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神谷信之助君
大臣はそういう点では御経験がないから、そういうきれいごとをおっしゃるんですけれ
ども、
自治体に働く、希望を持って
自治体に働こうといって乗り込んでくるというのは、そうざらにいるわけはない。
とりわけ戦後の歴史を見ますと、今まで町だったのが市になっていく、今までは百姓
仕事をしながら長男が残された田んぼと墓をお守りする、だから農繁期には休んで畑
仕事もやるというような時代もありましたよね。しかし、それが都市化が進んで大都市になっていく。そうすると、そういうことでは済まなくなってくる。優秀な人材に来てもらわなければならない。そうしたら、どうしたってよそよりは有利な
条件を出さなければ出てこないわけです。
国家公務員なんかのエリートの人なんかですと、初めは給料が低くても、しかし将来はずうっと次官まで行けるし、場合によったら国会にも乗り込んでいけるというようないろいろな道があるでしょう。だから、そういう点では、初めは辛抱してでもと言って官庁へ行く人、上級試験を受けていくという人もありますよ。だが、
地方公務員の場合はそんな道もないわけですよ。だからなかなか来ない。それと、景気が高揚しているときは今度は大企業がどんどん好
条件を出す。そっちで採っていくわけでしょう。だから少数精鋭でやろうと思ったら、少数精鋭に来てもらうのに苦労して今までの
条件というのはつくられてきているんですよ。
そういう
条件の中で、しかしおっしゃるように、どんどん給料は高ければ高いほどいいというわけじゃない。
民間ならば幾らでも高くすることはあるんです。高い給料を出してもだれからも文句は言われぬでしょう。しかし、
地方自治体
労働者の場合はそうはいかぬ、
住民の批判もある。だから、
地域の
労働者の
条件なり何なりも考慮して、出せば幾らでも出せるという問題ではなしに、一定の限度がある。これが
自治体の現在の
状況ですよ。だから、
民間の企業の経営とはまた違ったそういう側面を持っているんですよ、
自治体というのは。景気が悪いときには割合に役人を志望する人もふえるけれ
ども、景気がよくなったらなかなか来手がない。それはもうはっきりしているんですよ。それは労働
条件が悪いから。嫌気が悪くなれば
民間の方も
賃金が下がりますから
条件はよくなくなる、そうしたら
公務員にでも辛抱していこうか、そこしか行くところがない、こういう情況も出てくる。そういう中でつくり出されてきているのが今の
人件費の水準ですよ。
だから、そういう歴史的な過程と、それからもう
一つは、
最終的にそれを
判断し決定するのは
住民なんですから、
自治省がどうのこうのというべき問題ではないということを申し上げておきたいと思うのです。
そこで、問題は
起債の
許可なんですけれ
ども、これは、五十八
年度は
人件費が高いということを口実にして、それを
理由にして、
財政が豊がだということで
起債の
制限をした、こうおっしゃるのだけれ
ども、そういう
判断は
自治省の
判断で任意にできるわけですか。どこの
団体が富裕である、
財政的に
余裕があるとかどうとかということを
自治省がそういう
人件費だけに例をとって
判断をするという、そういう権限があるのか、あるいはそれが正しいのかどうか、この点はいかがですか。