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1984-06-28 第101回国会 参議院 逓信委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年六月二十八日(木曜日)    午後一時六分開会     ―――――――――――――    委員異動  五月十八日     辞任         補欠選任      水谷  力君     関口 恵造君      村上 正邦君     長田 裕二君      出口 廣光君     新谷寅三郎君      最上  進君     大木  浩君      矢野俊比古君     西村 尚治君      倉田 寛之君     岡野  裕君      鶴岡  洋君     三木 忠雄君  五月十九日     辞任         補欠選任      関口 恵造君     山内 一郎君  六月二十七日     辞任         補欠選任      服部 信吾君     中野  明君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         大木 正吾君     理 事                 長田 裕二君                 成相 善十君                 宮田  輝君                 片山 甚市君     委 員                 大木  浩君                 岡野  裕君                 沖  外夫君                 志村 愛子君                 西村 尚治君                 山内 一郎君                 大森  昭君                 中野  明君                 三木 忠雄君                 佐藤 昭夫君                 中村 鋭一君                 青島 幸男君    国務大臣        郵 政 大 臣  奥田 敬和君    政府委員        郵政大臣官房長  奥山 雄材君        郵政省電気通信        政策局長     小山 森也君        郵政省電波監理        局長       鴨 光一郎君    事務局側        常任理事会専門        員        酒井 繁次君    説明員        科学技術庁研究        調整局宇宙開発        課長       北村 俊男君        気象庁総務部企        画課長      新田  尚君    参考人        通信放送衛星        機構理事長    斎藤 義郎君        宇宙開発事業団        理事長      大澤 弘之君        宇宙開発事業団        理事       船川 謙司君        日本放送協会会        長        川原 正人君        日本放送協会技        師長       矢橋 幸一君        日本放送協会専        務理事      坂倉 孝一君        日本放送協会専        務理事      渡辺 伸一君        日本放送協会専        務理事      川口 幹夫君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○参考人出席要求に関する件 ○郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に  関する調査  (放送衛星号a故障問題とその対策に関す  る件)     ―――――――――――――
  2. 大木正吾

    委員長大木正吾君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る五月十八日、村上正邦君、水谷力君、最上進君、出口廣光君、矢野俊比古君倉田寛之君及び鶴岡洋君が委員辞任され、その補欠として長田裕二君、関口恵造君、大木浩君、新谷寅三郎君、西村尚治君、岡野裕君及び三木忠雄君が選任されました。  また、同月十九日、関口恵造君が委員辞任され、その補欠として山内一郎君が選任されました。  また、昨二十七日、服部信吾君が委員辞任され、その補欠として中野明君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 次に、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、現在理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事長田裕二君を指名いたします。     ―――――――――――――
  5. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査のため、本日の委員会通信放送衛星機構理事長斎藤義郎君、同機構理事大竹利男君、宇宙開発事業団理事長大澤弘之君及び同事業団理事船川謙司君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ背あり〕
  6. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  7. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 次に、郵政事業及び元気通信事業運営並びに電波に関する調査を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 大森昭

    大森昭君 ゆり二号の故障問題につきましては、本委員会で二回にわたりましていろいろ議論しているわけでありますが、政府宇宙開発事業団から、終始、この故障原因究明が先決ということでいろいろ御答弁がありました。  ところで、宇宙開発事業団委員会設置をいたしまして検討しているようでありますし、また事業団BS2対策検討委員会設置したようでありますが、それぞれ原因究明機能回復に乗り出していると思いますが、現在どのようになっておりますか。
  9. 大澤弘之

    参考人大澤弘之君) 私、最初でございますが、先月十八日、理事長を拝命いたしました大澤でございます。前理事長から引き継いでおります。  ただいまございました御質問につきましてお答えを申し上げます。  御質問の中にございましたように、私ども事業団の中に原因究明対策委員会を設けました。また、これにつきましては、通信放送衛星機構NHK等技術者を抱えておられますし、いろいろ御検討もしていただいておりますので、関係者の総意といいますか、いろんな御意見あるいは御検討を得るというようなことも考えまして、機構NHKと私どもとの三者で、技術片から構成いたします検討技術連絡会というのも設けました。  GE側におきましては、お話がございましたように、送信符進行波管トムソン社製でございますので、トムソン技術者と一諸になりまして、GEの現場で現在BS2b中継器がございますし、また現地での種々の試験設備も持っておりますので、それを使っての地上シミュレーション試験ということも行っておりますものですから、先般来、GEトムソンチーム日本に参りまして私ども技術検討チーム原因究明、その後の試験の結果、今後の試験の方向ということにつきましても十分検討をいたして、現在原因究明を進めておる段階でございます。非常に多く考えられます原因の中からかなり絞られてきてはおりますが、まだ特定をするに至っておりません。もう少し時間がかかるかと思っておる状況でございます。
  10. 北村俊男

    説明員北村俊男君) 宇宙開発委員会におきましては、ゆり号a中継器に異常を生じた事態を厳粛に受けとめまして、去る五月の十四日に臨時に開催されました宇宙開発委員会におきまして、放送衛生対策特別委員会設置を決定いたしたところでございます。この特別委員会におきましては、今回のふぐあい箇所でございます中継器、これは進行波管及びそれを指示する回路から成り立っておりますが、これに関する専門家を中心といたします技術小委員会を置きまして、そのふぐあい現象、それから軌道上の試験及び地上試験データふぐあい解析等に関しまして、現在事業団その他関係機関検討されている事項につきまして提出を求めまして、現在鋭意検討を進めているところでございます。
  11. 大森昭

    大森昭君 鋭意検討しているということはわかるんですが、どうも私どもが理解できませんのは、この前に実験用のやつを上げているわけですよね。実験用のやつを上げておりまして、そして実験用は一年二カ月、長いやつは二年と二カ月の後に故障しているわけですね。今度上げたaは、いずれにいたしましても初期段階二つ故障しちゃっているわけですね。  そういうことになってきますと、政府宇宙開発事業団実験用のやつをよく検討して、それを反映さしてということでゆり二号のaを上げたわけでありますけれども、どうもそういう経過をたどっておるにもかかわらず、なお今日まだ原因がわからないということでありますから、何かそこに特段の、重大な問題があるんじゃないかというふうにも考えられるんですけれども、特にこの実験用と今回のゆり号a関係でいきますと、進行波管というんですか、これヒューズ社がつくったやつをトムソンにかえたんですか、実験用と違うのは。ということになりますと、なぜメーカーが実験段階からゆり号aにかわったのか。この辺が実験用ゆり二号との違いが大きくあらわれているんじゃないかと思うのでありますが、この辺はどうなんですか。
  12. 船川謙司

    参考人船川謙司君) お答えいたします。  御承知のとおり、前の実験用放送衛星の場合には進行波管ヒューズ社製進行波管を使っておりまして、今回ゆり二号ではトムソンCSF社進行波管にかえたわけでございますが、これには二つ大きな理由がございまして、一つは、ヒューズ社製のものが結合空洞型と称します非常に重量の重たいものでございまして、いわば少し衛星用としては古いタイプのものに属しております。重量が非常に重いということはいろいろ上げます衛星の寿命その他に関係いたしますので、なるべく軽いやつにしたいと我々希望したということと、それから電源の電圧につきましても、前のヒューズ社製のやつは八千ボルトの非常に高い電圧を使っておりまして、今度のトムソンのやつは六千ボルトくらいで済むということで高電圧に伴ういろんな難しい問題が回避できるというような主にこの二点から、我々としましては衛星搭載用として今後新しいタイプになるだろうというトムソンの型を採用することに、関係方面といろいろ協議いたしまして決めた次第でございます。
  13. 大森昭

    大森昭君 今原因調査解明中だと言うのだから何を聞いてもわからないのかどうかわかりませんが、ただ五月の十五日、日本放送協会の文書がここにあるのですが、「NHKは、四月の二十二日、BS-2aの引き渡しを受けるに当って、宇宙開発事業団によるA系統の異常のすみやかな原因究明回復措縦を確認のうえ、今後残った二チャンネルによる放送が可能である旨の報告を受けている。」、こうなっているのですね。にもかかわらず、引き渡すときにはこういうことを言ってNHKに渡しているわけですね。いろいろな委員会だとかなにかつくっていますけれども、いまだに原因解明されないというわけですね。そうするとNHKに渡すときにはいいかげんな報告といいますか、内容でNHKに引き取らしたということで理解していいですか。
  14. 大澤弘之

    参考人大澤弘之君) 私ども製作の過程におきましていろいろな審査、試験を行ってきておりますが、その結果から見まして、A系統故障というのは、実は大変意外と申しますか、私どもは十分に今度の中継器は使えるものということで発射をいたしたものでございますが、A系統故障を起こしました。しかし、私どもB系統R系統はそれまでの初期試験段階の結果を見ましても十分に使いこなせるものということで、引き渡しのときに、私どもは、機構NHKさんでございますが、ただいまお話のございましたようなことにつきまして御報告申し上げ、引き取っていただいたわけでございまして、その後R系統がこういうまた使えなくなるという状態が起こりまして、まことに多くの方々に御迷惑をかけたようなわけでございますが、私どもそれまで持ってまいりました技術ということにつきましては、大変そういう意味ではショックを受けておりますし、不明を恥じておる次第でございます。
  15. 大森昭

    大森昭君 いや、故障が起きたことは残念でありますが、別にあなたの責任追及しているのじゃないですよ。故障が起きて今原因解明しているというお話ですけれども事故というのは起きない方がいいのですが、不幸にして起きたわけですけれども、その責任追及というよりかも、むしろ対応策が非常に私どもわからないんですよ、正直言って。渡すときにはA系統はだめだった、故障しました、しかしRとBは大丈夫と言ったんですから、何らかのそのときにデータがないとそうは言えないわけでしょう。そのときには確かにまだ故障していなかったからということだろうと思いますが、順序を追って調べてみますと、何か少し、いいかげんという言葉は余りよくないんですけれども、少し緻密さというか、慎重さというか、そういうのが欠けているような気がするんですよね。ですから私は今質問したのでありまして、特に今故障の問題でいろいろ中継器の議論がありますが、これ制御装置電波センサーの方も故障しているわけでしょう。今動いているのは太陽センサーだけなんでしょう、違うんですか。
  16. 船川謙司

    参考人船川謙司君) 姿勢制御装置につきましては、電波姿勢センサーの方がこれは少しデータが、測定値が異常を示しまして、これを使いますと姿勢変動が起こるということで、現在これではなくて太陽センサーの方で運用をお願いするということで、これは引き渡しのときにそういうことを御了解願いまして引き渡したものでございます。これにつきましてはその後いろいろ原因究明が進んでおりまして、大体その悪そうなところがわかってまいりまして、この次のBS2bに対しましてはこういうことは起こさないような対策は十分とれるというふうに考えております。
  17. 大森昭

    大森昭君 いや、そうじゃなくて、今現実問題として電波センサー故障して太陽センサーでやっているわけでありますから、したがって、全国これ今残った一つNHKはやっているわけですけれども、これは全国とも同じような映像で映っていますか。
  18. 船川謙司

    参考人船川謙司君) 電波センサーのかわりに太陽センサーを使いまして支障なく運用されているというふうに私どもは伺っております。
  19. 大森昭

    大森昭君 そうですか、NHKは。
  20. 矢橋幸一

    参考人矢橋幸一君) NHKといたしましては、現在運用上は操作がちょっと複雑になりますけれども、これは通信放送衛星機構の方でやってもらっているわけですけれども、一応放送としては支障なく出ております。
  21. 大森昭

    大森昭君 いや、放送支障があるかないかと聞いているんじゃなくて、同じ映像で映っているかと、私はこう聞いたんですがね。まあいいです。  それで、まあいろいろ言われますが、大体見通しはいつごろなんですか、これ、原因解明ができるのは。
  22. 大澤弘之

    参考人大澤弘之君) 何分にも御承知のように宇宙に上がっておるものでございますので、原因究明につきましては地上にあります装置を使って宇宙で起こっておりますような現象につきまして、再現試験と申しておりますが、同じようなつまり故障状況を起こしてみるということを一つずつ逐一シラミつぶしにやっております。また、中継器と申しましても幾つかの部分からなっておりますが、その部分部分につきましての部品故障ということも考えられますので、そういう部品一つずつ、どれが故障がということについてコンピューターを使ったシミュレーションをするといったようなことを現在地上で行っております。それと、初期機能試験のときに軌道からとれましたデータ等突き合わせまして原因分析を進めておる状況でございますので、かなり時間がたってはきておるんでございますが、なかなか難しい状況になっております。  私どもは、BS2bというのが現在アメリカのGEの工場にほぼでき上がった状態になっておるわけでございますが、これの全体の試験スケジュールとしてはそろそろ入っていかなきやならないわけでございますが、原因がはっきりしないためにこの試験も中止をしておる段階でございまして、できるだけ早く原因究明をいたしてそれへの対策ということもいたさなければなりませんし、また原因いかんによりましては現在の2aの回復ということの期待も多少は持てるかもしれないということで、そういうことも含めましてできるだけ早く究明をしなければならないわけでございますが、今まだいつかというところまでは詰まっていない状況でございます。
  23. 大森昭

    大森昭君 まあ、はしごをかけて見に行くわけにいかないからこれは大変なことなんでしょうけれども、ただ、これ実験用放送衛星ゆり」を打ち上げたときも、気象衛星ひまわり二号を打ち上げたときも、これ全部故障したんですけれど、その調査の結果、故障原因究明するに当たってというのは、大体これ調べてみますと約一カ月ぐらいで終わっているんですよね、前に上げたやつは。今度のやつは非常に長いから、ちょっと私はそういう、なかなか手にとって見るわけにもいかないし、はしごをかけて行くわけにもいかないんだけれども、少し従来の例からいくと長過ぎるんじゃないかという気がするわけです。そのことは何かといいますと、こういう状況でいきますと次のゆり二号のbの打ち上げにも関係するんだろうと思うんです。いろいろ、これ新聞報道でありますが、NHKの会長はゆり二号の故障原因がわからなければ予備衛星は上げないとか、いろんなことが出ているんですがね。したがって、今お答えのような、一生懸命やっているけれどもいつだかわからないということになりますと、次の問題に関係してきますので、非常に難しいことはわかりますが、一年も二年もかけてということじゃないんだろうと思うんですが、そのおおよそのことも見当がつかないというのが現状ですか。
  24. 大澤弘之

    参考人大澤弘之君) 私どもは来月いっぱいぐらいにはと思って当初から進んできておるんでございますけれども、一年も二年もということではございませんけれども、その辺に関しましてまだめどが実は立っていない状況でございます。
  25. 大森昭

    大森昭君 じゃ、そうしますと、まあこれから先の話でありますが、今理事長さんが言われたように一カ月ぐらいで解明できればいいんですが、これが予定どおりいかないということになりますと、ゆり二号のbですね、これはどういう見通し宇宙事業団は持っているんですか。
  26. 大澤弘之

    参考人大澤弘之君) 私どもは、ただいま申し上げましたように、早く原因究明いたしまして、ゆり号bBS2bは来年の夏季に打ち上げの予定でございますので、そのスケジュールでいけるように、原因究明の結果の対策もあろうかと思いますが、その対策を施して来年の夏にということで現在考えておりますが、原因究明いかんによっては来年の夏ということができなくなることも心剤をしておる段階でございます。
  27. 大森昭

    大森昭君 さてそこで、今一チャンネルしかないんですが、二チャンネルが動いているという想定でいろいろ計画を当初立てたわけでありますが、いろんなこの計画というのは時間の関係で省略しますが、この当初の予定計画というのは、今一つしか動いていないわけですから、何か変更して、これNHK郵政省は対処しているんですか。
  28. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) NHKとしては、当初二チャンネルを値いまして、第一衛星放送、第二衛星放送という形でやる予定でございましたけれども、この事故のために一チャンネルを使って総合テレビを主体にした放送実施する、試験放送として実施をするというふうに申請をいたしまして、現在一チャンネルを使って総合テレビの九三・四%、それから残り六・六%を衛星独自のローカル放送などを実施をしております。
  29. 大森昭

    大森昭君 いずれにいたしましても、先端技術で世界で初めてこれは日本がやったことということですからいろんな問題が起きることも想定しなきゃいけないんですが、ただ、前委員会でいろいろ討論しましても、これ全然補償も何もなくて、利用者泣かせということで終わるようなことでありまして、ここにも書いてありますが、「宇宙のヤミにかすむ責任」というのでいろんなことが書かれておりますが、最終的には視聴者につけが回ってくると、こういうととなんでありまして、こういうことが先端技術だからやむを得ないということになるのか、ほかの各国なんていうのは衛星放送はやっておりませんが、いろんな宇宙開発はやっているわけですけれども、ほかの国なんかはこういうような場合の契約関係なんていうのは調べたことはあるんですかね、外国の例なんかは。
  30. 大澤弘之

    参考人大澤弘之君) 私ども調査はいたしておりますが、打ち上げを現在西側で実施いたしておりますのは、御承知のように米国のNASA、ヨーロッパが各国で構成しております欧州宙機関――ESAといっておりますが、その二つでございますが、現在までの調査では、その辺のところにつきましては私どもと同様に、例えば瑕疵担保責任といったことにつきましては打ち上げ時点までということでやっておるようでございます。
  31. 大森昭

    大森昭君 今、2の場合は、電電公社だとかNHK公共機関でありますから、もちろんこれは全然関係ないとは言いませんが、料金にはね返るわけですけれども。これあれでしょう、CS3になってきますと民間利用も考えられているんじゃないかと思うんですね。そうしますと、民間利用をする場合に当然そこに出資をしてもらわなきゃいかぬし、そうなってくると、今みたいに打ち上げた、動かなくなったといったら、どこの補償も何もないということになりゃ、これはどこの民間がやるのかわかりませんが、その会社はつぶれてしまいますわな。そうなってくると、今のような状態責任明確化がないということになると、郵政省CS3の、大分今何か申請かなんか来ているんですかな、よくわかりませんが、この辺のところの民間利用ということになると、これどういうことになりますかね。
  32. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 御指摘のように、事故等の場合におきます責任関係明確化ということは私どもも重要な問題であるというふうに考えているところでございます。CS3の場合につきましても、この責任関係の問題につきましては、専ら関係当事者間の契約で定められるということではございますけれども、今回のBS2aのようなケースを貴重な教訓といたしまして、私どもといたしましても関係当事者間の協議に資するような形でいろいろな角度から慎重な検討を行っていきたいというふうに考えているところでございます。
  33. 大森昭

    大森昭君 いろいろ検討するのはいいんですけれども、問題は、端的に申し上げますが、これNHKだからということではないと思いますがね、これは普通の一般の民間だったらもう大変なことなんです。したがって、大変リスクの高い仕事ではあります。しかし、少なくともこれに対するやっぱり補償措置というものについての明確さがなければ、やたらと――これはやたらととは言いませんが――言っちゃってから言わないといったってまずいな。少しこれは慎重にやってもらわないと困ると思うんですね。今度の2bの場合なんかは、これ保険も何もないということになるんですか、来年打ち上げるやつも。どういうことになるんですか、2bのやつは。
  34. 大澤弘之

    参考人大澤弘之君) 2bにつきましては、現在関係方面と御相談をして保険を掛けるかどうかにつきまして御相談をしておるところでございます。
  35. 大森昭

    大森昭君 bのやつがそういうことですから、そうすると3のやつは、これはもう今スケジュールがありますが、そのとおりいくかどうかというのはまだわからないということで理解していいかというのが一つと、それから、いろいろこれ談話が発表されておりますが、BS3の場合には少し国産化率を高めていこうじゃないかというようなことも言われているようでありますが、この辺はどういうふうに進んでおりますか。
  36. 大澤弘之

    参考人大澤弘之君) 2bを製作いたしました時点から現在まで、御承知のように、一般的に見ましても、我が国の科学技術あるいはエレクトロニクス分野の技術の進展は著しゅうございますので、例えば今先生がおっしゃいました国産化率、これは私ども普通金額で表示をしておるわけでございますが、これにつきましても、格段に国産化率が進み得るものというふうに考えております。
  37. 大森昭

    大森昭君 高まると思うと言ったって、具体的にそういう開発を実際にやっているんですか。
  38. 大澤弘之

    参考人大澤弘之君) 直接宇宙事業団ばかりではございませんで、NHKあるいは郵政省等におきましても、放送衛星に関します開発は進めてきておりまして、従来できなかったようなものにつきましても日本で製作可能といったようなものも出ているやに聞いております。
  39. 大森昭

    大森昭君 このゆり二号の故障の問題を契機にいたしましていろんなことが言われておるわけでありますが、打ち上げの経費なんかも日本でやれば高いから、いっそのことスペースシャトルを利用すれば打ち上げ費が安いんじゃないかとか、あるいはヨーロッパの方も大分進んでいるから、したがってアリアンロケットを利用してやった方がいいんじゃないかとか、いろんな議論がありますが、一体国際的な衛星の打ち上げ費の状態と、我が国でやった場合と、どういうことで差が出てくるのか。あるいは、どういう状態で今国際的な打ち上げ経費がなっているのか。そういうのは調べたことがありますか。一
  40. 大澤弘之

    参考人大澤弘之君) 先生お話しのようなことは随分と前から出ておりまして、私どもの打ち上げ経費が一般的に高いということも事実でございますが、これに関しましては私どもの方でもいろいろな調査をいたしまして、かなりのデータは持っておりますが、これと実際に契約をしております経費との間にはなかなかわからないところがたくさんございまして、決してNASA、ESAは、コストと申しますか、原価では打ち上げておりません。我々の方といたしまして、最も大きなコスト高の原因は、年間の機数がNASA、ESAに比べまして非常に少ないということでございまして、したがいまして製造原価がどうしても高くなるというところに一番基本的な原因があるんでございますが、これらにつきましても、将来に向かって十分NASA、ESAとそういう意味では対抗できるような、先方と同じような意味では対抗できるようなコストで打ち上げることにいたしたいと思ってせっかく努力をしておるところでございます。
  41. 大森昭

    大森昭君 時間がありませんからあれですけれども、いずれにしても、もうちょっと、NASAでやった場合にはどういうことでやれる、それから欧州宇宙機関でやればどういう状態になる、例えば割高になっても、将来の見通しからいけば、国内でやった方がいいんならいいというふうにきちっとしませんと、こういう事故が起きたときに、ああでもない、こうでもないということになりますからね。きょうは突然の質問ですからあれですけれども、もう少しきちっとして理解をして、多少故障が起きてもあれはやむを得ないという理解があってやる場合と、まるっきりうまくいくようなことでもってやって故障しているんでは、これは国民全体が納得しませんよ。したがって、そういうようにひとつやっていただくことをお願いしておきます。  そこで、またこれ電電の資材調達とは絡んでいないという説もあるし絡んでいるという説もあるのでありますが、通信衛星の購入問題がいろんな形で報道されておりますが、これに対する対応はどういうぐあいになっていますか。
  42. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 先生の御指摘は、先ごろ、ことしの四月二十七日に政府として決定をいたしました「対外経済対策」の問題だろうと考えておりますが、その中での通信衛星問題の取り扱いにつきましては、次のようなことになっております。  一つは、民間企業につきましては、現在国会に提出中の電気通信事業法案等が成立した場合には、民間企業は衛星を購入して電気通信事業を行うことも生じるであろう。これによって民間企業が外国の通信衛星を購入する道が開かれることとなるので、このため必要と認められる措置を講ずることとするというのが一つでございます。  それから二つ目といたしましては、我が国としては衛星の自主技術開発を進める方針であるが、将来電電公社日本電信電話株式会社に移行した場合、同会社が需要者となる通信衛星について、これは宇宙開発政策との整合性を確保しつつ、同会社の独自の判断による内外からの購入の道を開くこととする、こういうふうになっておりまして、郵政省といたしましてもこの決定を踏まえて対処をしていくという考えでございます。
  43. 大森昭

    大森昭君 いろいろ言われますが、今後の問題にも関係するんですけれども衛星開発費の国の分担率というのはどんどん下げていくんでしょう。今までは四〇の六〇だったですか。今度は、何かBS3の場合には、国が三五でユーザーが六五というように、国の分担比率も下げていくということになって、故障原因もまだはっきりしませんからあれですけれども電電公社が株式会社になってユーザーがたくさん経費負担して新規参入なんかしたら太刀打ちできないですね。こういう点なんかは、とにかく外国でロケット上げれば安くなるけれども、国内の技術を向上させるために高くてもそれを利用しないでやるんだとか、国の開発費の分担率も国はだんだん下げていくんだとかいって今後衛星開発をしていくということになりますと、利用者というのはみんなどこかから金を取られるわけですから、こういうことだけで果たしていいのかどうなのかという疑問が実は私あるのでありますが、この辺について、今後そういう問題についてはこういうふうに対処をするんだという政府の方針というのはあるんですか。
  44. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 対外的な衛星購入という問題に関しましては、先ほどお答えを申し上げましたような状況にあるわけでございますが、一面で今回のBS2a故障につきましては、その故障部分自体、外国で製作されたものであるということ、それからまた、これは宇宙のことであるということでもございますけれども、外国におきましてもロケットによる打ち上げの失敗例が少なくないというふうなことでございまして、外国のものが一概に信頼性が高いとも言えない状況でございます。  私どもといたしましては、いずれにいたしましても、要は信頼性が高いということ、そしてまた御指摘のように経済性においてすぐれているということが、この宇宙関係の大きなポイントであろうというふうに考えておりますので、そうした今申し上げましたような二つのポイント、信頼性、経済性の高い衛星システムの開発に向けて努力を傾けていくという所存でございます。
  45. 大森昭

    大森昭君 そこで、これからは、まあしかしいろんなことが言われておっても、放送衛星NHKがしょってやらなければいかぬわけですけれども、そこで今は不幸なことに一チャンネルでありますが、現実に動いておる問題について、放送のあり方だとか、あるいはソフトのあり方だとか、いろんなことを将来に向けて発展させなきやいかぬわけでありますが、NHKというのはこれに対しましていろいろ工夫をしているんじゃないかと思うんですが、何か新しい工夫などについてはもう具体案があるんですか。
  46. 川原正人

    参考人(川原正人君) 衛星問題については、あらゆる角度から私ども検討を続けております。もちろん将来衛星が非常に多角的に活用できるであろうということは、私ども十分の確信といいますか、見通しを持っております。  ただ、いかんせん、今実用放送のスタートに当たりましてこのような事故が発生いたしましたので、この後2bあるいはBS3という形で今計画が進んでおりますが、現時点においては何といいましても将来の衛星の信頼性を確保するということが一番大事だと思いまして、関係の方面に対しましてそのことをお願い申し上げているところでございます。  それから、先ほど来御質問にありましたように、私どもとしては受信者の負担、受信料をもってしかも実用衛星としてゆり二号乱からその仕事を開始しようとしたところでございますので、あくまで信頼性のほかに経済性の問題あるいは万が一のときの補償問題等も今回のことを十分参考とし、あるいは反省の材料として先々間違いのないように、大きな損害等を受信者に負担してもらわないような、そういう施策を十分に検討してまいりたいというふうに思っているところでございます。
  47. 大森昭

    大森昭君 衛星放送の受信機のことが大分騒がれてこれやったわけですけれども故障して一つしか今ないから多少何か迫力も欠けているんですが、しかし、それにしても、一チャンネルは今まで見えないところも見えて、皆恐らく喜んでいるんだろうと思うんですが、受信機の普及などは、この放送前どういう状態が、また今日放送後どんな動きになっているのか。そして、私ども議論したあのころは三十万ぐらいかかるんじゃないかというような話もあったんですが、今この受信機の価格なんかどういうぐあいになっていますか。
  48. 矢橋幸一

    参考人矢橋幸一君) 受信機の現状を、これは我々直接じゃなくて、電子機械工業会の方のデータでございますけれども放送を開始したころに約一万台の受信機がいわゆる出荷されたという情報はとっております。その後、それがどの程度普及したかにつきましてはまだデータがありません。我々としては、極力一チャンネルを使って番組編成その他で普及をさらに図るように努力していきたいと思っております。
  49. 大森昭

    大森昭君 これはゆり二号がこういうことになってきましたので、前回いろいろNHK予算を審議したわけでありますが、NHKの当面の収支に影響があるのじゃないかと思いますが、同時にまた、この原因がどういうぐあいに解明されるかということもあるんですが、長期的な財政計画などについてはNHK影響があるんじゃないかと思うんですが、どういうふうに判断していますか。
  50. 坂倉孝一

    参考人(坂倉孝一君) いろいろお話しございましたように、当初予定をいたしました二チャンネルによる衛星放送が一チャンネルでしか放送できない、計画どおりの開始ができなかったということはまことに残念なわけでございますけれども原因究明と修復の努力を事業団等が続けておられるというようなことで、私どもも一日も早く計画どおりの放送のサービスができるということを願っているわけでございます。そして、放送のサービスといたしましても、先ほど総局長が申し上げましたように、一チャンネルだけの放送の中ではございますけれども、いろいろ編成上の工夫をいたしまして復旧のための努力もいたしているわけでございます。  ただ、当面の収支につきましてはこれは放送が実用化をできなかったと、放送試験局というような形でございますので受信料はいただかないということになったわけでございまして、そういった点から、当初から予定をしておりました例えば小笠原とか大東島、こういったところの方々の契約といったようなものはなくなったわけでございますけれども、当初から見込んでおりました件数というのは少ない数でございますので、その辺の点につきましてはこれからの経営計画の全体の契約増加目標、この達成に全力を尽くしまして受信料収入の目減りというものがないように努力をいたしたいというふうに考えているわけでございます。  それから、この初期段階は、とれは再放送というようなことがやはり中心になっておりますので、そのウエートが多いので放送実質経費も比較的小さいわけでございますので、現在のところでは長期的な財政計画の変更を要するほどではないというふうに考えているわけでございます。
  51. 大森昭

    大森昭君 個々の問題の、別に責任を追及することはやめているわけでありますが、事柄は大変重要な問題でありますから、これは委員会で集中審議ということになっているわけであります。したがいまして、とかく何とか委員会、何とか会議なんというのをつくれば事が足りるとは思いませんが、しかしどうも先ほどから言ってますように、過去の例からいきますと少し国民の期待に反してもたもたしているんじゃないかという感じもいたします。これから重要な位置づけでこの衛星が発展をしていくんだと思いますが、ぜひひとつそういう意味合いで、最後に、質疑の内容を聞いての大臣の所感を伺って質問を終わりたいと思います。
  52. 奥田敬和

    ○国務大臣(奥田敬和君) もう先生の御質疑を聞いていて率直なところ非常にもどかしいと申しますか、責任を痛感する上でも、質疑のやりとりの中で、何かもういらいらしておる気持ちというのは私ばかりではなくて、NHKも当然そうでございますし、同氏の声を代表される先生のお気持ちの中にもそのことがはっきりあらわれておると受けとめております。技術陣の方は比較的クールでございます。冷静であるということはこれは当然のことで、恐らく目下原因究明に総力を上げていただいていると思っております。  ただ、私としては、世界初の実用放送衛星という国民の期待が大きかっただけにまことに残念、遺憾であるという言葉の一語に尽きます。かといって経済性のメリットだけでは解決できる問題ではございませんし、今後とも技術開発、国産化の向上、ナショナルプロジェクトとしてのふさわしい成果を上げてほしいと思っております。  ただ、いずれにしても、こういった形の結果が、国民にツケが回るという厳粛な事実は本当に重大な責任と重大な反省の上に立って、これから引き続き行われるであろうBS2bあるいはBS3の打ち上げには慎重かつ安全、できれば、余り技術的なことについて強制がましい形で言うわけじゃありませんけれども、確実という形で万全を期していただきたいと心からそう願っております。
  53. 片山甚市

    ○片山甚市君 大森君から、既にふぐあいが生じておるA系統三カ月、R系統二カ月近くになる問題で、大沢参考人の言葉によれば、あと一カ月ぐらいたたないと解明ができない、鋭意努力するということでありますが、何と言ってももどかしさというよりも不安定さというものを強く感じますから、技術陣の皆さんも含めて早く解明をするように努力をしてもらい、そしてこれからの衛星問題についての国民への信頼感を早くから取ってもらいたい。昼夜兼行、幾ら努力してもし過ぎはないわけで、そういう意味で冒頭に御苦労でありますが、この故障ふぐあいの問題を解明してくれることをまずお願いしておきます。  そこで、去る五月十七日の審議のときに、私の質問に対して鴨電波監理局長は、我が国最高の技術で臨んだものであり、最大限の信頼度で開発されたものと答弁され、故障原因解明され次第具体策を講ずるとのことでありましたが、結局のところ、今申し上げましたとおりどこが故障したのかなかなかわからない、電波で信号を送るということ以外にふぐあいを探す方法がないということになります。  しかし、あのときの局長のお言葉は、さも確実な解決策があるように言われた。例えば部品交換でもできるような、直接修理でもできるようなことでありましたが、何か特別な措置が検討されているのかどうか、そうでなければ局長の言葉は私に対して詭弁であったと、陳謝をされたことがないので、あのときは少し勇み足で申しわけなかったという話はなかったから、もう一度そのときに言われた故陣の原因解明され次第具体策を講ずるという具体策とは何か、御答弁を賜りたいと思います。
  54. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 五月の十七日の委員会で御答弁申し上げましたときには、今先生のお話のようなことをたしかお答え申し上げているわけでございますが、私どもといたしましては、現在宇宙開発事業団関係機関の協力を得ながら鋭意原因究明を行っている、一方で宇宙開発委員会におきましても放送衛星対策特別委員会設置されてBS2a故障原因究明、今後の対策について審議が進められている、こういう状況でございます。私どもといたしましてはこの原因究明が行われた段階でということで、それを待っているわけでございますけれども、残念ながら現在の段階ではまだ結論が得られていないということでございますので、郵政省といたしましてはこうした特別委員会等の審議の結果を待ちまして今後の具体的対応を検討してまいりたいと考えているわけでございますが、その具体的な方法ということにつきまして、宇宙の静止軌道上の衛星のことでございますので、地上における場合と同じ手法がすべてとれるということではないと私ども考えているわけでございますけれども、その原因にもよりますけれども対応策があるというふうに承知をいたしておりますので、原因がわかりましたならばそれに対応した措置をとりたいと、こういうふうにお答えを申し上げた次第でございます。
  55. 片山甚市

    ○片山甚市君 故障原因がわからないので具体策も示されないという言葉でありますけれども解明されたならば具体的に故障が直るのか直らないのか。私が見ておると、なかなか三万六千キロメートル上のやつを直すというようなことは、一遍故障すると直ることは非常に難しいんではないかと思いますが、これは科学者の方がやることですから任せます。手品のように直してほしいと思うし、安心をさしてもらいたいということを冒頭に言いましたものですから、やゆをしたり技術を軽視したんではなくて、いわゆる具体策とは何かということを聞きたかったんですが、故障原因がわからないんですからそういうお言葉はございませんでした。  そこで、実は衛星機能回復についてはまさに運を天に任したようなものだと思っています。非常に非科学的だという感じもするんです。今後の推移を重大な関心を持って見守る以外にないようですけれども、この際、責任問題というのではなく、このような重大事故に対する連携プレーという視点からちょっと聞きたいんです。  第一に、宇宙開発事業団山内理事長は、異常が発生した後、直ちに担当技術者による検討体制をとり、通信放送衛星機構及びNHKの協力を得て対策に全力を挙げている旨の答弁をしておりますが、A系統中継器の異常発生は三月二十三日であり、郵政省に連絡したのは四月五日であります。そして、故障の対外発表は四月十一日ということであり、この事実経過について五月十七日の事業団、郵政当局答弁では、事業団は直ちに報告郵政省はそうではないという食い違いがあったこととあわせ、異常発生からなぜ二週間もたって郵政省に、さらに対外発表は事故から三週間後という違いが出てきたのか、不自然である。その経過について説明を賜りたいと思います。
  56. 大澤弘之

    参考人大澤弘之君) 事故が起こりましたのは三月の二十三日ということでございますが、これを確認するまでにかなり時間がかかって一般的な発表をするということに至ったわけでございます。その内容を今御質問がございましたので申し上げますと、私ども事業団の役員が承知をいたしましたのは、こういう現象、つまりA系統がスイッチを入れてもすぐ切れるということの報告を受けましたのは三月の二十七日でございまして、これは、そういうことが先生のような御質問がその後あったものでございますので、私の方で調べたことでございますけれども、三月の二十三日のころは食という地球の影に衛星が入りまして、一番長い時間で約七十分間全然衛星に太陽が当たらない、つまり電力の生産ができない、冷えると、こういう状況にあったわけでございますが、そういう衛星状況のときにはいろんな現象が生じる可能性も大変高いものでございますので、そういうことに関しまして全般的に調査に時間がかかったわけでございますが、今のようなこともございまして、その後三月二十三日の後の週明けに再度のテストをしてみて、やはりぐあいが悪いというので、私どものところにどうもおかしいんではなかろうかなという話が入りました。そこで、我々技術陣の中で食の影響なりや否やということの検討に入りまして、そういうことを今度は三月の二十七日以降実施をしてみたんでございますが、どうも食の影響ではなさそうだということの確信が出てまいりましたので、四月五日――四日かとも思っておりますが、関係官庁に連絡をしたということでございます。その後、これは大変ただいまもいろいろ御議論をいただいておりますように、国民に与えます影響その他非常に大きゅうございますし、NHKさんの方でも一般の放送の準備等をなさっておられる段階でございますので、発表までにそういうことに関しまして諸般の準備をして発表をするのに時間をとったのではないか、十一日発表というのはそういうことになったのではないかと思います。  なお、食明けというのは四月の十三日でございまして、私どもこの四月の四日以降も食の影響で何とかよくなるんではないかという期待を持ちながら、さらに異常の可能性ということにつきましてなお確信を持つようなことを試みたわけでございますけれども、どうもうまくないということで異常ということを発表したと、こういう次第でございます。
  57. 片山甚市

    ○片山甚市君 私は、事業団が直ちに報告したということと事実とが違っておるので、そのあたりがやはり何としても釈然としない。これ以上突っ込んで、前理事長がどう言ったとかこう言ったとか言うつもりはありませんが、そういうことについては反省をして、どういう事態が起こっておっても、やはり郵政省責任を持つところでありますから、そこにはやはりきちんとした報告があって対策をとっておる問題についていわゆる具体的にわかってもらわなきゃならぬ。この間の話によれば必ずしもスムーズに連絡がとれておると思いません。食の問題もお聞きしていますからこれ以上聞きませんけれども、そういう意味で、私は何といっても事業団と郵政当局との間に打ては響くような緊迫した緊密な放送が開始されて、受信装置が動いてNHK電波が流れて初めてほっとするのが当たり前で、それまでに何とかなるという緩みがあった、そういうことを私は感じます。サボっておったなどと言っていませんよ。やはりその緊迫性が足りなかったんじゃないかと思いますから、直すことについてはゆるゆるしておるんじゃないか、どうせ直るものだったら直ると思って、また一カ月ぐらいたつのも、できなかったらまたできませんでしたぐらいで済ませるつもりであるんじゃないか。大臣に聞いてもらったらわかるんですけれども、そういうことはできるだけ早くしてもらいたい。  そこで、BS2aは一月二十三日打ち上げて三月六日から中継器の動作テストを開始、四月二十二日引き渡しというスケジュールであったはずですが、事業団はどのような初期の機能試験を行ったのか、まず初期機能試験中継器の特性確認が中心であることと言われておられますけれども、これは事業団自身のみで行ったかどうか、NHKは参加しなかったかどうか説明をしてください。初期機能テストは事業団自身のみで行ったのか。
  58. 船川謙司

    参考人船川謙司君) 初期機能確認につきましては、事業団の方からNHK契約いたしましてNHKの施設をお借りして機能確認をするということになっておりまして、事業団の職員がNHK放送センターに参りまして、NHKの職員の御協力を得て機能確認をやっております。
  59. 片山甚市

    ○片山甚市君 中継器の特性確認については格段のそのときには不自由はなかったんですか。
  60. 船川謙司

    参考人船川謙司君) 機能確認の際には、三月二十二日までの期間におきまして全く異常ございませんでした。
  61. 片山甚市

    ○片山甚市君 それなら、初期機能試験NHKも参加していたのであれば、三月二十三日のA系統中継器の異常発生から故障であると判断するまでの全過程を承知していたのではないですか。
  62. 船川謙司

    参考人船川謙司君) NHKの施設を使わしていただいてやっておりましたけれども事業団責任でこの試験は行っておりまして、事業団の方でいろいろ試験スケジュールなどをつくっております。この製造業者などともいろいろ意見を交換いたしまして、四月五日になりましてこれは故障の可能性が多いということで関係方面に御連絡した次第でございます。
  63. 片山甚市

    ○片山甚市君 そこでNHKにお聞きしますが、NHKはこの事態をお知りになっておったかどうか、まずお聞きします。  その次に、NHKの昭和五十九年度収支予算の国会審議は、衆議院逓信委員会が三月二十三日と二十六日、本院における審議は三月二十七日と三十一日に行いました。三月二十三日に異常発生という重大な事故が当時何一つ事実関係を明らかにしなかったことについて大きな疑問を抱くんです。先ほど食の問題がありますけれども、そういうことで郵政省はつんぼ桟敷におってわからなかったのか、郵政省の中にある一番担当の電波監理局長はどういうことであったのか、それでしゃあしゃあとしておったNHK事故があっても知らぬふりしておったのはなぜか、これについて白状してほしいんです。
  64. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 郵政省といたしまして、私ども常日ごろ宇宙開発事業団あるいはNHKあるいは機構といったところとの連携は十分にやってまいっているわけでございますが、今回の2aの故障につきましては、先ほど大澤理事長からのお話の中にありましたような経過の中で、私ども故障の可能性ありという報告を受けましたのは四月の五日でございます。
  65. 矢橋幸一

    参考人矢橋幸一君) 先ほどお話がありましたように、三月二十三日の異常が出たときにはこれは宇宙開発事業団の管理責任下にありまして、我我はそれに協力しまして、例えば電波のスイッチを入れてくれとか切ってくれとか、入り切りということはやっておりましたけれども、その異常についてこれは故障であるかということについては全く最初わかりませんでした。それが五日になりましてどうも故障らしいという報告を受けたわけでございます。
  66. 片山甚市

    ○片山甚市君 わかりました。NHKはそういうことでないからこそ、NHK放送番組時刻表として総合テレビ、教育テレビ、衛星第一、衛星第二テレビ、ラジオ第一、ラジオ第二、FM等のこういう四月の番組を、本当に困ったなあという顔をして私の事務所の中に届けておるんですから、その時分はまさか故障しておると思ってなかったと思いますが、とにかく非常に残念でありますし、大臣、幾ら考えてみても、お互いにセクションを区切って余り連絡が十分でなかったということについては感じます。技術が優先して、実態上、国民にラジオの聴取料、テレビの放送の受信料を値上げするような法案をしておるときですから、我我は知らないから議論してきましたけれども、納得しがたいんです。  そこで、NHKの昭和五十九年度予算は、放送衛星を初めとするニューメディアの開発実用化が受信料改定の大きな要因であった。その審議のさなかに起きた事故であるだけに非常に残念です。ニューメディアの問題がなければそれはよろしいけれども、それを売り物にしていろいろとこれからの夢をばらまいたわけで、虹のごとく消えていったわけです。故意に報告しなかったのではないということについてはありましても、どうしても納得できませんから、川原会長と大臣から決意のほどをまず聞きたいと思います。
  67. 川原正人

    参考人(川原正人君) 御指摘のとおり、五十九年度からの私どもの事業計画の中では、衛星放送を初めとするニューメディアに対する対応策、それを私どもがいろいろな形で真剣に努力していかなければいけないと。そのための財源の問題も含めて料金の値上げということを御審議いただいたわけでございます。その意味で、現在こういう形で五月から私どもが本放送として実用化しようとしておりました衛星が本放送という形にできない。一チャンネルという、しかも試験放送という形で今仕事を続けていかなければならないということについては、私ども大変残念であるだけでなく、これは聴視者に対してまことに申しわけないと思っておりますし、またそういう前提で御審議いただきました国会に対しまして大変申しわけなかったと思っております。  ただ、先ほども申し上げましたように、放送衛星というのは将来の新しい放送のメディアとしてはこれは非常に多角的な能力を持っているものでございますし、必ずこれは国民の財産として、また同時に私どもNHKの新しい仕事として十分に活用し得るものであると、そういう見通しについては、私いまだにその確信は変えておりませんし、必ず将来そうなるものであろうと。ただ、現実に今こうやって事故が起きておりますので、このことにつきましては早急にその原因解明して――もちろんこのaの故障回復されることは今最大望んでおりますけれども、さらに続いての2bあるいはBS3につきましては、単にスケジュールにこだわるというのではなくて、やはりここで慎重に今の事態を検討し、反省すべきところは反省をして、そして信頼性の確保と、そして十分にこれが受信料をもって行い得る本当の実用衛星となり得るように、今時点でもなおこの原因、将来の対策を慎重に考えて着実にその対策を講じていきたいと思っているわけでございます。
  68. 奥田敬和

    ○国務大臣(奥田敬和君) NHKの値上げをお願いするに当たりまして、確かに先生の御指摘にもこたえて、NHKが新しいニューメディアの実用化を図って国民にサービスを還元できると、そういった形で大変夢をばらまいたような結果になりましたことはまことに遺憾でございますし、責任も痛感をいたしております。  ただ、NHKを含めて、こちらは利用する側、片やつくる側の責任というような形の責任を転嫁しようという気持ちは毛頭ございません。ただ、これはもう宇宙開発政策、大きくは政府全体の大きな責任でもあると痛感をいたしております。ただ、こういった先ほどもどかしいと発言をいたしました裏は、こういった宇宙技術というものを、またある意味においては科学技術につきものであるリスクという面等々考えて、今後の開発政策には慎重の上にも慎重、入念な上にも入念、そして事実解明に、究明に何としても一日も早く全力を尽くしていただきたいという思いでいっぱいでございます。大変重大な事故であっただけに、国民の期待に沿い得なかったことはまことに遺憾で残念でございます。
  69. 片山甚市

    ○片山甚市君 時間の制約がありますから端的にお聞きしますが、お答え願いたいんですが、契約時における責任の所在についてひとつお伺いします。  BS2開発運用体制については、NHKが製作、打ち上げと運用管理を通信放送衛星機構に委託し、機構はさらに製作、打ち上げを手前開発事業団に再委託をし、事業団衛星本体やロケットをメーカーへ発注するということであります。  そこで、BS2のメーカーは東芝でありますが、事業団とメーカーとの間の契約における責任関係はどのように規定されておりますか。
  70. 大澤弘之

    参考人大澤弘之君) 事業団はメーカーの契約上の責任に関しまして、BS2a契約において、今お話のございました東芝が契約相手方でございますが、これとの間で、契約相手方は契約物品の瑕疵について、引き渡し後打ち上げ時点まで、または一年間のいずれか早い方まで担保の責めを負う。ただし、契約相手方の故意または重大な過失に基づく場合は、瑕疵を発見したときから一年間担保の責めを負わなければならないというふうに定めております。
  71. 片山甚市

    ○片山甚市君 この場合の故意または重大な過失の内容についてお聞きします。そうであるかどうかの判別、立証はどのようにされますか。
  72. 大澤弘之

    参考人大澤弘之君) 言葉は、言葉どおりの故意または重過失ということでございますが、内容的には原因究明の結果を待ちまして法律の専門家、弁護士等とも相談をいたしました上で決定をするというのが例でございます。
  73. 片山甚市

    ○片山甚市君 次に、宇宙開発事業団通信放送衛星機構契約における当事者の関係及び責任の所在はどのようになっていますか。
  74. 斎藤義郎

    参考人斎藤義郎君) NASUDAと機構との間の契約における当事者の関係責任の所在ということでございますけれども、賠償の責任につきましては、打ち上げ時前に損害をこうむった場合は、事業団の責めに帰すべき事由による場合を除き、機構事業団に対して損害賠償の請求を行わないものとしております。また、打ち上げ時以後において損害をこうむった場合は、相手方に故意がある場合を除いて損害賠償の請求は行わないとなっております。
  75. 片山甚市

    ○片山甚市君 相手方の故意による場合とは具体的にどのような場合か。また、実際上、故意による場合などあり得ると初めから思っておるんですか。
  76. 斎藤義郎

    参考人斎藤義郎君) 通常の場合にはNASDAの故意によって衛星ふぐあいになるという事態はほとんど考えられないと思いますけれども、こういう規定の性質上、そういう外国の例を見ましても、故意の場合に責任を負うと、そのほかは責任を負わないというのが打ち上げにおける通例になっておるようでございます。
  77. 片山甚市

    ○片山甚市君 相手の故意による場合というのは具体的にどんなようなことを指しますか。
  78. 斎藤義郎

    参考人斎藤義郎君) 普通の民法上の場合と同じように、ある一定の結果が招来することを認識しながらそれを行う、いわゆる故意でございます。
  79. 片山甚市

    ○片山甚市君 実際上故意による場合があると考えておられるんですか。初めからもうそういう不信の団体と契約しておるというふうに理解してよろしゅうございますね。故意ということを起こす団体と契約しておる。アメリカ人は知らぬですよ、日本人の話ですから。民法は知らぬですよ。故意というのはどんなことをすることを前提にしておるのかと言っておるのに、その文章、民法がどうとかなんとかいうことはここで聞かぬでいいんですよ、弁護士が後で言ったらいいんだから。故意というのは具体的にどんなことを故意と言うんですか、この放送の場合ですよ、衛星の場合に故意で。先ほど、技術的に検査してみて事態が明らかになったら弁護士と争ってでも裁判してでもやりますよという理事長の勇ましい言葉がありましたから、できるものかできないか、お手並み拝見ですが、NHKの方は相手の故意というのを、どんな状態を故意といいますか、このときは。内容を聞いておるんですけれども、わからないですか。書いただけですか。
  80. 斎藤義郎

    参考人斎藤義郎君) 現実の場合には、NASDAが故意で衛星を破壊すると申しますか、そういうようなことはあり得ないことだとは思いますけれども、こういう契約上の問題としてそういう事柄を一応つくり上げておくということがこういう契約の場合の常例だと思います。
  81. 片山甚市

    ○片山甚市君 だから、建前であって本音ではない。今の質疑を通じてわかったことは、実際上、故意による場合などは考えられないとすれば、事業団機構との関係は一〇〇%免責に等しいというか、お互いに責任を負うことを拒否しておる事態だと思いますから、納得できませんから次に移ります。納得してないんですよ、まだまだこれからやるんですから、心配せぬでも。きょうおとなしくやめるけれども、これで終わりじゃない、きょうは小手調べ。  次に衛星利用するNHKは、製作、打ち上げ、運用、管理を通信放送衛星機構に委託しているけれども、両者間の協定内容はどういうことですか。
  82. 矢橋幸一

    参考人矢橋幸一君) お答えいたします。  NHK通信放送衛星機構との間には、放送衛星二号の設計とそれから製作、それから打ち上げ、これは初期の機能確認を含みますけれども、に関する業務を機構に委託することにつきましての基本的事項を決めた協定がございます。その中で所有権とか運用と管理とか、いろいろ決めてあるわけです。その中で損害賠償につきましては、通信放送衛星機構機構の責に帰すべき事由によりましてNHKに損害を与えた場合には損害賠償をするということになっております。  ただし、宇宙開発事業団の責による場合には、その損害につきましては事業団に求償し得る範囲であるということになっております。それで、これによりましてさらに求償し得ない損害をてん補するために、機構は国の施策の実現を関係機関に働きかけるという条項が入っております。
  83. 片山甚市

    ○片山甚市君 大臣にちょっとお聞きしますが、NHK通信放送衛星機構機構宇宙開発事業団事業団とメーカーはそれぞれ実際上お互いの責任を問えない仕組みになっておると今お聞きしました。ということは、一たん故障などふぐあいが生じても、あるいは利用者が多大の迷惑をこうむるだけで責任の所在のみがあいまいだということではないかと思いますが、大臣、今の話を聞いて、だれが責任をとりますというような話をしておるかどうか、ちょっとお聞きします。いかがでしょうか。
  84. 奥田敬和

    ○国務大臣(奥田敬和君) 今それぞれの機構契約内容をちょっとお聞きいたしておりましたけれども、結局、帰するところ、殻高の責任宇宙開発政策を進めている政府全体にあると思いますし、当然私たちもその責任の大きな一端を担っておると思っております。
  85. 片山甚市

    ○片山甚市君 そういう居直りをされても、実際上、契約行為がこれでは十分でないということを言いたいわけです、私は。だれが責任をとるのかわからないようなことを書いて、あり得ないことを書いて、起こったならば何とかするという、そういうことについては納得できませんが、最終的には大臣の責任だと言われるけれども、万々が一、例えば全部、全機関に連帯責任をとっていただいても、結論は、お金は国民の負担になる、大臣のおっしゃるように。巨額の経費、将来計画の影響などを考えると、政府の最高責任者、すなわち総理大臣の責任が問われるべきものになってくる。これを認めた政府としても、大臣だけではなく総理大臣までが責任をとるべきことになってくると思うのでありますが、いかがでしょうか。
  86. 奥田敬和

    ○国務大臣(奥田敬和君) 政府全体にとってまことに遺憾んで、責任政府全体にあると申し上げました。もちろん最高の立場にある総理も私と同様の気持ちであろうと思っておりますし、そのとおりだと思います。
  87. 片山甚市

    ○片山甚市君 総理大臣が責任をとれと言っておるのではなくて、これはやっぱり明確に責任をとれるように変えなければならぬというほどのものだ。今の契約では、もう一度問題が起これば本気になって事故がどこにあるのか探さないで、そのうちわかったら適当にやりましょうということになってくるという心配をしますから、だから意見は述べておきます。  大森委員質疑にもありましたけれどもNHKは四月二十二日、三系統ある中継器のうち一系統は故障している、いわば欠陥商品のBS2a機構を経由して事業団から受け取ったのでありますが、正常な引き渡しということで問題はなかったのか。これはNHKお答え願いたいのです。正常なものを受け取ったつもりか。
  88. 矢橋幸一

    参考人矢橋幸一君) NHKとしまして、四月二十二日に引き渡しを受けたわけです。その節には宇宙開発事業団の方から二チャンネルのテレビジョン衛星放送ができるということを確約をいただきました。データもいただきました。我々としても、衛星放送を待ち望んでいる視聴者の方々もおられます、ということもございます。そのほか、今後の措置につきまして、故陣の原因究明とそれから回復措置を至急に図るという確認をして、自主的な判断によって引き取ったものでございます。
  89. 片山甚市

    ○片山甚市君 欠陥商品をつかまされてそういうふうに御託を並べていますが、残りの一系統の信頼性について事業団からの確認とNHK自身も安全性を確認したから引き取ったとおっしゃっておる。しかし、わずかそれから十日余りの後、五月三日にはR系統の異常が発生している。NHK及び事業団は、かなり無理をして欠陥商品を整合性があるというふうに取り繕って、押しつけたり引き受けたりして国民のお金を使ったということではこの責任は重いと思うが、NHKはどう思いますか。欠陥商品ですよ。
  90. 矢橋幸一

    参考人矢橋幸一君) これは先ほどから申し上げますように、原因その他がはっきりいたしませんと欠陥商品なのかどうかわからないと思いますけれども、ただ我々としては、引き続きこういった事故が、故障が起こるということについては非常に残念に思っております。
  91. 片山甚市

    ○片山甚市君 私は、こういうような科学技術の粋を集めたものですから、大臣がおっしゃるように、リスクがあることを承知しておるわけですよ。しかし、さも故障がないような格好をして、ニューメディアがあしたから降り注いできて、夢の花が咲くようにおっしゃって、ついにしぼんでしまった。  私は夢を追う男ですから夢は反対じゃないんです。夢があるならずっと夢を見さしてほしいわけですよ。消えましたと。先ほどの話じゃないけれども、三十万円で売り出した二万セットぐらいが使えないという話を聞くと残念ですから、そういう意味で、取り扱い上は、私が聞いておりましても至って生ぬるい武士の商法的な、親方日の丸的な感じがしてならない。もっと真剣に対応してもらいたい。  東芝はこれで損したのですか、損じません。だから土光さんやそんな連中ものんきにしておるけれども、もしあれ損したんならどなり込んでくるんでないですか、こらおまえ何しとるかと。たまたま損したのはNHKがお金を出してくれた。国の税金を使っておるということでにこにこと。さらに引き続いて努力しなさい、もっと安いのを買ったらどうですかというような程度のモラルの態度です。自分の金だったらもう目を三角にしてやかましく言うでしょう。行革行革と言ってやかましいカワズみたいに騒いでおるんですから。  そのほかについてですが、故障原因について、宇宙開発委員会放送衛星対策特別委員会、これは五月十四日に設置されておるんですが、検討中であるということですが、今後の見通しはどうですか。一カ月ほどで大体結論が出るという話ですが、検討中であるということですが、今後の見通しをお聞きしたいんです。
  92. 北村俊男

    説明員北村俊男君) 先ほど事業団の方から御説明ありましたとおり、現在宇宙開発委員会のもとに放送衛星対策特別委員会というのを設置して、その下に技術小委員会という委員会がございまして、そこには中継器専門家からなる委員出席しておりまして、こうした事業団とか関係機関が提出されるデータに基づきまして慎重な調査、審議をやっておるところでございます。これにつきまして、現在データ検討中でございまして、私どもはこの究明につきまして万全を期したいということで、出されるデータごとにステップ・バイ・ステップで進めておるところでございますが、現在の段階ではまだ究明の途次でございまして、今後につきましてはまだ明快なことが申し上げられない状態でございます。
  93. 片山甚市

    ○片山甚市君 何回程度やられましたか。
  94. 北村俊男

    説明員北村俊男君) 現在までに六回の小委員会実施いたしました。
  95. 片山甚市

    ○片山甚市君 まあ事故が起こってというか、五月十四日からそのぐらいですから、いかにゆっくりしておるか、大臣わかりましたか。郵政大臣、この小委員会が五月の十四日から始まってまだ六回しか検討していないというわけです。この放送衛星対策特別委員会委員会、本当にそこで勉強しておるのか。六回しかやってないとおっしゃっておるんです。その程度ですよ。大臣の責任があるとか、総理大臣が首になるような問題だとかいうのは言葉の端でありまして、この人たちの気持ちというのは、いやおもしろかったなぐらいの程度じゃないですか。非常に胸くそ悪いというか、おもしろくないです。  また、たとえ原因究明されても、地球から三万六千キロも離れた宇宙空間の衛星に対して、地上からの発射電波で遠隔操作による修理ということでありまして、どの程度の可能性があるのかわかりませんのでお聞きします。  アメリカやヨーロッパでの故障したときの回復、修理の実績はどんなものであるか、例示をして簡単にお答え願いたいと思う。外国は故障したことあるでしょう。
  96. 船川謙司

    参考人船川謙司君) 通常の手段で打ち上げられました衛星につきまして、トランスポンダーやなんか故障しまして、その後回復したという例は大変少ないと思います。我々も余りたくさん聞いておりません。最近シャトルになりましてそういうふうな可能性が大分できてきまして、先日もシャトルで回収されたわけでございます。ただし、今度の場合につきましては、コマンドで回復するという見込みを我々はまだ捨てておりませんで、これはトランスポンダーの中の動作の機構をコマンドで変えまして回復する見込みがまだ残っているのではないかというふうに我々判断しております。これも、今後の原因究明いかんによって実施できるかどうか、まだ慎重に検討しているところでございます。
  97. 片山甚市

    ○片山甚市君 技術問題はこれからも頑張って解明していただき、一刻も早く、次に打ち上げるbが安心してやられるし、またBS3がより安定したものができるためのいわゆる大きな礎石になるようにしてもらいたい。とりあえず二百億円ぐらい損したんですから、それは三倍も四倍も五倍にもして返してもらわないと。のんきに、五月の十四日から今日まで六回ぐらい勉強したんだと、それで一生懸命やっていますなどということはやっぱり納得できない。  最後に、世界で初めての実用放送衛星として宣伝され、視聴者は過大な期待をし、三十万円近くもするパラボラアンテナセットも二万台以上売れたと聞いております。しかし、今の一波放送では総合テレビの番組が九〇%ということであり、視聴者の不満が大きいものと、こういうふうに考えます。  そこで、NHKのみならず関係機関責任者として、今後の対策責任ある所見をお聞きしたい。  まず、NHK郵政省、科技庁、事業団等、関係者から一言ずつ、これをどういうふうにされるかお答えを願いたいと思います。それをお聞きして質問を終わります。
  98. 川原正人

    参考人(川原正人君) 私どもとしては、この放送衛星につきましてもともと非常に早い段階、十数年前に、このような放送衛星が将来の放送の手段として非常に画期的な役割を果たすであろうということで提唱いたしまして、その後、国の宇宙開発政策の中でもそのことが取り上げられ、かなり長い間にわたりまして検討をされ、また最近の日本の科学技術の水準から申しまして十分に実用にたえ得るものと国の施策でも判断されたと思いますし、私どもそう判断してやってまいったわけでございますけれども、現実にこのような今の状況になっておりますので、甚だこれは残念なことだと思っておりますし、視聴者に対しましても本当におわびをしなければいけないと思っているところでございます。  しかし、先ほど来申し上げておりますように、この放送衛星というものは必ずやこれは将来大いに活用の方途があるものという確信を持っておりますので、将来に向かっては今までの考えをそのままこれは推進していって間違いはないと。ただし、技術的なその途中の手段において甚だこういう事故を起こして、国民の期待にもこたえられない状況でございますので、今後はあくまでその衛星の信頼性を確保するということを第一に考えまして、かつまた受信者の受信料を使って実用衛星を上げます私どもとしては、万が一の場合の各種の補償というか措置を十分にこれから考えてまいりたい。今までもいろいろな対策は講じてきたつもりでございましたけれども、現実問題としてそこが十分に補償がとれてないということは、これまた私ども認めざるを得ないところでございます。  今後、関係の方面に対しまして、今の事故、あるいは従来の補償の問題を十分に反省して、何らかの意味でより視聴者の利益が確保されるようなことを相談してまいりたいというふうに思っております。
  99. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 私どもといたしましても、今回の故障発生によりまして、当初計画をいたしておりました二チャンネル放送ができない事態につきましては大変残念でございますし、また国民の皆様にも申しわけないというふうに思っている次第でございます。障害原因究明、それからできまするならば修復にということで関係機関の努力をお願いをしているところでございますが、今もNHK会長からお話がございましたが、私どもも、もし修復できれば大変好ましいわけでございますが、修復できたといたしましても、これから先の2bあるいは3といった計画に向けまして信頼性あるいは経済性、ユーザー負担の軽減といったことにつきまして最大限の努力をし、そしてまた今回の経験をこれらの計画に十分に生かしていきたいというふうに考えているところでございます。
  100. 大澤弘之

    参考人大澤弘之君) 当初の目標でありましたカラーテレビジョンの二チャンネルの同時の放送ができなくなりましたことは、私どもBS2開発を担当いたしました者としまして大変申しわけなく思っておりますが、当面、事業団といたしましては、原因究明を一生懸命早急に行いまして、今後のBS2bへの必要な措置、あるいは回復が可能ならば回復への措置ということにつきまして一生懸命やってまいりたいと思っております。
  101. 斎藤義郎

    参考人斎藤義郎君) 私ども機構通信衛星放送衛星の完成を目的として設立された組織でございますが、BS2aの完成につきましても万全の態勢で臨んでおるところでありますが、今後ともこの態勢を堅持してまいりたいと考えております。なお、BS2aの異常につきましては、関係の向きと積極的に協力して事態の改善に全力を尽くしたいと考えております。
  102. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 弁解は要りませんが、北村課長、発言ありますか。
  103. 北村俊男

    説明員北村俊男君) ゆり号a中継器ふぐあいが生じまして、当初予定いたしました二チヤンネルの放送ができなくなりましたことにつきましては、技術開発に伴うリスクは避けがたいと申しましても、その開発に多くの資金を投入いたしまして、また先生、皆様方初め視聴者の皆様方、関係者の各位に御迷惑をかけている事態を、私ども宇宙開発委員会、科学技術庁ともどもこの件につきましては厳粛に受けとめておるところでございます。このため、幅広く有識者の頭脳を結集いたしまして放送衛星号aに生じましたふぐあいに関する原因究明と、今後の対策検討を行うために宇宙開発委員会放送衛星対策特別委員会設置いたしまして、鋭意検討を進めているところでございます。この特別委員会におきます速やかな検討を経まして、宇宙開発事業団に万全の対策を講じさせる所存でございます。
  104. 岡野裕

    岡野裕君 三十分の時間をいただきました。先輩両先生の御質疑と重複をするところもあろうかと思いますが、二、三お尋ねをいたしまして勉強をさせていただきたいと、こう思うわけであります。  今回の人工衛星BS2ふぐあいの問題について一、二の雑誌などの取り上げ、これを見ておりますと、私はこんな気持ちがいたしました。  今度、初めてうちの地元から新進気鋭のチームができて甲子園に行くことになったと。本格派のピッチャーも三人もおると。一人はリリーフでも名を売っていると。これならばさぞや優勝するであろうというようなことで、地元を挙げてちょうちん行列で駅頭わんやわんやで甲子園に送り出した。ところが、行ったチームは第一回の表でピッチャー二人はダウンだと。リリーフも役に立たなかったと。たった一人の残されたピッチャーでこれから九回の裏までもつかなあと。いや優勝するだろうというようなので、最後の優勝戦までは五つも六つもやらにゃいかぬけれども、もつかなあというようなことで地元は心配だ心配だと、はらはらはらはらしていると。しかも、自分がピッチャーになるわけにもいかない、責任ある監督をやるわけにもいかない。ただ気をもむだけだというような気持ちがあろうかと、こう思うのであります。  しかしながら、やっぱりこの問題は私どもの野球の世界ではなくて、もう超先端技術の最たる分野でありますものですから、我々気をもむだけでもどうにもならない。いや、この試合の前に監督、用兵の相談を怠ったのではないかとか、あるいはちやほやされ過ぎて睡眠が不足のまま第一回戦に臨んだのではないかとか、ピッチャーと監督、監督と主将の間がうまく連絡がとれておったのか、責任はどうなっているんだなどという声が出てくるのも一般的にはやむを得ぬことだろうとは思うのでありますが、やっぱり専門家の世界でありますと、これはひとつ専門家の皆さんでぜひ那辺に問題点があったのであるかというようなことで、今、最後に残されたピッチャーが極力優勝戦までいけるように、それから春の甲子園は終わっても夏の甲子園というものもあるのだというような、長い日でチームがより強くなるように国民の期待に沿うようなそういう御努力をやっていただければなあと、多少不謹慎かと思うのでありますが、そんな気がするわけであります。  今まで先端技術につきましては、コンピューターの発達史などをひもといてみましても、やっぱりこの試行錯誤の繰り返してあります。使われることなく葬り去られるというようなコンピューター、これは随分あったのだろうと思うのでありますが、今日本のコンピューターは日立も富士通も日電も世界に冠たるものになった。絶対引けをとらないものになった。これはそういうような技術の積み重ねの中で実現をしたのだなあと、こう思うわけであります。  人工衛星一つにつきましても、きのうおとといの諸新聞にいろいろアメリカのスペースシャトルの失敗が出ております。きのうの夕刊なんかも今度で十一回目だというふうで、日本だけではないのだなあと、こう思うのでありますが、しかし、やはりBS2につきましては、国とNHKで半々を経費負担をして打ち上げたものであるわけなんですね。そういうことからするならば、NHKというものも視聴料の中で国民の負担で賄われている。国の予算においては言うもさらなりということでありますならば、これの経験を踏まえられて十分この原因究明に努力をされ、BS2のbでありますか、あるいはBS3でありますか、これに生かしていただければと、こう思うのでありますが、以上の視点に立ちまして若干のお伺いを申し上げたい、こう思うのであります。  まず、BS2a故障原因究明の作業は両先生からもお尋ねのあったところでありますが、いかがでありましょうか。もう想定される問題点こんなところだなぐらいの絞りにはなっておいでなのでありましょうか。今後の作業予定はどんなことになるのでありましょうか。所管がどちらになるのか存じませんが、科学技術庁、宇宙開発事業団どちらでも結構です。
  105. 大澤弘之

    参考人大澤弘之君) 原因究明検討状況につきましては先ほども申し上げたようなことでございますが、絞り込みから申しますと、ちょっと分類の仕方がいろいろあって、四つとかあるいは八つとかいう数を申し上げても余りあれかと思いますけれども、繰り返しになりますが、中継器といいますのは進行波管とそれを動かします電源と、それから電源、進行波管がなかなか周波数の高い高出力のものでございますので、相当の先端製品でございますので、これを保護しなければなりませんので電流、電圧等が異常になりましたときに、すぐシャットをする保護回路というものから成り立っておりまして、これらのそれぞれについてやはり原因が今進めております作業では考えられております。したがいまして、先ほど来申しましたように、まだ特定をするところまでいっていないのでございますが、さらに地上でできますような試験を行いまして、それらをさらに特定――絞り込みと申しておりますが、絞り込みを進めるという作業に現在がかっておる段階でございます。
  106. 岡野裕

    岡野裕君 ありがとうございました。  このBS1につきましては打ち上げられましてからやはり三年数カ月の間でいずれも中継器は出力ダウンだというような例があるわけでございますが、あれの原因究明は当然行われたのだとこう思うわけでございますが、今回はそれとの結びつきあたりどんなふうな御理解をなさっておられるのでございましょうか。
  107. 船川謙司

    参考人船川謙司君) 前回のBSEにつきましては、先生御指摘のとおりやはり放送電波が出なくなったことがございますが、これの原因宇宙開発委員会の方で十分御審議していただきまして、これは主として電源のトランスに使っております中の絶縁用の充てん物がございますが、この充てん物が少し材質が悪かったためにそこから劣化が起こりまして、中で放電を始めて高圧電源がいかれてくるというふうな現象だということがその後の試験ではっきりわかっております。それで、今回のものと比べますと、現象の出方が全く違いますので、今回は前回の経験を生かしまして、こういう電源のポッティングと称しておりますが、そういう充てん材につきましては十分な配慮をしてこのための事故は起こってないと今我々は判断しております。
  108. 岡野裕

    岡野裕君 前回の経験は生かされているというお話をいただきましたのでありますが、前回はヒューズだと、今回はトムソンだ、いやGEだ、東芝だと、いろいろな企業体等が中に入っての産物、これがBS2aだと思うのでありますが、そういう意味合いで、外国製だからだと、ブラックボックスの部分もあるというようなことが原因をいろいろきわめられていく上で何か支障になっているものがあるのでありましょうか。外国製品、ブラックボックスだ、手が出せないんだという点はいかがでありましょうか。
  109. 船川謙司

    参考人船川謙司君) 御指摘のように、BS2a衛星全体がGE社製でございまして、中継器及びTWTを含むコンポーネント、部品等、多く外国製の機器を使用しているわけでございます。しかし、このBS2に使っておりますこういうコンポーネントにつきましては、いわゆるブラックボックスというものではございませんで、要するに、我々ブラックボックスと申しておりますのは、専ら取り扱いの主導権が外国の企業にありまして、我々が余り手を触れることができないものというふうに我々はブラックボックスを定義しておりますが、そういうものと違いまして、このTWTにつきましても国内で現在もいろいろ試験をしているところでございまして、また今回のふぐあいにつきましても、このふぐあい原因究明に必要な技術資料の提供は十分受けているところでございますので、我々としましては、外国製品であるがゆえに原因究明支障を生じているというふうには考えておりませんで、やはり非常に最先端の技術でございまして、いろいろ問題がございまして、それを一つ一つ解き明かすのに今非常に苦心をしているというところだと思っております。
  110. 岡野裕

    岡野裕君 このBS2bの方の組み立ては今はストップだというように聞いているわけでありますが、来年の夏には打ち上げられる予定だというこのスケジュールは、今の原因究明の進捗状況、これから見ましていかがなものでありましょうか。
  111. 大澤弘之

    参考人大澤弘之君) 来年の夏に打ち上げますためには、これを輸送して日本へ持ってまいらないとなりませんし、日本で打ち上げ前の検査もいたさなければなりません。現在、GEの工場にほぼでき上がっておるんでございますが、これの衛星の全体のシステムの試験というのは、四、五カ月は従来かかっておりますので、原因究明の結果、対策。その原因いかんによるわけでございますが、対策措置といいますか、改修等その内容によるわけでございまして、これがまたどのぐらいの期間がかるかわからないんでございます。そんなことで、かっちりとしたスケジュールが今のところ原因いかんによるということで申し上げかねるわけでございますが、現在のところは、来年の夏に打ち上げるべく原因究明を行い、改修の期間を一応見積もっておるつもりでございます。
  112. 岡野裕

    岡野裕君 ふぐあいの個所、原因あたりがはっきりいたしますと、今アメリカにおいて云々というお言葉は一部中を変えなければいけないというようなことも出てこようかと。あるいはこれ日本のその面の技術水準がどのくらいかわからないのでございますが、BS3、これは数年後だということでありますならば、自前の衛星というようなものはこの部分についてでき得ないものなのかどうであろうかと。ブラックボックスではないということでありますならば、その辺の技術の錬磨でありますか、日本はお家芸だと思うのでありますが、先の展望いかがなものでありましょうか。
  113. 大澤弘之

    参考人大澤弘之君) 衛星全体の、特に放送衛星といいますのは、技術的には一番高度な技術を、例えば衛星の姿勢の制御でございますが、姿勢の制御につきましては、きちんと日本の方を向いでなければならないという意味で、姿勢制御の精度も非常に高い精度要求がございます。また、今度故障をといいますか、ふぐあいを起こしております中継器の出力が大変高いものでございますので、この温度の影響ということもほかの衛星から比べますと非常に大きい、またその冷却をしなければならないといったようなこと、これが放送衛星というのは衛星の中でも非常に難しい、一番難しい衛星になっておるわけでございます。したがいまして、現在BS実験衛星それからBS2ということを製作をいたしてまいりました過程で、私ども事業団といたしましては、衛星日本で製作をしていく技術が相当に身についたものと思っておりますが、今現在一〇〇%国産ができるかということにつきましてはまだ必ずしも確信を持っていないところでございます。  なお、中継器につきましては、ただいまお話がございましたように、日本としてもかなり得意な分野でございまして、先ほど来ございましたが、BS2の発注の段階ではまだ国ができないという状況であったことにかんがみ、その後鋭意皆さん各方面で開発研究に取り組みまして、現在では同等のものの国産化が可能だというようなところまで至っておると判断をいたしておりますが、これにつきましてもまだ、いわゆるスペースプルーブンと私ども申しておりますが、地上宇宙での環境の実験とかあるいは実際に宇宙へ上げてみるといったようなことについての試験がまだ十分済んでない段階でございますので、これからそういうことにつきましてBS3、その後のことにつきましてはそういう十分な開発の経験を踏まえた上で判断をしていかなければならないものと考えておるわけでございます。
  114. 岡野裕

    岡野裕君 BS2につきましては、やはり世界で初めての本格的な放送衛星だというようなことで国民の関心を呼んでいたわけなのですけれども、やはり難視聴の地域の解消を今までは地上アンテナ等でやっていた、これを天空のかなたから一綱打尽に四十二万世帯一挙に解消と、こういうことで大きな意味合いを持っていたと思うのでありますが、NHKさんは、この辺は今のたった一本残されたB系統のトランスポンダーで十分難視聴の解消はやっておられると、こういうふうな理解を私どもはしてよろしいのでありましょうか、いかがでありましょう。
  115. 矢橋幸一

    参考人矢橋幸一君) 大変残念ながら現在衛星放送は一チャンネルで行っておりますけれども、我々といたしましては実質的に難視解消に寄与しているというふうには考えております。たびたび申し上げますように、やはり早く原因究明が行われまして、回復措置も早く行われまして、早く二チャンネル衛星放送ができるように我々も現在事業団の努力に対しまして協力していきたいというふうに思っております。
  116. 岡野裕

    岡野裕君 要するに、総合テレビでありますか、チャンネルの一番、これを中心としたものについてはもう難視聴地域というものは日本列島になくなった、三チャンネルが見えないのであると、こういう理解でよろしゅうございますか。
  117. 矢橋幸一

    参考人矢橋幸一君) その理解のとおりで結構だと思いますけれども、ただし、これは編成上の問題があります。編成上においていろいろ普及も図り、あるいは国民の要望にこたえるというふうな編成もしていきたいと思っております。
  118. 岡野裕

    岡野裕君 そうだとすれば、やはり最後に残された一本のチャンネルでもその意義が大きいのではないかなと、私はこう思うわけであります。  それから、もう一つは、このBS2にかけました我々の期待は、例の高品位テレビでありますとか静止画放送でありますとかPCM放送、これらが実験的になされる。そして四年後、五年後あたりには本格的なこの種のものが全国民に均てんできると、こういうような意味合いで眺めていたわけでありますが、この現在のふぐあい状況の中でこの種の実験はどんなふうに行われているのでありましょうか。
  119. 矢橋幸一

    参考人矢橋幸一君) 我々もこのBS2aを使いまして将来のニューメディアの実用化に向けまして技術実験を行う予定でございましたけれども、現在はこの技術実験の具体的な内容あるいはスケジュールにつきまして検討しております。具体的には、宇宙開発事業団によります原因究明と、それから回復措置の結果を待って今後郵政省と打ち合わせをして進めていくということになろうかと思います。  現在故障中の二系統の中継器原因究明のための措置が今後必要でございますし、また、チャンネルも一チャンネルしかございません。そういう意味から申しますと、五十九年度は当初想定した規模よりも若干縮小するということは考えられますけれども、この技術実験につきましては今後数年間にわたりまして2a並びに今後打ち上がります2bを利用しまして実施するということになっておりますので、計画どおりこの数年間に実施していきたい、また実施できるだろうというふうに思っております。
  120. 岡野裕

    岡野裕君 おっしゃるとおりに原因究明は十分なさって今後に備えていただきたいわけでありますけれども、先ほどコンピューターの開発の歴史などお話をしたところでありますが、これらにかんがみましてもなるほど慎重であらねばならないということであると同時に、やはり常に前向きの姿勢でこの種のものには取り組んでいかれなければいかぬのではないかなあと。世界的な意味から言いましても、日本がそのパイオニアであるというようなことで始まったものでありますので、途中でとんざした――大臣がおっしゃいますようにまことに遺憾のきわみだと思うのでありますが、意欲だけは常に持っていただきたいものだなと、こう思うところであります。  それでは、郵政省にお尋ねをいたしたいのでありますが、きのうでありましたかおとといでありましたか、宇宙開発委員会の方に宇宙開発計画の見直しに関する要望でございますか、これを提出をされた。昨年の要望書にも事故が起こった場合にはどうだというようなくだりはあったように思うわけでありますが、今回の事態にかんがみましてはBS2bあるいはBS3に関してどのような視点から要望をなさいましたか、お尋ねをしたい。
  121. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) お答えいたします。  BS2aの異常につきましては大変残念なことに存じておりますが、このような事態につきましては、今最も重要なことは十分な原因究明を行った上で今後の計画に万全を期することであるというふうに考えているわけでございます。  私どもといたしましては、そうした視点に立ちまして本年度の「宇宙開発計画の見直し要望」の取りまとめに当たりまして、考えるべき重要なことといたしまして、まず一方で多様化する通信需要に対処するためには新しい技術開発が必要である。さらに実利用という観点からいたしますと、信頼性の向上あるいは利用の継続性、そしてまた開発コストの低廉化による利用者機関の負担の軽減、これはさらには直接の利用者の方々の負担の軽減にもつながるわけでございます。こうしたことが極めて重要であるというふうに考えております。  他方、現在不幸にして異常が生じておりますBS2aにつきましては、原因究明と今後の対策について相当に腰を入れてやっていかなければなりませんし、また、この教訓を目前に迫っておりますBS2bあるいは五年後でございますけれどもBS3の計画にできるだけ生かしていくということが必要だというふうに考えた次第でございます。  そういうことで、これは昨日でございますけれども、「我が国の実用放送衛星である放送衛星号aに生じた異常に関し、速やかに原因究明を行い回復措置を講じるとともに、放送衛星号b(BS―2b)に関しては、宇宙開発委員会放送衛星対策特別委員会等の報告に基づき、十分な信頼性が確保されるよう措置することを前提として打ち上げる。放送衛星3号(BS13)の計画に関しては、BS―2aに異常が生じている現状にかんがみ、十分な信頼性が確保されるよう万全の方策を講じ、推進する。」といったことを含みます要望を提出したところでございます。
  122. 岡野裕

    岡野裕君 多少、技術論になるわけでありますが、この種の問題については、保険が大体据えつけまでの段階のもの、それから打ち上げて軌道に乗るまでの間のもの、それから機能がずっと続き、寿命の問題でありましょうか、三つぐらいの種類があるのだと聞いているわけでありますが、米国あたりのその制度の運用のありざまと、今日本で今回の保険の掛け方、この辺はどんなふうになっているんでありましょうか。
  123. 大澤弘之

    参考人大澤弘之君) NASA、ESAが打ち上げを実施しておるわけでございますが、打ち上げそのものに関しましてNASA、ESA自身は保険というようなことはいたしておりませんで、頼まれましたユーザー、特に商業ベースの打ち上げの場合には最大努力をする、最善の努力をするということをユーザー側との間で契約をしておりまして、したがいましてユーザー側は自分の判断で独自に打ち上げ保険を付保するケースが通常でございます。  それで、その内容といたしましては、ただいまお話がございましたように。例えば打ち上げ保険、それから寿命保険――これは打ち上げ後、初期機能の確認をいたしまして、ある程度衛星状態がわかったところで寿命の保険というのを保険会社との間で結んでおるわけでございますが、通常、最長期間は三年と聞いております。そのくらいの寿命保険というのが現在ございます。  私どもも諸般の検討をしておりますが、この打ち上げ保険につきましては、今回の保険では九十日、または機構に引き渡す日、これが実際九十日であったわけでございますが、これは私ども初期機能を確認してお渡しをするということで九十日という保険の期間をとったわけでございますが、これにつきましては、六十日とかあるいは百二十日とか、そういった例もございます。  打ち上げ並びに寿命の保険に関しましてごく大きな点だけを申し上げますとそういうような状況になっております。
  124. 岡野裕

    岡野裕君 ぜひ勉強をされて、BS2bの場合に対処をしていただきたい、こう思うわけであります。  最後に、この放送衛星の今後のあり方につきまして奥田郵政大臣から所見をお伺いいたしたい、こう思うわけでございます。  今までの御答弁をいろいろ承っておりまして、一生懸命やっておられるという御努力のほどはわかるわけでございます。やはり世界で初めてのものだ、四つ、五つの機関の皆様もそれで非常に矜持を持ち、失敗があってはならぬということでやってこられた、こういう努力のほどはわかるように思うのでありますが、やはり国民は結果を問うのだろう、こう思うのであります。何せ予算がかかる、税金だ、視聴料だというようなことからしても慎重であらねばならない、こう思うわけでございます。奥田郵政大臣におかれましては、就任以来、言いますならばこのニューメディアの世界を二十一世紀に向かってどういうふうにつくり上げていくか、非常に前向きなお取り組みをいただき、財投も初めてその実が上がったということでもありますし、VAN法案の促進につきましても御努力を賜った。加えて、政策官庁として今後積極的な展開をしていく、これが郵政省だというようなお言葉を聞いているところでありますが、今回のBS2の、言いますならば、私がお話をしましたパイオニアとしての使命と、それから一方、国民の負担が大きいぞというような面等をお考えをいただきました場合に、今後どういうふうな全般的なお気持ちで、御抱負でこれに取り組んでいかれるのでございましょうか。所見を例えれば幸せでございます。
  125. 奥田敬和

    ○国務大臣(奥田敬和君) ニューメディアは最近のはやり言葉になっておりますけれども、その担当官庁の責任者といたしまして、先般来先生にはいろいろな面で御尽力を賜りまして、何とか新しい政策官庁としての脱皮を目指すために懸命に努力を続けていることは御承知のとおりでございます。  ただ、いずれにしても、今回のBS2a事故に関しましては、技術陣としては入念に、慎重に計画をしたことではございましたけれども、結果的にはまことに遺憾でございました。国民の皆様にも深くおわび申し上げなきゃならぬと思っております。  ただ、いずれにしても、先端技術と申しますか、そういった意味の先進技術を結集したのがこの衛星でございますから、私たちは今回の事故にくじけることなく、事実究明の点検は徹底的に行う過程の中で、今後とも自前の宇宙開発政策を推し進めていく必要があると思っております。  なお、今後のBS2b並びにBS3の計画に関しましても、今回の事故究明を含め、関係省庁、事業団も含めてすき間風がないように、先ほど来の御指摘にもございましたように、チームワークと申しますか、連携を密にいたしまして、総力を挙げて取り組んで、国民の期待を何とか回復しなきゃいかぬという気持ちで取り組んでまいりたいと思っております。
  126. 岡野裕

    岡野裕君 前向きの御意向をいただきましてありがとうございました。
  127. 中野明

    中野明君 放送衛星につきましては、四十一年だったと私記憶しておりますが、NHK放送衛星の研究を開始されて、当時の前田会長でしたか、大変大きな構想を述べておられまして、私も記憶をしております。それ以来十八年、いよいよ実用衛星放送が実現というところまで参ったわけでして、私なりに当時を思い起こしまして非常に感慨深いものもありますし、日本技術の進歩も目をみはるものがございます。  しかしながら、今回は残念なことに放送開始直前になって今回の事故が起こったわけで、それだけにショックも大きかったと思います。当然のことながら、結果論として通信衛星と比べて、放送衛星は国産化率がまだ低い、三〇%くらいしかない。それにもかかわらないで、先ほど来お話が出ておりますように、世界初ということで功を急ぐ余りの失敗じゃないかと、こういうような批判が巷間出てまいっております。  それとともに、NHKも確信を持っておられたんでしょう。前宣伝もかなりなさったようです。それと両々相まって、その責任は大きいという批判が起こっているんですが、まず最初に、こういう批判に対して、NHKと郵政大臣からお答えをいただきたいと思います。
  128. 川原正人

    参考人(川原正人君) 今御指摘のように、放送衛星問題を初めて提唱いたしましたのは、確かに昭和四十一年当時のNHKの会長の前田が、やはりNHKの任務であります全国あまねくテレビジョンの放送を普及するといいますか、難視聴を解消するというNHKの任務に照らしまして、当時から山村僻地に至るまで、小さなサテライト局を次々とつくって、毎年膨大な投資を重ねていたわけでございますが、このような形でやるよりは、ここまで宇宙開発も進み、かつ電子工学、放送機器も進んだので放送衛星によって国内のカバレージをカバーすれば、これは一挙に難視聴の解消が図れるし、NHKの経営のみでなく、国全体としても非常に効率的な施策ではないかということ。そのほかに、もちろん当時、国際的に見ても、赤道の上空の静止衛星の、ある程度国際間においていろいろ条約取り決め等が進んでおりました中で、やはり国としても早くそういう静止衛星の活用を実際に計画を進めておかなければ、国際間の取り決めの中でも恐らくほぞをかむような事態が出るのではないかということもその発想の裏にはあったかと思いますけれども、そういう形で提唱申し上げました。そのことが昭和四十五年以来、国の方の宇宙開発施策の中でも取り上げられまして、そのためにいろいろな準備が行われ、かつ技術的な検討も進みまして、そして昭和五十三年でございましたか、一応実験衛星を打ち上げるというところまでこぎつけてきた。  そういう過程から考えますと、私といたしましても、これだけ長い期間をかけて十分にいろんな立場の方が議論をし、検討をされて進んできて、なおかつその間における日本の電子工学の発達等を考えました場合には決してこれは急ぎ過ぎたという印象は私は持っておりません。  しかし、現実問題としまして、その結果実用にたえ得るということで打ち上げました衛星が、実は本放送の免許をいただきながら急遽それを試験放送にまた戻さざるを得なかったというような、そういう事態になってきたわけでございます。その事実につきましては十分に私どもとして反省もしなければならないというふうに考えておりますし、またこういう放送衛星を実用に供してニューメディアの開発に努めたい。また、それがNHKの任務でもあろうし、かつそのために必要な経費については、ぜひひとつ料金の改定もお願いしたいということで計画を進めてまいりました。それが所期どおりの今段階に達していない、成果を発揮していないということについては、視聴者の方にも国会に対しても本当におわびをしなければならないと思っております。  ただしかし、基本のところはこういう衛星を打ち上げて、それによって難視聴の解消もするし、かつ、もっとこの衛星が多面的な能力を持ってその能力を十分に引き出して国民に対してその効用を広めていきたいということについては、私はやはりその基本の路線はいささかも間違っていないというふうに考えておりますし、今回のことを反省し、十分新しい施策に生かしながら基本の考え方は進めてまいりたいというふうに思っております。
  129. 奥田敬和

    ○国務大臣(奥田敬和君) 勇み足という表現の御指摘でございましたけれども、結果論から言えば先生の御指摘のように、功を急ぎ過ぎたという御批判も受けなければならないと思います。  ただ、世界初めての放送実用衛星ということで、比較的この難しい宇宙開発技術の中でも最も難易度の高いと申しますか、ウルトラCクラスの衛星に取り組んで成功を期したわけでございますけれども、結果はまことに遺憾なことでございました。  しかし、さりとて五年前に実験衛星を飛ばしてそれらの諸点検を経て万全を期したという技術的な努力も私たちは認めなければならないと思っております。  ただ、結果的に国産化率三〇%というのは何としてもこの先端技術の面で世界のトップを走っている我が国の立場としては、もうこれは何としても今後とも国産化率の技術の向上を図らなきゃなりませんし、またこの貴重な経験、反省を生かした上で、何としてもBS2b、さらにはBS3計画に万全の結果をもたらしていただきたい、技術関係者初め皆さんに強く申し入れておるところでございます。今後ともこういった事故と申しますか、こういった形の原因を徹底的に究明する、その上に立って成功を期したいと思っております。
  130. 中野明

    中野明君 そこで、この問題を整理してみますと、放送衛星開発に対する基本的な今後の姿勢という問題も一つでしょうし、先ほど来議論があります原因解明、そして責任体制の確立と保険というんですか、補償の問題、それからもう一つは、今大臣もお答えになりましたが、新技術開発あるいは今後の宇宙開発、こういうふうに要約されると思うんです。  そこでまず、今回のゆり二号は御承知のとおり国とNHKとで経費を持っておるわけですが、どう言ったらよろしいんでしょうか、きょう通信放送衛星機構もおいでいただいているようですが、ちょっと考えてみて、国の負担分もそしてまたNHKが受け持った分も最終的には宇宙開発事業団に来るわけですが、途中に通信放送衛星機構ですか、ここが一たん受託をして、そして再委託を宇宙開発事業団にやっていると、こういうパターンになっているわけなんですが、この問題が、結局問題が起こったときの責任のあり方といいますか、それを非常に複雑にしているんじゃないかというような気がしてならぬのですが、その辺は郵政大臣、どういうふうにお考えになりますか。この結果として、片方、国の方は科技庁からそのままストレートで事業団に委託しているし、NHKは一たん機構へ受託をさして、そこがまた再受託を最終的に宇宙開発事業団にさしている、こういう一つの星をつくるのに二重の経路を通っているという、そこら辺を国民の側から見たらどうしてそんなまどろっこしいことをするのだろうかという疑問も当然出てくると思うんですが、この辺はどうお考えになりますか。
  131. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 通信放送衛星機構法を所管しております立場からただいまの御質問お答えをさせていただきたいと思います。  少し長くなりますけれども通信放送衛星機構につきましては通信放送衛星機構法というのがございまして、ここでは通信放送衛星の位置、姿勢等を制御して、これを無線局を開設する者に利用させること等を効率的に行うことというのがこの機構の目的になっておりますけれども、設立された趣旨といたしましては、この法律にもございますようなことから、有限な資源である静止軌道あるいは周波数の有効利用を図るというのが一つございます。それから、資金、技術、要員といったものを結集しまして効率的な衛星の管制を行うということが一つ。それからもう一つBS2の場合には利用者は一つでございますけれども、将来的に例えばBS3というふうな場合には、現在も具体化しつつございますけれども、複数の利用者ということが考えられます。そういった意味での複数利用者の利害を公正中立的な立場から調整をするというのが通信放送衛星機構の設立の趣旨でございます。  そういう立場からいたしまして、当面問題になっておりますBS2a開発、打ち上げ、そして運用という一連の行為の中での通信放送衛星機構の役割あるいは立場というものは、次のようなことに相なるわけでございます。  一つは、NHKからの放送衛星チャンネル容量、出力、寿命といったことの要望を取りまとめをいたします。それから、衛星の追跡管制に関する仕様を定めるというような形でいわゆる仕様書を作成をいたします。それから、これに基づきまして宇宙開発事業団に対してBS2の製作、打ち上げ等を委託する。そうしてまた、宇宙開発事業団BS2を打ち上げまして静止軌道上で初期機能を確認した後におきましては、この通信放送衛星機構は、衛星引き渡しを受けましてNHK放送実施するのにあわせて衛星の追跡管制を行う、こういう立場に相なっておるわけでございまして、冒頭申しましたように、この姿勢の制御をするという仕事が軌道、あるいは周波数の有効利用、あるいは効率的な管制ということで、結果的にその人工衛星に搭載された無線局を開設する利用者にとっても効率的なことに相なるであろうということがその目的でございます。  そして、ただいま申し上げましたような仕事を担当しているということでございます。
  132. 中野明

    中野明君 いや、私お聞きしているのは、NHK機構を経由して事業団にやらすし、国の方は要するに直接事業団にというようなことで、同じ星をつくって同じお金を出すのにここを経由しているという、この違いはどういうことなんですかね。
  133. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) これは科学技術庁の方とも関連をいたしますが、BSの2につきましてはいわゆる実利用開発という二つの要素がございます。  それで、実利用という点につきましては、ただいま申し上げましたように、利用者でございますNHKというものがございまして、機構が将来的にはユーザーのワン・オブ・セムになろうかと思います。そういう利用者としてのNHKからの委託を受けている。一方で、国の立場つまり科学技術庁というお立場では開発の担当をされているというふうに承知をいたしております。
  134. 中野明

    中野明君 確かにそのとおりだろうと思うんですが、こういうふうに複雑な――最終的に同じ事業団に行くならばストレートで行ったらばいいじゃないかというところから臨調でやり玉に上がったのではないかというような気がするんですが、臨調での議論に対して郵政省はどういうふうな対応をなさっているんですか。この機構の廃止とか統合というふうな議論も出ておったような気がするんですが、その辺どうでしょうか。
  135. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) ただいま申しましたような通信放送衛星機構の役割というものはこれからの通信衛星あるいは放送衛星の普及発達を図るという観点からいたしまして、これからもますます重要になるというふうに考えている次第でございますけれども、ただいま御指摘の臨調の答申との関係につきましては、ことしの一月二十五日に閣議決定が行われておりまして、ここではその「行政改革に関する当面の実施方針について」ということが決められておりますが、その中で通信放送衛星機構にかかわる部分を申し上げますと、「通信放送衛星機構については、宇宙通信政策や公衆電気通信事業等の今後の推移及び利用者保護にも配意しつつ、民間資金の円滑な導入等経営基盤の安定化等を図り、民間法人化するための条件整備を進める。」、こういうことが決められてございますので、私ども当面この趣旨に沿った検討をしているという状況でございます。
  136. 中野明

    中野明君 後ほど機構の問題はもう一度また触れてみたいと思います。  そこで、NHKが資料として出しておられます「当面の衛星放送について」という中で、三月二十三日にA系統中継器異常発生、四月十一日宇宙開発事業団故障を発表、十日後の四月二十二日にBS2aすなわちゆり二号をNHK引き渡しを受けた。そこで、NHK通信放送衛星機構との間で管理、利用契約を締結、こういうふうにここにもなっております。どんな内容になっておるのですか、もう一度おっしゃていただきたいと思います。
  137. 矢橋幸一

    参考人矢橋幸一君) NHK通信放送衛星機構の間には、BS2に関する協定が結ばれております。これはNHK利用いたしますBS2の設計と製作、それから打ち上げなどの業務を機構に委託するということの基本的事項を決めたものでございます。その協定の主な内容といたしましては、委託業務の内容、それからBS2の基本仕様――基本仕様といいますのは、BSはaとbの二機で構成するということ、それから、打ち上げロケットはNⅡを使う、あるいは打ち上げの時期は、BSの2aは五十八年度、bは六十年度である。そういった基本の仕様を内容としてあります。  それから、経費の負担をどうするか、経費の負担につきましては、先ほど来出ておりますように、NHKとしては六〇%の経費を負担する。国が四〇%の負担をする。それから所有権でございますけれども、これは負担の額に応じた所有権を取得する。つまり、NHK衛星の六〇%の所有権があるというようなこと。それから、今お話のありましたBS2利用並びに管理方法という項目がございますけれども、これはNHKが、所有権は六〇%でございますけれどもBS2の全系統を常時使用できるということでございます。そこで、管理及び利用につきまして別途機構と締結しております。そのほか損害賠償の件、そういった内容の基本的事項を決めたものでございます。
  138. 中野明

    中野明君 損害賠償はどういうふうな取り決めになっていますか。
  139. 矢橋幸一

    参考人矢橋幸一君) これは、通信放送衛星機構の責に帰す事由の場合には損害賠償を機構が行う。この場合、事業団の責に帰するものは機構事業団に求償できる範囲で行うと。それからまた、求償できない損害をてん補するために機構は国の施策の実現を関係機関に働きかけるということになっております。
  140. 中野明

    中野明君 そういう契約の一応の写しというのは提出していただけますか。
  141. 矢橋幸一

    参考人矢橋幸一君) これは国会の場でございますので、十分説明いたしたいと思います。
  142. 中野明

    中野明君 資料としては出せませんか。
  143. 矢橋幸一

    参考人矢橋幸一君) 国会の場でございますので、十分説明いたしたいと思っております。
  144. 中野明

    中野明君 これは資料として要求したいんですが、御検討いただきたいと思います。
  145. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 後ほど理事会におきまして相談いたします。
  146. 中野明

    中野明君 それから、じゃNHKにお尋ねしますが、これによりますと、A系統中継器が異常で故障しているということ、一系統は故障しているということを承知して受け取ったということになるわけですが、それはそれでよろしいんですか。
  147. 矢橋幸一

    参考人矢橋幸一君) 三系統のうちの一系統が故障しているということを承知で引き取ったわけでございます。
  148. 中野明

    中野明君 そういうことを承知しておられるということになると、再び他のところにも故障が起こるという予想というものはなさらなかったんでしょうかね。
  149. 矢橋幸一

    参考人矢橋幸一君) 我々は引き渡しを受けるときに宇宙開発事業団の方から、残った一系統につきましてはいろいろなデータを我々見せていただきましたけれども、間違いない、大丈夫であるというデータを我々見ましたし、宇宙開発事業団の方のそういった我々に対する意思表示に対しまして、我々も大丈夫だろうというふうに判断したわけでございます。
  150. 中野明

    中野明君 その辺非常に心配をしているわけです、こんな高いものですから。案外NHKにもそれだけの技術陣もおられようし研究もしておられるんですから、一つの系統で起こるということはやはり関連して他の系統にも波及するというおそれは常識的に考えてあるんじゃないか、一遍はここで引き取るときに何とか詰めておく必要がなかったのか、私はこのように思います。  それから、宇宙開発事業団通信放送衛星機構との間で打ち上げ後に出てくる問題についての基本協定があると聞いておるんですが、これはどういう内容になっていますか。
  151. 大澤弘之

    参考人大澤弘之君) 機構との間では、業務の分担、経費の分担、責任関係技術資料の開示といったようなことについて基本協定として決めております。  業務の分担につきましては、先生御承知のように、通信放送衛星機構では衛星運用と追跡をする、宇宙事業団の方では衛星の設計、製作、打ち上げ、初期機能確認ということを行うというようなことでございます。  経費の分担につきましては四〇%と六〇%ということを決めております。  責任関係につきましては、先ほど来申し上げたのでございますが、BS2の設計、製作の開始時からBS2を打ち上げ射場に搬入するまでの間において損害をこうむった場合、事業団の責めに帰すべき事由がある場合を除き、事業団に対し損害賠償の請求を行わないこととなっております。事業団または機構は、相手方の協定に規定する業務の実施に関し、BS2の打ち上げ射場搬入後から定常段階終了時までにおいて損害をこうむった場合、相手方に故意がある場合を除き、相手方に対して損害賠償の請求を行わないことというようなことを決めております。
  152. 中野明

    中野明君 今後これ大変な問題になりますし、これからも起こり得る可能性があるんですから、これも勉強したいんですが、そういう契約の協定の写しというのは出せませんか。
  153. 大澤弘之

    参考人大澤弘之君) 私ども特殊法人でございますので、国会の方の御要求にはおこたえをしなければならぬと思っておりますが、一般的に相手との契約でございますので、先方とも御相談をした上で処置をさせていただけたらと思っております。
  154. 中野明

    中野明君 これもひとつ検討をお願いしたいと思います。  今後この協定を結ぶにしても、だれが考えてもおかしいような協定は、やはりみんなで知恵を出しでそれなりのカバーをしなきゃならぬと思いますので、できる限り出していただいて審議の参考にしたい、こう思いますので、よろしくお取り計らいをお願いしたいと思います。
  155. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 後ほど理事会にて相談いたします。
  156. 中野明

    中野明君 結局、保険金の問題もありますけれども、これは期限切れでだめだし、寿命保険は手続がもたついている間に次の故障でこれもだめ。現在は、三系統使える中で一つだけしか可能な状態ではない、保険にも入れないという、踏んだりけったりのかわいそうな衛星になっておるわけです。    〔委員長退席、理事宮田輝君着席〕  ここまで来ますと、残りのB系統故障しないというそういう保証というものもないんですが、事業団としてはどう見ておられますか、このB系統の問題。
  157. 大澤弘之

    参考人大澤弘之君) 技術的にかなりの検討をしてはおりますが、先生ただいま御承知のとおり、保証はなかなか私どもも難しゅうございます。  ただ、二チャンネルが使えないというようなこと、中継器がぐあいが悪いというようなことでは同じなのでございますが、起こっております現象が把握できておりますので、その現象の内容、これを申し上げますと、A系統につきましては、中継器に電源を入れますとすぐに切れるというようなことでございますが、R系統の方は、ある時間電流が流れまして、電流が増加をすることによって保護回路が働いて切れるというようなことで、現象的にはかなり違っておるものでございますので、私ども、同じようなことでB系統が起こるというふうには今のところ考えておりません。ただ、確証といいますか、保証なり証明ということになりますと、甚だ難しいことではございます。
  158. 中野明

    中野明君 それで、先ほども議論が出ておりましたが、いわゆる試験用のBSのときに、ゆり一号というんですか、この試験のときに進行波管は米国のヒューズ社製だったんですか、それを今回の実用のときにゆり二号では、フランスのトムソン社にかえたということのようですが、なぜかえたんでしょうかね。それで、どこでかえることを決めたんですか。
  159. 船川謙司

    参考人船川謙司君) お話ございましたように、前の「ゆり」におきましてはヒューズ社製進行波管を使っておったわけでございますが、これは結合空洞型と称しまして、非常に古いタイプ進行波管でございました。それで、これが非常に重くて、重さを申し上げますと、一本当たり七・一五キロあったわけでございます。それに対しましてトムソン社の進行波管は、一本当たり二・九キロで済む。これはタイプが全く異なりまして、ヘリックス型と、こう称しておりますが、前の結合空洞型と原理的に非常に異なりまして、軽くできるという特徴がございまして、その後、衛星通信の方はほとんどこのヘリックス型にかわっております。そういう重量の利点で、三本当たりにしますとヒューズ社製で約二十一キロ、トムソン社製で約八・七キロというふうに、非常に衛星重量に及ぼす影響が大きかったということでございます。十三キロの差がございました。  それからもう一つは、これも先ほど申し上げたことを数値で申し上げますと、前の「ゆり」に使っておりましたヒューズ社製のものは、電源としまして八千ボルトの電源が要るというようなことございまして、それに比べましてトムソン社製は六千ボルトで済む。電源が高いと、やはりいろいろ絶縁その他で難しい問題が起こってきますし、また衛星の中でも放電とかそういう問題が起こりますので、なるべく低い電源の方がいいというようなことでこちらを選んだわけでございます。  選ぶにつきましては、これは最終的にはもちろん事業団責任開発を進めたわけでございますけれども、決定に至るまでにおきまして、NHKさんの方で基本的ないろいろ検討もしていただき、また郵政省の方でBS2開発問題検討会というようなものをつくっていただきまして、そういう場でいろいろ御審議を願いまして、最終的に皆様の御同意を得ましてNASAの方でトムソン進行波管にかえるということで決定したわけでございます。    〔理事宮田輝君退席、委員長着席〕
  160. 中野明

    中野明君 それで、試験のときのいわゆる進行波管、米国製は異常はないんですか。
  161. 船川謙司

    参考人船川謙司君) 「ゆり」の方でもやはりトランスポンダーからの電波が結局出なくなったというふうな事故が起こったわけでございますが、これはいろいろ故障解析いたしまして、宇宙開発委員会の第四部会の先生方にも御審議いただきまして、これの原因進行波管ではなくて、進行波管電源のトランスに使っております充てん材と称しますか、我々ポッティングと称しておりますが、そこの経年劣化でだんだん放電が起こってくるというようなことが原因であったということにはっきり決まっておりまして、進行波管は全く原因になっていなかったというふうに考えております。
  162. 中野明

    中野明君 そうすると、これは素人考えで申しわけないんですけれども試験のために使って異常がなかった、それをかえた、そしてそれが故障しているというんですか、それに異常があるということになると、何のために試験をしたのかという、試験の意味がないじゃないか、結局それで実用放送がまた試験放送になったということですから、こう考えてみると要らぬことをしたんじゃないかというそしりは出てくるんじゃないか。もし原因究明が進んで、このフランスのトムソン社製にかえた、それに原因があるんだということになったら、これ責任重大じゃないでしょうか。その辺はどうなんでしょう。
  163. 船川謙司

    参考人船川謙司君) 前の放送衛星ゆり」につきましては、この進行波管だけではなくて、三軸姿勢制御と称します我が国で初めての、非常に大電力がとりやすいような姿勢制御の衛星をつくりまして、それで十分放送に必要な大電力が衛星の上でとれるというようなことも実験いたしまして、それからまた、十分日本国にちょうどアンテナパターンが合うような姿勢制御もできるというようなことも実験しております。  それで、御指摘のとおり、確かに結果的にはヒューズの球からトムソンの球にかえたことで、これはまだ原因究明が進んでおりませんで、本当にその球が原因であるかどうかということはわからないわけでございますけれども、万一球の方が悪かったという結論になりましたときには、確かに先生の御指摘のとおりでございますが、その当時といたしまして、やはり衛星を軽量化いたしますと燃料もたくさん積めますので、実用放送衛星としてはやはり思い切ってそういう新しいタイプの、軽い、それから電圧の低い球にかえるべきであるというふうに関係者が判断したということと、それから特にまたヒューズの球につきまして、当時もう一応製造を中止しておりまして、どうしても必要だったらまたそのラインを再開するというようなお話がございましたけれども、そういうこともございまして、BS2にはこちらの方がいろんな点を考えていいだろうというふうに関係者が判断したわけでございます。
  164. 中野明

    中野明君 私、素人が横口言っているようで申しわけないんですけれども、せっかく実験をしてそこのところは悪くないというところを、まあ理由はあったにしろメーカーを変更してしまったら実験したことが何にもならぬのじゃないかと、何のための実験だったのかと、こういう疑問が当然出てくるわけです。しかもそれが故障しておるんですから、そうすると、生きているところのB系統も、これはもう非常に危険だと心配が出てくるということは言えるんですが、その辺をもう一度説明していただけませんか。
  165. 船川謙司

    参考人船川謙司君) 先ほど御説明いたしましたように、現在A系統R系統原因探求をやっているところでございますが、現象が全く異なっておりまして、そのA系統の方の故障原因R系統の方の故障原因とは、これは故障原因がまだ断定されてませんので断言はできないんですけれども、多分違っているのではないかというふうに今我々判断しております。したがいまして、AとRで起こったからBにもそのうちに起こるだろうというふうな点につきましては、我々あんまり心配しておりません。  ただし、先ほども申し上げましたように、絶対そのBが将来とも大丈夫かどうかというようなことにつきましては、我々も今それだけ断言するほどのデータを持っておりませんけれども、打ち上げから今までの状態が非常に順調でありまして、何らの異常も起こっておりませんので、現在のところ問題ないというふうに我々判断しておる次第でございます。
  166. 中野明

    中野明君 そこで、この放送衛星対策特別委員会、これをおつくりになったわけですが、前回の「ゆり」のときと取り組み方というのが違うようなんですね。この「ゆり」のときには、実験用のときには明確に九月二十四日に宇宙開発委員会が決定をして、「この調査審議は、五十五年十月末までに終えることを目途とする。」、こういうふうにはっきり調査目標を挙げて、これまでに検討しますと、こういうことなんですが、今回のあれはそういうことを全然書いてないんですね、いつ終わるとも書いてないし。それほど今回のゆり二号の故障というのは、私どもから考えて重症なんですかね。どうなんでしょう、いつまでに完了するということを明記できないというほど重症といいますか、重体というんですか、そういうことなんですか。
  167. 北村俊男

    説明員北村俊男君) 今回の衛星につきましては、実用で、多数の皆様方の非常に多大な御関心にかかわる問題ということでございまして、従来宇宙開発委員会では、科学技術庁ないしは国が行う実験衛星につきましては、ふぐあいが生じました場合、第四部会というところで審議することにいたしておるわけでございます。  今回、こうした問題の重要性にかんがみまして、特別に放送衛星対策特別委員会という委員会設置いたしまして、ここで徹底的な原因究明を図るという趣旨で発足さしたわけでございます。したがって、前回の四部会方式と特別委員会ということでは趣旨、設置目的が異なっておる点に違いがあるというわけでございます。
  168. 中野明

    中野明君 それで、目標は内々でも決めておられないんですか。
  169. 北村俊男

    説明員北村俊男君) 現在宇宙開発事業団、それから東芝、GEトムソン社と、こうしたところ、それからNHK関係機関の御協力を得まして、現在究明中の作業は現在進行しておるわけでございます。  私どもは、徹底的な究明を行いたいということで、提出されますデータにつきまして逐一審議いたして、疑問の生じたものにつきましては、事業団ないしはその検討機関の方に問題を返すと、こういうキャッチボールをいたしながら現在進めておるところでございまして、現在なおその作業は進行中なんでございます。したがいまして、私どもといたしましては、一日も早くこの審議の速やかな結論を得て、次の究明それから対応策に入りたいと思っておりますが、現段階ではまだその途中という段階でございます。
  170. 中野明

    中野明君 この問題について原因解明したりあるいはいろいろの対策を講じていく上において、一番大事な基本的な考え方として、当然常識的に見ても、NHKなんかも被害者という立場もあるようですし、そうかといって受信料でやっているんですから、そればっかり言っていられないと。事業団もあるいは機構も心のどこかにおれたちも被害者の一人なんだというような気持ちが強くあると、これは原因解明とか対策にもう非常にいいかげんなことになると。みんなが責任者なんだと、自分が責任があるんだという考え方から、この原因解明とかそういうことに取り組んでいかないとならぬと思うんですが、締結の契約お話を聞いてみても、何かこう、もう一切おれたちは責任ないぞというふうに、みんなが責任逃れしているようなところも見えるもんですから、もう一度この機会に被害者意識を払拭して、そしてこの原因解明と今後の対策に全力を挙げてもらいたいと、郵政大臣、私はこう思うんですがね。  どこかに、この責任を回避して、おれたちは被害者の一部、そういう気持ちがあるんじゃないかと。郵政大臣も先ほど口ではこうちゃんとおっしゃっておりますけれども、やはりこういうことが起こった以上は、とにかく国民の側から見ても、あるいは視聴者の側から見ても、これはもう大変な被害になるんですから、その辺をもう一度再確認をしておきたいと思うんですが、郵政大臣、いかがでしょう。
  171. 奥田敬和

    ○国務大臣(奥田敬和君) 確かに、先生と当局との質疑を聞いておりましても、何かそういうつくる人、つくる責任側、ユーザーはユーザーの利用する側という形、そして何かこう責任の所在というのが、契約事項一つにおいても確かに追及、御質疑を受けるようなあいまいさが感じられてならないわけでございます。何と申しましても、こういった損失は共同のやっぱり責任体制で二度と繰り返さないという今後の開発体制をつくり上げる上においても、私たちも十分反省して検討を進めなきゃいかぬと思っております。契約内容につきましても、御指摘の点に関して御批判のないような形の中での、今後とも双方にこういったあいまいさが残るというような印象が残るというようなことは、断固として避けてまいりたいと思っております。
  172. 中野明

    中野明君 それでは、最後になりますけれども、先ほどもほかの委員からも御質疑がありましたが、昨日郵政省として宇宙開発計画の見直しを要望されておるわけです。これは異例なことだろうと思います。宇宙開発委員会に対して要望を出されるということは、計画の見直しの要望ですから。その中で、一番目に「自主技術による宇宙開発の促進」ということがうたわれております。全部読みますとちょっと長くなりますので、途中から読みますと、「打ち上げ失敗により生ずる人工衛星利用者機関の損害について政府として適切な救済措置を講ずるとともに、利用の継続性の確保についても十分な配慮を行う。」と、このように第一番目にうたっておられるんですが、ここのところを少し説明していただけませんか。
  173. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 私ども宇宙開発計画と申しますものがございますが、これにつきましては、関係者といたしまして毎年度見直し要望というものをいたしているわけでございますが、ただいま御指摘の点につきましては、私ども今回のBS2aの事態にかんがみまして、ただいま先生からお話がございましたような形の要望をいたしたわけでございます。  昨日固めました要望は五項目あります中で、先生のお話のございましたのは第一項目目の「自主技術による宇宙開発の促進について」という中でうたっている部分でございますが、「政府として適切な救済措置を講ずる」という点につきましては利用者機関の損害について触れた部分でございまして、例えばということで申し上げますと、保険の付保というふうなことを念頭に置いた要望でございます。  それから「利用の継続性の確保」という点につきましては、前段にございます「実利用に供することを目的とする人工衛星」という点にかんがみまして、一たん利用が始まりましたからにはそれが常に継続して実利用に供されるということを確保されるための配慮を要望したということでございます。
  174. 中野明

    中野明君 大臣、これは新しい技術開発していくんですから、またこういう先端の開発にはリスクがつきものですから、これ私非常にいいことだと思うんです、こういうふうになさるということは。打ち上げの失敗によって生ずる人工衛星利用者機関の損害について政府としても適切な救済措置を講じたい、こうおっしゃっているわけですが、これは今回のゆり二号に対してはどうですか。この点についての大臣のお考えはどうですか。
  175. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 先ほど申し上げましたように、この「適切な救済措置」ということの中には例えば保険というふうなことがございます。それで、ここで念頭に置いてございますのは、2bにつきましてはただいままでのところ保険を付するということについての決めがございませんので、この辺につきましても関係者間で協議をし、そして政府としての配慮をしていただきたいということをうたったわけでございます。
  176. 中野明

    中野明君 これは非常に大事な問題だと思うんです。それで、このユーザーの方にもあるいは利用機関の方にも損害がなるたけ少ないようにしていくことがこれまた開発の意欲を増していくわけですので、そういう点について国策として宇宙開発計画があるわけですから、前向きで積極的にこの問題は取り組んでいただきたいなと、このように思っております。  もう一点だけ、先ほど来お話がありますように、ゆり二号のbが来年の八月の予定で、予定はそうなっているんですが、これは原因がわからぬということなんですが、普通一般的に申し上げれば、実用が上がって予備機というのは大体半年ぐらいで上げているんですが、一年半ずれていますね。これは何かわけがあるんですか。こういうことになってしまうと、幸か不幸か来年の八月にしておいた方でよかったんでしょうけれども、その辺何か理由があるんですか。
  177. 北村俊男

    説明員北村俊男君) 打ち上げ時期につきましては、例年開発する側とユーザーであるNHK関係者間で打ち上げ時期、いつ予備機をどうするかということは話し合って委員会の場で調整して定めているものでございます。
  178. 中野明

    中野明君 そうすると、NHKの方の希望といいますか、それで来年の八月になった、そういうことですか。
  179. 北村俊男

    説明員北村俊男君) 私どもといたしましては委員会の場でいろいろ例年開発計画検討するわけでございますが、その話し合いの結果で定まったものと心得ております。
  180. 中野明

    中野明君 そうしますと、現在上がっている、試験になったわけですが、その一つしかないのが故障したらもうこれゼロになってしまうわけですね。ですから、なるたけ早く原因究明をして、そして予備機を上げないとこれ大変なことにならへんかということを心配するわけです。その意味からも、先ほど原因究明ということで期限をつけておられないということは、いよいよこれ今回の星は満身創痍で、重病でどうもならぬというような感じも私受けたんですが、そうなればなるで、なおさら予備機を上げてやらないと、いつ何ときどういうことが起こるかわからぬ。そうなりますと、現在辛うじて、総合がほとんどでしょうけれども、見えている難視の解消された地域が、一遍見えて、それでとまってしまったらまた見えなくなるんですから、この反発といいますか、非難というものは、一遍見えて見えなくなるんですから大変だろうと思うんで、そういうことを考えると予備機は究明をして上げないといかぬのじゃないかというような気もするんですが、その辺、郵政大臣どうでしょうね。
  181. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 予備機と申しますものは御指摘のようにBS2というシリーズの中でaとbといわば双子というふうな形でのものを用意をいたし、そしてまた先ほど科学技術庁の方から御説明申し上げましたような経緯の中で、二回にわたる、つまり2bにつきましては来年の夏期の打ち上げということになっているわけでございます。  ただ、現在のこの計画につきましては、2aの原因究明ということに、当面私ども関係者間で全力を傾注するという状況にございまして、これを早めるということにつきましてはスケジュール的に困難であろうというふうに考えているところでございます。
  182. 中野明

    中野明君 それじゃ時間も参ったようでございますので、大臣いろいろ議論しましたが、この失敗でくじけてしまっては何にもなりませんので、事故というものは起こらぬ方がいいんですけれども、起こってしまった以上、後から幾ら言ってもしょうがないんですが、これを教訓にして今後の開発にやはりこれを乗り越えていかなければならないと私も思います。それがためには、きのう宇宙開発委員会に申し入れをされましたね、そういうことも含めて、十分みんなが安心してこの計画に協力できるようなそういう万全の体制を講じていただきたい、こういうことを大臣に強く要望いたしますので、所信をいただいて終わりたいと思います。
  183. 奥田敬和

    ○国務大臣(奥田敬和君) 結果が事実だけに、BS1の実験経過を踏まえてやってきただけに何とも弁解の余地もないという形で残念でございます。  ただ、今先生の御指摘にございましたように実用通信放送衛星段階に入っておるわけでございますし、今後はBS3段階になればまた民間波がこれにも乗り込んでくるというような事態を踏まえて、私たちは、国産技術の向上はもとよりでございますが、こういったユーザー側の救済という措置においても万全を期してまいりたいと思っておりますし、今後の開発政策において、先ほども申しましたけれども、連携の共同責任体制というものを明確にいたしながら、今後ともこの開発機構あるいは開発の救済措置等々には十分万全の配慮をして頑張ってまいりたいと思っております。
  184. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 まず、ゆり二号に先立つ実験機のゆり一号の問題でお尋ねをしたいと思いますが、当初三年という寿命のものが一年二カ月でB系統故障、そして二年二カ月でR系統A系統、三系統がすべてだめと、こういうことになったわけでありますが、その原因について、宇宙開発委員会の第四部会の報告、これをめぐってさきの五月十七日のこの委員会でも私が指摘をした問題でありますが、その報告書の中で、「BSのトランスポンダを製作した米国のメーカーで、BS用のものと同じ設計の高圧モジュールの真空環境寿命試験」これをやったと。これが五十二年四月から五十四年の十二月までこの試験がやられておる、そのさなかの五十三年の四月八日にゆり一号を打ち上げると、こういうことがやられたわけであります。  まず、お尋ねしますけれども事業団は、アメリカでこういう試験がやられておるということをよく知りつつ、そのさなかの五十三年四月八日に一号を打ち上げたのか。それとも、それは後で知った――アメリカでそういう試験がやられているのを知らなかったということなのか、どうですか。
  185. 船川謙司

    参考人船川謙司君) BSの打ち上げのときには、我々はこういう試験が行われていることを知りませんで、このBSで今の先生の御指摘の事故が起こった後で、製造メーカーの方からそういう試験をやっているという話を聞いたわけでございます。
  186. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 そうすれば、このゆり一号を打ち上げる最終判断をする際に、大丈夫だと、事故は起こるまいという、そういう信頼性を確認する、それはどういう手だてでやったんですか。
  187. 船川謙司

    参考人船川謙司君) 今のBSの問題でございますが、BSの――これはBS2も同じでございますけれども、一般に衛星開発に当たりましては、事業団が制定しております信頼性管理プログラムに従いましてメーカーに各種試験実施させます。事業団がその試験結果の確認を行って、設計、製作を進めさせるということに、しております。  各種試験としましては、宇宙環境を模擬しました試験、熱真空試験など、あるいは機能試験等がございまして、これらにより事業団としては信頼性を確認して開発を進めてまいっております。
  188. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 結局、このメーカー側が実施をする試験、これを信頼しておったと。ところが、いよいよ打ち上げて一定の月数だった段階でこういう事故が起こったと。起こるまいと思っていたけれども起こったと、こういうことなんですね。  次に、BS2aの問題でありますが、いわゆる故障を起こしたとされている衛星の心臓部の進行波管の熱真空試験、これはフランスのトムソン社で五十七年の十一月から五十八年の一月にやられているわけですけれども、これには日本技術者は立ち会ってない。このトムソン社駐在のGEの職員が立ち会っている。そこからの報告を問いたと、こういう形になっているんですけれども、立ち会わない何か理由があったんですか。
  189. 船川謙司

    参考人船川謙司君) トムソン社におきますTWTの開発試験につきましては、事業団におきましても必要な場合には開発状況調査ということで参加しております。これは必ずしも全部のサブシステムの試験事業団が立ち会うということにはしておりませんで、必要と判断した場合にだけそういう試験の立ち会いということにしているものですから、その場合にはたまたま事業団の方が参加するチャンスがなかったということでございます。
  190. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 進行波管のテストの問題というのは、いわば衛星の心臓部の問題じゃないですか、最も肝心な部分。しかし、必要を感じた場合には立ち会うけれども、まあまあそれほどでないものは立ち会わないと。それほどでもないだろうという位置づけになるような進行波管の熱真空試験ですか。私はそう思いません。結局これもメーカー側のその報告を信頼し切ったと、しかしそういうことでは済まされませんね。
  191. 船川謙司

    参考人船川謙司君) GEにおきます衛星システムとしての熱真空試験におきまして、実際に今度の問題の中継器の熱真空試験が行われております。これには事業団から立ち会っております。
  192. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 しかし、これはトムソン社のものを使ったわけでしょう。そこにおける熱真空試験、一番肝心なものではないですか。ここに事業団からはだれも立ち会っていないという、この責任は免れない問題じゃありませんか。  もう一つ聞きましょう。それなら、この衛星全体の性能確認試験、これが五十八年の六月から七月、これもトムソン社ですね、やられています。いわば衛星を組み立てての最終チェックというような重要な実験でありますけれども、これを日本でやらなかったのはなぜなんですか。
  193. 船川謙司

    参考人船川謙司君) これにつきましては、この衛星開発当初、日本にこれだけの放送衛星を組み立てる技術がなくてGEに頼んだわけでございまして、その契約の中でこういう試験まで含めてGE契約したわけでございますが、一番問題の熱真空試験につきましては、残念ながらこの衛星の大きさですと、事業団が持っております筑波の試験装置ではまだ大きさが足りないという事情にございました。
  194. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 日本技術力や設備の現状から無理だからGEに任したという説明ですけれども、そうならそうで、しかし国の事業に、もっと言えば国民に責任を負う立場から、十分事業団の側からも専門家を派遣して、本当に大丈夫だということの念入りなチェックをやっぱりじかにやると、こういうことをやられる必要があったと思うんですけれども、この試験事業団から立ち会ったのは一人ですね。  これは、私も学生時代自然科学をやってきた者の立場で思うんですけれども、人工衛星というような、そういう問題はいろんな多方面の技術が総合された、まさに最先端の技術であるわけですね。一人ぐらいの人間で衛星のすべてのことがわかるはずがないと思うんですよ。やっぱり相当数の人間が複数で立ち会って、あらゆる方面から大丈夫だということを念入りにチェックし、よくそこも目を向けると、こういうことをやってこそ本当に責任を持った体制だというふうに思うんですけれども、そういうことにしなかったのはなぜですか。一人で大丈夫という、そういう姿をとったのはなぜなんですか。
  195. 大澤弘之

    参考人大澤弘之君) 試験のあり方につきまして先生からいろいろ御指摘をいただきましたが、私ども、先ほど船川参考人から御説明いたしましたように、あるものには立ち会ったり、あるものには一人であったりというようなことがございますが、これは、全体の試験の判断を見てできるだけ有効に製作をしていくということで行ったものでございます。  例えば、先ほど御指摘がありましたトムソン社の真空試験には御指摘のように立ち会っていないのでございますが、これは、トムソン社の球と電源とを組み合わせたものをGEにおきまして最終的に全部の熱真空試験をいたしますので、そのときに、そのものに関しての熱真空のテストは確証されると、こういうことで、トムソン社のものには直接参加をしなかったとか、今御指摘のGEにおきます――先生、トムソン社というお話でございましたが、トムソン社でございませんで、最終の試験はこのGEの工場で、今のように設備があるものでございますからGEの工場で試験を行ったものでございますが、これに関しましては、私どもGE社との間で、いわゆる東芝との間で契約をしたとおりに実際の試験が行われておるかどうか、それから、試験データを確実に間違いないものを私どもに出しておるかどうかといったような観点で私どもは立ち会っておるわけでございまして、私ども自身が試験をしておるわけではございませんので、そういう関係で、そのことに関して十分な人間を派遣するという立場でものを言ってきたものでございます。
  196. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 依然としてそういう説明では納得できませんね。  一番肝心の部分、この進行波管のそこのテストについては余り大して重要でなかろうという、そういう認識で人を派遣しなかったということでしょう。それから、この最終的な性能確認試験、これもGE側契約を抽んでそこに信頼をし、何かそこに任せるという、こういう契約になっているからということであろうとも、いざ故障が起こったら、先ほどからるる話が出ているように、その責任を追及をすべきすべがないと、こういうことになっているんですから、やっぱり事業団として、本当に国民に責任を負う立場で、一人ということでなく、相当数の人間を派遣して念入りにチェックすべき点はチェックする。――それでは、人を派遣してどれだけの金がかかるんですか。衛星がぶっ壊れたことによる損害の方がはるかに比較にならぬほど巨額の金がロスをしたわけでしょう。ということで、私は、今後のこともあろうから、そのことについては厳重に事業団として反省をしてもらう必要があるというふうに思いますね。どうですか、今後について、今後も重要な試験でも人を派遣せぬこともある、それから一人で済ます、大体これが通例だというお考えですか。
  197. 大澤弘之

    参考人大澤弘之君) トムソン社の真空試験につきましてはまだ先生の御理解がいただけないようでございますので……。  トムソン社におきましては進行波管だけをたくさん製造しておるわけで、これについての熱真空試験をやっております。それを電源と組み込みまして、実際に組み上がりましたBS2aに今現在組み込んでおりますものの熱真空試験というのを、その状態GE社の熱真空試験設備で行ったものでございますので、私どもはむしろその方がずっと確証のあるものというふうに考えておりまして、トムソン社は進行波管をいろいろつくっていく上で、その中身を自分の方の製造の問題としてテストをしておるということでございますので、私どもとしては、そういう試験で熱真空としての確証はとれるものと考えたものでございます。  なお、派遣の人員につきましては、先生御指摘のようなこともございまして、私ども、一人でいいと言っているわけではございませんで、必要なときには十分な人間を派遣していくよう、今後も十分検討いたしたいと思います。
  198. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 次に、大臣に所信をお尋ねをしたいと思いますけれども放送衛星ということで、今世界で、日本のBSとアメリカのATS、カナダのCTS、こういう三つが打ち上げられておるかと思うんですけれども、いずれも大なり小なりの故障を発生をしているわけですね。  今回のBS2a故障原因について、来月いっぱいをめどになお究明中だということでありますけれども、とにかく、まだ、絶対に事故が起こらない、故障が起こらないという形で完全に確立された技術ではないと、こういう点で、宇宙開発委員会のもとでの第四部会ですか、ここでいろいろ検討しているということですけれども、そこでいろいろ検討をされたデータはすべて公開をして、広く科学者、技術者の、これで本当に次は大丈夫かということについてのいろいろな意見があれば広く問うと、こういうことで、これからの衛星の打ち上げについては、こういう事故が続発をするということにならないように専門家の衆知を集める、このことについて、大臣として他の諸組織によく働きかけていただく、そういう点をお願いしたいと思うんですが、どうですか。
  199. 奥田敬和

    ○国務大臣(奥田敬和君) 先生は、そちらの方の知識においては私たちよりはるかにお持ちになっておられる立場からの御提言だと思います。仰せ、想像しただけでも最先端の技術の塊みたいな、しかも、世界でまだ実用化段階というのは初めての星であったということ等々、大変な技術的に厳しい条件下にあった問題だと思います。結果的にはこういうことになってしまった。そういうわけで、今後の原因究明、これも技術団を中心として恐らく衆知を集めた検討が目下行われておることでございます。もう既に六回以上のそういった技術的な専門検討も行われておるわけでございますが、私も一々結果報告は受けておるわけですが、ちょっと内容的には難しくて理解できないものですから、ともかく、原因究明の徹底と、衆知を集めてのBS2bの態勢におけるパーフェクトな形での打ち上げということをしきりに年頭で強調しておるわけでございます。  そういうわけで、ただいまの御提言ももちろん必要でございます。恐らく、各大学機関ばかりではなくって、こういった専門的な、オーソリティーといいますか、権威者の意見を参考にすることは当然でございますし、技術団の方にもあらゆる機会をとらえて、原因究明の過程においてもそのように英知を絞ってやっていただくようにかねて要請しているところでもございますし、今後の開発計画に関してはそのような方向で進むよう政府部内でも主張してまいりたいと思っております。
  200. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 ぜひお願いをしたいと思います。  もう一つ大臣へのお願いです。  この衛星の製造に関する契約の方式について同僚委員からるるお話がありました。私は時間の関係でそれは繰り返しませんが、とにかく、今のままでいきますと、2aも2bも一括発注ということでありますから同じ契約の方式が続いていくと。ところが、今度は2bでまた何か故障が起こったと、こういうことになった場合に、今回と同じような議論と苦しみを続けなくちゃならぬということになるわけですね。したがって、この際、2bに関しては契約の方式を見直すと。もちろん、相手があることですから、こっちの思惑だけですべて直ちに解決をするということではなかろうかと思うんですけれども故障が起こっても十分その製造責任が問えないという形になっておるこの契約の方式について、ひとつ見直しをするというその検討を行ってもらいたいというふうに思いますが、どうでしょうか。
  201. 奥田敬和

    ○国務大臣(奥田敬和君) もう既に先生は御存じと思いますのでくどくど申しませんけれども、この宇宙開発計画の見直しに関して、郵政省から宇宙開発委員会に対してきのう要望いたしました形は、これから実用段階においてのユーザーに対する救済補償に関して新たな処置を講ずべきであるという形で御要望を申し上げました。  それと同時に、今御指摘になった点は、ユーザー側も含めての対契約関係において、多少何か翻訳文のような形の契約の中でいろいろ今後検討しなきゃいかぬという問題点の御指摘を、当委員会ばかりではなくて衆議院の方の逓信委員会からも強く御指摘を受けてきたことは事実でございます。そういった形を踏まえまして、今後ユーザーに対する救済的な措置のあり方、そしてまたこういったメーカー側の責任体制に対する補償義務等等に関しまして先生方の御指摘を受けないような明快な形の契約内容に持っていくように、BS2bに関しましては、もう既にaとbの一体契約の中で行われておることでもございますので、今後、むしろこれは救済措置の面において、あってはならぬことですけれども、何らかの方策を講じてまいりたい。BS3の契約段階においては、もちろんこれからの問題でございますので、そういった御指摘の点を踏まえて、パーフェクトな、責任体制の所在が明白になるような形の契約に持ち込みたいと思っております。
  202. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 事業団にもう一つお尋ねしますが、この衛星のもう一つであります気象衛星「ひまわり」ですね、このひまわり二号の故障に関しても宇宙開発委員会第四部会からの報告が出されているわけですけれども、今後の対策として五点の改善策が提起をされておるわけですけれども、そこで、次に打ち上げ予定になっておりますひまわり三号に関して、既に四月ごろからこの五点の改善策に沿っての手直しに着手をしているというふうに聞くわけでありますけれども、その手直しをした部分の信頼性、これはどういうふうにテストするんですか。
  203. 船川謙司

    参考人船川謙司君) 先生御指摘のとおり、この次打ち上げますGMS3では幾つかの手直しをしております。まず一つは、エンコーダーランプを非常に今、長寿命のものを採用しておりますが……
  204. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 いや、もうそれは報告書をもらっていますから、そこはいいです。手直し部分の信頼性テストをどういうふうにやるかということを答えてください。
  205. 船川謙司

    参考人船川謙司君) 長寿命ということをどうやって確認しているかということをお答えしたいと思いますが、これは新しいランプにつきましては各種フィラメントの材料のうちからオン・オフによる結晶化が非常に余り進まないと。要するに劣化の少ないタングステンにレニウムの合金を入れたランプというのを採用しておりまして、製造工程におきまして今までのふぐあいを反映させました実績のある工程を採用しております。それからまた中間検査におきまして、フィラメントのピートスポット、これは電球をともしておりますとピートスポットができるわけでございますが、そういうことができないというふうなことを確認するとか、そういういろんな方法で現在まで信頼性の確認をしております。  それからもう一つ、対放射線のシールドを強化しておるわけでございますが、そういう放射線のシールドの強化につきましても、人工衛星でこうむります放射線の環境に対して十分耐性があるという実験データがあるような材料でそういう放射線の遮へいをしております。またそれの、遮へいのカバーの工事方法につきましても十分実績のあるようなやり方をとっておるというようなことでございまして、今考えております幾つかの対策につきましては、すべて宇宙で実績のある方法ということを確認してやってございます・
  206. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 今の御説明についていろいろちょっと聞きたい点はあるんですけれども、もう持ち時間残り余りありませんので、機会を改めてもう少し詳しい説明と私からのお尋ねをいたしたいと思います。  そこで、そういう故障が発生をしているわけでありますけれども、とにかくこの膨大なお金を投入をして打ち上げをやっておる気象衛星、これの活用状況についてでありますけれども、気象庁来ていただいていますね。――その気象衛星からの雲画像などの受画装置、いわゆるSDUSというふうに言われているものの設置状況でありますが、国内では気象庁関係で九台、その他NHK、民放、それから大学、若干の民間会社、こういうところで二十五台、こういう状況になっているというふうに聞いているんですが、おおよそそういうことですね。
  207. 新田尚

    説明員(新田尚君) お答えいたします。  小規模利用局、SDUSの展開につきましては、ただいま先生御指摘ございましたように、昭和五十七年度に沖縄気象台、福岡管区気象台に設置いたしましたのを皮切りにいたしまして、五十八年度には大阪、仙台、札幌の各管区気象台に設置いたしました。一方、気象庁本庁には気象衛星センターからの分岐によりまして設置いたしました。五十九年度には鹿児島、広島の両地方気象台に設置する予定でございます。なお、今後も地方予報中枢官署等に随時展開してまいる所存でございます。
  208. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 今の、気象庁関係で九、その他で二十五と。そうすると、気象衛星と銘打ちながら肝心の気象庁の関係について、こういった配置状況設置状況というのはどうしたものかというふうに疑問を持たざるを得ないわけですね。しかも今、もうお答えを先にされましたけれども、今後の設置方針としては、あと海洋気象台とかその他地方中枢、そこら含めて今の九カ所が十六カ所にするというわけでしょう。各県ほぼ一つある地方気象台、ここには一体いつ設置されるのかということについては今のところ見通しも立ってないという、こういう状況であるわけですけれども、そこで当面九カ所を十六カ所にするというこの方向について、これはひとつ一年も早く、大体、今一年間に二つぐらいずつふえていく姿ですね。しかし、そういうスローテンポじゃなくて、もっと速いテンポで本当にこの気象衛星からのこれが気象業務に役立つような、そういうひとつSDUSの配置を急ぐと、スピードアップすると、この点について気象庁として一層の努力をしてもらいたいと思うんですが、どうですか。
  209. 新田尚

    説明員(新田尚君) 努力いたす所存でございます。
  210. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 それとあわせて、さっきも触れましたすべての地方気象台あるいは測候所、こういうところにこれも急いで設置をしていく必要があるということで、実際はそこら設置をされていませんから、現状はNHKテレビで気象衛星からの画面が映るわけですね。それをビデオに撮って、そして地方気象台はそれを使ってあれやこれやということをやっている。しかし、このやり方ではNHKテレビで映るやつは雲の動きはわかっても雲の濃度――テレビに映るあれですから白さで出るわけですけれども、どの程度の濃さか、こういうのはよくわからぬわけです。これは衛星からのそれでないとわからない。ということは、雨の確率が非常に高いか少ないかということが動きだけではわからない。当然このことがいろんな天気相談に、天気の診断に対して十分な力にはならぬと、こういう姿になっているわけです。  もう一つ、レーダーによってこの集中豪雨などの捕捉範囲、これは大体三百キロ。ところが、レーダーもこれは各県一つはないというので、関東だったら二つですね、東北で二つ、この程度ですから。しかも、その捕捉範囲三百キロ、こうなりますと、やっぱりそれの数倍の捕捉力を持つ気象衛星からのSDUSでそれを受ける、この体制が集中豪雨なんかは非常に局地性があるわけですね。もうちょうど去年のことですが、問題の長崎豪雨、あれなんかは長崎だけで起こったそんなに広域的な豪雨じゃないわけです。そうなると、やっぱり各県最低一つの地方気象台にそういうものを設置をしていくということの必要性がどうしてもあるというふうに私は思うので、ぜひ気象衛星ということを強調するのであれば、それが有効に使われるような地方気象台測候所にすべて設置をするというまずこの方針樹立のために、そういう方針を立てるということを気象庁としてぜひ検討してもらいたいということを最後に申しておきます。どうですか。
  211. 新田尚

    説明員(新田尚君) 先生御指摘の府県予報区担当官署にまでSDUSを配置するという問題につきましては、昨今の財政事情等を勘案しまして非常に難しいのではないかと思うのでございますが、その有効利用に関しましてお答え申し上げますと、先ほど申し上げました地方予報中枢官署で受画いたし、解析いたしました術定資料は府県予報区担当官署に対する指示報の中に取り入れております。また、そのほか無線ファックス放送JMHというのがございますが、それとか気象資料伝送網を通じまして雲解析図及び輝度温度分布図、そういったものも送出いたしておりまして、気象衛星資料の有効利用をいたしておる現状でございます。
  212. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 今回のゆり2号の打ち上げに要しましたコストのトータル、直接、間接含めてまずお伺いをいたします。
  213. 渡辺伸一

    参考人(渡辺伸一君) お答えいたします。  今度のBS2aはab、体といたしまして経費を計上しているわけでございますが、御存じのとおり全体の六百十億のうち六割、約三百七十億ぐらいの経費でございまして、今度上がりましたa号につきましては、いろいろな経費を計算いたしますと約百九十億ぐらいになるであろうという計算でございます。
  214. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 そのうち今回の単体といいますか、放送衛星そのものの単価は、これはトランスポンダー三基も含めて百九十億と、そう理解してよろしゅうございますか。
  215. 渡辺伸一

    参考人(渡辺伸一君) ただいま三万六千キロの上空へ上がっております。そのものにかけた金は、間接経費を入れますと約百九十億ということでございます。
  216. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 ふぐあいを生じておりますこのトランスポンダーですけれども、このトランスポンダー一基の値段はわかっておりますか。大体で結構です。
  217. 渡辺伸一

    参考人(渡辺伸一君) 私どもとしては、全体としての経費を存じておりますので、内訳についてはちょっと不明でございます。
  218. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 でも、当然ながら、契約なさったときにはトータルで百九十億とかそういうのじゃなくて、非常に細かく項目別にトランスポンダー一基については幾らというふうに契約はされているんでしょうね。
  219. 大澤弘之

    参考人大澤弘之君) 手元に細かい資料がないので正確な数字ではないんでございますが、トランスポンダーは非常にたくさん製造をいたしまして、その中からかなり試験をした上でいいものを抜き出しまして、そうしてそれを予備まで含めて用意をしてということでございまして、トータルの費用でないとわからないんでございますが、ごく普通な意味で申し上げますと一台当たりおよそ数億円という、これはつまり何十本もありますものをトータルの費用で割り掛けた値でございまして、その一本の費用というのは実は大変そういう意味では難しゅうございますので、実際に衛星に積みますのは六本になるわけでございますので、六本で勘定いたしますとおよそ一台あたり数億円、こういうお金になると思っております。
  220. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 まあ素人考えで申し上げるならば、今の御答弁は数十本注文いたしますので一本当たり幾らかと言われてもわかりかねますと、多分一本当たり数億円と今簡単におっしゃいましたけれども、数億円というのは容易でない大金でございましてね。まして、先ほど来から、例えば岡野委員も御指摘なさいましたように総費用六百十億のうち、いずれにしても国民の税金がもしくはNHKの受信料、すなわちいずれも国民の負担においてなされているものでございますから、それはそう簡単にまとめて何というか、印象としてはざあっと買うものですから、たくさん注文するものですから一本当たり幾らと言われてもわかりませんよ、まあ数億ぐらいじゃないですかと、そう簡単に片づけられては困ると思うんですが、その点について何か言い分はございますか。
  221. 大澤弘之

    参考人大澤弘之君) そういうふうにお聞き取りいただきましたのは、大変私の至らぬところでございまして、手元に数字の資料が急場でないものでございますので数億というふうに申し上げたんでございますが、これは真空管といいますか、送信管並びに電源、保護回路等含めまして一台当たり、つまり六台のうちの一台当たりに勘定いたしますと数億円と、こういうことで申し上げたわけでございます。
  222. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 これ以上申し上げません。当然ながら、具体的なコントラクトのときには、それはもう細かい点までおやりになっていると私は確信をしておりますので、言葉のあやとして申し上げたと御理解をお願い申し上げたいと思うんですが、ただ、その根底にあるものは私は指摘をしておきたいと思うんですよ。  いずれにしても、例えばこれが民間の常利会社であれば、それはもう理事長以下全社員の末端に至るまで私は細かい原価計算をして、そして損害の生じないようにあらゆる担保をしてからこういうものは発注なさると思うんです。だから、例えばこういう質問に対しても即座に答えられるだけの知識を当然お持ちであってしかるべきで、さらに私言わせていただければ、ということはとりもなおさず非常に言いにくいことではありますけれども、親方日の丸的な考え方がその根底にあったのではないか、今回のふぐあいを生じたのも遠因を探れば、その点における考慮が不足をしていたからこういうことになったのではないかということを私はまず指摘をしておきたいと思うんです。  それで、総費用六百十億ですね。そのうち一本は働いておりますが、この働いている一本はいつごろまで寿命があるものでしょうか、その点について。
  223. 大澤弘之

    参考人大澤弘之君) 衛星の寿命を五年というふうにいたしまして設計をいたしましたが、衛星の寿命の五年というのは積んでおります姿勢制御用の燃料の計算から五年ということを決めてあるのでございまして、中継器に関しましてはそれ以上もつということで、私ども衛星の製作もし、また打ち上げもしたものでございます。
  224. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 私、直ることを期待いたしますし、原因究明もなされることを心から望みますけれども、万に一つ原因究明が仮にできても、今の中継器二基のふぐあい回復に至らない場合は中継器一つでおよそ五年間働いてもらうということになりますね。それに要する総費用が六百十億円ということは、これは概算いたしますと、五年間にわたって国民の皆さんにいわば四百六億三千万円ぐらいの損害をお与えする。総費用が六百十億でございますから、三つある中継器のうち二つが最後までだめということになりますと、四百億円以上の損害を国民に対して与えたということが結果的にいえると思うんですね、これ重大なことだと思います。  大臣、先ほど片山委員質問に対して、責任は郵政大臣にも、それから政府にもあるし、そのことを痛感しているとおっしゃいました。そのお気持ちは今ももちろん変わっておりませんでしょうね。それについて一言、大臣にその責任という意味についてお聞かせ願えれば幸いでございます。
  225. 奥田敬和

    ○国務大臣(奥田敬和君) 今御指摘になったとおり、宇宙開発政策は国のナショナルプロジェクトとして今後とも推進しなきゃなりませんけれども、その過程において、こういった実験段階を既に終えた星が実用段階においてもこういう形になったということはまことに残念でございますし、今まさに御指摘のとおり、そういった形のツケというのは結局は国民に回り、またそういった政策遂行の責任という形になりますと、これは国のプロジェクトとして推進したものでもあるだけに、政府全体の大きな責任であるという形で、もちろん関係大臣としては大きな責任を感じておるということでございます。
  226. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 少し言葉じりをつかまえるようで恐縮でございますけれど、ちょっとその点について質問をさせていただくのですが、責任を痛感する――これ英語で言いますと、ツー・フィール・レスポンシビリティーですか。この言葉の意味は、精神的に責任を痛感するが、しかし金銭的損害の責めには応じないというふうな含みもあるかと思うんです。金銭的な責任に応ずるというのは、英語で言えば、OWE、オウという言葉がございますね、オウ・ザ・レスポンシビリティーといいますか、オウ・インデムニティーといいますか、賠償の責めに応じる。この場合は金銭的な裏づけを伴いますが、大臣がおっしゃっております責任を感ずるというのは、例えば、現実に中継器二基が仮に修復不能な場合、例えば中継器に絞りましても一基数億円、こういうオーダーであるとおっしゃいました。二基でございますからまあ十億円になりますか、本体を含めますと五年間に及びまして四百数億円ということでございますが、その金銭的な責任をOWEという意味でおっしゃっているのか、それともツー・フィールという意味でおっしゃっているのか、その辺をちょっと確認をさせていただきたいと思います。
  227. 奥田敬和

    ○国務大臣(奥田敬和君) 大変厳しい御質問でございますが、科学技術政策全般に関しての政策遂行の過程の中で起きてきた問題でございます。したがって、決してこれは弁解するわけじゃありませんけれども、こういった最先端の技術を結集した一つのチャレンジでもあったわけでございます。そういった意味合いにおいて、技術的なリスクもまた伴うということもある程度前提に置かなければなりません。  そういったことから考えますと、確かに国民の大切な血税、負担のもとにおいて行ってきた政策がこういった形になってきたという事実において、今後の事態において万全の対策を講じていくことが責任の遂行でもあろうかと思っております。具体的な形でそういった金銭的な弁済という形の責任という意味とは違う意味で、ツー・フィールの上にもうちょっと別な意味での、今後の政策遂行に当たって御指摘を受けないような方向で技術者の総力も結集してほしい、その政策誘導をやってまいるということになると思います。
  228. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 全く私、大臣のおっしゃるとおりだと思うんですよ。行政の責任者が今回の事故について自分のポケットマネーで損害をてん補する、そんなことはあり得ないわけでございまして、まさに大臣がおっしゃる言葉どおりに政府並びに郵政省当局は責任を痛感する、それは精神的な意味において、今後の行政において二度と同じ過ちを繰り返さないという意味においての責任を痛感していらっしゃるわけでございまして、それ以上でも以下でも決して私はないと思います。  私はここでNHKとそれから事業団並びに機構の皆さんに申し上げたいんでございますが、とすれば、これだけのリスクがある放送衛星を打ち上げるについては万全の態勢を整えた上、絶対成功するという確信を持った上で、なおかつ万に一つこの衛星ふぐあいを生じた場合について、その金銭的損害をどのようにてん補するのかということについての万全の配慮がなさるべきであった、こう私は理解しておりますが、まずそれにつきまして事業団にお伺いをいたします。その点についての万全の配慮はなさいましたか。
  229. 大澤弘之

    参考人大澤弘之君) まず、私どもといたしましては、開発ではございます。これは、放送衛星というのはまだ開発段階のものでございまして、放送衛星チャンネルを達成するために、衛星としては二個、つまり一個の予備を持っております。おのおのが三本のトランスポンダーを持っておりますから、合計で六チャンネルございます。この六チャンネルで五年間一チャンネルを動かしていけるようにということが今回の開発の目標であったわけでございます。しかしながら、そのうちの一チャンネルもすぐ起こってしまっていいというふうに考えたわけではございませんので、開発の当初におきましては、三チャンネルが十分に使える、こういうことを目標にいたしまして技術開発を進めてまいったんでございますが、至らぬところがございまして今日のような事態になっているわけでございます。  一方、ただいま御指摘のございましたお金の方の問題につきましては、私ども打ち上げに際しましては、私どもの打ち上げの責任のところまでは打ち上げ保険という形で、今回打ち上げます衛星の全額が補償できる保険をかけてまいったわけでございますが、保険会社との交渉におきまして、二チャンネル完全に動くならばこの衛星は完成とみなす、こういうことで保険契約を結びました。そして三月の二十三日に一チャンネルが故陣を起こしたわけでございますが、四月の二十一日の機構に引き渡す時点におきましては二チャンネルが完全に動いておりましたので、保険会社との間では衛星は完成品という扱いになりましたので、保険を掛けておったんでございますが、保険金は取れないといいますか、そういう状態に入っておったわけでございます。我々としては一応万全にやったつもりでございますけれども技術の面でもお金の面でもそういう意味では、虚点をつかれたと申しますか、現在そういうような心境といいますか、事情にあるような状態でございます。
  230. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 虚をつかれたという意味なんですか。
  231. 大澤弘之

    参考人大澤弘之君) はい。
  232. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 機構にお伺いいたします。――お帰りですか。――じゃ結構です。  じゃNHKにお伺いいたしますが、保険はどのように掛けていらっしゃいましたか。
  233. 渡辺伸一

    参考人(渡辺伸一君) 今お話しございましたように、保険は打ち上げ時の保険とそれから運用に入りましてからの保険、つまり寿命保険と二種類ございます。  打ち上げ保険につきましては、今事業団の方から説明がありましたように、国とNHKの持ち分と合わせて掛けてございまして、これは一応成功条件を満たしたということでございまして、NHKが引き取りましてから後の寿命保険につきましては、引き取ります前に既にNHK独自で保険会社と折衝いたしまして一応の条件は整っておりました。しかし、その保険が発効いたしますのは打ち上げが全部条件を満足している場合であるぞという条件が入っておりました。この条件は外すべく実は努力したわけでございますけれども、何しろ我が国初めての寿命保険でございますのでその条件は外せないということでございまして、そのようにして一応寿命保険を掛けるべく準備をしておったわけでございますが、掛ける寸前になりましてA系統ふぐあいが出たということでございますので、条件は御破算で、もう一回やり直しということになったわけでございます。  保険会社十九社、日本国において実力のある会社の全部でございますけれども、この会社だけではなかなか保険金をしょいかねるということで海外にも再保険をしていたようでございますが、それでこの次にR系統がだめになったというような状況でますます条件が立てにくくなってきたわけでございますが、私どもとしては残るB系統につきましても寿命保険を掛けたいということで保険会社と折衝しているわけですが、保険会社は今起きている故障原因究明しませんとその次の段階の条件は提示できないということで、今私ども通信放送衛星機構を通じて事業団にこの原因究明を急いでいただいて早くデータを出すようにお願いをしているという状況でございます。
  234. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 ちょっと私頭が悪いのか、よくわからないんですけれども保険を掛ける場合には、どんな保険にしてもそういう事態が起こる前に、もしそういう事態になったら困るから保険会社と相談をして――生命保険だって何だってそうですね、私が死んだら保険がおりるように頼むとか交通事故があったらおりるように頼むと契約するものでございますから、当然NHKとしてはそういった不測の事故を担保するために打ち上げるまでの保険と打ち上げてからの保険と、そういうものはすべて打ち上げる以前に契約を完了すべきではなかったんでしょうかね。
  235. 渡辺伸一

    参考人(渡辺伸一君) この種の保険は個別に契約をするという方式を今までとっておりました。それで、打ち上げまでの間に一切の寿命保険を含んでの契約ということも考えたわけでございますけれども、今申し上げますように、打ち上げの状況を確認しないことにはその後の寿命保険は引き受けかねるという状況でございますので、仮に打ち上げ保険と一緒に契約が成功いたしましても、寿命保険の効力発生は打ち上げの状況が完全でなければ、当初予定の条件では発効しなかったということでございます。
  236. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 やっぱり御説明を受けましても、NHK率直にうかつであったということは認めていただきたいんですが、そういうふうに御説明を受けましてもやっぱり私はよくわからないというんですか、何か思わざるときに、今まあ虚をつかれたとおっしゃいましたけれども、思わざるときに思わざる事故ができたために早く、急がなければと思っていたけれども契約の締結以前にA系統R系統ふぐあいが生じてしまったと。だからどうなんです、ちょっとお伺いいたしますが、やっぱり心申しまったと思っておられますか、それだけ確認しておきます。
  237. 川原正人

    参考人(川原正人君) 私としましてもう少し何か方法がなかったかなという気持ちは正直ございます。  ただ、今渡辺が申しましたように、実は普通の保険のように幾つかの保険会社がいろいろな商品を出している状況でなくて、全く初めてのことで、しかも日本の損害保険会社のすべてが一緒になって保険を引き受けると、そうでなければ引き受けられないと、したがってそこと交渉するしかなかったわけでございます。その十九社の保険会社が一体となって、とにかく衛星が上がってNHKが引き取ったその段階でいわば健康診断をしてでなければ保険は引き受けられないと、こういう状況であったわけです。  だから、翻って言いますと、保険会社がそういう状況でなければ引き受けられないものをなぜうちは機構から引き取らざるを得なかったかと、そういう問題はあるかと思います。ただそこは、先ほど来申しておりますように、四月二十一日の段階で二チャンネルは生きておって、二チャンネルのカラーテレビの放送支障はないという状態でございましたので、そういう状況の中で、私どもももちろんデータ等十分に拝見して、これは二チャンネル生きているし、十分これは使用にたえ得るという判断のもとに引き取ったところが、十日余りの後にそれがまた故障するという全く思わざる事態を招いてしまったということでございます。  また、今大澤理事長からお話がありましたように、十九の保険会社が、打ち上げ保険については、三チャンネルのうち二チャンネル生きておればそれでいいんだから保険は払わないよという保険契約であって、しかも私の方に対しては全部生きてなければ保険には応じられないという話になっているんで、その点私としても甚だ釈然としないものはあるわけですけれども、何分日本の全損害保険会社が一致してそういう見解なんで、じゃほかに掛けるというわけにもいかなかったという大変苦しい今気持ちでいるわけでございます。
  238. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 よくわかりました。大変苦しい点はあったでしょうけれども、しかし、こうなってみれば、もっとほかに方法がなかったかという反省もやっぱりしておいていただきたい、こう思うんです。  通信放送衛星機構の方はいらっしゃらないんですか。――質問通告はしておいたつもりなんですけれど、どうなんですかね。――じゃいいです。時間ないですから、委員長、続けます。
  239. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 注意しておきます。
  240. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 通信放送衛星機構宇宙開発事業団の間に協定、覚書、念書、まあ名称はいいですけれども、要するにいろいろ細かい取り決めというのは当然なさってたんでしょうね。
  241. 大澤弘之

    参考人大澤弘之君) 私ども基本協定と呼んでおりますが、通信放送衛星機構との間では基本協定を締結してはっきりとした契約関係で仕事をいたしております。
  242. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 その協定の内容ですけれど、事故の場合において責任の所在、これは片山理事もお尋ねでございましたけれど、新聞報道等によれば、故意による事故以外は一〇〇%の免責である、こういう条、項があると承知しておりますが、それはそう理解してよろしゅうございますか。
  243. 大澤弘之

    参考人大澤弘之君) さようでございます。
  244. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 重ねてお伺いいたします。故意による事故というのは、じゃ理事長はどのような理解ですか。
  245. 大澤弘之

    参考人大澤弘之君) 事業団機構との間では、今申上げましたように、打ち上げ時以後のことなんでございますけれども、故意の場合以外には請求を行わないということにしておりますが、これは事業団機構とはこのBSの放送衛星のプロジェクトを共同をして実施をするという共同関係にあるということが第一かと思っております。  二番目としては、事業団はロケットを含むBS放送衛星全体システムの設計、製作、打ち上げ等を実施しておりまして、一つのメーカー、メーカーとの間のものよりももっと包括的なことでございますので、より大きな、極めて大きなリスクをしょっておると、こういうようなことでございますし、またこの点は、前にも申し上げましたが、NASA、ESAにおきましても同様のことをしておるということで、故意以外の事故はないという形で決めておるのでございます。
  246. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 NHKはこういった損害を補てんする等につきまして、宇宙開発事業団あるいは通信放送衛星機構との間でどのような協定を結んでいらっしゃったんですか。
  247. 矢橋幸一

    参考人矢橋幸一君) NHKは、通信放送衛星機構との間に協定を結んでおります。その中で損害賠償につきましては、機構機構の責に帰すべき事由によってNHKに損害を与えた場合には損害賠償の責に任ずるとなっております。ただし、事業団の責に帰すべき事由による損害につきましては、これは事業団に求償し得る範囲だというふうになっております。また、これによりまして求償し得ない損害の補てんのために、機構は国の施策の実現を関係機関に働きかける。これは若干精神条項的なことですけれども、こうなっております。
  248. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 しかし、通信放送衛星機構事業団との間でそんな故意による事故以外は一〇〇%免責というような約束があるようでございますから、結果的にはNHKはツケを回されるだけで何もいいところはないわけで、こんな迷惑な話はない。そこで、宇宙開発事業団にお尋ねいたしますが、協定書の内容を公開していただきたい。これは衆議院の逓信委員会でも我々の会派の逓信委員が要求をしたところ、明確な御回答をいただいていないようでございますので、ひとつぜひその協定の内容を公開をしていただきたい。これについてはいかがでございますか。
  249. 大澤弘之

    参考人大澤弘之君) 私、衆議院の近信委員会に出ておりましたが、衆議院の逓信委員会ではNHK契約に関しまして御要求があったと思っております。私どものことに関しましては、先般、中野先生の御質問にございましたことで、国会のことでございますし、私ども機構との間の相互の信頼の問題もございますので、機構相談の上、対処させていただきたい、こう思っております。
  250. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 委員長通信放送衛星機構がどういうわけですか、本委員会に、私の質問に対し出席をしておりませんが、これはもう時間もありませんので……
  251. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 関係者にお願いいたしますが、非常に深刻な問題を議論しておるところでございますけれども、やはり緊張感が足りないという感じがいたします。委員長から厳に注意いたします。
  252. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 そこで、協議の上、対処すると今おっしゃいましたけれども、これは機構とよく御相談の上、事業団としてもぜひこの協定書の内容は公開を願いたい。我々も、伝聞によることだけでお互い同士は一〇〇%免責だと、故意による事故とは一体何だと、ここで議論をやっていたってこれは水かけ論になりますから、ぜひひとつ資料の御提出をお願いを申し上げておきたいと思います。  最後に大臣にお尋ねいたしますが、これまでの各委員質問にもございましたけれど、衛星の国産化の問題、岡野委員もお尋ねでございましたけれど、日本のこういった技術は本当に先進的なものでございますから、私は個人的には、そんなトムソンだとかGEだとか、やれブラックボックスだとか、わけのわからぬようなことを言う外国のメーカーよりも、お互い気心の知れた、日本人同士で話し合える会社の衛星開発し推進すべきだと――国産化の推進でございますね、そう思うんでございますが、これにつきましての大臣の所信をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
  253. 奥田敬和

    ○国務大臣(奥田敬和君) この世界初めての放送実用衛星ということでございますけれども、先生の御指摘どおり、願いは一〇〇%の国産化という形を目指すことは当然でございますし、それが今日の宇宙開発政策の中で大きなリスクも伴いながら、やはり一歩一歩前進していこうという一つの終局の方向であることは間違いないことでございます。したがって、国産化技術の推進、今回の術歴にいたしましても残念なことに国産化率三〇%、しかも、心臓部の大事な中継器や真空管は外国製に頼らざるを得ないという実情は何としても打破しなければならないことは当然でございます。  なお、いろいろな面での検討の結果、まだ中間ではございますけれども、相当な形での技術水準も高まりつつあるようでございます。日本もなるほど技術的には、個々の分野では、特にエレクトロニクスのいろいろな分野では世界の先端を行っておるということは事実でございますけれども、この宇宙開発技術に関しては、まだ残念ながら一歩も二歩もおくれておるという現状もやはり謙虚に考えなきゃいかぬ点だと思いますけれども、もう一日も早くそういった国産衛星、一〇〇%の衛星によってのこういったメディアをぜひ国民に恩恵としてとらしたいということでございます。
  254. 青島幸男

    ○青島幸男君 二度にわたりまして詳細に質疑が行われましたので、私も大方のことは理解いたしました。ですから、重複を避けまして、くどくどしいことは申しませんけれども、ほんの二、三、皆さん方のお話を伺ってまして凝固に思った点だけをお尋ねして終わりたいと思います。  今度のことは大変残念で、私も非常に悔しいといいますか、腹立たしい思いをしております、皆さんもそうだろうと思うんですが、前回も私はちょっとこれは技術的な問題も踏まえて時期尚早ではなかったか、何も世界に先駆けて実験的なことをやる必要はなかったんじゃないかということを再三申し上げましたけれども、できてしまったことは仕方がありませんで、くどくどしいことは申しません。しかし、結果としてとらえた場合、大臣は国のナショナルプロジェクトとしてこれに当たってきたので責任を痛感しておる、国民に多大な迷惑をかけたことで遺憾にたえないという御発言をなさっていらっしゃる。NHKNHKで十数年来の構想に基づいて放送衛星によるシステムを確立したかったと、こうおっしゃっておられる。NHKは国とは全く別の事業体であるはずなのに、どっちが主体になってこのことが行われているのかということが非常に不明確な感じがしますね。その辺はどうなのか、大臣とNHKと双方にまずお尋ねしたいと思います。
  255. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) お答えを申し上げます。  BS2の現在の計画は、御案内のとおり、NHKがテレビジョン放送の難視聴解消を目的にいたしまして、同時に自主技術開発ということもそれにあわせまして考えているものでございますが、これはBSという段階からもNHK自体においてNHKの難視聴解消という観点からの計画と申しましょうか、という形でその計画が練り上げられてきたものでございます。  一方、郵政省といたしましては、放送行政をおあずかりする、あるいは宇宙通信政策を担当するという立場からいたしまして、このNHKの考え方を受けた上で、宇宙開発委員会の方に宇宙開発計画に対する要望というものを郵政省という立場からまとめて、これはBSに限りませず、CS等につきましてもいたしておりますけれども、毎年度におきます宇宙開発計画の見直し要望をしたという次第でございます。
  256. 川原正人

    参考人(川原正人君) 今の電波監理局長と別のことを申し上げるという意味ではないんですけれども放送衛星につきましては、NHKがまずそのような放送衛星を打ち上げることによって、日本放送事業に大きくプラスをする、もちろんNHKの仕事としても、これは有意義であるということで提唱いたしました。最終的には、今年度事業計画以後、実用衛星実施ということも計画で持っております。  ただ、宇宙開発の仕事は、これは我が国においては国のナショナルプロジェクトといいますか、国の施策としてこれは実施するという一つの大きな方針がございまして、私どもももちろん事業体としては政府とは別のものでございますし、独自の方針、施策は持っているものでございますけれども、やはり放送の免許とかあるいは宇宙開発等については、これは当然胴の施策の中でやっぱり事業を実施いたさなければならないものでございますので、そういう意味で、この衛星開発自体は、宇宙開発の一環として進められてきたと、こういうふうに私は理解をしております。
  257. 青島幸男

    ○青島幸男君 その辺のあいまいさが今回の責任の所在が明らかにならないということの一つの理由ではないかという気がするんですけどね。ですから、NHK自体が宇宙開発とは別にかねてからの構想を持っておられた。放送衛星による放送で安全なあるいは有効なものを確立していきたいという希望によってNHKが予算を組まれて独自にやられる、一方、国は国で宇宙開発というものに関心を持たれるのは当然のことと思いますけれども、双方に別途の目的と別途の考え方がありながら一つのものに相乗りしてしまったというような格好が、非常に不明確なものになったような気がしているんですね。別々になればそれは責任の所在は極めて明らかになるわけですね、と私は認識するんですけれども。  それはそれといたしまして、今回のことは大変に残念ではあったけれども、このことで挫折してはならない、この放送衛星による放送のシステムを安全なものとして確立していくことは大きなメリットがあるというふうに会長は再三おっしゃられましたけれども、それは単に難視聴解消のみのこととは考えられないんですけれども、どういうメリットがあるとお考えになっていらっしゃいますか。
  258. 川原正人

    参考人(川原正人君) もちろん難視聴の解消ということも大きなメリットだと思っておりますけど、さらに加えて、今地上のテレビジョンの周波数、私は厳密な技術的な規定ちょっと間違っている……要するに周波数はもはや限界に達していると。これ以上いろいろな放送の新しいメディアとしての活用を図るとすれば、やはり衛星による放送によって、非常に波長の短い何とかギガサイクル、十ギガとか二十ギガとか、そういうところでさらにたくさんの周波数がとれるということであれば、それを活用することによって放送の需要はもっと飛躍的に発展することは当然だろう。例えば具体的に言えば、今既に上がっている衛星を通じてでもPCMというような方式によって音質のすぐれた放送が可能でございますし、それから私ども、既にほとんど実用の段階に近いところまで開発してまいりましたけれども、高品位テレビジョンというものもこれは可能でございます。さらに加えて静止画とかそのような放送も可能なことはもう目に見えております。そういうことが目に見えておるならば、この放送衛星というものを推進して日本放送事業をさらに発展させるということは私どもとしてはぜひ推進してまいりたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  259. 青島幸男

    ○青島幸男君 それは会長の御意見としてよくわかるんですけれどもね。しかし、おおむね一億を超す視聴者によってNHKが支えられているわけですね。視聴者のニーズに明確にこたえることがNHKの使命ですね。そうすると、どれだけの人間が高品位テレビを要求し、どれだけの人間が静止画像を要求し、どれだけの人間が今以上の画像を求めているかということですね。このことをはっきり踏まえた上でないと先走りになってしまいやしませんか。その辺が私、大変危惧するところですけれどもね。高品位テレビというのも確かに拝見いたしましたけれども、立派なものでございます。しかし、それなりの大きさが必要ですし、距離を置いて見なきゃなりませんし、四畳半の中で三十インチに近いような高品位テレビに対する要求というものはどこまであるか私大変疑問なんですよ。ですから、そういう視聴者のニーズと要求と必要をしっかり踏まえた上で何か事をなさらなきゃならなかった。それにしては衛星によって行われる放送システムを視聴者が望んでいたかどうかという認識の違いですね。望んでもいないことを大金かけてやり過ぎたのじゃないかという気が和しているのですけれども、いかがなものでしょうか。
  260. 川原正人

    参考人(川原正人君) 確かにこの視聴者、別な言い方をすれば消費者のニーズあるいは要望というものと新しい技術革新というものとのマッチングといいますか、セッティングといいますか、これは大変微妙な問題があると思います。少し言い過ぎかもしれませんが、この技術革新というものは普通の消費者の場合にはそれはまだわからないわけですね。新しい技術がどんどん進む、そういう状況の中で新しい技術に対してどういうニーズを持っているかということは、なかなかこれは測定は難しいと思います。むしろそういう技術を革新したものが、こういう技術があってこういうふうなサービスなり視聴者あるいは消費者としての受益があるぞということをやはり説明していかないと、そこは合致したものがあると思います。  それから、これも一般論でございますけれども、私どもが数年前に、現在情報が少し多過ぎるか多過ぎないか、視聴者が何を望んでいるかということを意向調査といいますか、世論調査をやったこともございます。やはりその中で二つありました。もうこれ以上、大体この辺でいいんじゃないかという意見と、やはりもっともっと新しい情報がいろんな手段をもって入手できるならばぜひやはりそれは期待したいということ。数量的にそれを根拠にというわけにいきませんけれども、少なくともなお新しい手段によってより多くの情報が得られるならばそれを期待したいという方が数字としては多かった。もちろんかなりの率で、いやもうこの辺でそろそろという意見もあったことは事実でございます。しかし、私どもはそういうものを意向調査を行い、かつまた日ごろ視聴者の接触の中で、かつまたこういう技術の革新を私どもは研究開発する中で、これは十分に視聴者の期待にこたえ得るものだと、こういう判断をして仕事を進めてきたわけでございます。
  261. 青島幸男

    ○青島幸男君 それは、確かにテレビが最初に映って公園に群がって見たときの感激と、それからどこの家にもあるようになったという感激と、それがまたカラーになってナイターの野球がきれいな色で見られるようになったときの感激は新たなものでした。しかし、それにまさるメリット、大きさはそれほど一般の方々は望んでいないという認識で私はいるんですよ。高品位テレビは確かにすばらしいのですけれども、今御家庭で一般にごらんになっているテレビを拝見しますと、割合ごたごたゴーストが映ったり、ちらちらしているのを平気でごらんになっている方も多いですよね。ですから、ああいう状況からすると、そう高品位テレビが莫大な費用をかけても即座に必要なものとはちょっと考えにくいのですね。確かに一回星へ飛ばして、星から戻ってくる電波を受けるようにしましてやれば、一般の視聴者の方がよりきれいな画面、いい音が得られることは確かだと思います。  しかし、そこまでニーズが非常に多様化しているからとかという言い方を我々は間々しますけれど、多様化しているんではなくて、多様化さしているという部分がかなりあると思うんですよ。ビデオだってどれだけ要るかわからない。それに今のパラボラアンテナだってまだ二万台ぐらいしかできてないわけでしょう。でも、こういうことがあるんだ、これでもかこれでもかといってニーズを喚起しているということの方が現状ではウエートが重いと思いますね。ですから、それに乗っかってNHKがわざわざ新しい需要を喚起するようなことまでなさらなくてもよかったんじゃないかという気がしているわけです。  常に先進的な技術開発していくということに対する情熱は、それは関係者としてお持ちになるのは当然のことだと思いますし、称賛に値することだと思ってますし、日々技術革新に情熱を燃やしている方々には心から尊敬の念を禁じ得ませんけれど、それはそれとして、しかし、一般の視聴者のニーズというものをもっと的確に把握して、それがぴったり合うという格好の範囲でとどめる、あるいは確実に届けるという送り手の認識というものはもっと必要だと私は思うような気がするんですけどね。その辺をここで議論するつもりはありませんけれども、そういうことが余りといえば先走り過ぎた。今回の失敗したことは、だれも失敗しようと思ってしたわけじゃありませんからだれも責められませんけれど、偶然のことだと思います。むしろ私などは、あんな遠いところへ、星を上げて、そこへ電波を届かせて、アンテナを常時日本の方へ向けて送ってこられる方がより不思議だと思っているわけですね。そこは、まさに宇宙のちりみたいなものとか隕石みたいなものとか、あるいは各種の放射能とかというもので、ちょっと想像を絶するような環境なわけでしょう。ですから、それについては私はむしろ驚いているんですけどね。ですから、そんなことまでしなくてもいいんじゃないかという考えの方が今素人としては強いんですけれども、ちょっと先走り過ぎたという感があるのは、つまりは一般の視聴者の方々の要求と余りにもかけ離れ過ぎてたという認識が私にあるものですから、そのことを申し上げているわけです。  今度は郵政省の方にお尋ねしますけれども、新しく法改正を行って放送のいろいろ多様化に対する体制づくりをなすっているわけですから万遺漏はないと思うんですけどね、今度BS3になると民放局も乗ってくるわけでしょう。そうすると、うわさによりますと、まだ先の話ですけども、民放局が乗ってくると、広告を営業の収入主体とする広告放送と、それからペイテレビみたいなものも乗ってくる可能性もあるということですね。それ、具体的にはどういう格好になりそうですか。
  262. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) BS3に関する御質問でございますが、BS3につきましては、昨年の十一月段階で、主要なと申しましょうか、大きなポイントを幾つか郵政省の考え方ということで示したわけでございますが、民放関係で十二の申請が出ております。計画といたしましては、NHKの二チャンネルBS2から引き続いて実施をいたしますと同時に、容量的にもう一チャンネル乗せる余裕が出てまいりましたので、民間放送用に一チャンネルを割り当てるというわけでございます。その一チャンネルにつきまして、その今先生御指摘の点に関しましては、昨年のその考え方の中で、有料方式つまりペイテレビと、それから現在民間放送が行っておりますようなコマーシャル方式、この二つの方式をあわせて行うということを、私どもの考え方として示してございます。つまり、その二つの方式によることが新しい形での宇宙におきます民間衛星放送のあり方として適当なのではないかという判断をした上での考え方でございます。
  263. 青島幸男

    ○青島幸男君 そうなりますと、NHKに受信料を払っているということと、ペイテレビに金払わなきゃならないということなどの混乱が生じてきやしないかという気がするんですけどね。その辺はこれからのことですから、その事態が先へ進んでから後で泥縄式に考えるということでは――まだちょっと余裕がありますからね。そのために機構改革までなさったんでしょうから。万遺漏のないようにNHKNHKとして聴視料に基づいて運営されている、その格好は私は望ましいものだと思ってますので、この格好も崩れないように、あるいは一般の方々に不安も与えないように、しかも混乱も与えないようにということで万全の配慮がなされるべきだというふうに思いますが、その御決意だけ伺って質問を終わりたいと思います。
  264. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 先生の御指摘の、混乱が生じないようにという点は、私どももそのとおりに受けとめております。  それで、現在のNHKの受信料でございますが、これは先生つとに御承知のように、いわゆる一般の聴視者によります特殊な負担ということで、公共放送を維持していくものという考え方に立っております。  一方で、民間の今回考えておりますこれからの問題としての有料テレビは、視聴したいという人が特定のチャンネルあるいは特定の番組についてみずからの意思で申し込みをして払うと、こういう方式で、その間にいわゆる考え方の差というものがございます。ただ、実態の面で先生御指摘のようなことが生じてくることも考えられます。私ども民間放送民間放送としての発展ということが地上宇宙を通じて必要であると思いますし、またその上にNHKとの関係もいわば二つのものが相まって発展をしていくということを期待いたしておりますので、その点は御指摘のように万遺漏がないような十分な検討をした上で取り組みたいと考えております。
  265. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時三十七分散会      ―――――・―――――