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1984-07-19 第101回国会 参議院 地方行政委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年七月十九日(木曜日)    午前十時開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長        大河原太一郎君     理 事                 岩上 二郎君                 真鍋 賢二君                 志苫  裕君                 三治 重信君     委 員                 井上  孝君                 加藤 武徳君                 上條 勝久君                 出口 廣光君                 松浦  功君                 吉川 芳男君                 佐藤 三吾君                 中野  明君                 神谷信之助君    衆議院議員        修正案提出者   小澤  潔君        修正案提出者   草野  威君        修正案提出者   岡田 正勝君    国務大臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    田川 誠一君    政府委員        警察庁長官    三井  脩君        警察庁長官官房        長        太田 壽郎君        警察庁長官官房        審議官      福島 静雄君        警察庁刑事局保        安部長      鈴木 良一君        警察庁警備局長  山田 英雄君        国税庁税部長  冨尾 一郎君        自治大臣官房審        議官       土田 栄作君        自治省行政局公        務員部長     中島 忠能君        自治省財政局長  花岡 圭三君    事務局側        常任委員会専門        員        高池 忠和君    説明員        警察庁刑事局保        安部防犯課長   古山  剛君        厚生省生活衛生        局指導課長    瀬田 公和君        通商産業省産業        政策局物価対策        課長       綾部 正美君        建設省都市局都        市計画課長    鈴木 政徳君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○風俗営業等取締法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  風俗営業等取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 きょうは三井長官がお見えでございますから、法案審議に入る前に、二、三お聞きしておきたいと思うんですが、十二日のこの委員会で私、最近の警察一連不祥事についてただしたわけですけれども、昨日もまた盛岡ですか事件が出ていますね。飲酒運転で突っ込んだという事件が起こっておりますが、しかし西のグリコ、東の白昼強盗と、こういう事件は未解決のまま、そういう中で一連警察官不祥事というのが次々に起こっている。私がざっと洗ってみると、ことし半年、一月から六月までで十三件事件が連続して発生している。特にグリコの問題で、大阪府警兵庫県警というのはまさに今非常態勢だと思うんですよ。三井さん、あなたもやっぱり現地にその状況を督励を含めて行っていますね。そういう中でこの兵庫県警が白昼強盗をやる、こういう事態というのは、私はもう異常と言うしかないと思うんです。  そういうことで、私は十二日に、これには構造的な問題があるんじゃないかということで、二十五万の警察職員、そのうちの二十一万の警察官の中で何が起こっておるのか、こういった点を二時間にわたって追及したわけでありますが、なかなかその問題点が出てこない。私はやっぱり大多数の警官というのはまじめに――昨日も大阪でああいう人質事件に対して徹夜でひとつ頑張るという警官もおる。しかし、こういう事態は大多数の警察官に対して、私は非常に不安と動揺を与えておると思うんです。  かつて五十三年のときだったと思うんですが、外勤の巡査が大学生の下宿に押し込んで絞殺という事件が起こって、時の警視総監が辞任をするという事態がございました。しかし、この問題に対して一向に警察庁最高首脳としての責任のとり方もまだ出ていない、こういう事態に対して、警察庁長官としてどういう認識をしておるのか、それをきょうひとつ長官からお聞きしたいと思うんです。
  4. 三井脩

    政府委員三井脩君) 重要な事件が発生しておるときでありますが、その中で警察官不祥事が起こっておるということでありまして、私たちとしてはまことに遺憾な事態であると考えておるわけであります。  警察官不祥事にはそれぞれ一件一件に直接の動機その他原因等があるわけでありまして、これについては、その問題について対症療法的でありますが、例えばサラ金の問題とか生活設計上の問題とか、それぞれについて対策を講じていくということをやっておるわけであります。しかし、基本警察官がその職責の重要性を十分に認識をして、また世間の風潮以上に警察官に求められる倫理性廉潔性、こういうものを堅持するということが大切であると考えるわけでありまして、これは常日ごろそういう努力をしておるわけでありますが、こういう事件を契機といたしまして一層努力をするということで、それぞれの県警察、そしてまた警察庁においてそれぞれの段階で手を打っておる、こういうことでございます。  グリコ事件その他金塊事件等重要事犯につきましては、目下鋭意捜査に努力中でありますので、これはぜひともできるだけ早期に検挙、解決をしたいということで、警察庁を含め関係府県一生懸命やっておる、こういう段階の問題でございます。
  5. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 事件のたびに遺憾であり努力する、率直に言って国民の皆さんから見ると聞きあきたんじゃないですか。こう打ち続くと、私はやっぱり、さっき申し上げたように、もうそういうことでは通らなくなる。そして、依然としてグリコ金塊事件は未解決、こういう事態ですから、私はこれはもっとやっぱり厳しく認識をして改めていただかなきゃいけないんじゃないかと思うんです。  そういう中で、御存じのとおりに、元警視監松橋氏の本が出された。何か新聞で見ますと、異常な売れ行きでベストセラーだと、こう言っておるんです。これは一昨日寺田議員がこの問題を取り上げたわけでございますが、確かに性格的にいろいろ問題があるかもしれません、そういう指摘でした、警察側答弁は。しかし、一〇〇%全部この内容はうそだと、こういうことにはならぬのじゃないかというのが、一昨日の議論の中で私どもが受けた印象なんです。で、現実に私は十二日に、この中にありました菅生事件問題、この問題で、警察官戸高公徳があの事件有罪判決を受けながら復職をしておると、こういう記述がございましたので、この問題についてただしたんですが、後ほど官房長からの――委員会の中では答弁できなかったんですが、御報告を聞きますと事実のようでありますね。ですから、私はやっぱり一〇〇%は信用できないにしても、誇張の部分もあるとしても、しかし告発を含んで、事実がやっぱりあることは間違いない、そういう心証を深めました。  で、警察職員が二十五万で警官が二十一万ですか、それをキャリア組という、この本の中ではいわゆる資格者というか、この方々、四百数名が頂点に陣取って上意下達と成績主義、こういうやり方でやられているこの現状の警察機構、人事、そういうところからいろんな矛盾が噴き出しておる。いわゆる民主警察という姿の中身はそういう仕組みになっておる、そこに一番大きな問題があるんじゃないかということを十二日の最後に私は追及したんでありますが、そのことはこの松橋さんの本の中にも、キャリア組立場からその点を強調しておる。こういうことからいって、そこに私はメスを加えていかないと、一連警察を取り巻く疑惑、不祥事、そうしてその中に渦巻いておるうっぷんというものは解消しないんじゃないか、こういうふうに思うんです。  中身をいろいろ十二日も聞きましたが、例えば県警本部長一つとってみましても、四十七人の県警本部長のうちにキャリア組以外の者が何人おるのか。ほとんどキャリアで占めておるんじゃないか。警察官能力努力をすれば県警本部長になれる、警察庁長官にもなれるという仕組みになっていない、こういうところに私はやっぱり今日の警察の腐敗問題というのが起こっておるんじゃないかというふうに思うんです。  そういう意味で、この問題について警察庁長官としてどういう御認識を持ち、対応しようとしておるのか。その点についてひとつお聞きしたいと思います。
  6. 三井脩

    政府委員三井脩君) 現在の警察幹部に登用する仕組みの中に問題があるのではないかという御指摘でございますが、警察の中では実力さえあればどんどん幹部になれるというのが警察基本的原則といいますか、ほかの役所と比べるのもどうかと思いますけれども、とりわけ警察の場合はそういうふうな任用制度になっておって、これがまた一般警察官にとっての一つの魅力でもあろうかと、こう思うわけでありますが、現在のいわゆる資格者と、それから一般から幹部になる人、俗に推薦組と、こう言っておりますが、この俗称資格者制度というのは、警察に限らず、どこの役所でもやっておることでありまして、これはそういう幹部を養成するやり方仕組みとしては特に問題はない制度ではなかろうかと、こういうふうに思います。そしてまた、一般巡査から幹部に上がってくる推薦組と言われる人たちから本部長になっておる人も、全国では今、北海道の方面本部長も含めて、いわゆる本部長というのは五十一名になるわけでありますが、大体五名ぐらい、多少の変動はありますけれども、大体五名ぐらいは推薦組の方から本部長になる、こういうようなことでありまして、これは余り少ない数ではないと私たちは思っておるわけであります。  問題は、そういうふうにして幹部になった人たち幹部にふさわしい仕事をしておるか、幹部にふさわしい者であるかどうかということが一番大事なことであろうと、こう思うわけでありまして、それぞれ選ばれて本部長になるわけでありますから、そのあり方仕事中身におきましても、また生活態度でありましても、公私を通じて問題のない、非難されることのないようなということが一つでありましょうし、また、積極的に警察官の士気を高め、その県その県における治安維持のために全警察能力を発揮して、自分が先頭に立って任務を果たしておるかどうかと、こういうことでありまして、本部長になる人は、本部長になるためには今はもう二十数年かかるわけでありますが、その間にそういう修業をしておると言ってもいいぐらいの努力をして、その結果なるわけでありますので、特に問題はないと思いますが、それにいたしましても、多くの部下を率いてその仕事に当たるわけでありますので、常に精進努力をして間違いなきを期する、自分任務にふさわしい能力を涵養し、そしてそのふさわしい仕事をしておるかどうかということは各人各人努力をすべきことでありますし、警察庁といたしましてもそういう方向に持っていくように管理上のいろいろの努力をすると、こういうことで努めておるわけでありまして、最近起こっておるいろいろな問題につきましても、我々はそういう観点から、幹部幹部たるにふさわしいあり方をするように、また能力を身につけるように努めてまいるつもりでありますし、現にやっておるところでございます。
  7. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 長官は、五十一名の中で五名程度推薦組がある、それでちょうどいいんじゃないかと、こういうお話ですが、その是非について私はここでは論じません。しかし、現実にそこにパイプが詰まるといろいろな吹き出物が出てくるというのが今の一つ現象だと思うんですよ。そして、しかも今その現象が起こっておるように、実際問題いろいろな意味パイプが詰まっておるんじゃないか、こういうような感じがします。ここら辺はきょうあえてこの問題についてこれ以上追及しませんが、例えばあなたがおっしゃったように、キャリア組の中では、あなたたちの評価に見ると松橋さんは非常に悪い、問題があると、こういう指摘ですね。そういう人がやっぱりキャリア組の中には何人か含まれておるはずです。人格方正にして優秀な人材を選ばれたんでしょうけれども、決してそうでない方も出てくるわけですし、いろいろあるでしょう。そういうような意味で、私はやっぱり警察機構そのものあり方が本当に民主警察としてのあり方なのか、この辺でやっぱりひとつ検討し直す必要があるというふうに思うんです。そういう意味で、長官のお考えをひとつ聞いて次に移りたいと思うんです。
  8. 三井脩

    政府委員三井脩君) ちょっと細かいことで恐縮でございますが、あの本の著者はいわゆる戦後第一回の採用でありまして、あの当時はまだそういう制度が確立てきない過渡期のことでありまして、いわば本部長になれる人と本部長になれない人と込みに採った時期でございます。その中で選別をして本部長になれない人を落としていくということで、半分ぐらいは本部長にあの時期はなっておらないわけでありますが、それを別といたしまして、私たち警察本部長というのは、その県におきまして千数百名、もう一番少ない県でも警察官一般職員を含めまして千百名の部下を持っておると、そういう意味ではその部下を統率するにふさわしい能力と人柄である必要がありますし、またその仕事内容が一県の治安維持する、また一県の治安維持を通じて国全体の治安維持すると、こういう重要な任務でありますので、そういうふさわしい人であるように本人が努めるとともに、我々警察庁がそういうふうに持っていくという努力を常々やっておるわけでありまして、今回の事件に限らず、常々そういう問題がないかということには努力をしておるわけでありますから、こういう時期でありますので、一層そういう角度からその辺の努力を続けてまいりたいと思います。
  9. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 次に、警備局長にお聞きしますが、あなたは十二日に、松橋氏のこの問題について私がただした際に、あれは本ではCIAと書いておるけれども違うんだと、こういう御発言がございましたですね。ちょっとあのときには私はいろいろな問題の内容で深追いをしなかったんですけれどもCIAでないとすれば、あなたが言うのはどういう機関で、それはどういう内容のものですか。
  10. 山田英雄

    政府委員山田英雄君) 昭和三十年代の古いことでありまして、記録もないので当時の関係者に聞いた話として、IACPというものの招待であったということを承知しておるわけでございますが、日本語で訳しますれば国際警察長協会と訳すべきものだと思います。十二日の日にもそのもとの言葉で、インターナショナル・アソシエーション・オブ・チーフズ・オブ・ポリスということで、国際警察長協会と訳すべき機関だと思いますが、これは昨年の国際警察長協会のパンフレットによりますと、その業務といいますのは、これは一八九三年に創設されておるようでございます。昨年現在で世界六十三カ国を代表する約一万一千人のメンバーで構成されておりまして、本部アメリカにあるわけですが、その組織の目的は、世界警察管理者間での職務協力情報及び経験の交流、それを促進することが一つ、それから適正な警察官採用訓練を推進すること、さらには職務遂行の水準と品行の向上を助長することというようなことを協会目的として、会議開催意見交流管理者セミナーあるいは専門家訓練というようなことで幅広い活動を行っておる機関であるというふうに承知いたしております。
  11. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 これは国際という名がついていますけれども、実際はアメリカ自治体警察の署長さんが集まって、そうしてつくっておる機関じゃないんですか。
  12. 山田英雄

    政府委員山田英雄君) これはそうではございませんで、世界各国メンバーも入っていると思います。といいますのは、我が国でも警察庁長官警視総監メンバーになっておりまして、毎年の総会には日本の代表として若干の幹部を出席させておるという実態も現在ございます。
  13. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 その警察庁長官警視総監が名前を連ねたというのはいつのときですか。
  14. 山田英雄

    政府委員山田英雄君) これは正確な年次はあれでございますが、昭和三十年ごろというふうに承知しております。
  15. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 どうもあなたのおっしゃることが不思議に思えて松橋さんに私は聞いてみたんですが、そうしたら、聞いてみたら、本人の話では、確かにそういう機関はございますと。そして、そこにもありましたと。それは所長さんと女子職員と二人当時はおりましたと。それは五カ月の間にわずかに一日あっただけで、あとはCIA中心になってホテルに缶詰になって教育を受けましたと、こういうことなんです。そうして、この本にも書いてありますが、とにかく日本大使館に行っては困る、日本人と会っては困ると、こういうことで、極秘の中で受けましたと。で、Kという人が一緒に行って、途中でノイローゼになって帰ったという経緯があの中に書いてありますが、そのKという人は、言うなら、そのおきてを破って日本大使館に行ったらしい。それが問題になって、この際ひとつ、もう面倒見切れないということで、警察庁と連絡とって帰すことにしたんだ、何なら自分証人に立ってもよろしい、決してこれは私は――これは自分が五カ月おって全部すっと日誌もあるそうです。だれだれに毎日会ったという日誌も持っておるそうです。そういうものを本委員会でこういうふうにやられたのでは私も承服できがたいと、こう言っておるんですが、いかがですか。
  16. 山田英雄

    政府委員山田英雄君) IACP招待で、IACPのアレンジする各警察機関を訪問し、あるいは視察し、いろいろレクチャーを受けて勉強したというのが実態であると承知しております。そういう意味では、前回答弁申し上げましたが、FBIももちろん入っておりますし、ワシントン市警察本部にも行って制服のパトロール勤務をともにする等、いろいろな各種の勉強をしておったと承知しております。  それで、Kとの関係につきましては、前回答弁申し上げたと思いますが、全くあそこに書いてあることは思い違いでございまして、Kの立場からすれば全く違う事実というものを言っておるわけでございまして、その点については前回、ある具体的な事実について、ノイローゼで自殺するのを救ったという事実について全く違うということを御答弁申し上げたと思いますが、そういう状況でございます。
  17. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 これは今あなた、FBIも入っておるということですが、彼に言わすと、FBIへも五カ月のうち一日行ったそうです。そしてFBIで話を聞いたそうで、これはごく例外中の例外だ、こう彼は言っている。もっぱらCIA専門で、情報収集方法であるとか、特にソビエト、中国、当時は中国が問題でしたから、そういった東欧諸国中心に勉強したと、こう言っているわけですね。  これはここではなかなかあれですから、委員長にひとつお願いしたいと思うんです。  寺田議員証人喚問の要求をしておりましたが、私もやっぱり彼の証人喚問を要求して、この委員会でひとつただしてみたいと思いますが、いかがですか。
  18. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 佐藤君に申し上げます。  前回寺田君からも御要望がございまして、理事会において協議いたし、早急に結論を出すということに相なっておりますので、同様の取り扱いをしたいと思います。
  19. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 もう一つ、時間がございませんので、ついでに聞いておきたいと思うのです。  それは七月十六日に新聞で報道された内容ですが、国税庁来ておりますか。  日本の犯罪、政治不信の最たるものとして、国会でも今これは問題になって、最大の争点になっておるんですが、田中元首相の関連会社が十一社、五十六年、七年ですか、新金脈、脱税、こういったことについて、私も決算委員会行革特別委員会の中で追及してきたんですが、その結果が七月十六日の新聞では八社で五億二千万の申告漏れ、悪質な脱税ということで三億円の追徴をなさった、こういう記事が出ておるわけですが、これは事実ですか。
  20. 冨尾一郎

    政府委員冨尾一郎君) ただいま先生御指摘のような新聞報道があったことを承知をいたしております。私どもとしては、御指摘の法人につきまして昨年調査を行ったことにつきましては否定をいたしませんが、その内容につきましては、個別の事柄にわたることでございますので、御答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  21. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 守秘義務ということでしょうが、これは新聞記事が全く虚報ということではないんでしょう。
  22. 冨尾一郎

    政府委員冨尾一郎君) 繰り返した御答弁になるかと思いますが、調査の事実は私どもとして否定いたしませんが、この調査内容として報じられました事柄につきましては、個別の問題にわたることでございますので、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  23. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 否定なさるんですか。どうです。
  24. 冨尾一郎

    政府委員冨尾一郎君) 私どもは、否定をするということではなくて、守秘義務がございますので、その中身についてあれこれ申し上げることは差し控えさせていただきたいということでございます。
  25. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 これは仙台地裁ですかの判決があるように、あれもやっぱり脱税事件について税務署が公表したのか漏らしたのか、そのことが問われたわけですけれども判決の結果は、そういう脱税行為等を行うものを公表したからといって守秘義務責任追及は受けない、こういうことがきちっと判決で出ておるじゃありませんか。だから私は、ここで守秘義務を言うなら、中身をいろいろ聞こうと思いませんが、この新聞記事否定なさるんですか、どうですかと聞いているわけです。
  26. 冨尾一郎

    政府委員冨尾一郎君) 私どもとしては、調査を行ったことは否定をいたしませんが、内容につきましては、繰り返して申し上げるようでございますけれども、いろいろそれについてコメントすることは差し控えさしていただきたいと思います。
  27. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 悪いことをして捕まえて、それを守秘義務で守るというのは私は解せないんですけれども、まあいいです。  その中に、軽井沢商事売却代金の大半が流れた吉原組に対して国税庁は、本年一月、不当利得返還訴訟を起こしておるという、こういう記事もあるわけですが、これは事実でしょう。
  28. 冨尾一郎

    政府委員冨尾一郎君) 御指摘軽井沢商事関係でございますが、訴状に基づいて申し上げますと、滞納者でございます軽井沢商事株式会社が所有をしておりました土地売買代金の中から三億四千万円を被告会社でございます吉原組が不当に取得していたということのために、国といたしましては、滞納者、つまり軽井沢商事吉原組に対しまして有しております不当利得返還請求権を差し押さえておりますが、それを取り立てるためにこの訴訟を提起した、こういうことでございます。
  29. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 やはりそういうことで、それは事実ですね。
  30. 冨尾一郎

    政府委員冨尾一郎君) はい。
  31. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 問題は、この吉原組の問題もあります、この事件の中には。しかし同時に、新潟遊園新潟市に公園の土地を売って、その代金が九億一千二百万入るその直前に幽霊会社東京ニューハウス合併をして、これが赤字だもんですから逆さ合併ということで議論になりましたが、税金をパアにしてしまった、こういう事例がございますね。この問題が表面化した中で、この東京ニューハウスが目白の田中邸を実は保有しておって、そこの使用人であるとか、それから車であるとか、田中さんが乗って歩くリンカーンですか、あれとか全部この新新潟遊園ですか、これが負担しておった。その金が二千二百五十万ですか、これは当然追徴の対象にならなきゃならぬわけですけれども、これは政治献金として寄附をしたと、それから田中に係る分については、田中個人がこの会社に三百五十万ですか、返すと、こういうようなことで、これは租税追及ができなかった、こういう記事があるんですけれども、いかがですか。
  32. 冨尾一郎

    政府委員冨尾一郎君) 先生の今御指摘のありましたことにつきまして、調査内容にわたりますことは個別の問題でございますので、御勘弁をいただきたいと思いますが、一般論として申し上げますと、法人が特定の個人の費用を負担した場合にそれがどのような扱いになるかということを若干申し上げさしていただきますと、政治家の政治活動のための費用を負担したということになりますと、税法上は寄附金として扱われますので、寄附金としての限度計算を行って、その寄附金をした会社に課税をするかどうかが決まるわけでございます。一方、これの利益を受けた、つまり費用の便益を受けた政治家の場合には、これはいわゆる政治献金と同じ扱いでございまして、私どもとしては、これを政治家の雑所得の収入金額というふうに見るわけでございますが、一方、その収入した便益ないし金を全部政治活動のために費消してしまったということになりますと、雑所得の金額としてはゼロということになりますので、通常課税問題は生じない、このような扱いになっております。
  33. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そういうことになれば一般論ですから、一般の方々が同じようなケースをとっても租税追及はできないということを国税庁がお認めになった。  逆さ合併というのは、率直に言って、これは明らかに税金逃れということは、あなたたち調査研究していけばわかっておることは事実でしょう。しかし、もう現実にこれはなくなりましたね。その節税工作が終わった途端に新潟遊園もなくなったでしょう。これは合併をして消えてしまった。こういったようなことが平然と行われて、そしてそれが、今あなたが一般論で申されたように、自由にできるんだということになれば、これは私はやっぱり同じ現象が世間に蔓延するんじゃないかと、そう思うんですが、世間の皆さんはそう見てないんです。元総理だったからそういう措置をとったのだ、一般だったら税務署がこんなことはあり得ぬ、こう言っておる。いかがですか。
  34. 冨尾一郎

    政府委員冨尾一郎君) 先生の今御指摘の点は二点あろうかと思いますが、第一点の費用を負担したことにつきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。  それから、逆さ合併の問題につきましては、前回にも先生に国税庁の方から御答弁を申し上げておりますけれども、赤字会社が黒字会社を吸収するいわゆる逆さ合併につきましては、それ自体で直ちに税法上どうこうということはございません。ただ、私どもといたしましては、そういう合併が租税回避を図ることだけを目的として行われたと認めるときにはこれを否認し、課税をしたという事例はございます。  こういうことで、私どもとしては、逆さ合併につきましては、合併法人がどのような規模の事業活動をしているか、ないしはどのような資産を保有しているか。つまり実体のある会社であるかどうかということを第一のポイントとして考えておりますし、第二のポイントとしては、その合併自体に、例えば営業権の承継であるとか、いろいろ合理的な理由があるかどうかということを検討さしていただいております。三番目には、合併の当事者双方がいわゆる同族的な色彩の強い会社であるかどうかということなどの個別事情を考慮いたしましてやるというふうに、私どもとしては、国税庁の内部におきまして、会議等を通じまして第一線まで周知をしているところでございまして、このような方針で、どのような納税者の場合におきましても課税の公平という見地から、私どもとしては公正に取り扱うように指示をいたしておるところでございます。
  35. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 でしょう。ですから、私が言ったように、この問題、新潟遊園東京ニューハウスという逆さ合併、これは去年の行革特別委員会のときにも、それから五十七年の決算委員会でも私追及しましたが、この中でも強調したように、明らかに節税目的のための合併だ、そういうことで厳重な調査をしなさいということで私は追及したつもりなんですね。それが事実として証明されたじゃないですか。今度は、この行為が終わったら新潟遊園そのものも解消する、こういうことが元総理であるがゆえに許されるということについて私は我慢できない。これは、私は国民の声だと思うんですよ。そして、一般の場合は、今あなたがおっしゃったように、一概に逆さ合併そのものが合法とは思わない。その経緯を含めて調査をして、そしてそこにはきちっと課税をしておる、こう言っておる。  ですから私は、こういうあり方から、例えば五十五年から五十八年、大手七商社と言われる三井、三菱、住友、丸紅、日商岩井、こういう大商社が、例えば三菱のように十六兆円の収益を上げながら法人税はゼロ、今度は税務調査に入ったら五十四億追徴した、こういうことがまかり通っていくわけですよ。その国税庁の姿勢に私は問題がある、そう思うんです。私はやっぱり税の多寡よりも、むしろいかに公平であるか、このことが基本でなきゃならぬと思うんですよ。そういう国税庁の姿勢について私は承服できない。  きょうは本題でございませんからこの程度にとどめますが、大臣、国家公安委員長でもありますが、こういう事態が一審有罪で、しかもこの中にはちゃんと、当事者は田中元総理からそういう示唆を受けたと、こう言っている。こういうことが一審有罪の中で繰り広げられているという事実、こういうことについて国家公安委員長として一体どういう認識を持っておるのか。公安委員長と言うのがいいのか、もう新自由クラブの代表じゃなくなっちゃったわけですから、自治大臣と言うのがいいのか、いずれにしても御見解承っておきたいと思うんです。
  36. 田川誠一

    ○国務大臣(田川誠一君) 国会議員という身分あるいは元総理大臣あるいは元閣僚、こういうような高い地位にある者ほど身辺はさらに清潔に保っていかなければならない。そういう中にいろいろ疑惑が出てくるということ、そういう事態そのものが政治に対する信頼感をなくしていくもとになると思います。  そういうことから、先ほど佐藤さんが御指摘になられた具体的な問題は私もよく存じません、新聞あるいは雑誌等で読むだけでございますが、こういう疑惑が仮にあるとすれば、これは捜査当局はもちろん、税務当局、こうした当局は厳正に、地位が高ければ高いほど一層厳正に対処していかなければならない、こういう考えを私は常々抱いているわけでございます。私は国家公安委員長としては就任当初から、あるいはまた同僚の国家公安委員の皆様方とともに、巨悪ほど、大きな悪ほど精力を傾けてこれを取り締まっていかなければならないし、また政治に警察が左右されるようなことがあっては断じてならぬと、こういう決意のもとに、国家公安委員長として今日まで努めているわけでございます。私は、三井長官初め警察幹部の皆さんも大体私どもと同じような姿勢でこういう問題に取り組んでいるものと信じているわけでございます。
  37. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 大臣の決意をお伺いして、ひとつぜひそういう立場を堅持してもらいたいと思うんですが、ちょうど三井長官もいらっしゃいますから、この件、今お話ししたような内容なんですけれども、私はやっぱり刑事事件としても立件すべきじゃないかと思うんですが、警察の考え方、態度をお聞きしたい。
  38. 三井脩

    政府委員三井脩君) 犯罪の容疑がある場合には、もとより警察としてはこれを捜査し、処理をするというのはもう基本的な任務でございますので、常々そういうことでやっておるわけでありますが、本件の具体的なことについては具体論でありますから、これはまた別といたしまして、今大臣からもお答えに。なりましたが、私たちはそういう姿勢で、そういう方針で臨んでおります。
  39. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 きょうはこの程度にとどめますが、私は、これはもうずっと追っかけておりますから、また再々ひとつこの問題でただすことあると思います。国税庁結構です。  そこで、本題に入りますが、まずきょうは衆議院の三先生方、お忙しいところ、大変どうもありがとうございました。せっかくでございますから、その問題から先に入りたいと思うんです。  衆議院で御審議いただいて、御努力いただいて、この法案に対する修正点が三つですか。その三つと合わして、それにかかわる附帯決議が十二点ございますね。この中で、どういう御理解でこの修正をなさっておるのか、若干十七日の議論とかみ違うように私感じましたので、内容を含めて御説明いただきたい。とりわけ立入検査の問題であるとか、それにかかわる附帯決議ございますね、こういう点についてお聞きしたいと思います。
  40. 小澤潔

    衆議院議員(小澤潔君) お答えをいたしたいと思います。  ただいま佐藤先生から衆議院における修正の内容、そしてまた、警察職員の立ち入りについての附帯決議、このような点について御質問がございましたので、お答えをいたしたいと思います。  なお、今回衆議院におきましては、自民、公明、民社、三党の共同提案ということにも相なっておりますので、きょうは公明からは草野先生、民社からは岡田先生、一緒に私と参っておりますので、私の説明も不足があろうと思いますので、もしあれば補足説明もお願いをいたしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  まず、修正の内容について御説明申し上げます。  衆議院における修正内容の第一点は、ゲームセンター等への十八歳未満の者の立入禁止の時間についてであります。  政府原案におきましては、風俗営業の許可対象となっておりますゲームセンター等に十八歳未満の者は午後十時以降は立ち入らせてはならないこととしておりましたが、少年の健全な育成を図る見地から、十八歳以下の条例で定める年齢に満たない者について、条例で午後十時前の時を定めたときは、その者については、その定めた時以降は立ち入らせてはならないことと修正いたしました。  第二点は、風俗営業者等に対する管理者の助言及び指導の遵守義務及び管理者の解任についてであります。  政府原案におきましては、風俗営業者等は管理者の助言を尊重し、または指導に従わなければならないこととしておりましたが、管理者の助言または指導の遵守義務者を明確にするため、風俗営業者またはその代理人は、管理者の助言を尊重し、その使用人その他の従業者は、管理者の指導に従わなければならないことと修正いたしました。  また、政府原案におきましては、公安委員会は、風俗営業者に対し、管理者の解任を命ずることができることといたしておりましたが、営業の自主性を尊重して、公安委員会の命令を勧告と修正いたしました。  第三点は、警察職員の立入検査等についてであります。  政府原案におきましては、公安委員会は、警察職員に風俗営業者等の営業所に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させ、または関係者に質問させることができることとしておりましたが、この部分を削除し、これにかえて、現行法の規定に即して整備することに修正しました。  このほか、これらの措置に伴い、所要の規定の整備を行っております。  以上が衆議院における修正の内容であります。  次に、警察職員の立ち入りについての附帯決議がどのような理由でなされたかということでありますが、お答えをいたしたいと思います。  衆議院では、立ち入りについて次の附帯決議をつけております。   警察職員の立入りに当たっては、次の点に留  煮して、いやしくも職権の乱用や正当に営業し  ている者に無用の負担をかけることのないよう  適正に運用すべきであり、その旨都道府県警察  の第一線に至るまで周知徹底すること。  1 報告又は資料の提出によってできる限り済  ませるものとするとともに、報告又は提出書類  等については、法の趣旨に照らし必要最小限の  ものに限定すること。  2 本法の指導に当たる旨を明示する特別の証  明書を提示するものであること。  3 本法の運用に関係のない経理帳簿等を提出  させ又はみることのないようにすること。  4 立入りの行使は個人の恣意的判断によるこ  とがあってはならず、その結果は必ず上司に報  害してその判断を仰ぐものであること。  これは立ち入りの重要性にかんがみて、政府に対して特にその運用の適正を求めたものであります。  終わります。
  41. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 三番目の修正の、立ち入りの問題で、検査、質問を削除して、そこを削除してかわりにどうなったですか。現行法云々と言っていましたが、そこはどういうことですか。
  42. 小澤潔

    衆議院議員(小澤潔君) お答えをいたしたいと思います。  政府原案では、公安委員会警察職員に風俗営業者等の事務所に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させ、または質問させることができることとなっておりましたが、このような規定の仕方では、現行法の立ち入りに比べましてその範囲が拡大するのではないかとの疑念がありましたので、このような疑念を解消する目的で、本修正案ではこの部分を削除しまして、これにかえて、現行法の立ち入りの規定に即して整備した規定を設けることといたしました。  右の結果、経営状態の把握の目的からする会計帳簿、経理書類の検査や保健衛生上の見地からする調理場の検査が本法の立ち入りに含まれないことが明確になりました。  次に、政府原案では、第四十九条第六項第六号の規定により、帳簿、書類その他の物件の検査についてこれを拒み、妨げ、忌避した者に対して刑罰に処する旨定められているため、この刑罰の対象となる行為の範囲が現行法の範囲よりも拡大するのではないかとの疑念がありましたので、罰則規定の部分についての本修正案では、現行法の規定に即して整備することとし、このような疑念を解消いたしたところであります。
  43. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 どうもありがとうございました。  そこで、警察庁にお伺いしますが、今の修正案の内容の中で、十七日の答弁だったと思いますが、鈴木さんの答弁だったと思うんですが、この削除によってどういう影響が出るのか、こういう問題の質問だったと思うんですけれども、あなたの答弁の中では、現行法の中でも当然立入検査もできるんだと、こういうような答弁じゃなかったかと思うんですが、本法並びに本法の施行条例の実施のため必要な限度で検査をし、または関係者に質問することができるものと解される、立ち入った後に犯罪事実を認知した場合は刑事手続をとることは差し支えないと解されるというようなことが趣旨だったと思うんです。それから見ると、この本文が現行法に戻ったということは、戻ったことによって資料提出ができなくなったり、それから検査ができなくなったりすることではない、そういう意味ではこの問題についてはそう変わりはないんだと、こういう説明じゃなかったかと思うんですが、いかがですか。
  44. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) 立入検査はあくまでも行政目的のためにするわけでございまして、この法の施行に必要な限度で行うわけでございまして、現行法におきましても、この行政目的を達成するために必要な限度で立ち入りが可能であり、また、その立ち入りで何ができるかということにつきましては、必要な限度で帳簿、書類その他の物件を検査あるいは関係者に質問するということは可能であるという解釈でやってきたわけでございます。  ただ、あくまでもこれは行政目的でやるわけでございますから、刑事的な犯罪捜査という形でやるものではございません。したがいまして、立ち入りをやりますのは犯罪捜査ということでやるのではないということだけは今度の法律でもはっきり明示をしているということでございます。
  45. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そうすれば、原案の事項、これは行政目的じゃなかったんですか。
  46. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) これは行政目的でございまして、変わるものではございません。その点を明確に改正法案では書いたということでございまして、その点の解釈は変えておりません。
  47. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 だから、あなたの答弁を聞きますと、立ち入りして行政目的を達成するためにやる検査もしくは質問、これを原案は明文で書いたと、したがって、明文を取ったからといって何ら実際行為は変わらない、こういう御理解であるというように思うんですが、そうですか。
  48. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) おっしゃるとおりでございます。
  49. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そういうことなんですが、これは修正提案者の皆さんもそういう共通の認識ですか。
  50. 岡田正勝

    衆議院議員(岡田正勝君) お答えをいたします。  私ども共同修正者の基本的な意思といたしましては、先生も御承知のとおり、憲法第三十五条にその精神がうたわれておりますように、「何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第三十三条」、これは現行犯でありますが、「の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。 捜索又は押収は、権限を有する司法官憲が発する各別の令状により、これを行う。」と、この精神を曲げてはならない。営業の自由、そして個人的な人権、こういうものを侵してはならないという精神に立脚をいたしまして、この政府提案の原案修正に踏み切った次第であります。  警察庁の方のお答えもいろいろ先生お聞きになっていらっしゃると思いますが、私どもも同様の実は疑念を持っておりましたので、現行法の精神と変わりがないというのなら、何も一歩踏み込んだ、俗な言葉で言いますと、警察権限の拡大に通ずるようなことをする必要はないではないか、だから明文を切ってしまえ、削除しようというので、私どもは、立ち入り、検査、質問というところの項目に対して削除するということを三党で共同で決めたのであります。  なお、申し添えておきますが、このことにつきましては各党の皆さん方も本当に心配は共通でございましたので、熱心にこの問題は特に検討いたしまして修正をさせていただいた。  それだけではまだ足らぬのではないかというので、これは余分ではないかと思われるのでありますが、附帯決議事項の第十項の中に四つほど項目をくどいほど挙げまして、このことを念押しをしたというやり方をしたのでございます。  これが修正案をつくりました私どもの意思でございます。
  51. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 私も実際、修正なさったことについては大変よいことだと思いますし、心配が一つとれたかと思っておったんです。ところが、附帯決議にまた四つほど、今先生おっしゃったようにおそれがあるということを含めてでしょう、つけられてきて、そこで疑問を持ったわけですけれども、これはどう考えても、今鈴本部長が言うように、今までできたことを原案は明文化した、したがって、取れても今までと同じことは、この明文に書かれておる内容についてはできるんだ、ですからその分については支障はない、そういうことがあって附帯決議をつけたのか。今先生がおっしゃったように、憲法三十五条を含めてですね、三十三条ですか……
  52. 岡田正勝

    衆議院議員(岡田正勝君) はい。
  53. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 含めて、この問題について、令状なしにそういう帳簿を何人も調べたりもしくは踏み込んだり、そういうことは許さない、こういうような観点で修正に当たったのか。そこら辺が疑問に感じましたから質問したんですが、草野さんどうなんですか。この点については。
  54. 草野威

    衆議院議員(草野威君) 先ほども答弁ございましたけれども、我々も実はその点を大変心配いたしました。そこで、現行の第六条とそれから原案を比較いたしまして一体どこが違うんだろうか、全く同じなのかそれとも違いがあるのか、そういう点につきまして我々も非常に疑問を持ちまして、この問題については詰めてまいりました。  そこで、先ほど小澤先生の方からも答弁がございましたように、現行法の立ち入りに比べましてその範囲が拡大するんじゃないか、こういう疑念を我々は強く持ったわけでございまして、それであるならば、この際この原案についてのこのような文言は明確に削除した方がいいのではないか、こういう観点から削除をさせていただいたようなわけでございます。  それともう一点は、この附帯決議との関連の問題でございますけれども、やはり業者の立場からしますと、警察官が、例えば悪い意味でとりますと、恣意的に立ち入りを行う、こういうことになりますと業者の方も非常にこれは迷惑でございますし、困る立場にあるわけでございます。そういうことで、できるだけその立入検査を少なくするためにも、報告だとか、また資料の提出によってそれをカバーした方がいいのではないか。しかも、それも法の趣旨に照らして必要最小限度のものにすべきではないか。このような観点から修正と、また附帯決議をさせていただいたようなわけでございます。
  55. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 やっぱり三先生方の修正の意思は、さっきの警察庁鈴木さんの答弁を聞きますと、生かされていないというような感じが私はするんですが、警察庁いかがですか。
  56. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) 私どもがいろいろ衆議院の段階でお聞きをいたしました内容は、帳簿、書類その他の物件を検査させるというところが、場合によると関係のない帳簿等まで入ってくるのではないかという御疑念が大分おありになったような感じでございました。この点は、私の方は衆議院段階でもいろいろ御説明をいたしまして、この三十七条の頭は「この法律の施行に必要な限度において」行うということを書いてございます、したがいまして経理帳簿等、関係のないものを見るということはいたしませんと、こういうふうにお答えを申し上げたわけでございます。ただ、こういうふうに明文で入りますと、その点が心配になるのではないかというお話がございまして、私どもはあくまでもそういう関係のない帳簿までを見るというつもりは全くございません、現行法と同じ考え方でこの改正案をつくったものでございますということで御説明したわけでございまして、それなら現行法の書き方に戻してもいいじゃないか、こういうふうなお話があり御修正がなされた、こういうふうに考えておるわけでございます。
  57. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 しかし要約すれば、現行法でも帳簿の閲覧もしくは資料の提出、検査、それに必要な質問、こういうことはできる。衆議院の方は、附帯決議の内容を含めて推察しますと、それでは困る。三十七条ですか、勝手にやられたのでは困るということで、そして修正したんだと、こういうことでございますが、これはしかしどうでしょうか、小澤先生、警察庁の今の答弁を是認できますか。
  58. 小澤潔

    衆議院議員(小澤潔君) 私は先ほども申し上げたところでありますが、立ち入りに関する修正、政府原案との差異の問題だろうと思いますが、経営状態の把握の目的からする会計帳簿、経理書類等の検査や保健衛生上の見地からする調理場の検査が本法の立ち入りに含まれないことが明確になったことを御報告申し上げたいと思います。
  59. 岡田正勝

    衆議院議員(岡田正勝君) 佐藤先生に冒頭にちょっとお断りを申し上げますが、先ほど三十三条のときにはいと言ってうなずきましたが、あれは間違っておりました。三十五条でございます。失礼いたしました。  先生御心配の趣きというのは私どもも共通の心配事項でありましたから、特にこの点に念を入れて、疑義が残らないようにという精神で実は修正をさせていただいた。さらにそれを念押しするために附帯条件をつけさせていただいたわけでありまして、現行法の精神の問題でありますが、現行法におきましても、この現行法でそれでは立ち入り、検査、質問が本当に全部できるのかということになってくると、これはまた解釈が二つに分かれてしまうところでございます。  それで、今回この政府原案でそれを明確にさせるために、いわゆるいろいろ解釈の仕方がある、言うならば真反対のような解釈の仕方もあるというので一これを明確にさせるため、いわゆる立ち入り、検査、質問というふうに文言を明確化して政府はお出しになったと私どもは解釈をしたわけでございます。  現行法でも、先生御承知だと思いますが、現場におきましては、やっぱり第一線の皆さん方は立ち入りはいたしましても、帳簿の検査あるいは質問というようなことはできるだけしないようにという自制を持って働いておられることも事実でございます。それは今現行法の解釈がいろいろあると申し上げましたが、いやそれは一切全部立ち入りも検査も質問も現行法でできるんだという説もあるかと思えば、いやそうではないよという解釈もあるのでありまして、今回の政府がお出しになった部分はそれを明確にしようという御意思があったんではないかと我々は受け取っているのであります。それを明確にさせたら警察権限の拡大にこれはもうつながってしまうというので、これをはっきりと削除しなきゃいかぬという趣旨で削除したのでございますから、私どもはこの修正案と附帯決議で十分に警察権拡大のいわゆる歯どめはできたというふうに信じて修正をし、附帯決議をづけたという次第でございます。  誤解のないように申し上げておきます。
  60. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 私は誤解もしてないんですけれども、誤解してないから気になって、お忙しい中をおいでいただいたんですけれども、先生方のお話を聞きますと、今一口で言えば、先生が締めくくったように、これによっていわゆる立ち入りの一番問題である検査、書類提出、質問、こういうことが事実上なくなった、こういうことなんですが、警察庁の方は、今までできたことを明文化しただけであって、それが取れても今までの解釈はできるという、調査も資料提出も質問も、これに関してはできるんだということにはちっとも変わりないということの議論のように私は思うんですね。  ですから、これは何で附帯決議が四つついたのかなと思えば、警察庁の言う主張の方が正しいかなというような感じがしますね。今先生おっしゃったような内容になれば、やっぱり明文上きちっとすれば、それはすっきりすると思うんです、この問題は。ところが、「立ち入ることができる」という原文に戻って、その中身については、規制的な問題は附帯決議以外に出ていないんですね、法文上。ですから、ちょっと私も判断に苦しんだんですが、今警察庁の意見も聞いてみますと、要約して言えば、修正案によって――附帯決議じゃありませんよ、修正案によって、今までの立ち入りでできたこと、このことについては現行どおり自由にできると、こういう解釈になるんじゃないかというような感じがするんですが、そういうことでよろしいですか。
  61. 岡田正勝

    衆議院議員(岡田正勝君) ここが一つの争点だと思うんですが、私どもの修正案を出しました意思というものは、現行法で立ち入り、検査、質問、それが全部できるんだ、大手を振ってやれるんだというのであるならば、何で今度の政府原案のようにわざわざそれを、立ち入り、検査、質問という文言に書き改めて出さなければならなかったのであろうかということであります。そこが争点でございますね。  だから、それはできるという解釈がある、いや現行法ではそれはできませんよという解釈があるが、何と言っても憲法の精神を重んじなさいよという大前提があるということから、やっぱりそういう疑惑といいますか、そういう面倒くさい解釈の違いを取っ払って、この法律で明文化しようというねらいがあったのではないかということを私どもは実は酌んでおりまして、これはいかぬ、これはやっぱり削除すべきだというので、各党一致いたしまして削除するということにしたのであります。  しかも「立入検査等」というその項目は「立入り」ということに改めまして、検査も切ってしまいました。そして、その中の項目は一項目でありましたが、わざわざ二つの項目にセパレートいたしまして、それで、まず第一にいわゆる報告、そして資料の提出を求めることができるということで、ここで歯どめをかけて、報告と資料の提出があったことによって、それを見て何も問題がなければ立ち入りの行為に及ぶことはないじゃないかというので、二項目にいわゆる警察職員の立ち入りというのを分離したという精神も、この法文を変えた作文上の理由も、私どもの心配をそのままあらわして、セパレートして、資料とそして報告、それだけでとにかくやめなさい、そこから先立ち入りをするというようなことはむやみやたらにすべきじゃないということの精神を私どもはあらわしたつもりでございまして、これは衆議院の段階におきましても、質疑討論の中でずっと平行線で走った問題であります。それなるがゆえに我々が一番心配をして、ここにくどいほど附帯決議にまで盛り込んでくぎを刺した、こういうふうに私どもは考えております。
  62. 草野威

    衆議院議員(草野威君) 今回田先生からお話あったとおりでございますが、この立ち入り権の問題につきましては、昭和二十三年以来立ち入り権についてどのような議論が行われてきたか、どのような解釈が地方行政委員会で行われてきたか、こういう点につきましても、私どもも若干調べてみました。その限りでは、先ほど警察庁から説明がございましたけれども、立ち入り、検査、質問、これらについて明確にできるという、そういうような答弁はなかったように私は記憶しております。したがって、今回法改正によりましてこれらの点を明文化した警察の意図というのも、やはりそこら辺のところを心配をされまして、このように明文化をされたんじゃないか、このように我々は判断をいたしました。  そこで、問題になることは、確かに今までの立ち入り権についてもある程度のことはもちろんこれはできると思いますけれども、ただ職権乱用等によりまして本法に全然関係のない帳簿類まで検査するような、そういうことがあってはならない、そういう意味を含めまして附帯決議の中に盛り込ませていただいた、こういうわけでございます。
  63. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 両先生の説明はすごく明快にわかるんです。  警察庁、今の両先生の答弁のように、報告と提出がされれば一切立ち入りしないという前提で修正案ができておると、こういう理解でいいわけですね。
  64. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) その前に若干補足をさしていただきたいと思いますけれども、この立ち入りにつきましての議論というのは確かに余り行われておりませんが、この法律ができました二十三年に政府側としては、立ち入りはどういうものかということをお答えをしているものが一つございます。それは、「立ち入りの意義でありますが、営業所の現場に臨みまして、行政上の目的をもって視察、検査することであります。」という説明を二十三年の六月三日、衆議院治安及び地方制度委員会における間狩説明員、当時防犯課長でございますが、その説明で申し上げておるということが一点ございます。あとは確かに余り立ち入りについての議論は行われておりませんことは間違いございません。一点だけちょっと追加をさしていただきます。  それから報告、資料の提出の問題ができる限り先行することが望ましいと私どもも考えております。それは、ただ報告、資料の提出が一切先行するということではないと私どもは考えておるわけでございまして、その点はこの附帯決議の十の1にございますように、「報告又は資料の提出によってできる限り済ませるものとするとともに」、ここにこの思想が出ておる、こういうふうに考えておるわけでございます。「報告又は提出書類等については、法の趣旨に照らし必要最小限のものに限定すること」ということもつけ加わっております。報告または資料の提出の問題は、ここの十の1にあります解釈で私どもはいくべきである、こういうふうに考えております。
  65. 志苫裕

    志苫裕君 ちょっと関連。  衆議院で御努力いただきまして、今、岡田先生、草野先生のお話聞きますと、修正者の意図は大変明確にわかるわけです。法律ができますと、これはまたこれでだれかがこいつを運用するわけで、そこでまた解釈が行われる。その場合に我々は、岡田先生や草野先生から今お話がありましたように、修正者の意図が有権解釈だ。改正案そのものは政府がいろいろなことを考えて出したんでしょうけれども、それを直したわけですから、それはこういう意味だよとくどいほど言って直したのでありますから、それはやっぱり修正者の意図がこれは有権解釈になる。これを警察庁が確認をすればよろしいんです。  ところが、確認するかというと、いや別に削られても変わらぬのですということになりますと、何のために衆議院で修正したんだと言って、修正した方は腹を立てますよ。そこのところが割り切れないんで、今ほど、非常に明快に草野先生、岡田先生お話しになりましたが、それを有権解釈として受け取っていいんですね、警察庁
  66. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) 先ほど申しましたような御趣旨いろいろ承りまして修正が行われたわけだと理解しておりますけれども、現行法の解釈の問題に結局なるわけでございます。  それは、要するに現行法に戻そうということでございますから、現行法の解釈がどういうものであるかということは従来からの運用、判例-判例というのは余り出ておりませんけれども、そういうものの積み重ね、今後の司法的なチェックの問題ということになってくるわけでございます。そういうもので今後運用さるべきものと、かように考えております。
  67. 志苫裕

    志苫裕君 修正者の御意思は、先ほど言われましたように、片や憲法三十五条もにらみながら、それと今さまざまな警察権限の拡大などということにも懸念をしながら政府が出したものを実は直したのだということを明確にしておるわけです。それは、当然のことながら現行法にも若干あいまいなところがあるので、そのことも当然触れておるわけです。  だから、現行法に関する解釈が及んでおるとすれば憲法三十五条もにらめということをちゃんと言っておるわけですから、当然のことながら、「警察官」が「警察職員」になったり、「必要な限度において」という文字が入ったり、幾らが変わりましたね。文言は変わっていますが、三十七条を改めて読むときもやっぱり現行法と言っても、これは新しい条文なんだ。政府の改正案に対して新しい条文を衆議院でおつくりになったその立法意図はこれだということを明確になさったわけですから、それを有権解釈としてしなければだめですよ。その点どうです。
  68. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) 憲法三十五条のお話が出ましたけれども、私どもは現行法も改正法案も憲法三十五条の趣旨には反しないというふうにたびたび衆議院でもお答えを申し上げてきておるわけでございます。  この規定は原則として刑事手続について適用されますけれども、最高裁の判例によりまして、刑事手続に類似いたします行政手続にも適用され得るということは私どもも承知をいたしております。  最高裁の基準によりますれば、次の条件を備える手続には適用されないということが明確になっております。それは、刑事責任追及目的の手続でないこと、刑事責任追及のための資料収集に直接結びつく作用としての性質を一般的に有するものでないこと、それから強制の態様が間接強制であること、その四に、その行政目的達成の手段として不合理と言えないこと、こういうふうなことには適用されないという解釈が確立しておるわけでございます。  そういう形で私どもは改正案もお出しし、御検討もいただいておる。その過程におきまして、特に帳簿等の関係におきまして、関係のない帳簿等について御懸念があるというようなことが出てまいりました。それでは私どもの方は現行法の解釈としてやれる形に戻していただきますということで、現行法の形に戻したわけでございます。  もちろん、現行法の形に戻りますと何も帳簿等の検査が自由にやれるとか、大手を振ってやれるとか、そんなことを申し上げておるわけでは当然ないわけでございまして、この法律の施行に必要な限度において運用ができるというふうに解釈をいたしておるわけでございます。もちろんその運用には慎重にやっていかなければならぬわけでございますが、附帯決議等の御意見も踏まえまして、慎重に適正に運用してまいりたい、かように考えております。
  69. 志苫裕

    志苫裕君 どうもあなたごたごたごたごた言うが、結局あなたの言葉はけしからぬよ。そんな御意見もありましたので現行法のところに戻しましたと言っているが、戻したのはあなたじゃないんだ。衆議院がちゃんと直したんであって、おたくの方が戻したのでも何でもないんで、立法府の意思を明確にしたんだ。しかし、どうもあなたの言うことを聞いていると修正に異議ありという感じなんだ。まあ直されたようだが、おれの根情変わらないと、こう言っている、さっきから。それじゃだめなんだ、これはやっぱり修正の意図がちゃんと酌み取られた解釈を確立をしなければ。その点長官どうですか。
  70. 三井脩

    政府委員三井脩君) 現行法でやっておることを今度の法案ではもっと明確にしようというように考えたわけでありますが、これは、現在の法律は二十三年でありますから、最近の立法例ではそういう方向で処理されておるというようなことも参考にしたわけであります。したがいまして、私たちの気持ちは、これによって新たに警察の権限がつけ加わるというようなことは毛頭考えておらないわけでございます。  さっき憲法三十五条との関係でもお話がありましたけれども、ああいう規定は犯罪捜査のためのものではないというようなことはなくても、憲法上当然のことなんです。しかし、こういう訓示規定が明確にあるということは、法律の実際の運用上、またそれは意味があるだろうと、こういうような最近の立法例に倣いまして明確にした、こういう性質のものでございまして、そういう意味におきましては、この修正の意味も、何か一歩前進したように受け取られるということでありましたから、前進しないんだと、こういう立場で御修正になったと、こういうことで現行法の枠をもともと一歩も出ようという考えなしにつくっておる、法案では一応そういう成案で得たわけでありますので、私たちは、今保安部長が言いますように、警察権限には増減がないと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  71. 志苫裕

    志苫裕君 あなたは増減がないと言うんですけれども、現行法にもいろんな見方があるという岡田先生のお話でしたね。それらのことも含めてきちっと枠をかけてあるんですよという立法者の意図を表明しているのに、もともとふやそうとも減らそうとも考えたわけじゃありません、修正なさっても増減なし、改正案が通っても増減なし、現状においても増減なしと、これは一体どういうことなの。いろいろさわったが増減なし、衆議院で半月もやったが増減なし、そんなばかなことはない、これは。それはやっぱりそれなりに御議論をなさって新しい条文を立法府が書いたんですから、その意思がそこには通うんじゃないですか。そうでなければ、それは私らの方でもう一度何かしなきゃならない。
  72. 三井脩

    政府委員三井脩君) 現在の法律に含まれている意味をまた新たに明確にして、項を起こしたり条文を起こしたりというようなことで明確にするというふうなことは、立法技術も進んでまいりますから、三十年もたって改正するわけでありますので、そういうことがあっていいと思うわけでございます。したがいまして、現行条文が大変簡潔にできておりますので、疑念がないように念のための規定を明確に入れたと、こういうことでございます。  じゃ、明確に念のために入れた規定を取ればもとの規定がへっこんだりふえたりするのかというと、それはそうはならないと、こういうことでございまして、ただ、入れる入れないは法律の運用上は、単にこの法律さえ見れば、捜査の目的は何々と書いてあるわけですから、憲法を見なくてもこの法律を見ればいいと、こういうふうにあるわけですから、これ書いてあった方がわかりやすいと、こういう立場で書いたわけでございますけれども、そんなものは憲法を見ればいいと、こういうことでありますから、これには今度落とされたということでございまして、内容がそのために警察官の権限がふえるというようなことではございませんという、我々はそういうふうに考えておるわけでございます。
  73. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 今やりとり聞きましたが、結果的に警察庁は、現状の条文に戻したということで現状の解釈が成り立つんだと、こういうお考えのようですけれども、これはさっきの発議者の先生方の意見は明確に違う、現状の中においてもいろいろ問題があるから、それから憲法三十五条をにらんでこの際ひとつきちっとしなきゃいかぬということで立法したんだ、こういう御意思が出されたわけです。それを長官まで否定なさるようなことは、私はやっぱり許せないと思うんです、立法府として。これはひとつこれから参議院の中でやりますけれども、衆議院の立法意図についてはよくわかりました。その意見を体して参議院でもひとつこれから審議をしてまいりたいと思いますので、この問題はこの程度でとどめます。どうもありがとうございました。  そこで長官、今いろいろやりとりありましたが、この問題はやっぱり極めてこの法案の中で重大な意味を持っておるだけに、現状に戻したということで現状の解釈が成り立っていくことにはならぬと思うんですよ。衆議院の中で、さっきのお話のように、約一カ月有余にわたってこの問題を現状を含めて議論しておるわけですから、その結果、附帯決議の中にも言っておりますように、書類の報告をまずやりなさい、そうしてそれができたところについては立ち入りをしない、これがこの立法府の意図だということはきちんと踏まえていかなきゃならぬと私は思うのです。その辺についてはあなたの方は、そうではない、現行法に戻ったのだから現行法の今までの解釈でいくんだと、こういうことでやっておりますが、もう一度この問題について長官の立法府を軽視するような発言というのは、僕は許されぬと思うんですよ。法律の施行は確かにあなた方たちですけれども、つくるのは立法府なんだ。その立法府の意図が明確に示されておるのに対して、それを事実上否定するような態度は私は許されぬと思う。いかがですか。
  74. 三井脩

    政府委員三井脩君) 法律の解釈運用につきましては、私たちは厳正に誤りなきを期するという態度で臨むわけでありまして、殊に警察は捜査権を持っておりますから、これはまた罰則にもかかわってくるというふうなことが警察業務の中では多々あるわけでありますから、我々は法律の運用は厳正に行うというのが基本的態度でございます。そういう意味におきまして、この法律につきましても、この法律の意味内容を正しく厳正に解釈をして適用すると、こういうことでございまして、解釈運用はそういうことでありますが、それについてこの附帯決議その他で、あるいは質疑内容を通じていろいろと御意見を述べられておりますので、私たちはこれは正しく運営の上に反映していきたい、こういうふうに考えるわけでございます。
  75. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 その厳正に解釈するという中身は、立法府の修正をした意図、そして内容について先ほど三名の先生からきちっと説明なさったわけですが、それを基本に置いて進めると、こういうことでいいんでしょう。
  76. 三井脩

    政府委員三井脩君) その結果、修正されてでき上がった法律――この場合法案ですが、法律としてでき上がってしまうといたしますと、その法律を全体として見まして、その法律の体系というものがあるわけですから、その法律の体系に則した個々の条文の解釈運用と、こういうことになるわけでございまして、もちろん立法者の意図というものは十分参酌はいたしますけれども、そのことが具体的な適用の問題としてどうなるかということは、この法律の体系というものを基準に判断をする、こういうことになるわけでございまして、その結果、それが正しい解釈であるのかどうかというのは、最終的には裁判所が判断をする、こういうことになる建前かと思いますけれども、私たちは十分論議の経過も踏まえまして、誤りのないようにこれはやっていきたい、こういうように考えます。
  77. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 それは長官、立法の意図というよりも、この問題の場合は修正の意図ですね。修正の意図、その経緯を踏まえて厳正に解釈をしてやっていくというのが、これがやっぱりあなたの基本的な立場でないと、これは院に対する挑戦と私は受けとめざるを得ぬですよ。法律は立法府がつくるわけです。そうでしょう。その立法府の中で、あなたたちが出してきた中でそれはいかぬ、ここはこう修正しなさいということで修正したわけでしょう。その修正者が今ここに来て言っているように、こういう意図で修正したと、こう言っているわけです。こういう附帯決議も含めてきちっとしたと、こう言っているわけです。その中身は何も現状に戻したというんじゃないんです。この意味は、新たに現状の中におけるいろんな検査に期するとかそういう実態等を踏まえて、それを憲法三十五条の基本に立って修正したんだと、こう言っておるわけなんです。それをあなたがその場で聞いておって否定するようなことは許されぬと思うんです。あなたがそれをきちっと守っていくのが長官としての任務でしょう。どうですか。
  78. 三井脩

    政府委員三井脩君) 法律の解釈につきましては、もう法律に則して間違いないようにやっていく、その間違いないように解釈していく中で、立法府での論議というものも大変意味を持っておると思いますけれども、最終的には法律を適用するという立場に立ちまして、法律の解釈運用が裁判所に行っても間違いだと言われることのないような運用をしてまいるというふうに考えております。
  79. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 僕は、後の問題とも関連しますが、その警察の態度、どうも解せないのは、例えば下位法令の問題にしてもそうですけれども、後でまたこれはやりますが、衆議院に出した内容は電報文みたいなものですね。それが参議院になったらごろっと中身を詳しく出してくる、こういうやり方もこれは後で問題にしますが、いずれにしても、なぜそれならそれで、修正したときに、今の立法ができたときに、いや、このことによって現状と変わりませんよとはっきりしないんですか。それならこんな修正なんて無意味じゃないですか。だから私は、きょうここに修正者を呼んだ。そして、修正者が一番どういう意味で修正したのかということを知っておるわけだから、この修正の経緯を含めてお聞きしたわけですよ。そうしたら明確になった。明確になったら、それを体して法律運用に当たるのがあなたの言う厳正な解釈ということになるんじゃないですか。それを無視することになれば、これは立法府で何ぼ議論してもしようがないじゃないですか。長官がそんなことを言うことになるとこれは大変な問題ですよ。もっとやっぱりそこら辺は、あなたが冒頭に言っているように、真摯な態度で立法の修正の趣旨を受けとめて、それに則して解釈をし、運用をしていく、施行していくと、こういう態度はきちっとしていただきたい。
  80. 三井脩

    政府委員三井脩君) 法律の解釈運用につきまして、これを厳正に運用するということはもう常々我々が堅持しておるところでございまして、また修正に対しましてもこれを真摯に受けとめるということもそのとおりでございます。その結果、今度の問題は、でき上がった法律の解釈運用、こういう問題に帰するのではないかと、こういうふうに思いますので、解釈運用が批判を受けないように、間違っておると言われることのないように、十分に解釈は厳正にしてやっていきたいと、こういうふうに考えます。
  81. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 長々と言うことはないんです。今言った修正者の修正の意図、内容を施行に当たって厳粛に守っていきますと、このことがきちっとできるかできぬかと聞いているわけです。
  82. 三井脩

    政府委員三井脩君) この修正は、修正の先ほど御説明がありましたが、趣旨説明にも、この問題については現行法に比べて範囲が拡大するんではないかという疑念があるためにこれを直したと、こういうふうに趣旨説明でも説明をされておるわけでございますが、私たちは、現行法を出ないと、こういうふうな立場で、ただ念のために明確にしようと、こういうふうに書いたわけでございますので、その疑念の中身というものにつきましてはそういう御心配のないようにやっていきますということを申し上げておるわけでございますけれども、それだけでは足りない、条文の形にあらわすということが大切であるという意味でこういう修正が行われたものというように考えるわけでございまして、そういう疑念が持たれたということについては、十分にこれを運用の上に生かしてまいりたいというふうに考えます。
  83. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 これは私はやっぱり重大な問題だと思うんですよ。立法府はいろんな意図を持ち、そして議論をして修正をまとめても、こういう解釈でやられたんでは修正の意味は全くない。もしくは立法の意味が全くない。ここら辺は、私はもう許せぬと思うんだけれども、大臣、いかがですか。
  84. 田川誠一

    ○国務大臣(田川誠一君) 政府の提出をいたしました原案につきまして衆議院の方で、営業者の営業の自由、少年の健全な育成、こういうようなことを配慮をされて必要な修正が加えられたわけでございますから、私どもはこういう点を十分理解をして、これから対処していかなきゃならぬと思っております。  それから、附帯決議につきましては、先ほど来修正の提案者が述べられましたように、いろいろな懸念もございますと、そういうことで非常に詳しく附帯条件が書かれておりますが、その趣旨も十分踏まえて、これからこの法案が成立をいたしました暁には厳正な運用がなされるようにやってまいりたい、このように思っております。
  85. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 私は、今大臣から御答弁いただきましたが、警察庁長官のさっきの態度では、この問題をどんなに審議したって警察流に解釈するということが主張なんですから、法律を審議しても意味はないというぐらいに思っておったんですが、今大臣からそういう回答がございましたが、大臣の回答のように長官は――実務をやるのは長官の方ですから、きちっと守れますか。
  86. 三井脩

    政府委員三井脩君) 十分審議の経過は頭に入れて我々は運用に努めてまいりたいと思います。
  87. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 この修正条文の解釈についてもそういうことでよろしゅうございますか。
  88. 三井脩

    政府委員三井脩君) 具体的な解釈の問題は、先ほど来申し上げておりますように、これはこの法律そのものの解釈と、こういうようなことでございますので、法律そのものの解釈が客観的に見て正しいものであるかどうかという立場で厳正に解釈運用をすると、こういうことでございます。
  89. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 法律そのものが正しいかどうか、そういうことじゃ、それはもう私は、きょうこれはこんな態度じゃ審議したってしようがないですよ。僕はこれはもうやめますが、そんな答弁で審議できますか。執行者は長官じゃないか。
  90. 三井脩

    政府委員三井脩君) 先ほど大臣がお答えになりましたように、衆議院において修正並びに附帯決議をつけられたわけでありますので、その趣旨を踏まえて厳正に運用してまいりたいと考えております。
  91. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 鈴木さん、あなたは不服そうな顔しているけれども、どうなの。
  92. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) 長官が申し上げたとおりでございます。
  93. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 はっきり、きちっと言いなさい。
  94. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) 長官が申し上げたとおりでございます。
  95. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 ひとつ大臣、長官鈴木さんも、きちっと言ったわけだから、この問題については衆議院の修正の経緯、それから立案に当たっての発議者の意図、こういうものが先ほど説明ありましたように、まず報告、資料の提出、これを求める、それができればもう立ち入りはしない、こういうことを踏まえて今後統一解釈をしていく一一項に書いてあるじゃないですか。(発言する者あり)
  96. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 静粛に願います。
  97. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 一項に書いてあるじゃないですか、ちゃんと。「報告又は資料の提出によってできる限り済ませるものとする」と、こうなっているわけだから、この趣旨をきちんと理解してやっていくということで確認できたと私は思うんですが、そういうことで進んでよろしゅうございますな。
  98. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) この附帯決議にありますように、「報告又は資料の提出によってできる限り済ませるものとする」ということで運用してまいりたいと思います。
  99. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 もう午前中はここら辺であれしましょうか。
  100. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君)  時間いっぱいひとつ……。
  101. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 それなら、ひとつ下位法令でもいきましょう。  この法案の特徴は、下位法令ということで委任が非常に多いんですね。衆議院段階のときには、私どもの方に提出いただいたのは見込み規定が五十四、様式が省略でございましたが二十三、こういう内容であったわけですね。ところが、参議院の審議に当たりまして、もう一遍また警察庁が配った内容を見ますと八十二もある。これは第一にどういうことなのか。衆議院段階と違ったというよりも、さらに拡大して配ってきておるわけですが、私は院の軽視にもつながるような感じがするんですが、どういう意味か。これが第一点。  それから、それらの内容を見ると、これには罰則が伴っておりますからきわめて重要事項で、本来この本文の中に入れなきゃならぬ問題がたくさん委任事項になってきておる。罪刑法定主義の観点からいっても非常に問題だと思うんですが、この点についてどういう御見解なのか。これはやはり衆議院の附帯決議を見ても、そこら辺の不安を隠し切れない内容になっていますね。そういうことを含めてひとつ御答弁いただきたいと思うんです。
  102. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) 下位法令の関係につきましても衆議院段階でいろいろ御議論ございました。なるべく早く詰めるべきだというような御意見も賜りまして、また参議院段階で御検討いただく場合に、私どもも御審議を受けながら並行していろいろ詰めてきたわけでございます。そういうことで、現時点で詰まっているものはできる限りお話しした方がいいんではないかということで、そういう点を踏まえまして資料を提出させていただいたということでございます。  それから下位法令でございますけれども、これは当然のことながら、法律の委任の範囲内で技術的、細目的なものを定めさしていただくというものでございまして、これは決して罪刑法定主義に反するものではない。こういうふうな形で技術的、細目的な事項を下位法令にゆだねるという例は多く他の法令にもあるわけであります。
  103. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 これは条例をかなり取り込んだ部分もございますから、そういう条例にかかわる部分については私はわからぬでもない。しかし、政令であるとか国家公安規則に類する中では本文に取り上げられるべき内容が下位法令にいっている部分もたくさんある。  そこで、今答弁もらってないんですが、衆議院の審議の際に出した下位法令見込み事項と参議院の審議に当たって出した見込み事項がこういうふうに違ってくるのはどういう経緯ですか、同じ法案で。
  104. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) 私ども御審議をいただきながらできる限り詰めていこうということで並行して作業を進めておるわけでございまして、なるべく詳しい方が御審議をしていただくのに役立つだろうということでまとめたわけでございまして、内容といたしましては詳しくなっている部分があろうかと思います。また、手続的な部分もできる限り、その後衆議院段階の検討も踏まえまして、詰めてまいりましたので、手続的な点でもお出しできるものはお出ししようという形で鋭意詰めたという内容のものでございます。
  105. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 一つ衆議院でこれはおかしいじゃないか、これはどうだと、こうやられると、またそれをぞろぞろっとつける、そういう格好で出てきておる。これを見ると、など、など、などに皆なっているわけですね。ちゃんと出てこれるようになっておるわけです。言われれば言われただけ出してくると、こういう仕組みになっておるわけですね、これを見ると。  私は、ここでひとつ委員長にも要求しておきたいと思いますが、「など」じゃなくて、下位法令の見込みじゃなくて、きちっとした成文をひとつ出してもらいたい。そうしないと、またこれは立法府の審議、法案が通った後で、「など」だからということでつけられたんでは、これはたまったものじゃない。そういうふうに思うんで、これひとつぜひ理事会で検討してもらいたい。
  106. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 佐藤君の御要求については、理事会で御相談申し上げます。
  107. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そこで、もう一つあるんですが、私がなぜそういうことを言うかといいますと、立法過程を通じて警察庁が各省庁その他関係業界と話を詰めていますね。その中で、例えば覚書を結んだり協定事項をきちっと決めたり、こういう内容がたくさんございます。そういう覚書や内容、これもここの審議の場に出ていない。それと、この見込み事項を見ると、これはもう大分違う部分がたくさん出てきている。ですから、そこら辺が私は疑義を持っておるわけでして、きょうは建設、通産、厚生、各省庁来ておると思うんですが、その経過と内容、覚書、こういった問題についてお聞きしたいと思うんですが、いかがですか。まず通産からいきましょうか。
  108. 綾部正美

    説明員(綾部正美君) お答えいたします。  今回法案につきまして、通産省といたしましては、大きく分けまして次の三点につきまして御相談申し上げております。  一つは、規制の対象となるゲームセンターの範囲につきまして、例えばスーパー等の大規模小売店の中に設置されますゲームコーナー、こういったものをどこまで対象とすべきかどうかといったところが一つございます。  それから第二点目がパチンコの機械のいわゆる型式認定につきまして、機器メーカーに過重の負担とならないように必要最小限度の範囲内における手続等を定めていただきたいと、こういった点が第二点でございます。  それから第三点がいわゆるポルノ映画館の規制関係でございますけれども、御案内のとおり、業界内におきます自主規制が進んでおりますので、自主規制の動向を見守っていただきたいということで御相談を申し上げた経緯がございます。  以上、大体三点でございます。
  109. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 通産省はその三点にわたっては覚書を持っていますか。
  110. 綾部正美

    説明員(綾部正美君) はい、覚書は取り交わしております。
  111. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 覚書があるかないか、建設省、ちょっと言ってください。通産はわかりました。
  112. 鈴木政徳

    説明員鈴木政徳君) 建設省におきましても、通産省が行ったのと同じように、やはり法案の作成の過程におきましては、いろいろ関係所管行政との絡みもございますので、いろいろ事務的なことを了解いたしまして、文章にして、覚書という形にして残しております。
  113. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 もう一つ、厚生省。
  114. 瀬田公和

    説明員(瀬田公和君) お答えいたします。  今回の法律の改正によりまして、環境衛生関係の営業の大部分、ほぼ百七十万施設ぐらいに当たると思いますが、その大きな飲食店等がこの法律改正を受けることによりまして影響を受けることになりますので、これらの営業の、経営の特徴というものが、先生御承知のように非常に経営規模が零細でございまして、したがって経営の基盤が不安定であるというふうなこともございまして、環境衛生同業組合というものを中心といたしまして、この法律改正に非常に強い不安の表明があったということは事実でございます。  厚生省といたしましては、法律の改正によります取り締まり強化の必要性というものについては十分認めているわけでございますけれども、また同時に、警察の規制というものが健全な営業を行っております環境衛生関係営業に必要以上に強化されないようにということを考えまして、警察庁と話し合いをする必要があるというふうに考えて話し合いをしたわけでございます。  こういうふうな考え方に立ちまして、法案協議の段階におきましては、社会的に容認されがたい、規制する必要性というものが客観的に認められるような営業というものを明確にすることに重点を置きまして話し合いを行いました。  一つとしては、接待というものをどういうふうに考えるかという問題。それから、一般旅館とそれからいわゆる同伴旅館というものをどういうふうに明確に定義をするか。またさらに、深夜飲食店の届け出対象の範囲というものをどういうふうに限定するかというふうな問題につきまして、重点的に警察庁と協議を行ったわけでございまして、それぞれ、提出されております法律案に明記されているような形で警察庁と合意に達したわけでございます。  これらの規制の対象となる営業というものは、法令上の形式上の観点からは、政令とかまたは国家公安委員会規則というふうなものに明確な定義が委任されている部分が、先生おっしゃるように非常に多いわけでございますけれども、政令または規則というものの制定の時点において再度十分な厚生省との協議をお願いしたいということで、事務的な取扱文書のようなものをつくらせていただいているというわけでございます。  以上でございます。
  115. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 時間も来ていますから、午後にまたやりたいと思いますが、今出されただけでも三省に覚書があるようでございますし、そのほかの省庁ともあるんじゃないか、また業界ともあるんじゃないかと思いますが、これらの覚書協定をこの委員会に直ちにひとつ提出してもらいたい。そうしなければ審議ができないというような感じがしますので、それをひとつ要求しておきます。
  116. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 本件の取り扱いにつきましても理事会で協議いたします。  午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時七分休憩      ―――――・―――――    午後一時二十七分開会
  117. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  風俗営業等取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。  委員長からお尋ねいたします。  午前中の佐藤委員の御質疑中、佐藤委員から下位法令のさらに具体化した内容の提出と、それから立法過程における関係省庁間におけるいわゆる覚書と申しますか、了解事項等についての資料の提出方の要求がございましたが、それについて関係省庁の提出方についての御意見を求めたいと思います。  まず、下位法令の点については鈴木安部長
  118. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) 下位法令につきましては、私どもといたしまして現時点でできる限りのことが考えられるものをお出ししたものでございまして、現時点ではこれ以上詳しいものというのは難しいというふうに考えております。
  119. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) それから、了解事項等については、午前中は通商産業省、建設省、厚生省、三省の関係の資料要求等が質疑の過程であったわけでございますが、どうですか、通商産業省。
  120. 綾部正美

    説明員(綾部正美君) 覚書につきましては、覚書と申しますのは法案作成過程におきます省庁間の折衝の結果を取りまとめたものと了解しております。したがいまして、政府提出法案の場合は最終法案の中にその結果が盛り込まれており、出す筋合いはないと考えております。したがいまして、当省としましてはお出しできないというふうに考えております。
  121. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 建設省。
  122. 鈴木政徳

    説明員鈴木政徳君) 法案をつくる過程におきまして、各省それぞれいろいろ調整事項がございます。これはあくまでも過程でございまして、その結果は法案という形で文字になりまして国会に提出されておるわけでございまして、中身は法案の中に盛り込まれているというふうに解釈しておりますので、私どもといたしましても、誤解を招くおそれのあるということから、提出はできないという考えでございます。
  123. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 厚生省。
  124. 瀬田公和

    説明員(瀬田公和君) お答えいたします。  法律改正が行われた場合におきまして、法律の施行事務というのをスムーズに行うために、私たち警察庁との間で、各段階を追っての話し合い等のスケジュールを約束しておるということは事実でございますけれども、これらの事務的な約束事というのは、政令または規則または通知というふうなもので順を追って、すべて一定の手続のもとに公表されるという性格のものでございまして、今なお中途なものでございますので、私たちといたしましては御提出することはできないというふうに考えております。
  125. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) わかりました。  速記をとめて。    〔午後一時三十分速記中止〕    〔午後二時十六分速記開始〕
  126. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 速記を起こして。  委員長から申し上げます。  佐藤委員御要求の資料要求につきまして理事会で協議をいたしましたが、その結論を申し上げます。  警察庁を初め、関係各省に申し上げます。  佐藤委員の資料要求の趣旨を体して、可及的速やかに資料の提出を求めます。  速記をとめて。    〔速記中止〕○委員長大河原太一郎君) 速記を起こして。  質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  127. 中野明

    ○中野明君 佐藤先生が要求しておられる資料、私も参考にしたいと思いますが、資料が時間がかかるというような気配でございますので、私なりに質問をさしていただきたいと思います。  本題に入る前に、けさほど来やはり御意見が出ておりました、警察庁長官に対して手紙のような形式で松橋という人から内部告発と見られるような文書が出ております。本来、これらは公に印刷物として市販されるということ自体、僕は問題だと思いますけれども、出てしまっている以上は、世間もかなり関心を持って見ておるようでございます。十二日のこの当委員会における一般質問の中でもこの問題がかなり議論されておりまして、    〔委員長退席、理事真鍋賢二君着席〕いろいろ推測の域を出ないとか、あるいは本人の思い過ごし等もあるというような警察側の意見も出ておりました。きょうは三井長官おいででございますので、最初にこの問題について、私どもはなぜ今こういう文書がというふうな気もしますが、長官に対する手紙のような形式になっておりますので、長官としての所見を述べていただきたい、このように思います。
  128. 三井脩

    政府委員三井脩君) 警察が適切にその業務を遂行するというのは当然のことでございまして、これに対してのいろいろの批判につきましては謙虚に耳を傾けていかなきゃならないというように考えるわけでありますが、今回の松橋著書は警察に職を奉じた者がいろいろの問題提起をしておるということでありますので、私たちとしては大きな関心を持つわけでございますが、ただ、あの中に書かれておりますことにつきましては、本人の性格といいますか境遇といいますか、いろいろの特殊な事情、個別な事情等もありまして、大変的外れであるというような点も多いわけでございます。そういう意味におきまして、この問題にはこういう態度。で臨みたいと思うわけでございますが、この著書に限らず、警察に対する批判というようなものは謙虚に受けとめて、改めるべきところは改めるという姿勢でございます。
  129. 中野明

    ○中野明君 特に、御承知のように最近は、警察職員の方の不祥事件が後を絶たないということで、我々も心配をいたしまして、十二日の委員会審議で、大臣も出席していただいていろいろ議論をしたわけですが、ゆうべの夕刊にも、ごらんになったと思いますが、これまた盛岡で刑事課長さんですか、飲酒運転をして民家へ飛び込んだ。それも、何か伝えられるところによりますと、    〔理事真鍋賢二君退席、委員長着席〕綱紀粛正などで話し合う会合、県下の刑事課長会議の済んだ後で何軒かお酒を飲んで、夜中にこんな事件を起こしているということですから、ここまで来ると私どもも、本当に何のためにそういう綱紀粛正ということで真剣になって議論をしているのか、ただ上のそらで聞いているだけであって、何の効果もないんじゃないかという心配を持つわけです。一連事件に関しまして、今までのとおりに同じことを惰性で行っておったのでは、どうしようもないんじゃないかという心配をしているわけです。  ですから、この際、通達とかそういうものでやられていることはもちろんでございましょうけれども、従前と同じ方式でやっておったのではもうどうしようもないという現状に警察自体が立ち至っているんじゃないか。大多数の人はまじめにやっておられるにしても、そういう人がかなりの立場の人で次々出てくるということになると、先ほどのお話にも関連しますけれども警察に対する不信、こういうものがますます募ってきて、私どもも今回の風俗営業等取締法の改正、題名が変わりましたが、こういう一つの取り締まりをするに当たりましても、一番根幹になってくる警察に対する一般市民の信頼と協力ということがすべてもとになければ、ただ一方的に取り締まるだけで効果が上がるものでもないと思いますので、句がこういうことを契機にして、新しい倫理の教育といいますか、新しい何か施策をされる必要があるんじゃないかと、このような気もいたすんですが、長官として何かお考えがございましたらお答えいただきたい。
  130. 三井脩

    政府委員三井脩君) 警察がその任務を果たすために一般の御協力が必要であり、またその国民の信頼がなければ十分その任務を果たし得ないということは、もう我々は常々考えておるところでございまして、今回の飲酒運転というのは警部という署の課長幹部であります。これは幹部に限らず、一人一人の警察官みんなが飲酒運転がいかぬということは十分心得ておるところでございますが、本件こういうふうになったということはまことに残念であると思います。  私はこういうわかり切ったことをやる、わかり切った非行を犯すという者に対しては、これは厳重に処罰する以外にないと、こう考えるわけでありまして、本件につきましても本日、懲戒免職処分をしたという報告を受けておりますが、つまり警察官としてなすべきこと、なしてはならないことというのははっきりしておるわけでありますから、信賞必罰で措置をしていく。ただ、こういうことが日ごろ十分腹の中に入っていく、浸透していくというためにいろいろの施策を実施しておるわけでありますが、その施策を精力的に、こういう事案にかんがみてさらに推進をしていくということで努めてまいりたいと思うわけでございます。
  131. 中野明

    ○中野明君 我々政治家も、大多数の政治家の皆さん方はまじめに一生懸命努力しておられるが、特定の一部の人が変な事件を起こしたそのことについて大変な不信を受けているわけです。それで国会の中にも衆参でいわゆる政治倫理協議会をつくって、今精力的に、今後そういうことの絶対起こらぬようにということでやっているわけですけれども、きのうのこの事件なんかも、そういうことを起こしちゃいけないといういわゆる綱紀粛正の誓いの会のような伝えられ方をしておりますね。だから、そういうことをやって、すぐその後でそんなことが起こってくるということは一体どうなっているんだろうかということをだれしも思うわけです。  ですから、そういうことについて、今までと同じような教育と言えば語弊がありますが、今までと同じような方式をとっておったんでは、また同じ問題が起こってくるんじゃないか。ただ悪いことをした人を首さえ切ればよろしいということも、それは信賞必罰で大事でしょうけれども、それとともに、こういうことが起こらぬために、従前とっておった施策以外に何か新しい方式をとっていかないと、体質的にというのか、構造的にそんな人が生まれやすいようなそういう環境になっているんじゃないかというふうに私たちは心配するわけですが、何か新しいことを、こういうことをやってみたらどうかというようなことはお考えになってないんでしょうか、どうでしょうか。
  132. 三井脩

    政府委員三井脩君) 警察官が職責の自覚に基づいて、なすべきこと、なしてはいけないことということを十分腹の中に入れるということを日ごろ日常的にそういうことを努める、こういうことは一番大事だと思うわけですが、そのほかは、個別に起こりました事案の内容に応じて、我々は打つべき各論的な方法があるかどうかということを検討して対策を講ずるということが大事だと思うわけでございます。  本件の場合について言いますと、この会合の後で酒を飲み、かつこれをはしごしたというところに問題があろうと思うわけでありまして、この詳細はさらに検討をしなきゃならぬと思いますけれども、この人は酒を飲む前は、飲んで運転しちゃいかぬということは十分わかっておったと思うのです。酒を飲んだらそれを忘れたと、こういうことでありますから、この人は酒を飲んだらいかぬと、こういうようなふうにしなきゃならぬのじゃないかと思いますが、そうなりますと、酒飲んでそういうくせの悪い人を分類して、この人には酒飲ましちゃいかぬというレッテルを張って内部で監督する、指導する、こういうことになるわけでございますが、その前に本人が自覚をして、自分はそういうくせがあるという者はみんなが酒飲むときでも自分は水で済ませるというように努力をしてもらう、周囲の者がそれを慫慂するというように努めるのもこの事案については一つの策ではないかと、こう思うわけでございますが、大の大人でありますから、殊に重要な職責を持って、これは公務中みたいなもんでありますから、会議の直後ということでありますから、少なくとも公務中にそういうことにならないように、今のような観点からいろいろの方策を各県各署等で考えていくように進めてまいりたい、そういう方法を研究したいと思います。
  133. 中野明

    ○中野明君 それで、警察協会というのがあるんですが、先日三十周年に行かしてもらったときに、副会長さんですか、ごあいさつをなさっておった中で、この協会はやはり警察官の識見を高めることに一つの大きな役割を持っているんだという意味のお話もしておられたようなんですが、こういう内部だけで上から伝達、教育をするということも必要かもしれませんが、こういう警察協会というような役割をもっと目的に照らして、しっかり運動してもらうといいますか、そういうことはお考えにならないものだろうかと思うんですが、警察協会の役目と、そして今後こういうものをもっと活用されたらどうかという気がするんですが、その辺……。
  134. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) 警察協会は明治四十四年に財団法人として設立されまして、国民と警察のかけ橋というような活動を行って、社会、公共の安全と秩序の維持に資するというようなことを目的としているわけでございます。  そういう関連で、例えば犯人逮捕、人命救助等に当たって災害を受けた民間の方、殉職あるいは受傷した警察職員やその遺族というものに対する救済援護活動等も行っておりますが、それとともに、御指摘のような警察官の識見を高める教育訓練援助事業というものも従来から行ってきているわけでございます。ただ、従来から行っておりますのは、比較的基礎的なといいますか、例えば警察学校の各種の教養文庫の整備拡充だとか、それから各種の機関誌コンクールとか視聴覚の教材のコンクールとか、それから柔剣道、逮捕術、拳銃あるいは白バイなんかの技術向上のための訓練とか競技大会の援助あるいは奨励というようなことが中心になってきておりますけれども、ただいまお話しのような広く警察官の識見を高めるといいますか、人間性を豊かにするというような活動には非常にふさわしい面も持っているわけでございまして、こういう伝統のある団体の援助等も得まして、こういう面についてさらに充実してまいりたいというふうに考えております。
  135. 中野明

    ○中野明君 それでは、先ほどの佐藤委員の懸案になっている問題にも関係するわけですが、私も最近特にそういうことを強く感じるんですが、これは、国務大臣でもありますし、また国会議員でもあります田川さんにも聞いてもらいたいんです。  最近の法律をずっと見ていますと、どうも政令、省令、これに委任する事項が非常に多くなってきたように感じますし、しかも政令、省令に委任するに当たりまして、委員会の審議でいろいろ、警察に限らぬのですが、質問してみますと、この法律ができ上がってから具体的に政令あるいは省令のことについて話を詰めますとか、具体的に考えますと、そういうことが非常に多くあるように私、最近強く感じます。これは、本当に責任を持って審議する側にとっては、まことに無責任なことになりまして、法律は通した、通したけれども、政令、省令は何が決まるのかわからぬままで賛成したとか、これでは本当に立法府として、果たして私たち責任を持った審議をこれでしているのだろうかという疑問を強く持ちます。同時に、行政府の皆さんのことを考えると、立法府というのはもう白紙委任をしてくれるところだというような、そういう安易な考え方で今後法律がどんどん出てきたら、これはもうたまらぬなと、こういう感じを私、強くいたします。  それで、佐藤委員もおっしゃっておりましたように、衆議院の段階から参議院の段階に来たときにはかなり政省令でも煮詰まったものが出てきているということは、それだけ話が進んできたということと私は理解します。理解しますけれども、本来ならば、そういうことはもう法律を提案する時点できちっと政省令は決まっていなければおかしいんじゃないだろうか、私はそういう気がしてならぬわけです。別の言葉で言えば、法律を出されるのがちょっと早いんじゃないか、ちゃんと政令、省令まで大体話が詰まってから法律を出してこられるというのが建前じゃないかなという感じがしてならぬのです。  ですから、私自身自分で考えてみて、これは立法府はどうも行政府にばかにされているんじゃないかなという感じを受けてみたりする。というのは、そのままで、もうとにかく白紙委任のままで通っていっている法律が随分あるような気がする。そんなのばかりじゃないですが、そういう傾向というのは、私はこれは立法府として考えなきゃならぬのじゃないかということを痛切に感じておるわけでして、いずれまた佐藤委員の要望に応じて資料も出てくるでしょうけれども、私も何かそれを参考にしていきたいなという気持ちを持っておりますが、国務大臣であり、そして国会議員である田川さんの、今私が申し上げたことについての御所見をお伺いしたいと思います。
  136. 田川誠一

    ○国務大臣(田川誠一君) 中野さんの御指摘をいただいた点は大変重要な問題でございまして、私ども一般論としては慎重に対処していかなければならない問題だと思います。  ただ、風営法に限って申しますと、非常に細かい問題がたくさんあるわけですね。そしてまた、状況に応じてどんどん変えなきやならぬ、また状況が変わっていく、それに対応をしていかなきゃならぬというような問題が幾つかございますので、そうした点で政令などに、あるいは規則などに任せるというようなことが多くなってくるんではないかと思います。  前段、中野さんがおっしゃったようなことは十分心にとめておいて、今後対処していきたいと思っております。  なお、なぜ急いでこういうものに手をつけるのだろうかという御疑念でございますけれども、これは余りこの国会の場で御発言がないようですけれども、今の有害環境のひどさというのは、これはごらんになっておわかりだと思いますけれども、これをこのまま放置していっていいのかどうかという、そういう声がやはり相当広く、また強く出ているわけですね。これはもう私ども国会で言っているのじゃなくて、例えば地方公共団体あるいは地域のお母さん方、お父さん方、こういう方々から、もう一体何やっているんだ、こういうような声が非常に強く起こっているということをひとつ御理解をしていただきたいんです。そして、今のような状態を一刻も放置しておくことはできないということでこうした法律をつくらざるを得なくなった、このことをひとつ御理解をしていただきたいのでございます。  これはもうあくまで私どもは、なるべく営業の自由を尊重し、人権も尊重しながら必要最小限度の取り締まりをやって、規制をしていかなければならない、こういう考えで対処しているわけでございます。
  137. 中野明

    ○中野明君 大臣のおっしゃること、私も理解できます。風営法に限って申し上げればそういうことは言えると思うんですが、一般的に最近私が感じておりますのは、結局、法律の準備にかかられるのが遅いのか、それとも国会の方が白紙委任で大体通してくれるからこれでいけというふうな安易な考え方になっておられるのか知りませんけれども、結果から見れば、結論から見れば、これ立法府の責任ですので、私は注意して、そういうことは特別の理由のあるのは理解できますが、白紙委任で、何か箱だけつくって中身はこっちに任せるというような、そういう法律が最近何かちょっと多いようだなという感じを受けまして、自分を含めて戒めながらお尋ねをしているわけでして、そういう点は今後もあることですが、法案を出されるときには、もう可能な限り政省令は大体格好をつけた段階でお出しになるというのが原則だろうと、こういうように思ってお尋ねをしたわけでございます。  それでは本題に入らしてもらいたいと思いますが、改正の趣旨につきまして、提案理由の説明の中には、最近、同法の対象となっている営業のほかに、あからさまに性を売り物にした産業等善良の風俗及び少年の健全な育成の上から問題の多い営業が増加してきた。そのことによる少年非行の増大と風俗環境の変化、こういう実情にかんがみてこの法律を改正するのですと提案理由で明確に述べておられるわけです。  ところが、一部に言われておりますように、この提案理由はよくわかるんですが、そういう青少年の非行防止あるいは性の素乱ということ、こういうことの改正をするねらいと直接関係のない、今回の改正で言えば、パチンコ屋さん、マージャン屋さんとか、あるいは健全なゲームセンターにまで規制を拡大していくというのは便乗ではないだろうか。こういう名目のもとに便乗して警察権を拡大して、いわゆる善良なものまで締め出していく傾向があるんじゃないか、このように言われているんですが、その点、そう思っている人がかなりおるようですが、それに対して当局はどうお答えになりますか。
  138. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) この改正案は、性の問題、特に大変野放しになり、また歯どめのきかない形になっておる性産業を中心に規制をいたしまして、そういうものに必要な規制をかけて、少年非行の防止、また少年の福祉を害する犯罪を防止をしてまいりたいということを第一のねらいといたしております。  今お話の、関係のないところの何か規制を強化しているではないかというお話でございますけれども、いわゆる風俗営業と申しております許可営業につきましては、これは本来健全に行われれば国民に娯楽と憩いを与える産業である。したがいまして、従来取り締まりというスタンスで取り組んでおりましたのを、これはやはり改めていかなければならない。業界の自主的な形での健全化を図ってもらう、そういうふうに促進してもらうような形で考えていくのが正しいだろうという形で取り組んでおるわけでございます。その一番大きな例は、実は改正案にございます十二条から十九条あたりのところ、いわゆる遵守事項と申します内容は、従来は行政処分もかかるし罰則もかかるという形になっておるわけでございます。そういうものは、例えば時間外営業だとか照度の規制だとか、そういう問題がありますが、そういうことを一つ一つ細かく直罰で措置するというのは妥当ではないんじゃないか。むしろ業界の自主的な形で御努力をいただくのが一番いいんではないかという形で、今回はそういうものを直罰から外そうというような形で考えておるのが基調であるわけでございます。  ただ、こういう業態もほうっておきまして行き過ぎができますと、これまた大変問題になるということもございます。それは大変やはり営業者の姿勢によりまして問題になるということもあるわけでございます。そういう意味で、人的な理由と条件というものも整備をしてまいりたいという形で、一面そういう形をとり、先ほど言いましたように、そういうふうな人たち努力をしていただくならば、いわゆる直罰規定というようなものは外して臨もうというようなスタンスでつくっておるものでございまして、決していわゆる風俗営業というものの規制を強化したというふうには、私どもは全く考えてないわけでございます。
  139. 中野明

    ○中野明君 今御説明になったところはそうなんですが、けさほど来衆議院の先生方もわざわざ来ていただいて修正の問題について議論がありました。結局警察権の権限の拡大につながるのじゃないかということを心配していろいろ修正がなされて、その一番大事なところは立入権のところだったように私も思います。そういうことがあるものですから、あえて申し上げているのです。  後ほど逐条的に触れていきたいと思いますが、パチンコとかマージャンとか、そういう種類のところにまで影響が及んでくるということを、当初は業界の人たちも余り知らなかったように私聞いておりますけれども、要するに性犯罪を特に重点に置いた改正だからということで、割合に自分たちには直接関係がないんだという理解を持っておられたようですが、審議に入ってみて法律をよく見ると、これはこれは大変だ、おれたちにも大変な制約が出てくるのじゃないかということで、いろいろと各方面で意見が出てくるということでありますので、そういう点、私もこの趣旨説明を見せていただいて、提案の趣旨説明を見る限りにおいては、やはり今言っているように、少年の非行の増大と、そしてあからさまに性を売り物にした産業が急激に出てきた、今までの法律ではどうしようもなくなったので、それを何とかしたいと、こういうふうにしかとれないんです。ところが中身を見ますと、かなり変わってきているということでありますから、やはりそういうことを提案の説明の中ではある程度うたわれておった方がよかったのじゃないかという気もするんです。そうしないと、何かこういう改正に便乗して権限を拡大するのじゃないかというような、そういう意見が出てくるという背景にはそういうこともあるんじゃないだろうかと、そういうことでございます。  我々もけさの修正者のお話にもありましたように、警察権限というものをこれはやたらに拡大するものでないという考え方は基本的に持っております。しかしながら、必要な取り締まりはしてもらわなければならぬ、これは当然のことでございまして、決してやみくもに絶対いけないというような、そういうかたくなな考え方は持っておりませんけれども、こういうふうなやり方で改正のねらいと違ったところにまで権限が拡大してくるという、そういう不安はやはり持たさない方がいいんじゃないか。そういう意味で、もっと提案の趣旨説明の中でわかりやすくおっしゃるべきじゃなかったかなという気がするんですが、その辺はどうでしょう。
  140. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) 私どもの方は、先ほど申しましたように、風俗営業は現在は許可営業でございますが、これにつきましては先ほど言いましたような、取り締まりというスタンスじゃなくて、自主的な健全化を図っていただくという形でいくべきであるという形で、一部規定は整備をいたしておりますけれども、それが私どもは、警察権限を強化したりあるいはこの際監督を特別に強めたりというような形で取り組んだものでは一切ないわけでございます。そういうことで、規定を整備をするという形で書いてあるわけでございます。  例えば風俗営業に関する規定の整備のところの提案理由のところでこういうふうに書いてございますのも、なるほど人的な問題、そういうものを取り上げますと、一部その点が整備されたというところもあるわけでございますけれども、大筋におきましては私どもは現行法にのっとって規定の整備をしたということでございます。先ほどお話に出ました立ち入りの問題につきましても、近時の立法例にならいまして、現行法と同じスタンスで実は規定を整備をして提案申し上げたらという経過もあるわけでございまして、そういうことで、私どもはこれが特に、今申しましたように、風俗営業に対しまして規制を強化したという気持ちはさらさらないというふうに御理解を賜りたいと思います。
  141. 中野明

    ○中野明君 それじゃ後ほどお尋ねしていきますが、余り前よりも強化になったところはなるたけ現状に戻された方がいいんじゃないかという気もいたします。  それで、私も過去の経緯は余り詳しくありませんので、風営法の制定の経緯をちょっと簡単に、風営法というのはこういうふうになってきましたということを御説明いただきたいんです。
  142. 古山剛

    説明員(古山剛君) 委員長
  143. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ちょっと申し上げます。  なるべく政府委員からの答弁に努めてください。
  144. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) この風俗に関します営業に関する規制は、戦前は各都道府県の警察の庁府県令によって行われておりました。それによりまして、風俗上の観点あるいは少年の観点から指導取り締まりというものが行われていたわけでございます。戦後、その庁府県令というものが廃止されることになりまして、やはりこれらの営業につきまして規制する必要があるということから、昭和二十三年に風俗営業取締法が制定されたという経過でございます。  その後、大小十二回の改正が行われておりますが、その主なものについて若干御説明申しますと、一つは三十四年の改正でございますが、三十四年の改正で一条の風俗営業の中に五号と六号が追加になりました。これは、五号の方は低照度飲食店と言われているいわゆる暗い飲食店、それから六号の関係は区画席飲食店、要するに場所を区切って営業するようないわゆる同伴喫茶等が問題になったわけでございますが、そういう区画席飲食店、こういうものがやはり少年問題で大変問題になったということでこの二つがつけ加わりまして、さらに深夜飲食店につきましても大変問題だということで規制の対象に加えられた。深夜飲食店が加えられたということもありまして、題名が風俗営業取締法から風俗営業等取締法ということに改正された。これが戦後の大きな改正の一つでございます。  それから、三十九年に少年非行がこのときは戦後第二のピークになったわけでございますが、このときにやはり非常に少年問題、特に深夜飲食店との兼ね合いが問題になりまして、深夜飲食店につきまして年少者に対する禁止行為等の問題というものがいろいろ定められた、こういうふうな経緯がございます。  それから、昭和四十一年にいわゆる個室付浴場業というものが、これはいわゆる地域の禁止規制というものと行政処分ができるという規定を置くことにする。それから、興行場営業につきまして営業停止がでさるという形の規定が、これは議員立法で御検討されまして改正に加えられた。こういうものでございます。  さらに、四十七年にモーテルが大変問題になりまして、やはりこの清浄な風俗環境を保持するためにモーテルについての地域規制の規定が置かれた。  こういうものが主な内容になっておるわけでございます。
  145. 中野明

    ○中野明君 それで、これまで風営法が対象としてきた分野と本改正案がねらいとする分野に基本的な違いがあるのかどうか。あればどういう点が違っておるかということを説明してもらいたい。
  146. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) 現行法の対象と改正法の対象、大筋におきましては、仕組みの上では違いはないというふうに考えております。  今度の改正案では、いわゆる風俗営業というものにゲームセンターというものを加えていこうということが一つあるわけでございます。これは当然、賭博の問題、少年のたまり場の問題ということがありまして、健全に発達する必要があるだろうという形で加えられたものでございます。  それから、風俗関連営業といういわゆるセックス産業は、先ほどの改正の経過でも御説明しましたように、トルコぶろの関係、それから興行場営業の関係、それからモーテルの関係がごく一部既に現行法に入っておるわけでございます。この営業形態がやや中途半端な形になって、本来のセックス産業を全部とらえてないという問題もございます。そういうことと、それから規制の中身が非常にまちまち、一部しかできない。これについてはこれしかできない、これについては営業停止しかできないとか、そういうような非常に中途半端なものになっておりますが、それを整備をいたしましてセックス産業をできる限り取り込むような形にして、そうして規制の中身を整備する、こういうものが基調になっておるわけでございます。  深夜飲食店の関係は、これは三十四年、三十九年につけ加えられておりますが、これはむしろ、今回の改正では、そういう面について十一時までだったものを十二時にするとか、主として酒を出す深夜飲食店は十二時までしかできませんでしたのを、一応静かに営業をする場合にはその時間の制限を設けないというような形で整備をしたというようなことでございます。
  147. 中野明

    ○中野明君 私の認識が違うのかもしれませんが、風俗営業というのは、今度関連営業というのができたわけですが、関連の方が風俗で、もともとの風俗営業というのは逆に関連の方に入るようなことじゃないかというよ戸な、私はそういう理解を持つぐらい風俗というのは、セックス産業というものの素乱というのですか、それが風俗のねらいかなというふうに初めは思っておったのですが、どうもこの法律を見ると、関連の方にいわゆるセックス産業が出てきて、本体の風俗営業の方はパチンコ屋だとかそういうものが入ってきたりしているわけでして、パチンコというのが風俗営業なのかなというふうに一時疑問を持ったことがあるんですが、その辺あわせて御説明いただけますか。
  148. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) これはこの法律の今までの経過にも関連をするわけでございまして、従来から料理屋あるいはキャバレーあるいはパチンコ、マージャンというようなもの、これもいわゆる人間の欲望の中の飲む打つ買うというものに関連をするということもございまして、規制の対象という形でずっと来ておるわけでございます。  風俗関連営業というのは本来とらえられておらなかったわけでございますけれども、四十一年のときに初めて、先ほど申しましたように、議員立法としてこの規定が入ってきたというような経過があるわけでございまして、それまでは、どちらかといいますと、こういうふうな風俗関連営業と申しますのは地法で割合にとらえられておる分野であるわけでございます。トルコぶろというのはいわゆる公衆浴場法という法律が現にありまして、そういう中で環境衛生が主体でございますが、そういう形でもって行われてきておる。それから旅館業法、モーテル等も旅館業法に絡むわけでございます。あるいはストリップ劇場等も興業場法と、別途そういう環境衛生関係の法律が既にございまして、そういうものがやがてだんだん風俗面がまた問題になってくる部分が出てくるということがございまして、そうしてそういう経過もありまして、逐次風営法の方で措置すべきではないか、こういうふうな形でやってきたという経過があるわけでございます。  そういうことで、名前は、従来から風俗営業という分野のものがございましたので、こういうものを一応風俗関連営業というふうに名前をつけてくくった、こういう経過があるわけでございます。  パチンコのお話も出ましたが、パチンコも、それが清浄に業務が行われれば、健全で国民に娯楽と憩いを与えるというものであることは承知をしておるわけでございますが、やはりそれはほうっておきますと、射幸心をそそるおそれがあるということがどうしても出てまいります。大変パチンコが大衆に娯楽を与えておることは私どもも十分承知をしておりますけれども、同時にまた、パチンコがいろいろな問題をはらんでいることも事実でございます。現に、一時のフィーバー騒ぎというふうなことで大変、何といいますか、もうかるときはもうかるというような形で、逆にもうかる者がいれば損する者が出てくるのは理の当然でございまして、そういうふうな形から大変サラ金問題その他が問題になってきたということも実態でございます。  そういうことで、業界の実際の努力、自主的な努力と同時に、やはり法律によってこういうふうな営業について必要な規制を行っているということが、現在パチンコというものが健全な形で営まれておるという実態にあるんではないか、かように考えておるわけでございます。
  149. 中野明

    ○中野明君 それで、今回は第一条で目的規定を置くことになったわけなんですが、従来は目的規定というのは明確にございませんでした。    〔委員長退席、理事真鍋賢二君着席〕しかしながら、法律の目的がなかったわけではないと私は思いますが、そういう意味で、従来の目的と、今回の新しく一条で目的を明示しておられるんですが、これは何か違いがあるんですか。
  150. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) これは全く違いがないというふうに私どもは考えておるわけでございます。  と申しますのも、先ほどからの経過で御説明しておりますように、昭和二十三年当時の法律というのはこういうふうな目的規定を置かないでできたものが非常に多いわけでございますが、最近の立法はほとんど目的規定を置いて内容を明らかにしていくというものが多いわけでございます。  そこで、じゃ、どこが目的規定と違うのかということでございますけれども、今回の改正案では、善良の風俗と清浄な風俗環境を保持するという目的と、それから少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するということと、さらに風俗営業の健全化に資することをその目的としておるわけでございます。そういう意味で、現行法において目的と考えられたものと異なることはないと思います。  現在の法律でも、例えば現行法の四条の三というのがございますけれども、ここでは年少者に対する禁止行為を定めておるわけでございます。そういうふうな意味で、少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止をするということを既にやっております。それからまた、「清浄な風俗環境を保持」というのは、モーテル等で地域規制等が行われるというようなところで既に使われておるということでもございます。  さらに、現行法の第三条では、当然のことながら都道府県は条例によりまして、善良の風俗を害する行為を防止するために必要な制限を求めることができるということでございます。そういうことは、既に現行法の中でそれぞれの規定があるという形のものでございます。  そういうことで、改正案の目的規定は現行法において目的と考えられてきたものを明定したものにすぎないというふうに考えております。ただ、題名で従来「風俗営業等取締法」という「取締」という文言を使っておりましたけれども、今回はその点は外しました。それは、先ほど申しましたように、取り締まりだけで臨むべきものでもない、必要なものはやはり健全化を図っていくということが必要であるという思想に基づいて直したという点があるところでございます。
  151. 中野明

    ○中野明君 それで、今お話にも出てまいりました「善良の風俗」という表現あるいは「清浄な風俗環境」、こういう表現があるわけですが、これは非常に抽象的でなかなか難しい表現になっておるわけなんですが、これは以前からそういう表現が使われているようですけれども、この「善良」ということの基準というものが、非常にだれでもわかるような基準というものが立てにくいじゃないかというような気がするんですが、具体的にやはり何かの基準がなかったら、取り締まる側の人も取り締まられる方も困るのではないかという気がするんですが、しかしながら「善良の風俗」という概念というか、この考え方というのは、人の価値観というのは年がたつにつれてだんだん変わってくるわけですわね。   〔理事真鍋賢二君退席、委員長着席〕我々が子供のころの善良な風俗観と、現在の我々の息子あるいは孫の人たちと話をしてみると、とてもじゃないがおやじは頭がかたいとか古いとかいうようなことで、ときどき笑われることもあるぐらいに「善良の風俗」という風俗そのものの定義も問題になってくるわけですが、価値観というのが確かに変わっていくように思うんです。ですから、これからもまた変わっていくかもしれません。  そういうことになりますと、現時点でとらえるしかないのかもしれませんが、この「善良の風俗」というのはどういう状態をお考えになっているのかということを参考までに聞いておきたいのです。
  152. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) 風俗という言葉も多岐多様だと思います。ただ、私どもが風俗営業法の関係の法律で取り扱っておりますものは、世上一般に非常に広い意味の風俗ということではなくて、あくまでもいわゆる飲む打つ買うと申しますか、そういう言葉に代表される人間の欲望についての生活関係というものを規制するのがこの法律であるというふうに考えておるわけでございます。  そうしますと、おのずからそれは絞られてくるということになると思います。いわゆる「善良の風俗」というのは、そういう風俗が国民の健全な道義的な観念によって支えられている状態、それが「善良の風俗」であろうと思いますし、その「善良の風俗」を害する行為というのは、やはりそういうふうな国民の健全な道義的観念によって支えられない状態をいうことになりますから、しかも先ほど言いましたように、いわゆる人間の欲望をこの法律では取り上げておるという考え方になりますので、したがって「善良の風俗」を害する行為というのは、具体的に言いますと、やはり売春、わいせつあるいは賭博、あるいはこれらの行為に通常結びつくようなそういう蓋然性の高い行為、そういうものが「善良の風俗」を害する行為であるというふうに考えられるわけでございます。  こういうものはやはり一般通常人の判断をもって決めていくことになるわけでございます。判断の基準になるわけでございますけれども、これを運用する場合には、例えば行政処分等にいたしますと、公安委員会等の諸先生方は当然のことながら良識を持ち、高い見識をお持ちの方々が公安委員の先生方に任命されておるわけでございます。そういう方々が、一般通常人としての判断がどこにあるか、あるいは判例の傾向というものがどこにあるかということを頭に置きながら、先ほど言いましたように、どっちかというと限定された考え方の「善良の風俗」を害する行為ということをあわせて検討するということになるんであると、かように考えております。
  153. 中野明

    ○中野明君 非常にこの「善良の風俗」というのは時代時代である程度僕は動いてくるんじゃないかなという感じを持っているものですからあえてお尋ねをしているわけなんでして、非常に難しい抽象的な言葉であると思います。  そこでもう一点は、「風俗営業の健全化」、こううたっておられます。ところが、さっきの話じゃないですけれども、関連営業というのは健全化ということはうたえない、関連営業に健全化というのはあり得ないというんですか、うたえないということになっている。だから、僕は風俗営業というのは逆じゃないかなという感じを私なりに持ったものですからお尋ねをしたわけですが、この「風俗営業の健全化」、そして関連営業は健全化をうたえない、こういうことなんですが、「風俗営業の健全化」というのはどういうことを指しておられますか。
  154. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) 風俗営業というのは本質的に国民に社交と憩いの場を与えるもので、健全な娯楽の機会を与える営業であるわけでございます。それは国民生活に潤いをもたらすものである、こういうふうに考えておるわけでございます。ただ、それが営業の方法だとか内容によりまして業務が不適正に行われる場合には、それは風俗上の問題を引き起こす可能性があるということだと思います。そこで、そういうふうな不適正に行われないように、風俗上の問題が起きないように規制を加えるという形にいたしました。そうして、業務の適正化を図っていくことによりまして営業の健全化というものが図れる、そうすれば風俗営業というものが本来持っておる社会的機能といいますか、そういうもの、あるいは社会的な有用性といいますか、そういうものを発揮できるものである、これを「健全化」というふうに私どもは考えておるところでございます。
  155. 中野明

    ○中野明君 あえて「健全化」と無理にうたわぬでもいいんじゃないかというぐらいな気がするんですが、そうすると、この関連営業というものは健全化は言えない、目的の中に入れられない、目的にできないということになります。それを関連の営業として認めるということは現状をそのまま認知をされた、このようになってしまうおそれがあるんですが、その辺はどうお考えになっていますか。
  156. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) 風俗関連営業と申しますのは何せ性を売り物にするものでございます。なかなかどうも業務の内容からいきまして営業の健全化にはなじまないということでございまして、また公の機関が業務内容に立ち入って適正化を図るというのもまたなじまないものであるというふうに考えておるわけでございます。そういうようなことで、実は厳しく対処しよう、地域禁止規制というものも厳しくかけていく、そこでもって違反があれば厳しい行政処分もかける。それは、場合によりますと廃業命令までいくというような形の厳しい規制ということをかけてまいりまして、そして一定の枠からはみ出すことのないような、行き過ぎた形にならないように、そういうふうに監視していくということが大事であろうということでございまして、決してそれを公認するというようなものではないということでございます。
  157. 中野明

    ○中野明君 結局「善良の風俗」ということからいいますと、関連営業が健全になってもらいたいし、そうして風俗営業は無理に健全化といわなくても、おかしくならぬようにということだろうと僕は思うんですけれども、それがなかなか言えないというところにじくじたるものがあります。  次に進みたいと思いますが、第二条の一項で、風俗営業の具体的営業形態というのが一号から八号まで規定されております。この一号から八号までに共通している考え方と、それから風俗関連営業とはどう違うかということですね。それをお答えいただきたいです。
  158. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) 風俗営業に共通する考え方は、こういう営業が適正に営まれるならば、本来的には国民に社交と憩いの場を提供するものである、そして健全な娯楽を与えるものである、そういう社会的な必要性もある、したがって健全化を図るべきものだと、こういうふうに考えておるわけでございます。これがやはり風俗営業に共通する考え方になるというふうに考えておるわけでございます。  風俗関連営業の方は健全化になじまないと、こういうふうに申し上げましたのは、やはり性を売り物にするものでございまして、いろいろございますけれども、そういうふうな性を売り物にするものがなかなか健全化というものとは違う。しかも、それは善良な風俗あるいは少年の健全な育成に障害を及ぼす影響というものがかなり大きいということもあるわけでございまして、そういうことから、そういうものは健全化になじまない。したがって、厳しく監視をしていこう、こういうことでくくっていこうというものが風俗関連営業であると、かように考えているわけでございます、
  159. 中野明

    ○中野明君 それで、今の八号にスロットマシンとかテレビゲーム機等を規定することになっているわけですが、こういうものの中には健全なものもあるんじゃないかと私は思いますが、これらを規定するに至った理由は何ですか。
  160. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) ゲームセンターでございますけれども、これは現在何ら法的な規制も行われてない。そこで、そのためにそういうゲーム機を悪用しました賭博事犯というものが近年多数発生をした。五十八年中には約千六百七十件ばかり、八千五百人弱の検挙者を見ておるわけでございます。しかも、全賭博事犯のうちの五六%がゲームセンターで占められているというような形になっておるわけでございます。また、少年のたまり場となっている率も大変他の営業に比べて高い。さらに、暴力団等が経営するなど、暴力団等が関与する比率も大体一〇%ぐらいに上っておるというような状況がございます。  本来、ゲームセンター自体は適正に行われれば、先ほどのように、国民に健全な娯楽を提供するものであるというふうに考えられるわけでございますけれども、今申しましたような形で種々の問題を生じておる、それがやはり営業者の姿勢によってそういうふうな問題が生じてきておるわけでございまして、そういう意味で、やはり善良の風俗と正常な風俗環境、また少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するためには必要な規制を加えて、そうして営業の健全化を図っていくという必要が極めて高い、かように考えられますので、風俗営業として許可の対象にするということにしたものでございます。
  161. 中野明

    ○中野明君 それは、今の御答弁にありましたように、やっぱり営業している人の資質の問題が基本的には土台になってくるんであって、ゲーム機そのものではないんではないかと私は思うんです。非常に健全なゲーム機もありますし、そしてまたゲーム機に対する認識も、スロットマシンというのはかっては、五十六年ごろの警察白書を見ますと、明らかにギャンブルマシンというふうに位置づけておられたように書いております。ところが、今回は遊技機、このように定義をされている。このように、どう言ったらいいんですか、くるくる考え方が変わるというぐらいに違ってきているわけなんですが、それはスロットマシンの考え方がどうしてこう変わるんですか。
  162. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) おっしゃるとおり、こういうふうな問題が起きますのは、営業者の姿勢によって当然のことながらいろいろな形が出てくるわけでございます。  ゲーム機の中にもいろいろございまして、全くこういうふうな賭博に関係のない機器もあると思います。逆に、そういうふうな使われ方をしやすいゲーム機もあるというふうに考えられるわけでございます。したがいまして、ここで考えておりますのは、その八号でもって書いてありますように、ゲーム機自体は、本来の使い方をすればそれは別に賭博になるわけでも何でもないんですが、その本来の用途以外の用途に使っていくということで射幸心をそそるおそれのあるような形になるもの、そういうものは対象として考えていかないといけないということになるわけでございます。  スロットマシンと申しますのは、これは要するにそのスロットマシン自体といいますより、現金を入れて現金が出てくるようなスロットマシン、これはもうまさに賭博機でございます。これはもともと日本では認められないものでございまして、当然のことながら、これは取り締まり対象以外の何物でもないということであろうと思います。しかし、現金が出てこないようなスロットマシンは、これは一つの遊びの機械でございまして、これ自体が問題になるというものではないというふうに考えられるわけでございます。  ギャンブルマシンという言葉をかってマスコミ等に説明するときにわかりやすいように使っておりますけれども、先ほど言いましたような、現金入れて現金の出てくるようなものを俗称として使ったわけでございまして、厳密な分類ではございません。
  163. 中野明

    ○中野明君 それで、今の答弁にもありましたように「射幸心をそそるおそれのある」、こういうことになっておりますが、この「射幸心をそそるおそれのある遊技」というのは具体的にどういうことを考えておられますか。
  164. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) 機械の中で、定量的に遊技結果があらわれてくるもの、それから勝敗が決し得るというようなもの、こういうものが営業者の姿勢によりまして、出てきた点数だとか出てきた勝敗に関連いたしまして商品が出たり現金が出されたりというような形になるわけでございまして、そういうことで、そういうものがそういう賭博に用いられる可能性があるものというふうに考えておるわけでございます。
  165. 中野明

    ○中野明君 勝敗の決するものとおっしゃるんですけれども、何かのゲームで勝敗が決しないものというのはあるんだろうかと思いますね。ゲームということになると、何かの形で結果は出てくるわけですから、勝敗の決するものというのはちょっと私もぴんとこないんですけれども、定量的に結果が出るものという、これは何ぼか意味がわかりますけれども、ゲーム機の中には健全なというのがはっきりわかるゲーム機があります。それらも引っくるめて云々というのはどうかなという気がするんですね。ですから、今回は旅館とか大型店舗の中にあるそういうゲーム場というんですか、それらはこれから外されているんでしょう。それはどうでしょう。
  166. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) いわゆる旅館等で置かれているもので、そして要するにオープンに置かれておるようなものでございますね。そういうようなものはだれの目からも見えるわけでございまして、そういうところで賭博に使われるおそれ、そういうふうな射幸心をそそる使われ方というのはまずないということでございまして、そういうものについては外していこう、こういう考え方をとっておるわけでございます。  それはゲーム機の内容によって分けるという考え方ではないわけでございまして、先ほど申しました健全なゲーム機というお話が必ずしもちょっと私もまだ十分理解できないわけでございますけれども、いろいろなゲームの内容が、例えばスポーツのようなものをやるものをもしおっしゃっておられるといたしますと、そういうふうなスポーツのようなゲームをやる遊技機でありましても、その結果が出てくる、先ほど言いましたように定量的に出てくる、あるいは勝敗が決まるということに関連して射幸心をそそるおそれのある使い方ということが実際には行われておるわけでございます。そういうことで、そういう使われ方をするものにつきましては、そういう可能性のあるものにつきましては、これはやはり対象としていかなければならない、かように考えております。
  167. 中野明

    ○中野明君 そうしますと、大型店舗とか旅館なんかであれば、スロットマシンとかテレビゲーム機というのは置いておっても構わぬということですか。
  168. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) それは、先ほど言いましたように、人目につくような形で置いておるものでございます。そういうものにつきましては置いておいても対象にはならない、かように考えております。
  169. 中野明

    ○中野明君 そうしますと、ここで対象にしようとしているのは、いわゆるゲームセンターというんですか、それ専門でゲーム機だけを置いているところを考えておられる、そういうことですか。
  170. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) 店舗を設けてやっておるものあるいは区画してやっておるもの、そういうふうなゲームセンターあるいはゲーム喫茶のようなものでございます。そういうようなものを対象に考えておるわけでございます。
  171. 中野明

    ○中野明君 わかりました。  それで、次に二条の三項なんですが、ここで「接待」ということがうたわれておりますが、これまた衆議院の附帯決議でも、「接待」の意義ということについて心配してうたってあるわけなんですが、この法律によりますと、「「接待」とは、歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすことをいう。」、このように書かれているわけなんですが、ちょっとこれでは、取り締まる方も取り締まられる方も、非常にこれは現場では、これだけではちょっと個人によって考えがまちまちになるおそれがありますので、附帯決議でも、  「接待」の意義については、風俗営業の重要な要件に当たるので、その具体的な内容について明  確な基準を定め、都道府県警察の第一線に至る  まで周知徹底すること。こういう附帯決議がわざわざつけられているわけなんですが、どういうことなんですか。わかりやすく説明していただけますか。
  172. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) 「接待」と申しますのは、店の従業員あるいはいろいろ接客婦のような人たちと、そういう人たちとの間の雰囲気を楽しむために、やはりそういうふうな異性との会話あるいは異性から受けるサービスというものを期待して来店する客に対しまして、その気持ちにこたえて相手を特定したサービスを行う、こういうようなものを「接待」ということになるんだと思います。この「接待」の定義は、実は判例等がありまして、そういうふうな判例に基づきまして、現在もこういう形で運用をしておるわけでございます。それを今度はなるべく一つの手がかりといいますか、国民のために手がかりを与えるという形で書いていこうということにしたものでございまして、従来と解釈を変えているわけでは全くないわけでございます。  先ほど言いましたのが「接待」の定義でございますが、若干例を挙げて御説明を申し上げますと、「接待」の方に含まれるというのは、例えば客とともに歌や踊りに興ずるというような行為、それから客の傍らにあって引き続き酒類の酌をするあるいは談笑の相手となるような行為、あるいは積極的に客が歌うのを取り持ちしたり褒めそやす等の行為、そういうことによってその場の雰囲気を盛り上げるような行為、そういうようなことが「接待」ということでございます。逆に、当たらないのは、店の従業員等が客が注文した酒食を客席に運搬していく、そうしてその運搬に際して客席にはべらないでコップに一杯酒をついでいく、こういうような行為、そういうようなものは給仕行為でございまして、こういうものを「接待」というふうには考えない。また、いろいろな社交儀礼的なあいさつを交わす程度では「接待」には当たらないというふうに思います。だから、要するにメルクマールといたしましては、特定の客またはグループに対しまして単なる飲食行為に伴う以上の積極的な行為をする、そういうふうにして客の歓楽的な雰囲気を盛り上げるというものが「接待」である、こういうふうに従来から考えられ、運用をされてきておるわけでございます。  しかし、この点の運用というのはなかなか難しい問題もございますから、一つ一つのケースでは慎重にやっていかなきゃならないということで、私どもといたしましては、こういうものにつきまして詳しく通達なりあるいは執務資料というものもきちっとつくって末端まで徹底をしていく。そうして、そういうものの判断は、いやしくも現場が一人で判断するなんということじゃなくて、十分相手のお話も聞き、そうして幹部の判断も仰いで慎重にやっていきたい、かように考えておるわけでございます。
  173. 中野明

    ○中野明君 これは、第一線では必ずトラブルが起こるようなことじゃないかなということで心配してあれが出ているんだと思うんですが、今の御答弁のように、とにかく第一線で混乱が起こったり、あるいは県によっては判断の基準が違ってきたりということのないように徹底していただきたいなと、このように思います。  これは、周知の徹底の方法というのは通達かなんかの形でお出しになる予定ですか。
  174. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) 基本的には通達を出していくわけでございますが、さらにいろいろな例等も含めて、執務資料等をきちっと整備して徹底してまいりたい、かように考えております。
  175. 中野明

    ○中野明君 それで、現在のところは、何かある程度県によって少し幅があるんじゃないかというような気も、和しないでもありません。そういうことで、余りこの法律ができたことによって急に厳しくなって、何か営業ができないような、そういうことになっても、これまた問題であります。それだけに、ある程度幅を持った、だれが見てもこれはいかぬなというようなそういう徹底方を、わかりやすい徹底方をお願いしたいなと、このように思います。これは要望を申し上げておきます。  それで、次は二条の四項ですね。関連営業のところで関係しますけれども、マントルとかホテトル、私も余りよくわかりませんが、このマントル、ホテトルあるいは愛人バンク、最近週刊誌なんかでよく騒がれておりますが、こういうのは今回の規制の対象には入ってないようなんですが、これはどういうことですか。
  176. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) いろんな名前で呼ばれている営業形態がありまして、必ずしも名前だけで判断するわけにはいかぬのでございますけれども、今先生がお話しのような営業形態は大体、専ら売春を目的として行われる営業であるというふうに考えられます。したがいまして、最初から違法になるものを対象としていくということはできないわけでございまして、これはもう当然のことながら、売春防止法等の規定をフルに活用して取り締まりを徹底していくという対象であろうと、かように考えております。
  177. 中野明

    ○中野明君 最近は、公衆電話なんかへ入ってみますと、もうべたべた名刺が張ってあります。それぐらい大っぴらと言ったらどうなんですか、大きな顔してやっているような感じがするんですが、こんなので取り締まりされて摘発されたのはありますか。
  178. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) かなりございます。ただ、例のああいうふうな電話ボックス等に張っておりますビラでございますけれども、あれが当然のことながら端緒になって、いろいろ捜査をやっておるという例もたくさんあるわけでございますが、実際には、なかなかやっぱり難しい状況がございます。  と申しますのは、売春防止法と申しますのはやはり単純売春は罰せられない仕組みになっておりまして、そういうふうに誘いながら、決して売春まで勧めているわけではない、こういう言い逃れをするような非常に巧妙な仕組みをいろいろつくっております。しかし、これはまた捜査で打ち破っていかなければいかぬということで、我々懸命な努力をいたしておりますけれども、そういうようなことで、我々は現在の売春防止法というものを何とか効果的に活用して、そういうものをさらに取り締まってまいりたいと、かように考えております。
  179. 中野明

    ○中野明君 何か最近特にひどいような気がいたしますね。だから、何カ所かでも取り締まりの手が入っていけば減ってくるんじゃないかと思いますが、また逆にふえているような感じも受けます。もう公衆電話なんか入ってみると、本当にひどいものだなという感じを受けますので、その辺は何か手だてを考えないとやはりぐあいが悪いんじゃないかなという気がいたします。  それで、次の問題ですが、第三条にいきたいと思います。  第三条の「営業の許可」の問題でございますが、許可するかどうかというのは自由裁量があるのかどうかということです。一定の条件を備えておれば許可をするようになっているんですか。それとも、条件をそろえておっても、まだ自由裁量の範囲内で、あんたはそこはいけませんということになっているのか。この許可のことについて御返事をいただきたいと思います。
  180. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) 許可の運用でございますけれども、風営法上の許可の要件を満たしている場合には、これは必ず許可すべきものというふうに考えております。いわゆる覊束裁量であるというふうに考えております。
  181. 中野明

    ○中野明君 それで、この許可の更新なんですが、マージャン荘とかパチンコ屋さんの更新は一年ということになっておるようですが、もうパチンコ屋さんの数もマージャン屋さんもすごく数がふえているようですし、一応これは安定というんですか、そういう時期に入っているんじゃないかというような気がするんですが、更新期間というものが一年というのは余りにも短いような気がするんですが、これを二年にするとか三年にするとか、こういう考え方は持っておられないんですか。
  182. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) この許可更新の期間に関する規定でございますけれども、これはこの規定の入りました一つの経緯がございまして、地方税法の附則改正で設けられたということで、ある程度の徴税目的があったことは明らかでございますが、しかしパチンコ屋さん、マージャン屋さんにつきましてはまだ業態が不安定な面もあると存じます。また、娯楽施設利用税の納入をしないような営業所に対しましては、やはり適正な営業を行っていないというふうにも考えられるわけでございます。したがいまして、風俗営業の業務の適正化を促進していくというためにこういう規定が設けられておるということだと思います。  特にこの規定は、五十七年の改正で六カ月の更新期間が一年に延長されたという経過があるわけでございます。その後特段の変化がないということで、この規定は今回特にいじらなかったというものでございますけれども、先生のお話を踏まえまして、将来の問題として引き続き検討してまいりたいと、かように考えております。
  183. 中野明

    ○中野明君 まだ不安定だというふうに認識しておられるようですが、余りパチンコ屋さんがつぶれたという話も聞きませんし、まだまだふえてきているようですし、健全にさえやれば今の大衆娯楽として非常に人気があるんじゃないかというふうな気がいたします。それを一年というのは余りにも短いなという感じを持っておりますが、これは将来、ぜひ一年を二年とか三年とか、そういう方向に持っていくべきだと私は思いますが、いま一度御答弁をお願いします。
  184. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) 将来の問題といたしまして引き続き検討してまいりたいと、かように考えております。
  185. 中野明

    ○中野明君 第三条の同じく「営業の許可」について、「公安委員会は、善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為」を「防止するため必要があると認めるときは、その必要の限度において、」「許可に条件を付」することができる、これは第二項ですか、そのようになっておりますが、この「必要の限度」というのが、これはまたあいまいな物差しでありまして、基準がちょっとわかりにくいと思います。そして、条件をつけると、このようになっているんですが、具体的にどういうことを言おうとしているんですか。
  186. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) この三条二項で風俗営業の許可に条件を付しましたり、または変更することができるといたしておりますのは、法令または条例を遵守いたしましても、具体的な事情によりまして善良の風俗等を害する行為が行われるおそれがあるので、これを防止するために、必要な限度で個別的に許可に付随して行うということでございます。  お尋ねの「必要の限度」というのはどういうことかということでございますけれども、これはあくまでも警察官が恣意に判断をするものではございませんで、公安委員会が客観的な基準に基づいて判断をしていくというものになるわけでございますけれども、当然のことながら、限度を十分考えてやらなければならないということでございまして、善良の風俗等を維持するということが、その条件をつけることによって本当に維持することができるものであるかどうか、それからそういう条件を付したことによって問題の行為を防止することができるかどうか、それから営業者に過度の負担をかけないものであるということ、それから営業者が受忍すべき範囲内のものであるというようなことを考えて、やはり「必要の限度」というものを慎重に運用しなければならないと、かように考えております。  例を申しますと、ゲームセンター等を許可をした場合に、ゲームセンターのそばに仮に学校があって、ゲームセンターに仮に二階をつくったといたしますと学校から丸見えになるというようなときがあり得るかもしれませんが、そういう場合には、中を見通すことができないように窓ガラスをすりガラスにしてほしいというようなことであるとか、あるいは旅館に対して今度は風俗営業の許可をするということができることになっているわけでございますけれども、そういう希望があって出てきた場合に、旅館の中でも客室はそういうふうな場所として使わない、宴会場というようなものを使っていく、客室ではそういうふうなことをやらないというような条件、そういうようなものが考えられるのではないか。当然のことながら、「必要の限度」というものを、先ほど申しましたような基準に照らして、慎重に運用してまいりたいと、かように考えております。
  187. 中野明

    ○中野明君 営業の自由ということが片方では保障されなければならぬと、こう思うんですが、この点等に非常に難しい問題もあろうかと思いますが、なるたけこういうことは、「必要の限度」というのがなかなか難しいですし、条件をつけるにしても難しいので、その点は、今の答弁にもありましたように、当事者とよく話し合いをしてもらって納得のいくようなやり方をしてもらわないと、ここではそうお答えになっておっても、現場へ行ってから相当手厳しくて営業にならないというようなことになると何にもなりませんので、どうかその点はぜひ今の答弁を守っていただきたい。このように思います。  じゃ、第四条にいきたいと思いますが、四条の「許可の基準」なんですが、更新の場合もこれは同じでしょうけれども、第四条の一項二号ですか、「一年以上の懲役若しくは禁錮の刑に処せられ、」云々と、こうあります。こういう人は五年はもう許可はしないよと、こうなっているようですが、これはちょっと私は問題だと思っております。    〔委員長退席、理事真鍋賢二君着席〕  と申しますのは、電波法という法律があるんですが、あの電波法というのは、テレビもこれは全部許可をもらって、やっているんですが、これは公共のものとして、国民に今日テレビと縁のない人というのはおらないぐらいに大変な公共性を持っているのも電波法の許可にかかっております。ところが、この電波法、もちろんアマチュア無線から全部、もう電波法でくくられているんですが、この電波法の許可に当たっても、欠格条件というのは、それほど大事な公共的な仕事をしている電波を使っている人たち、この人たちでも欠格条項としては、電波法違反をしてはいけませんよ、電波法違反をしたらもう許可はしませんよと、あるいは与えませんよと、こういうことになっているだけです。  ところが、この法律では、ここで一年以上の禁錮の刑――執行猶予もこれは含めるんでしょう。こういう人たちは五年間も許可しないというんですから、これはちょっとおかしいんじゃないかと思いますね。だから、するのならば、風俗営業の許可なんですから、風俗営業に関して違反をした、言うことを聞かない、問題を起こして注意をされた、こういう人は、これはあなたはしばらく許可しませんよと、例えば二年間なり三年間なり許可しませんよと、これはわかるんです。だけれども、ほかのことで――それは罪を犯すことはよくありません。罪を犯すことはよくありませんけれども、そんなことで許可が取り上げられたりあるいは許可が五年間ももらえないことになると、これは当事者にとっては大変なことです。  例えて言えば、タクシーの運転手がほかのことで問題を起こして自動車の免許を取り上げられたら、もうこれはそれこそ食うていけぬようになります。それは、タクシーの運転手が自動車で人を引き殺したとかいうのならば、これはもう自分の業務の範囲内ですから、いかなる厳しい処置を受けても、これは本人も自業自得と納得をするでしょうけれども、そういうことの精神から考えまして、法律もいろいろ立て方があるでしょうけれども、余りにもこれは私は筋の通らぬ厳しさじゃないか、このように思うんですが、この点、まずお答えいただきたいんです。
  188. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) 風俗営業と申しますのは、先ほどから申し上げましたように、非常に社会的に必要な営業である。ただ、営業する者の姿勢によりまして不健全となる可能性というものがあるわけでございます。現に風俗営業の中には、暴力団等が経営してその資金源になっておるものであるとか、あるいは少年に覚せい剤を売っておるとか、そういうようなものもありまして、そういうものが現行法の中では排除できない。それが逆に風俗営業の健全化というものが必ずしもうまく運用されてないという面もあるわけでございます。  今回の人的欠格事由の定め方でございますけれども、    〔理事真鍋賢二君退席、委員長着席〕これは、私どもがイメージとして抱いておりますのは、覚せい剤とか、先ほど言いましたように、大麻の取引をしている者、それから、御記憶にあるかと思いますけれども、新宿でキャッチバーみたいなのがありまして、そこで高額な料金を吹っかけられて、大学生が逃げようがなくて、ビルから飛びおりて亡くなったというような事案、これは犯した者の方が監禁致死罪に問われているわけでございますが、そういう営業がどうしてもやはりあるわけでございます。そういうような者はやはり風俗営業をやっていくのにふさわしくないんではないか、こういう考え方で入れたものであるわけでございます。  そして、一年以上の懲役または禁錮に処せられるというのは非常に悪質なものだと思います。私どもが調べた範囲では、すべての刑を宣告された中で大体二%未満ぐらいの人がこういうふうな一年以上の懲役または禁錮の刑に処せられるという例でございまして、非常にどちらかというと少ない。少ないけれども、大変それが問題を起こすということがありますので、そういう点を実は直したわけでございます。  実はこの立法をするのに関しましては、他の法律等をいろいろ参考にいたしました。私どもは、例えば旅行業法であるとか宅地建物取引業法であるとか質屋営業法であるとか、そういうふうなものをいろいろ見ますと、これは一年以上という限定がなくて、単に禁錮以上というふうな、今度の改正法案よりもずっと厳しい形で書かれている法律もあるわけでございます。そういうことと、それから業者の御意見もこの点で事前にお聞きしました。禁錮以上となっておるのは――原案としてはそういうふうに考えたときもあるわけでございますが、それはちょっと厳し過ぎるんじゃないかということで、これを「一年以上の懲役若しくは禁錮」というふうに直したという経緯もあるわけでございます。そういうことで、今申しましたような形で必要最小限度のものではなかろうかというふうに考えて決めたものでございます。  もちろん、これは憲法の保障する営業の自由にかかわる問題でございますから、運用に当たりましては慎重かつ適正に行っていきたい、かように考えておるところでございます。
  189. 中野明

    ○中野明君 現行法では、これはどうなっていますか。
  190. 古山剛

    説明員(古山剛君) 現行法では、法律にはそういう人的欠格事由の規定はないわけでございまして、各県の風営法施行条例で決めているわけでございます。で、施行条例で決めております中身でございますけれども、大方のところを申し上げますと、わいせつ、姦淫、賭博、富くじ、それから売防法とかあるいは児童福祉法、職安法、労働基準法の幾つかの罪に「違反する罪を犯して懲役以上の刑に処せられ、その執行を終り、又は執行を受けることがなくなった日から起算して三年を経過しない者」、それから「前号に掲げる罪を犯して罰金の刑に処せられた日から起算して一年を経過しない者」というようなことになっているわけでございますけれども、大方のところはこのようになっておりますが、年数が違うとか犯罪の掲げ方が違うというような若干の差異はございます。
  191. 中野明

    ○中野明君 だから、現行法よりこれは物すごく厳しゅうなっているわけですね。だから、保安部長さんの一番最初のお答えでは、私が申し上げたように、提案の説明の中では、それは余り関係ない、現状でございますというような意味のお話がありましたが、この辺になってくると、現在やっているよりももうとても厳しい。今も御答弁がありましたが、府県条例でやっているんですか。それならある程度私わかるんです、範囲が限定されていますから。だけれども、これはもうむちゃくちゃに何をしてもあかぬということですし、しかも五年も許可を受けることができないといったら、もうこれは話にならぬじゃないかという気がしてなりません。風俗営業なんですから、風俗犯と俗に刑法で言われておりますが、せめて風俗犯で罪になった人この人はちょっと不適切だというのは理屈が通ります。法律の立て方からいってもわかるんです。  風俗犯というのをちょっと調べてみましたんですけれども、刑法で言う風俗犯というのは、性道徳その他健全な社会道徳秩序に反する犯罪をいうのであって、我が刑法のわいせつとか姦淫とか重婚、賭博、売春防止法違反、こういう罪が風俗犯ということになっているという定説があります。今回は、これは青少年を守るというんですから、青少年をいじめたとか、あるいは青少年のことに関しての犯罪、そういうことは欠格条件に入ってもこれはやむを得ぬという感じはするんですけれども、こう一律に――私、先ほどタクシーの運転手さんの例を挙げましたけれども、ちょっとしたことで免許を取り上げられたら、もうタクシーの運転手さんは生きていけません。そういうようなことになったんでは、これは話になりませんから、やはり営業の自由の原則というんですか、それから見て、これは風俗犯に限定をすべきじゃないかなということが一つです。  それから、五年間というのは、何でこんな長くしたんですか。五年間を決められた理由ですね。今までの都道府県で五年というような例がほかにありますかどうか。
  192. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) 五年という例は、現在の風営法ではございません。大体三年、二年、一年というような形になっておるわけでございます。これは、先ほどもちょっと例に挙げました旅行業法であるとか宅建業法であるとかいうものを参考にして決めておるわけでございまして、いわゆるそういう営業形態、それからこの風俗営業の重要性というもの等の比較において、これが適当ではないかというふうに考えたものでございます。
  193. 中野明

    ○中野明君 この法律に流れている趣旨というのは、現状の状態をそのまま法律にしたというのが大体の流れている趣旨だろうと思うんです。それを、ここに限って何か変な、旅行あっせん業者とか不動産売買の人の例をとってきて、ここだけ何でそんなことをせにゃいかぬのか。現在ちゃんと都道府県でやっているわけですから、現状のそれを、都道府県条例で決めているのをそのまま法律に格上げしたというのなら、何ぼか私はわかるのですけれども、ここだけ何でとんでもない、ほかの不動産業者か何か知らぬ、今おっしゃったそんなものに例をとってきて、五年もというような年数をつけるのかというこの辺が、当初の御説明と、随分と中身が違ってきている。  だから、最初に申し上げたように、一部の業者の人たちは、これは性犯罪と少年の問題だからおれたち関係ないんだといってのんびりしておったところが、実際に法律を見てみると、これはひどいことになっているということで大騒ぎをしておられる向きがあるわけですが、今、何か業者の人とも事前に話をしたら納得したとおっしゃっていますけれども、恐らく業者の人はこんなことで納得する道理が私はないと思います。業者といっても、これは一部特定の人と相談なさったのなら、それは話は別ですけれども、こんなことになって、はい、結構でございますという人は、私は恐らくないんじゃないかなという気がするんですが、今一度御答弁をお願いします。
  194. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) この趣旨は他の立法例に倣って規定はしておりますけれども、先ほどから申しましたような形で、いわゆる覚せい剤だとか大麻とか、そういうような大変悪質なものに結びつきやすい業態でございまして、そういう面で、大変従来から問題を起こしてきた例があるわけでございます。  それから、確かに風俗関係に絞るというのも一案と思いますけれども、先ほど申しましたようなキャッチバーみたいな、ああいう金をふんだくるような行為に出る、そういう風俗営業者も中にはいるわけでございます。そういうような悪質なものがあったんでは業界全体のイメージが大変傷がつくということを業界の方々も心配をしておるんです。むしろ、そういうふうなものは排除してもらった方がいいという業界も多々ございます。それから、一部大変御心配をされた業界に対しましては、大変きついじゃないかというお話がありましたので、先ほど言いましたように一年という期限に変えたということがあるんでございまして、そういうことで業界の皆様とも十分お話し合いをして決めてきたということでございます。
  195. 中野明

    ○中野明君 これはちょっと私納得しかねるんですね。ここのところは五年というのもちょっと長過ぎますし、これ許可を取り消されるんです。それでもう五年間は仕事できないわけです。だから、今おっしゃったように、風俗に関連した犯罪ということに絞ってくれば私わかりますんです、何ぼか。それでも五年は長過ぎると思うんです。今日の社会情勢からいっても、五年間許可もらえないということは、とてもじゃないが大変じゃないか。それは業者の人たちはそれで一部納得した人もおるかもしれませんが、大多数はこういうことで納得はしていない、私はこのように理解をしております。何とかこれ五年というのも減らし、風俗犯というのか、風俗営業に関係して罪を犯した、文句言われたという人に限定をするようにと私は考えておることだけ述べておきます。  次は、第四条にいきます。  四条の一項はこれまた「許可の基準」ですね。同じところのようですが、四条の一項の三ですか、「暴力的不法行為その他の罪に当たる違法な行為」、こうあります。「国家公安委員会規則で定めるものを行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者」、法律用語だからこうなるんでしょうか。「暴力的不法行為その他の罪に当たる違法な行為」あるいは「おそれがあると認めるに足りる相当な理由がある」、こういうことを、法律用語ですからなかなか難しいんですが、具体的にひとつ説明をしてください。
  196. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) これは公安委員会が認めるといいますか、認定をするということになるわけでございます。  その認定の仕方は、一定期間におきます。そういう前科、前歴あるいは罪種あるいは罪数あるいは暴力団との関係、そういうものにつきまして、警察自体が持っている資料もございますし、それから前科照会等によります資料等によりまして判断をしていくというふうに考えております。公安委員会に御判断をいただくわけですが、こういうものがやはり国民の権利義務に大変関係いたしますので、この点は慎重に判断していただくように私どもも十分基準を確立をして、第一線を指導しながらやってまいりたい、かように考えております。
  197. 中野明

    ○中野明君 これ非常に心配なんです。「おそれがあると認めるに足りる相当な理由」というのですから、この辺、判断する方が、いろいろこれはもう認めるに足りると言ったら者やられてしまうということになるんですが、今のお話では、これは国家公安委員会になっているんですか、この認めるのはだれですか。
  198. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) 都道府県公安委員会でございます。
  199. 中野明

    ○中野明君 そうすると、一人じゃないと思うんですけれども、主観によってやられるという、そういう心配があるものですからあえてお尋ねをしているわけですが、そういう心配はないですか。
  200. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) これは、暴力団の関係につきましては、私どもも従来からいろんな形で資料を集めておるわけでございまして、そういうふうな関係につきましてそういう資料に十分当たりまして、そうして公安委員の先生方に適切な判断をいただくということでやっていきたいと、かように考えております。
  201. 中野明

    ○中野明君 それから、四条の二項のところですが、営業所の構造または設備に技術上の基準をつけたというんですが、これは今まではこんなに細かいところまで言っておられなかったように思うんです。現行法では第三条で「必要な制限」と、こういうことになっているんですが、今回の改正では、構造または設備に技術上の基準をつけるというんですから、これまた非常に厳しいといいますか、介入がひど過ぎるという感じが受けるんですが、この理由は何ですか。
  202. 古山剛

    説明員(古山剛君) この風俗営業所の構造、設備の基準につきましては法律の規定はございませんけれども、現行法の委任に基づきまして、各府県の施行条例でいろいろと具体的に決めているわけでございますけれども、この点につきまして、今回は法律で規定した方がいいのではないかということで法律に盛り込んでいるわけでございまして、格別厳しくしようというような、そういうものではございません。         、
  203. 中野明

    ○中野明君 じゃ、必要な制限ということになっているわけでしょう。それを構造や設備に技術上の基準まで出てきているわけですが、そこまでしなくても、必要な限度ということでいいんじゃないかという気もいたしますし、あとは都道府県にお任せをしたらいいんじゃないかと、そういう感じがしないでもないんですが、もう一度お答えください。
  204. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) 現在は施行条例でそれぞれ構造、設備の基準が定められておるわけでございます。構造の基準、設備の基準ということで定められておりますのを今回書くということでございまして、技術上の基準といいますのは、今の構造、設備の基準が技術的なことを書いておりますので技術上の基準といっただけでございまして、別に変わった形でやるつもりは全くありません。現行の規定と同様に、そういう構造、設備の基準を定めていきたい。したがいまして、中身といたしましては、客室であるとか踊り場の面積であるとかあるいは客席の見通しとか、そういうふうなものを定めてまいりたいと、かように考えております。  しかも、その構造、設備の基準は、従来各府県によりまして大変まちまちでございまして、大変厳しくやっているところ、例えば先ほども言いました客室の面積なんというものも県によりまして、これ以上なきゃいかぬというのもありますし、この程度でいいというのもあるわけでございます。そういうアンバランスがあってはならないということで、これは全国的に統一した方がいいだろうということでやっておるものでございまして、それを厳しい方に持っていくというような考え方はございません。今やっております通常の基準というものよりも厳しくするということは一切考えておりません。
  205. 中野明

    ○中野明君 それじや、風俗関連営業はどうされるつもりですか。
  206. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) この風俗関連営業につきましては構造、設備の基準を格別に設けてないわけでございます。  これはなぜかと申しますと、風俗関連営業というものをどういうふうにとらえていこうかという一つの政策の問題で考えておるわけでございまして、これはやはりその地域の禁止規制というものをまず第一番目に考えていく、そうして必要な地域しかできないような形に持っていくということがまず一つ大原則としてあるわけでございます。それに対して必要な遵守事項等を定め、しかもそれが違反をすれば厳しい罰則なりあるいは行政処分、そうして禁止地域等で既にやっているものに対しましては営業の廃止までを含む厳しい処分で臨もうという形で、要するにこういう風俗関連営業につきましてはマクロできちっと視野の中に入れて、そうして規制をかけていくということが望ましいだろうというふうに考えた、そういう政策をとったものでございます。  と申しますのは、こういう風俗関連営業というのは大変、何といいますか、どんどん新しくできていく、しかもそういうものが非常に短時日のうちに荒稼ぎをするというようなことが行われるわけでございまして、一つ一つの構造、設備を直して指導していくということをやりましても、なかなかそういうふうな業態になじまない、そういうことをやっていたのでは手おくれになってしまうというようなこともあるわけでございます。そういうようなことを含めまして、やはり先ほども言いましたように荒稼ぎをするということでございますから、今、例えば歌舞伎町なんかにありますものですと、極端なことを言えば一カ月ぐらい営業がうまくできれば元を取っちゃうというようなことも言われておる。ですから、そういうようなものは、やはり先ほど言いましたような形で厳しく対処をしていくということの方が政策としては望ましい、こういうふうに考えておるわけです。  一つ一つの個々の指導をやるということじゃなくて、今申しましたように、マクロでとらえて、そうして規制をかけていく、問題があれば営業の廃止まで含む厳しい規制をやっていくということがこういう営業に対する姿勢として望ましいのではないか、こういう政策をとったということでございます。
  207. 中野明

    ○中野明君 それから第三項で、「ぱちんこ屋その他政令で定めるものに限る。」というふうになっておりますが、ここで、「当該営業に係る営業所に設置される遊技機が著しく客の射幸心をそそるおそれがある」、こうなっておりますが、この「著しく」というのは、どういう程度を著しいというんですか。
  208. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) 「著しく」という解釈でございますけれども、こういうふうなものは、お客さんとしては偶然の機会に利益を得ようという客の気持ちがあるわけでございます。そういうことが、それは社会通念上もう許容できない程度に射幸心をそそる程度というふうに一応解すべきではなかろうか。  目安といたしましては、例えば一つの遊技機につきまして、あの遊技機で遊ぶというのはやはり偶然性とそれから技術というものが調和をとれているということが大事だと思うんでございます。そうでなくて偶然だけで決まってしまうというようなことになりますと、これはやっぱりそういう「著しく」という要素になる可能性が強いであろう。あるいはまた遊技じゃなくて、極端なことを言えば、そういうふうな財物の得喪だけを決めるというような、そういうふうな、遊技的な要素がなくなっちゃうというようなもの、それから一回の遊技で一定基準以上の、がさっともうけるといいますか、そういうようなことができるようなものが「著しく客の射幸心をそそるおそれがある」ということになるのではなかろうかと、かように考えております。
  209. 中野明

    ○中野明君 これは「著しく」という判断は、やはりこれも県の公安委員会ですか。
  210. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) これは国家公安委員会規則が基準を定めることになるわけでございます。
  211. 中野明

    ○中野明君 どれくらいの目安を考えておられるんですか、お金で言えば。
  212. 古山剛

    説明員(古山剛君) 金額的にどういう目安かということにつきましては、大変難しい問題でございますけれども、例えば現在パチンコ屋さんで玉と引きかえに賞品を出しておられるわけでございますけれども、それぞれの賞品の価格、これは現在二千五百円以下のものにしなさいというふうに指導いたしておるわけでございます。例えばそういうようなことでございます。
  213. 中野明

    ○中野明君 これは、そのときどきによって変わってくると思うんです。貨幣価値もどんどん変わってきますし、今ちょっと聞き漏らしたんですが、現在幾らぐらいと考えておられるんですか。もう一度。
  214. 古山剛

    説明員(古山剛君) 現在、玉と引きかえに出します賞品のそれぞれの価格でございますが、これは余り高額のものを出しますと、やはり全体として著しく射幸心をそそる営業になるおそれがあるということで、二千五百円以下のものでなければならないというふうに指導しているところでございます。貨幣価値が変わってまいりますと、またその辺のところは検討しなければならないと思うわけでございます。
  215. 中野明

    ○中野明君 それは交換する品物が二千五百円ということですね。一個の品物が二千五百円以上では、これは著しいじゃないかと、こういう考え方ですか。一遍の景品の交換が二千五百円以上、それ以上玉取ったらいかぬということですか、どういうことなんですか。玉はもっと取ってもいいんだけれども、一個の賞品が二千五百円以上だったらいかぬ。玉は三千円でも四千円でも構わぬ、そういうことでしょうか、どうなんですか。
  216. 古山剛

    説明員(古山剛君) その人の技術とかあるいはたまたま運がいいとかというようなものもございましょうけれども、一個四円でトータルで二千五百円以上になるような玉を取られる方も当然あり得るわけでございまして、それは別に二千五百円以上の玉を取ってはならないというような、そういうことではございません。
  217. 中野明

    ○中野明君 そうすると、玉は幾ら取っても構わぬということですか。
  218. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) これはやっぱり遊び方といたしまして、大変短時間に玉がなくなっちゃうとか、極端なことを言えば、非常に短い時間に何万円もすってしまうというような形のものというのはいけないと、こういうふうに思うわけです。  それから、一つの大きな入賞がありますと大変玉が出過ぎるという形になると、これまたそういうふうに出過ぎるということは、逆に損している方がたくさん出るということにもなりまして、非常に偏った形になりますね。そういう偏った形、それから極めて短時間に勝負がついてしまうというようなものはやっぱり望ましくないというふうに考えておりますから、そこら辺のところは一定の限度を考えていかなければならないというふうに考えております。  しかし、そういうふうな限度を考えて遊んだ上で玉が二千五百円以上に相当する品物と交換するということは何ら差し支えないということでございます。
  219. 中野明

    ○中野明君 そうすると、今おっしゃった限度というのはまだ決めてないんですか。玉が出てくる一定の限度というのはまだお決めになっておられないんですか。
  220. 古山剛

    説明員(古山剛君) その人の実力とか、あるいはそのときのはずみでどのぐらい出るかというのは、それははっきりと限度というのはわからないわけでございますけれども、例えば一分間に玉を発射するというスピード、これについては百発以内というようなことで、極端になることを抑えているというような点があるわけでございます。  それから、フィーバーという機械がございまして、これは非常に確率は少ないわけでございますけれども、始動入賞の穴に入りまして、それからさらに非常に少ない確率でございますけれども、オールセブンというようなことになりましたときにはかなりたくさんの玉が出るような機種でございますけれども、これをおおむね千三百個以内というような基準で出しているわけでございます。千三百個ということになりますと、これはめったにないわけでございますけれども一つ四円ということにいたしますと、出てくる玉は五千円ちょっとというようなことになるわけでございます。
  221. 中野明

    ○中野明君 現在はどうなっているのですか。
  222. 古山剛

    説明員(古山剛君) それが現在の運用でございます。
  223. 中野明

    ○中野明君 現在は千三百個ぐらいと、そういうふうに指導しておられるのですか。それがこの改正ではどうなるんですか。
  224. 古山剛

    説明員(古山剛君) フィーバーという、パチンコの遊技機の中の一つの機種でございますけれども、そのフィーバーの機種について大当たりになった場合の玉の一回の出る数を千三百個以内と、こういうように現在しておるわけでございます。これにつきまして、別に法律が改正になってもそれを殊さら厳しく変えるとかそういうようなつもりはございません。
  225. 中野明

    ○中野明君 そうしますと、今何か言われたフィーバーというんですか、それで、一台の機械で千三百以上出ぬようにしろという指導ですか、現在は。一回入ったら千三百個。現在もっと出るのがあるのと違うんですか。
  226. 古山剛

    説明員(古山剛君) そのフィーバーという機種のパチンコ遊技機で、一回のフィーバーで出る出玉数が千三百個以内ということでございまして、それが出ても、それからまた遊技をすることができるわけでございますから、非常に少ない確率でございますけれども、しばらくやっているうちにまたフィーバーになって、また千三百出るというような、そういうこともあるわけでございます。
  227. 中野明

    ○中野明君 それは、現在は各県同じですか。
  228. 古山剛

    説明員(古山剛君) 同じでございます。
  229. 中野明

    ○中野明君 この「著しく」というのが非常に基準があいまいですから、ちょっと気になるところなんですね。ですから、今もおっしゃったような点で、公安委員会がある程度そういうことを判断されるんでしょうけれども、これはもう永久に固定したものじゃないということは当然であると思います。時代の流れとともに物価も変わってくるでしょうから、現在の状況はそういうことでこれを著しいと、こうおっしゃっているということはわかりました。  じゃ、十三条に参ります。  風俗営業の時間を現行の条例基準より一時間延長することにした理由は何ですか。
  230. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) 現在、営業時間は、ごく一部の例外を除きまして、午後十一時までということになっておるわけでございますけれども、国民生活の様式も多様化する、生活時間帯も大変変化するということもございまして、一応午前零時までは原則として営業を認めよう、一時間延長しようという考え方をとったわけでございます。そういうようなことでございまして、しかし都市と農村との生活時間帯も異なるというようなこともいろいろございますから、そういうことも含めまして、条例で営業時間の異なる定めができるような形にしておるということでございます。
  231. 中野明

    ○中野明君 確かに今、夜遅い人が多くなったことは事実でございますから、現状に合わしたとおっしゃるんでしょうけれども、少し健全化ということと矛盾しないかなという感じもなきにしもあらずなんですが、一応現状の国民生活に合わしたということでしょうが、この二項では、政令で定める基準に従って営業時間を云々ということになっているんですが、この十三条の二項の「政令で定める基準」というのは、これはどういう基準なんですか。どういう基準を定めようとなさっているんですか。
  232. 古山剛

    説明員(古山剛君) 現在各県で決めております営業可能な時間の終わりの時間が大体午後十一時でございますので、十一時以降午前零時までの範囲内でというような、そういう基準を決めることを予定しているところでございます。
  233. 中野明

    ○中野明君 法律の書きようでしょうけれども、十三条で「午前零時」と、こう書いているわけですから、二項でわざわざ「政令で定める基準に従い」ということを書かれる必要ないんじゃないかという気がするんです。ここをなくして、条例で定めることができるというような書きようで構わぬのじゃないだろうか。わざわざ十三条で「午前零時」と法律で決まっているわけですから、それを第二項で「政令で定める基準に従い条例で定めるところにより、地域を定めて、風俗営業の営業時間を制限することができる。」と、こうなっているわけですが、ここで「政令で定める基準」という言葉は、無理に定めなくても法律で決まっているんですからいいんじゃないかという感じがするんですが、その辺どうですか。
  234. 古山剛

    説明員(古山剛君) 政令で基準を決めませんで、各県で自由に決めることができるということになりますと、現在よりもさらに営業可能な時間を短縮して、制限が過大になるおそれもあるんではないかということで、全国的にある程度斉一であった方がいいんじゃないかというようなことで、政令で基準を定めるということにしたものでございます。
  235. 中野明

    ○中野明君 いや、法律で「午前零時」というふうに限度を決めているわけですから、わざわざここで政令でお決めにならなくたって十二時より先はできないんでしょうから、政令で云々しなくったって、都道府県で地域を定めて云々ということでいいんじゃないだろうかと、そういう感じがしてならぬのです。  なぜそういうことを言うかというと、政令、政令というのが余り多過ぎて、こんなの政令で決める必要ないんじゃないかというところまで政令で云々と、こう書いてわかりにくくしているものですから、あえてお尋ねしているんです。  それとも、零時以降でも都道府県で決めたら構わぬということですか、これ。
  236. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) これは時間を十二時以降という問題じゃなくて、前に制限をしようということになるわけでございます。そうしますと、もし極端な例を言いますと、本来十二時なんだけれども九時にしようとか十時にしようとかという県が出た場合に、これはある意味で大変営業の自由の制限にもなりかねない問題があるわけでございます。そういうことで、やっぱりできるのはある程度一定の幅ですよということを定めておきませんと、営業者にとりまして大変不安定な状況になるということがございまして、そういうことで、一定の範囲内でやるということを定めることが大事ではないかと、こういうふうに考えたわけでございます。
  237. 中野明

    ○中野明君 県の公安委員会がそんなとぼけて、八時でもう終わりやというようなことを決めるとは私考えられませんがね。県の公安委員会にゆだねてあるわけですから、終わりの時間さえ決めておいたら、もうそういう風俗営業は八時で終わりですよというようなことを決めるような公安委員会はないと私は思うんですけれども、どうなんでしょうか。今の御答弁で、何か余り早うしまわれたら困るからというような言い方なんですけれども、どうです。
  238. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) これを決めますのは条例で決めることになるわけでございます。条例で決めるにいたしましても、そういうことはないだろうという感じはいたしますけれども、しかし極端な形に走らぬということがないわけでもないかもしれぬのでございまして、そういう意味では、やっぱりそういうふうな業者の権利というものを守っていくためにも、一定限度ですよということを示すことがやはりそういう安定性につながるだろうということで決めておるということでございます。
  239. 中野明

    ○中野明君 だから、ちょっと釈然としませんけれども、政令、政令といって、そういうところが多いものですから、最初に大臣にも申し上げたように、こんなの政令で決めること要らないところまで政令というように、基準についてもっともらしく難しいように書いているものですから、それでよう考えてみたら十二時以降はさせないのですから、そうしたら、もうこんな政令の基準なんて要らぬじゃないかと、こういうふうに思って今申し上げているわけでして、何かこれを読んだだけでは、また政令で、これわけのわからぬところで大変なことを決めるんじゃないかというふうに余計な心配もするわけでして、要らぬのじゃないかと申し上げているわけです。あったからといって、午前零時があるんですから別に構わぬといえば構わぬのですけれども、むだじゃないかなという感じがするものですからお尋ねをしたわけです。  それじゃ、二十条に参ります。  遊技機の規制及び認定ということで、従来は都道府県の公安委員会にいわゆる基準を任じておったといいますか、決めておったわけですが、これを今度は中央で統一されることになっているんですが、その理由は何かあるんですか。
  240. 古山剛

    説明員(古山剛君) 現在、遊技機の基準は都道府県にゆだねられておりまして、各都道府県で、事実上のサービス行為といたしまして型式認定がそれぞれ行われているわけでございます。そのために、それぞれの県の審査を受ける必要があるということになりまして、一つの県でせっかく認定を受けましても、その遊技機を他の県に入れようといたしましてもまた初めから認定の手続を受けなきゃならないというようなことで、取り扱いに不斉一を生じておりまして、遊技場営業者あるいはまたメーカー、販売業者にも負担をかけるという結果になっているわけでございます。  そこで、今回の改正案におきましては、一応全国的に遊技機の基準だけを統一化いたしまして、そして遊技場営業者の便宜のために、入れかえの際であると否とにかかわらず個別の遊技機について認定を受けることができることとするとともに、現在必要不可欠なものではございますけれども法的な手当てがなされていない、したがってサービス行為として行っております型式認定というものを検定として整備いたしまして、その検定を製造業者が受けることができるというふうにしたものでございまして、言うなれば、各パチンコの営業者あるいは製造業者等に対して利便を図るというために設けたものでございます。  ただ、基準とか技術上の規格というものを国家公安委員会で定めるわけでございますけれども、しかしながら遊技機の認定あるいは型式の検定を行うのは各府県の公安委員会でございまして、中央で統一するというようなものではないわけでございます。
  241. 中野明

    ○中野明君 そうすると、現在よりも遅くなるといいますか、そういう心配はないんですか、現在よりも手続上遅くなる。現在は都道府県でやっておるわけでしょう。ですから、それがこういう改正によって、中央に何かすることによって、現在の都道府県でやっておったよりも、手続上というのですか、実際に業者の人が遊技機を仕入れようとするに当たって現在よりもずっとおくれる、そういうような心配はないんですか。
  242. 古山剛

    説明員(古山剛君) 二十条の五項以下に指定試験機関の規定がございますけれども、技術のしっかりした指定試験機関で技術面の解明をするということになりますので、その点の手続は早くなりますし、それから現在は、一つの県で認定を受けましても、ほかの県へ行きますとまた最初からやらなければならない。今度はそれがなくなりますので、非常にスピードアップになるんじゃないかというふうに考えております。
  243. 中野明

    ○中野明君 現在、一部の人が心配をしておりますのは、県によって県民の嗜好が違うというのですか、そういうことで、ある県では大変評判がいい型式でも他の県ではそれが逆に非常に評判が悪いというような、県によって差があることを言う人がおるわけです。そういうことで一部に心配しているのは、中央で統一してそういうことをやられると、またもう一遍地方でやるということでかえっておくれるんじゃないか、そういう心配をしているからあえて尋ねているわけですけれども、もう一度そこのところ、心配のないならない、早くなるならなるということを具体的に説明して下さい。
  244. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) ここでいろいろ決めてまいりますのは、何もそういうふうなデザインとか、そういうようなことを考えているわけではないわけでございます。先ほどからちょっと議論が出ております、非常に射幸心をそそるおそれというやつがどういうものかというふうにお話がございましたけれども、玉の出る率でございますとかあるいは発射の速度であるとか、一種のそういうふうな玉の出る確率であるとか、そういうようなところに著しく射幸心をそそるおそれがないかどうかということを基準に見ていくということでございまして、御心配の、いろいろそのデザインとか形だとか、そんなところは、これはもう業者の方々が創意工夫を凝らしてやっていかれればいいことでございまして、そういう点についての画一化を招いたり、あるいは時代のニーズに合わないようなやかましいことを言ったりというようなことは一切考えていないところでございます。
  245. 中野明

    ○中野明君 それでは、時間も制約をされておりますので、三十九条の「都道府県風俗環境浄化協会」というのがあります。これは新しく設置をされるようですが、こういうものをつくるという理由ですね。この理由をちょっと説明してください。そして、どういうことをするのか。
  246. 古山剛

    説明員(古山剛君) 風俗環境の浄化の問題でございますけれども警察だけの指導とかあるいは警告だけでその成果が期待できるものではございませんで、広く民間の方々の協力ということがあって初めて本当の目的を達することができるというふうに思うわけでございます。  風俗環境の浄化のための苦情処理でございますとかあるいは啓発活動を行うに当たりまして、当然のことながら、暴力団とかあるいは悪質な経営者を相手にいたしましていろいろと助言もしていかなければならないという点がございますし、また一般の住民の方々に対しましても助言を行うというふうな、そういう必要がございまして、単に民間の公益法人という形では権威もございませんし、到底実効が上がらないのではないかということで、法律上風俗環境の浄化を担うべき団体としてオーソライズするということで、任意的な活動を行うにいたしましても、社会におけるその地位というものを明確にいたしまして、その活動が長く実効性が上がるようにする必要があるのではないかというようなことを考えまして、法律上そういう規定を盛り込むことにいたしたわけでございます。
  247. 中野明

    ○中野明君 任務
  248. 古山剛

    説明員(古山剛君) 任務といたしましては、一つは風俗環境に関する苦情を処理するということでございまして、一般の方々からいろいろ盛り場などの風俗環境について、いかがわしい看板が出ているから何とかしてほしいとか、いろいろ苦情が出てくる。それに対していろいろと相談に乗って、業者の方に助言をするとかあるいは必要なところに連絡するとか、そういうような苦情の処理というのが一つございます。  それから一つは、環境浄化といいますか、この法律に違反する行為を防止するための啓発活動を行うことでございまして、環境浄化についていろいろその必要性を訴えるためにポスターをつくるとか、そういうようなことでございます。  それから、「少年指導委員」というのが今度の法律上の規定として出てまいりますけれども、その少年指導委員といろいろ連絡をとってその活動をバックアップするというような問題。  それから、公安委員会の委託を受けまして、風俗営業者が各営業所に設置されます管理者に対して必要な講習を行うという問題。  それから、風俗営業所の許可の申請とかの場合の構造、設備の問題でございますとか、あるいは場所制限の関係でいろいろその辺のところについて調査をするというような、そういう事務などでございます。
  249. 中野明

    ○中野明君 今は行革のときですので、何かこういう新しいものをつくる必要があるのだろうかという疑問を私自身持っておりますが、特にこの中で、第五番目ですか、事業の中で、「公安委員会の委託を受けて第三条第一項の許可の申請に係る営業所に関し、第四条第二項第一号又は第二号に該当する事由の有無について調査する」、こうなっておりますね。このことで、衆議院でも議論があったようですが、行政書士会の皆さんが、浄化協会が許可の申請を代行するのではないか、それは行政書士法の違反というか、我々の仕事を奪ってしまうということで大変御心配をなさっているようなんですが、その辺は一切そういうことはしない、県の浄化協会の役目ではございませんということに私はなると思うんですが、どうですか。
  250. 古山剛

    説明員(古山剛君) 今回の改正案につきましても、行政書士会の方々ともいろいろ話し合ってきたところでございます。行政書士会の方々が、従来の行政書士の業務に対する重複業務が生じたり、あるいは行政書士の業務を侵すことになるのではないかという、そういう懸念をされていたわけでございますけれども警察庁といたしましても、都道府県の浄化協会の行う調査は公安委員会みずからが行う調査を委託して行うものでございまして、行政書士の方々が行う許可申請書作成のための調査と重複するものでは全くない。それからまた、許可申請の作成手続代行を行うものでもないので行政書士の職域侵犯となるものではないというようなこと。それから、調査の費用は都道府県から委託費として支払われますので、業者から直接金銭を収受するものではないので、当該協会は受益者団体ではないというようなこととか、それから警察といたしましても、浄化協会あるいは浄化協会に勤務する者が風俗営業に関し行政書士法に違反しないように適切に指導してまいりたいというようなことを説明いたしまして、いろいろと御理解をいただくように努めてまいっておりまして、大方の御理解をいただいているというふうに思うわけでございます。
  251. 中野明

    ○中野明君 そうしますと、何か不安に思っておられる人もおるので、確認しておきますけれども、都道府県浄化協会の行う事業の範囲にはそれは入らぬ、だから有償、無償にかかわらずそんなことは自分のする仕事と違うというふうにはっきり言い切れますね。お約束できますね、そこのところ。
  252. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) この浄化協会がこういうふうな行政書士の予定されております関係の業務をやることを私どもは予定をしておらないところでございます。
  253. 中野明

    ○中野明君 ですから、今の答弁、重ねて確認するんですが、この浄化協会がする事業ではない、ですから、有償はもちろんこれはもう行政書士法の違反になりますが、無償であってもそういうところがそういう作業をするとか、そういう手伝いをするものじゃない、この協会は。そんなことは一切させません、こう言えますね。
  254. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) 一切そういう形で協会として行うことを予定をしておりません。
  255. 中野明

    ○中野明君 それから一つは、ちょっと気になることを聞いたんですが、今度の営業の許可を出すときに、一部で、外国人の人が経営しているそういう場合に、営業許可を申請するときに、いわゆる指判ですね、拇印というんですか指紋、これを押すようになるのだとか、あるいは押さなきゃならぬとか、あるいは押せということを指導している地域があるようなんですが、そんなことは毛頭考えておられないでしょうね。
  256. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) 考えておりません。
  257. 中野明

    ○中野明君 それで、佐藤委員も資料を要求しておられますが、まだ来たようにないですから、私も少し時間を浅さしていただいて、私もちょっと二、三聞きたいところもありますので、これで終わりたいと思いますが、最後に大臣に、先ほど私、保安部長議論をさしていただいたいわゆる許可の基準ですね、一年以上の懲役をもらった人はもう五年間あかんのやという分ですね。これ議論をお聞きになっておった大臣の御所見ですね、私は、風俗営業に関して罪を犯した人はこれはもう当たりまえだ、こう理解できます。だけれども、そこまで幅を広げ、五年も年期を延ばす必要が果たしてあるのかということ。他の法律、保安部長はきついのばかり探してこられて一生懸命説明しておられましたけれども、そうじゃなしに、私が例に挙げたのは電波法を挙げましたが、ああいうそれこそ電波というのは国民の共有財産とまで言われて、公共性の非常に高いものですが、これの免許を受ける人にすら電波法の違反は欠格条項ですよということになっておるだけでありまして、それはわかるんです。だから、やはりこれは営業の自由ということもありますし、余りここまでいくと行き過ぎじゃないかという感じがしているので、大臣の所見をお伺いして終わりたいと思います。
  258. 田川誠一

    ○国務大臣(田川誠一君) 非常に専門的なことでございまして、私から余り具体的なことを申し上げるのもどうかと思いますけれども、私は、この風俗営業という一つ仕事から見まして、風俗営業という一つ仕事の性質から見まして、暴力団が関係するような場合もあるし、あるいは場合によっては、かけ事に陥るような場合もしばしばございますから、やはりこの経営する人によってかなり風俗営業の業種が悪い方向へ行く可能性、おそれもあるわけでございます。  そういう意味から、中野さんとはちょっと感じが違うんですけれども、私は少し厳しく律した方が健全化に資するのではないかという感じを持っているのでございます。しかし、大変専門的なことでございますから、いろいろと問題もあるという御意見は十分踏まえて今後処してまいりたい、このように思っております。
  259. 中野明

    ○中野明君 一部、政令等の問題で、佐藤委員も先ほどからお待ちになっておるようですが、出てこないようです。私も余り大して時間残りませんでしたが、二十分ほどありますので、その問題について私も質問したいことがありますので、保留させていただいて、きょうはこの辺で終わりたいと思います。
  260. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ちょっと速記をとめて。    [速記中止] 〇委員長大河原太一郎君) 速記を起こして。  本日の質疑はこの程度にとどめ、次回の委員会を七月二十四日午前十時に開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十七分散会