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1984-07-17 第101回国会 参議院 地方行政委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年七月十七日(火曜日)    午前十時十分開会     ―――――――――――――    委員異動  七月十七日     辞任         補欠選任      秋山 長造君     高杉 廸忠君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長        大河原太一郎君     理 事                 岩上 二郎君                 真鍋 賢二君                 志苫  裕君                 三治 重信君     委 員                 井上  孝君                 加藤 武徳君                 上條 勝久君                 古賀雷四郎君                 出口 廣光君                 松浦  功君                 吉川 芳男君                 佐藤 三吾君                 高杉 廸忠君                 寺田 熊雄君                 原田  立君                 神谷信之助君    国務大臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    田川 誠一君    政府委員        内閣官房内閣調        査室長      谷口 守正君        警察庁長官    三井  脩君        警察庁長官官房        長        太田 壽郎君        警察庁刑事局長  金澤 昭雄君        警察庁刑事局保        安部長      鈴木 良一君        警察庁警備局長  山田 英雄君        青少年対策本部        次長       瀧澤 博三君        法務大臣官房審        議官       濵  邦久君        文部省社会教育        局長       宮野 禮一君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局家庭局長   猪瀬愼一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        高池 忠和君    説明員        警察庁刑事局保        安部防犯課長   古山  剛君        警察庁刑事局保        安部少年課長   山田 晋作君        文部大臣官房審        議官       菱村 幸彦君        会計検査院事務        総局第二局審議        官        黒田 良一君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○風俗営業等取締法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、秋山長造君が委員を辞任され、その補欠として高杉廸忠君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 風俗営業等取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明につきましては、前回の委員会において聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 風俗営業等取締法改正案審議に当たりまして、各方面からさまざまな批判や危倶が表明されております。殊に警察官権限を拡大するというふうな見方をするものが多いわけであります。それに対して非常な不安や危惧を表明する、これは日弁連の批判の中にもそうした趣旨がうかがわれるのでありますが、なぜ警察の権力の拡大がそのように不安の対象になるかと申しますと、これはやはり警察官の社会的な信用度が必ずしも高くない、社会道徳的な廉潔度もそう高いものとは評価せられておらない、また、職権乱用も非常に懸念されておるということ、これが一般的な私は風潮だと思います。これは必ずしも日本だけではありません。世界的なものでもありましょうし、また遠い過去からの歴史的なものでもあると思います。この点は、本法の運用に当たってももちろん十分考慮されなければなりません。まず、この法の内容自体についてこの点が吟味されなければならないと考えるのであります。  それにつけて、まず私は、先般仙台高等裁判所で言い渡されました松山事件判決、これを取り上げてみたいのであります。  これは既にもうこの委員会論議がなされたことでありますので、多くは申し上げませんが、新聞にも報道されており、判決要旨を取り寄せてみましたその中の一点だけを特にこの際取り上げてみたいと思います。  それはどういうことかと申しますと、この事件で最も重要な証拠とせられておる被告人斎藤幸夫犯行後に使用したという掛け布団の襟当てに付着した血痕群についての判旨であります。これは判決要旨の四、「掛布団の襟当てに付着した血痕群」という見出しの中にうたわれております。私が特に注目したいのは、この血痕なるものが犯行後に警察官によって付着させられた疑いが濃いという点であります。鑑定人犯行直後に三木東北大助教授がいたしておりますが、この判決要旨の中に「三木鑑定時の多数の血痕群は押収後付着したとの推論を容れる余地を残している。」と、こういう部分があります。これが、鑑定人が付着せしめたというふうに推論することはなかなか困難であって、やはり何とかしてこの事件有罪に持ち込もうとする捜査官の何人かが、このように後で故意に血をつけたのではなかろうかと、これはマスコミ報道も、大体そういうふうな推論のもとに報道をしておるようであります。  ここでぜひ警察庁長官にも、それから大臣にもお考えをいただかなければならないのは、およそ重大な犯罪捜査に当たって、警察官証拠を偽造するというようなことがあってはならないことは申すまでもありません。それが単純なるマスコミ推論その他で云為されるものであるならば、これはそう重大にとらえる必要はないかもしれない。しかし、裁判所判決でそういう示唆をするということになりますと、これは容易ならぬこととしてとらえなければなりません。これぐらい警察官信用を落とすものはないと私は考えるのであります。  松山事件について多くは語りたくないのでありますが、この一点についてのみ私は特にこの委員会で取り上げてみたいと考えたのであります。  これについて警察庁長官並びに国家公安委員長としての大臣の御所見をお伺いします。
  5. 三井脩

    政府委員三井脩君) 捜査に当たりまして、警察官証拠を発見して事件有罪に持っていくというのが任務でございますが、だからといって、その証拠不十分な点を、今お話しのように手を加えるというようなことは、もとよりあってはならないことでありまして、それでありますがゆえに、難事件におきましては、特に警察官は大変な苦心をするわけでございます。したがいまして、本件について、そのような判決の中で裁判官の見解が、その疑いがあるというような判断が示された点はまことに残念でございます。  我々としては、全く我々がやっておることと裏はらのことでございますので、そういうような疑いをいささかでも受けることのないようなそういうような捜査をやるべきであると、本件の場合もそのように努めたものと考えますけれども、御指摘のような結果に現在なっておるということについては全く残念であると考えるわけであります。  もとより、それぞれの事件につきましては、その後の経過にかんがみ、反省すべき点は反省をし、今後の捜査をよりよいものとするために生かしていくというのが私たちの考え方でございますので、このように努めてまいりたいと思います。  松山事件につきましては、今回判決がありまして、さらにこれをどうするか、上訴というようなこともあるわけでありますが、それは私たちが扱うことではございませんけれども、そういうまだプロセスにあるということでございますので、細部一々の点についていろいろと論評するべきまだ立場にないと思いますけれども、基本的にはこういう立場で対処してまいりたい。捜査一般にはそういう立場で我々が臨んでおるということでございます。
  6. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 警察は当時全力を挙げて捜査を行ったものと思いますけれども判決指摘された点につきましては、真摯にこれを受けとめて、今後の捜査に生かすように指導をしてまいりたい、このように考えております。
  7. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 ただいまは犯罪捜査の面で警察官職務執行の不適正の面を論じたわけでおりますが、そのほかのさまざまな不祥事件一般が絶えずマスコミをにぎわしておるという点は、これは否定できません。ただ、これにつきましては、先般のこの委員会で集中的な御論議があったようでありますから、余り多くを質問する気持ちはございません。  ただ、私自身も、私ども仕事である弁護活動を通じて、かなり警察官権限乱用というものに接しております。殊に警察官のただの飲み食いと思われる点に時々出くわすのであります。殊に私がかなり憤りを発したのは、老婆がやっておる飲み屋で料金三百円をお客警部補に要求したところが、直ちに営業時間の超過についての摘発があったという訴えを受けまして、直接その警部補に私電話したのであります、けしからぬじゃないかと言って。そして、その摘発はすぐやまったのでありますが、これは私自身体験であります。  それから、岡山県の温泉地女中が淫行を助けた。女性をその旅館に入れた、お客の依頼によって。そして、それを刑事事件として立件された事件でありますが、なぜその特定女中を捕まえたかという点についても、そうした頻繁な事例があるのになぜその特定女中だけを捕らえたかという点にかなり疑いを持ちました。しかし、それは、私も忙しかったので、あえてそれを助けるということはできなかった。  それから最近、岡山のある弁護士から情報があったのでありますが、あるゲーム屋身内の者がキャバレーで女の子にセックスを強要させた。それは、そのキャバレー管理売春で刑を受けるに至ったのでありますが、営業停止にもなったのでありますが、後でそのゲーム屋身内の者が、実は警察防犯課の者に頼まれて、趣旨は、その防犯課の者が、わしの点数を上げるのに協力してくれということで、せがまれてそうしたという告白をしたのであります。その弁護人は私にそれを通報をいたしまして、警察官規律乱れというものをやはり何とかしなければいけないということを申したのであります。  さらにまた、あるマージャン屋賭博関連手入れを受けましたときに、自分はあるかなり上級警察官に毎月三十万円ずつのお金を提供しておるので、絶対に手入れを受けるというようなことはないと信じておったということであります。その弁護人も、警察に行って、実はその点についてその情報を告げたのであります。警察の方は、そんなことはあるはずがありませんということであったが、よし、それならばそれを私の方で表に出そうかということで息巻いたところが、翌日、実はそういう点について事実があるようだけれども、これは何とかひとつ内分にというようなことでおさまったというのであります。そういう事実を公にして、特定の人の名前を挙げていかなければ、そうした権限乱用というのは改まらないんだけれども、それがやはり名前を挙げて警察と対決するということはなかなかできにくいようであります。私はあえてやるべきだと言ったのでありますが、その弁護人は、そこまでは勘弁してくれということであります。そういう私どもの直接の体験もあります。  それから、最近、松橋忠光という人が、これは警察OBのようでありますが、「わが罪はつねにわが前にあり」という、こういう本を出しておる。まだ精読したわけではないけれども、一読しただけで私は、警察内部規律乱れといいますか、職権乱用というか、それについて、これはもうほうっておけないのではないだろうかと感じたのであります。  しかも、天下朝日新聞に「わたしの言い分」と題して、これはことしの七月九日でありますが、かなりなスペースを割いた主張報道されておる。  これによると、福岡県警察本部警備部長たりし三十七年から三十九年にかけて、月に五十万円の部長経費を受け取っていた。当時私の月給は六、七万円であった。原資は旅費と捜査費である。部下が空出張をしたり、領収書を偽造して裏金をつくるわけだ。内閣調査室にいたときは、私自身三カ月に一回ずつ、協力者への報償費という名目でにせ領収書をつくっておった。私が内閣調査室を去るとき――これは昭和五十年だそうでありますが、二百十数万円のせんべつをもらったが、その八割以上は公金から出たものである。  一体こんなことがあっていいんだろうか。労働組合やみ手当をもらったなんということになりますと、マスコミにもたたかれ、議会でもたたかれ、それはもうこてんこてんにやられてしまう。天下警察がこんなことがあっていいんだろうかと、国民のだれしもこれは思わざるを得ないのであります。これがこそこそと言われておるのではない。堂々と単行本主張され、朝日新聞主張されておる。これは朝日新聞だけじゃないようであります。こういうことがあっていいかどうか、およそ大臣警察庁長官も、これはもう痛切にお感じになると思う。まずこの問題について、警察庁長官大臣御所感をお伺いしたい。
  8. 三井脩

    政府委員三井脩君) 今御指摘がありました著書でございますが、あの中では、本人自分体験したことということで、大変信憑性があるような形で書いておりますけれども、どうも本人一流の思い込み、独断というようなものが多くて、私たちも大変迷惑をしておるわけでございます。  およそ我々が扱っておる経理につきまして、これは適正に行われなければならないということについては申すまでもないことでございまして、私たちは常にその点について努めておるところでございます。  元幹部ということであのように言っておりますので、そういうことで私たち疑いを受けることのないよう、常にそういう点についてはよく注意をしてやってまいりたいというように考えます。
  9. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 私も、この本が出ましたときに、すぐ本を読みましたけれども、全部は読んでおりませんが、途中まで読んでおりまして、私も物書きの仕事を随分やっておりましたけれども、少しやはり体制内で不満分子が書いた一流の書を方をしておられるようでございまして、全部読んではおりません。要旨を聞きましたし、後で読んだ人の話を聞いたり、あるいは該当者に多少話を伺いましたけれども結論としては、二十年前におやめになった方がやはり相当な不満を持って書いたものだというふうに思います。そして、やっぱりそのところをよく読みますと、だれが言ったとかこういううわさがあった、こういう書き方なんですね。よく政党の中でも、政党幹部政党から造反してやめて書かれるというような文書に時々そういうのもありますけれども、そういうようなもので、どうも私は全部信ずることはできないし、それからもう一つ特徴的なことは伝聞が多い、こういうふうに思います。  それからもう一つ著者の個人的な資質は、個人を知っている人にいろいろ聞きますと、相当変わった人であるということを一様にどなたもおっしゃっておりますね。そういうことで私は、あの本は外から見ると非常におもしろいように見えますけれども真実性については非常に乏しい、こういうふうに思っておりますし、関係者から話を聞きまして、そのような報告を受けております。
  10. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 この著者である松橋自身資質につきましては、私のところにも二、三の情報が入っております。これは先方の方から私に通報してまいったので、おっしゃるとおり若干奇矯な行動があったことは事実のようであります。しかし、私もその主張信憑力を探るために、私の友人である警察OBかなりの要職におった者に問い合わしてみた。本人とも話をしてみた。ところが、なるほどそういう奇矯な言動があったにせよ、本人が受け取らない金を受け取ったようなことは言わないだろうという点は、その友人が申すのであります。この友人警察官当時も非常に信望のある、そして公平な見方をする人物であり、それが受け取らない金を受け取ったと言うようなことはないと思うということを申すのであります。  今大臣は、伝聞ということで信憑力を否定なさったようでありますが、金を受け取ったというのは伝聞ではない、自己体験を告白していることであって、これはまさに直接的な体験の表明なのであり、一つ警備部長時代自己が受け取った、一つ昭和五十年に内閣調査室を去るときに受け取った、その自己体験を物語っておるのであります。したがって、私はその金銭の授受については信憑力ありと考えざるを得ないわけです。  そこで、内閣調査室長がおられるならば内閣調査室長にお伺いをしたい。  この松橋氏が昭和五十年に内閣調査室を退職するときに、その主張のごとき退職金を受け取ったのかどうか、まずこれをお伺いしたい。――じゃ、これは後でいい。  それから、警察庁官房長はいらっしゃいますか。  官房長はたしか衆議院地方行政委員会で、私は二度も警察本部長をやったけれども、さようなせんべつを受け取ったことは記憶にありませんと、こういう答弁をしておられる。記憶にないというのはよくあることで、その事実がないというのとはやや趣を異にする。これは私どもしばしば法廷で証人の証言をつぶさに検討する場合にぶち当たることでありますが、記憶にないというこれは、そういうせんべつなるものを全くあなたは受け取ったことはないという趣旨か。どちらです。
  11. 太田壽郎

    政府委員太田壽郎君) 私は記憶がないと申し上げましたけれども、今お話しのようなやや言葉足らずであった点で、すぐつけ加えて、そういう事実はないというふうに申し上げました。
  12. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 その点も私は松橋氏に、警察庁官房長はそういう事実がないと言っておるぞということを伝えましたところ、彼は言下に、それはうそですということを申すのであります。これは水かけ論になるかもしれないけれども片一方はないと言う、片一方はあると言う。ロッキード事件のようなものである。  そこで、これはやっぱり天下警察信用度にかかわる問題であります。私は天下の大事とまでは言わないけれども、しかしかなりこれは粗略に扱っていい問題ではない。したがって、これはやはり事は警察信用に関する問題でありますので、松橋氏を参考人としてこの委員会に喚問していただきたい。そして、事の是非を明らかにさせていただきたいと思うのですが、委員長いかがでしょう。
  13. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 寺田君に申し上げます。  理事会に諮りまして、相談の上、結論を出します。
  14. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 会計検査院の方は来ていらっしゃいますか。  このようなことが公然と論ぜられるということになりますと、私どもはやはり会計検査院にこうした点の検査を厳重にするような要望を提出せざるを得ないわけであります。会計検査院がこういう問題をいいかげんにして国家経理が適正に行われる道理がないわけで、この点で、会計検査院警察捜査費等に対する検査をどのように行っておるか、まずこれをお伺いしたい。
  15. 黒田良一

    説明員黒田良一君) お答え申し上げます。  会計検査院におきましては、警察庁関係検査は他の省庁と同じように検査を実施しております。すなわち、在庁検査を実施いたしております書面検査と、それから現地に行って検査を実施いたします実地検査と、二つの方法で検査を実施しているところでございます。で、会計検査院には毎月警察庁の方から証拠書類が提出されてまいりますので、この関係検査在庁検査いたしまして、それから現地に臨みまして足らざるところを補うという形で実地検査をしております。  検査を実施しております検査担当課は二十人でございまして、そこは国家公安委員会警察庁以外にも法務省、裁判所といったところを検査をしておりまして、そこに提出されます計算書が三十三万冊、一年間でございます。証拠書類が五百八十四万枚という多数の証拠書類がございます。その中から警察庁関係のものを書面検査をし、実地検査をやるということで実施しておるわけでございます。  在庁検査におきましては、今先生から御質問のございました捜査費につきましては、特に捜査費関係取扱責任者に対します支出決議書、それから取扱責任者領収書支払い明細書、こういう計数金額支出計算書と対査いたしまして計数を確認いたします。  それから、実地検査におきましては、他の庁費検査と同様に、現金出納簿、支払い伺い、支払い精算書領収書等によって検査を実施しているところでございます。  何分にも、五十八年度の決算額で見ましても、警察庁は年間千五百三十三億円ほどの費用を支出予定でございますし、決算額がその予定でございますが、そのうちで捜査費が六十九億円程度になるわけでございます。ですから、全体の中で占める割合は非常に少のうございますが、事柄の性質上、これにつきましては厳重な検査を従来からも実施しておりますし、今後も検査を厳重に実施する所存でございます。
  16. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 千数百億の中の六十九億ということで全体の比率は必ずしも大きくはないけれども、やはりこれは純粋に我々の税金から賄われておるわけでありますので、金額が少ないと申していいかげんにすべきことではない。  それで今、会計検査院審議官の方では厳正に検査を行っておるということでありましたが、私ども事務当局説明をお伺いすると、必ずしも受領証名義人に当たってそれを確かめているというわけではないようであります。この点はいかがですか。
  17. 黒田良一

    説明員黒田良一君) 捜査費というものはその特殊性、費目といたしましての特殊性の点から、警察庁の方から会計検査院に対しまして計算証拠書類簡易証明承認方の申請がございまして、それで私どもはそれを承認しているということになっております。したがいまして、現在会計検査院に来ております証拠書類は、三十四年以降その方式でやられておるわけでございますが、そこでは取扱責任者が何月分幾ら使われたかという支払い金額、それがわかる一覧表だけでございます。  実際に実地検査にいきました際に、各管区警察局あるいは都道府県本部におきまして、取扱責任者のもとで、さらに取扱者がどのようにそれを使っておられるか、現地証拠書類を確認するということで確認をしております。  以上でございます。
  18. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 一々受領証名義人に当たっておる、こうおっしゃるのか。
  19. 黒田良一

    説明員黒田良一君) 取扱責任者の手元に保管しております領収書を確認いたします。それでございます。実際にその領収書に書かれております名義人、それを一応確認して、全体としてどのくらいの金を使っておるかということを確認するということでございます。
  20. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 ちょっと説明がなかなか複雑なようで、もう一遍端的にお伺いしたいが、その名義人に現実に当たる調査を実施しておるかどうかと伺っておるんですよ。
  21. 黒田良一

    説明員黒田良一君) その名義人のところには直接当たって検査をするというようなことはしておりません。
  22. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 なお、事務当局者のお話を伺うと、今審議官が答えられたように、直接名義人に確かめてはおりません。また、確かめようとしましても、その名義人の住所が何々市何々町一丁目というようなところで、番地の記載のないようなものがほとんどである。したがって、なかなか確かめることが困難である。それからもう一つは、ペンネームを使用した受領証があって、これが真実何人なりやということが自分たちにはなかなか把握できないという説明を受けたのですが、それはそういうのは事実ですか。
  23. 黒田良一

    説明員黒田良一君) 捜査費の性格上、いわゆる情報提供者、これの人身の保護の面、あるいは今後の捜査の方向、その辺を勘案いたしまして、非常に細かい点までチェックすることはできないということでございます。
  24. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 初めからそういうふうにおっしゃっていただけばすぐ片づいたと思うんだが、私も警察関係者にお伺いすると、一応それは領収書が必要なんですということで、一応という説明がある。昔の機密費とは違いますというので、なるほど昔の機密費の場合は私もいろいろ事実を知っております。例えば私の友人のおやじであった警察署長、これは当時は東京市でありましたが、東京市のある警察署長、毎月百五十円機密費をもらっていたようであります。そのときの小学校の教員の初任給が四十五円程度でありましたから、これはもう毎月百五十円の機密費というのは大変なものだ。  ところが、現在はこの機密費がない。捜査費ということになっている。捜査費ということになると、一応の領収書を必要とする。しかし、今審議官が言われたように、これは捜査費の性質上、そう根掘り葉掘り調査するわけにはまいらぬ。また、警察の方もそれを知って、ペンネームの受け取りを書く、所番地もはっきりしないというようなことが現実に行われておるようであります。しかし、それはやっぱり捜査費だけを果たして特別扱いにすることが妥当かどうかという財政技術上の問題は残ります。  もう一つは、これは警備警察、今、警備局長いらっしゃるが、情報を提供してもらったらお礼をする。これは公安調査庁でもやっておることで、お礼をすることが悪いということは私は辛さない。ただ、どんな情報を提供したのかという、その情報なるものが真実であったかどうかという点の調査を時にはやってみられた方がいいんじゃないかと私は考える、会計検査院も。全く捜査費は別扱いですと言って、その情報については一切タッチしないというのはどうだろうか。いかがです。
  25. 黒田良一

    説明員黒田良一君) 先生のおっしゃる趣旨、よくわかります。  確かに元決算委員長として、国の財政についてのお日付役ということで、いろいろ我々を御指導してくださった先生の御発言でございますので、先生の御趣旨を体しまして厳重に検査を実施したいと思いますが、ただ捜査費というものは、先ほど来何遍も申し上げておるわけでございますが、非常に難しい点をいろいろと含んでおります。それで、情報の提供者そのものに会わなくても従来、先ほどからお話がございました元警察幹部の方が出された本が出るまでは、あのようなことがあるとは私どもは思ってもおりませんでした。実際にあれが伝聞証拠であるということでございまして、私どもあれにつきましてはまだ確かに証拠があるわけでございませんので、あれについての論評を差し控えたいと思うんでございますけれども、ああいう本が出た以上、あれを一つの資料といたしまして厳正な検査を今後実施したいと思っておりますが、なおかつ情報提供者そのもののところへ行くということは、私どもは差し控えたいと思っております。と申しますのは、やはり日本の警察というのは世界に冠たる優秀な組織でございまして、私ども警察を信頼しております。  それで、いわゆるそれが警備活動あるいは公安活動におきまして支障を生ずるようなことがあってはなりませんので、まして情報提供者がだれかということがわかって、その方にもし人身事故でも起こったら私どもとしては困ります。  そういった点を勘案いたしまして、先ほど申し上げました千五百三十三億のうちの六十九億円でございます。そのうち実際の本当に怪しいと思うのは、またさらに非常に金額が小さな金額になるだろうと思います。その辺を勘案いたしまして検査を実施いたします。そういうことで御了承いただきたいと思います。
  26. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 今の審議官のお答えはなかなが力強い決意の表明と私は受け取った。非常に結構だと思いますが、ただ一つだけ御注意申し上げると言っては何だが、警察への情報提供者が何人なりや、またその情報がどんなものであるかという点に余り深入りしがたいというような御意見もあるようだけれども、聞いてみると、警察の方もこういう情報ですといって見せるんだけれども、ちょっと見たら、まあまあこれはこの程度にと言って返してもらうと、取り上げてしまうと、それでこれ忘れてくださいと、こう言うという。  そこで、例えば大蔵省が防衛庁の予算を審議する場合に、それは防衛機密にわたることでもやっぱり大蔵省は大蔵省の責任として、その予算が必要なものか、適切なものかどうかという点、ある程度やはり入らなければ予算が編成できないと思うんです。もう防衛庁に軍事秘密ですと言われたらうのみにしなきゃいかぬか、私はそうじゃないと思う。大蔵省の役人もやはり日本の財政を預かる大きな責任を持つのであって、防衛庁の言うことをうのみにするような主計官であったら意味ないでしょう。だれでもやれる。それはちょうど戦前に高橋大蔵大臣と軍部が渡り合ったことをやはり思い出すのでありますけれども、私はやっぱり自分の職分については徹底した自負と責任感を持ってもらいたいと思う。  だから、裁判所が軍事機密について裁判するときだって検事が、軍事機密ですから裁判長、あなたはこれ中身は聞かぬでくださいと言ったって、裁判長はそうはいかぬ、やっぱり聞かなきゃ。軍事機密なりや機密にあらざるやということは、裁判官はやはり自分で判断する。だから裁判官はその中身をやはり調べる。あなた方も、これが情報なりや否や、果たして情報と言うに値するや否や、これはやっぱり調べなければだめですよ。その点は、だからあなた方がそれを公務員としてほかに漏らすようなことは、これは考えられないから、警察もやはりそれを信用すべきであるし、あなた方もやはり権威を持って、おれはおれの職分で調べるんだ、おれは漏らさないから安心しろと言って、しっかりお調べになるがよろしい、こう思いますよ。
  27. 黒田良一

    説明員黒田良一君) 会計検査院におきましては、今先生がおっしゃったような防衛秘密等も含めましてもちろんのこと、戦前の機密費というものがございまして、戦前の機密費はノータッチということがあったようでございますけれども、現在におきましては機密費というものはない、やはり会計検査の対象とならないものはないというふうに私どもは考えております。  したがいまして、防衛秘密のものでも、いわゆる防衛費というようなことでも現場で見せていただくものは見せていただきますし、御説明はしていただきます。それと同様に、捜査費等につきましても聞きました調査官が心証を得るまでは説明を求めまして、今までのところ警察庁の方からは説明を得ているということでございますので、その辺で会計検査院は、一応適正に執行されているということで心証を得、検査を終えているということでございます。  したがいまして、警察庁につきましては、従来特に違法または不当と認めたという事項はございませんが、そういったことで検査は今後も実施いたしますけれども、先生のただいまの御提言を外しまして慎重に検査をやりたい、かように思っております。
  28. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 警備局長、何か御用事があるということだから今お伺いするけれども捜査費の問題、これはやっぱりあなた方の聖域と考えずに、慎重なまた厳重な会計検査に嫌がらずに、それをがっちりと受けとめた会計の処理をしてもらいたいと思うんです。殊にこういう本が出た今でありますからして、これは相当あなた方も心して捜査費の運用をしていただきたい。いかがですか。
  29. 山田英雄

    政府委員山田英雄君) 捜査費、旅費その他経理の適正な執行、これは警備局に限らぬことでございますが、警備警察の分野ではかねてから適正を期しておるところでございます。  先ほど来伺っておりますと、松橋氏の著書が真実であるという前提でお尋ねのようでございますが、部長経費の問題につきましても、当時の関係課長に事情を聞きますと、自由に使える部長経費があったなどということはとんでもない間違いだと、警備部の各課の活動経費について各課長ごとにあらかじめ配賦の枠を指定するのでなくて、当時の福岡県警備部のやり方は、どういう事件が起きるかわからない、そういう意味で臨機応変の執行体制をとるために、各課長ごとに部長の決裁を得て使うような枠というものは設定しておったと、その部長決裁を経て執行するということを誤解しているんじゃないか、自由に使えるなんということはあり得ないということでございます。その点において事実にそぐわない点がございます。それから体験した事実は間違いないだろうとおっしゃいますが、松橋氏が当時けん銃を携帯すをに至って管理職の地位を遠ざけられているわけでございます、福岡県警備部長以降。そのけん銃携帯の記述を見ますと、二百八十六ページ以下に、某労組幹部と新聞記者から君は命をねらわれていると勧められ、「二、三の人からけん鉄所持をすすめられていた私は、Y署巡査部長の自殺を契機として心構えを新たにするつもりで私服用のけん銃を持とうと決めた」云々と書いてございますが、これは当時の関係者に聞きますと、ある部外者に料亭に招かれたとき、その部外者の人と対決しなきゃならないということで私服用のけん銃を携帯していくと言い出したのがきっかけでございまして、当時の部下の課長は、宴席にけん銃を持っていくとは何事だと、そういうことで強くとめて、命令だと言うので、命令ならば私は辞職するということでいさめて、けん銃携帯をとどめたということが真相でございまして、どうも自分のことに関しますと事実にそぐわないように記述してあるわけでございます。  それから、松橋氏の金銭感覚をひとつ立証することを申し上げたいと思いますが、既にあの本を執筆中だと思います昨年の二月に、かつての部下であって首都圏の本部長をやっている者に、夫婦で旅行したいから観光地の旅館をとってくれという依頼があった。もちろん依頼に応じてホテルをとって、個人タクシーまでチャーターして案内したわけです。しかし、その個人タクシーの経費はもちろん支払わずに、朝迎えに行くとホテル代を払ってくれない、こういうことです。ホテル代は当然支払うべきだと思っておったんですが払ってくれない。それじゃということで話をあいまいにしておって、彼はその後輩の本部長に払わせたわけです。これはいまだにその者は、何ということであろうかと、警察を離れて十数年、自分の私的な旅行にですね。そこで、タクシー代四万二千五百円、ホテル代三万一千五円、この領収書をその者は今でも持っている。何たることであるかということが金銭感覚の一つを物語ると思います。何か自分のしたことについてだれかが払ってくれるだろうという期待が常にあるのではないかと思います。
  30. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 警備局長、こちらが聞かないことを長々と話しする必要はないんです、これは答弁なんだから。そんな料亭でだれとけんかしたとかホテル代がどうしたなんて私は全く聞いていない。そうでしょう。そんなにあなた、この本に対してふんまんを持つ、そのふんまんをこの場で表明する必要は全くない。貴重な時間をそういうことで費やすべきでない。  そうでなくて、私があなたにお尋ねしたのは、やはり捜査費というものは厳重な使い方をしてほしい、領収書も受け取った人間の所番地なんというものをいいかげんにしないとか、ペンネームじゃなくて実名を使うとか、そういう点を慎重に配慮してもらいたい、こう言ってあなたにお尋ねしたんです。
  31. 山田英雄

    政府委員山田英雄君) 今御指摘の点を含めまして、適正な執行には従来からも努めてまいりましたし、努めてまいりたいと思います。  ただ、情報収集に関連しての協力者の問題でございますが、これはやはり一人一人の協力者の問題ではございませんで、協力関係が外に出ないという信頼関係において御協力をいただいているわけでございます。したがって、その信頼関係を崩すようなことがありますれば情報収集活動全般の基盤が崩れますので、個々的な場合についてその協力関係を外部に秘匿するという事情があることは御理解いただきたいと思います。
  32. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 それが私は違うと思う。つまり、天下に明らかにするとか一般の私人に漏らすとかいうのではない。やはり国家の財政上の経理を適正なものにする、そういう大切な任務を持っておる会計検査院が事の真否がわからぬようなものであってはいけないと言うんですね。そこだけの問題だ。だから、情報提供者との信頼関係を損なうといったって、会計検査院が見たからといって、情報提供者とあなた方の信頼関係が失われるというものじゃない。それは警察だけで、もう他の国家機関に対しても一切秘匿しなければならないというようなものじゃないと私は思いますよ。そうでしょう。その点どうですか。
  33. 山田英雄

    政府委員山田英雄君) 再び同じことをお答えするようで恐縮でございますが、協力関係といいますのは、その協力者と運営者との間においての信頼関係に基づいております。その信頼関係というのは、やはり外に出るということがないということが一番大きな軸になろうかと思います。  ちょっと違うかもしれませんが、例えば新聞記者の方の場合、取材源というものは法廷でも言うことを拒否するという取材源の拒否の、公表しないという問題があろうかと思いますが、それもやはり新聞記者のモラルとして、取材活動の一つの信頼関係を維持するための事柄だろうと思いますが、我々はそれ以上に公的に、国家秩序を維持するという責務を遂行するための情報収集活動、それの協力者との信頼関係でございますので、これは部外といいますよりも、部内においても運営者として外へ出さないという事柄は多いわけでございます。
  34. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 それはいかぬ。それはとんでもない間違いだ。取材の秘密というものは、これはアメリカの最高裁判所の判例でも日本の裁判所の判例でも、他の公益的な目的、例えばこの人が有罪かどうかということを明らかにする必要があれば裁判所が命令してそれを明らかにする、明らかににしなければ法廷侮辱罪で、アメリカでは新聞記者でもぶち込まれてしまう。日本でも同じですよ。だから、いわんやそれは表現の自由という憲法の第二十一条のそこから流れ出る新聞記者の最も根源的な権利でさえも絶対的なものじゃないんです。他の公益的な目的には一歩譲るべきものである。まして警察情報などというもの、それが会計検査院検査さえも拒み得るというような、そんなばかなことはない。これは承服できない。答弁を改めて――これ、大臣にしろ警察庁長官にしろ、そんな答弁では納得できない。
  35. 三井脩

    政府委員三井脩君) ただいまも答弁しておりますように、一種の情報活動あるいは広い意味での情報活動でありまして、それは捜査情報であったり警備情報であったりいろいろするわけでございます。それで、これにつきましては、何といいましても、情報収集をする人と協力して情報を提供する人と、この二人の信頼関係ということが大変大事なものでございます。そういう点が、今お話しのように、新聞関係でもマスコミ関係でも大変重視されておるというようなことを申し上げたと思いますが、私たちにおきましてもこの点は大変重要なものであります。したがいまして、公判等でその点についての証言を求められましても、その辺の事情を説明をいたしましてお断りを申し上げるというようにしておるわけでありまして、そういうような重要な信頼関係にかかわることということでございますので、そのような取り扱いをしておるわけでございます。
  36. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 納得できない。だめだ、それじゃ。そのあなたの言うのは、憲法上、法律上どういう根拠があるか、根拠を言いなさい。
  37. 三井脩

    政府委員三井脩君) これは我が国の裁判所でも、新聞のニュースソースのことに関してであったと思いますけれども、先生今御指摘のように、公判で重要な事項について新聞記者が証言を求められた、新聞記者はこれに対して証言を拒否するということで、それは罰金だというようなことがありましたが、もう数年前の最高裁ではその場合に、ある程度の条件はあったかと思いますけれども、ニュースソースの秘匿についてはこれを認める、こういうような、小法廷であったと思いますけれども判決があったというように私たちは承知しておるわけでございまして、必ずしも判決等にこだわらないわけでありますけれども、ニュースソースの秘匿というのは大変重要なことであるというように裁判その他でも扱われておることは私ははっきりしておると思います。  同様に、私たちがこの高度情報社会の中で行う警察活動というのは、そういう意味では情報活動という側面を強く持っておるわけでありまして、情報活動が成り立つ基本というのは、情報を提供する人と情報を受け取る人との信頼関係というのは大変重要な基礎的なファクターである、こういうように考えておるわけでございます。
  38. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 速記をとめて。    [速記中止]
  39. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 速記を始めて。
  40. 山田英雄

    政府委員山田英雄君) 先ほど来お答え申し上げておりますのは、我々の情報活動における協力者との関係の基本を申し上げておるわけでございまして、ケース・バイ・ケースでは、先ほど会計検査院審議官からお答えのように、その実態を明らかにするために、必要がある場合にはいろいろな御説明を申し上げているケースもあるわけでございますし、先ほど申し上げました、信頼関係を守るためには裁判所においてもその事情を申し上げてお断りしておると長官からもお答えいたしました法的な根拠は刑事訴訟法第百四十四条でございまして、公務上の秘密に関する証人尋問の規定でございますが、本人から「職務上の秘密に関するものであることを申し立てたときは、当該監督官庁の承諾がなければ証人としてこれを尋問することはできない。」、それで、ただし書きで「当該監督官庁は、国の重大な利益を害する場合を除いては、承諾を拒むことができない。」、したがいまして国の重大な利益を害するという場合においては百四十四条の規定により拒むことができるわけでございまして、事例としては、この規定により証言をしなかった、監督官庁としての承諾を拒んだというケースはあるわけでございます。
  41. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 特定の人間とその当該の警察との間の信頼関係なんていうものを国の重大な利益ということは言えない。これは国会証言法でも同じことです。これはどうしても国会で証言を拒むというならば内閣総理大臣がその旨を天下に公表しなきゃならぬ。しからずんば拒み得ない。まして特定の個人の情報、その人間との信頼関係なんというものがどうして天下の大事と言えるか。これは会計検査院というものもやはり国家の財政支出の適正化を図る上からいって重要な社務を帯びておる。裁判で全員に知らしめるものと違って、当該の会計検査官が調べるというその特定の人間が職務執行に必要だから、それを当然明らかにしなきゃいかぬ。あなた方の言われるのは、それをしも拒む理由には全くなりません。これは納得できない。だめだ、こんなことじゃ。
  42. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 申し上げます。  会計検査院黒田審議官の答弁と山田警備局長の答弁、これについて質疑者が納得ができないというお話がございますが、これについてこれ以上の答弁ができるかどうか、ちょっと打ち合わせてください。  その間、速記をとめておきます。    〔速記中止〕
  43. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 速記を起こして。
  44. 黒田良一

    説明員黒田良一君) 捜査費関係につきましては先ほど申し上げましたが、いわゆる警察庁長官から会計検査院長あてに簡易証明の承認願というのが出ております。それによりますと、会計検査院の要求のあった際、すべて証拠書類は見せるということになっております。これは、すなわち私どもが、国費が適正に執行されておるかどうか、それを確認する心証を得れば十分であると私どもは思いまして検査をし、今日に及んでおるということでございます。したがいまして、先ほど警察庁の方から御答弁のように、会計検査院検査を拒むというような御発言ございましたが、拒むということはできないのでございまして、私どもが欲しいと思うところは要求いたしまして見せていただく、また現に今まで見せていただいておるわけでございます。  ただ、情報の内容、特に公安関係情報につきましてはいろいろ国益に関するところ重大でございます。したがいまして、その情報提供者の実在の名前あるいはその住所、これを細かく知る必要はないということでございまして、私どもは、心証を得れば十分であるという程度において警察庁の御協力を得て、検査は十分にやっておるということでございます。したがいまして、警察庁と特に意見の相違はないというふうに考えます。
  45. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  46. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 速記起こして。
  47. 山田英雄

    政府委員山田英雄君) 先ほど、情報活動の基本を申し上げたわけでございまして、会計検査院検査に対しましては、ただいま会計検査院から答弁がございましたように、必要な疎明を求められましたときには十分な疎明をいたしております。ただ、今審議官の答弁にもありましたように、本名、住所、協力関係の経緯とか、そういう信頼関係の基本に触れますところはそれ以外の疎明によって対応させていただいておるということを情報活動の基本ということで申し上げたわけでございまして、ケース・バイ・ケースで、検査院の検査に対しては納得のいく限りの心証形成には当然対応してきておりますし、また今後とも御指摘を受けまして、十分に対応させていただきたい、かように思います。
  48. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 結局、会計検査院検査といえども情報の秘密という建前上、聖域には踏み込ませないというのか、それとも会計検査院の要望があれば、情報の秘密というようなものでその検査を拒むことはいたさないというのか、その結論をはっきりしてもらいたい。
  49. 三井脩

    政府委員三井脩君) 情報活動の重要性について先ほど申し上げたわけでございますが、その重要性を会計検査院におきましても御認識をいただきまして御協力をいただくし、会計検査院検査をする権限を持っておるということは言うまでもない、御協力をいただく、我々も会計検査院検査に十分協力をするということでございます。
  50. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 そうすると、会計検査院が心証を得て、よろしいと言えばそれはいいけれども、しかしやはり抜き取り調査みたいなもので心証は得られないということで、その情報を提供した人間に当たりたいから、その住所、氏名を明らかにしてもらいたいという要求があった場合には拒まれるのですか。それとも、やはり会計検査院が職務上検査をしたいと言えばそれに応じられるのですか。どちらでしょう。
  51. 三井脩

    政府委員三井脩君) 協力者が協力をするというのは、協力を受ける警察官との二人きりの協力関係、信頼関係というのが基本になっておると思います。その二人だけに限定とは必ずしもいかぬわけでありますけれども、これが基本でございます。したがいまして、今会計検査院の方で検査をされる場合に、その何某が協力をしておるということでなくて、それを調べないで、それを申し上げないで、協力をしておるという実態に間違いはないということについて検査をしていただければおおむねいいんじゃなかろうか。我々も名前を申し上げることにかわる方法で検査に協力をし、心証形成に協力をする、こういうことだと考えます。
  52. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 いや、それではいかぬと言っているんです、私は。会計検査院検査というものが要求した場合には、あなた方の情報の秘密というものもその壁は破るべきだ、あくまでも情報の秘密というその壁で会計検査院検査は拒み得ない、その道理をお認めなさいと私は申しておる。  刑事訴訟法の規定は、これは果たしてこの問題に適切かどうかが非常に疑問がありますね。いわんや国家の重大な利益を害するという問題ではないから、あれは盾になりませんよということを言っておる。ですから、それはやっぱりだめですよ。両者は矛盾しておる。会計検査院も、あなた方が心証を得ればそれはそれでいいでしょうが、得ない場合はやっぱり突っ込まなきゃ。
  53. 黒田良一

    説明員黒田良一君) 会計検査院検査におきましては、今先生がおっしゃっていましたような心証を得るまで検査を実施しておるはずでございます。私自身捜査費検査をやったことはございませんのでわかりませんが、調査官から話を聞きますと、一応心証を得るまでは検査はやるということでやっております。  なお、警察庁の方が御心配になっておられますように、情報が漏れるというような点につきましては、私ども捜査費検査を実施いたします調査官につきましては、特に志操堅固で、大体警察庁関係検査を担当する者は皆そうでございますけれども、特に志操堅固で品行方正と申しますか、非常に中立の公務員を充てでございます。したがいまして、無理な注文はしないということでございまして、その限りにおいて実施しておるということでございます。ですから、先生が御心配のように、心証を得ないということであれば、とことんまで御説明をお聞きするということでやっておるというふうに確信いたします。
  54. 三井脩

    政府委員三井脩君) 正しくやっておるわけでございますので、正しくやっておるということについて十分御心証をとっていただけるように我々は努めるということは、もう申すまでもないことであると考えております。
  55. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 今のは答弁にならぬのですよ。そういうごまかしの答弁でこの委員会を通そうとしてもだめだ、それは。長官、心証を得るように努力しておるという問題じゃない。私が伺っておるのは、あくまでも心証を得られないで突っ込んできたときに、情報提供者との信頼関係を盾に拒むのか拒まないのかということをお尋ねしておるんですよ。拒むのか拒まないのか、そこのことを答えなければだめだ、あなた。
  56. 三井脩

    政府委員三井脩君) 法的には拒めないと思います。しかし、そういう強権発動といいますか、そういうことのないようにいろいろ説明を申し上げるということでございます。
  57. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 法的に拒み得ないということになると、先ほどの答弁を完全に取り消したことになりますね。そうですね。それでよろしいな。
  58. 三井脩

    政府委員三井脩君) 先ほど申し上げた刑訴法の百四十四条の規定とかその他は、ニュースソースの重要性ということを御説明申し上げたわけでございます。  先生御指摘のように、それは公判の問題じゃないか、オープンになる問題じゃないか、オープンな場での証言の問題であるということはそのとおりでございます。それほどニュースソースの秘匿というのは重要であるということを申し上げたわけでありますが、今御質問の点は、会計検査院というオープンでない場合のことでありますから、それに直ちに適切にということではないことはわかっておりますが、刑事訴訟法のその規定で今、法的に答弁を拒否できるということを申し上げておるわけではございません。今申し上げましたように、法的には会計検査院検査をする権限を持っておられる、したがってすべて検査できるわけでございます。  ただ、私たちが心配しておりますのは、私たち警察官を信頼して協力しておる方に、具体的な名前まで全部いざというときにはわかるんですよ、オープンになるんですよというようなことではやっぱり問題があるんじゃなかろうか。したがって、法的にはそういう権限を持っておられますけれども、それは適正な経理が行われているかどうかということをお調べになるわけでありますから、個別に具体的な人がだれであるかということまで申し上げなくても、その協力の実績その他から、確かにこういう捜査費支出が適正に行われておるというように御判断をいただけるようないろいろの材料、説明というもので心証を形成していただきたいというように我々は努める。法的にはそういう権限をお持ちであるということはお説のとおりだと思います。
  59. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  60. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 速記を始めて。
  61. 山田英雄

    政府委員山田英雄君) 刑訴法の百四十四条の条文を読み上げまして御答弁したのは私でございますので、私から答弁さしていただきます。  会計検査院に対してどういう対応をするかというその御答弁の際に、情報関係の基本に関するサイドから百四十四条を読み上げました。そのことについては御質問に対する御答弁ではなかったと思いますので、私からおわびさしていただきます。  情報関係の基本について裁判所との対応では、百四十四条という系列の法的根拠があるということは事実でございますが、そのことを会計検査院の対応に使うということではございません。そういうふうにとられました私の答弁は訂正さしていただきます。系列が違うということで御理解を賜りたいと思います。  そこで、会計検査院の対応につきましては、私ども情報活動の特殊性ということは御理解を賜りながら、大変重要な問題でございますので、御指摘のように、十分に適正な経理の執行という心証を得ていただくために検査には十分御協力して対応してまいりましたし、今後も対応してまいりたいと思います。
  62. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 刑訴法の百四十四条をこの場に持ってくるのが適切でない、取り消すということでありますので、これは警察庁長官も法的には会計検査院検査を拒み得ませんと、しかし、できるだけ情報源の秘匿という点は御協力を仰ぎますということでありますから、実質上、先ほどのように情報源の秘匿という原則で検査院の検査を拒み得るとした点は訂正されたわけですから、それはよろしい。それで検査院の方は、情報源の秘匿を受けてもその秘密を他に漏らすようなことはありません、殊に思想堅固の者を充てておりますのでそういう御心配は要りませんということでありますから、この問題はそれで一件落着て結構です。できるだけそういう公明正大でやっていただきたいと思います。  じゃ、警備局長審議官も結構です。  この法案はいろいろな理論的に難しい問題をたくさん抱えております。で、衆議院の方でも非常に論議になりましたが、これはきょう午前中、少年の非行の問題についてお尋ねをするということで、関係官庁の方々にたくさんおいで願っておりますので、今の風俗営業と風俗関連営業の比較の問題、理論的な整合性の問題、これらは一応午後の部に回しまして、まず少年の非行の問題についてお尋ねをしたいと思いますが、最高裁の家庭局長お見えですか。  本法案は、少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するということが立法の目的になっております。  少年の非行の問題、これは全国民がこの問題について関心を持ち、憂慮いたしておる問題でありますので、総務庁の青少年対策本部、これが非常に緻密な調査をしておられるようであります。しかし、あれを読んで見ましても、一体少年非行の原因をどうとらえているのかという点については、あの浩瀚な調査にもかかわらず、なおぴたっとこないものがあります。  最高裁の家庭局長も、そのお仕事の面で少年の非行については調査もなさり、関心もお持ちのことと思いますので、少年非行の原因をどういうふうにとらえているのか。また、どういう対策が国家として必要なのか。こういうふうな点についてのお考えをちょっと述べていただきたいと思います。
  63. 猪瀬愼一郎

    最高裁判所長官代理者猪瀬愼一郎君) ただいま少年非行の原因をどうとらえているかと、こういう御質問でございますが、少年非行の原因については極めて複雑なものがございまして、これを一概に的確に言いあらわすということは非常に困難でございます。  一般に、犯罪ないし非行は素質的な要因と環境的な要因とが絡み合って生ずるというふうに言われるわけでございますけれども、少年非行、特に年少少年の非行になればなるほど環境的な要因の持つ意味というものが非常に大きなものになるということは、我々少年審判から見ましても、一般に言われているところでございます。少年非行は社会の鏡である、こう言われますのも、そういった意味であると理解しております。  ただ、一口に環境といいましても、少年を取り巻く環境にはいろいろなものがあるわけでございます。まず第一には、家庭における父母のしつけとかあるいは家庭の保護機能の問題、例えば父母の放任であるとか過保護、過干渉の態度であるとか、さらには崩壊しつつある、あるいは既に崩壊してしまった家庭の状況、こういう問題のほかに、学校における学業不振であるとか友達や先生との間の人間関係、特に疎外感などの、少年の不適応状況に見られます学校におけるいろいろな問題、さらには不健全な情報のはんらんした社会環境とか、あるいは至るところに見られます放置された自転車、これは最近特にこういった放置された自転車等についての窃盗であるとかあるいは遺失物横領といった非行が非常にふえている状況にございますが、そういった非行の一因となっているというふうに見られるわけでございますし、そのほか、深夜における盛り場などの有害環境など、地域社会における問題なども複雑に絡み合ってきておるということでございまして、その辺のいろいろな非行を誘発する要因につきまして、一概にどれが特に重要で、どれがそれほど重要でないかというようなことはなかなか申し上げることができないわけでございます。  ただ、ごく概括的、一般的に申し上げることをお許しいただきますならば、年少少年非行にとっては特に家庭や学校の問題がより密接な関連を持っている場合がかなり多いであろうということは言い得るかと思います。特に、一過性的な非行性の浅いそういう非行少年の場合には、そういう家庭、学校の問題というのがほとんど主な非行要因となっているということが言えようかと思います。これに対しまして、薬物乱用の非行であるとかあるいは性非行とか、さらには虞犯などにも見られます非行性の進んだ事案の場合においては、社会の有害環境が非行と密接な関連を持っている。つまり、その場合でも家庭や学校における問題はやはり絡み合うわけでございますが、そのほかに社会の有害環境が非行と密接な関連を持つ場合が少なくないというように考えるわけでございます。  そういうようなことでございますので、少年の健全な育成には有害な社会環境の浄化も一つの方法として大切でございますが、さらには家庭教育や学校等における非行防止対策を一層充実させる必要があるのではなかろうかというふうに考えるわけでございます。
  64. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 文部省の審議官来ていらっしゃいますか。  あなた方は校内暴力の原因はどこにあるというふうに考えておられますか。また、少年非行がどこから来ると考えておられますか。学校教育を所管される立場から説明してもらえますか。
  65. 菱村幸彦

    説明員(菱村幸彦君) 青少年非行の原因、背景等につきまして、ただいま御説明がございましたが、私どもも校内暴力の問題につきましてはいろいろ各種事例の分析を初め実態調査等をしておりますが、それによりますと、ただいま御指摘のありましたように、いろんな要因が複雑に複合的に作用している問題であるというふうに考えているのであります。  同じような御答弁になりますが、家庭における親の養育態度の問題ももちろん大きな要因となる場合がございますし、また、物質的に豊かな社会の中で、他人への思いやりとか弱者へのいたわりなど、心の大切さを見失いがちな社会的な風潮というようなことも影響しておりましょうし、地域社会におきます連帯感の欠如など、社会環境の急激な変化がございますが、こうしたことも、子供たちが健全に育ち、児童生徒が健全に育っていくということを難くしている要因だろうと思います。もちろん、学校におきます指導の問題というのも重要な要因だと考えております。教師の指導力のあり方ないしは協力体制のあり方ということにつきましても、その要因となる場合がございます。また、社会におきます学歴偏重の風潮の中で過度の受験競争の状況などがございます。そういうこともいろいろ絡まりまして、家庭、学校、社会、それらの要因が複雑に絡みまして、校内暴力等の現象が起きているというふうに考えているのでございます。  ただ、昨日、五十八年度の実態につきまして発表いたしまして、きょうの新聞に出ておりますように、校内暴力の調査結果は、私どもこの問題につきましては真剣に取り組みまして、国と地方当局、学校当局三者一体となって対応に当たってきたわけでございますが、幸いに、五十七年度に比べますと五十八年度は、校内暴力の発生件数等は減少してきておるわけでございます。  一番その中でも際立っておりますのが対教師暴力であろうと思います。教師に対します生徒の暴力というのは校内暴力の一番重視しなければならない現象であると思うわけでございますが、これが五十七年度には千四百四件ございましたが、五十八年度には千百二十九件ということで、約一九%の減を見ているということでございます。しかし、この問題は根が深い問題でございますので、私どもは今後とも学校それから地方の教育委員会と力を合わせまして、その対応に尽力してまいりたいというふうに考えているところであります。
  66. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 これは一挙に、目薬のように効くというわけにはいかぬでしょうが、どうしたらこの少年の非行を防止し得るか、最もその効果的な対策はどこにあるのか、これをちょっとお考えを。
  67. 菱村幸彦

    説明員(菱村幸彦君) この問題につきましては、昨年の初めでございますが、樹浜の浮浪者襲撃事件とか町田市の教師による生徒の傷害事件等がございまして、それを契機にいたしまして、私どもも従来いろいろなことをやってきているわけでございますが、校内暴力は従来以上のことをしなければいけないということで専門家にお集まりいただきまして、懇談会を急遽開催いたしました。そして、その中で御提言をいただいたわけでございますが、いろいろございます。学校に関すること、社会に関すること、家庭に関すること、いろいろございますが、私どもは守備範囲であります学校に関しまして何をするかということで考えているのでありますが、その御提言では、まず緊急に取り組むべき事項と長期的に取り組むべき事項に分かれて提言されております。  緊急に取り組むべき事項といたしましては、まず問題校を的確に把握するということ、そしてその問題のある学校には重点的に教育委員会等の指導をするということ、そして、さらにその学校の中で問題行動を持っております子供に対しましては手厚い配慮をしていくということ、それから学校は関係機関と密接な連携を強化していく、この四つの御提言をいただきまして、この一年間私どもは、先ほど申し上げましたように、学校と地方教育委員会、そして文部省と力を合わせてこの四つの問題に取り組んでまいったわけであります。  また、長期的には、やはり先ほどの背景等でございましたように、学校教育自体が充実したものになっていかなければならないということがございます。そこで、学校の教育内容を子供たちに本当にわかるものにしていく、子供たちが学校で充実感を持って勉強できるようなものにしていくということがございます。これは教育内容の改善の問題になります。それから、子供たちに基本的な生活習慣と申しますか、守るべき規範、意識というものをしっかりと身につけさしていくということも大事だと考えております。  さらには、基本的にはやはり教師の資質の問題、教師の指導力の問題に負うところが大変多い課題でございますので、教師の資質を向上をしていく、これには教員養成から教員の研修まで、いろいろなことを進めていかなければならないというふうに考えております。  さらには、学歴社会の中でこういう問題が起きているわけでありますから、入試制度の改善等につきましても取り組んでいくということで、緊急に取り組むべき事項と長期的に取り組むべき事項に分けまして、今目下鋭意私どもは取り組んでいるという状況でございます。
  68. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 わかりました。あなたはもう結構です。  法務省から来ていらっしゃいますか。  あなたにお伺いいたしたいのは、本法案と少年法との関連はどういうふうにとらえたらいいんでしょうか。  それから、少年の非行の問題について警察が大幅に介入してくるというのは、今のなかなか難しい状態ではやむを得ないかもしれないという感じもするのですが、少年法の改正が一つのあなた方の目標になっておりますね。これと警察権限の拡大の問題とどういう関連に立つでしょうか。  それから、少年指導委員制度についてはどうお考えになりましょうか。  この三つの問題にお答えいただきたいと思います。
  69. 濵邦久

    政府委員(濵邦久君) お答えいたします。まず、少年法の改正との関係でございますが、これはもう委員御案内のとおり、そもそも少年法は、非行のある少年に対しまして性格の矯正あるいは環境の調整に関する保護処分を行うとともに、少年あるいは少年の福祉を害する成人の刑事事件について特別の措置を講ずることを目的とするものでございます。  この少年法の改正につきましては、これも委員御案内のとおり、法務省におきまして、昭和五十二年の六月に法制審議会の法務大臣に対する答申がございまして、現行少年法の基本的構造の範囲内で差し当たり速やかに改善すべき事項ということで、例えば少年審判手続等に関しまする五項目から成る答申を受けたわけでございまして、目下法務省におきまして、現在その答申に即した改正を行うべく作業を進めているところでございます。  他方、今ここで御審議いただいております風俗営業等取締法改正案でございますが、これはこの法案にもうたってありますように、「善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し、及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため、風俗営業及び風俗関連営業等について、営業時間、営業区域等を制限し、及び年少者をこれらの営業所に立ち入らせること等を規制するとともに、風俗営業の健全化に資するため、その業務の適正化を促進する等の措置を講ずることを目的とする」ものでございます。  したがいまして、この改正法案の内容におきましては、少年法の改正点と直接関連するところはないというふうに考えておる次第でございます。  あえて申しますと、風俗営業等取締法の改正法案につきましては、近時におきます種々の形態のいわゆる性産業が出現しまして、これが善良の風俗や清浄な風俗環境を害しましたり、あるいは少年の健全育成に影響を与えている実情等にかんがみますと、まことに時宜を得たものであるというふうに考えておるわけでございまして、この改正が実現されました際には、これが適正に運用されまして、善良の風俗と清浄な環境の保持、あるいは少年の健全な育成に資するものであるというふうに期待しているわけでございます。  次に、少年法の改正と御審議いただいております風俗営業等取締法の改正法案の関係につきましては、今申し述べましたように考えておるわけでございます。  ただ、先ほど委員指摘の少年指導委員制度を新設をしておりますこの改正法案の条項との関係についてもお尋ねがございましたので、その点についてお答え申し上げるわけでございますが、少年指導委員と申しますのは、この法案によりますと、「風俗営業及び風俗関連営業等に関し、少年を補導し、少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止し、その他少年の健全な育成に資するための活動で、国家公安委員会規則で定めるものを行う。」というふうに定められております。  少年法は先ほど申し上げましたとおり、非行のある少年、すなわち犯罪少年、触法少年及び虞犯少年、この三種類の要件に該当する少年についての取り扱いに関する手続を定めた法律と言うことができるわけでございますが、これに対しまして、この法案に規定してございます少年指導委員は、このような手続とは別に、少年の健全な育成に資するため少年を補導する等の職務を行うものというふうにされておると考えておりますので、少年法とは直接の関連を持たないものであるというふうに私どもは理解しております。
  70. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 じゃ、あなたは結構ですから。  最後に、総務庁の青少年対策本部からいらっしゃっておりますね。  あなたの方では、大変浩な緻密な調査のあれをいただいて拝見したんだけれども、よく調査していらっしゃるわけですね。ああいう非常に緻密な調査をなさって、端的に少年非行の原因をどういうふうにとらえておられるのか。総務庁としては、少年非行防止対策についてどういうものを持っておられるのか。その二つ、お答えいただきたいと思います。
  71. 瀧澤博三

    政府委員(瀧澤博三君) 先ほど来の各省庁の方からいろいろお話がございますので、重複をなるべく避けたいと思います。  もちろん非行の原因といたしましては、個々具体的にはいろいろ家庭の内部の状況であるとか、あるいは学校内あるいは学校外の暴力的なグループとの接触の問題とか、いろいろあるわけでございますが、そういうこととあわせて、また、よりかなり根本的、基本的な問題があるように今受けとめているわけでございます。これは家庭が核家族であるとか子供が少なくなっているというようなことで、かなり家庭の状況が変わってきているということとか、あるいは地域社会も都市化等に伴いまして非常に連帯が失われてきている、あるいは学校教育の問題にいたしましても、いわゆる落ちこぼれの問題であるとか、いろいろあるわけでございます。そういう学校、家庭、社会全般にわたりまして、それぞれいろいろな問題が出てきているということが、全体として現在、子供にいろいろな問題を投げかけてきている。そのことが、よく言われておりますように、今非行がだんだん低年齢化し、あるいは一般化、ごく一般の普通の家庭の子供たちが非行に巻き込まれてきているというような状況の原因になっているんではないかと思う次第でございます。  したがいまして、これに対する対策ということにつきましても、何か一つのことをやればいいということではないと思うわけでございまして、先ほど来いろいろお話が出てきておりますので省略をいたしますが、やはり学校、家庭、社会全般にわたりまして、それぞれ正すべきことを着実に進めていくということが第一かと思います。  そういう意味で、私どもといたしましては、それらの各省庁にわたります施策が総合してうまく進みますように全体をよく見ていくというのが私どもの役割かと思っている次第でございまして、今まで進めておりますことを申し上げますと、まず、私どもの方に総理の諮問機関として置かれております青少年問題審議会にお願いをいたしまして、基本的な施策についての答申を五十七年にいただいているわけでございます。これに即しまして各省庁とよく御相談をし、各省庁と一緒に非行対策の全体の申し合わせをいたしまして、全般にわたって施策が着実に進められていくように、十分連絡をとりながら進めているということが現在の実情でございます。
  72. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 あなた方の方は何か全体をまとめる、そういう役所のような感じですね、余り具体的なことをおっしゃらないから。しかし、それほどこの問題は難しいのかもしれません。それであなた方結構です。  午前中はこの程度にお願いできますか。
  73. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時三分休憩      ―――――・―――――    午後一時六分開会
  74. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  風俗営業等取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  75. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 内閣調査室長来ておられますか。  あなたも既にお読みになっておられると思いますが、八四年七月九日の朝日新聞の夕刊の「わたしの言い分」というコラムがあります。そこで松橋忠光氏が「内閣調査室にいたときは、私自身三カ月に一回ずつ、協力者への報償費という名目でニセ領収書を作っていました。私が内閣調査室を去るとき、二百十数万円のせん別をもらいましたが、その八割以上は公金から出たものです。」という談話が載っております。そして、午前中にも申しましたが、その方の「わが罪はつねにわが前にあり」という単行本にも類似のことが載っておる。こういうふうに天下に告白された問題でありますので、やはり国会がこれを全くネグレクトして省みないというわけにはいかない。そこで、当面の主管者であるあなたにおいでいただいたわけだけれども、そういう事実があったかどうか、これをまずお伺いしたい。
  76. 谷口守正

    政府委員(谷口守正君) まず、せんべつ関係でございますけれども、先生御案内のとおり、せんべつというのは個人間の儀礼でございまして、退職した松橋氏に対しまして、一緒に勤務した者たちせんべつを贈ったのではないかと思われるわけでございます。ただ、その額につきましては、松橋氏は四十二年から五十年まで内閣調査室に勤務しておりました。退職が五十年末ということでございます。そういうことで、それから相当年数がたっておりますし、また、関係者の方々でも既に亡くなられた方もおられるわけであります。また、そのせんべつがプライバシーに係るものであるだけに、どういう額のものがなされたかということについてはよく私どもはわからないところでございます。ただ、一部の関係者にお聞きした範囲では、古いことで金額は覚えてないけれども、常識内の金額であったということでございます。  また、経理の面での執行についてはそのようなことはなかったということでございます。
  77. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 せんべつが授受されたという事実はお認めになった。しかし、その額が常識的な額であると。その常識なるものがそれぞれの分野、それぞれの関係者によって異なる結果を生ずるということは我々もよくわかる。したがって、あなたのおっしゃる常識的な額というのがどの程度のものか見当がつくようでもあり、つかないようでもあるわけですね。  その額もさることながら、せんべつを贈る慣習というのはやはり存在するわけですか。
  78. 谷口守正

    政府委員(谷口守正君) 本来せんべつというのは、先生御案内のとおり、旅立つ者に対しましてはなむけとして贈るということだそうでございますけれども、やはり今回の松橋氏のごとく二十七年間勤められて、そして後進に道を譲られるということに対しまして、一緒に勤務した者、お世話になった者がそれぞれの人間関係の濃淡とかつき合いの程度とかいろいろな意味を込めて贈るのは、社会儀礼上認められているのではなかろうかと、こう私は思うわけでございます。
  79. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 余り比較をしてはいけないけれども、午前中の警察庁官房長の答弁と比較すると、私の印象は、あなたは非常に正直な方だという印象を禁じ得ないわけですね。  それで、問題は、そういうふうな義理人情による社会的な慣習を私はそれ自体悪いとは思わない。悪いかもしれないけれども、まあまあ仕方がないだろうという感じがする。ただ問題は、松橋氏の言うごとく、それが公金から支出されたということになると問題は全くがらっと変わってくるわけですね。我々の税金がそんなことに使用されるということはあってはならないし、そこがこの問題の要点であるわけで、その点は、あなたとしては何か先ほどの答弁では否定されたように受け取ったんだけれども、そうですか。
  80. 谷口守正

    政府委員(谷口守正君) 先ほどお答え申し上げましたとおり、何分五十年の末のことでございまして、古い問題でございますし、また個人的な問題でもございますのであれでございますけれども、やはりせんべつの性格からして、当然のことながら、松橋氏にお世話になった、一緒に仕事をした者が個人的な立場からそれぞれの人間関係の濃淡に基づいて気持ちをあらわし、お贈りするという形になっておったということでございます。
  81. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 えんきょくな形で否定されたようにも思うが、トーンは弱いね。それでまあいいでしょう、かえって正直におっしゃった方が信憑力があるので。  それで、協力者への報償費という名目でにせ領収書をつくっていましたという点、これがひっかかるんだが、現在でもやはりそういうような帳簿上の操作、経理上の操作をすることがありますか。
  82. 谷口守正

    政府委員(谷口守正君) 先ほどのお答えで、非常にトーンが弱いとおっしゃられましたけれども、再三申し上げて恐縮でございますけれども、何分大分古いことでございますし、個人的な問題でございますので、私どもはそういった関係についてわからぬということでございます。それを先生がトーンが弱いとおっしゃられると、私としてはやや心外でございます。  そこで、報償費支出の問題でございますけれども、これも先生御案内のとおり、報償費というのは情報提供者に対しまして、いろいろ御協力いただいたそれの謝礼的な意味、あるいは実費弁償的な意味合いから使用している経費でございます。この報償費につきましては、必要な額を、内閣調査室取扱責任者は私、室長でございますけれども、それが支出官――官房の会計課長に対しまして請求いたします。で、小切手で受領しまして現金化して、その現金を今度はそれぞれ情報の内容、協力の度合いに応じまして額を決めまして、そして支出する。で、情報提供者から領収書を徴するというような形になっておるわけでございます。当然、特償費の支出目的に従って現在も適正に行われておりますし、額もそのように行われておったことでございます。
  83. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 大体、五十八年度でもよろしい、五十九年度でもよろしいが、内閣調査室が握っておられる報償費なるものは年額とのぐらいですか。
  84. 谷口守正

    政府委員(谷口守正君) 五十九年度、今年度の額でございますけれども、約二億三千万円でございます。
  85. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 それじゃ、室長は結構です。  午前中も委員長にお願いをいたしましたけれども、やはりこの問題は、今の調査室長の御答弁によりましても、まだ多少明瞭を欠くものがあるわけであります。そういうような何かこう事実が存在するらしいということは我々にも理解できるんでありますが、事はやはり、先ほどもお話ししましたように、警察信用に関すること、そして我々の税金が適正に国家的な経費として活用されておるかどうかという問題にかかわりますので、午前中は参考人としてというふうに委員長にお願いしましたが、やはりこれはうそがあってはならないのでありますからして、宣誓の上でこの委員会に述べてもらうのにふさわしい問題だと考えるのであります。証人としてこの松橋氏を当委員会に喚問することを要請申し上げたいと思います。
  86. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 寺田君に申し上げます。  午前中の御要求もございましたので、休憩中、理事会を開きまして、各党各会派の御意見を承りました。で、それぞれ検討いたすということで保留になっておりますが、さらに出席者の資格等の問題についてもお話がございましたので、それを含めて結論を出したいというふうに思っております。
  87. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 この法案の目的と警察の任務の関係について考えてみたいのであります。  第一条の「この法律は、善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し、及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため、風俗営業及び風俗関連営業等について、営業時間、営業区域等を制限し、及び年少者をこれらの営業所に立ち入らせること等を規制するとともに、風俗営業の健全化に資するため、その業務の適正化を促進する等の措置を講ずることを目的とする。」、この前段にうたわれております「善良の風俗と清浄な風俗環境」を保持し、そして関連営業に規制をするのである、こういう目的でありますが、これが果たして従来のオーソドックスな警察の任務と完全に重なり合うものだろうかということをまず考えざるを得ないわけであります。  試みに警察関係の憲法とも言うべき警察法を見てみますと、その第二条に「警察の責務」として、「警察は、個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当ることをもってその責務とする。」という規定があります。これは非常に国際的に承認せられておるオーソドックスな警察の任務だと思います。  ところで、公共の安全と言う場合と公共の秩序と言う場合は多少の学説上も差異があるのであります。警察庁としては、本法の目的のようなことは警察の本来の目的の領域内に入る、守備範囲に入るということでもちろん法案を提出されたとは思いますけれども、公共の秩序とそれから公共の安全、そのどちらの方にこの目的が入るんだろうか。どういうふうにお考えになりますか。公共の秩序の方に入るのか安全の方に入るのか、どちらですか。
  88. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 公共の安全か秩序かということでございますけれども、これを分けて読む必要はないと考えております。公共の安全と秩序という両方の関係で読むべきであろうと、かように考えております。
  89. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 そういう解釈もできないわけではないかもしれないが、粗っぽいね。やはり学説は一応、公共の安全というのは、国民の健康であるとかあるいは財産であるとか、そういうものに直接危険を生ぜしめるようなそういう問題を防いでいくこと、そこに安全の概念というものを当てはめておる。ところが秩序というと、またそれが少し緩和された状態を大体概念内容として持っておるようであります。だから、どっちでもいいんだ、十把一からげにその中に入りますという、そういう大ざっぱなことでもいいけれども、やはりちょっと緻密さが足りない。やっぱりもうちょっと緻密に考えて立法していただかないといけない、あなたは学者じゃないから、しょうがないけれども。  それから、今まで警察権の概念というのは個人の生命、身体、財産の保護であるとか、犯罪の予防、鎮圧であるとか、そういう比較的消極的なものが警察の本来的な任務であるというふうに考えられたのですね。ところが、本法のような目的を導入をいたしますと、どうしてもやはり警察権というものが拡大をする。対象となる国民の警察に対する義務、これが拡大をしてくることはやむを得ないですね。  保安部長、考えてください。本法のようなこういう問題は、直接国民の生命であるとか身体、財産に影響をするそういう性質のものではない。そうでしょう。だから、従来の警察の任務、責務というものからやや領域が拡大したということは否定できないのじゃないだろうか。これはどうでしょうか。
  90. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) この風俗に関します問題というのは、やはり生命、身体、財産にかかわる問題というのを当然含んでおるわけでございます。  と申しますのは、御存じのとおり、こり法律を改正しなければならないと考えましたのは、戦後、少年非行が第三のピークになりまして、四年最高を続けておるという状況にあるだけでございませんで、少年の福祉を害する犯罪も大変ふえでおりまして、昨年は少年福祉を害する犯罪の被害者も被疑者も戦後最高になっておる。そうして、その中で特に女子の少年が性非行等の被害に遭う、あるいは売春等の形で被害に遭うというようなことがかなり出ているわけでございまして、そういう問題も含めて少年問題に対処をしていかなければならないという問題があるわけでございます。そういうようなことから、そういうことも一例でございますけれども、そういうものも含めまして、当然のことながら、やはり個人の生命、身体、財産の保護に警察は任じなければならないわけでございまして、そういう角度からやはり法律というものも考えておるということも間違いのない事実でございます。  それから、警察権が拡大したではないかということでございますが、実はこの法律の目的を一条にありますように整理をいたしました。しかし、この「善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し、及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため」という目的は、現在の法律は目的規定がございませんけれども、現行法の考え方をそのまま踏襲したものでございます。と申しますのは、いろいろなところにそういう考え方は出てくるわけでございまして、例えば善良の風俗の保持というのは、当然のことながら、売春なりあるいは賭博なりというものを防いでいくというような観点から、当然従来からもやっておるわけでございますけれども、さらに例えば、清浄な風俗環境というのは、モーテル等の現行法の規制の中でも、清浄な風俗環境を保持するために各種の規制ができるという形にもなっております。それから、少年の問題に関連いたしますと、当然のことながら、少年を有害な環境に立ち入らせたりあるいは従事させてはならないという規定が現行法にもあるわけでございまして、そういうことから、私どもが第一条で書きました「目的」というのは、現行法の物の考え方を明確にあらわしたものでございまして、従来の考え方のものをいささかもはみ出ておるというものではない、かように考えております。
  91. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 売春という犯罪を取り締まることによって結果的に善良な風俗を維持する、これはよろしい。これは、犯罪の摘発ということは警察本来の任務だから、そういう警察本来の任務をやることが結果的に善良な風俗を維持するのに貢献をするというのであれば、それはいいんだけれども、初めから善良な風俗を維持するんだということが表面に出てくると、何か社会的な、道徳的な秩序を警察が前面に立って維持していくんだというような、そういう感触を受けるから、それでちょっとひっかかるんです。個人の生命、身体、財産を保護する、それが即公共の安全を守ることにつながる、犯罪を予防し、それが公共の秩序を維持することにつながる、それがさらに善良な風俗の維持に貢献をするということなんじゃないでしょうか。何か社会道徳秩序を積極的に自分たちが維持していくんだというのとはちょっとやっぱり違うんですね。どうでしょう
  92. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 結果として善良の風俗を保持するという問題ももちろんあるわけでございますけれども警察の役割といたしまして、犯罪の予防その他の公共の安全と秩序の維持に当たるという任務も当然のことながらあるわけでございます。したがいまして、そういうふうな犯罪に陥らないようにするために事前に必要な手を打っていくということがやはり警察に課せられた任務であるというふうに私どもは考えておるわけでございます。  善良の風俗というものに警察がどうタッチするかというお話でございますけれども、善良の風俗と申しましても、風俗営業法で取り上げております善良の風俗という問題は、そもそもは風俗という問題から入りますと、風俗営業法で取り上げております問題は、いわゆる飲む、打つ、買うという言葉に代表されるような人間の欲望についての生活関係、これを規制しておるのが風俗営業法である、かように考えておるわけでございます。したがいまして、そういうような風俗が国民の健全な道義的観念によって支えられているかいないか、そういう状況が善良の風俗である。かように考えておるわけでございまして、例えば広く風俗一般についてとかおるいは性道徳について警察が広く関与していくというようなことを考えているものではございません。あくまでもこの法律の目的が先ほど申しましたようなものでございますから、それに資するような形で規制をしていくということが必要である。かように考えておるわけでございます。
  93. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 やや謙譲な面も答弁の中に出てきたように思いますが、例えば立ち入りの問題が前からありますね。ありますけれども、試みに警察官職務執行法を見てみますと、もちろん警察官が職務を執行するのは、「個人の生命、身体及び財産の保護、犯罪の予防、公安の維持並びに他の法令の執行等の職権職務を忠実に遂行するために、必要な手段を定める」のであるということで、質問権であるとかあるいは立ち入りであるとかいう規定を設けておる。  六条の「立入」を見てみますと、これは第四条の、人の生命もしくは身体に危険が及ぶであろう場合あるいは財産に重大な損害を及ぼすおそれのある天災、事変等があるであろう場合、それから第五条の、犯罪がまさに行われんとするのを認めたとき、その予防のために警告を発したり、行為を制止したりする必要がある場合、その二つの場合に、「警察官は、前二条に規定する危険な事態が発生し、人の生命、身体又は財産に対し危害が切迫した場合において、その危害を予防し、損害の拡大を防ぎ、又は被害者を救助するため、已むを得ないと認めるときは、合理的に必要と判断される限度において他人の土地、建物又は船車の中に立ち入ることができる。」という規定になっておる。  第二項は、「興行場、旅館、料理屋、駅その他多数の客の来集する場所の管理者」――これは本法と関係があるが、「興行場、旅館、料理屋、駅その他多数の客の来集する場所の管理者又はこれに準ずる者は、その公開時間中において、警察官が犯罪の予防又は人の生命、身体若しくは財産に対する危害予防のため、その場所に立ち入ることを要求した場合においては、正当の理由なくして、これを拒むことができない。」という規定がある。オーソドックスの警察官職務執行における立ち入りというようなものは、本来こういうものであったわけですね。ところが、従来から風俗営業取締法の領域において、もっと非常に緩和され、拡大された形において立ち入り権というものが認められてきた。本法案もまたそれを受け継いで、さらにそれを強化、拡大しようとする傾向が見えるわけです。だから、やはりこれは行政目的とはいっても、警察権の領域がそこにやっぱり拡大を見ておる。本来オーソドックスのものから非常に広がってきたということは疑えないんじゃないだろうか。どうでしょう。
  94. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 警職法の規定は、いわゆる即時強制なりあるいは直接強制と言われるような分野の立ち入りの問題、しかもそれは非常に事態が切迫している場合のものであり、あるいは犯罪の予防の必要性があるというようなためのものであるわけでございます。風営法の場合には、この法律の施行のための行政目的に資するために行うものでございまして、その目的が違うということでございます。あくまでも風俗営業というものが今後関連営業等にも広まるわけでございますけれども、そういうものがこの法律に基づいて適正に業務を行っているかどうかという形で見ていく。それがやはり公共の安全と秩序の観点から必要であるという観点から決められておるものでございまして、次元が異なるものであるというふうに考えておるわけでございます。  立ち入りの関係につきまして、だんだん拡大するんではないかというようなお話でございますが、これは決してさようなことはないというふうに私どもは常々留意しながらこの法案件成に当たってきたところでございます。  一例を申し上げますと、現在の法律は、「必要があるとき」は立ち入ることができるというふうに書いてございますが、今度の法律では、「この法律の施行に必要な限度において、」こということを明確にしていこう。それから、立ち入る場所につきましても、プライバシーの保護という問題があるので、やはり客が在室している場合にはそういう個室には入らないようにしようというような注意、あるいはまた、従来は要求があったときは、職員は自分を示す証票を提示するということでございましたけれども、今度は、要求がなくても必ずその証票を提示するということにする。あるいはこの立ち入りというのはあくまでも行政目的のためであるということでございまして、決して犯罪捜査のために認められたものではないということを確認していくというような形で、実は大変配慮をしながらつくってきたものでございます。しかもこの規定は、近時の立法例では大体こういう形で書かれておるものでございまして、もっと強く書かれておるものもあるわけでございますけれども、近時の立法例に倣ってこういうふうに書いてきたわけでございます。  ところが、いろいろ衆議院段階でも御議論がございまして、従来よりも広まったんではないかという御疑念が、お話がございました。決して私どもは現在の規定等を広げだということは考えておらないわけでございますけれども、そういう御疑念があるならば、むしろ現行法の形に戻さしていただくというようなことで修正が行われたというふうに承知しておるわけでございます。  そういうふうなことでございまして、各般にわたりまして、この立ち入りの問題につきましては私どもとしてもかねがね留意していかなければならないということがございますので、そういう点に十分配慮をしながらやってきたということでございまして、決してこれによって権限を拡大して、従来よりも非常に広範囲に立ち入りが行えるようにするというような意図は全くないものでございます。
  95. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 あなたの言われるように、警察官職務執行法に言う「立入」と本法案に言う「立ち入り」とは目的が異なるということはさっき私も言ったとおりで、それはあなたが強調なさるまでもないことなんです。それからまた、あなたが次元が異なるということも言われたが、それは次元も異なるのだが、しかし警察官職務執行法といえども、これは必ずしも犯罪の摘発ばかりの規定じゃないんで、やはり警察官の持っておるすべての権限、それは危害の防止も入っておる、犯罪の予防ばかりじゃない、摘発ばかりじゃないんですね。しかし、それの一般的な法律が今までの警察の本来のオーソドックスな目的と考えられておったわけです。  ところが、このようないわゆる善良な風俗に関係するであろう新たな行政目的、その行政目的のための警察権の行使ということが本法案で顕著になったわけです。今までは、内容的には余り変わらぬかもしれぬけれども風俗営業等取締法という、要するに控え目な体裁をとっておった。ところが、今度はもう善良な風俗を維持するんだというような大上段に振りかぶって出てきたものだから、やはりそれは警察の目的が拡大した、警察権限が拡大したと解釈せられざるを得ないそういう土台がやっぱりそこにあるわけだね。だから、両者の目的が違うことはわかっているんですよ。それからまた、食品衛生法にしても麻薬取締法にしても、そのほかいろいろな法律で、行政目的を追求するであろう国家権力の担い手がどんどんとその領域に入っていく、立ち入っていく、それからまた、いろんな帳簿を検査したりする、そういう立法例はほかにもたくさんある、それは私も知っておる。  ただ、あなた方の一生懸命な弁明にもかかわらず、どうしてもこの法案が何か道徳的な秩序の維持というような問題に使命感を余り感じ過ぎておる、そうして権力の拡大が、それは意図すると意図せざるとにかかわらず、必然に伴っておるということは否定できないんじゃないか、どうだろうか。
  96. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) お言葉でございますけれども、題名から「取締」という言葉を削りましたのは、やはりいろいろこういうふうな風俗営業等を健全に発展させるというためには取り締まりだけでいくというのはいささかやっぱり問題ではないか。そういう形で必ずしも業の健全な発展というのは私どもは望めない。むしろ本当に遵法していただく業に必要な――これは言うまでもなく健全に発展をすれば国民に必要な憩いなり潤いというものを与えるものでございますから、健全に発展することが私どもも望ましいと思うわけでございます。それを先ほど言いましたように、取り締まりだけで臨むという姿勢はどう考えてもやはりおかしいんではないかという実は我々に反省があるわけでございます。そういうふうにやるよりも、やはり業の自主的な発展を期待をしていくということがまさに法の目的にかなうのではないかということを考えて、そういう「取締」という言葉を外し、題名も改めたということであるわけでございまして、これをもってやや控え目の調子が少し調子が高くなったと、こうおっしゃられるのはやや合点がいかないと、かように考えておるわけでございます。  それから、私どもは何もその「善良の風俗」という言葉を使って、いわゆる社会の道義的な秩序というものを使命感に燃えて何とかしようなどという考え方はいささかもございません。そういう問題は警察の問題ではないと私どもは考えておるわけです。ただ、いかにも最近のいわゆるセックス産業に代表されるような実態、これはいわゆる営利主義、金もうけのためには手段を選ばない、しかも短期間の間に荒稼ぎをするというような形の営業が大変ふえてきておる。そこで、やはり大変行き過ぎがある、それに大変少年が被害に遭っておる、こういう状態を見過ごすわけにはいかないだろう。その行き過ぎた部分というものを我々としては必要な範囲で、必要最小限度そういうふうなものに対して、どうしても対処していくことが必要ではないか。かように考えて立案したわけでございまして、決して従来の枠をはみ出して、警察権限を拡大してというふうなことは一切考えておりませんのを御了解いただきたいと思います。
  97. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 これはまた警察庁長官に返るけれども警察庁長官衆議院では、本法案のごとき規定ではまだまだ不十分で手ぬるいというようなことを言っておられる。だから、もっと取り締まりを強化して警察権限をふやそうというふうにお考えなのかなというふうに、そのあなたの御答弁を拝聴すれば、そんなふうにも印象づけられるんですが、どうでしょうね。
  98. 三井脩

    政府委員三井脩君) 私は、この法律を通じて警察権限を拡大しようというように全く考えておらないわけでございまして、そういうふうにお答えした記憶もございませんけれども、この法律は、保安部長も答えておりますように、基本的には現行法の枠組みなんです。  目的規定が今までなかったのを置いたというのも、最近の立法というのは大体目的規定を置くというような形になっておりますし、その方がその法律の性格が明らかになるというようなこともありますし、それからまた、「善良の風俗」とか「清浄な風俗環境」というのは、現行法の四条、それから四条の六等にそのまま出ておるわけでありますし、それから青少年の育成を阻害するような、障害になるような行為というのは、言葉はありませんけれども、四条の三の「年少者に関する禁止行為」というふうなところにも内容は書いてございますし、そういう点をこの目的規定で明確にするということ。  それからまた、権限の点について、あるいはこういう点を言われるのかと思いますけれども、風俗関連営業というのは現行法でも、風俗関連営業という言葉は使っておりませんけれども、風俗営業とは別にそういうのがあるわけですね。現に三つぐらいあるわけです。それを整備してまとめたというのが今度のこの法律でございますから、風俗関連営業で若干ふえたものがある、それが立ち入りの対象になる、権限はふえませんけれども立ち入るべき対象はふえたと、そのことをトータルにおいて警察権限はふえたと、こういうふうに権限を言えば、そういう言い方もあるのかなと思いますけれども、それは何ぼ権限あっても、警察官が取り締まる権限があるとしても、今取り締まるべき事態が起こらなければそれは発動されないというようなこととやや似たようなことでございまして、現行法で持っておる警察官権限をふやしておらないというのが基本でございます。  ただ、現在、この法律は二十三年の法律で、さっきお話ありました警職法と同じ時期、同じ七月にできておるんですね。全く同じときにできたんです。五日か十日くらい違いますけれども、ほとんど同時にできておるという法律で、この立ち入りの問題も同時に審議され、同時にできたというように私たちは理解をしておりますけれども、そういう性質のものでありますから、この際改正をするとなればやっぱり整備をするというようなことでございまして、そういう点を整備をし、わかりやすくするということでありまして、振り返って考えますと、警察官権限をこの機会にふやすとかというようなことは毛頭考えずに成案を得たわけでございますので、そういうような御疑問の点につきましてはいろいろの機会に明確にしてまいりたいというように考えるわけでございます。
  99. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 今の手ぬるさの問題、これは警察庁長官としてはそういう気持ちでおっしゃったのかもしれぬ。  これはこうなっている。  衆議院における五十九年六月二十一日付の、これは松田さんという委員の質問に答えて、「そういう観点からいきますと、現在の少年非行等の情勢の深刻さとの兼ね合いからいいますと、まだまだこの改正は手ぬるい、こういうような御批判もあろうかと思いますけれども、」と、こう言っておられるんですね。だから、そこはうまく逃げられておるけれども、「御批判があろう」、しかしこれは「大変な進歩であろう、前進であろう、こういうふうに思うわけでございます。」、こうあなたは言っておられるわけです。まあそれはよろしい。自分が手ゆるいと言ったんじゃないんだというのであれば、それはよろしい。  それから、警察官権限を拡大するというようなことは考えておらぬということであると同時に、午前中もいろいろと私はお話をしましたが、権限乱用という点が非常に怖いわけです。殊に風俗営業に関連する警察権限というのは、さっき部長もおっしゃったように行政目的からする積極的なものだから、警察本来の、犯罪があったとか、まさに行われんとしておるというような本来的な任務でやるんじゃない。いや、これも本来的など言えばそれまでだが、新たな行政目的の遂行のためですから、どうしてもやはり権限乱用というようなことがあり得るわけで、これは午前中も具体的な例をあなた方にお話をしましたが、一つ、あなた方がやはり頂門の一針とするに足る判例がありますね。  これは既にあなた方よく御存じだと思うけれども、大阪高等裁判所昭和四十六年三月十日、刑事第二部の判決、これを読んでみますと、スタンド形式の飲食店を経営する被告人、これがお客さんと言葉を交わすうちに、お客さんが非行少年を補導した経験談あるいは子供の教育など、まじめなことを話し始めて、経営者にカウンターの方へ来て話を聞けというので、これに応じてお客さんの隣のいすに座った。ほかに客もいなかったので、女子従業員も話を聞いたらどうかというふうに勧めて二人で話を聞いた。その間、従業員がお客さんに一回お酌をしてやった。その後に警察官が入ってきて、これは接待ではないか、これは風俗営業等取締法一条二号の接待に当たる、したがって当然許可をとらなければいけないが、許可がないからというので検察庁に送致をした。それで、一審は有罪であったが、大阪高等裁判所がこれを破棄して無罪とした、こういう事案ですね。  今、私が説明したそのままのことが判決にうたわれている。  本件の場合、客の誘いがあったのを契機に、店主と従業員とが客席に位置して客を中にはさみ、これと話し合うごとき外観を呈していたにしても、客である犬飼の語る話題は真しな教育の問題に関するものであり、しかも、被告人らは、同人の話をそのかたわらで聞き入っていたというだけのことであって、特に飲食物の提供に関連して同人の意を迎え、積極的にその座の空気をひき立てるような言動に出たわけでもないのであるから、その実態は、およそ歓楽的雰囲気とは程遠い世間話の場にすぎなかったものとみるべく、したがって、本件被告人らの犬飼に対する応待の経過をもって前記法条にいう客の接待にあたるものと解することは、上記の考察からしても正当な解釈判断ということはできない。 ということで無罪にしている。  この判例を見ると、その場に入ってきた警察官が、お客さんと営業者と女の子が三人並んでおる、そして一回酌をした、それは接待じゃないかということで立件したという、そういう案件ですね。恐らくお客も店主も弁明これ努めたに違いないんだけれども、立ち入りした警察官は頑として聞かない、立件した、そういう事案です。  この事案でも見るように、やはり今後立ち入った場合、立ち入りした警察官がこういうふうな表面の形だけを見て、これは後で接待の概念にも論議が及ぶと思うけれども、接待であるというようなことで立件するようなことになると、これは大変なことになりますね。これはよほどあなた方が第一線の警察官に対して権限乱用を戒める手配を講じていただかなきゃ困るわけですが、これはどうだろうか。部長ですか、長官ですか、そのお答えはどちらでも結構だから。
  100. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 運用に当たりましては慎重にそういうその場の状況を判断し、また、当然のことながら、一人だけで判断をするというのじゃなくて、幹部の判断もあわせながらやっていかなければならないということは十分自戒していかなければならぬと思います。  私どもといたしましても、こういうふうないろいろな問題の運用につきましては、例えば接待というものの概念につきましても、非常に難しい要素がございますので、こういう点はきちっと通達なりあるいは執務資料でもって、こういうものは接待に当たる、こういうものは当たらないということを明確にして、そして第一線をきちっと指導してまいりたい、かように考えております。  先ほど言いましたように、第一線におきましても、単に一人だけが判断するんじゃなくて、当然幹部と十分その場の状況をよく検討しながら、そういうチェックを受けながら慎重に対処してまいりたい、かように考えます。
  101. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 それから次は、風俗営業と風俗関連営業との比較均衡の問題でありますが、風俗営業を許可制とし、それよりもさらに善良な風俗に反するであろう風俗関連営業を届け出制としたことの矛盾については、衆議院でも何回もこれは論議が行われておる。ところが、あなた方は保安部長を先頭に、風俗営業は許可して健全な育成を図るものである、ところが後者は――後者というのは風俗関連営業です、本来、性を売り物にする不健全なもので許可によって公認するのになじまないという論理でこれを弁明しておられる。  しかし、あなた方もよく勉強してはおられるだろうけれども、別段、許可というものはその行為によって健全な育成を図るなんというのが本来の目的じゃないんですね。そこにあなた方の何か気負った使命感みたいなものがにじみ出ておる。そうじゃなくして、許可というのは一般的な禁止を解除するのにすぎない。別段、お墨つきでも公認でもない。天下晴れて営業するという点では、許可があろうとなかろうと、初めからもう警察の制肘を受けずに、憲法の営業の自由の行使としてやっておる方がかえって堂々としておるかもしれない。だから、善良な風俗という点から見ると甚だしく不健全なもの、それを届け出制にする。それほどでもない、本来飲食を供する、本来宿泊をせしめるというようなものまでいろいろな点で風俗営業に取り込んで許可制にする。これは矛盾だと思うね、私は。あなた方は矛盾でないと言われるが、これはもう何人もその点は矛盾と感ずるのであります。どうだろうか。
  102. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 許可制をとるか届け出制をとるかという問題の御質問だと思いますけれども、結局、風俗営業と風俗関連営業に対してどういうスタンスで臨むかということに係るんだろうと思います。  それは、まず風俗営業につきましては、本質的には国民に社交と憩いの場を与える、そうして健全な娯楽の機会を与えるものでございまして、問題がなければ非常に大事なものであるというふうに認識をしておるわけでございますが、しかしながら、やはりその営業方法なり業務内容から見て、不適正に行われると風俗上の問題を引き起こす、そういう可能性が類型的にある営業であるというふうに考えられるわけでございます。そういうことから、許可制にして人的資格要件と構造上の物的な条件も見るというような形でチェックをし、そうして、できる限り業者の自主性にまって健全化を促していくということがこういう業態になじむであろう、かように考えておるわけであります。  これに反しまして、風俗関連営業というのは何せセックスを売り物にするわけでございまして、これはもうもともと売春なりわいせつなりに大変移行しやすい業態である、かように考えられるわけでございまして、これを許可ということで公的に認めていくということにはやはりなじまないものであろう。そこで、届け出と申しますのは、この場合の届け出は、ほかの法律にもありますように、実態把握をするために届け出をさせる。仰せこの営業といいますのは、実は雨後のタケノコのようにどんどんできてまいりまして、そうして短期間の間に荒稼ぎをしていくというような業態であるわけでございまして、非常に実態が把握しにくいということがありまして、やはり実態を把握するためには届け出をさせる、そういう意味の届け出をさせるという立法例もたくさんあるわけでございます。そういうようなことに基づいて届け出をさせる、しかし、それによって必要な遵守事項もかけ、そこでもし違反があれば厳正に対処する、しかも非常に厳しい地域規制をかけるという考え方でございまして、地域規制を厳しくかけるということは、ある意味では許可営業にはなじまないというものである。  したがいまして、私どもは、許可か届け出かというところだけをごらんいただくんじゃなくて、トータルとしてその許可営業にはどういうスタンスで臨んでいくか、届け出に対してはどういう形でもって規制をしていくかというのを全体としてごらんをいただきたい。そういう形でそれぞれの風俗営業に対する臨み方、それから風俗関連営業に対する臨み方というのをおつかみいただきたいと、かように思っておるわけでございます。  今申し上げましたように、風俗関連営業というのは大変、先ほども申しましたように、短期間の間に荒稼ぎしようという業態が大変多いわけでございまして、それを一つ一つ中身をチェックするというよりも、トータルとしてとらえて、そういうものを視野に置いて、そうして問題のある地域、時間帯では営業させないというような形にして、そうして遵守事項をかぶせてそれを遵守させ、もしそこでもって違反があれば厳しく対処する。この厳しい対処の仕方も、営業の取り消し、停止を含み、かつ禁止地域、先ほどのように、地域規制をかけた禁止地域で既に営業しているものについては認められていくわけでございますけれども、それは今度そういうふうな違反があって非常に悪質だということになりますと、廃止命令までかけられるという大変厳しい規制をかけておるわけでございます。そういうトータルとして見ました場合は、大変風俗関連営業に対しては厳しく臨んでおるということを御理解賜りたいと、かように考えるわけでございます。
  103. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 あなた方のおっしゃるのは、やっぱりそれは矛盾なのは、短期間に荒稼ぎをすると困るんだと。だったら、初めからさせなきゃいい。初めから許可営業にしておけば、短期間に荒稼ぎするなんということはできないわけだ。させなきゃいい。だから、一般的な禁止というものを原則にして、風俗営業よりもさらに厳しい締まりをかけるということの方がむしろふさわしいですね。この許可営業というのは一般的禁止が前提だから、禁止をするということは、これは営業の自由に対する最も大きな制約なんです。そうでしょう。だから、そういう最も厳しい制約をしないでおいて、自由にさせておいて、荒稼ぎいたしますからどうのこうのというようなことはそもそも矛盾なので、これはもう原則として禁止しちゃう。そうして、あなた方が現在野放しに一野放しでもないだろうが、今度はそれに絞りをかけると言われるその絞りというものを初めからかけて、でなければもう営業を許さないということの方がはるかに筋道が立っているはずであります。  どうもあなた方の弁明というのは、何か許可ということをやるとそれが公認になるんだ、本来公認すべからざるものだと、こう言うんだが、それなら初めからそれを禁止して許さなきゃいいんです。何かそこに、どうしても営業をさせなきゃいけないだろう、まずいだろうというような、それはどういう配慮からくるのか。それは憲法上の営業の自由を尊重するという、そういう純粋な配慮から出るんなら、それもまたもってよみすべしだけれども、よく世上言われるような、どうも政治献金があるから廃止できないんだなどと言う人もある。私はそういうことはないだろうと思うけれども、そういう批判もある。それじゃいかぬ。やっぱり、まずもって一般的禁止をすべし。そして、風俗営業は絞りをかけるにしても、たとえば五かけるならば風俗関連営業は十の絞りをかける。そうして出発をするという方が筋が立つと私は考えるが、どうだろうか。ちょっと、これはあなた、同じことを言うんだったら意味ないよ。
  104. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) ちょっと角度を変えて。  許可というのが一般的禁止を解除するというようないろいろな学説もあるわけでございますが、同時に、禁止をしているものを解除するということにもなるわけでございます。解除というのは、やはりそれなりに認めていくということでございまして、そうしでそれにある程度、ある意味では一つの特典を持つということも、当然のことながらあり得るという性格のものでもあるわけでございます。そういうものにはなじまないだろうと、こういうことで申し上げておるわけでございます。  それよりも、先ほど言いましたように地域規制をかけて、そうして問題のところではやらせない、問題の時間にはやらせないということの方が望ましいんではないか、こう考えておるわけでございます。これは先生御指摘のように、営業の自由との問題でございます。  それはお話のように、いろいろああいうふうな営業形態は問題があることは私どもも十分承知しております。しかしながら、それではああいう営業がすべて売春であり、すべて法律違反でありということが言えるのか言えないのかということになりますと、これまた大変問題があるわけでございまして、特に売春という問題は、御存じのとおり単純売春は売春にならないわけでございまして、管理売春をしているかしていないかということを立証するのに大変な骨を折っておる。ところが、売春というのは、昔はなるほど女性が搾取されたというような形で管理売春という実態があったわけでございましょうけれども、最近は大変さま変わりをしてきておりまして、そうして、どっちかといいますと、女の子が進んでああいうところで働くという形で、管理を受けるという実態じゃなくなってきているものがかなりあるわけです。  そういう状況のもとの中ですべてが法律違反であるという決めつけは、これはやっぱり無理ではないか。また、いろいろなセックス産業の中でも法の違反にまではならないものもあるわけでございます。ちょうどその中間的なところに属しているものがあるわけでございます。これを認めないということは、やはり憲法の問題とも大きく兼ね合いを持つ、こういうふうに考えておるわけでございまして、そういうことから、こういう問題をまず禁止をしてというような形で臨むことはやはり難しいのではないか、こういうようなことから現在のような形で厳しく対処をしていこう、かようになったものでございまして、そういう点を御理解いただきたいと思います。
  105. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 それじゃお尋ねするが、風俗営業と風俗関連営業と、そのどちらが善良な風俗を維持する上において不健全性をより多く持っているか。どっちが持っていると思いますか。
  106. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 当然、風俗関連営業でございます。
  107. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 だから言うんですよ。あなたは、その不健全性を持っておるのも、なおかつ営業を全面的に禁止するというわけにはまいらないと言う、これはある意味の防衛論だ。それは憲法上の営業の自由というものからくるのですというその論理は正しいけれども、やっぱり一種の防衛論だ。それからまた、それが全部が全部売春とは申せませんと、それはそうでしょう。疲れた人がふろに入って、きれいなお嬢さんにマッサージしてもらう、それだけならば、それは必ずしも不健全とは言えない。そういうものが真実あるとするならば、それは確かに営業を禁止するわけにはまいらぬでしょうが、しかし不健全なものであるがゆえに、そしてまた非常な風俗を乱すおそれがあるがゆえに届け出営業にした。で、一層不健全さがあるとあなたが比較的に言われたそれは初めから営業を認めるんだと、これはどうしたって論理的に矛盾だ。  それを何かあなたが弁明する理由としては、禁止をしているものを解除することは公認になりますということを言われるんだが、それは、あなたは初めからもう全面禁止はできないんだということを言っているんだから、それは同じことだ。それは、初めから存在を許すべきものだという前提があるんだ。  それならば、同じように一般的な禁止にして、そして解除をするという、そういう手だてをとっても少しも差しさわりはない。何か業者が許可を受けると許可証なんていうものを麗々しく掲げる、そういうような規定をそもそも置くことが間違いなんだ。一片の通知でいいんです。警察本部長がその通知を出して、それでもって足るものを、何か許可証なんていう大きなきれいなものをあなた方が仰々しくやって、それを店に掲げさせるなんていうもんだから、ああいいお墨つきをいただいたと、公認ですと胸を張る。そもそもあなた方の対応が根本から間違っておる。だから、もし、より不健全ならば初めから禁止しなさい。しかしあなた方が、いや、これはきれいなお嬢さんが体をマッサージするだけであって健全なんですと思えば、そこで解除したらよろしい。そうすべきだ。
  108. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 風俗営業の方は許可でございますが、この許可という学問的な議論というのもいろいろあるわけでございますけれども、いわゆる一般禁止といいましても、現在の許可というのは要件を満たせば解除せざるを得ない一種の覊束裁量であるわけでございまして、そういう意味で、許可というものを一般的禁止で解除と、こういうふうに簡単に割り切るというものではなくて、そのやはりそれぞれの許可というものの性格というものをやっぱり見ていくということになってくるんであろうと、かように考えるわけでございます。  そういうことで、関連営業の方は、私はある意味では地域における規制というのは一種の禁止、完全な禁止であるというようなことでございまして、これは先生のおっしゃる、ある意味ではそういう地域では一切営業させないという大変厳しい規制がかかっておるわけでございますから、そういうふうな形でいくことが現在の憲法との兼ね合いにおいて妥当ではないか、かように考えておるところでございます。
  109. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 結局、同じ論理を強調するだけなんだけれども大臣、あなたは非常に柔軟なお考えをお持ちの方と私は見ておるわけですが、どうでしょう。  風俗営業と風俗関連営業とはこっちの方がより不健全だというこれが前提なんですがね。それから許可営業というのが最も厳しい営業の制限だということもこれは争いがないわけですよ。野放しにするよりは一般的に禁止した方が営業の自由に対する厳しい制限であることは、これは疑いありません。そういう前提があるのに、片っ方はより緩やかな規制で出発させる、こっちはもう非常に厳しい規制で出発させるというのは、これは明らかに私は矛盾だと思います。  だから、どっちも一般的に禁止しちゃってください。そうして不健全なものには、保安部長が言ったように地域規制でもよろしい、より厳しい規制をして出発させる。何かそれを特権を与えるようにお考えになるから私の説がのみ込めないわけですが、おわかりですか、私の言わんとする趣旨は。どうでしょう。――いや、保安部長もういいよ、私は大臣に伺ったんだから。
  110. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) おっしゃっている趣旨はよくわかりますけれども、考え方はやはりちょっと私と違います。  私はやはり、さっき部長が説明したように、許可というのは禁止の中の許可じゃないんで、一般的にはできるんだと、しかしある要件を満たせればできるんだと、そういう許可なんでしょう。ちょうどこれ住宅でも言えると思うんですよ。いろいろ難しいところで条件満たせれば許可になるわけですから、それと同じで、そういう意味で風俗営業の許可営業ができているわけですよ。  もう一つの関連営業というのは、これは悪いのもあればちゃんとしたのもある、ひどいのはもう相当ひどい、こういうことですからいろいろまざっているわけですよ。だから、そういうものは、悪いやつは取り締まらなきゃなりませんから、そういう面で届け出をさせる必要がある。非常に簡単だと思うんですね。だから、寺田さんのように余りひどいところを知らない、ああいうところへいらっしゃらない謹厳な方には非常にわかりにくいと思うんです。私なんかみたいにああいうところへしょっちゅう行っているような者は、こういうことは非常によくわかると私は見ております。
  111. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 大臣は、それは実際は詳しいかもしれぬ。理論はだめだ、それは。全然誤解していらっしゃる、それは。本来的にそれはもう自由に営業できるんでしょう。しかし、法の世界では全面的に禁止しているんですよ。できないんですよ。だから、そこが大臣の、何か初めからできるものでどうのこうのとおっしゃったが、それは違う。ある一定の目的から全面的に法の世界ではできなくしているそれを解除する。解除は御承知のように、許可するとその禁止を解除するということなんですから、大臣は……
  112. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) いや、言い方がちょっとまずかったんです。
  113. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 それは理論的にはだめだな、実際はどうか知らぬけれども。それは全く大臣誤解していらっしゃるんですよ。  私は、この点はやっぱりもうちょっと大臣を初め警察当局が考えていただいて、何か許可することが名誉を与えるような、公認するような、そういうようなふりに思いなしていらっしゃるから、それでひっかかるわけです。そうじゃない。単に全面的な禁止というものを解除するにすぎない。そこをやっぱり考えていかなければいかぬ。これはちょっと理論的にはどうしても譲れない点であります。  これは判例にもあるんですよ。例の、御承知のように薬事法の、最高裁が憲法違反として薬局の距離制限の規定を無効とした判例がありますね。あの判例でも、許可制というものが職業の選択の自由そのものに制約を課するもので、職業の自由に対する強力な制限であるということをうたっておるわけで、その点は疑いないんですね。だから、より不健全なものをより緩やかな制度にして出発させるということの矛盾は、これはどうしても消せませんよ。また、さっき部長といろいろと論議をした、健全なものに育成するというような、そういうものは警察本来の任務から外れているんで、不健全なものを排除すればそれでよろしい。それが警察法の私は精神だと思う。  トルコぶろに関して衆議院でも各議員と保安部長との間にこれは何回も論議が交わされておりますね。トルコぶろイコール売春と決めつけることはできませんということをあなたはおっしゃっておられる。だから、その甚だしいものは、じゃ、それは全部が黒かというと、そうでもありませんと、グレーゾーンという表現をとっておられる。グレーゾーンの営業というふうなようにもあなたは言っておられる。しかも、グレーゾーンを余りきちっとやると営業が成り立ちませんとまでおっしゃっておられる。これは、やはり本来そういう不健全なものであってもその営業の自由というものは認めざるを得ないということを前提にしてそう言われているんだね。だから、全面的禁止はできません、どうしても認めざるを得ないんだと言うんだったら、初めから許可営業にして、そうして強い絞りをかけた方が合理的だと、その方が論理的でもあると言わざるを得ないんですね。  だから、その証拠には、トルコぶろなんというものは我が県に全くありませんと言って胸を張っている議員が衆議院にあった、例えば富山県の議員で。なくてもいいんだから、初めから禁止したらいいですよ。しかし、どうしても全面禁止はできませんとあなたは言われる。それじゃ、初めから絞りをかけてその存在を許したらいい。私はその方が論理的だと思いますよ。  トルコぶろなんというものはない県は一体我が国にどのくらい存在しておるのか。これはまずあなた方の調査ありますか。
  114. 古山剛

    説明員(古山剛君) トルコぶろにつきまして、それぞれの県の風俗営業法の施行条例で全県禁止をしている県が八県でございます。
  115. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 ない県が八県……
  116. 古山剛

    説明員(古山剛君) いえ、地域規制につきまして全県禁止をしているという県が八県あるということでございます。
  117. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 やっぱりそれが正しいですね。  ただ問題は、この改正法によりますと、まず第二十八条の第一項が、恐らく学校であるとか児童福祉施設であるとか、そういうもののある、青少年に対して健全な風俗環境を守りたいと考えたその箇所から二百メートル以内のところではそれは営ませない、これは一応あなたのおっしゃる地域規制をかけましたという、その点なんでしょう。それから第二項を見ますと、さらにまたその地域規制を強化して、「前項に定めるもののほか」、つまり学校とか福祉施設以外でも「都道府県は、善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為又は少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため必要があるときは、条例により、地域を定めて、風俗関連営業を営むことを禁止することができる。」、こういう規定になっておりますね。    〔委員長退席、理事真鍋賢二君着席〕これは、まだあなた方がやっぱり全面的な排除はできない、営業の自由があるからというひもがついているんですね。だから「地域を定めて」なんていう文言をそこに挿入しておるわけだ。片一方は、社会、善良な風俗を守ろうとする県は、今防犯課長のお答えでは八県も全面禁止している、こう言うんですね。その方が正しいと思うんだが、この法案ではやっぱりまだまだ腰がふらついておるわけです。そうでしょう。だから、この法案がもしも可決されて法律になった場合には、より健全な政策をとっておる府県の全面的な禁止ということがおかしくなってくるんじゃないだろうか。これは「地域を定めて」という制限があるから、逆行になってくるんですね。これはどうでしょうか。
  118. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 地域規制を条例に委任をしておるわけでございますけれども、各県も実情に応じて、合理的な理由が存在する範囲で規制をしていくということであろうと思います。そういうことで、地域の実情に応じて地域を定めていくというのが望ましいやり方ではないか、かように考えております。
  119. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 それはおかしい。そんなことを言っちゃいかぬ。それじゃ何でこれは「地域を定めて」ということを書いたんですか。これは全県ということじゃないんでしょう。全県の中で特定の地域を定めてというおつもりでこれをお書きになったんでしょう。
  120. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) やはりこれを判断をする場合には、善良の風俗、それから清浄な風俗環境を害する行為、それから少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するために必要があるという判断をして、そうして地域の実情に応じて地域を定める、こういうふうな考え方でできておるものでございます。
  121. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 それはわかる。「地域を定めて」というのは、それぞれの地域の特殊性に応じてと部長あなたはおっしゃるから、それだったら、それぞれの地域の実情に応じてというのは全県の範囲を言うんじゃなくて、全県の中の部分的な地域ということを意味するんでしょうと、そう言って聞いているんです。
  122. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) この書き方は現行法の書き方と同じでございまして、一つも変えているものではないわけでございます。したがいまして、解釈も現行法の解釈と同じで、現行法の解釈のもとに、先ほどのように既に全県規制を八県やっておるというところもあるわけでございますが、    〔理事真鍋賢二君退席、委員長着席〕その考え方は改正法案においても踏襲していく考え方でございます。
  123. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 現行法でそうだから、今までそうしてきたから法律的に可能だというゾルレンの問題と、現在そうあるからというザインの問題と一緒くたにしちゃ困る、この法案が成立した場合に、果たして仮に現行の法律に違反して条例ができておったとしても、存在したとしても、それはやはり法律的には無効になってしまうんじゃないかと言ってお尋ねしているわけだ。  それからもう一つは、この「地域を定めて」というのは全県のことを言っているんじゃないでしょう。全県の中の一部分の地域のことを言っているんでしょうと、そう言ってお尋ねしているんですよ。
  124. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 考え方としては、「地域を定めて」というのは全県的な考え方で書いているものではございませんけれども、その地域が積み重ねによりまして全県になるということはあり得るだろう、こう考えております。
  125. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 それは詭弁だが名答弁だな。しかし、それはやっぱり詭弁だ。特定の地域だが、特定の地域、特定の地域、特定の地域といってみんな寄せ集めたら全県になりますと、そういう無理をしちゃいかぬ、法解釈をね。  なぜ私がこういうことを言うかというと、これは長崎地方裁判所昭和五十五年九月十九日付の判決がある。ここで、旅館業法の問題ではあったんだけれども、旅館業法が一定の区域を限定して旅館の建設を制限し得るというのに、全面的に市町村が町長の承諾がなければ旅館を建設し得ないとしたのは、法律が定めているものより高次の営業規制を行うことは許されないということで町長の不同意処分を取り消しているという判例がありますね。  だから、これはやはり同じ理屈でいきますと、法律が特定の地域の制限はできるというのを越えて、条例でそれより高次の制限を課するということになると、やはりそれは許されないとされる可能性が強いわけですね、こういう裁判所の考え方から言うと。そこで、私はそれを問題にしておるわけです。これはやっぱり部長も警察庁長官も考えていただかないと、さっきの全面的な禁止という論理に立たないと随所にこういう矛盾が出てくるんです。どうです。長官に答えてもらおうか。
  126. 三井脩

    政府委員三井脩君) この風俗関連営業を全面禁止にしないことについて、私たちは専ら業務の実態に着目して、どういうような法的規制を加えるのが適当かということを考えた。それからまた、一方では営業の自由という問題が憲法上の問題としてあるわけでございまして、これを具体的にどういうふうに調整をしていくかということで得た案でございまして、何か不純な動機とかそういうことは毛頭ないわけでございます。  ただいまの問題につきましても、専らその実態、風俗営業の方は一般的な禁止を解除というように、禁止に重点があるような言い方もあると思いますけれども、今や許可というのは、許可をするということ、積極的に許可をするというところに、つまり許可に伴う法的な利益といいましょうか、そういうようなものに着目をするというのが今日では一般的な考え方であろうかと思うわけでございます。そういう意味では、認可とかそういうものと余り許可とが差がないというか、近づいてきておるわけです。  それから片一方は届け出制にしたのは、営業の自由一般というものからこれを全部ゼロにするわけにいかない。ゼロにするわけにいかないといたしますと、しかも積極的に認めて、許可に伴うような一定の法的な地位とか、別の意味では利益とかというものを与えるにふさわしくない、こういうふうな業務の実態を見ますと、それをどういうふうに整理するかということになりますと、本当は許可と届け出の間に何かあれば、先生のおっしゃるようなとおりにぴたっとしたような法概念とか法制度というものがあればあるいはいいのかもわかりませんけれども、積極的なものとしては許可だ。  それから、一般の営業の自由ということになると、全く野放しにするといろいろな問題があるので実態を把握しようということで、それを認めるとか認めないとかということは許可のような立場ではない、許可とは全く違う。ほうっておいて全然手をつけない、しかし実態ぐらい知りたいというところで、これを法的にとらえれば届け出。許可と届け出が全くぴったり隣同士の概念のように、こう概念を考えますと、許可の方が厳しい、届け出の方が何か甘いというようなことであるような印象もあるかもわかりませんけれどもかなり次元の違うというようなことであろう。  したがって、あと考えるのは、名前は届け出、名前は許可、これを対比いたしますと、その制度のもとでどういうような措置が風営法上とられるかは、こういう実態を見るということで判断をするのが一番適切なんではなかろうか。こういうふうに思うわけでありまして、風俗関連営業いろいろありますが、端的に言いますと、さっきお話ありましたように、風俗営業そのもの、狭義の風俗営業とそれからこの関連営業、こういうふうに言いますと関連営業の方に問題が多い。それを許可営業のようなある意味での法益といいますか、地位を与えるというにはなじまない。それでは、ほうっておくのかと、ほうっておいてもいいわけですけれども、それではますますわからなくなってくる。したがって、届け出で我々は把握をいたします。で、把握したものについて、これが一番はっきりするのは刑法その他の刑罰法令に触れるような行為をする場合、これは現行法がありますように、どんどん取り締まりをしていく、こういうことになるわけです。  今度この法律を考えたのは、保安部長がさっき言いましたように、刑法ではもう残念ながら単純売春は処罰しない。逆に言いますと、単純売春は権利というほどじゃありませんけれども、取り締まりという観点から言えば聖域みたいなものなんですね。我々は、それを取り締まるのは管理売春、売春の周旋とかそれからあっせんとか、こういう周辺の行為を取り締まる、こういうことになりますので、それがまた単純売春と違って大変難しい。しかも、さっき話がありましたように、管理をみずから求めて管理されていくというようなことは法律上なかなか管理ととらえにくい、こういうようなことがあります。  そういう風俗関連営業を、セックス産業を全く野放しにしておくのかというと困る。したがって、刑罰法令に触れることをやれば取り締まりしますけれども、それ以前の段階はほうっておくというのはいかにも問題がありますから、さっきありましたように、届け出をして実態把握に努め、それでよくないことがあれば、これは指示をしたり、一番きついのは営業の廃止ですが、その前に停止をしたりというような処分をしていこう。処分をする前提としては、やっぱり届け出というもので把握をするということが、届け出に伴う事実上の把握という裏づけが必要でありますけれども、届け出という行為があって、それで行政処分がある。届け出がないのに行政処分というのは、またなかなかこれはなじみにくいだろう。したがって、行政処分の対象でありますよというものを届け出という行為によって我々は確定をいたします。それによる行政処分をしていきます。もっとひどいことをすれば刑罰法で取り締まりますよ、売春、わいせつ、そういうので取り締まりますよと、こういうような建前でございますので、許可、届け出というのを並べると、公安条例によくあるわけでありますが、公安条例の届け出やるのと、この場合については親近感というのがちょっと違う。そんな親近感はないような営業の実態というのをとらえようと、こういうようなところで、そういう意味では大変苦心をしているところであるわけでございます。
  127. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 どうも同じようなことを繰り返される、その根底にあるものは、やはり許可という御自分たちがなさるその行為に、業者がわいわい言ってくる、業者は、やれば喜ぶ、その何というか、あなた方の権限に酔っておられるから、それで何か特権を与える、あなたは利益とおっしゃったが、そういうふうな考えを生ずるんでしょう。  そうじゃないんですよ。その利益は確かに、禁止を解除するんだから、今までできないものをやるんだから、それは利益があるけれども、それは許可が与えるものじゃないんだ。それは許可によって得られる反射的な利益なんです。何かそれを利益を与えるように思うから、あなた方はそういう利益を与えたくないといって頑張る。そこに根本的な認識の不足がある。ただ単に、さっき大臣が言ったように、本来自由なものを禁止ということで網をかぶせてしまっておる。それをあなたは、単にもとの自由を回復させるだけのことで、それによっていろいろ利益があるかもしれないが、それは何も許可によってあなた方が意図したものではない。それは反射的利益だ。だから、それによってあくまでも許可制と届け出制を弁護しようとするのは間違いです。  その上、今長官がおっしゃったデモの届け出制と許可制の問題にしたって同じことです。つまり、許可制にして許可したから特権ができていいというものじゃない。我々は、それこそ逆に届け出制でやるべきだと思っておる。それを許可制にして、何か許可というものを特権のようにお考えになる、そうじゃない。本来なし得ることの禁止を解除したものであって、本来なし得るんだから届け出制でもいいんですよ。しかし、それが非常に不健全なものであれば禁止しちゃえというのが私の言っている趣旨です。その方がはるかに論理的だ。そう思いますよ。もう一遍お考え下さい。
  128. 三井脩

    政府委員三井脩君) 許可制という意味は先生のおっしゃるとおりでございまして、許可されたということに伴う社会的地位といいますか、それに伴う反射的にせよ法益といいますか、利益といいますか、そのことをちょっと単純に法益と、あるいは利益というように申し上げたわけでございまして、同じことを頭に描いておるわけでございます。それでも、今申し上げたような実態に即して、届け出と許可とはそういうような意味合いを持ってここでは取り扱うのが適当であるというように考えたわけでございます。
  129. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 なかなか頑張って、ああそうかと言ってくれないから大変不満だけれども、きょうは何回もこれをやって繰り返してもしようがないから、私が言わんとする趣旨はわかっていただいたろうから、それとあなた方の何か許可というものを特権を与えるかのように思っていらっしゃるそのお考えがいかに間違いであるかという点は、これはわかっておられるんじゃないかと思う。なお一層、そこのところはもう一遍再検討をしてもらいたい。また、さらにこれは論議する機会を得たいと思います。  それから、先ほどちょっと保安部長が言われたように思いますが、風俗営業の許可基準、これはあなたは覊束的な行政処分であるということをちょっとおっしゃった。ですから、第四条に言う人的な要素あるいは施設等の物的な要素、そういう面の欠格条件がなければ原則として許可するという建前をとっておられると、そういうふうに理解してよいのですね。
  130. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) おっしゃるとおりでございます。許可の基準には人的なものと物的なものがございますけれども、それが充足されておれば許可をするということでございます。
  131. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 一年更新の問題、これはやはり衆議院でも非常に論議になっておりますね。第三条、営業の許可の条文の第三項を見ますと、「前条第一項第七号に掲げる営業に係る第一項の許可は、一年ごとにその更新を受けなければ、当該期間の経過によってその効力を失う。」、こういう規定になっている。これは一年というのは短さに失するのではないかという議員の質問に対して、長官も保安部長も、いやそうではありません、これは前は六カ月でありましたのを一年に延ばした経緯がありますということで、なかなかこれは短いということはおっしゃらない。しかし、再検討はいたしますということは言っておられるんですね。だから、多少の柔軟性はうかがえないではない。しかし、やっぱりこれは一年というのは、今盛んに言われておる行政の簡素化に大変これは私は反すると思うんですね。  この間、法務委員会において、法務省の方の外国人登録関係についてもこういう期間を大幅に延長しました。あなた方の所管の交通行政でも免許証の切りかえ期間を延長したでしょう。だから、一年というものは、そう何もあなた方が無理に仕事を拡大しなくてもいいんじゃないだろうか、忙しいのに、人が足りないのに。私はそう考える。しかし一面、娯楽施設利用税の問題がありまして、どうのこうのと言っておられるけれども、そういう余りほかのことにまで気を回して厳重になさらなくてもいいんじゃないだろうか。税は税務署に任せれば足ると私は考える。どうしてもこれは一年更新というのは必要だとお考えですか。
  132. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 先ほどもちょっとお話がありました免許証の更新は、これは現在変えておりません。現在も三年でございますし、その制度をそのまま維持をしておるわけでございます。車検のことでございますね。私の方は変わっておりません。  それから、一年ごとの更新の問題でございますが、これは二十九年に議員立法で入ったという経過、そういう経緯を実は尊重しながら今日まで来ておるということが一つございます。それから、五十七年に六カ月を一年に延ばしたという経緯もございました。そういうふうな問題から、今回はこの部分につきましては格別に改正を考えませんでしたので、そういうふうな二つの問題等を含めて現状を維持することにしたものでございます。
  133. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 大臣、やはり衆議院でも論議がありました一年というのはいかにも短いじゃないかという、これは余りこだわらずに、そういう大方の感覚といいますかを尊重なさったらどうでしょう。それに、やはり行政簡素化の問題もありますし、余りそう突っ張らぬでもいいと思うんですが、いかがでしょうか。
  134. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) この問題については、十分慎重に対処してまいりたいと思います。将来、また検討させていただくような機会も持ちたいと思っております。
  135. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 警察のお答えとしてはやっぱり前進なんでしょうね。余り慎重過ぎるので少し不満だけれども、まあまあ前進があるんでしょう。  それから、第二条第一項第八号のテレビゲーム等を備える店舗の立法の是非については、これはいずれ同僚議員の方で詳しく御質問があるように聞いておりますので、私はきょうは質問をしないことにします。  ただ一つだけ、いろいろスロットマシンとかあるいはそのほかのスポーツその他の競技を行わせる機械との間には非常に顕著な差があるという説がありますね。私は余り知らないから、よく詳しい方に質問していただいた方がいいだろうと思って、きょうはやりたくないんだけれど、機械の中に、純粋に偶然性のない技術によって結果が出る、偶然性というものを排除する、賭博の要件が満たされないそういう機械がある。片一方はまた偶然の輸贏という賭博の要件を満たし得る機械というものがあって、その両者が截然と分かれでいるんだという説がありますね。私は、その説には非常に傾聴すべきものがあると思う。その経営者の人柄によってそれがどう利用されるかということは、これは別問題である。私が言うのは、機械それ自体の性格の差というものがあるということを言っておるんですが、この経営者の意図を一応遮断して、その機械自体にそういう差異があるという点は、これは部長は認められますか。
  136. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) これはいろいろな機械がございますから、私もすべての機械に通暁しているわけでございませんので、一概には申せませんけれども、大体ゲームセンターに置いております機械は、なるほど技術介入性の強いものと弱いものと、それから偶然性の強いものと弱いものがございますが、全く偶然性がないというものは大変少ないように思います。やはりそれは程度の問題でございまして、技術介入性が仮に強くても偶然性の要素が残っておるということになりますと、それはやはり賭博の要件を満たす場合もあるわけでございまして、そういうことから、すべての機械をここでもって論ずるわけにいきませんけれども、大部分のものは、今申しましたように程度の差でございまして、全く偶然性がないという機械はこういうゲーム機には少ないというふうに理解しております。
  137. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 これはまた、全く偶然性がありませんと言う業者があります。何だったら機械を他日お目にかけましょうという提案を受けておる。それから、片一方はもう偶然性が非常にあるんだということで、これはやっぱり委員会がそういう点を慎重に見きわめられる必要があると思いますね。部長もすべてに通暁しておるわけじゃないと一応言われておるし、全面的な否定でなく、極めて少ないと思いますというお答えたから、これはやはりこの委員会で実態を把握する方がいいと思います。  もう一つ、あなたにお伺いしたいのは、許可条件としてはどっちに重点を置きますか。この二条第一項八号のゲームセンターの場合、機械に重点を置くのか、それともたまり場なんという点を考慮してその店舗の構造に重きを置くのか、それとも経営者の人物に重きを置くのか、許可条件としてはどっちに重点を置きますか。
  138. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) どちらにというのはなかなかお答えが難しいわけでございまして、当然のことながら、人的要件という面と、それから機械の構造という面と、それからそれを使う施設という面が三つあるわけでございまして、やはりその三つを判断材料に使っていくということになろうと思います。
  139. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 なかなかやっぱりぼろを出さない官僚答弁という、そういう印象ですね。  だけど、あれでしょう。今、私が最初にお話をしましたように、全く偶然性というものがないものであるというようなものが現実に存在しておれば、そういう機械に重点を置いて許可、不許可をお決しになるということになるんだと思うんですよ。だから、やっぱり実態を把握するということが大事じゃないでしょうか、どうでしょうか。
  140. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 私の方も、ここで挙げておりますのは、「スロットマシン、テレビゲーム機」というのは例示でございまして、「本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある競技に用いることができるもの」、これを対象にしようと、こう考えておるわけでございます。したがいまして、全く技術介入、技術だけであるということになりますれば、この対象にする必要はないわけでございますが、この判断は、しかしまた大変慎重にやらなければならないという問題であろうと、かように考えております。
  141. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 なお、衆議院論議を見ますと、成人映画は規制の対象としないというふうに言い切っておる部分がありますね。それがまた質問者によって多少後退しておるかのような印象を受ける面がありますが、もう一遍この委員会で、完全にこの法案は成人映画を規制の対象としないんだというふうにお聞きしてよろしいんでしょうか。その成人映画というのはポルノ映画も含めてですよ。
  142. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 現在の法案では、改正案の第二条第四項第二号の政令では、規制の対象として成人映画を規定しないことといたしております。これはやはり各種映画関係の団体が看板なりあるいは立ち入りという問題につきまして自主規制を大変強化をされておる。それから、御存じのとおり、映倫という審査を受けておるという問題もあります。それからまた、大変映画関係の団体は組織率が非常に高くて自主規制が期待できるということもございます。  そのほか、福祉的な要素といたしましては、現在四十三の都道府県で青少年保護育成条例というのがございまして、これに有害興業の年少者への観覧制限が行われておるということもございます。そういうことを含めて判断をしたわけでございます。今後は業界の自主規制の動きを見守ってまいりたい。そうして、今後成人映画館を政令で規定する必要がもし生じたという場合には、業者団体と十分話し合った上で対処してまいりたい、かように考えております。
  143. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 そうすると、部長が言われた、本法案によっては成人映画は規制の対象といたしませんというのは、現在の自主規制の機能が有効に働いておるということを前提にしてそういうことを申したのであると。しかし、その自主規制の機能の鈍くなった場合、弊害が生じた場合は本法案の規制を適用すべきか否かを検討して業界と話し合って決めると、こういうふうに理解してよろしいか、ちょっとお答えを。
  144. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 先生のおっしゃるとおりでございます。
  145. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 あと私が非常におもしろいと思ったのは、そういうことになりますと、本法案十六条の宣伝、広告の規定もやはり成人映画、ポルノ映画を含めてのものですが、それに関連しては適用しないという点に興味を持ったわけです。スウェーデンなんかのように完全な自由ではないにしても、よく町を歩くと映画館があって、なかなか相当なものだなと思うような絵がありますね。ああいうものもやはり大らかな気持ちで、あなた方はこの本法案によっては規制の対象とはしませんと、こういうふうに伺っていいわけですね。
  146. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 現在の段階ではさようでございます。
  147. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 私はまだ正直に言って行ったことはないんだけれども、ノーパン喫茶というのがありますね。これも答弁が必ずしもはっきりしない。会議録を読むと、数が減っておりますとかいろいろなことを答弁するんだけれども、これは風俗営業には入らぬという、そういうことをおっしゃっておられるんでしょう。もう一遍はっきり言ってください。
  148. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) ノーパン喫茶と申しますのはいろいろな態様があるわけでございますが、本当に言葉どおりの意味でいきますと、例えば裸に近い格好で飲食物を給仕するという形のものが、発生的に見ますとそういうものでございまして、そういうふうなものは直ちにやはりそれだけで対象にするということは考えておらないわけでございますが、ただ、現在ノーパン喫茶と言われておるものは、最初の段階では、今申しましたように裸ないし裸に近いような格好で飲食物を給仕するということから始まりまして、さらにそれが大体それだけでは終わらないわけでございまして、もう一つ先のサービスをいかがですかということで店の方も申し出る、客の方もそれに乗っていくというような形のものになる可能性のものが非常に多いわけでございます。  それは、名前はともかくといたしましても、一つの個室マッサージのような形態になるものがほとんどになっておりまして、これは現在私どもは、この改正案の第四項の第五号で、個室マッサージとかあるいはファッションマッサージという実態のあるノーパン喫茶は対象にしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  149. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 そうすると、パンツを着用する、しないは私の自由ではないかということでパンツを着用しないだけである、それだけにとどまっておるという喫茶店は、これはもう完全に入らぬわけですね。
  150. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) パンツのはき方にもよるわけでございますが、全くわいせつに当たるような形であれば、これは当然のことながら、わいせつとして問擬しなければならないことになるわけでございますが、わいせつに至らない程度の段階でございますとこれは対象にしない、こういうことでございます。
  151. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 いや、その個人を私言っているんじゃないんですよ。普通のワンピースを着用しているけれども、ただ内部にパンツを着用していないと、そしてそういう女性がお茶を持ってくるというのであれば、これはいいわけでしょう、パンツをはけと命ずるわけにはいかないもの。  それから、わいせつというのは、あなたのおっしゃるのは、店主がそういうことを命じたらそれは風俗営業になるという意味ですか。それとも、わいせつ罪でひっくくりますという意味ですか。どっちですか。
  152. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 従業員がそういう形になるのは大体店主の、いわゆる営業主の営業方針によってやることがほとんどであろうと、こう考えられるわけでございますけれども、そういう場合にはやはりわいせつで問擬をしていくということではなかろうか。また、それが飲食店という形態であれば飲食店の方の関係の遵守事項等の問題もございますので、そちらの方の関係で問擬をされるということもあろうかと思っております。
  153. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 衆議院でもそこはそういう御答弁だが、それがはっきりしない。飲食店というならば飲食店の方でそれを問擬していくというのは、本法の言う風俗営業になるという意味で言っているのか。別個な法律でそれを追及していくという意味で言っておられるのか。どちらですか。
  154. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 今私が申しましたのは、この法律ででございます。法律の三十四条で「公安委員会は、飲食店営業を営む者又はその代理人等が、当該営業に関し、法令又はこの法律に基づく条例の規定に違反した場合」、法令という中に先ほど言いました刑法等が入るわけでございます。そういう場合に、かつ「善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害し、又は少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれがあると認めるとき」は、当該飲食店営業者に対して必要な指示ができ、また二項で必要な営業の停止処分等ができると、こういうふうなことでございます。
  155. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 そうすると、あなたがおっしゃるのは、この三十四条で賄っていく、したがって、これを風俗営業であるとか、そういうふうな範疇に入れるということはしない、こういう趣旨ですね。そうでしょう。
  156. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) おっしゃるとおりでございます。
  157. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 もう一つ、あなたの今までの衆議院における中ではっきりしないのは自販機の問題であるんですが、これは私も一度現実に買ってみないといかぬなという気になったんだが、ビニ本が出てくるというんでしょう。そうすると、おかしいのは、ビニ本を売る店舗は規則する。そうですね、これはあなたが風俗関連営業に入れておるわけだから。ところがビニ本が出てくる自販機がどうなのかということになると、これは青少年保護育成条例が府県にございますのでというようなことで答弁していらっしゃるんだが、それで賄うしかないという意味でしょうか。
  158. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) この法律の第二条第四項第四号に当たりますいわゆるアダルトショップ、こういう店で仮にビニ本あるいはおとなのおもちゃ等を売り、かつ自販機を備えて売っておるとすれば、これは当然のことながら、これに対する営業であるというふうに考えておるわけでございます。  私が答えておりますのは、ビニ本と申しますのは、雑誌というよりむしろ写真に近いものでございまして、そういうもので、ここにありますような「性的好奇心をそそる写真その他の物品」というふうな形で考えておるものでございます。いわゆる本屋さん等で自販機等に入っておる雑誌、これもまたいろんなものがあるとは思いますけれども、これはいわゆる写真というよりやっぱり雑誌、本でございまして、しかもそれが書店等に置かれておる、書店の片隅に置かれておるというような状況のものは、これは書店そのものがこの法律の対象というふうには考えておりませんので、あわせて、そこで売られておる自販機による雑誌等もこの法律で考えていくべきものではない、こういうふうに考えておるものでございます。
  159. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 いや、部長、衆議院の論戦を見ていますと、あなたのおっしゃるように、ビニ本なんというものを売っている店舗にある自販機というものは、これは確かに規制の対象になるでしょうが、質問者は、このごろは住宅街にそれが進出しておる、どうするかという質問だったんですよ。そうしたらあなたは、いや、これは府県条例だと、こう言うが、府県条例のないところはどうする。そこの問題がある。
  160. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) やはり青少年保護育成条例というのがそういう形でできておるものでございますから、そちらの方の関係で対処していくべきものであろうと思います。確かに条例のない県もあるわけでございますが、そういう必要性がもしあるとすれば、その県ではぜひ青少年保護育成条例でそういうものを規制していっていただくということになるんではないか、こう思っております。
  161. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 そこがこの法案の大変な矛盾なんです。つまり、ビニ本を売る店は規制する、それで自販機で売っているものは規制できない、これは府県に任せます、こういう矛盾がこの法案にある。そうでしょう。これを矛盾と言わずして何ぞや。これは長くなって時間が五分超過しましたので、この程度でとどめますが、これはこういう点でこの法案は非常に矛盾があります。
  162. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 まず、審議日程の詰まった中で自民党の私に一時間、質問時間を与ていただきました委員長並びに与野党の理事に深く感謝申し上げる次第でございます。  議会は野党のためにあると外国のことわざにもあるそうですが、自民党は与党として、法案作成の段階で政調部会等に諮られておりますので、大要その意向はくみ上げていただいているわけですけれども、このたびのこの風営法の改正は、その改正の規模において、その内容において大変大きなものであり、いささかの疑問と質問があることは当然でありまして、以下お伺いする次第でございます。  質問に入ります前に、このたびの改正の背景になっておりますところのいわゆるセックス産業の跳梁ばっこというものはまことに目に余るものがあって、青少年の非行や不良化、善良な風俗の破壊につながることは言うをまたないわけでございまして、基本的にはこの大改正の必要性や意義というものは、十分私も理解しているつもりでございます。  しかし、日本においても、これは世界においても、この性ということは本来もう少しおおらかであって、もっと朗らかなものであって、陰湿なものではないと思うんでありまして、日本でも、これ天の岩戸の時代から、女なくしては夜も明けぬ国、こういうわけでございますし、また先年、私はポンペイの遺跡を見にいく機会がございまして、大きな道路からちょっと入ったところに今で言うその種の施設がありまして、その部屋の中の壁にはいろんな体位まで極彩色に書いてあるんです。ですから、これは四千年前も今も、この需要と供給には変わりがない、こういうふうに思っているわけでございますが、こんなことはいつまで話していてもしようがないから、これは閑話休題といたしまして質問に入るわけです。  私は、今回の改正案は、今までこれはわずか八条だった風俗営業法が今回の改正によりまして全文で五十一条、しかもその上に具体的な規則等は数多くの政令、政令では委任事項がおたくから出されてもらった資料によりましても五十三カ所、さらに国家公安委員会の規則、それからまた、大部分今まで各県ごとのばらばらだったという条例を法律で取り上げたんだ、こうおっしゃっていますが、それでもまだ条例に委任する事項もある、こういうことでございまして、大変これは大がかりな大改正だと思うのでありまして、いわゆる換骨奪胎でないかという、この種の問題についてそういう表現が使われることもございますが、そういうふうにも見られるわけでございますが、こうなった理由は一体どういうところにあるのかということと、私、時間が限られていますから、まとめてひとつ質問します。  それからもう一つは、従来の風営法の業種指定というものは五つですか、ありましたけれども、今度はいわゆるセックス産業というものは風俗関連営業ということで取り込んでいるわけでございますが、トルコ、ストリップ、のぞき劇場、個室ヌード、モーテル、類似モーテル、ラブホテル、レンタルルーム、アダルトショップ、個室マッサージ、どうも聞くだけで耳が汚れるような感じでございますけれども、そういうようなわけで、そして前者を許可制にしておる、後者は届け出だけでいい。先ほどから議論も大分ありましたけれども、こういうのは、これは何かいいものも悪いものも一緒くた、くそみそ一緒じゃないか、こう思うわけでございますが、これはやっぱり後者は厳しく取り締まらなきゃならぬという基本方針があるなら、私はこれは仮称をつけたんですけれども、青少年を有害な環境から保護する法律というような題名で制定した方が法の趣旨が正しく理解されて、一部業者からは、これはどうも我が業界をねらい撃ちしたんではないかというような不評を買なくても済んだんじゃないか、こういうふうに思うんでございますが、この点について、まず警察庁長官からひとつ御答弁いただきましょうか。
  163. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 私から先にちょっとお答えをさせていただきます。  まず、こういうふうな立法の形態をとった理由でございますけれども、先生、八条から五十一条というお話がございましたが、実態は十六条でございます。法律の中に枝番のついたものがかなりございますので、それを見ますと十六条が現行でございまして、これが五十一条になったということでございます。これは前々から指摘をされておりまして、風俗営業法というのは余りにも法律、条例に任せて、その条例の運用がまちまちで困るではないかということがございまして、昭和三十九年のときの附帯決議でも、衆議院でございましたが、全会一致で、何とかもう少し法整備を図れと、こういうふうに指摘をされたところでございます。  そういうことで、条例で今各県でやっておりますが大体三十五、六条あるわけでございますが、これが全部が全部条数が一致するわけではございませんけれども、そういう条例について、必要なものはやはり法律でもって整備をしていく必要があるだろうという形で整理をしたものでございまして、大部分がそういうふうな形になりますわけでございまして、決して換骨奪胎で従来のものとまるっきり変わったんだということには考えておらないわけでございます。あくまでも現行法の延長線にあるということで整理をしてきたものでございます。  それから、風俗営業というものと風俗関連営業が一緒になって、くそもみそも一緒じゃないかと、こういう御指摘でございますけれども、これは現在の法律の立て方自体がこういう形になっておるわけでございます。既に風俗営業という形で現在一号から七号までの営業が許可営業としてございまして、そのほかに、その後の四十一年の改正、四十七年の改正で、トルコぶろとそれから興業場の関係というものがつけ加わり、さらにモーテル営業がつけ加わったということでございます。そういうふうなトルコぶろ、それから興業場、それからモーテルというものと、現在の実態から出ておりますいわゆるセックス産業をあわせて風俗関連営業という形でとらえて規定をしたものでございまして、現行の規定をその面でも整備をしたにすぎないという考え方でございます。  法律はそういうことで一緒になっておるわけでございますけれども、考え方は截然と区画をしているつもりでございまして、許可営業はやはり健全化を図っていくべきもの、それから風俗関連営業に対しては厳しく対処をしていくものという形で峻別して法律を規定しているという状況でございます。
  164. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 次に、構造と施設の問題についてちょっとお伺いしますけれども、さきの衆議院でも審議の中で、この問題についてかなり詳細のやりとりがあったのを私、会議録で拝見しているわけでございますが、私はこの種の議論というのは余り意味がないと思っています。大体モーテルはこういうものだ、なにはどういうものだというふうに規定づけましても、これは業者の方の悪知恵の方がその上その上と行くわけでして、皆様方が規定をいかに細かくしたってこれはその上を行くわけでございます。  例えば一つ例にとりますと、モーテルですね。これは個室にそれぞれ個々に接続する車庫、こういうふうになって規定されています。そうすると今度は、もう部屋は共通にできませんけれども、車庫の方はっなげちゃって、これはもうモーテルじゃないんだと、こういう形で逃げられる、こういうことがあったり、私はかつて県会のときに、県の条例で和風バー、洋風バーと、こういう取り決め方があったんですね。何のことはない、腰かけているものが主に洋風バーで、座るところがあると和風バーだと、こう言うんですね。ところが、一緒に施設をしたらこれは警察は許可しないと、こうなったんです。  これは余りどうもしゃくし定規な話じゃないかと、こういうことで、私は時の警察本部長にいろいろ条例上の理屈を言っても始まらぬから、当時NHKで「文五捕物絵図」と、こういうのが評判のドラマだったので、文五親分は若くて威勢がよくて、飯台のところへ二斗だるを腰かけにして、貧乏どっくりで桃割れのおねえちゃん相手にやっておる。そうすると、今度後ろから、おやじの文五郎親分が来て上がりかまちのところで雪駄を脱いで、ちゃぶ台で、ねえさん、熱かんで一本と、こうなるわけです。これは一体どこの国のいつの時代の風俗だ。これは言うまでもなく日本の明治より前の風俗ですね。これは腰かけたから洋風だ、座ったから和風だという決め方はおかしいじゃないですかと言ったら、その委員会は爆笑になりまして、それから新潟県ではこのような条例の取り決め方というのはなくなったんですね。  それから、もう一つ例を申しますと、トルコぶろの地域の中に普通の家がある。ところが、トルコぶろはもちろん外壁等で囲って外からはうかがい知れないようになっているけれども、たまたま湯気を上げる管から女の嬌声が聞こえてきたんですね。ところが、それを問いていたのは受験の子供を持つ母親で、女は弱し、されど母は強しということで、マスコミに盛んに訴えて、私もその中に加わって、とうとうこのトルコ街は、新潟県では区域指定はありますけれども、児童遊園から二百メーターのぶんまわしかけて、その中にすべてが包含されるじゃないかということで、それ以後事実上できないことになったわけでございまして、それは法律の見ようとりようで、いろいろ抜け穴もあるわけでございますが、しからば今度警察が全面的に出て、これがいいとか悪いとかというふうに言われますと、いわゆる警察権力が先走っているじゃないか、だんだん拡大しておるのじゃないかと、こういうふうにまた言われかねない。  そこで私は、一体その店やその施設が非常に公序良俗に反する、青少年の不良化に手助けになっているということを判断をまずするために、今度の改正の中には幸い少年指導委員という制度をおつくりになってますけれども、あるいは風俗の環境浄化協会というものをおつくりになってますが、これらの人がまず先にちまたのうわさを聞いて出かけていって調べる、どうもあれはひどいじゃないかということから、今度は本職の警察官が乗り込んでいくという二段構えにしたら、これは実効も上がるし、大体、風俗営業、風俗関連業の数と警察官の数から比べたら、到底私は手が回らぬと思うんですが、そういう意味で、そういう制度をせっかくこの中へ入れたわけですから、活用する気はございませんですか。
  165. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) いろいろ御指摘がございました。確かに風俗の環境を浄化していくという問題はひとり警察だけでできるわけでございませんので、風俗環境浄化協会なり、あるいは少年指導委員等の助けもかりまして、そういうお力添えも賜りながら一緒に努力をしてまいりたいと、かように考えております。
  166. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 それでは、風俗環境浄化協会と少年指導委員の主なる職責、また権限の範囲といいますか、そこらはどのようなことをお考えになっていますか。
  167. 山田晋作

    説明員山田晋作君) 少年指導委員でございますが、少年指導委員は、現在警察の行っております少年の補導とか、それから少年の健全な育成に支障を与えるような行為とか、こういったようなものを防止する活動とか、それから環境浄化活動とか、そういったようなものをやっていただく趣旨で設けようとするものでございますけれども、もう少し詳しく申し上げますと、現在風俗関係営業が少年に悪影響を及ぼしているということが言われておりますし、私どもひしひしとそういうことを感じておるわけでありますが、そこで少年指導委員には、深夜の盛り場を供回する少年に対して帰宅を促す、必要な注意とか助言を与えるといったような活動と、さらに少年に悪影響を及ぼしているような製品等に対して、これは悪質な業者というふうなものも含めるわけでございますけれども、少年の健全な育成のためにいろいろと協力をお願いするというふうなこととか、また地域における環境浄化活動その他の健全な育成に資するような活動、こういったものをやっていただくというふうなことで、あくまでボランティアという立場でおやりいただくものでございます。  したがいまして、この少年指導委員に対しましては特別の権限というふうなものは与えませんけれども、活動の範囲といったようなものを今申し上げましたような形で法律で定めまして、いろいろと活動いただくという趣旨のものでございます。
  168. 古山剛

    説明員(古山剛君) 風俗環境浄化協会の仕事でございますけれども、まず一つは、風俗環境に関する苦情を処理するということでございまして、いろいろ盛り場等で、風俗営業とか風俗関連営業その他から、風俗の環境に関するいろいろな問題の指摘があろうかと思うわけでございますけれども、そういった苦情の処理をする。あるいはこの法律に違反する行為を防止するための啓発活動ということでいろいろポスターをつくったり、あるいは各方面に対する啓発を行う。それから、少年指導委員のお話がございましたけれども、少年指導委員と協力していろいろ少年を取り巻く社会環境の浄化活動とか、そういったことをやっていくというようなこと。それからそのほかに、公安委員会の委託を受けまして、風俗営業所に置かれます管理者に対する講習でございますとか、あるいは風俗営業所の構造、設備等についていろいろと調査をするとか、そういった仕事でございまして、いずれにいたしましても、民間の力をかりていろいろと環境浄化活動をやっていくということで、いろいろと助けをかりたいというふうに考えているところでございます。
  169. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 これからできるそれぞれ制度であり、団体でございますから、健全に生々発展されることを望むわけでございまして、今できない先からいろいろ注文つけたり、またこうあるべきだとかいうふうに議論しても始まりませんから、次に珍らしてもらいます。  最近に至って、この風営法の改正をめぐってパチンコ業界の一部から、このたびの改正に対して幾つかの異論や反対あるいは条文を削除してくれないかという声が上がっております。現に私も陳情を受けておりまするが、聞くところによりますと、法案をまとめる段階で十分業界の皆様方の意見を聞いたり、あるいはいわゆるすり合わせもしているんだと、こう言われておりまするけれども、反対の強いところを見ますと、どうも十分ではなかったんでないか。どういうことからこういうことのそごに至っているのか、その辺をひとつ聞かしてください。
  170. 古山剛

    説明員(古山剛君) パチンコ関係の業界といたしましては、許可営業者の全国組織であります全国遊技業協同組合連合会と、それからパチンコ遊技機の製造メーカーの全国組織でございます日本遊技機工業組合、この二つがあるわけでございます。  警察庁といたしましては、日ごろから常にパチンコ遊技が国民に憩いの場を与え、娯楽の機会を与えるものとして、著しく射幸心をそそることとならないように、健全営業に徹するよう、この二つの組織を通じましていろいろ指導を行っているところでございます。  今回、風営法の改正法案を検討するに際しましては、この二つの業界からの要望を集約、取りま とめまして、風俗営業としてその業務の健全化、適正化を促進し、従来の取り締まり中心のあり方を、行政指導を優先するように改めるということで法体系の整備を図ったわけでございます。特に、風俗営業者、パチンコ営業者の全国組織でございます全遊連からは、ことしの四月六日、警察庁に対しまして、改正に関する主な要望事項八項目を内容とする風俗営業等取締法の改正に関する陳情書という書類の提出があったわけでございます。警察庁といたしましては、その後、全遊連の役員の方々と数回にわたる話し合いを重ねまして、そしてその要望を加味いたしまして改正法案の原案を作成したわけでございます。  一方、全遊連では、たしか四月の十二日だったと思いますけれども、緊急の理事会、これは各県から少なくとも一人は出ておられるという理事会でございますが、開催されまして、そして警察庁との折衝の経過を説明されまして、そして警察庁との関係でいろいろ了解を取りつけた点について話し合いの経過をその理事会で了解を取りつけられまして、そしてその日の夕方でございましたか、その結果について説明に来られております。さらに、それから一週間たちました、たしか四月の十九日だったと思いますけれども、理事長以下、それかう四人の副理事長さん、そのほかも若干名おいでになりましたが、役員の方々が来られまして、無事解決したということについて改めて正式のあいさつに来たということで、また私どもの方を訪問されたわけでございます。  このようなことで、警察庁といたしましてはパチンコ業界とは十分意見の交換も行い、すり合わせも行ったものと理解しているわけでございます。ところが、六月の下旬ごろになりまして、一部の方がこの改正法案につきまして反対あるいは廃案を唱えて、国会の諸先生方を訪れて陳情等をしておられるというふうに漏れ承っているところでございますけれども、私どもといたしましては十分すり合わせは行ったものというふうに思っている次第でございます。
  171. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 当局はされたと言いますし、また問題がたくさんあると言ってくるのもいるわけでございますが、それじゃ具体的な条文について、ここは問題だ、ここは何とかしてもらわなきゃ困るというところを指摘申し上げますので、ひとつ御見解を聞きたいんでございます。  まず第三条、「営業の許可」の二項に「公安委員会は、善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為又は少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため必要があると認めるときは、その必要の限度において、前項の許可に条件を付し、及びこれを変更することができる。」と、こういう条文になっておりますが、この中に「必要がある」あるいは「必要の限度において」という、この「必要」という言葉が二つも出てきているのでございますが、どうもこの意味があいまいであり、やっぱり警察官の恣意や拡張解釈がなされやすいんじゃないか、こういう苦情といいますか、要望があるのでございますが、それについていかがお考えになりますか。
  172. 古山剛

    説明員(古山剛君) 現在の風営法の各県の施行条例におきましても、許可時の客観的条件に照らしまして、許可をするに当たりまして必要があれば条件を付することができることになっているわけでございます。  それで、善良な風俗と清浄な風俗環境の保持、それから少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するというこの法律の目的を達成するために、そのまま許可をした場合にはやや問題があるというときに条件を付すわけでございます。例えば旅館に対しまして、接待をしたいということで改正法案の第二条の第一項第二号の料理店の許可を与える場合に、寝室で接待をしないこととか、あるいは許可の対象となる宴会場と客室とは明確に区分された構造とするという内容のものなどが考えられるわけでございまして、必要があるときに条件を付するわけでございますけれども、さらに「必要の限度において」ということで、これはあくまでも業者の方の過大な負担とならないように絞りをかけているわけでございまして、警察の解釈によって必要以上に負担をかけるというようなおそれは全くないものというふうに考えている次第でございます。
  173. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 次は第四条の許可条件の一項の二号に、一年以上の懲役もしくは禁錮の刑に処せられた者は云々ということで、これはこの執行が終わってから五年を経過しなければ許可を受けられないと、こういう条項がございまするけれども、いわゆるこれが人的な欠格条項ということなんでしょうけれども、この中にいろいろ、刑法あるいは売春防止法、職業安定法等々、列記しておりまするけれども、人間は時と場合によっては罪を犯さないわけでもない。例えば道路交通法とか、あるいは所得税法とか、あるいは外国人登録法というようなほかの法律でもって罪を得た場合に、この条項でこの人には、金輪際というふうには書いてありませんけれども、五年というと、これはもうほとんど商売つかせられないといった方が早いぐらいなものでございまして、これはちょっと厳し過ぎるんじゃなかろうかと、こういうふうな陳情があったわけでございますが、この辺につきましてはどのように考えたらいいんでしょうか。
  174. 古山剛

    説明員(古山剛君) 第四条の一項の二号には、人的許可条件のうちの、いろんな罪に触れて刑に処せられたりした場合の欠格条件について書いてあるわけでございますけれども、この点につきましても業界の意見も十分聞きまして、他の立法例よりは緩やかにしているわけでございます。一年以上の懲役または禁錮に処せられたという場合に、これが他の法律といいますか、風俗営業と全く関係ない、そういうものでこういう罪に当たるようなことをした場合でもなるというのはどうかということでございますけれども、風俗営業の健全化、適正化を図っていく上におきましては、やはり遵法意識のある方にそういう営業をやっていただくということが非常に大事ではないかということで、このように決めたわけでございまして、これも他の法律よりはまだ緩やかになっているというものでございます。  それから、一年以上の懲役または禁錮になるのはどのぐらいかということを御参考までに申し上げたいと思いますけれども有罪とされた者のうちの全体では二%にも満たないという極めてわずかなものでございまして、こういうような方というのはよほど情状も悪い、罪状も重い者ばかりではないかということでございまして、こういった方にはやっぱり風俗営業者にはなっていただきたくないということで、このように規定したものでございます。
  175. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 その後の三号も困ると言っているんですね。  「集団的に、又は常習的に暴力的不法行為その他の罪に当たる違法な行為で国家公安委員会規則で定めるものを行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者」と、こういうわけでございまして、この点については、おたくさんから出されたこの規則、どういうことを予定されているのかということなんですが、傷害とか常習賭博とか覚せい剤保持とか、あるいは売春防止法違反などを予定していると、こういうわけなんでございますが、今はそういうことで考えているでしょうけれども、これらはだんだん規則がふえてくるんではないか、他にも及ぶんではないか、拡張解釈されるんじゃないか、こういうふうに考えているんですが、これはいかがでございますか。
  176. 古山剛

    説明員(古山剛君) この規定はいわゆる暴力団を排除する趣旨でございます。ただ、法律に暴力団はだめだというふうにも書けませんので、暴力団をできるだけ特定するためにこういう規定をしたものでございまして、二年前に改正になりました警備業法におきましても、暴力団を排除する趣旨から全く同様の規定がございまして、現在極めて適切に暴力団を排除してきているというものでございまして、御懸念の点はないように今後運用してまいりたいというふうに考えております。
  177. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 次は、第二十条の「遊技機の規制及び認定等」という項目の中の三項ですが、「国家公安委員会は、政令で定める種類の遊技機の型式に関し、国家公安委員会規則で、前項の公安委員会の認定につき必要な技術上の規格を定めることができる。」と、こういうわけなんでございまして、この点につきましては、パチンコの一部業者の言うには、今までは各県の警察の保安課にその型式を見てもらって許可を受けたと、こういうことなんですが、今度は中央で全部統一する、こういうことになると、私はどうもその点はちょっと業者の言い分をにわかには全部是認するわけにもいかないんですけれども、地域的な特徴がなくなると、こう言っているんですね。パチンコに地域的特徴というものが必要なのかどうかなと思わざるを得ませんけれども、またまとめれば、いわゆる大手の機械メーカーに非常に有利だと、こういうふうにもとられかねないわけなんですが、これは一体どういうことから条文に入ったのか。今までは玉出しの数も千三百発とか、いわゆるフラッシュの時間も十五秒とかというふうになっていたそうでございまして、それほど中央集権的に一手に取りまとめる必要があるのかどうか、この辺をひとつ聞かせてもらいたい。
  178. 古山剛

    説明員(古山剛君) 第二十条の一項には、これは四条の関係を引いたものでございますけれども、パチンコ営業者が用いる遊技機につきまして、著しく射幸心をそそるおそれがない遊技機でなければならない、こういうような趣旨がございます。それから三項には、さらに遊技機の型式に関して「必要な技術上の規格を定めることができる。」というふうにしたわけでございますけれども、現在それではどういうふうに規定上なっているかということを申しますと、パチンコ営業者の方が許可を受けるときに、まずその機械まで全部ホールに入れまして、そして一台一台これは遊技場営業に使ってよろしいかということを聞いて、それでだめならまた戻さなきゃならない、また途中で機械を入れかえるときには、また一台一台見てもらわなければならない、そういう規定になっているわけでございます。それは余りにもパチンコ業者にとってリスクが大きいということ、それからまた、もちろんメーカーにとってもリスクが大きいわけでございます。  そこで、法的な規定はございませんけれども、事実上のサービスといたしまして、各県の公安委員会であらかじめ、パチンコ営業者に販売したいという機械を事前に見まして、これならよろしいということを認定しまして、それからパチンコ屋さんの方へ機械が入っていくということを事実上やっているわけでございます。そのシステムを今度法的な根拠に乗せたいということで、遊技機の認定とかあるいは型式の検定というものをこの二十条の中にも盛り込んでいるわけでございます。  ただ、そういうことを法的なルートに乗せる場合に、やはり著しく射幸心をそそるような遊技機は認められないというのは当然のことでございまして、そういうようなことにならないように、第二十条の一項あるいはこれは四条の三項でございますが、で基準を定め、それからまた、大量生産されるようなものにつきましては技術上の規格を定めて、著しく射幸心をそそるようなものにならないというようなことを定めたいというものでございまして、著しく射幸心をそそるおそれがあるかどうかということが判断の基準でございまして、全国画一化しようとか、そういうようなことは全くないわけでございまして、現実にもパチンコの機械というのは多種多様、幾らでもあるわけでございまして、その方向を今後とも変えていこうというものではございませんで、その著しく射幸心をそそらないという範囲内におきまして、どういう機械をメーカーが開発し、そしてまたパチンコ営業者がそれを買われるかということは、それは自由でございまして、むしろこういうふうに技術上の規格を定めている方がメーカーの方もホールの方も、安心して新しい機械を要望し、また生産することができるということで、むしろ業界の今後の健全な発達の上におきましてプラスになる、そういうシステムではないかというふうに考えているところでございます。
  179. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 次は第二十四条の「営業所の管理者」、これは衆議院において修正されてきたわけでございますが、原案を読ませてもらいますれば、「公安委員会は、管理者が」「この法律に基づく条例の規定に違反した場合において、その情状により管理者として不適当であると認めたときは、風俗営業者に対し、当該管理者の解任を命ずることができる。」、こういうわけでございますが、これは修正案では「勧告することができる。」と、こういうふうに和らげられてまいりましたけれども、業者に言わせると、どうもこれは大同小異だ、言うなれば管理者が、オーナーである営業者の言うことを聞くよりも、警察のサゼスチョンといいますか、勧告といいますか、そういうことに重きを置いて、どうも事業を進めていきにくくなる、こういう言われ方なんでございますが、しからば、それじゃどうしたらいいものかなと、私考えてもいい知恵も浮かびませんけれども、この辺の規定が入った理由等をひとつ聞かしてください。
  180. 古山剛

    説明員(古山剛君) 従来の風営法の考え方では、風俗営業者は、端的に言えば取り締まるべき対象であった。ところが、そうであってはならないというふうに私ども考え、国民に娯楽と憩いの場を与える風俗営業につきまして、やはりこれは健全に発達をしていただく、そのために警察としてもいろいろ御指導申し上げる、そういうものではないかということで、そういうふうに考え方を変えたわけでございます。そういう風俗営業者の健全化、適正化を図っていくための施設の一つとして管理者制度、この管理者制度というものは従来から各県の条例に規定されておったわけでございますけれども、この規定を整備したわけでございます。  管理者につきまして公安委員会が何でもかんでも解任できる、自由にできるということではございませんで、管理者というのはそのそれぞれの営業所にありまして、そして営業者に対しては助言をし、そしてまた使用人とか従業員に対しましてはいろいろ指導して、そして遵法営業、違法な営業をしないという、そういうことをいろいろやっていただくためのものでございまして、それが実は管理者が法律に違反するようなことをやったという場合には、これは法の趣旨、風俗営業者の健全化を図っていこうというそういう趣旨というものが完全に没却されるわけでございまして、そういう意味において、そういう率先して違法行為をやったというような者につきましては、これは管理者としてふさわしくないということで「解任を命ずることができる」というふうな規定にしておったわけでございますが、ただいまのお話にもございましたように、衆議院の修正によって、「勧告することができる」というふうに改まったわけでございます。  この改まりました趣旨というのは、営業者の自主性というものを尊重して、管理者をどうこうするということにつきまして自主性を尊重した規定になっているわけでございます。そういうことでございます。
  181. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 それから、二十二条の「禁止行為」の中の四号に「十八歳未満の者を営業所に客として立ち入らせること」が禁止されているわけでございますが、この条項も、どうもホールの方では、子供のようだがおまえ幾つだと言うた場合に、年がもうおれ十八になっているんだ、こう言われた。しかし後から警察官が来られて、どうもこれはちょっと子供のようだがと、こう言った場合に、本人に聞いて、いや実は十六だということになった場合に、子供が自分の年齢を詐称しているにもかかわらず、その罪はどうもホール側に来そうな条項なんだけれども、この運用についてはどういうふうにされるのか、こういうことですし、それから今度、ついでにもう時間もありませんからもう一つ聞きます。  二十五条のこの「指示」の中に、「少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため必要な指示をすることができる」ということなんですが、これはどういう指示なのか、非常にあいまいではないかということなんですが、この二点についてひとつお聞かせ願いたいと思います。
  182. 古山剛

    説明員(古山剛君) まず二十二条の「禁止行為」、第四号において、十八歳未満の者を営業所に客として立ち入らせることが禁止されているわけでございますけれども、この点につきましては現行法におきましても、第四条の三の第一項で「風俗営業を営む者は、次に掲げる行為をしてはならない」ということで、「十八歳未満の者を営業所に客として立ち入らせること。」という同様の規定がございまして、現在まで問題なく運用さしていただいているところでございます。  それで、具体的にその年齢が十八歳未満云々ということがはっきりわからないではないかということでございますけれども、はっきりとわかる者をあえて入れだというような場合は別といたしまして、これは、この規定は過失は処罰しないことになっておりますので、十七歳あるいは十六歳だけれども体が大きかったから知らなかったというような、わからなかったというものについては、そこまで処罰しようというものではないということで、御懸念の点はないのではないかというふうに思っているわけでございます。  それから、「指示」でございますけれども、これにつきましては、具体的にどういう指示をするかというようなことでございます。それぞれの違反の態様に応じて、必要な限度で指示をしていくということでございますが、例えば卑わいな看板による広告、宣伝を行っているという場合にはその当該看板の撤去等を指示するとか、あるいは照明の照度が不十分な場合にはその照明をもっと明るいものにつけかえてほしいとか、そういうような指示でございます。そういうような指示を行う、こういうことでございます。
  183. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 次は、第三十七条の「立入検査等」なんですが、これも衆議院において修正された条文の一つでございまして、改正案について余り云々することはよくないかもしれませんけれども警察官が立ち入って「帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる」という初めの案は、どういう発想のもとといいますか、どういう必要性があってこういう条文ができたのか。例えば帳簿となりますと、これは主に警察署というよりも税務署の方、そっちの方が必要なんでありまして、警察署としては余り必要ないものまでここに載せてある。これに対していろいろ疑念や問題があったからこそ衆議院において修正されたものとは思いまするけれども、これを入れるに当たりまして、初めの考え方をひとつ参考のためにお聞かせ願いたいと思うんであります。  それから最後に、この立入検査というものは「犯罪捜査のために認められたものと解してはならない」、こういうことで、まさにこれは寝た子を起こしているような条文でないか。犯罪捜査のためでないならば、何のためにそれじゃ立入検査なさって、あれ見せろ、これ見せろというふうなことを言われるのか。そこらはどうもやっぱり業者も心配になる種だと思うんでありまして、ひとつ明確にしてください。
  184. 古山剛

    説明員(古山剛君) まず、立ち入りの規定につきまして、現行の規定を原案の三十七条のように変えた、「帳簿、書類その他の物件を検査させ、」云々という規定をつけ加えた、こういう趣旨でございますけれども、現行法におきましても警察官の立ち入りの規定がございまして、その中に、帳簿、書類その他の物件の検査というのは入ってございませんけれども、これは立ち入りの権限の中に含まれるというふうに解釈され、そのように運用されてきたわけでございます。  ただ、最近の立法例によりますと、すべてこういうようなものの文言が入っておりますので、ただそれに、近時の立法例に合わせて、そういうことをはっきりさせた方がいいんじゃないかということで原案のような規定の仕方にしたわけでございますけれども、この表現につきまして、現行法の立入権と比べましてその範囲が拡大されるのではないかという、そういう疑念が表明されましたので、無用の誤解を避けるためにこの表現を削除いたしまして、従来の規定に即して修正をすることになったものというふうにうかがっているところでございます。現行法におきましても、立ち入りの目的を達するために必要な措置をとっているところでございますけれども、改正法案がもし成立いたしましたら、それに即して今後とも適切に運用してまいりたいというふうに考えているところでございます。  それから、現行法にはない「犯罪捜査のために認められたものと解してはならない」という規定が入ったのはなぜか、こういうことでございますけれども、この立ち入りの権限というのは、これはもともと犯罪捜査のために立ち入るというような、そういうものではございませんで、その風俗営業等が違法な行為が行われないように、適正に行われるように行政上いろいろ指導し監督する、そのために立ち入り等が行われるべきものでございまして、その辺の趣旨をはっきりした方がいいんではないかということで、今回こういう規定を設けたものでございます。
  185. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 以上はパチンコ業界での危惧の声を代表して、羅列して申し上げたわけでございますが、いま一つ、これは別な業界ですが、スナック業界では、これは非常に零細な事業なんだから、かえって許可営業にされて許可を取るためにいろいろ手続が難しいし、これを行政書士会等にお願いしますると十万円ないし十五万円ぐらいの金が取られる、それならば簡単な届け出の方に入れてもらった方が得するのじゃないか、こういう考え方がありますが、大体このスナックという業種は、私、これおたく様からいただいたいろいろ第何号営業という中に明確には載っていませんけれども、そこらはどういう位置づけをされているのか。また、さっき言うような零細な業界であるから、届け出というのももっとものような願いですけれども、そこらは考えられないものかどうか、お聞かせ願いたいと思います。
  186. 古山剛

    説明員(古山剛君) スナックということでございまして、スナックという言葉を使って営業されている形態にもいろいろあろうかと思うわけでございますけれども、一応一般的に見ますと、酒類を中心に提供して飲食させておられる店ではないかというふうに思うわけでございます。  それで、そういう酒を中心に提供して飲食させる営業の方が「接待」をしたい、例えば接待行為を営業としてやりたいというような場合には、現行法でも改正法でも同じでございますけれども、例えばカフェというようなことになって風俗営業の許可を取っていただくと、こういうことになるわけでございますが、営業に接待行為が伴わないというものであれば許可は取る必要はないということでございます。  それから、大変許可申請をするときにややこしい手続があって、金も相当取られるというようなことでございますけれども、現在はそういう許可の手続につきまして各県の条例で決めておりまして、非常に厳しい複雑な書類等も要求するところもございますけれども、今回はそういうことにならないように、許可の申請に当たりましては、構造、設備については概要を書いた書類を出してもらえばよろしいということにして、この許可手続の簡素化を図っているところでございます。  それから、どのような場合に届け出で済むことになるかということでございますが、接待行為を伴わない飲食店、スナックであれば、これは何も要らないわけでございますけれども、ただスナックというのは酒類中心の営業飲食店でございますので、午前零時以降営業されるという場合には、これは現在は各県の条例では深夜においては営業することは禁止されておりますけれども、今度の改正案におきましては、午前零時以降は、届け出を出していただければ、特定の条例で禁止された場所以外では営業することができるということで、深夜において営業するときには届け出を出していただく、こういうことになるわけでございますが、午前零時以前であれば、例えば接待を伴わないで風俗営業にならない場合には届け出も要しないということになるわけでございます。
  187. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 最後に、それじゃ、これは御答弁を大臣警察庁長官にお願いしたいんですけれども、今回の改正案は、指示等の行政処分の積極的導入というふうに考えられますし、また、先ほど申し上げましたように、政令や国家公安委員会規則あるいは地方の条例というふうに任されている部分もかなり多くて、一口で言うと、警察の行政権が非常に拡大強化されているというふうに見られるわけでございますが、こういうことに対してどういうふうに考えられているか、また今後の運用についてどういうような注意事項というか、警察庁は、これはやがて各県あるいは警察職員の果てまで周知徹底させる必要があるわけでございますが、そこらについて心構えといいますか、所見をひとつ承りたいと思うんです。
  188. 三井脩

    政府委員三井脩君) 今回のこの改正法案は現行の法律を基礎としておるわけでありまして、警察官権限という点について申しますと、現行法と基本的には変わりないということでございますが、風俗関連営業等、適用される対象が量的にふえてまいる、こういうふうなこともありまして警察官が忙しくなるというようなことは確かにあるわけでございます。したがいまして、権限の強化というような誤解を招かないように、持っておる権限を厳正に、これを間違いなく適正に運用するということについては、殊にこの仕事に携わる者は第一線の警察官及び警察職員、こういうことになりますので、この点については十分指導教養を徹底してまいり、間違いなきを期してまいりたいというように考えるわけでございます。
  189. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 時間が来ましたので、これでやめます。
  190. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、次回の委員会を七月十九日午前十時に開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十四分散会