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1984-05-17 第101回国会 参議院 地方行政委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年五月十七日(木曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  五月十六日     辞任         補欠選任      三治 重信君     小西 博行君  五月十七日     辞任         補欠選任      上田  稔君     板垣  正君      小西 博行君     抜山 映子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長        大河原太一郎君     理  事                 岩上 二郎君                 真鍋 賢二君                 志苫  裕君     委 員                 井上  孝君                 板垣  正君                 加藤 武徳君                 上條 勝久君                 古賀雷四郎君                 出口 廣光君                 松浦  功君                 吉川 芳男君                 秋山 長造君                 小山 一平君                 佐藤 三吾君                 中野  明君                 原田  立君                 神谷信之助君                 小西 博行君                 抜山 映子君    国務大臣        自 治 大 臣  田川 誠一君    政府委員        自治大臣官房長  矢野浩一郎君        自治大臣官房審        議官       田井 順之君        自治大臣官房審        議官       津田  正君        自治大臣官房審        議官       土田 栄作君        自治省行政局公        務員部長     中島 忠能君        自治省財政局長  石原 信雄君        自治省税務婦長  関根 則之君    事務局側        常任委員会専門        員        高池 忠和君    説明員        大蔵省主計局共        済課長      坂本 導聰君        厚生省年金局年        金課長      山口 剛彦君        自治省行政局公        務員部福利課長  秋本 敏文君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○地方公共団体関係手数料に係る規定合理化に  関する法律案内閣提出衆議院送付) ○昭和四十二年度以後における地方公務員等共済  組合法年金の額の改定等に関する法律等の一  部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨十六日、三治重信君が委員辞任され、その補欠として小西博行君が選任されました。
  3. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 地方交付税法等の一部を改正する法律案及び地方公共団体関係手数料に係る規定合理化に関する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 志苫裕

    志苫裕君 衆参を通じて地方財政対策など交付税法改正に絡んで長い審議を続けてまいりましたが、それらの審議経過を振り返りながら、大臣幾つかの点で確認を求めておきたい、こう思います。  まず、今度の法律改正の目玉であります特例措置の問題ですが、大蔵大臣とも少しやりとりをしましたが、なかなか本委員会大臣初め各局長希望的観測も込めて答弁をしておるものとは若干ニュアンスが違う、随分ガードがかたい、そういう印象も受けます。いずれにしてもこの特例措置というのは、不足財源があった場合に、その不足額の一〇〇%からゼロまでの可能性を持つわけでして、大蔵の態度などから見ますと、限りなくゼロに近くなる懸念もあるということを感じております。したがって、本委員会でもしばしば御答弁はありましたが、財源対策債の増発によってこれに対応することは極力避けてもらって、限りなく一〇〇%に近い特例措置確保するということが制度趣旨であるし自治省の責任である、このように考えますが、まずはこの点の確認を求めたいと思います。
  5. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 今回新しくとられました特例措置は国の一般会計との間で行われるものでありますので、現在の国、地方の厳しい財政状況から見まして、なかなか大幅に特例措置を講ずるということは難しいと考えられますけれども、私は、今後については、ひとつできるだけ地方団体財政運営支障を来さないように所要交付税総額確保することについて全力を尽くしてまいる決意でございます。
  6. 志苫裕

    志苫裕君 次は、大蔵大臣答弁でも、あるいはまた法律で読めばそうなのか知りませんが、特例措置というのは、理論的には特例減額もあり得るとされております。それからまた、交付税法本則そのものも、国税三税の一定の割合三二%を基準にして、十条による計算で財源不足額が出た場合に、これの調整をすると特例減額もあり得る、そういうふうにあの法律は読めるんだそうで、そういうものかなと思っているんですが、ということはともかくとしまして、交付税法本則で、財源不足ができた場合にはいわば所要制度改正やそういうものをやらなきゃならぬ、そういう規定があって、なぜ附則にああいう形で陥り込むかというと財源が足りないからこれは盛り込むんですね。本則にはプラスマイナスある、こう書いてあることは事実だ。だけれども附則に今回わざわざ書いたのは、足りないことが恒常化をしておるものですから、足りないことが恒常化をしておって何とかしなきゃならぬのだが本則に基づく措置をするほどの条件がないので、附則で「特例措置を講ずる」と書いたといういきさつあるいは法改正趣旨から見ると、減額が念頭にあるわけはないんですよ、これは。だから、そういう大筋の流れや法の改正に手をつけたというその趣旨からいえば、特例減額などというものはあり得ないのに、法律を単純に読めば理論的には減額もあり得るんですというふうな法解釈をされるということについて、立法に携わる者としてはまことに納得がいかないわけです。そうであるし、また実態的にもこれだけの多くの借金抱えておって、少しでも余裕が出ればまずはそういうものから返していかなきゃならない——財政展望としてそんな状況にもあるわけでもないんですが、そういうことなどを考えてみると、言葉の遊戯みたいに特例減額もあり得るのだというようなことを一々相手にしておってもつまらぬと思うんですが、そういう状況だと我々は理解をするわけです。しかし心配なのは、国と同一の基調ということで需要算定の方が際限なく切り詰められていく、収入の方は、ことしの地方税も少し余計強気に見過ぎたと僕は思うけれども収入の方は少し強気に見るということになりますと、差し引きの不足財源額が余り出てこないわけで、そういうことでその不足類がまずは小さくなるというふうな心配もありますので、需要算定の内容をまずは充実をさしてもらいたい、かりそめにも減額ないし税率の引き下げにつながるような事態はあってもらっちゃ困る、この点についてもひとつ確認を求めておきたいわけであります。
  7. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 御承知のように、今の地方財政巨額額借り入れ残高を抱えておりまして、五十九年度地財対策におきましても、その償還を六十年度以降に繰り延べている状態でございまして、たびたび財政局長から説明がありましたように、理論的にはあるわけでございますけれども、実際的には、今のような地方財政状況から考えまして地方交付税総額法定額を下回る、減額されるようなことは到底想定することができない、このように認識をしております。
  8. 志苫裕

    志苫裕君 この点については、最後にもう一点ですが、今度の附則三条の改正を初め、これは当分の間のことだという確認大蔵大臣に求めたら、これがなかなか四の五の四の五の言って、中期的な恒久的なものだと。またやりとりやっていると、来年すぐ変えるという意味で当分というものではない、ことし限りのものではないというやりとりはありましたが、前からも私言いましたように、特例措置を講ずることができるという、そういう枠決めだけで、中身は毎年のように争奪戦が演じられる、そのときになってみないと幾らになるかわからないという不安には、これからもさらされていくわけです。実は平衡交付金から交付税に移るいきさつの間にも、毎年がちゃがちゃやってどうなるかわからないというふうなことで制度が変わっていったいきさつもあるんですが、そういう意味では、もう少し本則に従った恒久的な措置が早い機会に講じられるようにひとつ努力を願いたい。この点はいかがですか。
  9. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 私は、これまで就任して日が浅くて十分力を尽くすことができませんでしたけれども、これからひとつ地方財政運営支障を来さないように何としても頑張ってまいりたいと、このように思っております。志苫さんのおっしゃることに沿ってひとつがんばってまいりますことをここでお誓い申し上げます。
  10. 志苫裕

    志苫裕君 次に、給与適正化指導地方債許可方針運用というんですか、こういう命題をめぐって、これも随分と論議が交わされました。一々経過をなぞることはいたしませんが、この際、若干の基本的な問題と、私どもが適当でないと言っても現に許可方針については書面も出ているわけだし、皆さん実際には権限を持って執行するわけですから、その具体的な運用にかかわって二、三確認をしておきたい、お尋ねをしておきたいと思います。  私は、各自治体給与をどうしようか、あるいはどこにどういう職責者をつくってどれだけの人を置こうかとか、そういうことが実は地方自治中身なんでして、地方自治というのは抽象論じゃないんでして、そういう意味労働条件は労使の問題だと同時に自治中身をなすものだという主張をいたしまして、余り余計なことは言うなという立場でやり合ってきたんですが、したがってやっぱりこの際確認を求めたいのは、地方公務員給与というのは各団体自律機能の発揮によって決定をするということが、これがやっぱりあくまでも基本である。自治省はもちろん法に基づいて技術的な助言指導機能を持っておるわけで、それをやるなとは言いはしませんが、それをする場合には自治省には公務員部というそのためのポストもあるわけですが、それをつくるときにはそれなりの確認を国会においても行っておるわけであって、あえてそれを読み上げませんが、その確認を尊重してこれに当たるべきだと、こう考えますが、まず第一点よろしゅうございますか。
  11. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 地方公務員給与に係る諸原則を踏まえながら御趣旨の線に沿ってまいりたいと考えております。
  12. 志苫裕

    志苫裕君 原則的な事項の二点目なんですが、これはやりとりの中で大臣財政局長もしばしば答えてはおりますが、こういう給与問題に財政関与していくというのは慎重でなきゃならぬという答弁がしばしば行われておることは了といたします。したがって、財政当局指導なり助言というものはあくまでもこの財政健全性というものを確保する視点から対応するようにということを我々も述べてまいりました。そういう意味給与の問題などを見ますと、例えば給与費総額であるとか、そのことによって経常収支比率財政弾力性がどうなるかとか、こういう視点での助言指導、そういうものにやっぱり原則的には限っておくべきだという主張もしてきておるんですが、その点は原則的にはいかがですか。
  13. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 地方自治の健全な発展のため、国はできるだけ権力的な関与を避けることが望ましいのでございまして、その意味で、給与問題に対する財政関与は節度を持って行うべきものと考えております。  また、全般的な財政健全性の観点から、給与費総額経常収支比率といった指標等にも、御指摘のとおり十分留意すると同時に、現下の国、地方を通ずる極めて厳しい行財政事情のもとに、行財政改革推進国民的課題となっている状況下におきまして、給与状況が著しく適正を欠き、かつその是正のために必要な努力を行わない一部の地方団体について、健全財政確保、限られた資金適正配分、住民の後年度負担増高抑制等見地から、当該団体状況に応じ起債額を抑制することは今後の地方財政の健全な発展を図る見地からも必要な措置であると考えております。
  14. 志苫裕

    志苫裕君 それは論理的には、給与が高ければそれが将来的には財政を拘束をしていくという論理はわかりますが、そのために、そうならないように自治体もいろいろ工夫をしておるわけで、あるところでは少し月給は高いが、そのかわり少数精鋭でやってもらうとかいうことで、財政健全性には工夫もしておる自治体状況にも、そこらにも十分目を向けておくべきだと思います。  第三点は、これは私どもはしばしば言うことだし、また皆さん大蔵省に言うときにはそんなことも言っているんじゃないかと思うのですが、交付税にしましても地方債にしましても、本来、自治体が固有に使う財源なのであって、国の役所である自治省がこれを所管をするというのは、何も思いのままに使えと言っているんじゃないので、幾つかある自治体の相互の財政調整であるとか、あるいはマクロ意味での資源配分合理性であるとか、そういうものを求めるためであって、それ以外の余計な干渉の機能を預けておるわけでもないわけです。そういう点を踏まえてもらって、かりそめにも許可権乱用などという事態は、ひとつ厳に慎んでもらいたい。この点はいかがですか。
  15. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 地方債発行許可基準につきましては地方自治法上特段の規定はありませんけれども自治省といたしましては、地方債許可制度健全財政確保、限られた資金適正配分等見地から設けられていると考えられることにかんがみまして、地方債の個別の許可に当たりましては、このような見地から公平性にも配慮しつつ、個別団体給与その他、財政状況を十分に勘案し、配分することが必要であると考えております。
  16. 志苫裕

    志苫裕君 以上、私は基本的な三つの確認を求めたんですが、以下、若干これまでの審議を通じて私どもにも考えがありますので、少し述べておきたいと思うんですが、だからといって私は、各自治体給与はどうであってもいいということを主張をしておるのではない。大臣もしばしば、今もまた答弁にもありましたが、今日自治体をめぐる環境が厳しいと。それに正当性があるかどうかわからぬが、非難にもさらされておるということも確かですし、そういう状況下地方自治を定着させようあるいは分権自治を一層進めようという努力をしておる者にとっては、そういう状況であればあるだけに、やっぱり幅の広い国民的な合意を形成をして、盤石な基礎を築いていかなければならぬという認識は私も持つわけです。  自治省指導助言立場に立って、そういう地方財政ないし自治体が置かれておる状況を注視をしよう、直視をしようということで強い注意の喚起を求めることは、これは私は否定をいたしません。また、それぐらいの見識を示してもいいだろうと思います。そういう意味で、大臣なかなか飾りのない言葉で、本当はこんな個々の給与の高いとか低いとか重箱の隅っこをつっつくようなあげつらうことはしたくないんだが、しかし全体の中のごく一部にそういう指摘をされる面があると一部が全体のようにみなされてしまって、こういう時期に分権自治を進めようという障害になるというような意見も述べておられますし、そういう意味で、私もその気持ちは了とするということは申し上げておきたい。ですので、今日の自治体給与問題というのは、本質的な給与のあり方がどうだとか、給与はどういう性格であるべきだとか、財政はどうとかというものとはちょっと外れたところで、もうちょっと大きい、何か全体の外圧をこうみんなして何とかするかというふうなレベルマクロレベル論議をされている。だから私は、そういうのは政治の領域の問題なんだなという理解もしているわけです。  これは自治労の丸山委員長が臨調の委員なんかしておりまして、そこでしばしば聞かしてもらったんですが、特にああいう財界の諸君とか、えたいの知れぬ諸君のところで分権自治を説いても確かになかなか面倒だ、手っ取り早くわかりやすい退職金が高いとか、こういうふうなことで押さえ込まれるという苦衷を述べておったことも私もよく承知をしておりますが、だから、本質的なことから外れたところで自治の基盤が揺さぶられるということについては、私もいささか焦燥感を感じておるわけです。ですから、そういうちょっと次元の違う攻撃を受けておるわけであって、例えば皆さんが躍起になっているように一部の自治体給与是正したところで、今度はまた次の材料を探して、地方財政ないし地方自治が次の第二の攻撃にさらされる。言葉は悪いが、敵はあらゆるすきをねらっておるという意味では、一つ直すとまた次を探すという、そういうこともあるわけなんです。  だから、皆さんが山を見ないで木ばかり見ておったのじゃ、本当の意味での今日の自治体問題の決まりはつかぬのじゃないかというような気持ちがあります。だから、そういうときにそういう個別の給与の問題の対応だけで本当に地方分権なり地方自治推進に対応できるのかどうなのか。一城を落として次の一城をねらわれるという、そういう気持ちも私にはないわけではないという点は申し上げて、大臣はしばしば何とかここで防ごうということでありますが、見当違いな防ぎ方にならぬようにこれは注文を申し上げておきたいわけであります。  そこで、時間もあれですが、私は、基本的には給与条項等を盛り込んだ地方債許可方針に賛意は表しません。賛意表しませんが、権限のある皆さんがやると言うのだから、ぐずぐず言ったって皆さんやるでしょう。それだけに、具体的な運用について注文をといいますか、具体的に二、三伺っておきます。  まず、五十九年度地方債許可方針に新しく給与条項ということが盛り込まれたわけでありますが、従来もあった。従来も別の条項にあったわけですが、それが改めて項を起こして条項が持たれたというのは、一般的に言うと、制限条項が拡大強化されたという印象に通ずるという懸念もありますので、ここでの答弁は、改めて拡大強化されたものではないということもありましたが、念のために、改めて改大強化されたものではないということの確認、あるいはまた、地方債許可制度は本来の趣旨を持っておるわけであって、その基本がいささかも変更されたものでもないということなのかどうなのかをまず確認をしておきたい。
  17. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 結論から申し上げますと、基本には何ら変化はございません。  地方債許可方針に基づき、従来から、許可に際して地方団体財政状況判断要素一つとして給与状況を勘案することができたものでありますが、五十九年度から許可方針上いわゆる給与条項を設けた趣旨は、その取り扱いをあらかじめ明確に示すことにあるのでございます。これは、五十八年度許可に当たりまして当該団体給与状況を勘案した取り扱い基本的な考え方は同一でありまして、許可制度基本には何ら変更がないものでございます。
  18. 志苫裕

    志苫裕君 この条項が適用されることがある場合には、本委員会でもしばしば大臣から、こういうことをあえて持ち出して警鐘乱打しなければならない、注意を喚起しなければならない状況について理解してくれという趣旨いろいろ答弁がございましたが、私はその限りにおいて了承したということを先ほど申し上げましたが、その答弁趣旨にのっとって、当然に乱用もしない、報復もしない、偏見も持たないということなんですから、合理的かつ、なるほどなという物差し処理をされる、恣意や乱用、ましてや便乗とかそういうことにわたることは絶対にない、それから、また年度の途中で余計なことを言い出して自治体行財政執行にも随分不便を来すというようなことでもあってはいかぬわけでありまして、その点についてもひとつ十分な配慮を求めておきたい。
  19. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 給与問題に財政関与しますのは、一般的には慎重であるべきものと考えておりまして、地方債発行許可額抑制等を行う場合には、恣意的な取り扱いにわたるような運営を行わないことは言うまでもありませんが、各団体財政状況判断要素一つとして給与状況を勘案することの性格上、画一的な処理にはなじみにくいことについては御理解をお願いいたしたいのでございます。  なお、地方団体の計画的な財政執行については十分配慮をしてまいりたいと存じております。
  20. 志苫裕

    志苫裕君 大臣、今のお言葉にもありましたように、画一的な物差しで、どういう財政事情になろうと私はやれと言ってるんじゃないのです。自治体は三千三百の団体の集まりで、それぞれの表情や顔や実情を持っているんですから、そういう意味では一つ物差しという意味を言ってるんじゃないので、団体によって取り扱いを変えるなということを言ってるわけなんで、その点は誤解のないようにしておいてもらいたい。  第三に、この条項対象となる団体、これがなかなかわかりにくいんですが、この間の財政局長答弁、あるいはまた、佐藤委員公務員部長とでラスのやりとり等もありましたが、私の理解としては、一応枠組みとしては、五十六年給与適正化通達といいますか、による是正団体というんですか、対象団体の範囲内であるというふうに受けとめましたが、そういう理解がどうか。さらに給与その他の健全化努力をして、工夫もしておる団体もあるわけですから、そういうものについては正当に、積極的に評価をしていくように求めたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  21. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 給与条項具体的運用につきましては、現在検討をしておりますが、いずれにしても今後の給与適正化状況を見ながら、給与条項が設けられた趣旨等を踏まえて慎重に運営をしていく考えでございます。  五十九年度運用といたしましては、例えば給与に係る個別指導団体是正措置を十分に講じていない団体がこれに該当すると考えております。また、当該団体努力評価するに当たりましては、当該団体給与水準給与制度運用状況等を考慮する考えでありますが、いずれにしても、これまでに不適正な給与制度運用について効果的な是正を行った団体については評価をしてまいりたいと思っております。
  22. 志苫裕

    志苫裕君 以上、基本的な諸点、具体的な運用にかかわって三点ばかりの確認を求めましたが、実は自治省は、都道府県及び指定都市、それを直接の対象にして、その他の市町村については都道府県を通じて指導助言周知徹底を図っておることを基本にしておるんですが、今いろいろと答弁のあった点について一部不満の点もあるが、大臣の意のあるところを、これはやっぱり都道府県当局者にも周知徹底を図っていく。私どもの得ておる情報というのは、中には随分物わかりの悪い自治体当局もおる。自治体当局というよりは所管の窓口の役所のことを言うんでしょうが、あるいはこの機会だというので、まあ役人にはちょいちょいいますね、トラの威をかりてつまらぬことをするのが。そういう意味での便乗行為とかいうようなものも頻々と聞くのは非常に不愉快です。したがって、そういう便乗やそういうことがまた出ないように、これもまた十分指導助言をしてもらいたい。この点いかがですか。
  23. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 今回のいわゆる給与条項趣旨につきましては、説明会などを通じまして各都道府県にもその周知徹底を図っているところでございまして、今後ともこの条項の適切な運営がなされ、乱用に流れることのないように指導をしてまいる所存でございます。
  24. 原田立

    ○原田立君 地方財政の厳しい状況下にあることは、本委員会でも各委員からも指摘されてきたところでありますが、自治省が三月二十七日に提出した五十七年度白書でも地方借金財政がますます強まっていることを報告しております。具体的には、五十七年度の借金だけでも四兆六千八百億円、累積では四十五兆二千七百億円までふくれ上がっているわけでありますが、さらに五十八、五十九年度と借金財政は強まる一方であります。まだ五十八年は決算が出ているわけではありませんからあれですけれども、およそ計算されるところによると、やはり単年度四兆七千億円、累積約五十兆円、こういうふうにまで言われておりますが、「地方財政参考試算」を自治省では出しておりますけれども、「中期展望」からも、いつの段階で収支均衡がとれるのか、この点がまだはっきりいたしておりません。  自治省としては、いつの段階で収支均衡、財源不足からの脱却を予測できると考えておられるのか明らかにしてもらいたい。
  25. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 地方財政健全化と申しますのは、収支均衡の状況から脱却をして、そうして今後の地方債及び交付税特会借入金の償還に対応できるような健全な財政構造を確立していくということにあると思いますけれども、そうした状況が果たしていつごろ来るかということでございますが、これについては今後の我が国の経済情勢あるいは国の予算の動向等が大変流動的でございまして、今の段階で、果たしていつごろになるかというようなことはなかなか申しにくいことであるのでございまして、ひとつこの点は御理解をしていただきたいのでございます。
  26. 原田立

    ○原田立君 借金体質からの脱却とあわせて地方財政の再建について中長期的対策がまだはっきりしておりませんが、いかなるプロセスで進めていくのか、その概要だけでも明らかにしてもらいたい。というのは、今回とられた措置が、毎々私議論しているんですけれども、急激にがくっと制度改革をしているものですから、その余波で地方団体があおりを食っちゃって混乱を起こしている。そういうのじゃなくて、やっぱり漸進的に改革していくようなことがしかるべきではないか。だから、今度決めちゃったんですからこれはどうしようもないとして、それなら、それに対してどういう緩和策を講じていくかというようなこともあわせ考えてもらわないと混乱するんじゃないかと思うんですが、どうですか。
  27. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 五十九年度地方財政対策におきまして、特会借入方式を廃止して、新たに一般会計との間の特例措置方式に切りかえたわけでございますが、もちろんこのような切りかえをする背景として、地方財政を取り巻く環境に従来と比べて変化があったという事情がございます。五十八年度の場合には、御案内のように交付税総額が二兆円以上も前年対比で減ってしまった、地方税の方も前年対比で減ったと、こういう状況のもとでありましたので、一兆八千億円を超える交付税特会の借り入れをしなければどうにもならなかったわけでありますが、五十九年度の場合には、前年対比で見ますというと状況がかなり改善された。もちろん基本的には財政収支は不均衡である、財源不足は一兆五千百億もあるわけでありますけれども、その状態からしますと、前年度の三兆三千億円から比べると状況はかなり変わった、こういうことを背景に、この機会交付税特会の借り入れをやめる、借り入れからの脱却を図ったわけでございます。したがって、各地方団体財政運営にこの交付税特会の借り入れによるショックがストレートに及ぶようなことのないような配慮はしたつもりでございます。  そこで、これから新しい方式をベースにいたしまして地方財政の再建を図っていくわけでありますが、どのようなプロセスで、どのような手段でこれを進めていくかというお尋ねであろうかと思います。やはり今の国、地方を通ずる財政状況の中で、かつ政府は現在増税をしないで財政再建を達成する、こういう基本方針を掲げておりますので、当面は歳出の抑制に全力を傾けていかざるを得ないと思います。しかし中長期的には、やはり国、地方を通じまして国と地方との間の事務の再配分、これに関連する財源の再配分、税源の再配分あるいは補助金制度の見直し、こういったことが必要である。そういう事務配分並びに財源配分の見直しを通じて基本的な地方財政の立て直しを図っていかなければならない、このように考えております。
  28. 原田立

    ○原田立君 地方財政が今日のような借金体質に落ち込んだ理由は、申すまでもなく長期にわたる景気の停滞による税収の伸び悩みなどが最大の要因とされておりますが、経企庁長官は、景気の回復は少しずつあらわれつつあるが、まだまだこれは本格的な回復はこれからだというふうなことを言っておりますし、また思い切った景気浮揚策を打ち出す絶好のチャンスだ、そのためには公共事業の前倒しだけでは不十分で、大幅な所得税減税、投資減税などの思い切った景気対策が必要だと、こういうふうな意見を表明しております。やっぱり税収の増加を図っていくには景気の浮揚を図らなければいけない。本当にそうだと思うんでありますけれども、経企庁長官はそう言っておられる。この前、竹下大蔵大臣は、それはそれなりの考えであると、こういうふうなことだけ言って答弁逃げちゃったけれども自治大臣も閣僚の一員として景気浮揚に対するお考えがあると思うんで、御所見をお伺いしておきます。
  29. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 日本の経済は、各種の指標を見ましても、全体として景気が緩やかながらも回復をしているようでございますが、しかし地域的に見ますと景気が停滞をしているところもございます。景気の回復には跛行性が見られるということは原田さんも御承知だと思います。したがって、このようなために地域経済の動向に応じたきめ細かい対策をとる必要があるのではないか、こういうふうに考えております。  現在、景気の回復基調をより一層確実にしていくためには、上半期における公共事業の執行を嫌気の動向に応じて機動的、弾力的に推進するなどの処置を講じておりますけれども、これからも地域の経済情勢の推移を見守りながら適切に処置をしてまいりたい、このように考えております。  全体的に、積極経済をやっていくか緊縮政策をとってやっていくかというような、大変大きな高度の立場から日本経済をどうやって引っ張っていくかということにつきましては、私もまだよく判断つきませんけれども、やはり拡大していくことにも限度がある、そういうことで、なかなかこれは難しい問題でございまして、今申し上げたようなことがここで私から申し上げられる限界であるということを御理解していただきたいと思います。
  30. 原田立

    ○原田立君 今回の改正に伴い、財源不足対策として建設地方債が八〇%、残り二〇%を特例措置で補てんすることにしておりますが、建設地方債といえども借金でありますし、このような特例措置で急場をしのいだ理由がどうもはっきりしない。一方では地方債を、借金体質をなくすと育っておりながら、片一方では建設地方債をこのように高い率で出そうとしている。これはまた一説によると、財政局長地方の要請でこういうふうにしたんだというふうなことを何か答弁で聞いたような気がしますけれども、本当にそうだったのかどうか明らかにしてもらいたいと思うし、また六十年度については本年度と同様な対応でいくのか、それについてもあわせお伺いしたい。
  31. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 五十九年度地方財政対策を決めるに当たりまして、先生御指摘のように、財源不足額に対して八割近い側を建設地方債の増発で補てんしたわけでありますが、これにつきましては、私どもは相なるべくんば、この地方債による分をなるべく下げたい、交付税特例措置分をなるべく大きくしたいという基本考え方で折衝を行いました。で、建設地方債を活用することにつきまして地方の要請があったからという答弁は、私はしたつもりはございません。ただ、この点は全体として、地方財政令体の立場からは、当然地方団体とも、地方債への依存は引き下げるべきだ、その方が望ましいと、こういう考え方では私どもと意見は違いません。しかし、地方団体の中でもいわゆる事業部門、例えば農林関係ですとか建設関係とか、こういう事業部門を担当する人たちは、建設地方債の方が自分の事業の予算化がしやすいというお考えを持っておりまして、率直な話、いわゆる財源対策債を引き下げようということについては、まだ引き下げないでほしいという要望が私どもの方に来ております。その事業部門ごとの団体がそういう要望を持ってきておりますが、その都度私どもは、自治省が建設地方債に依存しているのは、残念ながらそうしているのであって、好ましいとは思ってないという逆のお話をしているような事情でございます。したがいまして、この六十年度以降の地方財政対策のあり方にしましても、私ども基本的にはこの建設地方債への依存は少しでも下げていきたいという気持ちでおります。ただ、これまでも御答弁申し上げましたように、今の因、地方を通ずる財政環境のもとで建設地方債の活用を一切やめてしまう、財源不足をすべて交付税特例措置で補てんするということは現実問題としてなかなか難しい。ですから、ある程度建設地方債の活用は考えていかざるを得ない。しかし、その場合においても建設地方債の活用の範囲はなるべく抑えていきたい、地方債への依存をなるべく下げていきたいと、このように考えております。
  32. 原田立

    ○原田立君 私は、余り建設地方債ない方がいいんじゃないかというふうなことも言いましたけれども、また逆の反面で、大いに活用することも地方財政の面からいけば必要なんじゃないかという意見も実は持っているわけです。だから、ぎゅっと押さえ込んじゃうということはよくないけれども、余り緩やかにするのもよくない。やっぱり適切なリードというのは必要だろうという意味のことを、私の思っていることを申し添えておきます。  今回の改正に伴う措置は、地方交付税法第六条の三の二項の制度改正であるということを大蔵省の主計局次長は明言しておりました。自治省も、大体そういうようなことだというような意味のことを余りはっきり言っておられなかったけれども、大体大蔵省と同じような考え方ですか。
  33. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 今回御提案申し上げております改正交付税法第六条の三、第二項の規定による制度改正として位置づけているという点については、私ども大蔵省も全く同じ考えでございます。
  34. 原田立

    ○原田立君 自治大蔵両省間の覚書では、地方財政健全化に資するため特別会計からの借入金措置は原則として行わない、それから、当分の間、交付税交付金の特例措置を講ずる、こういうふうなことを言っておるわけでありますけれども制度改正ということになれば、原則として特会の借金をしない、当分の間の特例措置とする、これならば、各自治体から見れば大変な大きな変更になっているわけでありますが、中身は「原則として」、「当分の間」というふうな、状況によっていつでも変化するようなぐあいに受け取れるんでありますが、その点は一体どうなのか。一時しのぎの便法、硬策ではないかというふうな感じがするんですけれども、どうですか。
  35. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) これまでもしばしば御答弁申し上げましたように、私どもの希望といいましょうか、望ましい姿としては、やはり本則改正によって、地方財源の不足が生じないような姿にでき得べくんばそうしたいという気持ちは常に持っているわけでありますけれども、残念ながら、今の財政状況のもとではそういう本則による恒久的な改正ができない。そこで、やむなく附則によりまして、当面の地方財政運営支障なきよう必要な制度改正をお願いしているわけでございます。  なお、今回御提案申し上げております一般会計交付税会計との間の特例措置、これによって交付税の安定的確保を図る、この方式につきましては、五十九年度の現時点の財政環境、こういったような状況が続く限りはこの方式でいきたいと、こういう意味でございまして、「原則として」というのは、要するにこういうような状態のもとでは、かつてのような交付税特会の借り入れというようなことはしない、この方式でいくんだということを自治大蔵大臣の間で確認していただいたものでございます。  それから「当分の間」というのは、やはりただいま答弁申し上げましたように、本来、本則で恒久的な制度改正ができないために、当面の今の状態に、今の財政環境のもとで地方財政運営支障なきよう必要な措置附則規定する、これはあくまで本則でなくして附則でございますので、これで将来ともずっとやるというのじゃなくて、まさに当分の間この方式で逆用をしていきたい、こういう趣旨でございます。
  36. 原田立

    ○原田立君 五十年度以来毎年度財源不足対策として交付税特別会計の借り入れをしてきたのでありますが、その結果、五十八年度までに十一兆五千二百十八億七千八百万円にふくれ上がった。その利子ですけれども、一体どのぐらいなのか。また、その二分の一の五兆六千九百億円は地方負担となっているわけでありますが、これに伴う利子は四千億というふうに聞いておりますけれども、そうなのかどうか。また、これは恒久的に地方負担となるのでありまして、その利子分は毎年度交付税交付金から差し引かれるため、三二%の交付税交付金がいつもその分だけダウンするということになるわけでありますけれども、実際五十九年度の場合、三一・三%にまで落ち込んでいるわけでありますが、これでは地方財政健全化に逆行するばかりでなく、本法に反することになる、こんなふうに思うのでありますけれども、むしろ局長は、率の変更ができないので制度の改革だけやったんだと言うんだけれども、それをばあんと頭から言うのじゃなくて、率の三二%を三三とか三四とかということにもできなかったのかどうか、そこら辺まであわせて御答弁願いたい。
  37. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) まず利子の金額でございますが、現在の利率で計算いたしますと、地方交付税会計の負担として残りました五兆六千九百億円の借入金に対して、平年度で四千億程度の金額になります。ただ、五十九年度につきましては、一般会計からのいわゆる先行繰り入れ、国税の三税の収入が入るペースよりも少し早目に一般会計の負担で資金交付税会計に入れていただくという操作をすることによって、本来四千億程度かかる利子を五十九年度については三千六百億円程度にとどめる、こういう扱いをいたしております。六十年度以降は、この元本が残る限りはそのときどきの利率でもって利子が決まってくるわけでありますけれども、今の利率を前提にしますと、やはり四千億程度が予想されます。そこで、この利子を本来の国税三税の三二%相当額の法定額から差し引くということにいたしているわけでありますけれども、その結果として五十九年度の場合も、現実に地方公共団体に配分される交付税の額が三二%を下回るという事態になっておることは御承知のとおりであります。このようなことにつきましては、私どもも予算折衝の過程では何とか回避したいということで論議をしたわけですが、国の大変な財政状況のもとで、結局これまで交付税をいわば先に使わしていただいた、交付税の本来の額に、交付税特会が借金をして、いわゆる先に、これを使った、その利子負担として地方交付税特会の負担分に見合う利子についてはやむを得ぬということで決着せざるを得なかったわけであります。  そこで、このような論議の背景になりましたのは、五十年度以降における交付税会計の借入金の累増ということがあったからであります。そして、これまでの各年度におきましても私どもは、でき得べくんば交付税特会の借り入れということではなくて、交付税率の引き上げなど、将来の地方財政に負担の残らない形での交付税確保について要求もし、努力もしたわけであります。五十一年度から以降は、毎年度具体の数字をもって要求したこともありますし、数字は示さないで要求したこともありますけれども、これまで毎年度交付税率の引き上げ要求を行ってまいりました。しかし、しばしば御答弁申し上げておりますように、交付税率の引き上げということは引き上げた分だけ国の財源が減るわけで、地方がふえた分だけ減るわけでありますから、国の方がとてもそれに耐えられない。そうした場合には国の一般会計予算の編成が不可能になると、こういうような深刻な事態が続いておりまして、結果的にこの交付税率の引き上げが実現できなかったわけであります。私どもも、その点については大変残念に思っております。しかし、いずれにしてもその交付税率の引き上げにかわる措置として特会の借り入れが行われた。ですから私どもは、これまではその借り入れに伴う利子は当然国が負担してしかるべきだという主張をしてまいったわけですが、五十八年度からは、大変な国の財政危機のもとで結局、借り入れ元本の負担割合に応じて利子の方も負担せざるを得なくなったということで、今回もそういう内容の改正案を御提案申し上げておるわけであります。したがいまして、かくなる上は、この利子負担を前提にして、その利子を負担した後の交付税によって地方財政運営支障が生ずるような事態になれば、まさに今回御提案申し上げております特例措置によって必要な交付税総額確保するための措置を講ずると、こういうことで、そういう今回御提案申し上げております方式に従って必要な額を確保していく、この面での努力を傾けてまいりたいと考えております。
  38. 神谷信之助

    神谷信之助君 まず行革審と地方財政対策の問題でお伺いをいたします。  この十四日に、行革審に行財政改革委員会と、それから機関委任事務小委員会を改組して地方行革推進委員会ができたという報道がありました。そして、この二つの小委員会の報告を六月末に受けて七月中旬には行革審の意見書を出す予定だというように言われております。また別の報道によりますと、それは増税なき財政再建の実現の道筋を改めて示す緊急提言として出されようとしているようであります。  いずれにしても、最近の行革審なり行管庁の動きを見ておりますと、地方財政への切り込みがねらわれている、これは目玉になっているように思うわけであります。特に臨調は五十七年七月の基本答申の中で、標準行政とか留保財源の見直しとか年度調整制度の導入とか、いろんなことを指摘をしておりますが、今でもこの行革審内部では交付税の削減の意見というものが根強く残っているようであります。  そこで、こうした動き、自治省としてどういうように把握をし、対処しようとしているか。特に留保財源問題ですね、これについてはどういうようにお考えか、この点をまずお聞きしたいと思います。
  39. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 行政改革審議会におきまして、ごく最近、六十年度の予算編成に向けて、具体的に地方行政改革とそれから増税なき財政再建の二つのテーマについて緊急に提言をしてほしいという政府側の要請を受けて二つの小委員会が発足したようでございます。その中で地方行革の方を扱う部会は、これまで機関委任事務の整理について論議しておりました小委員会が当面その窓口を広げまして、地方行革全般について論議するというふうに衣がえをしたようでありまして、そのメンバーは全く同じようでございますが、それとは別に、増税なき財政再建の具体的方策について提言をまとめるための審議会の中の小委員会というんでしょうか、部会というんでしょうか、これがスタートしたようでございます。こちらの方では、六十年度予算編成に向けての歳入歳出全般について、増税なき財政再建を達成するためにどうしたらいいかについての論議をするようでございます。当然この論議の内容ということは我々地方財政にもかかわり合いが大きく出てくると思いますから、私ども自治省の推薦する委員にも入っていただいておりますし、事務局の方でも緊密な連携をとりながら、この審議の行方には十分注意を払っていきたいと思っております。  そこで、第二臨調がこれまで地方行政の改革、特に地方財政の改革に関連して幾つかの提言がなされております。その中で、地方交付税の計算の前提になります基準財政収入額の算入率、いわゆる留保財源率についてこれを引き下げるようにという提言があります。これについて自治省としては、基本的に現段階で留保財源率を引き下げることは考えておりません。この問題は、これまでも交付税法審議の際に御答弁申し上げましたように、基準税率をどのように定めるかということは基準財政需要額の算定内容といわば裏腹の問題でありまして、すぐれて交付税配分の技術的な問題であろうと思うんであります。ところが、往々にしてこの問題が交付税総額の問題と関連づけて論じられる面があります。これは大変いわば邪道なんでありまして、私どもはそういう見地からの論議はすべきでないと思っております。  いずれにしても、今の交付税基準財政需要額の算定内容との関連においてこの基準税率を引き上げる、別の言葉で言いますと、留保財源率を引き下げるということは当面考えておりません。
  40. 神谷信之助

    神谷信之助君 これは重大問題になってきますから、今局長おっしゃったように十分留意をして、実際の実情がわかるようにしないとなかなか理解してもらえない問題ですから、お願いしておきたいと思いますが、今度の審議を通じて憂慮される問題の一つは、私は、これからは意識的に地方財政の規模そのものも抑え込まれていくんじゃないかという問題なんです。  それで、この審議を通じて明らかになってきたんですが、財源不足が生じた場合に、これからは、国の方からは三二%はもう出してしまったんだから、あとは既往の臨時しかない。だから、自治体側といいますか、自治省サイドでどう金をつくるかということを考えなければならぬ。しかし、それのつくり方としては、五十九年度の方式でいけば建設地方債を活用した財源対策債と、それから特例加算分という、こういう方式でやっていくわけですね。しかし、公債費率がどんどんふえて危険ラインの一五%を超えている団体がもう四五%近くになっているという状況ですから、局長も言うように、これはできるだけ抑え込みたい、片一方の特例加算は、これはいわば交付税の先食いですから、これはもう将来交付税総額から引かれていくということになっていきますと、その税率そのものを実質上切り下げということになってきますから、これもそう簡単にいかない。そうすると、財源不足額そのものを小さくする以外にないということになれば、歳出規模を圧縮する以外にないということにならざるを得ぬと思うんだけれども、この辺、財政局長はどういうふうに見ていますか。
  41. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) これまでもたびたび御答弁申し上げておりますように、政府の基本的な方針が増税をしないで今の財政状態から脱却したい、財政収支の均衡を回復しなければならないと、こういう基本方針をとっております。したがいまして、経済情勢がよくなって税の自然増収が大幅に伸びてくれれば、これは一番ありがたいわけですけれども、そうでない限りは増税はしないという方針でありますから、勢い歳出の見直し、歳出の抑制という方に努力の重点が移らざるを得ないと思います。そういった意味で、地方財源不足額を圧縮する目的で歳出を抑えるというのではなくて、今の国の大方針として、増税をしないで財政健全性を回復すると、そういう大方針のもとに国、地方を通じて歳出を極力見直していく、抑制していくと、こういう方針がとられる以上は、地方歳出につきましても、やはりある程度歳出抑制努力というのはこれからもせざるを得ないと思います。  ただし、私どもはその際においても、法令の規定その他によりまして地方公共団体が住民に対して負っておる責務というものがありますこの責務を遂行するに足る必要な財源、必要な財政需要、これは何としても確保していかなければならない、そういう基本考え方でこれから取り組んでいきたいと思っております。
  42. 神谷信之助

    神谷信之助君 行財政改革という看板で、次々と今までの財政制度あるいは行政制度そのものに根本的な見直しをやって、国民が積み上げてきたいろんな諸制度も崩されてきているという、そういう臨調路線の遂行を通じて、地方自治に対しても同じような状況が私は起こってきていると思う。このあらわれの一つは、この間、国保税の問題でも少し具体的に提起をしたわけでありますけれども、この上に留保財源までずっと切り込まれてくるというような状況になってきますと、ますます地方自治というものが形骸化されてくるというように思うんです。  そこで、これは大臣にお聞きしたいんですけれども、従来こうやってだんだん攻撃されてきているんですが、その前にいつも、来年は負けぬと頑張ってほしいと言うと、歴代の自治大臣は、断固として頑張りますと言ってこられたんだけれども、六十年度地財対策というのはそういう意味ではさらに一層厳しい。これは大臣いつもおっしゃっているように厳しい状況の中で、例えばこの地方自治の理念を堅持をするというものをしっかり持ってないと、財政上の現実からそれが踏みにじられるという結果になりかねない。この点についてのひとつ見解を聞いておきたいと思います。
  43. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 地方財政の現状は今後も相当厳しい状態が予想されることはもう御承知のとおりでございまして、そうした状況の中で国民の要請にこたえていくには、今いろいろ言われれている行政改革を徹底して、機構の縮小もある程度やらなければならぬ、歳出の規模もなるべく少なくしてやっていく努力をしなければなりません。しかし一方、地域の社会構造がだんだん変わってきておりまして、国民の皆さんの行政需要は質的に、内容的に変わっておりまして、そういう意味から地方団体の果たす役割というものは大変重要なものがあると思うんです。  そういうことを考えますと、これから地方団体がこの新しい社会構造の変わり方に伴って果たしていかなければならない地方団体の役割に即応するような、やはり財政措置というものを考えていかなければならない。そういう意味から、地方団体の果たす役割の上に必要な財源措置というものはどうしてもこれは確保していく、こういう決意のもとにこれからもやってまいるつもりでございます。     —————————————
  44. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 委員異動について御報告いたします。  本日、上田稔君が委員辞任され、その補欠として板垣正君が選任されました。     —————————————
  45. 神谷信之助

    神谷信之助君 最後になりますが、これも大臣にお伺いいたしますが、この間の参考人の意見を聞いておりましたら、依存体質、甘えの構造といいますか、それの克服の問題が大分意見が出てきました。しかし、私はそのこと自身は大事だと思いますが、それが生まれてくる原因は、今の地方税財政ですね、その制度の仕組みの中に原因があるんじゃないかと思います。例えば国民が負担する税金の七割は国へ行って自治体は三割ですね。しかし、仕事をするのは自治体の方が七割やって国が三割とこうなっている。これは当委員会でも財政当局確認をされているけれども、そういうことになっている。だから、どうしても国が一たん吸い上げた税金の中から自治体がお金をもらって、そして七割の仕事をせんならぬと、こうなりますから、自分が自分で考えてやっていくという、そういう税財政の仕組みになっていないというところに根本の問題がある。だから、ここのところを私は、本当の意味の行政改革をやるとするならば、メスを入れなければ、地方自治もなければ、自主自律の自治体行政というものを進めるということも極めて困難になる。そういう中でも、それの地域自治体の特異性、特殊性、その条件に応じて行政の中に生かしていこうという努力を今やられているんだけれども、結局何かやろうとすると、やはり国からお金を助けてもらわなければなかなかできないという、そういう仕組みがあるということを、これを何とか変えないと本当に地方自治は変わらぬように私は思うんだけれども、この点の大臣の見解を聞いておきたいと思います。
  46. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) おっしゃるように、財政の仕組みからくる依存体質というものも、もちろん今おっしゃるようにあると思います。しかし一部には、惰性的な意味で依存心というものも全然ないとは言えないと思います。しかし、そういう制度全般については、これからも関係委員会を通じまして、ひとつ根本的に検討をしていかなければならない重要な問題である、このように考えております。
  47. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより地方交付税法等の一部を改正する法律案の討論に入ります。  本案に対し、御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  49. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 私は、ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案に対し、日本社会党を代表し、反対の討論を行うものであります。  対GNPに占める地方財政の比重は、最近では、昭和五十六年度の一九・三%をピークに漸減し、昭和五十九年度見込みにおいては、一六・三%と、昭和五十三年度に次いで低いものとなっております。医療、教育、環境保全、福祉はもとより、地域経済振興においても、地方財政の役割が増大しているにもかかわらず、これとは全く逆に比重は低下しているのであります。  その原因は、政府の行政改革によって、地方財政規模が、特にここ一、二年、強く圧縮されたことに加え、本来国が負うべき財政責任を地方に転嫁しているからにほかなりません。この際政府は、このような政策が地方財政のみならず国民経済的にも重大な禍根を残すものであることを強く肝に銘ずべきであります。  以下、主たる反対理由を申し上げます。  第一は、本年度地方財政対策の柱である特別会計における借り入れ政策の取りやめと特例措置の問題であります。昭和五十年度以降続けられてきた交付税特別会計における借り入れをやめることは、確かに国、地方の責任区分を明らかにする意味を持つことではありますが、しかし最も大切な借金政策をやめるための条件、すなわち地方交付税法第六条の三第二項に言う措置が全く顧みられなかったことは、地方財政の存立基盤をますます危うくする結果となっているのであります。  第二は、特例措置の内容と既往の借入金負担の問題であります。政府は、特例措置を盛んに制度改正と強調しておりますが、その実態たるや、既往の利差臨特、地域臨時、財対臨時を単に置きかえたものにすぎません。従来、国が交付することを約束していたこれらの臨時特例交付金を衣がえしただけの、むしろ著しく後退した措置をもって制度改正などと独調することは、地方財政を甚だしく軽視するものと言わざるを得ません。  第三は、交付税特別会計における既往の借入金の折半問題であります。十一兆五千二百億円について、国五兆八千三百億円、地方五兆六千九百億円と、それぞれ折半することとしておりますが、これら借入金は、昭和五十年度以降の地方財政対策において、本来国が措置すべきものであったことは言うまでもありません。にもかかわらず、今回、地方財政自立の美名のもとにこれを折半し、三千六百三十八億円の利子負担を地方に押しつけることは断じて容認し得るものではありません。まして地方交付税率が表面的には三二%に維持されているとはいえ、こうした措置によって実質〇・七%切り下げられた結果を生んでいることを見れば、本年度特例措置は、いかに特例措置に値しないものであるかを明らかにしておるのであります。  第四は、財源不足の補てん方法と健全化の問題であります。一兆五千百億円の不足額について、その根拠がたいままに一兆二千五十一億円の財源対策債で約八〇%を補てんしたことは、従来の措置を全く無視したやり方であります。周知のように、これまではおおむね五対五程度であり、これが一気に二対八と後退したことは、健全化のために交付税特別会計における借り入れをやめたと言いながら、実際には、地方財政健全化を大きく阻害するものと言わなければなりません。  本年度地方財政対策の発想が、表向きにはこれ以上の借金を行わないことを建前としながらも、その実態は結局、大蔵省が国の一般歳出を対前年比マイナスにしようとすることに力点を置き、そのためのテクニックとしてとられた措置を受け入れたにすぎないのであります。既に明らかでありますように、そこには地方財政の自立、自助の基盤を整備しようとする視点は全くありません。ただあるのは、国の都合から、地方は自前で借金しろという負担の押しつけだけであります。このような対策が地方分権を標榜する旧川自治大臣のもとで行われたことは極めて残念なことであります。三千三百を超える自治体にとって、このような対策を押しつけられたことに加え、五十八年度に続いてさらに地方債において給与条項を盾に財政運営に対する自治省の侵害が強化されようとしていることは、地方自治にますます暗雲を投げかけるものであり、私は強く批判せざるを得ません。  この際、政府は地方自治の原点を直視し、その発展を図るべきであることを強く主張して私の討論を終わります。
  50. 真鍋賢二

    ○真鍋賢二君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表し、地方交付税法等の一部を改正する法律案に賛成の意を表するものであります。  本法律案は、交付税特別会計における新たな借り入れ措置にかえて、交付税総額について特例措置を講ずること、昭和五十九年度特例措置として交付税を増額すること、過去の借入金の償還について国、地方の負担の明確化等の措置を講ずること、単位費用について所要改正を行うことなどを主な内容とするものであります。  現在行われている特別会計の借り入れ措置は、オイルショック後の国、地方を通じる厳しい財政状況のもとで、昭和五十年代の交付税財源不足額を補てんし、他の方策とあわせて地域社会の行政水準の向上に極めて有効な役割を果たしてきたことは周知のところであります。  しかしながら、この制度は国との共同責任としながらも、地方においても多額の償還額を負担するものであり、したがって今後も長期に継続することは、地方財政の将来を考えるとき困難なものがあります。既に借り入れ限度額は十一兆円を超え、限界にあるのであります。  政府案はこれらの事情を踏まえ、特別会計における新たな借り入れ措置にかえて所要特例措置を講ずることを原則規定として掲げ、さらに昭和五十九年度においては千七百六十億円の交付税の増額を図っているのであります。  現在、国の財政は、鋭意財政再建に努力しているところでありまして、現時点では、国と地方との財政の仕組みから考えて、地方のみ財政の抜本的、恒久的な改革を先行するというわけにはまいりません。  地方税財源の強化など、地方財政基盤の安定確保を図るための措置は、経済政策の展開、行政の簡素効率化の徹底、世論の動向などを見ながら、いずれ課題となる問題でありますが、当面は暫定的な制度改正によらざるを得ず、このような観点からしますと、政府案は妥当なものと考えざるを得ません。  以上が本法律案に賛成の理由であります。  なお、政府案においては、毎年度特例措置法律により対処されるものとなっていますが、関係当局の今後の努力を切に期待し、私の賛成討論を終わります。
  51. 原田立

    ○原田立君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となっている地方交付税法等の一部を改正する法律案に対して反対の討論を行います。  第一点として、地方交付税特別会計借入金を元利とも二分の一を地方自治体に負担を強要することであります。  地方財政は、昭和五十年度以来、毎年多額な財源不足の発生に伴い、その不足分を地方交付税特別会計からの借入金で急場をしのいでまいりました。その結果、五十八年度末現在、借入金残高は十一兆五千二百十八億円に達しております。当初の約束では、元金については国、地方でおおむね半分、利子については全額国で負担することになっていたはずであります。ところが、五十八年度になって国の財政難を理由に、五十八年度に限り利子も半分地方負担との約束にもかかわらず、五十九年度からは一方的に借入金については元利とも二分の一を地方負担で補うことで押し切ってしまいました。このような措置は、国の財政失策を地方に転嫁したものであり、責任逃れ以外の何物でもありません。簡単に見過ごすことのできない重大問題であります。  第二点として、地方交付税交付金の率の割り込みについてであります。  特別会計からの借入金の利子二分の一地方負担により、五十九年度は三千六百三十八億円が交付金から減額され、実質的な交付率は三二%を割り込んだ三一・三%になっております。しかも、六十年度以降は毎年度四千億円が固定的に差し引かれた交付率になるからであります。地方交付税法第六条第一項では「所得税、法人税及び酒税の収入独のそれぞれ百分の三十二をもって交付税とする。」と明文化されておるにもかかわらず、三二%を割り込んでの交付税は明らかに本法の基本に反するものであり断じて容認できません。  第三点として、財源不足対策に伴う特例措置中身についてであります。  五十九年度財源不足額一兆五千百億円に対して、その八〇%の一兆二千五十一億円は建設地方債、残りの二〇%、三千四十九億円は地方交付税の増額で補てんするとしておりますが、千二百八十九億円は交付税特別会計の償還を後年度に先送りしたにすぎません。また、特例措置といっている一千七百六十億円のうち三百億円は六十六、六十七年度の二カ年で返済するものであり、特例措置とはいえ中身のないものであり、地方財政健全化に資するとの政府の看板に逆行するものであるばかりでなく、単なる借金の後年度送りではありませんか。この点は納得しがたい点であります。  第四点として、制度改正についてであります。  地方交付税法第六条第一項には「百分の三十二をもって交付税とする。」と、また第六条の三第二項では「毎年度分として交付すべき普通交付税総額が引き続き」また「著しく異なることとなった場合においては、地方財政若しくは地方行政に係る制度改正又は第六条第一項に定める率の変更を行うものとする。」とあります。自治大蔵両省とも今回の改正は第六条の三第二項の「制度改正」であると明言しております。もし制度改正であるとするならば、緊急避難的な特例措置処理するのではなく、法律の本文において処理すべきであります。特例措置では、その年度財政事情で変更することになるではありませんか。そのいい例が今回の特別会計からの借入金に伴う利子負担でも明らかであります。  第五点として、国の負担すべきものまで地方に転嫁を強めていることであります。  具体的には、児童扶養手当給付金の二〇%地方負担、医療制度改革に対する国庫補助率の引き下げなど、地方財政のしわ寄せがますます強くなるばかりであります。その最たるものがさきに指摘した特別会計からの借入金に係る利子負担を地方に強要していることでも明らかであります。  以上、私は五点について指摘しまして、その反対の態度を強く表明し、私の討論を終わります。
  52. 神谷信之助

    神谷信之助君 私は、日本共産党を代表して、地方交付税法等の一部を改正する法律案に対する反対の討論を行うものであります。  反対理由の第一は、財源不足の補てん対策として行われてきた従来の交付税特別会計の借り入れをやめ、それにかえて、いわゆる特例措置を導入するとしていることであります。  この特例措置とは、基本的には法定税率の三二%以上に国は一円も上積みするものではないことがこの委員会審議でも明らかになりました。このことは五十九年度地方財政対策で、一兆五千百億円の財源不足に対し、その大半を占める一兆二千五十一億円を地方自治体の借金である財源対策債で賄い、国は利差臨特など、既往の取り決めにより自動的に負担せざるを得ない臨時特例交付金を除けば、特例措置としてわずか三百億円しか加算せず、それも六十六、六十七年度交付税の先取りにすぎず、将来、精算させられるものであることを見ても明らかではありませんか。ちなみに五十八年度について見れば、三兆三千億円の財源不足に対し、国は借入金とはいえ、一兆八千九百億円の額を三二%に上積みしており、その二分の一、約一兆円は国の責任で穴埋めをしたのであります。今回の措置は、まさに国の財源保障の責任を放棄する以外の何物でもないのであります。  我が党は、従来の財源不足の約半分は交付税特会の借り入れで補い、この借入金の二分の一とその利子だけは全額国が負担するという、いわゆる二分の一ルールについては国の財源保障を規定した地方交付税法第六条の三第二項の制度改正または税率の変更を回避する糊塗策にほかならないとして厳しく批判してきました。ところが、今回の特例措置と称するものは、この不十分な国の責任すら投げ捨て、その上、加算だけでなく減額もあり得るとして年度調整をも制度化するなど、従来の曲がりなりにも国の責任を前提としてきた地財対策を根本的に転換、後退させるものであることを指摘せざるを得ないのであります。  自治省は、この措置をもって交付税法第六条の三第二項で言う「制度改正」に当たると言い張っていますが、その内実は、毎年度法律改正によるとする、全く制度改正とは言いがたい不明確なものにすぎないのであります。このことは、交付税制度の持っ財源保障と調整機能の喪失を示すものにほかならないのであります。  反対理由の第二は、既存の交付税特別会計借り入れ分の国、地方負担別の会計区分と利子の二分の一地方負担の制度化の問題であります。  元来、この借入金は、国がみずからの財源保障の責任の一端として行ったものであり、何ら地方が負担するいわれのないものであります。自治省自身、交付税は全額地方へ配分すべき財源であり、利子に充てるような財源はないとしてきたことでも明らかであります。五十八年度限りとしてきたこの措置制度化は、全くの国から地方への負担の転嫁にほかならないのみか、交付税率の実質的な切り下げであり、明らかに交付税法六条の三、二項に違反をする措置と言わねばなりません。  第三に、こうした地方財政対策に対する国の責任の放棄の結果は、国の恣意的な財政需要の抑制、すなわち歳出の抑制と公債費比率の増大をもたらし、住民要求にこたえる自治体行政の遂行を一層困難にすることであります。  それは、標準行政と称する低水準行政の押しつけ、選択と負担、国民の自立自助に籍口した臨調行政改革路線の具体化であり、実質的な地方自治のじゅうりんを招くものにほかなりません。このような路線は、地方財政の再建を保障するものでないことは極めて明らかであります。  真に地方自治を保障する道は、地方交付税率の引き上げ、国と地方機能分担に応じた税財源の再配分と大企業優遇税制の是正地方独自の上乗せ福祉や地方公務員給与に対する国の不当な干渉のとりやめにほかならないことを指摘して、私の反対討論を終わります。
  53. 小西博行

    小西博行君  私は、民社党・国民連合を代表し、ただいま議題となっております地方交付税法等の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行うものであります。  地方財政は、昭和五十年度以来、毎年三兆円前後の巨額の財源不足が続いている状態にあります。地方財政のこのような状況は、政府も認めているように、地方交付税法第六条の三、第二項の規定に明らかに該当する事態となっております。しかるに政府は、この規定に基づいて地方税財政制度の改革あるいは地方交付税率の見直しといった抜本的改革を行わず、資金運用部からの借り入れ、財源対策債発行といったその場しのぎの対策に終始してきたのであります。その結果、借入金残高十一兆五千二百億円、地方債残高四十兆五千四百二十一億円という地方財政の借金財政化を推し進め、危機を深めてきたのであります。その責任はまさに政府にあります。  次に、地方財政財源不足に対応するため資金運用部から借り入れていた従来の方式をやめ、国の一般会計から毎年法律により一定額を交付することとした今回の改正は、ただでさえ乏しい国の一般会計をめぐって国と地方間の激しい財源獲得争いを惹起することになり、地方財政のかなめとも言うべき地方交付税総額の安定的確保を不可能とするでありましょう。これは、各地方公共団体が中長期的に安定かつ計画的な財政運営をする上で妨げとなりましょう。  また、政府の今回の措置によっては地方交付税の増額は望めず、結局、財源対策債という地方債発行によって財源不足に対応せざるを得なくなるのは極めて明白であります。これは財政の硬直化、借金財政で悩んでいる各地方公共団体財政をさらに苦境に陥れることになります。まことにゆゆしき事態と言わざるを得ません。  さらに、地方交付税特別会計における資金運用部からの借入金の地方負担分の償還を六十六年度以降に繰り延べたことは、地方財政に毎年巨額の利子負担を強いることになり、今年度既に明らかになったように、地方交付税率を実質的に切り下げることにつながります。重大な問題であります。  以上、今回の改正には多くの問題があります。政府は、地方財政健全化を図るため、その場しのぎの対策に終始することなく、地方交付税法第六条の三第二項に基づいて地方税財政制度の改革あるいは地方交付税率の見直しといった抜本的改革を行うべきことを強く要求し、討論を終わります。
  54. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。  地方交付税法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  56. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  志苫裕君から発言を求められておりますので、これを許します。志苫君。
  57. 志苫裕

    志苫裕君 私は、ただいま可決されました法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議及び民社党・国民連合の各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。    地方交付税法等の一部を改正する法律案に    対する附帯決議(案)   政府は、次の諸点について善処すべきであ  る。  一、地方交付税総額の安定的確保を図るた   め、地方交付税法第六条の三第二項の本来の   趣旨に沿い、恒久的な措置を講ずるよう努め   ること。  二、財源対策債の増発による措置は極力避ける   こととし、各年度における交付税総額の特   例措置の具体化に当たっては、同措置がやむ   を得ずとられた暫定的な措置であることにか   んがみ、本則の精神に則り財源不足額を十分   補てんするよう努めること。  三、交付税特別会計の借入金の利子の地方負担   については、その軽減に努めること。  四、源泉分離課税による利子・配当所得に対す   る地方税の課税など地方税源の強化を図ると   ともに、地方自治体の事務事業として同化定   着しているものに係る補助給等については、   一般財源に振り替え、類似ないし同一目的の   補助金については、極力統合メニュー化を進   めること。  五、第九次道路整備五か年計画における地方道   路整備の促進を図るため、地方、特に市町村   の道路目的財源を拡充強化すること。  六、地方財政計画の策定に当たっては、地方自   治体の財政需要を的確に把握し、その内容の   充実を図ること。  七、地方自治体の職員の増加をもたらすような   施策は厳に抑制するとともに、機関委任事務   を整理し、職員の必置規制について早急に見   直しを行うこと。  八、地方自治体に対する行政指導に当たって   は、自治体の自主的計画的な財政運営を損な   わないよう留意すること。特に起債の許可制   度の運用については、制度本来の趣旨を逸脱   することのないよう十分配意すること。   右決議する。  以上であります。
  58. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ただいま志苫裕君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  59. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 多数と認めます。よって、志苫裕提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、田川自治大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。田川自治大臣
  60. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重して善処してまいりたいと存じます。
  61. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 次に、地方公共団体関係手数料に係る規定合理化に関する法律案の討論に入ります。  本案に対し、御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  地方公共団体関係手数料に係る規定合理化に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  62. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、両案の審査報告書の作成は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  午後一時まで休憩いたします。    午前十一時四十六分休憩      —————・—————    午後一時二分開会
  64. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日、小西博行君が委員辞任され、その補欠として抜山映子君が選任されました。     —————————————
  65. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明につきましては、既に前回の委員会において聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  66. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 法案に入る前に、通告なしで大変恐縮なんですけれども、きょうを逃しますと大臣とは当分また会えなくなりそうな感じがしますから、一つ聞いておきたいと思うんです。  きょうの新聞に出ておるわけですが、定数是正の問題で、今会期内に提出すべきであるという中曽根首相の強い要請で、自民党内でこれをどうするかということで、その一つは、やっぱり議員立法で出すべきだ、もう一つは、やっぱり政府提案とすべきだ、こういうことで、何かきのう、あなたと中野四郎自民党選挙制度調査会長とが会談をして、会期末の二十三日までに出すかどうかについて協議をしたと、こういうことが出ておるんですが、その中で、「かり、にそう決めたとしても、色々と手続きが必要だ。中野会長は自民党内の意見をまとめるのは大変だと言っていた」と、こういうあなたの談話が出て、そうして「会期内の提出は厳しいとの見通しを明らかにした」と、こういう書き出しになっているんですが、「自民党執行部が党内の意見調整せずに”見切り発車”で提出する方針を固めたと伝えられた点については「提出するだけということなら、私は承知しない」と」、こういうのも、きょう記事になっておるんですが、ここら辺のいきさつを含めてどういうことなのか、大臣の見解もあわせていただきたいと思います。
  67. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 私も国会でしばしば述べましたとおり、議員定数の是正というのは各党、各会派、それから議員の利害関係に非常に密接不可分の関係でございますので、できるだけ各党、各会派の合意を得てやるべきものと思っているわけでございます。もちろん私ども考え方もございますけれども、そういう中で自民党で鋭意検討しておられるわけでございます。  きのう中野さんにお会いしましたのは、中野さんの方から会いたいということでございましたから、私のところに来られるというから、いや、先輩に来られてもらっては困るので私から中野さんの部屋へ伺ったわけでございます。中野さんのお話は、おおむね今御指摘になられましたような内容でございまして、なかなか自民党の中をまとめるのは大変だ、これをまとめることはもう我々にはなかなか手に負えない、やっぱり総理大臣自身が総裁として指導力を発揮してやっていかなければだめだというお話でございまして、私は全く同感で、同じ党ならもう少しやりますけれども、私は党が違うから、やっぱり他党のことを私がとやかく言うわけにいかないので、話は自民党が政府与党としてまとめてから一体提出法案をどういうふうにこれからつくっていくかということを、これは野党との交渉を含めての場合ですけれども、議論をしなければいけないというような大体のお話を申し上げたわけでございまして、これはもう一部分、野党とお話しされているのかどうかわかりませんけれども、とにかくこの定数是正は、具体的な問題としては各党各会派と少なくとも十分意見交換をしてやっていかなければならないと、こういうふうに思っております。  新聞に自民党の四役会議でどうこうという記事が載っておりましたけれども、少なくとも私に対しては会期末までに出すとか出さないとかいうような話は全然ございませんで、この問題について私にそうしたお話がありましたのは自民党の選挙制度調査会の中野さんだけでございまして、もちろん個人的にはいろいろな人と会うたびに話をしますけれども、実際に、正式にございましたのは中野さんだけでございます。私も、新聞にこういうふうに出ますから、いずれは総理大臣に、一体どの程度の腹でやろうとしておられるのかというようなことをお聞きしたいとも思っておりますけれども、今の段階では、肝心の与党の内部が全然まだまとまっていく段階ではございませんので、しばらく様子を見ているべきなのが自分の態度ではないか、こういうふうに思っているわけでございます。
  68. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 これは今お話しのように自民党内がまとまっていないこともありますが、各党もそれぞれ案を出して議論をやっていることでしょうから詰められていくんじゃないかと思うのですが、大臣は政府提案ということになれば所管大臣ですね。これは政府提出、議員立法と、この点については余りこだわっていなくて、むしろ自民党内がまとまって政府提出となればそれはそれでも結構だと、これはそういうお考えですか。
  69. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 先ほど申し上げましたように、なるべく各党の合意を得てやった方がいいという考えですから、議員提案か政府提案かという、一般的にどっちをとった方がいいかということになれば議員提案でやった方が好ましいというふうに思っております。そうして、今新聞に出ているように自民党がまとまって、はい政府提案でやれと言ったって、これはそう簡単にいかないです。これは政府提案でやる場合には政府提案らしい案をつくってやっぱりやっていかなければいかぬと思いますし、主管大臣は私でございますから、それは私の思想が少しは入っていなければ、政府提案としてなかなかそう簡単に、自民党でこうまとまったからすぐ政府提案というわけにはちょっとまいらないと思います。
  70. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 いずれにしても違憲状態ですから、憲法違反状態ですから、そう長く議論する時間はないんじゃないかというような感じもしますけれども、わかりました。ひとつ、せいぜいそういう意気込みで頑張っていただきたいと思います。  そこで、本題に入りますが、共済法の問題で、今度の法案というのは公務員の二%の賃上げに伴う所要措置ということに尽きるわけですから、総体的にいろいろ議論してみてもそう問題点はないと思うんです。ただ一つだけ私どもがどうしても我慢できぬ問題があるので、これはひとつ皆さんの御意見をいただきながら、できればひとつ同意をいただきたい、そういうふうに思っております。  それは何かといいますと、二%の引き上げに伴っての所要措置なんですが、この共済法の経緯からいいまして、地方公務員関係の法律趣旨というのは、いろいろ経過ございますけれども皆さん御存じのとおりに、公務員給与基準にして設定するという前提は恩給法とのかかわり合いなんですね。そこで、恩給法とのかかわり合いの中で今日まで実施時期その地合わしてきておったのが、今回の改正案については、恩給法は三月実施、その関連する部分についてということで施行前については三月実施、それ以外は四月据え置きと、こういうどう考えても理屈に合わない内容になっておるわけですが、この点について、まずどういう経緯でこうなったのか。もっと言いますと、なぜこれが同一に三月なら三月ということにならないのか。少なくとも賃金を基準とする以上は、現行では一年一カ月おくれておるわけですから、早めるという意味でやることについてどうしてできなかったのか、その辺についてまずお聞きしたいと思うんです。
  71. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 公務員年金の改善につきましては、私たちもかねがね意を用いておりますし、できるだけ私たちも、温かいといいますか、十分なことをしていかなければならないというふうに考えております。  お尋ねの件につきましても、三月実施と四月実施というふうに分けたわけですけれども、四月実施に係る分につきましては、それに必要な経費というのが現職公務員の負担に保ってくるということになりますし、その現職公務員は、非常に残念なことに、五十七年、五十八年給与改定というのが見送られ、あるいはまた抑制されてきたということでございます。そこで、現職公務員との関係におきまして四月実施というふうにさせていただくのが理屈としてはやっぱり合っているんじゃないだろうかということで、各省との間で相談して、国家公務員共済も私学共済も農林共済もそのようにさせていただいて国会に提出したということでございます。一なお、官民格差の議論もございますけれども、厚生年金につきまして四月実施だということになりましたので、そういう観点からいきましても、今回の私たちの御提出申し上げた内容というのがそれほど常識に外れていないというふうに考えまして、御審議をお願いしておるわけでございます。
  72. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 現職負担ということですが、この一カ月分というのは大体どのくらいの負担になるんですか、数字で言うと。
  73. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 今回の改定に要する経費というのは、十二カ月分で三百三十四億ということでございます。一カ月にいたしますと大体二十七、八億になろうかと思いますけれども、その中で新法期間に係る分というのがおおむね十五億ぐらいじゃないかというふうに思います。
  74. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そうすれば、組合員の負担というものは一組合員当たりどのくらいになるんですか、十五億になれば。
  75. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 財源率といいますか、そういう面におけるはね返りというのは非常に少ないと思います。十二カ月分といいますか、平年度化されたときの新法期間に係る分が財源率で申し上げますと〇・八九ぐらいでございますから、一カ月分を繰り上げたということでどれくらいかということになりますと一万分の一・三、計算しますとそれくらいだろうと思います。  先ほども申し上げましたように、そういう金の負担ということも、非常にこれからの年金財政考えると大変でございますけれども、物の考え方として、現職公務員との関係において私たちが判断をしたということでございますので、そういう観点からもひとつ御理解いただきたいというふうに思います。
  76. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 あなたは現職の公務員の負担増になると言うけれども、現職の公務員に何かこう、負担増になってもよろしいですか、それなら三月にするんですが、いかがですかということで、何かそういう調査か何かやったんですか、相談したんですか。
  77. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) そういう持ちかけ方というか、そういう相談はいたしておりませんけれども、そういう個々の相談ということではございませんで、新法期間に係る分というのは現職公務員の負担になりますので、物の考え方としては、一カ月繰り上げるということは、負担する側から考えますと現職公務員の問題になりますので、そこは考え方としてそういうバランスをとらせていただいたということでございます。こういう内容につきましては、私たちもいろいろあれこれ考えましてこういう内容にしたわけでございますけれども、関係審議会にもお諮りいたしまして、関係審議会の方からも妥当であるという答申をいただいておりますので、御了解いただきたいというふうに思います。
  78. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 しかし、私が聞いたところでは皆さんそう言いませんね。関係審議会、どの審議会か知りませんが、なぜ差をつけるのか、施行前と施行後に。いや、それはあなたたちが施行後の場合には負担になるからつけるということなんだと、そんなことはないと、それはきちっとしてもらいたいと、これが現職の皆さんの意見ですよね。そうして、それをやったからといっても、今言うように、まだ一年おくれているわけだ。そうでしょう。そうして、その一年おくれていることについては、毎年本委員会でも附帯決議をつけて、速やかに是正しなさい、努力しなさいということでつけておる。そういう性格であるだけに私は、これは理屈にならぬ理屈じゃないかと思うんですよ。しかし、これはひとつ、まあきょうは衆議院から来ておるわけですから最後になるわけですけれども、私はやっぱりこういう同じ組合員の中に施行前と施行後に実施時期で歴然と差別をつけるようなことだけはやめるべきだ。  官民の問題をあなたちょっとさっき口に出しましたが、それでは聞きますけれども、地共済、都市共済、市町村共済で現在給付されておる対象の中で、厚年の適用しておる者、共済法の適用を受けておる者、この比率はどうなっていると思いますか。
  79. 秋本敏文

    説明員(秋本敏文君) 摘指摘のございましたのは、いわゆる通年ルールでもって年金を算定しておる受給者の方の割合という意味ではないかと思いますので、そのような意味でお答えを申し上げます。  地方職員共済組合の場合は、現在の退職年金受給者のうち通年ルールによって年金を算定しております方が全体の四二%ほどでございます。これが昭和五十七年度末でございます。それから市町村職員共済組合の場合は四八・〇%、それから都市職員共済組合の場合は三六・三%と、こういうことになっております。
  80. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 ですから、この数字からいってみても、今受給者の中で言えば、これは本人がやめる際にどちらを選ぶか自分で有利な方を判断をして、そうして決めるわけですよ。その際の数字を見ると、決して官民比較して高いという代物ではない、今の受給者で見る限り。現実に地共済が四二%、市町村共済が四八%で、約五割ですね。これが自分には有利だということで何度しておるわけですから、そういうこと等を考えてみて、この一カ月の、施行後と前とに差をつけるというのは、どう考えても私は承服できぬのですが、その辺でやりとりしておったら時間がたちますから、大臣、いかがですか、これは。ここら辺について御見解があればいただきたいと思うんです。
  81. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 国家公務員の方も国会で承認をされておりますので、なるべくそのような線で御了承をお願いしたいというふうに考えます。
  82. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 まあいいでしょう。しかし、それこそあなたは自治権を振り回さなきゃいかぬのじゃないですか。大臣らしくないな。一わかりました。  いずれにしてもこれは、僕はやっぱりどうしても承服しがたいということだけはひとつ明らかにして、やっぱりできるだけ早く同じ組合員の中で、ほかの問題ではないですよ、実施時期ということで差がつくということは決していいことではありませんからならしをしてもらって……。恐らく今衆議院でかかっている厚生、国民年金との関連で、当然この問題も、ここは来年度も免れぬわけですから、そういうふうな雰囲気がございましょうから、是正すべきであることだけは強く要求しておきます。  それから、附帯決議についてちょっと二、三お聞きしたいと思うんですが、なぜかわからぬのですが、五十八年度は附帯決議がついてないんですね。しかし、五十七年度は附帯決議がついておるわけです。五十七年度の附帯決議が全部決議どおり実行できて実現して、そのために五十八年度はもう附帯決議をつける必要がないと、こういうふうになっているのかと思うとそうでもないんですね。この点について、まずどういう状況になっておるのか。大臣は、附帯決議がつくと、この実現に向けて努力をしますということを必ず委員会では言うんですが、五十七年度の附帯決議が一体どういうふうになっているのか、これをひとつまずお聞きしたいと思うんです。大臣じゃなくていい、それは福利課長でも、どっちでもいい。
  83. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 九十六国会におきまして附帯決議を八項目ほどいただいております。私たち、その項目につきまして鋭意検討してまいりまして、いろいろ実現の困難なものもございますけれども、その考え方に従いましてこれから進めていかなければならないというふうに考えているものもございますので、この八項目のうち、先生の方で特にこういう点について具体的に答弁しろというお話がございましたら説明させていただきたいというふうに思います。
  84. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 それでは、まず第一に「長期給付に要する費用の公的負担分については、厚生年金等の負担と異っている現状にかんがみ、公的年金制度間の整合性に配意して検討を続けること。」、こうなっていますね。これは今、公的年金そのものが厚生並びに国民年金の統合案を含めて衆議院段階で議論になっておるわけですけれども、それとのかかわりを含めてどういうふうになっておるのか、しようとしておるのか、そこら辺を含めてひとつお聞きしたいんです。
  85. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) その問題につきましては、厚生年金が、給付時負担でございますが、二〇%だ、公務員共済の場合は国も地方も一五・八五%だということで差があるじゃないかということはかねがね指摘されておるところでございます。  そこで、私たちの方もそういう問題意識を持ちましていろいろ相談しておるわけでございますが、一つは、こういう共済といいますか、年金制度に対して公的負担をする場合にできるだけ、富裕なといいますか、そういうグループに対しては公的負担というものをやや抑えぎみといいますか、所得水準の低いグループに対しては公的負担を手厚くするということで、国民年金、厚生年金に対しては公務員の共済年金よりも手厚い公的負担がされておるわけですけれども、そういう議論の中で私たちが聞かされますのは、例えて言いますと、厚生年金が二〇%で公務員年金が一五・八五%だということはその比率から見ますと確かに不合理なんですけれども、今度、受給者一人当たり公的負担はどうなっているんだということになりますと、五十七年度の例で申し上げますと、厚生年金の場合には受給者一人当たり三十六万一千九百円ぐらい、そして地方公務員共済の場合には一人当たりが三十六万二千六百円ぐらいだということで、一人当たりの受給者に換算いたしますと、公的負担というのはほぼ均衡がとれているじゃないかというような見方もございまして、附帯決議の御趣旨に沿ってまだ実現しておりませんけれども、先ほど先生がお話しになりましたように、来年度に向けて公的年金制度というものをひとつ検討していこうじゃないかという話がございます。  そして、現在、国会に提案されている法案に即して申し上げますと、公的負担は基礎年金部分に集中していこうという考え方がとられているようでございますけれども、そういう考え方に対して国会でどういう議論があり、どういう結論になるかということを見ながら、私たちも来年、公務員共済のあり方について検討しなければならないと考えておりますので、そのときに、改めて基本的にまた議論さしていただきたいというふうに思います。
  86. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 その点はわかりました。我々もこれからひとつ議論していかなきゃならぬ問題だと思うんですがね。  もう一つの問題は、共済をやめた場合に、組合員をやめた場合に二年間ですか、退職者の任意継続制度というのが今ありますね。これは健保にかかわる問題だと思うんですが、短期の部分ですが、この点について附帯決議でも再三、その期間は延長せよということを私どもはこの委員会でもやってきたはずなんですが、なかなかこれが討議が進まずに来ておる間に、今度は退職何とか制度というのですか、今衆議院の健保の中に出てきてますね。言うならば、任意継続制度がきちんと委員会で僕らが言ってきたように延長してきさえすればそういう問題が起こらなかった。ところが、今度はそういうふうに変わってきた。この問題は一体どこら辺まで議論しておるんですか。
  87. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 任意継続制度というのは、先生の方がよく御存じかもわかりませんが、昔は一年間ということになっておったわけですけれども、国会でいろいろ御議論いただきまして、それが現在二年間になっておるわけでございます。そして、当該本人の負担というものも軽減される措置がとられたということで努めてまいっておるわけでございますけれども、九十六国会の附帯決議の後どういうふうに進捗しているかという話になりますと、御趣旨の線に沿ってまだ結論が出ていないわけでございますけれども、今先生がお話になりましたように、今国会に退職者医療制度というのが提案されておりますし、それとの関連というものもございますので、それがどうなるかというのもこれからの大きな国会審議上の問題だと思いますけれども、その関係を見ながら検討させていただきたいというふうに思います。
  88. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 それは、それを見ながら検討になるでしょうけれども、各共済、健保の場合に、定年が民間の場合五十五、公務員の場合も今度は定年制がしかれて六十になって、そして退職する。そのころは大体皆体にがたがきてますわね。がたがきておるから、それが今度は国民健保に入るとそこが大変な負担増になって、医療費が高くなって赤字になる、こういうこともあるから、僕らはやっぱり継続を早く、二年から三年、せめて五年程度まで延ばすべきじゃないかと、こういうことで言っておったわけですよ。そこがきちっといっておれば、ああいう議論はもうなくなるわけでしょう。だから、僕らが言ったことをあなたたちがちゃんと守りさえすれば、そうなることはなかったわけだ。それを渋ってやってないで、そして結果的にまた新しい制度につくりかえるというような、こういうことを繰り返しておることは僕らは非常に遺憾だと思うんですよ。  ここら辺は、ひとつまじめに附帯決議は、これは大臣、ここで尊重してやりますという姿勢だけじゃなくて、やっぱり意があるからこそ附帯決議を大体皆与野党ともに一致してこれをつくっておるわけですから、まじめにやっぱり検討していくというような、何か参議院の委員会で決議されたけれども、あのときにちょっとしおらしい格好をしておけば後は大したことはないと、こういう感覚では、これはやっぱり立法府軽視というか、そういう感じがするんですけれども、これはひとつ大臣に、まずそこだけは確認しておきたいと思うんです。
  89. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 附帯決議については政府も尊重するということをその都度申し上げておりますが、御指摘のような御批判も随分ございますことは私もよく承知しております。しかし、附帯決議が軽視されるようなことがあっては絶対にならないと思いますし、恐らく、附帯決議をつくっていただく場合には、ある程度政府側も相談を受けておるんじゃないかと思うんです。そういう意味から、附帯決議については、改めて十分尊重して、実施ができるように努力をしてまいることを申し上げておきます。
  90. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 もう一遍大臣の言明を信頼しましょう、そういうことで。  そこで、公務員部長になるんですか福利課長になるか、ひとつお聞きしたいと思うのは、ずっと附帯決議をつけながら、いまだに具体的に実現しない問題が一つあるわけです。それは何かというと、四番目の既給一時金の控除の問題です。これは一体どういうふうになっているんですか。真剣に検討しておるんですか。どこに問題があるのか、その障壁はどこにあるのか。それとも、そうではなくて、もう次には実現するというのか、どう・なんですか。
  91. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) これも先生の方がよく御存じでございますので、あれこれ説明することはよしますけれども、結局、旧法時代にもらった既給一時金というものの控除方法というものを改めるというのが一番大きな問題になろうかと思うんですけれども、その期間というものにつく年金というものは旧法ルールで年金を計算する、そして新法期間の年金につきましては新法で計算してそれを合算するという方法をとっておりますので、旧法期間の年金は旧法ルールで計算しておきながら既給一時金の控除は旧法ルールによらないということにつきましては、役人の頭で申し上げますと、そこがどうもひっかかってなかなか解決できないというのが実態だろうというふうに思います。  そこで、この問題につきましては、今先生がお話しになりましたように、かねがねの御要請でもございますし、私たちの方も今までと違った観点といいますか、少し役人らしからぬ観点から物を考えて、何か解決できる道がないだろうかということを、やっぱり考えていかなきゃならないという気がいたしますけれども、今のところそんなに名案というものもございませんけれども、来年に向けていろいろ年金制度の問題、あれこれ取り出して議論しなければならない機会に来ておりますので、そのときに検討課題の一つとして検討させていただければというふうに思います。それまでの間におきまして、私たちも何か今までと変わった考え方でいい案ができるというか、いい理論ができるということを考えたいと思いますけれども、先生方の方もそういうことをお考えいただきまして、何かこういう考え方でひとつこうしていったらどうだということがありましたら、教えていただきますれば、私たちもその線に沿って努力をさせていただければというふうに思います。
  92. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 知恵は要るときに出さなきゃ……。  私は、無理な話じゃないと思うんですよ。例えば、そのときに一時控除した分に金利を計算するとか、その計算を例えば新法で計算するということもいいでしょう。いずれにしても、そういう該当者の皆さんが大体もう今退職の時期に来ておるわけだ。皆この成り行きを今注目しておるわけですよ、どうなるかということで。それがまたかなり影響が大きいから、やっぱり僕は、今公務員部長は来年度に向けてひとつと、来年度に花が咲くような印象に聞こえたのだけれども、そういうことで一年間これから知恵を出して検討するということなら、もう私はそれで結構だと思うんです。  これは単なるアクセサリーで置いておるわけじゃないわけだし、検討してもらいたいと思うし、実現できるようにやっていただぎたいと思うんですよ。  先ほどから言ってますように、これはあのときに本人の選択制みたいなものもございましたね。だから、同じ該当者の中でいわゆるその一時金をもらわなかった者はストレートにいっておるわけです。一時金をもらった者が今だめだと、こうなっておるわけですから、これはよくあのときに説明すれば、皆さん一時金もらわなかったと思うんですよ。ところが、説明がちょうどわなをかけるみたいに、鳥みたいにわなにかかるかかからぬかというのをあなたたちも上から見ておって、かかったやつがだめだと、そういう部類もあの中にあるんですよ。だから、そのわなにかかった連中が今大体退職時期を迎えておるから、これ何とかできぬかということになっておるわけですから、これはひとつぜひ実現をさしてほしいと私は思います。今度の恩給法の改正の中でも事実上は、さっき言わなかったですけども、軍人恩給が主体でしよう。ですから、あんな無理を平気でやる知恵もあるわけだから、逆に言えば、そうすれば私はできぬことないと思うので、これはひとつ来年は実現できると、こう受けとっていいですね。
  93. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) まあ来年花が咲くか咲かないかという話でございますけれども、私たち今のところはそんなに名案もございませんし、自信もございませんけれども、いずれにいたしましても、先ほど御答弁申し上げましたように、努力をさしていただきますということで御了解いただきたいと思います。
  94. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 今までのような努力じゃなくて、実現に向けて本気で努力すると、こう受け取って、そういうことにしておきますよ。  次に、もう一つお聞きしたいと思いますのは、これも問題が多いんですね。まずちょっとお聞きしておきたいと思うんですが、学校の教員、警察官、こういう公立共済、警察共済ですね、そういうところでずっと来た人たちが、例えば市町村の教育長であるとか社会教育主事であるとか消防防災課長であるとかいう格好で地方公務員共済の方に移転する、こういった現在の該当職員というのは組合員の中でどの程度ございますか。おおよそで結構です。感じで結構です。
  95. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 私たち、現在の数字ということになりますと、詳しい数字は持っておりませんけれども、五十年度の初めごろに調査したものというか、私たちが調査したものじゃございませんけれども、共済組合側で調査したもので申し上げますと、一番問題になるのが市町村職員共済組合だということで申し上げますと、大体一年間に入ってくる人間といいますか、市町村共済組合側に入ってくる人間が三百二十人前後じゃないか、市町村職員共済組合から外の方に出ていく人間が十人ぐらいじゃないかというような数字を聞かしていただいたことがございますけれども、そういうところだろうというふうに思います。
  96. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 問題は、そこのところで起こってくるのが、御承知のとおりに掛金はずっと校長になるまで公立共済で掛金掛けていく、そうして校長を退職して教育長になって今度は市町村共済に移る、そうして一期ないし二期やってやめる、やめると今度は、給付の方は市町村共済から出していくわけですが、その移転ができてないところに大変な、市町村共済回りますとどこでも何とかならないかと。法律の建前からいえば、それは早急に各共済間で協議をしてやるという仕組みにはなっておるんです。ところが二十年間それが実現できない。なぜなのかと、これはどこでも聞かれる話なんですけれども、これはどう考えても私は不合理だと思うんですよ。ですから、今度の場合、三共済が一本になったとしても公立、警察は別ですから、そういうことで、この問題がどこに二十年間実現できない問題点があるのか、ここをちょっと聞きたいんですが、いかがですか。
  97. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 私もかつての議事録を読ませていただきますと、そういう御議論がございまして、いろいろ当時の政府委員とか説明員説明しておりますけれども、一言で申し上げますと、非常な事務量と多額な経費を要するということで今日まで見送られてきておるようでございます。  そこで、今先生がお話しになりますように、市町村職員共済組合にとっては非常に大きな問題だというので昨年政令を改正いたしまして、その根拠条文というものをつくったところでございます。その根拠条文に従いまして五十九年度中には責任準備金に相当する金額の移管ができるように、私たちも関係省庁との間で、これは話を進めてまいりたい。先ほどの既給一時金の話はなかなか難しい話でございますけれども、この問題につきましてはひとつ五十九年度中に実施できるように、これはもう最大限努力をさせていただきたいというふうに思います。
  98. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 五十九年度中に必ず実現できるんですな。もう一遍念を押しておきます。
  99. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 必ずというふうに念を押されますと、今の段階で必ずというふうにはなかなかお答えできにくいんですけれども、五十九年度中にそういう措置ができるように、私たちとしても責任を持って最大限の努力をさせていただきますというふうにお答え申し上げます。
  100. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 これは大臣、率直に言ってもう大変な不満なんですよ。今度は社会教育主事も出てき出した。社会教育主事も社会教育課長か何かつくられて移転し始めたでしょう。教育長だけじゃないんですよ。収入役とか助役になる人もおるでしょうし、それが全部そういう格好になるというのじゃたまったものじゃないということがあるわけですから、これは今せっかく公務員部長は五十九年度中に実施をすると、こういうことですが、もう一遍大臣のはっきりした決意をいただいて私の質問を終わりたいと思うんです。
  101. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 公務員部長も真剣に答えたとおりに、ひとつ私も五十九年度中に実現できるようにできるだけ努力してまいります。
  102. 中野明

    ○中野明君 最初に、年金の一元化の問題でお尋ねをするんですが、年金と医療の問題は、これから老齢化社会を迎えるに当たりましての非常に大事な問題になっております。それで、今回のこの法律に関係をして私どもも大変な関心を持っているわけですが、この国会で国民年金法の一部改正が出ておりますが、これが通りますと来年は共済グループにも同様な改正が行われるという閣議決定がされておりますので、その点について最初に、どういうスケジュールで行われようとしておるのか、その点をお聞かせいただきたい。
  103. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 先生今お話しになりましたように、今国会に国民年金、厚生年金、船員保険の各年金制度の改革案が提出されております。一言で申し上げますと、基礎年金を導入いたしまして、給付体系、給付水準というものをひとつ見直していこうじゃないかという案じゃないかと思いますけれども、その案が成立いたしますと、それを前提といたしまして、それを踏まえまして共済年金制度改正していこうじゃないかという閣議決定がことしの二月二十四日になされておるわけでございますけれども、それを踏まえまして共済年金制度につきましても改正していかなきゃならない。その後の姿の問題というのが六十一年度以降の問題になってくるかと思いますけれども、そのときには、そういう改正がなされた後の運営状況を見ながら、まだ年金制度というのがいろいろ分かれておりますので、それぞれの制度の間の負担と給付の制度調整というものを図っていくことが次の課題になるだろうというふうに見ております。
  104. 中野明

    ○中野明君 それで、今も話が出ておりましたが、昨年、共済組合の統合があったわけですが、公立学校と警察はそのときは別になっておるわけなんですが、これについてはどういうふうにお考えになっておりますか、将来、この一元化の出題に絡んで。
  105. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 先生お話しになりますように、地方公務員関係の共済組合につきましては、ことしの四月一日から連合会が発足いたしましたけれども、公立学校共済と警察共済がまだその連合会に加入いたしておりません。これもできるだけ早期に加入していただくというのがまず望ましいわけでございますので、それぞれの省庁とできるだけ早く話を詰めまして、まず連合会の方に加入していただくように、そして地方公務員共済につきましては、少なくとも長期給付につきましては財源調整ができる姿にできるだけ早く持っていきたいというふうに思います。
  106. 中野明

    ○中野明君 大体見通しはどう見ておられますか。どの程度まで進んでいるんでしょうか。
  107. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 実は、正直なところ申し上げますと、ことしの三月の末までは新しい連合会を発足させるためのいろいろな事務の準備で精いっぱいでございましたけれども、新年度になりまして、できるだけ早い機会に警察、文部省の方にお話を申し上げて、連合会の方に加入していただくように話を進めたいと思いますけれども、期限としていつまでかというふうに言われますと、今のところ、またそれぞれの省庁との関係もございますので、自治省だけで決められる問題でございませんので、いついつまでということを申し上げられないのが非常に残念でございますけれども、できるだけ趣旨に沿って努力をさせていただきたいと思います。
  108. 中野明

    ○中野明君 それが、私心配しますのは、もう既にこの閣議決定もされて、来年、基礎年金が導入をされてくるということになりますと、そうでなくても、官官格差というのですか官民格差というのですか、世上ではそういう言葉をよく言われているわけですね。そういうことを何とかなくするために努力していかなきゃいかぬのに地方共済がまだ一本になってないということになりますと、いろいろそこから問題が出てくると思うんですが、きょうは私、官官格差とか官民格差とか言われていることについて、局長の守備範囲で結構ですが、どの点がそういうふうに言われる根拠になっているのか、認識をお聞かせいただきたい。
  109. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 官官格差というのは、私たちもそんなによく存じませんけれども、恐らく先生の頭の中にあるだろうというふうに思われますのは公共企業体関係と公務員共済との関係がと思いますけれども、それは去年ですか、統合法に基づきまして、一応法律上は整理されたんじゃないかというふうに認識しておりますが、問題はやはり官民格差の方の話じゃないかというふうに思います。  ただ、この官民格差の議論というのは、支給額の話とかあるいは支給開始年齢の話とか併給調整の話、いろいろございますけれども、公務員共済というのが公的年金制度一つであるとともに公務員制度の一環としての性格も持っておりますので、そこらも含めながら、そしてまた、そういう格差が出ておる背景というものをよく皆さん方に認識していただきながら、どのようにその問題に対して納論を出していくのが国民的な合意が得られるかということを時間をかけて十分譲諭していかなければならない非常に大きな問題だと、来年の、年金側度と共済年金制度改正するといたしますと、それに向けての一番大きな問題じゃないかというふうに思います。さらに先生の方から、官民格差のこういう点についてというお尋ねがございましたら御説明させていただきたいと思いますけれども基本的な考え方はそういうことで臨んでいかなきゃならないというふうに思います。
  110. 中野明

    ○中野明君 今答弁がありましたように、来年はそういうことについても真剣に私どもも議論をさしていただきたいと思っております。  この機会にもう一点お尋ねをしておきたいのは、婦人の年金権の問題で、閣議決定の中でも「婦人の年金権の確立及び障害年金の充実等の改革を進める。」と、このようにあります。そこで、我が国の年金制度における婦人の位置づけというのは、今までどちらかというと従属的な状態であったように感じます。そこで、厚生省見えていますか。厚生省まだ来ていませんか。それじゃ、それは後回しにします。  それじゃ、基礎年金ということ、先ほどの国民年金改正のところで、基礎年金の導入ということでございますが、国民の皆年金のもとで基礎年金という個人単位で一律に全員に適用される制度ができるということになりますと、それはもう社会保険方式にゆだねるべき制度ではなくして、税方式によって財源を集めるべき性質のものに変わってくるんじゃないかというような意見があるんですが、衆議院でもこういう趣旨の質問がされておるようですけれども、この点について、改めて御見解をお聞きしたいんです。
  111. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 非常に難しい問題だと思いますし、年金制度基本にかかわるお尋ねだというふうに認識いたします。国民年金制度を含めまして、我が国の公的年金制度というのが現在はやはり社会保険方式ということで成り立っておりますし、社会保険方式ということで国民の間に定着しているというふうに見てもいいんじゃないかというふうに思います。  ただ、先生がお話しになりますように、特別的な税金を設けて、税方式でという議論ももちろんございますけれども、今の段階で、私たちにそのことについて何か答弁しろという話になりますと、やはり一つは、先ほど申し上げましたように、社会保険方式ということで国民の間に定着しているということが一つと、もう一つは、やっぱりそれだけの税金というものを国民が負担してくださることについて国民的な納得が得られるかどうかということ、さらにはまた、制度の途中から税方式を導入するということになりますと、今まで保険料を負担してきた人間どこれから保険料を負担しなくても税金で年金がもらえる人間との調整の問題もございますので、非常に大きな問題というものを基本的に抱えておりますので、現在の段階ではやはり社会保険方式で行かしていただいた方がいいんじゃないかというふうに思います。  なお、そういう議論というのがこれからいろいろな方面で議論されるんだと思いますけれども、その議論の成り行きというものも私たちは勉強さしていただきたいというふうに思います。
  112. 中野明

    ○中野明君 結局、新しい基礎年金という制度が出てくるわけですから、当然それに呼応した議論が私は必要だろうと思いますし、今のお話のように、どっちにしても結局払う方は一つですから、そういう形で議論が進んでいかなければならぬと、私どもこう思っておりますので、いずれまたそういう機会が出てくるでしょうから、議論をさしていただきたいと思っております。  それじゃ、厚生省見えましたので、婦人の年金権の問題について二、三お尋ねしておきたいと思います。  我が国の年金制度というのは、婦人はどうしても従属的な関係にありましたので、最近、婦人の年金権について非常に要望が強くなってまいりました。それで、厚生省として婦人の年金問題についての課題をどう認識しておられるのか、最初にお尋ねしたいと思います。
  113. 山口剛彦

    説明員(山口剛彦君) 我が国の年金制度におきまして婦人に対する年金保障の位置づけ、現行制度ではなかなか複雑になっております。  御案内のとおりでございますけれども、被用者年金につきましては、その妻につきましても被用者本人の年金でカバーをしていく、いわゆる世帯単位の方式がとられております。これに対しまして国民年金は、夫妻それぞれ加入をしていただいて、老後にはそれぞれの名義で年金を受けていただくという個人単位の年金になっております。加えまして、サラリーマンの被扶養の妻の場合には国民年金にも任意加入ができるという大変複雑で、ある意味では非常に手厚い制度になっておりますために、いろいろな問題が生じております。  一つは、任意加入というものを世帯単位の年金にプラスして認めておりますので、任意加入をされる世帯とされない世帯とでは年金の給付水準に大変大きな差が出てくる、個人の意思によって公的年金の給付水準に非常に大きな差が出てくるという問題がございます。  それから、サラリーマンの妻の場合には任意に加入をしていただくことになっておりますので、不幸にして途中で離婚をされるというような場合には無年金になってしまう、あるいは障害になられたときに妻独自の年金が出ないといったような問題がございます。  また、婦人の職場進出が大変盛んでございますので、どちらかといいますと現在の被用者年金側度は妻は外に働きに出ないという前提で制度が仕組まれておりますので、そういった面からも今の年金制度は、婦人の年金保障という問題に視点を当ててみますと、今申し上げましたような主な点でございますけれども、解決をすべき大変大きな課題を残しておるというふうに私ども認識をいたしております。
  114. 中野明

    ○中野明君 今もお話にありましたが、また、離婚の率も最近非常に急激にふえてきているというような報告もなされております。そういう現状から見まして、今後婦人の年金権を確立していく上においてのスケジュールというんですか、それを厚生布の方としてはどのような見通しを持っておられますか。
  115. 山口剛彦

    説明員(山口剛彦君) 私ども、今国会に年金制度の改革案ということで、厚生年金、国民年金を中心にいたしました制度改革案を提出をいたしまして御審議をいただいている最中でございますが、その改革の非常に大きなポイントとしまして、今申し上げましたような問題点を抱えております婦人の年金保障の問題を取り上げております。  基本的には、先ほどお話がございましたように、今回、いわば今の縦割りになっております年金制度の土台とも言うべき部分といたしまして基礎年金という考え方を導入をしていきたい。それを分立をしております各制度のいわば一階部分ということで位置づけまして、その基礎年金には、制度的には新しい国民年金ということでございますが、この制度には、今問題であります婦人、特にサラリーマンの被扶養の妻、従来は任意加入でありました方々もすべてこの新しい国民年金には個人単位で加入をしていただく、そして老後には、サラリーマンの奥さんも含めまして個人単位の基礎年金を給付がされる、障害になられました場合にも障害基礎年金が支給をされる、そういう構想で現在の年金制度体系を再編成をしていこうというふうに考えております。  その中で、ただいま申し上げましたように、婦人についても新国民年金に強制的に加入をしていただくということになりますので、今後は制度的には、少なくともその基礎年金の部分については個人名義の年金が確立をされると無年金になるというようなこともなくなる、また、任意加入という制度もなくなりますので、世帯としての年金の水準についても合理的な調整がされるというふうに考えております。  新しく基礎年金に加入をしていただくことになるわけですから、一気にすべての婦人が一人前の基礎年金、月額五万円を考えておりますが、直ちに給付をされるというような形にはなりませんけれども、今回の基礎年金という考え方で、婦人の年金保障という面につきましても、多少時間はかかりますけれども年金保障の充実という意味で大きな前進が図られる、これをベースにして今後ともこの婦人の年金という課題の充実を図っていきたいというのが私ども基本的な考え方でございます。
  116. 中野明

    ○中野明君 わかりました。  それじゃ自治省にお尋ねします。  今基礎年金ということを大体お話しになって私どももわかってくるわけですが、先ほど局長がお答えになりましたように、公務員共済のこの年金というんですか、これは公務員制度の一環で「地方公務員及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与するとともに、公務の能率的運営に資する」、これが目的というふうになっておりますし、そのようなお話があったわけですが、このために、一方では懲戒処分者の給付の制限という措置もあるというふうに承知をしております。  では、公務員制度の特殊性というのは、六十年の改正に際してどのように反映されるのか、今の基礎年金の上に二階建て、三階建てとかいうような表現も聞きますけれども、厚生年金が報酬比例部分を持つということになってまいりますと、この共済のその考え方ですね、共済はどういうふうにお考えになっているか、そこのところを教えていただきたい。
  117. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 今先生がお話しになられます共済年金制度の中の公務員制度としての性格、これを具体的にどういうふうにあらわすのかというのが一番難しい問題だろうと思います。  私たち、今度の関係法案が国会で成立いたしますと、それを踏まえて改正しなければならないというので、現在関係各省の担当責任者と、そして専門家を集めまして、そこのところの議論を現在いたしておりますけれども、その議論というものの成果を見ながら、今先生がお話しになります基礎年金の上に上積みする年金のあり方というところにどのようにそれを持っていくのかという議論を詰めていかなければならないということでございますが、現在のところ、それを具体的にどういうふうに考えておるんだというところまで私たちは一つの結論を持っているわけではございません。これからの私たちの詰めなければならない一番重要な問題の一つだというふうに認識しております。
  118. 中野明

    ○中野明君 大臣、当然これは来年は大きな問題になって、一元化に当たるわけですが、この地方公務員共済を預かっている大臣として、公務員の特殊性、これを守る立場から、大臣としての御見解もちょっとお伺いしておきたいと思います。
  119. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 地方公務員の特殊性から見まして、今度の公的年金の一元化につきましては、地方公務員立場が悪くならないようにできるだけ配慮をしていかなければならないと思いますし、また、先ほど来お話がありましたように、連合会がまだ完全にできておりませんけれども、こうした統合については、できるだけ早い機会に統合をできるようなことも図っていかなければならないと、このように考えております。
  120. 中野明

    ○中野明君 それではもう一点、先ほども佐藤委員も問題にしておられましたが、年金額の改定の実施時期ですね。これが最近は特に変動が激しいんですが、去年は公務員のベアがなく据え置かれたわけですが、ことしは、恩給関連は三月の実施、それ以外は四月実施というふうに、結果としてまことに不公平なことになってしまったわけなんですが、自治省として、あるいは関係省庁もあるんでしょうけれども年金改定について一定の時期に行うというのは、これ常識だと思うんですが、そういう考え方というものがどうしてこういうことになってしまったんだろうかと、この法律を見てびっくりするわけなんですが、ここにも書いておりますように、「恩給法等の一部を改正する法律案による改正内容等を参酌しその額の引き上げ」と、ちゃんとこの恩給法等を参酌してと書いてあるわけですから、わざわざ時期を違えているという考え方は私理解ができないんですが、自治省として一定の時期に行うべきだと思っておられないんだろうか、この法律を出されるに当たって何とも感じないんだろうかというような気がするんですが、どういうことでしょうか。
  121. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 先ほども説明を申し上げましたけれども、今回の年金改定というものによりまして必要になる経費、特に地方公務員共済組合法が施行された以後の期間に係る年金額の改定に要する経費というのは現職の公務員の負担になるということでございます。その現職の公務員につきましては五十七年度給与改定が、非常に残念ですけれども、見送られた、五十八年度も異常に厳しい抑制がなされたということでございますので、その関係とのバランスにおきまして四月実施というふうにさせていただいたわけでございますけれども、それを決定するに当たりましては、農林共済を所管しておる農林省とか、あるいはまた私学共済を所管しておる文部省とか国家公務員共済を所管しておる大蔵省とか、そういう関係各省寄り集まりまして、いろいろ議論をいたしまして決定をさせていただいたということでございます。先生がおっしゃいますように、恩給関連については三月だ、そして新法施行以後の期間については四月だというのは、見方によりますと非常に奇異に感ずるわけでございますけれども、私が御説明申し上げましたように、負担との関係においてもひとつ御理解いただければというふうに思うわけでございます。  私たちも、先ほど御説明させていただきましたけれども、厚生年金の改定というのが四月だということでございますし、官民格差の議論もこれあり、私たちもそこらを見ながら四月実施ということで決めさしていただいたわけでございます。そういうことで御了解いただければというふうに思います。
  122. 中野明

    ○中野明君 それじゃ、恩給の方は三月になったというのはどのように承知しておられますか。恩給局は来てないでしょう。局長として、恩給がなぜ三月になったのかということ、どういうふうに認識しておられますか。
  123. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 私も恩給を所管しておりませんし、恩給を三月改定にするということの経過もあるいはまた結論を出すに当たってのなにも存じておりませんので、ここでひとつ責任のある立場答弁しろと言われることにつきましては御勘弁いただきたいと思います。
  124. 中野明

    ○中野明君 それはわかりますよ。わかりますけれども、恩給法に準じてやるというようになっているわけですから、それを向こうはどのようになったのか知らぬ、向こうはどうでもいいんだ、おれんとこは四月なんだということも確かに答弁一つでしょうけれども、なぜ向こうはそのようになったのか、それに近づく努力をやっぱりされるべきじゃないかという前提に立ちますと、私は恩給のことはよう知りませんのやと言うんじゃ、ちょっと責任上おかしいんじゃないかという気もするんですね。それが、わからない、向こうはどうでもいいんだ、うちだけのことだと言うんじゃ、この法律にわざわざそんなこと書かぬでもいいでしょう。だから、それは承知しておられるが、あなたの立場で答えられないということなんでしょうけれども、非常にこれ問題ですね。こういうことを平気でされるという、今までこんなことは恐らくないと思うんですが、こんなことを平気でやって辛抱せいと言うのはちょっと私納得できません。その点について非常にこれは問題があると思っております。どうかその点をひとつ認識をしておいてもらいたい。  先ほども議論がありましたように、附帯決議では、少しでも縮めるというように毎年言っているわけでしょう。ですから、それならば縮める方向に努力をするという意味からいっても、恩給法は三月というのはこれは結構なことなんですから、こっちもそれに持っていくと、そういう努力をなさるべきである。それで、議論を聞いておりますと、そんなに個人の負担がべらぼうに上がるわけでもないでしょうし、いずれ皆さん退職したら年金をお取りになるんでしょうから、ちょっとでも早うもとへ戻しておくということは、現在の公務員の人もそんなに反対される理由は私はないと思うのですね。そういうことをいろいろ考えますと、何かこう恩給が三月になったということに対して非常に御関心が薄いような気がするんですが、どうでしょうかね。
  125. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 私の説明が不十分だったかもわかりませんが、現在の公務員共済年金というのは、性格的には二つのものを中に持っておるんじゃないかというふうに思います。一つは、やはり経過的に見まして恩給相当部分というのを持っております。そしてもう一つは、やはり純粋の新しい共済年金法に基づく年金としての性格を持っております。  そこで、現在の公務員共済年金の中で恩給年金に相当する部分につきましては三月から実施させていただく、そして新しい共済年金に相当する部分については四月実施にさせていただくということでございますので、恩給との関連において申し上げますと、そういう意味におきまして、恩給に準ずるといいますか、額の改定の幅、そして公務員共済年金の中で恩給的な性格を持っているものについては恩給と同じ三月実施にさせていただくということでございますので、そういうふうに私が御説明申し上げますので、ひとつそういう御理解をいただけないかと思います。
  126. 中野明

    ○中野明君 いや、額は一緒だ、それはわかりますよ。しかし三月と四月というのは一緒じゃないものですから、何で恩給の方が三月にできたのにこっちをしないのかということを私ども不満に思っているわけでして、しかも毎年のように附帯決議がついて、ちょっとでも縮めていけということでしょう。それなら、これ縮めた努力というのは一もないわけでして、恩給の方は努力しているということです。そういうことを考えますと、これは大臣、一緒にすべきじゃなかったかと、こう思うの。ですが、大臣どうですか。
  127. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) この問題は地方公務員共済年金制度だけの問題ではございませんで、恩給その他、公的年金制度に共通する問題でございますので、今後、関係各省と協議をしながら慎重に検討を続けていくべきである、こういうふうに思っております。
  128. 中野明

    ○中野明君 何か巷間伝えられているところによりますと、非常に政治的な配慮で圧力があったとかなかったとか言われているわけでして、非常にそういう点が、年金行政を預かっておられる担当者として、大臣所管大臣として、また局長として、こういうことになったら実際はお困りになるんじゃないかと思うのですね。ですから、やはり整合性を保って、そして公平の観点ということでいきますと、これは格差をさらにまた助長する、官官格差をまた助長するようなことにもなりかねないんで、そういうことを私どもはこの法案に対して非常に不満を感じます。  いろいろございますけれども、以上、私の考えを申し述べて質問を終わりますが、将来の課題として検討していただきたい、このように思います。
  129. 神谷信之助

    神谷信之助君 私は、二つの点を開きたいんです。  一つは、先ほど同僚議員も質問いたしました既給一時金のことです。それからもう一つは、財源率の問題です。  先ほども話出ましたから、既給一時金の控除問題の方から先にやりたいと思います。  大臣は新しいので、これいろいろややこしいんですけれども、具体的には大変なことになっているんです。  若干具体例申し上げますと、これは一昨年の当委員会で、したときに提起した問題ですが、京都府の一時金控除の実態を調べてみると、五十七年の三月三十一日調査で、退職年金の受給者数の千七百六十九人に対して一時金を控除されている数が五官五十八人、三二%いるわけです。それで、その控除されている人の内容を具体的に言いますと、例えば明治三十九年生まれで、二年前ですが七十六歳だった人が十二年七カ月就職して昭和十一年一たんやめて、それから十六年の十一月に再就職して、二十五年の十一月に吏員になったわけです。その吏員になるまでが九年一カ月あります。それから三十八年の七月に退職されてます。その人が雇傭人から吏員になったときに退職一時金を二十六年三月五日に一万九千八百四十五円もらった。二万円足らずもらったんですね、退職一時金。ところが、退職してから一時金がずっと控除されまして、今日まで十八年七カ月間の間に控除された額は二百六十九万七千六十四円になるんですよ。だから、昭和二十六年の三月五日に雇傭人から吏員になったために退職一時金を二万円足らずもらったのが、おととし現在までで二百六十九万七千円も控除されているわけです。これはまだずっと続いて、この人が亡くなっても遺族年金からまた控除されるんですよ。だから、遺族年金の権利がなくなるまでずっと年金もらっても、そこからまた控除されるという状況がずっと続くわけです。  これは先ほど公務員部長言いましたように、それはそれなりの理屈があるんですよ。当時のそういう雇傭人から吏員になるときに制度が違っていますから、それを通算するためにそういう方法をとらざるを得ぬ、計算のルールがそれぞれ違う方法でやっていますからそういう状態が起こっているというのは、それはそれなりの理屈がある。しかし当時は、公務員というのは退職してそしてあとの余命の平均年数というのが十年ないし十五年ぐらいという計算でそれほど大きい矛盾は起こらなかった。ところが今、御承知のように高齢化社会になってきている。だから、ずっと寿命延びていますから、引かれるのがずっと期間が長くなってくるし、同時にインフレで、当時二万円といったら大きな金だけど今だったら大したことないように、ぐっと貨幣価値が変わっていますから、そういう点からこんな状況が起こっているんですよ。だから僕は数回、当委員会でも何遍も言ってきたんですね。それによって、五十五年の改正でしたか、新しくはこれから発生しないことになりましたね。それからもう一つは、最低保障額をもらっている人からは控除しないと、こうなりました。だから、やっとそこまでは改善されてきたんだけれども、根本的にはまだ解決されないという状況になっている。そこで、当委員会の附帯決議にも毎年出ているんです。  そこで、大蔵省来てもらっていますね。  昨年に国公共済と安全共済が統合になって、具体的にはこの四月から施行ということになって、安全と国公共済との関係で、一時退職金をもらった人の処置というのが今までと新しく変わったわけですね。ちょっと若干簡単でいいですから、それを説明してほしい。
  130. 坂本導聰

    説明員(坂本導聰君) 今御指摘のように、本年四月から国家公務員共済、公企体共済が統合されました統合法が施行されたわけでございますが、これは両共済の統合に伴いまして、従来両制度が分かれていることによって、一時金を受けていたものにつきましては、その一時金について利子相当分を加えたものを控除して年金を支給するということにしたわけでございます。
  131. 神谷信之助

    神谷信之助君 だから、ことしの四月で一時退職金の分はもう固定視する、後へ作用しないというそういう措置にして、ことし四月分までの利子は年五分五厘の複利計算でやって、したがってそれ以後はもう利子もつかないし、いわゆる控除額がふえるということもない。ことしの四月で停止するわけですね。そうして今度は、年金をもらったときには、年間の年金の二分の一以内で返還する。そうすると、大体二年ないし三年で、将来やめても、それで返せるわけです。というのは、もう後、利子つきませんから、ことし四月までで。以降は、ずっと勤めておって、先、十年後に退職しても年金から引かれる額、返還額というのはもう返還額として決まるわけです。こういう仕組みができたわけですよ。だから、これは新しい、先ほど部長が役人らしくない発想でという、知恵を出してという話もありましたけれども、ある意味では新しい発想で、それ以後の措置だと思うんですね。  重ねて大蔵省に聞くんだけれども、国公と安全との関係ではそうやって決まったんだけれども、国公自身の中あるいは安全自身の中では、これはまだ措置されてないわけでしょう。これはそういう点では、移った人は、例えば郵政職員から電電公社の職員になったような人で退職一時金もらった人はそれで解決するけれども、今度統合されたときに、国鉄なら国鉄で雇傭人から、現業から吏員になったというような人についての退職一時金の問題とか、あるいは国公の雇傭人から吏員になった場合のもらっている退職一時金の問題とか、それぞれの部分はまだ残されている。片一方は解決されて片一方は解決されぬというのは、これは矛盾があると思うんですね。この点については、私はもう時間がありませんから結論的に言いますが、先ほども議論になっている来年には基礎年金導入に伴う法改正ということもあるんで、そういう一つの大きな改革の時期ですから、これはその時期に、これも同じ発想でいいのか別の仕組みを考えなきゃいかぬのか、これらのものも含めて検討して、それまでには解決するというようにしてもらいたいと思うんだけれども、その辺はいかがですか。
  132. 坂本導聰

    説明員(坂本導聰君) 御指摘の点につきましては、今後私ども、共済制度をどうするかという中で検討はさしていただきたいと存じます。  ただ、先ほど御指摘のございました公企体と国共済の統合に伴う一時金の処置とただいまの御指摘の旧法時代の措置は、これは旧法時代はもう一時金を受けたものは全く年金に結びつかなかったというものを、新共済法にする段階で、一定の控除をした後に年金の資格期間として有利に扱って認めたということでございますので、両者が全く同一の問題であるとは必ずしも言えないと存じます。
  133. 神谷信之助

    神谷信之助君 そう言うだろうと思って聞いているんだけれども、そういう点では公務員部長、どうですか。これは役人的発想ではどうにもならぬわけですよ。それで現実には、先ほど具体例を言ったように、本当にちょっと二万円足らずの退職一時金もらったら、それからずっと引かれてきて、十八年七カ月の間に二百六十九万円もこれは控除されておるわけですね。これはまだまだずっと続くというのは、これは情勢が、経済的諸条件が大きく変化したわけですから、この点では発想を変えてやらないと、来年の法改正までに解決するということにならぬと思うんです。大蔵省自治省もそうだけれども、特に大蔵省が中心になるんだから、どこかで停止をして、そこで一たん切らなければ……。それから、通算に当たっての有利な措置というやつは、もう実際言ったって、今から見ても三十七年当時ですから、もう二十年からたっているんだから、二十年超えているんですから、その辺のところの発想も切りかえなければ、この問題いつまでやっていても解決しないと思う。この辺いかがですか。
  134. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 国共統合法の内容というものは私もそんなにつぶさに存じませんが、その統合法によりますと、三十一年ですか、公共企業体共済法ができましたのは。それ以後の期間というものについての年金の計算の仕方は国家公務員共済法に基づいてやるんだと、こういう扱いになっておるというふうに記憶しております。  ただ、私たちが今問題として提起をされておりますのは、地方公務員共済の場合には、地方公務員共済法が施行される以前の期間についての年金の計算の仕方というのは、先生が今お挙げになりました例で申し上げますと、二十六年に雇員から吏員になった、そうすると二十六年以前は旧国家公務員共済法が適用されていた、吏員になってからは退職年金条例が三十七年までですか、適用された。そして、三十七年までの期間の年金というのはどういうふうな計算をしておるかといいますと、今の地方公務員共済組合法よりも有利な退職年金条例で計算して、そしてそれ以後の地方公務員共済組合法に基づく年金の額と合算して計算していく、こういう仕組みでございますから、先生のおっしゃることはおっしゃることとして私もよく理解できますけれども、旧法時代のものは有利なやつで計算して、引くやつはとにかく旧法ルールによるなということは、やっぱり理屈としてはなかなかのみ込みにくいものが、なお残るような気がいたします。  別段、私は先生の御提案に対して後向きで仕事をしようと思ってこういう御説明をしているわけじゃございませんけれども、理屈は理屈として、やはりそこに残っておるんじゃないかというふうに思います。  先ほども答弁申し上げましたように、来年の共済年金の統合のときの検討課題の一つというふうな認識は持っておりますので、そういう意味におきまして、それからも検討さしていただきたいというふうに思います。
  135. 神谷信之助

    神谷信之助君 だから、計算の仕方自身を、ある程度限定的だけれども、方法を変えなければいかぬでしょう。退職金条例時代の部分の計算の方法をいつまで持続をするか、一定のところで、これから将来何年ごろまでで切っちまうということも含めて考えるか、そういうことをやっぱり考えなければ、これはいかぬと思う。しかし、それでも役人らしい発想でいけばそういうことになっちゃう。それをどこまで役人らしからぬ発想にしていくかということで、制度改正がしやすい条件というものが片一方で生まれてくる。いわゆる既得権の問題が出てきますから、そういう問題がある。技術的にはその辺のところの調整の問題だろうと私は思います。だから、これは大臣、先ほど申し上げたように、具体例挙げましたけれども、歴代の大臣に聞いたら、現実には矛盾していると思う、何とかせにゃいかぬ、しかしそれはそれなりに理屈はあるんで難しい問題だということになりますけれども、僕は結局、おととしですか。世耕大臣のときも言いましたが、世耕さんも、何かちょっと大きい改革のときにやらなければできないだろうということを答弁されているんです。だから、そういう点でいうと、六十年の法改正がもう目の前に来ていますから、これは技術面、事務的にも詰めなきゃならぬ問題であると同時に、ある程度政治的な決着をつけなきゃならぬ、大蔵大臣なり各省に関係あります、農林大臣にも文部大臣にも関係しますから。その辺をひとつ大臣に十分理解してもらって、この次の法改正には間に合うように解決をしてもらいたいということをお願いしたいと思いますが、いかがですか。
  136. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) この問題は、神谷さん大変御熱心に従来から御論議されているということは私も聞いております。今後におきます共済年金制度の全体の見直しの検討の中で、ひとつぜひ真剣に検討をしていきたいと、このように思っております。
  137. 神谷信之助

    神谷信之助君 次に財源率の問題にいきますが、去年の九十八国会で、長期給付の積立金を三〇%プールして財源率一本化のための連合会組織ができました。四月から連合会が発足しているんですけれども、ことしの十二月から一元化されて一律の財源率になるということになるわけですけれども、昨年も私は、個々の単位組合の現在の財源率に比べて今度一本化したら上がるのか下がるのか、どうだと言っていろいろ聞きましたけれども、その見通しはなかなかはっきりしなかったんですけれども、現段階はもうこの十二月に改定という状況になっている。計算を今されているようですけれども、どの程度引き上げになるというように自治省は見ておられますか。
  138. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 現在、先生がおっしゃるとおり、計算をいたしております。五十四年に財源率の再計算をいたしました後の組合員の状況あるいはまた年金取得者の状況年金額の状況、そういう資料を集めまして、現在計算しておるわけでございますけれども、現在の段階で言えることは、一つは、非常に年金受給者というのが急速にこのところふえてきておる、成熟化が進んでおるというふうに言われておりますが、そのことと、そしてやはり高齢化が進んでおるというか、余命が長くなっておるということ、そして毎年といいますか、年金改定のたびに積立金が不足しておるというような要素がございますので、ことしの十二月の再計算の結果を待たなければなりませんけれども、数字として申し上げることはまだできませんけれども、相当程度の財源率のアップになるんじゃないかというふうに見ております。
  139. 神谷信之助

    神谷信之助君 ことしの二月の二十八日に公務員部の福利課長名で「地方公務員共済組合等に係る地方公共団体の負担金等の財源措置について」という通知を出しておられますが、これは五十九年度地財計画上の財源措置になっていると思うんですが、長期給付の負担金の割合というのは、一般職で都道府県、市町村、それはどうなっていますか。市町村及び都市ですね、同じですが。
  140. 秋本敏文

    説明員(秋本敏文君) 長期給付の財源率に対して負担金の方の占める比率は五七・九二五でございます。
  141. 神谷信之助

    神谷信之助君 違うだろう、五七・九というのは。長期給付の方は千分の七十五一七が地方職員と違うか、都道府県、一般職員。それから市町村の方は千分の七十五・六か……。
  142. 秋本敏文

    説明員(秋本敏文君) 先ほど申し上げましたのは、財源率に対して占める負担金の方の比率を申し上げました。で、具体的にその財源率としてのうち負担金として負担するものの数字で申し上げますと、今先生御指摘ございましたように、地方職員共済組合の場合は給料の千分の七十五・七といったようなことでことしの二月の通知の中の数字はなっております。
  143. 神谷信之助

    神谷信之助君 だから、先ほどの答弁で、財源率千分の百七十に対するそれの占める割合で五七・九という数字でしょう。この千分の百七十なんですが、財源率、その推定というかその根拠というのは、これはどういうことですか。
  144. 秋本敏文

    説明員(秋本敏文君) 先生御指摘のございました、ことし二月に私どもの方から各県に対して通知をしました財源措置の通知でございますけれども、これは長期給付については地方団体の負担が伴ってまいりますので、それについての財源措置を、地方財政計画に計上あるいは地方交付税の算定等を通じて行う必要がある。それを行うのに、先ほど来御指摘ございますように、ことしの十二月には財源率の再計算をしなければならない。再計算をした後においても、なお地方団体が負担をすることができますような財源措置をしておく必要がある。ただ、財源措置をする段階におきましてはどの程度の数字になるのかわかりませんので、とりあえず国家公務員共済組合につきまして国が予算措置をしております数字、これを用いて財源措置をするということにいたしております。したがいまして、十二月分以降につきましては、国が予算措置をしておりますのと同様の数字をもって積算をした。その結果が、ただいま申し上げましたように、長期給付についての負担金が給料に対して千分の七十五・七というようなことになっているわけでございます。
  145. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうすると結局、千分の百七十というのを十二月以降にしたというのは、岡の予算措置がそうなっているからそうしたということでしょう。大蔵省、千分の百七十という財源率の根拠はどういうことになりますか。
  146. 坂本導聰

    説明員(坂本導聰君) ただいま秋本福利課長からもお話がございましたが、国家公務員の場合、五十九年十月に財政再計算を行うわけでございまして、今確定した数字はございません。しかしながら、同様に国も事業主としての負担あるいは公経済負担というものを予算化しておかなければならないということで数字を出しているわけでございます。その場合の数字は、前回五十四年十月に再計算をした際の基礎数値をもとにいたしまして、五十六年度決算が出たところで、受給者とかあるいは五十四年以降の給与の変更等を織り込んで修正した数値でとりあえず出したというものが百七十でございます。この百七十と申しますのは、本来あるべき平準保険料率と申しますのは、これは前回計算いたしましたときは百五十三・五でございました。ところが、先ほど公務員部長からもお話がございましたように、その後の年金額の改定あるいは前回積み残し一十分に保険料を取っていなかったということ等がございまして、実は大幅に上がって、先ほどの五十六年決算をもとにしたところでは二百十に上がるということになります。しかしながら、私どもは本来この二百十を財源率として考えるべきだとは思いますけれども、一挙に二百十というわけにはいかないので、修正割合を二割掛けまして、八割を実行保険料率として考えるということで措置をしているところでございます。その結果、国家公務員の場合は百六十八という数字になります。この百六十八というものと国家公務員の同様の前回の再計算時の百二十三というこの伸び率を地方共済の財源率に適用されたのではないか。これは従来からも地方共済の財源率は、結果的に見まして国共済の財源率とほとんど同様の動きをしているというところから来ているのではないかと考えております。  以上でございます。
  147. 神谷信之助

    神谷信之助君 そこで、二割の調整比率を掛けて百六十八にして、百二十三から百六十八の伸び率を今度は地共済に掛けてきたと、こういうことなんですが、それで見ますと、例えば財源率の推移ですが、昭和三十九年は千分の百七・五、五年後の四十四年が百七・五、これは変わらない。四十九年になって百十二、五十四年になって百二十四・五、それが今度百七十と、こうなるわけですね。仮定ですけれども、一応予算上は百七十という計算をした。五十四年から五十九年べらぼうにふえるんですね。だから成熟度がずっといくというのはわかるが、こんなに今までの推移からいっても異常な伸びになるというのは一体どういうことなんですか、説明してください。
  148. 坂本導聰

    説明員(坂本導聰君) これは国共済あるいは地方共済という共済だけの問題ではなくて、我が国公的年金制度全体を通じて成熟化状況が急速でございまして、前の五年間とその後の五年間というものではなかなかとらえがたい。私どもの国共済、今手元に正確な数字はございませんが、このまま放置しておきますと、昭和八十年代にはこの財源率も四割、四〇%というようなところにいってしまうのではないかと考えております。したがって、そういった大きな流れから申しますと、今回の地共百七十という程度は当然考えられる数値であると思います。
  149. 神谷信之助

    神谷信之助君 財源率というのは組合員の給料額が分村で年金の給付に要する費用が分子ということになるわけでしょう。だから、成熟度が高まるということは分子が伸びると、こういうことになるわけですね。同時に、この五年間の特徴は組合員の給料額の上がりが少ないということもあるんじゃないか。一年間ストップしておりますし、去年二%しか上がっておらぬ。この分母の伸びが少なくて、分子の伸びがまたがっと今までよりもふえている。こういう結果、非常に財源率がこの五年間で伸びざるを得ないという状況になっていると言えると思うんだけれども、その点はいかがですか。
  150. 坂本導聰

    説明員(坂本導聰君) ただいまの御指摘給与水準、ベアが小幅であれば大きく財価率が上がるという御指摘でございますけれども、むしろ結果は逆でございまして、年金額というのは最終一年間の俸給で計算されているわけです。一方、保険料は毎年の給与から出していくわけでございますが、過去に給与のベアがないときの時代の保険料を取っているわけでございますから、したがってベアが大幅に上がりますと、ベアがまだなかったときの保険料で将来賄おうとすれば、当然穴は大きくあいてくるという傾向にあるのではないかと思います。
  151. 神谷信之助

    神谷信之助君 ちょっと私は異論がありますが、それを議論していると時間がありませんから先へ進めます。  ただ、今の都道府県財源率でいくと、現在が千分の百二十四・五、これが仮に百七十ということになると、伸びは千分の四十五・五ふえるわけですね。それに対して職員の負担分も現在千分の五十二ですね。だから、これが百七十の負担が四二・〇七五ですか、それでいくと七十一・五二になります。だから、この伸びは千分の十九・五、仮に百七十ということになれば千分の十九・五伸びるということになりましょう。組合員負担は二%になるんですね。だから、これは二%といったら、ちょうど五十八年の給与のアップが二%でしょう。五十八年は給与改定二%上がったといっても、この十二月からは、その分は全部共済の掛金の長期の負担金で消えてしまう。もちろん、別に短期がありますから、短期もふえるでしょう、こうなってしまうんですよ。これは、せっかく給与改定をしても全部消えてしまうという状況になるんですよ。これは、公務員部長は職員の給与について責任を持ってはいないけれども、どうですか、これ好ましいことですか。
  152. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) ことしの十二月に再計算しましたらどういう数字になるか、まだ未定でございますけれども、私たちといたしましては、この財源率の再計算というのは、与えられました客観的な資料に基づいて計算して出すということ以外やりようがございませんので、そういう資料に基づきまして出しまして、そして関係方面といいますか、関係審議会にお諮りしてお決めいただくという手続になると思いますけれども、公務員給与のアップ率との関係はどうかと言われますと、そのことについては、それは二%のアップがあって本当に二%のアップになるということになりますと、厳しい時代になったなという感じしかないということだと思います。
  153. 神谷信之助

    神谷信之助君 いや、あなたもそうなんだよ。公務員部長もそういうことになるわけだ。  それで大臣、今年度、五十九年度の人事院勧告がどういう内容になるかわかりませんが、こういう去年は六%余りのやつを抑えて二%にしたけれども、それは結局、共済年金の負担金、長期の分だけの負担金で吹っ飛んでしまうというような状況ですね。だから私は、これは一つは、今年度の人事院勧告はどうしても完全に実施してもらって、自治体もそれに応じてやれるようにしてもらうということと、もう一つは、やっぱり公費負担をふやさなければ、いわゆる公的負担の部分、今十五・八五のやつをふやしていくということも同時に考慮しなければ、これは賃上げ分にもならぬような、次の五年間、五年後には、状況になる危険さえある。その間に年金制度のいろんな手直しがあるかと思いますけれども、そういう問題を抱えているということを御理解いただいて、ひとつその点での御努力をお願いしたいと思うんですが、いかがですか。
  154. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 人事院の勧告については、これは当然尊重して実施を図っていかなければならない問題でございますし、私ども地方共済制度の万全を期していかれるように・今後とも努力をしてまいります。
  155. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  156. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 御異議ないと認めます。  本案の修正について志苫裕君から発言を求められておりますので、この際これを許します。志苫君。
  157. 志苫裕

    志苫裕君 私は、日本社会党を代表して、修正の動議を提出いたします。  その内容は、お手元に配付されております案文のとおりであります。  地方公務員年金制度にはいろいろの矛盾や問題点があり、また本改正法案による年金額の改定も不十分でありますが、とりあえずは、改定の実施時期を本法施行日の前後、すなわち恩給分と年金分に差をつける合理性がないので、これをいずれも五十九年三月からとすることのみに絞って修正を求めることとしました。  何とぞ慎重審議の上、御可決協らんことをお願いいたします。
  158. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) これより原案並びに修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  159. 神谷信之助

    神谷信之助君 私は、日本共産党を代表して、昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案及び社会党提出の修正案に対し、反対の討論を行います。  反対の第一の理由は、年金額の引き上げを人事院勧告を無視した国家公務員の給与改定率に連動させ、平均でわずか二%という極めて低い率にとどめたことであります。  反対の第二の理由は、実際、平均わずかに二%という引き上げでは到底年金受給者の生活を保障できるものではないからであります。五十八年度年金額の引き上げが見送られた一方、この二年間の物価上昇率が四・三%になっているということを考えれば、このような今回の引き上げ幅では物価上昇分さえ償い得ないばかりか、実質的には年金受給者の生活実態を後退させるものと言わざるを得ないのであります。そのため我が党は、せめて五十九年度人事院勧告並みの六・四七%程度の引き上げを行うべきであると主張してきましたが、この趣旨は恩給法の修正案提出において明確に表出してきたところであります。  反対理由の第三は、現職公務員の給与抑制と、高齢社会に向かう年金成熟度の上昇とによって、組合員負担は、予算基礎となった財源率をもとにすれば約二%増になり、給与上昇分は消え去ってしまうことからであります。このことは、人事院勧告完全実施の必要性を示すとともに、公費負担の増額を求めているものと言えます。  反対理由の第四は、従来どおり恩給法の改正に準じた措置としながら、実施時期を恩給法より一カ月おくらせていることであります。恩給法に準ずるならば、当然三月一日からの実施とすべきものであります。  以上が政府原案に対する反対の理由であります。  なお、社会党提出の修正案は、実施時期を一カ月早めようとするもので、この点については賛成ですが、ただいま指摘した政府原案の本質的な問題点を根本的に変えるに至っておらず、賛同しかねるものであります。  以上で、政府原案並びに社会党修正案に対する反対討論を終わります。
  160. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  161. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、志若君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  162. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 少数と認めます。よって、志苫提出の修正案は否決されました。  それでは、次に原案全部の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  163. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  164. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十五分散会      —————・—————