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説明員(山田晋作君) 幾つかございますので、順次御
説明申し上げたいと思います。
最初に
少年指導委員を委嘱でさる要件でございますけれ
ども、これは第三十八条の一項に書いてございますが、最初の「人格及び行動について、社会的信望を有すること。」、この件につきましては、「社会的信望を有する」というのは、その方が居住しておられる地域において人格識見ともにすぐれた立派な方、その地域の
方々の信頼がある、いわば地域の篤志家のような方でございます。この
少年指導委員の活動は地域の社会というものを基盤として行われるものでございますので、地域の協力が得られやすいということが当然必要になりますので、こういう要件を設けたわけでございます。
それから「職務の遂行に必要な熱意及び時間的余裕を有すること。」ということでございますが、職務の遂行に必要な熱意を有する人とは、これは
少年問題でございますから、
少年に深い愛情とか理解、こういったものを持っておられ、
少年の健全な育成に資するための活動の推進に旺盛な熱意とか使命感、こういったようなものを当然持っておられる方ということでございます。
それから「時間的余裕」でございますが、その方の生活が時間的な拘束を受けているということになりますと、そういった方に余り時間を割いていただけませんので、特に指導
委員には自発的協力とか参加というふうなことを当然お願いしなければなりませんので、こういった要件を置いたわけでございます。
それから、三つ目の「生活が安定していること。」でありますが、生活が安定しているものとは経済的な余裕が当然ございませんと困るわけでございますけれ
ども、そのほかにも家庭的にも円満な方ということでございます。
少年指導委員は無給職ということでございますので、自分の生活状態に何ら問題がなくて、安心してその仕事というか、この任務に専念していただける方、こういうこと。それと、当然
少年の健全育成ということで
少年にいろいろと接触されるわけでございますから、家庭的に問題があるとこれは困るということでございますので、こういう要件を定めたわけでございます。
それから最後の「健康で活動力を有する」という要件でございますが、
少年指導委員にはデスクワークとか研究というものではなくて、やっぱり実践活動が中心になりますので、その活動には当然心身ともに健康で、熱意というんでしょうか、やっていただく気持ちというんでしょうか、そういったようなことが旺盛な方ということが必要でございます。で、こういった要件を設けたわけでございます。
それから、人選でございますけれ
ども、どういうふうにやるのかということでございましたが、この委嘱方法につきましては「
国家公安委員会規則で定める」というふうになってございますけれ
ども、この公安
委員会規則では委嘱とか解嘱の手続を定めることにしてございますが、私
どもとしましては、先ほどから申し上げておりますように、
少年に深い愛情とか理解というふうな、
少年問題を取り扱うにふさわしい方をお願いするということでございますので、具体的には地域の
関係団体とか
関係機関とか、あるいは
警察署長とか、そういった
方々からいろいろと推薦をいただく。で、資格要件に該当するかどうかということを公安
委員会の方で厳重に
審査いただくということでございます。その上で適任者がいらっしゃれば委嘱するということを
考えておるわけでございます。
それから、そういうことをすれば、それでは
警察のOB中心になるんではないかというふうな
お話ございましたが、私
どもとしましてはそういう
考えは一切持ってございませんで、先ほどから申し上げております、こういった非常に厳格というんでしょうか、厳密な要件、この要件を充足しておられる方で適任者がいらっしゃればお願いする。したがいまして、年齢とか性別とか職業とか、そういったことには一切
関係ございませんで、適任者をお願いしたいということでございますので、
警察のOBがほとんどを占めるんではないかというふうなことは私
どもは
考えてございません。
それから、金銭的にどうかということでございますが、私
どもとしましては、先ほど要件で申し上げましたように、経済的にも余裕のある方ということを申し上げましたけれ
ども、「名誉職」ということで
法律上は書いてございますが、この名誉職といいますのは
法律上は無給職——生活を保障するための俸給とか給与、こういったものを受けないで公の機関の職にある者ということでございまして、有給職に対するもの、無給職という
趣旨でこういう名誉職という言葉を使ったわけでございます。したがいまして、要件にも盛り込みましたように、経済的な余裕のある方ということでカバーしていこうということでございます。そうすることによりまして、こちらの方で、無給でもひとつ
少年の健全育成とか非行防止に一肌脱いでいただけないかということをお願いして、それではよろしい、やりましょうと言っていただける方がいらっしゃれば、むしろこう言っては何ですけれ
ども、わずかばかりの報酬よりもその熱意の方に期待したいというふうに
考えておるわけでございます。
それから、権限でございますが、権限につきましては法文の三十八条の二項に書いてございますけれ
ども、私
どもとしましてはこういった
方々にどういうことを期待するかということでございますけれ
ども、
少年指導委員には
風俗関係の
営業が及ぼす悪影響、現在こういったことから悪影響を受けて
少年非行に走るとかいうふうな
少年が多いわけでございますけれ
ども、こういった悪影響から
少年を守るために例えば深夜の盛り場等を供回するような
少年に帰宅を促す。で、必要な注意とか助言を与えるといったようなこと。また、
少年に悪影響を及ぼしている成人、これは大人でございますけれ
ども、などに対しましても、
少年の健全育成のために必要な協力をお願いする、要請するというふうなこと。それからまた、地域における環境浄化活動その他
少年の健全育成に役に立つような活動を促進していただくというふうな活動をお願いしたい、こう
考えておるわけでございます。
これが三十八条の二項でございますが、当然この三十八条をごらんいただいておわかりいただけると思いますけれ
ども、特別の権限を何ら付与するものでございませんで、あくまでボランティアにふさわしい、強制力を伴わない、言うならば非権力的な活動を行っていただくというふうに
考えておるわけでございます。
以上でございます。