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1984-07-12 第101回国会 参議院 逓信委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年七月十二日(木曜日)    午後一時三十分開会     ―――――――――――――    委員異動  七月四日     辞任         補欠選任      中野  明君     服部 信吾君  七月九日     辞任         補欠選任      服部 信吾君     中野  明君  七月十一日     辞任         補欠選任      中野  明君     服部 信吾君  七月十二日     辞任         補欠選任      中村 鋭一君     山田  勇君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         大木 正吾君     理 事                 長田 裕二君                 成相 善十君                 宮田  輝君                 片山 甚市君     委 員                 大木  浩君                 岡野  裕君                 沖  外夫君                 志村 愛子君                 新谷寅三郎君                 西村 尚治君                 山内 一郎君                 大森  昭君                 服部 信吾君                 三木 忠雄君                 佐藤 昭夫君                 山田  勇君                 青島 幸男君    国務大臣        郵 政 大 臣  奥田 敬和君    政府委員        郵政省通信政策        局長       奥山 雄材君        郵政省放送行政        局長       徳田 修造君    事務局側        常任委員会専門        員        酒井 繁次君    説明員        科学技術庁研究        調整局宇宙開発        課長       北村 俊男君        会計検査院事務        総局第五局長   中村  清君    参考人        宇宙開発事業団        理事長      大澤 弘之君        宇宙開発事業団        理事       船川 謙司君        日本放送協会会        長        川原 正人君        日本放送協会副        会長       田中 武志君        日本放送協会技        師長       矢橋 幸一君        日本放送協会専        務理事      渡辺 伸一君        日本放送協会専        務理事      川口 幹夫君        日本放送協会理        事        横井  昭君        日本放送協会理        事        林  乙也君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○日本放送協会昭和五十六年度財産目録貸借対  照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書  (第九十八回国会内閣提出)     ―――――――――――――
  2. 大木正吾

    委員長大木正吾君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨十一日、中野明君が委員辞任され、その補欠として服部信吾君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  日本放送協会昭和五十六年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書の審査のため、本日の委員会宇宙開発事業団理事長大澤弘之君及び同事業団理事船川謙司君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  5. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 次に、日本放送協会昭和五十六年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書議題といたします。  まず、政府から説明を聴取いたします。奥田郵政大臣
  6. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) ただいま議題となりました日本放送協会昭和五十六年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書国会提出につきまして、概略説明申し上げます。  これらの書類は、放送法第四十条第三項の規定により、会計検査院検査を経まして国会に提出するものであります。  日本放送協会から提出された昭和五十六年度貸借対照表等によりますと、昭和五十七年三月三十一日現在における資産総額は二千三百四十二億九千八百万円で、前年度に比し二百十八億七千八百万円の増加となっております。  これに対しまして、負債総額は九百三十八億一千五百万円で、前年度に比し六十六億七千百万円の増加となっております。  資本総額は一千四百四億八千三百万円で、前年度に比し百五十二億七百万円の増加となっております。  資産内容を見ますと、流動資産六百六十九億三千七百万円、固定資産一千五百九十二億七千八百万円、特定資産七十七億四千五百万円、繰延勘定三億三千八百万円であり、固定資産内容は、建物五百六十三億一千三百万円、土地二百三億二千八百万円、機械四百十八億三千百万円、その他の固定資産四百八億六百万円となっております。  また、負債内容は、流動負債三百八十五億八千九百万円、固定負債五百五十二億二千六百万円であり、固定負債内容は、放送債券三百二十七億六千万円、長期借入金九十三億六千六百万円、退職手当引当金百三十一億円となっております。  資本内容につきましては、資本七百五十億円、積立金五百二億七千六百万円、当期事業収支差金百五十二億七百万円となっております。  次に、損益について御説明申し上げます。  経常事業収入は二千八百十五億七千六百万円で、前年度に比し百一億四千五百万円の増加となっております。  これに対しまして、経常事業支出は、二千六百六十七億九千九百万円で、前年度に比し百五十八億九千八百万円の増加となっております。  この結果、経常事業収支差金は百四十七億七千七百万円となっております。これに特別収入八億三百万円及び特別支出三億七千三百万円を含めまして、事業収入は二千八百二十三億七千九百万円、事業支出は二千六百七十一億七千二百万円で、事業収支差金は百五十二億七百万円となっております。  以上のとおりでございますが、何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  7. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 次に、日本放送協会から説明を聴取いたします。川原日本放送協会会長
  8. 川原正人

    参考人川原正人君) ただいま議題となっております日本放送協会昭和五十六年度財産目録貸借対照表及び損益計算書概要につきまして御説明申し上げます。  まず、財産目録貸借対照表当年度末現在の資産総額は二千三百四十二億九千八百万円で、この内訳は、流動資産六百六十九億三千七百万円、固定資産一千五百九十二億七千八百万円、特定資産七十七億四千五百万円、繰延勘定三億三千八百万円で、このうち固定資産内容は、建物五百六十三億一千三百万円、土地二百三億二千八百万円、機械四百十八億三千百万円、出資五億七千四百万円、その他の固定資産四百二億三千二百万円でございます。  当年度資産総額を前年度末と比較しますと、二百十八億七千八百万円の増加となっておりますが、これは主として、事業収支剰余金七十五億三千万円と、受信料前受金増加十三億五千四百万円などにより流動資産が百二億三千八百万円増加し、また、当年度建設計画に基づくテレビジョン放送網建設放送設備整備等の実施、及び通信放送衛星機構に対する出資により固定資産が九十億七千万増加したためでございます。  一方、これに対する負債総額は九百三十八億一千五百万円で、この内訳は、流動負債三百八十五億八千九百万円、固定負債五百五十二億二千六百万円で、このうち固定負債内容は、放送債券三百二十七億六千万円、長期借入金九十三億六千六百万円、退職手当引当金百三十一億円でございます。  当年度負債総額を前年度末と比較しますと、六十六億七千百万円の増加となっておりますが、これは放送債券増加等により固定負債が五十二億三千三百万円増加し、また、受信料前受金増加等により流動負債が十四億三千八百万円増加したためでございます。  また、資本総額は一千四百四億八千三百万円で、この内訳は、資本七百五十億円、積立金五百二億七千六百万円及び当期事業収支差金百五十二億七百万円でございます。この資本総額は前年度末と比較し百五十二億七百万円の増加となっております。  次に、損益計算書により経常事業収支について見ますと、まず、受信料等経常事業収入は二千八百十五億七千六百万円で、前年度と比較し百一億四千五百万円の増加となりました。  これは主として、受信料増加によるもので、極力受信契約維持増加に努めた結果でございます。  なお、有料受信契約者数は、五十二万件増加し、当年度末には二千九百万件となりました。  次に、経常事業支出は二千六百六十七億九千九百万円で、この内訳は、給与九百二十五億八千万円、国内放送費七百十三億一千万円、国際放送費十七億二千百万円、営業費三百九十三億二千四百万円、調査研究費二十九億七千百万円、管理費三百八十一億二千二百万円、減価償却費百七十六億八千七百万円、財務費三十億八千四百万円となっております。  これは前年度と比較し百五十八億九千八百万円の増加となりましたが、主として、放送番組内容充実刷新受信契約維持増加対策の推進及びこれらの事業遂行に伴う維持運用費等増加によるものでございます。  以上の結果、経常事業収支差金は百四十七億七千七百万円となり、これに特別収入八億三百万円を加え、特別支出三億七千三百万円を差し引いた当期事業収支差金は百五十二億七百万円となりました。  このうち、債務の償還等に充てた資本支出充当は七十六億七千七百万円であり、事業収支剰余金は七十五億三千万円であります。  なお、この事業収支剰余金は翌年度以降の財政安定のための財源に充てるものであります。  これをもちまして、協会昭和五十六年度財産目録貸借対照表及び損益計算書につきましての概要説明を終わらせていただきますが、今後の事業運営に当たりましても、公共放送としての使命と責務を銘記し、一層放送事業の発展に努力してまいる所存でございます。  何とぞよろしく御審議のほどお願いする次第でございます。
  9. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 次に、会計検査院から検査結果についての説明を聴取いたします。中村会計検査院第五局長
  10. 中村清

    説明員中村清君) 日本放送協会昭和五十六年度決算につきまして検査いたしました結果を説明いたします。  日本放送協会昭和五十六年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書は、昭和五十七年十月二十二日内閣から送付を受けましたが、その検査を終えて、同年十二月一日内閣に回付いたしました。  同協会の会計につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  11. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  12. 大森昭

    大森昭君 この間、郵政省守住次官が、サンダル履きを禁止したかどうかわかりませんが、とにかく高度情報化社会を迎えて、事のよしあしは別にいたしまして、郵政省の先進的な気持ちをあらわしたんだろうと思うんですが、実はきょう五十六年度決算をやるわけでありますが、会計検査院の皆さんも一生懸命検査をされて、日時がかかるし、国会も始まると予算委員会が始まってということになって大臣はくぎづけですから、いろいろこういう事情になるんでしょうけれども、やっぱり決算というのはなるたけ近いやつをやった方がいいんじゃないかと思いますので、ちょっと五十六年の話ということになりますと、どうも五十九年に結びつくといっても少しずれるような感じがいたしますから、いろんな事情があるんでしょうけれども、なるたけ決算の方は余り時間があかないうちにやるようなことがいいんじゃないかと思いますので、初めに余り技術的なことは申し上げません。協会の方は二カ月で出すわけですから協会がどうという意味でもありませんし、また会計検査院が一生懸命やっているのに余り長過ぎるんだという話をしてもまた失礼ですから、どこがどうというわけじゃありませんが、五十六年ということになりますともう五十九年ですからちょっとあれですから、工夫をひとつしていただきたいと思います。  といっても五十六年の話をしないと話になりませんが、総括的に、これはNHKにお伺いいたしますが、五十六年の収支、今御報告がありましたけれども監事もおられるわけでありますし、会長あるいは副会長理事監査報告もするんでしょうし、経営委員会もいろんな立場でいろんな意見があるんでしょうし、余り長い時間、時間がありませんからあれですが、総括して監事報告についてどういうふうにNHK会長が受けとめたか、概略ひとつ御説明いただきたいと思います。
  13. 川原正人

    参考人川原正人君) 今の放送法では「監事は、会長、副会長及び理事の行う業務監査し、その監査の結果を経営委員会報告する。」と規定されております。この規定に基づきまして経営委員会監事から報告を受けております。また、この監事報告につきましては、私会長以下の執行部も、経営委員会側から十分にこれを承知しております。この監事報告につきましては、今回も私から概略報告申し上げておきたいと思います。  詳細なものでございますけれども、一応重要な点申し上げますと、五十六年度の私ども決算あるいは事業計画遂行状況につきまして監事経営委員会に対する報告では、まず放送関係につきましては、国内放送番組については公共放送にふさわしい番組放送された。特に「NHK特集」など意欲的な放送番組が実施されて成果を上げている。しかし、羽田沖日航機墜落事故速報体制のおくれについて批判を受けたように、協会報道に関する視聴者の期待は極めて大きいので、速報体制の一層の整備とその円滑な運用に万全を期することが必要であると厳しい指摘を受けております。  それから国際放送については、政府及び関係機関と協力して海外中継局確保による遠隔地受信改善について早急に検討することが必要であるという報告がございます。  それから技術関係につきましては、今後地上施設による難視聴地域の解消を図ることはますます困難になってきており、協会実用放送衛星昭和五十八年度に打ち上げる準備を進めているが、これについては放送衛星長寿命化、打ち上げ経費の軽減、放送衛星用受信機低廉化等に努めるとともに、放送衛星の多角的な有効活用を図る必要がある。また技術設備については老朽設備の積滞化が予測されるので、老朽更新に一段と重点を置き、これを推進する必要があること。また、高品位テレビジョン文字放送等、今後新メディアの開発に格段の努力を払うとともに、協会経営の展開に資するよう多角的な検討が望まれるという報告でございます。  それから営業関係につきましては、受信料収入については昭和五十一年度以降予算額を下回る状況が続いているが、早急にその原因の究明と有効適切な施策を講じて収入確保に万全を期すること。それから、視聴者との結びつきを強めるための諸活動をさらに強化する必要があること。また、財政につきましては、昭和五十六年度において物価鎮静化及び節減効率化等により翌年度への繰越予定額三十六億円に対し、三十九億円上回る七十五億円を財政安定財源として確保することができたが、昭和五十七年度予算執行に当たっても業務効率的運営経費節減に一段と努力し、昭和五十八年度以降に予想される厳しい状況に備え財源確保を図ること。また、要員効率化については、効率化目標達成を図り、視聴者の拠出する受信料によって賄われる事業体として国民の信頼を得られるよう努力する必要がある。  五十六年度監事報告は大要以上のような内容のものでございます。
  14. 大森昭

    大森昭君 五十六年度決算を総括いたしますと、今会長からお話がありましたように、大変経費節減どもいたしまして、結果的には事業収支差金ども出しまして大変御苦労したと思うんですが、ただ、収入は少し六億程度予定よりか減っているようでありますが、四十億程度経費節約しているようでありますが、この要員というのはどういうところを節減されたわけですか。
  15. 渡辺伸一

    参考人渡辺伸一君) お答えいたします。  五十六年度という年度は、五十五年度に値上げをさせていただきまして、三カ年計画の次年度でございますので、できるだけ収支改善につきましては努力をしていたところでございます。先生今おっしゃいますように、収入につきましては受信料の三十二億ほどの予算に対する未達成がございまして、いろいろと副次収入等で挽回いたしましても収入全体としましては約六億予算と食い違ったわけでございます。この事実を踏まえまして、できるだけ経費節減に努めたわけでございますけれども経済環境として消費者物価が当時五・五%で推移するかなど見ておったわけですが、結果的には四%で終わった、あるいは公定歩合が七・二五%という趨勢でございましたのが、結果的に五・五%に終わったという経済情勢にも支えられたことは事実でございます。事業支出で約四十五億ほど圧縮することができたわけでございますけれども、個別に申し上げますと、大きく分けまして三つほどございます。  一つは、申し上げましたように物価の値上がりが鎮静しました。これによって各般の業務を実行するに当たりましてかなり経費を圧縮することができまして、総額二億円ほどになっております。それから、私ども節減予算でも相当組み込んだわけでございますが、なお一歩節減を強化してまいりまして、これが一億三千万ほど実っておるわけでございます。そのほかに今申し上げました金利低下傾向放送債券を、借入金を借りておりますので、金利低下傾向を反映いたしまして、年間三億七千万ほどの予算の残を来したわけでございます。  それから予備費でございますけれども、この予備費は幸いに二十五億の予算に対して六億で済んだ、こういう事情にございましたものですから、全体としまして四十五億ばかりのものが、率としては一・六%でございますけれども予算に対して節約できた、こういうことでございますので、節約に一段の力を入れましたけれども、やはり物価等事情に支えられたということもこの年度の特徴かと思っているわけでございます。
  16. 大森昭

    大森昭君 前回オリンピック放送権料について、これは値切るという、そう簡単にいく問題じゃないんでしょうけれども、しかし少し高過ぎるんじゃないかという話も指摘をしておいたんでありますが、モスクワオリンピックも不幸にして日本は参加しませんでしたし、今度のやつもソ連初め東独などまだ十数カ国が参加しないようでありますし、聞くところによりますと、放送権料についてロスオリンピック組織委員会に対して何か減額交渉を行ったとか行わないとかという報道がされておりますが、この辺の事実の経過はどういうぐあいになっているんですか。
  17. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) ソビエトがロサンゼルスオリンピックボイコットしたのは五月の八日でございます。それに引き続いて、東欧諸国を初め大体十四カ国が今ボイコットをするというふうな形になっております。この五月八日の時点で私どもジャパンプールとして減額交渉をすべきだというふうな結論を持ちまして、五月十八日にジャパンプールの代表がロサンゼルス事務局長のユベロスという方と折衝をいたしております。相当こちらも激しく迫ったんでありますけれども、先方は今回の大会はソ連そのほかがボイコットしても全部で百四十カ国、それから選手の数にして一万一千人というこれまでの最高のオリンピックになるのだということ、それからソ連の不参加はオリンピック開催に何ら支障がないというふうなことを理由にいたしましてその見解を譲りません。相当強硬な交渉をいたしましたけれども、結果的には残念ながら減額交渉は不成功に終わっております。
  18. 大森昭

    大森昭君 ですから問題は、初めからそういう契約をしておけばいいわけでありますが、当初の契約がそういう契約じゃなくて、今のお話で強行に交渉したと言ったってなかなか受けつけられるものじゃありませんからね。  今回の場合にはやむを得ないこともあるんだろうと思うんですが、実はモスクワのときもこれはもう苦い経験をしているわけです、これはテレビ朝日さんですか。次のまたやるところも果たしてこの状態でいくとどういうぐあいになるかということなども――いやこれは全体が参加することが一番いいんでありますが、ということなどを考えますと、モスクワロスと続いてこういう状態でありますと、何らかの方法をこれは検討しながら先のことに対処しなければいけないと思うんですが、例えば各国でもそういうことはやってなくて、いや実は日本だけが問題提起するんだということになっているのかどうか、この辺もちょっと説明していただけますか。
  19. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) ジャパンプールとしての交渉の中でこの減額の問題を入れるかどうか、そういう条件が変わった場合に減額をするということを入れるかどうかについては議論のあったところでございます。  オリンピックにおけるボイコット問題と申しますのは、国際オリンピック委員会は言うまでもなく、どのような国のオリンピック組織委員会ももちろん望むところではございません。したがって、オリンピック関係者はすべて世界の国々がたくさん参加をしてオリンピックが実施できるように努力をしてくる、努力をし続けるというのが建前でございます。したがいまして、契約交渉過程の中で特定の国のボイコットを想定した条項というのは交渉条件としては入れられないというようなことで、我が国だけではなくて、そのほかの国もこの条項契約の中に入れておりません。  ただ、ホスト国アメリカホスト局としてABCネットワークというのが契約を結んでおりますけれども、それには特別の事態が起こったら改めて交渉するというふうな条項が入っておると、このように聞いております。
  20. 大森昭

    大森昭君 今言われたように全体が参加することが一番いいわけでありますから、そのことは私も否定はしてませんが、しかしなかなかそう言っても世界情勢がありまして、そう理想どおりいかないということが現実の問題として起きているわけでありますから、したがってもうアメリカの場合にはボイコット条項を盛り込んでいるという話も今御説明がありましたけど、ここでどうしたらいいかということも、私も特段の案があるわけじゃありませんが、まあ先々、これはいずれにしたって受信料から出ていくわけですから、そういう意味合いでひとつ工夫をしていく方がいいんじゃないかと思うんでありますが……。  そこで、このオリンピック放送も始まりますし、また高校野球も始まりますし、余りこういうことを言うと、私、相撲の話を前にして、先生相撲が嫌いですねなんという話がありましたけど、どうもあの相撲の三時間のときもちょっとどうかなという気持ちがあったんですが、オリンピック関心のあるところですし、高校野球関心もあるところであることは否定をいたしませんが、またNHKが得意とするニュースども恐らく総括して、オリンピックの要約もニュースに出るでしょうし、高校野球の結末もまたニュースで言うでしょうし、朝から晩までと言っちゃ大変語弊がありますが、オリンピック高校野球放送ばかりじゃどうかなという感じもするんでありますが、そういうことを言ったって従来から高校野球も大人気だし、オリンピック世界的な行事で大変関心があるからとにかく逐一やるんだと、こういうことですか。
  21. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) おっしゃるように、七月の末から八月の中ごろまでにかけましてオリンピック、それから後半では八月八日からですが、高校野球が入ってまいりましてスポーツが非常にたくさん放送されるという事態が参ります。私どもは、この二つの大きなスポーツのイベントをどう取り上げるかということについて部内で検討をいたしました結果、オリンピック及び高校野球に対する国民の関心視聴者関心というのは非常に強いということを前のオリンピック、それからこの前の東京オリンピック等からも実感として得ております。したがいまして、できるだけこれについてはサービスをしようということを第一の目標にしたわけでございます。ただ、これだけやっておりますと、それこそ放送本来の仕事であります報道とか教養とかあるいは教育とかいうふうな番組、それから芸能番組に至るまで、幾つかの犠牲になる部分というものがどうしても生じてまいります。  したがって、重点的にこれは確保していこうということで、例えば、永遠の平和を願うという意味から、核の問題を八月の五日、六日には特集をするとか、それから、いわゆる夏期特集という形で幾つかの番組を組みまして視聴者の御期待には十分沿いたいというふうに思っております。それから、もちろんその期間に大きな災害とか事件とか起こりました場合は、当然のことながら、既定の番組の方針を変更して緊急の編成にすることは当然でございます。
  22. 大森昭

    大森昭君 まあ皆さん方は専門家でありますからいろいろ工夫をされてやられるんだろうと思いますが、今お話がありましたように、スポーツも大変重要でありますし、頭から否定するものじゃありませんが、肝心な報道が誤りないようにぜひひとつお願いしたいと思います。  次に、組織改正の関係でありますが、いろいろ流れがありますし、業務体制の見直しもしなければいけないでしょうし、まあ組織改正が必ずしもよくないということを言うわけじゃないんでありますが、私もよくわかりませんが、例えば最も基本であります視聴者の意見を十分聞くなんということも一つの大きな重要な要素でありますが、何か今度組織改正をするに当たって視聴者本部などはなくなっているような状況もありますし、一体、業務体制の見直したとか、あるいは最近の報道に対する的確な組織改正という恐らく名目でというか、趣旨合いで組織改正が行われているんだと思いますが、この辺はどういうふうに考えているのか。私はどうも基本である視聴者対策というものは弱体化していくんじゃないかというふうに理解をいたしますが、誤りであるかどうかひとつお答えいただきたいと思うんですが。
  23. 横井昭

    参考人(横井昭君) お答えいたします。  ことしの三月、この逓信委員会協会に対する附帯決議として、ニューメディア時代に対応する基盤整備を図れ、それから業務の刷新をしろと、組織の活性化を図れという御指示がございました。  私どもは、御承知のようにCATV、衛星放送等々、いわゆるニューメディアに関連する技術革新の非常な進歩の中で、これらの体制に即応する業務体制をつくることが肝要であると。それからまた、厳しい社会情勢、経済情勢の中で協会の総合的な長期計画を策定することがまた一つの大きな肝要なことになってまいりまして、そういった観点から、五十九年度の組織改正につきましては、できるだけコンパクトでスリムな、簡明な組織、活性化された弾力的な、そして力強い強靱な組織を作成していこうと、こういうふうに考えたわけでございます。  そういう観点から、本部の機構につきましては、あるいは御案内のことかもしれませんけれども、六本部制と、あとは調査・研究所という極めて簡明な組織づくりをいたしました。六本部と申しますのは、企画本部、放送総局、営業本部、技術本部、人事本部、業務本部という六つの本部でございまして、その上、役員が長となりまして、会長の職務権限についても十分な検討を加えた上で、権限を委譲できるものは各本部長へ委譲すると、こういう形で、役員の責任体制の中で各本部がその業務執行を的確、迅速にやると、こういうふうに考えたわけでございます。  その中で、御指摘視聴者本部はこのたび解体いたしましたけれども協会としては、何といっても協会の経営方針について、あるいは公共放送の理念について視聴者の理解と信頼を確保しながら、視聴者の意向、ニーズを的確にとらえてこれを協会の経営に反映していくことが肝要なことだと、こういうふうに考えております。そういう点から、広報と広聴という機能、具体的に申しますと、広報室と視聴者センターを合体しまして視聴者広報室を設け、その中に視聴者センターを取り込んできたわけでございます。こうして広報・広聴機能を合体したその上で、これを協会の経営に反映すべく、今度新しくできる、副会長を長とする企画本部の中でこの視聴者広報室を位置づけて、これを協会の経営に反映させていくという方法をとったわけでございまして、そういう点からするならば、視聴者のニーズがむしろ一元的に協会の経営に反映していくというふうに私どもは考えております。決して弱体化するものでもないし、弱体化させてはいけないと、こういうふうに考えております。
  24. 大森昭

    大森昭君 もちろん組織改正の目的は、今言われたようなことが目的でありますから、私の質問をすればそういうことになるだろうと思います。  ただ、具体的な問題で言いますと、起きたことをただ放送をしてたって、まあすることも大事ですけれども、しかしNHKは、私正直に申し上げますと、いろいろNHKに信頼を寄せているのは、ある意味でNHKがある事柄についてどういう見解を持つかと、言うならニュース解説みたいなものですね。ところが、どうも最近、だんだんNHKが主体的に考えている解説などは、先般も、十時台にやっていたやつが十一時台に変わりましたね。とりわけ、今度また組織規程の改正の中で解説委員室というのを報道局に統合するわけですね。ですから、そういうことになってきますと、これもまた恐らく、いや解説委員室を統合したといっても、解説というのは重要な役割を持っているから、公正にして公平な、また中立的な、という御答弁になると思いますが、どうも何か、知らず知らずのうちにと言うと少し私も疑い深くなって悪いんですが、NHKの主体性がどんどんどんどんこう薄められていくような感じがするんですが、例えば解説委員室を報道局に統合しても従来と変わらないようにという御答弁になるんですか。
  25. 横井昭

    参考人(横井昭君) 御指摘のとおり、言論報道機関としてのNHKにおける解説と報道との関係は、お互いの欠陥を補完しつつ、調和をとりながら、一定の一元的な編集方針のもとで業務執行していくべきものであろうと、こういうふうに考えております。三十九年度以来、現在の放送総局の中における解説委員室と報道局が局として並列されておりますけれども、これまでも一人の副総局長の責任のもとに統一されていたわけでございます。先ほど申しあげました本部機構のコンパクトな、スリムな組織改正という観点から、今回報道局に一元化しまして、報道局の中に解説委員室を設けたわけでございますが、これからは報道局長の一元的責任のもとに解説委員室が、取材執行グループである政治部、社会部、経済部、これらと緊密に連絡をとりながら、あるいは編集センターと緊密な連絡をとりながら、情勢の変化に適応した豊かな解説番組ニュース報道番組を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  26. 大森昭

    大森昭君 そういうことで頑張ってもらわなきゃいかぬわけですけれども、もともと組織規程の改正をせざるを得ないという中には、予算委員会でもいろいろ御指摘がありましたように、とにかく少し簡素化しなきゃいけないということで要員の削減などのこともあっての組織規程の改正だと思うんですが、むだは省かなきゃいけませんが、やっぱりしかし働く人たちの意欲が喪失したんじゃどうにもなりませんので、そういう意味からいきますと大変工夫が要ることでありますが、恐らく会長のことでありますから労使関係はスムーズにやっていただいているんだろうと思いますが、こういう組織改正を行わざるを得ないという意味合いの中に、そこに働く人たちの要員問題も働く側としてはあるわけでありますから、どうかひとつ組織規程の改正とともに、従来も労使関係はいいわけでありますが、一層の労使関係に努めていただきたいと思います。――ということで何かありますか、会長
  27. 川原正人

    参考人川原正人君) 私ども本当にいい番組をつくるためにすべての努力を傾けているわけでございまして、やはり番組は職員の全員の手によってつくられるものでございますから、職員の気持ちが活性化していかなければならないことはもう御指摘のとおりなんでございます。その中では労使関係も従来にもまして私ども信頼関係を強めていくように努力をしたいと思っております。
  28. 大森昭

    大森昭君 それじゃ最後にお伺いいたしますが、郵政省国際放送の拡充強化を図るために五十九年度から四カ年計画国内送信所の整備、海外中継基地の確保などに必要な経費として九十二億円の予算要求をいたしました。これは前回もいろいろ議論がありまして、大変大臣もお骨折りしたようでありますが、しかし結果的には二億五千万円の増額ということで、八俣の送信所の整備だとか海外中継局の増設などがNHKで負担をしなきゃならない、こういうことになったわけでありますが、従来から、国際放送の性格からして、所要経費の大部分をとにかく受信料負担ということになっては視聴者も納得しないということが再三この委員会で言われているわけでありますが、来年度予算はいろいろ枠組み自身がまだ決まっていないようでありますが、引き続き郵政省としては、とりわけ郵政大臣国際放送について御努力をしていただけるんだと思いますが、この辺について郵政大臣の決意を伺って終わりたいと思います。
  29. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 今御指摘のとおりに、五十九年度予算におきましては、金額に対しては当初の予算規模を大幅に下回って二億五千万という増額になったわけでございます。しかし、厳しい財政事情の中で最後までの折衝にもつれ込んでおった結果の成果でございまして、NHK側に対しましても国際放送の一層の充実を求めておるところでございます。先般は茨城県の八俣送信所の施設も増設に踏み切りましたし、またアフリカのガボン地区に中継所のそういった施設借用もできたようでございますし、また目下調査団を派遣という段階ではございますけれども、パナマ、南西アジア地域にも一カ所ずつの中継施設のそういった形をNHK側とも努力していただいておるところでございます。特に明年度予算の概算要求の段階になりましたけれども、私たちはシーリングの枠とは別個に国際放送の重要性ということは、本委員会でも、また衆議院におきましても強く要請されているところでございます。この重要性にかんがみまして、今後とも全力を挙げて明年度予算獲得に増額をかち取ろうと決意をいたしております。どうかひとつ諸先生方の御協力も切にお願い申し上げる次第でございます。
  30. 片山甚市

    ○片山甚市君 昭和五十六年度予算執行に当たりましては、本委員会における附帯決議の趣旨に基づいて執行されたということを確認しながら二、三の点についてお聞きしたいと思います。  「協会は、視聴者の理解と信頼を深めるため」、「協会の使命と現状についてさらに周知徹底を図ること。」とされておりますが、具体的にどのような措置を協会側はなされてこの執行をやられたか、説明を賜りたい。
  31. 川原正人

    参考人川原正人君) 視聴者との関係につきましては、私ども国会の附帯決議も受けまして、本来のこれは協会の大事な仕事でございますので、格段の努力を傾注しております。  特に、具体的に申し上げますと、全国の五十二カ所に設けております視聴者会議、あるいは二千カ所を超える各地で実施しました視聴者懇談会、このような対話活動を通じて私ども使命と現状について積極的に説明し、理解を求めました。また、特に五十六年十一月には新たな試みとしまして、NHK視聴者月間というものを設けまして、全協会的規模で総合的に視聴者との結びつきを強化し、意思の疎通を図るような運動を推進してまいりました。その他各種の広報番組の実施につきましても格段の力を入れて実施したわけでございます。
  32. 片山甚市

    ○片山甚市君 それでは、次の、「放送衛星の実用化にあたっては、すみやかに放送政策に関する基本方針を策定し、難視聴対策、非常災害対策等各般にわたり、国民的視野に立つでその有効的活用を図ること。」という決議がございました。既に衛星放送が開始されておる現段階においても基本方針が明示されておらないのですが、この附帯決議を受けてなぜできなかったかについての説明を賜りたい。
  33. 川原正人

    参考人川原正人君) 当時の参議院の附帯決議の中の「放送政策に関する基本方針」という点に関しましては、これは協会も、かつまた政府関係におきましてもいろいろ努力をしてきたところでございます。特に私どもとしては、実用衛星を上げるに当たりまして、全国的に散在する難視地域の解消を図る、そのほかに非常災害対策にこれを活用するということをまず第一の基本方針といたしまして、さらに番組編成上の工夫を行いまして、視聴者関心を高めて、衛星放送の普及を図っていく、さらに将来、放送衛星の新しい利用に向けての技術開発も行う、このような基本的な態度を固めまして、衛星の開発に努めてきたわけでございます。  ただ、率直に申し上げまして、そして最終的にこの五月にその方針のもとに衛星を打ち上げ、その利用開始までこぎつけたわけでございますけれども、その直前に放送送信機の故障ができまして、残念ながら現在二チャンネルの放送送信が一チャンネルしかできていないという事態になっております。これはまことに申しわけないし、残念なことだと思っておりますけれども、なお今鋭意、これも関係の事業団等にお願いいたしまして、早く機械の復旧を図り、また次の施策を万全な手配をとっていただくよう御相談申し上げておるところでございます。
  34. 片山甚市

    ○片山甚市君 会長が基本方針を策定して明示しておると言われておりますから、次のときにそのことについてお聞きをすることにして、留保します。  次に、会計検査院昭和五十七年十二月一日、NHK昭和五十六年度決算検査結果について「記述すべき意見はない」との報告を総理大臣に提出されておりますが、実地検査内容についてはどのようなものがあるのか。特に重点的にどのような点について検査をされたかについてお聞きします。
  35. 中村清

    説明員中村清君) 実地検査につきましては、上席調査官外十七名で本部外二十一放送局について延べ二百五十七人日で実施したわけでございますが、検査に当たりましては、収入につきましては、受信契約においてその契約率が低いという事態はないかどうか、また受信料の収納は的確かつ経済的に行われているかどうか、こういう点に重点を置いて検査を行ったわけでございます。  一方、支出につきましては、国内放送費営業費建設費の経費の使用が経済的効率的かつ効果的に行われているかどうか、この点に重点を置いて検査を行ったわけでございます。  なお、五十五年から五十七年までの間は、NHKとしまして経営計画を策定し、その実施に移しておりましたものですから、私どもとしましては、その経営計画内容につきましても、例えば事業計画の重点として挙げております受信契約数の増加受信料滞納契約者への対策を積極的に推進するという問題、あるいは効率化施策の推進として挙げております組織の簡素化、要員効率化経費節減を推進するという問題、あるいは収支見通しとして挙げております三年間で事業収支を均衡させるという問題、あるいは難視聴の解消として挙げております諸施策の推進という問題、こういった問題につきましては当然十分に私どもとしては留意しながら検査を行ってきた、こういうことでございます。
  36. 片山甚市

    ○片山甚市君 そこで、NHKにお伺いするんですが、昭和五十八年度収支予算についても触れておきたいと思いますが、五十八年度予算は単年度計画事業収入二千九百十五億円、事業支出は三千二十一億円でありますが、収支差金は百六億円の赤字でありました。債務償還充当額六十四億を加えると、実質的に百七十億の赤字と計上されておりました。しかし、五十五年から五十七年度にかけて経営計画の中の繰越金が百四十五億円ありました。それをもって補てんするために、五十八年度は二十五億円の不足するものとされていたところであります。  そこで、昨年の十月四日の本委員会で、昭和五十五年度NHK決算の審査の際、大森委員NHKの経営努力いかんによって五十八年度二十五億円の赤字は解消できるのではないかと質問されましたが、その決算結果はどういうふうになっていますか。
  37. 渡辺伸一

    参考人渡辺伸一君) お答え申し上げます。  五十八年度予算の構成につきましては先生おっしゃるとおりでございまして、収入不足百七十億という予算でございました。五十五年から五十七年までに用意いたしました繰越金が百四十五億、決算時でございましたものですから、差し引き二十五億がどうしても自分では赤字を埋め切れなくて、外部資金の借り入れに仰がざるを得ないという状況でございました。  五十八年度収支改善につきましては特段の努力をしてまいりました。その結果を申し上げますと、二十九億ほど収支改善することができたわけでございます。したがいまして、二十五億の収支不足につきましては全部自分のところで結果的には賄い得たということでございます。  なぜそういうことになったかポイントだけ申し上げますと、収入につきましては、残念ながら受信料収入受信契約者の増が目標に達しなかったというようなことで若干予算に対して欠落しておったわけでございますけれども受信料の前受金がふえてきたというような事情にも助けられまして運用の利息は稼ぎ得たと、あるいは副次収入を当初よりもかなり多く稼ぎ得たというような事情に助けられまして、全体としましては収入予算よりも十三億ほど多くなったという事情がございます。  それから、支出全般につきましては、先ほど五十六年のときにも申し上げましたが、この五十八年度も幸いなことに経済事情が好転いたしておりまして、物価事情につきましても当初予定よりもかなり下回った実情でございました。その中で業務を実施してまいりましたものですから、物価の値上がり分で一億六千万、あるいは為替レート、これは私どもは二百五十円で年間平均見たわけですが、二百三十円台でおさまったというようなことで、これまた一億以上の予算を残すことができた。さらに、効率化に一段と努力をいたしまして、さらには予備費が残った。そして、金融事情によります外部資金の借り入れによる利息も残ったというようなことで、事業支出全体としましては十五億残し得たわけでございます。  収入で十三億、そして支出で十五億残し得たわけでございますので、収支全体としましては二十八億、二十九億近くの金を残して、二十五億の欠落は全部埋めて、さらに若干ではございますが、四億ほど五十九年度に繰り越すことができたという事情でございましたので、その当時お話いたしました収支の圧縮につきましては一応実効が上がったということでございます。
  38. 片山甚市

    ○片山甚市君 国際的にも国内的にも経済的に社会的によい条件に迎えられたときにこの決算を行われたことについての報告がありました。そこで、当時のNHK経営当局並びに職員の方々が大変な御努力をしたことについて労を多としたいと思います。  その上に立って、五十五年から五十七年度経営計画は三年間で収支相償の予定が百四十五億円の黒字、五十八年度は単年度で当初見込みの百六十億円の赤字が百四十一億円にとどまっておりますが、決算は二十九億円、今おっしゃったように二十九億円も改善されておる実績を見てみますと、昭和五十九年については、五十五年度受信料改定期における一カ月おくれというような受信料減収もなく、うまくいきましたね。放送衛星はうまくいかなかったけれども、これだけはうまくいった。減収もなく一応順調にスタートしたことからも今次三カ年計画収支相償以上のものが期待できると思うが、会長としてどういうように御判断されますか。
  39. 川原正人

    参考人川原正人君) 確かに五十九年度予算につきましては、特に本委員会で三月三十一日という非常にぎりぎりのところで御承認をいただき、暫定予算を組む等のこともなくて承認いただきましたこと、本当に感謝しております。おかげさまで、前回あるいは前々回の値上げと違いまして、当初から予算が実行できております。ただいまのところまだ三月ぐらいを経過したところなものですから、全体を推しはかるにはまだちょっと早いかと思いますけれども、そのような状況の中で、私どもとしては十分に予定しました事業計画は進めて、かつ予算的にも予定どおりの形で実施できるものと思っております。  ただ一点、先ほど言いましたように、この事業計画に予定しました放送衛星につきまして、これだけは残念ながら予定の二チャンネルの放送がまだ出ておりませんので、これだけは鋭意回復に努力を進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  40. 片山甚市

    ○片山甚市君 それでは、ゆり2号については再び現状についての御説明を願いたいと思います。  ゆり2号aの現状ですが、故陣の原因の究明を急いでおられるようでありますが、宇宙開発委員会は当初結論時期を七月末としておられましたけれども、最近九月から十月にずれ込むのではないかというようになっておるようですが、どういうような状態になるでしょうか。
  41. 北村俊男

    説明員(北村俊男君) 先生指摘のとおり、宇宙開発委員会におきましては、このふぐあいが発生いたしまして、この重要性にかんがみまして、五月の十四日に宇宙開発委員会におきまして放送衛星対策特別委員会を設置いたしたわけでございます。また、同じくその委員会の中にふぐあい個所につきましての中断器についての専門家を中心とする技術小委員会を設けまして、ふぐあい現象、それから軌道上の試験、地上試験データ、それらふぐあい解析等につきまして、現在小委員会を中心にいたしました技術的な諸検討を進めてまいったところでございますが、このほどその結論に基づきまして、さらに熱真空試験、それから軌道上における再起動試験等を今後追加して行う必要があるということで、現在この二つの試験について着手すべく新規に試験が提案されまして、現在その試験のために期間を若干延長するという状態になっているわけでございます。
  42. 片山甚市

    ○片山甚市君 今おっしゃいました熱真空試験とはどういうもので、その試験の効果を上げるにはどの程度の期間を必要としますか。
  43. 船川謙司

    参考人船川謙司君) ただいま御質問の熱真空試験でございますが、これはBS2b用に製作されております中継器系、BS2aと同じようにA系統、B系統、R系統と三系統ございますが、これが北面パネルというパネルの上に組み上がったものでございます。これを真空槽の中に入れまして衛星が軌道上で受けると予想されます温度条件、これは高温の場合、それから低温の場合、それから太陽が当たらなくなりましてうんと温度が冷える――食の場合と言うのでございますが、この三つのサイクルで中継器を軌道上と同じような状態で動作させる試験でございます。  熱真空試験では、その中継器が軌道上で受ける熱及び真空環境を模擬した状態で中継器の温度だとか電流、電圧等の動作特性を測定いたしまして、またふぐあい現象の再現を目的としております。BS2aで生じましたふぐあいが熱真空試験によって再現された場合には、ふぐあい現象のメカニズムの解明ができ、BS2aの原因究明に役立つというふうに考えております。
  44. 片山甚市

    ○片山甚市君 どの程度の期間がかかりますか。
  45. 船川謙司

    参考人船川謙司君) 今のところ二カ月間予定しておりまして、七月三日から既に開始しております。
  46. 片山甚市

    ○片山甚市君 そこで、秋の食の期間は九月から十月中旬までであると言われておりますが、データの分析で原因の特定を行い、報告書をまとめるにはさらに日数を要するのではないかということになれば、結論は秋以降になるというように推定できますが、事業団はどう思いますか。
  47. 大澤弘之

    参考人大澤弘之君) 実験の結果によることでございますので、私ども時期に関してはいまだ明確に突き詰められていないのでございますが、熱真空試験なり食のときの試験全部が済んでみなければわからないというようなことになりますと、今先生おっしゃったようなことの可能性もあろうかと思っております。
  48. 片山甚市

    ○片山甚市君 実は、ゆり一号や気象衛星ひまわり二号の原因究明には約一カ月間で大体発表されておりました。今回の故障は複雑かつ重症で回復は無理なのではないかと我々は推測しておるところですが、来年の八月打ち上げ予定のゆり二号bは故障原因が解明されることが前提であることを関係の皆さんが再三答弁をされておる。今のaの故障がわからない限りbを打ち上げるわけにいかない。  そういうことで、複雑かつ重症な故障原因であればあるほど、また究明の時期がずれ込むほど、二号のbについてその結果を反映させることが予定どおり来年の八月になるかどうか。そういうことについて、来年の八月には今の故障究明が反映されるかどうかについて確信を持ってお答えができますか。
  49. 北村俊男

    説明員(北村俊男君) 先ほども先生指摘でございました前回の「ゆり」の原因究明に関しましては、確かに委員会で審査を行いましたのは二カ月から三カ月弱でございました。これは「ゆり」の場合に五十四年の六月に一回目のふぐあいが生じておりまして、この当時から事業団がふぐあいの解析の部内のスタディーをやっておりまして、五十五年の九月、一年三カ月ばかりかかってもう既に社内でかなりな詰めを行っておったという見通しを踏まえまして、五十五年の九月から宇宙開発委員会で第四部会ということで事故究明の審査を行ったわけでございます。この宇宙開発委員会で行ったのが二カ月ないし三カ月でございましたので、先生指摘のとおりでございますが、このたびのゆり二号につきましては、ふぐあいが免じましたのは五十九年の四月から五月でございまして、五月の三日にR系統のふぐあいを生じまして、事業団が社内の原因究明に着手すると同時に宇宙開発委員会におきましても本対策特別委員会を設置したということで、前回のゆり一号につきましては相当、事業団内部での一年以上の検討期間があったと。今回の場合はほとんど同時にスタートしておりまして、現在で五十五日目でございます。この中でやっておりますので、トータルでいたしますと今回が特にふぐあい検討がまだ短いとか、前に比べて短過ぎるというようなことにはならないのではないかと私は考えております。  それから、今回の七回ばかり技術小委員会で慎重に現在の原因究明の審査を行ってまいりましたが、その結論といたしましてこのたびの熱真空試験と軌道上の再起重試験ということに取り組もうという方法論までかなり明快になってまいりましたので、この実験がかなりな決め手となることを私ども信じておりまして、この暁には早急な結論を得られるだろうと私どもは信じておるところでございます。
  50. 片山甚市

    ○片山甚市君 私の記憶が間違いでなければ四月の二十一、二十二日ごろからふぐあいが生じたことになっておりまして、今は五月になっております。そのような形で郵政省と事業団の間の機構の関係と、NHKとの間にも連絡ができなかった理由はこの間非常に説明をしておるんでございますが、それに違わないように後で調べてみて、間違っておったら承知しませんから。  さて、ゆり二号bについて、私は先ほど来年八月に打ち上げられるのか、こう言っておるのについては答えてくれておりませんが、答えてもらいたい。  といいますのは、ゆり二号bが来年八月に打ち上げられるとして、既にアメリカで組み立て中だとも聞いておりますが、打ち上げスケジュールから言えば、故障原因究明とその対策のタイムリミットというのはいつごろわかれば八月に打ち上げられるのか、私は不可能ではないかという質問をしたんですが、答えられませんから、いつふぐあいがわかれば来年の八月に打ち上げられるようなことになるか。  というのは、打ち上げてもらわないと――二チャンネルを放送してほしいんですよ、放送してほしくない人は別ですが、私はほしいから、どうしても日にち等について、計画等について見通しはどうなのか。見通しを言ったからけしからぬと言っているんじゃないですよ。天文学じゃないんですから確実に当たるか当たらぬがわからないけれども、当ててほしいわけですね。確信を持って答えてください。
  51. 大澤弘之

    参考人大澤弘之君) お答えいたします。  衛星が完全に組み上がりましてから、従来この全体の試験をいたしますために六カ月を要しておりまして、なお輸送に一カ月ぐらいかかっております。それから、現場に入りましてから――種子島でございますが、そこで打ち上げ前のまた検査試験をいたしますが、これが一カ月ないし二カ月ぐらいかかっておりますので、一応八カ月ぐらいが必要な時期でございますが、今回の原因究明、そうしてその結果、何らかの対策を施すことになりますとすれば、その対策、原因いかんでございますけれども、対策に要する時間等を考えると来年の八月ということでございますので、ことしの暮れぐらいがぎりぎりのところになるということかと思っております。
  52. 片山甚市

    ○片山甚市君 今理事長からお答えがあったんですが、九月からおくれれば、問題としては漁業補償問題で春と秋には打ち上げることはできないようでありますから、六十年度の夏季の次は六十年度の冬季、冬の時期になるとなれば昭和六十一年の一月か二月になるということになるんですが、そういうことで調整をするのに他の衛星を打ち上げる関係からこれだけ優先するわけにいきませんから、順序として困難を来すんじゃないかと心配するんですが、それは心配要りませんでしょうか。
  53. 北村俊男

    説明員(北村俊男君) 打ち上げに伴います漁業関係者と他機関との連絡調整につきましては、例年、予算がセットをされました新年度五月ごろから話し合いを進めることになっておりますので、それまでに事態がわかっておれば、私ども漁業者等の他機関との調整はつくものと信じております。
  54. 片山甚市

    ○片山甚市君 できるだけ競合しないでうまく打ち上げられることを祈りますが、何といっても原因究明が第一関門で、非常に難しいことでありますから、全機関を挙げての御努力を賜りたい。  そこで、中継器二系統の故障でNHKは一チャンネルのみ、試験放送を余儀なくされておりますが、衛星放送内容が総合テレビの九三から九四%同時放送では、一般視聴者への普及は到底期待できないと思います。当初五年間で五十万台の普及を見込んだNHKとして、今後放送衛星のチャンネルがどういうような普及をするのか、見通しを立てておるか、お答えを願いたいのです。BS2aの故障について一般視聴者から特にNHKへの苦情がない、やむを得ないなということで、おしかりはないでしょうか。二つお答えいただきたい。
  55. 矢橋幸一

    参考人(矢橋幸一君) お答えいたします。  今お話しのように、衛星の中継器の故障のために、NHKの五月十二日から始まりました衛星放送は一チャンネルによりまして、総合テレビの番組を中心にいたしまして試験放送を実施しておるという状況でございます。当面これによりまして離島の小笠原、それから南大東の約千六百世帯につきましては、一応難視解消という面に寄与しておると思っておりますけれども、そのほかの全国に散在いたします難視地域に対しましても、やはり実質的な意味での解消に寄与していきたいというふうに考えております。  今後、衛星による難視解消を進めるに当たりまして、我々といたしましては、さしあたりは宇宙開発事業団によります秋に予定されております現在の故障中継器の修復措置、それの成功を期待いたしまして、それによりまして二チャンネルの確保をできればということを強く期待しておるわけでございます。さらには、来年打ち上げが予定されております予備衛星BS2bの打ち上げによりまして、早期に安定かつ確実な二チャンネル放送ができるように、我々としても全力を尽くしていきたいというふうに考えております。  一方、電波によりますサービスが衛星によりまして全国に届きましても、やはり受信者の方にとりましては、受信機のコストという問題がいろいろ問題があるようでございます。したがいまして、コストダウンのために我々といたしましても、新技術を入れまして研究開発の推進ということを当然やっていきますけれども、またそのほか番組編成上の工夫もいろいろ行いまして、受信機の普及を促進させまして、今先生お話しになりました五年間で五十万台以上というようなこともございます、そういった量産効果によります受信機のコストダウン、それも図るように努力してまいりたいと考えております。また、衛星の受信をこれからなさろうという方に対しましてはグループ受信といった、そういった安く衛星受信を受けるような、受信技術指導というものを行って、受信者の負担をできるだけ軽減するというような努力もしてまいりたいと思っております。
  56. 片山甚市

    ○片山甚市君 私は、放送衛星が始まるときから、難視聴解消のためにはこれが最もいいもので、安くつくと言ったのが、四百億円捨ててもなお解消ができない。それを見よう、聞こうとすれば四十万円ほど金出さなきゃならぬ。僻地だとか、いわゆる離島というところにおいては、NHKにしたら四十万や五十万の金はどこからでも出てくるかもわかりませんが、大変大枚のお金であります。それについて、郵政省についてもこれを認める以上、これに対する具体的な、予算的な、補助的な措置をとってもらいたいと言いましたけれども、税金の問題等の若干の物品税みたいな話しかできませんでした。  そこで、放送衛星打ち上げの最大のメリットが四十二万世帯――昭和五十八年度末ですが、難視聴解消が一挙にできるということであったんですが、これが小笠原諸島や大東島など、離島千六百世帯のうち千二百世帯ぐらいがこれを受けておるようであります。他の四十万の難視聴世帯についての改善について、bが打ち上げられるまでは手当てをすることができないのかどうか、さらにもう一度念を押して、先ほどのお答えがありますけど、聞きます。お金を捨てたと同じようになりますから、お答えください。
  57. 矢橋幸一

    参考人(矢橋幸一君) 確かに離島につきましては今お話がありましたように、千二百世帯が具体的に一チャンネルでございますけれども衛星から受信しているという状況でございますけれども、あとにつきましては、やはり今私が申し上げましたように、受信機のコストダウンをこれからいろいろな形で図っていきながら、しかも番組編成上の工夫を行って受信機の普及というものを図って、そしてなおかつ受信者に対しましてはグループ受信によりまして少しでも安く衛星受信ができるような、そういった受信の技術指導を行っていきたいというふうに考えております。
  58. 片山甚市

    ○片山甚市君 納得できませんから、私の意見を述べます。  四十二万の難視聴世帯の解消を地上施設で行うと膨大な経費がかかり、それよりも安いと言った放送衛星経費でも、NHKの負担としては約四百億円かかっているのであります。受信料です。決して安いものではありません。本放送開始を見込んでの昭和五十九年度増収分は幾らぐらいであったのか。金が一銭も入らなくなりました。また、本放送から試験放送になったため、受信料が徴収できない。先ほど言ったように、千六百世帯のうち千二百世帯ぐらいが今見ておる。それはお金が要るからです。今までのテレビを見ると言えばもっと安くつくんですが、できません。難視聴世帯四十二万、打ち上げによって徴収の見込める分は千二百世帯では、余りにも少な過ぎるというふうに思います。私たちはそういう意味で四十二万の難視聴解消ということについては詭弁になったのではないか。ごくわずかばかりの難視聴世帯のために多額の経費を、総額で言うと六百十億円、うちNHKが先ほど言ったように三百六十億円、国が二百六十億円ですから、我々は国会でお決めさしていただいたんですから、宇宙開発事業団も故障の究明を図って、そして今我々が予定をしておるNHKの聴取料のお金が取れる――試験じゃなくて、お金が取れるようにしてもらわないと、次に早くまた財政的困難が出てくると、こういうことでありましょうから、お互いに頑張ってもらいたい。  最後に郵政大臣、私はいろいろ言いましたけれども、来年の八月までの間にゆり二号bを打ち上げられるように全機関を動員して努力していただけるかどうか、決意を述べていただきたい。  終わります。
  59. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 目下関係機関、特に事業団を中心に原因究明に全力を挙げておるところでございます。先生も御指摘のように、本委員会でも御質疑でお答えいたしましたけども、まず原因究明が第一でございます。そして、御指摘のように来年の八月打ち上げ予定をいたしておりますBS2bに関しましても、そのような方向でいけばいいと思っております。  ただ、何せことしじゅうの原因究明がその前提になりますものですから、そういった意味において、今回のBS2aのこういった事故解明というものに関係当局に全力を挙げていただきたいというところを特に指示しておるところでございます。  やはりこの2aの損害と申しますか、こういった形がNHKの、保険もかかっていなかったというような関係もございまして、一方的に大きな負担を担いだと、しかもその結果が視聴者の大きな期待を裏切ったという形についてはともども責任を感じてるところでございますけれども、まあ、できるだけ原因究明の結果をまって、次回の2bでは万全の形で成功開発を期したいと思っておるわけでございます。
  60. 服部信吾

    服部信吾君 それでは、五十六年度決算についてお伺いいたします。  五十六年度決算内容を見てみますと、事業収入二千八百二十四億円、事業支出二千六百七十二億円となっておりますけれども、この事業収支差金百五十二億円であり、当初見込み百十一億円を四十一億円も上回っているわけでありますけれども、結果的に言うなら五十六年度の経営は黒字、こういうことになるわけですけれども、これは反面当初見込みがちょっと甘過ぎたとも言えるわけでありますけれども、この点についてはどのようにお考えでありますか。  また、事業収支について言えば、予算に比較して六億円の減となっており、特に受信料収入が当初予算に比較して三十三億円、一・二%の減となっていることはちょっと気がかりなんですけれども、その辺の理由はどのようにお考えなのか、まずお伺いしておきます。
  61. 渡辺伸一

    参考人渡辺伸一君) お答えいたします。  五十六年度収支につきましては、最終的には改善されたが当初予算の見込みが甘いのではないかという御指摘でございます。  五十六年度は五十五年に始まりました三カ年計画の二年目でございまして、とにかく三カ年計画では当初の計画を下回るようなことのないようにということで終始努力をしているわけでございますけれども予算といたしましては、やはり収入についてはかたいところの収入予算を見たい。支出につきましても、やはり支出の増高を見込まれるものにつきましては、それは圧縮いたしましても一応備えておかなきゃならぬ。収入はできるだけかたく、支出はやはり考えられるものは一応考えておかなきゃならないというふうな趣旨がございまして、物価事情等を可能な限り資料を集めて組んだわけでございます。先ほど申し上げましたように、五十六年度収支改善されました要因の中には、もちろん私ども節減にこれ努めていった結果もございますけれども、やはり物価事情に助けられたところもあるわけでございまして、そういうものが一つ一つの事業計画の中に確実にこれを残していったというところに支出圧縮のかなりの部分があるわけでございます。  それから、予備費の使用も、幸いに災害等に充てる経費が少なくて済んだというようなことに支えられて、全体として事業支出は四十四億から四十五億になりましたが、支出率から申しますと一・六%程度のものであったということでございますので、予算の立て方が甘いということでございますけれども、私どもとしては予算はそれなりの見込みの上で立てたのであるというふうに思っているわけでございます。  それから、収入、特に受信料でございますけれども収入全体としましては予算に対して六億円程度の減収にとまったわけでございますが、その中で受信料は確かに三十億を超える減収でございました。これは何に起因するかといいますと、五十六年度予算がスタートしますときに見込んでおりました前年度、つまり五十五年度受信契約者の伸びでございますけれども、それが予定に達しなかったということと、五十六年度中にまた予定をいたしましたものが若干下回らざるを得なかったという事情でございます。これは、五十五年度受信契約者の見込みにつきましては、五十五年度が値上げをさしていただいた事情もございますので、かなり収入としては目いっぱい見たわけでございますけれども、残念ながら五十五年度の値上げの影響なしとせず、若干見込みよりも下回ってしまったという実情でございます。もちろん、受信契約者につきましては、受信料収入確保でございますので、できるだけ見込めるものは多く見ていくということでございまして、残念ながらそういう結果になったということでございますけれども、五十七年度、五十八年度にそれを挽回すべくまた営業全般の施策を強化しているところでございます。
  62. 服部信吾

    服部信吾君 増収の中で雑収入や副次収入の増収ということもありますけれども、これもう少し具体的に御答弁願いたいと思います。  それから、事業収支の好転の一つとして支出の抑制が挙げられておりますけれども、この辺についてももう少し具体的に節減内容についてお伺いしたいと思います。
  63. 渡辺伸一

    参考人渡辺伸一君) お答えいたします。  収入のところで若干詳しく御説明いたしますが、収入の中で、受信契約者による受信料収入、これが収入の九八%ぐらい占めているわけですが、それはただいま申し上げました受信契約者との連携において若干下回らざるを得なかったということでございますが、その他の収入では増収を図ったわけですが、項目としてはまず受信料収入を前払いしていただきますと、これは私どもに一年間あるいは半年の受信料が前もって入るわけでございますが、これをいろいろな形で運用して少しでも収入を助けるということをいたしているわけですが、その関係でまいります運用の仕方、工夫によりましてこの収入を回復していったというのがこの年度でございますと十四億ほど予定よりも上回っているわけでございます。  それから副次収入でございます。副次収入につきましては、この年度に九億二千三百万見たわけでございますが、結果的には番組の二次使用あるいは技術協力等に成果が上がりまして、それが十三億という結果に終わっておるわけでございまして、四億ほど増収になっているわけでございます。  それから社宅等で現在は住居としてはふさわしくない土地柄がございますが、そういうものの老朽社宅はこれを売却いたしまして、必要な場合には多少遠くとも郊外に家を建てるということをやっておりますけれども、その老朽社宅の売却というのも、この年度がなり予算よりも前進をしておりまして、ここでも三億ぐらいのものが増収になっているわけでございます。  そういうことで副次収入その他の収入受信料の減収を助けたということでございます。  それから支出の抑制、先ほど申し上げました物価等事情のほかに節約というのがございますが、どういうものがあるのかと申し上げますと、このNHK五十五年度の料金を決定していただきます場合でも、三年間にかなりの節減を見込んでございますので、それを上回る節減というのはなかなか難しいところでございます。  今から申し上げますのはかなり細かいことでございますけれども、大筋の節減は既に料金計算の中に入れてあるという前提で申し上げますと、大きく分けまして技術系統の節約というところで申し上げますと、全国にかなり多くの中継局がございますけれども、真空管を固体化していくということになりますと電力料が大幅に節約できるわけでございまして、これを積極的に取り入れていったというのがございます。  それから、番組制作に欠かせないVTRでございますが、このVTRのヘッドの修理費を節約するのにいろいろとヘッド機構の改良を行うというような、まことに細かいことでございますが、数が多いものでございますから、これもかなりのまとまった金額で効いてくるというわけでございます。  それから、局舎の点検でございますが、これにつきましても、日常小まめにやることによって大きな補修を抑制をするというようなこと、あるいはサービスカーで受信改善のお手伝いをしているわけでございますが、これを効率よく日程を組みまして全国を回らせるというようなこと、それから受託者研修的なことをやっておりますが、これも行程をうまく組んで日程を圧縮して効果を上げようというような努力をいたしたわけでございます。さらには受信料の口座振替の利用促進によりまして経費効率を高める。あるいはまことに細かいことでございますけれども、器具、什器のたぐいにつきましては、かなりぼろになるまで取りかえないというようなこと、まことに細かいところまで隅々やって実質浮かしているというようなことでございます。  以上でございます。
  64. 服部信吾

    服部信吾君 次に、営業実績についてお伺いいたします。  受信契約年度増加目標件数としてカラー契約の増が六十万件、それから普通契約の減が五万件、合計として五十五万件を見込んでいましたけれども、その実績はどのようになっておりますか。
  65. 林乙也

    参考人(林乙也君) お答え申し上げます。  五十六年度におきます契約、収納関係の目標に対します実績でございますけれども年度契約といたしましては五十五万件の増加を予定いたしたわけでございますけれども、実績におきましては五十一万五千件の増加にとどまっておるということでございます。  ただ、その内容でございますけれども、カラー契約と普通契約という点で見ますと、カラー契約につきましては六十万件の増加に対しまして六十万九千件の増加というような形で九千件上回っております。一方、普通契約につきましては、この点につきましては普通契約からカラー契約への移行ということで、当初から五万件の減少ということを予定いたしたわけでございますけれども、予定いたしました以上に普通契約からカラー契約への移行が進んだという事情がございまして、九万四千件の減少になっておるわけでございます。したがいまして、カラー契約の増の六十万九千件と、それから普通契約の減の九万四千件を合わせまして、総数におきまして五十一万五千件の増加という実績になっておるわけでございます。
  66. 服部信吾

    服部信吾君 受信の契約増加実績は予算でもかたく見積もった五十五万件を三万件も下回り、しかも普通からカラーへの移行が多かった。つまりカラー契約の新規契約が少なかったということになるが、これでは営業努力が足りないのではないかと思われますけれども、この点はどうでしょう。
  67. 林乙也

    参考人(林乙也君) お答え申し上げます。  テレビの放送の開始あるいはカラーテレビの普及というようなことで、三十年から四十年代にかけましては、受信機の普及に支えられまして、契約増加も相当数の伸びを示してまいったわけでありますけれども、五十年代に入りまして、受信機の普及につきましては、何といいますか一定の限度に達しておるというようなことから、世帯の契約にほぼ見合う程度の受信契約の普及を見込まざるを得ないというような形で、現在におきましては契約総数に対しまして約一%から二%弱の増加にとどまらざるを得ないというような状況でございます。  そういうような一般的な概況の中で、NHKといたしましては、公共放送事業の運営のために、受信機の設置者からひとしく契約をいただきまして、負担の公平を図っていかなければならぬというようなことで、懸命に努力をいたしておるところでございます。  一方におきまして、社会経済状況の変化、特に生活態様等の面におきまして、独身世帯が世帯の増加の中で多くを占めるとか、あるいは核家族化というような状況の中で、世帯増に見合う契約増加確保することが、営業をめぐる環境の中で大変難しくなっておるということは言えようかというように思います。  そういった中で、ただいま、先生の御指摘のように、私どもの営業の担当の者といたしましても、やはり解決すべき、なお努力すべき課題は数多く抱えておるというふうに考えておりまして、この点につきましても、昨年、五十八年の十二月でございますけれども、新たに営業体制というものを再編成いたしまして、特に夜間あるいは日曜への労力の投入というようなことを図るなど、努力をいたしておるわけでございますけれども、今後ともさらに公平負担の徹底のために最善を尽くしてまいりたいというように考えている次第でございます。
  68. 服部信吾

    服部信吾君 従来からいろいろ指摘されているわけでありますけれども、事業所とかホテル等のいわゆる非世帯の契約開発が大変不十分じゃないか、このように思われておりますけれども、これらについてはどのようになされておりますか、その実績あるいは開発についての対応を伺いたいと思います。
  69. 林乙也

    参考人(林乙也君) 世帯契約と非世帯関係の契約でございますけれども、私どもといたしましても、世帯契約に合わせて事業所等の非世帯関係の契約について、さらに一層の強化を図っていかなければならぬというように現在考えておるわけでございます。  五十六年度におきます状況を若干申しますと、五十六年度におきましては五十五万件の契約増加計画の中におきまして、事業所関係の増加というものを約二万件程度、内部的な計画ではございましたけれども見込んだわけでございます。結果におきましては八万三千件の増加を果たし得たというふうに考えておるわけでございます。ただいまも申しましたように、総数の増加の中におきましての割合でございますから、事業所の増加計画よりも上回ったということで、これを全体として喜べる状況ではございませんけれども、一応そのような計画は果たし得たのではなかろうかというように考えております。  五十六年以降現在までの概況を申しますと、その後は大体七、八万件の事業所関係の増加を果たし得ているというふうに考えておるところでございます。  事業所関係につきましては、やはり私どもが会社等にお伺いいたしましても、立ち入り調査権があるわけではございません。結局は責任者の方々にお会いいたしまして、NHKの意義、趣旨、受信契約の必要性等々につきまして十分お話を申し上げた上で納得をいただいて契約いただかなければならぬわけでございまして、いささかそこらあたりにつきましての、いまひとつ目覚ましい実績が上がらないという点は私どもも課題というふうに考えております。  なお、私どもの営業努力の余地というものもやはり多分に残されておるのだろうというふうに自戒いたしまして努力をいたし、また今後もそれを継続してまいりたいというように考えておるところでございます。
  70. 服部信吾

    服部信吾君 今後の努力をひとつよろしくお願いいたします。  そこで、前納あるいは振替制度の問題についてちょっとお伺いしたいのですけれども、五十六年度の前納、口座振替制度の実績、その目標に対してどのようになっているのか、利用率を含めて、御説明をお願いしたいと思います。
  71. 林乙也

    参考人(林乙也君) 五十六年度におきましては口座振替の目標八十万件でございましたが、実績におきましては九十七万一千件の増加を果たしております。  また前納につきましては五十万件の増加でございましたが、この点につきましては四十六万八千件の増加ということに若干目標を下回ってはおりますけれども、どちらかといいますとそれに近い実績を果たし得たというふうに考えておるところでございます。
  72. 服部信吾

    服部信吾君 電話料金とか電力、ガス、水道料金なども口座振替制度をとっておるわけですけれども、これらと比較してどうですか、この状況は。
  73. 林乙也

    参考人(林乙也君) お答え申し上げます。  御案内のように、五十九年度におきまして口座振替料金という新たな料金制度を設けまして、現金収納の料金に対しまして五十円ほど低料の料金を設定いたしたわけでございます。それまでは口座振替という手続はございましたけれども、料金的に特に差があったわけではございません。  そういうような中で、他の公共事業の料金、例えば電気だとかガス、こういうようなことにつきましては既に七〇%くらいの口座振替のといいますか、口座振り込みの手続によりまして収納を得ているわけでございますけれどもNHKの口座振替の制度につきましては、他の公共事業に比しても早くに実施したにもかかわらず、五十八年度末現在におきましてなお五〇%程度にとどまっておるというようなことでございました。  そういったことから、今後の営業の効果的かつ効率的な業務運営を図っていくためには、どうしても口座振替というものを格段に増加をさせていかなければならぬというようなことを考えまして、五十九年度口座振替料金を設定して現在進めておるところでございます。
  74. 服部信吾

    服部信吾君 そこで、前納制度の数字を見てみますと、五十二年度が一万件減、五十三年度が二十三万件減、五十四年度が二十万件減、五十五年度二十六万件減、五十六年度が三万件減と、大変減があるわけでありますけれども、これについてはどのようにお考えでしょうか。
  75. 林乙也

    参考人(林乙也君) ただいまの御指摘は、前納の増加の実績が目標に対して下回っておるのではないかというような御指摘かというふうに考えております。  確かに、五十年代におきます前納の増加につきましては、計画を下回っておる年度は非常に多いわけでございますけれども、前納の増加と申しますのは、どちらかと言いますと、口座振り込みを利用していただいておる方々がその際に前納制度をあわせて利用するというような形で進捗してまいった経過がございまして、したがいましていわば口座振替と若干連動しておる状況でございます。確かに、五十年代におきましては、実績が目標を下回っておるということはございますけれども、五十九年度現在の状況からいたしますと、この点につきましてはその後の状況、進捗は順調に推移しているというふうに考えておる次第でございます。
  76. 服部信吾

    服部信吾君 先ほどの御答弁の中で、五十九年度から口座割引制度を導入し、訪問集金に比較して、普通、カラー契約とも五十円を割り引いたわけであると。五十円を割り引いた根拠はどういうことでしょうか。
  77. 林乙也

    参考人(林乙也君) お答え申し上げます。  ただいまも申し上げたとおりでございますけれども、現在の営業活動を取り巻く環境につきましては、ますます厳しいものとなってきております状況の中で、口座利用を促進いたしまして受信料収納の安定を図るとともに、要員経費増加を抑制するということが必要と考えて、口座料金の制度を設けたわけでございます。  確かに、コスト的にも現金でお納めいただく場合と、口座を利用していただく場合につきましては、大体私どもとしては一件につき五十四円程度のコスト的な計算の差があるであろうというふうに考えておりますし、またただ単にコストの面だけでなしに収納の安定という点からしますと、現金で収納される方につきましては、どちらかといいますと、不安定と申しますか、ある時期にはお支払いいただいても次の時期には滞る場合があるというふうなことで、不安定な場合が多いわけでございますけれども、口座の利用によりましてはぼ九五%以上につきましては、必ず一定の時期にお支払いいただけるというような収納の安定性ということも期待できるわけでございますし、また集金の取扱者が訪問してお支払いいただいております労力というものを他の分野へ振り向けることができるというような、ただ単にコストの面にあらわれない数々のメリットがあるというふうに考えまして、口座の料金というものを設定し、推進を図っておるところでございます。
  78. 服部信吾

    服部信吾君 五十円ほど割り引くわけですから大変この制度の利用増が期待されるわけでありますけれども、五十九年度の利用増の計画及び五十九年から六十一年度の経営計画期間中における利用増あるいはその利用率等をどのように見込んでいらっしゃいますか、お伺いします。
  79. 林乙也

    参考人(林乙也君) 五十九年度から六十一年度までの経営計画の中におきまして、口座振替の利用増加を三カ年で五百万件というふうに予定いたしておるところでございますし、また五十九年度の一年間におきまして二百五十万件の増加というものを図ってまいりたいというように考えております。その結果、五十八年度におきましては、口座の利用率が年度末におきまして五三%程度というふうに考えておるわけでございますが、この三カ年の五百万の増加が果たされるならば、約六七%の口座の利用率というものが達成できるのではなかろうかというように考えておりますし、そういうような段階におきましては、現在の契約収納の業務の体制というものが従前と違いまして、いわば質的な一つの前進を見ることができる基礎条件というものが得られるのではなかろうかというふうに考えておるところでございます。
  80. 服部信吾

    服部信吾君 五十九年から六十一年の三カ年で約五百万件、そして六十一年度末の利用率をただいまの御答弁では六七%、このように計画しているようでありますけれども、この期間における口座振替と訪問集金の営業コストの差、これをどの程度と見込んでいらっしゃいますか。
  81. 林乙也

    参考人(林乙也君) お答え申し上げます。  この三カ年間におきまして、口座の利用の増加を五百万件を予定いたしたことにつきましては、ただいま御説明申し上げたとおりでございます。それを増加の部分についてだけ申しますと、大体一件について五十四円程度のコストメリットが得られるというふうに考えておるわけでございますので、五十九年度におきましては約十三億円、また六十、六十一年度におきましてもそれぞれ十三億及び八億円の経費節減というのが果たせるというふうに考えておりまして、三カ年を累積的に合計してまいりますならば、それは三十四億円程度のコストメリットが得られるのではなかろうかというように考えておるわけでございます。
  82. 服部信吾

    服部信吾君 収納コストの低減あるいは滞納の抑止の観点から、口座割引制度の導入による口座振替の促進は大変評価されると思います。  NHKとしては、一体この口座振替利用率の最終目標、これをどのくらいに置いておるのか。また、この利用率が高まれば営業コストが低減し、口座料金の一層の割引が今後可能になるんではないのか。五十四円じゃなくて、もう少し割り引きするんじゃないかというような気もするわけでありますけれども、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
  83. 林乙也

    参考人(林乙也君) お答え申し上げます。  この三カ年におきましては五百万件を予定いたしておるわけでございますけれども、その結果が約六七%の利用率ということでございます。恐らく七〇%の利用率のところぐらいまでは比較的私は順調に持っていけるのではなかろうかというように当面の目標と予定いたしておるわけでございますけれども、七〇%の利用率を超えるところあたりからそれ以上の増加につきましては、かなりやはりいろいろな困難性というものも新たに出てくるのではなかろうかというふうに考えておりますし、また口座の利用が進みましたならば、その限りにおいてのコストメリットは得られるわけでございますけれども、逆に残されました二〇%ないし三〇%の受信契約者につきましては、どちらかといいますと、非常に収納の困難な層の受信契約の方々が残るというふうなことも考えられるわけでございます。営業の最終的な課題と申しますのは、負担の公平確保ということでございますので、そういったことを考えましたならば、難しいから取らなくてもいいんだというふうなことでいわば私どもの責任を放棄するというふうなことがあっては決してならないと考えるわけで、どちらかといいますと難しい契約者層に対しましても十分の施策を講じていかなければならぬというふうに考えているわけでございまして、その点を考えますならば現在予定いたしておりますコストメリットというものが今後とも永続して得られるかどうかということについては、いろいろ難しい事情というものも出てくるのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。  現在、私どもといたしましては、高口座利用率時代におきます営業体制というものがどうでなければならぬかということを、改めてこの三カ年の経営計画期間中に十分に考えまして今後に対処してまいりたいというように考えておるところでございます。
  84. 服部信吾

    服部信吾君 そうすると、口座振替の利用率が大体七〇%ぐらいを超えた時点でもう少し割引をふやすか、五十円以上になるのか、こんなように考えてよろしいんですか。
  85. 林乙也

    参考人(林乙也君) ただいまの先生の御指摘を十分念頭に置いて取り組んでまいりたいというふうに考えておりますが、何せ本年度から発足いたしました制度でありますだけに、なお今後の推移というものを十分見きわめなければならないのではなかろうかというふうに考えておりまして、今後の検討課題にさしていただきたいというふうに考えております。
  86. 服部信吾

    服部信吾君 そこで、大体七〇%ぐらいのはかなりお金を取りやすいというのですが、残りの二〇%から三〇%が大変ということだと思いますけれども、五十九年度予算審議でいわゆる特別営業対策員――フクロウ部隊と言うそうでありますけれども、この制度を廃止するとのことでありますけれども、これを廃止する目的、この点について具体的にお伺いしたいんですが。
  87. 林乙也

    参考人(林乙也君) お答え申し上げます。  特別営業対策員と申しますのは、昭和四十五年ごろから急速に増加してまいりました滞納契約者の増加に対しまして、ただいま申しましたように受信料制度の基本を維持する上からも、これにつきまして特別に施策を講じていかなければならぬということで、昭和五十二年にいわば臨時的な特別な措置として設けたものでございます。現在全国に約百九十名の特別営業対策員を配置いたしまして、特に東京、大阪、北海道というような非常に契約状況の困難な地域に特別に配置いたしておるわけでございますが、NHKの嘱託という形の中で、特に休日あるいは夜間に、特に受信料の支払いを滞っておられる方々のところへ直接出向きまして、御理解をいただき収納の改善を図っておるというようなことでございます。おかげさまでそのような措置を講じましてから滞納契約者の増加というものにつきましても一定の歯どめがかかってまいっておりまして、五十五年度以降におきましてはほぼ横ばいといいますか、滞納契約者につきましてはほぼ歯どめをかけ得ておるというふうに考えております。  そこで、私どもといたしましては、ただいま申しましたように口座の利用増加というようなこともあわせまして収納確保とそれから業務の効率的な運営を図っていくという必要があるところから、昨年の十二月に新しい営業体制というものを発足いたさせたところでございます。それにつきましては特に生活態様の変化に対応いたしまして、職員につきましても特に夜間の勤務及び日曜の勤務を正規の勤務時間として割り振っていくというようなことで、私どもの営業体制というものを極力新しく現在の生活態様に合わした形で営業の努力というのを最大限に発揮していかなければならぬというふうに新しい営業体制を発足さしたところでありますが、その際に、この特別営業対策員につきましては本年の九月末をもちまして職員と受託者のいわば営業の基本的な体制の中に引き戻して再構築していくというようなことを計画いたしたわけでございまして、この九月をもちまして特別営業対策員につきましてはその任務を終えるというようなことで考えておるわけでございます。  そして、今後の私ども計画でございますけれども、ただいま申しましたように外務職員というものを特にこういった収納困難受信者の対策に日曜、夜間等に重点的に振り向けるというもののほか、受託者と外務職員の連携というものにつきましても強化しながら、いわば滞納についての発生を未然に防止していくといいますか、やはりきちんきちんとお払いいただく姿というものをあくまでも守っていくという滞納発生の未然防止に力を入れていく、あるいは集金受託者につきましてもいろいろ生活の事情がございましておやめになる方もございますけれども、そういった方がおやめになっても直ちに後の補充ができるような、私どもとしては先行確保受託者と申しておりますけれども、そういうような形で安定的で手厚い収納体制をしいていくというようなことの中で基本的な営業体制の中に取り込み、再構築していきたいというふうに考えておるところでございます。
  88. 服部信吾

    服部信吾君 ことしの九月から新営業体制をつくって未然防止に力を入れる、そういうことでひとつ大いに御努力のほどをお願いいたします。  それから、先ほど大森議員からもお話があったんですけれどもロスオリンピック放送権についてちょっとお伺いしたいんですけれども、まず最初に、大変申しわけないですけれどもジャパンプールというんですかね、NHKと民放の連合組織というようなことでございますけれども、このジャパンプールについて少し御説明をお願いしたいんですが。
  89. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) ジャパンプールの構成はNHKと全民放で構成しております。その役割機能としましては放送権の交渉、    〔委員長退席、理事片山甚市君着席〕 それから共同制作ということでございます。それから、経費とか要員等につきましても双方で分担をするのだということを決めてございます。  今度のロサンゼルスオリンピックの場合で申し上げますと、放送権料NHKが八六・七%持ちます、民放が一二・三%持ちます。それから、共同制作派遣要員等につきましては、NHKが五〇%、民放が五〇%ということで負担をする、こういう取り決めをいたしました。これは、モスクワオリンピックの際に、民放が単独局で実施をいたしまして非常に大きな放送権料を払わなければいけないというふうな形ができまして、それを未然に防止し、あわせて日本としての一つの形をつくって放送権料交渉等に当たるべきだというところからスタートしたものでございます。
  90. 服部信吾

    服部信吾君 このジャパンプール方式というんですか、NHKと民放連との共同でやるということで、今までかなりいろいろな東京でオリンピックも行われましたし、メキシコ、ミュンヘン、モントリオール、モスクワロサンゼルス、こういろいろあるわけですけれどもジャパンプール、いわゆるこういうような方式をとられたのはいつごろからなんですか、これは。
  91. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) オリンピックというのはいつの年も非常に高い放送権料の要求がございます。モントリオールのときにはこれは民放、NHKが共同して当たりまして非常に妥当な金額で妥結をしたわけでございますけれどもモスクワのときは先ほど申し上げましたように、一局の独占によるために非常に高騰したという事例がございます。  そこで、今回のロサンゼルスオリンピック放送契約に当たりましては、ジャパンプールを組織してNHK、民放が一緒になって共同して契約に当たろうというふうなことでございまして、この共同交渉を行いましたのは、五十五年の十一月、これを第一回といたしまして以後五回にわたってジャパンプールとしての交渉を持っております。当初、先方からは四千三百万ドルという非常に高い放送権料の要求がございましたけれども、五回の交渉の結果千六百五十万ドル、ほかに技術提供料とサービス料が二百万ドル、合計総額一千八百五十万ドルということで妥結をいたしましたのはこのジャパンプールの結成の成果であろうかというふうに思っております。
  92. 服部信吾

    服部信吾君 そうなりますと、このモントリオールのときはジャパンプールというのはなかったんですか。それと、モスクワオリンピックのときは単独で民放がやったということなんですけれども、そのときでも一緒になってこういう体制でやるべきじゃなかったかと思うんですが、この点はどうですか。
  93. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) モントリオールのときも、先ほど申し上げましたように、モントリオール方式というジャパンプールの形をとって交渉いたしました。それでソ連の、モスクワの場合も、そのような交渉をしようというふうなことのやさきに、一局が独占単独契約をしてしまうということが起こったわけでございます。当初私どもも、モスクワについてもモントリオールの方式をそのまま使って交渉をしたいというふうに思っておりましたけれども、独占的な動きがございまして、その結果、放送料の高騰をさらに招いたということでございます。その結果で、さらにモントリオール方式にのっとってジャパンプールを結成し、今度は、今回の交渉の中で起きましたいろんな条件を加えてロサンゼルス方式というふうに呼びまして、このジャパン・ブールの形式をさらに存続さしていきたいというふうになっております。
  94. 服部信吾

    服部信吾君 そうなりますと、今後、四年後韓国だとか、これから冬季のカルガリ・オリンピックとか、こういうのはみんなこういう形式でやっていきたいと、こういうことですか。
  95. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) 冬季オリンピックにつきましては、NHKと民放の間に考え方の差がございまして、これは特別にジャパンプールを結成するということはしておりません。夏季のオリンピックにつきましては、次回の予定されておりますソウル・オリンピックから同じような形で実行していきたいというふうに思っております。    〔理事片山甚市君退席、委員長着席〕
  96. 服部信吾

    服部信吾君 このジャパンプール――共同方式ということなんでしょうけれども、その出資の割合、NHKが八七%で民放が二二%、今回はそうですけれども、これはどういう形でこのようなことを決められたんですか。
  97. 田中武志

    参考人(田中武志君) お答え申し上げます。  今川口の方で申しましたように、このジャパンプールの分担比率につきましては、私どもと民放の方といろいろ長い間話し合ってきたわけでありますけれども、一応今までNHKが過去のミュンヘンその他につきましては、大部分の放送権をとりまして、その中から民放の中でぜひ欲しいという方がありましたらお分けしておったという実績がございまして、その後、メキシコ、その他、モントリオールというふうに続いてきたわけでございます。その辺の平均値をとりまして大体分担いたしましたのが、先ほど川口が申し上げましたように、今回ロスでありましたようなNHKが八六・七%、それから民放が一三・三%ということで、それは過去のそういった分担の比率を平均してやってきたわけでございます。
  98. 服部信吾

    服部信吾君 一千八百五十万ドルの内訳として施設使用料が二百万ドル、これはNHKが負担、残りの千六百五十万ドルについてはNHKが八六・七%、約一千四百三十万ドル、民放連としては一二・三%、わずかの二百二十万ドル、こういう割合で分担をしている。あと衛星使用等共同施策についてはNHKと民放連で折半をすると、こういうことですけれども、ちょっと放送番組あるいは計画、そういう内容を見てみますと、民放においてもいい時間に、かなり有利になっているのじゃないかということで、少しNHKの払い過ぎじゃないかというような気もするんですけれども、この点はどうですか。
  99. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) オリンピック放送の編成につきましては非常に苦慮したところでありますけれどもNHK、民放連と詳細な打ち合わせを何回もやりまして、結局八つの種目に限っていわゆるゴールデンアワーを使って各局が二種目ずつ放送をする、このときはほかの局は一切オリンピック放送をしないということを条件にして全体の放送計画ができ上がったものでございます。したがいまして、このゴールデンアワーについての八種目は、NHKはその時間には放送できないということでございますので、九時十分からその種目を基本にして放送するということで、準ゴールデンアワーといいますかの時間では十分放送できるというふうな形をとりました。
  100. 服部信吾

    服部信吾君 そこで、先ほどもちょっと御質問があったんですけれども、今回ソ連ボイコットすると。前回がアメリカ――日本ボイコットしたんですけれども、当然その中で、いわゆるボイコット条項というのですか、そういうものが入っていていいんじゃないかと、当然普通の常識的に言うと、前回のモスクワオリンピックではアメリカボイコットしたと。これはアフガニスタン侵入、いろいろ理由があったと思いますけれども、当然この期間ずっとこういう問題について、やはり今回は何となくソ連が参加しないんじゃないかというあれはかなり論議されたと思うんですけれども、当然このような条項をやはり入れるべきじゃなかったのか。と同時に、アメリカが主催国だからアメリカだけ入れたんだと、こういうことですけれども日本としてもこういうようなものの条項は入れるべきじゃなかったかと、このように思うんですけれども、この点はどうでしょうか。
  101. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) アメリカのABCがそのような条項を入れたことの中には、単にボイコットによる結果についてだけじゃなくて、例えば保安上の問題、今非常に世界情勢厳しゅうございますから、そういう世界的な大会があった場合に、何か保安上の問題が起こってできなくなった場合というふうなことが考えられる、そういう場合にどのような対策をとるか、ホスト放送局としてはそういう問題についてはその際に改めて協議をしようと、こういう契約であるというふうに聞いております。
  102. 服部信吾

    服部信吾君 そうなりますと、主催国がそういういろいろの保安の問題でこういう問題を入れたと。そうなりますと、じゃ、例えば今度四年後の韓国の場合、これはやっぱりアメリカも当然今度入らなくなると。韓国が主催国としてこういう保険と申しますか、こういう条項を入れるということで、日本としてはこれからオリンピックなり、こういう大きなあれがあるときにずっとこれは入れないんだと、こういうお考えでよろしいわけですか。
  103. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) 本来、オリンピックというものは、平和なときに世界の若者が集まって、いわば平和の祭典として行うべきものであろうかと思うんです。ところが、残念ながらこのような形で、オリンピックにもいろんな変化が起こってまいりました。当然この後、ソウル・オリンピック以降は新たな事態が起こってくるということはもう十分に想像できるわけです。恐らく、今度のロサンゼルスオリンピックが終わりましたら国際オリンピック委員会でも何らかの形が打ち出されるであろうというふうに思っておりますけれども、今後のオリンピックに対しては放送はどう対応すべきか、これについては改めてきちんと検討をし、考え直しをやると、そして、先ほど申し上げました民放連、NHK一緒になったジャパンプールというものを基本にしながら、新たな事態に備えていろんな契約条項等を交渉していこうというふうに思っております。
  104. 服部信吾

    服部信吾君 そういうことでひとつお願いしたいと思います。  このオリンピック放送権料の数字を見てみますと、一九六四年、東京でやった場合、五十万ドル、一億八千万、メキシコの場合は六十万ドル、二億一千万、ミュンヘンでは百万ドル、三億六千万、モントリオールが百三十万ドル、三億九千万モスクワの場合は不明だということですけれどもロサンゼルスの場合は一千八百五十万ドル、四十三億ということで、これはえらくけた違いに多くなってきているわけでありますけれども、このオリンピック放送権料のこういう値上がりといいますか、今後こういう形で推移していくのか、この点についての御見解を、ひとつNHK会長からお伺いしたいと思います。
  105. 田中武志

    参考人(田中武志君) 副会長の田中でございます。  今先生おっしゃったように、オリンピック放送権料高騰については各国とも非常に困っているわけでございます。また一方、オリンピックを開催する国あるいは国際オリンピック委員会等では、ますます経費のかかるところをこの放送権料に依存するという傾向が非常に高まっているわけでございます。  そういった中で、先ほどから言っておりますように、私ども、今後はNHKと民放が一緒になって、日本が一体になってジャパンプールを構成して、できるだけ競争をしないで安く権料をとろうということを考えておりますけれども、さらにこういった問題は、今御指摘のように、今後ともますます権料の高騰というものが予想されますので、現在私どもとしましては、ABUその他各地域の放送連合がございますので、そういった中で、一国だけではなくて、それぞれの国が共同交渉の機関を持ちまして、できるだけ放送権料の高騰にならないように、できるだけ低く権料がなるようにというようなことで具体的に動いていこうというようなことも考えておりまして、今後いろんな手だてを講じながら、こういった高騰の問題については検討すべき課題だというふうに思っております。
  106. 服部信吾

    服部信吾君 当然、このオリンピック期間中は七月二十九日から八月の十二日と、また高校野球も八月四日から始まると。とにかく、先ほどお話がありましたように、スポーツスポーツということで、暑い夏ですから、そういう面からいえば非常に私はいいと思います。  それで、一つだけちょっと会長にお伺いしたいんですけれども高校野球放送についてなんですけれども、最近はかなり地方の放送局でも、要するに、高校野球の予選の一回戦からやっていると。これは確かに競技人口というものも野球というのは多いし、また、みんなが楽しんで地域代表を見ている。それはわかりますけれども、野球だけじゃなくて、剣道だとかあるいはボクシングだとかバレーだとか、私もボクシングをやっていたんですけれども、いろいろたくさんのスポーツがあるわけです。そして、そういう違ったスポーツをやっている方は、余り放送してくれないと、決勝戦すらやってくれないと、そういうことになりまして――私は野球が大好きですから見ておりますけれども、しかし、やる側も、高校生、青少年、いろんなスポーツがあってやっていて、何で野球だけ放送するのか、自分たちの運動ももう少しやってもらいたいんじゃないか、青少年育成から見ればそういう観点があると思うんですね。だから、何となくみんなほかのスポーツをやめて野球だけというふうになっちゃう面もあるかもしれませんけれども、こういう観点について会長はどのようにお考えでしょうか。
  107. 川原正人

    参考人川原正人君) 御指摘のように、私どもが実際に取り上げている時間の量からまいりますと、高校生のスポーツの中では野球に割いている時間は非常に長いということはそのとおりでございます。もちろん、それ以外のいろんなスポーツも実際に学校で盛んにやっておられますし、全国的なインターハイといいますか、そういう大会もございますので、バランスの問題はあると思いますが、できるだけそういうものは私どももいろんな形で取り上げていきたいと思っております。  ただ一点、これはどういうんでしょうか。日本人の野球好きといいますか、とにかく、視聴者の方が非常にこの野球――プロ野球もそうですけれども、特に高校野球に対する期待が非常に高いので、私どもはある程度セーブもするんですけれども、逆に、取り上げませんと、なぜやらぬかと言って大変な苦情も来るという、その中でできるだけ今後そのバランスを失しないように考えていきたいというふうに思っております。
  108. 服部信吾

    服部信吾君 そういうことで、ひとつ、青少年対策のために大いにスポーツの振興はいいことだと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  最後に、先般も新聞でも報道されたんですけれどもNHKの津放送局で「集金手数料水増し」と、こういうようなことで新聞記事が出ておったわけでありますけれども、この問題について、NHKとしてはどのような対応を行ったんですか。
  109. 林乙也

    参考人(林乙也君) お答え申し上げます。  先日寸一部の新聞におきまして、津放送局におきます受信料契約及び滞納契約者の取り扱いの点につきまして報道されたのでございますが、現在、全国におきましては滞納契約者約九十八万程度あるわけでございますけれども、これに対しまして、年間で延べ三百五十万回を超える訪問あるいは文書による対策を重ねておるところでございまして、津放送局におきましても、このような全国的な措置の中で対処いたしておるところでございます。滞納契約者につきましてはこのように文書あるいは訪問によって滞納の解決というものを図ってまいるわけでございますけれども、非常に広範な地域におきます滞納契約者の外務職員による訪問というものは、そうそうたびたびというわけにはまいりませんで、やはりある程度の期間を置いてお伺いするということにならざるを得ないわけでございます。  そういった際に、現にお伺いいたしました際に、滞納契約者の中におきましては、居住が必ずしもはっきり確認できないといいますか、既にそこにお住まいなのかどうかということすら確認できないような滞納契約者もあるわけでございまして、そういった外務職員の対応の中で、居住不明というような形で滞納契約のリストから削除するというふうなことも私どもとしてはかなりやっておるところでございます。  その件につきまして、現にそこに住んでおる者がいるじゃないかというふうな新聞での報道でございました。  私どもといたしましても、改めてそれらの点について調査をいたしておるところでございまして、一度リストからは外したとはいえ、現に引き続いてそこに居住されておられることが改めて確認されれば、従前から引き続いての受信料も含めまして請求をしていくという措置を講ずるわけでございます。そういうような形で事務的な点についての外務職員の確認が必ずしも十分でなかったというようなことはあろうかとは思いますけれども、この点については、事務の手続の点について整備をするというふうなことも含めまして対処してまいりたいというふうに考えておるところでございます。  また、いま一つは委託集金の取り次ぎについて契約を取り次いだもの、外務職員が契約を取り次いだものを委託集金人の取り次ぎにしたというふうなこともあるわけでございます。報道されたわけでございますけれども、この点につきましても、外務職員は集金受託者の面倒を見るというふうな中で業績を確保すべく努力しておるわけでございます。そういった中で、集金受託者からしますと、受託者に先駆けて外務職員が自分たちの畑を荒らすといいますか、先駆けて契約をとってしまうというふうな、職場におきましてありがちなそういった気持ちというものも、外務職員の側からしますと配慮するというようなこともございまして、自分が契約を取り次いだものであるけれども受託者の成績に回してもいいよというふうな形でありましたものが、おかしいじゃないかというふうな報道ではなかったかというふうに考えておるわけでございます。  私どもといたしましては、そこらあたりの扱いについては、職場の心理からいたしますと、十分理解できる点もあるわけでございますけれども、事務的に問題がないわけではございません。  いずれにいたしましても、両案件を通じまして、こういったことを教訓にしながら事務の適正化に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  110. 服部信吾

    服部信吾君 時間がありませんので最後に要望しておきますけれども、こういうようなことが起きますと、国民側としても、受信料を払っている方にいたしても大変いろいろショックな事件であると思います。そういうことで、会計検査院の方もただいま調査中と、そういうことでありますので、このようなことのないようにひとつ要望しておきます。
  111. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 それでは、最初にゆり二号の故障問題について質問をいたします。  先日の当委員会でこの問題を取り上げた際にも指摘をしたところでありますが、日本側からの性能確認試験や耐久試験に対する立ち会いはほとんどやられず、最終組み立て後の熱真空試験にもGE駐在の事業団一名のみという全く不備な体制であったということが答弁によって明らかになったわけでありますが、いわばメーカー側から提出されたデータだけを見て信用するというものであったわけです。  そこで、もう一度尋ねますが、こういう事態がなぜ生まれたのか。メーカー、GE側に立ち会いを拒否をされたのか。事業団とGEとの間には各試験の立ち会いに関して協定が、取り決めがなされてあるに違いないと思うんでありますけれども、当然事業団、もちろん機構もNHKも立ち会いが認められているような、そういう取り決めになっているのが常識だというふうに私は思うんですが、この点どうでしょう、事業団。
  112. 船川謙司

    参考人船川謙司君) 先生の御質問の件でございますが、事業団と東芝との間の契約及び東芝とGEとの間の契約に基づきまして、BS2aの性能確認試験に事業団が立ち会うことは認められております。また、事業団と機構との契約によりまして、機構及びNHKが事業団と一緒にこういう試験に立ち会うことも認められております。
  113. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 契約上そういう立ち会いは認められておった、こういうことでありますから、一方日本で独自にその種の試験はやれない、こういうことであった以上、その信頼性を確保する十分な体制をもってそれに立ち会っておったかどうか。ところが実際はなっていない。  そこでNHKにお尋ねをしますけれども、もう多くの方が触れておられますように、三百六十億円以上の莫大な費用を投じて、高い金を払っているわけでありますから、発注者、最終発注者としての責任というものが当然国民に対してある。こうした点で衛星の信頼性を十分確認する必要があったわけでありますけれども、ところがトムソン社での進行波管の性能試験、耐久試験、これに立ち会っていないじゃないか。それだけじゃない。最終組み立て試験のGE社でやったこの試験についても立ち会っていない。NHKには技術者が相当数おるはずであります。なぜそういうことになっておったのかその理由、そして今にして思えば反省すべき点を感じておられるのかどうか。今後次のゆり二号b、これについてはそういう発注者責任としてのNHKという立場から見て、この各種試験の立ち会いの問題についてNHKとしてはどう考えるのか、こういった点お尋ねします。
  114. 矢橋幸一

    参考人(矢橋幸一君) BS2の開発といいますか、製作設計につきましては、これは宇宙開発事業団NHKの委託を受けましてメーカーに発注を行ったということでございます。NHKとしては利用者でございまして、事業団が実施いたします立ち会い検査というものに対しましては今も取り決めの中で立ち会いができますので、必要なものにつきましては通信放送衛星機構とともに米国のGE社において、ゼネラル・エレクトリック社において行われます性能試験あるいは完成試験の審査に五回ほど立ち会っております。それから、もちろん今回の故障につきましては、我々NHKとして、最終ユーザーといたしまして、一チャンネルの放送しかできていないということにつきましては、国民に対して大変申しわけない、かように思っております。そういう意味におきまして、現在宇宙開発事業団に対しまして原因の究明あるいは回復措置あるいはBS2bに対する対策につきまして早急な対策をお願いしているという状況でございます。  あと、今後の立ち会い試験につきましてですけれども、我々といたしましては今後ともオブザーバーといたしまして必要な性能試験には立ち会っていくつもりでございます。ただし、信頼性の確認ということにつきましては大変難しい問題ございまして、衛星の持っている性能をチェックすることはこれはある期間でできますけれども、信頼性を確認するということは大変短い期間では難しゅうございます。信頼性の確認ということは、大変厳しい宇宙環境の中でいわゆる信頼度設計というものをベースにしまして、たくさんある部品を一点一点いろんな状況の試験を行いながらそれを積み重ねて行うものでありまして、立ち会いの試験に行って信頼性がチェック、確認できると、もちろん確認できる部分もございますけれども、完全に確認できるという状態は大変難しゅうございます。したがいまして、我々といたしましては結局その信頼性の確認につきましては信頼性の管理をしっかりしている業者、メーカーに発注していただくように今後とも要望していきたいというふうに思っております。  今回のBS2aの故障につきましても、現在宇宙開発事業団の方で原因究明の対策を行いまして、新たに今先生おっしゃいました熱真空試験のテストもアメリカで今やっておりますけれども、それには我々としては必要であるのでNHKからもこの試験に参加しております。  以上でございます。
  115. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 いろいろ言われましたけれども、今までの反省に立って、今後については、実際に衛星を使って放送をやっていく上で必要な試験については抜かりなくNHKからも立ち会っていく方向でやっていきたいという、大体大筋そういう話ではあったかと思うのですけれども、ただちょっと依然としてひっかかるのは、この信頼性テストの確かな能力を持っておるそういう業者に依存をせざるを得ないとか、こんなような言葉がちょっとあったかと思うんですけれども、しかし、そういうやり方が、事、故障が起こると、今回一体その損害賠償がどうなるのかというこの問題で大いに頭を痛めなくちゃならぬという姿にもなっているわけですよね。  そうした点で、本当に国民に責任を負う、こういう立場から言って、NHKとして、労をいとうことなく、あらゆる方策を尽くして、この国民の税金がむだにならないよう、そういう故障の事前防止のための万策を尽くす、こういう立場でひとつ綿密な今後の方向については考えてもらうということが必要かと思うんですが、会長どうでしょう。
  116. 川原正人

    参考人川原正人君) もちろん、私どもとして、国民に対し、視聴者に対して非常に大きな責任を持っているわけでございますから、そのために十分万全の対応はしてきたつもりでございますけれども、御指摘のように、現実にこういう事態が起きているということにつきましては十分に反省しまして、今後私どもが立ち会うべきものについてはきちんと立ち会うようにいたしていきたいというふうに思います。  しかし、率直に申しまして、それでもこの技術といいますか、機械というものは万が一ということもございますので、やはりそうした場合に、万が一の場合に備えての、なお対応策も今までの協定とかそういうことで十分であったかどうか、これもよく点検をして必要な点がありましたら、これは関係方面に率直にその要請をしてまいりたいというふうに思っております。
  117. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 郵政大臣、さきに大臣の名前で宇宙開発委員会にこの種宇宙開発計画事業についての見直しの提言というか申し入れをされたわけでありますけれども、その改善の具体的な方策について、今回の教訓の上に立ってどういうことを考えておられるのか。事業団は、この間質問をしましたところ、立ち会いなどについては、単数ではなくて今後相当の人数をもって十分目を配っていけるような体制を考えたいということであったわけですけれども、そのことにとどまらず、郵政大臣としてああいう提言をなさったからには、こういう故障防止の方策としてどういう改善をしていこうというふうにお考えなんでしょうか、大臣
  118. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 私から、また要望書の内容についての補足は政府委員からさしたいと思いますけれども、この宇宙開発計画を推進するに当たって、今回の事故に対しては非常に国民の期待を裏切ったこともさることながら、技術的にも政治的にも、私たちも大いに責任を感じておるところでございます。しかし、今後この実利用をする衛星の開発の必要性というものはこれによって消えるものではありません。しかし、実際にこれを使うユーザー側に対してこういった打ち上げ失敗によっての救済的な措置がある程度なければ、今後やっぱり継続してこういった実用衛星の打ち上げという形の事業継続の継続性という点について、私たちは前向きに救済措置を検討する必要があるということがまず第一点。  それで、それに対して、かといって今回の打ち上げ失敗と申しますか、打ち上げのこういった事故究明に関しましては、これはもう徹底的に信頼を確保する、技術的な信頼を確保するまで究明していただきたい、その上に立ってから、次のBS2bのそういった形に対する計画の前提条件としてそういうことをしっかりやってほしいということ。そして問題の経費、このコストの負担軽減、これはもう利用するユーザー側にとってはもう少しでもそういった形にして今後とも全力を挙げて取り組んでほしいということ等々で、いずれにしても、今回のこの事故の、技術信頼を取り戻すためにこういった措置もあわせて今後の打ち上げに当たってはやってほしいということを強く要望したわけでございます。
  119. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 何か補足ありますか。
  120. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 大臣が申されたことに尽きるわけですが、多少その中身を申し上げますと、六月二十七日に郵政省から宇宙開発委員会に見直し要望として出しました中身につきましては、当委員会における諸先生方の御論議なりあるいは御意見を十分参酌をして盛り込んだつもりでございます。  ただいま大臣が申し上げましたように、まず打ち上げ失敗等の場合における担保措置をより強固にするという意味で、救済措置につきまして要望をしております。端的な中身といたしましては、在来は一号機のみについて打ち上げ保険をつけておりましたけれども、二号機についても打ち上げ保険をつけてほしいという内容でございますし、また先ほど大臣が継続性についても言及されましたけれども、これも、万一打ち上げに失敗した場合におきまして利用の継続が断絶することがないように、ただいまのところ射場とかあるいは時期の問題でいろいろな限定がございますが、増回ができるようなことを中長期的に御検討いただきたいということを要望してございます。  さらにまた、先生から御指摘がありました信頼性の確保につきましては、立ち会い検査等十分な性能試験ができるように要望しておりますし、また郵政省といたしましても、事業団初め関係機関に実効の上がる方策を検討してもらって、遺漏のないように期してもらいたいと思っております。
  121. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 そこで最後に、今後の対処の参考に資するためにもう一度お尋ねをしておきたいと思いますけれども、前回の当委員会でのこの衛星問題についての集中審議、これを踏まえて、国内三組織といいますか、事業団、機構、NHK、この間でどういうふうに責任の範囲と区分を取り決めているかということにもかかわって、その内容の骨子について、前向きの資料提出についての対応が進んでいるわけではありますが、こういった故障防止の方策、体制、これをどのようにさらに改善をするかという、こういう問題については、メーカーとの間の関係というのが非常に重大であります。こうした点についてぜひ国会審議にも供して、国会の意見もどんどんと耳を傾けながら、本当に国民に責任を負うような体制、システムをどうつくっていくか、こうした点でぜひ事業団など、メーカーとの協定、契約、こういうものについて進んで国会に対してもひとつ報告をしてもらうということをぜひ検討をしてもらいたいと思います。で、委員長の方でも、ひとつそのことを念頭に置いていただきまして、しかるべき適切な計らいをしていただくようにもお願いをしておきたいということですが、事業団どうでしょうか。
  122. 大澤弘之

    参考人大澤弘之君) 仰せのとおり、私どもの仕事が国民の皆さんに御迷惑をかけるという結果になりますことについては、私ども、まことに申しわけないことでございますし、教訓といたしまして、製造を担当いたしますメーカーとの間でもかねてからも私どもは厳しくいたしておるつもりでございますけれども、なお契約等に関しまして至らぬところがあるならば十分に留意はしてまいりたいと思っておりますが、契約そのものに関しましては、相手が私企業ということもございまして、私どもの責任でやらせていただきたいというふうに思っておる次第でございます。
  123. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 委員長といたしましても、前回の集中審議の際に申し上げましたが、関係機関、組織等が協力し合っていただきまして、新しい時代へのこれはメディアの挑戦でございますから、ぜひ前向きに取り組んで御検討いただきたいことを特段にお願いいたしておきます。
  124. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 それでは次の問題に移ります。  NHKは、経営合理化のために職員の削減や業務の外部委託等を進めてきましたし、今後も一層この方向を強められようとしています。その際に、この合理化が職員並びに委託労働者の労働条件に影響するところが大でありますので、それが一方的な押しつけとならないよう、いわば労使合意を前提に行われるべきことが当然だというふうに思いますが、まずこの点でNHK会長としての基本的な所見をお尋ねしておきます。
  125. 川原正人

    参考人川原正人君) 私どもとしては、こういう新しい技術革新の進展の時代に対処しまして、また国民、視聴者NHKに対する期待も、従前とは違って一層強いもの、また時には厳しいものがあるという事態の中で、私どもの体質をさらに改善して、改革していかなければならぬと考えております。その際に、もちろんNHKに働いておる従業員そのものができるだけ新しい事態を認識して、納得した上で事を進めていきたいと考えております。  ただ、時として、労使間の問題につきましては、やはり経営の判断と労働組合の判断とが食い違うことが間々あるのはこれはどうしてもやむを得ないことかと思いますけれども、私どもとしてもそのような際にはできるだけ私ども気持ちを率直に披露しまして、十分な理解を求めながら事を進めていきたいというふうに考えております。
  126. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 ところで、NHK受信料の徴収を受託者と呼ばれる人たちにゆだねているわけでありますが、その人たちの労働条件は一般の職員に比べても非常に劣悪であります。  ところで、現在受託者の方たちの労働組合が三つに分かれておるというふうに聞きますが、ことしの春闘で賃金が上がった人たちと、話し合いがつかなくて据え置きのままの人たちに分かれ、その賃金差は一万円を超す、こういうふうに言われているわけでありますけれども、ただでさえ低い賃金の人たちの間で、こうした格差というものは一日も早く解消をされる方向で協会としてはまず努力を傾けてもらう必要があるというふうに思いますが、会長どうでしょうか。
  127. 林乙也

    参考人(林乙也君) お答え申し上げます。  受信機の普及が一定の限度に達しまして、今後の飛躍的な契約の望まれない状況のもとで、また生活態様がいろいろ多様化あるいは変化してまいっておりまして、営業をめぐる環境というものが非常に厳しい中におきまして、負担の公平をどのように図っていくかということが私どもに課せられた基本的な課題だというふうに考えております。  そうしたことから、今後の契約、収納業務の基本的な体制は、手続の口座振替というものをさらに増加させていく中で収納を安定させていき、さらにそこによって生まれた余力というものを契約維持増加の方に振り向けていかなければならぬというようなことから、実は五十八年度の当初から集金を委託しております方々と鋭意話を進めてまいり、また職員につきましても、五十八年の十二月から新しい営業体制ということを発足させておるわけでございます。  そこで、委託業務のあり方と処遇体系のあり方について、五十八年度実施を目途に努力しようということで、集金の組合の方々と話をしてまいったわけでございます。その過程の中で、八月に全受労という四百名ばかりの方々の集金受託者の組合が新たに発足されたわけでございますけれども、現在集金受託者の方々は全国で約四千二百名ということになっておりまして、N集労といいますかメジャーの組合が約二千二百名、全受労の方々が四百名というようなことで、組織的に分かれておるわけでございまして、新しい営業体制の発足十二月とあわせて、両組合と業務のあり方と新しい処遇体系のあり方について鋭意折衝をしてまいったわけであります。  私どもといたしましては、一口で言いますと、口座促進によりまして収納率を高いレベルに安定させ、当期発行分の現金領収証を当期中に収納し、新規あるいは転入など未契約開発で収納量をふやし、滞りだとかあるいは収納のおくれのない、いわゆる完納受信者をふやすことによりまして、そういったこととあわせまして、受託者の方々につきましても大きな収入確保するように、お互いに協力してやっていこうではないかということで鋭意話をしてまいったところでございます。
  128. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 ちょっと答弁は簡略にしてください。
  129. 林乙也

    参考人(林乙也君) その過程の中で、十二月におきましては、四百名の全受労の方々を除く他の受託者につきましては話がつきまして、現在九割を超す受信者の受信料委託の方々につきましては新しい体系に移行しておるわけでございますけれども、四百名の方々につきましては私どもの提案につきましてこれを納得せずに、古い体系のままにとどまっておるということでございます。  この四月におきます本年度の報酬の改善の点につきましても、改めて全受労の方々と私どもの考えるところを十分話もしてまいっておるわけでございますけれども、なおその点については決着を見ないままに現在に至っておるというような状況でございます。  私どもといたしましては、今後のこの新しい業務のあり方と体系というものが委託の方々の処遇を改善する上からも必要不可欠であることを十分誠意を持って説明もし、精力的に話し合いをしながら解決を図ってまいりたいというように考えておるところでございます。
  130. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 非常に限られた持ち時間ですから余り長い答弁は避けてほしいと思いますが、紛糾をしておる原因にまで先取りをしていろいろ答弁をされました。  とにかく、私も今話がありました春の賃金引き上げがまだ実施をされていない全受労という組合の代表の方々からきのう陳情を受けました。私の聞いた話では、今御説明の中にもあった委託業務のあり方と処遇体系の改定という当局、協会側の提案、これを受け入れない限り賃上げの交渉はしないと、協会側が交渉拒否をしている、こういうふうに聞いたわけでありますけれども、しかし今後のいわば長期方針といいますか、合理化方針といいますか、それはそれとして、やっぱり賃金引き上げ問題というのはこれは差し迫った生活問題でありますから、それはそれで労働組合はもちろん交渉の要求を切望しているわけだし、協会側としても職場の中に、同じ仕事をしている人たちの中に一万円を超す収入の差が出ておるというこの姿はどうしたって一日も早く解消しなくちゃならぬということで会長に重ねてお尋ねをいたしますけれども、団体交渉というのは一方の側の考え方を押しつけるんじゃなくて、双方がそれぞれの考え方を誠意を持って話し合って、その中で一致点をつくっていく、これが団体交渉というものだというふうに私は思うわけですけれども、そうした立場で問題の解決のためにひとつ一層の協会としては努力をしていただきたいというふうに思いますが、会長の御所見どうでしょうか。
  131. 川原正人

    参考人川原正人君) 私どもとしても問題は早く解決したいと思っているわけでございます。ただ、私どもとしてはやはりこういう受信料の収納につきましてもできるだけ能率のいい仕事をしてまいりたい。そうでないと受信料を払っておられる受信者に対する私どもとしての責任もございます。そういうことでいろいろ新しい対策を考えておりますということが一つと、それから大半の従業員の方が一応新しい体系に納得して仕事をしておられるわけですから、一部の方がそれは納得できないと言っておられても、これはなかなか労働組合といいますか、労働条件の問題というのは非常に解決が難しいわけでございます。やはり私どもとして問題を早く解決したいと思いますけれども、そこは全体の流れの中でぜひ少数の従業員の方も納得をしていただきたい。特に私どもが差別をしているわけではございませんので、その点はひとつ御理解を得たいと思っております。
  132. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 協会側としては問題の解決のための話し合いを拒否しているものではない、考え方を理解はしてほしいけれども拒否をしているものではない、そうしてその早期解決を望んでいる、こういうふうに私は理解をしました。だから、そういう点でぜひ問題の解決に向けてひとつ事を進めてもらうということを重ねて希望しておきたいと思います。  ただ、もう時間ありませんけれども交渉を拒否をするものではない、こういうことでありますから、あえてそれに立ち入るものではありませんけれども、例えば今の処遇体系の改定ということによって現に減収、マイナスになるという人があらわれてくる、この体系を変えることによって。こうなれば紛糾するのはいわば当然ですね。あるいはある組合の役員に対して受け持ち数を半分に減らす、すなわち月収が半分に減るということでありますから、これは労働基準法九十一条でも厳に戒めている月収が半分に減るというようなこういう処置までやるということは、これは当然紛糾するはずであります。ですから、これは地方組織で起こっておる問題でありますけれども、まさか協会の本部がそれを号令をかけてやっておられるというふうに私は思いたくないんですけれども、こうした点でひとつ協会の本部として指導性を発揮して問題の速やかな解決のために努力を傾けていただきたいというふうに最後に希望をしておきますが、どうでしょうか。
  133. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 簡潔に答えてください。
  134. 林乙也

    参考人(林乙也君) ただいまの点についてお答え申し上げたいと思いますが、私どもは委託者の方々の報酬はやはり業績の確保の中でより一層増加することを基本的に願っておるものでございますし、また今回の体系の変更と申しますのは、今までは口座が進みますと収入が落ちるような形のものを、長期的に見て一定の収納率を確保する中で口座料金の利用増の中でも収入が落ちないように配慮していこうというふうに、どちらかといいますと、私どもは委託の方々の収入確保につきましても十分配慮いたしたつもりでございますし、ましてや交渉を拒否しておるというふうなことは決してございません。また、業績の確保のために取り扱いの件数について本人といろいろ話をして、場合によりましては能力を上回るようなそういった大きな件数を扱っておられる方については、やはり減らしていくということの話をさしていただく場合もあろうかと思いますけれども、それはそういうような業績が確保されれば、私どもさらに取り扱いの件数をむしろどちらかといいますと大いにふやしていただきたいというふうな基本的な考え方を持っておるわけでございます。  いずれにしても、私どもといたしましては問題の早期解決のために誠意を持って、また精力的に話を進めてまいりたい、努力を重ねてまいりたいというふうに考えております。     ―――――――――――――
  135. 大木正吾

    委員長大木正吾君) この際、委員異動について報告いたします。  本日、中村鋭一君が委員辞任され、その補欠として山田勇君が選任されました。     ―――――――――――――
  136. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 質問を続けます。
  137. 青島幸男

    ○青島幸男君 五十六年度決算の件でございますけれども、この時期は経済的にも環境が非常に安定しておったということと、NHKの皆さんの大変な努力が実って事業計画のとおりに予算執行されて大過なく決算を終了されたというふうに拝聴しました。金額的なものあるいは詳細なその項目につきましては、今まで同僚議員から詳細かつ丹念な質疑がありましたので、私も大方のことは了解いたしました。計画どおり事が行われましてまずまず大変結構なことでなかったかと、会計検査院の御報告にもあるとおり問題はないということですし、まあ皆さんの御努力を私は大変評価したいと思っております。  さて、その細々した事情は重複を避けますけれども、先ほど会長のお言葉の中に、たしかこの年度だったと思うんですが、羽田沖の航空事故への対応のおくれが何かNHKにかなりその後の対策のありようについて考えさせる事実だったという御発言がありましたけれども、あの対応のおくれは何が原因だったとお考えになっていらっしゃいますか。
  138. 田中武志

    参考人(田中武志君) 当時、私放送局長をやって放送の責任者でありましたので、お答えしたいと思います。  その後、あの羽田事故の問題につきまして部内にきちんとした原因究明の、なぜ我々がおくれたのか、いろいろ検討会を開きまして対策を考えました。  一つは、やはりこういった報道の時代に対応いたしまして早く小型で現場に行ける中継車をつくるべきであろうというふうに思いました。  それからもう一つは、報道の部内体制の中でそういった緊急報道のときにすぐ対応できるような体制をつくるべきであろうというふうに思いまして、この二点から問題を詰めまして現在に至っているわけでありまして、具体的に若干のその成果を申し上げますと、現在、当時に比べましてはるかに小型な、しかも三人ぐらいのメンバーですぐ現場に行けるような中継車をつくって、その後いろいろな事件、事故におきましていろんな成果を上げているのは御承知のとおりかと思います。  それから、部内的な体制につきましても、報道のメンバーとそれから技術のメンバーが一緒になりまして、泊まり勤務もずっと一緒にやりながらすぐ対応できるような形をとりまして、その後いろんな事件、事故がございましたけれども、決して民放におくれをとるような場面は我々の中ではなかったか、大きな事故ではなかったかというふうに思っております。  そういったことで、こういった緊急報道の体制につきましては、この日航の事故を十分な教訓にいたしまして、今後ともさらにそういった意味での体制の強化に努めていきたいというふうに思っているわけでございます。
  139. 青島幸男

    ○青島幸男君 早く確実なニュースを送るということも大変肝心なことだと思いまして、これが一つの教訓になりまして、そういうふうに体制を改められた、あるいは整備されたということは評価したいと思うんです。  それで、その後NHKさんは、報道を伝えるのに現場の記者さんの生の声をそのままなるべくなら伝えるようにしたいというような方針をとっていらっしゃるようですけれども、それは確かに事件のその場にいる人間の臨場感といいますか、その生々しい感激が、その画面をあるいは音声を通じて伝わってくるということは、ただ単に正確にニュース報道するということのほかに、情緒を伝えるということで大変に意識あることだとも思うんです。しかし、それも事によりけりで、どうしても現場にいる人間というのは、現場のその興奮に取り紛れて冷静さを失う。大所高所から見たという立場とニュースの真実性というものを見失うというおそれもありますし、それからもう一つは、その記者さんがいかに冷静に物に対処しようとしても、その場にいる人間にはその場にいる人間なりの努力の範囲を超える心情がありますわね。それが、えてして大所高所から正確に冷静に伝えなきゃならないニュースを誤り伝える、あるいはその人の感情のフィルターを通して受け手に誤解を招くような伝え方になる可能性もあるかもしれない。そういうことも十分配慮してのことだと思うんですけれど、その辺をどういうふうに考えていらっしゃるか、どう対処したらこの二つの相矛盾した事柄を解決していけるかというふうにお考えか、その辺をまずお聞かせいただきたいと思うんですけど。
  140. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) 先生も御承知のように、テレビのニュースというのは、もとはラジオのニュースから派生しております。  昭和二十八年にテレビができたときにやりました形は、字幕、それに写真等を入れてバックにアナウンスをするというふうな形のニュースでございました。それが、機器の発達が進むにつれまして、動く映像を使うというふうな形になり、続いてキャスターによるニュースというふうな形に変化してまいりました。その変化してきた理由は、一つはやはりニュースの伝え方に、テレビはテレビ独自の方法を持つ方が視聴者にとって非常にわかりやすく、かつ迫真力みたいなものがあるというふうなことでございます。  それで、私どもは今、いわゆる現場からの報道というふうなものをどのように伝えるかということで腐心をしておりますけれども、おっしゃるような意味で幾つかの危険性がございます。それは、例えばアナウンスメントがきちんとできるというふうな状況にない場合ですね、現場で今何か起こった、そういうときにいち早くしかも現場からの生々しい報道をやるというときは、やはりその現場のレポーターという者からの報道が一番いいんじゃないかというふうに思っております。  それから、それを分析して、さらにそのことのバックにあるものを解明していくなどの立場から報道する場合は、これはまた別途キャスターなり、あるいはアナウンス原稿なりで読む方がいいというふうなことで、ニュース報道の場合も、単なる形、パターンではなくて、いろんな複雑な要素がございますから、その起こったニュースの事柄、場所、それに事の成り行き等を考えて、例えば、これは現場中継にすると、あるいはこれはアナウンス原稿のニュースにするというふうな判断をしなければいけないというふうに思っております。現在この判断の仕方が問題でありますから、私どもは十分に検討を今続けておりますけれども、幾つかの誤謬もありました。それはもう率直に認めております。今後は、そういうことで、適切な判断でニュースの伝え方を工夫してまいりたいというふうに思っております。
  141. 青島幸男

    ○青島幸男君 それで、私はなぜこんなことを申し上げるかと申しますと、どうもその生々しい現場のリポートというものが優先されがちで、何かこう無味乾燥風に、機械のように正確に読むアナウンサーのアナウンスというものは余り魅力がないんじゃないかとともすれば思われがちだという考え方は、私反対なんです。双方今おっしゃられたように判断があってしかるべきですし、客観的にその背後にあるもの、あるいは正確に伝えなきゃならないことは、きちんとしたアナウンスメントによって機械のように正確な発言で伝えられるということが望ましいことも多々ありますね。ですから、そのバランスというものを重々お考えになって続けていただきたいということをまず要望申し上げたいと、それだけなんですけれども。  それから、たしかこの決算に、今取り上げられてあります年度あたりの予算審議のとき私申し上げたと思うんですけども、例えば外国人の人名なんですけれど、私どもは新聞の字面などで鄧小平というふうな、まあ個人の名前を挙げて失礼かもしれない、要人ですから一向に構いませんと思いますが、そう読むのと、現地でどういう発言をなさるのか、いきなりラジオのニュースなどで現地語で読まれても、すぐぴんとこないですね。ですから、現地語で言うとこうです、日本読みではこうですというふうに並べてお名前を言わなきゃならない煩わしさも避けなきゃならないでしょうし、それからテレビなんかの場面ですと、写真が、肖像が映った下に現地でどう読むか仮名で表音をすると。あるいは新聞などで姓名がこう書かれておりますというようなことを表記しなきゃならないと、そういうようなこと。  これは御本人にとってみると、私がやっぱり中国語読みで私の名前を放送されたとしますと、あれはおれじゃないという気がしますね。「ギョエテとは俺のことかとゲーテ言ひ」なんていう昔の話もありますけども、全く違う読み方で読まれるとどうも本人を取り違える。今でもNHK放送でも、時々解説者はバックと言っているのに、やっぱりあれはバッハだという発言もありますね。混同してどっちかわからないというようなことがありますので、いつかこれは必ず統一したり何かの方途を考えなきゃならないんじゃないかということを、この予算のときに当委員会で申し上げたことがあります。  何ですか、外務省では最近は外国の方々の名前は現地で呼ばれる名前に統一したいというようなことを発表しておられるやに聞きましたけどもNHKとしては、協会としてはこの問題についてはどういうふうに取り組んでいかれるおつもりですか。
  142. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) 今の読み方の問題は、同じ字を使っているというところで、中国、それから韓国、それに朝鮮民主主義人民共和国ですか、というところの人名とか地名の場合に起こっている現象でございます。  私どもは、漢字表記それから日本語読みと、つまり漢字で書いてあるものは日本語の慣習に従って読むというふうなことをやってまいりました。それは長い伝統がございまして、過去の長い歴史の上で、中国の地名、人名は日本語読みにする、あるいは韓国及び北朝鮮の場合も同じように読んでいるというふうなことがございまして、それが定着しているという事実があります。その定着の事実を踏まえませんと、ラジオ、テレビで放送した場合に全くわからないというようなことがあります。私ども日本人の視聴者に主として放送しておりますから、それの理解に一番しやすいような形で放送するということが第一であろうかというふうに思って、今までは漢字表記日本語読みというふうなことをやってまいりました。  ところが、最近に至りまして、例えばアジア大会の場合でございますと北朝鮮の選手は全部ローマ字で登録をすると。したがって、漢字がないわけです。こういう場合だとか、それから非常に早く向こうの読み方で、例えば芸能人の場合でございますけれども、有名になってしまった人がいて、その方の場合は日本語読みするとかえってわからないというふうなことが起こったり、それからまた最近では、外務省の公式な読み方として向こうの読み方を使うというふうなことが起こったりというふうな形になってまいりました。このことについては、時代の変化に伴って当然のことながら、放送の上でも読み方は変わるべきだというふうに思います。ただ、このことについては、先ほどの日本人の間における読み方の定着というのがありますから、十分その辺の動向を見きわめて、適切に処置したいと、前向きの検討を今いたしておるところでございます。
  143. 青島幸男

    ○青島幸男君 それは御苦労はよくわかるんです。同じ文字を使っておりましたり、それから今までの歴史的経緯がありますから、今いきなりあすからそうしようというようなことはとても混乱を招きますので、それは十分に配慮なすって今の御意見に従ってやっていただければそれでよろしいと私も思うんですけれども、いつかは私どもが自然になじんでいって、その現地の呼び方でその人に失礼のないような呼称を大事にするというような形の習慣が身についていくような時期があるかもしれませんね。しかし、それも相当の、今まで歴史的な経緯が長いものですからおいそれというわけにはまいりませんでしょうけれども、それは外国の人に対して現地の呼び名で読まないで、勝手に我々が同じ漢字を使うからといって使っている漢字のように読んで、その人を、たとえどう敬称をつけようとそういう呼び方をするということは、御本人にとってはやっぱり大変失礼なことだと思うんですね。といって、日本視聴者の方々に全くわからないというのでは、ますますこれ、失礼の上に失礼の輪を重ねるようなことになりますので、その辺の配慮は大変難しいと思いますけれども、重々御検討いただきたいと思うんです。  それから、NHKの使命としては正しい日本語をきちっと普及させるということも大事なんでしょうけれども、私は方言が正しくないとは言わないわけですし、方言も尊重しなきゃならない大事な文化の一つだとも思いますけれども、しかし殊さらここで問題にしたいのは敬語なんですね。特に公共放送でありながらこれがいいのかなというのをちょっと散見して疑問に思う点があるんです。  例えば、けさほど某国大統領が定刻成田に着いた、そして乗用車で高速を走り、国賓として迎賓館に着いた、こういう言い方を一方ですると思うと、花見に御来駕あそばされたというような、余りといえば甚しい言葉の混乱があるんじゃないかという気がするときもあるんですがね。  これは軽々しく言えない問題なんですけれども、両方の国情をよく知っていると、甚だ奇異に感じたり、ないがしろにされたりしたという認識をもし御堪能なら持つ方もおいでになるかもしれないと思いますので、この点への配慮はどのようになさっていらっしゃるか、それをまず承りたいと思います。
  144. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) 日本語の中で一番難しいのは敬語の使い方だという言葉がございますけれども、敬語を放送の上でどう使うかというのは非常に難しゅうございます。  今まで私どもが敬語について基本的に考えてまいりましたのは、昭和二十七年に国語審議会が敬語についてのあり方を言っているところがございます。ちょっと読みますと、「これまでの敬語は必要以上に煩雑な点があったことを戒め、今後は誤用を正し、できるだけ平明、簡素にありたい」というふうなことを国語審議会が示しております。  この考え方に従って、放送の言葉も必要以上に煩雑にならないように、平明、簡素というふうなことを旨として使おうということを考えております。出演者とかあるいは視聴者の方々に不快感を抱かれない範囲で、全体としてはなるべく敬語の使用を簡素にしたいというふうに考えてまいったところでございます。  御指摘のように、正しい日本語の普及というのはNHKの使命の一つでございます。常に用語委員会とかあるいは部内のミーティングで正しい表現についての検討を進めておりますけれども、今言われたことについで申し上げますと、基本的には、肩書的なものはつけますが、例えば外国人であろうとニュース報道そのほかの表現は敬語を使わないということを原則にいたします。ただし、日本の皇室、それから外国の王族等に関しては、これはいわゆる国民感情というふうな面からなるべく必要以上に煩雑でない敬語というふうな範囲で敬語を使う方が至当であろうというふうに思います。  そういう判断の中で敬語の使用をやっておりますが、基本的には敬語はなるべく使わないということが基本でございます。
  145. 青島幸男

    ○青島幸男君 その辺を明確にひとつ、これから記者さんなんかも現場に行って、現実に絵の中に入って自分の声で物を伝えたりなんかしなきゃならない機会も多くなるでしょうし、ですから、アナウンサーとして正規に教育を受けた人でない人が、むしろ多少の地元のなまりがあったりする感じの発言の仕方でとつとつと語られるのも私はやっぱり一つ心情を伝える意味では大事な評価される点じゃないかと思いますから、だれもかれもがアナウンサーとしての教育を受けなきゃならないとか、だれもかれもがそういうことでなきゃならぬということはないと思いますけれども、少なくとも今言われたような点につきましては徹底した配慮をなされてなければ混乱を招くばかりだと思いますので、徹底した教育をなされるように要望したいと思います。  まだ少し時間もあるようですし、実用放送衛星につきましては私もまだまだ申し上げたいことも数々ございますけれども、きょうは決算中心でございますので、あと重複いたしますのでこの程度で控えておきますが、次回にはひとつ懇切丁寧な御答弁を賜りたいと思います。ありがとうございました。
  146. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  147. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  148. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  日本放送協会昭和五十六年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書につきましては、これを是認すべきものと議決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  149. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって是認すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  150. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十七分散会      ―――――・―――――