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国務大臣(
田川誠一君) ただいま議題となりました
風俗営業等取締法の一部を改正する
法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
現行
風俗営業等取締法は、キャバレー、料理店、ダンスホール、パチンコ屋、マージャン屋等を
都道府県公安
委員会の許可に係らしめているほか、深夜飲食店、個室付浴場業、ストリップ劇場及びモーテル営業についても一定の
事項について規制を行っております。
しかしながら、最近、同法の対象となっている営業のほかに、あからさまに性を売り物にした産業等善良の風俗及び少年の健全な育成の上から問題の多い営業が増加しており、現行法上このような営業が野放しになっていることが、風俗環境を害しているだけでなく、少年非行が
昭和五十五年以来四年連続戦後最悪の記録を更新している大きな要因の
一つとなっていると
考えられます。
この
法律案は、このような少年非行の増大と風俗環境の変化という実情にかんがみ、題名の変更及び
目的規定の新設、風俗営業に関する
規定の整備、風俗関連営業に関する
規定の整備、深夜における飲食店営業の規制等に関する
規定の整備等を行うことをその内容とするものであります。
次に、この
法律案の内容についてその概要を御説明申し上げます。
第一は、題名の変更及び
目的規定の新設であります。
これは、
法律の題名を風俗営業等の規制及び
業務の適正化等に関する
法律に改め、この
法律の
目的を「風俗営業及び風俗関連営業等に関し、善良の風俗の保持及び風俗環境の浄化並びに少年の健全な育成に障害を及ぼす行為の防止のための措置を講ずるとともに、風俗営業の
業務の適正化を促進する等の措置を講ずること」と明定したところであります。
第二は、風俗営業に関する
規定の整備であります。
その一は、許可対象の整備でありますが、これは、ゲーム機賭博や不良少年のたまり場となる等のおそれがあるところからゲームセンター等を新たに許可対象営業とするものであります。
その二は、許可手続等の整備でありますが、これは、従来
都道府県の条例に
委任されていた許可の基準を整備し、特に、新たに欠格事由として、暴力団員、覚せい剤中毒者等を加えることとするほか、許可手続の簡素化、相続の承認等の
規定の整備を行うことをその内容としております。
その三は、風俗営業者の遵守
事項及び禁止行為の整備でありますが、これは、現在条例に
委任されているため、各
都道府県によってまちまちであり、また、実情になじまない点も生じていた遵守
事項について整理し、
法律に
規定したものであります。
その四は、遊技機の認定、検定等に関する
規定の新設でありますが、これは、公安
委員会は、営業所に設置する遊技機について、著しく射幸心をそそるおそれがない旨の認定をすることができ、また、遊技機を製造し、または輸入する者は、遊技機の型式について、技術上の規格に適合しているか否かについての検定を受けることができることとする等をその内容としております。
その五は、営業所の管理者についての
規定の整備であります。
これは、風俗営業の営業所ごとに管理者を置くこととし、管理者は、風俗営業者またはその使用人等に対して、これらの者が
法令の
規定を遵守してその
業務を実施するように、助言、
指導等を行うものであります。
その六は、指示及び
行政処分に関する
規定の整備でありますが、現在、遵守
事項の違反には
法律及び条例の
規定により直接罰則が科せられておりますが、この
制度を大幅に整理し、
原則として、遵守
事項違反については、指示及び
行政処分をもって対処することといたしました。
第三は、風俗関連営業に関する
規定の整備であります。
その一は、個室付浴場業、モーテル営業のほか、いわゆるストリップ劇場、のぞき劇場、ラブホテル、アダルトショップ等に関する定義
規定を整備することであります。
その二は、風俗関連営業者は、営業所ごとに特定の
事項を
都道府県公安
委員会に届け出なければならないこととすることであります。
その三は、風俗関連営業に関する規制
事項の整備でありますが、これは、風俗関連営業については、学校、官公庁その他特定の施設の周辺または条例で定める地域においては営業を禁止することとするほか、十八歳
未満の者を営業所に立ち入らせてはならないこととする等年少者をこれらの営業から隔離することをその内容としております。
その四は、風俗関連営業に対する指示及び
行政処分の
規定の整備でありますが、これは、
都道府県公安
委員会は、風俗関連営業者が、この
法律に違反する行為等を行った場合には、必要な指示をすることができることとし、また、指示に違反した場合及び一定の犯罪を犯した場合には、八カ月以下の営業停止処分等を科することができることとするとともに、営業停止処分をした場合には、これを公示するために、当該処分に係る営業所に一定の標章を張りつけることとすることをその内容としております。
第四は、深夜における飲食店営業の規制等に関する
規定の整備であります。
その一は、深夜飲食店営業者の遵守
事項及び禁止行為についての
規定の整備でありますが、これは、従来条例に
委任されていた遵守
事項を整備するとともに、午後十時以降、常態として通常主食と認められる食事を提供する営業を除き、
原則として年少者を客として立ち入らせ、または客に接する
業務に従事させてはならないこととする等必要最小限の規制を
法律により
規定すること等をその内容としております。
その二は、バー、酒場等の酒類提供飲食店営業を深夜において営もうとする者は、特定の
事項を
都道府県公安
委員会に届け出なければならないこととすることであります。
その三は、深夜飲食店営業者等に係る指示及び
行政処分についての
規定の整備であります。
第五は、少年
指導委員及び風俗環境浄化協会に関する
規定の新設であります。
その一は、少年
指導委員に関する
規定の新設でありますが、これは、少年の補導等の活動に民間ボランティアの活力を導入し、これを促進するために設けたものであります。
その二は、風俗環境浄化協会に関する
規定の新設でありますが、これは、公安
委員会が善良の風俗の保持及び風俗環境の浄化並びに少年の健全な育成を図ることを
目的として設立された法人を風俗環境浄化協会として指定し、そこに、風俗環境に関する苦情の処理や
法律違反防止のための啓発活動、講習、
調査の委託を行うなどして、広く民間における浄化活動を促進するための
制度として
規定するものであります。
以上の措置に伴い、
警察職員の立ち入りに関する
規定の整備、聴聞の
規定の整備、手数料に関する
規定の整備、罰則の整備等所要の
規定の整備を行うこととしております。
なお、この
法律は、公布の日から六カ月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとし、施行の際に現に風俗営業者である者は、改正後の
規定による許可を受けて風俗営業を営んでいる者とみなすこととする等所要の経過措置を設けております。
以上が、この
法律案の提案理由及びその概要であります。何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願いいたします。