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1984-04-06 第101回国会 参議院 逓信委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月六日(金曜日)    午前十時一分開会     ―――――――――――――    委員の異動  四月二日     辞任         補欠選任      中野  明君     服部 信吾君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         大木 正吾君     理 事                 長田 裕二君                 成相 善十君                 宮田  輝君                 片山 甚市君     委 員                 大木  浩君                 岡野  裕君                 志村 愛子君                 西村 尚治君                 山内 一郎君                 大森  昭君                 服部 信吾君                 三木 忠雄君                 佐藤 昭夫君                 中村 鋭一君                 青島 幸男君                 田  英夫君    国務大臣        郵 政 大 臣  奥田 敬和君    政府委員        郵政大臣官房長  奥山 雄材君        郵政大臣官房経        理部長      高橋 幸男君        郵政省郵務局長  永岡 茂治君        郵政省貯金局長  澤田 茂生君        郵政省簡易保険        局長       奥田 量三君        郵政省電気通信        政策局長     小山 森也君        郵政省電波監理        局長       鴨 光一郎君        郵政省人事局長  三浦 一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        酒井 繁次君    説明員        防衛庁長官官房        法制調査官    古川 定昭君        防衛庁装備局通        信課長      鈴木 正孝君        科学技術庁研究        調整局宇宙企画        課長       清水 眞金君        科学技術庁研究        調整局宇宙国際        課長       森  忠久君        大蔵省主計局主        計官       日高 壮平君        大蔵省主税局税        制第一課長    伊藤 博行君        大蔵省理財局総        務課長      公文  宏君        大蔵省銀行局大        臣官房企画官   永田 俊一君        大蔵省銀行局特        別金融課長    松田 篤之君        大蔵省銀行局保        険部保険第一課        長        藤原 和人君        大蔵省国際金融        局調査課長    畠山  蕃君        通商産業省機械        情報産業局電子        政策課長     関   収君        日本電信電話公        社総裁      真藤  恒君        日本電信電話公        社総務理事    山口 開生君        日本電信電話公        社技術局長    桑原 守二君        日本電信電話公        社営業局長    草加 英資君        日本電信電話公        社経理局長    飯田 克己君        日本電信電話公        社資材局長    池田  勉君        日本電信電話公        社データ通信本        部長       松尾 士郎君        日本電信電話公        社宅内サービス        本部長      山本 千治君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○昭和五十九年度一般会計予算内閣提出、衆議  院送付)、昭和五十九年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付)、昭和五十九年度政府関係  機関予算内閣提出衆議院送付)について  (郵政省所管及び日本電信電話公社)     ―――――――――――――
  2. 大木正吾

    委員長大木正吾君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  去る三日、予算委員会から、本日及び明七日の二日間、昭和五十九年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算の中、郵政省所管及び電信電話公社について審査の委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  まず、奥田郵政大臣から説明を求めます。奥田郵政大臣
  3. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 郵政省所管会計昭和五十九年度予算案につきまして御説明申し上げます。  まず、一般会計でありますが、歳出予定額は二百四十五億一千二百万円で、前年度予算額に対し三億二千八百万円の増加となっております。この歳出予定額には、宇宙通信政策推進とニューメディアの振興に必要な経費を初め、電波資源開発利用秩序維持など、多様化する情報社会増加の著しい通信需要に対応した施策のほか、国際放送充実を含む放送行政推進国際協力推進に必要な経費等を計上いたしております。  次に、郵政事業特別会計でありますが、歳入歳出とも予定額は四兆三千五百六十三億二千五百万円で、前年度に対し一千五百四十五億九百万円の増加となっております。  この歳出予定額におきましては、重要施策としております郵便サービス改善需要拡大に必要な経費を初め、郵便貯金簡易保険郵便年金普及推進に必要な経費郵便局舎等施設の整備及び事業経営効率化のための機械化推進するのに必要な施設費、その他所要人件費などを計上いたしております。  なお、郵便事業財政につきましては、昭和五十九年度年度で百五十五億円の欠損を生ずる見込みで、年度末では過年度のものと合わせて四百四十八億円の累積欠損金が見込まれております。  次に、郵便貯金特別会計でありますが、歳入歳出ともに六兆八千七百四十三億三千三百万円で、前年度に対し七千三十二億三千八百万円の増加となっております。  次に、簡易生命保険及び郵便年金特別会計でありますが、保険勘定におきましては、歳入予定額は五兆八千五百四十三億五千九百万円で、前年度に対し四千九百一億二千七百万円の増加となっております。歳出予定額は三兆七千八百一億五千八百万円で、前年度に対し六千八百五十一億九千九百万円の増加となっております。  また、年金勘定におきましては、歳入予定額は一千百二十五億七千八百万円で、前年度に対し百二十九億二千万円の増加となっております。歳出予定額は百五十三億二千二百万円で、前年度に対し五十六億九千二百万円の増加となっております。  最後に、日本電信電話公社予算案につきまして概略を御説明申し上げます。  事業収入につきましては四兆五千三百二十五億円で、前年度に対し二千四十一億円の増加となっており、事業支出は四兆三千五百三十二億円で、前年度に対し一千五百五十三億円の増加となっております。  建設投資につきましては一兆七千百億円といたしております。これにより、一般加入電話百十万加入増設等を行うとともに、電気通信網維持改善に特に配意することといたしております。  また、昭和五十九年度限りの措置として、昭和五十八年度経営上生じた利益のうち二千億円に相当する金額を昭和六十年三月三十一日までに国庫に納付することとなり、これに関し、昭和五十九年度財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置等に関する法律案が今国会提出されたところであります。  これらの建設投資のほか、電信電話債券償還国庫への臨時納付金等に必要な資金は二兆五千七百十一億円となりますが、その調達につきましては、内部資金で一兆五千百九十七億円を、特別債借入金財政投融資等外部資金で一兆五百十四億円を、それぞれ予定いたしております。  以上をもちまして、郵政省所管会計昭和五十九年度予算案概略につきまして御説明を終わらせていただきます。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  4. 大木正吾

  5. 真藤恒

    説明員真藤恒君) 電信電話事業につきましては、平素格別の御配慮と御支援を賜り、まことにありがたく、厚く御礼申し上げます。  ただいまから日本電信電話公社昭和五十九年度予算案内容につきまして御説明申し上げます。  昭和五十九年度予算案につきましては、政府予算編成方針に沿って、事業運営効率化合理化に努め、公社財務健全性維持するとともに、高度情報通信システム、いわゆるINSを形成しつつ、高度化、多様化する国民の皆様の電気通信サービスに対する要望に積極的にこたえ、サービスの一層の充実改善に努めることを基本として編成いたしました。  まず、事業収支計画でございますが、収入は、今国会提出されております公衆電気通信法の一部を改正する法律案による中距離通話料金等の値下げの影響を織り込み、総額四兆五千三百二十五億円といたしております。その主な内訳は、電信収入五百四十七億円、電話収入三兆九千九百二十二億円、専用収入三千七百五億円等であり、加入電話及び各種商品の積極的な販売等により、昭和五十八年度予算に対し二千四十一億円の増加となっております。  また、支出総額四兆三千五百三十二億円で、その主な内訳は、人件費一兆五千六百二十五億円、物件費八千二十七億円、業務委託費一千四百六十一億円、利子四千四百十六億円、減価償却費一兆三千二百五十億円等であり、昭和五十八年度予算に対し一千五百五十三億円の増加となっております。  以上の結果、収支差額は一千七百九十三億円となります。  建設計画につきましては、特にディジタル化の促進、研究開発充実強化に配意して、投資規模一兆七千百億円をもって次の主要工程計画いたしております。  まず、一般加入電話増設につきましては、最近における需要動向を勘案して百十万加入計画いたしております。また、利用者利便向上を図るため、ビジネスホンファクシミリ等各種商品福祉用電話機等についても引き続き積極的に普及を図ることといたしております。  基礎設備拡充改良につきましては、電気通信網ディジタル化推進するため、ディジタル交換機光ファイバーケーブル等増設計画するとともに、設備維持改良に当たっても、INSの形成に配意しつつ計画的に推進することといたしております。  また、データ通信につきましては、需要動向等に配意して工事費一千八十一億円をもってデータ通信回線五万二千回線及びデータ通信設備三十二システム計画いたしております。  研究実用化計画につきましては、将来の電気通信技術の基盤となる基礎研究充実強化を図るとともに、衛星通信等技術研究実用化を一層促進することとし、研究施設費として六百三十九億円を計上いたしました。このほか損益勘定に六百二十七億円を計上しておりますので、調査研究費総額は一千二百六十六億円となり、昭和五十八年度予算に対し三百二十七億円の増加となっております。  さらに、非常災害時における通信確保を図る防災計画として大規模地震対策局舎水防対策等推進することとしているほか、加入区域拡大につきまして、電話局から七キロメートル円外のおおむね十世帯以上の集落の加入区域化計画を完了することとしております。  資金調達計画につきましては、以上の建設計画に要する資金一兆七千百億円のほか、国庫への臨時納付金に二千億円、債務償還等に六千六百十一億円をそれぞれ必要としますので、調達すべき資金総額は二兆五千七百十一億円となります。  これの調達として、内部資金で一兆五千百九十七億円、設備料で一千四百六十四億円のほか、外部からの借り入れとして、財政投融資により七百億円、特別債借入金により八千三百五十億円を予定いたしております。  なお、国庫への臨時納付金につきましては、五十九年度限りの臨時かつ特例の措置として、五十八年度利益から納付することとして計上いたしております。  以上をもちまして、日本電信電話公社昭和五十九年度予算案内容についての説明を終わらせていただきます。
  6. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 以上で大臣総裁説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  7. 大森昭

    大森昭君 まずは一般会計について質問いたしますが、電波放送電気通信、大変重要な行政分野になっておりますが、適切な行政が強く望まれている状況にありますが、郵政省としては、これに即応いたしまして、機構改正などについて検討していると聞いておりますが、その構想準備はどうなっていますか。
  8. 奥山雄材

    政府委員奥山雄材君) 電気通信行政機構改革関係の御質問でございますが、先ほど先生がおっしゃいましたように、一方におきまして近年の電波あるいは放送といったその他の電気通信分野における急速な技術革新というものがございます。また、他方におきまして社会成熟化に伴いまして国民価値観も多様化し、欲求もまた増大しておるわけでございますので、産業分野あるいは経済分野における情報化進展というものがございます。こうしたインパクトに誘発されまして電気通信に関するニーズが量的にも増大すると同時に、質的にも非常に多様化してまいっております。こうした行政需要に適切に対応するためには、従来のように有線無線の区別による個別な行政だけでは既に行政需要を充足できない時代になっておりますので、総合的な電気通信行政推進する必要があると考えております。近く予定しております電気通信行政機構の再編成はこのような観点から行おうとするものでございまして、その構想は、現在の電気通信政策局及び電波監理局を廃止いたしまして新たに通信政策局放送行政局及び電気通信局の三局を設置しようというものでございます。なお、電気通信局には電波部電気通信事業部を置くことにしておりますので、総体で三局二部二十二課、三室、定員は四百七十一人という構想でございます。こうした機構改革によりまして、これからの高度情報社会に向けて積極的な行政施策推進すると同時に、政策官庁としての体制を整えていくことができるものというふうに考えております。  なお、準備状況でございますが、五十九年七月一日の実施を予定しております。第百回国会におきまして国家行政組織法の一部を改正していただきましたので、この本省内部部局の改廃は政令にゆだねられることになっておりますので、目下関係政令等立案作業に鋭意取り組んでいるところでございます。
  9. 大森昭

    大森昭君 今答弁がありましたように、二局を三局にいたしまして電気通信行政を整備するわけでありますが、大変仕事が量的にも質的にも大幅に増加をしていることが原因だろうと思うのでありますが、どうも予算面を見ますと、要員面も含めまして、今の答弁にあるような内容だとすれば、いささか仏つくって魂入らずというような状況じゃないかと思いますので、今度の予算はこれで決まるわけでありますが、今後の予算要員措置についてぜひ努力をしていただきたいと思いますが、郵政大臣、どのようにお考えですか。
  10. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 今の官房長から説明のとおりでございますが、三局の組織改正を行います。これはすべて高度情報社会に対応して政策官庁としての機構を整備してまいろうと思うもので、ことしの七月一日実施を目途に今目下立案作業を行っておるということでございます。  御指摘のとおり、厳しい財政事情のもとでございます。しかし、これらの積極的な行政推進してまいらねばならないということも必然の課題でもございます。予算、また要員等について御指摘をいただいておりますけれども、何とか内部部局合理化効率化を徹底して行うことによって、これらに必要な要員予算確保してまいりたいと思っております。
  11. 大森昭

    大森昭君 次は、通信衛星の購入でありますが、最近のいろいろ新聞報道によりますと、アメリカ側から通信衛星を購入する方向で今動きが出ているということが報道されておりますが、これを認めることになりますと、自主技術開発を目指している我が国宇宙開発政策に大きな影響が起きるのではないかと思いますが、政府はどう対応するようにお考えになっておりますか。
  12. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 通信衛星の購入問題に関します日本側の立場でございますが、我が国自主開発を柱とする今までの既定の計画に従って衛星開発する方針である。将来民間企業については通信等に関する国内法制上の所要の手続をとる必要があるが、必要が生ずるにつれて外国から通信衛星を購入する可能性も出てくることになろうということで説明をしまして、米国側の理解を求めているという状況でございます。
  13. 大森昭

    大森昭君 通信放送衛星実用化の段階を迎えておるわけでありますし、郵政省としては内外の宇宙通信の発展、動向などを踏まえてそろそろもう長期展望に立った宇宙通信政策を確立すべきじゃないかと思いますが、この点についてはどういう取り組みをしておるわけですか。
  14. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) これからの社会情報化進展あるいは電気通信分野への新規参入等の確立に伴いまして、地上系通信放送手段とは異なる特質を有する宇宙通信に対する需要が増大かつ多様化していくというふうに私どもも受けとめているわけでございます。そうした状況を踏まえまして、宇宙通信普及促進していくために、広く部外の学識経験者等の意見を承りながら利用開発の両面を総合しまして、大きく言いますと二十一世紀を展望した長期的、総合的な宇宙通信政策を確立するべく、現在鋭意検討を行っているところでございます。
  15. 大森昭

    大森昭君 次は郵便関係でありますが、我々の反対を押し切りまして料金法定制を緩和されたわけでありますが、そういうことで、郵便料金値上げ国会関係なく省令でできるわけでありますが、五十九年度予算を見る限り、単年度で百五十五億の赤字が出るようでありますが、少なくとも五十九年度中は郵便料金値上げはやらないというふうに考えますし、同時にまた、五十九年度もそうでありますが、郵便料金値上げというようなことは大体どの年度ぐらいに想定しておりますか。
  16. 永岡茂治

    政府委員永岡茂治君) ただいま先生の御指摘のように、昭和五十六年一月に郵便料金改正をさしていただきました以降、年々郵便事業財政は好転してまいりましたが、残念ながら、五十九年度予算におきましては百五十五億円の赤字ということで組まざるを得ない状況に悪化してまいっております。しかしながら、できるだけ増収を図り、経費を節減することによってこの百五十五億円の赤字もできるだけ縮小する努力をしてまいりたいと思っておりますので、したがって、料金引き上げ等につきましてもできるだけそういったことがないように、できるだけ努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  17. 大森昭

    大森昭君 いや、五十九年は値上げしないということは見ればわかるんですが、またそして、百五十五億のやつも極力努力をするという話もわかりましたけれども、大体六十年か六十一年か見通しというのは考えておらないわけですか。
  18. 永岡茂治

    政府委員永岡茂治君) 五十九年度収支状況等から推察いたしますと、六十年度におきましても赤字は避けられないと思いますし、赤字の幅は若干ふえるというふうに思っております。六十一年度年度を追うごとにそういった傾向は強まっていくというふうに思っておりますが、ただいまのところ、何年度料金改正をお願いしなければならないといったことにつきましては確たる見通しをまだ持っておりません。
  19. 大森昭

    大森昭君 前回大幅に料金値上げをしているわけでありますから、大変料金の負担が高いということで、一時大分世論の総反撃をされたわけでありますから、まだ検討されておらないというわけでありますけれども、最大限企業内努力をしていただきたいと思うんです。  そこで、せんだって行われました五十九年の二月のダイヤ改正に伴いまして、労使も大変苦労いたしまして最大限協力をしておりますが、大分職場における夜間労働の回数がふえたり、いろんな問題が起きておりますが、いずれにしても、郵便事業をより発展させなきゃいけないということで、職場に働く職員皆さん方協力をしているわけでありますが、一体総括して五九・二の対処はどういうふうに郵務局長考えておりますか。
  20. 永岡茂治

    政府委員永岡茂治君) 五十九年二月一日から実施いたしました郵便輸送システム改正は、宅配便等進出等もございまして大変競争が厳しくなってまいりました中で、郵便事業サービスアップを図らなければならないといったことが喫緊の課題になってまいってきたわけでございます。  したがいまして、郵便事業サービス民間と比べて一番劣っていると考えられる面は送達速度にございましたので、少なくとも同じ県内は夕方まで出されたものを翌日に配達すると、隣接県についても翌日に配達すると、遠い地域については翌々日に配達するという体制を確立するべく、組合、部内総力を挙げて対処してまいったところでございます。その結果、予定どおり二月一日からシステム変更実施することができたわけでございますが、切りかえ当初は雪も相当降りましたし、その結果ダイヤが乱れたこともございますし、また大勢の新しい職員を抱えて業務にふなれであったといったこともございまして多少の混乱はございましたが、今日約二カ月余り経過しまして、当初目的としておりました県内の翌日配達というものは、ほぼ一〇〇%確保ができているというふうに思っております。また、隣接府県の翌日配達につきましても約九五%程度が確保できているというふうに思っております。もちろんその間、地域区分局を中心とする職員にはいろいろな御苦労をおかけしてまいっておりますが、それらについては必要な調整等につきまして現在実態調べ対策を講じてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  21. 大森昭

    大森昭君 労使大変御苦労をかけまして、とにかく郵便の一大革命的なことをやっておるわけでありますから、多少無理もあっていろいろ今の業務の運行がされていると思いますが、今局長が言うように、今調査中だということですから、調査がまとまって、また新たにそれぞれの要員の配置の変更があってみたり、いろんなことが行われるんだと思うんですが、大体調査をしているというのはいつごろまとまるんですか。
  22. 永岡茂治

    政府委員永岡茂治君) 実は本日も東京と名古屋と広島で三ブロックに分けまして八十八の地域区分局長会議を持っております。そういったことを通しまして現場の生の声も聞いてまいりたいと思いますが、最終的には五月に定例的に行います物数調査を、ことしはそういったこともございますので、一カ月早めまして四月に実施しまして、それに基づきまして客観的なデータを求め、可及的速やかに所要対策を講じてまいりたいというふうに思っております。しかしながら、なおそういった実態調査を待つまでもなく、軽微な事項につきましてはできるだけ早く適時適切に対策を講じてまいりたいというふうに考えております。
  23. 大森昭

    大森昭君 まあ調査中ですから、今どうこう言うわけじゃないんでありますが、お互いに試行錯誤もあるでしょう。お互いに大変無理をして事業協力しているわけでありますから、また実態調査が出た暁で手直しするところは手直しをして、まあ要員事情も苦しいわけでありますから、職員の一層の犠牲の上に立ってこれは今日現在でやらざるを得ないんでしょう、こういう時代ですから。しかし、いろいろ工夫をしてひとつやっていただきたいと思います。  そこで、せんだっても各事業ともそれぞれ大変な問題を抱えておりますが、とりわけ配る郵便から出していただく郵便へというふうに郵便事業も脱皮をして営業政策を中心に業務の運行をやるということですけれども、営業政策について特段の何か施策を各郵政局に通達しているわけですか。
  24. 永岡茂治

    政府委員永岡茂治君) 昭和五十九年度の営業方針につきましては、現在労使で基本的な事項につきまして協議を進めている段階でございまして、まだ確定はいたしておりません。一般に郵便の物数を伸ばすための営業活動につきまして特段の施策があるわけではございませんで、最も基本的なことは郵便サービスを、その本旨にのっとり、正確、迅速に配達する、また窓口での応対も親切丁寧に応接すると、また小包等の取り扱いについても破損しないようにお客様からの預かった大切な品物として大事に扱うと、そういったことが最も基本的なことだろうというふうに考えておりまして、そういった面の指導の徹底を図っておるところでございます。  しかしながら、単なるそういった基本的なことだけにとどまらず、その地方地方に即したローカル色に富んだ、例えばふるさと小包の奨励であるとか、そういったことにつきましても地方郵政局、郵便局について積極的に指導をしてまいっておるところでございます。
  25. 大森昭

    大森昭君 まあ配る郵便から出していただく郵便という方針からいきますと少し局長答弁じゃ足りない点があると思いますが、いずれにいたしましても人事の配置の問題から、きょうは余り時間がありませんから言いませんが、一年や二年でもって営業担当の人がぐるぐるかわっているようじゃこれはもう営業なんて成り立ちませんし、同時に資料がここにありますが、どうも地方は余り営業政策なんといって変わったことの現象があらわれておりませんよ。したがって、一層そういう質的変化を起こしておるならそれに対応して十分にやっていただきたいと思います。  次に、保険の問題でありますが、毎回積立金の運用に関する法律の改正の際にも全会一致で附帯決議をつけまして、保険金の加入限度額の引き上げを図るようにこれやっているんでありますが、その後どうなっておりますか。
  26. 奥田量三

    政府委員奥田量三君) 簡易保険加入限度額の問題につきましては、昨年五月、当委員会でも早期にこれの改善を図るべきであるという附帯決議をちょうだいいたしております。また実態といたしまして、現在の加入限度額一千万円でございますが、これは昭和五十二年に引き上げられまして既に七年間据え置かれているという状況でございまして、その間の国民の生活水準の向上等によりまして、このままでは生命保険としての機能を必ずしも十分発揮できない状況になっている。またそういうことから加入者の皆様からもこれについての引き上げの強い要望があるというような状況でございます。  このような状況を踏まえまして、実は五十八年度もそうでございましたが、特に今回五十九年度予算編成過程におきまして、我々といたしまして最重要施策の一つとして取り組み、関係方面と鋭意調整を図ったわけでございますが、残念ながら合意に達せず、一月の郵政、大蔵両大臣の折衝におきまして、この問題については引き続き両省間で検討をしていくということになった次第でございます。大変残念に存じておりますが、先ほど申し上げましたような状況を踏まえまして、郵政省といたしましてはこれが早期引き上げの実現について引き続き鋭意努力してまいりたいと考えているところでございます。
  27. 大森昭

    大森昭君 今もありましたように、大分この大蔵省との折衝が難航しているようでありますが、まあいろんな調べ方があるんでありましょうけれども、大体今四千万ぐらいを必要だというふうに考えているということが一般的に言われておりますが、加入限度額が早期に引き上がらないというのは民保などの反対もあるというようなことも伺っておりますが、一体大蔵省はどういう見解をお持ちですか。
  28. 藤原和人

    説明員(藤原和人君) 簡保の限度額の引き上げについての御質問でございますが、五十九年度予算編成過程におきましては郵政省から限度額引き上げの要求がございましたが、御承知のとおり、臨時行政調査会の答申というのが昨年の三月に出されまして、そこでは、「保険金額の最高制限額については、小口で簡易という役割及び貯蓄性が強いという面を考慮すれば、差し当たり引き上げることについては問題がある。」というようなことがございました。七月には政府といたしまして臨調答申を最大限に尊重するといった方針が決められたというようなこともございます。  それからさらに、十二月になりましてから、臨時行政改革推進審議会というところが五十九年度予算についての意見書というのをお出しになったわけでございますが、そこにおきましても、五十九年度予算編成において制限額を引き上げることは適当でないといったような意見書が出されたといったようなこともございまして、五十九年度予算編成の過程におきまして政府部内でいろいろ調整をした結果、簡保の限度額については引き上げは行わない、こういうことにされたわけでございます。  今後どうなのかという点についての御質問かと思うわけでございますが、今後どうなるかということについては現在の時点でお答えすることは大変難しいわけでございますが、先ほど引用さしていただきました臨時行政調査会の答申におきましても、「差し当たり引き上げることについては問題がある。」としました後に、「変更に当たっては、加入者の平均保険金額、保険料の負担能力、家計所得の動向、さらには、民間生命保険との関係簡易生命保険事業経営上の観点等についても勘案し、慎重に行う。」というような経緯もございまして、私ども本件につきましては、先ほど簡保局長からお答えがございましたとおり、いろいろ相談をさせていただいておりますので、今後とも引き続き両省間で検討はさせていただきたい、かように考えております。
  29. 大森昭

    大森昭君 どうも、今の話を聞いていますと、国会の議論あるいは附帯決議、それよりかも何か答申が優先するようでありますが、いろいろ民保の関係もないとは私も言い切れませんが、しかし簡易保険がどういう役割、民保がどういう役割ということで今日まで来ているわけですから、したがってその簡易保険はどっちでもいいという見解に立てばまた別ですけれども、国民のニーズの点から勘案いたしましても、あるいは郵政省簡易保険事業を運営するにいたしましても、やはり一千万で長い間据え置かれて、保険の外務の労働者に保険をとにかくしっかり頑張ってこいと言ってもこれはそうはなかなかいかないわけですから、今、多少引き続き両省でお話をするということでありますから、どういうことでということを、これもっと大蔵省の見解を聞こうと思いましたんですが、きょうは時間がありませんからそれはやめますけれども、両省で十分ひとつ話をしていただききまして、国会で議論されて附帯決議がついているわけでありますから、どうかひとつその辺も答申をより以上に尊重していただくことをお願いいたしまして、次に貯金に移りたいと思うんですが、貯金もなかなかいろいろ問題があるわけでありますが、最近の貯金事業の現状はどうなっておりますか。
  30. 奥山雄材

    政府委員奥山雄材君) 郵便貯金の現況についてのお尋ねでございますが、近年における個人の家計可処分所得の伸び悩みと、それから金利自由化商品の多様化といったような外部的な要因のために近年郵便貯金が伸び悩んでいることは先生御承知のとおりでございます。  しかしながら、他方におきまして郵便貯金の果たしている社会的、公共的役割にかんがみまして、私どもといたしましては、郵便貯金のこのような低迷を何とか社会の要請にこたえるべく増加させる必要があるということで、五十九年度予算におきましても、一兆円の国債への運用、それから一般最高制限額の三百万円から五百万円への引き上げ、シルバー預金と俗に言われます高齢者用の別枠の設定、あるいは住宅積立貯金の限度額の引き上げ等を要求したところでございますけれども、諸般の情勢から今日まで実現を見るに至っていないところでございます。  一番最近時点における郵便貯金増加実績状況でございますけれども、三月中の五十八年度の実績、これは純増実績でございますが、二千七百二十九億円の減でございまして、五十八年度年度別の純増実績全体といたしましては二兆七千三百五十億円の数字でございます。このことは前年度に対しまして七九%でございますので、冒頭に申し上げましたように依然として低迷しているという状況でございます。
  31. 大森昭

    大森昭君 一口で言えば、なかなか伸びは思うようにいってないということですね。  そこで、最近アメリカからの圧力もあるのかどうかわかりませんが、金融自由化の問題が連日新聞紙上をにぎわしておりますし、さらにはきのうあたりも我が党も勉強会をいろいろやっておるわけでありますが、この金融の自由化の中で、いろんなことがありますが、いずれにいたしましても今日現在の状況からいきますと、一般預貯金をしておる庶民は今日の現状では何もメリットがないという状況じゃないかと思いますが、一体この金利の自由化のメリットといいますか方向といいますか、これは大蔵省はどういうように把握しておりますか。
  32. 永田俊一

    説明員(永田俊一君) ただいま先生お尋ねの預金金利の自由化の今後の展望ということだろうと思いますが、これにつきましてお答え申し上げます。  御存じのとおり金融の自由化ということで我々考えておりまして、経済・金融の国際化の進展、あるいは国債の大量発行等、こういったものを背景といたしまして、我が国におきましても金融の自由化が金利の面あるいは業務の面等で進展してきていることは御指摘のとおりでございます。  金利の面につきましてでございますが、金利の自由化につきましては長短金融市場金利やそれから貸出金利、こういうものは既に市場の需給に応じて自由に決定されてきておりますし、預金金利につきましても、CDの発行条件の弾力化とか外貨預金の限度額の撤廃等を通じまして漸次自由化が図られてきているところでございます。  今後の自由化の進め方という点につきまして考えますと、金利規制を続けてまいりますと規制金利商品から自由金利商品への資金シフトを招くとか、かえって円滑な金融が阻害されるというおそれもありますものですから、今後におきましても自由化には前向きに対応していく必要があると考えております。  ただ、今、預貯金金利のお話が出ましたので預貯金金利の関係で申し上げますと、小口の預金金利の自由化といった問題につきましては、小口の預金金利がすべて完全に直ちに自由化することの可否というものは慎重に考えなければいけないかと思いますし、同時に、個人預貯金の三割を占めております、まあ残高で八十兆円を抱えております郵便貯金の金利決定の方法等につきましてもいろいろ検討が必要かと思いますので、具体的な進め方といたしましては、自由金利商品でありますところのCDの条件の一層の弾力的な取り扱いとか、あるいは市場金利に連動しております商品の創設といったものを検討するといった形で、順次大口預金の規制の緩和ないし撤廃を図る方向で対処するのが現実的ではないかというふうに考えております。  今後の方向ということで申し上げますと、金利の自由化を考えるに当たりましては、今後我が国の経済・金融に悪影響を及ぼさないようにその条件あるいは手続等について十分検討を行いまして、ソフトランディングに努める必要があろうかと思っております。こうした趣旨につきましても五十八年の――昨年でございますが、四月に大蔵省の方で金融制度調査会の小委員会の中間報告を出しております。「金融自由化の現状と今後のあり方」といったものを御審議いただいたわけでございますが、その中でも、今後とも引き続き進展すると考えられる金融の自由化の動きに対しましては、前向きに取り組むことが必要である、同時に、我が国経済・金融の混乱の回避に留意しつつ、漸進的に対応していくことが肝要である、と指摘されております。このような方向で自由化に対処していきたいと思っております。
  33. 大森昭

    大森昭君 まあいずれにしても、金融の自由化、そしてまた金利の自由化ですか、これは絡みますな。金融は自由化するけど、金利の方は自由化しないというわけじゃないわけですから。そうなってきますと、当然これ、金利を自由化するということになると、それぞれ、集まった金をどういうふうに運用していくかということが競争の第一原則ですね。そしてまた、大蔵省は――大蔵省というか我が国はそういう自由化の問題に前向きに取り組んでいくというわけですから。そうなってきますと、今のように郵便貯金というのは全部資金運用部に預託をして資金運用部からある一定の利息をもらってということでは、これはどうにもなりませんね、自由化の中で競争していくといっても。  きのうも大蔵省の人だと思うんですが、金融の自由化あるいは金利の自由化をやるのに最もがんになるのは、郵便貯金がとにかく金利の決定について別なところで決めるから、という印刷物を配られておりましたけれども、前向きでとにかく取り組んでいくということになれば、今の日本におけるいわゆる小口を代表する郵貯のあり方についてこれ何か検討しなければ、金融の自由化だとか金利の自由化ということに取り組むといっても、これ解決しないんじゃないかと思うんですが、その辺はどういうように考えていますか。
  34. 永田俊一

    説明員(永田俊一君) お答えいたします。  先ほどの御答弁でもお話し申し上げましたように、やはり実際の金利の自由化の現実的な方向といたしましては、やはりその大口の預金金利、すなわちCDの限度額の小口化とか枠の拡大とか、こういいましたある程度プロ的な商品から入りまして次第に小口預金金利といったものにつきまして考えていくというのが――例えば諸外国の例で見ましても各国とも大口から入って小口に至ると。なぜかと申しますと、やはり小口の金利につきましては金利の乱高下というものを嫌う癖がございますから、したがいましてやはり安定的な金利を求めるといったことも考えますと、やはり自由化というものは進展してとまらないものだとは思いますが、検討の最終段階の問題として小口預金金利を考えていくということではないかと考えております。
  35. 大森昭

    大森昭君 今CDの問題わかっているんですよ。ただ、それだけじゃ真に金融の自由化だとか金利の自由化にはならないわけでしょう。小口までいくわけでしょう、実際は。しかし、今の段階ではなかなか難しい問題があるからということはわかるんですが、やらないということじゃないんでしょう。その点がちょっとはっきりしないんですよ。CDで五億を三億にした、三億を一億にしたと、今なっていますね。だけど、少額のやつはやらないんだと言うならこれは別ですけれども、やるんだけれど、まだ今のところはっきりした結論が出ていないんだという意味合いなのかどうか、そこのところがすかっとしないわけです。
  36. 永田俊一

    説明員(永田俊一君) お答え申し上げます。  ただいま先生指摘のCDを五億にし、三億にしということであるけれども、小口の方はどうかということでございますが、私先ほどお話し申し上げましたとおり、自由化の中でだんだん小口の預金金利につきましても検討する場面が出てくるというふうに思っております。  ちなみにアメリカにおきましては、先ほど先生指摘のCDにつきましては一九六〇年当初に導入されたわけでございますが、これが金利の全般的な自由化というのは一九八三年になりまして実施されたといったような状況でございますので、各国ともかなりの時間を要していることは事実でございます。日本の金利の自由化がそれほど時間がかかるとは考えませんが、いずれにしましても、今後の課題として考えてまいりたいと思っております。
  37. 大森昭

    大森昭君 ですから、いずれにしても方向は自由化の方向にいくということで政府考えているわけでしょう、段階別にどういう時点でどういうことをやるかというのはまだ決まってないようですけれども。そうなってくれば、少なくとも急に、例えば郵貯の問題について民間企業と競争させるといったって、これはそう簡単にいきませんよ。そうなってくれば、やはり今のうちから少し郵政省の自主性を尊重しながら、資金の運用についても自主性を持たせながらということが、自由化に向かっていろんな問題を克服する上で今日段階あたりではそろそろやっていくべきじゃないかというのが私の考え方なんですよ。  そうなってきますと、例えば大蔵省が国会に提案されました五十九年度の財投計画説明を見ましても三兆六千億の国債を引き受けていますね。郵政省は一兆円の国債を運用したらどうか、こういうことなんだけれども、それはもうだめと、こうなって、何でもかんでもとにかく入ってきたお金というのは、もう郵政省考えていることは全部否定しながら今日大蔵省が財政の一元化ということを強く主張しているようですけれども、そういうやり方をしておったんじゃこれは力がつかないんじゃないですか、この金利の自由化というときが徐々にこれから向かってくるという段階で。だから、特段日本の財政、経済に波乱が起きるというなら別ですけれども、そうじゃない限りは少しは郵政省の自主運営というのを認めながら力をつけさせるということで、将来に向かっての金融の自由化あるいは金利の自由化に向かっていくという考え方――あなたにちょっと質問しても無理なのかもわからぬけれども、そうあるべきだというふうに私は考えているんですが、これは間違いですか。
  38. 公文宏

    説明員(公文宏君) 今お尋ねありました資金運用の話は理財局の所管でございますので、私の方からお答えさせていただきたいと思います。  大森先生もおっしゃるように、金融情勢が金利の自由化に向けて動いているときに今のような資金運用制度でいいのかどうかという御質問であろうと思われます。  これはもう御承知のように、ただいまの資金運用制度は郵便貯金に限りません、国の制度、信用を通じて集められたお金は一元的に統合運用していくという考え方に貫かれているわけでございます。まあ国のお金でございますので、それぞれの制度から見ますといろいろな御意見もありますけれども、国全体として見ればやはり国の制度、信用を通じて集められたお金はできるだけ一元的に、統合的に、計画的に運用した方がいいだろうという考え方に基づいて今の制度ができ上がっていることはもう御承知のとおりでございます。  私どもとしましては、財政、金融両方の立場を見てまいりますときには、やはりこの統合運用の考え方はぜひ今後とも堅持をしていくべきではないかというふうに考えておるわけでございます。しかし、そうなりますと、大森先生もおっしゃるように、今は資金運用部から郵便貯金特別会計に預託金に対する利子を払っております。その預託利率がこういう今後の金融情勢の変化に対応してうまくワークできるんだろうかどうかという問題がやはり議論になろうかと思うわけでございます。  御承知のように、今郵便貯金特別会計に対しましては資金運用部から預託金の利息という形でいわばお支払いをしているわけでございますが、この預託金の利率をどう考えるかにつきましては、これも御承知のとおりでございますけれども、一方では財政的な面、つまり公共的な側面ということを考えながらできれば低い利率でという要請もございます一方で、郵便貯金、それから厚生年金、国民年金の積立金というようなそういう貯蓄の積み立てを集めたものに対する利息の払いといたしましてはできるだけ有利にやはり利率をつけるべきであるというこの二つの要請の調整をやっておるわけでございまして、郵便貯金の特別会計がこの預託利率が非常に低いために本来の制度がうまくワークしないというようなことがあっては困るという考え方は私ども基本的に持っているわけでございます。  ちょっと具体的に申しますと、ただいまといいますか、現時点での預託利率は、つまり郵便貯金特別会計に対するお支払いする利率は七・一%を資金運用部から払っているわけでございます。郵便貯金特別会計の方で定額貯金の一番高い利率は三年物でたしか五分七厘五毛、五・七五%ということになっておると思いますが、そういう意味で申しますと、差が一・三五%あるという形でお払いをしているわけでございます。だから、そういう意味におきましては、今の郵便貯金制度が円滑にいかないようなことにならないように私どもとしては十分注意をしてまいる、要するに預託率のあり方をうまく考えながら御要望に沿っていくということが基本ではないか。統合運用の方は、まあこういう御時世でございますから、ともかくいままでの方式を堅持してまいりたいというのが基本的な考え方でございます。
  39. 大森昭

    大森昭君 いや、あなたの言っているのは前からわかっているんだよ。今私の言っているのは、預託利率が低いとか高いとかいうんじゃなくて、もう世の中変わってきているわけでしょう。今までだったらそれでいいんだよ。しかし、これから金融の自由化だとか金利の自由化だとかと進んでいくわけですから、預託利率が高いとか安いとかって両省で話し合う問題じゃない。郵政省がある部分国家財政――それは確かに大蔵省というのは一切の金を持ってコントロールしているわけだけれども、しかしそれだけでいままでのとおりにやっておったんでは金融の自由化も金利の自由化もないわけだから、郵政省にある程度のことをやらして、ある程度のものは、例えば大蔵省が管理し、あるいは指示し、あるいはいろんなことはやるでしょうけれども、しかし、郵政省に一銭も自主運用させないで、それで預託利率が妥当であるとか妥当じゃないとかっていう論争していて金融の自由化だとか金利の自由化に進みますか。  ですから、きょうはこれ以上言いませんが、例えばさっきも問題提起しましたけれども、国債だって、郵政省が自主的に買ったりして何か財政的な混乱起きますか。大蔵省が買うのと郵政省が国債買うのと、何ら財政の混乱が起きないでしょう。ですから、今大きく世の中が変化しつつある中で大蔵省が十分対処してもらいたいと言うのですよ、自主運営は。利率が七・一、大蔵省そう言うけれども、じゃ郵政省にやってごらんなさいと、九分ぐらいで運用するかもわかりませんよなんてことを、そんな議論をしたってしようがないわけですから、だから問題は、預託利率が高いとか低いとかという以前に、大きな波が来ているわけでしょう、金融の自由化、金利の自由化。その中で、郵政省が零細の皆さん方から集めているこの資金をどう運用するかということについては考えてもらいたいと言っているわけです。  それはさておいて、グリーンカードの問題も、これは国会で不公平税制の一環としていろんな議論があって、これはグリーンカードを実施しようじゃないかということが突如として三年間延期になっちゃったわけですけれども、何かあれですか、今考えられているのは、少額貯蓄の利子非課税制度についても変更するということがあるんですか。
  40. 伊藤博行

    説明員(伊藤博行君) お答え申し上げます。  グリーンカードの件につきましては先生御案内のとおりでございますが、非課税貯蓄を含めまして利子課税のあり方につきましては昨年の夏から税制調査会でいろいろ御議論いただいております。十一月に出ました中期答申、これは利子課税だけではなくて税制全般に及んでおりますけれども、そこでの税調の答申といたしましては、非課税貯蓄を含めまして検討を進めていく必要があると。ただ、その段階では具体的にどういう方策がいいかという結論までは出されておりませんで、引き続き検討ということになっております。その後年末のといいましょうか、ことしの場合年明けてからでございますけれども、税制調査会の年度答申の段階におきましては、先ほど冒頭御質問ございましたように、グリーンカードの凍結期間との関係等もにらみながらできるだけ早く答えを出すことが望ましいというふうにある程度の時期のめどは示されておりますけれども、具体的にどういう方策にするかというのはまさにこれから御議論いただくということで、どういう方向でどういう内容にするかというのは現時点まだ決まっておりません。
  41. 大森昭

    大森昭君 いや、決まっていたら大変なことなんであって、今検討しているということですけれども、いつまでもやっているわけじゃないんでしょうから、めどとしてはこれ八月ごろですか。
  42. 伊藤博行

    説明員(伊藤博行君) 先ほど申し上げました年度の答申におきましては、できれば夏ごろを目途に検討をすべきであるということが言われております。もっと端的に申し上げますと、グリーンカードの延長といいますか、凍結が三年でございます。カードの本格実施は六十二年の一月一日でございますけれども、カードの交付開始が六十一年一月一日ということになっております。したがいまして、そういった実際の作業といいましょうか、運用が、今の制度が、凍結が解除されたならば動き出すであろう時期よりも少し前の段階では当然しかるべき次の道が決められていなければならないということで、先ほどのことしの夏までというのは一つの目標でございますけれども、当然具体的なことを、最終的なデッドラインといたしましてはどんなに遅くても今年中にはということに相なろうかと思います。
  43. 大森昭

    大森昭君 グリーンカードの問題は今ここでそんなに議論する時間がないんですけれども、とにかく一部の金持ちの方がマル優など不正利用しているということを防ごうじゃないかということなんですね。ところが、これが急に変わりまして、庶民の雰細貯蓄に課税をするような方向に来ているということについては郵政省は一体どう考えているんですか。
  44. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 貯蓄の重要性という観点から考えてみたいと思うわけでございますが、貯蓄は経済社会発展の基礎であるということでございます。これは戦後の復興の問題、あるいは高度成長を達成したということの大きな原因の一つといたしまして、我が国の高い貯蓄率に支えられた安定した大量の、しかも低い金利の資金が豊富に供給された、こういうことによりまして活発な投資が促進された、こういうことが言われているわけでありますが、今日の状況を見ましても、百兆円を超えるような国債の大量発行というようなことがありながら、クラウディングアウトとかあるいはインフレというようなことも起こらずに比較的安定した経済発展というものが行われているというのも、この我が国の高い貯蓄率に支えられているということだろうと思うわけでありますし、この高い貯蓄率というのは諸外国からもうらやましがられているということで、むしろ非課税措置等を講じて貯蓄奨励推進というようなことをアメリカ、ヨーロッパ諸国においても行おうというような動きがあるわけであります。今後の状況を見ましても、なお大量の国債発行あるいは借換債の発行というような問題がある今日、活発な経済活動というものを促進するためにも高い貯蓄率というものが必要であろうと思うわけであります。  なお、この十年間の平均を見ましても、物価とそれから預金金利というものの関係を見ました場合に、残念なことではございますが一割強物価上昇率の方が高いということであります。ということは、貯金がそれだけ目減りをしているというわけであります。言うならば、そういう目減りの中で貯蓄が行われている。言うならば、二次所得ではございますけれども、所得としては発生しているけれども、実質的には減っておるというような状況であります。しかし、これからの高齢化社会というものを見て、将来の福祉の見直しというようなことも踏まえて自分自身で自助努力によって老後に対する備えをしなければならないということで貯蓄をしている、目減りを承知で貯蓄をしているという部分というものはかなり大きいわけであります。そういった集まった金は、先ほどからお話がございますように、全部資金運用部で預かって国の重要な資金として活用されているわけであります。そういった庶民の心情というものに税という追い打ちをかけるべきではなくして、むしろそういった自助努力というものを促進するような施策というものは国が打ち出すべきであろう、非課税枠の拡大というようなことを私どももいろいろお願いしているわけであります。そういった方向に向かってこそ努力をすべきであろうと、こういうふうに考えているところでございます。
  45. 大森昭

    大森昭君 郵便貯金の存立の問題もそうでありますけれども、今貯金局長から言われたように、この貯蓄の問題はいろんな意見があるかもわかりませんが、日本の社会経済発展の上に極めて重要な役割があるわけであります。今質疑をしておりますと、にもかかわらず、これは八月ごろまでにこのマル優を廃止するとかなんとかという結論が出るような状況にもあるわけですから、きょうは委嘱審査ですから、これは片山さんには怒られるかもわからないけれども、本来はこれこの委員会の一つの重大な任務なんですね。したがって、決議を出すというわけにいかないんですけれども、とにかくこんな重要な問題が夏ごろまでに意見が出るということになれば、逓信委員会として一つの意思表示を私はすべきだと思うんでありますが、これはどういうことになりますかな、委員長
  46. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 確かにグリーンカード問題につきましては三年間凍結、ただ、きょうの質疑で極めてはっきりしましたことは、八月ごろ、遅くとも年内ぐらいに何らかの、事務的なといいますか、方向性を見出したい、こういう話がございますので、時間的なものを含めて、重要な問題でございますから、後ほど理事会で取り扱いについて相談さしていただきます。大森委員よろしゅうございますか。
  47. 大森昭

    大森昭君 はい。それじゃ突然なことで委員長に御迷惑かけますが、ひとつ理事会で十分御検討していただきたいと思います。  そこで、時間が来ましたのでこれで質問を打ち切らざるを得ないんでありますが、今教育問題がいろんな議論をされております。しかし、郵政省の中にもこれ企業内訓練があるわけでありますが、少なくとも一般の教育とは少し違いますが、大きな情勢の変化の中で企業内訓練もこれは見直しをしなきゃいけないでしょうし、さらにせんだってちょっと新聞を見ておりますと、内外共通職種の導入などについても大きな変革があるようにも聞いておりますが、十分ひとつ検討をしていただきまして郵政事業発展のために御努力をしていただきたいと思いますが、最後に郵政大臣年度末大変お世話になりましてありがとうございました。  また人勧、これは一般会計もそうですし、簡保、事業団に働く人たちもみんな人勧の影響があるわけでありますが、さらに仲裁についても昨日ですか、政府との政労交渉がありまして前向きに取り組むということのようでありますが、郵政大臣も多数の職員を擁しておるわけでありますので、ぜひひとつ人勧、仲裁についても最大の御努力をいただきたいし、同時にまた先ほどから貯金、保険、郵便、あらゆる事業について大変大きな変革を迫られているところであります。それぞれ経営者がそれぞれ新しい情勢の中に対応することはもちろんでありますが、そこに働く労働者が最大の協力をしなきゃこの事業の運営は成り立ちません。したがいまして、最後に大臣の方から労使関係について基本的な姿勢についてお伺いして質問をやめたいと思うんですが、よろしくお願いします。
  48. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 委員指摘のように郵政諸事業は全く人力依存度の極めて高い分野でございます。したがって、賃金問題等々は最も重要な労働条件でもあるということも認識しております。また、委員においての、労使慣行の確立のために目下努力いたしておるところでございますけれども、これらの面もますます助長をしてまいらなきゃならぬわけでございます。  いま御指摘の仲裁裁定等に関しましては、これは言うまでもなく公労法三十五条を遵守いたしまして誠心誠意対処してまいりたいと思っております。また、今までの安定した労使関係をますますいい形に持っていくために今後とも努力してまいろうと思っております。  なお、先ほど御指摘のございました国民の一の生活の中に定着しております少額郵貯に対しましての非課税措置というものは何としても堅持してまいるということでございます。
  49. 片山甚市

    ○片山甚市君 冒頭に確かめておきたいことがありますから、大臣お答えを願いたいんです。  それは一般論として法律をつくるときにはまず政治課題があってそれを政策として確立するために規範をつくるために法律が制定される。すなわち問題があってそれをどうするかという政策ができましたら、それを推進するためにその規範をつくるために法律ができると思いますが、そのようにお考えでしょうか。
  50. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) そのように考えております。
  51. 片山甚市

    ○片山甚市君 そこで、電気通信あるいは情報通信等についての基本的なことについてお伺いいたします。  情報通信に対する基本政策ですが、本問題については今日さまざまな形でマスコミ等が取り上げておりますが、いわゆる高度情報化社会では多様な情報通信手段により、国民生活を初め教育、医療など広範な分野に影響を及ぼすものであり、多様な情報通信手段が国民生活に与える影響が大きいことは、例えばホームショッピングやホームバンキング、あるいは医療におけるホームケア、在宅学習から通称いわゆる在宅勤務まで、ニューメディアの分野で技術的、機械的には多くの可能性を持っておることは事実であります。しかし問題は高度情報化社会のあり方でありますが、技術優先や産業優先の立場に立つのではなく、技術はあくまでも人間との調和が図られることが絶対条件であります。便利さや技術可能性が人間社会を幸福にさせるものではないという考えがあるんですが、大臣はそれについてのお考えはどうでしょうか。
  52. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 先生の御指摘のとおり何が原点かといえば、それは本当に政治家の課題としては国民の生活が豊かになっていく形に結びついているかどうかということが一番大事な視点であろうと思うんです。高度情報化社会ということでニューメディアが花盛り、あしたにもぱっと花が咲くというような形でマスコミ報道がなされておるわけでございますけれども、私たちはやはりこういった高度情報化社会におけるニューメディアのこういった発達過程においてもやはり光と陰の部分がある。やはりそれを使う人間、そしてまたそれが使ってもたらされるいわば社会的な豊かさなり人間的なゆとりなり、そういった形の問題点というものを慎重に考えた上でこういった政策推進に当たらねばならぬ、基本的にはそのように考えております。
  53. 片山甚市

    ○片山甚市君 大臣から私の思っているようなことをおっしゃっていただきましたから、ちょっとほっとする気持ちです。今日、ニューメディアの問題が騒がれますと、それはまるで極楽が来るような宣伝をし、金もうけのためにはいわゆる鬼や蛇になってもいいから、人をかみ殺してもいいから自分だけのさばろうというやからが世の中に横行しておると思います。私たちは文明の利器があるから幸福になると限りません。心のゆとり、心の優しさ、これが今日ほど求められているときはありませんだけに、法律を策定する場合にそのような観点から十分なお考えを賜りたいと思う。  したがって、私は本問題について去る昭和五十四年一月三十一日第八十七通常国会の冒頭の代表質問で、情報通信に関し速やかに国としての基本的な政策を確立することを厳しく指摘し、当時の故散大平総理も、答弁として極めて重大な関心を持っており、高度に発達した我が国情報化社会にふさわしい基本政策を確立するとの答弁がなされたまま数年を経て今日に至りました。基本政策の確立はどうなったのかについてお伺いしたい。これは郵政電政局長の方からまず経過をお伺いして、後で大臣から御答弁賜りたい。
  54. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 先生指摘のように、通信というのは社会構造上のいわゆるインフラストラクチャーの担当するものと認識しておりますので、そういった公共性に対しまして行政の立場から常に強い責任感を持って臨むべきだと思っております。  それと同時に大事なことは、通信固有の特性でございます通信の秘密とか安全性、信頼性が確保されていること、さらには非常災害時の重要通信確保されるということにも配慮しなければならない。また、さらに国際化する世界の流れの中で国際的に対応できる制度であり技術であるように常に努力すべきであろうと思います。また、そのような国際化の中にありましても、いわゆる国の中枢神経を受け持つところの通信でございますので、そういった意味での国の自主性、通信主権と申しますか、こういった自主性の確保を図るべきである、こう思っております。  なお、それではその具体的な展開はどうあるべきかということですが、電話等の基本サービスについては国内あまねく公平に供給されるということがなければなりませんし、片方、高度サービスというものに対しましてはニーズに対応できるように低廉な料金で、しかも利用者側からはどのようなサービスを得るかについては自由に選択できる、そういったような通信の世界を目指して、基本的な政策をそこに持ちまして具体的な政策を展開すべきであろう、このように考えております。
  55. 片山甚市

    ○片山甚市君 今局長から御答弁がありましたが、それは具体的にどのような表現をもって、どのような政策として展開されていますか。
  56. 小山森也

    政府委員(小山森也君) これにつきましては、こういった観点も踏まえまして、郵政省として具体的施策といたしまして、今回電電改革、いわゆる日本電信電話株式会社法と、それから電気通信事業法というような具体的な法案を国会提出させていただくことによりましてこれを具体的に政策展開していこうと、こう考えている次第でございます。
  57. 片山甚市

    ○片山甚市君 それは臨調行革から提案されて、郵政省電気通信の開放のために電信電話公社経営形態を変える手段として、公衆電気通信法を変えて電気通信事業法をつくられたということになって、政策の展開が初めにありましたか。
  58. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 今回提出しようといたしております法案につきましては、これは、臨調から言われたからということではなしに、いわゆる電気通信を囲みます環境がすっかり変わってまいりまして、これに対して新しい政策を持って臨まなければ、非常に展開の早い電気通信技術、その技術社会の実際的な動きとの間に乖離が生じてまいりまして、そういった意味で、今回の法案というものを考えたのは、この乖離を埋めて、現在の社会に適用できる電気通信の世界であるべきであると、またさらに、現在であると同時に、これから先の二十一世紀を見越した、そういった基本的な考え方を法律の中に盛り込むべきであろうと、こういうような考えで私ども今検討しているところでございます。
  59. 片山甚市

    ○片山甚市君 先ほど申しましたように、昭和五十四年に大平総理大臣が基本政策を明らかにしなければならぬと言いましたけれども、それ以後なされておりませんでした。急速なテンポの高度情報化社会を展望したものとして、この数年間、情報通信のあり方についてその基本的な政策を明らかにして、もっと真剣に各般の議論をすべきだと思いますが、法律案をつくるに当たって、つけ焼き刃のような形で議論が始まったけれども、経過的にどうなっていますか。
  60. 小山森也

    政府委員(小山森也君) つけ焼き刃というお言葉に、ちょっと私どもとしてはそうではないと申し上げておきたいのでございますけれども、非常にこれにつきましては、まず第一に、行政そのものの組織から変えるべきであるということで電気通信政策局というのも一つ、その具体的な手法として組織改正をいたし、また、それから、今後のそういった基本政策を考えるべきものでどういうことをすべきかということから電気通信審議会というのを郵政省の附属機関に置きまして、これにおきまして基本政策を検討してもらいまして、二十一世紀に向かうところの基本政策というものを検討していただいたわけでございます。そういったものと国会でのいろいろな御論議を踏まえまして今回法案作成というステップになったものでございまして、ひとつその点、いろいろ準備をして、私どもとしては基本的な検討を加えた上でのことであるということを御理解いただきたいと存じます。
  61. 片山甚市

    ○片山甚市君 電電公社の民営化問題が出て初めて基本的な問題が出されたというふうにとれますし、この数年間、それでは、情報基本法あるいは情報通信の基本政策について具体的にどういう提示をされてきましたか。論議をされたというふうな感じがありませんから、もう一度御答弁願います。
  62. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 従来、これにつきまして専門的に検討するというような機関も確かに先生指摘のようになかったわけでございますけれども、電気通信審議会という法的な組織におきましてこれは十分議論していただいて答申もいただいているということでございます。
  63. 片山甚市

    ○片山甚市君 電気通信審議会の問題は後でお聞きしますが、この国会を通じて、政府の方から電気通信政策として次のような方向でやっていきたいというような所信を聞いたことがないと思うんですが、何か基本政策についてありましたか。
  64. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 具体的な法案提出とか御質問に対する答え等として申し上げておりますけれども、このようなことが基本的な政策であるということで政府から具体的に組織立って御説明したということはございません。
  65. 片山甚市

    ○片山甚市君 大臣、問題は、歴代大臣にも、電気通信の基本政策を明らかにして、今日もろもろのプライバシー問題がある、情報公開の問題がある、それらを含めて確立してもらいたいと要望してきたんですが、今回の電電改革を伴う問題以外に新しい提案がなかった。この国会においては、基本的に電気通信のあり方について論議をしてないように思うんですが、してあるという御理解であれば大臣に答えてもらいたいんです。
  66. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 先生の御主張のほどはわかりませんけれども、私は、通信政策、通信事業というのは、根幹的には国の中枢神経であると。したがってこれは、あくまでも国民の安全なり信頼なり、プライバシーの保全はもとよりのこと、そういった形の中で国民の生活なり産業、福祉の向上に役立つものでなきゃならぬというのが政策の基本理念でなきゃならぬと思っております。  ただ、今のような時代になりますと、私たちが想像もしなかったような高度の通信技術と申しますか、それと、コンピューターを中心にする情報処理技術というものがもう大変なスピードで今日の高度情報化に向かって進んでおるわけでございます。こういうときになると、この新しい通信技術を生かして国民の生活、福祉、多彩な豊かさにつながっていくということであれば、この門を閉ざすべきでなかろうという方向で、今度の電電改革においても、民間活力の導入も含めて、競争原理を働かせて頑張っていただこうということであって、基本理念は、あくまでも国民の生命、財産を守る中枢神経の役割を果たしておる基幹分野であるという基本的な認識を持っております。
  67. 片山甚市

    ○片山甚市君 大臣のお考えはわかりましたが、国会を通じて、情報通信あるいは電気通信のあり方について議論をして了解を得た上で問題が提起されておるかと言えば、そうでなく、今日取りざたされておるところの電気通信改革二法案など、法制のみが先行しておる。むしろ、政策が確立されるなら、その法制の前に、その政策をどういうようにお互いが合意するのか、政策が合意できれば法制はおのずからスムーズにいくものでありますが、先刻御承知のように、各省間の姿を見ておると、国としての政策がない。省としてあっても、また局としての考えがあっても、国全体で、電気通信、情報通信かくあるべきだと、こういうものがないために混乱をしておると思いますから、冒頭に言ったように、法律は、まず生活課題、政治課題があって、それを政策にするために政策として確立する、それを実行するために法律というものを、規範をつくるんだと思いますねと言ったら、大臣は、そのとおりですと言った。逆になっていませんか。今度の問題は、いわゆる政策課題ができました、ニューメディアができた、大変変わりました、こういう政策を立てたいと思いますという政策がまずお互い国会の中で議論をされて――それについては是非はありますよ――合意をした。さあこの政策に基づいて政府行政府としての法律をつくっていきますよということになれば、行政府の中のトラブルもなければ、国民から見ても、なるほどこんな道行きだなとガラス張りでわかると思うんですが、マスコミを使ったやからが、どんどんどんどんと宣伝して、我利我欲、私利私欲、自分の利益のために走るやからが多うございまして、それに対して観念的な反対がありましょうし、観念的な賛成がありましょうし、特に利権を中心としたこの動きは非常に醜い。この問題は大変厳しい問題が起こると思いますから、その意味で、私はこのやり方は、大臣は後から来たんだから言えないでしょうが、この二、三年の間の取り扱いから言えば、政策が先であるべきだった、そしてそれが決まってから法律案をどうするかということになれば非常によかったのに、そうなっておらないということを考えるんですが、所感はどうでしょうか。
  68. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) そういう形に先生方に受け取られているということになるとまことに残念であり、遺憾なことであると思います。確かに、マスコミの報ずるような、いわゆる今度の事業法案でお願いしなきゃいけません二種事業等々の処理においても、先生の御指摘のように、基本理念、基本政策が欠如しているじゃないかと、ただ、末端のそういった分野の役所の何か縄張り争いのような疑惑を国民にまき散らすというような形というのは見苦しいと、それはまさに基本理念、基本政策がなっとらぬからだとも言われる御指摘も、マスコミの報道ぶりの対応から見ると誤解されてもいた仕方ない面があったことはまことに遺憾でございます。  しかし、私たちは、先ほども先生に披瀝いたしましたように、あくまでもこういったニューメディアも国民の生活の豊かさなり福祉の向上なりに基本的に役立つものでなければならないという過程の基本理念のもとに、今日の時代の中での、もう私たちの想像しなかった新しい産業分野の中で、何か役所間の権益争奪戦のように見られるということはまことに遺憾でございますし、反省をいたしたいと思っております。
  69. 片山甚市

    ○片山甚市君 これは政府だけがというんじゃなくて、政府がそういうことをしますから、利権亡者がいろいろな憶測を始めていろんな活動をしておるということであります。すなわち、今度のいわゆる法律案をつくる前提になっておることについて、一部の者が、一部の利益のために、ブラックボックスをつくって、巨大なマスコミを動員して、しかもないことあること全部相談して、そしてまたアメリカまでおいでになりまして、法律をこうつくれ、ああせい、しなけりゃおれのところとおまえと仲よくしない、日米友好同盟をやめたいと言わぬばかりの強圧をしてくる世の中でありますので、私からこのことについていわゆる問うのは、情報通信政策についての基本のあり方と、それに基づくところの電気通信政策について国民にはっきり合意を得られるようにこれから努力をしてもらいたい。今からでも遅くありません、まだ何も法律はできておるんじゃない。きょうぐらい閣議で決定するとかなんとか言うておるんだけれども、それは皆さんが勝手にやるんでありまして、国会はまだ論議しませんから。その内容をするんでなくて、むしろ国民が知りたいのは、電気通信政策は今後このようにやっていくんだという合意を得ることに最大の努力をして、その結果どういうような改定をするのかということについて国民の合意を得るように大臣努力を願いたいと思いますが、いかがでしょう。
  70. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 御指摘の趣旨を踏まえて最大の努力をいたします。
  71. 片山甚市

    ○片山甚市君 少しくどいんですが、これまで、国民的コンセンサスや政府部内での意志統一ができておれば、連日マスコミをにぎわすようなことは、特にVANをめぐる通産省などとの縄張り争いや対立と言われるような問題は出なかったはずだと思いますし、情報通信についての基本政策を速やかに政府は持って対処してもらいたい。  そこで、特に政府部内では、対立があったということで、このVANの問題は妥協したから、三年間たてば見直さなきゃならぬということが言われておるんですが、そうすると、これは将来不信を招き、混乱を招くことにならないか。また、新聞情報でありますから――混乱をしておることについて、これからもうまくいくのでしょうか。出発点のところで混乱をするとこれが尾を引くということがありますから、大臣はそれについてどれだけの覚悟をして進められておりましょうか。
  72. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 今度のVAN問題に関しましては、いろいろな経緯はございましたけれども、主務官庁は郵政省である、通信回線を利用して他人の需要に応じて情報媒介を行う、営業を営むというものは通信行政であるという形の認識は確立したと思っております。  ただ、このVAN分野というのは、先ほども申しましたように、コンピューター技術の革新的な発達と、そして通信技術の発達した、技術革新の上に立った両方がぶつかり合った全く形の新しいメディアの分野でございますので、いろいろな論議のあったことは御理解願いたいと思うわけでございます。これからもこのメディアの分野というのは変化が多うございます。はっきり言えば、まだ未成熟な分野であるとも言えると思います。したがって、そういうことに対応するために三年間という見直し規定をつくったということも、今後の対応ぶりを見た上で、このことが、先ほどから御指摘のように、通信政策の根幹に触れるようなことになりますと、かえって国民のサイドに立って、ユーザー、利用者のサイドに立ってマイナスの面が出てくるというようなことになれば、これはやっぱり十分見直す機会も与えなきゃいかぬだろうということで三年間の見直し規定に合意したところでございます。
  73. 片山甚市

    ○片山甚市君 電気通信の問題は、情報通信政策での位置づけが決められた中で決められるべきだと思いますし、ニューメディアを含めた媒体としてのネットワークのあり方、あるいは、最低の情報通信手段としての電報や電話をどうするのかなど、電気通信のあり方について、政策としての明確なものが小山局長から示されてほしいんですが、いかがでしょうか。
  74. 小山森也

    政府委員(小山森也君) これにつきましては、既に、二十一世紀を見越したところの一つのあり方というものを私どもなりに議論をいたしました。無論このような大事なことは国会で御議論いただくということはよりよいことだと思っております。  それでは、その中で電話とか電報等はどうするかという御質問の趣旨と存じますけれども、やはり電話とか電報というのは我々の生活の中にもう既に組み込まれております基本的な電気通信の手段であろうと思います。したがいまして、先ほども若干触れたんでございますけれども、やはりこのような基本サービスというものは、国内あまねく公平に供給されるべきであるということが、これが政策の基本に据えられるべきであろう、こう思っております。
  75. 片山甚市

    ○片山甚市君 そうすると、ニューメディアを含めた媒体としてのネットワークのあり方については、分断をするつもりなんですか、それとも、ネットワークは全国的にもきちんとまとまってあるべきだと思っておるんですか。
  76. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 電気通信のネットワークは単一であることが望ましいと思っております。
  77. 片山甚市

    ○片山甚市君 電気通信政策の中で、ネットワークについては、一元的なといいますか、全国ネットワーク的なものを崩すつもりはない、それで、電話、電報についてはあまねく公平にという、普遍的なサービスとして、全国的に均質的なサービスをさしていきたい、こういうことで理解してよろしゅうございますか。
  78. 小山森也

    政府委員(小山森也君) そのとおりでございます。
  79. 片山甚市

    ○片山甚市君 情報通信としての基本政策があいまいなままに――すなわちコンピューターが入って新しい仕事ができるという時代、今までの電気通信ですと電報、電話などが主役的でありました。ものをあいまいなままに電気通信を規律しようとするところに今まで問題があったと思います。電気通信のあり方に対する政策は、これから具体的にこの法案を審議するに当たって、いつどのように展開していきますか。
  80. 小山森也

    政府委員(小山森也君) ちょっと先生の御質問と答えが若干ずれるかもしれませんけれども、私ども、いわゆるこれからの電気通信政策としては、やはり基本サービスというものに対する、何といいますか、普遍的なサービスの供給というものを一つの政策の基本に据えると同時に、高度サービス、これはいわゆる電気通信技術を駆使した最高の水準でもっていくわけでございますので、これはこれといたしまして、将来にわたりましてより発展するような政策をとるべきであろう、こう思っております。
  81. 片山甚市

    ○片山甚市君 言葉をかえて言いますと、電気通信政策としてのいわゆる先ほどおっしゃった政策は、いつごろ、どのような形で策定をされてきたのですか。今おっしゃった二十一世紀構想についてのお話がありましたが、その手順はどういうふうに踏まれましたか。
  82. 小山森也

    政府委員(小山森也君) これは国会に御提出するというようなものではございませんけれども、私どもの郵政省といたしましては、電気通信審議会に電気通信の将来構想に関する特別の作業班を設けていただきまして、そこで検討いたしましたものを土台といたしまして、私どもこれからの電気通信政策はいかにあるべきかということを考えまして、それを具体的に盛り込んだものを今回電電改革二法案として今国会提出しよう、こういうふうに考えているものでございます。
  83. 片山甚市

    ○片山甚市君 二十一世紀に至る電気通信の長期構想ということでおまとめ願ったとお聞きしておるんですが、長期構想電気通信審議会に答申されたと聞いていますが、その中でどういうような御意見がありましたか。
  84. 小山森也

    政府委員(小山森也君) ただ、ここで一言で申し上げるのはなかなか難しい、かなり膨大なものでございます。  ただ、基本として考えているところは、やはり現在の社会をどのようにとらえ、また将来の社会をどのようにとらえ、その中で果たすべき電気通信の役割はどのようなものであるかというのが骨格になっております。内容について詳細に申し上げるべき資料ちょっと持っておりませんけれども、大体の輪郭といたしましては、現在の社会をいわゆる高度な工業社会ととらえ、さらに現時点はこの高度な工業社会高度情報社会へ移行しつつあるその最初の時期である、こうとらえているわけでございます。  それでは高度工業社会というのは何かと申しますと、非常に高度な生産性を持った物質の豊かな社会である。このような社会においては社会の管理技法が最高度に発達している社会である。しかしながら、ここにおいて人間の持つところの欲望というものはどういうことによって満足させられていくかと申しますと、それは物質的なもので満足し、さらにこの物質というものは極めて類型的な欲望というもので満足しているのが今までの工業化社会の一つの形であろう。しかしながら、これからの高度情報社会というのはどういうものであろうかといいますと、やはりそれはいろいろ我々個人の欲望というもの――欲求といいますか、欲求というのは非常に具体性を持ち、いわゆる類型に対して典型化してくる、こういった世の中においてはそういった欲求を満足させるためには何が必要であるかというと、それぞれの方たちがその欲求が何であるかということをまず確定することが必要である。その確定したものに従って今度はその欲すべきものをどのように身近に得るようにしていくかということである。そういたしますと、いわゆる何が自分の欲求の目標であるかということを定めるということは、多くの情報の中から選択してくるというプロセスが必要である。さらに、その確定した欲求というものを満足させるためには、またその多くのものの中から自分の欲すべきものを選択してくる、それは多くの情報の中から選択してくる必要があるということで、そういった情報を選択してくるということは、すなわち我々の身近に電気通信という手段によって情報が分析され、選択されるという手段がもたらされなければならない。それは電気通信という媒体によって行われるものである。したがって、今後の電気通信というものは、あらゆる国民が自分の欲すべき手段で自分の欲する情報というものを獲得できる、そういったような状態にいなければならない。それがインフラストラクチャーとしての電気通信の役目である。これに沿って具体的な政策は展開すべきであるということが基本になっておる次第でございます。
  85. 片山甚市

    ○片山甚市君 大体考え方が明確にされたと思っています。  そこで、その政策を決められる中で国民の意見というものを聞いてこられましたか。先ほど申しましたように、それは学者が集まり、関係者が集まり、政府関係者がつくり上げたものには違いないのですが、そういうことについて国民の意見を聞くような用意を持ってきましたか。
  86. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 具体的にどのような形で皆様の御意見を伺うかというのは具体的手法としてはなかなか難しい問題がございますけれども、このプロセスにおきましていろいろ世論調査などをいたしまして、これからの電気通信というものはどのように考えているかというふうなことは、一応世論調査をもってとっている次第でございます。  無論そのほかに私どもとして当然考えなければいけないことは、国権の最高機関である国会等での御論議というものを当然反映させるべきであろう、こう思っております。したがいまして、私どもといたしましては、そのような形での国会での御論議の場というものをいただきますならば、私どもそれに応じましていろいろな御意見なりを聞かしていただくなり私どもの考えを御説明申し上げるというようなことをする機会があることは望ましいことだと思っております。
  87. 片山甚市

    ○片山甚市君 電気通信が高度情報化社会におけるインフラストラクチャーであるということについてのお話がありました。そのとおりだと思います。そのあり方いかんによっては国民生活、経済に大きな影響があることについても理解するんです。  そこで、公衆電気通信法時代から変わってくる今日の段階では、明治以来百十年の電気通信の役割が大変革をすることになるんであります。その政策を示して国会で政策についてもう少し議論できる時間をつくるべきであると思います。そうした基本的な論議はしないままに電電の改革法案がつくられていることについては問題があり、国家百年の大計について大変恐ろしいことだと思いますが、いかがでしょうか。
  88. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 国会の場におきましてそういった御議論いただきますことに、しかもそこに私どもの意見をいろいろお聞きいただくという場が与えられましたら、私どもとしては当然最高機関である国会の場での御議論というものにいろいろ御参考になるものなど御提出させていただくということは考えております。
  89. 片山甚市

    ○片山甚市君 大臣にお伺いするんですが、先ほどから言いますように、明治以来の電気通信の方式を変えて新しい制度改革を行っていく、公衆電気通信法電気通信事業法に変わってくるようなときでありますから、その根本になる政策について議論をする時間を十分にとりたいと思いますが、大臣はそれに応じていただけますか。
  90. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 大いに国会の場で、こういった大改革法案でございますので、論議を重ねていただくことは当然であろうかと存じます。
  91. 片山甚市

    ○片山甚市君 昭和二十七年に電気通信省から電電公社に模様がえしたときにも、御承知のように占領下でありましたけれども、国会にそういう審議会をつくり、これからのあり方について民営の会社の問題、いわゆる公社形態の問題、現行のままの問題等の意見が幾つかありましたけれども、その議論をした中で到達したものと聞いています。ですから、今日的に政府としては一生懸命に電電改革について取り組んでおることについてはわかっていますけれども、我々が十分に論議をする時間と考えるいとまを与えてもらうように――あなたたちは非常に強圧的な内閣総理大臣を先頭にしていますから、自分のポストを保つためにはどんな手段も選ばないということを恐れるものであります。しかし、幸いにして奥田郵政大臣はそういうような野蛮なことはしないと思うんで、十分に意見が聞けて、そしてわかって、国民的になるほど今度電電改革したのはそういうことか、ならば我々の生活はよくなるなと思ってもらえる時間が大切だと。わからぬけれども大体わかった者が集まってこの指たかれで拙速に多数決でやろうというようなことがないように。私は電電改革法案についての是非を言っておるんではありません。国民が、今情報化社会における電気通信の役割、それを基本的に理解し協力し、それを発展させていくことが日本の国の文化やあるいは経済や政治を豊かにしていくことでありますから、そういう意味で何回も言っておるんですが、ひょっとしたらきょうぐらい閣議決定をすればあしたぐらいに通過さしたいというようなことを考える人がおりますので、ぜひともそういうことのないように大臣から答弁を願いたいのです。
  92. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) もうこれは郵政省始まって以来の大改革法案であるというのみならず、今度の行政改革案件の中でも重要な柱になる法案提出でもございますので、私たちは国民代表としてのそれぞれの立場で二十一世紀を志向した電気通信政策、我々は後世に恥ずかしくない、かくあるべしという電気通信政策を構築する大切な法案でもあり、ここは国権の最高機関の論議の場でございますので、先生方の御論議を踏まえてこの法案の御理解を得ながら慎重審議の上に努力してまいりたいということでございます。
  93. 片山甚市

    ○片山甚市君 非常に失礼ですが、屋上屋で申しわけないんですが、電電改革を審議するには、まず何よりも慎重で充実した政策論争が国民的次元でできる国会の状態であり、国民不在にならないために、多くの国民の意見を聞くような場を初めから考えてもらいたい、そういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  94. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 私たちもそれを望みますけれども、またこれは本委員会の運営等々にも関することでございますので、先生方の慎重御審議を私たちもお願いする次第でございます。
  95. 片山甚市

    ○片山甚市君 先ほどから申しますように、情報化社会における電気通信の役割は空気のようになっておりまして、今は余り国民の中から不満とか不平とかというんじゃなくて、どういうように政策が変更されましても、利害が直接しておる人たちは別でありますが、一般国民が理解ができておらないことがある、これをわかってもらうということに私たちは努力をしていきたいと思います。そのために大臣にお願いしたいんじゃなくて国会を通じてそれを論議するときに、内閣が、私たちが持っている法案を上げるためには国民の意見を聞く機会は少なくてよろしいということでない、十分に聞くという体制だというふうに理解をして、これでこの問題は終わりたいと思います。  次に、郵政省機構改革の問題についてお伺いします。  郵政省では本年七月一日を期して機構の再編成実施するとのことでありますが、その目的と各局の任務について、先ほど大森さんにお答えをいただいておるようですが、もう一度簡単にお答え願いたい。
  96. 奥山雄材

    政府委員奥山雄材君) お答え申し上げます。  電気通信行政にかかわる本省の機構は、現在有線電気通信並びに現在の公衆電気通信部門を担当する電気通信政策局放送を含む電波一般をつかさどる電波監理局の二局体制で運営されているところでございますが、この体制は、先ほども先生が公社の発足に言及されましたけれども、二十七年の有線、無線による区別を基本的に踏襲したものでございます。しかしながら、近年の電気通信あるいはエレクトロニクス関係技術の急速な進展、さらには価値観の多様化あるいは国際化の進展等に誘発されますところの社会、経済全般の情報化、これらが相まちまして電気通信需要が急速に量的にも質的にも拡大あるいは高度化、多様化しているところでございます。このような電気通信行政をめぐる諸情勢の変化に対応いたしまして、的確にこれからの電気通信行政を遂行していくために、本年七月一日を期しまして電気通信行政機構の再編成を行おうとするものでございます。  それぞれの各局部の所掌する中身でございますけれども、まず通信政策局、これは総合的な電気通信に関する基本的な政策の企画、策定を行うところでございます。あわせまして、電気通信技術研究開発あるいは宇宙通信関係の事務、それから国際交流あるいは国際協力等の事務全般を取り仕切ることにしております。  それから、次の放送行政局でございますが、これはいわゆる電波関係部門のうちの放送行政部分をここに専属的に所掌させる予定でございまして、具体的には放送関係の無線局の免許、監督、あるいは放送関係のニューメディアの開発普及、それからCATVの普及開発促進等が主な所掌事務になろうかと考えます。  それから第三局目の電気通信局でございますが、これは放送を除きます電気通信事業の監督あるいは指導育成、助成等、それから電気通信高度化の促進、それから従来電波監理局に属しておりました周波数の監理、あるいは一般無線局の免許、監督等の事務を電気通信事業部電波部という二部体制のもとに執行する予定にしております。
  97. 片山甚市

    ○片山甚市君 再編成の基本的な考え方の中に、我が国電気通信に関する基本的政策、将来ビジョン等の策定が挙げられております。また、電気通信事業体のあり方を含む電気通信制度のあり方について検討するとありますが、こういうことによってまず組織を整備して、基本政策は今後の課題としてやるということになっておるんですか、機構改正に伴って。
  98. 奥山雄材

    政府委員奥山雄材君) 組織が先かどうかというお尋ねと拝聴いたしましたけれども、先ほども申し上げましたけれども、近年における電波放送その他の電気通信分野における急激な技術革新と、それに伴います社会全般の情報化進展、こういった電気通信に対するニーズが現在既に多様化、高度化しているところでございます。  昭和五十五年に現行の電気通信政策局機構改革としてお認めいただきましたけれども、そのときにはいわゆるデータ通信の多様化、進展、あるいは電話サービスの多様化といったような面からの即応体制、さらには当時問題になっておりました資材調達問題等に対する国としての執行体制、執行責任の確立といったような観点からこの機構改正を行いましたけれども、現時点におきましては当時の機構改革では既に充足できないほど電気通信に関する需要が量的にも質的にも増大し、かつ変質しているのでございまして、そういった社会全般にわたる状況の変化に対応する意味で、これ以上機構改革をおくらせることは国民行政需要に的確に対応できないということで今回改正考えているものでございます。
  99. 片山甚市

    ○片山甚市君 基本施策、将来のビジョン等の策定ということになっておりますから、これから政策が確立されておるのかどうか。本来政策が樹立されておって制度とか事業体のあり方が検討されるべきだと思うが、それよりも組織を改正する、機構改正をすることが先行せざるを得ない逆立ちをした状態だということを官房長が認めたということですか。
  100. 奥山雄材

    政府委員奥山雄材君) 申し上げております趣旨は、現在既に電気通信に対するニーズに的確に機構として対応するには現行の組織では不十分である、したがって現在の国民の多様化した欲求、さらには行政に対する需要を満たすために今回の行政組織の改正を行おうとするものでございます。
  101. 片山甚市

    ○片山甚市君 納得できないんですが、政策は確立できておるというように理解してよろしいか。
  102. 奥山雄材

    政府委員奥山雄材君) 先ほどもちょっと触れましたけれども、昭和五十五年に電気通信行政機構の大きな改革をお認めいただきました。その時点で当時における電気通信行政機構整備を私どもとしては充足したつもりでございましたけれども、現在の時点ではさらにそれがまだ十分ではないという考え方でございます。  それで、基本政策が既に確立されているのかどうかということでございますけれども、基本政策につきましては電気通信政策局発足以来鋭意検討をしてまいりましたし、先ほど電気通信政策局長がお答え申し上げました二十一世紀に至る道筋を御答申いただきまして、それにのっとって今後の行政の方向を定めていきたいというのも一つの基本政策だと思います。しかしながら、さらに今後電気通信に関する基本政策を確立していくためには機構改革が必要であるという観点からの構想でございます。
  103. 片山甚市

    ○片山甚市君 そうすると、小山さん聞きますが、二十一世紀構想についての答申をどのように、政策としていつごろまでに確定されますか。
  104. 小山森也

    政府委員(小山森也君) これは先ほども申し上げたのでございますけれども、この具体的な問題として、政策として具体性を持って出すというのは、いわゆる今回の電気通信の改革法案でございます。
  105. 片山甚市

    ○片山甚市君 電気通信改革問題の骨子は、いわゆる二十一世紀構想に関する、長期構想に関するたたき台がなっておる、こういうように理解してよろしいか。
  106. 小山森也

    政府委員(小山森也君) そのように御理解いただいて結構でございます。
  107. 片山甚市

    ○片山甚市君 そういうことについては国会の中では論議をされてないことも確認しておきますが、よろしいね。
  108. 小山森也

    政府委員(小山森也君) いろいろ御質問には答えながらその一端をそれぞれその時点において申し上げておりますけれども、それを総合的な御議論としていただいたということは、私どもはまだそれにお答えしたということはないように思っております。
  109. 片山甚市

    ○片山甚市君 国会の都合もあり、委員会も余り開かれておりませんから、こういう委員会で論議をしたように思ってませんけれども、先ほども申しましたように、くどいですけれども基本的に議論をしたいと思います。  そこで、部局の編成を見ますと仕事の流れがよくわからない。例えばニューメディアにおける情報通信手段はサービス技術のあり方によって当然メディア間の融合の問題も起こるはずだが、どの部門がどのように分掌するのかということについてわかりにくいんでございますが、それは説明願いたい。電気通信政策も確立していないのに、組織だけが先行しているように思えるし、こういうことになれば、また朝令暮改でいずれまた政治判断で適当な改正をするのではないかという心配がありますが、今度はやりませんか。
  110. 奥山雄材

    政府委員奥山雄材君) 先生がまさしく御指摘になりましたように、メディア間の融合現象が起こっております。現在の組織体制は、かつての有線、無線あるいは自営通信、公衆化通信という区別を基本的ベースにして、それに対応する形での組織になっております。しかしながら、キャプテンシステムあるいはMCAといって新しい移動通信もございますし、先ほど来話が出ておりますVANといったようなニューメディアもございます。あるいは双方向通信放送メディアとの融合現象、こういったようなニューメディアなりメディア間の融合現象を踏まえて考えますときに、従来の有線、無線による個別行政組織では不十分だということでございまして、総合的な電気通信政策を確立する観点から機構改正考えている次第でございます。
  111. 片山甚市

    ○片山甚市君 また同じことを聞くんですが、電電改革の二法案と機構改正との関連ではどのようになっておりますか。今国会で審議されるこの機構改正については、改正法案もとりあえず出しておいて、近い将来再び適当に改正するということにはなりませんか、官房長
  112. 奥山雄材

    政府委員奥山雄材君) 今回の近く国会で御審議をお願いする予定でございます電電改革法案、この電電改革のためにも今回の行政機構の再編成による電気通信行政体制の整備が生かされるものと考えております。つまり、先ほど来話が出ておりますように、電電公社改革に基づく競争原理の導入といったようなものと、それを裏打ちするものとしての私どもの電気通信行政機構であるというふうに観念しておるところでございます。
  113. 片山甚市

    ○片山甚市君 それでは、電気通信審議会についてお伺いします。  審議会の設置の目的はどういうものであって、設置後今日まで審議した議題について、また開催した回数について示してもらいたいと思います。
  114. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 電気通信審議会は形式的には政令によって決まっております。その政令の根拠は郵政省設置法第十九条第二項というところからくるわけでございます。この所掌するものは何かと申しますと、「郵政大臣の諮問に応じ、電気通信に関する事務に関する重要な事項を調査審議し、及びこれに関し必要と認める事項を郵政大臣に建議する。」となっている次第でございます。したがいまして、いろいろ広範な活動が期待されているところでございます。  実際上の運営の状況について申し上げますと、五十八年度におきましては、五十八年度、つい最近終わりました三月三十一日までの丸一年でございます。総会が四回やっております。それから、料金部会、技術部会、有線放送部会という部会が三つございまして、これが計十八回開かれております。また、長期構想の策定のための委員会、これもつくられておりまして、これが五回開催されておりまして、合わせて二十七回の審議会が開催されているという状況でございます。
  115. 片山甚市

    ○片山甚市君 目的が当然政策決定に関与する重大な課題を審議するものであると思いますが、今お話聞いたところによると、回数として挙げられましたけれども、極めて形骸化した儀式のように考えられるんですが、審議会を設置した際の経緯あるいは附帯決議の趣旨からいっても、我々としては期待からかけ離れておる、我々が期待することとかけ離れた現状だと思いますが、郵政省における電気通信関係の私的諮問機関、研究会、これは名称はいろいろありましょう。それをいろいろつくっておるのですが、それを明らかにしてもらいたいと思います。
  116. 小山森也

    政府委員(小山森也君) まず、今までの電気通信審議会の審議の内容でございますが、これにつきましては、私は他の審議会はそれほど存じておるわけではございませんけれども、たとえば電話の通話料の問題であるとかあるいは専用線の料金の問題であるとかにつきましては非常に詳細な御検討をいただいておりまして、私ども事務当局といたしましてもこういった委員会に対する提出資料など膨大なものになっておりますが、かつそういった膨大な資料をよく御審議いただいており、私ども感謝いたしている次第でございます。  また、二十一世紀に至る電気通信の長期構想の五回と申しましても、これはかなり長時間にわたりまして深夜に至る論議までもしていただいているというというような状態でございます。また、技術部会におきましても、日本語テレテックスとかビデオテックス通信サービス技術的条件、これらにつきましてかなり詳細な検討をいたしていただいているところでございます。また、CATVの施設許可、これも本審議会で行っておりまして、この審議会の議を経てようやく施設許可等をしているというところでございます。  また、現在第二の御質問でございますところの郵政大臣の私的な懇談会、これにつきましては未来型コミュニケーションモデル都市構想懇談会、いわゆるテレトピア懇談会がございます。大臣の諮問機関としては、私のいわゆる電気通信政策局の所掌事務の中ではこの一つでございます。  ただ、そのほかに、私どもいろいろこのように発展いたしますところの電気通信というものを所掌いたしておる関係上、私どもだけではなかなか知識の範囲も狭いということで、いろいろな委員会――勉強会でございますけれども、つくりまして、いろいろな御意見をいただいております。これにつきましては、大臣の諮問機関というような位置づけはしておりませんで、私どもの事務の中でやっております。この勉強会等が十一か二あったかと存じております。  以上でございます。
  117. 片山甚市

    ○片山甚市君 そうすると、今勉強会をした、研究会をした問題について、また諮問を受けた問題についてその後どのようにそれを生かされておるんですか。諮問をされた、答申あるいは報告をされた事項はどういうように行政に生かされる形になっていますか。
  118. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 一番身近なお話を申し上げますと、先ほど申し上げましたテレトピア懇談会、いわゆる未来型コミュニケーションモデル都市構想懇談会でございますけれども、これにつきましては懇談会の方で出していただきました答申をもとにいたしまして、これを次のいわゆる私どもの行政ステップの中に組み込んでございます。例えばモデル都市というのは一体どのような構想で進めるべきであるか、また具体的な基準等についてどのように考えるべきかというような御答申をいただきまして、これを各地方公共団体等に流しまして、これに基づいて地方公共団体はテレトピアというようなものを具体的にどうやって進めるかというのの参考にしていただく。さらに、これは今後の問題になりますけれども、選考基準というようなものも私どもの独善に陥らないように、こういった懇談会においてつくっていただきまして、そういった指定基準というものを持ちまして私どもとしてはテレトピアの指定をしていこうと、こういうふうに考えている次第でございます。
  119. 片山甚市

    ○片山甚市君 諮問された内容はどのように行政に反映されていますか。
  120. 小山森也

    政府委員(小山森也君) ただいま申し上げましたように、諮問いたしまして御答申いただきますと、それを直ちに例えば今申し上げましたようにテレトピア構想のように、各地方公共団体にそれに基づく資料を流すことによって各地方公共団体が次のテレトピア構想を進めるに当たっての基準にしていただくというようなことにするということでございます。
  121. 片山甚市

    ○片山甚市君 電政局以外に郵政省としての研究会あるいは懇談会等が開かれていますが、幾らほど数は開かれていますか。
  122. 奥山雄材

    政府委員奥山雄材君) ただいま手元に資料を持ち合わせておりませんが、大臣の私的懇談会あるいは私的諮問機関は特別会計部門にはなかったと記憶しております。部局長、特に局長でございますが、局長の私的懇談会というのは幾つかあったというふうに記憶をしております。
  123. 片山甚市

    ○片山甚市君 幾つかじゃなくて、私の手元だけでも研究会は十四、五あるんですね。それをどのように行政に生かされているかということについて小山さんに聞きましたが、官房長もう一度お伺いします。
  124. 奥山雄材

    政府委員奥山雄材君) これらはいずれも私的諮問機関でございますので、私的諮問機関としての制約がもちろんございます。この点につきましてはいわゆる八条機関あるいは三条機関との関係でしばしば予算委員会でも問題になったところでございますが、行政管理庁を中心といたしました政府の統一方針がございますので、政府の統一方針に従って私どもは処理しております。  もう少し具体的に申し上げますと、あくまでもこれは私的懇談会に基づく研究成果の発表であるということでございますので、それがそのまま政府あるいは私どもの意思決定、政策決定、課題決定に結びつくものではないと。したがいまして、その研究結果、勉強結果を踏まえて、先ほどの二十一世紀に至る報告もそうですけれども、必要によっては電気通信審議会という正式の審議会にかけて意思決定をするなり、あるいは私どもがそれを素材として取り入れて政策決定に資するというような形で生かしているところでございます。
  125. 片山甚市

    ○片山甚市君 よいところ取りして隠れみのに使うという道具にならないかという心配だけ言っておきます、隠れみのに使ったと断言することはできませんが。勉強されることについて反対じゃありませんが、いいところ取りだけするための隠れみのにしないようにもう少し検討して今度質問いたします。  一例を挙げますと、先ほど小山さんの方から聞きました四月三日に未来型コミュニケーションモデル都市構想懇談会、通称テレトピア懇談会ですが、いわゆるテレトピア構想なるものを発表したが、このような地域社会の発展に大きくかかわる研究に婦人団体、消費者団体など地域に密着した人たちが代表として入っておらない。すなわちごく限られた学識経験者とか、そういう人が入っておるんですが、それでは地域社会を形成するのには適当でない、いわゆる学者や財界の代表に相談するだけで何が都市構想ができるのかということで疑問がありますが、喜んでつくっておるんですから、もう言うことないんでしょうけれども、どうでしょう。あなたの方がつくっておるテレトピア構想の中には学者や財界という学識経験者などはありますが、婦人の団体の方々、消費者団体の方々などという人が入っておりませんが、なぜでしょう。そういうことについて疑問がありますが。
  126. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 御婦人の方は入っておりますけれども、婦人団体の代表という位置づけではございません。それから、そのほかの消費者団体等は先生のおっしゃるように入っておりません。今後私どもこういったことをするに当たりまして貴重な御意見といたしまして私どもの参考にさせていただきたいと存じます。
  127. 片山甚市

    ○片山甚市君 私が婦人団体と言ったのは地域的な広がりがある問題があります。消費者団体というのは生活協同組合等もありますし、その地域における都市型の発展がどうあるべきかとなると、やはりそういう人たちの参加を前提とすべきだと思いますから意見を述べただけです。  そこで、各諮問委員会、また研究会と電気通信審議会との関係はどういうような唇歯輔車というか役割を果たしておりますか。
  128. 小山森也

    政府委員(小山森也君) いろいろな勉強会は、非常に人員的にもあるいは技術的にもあるいは能力的にも私どもだけではなかなかできない問題を多くの方々からの御意見をいただいて充実させていく、それによって私どもの政策を決めていく上においての大きな参考にしていくということでございます。  したがいまして、そのような形でもってある程度の資料を整え、ある程度の意思を持ったもの、これを今度は政策的に対外的に認めていただくときに、それが是であるか否であるかということを電気通信審議会に諮問して御意見をいただく、こういうステップになってまいります。
  129. 片山甚市

    ○片山甚市君 そこで、電気通信審議会についてですが、電気通信政策との関係で、その任務はどういうことを持ち、責任をどういうふうに負われるのか。特に、電電改革二法案との関係で今度電気通信審議会はどういうような役割を果たすことになるのですか。そのためにどういう対処をされるつもりですか。
  130. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 電気通信審議会は、先ほども申し上げましたように、電気通信に関する重要な事項を調査、審議していただきますので、今後とも電電公社の改革につきまして、折に触れて御報告を申し上げると同時に、それに対する具体的な進行方法等に対する御意見を伺ってそれを参考にしていく、こういうことになろうかと思います。
  131. 片山甚市

    ○片山甚市君 折に触れてというのは国会の情勢を言うんですか、それとも法案が国会提出されるまでの間にやられるんですか。
  132. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 国会の審議等とは直接は関係がないと存じます。それぞれの改革というものについてのいわゆる節目、節目において私どもだけでは独善に陥いるおそれがあるというようなことにつきましていろいろな御意見を伺っていく、こういうことでございます。
  133. 片山甚市

    ○片山甚市君 行政の独善を防ぐために電気通信審議会がある、そういうことで、時折集まってもらって御意見を伺うという程度のものだというふうに理解してよろしいですか。
  134. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 非常に私のお答えの仕方が不適切でございまして、独善を防ぐだけのものではございませんでして、より進歩的な、物事を進める上におきまして、より高度な御判断とか御意見を伺うということがやはり電気通信審議会における位置づけとしては重要なものでございます。
  135. 片山甚市

    ○片山甚市君 また同じことを聞くんですが、今後の基本政策決定に決定的に影響を与えたと思われる二十一世紀に至る電気通信の長期構想についてですが、どの程度議論されたかということについての説明がありましたけれども、大体議論の内容について簡単でいいですからもう一度答えてください。議論です。決まったことは先ほどお話ありましたね。こういうようなことを答申されましたと。二十一世紀構想ですよ。それで、どういう議論があってやられたか。
  136. 小山森也

    政府委員(小山森也君) かなり長時間にわたります、しかも回数の多いものでございますから全部御披露するというようなことは到底不可能なんでございますけれども、一例を挙げますと、やはり日本の電気通信に競争原理を導入することがいいことかどうか。あるいは現在の電信電話公社が会社になるということが、それが果たして今後の日本のためによいかどうかというようなことを具体的にかなり深く御議論いただいているということを御披露しておきます。
  137. 片山甚市

    ○片山甚市君 別の情報によると、小委員会討議をまとめてそれを全体会議で追認するということを繰り返した中でこれがまとまったというふうに聞いていますが、その程度のものですか。
  138. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 確かに、この問題そのものがかなり膨大なものであると同時に、かなり専門的な技術の分野もございます。  例えば、これからのネットワークというものがどのような品質を保つべきであろうかというようなことは極めて技術的なものであると同時に、かなり高度な技術判断も必要であるというようなところから専門委員会を確かに設けてやっております。そういった専門委員会を設けた結果を総会に御報告していくという手順は何回かとっておることは確かでございます。
  139. 片山甚市

    ○片山甚市君 そういたしますと、基本政策に重大な影響を与えるような討議内容というものは、特にまとまった以外にありませんか。
  140. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 多分総会でそういう御議論があったかということではないかとも思いますけれども、確かに総会であるということでございますと、相当な突っ込んだ意見というものが出てまいったことは確かでございます。
  141. 片山甚市

    ○片山甚市君 そういう意味で十分であると私は思いませんが、これは議論を避けます。  私は、今までの議論を通じて、基本政策に対する十分な議論がないままに、その結果であるべき電電改革二法案のみが拙速に先行していると見られます。そういう意味で全く納得できません。どうして急がなければならないのか、この本末転倒を何としてもただすべきであるということで、先ほど大臣からお断わりいただいたように、十分な政策論議をしてもらうという前提で今後の電電改革の問題に入っていきたいと思います。大臣それでよろしゅうございますね。
  142. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 結構でございます。ぜひそういう形の中で御理解をいただきたいと思っております。
  143. 片山甚市

    ○片山甚市君 そこで、電電改革二法がまだ最終決定をしておらない、閣議決定をしておらない日程の中で、うわさによると、郵政省から関係団体に、この法案についての推進方をお願いしたというふうに聞いておるのですが、その本当の意味、そういうふうに聞いたんですが、その意味は何でしょうか。関係団体に法案の成立をお願いしたいというようなことをお願いしたというふうに聞いておるのですが、その本当の意味は何でしょうか。
  144. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 私どもの方からぜひというような話をしたようなことはございません。ただ、しかしながら、私どもの要綱とかいわゆる骨子案を出しました段階におきまして、今現在電気通信の現状というものは確かに技術革新にさらされておりまして、現在の公衆電気通信法の枠組みの中だけではなかなか現実の社会におさまり切れないということで、ぜひ改革を早くやってほしいというような意味での御激励、あるいは私どもに対するその骨子につきまして異論があるというような御意見、それぞれございましたけれども、そういった意味で、今の公衆電気通信法の世界というものを電気通信技術革新に合わせ、さらに社会の流れに合わせて改革してくれるようにという話は多く承っている次第でございます。
  145. 片山甚市

    ○片山甚市君 確証を得て何かとっちめるつもりはありませんけれども、いわゆる疑惑が起こることがないように、電気通信のあり方について論争があるときに、速やかにこの法案を成立するようにということを郵政省からお願いしたようなことが聞かれましたから、そのようなことが起こらぬように要望しておきます。今ないといっておるのですから、私聞いただけのことで確証を得ておりませんから、そういうことのないように気をつけてもらいたい。  その次に、公社総裁改正法案の骨子が出た段階で、記者会見などで既に具体的に改革されるようなことを言っておられますが、また料金値上げも示唆しておりますが、これは不謹慎だと思いますがどういうおつもりでしょうか。いかに個人見解と言い逃がれても、公の立場すなわち公社総裁としての立場を忘れることは極めて問題があると思いますがいかがでしょう。一民間の企業の社長ならともかく、公共サービスを提供する立場を自覚しているというなら、一ユーザーの利益代表みたいな軽率な発言はどうかと思いますが、総裁からのお言葉をいただきたいと思います。
  146. 真藤恒

    説明員真藤恒君) この間の記者会見で、いろいろな話をしております間に料金の問題のいろんな質問がございまして、個人的な見解という考えだということで話した一部がそこだけ取り出された記事になっておりまして、私も非常に迷惑しておる次第でございます。  もちろんそういうふうな私の記事に出ましたような考え方というのは、これから高度情報社会に合ったいろんな新しいサービスを本格的に世の中に利用していただくためには、一番先に私どもが最重点的に考えなきゃならないのは、物理的にいろんな性能を持った設備社会的な利用度に応じて適正な料金で、しかもそれが可処分所得の中で国内のどなたにも使っていただけるような形に持っていくということが今度の法改正についての、私ども当事者としての最大の課題だというふうに考えておりますので、そういう考え方の一環としていろいろ懇談的に話したものの一部が新聞に出たというのが事実ございます。  私どもが今度の法改正について一番深刻に考えておりますのは、そういうふうな料金体系にどういう手順でどう持っていくのか、また持っていけるような経営の運び方がどうなるかということが私どもに課せられた今度の新しい法体系の最大の責任事項だというふうに考えておりますので、そういう意味でいろいろ懇談した一部が出たというふうに御了解いただきたいと思います。
  147. 片山甚市

    ○片山甚市君 総裁の本音ですから、個人的に言おうと公に言おうと仕方ないんです。私たちとしてはそれは今の段階で非常に残念だと思います。私は法律が出ておりませんから法律のことについて踏み込んでわかったようなこと言わない、知っておっても言わないんです。きょうは総裁に対しては勇み足という感じのすることを申し上げて不満を表明しておきます。  衆議院の予算委員会、三月の二十九日における暫定予算の審議の際、大出質問に対して真藤総裁は、VANの外資規制については結果的にこちらの手を縛ることになるから不必要と述べたとのことであります。貿易立国のみを国益と考えている真藤さんにとっては、何でもコマーシャルベースでしかとらえられないと思いますが、そういうことで大体奥田郵政大臣よろしゅうございますか、あなたそれに同調しますか。
  148. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) きょう閣議決定を見たわけでございますけれども、電電関連二法案でございます。  その中では結局論議の末に内外無差別――これは二種事業でございます――という原則でやろうということで解決をしたわけでございますが、法案内容においては、これから国会論議を踏まえなきゃならぬわけでございます。しかし、真藤総裁が、こっちも将来乗り込むんだから向こうもある程度自由にさせてそこから初めて競争原理が働く、そういう意味合いにおいて外資規制はなくてもよかろうと言われたのも一つの見識であろうと思います。ただ、私たちとしては、緩やかながらも、原則は自由としながらも、まだ未成熟な分野であるという原点に立ってみれば、これは段階的に完全自由化の方向へ向かいつつも、緩やかな規制は担保しておくべきじゃなかろうかと言ったのが私たちの考えであったということでございます。
  149. 片山甚市

    ○片山甚市君 先ほどから申しますように、情報化社会における情報通信政策の中の基本政策が決まってないから、右に揺れ左に揺れ、いろんなことをおっしゃるたびに変わってきたと思います。出発点から今着地したところまで決して平たんではありませんし、それも政策立案をした人たちが変えたんじゃなくて、ほかの人たちの意見が右にも左にも寄ってきた。特にアメリカからも直接来られて、日本の法律の制定はアメリカの国益に関係するからこのような法律をつくらないでもらいたいということは、非常に強い調子で申し入れがあったことも記憶に新たなところです。そういう意味で、私は問題提起だけ本日して、もし法案が出てきました段階で私たち党としては議論をしていきたい。政府がどうお決めになろうと、日本の国益を守る、通信主権を守る、いろんなことがありますから、そういう立場からどうあるべきかということについて議論をすることについて言うまでもなく留保しておるところです。  そこで、時間が参りましたのでひとつお聞きをしますが、国庫納付金、料金値下げについてですが、昭和五十六年度から五十九年度まで、極めて問題のある法律による特別納付金は公社法に違反する性格のものだと思います。  当時の大臣はそれぞれ臨時特例的であり、二度とこのような納付金を取らないと明言していたにもかかわらず、また取られました。郵政、公社はそれぞれどのように対処してきたのか、また、その見解はどうか。簡単でよろしいから、明確に言ってほしい。
  150. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 今回の電電公社の臨時国庫納付金、現在国会で御審議中でございますところの昭和五十九年度財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置等に関する法律案、こういうのが提出されておりまして、これに基づきまして納付金の額が二千億円、こういうふうになっております。この納付金の二千億円は五十八年度に生じた経営上の利益から納付するということでございます。  これに対する考え方でございますが、先生指摘のように、既に四年間にわたりまして四千八百億円を納付したものでありますが、これから考えますと、郵政省といたしまして電電公社はその性格から受益者負担に基づく独立採算制のもとに経営されている。したがって、国庫納付という制度は本来なじまないと考えております。しかし、国の財政が危機的な状況にあるということから、大局的見地から国庫納付することもやむを得ないと考えた次第でございます。これもまた先生指摘のように、私ども願っているのは五十九年度限りの措置であって、二度とこのような事態が生じないような財政運営を切に望んでおる次第でございます。
  151. 片山甚市

    ○片山甚市君 歴代の郵政大臣はそのように言明しながら、厚かましくもむしり取りをやってきたのは事実です。五十八年度収支差額から納付させるということでありますが、収支差額はどの程度を予測し、収入支出別にどういうことになっているか、予算表がありましょうからお答え願いたいと思います。
  152. 飯田克己

    説明員(飯田克己君) お答えいたします。  五十八年度収入及び支出の見積もりでございますけれども、先生既に御案内のとおり、収支差額として千三百億円、これは予算で計上しております。その後サービスの向上あるいは経費の節減、そういったことを繰り返しまして、おおむね現在のところ五十八年度収支差額は三千四百億円と見込んでおります。
  153. 片山甚市

    ○片山甚市君 そうすると三千四百億円の中から現金で払うというように理解してよろしいか。――後で答えてもらいます。  電電公社の独立採算制とは収支差額が出たら国庫に召し上げる、赤字になったら料金値上げするということで大臣理解してよろしゅうございますか。小山さんの答えと違うことを聞くんですよ、大臣答えてほしい。
  154. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 結果的にはことしの収支差額というものが予定利益を大きく上回ったということは事実でございますけれども、基本的にはこれらの利益国民に還元されるべきものというのが公社の一つの根幹の制度でございます。しかし、今日の危機的財政を重んじて考慮した上で御同意を得たということでございます。
  155. 片山甚市

    ○片山甚市君 総裁は特別納付金についての考えについてお答え願えませんが、お答えできませんか。
  156. 真藤恒

    説明員真藤恒君) 過去四年間は千二百億ずつ四千八百億、これは資本勘定から納付しておりますが、今度は利益勘定から二千億というお話になりまして利益勘定から出すことにしておりますが、資本勘定からということになりますと、非常にこれは危険な考えでございまして、どういうふうになろうとも、取り上げようと思ったら取り上げられる形になってしまうわけでございます。利益勘定ですと、利益のある限りしか取り上げられないわけでございまして、今度の御措置は、当事者の私どもとしては、前のやり方よりも非常に合理的であったんじゃないかというふうに考えております。
  157. 片山甚市

    ○片山甚市君 納得しておるんだから、それでまた後で議論しますが、今年度料金値下げも公社は予定されてきておりますが、その上で納付金とともに国民政府に対して一定の還元がなされておることは御承知のとおりです。  そこで、これらを稼いできた当該の労働者に対しては、幾ばくかの措置をとられてきたか。それは、この間〇・七カ月分ですか、年度末手当を出したからそれでいいんだなどということになりませんで、それは専売も出しているんですから。そういう意味で、特に労働者への還元について、今の状態でよろしいかどうか。まず大臣からお答え願って、その次に総裁からお答えを願いたいと思います。
  158. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 今日はまだ、公社制度のもとで、そういった賃金もある程度の総予算の中で御審議を経て決められておるというような形態でございます。したがって、先般の期末手当においても、電電、専売はそういった別に納付金のことに関与したということだけで決まったわけではございませんけれども、期末手当においても他の現業と比べて最大の考慮を払っていただいたところでございます。また、今後起こるであろう給与のベースアップ等々に関連いたしましては、仲裁裁定ともなれば公労法の精神を遵守して誠心誠意当たっていくということでございます。
  159. 真藤恒

    説明員真藤恒君) 今度の期末手当では、専売と私どもはほかのところよりもそれだけのことをお認めいただいたことはありがたいと思っておりますが、今大臣がおっしゃいましたように、今年度の仲裁裁定ということについても、こういうふうにみんなが努力した利益勘定から納付しておるということを十分お考えいただいて、職員が働きがいのない職場だと思わないような御措置を切にお願いしたいと思っております。
  160. 片山甚市

    ○片山甚市君 大臣からお答えいただきましたが、もう一度確認しておきます。  既に出されております労働者の賃上げ要求に対し、仲裁裁定など一定の結論が出された場合、今お答えのように、その取り扱いについては少なくとも完全に実施をすべきものであるということで、この際、明確に御答弁を賜りたいと思いますが、いかがですか。
  161. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) ただいま御指摘のように、誠心誠意公労法の精神を踏まえて対処したいと思っております。
  162. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分より再開いたします。  休憩いたします。    午後零時四十五分休憩      ―――――・―――――    午後一時三十一分開会
  163. 大木正吾

    委員長大木正吾君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和五十九年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、郵政省所管及び日本電信電話公社を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  164. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 通信の問題、それから金利の自由化の問題、そしてニューメディア振興対策の問題等について、限られた時間でありますけれども質問してみたいと思います。  特に八〇年代の後半の米側の対日要求の一番大きな問題になってくるのは、通信サービス、あるいはまた金融サービス問題がやはり一番大きな問題になってくるのではないかということを私は強く感ずるわけです。こういうふうな問題については、特に今回電電の改革の問題等も含めてやはり郵政省がタッチをしなきゃならない問題点が数多くあると思うんですね。  そういうわけで、ここで通信サービスの問題がどういうふうに展開をされてくるかということは日本の国民にとっても大事な問題でありますし、先ほど来からもいろいろ議論されておりましたけれども、国益よりも外圧を利用してこの通信サービスの問題をねじ曲げようというような考え方に立ったならばこれは大変な問題にもなってくるわけでございますので、こういう点について、きょうは幸いに電電公社の総裁がいらっしゃいますので、いろいろ何点か――法案の中身の問題は、これから何か夕刻提出されるというふうなお話伺っておりますけれども、閣議了解も得ているそうでありますので、外側の問題、これから将来審議を進めていくわけでありますけれども、ずばり総裁の基本的な考え方について伺っておきたい、こう思うわけであります。  そういうわけで、きょう閣議了解をされた、あるいは夕方提出をされるというような話を伺っておりますけれども、電電公社の総裁としまして、この法案に至る過程において郵政省との話し合いは十分に行われたと、こういう考え方に立っていいわけですか。
  165. 真藤恒

    説明員真藤恒君) 郵政省との法案の打ち合わせということに対しては、まあこう言ったらなんだと思いますが、すべて、私どもの意見は全部討議の対象にしていただいたということで、その面に関しては私は郵政当局に、お世辞じゃなくて本当に感謝を申し上げております。これはもう徹底的にできました。
  166. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、電電公社総裁としまして、これは労使を含めて、賃金問題、あるいは雇用問題等も含めて、労使との間もうまく話がついて、郵政省とうまく詰めた、こういう考え方に立ってよろしいわけですか。
  167. 真藤恒

    説明員真藤恒君) 労使の間は完璧に話が了解されて完璧に同じ立場に立っているというふうにはここでは申し上げられないと。まだ詰めなくちゃならぬ、また話さなきゃならぬ問題がたくさん残っております。しかし、大局的には、こちらの方向へ動くということに対してはそう根本的な相違はございません。
  168. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 具体的な個々の問題については、これは法案の中身になってからいろいろ質問したいと思っておりますけれども、電電公社の総裁として、基本的に臨調答申を受けていろいろ総裁としても考えたんでしょうけれども、この改革案についてどういうふうな根本的な考え方に立ってこの法案を提出しよう、あるいは改革法案に対して電電公社総裁としてはどういう姿であればいいと、こう考えてこの改革法案を提出に踏み切ったわけですか。
  169. 真藤恒

    説明員真藤恒君) 御存じのように、現在急速な速さで世界じゅうが、特に先進国がいわゆる情報社会のあり方に変わりつつあるわけでございます。したがいまして、この情報社会への転換の仕方が上手か下手か、あるいは早いか遅いかということが今後の国際的な国同士の間の総合的な競争力という点で非常に大きな問題が出てくるのが予想されるわけでございまして、ことに日本のように貿易立国でないと成り立たない国ということになりますと、この国際的な情報、国内的な情報というふうなものをいかに上手に早く正確に集めてそれによって行動するかということが今後の大きな国の運命を左右するファクターになるということはどう考えてみましても否定できそうにございません。したがいまして、そういうふうな情報社会に適応するためには、やはり今までの公社制度、公衆法のあり方の中ではとても対応できないだろうということは簡単に予想されるわけでございます。  それともう一つ、高度情報社会と申しましても、私どもの持っております設備の物理的能力が技術の進歩で仮に高度な能力を持ってきたといたしましても、それを使う料金体系が、そのときの社会のニーズに即応した、利用価値に即応した料金体系で皆さんが便利に自由に料金のことは余りこだわらずにお使いになれるという形に持っていかんことには、できることと役に立つということはもう根本的に違う問題でございまして、私どもが一番今度の法改正に従って重大な責任を持たされるのは、いかにして可処分所得の中に入った合理的な料金体系で運営できるかということが私どもに課せられた根本的な問題だと思います。  そこへ持っていきますためにはいろんな経営上から見た前提条件がございますけれども、今度の法改正内容では、完璧ではないとは申しましても、我々に能力があれば何とかそういう動きができるであろうという可能性は持たしていただいたというふうに解釈いたしております。また、それだけに、私どもの責任は言いわけなしに果たさなきゃならないというところに追い込まれたというふうにも私どもは感じておるわけでございます。今までの公社制度ですと、全然この責任感が持てぬ、極端に申し上げますと、責任感を持てない形のいろんな情報がたくさんございましたけれども、今度はそうはまいりませんで、全部責任を持たなきゃならぬ、ノーエクスキューズだというふうに考えているわけでございます。
  170. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これはちょっと失礼な問題になるかもしれませんけれども、総裁がそういう考え方に立って今回の改革法案、郵政省と連携とっていろいろやられたわけでありますけれども、これ総裁常によく言われるように、後継者は役人出身じゃだめだと何か言った話をいろいろ聞くんですけれども、後継者問題等も含めて、電電の将来ということに対して総裁の見解をちょっと伺っておきたいと思うんです。
  171. 真藤恒

    説明員真藤恒君) 後継者問題についてはまだここではっきり具体的に私の考えを申し上げる段階ではないと思いますが、現在私どもの組織の中におります人間の素質、数というふうなものを考えますと、新しい環境の中に入っていくに従って適当な訓練、指導、それから自分自身の積極性というものがだんだん出てくれば、かなりのことには耐えていく能力は十分持っておる自信はございます。技術的な方面については全然心配しておりません。問題は世の中との対応ということにもう少し訓練が要るかと思います。
  172. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 もう少し訓練が必要だということは、総裁は常に私心を離れていろいろ事に当たっているという話をよく聞くわけですね、いろんな書物から見まして。  総裁がいずれ任期が来ることはもう間違いないわけですね。踏み入った話はできないと思いますけれども、電電改革をした後、たとえ法案がどういう形でどういうふうな国会の姿になるかわかりませんけれども、その後の問題が果たして総裁の思うような方向に行くのかどうかということについてはやはり後継者の問題等含めて、そこの今の電電公社の中で人は育っていると、こういう見解には立っていないんですか。
  173. 真藤恒

    説明員真藤恒君) これから先の経営の具体的なあり方ということは、社内の人間だけで経営の運営をやろうというふうに考えるのは、当面急速な切りかえをやるときにどうかなという疑問は持っております。  それと、今私個人のことに少し触れた御質問があったというふうに解釈いたしておりますが、私は実は今回電電をやめますと六回目の退職金をもらうような妙な経歴の人間でございます。今日まで六回退職金をもらうような原因をつくるときに、私はいまだかつて私が残りたいとか行きたいとか申し上げてそういうふうな結果になったわけではございませんで、全部私の人事権を持っておる方から、おまえあそこへ行ってくれ、これやってくれというふうに思いがけない命令を受けて転々としたわけでございまして、今度来年の一月で任期は参りますけれども、全部まだ公社制度の中でございますので、政府及び国会にお任せという心境でございまして、それ以外の考えは何も持っておりません。
  174. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これは非常に大きな改革でございますので、やはり初心を貫くというのか、やはり私心を持たれていろいろやられるような形になってくると非常にややこしい問題が出てくる。特に外圧等の問題が非常に厳しいいろいろなうわさをされているわけですから、電電改革法案のときにいろいろな点で私も議論してみたいと思いますけれども、具体的にこの改革、大ざっぱにいって改革をするとどんなメリットが国民に与えられる、どういうデメリットがあると、こう端的に考えていらっしゃいますか。――総裁でいいよ。細かな問題はいいから、総裁考えている問題だけでいいから。
  175. 真藤恒

    説明員真藤恒君) いまさっきお答え申しました中にも申し上げましたように、これから先の世界的な情報化社会の中の日本という立場から今度の法改正というものは今の時点でやっておかねばならないことだというふうに解釈いたしておりますので、デメリットということはそういう面から考えますと、何かありましても目的の大きさと比べますと比較にならないようなデメリットしか私の今の頭の中にはございません。  しかしながら、デメリットとかメリットとか申しましても自分のとっている立場によって主観的にどうでも変わる問題でございまして、さっき申しましたような世界の中の日本の電気通信事業の実質上、当分の間独占に近いような姿で移っていくと思いますけれども、そういう立場に立っております私どもとしては、やはり世界の中の日本の電気通信事業という立場から考えますとこれは必要なことであって、デメリットを比較するというふうな気持ちの上の余裕は私の自身の中にはございません。
  176. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 だから、国民サイドに立って、この改革をしたことによってどういうメリットが出てくるか、こういう点についてはいかがお考えですか。
  177. 真藤恒

    説明員真藤恒君) さっき申しましたようにメリットを私どもが出す責任があるというふうに考えております。客観的にメリットがあるとかないとかということじゃなくて、メリットを出す責任者としての覚悟をしなきゃならないんだというふうに考えております。
  178. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 その具体的な問題を詰めるのはまた別にしましょうね。  それから、これは子会社をどういうふうにつくっていくような構想を持っていらっしゃるのか、例えば株式会社となりますと出資条項とかいろんなことが出てくると思いますけれども、大ざっぱに言って、総裁経営感覚からいってやはり相当な子会社をつくっていくというような話も承っているわけです。そのことは果たして民業圧迫というか、これは今度民営になるわけですけれども、一般の民間企業あるいは通信業界との関係はどういうふうになっていくのか、あるいは国際電電との関係はどういうふうな問題になっていくのか、この点についての粗筋を伺っておきたいと思う。
  179. 真藤恒

    説明員真藤恒君) 今の御質問にどういう計画があるというふうに具体的にお答えできる状態にはございませんけれども、私どもが子会社をつくるという目的は、まず第一に本体のコストを合理的に下げる手段としてのものでありまして、しかもそれが本体の経営に足を引っ張るような危険の少ない考え方と経営をやることによって、職員に迷惑をかけずあるいは場合によっては本体におるよりもさらにいい状態に置くようなことを考えながら、本体のコストを下げるために子会社をつくるというのがこれが第一義的な問題でございまして、一般の既存の会社が自分の経営の業容を広げる、あるいはさらにマーケットシェアを広げていくというコマーシャルベースの子会社の創出というものとかなり違った考え方でやりませんと、ここで大きな失敗をしでかすだろうと思います。できた子会社が赤字の会社になってみたり、あるいは今おっしゃるように、いわゆる既存の企業に不当な圧迫を与えたり、過当競争をつくったりというふうなことになるかと思います。  したがいまして、私どもが子会社をつくるということは、私どもの持っておる人間の中に含まれている技術能力あるいは経営能力というものにふさわしい新しい情報化社会に向いていくにつれて出てくる新しい職業その他を主眼点として考えなきゃいかぬだろうと思います。  したがいまして、当分の間、私どもが独占禁止法の立場から見ますと本体は非常におかしな形になっておりますけれども、私どもが子会社をつくっていきますときに、できた子会社の業界の中においてもやはり独占禁止法的な考え方に矛盾しないような参入をしていくとか、あるいは企業を考えていくとか、あるいは企業の動きを考えていくとかということを慎重に考えながらやらなければいけませんのであって、ただ会社をつくって人を減らせばいいんだとか、あるいはもうけるなら自由にやったっていいじゃないかという単純な発想では絶対やってはいかぬ問題だというふうに私考えております。したがって、かなり時間はかかると思います。
  180. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 非常にこれは危倶をされている問題点があるわけですね。  それで、会社ができ上がりますと、やはりこれは法律が通るとひとり歩きするというのは、これは何の法律でも通しますとひとり歩きするわけです。総裁が永久に総裁をやっているんだったらその考え方がなかなか浸透すると思うんですけれども、そこらの歯どめというのはどういうふうな基準というか、どういうふうな方向性を示すのか、その点について、総裁
  181. 真藤恒

    説明員真藤恒君) これはやはり、この良識ということもさることながら、やはりいろんな相談の組織をつくり、世の中のコンセンサス、常識にチェックされながらやるということを自分みずからの組織の中に持たなきゃだめだと思います。
  182. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 民間出身の総裁ですからそういう点はよくわきまえていると私は思うんですけれども、そういう点についての危倶が将来起こらないように、法案審議との間にでもいろいろ質疑もしたいと思っております。  それから、例えば電話料金の問題一つを考えてみましても、これから東京―大阪間に、例えば国鉄の光ファイバーを通すとかという形になりますね。あるいは東京電力が、あるいは電力会社が主要なところを光ファイバーを通して回線をやるというような形になってきますと、電電公社側からすれば、国鉄で言えば、俗に地方のローカル線といいますか、そういう方面ばかりを受け持つような感じになってくるんじゃないかと。そうなった場合に、例えば、研究開発投資なんかの形はどういうふうなぐあいになっていくのか、この問題については、総裁、どうお考えになりますか。
  183. 真藤恒

    説明員真藤恒君) 今度の法案の中に、研究開発についての努力のあり方、考え方というものがはっきり明示されておりますので、その方針に従ってやっていくことになりますけれども、これは十分法案に明記してあるような責任は持てると思っております。それで、研究開発ということが、ある意味で言えば私どもの存在の、能力の基本になるものでございまして、これは我が身を守るためにもやらざるを得ません。
  184. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そこらが非常に心配な問題ですね。  それからもう一点、総裁いらっしゃるついでに聞いておきたいんですけれども、昨年訪米されましたね。このときの資材調達の問題で、アメリカ側とはどういうふうな話し合いが行われたんですか。また、どういうふうな決定が行われたのか。
  185. 真藤恒

    説明員真藤恒君) 去年の六月渡米しましたときには、専ら調達問題が――がたがた政治的に妙な空気が出てきたり、具体的な問題やいろんな誤解がございましたので、それを解くために向こうへ行きまして、向こうの関係のキーポイントにおられる方々に会ってまいりましたんですが、専ら調達協定の範囲内のことしか話しておりませんので、約束とか協定とかという、そういうものは一切やっておりません。主として我々の調達のやり方の説明をして歩いたということが現実の姿でございます。
  186. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 この資材購入のアメリカ側の要求に対して、本年度も相当高い基準で資材購入をするという、何かそういうふうな約束はなかったんですか。
  187. 池田勉

    説明員(池田勉君) お答えいたします。  現在私どものとっております資材の調達方法は、いいものであって安ければ内外無差別で買おうと、こういう基本方針でやっております。現在とっております調達の手続は、日米の交渉の結果、それから多国間でやっておりました政府調達協定、これを受けて決めた手続でございますけれども、私どものサービス自体が非常に多様化を望まれておりますし、技術も非常に広範になっておりますので、今やっております手続をスムーズに運用するのが電電公社にとっても非常にいいことだということでやっております。  こういうことで、私ども、新しい手続の普及にセミナーを開いたりいろいろやってまいりましたんですが、その結果、この手続を五十六年の一月からとりまして、初年度は外国からの購入が四十四億円でございました。それが二年目の五十七年は百十億円になっております。五十八年についてはまだ締めておりませんのではっきり細かい数字は出しておりませんけれども、ほぼ三倍ぐらいになるんじゃないか、そういうふうに思っております。
  188. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 基本的な問題だけきょうは伺っておいて、法案審議のときにいろいろ中身を伺いたいと思うんです。  総裁にもう一点だけ聞いておきたいんです。  通信衛星購入の問題について、例えば民営化が成った場合に、こういうふうな問題については、どう基本的にはお考えになりますか。
  189. 真藤恒

    説明員真藤恒君) 私ども今当分、具体的に通信衛星については国の宇宙開発政策大綱に従って進むということ以外には具体的なことはまだ考えておりません。
  190. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 郵政大臣、この通信衛星の問題についてはどういう考え方に立っておりますか。
  191. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) これはやっぱり宇宙開発を柱とした線で、このサテライト購入はなかなかアメリカ側の言うようにはまいらぬと思います。  ただ、新しい法案の作成を待って、これから民間の新しい参入してくる会社が、その通信衛星と申しますか、そういうのを購入するといった場合にはその可能性もあろうかと思いますが、しかし、今のところ自主開発ということで政府は臨んでおるわけですから、そう簡単にはまいらないと思っております。
  192. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 科学技術庁、この民間の問題等含めて自主開発方針はどういうふうに貫いていくのか、この点について。
  193. 森忠久

    説明員(森忠久君) お答えをいたします。  昨年夏以来、電電公社の調達問題がきっかけとなりまして、米国は我が国に完成した通信衛星本体を購入するよう求めてきたのは御承知のとおりかと思いますが、これに対しまして我が国は、我が国の国際的地位にかんがみて、これにふさわしい技術を身につけていこうという考え方に基づきまして、今御説明のございました自主技術開発ということをぜひ進めてまいりたいと考えておるわけでございます。この観点から、我が国計画として定めましたものにつきましては、完成した衛星本体を購入するというような考え方は今のところ持っておりません。  しかしながら、ただいま郵政省の方から御説明ございましたとおり、将来民間企業につきましては通信等に関する国内法制上の所要の手続をとる必要がございますが、そういった必要が生ずるにつれまして国の計画の枠外のものにつきましては外国から通信衛星を購入するというようなことにつきましてもその可能性が出てくるのではなかろうかと考えておるところでございます。
  194. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 その国の計画を、あなたでわかるかどうかわかりませんけれども、今世紀末までに大体通信衛星というのはどのぐらい必要と計画をしているんですか。
  195. 清水眞金

    説明員(清水眞金君) 今後二〇〇〇年までの間にどの程度のことをやるのかという御質問でございますけれども、我が国の宇宙開発は、宇宙開発委員会が今後十五年間の開発の指針を示しました宇宙開発政策大綱、これに基づきまして進めているところでございます。  それで、この宇宙開発委員会では、最近における我が国技術開発進展とか、あるいは世界の宇宙開発動向とか、そういうものを踏まえまして、一昨年九月に、長期ビジョン特別部会というものを設けまして、それの報告書が七月にまとまっておるわけでございますが、それによりますと、実用分野で大体二〇〇〇年までの間に五十個ぐらい、その中に通信衛星が幾つぐらいあるかということでございますが、そのビジョンにおきましては、現在開発を進めておりますCS3、既に上がっておりますのがCS2でございますけれども、その後通信衛星の四号が出てまいる、それからその他通信衛星に関しましては技術開発に必要な衛星等が考えられるだろうということがビジョンの中ではうたわれておるわけでございます。そういうものを踏まえましてつくりました大綱におきましても、通信とかあるいは放送とか、そういう各分野ごとの実利用分野の宇宙開発をきちんとやっていくと。そのために必要な衛星の大型化の開発とか、あるいはそういうものを打ち上げますロケットの開発とか、あるいはさらに、ちょっと御質問から外れますけれども、有人宇宙活動等につきましても鋭意やっていくという形になっておるわけでございます。
  196. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これ、放送衛星も含めて五十個必要だというわけですね。そのうち大体長期ビジョン委員会で自主開発方針で全部いくとはとってないわけでしょう。どうですか。
  197. 清水眞金

    説明員(清水眞金君) 今申し上げました五十個の衛星につきましては、一応自主開発でやっていくということを基本に考えております。
  198. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、私は素人で余りわからぬのだけれども、赤道上に大体百八十個ぐらいしか衛星は打ち上げられないという何か基準になっているそうですね。それが日本で五十ぐらい陣取り合戦しちゃうわけですか。具体的にどうなんですか。
  199. 清水眞金

    説明員(清水眞金君) 静止軌道に何個衛星が打ち上げられるかという問題は非常に技術的に難しい問題でございますけれども、今先生がおっしゃった百八十個と申しますのは、大体二度ぐらいないと電波が混線するだろうと言われていたところから出てきているかと思います。ところが、実際には電波の混線の問題でございまして、例えば一度違いますと距離的には約八百キロ違うということで、衛星が上空でぶつかるということはほとんど考えられない。したがって、あとは電波をどのように有効に使うかという問題でございます。したがって、少なくともそう心配はない。  それからさらに、今申し上げました五十個でございますが、これは全部が静止軌道ということではございません。正確には数えておりませんが、静止衛星はそのうち恐らく半分以下ではないかというふうに考えております。
  200. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、これ、自主開発で貫いていきますと予算上の問題も非常に大変な問題になってきますね。これは郵政大臣だけの管轄じゃないと思いますけれどもね。これ、自主開発とそれから商業衛星との問題をやはり立て分けてこれからのプログラムは考えなきゃならないんじゃないかと、こう思うんですけれどもね、基本的な考え方はどうなんですか。
  201. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 大変難しいんで、政府側から言うと、今のところ自主開発を柱としたということでございますけれども、やはり商業用衛星という形になった場合に、まあある程度実益的な採算度も考えていくということになった場合、アメリカからの既製品と申しますか、安上がりの既製品で間に合わそうという動きが強まってくることも他方当然でございますし、そういった形の中で、今の私の立場から言うと、ちょっとそう結論めいたことは言えませんけれども、将来方向としては当然出てくる問題であると思います。
  202. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これはアメリカ側の要求が相当強くなってくる、こう思うんですね。そのときに、科学技術庁にもう一つ伺っておきたいんですけれども、国産化率を高めるという方向に持っていくのか、あるいは衛星本体を買っていくという方向に持っていった方がいいのか、そのどちらを選択した方がいいのかですね。
  203. 清水眞金

    説明員(清水眞金君) 私どもは自主技術開発を進めていくという観点から、今先生のおっしゃいました二つの選択のうちでは、国産化率を高めて、いずれは自分のデザインオーソリティーで物事ができるようにしたい。ただし、部品等につきましては安くていいものは買っていく、そういうことでコストの低減等もあわせて考えていくという考え方でございます。
  204. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 現時点で、アメリカの宇宙衛星と日本の実用化とどの程度の開きがあるんですか。
  205. 清水眞金

    説明員(清水眞金君) 日本の宇宙開発の水準の問題であるかと思いますが、一言で言って、アメリカとはかなりな開きがございます。日本は、欧州、特にアメリカに比べましては、宇宙開発の着手が大分おくれたということがございます。さらに人材とか資金量も非常に少ない。資金量でいきまして年間で約十分の一程度でございますけれども、そういうことでございますので、米国からの技術導入を行いながら、早急に我が国の中に宇宙開発に関する基本技術を習得するということで進めてまいったわけでございます。その結果、かなり短期間ではございましたが、一応有数の宇宙開発国というところになってきたんではないか。例えば人工衛星の打ち上げの数でいきますと、アメリカとソ連に次ぎまして世界第三位というようなところになっております。それから、ロケットの打ち上げ能力につきましても、つい最近、ことしと昨年打ち上げましたNⅡのロケットでございますが、これでは、秒単位で非常に正確に安定して静止軌道に投入することができる技術を既に獲得しているというところまできていると思います。  それからさらに、今後の問題としましては、衛星の大型化と、それからそれを打ち上げるための大型ロケット技術の涵養というのが非常に大きな目標ということかと思います。したがいまして、先々月に改訂いたしました新しい政策大綱におきましても、限られた人材とか資金を有効に使いますために、既存のいろんな予定しておりましたものをやめまして、できるだけまず効率化を図ると同時に、衛星の大型化とロケットの大型化につきましては思い切った政策を打ち出した。それから、さらに言えば、宇宙有人技術でございますが、これはアメリカには極端におくれております。ここは、欧州の方も、やはり有人技術に関しましては非常に大きな期待と関心を有しておりますし、我が国もこれに負けずにやはり宇宙有人技術というものを確立していかなければいけない。そのためには、みずからの力でシャトルとかあるいは宇宙基地をつくるのは、なかなかこれはお金とか技術の面で難しいということでございますので、新しい大綱では、アメリカのシャトルを使っていろいろな実験をする、あるいは宇宙基地計画にできるだけ積極的に参加していくというふうなことで、当面、二〇〇〇年に至るまでの間はそういう技術を涵養いたしまして、その技術の次第でございますが、いずれはというふうなことも念頭には置いて技術の涵養に努めていくということを考えております。
  206. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これはまだまだ詰めたい、いろいろ話を聞きたいと思うんですけれども、時間が何せ限られていますので、話変わりまして金利の自由化の問題を一点だけ聞いておきたいと思う。  つい先般行われました円・ドル委員会における金利の自由化の問題、これはどういうふうな論議をされたのか、その問題についてちょっと伺っておきたい。
  207. 畠山蕃

    説明員(畠山蕃君) お答えをいたします。  円・ドル委員会の第二回目の作業部会を、先般、三月二十二、二十三日に行いました。ここでいろいろなテーマについて幅広く議論が行われたわけでありますが、中で、金利の自由化問題につきましては、アメリカ側は、預金金利の自由化の、上限の撤廃ということを要請いたしましたのに対しまして、我が方からは、金利の自由化につきましては、大口の譲渡性預金でありますCDというのがございますが、CDの一層の弾力的取り扱い、それから新商品の導入等によって大口預金金利の自由化を可能ならしめるような方向で対処してまいりたいというような趣旨の応酬がございまして、これについてはアメリカ側もおおむねそういうようなことを評価したというような状況でございます。
  208. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 金融サービスの問題、金利の自由化の問題は、いずれ今後の大きな政治課題にもなってくるだろうし、あるいはいろいろアメリカとの問題になってくることはもう十分考えられるわけですね。こうなった場合に、先ほどもちょっと同僚議員からも質疑が出ておりましたけれども、郵便貯金あるいは簡易保険あるいは郵便年金、こういう問題の資産運用と金利の自由化の問題をどう絡ましていくかということは、今から真剣に考えていかなきゃならない郵政省側としての問題ではないかと思うんですけれども、これはどう対応していこうとしているのか。
  209. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 貯金の問題からお答えを申し上げたいと思います。  金利の自由化、金融革新が進んでいると言われております今日、郵便貯金もこれに適切な対応をしていかなければならないわけでありますけれども、その場合、現在は規制金利ということで画一的な金利あるいは商品というものがあるわけでありますけれども、自由化になった場合には各金融機関が市場実勢というものを踏まえまして、あるいは営業政策というものも加味した形で独自に金利を決めていくということになろうかと思うわけでありまして、郵便貯金もやはりそういった形の金融サービスというものを提供せざるを得ないわけであります。先生指摘がございましたように、そういうふうに金利のサイドは市場実勢にリンクをしたような形にならざるを得ないとすれば、支払い元である運用の問題についても市場実勢とリンクした形の仕組みをつくらなければならないだろうと思っております。  したがいまして、実は本年度予算要求の段階におきましてその仕組みをつくるという意味で郵貯資金による国債の一兆円保有ということを提案していたわけでありますけれども、この点は今後の金利の自由化というもの、小口預金については若干先のような話もちまたに出ておりますけれども、私は、小口というものがどれだけのものを小口というかというと議論がございますけれども、非課税貯蓄を見ましても、貯蓄全体が五百兆、その中で二百二十兆からの非課税貯蓄があるという日本の現状等を見ましても、そう長期に放置しておけない状態になるだろうと思うわけであります。それに対する適切な対応のためにも郵便貯金のそういう仕組みというものを早急に考えていかなきゃならない、こういうふうに考えております。
  210. 奥田量三

    政府委員奥田量三君) 簡易保険郵便年金資金は、申すまでもなく任意の契約によりまして加入者、お客様からお預かりをした資金でございます。これらは将来の保険金の支払いに備えた加入者のいわば共同準備財産でございますので、できるだけ有利に運用をいたしまして、保険料を下げる、あるいは多額の分配金をお渡しするというふうに努力することが我々の任務であろうと考えております。そういった意味合いから簡易保険郵便年金資金につきましては、第二次大戦の終戦前後の例外的な期間を除きまして、郵政大臣がこれを運用をしてまいっているところでございます。  実際の運用の態様といたしましては、約三分の二強に当たる部分につきましては、財政投融資協力をいたしておりまして、そのほかの部分につきまして社債その他の形でできるだけ有利に運用をするということになっております。これにつきましては、ただいま三木委員指摘のとおり、金融の自由化、金利の自由化という時代を迎えまして、金利の変動もいろいろ起きる、また金利の違う多彩な金利商品が開発されるというような状況を踏まえまして、私どもがお預かりをしている簡保、郵便年金資金の運用についても一層工夫をして有利なものに持っていく必要があると考えております。  そういった意味からいたしましても、五十九年度予算編成過程におきまして、これら簡保、年金資金の運用範囲につきまして若干の拡大を図る、また現在資金運用部に預託しております余裕金について郵政省で直接運用をする、これらについて政府部内において折衝をいたしましたが、残念ながら今回は実現を見ておりません。私どもとしましては、引き続き、ただいま申し上げた二点を初めといたしまして、簡保、年金資金の有利な運用ということについて時代進展とともに鋭意努力をしてまいらなければならないと考えているところでございます。
  211. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 もう時間が来ましたので、大臣に結論的な問題を伺っておきたいんですけれども、やっぱりこの資産運用という問題は財投資金との関係があって、私は非常に難しい問題は十分わかるんですよ。しかし、この郵便貯金にしましてもあるいは簡易保険にしましても、やはり種類が限られてくるわけですな。民間の方はどんどんどんどんバラエティーに富んだいろんな商品を開発し、あるいは完全な自由化じゃないけれども、いろんな点で工夫をし、できるわけですよ。こういう問題と一緒になって競争しろと言ったってこれどうにもならないし、零細資金を預けている人たちに対するサービスの面から考えてみても、やはりもっとこれ政府として運用の問題についてメスを入れなきゃならないんじゃないか。財投の問題もいろいろありますけれども、ユーロ債の発行とかいろんな問題で今大騒ぎしているわけですね。民間企業だって金は余りもう借りたくなくて、むしろ返していると言った方が実情ですね。あるいは株式市場からいろんな点で資金が導入されてくるわけですね。  こういう点を考えたときに、やはり政府機関の資産運用というものはもっと合理的にやるべきではないか。こういう問題はやっぱり専門家がいろいろいるわけですから、いろいろな研究をし、アメリカ側の年金資金が日本にも大分投入されてきておりますけれども、それほどいかなくとも、いろんな方法で資金の運用という問題は、これはもう閣僚会議なりあるいはいろんなところで大きな議論をして、やはり問題を解決をしていくべきじゃないか。事務当局で幾らやると言ったって、これはなかなか解決できない問題じゃないか。むしろ経済閣僚懇談会ぐらいにこういう問題はやっぱりはっきりけじめをつけていく。最初から大きな金額ではなしに、資産運用がある程度はやれるという芽をつくっていくということは私は大事じゃないか、こう考えるんですけれども、これに対する答弁を伺って、もう時間来ましたので。
  212. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 大変な重大な、しかも大事な御指摘だと思うんです。現実認識からいうと、郵貯は少額貯金とはいえ、大変なたくさんの皆さんからお預かりして、しかも現在残高八十五兆を突破しておるという状態、簡保資金においても無審査という形の中で少額とは言いながら、もう二十二兆円の資金を持っておるという、まさにこれ二つ合わせただけで百十兆に近い、もう大変な資金でございます。しかも、こういった現状を踏まえて考えますと、金利の自由化という方向に世界は向かっておりますし、日本も当然そういった形の実勢に逆らうことはできないと思います。そういうことになると、今度のいわば日銀なり大蔵省なりが決めておる金利のガイドライン、これに郵貯も大蔵大臣との協議の過程の中で大体追随しておるというのが現状でございますけれども、それらの枠が、ガイドラインが取っ払われるということになった場合に、私たちはこの郵貯資金というものが財投に大きな役割を果たしているということを認識しながらも、やはり郵貯金利というものを国民利益のためにも守らにゃいかぬということになります。そうすると、今言ったような大きな形の資金が市場実勢に応じて動いていき、自主運用するということになった場合には、これはむしろ市場実勢を郵貯資金がつくっていくというくらいの巨大な力を持っているわけですから、これらの点も十分にやっぱり関係の大蔵当局とも相談をしてまいらなければいかぬ。しかし、先生の御指摘は正しいと思うんです。そういったガイドラインが払われるような自由化時代に対応すべく自主運用なり、そういった形の中でいつでも柔軟に対応できるという体制はとっておかにゃいかぬ。  そういうことになりますと、私たちが一部自主運用ということで自由化体制に対応していく、そういった措置をするためにも、これはもう絶えざる研究、勉強と同時に、そういった方向の実現のためには、まさにおっしゃるとおり政治課題であり政治決断を要する問題だと思いますので、これから経済閣僚懇等々の必要、折に触れてこのことは主張してまいりますし、またその実現を期してまいりたいと思っております。
  213. 服部信吾

    服部信吾君 それでは、初めに郵政大臣にお伺いしたいんですけれども、一昨日からいろいろと電電改革二法案、特にVANの問題等いろいろと注目されていたんですけれども、一昨日決着がつき、そしてきょう閣議決定されたと先ほどお話がありましたけれども、いろいろありましたけれども、大臣としては今回の決着が率直のところ採点しますと百点満点で何点ぐらいか、七十点ぐらいか、五十点ぐらいか、この辺のところをまずお伺いしたいと思います。
  214. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 何点くらいつけれるか、特に二種事業のVANの問題に関して。原則自由な方向で緩やかな外資規制を行政上担保しておく必要があるなと思っていたことが第一点、そして一部許可という形のものが登録になった、あるいは届け出ももう通告に近い届け出というような内容を加味した、そういった点はあります。外資規制が撤廃されたということ、内外無差別の原則に踏み切ったという形でございますから。本日の閣議決定を見た法案を私から見れば一体自己採点何点かと、基本的には合格点だと思うんです。  それは、はっきり言って、このVANという分野、これはコンピューターといわばコミュニケーション、通信との接合する分野の問題でもありますから、将来の二十一世紀の基盤づくりのVANの分野が電気通信政策の主務官庁である郵政省ということに落ちついた点を考えますと、七十点くらいで自己評価できると思うんです。
  215. 服部信吾

    服部信吾君 大変大臣の心強い答弁でございますけれども、その中で今回の決着でありますけれども、我々国民サイドから見ますと、これは余りこういうところで言っちゃあれでしょうけれども、通産省さんには勝ったけれども、いわゆる今言われた資本の完全自由化、こういうことを考えますと、何となくアメリカの圧力に負けたんじゃないか、こういう議論も出ると思いますけれども、大臣この点はいかがでしょうか。
  216. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 昨晩ですか、安倍外務大臣のところへアメリカのマンスフィールド大使が訪れられまして、そして聞くところによると、今回の事業法案の外資の規制が取り除かれるという形で非常に感謝をしておると。内外、できるだけ無差別の透明度の高い形で努力していただきたいというお話であったようでございます。今回の法案もそういった対米配慮がなかったかと言えばうそになります。  しかし、我が国が将来向かうべき方向としては、私も何もかたくなに外資に対する規制を主張しておったわけではありません。これがやはりまだ日本においては未成熟な分野であるということ、したがって外資というのは、アメリカを中心にして考えますと、技術的、資金的に全く成熟した分野の中からの参入でございますから、またこれが相当な力を持ったものであるということもある程度わかった上での法案措置であったわけでございますけれども、こういったこと等々から考えますと、今先生が御指摘のように外から見たら何か官庁間の縄張り争いじゃなかったか、何か通産と郵政がデスマッチを演じておったような印象があるという形の御批判を聞きます。しかし、私から言いますと、これはまさに通産と郵政が論争してしかるべき、いわば産業分野だと思うんです。これはまさにこれが情報通信処理であるか、単にコンピューターが持っておる情報処理のその分野に属するものであるかという形は、これはデスマッチを演じただけの、まさに未来の産業を左右するそういった大きな分野の問題でもございます。  したがって、私たちは、今回の法案作成の過程において、これが情報通信通信政策の分野であるということを明定されただけでも国民の皆さんには時間をかけて御理解を願っていただけるものと信じております。
  217. 服部信吾

    服部信吾君 大臣の御説明で大体理解しているんですけれども、特に外圧という面において、四月の三日の日にもアメリカにおいてスミス次席代表が大河原駐米大使に対して、全回のこの電電改革に対していろいろ公式の書簡を出しているようでありますけれども、この辺はどうなっておりますか。
  218. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 私もいろいろなアメリカの要人から要望――マンスフィールド大使やらあるいは通商部のそういった要路の皆さん、またブロック代表からは書簡もいただいたという経緯もございます。しかし、これらをいずれも余り深刻にとらえておりませんでした。  これはまあ話せば必ずわかる、日本だって決してそんな初めから尊王攘夷的な閉鎖的な考え方でおるんじゃございませんし、ただアメリカの実態と日本の対応ぶりというものが問題になっておったとしても、そのことだけで批判される問題ではない。ですから、これは関心事の要望だと受けとめておりました。これを圧力と受けとめるか、要望と受けとめるか、おのずから違います。もう期待を込めた要望だと私は受けとめておりました。もちろんこれは自主的に解決すべき通信政策、日本のまさに大きな神経にも相当する政策分野の決定の事項でもございますし、外圧として受けとめるということはございません。ただ、そういった要望あるいは期待を込めた期待感、それらを配慮した上での今回の法案の内容決定であるということで御理解賜りたいと思います。
  219. 服部信吾

    服部信吾君 それで、昨日マンスフィールド駐日大使が来られたようでありますけれども、この中で、今後この問題について日米の間で協議などを持とうと、こういうようなお話があったようでありますけれども、この点はどうなんでしょう。
  220. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 私もマンスフィールド大使と懇談申し上げた際に、これは私から全く私的な、お互いに政治家の先輩後輩同士ということでフランクに話したことでございますけれども、これからはときどきこういった問題でもお互いに話し合いましょうと、そういった形の政治家同士のレベルもあってもよろしいでしょうし、また技術者レベルの話し合いでもよろしいでしょうし、こういったことはやっぱり話し合っていくべきものだと。要求がましくお互いに言われたりするものじゃないし、そういったことをお話ししたことの記憶はございます。したがって、今後ともそういう方向で進みたいと私は思っておるわけでございます。
  221. 服部信吾

    服部信吾君 特に特別第二種VANですか、これを完全に自由化したということに対して、例えばATTとかIBMとか、これは御承知のように大変な巨大企業ですね。例えばIBMなんていうのは全部で従業員が三十四万人ですか、資産が二百九十六億ドルとか、あるいはATTというのは三十八万人とか事業収入が六百億ドル、とにかく大体今の電電公社に匹敵するような物すごい大会社ですわな、これ。特に先ほどから何回も大臣がおっしゃっていますように、二十一世紀の産業をリードするのはこの分野が非常に大きく占めると、こういうことを考えますと、今回の場合全く自由化となった場合に我が国の企業がどうなるか、こういう点についてはどのようにお考えですか。
  222. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) これは技術的な専門の分野の皆さんの御意見というものも私は聞いておるということで、私自体がこのVANの持つ威力、将来のこれが企業なり経済の面に果たす大きな役割り、こういったもの、本当の威力というものに関しては技術的にも定かにまだ理解できないところでございます。しかし、二十一世紀を待たずしてあらゆる分野の中で基幹的な情報サービス、高度情報化社会における一つのかなめの分野であるということの理解はいたしております。  したがって、今先生が御指摘のように、この大型VAN、これは登録今度せいということになります。しかし、外資も規制撤廃、したがって内外無差別の形ということになれば、外資のこの分野に参入されることは当然予想されます。予想されますと同時に、きょうの一部の新聞報道によっても、IBMがもう既に参入のニュースも流れておるわけでございますが、私はこの力というものは、決してこれは敵視した形で言うわけじゃありませんが、甘く見ちゃ大変なことだろうと容易に想像できます。ここに電電の総裁もいますけれども、これは絶対に負けませんと言って威張るかもしれませんが、私はIBMの持っているハードなりこの面におけるソフトの既に十数年の経験を経た形の実力というものは決して侮れるものではないだろうと、そういう意味合いにおいては、今後この外資産業がこの分野で果たす大きな影響力というものは相当なものであろうということだけははっきり言えると思います。
  223. 服部信吾

    服部信吾君 VANの専門誌というんですか、社団法人日本情報通信振興協会が出しておるわけですけれども、その中で、「このような状況下で、対内的自由化の実施と同時に形式的に相互平等主義の名の下に対外全面自由化を行なうことは、一方的に米国企業が圧倒的な立場で我国に進出することを意味します。これでは果たして「公正な競争」と言えるでしょうか。」、こういうようなことを述べております。そして、「万一にもこの問題は貿易摩擦緩和の一方便として扱われてはならない」、こういうことを言っておるわけであります。同時に、大臣の言われるIBMだとかATTがこちらへ上陸することによって、当然この目的として、お互いに競争することによってすばらしいものができていく、こういうことはわかるわけでありますけれども、当面の間例えばいろいろ業界の方からも外資規制は必要である、こういうようなこともあったようであります。そういうことで我が国企業を育成する。こういうような面から考えて、例えば大臣、これ言うとまたアメリカから怒られるかもしれませんけれども、一定期間いろいろな優遇措置なり、こういうものもある程度考えていいんじゃないのか、このように思うんですけれども、大臣どのようにお考えですか。
  224. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) しかし服部先生の御意見は痛いほどよくわかるんです。ですけれども、これやはり高度情報社会、多彩なニューメディアというものをやはり私たちの豊かな生活のために生かしていく、今後の経済発展にも生かしていくということになった場合、ここで内外無差別の立場に立って開放して、しかも競争原理の中で日本は産業も含めて適応力というものは抜群にあるということを信じております。だから、一時的なおくれを競争原理の中で追いついていく、勉強していくという面もあるんじゃなかろうかと期待もしているわけです。  いずれにしても、利用するユーザーの側である国民、企業のサイドに立った場合、この外資産業といいますか、こういう言葉自体が差別かもしれませんけれども、しかし、それらの蓄積されたノーハウ、それに追いついて、そして競争原理を働かした中でそれが国民利益に還元される方向であってほしいと期待いたすわけでございます。
  225. 服部信吾

    服部信吾君 大変大臣の御答弁、自信があるようでございますのでひとつよろしく。  少し細目についてお伺いしたいんですけれども、特に国民が大変心配をしているのは、例えば民営なんかになったときに天災だとかいろいろなことがあったときに従来どおりこれいろいろやってくれるのか、こういうような問題、あるいは今いろいろ問題になっているようでありますけれども、特別第二種事業、これは登録制、あるいは一般第二種事業、これは届け出制というような形になったようでありますけれども、例えば登録制の場合にいろいろ出された場合にノーと言う場合はあるんですか。
  226. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 登録の場合は拒否することがございます。
  227. 服部信吾

    服部信吾君 それはどういう条件でどういう場合にそういうふうな……。
  228. 小山森也

    政府委員(小山森也君) この法律または有線電気通信法もしくは電波法の規定によりまして罰金以上の刑に処せられて、その執行を終わり、またはその執行を受けなくなった日から二年を経過しない者。それから登録の取り消しを受けて、その取り消しの日から二年を経過しない者。それから第三点としまして、法人または団体であって、その役員のうち、今申し上げました二点の一に該当する者。この場合には登録を拒否することになっております。
  229. 服部信吾

    服部信吾君 それは一般と特別と両方とも同じという意味ですか。
  230. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 登録制をとっておりますのは特別第二種でございますので特別第二種だけでございます。
  231. 服部信吾

    服部信吾君 はい、わかりました。  あと、先ほど言った天災とか事変、こういうときにはどういうような対応を行うんですか。
  232. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 「重要通信確保」という項がございまして、「電気通信事業者」、これは全部でございますけれども、「天災、事変その他の非常事態が発生し、又は発生するおそれがあるときは、災害の予防若しくは救援、交通、通信若しくは電力の供給の確保又は秩序の維持のために必要な事項を内容とする通信を優先的に取り扱わなければならない。公共の利益のため緊急に行うことを要するその他の通信であって郵政省令で定めるものについても、同様とする。」と、こういうような条項を設けてございます。
  233. 服部信吾

    服部信吾君 それから、特別第二種事業と一般第二種事業との区別、ボーダーというんですか、この辺はどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  234. 小山森也

    政府委員(小山森也君) これは政令によって決めることとされておりますので、まだ明確ではございませんが、大体の方向といたしましては、不特定多数の方を相手にして業とするもの、しかもこの規模が一定以上の規模であるということをもって特定と一般とに分けるということにしております。  それじゃその規模というのはどういうのかといいますと、いわゆるどれくらいの容量で何回線ぐらいというようなことになりますが、これは今まだ決まっておりませんので申し上げるような段階になっておりません。
  235. 服部信吾

    服部信吾君 次に、電電公社の改革について、新電電会社と民間企業との公正な競争を確保する観点からの新電電に対しては第二種事業に相当する事業分野の分離、すなわち現行のデータ通信設備サービス部門の分離が要望されているが、現在、郵政大臣及び総裁の見解をお伺いしておきます。
  236. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 今もう既に電電公社の中ではこのデータ処理の分野に働いておる技術職員というのはもう九千名以上と聞いております。正確な数字は今総裁からお答え願うことにさせていただきます。今のところ新会社発足の中でこの分離の問題というのは考えておりません。しかし、将来問題として、今先生の御指摘になったような分野に関してはいろいろな正常な競争原理が働かないじゃないかという論議等々が起こってくることは当然予想されるところでございます。したがって、見直し規定、新しい会社、五年の見直し規定がついておるところでございます。
  237. 真藤恒

    説明員真藤恒君) 私どもが現在やっておりますデータ設備作業といいますものは、今度の新法案では大部分がいわゆるVAN業務ではないというふうに除外された部門の仕事でございまして、VAN的なファクターが入っておりますのはまだわずかなものでございます。したがいまして、この問題をVANという面から考えるのじゃなくて、データだけの、いわゆる情報処理だけの業者と私どもの立場が公正な競争原理に立っておるかどうかという観点からこの問題は研究するつもりでございます。したがいまして、今ここでどっちをどうするということをはっきり申し上げる段階にはまだ立ち至っておりません。VANじゃないよ、VANのカテゴリーの中に入れないよということが決まりましたのはここ数日、二、三日前からでございますので、まだ全然考えておりません。
  238. 服部信吾

    服部信吾君 このデータ通信設備部門ですけれども、当面はしないということですけれども、現在ここは大分赤字なんですか、これ。この収支どうなっておりますか。
  239. 松尾士郎

    説明員(松尾士郎君) データ通信事業収支状況と今後の見通しにつきまして若干御説明申し上げます。  公社データ通信事業推進するに当たりまして健全な事業基盤の確立あるいは経営基盤の確立は非常に急務であると考えておりまして、収支改善につきまして今までさまざまな改善施策を講じております。そういった収支状況も逐年改善されておりまして、データ通信事業全体といたしまして――と申しますのは設備サービスと回線サービスの二種類あるからでございますけれども、全体といたしましては昭和五十六年度には単年度収支均衡を達成しております。設備サービスの方につきましてはその時点で赤字でございまして、その後、設備サービス単独での収支均衡を達成するという目標で各種の収入が増大した、あるいは支出の節減をしたと、これを積極的に講じてまいりました。その結果、五十六年度収支率は一三四%でございましたけれども、五十七年度には一二三%と、一一%の改善を見ておるところでございます。今後、さらに各種の収支改善施策を実行いたしまして、五十九年度には単年度収支均衡を図ろうと、こういうことで一生懸命今努力をしているところでございます。
  240. 服部信吾

    服部信吾君 それから、新電電会社が電気通信機製造部門に進出すると、こういうことで民間企業も大変心配をしているわけなんですけれども、郵政大臣及び総裁、これ新会社がこういうような部門に進出することはないかどうかお伺いしたいと思います。
  241. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 何せ公社が新会社になるということになりましても、公共的性格は依然として持っていただかねばなりませんし、しかも持てる力というものはまさにマンモス的な企業でもございます。したがって、今通信機器業界等々がやはりこういった機器製造部門にまで手を出されるということになると、産業界の今までの既成秩序というものが非常に大きく混乱するということで、私たちの方にもそういった形の要望があることは事実でございます。これは新会社になってから投資のある程度の自由も当然民間会社でございますから保障されるわけでございますけれども、しかし私の方にはそういった事業計画というものに関してやはり郵政大臣の認可条項にもなりますし、そういった業界分野のいたずらな混乱を起こさないでやっていただきたいというのが本旨でございますけれども、それらの問題については既に公社総裁も業界のそういった懸念等におこたえになるような形で意見を開陳されておられますから、その点についてはまた総裁から承っていただきたいと思います。
  242. 真藤恒

    説明員真藤恒君) 製造分野に私どもが手を出しはせぬかと、郵政の方に業界からそういうことはさせぬようにしてくれという御要請があったということも聞いておりますが、私どもは世の中に電気通信設備を提供する業種でございまして、設備に使う機材というものについてはあくまでもこれは買い手の立場に徹するというのが原則だと思います。  もし、私どもがイージーに製造会社の小会社を持つとかいうふうなことになりますと、えてしてつくられた値段で買うという危険性が多分にございます、要するに高買いをさせられる。一たん何かの機種でそういう会社の製品を高買いいたしますと、ほかの製品にもそれが非常に大きな悪影響が出てまいりますので、ユーザーの立場で、買い手の立場でみずからが小会社を持つというのは、これは一般の経営の原則からいいまして非常にまずい手でございまして、一番いい例が、アメリカのAT&Tの小会社のウエスタン・エレクトリックが今回御存じのような分離分割で一番ひどいダメージを受けているということのようでございますが、これなんか明らかにユーザーの小会社であったというのが能率がよくなかったんだという一つのいい証拠でございまして、私どもはその轍は踏むまいというふうに考えております、原則論としては。何か特殊な理由があって、またやむを得ずそういうふうな小会社の形でやらざるを得ないようなことが起こらぬとは言えませんけれども、しかしそれは特殊な場合で、非常にスケールの小さいものにしか適用されないだろうと思います。ですから、毎日使っているようなものを自分の小会社でつくらせるということは、ここまで発達してきた日本の通信機械工業界の状態からいいまして現実的ではないというふうに私は考えております。
  243. 服部信吾

    服部信吾君 時間がありませんので次に移りますけれども、自動車電話についてちょっとお伺いしたいんですけれども、三月八日から全国広域サービス、こういうふうになったわけでありますけれども、その概要と今後のサービス地域拡大について、それから、自動車電話サービスを開始してからもう四年たっているわけでありますけれども、その収支状況、これはどうなっておりますか。
  244. 草加英資

    説明員(草加英資君) お答えいたします。  自動車電話は、昭和五十四年十二月にサービスを東京二十三区で開始して以来約五年になりますが、現在五十九年三月末で市制施行都市の約半数に当たる三百二十九都市でサービスを提供しておりまして、加入数は全国で現在約二万七千でございます。  今まで地域ごとに自動車電話のサービスを提供しておりましたが、ことしの三月八日に地域指定全国サービス方式を採用いたしまして、自動車からかける場合は全国へかかるわけでございますが、また、全国からかける場合でも加入電話からはかかるわけでございますが、自動車が全国へ行った場合もそのサービス提供は受けられるような形にいたしました。  それから今後でございますが、五十九年度は、釧路、秋田、和歌山、松江、高知、鹿児島、那覇と、約五十一地区のサービスを提供いたす予定でございまして、これによりましてすべての県庁所在地級都市で御利用いただけると同時に、札幌―東京―熊本間の主要幹線道路に沿っておおむね連続的に御利用いただけるという予定でございます。さらにその後、逐次国道一から十三号等の主要幹線道路に沿った周辺都市へのサービスエリアが連続するよう配意しながら導入していきたい、このように考えております。  次に、収支でございますが、収支につきましては、現在逐次地方へ投資をいたしておりますので、収支率はまだ現時点では百五、六十%でございますが、六十二年度から三年度にかけて単年度、また、六十五、六年度にかけて累積の黒字に持っていきたい、このように考えているところでございます。
  245. 服部信吾

    服部信吾君 これから大いに経営努力をしていただきたいと思いますけれども、この自動車電話が無線を利用している、こういうことでこれが盗聴されている、こういうことがいろいろと言われております。秋葉原とか、そういうところにそういう機具を売っておる。私、横浜なんですけれども、きのう横浜で、そういうあれがあるか、盗聴できるかと言ったら、自動車電話の盗聴のあれはこの機械ですということで、僕は写真とってきたんですけれども、これ一万二千円で売っているんですね。こういう事実をどのように把握しておられますか。
  246. 桑原守二

    説明員(桑原守二君) ただいま先生の御指摘ありましたような受信機が売られていることを、私どもも新聞、雑誌等の広告で存じております。  現在の自動車電話方式は小ゾーン方式といいまして、これは電波の有効利用を図る目的でございますが、電波の届く基地局からの範囲を小さくしまして複数の基地局でサービスエリアをカバーするようになっております。また、一つの基地局から複数のチャンネルの電波が出ておりまして、自動車電話の方ではその複数の中から一つのチャンネルを自動的に選びまして通信を行うようになっております。したがいまして、ある特定の方が通信しておりますのを的確にそのチャンネルを選び出して傍受するというのは、なかなか難しいようにはなっております。しかし、先生指摘ありましたように、その特殊な受信機を用いまして意図的に何とか傍受しようというものを、技術的になかなか完全にそれを避けるというのは難しいという状況でございます。  チャンネルを選びました後でその中身が聞かれてもわからないような特殊な変調方式を採用することも可能でございますが、それを行いますと、どうしてもその装置が現在のところはまだ高く、また通話の品質も若干落ちるものですから、現在のところはそれを全面的に使用するまでには至っておりません。今後も引き続き、そういう秘話性がよくてまた品質が悪くならないような装置の開発を進めているところでございます。しかし、特に秘話を絶対必要だという方は、その通話のチャンネルが設定されまして電話機と電話機がつながりました後で、そのような装置を電話機のところに挿入していただきまして秘話を行うということは可能でございますので、そのような装置の御紹介、あるいはあっせんということが行えるように現在措置しているところでございます。
  247. 服部信吾

    服部信吾君 要するにこれは盗聴できるということですか。
  248. 桑原守二

    説明員(桑原守二君) 特定の方のものを選んで盗聴するというのはかなり難しいと考えております。
  249. 服部信吾

    服部信吾君 特定の方と言いますけれども、実際に前に車が走っていて、ある程度後ろからあれをしておいて技術的にできるというんですよ。この点はどうですか。
  250. 桑原守二

    説明員(桑原守二君) 先生指摘のように、その自動車の後ろにすぐついておりますと、その同じ基地局のエリアにはあると思いますので、先ほどの小ゾーンという問題はまず一つは解決するわけです。そうしますと、その複数のチャンネルの中でどのチャンネルで通話が行われているかというのを選び出すのがかなり難しいかと思います。
  251. 服部信吾

    服部信吾君 ということは、やっぱり盗聴がある程度技術的にやればできると。私、横浜ですけれども、横浜あたりでは、そういうことで、おい、おまえ自動車電話に気をつけろよというような話を実際に言われているわけですよ。だんだんそういうことが広がってきたら大変です、これ。そういうことで早急に処理をしてもらいたいと思います。  と同時に、先週か先々週のテレビの「西部警察」というのがあるんですね。これは日曜日なんですけれども、石原裕次郎が非常に人気のある番組だそうですけれども、その中でもこういうような、要するに盗聴の電話があって、そして事件を起こしたと、そういうようなことも出ているわけですね。そういうことで、これはやっぱり早急に何らかの対策をしないとあれだと思います。国際電電なんかでは何か秘話何とかという形でいろいろやっていらっしゃるんでしょう。この辺はどうですか。
  252. 桑原守二

    説明員(桑原守二君) 国際電電でもそのような、例えば衛星通信というようなものはやはり電波を使いますのでどうしても傍受されやすいということから、やはり同じような研究を続けております。  それで、先ほど申し上げました電話機と電話機がつながりましてから特殊な秘話装置を挿入してというのはやはり同じような原理でございまして、その通話の、中身の技術的な話で恐縮でございますが、周波数のいろんな成分をごちゃまぜにしまして、単純な受信機で聞いたのではわからないようにすることは可能でございます。ただ、それが現在のところはまだワンセット、一対向で二十万円ぐらいの値段になりますことと、それからやはりそういうごちゃまぜにしてそれをまたもとに戻す過程でどうしても品質が少し悪くなりますものですから、ただむやみにそれを挿入した方がいいということにはまだ技術的になかなかならないものですから、さらに先生指摘のようなことで、今後そのような欠陥のない秘話装置というものの開発に向けまして努力してまいりたいと思っております。
  253. 服部信吾

    服部信吾君 ですから、たしか警察なんかではそういう装置をつけていらっしゃいますな、無線に関しては。  それと同時に、やっぱり一般の国民の方々がこの自動車電話を利用するときに、例えば盗聴されるというおそれがあるんですよということを売るときに、これはやっぱりある程度言ってあげるのが親切じゃないか。ですから、本当にそういうことで技術的に――ちょっとこれ、きのう一万二千円で買ってきましたけれども、これだって、買いに行ったら、もうすぐ、ああ自動車電話の盗聴のあれですね、こう言われるわけですよ、向こうの人は。これは横浜ですからね。ですから、ちょっとこれを高級に何かして高い物を買ってやりますとできるようになると。  また、後ろから行って、車が後ろから盗聴できるようなことになったらこれは大変だと思うんですけれども、そういうことはやはり加入するときに利用者の方たちにそのぐらいのことを言ってあげるのはあれじゃないかと思うんですけれども、この点はどうでしょうか。
  254. 草加英資

    説明員(草加英資君) 先生の御指摘ごもっともと思いますが、現在まだそれほど盗聴ということがポピュラーになってないときに、盗聴されるということをまたあれするのもいかがかと思いますので、むしろ技術開発の面でそういう問題を解決していく方が筋じゃないかと私ども思っております。
  255. 服部信吾

    服部信吾君 要するに、そういう事件が起きてないとか、そういうあれが発生してないとかいろいろ言いますけれども、実際にこういうコンバーターというやつが大変売れているそうですよ。ということは、これはやっぱりみんなが利用して使っている、こういうことじゃないですかね。  で、なかなかまだそういう被害が出てこないと申しますけれども、やはりこれからこういう時代になってきますと、どういうあれでどう利用されるかわからないと思うんです。そういうことで、この問題に対して大臣、何かひとつこれから今後ひとつこれ大いに検討してもらいたいと思うんですが、どうでしょうか。大変ですよ、これ。
  256. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 結論から申しますと、これは大変なことだなと、今お聞きしていて思ったんです。町で市販して一万円くらいで買えてきて――いや、私もよく自動車電話を使っていろいろ用を足しますから、そんなことが一々盗聴されているというような形になりますと、これは個人のプライバシーということじゃなくて、特に公的の車両の場合なんかは非常に国益というか公益性も大変な問題だと思うんです、単に売れるから、便利だからということじゃなくて。通信にとっては一番脆弱な分野は、盗聴されるとかいろいろな分野というのはこれは機器にはつきものですけれども、それを守っていくのが通信事業を営む者の使命感でもございますし、責任でもございますから、そういうことで便益性だけでこうどんどん売っていくという形は、厳にそういった秘密、個人のプライバシー、そういったものも考えた上の信頼、安全性を加味した上でひとつ将来の自動車電話の普及に当たってほしいなと切に思います。
  257. 服部信吾

    服部信吾君 ですから、確かに個人で何かつけますと、そういうことは傍受できないような装置があるそうです。十三万とか非常に高いそうですから、何か電電あたりでそういうことを考えていただければと思います。  時間がありませんので、次に、最後になるんですけれども、先般テレトピア構想というものが出されました。いろいろ国民の方も期待しているようでありますけれども、地域指定についてはどういう条件でなされるのか、ちょっと簡単にお伺いしたいんです。
  258. 小山森也

    政府委員(小山森也君) まず時間的なスケジュールでございますけれども、地域指定するのは本年度の後半になりまして、六十年一月から三月の間になろうかと思います。その前に、テレトピアというのは、いわゆる住民のニーズにこたえて、国主導というよりか、むしろ各地の都市づくりの方から来ます各地の地方主導型でございます。そこで、地方の団体が一体どういうことがこのテレトピアにふさわしいのかということがまず理解されて、その基本に沿って基本計画を作成いただくということが必要でございますので、そういったものをまず地方のいろいろな地方公共団体等に理解していただく基準をまず出すべきであろうと考えて、これは近日中にやる予定でございます。その後で指定基準というものをつくりまして、その中から五十九年度中にモデル都市全国十カ所程度を指定していく、このようにしたいと思っております。
  259. 服部信吾

    服部信吾君 十地域指定するようでありますけれども、例えば指定された場合、それに対する財源とか、そういうものはどういうようになるんですか。
  260. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 具体的な財源というのは一般会計からは極めて少ない経費しか出せません。ただ、しかしながら、これは電電公社のINS計画等も含めた総合的な通信計画でございますので、そういった意味におきまして、電電公社のINS推進計画予算、これが三千八百億ほどあるんでございますけれども、その中から優先的に使用していくということ、それから財投の低利財投、これを優先的にあっせんしていくということを考えております。
  261. 服部信吾

    服部信吾君 まあ募集したところ大分人気がよくて九十九社ぐらい何か応募があるようですけれども、この資料見させていただきましたが、例えばこの中には、「参考資料1」の中に、「地域における情報通信機能高度化等の動向」ということで、プロジェクト名として横浜の「みなとみらい21」計画とか、それから川崎の「マイコンシティ開発計画」、こういう例が――例と申しますか、参考資料に出ているわけですけれども、こういうところは優先的に指定されると、こう考えてよろしいわけですか。
  262. 小山森也

    政府委員(小山森也君) このような計画は方々でございまして、具体的に優先するかどうかということは今ちょっと申し上げる段階じゃないんでございますけれども、要するに、テレトピア懇談会といいまして大臣の諮問機関、ここで指定基準を推選していただきますので、それを見た上で、私どもとしては行政の立場からの責任ある指定基準をつくって、それに合うか合わないかということでやっていきたいと思いますので、先ほど申し上げましたように来年の一月ぐらいになるのではないかと思います。
  263. 服部信吾

    服部信吾君 でも、ここに出ているあれは有望と、こう見てよろしいですね。
  264. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 今そういった御返事できる段階じゃないので、非常に申しわけないんでございますけれども、何とも申し上げられないという御返事さしていただきます。
  265. 服部信吾

    服部信吾君 はい、わかりました。  終わります。
  266. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 まず大臣に伺いますが、大臣の基本姿勢、特に憲法に対する態度はどういうことですか。
  267. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 平和憲法を遵守してまいるのは当然だと思っております。
  268. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 中曽根首相は三月三十日の予算委員会で、いわゆる有事法制の研究を促進すると言明をされたわけでありますが、郵政省所管の法令を含むこの有事法制、これについては我が党は一貫して、憲法に挑戦をするものであり、かかる研究は直ちに中止をするよう主張してきたものであります。  ところで、防衛庁おられますか。――この有事法制研究、特に他省庁法令に関係する第二分類研究、これは現在どのような状況段階にあるのか、御説明いただきたい。    〔委員長退席、理事片山甚市君着席〕
  269. 古川定昭

    説明員(古川定昭君) 御説明いたします。  現在有事法制の研究につきましては、五十六年四月に第一分類につきましての防衛庁所管の法令の中間報告を申し上げて以来、現在は他省庁所管の法令についての第二分類の研究を行っているという段階でございますが、現在私どもの立場から拾い出した関係法令の条文の解釈や適用関係につきまして、関係省庁にお尋ねしたり照会したりというようなことで、現在作業しておる段階でございます。第二分類につきましては、八項目ぐらいの大きな分類に分けまして現在進めておりますが、全部で七十項目ぐらいの項目数をそれぞれのところにお願いして御検討いただいておりますけれども、今のところ何らかの御回答といいますか、御協力をいただいて得ておりますのは、まだ七割ぐらいの進捗を見ておるという段階でございます。
  270. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 約七十項目、そのうちの七割程度の回答を得ておる、こういう状況の模様でありますが、そこで郵政省、どういう照会を受けてどんな回答をしていますか。お答えいただきたい。
  271. 奥山雄材

    政府委員奥山雄材君) 先ほど防衛庁からお答えがありましたように、有事法制に関する研究は総理大臣御了承のもとに防衛庁において研究が行われているというふうに承知しております。防衛庁から先ほどお話がございました第二分類に属する一省庁といたしまして、郵政省関連の法律につきまして、「天災、事変その他の非常事態」における通信確保の解釈につきましての照会を受けているところでございます。
  272. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 その照会を受けてどういう内容の法令について郵政省としては検討をやっているんですか。
  273. 奥山雄材

    政府委員奥山雄材君) 郵政省所管の有事法制に関する研究の一環にかかわっております法令といたしまして、電波法、有線電気通信法、公衆電気通信法の三法でございます。
  274. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 既に五十六年の五月十二日の当逓信委員会で当時の我が党の山中逓信委員指摘をしたところでありますが、雑誌「国防」、昭和五十二年の三月から五十三年の十月にかけてずっと連載で、当時の宮崎陸幕監察官が、自衛隊について電波法の適用除外、電波統制権を自衛隊に持たす必要があるということなどを提唱されておるんですが、こんなことも含めて郵政省は今検討やっているんですか。
  275. 奥山雄材

    政府委員奥山雄材君) 郵政省といたしましての防衛庁からの照会に対します検討内容につきましては、先ほど申し上げましたように、「天災、事変その他の非常事態」における通信確保という現行法令の解釈についてでございます。    〔理事片山甚市君退席、委員長着席〕 具体的に電波法に即して申し上げますと、電波法七十四条に、「郵政大臣は、地震、台風、洪水、津波、雪害、火災、暴動その他非常の事態が発生し、又は発生するおそれがある場合においては、」「必要な通信を無線局に行わせることができる。」という場合のいわゆる下命通信と言っております条項についての解釈でございます。
  276. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 電波法は具体的に七十四条というこの条文を特定されたわけですけれども、公衆法、有線電気通信法についてはどうでしょうか。
  277. 奥山雄材

    政府委員奥山雄材君) 「天災、事変その他の非常事態」における通信確保という解釈に関連いたします条文といたしましては、有線電気通信法の十五条、それから公衆電気通信法の六条等がこれに該当するものと考えております。
  278. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 今は「天災、事変その他の非常事態が発生」云々と、この関係での検討をそういう形で項目を挙げられたわけですけれども、その他、有事法制の一環として郵政省として検討されておる分野はありますか。
  279. 奥山雄材

    政府委員奥山雄材君) 有事法制に関する研究はあくまでも防衛庁において行われるわけでございますので、郵政省といたしましては他の省庁と同様に政府の一員としてこれに協力する立場をとっておりますので、それ以上のものはございません。
  280. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 今当局から、防衛庁の照会を受けて郵政省として検討しておる幾つかの項目の報告があったわけでありますけれども、また最近幾つかの新聞が、有事法制研究を今秋をめどに国会へ中間報告をするという報道があります。もちろん関係省庁間の意見調整等で時期は固定的には言えないにしましても、防衛庁としてはできるだけ早くこの中間報告が出せるよう望んでおるんですか。
  281. 古川定昭

    説明員(古川定昭君) 現在鋭意作業を進めておるところでございますが、中間報告をいつ出せるか、あるいは早く出すつもりはあるのかというお尋ねでございますが、私どもとしましては、研究がまとまり次第国民の皆様の前に明らかにしてまいりたい、こう考えております次第でございます。
  282. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 お聞きをするところによりますと、有事法制研究なるものは昨年の暮れの段階で防衛庁が照会をしておる七十項目のうち、全省庁にわたってですけれども、三割方この回答が出ていた。それが今の段階で、さっきの答弁にもありましたように、七割方の回答が出てきている。このことは、逆に言いますと、郵政省についていえば、奥田さんが大臣に就任をされて以降三割方から七割方にかなり早いテンポで――これはしかし郵政省だけじゃありませんよ。郵政省も含めて全省庁にわたってでありますけれども、そういうテンポで有事法制研究が進行している。このことを数字的に示しておるものだと思うんですけれども、冒頭私はあえてこの憲法に対する御見解を聞いた。平和憲法を遵守をしてまいるというふうに明言をされたわけでありますけれども、省内でそういうふうに事が進んでおるということもよく承知をなさっておるのか。そして、平和憲法を遵守するという立場が本当にそのことであるならば、こういった作業については中止をされてしかるべきではないかというふうに私思うんですけれども、大臣の所見はどうでしょうか。
  283. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 今そういった研究を当省の管内でもやっておるということは今聞いたばかりでございますけれども、しかしこれはあくまでも天災、緊急時に限ってという官房長答弁にも示されるとおりであろうと思っております。  有事ということの定義がいろいろあると思うんですけれども、いずれにしても当省が所管しているということになれば緊急時における天災時を含めての通信関連であろうかと思いますけれども、もちろん法制上の問題もあることでしょうし、関係省庁ともよく検討いたさなきゃならぬ問題だと思います。とりわけ前段でお答え申し上げましたとおり、憲法の精神に立脚した上でそのような形の基本検討は行うべきであろうと思います。
  284. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 省内でそういうことが進んでいるのをつぶさには知らなかったというふうにおっしゃったんでありますけれども、私は事柄は非常に重大でありますので、一遍大臣としてもよく状況の把握、点検に努められたいというふうに思うんでありますが、知らなかったということでは済まない問題が今起きかけようとしているんじゃないかという問題を一つ提起をいたしたいと思いますが、四月五日付の日経新聞に、ごらんと思いますが、この問題の電電民営化二法案、これにかかわって最終的な政府と自民党首脳の折衝に入るという局面で藤尾自民党政調会長から幾つかの裁定案といいますか、大詰めでの意見が出たと。その中の一つに、「大規模災害や有事の際、電気通信回線を公共用に優先的に利用させる」、こういうのが四つほどあって、それを受けて「政府はそれに沿って法制化を急ぐ。」ということになったと、こういう記事。藤尾さんの方から裁定のポイントというのが囲み記事でわざわざ出ておる、こういうのが。ごらんになっていると思いますが。これが私はこの有事法制を先取りをするようなことが今度の民営化法案の中に入ってきているんじゃないか。もしそんなようなことになればこれは大問題というふうに思いますので、一つはこの法案の今私の指摘しておることとの関係では、それがどういうふうに決着したんでしょうか。
  285. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 新法案におきましては、先ほども申し上げたところでございますけれども、「重要通信確保」という第八条というのにあります。ここにおきまして「電気通信事業者は、天災、事変その他の非常事態」云々と書いてありまして、ちょっと読み上げますと、「天災、事変その他の非常事態が発生し、又は発生するおそれがあるときは、災害の予防若しくは救援、交通、通信若しくは電力の供給の確保又は秩序の維持のために必要な事項を内容とする通信を優先的に取り扱わなければならない。公共の利益のため緊急に行うことを要するその他の通信であって郵政省令で定めるものについても、同様とする。」と、こういった「重要通信確保」という欄がございます。八条第一項でございます。これを電気通信事業者の取り交わします約款の中でこういったものを審査すると、要するにそういった項目が入っているということについては許可をする条件の中にこの項目があるかどうかということを審査すると、こういうことでございます。したがいまして、これにつきましては従来の公衆電気通信法その他と同様な形になっているわけでございます。
  286. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 ただいま第八条を読み上げられたわけでありますけれども、私がお尋ねをしておるポイントは藤尾政調会長がかくすべしというふうに提起をした、この有事の際に優先使用ができるようにというふうに藤尾政調会長が提起をされたそのことは法案の最終決着に入ったのか入らなかったのか、この点についてお答えください。
  287. 小山森也

    政府委員(小山森也君) ただいま申し上げました第八条はもともとあるわけでございます。このもともとある第八条第一項を今度は電気通信事業者の約款の中に入っているということを条件にしたことによって新しい法律案ができ上がっております。
  288. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 有事という文言は使わないけれども、その精神、考え方は今度の法案の決着においても、そして事業者の約款においてもそれを入れていくんだと。こうなりますとこれは私は事は重大だというふうに思います。事実上の有事立法の先取りじゃないかというふうに思わざるを得ないわけでありますけれども、後からこの民営化二法案の問題については私少しく触れますけれども、この問題も含めていよいよもってこの二法案、もう一遍白紙に戻って再検討、やり直してもらう必要があるということを強く特に大臣に申し上げておきたいということで次の問題へ移りたいと思います。
  289. 小山森也

    政府委員(小山森也君) ただいま有事ということと、このこととつなげた形での御発言でございましたけれども、これはいわゆる非常事態ということでございまして、これは何も自衛隊だけということではないということを申し上げておきたいと存じます。
  290. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 自衛隊だけではないと言ったって、自衛隊も含むということになるわけでありますから、そう言われましても私の意見は同様であります。繰り返しません。  それでは次の問題ですが、通信衛星の自衛隊利用にかかわる問題でありますが、この件での五十九年度予算案内容ですね、防衛庁の関係、それから電電公社の関係、それぞれどういう内容で額幾らとお答えください。
  291. 鈴木正孝

    説明員(鈴木正孝君) お答えいたします。  通信衛星「さくら二号」を使いましての自衛隊関係の五十九年度予算案内容でございますけれども、硫黄島の通信整備関連経費といたしまして通信専用料といたしまして約一億六千六百万円、それから通信機器購入費といたしまして五千二百万円ほどでございまして、合わせまして約二億一千八百万円ほど計上してございます。
  292. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 電電公社の予算におきましては、予算の性格上これだけに幾らというような形は立てておりません。要するに電電公社の予算の立て方といたしましては電信電話施設費、これが一兆二千五百十四億円ございます。これはいわゆる利用者側からの電話等の申し込みがあったときにそれを敷設していくための経費でございまして、この全体の中に含まれていると理解すべきだろうと思っております。
  293. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 予算書の上ではそういうことでありますけれども、大体この硫黄島の地上局をつくって通信衛星の自衛隊利用の道を開くというこのことにおおよそどれぐらいの予算の見積もりをしておるんですか。四億から五億ぐらいでしょう。
  294. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 私どもの理解といたしましては、この一兆二千五百十四億円というのを、私どもの政府の立場としてはこの中に含まれているという理解でございます。
  295. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 公社の方、お答えください。
  296. 草加英資

    説明員(草加英資君) お答えいたします。  電電公社といたしましては、硫黄島の自衛隊からの加入電話の御要望は聞いておりますが、現在まだ正式申し込みは受けておらない段階でございます。したがいまして、申し込みが出た場合には、公衆電気通信役務を提供する適当な手段がないために通信衛星利用することも技術的には考えられますが、この場合は平和目的の利用との関連があるので、公社としては政府の御指導を得つつ対処していきたいというふうに考えております。したがいまして、先ほど電政局長からお答えがありましたように、全体の予算の中の幾らということは特定していないのでございます。
  297. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 なぜそんなに隠さなくちゃいかぬことなんでしょうかね。申請が出ていないというのは、御存じのように、国会決議との関係でいろいろ問題になっているから予算執行をしばらくペンディングという議運の扱いになっているという問題であって、きのう公社に聞いたときには四億から五億といったじゃないですか。そんなことを隠してみたって始まらぬわけです。  そこで、防衛庁が使いたいというふうに希望しておる回線は、一般加入が四本、専用線が十四本ぐらいですね。その使用の目的、それから回線の区間といいますか、硫黄島からどこまでと、それからその回線の規格、この点について御説明ください。
  298. 鈴木正孝

    説明員(鈴木正孝君) お答えいたします。  硫黄島と本土間におきまして、一般管理的な業務、あるいは航空機の管制業務、あるいは航空救難、その他気象データ等の送受信につきまして使用いたしたいというふうに考えております。また、電話やファクシミリ等に使用いたします規格の回線ということで使用したい、借用したいというふうに考えておるわけでございます。また、場所を本土側のどこへつなぐかということでございますけれども、いろいろとあそこには海上自衛隊の航空基地分遣隊、あるいは航空自衛隊の基地という形で存在しておりますので、その辺の主要部隊間を本土側の市ケ谷あるいは入間、府中あたりが一つ考えられるわけでございますけれども、その辺につきましては今案といたしまして検討、調整している、そういう状況でございます。
  299. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 そこで、腹案として考えているということでありますけれども、今も説明がありましたように、この専用線の規格、内容、これに単なる普通電話だけじゃなくて、データ通信やファクシミリ、こういうものも含まれていると。こうなると、これはいよいよ軍事的通信の疑いというものがその面でも濃厚になるわけでありますけれども、さらに重要な問題は、その専用線が大部分市ケ谷、一部府中へというふうに言われておる、これが一つの重要なポイントになってくるのじゃないかというふうに思うんですね。で、府中というのは各航空団の上級司令部、航空総隊司令部があると、またアメリカ軍と共同使用のバッジシステムが置かれているわけでありますけれども、ここへつなぐと、こうなりますと、ここから例えば横田などのアメリカ軍の第五空軍司令部、こことつながっていくと、こういう流れになっていくわけでありますから、そうした点で質問をするんですが、この専用線は硫黄島にも米軍がおると思いますけれども、米軍もこの専用線を使うのかどうか。それから、府中のバッジシステムにつなぐのかどうか、つなぐという案を持っているのかどうか、この点についてはどうなんでしょうか。
  300. 鈴木正孝

    説明員(鈴木正孝君) 米軍に関しましては私ども承知いたしておりませんけれども、府中につきましては、あそこに気象関係の部隊の統合中枢的なものがございますので、先ほどお話ししましたように、硫黄島には航空管制、救難等必要なものがございますので、それに絡みましていろいろと航空気象等含めましてデータを必要とするということで考えておるわけでございまして、あとそれがどのように具体的にどこにつながっていくかということにつきましては、先ほどお話しいたしましたように、詳細につきましては調整、検討中と、そういうことでございます。
  301. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 大臣、お聞きになっていて、なかなか事は重大だというふうにお感じにならないでしょうか。今防衛庁の答弁としては、米軍の関係については承知していないと、こういう言い方ですけれども、米軍が使うとか、この回線のシステムが米軍の関係ときちっとつながっていくとか、そういうことはないというふうには断言をされないわけですね。この点に実はこの問題がこの国会決議にもかかわらず軍事目的に使われていく危険を大いに含んでいるということで、今度の国会でも大きな一つの論争点になっているということかと思うんであります。  そうした点で、私は重ねて大臣に申しておきたいわけでありますけれども、御存じのように、一九六九年のあの宇宙開発利用は平和目的に限るというこの国会決議に照らしても、私ども共産党はこの予算自体の削除を要求しているのでありますけれども、議運といいますか、議会全体でも大いに問題ありということで、現在衆議院の議運にペンディングになっておる問題であります。今後とも大臣としてはこの国会決議を遵守するという立場に立って、国会の同意なしにはこの問題の予算を一方的に執行するということはしないということを、この中には私には何の関係があるんだろうかということでない、この公社の予算も含めての硫黄島におけるこの問題の予算でありますから、こうした点で国会の同意なしに一方的に執行することはしないということで、大臣としてきちっと重ねて約束を願いたいというふうに思うんですが、どうですか。
  302. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 公社としては、これはあまねく公平、無差別の原則に立って役務を提供しなきゃいかぬという義務があります。したがって、自衛隊といえども一加入者という地位に立って役務提供を申し出た場合には、公社としてはこれを断るということはできません。恐らく公社もそういった形のことを踏まえて予算準備をしておるんだろうと思います。しかし、今仰せのとおりCS2の利用に関しての国会決議があるわけですから、私としては国会決議の推移を見守ってまいりたいと思います。
  303. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 決議の推移を見守ってまいりたいと、こう言われると、ちょっとそうですかというわけにいかぬ。この国会決議を守るという立場で、この問題の扱いについては国会の同意なしに――もうこれ早晩、参議院の予算案の採決日ということも話題に上っていますし、あるいは自然成立が一定の日が来れば云々ということが言われている。こういう状況のもとで、とにかく国会を通ったからということで野党側の同意のないままに政府だけで一方的に執行するということはゆめゆめなきようにということで念を押しているのでありますから、その点についてお答えいただきたいと思います。
  304. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 政府としては、自衛隊の公社からの役務提供は別に国会決議に反するものじゃないという大体統一見解を持っておるわけなんです。ところが、他方今問題になっているのは、それでは国会決議に違反じゃないかという形で今現在ペンディングになっておるわけですから、その扱いの推移を見守りながら対応したいということはいいんじゃないでしょうか、尊重して推移を見守っていくということですから。
  305. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 議運の結論に従うということですね、いわば。
  306. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 発言を求めてから……
  307. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 推移を見守っていくということでございます。
  308. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 同じ問題について念のためお尋ねをしますけれども、電電公社総裁、もちろん公社としては電気通信をあまねく提供していくという、こういう立場からの事業計画をなさっておるわけでありますけれども、このことが行き着く先実はそうしたさっきから申し上げておるような大変な政治的論争を呼んでいると、こういう状況であるので、国会の同意なしに一方的な作業に入ると、工事に入ると、こういうことのなきよう、総裁としても対処をしてもらいたい。念のためお尋ねをしておきますが、どうですか。
  309. 真藤恒

    説明員真藤恒君) よく郵政省の御趣旨に従って動くということよりほかに方法はございません。
  310. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 三月の十六日に公社から申請が出まして郵政省として認可をされた一連の電話工事料の値上げの問題について次にお聞きをしたいと思います。  まず、この改定による増収はどれくらい見込んでいるのですか、電電公社。
  311. 山本千治

    説明員(山本千治君) お答えいたします。  約三百億と見込んでおります。
  312. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 この値上げ考え方は、工事実費に見合うものだという一応の説明がされておるのでありますけれども、しかし国民の方の負担はそういうことで納得ができるような内容になっているかという問題でありますが、一例として親子電話で直営の場合の工事料ですね、これはこれまでの二千五百円が八千百円に引き上がると、まずこの八千百円のこれの根拠というか理由、ひとつ御説明ください。
  313. 山本千治

    説明員(山本千治君) お答え申し上げます。  今の八千百円に入ります前に、先生もお話ございましたとおり、私ども工事料金の算定に当たりましては、実費ということを基礎にいたしまして、御利用いただく皆さんに御負担いただくという考え方で定めているんでございますが、何分にも今のもののほとんどの工事料金が四十八年度に設定されたものが多うございまして、こういったものでの実際の工事の料金との乖離が大きいということが大きな理由でございます。  また、今お話のございました親子電話につきましては、先生お話しのとおり三倍強の値上げということに相なっているわけでございますが、御承知のように工事料は人件費、いわゆる広い意味での人件費あるいは材料費といったものから構成をしておりまして、この十年間におきます人件費というものは、現行料金設定当時に比べましてやはり同じオーダーになっているかと、かように考えております。  御指摘の親子電話につきましても、先ほど来申し上げていますように四十八年から据え置いておりまして、その間の工事に携わる人々等の人件費の大幅な値上げというものが効いておりまして、そういった料金の組み立てによったということと、もう一つはこれは親子電話の場合もそうでございますが、工事の実態をいろいろと調べてみますと、私たち四十八年以降とりましたいろいろの施策がございまして、そういったものを合わせましても、従前の工事料金の算定よりはもう一歩改善した方がよろしいといったような観点から、かような金額を設定した次第でございます。
  314. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 それでは、この普通電話の電話機六五三A型、これの購入の単価は幾らですか。
  315. 山本千治

    説明員(山本千治君) ちょっとお答えが、私からかどうかあれでございますけれども、ちょっと手元に資材の関係のものを用意してまいっておりませんものですから……。
  316. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 調べてください。
  317. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 五千八百円というふうに伺っています。  この親子電話機の耐用年数はどういうシステムになっていますか。
  318. 山本千治

    説明員(山本千治君) 私どもとしては九年を見て計算をしております。
  319. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 さらに、この親子電話の付加使用料、これは一月に三百円、間違いありませんね。
  320. 山本千治

    説明員(山本千治君) はい、そのとおりでございます。
  321. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 そうしますと、この九年なら九年間の耐用年数になっていますから、その間の付加使用料総額というのは月三百円掛ける十二カ月掛ける九年、三万二千四百円、さらに先ほどの工事料、これが値上げをされて八千百円、合わせますと四万五百円、これが個人の負担になるというこういう計算になります。そうしますと、この五千八百円のこの電話機、これを大幅に上回るそういう改修をこの公社の側はやると、逆に言えばそれだけ負担が国民に押しつけられると、こういうことが一体まかり通っていいのかというふうに私は思うんでありますけれども、この工事料が実費負担をしてもらうという、こういう考え方だというふうに言うのであれば、この電話機についても実費相当分、これを九年間で分割をすると、こういうやり方で計算をしていきますと、言うまでもありませんけれども、五千八百円を十二カ月で割り九年で割ると五十四円ということになる。ですから、月三百円取っているのを五十四円程度まで引き下げればそれで実費はほぼ償えると、こういうことになるんじゃないかというこういう論法というのは当然出てくるわけですね。ですから、そうした点で、今回のこの値上げの検討に当たってこの付加使用料の値下げをむしろこの際ひとつ検討の俎上に上せるということがなぜ行われなかったのか、総裁どうでしょう。
  322. 真藤恒

    説明員真藤恒君) 今御質問の点、私まことに相済みませんが細かく私自身調査しておりませんので、ここでちょっと御返事いたしかねる状態でございます。
  323. 草加英資

    説明員(草加英資君) お答えいたします。  先生指摘の付加使用料の三百円はいわゆる電話機の物品費だけで成り立っているのではございませんで、資材を買ってそれを営業、さらに永久に保全、保守をするということを全部保証いたしまして計算いたしますと三百円と、こういうことになるわけでございまして、物品の価格だけの改修ですと先生のおっしゃるような考え方も成り立つかとも思いますが、レンタル料金の仕組みがそのようになっておりますので御理解いただきたいと思います。
  324. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 理解ができませんね。その実費を負担をしてもらうと、こういうことを言うんですから、当然計算上はそういう理屈になるじゃないかと、しかもこれはたまたま親子電話を一つの例に挙げているわけでありますけれども、私がいただいております資料によりましても、主な工事料金の改定状況、主なということでありますから、これだけでも十五種類一覧表でこういう形で一斉に値上げをやると。さらに聞くところによりますと、まさに主なであってこのほかにもたくさんある。こういうのががあっとこの時期に民営化法案が出てくるそのいわば先駆けといいますか、こういう形で出てきているという問題でありますけれども、私は別に真藤総裁をどうこう非難をする目的で言うわけじゃありませんけれども、これだけ一挙にたくさんの料金値上げを公社の関係でやるこの問題について、ちょっとつぶさに調査をしてないからと、こういう総裁の御答弁については私はちょっといただきかねるというふうに思うわけであります。  大臣、先日この委員会でも審議になりましたNHK料金大臣も新大臣の初仕事が料金値上げというのは大変心が痛むと、こういうふうにおっしゃってたんですけれども、この値上げは公社から申請が出て、最後は大臣が認可されたんですね。心は痛まなかったですか。
  325. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 私が認可いたしました。詳細については後で政府委員からさせますけれども、大体値上げは好ましくないことは当然ですし、心を痛めたということについてはNHKより多少ちょっと楽な気持ちだったことは事実です。  ということは、公社は去年、ことしに至っても値下げを随分断行しているんです。私が大臣になってからも中距離料金の値下げを今国会で御審議願うことになりますけれども、これに関しては六段階を四段階に直して、しかも中距離料金の大きいところは三割近くの大体値下げを今度の法案で御審議願うことになっております。  したがって、公社の場合、今まで赤字部門であってもなおかつ公共的にはこれはどうしてもやらにゃいかぬというそういった公益性の面から言って、多少利益の効率もよろしいということでやっておったわけでございますけれども、恐らくその工事料金あたりは前から相当これ赤字出費をあえてやっておったという形であったと思うんです。ですから、これで上げる収益が三百億ということでございましたけれども、実際は中距離料金の今度の値下げだけでも大体一千億、そういった形から見ますと、あながち上げる一方という形の性格ではない。しかもそういった意味においては、効率的な営業の面においても労使一体になって努力をしてきておる。今までどちらかというとでこぼこの面の一つの地ならしということで一概にこの面だけをとらえて公社けしからぬと言うわけにはまいらぬ。だから、NHKより多少良心的な面ではあれだったという理由もそこにあるわけでございます。
  326. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 幸いみずから一つの例として引用されたわけでありますが、この市外電話とか中距離電話については値下げをする。だから値下げをやる、できるものについてはそういう例もあるんですから、私はこの親子電話の付加使用料一月三百円というのはどう見たってこれは高い、電電公社がちょっとぼり過ぎている、こういう点で、これについては一遍値下げ問題を検討の俎上に上せるということを――だからともかく検討する、このことをやってもらいたいというふうに思うんですが、大臣どうでしょうか。
  327. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 私だけでどうこうするわけにはいきませんけれども、そういった御趣旨を踏まえてよく話し合ってみたいと思います。
  328. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 親子電話を一つの例にしていろいろ申し上げたわけでありますけれども、さっきも言いましたようにこれだけでも十五種類、こういう値上げが一斉に出てきているということで、こうした問題は今回の民営化法案、これを機に端末機等の保守販売部門、これもどんどん切り離していくといったようなことも前提に含んだ、そういう中での先ぶれ的にこうした問題が出てきているということじゃないか。したがって、いわゆるこの電電公社の民営化が国民にもたらす結果というのはこういう形で国民への負担増となって押しつけられていくに違いないというふうにこの一事をもってしても私は思うんです。  それで、この国民負担ということとの関係でもう一つ聞いておきます。  真藤総裁にお願いしますが、四月の四日の記者会見で、市内通話ですね、市内電話についての料金の見直し、すなわち値上げです、内容は。こういう意向をほのめかすそういう記者会見をされたという記事が新聞に出ています。この事実はどうなんでしょうか。
  329. 真藤恒

    説明員真藤恒君) 記者会見で懇談的にいろいろ将来のINSになっていくときの料金体系の話が出まして、その話の中で、現在この三分十円の領域の中の収入とそれから経費というものは全国的に非常に大きな赤字になっているんだ。で、その赤字を長距離料金利益でもって補てんしているというのが現在の公社の経営実態であるということを説明いたしました。それで、それじゃ赤字の市内料金上げるのかという話になりまして、いやそう簡単には考えていないんだと、いろいろもっと複雑に考えないと簡単にはまいらぬと、しかしいずれとにかく現状では市内の三分十円、一時間二百円という料金赤字であるということははっきりしているんだということを話したんですが、そういうのが新聞でああいうふうに書かれて私は迷惑しておる次第でございますが、しかしながら三分十円の領域の中の収支はかなりの赤字であるということだけはこれ事実でございます。
  330. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 経営の実情を説明したと、こういうことであって、市内通話料の値上げを検討を始めているということではないというふうに確認してよろしいですね。
  331. 真藤恒

    説明員真藤恒君) そういうふうに御了解いただきたいと思います。
  332. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 そこで、さっきも申しました工事料の大幅値上げ問題、これが電電二法案の本質を示す大きな一つの内容になるんじゃないかということを言ったわけでありますけれども、本日の閣議でついに電電二法案の内容について決着し、政府として国会への提案手続をとるということにななった模様でありますけれども、この二法案が国民生活と日本の将来にもたらす影響はまことに重大なものが予想をされます。  思いつくだけ、簡単に、ごく要点的に指摘をするだけでも、一つは、赤字の国鉄と違って膨大な黒字収益を上げているこの電電公社を民営化するということは、民間大企業の大もうけに道を開く以外の何物でもないんじゃないかと。二つ目に、料金などの国会統制が外れるのでありますが、その行き着く先は、今も例に挙げたごとく、あるいは既に法定制を外れた国鉄が毎年のように料金値上げをしておることでも明瞭だと思います。三つ目に、今日でも大企業にはデータ通信など出血サービスをすると。こういう例が示します将来の高度情報社会のバラ色宣伝とは逆に、電気通信事業が一層大企業奉仕のゆがんだ姿になっていくということではないかという問題。四つ目に、電気通信事業国会の統制を外れて、きょうも別の角度から取り上げましたけれども、軍事的利用の危険が急速に増大をするんじゃないかと。五つ目に、今日までの経過の中でアメリカが内政干渉とも言うべきいろんな介入的言動をしてきたわけでありますけれども、これに対する政府の対処というのが毅然たる対処になってないと。結局日本の政治、経済、文化の中枢神経とも言うべき我が国通信主権、これが今後大きく脅かされていくんではないか。さらに六つ目に、きょうも指摘しました有事立法先取りの危険さえ含んでいるんじゃないか。七つ目に、同僚委員指摘もありましたように、この国民生活と日本の将来にとっての重大問題が全く国民の意見も聞かないまま、一部の財界代表や官僚などの手によって一方的に進められてきたというこの経緯。八つ目に、しかも事実経過が示しますように、政府各省庁間においてもまた与党の内部においても重大な意見相違が露呈をしてきておったんですが、全く糊塗的な妥協の形で問題の決着が図られておるという、こういうことで果たして本当に国民に責任を負った政府提案になっているかどうかと、こう考えざるを得ないわけでありまして、こうした以上の点から本日の閣議決定は撤回をして、ひとつ白紙に戻って再検討を政府としてはしてもらいたいと。特に大臣に強くそのことを望みたい。きょうここで答弁求めたって答えにくいと思いますので、答弁は求めませんけれども、以上の点特に強く指摘をしておきますので、ひとつ閣議にも反映をしていただきたいということを強く求めておきます。  そこで、少し残っていますのでもう少しお許しをください。  電電の関係電波関係ばっかりでもいけませんので郵便のことを少しお聞きします。  郵便行政効率化と称して、本年の二月以降、郵便配達の一度化が全国的に強行されて大いに問題を呼んでいます。そこで、この一度化の実施をされていることしの二月以降、従前に比べて二度配達であったところが一度配達にどういうふうになってきているかと。なお、二度配達として維持をされておるのはどういうところか、幾つぐらいか。これを配達区域数と申しますか、人口で言うか世帯数で言うか、何でもいいですけれども、全国状況をひとつお示しください。
  333. 永岡茂治

    政府委員永岡茂治君) 通常、郵便物の配達の一度化は、実は昭和五十六年の三月から実験的に実施をしてきておるところでございます。しかし、先生が御指摘になりましたように、五十九年の二月一日以降、その規模を拡大いたしまして、今日では約九五%相当の配達区が一度化にいたしております。しかしながら、二月一日を期しまして、従来の鉄道輸送中心の輸送体系から自主的なダイヤが組める自動車輸送の輸送体系に郵便輸送を抜本的に改めました結果、配達の度数を二度を一度にいたしましたにもかかわらず、全体としての郵便送達速度は従来よりも高まっております。  なお、先生御質問の配達一度の区数でございますが、先ほどもちょっと触れましたが、全国で約五万五千区ぐらいの配達区がございますが、計画としましてはそのうちの九八%程度を最終的に一度化にする計画でございます。現在なお未実施のところがございますので、先ほど申しましたように、現状では約九五%ぐらいの配達区が一度化になっておるという状況でございます。
  334. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 できれば調べていただきたいということでお願いをしてきましたけれども、京都の今の二度配達区域、一度配達区域、従前どうで、二月以降どうなっているか、数字は把握できましたでしょうか。
  335. 永岡茂治

    政府委員永岡茂治君) 京都市内に関しまして申し上げますと、京都は非常に郵便物の取り扱いの多い地域でございますので、その割合は若干全国の状況と変わっておりますが、一度配達する一度区が四百七十五区、二度地が二百一区、そういう状況でございます。
  336. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 私がいろいろ聞き取り調査で調べましたあれでは、従来二度配達地域四百一がことしの二月以降二十に減っている、従来の一度配達地域百五十四が四百五十四にふえてきている、こういうふうに聞いているわけでありますけれども、数字がかなり違うわけですけれども、全国的な状況を把握できてないということですが、一つは一遍実態をよく把握をしていただきたいということと、特に私は問題を指摘しておきたいと思いますのは、午後しか配達されないところが出てきている。これはいろんな団体の活動にとっても商店の活動にとっても、郵便物が午前中届きませんといろんな意味での支障が出てくる、こういうゆゆしい問題にもなってきているということですので、実態をよく把握して、本当に国民の要望にこたえる郵政事業にどうするかということで、機械的に事を進めないように特に要望して質問を終わります。
  337. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 まず、通信衛星についてちょっとお伺いをさしていただきます。  CS2、既に打ち上げられているわけでありますけれども、この利用権の配分と、それからその打ち上げに要した費用分担が見合ったものになっているかどうか。まず費用と分担の状況、それから利用権の配分のバランスについてお伺いをいたします。
  338. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) CS2の製作、それから打ち上げ費用でございますけれども、割合といたしまして国が四〇%、国以外の機関が六〇%を分担いたしております。  御質問の利用権の配分の問題につきましては、今申し上げましたこの費用分担を勘案しながらCS2の八台の中継器の利用割合が定められているところでございます。
  339. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 CS3は打ち上げ予定はいつでございますか。
  340. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 昭和六十三年でございます。
  341. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 その費用分担、民間企業の参入も話があるわけでございますけれども、またその利用権の配分等については、これは鴨さん、大体案は固まっておりますか。
  342. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) CS3につきましては打ち上げ費用を国が三〇%、国以外の機関が七〇%を分担するということになっておりますが、CS3につきましてはCS2よりも中継器がふえておりまして、十二台あるわけでございますが、この利用につきましてはまだ決めておりません。
  343. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 衛星をアメリカから購入したらどうか、こういうニュースが報じられたことがございますね、最近余り耳にしなくなりましたけれども。民間で仮に独自に衛星を例えばアメリカから購入するというようなことがあった場合、それによって開設されますステーションはアメリカの局になるんですか、それとも日本の局になるんですか。
  344. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) アメリカの局か日本の局かというお答えの前に、ただいま先生のお話しございましたアメリカから買って打ち上げるという民間企業考え方につきましては、私の方でもしばらく前の新聞に民間企業が相寄って衛星を買うというふうなお話として承知をいたしております。  ただ、郵政省といたしまして、宇宙通信実用化時代を迎えて各方面の関心が高まっているということは十分承知をいたしておりますけれども、現在のところ具体的な形での利用計画は私どもで承知をしていないところでございます。  仮にということでの御質問でございますが、ハードの方をアメリカから購入いたしたといたしましても、当然その通信を行いますための波は、郵政省といたしまして免許をいたします日本の波を割り当てるということに相なります。
  345. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 こういう衛星をアメリカから買ったらどうだ、そういう話が話にもせよ出る。それからきょうの新聞でも御承知のように、例えばIBMであるとかATTであるとか世界的な規模の業者が日本の通信業界に、殴り込みと言えば語弊がありますけれど、そういう状況で乗り込んでくるというようなことがありますと、どう言うんですかね、日本の業者が圧迫されるということだけではなくて、通信革命そのものの中に外国の血がまじってきてしまって、場合によればゆゆしき事態を招来しないとも限らない。これから質問を続けるに当たって、まず郵政大臣に、そういった日本の広い意味での通信ネットワーク全体にアメリカを中心とするような外国の資本が自由化によって大胆に乗り込んでくるというような事態をどのようにお考えでございますか。
  346. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 私も当初この法案に当たって、郵政省案なるものが基本的な骨子になったことは事実でございます。その中で、全国ネットVANが外国の独占的な支配体制になると、そのことを恐れたことは事実でございます。したがって、そういったオンリーワンでしかも巨大な技術、しかも巨大な資本、そういう形になって支配されるという体制がないように競争原理が働いてくれるかどうかということを懸念したわけでございます。しかし、その後の民間動向を見ておりますと、電電自体が民営移管後に彼らと対応でき得る、そしてまた、そういったシステムに関しても競争原理を働かしていくということもはっきりいたしましたし、また他方、IBM、ATTという巨大な力を持った大型VANに競争原理が働かないんじゃなかろうかという懸念がそれで薄らいだということもございまして、そういったことの中から今度の法案提出に踏み切ったわけでございますが、事実、先生の御指摘の懸念がないと言えばうそになります。
  347. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 VANにしてもそうですし、これは日本の業者が金を出すにしても、外国の先進技術をどんどんどんどん例えば衛星も含めて買い込んでそれでやるということになれば、今局長おっしゃいました、なるほど波そのものは郵政省の認可でございますけれど、ノーハウのすべてを含めて郵政省としては常にそういう点に留意をして、いやしくも一点国益の損なわれることのないようにひとつ常に注意を怠らず、お願いをしておきたいと思います。  放送衛星についてお伺いいたしますが、BS3aですね、これは打ち上げ予定はいつで、その費用は幾らぐらいかかって、費用分担はどのようになっていて、そして民放に割り当てるべき波は何チャンネルであるのか、その辺をお答えをお願いいたします。
  348. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 放送衛星の三号でございますが、これは昭和六十三年度――と申しましても冬期でございますので、暦年で昭和六十四年になります――を予定いたしております。開発経費といたしまして総額七百九十億円というふうに予測をいたしているわけでございますが、これはBS3の経費分担につきましてはBS2による放送サービスを引き継ぐ、と同時に増大かつ多様化する放送需要に対処するということで、また同時に放送衛星に関する技術開発にも資するという面がございまして、これらを勘案しまして利用機関が六五%、国が三五%の割合で負担をするということで予算案に計上されているわけでございまして、今申しました利用機関が六五%を負担すると、金額にいたしますと五百十億円ちょっとでございます。で、御案内のようにこれはNHKが二チャンネル、民放は一チャンネルということで利用を予定しているわけでございます。金額を申し上げますと、NHK負担分が約三百四十億、民放負担分が約百七十億になろうかと考えております。
  349. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 民放一チャンネルということなんですが、ここに私の持っている新聞の切り抜きがあるんですが、昨年の八月二十二日付の朝日新聞なんですが、新衛星のチャンネル争いが非常に熾烈であると。このときはまだ民放一チャンネルということは決定はしておりませんからそれででもあるんでしょうけれども、特に民放の業界の間に、もし放送衛星が上がって民放にチャンネルが例えば二つ割り当てられるようなことになる、そういうことになるとこれは大変なことだから、それはぜひ一チャンネルにしてもらいたいというような要請があったと聞いておりますし、それからまた、民放の中で、これは放送衛星はぱあっと全国をもちろんカバーいたしますから、いわゆるローカルステーションが炭焼き小屋になると。ひところよく言われました。ローカルステーション炭焼き小屋論ということが言われたんですけれども、現在民放関係の方の申し込み状況はどのようになっておりますか。
  350. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 先ほどお答えいたしましたように、BS3につきましては一チャンネルを予定いたしておりますけれども、お話のこの一チャンネルに対しまして、ローカルステーションがどうなるかという問題につきましては、地域に密着した放送局としてのいろいろな努力を私どもは期待しているわけでございます。  一方、御質問のこのBS3でテレビジョン放送実施したいとする民間側の申請は十二件提出をされているわけでございますが、私どもといたしましては、先ほどの一チャンネルの要請ということがございましたけれども、そうした要請の裏にございますのは民放の経営という側面からの問題であろうと思います。しかし、一面で十二件といった多くの申請が出ていることでもございますので、これにつきましては先ごろ郵政大臣から一本化の調整を経団連の稲山会長にお願いしているという状況にございます。
  351. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 大臣、この調整を経団連にお願いをされたということですけれども、その後何かニュースが入りましたですか、経団連の方からは。
  352. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 稲山会長に調整をお願いしたということは事実でございますが、これはなぜ稲山会長にお願いしたかというと、マスコミ関係からのそういった要望と申しますか、申請が多うございまして、したがって、できるだけそういった面の集中を排除することと、できるならば初めての民放チャンネルでもございますし、これが公正な形で運営していただきたいなということもございました。目下調整を依頼してまだ日がありませんけれども、今月中には何とか結論が出るものと期待をいたしております。
  353. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 BS3が上がりまして、そして民放に一チャンネルが調整の結果割り当てられて、いよいよ本放送を開始するといたします。その放送の形態がどのようになるか、まあスポーツ放送専門局だとかニュース放送専門局だとか、あるいは既に既存の各民放局がやっておりますような番組展開をするとか、それは将来のことですからわかりませんけれども、仮に従来日本の民放がやっておりますような番組の展開をこの放送衛星を通じてやりますと、例えば韓国あるいはシンガポールあたりも受信可能範囲に入るんじゃないでしょうか。その辺、局長いかがでございますか。
  354. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 御質問の韓国にという点につきましては、BS3によります放送もBS2によりますものと同じように日本国内に向けるということで計画をしているものでございます。これは放送衛星につきましては一九七七年に世界無線通信主管庁会議というものが持たれまして、その中で各国別に、今申しました国内向けの衛星放送用の周波数割り当て計画が定められたわけでございます。  ただ、この計画では物理的に近隣諸国への電波の漏れが、先生先ほどお話のように降ってくるということも計算に入れまして、しかしながら各国がそういった漏れについての許容すべき電波の強度の基準もその会議の中で定めたわけでございます。私どもは、このBS3をそうした周波数割り当て計画に従った形で設計をしていくということと、それからまた電波をなるべく日本の地形に合わせて降らせるように工夫をするといったようなことを考えておりまして、逆に申しますと、韓国もまだ計画があるとは承知をいたしておりませんけれども、仮に韓国が放送いたしますと、日本にもごく弱いものではございますけれども電波が降ってくることがございますが、これはお互いに許容し合うということで国際的な取り決めがなされているというものでございます。  なお、現在BS2につきましては打ち上がりまして、まだ放送は五月開始の予定でございますけれども、韓国等から具体的な問題提起はされておりません。
  355. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 少し技術的なお尋ねなんですけれど、ということは局長、そういうふうに上から波をおろすときに受信可能なテリトリーを特定できるわけですか。逆に言えば、韓国にはその波がおりないように技術的にできるんですか。
  356. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 放送として受信をし得ると。これは予定といたしましていわゆる一般の不特定多数の方が受信をされるということでございますので、放送として受けるといたしますと、パラボラアンテナの大きさも余り大きなものでは一般の方々が受信できる放送というわけにはまいりません。逆に申しますと、そのパラボラアンテナをかなり大きなものにいたしました場合には隣国でも受信ができないわけではございませんが、その点につきましては、先ほど申し上げましたように、いわゆるそれぞれの国になるべくウエートを置いた形で電波を降らせるということで、やむなく漏れる部分については許容限度範囲におさめるという形で計画をしていくということになっているわけでございます。
  357. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 よくわかりました。  私は、例えば韓国の皆さんがパラボラアンテナを自分のうちの屋根にお備えになりまして、そして例えばBS3なんかの場合は、NHKもそれから新たに割り当てられる民放の番組も、おりてまいりますと、それを韓国の皆さんがごらんになるということになりますと、韓国の国から見てそのおりてくる日本の例えば民放の番組が韓国の国益を損なうというようなことがあるかもわからない。その場合は、例えば韓国政府からクレームが来た場合にどのように対処なさるおつもりかということをお伺いしたかったんですけれども、その心配はだからないわけですね。もう一遍確認をしておきます。
  358. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 現実にただいまの時点ではBS2自体もまだ放送いたしておりません。そういう点も含めまして韓国等からの具体的なクレームはございません。それから技術的に申しまして、先ほどから申し上げておりますように韓国で受信をするということになりますとかなり大きなアンテナを用いないといけないという要素がございます。  それからもう一つ、技術的な特性でございますけれども、偏波というものをかけます。その点からいたしまして日本の放送の偏波のかけ方と韓国の予定しております偏波のかけ方とが違っておりますので、仮に韓国の方が、将来の韓国で実施されるであろう放送を受信されることを予定してアンテナを設置されるといたしましても、その場合は日本の放送は受けられない。あえて受けようといたしますと、先ほど申しましたようにかなり大きなアンテナを設け、しかも日本の偏波という形で受けられるものにした上でという条件になってまいります。そこのところはそういう、あえて大きなものでなければ受けられないというような形の電波――いわば私ども漏れと申しておりますけれども――につきましては、あくまでもそれぞれの国内向けということで予定をしておりますものの、たまたま結果的に漏れていくものというふうに理解をしているわけでございます。
  359. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 それを伺って安心をいたしました。これは将来の問題、将来といっても比較的ニァフューチャーの問題で現実にそういう懸念がありはしないかと私思いましたので、それで過去のことにはなりますけれども、例えば金大中事件というものがある。それをNHKなり日本の民放が金大中事件を報ずる。それは場合によれば韓国にとりましてはそういう日本のニュースはどうしても見てもらいたくないというようなケースがこれからもあるかもわかりませんですね。そういう場合に、現実にそうなってからクレームが来て、それで要らざる国際間のトラブルが起きてもいけませんので、その面に対する配慮を技術的、それから政府サイドといいますかそういう形できっちりとやっておいた方がいいだろうと思ったのでお伺いをした次第でございます。  テレトピア構想、先ほど来から当委員会の委員も再三お尋ねでございますけれども、郵政省によって進められていると伺います。同時に通産省のニューメディアコミュニティー構想、これも進められている、こう伺いますが、まず郵政省にごく簡略にこのテレトピア構想についてお教えをお願いいたします。ごく簡略で結構です。
  360. 小山森也

    政府委員(小山森也君) テレトピア構想高度情報社会の構築に向けて電気通信社会先導的役割を果たすことにかんがみまして、実用を前提として郵政省が指定した地域社会資本としての高度な通信ネットワーク、具体的に申し上げますと地域INS、双方向CATV、キャプテン、VAN、衛星通信など優先的に構築するとともに、これを基盤としたニューメディアの総合的な普及を促進しようとするものであります。  テレトピア構想の具体的目標といたしましては、モデル都市にニューメディアを導入、集積し、活力ある快適な地域社会の形成、発展を図ること、及びモデル都市を拠点とする他地域へのニューメディアの波及や普及方策の明確化を通じましてニューメディアの全国普及を促進して高度情報社会への変革を図ること、これが目的でございます。
  361. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 先ほど片山委員の質問に対して局長お答えになりました。非常に私も感銘を受けた次第でございます。二十世紀後半の高度工業化社会から二十一世紀に向けて高度情報化社会へ、まさにコペルニクス的転回を遂げていく、そのようなお話でございました。いわばこのテレトピア構想というのは郵政省がお考えになっていらっしゃる高度情報化社会の最も先進的なモデルパターンである、こう理解していいわけでございますね。
  362. 小山森也

    政府委員(小山森也君) さようでございます。
  363. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 通産省お見えでございますか。――ニューメディアコミュニティ構想についてごく簡略にお示しをお願いいたします。
  364. 関収

    説明員(関収君) お答え申し上げます。  先生御案内のとおり、最近ニューメディアというものが大変注目されておるわけでございます。すなわちコンピュータ技術通信技術とを組み合わせまして問題に対処していこうということでございまして、今後、今我が国が抱えております産業上の諸問題の解決、あるいは医療でありますとか教育あるいは防災といった社会問題の解決、あるいはさらに私どもの日常生活の向上といったようなものを解決する上で大変大きな可能性をもたらすものでございます。  しかしながら、そういった技術的な可能性と、それが実際に適用化されるかどうかということの間にはなおかなりのギャップがあることも事実でございます。ニューメディアを使いましたいろいろなシステムにつきましてはごく小規模な実験といったような形では幾つかやられておるわけでございますが、実用化への橋渡しということになりますとなお解決すべき問題も多々あるわけでございます。  そこで、私どものニューメディアコミュニティー構想と申しますのは、いわばニューメディアを実際のコミュニティーづくりの中にどう活用していくかということにつきましていろいろニーズ調査を行う、あるいは技術上の課題を見つけて解決していくといったようなことで、いわばニューメディアの技術可能性実用化への橋渡しをする、しかも特に私どもはソフト面からのアプローチということで考えておりまして、具体的には現在御審議をいただいております五十九年度予算におきまして七地域程度を指定し、具体的なニーズ調査なりそういったニューメディアを活用したコミュニティーづくりの概念設計といったようなことについての予算をお願いしているわけでございます。
  365. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 通産省にお伺いいたしますが、今郵政省は具体的には、例えばキャプテン、INS、VAN業、こういったものを地域を設定して展開する、こういうことでございました。通産省もやはり具体的なニューメディアとしては、例えばキャプテン、例えばINS、例えばVAN、こういったものを構想しておられるわけでございますか。
  366. 関収

    説明員(関収君) 先ほどちょっと触れさしていただきましたように、私どもの基本的な考え方はソフト面からのアプローチということでございますので、具体的なインフラストラクチャーといたしましてはINSを使わしていただく、あるいはいろいろ用意されておりますインフラストラクチャーを活用さしていただいて、いわばその利用技術、それを利用してどう社会のニーズにこたえていくかという点を重点に考えておるわけでございます。
  367. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 郵政省、ニューメディアコミュティーの今伺いました構想郵政省のテレトピアのキャラクタリスティックな差というものはどこにあるわけですか。
  368. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 私どものことだけから申し上げますと、これはやはり実用の第一歩でございます。これによって実験して実証モデルを構築しようというものではなしに、もう既に実用の可能性の段階に来ておりますもの、これをある地域に集約いたしまして、これから来るであろう社会の中で考えられますところの制度上の問題であるとか社会生活上の問題であるとかあるいは技術上の問題、そういったものがどういうような現象を来すかということをこの実用化の中から取り出して、さらに次の世代へつなげていこうということでございます。  他の省のことを言うのもどうかと思いますけれども、ニューメディア・コミュニティー構想というのは、その点におきまして若干実証モデルを構築して実験を行うのではないかというような点がございますと同時に、アプローチする点が若干違っているのではないかと思います。両立するものと思っております。
  369. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 通産省はこのテレトピア構想について、おたくの省の方のニューメディア・コミュニティーと共存といいますか――共存といえば余り違わないというふうにも考えられますが、顕著な差があるのか、全然違うものなのか、それとも共通の要素があって、その共存的要素の中で競合をして切磋琢磨するのか、その辺ちょっとお教えを願えますか。
  370. 関収

    説明員(関収君) 郵政省様の構想につきましては今局長がお答えになったとおりでございますが、私どもにつきましては、再三申し上げておりますとおり、主としてこのニューメディアを使って実際に産業面あるいは社会面あるいは家庭生活の面でどういう利用の仕方が可能であるかということを現実のニーズに立脚いたしまして調査し、概念検討をしようというものでございます。  したがって、基本的には異なるプロジェクトであると考えておるわけでございますが、先生御案内のとおり、高度情報化社会を実現するためにこれから解決すべき問題というのは多々あるわけでございます。私どもの場合には実際の地域を選びまして、限られた地域を選びましてそのニーズを調査し、概念検討をする。そういう形でのニューメディア高度情報化社会への移行のための貢献が可能であると思っておりますし、それから郵政省さんでお考えになっておられるこういう構想によって、また高度情報化社会の実現へ前進していく貢献の仕方というのもそれぞれあり得るのではないか、かように考えておるわけでございます。
  371. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 今のお二方のお話からも、私は今回のVAN業法の通産省と郵政省との、確執とまで言っては言い過ぎかもわかりませんけれども、観念の整合性を欠いている点が出てきているんじゃないかということを感じるんです。今お伺いしておりましても私にはどうもよくわからない、それが率直な私の感想でございます。  大蔵省はこの両省につきまして、それぞれニューメディア・コミュニティー構想、テレトピア構想について予算はお幾らおつけでございますか。
  372. 日高壮平

    説明員(日高壮平君) まず、テレトピア構想関係一般会計予算は、地域指定を行うための調査費及び研究会費として約五百万円を計上しております。それから、ニューメディア・コミュニティー関係一般会計予算調査費として約六千八百万円計上しております。  なお、ニューメディア・コミュニティーの関係におきましては特別会計、すなわち石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計に約二千八百万円別途計上されております。
  373. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 そうしますと、ニューメディア・コミュニティー構想の方は合わせまして一億円近いですね。それから、テレトピアは五百万円。もう一遍確認します。
  374. 日高壮平

    説明員(日高壮平君) ニューメディア・コミュニティー関係一般会計、特別会計トータルいたしますと、約九千六百万円ぐらいになります。それからテレトピア関係は先ほど申し上げたとおりでございます。
  375. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 大蔵省の理解をちょっと私お伺いいたしますが、今、大蔵省主計官もお聞きになったと思いますけれども、なかなか両省ともにいい構想でございまして、しかもよき競合関係にあるということですが、一方で一億、一方で五百万、これちょっと郵政省少な過ぎやしませんか。その辺何でこんなに少ないんですか。
  376. 日高壮平

    説明員(日高壮平君) 私どもは概算要求の際に各省から要求されたものをその必要性において査定をした上で予算に計上しているということでございまして、基本的に要求額自体が異なっていたために予算額も結果的に異なっているというふうに御理解いただきたいと思います。
  377. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 じゃ、郵政省は概算要求のときにこんなに少なくしか要求されなかったんですか。
  378. 小山森也

    政府委員(小山森也君) このテレトピア構想というのは本来一般会計をもって支弁して、援助していくという性格のものではないわけでございまして、これはおのずからいろいろなメディアというものを集中していくということの行政的な一つの力をそこに結集していく、そのことによって一つの未来社会を形成していくというところにございます。  したがいまして、本来ならば政府予算ではないんですけれども、非常に大きな部分を占めますところのインフラストラクチャーとしての機能をします電信電話公社予算というようなものは、例えばこの地域に集約いたしますと、わずか一億というようなものではなしに、ディジタル化予算の三千八百億の中から傾斜配算していくというようなこともございます。また、CATVというようなものは、これは一つの指導によりましてそういった地域に集約していくというところから、CATVをつくるのはやはりこれは国からの援助でやるということではなしに、その地域のニーズに合った形でやっていく、それを集約化していくということでございますので、経費がイコール施策の厚みであると私どもは思っておりません。ただしかし、当然それには調査あるいはそのためのいろいろな調査費というのが必要でございますので、その必要の限度を大蔵省に一般会計として事務費を要求したということでございます。
  379. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 よくわかりました。少し論点を変えます。  とすれば、郵政省が五百万というのはわかりました。しかし、一方で通産省にニューメディア・コミュニティー構想ほぼ一億という予算がついたということを、私は率直に申し上げまして、逓信委員の一人として疑問を表明せざるを得ないわけでございますね。  元来、高度情報化社会通信行政というものは本来的に郵政省の所管にかかるべきものであると私は理解をしておりまして、先ほどからの通産省の御説明では、どうも通産省所管の中でのニューメディア・コミュニティー構想というのはやや説得力に乏しい。それに対して一億という予算がついているということは、これは国の予算というのは、もうこれは釈迦に説法でございますけれども、国民の皆さんからの税金でございます。絶対に要るもの、どうしても使わなければならないもの、国民に対して一二〇%説明のつくものが予算化さるべきである、こう理解しております。なくてはならないもの。それからすれば、今回のニューメディア・コミュニティー構想について一億近い予算がついたということは私はちょっと理解しがたいんですけれども、それについて通産省何かもしおっしゃりたいことがあれば……。
  380. 関収

    説明員(関収君) 私どもの構想について十分先生に御理解いただいていないようで大変残念でございますが、ちょっと金の多寡の問題は別といたしまして、私どものお願いいたしております約九千六百万円の予算の性格でございますけれども、これについて御説明させていただきたいと思っておりますが、私どもは、ニューメディア、ニューメディアといろいろ言われておりますけれども、現実にそれが社会なり産業なり家庭生活におけるニーズとうまくミートいたしませんと、結局すばらしい技術も十分利用できないという側面があるわけでございます。  例えば、先生御案内のとおり、アメリカにおきましてもCATVにつきましては一時ブームがございましたが、また反省期に来ているというような面もございます。そこで、我々、日本におきまして高度情報化社会を実現する上でぜひ現実のニーズに密着したいろいろなサービスということが重要であろうということで、私どもがお願いいたしております予算の大半は実際に地元におけるニーズを調査する調査費でございます。承りますと、郵政省さんの予算は庁費的なものというふうに伺っており、やや性格が異なるものと考えておるわけでございまして、必ずしも金の多寡だけでは比較できない面があるのではないかと、かように考えておるわけでございます。  それからもう一つ、お言葉を返すようで恐縮でございますが、確かに通信インフラストラクチャーというのは高度情報化社会における極めて重要なものになることは先生指摘のとおりでございます。しかしながら、問題はそういったインフラストラクチャーを産業界なりあるいは社会問題の解決なり、いわばユーザーの立場からこれをどう活用していくかということが高度情報化社会を実現する上でまた極めて大事な一つのファクターではなかろうかと、かように考えておるわけでございまして、私どもはそういったインフラストラクチャーを使わしていただくという立場から、ニーズ調査なりどういう技術上の課題があるかということをこの調査を通じて現実に明らかにしていきたいというのが私どもの考え方でございます。ぜひ御理解を賜りたいと思います。
  381. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 せっかく理解をするように努力をさしていただきます。  せっかくでございますから、一つ追加して通産省にお尋ねいたしますが、いわゆるVAN業は情報処理業であるとお考えですか、通信業であるとお考えですか。
  382. 関収

    説明員(関収君) 実は先生御案内のとおり、VANという言葉につきましては新聞等での報道を見ましてもいろんな意味に使われておるわけでございます。したがって、そのVANという言葉をそのまま使うこと、あるいは正確を欠く場合があり得るのではないかと考えておりますので、私どもはその情報処理につきまして御説明申し上げたいと思っておりますが、情報処理につきましては情報処理振興事業協会等に関する法律という法律で定義をされておるわけでございますが、そこにおきましては、電子計算機を使って、計算、検索その他これに類する処理を行うことをいうというふうに定義されておるわけでございまして、私どもはそういうものとして理解をいたしておるわけでございます。
  383. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 ちょっと後にそれはおきまして、五十九年度財政投融資計画で八十億円、これ開銀についているんですけれども、聞くところによれば、これまた郵政省と通産省が仲よくしないために、せっかくついた八十億円の使い道がなかなか決まらなくて凍結をされていると、このように聞くのですけれど、これについてはどのように対処をなさるおつもりなのか。まずその額とそれから対処の現状でございますね。これにつきまして、大蔵省。
  384. 松田篤之

    説明員(松田篤之君) 日本開発銀行におきましては、先生指摘のとおり、このたび通信衛星とかあるいはCATV、VANといったニューメディア関係財政投融資としてそういった金額が計上されているわけでございますが、その金額のうち一部のもの、具体的には三十億円でございますが、この金額につきましては、このお金の性格上どちらの官庁が所管をするかという点で予算折衝の段階で折り合いがつきませんでした。  開銀の仕組みを申し上げますと、開発銀行の場合には、融資を受ける場合に、いずれかの監督官庁の推薦を受けて、その推薦があったところに融資をするという仕組みになっておりますので、いろいろな案件がすべてどこかの役所から推薦を受けて、必要なものだという場合に融資をするわけでございます。その場合に、先生指摘の八十億円のうちの五十億円は一応郵政省の専管であるということで、CATVであれば単方向のもの、あるいは衛星放送関係のものといったものは、これは郵政省が推薦をして開銀に融資を求めるという形になっておりますが、残りの三十億円につきましては、VANなどでございますけれども、通産省、郵政省がどちらが推薦をするのが適当かという点で話し合いがつきませんでした。ところが、全くきょうでございますが、四月六日付で両省で基本的な合意ができたようでございまして、これはお金の使い方としては両省共管にすると。三十億円につきまして両省がいずれからでも推薦ができるという格好で基本的には合意ができたと聞いております。したがいまして、この具体的な詳細などにつきましては、どういう形でやっていくか話をした上で、恐らく理財局という財政投融資をやっています予算官庁のところに報告が行って使われることになろうと思います。  こういった一つの枠につきまして二つ以上の官庁が共同で枠を使うという例は多々ございまして、例えば穀物のサイロといったものが農林省と倉庫業をやっております運輸省と両方の官庁から推薦を受けて融資が受けられるとか、いろいろございますので、運営にはさほど問題はないものだと思っております。
  385. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 まるで重箱の隅をつつくような質問で恐縮なんですけれども、これはきょうの委員会は予算委員会の委嘱審査でございますからお許しを願いたいと思いますが、今、大蔵省当局がきょう話がついたとおっしゃいましたが、郵政大臣、よろしければ、どういうふうに話がついて、その三十億はどういうふうに使うかはもう通産省と決着したんでございますか。
  386. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 仲よく半分ずつ使います。
  387. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 ということは十五億ずつ。その十五億の使い道は、通産省、郵政省、どういうふうに、何に使うかはもう決定でございますか。
  388. 小山森也

    政府委員(小山森也君) これからの解決事項でございます。
  389. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 通産省は承知していらっしゃいますか。
  390. 関収

    説明員(関収君) 今お答えがあったとおりでございますが、御案内のとおり、開銀で融資をいたします場合にどういうものを融資対象にするか、あるいはどういう設備を融資対象にするかといったようないろんな技術上、手続上の詰めの問題が出てくるわけでございますが、それはこれから郵政省さんと私どもで御相談さしていただき、さらに大蔵省さんの御了解を得た上で具体的な融資業務が始まる、これからの作業ということになろうかと思っております。
  391. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 電気通信事業法について二、三質問をさせていただきます。  こういった新しい法律ができますと、当然ながら、その法律の最も柱になる単語そのものの定義が正しく理解されないことには何のために法律をつくるかわかりません。したがって、私はまず確認をいたしたいと思うんですけれど、VANはバリュー・エーディッド・ネットワーク業は通信事業であるのか情報処理業であるのか、そのことがはっきりしませんと、これからこの法律案が当委員会に付託をされましても我々は審議がしにくいということになりますので、まず奥田郵政大臣の明快なる定義をお伺いしたいと思います。
  392. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) これは先ほども通産側からもいろいろお話ございましたけれども、新しいメディアとしてコンピューターの革新的な技術の発達、そして通信技術の発達というもののまさに接合の場面であったということが言えると思います。したがって、情報処理は通産省、通信事業郵政省という分野の中に、真ん中にできてきたようなものでございますけれども、これはあくまでも通信回線を利用して、そして他人の需要に応じて情報通信役務を営業として営むものという形の中で、通信業務であるという形の裁定というか形がおりたのが今度の主務官庁が郵政省であるということになったと、そういう形で私も判断をいたしております。
  393. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 重ねて通産省にお伺いをいたします。  通信業なんですか、それとも情報処理業なんですか。
  394. 関収

    説明員(関収君) たびたびで大変恐縮でございますけれども、私どもVANという言葉自体は人によって使われ方がいろいろございますので、それはどちらかというのはなかなかお答えしにくいわけでございますが、現に既に情報処理という言葉は法律上にございます。それから本日閣議決定されました電気通信事業法案におきましては、電気通信事業あるいは電気通信事業者という新しい法律上の概念が定義されているということで、そういう角度で考えていくのが適当ではないかと考えておるわけでごごいます。  法律論としてはそういうことでございますが、実態論として見てまいりますと、オンライン情報処理はある側面から見れば通信の側面があり、ある側面から見ると情報処理の側面があり、実は恐らく昔は通信といえば電話が中心であり、情報処理といえばコンピューターでバッチ処理をするというのが中心であるということで随分距離があったわけでございますが、それが次第に接近をしてきておる、あるいは一体化してきておるというところがいろいろな議論を生み出すゆえんではないかと思っておるわけでございます。
  395. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 法律をつくる場合は、とことん議論をしながら法律を立派なものにすればいいんですけれども、一たんそれが国会を通過すれば、これはもう法律としてひとり歩きするわけでございますから、その観念の整合だけはきっちりとやっておかなければいけないと思うんですね。やはり電電公社が回線を提供いたします。回線は提供するけれども、その回線の提供を受けて異種間のコンピューターの操作をするオーソライザーが中央にある、これはやっぱり私は、一般的に常識的に通信業である、こう理解せざるを得ない、こういうふうに考えます。したがって、VAN業が通信業であるならば当然その主管庁は明快に郵政省であるべきだ、こう私は理解をいたしますが、これについては郵政省はどのような御見解をお持ちでございますか。
  396. 小山森也

    政府委員(小山森也君) 新しい通信事業法におきましては、VANというのは第二種電気通信事業の中に含まれております。第二種電気通信事業というのは、もう先生御存じだと存じますけれども、第一種電気通信事業と同様に電話とかファクシミリ、テレックスを含めてさらにVANなどあらゆる通信サービスを行える電気通信事業でありまして、両者の違いは、ただ単に回線設備をみずから持つか持たないかだけの違いでございます。  それではなぜそういう観念を導入したかというと、これは初めての観念の導入でございますが、これもう現に始まっておりますし、これからますますそういったことになるでございましよう通信回線のディジタル化というものが始まります。そういたしますと、ディジタル化が進みますと、ファクシミリ、テレックス、電話とVANというようなものを別々の回線でやるというようなことはなくなるわけでございます。統合化が進んでくるということから、今世界で初めてこういった第二種電気通信事業という観念を導入いたしまして、高度サービスそれから基本サービスという切り分けではない形をとったわけでございます。したがいまして、こういった意味でございますので、明らかに通信事業者が行うサービスであるということから、電気通信に関する事務を任務といたします郵政省の所管であると私どもは考えております。  それから、データ通信でございますが、これは、データ通信電気通信事業の側面を持っておりますけれども、データ通信そのものにつきましては、この電気通信事業法の適用をしないということにいたしております。
  397. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 諸外国の観念ですけれども、アメリカのFCCは、いわゆるVAN業は、これは情報処理業であるという見解をとっているようでもありますが、その一方では、現実の運用面でFCCの介入権を相当大幅に残していると私は聞いておりますけれども、アメリカの実情はどうなんでしようかね。
  398. 小山森也

    政府委員(小山森也君) FCCは、現在のところ、VAN業務というものはFCCの管轄下にあるものとして決めております。ただ、しかしながら、FCCというのは非常に料金規制を中心にする官庁でございまして、この料金については本年一月から規制が行われなくなりました。したがいまして、一見いたしましてFCCの傘下でないように見えますけれども、通信法の方では明らかにFCCが管轄権を持つというふうに書いてあるわけでございます。ということは、何が具体的にあるかというと、通信の秘密とか安全性、信頼性、これを維持することが必要であるとしてFCCの管轄下に置いてあるということで、料金規制は行っておりません。
  399. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 他の国の例はもう時間がありませんので伺いませんが、最大の情報処理産業を持っているところのアメリカで、FCCが情報処理あるいは通信業に対してそのような強いチェックの権限を持っているということは当委員会で指摘をしておきたいと思います。  電電公社にお尋ねいたしますが、先ほど服部委員が自動車電話について質問をいたしましたが、あれ、それから後少しお調べになりましたか。大分盗聴の事実は実際はあるんですか。
  400. 山口開生

    説明員(山口開生君) 先ほどもお答えをしたと思いますが、私どもの耳には、二、三そういう例があるということは聞いております。現在私どもは自動車電話は自動車電話会社に委託をしておりまして、そちらの方にどうも話が来ているようでございます。
  401. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 この委員会で私は、何遍も何遍も、自動車電話の通話料がいかにも高い、何とかしてくれ、こうお願いをしてるんですが、まあそのことはきょうはしばらくおきまして、それだけ高い――たしか六・五秒十円だったかと思いますね。二百数十キロ、二百何キロでございましたか、以遠が――ちょっと教えていただけますか。
  402. 草加英資

    説明員(草加英資君) お答えいたします。  百六十キロまでが六・五秒十円でございまして、それから百六十キロ以遠が四・五秒十円でございます。
  403. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 百六十キロ以遠が四・五秒十円、こんなに高い電話料を払っていて、それが後ろをつけられて聞かれていたかもわからない。――自動車電話の値打ちというのは、ほかの電話以上に完壁なプライバシーが保障できる、そうですね。大きな一つのボックスの中に、自分がハンドルを持っている場合は自分一人だけです。だから、公的にも私的にも絶対に人に聞かれては困るような通話が多く自動車内において交信されていると理解するのが私は常識だと思うんですね。それが聞かれているかもわからない。これは大問題でございますので、服部委員指摘に基づきまして、この件につきましては、電電公社としては大いに研究開発をなさいまして、そういうプライバシーの保護が、秘密が保たれるような自動車電話であるようにお願いをしておきたい、こう思うんでございます。  さて、このネットワーク、情報ネットワークにおける脆弱性といいますか、ウィークポイント、これは、今の自動車電話の盗聴の例をまつまでもなく、やはり、安定性、秘密性、信頼性、こういう点がネットワークの脆弱性というものにつながっていきはしないかと思いますが、その点をお教えをお願いいたします。
  404. 小山森也

    政府委員(小山森也君) ネットワークというのは、技術が進めば進むほど大きくなっていくという特性を持っておりますと同時に、今度は、ネットワークの一つに入りますと、それからなかなか逆に抜け出せないという特性を持っております。これはお互いに複雑な関係でもって、クモの巣のように通信ができるという特性から来る一つの問題でございますが、それと同時に、多くの方たちと通信ができればできるほど、今度は通信の秘密というものが、守らなければならないという点が出てまいります。それと同時に、技術が進めば進むほど、今度は、高度であるがゆえに今度はそういった技術に対応する一つの技術を破壊する力というのが出てまいりますので、光の部分ばかりではなしに、やはり御指摘のように陰の部分というものを十分留意した行政というのが常に考えられなければならない、こう思っております。
  405. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 今おっしゃった陰の部分、脆弱性、これを担保しなければいけませんね。  それからもう一つ、私もここに中小企業VAN局の届け出状況を持っておりますけれども、これ全く仮定の問題でございますが、一〇〇%これをフリーにして、もう単に通告でいい、完璧に自由化いたしますね。まあ当委員会では不適当であるかもわかりませんが、じゃあ仮に愛人バンクがこのVAN業に参入して、膨大な顧客の名簿をネットワークサービスに打ち込んであるというようなことがありますと、これ社会影響も大きいだろうと思います。したがって、こういった情報化社会のネットワークにおいては、今言った秘密性、信頼性、安定性、さらにはそれに参入する業者のチェック等々をカバーするためには、やはり郵政省がここはチェックをする機能を持たなければいけない。具体的には、一般あるいは特別等を通じまして、届け出制、さらに、できれば許可制というものについて深く考えるべきではないか、私はそう思うんですけれど、郵政大臣の御見解をお伺いいたします。
  406. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) これは、中村先生の御指摘は非常に専門的な分野に入っておりますから、私が果たして御満足のいくお答えができるかどうかわかりませんけれども、確かに通信の秘密、プライバシーを含めて、そのことがやはり通信の上で一番大事な面であろうと思うんです。これは企業の秘密でも一緒です。ですから、VANに限らずこういった高度なメディアでも、もう各端末をつないで一種のコンピューターで情報の差配をするようなのが一つのVANシステムでもありますから、のぞくことはできるんです、意図してやろうと思えば。したがって、情報のパッケージがお互いにAからCへ行く仲介はするけれども、その真ん中におる形の中でのぞこうと思えばのぞけるという形になります。したがって、VANに限らず、通信を役務として行う業者は、ともかくそういった公共性、機密性、信用性というものを最大にやっぱり遵守する業者でなければならぬということは当然です。したがって、届け出という形を、今度はある程度非常にフリーに近いような形の届け出になりますけれども、しかし改善命令、あるいは報告義務というのは今度の本法でも担保されておるところでございます。
  407. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 時間ですから、ぼちぼちお願いします。
  408. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 そうですね。失礼しました。  私は最後にお願いをしておきたいんですが、きょう朝になりまして、限りなく自由に近い届け出制が――一般についてですよ、登録制になったというふうにお伺いいたしました。ここでは言葉の定義をお伺いしようとは思いません。思いませんけれども、私としては、これから審議する法律案ではございますけれど、やはり人権というものと、それから自由競争の原理との兼ね合いを十分に考えて、郵政省は、これだけ大きな産業革命でございますから、そういう点について大臣はひとつ身を挺して、郵政省国民の自由を守ると同時に、国民に不利の及ばないためには強力な権限を行使するという一大勇猛心をも奮い起こしていただいてこれからも大いに闘っていただきたい、そのことをお願い申し上げまして私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  409. 田英夫

    ○田英夫君 去る四月二日と三日の両日にわたってNHKが、二日の日は正午のニュースで、三日の日は「NC9」――「ニュースセンター9時」の時間帯の中で、外信部の飯田特派員の北朝鮮のリポートを報道いたしました。内容は、いわゆる三者会談の問題と、もう一つはラングーン事件についての北側の意見、こういうことであったようでありますけれども、これに対して韓国の国会で直ちにそれが四日取り上げられまして、韓国国会の外務委員会で、質問に対して李源京外務大臣は、このNHKの報道は遺憾である、質問者の方も偏向報道だという言い方をしたようでありますが、李源京外相は、政府は今後公正な報道のため可能なあらゆる外交チャンネルを通じて適切な措置をとりたい、こう答弁をしたと報道されておりますが、所管官庁である郵政省に対して韓国側から何らかの申し入れなり抗議めいたものがあったかどうかお伺いしたいと思います。
  410. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 先生指摘のような事柄は現在ございません。
  411. 田英夫

    ○田英夫君 郵政省に対してはないようでありますが、NHKに対しては韓国の在日大使館から姜公使という人が磯村報道局長を訪ねまして、三者会談については内容が事実と違うという抗議めいた発言をし、ラングーン事件についても、遺憾な報道内容であるということを言ったようであります。ラングーン事件については、NHKのこの放送は北朝鮮の金永南外相のインタビューを中心にして展開をしたようでありますが、金永南外相が、あれは全斗煥政権の自作自演であるという意味のことをインタビューで語っている、この点について姜公使は遺憾であるということを言ったようであります。さらに四日の日に韓国大使館の報道官が記者会見をいたしまして、やはり同様の発表をいたしまして、NHKはこれをそのまま大使館の報道官がこういう記者会見をやったということをニュースで報道をしたそうでありますけれども、以上の点について郵政大臣はどういうお気持ちを持っていらっしゃるか、こういうことが今起こっていることは事実でありますが、これに対して所管の大臣としてどういうお気持ちでこれを受け取っておられるか伺っておきたいと思います。
  412. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 実は先生からさっき御通告をいただくまで、実際においてこのニュースも番組も見てないことは事実でございます。今御指摘されたように、NHKの番組に関することでもございますし、大臣としての発言は、事実内容を的確に調べてから、また外務省とも相談した上であれしたいと思いますけれども、しかし相手方から談話を取材したということは、記者としては、これは私たちの経験から言うんですけれども、それ自体はあれだと思いますけれども、こういった国際事件に発展する要素が明らかな問題点というものの指摘がもう他国を刺激して直ちに事実問題の追及にまで移られるという形は、双方向じゃないですけれども、双方取材を兼ねてやられるべきものじゃなかろうかと、こう全く個人的な見解ですけれども、思います。
  413. 田英夫

    ○田英夫君 私があえてこの問題を取り上げましたのは、前回の委員会でNHKの予算の問題でありましたから深く入れなかったんでありますけれども、つまり言論の自由という問題と深く関係をするからでありまして、まあ相対立している状態の中で北朝鮮の外務大臣が話したことは、韓国側からすれば好ましくないというふうになるのは残念ながら事実でありましょうけれども、ここでNHKがそうした抗議に対してそれを受け入れて、実は韓国の国会ではしかるべき韓国側の人物の取材をしてもらって韓国側の言い分を放送させるというところまで立ち入って答えているようでありますけれども、この点は私はいかがなものかというふうに言わざるを得ないのでありまして、もちろん公正な報道という意味から、北朝鮮の言い分を出したら、それに対して韓国の言い分を出すというのは原則でありましょうけれども、常にそんなものを同分量ずつ同じ時間帯の中で出さなければならないということではないんでありまして、逆にかつて別の民放局が朴正熙大統領の単独インタビューをやって、これまた大きな問題になったことがありますけれども、その辺のところをひとつ踏まえてお調べをいただきたいし、対処をしていただきたい。必ずこのことは今後まだ問題になってくると思います。  そこで、だからこそ本論に入って申し上げたいのは、この前申し上げた電波法第四条で、郵政大臣電波の免許権を持っているという現在の規定であります。これは占領当時、終戦直後の法改正によって、これはアメリカ占領軍が指導をしたことでありましょうが、アメリカのFCCと同じような組織になっていたものを、昭和二十年代後半、いわゆる占領政策の是正という名のもとに、その一環として、恐らく私の聞いているところでは、現在のような法律に変わったというふうに聞いておりますが、この辺のところは、なぜ現在のような法律にしたのか、なぜそれがいいと考えたのか、この辺を郵政省側から伺いたいと思います。
  414. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 先生指摘のように、昭和二十七年に電波行政電波監理委員会から郵政省の所掌になったわけでございますけれども、これは大臣を長といたします独任制の行政機関に所掌させることによりまして、責任体制の明確化と事務処理の簡素化を図るという趣旨で行われたというふうに私ども理解をいたしております。  なお、その際、電波監理審議会――これは現在でもございますけれども、電波監理審議会が設置をされまして、電波行政の重要事項についてはこの審議会に諮問の上、その議決を尊重して措置をしなければならないこととするといったことなど、民間の広い経験あるいは知識を有する方々の意見を行政に反映させるというふうなことで、現在も私どもそういった趣旨を踏まえて行政運営に当たっているところでございます。
  415. 田英夫

    ○田英夫君 さらに電波法は、第十三条で再免許ということを規定しております。放送の場合は三年ごとということのようでありますけれども、過去にこの法律ができてから放送局で無線局――広い意味の無線局でなくて、放送局で再免許を与えなかったという事例がありますか。
  416. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 放送局に関しましては、そのような事例はございません。
  417. 田英夫

    ○田英夫君 この四条と十三条の、つまり郵政大臣が免許権を持ち、さらに三年ごとに再免許という形になっているというところは、民主主義のもとで言論の自由を守るという立場からすると、非常に問題があると思います。  例を挙げますと、きりがないくらい実はあるのでありますが、例えば、私自身が関係するので余り言いたくありませんけれども、一九六七年に私は北ベトナムに行きまして、帰りましてから「ハノイ―田英夫の証言」という番組を放送いたしましたが、放送が行われたのが十月三十日。わずかその直後の十一月七日に自民党の有力な、いわゆる報道関係あるいは郵政関係に発言力の強い方が私の勤めていた東京放送の社長以下を呼びまして、そこで、なぜあんな放送をやったかというお話が出ました。以後、半年にわたっていろいろな形で政府・自民党の皆さんから、いわゆる圧力がかけられた事実があります。お名前を申し上げてもいいんですけれども、これはこういう席ですから差し控えますが、そんな中で、これはどうしても名前を申し上げなければならないんですが、翌一九六八年の三月にいわゆる成田事件というのがありました。  成田空港反対闘争をやっていた東京放送の取材班が、農民の、しかも婦人ばかりの反対派の人たちが集会に行くときに、たまたま取材用のマイクロバスに乗せて走っていたところを警察の検問に遭って、そこにプラカードが積んであった。これは凶器であるという言い方で検問をしたのでありますが、その日の夜、時の自民党幹事長の福田赳夫さんが、まさにこの十三条の問題に関連をして、そのような反対派の便宜を図るような放送局には再免許を与えないということもあり得るということを記者会見で発言をされた、これがいわゆる四条と十三条の問題であります。一つの例です。  今大臣、こういう話を聞いてどういうふうにお考えになりますか。
  418. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 私は、TBS時代の田さんの大変なキャスターとしてのファンでもございました。  今具体例を挙げていろいろ言われましたけれども、大体放送法には法的には完全に番組の自主制作、編成権の、表現の自由に対する干渉はできないという形は明記されておるところでございます。したがって、これはあくまでも自主制作に基づいてやっておるのは御承知のとおりでございます。  ただ、法的には多少規定してあるということになれば、番組審議会ですか、それは各民放内に学識経験者を含むそういった方たちで番組編成の、まあ良識という言葉がどういうぐあいに理解されるかは別として、公正な報道、よい番組という形の審議会に、義務化というよりも一つのそういった審議会設置を義務づけておるということも事実でございます。  時の政権担当にプラスであるからとかマイナスであるからという形で、テレビあるいは表現の自由を保障されておるマスコミに、そういった政府権力が関与することを押さえておるのがこういった放送法の趣旨であり、また日本国憲法においても当然でございます。したがって、そういった形の時の与党権力にふらちな表現をしたからとか、あれだからといって権力の行使をされるようでは、これは民主主義国家としての基盤をなす国ではない。したがって、今言われたような問題が事実のとおりであるということになれば、私はまことに遺憾であると思います。
  419. 田英夫

    ○田英夫君 先ほど申し上げたように、私自身のことで逆に言いにくいですが、事実でありますからあえてこの席で申し上げたいのでありますが、そうした例を引きますと、それはきりがないんです。  例えば、ここに青山学院大学教授の清水英夫さんの書かれた本がありますけれども、その中に昭和四十三年、時の小林郵政大臣は、放送法を改正してNHK会長の政府任命制、放送局の事業免許制等を盛り込みたいということを語っておられて、これが大きな問題になったということがあります。  私は、時の権力というものは、それは政府あるいは与党を含めまして常に報道機関――放送局に限りません、報道機関に対して介入をしたいという力学をいつも持っている。これは民主主義社会の中であっても、つまり権力を持っている側は必ず自分たちにとって都合の悪いことが報道をされる、気に食わないことが報道される。その場合には、権力という力を持っているんですから、これに対して自分たちの思うとおりにしていきたい、介入をしていきたいという、そういう力学が働くというのは、私は事の善悪は別にして事実だと思います。したがって、報道機関というものは、そうした権力の側の介入や圧力が加わった場合でも、これに対抗をする、反発をしてその権力に屈しないという、気持ちだけではなくて仕組みを持っていなければならない。また、権力の側はもちろん、言うまでもなくそういう心理に駆られながらもそれを発動してはならない。こういう中で初めて民主主義は守れると思います。その意味で、今郵政大臣がお答えになったその御趣旨からするならば、この電波法第四条、十三条というものは、まさに民主主義に反すると。事実そういう介入があるんでありますから。となれば、この電波法は改正すべきだということにならざるを得ないんでありますが、その点はいかがでしょうか。
  420. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) これは国家権力がどうこうするということでなくて、この間も述べましたけれども、電波は有限であり、かつ大変貴重な国民資源であるということは間違いないことではございますし、それが公平で、いえばこういった新しい電波利用時代ですから、効率的な利用確保していかなければいかぬということも御同意願えると思うわけでございます。  したがって、電波行政の運営というのは郵政大臣の明確な責任体制のもとにはありますけれども、あの電波審議会という一つの最高の諮問機関を持ってやっておるわけでございまして、大臣の独断専行に基づくようなことはない形の仕組みにもなっておることでございます。  ですから、これは法律ももちろん今私も検討さしていただきます。そういった形のあるべき姿というものは、これは不断に検討すべきものですけれど、ただ、そういった貴重かつ有限の資源であり、国民に最大の影響力を電波というのが与えるだけに、私は、これは国家権力が自分の思いのままに操るものであってはならないということだけは十分納得できます。言論の自由、表現の自由はもとよりですけれども、しかし、私たちから見れば、随分ひどいことを言うなとか、随分ひどいことを書いてあるなという思いはしばしばでございます。これは、権力側とかそんなことじゃなくて、個人な形でも、私は大体物事を案外自分ではこう冷めた目で見る方でございますけれども、そういう思いをするときもあるわけでございます。だから、一概にそれで批判するわけじゃありません。それが健全な民主主義社会の証拠でもあろうと、自分はそう思っておるわけでございます。先生指摘のとおり、フレキシブルな柔構造のやっぱり国の体制ではならぬと思います。ですけれども、NHKの場合ですね、やっぱりこれは公共放送という形は、何も監督、認可というような力の規制じゃなくて、国民に対してある程度中正、中立的な公正報道というものを常に旨としてやってほしいということも一つの期待であるとともに事実でございます。  今言われた、この委員会FCC並みのことにしろとか、今、四条、十三条、こう御指摘されましたけれども、これはもう変えてしまえという形は、御趣旨を踏まえながら頭の中では理解できますけれども、今この自分がこの放送行政を担当している大臣として、今すぐこの問題どうするという形は御答弁にはいたしかねる。ただ、不偏不党、できるだけ今日の置かされた体制の中で、責任体制を明確にしてまいりたいということだけはお答えできると思います。
  421. 田英夫

    ○田英夫君 言うまでもなく言論の自由というのは民主主義の大きな柱であるからこそ、憲法でも二十一条でこの言論の自由ということをうたい上げているわけでありますし、日本の憲法の中の第九条と並んで非常にすぐれた点だと私は思っているわけです。したがって、その憲法の二十一条の精神に照らすと、電波法第四条というものはいかがなものか。当時の郵政大臣並びに郵政省の幹部の皆さんはどういうつもりで今のような法律にしてしまわれたのか。私も、議員立法をつくったことがありますけれども、当然のこととして法制局の皆さんとの話し合いの第一歩は、憲法との整合性というところから入るのが当たり前でありますね。となれば、私は憲法二十一条の精神からして、現在のような電波法をつくられた当時の郵政省大臣、幹部の皆さんは何を考えておられたのか、政府の法制局も一体どういうつもりでこのような規定をつくったのか、私は非常に理解に苦しむし、現にその前にあった、アメリカ的な制度でありますけれども、アメリカは現にFCCという形で時の与党――まあ二大政党でありますからちょっとあれは違いますけれども、与党である今で言えば共和党が四人、民主党が三人を推薦をして、七人で委員会を構成すると。まことに私は民主主義という考え方に合致していると。せっかくそれに倣ったものがあったものを、現在のような制度に変えてしまったということに私は本当に理解に苦しみますし、今大臣から今後検討をしていきたいという意味のお言葉がありましたから、これは大問題として今後も私はしばしば取り上げていくつもりでありますけれども、郵政省としてはぜひこのことをお考えいただきたいと思います。  権力が介入をするというのは、何も政治権力、政府だけではありませんで、この点はたとえば今民放はニュース番組を売っているわけです。コマーシャルがついているだけじゃなくて、三十分のニュース番組なら三十分スポンサーへ売ってしまっている。ところが、アメリカはニュース番組は絶対に売らないのであります。例えば三十分のニュース番組があると、前に二分、後ろに二分、真ん中に一分コマーシャルが入りますけれども、それはいわゆるスポットであって、その合計五分間だけ売っていて、真ん中の正味二十五分間は完全にいわゆるサスプロとしてやるという、ラジオもテレビもそういうもう慣習になっている。この辺に、残念ながら、アメリカの民主主義の熟度に対して、日本の民主主義の未熟さがあらわれているというふうに私は考えております。つまり、全時間帯を売ってしまうから、金は出すけれども口は出さないということにならないんでありまして、スポンサーは必ず口を出してくる。その実例を挙げれば、これまた枚挙にいとまがありません。  例えば私自身の経験をもう一つ申し上げれば、ある製薬会社がスポンサーであったときに、アンプル入りかぜ薬で人が死んだという事件がありました。ところが、その製薬会社自身のものではなかったんでありますが、製薬会社同士のいわゆる仁義みたいなものがあって、あるいは薬に対する一般の皆さんの信頼度というものを損ねるというような言い方で、このニュースは放送をしないでくれ、こういうことを営業を通じて申し入れてきたことがあります。これなどは最もひどい例であります。  大臣も元ジャーナリストで御存じでしょうが、犬が人にかみついてもニュースにならぬけれども、人が犬にかみついたらニュースだというのが、新聞記者の初歩のころによく言われる例え話でありますが、病気を治す薬を飲んだら死んじゃったというんじゃ、これはまさにニュースであります。それを放送するなと言うんでありますから、まさに金の権力が物を言うという一つの事例でありまして、私は民放もニュース番組は絶対に売るべきでないということを主張し続けているんでありますが、放送局はそれを聞こうとしないというのが現状であります。この意見に対して、大臣の御感想を伺いたいと思います。
  422. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 先生の御意見に決して反論するという意図で言うんじゃありませんけれども、まあアメリカが熟度の高いデモクラシー国家であるということは肯定できます。しかし、ノンスポンサーであるから民主主義のニュース報道に対してのレベルが高いとは率直に思えません。  私はむしろニュースは時々見る方です、民放も含めて。ですけれども、あのスポンサーあたりが――あたりと言ったら語弊がありますけれども、スポンサーが果たしてニュース内容に関心を持っておるかというと、私は視聴率ばっかり気にしていると思うんです。案外日本のスポンサーというのは、ニュース報道に対してやっぱり比較的自由というもの、そして表現の主張というものに関しては、ある程度寛容なんじゃないでしょうか。そこまでわからぬと言えばそれまでですけれども、日本のあのニュースに出ているスポンサーという企業があります。私も時々見ていますから、その企業名、気になりますけれども、私は余りスポットは好きじゃありませんけれども、しかしそこまで、ニュースには一切スポンサーはつけるなというのは卓見であるし、一つの理想目標であると思いますけれども、今度は私もこう言っていっても、果たしてそこまでできるかなということに関しては非常に自信がありません。ただ、そういったアメリカの制度に見習うというくらいの基本的な姿勢というものは、私は民放各社にも必要ではなかろうかと思います。
  423. 田英夫

    ○田英夫君 もう最後ですが、今の大臣の御答弁を伺っていて、残念ながら私はやはりもう少し厳しくお考えいただきたいと言わざるを得ない。残念ながら、国会の中には電波を通じて放送のことについてはこの委員会がありますけれども、ジャーナリズムの問題について論ずる委員会というのがありませんね。ですから、例えば今例の子供向けの雑誌などのことで、自民党の中で議員立法でこれを規制する法律つくったらどうかという御意見があるやに聞いておりますけれども、私はもう絶対にそんなものを法律で規制すべきではないと。これは業者の側がみずから民主主義を壊すようなことをしてはならないという立場から、自分でそうした卑わいな子供向けの雑誌を出すようなことを慎む、あるいは世論の力でこれをやめさせるということであるべきで、絶対に法律というような形で取り締まるべきではないという意見でありますが、どうも民主主義ということについて、特に言論の自由と絡んだ民主主義ということについて私どもはもっともっと考える必要があるんじゃないだろうか、こういう気がいたします。また、機会を改めてそうした問題についても御意見を聞かしていただきたいと思います。  終わります。
  424. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 本件に対する本日の審査はこの程度にとどめます。  次回は明七日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十三分散会