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佐藤三吾君 私は、ただいま議題となりました
地方交付税法等の一部を
改正する
法律案に対し、日本社会党を代表し、反対の討論を行うものであります。
対GNPに占める
地方財政の比重は、最近では、
昭和五十六
年度の一九・三%をピークに漸減し、
昭和五十九
年度見込みにおいては、一六・三%と、
昭和五十三
年度に次いで低いものとなっております。医療、教育、環境保全、福祉はもとより、地域経済振興においても、
地方行
財政の役割が増大しているにもかかわらず、これとは全く逆に比重は低下しているのであります。
その原因は、政府の行政改革によって、
地方財政規模が、特にここ一、二年、強く圧縮されたことに加え、本来国が負うべき
財政責任を
地方に転嫁しているからにほかなりません。この際政府は、このような政策が
地方財政のみならず国民経済的にも重大な禍根を残すものであることを強く肝に銘ずべきであります。
以下、主たる反対理由を申し上げます。
第一は、本
年度地方財政対策の柱である特別会計における借り入れ政策の取りやめと
特例措置の問題であります。
昭和五十
年度以降続けられてきた
交付税特別会計における借り入れをやめることは、確かに国、
地方の責任区分を明らかにする
意味を持つことではありますが、しかし最も大切な借金政策をやめるための
条件、すなわち
地方交付税法第六条の三第二項に言う
措置が全く顧みられなかったことは、
地方財政の存立基盤をますます危うくする結果となっているのであります。
第二は、
特例措置の内容と既往の借入金負担の問題であります。政府は、
特例措置を盛んに
制度の
改正と強調しておりますが、その実態たるや、既往の利差臨特、地域臨時、財対臨時を単に置きかえたものにすぎません。従来、国が交付することを約束していたこれらの臨時特例交付金を衣がえしただけの、むしろ著しく後退した
措置をもって
制度の
改正などと独調することは、
地方財政を甚だしく軽視するものと言わざるを得ません。
第三は、
交付税特別会計における既往の借入金の折半問題であります。十一兆五千二百億円について、国五兆八千三百億円、
地方五兆六千九百億円と、それぞれ折半することとしておりますが、これら借入金は、
昭和五十
年度以降の
地方財政対策において、本来国が
措置すべきものであったことは言うまでもありません。にもかかわらず、今回、
地方財政自立の美名のもとにこれを折半し、三千六百三十八億円の利子負担を
地方に押しつけることは断じて容認し得るものではありません。まして
地方交付税率が表面的には三二%に維持されているとはいえ、こうした
措置によって実質〇・七%切り下げられた結果を生んでいることを見れば、本
年度の
特例措置は、いかに
特例措置に値しないものであるかを明らかにしておるのであります。
第四は、
財源不足の補てん方法と
健全化の問題であります。一兆五千百億円の
不足額について、その根拠がたいままに一兆二千五十一億円の
財源対策債で約八〇%を補てんしたことは、従来の
措置を全く無視したやり方であります。周知のように、これまではおおむね五対五程度であり、これが一気に二対八と後退したことは、
健全化のために
交付税特別会計における借り入れをやめたと言いながら、実際には、
地方財政の
健全化を大きく阻害するものと言わなければなりません。
本
年度の
地方財政対策の発想が、表向きにはこれ以上の借金を行わないことを建前としながらも、その実態は結局、
大蔵省が国の一般歳出を対前年比マイナスにしようとすることに力点を置き、そのためのテクニックとしてとられた
措置を受け入れたにすぎないのであります。既に明らかでありますように、そこには
地方財政の自立、自助の基盤を整備しようとする
視点は全くありません。ただあるのは、国の都合から、
地方は自前で借金しろという負担の押しつけだけであります。このような対策が
地方分権を標榜する旧川
自治大臣のもとで行われたことは極めて残念なことであります。三千三百を超える
自治体にとって、このような対策を押しつけられたことに加え、五十八
年度に続いてさらに
地方債において
給与条項を盾に
財政運営に対する
自治省の侵害が強化されようとしていることは、
地方自治にますます暗雲を投げかけるものであり、私は強く批判せざるを得ません。
この際、政府は
地方自治の原点を直視し、その
発展を図るべきであることを強く
主張して私の討論を終わります。