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国務大臣(
奥田敬和君) さっきから
先生の御論議を聞いておりまして、本当にユニークな提案も含めて、大変勉強させていただきました。
私も
先生のお考えと一緒なんです。今もう
ニューメディア時代ということで、そういった便益性という面だけをみんな有頂天になっている傾向に対して、もう少なからず抵抗を感じている一人です。やっぱり、このコミュニケーションの
社会というのは、最後はやっぱり心の
触れ合いというか、
人間同士の
触れ合いを大切にする
社会になっていかなきゃいかぬので、この
メディアの
利用で便利になって、時間のゆとりや経済のゆとりができた。それを一体何に生かすかという形になっていくと、結局私は、逆に究極の目指す原点というものは、また心の問題とか
人間の
触れ合い、情緒の問題というのが非常に大切にされる、そういった
社会でなきゃならぬと思うんです。
ですから、もう
先生のいろいろな提言の中で非常に参考になりましたのは、例えば年賀状
一つでも、百五十五億通の
通信の中で、三十億通が年賀状、たったそのときだけに。しかし、これは
日本人の物すごくいい慣習だと思うんです。そのとき初めて一
年間ごぶさたしておった友人や知已や身内の人
たちとの、もう年賀状を通じての心の
触れ合い、情緒の本当に心が温まってくるという、私はこの習慣というのは、もう大切にしていかにゃいかぬと。今言われましたけれど、聞いていていいなあと思ったのは、お盆ぐらいに、お中元期って言わずに、まあ私ら古いから、簡単に言うとお盆期くらいにそういったシリーズを
展開するのはおもしろいと思うんです。そういうときに景品でも――うちわって、こう言われましたけど、やっぱりおもしろい発想をされるもんだなと。古きよき
日本の情緒シリーズと申しますか、そういったものを景品につけて、
日本手ぬぐいとか、蚊取り線香とか、うちわとか、今ちょっと忘れたような、そういったものが今の子供
たちにもなくなっておる。しかし、それはまさに豆絞りのお祭にやる鉢巻きのようなああいう手ぬぐい
一つでも、私は、そういった単に中元シーズンというだけじゃなくて、それを通じて古い
日本の伝統情緒というものをまさに思い起こすような、そういった形での宣伝というか、
通信をそのときにまたやり合う。亡くなった人の遺族、あるいは遺族がまた今度はお世話になった方に返すという形で、それに対して割り引きの形もやるという企画もおもしろいと思うんです。
まあそういったこと等々、大変勉強になりました。いずれにしても、ダイレクトメールの別途料金制という提案も、
局長は何かこうちゅうちょしておりましたけれど、私はやっぱりこれの割り引きはむしろすべきじゃなくて、ある程度採算度を考えたものにしていくべきだと思っています。ああいう心の伝達をしない、単に
企業伝達手段というものと、
一般信書のような要するに心を送る、そういったものとはやっぱり本来の
郵便制度の中では、私はやっぱりダイレクトメールなんかはむしろ別料金制というものを考えるべきだなと、もう
自分でも今思ったわけです。
記念切手でも、これは実際に使わなくても物すごく売れるんですね。あれ、記念切手のシリーズも、余りこう収集家の手に渡るものですから、数が――今度は伝統産業のシリーズで各地区の伝統産業のシリーズ物でこうやろうと今企画しているわけですけれ
ども、そうなると各県の伝統産業の立候補者がいっぱい出てきます。それをやると結局何百億という売り上げになっていくわけですから、これはやっぱり収集家が膨大な
組織を持っているわけです。切手収集家でも、潜在的には何百万という、五百万近くいる。そうすると、一回の売り上げで三千万枚ぐらいがさっとこう売れるということで、やはりそういった
営業性というものも考えながら、しかもそれが伝統産業なり伝統工芸なりあるいはそういった四季さまざまの各県の花とか島とか、そういったもののシリーズ物を
展開していくと。まあ
先生の
お話の中からいろいろないい知恵やヒントがだんだん与えられたような気がします。
やはり
国民の中でそういった心の
触れ合いを求める文書
通信というものの
分野というのは、いかなる
ニューメディアの
時代にも途絶えるものでもないし、むしろこれからの
時代の中でそういう面が大切にされる
時代というものを常に忘れんで、片方では先行的な便益性を求める
ニューメディア、片方では心を大事にしていく
明治からの伝統
事業ということを、まさにそこを起点にしてみんなで頑張っていきたいと思います。
大変ありがとうございました。