○
政府委員(
三井脩君) この風俗関連
営業を全面禁止にしないことについて、私
たちは専ら業務の実態に着目して、どういうような法的規制を加えるのが適当かということを考えた。それからまた、一方では
営業の自由という問題が憲法上の問題としてあるわけでございまして、これを具体的にどういうふうに調整をしていくかということで得た案でございまして、何か不純な動機とかそういうことは毛頭ないわけでございます。
ただいまの問題につきましても、専らその実態、風俗
営業の方は一般的な禁止を解除というように、禁止に重点があるような言い方もあると思いますけれ
ども、今や許可というのは、許可をするということ、積極的に許可をするというところに、つまり許可に伴う法的な利益といいましょうか、そういうようなものに着目をするというのが今日では一般的な考え方であろうかと思うわけでございます。そういう意味では、認可とかそういうものと余り許可とが差がないというか、近づいてきておるわけです。
それから
片一方は届け出制にしたのは、
営業の自由一般というものからこれを全部ゼロにするわけにいかない。ゼロにするわけにいかないといたしますと、しかも積極的に認めて、許可に伴うような一定の法的な地位とか、別の意味では利益とかというものを与えるにふさわしくない、こういうふうな業務の実態を見ますと、それをどういうふうに整理するかということになりますと、本当は許可と届け出の間に何かあれば、先生のおっしゃるようなとおりにぴたっとしたような法概念とか法制度というものがあればあるいはいいのかもわかりませんけれ
ども、積極的なものとしては許可だ。
それから、一般の
営業の自由ということになると、全く野放しにするといろいろな問題があるので実態を把握しようということで、それを認めるとか認めないとかということは許可のような
立場ではない、許可とは全く違う。ほうっておいて全然手をつけない、しかし実態ぐらい知りたいというところで、これを法的にとらえれば届け出。許可と届け出が全くぴったり隣同士の概念のように、こう概念を考えますと、許可の方が厳しい、届け出の方が何か甘いというようなことであるような印象もあるかもわかりませんけれ
ども、
かなり次元の違うというようなことであろう。
したがって、あと考えるのは、
名前は届け出、
名前は許可、これを対比いたしますと、その制度のもとでどういうような措置が風営法上とられるかは、こういう実態を見るということで判断をするのが一番適切なんではなかろうか。こういうふうに思うわけでありまして、風俗関連
営業いろいろありますが、端的に言いますと、さっきお話ありましたように、風俗
営業そのもの、狭義の風俗
営業とそれからこの関連
営業、こういうふうに言いますと関連
営業の方に問題が多い。それを許可
営業のようなある意味での法益といいますか、地位を与えるというにはなじまない。それでは、ほうっておくのかと、ほうっておいてもいいわけですけれ
ども、それではますますわからなくなってくる。したがって、届け出で我々は把握をいたします。で、把握したものについて、これが一番はっきりするのは刑法その他の刑罰法令に触れるような行為をする場合、これは現行法がありますように、どんどん取り締まりをしていく、こういうことになるわけです。
今度この法律を考えたのは、保
安部長がさっき言いましたように、刑法ではもう残念ながら単純売春は処罰しない。逆に言いますと、単純売春は権利というほどじゃありませんけれ
ども、取り締まりという観点から言えば聖域みたいなものなんですね。我々は、それを取り締まるのは
管理売春、売春の周旋とかそれからあっせんとか、こういう周辺の行為を取り締まる、こういうことになりますので、それがまた単純売春と違って大変難しい。しかも、さっき話がありましたように、管理をみずから求めて管理されていくというようなことは法律上なかなか管理ととらえにくい、こういうようなことがあります。
そういう風俗関連
営業を、セックス産業を全く野放しにしておくのかというと困る。したがって、刑罰法令に触れることをやれば取り締まりしますけれ
ども、それ以前の段階はほうっておくというのはいかにも問題がありますから、さっきありましたように、届け出をして実態把握に努め、それでよくないことがあれば、これは指示をしたり、一番きついのは
営業の廃止ですが、その前に停止をしたりというような処分をしていこう。処分をする前提としては、やっぱり届け出というもので把握をするということが、届け出に伴う事実上の把握という裏づけが必要でありますけれ
ども、届け出という行為があって、それで行政処分がある。届け出がないのに行政処分というのは、またなかなかこれはなじみにくいだろう。したがって、行政処分の対象でありますよというものを届け出という行為によって我々は確定をいたします。それによる行政処分をしていきます。もっとひどいことをすれば刑罰法で取り締まりますよ、売春、わいせつ、そういうので取り締まりますよと、こういうような建前でございますので、許可、届け出というのを並べると、公安条例によくあるわけでありますが、公安条例の届け出やるのと、この場合については親近感というのがちょっと違う。そんな親近感はないような
営業の実態というのをとらえようと、こういうようなところで、そういう意味では大変苦心をしているところであるわけでございます。