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政府委員(
小山森也君) 現行の
電気通信法制は電信
電話という画一的な
サービスを効率的に全国に普及するために、
電電公社によって一元的に
運営させるという政策をとってまいりました。これにつきましては、先ほど大臣から
提案理由で御
説明申し上げましたように、すぐつく
電話、すぐかかる
電話というようなことで実現いたしまして、非常に
電電公社の果たした
役割というのは歴史的にも高く評価されるべきであろうと思っております。
ただこれは、電信
電話という
一つの非常に限られた
通信媒体の場合にとりました政策でございました。しかしながら、今後
高度情報社会に向けまして
高度化、多様化する
国民の
電気通信ニーズにきめ細かく
対応してVANとか双方向CATV、
通信衛星等、次々と実用化されているニューメディアを活用しつつ多種多採な
サービスを
提供するということになりますと、
単一事業体による
独占的な
事業運営ではなかなか
対応できない、いわば
国民のいろいろな
需要に対しまして、結局
一つの
事業体の
事業計画の枠の中でしか
対応できないというようなことになりますので、
複数の
事業体をつくりまして、それに対します
利用者からの
需要に
対応していこうという考えでございます。
そうしますと、どういうメリットがあるかということでございますけれ
ども、
一つは今申し上げましたように、
一つの
事業体からの
役務の
提供だけでございませんので、
利用者が比較的自由に
事業者を選択できるという広がりが持たれます。
また第二番目に、競争という現象が出てまいりますと、すべてポスト
電電、新
電電株式会社も含めまして
競争原理等の刺激で、それ自体の
効率化、
活性化が図られるということで、その結果
利用者にメリットが還元されるということになろうかと思います。また、競争によりましてより一層
技術革新というものも促進されるのではないかと思います。
ただ、これだけ申し上げますと、いいことばかり申し上げたようでございますけれ
ども、陰の部分といたしましては、やはり競争というのは過度にわたりますと、これは短期的に物を見る場合に、安ければよい、あるいはお客さんがつきさえすればよいというような点から、長期的に見た良質の
サービスというのが必ずしも
維持されないという危険性もございます。したがいまして、その点について私
どもこれからの
行政運営には最も注意しなければならない点だろうと思っております。
また、
臨調答申との関係でどうかということでございます。
一番の問題は、やはり
競争原理を導入するということは、
電電公社それ同体も
複数の
事業者の
一つとなるということで、また当然
経営の
自主性を持たせるということから、自主的な判断におけるいろいろな
企業活動ということが出てまいります。したがいまして、そういった点から多種多様な
サービス、しかも
利用者が選択できる、自由に選択しようとすればできるという体制になろうかと思います。これにつきましては
法律案の中におきましても
電気通信役務の種類を今の法定制から外しまして、いろんな
事業者の方の自由な発意による
電気通信役務というのが次々に出ても、法体系がそれに追いつかないというようなことのないようにしておる次第でございます。
それから、
電気通信回線の
利用とか
端末機器の設置、自営
電気通信設備の使用といったものにつきましても、現在非常に厳しい
制限をしておりますけれ
ども、これにつきましても
制限を
廃止することにしているところでございます。