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政府委員(
石原信雄君) 農業改良普及事業費
補助金という
補助金が従来あったわけでありますが、これは農業改良普及員の設置に要する経費について国がその三分の二を
負担する、それから、関連して農業改良普及員の活動経費について三分の二ないし二分の一で
補助金を交付する、こういう
制度であったわけです。その当時におきましては、当然、
補助金そのものは一定の基準で計算された人件費に対して一定
割合の
補助金が交付される、あるいは一定の事業について一定の基準で活動費の
補助金が交付される、こういう仕組みになっておったわけですが、五十八
年度の
改正によってこれがいわゆる交付金
方式になりました。交付金
方式になりましてからは、農業改良普及所の数でありますとかその他客観的な指標でもって、一定の単価で
関係の交付金を交付する、従来は
補助金で、何人いるからその人件費に対して何分の一として
補助金幾ら、そういう交付の仕方をしておったんですけれ
ども、五十八
年度からはいわゆる交付金となりまして、普及所の数などについて一定の単価を乗じたものを交付する、そしてその交付金の範囲内で都道府県はこれを農業改良普及員の人件費に使ってもよし、またこの活動費に使ってもよし、協同農業普及事業の振興のために都道府県が自主的にこれを使うことができるという選択の範囲が広くなった、地方の自主性が強く発揮できるような仕組みになったということでございます。
したがいまして、私
どもの方の
地方財政計画の積算あるいは単位
費用の積算に当たりましては、従来であれば職員何人分の人件費に対して何分の一という、そういう積算をしておったわけですけれ
ども、五十八
年度からは交付金になったわけでありますから、交付金の計算式に従って、
財政計画であれば交付金が全国
総額で幾らというものが歳入の方に上がってまいります。歳出の方はいわゆる補助事業、
補助金、
負担金を伴う経費として上がるんではなくて、地方の単独の一般行政費の中に必要な経費を計算する、こういう
方式に変更いたしております。
それから、
交付税の方でも、従来は単位
費用の中の歳出で、農業改良普及員が何人でその人件費が幾らというものをまず示しまして、それの何分の一として歳入に
補助金を計算する、それを差し引く、こういうやり方をしておったんですけれ
ども、交付金になりましたから歳入の積算基礎と一応関連を断ち切りまして、全国的な基準で、標準
団体に交付されるであろう交付金の額を歳入にまとめて計上する、歳出の方の人件費とリンクさせないで計上する、このように切りかえております。これはあくまで交付金については地方の自主性を尊重するという趣旨で
制度改正が行われたわけでありますから、私
どもはこれは非常に望ましい
改正の方向であると考えております。
ただし、そのことによって、従来の
制度に比べて農業改良普及員の設置に要する経費に対してこの交付金が少なくなる、そのために、
制度の
改正のために地方の手取りが減るということではいけないわけでありまして、必要なものは、
ベースアップがあればそれに相当する交付金の増額を行うとか、物価上昇があればそれに応じて交付金の増額を行う、こういう
意味で必要な事業を遂行するに足るだけのものは確保する、こういう
考え方で、ただ、その
配分の仕方あるいは地方
団体の使い道について地方の自主性を高める、こういう
改正と理解しております。そういう
考え方で
交付税の積算も行っております。今度、保健所運営費につきましても保健所職員のいわゆる人件費補助が交付金化になりましたので、これにつきましても農業改良普及事業と同様に、私
どもは地方
団体の選択の幅は広まったものと考えております。
しかし、この
改正によって国の持つべきもの、国の
負担すべきものが減らされるということであってはならない。あくまでこれは
補助金制度の交付に伴ういろんな手間暇を省略する、地方の主体性、自主性を高める、こういう
改正だ、このように理解しております。