的な枠組みをそういった形に順応できるような形につくるべきであろうというようなことが私たちの仕事になってくるわけでございます。  そこで、私たちとしては、こういったアンケート調査、それから面接調査というのを踏まえまして、これからの暮らしと電話とかあるいは通信との関係というのはかなり多目的な要望があるということであるならばということで、やはり電話だけという要望とは限らないというようなところから、単一の経営主体であるよりも、多くの経営主体からサービスを提供するという形のものを選ぶべきであると一つ行政判断をいたしまして、競争原理の導入というのにつなげていった次第でございます。
  260. 服部信吾

    ○服部信吾君 それで、今度の法案提出の仕方なんですけれども、いわゆる公社の民営法案ですね、それから電気通信事業法案、これはそれぞれどの法案も大変国民生活と密着した重要な法案であるということなんですけれども、これをどうして今回一緒に出したのか、何か理由があるのか、この点についてお聞きしたい。    〔理事片山甚市君退席、委員長着席〕
  261. 小山森也

    政府委員小山森也君) 実は電電公社法というものと公衆電気通信法は完全に組み合わされているものでございます。公衆電気通信法というのは、もう私から申し上げるのも失礼なんでございますけれども、篤と先生御存じのように、これは国内通信は通信業者としては電電公社だけ、国際電気通信については国際電信電話株式会社だけという、こういった一つの法的独占を保障しているという形のもので、公衆電気通信というのはこうあるべきだということで一種の事業法として、また取り扱い方法につきましての内容としての約款法として決められているわけでございます。それを受けましてその独占の事業を受け取る事業体がどういうことであるべきかということが書かれているのが日本電信電話公社法であり国際電信電話会社法であるわけでございます。  そういたしますと、独占形態をそこで一つのきっかけにしてやめて、競争原理を導入した形で多元的な経営主体をそこに導入してくるということになりますと、今度はもう公衆電気通信法そのものの土台が崩れてしまうわけでございます。したがいまして、公衆電気通信法を廃して事業法というものをつくりまして事業法の枠の中に今度はポスト電電、新電電会社もその事業法の枠の中の一事業体である、それから新規参入者もそういった意味での一事業体であるという、電気事業法の中ではそれぞれ一事業体としてとらえる形にしました。それでは、今度は本来ならば日本電信電話株式会社法というのは要らなくなるわけでございます。しかしながら、今までの経緯からいきまして、独占を法的に保障した形で日本の通信の根幹を受け持ってきた電電公社というものは、やはりその公共性の強さとかいろいろ今までの仕事の仕方、また受け継いだところの人材、それから財産、それから技術というものは、公的なものをかなり引き継いていると同時に、公的なものは何によってつくられたかというと、やはり法的独占によってつくられたものである。それと、今後の電気通信事業界においても大きな役目を果たすということで、ある意味では特別な使命を法的に位置づけまして、会社というものを特殊会社にしたということでございます。
  262. 服部信吾

    ○服部信吾君 そうしますと、この両法案が裏と表と、こういうふうに考えていいわけですね、これは。
  263. 小山森也

    政府委員小山森也君) そのとおりでございます。
  264. 服部信吾

    ○服部信吾君 例えばこういう形で競争原理の導入とまた公社の民営化、こういうのを両方同時に行ったというのは今まで世界の例を見てもないんですよね。  例えば英国なんかにおいては、まず電気通信事業、こういうものに競争原理を導入しておる、その後妻するに民営化する、マーキュリー社とかね。アメリカなんかもある程度そういうようなことをとっておる。こういう面からいうと、この点はどうですか。
  265. 小山森也

    政府委員小山森也君) 実は、たまたま例をお挙げいただいたのでイギリスの例を申し上げますと、イギリスが公社になりましたのは一九八一年に電気通信関係での公社になったわけでございまして、それまでは郵便電気通信公社というもので一九六九年からあったわけでございます。それに比べまして電電公社は、ちょっと年数が昭和に途端になって申しわけないんですが、昭和二十八年に電電公社というものの歴史がありますわけでございまして、官営から公社営に移ったのは日本の方がずっと早いわけでございます。それで、三十数年の公社の歴史を経て今回こういった改革をしようというものに対しまして英国では極めて年数が少ないということも言えます。特に電気通信公社、いわゆるBTと言っておりますが、これができてから十年たってないということでございます。それで、そういった意味では官営から公社営、公社営から民営というステップにつきましては、日本の場合はかなりの経験を経ているのではないか、こう思います。  なお、先ほど民営とそれから競争原理導入と一遍にやるということについては珍しいのではないかということでございますが、私どもこういうようなことを考えるに至りましたのは、やはり公社営というのが、競争原理、多数の事業体の中で仕事をしていくというには、どうもこの三十年の歴史を見ますとなかなか適してないんではないかということになったわけでございます。当初は、やはり公社制度というので、中の改革でできないかということを随分考えたわけでございます。何しろ公社といいましても、この三十年、これだけの立派な電話の構築というのを、世界にも目を見張る構築をしたわけでございますから、そんな悪い制度ではないと思って私ども相当検討したわけなんです。だけれども、やはり三十年間の運用の実績というのを見ますと、かなりその実績の中に本来意図したところと違う現象が出ております。既成事実の慣行の重みというのは非常に強固なものがありまして、運用の中身を改善しただけではなかなかできない。  簡単に申しますれば、一つの給与決定につきましても、やはりいろいろ公社の横並びというものをどうしてもせざるを得ないというような点もありますし、こういった点、どうしてもそういった束縛からやっぱり公社の改善という延長線上じゃないところで、ここで一挙に解決しないとなかなかどうもうまいように事業に即した事業体にならないと。どうもやはり、基本が税金を使う会計制度というものにどうしても引っ張られてくるというようなことがありまして、この際競争原理に合う事業体にふさわしい形にするならば会社営にする方がよろしいんじゃないか。ただしかし、会社といいましても特別な任務を持ったものでございますので、公共性のかなり高い事業を引き受けているという点から特殊会社にしたということでございます。
  266. 服部信吾

    ○服部信吾君 それはわかるんですけれども、要するに我々としても、行政改革の一端ということについて、この法案に対しては賛成をしているわけでありますけれども競争原理の導入をしなければ何か公社自身で徹底的に自助努力によって行政改革ができない。民営化はしたものの、要するに公社自身での努力が足りないんじゃないか。要するに他力本願じゃないか、こういうことを言っているんです。
  267. 小山森也

    政府委員小山森也君) 先生の御指摘は、それであっても独占であっていいではないかというお話かと存じます。  独占になりますと、どうしてもやはり独占という一つの権限といいますか、特別な地位に対して公的関与が深まるというようなことがもう一方で出てくるということになりまして、やはり複数の事業体の中でということの方がより次の高度情報社会になじむ経営体ではないかと思われるわけでございます。
  268. 服部信吾

    ○服部信吾君 要するに、電電公社として、我々も民営化することは反対じゃないんですけれども、先ほど来の議論を聞いていましてもちょっと早過ぎるんじゃないかと。といいますのは、例えば市内電話とか市外電話についてのコストについて、現在はある面から言えば十分に把握されていない。総裁としても、二年後にいろいろこういう機械を入れて、今導入していますけれども、二年後にははっきりこういう問題が出てくると。例えば民営化するとなりますとこれは競争力が大変厳しいと。民間はとにかく一万円のお金を稼ぐのに大変な努力をして節約をして、もうこうやっているわけですよ。そういう会社競争するに当たって、要するに今ここで民営化しなくちゃならないんじゃないかという、例えばそういうふうなコストなんかについてもはっきりした時点で私は民営化にして、そして競争していくのがいいんじゃないか、こういうことを言っているんです。
  269. 小山森也

    政府委員小山森也君) 実は、枠組みの問題と実際に競争者があらわれるという間にはかなり時間の差があるわけでございます。恐らく枠組みとしての法律の枠ができてから実際にそういった新規の事業者が出現するというまでには相当の年月がかかるんではないかと思います。それまでに、やはり公社の方としてもポスト新会社としてそれに応ずるためのいろいろな資料というものが出てくる。ちょうどそういった点で、料金等につきましても、先ほど来総裁が申されておりますように、資料が整ってくる。何しろ枠組みを、まず新規参入者が出る体制をとることが大切である、こういうふうに判断したものでございます。
  270. 服部信吾

    ○服部信吾君 次に、国民が一番心配しているのは、電話料金がやっぱり上がりゃしないかと、こういうことだと思うんですけれども、今回電電公社が民営化するや否や租税負担額が大変ふえたり、道路占用料とかいろいろふえてくるわけですね。また、電報事業も大変だ。と同時に、東京-大阪間等のクリームスキミングですかね、そういうことで大変営業努力をしなきゃならぬ。そういうことで、大変従来と比べてたくさんのお金が必要となると思うんですけれども、大体これはどのくらいになりますか。
  271. 岩下健

    説明員岩下健君) 現在、非常にマクロな推計でございますけれども、五十七年度の収支差額、この財務状況を前提にざっと試算いたしますと、国税、地方税合わせまして税負担が約二千億円程度、恐らくこれ以下かと思いますけれども、約二千億程度マクロ的には考えられます。それから、現在公企体であるがゆえに支払っておりませんいわゆる道路占用料でございますが、これも非常にマクロ試算ですが、ざっと三百億前後、それから新しく適用を受けます雇用保険等社会保険料が百数十億円、こんなところかと思っております。
  272. 服部信吾

    ○服部信吾君 大体三千億円ぐらいと見ていいわけですかね。
  273. 岩下健

    説明員岩下健君) 非常にマクロでございますが二千億円台、二千数百億円と申し上げた方がよろしいかと思います。
  274. 服部信吾

    ○服部信吾君 要するに新会社になっただけでこれだけのお金がふえるということですから、当然これは営業努力なりいろいろやらなくちゃいけないと思うんですけれども、これをどのようにカバーしていくつもりですか。
  275. 岩下健

    説明員岩下健君) 現在公社制度のもとでいろんな制約がございますけれども基本的にはお客様の御利用があってのことでありますけれども、三千数百億円の収支差額を上げてまいりました。片方で料金値下げ、今月実施しましたものを含めまして四回目の値下げも実施したんですが、同時にまた年額少ないときに一千二百億円、多いときに二千四百億円からの国庫納付金を支払ってのことでございます。こうしたいわば企業としての体力なり、あるいはお客様を抱えて新しい会社に移行をすると。その場合に今申し上げたような新しい負担は出てまいります。まいりますけれども、逆に言いますと、現在ここ四年間負担しておりました国庫納付金というような制度は当然なくなるわけでございます。ですから、純粋のといいますか、一般の民間企業並みの財務ということで考えるわけでございますけれども、片方で現在の公社制度の中では許されていなかった幾つかの施策、これが企業の自主的な判断、ということは責任にもなるわけでありますが、かなりのものが許されることになります。例えば一番端的なものが資金の調達あるいは管理の問題でございます。  現在は、先生御存じのとおり、私ども月々生まれてまいります季節的な余裕資金といったものがございます。例えばボーナスの月とかあるいは元利払いをする月には非常に多量な資金を必要とするけれども、この月は資金は若干ショートするんですが、ほかの月には逆に資金が余剰になるという、こういった季節的な余資が発生いたしますが、こういったものはすべて現在の制度の中では、電電だけではございません、専売公社もそうでありますが、すべて国庫に預託をしなければいけないという義務がございます。これの利息はあるのでありますけれども、わずか三%でございます。  こういった資金の預託一つ考えましても、国庫預託の義務というものがなくなりまして、一般の市中預託が可能になりますし、また運用も可能でございます。そういった資金の運用から来る一種の金融収益も期待は一つできますし、同時にまた資金面で言いますと調達の面にも影響がございまして、市中金融機関への預託が可能になれば、借り入れのときの条件につきましても、現在のものよりもさらに改善するという道も開けようかと思います。さらにまた、金利の状況によりまして、国内あるいは海外共通しておりますけれども、市況によって借り入れあるいは債券の発行ないしは逆に償還といった機動的な動きが、現在のところ、残念ながらかなり制約を受けておりますが、これが可能になると。これは今資金繰りについてのものを例示として申し上げたのですけれども、そういった面からの現在はできないけれども会社になっては可能になってくるようなそういう経営行動によりまして、現状に比べまして収支の改善をできる余地は大いにあろうかと思うんでございます。こういった経営努力を重ねることによりまして、さっき申し上げたような会社になることによる負担の増を十分吸収すると、かつまた必要な内部留保も可能になろうかと思いますし、さらに余力を生み出して、先ほども先生指摘料金の、特に遠距離の料金の引き下げ等を可能にするようなそういう余力を生み出していきたいと、かように考えているわけであります。
  276. 服部信吾

    ○服部信吾君 時間が来ましたので、これで。
  277. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 服部君の質疑は、本日の分三十分残しまして、終了いたしました。  三案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  暫時休憩いたします。    午後五時三十分休憩      ―――――・―――――    午後五時四十分開会
  278. 大木正吾

    委員長大木正吾君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  連合審査会に関する件についてお諮りいたします。  日本電信電話株式会社法案電気通信事業法案並びに日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案、以上三案について、地方行政、大蔵、商工の各委員会からそれぞれ連合審査会開会の申し入れがございますのでこれを受諾することとし、さらに、今後、他の関係委員会から連合審査会開会の申し入れがある場合にはこれを受諾することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  279. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  280. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十一分散会