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1984-08-02 第101回国会 参議院 地方行政委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年八月二日(木曜日)    午前十時開会     ―――――――――――――    委員の異動  八月一日     辞任         補欠選任      高杉 廸忠君     秋山 長造君  八月二日     辞任        補欠選任      秋山 長造君     高杉 廸忠君      久保田真苗君     上野 雄文君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長        大河原太一郎君     理 事                 岩上 二郎君                 真鍋 賢二君                 志苫  裕君                 三治 重信君     委 員                 井上  孝君                 加藤 武徳君                 上條 勝久君                 古賀雷四郎君                 出口 廣光君                 松浦  功君                 吉川 芳男君                 上野 雄文君                 佐藤 三吾君                 高杉 廸忠君                 刈田 貞子君                 原田  立君                 神谷信之助君    国務大臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    田川 誠一君    政府委員        警察庁長官    三井  脩君        警察庁長官官房        長        太田 壽郎君        警察庁刑事局保        安部長      鈴木 良一君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局家庭局長   猪瀬愼一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        高池 忠和君    説明員        警察庁刑事局保        安部防犯課長   古山  剛君        警察庁刑事局保        安部少年課長   山田 晋作君        青少年対策本部        参事官      福田 孝雄君        法務省刑事局青        少年課長     松浦  恂君        文部省社会教育        局青少年教育課        長        伊藤 俊夫君        厚生省生活衛生        局指導課長    瀬田 公和君    参考人        日本女子体育短        期大学助教授   江幡 玲子君        横浜国立大学教        授        成田 頼明君        全国遊技業協同        組合連合会理事        長        松波 哲正君        全国商工団体連        合会風俗営業法        対策委員     新東 正朗君        新宿区明るい地        域環境づくり推        進会議世話人代        表        塚田 貞次君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○風俗営業等取締法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  風俗営業等取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案審査のため、参考人として日本女子体育短期大学助教授江幡玲子君、横浜国立大学教授成田頼明君全国遊技業協同組合連合会理事長松波哲正君、全国商工団体連合会風俗営業法対策委員新東正朗君、新宿区明るい地域環境づくり推進会議世話人代表塚田貞次君、以上五名の方々の御出席をいただいております。  この際、参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、皆様方には極めて御多忙中のところ本委員会に御出席をいただきましてまことにありがとうございました。心から御礼を申し上げます。本案につきまして皆様からの忌憚のない御意見を拝聴し、本案審査参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。  なお、議事の進行上、参考人方々にはそれぞれ十分程度意見を順次お述べ願い、陳述がすべて終わりました後に各委員の質疑にお答えを願いたいと存じます。また、発言の際はその都度委員長許可を受けることになっておりますので、あらかじめ御了承をお願いしたいと思います。  それでは、まず江幡参考人お願いを申し上げます。江幡参考人
  3. 江幡玲子

    参考人江幡玲子君) 江幡でございます。よろしくお願いいたします。  私は、思春期問題研究所という研究所をしておりまして、たくさんの子供たち相談を受けているわけですけれども、年間百五十人ぐらい、大学の教師も一緒にやっておりますのでそれほどたくさん受けられないのですが、延べ数にして四百から五百ぐらいの子供たち及び親と会っているわけです。反社会的な傾向子供と非社会的な傾向、つまり刑法犯子供とそれから登校拒否とか御飯を食べなくなってしまう子供とかいう非社会的な子供の問題と両方、それからお父さんやお母さん、学校先生方から、どういうふうにしたらばいいであろうかというふうな御相談を受けております。私自身心理学福祉を勉強しまして、現在は大学教職課程にある学生のために教職課程必須科目を教えておりますので、教育心理福祉の三つの側からお話ができるのじゃないかなと思っております。  御存じのとおり、反社会的な傾向は、昨年、一昨年、戦後最高と言われまして、二十歳未満の少年年齢千人に対して十八・八人という数で非行少年の数が上がっているわけでございます。千人に十八・八という非行者率は、百人で一・八、四捨五入しまして百人で二というふうに考えますと、五十人に一人ということで、一クラスに一人ぐらいいると、こう言われております。これは統計の都合上一人が二回とか三回やっても一人になっていると思いますが、それにしても五十人に一人ぐらいの割合で非行少年がいると考えられます。それから非社会的な傾向、これはカウントすることができませんので、教育センターその他で調べますと、大体どこの都道府県、市でも一クラスに二人から四人ぐらいの登校拒否子供たちがいると言われています。登校拒否、はっきりは出ておりませんが、問題行動子供としているということです。何があっても絶対他からの影響を受けない子供が約半分で、先生方の経験的な理解によりますと、約三〇%の子供がよくない環境があるとそこへ引きずられていく。水島恵一先生という方、これは非行専門家ですけれども、非行感染性あるいは非行感応性性格と言っておりますが、大体三〇%がそういう性格だと言っております。  少年問題の中で、やはり反社会的な傾向を持つ子供たち、一夜にしてなったわけではなくて、準備状況というかそれなりの時間がかかってなっているわけですけれども、その中で有害環境との接触のある者を調べますと男女の差があります。それからもう一つ年齢差があるということなんです。年齢差ですと、小学校、中学校子供たちというのが、非行少年というか問題を起こした子供と問題を全く起こさない子供とを比べてみますと、問題を起こさない子供というのはほとんどいわゆる有害環境への接触がないわけです。それから高校になりますと、問題を起こした子供も起こしていない子供有害環境への接触がいささかあるということなんですね。ですけれども、高校ぐらいになりますと、自分に対するコントロールの能力が出てきますので、有害環境接触してもどこかで思いとどまることができるわけですが、小学生の場合に、ゲームセンターその他へ出入りしますと、少ない小遣いで遊びますのでどうしても二次的犯罪を呼びやすいということがございます。二次的犯罪というのは、恐喝とかあるいはもう少し軽いたかりとか、年齢の低い者からお金をカンパすると称して取り上げるとかというふうなこと、それから、こそ泥とか親からのお金の持ち出しとかが出てくるわけですが、ばくちというのは、これも御案内かと思いますが、短い時間で勝負がつくものほど熱くなると言われております。そして、短い時間で勝負がつくものほどもう一度やりたいもう一度やりたいと呼び起こされるのはこれは当然でございます。  思春期子供、まあ十歳前後から十七、八歳までを思春期と呼んでおりますけれども、思春期特徴というのはいろいろございますが、その特徴の中で非常にはっきりしているのは、自立を求めていくための、あるいは独立欲求のための反抗ということがございます。大人は第二反抗期と呼びますけれども、それは独立したいという欲求があるわけです。それから新しいものを見たい、新しい体験をしたいという好奇心というのが非常に強いわけです。もう一つは、自己確認のための冒険心、つまり自分というものがどのぐらい能力があるかということを確認したいという冒険心があるわけです。反抗好奇心冒険心に満ち満ちている少年有害環境接触したときに、有害環境にならざるを得ない状況が起きてくるのじゃないかと思うのです。一口にいろんなものを有害環境と申しますけれども、問題のないっき合い方あるいは上手なつき合い方というのがございます。それからもう一つは危険をはらんだつき合い方。これは酒、たばこ、すべて同じだと思いますけれども、危険をはらんだつき合い方をしてしまうのじゃないか。その危険をはらんだつき合い方の背景には家庭の問題があるわけです。うちがおもしろくない、学校がおもしろくない、おもしろくないずくめのところで好奇心を満たすもの、あるいは冒険心を満たすものが出てきたらば、どうしてもそこにのめり込んでいくのじゃないかと思います。  それから女子男子の差を見ていきますと、低年齢では男子の方が圧倒的に多いですけれども、高年齢になると男女ともに同じになっていくわけでございます。そして、そのつき合いの中で直接に影響を受けていく。例えば先ほど申しましたように、お金を取るとか、あるいはポルノに刺激されて何々とかというふうな直接影響を受けるものと、もう一つ高年齢の場合に大変怖いのは、有害環境の中で培われた人間関係というのが出てきます。夜遅くまでディスコで遊んで帰れない、そこへやさしい言葉をかけられて泊まってしまう、あるいはごちそうになるということから、まあ暴力集団と言われる人たちとのつき合いが出てくるわけです。このあたりにここ数年来ずっとふえ続けております福祉犯罪の問題が出てくるわけです。  福祉犯罪、昨年は三千十四人の子供たち被害者になっておりますけれども、その中の半数が暴力団関係被害に遭っている。それは、やさしい言葉をかけられて、そして覚せい剤を打たれたり、あるいはトルコに売られたり中間搾取をされたりと、そういうことですが、私自身福祉犯被害に遭った子供補導を何回かしまして、自分被害に遭っていながら、自分覚せい剤を打った男のことを恨んでいないということがあるわけです。なぜ恨んでいないかというと、やさしかったよと、こう言うんですね。今の子供たちがいかに大人のやさしさを求めているかということがよくわかるわけですけれども、やさしかった、でも最後的に言うならば、やっぱり家へ帰りたい、でも帰りたくない、大変心の中に葛藤があるわけです。学校がおもしろくないと言いながら、でも学校は卒業したい。非常に自分でどうしていいかわからないという気持ちがあるのではないかと思います。  そういう中で、私は、子供たちに対していろんな人がいろんな角度から、現在もたくさんの人たちが、あるいはたくさんの公私どもの機関が子供の問題にかかわっておりますけれども、でもここでもうひとつやっぱり強力に働きかける人が必要なんじゃないかなと思う。それは子供の心というのは、実は拒んでいながら求めているという状況がある。いやだいやだと言いながら、時には補導されたい気持ちがあるわけですね、補導されてけりをつけたいという。自分から、済みません、ここから足を洗いたいですとは言っていかれないから、何とか補導されるという状況けりをつけたいということもある。  それからもう一つは、現在の世の中というのは役割時代と言われております。私がこの格好で子供たちに何か言うと、おばさん何と、こう言われます。ただのおばさんだよと言っても、じゃ言うことを聞く必要はないんじゃないかと、こう言われるわけですね。ところが、たった一枚のパスを出して、こういうおばさんなんだけどともし言ったとしたら、ふうんといって言うことを聞かなくちゃならなくなるわけです。笑い話ですけれども、本当におばさん少年補導員かと言われて、そうだと言ったら、パス見せてみなと言われて、見せたらうんといって言うことを聞いた子供がいて、やっぱり役割というのは子供にとっても大人にとってもある種の規制というか役目を果たしているんじゃないか。そういうことから言いますと、少年指導委員というものが強力な形で、特に低年齢子供の問題に、小中学生の問題に入り込んでいくことが必要じゃないかと思います。  それは家庭の機能が低下しているということ。低下しているだけではなくて、問題が起きたときの復元力が非常に家庭の中に少ないということ。それから今申したように、社会のどこかのおばさんの、おじさんの言うことでは子供たちが聞かなくなっているというふうなことで、社会の力というものが非常に少なくなった。これは力が少なくなっていると同時に、受け取る側の問題もあるだろうと思います。そういう意味で、少年指導委員という形で、今までのいろんな形の補導係補導員婦人補導員などという形からもう一歩進んだ形の係ができて、ある地域を決めて強力な補導をしていくことがやっぱり子供にとっては大きな意味があるのじゃないか。それは子供というのはある意味では一罰百戒的な行動抑制があるということも言えるだろうと思います。  ただ、私自身希望をもし言うならば、人格高潔で有識者という少年指導委員の中にぜひ若い人を入れてほしいということでございます。若くなければやっぱり若い子供と話が通じないということがあるわけですね。それは言葉から違います。読んでいるものから違います。そういうことから言うならば、立派な人格高潔なおじさんおばさんも必要だと思います、ベテランの方も。でもその中で未熟であってもいいから、人を入れるならば若い人がそこに入り込んでいくことによって、子供禁止をかけるという指導だけではなくて、打っちゃいけない、遊んじゃいけないという禁止で取り上げるだけではなくて、もう一つどうしたらいいかという生き方を教えていかれるのじゃないか。今の子供遊び方を知りませんので、遊び方もそこで教えていくことができるのではないかなと、これは個人的な希望でございます。
  4. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ありがとうございました。  次に、成田参考人お願いいたします。
  5. 成田頼明

    参考人成田頼明君) ただいま御紹介いただきました成田でございます。  私は、横浜国立大学に勤務しておりますが、行政法の専攻でございますので、法律的な観点から若干の問題点について意見を述べさせていただきたいというふうに存じます。  事前にいろいろお話があったわけでございますけれども、ひとつこのたびの法改正に関連いたしまして、営業許可本質から見て、例えば相続問題等が一体なじむのかどうかというふうな問題とか、あるいはかなり積極的な新しい手法を取り入れた規制をやっております。これが営業許可本質に反するのではないか、特に警察の仕事である関係で、警察消極目的原則との関係でどうであろうかというふうな御議論があるというふうに聞いておりますので、そういう角度からお話しをしたいと存じますが、何分時間が足りませんので、これは詳細にやりますと二時間でも三時間でも話できるわけでありますけれども、まあ十分で縮めろということですので、細かい点は後ほど皆様の方から御質問があればお答え申し上げるというふうにさせていただきたいと思います。  まず、これは皆さん承知だろうと存じますけれども、一般営業許可等許可というのは、一般的な禁止解除であるというふうに言われております。これに対しまして、いわゆる特許とか免許と言われていますものは、これは国家が独占的に持っている事業経営権等個人に、申請者に分け与えて独占的に事業経営させるのだというふうなことで、従来の行政法では許可特許というものを区分してきたわけでございます。しかし、今日では古典行政法における今申しました区分は、これ必ずしも妥当しないのじゃないかというふうに考えております。  これは学者の一方的な意見ではございませんで、最高裁判所の五十年五月二十九日の群馬中央バス事件というのがございます。これはかなり注目される事件でございますけれども、その判決では特に裁量基準裁量権がどの程度あるかということに関連いたしまして、高裁の判決ではかなり両者を区別したわけですけれども、最高裁は、許可判断をする際の裁量権の有無という点では、この許可特許というものを区別する実益はないんだというように言っております。現在、ドイツ行政法、これは日本がもともとドイツから行政法の原理を学んだということがありますけれども、現在ドイツでも、許可というものを一種の形成的な行政行為というものに含めておるわけでございます。私はどうも特許許可というのはかなり相対的な区別でしかないのだろう、区別が全くないとは申しませんけれども、かなりそれは相対化してきているということは否定できないだろうというふうに思っております。これは許可といい、特許といい、結局個人の自由な経済活動あるいは事業活動ないしは施設の設置、そういうものに国家なり行政なりが介入する場合の介入形態の相違であろうというふうに考えておるわけでございます。  相対的な区別ではありますけれども、許可の場合には一般的な消極的な基準というものを設けます。許可基準というのは割合一義的に明確な基準基準を書き入れる、それに該当しない限りは原則として許可を与えなければならないというふうに拘束している。そういった意味で、比較的に相対的には裁量権は少ないというふうに申せますけれども、これは個々法律によってそれぞれ決め方が違うわけですので、範疇的にはっきりした区分が初めからあるわけではないというふうに思っております。それで、許可制の場合には、事業内容とか経済活動なりそういった行為には余り干渉しないという場合が多いわけですけれども、しかし例外もあるわけでございまして、これは法目的を達成するために必要かつ合理的な範囲内であれば、やはり経営内容経済活動介入するということもあり得るわけでございます。  それから特許の場合、特許とか免許と言われている場合には、原則としてこれは経済的事業経営の場合に限りますけれども、原則として自由な市場参入というものを抑制をする、さらに事業公益性あるいはサービスの適正性継続性というものを担保する、そういう見地から免許基準を設けているように思います。したがって、基準は、市場容量、これは需給関係が中心になりますけれども、この市場容量とか経営能力とか、あるいは信用、計画性公益性、そういったことを割合不確定概念を使った基準を用いるという場合が多いわけでございます。しかし、これもやっぱり一様ではございませんで、個々法律ごとにかなり違っているというふうに言われております。事業経営内容介入することも特許の場合にはあり得るわけですけれども、しかし法目的達成上、そこで安全性というものを同時に、これは安全性というのは古典的な警察的な事項でございますけれども、それを許可に組み込むというものもあるわけでして、例えば原子力の場合の原子炉設置許可でありますとか、あるいは石油パイプライン事業特許的な色彩を持ちながら、同時に安全性という警察的な介入も含めております。  このほか、登録制とか届け出制とか、あるいは指定制等々種々の企業規制形態があるわけでございますけれども、これも絶対的な区別ではございませんで、要するに国が行政の関与、介入程度、態様にかかわる立法政策上の問題であろうかというふうに考えております。どういう程度規制が妥当かということは、これは最高裁判所の大法廷の例の薬局の距離制限に関する判決がございますけれども、結局、法律目的とそれを達成する手段との間の合理的な関連性と申しますか、比較考量と申しますか、そういうバランス判断で決まってくるのだろうというふうに思われるわけでございます。  今回の法案に出てまいります風俗営業規制は、許可営業範囲を超えているのではないかというふうな議論があるということを伺っておりますけれども、さっき江幡先生がおっしゃったような実態との関係から申しまして、この法目的を達成するためにはやはりある程度料金の規制をしたり、あるいは管理者の解任の勧告をしたりといった規制方法は、これは規制手段としては、私は相当性合理性というものの範囲を逸脱したものとは思っておりません。従来の古物営業質屋営業等では採用されていない新しい規制手法が幾つか入っておりますけれども、これはやっぱり新しい事態に対してワンセットの新しい仕組みを仕組んでいかなければならないということで、私は妥当な範囲内にとどまるだろうというふうに考えております。  これに関連いたしまして、許可を受けた地位は権利ではなくて単なる禁止解除であるから相続にはなじまない、こういう考え方があるかもしれませんが、この法案では相続というものを正面から認める、証印をついて相続を認めるという、これはかなり珍しい立法例でございます。私は、相続になじまないという見解には賛成できないわけでございまして、これは皆さん承知のように、運転免許医師免許といった資格付与行為のように、その地位が高度に人的なものである場合はこれは相続になじまないということになるわけでございますけれども、そうでないものは相続の対象になり得るというふうに考えてもいいのじゃないかと思われます。これはドイツ考え方でも、民法相続に関する規定むしろ法一般原則である、これは私法だけではなくて、法全体の一般原則なんだというふうな考え方もあるわけでございます。  最近の実定法の規定をいろいろ見ておりますと、都市計画法等もそうでありますけれども、許可を受けた地位の承継について特別の規定を設けているという条項が非常にふえてきております。これは民法相続に関する規定一般規定である、あるいは法の一般原則だというふうに考えますと、これは当然のことを確認したものにしかすぎないのじゃないかというふうにも思われます。これは要するに、相続を認めるか認めないかということはやっぱり一種立法政策の問題であろうというふうに存じます。  それから次に、警察消極目的原則との関係について若干お話しいたします。警察消極目的原則と申しますのは、これは行政警察一般的、包括的な授権に基づいて警察官庁の広範な裁量が認められていた時代条理法でございます。これと並んで、比例原則とか公共原則というふうなものがあることは御承知のとおりであります。しかし私は、この考え方は現在ではかなり変わってきているのではないかというふうに思っております。これは私だけの見解ではなくて、最近の新しい行政法一つ傾向であろうかというふうに思われますが、その変わっています事由の一つは、昔は行政警察に対しまして一般的な授権というのがあったわけでございますけれども、現在では行政警察への一般的な授権というものはございません。行政警察の一切の規制はすべて法律の留保に服するわけでして、現在では法律事項でございます。ですから一般的な授権というのはないわけです。  それから第二の行政警察権限、かつてお巡りさん、警察の権限であったものが現在では警察官庁から離れてきている。これは脱警察化現象と申しますが、これは保健所の食品監視員でありますとか建築士とかいうふうなところに移ってきております。一部は組織上の警察機構に残っておりますけれども、それは法律によって行政庁に特に留保されたものである、警察に留保されたものであるというふうに思われます。  それから第三に、市民の安全とか良好な環境の形成のための規制というものは、現在では市民の側からの積極的なニーズになってきているのではないか。これは消極的とは必ずしも言えないのじゃないかというふうに思われます。現に公害規制あるいは消費者問題のための規制、あるいは土地利用規制、建築規制、営業規制あるいは青少年保護、こういったものはすべて最近では積極目的を含むというふうに考えられております。むしろ学者の中には、行政介入請求権、市民の方から積極的に権限を発動しろというような請求権がむしろ与えられるべきじゃないかというふうな考え方もあります。  それから民事不介入とか私的、まあ私住所不可侵の原則も現在ではやはりかなり変わってきておりまして、民事不可侵にかわって紛争処理、行政による紛争処理というような制度もできておりますし、私住所の不可侵等は現在ではプライバシー問題も含められているというようなこともあるのじゃないかというふうに思われます。  そういうことで、古典的な行政法考え方というのは現在ではかなり変わってきておりますので、古典的な行政法から見ておかしい点がもし仮にあるとしても、現代の法観念あるいは現代的な観点から見ますと、これは必ずしもおかしいとは言えないというふうに思えますので、この風営法全体からしますと、そういった意味で私はかなり妥当な法案ではないかというふうに考えております。
  6. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ありがとうございました。  次に、松波参考人お願いいたします。
  7. 松波哲正

    参考人松波哲正君) 全遊協理事長の松波でございます。  今回の風営法改正につきましてパチンコ遊技業界の代表として意見を申し上げたいと存じます。  風営法のもとで営業をさせていただいております私どもといたしましては、このたびの法律の改正は最大関心事であり、当初マスコミなどの情報によりますと、私どもは少年非行化防止対策、セックス産業の規制が主眼の法改正のように実は承っておりました。パチンコ営業につきましては大きな改正はなく、従来どおりで大した変化はないと伺っておりましたのですが、ところが改正法案の全貌がだんだん判明してまいりました。パチンコ遊技場に関する条項が余りにも多く、その内容も業界にとって重要な問題をはらんでいることがわかり、業界の内部でも次第に危機感が実は高まってまいったわけでございます。  現行の法律はわずか八条で、細目につきましては各都道府県の条例にゆだねられております。ところが、新法ではそれを一挙に五十一条に拡大するなど、実質的には改正というのには大変ほど遠く、全く新しい法律を制定すると申し上げても過言でないかと存じております。  私ども遊技業界は三十有余年の風雪に耐えた歴史を持っております。そして、全国の業者の九〇%が全国遊技業協同組合に所属いたしまして、各県にも遊技業防犯協力会が設置され、統一のとれた組織を有しておるわけでございます。事実、少年非行防止につきましては、昭和五十年以来、映画「ゆがんだ青春」シリーズを五本作製いたしまして、警察庁、文部省、全国防犯協会、青少年育成国民会議日本PTA全国協議会など多数の団体の御推薦をいただき、各県の防犯協会、教育委員会を初め諸団体に合計千五百本になんなんとするフィルムを御寄贈申し上げて、全国の青少年健全育成のため広く御活用をいただいておるわけでございます。  また、いささか手前みそになりますが、社会福祉面におきましても各県で善意の箱事業などを通じまして老人養護施設など各方面に年間、大阪の八千二百万円を筆頭に、全国で合計三億円に上る御寄付をさせていただいております。  以上、くどくどと申し上げましたが、私どもなりに御当局の御指導のもとに、国民の健全娯楽の旗手として、あるいは国民にあすの活力への憩いの場として親しまれ、また健全営業を推進するため自主規制を設けるなど真剣な努力を重ねてまいったわけでございます。それなのに、国民のひんしゅくを買っているセックス産業などと同一視され、同じ厳しい網をかぶせられることはまことに遺憾であり、納得のできないところでございます。  さて、このたびの改正法案の内容について申し上げたいと思います。おかげをもちまして、衆議院で一部修正をしていただき感謝を申し上げておるわけでございますが、まだ、私どもの業界といたしましては、問題点が残っており、心配な面もありますので、次に申し上げます五つの点につきまして、御配意賜りますれば幸いかと存じております。  まず第一に、第三十七条の「報告及び立入り」の点でございます。警察職員が店内に立ち入り、帳簿その他を検査できるという項目は衆議院で削除されました。第一項に、「公安委員会は、この法律の施行に必要な限度において、風俗営業者等に対し、その業務に関し報告又は資料の提出を求めることができる。」という規定が実はまだ残っているわけでございます。この第一項に規定する「必要な限度において、」とはどこまでの限度を意味するのか、また報告とか資料の提出範囲や条件はどのようなものであるか、全くこのことは明確でないわけでございます。警察職員が営業所に立ち入って帳簿書類その他を検査しなくても、必要最小限度のものとして資料の提出を命ずることができるのであれば、立ち入って帳簿書類その他を検査するのと実質的には何ら変わらない結果になるのではないかと実は考えているわけでございます。それが私どもの危惧するゆえんであり、現在の規定で十分目的が達せられておりますので、現行法第六条の限度にとどめおきいただきたいのでございます。  第二に、第二十四条の「営業所の管理者」についてでございますが、管理者の解任については衆議院の御審議で修正されまして、公安委員会は営業者に、「管理者の解任を命ずることができる。」というのが、「解任を勧告することができる。」となったわけでございますが、現実の問題といたしまして、御当局から勧告を受けた場合、それを拒否するなど実際上不可能に近いことでないかと考えます。実質的には営業者に対する人事権の介入と解せざるを得ませんし、また店の円満な人間関係、労使の関係にもひび割れを生ずることになり、将来に禍根を残す大きな問題に波及してまいるように考えられますので、現行条例にとどめていただきたいものと存じております。  第三に、第二十条の「遊技機の規制及び認定等」についてでございますが、改正規定では、遊技機の基準や型式認定について必要な規格はすべて中央で統一することになりますが、各都道府県の公安委員会は、事実上認定許可権がこれによってなくなるのも同然ということになろうかと実は心配をいたしておるわけでございます。中央で規格を統一するという御当局のお考えは、地方によって行き過ぎた機械の認定をセーブしようという点で決して理解のできないわけではございませんが、北海道から沖縄に至る全国津々浦々には、各地域における人情、気質、風土などに大きな差異があるわけでございまして、そういった地方の実情やお客さんのニーズの差を十分御考慮していただきたいのでございます。言うならば、今度の改正は、全国の人々すべてに標準語を話せということに等しいかとも我々業界では言う人もあるわけでございまして、ぜひとも現行どおりの各都道府県の公安委員会の認定許可お願いをいたしたいと存じます。  第四に、第四条の「許可基準」についてでございますが、改正規定では、いかなる犯罪でも一年以上の懲役もしくは禁錮の刑に処せられた場合には、五年間許可を受けることができないことになっておりますが、これはまことに厳しい基準と申し上げざるを得ないのでございます。どうぞこれも現行条例の範囲におとどめいただきたいと存じます。  最後に、第三条の許可条件の付与についてでございますが、公安委員会では、善良の風俗もしくは清浄な風俗環境を害する行為、これを防止するため必要があると認めるときは、その必要な限度において許可条件を付することができると規定しております。これは余りにも漠然とした規定だと考えられますので、いま少し具体的にお示しいただきたいのでございます。  以上、率直に申し上げ、私ども業界の実情並びに意見を申し上げましたが、ただいま申し上げた事項にはそれぞれ厳しい罰則規定行政処分がつけられておりますので、どうか私どもの意のあるところをお酌み取り賜りまして善処していただきますよう、よろしくお願いを申し上げまして、私の陳述を終わらせていただきます。
  8. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ありがとうございました。  次に、新東参考人お願い申し上げます。
  9. 新東正朗

    参考人新東正朗君) 全国商工団体連合会の新東でございます。  私は、中小料飲業者の立場から、今回提案されている風俗営業等取締法改正案に対しての意見を述べさせていただきたいと思います。  まず初めに、料飲業者の営業の実態なりを御参考のためにごく簡単に述べてみたいと思います。  御承知のように、飲食業といえば中小零細業者が多く、生業的な業種と見られていましたが、昭和四十年代後半から外国資本や国内大企業の飲食業界の進出が盛んになり、いわゆる外食産業の出現と国民の生活様式や食生活の変化などによって大きく変貌を遂げつつ成長してきました。こうした中で料理飲食業界は、最近では経済不況の中でその影響を大きく受けて、お客さんや売り上げの減少が著しく、ここ数年来営業が苦しくなっている店が増加しています。とりわけ都市部、繁華街での中小零細料飲業者は、大資本の進出を初め、トルコふろやピンクサロンなどの乱立によって地域環境が極度に悪化し、家族連れなど近寄れない、さらに客足が遠のくなど、この面でも大きな影響を受けています。大阪ミナミの例をとって申し上げますと、営業の前途に希望が持てず転廃業が続出しており、不動産業者を通じて営業しながら売りに出している店が実に六〇%もあると言われており、それでも買い手がつかないという深刻な事態が新聞でも報道されています。  このような状態のところに今回の風営法改正案が実施され、もし本格的な取り締まりが行われるならば、全国百五十万とも言われている料飲業者、そしてその家族や従業員にとっては文字どおり死活問題となってきます。私どもは、こうした料飲業者の営業と生活、地位の向上を目指して運動を進めてきておりますが、特に強調したいことは、料飲業者が社会的、経済的に大きな位置と役割を果たしているということです。多産多死と言われて高い開廃業率を特徴とするこの業界は、単一業種としては最大の業者数となっており、これだけの成長を遂げたのも多くの国民の要求であり、庶民のささやかな憩いの場となっていること、そしてあすへの活力の源泉となっていると言っても過言ではないと思います。  さらにつけ加えておきたいことは、料飲業者の圧倒的な部分が健全でまじめに営業していること。ピンクサロンなど一部の悪徳業者と同一視される向きもありますが、前に述べましたように、むしろ被害者の立場であり、例えば京都の木屋町、東京では新宿歌舞伎町、大阪のミナミなどでも青少年非行防止を含め、地域環境改善にも先頭に立って取り組んでさえおります。残念ながら一般的にはまだ水商売とさげすんだ見方も多分に残っているようですが、これは戦前戦後を通じ、取り締まりの対象にこそすれ、積極的な保護育成政策をとらなかった政府の姿勢にもうかがえると思います。  さて、本題の風営法改正案についてですが、全体としての問題点は、この法律を営業法や少年法並みのものにしようとすること、社会的批判の強いいわゆるセックス産業についての規制が弱く、いずれも法体系上の無理があることですけれども、とりわけ私たちに大きなかかわりのある部分に限って意見を述べたいと思います。  まず第一に、風俗営業の唐とその他の飲食店の区分が接待という定義によってされるところに大きな現実的問題点があることです。飲食店が風俗営業とみなされた場合どんな問題が起こるかといいますと、その一つに、十二時以降営業ができなくなることです。これまで収入の低下を深夜に及ぶ長時間労働で支えている飲食店などは、そのことによって営業が維持できなくなり、廃業もしくは転業に追い込まれることになりかねません。その二つ目には、料飲税の免税点適用除外店となり、二千五百円の免税点がなくなります。そしてオール課税されることになります。料飲税は当然お客さんから徴収をするんだからといった見方もありますけれども、この点でも零細な店ほどお客さんに税金を転嫁することが難しく、身銭を切る結果が多くなり、営業の困難に一層拍車をかけることになります。その三に、公的な制度融資の道がほとんど閉ざされてしまうことです。保証協会等の融資はほとんど借りられないというのが全国的な内容ですけれども、飲食店ではお店の改装など三年もやらなければ客足が遠のいてしまいます。融資が借りられなくなるとたちまち配るわけです。  このような重大なことが接待の定義によって決まることになりますが、今回の改正法案では条文に明記されており、その定義については依然としてあいまいであるだけに、現場警察官の恣意的判断によって拡大解釈されるおそれもあり、現在保健所の許可のみで営業している多くのスナックなどが風俗営業とみなされることになりかねません。現に、現行法のもとでも、カウンター越しにお酌をしたら風俗だ、カウンターの中でカラオケを歌ったら風俗だと言われて取り締まりを受けている店が各地で見受けられます。もともと風俗営業法制定の出発店は賭博と売春の取り締まりが目的であり、その時点での接待の定義がいまだに使われていることが問題だと思います。時代の流れとともにサービスも向上している中で風俗も習慣も変化していきます。お酒をつきながら談笑すること、このことがなぜ接待になり、なぜ風紀紊乱になるのか理解に苦しむところです。私どもは単に一律的に接待があるかどうかで風俗営業かどうかを区分すべきでないと考えています。  大きな二つ目ですけれども、深夜において主食以外の物を提供し、かつ酒類を提供する飲食店については公安委員会への届け出が必要とされ、同時にこれらの店は客に遊興させてはならないとありますが、料飲業者の場合、開業時食品衛生法に基づき保健所に許可申請、都道府県には料飲税の特別徴収義務者としての登録をしなければなりません。その上にこの届け出によってさらに大きな負担が課せられ、営業に対する警察介入など懸念されるところです。この膨大な事務量は、国としても行政改革が叫ばれている今日、それに逆行するようなことになり、国民としても納得のできないところではないかと思います。また、遊興についてもその解釈があいまいであり、改める必要があると考えます。  第三に、警察官の立入検査、質問については修正されたものの、現行法第六条に沿って整備とされており、依然としてあいまいであり、料飲業者の営業と市民生活への警察介入強化の危険性があることです。それは、現行法のもとでも全国各地で行き過ぎた立入検査や物件の押収などがやられていることからも明らかです。これらの点は既に委員会でも討議され、かなりの部分で明らかにされていると存じますが、私たち料飲業者の置かれている状況を御賢察いただき、現行法の問題点をも含め参議院において十分慎重に審議され、この風俗営業等取締法の改正案は廃案としていただくことを強く訴えまして、私の意見陳述を終わらしていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  10. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ありがとうございました。  次に、塚田参考人お願いいたします。
  11. 塚田貞次

    参考人塚田貞次君) 新宿区明るい地域環境づくり推会議の世話人代表を務める塚田貞次です。ほかに新宿区青少年問題協議会委員として、また新宿区地区青少年対策委員会の会長として務めております。  それでは、意見を述べさせていただきます。このたび国会に上程された風営法原案に対する賛否については賛成であります。  賛成の理由は、現状における青少年を取り巻く風俗環境はここ数年、年ごとに悪化の一途をたどり、これと並行して青少年非行もまた次第に増加しているという現状です。これは何人も周知の事実であります。特にその中でも青少年を目標とした悪徳業者には目に余るものがあります。その形態はますます陰湿をきわめ、かつ脱法的手法は限りなき強欲そのもので、彼らの低俗野卑な心とともに今後いかなる手口をもって青少年を誘惑するか予断を許さない危険をはらんでおります。こうした状況は、新宿区歌舞伎町に集中されている状況を御自分の目で確かめられ、御自分の肌で感じ取った皆様方が一番よく御存じであると存じます。  この野放図で無秩序の増加に耐えかねた善良な市民の要請にこたえた、政府による善良な風俗の保持及び清浄な風俗環境の保持並びに青少年の健全育成に障害を及ぼす行為の防止を目的としたところの風俗営業等取締法案の改正案は、未成年者である青少年への保護と健全育成の見地より、親として、また大人としての責任と義務を果たさなければならない立場から見て、現状においては何人も当然の措置、むしろ遅いくらいの感があると受けとめられるからであります。私ども市民は心から賛成します。  次に、衆議院における一部修正議決に対する意見、賛成。  賛成の理由は何よりも先に個人の人権の尊重を踏まえた配慮がうかがわれ、さらに関係人、お客及び業者の使用人並びに業者、他方また警察職員の職務権限の行使等に対して、いずれも公平に、人間として本人自身の自主性と良識の選択による自律自浄の機会を与えているからであります。これは各自がどう生きていかなければならないかという自覚を持つ上においての大変よい機会ではないかと思います。こうした修正案には改めて敬意をもって賛成いたします。  続いて、参議院に対する陳情要請の件ですが、七月二十六日、参院の議員事務室を敬意をもってお訪ねし、各先生の秘書の方々を通じて各党の諸先生に公平に陳情書を提出してまいりました。そして私どもの意思を確実にお伝え申し上げた次第ですが、これは単に新宿区民だけの問題ではなく、全国民による環境浄化実践活動参加者全員の願いであることを御了解いただきたいと思います。私ども新宿では二十万の署名に支えられてこの運動を起こしたのでありますが、その結果は東京都において周辺都市を交えた都民会議、その全員の方々の強い支持と賛同を得ております。さらに、全国民の単位でなされている青少年健全育成国民会議というのがございますが、ここにおいても各地方の実践活動の育成者たちから強い励ましと支持を得ております。特にそのとき私が痛感いたしましたのは、地方の行政方々がもはや地方の条例に基づいた行政の中ではこれ以上対応の仕方がないという、まことに悲痛なお願いが聞かれました。これはやはり法の不備による問題ではないかと思います。  こうした中で、いち早くこれによって今回の法案が成立することを望んでおるのでございますが、どうか良識の府である参議院におかれましては、各政党及び行政間の調整不調によっておくれることのないよう、一日も早く可決していただきたいと思います。万一おくれることがございますと、その間においても全国において発生しているポルノ産業による汚染現象がますます肥大していきますし、これ以上肥大してはもはや無法地帯として一般の市民がこれに対応する限界を超えてしまいます。我々市民としては、すべての非行少年問題解決と環境浄化改善のための真剣な取り組みをするためには、どうしても市民の強い支えと協力がなくては、どんな施策もどんな対策も機能し得ないものと確信いたしております。そのためには国民総がかりでそれぞれの役割分担をするための基準の設定がこの一つ法案の可決ではないかと思います。そうして、その中からすべての人たちがそれぞれの立場において役割分担のためいかに機能するかを考えて、お互いに助け合い、お互いに励まし合って対処していかなければこの問題は解決できないことだと思っております。  私どもは市民として素直にまず家庭教育学校教育社会教育、そうしたものを通して子供自身が自主性を持っていろいろの誘惑に打ちかつような、そして自制心の強い、自立心の強い、選別力のある子供たちに成長することに努力していきたいと思います。しかし、これにはかなりの時間がかかります。また、たゆまない努力が必要と存じます。また、これに対しては行政の援助、特に青少年の自主的活動への助成、スポーツの施設あるいは交流の場、そういう機会と場所の提供が必要なので、そういった健全な施設によって不健全なこのようなポルノ産業のようなところへ足を向けない、立ち入らない、見ない、汚染されないような対策が必要なのではないかと思います。  どうかこの点を十分御賢察なされて、一日も早く参議院でこの法案を可決され、さらに可決後においてどのように運営していくかは、これは皆さんそれぞれ先ほどの御意見を承るといろいろの御意見があると思いますが、それらを一つ一つ掘り下げて、十分時間をかけながら正すものは正し、改めるものは改めていくことが大切なのではないかと存じます。行政においても、それはそれぞれの産業に携わる業者においても、この際大きく社会の構造の変化を考えて、自分たちが何をすべきか、どう生きるか、またそれについてどう体質を改善するかの使命を持っていると思います。  以上をもって意見を終わります。
  12. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ありがとうございました。  以上で各参考人意見陳述は終了いたしました。  これより質疑を行いますが、参考人皆さんには、質疑者の持ち時間が質疑及びお答えを含めて限られておりますので、その点をお含みの上、よろしくお答えをお願いしたいと思います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  13. 岩上二郎

    ○岩上二郎君 本日はわざわざ御出席をいただきましてありがとうございました。  早速でございますが、江幡さんにお伺いしたいと思います。江幡さんの御意見の中に、こういう汚染された社会の子、これをどうするかということについて、もう少し社会の力なりあるいはまた家庭復元力、こういうようなものを御期待されておられるようでございますが、どうすればいいかということについて御意見があれば伺いたいと思います。  さらに、強力な指導を願っておるようでありますが、強力な指導というものはどういう意味でございましょうか、ちょっとお伺いしたいと思います。  それから成田先生にお伺いしたいと思いますが、この許可基準というものが常に相対的なものである、こういうふうな意見の中で、この風俗関連営業の規則、規制等については広い営業禁止地域規制等の施策をとっているにもかかわらず、実態把握のために届け出をさせることをもってこの許可制をとる風俗営業規制よりむしろ緩やかではないかという声もございますが、先生の御所見をいただきたいと思います。  さらに、現行法は許可の要件なり手続なりあるいは遵守事項を一切条例に任せているために、地域によってそれぞれ格差があって混乱を起こしている現状の中で、今回の改正の中ではこの基本的な事項は法律に任せる、明記をする、そして地方の事情に任せるべきものは条例に委任するということとしておりますけれども、このような立法について妥当と考えるか、おかしいと考えるか。さらに、風俗関連営業の第五号の営業の規定について、これは政令で定めるということになっておりますけれども、この営業の規定についての考えをお伺いしたいと思います。  それから松波さんにお伺いしたいと思いますが、今御要望されております五項目等についての問題については、立法をする際には警察当局とも十分に御相談を願っていたと、こういうふうなことを伺っているわけでございますが、それにもかかわらず、この衆院の修正ではなおかつ不十分である、こういうふうな御意見でございますが、確かに業界の一部においては、先ほど申し上げられた五項目の問題について御懸念をお持ちのようでございますが、また業界の内部におきましても、これでいいのではないか、こういうふうな意見等もございまして、御懸念されている問題はおおむね大体了解されていると伺っておりますけれども、理事長さんの御意見をいただきたいと思います。  それから第三十七条の第一項の報告並びに資料の提出の要求でございますけれども、他の業種との関連等もございまして、それらの問題については大体業界としては理解されている、このように承っておりますけれども、松波さんの所属されておる業界では非常に困る、こういうふうな御意見がございますが、特別な理由がさらにあるとすればそれをお聞かせ願いたい、こういうふうに思います。  それから新東さんにお伺いいたします。深夜における酒類の提供というものは原則として現行法でも禁止をされているわけでありますが、届け出さえすればできるようになるのだから規制のむしろ緩和だ、このような考え方をむしろ持ってもいいのではないかと思いますが、それはどうお考えになっておられるか。  それから最近カラオケ騒音というものが非常に一般化してきている中で一一〇番への陳情が非常に多い、こういうふうな現状をどう思うか。さらに、あなた方の意見に、現在、無許可で接待を行うものがあるわけでございますが、違法にやっているものをそのまま認知をする、させようという考え方がおありになるかどうか、そこらあたりちょっと御意見をいただきたいと思います。  それからもう一つ塚田さんへの御質問でございますが、非常に御苦労されておられる地域であるだけにいろいろと対策上お困りだろうと思いますが、新宿区明るい地域推進会議を進める中で、その実効性は、一、二こういうふうなところで非常に実効が上がっているということがあれば伺いたいし、また今回の改正に際して、警察の権限拡大だ、このようなことで一部の業者あるいはまた弁護士からの反対等もあるわけでございますが、それについてどう思われるか、お伺いしておきたいと思います。
  14. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 関連して。  江幡参考人にお伺いしますが、先ほど非行少年には、補導されたい、それを機会に立ち直りたいという人もいるというお話でございますが、その場合、少年指導委員というこの制度ができるわけでございますが、ぜひ若い人を入れてもらいたいという御意見もありましたが、一体、名誉職にしかならないこの指導委員をやってくださる人はいるでしょうか。そういうことを率直にお聞きしたいのでございます。  それから成田参考人には、特許許可の定義というもののお話を伺いまして、許可一般禁止事項の解除だというお話も伺いました。そして、届け出というものは許可と絶対的な差があるわけではないというお話も承りましたが、そうしてみますると、今回のこの風俗関連営業は警察では本来認めたくない事業であるけれども、これは実態としてあるものですから、これを届け出によって把握するのだということになっておるんですけれども、一部、一昨日あたりの参考人の中には、これはもうトルコぶろを容認したものだというお話もありまして、どうもどう理解していいのかちょっと戸惑っている面があるんですが、学者の見解をひとつ承りたいと思います。  それから最後に新東参考人に、トルコぶろやピンクサロンは料飲業者の敵である、大阪ミナミにおいてはもう六〇%料飲業者は営業しながらも土地を売りたいと思っているぐらい進出に困惑しているというお話がありながら、これらのものを適正に今後は取り締まっていこうというこの法律のねらいに対しまして、これは廃案にせよと最後に言われましたけれども、しからばピンク、セックス産業がどんなに進出してもいいのかというふうに逆に承りたいのですけれども、その辺どういうふうに考えたらいいか聞かしてください。
  15. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 江幡参考人から順次お答え願います。
  16. 江幡玲子

    参考人江幡玲子君) 最初のところの、社会のとおっしゃった後、ちょっともう一度……。
  17. 岩上二郎

    ○岩上二郎君 社会の力。
  18. 江幡玲子

    参考人江幡玲子君) 短い時間で答えますので完全かどうかわかりませんが、すべての大人がすべての子供の幸せを願っているとはやはり考えられない状況が現実にあるということだと思います。それはやっぱり利潤の追求ということと、それから思想信条の自由ということが前面に出てくれば当然だろうと思います。それに対して、やはり子供を守ろうという側から物を考えていかなくちゃいけないというので、社会の力が逆に子供のためだけに強くなるということもある意味では問題ではあろうかなと思いながら、子供のことから考えてちょっとお話ししたわけです。  それから家庭の力の問題については、ちょうど第一次ベビーブームの団塊の世代と言われている親たちが今小学生の親になっておりまして、戦争を知らない子供たちというよりは、戦争を知らない子連れたちというふうな形で今出てきておりますが、その世代からの離婚率の高さ、それから今回のサラ金問題でのサラ金の中心的な年齢のところを見たりしていきますと、あるいは母親のアルコール中毒などを見ていきますと、やはり現実にどうしたらいいかというよりも、家庭復元力が弱まっているということ、それに対して警察家庭には介入できないし、行政家庭に直接介入できませんので、やはり子供を守るということを考えなければならない。  子供を守ることで強力にという意味というのは、きちんとしたということと、訓練をした人がきちんと自信を持って徹底的にというふうに私は考えているということ。ですから、その中で取り上げるだけ、禁止するだけではなくて、子供たちに遊びを教え、勉強も教え、時には生き方も教えていかなくちゃなりません。拒む心が求める心だと私言いましたが、これはもう私の子供に対する基本的な姿勢でして、少年院に入った子が捕まってよかったということとか、家出をしていて暴力団に誘われてずるずると行った子供が抜け出ようといったって抜け出られないでしょうというふうなこととか、そんな事例がたくさんあるものですから言ったわけです。  名誉職になる人がいるかいないか、これについては具体的にはわかりませんが、私の場合に、BBSとか、これは法務省のボランティアですけれども、若い人たちを見ていたりしますと、名誉職ということよりももっと専門的なボランティアとしてなってくれる人がいるんではないかというようなことを私たちは考えます。ただ、それに対するトレーニングはきちっとしなければいけないだろうと思います。
  19. 成田頼明

    参考人成田頼明君) 初めに、岩上先生の御質問三点にお答えいたしますが、時間がございませんので簡単にお答えいたします。  まず、第一点でございますけれども、届け出制というのは規制が弱いのじゃないかということでございますけれども、これは相対的でございますが、届け出制にもいろんな形のものがございまして、届け出を出せばそれでいいというのもございますし、それから届け出を受けた後で勧告をして、勧告を聞かない場合に命令をするという形のものもございます。さらに、この法律のように、届け出を受理した後でいろんな問題があって、本法違反行為があった場合には廃業を命ずるというような形もあるわけでございます。いろいろございまして、ある種のものはこれは許可制と同じような機能を果たしている例もあるわけで、大店法の届け出制などは、実際には一切の根回しと調整が済まなければ届け出を受理しないというやり方をとっているわけですね。これになりますと許可制に近い形になります。それから届け出であるから一概に弱いということは必ずしも言えないのじゃないかというふうに思っております。  それから第二点でございますけれども、私は、基本的には善良な風俗の維持という問題は、これは地方公共団体の基本的責務であろうというふうに考えておりますけれども、ただ青少年保護の問題というのは、これは同時に国家的な課題でもあるわけでございます。そういった意味でこの風俗営業規制の事務というのは、私は事務の考え方から申しますと国と地方の共同事務であろうというふうに考えております。その場合に国はやはり一般的な基準なり制度を設けるということであるわけで、今まで少し、ある面では国家的な課題の分を地方団体の条例に任せ過ぎておった、それを国に引き上げましょうということと、もう一つ行政指導としてあいまいにやってきたのを、やはり法治主義の原則から法律に引き上げていく、こういう形になっているだろうと思います。  ただしかし、地域の特殊性を尊重すべき部分については、私、拝見した限りでは、適切に条例を制定することができるようになっておりますので、非常にこれはうまい立法であろうかというふうに考えます。  それから第三の、風俗関連営業の五号営業でございますけれども、これは私の考えでは、業態を法律で列挙して指定いたしますと、法律が施行されたときにはそれと違った形での類似の営業が必ず出てまいります。潜った形のものが出てまいります。やはりこの際はそういう問題について抜本的な対策を講ずるとすれば、そういう潜りを許さないような、新規に潜って出てくるものを許さないような条項というものをやはり置いておく必要があるだろうということでこれは置かれたんだと思うのです。これも異例の立法かもしれませんけれども、私はこういうことは実態との関係で必要であるし、また委任の限界という点から申しましても、一応目的が限定されておりますので委任の限界を超えるものでないというふうに思います。  先ほどの追加質問でございますけれども、これにつきましては私どもちょっといろいろ問題があると思いますが、許可ということは、これは言葉からいいましても、国が許可制をとりますとそれを公認をするという結果になるわけです。売春類のいかがわしい営業について国家許可を与えるというのはいかがなものであろうか。事実として届け出を受け取って、後で問題があったり、本法違反の場合に廃業を命ずるということの方がその辺の筋が一貫するのじゃないかというふうに私は考えております。
  20. 松波哲正

    参考人松波哲正君) それでは、岩上先生の御質問にお答えいたしたいと思います。  第一点の警察庁との関係についてでございますが、我々風営法を入手いたしましたのが三月の二十三日でございまして、その後我々も風俗営業特別委員会設置いたしまして警察庁とも十分このことは話し合ってまいったわけでございます。四月の十二日に我々の陳情文に対しては七項目にわたりましてそのお答えをいただき、我々も安心をいたしたのでございますが、その後理事会を開催いたしまして緊急動議が出まして、三十七条の第一項についての動議を特別委員会で取り上げまして、これに対しては再々にわたりまして委員会を開催いたしました。この項目に対しては大変我々業界の皆さんが心配をいたしておるわけでございました。  先ほどの理由という点でございますが、遊技場に関しましては今までは立ち入りということはございました。その立ち入りの範囲内においては三点あるわけでございます。一点は機械の検査、二点は従業員名簿の提出、また三点目は賞品が適格なものであるかどうか。この限度で今までは推移したわけでございますが、これが報告、資料の提出になりますと、我々としてはどんなものを今後出さなきゃならぬかということで皆大変心配をしているわけでございます。それが理由でございます。
  21. 新東正朗

    参考人新東正朗君) 御質問の点ですが、お酒が深夜に売れるようになるからいいんじゃないかという点ですが、その点では個人見解ですがいいと思うのですが、例えば条文を見ますと、これまで深夜営業のできたおでん屋さんとか焼鳥屋さんですね、こういうところができなくなるのではないかというような懸念もあり、そういった意味法案そのものが非常にあいまいではないかというふうな感じも持っているわけです。  それからカラオケ騒音の問題なんかもありますけれども、条例もありますし、営業そのものはやはり現在は孤立した中でやるのではなくて、地域環境地域住民とともにやってこそ営業も成り立つという条件があるわけですから、その点ではそういったものを踏まえながら当然営業されていくべきだと思いますし、そういった中でこそ商売をやっていけるわけですから、この点注意してよく頑張っているのが今実情だと思います。  無許可を認知させるかどうかという点でちょっと御質問がよくわからなかったのですが、現在のスナック等についての風俗、接待の定義そのものについてのあいまいさによってそれが無許可になるかどうかという問題があるわけですから、私どもはその点を問題にしているわけであって、風俗営業そのものを無許可で放置せよというような言い方でしているわけではなくて、その点御理解をお願いしたいと思います。  それから法案そのものの廃案ということで述べていますけれども、実は評価する部分も率直に言ってあると思います。委員会の御議論も聞いておりましていろいろ賛否両論があります。そういった点ではなお十分この点賛否両論を踏まえていただいて、現行法にもいろいろ問題があると思いますから、そういった意味で、深めていっていただくという意味で今回廃案にしていただきたい、こういう意見でございます。
  22. 塚田貞次

    参考人塚田貞次君) それでは、私どもの市民運動の実行の実例を示します。  五十六年度までは都条例の中においてトルコぶろの指定許可区域に新宿はなっておりましたが、これは大変不合理なので、青少年の健全育成の見地から新宿においてトルコぶろの新設を禁止す る、そういうために除外区域にするための都条例の改正を要請いたしました。これは五十七年の十二月にその成果を得られて都条例が改正され、もはや新宿ではトルコぶろの新設ができなくなりました。  それから警察権の行使に関してですが、今の警察の状態は一般市民への人権尊重に対しては大変な注意を払っております。私たちも常々地元の警察に対して市民に愛される警察になるべきだということを働きかけておりますが、これに対しても十分警察官の管理職の者は、その職員に質の向上の努力と正しい職務の行使に対して理解するよう指導していることが見受けられます。皆さんが考えられているような警察の権限の拡大ということは、戦争時代における異常な状態と変わって、今ではそういった過剰な権限の乱用は人権擁護局その他において訴え出れば直ちに究明され処罰されるので、そういった点においては十分市民は保護されているのではないかと考えます。
  23. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 きょうは本当にお忙しいところ御苦労さまです。  まず、江幡先先生にお伺いしたいと思うんですが、少年補導員の問題で先生は補導員という資格を持っておると持ってないとの違いをさっき強調なさいましたね。それは今ある補導員だと思うんですね。今約七万から十万おりますね。今度の少年指導委員というのは警察をバックにした少年指導委員ですからこれは違ってくるのではないかと私は思うんですが、その点を先生はどういうふうに御認識いただいておるのか。私は先生おっしゃった意味、そういう子供を抱えておりますからよく知っておりますが、やはり家庭がすべてスタートにございますね。それから学校ではみ出されてしまった、こういう結果が街頭に出ていく、こういう順序になると思うんです。その教育なり家庭というものをどうしていくかと、ここが一番根本で私はあろうと思うんですね。そういう面から見ると、今度は警察権を伴った少年指導委員のあり方というのは逆に非行を拡大していくというか、反発していくというか、そういう方向に私はなるのじゃないかと危惧するんです。ちょっとこういう意識でですね。ですから、そこら辺は先生の御意見は今ある補導員という姿の中での御意見じゃないかと思うんですが、その点いかがかということが一つ。  それから成田先生にお伺いしたいと思うんですが、今度の、今お聞きしますと、届け出制もいろいろあって、大体許可制と同じだと、こういう御意見のように聞きました。そうであるなら、私どもは、この風俗関連というセックス産業についてはきちっと禁止をすればいいじゃないかと言っておるわけです。それは例えば浴場法の中における個室ぶろというのを認めない、それは一発で終わる、何も風俗営業をいじることは何もない。ところが今度の場合は届け出制、いわゆるなくしたいというものを届け出制にして、入口は広く。そこで先生はいろいろ条件をつけて、それに引っかからなければやればいいじゃないかと、こういうことですが、健全に育てたいというものについては一番ひどい許可制と、こういうところに法の逆立ちがあるのじゃないかと私は思うんです。今おっしゃったように、警察の方も、許可になると国が公認したということになる、これは困る、こういう言い方なんですね。しかし、公認しなきゃいい、それをあえて公認をしていく。塚田さんのおっしゃるのは何とかなくしたいと、こう言っているけれども、今度は公認になっていくわけです。そういうことから言えば、塚田さんのおっしゃるように、何とかしたい、なくしたいと言っておることが逆になっていく。  なぜ私はそう言うかといえば、例えばトルコの場合なんというのは、週刊誌やその他を見るまでもなく、これはセックス産業の最たるものであることは周知の事実。しかし、それに対して警察が連続的にそこへ入ってトルコ業務をストップさせるようなことをやっておるかといえば、一罰百戒という格好でたまにやるぐらいが関の山で、むしろそれを公認をしておるという現状の姿の中で、私はこの点については、先生の説明が先ほどございましたけれども、やっぱり若干逆立ちしておるのではないかというような感じがしてなりませんので、もう一度そこら辺をひとつお伺いしておきたいと思う。  それから松波先生にお聞きしたいのは、四月に七項目の確認をしていったところが違った結果が出て大変驚いたということでお話がございまして、五項目のやつをぜひやってもらいたいということで、これは私どももそういう意味では全く同感で、この点、今審議の中ではやっておるわけですが、一つ二つ聞きたいのは、現行法における立ち入りすることができるという範囲内は、例えば機械の検査、従業員名簿、それから賞品が適格が、この程度範囲内なら余り文句はないんだと、立ち入りの問題については、こういうふうに理解していいのか。そういう意味で、報告、資料提出を、ここが漠然としていてよくわからないのでこれはひとつ削除してほしい、こういう御意見なのか。そこのところが一つ。  もう一つは、今おたくの全遊協というのは、専務理事は警察学校の元教養部長がなさっておるわけでしょう。そうして全国の各都道府県の場合に警察官のOBというのが全部ついておると私は聞いておるんです。資料も一部いただいておるのですが、これは今実態はどういうふうになっておるのか。警察官OBが皆さんの協会の中にどの程度入っておるのか。それから、その入り方ですが、警察の方から要請があって入ったのかどうなのか、この実態をお知らせいただきたいと思うんです。  それから新東さんでございますが、接待の問題についてはこの委員会でも随分議論がありましたけれども、あなたのおっしゃるとおり極めてあいまいなんです。それでもってやられることに対する不安は、私は当然起こると思うので、これはこの定義をなくす以外にないと思うんですけれども、今まで、現在までの中で皆さんが経験して、こういう事例があっては困るのだという事例があれば一、二聞きたいと思います。それが一つです。  それから塚田さん。私は今吉祥寺に住んでいるんですけれども、新宿は五十七年に区域外になったということだけれども遅かったということだと思いますね。これは美濃部さんのときになって取り上げたのでしょうが、吉祥寺の近鉄の裏側というのが、何というんですか、大体歌舞伎町に類似した状態にあります。しかし、ここは住民運動が徹底的に取り上げまして、道路という道路は全部、何というんですか、テレビのあれが据えられておるんです。ですから、通る者は全部警察に映し出される仕組みになっている。ですから、めったな人間でなければ、よほど心臓が強くなければ通れない。天気のいい日でも行くとすれば傘でも差していかなければ全部テレビで映し出される、こういう仕組みになって、随分あそこは現実的には規制されてきた。そういう努力も理行法の中で私は十分できると思うんです、歌舞伎町の場合。しかし、それをやらないで、いきなり警察でこうやるという考え方に問題があるのではないかと思うんです。現実には、先ほど申し上げたように、届け出制をするということでもって公認するということですから、この法は。あなたの趣旨から見れば、むしろこの法に反対の立場に立つべきではないかと思うのですが、いかがですか。
  24. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 江幡参考人から順次お願いいたします。
  25. 江幡玲子

    参考人江幡玲子君) 先ほど私が話しましたのは、現在は役割時代だという中で、一つの例として少年補導員を挙げたことであって、例えば学校の中でも生活補導の先生ならば生徒に注意ができるけれども、先生、生活指導じゃないでしょうと、こう言われたりする場合もある。受ける側の方は役割に対して、個人に対しての役割に対してある種の規制力を感じているというようなことから言うならば、現在の補導員、それなりの仕事を十分していると思いますけれども、ひとつ緊急規制への介入、あるいは危機的な状況への介入というようなことを考えて現在の少年警察官の数の問題を考えていくと、どうしてもここでもう一つ少年指導委員という形のものがあるならば多分有効であろうと。そして仕事の内容については今後まだ細則ができるだろうと思いますので、十分トレーニングが行われていくだろうと思います。そういう意味で申し上げたわけです。よろしいでしょうか、ちょっと違いましたか。  ふやすということは、冗談話では非行少年を減らすには警察が仕事しなけりゃいいという冗談話がありますけれども、そういう意味で言うならば問題かと思いますが、決してそういう意味でなしに、子供の問題に働きかけながら他の関係領域と十分な密接な連絡をとりながら補導していくことが可能ではないかと思います。
  26. 成田頼明

    参考人成田頼明君) お答え申し上げます。  トルコぶろのようなものは禁止すればいいのではないかというお話でございますけれども、確かにそれはそういう感覚はあると存じます。しかし、これは営業それ自体禁止するということは、やっぱりその営業したこと自体を刑法犯的な形にして直罰にしない限り非常に難しいのではないかと思うのです。現に、現在売春防止法がございまして、売春防止法では御承知でしょうが十二条に売春をさせる業というのがあるわけですね。そこで行われているいかがわしいことがもしここであるとするならば、ここでこれを発動すれば実は絶対禁止になるはずなんです。これはどうもそこまでいくんだったら、それを甘いというんでしたら、私はやっぱり売春防止法を改正して絶対的な禁止に持っていくのが筋だろうというふうに思われまして、風営法だけでは対応するということが限界あるだろうと思うのです。現在の風営法は、やっぱり現にそれが存在をし、しかもそれが現行法でいろいろな規制を受けているという前提に立ちながら、それをできるだけ封じ込めるためのいろんな手法を使っているわけでして、別に届け出制をとったからといって公認をするとかなんとかという問題ではないというふうに私は思っております。
  27. 松波哲正

    参考人松波哲正君) 四月の段階で七項目という話がございましたが、これは警察庁と全遊協とが話し合いをしまして御理解を願ったわけでございまして、五項目というのは、その後の緊急理事会において問題が提起され、委員会でそれを討議してやっているわけでございます。現行の法でという、三十七条のことでございますが、これは先生のおっしゃった機械、従業員名簿、賞品の、この程度で今終わっておりますのでそれで結構でございまして、そのほかのことに対しては我々はなかなか幅が広いのではないかという考え方、理解を持っております。  それから警察からいろんな方が来られるんじゃないかと、こういうことでございますが、これは各県それぞれの事情がございますが、直接来られるということは私の方は聞いておりません。時には、他に勤められて、そしてそこのところで思わしくないということがあって、そしてだれか我々の業者が介して入られている事実もあるわけでございます。  以上でございます。
  28. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 おたくの専務はそうじゃないんですか。
  29. 松波哲正

    参考人松波哲正君) 全遊協のですか。
  30. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 ええ。
  31. 松波哲正

    参考人松波哲正君) そうですけれども、この方もそういうことでほかの方へ勤められまして、我々の方へその後話をして来ていただいたということでございます。  佐藤三吾君 だから、おたくの専務の選任のときに、おたくに入るときに警察の方から話があって行ったのですかどうですかと聞いておるわけです。
  32. 松波哲正

    参考人松波哲正君) それはありません。
  33. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 あなたの方がもらい受けたのですか。
  34. 松波哲正

    参考人松波哲正君) そういうことです。
  35. 新東正朗

    参考人新東正朗君) 接待の問題ですけれども、最近特に地方都市等にスナック等ができていますけれども、ここでよく風俗かどうかという問題も起こっているわけです。スナックと、いわゆるどういいますか、クラブといいますか、いろいろ名前はあるわけですけれども、ホステスがたくさんおられて一対一のいわゆる接待ですね、お酒をついたり談笑をする、こういうお店についてはこれは接待の定義に入るんではないかと思うのですが、スナックと言われるところについては、ほとんど従業員も含めて非常に少ない人数でやっているところです。実際には当然顔見知りの人が多いということで、これはつんと澄まして商売をやるわけにもいかぬわけですから当然お酌をしたりすることはあると思います。こういうところまで接待に入れるということについて、我々非常に現在の国民的なサービス向上した中で問題があると思っているわけです。  具体的な実例については、これは大阪ミナミの例ですけれども、九坪ぐらいのお店ですが、ここはカウンターとボックス席もありますけれども、ママと女の子一人ですね、給仕する女の子、それとカウンターの中で洗い物をする男の子ですね、チーフですね。ここのお店に実は七人ぐらいの私服の警察官がいきなり入ってきて、そしてお酌をしていたということで、これは十日間の営業停止と三万円の罰金ということで、風俗だという認定をされたわけです。こういう事例があります。たまたまお客さんは近くの百貨店の女の人たちがグループで来ておったそうで、ママが水割りをつくっていたところだそうです。これは接待だということで有無を言わさず三日ほど事情聴取もされて、そしてもちろん預金の通帳から預金の額まで調べられるという状況が起こっているわけです。これは立ち入りの問題として非常に大変な問題だと私ども思っております。
  36. 塚田貞次

    参考人塚田貞次君) 新宿状況は吉祥寺のようににわかに出現した事情とは全く異なっております。新宿には長い間住民によって培われた歴史があり、文化があり伝統があり生き方が根強く残っております。そうした中でこの問題と取り組むには、国民の高い知性による協力が必要で、何よりもこれを利用する大人たち非行くの慎みが最も大事な観点ではないかと思うのです。そういう全面的な中で常識をはるかに逸脱したような状況が今局部的に発生しているというのが鎮静化されれば、これは自然の原理によっておさまっていくのではないかと思います。もちろん住民はそれに対して前に申し上げたとおり、たゆまぬ努力をしてその排除と健全化のための実践活動を続けていきたいと確信しております。
  37. 原田立

    ○原田立君 江幡参考人にお伺いしますが、先ほど来質問になっているところでございますけれども、お話の中に、自分でどうしていいかわからない子が多い、強力に働きかける人が必要だ、そういうふうな意味で、補導員だというふうなことを言うと、大変それを信用して聞く子が多いと。今回の法改正でいわゆる少年指導委員というのもあるけれども、それは必要なのではないかという御意見ですけれども、警察に対するアレルギーといいますかね、学校の方の先生とかあるいは町中のいわゆる補導員ですね、そういう人たちに対しての変な反抗はなくても、警察少年指導委員となるとがくっとくるような、反抗心というか、そういうような点の心配はないものかどうか、お伺いしたいと思います。  それから松波さんにお伺いしたいんですけれども、さっきの三十七条の報告及び立ち入りの件ですけれども、先ほどお話しありました三つの条件、機械の検査、従業員名簿、賞品が適格であるかどうかということ、このぐらいならいいというふうなお話ですが、これは新東さんにちょっと関連して具体的にお伺いしたいんですけれども、実は衆議院で行われた附帯決議の中に、「警察職員の立入りに当たっては、次の点に留意して、いやしくも職権の乱用や正当に営業している者に無用の負担をかけることのないよう適正に運用すべきであり、その旨都道府県警察の第一線に至るまで周知徹底すること」。四項目ありまして、報告または資料の提出については「必要最小限のものに 限定する」。それから二番目に、「本法の指導に当たる旨を明示する特別の証明書を提示する」、これは今までもそうですね。三番目に、「本法の運用に関係のない経理帳簿等を提出させ又はみることのないようにする」。また四番目に、「立入りの行使は個人の恣意的判断によることがあってはならず、その結果は必ず上司に報告してその判断を仰ぐものであること」と、こういうふうに附帯決議がついている。これからこんな問題もいろいろと相談し合っていくと思うのでありますけれども、先ほどの報告及び立ち入りの件、資料提出または報告、非常に不安だという不安の中身が今のようなことで解消されないのかどうか、これをひとつお伺いしたい。  それから新東参考人にお伺いしたいんですけれども、深夜の酒食、食堂、お酒や食べ物をやるときには届け出をしなきゃいけない。業者が警察介入されることに非常に不安があるというお話です。現在では、十一時までで保健所の許可を受けて、いわゆる厚生省所管。だから、今度はこの法律ができると保健所の管轄から警察の方へ移動するということで、何か警察というと怖いもの、何かかつんとやられるものというような不安感がおありになるのかどうか、そこいら辺をお聞きしたいと思うんです。
  38. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 江幡参考人から順次お願いいたします。
  39. 江幡玲子

    参考人江幡玲子君) 先ほどこちらの先生からの御質問で、少年指導委員になる人がいるかどうかと聞かれて、私は、なる人はいると申しましたが、なる人はいるけれども、なってほしい人がいるかどうかについては大変これから先考えなくちゃいけないところじゃないか。そのことと、警察の権力をその人がどう使うかということと関係が出てくるんじゃないかなと思うわけです。ですからそこでトレーニングが必要だと申し上げました。  警察アレルギーと申しますのは、現在の少年補導員も実際には、例えば東京では必ず少年係の私服の警察官と一緒に補導しているわけです。そういうことから考えますと、人間の問題というのは、必ず柔軟性を持たなくちゃいけない部分というのがある。違う言葉でいえば、あるときには大岡裁きも必要になってくるだろうということを考えています。特に子供の場合ですね。そういうふうな場合には、やはりアレルギーの問題がもしあったとしても、一〇〇%それを考えないで排除していくことを考えるべきで、私は余りないだろうと考えておりますが。
  40. 松波哲正

    参考人松波哲正君) 三十七条の問題で、附帯決議にございます十の1の点で、「できる限り済ませるものとする」とか、「必要最小限のものに限定する」ということでございますが、これが、その必要限度とはどれだけかというようなことになりますと、実は我々業界の者は非常に不安がっているわけです。この三点に絞るんだということが明確になれば我々の業界も納得すると思います。
  41. 新東正朗

    参考人新東正朗君) 立ち入りの問題と届け出の問題は非常に関連した問題ですけれども、実は現行法で見ても、警察の立ち入りそのものが問答無用に近い立ち入りがされているというところから、不安も一層増すという状況があります。私、大阪出身なもので関西の例が多いんですが、例えば神戸の例で、最近では十二時過ぎてもう後片づけをしているときに回ってくる。そして、後片づけをしながらまだ有線がついていると、有線を消しなさいというようなことも言われる。ひどいところでは、これはやっているかどうかというのはわかりませんけれども、どんどんドアをたたいて、中でやってるのはわかってるでということで、これは大正の例でしたかね、一時間余りもどんどんたたいて、恐ろしくなってかえって出られないという状況もあるわけです。  そういった点で、今、現行法に基づいてみてもそういうことになっている。そして、現場ではやっぱり附帯決議とかいうものについては、法律ではないからといって無視される嫌いが往々にしてあるというのが実態です。そういった点からも、今後届け出した場合に、一層そのことが強く行われるのではないかというようなことが業界では今問題になっているということなんです。
  42. 神谷信之助

    神谷信之助君 参考人皆さん、御苦労さんでございます。共産党の神谷でございます。  まず、江幡参考人にお伺いしますが、少年補導で大変御苦労いただいておって、多くの共感を持つわけでありますが、今回私が特に心配をしているのは、少年非行というのは少年の成長過程に起こってくる一つのゆがみといいますかね、したがってそれを正しく矯正といいますか育成をしていくというのが大人の責任だ、社会の責任だというように思うんです。したがって、歴史的に見ても国際的に見ても、大人の犯した犯罪と少年の犯した犯罪、これの対処の仕方というのは異なるわけですね。だから、大人の犯罪に対しては刑罰でもって臨み、しかも刑務所に入れて更生の方向を求めるけれども、少年の犯罪の場合には家庭裁判所あるいは少年審判をやって、検察官も入れないで、そこでいろいろな調査もしその原因を追求して、教育的あるいは福祉的対処というものを中心に考えていく、こういうことになってきておりますね。  だから、犯罪を犯した少年に対して、警察がそれに対してちゃんと摘発をし、対応し、そしてしかるべく少年保護の規定に基づいて処理をしていく。あるいは暴行、暴力行為を犯したという者に対して毅然とした態度をとる、あるいはその背後におる暴力団なり何なりに対しても毅然とした態度をとるというのは当然で、これはやらにゃいかぬだろう。それをすべての健全な少年に対してまでも、非行を犯すおそれがあるという角度から少年警察を強化をし、そして先生もおっしゃったように、少年係だけでは足りないから下請といいますか少年指導委員制度をつくっていく。そういう方向というのは、これは少年に対する正しい成長過程を発展をさせるというんですか、そういう角度から見ると私も大いに問題があるというように思うんですが、その点についての見解をお聞きをしたいと思います。  成田先生にお聞きしたいのは、御承知のように警察法の二条には警察官の任務を規定していますね。その中に犯罪の予防という任務があります。防犯活動というのは、犯罪者をつくるだけではなしに、犯罪者をつくらない責任というのも警察行政一つであるということは確かです。しかし、それにも一定の限界があるはずだと私は思うんですね。これは戦前の警察法のように、今の労働行政やあるいは厚生行政、その他国民生活の全般にわたる許認可を中心にして、警察が国民の全生活に介入するという状態の弊害を反省をして現行の警察法ができ、警察活動を極めて限定的に規定をするというのが今日の警察法の立場ではないか。そういう点からいうと、犯罪の予防という点についても一定の限界が当然あるのではないかという考えを持っているんですけれども、この点についての御見解をお聞きしたいというように思います。  それから松波参考人にお聞きしたいんですけれども、ポルノ映画等の問題は一時今度の改正の対象になったけれども、これは業界自身で自主規制をやるということで外されたという話を聞いている。私は、こういったこの種の問題は、業界自身が自律機能を果たして、そうしてやっていく方が正しい方向だというように思うんですけれども、全遊連の場合はそうならなくて、この法の対象にそのままなっているんですけれども、この点については、アウトサイダーなり何なりが相当多いということが原因になっているのか、一体どの辺に原因があるとお考えか、ちょっとお聞きをしたいというふうに思います。  それから新東参考人にお伺いしたいんですけれども、当委員会で私も、接待ということで線引きをして風俗営業と料飲業とを区別をするというのは、この法律をつくった二十三年当時と今とはうんと変わっているわけですから、これはもう不当だということは主張しているんですが、同時に、先ほど料飲業者が風俗営業になるとどれだけのデメリットがあるかという話がありましたが、京都で聞きますと、風俗営業許可申請自身が大変な手続が必要で、しかも費用もかかるということも聞いているんですけれども、この点についての実情をお聞きしたいというように思います。  それから塚田参考人にお聞きしたいんですが、今日の警察官というのは人権意識が非常に高まっているんで、したがって人権侵害というか職権乱用があれば、それは究明され処理をされ、人権は十分守られているというお話ですが、私ども新聞報道等で知っている点では、逆に警察官の越権行為というか職権乱用ではないかという事例をよく見るし、また多くの人からいろいろそういう話を聞くんですけれども、塚田さんが現に経験をされたそういう警察官の行き過ぎについて、それを是正し、そして人権を守られたというそういう実例があるのかどうか、あればお聞かせいただきたいというふうに思います。  以上でございます。
  43. 江幡玲子

    参考人江幡玲子君) 少年警察の強化という言葉の強化の中身であろうと思いますけれども、少年指導委員についてのまだ仕事の内容を細かく私伺っておりませんので、これから先運用面の問題であろうかと思います。それで、少なくとも現場において非行のきっかけをつくり、あるいは非行の促進をし、被害者をつくり、そしてその被害者が加害者になっていく、人間関係をつくっていくというふうな現実を見るならば、ある意味での強化ということは必要であろうというふうに考えております。ですけれども、中身についてわかりませんので、実際の仕事について。
  44. 成田頼明

    参考人成田頼明君) ただいまの御指摘の規定警察法第二条でございますけれども、これは権限規定でございまして、具体的にその権限を行使するためには御承知のように警職法の規定があるわけでございますが、その第五条のところに犯罪の予防に関する規定がございまして、これは警告という形になっております。具体的には警告ということになりますが、この場合に当然やはり不文の法理としての比例原則というのが働いてくることは間違いないと思います。
  45. 松波哲正

    参考人松波哲正君) 我が業界に対してアウトサイダーが多いんじゃないかという御質問のように思いましたが、アウトサイダーは、先ほども陳述で申し上げましたが、一〇%以内ではないかと思います。非常にまとまった組合だと自負いたしております。  以上です。
  46. 新東正朗

    参考人新東正朗君) 私自身実務をやっているわけでないのでよく存じませんけれども、料飲業者が風俗営業許可を取るときに自分で構造とか地図とか書いていっても通ったためしがないんですね、ということを聞いております。非常に膨大な資料になりまして、大体三センチぐらいの資料になるようですね。残念ながら自分ではできないということで、結局、行政藩士なり司法書士にお願いをする。警察では、ここへ行きなさいという特定をされているそうですが、そういったところが多いようですけれども、費用も十万から高いところで二十万というふうに言われております。  こういう点で考えられることですが、今度深夜営業も届け出せなければいかぬと、これも法律を見ますと、内容的にはそんなに変わらないようですから、非常に膨大な届け出をせなければいかぬのではないかという危惧もあります。そういった点では料飲税とか保健所の許可申請は非常に簡単ですから、そういった意味でも今の届け出制許可の問題については非常に大きな負担になっているというのが実情だと思います。
  47. 塚田貞次

    参考人塚田貞次君) それでは二つばかり実例を申し上げます。  一つは、私は補導員として参加し行動したことはございますが、子供に対しては非常に警察官は気を使っております。それはあくまで青少年補導するのは保護という建前を崩さないため、そしてその取り扱いに対してはすべて福祉法に基づいて処置するということですから、決して罪にはしない、そういう方に走らせないということを建前として、できるだけ民間の方々が接し、民間の方々でできない処理、例えばそこで犯罪が発生してしまったというような場合、これは民間の補導員にはその権限がありませんので、そういったことに対して警察官がそれを引き受けるという形で、あくまで民間の方を立てて、民間が自然の形で子供たちに接し補導に当たるように努力していることがはっきりと証明されます。そうしてまた、子供たちに対する扱い方もできるだけ速やかに保護者に引き渡すということを実行しております。ちまたで考えるようなひどい扱いということは極めて少ないと思います。  それからもう一つ、私たちの地域で今駐車問題の懇談会を設立してこれによって解決を図る努力をいたしておりますが、ここでは業者と地域住民の人たちが主体であって、それに警察の交通係と防犯係、少年係が加わって討議いたしますが、警察側はあくまで余計な口出しをしたり、指図がましいことはありません。専門的な一般の市民でわからない法規あるいはいろいろの取り扱い方等について問題点として投げかける言葉に対して、彼らは専門的な立場からそれを説明し、よく我々にも理解するように努める努力、そういうことを主眼にして、あくまでこれは人間として平等に、市民一人一人の生活の尊重を踏まえて、市民全部の力で討議し、交通行政は交通行政としての立場を十分に市民に理解するような役割の違いを早く得るコンセンサスを持つように努めております。そういう中で十分理解できると思います。
  48. 三治重信

    ○三治重信君 江幡参考人、御質問じゃないんですが、非常に我々が問題にしておる警察少年補導員のあり方について、非常に明快な回答を得て大変うれしく思っております。ただ、そういうところからいって、塚田参考人に、江幡参考人との関連で、やはり私も少年補導員の方でいわゆる社会的な信用とか地位や名誉、または生活の余裕のある人ばかりでなくて、やはり青少年補導に熱意を持つ若い人をどうして選ぶかというのも、この制度が生きるかどうかということに非常に影響があるかと思うんですが、果たして現実に少年補導の方や何かもやられておって、若いそういう人たちが得られるかどうか、これについて御意見を伺いたいと思います。  それから成田参考人には、ひとつ今問題になっています風俗関連営業といって届け出が許可とか公認とかいう問題で非常に明法な御回答をいただいてわかったわけなんですが、ただ一つ、ここで風俗関連営業の営業の取り締まりのために地域指定の問題ですね。学校の近くから二百メートル離れなくちゃ、この近くじゃいかぬということが法律に出たけれども、あとはまた地域禁止規定は都道府県の一般条例でいいと、こういうふうになっているんで、そこでひとつ今問題が起きているのが、トルコぶろが都道府県の中で何か七県か八県全面禁止している、そういうような条例とかいうようなものは、その県については結局営業禁止と同じことになってしまう、トルコぶろ禁止ということと同じことになってしまうわけですね。そういう条例が今度は法律で一定の地域のときには、学校の近くとかなんかは禁止、それ以外のところは都道府県で禁止してよろしいというぐあいになっておるが、それは全面禁止を今やっているものが今度の法律でかえってそういうことは違反になるというようなことにならぬかという問題が出てきているんですが、その点について御意見を伺いたいと思います。  それから松波さんは、非常に明確に御陳述いただいてありがとうございますが、我々と警察とのやつは、私も愛知の出身で、パチンコ業界からも初めから非常に陳情を受けてやって、政府との関連で衆議院の方で修正してもらったわけなんですが、その限りにおいてパチンコ業界の心配が大分軽くなったと思うんですが、この基本的な問題として、我々の質疑の中で、おたくのようにもうずっと長い歴史と伝統のあるところでは、現行を、今度の風俗関連営業まで非常に風俗営業を広げるので法改正があるんだけれども、おたくの方のような伝統ある産業について新しく規定や何かする という意思も考え方もない、だから新しい法規が出ても、パチンコ業界のように営業されているところは、新しい法をそう別に、それができたからまたパチンコ業界に新しく報告をとることをやったりなんかするようなことは心配はないようにします、今までと変わりはないと、結論を言えば。おたくが言ったいわゆる三点以外に、新しく法をつくったからといって新しいことをやるということではないと、こういう回答も得ておりますので、その点ひとつそういう新しい規定ができたからといって、それが全部適用になって応対が大変だと、こういう御心配については確かにあるだろうと思うけれども、現在の営業の状態というものが続けられる限りにおいては新しく変わるものではないと、こういう観点を得ております。  それから新しいやつの中で五年間の営業禁止のものというのは、これは質疑の中で、こういうのは法律改正のときにほかの法規との関係で直したので、確かに過重になるんだけれども、これは新しい法律の旅行業法とか宅地建物取引業法とか、こういうような営業許可について営業禁止の五年というようなのが新しくずっと出てきたので、そういう法改正の機会にほかの省の営業許可の関連の法規とも合わしたんだと、こういう説明を受けておるわけなんで御了承願いたいと思います。  それから新東さんの方の、新しく風俗営業の届け出とかなんかというような問題について、大変な届け出書類というようなこともあるようでございますが、また実際問題としてそんなに何と申しますか、接待が従来と変わらぬところにおいて、そういう風俗営業でその境というものをどこの辺に置いたらいいかということについて、御意見があったらちょっとお伺いしたいと思います。
  49. 江幡玲子

    参考人江幡玲子君) 少年指導委員の細則についてはまだ不勉強ですので、運用の問題であろうと思いますが、若い大もというふうなことで、若い人だけではない若い子供たちのエネルギーを受けとめるには若さがなければ受けとめられないということを私は実感しながら言っているわけです。
  50. 成田頼明

    参考人成田頼明君) 全面禁止地域を指定した条例はどうかという問題ですが、これは私たちの同僚の中には、一部の者の意見としまして、全面禁止をすることは違法ではないかというふうな意見を持つ人もございます。しかし、私はそうは必ずしも考えていないわけでございまして、これは現行法と実態的にはそう違っていないわけです。やっぱり現行法では二百メートル、必要があるときは条例で地域を定めるというふうになっておりまして、その限りでは同じなわけですけれども、もし現行法でそれができるということになれば新法でももちろんできるというふうに考えられるわけです。それは必要があればということで、自分の県は非常に文化高尚な県にしようということで、全県指定しようと思えばこれはやっぱり必要があるということでできるだろうというふうに考えております。
  51. 松波哲正

    参考人松波哲正君) 三治先生の御質問は、非常に御理解を願ってありがたいと思っておりますが、先ほども申し上げました我々はこの三点の問題に対しては理解をしております。しかしそのほかの点に対しては、大変心配をいたしておりますのは、一つ一つこの罰則規定を見ますと、今の三十七条におきましてもこの報告、資料不提出、虚偽の報告、こういうものに対しては十万円以下の罰金、こういうような一つ一つに、どうか先生方、この罰金というのがどこにどれだけついておるかということを御理解願って、我々は、罰金がついたならば五年間の許可がまた得られないと、こういうことに対して大変な危惧を持っておりますので、どうか我々の意のあるところをお酌み取りいただきまして、この三十七条の報告と資料の提出につきましては、ぜひとも御理解をいただきたいと思います。  以上でございます。
  52. 新東正朗

    参考人新東正朗君) 初めに述べましたように、料飲業界というのは非常に零細な業者が多くて、統計でも九十数%ぐらいが九人以下の零細な業者だというふうに言われていますが、いわゆる家族ぐるみのちっぽけなスナックとかそういう店が多いわけですね。そしてサラリーマンが帰りに一杯飲む、そういうささやかな憩いの場所になっているようなところで、たとえ横へ座って接待をしたと、今の定義でいえば接待になるわけですが、そういったところを接待として、これを境目にしてやるようなことについては私どもも反対なんです。実際にどこを境に置いたらいいんだという点ではまだ具体的に研究もしておりませんけれども、我々言うのはそういう内容です。さしあたり、やっぱり規模の大きいところの方がむしろホステスをそろえ、指名料もとったりしてやっておりますけれども、そういうところは、繰り返しますが、接待として当然やっているわけですから風俗営業としてみなされて当然だと思いますし、そこのところはさらによく検討していただいてというふうに思っております。
  53. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人方々には長時間にわたり本委員会に御出席を願い、貴重な御意見を述べていただきましてまことにありがとうございました。重ねて厚く御礼申し上げます。  午後一時まで休憩いたします。    午後零時十分休憩      ―――――・―――――    午後一時五分開会
  54. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  委員の異動について御報告いたします。  本日、久保田真苗君が委員辞任され、その補欠として上野雄文君が選任されました。     ―――――――――――――
  55. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 風俗営業取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  56. 志苫裕

    志苫裕君 いろいろと衆参を通じて議論も重ねられておるわけですが、一巡目の最後の質問になりますので、少し繰り返しになる点が出ることもひとつ御了承をいただきます。  本論に入る前に少し外回りの問題を伺っておきたいのですが、長官、警察法第一条の「民主的理念を基調とする警察の管理と運営を保障し、」という目的規定がありますが、これはどのように理解なさっていますか。
  57. 三井脩

    政府委員(三井脩君) この現行の警察法は二十三年の旧警察法を基本的に受けておるわけでありますが、つまり戦前の、二十三年以前の警察制度を頭に置きながら、それが非民主的であったと、それの反省の上に立って、民主的理念の上に立って警察運営を行うというのが基本であるということをうたったものと考えておるわけでございます。
  58. 志苫裕

    志苫裕君 その民主的理念の中身を伺っているわけです。
  59. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 警察は法の執行でございますので、法律にのっとってこれを適正妥当に運営をしていくということが民主的であるということの基本であろうかと、こういうふうに思います。
  60. 志苫裕

    志苫裕君 余り的確な感じは受けておりませんが、ではその次に行きましょう。  警察の管理と運営の保障というのはどうですか。
  61. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 警察の管理というのは、ここでは国家公安委員会及び都道府県の公安委員会の任務であると思います。  警察の運営といたしましては、その管理のもとにおける警察庁及び都道府県警察が的確にその任務を遂行していくことを中心とし、公安委員会の運営も含んでおる観念かというように思います。
  62. 志苫裕

    志苫裕君 少し理解が違うんじゃないですか。少し理屈っぽいようですが、後ほどの議論関係があるので、まず基本的な認識を伺ったわけですけれども、管理の保障というのは警察行政の内部 処理の民主化というふうに解される、これは皆さんがお出しになった本の解説です。したがって、組織面をあらわすので公安委員会の管理というのが長官のお答えになっている。  もう一つ、運営の保障というのは、外部的な警察活動の民主化、すなわち機能面を指すものである、これには議会の関与や国民の監視が保障されているという意味に解すると皆さんの解説書には出ていますが、それでいいですね。
  63. 三井脩

    政府委員(三井脩君) ここで言っておりますのは、「保障し、」というのはこの法律で保障すると、こういう意味で、以下この法律にそういうことを規定いたしますと、こういう意味だと思います。その中身がどういうようになってくるかというようになってきますと、この法律以外の、都道府県の各議会は警察に対して条例、予算などの関係について処理されるとか、あるいは知事部局が警察との関係を持つというようなこともいろいろ入ってくると思います。
  64. 志苫裕

    志苫裕君 私が特にこの「民主的理念を基調とする警察の管理と運営を保障し、」と言うのは、国民我々の権利なんだ、警察の民主的な管理と民主的な運営が保障されている、そう読み取って実はお尋ねしているわけです。それでいいですね。
  65. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 保障するというのはここに書いてありますように、「保障し、」「組織を定めることを目的とする。」というこの法律目的を、この法律でそういうことをねらいとして以下各条の規定を設けると、こういう意味だと思いますが……。
  66. 志苫裕

    志苫裕君 いや、これは大事な点だから聞くのですがね。  保障されているのはこれはだれですか、国民ですか、警察ですか、どっちがこれで保障されているんですか。
  67. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 両方含めた全体であろうと思います。
  68. 志苫裕

    志苫裕君 公安委員長、あなたしばらく発言の機会がないようですから、きょうは少し発言の機会を与えようと思いますけれども、公安委員会警察を管理する意味をあなたはどのように理解なさっていますか。
  69. 田川誠一

    ○国務大臣(田川誠一君) 警察がその目的を忠実に執行をしているかどうかということを公安委員会は管理してまいります。
  70. 志苫裕

    志苫裕君 それでは、聞き方を変えましょう。  普通、警察権限というふうなもの、こういうものをちょっと考えますと、独両性がむしろ適当と思われるような警察行政の分野を公安委員会の管理にわざわざゆだねておるのはなぜかというふうに聞きましょう。
  71. 田川誠一

    ○国務大臣(田川誠一君) ちょっと済みません、もう一度。
  72. 志苫裕

    志苫裕君 わかりませんか。  警察行政の分野を公安委員会の管理にゆだねておるのはなぜかということを聞いているわけです。
  73. 田川誠一

    ○国務大臣(田川誠一君) ちょっと耳を悪くして、悪いのですけれども、最初の言葉が聞こえなかったのです。
  74. 志苫裕

    志苫裕君 警察行政の分野を公安委員会の管理にゆだねているということですね。ちょっと考えれば、警察行政のようなところはむしろ独自機能を持って何でもやりなさいというふうに考えられがちですがね、しかしそれをきちっと公安委員会の管理にゆだねておるのはなぜでしょうかと聞いておる。
  75. 田川誠一

    ○国務大臣(田川誠一君) 公安委員会という世界にも類のない制度ができましたゆえんのものは、警察が政治的に中立を守ってその職務を執行していくことができる、こういうことが一番大きな理由である、こういうふうに思います。  それから、あわせて、公安委員会は国民を代表するとも言える学識経験者によって組織をされております。そういう意味で、戦前の警察とは違って民主的な警察の運営を図っていくことができる、そういう意味警察行政を管理していける、こういうことから公安委員会という制度ができた、このように解釈をしております。
  76. 志苫裕

    志苫裕君 そこで長官、もう一度伺いますが、今いろいろと警察法の考え方を伺ったんですが、このまとめとして、いわゆる旧憲法下、俗に戦前と言いますが、その警察制度と現行制度の基本的な違いはどこですか。
  77. 三井脩

    政府委員(三井脩君) ただいまお話のございました警察法第一条の「民主的理念を基調とする」という点が一番違うと思うわけでありまして、民主的理念ということになりますと、今、大臣からもお答えがございましたように、一つは政治的中立、一つは国民代表が参加する、いわゆる民主的といいますか、警察官というその道の専門家だけでやるんではない、国民の良識の代表としてこれを管理していくということを言うものと考えております。
  78. 志苫裕

    志苫裕君 責務の限定の方はどうですか。
  79. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 警察法第二条に書いてございますように、二条第一項に警察の任務を書いておるわけでございまして、第二項に不偏不党、そして法に定められた職務を警察がやるものというように明確に書いてあるわけでございまして、その点は、戦前の警察は法令によって決められたことは何でもできるといいますか、そういうような建前になっておったというように思います。
  80. 志苫裕

    志苫裕君 実は今度の風営法の審議で衆参を通じて幾つか懸念が表明されているのは、民主的理念もさることながら、この警察責務の限定という、戦後改革の三本柱と言われているんですが、警察責務の限定、民主的管理、地方分権はその後変わりましたけれども、それにかわって効率的運営とか責任の明確化とかというのが二十九年法に出てくるわけですが、この警察責務の限定という現行警察制度の基本にかかわる問題に今度の風営法がかかわらないかという点で幾つかの懸念が表明をされておるわけです。今もお話がありましたように、戦前の警察は少し出しゃばりだったと、あらゆるところに手を突っ込んでいたと、だから警察国家と言われたわけでありますが。  そこで、長官もお読みになったでしょう、私も本会議でちょっと引用したんですが、「新内務官僚の時代」というところであなた方の大先輩が何人かインタビューに登場している。ちょっとくだりを紹介しますから所感を最初に伺っておきます。  警察は後始末屋に徹すればいいのであって、戦前のように大きな顔をして真ん中に出しゃばることはよくない。これは柏村さんの意見だな。次、みずから暴力装置を持っている怖さを自覚をして、慎重の上にも慎重でなければならない。これは新井さんの御意見のようですね。戦前軍部とつるんでとんだお先棒を担いで日本をばかげた戦争に暴走ざしてしまった、その反省は絶えずしなきゃならないと、お三方の意見があるんですが、長官の所感はいかがですか。
  81. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 戦前の警察について我々の先輩がそのように反省をしておられるということは私もそれを読んで承知しております。妥当な反省であろうというように考えます。
  82. 志苫裕

    志苫裕君 そこで、本法案に、今のお話を伺いながら少し検証を進めていこうと思うんですが、長官、私が手に持っておりますのは日経新聞夕刊五十八年十一月十五日の記事です。この中身は、いわばその日、十五日に、全国防犯、保安担当部長会議があって長官が指示ですか、訓示をなさって、そしてこの記事によると、「少年非行などに関連した犯罪については、単に事件捜査にとどまらず、犯罪の発生を未然に防止する各種の行政的施策を、警察が前面に出て積極的に実施せよ」と異例の指示を出したと、こうなっております。これはあなたが言ったのじゃないでしょうが、その記事は従来よりも一歩踏み出した警察運営をすることになったものと見られる。実は今度の風営法の提案その他後ほどお伺いしますが、少年の規範意識を持たせも運動の展開とか、そういう一連の最近における警察の対応が何かここに集約をされておるような気がいたしますが、警察が前面に出て各種の行政的施策を積極的に実施せよと、これはどのような意図に基づくものでしょうか。
  83. 三井脩

    政府委員(三井脩君) まず、言葉としては、ただいまお読みになりました新聞の中に引用符で私が前面に出て積極的にせよと、こういうふうに書いてありますけれども、私が言ったのは、積極的にやれということを言いましたけれども、前面に出てというようなことはもちろん言ってはおらないわけで、警察の仕事には、殊にほかの部門と違って保安とか防犯の部門におきましては犯罪捜査と犯罪予防と両方ありますと。刑事部門なんかは犯罪捜査一本みたいなものですけれども、防犯、保安の場合は防犯という名前が示すように、犯罪予防というのが大変重要な仕事として行われておりますと、所管の法律について違反があればもちろん捜査もし、それからまた犯罪予防もすると、保安や防犯の部門では、その両者を一貫したものとして運用することが大事だと。その点について例えば、捜査の結果違反があって捜査した結果出てきた事項で、これを関係行政機関に通報して、その機関の施策を求めた方がいいものというものは積極的にやりなさいよ、つまり犯罪捜査と行政施策への反映、それから警察がプロパーにやる防犯、防犯は一種の、犯罪捜査でありませんから行政指導というように言えることができると思いますが、その両者を一貫したものとして実施することは大切である、それを積極的にやりなさいと、こういうふうに言ったわけでございまして、従前からの我々の考え方でありまして、特にこのときに従来消極的であったものが積極的になったというようなことではなくて、従来から一生懸命やっておりますことをしっかりやりなさい、こういうつもりで言ったわけでございます。
  84. 志苫裕

    志苫裕君  実は、これは十一月の長官の指示が、いみじくも長官のお話とは別に、マスコミの受けとめ方は警察一歩前へ出たなという受けとめ方をなさったのでしょう。先ほど先輩の言を引きましたが、後始末屋が大きな顔をして真ん中なり前へ出るのは余りいいことじゃないという反省を示されたことは、そのための引用であります。  ところで、この法案の策定経過についてちょっとお伺いしますが、私どもがこれを伺ったのは一番早くて五十九年の一月三十一日の各紙です。これに、「風俗営業法対象を拡大」とか、「野放し〃性産業〃へ法の網」とか、「少年対策に重点」「性産業の地域制限」以下云々、これが一斉に出ました。ところで、二月の十四日に内閣提出予定法律案というものを私ら毎年のようにいただきます。このときには、これはどこを見てもそんな法案が出てくるというそぶりはございません。三月上旬ごろになりましてこういうものを皆さんからいただきました。これが、「風俗営業等取締法改正の検討について」というものですね。そして、この前でしたかな、三月の六日のある紙に、三月五日に有識者懇談会を開いたという記事を目にするわけでありますが、その後に皆さんの方からこういうものをいただいた、こういう経過でございます。  そこで、ちょっと伺っておこうと思うのですが、これは大臣も長官も保安部長もしばしばお答えになっているのですが、この問題についてはひとつ各省庁あるいは関係機関、団体、業界などの意見をよく伺ってとりまとめをいたしましたと。私どもが新聞で散見をし、予定法案にもなかったし、こういうものを伺ったのは三月の末になるわけですが、しかし皆さんの方では各省庁、関係機関、団体の意見をよく聞いてまとめたと。  具体的に伺いましょう。どういう省庁、どういう団体、どういう業界について意見を伺いましたか。
  85. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 今の先生のお話しの中で若干申し上げておきたいのは、二月十四日の内閣提出法案の中では提出する場、いわゆる提出を確定するというものではなくて、一応こういうものを検討しておりますという法案の中には掲上をしておるものでございます。そういうようなことで、私どもは従来から各業界の御意見はずうっと聞いてまいりまして、そういうものを集約して、一体どういうふうにこれを解決したらいいかというようなことは長い間研究を続けておったわけでございます。それから、各省庁との関係でございますが、これはいろいろ今度の法案はほかの法案ともかなり兼ね合いもあるということで、そこら辺のところをどういうふうにすべきかということを内々いろいろ関係の省庁が事前に打ち合わせもしてきたという形でございます。そういうことで、従来からそういうふうな各省庁とあるいは団体、業界からの御意見等も踏まえながら立案に当たってきたということでございます。案をまとめましたのが先ほどお話しのことしの三月初めに行いました有識者懇談会というところで、こんなような考え方はどうだろうかということでいろいろ打診をし、やっぱりやるべきではないかというような大方の御意見を賜りましてから案にしたという、いわゆる法案の形にしたということでございますけれども、その前から、物の考え方につきましてはいろいろお打ち合わせをしてきたということでございまして、法案を提出するということになりましてから、当然のことながら各省庁にはお諮りをし、また各省庁を通じて、あるいは直接に団体に対してこういうふうなことを考えておるということをお諮りして四月の下旬にまとめた、こういうふうなものでございます。
  86. 志苫裕

    志苫裕君 時間が大事なときですから同じことを答えなざんな。そういうことを衆参を通じて答えておるが、どこの省庁、どこの団体、どこの業界の意見を聞きましたかと聞いているんだから。それに答えてください。
  87. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 各省庁はこれは全部の省庁に提出をするわけでございまして、そうして、こういうふうな案について御意見はあるかないかということを全部お伺いしていくということでございます。どこの省庁というような形のものではございません。  それから、各団体の意見でございますけれども、これは各省庁を通じてやったのもございますし、直接やったのもあるわけでございますが、団体は、パチンコなり、ゲームセンターなり、あるいは映画業界なり、あるいは旅館の関係あるいは料飲業界、そういうふうな業界等、これは各省庁を通じてのものもございますけれども、そういうところといろいろお話し合いを進めてきたということでございます。
  88. 志苫裕

    志苫裕君 省庁によっては四月の十五日ごろですね、お話があって、二十日までに返事せいというんで余りその検討もできなかったというそんな短な期間だったのですか。
  89. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 大体、法案を提出するときの一つの慣例と申しますか、そういう場合には、こういう法案につきまして御意見があればいついつまでに御連絡をいただきたいというふうに申し上げているのが大体各役所のやる慣例でございます。そういうところで意見が出ましたものを今度は詰めていく、こういうことになるだろうと思います。
  90. 志苫裕

    志苫裕君 パチンコ、ゲーム、映画館、旅館等々とお話がありましたね。日弁連の意見は聞きましたか。
  91. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 日弁連の御意見は聞いておりません。
  92. 志苫裕

    志苫裕君 今度の法案の非常に関心を集めておる部分はセックス産業の規制と、またそういうセックス問題、特に売春問題については婦人団体が随分熱心に取り組んでおられることは皆さんも御存じのとおり、この婦人団体の意見は伺いましたか。
  93. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 婦人団体の方々も役所に来訪されまして、御意見は承っております。
  94. 志苫裕

    志苫裕君 「売春問題ととりくむ会」のメンバーから伺っておりますか、あなた方。どこの婦人団体ですか。
  95. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君)  伺っております。
  96. 志苫裕

    志苫裕君 法案作成過程にですよ。法案が出てからじゃないですか、それは。
  97. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 作成の過程で伺っております。
  98. 志苫裕

    志苫裕君 アミューズメントの業界は、先ほどあなたはお伺いになったと言いましたが、アミューズメントの業界は幾つかあるんじゃないですか。どれとお話しをされたんですか。
  99. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) アミューズメントの関係のゲームセンターは幾つかあるということはそうだと思いますが、一番中心的にやっておられますのはアミューズメントオペレーター協会でございます。そして、この協会と幾度か打ち合わせをやってまいりまして、意見交換を十分やってきたわけでございます。
  100. 志苫裕

    志苫裕君 オペレーターの方ですね。マシンの方はどうなんですか。
  101. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) マシン工業協会の方々も実は最初はオペレーター協会に入っておられたわけでございまして、ただ途中で御意見が合わなくなったということがあったようでございまして、オペレーター協会から離脱をされたというふうに承っております。それで私どもも、そういうことで御意見をいろいろお伺いしようということであったわけでございますが、マシン工業協会の方は絶対反対の立場をとるというふうなことでございまして、そういうことで意見の提示はできないという御意見の表明がございましたので、それ以降はお伺いをしておりません。
  102. 志苫裕

    志苫裕君 テンポ早く聞きますから答えてくださいよね。  三月五日の有識者懇談会のメンバーを聞かしてください。
  103. 古山剛

    説明員(古山剛君) ずっと二十数名の方の名前を申し上げます。  共同通信者論説委員阿部豊さん。それから、サンケイ新聞社論説委員飯田浩史さん。日本PTA全国協議会会長岩橋延直さん。それから、日本放送協会解説委員川越昭さん。それから、千葉工業大学教授木村治美さん。それから、日本経済新聞社論説委員黒羽亮一さん。それから、朝日新聞社論説委員小林一喜さん。全国環境衛生同業組合中央会理事長斉藤頴夫さん。それから、聖心女子大学教授島田一男さん。東京都立大学教授詫摩武俊さん。新宿区明るい地域環境づくり推進会議世話人代塚田貞治さん。売春対策審議会委員土金賢三さん。毎日新聞社論説委員鳥井守幸さん。読売新聞社論説委員永井梓さん。横浜国立大学教成田頼明さん。全日本学校校長会会長原島信義さん。東京学芸大学助教授深谷和子さん。評論家細川隆一郎さん。東京母の会理事長堀江貞子さん。全国高等学校長協会会長増田信さん。鳥取女子短期大学客員教授村松英子さん。全国少年補導員協議会会長和田謙寿さん。  以上でございます。
  104. 志苫裕

    志苫裕君 わかりました。どうもマスコミの乗りようが悪いと思ったら、マスコミの関係者が圧倒的だな。それと大学の先生。あとは皆さんつき合いのある人たちだ。  それで、この際私はなぜこういうことを聞いているのかというと、法案作成の過程でできるだけ念入りにさまざまな意見を徴し、言うなら法律的な問題点等は議会でやりますけれども、そういう問題をやっぱり詰めに詰めて、特に皆さんは前に、例えば道交法の法案を出すときにも何でも大勢に関係しますから、どれかよければどれか悪いというものもあるわけでして、それはどこかでやらなきゃいかぬときにはやりますけれども、私自身が議会の当初には出るとも考えていなかった法案なんです。わずか数カ月の間に草々の間にまとめておる。実は健康な風俗というのは、憲法十二条の幸福追求権の対象にもなるんだし、二十一条の表現の自由の対象にもなるんだし、あるいはまた二十二条の営業の自由そういうものにもなるわけで、まさに数百万、数千万の人が対象になるわけです。さっき私は民主的理念に基づく警察の組織の運営の保障ということを言いました。これは、議会や一般国民が参加を与えられているんです。その保障なんです。しかし、法案作成の過程で一体その保障が与えられたかということを問題にして伺っているんですが、私はそんなにどうも念入りに伺ったようには認められない。まず日弁連の意見をどうして皆さんはお聞きにならないのか。
  105. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 日弁連の関係でございますけれども、これは主として法務省等は平素から司法にかかわる立法を検討するために、いわゆる法曹三者ということもありまして、司法の当事者である弁護士会等の意見を聞いておられたということでございますけれども、今度の法律はあくまでも行政の範疇に属する立法作業である、そういうことでございますので、日弁連のお仕事と直接関係のあるものではないというふうに考えたからでございます。
  106. 志苫裕

    志苫裕君 冒頭に戦後警察の改革のことを聞きましたが、公安委員会が管理する警察組織の職責の主要な側面は司法警察でしょう。日弁連と関係ないと言えないでしょう。
  107. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 防犯、保安警察の中には、先ほど長官からも申し上げましたように、行政的な側面と司法的な側面を持っておるわけでございますが、この問題は行政的な側面であるというふうに考えておるわけでございます。そういうことで、行政的な問題ということで御相談をしていないわけでございます。しかし、当然のことながら、法務省とは十分打ち合わせをしておるところでございます。
  108. 志苫裕

    志苫裕君 この間の弁護士さんも何だか警察に嫌われておるのか、法務省と比べると距離が遠くて困るというようなお話をしていましたが、行政警察、司法警察のせんさくは別にいたしまして、営業、幸福追求権、すべて人権にかかわってぐるものです。弁護士の主要な使命は人権擁護なんです。皆さんと絶えず向き合って暮らしている人だ。意見を聞くのは当然じゃないですか。長官、この点はどうですか。
  109. 三井脩

    政府委員(三井脩君) やっぱり直接打ち合わせするということになりますと、法曹関係は法務省が統括しておるというように私たちは考えますので、例えば裁判所に対して直接意見を聞くというのじゃなくて、法務省に意見を聞けばいいというように考えておるわけでございます。ただ、日弁連の意見は、日弁連そのものかあるいは日弁連関係の方の意見でありますか、いろいろ意見書をいただいたり、そういうのはよく読んでおります。
  110. 志苫裕

    志苫裕君 長官、それは違いますよ。日弁連自身が法文を見て、四月の何日かにまとめましたね、それを見てこれはひどいものが出たなというので、急遽それぞれの部会で御検討になって我々にもそれなりの意見具申があったわけで、しかるべくしてこれは意見具申などありはしませんよ、これは。これは特にこの問題は人権にかかわる。私の聞き違いかどうか知りませんが、法務省からも伺いました、どういう御協議がありましたかと。刑罰の均衡というような問題では伺いましたが、人権にかかわる面については伺っていませんし意見も述べていません、こういう話を伺っています。そうですか、法務省を通じて法曹界の意見というわけにいかぬでしょう。
  111. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君)  御意見を伺うときには、この法案についてどうでしょうかということで御相談を申し上げるので、何についてどうだということをこちらから申し上げて御意見を伺っているわけではないわけでございます。全般について御意見を伺っているというふうに我々は理解をいたしております。
  112. 志苫裕

    志苫裕君 風俗はまさに文化でありますが、文化関係の団体の意見を伺いましたか。
  113. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 関連する団体の御意見は伺っております。  例えば、こういう面というのを私どもは持ち合わせておるというふうに思っておりますが、例えばダンスホールの関係、特にダンス教習の関係、そういうふうな方々の御意見とは十分お打ち合わせをしておるわけでございます。その他の団体の関係につきましては文部省が代表されておるということで我々は理解をいたしておりまして、文部省に合い議を申し上げたと、こういうところでございます。
  114. 志苫裕

    志苫裕君 それはダンスも文化ですがね。私が申し上げているのはもう少し民衆の文化とか時代の文化とか、少なくともこれは統治権に基づく強制行為の対象になるわけですから、やっぱりそういうもうちょっと広い意味での文化のありようとかというものは当然皆さんも立法の過程に知識として吸収してちっともおかしくはないわけだ。ダンス教習所の意見は業者としてのダンス教習所なんでしょうがね、いずれにしても、ここでも私は皆さんの立法経過にはおれがやることは人の意見など聞かぬでもいいという、どうもそういう態度がうかがえてしようがない。不十分だと思いますよ。だからこの委員会、何十時間審議しても次から次へと今ごろになって意見が出てくる。一遍賛成をしてみたが、後からよくよく見るとやっぱりこれも心配だと、そういう形で出てくるんじゃないか。どこでもいろんな立法をなさって、それが特に個人の権利や営業やそういうものにかかわる場合には立法作業は慎重でなければ。一つ社会事象が出ればそれを抑え込むことのメリット、デメリットも一方には出てくるわけで、そういうものの調整や調和も必要でしょうということになれば、やっぱりもう少し広範な意見を聞くということが欲しかったという点は申し上げておきます。  もう一つ、立法過程で問題になる点を指摘して意見を伺います。  それは、そういう形で法案が出た、当然法案を勉強し意見を述べる、時には反対もする、通してくれとも言う、当たり前のことですよ、そういう形の中でこの法案は国民のコンセンサスを得ながら生きていくわけですから。ところが反対運動へのいわば警察の干渉、圧迫というふうなものが随所に散見をされる。いみじくも七月二十四日の佐藤質問に対して、パチンコ業界に何日に理事会開いて四月十九日に理事長以下無事解決の報告のあいさつがございましたと。にもかかわらず五月下旬になって一部の者が反対に動き出したという、これは古山さんの答弁かな、だれの答弁だか私の印象では極めて不快の念を表明をした報告がありましたがね。事実皆さんが不快な念を表明するように、この法案にはさまざまな意見の開陳や運動が起きていますよ、当然じゃないですか。  私が特に申し上げたいのは、ちょっと失礼ですが、こういう業者というのは言うなら皆さんと毎日向き合うような業界です。そして世間から、時には何をやっているんだかわからないというふうに言われる業種もあるかもしれない。であるから、表立って皆さんの見ている前でこれみよがしの反対運動は、労働運動やそういうものと違ってできない立場なんだ。だから、我々はそういう声も聞いて慎重にこれに対応しているわけですね。にもかかわらず、そういう動きをするのはけしからぬということで随所にそういう圧迫が加わっておる。事例を挙げたのでは情報提供者の関係もあるから私は申し上げません。皆さん、そういうことをなさっていますか。
  115. 古山剛

    説明員(古山剛君) ただいまお話しのような、風営法改正に関する業界の意見を封圧したり威嚇して抑えたというようなことは全く聞いておりませんし、あり得ないことだというふうに思います。
  116. 志苫裕

    志苫裕君 大体皆さんの話は、初めて聞いた、あり得ないことだと思いますと、どこでもこういう答弁をする。あるんだよ、実際に。こういうことも、結局は皆さんの立法作業において念入りに意見を徴するという作業にやっぱり疎漏があるので意見が出てくる。意見が出てきたらああそうか、そういう意見かと、こういう点で我々も配慮をしているんだという言い方もあるでしょう。悪かったら、議会は、そちらの方にどうも言い分があるからやっぱり直そうと。改めてここで答弁をいただいて記録にとどめるといういろんな作業をするわけであって、どうも私は不愉快ですね。この審議を通じて、各委員が一様に党派を問わず、文言の規定もさることながら警察権の乱用が最も危惧されるというところに焦点があるわけなんですよ。その警察権の乱用を象徴するような出来事が、反対運動に対する圧迫じゃないですか。公安委員長や長官が、何遍慎重に第一線まで乱用をしないようにと言ったって、そういう形で現実に皆さん行為が証山されているじゃないですか。だから、一々解釈の余地のないぐらいに文言を書き込まないと心配だという議会側の議論が出てくるのだって当然じゃありませんか。本当にそういう事実はございませんか。皆さんの方は指令を出すことになるし、指令がばれるようなことはせぬだろうが、これは慎んでくださいよ。
  117. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 私どもは決してそういうことのないようにかねがね指導しておるわけでございますが、今後ともそういうふうに指導してまいりたいと思います。
  118. 志苫裕

    志苫裕君 もう一つ、立法過程で問題になっている点を私から指摘します。  七月の二十六日に問題となっておるゲーム機の検証が行われました。これは衆参を通じて一番長い時間、たった一号の文言で鈴木さんもこれに長々とページを割いたんじゃないでしょうか。この記録を読んでみたら一冊分ぐらいになるわね、あの部分だけが。それだけにいろいろ御意見もあったし、また一部では皆さんの方があれば反対だから意見を聞かなかったとかいうことになったから、なおさらあるいはあったのかもしらぬが、これは確かに寺田委員、佐藤委員の要求にかかわるものでして、その方法は理事会で、しかも委員長の発言で協議をするべき項目でした。ところが、おたくの方の発議じゃないかなと思うのだけれども、我々がそれを検証する機会を得たのでありますが、問題はそのゲーム機の検証の現場にゲーム機を持ち込んで、あるいはあらかじめセットをして、そしてその説明に当たったものが特定のメー力ーやオペレーターであったということです。  ゲーム機問題の取り扱いは、私は玄人じゃありませんからわかりませんが、察するに、ありていに言えば、業界が幾つもある、アウトサイダーもあるというお話のようですから、当然のことに法の規定や取り扱いは業者や業界の利害が絡むことは容易に想定できます。そして、警察にその意思があろうとなかろうと、全く善意で規定したことであっても、それは結果として特定の業種、業界を利したり、特定の業界に不都合になったりするということはこれは避けがたいことだ。そういうテーマを抱えたこの問題の検証にいわば一部の業種や業界やオペレーターが説明の衝に当たるということは不謹慎きわまりない、まさに私は癒着の現場を見せられた思いです。立法経過に何か裏があるんじゃないかというふうに、この条項には特に言われたものであります。これは委員長にもお伺いしなければならぬのだけれども、あの機械の製造者、改造者、オペレーター、これを言ってください。
  119. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) この審議の場で、ゲームの内容が容易に変更できるかどうかというお話が出まして、先生も御指摘のとおり衆議院の段階から非常に問題になってまいりまして、またお話が出てやっぱり現物が見たいというようなお話がございまして、それでは一体ソフトというものが取りかえが簡単であるかどうかという事実を確認していただくというのがいいんじゃないかと、こういうことでございまして、それさえあれば目的が達せられるわけでございまして、ゲームがそこで賛成とか反対とかそういうものでは実はないわけでございまして、要するに、物理的にその変更が可能か可能じゃないかを見ていただくというだけでございまして、まずそういうことで私どもは純粋な気持ちでごらんをいただいたというにすぎないということでございます。  いろいろな今のお話でございますけれども、何か逆の立場にある方の方からいろいろまた多少詰問調のお話も出ているというふうなことも聞いておりまして、そういうことがあってはいけませんので、恐縮でございますが、今申されました御質問の点につきましてはお答えを差し控えさしていただきたいと思います。
  120. 志苫裕

    志苫裕君 私は業界の意見などは聞いていない。この問題にそれぞれ業者や業界の立場があっていろいろ意見を述べ合っていることは承知している。だから双方の意見を聞いています。法律上の問題はちょっとまたお伺いしますけれども、そういう問題なわけで、いろいろ意見が出ている問題です。それをあなた方の方は、結果としてどれかのグループの意見に近い形で、とにかく条文は賛成、反対あるわけですから、規定をされている。それで、その人たちから来てもらって皆さんが言うとおりになるように検証するというやり方はフェアじゃないでしょう。別の人たちから比べれば、その人たちとは皆さんがツーツーだからなんですよ。それもまた立法過程の一つだという懸念が私を襲うのですが、そうじゃございませんか。
  121. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) こういうふうなお話が出まして、そしてこういう機械が変え得るのか変え得ないのかということのお尋ねがあったわけでございます。その点に御疑問を呈されたわけでございますから、その点を、機械というのはこういうものですと、機械を見ていただくということでございまして、何もそこで賛成とか反対とか、そういうふうな性格のものではないと私どもは理解をして、機械を見ていただきたいということで申し上げたにすぎないものでございます。
  122. 志苫裕

    志苫裕君 ちょっと長官ね、仮にこの法が通りまして、また通らなくても、率直に言って風俗営業対象業種はいっぱいあるし、営業者は山ほどあるし、お巡りさんはそれほどの数がいるわけでもないし大仕事だと思うのですね。ですから、時には業界団体にも、そこを通じてそっちにお任せしなきゃならぬこともあるだろうし、時には手を入れなきゃならぬこともあるでしょう。手に余る仕事をどこかやっていこうということになりますと、そこに出てくるのはえこひいきということなんだ。悪い言葉で言えば癒着なんだ、誘惑なんだ。風俗営業のみならずですが、そういう問題と絶えず向き合って暮らすわけですね、率直に言いまして。そこにたまたまそういう問題を象徴するかのような問題が一つ出てきたので、私の問題意識は長官もわかったと思う。あなた、何か所見はありませんか。慎重でなかったとは思いませんか。
  123. 三井脩

    政府委員(三井脩君) もとより、この種の法の執行といいますか、警察がこの業務の上におきまして対象の業者その他と癒着するというようなことはあってはならないわけでございます。正しい協力関係はあっていいと思いますけれども、癒着というようなことがあってはならぬと思うわけでございます。  ただいまの機械そのものの問題につきましては、まさにその機械の構造といいますか、そこに着目して、これを見ていただくのに一番適当なものは何かというような観点で選んだものでございまして、それはそれだけで、癒着とかなんとかというようなことではあってはならぬし、またそういうものではないというように考えるわけでございます。
  124. 志苫裕

    志苫裕君 警察は弁解せずという代表的な答弁だな、これは。  製造者、改造者、オペレーターの名前は言えませんね。
  125. 古山剛

    説明員(古山剛君) 製品の名前だけ申し上げたいと思いますけれども、一つは、VS・システムというものでございます。これは最近出されたものでございます、つい最近ですね。それから、デコカセットシステム、それからもう一つございましたけれども、これは格別のあれではございませんで要するに普通の機械。いずれも普通のゲームセンターなどにございます遊技設備をごらんいただいたというものでございます。
  126. 志苫裕

    志苫裕君 それから、もう一、二、立法経過にかかわる問題を聞きます。  後で質問の中心になるんですが、改正項目の検討というのがあるんですね、一番最初にもらいましたね。この中には、少年指導委員ないし環境浄化協会の項目は盛られておりませんでしたりこれがどのような事情で浮上をしたのかということが一つ。  四月二十三日付の改正案に対する意見についてという書面をいただきました。この中には、「風俗営業適正化センターは見送ることとし、」云々という記述がございます。このいきさつ、この二つを報告してください。
  127. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 当初発表いたしました案では、風営法の改正の検討を始めたことを改正の中心となる規制対象の考え方を述べつつ公表したものでございまして、そこに述べているもの以外のものを検討しないわけではございませんで、主なものを出したということでございます。  まず、少年指導委員の方でございますが、これは少年の健全育成に資するという見地から、民間のボランティア活動を促進するための規定の整備を当初から考慮をしておるものでございまして、この点は、例えば三月五日の風俗問題懇談会にかけましたものには、「少年の健全育成に資する見地から民間のボランティアを公安委員会が委嘱し、その活動を促進することとする。」ということが載っております。二月二十九日のものについてもこういうものを検討しておりますというようなことを既に載せておるわけでございまして、最初からそういうふうな形で検討が進められておったものでございます。  それから、風俗環境浄化協会につきましては、確かに最初は風俗営業適正化センターということで考えておったわけでございますけれども、各界の御意見を伺いました結果、民間の風俗環境の浄化活動を活発化するために現在の姿に改めたものである、かような状況でございます。
  128. 志苫裕

    志苫裕君 私がもらったのは違うのかな、これ日付がないものでね。  いきさつを言うとちょっと内輪話みたいで悪いですけれども、官房長だったかな、政府委員皆さんがちょくちょく来てくれますからね。今度の国会の法案はどうとか、問題はどうとかいうのはよく伺いますが、当初、何か新しく今走っておる二輪車とか三輪車の小さい覆いのついた自動車みたいなもの、あれをどうこうするという法案が出るか、別のことでやるかというふうなのが課題になっていますといったころに、実はこれを、どっちが先だったか持ってきてくれて、こんな検討もしていますと。これは全く委員会の公の話じゃありませんが、特にこういう問題には業界が幾つもあって、まああっちこっちになるだろうと。そんなような問題が委員会へ来でみんな業界に振り回されたんじゃこれは人ごとになるからよく意見を伺って、時間をかけても意見調整したらいいですよということを申し上げたころの話ですから、いつごろか……  私もこれは見たんですよ、そのころ。あなたはあるあると言うけれども、ありゃしませんよ。少年センターだとか、補導員だとか、営業適正化センター、ありゃしませんよ。いずれにしても、これは何かどこか途中で浮き上がってきたんじゃないかなという問題意識を私は持つ。なぜか、今伺ってわかりましたが、例えば、当初風俗営業適正化センターというようにしようと思ったが、それが各省庁の権限調整や業界の二重構造、三重構造のことでぽしゃって、普通ならそのときにやめておけばいいのに、皆さんが途中でかじを変えて別なものをつくったから、ここでだれが聞いても余りうまい答弁にならない。言うなら煮えてないというやつだ。煮詰まってないというんだな。そういうのがありありと私らにうかがえますよ。こうやろうと思ったがそれができないのでこれをつくったと。その中身はこれから考える、歩きながら考えるというんだな。歩きながら考えるものなら考えた後で出せばいいじゃないかという感じもしたので伺っておるんですね。この環境浄化協会というのは皆さんが当初想定をしたものではないんでしょう。
  129. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 当初は風俗営業適正化センターということで考えておったわけでございますけれども、いろいろ関連する既存の業者団体とはその目的を異にするということでありますけれども、既存の業者団体にそれぞれの制定のいきさつがある、そうしてこのセンターと主体になるものが同一であるものもあるわけでございます。そういうことで、そういう関連する団体と業務、組織について十分な了解なしに設置するというのはやっぱり問題があるだろうということが一つございました。  それから、実は最初の風俗営業適正化センターと申しますのは、風俗営業の業務の適正化ということでいったわけでございますが、しかしそういう御議論をいろいろやっているうちに、むしろ風俗営業では狭いではないかと。やはりそういうふうな業種から入るよりも、そうでなくて、民間のそういうふうな浄化活動の中核となって動いていただく、そういうことの方がよりこの法律目的に沿うではないかというようなことがございまして、確かにそういうふうな面もございます。そういうことで、私どもは風俗営業適正化センターにかえまして風俗環境浄化協会というものの設置を考えたと、こういうものでございます。
  130. 志苫裕

    志苫裕君 法の目的、少し概念を変えまして、従来は何か悪いことをしそうだからという前提を置いて取り締まりの対象と、しかし今度は関連営業なんというえたいの知れぬものを取り込んだもので二つを区別するようなことになって、一方は健全に行われれば非常にためになるものだという概念を持ち込んできたわけですね。ですから、法の目的に健全化、適正化と。その目的に沿うものとして適正化センターと。適正化ということならば理髪店の組合も適正化のことをやっているだろうし、ふろ屋さんもグループで適正化をやるだろうし、環境同業者も適正化をやるだろうしと、業界には業界のそういうものがありますから、おれのやっていることと何だかえたいの知れぬ今度は新しい似たことをするというので、それはちょっとその辺の調整という問題が起きるのは容易にわかることですよ。ですから、当初の業の適正化センターという適正化を旨とするものという皆さんの構想はだめになった。私が先ほど言いましたように普通ならそれはやめておけばいいんです、環境浄化云々、防犯活動というんなら防犯協会があるんだから。だけれども皆さんは何を思ったのか、中身を変えないで着物だけ変えちゃってそれに環境浄化協会、そんなもの今あるわけじゃないから、防犯協会にそれではこれも指定をしようか、指定したからって防犯協会がなくなるわけでもないのにそういうものを途端にかぶしちゃった。防犯協会の方はびっくりしたんじゃないかと思うのだ、ある日突然に何だか覆いかぶさってきちゃって。そういうふうな構造ですよ、これはどう見たって。だから、どなたが聞いても余りここのところ、あなたの答弁は割合にさえているけれども、この分はちっともさえないのだな。全然さえないんだよ、これ。それはやっぱり途中で意図が変わたからですよ。まあ浄化協会になろうと営業適正化センターになろうと共通のところが一つあるんだよ。そこへお巡りさんの古手が行けるというのが同じ。だから、天下り先じゃないかという言いたくもないことをいろいろ――私が言っているんじゃないですよ、衆参でそういう意見が随分出ているわけだ、今まで。私は今言うたわけですけれどもね。これはやっぱり生煮えですよ、あなた。だからいきさつを聞いた。営業適正化センターの当初意図した仕事も含むんですか、これに。
  131. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) おっしゃるとおり、最初は適正化センターで考えて、しかしいろいろ議論をしていくうちに、それからいろんな御意見をちょうだいしていくうちに、やっぱりこの法律目的でもってやるにはこういうふうな民間のボランティアの浄化活動という方がよっぽどなじむ、こういう御意見を大分ちょうだいいたしました。立法作業の過程におきまして、そういう形にやはり切りかえた方がこの法律の本来の目的少年非行なりあるいは少年福祉を害する犯罪、そういう少年をめぐる問題を解決するためにはそういうふうに切りかえた方がよりベターになるということで考えられたものでございまして、ある意味では風俗営業適正化センターの構想を発展させたものと私どもは考えておるわけでございます。  ただ、この点は違うというのは、風俗営業適正化センターというふうに考えましたときは業の適正化ということを考えておったわけでございますから、その点は今度はそうでなくて、むしろそういう民間のボランティア活動というものを、浄化のためのそういう活動を主体にしていくということでございますから、その物の考え方といいますか、その中身はかなり変わっておるということは申し上げられると思います。
  132. 志苫裕

    志苫裕君 ですから、私は皆さんから、警察の周りに民間の任意や法的なものも含めてどんな団体があるだろうかと言って資料をいただきまして、皆さんもいろいろ任務に応じていろんな民間の体制をつくり上げておる、その中には交通安全協会と並んで防犯協会というのは大きい組織ですよね。長いいろんな年月も経ているわけだ。これは既にお話がありましたように、防犯活動とかあるいは浄化活動とかいうことが仕事になっていらっしゃる。防犯や環境問題をやっていらっしゃる。だから、何も環境浄化協会を重ねるほどのこともないのになあという気がしたんで聞いた。これはまた後ほどやります。  もう一つ、いきさつで最後になりますが、この改正案に対する意見についてという中に、「成人映画館については、映画関係の団体において自主規制が強化されつつあることにかんがみ」云々ということですね。政令にも入らないし、法律に映画館とは書いてないけれども、含まれていないのだというお答えになってきておるのですが、先ほど実はパチンコの業界の意見、それからきのう、おとといは環境同業の協会の意見を聞きました。皆さんそれぞれ精いっぱいやっておって、組織率もいいようだし、また皆さんとにかく協力関係を保って、つまらぬことが起きぬようにやっていらっしゃるようだ。あに映画団体のみならんや、こういう感じをひとしきり受けたんだけれども、なぜ映画だけがそうなったのか、なぜ映画の団体だけは皆さんのおめがねにかなったのか。ほかは信ずるに足らずということかね。
  133. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 成人映画の関係規制対象から外すことにいたしましたのは、既に映画産業の団体あるいは全国興行環境衛生同業組合連合会でございますか、そういうものを中心に卑わいな看板や映画の題名についての自主規制が行われておる、そして年少者の立ち入りについての自主規制というものも強化されるということでございます。また、映画の特殊性でございますけれども、映画館で上映される映画はすべて映倫の審査を受けている。そして、この映倫の審査につきましても、この全体の自主規制の動きが反映されまして、広告用のスチールも含めて一般社会の風俗を乱すことのないようにこれまでよりも厳しい基準審査をするというふうにされたということ。それから、映画団体は非常に組織率も高い。それから、配給会社との関係もございまして、そういうことで自主規制も実効を上げ得ると考えられる。それから他方、現在ほとんどの都道府県におきまして、青少年保護育成条例によります有害興行の年少者への観覧制限というものも行われておる。業界の自主規制も強められるということで相当の効果を上げ得るのではないか。こういう形で自主規制が続くならば、警察も業界と密接な連携をとりながら問題を生じないようにすることができるであろう、こう考えたことで、現時点で規制対象から外すということにしたわけでございます。  それでは、ほかの団体はどうかということでございますが、これは熱心にやっておられることは私どもも重々承知をいたしておりますし、そういう面で大変ありがたいことだと、今後もそういう形で続けていただくということが望ましいと、こういうふうに私どもも思っておりますけれども、現時点でその自主規制というのは、先ほど言いました映画館の場合には、早速やろうといいますとぱっとそれが実際に動ける体制になって、実際にあの法案の打ち合わせの過程でそういうことがもう行われておるという状況があるわけでございますが、ほかの団体はいろいろございます、それは強い、弱い、組織率もかなりのもの、そうでないものいろいろございますけれども、いずれにいたしましても現時点です甘いろいろな形の自主規制が全部充足されるということにはならない。やはり、もう少しそういうふうなものをいろいろ見てみまして、なるほどこういうふうな形で担保できるということがいわば私どもといたしましても納得できる状況になければ、かえってそれが、悪質な業者が逆にはびこっていくという問題も生ずるわけでございまして、そういうことで、現時点では映画の関係とその他の団体との兼ね合いは違うというふうに判断をしておるところでございます。
  134. 志苫裕

    志苫裕君 これも警察裁量の問題で、あなた方の判断とか心証とかの問題で、ただ基本的には団体自主というか自立が担保されればこの映画と同じように対象外になり得るというようにも受けとれるわけだが、組織率が高いとか自主規制の実効性があるとか幾つかお挙げになりましたが、念のためにこの映画団体というのかな、その組織率は何%ですか。
  135. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 私どもは九四、五%というふうに聞いております。
  136. 志苫裕

    志苫裕君 先ほど全遊連の方は九〇%を超してますと、九〇と九四じゃ四%違う、四%じゃだめなんだな。
  137. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 組織率だけで判断をしているわけではないわけでございまして、御存じのとおり、パチンコの関係につきましてはやはり射幸心をそそるという問題でいろいろ問題があったことは御承知のとおりだと思います。特に、フィーバーというような関係で大変いろいろ問題になりまして、そういう形でお互いに業者の方とお話し合いを進めて、現在適正化の方向に持っていくという形で努力をしておるわけでございまして、そういうふうなことで、私どもが実際にひとつこういう方向でやりましょうということでお打ち合わせをしたものが必ずしも十分実態として守られないために、もう一回この点を確認をしながらやりましょうということになったわけでございます。そういうようないきさつがありますと、現時点でやはり自主規制だけでお任せするということができないという状況ではないかと、かように考えます。
  138. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 関連。  全国興行組合ですか、自主規制の高いのは。これはその当時、いわゆるヌードスタジオとかストリップとか、こういった実演の方々がみんな入っていたわけですね。ところが、今度警察がこれを外す条件としてこういう団体を追い出せと、こういう指示があったのかどうかわかりませんよ、そこは。結果的にはそれが締め出されちゃった。何にも悪いことをしていないのに突然締め出されてどうしようもないと、こういうような話を聞くのですが、いかがですか。
  139. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 私どもはそういう点について存じません。
  140. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 存じませんじゃなくて、ストリップ劇場の皆さんも入っておったわけだ、その自主規制の中に一緒に組合加入しておったわけだ。それを今回自主規制を理由にして規制から外すという条件の中で締め出されちゃった、こういう経緯を私は聞いたのですけれども、この問題については警察の方から締め出せという指示をして、そのかわり規制対象から外してやると、こういう話があったのですか。
  141. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) そういうことは全くございません。
  142. 志苫裕

    志苫裕君 念を押しますが、この問題をめぐって政治的中立性にもとるところはないんですね。
  143. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 全くございません。私どもは純粋に判断をしたわけでございます。
  144. 志苫裕

    志苫裕君 公安委員長、実は少し時間をかけましたが、本法案の策定過程、我々に審議を求めるまでの間の出来事をちょっと一さらいしてみた。私はやっぱり疎漏もあったと思うし、警察の俗に言う嫌な面、危惧される面ものぞいたような場所も率直に言ってありました。あなたが管理する警察ですが、策定経過に異論はないと思いますか。
  145. 田川誠一

    ○国務大臣(田川誠一君) 法案の作成過程におきましては、これまでも申し上げましたように、各省庁や関係団体ともかなり綿密に御相談をしたというふうに私どもは見ております。  ただいまの御質問の経過を見まして、やはり例えば日弁連のように、今から考えれば御相談した方がよかったというふうに思うものももちろん出てまいりました。というのは、やはりこの法案の中の種類というのは非常に多岐にわたるものですから、多く相談すればするほど結構なことには違いないのでございますが、しかしそうかといって企業種に、あらゆる人に相談するというわけにもまいりません。したがいまして、私はこの法案を提出するに至りまして、警察当局が常識的に聞くべきところを聞いて法案を作成したというふうに思っております。また、作成の段階に私の方からもできるだけ各方面の意見を聞いてやったらいかがなものかということを指示した覚えもあるわけでございます。  それからもう一つ、今、政治的な中立性を保ってやられたかというお話でございますけれども、これは私も十分この点は政治的中立を維持しながら判断をしていったものと、このように見ておるわけでございます。
  146. 志苫裕

    志苫裕君 せっかくな御答弁ですが、私は幾つか政治的中立云々のことはそういう心証を持っているわけではありませんが、その他の諸点についてはどうも慎重さといいますか、それを欠いたなという感じがいたしまして、法案に今度管理者というのがあるようだが、あなたの管理能力も大したものじゃないなという感じが率直に言ってしておるところです。  次に、立法政策あるいは立法技術、そういう問題について伺います。  私は衆参の審議を通じてこの法案に対する所見を述べておる。ちょっと特徴的にこれを拾ってみますと、自治大臣は、とにかく青少年非行の拡大、増大に何とか警察の立場で対応したいんだということを熱心に立法意図として強調されております。三井長官は、現行の法体系をそのままに盛り込んだものなのでそう新しい権限拡大でも何でもないのだ、ただ関連営業とかいろいろつけ加わったものがありますけれどもねと、そういうことを力説をされていなさる。保安部長は、風俗営業というのはそれが適正に行われれば国民のために健全な娯楽を与えるものだと、言うなら新説だな、新しい概念を提起をされておられる。これが非常に特徴的だと思うので、この辺を手がかりにしてちょっと立法政策の問題に触れようと思う。ですから、当然のことながら本法の淵源にさかのぼって本法の目的風俗営業の概念あるいは観念、風俗営業警察の職責との関係というふうな問題をちょっとさわらしてもらおうと思うのです。  実は、この法律には目的がないもので、二十三年法のやりとりを記録で拝見をいたしますと、短かい条文なのでひとつその条間に趣旨を読み取ってもらえるし、またこんなもの読めるというふうなこととされて以降数次の改正になるわけですが、簡潔でいいですが、二十三年法、いわば当初の法律では風俗営業とはどういうふうに定義されたのでしょうか。
  147. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) この法律では、二十二年当時から風俗営業というのはどういうものだということは定義は置いておりませんけれども、風俗営業として規定されることになりましたのは三つの業種であるわけでございます。  一つは、「待合、料理店、カフェーその他客席で客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業」  二つ目は、「キャバレー、ダンスホールその他設備を設けて客にダンスをさせる営業」  三つ目は、「玉突場、まあじやん屋その他設備を設けて客に射幸心をそそる虞のある遊技をさせる営業」  これらを風俗営業として規制するということでございますから、この三つが風俗営業の対象であり、また風俗営業の中身である、かように考えております。
  148. 志苫裕

    志苫裕君 部長ね、それは法律にそう書いてあるんだから読めばわかるんですが、しかし実は風俗営業という観念あるいは法目的、あるいは警察の職掌との関係を聞いているわけなんで、私はここにみんな持ってきていますけれども、二十三年法の記録で、これ、間狩さんという人はどういう人だったのかな、この人が答えているのかな。風俗営業の定義は二十三年法のときには、風俗に関する営業で、風俗犯罪、端的に言って売淫と賭博の行われやすいものとして規制の対象とする営業、こういうふうにお答えになっていますが、それでいいですね。簡潔に答えてもらえばいいです。
  149. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 二十三年の五月に政府の説明員が答弁をいたしております。
  150. 志苫裕

    志苫裕君 私の方から言った方が早いから言おう。  目的については風俗犯罪の予防、取り締まり、あわせて善良の風俗を害しあるいは風俗犯のおそれがあり、その周囲に風教上好ましくない影響を与える場合にはその範嶹に含まれる、このように述べていますが、それでいいんですね。
  151. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 今の先生が御指摘になられたのが主目的であるという説明がなされておりまして、一方、善良の風俗を害する行為を防止するためというのは広義に解するものである、例えば、その周囲に好ましくない風教を与えることの防止、即ち営業場所の制限や児童の風致、風教に悪影響を与えることの防止、それから接客婦の年齢の制限、そういうものもこの目的に含まれるというふうにされております。
  152. 志苫裕

    志苫裕君 そうですね。  警察の職責、責務、権限、これも後で問題になるわけですが、それとの関係については、戦前風紀警察と呼ばれたものの中には相当広い範囲のものが含まれておりましたが、新警察法の建前から警察は犯罪の予防、捜査に限定されていることにかんがみ、犯罪に関係のないことについては権限ではなくしたがって、広く社会に悪影響を及ぼすと考えられるから制限を加えるといった広いスタンスはとれないので、風俗犯罪、主として売春、賭博に関係のある営業に限定した意味がございますと、こう述べていますが、確認できますね。
  153. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 今のような答えがあることは間違いございませんけれども、先ほど言いましたように、主たる目的というもののほかに、善良の風俗等を広義に解するというようなことで言っておることも事実でございます。
  154. 志苫裕

    志苫裕君 次にいきますけれども、とにかく二十三年法には、いわば風俗営業の定義あるいは目的は書いてないが、条間を読み取ることによって出てきた風俗犯罪の予防、職責との関係は、いわば風俗犯罪に関係のある営業に限定されておる。  さて、それからいろいろ改正がございましたが、三十四年法、三十九年法、四十一年法、四十七年法、風俗の態様が変わるにつれて規制対象と内容がどんどんと変わってまいりましたね。あるいは拡大したというんですか、それに伴って目的もふくらんだといういきさつが皆さんからいただました資料でもうかがえますし、またそのような解説書もございます。  これは一々は省略いたしますが、長官がここでもしばしば――例えば現行の法体系をそのまま盛り込んだのだということがうなずけるように第三条に、「善良の風俗を害する行為を防止」と。第四条の二も同じ。第四条の三、少年の健全育成を阻害する行為の防止。第四条の四、「善良の風俗を害する行為を防止」と。第四条の六、「清浄な風俗環境が害されることを防止」ということになりますから、皆さんが新しく法目的を書きました善良の風俗、あるいは清浄な環境少年の育成阻害行為の防止、ここまではなるほど現行法体系に載っています。問題は、その次に業の健全化、適正化というのは実は現行法体系にはないわけですね。  そこで、保安部長はその部分を解説をして、それが適正にやられれば国民のために健全な云々という新しい概念を説明をなさっておるわけですが、風俗営業法の概念が変わったのですか。まず、これを確認しましょう。
  155. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 業の健全化という問題は、私どもは現在の警察の責務の範囲内に属する事項であるというふうに当然考えておるわけでございます。確かに現行法は取り締まりという言葉を使っておりますので、ややそれに限定されたような感じを与えておるわけでございますけれども、取り締まりというのは、業の健全化に資するための一つ手段であろうと思います。しかし、唯一の手段ではない。やはりこういう業を正常な形に持っていくというためには、また公共の福祉に合致するような形に持っていくというためには、やはり取り締まりという手法だけじゃなくて、そういう指導的な面というものを考えていくということも必要であろうと、かように考えているわけでございまして、取り締まりという文言を取りまして業務の適正化と、こういうふうな形で申し上げておるわけでございますから、その面で変わったといえぱ確かに変わったかもしれませんけれども、私どもは、今までの物の考え方の中にも業の健全化あるいは適正化という物の考え方は当然入っていたというふうに考えておるものでございます。
  156. 志苫裕

    志苫裕君 変わったか変らぬか、それが警察の職責とどうかかわるかは大事な問題なので後刻やりますけれども、いずれにいたしましても、長官がしばしばお答えになるように現行法体系をそのまま盛り込んだのであって、殊さら新しい権限の付与とかそういうものでないということは、先ほど私が引用しました現行の法文ないし条例にそれに敷衍するようなことも書いてありますからそれはうなずけます。ただ、違いますのは、これは皆さんも御注意になっていると思うのですが、三条にしても四条にしても、四条の三にしても四条の四にしても四条の六にしても、すなわち今度の改正法案の第一条の前段にうたい込んだ三つの目的、これに関する部分は全部都道府県の条例にゆだねた事項です。法に直接書いたものはございません。そういう目的で条例を制定しろというふうに書いたものです。これが非常に特徴的なところでしょう。これは、都道府県すなわち地方公共団体が、善良の風俗と環境の保持の任務を事務の範囲としておるということを不可分の関係にあるんじゃないですか。警察の職責の限定と、公安委員会が管理する警察の職責が限定をされていますが、しかし地方公共団体に属する警察は、それよりも少し広い部分を持ちます。これはもう当然のことです。  そして、地方公共団体の事務自体が地方自治法二条三項七号、「風俗又は清潔を汚す行為の制限その他の環境の整備保全、保健衛生及び風俗のじゆん化に関する事項を処理すること。」と。この地方公共団体固有の任務なんです。これにかかわらしめて条例事項としたのじゃないんですか。だとすると、現行法体系をそのまま盛り込んだということとの間には違いがある。長官、そうなりませんか。
  157. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 現在の法律の立て方は都道府県への委任条例であるわけでございまして、そういうことで風営法自体の施行は、もちろん都道府県もやりますけれども、また同時に警察庁の事務でもあるという、そういう性格を持っておるものでございます。  したがいまして、条例にそれを委任するかどうかという問題は、今度はやはり法律で斉一を期さなければならない部分について法律でもって書くということにいたしましただけでございまして、決して性格が変わったものになるものではない、かように考えております。
  158. 志苫裕

    志苫裕君 それはあなた違いますよ。昭和三十九年四月二十三日、衆議院における大津局長の答弁で、これを条例事項としておりますのは、いわゆる委任しておりますのは、地方の実情に応ずることもさることながら、地方自治に沿っていくという建前をとっているからでありますと。こうなっているじゃないですか。あなたの答弁とまるっきり違うじゃないですか。
  159. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 今の大津さんの説明は私もちょっと記憶しておりませんけれども、恐らく趣旨は先生御指摘のように、地方自治法でも風俗に関することは地方自治体の任務であるということは、これはもう間違いないことですね。それを、風営法がない場合に地方自治体が独自に条例を設けて風俗に関することを規定するといたしますね、それはできると。それはそういう意味を持っておると思います。しかし、国がやる仕事というのは、ほとんど大部分は地方自治体の問題として考えれば、地方自治体でカバーされるものが大変多いと私は思いますけれども、国が国の立場で必要があって、本来地方自治体の問題だけれども国は全国的な観点から法律を決めるということもあり得ると思うんですが、風営法で決めたものについてはそれはその風営法でその条例を定めてよろしいと。それで、風営法を受けた部分については風営法の施行条例、風営法を受けて決めた条例は、その中身は風営法を受けた施行条例と。つまり、県が自治法から直接に国と関係なしに自分で決めた条例ではないという意味です。  それから、また別に国が法律で決めておらない部分について、例えば風俗に関して――この場合は風俗に関しますから、風俗に関して国が全然決めておらない部分を、今度国の風営法を受けて行う施行条例だけでは地方自治体が不十分であると仮に考えますね。それで別に決めますと。それで決める条例は、実際の条例は名前一本で、似ているから一本にするという、形式はいろいろあると思いますけれども、それを決めることは地方自治体が地方自治法に基づく固有の権限としてできますということになると思います。したがってそのときに、風営法で決めたことを条例で施行条例づくりなさいと、これ以外は地方自治体は条例で決めてはいけませんよと、こういう意味のものであれば独自にはできませんけれども、そこまで縛ってないと。地方自治体に任じであるという部分については地方自治体が自分の条例でつくるということは可能であると思います。  つまり、大津さんの答えは、私は今具体的には覚えておりませんけれども、その趣旨は、元来そういう風俗については地方自治法に基づいて県ができると。そのうちのある部分を国が決めたんですと。ある部分というのは多いか少ないかは別としまして決めたんですと。それで、国が決めておらない部分が残るかもしれませんね。そう部分は地方自治体、自治体が自分の条例で決める部分はもちろん構いませんと、こういうことも含んでおると思いますし、大津さんが言った意味は、元来地方自治体の本来の任務であるものをこの際、国がそのある部分を特に規定いたしますよと、したがって、それについては施行条例として地方自治体が条例で決めてもいいんですよということで、地方自治体のその任務を固有の状況に合わして施行条例を決めると。つまり、国が法律を受けて政令とか総理府令とか国家公安委員会規則で全部決めてしまうんではなくて、それぞれの地方自治体の実情に合わして決める法形式としては条例がありますと、その条例で決めてもいいと。しかも、その条例を決めるということは、また繰り返しになりますが、本来、風紀については地方自治体の任務でもありますよということの意味を言っておるのではないかというように思います。
  160. 志苫裕

    志苫裕君 それは長官、あなた違うよ。これは先ほど私が引例したでしょう。皆さんの解説書によりますと、この法律、現行法には法の目的は書いてないが、短いから条間で読めと。そして、目的を書いている、目的を推測する部分はどこかというと例えば第三条、今幾条か言いましたね。それはいわば条例に委任をする事項から見て、それがこの法の目的と解せられるという解説なんですよ。それ以外に目的を書いたところはないんです。目的に関する部分、すなわち善良の風俗、清浄な環境少年の育成に阻害行為、この三目的というのは単独で書いているところは一つもない。地方自治体に、条例に委任をする目的として書いてあるんです。それをもってこの法の目的と解するというのが今までの皆さんの定説だった。  なぜそういう形をとっておるのかということを伺ったら、先ほど言いましたように、地方自治の建前をとると、本法はですね。そういう答弁になって、なぜ三十九年法でそれが出たかといいますと、三十九年法のときまでに、二十三年法になかった風俗営業でないものも取り込んだんです、深夜飲食店とかですね。風俗営業でない一般の営業も全部取り込んで、風俗ではない別の目的も取り込もうとした。それは二十三年法で説明をした警察の職責を超えると。幸いにして地方自治の目的にはそれが入るということで条例委任事項で目的をうたいとげたんじゃないんですか。これが法理になっていますよ。それを皆さんは法の整備と言って、みんな今度本法に引き上げて一条へ持ってきたから、警察法二条で言う職責とのかかわり合いで踏み出していないか、踏み出しているんじゃないかという議論を改めて呼んだんじゃないのですか。これが条例にうたい込む目的であれば逸脱行為になりゃしませんよ。地方自治体固有の任務であり、知事が掌理するんですか。警察のあれの中には公安委員会が管理する警察よりもちょっと幅の広いものがありますからね。だから、そういう中に全部含まれると。合法性は問題がないという論理をとっているんじゃないんですか、今まで。ここへ来てそれをぶち破って、みんな一条に目的を吸い上げたからその矛盾が出てきたんですよ、あなた。そうじゃありませんか。
  161. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 法律目的というのは三条だけで私は読むべきものではないと思うんですね。
  162. 志苫裕

    志苫裕君 いや、だからさっき言ったでしょう、四条の二、四条の三、四条の四、四条の穴と。あとどこにあるんだ。
  163. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) これはやはりすべての法律の条文で判断をするということであろうと思います。  それから、三十九年ももちろん一つの大きな改正でございますが、実はこの法律風俗営業以外のものを取り込んだのは三十四年でございます。そのときにこの五号、六号というものが入ったわけです。さらに深夜飲食店が入ったということでございまして、これはそういうふうないきさつでできておるわけでございまして、先生のおっしゃる意味はちょっとわかりかねるわけですけれども、要するに条文は、この法律目的というのはそれぞれの条文の中で全部――三条だけじゃなくて、すべての条文の中でどういうふうにしておるかということから出てくるものであるというふうに考えられるわけです。  特に、三十九年のときには、改正では、この四条の三というのを新しく法律に入れておるわけでございまして、これは条例から、従来条例に書いてあったのが大多数だと思いますけれども、これを法律事項に上げたということもあるわけでございます。そういうふうなことを三十九年のときにやっておるわけでございまして、ですから、三条だけで法律判断を、その目的判断をするというのは、それはそういうことでなくて、やはり全体で判断をすべきものと、こういうふうに考えております。
  164. 志苫裕

    志苫裕君 だから私、三条だけで言ってないでしょう。善良の風俗というのは三条だ。それから少年の健全育成を阻害する行為は四条の三だ。清浄な風俗環境は四条の六だ。そういうものを通してこの三目的が読み取れるという解説を皆さんのここにある本も書いてあるから、それがいずれも条例にうたい込むときの目的になっているわけだ、条例に。どの条項も全部条例にうたい込むときに次の趣旨でうたい込むという、ですから目的をそれて解するわけだ。それ以外のときにそういうことを意味する言葉がないもので、そこで私が言うのは、なぜそういうふうに条例委任事項のときに目的を抱え込むのかというと、警察の職責とのかかわり、別の言葉で言えば地方自治体の、地方公共団体の事務というものとの相互の関連があるからこういううたい込み方をしたのじゃないですかということを三十九年法のときにも議論になっているわけなんだ。そして大津局長の、地方自治をたてまえとしておるという答弁はそれを裏づけているわけで、ところが今度の国会になるとその分を全部法律に引き上げておるからこれは矛盾ですよと、条例に置くものは置いたらいいじゃないかと。国家公安委員会の管理する警察の職責から足を踏み出すだろうがという議論が出ておるのはこのくだりを言っているんですよ。
  165. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 先生の御趣旨はわかりました。ただ、例えば善良の風俗という言葉は三条にも出てまいりますが、同時に四条の三にも出てくるわけです。しかし、やはりこの物の考え方はそういうことで四条一項にもありますし、三項にもあるわけです。それから、四条の三というのは、これは法律で三十九年に引き上げておるわけでございます。さらに、四条の六というのは、これは四十七年に改正になったものではございますが、この「清浄な風俗環境」というものは、これは法律で書いて、あと条例で地域を定めるということになっておるわけでございまして、そういう意味で、条例で趣旨が出ているということではないのではないかと、全体でやはり判断すべきだと、こういうふうに考えておるわけであります。
  166. 志苫裕

    志苫裕君 これはあなたとやり合っても、立法したものだから立法技術がおかしくてもなかなかうんと言わぬけれども、それならあなた、四条は善良の風俗だけであって清浄の環境のことは本法にはないですよ。処罰規定を置くのだったら第四条にそう書いてある、四条以外にないんですから、善良の風俗だけじゃないですか。清浄な環境や青少年の有害行為の処罰規定はないでしょう。それは全部全般の条例にかかっていますからね、それはそう読めぬこともないけれども。  いずれにしても、私が主張をしたいのは、皆さんの従来の見解や議会における答弁などから見て、やっぱりこの風俗営業に対する規制やあるいは関連行為というようなものは、すべて国家公安委員会が管理する警察の職責の範囲とならぬものもあると、職責の限定というのがいわば新警察法の一つ特徴だったのですから。言うまでもなく、戦前の国家警察と言われた警察が幅広過ぎたというんで神経質なぐらいに職責の限定をし、それをもとにしてこの法案ができてきておると。しかし、皆さんの方は、先ほどどなたかのお話にありましたが、警察国家の次は脱警察化、その次はまた警察が一生懸命に権限を広げる時代に入るわけですが、今その時代なんだ。そこで、何となく広げたくなっているものだから、こういうところで気がつかないうちに広げているんじゃないのかという問題を指摘しているんですよ。
  167. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 先生の御指摘は十分理解しかねるんですけれども、何せ昭和二十三年当時から、先ほども善良の風俗という考え方は広義に判断をしようと。それから、その周囲に好ましくない風教を与えることを防止しようと。そこにもう一つの風俗環境の浄化という考え方があるわけでございますね。さらに、接客婦の年齢制限というものも考えていくべきであるということも言っております。これは少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止しようという趣旨で入っておるわけでございますから、二十三年当時に考えたそういう目的と、現時点で考えておりますもの、現在目的に書いてありますものと実質的に差がないと、私どもはこういうふうに理解をしておるわけでございます。
  168. 志苫裕

    志苫裕君 ほかの省庁にもおいでになってもらったのでちょっと恐縮ですが、今度の改正法では、また問題を言いますけれども、少年非行化や新たな性風俗のはんらんに対応するものだというふうに大臣、長官は一年懸命おっしゃるんですが、あわせて、法律、条例等を含めて少し雑然となっておった体系や規定の整備をしたという、そういう側面もございますというお話なんです。  しかし、そこで雑然としたものを整理するときの問題点なんですね。今まで皆さんのいろんな警察法の解説書なども読みますと、警察作用と他の行政作用とがちょっと入り乱れて混交領域といいますかね、そういうものがある場合は、立法論としては営業を固有の法律に移すか、その領域をむしろ独立をさせるのが合理的だという建前をとっておられたようなんです。今度の場合、いろんな作用が、混交領域が広がってきて、数次の改正をやっているうちに何か雑炊みたいになっちゃっておるのがこの現行法の特色でもあるんですが、それを整備していくときに、実はそれの部分をみんな警察領域に取り込んで、それに対して立法論としては他の行政分野に独立をさせるか属させるという立法論もあるはずだというんですね。今度の皆さんがおとりになった立法政策は、それを警察の領域に全部取り込んだというところが特色になるわけだ。この検討はなさらなかったんですか。
  169. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 検討はいたしました。この点は特に御存じのとおり、風俗関連営業にとらえてのものをどう考えるかという問題はあるわけでございます。この問題をいろいろ検討をいたしまして、事前にも各省とも内々の打ち合わせもいたしました。しかし、現実にはやはりこういう法体系になっておるわけでございます、現在ですね。そういう法体系になっておるものを別の形のものに移すとか、あるいは独立をさせるというのは大変難しいというようなこともございまして、そして一応現在のやり方を踏襲していこう、こういうことになったものでございます。
  170. 志苫裕

    志苫裕君 私は適当でないという意見は申し上げておこうと思います。  幾つか今度の法案をまとめる上での、皆さんが従来警察責務、あるいはそういう問題で持っておったものと随分大きい変更が見られるという点で指摘をしたんですが、今次改正案で、一時にセックス産業を関連営業として取り込みまして風俗営業区別する必要が生じちゃったということで、鈴木さんの名解説、それが適正に行われれば国民の役に立つという解説にそういう観念を持ち込んできたわけですが、そうなりますると、当然悪いやっといいやっと、いい子悪い子、普通の子はないですが、いい子悪い子というように区別しますと、いい子は育てて悪い子はつぶそうと、こういう論理が働くわけでね、そこで取締法が適正化法と、業の健全化という方向に脱皮をすることになるわけ。あなた、先ほどから変わらぬ変わらぬと言うが、中には変わったといえば変わったという話なんです。変わったのか変わらぬのかわかりにくいけれども、やっぱり事実上は少し変わってきておるという意味では進歩なんですがね。  どうでしょうね、先ほどの参考人が、消極目的原則というようなものは、今日はいろんな法規制があるときだから、苦みたいにまとめてどんと任せているときじゃないから、余りどうもはやらぬみたいな話もありましたけれども、しかし、いずれにしても風俗営業というものの観念が変わって、取り締まるという消極目的から健全化、適正化という積極目的に変わってきたということは否めないわけでして、これについては学説でもいろいろとそういう積極目的を持つもの、福祉の概念を持つものは本来の警察の任務でないという議論もまた一方ではあるわけでして、そういう問題についての御検討はどうなったんですか。
  171. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) この健全化と申しますのは、いわゆる業の振興というものを図ることまでを含むものではない、少なくとも公共の福祉の観点からの問題点は取り除き、また公共の福祉に適合する部分は助長、促進していくということは考えておるわけでございまして、これはやはり現在の警察の責務の範囲内である、公共の安全と秩序を維持するという警察の責務の範囲内というふうに私どもは考えておるわけでございまして、したがいまして、あくまでもその適正化というものは業務の振興を図るということではございませんので、そういうことで従来のものと大筋において同じと、こういうふうに御答弁を従来からしておるわけでございます。
  172. 志苫裕

    志苫裕君 業の育成とか管理の権限というのは警察法あるいは職務権限法である警職法などのどこを見てもない、どこを探してもない。だから、恐らくこれの有権解釈としては警察権を行使するとともに、積極的に福祉の増進にかかわるのは行政警察ではあるけれども、公安委員会が管理する警察の領域、職責には含まれないという解釈が今まで一般的であった。それがやっぱり皆さんは変えつつあるということじゃないかなというふうには思いますが、部長、あれですか、風俗形態が変わってきまして、先ほどいろいろやりとりしましたように、法も変わりました。にもかかわらず、これは基本的には営業を対象にした、営業を中心にした取締法であることに変わりございませんか。
  173. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 営業を中心としたものでございまして、取り締まりというものの考え方は変えたわけでございますが、営業を中心としたものであることはおっしゃるとおりでございます。
  174. 志苫裕

    志苫裕君 それでは、依然としてあっちの方には届け出だけの取り締まり面でね、この法の中に入っておる関連営業等は、これは取り締まりなんでしてね、いずれにしても。  そこで、一口に言うといずれにしても営業対象なんですが、今度の改正で業の適正化と並んで直接少年を対象とする規定が盛り込まれた。言うまでもなくこれは少年指導委員でありますし、あるいは営業とは別のものを対象にしたのは風俗環境浄化協会と、こうなるわけです。これだけはこの法とは全く異質のものがひょっと載った。業者に、子供に邪魔になることはしちゃいけませんよというのはこの法だ。子供に向かってあれしちゃならぬよ、これしちゃならぬというのはこの法じゃないはずなのに、少年指導委員というワンクッションを置いて直接子供を対象にするというふうになったのが、全く法律としては異質なんだな、そう思いませんか。
  175. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止しようというのは、前から申しましたように、現行法においてもその目的としてきたわけでございまして、今度の改正法案におきましても、そういう考え方を踏襲しておるわけでございます。  そこで、その少年指導委員の制度と申しますのは、こういう目的のうちで少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するというために、少年が風俗関係の営業から悪影響を受けないようにしようと。それから、そういう風俗営業がたくさん集まっております。そういう盛り場を徘回する少年に注意を与えたり、助言をしたり、またこれに悪影響を及ぼしておる暴力団等の人たちに注意や協力要請をするというような活動を考えておるわけでございまして、そういうふうな活動にボランティアを導入しようと。そして、それを促進しようということでございまして、この風営法の、そういうふうな少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止しようという目的と趣旨を同じくするものである、かように考えております。
  176. 志苫裕

    志苫裕君 それはまさに三百代言だ。業を対象にしておるのに、子供を対象にするという条項が入るんでしょう。営業で、こんなことをしちゃだめ、こんなことをしちゃだめ、こうやって健全化にしましょう、あるいはこっちの方を向いてはおまえはだめだということでいろいろこう書いてありますがね。そういう法律なんだ。いろいろ変わってはきたが、その基本的な面には変わりがないのに、直接警察の職務ではないが、警察が委嘱をするという形を通して直接少年を対象にするという領域がこれにはまり込んできた。大臣や長官や皆さんが一致していますのは、これは意見が足りてないんですよ。本当に子供たちの問題をみんな心配しているんだ。これをどうしようかというのは総出で頑張らなければいかぬときだ。だけれども、そういう問題ならそういう問題を独立させて、どこかにそういう領域を法なり設けてやればいいことなんだ。しかし、警察もなかなかどこかに盛り込む場所がないものだから、風俗営業法という法律に載せて、関連があるからと。それは世の中はみんな関連がある。関連があるけれども、この関連はむちゃくちゃだ。  そういう意味で、ちょっと技術的なことですが、その風俗環境浄化協会とか少年指導委員というのは、第一条の「目的」のこれはどこから出てくるの。少年関係のある「年少者を」「立ち入らせること等を規制する」と。無理でしょう。あれはどのように見ても、「少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止」しでしょう。どれからも出てこないが、直接少年に物を言うのはこの条文のどこから出てくるのか。一番後ろの「等」ですか。「その業務の適正化を促進する等」の「等」なんですか、これは。
  177. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) そのとおりでございます。
  178. 志苫裕

    志苫裕君 「等」ですか。これはちょっと気がつかないんだな。私もどこから出てくるのだろうと思って読んでみたら、どうもこの「等」以外にないなと思って……。なるほど、「等」ですか。
  179. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 若干つけ加えますけれども、当然のことながら、「少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため」というのに当然かかってくるわけでございます。
  180. 志苫裕

    志苫裕君 だけれども、条文の根拠は「等」ということになるんですな。いや、これは違いますよ、あなた。「行為を防止」なんだ。少年行為を防止じゃないんですよ。少年に障害を及ぼす悪いやつの行為をここで言っているわけでね。ですから、これはむちゃだよ、あなた。いずれにしましても、これはこの少年指導委員を通じていろんなことをするわけですが、これは警察法または職務権限法に根拠を置く任意行為なんですか。強制行為になるんですか、少年指導委員行為は。
  181. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) あくまでも少年指導委員は任意の行為でございます。そして、若干敷衍いたしますと、少年指導委員は、風俗営業及び風俗関連営業等に関しやるわけでございます。その点で、先ほど言いましたように、少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止していく、こういうことでございまして、決して唐突に出てきたものではないわけでございます。
  182. 志苫裕

    志苫裕君 普通、任意の行為というのは法律に根拠を――例えば、本元に警察職責地が大きい範囲にあるにしても、直接のこの作用というのはそれぞれの法律が要るということですね。それはいいけれども、いわば、そういうものがないものを普適任意行為と言うのでしょう。任意行為だけれども、これも任意行為だといいますと、あなた、つまらぬことしたら首切られちゃうようなことですから、任意行為じゃないでしょう、これ。強制行為でしょう。
  183. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 少年指導委員の行います行為は任意の行為でございます。
  184. 志苫裕

    志苫裕君 強制された人が行う行為が任意というわけですか。
  185. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) ちょっと先生の御趣旨がよくわからないんでございますが、要するに、少年指導委員は法の三十八条の要件に従って委嘱をされるわけでございます。そして、そこで行います行為は二項に書いてございまして、その活動は任意の行為でございます。
  186. 志苫裕

    志苫裕君 次の質問に入ります。  少年警察活動というのはどこに根拠があるんですか。それはもちろんいろいろ少年法だとか児童福祉法とか警察法とか警職法とか、そういうものもありますが、同時にその領域に入らない部分もありますわな、補導活動等の相当の分野でね。これは何ですかと聞いてみますと、法の規定がないんですから任意行為ですと。その補導の概念を持ったものが少年指導委員を通じて行われる。その行為は法の規制を受けているのですから任意行為じゃないでしょう、今度は。そうなりませんか。
  187. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) ちょっと先生の御趣旨がわかりかねていたわけでございますが、この少年指導委員の活動は法に根拠を持つものでございますが、任意の活動であるということでございます。
  188. 志苫裕

    志苫裕君 この問題は、何か裁判所の方が急いでおられるようなので、この入り口に来て、少年警察活動について順序よく聞きにくいのでちょっと飛ばしまして、少年法との実態に触れてお伺いをしていこうと思うのです。  少年警察は親がわりだと、よく警察の保傅意識というものが時々出てくるわけですけれども、あるいはまたどうも少年問題の専門家の手不足を補うものだとか、いろいろな説明がなされたことがかつての記録にはございます。ですが、ちょっとそれに関連しましてね、手不足を補っている少年係の方は全国に何人いますか。大まかでいいです。
  189. 山田晋作

    説明員(山田晋作君) 少年係だけというのはちょっと私ども何でございますが、警察の実態といたしましては、地方の警察へ行きますと、保安係とか防犯係というのがございまして、少年の仕事もやる、防犯の仕事もやる、それから保安の仕事もやるというふうなものがまざり合っていますので、少年だけというのは取り上げかねるのですけれども、保安、防犯、少年、そういったようなものをひっくるめて仕事をする人、この割合が全体の約五%というふうに……
  190. 志苫裕

    志苫裕君 五%というと二、五、十で一万人……
  191. 山田晋作

    説明員(山田晋作君) そういうことです。約二十万人でございますから、約一万人ということでございます。
  192. 志苫裕

    志苫裕君 少年であなた方のお世話になるのが百数十万たがね、随分余計な面倒を見ているものだなと思うけれども。少年警察というのは活動要綱を見ますと、相手が子供ですから随分注意をしたそれなりの経験を積んだ者を充てられるようになっておるんですが、今の話を聞くというと何か寄せ集めみたいなことを言っていますが、タタキを相手にするのと子供を相手にするのと一緒くたにされちゃかなわぬな、これは。それはやっぱり少年係は少年係でやっているんだね。
  193. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 課長が申しましたのは、ちょっと少年係だけという数がとれませんので、防犯……
  194. 志苫裕

    志苫裕君 少年係を置くと書いてあるじゃないの要綱に。
  195. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 数といたしまして現時点で何名かというのをすぐに出すことができませんので、防犯、少年関係を含めて五%おる、こう申し上げたので、別に寄せ集めとか何とかということではございません。
  196. 志苫裕

    志苫裕君 とんだ質問でまことに、法務省、裁判所の方に申しわけないのですが、これは今でも警察はそう言っているかもわかりませんけれども、少年法あるいは児童福祉法等少年問題を専門に扱う専門家がそれぞれ――警察がそっちへ預ける、送るというのが建前になっているのですが、その少年問題の専門家が少ないからおれの方で補っているのだという種類の論説もあるわけですが、皆さんの方は少年警察をそういう位置づけで見ていらっしゃるか。
  197. 猪瀬愼一郎

    最高裁判所長官代理者猪瀬愼一郎君) 警察の任務がどういうものであるかということについては、最高裁判所の事務当局の立場から意見を申し上げることは差し控えたいと思うわけでございますが、私どもの少年非行事件を取り扱っております。その流れから言いますならば、まず少年非行の多くのものは犯罪少年でありますが、そのほか触法少年、虞犯少年、これが非行少年ということになるわけでありますけれども、それらにつきまして、犯罪少年についてはまず捜査の段階が先行するわけでございますので、そういう捜査を担当する機関というふうに基本的には考えておるわけであります。犯罪少年以外の、例えばその前段階にあるような虞犯少年ということになりますと、これは捜査の対象ということではございませんけれども、その犯罪の周辺の問題行動のある少年を発見した場合に警察官は、家庭裁判所の審判に付する事由があると認める場合には家庭裁判所に通告する義務があるわけでございまして、そういう意味合いで捜査の範囲を超えた、いわばある程度補導的な機能を果たしているということは、そういう機関であるということは私どもとしては位置づけとして申し上げてよろしいかと思っております。
  198. 志苫裕

    志苫裕君 ちょっと私の質問が悪かったのでしょうかね。大勢対象になる少年がふえているとみんな心配しているわけですが、そうすると、当然警察から始まって福祉あるいは裁判所という方向に人間が、補導された子供が回っていくわけですが、そこへ行かぬ子供もいますね、率直に言って警察限りでとまっているのが。あるいはなかなかその辺の谷間というかな、境界みたいなところは向こうへ行くべきか、ここに置くべきかという、そういう領域も随分あるんじゃないかと思いますね。  いずれにしましても、少年問題の専門家に任せるというのが一つの骨組みになっていらっしゃるでしょう。それで、少年問題の専門家が足りなければそのかわりを警察がやることになるわけでして、私が聞いたのは、少年問題の専門家というのは足りませんかと聞いているのです。
  199. 猪瀬愼一郎

    最高裁判所長官代理者猪瀬愼一郎君) 御質問の趣旨が十分に理解できない点があるわけでございますけれども、少年専門家という趣旨でございますが、私ども裁判所の守備範囲というのは法律ではっきりと決まっておるわけでございますが、裁判所に来る前の段階において少年を取り扱う機関というもの、あるいはそれについて専門家がどういうものか、またそれは足りるのか足りないのかという問題については、司法機関のそういう性質上、私どもの方からその点について御意見具申し上げることはいかがかと思いますので、差し控えさしていただきたいと思います。
  200. 志苫裕

    志苫裕君 これは質問順序かど真ん中へいったもので、ちょっとつながりが悪くなってしまったけれども、もう一遍戻しましょう。  警察補導をする非行少年等、いわゆる警察活動要綱の二条の九号の数字をまず伺いましょう。児童福祉法上の措置をとった者の数、少年法上の措置をとった者の数、警察限りの措置をとった者の数、これをちょっと言ってくれませんか。五十七年かな、新しいもので頼みます。数だけでいいです。
  201. 山田晋作

    説明員(山田晋作君) 五十八年中の補導人員で申し上げますと、犯罪少年といいまして……
  202. 志苫裕

    志苫裕君 いや、区分けせぬでもいい。あなた、私の言った区分けで言ってください。
  203. 山田晋作

    説明員(山田晋作君) 犯罪少年と申しますと、これは家庭裁判所へ送致した者、これが十九万六千七百八十三人でございます。それから、触法少年というものがございまして、これが六万四千八百五十一人補導しておりますが、このうち児童相談所へ通告した者は一万四千五百七十四人、警察限りで措置した者が五万二百七十七人。それから虞犯少年、これで補導した者が五千百九十五人、このうち家庭裁判所へ送致した者が三千五百五十人、児童相談所へ通告した者は千六百四十五人。それから、不良行為少年として補導した者が百四十二万九千八百九十八人、こういうふうになってございます。
  204. 志苫裕

    志苫裕君 私が計算すればいいのだろうけれども、あなたも、私が言ったようにまとめて言ってくれれば簡単でいいのだよね。また計算のし直しだ。今度はトータルでいいです。トータルで警察限りの措置は何人になりましたか。
  205. 山田晋作

    説明員(山田晋作君) これは、触法少年で約五万人、それから不良行為少年で百四十三万人、合わせますと百四十八万人ぐらいになります。百五十万人近く、こういうことになります。
  206. 志苫裕

    志苫裕君 それで、児童福祉法と少年法、トータルで全部合わせて幾らになるのですか。
  207. 山田晋作

    説明員(山田晋作君) トータルと申しますと、ちょっと御趣旨がわかりかねますが。
  208. 志苫裕

    志苫裕君 警察限りの措置にその他の児童相談所や少年法の措置をとった者の総数は幾ら。二百万ぐらいになるの。
  209. 山田晋作

    説明員(山田晋作君) 約百七十万人ぐらいでございます。
  210. 志苫裕

    志苫裕君 それで、ちょっと法務省、厚生省いらっしゃるかな。  法務省と厚生省にお伺いしますが、概数ですが、百七十万ぐらいの子供が、警察の方で手がけて、そして児童福祉法、厚生省さんの方と法務省さんの方へ約二十万ばかり回るということになるのですが、この警察限りの処遇というものについて、法務省なり厚生省は何か所見があるでしょうか。
  211. 松浦恂

    説明員松浦恂君) 委員承知のとおりと思いますが、現在の少年法は、犯罪少年、触法少年、それから虞犯少年、この三つの要件に当たりました少年につきましてはすべて家庭裁判所に送致するという原則をとっております。したがいまして、その三つの要件に当てはまらない、つまり程度で申しますと、虞犯の程度にも達しない不良行為少年というものは、少年法が直接対象としているものではございません。この不良行為少年につきましては、現在警察補導という形での措置がとられておるわけでございます。
  212. 志苫裕

    志苫裕君 そこで、不良行為少年は約百四十八万でしょう。さっき幾らとおっしゃったかな。
  213. 山田晋作

    説明員(山田晋作君) 約百四十三万でございます。正確には百四十二万九千八百九十八人でございます。
  214. 志苫裕

    志苫裕君 不良行為少年警察限りの措置の数は同じくはないんでしょう。差があるんでしょう。その差は何で出てくるの。
  215. 山田晋作

    説明員(山田晋作君) 不良行為少年と申しますのは、非行少年の域に達しない者でございまして、警察限りで本人に対して注意したり、家庭に連絡したりするような、いわゆる警察限りで済むものでございます。程度の軽いものでございます。  それから、そのほかに触法少年の中に警察限りというのがございますが、これが先ほど五万二百七十七人と申しましたが、これは児童福祉法の第二十五条に規定がございまして、この第二十五条の規定に該当しない者につきましては、これは児童相談所に送れないということでございます。これは正確に申し上げますと、「保護者のない児童又は保護者に監護させることが不適当であると認める児童を発見した者は、これを福祉事務所又は児童相談所に通告しなければならない。」と、こういうふうになてございます。触法少年の場合、この規定で私ども仕事するわけでございますけれども、この保護者がないとか保護者に監護させることが不適当であるというものに該当しない者は、これは児童相談所に送る者に該当しませんので、これは警察限りで、先ほど不良行為少年のところで申し上げたように、いろいろ説諭をしたり、それから家庭の方に連絡をしたりしてお引き取り願う、こういうものでございます。そこで数字が違うわけでございます。
  216. 志苫裕

    志苫裕君 それで、これは皆さんの「保安と警察」という論文がな、これを見たのですが、青少年非行意識の調査によりますと、ゆすりとか、たかりとか、万引とか、あるいはリンチ、シンナー、売春などをこれは非行だというふうにとらえてはおるが、たばこ、酒、家出、ディスコ、喫茶店、パチンコ、まあゲームセンターも入るのかな、そういうものなどの、いわゆる未成年を規制しておるそのような行為は、非行意識というようなものはないというのですね。ゆすり、たかり、万引、これは悪いことをしたなと思うが、ちょっとたばこをのんでみたとか、パチンコ屋へ行ったとか、喫茶店にいたとか、そういうふうなものは非行意識はない。しかし、警察さんの方は、それが物の始まりで、それが入り口で、だんだん悪くなってくるんだ、こういうとらえ方で、非行の入り口というとらえ方をするわけですね。子供たちの問題意識というようなものは、皆さん非行どこう言っておる中にも、非行だと思っていない分野も相当ある。こういう状況で、それが直ちに補導の対象とされていくわけ。おれは何も悪いことしていないのになと思っているのにお巡りさんにこらこらとこう言われたり、ありがたくもない説教を受けるというようなことに感覚から言うとなるというのが相当部分あると見ていいわけです。  それで、文部省に聞きますが、そういう子供の立場というのは教育上どういう効果を及ぼすものでしょうね。
  217. 伊藤俊夫

    説明員(伊藤俊夫君) お答え申し上げます。  善悪の判断がまだ十分でない子供にとりましては、事によってはその種の注意で、なるほど世の中ではこれは悪いことなんだという確認がされる場合もございますから、教育的にはその意味では有効であると、こういうふうに考えます。
  218. 志苫裕

    志苫裕君 先ほどの参考人の話で、非行の入り口と言っていいのか、言いようによっては子供の特性から来る健全な成長の一過程というとらえ方もこれまたできるわけで、好奇心冒険心というようなものをお前は非行だというふうに警察補導にかかわらしめるということの問題点はいつでも指摘をされるわけですが、あらでしょうかね、私の聞き間違いでしたのでしょうか、七月十七日の寺田質問のときに裁判所の方が、少年非行は一過性のものが多いのだという何かお答えがあったかなと、それはさしずめ今のようなことを意味するのかなと勝手に考えてみたんですが、これに対して警察の方では白書なんか見ますと、いわばこういう非行少年の再非行率、また繰り返すというふうなのは三四・九%、二・九人に一人もおる、かれこれ三人に一人ということでしょうかなというお話、それが早期型だと約二人に一人だと、遅い方だと四人に一人ぐらいでうんと減るというふうなお話で、この数字が高いのか低いのか、私にはちょっと価値判断はしにくいのですが、その点、ちょっと裁判所の方にお伺いしたいのですが、どんなものでしょう。
  219. 猪瀬愼一郎

    最高裁判所長官代理者猪瀬愼一郎君) 家庭裁判所におきます少年事件処理の経験から申し上げたいと思いますが、最近の少年非行の最大の特徴は、年少少年非行が著しくふえてきておるということ。しかも非行の種別や態様からしますと窃盗とか横領の財産罪、中でも手口の易しい万引きであるとか自転車窃盗、放置自転車の横領という、動機も単純で比較的軽微な事件がふえておる。そういう趨勢を念頭に置きまして、前回寺田委員からの御質問に非行の原因に焦点を合わせて意見を申し上げたわけでございますが、これらの軽微な非行が直ちに一過性の非行がと申しますと必ずしもそうではございませんで、ただ家裁の事件処理を通してみますと、これらの中には初発非行のものがかなり多いわけでございます。  また、少年を取り巻く家庭学校生活に問題はございますけれども、それ自体それほど大きな問題ではなくて、しかも非行の発覚を契機としたり、あるいは警察での取り調べ、その後の家庭裁判所における調査、審判の過程を一つの契機として両親や学校での問題点が自覚されてその改善に努められるとともに、少年に対して適切な対応を行って保護体制が整ってきておる、そういうために少年自身のいわば自然治癒的な力に期待することのできると認められるものがかなり多いということは言えるのではなかろうかと思います。一過性の非行と前回申し上げたかと思いますが、それはこういったものを指して申し上げたつもりでございます。  ただ、他面、同じ軽微な非行でありましても、少年を取り巻く家庭学校生活、特に家庭にいろいろ大きな問題があるというような事案で非行などを契機としましてそれらの点の改善が見られない、あるいはますます問題点が広がっていくというような事案におきましては少年はますます不安定な状態にさらされて、非行を反復して非行性の深みに沈んでいくという、そういう危険も大きいわけでございます。  非行を反復する累非行少年の事例で見ますと、年少のときに窃盗のような初発非行のあるものが多いということは経験上一般に言われているところでございます。こういうような点から、万引き等の軽微な非行が初発型の非行ということもその特徴をあらわしていると言ってよかろうかと思いますが、要約して申し上げますならば、万引き等の軽微な初発非行のうち少年を取り巻く家庭学校生活等に適切な対応がなされるならば一過性の非行に一とどまるものが大半であろうと思います。しかし、それらの点について適切な対応がとられない、あるいは環境の調整ができないなどのことによりまして非行を反復する累非行くと発展する者があることも否定し得ないわけでありますけれども、その数は全体からしますと少ないと言ってもいいのではないだろうかと思います。  ただ、初発非行時の年齢が低いほど再非行率が高い傾向にあるということには留意する必要があるのではなかろうかと思います。それはいろいろな原因があろうかと思いますけれども、年齢が低 いほど一般的には判断力も未熟でありまして、家庭などの周囲の環境影響を受けやすいというようなことからこういった傾向が出てくるのではなかろうかと、こう考えております。  以上でございます。
  220. 志苫裕

    志苫裕君 これは警察だけではなく、少年あるいは児童にはいろんな機関がかかわっておるんですが、警察庁あれですか、この非行少年の再非行率は二・九人に一人だとか早期型で約一・九人に一人とか統計に載っていますがね、数字だけ見ても私はちょっと価値判断しにくいんだが、この数字の意味するものは、補導等をやるとこんなに少なくなるという意味なのか、補導等をやってもこんなにやっぱり繰り返すという意味なのかですね、この数字の意味はどういうふうにとったらいいのかな。今の最高裁のお話の初発型非行、僕はこの言葉、好きじゃないけれども、適切な措置がとられれば一過性が大半だと、だから適切な措置がとられれば繰り返さない、その御説明からいきますと、三人に一人がまた繰り返すというのはどこも適切な措置をとっていないという話になりますけれどもね、この数字はどう読んだらいいのかな。警察庁の評価はどうかな。
  221. 山田晋作

    説明員(山田晋作君) 先ほどの説明もちょっと舌足らずでございましたので若干つけ加えてお答えをしたいと思うのですけれども、私どもが先ほどから問題にしておりますのは不良行為少年と申しまして、百四十三万の数字でございますが、この不良行為少年と申しますのは私どもの把握では非行少年に入らない、それの一歩手前のものだということでございます。これが百四十三万という数になっているわけですけれども、内容的にこれを見ますと……
  222. 志苫裕

    志苫裕君 いやいや、それはあなた、データもらっているからいいです。
  223. 山田晋作

    説明員(山田晋作君) はい。  喫煙だとか深夜徘回だというふうなものでございます。喫煙などを一つとりましても、少年が喫煙すると、これは低少年になればなるほどそうですけれども、喫煙するということはこれは不良化の一つの兆候のようなものだというふうに把握しております。これは不良化した少年とそれから一般少年とを比較した場合に、喫煙率というのは数倍あるいは数分の一というふうな格好で相当違うというふうなデータが別途ございます。  それから、深夜徘回でございますけれども、やはり深夜、例えば繁華街を中学校出たか出ないか、小学校あたりもいるかもしれませんが、そういった人がやはり歩いておるというのはこれはいかがなものだろうかと。やはりこれにはしかるべき声をかけて注意するとかというふうなことが必要なんではないかというふうなことがございます。  不良行為少年というのは大体こういったようなものでございますので、やはりその段階で肩をたたいて声をかけて家庭に戻す、保護者のもとへ戻す、あるいは必要があればこれは警察の方で説諭をするとかいうふうな、やはりそういった措置を講じませんと、放置いたしますとこれはさらに悪くなるであろうというふうなこと、それともちろん子供は成長いたしますから、次から次へと子供は大きくなってまいりますので同じことの繰り返しにはなりますけれども、やはりそれぞれの段階で少年補導活動ということをやりませんと不良行為というのは、私どもの言葉ではだんだん深化していくと、深くなっていくというふうに心得ております。
  224. 志苫裕

    志苫裕君 ちっとも答えてないじゃないか、あなた。私が聞いているのは、非行少年の再非行率についての統計が載っておるが、この数字の評価はどう評価すればいいんだと、こんなにうまくいきますという数字なのか、こんなにうまくいきませんという数字なのかと聞いている。聞いたことに答えてくださいよ、だんだん時間もなくなるのだから。
  225. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) この数字はこういう調査の結果を出したものでございまして、特に評価を加えていないわけでございますけれども、やはり非常に早い時期の子供に割合に問題が多いので、いろんな対策ではこういうことを頭に置きながら進めていかなければならないということを意味しているものと、こういうふうに考えております。
  226. 志苫裕

    志苫裕君 裁判所の方、もう時間がないからこれでお帰りになって結構ですが、この数字は警察庁が発表しますね。非行少年の再非行率というのがトータルで見まして二・九人に一人だと、そういうことについてはどのような評価をなさるものでしょうか。
  227. 猪瀬愼一郎

    最高裁判所長官代理者猪瀬愼一郎君) 志苫委員御指摘の数字を私見ておりませんので的確にお答え申し上げることはできないわけでございますが、先ほど少年事件を取り扱っている経験を通じて見た少年非行のいわば再犯に関連した見方を申し上げたわけでございますが、そういう基本的な意見に立っておるわけでございまして、あとそのいろいろなデータというものは取り方によりまして、それを詳細に検討しませんと一定の評価はなかなか難しいわけでございますので、その点についてはちょっとお答えは差し控えさしていただきます。
  228. 志苫裕

    志苫裕君 私は単純な人間ですから、一生懸命に補導だ、少年警察だ、あるいは少年法の運用だ、児童福祉法の措置だというようなことをおやりになっているもので、効果が上がっているものかなと、それを見るにはこの数字は何らかの評価ができるのかなと言ったらさっぱりどなたも評価を下してくださらぬので、効果が上がっているものやら上がっていないものやらさっぱり私にはわからないので、ただ数字を見てもちっとも無味乾燥でどうしようもないわけですが、わかりました。  それで、裁判所は結構です。法務省も結構です。  前段少し飛ばしましたが、少年警察活動というものを続けており、その要綱も伺っております。よくあちこちでも指摘されてきましたが、それにどうも明白な根拠があるとも思えない。あるいは少年法、児童福祉法などとの関連、相互関係というか、そういうものも含めて実態の解明とか検討あるいは調整というようなものも必要な分野があるんじゃないかなという感じが率直に言っていたしております。  時間があれば少年法との関係がどうなっておるのか、児童福祉法との関係がどうなっておるのか、教育活動等の関係がどうなっておるのかという問題点を摘出したかったのですが、ちょっとできないので結論だけ言うと、そういう相互関係は、少し実態の解明やあるいは検討、調整を要するところでないかなという感じがいたしておりますけれども、警察はその問題点はそのままにこっちへ置いて、とにかく少年犯罪のピーク、非行が第三のピークになってこれは大変だということで、それに対応をなさろうとしておる。先ほど幾つか指摘したように法にも無理な体系があるんだけれども、とにかく子供の方を何とかしなくちゃならぬという意向もうかがえる。行為は善ではあっても統治権の発動ですからね、警察は。これは仮に行為が善であっても法の規制を受けるのが相当というのが私の立場ですが、とにかくそういう状況のもとで警察庁は――少年非行総合対策要綱をいただいてまいりましたが、これは依命通達のようですね、それによって少年の規範意識の啓発、国民運動に乗り出すということを実行いたしております。この社会規範の教育警察の職責、責務である犯罪の予防に当たるのかなという疑念を持っています。教育福祉行政の問題なのか、あるいは警察職掌によるかという、この相互関係が非常に微妙だと、そう思いますが、とにかくそんなことを言っている暇はないと、せんさくは後回したという論法でこの少年警察要綱第十六条に基づくいろんな行為を積極的にこの総合対策要綱で乗り出しておるようですが、当然のことながら、規範教育というものを進めようとするには価値観が定まっていなければ規範教育はできないでしょう。価値観が定まらないで規範教育といっても何の教育をするのかさっぱりわからないということになってくるわけですが、警察のここで言う、言うなら人間教育というのかな、人間形成というのかな、子供の育成というのか、それの価値観をまず伺いたい。
  229. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 警察が行いますのは、あくまでも子供非行に陥らないように、またいわゆる悪い大人の食い物にならないようにということをやっていくことでございまして、格別にどっちかの方向に持っていくというような価値観を必要とするものではない、かように考えております。
  230. 志苫裕

    志苫裕君 個性豊かな入間を育てていくわけですから、さまざまな価値を持ってもいいわけですが、しかしどうなんですか。これは皆さん、責任ある論文じゃありませんが、五十七年八月号に警察少年課専門官大蔵さんという人がちょっとした論文を書いていまして、ああ、なるほどこういう考え方もあるのかなと感想を持ったのですが、青少年の健全育成は国家の理念に対応する指標として位置づけられなければならない、ということになりますと、国家の理念に対応するガイドラインを持ったいわば規範教育というふうにもなってくるわけで、なかなか難しい話に進んでいくわけなんです。単一の価値観を持った人間を育てることがいかに恐ろしいことか、これは私みたいな教育の門外漢でもそれぐらいのことはわかるわけでありますが。  ところで、総務庁にちょっとお伺いします。それからついでに文部省からもお考えをいただければいいんですが、衆議院での議事録によりますと、ナンバー十八の二十八ページに載っているんですが、こういう問題の議論がありまして、この際、例えば青少年の健全育成という総合的な何か例えばプロジェクトなり立法をしたらどんなものだろうか、警察警察の使命感で一生懸命やるし、それは結構だが、ほかのところが怠けていれば警察ばっかりやることになるわけでありまして、そういうような点ではそう望ましい格好でもない。ましてや最近、こう言っちゃ悪いが、家庭子供に手をやくし、学校も手をやくし、地域社会も見向きもしないし、後始末は警察さんお願いしますというんで、よっしゃよっしゃで警察にみんなやられてもこれはまた困る、警察の方も迷惑だろうと思うんですね、そういう意味では。そういう意味で例えば青少年対策基本法というふうなものでもつくって総がかりで対応したらという発想も議論になっていたようです。その際、政府の説明員の答弁をちょっと読んでみましたら、青少年の育成の基本理念について当然法律をつくるのなら法目的にうたい込まにゃいかぬ、そうなるというと、青少年をどう育成するのかという価値観の問題に当然ぶつかる、人間の価値観、青少年の価値観も多様化しておって変化していくものだから、内容を詰めなきゃならぬ、現時点ではそういう機は熟していないし、コンセンサスもないという種類のお話がありましたが、ちょっとこの見解をもう一度伺わせてもらえませんか。
  231. 福田孝雄

    説明員(福田孝雄君) お答えいたします。  いわゆる先生の基本的な青少年育成の法律を制定すべきであるというような意見につきましては、その基本的な考え方というような点につきましては現在ではさまざまな御意見があるのではないか、またその内容等につきましても必ずしも煮詰まったものではないというふうに考えておりますので、このような状況を踏まえた上で、さらに煮詰めていく必要があるんじゃないかというふうに考えておる次第でございます。
  232. 志苫裕

    志苫裕君 ちょっと文部省、見解ありませんか。この点について何か見解ございませんか。
  233. 伊藤俊夫

    説明員(伊藤俊夫君) 青少年のための法律につきましては直接総務庁の方で担当しておりますので、それにつきましては総務庁の方のお答えでございますけれども、文部省の方では、先生御高承のとおり、最終的には価値観を意図した行為をやっております。その価値観につきましては教育基本法の精神がその価値観になっておるわけでございます。
  234. 志苫裕

    志苫裕君 ありがとうございました。文部省、総務庁、結構です。  それで、これは長官、公安委員長かな、規範教育あるいは規範意識を持たせるということになりますと、これはやっぱり一つの価値観の問題に出くわしますね。ただ抽象的な意味で世の中の決まりを守りましょうという程度で規範教育になるかどうかも、ちょっと私には少しわかぬ点がありますが、今お話がありましたように、総務庁の所見あり、文部省の所見あり、大がかりな少年問題というのを警察警察の分野を扱っておる。そこだけは、引用が悪かったかもしらぬが、ひとつ国家の理念に対応する指標として位置づけて何とか教育をしようというふうなことになると、これはまことにちぐはぐな話になるんですが、その辺はどうお考えですか。
  235. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 警察で考えます少年問題というのは、あくまでも非行というものを中心に考え、それの防止ということを考えるわけでございまして、少年非行総合対策要綱その他でも言っております社会規範云々ということは、もっと非行に密着したといいますか、その周辺にある規範ということでございますから、簡単に言えばマナー、マナーを自然に身につけさせよう、こういうぐらいのことでございまして、それを掘り下げて、そのマナーの先どこに終着点があるのかということをいろいろ考えて理想を持つのは、それぞれの研究者としてはいろいろあると思いますけれども、理想を持っていいと思いますが、警察がやるというのは非行に密着した、マナーを身につけさせるということが中心であると考えております。
  236. 志苫裕

    志苫裕君 それはちょっと抽象的で……。  それでは、社会規範教育というのは何をおやりになっているんですかといってこれらを見ますと、剣道やったり――剣道やって世の中ようなるものなら、これはまたそう面倒な話でもないわけですが、ちょっとそれだけでもないんでしょう。やっぱり少年係とか何とか取扱主任というのがありましたな、そういう警察官を通じておやりになるんですから、その警察官には、こういうことで、こういう価値観で子供に対応しなさいというようなことはやっているんですか。
  237. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 今言いました価値観といいましても、そういう哲学的というか、何か高度なものではなくてマナーということでございまして、警察の道場を開放して警察官が指導者になって柔道、剣道をやる。柔道、剣道をやれば大変礼儀正しくなって、おのずからマナーというものが身につく。あるいは公園を清掃する、空き缶を集めるというような作業に警察官が先頭に立って日曜日に一緒にやってやるというようなことをやっておるわけでございまして、社会規範というのは大げざ過ぎる感じもいたしますが、そういうことを通じておのずからそれを監督するというような考え方でございます。
  238. 志苫裕

    志苫裕君 大げざ過ぎるといって、あなた大げさなことを書くからこっちも率直に言ってびっくりしているのであってね。しかし、「八〇年代の警察」という皆さんからいただきましたあれを見ますと、総合的防犯対策の課題をうたっておられるようで、職場、地域あるいは警備業、警察などが連帯をして防犯ネットワークを組むというような、そういうものになっております。いわゆる総合治安対策というのかな、無犯罪都市構想とでもいうのかちょっとわかりませんが、結局犯罪の起こりそうな環境には全部網を打っておこうという、犯罪をなくするにはできるだけ網を広くする以外にないわけだ。それに一生懸命になっていくほど網が広がってくるというので、普通の子供にみんな網が広がって、規範教育というところまで言っておられるのかなという感じもするのですが、柔剣道でもやって礼儀正しくするかという程度のものでもないようだという感じは私からはどうも抜けませんね。そこへもってきて去年の十一月に長官が一歩踏み出せといって訓示をしたものだから、私みたいに気の弱いのは、これまた何をやらかすかという、そんな感じでちょっと規範教育について伺ってみたのですが、ただどうでしょう、非行少年はもちろん問題ですが、非行少年よりももっと多い普通の少年もおるわけでしてね。これに汚染が広まるのはもちろん困りますが、また時期的に回復していく者もおるわけで、それが全部の少年をみんな対象にする、それが学校機関であったり、地域のボランティアであったりするのではなくて、警察はいろいろ言っておりますけれども、基本的な任務というのは統治権に基づいて強制力を行使する機関ですから、これはほかにはできぬことですから。それが子供教育に、人間づくりにもろに出る。社会的要請が一部にないわけじゃありません、しかも親が自信を失っておるときですから、無責任きわまるのもおって、お巡りさん頼むという状況もあるでしょう。だけれども、何かそれにもろに出ていくということは、これは長官もそうですし、公安委員長、これはやはり時には後ろを振り返りながらやっていかなければならぬ問題だというこの点はどうですか。
  239. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 警察官が基本的に御指摘のような性格を持っておるわけでございますから、警察官がその職責を果たすにつきましては強制的な権限の行使ということもありますし、それ以外の任意の手段でやるということがあるわけですが、任意の手段で行う活動でありましても、一方でそういう権限を持っておるという警察の立場を十分に踏まえまして、相手方に誤解を与えるとか、世間の誤解を招くとかということのないように慎重に行動するということは、我々は常々考えねばいかぬことであるというように考えます。
  240. 田川誠一

    ○国務大臣(田川誠一君) やはり、少年たちに恐怖感を持たせないように、親しみを持って接するように、そういうような態度で指導をしていかなければならない、こういうふうに思っております。
  241. 志苫裕

    志苫裕君 それに重ねて私はここで申し上げておきますが、そういういろんなやりとりをしましたけれども、やはり少年補導教育福祉の分野でありまして、皆さんがそれの中心的役割を果たすということはやはりなじまない。ある意味では、それの延長線上にある少年補導の分野を担う少年指導委員というものの法的な位置づけも、やはりこれはまだ未熟な問題だという感じだけは述べておきます。  次に、時間もずれましたが、ちょっと立法技術、立法政策関係があるのですが、なお続けて申し上げます。  風俗営業と、風俗関連営業も一番議論になっているところですが、私はここでは繰り返しません。寺田委員も法曹界の人間ですが、これは法律家として納得できぬ、立法技術としてもちょっとおかしいのじゃないかという問題の指摘もあったようですし、私も実はいろんなやかましい議論を合いたしておりますが、ごく普通に考えて、今度の風営法というのはセックス産業を抑え込むのだというふうに思い込んで、我々もその船に乗って途中まで来たという感じだったのですよ。ところが、この船はどこへ行くのかわからないみたいになったので、ちょっとおりてよく周りを眺めておるというのがこの審議状況なんですけれども、そこで、関連営業と風俗営業と概念を分けて鈴木さんが一生懸命解説を試みたり、あるいはいろいろなことがありますが、その根底にはやはり売春問題に対する政策の問題があるのじゃないかと思うのですよ。トルコぶろについて保安部長が、営業の自由とか、あるいは売春しないトルコぶろもあるとか、あるいはまた公認する筋合いのものじゃない、近代化、適正化になじまぬ、届け出で目を通して厳しい規制で廃業にまでやっていくのだと、こういうふうにいろいろおっしゃるのだけれども、同時に、これは衆議院で何か十七号ですか、小川質問に対して、そういう全面禁止で世の中がうまくいくものであればそういう形で臨むのも一つの政策だと、これは案外正直なところを言っていると思うのです。ここのところにいろいろお互いに言い合ってみたり、やりとりをしたり、理屈をこねておりますが、全面禁止で世の中がうまくいくのであればそういう形で臨むのが政策だと。しかし、裏を返せばその政策はとらないということになる。  したがって、いろいろ言われますけれども、地域規制、囲い込みということですね、そういうのがやはり立法政策と見なければならぬ、そう受けとめていいですか。
  242. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 私どもはトルコぶろに対しまして厳しい姿勢で臨んでいくということには変わりないわけでございまして、これにはやはりほかの法律も絡んでおります。そういうこともございまして、私どもは従来与えられました役割というものの延長線上に立って、そうしてできることをやっていくというふうに考えて立案したものでございます。
  243. 志苫裕

    志苫裕君 余り真正面の返事はもらえませんし、またこれは返事のしにくいところでしょう。  ところで、これは厚生省と警察庁に聞きますが、こういう議論はしょっちゅうこの議会でもやっているわけで、時に少し前に出たり、またちょっと足踏みしたりという繰り返しのようです。試みに三十九年法審議、いわば薄暗い喫茶店とか、個室の喫茶店とか、そういうところの規制を厳しくした、年少者の立ち入りを禁止した、このときの法の審議はその次の四十一年法につながっていくわけです。このときの議論で興味のある特徴的な政府側の答弁を私から二つ紹介しましょう。  一つは、江口警察庁長官。これは江口さんは長官でしたね。三十九年四月二十四日の衆議院地方行政委員会。個室ぶろトルコですね。トルコは浴場法二条の構造設備に風紀ということを入れ、風紀上の構造設備の命令というか基準を条例でできる、このように書けば廃止することはそう難しくない、これが警察庁長官の答弁。受けた舘林政府委員、これは厚生省のこのときは局長さんだったかな、その舘林さんが、法律改正をすれば、あるいはトルコぶろ規制法という法改正、あるいはトルコぶろ規正法という法的措置をとれば個室の廃止はできます、個室廃止にするか、現行法で風紀規制をするかは目下検討中です、方針として個室廃止になれば法的措置はやらざるを得ませんと。これはいずれも可能な論議、どちらも。  さて、それから随分日がたったわけだ。野党の各議員が婦人連を中心にして業を煮やして議員立法をしておるが、それも動きがつかないという状況を迎えておるんですが、この答弁はその後どう継承されておるんでしょう。両方から答えてください。
  244. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 当時の警察庁の江口長官の答弁は、要するにトルコぶろは風俗営業として風営法の対象とすることはできないと、その規制は公衆浴場法の運用や改正によって行うことができるものであって、風営法によります規制については全く否定するものではなかったと承知をしておるわけでございます。仰せこの三十九年当時の規定は、いわゆる風俗営業というものと、さらに深夜飲食店の規定がこの当時はあったわけでございまして、いわばトルコぶろとかあるいは興行場とかあるいはモーテルとか、そういうようなものは風営法の対象に全然なっていない時期でございますから、その時点でどこの法律でこういうものを取り上げるかという問題に対しては、こういう答弁をそういう立場でされたのではないかなと、こういうふうに思います。  ところがその後、先生御案内のとおり、衆議院の地方行政委員会風俗営業等に関する調査小委員会設置されまして、そうしてその報告を参考にして四十一年六月二十一日の衆議院の地方行政委員会におきまして、自由民主党、日本社会党、民主社会党の共同提案によりまして全会一致で風営法の改正案が採択されまして、そして同案による改正によりまして、個室付浴場業につきましても風営法による規制も行われることになったと、こういうことであるわけでございます。そういう経過があるわけでございます。したがいまして、いろいろないきさつがありましたけれども、いずれにいたしましても、トルコぶろにつきましては地域規制行政処分というものは風営法でもっておやりなさいという国会の御意思を受けたわけでございますから、そういうことで警察庁といたしましても、構造設備等の営業所の内部的な事項は除きまして、善良の風俗と清浄な風俗環境の保持、そういう観点から、やはりこの個室付浴場業につきましても必要な規制を行うべきであるという認識に立っておりまして、そういうことで、今回の改正案は従来の関係をさらに徹底していこうと、こういうふうに考えて改正案をお出しした、こういうところでございます。
  245. 志苫裕

    志苫裕君 厚生省、簡単で結構ですからどうぞ。
  246. 瀬田公和

    説明員(瀬田公和君) 基本的には今の警察庁の御答弁と同じでございますけれども、公衆浴場法というもので規制をするという意見も従来ございました。しかし、公衆浴場法という法律は、入浴の機会を持たないそういった一般の住民に対しまして入浴の機会を提供しようと、そして一般のそういった公衆浴場について入浴者の衛生を確保しようということが主たる内容の法律でございまして、いわゆる個室付の浴場というものは他に規制する法律がないという関係もございまして、公衆浴場法で規制をしているわけでございますけれども、その形態におきましては、浴場という形態をとって営業しているものがございますので公衆浴場法の対象としておりますけれども、その営業の実態について見ますと、それは入浴を目的とする施設であるというふうには考えられない、そういった面もございますし、そもそも浴槽というものを取り払ってしまいますと法律の対象にもなってこないというふうな面があります。  また、そういった特殊性、さらに一般に衛生面というものを主とする保健所を通じての監視、指導という特性もございまして、確かに先生御承知のように、個室というものはその内部を十分に見通せる窓を設けてほしいとか、または密室性というものを排除するためにかぎをかけないようにするとか、そういった風紀の観点からの規制というものも環境衛生監視員の環境監視を通じて行っておりますけれども、保健婦とか薬剤師とかといったものを中心といたします技術職員の監視でございますと十分に効果的な規制というものを行うということはどうしても困難な面がございますので、種々関係官庁とも御協議をした結果、今回の法改正案のような形でお願いすることが最も適当ではないだろうかというふうに私たちは考えたわけでございます。
  247. 志苫裕

    志苫裕君 私が三十九年法の衆議院での議論を紹介しましたのは、時に踏ん切りそうになったということを紹介するためなんです。しかし、また腰が落ちついちゃって、ああでもないこうでもないと考えて今日に至っておる。  今厚生省のお話がありましたが、ふろじゃないんだと、それは。というふうになれば、えたいの知れぬものとして存在するわけですな。ふろでもない、旅館でもない、何とかでもないというものが何だかあるというのであれば、それはそれを対象とする単独立法等もまたあり得るわけであって、いずれにしても腰が定まらないんですよ。そういう問題なので、さっき私は、鈴木さんの全面禁止で世の中がうまくいくかといったぐいの発言を引用しましたが、やっぱりこれが立法政策ということになりますと、それはそうじゃないと言っても、売春の抱え込み、公娼復活というのは客観的な事実として証明されてくるわけで、これはそう余り名誉な話でもないわけです。この点につきましては、公衆浴場法がどうのこうのと言いますが、かつては法改正すればできると、一方で単独立法という方向も示唆していますがね。そして、結局どうなったかというと、衆参審議を通じて厚生省は、衛生法規の限界だ、立ち入り規制はお手上げたと、おれのところには看護婦とか医者とか衛生検査技師とかそういうか弱い人がおるんで、とてもじゃないがあんなところへ行って立ち入りすると言ったらぶん殴られちゃうんで行けたものじゃないという本音を述べていますわな。それで、鈴木さんの方の答弁は、いろいろ言っていますが、警察の売春の立件はなかなか面倒だと、だからひとつ建物の内側のことは許可をやっておる厚生省の方でどうぞと、私のところは専ら外側をやりますわという答弁をなさっているでしょう。これじゃ両方して球をあっち投げたりこっち投げたりしておるという状況がずっと続いておるので、これではらちが明かぬなという感じもしますね。そこへもってきて今度何かえたいの知れぬ立法技術を持ち込んだもので、率直に言って面食らっておるというのが私の気持ちであります。  営業権の問題を言いますけれども、営業権の問題は、現に地域規制あるいは地域の寄せ集まりの全面規制ということを皆さん御答弁なさっているんですから、営業権問題は決まりがついているわけですよ。その答弁が出ている限りはもう営業権問題は決まりがついているんだということになれば、立法政策さえ決まればあとは皆さん専門家だ、立法形態を考えればいいことですよ。そういう点についてはどうも煮え切らぬのですが、どうです、長官、あなたここで名答弁残して、何か近く引退の話を聞きますが、名答弁を残しておいたらどうですか。
  248. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 我々もこの問題については大変苦心をする、大変問題であるという認識をかねがね持っておるところでございます。その結果、今、保安部長から説明をいたしましたような経緯を経て議員立法で現状のように落ちついた、こういう今段階でございますので、その現状をこの隣どう変えるかということについては、それはちょっとまた今後の検討課題でありまして、その点は現状にしてその他の規制で届け出にし、指示をし、違反があれば最高は廃業までいく、こういうようなところで一歩前進ということであると思うわけでありまして、おっしゃるようにこれは重要な問題で、検討課題であるというように考えております。
  249. 志苫裕

    志苫裕君 後世歴史に残る答弁じゃないな。  時間がなくなりましたので、以下個別の問題にというふうに思ったところですがまた後日に譲りまして、大筋この法の周辺の問題あるいは立法経過あるいは立法政策、立法技術という問題に触れてみまして、なかなか多様なものをみんな持ち込んでおるので整理も面倒だなという感じが率直にいたします。個別の問題では、管理者の問題とか指示権の問題とかということなんですが、ちょっと一つ二つだけ聞いてきょうはやめます。  一つは、確かに風俗も変化しておるわけですし、新しいまた風俗形態がどんどん出て、それへの対応が難しいのですが、歴史が動いておるわけですから、古く抱え込んだものでそれなりに歴史も持ち、周辺も、また営業者も業界もそれなりの社会的なプレゼンスも得ているというふうなものはやっぱり警察から離して、新しい領域の問題についてひとつ的確に対応するというふうなことをしませんと、皆さんの方は握ったものは放さないと。放さないから新しいものを握れぬわけだ、本当の話が。だから、関連営業はあんな握り方をしているわけでしょう。こっちの方を放せばわっと握れるという意味ではなかなか警察さんというのは、役所全体がそうなのかな、一遍握ったものは放さないという感じがいたしますがね。  そういう意味では、この第七号営業などは賭博が問題になるんでしょう。しかし、現に保安課の方でまとめてくれておるデータなんか見ますと、賭博ですがね、風営の対象にせんでも刑法だけで対応できてあるいはやっていけるのじゃないかなというふうな感じもしないわけではないという意味では、やっぱり洗い直しという作業を入れてもいいという感じがいたします。  それから、八号営業について随分延々と議論をされましたが、私の感じでは、絶対論で言うと賭博に使われないものはない。しかし、比較論、相対論で言えば賭博に使って向くものと向かないもの、おもしろいものとおもしろくないものというかな、野球を九回までいってやっとかけるかというよりは、ぱっとしてぱっと出てくるのがかけるにはいいわけでしてね、そういうふうに区分けをしようとすればできぬわけではないのですが、皆さんは、一番最後に控えているのは、よかれあしかれ少年のたまり場になるのに目を配りたいのだということになりますと、八号営業の機械の議論をしているのは意味ないみたいな話になっちゃうのですけれどもね。しかし、この際はいろいろと議論もあったわけで、調和点をとるとすれば、比較的賭博に向きやすいものを例示をしておいて、著しく射幸心をそそるおそれのあるものというふうに規定をすれば、大体双方の意見の調和は出そうだという感じもいたしますがね。  ちょっと以上の二点について御意見を伺わせてくれませんか。
  250. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 私どもも、現在あります営業につきまして何もどんどん抱え込んでいくというのが本旨ではございません。必要に応じまして見直しをしていくということはやっていかなければならない、かように考えております。ただ、現時点で今お話のありました二業種につきまして、これを風俗営業から外すということはできないのではないか、かように考えておるわけでございますが、今後いろいろな運用等に当たりまして十分業者の御意見参考にしてまいりたい、かように考えております。
  251. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時三十五分散会