○佐藤三吾君 私は、日本
社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました
風俗営業等取締法の一部を
改正する
法律案につきまして反対の討論を行うものであります。
本案につきましては、既に本院並びに
衆議院における
審議の中で
問題点の多くが指摘され、また、それに対する政府答弁は紆余曲折をきわめ、混乱に満ちたものでありました。
私は、かかる立法体系上の構造的欠陥を持つ
法案を政府が国会に提出したことに対し、まことに憤りを感じます。本院におきましては、特に十二名の参考人の方々が
意見を開陳されておられますが、参考人の多くの方も同様の感想を表明されておられます。
以下、その重大と思われる
問題点のみを指摘いたしたいと考えますが、その大前提は、政府の国会
審議に臨む姿勢の問題であります。本案については、
現行八条の
法律を五十一カ条として、さらに七十七カ所の政令、規則への委任箇所が含まれておりますが、政府は
衆議院の
審議においてこの下位法令への委任事項の内容の提出を求められたにもかかわらず、極めて不十分なものしか提示せず、本院においても、ようやくその多くを明らかにいたしましたが、いまだ不明確な部分を残しております。かかる法文を読んでも不明解、予定政令を読んでもなお不明解という、国権の最高機関たる立法府の
審議を軽視した
法案は例を見ず、まことに遺憾と言わざるを得ません。
第二に、これも本院で明らかにされた点でありますが、本案の
作成過程においては、
警察庁と厚生省、通産省、建設省等との間に覚書が交わされております。これにつきましても我が党が具体的に指摘するまで全くこれを秘匿し、再三の要求でようやくこれを明らかにするという不見識きわまりない態度を示しました。
さらに、
衆議院におきまして政府原案は三項目の修正が行われましたが、このうち、
営業所の管理者、
警察官の立ち入りに関する修正につきましては極めて不十分ではありながら、原案と比較しますと改善されていると評価するものであります。しかしながら、本院における修正条項の
質疑において
警察庁は、修正
趣旨を曲解し、何ら実質上変更なきかの答弁を重ね、これも
公安委員長の答弁でようやく修正
趣旨を尊重する旨の表明があり、一応の改善であることが確認された次第であります。
以上に見られますように、
警察庁の姿勢は、国会軽視、陰湿きわまりなく、ひたすらみずからの
権力と影響力の拡大のみを追求する企図が露骨にあらわれております。
また、
審議の過程におきまして、
少年指導委員制度、
風俗環境浄化協会、
風俗営業における許可制と
風俗関連
営業における届け出制等につきましても矛盾百出し、政府は整合性ある答弁を行うに至っておりません。再三にわたる
警察官の不祥事、元
警察幹部の内部告発についてもひたすら事実と原因の解明を回避し、みずからその体質の改善を追求しようとはいたしておりません。
私は、このような不十分きわまりない
審議状況においてここに本案が採決されるに至ったことは、国会の職責を全うせず、
国民に対する背徳であるとすら考え、極めて不満であります。
我が党は、
委員各位に対し、本案及び
警察問題につきましては、さらにその
問題点についての調査、解明を進め、可及的速やかに再
改正を図るべきであることを御提案申し上げたいと考えます。
日本
社会党は、本案が危険きわまりないものであり、本案の施行が
少年の健全な
育成に何ら貸せず、
警察権力の肥大化のみに帰結するおそれが大であることを改めて指摘し、反対の態度を貫くことを表則して、討論を終わりたいと思います。
なお、共産党の修正案は大幅な改善ではありますが、
風俗営業と関連
営業との
関係など
改正法が持つ法体系の不備を補っていないので同意できないことをつけ加えさせていただきます。
以上です。