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1984-04-07 第101回国会 参議院 逓信委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月七日(土曜日)    午前十時開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         大木 正吾君     理 事                 長田 裕二君                 成相 善十君                 宮田  輝君                 片山 甚市君     委 員                 大木  浩君                 岡野  裕君                 沖  外夫君                 志村 愛子君                 西村 尚治君                 山内 一郎君                 大森  昭君                 服部 信吾君                 三木 忠雄君                 佐藤 昭夫君                 青島 幸男君    国務大臣        郵 政 大 臣  奥田 敬和君    政府委員        郵政大臣官房長  奥山 雄材君        郵政大臣官房経        理部長      高橋 幸男君        郵政省郵務局長  永岡 茂治君        郵政省貯金局長  澤田 茂生君        郵政省簡易保険        局長       奥田 量三君        郵政省電気通信        政策局長     小山 森也君        郵政省電波監理        局長       鴨 光一郎君        郵政省人事局長  三浦 一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        酒井 繁次君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○昭和五十九年度一般会計予算内閣提出、衆議  院送付)、昭和五十九年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付)、昭和五十九年度政府関係  機関予算内閣提出衆議院送付)について  (郵政省所管及び日本電信電話公社)     ―――――――――――――
  2. 大木正吾

    委員長大木正吾君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  昭和五十九年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、郵政省所管及び電信電話公社を議題とし、昨日に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 岡野裕

    岡野裕君 きのうは先輩議員先生からの御質疑を通じまして、私自身大変啓蒙をさしていただいた、そんな思いでございますが、きょうは委員長から一時間のお時間を割愛をいただいているところでございます。例にならいまして私からも幾つか御質問を申し上げ、またお教えをいただきたい、こんなふうに存じているところでございます。大臣よろしくお願いいたします。  ことしはニューメディア元年というような呼び名があるようでございますが、果たせるかな元旦から新聞もテレビもその他マスコミ界挙げて人工衛星でありましょうか、あるいは光ファイバー、INSなどなど、こういう言葉があるいは文字が取り上げられない月はないというような、いわばマスコミ界ニューメディア花盛り、こんなような外見を呈しているところでございます。第三者的にマスコミ界がそのように取りざたをされる、まあ結構なことではあろうと思うわけでありますが、やはり通信主務官庁という立場に立っての郵政省ということになりますならば、その花盛りに浮かれているわけにはまいらないのではないかな、やはり十年、二十年先を見通しまして国民サイドに立った通信行政をいかに展開していくかということに大きく目を開いておいでになられるのでありましょう、こう思うところでございます。  第二臨調答申を読みましても、「情報化社会の進展に伴って、情報通信需要の増大及び高度化多様化情報通信技術の革新、有線無線及び放送公衆通信等メディア融合化等電気通信行政を巡る情勢は大きく変化している」のだと、したがって郵政省としても規制監督的業務に重点を置くのではなくて、活力ある情報化社会実現のためのそういう条件整備、これを中心とする行政に転換をしていくべきである、こんな文字が見えるところでございます。幸いにして国際的視野の豊かな郵政大臣奥田先生御就任と同時に、予算編成におきましては財投八十億ということで、テレトピアを中心としますところのニューメディアに獲得され、非常に大きく努力をなされたと思います。加えまして、一昨日電電二法は閣議決定をするというようなことで非常に御努力を賜りましたことにつきまして満腔の敬意を表しているところでございます。  というような観点に立ちまして、大臣といたしましてはどのような視点を踏まえられてこれから通信行政をなさっていかれるのでありましょうか、この点につきましての御抱負をお述べいただけますならばまことに幸せでございます。お願いいたします。
  4. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 通信衛星そして放送衛星実用化が始まりました。しかもコンピューターの情報処理技術の革新的とも言われる進歩、また今お話のとおり光ファイバー等による高速大量の情報電送が可能になります。通信技術進歩はもう本当に私たちの想像をはるかに上回る革新的なものでございます。そういったことによりまして、今日は有線無線を問わず、あるいはキャプテンとかVANもそうです。双方向CATV等等、今御指摘になったような多彩なニューメディア展開が可能になってまいります。二十一世紀を待たずして高度情報化社会へテークオフする基盤はまさに出そろったと思います。そういった意味合いでは、先生が御指摘のようにまさにニューメディア元年という表現は適切であろうかと思います。今回の、きのう閣議決定を見た二法案はその意味におきましてまことに重要な、情報革命にも匹敵する重要な意味を持った法案であるということを認識いたしております。  さて、しかし、私たちが目指す高度情報社会目標ということになりますと、これは一つの、やはり我々としては政治家としてもポリシーが必要であろうと思います。そうなりますと物質的、精神的に豊かな生活を目指すものでなければならぬ、新しい文化の創造というものでやはりなければならぬと思っております。時間的にも経済的にもこういった多彩なニューメディア活用によって余裕ができてまいります。しかし、それが人間性が尊重される社会への一つの目指す指標はそこになければならぬと私は思っております。  しかしながら、こういったニューメディア活用によって、私はこの限られた国土、まさに資源を持たざる我が国としてはあらゆる意味有効活用が期待されます。しかも、新しいネットワークで情報格差が解消される、ひいては文化格差が解消されるということは私たちが目指す均衡のある国土の発展と環境整備に役立つことは間違いないと思っております。  したがって、生意気なことを申すようですけれども、こういった高度な電気通信網による列島改造という、政治家としての政策理念展開も可能になってくるという果てしない夢を描くものでございます。しかしながら、先生が一番御存じのように、こういった時代技術がもたらす脆弱な面も私たちは見逃してはならないと思います。それが光と影と言われをように、こういった技術だけの進歩で花が咲きパラダイスが来るというわけにはまいりません。それを活用し、それを生かし、どういう社会設定目標にしていくかということが私たち政治家に課せられた大きな責任であろうかと思っておるわけでございます。  そういった意味合いにおいて、この二法案の審議の歴史的な意義はもとよりでございますけれども、先導的な情報化社会への役割を果たすという意味においては、まさに郵政省電気通信主務官庁として大変な使命責任を負わされたということにもなります。その意味において郵政省を所管する大臣としてもこういった重大な目標に向かって責任の重大さ、そして使命の本当に重大なことを痛感しておるといったのが、現在の偽らざる心境でございます。
  5. 岡野裕

    岡野裕君 大臣からは、非常に格調の高い、かつまた頼もしい御抱負をいただきましてありがとうございました。大臣がおっしゃいますように、二十一世紀を目指して、物質的にもあるいは精神的にも豊かな社会づくりをやっていかなければならないということだろうと思います。同時にまた、通信情報格差を完全に解消するものであるというようなお話があるところでございますが、その情報通信分野におきましては、同じ臨調の方針の中でも、在来有線無線による区分でありますとか、あるいは公衆通信放送といったような区分、これを基本とした体制、これが郵政省体制であった。  しかしながら、今お話しをしましたような社会情勢の変化に対応して、通信メディアの別、あるいは通信分野の別にとらわれない総合的な電気通信行政、これを推進する体制をとらなければならないのではないか、このような示唆もいただいているところでありますが、しからばこういう示唆に基づいて、現下の郵政省としましては、新しい電気通信行政機構の再編成、これにつきましてはどのようなお取り組みをなさっておられるのか、官房長からお聞かせを賜りたい、こう思うわけでございます。
  6. 奥山雄材

    政府委員奥山雄材君) 戦後におきます電波電気通信行政機構はこれまで幾多の変遷がございましたけれども、一貫して先ほど先生が御指摘になりましたように、有線無線区別、あるいは公衆通信自営通信区別といったような個別の行政対象を念頭に置いての体制であったことは紛れもない事実でございます。電波監理委員会から始まりまして電気通信省、それから電波監理局電気通信監理官室電気通信監理官室電気通信政策局にお認めいただきましたこの過程を振り返りましても、有線無線等区別による行政機構であったのでございますが、先ほど大臣が答弁されましたように、有無線融合化現象が起こり、あるいはまた新しいニューメディアが花開く時代行政事業対応するためには、このような硬直化した組織ではもはや行政使命を果たすことができなくなっているところでございます。岡野先生から御指摘がありましたように、臨調答申でもまさしくその点を指摘されたわけでございまして、ことしの一月二十五日の閣議決定におきまして、この臨調答申精神を生かすべく、ことしの七月一日を期して戦後続いてきました電気通信行政機構の抜本的再遍成を行うことにいたしているところでございます。  具体的に申し上げますと、現在の電気通信政策局及び電波監理局という二局体制を廃止いたしまして、総合的な電気通信行政を推進する立場から、電気通信局通信政策局放送行政局という三局体制にすることにしております。その内部組織は三局二部二十二課三室を予定しておりまして、既にその執行に必要な予算措置が五十九年度予算に織り込まれております。きょうの委嘱審査でもその点に関連しての御論議だと思いますので、速やかに五十九年度予算が成立することを私ども期待しておるところでございます。  今申し上げました行政機構改革によりまして、私ども高度情報化社会に向けて積極的に行政施策展開する政策官行としての基盤が確立するものだろうというふうに期待しているところでございます。
  7. 岡野裕

    岡野裕君 新しい通信主管庁として飛躍的な政策行政をやってまいりたいという考え方のもとの、言いますならば組織取り組み方、これを拝聴したわけでございますが、郵政省はなるほど政策官庁だと。大きく飛躍をいたさなければならないということだとは思うのでございますが、一面また非常に大きな現業官庁としての色彩も強いのではないか。明治二年に電信が始まり、四年に郵便でございましょうか。あるいは、明治八年には郵便貯金、大正五年には簡易保険が呱呱の声を上げるというようなことで、以来一世紀を超え、あるいは半世紀余にわたって着実な企業としての営みをやってまいった。今郵便年間百四十億通を数え、世界で第三番目の取扱量である。あるいは郵便貯金八十五兆円、簡易保険も二十二兆円の運用資金を擁するということで、この三位一体としての行政企業営みはやはり世界一の規模の大きなものであると思うわけでありますが、企業としては大きいのみがよいことではない。むしろ言いますならば、二万二千人おりますところの郵便局、これが完全に地域性を体して、地域社会に密着をしてそれぞれの営みをやっていく、これが郵政省特徴である、こう伺っているところであります。郵政大臣も、奥田先生御存じかと思いますが、二年ほど前、これは五大紙のある新聞にこのような歌が紹介をされておりました。ちょっと読んで見ますと、これは郵便局の話を歌ってるわけでありますが、  店は一等地豪華版  身なりは背広に蝶ネクタイ  客はオドオド、それに比し  郵便局はバラックで  下駄ばきニコニコこんにちは  地域社会の中にある  これはきょうもおいで成相先生の同じお地元の政治家の方と甲州御出身の政治家の方とがいわば作詞作曲をなされたのであるというようなうわさもある歌なのでありますが、ここにあります「地域社会の中にある」、言いますならば、民業官業論がいろいろ取りざたをされている中で、民業官業を超えてまず優先すべきは民生であるという意味合いでのその歌がこれであろうかと思うわけでありますが、そういう意味合いからしますと、政策官庁として飛躍をなさるもよし、しかしながら同時に地に足のついた企業というものを運営していかなければならないのではないか、かように私は存じているところでございますが、この点につきまして郵政大臣のお考えを承りたい、こんなふうに存じます。
  8. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 先ほどは電気通信政策に関して所見の一端を述べさせていただきましたけれども、私は今この郵政事業、はっきり言いますとげた履きエプロンがけの町の奥さんが本当に気安く出入りできる庶民性と申しますか、地域に密着したそういった国民の中で本当に郵便局という親しみのある窓口を通じて今日の郵政省があると思っております。特にニューメディア時代とはいえ、むしろ逆にこれからは本当に心の触れ合いと申しますか、人間触れ合いを大切にするコミュニケーションの時代も非常に大切な要素になってまいります。私は郵便事業というものは、これからむしろ国民の間で親しまれ、心の触れ合いを求める気運と同時に、おろそかにしてはならない重要な分野だと思っております。したがって、この二月から速くより確実に安全にをモットーにいたしまして配送システムも変えたところでございます。翌日配送体制という中で、さらに国民皆さんに信用と安全性郵便局に寄せられるそういった形が、サービスというものが現実に御理解を賜っていただけると思っております。  また、郵貯は世界一の貯蓄銀行でもございます。現在の貯蓄残高八十五兆、しかも国民の産業なり福祉生活に直接寄与している財投の主要な原資でもございます。しかしながら、これだけの大きな原資となって活用されておるわけでございますけれども、これからの対応というものについては大変な厳しい環境になっておることは事実でございます。金利自由化、金融の自由化の波がそれでございます。したがって、私たちは、汗とあぶらでためて、預かっておるという主務官庁として、これら巨大な八十五兆という資金運用を通じて、この金利を、いかにして預貯金者の利益を守っていくかということが最重要な課題になってまいります。  ですから、私たちは、先般来、金利自由化、市場の実勢にこたえていくような形の中での自主運用体制も含め、これからは真剣な対応が迫られてくる、勉強が迫られてくるということで、既にそれらに基づく研究会懇談会等々も開始いたして、こういった金利自由化時代への対応というものに何とかこたえていくという体制を整えているところでもございます。  また、簡保、これも、高齢化社会へ突入してまいります。もう現実に入りつつあります。公的年金での完璧な保障ということは最も望ましい形でございますけれども、しかし老後の生活ということを考える場合、やはり自助努力も必要でございます。そういった意味合いでは、この簡保制度制限額は低いわけでございますけれども、その積立金手持ち資金ということになれば既に二十二兆、まさに日本一の保険業者とも言えるわけでございます。  したがって、そういった郵政事業のそれぞれの持つ重要な意味を考えるときに、これからの時代がいかに多様な時代に突入しようとも、これらの持っておる三事業は、それぞれ国民生活地域に密着しておる、まさに明治以来の伝統と二十一世紀を目指す未来への通信政策分野が混在しているといったのが郵政省特徴でもございます。したがって、そういった根幹をなす郵政事業には、これからも一層の努力を傾注し、しかも事業効率化によって安いサービス国民に還元できるという方向を目指して努力してまいりたいと思っております。
  9. 岡野裕

    岡野裕君 大臣から三事業についてのお取り組みを拝聴いたしたわけでございますが、そのお言葉の中に、五九・二の新しい郵便配送システムでありますか、これについてのお言葉がございました。きのうも大森先生から、配る郵便から、言いますならば、出していただく郵便にというような言葉があったようでございますが、郵務局も最近は営業課というような課を設けてその面の御努力をなさっておられる、私は非常に評価をしているところでございます。  かつて戦前派言葉に、「物の排送」というような言葉があったようでございました。まあ一般お客様が聞きましたならば何のことかおわかりにならないのではないかと思うのでありますが、郵便局に働く職員皆さんも、自分が受け取るあの受け箱の中に見出す自分あて郵便、これは手紙だと思っているのでありまするけれども、一たん職員郵便局に出て局員として仕事の対象として扱う郵便は、これは手紙ではなくて「物」と呼ぶというような感触があったようでございます。まして、その「物の排送」という「ハイ」は日貨排斥の「排」、こういう意味合いからいたしますと、必ずしも当を得た用語ではないのではないか。しかしながら、そういう意識も多少は局員の中にあったのではないかなあと、こう思うわけでございます。言いますならば、一つ一つ郵便物がやはりお客様手紙である、それによって我々の給料もあかなわれているものであるというような意味合いから、やはり意識改革というものをやっていかなければならない。この「排送」の「排」は拝むの「拝」でなければならないのではないか。無論、日貨排斥の「排」という言葉の中には、順序よく並べるという意味合いもあって戦前派諸君も使っていたとは思うのでありますが、そういう意味合いで、郵務局が最近営業方向で取り組んでおられるという辺につきましての具体的な施策をお伺いできたならば幸せであります。
  10. 永岡茂治

    政府委員永岡茂治君) ただいま岡野先生の御指摘のように、私ども部内用語としまして、郵便を略称して「物」というふうに呼んでおることは事実でございます。そのことは、ただいま先生指摘のように、やはり深く反省し、そういったネーミング、呼び方についても改めるべきだというふうに思うところでもございますが、長い明治以来の独占事業の上にあぐらをかいていたということではございませんが、やはり独占企業として、そういった心のおごりと申しますか、そういったものがあったことも否定できないことだと思います。  しかしながら、最近になりまして、民間宅配業者が急速に成長してまいりまして、小包分野におきまして激しい競争が起こってまいったわけでございます。昭和五十五年に小包料金の値上げをいたしまして以来、民間宅配業者との競争におきまして、料金面またサービスの面で大変見劣りがするという間隙をつかれまして、郵便小包は年年大幅な減少を続けて今日に来ておるところでございます。そういった新しい事態に対処しまして、部内におきましても、営業感覚――郵便物をふやす、小包をふやさなければならぬという意識が急速に高まってまいったわけでございます。そのことは大変私どもはいいことだというふうに思っておるわけでございますが、ただいま先生質問営業活動につきましては、そういった経緯も踏まえまして、主として小包をふやすという対策に力を注いでおるところでございます。ローカル色を生かしたふるさと小包を募集する、そういった点を中心として郵便の収益を少しでも伸ばすいろいろな方策を、各地域、各郵便局の特性に合わせて現在鋭意取り組んでおるところでございます。
  11. 岡野裕

    岡野裕君 永岡さんから、民間宅配便に対して我々の小包についてはどういう取り組みかというようなお話を伺ったところでございますが、この民間宅配便が何がゆえに伸びているか、これはやはり営業精神の発露、いわゆる戸口から戸口へといいますか、という建前といいますか、というところにあると思うのです。言いますならば、クロネコあるいはペリカン、カンガルーというようなことで、速いという意味合いと同時に、このペリカンなりあるいはクロネコといいますものは、同時に社内のVANを十二分に活用した近代的な装備も持っているということが大きな戦力になっているのではないか、こう思うのでございますが、今郵便は、宅配便と同時に、片や電気通信メディアの中で、ファクスというようなものについてもやはり追いかけられているのではないかなと。今の郵便取扱量、これを外国等に比しました場合にどんな数字が上がってくるのでありましょうか、これから先行きの伸びの見通しはどんなものでございましょうか。
  12. 永岡茂治

    政府委員永岡茂治君) 御質問の順序に対して多少逆になるかもしれませんが、諸外国我が国郵便利用物数を見てみますと、総取扱物数では日本世界でも第三位でございますが、一人当たり利用物数を見ますと世界で第十九位ということでございまして、そういった意味では、一人当たり利用物数が少ないということは、将来まだ伸びる余地があると見てよろしいのか、まだ社会生活の面で民度が相対的にすぐれてないと見るのか、その辺の見方はいろいろあろうかと思いますが、アメリカでは一人当たり物数年間五百八十九通という数字に対しまして、日本は一人当たり利用通数は百二十七通ということで、約四分の一程度でございます。もちろんアメリカ世界第一位でございまして、アメリカ生活日本生活の態様が、金銭の決済のやり方等いろいろ違っておりますので、そういった面で、アメリカにおきましては電気通信世界一発展しているにもかかわらず、郵便利用もただいま申しましたように一人当たり五百八十九通、日本の約四倍、そういった状況でございます。  なお、宅配便が非常に伸びてきておるという原因は、やはり一つはスピードであると思いますし、それからやはり集荷をするという便利さ、それから例えば包装にしましても、簡易な包装でいいといったようなこと。それから、岡野先生指摘のように追跡システムと申しますか、自分の預けた荷物がどこにあるかといったような、そういった追跡システムについても、例えばクロネコ――ヤマト運輸等においては一応整っておる、そういったことが今日非常に急速に伸びてきた原因であるというふうに理解いたします。
  13. 岡野裕

    岡野裕君 今日本は、全体の扱い量では世界で三番目だけれども、一人当たりにしますと非常に順位が後ろの方になってしまう、こういうお話でございました。しかし、この郵務局のパンフレットを拝見をいたしますと、一人当たりの方の日本の前後に並んでいる国々拝見をしますと、日本よりすぐ上の国がハンガリー、その前がチェコスロバキア日本の次はスペイン、南アフリカというような国々が並んでいるわけであります。そうすると、いわゆる経済諸力の指数から見ますと、これらは前後の三カ国、四カ国に比べますと日本は随分と違うように思うのでありますが、なぜこのような現象を呈しているのか。日本はエコノミックアニマルだけれどもウサギ小屋だと言われている、その辺なのか。文化の薫りをと、大臣のお言葉にもございましたけれども、その文化の方が劣っているのか、いかがなものであろうか。しからば、この文化に、言いますならば、さお差す面では、郵務分野におきましてはどんなお仕事をなさっておられるのか。「ふみの日」とか何とかいうのがあったような気がするわけでありますが、その辺はいかがなものでございましょうか。
  14. 永岡茂治

    政府委員永岡茂治君) 日本におきまして一人当たり利用通数は第十九位だというような数字は、ほかのいろいろな指標に比べましてやや意外な感じを持たれるというふうに思います。その原因は、先ほど触れましたように、例えばアメリカと比べましたときに、アメリカでは何か物を買う場合に小切手で買う、その後の決済が文書で、手紙で報告される、そういったこともございますし、ダイレクトメール等にしましても、日本の場合は新聞の折り込みチラシというのが非常に多いわけです。ヨーロッパ諸国においては、そういったものはほとんどないというふうに聞いておりますが、仮に新聞の折り込み等が郵便で出されるとすれば、日本におきましても相当著しくふえるというふうに考えておるところでございまして、やはり経済社会それから文化、そういったものの相違が郵便利用通数にあらわれているんではないかというふうに理解しております。  しかしながら、決して十九位という数字はいい数字ではございませんので、私どもは、先ほど御指摘のような営業活動を活発にして、郵便利用をもっとふやしていくような努力をしてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  15. 岡野裕

    岡野裕君 郵務局長のお話、ありがとうございました。  やはり大臣から文化の云々というお話がございました。「ふみの日」も、言いますならば一つの物を書く習慣をつける、あるいは物を書くことによって考えるというようなことになじむ、そういう効果があるのではないか、そういう意味合いでここ数年におきますところの郵務関係分野の目の開き方、私は非常に歓迎をしているところでございますので、今後ともよろしくお願いをいたしたいと、こう思うところでございます。  今お話にございませんでしたが、ファクスの伸びもここ五年の間に相当大きな伸びになっているようでございます。そうしますと、ファクスは電気通信分野であろうかと思うわけでありますが、郵便通信である。そうしますと、これをすべて統べるところの通信所管庁としての郵政省、これはやはり今度新しくできますところの通信政策局郵便電気通信もアウフヘーベンした形の行政をおとりになるのでありましょうか。いかがでございましょうか。できましたら、官房長お願いいたします。
  16. 奥山雄材

    政府委員奥山雄材君) 郵政省郵便並びに電気通信を含む包括概念でありますところの通信所管庁であることは、郵政省設置法の権限並びに所掌事務の規定から明らかでございます。今回の改正を予定しております電気通信行政機構の中におきます通信政策局、ここにおきましては、名前は通信政策局になっておりますけれども電気通信にかかわる総合的な基本的な政策を決定する部局として位置づけておりますけれども郵務局郵便関係の基本政策を企画立案する部局であることもこれまた当然でございます。したがいまして、郵便並びに電気通信関係の基本政策、それぞれ別別の部局で論議がなされますけれども先生指摘のように、それらをアウフヘーベンするための郵政省としての政策官庁のあり方というものは、一にかかって最終的には私ども官房においてこれを取り仕切ることになろうかと思います。
  17. 岡野裕

    岡野裕君 ありがとうございました。郵便電気通信も踏まえて、あるいはその放送分野も踏まえて大きく伸びる郵政省行政であってほしい、こう思うところでございます。  次に、郵便貯金について二、三お尋ねをしたいのでございますが、先ほど「郵便局はバラックで」というような歌がありました。その「バラック」という言葉は建物そのものを指しているというよりは、その後に来ますところの「ニコニコこんにちは」というサービスを提供している、これにニュアンスを込めるべく、そのようなあえての表現を使ったものだと思うのでありますが、その郵便局ですぐれて立派なものがこの郵貯オンラインネットワークだと思うのでありますが、これは五十三年に茅ヶ崎あたりから始まったようでございました。その後の普及の模様はいかがなものでございましょうか。
  18. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 郵便局のオンラインネットワークが五十三年から始めまして、この三月末に全国約一万九千の郵便局を結ぶオンライン網が完成をいたしました。
  19. 岡野裕

    岡野裕君 都市銀行関係のネットワークは銀行の数にして七百行、そうして店舗の数にして二万を超えるというような数に及んでいると聞いているところでございますが、郵便貯金はいかがなものでございましょうか。
  20. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 全国約一万九千の郵便局を結んだオンラインが完成をいたしまして、なお今後簡易郵便局の一部についてもこういったもののオンラインサービスができるようにしてまいりたい、こういうことを今検討いたしておるところでございます。
  21. 岡野裕

    岡野裕君 郵便局のネットワークの完成は、銀行界に比べると幾らか私は遅くあったのではないか、そうしてそれは早く手を染めるべきであり完成すべきではないかというような言い方をします際に、国民にあまねくサービスが均てんできるような体制をしくべきである。そういう意味合いからしますと、郵便局は市制施行地外の郡部にありますものが四二%に及んでいるのである。その四二%に及んでいる郵便局地域周辺の皆さんはこのオンラインのサービスに浴していない。これはあまねく均てんではないのではないかと言ってまいったところでございますが、同じように、まだ簡易局において残っているということでありますならば、この辺について、あまねくというような恩典に浴し得ますような御努力をお願いしたい、こう思うところでございます。しからば、そのオンラインのネットワークが完成をし、それによりまして銀行とのサービスの差はどのくらい縮まってきているのでありましょうか。郵便貯金も単なる貯蓄ではありませんで、それが一歩進んで、送金にあるいは金融に、広いパーソナルファイナンスというもとで運営をなさるべきと思いますが、この新しいシステムの中でどのような仕事にお取り組みでございましょうか。
  22. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) オンラインのネットワークをつくっていく傍ら、順次オンラインによる新しいサービスというものに取り組んでまいりました。  主なものを申し上げますと、総合通帳というようなもの、これは五十六年の六月から、あるいは自動払い込みというようなもの、これは一年おくれて五十七年、あるいは自動受け取りというような、こういうような預かり、払い、あるいは受け取るという貯蓄、送金、決済、こういったような機能をオンラインによって行うというようなサービスを提供してまいったところでございます。
  23. 岡野裕

    岡野裕君 民間とのサービスの差がどの辺にあるかという点についてお伺いをしたかったわけでありますが、今お話をしましたような非常に立派なネットワークができたということでありますならば、今のサービスにとどまるというのは、どうも牛刀をもって鶏を割くというようなそしりも免れないのではないかと。なれば、今後どのような新しい商品といいますか、サービスというものがこのネットワークによっては可能でありましょうか。その取り組み抱負を伺いたいと思います。
  24. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 今後の経済環境というものを見た場合に、金融の自由化というのが進展をしてまいります。その時点で、金利競争ということもさることながら、エレクトロニクスバンキングというものを踏まえた金融付加価値サービスというものをどういうふうにして提供するかということが競争の焦点になろうかと思うわけであります。そういった意味で、郵便局においても、そういう新しい金融サービスの中において、国民にあまねくそういう新しいサービスというものが提供できるように今後とも努力をしていかなければならない、こういうふうに考えているわけであります。  具体的なものといたしまして今後どうだというお尋ねでございますが、今手作業でやっておるようなサービスを順次オンラインサービスに乗せていくということがまず基本でございますが、なお、構想という段階でいろいろ私どもも検討はいたしておりますが、今ここで具体的にどうというようなものを申し上げる段階まで至っていないわけでありますが、いずれにいたしましても、電気通信自体非常な飛躍的発展をいたしております。郵政省中心になって開発をしてまいりましたキャプテンシステムというのも本年度中にサービスインをするという予定のようでございますが、こういったシステムを使った金融エレクトロニクス化サービスというものが諸外国では既に実用化になっているというようなことも踏まえまして、郵便局が貯金のみならず送金、決済あるいは保険とか通信、あるいは一部の運輸というようなことを行っている地域における拠点としての郵便局というものを今後とも一層、このオンラインネットワークというものと結びつけた形で国民のニーズに合ったサービスができるように鋭意検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  25. 岡野裕

    岡野裕君 積極的なお取り組みというお話で安堵をしたわけでありますが、そういったサービスに加えまして今の貯金の限度額、これは自民党の税制調査会の中でもいろいろ論議を呼んだどころでございますが、三百万というこの金額につきましてははや十年の昔の金額だと、郵便貯金は十年たてば二倍になるというような話も聞いているところでございます。こういう意味合いで、三百万を五百万に引き上げました場合に財投としてはどのくらいの金額が伸びるものであるか、また、もう貯金などという、あるいは貯蓄などという世の中ではない、消費鼓吹を図るべきだというような声もあるわけでございますが、この面につきまして貯金局としてはいささかPRが欠けているのではないか、こういう思いもないわけではございません。その面につきまして見解を承りたいのであります。
  26. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 御指摘のように、この十年来限度額が据え置かれたままでございまして、私どもも、国民の貯蓄性向と申しましょうか、そういった観点から見ましても、これは現に早く引き上げなければならないものであろうということでいろいろ努力をしてまいったわけでありますけれども、遺憾ながら本年度においてもそれを実現を見ることができなかったわけであります。私どもがこの限度額引き上げに当たって特に重点的に考えなければならないというのは、貯蓄の重要性というものについての意識というのがとかく軽く見られがちではなかろうかという点を心配をいたしているわけであります。限度額トータルといたしまして九百万あるとかいうようなことでこれは大き過ぎるんではないかというような議論もあるわけでありますけれども、これは利用の実態というものを見た場合に特にマル特を利用しているというような者は四%しかないとか、あるいはマル優、マル特あるいは郵貯というような三つの種類を利用しているというような者も一〇%弱であるというような利用実態もございます。やはり自己の生活に合わせた利用というものができるように、単独でも一つの枠というものが十分満たされるような形というものが望ましいんではないか。また、特に高齢化社会に向かっての自助努力と、こういったものを政府としても促進、奨励していくという観点からも、特に高齢者向けのシルバー貯金といった新しい枠を創設するというようなことも必要であろうということで、いろいろ理解を得るよう目下努力をいたしているところでありますが、今後ともその努力を現に引き続きやってまいりたいと、こういうふうに思っているわけであります。
  27. 岡野裕

    岡野裕君 先般来日されたアメリカのレーガン大統領も、国会演説におきまして、日本の戦後の発展の一番大きな原動力になったものは二〇%を超える日本の貯蓄率にあるというような、外国人から見ましても貯蓄というものの意義というものは認識をされているようであります。そういう意味合いで、肝心の国内の声、これをもう少し鼓吹をされるような方向でお進みになられたらいかがなものであろうか。きのうの大森先生お話の中にも、やはり金利自由化の声が大きいと、その中で郵貯もさお差していく場合にはやはり国債運用にも歩を一歩進めるべきであるというようなお話もございました。あるいはこの二〇%の源泉課税というような声も新聞等に見えるところでございます。そういう中でこの課税というようなものが零細な一般の大衆預金に大きな負担をかけるというようなことになってはいかがかと、こう思いますので、私は大森先生と同じ方向でこの種の問題も逓信委員会でお取り上げをいただけたならばどんなものであろうか、こう思うところでございます。委員長よろしくお願いいたします。
  28. 大木正吾

    委員長大木正吾君) ただいまの意見は、先ほどの理事会でお答えいたしましたけれども、本委員会の報告の中に入れまして、また、関係の向きで少額利子の問題の検討について税制面の問題等ございましょうから、これは本委員会、本国会の最終段階におきまして中間報告を求める、こういう手続にさせていただきますので、よろしく御理解をいただきます。
  29. 岡野裕

    岡野裕君 委員長の趣旨はわかりました。  それでは、今自力の活用というような言葉が貯金局長からあったようでございますが、この自力、自助努力、これについては現下の高齢化社会を踏まえたその日本の事情の中からしまするならば、簡易保険の持つ意味合いと、あるいは郵便年金の占める、言いますならば価値づけ、これは大きなものがあろうと思うわけでありますが、最近簡保・年金の契約の伸びぐあいはいかがなものでございましょうか。
  30. 奥田量三

    政府委員奥田量三君) 昭和五十八年度の状況について申し上げたいと思いますが、年度が一週間前に終わったばかりでございますので、速報概数ということでお聞き取りをいただきたいと思います。  まず、簡易保険でございますが、昭和五十八年度の新契約の件数は、概数五百二十万件、保険金額にいたしまして十兆三千八百億ということでございまして、前年度に比べ、件数で約二・五%の増、保険金額で八・四%の増加となっております。  また、郵便年金につきましては、件数は約九万件、これに伴う年金額は百八十六億円でございまして、前年度に比べ、件数で五五%強、年金額で二八%強の増加となっております。
  31. 岡野裕

    岡野裕君 民間といたずらな競争をせよという意味ではないわけでありますが、しからば民間の生命保険各社はどのような伸び方をしており、簡保の伸び方と比べて数値面ではどんなふうになるんでしょうか。
  32. 奥田量三

    政府委員奥田量三君) 民間保険につきましては、ただいま五十八年度四月から十一月までの数字しか承知をしておりません。それでお許しをいただきたいと思いますが、民間保険の個人保険の件数、ただいま申し上げました八カ月間で約七百七十万件、保険金額は五十七兆四千四百億円強と承知をしております。前年の同じ八カ月間に比べますと、件数で〇・一%の増、保険金額は六・八%の増ということでございまして、先ほど申し上げました簡易保険数字にいたしますと、いずれも過去のある時期に比べますと伸び率は大変低下をしておりますが、大なり小なり伸びている。その中で簡易保険の方がややよろしいという状況を示しております。また、民間の個人年金でございますが、八カ月間で約三十三万六千件、前年同期比五六%強の増加というふうに承知をいたしております。このように、総じて、ただいま申し上げましたが、最近におきましては、簡保、民保とも、年金は別といたしまして、ただいま申し上げましたように、個人年金は何しろまだ普及率が大変低うございますので、かなり大きな伸びを示しておりますが、生命保険につきましては、簡保、民保とも前年度に比べてそれなりの伸びは示しております。しかしながら、全体として五年―七年前に比べますと、いわゆる最近における低成長あるいはそれに伴う可処分所得の伸び悩みなどと言われておりますが、そういう状況を反映していてか、伸び方について鈍化の傾向があらわれているというふうに申せようかと思います。
  33. 岡野裕

    岡野裕君 経済指標は余り伸びておらないがゆえに簡保も民保も伸び悩みであるというようなお話が出たわけでございますが、日本の平均寿命が非常に延びだと、この数値を見ましても、男性で七十四・二二歳であり、御婦人の場合には七十九・六六歳だと。一昨年と昨年とを比べまして、婦人だけでも〇・五三歳延びている格好になります。一年の間に寿命が七カ月も延びていると、非常に大きな力を日本は持っているのだなと、こう感心すればする反面、老後の生活はどうなるのであろうかなということもやはり国民ひとしく思いをするところではないかと、こう思うのであります。これからどんどんどんどん寿命が延びていく。一年に七カ月も延びるということになりますれば、そのうちに八カ月になり九カ月になり、一体いつになったならばお迎えが来るのであろうか。閻魔大王から壁の花にされるのではないかなんていうようなときに、公的年金の将来というものは必ずしも明るいものではない。だとすれば、民保と相携えて、この簡保・年金が国民一億二千万のために大きくサービスの手を伸ばしていく、これが一番重要ではないか。そのためにも、運用の範囲を拡大して、あるいは千三百万、千八百万に簡保限度額も大きくしてというような必要性が大きいかと思うのでありますが、その辺につきましては奥田局長さんはどんなふうなお考えでありましょうか。
  34. 奥田量三

    政府委員奥田量三君) ただいま御指摘のように、我が国におきましてはいわゆる高齢化社会というものが急速に進行をしつつある。しかも、承知しておりますところに比べれば、欧米各国もいまだかつて経験したことのない急速なスピードでこの高齢化社会の進行が進むであろうというふうに言われております。  一方、これに対するいわゆる公的な保障ということにつきましては、申し上げるまでもなく、財政事情その他からいたしましていろいろな問題がある、制約が生じつつあると。このような状態の中で、国民一人一人の自助努力による貯蓄あるいは老後に対する保障への努力というものが一層重要になるでありましょうし、その中で生命保険あるいは個人年金の果たすべき役割もますます大きくなってくるであろうというふうに考えております。  ちなみに、郵政省昭和五十七年に行いました市場調査によりますと、万一の場合に国民が生命保険にどれくらいの額を期待するかということにつきまして、平均三千九百五十万円という数字が出ております。これにつきましては、同じ年に民保の方でも似たような調査をしておられますが、ほとんど同じ数字が出ております。これに対しまして現在の簡易保険の加入限度額は、先ほど御指摘のように一千万、七年間据え置かれておりまして、ただいま申し上げました国民の期待額からすれば四分の一にすぎないというような状況でございます。そのような状況等にかんがみまして、私どもとしては早急に簡易保険の加入限度額を引き上げる必要があると考えておりますし、また、さらに御指摘のありました簡易保険の運用のあり方につきましても、これは加入者の皆さんからお預かりした共同準備財産でございますので、できるだけ有利に運用をして加入者の利益を増大するということはもちろん、特に先ほど来話題になっております金利、金融の自由化というような情勢を踏まえまして、簡易保険郵便年金の資産運用についても一層範囲の拡大、改善等により運用の向上を図っていく必要があると考えている次第でございます。
  35. 岡野裕

    岡野裕君 現業三部門についていろいろお尋ねをし、勉強させていただいたわけでありますが、もう一度冒頭のニューメディア、この分野に返ろうと存じます。  このニューメディア関連につきましては、今度の電気通信事業法案でございますか、言いますならば明治二年の電信の創設以来、百年の鎖国が今度大きく開国に一歩歩を進めるというふうに、こういうふうになった。世紀の大改革であり、明治維新みたいなものだな、こう思うわけであります。こういう意味合いからいたしますならば、冒頭お話がありましたように、単なる規制、監督的な面にとどまることなく、言いますならば、そういうようなニューメディア基盤というものを、条件というものを整備していくのが郵政政策官庁としての仕事だと、こう言われているところでございます。  そうだとしますならば、大臣財投八十億と、まことに感謝にたえないところでございますが、今後この種の産業をあるいは通信を育成をしていきます場合には、この八十億の財投のほかにどのようなことが考えられるものであるか、この点につきましてお考えがありますならばお尋ねをしたいわけであります。
  36. 小山森也

    政府委員(小山森也君) おっしゃるように、エレクトロニクス分野技術の進展、これによりましていわゆるISDNであるとかキャプテン、双方向CATV、衛星放送文字多重放送、これは、放送分野は私の分野でございませんけれどもニューメディアとしていろいろなことが現実に私どもの身近に実用のものとして入ってきているわけでございます。これらの問題は、結局は国民の日常生活とか企業活動、こういったものを非常に効率化するというものでございますので、今後こういったものを積極的に普及、振興を図る必要があると考えております。  そこで、私どもといたしましては、五十九年度予算におきましては、ニューメディア技術の開発調査、データ通信高度化を図るための開発調査、高度総合情報通信システムの開発調査、さらには電気通信応用システムに関する調査というようなことを予算化すべく今国会に提出しているところでございます。そのほかに、先ほども先生お述べになりましたように、財投資金八十億というものを用意しているということでございます。  なお、これを総合的に将来にわたって活動させていくといいますか、効果あらしめるために、ニューメディアを用いた高度情報社会の早期実現、これを図るためにテレトピア構想というものを進めているところでございます。  以上でございます。
  37. 岡野裕

    岡野裕君 お話のとおり、やはり政策官庁ということでありますならば、この種の分野につきまして、税制面の配慮でありますとか、あるいはその税制でも、一歩進めました、物品税等の軽減のみならず、投資減税でありますとか、あるいは補助金というようなものも考えられるわけでございます。そういう意味合いで、二法案が今や花開き、新しい世界ができるということを考慮に入れまして、ひとつ政策官庁として、政策官庁らしい行政のなりふりといいますものにお心がけをいただきますようお願いをいたしまして、私の質疑にかえさせていただきます。  ありがとうございました。
  38. 青島幸男

    ○青島幸男君 私が最後でございまして、今までにもそれぞれ御専門の立場で大変な経験と知識をお持ちの方、諸先輩並びに同僚議員が、重要問題につきましては再三質疑を繰り返されまして、私ごとき若輩、素人が蛇足を重ねることはないと思うものですから、日ごろ疑問に思っていることを一、二点お伺いしてみたいと思います。  先ほどからの御議論でもそうですけれどもニューメディアの発展に伴って、どうも郵政事業は先細りになりつつある、これはやっぱり時代の推移でいたし方のないことである、それぞれ対応できるように省内の配置転換をするなり何なりして対応していけばいいことであって、そういう新しい分野の需要を喚起し、あるいはそれにサービスが行き届くようについていくような体制をとっていればそれでいい、じり貧になることは仕方がないというふうにお考えなのでしょうか。それとも、ニューメディアニューメディアでそれはそれなりで大事だけれども、今まであった郵便物の送達、信書の送達というものも非常に重要な問題であるから、これも何とか収支相償うようにしていかなきゃならぬという努力目標をお持ちなのかどうなのか、その辺からまず聞きたいと思います。
  39. 永岡茂治

    政府委員永岡茂治君) 電気通信が戦後非常に発達してまいりまして、またこれからも二十一世紀に向かって飛躍的に発展していくという現状でございますが、したがって、情報伝達手段としての郵便の役割が相対的に低下してきておるということは否めない事実だというふうに思っております。しかしながら、郵便の取り扱い物数は、これほどまでに電話が普及してきたにもかかわらず、年々着実な増加をしてまいっておりますので、私どもは、将来の高度情報化社会における郵便の位置づけにつきましては確たる見通しは持っておりませんが、過去のそういった例、また先進諸国の状況等を考えましても、やはり基礎的な情報の伝達手段としての郵便というものは今後も発展し続けていけると、また発展させていかなければならないというふうに考えておるところでございます。
  40. 青島幸男

    ○青島幸男君 それで、かつて非常に独占性を誇っておったんですけれども、このごろは民業で似たようなものもだんだん出てきましたし、ニューメディアと、それから新しく出てきた民間事業に圧迫されて非常に苦しいお立場にあることはわかるんですけれども、今おっしゃられたように、やはり郵便物を送達するということは人間の幸せにとって大変欠かすことのできないものでもあるとも私も認識しておるんです。  今の岡野さんのお話じゃありませんが、最初のころは、飛脚と郵便事業は並んで同時に行われていた時期もあったみたいですね。飛脚の業務のネットワークと、それから両替商といいますか、当時の金融機関とがうまくネットワークを連絡させて今の為替業務みたいなことまでもやっていたと。それに明治政府が郵便事業として取り組んで、しかも、このときは政府の強権力で強引に――飛脚の方の組合から営業の存続を願い出るような陳情もあったかに伺いましたけれども、強硬な権力と、日本の近代化を目指す明治勢力の強力な意思でそれを押しつぶして独占事業としての形態を整えてきたというふうに聞いておりますけれども、今またそれを行使して、民業けしからぬということで圧迫をしたり、あるいは別に税金のようなものを課したりというようなこともできないことで、何とか競合してうまくやっていかなきゃならないという実情にあるところにまた苦しさがあると思うんです。  信書の送達というものが郵便法によっても、「何人も、他人の信書の送達を業としてはならない。」ということがありまして、しかし、実際には宅急便の中に文書を入れたりしている人もいるんですよね。だからといって、一々その品物を抜き取り検査してというような権限もありませんし、それだけの大変な手間もかけられませんし、それもいたし方のないことだと思うんですけれども、しかし、これまた翻って考えますと、郵政省が電子郵便などを御利用になって、いち早く送達できるようにと手段としてお選びになるのはいいんですけれども、パーソナルなファクスなんかを使いますとその「信書の送達」に当たるわけですよ。そうするとこれは、この郵便法ができたときは、そんなものは、発明されて一般の用に供されるなんということは夢にも考えませんから、そんなことを想定してないからこれできたんですけれどもね。  こういう古めかしい文章の郵便法から見ますと、今度のVANもやっぱり矛盾すると私は考えるんですけれども、これは矛盾しないものなんですかね。電電が、つまりは、「信書の送達」に相当することを業務としてやろうということも成り立つわけでしょう。これは何かこの法律を、現実対応させるためにどこかでいち早く直していかなきゃならない時期が必ず来ると思いますけれども、今は矛盾はないとお考えですか。
  41. 永岡茂治

    政府委員永岡茂治君) ファクスが「信書の送達」に当たるかどうかということにつきましては、私どもは、それは「信書の送達」には当たらないというふうに思っております。  情報の伝達につきましては、電話というのも一つの有力な手段でございまして、これからは、今までなかったファクスというものも現在大いに使われてきておるわけでございますが、マシン・ツー・マシンと申しますか、Aの会社のファクスからBの会社またはCという個人の家の端末機であるファクスに送られるものにつきましては、それは、私ども電気通信分野だというふうに理解しておるところでございます。
  42. 青島幸男

    ○青島幸男君 やがてその辺が非常に錯綜してくる時代も来ると思いますけれども、その辺は非常に整理しなきゃならないと思うんです。  その信書の特性、郵便物の特性ですけれども、意思を送達するという送達性あるいは証拠として残る――領収書にしても何にしても、証拠性とそれから秘密性の保持というようなことも重要な要素かと考えます。実は、秘密性の保持と言いますけれども、そういう言葉遣いとは別のものだと思うんですよね。例えば、プライバシーと言っても、信書だからといってそんなに後ろめたい、あるいは人に見られてはならないことを封書にして送っているばかりではないと思うんですよね。その秘密性ということの意味は、翻って言えば、むしろ情緒だと思うんですね。優しさとか、いとおしさとか懐かしさとかいうものが、自筆で手紙を書いて送るということの意味、それをプライバシーあるいは秘密性と言っているんじゃないかというふうに私は認識するんですけれどもね。例えば田舎のおふくろから、少額の為替とともに全くぎ流の手紙で体の調子を問うてくるなどという、実に涙せずに読めないというような、そういう私信ですね、それが、実は明治以来主流を占めていたわけでしょう。今みたいにダイレクトメールなんというのが膨大な数になるとは当時の人はやっぱり夢にも考えてなかったですね。それが、そういう情緒みたいなものをむしろ大事にしていかないと、早く知ればいい、早く知らせることができればいい、合理的であればいい、効率的であればいいということだけ追求しますと、それは確かに世の中殺伐としてきて、そういう手紙の持つ情緒みたいなものがだんだん失われていってしまうという気がするんです。その辺から考えますと、封書とか本当の意味の私信、私のやりとりというものをもっと大切にするような風潮をやっぱり喚起するというぐらいのことがあってもいいと思うんです。だから、郵政省は「ふみの日」なんというのをわざわざおつくりになって、手紙のやりとりでお互いの情緒あるいはいとしさ、懐かしさを確かめ合おうというようなことを奨励なすっているようにも伺いますけれども、物を書いたりすることによって思考も進展するとか物を考える習慣も身につくとかということありますけれども、どうでしょう、そういう封書を奨励するような意味でそのほかに手だてはないものですか、「ふみの日」を決めて何とかするというんじゃなくて。例えば、年に十二回私信がやりとりがあったらそのための特別の切手なり封筒なりをつくってサービスをするとか、十二枚たまると何か景品が出るとか、例えば一月の切手は松で二月の切手は梅で三月は桜でと、十二カ月そろうと何か景品がもらえる権利がもらえるというようなことで、子供たちあるいは友人関係の間でそういう私信のやりとりがあるというようなことの意欲を喚起させる手だてを考えるとかというようなことをお考えになる御意思ありませんかね。
  43. 永岡茂治

    政府委員永岡茂治君) 青島先生郵便事業につきまして本当に温かい御理解をいただいておりますことを心から感謝申し上げる次第でございますが、現在先生がおっしゃいましたようなそういった情緒豊かな私信というものは全体の取扱量の約二〇%程度まで減ってきております。その他の八〇%は企業から企業に出される郵便企業から個人に出されるダイレクトメール、そういったような種類のものが大勢を占めておるわけでございまして、本当の私信、情緒ある私信は二〇%にすぎません。そういったものをこれからのより合理化される、またより機械化される社会の中で人間の心をはぐくむために何らかの方策を考えて奨励してはどうかという御意見でございますが、現在のところ先生指摘のように毎月「ふみの日」というものを決めておりますし、また手紙、はがきコンクールといったようなもので小学生、中学生から作文を募集するような行事もいたしておりまして、優秀な作品には郵政大臣から賞状、賞品をお渡しするといったようなこともやっておりますし、また年賀の版画コンクールといったようなことも行っております。また郵便友の会の育成についても努力しておりますが、先生今御提案の何らかの褒賞といいますか、たくさん利用した者に対して何らかのメリットを与えるといったような施策については、現在のところまだ考えておりません。
  44. 青島幸男

    ○青島幸男君 ぜひそういう何か方法を――私もこうやればいいんじゃないかという決まったアイデアはないんですけれども、例えば年賀はがきというのは非常に財源としては有利だと思うんですよね。まとまってどかっと行きますし、非常に効率的にいきますね。くじがついているということに対して大変に最初は抵抗があったかもしれませんね。しかし、今やもうこれも定着していて余り問題がない。むしろそれを喜んでお買いいただいているというのが実情かと思うんです。ましてや、郵政省でつくって出したあの年賀はがきに勝手に何かえとだとか何かを印刷して別料金で売っているところもあります。それはおかしいと再三問題になっていますけれども、一回窓口から出たものは、だれがどう書いてどう売ろうとあれはいいということなんですか。その辺はどうなんでしょうか。
  45. 永岡茂治

    政府委員永岡茂治君) 郵政省で発売しました年賀はがきにえと等を加刷してデパートなどで高く売っている事例がございますが、それは郵便法上は差し支えございません。
  46. 青島幸男

    ○青島幸男君 ですから、そういうはがきが欲しくて郵便局の前に行列している人もいるのに、一方、業者が大量に買い占めて、別途何か付加価値を与えて高い料金で売っているという事実は、一般利用者からすれば非常におかしなことに映るわけですね。だから、それだけのメリットがあるんなら、えとなり何なりきれいな絵が印刷してあるものも別途つくって、それも商売の手だてにしたらいかがですかということを言だいぐらいですね。
  47. 永岡茂治

    政府委員永岡茂治君) ただいま青島先生指摘のような問題の提起がかつてございまして、郵政省といたしましては、一昨年から絵入りの年賀はがきを発売することにいたしております。その場合、寄附金つきのものに限って絵を加刷して、一般では四十円のものを四十五円で発売いたしまして、ただいま御指摘のありましたような問題点を解消するための方途といたしておるところでございます。
  48. 青島幸男

    ○青島幸男君 そうですか。それは私知りませんで済みませんでした。それも一つ企業努力だと思うのですよね。よそさんにもうけを取られるんだったら、赤字を抱えていてこれからまたふえそうだという時期に、料金値上げばかりが能じゃありませんから、その辺でやっぱりあかないをつけなきゃならないと思うのですけれどもね。  どうでしょう、それじゃもう一つ推し進めて、景品つきの、中元つきの暑中見舞いなんというのをする気はありませんかね。もはやそういうことでもしないと――暑中見舞いのはがきというのも習慣として出す人がかなりいますよ。でも、もし年賀郵便が非常に経済効率がいいものであるとすれば、お中元つき暑中見舞いはがきなんというものをつくっても、これはお年玉つきと相対的に考えるとおかしな話じゃないと思いますけれども、この辺はどうでしょうね。
  49. 永岡茂治

    政府委員永岡茂治君) 暑中見舞いのはがきにつきましても、昨年も一億三千八百万枚発行いたしまして全部売り切れております。ことしの暑中見舞いのはがきにつきましても現在事務的に検討しておりまして、まだ大臣の御決裁をいただいておらない状況でございますが、昨年の一億三千八百万枚に対して約三〇%増の一億八千万枚を印刷して発売したいと、そして夏季におきましても少しでも郵便事業の増収を図りたいというふうに思っておりますが、くじつきとなりますと、やはりわずかな景品でございますので、いずれにしましても射幸心をあおるといったような大げさなものではないかとも思いますが、お年玉とは違って新たにそういったものを発売していくということにつきましては現在のところネガティブでございます。
  50. 青島幸男

    ○青島幸男君 膨大なものをつけろと言うんじゃなくて、たとえうちわ一枚にしてでもそういう姿勢で取り組んでおるという郵政の意欲的なものが一般の方々の目に映ればそれなりの効果はあるんじゃないかという気も実はしているのです。  もう一つは、郵政省としては第三種郵便みたいに公共の福祉の建前から経済効率の悪いものも引き受けていかなきゃならぬという部分がありますね。これはやっぱりこのまま大事にしていかなきゃならない部分だとも思うのです。しかし、これが足を引っ張っていることも事実だと思うのですね。しかし、それの裏返しとしまして、ダイレクトメールだけ別途料金を加算させてもいいんじゃないかという考え方は前から私持っているのですけれども、というのは企業企業なりに採算を考えて郵便物を出しているわけですよ。例えば不動産屋さんみたいに一件商売が成り立ては何百通、何千通という郵便料金をあかなって余りある利益がもたらされるということで出すわけですよね、ダイレクトメールというのは。しかし、あれを運んでいく局員の身になってみますと、その重いパンフレットだか封書たかを担いで歩いて、せっかく探し当てた家の郵便ポストに入れると、何だダイレクトメールだと言ってそのままごみ箱へ捨てられるというようなことを目の当たりにしたら、それは意欲なくなしますよ、重い思いして届けてね。事実これは何を隠そう局員企業の手伝いさせられているわけです。だから、何千というオーダー、あるいは何万というオーダー、企業採算ベースに乗せるべくしてあれやっているわけですから、普通だったら数が多くなれば料金割り引きするというのが本来建前ですけれども、年賀郵便みたいに一軒の家に何枚も行くんじゃなくて、数多く出たものがそれぞれ別個の家に配達されるわけでしょう。だから、数多く出したら割り引きされるということのメリットは余りないんですね。むしろ、何万とか何千とかというオーダーに対して出てくる注文だったら、その分加算して第三種郵便で足引っ張られている分をあかなっていいんじゃないかという気さえするんですけれども、それはどんなものでしょうかね。    〔委員長退席、理事片山甚市君着席〕
  51. 永岡茂治

    政府委員永岡茂治君) 郵便料金の立て方は総合原価主義の建前をとっておりますので、結果として低料に扱っております第三種、第四種等の料金は第一種、第二種等でカバーしているという建前でございます。  ダイレクトメールにつきまして一般の料金よりも相対的に高くしてもいいんではないかという先生お話でございますが、私どもはやはり企業から出されるそういった郵便も大切な利用者でございまして、そういった内容によって、ダイレクトメールだから特に高くする、そういった考え方はなかなかとりがたいところでございます。  なお、現在郵便料金についてもっと安くしてほしいという要望の一番強い部門は、そういった大量に出される郵便物の割り引き制の拡大とか、それと第三種、第四種に該当しない非常に文化性の高い郵便物について料金を下げてほしいといった二つの面の要望が一番強いような状況でございます。
  52. 青島幸男

    ○青島幸男君 大ざっぱな数字でいいんですけれども、大体私信とダイレクトメールとどのくらいの比率でこの十年ぐらいどういう傾向をたどっておるかということ、それはお答えいただけますか。
  53. 永岡茂治

    政府委員永岡茂治君) 時系列の数字は持ち合わせておりませんが、最近のダイレクトメールの利用物数は約二〇%でございます。この数年を見ますと一九%から二〇%、二一%と若干その割合がふえてきておるという状況でございます。  なお私信につきましては、先ほど申しましたように、総体の約二〇%、そういう状況になっております。
  54. 青島幸男

    ○青島幸男君 そうすると、あと六〇%が私信ともつかずダイレクトメールともつかず、ということはつまり支払いの決済だとか、あるいはそういう個人対個人もしくは個人対企業、もしくは企業企業の決済の郵便物というふうに考えてよろしいわけですか。
  55. 永岡茂治

    政府委員永岡茂治君) 例えば各種のあいさつ状、そういったものが約一〇%、それから行事案内等が一一・七%、申し込み・照会等八%、金銭関係が、これは電話料の請求書なんかも入ると思いますが、二六・一%と、割合としてはこの金銭関係というのが一番高いウエートを占めております。選挙郵便その他いろいろほかにもございます。
  56. 青島幸男

    ○青島幸男君 はい、わかりました。  先般私はこの委員会で、はがきに広告をとって少しでも会計に寄与するようにしたらどうだというようなお話をしまして、それが図らずも皆さん方の努力現実の運びとなってしまったらしいんですが、しかもその後で私はまた委員会でその前に申し上げたことを翻しまして、コマーシャルでもとってやるぐらいの意欲的な姿勢を見せることが大事であって、何も必ずしもそうしろと言ったわけじゃない、むしろ郵政百年の歴史に傷をつけたことになるんじゃないかというようなことを申し上げまして、せっかく御努力いただいた方々の御労苦をないがしろにしたような発言になって大変申しわけないと思ったんですけれども、そのときはまたそのように考えたわけです。結果としてそれが存在するようになってしまった今となっては、私もいたく責任を感じているのですが、結局あの問題は郵政事業に寄与することになったのかならないのか、あるいはあの広告つきのはがきのメリット、デメリット、あるいはその経過を御説明いただけるとありがたいんですが。
  57. 永岡茂治

    政府委員永岡茂治君) 広告つきはがきにつきましては、青島先生の過去における御指摘等も参考にさしていただきながら、昭和五十六年の料金値上げ以来実施してまいっておるわけでございますが、当初の私どもの目的は、広告料によって郵便事業収入をふやすという観点からではなく、    〔理事片山甚市君退席、委員長着席〕 五十六年の一月からはがきが二十円から四十円に二倍にさしていただいたわけです。したがって、そういった料金値上げの緩和策として三十五円で発売するはがきを出したいと、その場合に四十円と五円の差を広告収入で賄いたいと、そういった観点から広告つきはがきを発売してまいったわけでございます。発売当初はスポンサーの広告主がなかなか見つからずに大変苦労をいたしたわけですが、最近では全国版と府県版と二種類ございますが、府県版等につきましてはむしろ広告主はかなり多いという状況でございます。  ただ、当初私どもが想定しなかった事態が起こっておりまして、三十五円の安いはがきを利用していただくために広告つきはがきを出そうとしたわけですが、結果としましては郵趣家の収集の対象にされている面が大変多うございまして、現在発売したもののうち、はがきとして実際に利用されるものは五〇%以下でございます。五〇%以上のものがどうやら収集家の収集の対象となって退蔵されていると申しますか、そういった郵趣会で売買されていると申しますか、当初予想しなかったような経緯をたどってまいってきておるのが実情でございます。
  58. 青島幸男

    ○青島幸男君 そうすると、はがきだけ三十五円で売って、しかも送達する手間が省けているわけですから、半分近くは丸もうけというようなことになっているわけですな。それは私も余り予測はしなかったんですけれども、いずれにしても、そのことがどういう結果を呼ぶかはもう少し時間を置いてみないとわからないという気がするんですけれども、何となく銭のために帯解いたというような内心じくじたる気がしましてね。だから、百年の歴史を持ってそれを郵政に関与してこられた方々の英知と努力と意欲で培われてきた百年の歴史に私が余計なことを申し上げて傷をつけたような気がしましてね、大変じくじたる思いだったんですけれども、それが今のようにはがきにほかのものが何か印刷されてあっても、それは余り煩わしいと思わないという習慣がもはや定着しているという時期におきましては、さほど奇異な感じも持たずに、あえて収集しようという意欲まで持ってくださる方が多いということは、まあ救われたような気もしないではないんですけどね。  とりあえず、ここで大臣に申し上げたいんですけれど、今までるる申し上げてきましたように、ただ早く知ればいい、知らせればいい、便利であればいい、効率的であればいい――確かにその一面も大変重要だと思います。我が国はこういう国情でございますし、他の国との競合関係からしましても、いち早く情報を察知し、あるいはそれに早く対応するということが、産業国家として自立していくために不可欠の問題でもあるわけです。しかしそれが、ただその利点だけを追求するために非常にがさつな人間関係を生ぜしめているという部分もあるかもしれない。それから、そのためにかなり大きな部分を犠牲にしなきゃならない部分も出てくると、情緒の面でもですね。ですから、それを行政の面からどうあんばいしていくかということは実に難しい問題だと思いますが、ただ効率だけを追い求めるような形で行政に取り組むのはいかがかと思いますので、その辺の御配慮を何分心にとめておいていただきたいという私の希望でございますが、それにお答えいただきまして、あと重複しますので、この辺でとどめたいと思います。
  59. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) さっきから先生の御論議を聞いておりまして、本当にユニークな提案も含めて、大変勉強させていただきました。  私も先生のお考えと一緒なんです。今もうニューメディア時代ということで、そういった便益性という面だけをみんな有頂天になっている傾向に対して、もう少なからず抵抗を感じている一人です。やっぱり、このコミュニケーションの社会というのは、最後はやっぱり心の触れ合いというか、人間同士の触れ合いを大切にする社会になっていかなきゃいかぬので、このメディア利用で便利になって、時間のゆとりや経済のゆとりができた。それを一体何に生かすかという形になっていくと、結局私は、逆に究極の目指す原点というものは、また心の問題とか人間触れ合い、情緒の問題というのが非常に大切にされる、そういった社会でなきゃならぬと思うんです。  ですから、もう先生のいろいろな提言の中で非常に参考になりましたのは、例えば年賀状一つでも、百五十五億通の通信の中で、三十億通が年賀状、たったそのときだけに。しかし、これは日本人の物すごくいい慣習だと思うんです。そのとき初めて一年間ごぶさたしておった友人や知已や身内の人たちとの、もう年賀状を通じての心の触れ合い、情緒の本当に心が温まってくるという、私はこの習慣というのは、もう大切にしていかにゃいかぬと。今言われましたけれど、聞いていていいなあと思ったのは、お盆ぐらいに、お中元期って言わずに、まあ私ら古いから、簡単に言うとお盆期くらいにそういったシリーズを展開するのはおもしろいと思うんです。そういうときに景品でも――うちわって、こう言われましたけど、やっぱりおもしろい発想をされるもんだなと。古きよき日本の情緒シリーズと申しますか、そういったものを景品につけて、日本手ぬぐいとか、蚊取り線香とか、うちわとか、今ちょっと忘れたような、そういったものが今の子供たちにもなくなっておる。しかし、それはまさに豆絞りのお祭にやる鉢巻きのようなああいう手ぬぐい一つでも、私は、そういった単に中元シーズンというだけじゃなくて、それを通じて古い日本の伝統情緒というものをまさに思い起こすような、そういった形での宣伝というか、通信をそのときにまたやり合う。亡くなった人の遺族、あるいは遺族がまた今度はお世話になった方に返すという形で、それに対して割り引きの形もやるという企画もおもしろいと思うんです。  まあそういったこと等々、大変勉強になりました。いずれにしても、ダイレクトメールの別途料金制という提案も、局長は何かこうちゅうちょしておりましたけれど、私はやっぱりこれの割り引きはむしろすべきじゃなくて、ある程度採算度を考えたものにしていくべきだと思っています。ああいう心の伝達をしない、単に企業伝達手段というものと、一般信書のような要するに心を送る、そういったものとはやっぱり本来の郵便制度の中では、私はやっぱりダイレクトメールなんかはむしろ別料金制というものを考えるべきだなと、もう自分でも今思ったわけです。  記念切手でも、これは実際に使わなくても物すごく売れるんですね。あれ、記念切手のシリーズも、余りこう収集家の手に渡るものですから、数が――今度は伝統産業のシリーズで各地区の伝統産業のシリーズ物でこうやろうと今企画しているわけですけれども、そうなると各県の伝統産業の立候補者がいっぱい出てきます。それをやると結局何百億という売り上げになっていくわけですから、これはやっぱり収集家が膨大な組織を持っているわけです。切手収集家でも、潜在的には何百万という、五百万近くいる。そうすると、一回の売り上げで三千万枚ぐらいがさっとこう売れるということで、やはりそういった営業性というものも考えながら、しかもそれが伝統産業なり伝統工芸なりあるいはそういった四季さまざまの各県の花とか島とか、そういったもののシリーズ物を展開していくと。まあ先生お話の中からいろいろないい知恵やヒントがだんだん与えられたような気がします。  やはり国民の中でそういった心の触れ合いを求める文書通信というものの分野というのは、いかなるニューメディア時代にも途絶えるものでもないし、むしろこれからの時代の中でそういう面が大切にされる時代というものを常に忘れんで、片方では先行的な便益性を求めるニューメディア、片方では心を大事にしていく明治からの伝統事業ということを、まさにそこを起点にしてみんなで頑張っていきたいと思います。  大変ありがとうございました。
  60. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 他に発言もなければ、これをもちまして昭和五十九年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係予算中、郵政省所管及び日本電信電話公社についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時三十七分散会      ―――――・―――――