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1984-04-06 第101回国会 参議院 地方行政委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月六日(金曜日)    午前十時開会     ―――――――――――――    委員異動  四月二日     辞任         補欠選任      海江田鶴造君     上田  稔君      服部 信吾君     中野  明君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長        大河原太一郎君     理 事                 岩上 二郎君                 真鍋 賢二君                 志苫  裕君                 三治 重信君     委 員                 井上  孝君                 加藤 武徳君                 上條 勝久君                 出口 廣光君                 松浦  功君                 吉川 芳男君                 秋山 長造君                 小山 一平君                 佐藤 三吾君                 中野  明君                 原田  立君                 神谷信之助君    国務大臣        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    田川 誠一君    政府委員        警察庁長官官房        長        太田 壽郎君        警察庁長官官房        会計課長     立花 昌雄君        警察庁交通局長  久本 禮一君        自治大臣官房長  矢野浩一郎君        自治大臣官房審        議官       田井 順之君        自治大臣官房審        議官       津田  正君        自治大臣官房審        議官       土田 栄作君        自治大臣官房審        議官       吉住 俊彦君        自治大臣官房会        計課長      大塚 金久君        自治省行政局長  大林 勝臣君        自治省行政局公        務員部長     中島 忠能君        自治省行政局選        挙部長      岩田  脩君        自治省財政局長  石原 信雄君        自治省税務局長  関根 則之君        消防庁長官    砂子田 隆君        消防庁次長    坂  弘二君    事務局側        常任委員会専門        員        高池 忠和君    説明員        行政管理庁行政        管理局管理官   八木 俊道君        国土庁長官官房        防災業務課長   松本 和雄君        厚生省医務局指        導助成課長    柳沢健一郎君        運輸省鉄道監督        局民営鉄道部土        木電気課長    福田 安孝君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○昭和五十九年度一般会計予算内閣提出、衆議  院送付)、昭和五十九年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付)、昭和五十九年度政府関係  機関予算内閣提出衆議院送付)について  (総理府所管警察庁)、自治省所管及び公営  企業金融公庫)     ―――――――――――――
  2. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る四月二日、海江田鶴造君及び服部信吾君が委員を辞任され、その補欠として上田稔君及び中野明君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 去る四月三日、予算委員会から、四月六日及び七日の二日間、昭和五十九年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち警察庁自治省所管及び公営企業金融公庫について審査委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  本件に関する説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 小山一平

    小山一平君 きょうは委嘱審査でございますから予算関係した若干の問題をお尋ねするわけですが、田川自治大臣に質問する機会、きょうが初めてですから若干の時間をいただいて、前段で大臣地方自治などに関する所信や考え方といったようなことをお尋ねしたいと思うのです。  最初は、新自由クラブの連合問題とか、その代表である大臣考え方などを聞こうと思ったんですけれども、もう随分今までにこの問題は議論されておりますから、そう重ね重ねというのも失礼にもなろうかと思いまして、これは省略することにいたします。  そこで、第一にお尋ねしたいことは、中曽根内閣が誕生してから約二年五カ月になりまして中曽根総理政治姿勢とかあるいは基本的な政策といったようなものがかなり明確に見えてきておりますが、大臣はどのように評価をされておりますか。
  5. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 第二次中曽根内閣が発足して三カ月余りになりますけれども、私が属している内閣評価するというのはちょっと申しにくいんですけれども、従来の、第一次の中曽根内閣とどの程度違っているかということをちょっと簡単に御説明いたしますと、まず一つは、衆議院の総選挙自民党が議席を大きく失って後退をされてから新自由クラブ統一会派をつくり、連立内閣をつくりました。で、総選挙に対する一つ反省というものが出ているというところが第一次内閣と私は違っていると思うのです。その反省のもとに、政治姿勢としては、私ども政策合意をした中に幾つか出ております。例えば政治倫理の問題あるいはまた平和外交推進教育改革行政改革については、従来、中曽根さんが主張をされておりましたから第一次内閣とそれほど変わりませんけれども政治倫理確立平和外交推進については力の入れ方が少し違うのではないかと、こういうふうに私は見ております。  それからもう一つは、与野党と協調をしていかなければならない、与野党との対話を進めていかなければならないという点は、第一次内閣と第二次内閣の違いが出てきているということが言えると思います。  それから第三点には、第一次内閣のときには核廃絶とかあるいは軍縮とかというようなことについてはそれほど力点を置いていらっしゃらなかったように私どもは受け取っております。今回はそういう点にかなり強調をされているというところが違うんではないか。  今申し上げましたように、大体三点が私どもが見ている第一次内閣と第二次内閣との違いである。最後に申しましたことに関連して、例えば防衛力GNP対比率についても、三木内閣の示したGNP一%を堅持していくというようなことはかなり明確に指摘をされているということもそのあらわれではないかと、こんなようなことを評価というよりも、第一次内閣と我々が参加したこととの違いを少し申し上げたわけでございます。
  6. 小山一平

    小山一平君 まあまあの評価をされているようですが、国民の間では中曽根さんの能弁であるとかあるいは活動的な能力であるとかというようなものはかなり評価をされながらも、何となく中曽根政治というものに危険なものを感じとっているように私は思うのです。これが世論調査などの微妙に揺れ動く要因一つにもなっていると思うのですが、大臣は、中曽根政治の中に何か危険なものがあるというふうな危惧は持っていませんか。
  7. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 危険と言うことはちょっと私ども困るんですけれども、私は中曽根総理とは随分古いつき合いでございまして、かつて自民党に所属していた当時はもちろんでございますけれども、その前から、中曽根さんがまだ当選してしばらくたってから、昭和二十四、五年ごろからのおつき合いなんです。ですから、割合に個人的には中曽根さんの性格を知っているつもりでございます。私は、あの人は非常に臨機応変で、御自分でも、私なんかより言いますと、政治というものは余り硬直して一本調子でなく、やはりそのときそのときの情勢で対処するということでなきゃだめだよというようなことをよく聞かされておりました。そういう点が私なんかとはちょっと違うんです。違うから途中でたもとを分かったわけでございます。しかし、私はむしろそういう点が中曽根さんのまたいいところではないかというふうにも見ているわけでございまして、ですから成立当初、随分ぼんぽんおっしゃいました。そのことに対する国民反発もあったし世論反発も非常にあった。ですから、私は中曽根内閣ほど成立当初、世論調査支持率が下がった内閣はないと思うのです。本来なら、そういう発足当時に国民支持を失った内閣というのはそう長続きしないのが今までの例だと思うのです。それがやはり今日まで続いてきており、ついこの間の世論調査などでは、複数の新聞の世論調査はやっぱり支持率が上がっているわけですね。それはどこにあるかと言えば、やはりいつも中曽根さんの特徴が生かされているのじゃないか。非常に軍備に力を入れだというような姿が一時強くアピールされて、そしてまた今度逆にハト派的な形が出てきているということがこういう状態になっているのじゃないかと。ですから、これは見方の相違でございますから、それを危険と見るかあるいは柔軟と見るか、ここにあると思います。私は、少なくとも私どもが参画をしている間は御心配のような点はないと、このように見ているわけであります。
  8. 小山一平

    小山一平君 中曽根内閣の閣僚の一人でございますから、そんな程度の御答弁しかできないのは当然だと思います。これはもうこの辺にします。  最近、財政問題に振り回されまして、地方自治のありようだとか位置づけといったような基本的な問題がおろそかになっているように思います。これは大変憂慮すべきことだと私は思っております。現憲法地方自治の一章が設けられた歴史的な意義というものが私は地方自治の原点であるはずだ、こう常に思っております。憲法第九十二条に規定されている地方自治の本旨の学問的な解釈は必ずしも一定したものとはなっておりませんけれども、旧憲法時代の国の行政が余りにも中央集権的官僚行政になっておって、その行き過ぎや弊害について深い反省があり、その上に立って地方分権基本にした地方制度改革を行って民主政治基盤地方自治に求めよう、これが私は地方自治基本になるべきものだというふうに考えております。大臣はこの点どのように認識されておりますか。
  9. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 小山さんおっしゃったこととほぼ同じような考えを持っております。特に、御指摘になりましたように、地方自治憲法一つの章に明記されているということは、戦争放棄の章が憲法に記されていることと同じように、非常に大きなウエートを占めている。そして、地方自治進展民主主義の成果を象徴するくらいに民主主義の非常に基本である、こういう認識に立っております。
  10. 小山一平

    小山一平君 そういう歴史的背景があって戦後政治が始まってきたわけですけれども、したがって現憲法が公布になってから四十年近い歳月が過ぎまして、その間、今申し上げたように、地方自治憲法に明記された歴史的な背景とかその目的から、地方分権地方自治確立のための制度改革というものが常に論じられてまいりましたし、それがまた大きな期待となってきたのですけれども、今現状を見ますと、全く前進しないばかりか一時よりも逆行しているというのが現在の姿ではないかというふうに私は思います。  三十年以上前にさかのぼりますが、昭和二十五年のシャウプ勧告地方制度調査会の提示した改革案、具体的なその内容は、地方財源の拡充、補助金の縮小、行政事務地方移譲、再配分、さらには地方債自由化、こういうものが骨子として改革案として示されたはずですね。ところが、その具体的な改革案が今に至っても大変新鮮な今日的課題で残っているというところに私は問題があると思うのです。  それから、御承知のように、地方制度調査会が第十九次にわたる答申を出しています。今、第二十次の作業に入っていると聞いております。それから地方六団体等々から、この制度改革の具体的な提案、要望というものが数え切れないほど繰り返されてきました。ところが、これが少しも具体化されておらぬのですね。戦前内務省に集中していた強大な組織と権限、これが内務省の解体によって地方分権へと移行するという筋道であったはずだと私は思うんですが、ところがそれが各省庁に分轄されて、縦割り行政としてよみがえって、今地方の上に君臨する中央集権体制がしっかりと築き上げられてきたのではないかというのが私の識認です。今大臣は、中央集権体制であると、こういうふうに認識されますか。
  11. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 今の地方自治中央集権化に逆行しているかどうかという一つ見方というのは、人によっていろいろ違うと思うんです。小山さん、そういうような御見解をとっていらっしゃるようでございますが、私はちょっとそういうふうには見ていないのでございまして、もちろん決して目的を達成しているということではございませんけれども、一定の進農は見ているというふうに私は認識をしているのでございます。  何をもって中央集権化になっているかどうか、この水準がいろいろあると思うのですけれども、私は、地方自治進展尺度としては、地方行政水準がどれだけ上がっているかどうか、それから住民自治意識というのがどれだけ当初から下がっているか上がっているか、行政水準が下がっているか上がっているかというところを私は尺度として見ているわけです。そういう尺度から見れば、府県の行政水準も市町村の行政水準もひところと比べたらかなり上がってきている、住民意識もまあまあ上がっているんではないかというふうに私は見ているのでございまして、中央集権中央集権と言われますけれども、一昨日でございましたか、予算委員会でも話が出ましたけれども、例えば情報公開制度をとりましても中央よりも地方の方が先行しているわけでしょう。これは、やっぱり私は地方自治進展あらわれ一つではないかというふうに見ているわけです。  そういう個々の例は幾つかありますけれども、さればといって、地方分権確立していると言って胸張ってなかなか言えるところまでは来ていない。これは財政問題一つとりましても、なかなか地方が何でもかんでも独自でどんどんやっていけるという体制にはない。だから、そういうことから私ども地方自治理想像に向かってもっともつと努力をしていかなければならない、こういうふうに見ているのでございます。  ちょっと長くなりましたけれども、結論から言えば、不十分ではあるけれども徐々に地方自治進展をしつつあるというのが私の見方でございます。
  12. 小山一平

    小山一平君 自治大臣がそんなふうに考えられていたのでは大変困るんです。地方自治が独自的にいろんな活動をしているとか、予算その他から見た行政水準というものが高いとか低いかということよりも、国と地方とのかかわり、関係、こういうところに分権化集権化というような視点を向けなければいけないと私は思うのです。これは、いろんなこと繰り返しても仕方ないんですが、私はもう少し国と地方との関係というものについて大臣にしっかり見ていただきたいというふうに思います。  それでは、これからだんだんそれにかかわるようなことをお尋ねしようと思うのですが、一時期、地方時代だとか大平さんが唱えた旧園都市構想とか、これが大変大きく日本じゅうに言われまして、かなり希望、期待というようなものが高まった一時期がございました。残念なことに、現在ではもう地方時代とか田園都市構想とかというのが何か忘却のかなたに消えたような感じがしますけれども、一体なぜ地方時代とか田園都市構想とかというものがあれだけ全国的に言われたのかということについて、これは歴史的な必然性とかそういうものがそこにあったはずです。  大臣は、この地方時代田園都市構想というものは一体何であったか、そして期待されたゆえんのものは一体何であったか、そしてそれが挫折していったのは一体何であったのか、どういうふうにお考えになりますか。
  13. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 田都市構想とか地方時代ということは、地域自主性自立性を尊重してそれぞれの地方特殊性を重んじた社会を建設するということが大きなねらいであったと私は見ているのでございまして、必ずしも所期の目的を達することができないまま今日に来たっているという御指摘は、ある意味では私も同じような見解でございますが、しかし、こういうような構想が出たことには一つ意味が私はあったと思うのです。そういう構想によって、一部には地方の中にかなり自主性自律性というものが打ち出されてきているというふうに私は見ております。もちろん、先ほどのはちょっと誤解だと思うのですけれども、私は、今の地方自治が胴の支配を全然受けないとか、そういうことを申し上げたのではございませんで、先ほども申し上げましたように、まだまだ決して十分ではないということを申し上げたのでございまして、地方時代あるいは田園都市構想といっても、財源的な裏づけも不十分でございますし、なかなか問題が多く、これから今後ともこういう構想を常に持って、自治体が主体性の確立自律性をもっと持てるような努力をしていかなければならない、こういうふうに考えております。
  14. 小山一平

    小山一平君 どうもこんな総論で余り時間とっちゃっても困るんですが、私は、経済成長日本は世界の屈指の経済大国になった。国民も豊かになった。しかし、御承知のように、今その矛盾といいますか、さまざまな解決しなければならない問題が山積してきております。都市問題だとか農業、食糧問題、それから教育、医療の荒廃、それから地域社会連帯意識の弱まりと、さまざまな問題で今苦しんでいると思うのですが、この山積する難問題を解決していくには、地方地域と言われるところ、これは当然長い歴史の中で多様性やそれから個性に富んだ地域社会が形成され、そこに生活、文化というものがあったんですけれども、こういうものが高度成長過程で画一的な方向に行って、そういうかつての多様性やそれから個性というものが次第に失われてきた。したがって、地域社会に創造的な活力が乏しくなって、そこに日を当てる、そしてそこに活性化の道を求める、こういうことによってさまざまな難問の解決を図らなければなるまい。そして、そういう地域社会がしっかりした国家基盤でなければならないと私は考えたのだと思うのです。しかしそれには、多分同じようなことになりますけれども、国と地方関係というものをもう少し変えていかなきゃならぬ。何でも国の許可認可補助だ援助だというようなことでなしに、地域自体の創意や工夫によって、自治体がさまざまな多様性に富んだ個性に富んだ創造的な自治をそこに行うことができるという道を開くべきだ。それが地方時代と言われ、田園都市構想じゃなかったのでしょうか。ところが、それを私に言わせれば、なかなか思うように進めなかったのは、地方にそういう条件を与えるというか備えさせるところのいろんな施策というものを進めることができない、そこにあったように思うのですよ。いかがでしょうか。
  15. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) おっしゃるとおりだと思います。そういう点が非常に不十分だったことは私も理解をしているつもりでございます。臨調の答申にも今小山さんがおっしゃられたようなことを一部触れておりますが、そういう点をさらに推進して、これを実行できるように努力をしていかなければならないというふうに思っております。
  16. 小山一平

    小山一平君 昨年暮れに総選挙が行われました。私あの選挙を見ていまして、どうも田中さんが余り模範を示すせいか、もう利益誘導型選挙というものが大変な勢いで広がってきているように思います。まず県会議員市会議員の言うようなことを言って歩かなければ票がとれない、そういうことを言えば票がとれるというふうなことで、国会議員たらんものが、天下国家を論じるよりも、市会議員県会議員があの橋かけるこの道直すと言うのと同じようなことを言わなければいい成績が上がらないというような形があるのではないか。そういうものがあるものだから、候補者はそういう利益誘導型、それでも田中さんぐらいのでかい話ならまだいいけれども、せいぜい県会議員市会議員が棒に振ったような程度利益誘導に狂奔をしている。そしてその最大の任務である、占い言葉で言えば、天下国家を諭し抱負や識見を訴えるといったようなことが影をひそのておる。これはまことに困ったもんだと思うのですが、自治大臣はこういうことをどういうふうに考えられておりますか。
  17. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 私も、この前の選挙には小山さんがおっしゃったような点を随分方々で演説してまいりました。地方から選出されている議員地方に非常に利害関係を持ち、また密接な関係を持っておりますから、その議員が、政治家中央にいろいろな地方の声を反映しているというのは、これはある面、どこの議会政治の国でも同じだと思うのです。ただ、小山さんが指摘されているように、それが非常に露骨にあらわれているのが最近の政治だと思うのです。私は、これは与党ばかりじゃなくて、与野党共通した一つの現象ではないかと思うのですよ。そういうことが、いま御指摘になった一つの非常に悪いというか、行き過ぎた面に出ている。これをどうやって而していくかというのは、小山さんもおっしゃられたように、中央政治で言えば許認可事務をもっと少なくするとか、あるいは補助金行政を見直していかなければならないとかという、いろんな制度の面であると思うのです。  しかし、私はもう少し違う角度から見ているのです。これは、日本政治与野党政権交代が行われてないところに大きな利害誘導弊害が出てきているのじゃないか。これは政権交代がもっと頻繁に行われれば、露骨な大きな利害誘導という弊害というものがかなりなくなってくるのではないかというふうに思います。そういう意味で、これはもう野党の方もしっかりしてもらわなきゃならぬ。私も今は与党になりましたけれども、やはり自民党とは違った立場でもう少ししっかりして、野党にも政権の座が必ず来るのだということになってくれば、余り露骨な利害誘導というものは影をひそのてくるという意味で、やはり政界そのもの利害誘導弊害というものをもう少し認識して頑張っていかなければいけない、ここが問題ではないか。もちろん、最初指摘した制度の問題もございますけれども、それと相まってやらないと、私はなかなかこういうようなことをなくしていくことはできないんではないかというふうに見ております。
  18. 小山一平

    小山一平君 政権交代ということの重要なことは私どももよくよく承知をして、それを目指しているんですが、どうも思うようにいかないでいるのが現状ですがね。  それから、利益誘導ということはなるほど私もやるのですよ、選挙になれば。それは多かれ少なかれやります。しかし私は、やっぱり国と地方との関係で余り細かいことなどは、この国会でなくて地方議会で処理できるというふうなことをやることが大事だと思うのです。それがもうどんな地方の小さな事業にまで補助金認可が要るとか起債の許可が必要だとか、こういうことになっているものですから、利益誘導もみみっちくなって盛んにならざるを得ない。ですから、いろいろ要因というものは一つじゃないと思いますけれども、その中の一つとして、やっぱり県会なり市会なりというものの果たす任務権限、国、国会が受け持つべき分野、こういうものをもう少し見直して、地方に任せるべき部分というものは大幅に任すというようなことも、余りみみっちい選挙でなくて、もう少し国会議員選挙ですから大きな話で議論ができるようなそういうふうにすべきだと思うのですよ。そういう意味で私は大臣に、国と地方との関係地方に任せるべき分野、こういうようなものに大胆に取り組むべきであると、こういうことを言いたくて今こんな話を出してみたのです。それはそれでおきましょう。  それから、地方問題というものを扱う地方制度調査会というのがあります。私もこの委員をやったことがありますが、この臨調で扱う国と地方関係なんというのは、臨調なんてそんな二重なことをやらなくても、私は地方制度調査会で十分だと思うんですよ。これは一体だれに聞いたらいいのかしらぬけれども地方制度調査会、同じ総理の諮問機関であるのに地方制度調査会に諮問したり、それをまた同じことを臨調に求めたりというのは、一体これどういうことなのか。これ行政管理庁かな、どこかな。
  19. 八木俊道

    説明員(八木俊道君) お尋ねの臨時行政調査会の件でございますが、これは昨年五十八年の三月の十五日に解散をいたしたわけでございます。五十六年の三月の十六日から約二年間の活動をいたしまして解散をいたしたわけでございまして、既に存在をいたしておりませんものですから、この問題につきまして御答弁を申し上げるのも的確性を持たないわけでございますけれども、あえて申しますと、国の側からの行政改革問題を審議をいたしましたということでございます。別に地方制度のサイドにつきましては地方制度調査会からのいろんな御答申があるわけでございまして、これらの全体を政府としては制度改革の参考とさせていただきながらいろんな改革政策を立案していくという考え方でございます。
  20. 小山一平

    小山一平君 私の言いたいのは、臨調はなるほど解散したけれども、臨調答申と言えば何でもこれは神様の声のようなふうに言って実行しょう、ところが地方制度調査会のは、同じことを繰り返し繰り返し答申しても少しも尊重しない。一体臨調とは何なんですか。何で臨調の言うことだけは、胸に落ちぬことでも臨調の答申だからやむを得ぬと言ってやろうとする、地方制度調査会答申は都合の悪いことは見て見ぬふりして無視して何にもやらぬ。一体これはどうなっているんですか。
  21. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 臨時行政調査会の答申というのは最大限尊重しなければならないというのは、今、国、地方を通ずる行政改革というのはなかなか困難な仕事であって、そう一朝一夕にできるものではない、抵抗も非常に多いと。こういうことを推進するには、やはりこの答申を本当に尊重して、これをにしきの御旗としてやらなければならないというところにあったと思うのです。そういう意味で非常に答申を尊重しなければならないというムードが出てきた。これは、行政改革がいかに困難なことであるか、こういうためであると私は見ているのでございます。  地方制度調査会は、もう御承知のとおり歴史的なものでございまして、随分地方行財政制度についてのいろんな答申がございました。この中で実際に実現をしたものも随分あるわけでございまして、小山さんのおっしゃるように答申がほとんどだめだということは、ちょっと少し大げざ過ぎるんじゃないかと思うんです。これはもう随分実施された問題があるはずでございます。ただ、御指摘のように、重要な問題の幾つかにつきましてはなかなかまだ実現に至っていないという問題がございます。これはもうこれからの継続問題でございまして、私ども地方制度調査会指摘をされた点についてまだ実行に移してない問題については、何とかしてこれを実現の方向に生かしていかなければならない、そのような気持ちを持っております。
  22. 小山一平

    小山一平君 私が地方制度調査会答申というものが尊重されないと申し上げましたが、実はあれ何年前ですか、私がこの委員会で、一覧表によって、答申の内容と実行されたものを分析して議論をしたことがあります。なるほど、大臣の言うように実行されたこともあります。しかし、地方と国との根幹にかかわる権利移譲だとか基本的な制度改革というものは行われておらぬのです。どうでもいいと言えば語弊があるが、大変小さな問題はなるほど実行されたものもあります。しかし、基本にかかわる部分というものはほとんど実行されていないんですよ、これ。  そこで、具体的な問題で、これも事例の一つとして受けとめていただきたいと思いますが、行政管理庁では地方事務官の身分移管の問題、どういうふうに今やっていますか。
  23. 八木俊道

    説明員(八木俊道君) 地方事務官の問題につきましては、臨時行政調査会の答申の中での国と地方関係の部分、このごく一部分でございまして、臨時行政調査会の答申を実現するという行政改革の一環として今国会に法案を提出をさせていただいたわけでございます。ただ、私どもが御提案申し上げていると申しますよりは、所管の厚生省、運輸省、労働省、この三省から政府部内で調整を経て法案の提出をいたしております。答申の線に沿った改革案といたしましてまとめまして国会の御審議をいただきたい、こういう段階でございまして、三月二十七日に閣議決定をいたしております。
  24. 小山一平

    小山一平君 私がここで申し上げるまでもないことですけれども、本来、法律では地方公務員であるべき者を当分の間国家公務員とするということで、これ四十年近い歳月が過ぎたんです。その間に、いろんなこの問題処理のための意見、さまざまな答申、こういうようなものが繰り返されてきました。そして国会でも、この席でもこの問題処理について決議をいたしております。その経過は、国家公務員にすべきであるというのが今までどこかにありましたか。
  25. 八木俊道

    説明員(八木俊道君) 厳しい御指摘でございまして、恐縮でございますが、ちょっと時代をさかのぼりますと、昭和二十五年のいわゆる神戸勧告でございます。国が保険者として行う事務、今回地方事務制度の改正の中では社会保険関係、現在、年金一元化その他公的保険の一元化の方向にございますが、オンライン処理をやっている仕事、これが厚生省の社会保険関係の仕事でございますが、そうした問題、それから労働省の保険関係、それから運輸省のこれは車検登録の特別会計の関係でございますが、こうした事務が今回の地方事務制度の主たる改革の対象でございますが、神戸勧告におきましては、たくさんの御指摘の中のごく一部分でございまして、ここだけ取り上げて申し上げるのも恐縮でございますが、国が保険者として行う事務は国の地方出先機関を通じて行うものとする、したがいまして地方事務制度は廃止するというのがございます。そんたくをいたしますと、やはり国営保険というのは非常に技術的な実務的な仕事であって、全開統一的な基準でやる、こういうお考えのもとにこうした御提案をなされたのではないかと存じます。  その後、委員指摘のように、確かに、この問題を身分問題として考える、そういう考え方が強まってきたことは承知をいたしておりまして、その後主として、地方公務員に身分を移管すべきであると、こういう御議論が有力であったことは事実でございますし、特に三十九年の第一次の臨調答申におきましても、基本的には地方公務員、ただし、ただいま申し上げました神戸勧告とほぼ同じトーンにおきまして、その保険等の特別会計の仕事は、これは国でもいいではないかと、こういう御指摘があるわけでございます。  そこで、どうして今度はこういうことになったかということにつきましては、臨調の立場を私、代弁申し上げる立場にないわけではございますが、強いて答申の内容をそんたくをいたしますと、事務処理の全国的な統一性とか効率性とか、こうした面に着目をいたしまして、今度の第二次の臨調答申が、昨年の三月十四日でございますが、出てきた。そこでかなり国寄りの解決が提案されていると、そういうふうに理解をいたしている次第でございます。
  26. 小山一平

    小山一平君 ここに資料は山のようにありますけれども、これ一々紹介は時間かかるからやりません。あなた今、神戸勧告の中にちょっとあったと、鬼の竹でも取ったようにそれ一つを取り上げますけれども、それ以後、どれほどさまざまな機関で地方公務員とすべきであるという提案がなされているか数え切れない。ここにもありますよ、四十一年の行政監理委員会にだって。これ一例とってみても「社会保険事務所において知事に機関委任されている社会保険の事務に従事している地方事務官は地方公務員とする。」と書いてある。職業安定行政事務は、これまた「地方公務員とする。」と書いてある。これだけじゃないんだ。こういうことはみんな繰り返されてきた。しかも同会で決議をされている。それが何で臨調が答申をすれば、こういう三十何年にわたって、地方公務員にすべきであるという圧倒的な意見があり答申があり国会が決議もしているという重要課題を、臨調のお声がかりだといって全然逆の方向へ手早くやるなどという扱いは、大臣、これは大変問題だと思うんです。自治大臣、一体どうこの問題考えておられますか。
  27. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 地方事務制度の問題につきましては、小山さんおっしゃったように幾らおしかりを受けても私どもなかなか申しにくいことでございまして、御指摘のように、自治省といたしましては一貫して地方事務官は地方公務員とすべきであるという立場をとってこの間までやってきたのでございまして、事務次官以下、随分努力をしたわけでございます。この点はひとつごしんしゃくをしていただきたいのでございます。  ただ、今まで申し上げましたように、回全体の立場から見て、どこかで妥協をしなければならないということで岡の方針に従わざるを得なかったというのが実情でございまして、今回の行政改革の立法をするに際しましても、最後の段階まで調整を続けてきたのでございます。この点はひとつ御理解をしていただきたいのでございます。
  28. 小山一平

    小山一平君 どうもこればかりは理解するわけにはまいらないのです。  自治大臣のお話によると、臨調の答申とは反対の意見であったけれども、やむを得ず妥協したというのは、何か歩み寄ったのが妥協であって、全面降伏したのは、大臣、妥協とは言わぬじゃないですか。それで、こういう経過があることですから、国会でもこれは大変重大な問題として、こんな乱暴なことがまかり通るようなことがあれば国会の権威にも私はかかわると思いますから、これは徹底的にこれからも議論を深めていきたいというふうに思います。  それからもう一つ、監査制度の強化をしようという地方自治法の改正案、この問題があります。大臣も、かつてこの問題について大変積極的な議論を委員会でされましたですね。これも、自治省がせっかく地方制度調査会答申を受けて、この監査制度の改善を図りたい、強化をしたい、こう考えた。ところが、これは関係省庁の反対に遭って目の目を見ない、こういう状況ですが、どうですか、これは今どういう状況にありますか。
  29. 大林勝臣

    政府委員(大林勝臣君) 御案内のように、三回にわたります地方制度調査会答申昭和五十六年時点におきまして立法化をして、特にその中心を監査機能の強化というところに置いて作業を進めたことがございます。ただ、御指摘のように、大変な各省の抵抗がございました。その抵抗のポイントは、原案が監査機能の強化の中心を機関委任事務にまで及ぼそうというところにあったわけでございます。  したがいまして、この機関委任事務の問題がその後臨調でも取り上げられて、当面は一割カットというようなことが行われましたけれども、結局、今後国と地方事務配分を考える場合に、機関委任事務のあり方、本来はどういうあり方がいいのかという根本論にさかのぼって議論をする必要があるということで、現在臨調におきまして小委員会がつくられて、そこで機関委任事務の決着をつけようという段階にあるわけであります。したがいまして、現在の段階におきましては、この臨調の機関委任事務の根本的なあり方というものの結論が出ない間に、さらにこの監査機能の強化を中心とします内治法改正をやろうといたしましても、なかなか現実問題としては非常に難しい壁がございます。したがいまして、私どもこの監査機能の強化についての改正はあきらめておるわけではございません。臨調の小委員会の納論を待ってもう一度考えてみよう、こういう段階でございます。
  30. 小山一平

    小山一平君 大臣もこの問題についてはかなり積極的なお考えのようですから、お考えをお聞かせください。
  31. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 過去のことは私も報告を受けておりまして、非常に残念なことだと思います。引き続いて、この問題が実現できるように努力をしたいと思っております。
  32. 小山一平

    小山一平君 そこで、大臣はさっき必ずしも中央集権というふうなこととも言いがたいというようなことを言われた。なぜこの地方事務官がこういうふうなことになってきたのか、なぜ地方自治法の改正問題がこういうふうになってきたのか。これは大臣与党とか野党じゃなくて、共通の問題として考えようじゃないですか。これは、もとより集権と分権は相反する概念です。したがって、中央集権思想に凝り固まったその組織体が地方分権推進する役割を果たすわけがないのです。したがって、地方権限を移す、事務を移す、財源を移すということには、中央各省庁の官僚たちは絶対に賛成をしないのです。そして、自分の持っている権限は石にかじりついても離さない。握ったものは石でも離さない。こういうところに私は、この地方事務官問題がこんなふうに動いたり、あるいは大臣も熱意を示した地方自治法改正問題が進まない、ここに鋭い目を向けなければだめですよ。ですから、大臣のように、まだ旧の方もそう凝り固まった集権的な支配などというものは考えているとは見えないといったような認識では、とてもとてもこの憲法規定に基づく地方分権、それによる地方自治の発展という道筋は困難であるというのが私のこの問題に対する結論的な見方なのです。どうですか。具体的に今たった二つ、地方事務竹問題と地方自治法改正問題を出して、その動いてきた推移と結果を照らし合わせて私が申し上げたわけです。どうお考えになりますか。
  33. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 小山さんとそんなに変わってないんですよ。ただ比較論を私が言っているのです。三十年、四十年前と今日と比較したらどうかということでちょっと違うだけであって、私も、今の縦割り行政の各官庁の縄張り争いの非常に強い壁というのは、よく認識しているつもりでございます。それをどうやって打ち破っていくかということが問題でございます。これを打ち破っていくのは相当難しいと思うのです。これ大変なことだと思う。しかし、大変なことだと言って手をこまねいているわけにいかない。ですから、これを打ち破っていくには、やはりもう党派を超えて、地方自治に御理解のある方々のお力を結集してやっていかなきゃならぬ。こういうことについては私も、この任にあるなしにかかわらず、これからも努力をしてまいるつもりでございます。非常に困難な厚い壁が控えているということは十分認識しているつもりでございますから、その点はひとつ理解をしていただきたいと思います。
  34. 小山一平

    小山一平君 大臣もそれを認識されてこれから積極的にお取り組みになると言うのですからいいですが、いつでしたか、澁谷さんが自治大臣だったときか、あの人なかなか率直な人で、今のようなこういう議論の中で、やっぱりこういう制度改革を進めるのは断固として強大な官僚と闘わなければならないなんておっしゃった大臣がいたんですよ。(「すぐやめたけれどもな」と呼ぶ者あり)すぐやめちゃったけれどもね。まあそんな勇ましく言わなくてもいいけれども、少なくもそういう地方制度改革というものには物すごい反対の勢力があると、こういう認識のもとに――まあ大臣のどうも任期も、これ短過ぎていかぬと思うんですよ。せっかくなったんだからもう少し長くやって、ちっとは業績の残るようなことがいいと思うのだけれども、あなたの限られた任期の中でひとつ頑張って、何かこういうところへ一つの風穴をあけるぐらいなことを残してもらいたいと、これは要望にしておきます。  それじゃ、やっとこれから本論へ入ります。  最初地方交付税に関連して、これはいずれ法案の審議の中で議論されなきゃならぬことですけれども、ことしのこの自治省の一般会計の総額は九兆一千五百億、このうち地方交付税が九七%にもなっているんですが、その地方交付税交付金の財源として計上されている金額の内訳の中で、国税三税の三二%分、これが八兆七千億、それから特例措置分千七百六十億と、こうなっています。この特例措置分の内訳というのはどういうふうになっていますか。
  35. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 特例加算額千七百六十億円のうち千四百六十億円につきましては、従来の経緯にかんがみまして、いわばこれは加算しっ放し、もらいっ放してございますが、三百億円につきましては昭和六十六年度以降精算をするという扱いになっております。  なお、千四百六十億円のこのもらいっ放しになる分のさらに内訳を申しますと、このうち九百二十五億円はいわゆる利差臨特、地方債の利子負担を軽減するために一般会計から交付税会計に臨時特例交付金として繰り入れていただくよう、自治大蔵両大臣で過去において約束した分でございます。それから三十五億円は地域特例臨特、地域特例立法の補助率の引き下げが行われました際にその補てんのために起こされた地方債の元利償還金の二分の一相当額でございます。これも両大臣の覚書で確認されております。それから残りの五百億円につきましては、分離課税を選択した利子所得に対して住民税が課税されてないと、こういうような事情を勘案しつつ五十九年度の地方財政の状況を考慮して両大臣が定めた額、五百億円相当でございます。従来いわゆる財対臨特と称しておったものでございますが、こういったものの合計千四百六十億円はいわばもらいっ放しになります。三百億円は後年度精算すると、このような扱いになっております。
  36. 小山一平

    小山一平君 もらいっ放しといって、何かえらい恩恵みたいな話ですけれども、私もここのところはちょっと不勉強で、こういう細かい内容は十分理解しておりませんけれども、今までは返すなんというものがなかったわけでしょう。返す分というのを組み込んだというのは今度が初めてであるわけですな。これからは一体こういうような制度というものはどういうふうになっていくんですか。年々年々、ことしは返すのが三百億だが来年になったら五百億になった、再来年になったら一千億になったということはないんですか。
  37. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 交付税総額の特例措置につきましては、昭和三十九年度に初めて交付税会計で借り入れをして特例加算をすると、借り入れによる特例増額が行われました。その当時の特例増額はすべて全額交付税会計の負担において返還をしております。  昭和五十年度以降の特例措置としては、御案内のように大変な財源不足になりましたので、交付税特会の借り入れによって特例増額がずっと行われてまいりました。これにつきましては、基本的には借入額の二分の一を国庫が負担する、二分の一は交付税会計の責任で返していくと、こういう扱いがなされておりました。しかし、このような扱いが続けられた結果、借入額が十一兆五千億円にもなってしまったということで、これは五十八年度限りで打ち切って、いわば国の負担分はもう国の方で引き取ってしまう。国の方の一般会計の債務に引き取ってしまう。残りの交付税会計が負担すべき分は今後交付税会計の責任において償還していくと、こういう取り扱いに今回改まったわけでございます。そうして、過去の借り入れについてこのような整理をした上で、五十九年度以降はいわば一般会計の枠内で、国の財政、地方の財政双方にらみながら必要な特例措置を講ずるということを今回御提案申し上げております。その具体的な発動として、五十九年度は千七百六十億円の特例加算をお願いしているわけでありますが、特例加算のうち、ただいま申しましたように、過去の経緯のある部分については加算のそのまま、そうしてそれ以外の部分については、特例措置については六十六年度以降精算すると、今後こういう扱いにしていきたいという考え方に立っているものでございます。
  38. 小山一平

    小山一平君 これまたよく勉強して、法案審議のときにまた機会があったらお尋ねしたいと思います。  どうも交付税制度というものが非常にいろんな形に変化をしてきて、だんだん本来の地方交付税制度の規定というものがゆがめられてきているように思うのですよ。したがって、また機会を見て議論さしていただきたいと思いますが、その次は今度「まちづくり特別対策事業」という新しい事業が計画されておりますね。私は、第一に問題なのは、五十三年の第二次石油危機のときに、企業城下町などの不況対策として特定不況地域振興対策というのができました。    〔委員長退席、理事真鍋賢二君着席〕 それから、今度は五十六年にそれを見直して地域経済振興対策というふうに形を変えましたね。これが予定した三年が経過して、今度は「まちづくり特別対策事業」というふうに新しく衣がえしたわけです。私はこれ問題だと思う。というのは、特定の政策目的を持って制度をつくるでしょう、それが終わったらこれは終わりにしていいと思うんですよ。さっきも言ったように、なかなか自治省もいろんなことをやる実績というようなものも、これは大事に考えられると思うのですけれども、何か一度打ち出したものが期限が切れたら、それが必要だから継続というなら話はわかるけれども、今度違ったものに衣がえをする、また期限が切れたらまた違ったものに衣がえをする、こういうふうに次々とやっていくことがいいことなのかどうなのかという私は疑問があるのです。どうでしょうか、大臣
  39. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 一つの大きな政策目標を途中で細切れのように次々と変えていくというのは、一般的にはよくないと思います。やはり目指したものはとことんまでそれを達成するということが必要であるというふうに思っております。
  40. 小山一平

    小山一平君 それで、これまた何か要綱なんかこしらえて、どこか指定するわけでしょう。地域指定をやるわけですな。そういうことですか。
  41. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 五十九年度の施策として考えております「まちづくり特別対策事業」は、各地方団体が、各市町村、都道府県が中心になりまして地域の整備計画をつくっていただく、それに対して必要な起債措置を講ずるという考え方でございまして、従来の特定不況地域とか地域活性化対策とかいった、特定の地域を指定してそれについて財政措置を講ずるというものよりももっと広く、従来の広域圏対策のいろんな事業とか活性化対策事業とか、いろんな事業がありますけれども、そういったものを包含しまして、いずれにしても各市町村がその地域の整備を主体的に自主的に図っていくための計画を立てていただいて、それに対して財政措置を講じていくという考え方でございます。地域指定ということは前提にいたしておりません。
  42. 小山一平

    小山一平君 地域指定をやらないというのは、それはわかりました。だけども、それを認可する条件というのは、皆さんの方で、こういうときはいいとか、こういうときはいけないとかという、そういうものはつくるのですか。
  43. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 具体的な内容については、これから各都道府県の御意見も拝聴しながら配分の基準などをつくっていくわけでございますけれども基本的には各地方で町づくり計画というものをつくっていただく、こちらで一応のガイドラインといいましょうか、一応のスタンダードのようなものは参考のため示しますけれども、その中身は基本的には各地方団体がつくっていただく。しかし、もちろん財源の総枠に限りがありますから、その場合には一定の各都道府県ごとの総枠のめどというようなものは何らかの形で示さなきゃならないと思いますけれども、その中で具体的にどういう事業を計画されるかというのはその地方団体に考えていただくということでございます。それに近いやり方として、今、例えば過疎地域の対策事業などについては、過疎地域に該当する市町村がそれぞれいろんな計画を立てられまして、それに起債を充当しておるわけですけれども、これをもっと広くした、一般化したようなものというふうにイメージしております。    〔理事真鍋賢二君退席、委員長着席〕
  44. 小山一平

    小山一平君 後で一部、地方交付税で何か少し見るとかというようなこともあるわけですね。
  45. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 単なる単独事業債ということでは、財源に恵まれない市町村では結局は償還費が心配になって事業化ができないということもありますので、この一定の基準で配分された地方債についてはその償還費の一部を交付税に算入していく、基準財政需要額に算入していく。そして、できればその際に財政力補正というようなものを適用して、税源に恵まれない団体ほど算入率を高めることによって、財政力の乏しい団体でも町づくりのための計画を積極的に立てられるようにしたいと、このように考えております。
  46. 小山一平

    小山一平君 私は前からこういう点についていろいろ意見を申し上げてきたのですが、地方交付税というものは、これは地方自治体の自主的な固有の財源だとだれもが言ってきているわけでしょう。それをいろんなことを皆さんで考えて、こうやれば上乗せしてやるぞ、こうやればかさ上げしてやるぞといったように、全国これは普遍的な財源であるはずのものを特定のところへかさ上げをするというような扱い方というのは問題があるのではないか。地方交付税が本来自治体の固有の自主財源であると言いながら、自治省のそういういろんな政策的な立場からその配分をコントロールする、人の財源で自分の政策というか考え方を誘導する、こういうことはいいのか悪いのかという、大変私は凝固に思っているのですよ。どうでしょうか。
  47. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 確かに、今の御指摘の点は、交付税制度のそもそも発足のときから大変議論のあるところでありまして、交付税制度は、いわゆる地域格差の是正とか一定の水準維持とか、こういったことを使命とするわけでありますけれども、その具体的な算定に当たってはなるべく中立的でなきゃならない。そして、具体的な政策実現手段としてはむしろ補助金等の活用でいくべきだという考え方があると思います。  ところが、御案内のように、最近は国の財政事情もありまして、補助金による地域格差の是正というのが非常に制約されてきております。また一方では、行政改革の要請からも、零細な補助金はなるべくやめて一般財源化していくべきだという議論もあるわけであります。また一方で、そういった背景のもとで各地方団体が自主的に地域整備を図れるように十分な一般財源が確保されるのであれば、それは一つの望ましい方向であろうと思いますけれども、残念ながら今の我が国の状況では、地方交付税を通じて各地方団体が考えるいろんな投資的事業を十分に消化できるだけの一般財源を確保するということが非常に難しいのが現実であります。したがいまして、こういう環境のもとで、また補助事業についていろんな議論があり制約がある状況のもとで、この地方債制度を活用して地域格差の是正を図っていく、貧しい、税源に恵まれない団体も地域整備を図れるようにしていく、それを交付税制度がバックアップしていくということは、私は交付税の基本理念に必ずしも反しないのじゃないかと、このように思います。  もちろん、その具体的な逆用については慎重を要しますけれども、その計画の中身を国で、こういうものをつくれ、ああいうものをつくれと言うんじゃなくて、各地域地域の実情に応じて地方団体が自主的に計画を立てる、それに対して地方債で財源措置をし、償還費について基準財政需要額で算定していくということは交付税の使命である地域格差の是正という大きな目的に沿うのではないか。補助金の方がいいという議論もありましょうけれども補助金についていろいろ批判があり、また制約があるということになれば、今日の地方財政の置かれた状況のもとにおいては、こういった行き方も私は是認されるのではないかと、このように考える次第でございます。
  48. 小山一平

    小山一平君 もう少しいろいろお尋ねしたいと思っていたのですが、あんまり前段で時間を食い過ぎてしまって、ちょっとこれ半端になりますから、私の質問は、時間を若干次に譲って、これで終わります。
  49. 出口廣光

    ○出口廣光君 私は、地方行政をめぐる当面の課題について二、三お尋ねをしたいと思います。  まず第一点は財政問題についてでありますが、先般自治省でまとめられました全国の都道府県の五十九年度の当初予算の編成状況、これを見ますと、四十七都道府県で総額二十八兆六百八億五千八百万円となっております。五十八年度の当初予算に比較しますと二・七%増になっております。しかし、これはあくまでも平均の話でありまして、多くの道府県では昨年よりも減額、あるいは増額しても一%前後ということになっておるわけでありまして、依然として超緊縮型と言っていいのではなかろうかと思います。歳入の面を見ますと、多くの自治体で景気回復を期待して、地方財政計画の六・八%よりもやや高く見積もっておるような傾向がございますが、一方、歳出の面におきまして公債費の伸びが九%ということで、突出をしていると言わざるを得ないと思います。そしてまた、歳出に占めるこの割合も昨年の八・五%から九・一%と上昇をしております。依然として都道府県財政の重圧となっていると言わざるを得ないと思います。一方で、地域の経済の活性化をねらって、地財計画での三・三%減という単独事業を逆に三・三%増というふうに計上しているわけでございますが、非常に厳しい財政の中で、財調の取り崩しを予定しているところも多いようでございます。大変苦しい予算編成となっておりますことを、最近まで予算編成に携わってきた者の一人として、うかがい知ることができるわけでございます。  このような五十九年度の当初予算を見ましても、地方財政の置かれている厳しい状況というものは歴然としておりますが、私は、このような実情そしてまた本質というものをよく見きわめないいわゆる地方財政余裕論といったものが相当広い範囲に流布されていることを非常に残念に思っておるわけでございます。こういった議論の論拠となっておりますのは、国債の借入金が五十九年度で百二十二兆にも達する。一方、地方の借入金の方は、地方債残高それから交付税特会の借入金、普通会計で負担をしなければならない企業債の残高、全部合わせても五十四兆にしかならないではないか、つまり借金が国の半分にも達してないではないかと、これを根拠にしておるわけでございますが、こういう考えというものは、国と地方の財政制度の根本的な違い、また国、地方それぞれの債券発行能力と申しますか、その質的な差といったものを無視した議論であると私は思います。  端的に申しまして、国債については日本銀行、地方債については主として地元の金庫銀行というものが引き受けに当たるわけでございますが、その引き受け能力というものには天地雲泥の差があるということが一つございます。そしてまた、国債のうちの建設国債が六十年、また赤字国債につきましても今度の特例措置法によりまして借りかえということが行われることになりますと、ますます地方債と国債との償還条件の差というものが大きくなってくると思います。そういう大きな相違がございまして、何年か前に、地方側が国の直轄事業に対する負担金を払えないとか、あるいはまた公共事業を返上したいといったことがございました。いまだに記憶に新たなところでありますが、地方債の増発によりまして、昭和四十年代にはずうっと横ばいで来ましたのが五十年代に入りましてから極端に上昇してまいりまして、毎年一%ぐらいずつ償還のための負担というものが増加してきております。これは財政力の脆弱な地方団体にとりましては大変な問題、深刻な事態でありまして、もはや限界に到達していると見ても差し支えないのではないかと、このように思われます。このままでまいりますと、本来、地方財政の運営というものも国の財政と同じように、中期、長期の展望に立って、弾力的な運営というもの、またビジョンを持った運営というものをなさなければならない、こういうことから著しく外れてしまいまして、住民のニーズに的確にこたえることすらできない。そしてまた、国の施策と共同していくということがついにはできなくなって、その面で国の施策自体が遂行できなくなるという危険性をはらんでおると思うのであります。  このような地方財政の深刻な現状、財源不足に対する補てん措置として借り入れで賄ってきた結果としてのこういう状況というものについて、自治省として基本的にどのような認識をお持ちなのか。そしてまた、さしあたって五十九年度の地方財政計画でその点どのような配慮をなさったのか、お伺いしたいと思います。
  50. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) ただいま御指摘のように、最近、国の財政と地方の財政を対比いたしまして、例えば公債依存度が国の方が五十九年度で二五%、地方は九・九%で一けた台である、あるいは公債の残高が国の方は百二十二兆円にもなっている、地方財政は交付税特会の負担分を含めて実質五十四兆円余りである、非常に違うなど、いろいろな財政指標を示して、国に比べて地方財政の方がゆとりがあるんだというような指摘をなす向きがあります。  私は、この点については単純に数字の比戦だけで論ずるのは上しくないと思います。基本的に、国と地方では財政対応能力といいましょうか、権限、機能といいましょうか、こういったものに基本的な違いがあります。地方財政は、与えられた、定められた制度の中で運営していかなきゃならないという意味で、その対応能力に非常な限界があるということを大前提に考えなければいけないと思います。それからまた、地方財政も国の財政と同様に五十年度以降引き続いて巨額の財源不足を生じている、この事実を忘れてはならないと思うのであります。国の財政が非常な深刻な財源不足に陥っていることは事実でありますが、その深刻さが余りひどいものだから地方財政の方がよく見えるというのかもしれませんけれども地方財政の方も基本的に財源不足である、財政収支の不均衡の状態がずっと続いている、こういうことを忘れてはならないと思います。私どもは、基本的に今日の地方財政は収支不均衡の状態が依然と続いており、深刻な状況にある、このように考えております。  そういう前提に立ちまして、五十九年度の地方財政対策を立てるに当たりましては、歳出を国に準じて徹底的に抑制するという前提に立ってもなお生じました一兆五千点億円の財源不足については地方債の治川と交付机の特例措置によって完全に補てんする、そして五十九年度の地方財政の運営に支障なからしめるということで対策を立てたわけであります。そして、この交付税制度の改正に当たりましては、従来のような借入金による特例加算、これは、もうこれ以上借金がかさんでは地方財政にとっても問題であるということで、借入方式は五十八年度限りで廃止したわけでありますけれども、五十九年度以降においても必要に応じて国との間で交付脱の特例措置を講ずるという道を開いているわけであります。
  51. 出口廣光

    ○出口廣光君 次に、先ほど小山委員からも御質問がございましたが、今度の「まちづくり特別対策事業」につきまして、観点を変えてお伺いをしたいと思います。  五十九年度の政府の予算案を見ますと、国政のほとんど全分野において新規難業というもののない、新味に乏しいものとなっておりますが、その中で自治省所管の「まちづくり特別対策事業」というものは非常に目を引くわけであります。これは、地方側としては大いに歓迎もいたしておりますし、また大きな期待も持っておるようでございます。ところが、どうもよく内容がわからない、理解しにくい点があると思います。文字どおりの新規の施策であるのか、あるいはこれまでのやってきたことの整備なのか、あるいは制度改革なのか、あるいはまた発想の転換なのか、その辺のところがどうもよくわからないわけであります。  そこで、こういう行政改革が進行しております、また財政も非常に厳しいというさなかで、どうしてあえてこういう事業を新たに行おうとするのか、その真のねらい、事業の骨子というものについて御説明をお願いしたいと思います。
  52. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 今度、五十九年度の施策として考えております「まちづくり対策特別事業」につきましては、その内容は、従来から行われております地域活性化対策事業でありますとか、あるいは広域市町村圏の整備事業でありますとか、広い意味での地域づくり、いろいろな計画がありますが、そういったものを包含していく、そして従来そういう特定の地域について行われたもの以外であっても各地域の主体的な判断で総合的な計画的な町づくりが行われる場合には、それにも対応していこうということでありまして、従来のものをやめてこれに切りかえるというのじゃなくて、従来のいろんな見地から行われておりました地域づくり計画というものを総合的にこれで引き継いでいこうという考えでございます。  もちろん、この地域対策事業として計画されたもの以外、単独事業なくなるわけじゃありませんで、それ以外にも従来のスタンスで行われるいろいろな単独事業はあるわけでありまして、それについての財源措置はあるわけですけれども、これまで自治省が進めてまいりましたいろいろな地域づくり計回というものをここに統合していこうということであります。それにプラスアルファといいましょうか、それ以外のものも、その地域整備のために有効であれば取り込んでいこうということであります。一種の総合的な町づくり計画、こういうことを考えております。  それから、金のないときにどうしてこういうことを言い出したのか、考え出したのかという御指摘でありますが、財源事情非常に厳しいがゆえに何も地域づくりができなくなってしまう、萎縮してしまう、結果として地域の格差が拡大してしまう、こういう事態を憂えまして、何か一つの目標をつくって、それに財政措置を講ずることによって各地方山治体が財政の厳しい中であっても町づくり計画を積極的に進めていけるようにしたい、こういう気持ちでこのような計画を考えた次第でございます。
  53. 出口廣光

    ○出口廣光君 そうしますと、これまで実施してこられました広域市町村圏事業だとかあるいは定住圏構想に基づく事業、さらには国土庁、建設省所管の事業、こういったものとの整合性を図るということがなければこの事業の実効を期待することができないと思いますが、その点について特に、お考えがあれば承りたいし、また地方側としてみますと、従来の各種の事業を総合したということになりますと、実務上、建設省にも行かなければならない、国土庁にも行かなければならない、さらにその上にまた自治省にも説明やらお願いに上がらなければならないというようなことで、屋上屋を架すような事態になりはしないかということを恐れるものでございますが、そういった点についてお考えがあればお示しをいただきたいと思います。
  54. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) この町づくり計画事業というのは、まさに各省庁ごとに縦割りでいろんな計画をつくらせて報告させてという、そういう煩わしさを何とか避けたいと。もちろん財源に枠がありますから、一定の枠内で各地方が自分でうまく考えていただく、それについて地方債許可すると、こういう発想でございます。もちろんこれは各地域の総合的な町づくり計画でありますから、当然その地域にほかの法令の規定による計画あるいはほかの省庁の系統の施策というものがあると思いますけれども、そういったものとの調整は当然図られなきゃならない。そういったものを排除するという意味じゃなくて、こちらは単独事業ですから、単独事業を主体に各地方団体が計画をつくるのですけれども、その計画の中には、ある部分は国庫補助金を引き当てにして行えるものもあると思います。しかし、そういったものを別に排除するわけじゃない。そういったものも含めた全体的な町づくり計画の中の地方の単独事業に対して財源措置をしていくということでございます。
  55. 出口廣光

    ○出口廣光君 次に、地方交通線対策、いわゆる赤字ローカル線と地方行政との関係についてお尋ねをしたいと思います。  御承知のように、一昨年、二十道府県四十線について第一次の選定が行われました。私のところの秋田県でもこの第一次に角館線と矢島線、この二線が選定をされております。そしてまた、近く選定されますところの予定線、十七道県三十三線、これが予定されておりますが、私のところも阿仁合線が対象になるものと思われます。つい先日、岩手県の三陸鉄道というものが全線開通しまして、地元は祝賀ムード一色といったところのようでございますが、それ以外の線につきましては、どの県も目下、廃止あるいは転換、あるいはまた第三セクターへの経営転換ということの瀬戸際に立たされて、非常な苦悩の中にあえいでおるというのが実情でございます。私は、これは国の交通対策の問題でありますと同時に地域政策の問題でもあると思うものであります。  従来、自治省では過疎化対策というものに積極的に取り組んでこられたわけでございますが、今度の赤字ローカル線の廃止転換によって過疎化なりあるいは地域の地盤沈下というものが当然予想されるわけであります。そういった点で、この地域政策上の新たな問題が発生したと言わざるを得ないわけでございますが、かつて産炭地に見られましたようないわゆるゴーストタウンというものが発生する危険性すらはらんでおる極めて重大な問題でありますので、この赤字ローカル線出題についての自治省の基本的な受けとめ方、お考えというものを承りたいと思います。
  56. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) ローカル線の廃止の問題は、御指摘のように地域の交通体系に大きな変化をもたらすものでありますし、住民の生活や地域の経済など、地域社会に及ぼす影響が非常に大きいと思います。私も就任以来、北海道の方や東北の方、その他過疎地帯の方から、このローカル線の問題をいろんな角度からお伺いをいたしております。当初見ていたよりも私どもは非常に深刻であり、私自身の認識も従来随分違っていた。国鉄の合理化だけが重点に考えられて、地方住民の問題が余り重視されなかったという点で非常に、残念であると思っております。今お話しのように、地方の声をもっと聞いて国鉄の合理化の問題をやっていかなければならないというふうに思っております。自治省といたしましては、できるだけ地方公共団体の、また地方住民の意見を聞きながらこのローカル線の廃止の問題に対処していかなければならぬように、私は政府の中で主張をしておりますし、これからもできるだけ地方の声を生かして処置していただくように努力をするつもりでございます。
  57. 出口廣光

    ○出口廣光君 赤字ローカル線の問題につきましては、廃止されるにしろ、あるいはまたバス転換、第三セクターに移行しましても、関係地方自治体としてはこれまで経験したことのない新たな業務というものを行うことになりますし、そしてまた、それに伴う財政負担というものも発生することは必至であります。したがいまして、将来地方行政にとって大きな課題となるわけでございますので、引き続き自治省として東大な関心をお寄せいただきますとともに、住民の声というものが転換に際して十分に反映されるように、また将来のいろんな心配に対してもよき相談相手となっていただくように要望をしたいと思います。  実情は、関係自治体とそれぞれの所轄の鉄道管理局と交渉を進めておるわけでございますが、いろいろな地方側の意見に対しまして鉄道管理局は、国鉄本社に聞いてみないとわからないとか、あるいはまた、運輸省の方に問いたださなきゃならないとかというようなことをおっしゃるわけでありますが、自治体側としては、これは運輸省に言っても国鉄本社に言っても、言うなれば取りつく島がないというようなのが偽らざる実情でございますので、どうぞひとつ関係自治体のこの苦悩というものをお察しくださいまして、これからもいろいろ御援助、御指導を賜りたいと、重ねて要望を申し上げまして私の質問を終わらしていただきます。
  58. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十分休憩      ―――――・―――――    午後一時三分開会
  59. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和五十九年度総予算中、総理府所管のうち警察庁自治省所管及び公営企業金融公庫を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  60. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 きょうは時間がございませんから、許認可の問題で大臣に、認識の度合いを含めてお聞きしたいというふうに思っております。  大臣は、予算委員会でもそうでしたが、「都道府県展望」という雑誌の中でも、東京都知事の鈴木さんと対談をして、その中で臨調は許認可椎の地方委譲についてこれは極めて不十分と、したがって完璧を期すべきだと、こういうことを強調なさっている。その基本は、住民に身近な事務住民に身近な地方自治体に持っていく、これが基本だと、そしてその原則に立って、国と地方間の事務の再配分の一環として積極的に許認可権限地方委譲を行わなきゃならない、こういう主張をなさっておられるわけですね。いかがですか。
  61. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 考え方としては仰せのとおりでございます。
  62. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 そこで、あなたの持論じゃないけれども、他省庁を含めて国のあり方を問う以上は、やっぱり自治省もみずから持っておる許認可についてもそういう態度で一貫しなきゃならぬ。これが私は基本だと思うのです。地方日治法二百三十条の地方債、それから同二百五十条の「当分の間」、これに対する大臣認識はいかがですか。
  63. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 地方起債の許可のことであると思いますが、理想像としては、地方が自主的に地方債の発行をやっていけるということが望ましいと、こういう意見は当然あると思うのです。しかし、現在の状態を見ますと、地方公共団体の健全財政を確保する意味からも、また限られた資金の適正配分という見地からも、また後年度負担その他の問題から見まして、やはり現状としては中央で、自治省で調整をしていかなければならない、許可をしていかなければならないという、そういう考え方から「当分の間」と、こういうふうに規定をしているものというふうに認識をしております。
  64. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 二百三十条というのは理想像ですか、どうなんでしょう。
  65. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 二百三十条の規定は、地方自治法の各規定の配置からいたしまして、歳入についての各条項が入っております用地方税から始まりまして、歳入についての規定がありまして、その中で二百三十条は地方債に関する規定であります。この規定は、地方債基本的な歳入としての性格づけ、あり方を規定したものだと思います。理想像というよりも基本的な歳入の性格を規定したもの、すなわち地方債は公共団体の長期にわたる借入金でありますから、当然後年度の住民がその償還を負担するという性格のものでありますので、二五二十条では議会の議決にかからしめていると、議会の議決によって別に法律に定める場合に地方債を起こすことができるということを規定したものであります。これに対して二点五十条は、「当分の間」の規定として、許可を要するという法律上の立て方になっているものということではないかと思います。
  66. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 だから、言い回しはいろいろありましょうが、これはやっぱり大臣、起債を起こすということは自治体の固有の自主権であって基本的なものだと、そういう認識をすべきじゃないかと思うのですが、どうですか。
  67. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 実は、佐藤さん御存じかどうか知りませんけれども、私ども新自由クラブ地方行政一つ政策として、地方起債というものは自主権を持って、今の許可制度というのはなるべく縮小するとか、将来は地方自主性に任せる、こういうことを申しているわけでございまして、さっき私が理想像と申しましたのは、やっぱり本来は地方で自主的に判断した方がいいという考え方でございます。
  68. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 いえ、新自由クラブ政策を読んでいます。だから、あなたがより一層その立場だろうという前提に立って私は今質問したわけです。ところが、理想像と言ったからびっくりしたわけなんです。そこら辺は間違いないですね。  そこで、この起債を起こす場合に、自治体の自主権ということは、当時の趣旨説明をした木村国務大臣がちゃんと趣旨説明の中にはっきり言っておるわけです、二十二年に。どう言っておるかというと、いわゆる起債自由の原則を認めることが基本だ。ただ現下の情勢というのは、昭和二十二年ですから、終戦の混乱期であり、財政金融が混乱しておる、同時に自治体もひ弱だ、こういう情勢であるので、当分の間、従来の制度を引き継いで存続する建前をとる、しかし自治体の財政自主権については、これを強化するとともに、その保障を厚くしてまいらなければならないと思いますと、こう言っておるわけです。どうですか。
  69. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) そうだと思います。しかし、その当時の厳しさと今の厳しさと内容が違うかもしれませんけれども地方財政が非常に厳しいという情勢はそう変わっていないのではないでしょうか。
  70. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 私は違うと思いますね。それは、このことを言っておるのは、日本のいわゆる同全体の財政金融情勢が敗戦ということで混乱しておるので勝手というわけ口はいかない。地方財政の局限の問題じゃないですよ、この言っておる趣旨は。日本国全体の財政金融、こう言っておるわけです。そうして同時に、当時は自治体が極めてひ弱だ、そういう条件で「当分の間」を置かざるを得ない、こう言っておるわけです。しかし、それは建前ですよ、置くということは。実質的には財政自主権を強化していきます、こう言っておるわけです。そしてまた、政府はそれを保障しなければならぬ、こう言っておるわけです。ここをきちっとわきまえていただかないと、いろいろな論議が妙な方にそれていくと私は思うのですが、それは間違いないですか。
  71. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 私がちょっと差があると申しましたのは、行政需要がその当時と今とは非常に違う、そういう意味で財政もなかなか楽ではない。当時の、今から三十年前の行政需要と今の行政需要、これは国、地方を通じては同じだと思いますけれども、随分違うと思うのですね。ですから、そういう意味地方財政もやはり厳しさという点については同じではないかというのが私の認識なんです。
  72. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 そこはちょっと違うんです。ここの立法趣旨で言っておるのは、地方財政の厳しさを言っておるわけじゃないんです、この趣旨は。いわゆる民間資金も含めて起債というのはできるわけですから、そういう民間資金を含めて日本の財政金融全体が敗戦直後で混乱がある、規模も小さい、こういうことを言っておるわけですから、地方財政そのものを言っておるわけじゃないんです、これは。その点いいですか。そこをきちっとしてもらわぬと困るのです。そこが一番乱れるもとになってしまうのだ。
  73. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 地方自治法制定当時、許可制度が当分の間の措置として残された背景として、当時、国内資金が非常に側約があった。その資金調整的な意味が非常に強かったということは、当時のいろんな経緯を読んでみましてもそう書いてありますし、私どもは、その点は否定するものではございません。
  74. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 そこで大臣、もう戦後四十年たつ。そうして終戦の混乱というのは、もう少なくともなくなった。その意味で言えば、経済大国であり、民間資金も豊富になりました。これは事実。  地方自治も皆さんは定着した、こう言っておる。私は逆に、三割自治、一割自治と言われるように、行財政を縛り上げてきておるわけですから、したがって定着したとはそこまで断言できぬと思いますが、いずれにしても、少なくとも敗戦直後の混乱という状態ではなくなったことは事実。地方自治もかなり成長してきていることも事実。そういう中で、いわゆる地方自治を定着したというふうに財政的にも行政的にもさせない一番大きな原因というのは何かといいますと、これは中央集権というか、さっき小山さんがおっしゃったように、行政的にも財政的にも縛られている。そこに最大のがんがあるわけだ。したがって、あなたがおっしゃるように、ここをやっぱり断ち切らなきゃいかぬ、そうしてそれが自治分権の基本だ、行革もその一環でやらなきゃいかぬ、こう強調なさっておるのはそこに私はあるのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  75. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 全くそのとおりでございます。
  76. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 ところが、そういうふうに現在の行革もなってなく、そうして何か地方財政は、さっきの石原答弁じゃないけど、豊かだとか放漫とか、こういうようなあれが出てくる。しかし私は率直に言って、国会の中でもそういう議論が出る、政府答弁の中にも出てくる、一部の政党の中にも出てくる嫌いが私はあると思うんですが、しかし自治体の首長も議員も、それを選ぶ人は、国会議員大臣も選んでおるわけですね。選挙民は同じなんです。同じ日本国民なんですよね。いや、それは違うんだと、中央地方の中には上下の差があるのだとか、もしくは国会議員が優秀で、地方議員地方首長というのはこれは少し低いのだとか、優劣があるとか、こういう向きをあなたが認めるなら別ですよ。それはそのとおりですと、ああはおっしゃるけれども、大分格は違いますと、こう言うなら別。中央官庁は優秀で地方自治体は薄のろがそろっている、こういう前提に立つなら別。しかし、大体今の実態、この四十年の中に、もうそれもなくなる。大体、同級生で中央官庁出の者が地方官庁におる。政策能力もある。そういうことを認めるのか認めないのか、そこが私は、今日まで行革で、さっきあなたが主張した地方委譲を認めない一番がんになっておるのじゃないかと思うのですよ。大臣どうですか。
  77. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 地方で仕事をする人と中央で仕事をする人との軽重の差というのは、一部にあるかもしれませんね、一部に。しかし、私どもはそういうことを認めてはおりませんです。  ただ、行革がなかなか徹底できない、許認可事務や国の関与がなかなか突破できないという面は、これは地方を軽視するとかということよりも、いわゆる役所の縄張りというのでしょうか、そういう一つの役所の縄張り争いというのですか、そういうものが非常に根強くこびりついているところにあるのではないでしょうか。  最初に御質問になりました自治省のいわゆる地方に対する指導権と、それから自治省を除く各省の地方に対する関与の仕方と、これはちょっと違うと思うのです。自治省の場合は地方の立場に立っての一つの指導である。自治省を除く例えば農水省とか厚生省とかというものは、その本来の仕事を的確にやっていこうという一つ行政の縦割りからくるものであって、立場がやはり多少違うと思うのですね。そういう認識から見て、私はなかなか先ほどの話のように、一般論としてこの官僚機構を破っていくというのはそう並み大抵のことではないというふうに思っております。しかしやらなければならない。  最初の御質問の、自治省の立場というのは、これはあなたがよくわかっていらっしゃるように、そうほかの役所が地方に対する姿勢とはちょっと違うと思いますね。これは私が自治大臣をしているから申し上げているのじゃなくて、私は前からそういうふうに見ております。
  78. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 確かにあなたが言われるように、自治省設置法で自治省が庁から省になるときにはそういう趣旨だったのです。あなたが今おっしゃるとおりに、地方を代弁して、そして閣内でやるためにはどうしても庁を省にしないとできない、だから省を認めてくれと、そう言っておったんです。ところが、どんどん変わりました。率直に言って変わってきたのですよ。今やまさに地方を締めつけるそういう役割も一面ではしておるわけです、現実に。これは私は否定できないと思いますよ。例えば地方財政の問題については、賃金が高い、退職金が高いとか、もしくは人が多過ぎるとか、今いろいろ言ってますね。なぜ自治省はそれに向かって体を張って闘わないのかと言うんです、私に言わせれば、逆に。だから、国がこうせよということは、できませんと、すべきじゃありませんと、できてもすべきじゃありませんと、それがないじゃないですか。今は逆にそのしり馬に乗って、もしくは唆かして、この機会にひとつ自治省の権限強化に乗り出そうと、こういう姿すら見えるじゃないですか、どうですか。
  79. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) それは佐藤さん、ちょっと違うですよ。  これは責任を転嫁するわけじゃないけれども、やっぱり今の地方自治論というのは関係者だけで議論しているんですよ。そして、一般国民に対する理解というのがなかなか図っていかれないところに一番大きな問題があるのじゃないでしょうか。私はそういうふうに見ている。やっぱり一般国民から見ると、例えば新聞なんかで高給与の記事がぱっと大きく出る、それから、どこそこの市町村で、市で立派な庁舎を姓でた、こういうことが一部の新聞にはっと出る、テレビに映されるというようなことで地方財政裕福論というのが出てくる。先ほどの議論の中に、数字の上からのそういう議論が出てくるというお話もありましたけれども、私は、こういう一部の団体のために地方財政が豊かである、国よりも豊かであるというような議論が出てくると思うのです。そういうことをやはりみんなで努力してこれはやっていかなければならない。もちろん自治省が責任ありますけれども、私は今度自治省を受け持ちまして、やっぱり一つ世論を形成する媒体あるいはオピニオンリーダー、そういうものに対する啓蒙といいますか、PRというのが非常に足りないと思うのです。そういう面からスタートしていかなければ、なかなか地方自治を一般的に理解をさしていくというのは難しいと思うのです。私はそういう面にこれから少し力を入れてやっていきたいと思っております。  率直に申しまして、自治省の中に旧内務省的な思想が残っていないとは言いませんけれども、私は、ひところよりはずっと、ここにおられます松浦さんなんかがまだ働いておった当時と今と自治省の役人見れば、松浦さんがそうだったというわけじゃないけれども、あのころはまだ内務省の気質というのが役人の中にあったのですよ。しかし今は、中堅の官僚、役人さんの中にはもうそういう点が薄れている。だからOBから見ればだらしないなと思われる面もあるかもしらぬけれども自治省の中は今非常に地方自治の精神で地方の立場から見ている、そういうふうに私は認識しているわけです。ただ、指導力や監督の面で、佐藤さんなんかから見て少し強いなと思われる節は全然ないとは言えないです、あると思う。それはどこからくるかというと、今度は地方団体側にある。やっぱり地方団体の側ももう少し自律性を持ってもらわないと、どうしても自治省の方から指導が強くなる、監督が厳しくなるというところがあるわけです。だから、地方の団体、地方側からも自律性を持ってやっていくようになれば、理想像にだんだんと近づいていくのではないか。ちょっと長くなって恐縮ですけれども、的確な言葉は使えませんものですから少し冗漫になりましたけれども、私はそういう認識でおります。
  80. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 今大臣が言う地方自律性、それも大事だと思いますね。それから同時に、またあなたがおっしゃったけれども、松浦さんのお名前が出ましたが、私は出すつもりはなかったのだけれども、そういうことも確かにある。しかし、今は違うと言うけれども、やっておることの内容を見ると、やっぱりちょっと悪質になってきたと、私はこういう感じがしてならぬわけですよ。こっちの方はからっとして、けんかやれば終わりだったけれども、悪質になってきた。  私は率直に言って、大臣、こう思うのですよ。確かに、自治体の中に一部行き過ぎがあったり、いろいろあるかもしれない。しかし、それには国にはリコールという制度がない。自治体にはリコールという制度がある。そうして、身近に住民がおって監視を絶えずしておるわけです、有形無形に。ですから、例えば田中角栄さんは一審判決があっても居座っても、福島の知事とか宮崎の知事は辞任したじゃないですか、逮捕と同時に。それほど厳しいのですよ。この参議院で、かつては同僚で今衆議院に行っておるけれども、スピード違反で人をひき殺した参議院議員は居座っても、今は地方議員で交通違反を起こしたら、三悪になったら辞任していますよ。  五十六年のあの鉄建公団や国鉄や、それから大蔵省や環境庁、いろいろ空出張、公文書偽造が出た。しかし、あのときの行政処分を見ると減給が最高ですよ。地方自治体なら首になっておりますよ、みんな。全部首になっております。私はいずれか見たって地方自治体はそれほど厳しいんです、環境が。そのことがそういうふうな差を現実につくっておる。そういう状況がございます。  いろいろあなたが今自律性の問題言いますけれども、それは住民の自覚の中で正すべきなんですよ。そのために議会があるわけだ。四年に一遍は選挙があるわけだ。それを通じて正していかなければ、国会の方からそういう問題で例えば適正化法つくってやるとか何かくだらぬことをやったって直るものじゃないですよ、そんなことは。むしろそういうことは角を矯めて牛を殺すような結果になると思うのです。憲法違反引き起こすことになる。そのことをなぜ堂々と胸を張って言わないんですか。一つも言わない。むしろそのことに事寄せてお先棒を担ぐようなことをやるじゃないですか。ラスパイレスもそうでしょう。  定員増だって、何も地方自治体でふやした分しゃないじゃないですか。全部国が勝手に法律つくって定員をふやしているわけでしょう。警察庁の官房長も来ておるけれども、警察だってそうじゃないか、今度の。みんなこれでふやしていった。しようがないからふやさざるを得ぬわけだ、定員増の地方負担。そして自分たちが法律つくってふやしておって、定員増ふえるのはけしからぬと、こう言っているんです、中曽根さんは。そうでしょう。地方はふえてけしからぬと、こう言っておるんでしょう。こういう論理逆さまというのは、私はあってはならぬ。そこに自治大臣の価値があるのじゃないですか、あなたのさっきの論点からいうなら。人の振り見て我が身を直せというけれども、今一番大事な点は、百二十兆円ももし地方自治体で赤字つくったらもうリコールでやられていますよ。国だからやられぬわけですよ。こんなことは地方自治体には起こりませんよ、こんなばかげた状態は。むしろそこを責めるべきなんですよ。そうじゃないですか。人の振り見て我が身を直せと言うなら、私は自治体を見て国の政治を正せと言いたい。そのことを堂々となぜ言わないんです、自治大臣になって。それが新自由クラブのやっぱり基本でしょう。その声が小さ過ぎやせぬか、どうですか。もう余り、議論はここら辺でとめますけれども、ひとつどうぞ。
  81. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 今、佐藤さんから大変頼もしいお話が出まして、地方自治進展している一つの大きな証拠をみずからお話しいただいて、私も大変意を強くしているわけです。  私も、先ほどお話ししたように、地方自治がそういう面で地方住民自治意識を持ってきた。これはこの三十年間大変な進歩だと思うのですよ。だから、そういう意味で、私は先ほどから地方自治は比較すれば三十年間がない進展を見ていると申し上げたのです。ですから、おっしゃるように、地方自治体でいろいろな問題があれば住民がそれぞれ反応を起こす、これはもうおっしゃるとおりだと思うんです。  ただ、そういういろいろな汚職があったとか極端に財政赤字になったという問題とはちょっと違うと思うのですよ。私は、中央もそうですけれども地方も、中央地方を通じて選挙制度になってますから、やっぱり自分の選挙を有利と言うとおかしいですけれども、どうしたって政治家ですから選挙意識しますよ。選挙意識すれば仕事はたくさんやりたい。その仕事をたくさんやりたいために財政力を多少無視した仕事に手をつけるというようなこともある。だから、そういうことをどこかでチェックしないと借金がふえちゃう。そういうことをチェックするには、ある程度自治省が指導的な立場にいなければなかなかこれはできない。仕事をやるのがいかぬと言うんじゃないです。ないけれども、やっぱり選挙をやる身になれば、これはあそこの道路もよくしたい、ここにも立派な施設をつくりたい、どんどんやりたいのは、これ人情なんです。だから、そういう現実を見ますと、やはり何でも地方に意のままにやらすというのはいかがなものか。  それからもう一つは、地方自治体が、もうこれはあなたに言うようなことじゃないかもしらぬけれども、いろいろな地方自治体によって能力の強弱があると思うのですね。だから、そういうところを調整していく役がやはりなけりゃならぬという意味でチェックをするということになっているのじゃないでしょうか。これはもう佐藤さんは長年こういう問題にタッチされていますから、私などから余りあれこれ申し上げられませんけれどもね。やっぱりその辺の兼ね合いというのはなかなか難しいのではないか、こういうふうに思っております。
  82. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 あなたの発言を一〇〇%聞いたとして、東京都は小さな自治体だから能力はない、財政が破綻するような感じがするので、あえて起債でもって東京都に立ち向かったと、あのベア戦争はそういうことですか。
  83. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) ちょっと御質問の趣旨がよくわかりませんが、東京都は…
  84. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 東京都とベア戦争を派手にやったでしょう。あなた新聞にも出て、テレビにも出てやったでしょう、東京都と。あれは私は茶番劇じゃないかと思っておったのだけれども、しかしあなたの今の起債許可権の問題で、論理からいくと、東京都にはやっぱり能力がないと、それともう一つは財政の破綻状況にある、こういう二つの論理で東京都とあの財政戦争やったのですか。
  85. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 高給与に対する起債の制限は、地方自治体が公務員の給与を国家公務員よりも数段上げてやるというのは、もうこれは財政が豊かでなければできないわけですから、それは財政に余裕があるという、そういう認定で起債の許可尺度をはかっていく、こういうことでございます。財政が余裕がある団体がなぜ借金しなきゃならぬか。こういうことなんですよ。(笑声)お笑いになっていらっしゃるけれども、これは当然の原理であって、財政の厳しい団体はなぜその職員に住民から預かった税金で給与を余計、国家公務員よりも高くしなきゃならぬか、私どもにはちょっと理解できない。そういうことで、東京都は財政に余裕がある、こういうふうに見たのでございます。
  86. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 それは、国家公務員の給与をストップしたり勝手に二%に削ったりしたことは、きのうも官房長官が言っているように、よくなかったと、労働大臣も、二度あることは三度あってはならぬ、そういう反省を言っておるわけでしょう。そのことを理由にして起債の許可を認めぬとかいう論理は成り立ちませんよ、率直に言って。政府自体もあれはやっぱり行き過ぎだったと。僕は、財政再建にあれば何の役に立つかと思うのだ、ああいうことをすることが。そのことはだんだん世論となってきている。しかも、地方自治体の決算状況を調べてみなさいよ。人件費はもう底なしに下がってきている。そうして各自治体を見ても営々と努力しておる、いろいろな意味で、そこまであなたが好んでせせり出たのかどうか知らぬけれども、そういう論理は成り立ちませんよ。だから私は、さっき冒頭にあれだけ時間をとって、二百五十条の問題で議論したのです。そこまでしちゃいかぬのですよ。私は、この際ひとつ大臣に二百五十条は見直すときに来たとはっきり言ってほしいのですね。どうですか。
  87. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) なかなかこれはもう難しい問題で……
  88. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 難しくないですよ。あなたの議論からいったらそのとおりになるはずだよ。
  89. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 先ほど東京都の財政余裕論を申しましたけれども、そればかりじゃないですよ。地方で一生懸命努力をして、中小都市の理事者も職員の皆さんも一生懸命やっているときに東京都がそういう団体とは別に、同じ地方団体でありながら、たとえ首都といえどもああいうようなことをやったら、それは地方の皆さん怒っちゃうですよ、それは。だから、その辺は佐藤さんだってわかっておっしゃっているのでしょうけれども、ひとつ御理解をしていただかないと、地方でまじめにやっている職員の皆さんも理事者の皆さんもやる気なくしちゃうと思うのです。そういう意味で、ひとつ御理解をしていただきたいのでございまして、先ほど、最初に申し上げました、一つ理想像に向かっていくということは、私、考え方としては従来どおりでございますが、ひとつ現実を見ますとなかなかそうはまいらない、現実はそうではないという姿に対処していくには、やっぱり自治省が権限を持っておりませんとなかなかできない。しかし、この数年間、聞いてみますと、個々の自業につきまして、あるいは選択につきまして、以前と違ってかなり自主性を持たせるようになってきましたから、やはりそういう方向で今後やっていかなければいけないというふうに思っております。
  90. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 もう時間が余りないからひとつ核心にいきます。  あなたそうおっしゃいますが、言いかえれば本音が今少し出たわけだ。東京都が目標じゃなくて、ほかの自治体をにらんで牽制しようというのが茶番劇の一番大きなねらいだったと……
  91. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 牽制じゃないですよ。
  92. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 それが一つ本音だと思いますよ。その結果、二十三団体が抑えられたわけです、今度は、五十八年度で。その中で箱物は環境の度合いでいろいろの議論があるでしょう。しかし、地方道まで抑えておるわけです、二十三団体。しかも念書をとっている。そんな権限がどこにあるのですか。どうですか。
  93. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 五十八年度の地方債許可に当たりまして、高給与の改善計画を実行中の団体、いわゆる指定団体につきまして追加申請のあった地方債について一部抑制措置を講じました。これらの団体につきましては、現に非常に給与水準が高い。したがって、経常収支比率も非常に高くなっております。これらの団体が将来の財政体質改善のために立てられた計画を今日まで全く実行されてないと、こういうようなことから将来の償還について非常に不安があるということで、一部の事業について抑制措置を講じたわけでありますが、その中に確かに道路関係の事業がございます。これはいずれも臨時道路債で、追加分でございます。いわゆる本来の一定の基準で配分するものは既に配分してあるわけでございますが、それに対して、枠外で追加を申請したものについて一部抑制措置を講じたということでございます。
  94. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 何で念書をとるのですか。念書とるという、どこに権限があるのですか。田川大臣の言うことと全然違うじゃないか。まさに私がさっき言ったように、あなたが知らぬ間に非常に陰湿な、そう言ったのはそこを言っておるわけで、そんなからっとしたものじゃない。どうなんです。
  95. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 私たちの方では、給与が非常に高い団体に対しまして、改善計画というのをつくってもらって出してもらっています。その中で、計画どおりの是正が進んでない、特に著しくおくれている団体につきまして、相当期間もたっているのにどうしているのだと、そういう団体を指導する県として、そういう団体に対して、これからそういう団体がどういうふうに取り組んでいく気持ちなのかということはしっかり聞いておけよと、特に年度の変わり目でもございますし、この際そこらの考え方を市町村から確認しておいてくれという話はいたしました。  先生は念書という言葉を使われますけれども、その文書というのは、改善計画をこれから実施していくということについてのそれぞれの地方団体の長の考え方が県に対して出されておるというものでございまして、念書というか、表現はいろいろございましょうけれども、それぞれの地方団体の改善計画の心証というか、これからの取り組みについての考え方が書いてある文書が県に出されておるということでございます。
  96. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 それに首長と議会議長の実印を押せというのをやっているじゃないですか。念書じゃないんですか、これ。そんな権限はどこにある。何の根拠でやるのか、言ってみなさいよ、きちっと。
  97. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) その文書というのは、それぞれの地方団体の長の名前で出してきてあるというふうに私たちは理解しております。その根拠というのはどういう根拠かといいますと、それぞれの都道府県知事が市町村を指導する過程における一つのプロセスの中で生まれてきた行政指導というふうに理解しております。
  98. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 そんなことを白々しく言っちゃいかぬ。各県に聞くと、全部自治省からきちっと議長までとれと言うけれども議長まではとれなかったと、こう言っているわけです。指示したのは、一緒にとれと言ったのでしょう。そうしなきゃ許可しないぞと言ったんじゃないの、はっきりしなさいよ。
  99. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) それを出すか出さないかということによって起債の許可に結びつけるような考え方はとっておりません。
  100. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 何でそれが起債と関連して出てくるのですか。起債申請すると、それをとっておるのじゃないですか。そういうことが、大臣が知らない間にそういう事態が起こるわけだよ。私はもっと材料持ってますよ。時間があればもっとやりたい。時間がないからこの辺であれするけれども大臣、こういうありようというのは、あなた、それは当然ですと言えますか。ですから、法律の趣旨というのは、つくった人の趣旨は、さっき私が言ったように、当時の国務大臣の木村大臣がそういう趣旨でつくっておるわけだ、これは。だからそれが四十年たって生き物のように別に変わってくるわけだ、化け物じゃないけれども。だからこういう現実が起こるわけだから、ここら辺は私はきちっとしてもらいたいと思うのです。そうして、今はないのだけれども、今度は運用の中に給与条項を入れようということがあなたの写真入りで新聞に出ていますね。三月二十七日の新聞に出ていますよ。これはすべきじゃない。ますます変質していく。私はこれは絶対しちゃならぬと思うのですけれども、いかがですか。
  101. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 現在、地方債許可に当たりましては、その許可の一般的な基準といいましょうか、考え方を毎年度、許可方針として定めております。その許可方針の中には、地方債の制限をする場合の要件というか、事項といたしまして幾つかの事柄が掲記されております。例えば一定率以上の公債償還比率に達した団体について特定の事業債の許可を行わないとか、あるいは公営競技の収入の額が一定基準以上に達した団体については地方債の発行額を制限するという各団体の財政状態を判定するための幾つかの要素と、それから各団体の財政収入の状態を判定するための要素と、幾つかの基準がありまして、地方債の制限を行っております。こうした要件の一つとして、非常に給与の支出額が多額になって財政に大きな圧迫要因となっているような団体も、今日の厳しい財政状況のもとでは、地方債許可に当たっては一つの判断材料として考慮する必要があるのではないかということで、現在この許可方針にこういった要件を追加することを検討しているわけでございます。
  102. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 最後に、時間が過ぎましたから一言だけ言いますが、大臣、ラスパイレスを金科玉条のように言いますが、地方自治体でラスパイレス以下のところが半数ぐらいあるはずですよ。ここは引き上げるという指導は一つもしないんです。いかにいいかげんなものかということは、私はこれだけでも実証されると思うのですよ。ラスパイレスを言うなら、以下のものは引き上げなさいと当然すべきですよ。そして、これを金科玉条、これを超えたところはけしからぬと、こういう論理ですよ。しかも、それを起債条件にまで加えるということはすべきじゃない、断じて。私は、そこら辺はひとつぜひ大臣がきちっとしてほしい。  私は、これはまた交付税その他の中で議論をしますけれども大臣見解を聞いて、そして私は質問を終わりたいと思います。
  103. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 私どももいたずらに制限条項をつくろうということではないのでありまして、地方団体の多くとは言いません。限られた固体がやっぱり常識的に見て行き過ぎがある。そういう面でこういうものが生まれようとしているわけでございまして、先ほども申し上げましたように、地方団体がもう少し自律性を持っていただいて、適正な常識的な給与でやっていただけるということになりますれば、こういうことをやる必要はないんです。ですからその辺を考えて、私ども地方の職員の給与がよくなるということを、これは否定するわけじゃない。むしろ好ましいことであると思っておるのですけれども、やはり国家公務員との比較もあり、そういう問題を考慮してこういうようなことを考えているわけでございまして、これはこれからの地方自律性によってこういうことをやらないで済むようになれば、それにこしたことはないのでございまして、そういう意味でひとつ御理解をしていただきたいのでございます。
  104. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 私は、地方財源の充実ということと、それから今冬の豪雪に関連して若干の質を申し上げたいと思います。  まず最初に、地方自治体財政余裕論とでもいいますか、午前中、出口委員からも、今ほどはまた佐藤委員からも厳しく指摘があったわけでごいますが、私も自分の体験を通じまして得た問題を通じて、大臣に所見を述べてみたいと思うのでありますが、この五十九年度の予算編成に当たりまして、田川大臣自民党地方行政部会にお出ましいただきまして、大蔵省はどうも十一兆五千億の交付税特別会計の利息について、五十八年度は半立ち会いといいますか、半分地方に負担させたけれども、ことしはどうも財政の事情から全額を地方に転嫁されるのじゃないかという危険があるというか、おそれがあるというか、それでひとつ協力をということで、部会の幹部と一緒に私も、大蔵大臣、竹下大臣に陳情に参りました。いろいろ話してもなかなか思うような答弁が出ない。私はたまりかねて、一年生議員でございましたけれども大臣、このような状況で地方に利息を取る、そういう話は初めからなかったはずじゃないのですか、ここへ来て財政が国が厳しいからといって全額持たせるということはまさにスズメの足から血をとるような話だ、弱い者いじめもほどほどにした方がいいと、こう言ったわけでございますが、そのとき竹下大臣少しも驚かず、まあ財源の不足なのは国も地方も同じだ、しかし私の目から見るとどうも地方の方が余裕があると思うのだ、こういうことで、もうこれは五十七年度並みの国全額持つということではならぬなと、もう私は観念したわけでございますが、果たしてそのとおりになった。  それから、数日前のサンケイ新聞見ましたら、中曽根総理と鹿内サンケイ新聞の社長、それからこれは女優さんの寺島純子さんとの対談の中に、これはたくさん言っているからとても紹介できませんが、大見出しだけ言っても、「地方の行革も断行する」、それから「国より高い給与・退職金 住民の憤り、当然」、「地方行革で迫られる自治体への厳しい対応」、それから、給与は高く人員過剰、納税者の怒りは無理はない、こういうふうに見出しだけ見ると、まことにさっき佐藤委員が言ったことと内容は同じようなことになるのですけれども、私はまた立場は違いますけれども、そういうように、先ほどの大臣の話の中に、地方自治体の中にも懸命に努力している自治団体もある、そしてまた自治省自体もオピニオンリーダーとしてのどうも責任がちょっと足りなかったんじゃないか、こういう感想を述べていらっしゃいましたけれども、どうもこういうふうに総理大臣や大蔵大臣もかような目で地方財政を見ているかということに対して、田川大臣の所見をひとつお聞かせ願いたいと思うのであります。
  105. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 先ほど申し上げたことと重複するかもしれませんけれども地方財政の厳しい状態はもう吉川さん御指摘のとおりでございまして、本来から言えば、地方交付税の税率を上げて、そして財源を確保していかなければならない状態ではないかと私は個人的には思っているのです。しかし、国の財政から見て、そんな余裕もございませんで今度のような財政措置になったわけでございますが、今御指摘のように、大蔵省のサイドには、やっぱり地方財政を見る目は確かに違った面があると思うのです。しかし、ひところに比べて随分変わってきているのじゃないでしょうか。そういう意味で、私どもは、地方自治に対する何といいますか、PRというのは、中央地方を通じてこれからやっていかなければならないと思います。  今御指摘の新聞も私ちょっと拝見いたしました。限られた一部の団体のやったことが地方自治体全部に見られているというのは、私ども関係者として本当に残念にたえない次第でございます。であるがために、そういう団体に対して指導をして、的確な対応をとっていただくように、これからも指導をしてまいりたいと思っております。
  106. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 大臣から、のっけから、個人的な意見であるといたしましても、こういうときこそ税率の改正も考えてもいい時期だというふうな、ただし書きはいろいろついていますけれども、答弁いただいて、大変これは聞く方も恐縮しているのですけれども、その前にひとつ財政局長から、一体、五十年からの交付税の特会のこの制度を五十七年度まで、強いて言えば五十八年度まで続いたのでしょうか、毎年一兆円ないし二兆円の多額にわたったわけでございますが、これは出発のと。きにどういう取り決めになっていたのですか。  我が新潟県の知事の話ですと、初めはこれは元金は半立ち会いだということは聞いているのだが、利息のことについては約束事はなかったはずだと。しかも、七年間もずっと国が持っていたとすれば、これはもう地方は当然国が持ってもらえるものだと。それは、国から見れば地方の財源難のために借りてやったのだから利息ぐらいは持てと、これも論でしょうけれども、ずっとやってきたものを五十八年から変えるというその根拠ですね。そこらをひとつ聞かしてもらいたい。  まずそれを聞かしてください。
  107. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 交付税特別会計の借入金の利子負担の問題についてのお尋ねでございますが、御指摘のとおり、この特金借り入れの利子につきましては、そもそも昭和三十九年度に初めて借り入れが行われたわけですが、その後借り入れがない、逆に交付税の減額が行われた年もありました。しかし、いずれにしても第一次石油ショックの後の昭和五十年度の財政危機の際に、年度の途中から一兆円を超す交付税の減額が起こったわけです。国税三税の減額補正に伴いまして一兆一千二百億円近い交付税の減額が生じてしまった。で、年度の途中でございましたからどうにもしようがないので、ともかくその落ち込み分については交付税会計が借り入れをして減額を補てんする、各地方団体に配分した交付税には影響させないという取り扱いがなされたわけですが、その際は、昭和三十九年度以来の扱いがありましたので、その当時の議論としては、利子は国が負担すると、交付税特別会計という国の会計が借り入れるわけでありますし、また国の地方財源保障という機能を果たすために交付税会計が借り入れるわけですから、利息は国が持つんだということでその借り入れが行われたわけです。  当時私が担当しておりまして、当時のことを思い起こしますと、大蔵省との間に利子の負担の可否について余り多くの議論はございませんでした。それは三十九年当時からずっと利子は国持ちであったわけですから。そこで、五十年度の補正、五十一年度の対策となりまして財政収支はむしろ厳しくなったわけですが、その後、五十三年度に多少、将来を展望してこの特金借り入れをどうするかという議論がありました。そのときは、実は大蔵省の方からは、当時の担当者の段階でありましたけれども、これは地方のための借り入れたから利子は地方が負担するということがあっていいのじゃないかという議論がちょっと出たのですけれども、しかし当時は、そうなれば当然地方が利子を負担した分だけ地方の手取りが減るわけですから、その交付税率の議論に当然これは波及することになりますよというふうなこともありまして、結局そのときも利子は国持ちで、借り入れの二分の一を国が負担するというルール化になったわけです。  この借り入れ方式は、一日も早く、一年でも早くやめたいという気持ちをお互いに持っておったのですけれども、残念ながら、その後国も地方も財政状況が一向に好転しないで、ずるずると五十七年度までこれが続いてしまった。五十七年度は、当初は借り入れがなかったのですが、補正でやはり借り入れが出てまいりまして、そうしてその五十七年度の補正のときに、特会の借り入れの額が非常に大きくなったものですから利息も当然非常に大きくなってまいりまして、このまま全部国が持つのではとても国の財政が耐えられないという話が出てまいりました。それまでずっと国の財政一貫して悪化が続いておったわけですけれども、五十七年度の補正のときに、実はこの利子の問題、それまでは当然国持ちだということできたわけですけれども、大蔵省の方から、これは考えてみればおかしいじゃないかと、地方の財源調達のための借り入れたから地方が持っていいんじゃないかという話が五十七年度の補正のときに出てきたわけです。それで、私は当時もやはり担当しておったものですから、補正の段階で交付税制度基本にかかわるような論議はできませんということで、結局、補正のときには棚上げになりまして、五十八年度の地財対策の中でこれの本格的な議論が行われたわけです。  私どもは五十八年度の当初は、自治省の立場としては、従来ずっと国が持つという前提で特会借り入れが行われてきたわけですから、当然国が従来どおり持つべきだと主張いたしましたのに対して大蔵省側は、今までは国の財政が何とかこれに耐えられたから、何とかなったから持ってきたけれども、よくよく考えてみれば、地方の財源調達のために借り入れを行うのだから、やはり地方が持つべきだという議論も大変強力に行ってきたわけです。そのときの理屈というのは、やはり国の財政が五十年当時から比べてはるかに厳しくなってきたと、しかも交付税特会の利子が非常に大きくなってきた、こういう背景のもとに、理屈はいろいろあるけれども、ともかくも従来どおり国が全部持つということができないというので、結局ぎりぎりの論議として、交付税特会の借入金の元本の負担割合に応じて利子も負担しょう、国の持ち分に見合う利子は国が持つ、地方の持ち分に見合う利子は地方が持つということで五十八年度の措置を決めたと、こういう経緯でございます。
  108. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 いろいろ理屈は後から幾らもついてくるわけですから、それはなんですが、しかし、今の局長のお話の中に国税の減額に伴う税収補てんと、こういうお話が出て、しかも、このことを考えれば私は、野党的など言ってはなんでございますが、シビアな立場で批判をすれば、そういうふうに何年も何年も続いて減収に国税がなるような財政政策が悪かったのじゃないかというところにもっと論点を向けてもらいたい。  それは、その部門については自治省の責任ではないんですが、また、国税の減収に伴うものであるとすれば、過去昭和三十一年から四十一年の間に計七回も交付税率の改定をしているんですね。三十一年には二二%から二五%に、以下二六%、二七・五%、二八・五%、二八・九%、二九・五%、三二%と、こうなってきている。  このことについては有名な、これはもう皆さん方に申し上げるということになると釈迦に説法みたいな話ですけれども地方交付税法の第六条の三の二項の規定があって、いただいた資料によりますと、この議論というのは非常に古くからなされているわけです。「引き続き」というのはどういうことか、また「著しく異なる」という条件はどういうことなのかということに対して、私は驚いたのは、昭和二十九年、まだ自治庁長官といった名称でしたか、塚田十一郎先生、やがて新潟県知事になり、私はそのかわりで出てきた者なんですけれども、これを見て驚きました、こんな古くからもう議論しているのだなと。そのときの国務大臣塚田十一郎氏は「これは「引き続き」というのは二年以上ずっとやはり赤字だと、」とか、また見通される三年目も赤字だというときにはこれは「引き続き」なんだと。それから「著しく」というのはまあ一割ぐらいの財政計画に対する不足という状態で考えていますということについて、その後、こちらに今お座りの松浦先生がちゃんとまたその後五十年に、この解釈で間違いないのだということを裏打ちされているのですね。  そういうのに一体、この打ち続く国税の減収というものをこの条項に適用しなければ、この条項というのはもうあってなきがごときものだ、いわゆる死文にも等しいものだと私は思うのですが、局長の見解をひとつ聞かしてください。
  109. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 実は交付税法第六条の三第二項の規定の解釈の問題につきましては、昭和五十年度以降の大幅な財源不足の状態のもとで、国会でも幾たびか論議が行われました。そして私どもは、昭和五十二年度、五十三年度、五十四年度、このころは毎年度の地財対策の要求に当たりましては、その規定をバックにして交付税率の引き上げの要求も行いました。しかし残念ながら、その当時の国の財政状態が交付税率の引き上げに到底応じられるような状況になかった。要は国、地方を通じて大変な財政危機に陥っておったものですから、交付税率の引き上げ、すなわち国と地方の税源の見直しに国の方が耐えられなかったというようなことで、結局、いろいろ論議はあったのですけれども、五十三年度の改正で、六条の三第二項の規定による地方財政制度の改正という形で、交付税特別会計の借り入れによる交付税の増額ということがルール化されたわけです。  したがいまして、この借入方式につきましては、今国会で御審議をお願いしております地方交付税法の一部改正で、今度は借り入れをやめまして新しい方式への移行をお願いしているわけでございますが、いずれにしても私どもは、五十年度以降の地方財政の状況はまさに交付税法六条の三第二項の規定に該当するものである。したがいまして、それに必要な制度の改正等が行われるべきであるという認識の上に立って要求もし、また制度改正もお願いしてきたところでございます。
  110. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 言うべきことは言ってきたと、しかしそれの率は変えられないということは、これはやっぱり何か大蔵省と自治省との力関係というものによるものかなというふうにも考えられますけれども、根っこは、国の財政も大変なんだから仕方がないじゃないかということになると、それも開かなきゃならぬかなと。しかし結果として、それじゃ足りないのを自治体に全部転嫁したかというとそうでもない。やっぱり交付税の特会のような措置も、七年、八年を通じてやってきた。また、ことしになってからは、これに変わる地方の財源措置として、当分の間、地方交付税交付金の特例措置を論ずることとするということで、一兆二千億の建設地方債を認める、それから三千億の特別な財源を付与するという形にしたのですけれども、私は、地方から見るとこれは非常にあやふやといいますか、確固たる制度になってない、こう思うのですね。まあ経過的で、一過性だったかもしれませんけれども、交付税の特別会計の方がそれでもまだ私はきちっとルール化されてきたのじゃないか。率が変えられないとすれば、この方がよかったのじゃないか。いつ何とき、また来年になって地方にさらに厳しい押しつけが来ないとも限らないと、こういうふうな気もいたしますし、それであれば地方財政について、今後いわゆる中長期的にどういうふうに自治省あたりは考えているのだというような、これは国では中長期の財政、成長率五%、三%あるいはゼロ%というような三段階ぐらいに分けて発表しておりますけれども自治省あたりはそれに倣って、地方財政計画の進路とでもいいますか、そういうことをお考えになっていますか。  この赤木の、昭和五十九年度地方財政計画には載っているようですけれども、どうも不敏にしてよくわからぬところもたくさんありますし、また、「財政の中期展望」でも要調整額の欄が非常に多いのですね。一つのフレームで見ますと、六十年の三兆八千億から、六十一年には五兆、六十二年にはもう五兆七千七百億というふうに多額なものが見込まれていますが、こういうものは一体どうして後始末をすればいいのかということについての方策といいますか、どうも説明が足りないようですけれども、財政局長の所見をひとつ承ります。
  111. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 国の方は先般、国の財政についての中期の展望を示す資料を御提出申し上げました。これについては、幾つかの前提を置きながら後年度の財政収支がどうなをかの試算を行っているわけでありますが、地方財政については、国のような単一財政でないということと、それから特に後年度の財政支出を積み上げ方式で積算するということが、地方財政の特質上これはとてもできないというふうな意味で、国の中期展望と同じ手法での地方財政の収支を見通す資料をつくるということは大変難しいわけであります。現実用題として不可能ではないかということで、これまで中期展望のようなものは、地方財政についてはこの二、三年つくらないで御了承いただいたわけですが、しかしやはり何らかの手がかりを得るために、地方財政についてもいわゆるマクロの推計と申しましょうか、地方財政のトータルとしての一定の前提を置いた収支の試算というものは、これは計算をすればできるわけでありますし、またそれなりの意味もあるのじゃないかという御議論もあります。  そこで、現在この検討を行っておりまして、できれば交付税法の審議をいただくまでには何とか、一定の前提を置いた上での地方財政のマクロの収支の見通しのようなものを資料としてつくってみたいと、このように考えております。
  112. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 それでは、今度は田川大臣にお伺いしたいのですけれども、五十九年度地方税制改正に対する地方六団体からの要望事項の中に、全国知事会の方から「事業税における新聞・出版・広告取扱・放送事業等に対する非課税措置及び社会保険診療報酬等に対する特別措置の見直しを行う等、現行の地方税における非課税等特別措置の整理縮小を図ること。」という項目がありますが、たまたま私お昼に部屋へ帰りましたら、私のところの新潟日報、地元からの新聞が来まして、きのう付の新聞の中にこのことにぴったりの実は記事が載っていたんです。「田川自治相は最近、気心を知る人と会うたびに「ほかの人にはできないことをやりたい」と漏らしている」と、それで何をやりたいのかというと「田川自治相の周辺はこれを「マスコミ事業税免除の見直し」だと指摘する。」、そして「自治省の試算では、マスコミ事業税免除による地方税の五十九年度減収見込み額は計二百九十五億円。」になっていると、「田川自治相は「今や立派な営利企業。このような優遇措置は不公平税制の最たるもの」と決めつけている。」と、こういうことで、この後いろいろ述べていらっしゃいますが、これ全部私が言ってしまうと何も大臣からは答弁してもらう必要ないのですから、その後のくだりは、大臣からひとつ本心をですね――これ漫画まであるのですよ。田川大臣が「マスコミ事業税免除見直し」という弓に矢をつがえて、その先の的には「医師」と、そのまた奥には「宗教法人」と、こうなっています。この漫画はなかなかいいところをいっている、さえているようでございますが、ひとつ真意を聞かしていただきたいんです。
  113. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 吉川さん御指摘の事業税の非課税の問題は、今出た問題ではございませんで、もう毎年予算編成、税制改革の折に話題になっておりまして、話題になるだけで実行がつかない。なぜ実行がつかないかと言えば、医師の方をやろうとすれば新聞がこうじゃないかと、新聞の方をあれすれば医師じゃないかという、ボールの投げっこみたいなことをしている。特に新聞、マスコミ関係については表立って言う人がいない。やはり新聞を一番怖がっているのは政界と官界であるということで、もう昭和二十七、八年くらいの状況と今日と随分情勢が変わっているにもかかわらず何ら手をつけようとしないということでございまして、事新しく私が取り上げたことではございません。  ただ、ここには秋山さん、私と同じ朝日新聞出身でございますが、こういう問題はその出身の者が公平な態度で意見を言わないとなかなか前進をしないということで、最近私が申し上げたわけでございます。言い出した以上やらなければだめだということで、私はどんなにマスコミから批判を受けようと、この問題は実行に移さなきゃいかぬと、強い決意を持っているわけでございます。  私がこういう問題をやらなければならないと申しましたのは、一つは、今税制上の問題で、こんな不公平なことをやっているから税金の不公平感がますます強くなってくるということが一つと、もう一つは、マスコミ出身者としてマスコミの権威を保っていく意味からもやらなければいけないことじゃないかという一つのマスコミ出身者としての襟度から申し上げているわけでございます。  一例を申しますと、新聞の非課税ができましたのは、もう昭和二十六年から二十九年の間にそれぞれ議員立法でできた。あの当時の新聞は、用紙不足だとかまだ半ペラ時代で、新聞が公益性を持って、ただ新聞を発行するだけに営々としていた時代なんです。それから三十年、今日新聞はいろいろな事業をやるようになりましたし、かつまた非常に経営もよくなってきた。しかも、公取からいろいろ指摘されるような競争販売をやっているわけですね。そういうこと。  それから、特にテレビは大変な大きな利益を得ているわけでございまして、自治省で調べてもらいましたけれども、売り上げ経常利益率を見ますと、最高が二四%ですよ、FM東京が。利益率が二四%なんという企業、今ありますか。これは教育社の放送業界の経営比較という資料から出たものでございまして、そのほか毎日放送一八・一五%を筆頭に、大体一〇%以上の利益率を上げているのですよ。そういうのが事業税を払ってないなんてこれは全く想像つかない。しかも、この利益に基づいた給料が一体どういう状態になっているかといいますと、全産業の従業員一人当たりの平均給与が二点六十七万五千円としまして、一人当たりの平均給与で放送業界は七百二十四万五千円ですよ、平均給与が。こんな、これは地方団体の高給与どころじゃないですよ。こういうことで事業税払ってないなんてうそみたいな話ですよ。こんなことが一般に知られていないのです。新聞に勤めている人でも、第一線で働いている人が、ああ事業税払ってないんですかと反問するくらいに知らないのです。新聞社に勤めている人が知らないのに一般の国民は知らないですよ。私がここで発言したところで翌日の新聞に出ないのですから。この間うちから再三私が言って、皮肉を言いながら言ったら、ある種の新聞が五行ぐらいささっと、田川自治大臣非課税を撤廃とかなんとか出た程度。テレビは全然放送してないですよ、全部が。だから一般の国民は知らないのですよ。  ちょっと長くなりましたけれども、そういう意味で、これはもう私はちょうどいい御質問で、これは皆さん方にぜひとも御協力をしていただいて、来年の税制改正には超党派でこれが実現できるように心からお願いを申し上げる次第でございます。
  114. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 大変意気壮たるところを見せていただきましてなんでございますが、さっき東京都のベア戦争のことについては話がありましたが、私は別な立場で、田川自治大臣は「都道府県展望」の「地方自治をめぐる諸問題」で、鈴木東京都知事とまことににこやかに対談なさっているんですね。よくけんかなさっていらっしゃる方が笑顔でお話ができるものだな、やっぱりこれは大人物は違うものだなと、こう思ったわけでございます。  ところで、結論から言うと、これは今度の東京都の起債、四百四十五億を認めないで、これで終わった形になったのだと思うんです。しかし、東京都のこの五十八年の一般会計の予算は三兆四千三百億、地方債は一千九百二十四億、不許可分が四百四十五億ですから、差し引き一千四百七十九億認められたわけでございますし、不許可分はわずかに二三・一%にしかならぬ。これは一過性であるのか。ベアはこれはもう一回上げたらずっと続くわけですから、制裁はずっと続けてやられるのですか。今回これでもって、制裁でちょんと終わりになさるのですか。その辺ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  115. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 東京都の起債につきまして、年度末追加申請のあったものについて、東京都の財政状態、ベアも含めた財政状態を総合勘案して、一部の地方債について許可から外したわけでございますが、五十九年度以降の扱いについてのお尋ねだと思いますけれども、五十九年度以降の地方債の取り扱いにつきましては先ほどもちょっと申し上げましたが、やはり今の地方財政の厳しい状況のもとで、各地方団体のいろんな財政支出、その中で特に人件費は義務的な性格が非常に強いものでございますから、それがどういう状態にあるかということは、やはり地方債の詮議の際に一つの判断材料として考えていかなければいけないのじゃないか。そういう意味で、東京都に限らず各地方団体の給与の状態というものを、私どもは注意深くこれは見守っていかなきゃいけないと思っております。  もちろん、地方債許可制度の運用は、先ほど来の御指摘のように、これは地方自治基本にもかかわることでございますから、我々も慎重な扱いをしなければいけませんけれども、同時にまた、今の地方財政の置かれている厳しい状況というものも踏まえた運用がなされなければならないと、このように考えております。
  116. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 私の方も、それじゃ注意深くひとつ見守らしていただくことにさしてもらいます。  この問題ばかりにとらわれていますと豪雪に関連したことが聞かれませんので、ひとつ豪雪のことに移らしてもらいますが、まず本論に入ります前に、国土庁にお願いしたつもりなんですが、今次の豪雪の被害の概況と五十六豪雪との対比した特異性について、ひとつお聞かせ願いたいと思うのであります。
  117. 松本和雄

    説明員(松本和雄君) お答えを申し上げます。  四月五日現在の被害状況でございますが、人的被害につきましては、死者八十七名、負傷者六首四十五名となっております。ちなみに、五六豪雪のときには死者百三十四名、負傷者二千百十四名でございます。  建物の方でございますが、全壊四十二棟、半壊六十六棟、一部破損三千五百八棟となっております。これも五六豪雪のときと対比いたしますと、全壊は五六のときは百四十九棟、半壊は二百八十二棟、一部損壊は一万四千五百三十九棟となっております。  施設等の被害でございますが、御案内のとおり雪消えが遅うございますので、まだかなり判明していない面もありますが、これまた四月五日現在の数字で申し上げますと、公共土木施設関係で八億三千六百万円、農林水産業関係で三百六十四億円、文教施設関係で四億四千二百万円、中小企業関係で四億五千六百万円となっております。  今冬の豪雪の特徴でございますが、大きく分けて四つあると思います。  一つは、降り初めが全国的に一週間ないし三週間早かったこと、二つ目は、雪の量でございますが、五六豪雪を上回る積雪を見たところがかなりあった。三番目は、雪の降り方でございますが、かなり長い期間にわたりまして断続的に降り続いた。四番目は、気温との関係でございますが、かなりな冷気、寒気のもとにおける降雪であったことということが特徴だと思います。  こういうような降雪の態様でありましたために、まず除排雪経費が非常に増高いたしました。これにつきましては、政府といたしまして国県道の除排雪経費につきまして追加所要額全額を措置いたしますとともに、市町村道につきましても、かなりの降雪を見たところの幹線市町村道分につきましては特別の補助を発動したところであります。このほか、自治省におきましても普通交付税、特別交付税を通じましてかなりの措置がなされました。  それから一方、先ほど申しましたような態様でございまして、いわゆるとか雪型あるいはべた雪型でありませんでしたので、人的被害あるいは建物の被害は五六家雪に比べましてかなり少なかった。それから、雪の量が非常に多く、かなりな寒気のもとの降雪でありましたために消雪が遅くなっております。したがいまして、春先の営農対策に注意が必要になってきている。このような点が特徴であろうかと存じております。
  118. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 大変詳しく御報告いただきましたが、さて、今お話しの中にもちょっとありましたが、今次の豪雪に関連いたして、自治省からは交付税並びに特別交付税で大変面倒見てもらったという地方のこれは声でございまして、この点については大変評価さるべきものだし、また感謝さるべきものだと思っております。  ところで、交付税は国税三税の三二%というふうに、前からもう頭打ちされているわけでございますので、当然に、これは除雪経費、積雪地域に手当てを余計すれば、他のところから傾斜配分とでもいいますか、しなければならぬ仕組みになっていると思うのでございますが、五十八年では、普通交付税では基準財政需要額に算入の状況はどのくらいになっているかということが一つと、それからこの除雪費の普通交付税の問題で、新潟は一級地から八級地までありますが、一級地、二級地、三級地と、こういう雪の少ないところほど手厚く見てもらっているといいますか、交付税に算入されているようでございまして、雪の深い八級地、七級地というところが非常に算入の率が少ないように見えますけれども、ここらはどういうかげんでこういうことになるのでしょうか。ひとつ財政局長さんあたりからお聞かせ願いたいと思うのであります。
  119. 津田正

    政府委員(津田正君) 今回の豪雪につきましては特別交付税で百八十億見ておるわけでございますが、そのほか竹通交付税であらかじめ八百九十九億措置しておったわけでございまして、合計千七十九億というような措置の結果となりました。  まず、もう御承知のとおり、特別交付税の枠が五十七年度より三百億円下回る、しかも災害が多発した、こういうような厳しい情勢でございましたが、正山申しまして、都道府県分について随分我慢していただきまして市町村に重点配分した、特に除雪関係については重点的に見た、こういうようなことでございます。率で申しますと、道府県と市町村の配分を見てまいりますと、全体の特交が五・四%減でございますが、道府県には三角の一四・四%と、これだけ我慢していただいて、私どもとしては市町村に傾斜配分したと、こういうような状況でございます。  また、豪雪に対する百八十億の特交の措置におきましても、そのうち百三十億ばかりを市町村分に振り向けたと、こういうようなことで、配分に苦心した次第でございます。  それから、いわゆる普通交付税で手厚く見ておるところには特別交付税の行き方が少なかったと、こういうような結果になっておるわけでございますが、五十五年度の普通交付税におきます除排雪経費の算入が六百六十二億でございました。その後、この五十八年度におきます普通交付税の除排雪経費が八百九十九億と、非常にこの間に普通交付税での手当てを厚くしておるわけでございます。そういう意味におきまして、級地の高いところには普通交付税段階におきまして相当額手当てしておるわけでございますので、特交の配分におきましてはむしろ普通交付税の手当ての少ないところに重点的に措置が行ったと、こういうようなことでございます。
  120. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 もう時間も限られておりますので先へ移らしていただきます。  雪国の中で、固定資産税の問題と高床式の特例措置の問題について、あわせてひとつお聞かせ願いたいと思うんでありますが、固定資産税の問題については、特別償却といいますか、級地の高い八級地あたりでの償却は二五%が適用されるような措置になっているわけでございますが、これはまあ傷みがひどいということらしいのですけれども、私は、それだけでなくて、雪国に住んでいれば三寸の柱の家に住んでいるわけにいかないのでありまして、やっぱり柱から屋根からすべて頑丈にしなきゃならぬ。評価額が高くなるということに対して何か理解がされてないんじゃないかと思います。  この間、清津峡の雪崩事故の見舞いに行きました。一家七人が生き埋めになった。二人だけ助け出されたわけでございますが、そのお宅でも、雪が解けたらひとつまた同じところに再雄したいという願いを聞かされて、たまたま新聞の中に、「雪地獄父祖の地なれば住み老いぬ」という俳句が載っていましたけれども、まさに、どんなに雪が降ろうと父祖の他なるがゆえにここで頑張ってという気持ちが込められた句だと思うのでありますが、そういう雪国の深いところで営々辛苦努力している人に対する思いやりがまだ少し足りないのじゃないかということが一つ。これは言い出すと、それじゃ風の吹くところはどうなるのだというような議論にもなるわけでございますので、なかなか認めてもらえそうもありませんが、ひとつ見解を聞きたい。  しかし、私がこれから言うのは、ぜひひとつこれは聞いてもらわなきゃならぬです。この高床式のことはもう三年前に志苫委員も相当しつこくやってくださっているんですね。だけれど、どうも日の目を見てなかったんですが、これは今度私のにはぜひひとついい返事をいただきたいんです。これはもう趨勢ですよ。そして、これはもう県議会でも、一・五メートル以上は床面積認めると。しかし、これは法律のどこに出ているかというと、驚くなかれ、建築基準法でも何でもないんです。  これに対しては、私は、やっぱり野に遺賢ありというのはこのことを言うのかなと思いますので、ちょっと新聞に投書されたものを紹介します。  投書の方は、北魚沼郡広神村の星銓治という方でしてね、   建築基準法には住宅の居室の採光、換気、目照の必要性が記され、地階における住宅等の居室は禁止されている。不動産登記事務取扱手続き準則には、天井の高さ一・五メートル未満の地階は床面積に算入しないとある。これらの法律はいずれも豪雪地の積雪の実態に配慮がなされていない。   豪雪地帯は約五カ月が積雪期間で、その間には、屋根の雪おろしは五回ないし十回に及び、二階建ての家も雪に埋まり、平屋建ての住宅や階下の居室は採光、換気、日照は皆無にひとしく、雪穴の中の生活のため湿度はきわめて高い。   暖房の石油ストーブや豆炭の臭気は室内に満ち、非衛生的環境である。新潟県は自殺者、精神障害者、目の不自由な人の数が全国で多い地域ときいているが、豪雪とその生活環境にかかわり合いかないのであろうか。   豪雪地域の県民の健康の増進をはかり、気宇壮大な県民性を育てるうえから生活環境の改善が必要である。積雪期の生活を快適にするため、豪雪地の住宅建築は地階の高さを積雪の高さに引き上げ、床面積に算入しないよう、先の二法の改正を切望するものである。  こういうことなんですね。実によく調べたものだと思うのですね。  これは、言えば非常にいろいろ言いたいのですけれども、簡単に言うと、何がネックかというと、固定資産税における三カ年二分の一の軽減措置は床面積百六十五平米以下のものに適用されているのです。これを二メートル、三メートルにしますと、これを今度床面積にしてしまえばこの適用は受けられない、これが一つ。  第二点は、不動産取得税での四百二十万までの特例控除も、これがオミットされる。こういうことになるために言っているのです。ところが、お役人さんを呼んで聞きますと、いろいろそろばんはじいていくと、お互いさま、頭に湯気立ててお互いにやるほどの額じゃないんですね、結論的には。金額、税金の面では。だとすれば、あなた様方の方から見れば我慢できるのじゃないかと、それぐらい税金負担したっていいじゃないかと言えるけれども。また住民の面から見れば、それぐらいのことだったらもっと温かい配慮がなぜなされないのだと、こういうことなんですね。  新潟県では、もう四千五百戸もこういう住宅はできているわけでございますし、このことについては、ついこの間の県議会において意見書をまとめて山川自治大臣にもお送りしているはずなんですが、これについてひとつ当局の見解を承りたいと思います。
  121. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 豪雪地帯等におきます建物の固定資産税の評価並びにそれに基づく課税に当たりましては、傷みがひどいということを主として念頭に置きまして二五%の軽減率を掛けているわけでございます。したがって、例えば一千万円の評価額の家ができた場合に、最初の初年度におきまして課税されますのは、その六割に当たる六百万円相当の資産として課税がなされる、こういう形になっておりますので、大体地域の実情等に応じての固定資産税上の配慮としては、ほどほどのところに行っているのではないかというふうに私ども考えております。  ただ、柱が太くなる分があるではないかというようなこともございます。多分堅固な建物にする必要がありますので、普通の暖かいところの建物に比べますと、いろいろとかかり増しがしていると思いますが、そういう柱を太くいたしましたり外壁を頑丈にいたしましたりしても、なおかつ痛みがひどいということに着目をして、現在のような積雪寒冷補正というものを特別に設けているというふうに御理解をいただきたいと考えております。  二番目の高床式の問題でございますけれども、高床式というのは、要するに一階を低くしておきますと雪が入ってきちゃう、出入りができない、いろいろな問題がありますから床を高くするということにあると思います。したがって、非常に豪雪地帯におきまして一階の床を二メートル上げなきゃいかぬという場合には、それが二メートル上がろうが三メートル上がろうが、単なる建物の一階の床を支える基礎としての構築物が何メートルの高さにあろうが、それはもう雄物の面積には算入しないわけでございます。  ただ問題は、高くしておきまして、せっかくそこに一つの空間ができるから、それを何か倉庫とか自動車の車庫とか、いわゆる雄物として使おうということになってまいりますと、これはもうその時点で一つの一階が実は二階になりまして、新しく一階ができたのだというふうに建物の課税の面からは見ざるを得ないということで、一・五メートル以上のものにつきましては、しかも周囲が囲ってありまして、ちゃんと普通の家屋の一階と考えられるようなものにつきましては課税対象にせざるを得ない、面積に算入せざるを得ないということになっておりますので、この点につきましては御理解をいただきたいと思います。  固定資産税及び不動産取得税におきまして同じような取り扱いになっております。金額は小さいではないかというようなお話でございますけれども、やはり税の公平といいますか、そういう観点から、一応、固定資産税の算定につきましては全国一律の基準である程度やっていかなければいけない、そういう問題もございますので、なかなか難しい問題であるわけでございます。
  122. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 それこそ雪国の実情を知らないと思うんですね。部屋として使うじゃないか、物置として使うじゃないかといっても、これは家の周り二メーター、三メーター雪が積っているのですよ。それこそ土は顔をのぞかせていないのです。それこそ土地は土地としての効果を発してなくても固定資産税取っているでしょう、あなた方は。まあ、自治省が取るわけでもないのだから、あれはまあいいですけど。  雪国は、事ほどさようにしていくと住民との間でどういうことになるか。あなたは二メーターでも三メーターでも幾ら高くしてもいいんだと、それは基礎として土台として使ってればと、こうなりますわね。そうするとどうなるかというと、今度は住民との知恵比べになっているのですね。一メーター五十にして、今一メーター五十で部屋の中に入っていかれないでしょう、みんな前かがみしていかなきゃなりませんね。そうすると、つくったら五、六十センチ今度掘るのです。下を掘って楽々頭がつかえないようにするとか、それから柱をなくしてピロティ方式にしておいて、それで今度夏場はシートをかぶせておく。冬にはまた当囲い式にするとかね。あるいは役人さんの中にはまた思いやりのいい人がいて、囲ってもいいんだが戸だけあけ放れた形にしておけと。何か泥棒さん入ってくれみたいな話なんですけれどもね。そんなお互いに知恵比べをするよりも、さっとあきらめよく認めた方がいいのですよ。  大体この高床式には三つの利点があるのです。こういうのを称して一石二鳥と言うのです。まず第一に、さっき私読み上げたように、通風、採光がよい。それから屋根が今度は自然落下式にできる、除雪が何回もやらなくてもいい。三番目は、自治体もいいんですよ。自治体もやりたいんですよ。たくさん降ればどうしても今度はそれをまた除排雪しなきゃなりませんね。ある程度、二メーター、三メーターまでもてれば自治体もいいんです。ところが自治体は、やろうとするとやっぱり皆さん方の監視が厳しいものだから――許可してやりたいんですよ。これはやっぱり実情に沿うように考えてもらわなきゃなと思うのですが、もう一遍ひとつ答弁してください。
  123. 関根則之

    政府委員(関根則之君) お話は前々から承っておる問題でございますし、特にそういう実情のお話がございましたので、私どももよくわかる気はするわけでございますけれども、何せやはり一階部分がちゃんとした部屋と考えられるような構築物でございますと、これは建物の計算上は床面積に入れざるを得ないという大原則を曲げていくということはできないだろうと考えております。もちろん、実情に応じましてその辺の具体的な判定の問題というのは、できるだけ実情に沿うような判定をするように地方団体については指導していきたいというふうに考えております。
  124. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 じゃ、時間ですから終わります。
  125. 原田立

    ○原田立君 先日も当委員会で、消防力の問題あるいはまた森林火災の問題等々取り上げて質問したのでありますが、主に私は消防の問題と「適」マークと、それから地方公営企業の問題、この三点についてお聞きしたいと思います。  五十九年度予算案では、自治省が一七・五%の対前年度比予算の伸びの中で消防庁が五・七%マイナスであると、これはこの前指摘したところであります。この消防庁予算の中で最高の伸びが林野分で五六・五%も伸びている。これは林野分の消火施設整備がおくれているから、だから今回特にこうやって強く予算をつけたのだと、こういうふうに理解をするのですけれども、よろしいですか。
  126. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 林野の問題につきましては、御承知のように昨年、東北、北陸地方におきまして十三件に及びます大変な火災がございました。しかし、私たちの方が林野の問題に関しまして別に従前まで手を抜いておったわけでございませんで、今までのいきさつを見ましても、林野については何ら実は減らしてきてなかったわけであります。たまたま、先ほどお話ししましたように 前年度の林野火災に対応いたしまして、対前年度比五六・五%を伸ばしたわけであります。
  127. 原田立

    ○原田立君 今もお話あったように、岩手県久慈市ほかの東北地方の火事が去年四月二十七日発生したわけでありますが、ことしは三月十一日の広島県宮島の山火事等もあったのですが、それらの出火原因は何ですか。
  128. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 宮島で発生をいたしました林野火災につきましては、現在、原因については調査中でございます。東北地方の林野火災につきましても、原因につきましては、それぞれ今まだ最終的な原因を発表しているわけではありませんが、一応たばこの火ではないかというふうに言われております。
  129. 原田立

    ○原田立君 三月十一日というとまだ寒いですよね。ことしの場合には特にこうやって寒いものだから雪がある、あるいは雨が多いとかということで、ちょっと気候が一年前とは違うのでありますけれども、四月二十七日の岩手県久慈市あたりのことになると、ちょうどこれからにかかるわけです。だから、もし前回と同じような気候状況でこれがもし再現すると、また岩手の久慈市のそういう事故が起きないとは限らない。そういうふうなおそれを私は持つのであります。  それで、これからの問題でありますから、特にその対策については、ああいうふうな再び山火事、森林火災等起きないように、そのために今問題として取り上げているわけです。  そこで、先ほどの消防、林野関係で五十何%伸びた。これはそんなに特別にふやしたわけじゃないのですと、こういうふうなお話ですけれども、僕としては、やっぱりどうしても前年度こういう事故がたくさんあったと、それに対応する意味で強化したのじゃないかというふうに思える。逆を言えば、今まで林野に関して、森林対策についてはまだまだ手の打ち方が足りなかったのじゃないかと、こういう裏があるわけです。そこら辺どうですか。
  130. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 先ほど申し上げましたとおり、今先生おっしゃったとおりだと私の方も思っております。  先ほど申し上げましたのは、林野について今までのところ手を抜いておったわけではございませんで、毎年これはふやしてはきております。しかし、ことし五六%ほど伸ばしたのは、おっしゃられますように、東北林野の火災がございまして、その反省の上に立って実はこれを伸ばしたわけであります。そういう点で、これからも林野に対する火災についてはそれなりのやはり対応をしていく必要が十分にあるだろうと思っております。
  131. 原田立

    ○原田立君 それで、広域消防体制の強化とかあるいはヘリコプターによる空中消火体制の整備など、こういうのが当時指摘されているわけなんですけれども、これらについてはどういうふうに進展しましたか。
  132. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 林野火災は、御案内のとおり、大規模な火災が一たび発生いたしますと隣接の市町村の区域に広がっていくわけであります。しかも、これらは林野がどういうふうな状況に分布しておるか、あるいはそのときの気象条件あるいは地形、そういうものがいろいろに重なり合いまして大変多くの被害をもたらすことになるわけであります。そうなりますと、一つの市町村の消防ではとてもこれに対応できないというのはお話のとおりだと思います。そういう点で従来から、非常に小さい市町村の消防に関しましては、一部事務組合によります広域的な消防体制を組むとか、あるいは相互応援協定の締結をするとか、あるいはヘリコプターによる空中消火ですが、これは昭和四十四年ごろから防衛庁なり林野庁との間で話を煮詰めながら五十年から実施に移してきて、空中のヘリコプター散布による山林火災の防御ということを現在行っているわけであります。
  133. 原田立

    ○原田立君 おたくの方からもらった資料によりますと、五十六年に三千七百九件発生して焼損面積が千九百六十九ヘクタール、五十七年は四千五百七十九件発生して三千百三十六ヘクタール、五十八年は三千九百二十五件発生して七千八百六十七ヘクタールの焼損である。これは非常に大変な数字ですね。金額のことも話ありますけれども、それはそれとして、五十六年の三月十八日に北九州で火災があった、これは平尾台のことだと思うのでありますが、四月二十三日のと二回ある。これはまだ出火原因不明というふうになっている。五十七年一月三十一日、沖縄県の島尻郁粟国村ですか、これはたばこの投げ捨て。それから三月七日に行橋市、北九州市で起きたのは、これも原因不明。こういうふうに原因不明というような、あいまいもことしたもので終わりにしておいたのでは、この焼損面積からいって非常に損失が多大であると思うのですけれども、どうですか。これに対する手だてというものはもっと強力にやってもらわなきゃいけないと思う。いかがですか。
  134. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 山火事の出火の原因というのは大変難しゅうございまして、今お話の中にありましたように、たばこの投げ捨てでありますとかあるいはごみ焼きの不始末でありますとか、いろんな理由があるのですが、現地の消防において山の中に入っていきまして原因の調査をいたしますが、警察との間で協力関係を結びながら出火原因の調査を続けていてもなかなかわからない場合がございます。ただ日本の国では、御案内のとおり、多くの場合、自然現象で発火をすることはおよそないわけでございまして、何らかの人為的なことが加わって山火事が起きるというのが日本の国の山火事における通説でもありますから、消防署の中でもいろいろそういう点について研究をしながら原因の探索をやっているのだと私どもは思っておりますが、なかなか広範な焼けた跡の中で出火原因を突き詰めていくというのは非常に難しいかと思います。これは、どっちにいたしましても警察なり消防なり双方で、やはり出火原因を突き詰めていかなきゃならぬ問題でありますから、今後ともいろいろ研究をしてまいりたいと思っております。
  135. 原田立

    ○原田立君 大臣、こういうことなんですよ。だから、この前も林野関係の消防力をもっと強くすべきだということを言ったわけなんですけれども、しっかり勉強して研究すると言っていますけれども、その発生した当時の状況ですが、やはり警察とか自治体の消防とか自治体自身とか、いろいろ研究してこうだというある程度の結論は出るはずなんです。だから、それに対する対応策はきちっと打ってやらなければいけないと思うのです。消防庁長官はしっかりやると言っていますけれども自治大臣としていかがですか。
  136. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 御指摘のように、これから防いでいくには原因がわかりませんと予防のしようがございません。非常に難しいことではありますけれども、火災原因、何で起こったかというその原因の究明をより徹底して調査できるように。努力をしてまいります。
  137. 原田立

    ○原田立君 それは今言ったとおりなんです。椎わないんです、それは。だけれども、それに対してはもっと予算をつけてあげるとかあるいは施設を充実してやるとか、そういう外科的手術が必要なんですよ。その面の御努力を願いたいと思うんです。
  138. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) そのように努力をしてまいります。
  139. 原田立

    ○原田立君 昨年八月、名古屋市の中心街の地下鉄東山線栄駅稚内で発生した火災事故は、消防士の方お二人が亡くなり、大きな地下鉄火災事故であったわけでありますが、事故発生以来七カ月を過ぎておるのでありますが、あの事故で得た教訓、防災、避難対策等、種々検討協議されていると思いますが、その後の対応について御説明願いたい。
  140. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) お話ございましたように、昨年の八月、名古屋市の市営地下鉄栄駅の変電室におきまして火災がございました。火災によりまして、当時、地下鉄、その地下街におられる人の多くの利用者がこれは割合混乱なく避難をいたしたわけでありますが、消火活動に当たっておりました消防士二人の方が亡くなりまして、非常に残念に思っております。  これらの地下街の安全対策につきましてはもともと、御案内のとおり、消防法令上の消防用設備等の設置につきまして、特に排煙の設備でありますとか連結散水設備でありますとか、あるいは無線通信の設備でありますとかの規制が行われているところでありますが、この名古屋の火災を踏まえまして、特に地下街でありますとか地下鉄の実態把握に各公共団体が努めてくれるようにということで、実はその後通達を出してございます。特に警防計画について見直しを図り充実をしていくようにということでありますとか、こういういろいろな火災が起きましたときの状況下における消防、防災の訓練をどうするか、こういうことをいろいろやっておるわけであります。東京の消防庁では、その後直ちに葛飾区にあります高砂のトンネルの中でいろんな訓練をやっておりましたり、公共団体はそれなりの対応を合いたしております。  どちらにいたしましても、地下鉄と特に地下街とが連結をしておりますようなそういう現場では、両者の連絡調整が大変大事なことでございます。そういうところで、消火でありますとか通報でありますとか避難誘導の訓練を実。施するように、全国の消防機関に対して通知を出しておりますし、特に防災、避難対策の指導の徹底を図っていくように。ということを申しております。  さらには、中央の方にも地下街の中央連絡協議会がございまして、これは消防庁と建設省と運輸省との間で調整をしているわけですが、そういうところで、さらに地下鉄、地下街の防火安全対策の徹底を図っていくようにしていきたいと思っております。
  141. 原田立

    ○原田立君 自治省、消防庁、運輸省、建設省、またそれぞれの自治体、それらが関係のところだと思うのですが、何か御相談して、よく協議して、じゃ地下鉄についてはこういうふうにしよう、地下街についてはこういうふうにしようという何か成案は得られましたか。
  142. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 基本的に地下街の防災につきましては、特に排煙対策というものを含めました消防用設備の設置でありますとか査察指導あるいは警防訓練をするというのはもちろんでありますが、一般的に公益上全くやむを得ないもの以外は地下街というものはもう増設しないというのが基本的な原則であります。
  143. 原田立

    ○原田立君 それは非常に勇敢な御意見だけれども、今の地下街というのは、各十大都市とか大きな都市では大体やりつつ進めているというのが現状なんだけれども、それはシャットアウトしちゃうのですか。ちょっとそれは考え方がおかしいなと思っているのですけれども。  そこで、地下街の話よりか、僕は地下鉄の東山線の話が主なんです。二人の消防士が亡くなられた。避難誘導が――一両がトンネル内に。入っておった。それで、スイッチを切っちゃったもので真っ暗であったが、誘導がうまかったので避難がスムーズにいって死亡者はなかった。大変それは結構な話です。だけれども、そういうことよりか、先ほどあなた言われたように、排煙設備がきちっとできているかどうかというのが最大のネックになっておるのです。その辺を実態調べてみると、営団地下鉄あるいは都営地下鉄なんかも、最近できたものはきちんとできているけれども、その前のものについてはほとんどできていない。これに対して運輸省の方は、ただ既存のものについては十分そんなことが起きないようによく注意をしなさいという、そういう精神的な指導規定だけにしかすぎない。そうすると、新しくできた地下鉄の方は排煙設備ができてそういうふうなこともできるかもしれないけれども、じゃ古い方はどうするのだと。ただそんな精神規定だけで、もしそっちの方がばかっと事故が起きたらこれは重大な問題でしょう、新しくできた地下鉄よりか、三十六年ですか、その前にできていた地下鉄の方が多いわけなんですから。いかがですか。
  144. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 先ほど申し上げましたのは、地下街につきまして、公益上やむを得ない限り地下街というのは増設しないというのはもう中央の連絡会議で決められたことでありますので、全く公益上やむを得ないものでない眠り認めないというのが政府の方針であります。  ただいまの地下鉄の問題につきましては、おっしゃられている点が多分にあろうと思っております。特にこの点につきましては十分運輸省とも協議をいたしまして、各消防機関に対して地下鉄の現状の把握ということをやはりちゃんとやっておかなければいけませんし、さらに警防計画もつくってその充実を図っていくというのが、地下鉄の今の部分については、やはりやらざるを得ないところであろうと思っております。  よく運輸省の方とも連絡をとりながら十分対応していきたいと思います。
  145. 原田立

    ○原田立君 対応する対応すると言って、それは対応してもらわなきゃ困るんだけれども、やっぱり災害というのは起きちゃってから、こうします、ああしますと言ったってだめなんですよ。起きる前にきちんと手を打って、起きないようにするのが大事なことなんでしょう。  ですから今、先ほども言ったように、営団地下鉄では百十五駅中七十四駅、都営地下鉄では三十八駅中三十三駅、これは排煙設備がないんですよ、御存じだろうと思いますが。万が一にも火災が発生したならば大惨事は必至であると、こう思うのです。保安装置の義務づけ等をもっとはっきりすべきだと思うのですけれども、いかがですか。運輸省も来ていますか。運輸省も消防庁も答えてください。
  146. 福田安孝

    説明員(福田安孝君) ただいまの御質問に御説明させていただきます。  地下鉄に関しましては従来から、トンネル部、ここでは不燃材料を使用するとか、駅部につきましては消火器等の対策を立てる。さらに、車両に関しましては車両の不燃化というようなことで、できるだけ燃えないようにということで不燃化対策を強力に推進しておるわけでございます。  ただいま御指摘の排煙設備でございますけれども、確かに御指摘のとおり、古いものについては排煙設備が設備されておりません。新しいところにつきましては設備するように我々も十分指導いたしておりますが、古い方の駅等につきましても、その駅の乗降の状態、それから避難通路の確保、そういうようなところを踏まえながら大改良時にできるだけ排煙設備をつけるようにということで指導していきたいというふうに考えております。
  147. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 地下鉄の構造その他については運輸省の方とよく協議をしなければいけないのでありますが、問題は住民の生命をどう守るかというのが消防にとっては大変大事なことでありますから、初期のそういう消火でありますとかあるいは避難誘導でありますとか、そういう点にやはりこれからも意を用いながら住民の方々の安全を図っていかなきゃいかぬと思っております。
  148. 原田立

    ○原田立君 私は福岡市内に住んでいます。市内に今地下鉄通っているようになっている。とってもきれいですよ。都内で、何線ですかちょっと線名は忘れましたけれども、行きましたけれども、とっても汚いです。それでまた複雑ですね、道路が。有楽町線なんかはこれはきれいです。大阪へ行って大阪の地下鉄に乗ってみたけれども、これまた道路がまるきりわからない。あんなところで事故が起きたら大変だなということを心配するんです。  それで、これは去年の八月十九日の新聞に出ているんですが、「自治省消防庁によると、床面積千平方メートル以上の地下鉄駅は消防法施行令で排煙設備の設置が義務づけられている。しかし昭和三十六年以前にできた古い駅にはこの規定が及ばず、トンネルも適用外となっている。このため、行政指導でカバーしているのが現状。」それから「運輸省通達の「地下鉄火災対策基準」によると、」――いろいろここは言って「ただし、既設の地下鉄においては可能な限り設けること」と、東京消防庁の方は「古い路線には確かに物理的、経済的に設置のむずかしい側面もある。だが、現状のまま放置してよい、というわけにはいかない。」しっかり何かしなければいけないという、そういうふうなことが言われているわけなんです。ただ、よく連携とって相談してやりますだなんという、そんな簡単なものじゃないということを私指摘したい。もっとしっかりやってもらいたいと思うのですが、どうですか。
  149. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) おっしゃられているとおりだと思いますので、十分各省の間で話し合いをしながらいろいろの対応を考えていかなきゃならぬと思っております。
  150. 原田立

    ○原田立君 じゃ、田川大臣、その点よろしくお願いします。先ほど御答弁いただいておりますからそれは結構ですけれども、なお一層充実してもらいたいと思います。  それで、次に消防力の充足状況なんですけれども、消防力の基準という法律ができて、その第一章第一条では「この基準は、市町村が火災の予防、警戒及び鎮圧並びに救急業務等を行なっために必要な最少限度の施設及び人員について定めるもの」と、こういうのが決められているわけでありますけれども、この基準に対し、消防施設及び人員の充足率の実態はどうなんですか。
  151. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 御案内のとおり、消防力の基準につきます調査というのを三年に一遍行っているわけであります。ことしがちょうどその調査を行うことになっている年に当たっているわけですが、三年前の五十六年四月現在の消防力の基準に対する充足状況は、消防ポンプ自動車では八七・九%、小型動力ポンプ車では六七・九%、はしご自動車では五七・七%、化学消防自動車で五四・〇%、救急車で九九・五%、消防水利で六五・九%、現有の車両に対する消防職員は七七・九%というふうになっております。
  152. 原田立

    ○原田立君 それは要するに基準が決められているわけでしょう。それが一〇〇%あってしかるべきなんでしょう。そこまで行かなくても、少なくとも九割ぐらいは行って充足したということが言えるのじゃないですか。  今あなたが言われたけれども、はしご車は五七・七%、化学消防ポンプは五四%、これでいいと言われるのですか。ただ数を言ってもらってもだめなんですよ。これでいいのかどうかと、これで法律に照らして十分なんですというのかどうか、そこを聞いているんです。
  153. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 消防力の基準というのを長官の告示によって決めておりまして、それは直ちに充足をしなきゃならぬ一つの基準を定めているわけですから、令部一〇〇%になってもらいたいというのが我々の願いでもあるし、市町村もそれなりの努力をしていただかなきゃならぬと私たちは思っております。  ですから、今いろいろの数字を申し上げましたが、これらの数字が、少なくともなるべく早い時期に一〇〇%になってもらいたいというのが我々の願いであります。
  154. 原田立

    ○原田立君 いつごろまでにそうなるのですか。
  155. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) これは大変難しい問題でございまして、いつごろまでにそうなるかというよりも、我々の方もそうなるように指導したりしなきゃいかぬと思っておりますが、今の市町村の財政事情は、御案内のように大変悪いということも一つありましょうし、あるいは市町村が消防に対してどれだけの本当に積極的な熱意を持ってこれに対応しているかということも、これはないわけじゃないだろうと思っております。  なお、私の方の財政当局でも、財政事情をいろいろ考えながら交付税の中で相当の額を強化をしてきているわけでありますが、なかなかこれさえも実は消化をしていないというのが現実でありますから、それなりのやはり市町村でも対応をしていかなきゃならぬと思いますが、それじゃ今、これから何年たったらこれがどうなるかということについてはちょっと申し上げかねるところであります。
  156. 原田立

    ○原田立君 非常に私は不満を持ってその答弁を聞いております。もちろん、地方財政が非常に苦しいこと、そんなことは十分わかっておりますけれども、先ほど来申し上げているように、事故が起きちゃってから、じゃどうしましょう、こうしましょうというのじゃなくて、起きない前にきちっと手当てしておくことが大事だという、そういう前提の上に立って消防力の充実ということを聞いているわけです。  あと職員の状態にしても五十六年四月現在で十五万八千二百二十三人の定員に対して十二万三千二百四人、七七・九%、これだってまだ足りないと思うんです。これはせっかく努力してもらいたい。  それから、これもこの前の当委員会で質問しましたけれども、適合マーク制度、これは三年前にできましたね、ホテル・ニュージャパンの火災事故発生以来。過去三年間で「適」マークを交付されていた旅館、ホテルからの火災発生件数が七十五件、その中で「適」マークの取り消しを受けたのが七件、こういうふうなことが調査でわかっているのですけれども、その交付するときに少し付い物の考え方があってそうなったのじゃないか、あるいはその出火原因等は何ですか。
  157. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 御案内のとおり「適」マークというのは、消防法なりあるいは建築某準法に決められております、人命を尊重すると申しますか、そういう点の最低の設備が必要だということを、ある一つの判定項目に従いまして、客観的にそれが判断できるような仕組みになっているわけであります。ですから、これが竹やかされるというようなことは本来ないというのが我々の考え方でありますし、消防のそれぞれの査察におきましても、予防行政上、そういうことをしていると我々の方は思ってはおりませんが、もしそういうことがあるとすれば大変遺憾なことだと私は思っております。ただ、これらの火事のいろいろな原因がございますが、火事によって「適」マークを廃したりあるいは廃さなかったりといういろんなことがあろうと思います。火災にもいろんな原因がございまして、今申し上げました「適」マークの二十四項目違反で火災が起きたというのであれば「適」マークの返還をさせるというのは当然であろうと思いますが、その火災の内容が、二十四項目決められている内容そろっていたけれども火事になったというものに「適」マークを直ちに返せということにはなかなかならないだろう。これは各消防本部の方でも自分たちのところでいろんな決め方をいたしておりまして、火事になったら必ず返させるという消防本部も、それなりにつくっているところもあります。これらの対応は、それぞれの消防本部で実情に応じて私はやっているものだと思っております。
  158. 原田立

    ○原田立君 交付対象物件は全国で一万九千五百六十一、調査したのが一万四千六百八十七、その調査率が七五・一%、その一万四千六百八十七のうち適合して交付したのが四千六百六で三一・四と、これは五十八年十二月三十一日現在ということで調査書をもらっているのですけれども、その後進展していますか。
  159. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 今の数字の中で旅館姓物の方は、対象の建物が一万七千七十八でございまして、そのうちマル適を交付したのが、昨年の九月で一万三千百六十五ございまして、七七・一%になっておりますが、今先生がおつしゃられましたのは、その以後、拡大対象いたしましたものだろうと思っております。それは三一・四%でございます。それは昨年度の末でございます。
  160. 原田立

    ○原田立君 それで、ここで聞きたいのは、何かいろいろ理由はあるのだろうと思いますけれども、例えば東京などはもう既に七四・六%、大阪は一六・八%、神奈川は三二・五%、福岡三八・九%というふうになっているわけですね。ところが、秋田それから富山、奈良、鳥取、これはまだ発行はゼロなんですね。これはどうなんですか。
  161. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 今の、後でマル道を拡大をいたしました対象物につきましては、実は昨年の四月から取り上げていったものでございます。そのために若干指導の期間がまだ短いということもございますし、もう一つは、今お述べになりました県の中には、一応調査というものをしておりますけれども、調査をする都度交付をしているのじゃなくて、みんな全部調査終わってから一斉に交付しようと、こういう考えがございまして、それでゼロになっているというふうにも聞いております。  いずれにいたしましても、こういうマル適の問題というのは住民に対して大変大事な問題でもありますから、今後とも各県を指導しながら、これが十分に措置されていきますように指導していきたいと思っております。
  162. 原田立

    ○原田立君 東京消防庁から安全上特に問題があるとして公表されたホテル、旅館が二十一件、二十一件中十六件までが改善し「適」マークを交付されたのに対して、防災上欠陥がありながら公表されなかったのが三竹二十件ありますが、その中で二十五件しか交付を受けていない。だから、約三石弱のところがまだ不交付なんですね。そういうところは営業はしているのですよ。そうすると、なかなかちょっと素人で、いや「適」マーク大切なんだとこういって、見て、それで泊まるところを決めるなんというのじゃなくて、何にも知らないで、とにかく心配ないだろうということで入っていくわけです。ところが実際には「適」マークがないところだったなんていったら、もしそこで事故がなきゃいいですよ、火災が。そんなあったのじゃ困りますけれども、あったら大変な話です。だから、その三百二十件中二十五件のところは改善があったわけでありますけれども、あとの三百件弱についてはどうなんですか。
  163. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 東京におきます旅館、ホテル、そういうところで、今おっしゃられましたように、「適」マークにつきまして二十一件は若干悪質だということで公表をいたしております。どういうものを一体公表するかというのがまずあると思うわけですが、これはもともと二十四項目を示しましたものに違反をしているのは当然でありますが、その中に、措置命令に違反をしているとか、そういうことでけしからぬということがわかってきますれば、それは公表すると思います。どの程度のものを東京都が悪質と見たかという考え方もあったろうと思います。その中で二十一件を公表して、十六件と申されましたが、私たちの方には十四件が「適」マークが交付されているというふうに東京から連絡は受けておりますが、それについての違反事項が改善をされたというふうに思います。ただ、残りの部分につきまして、実は東京の方から昨年の九月に私たちのところに報告されましたところによりますと、「適」マークの対象の旅館、ホテルが千四十八件ございまして、そのうち八百三十三件については「適」マークを交付しておる。したがって、「適」マークを交付していないものは二百十五だという報告を受けております。  若干先生の数字と違っているようでありますが、どちらにいたしましても、これらのものが少なくとも一日も早く「適」マークを交付されるようにならなきゃいかぬ。特に、今おっしゃられましたように、住民の方から見れば大変安全が疎外をされているということになるでしょうし、「適」マークを公表をするといいますか、「適」マークをつけておるというのはある意味では情報公開の部分がございまして、「適」マークがついておれば一応消防の設備としては最低限度のものは備えられているという情報公開でもありますから、住民の方々がそれをごらんになってお泊まりになるということがむしろ多くなってくるだろう。  私たちの方でも、これもまあ一応福岡で聞いた話ですが、「適」マークのないところにはもう旅行業者もあっせんをしない、泊まらないということがございまして、そういう意味では、ある効果がやはり出てきておるのだろうと。これらにつきましては、やはり国民の関心というものも一つありますし、経営者の防災意識というのがどうしても必要不可欠なものでありますから、そういう点のやはりこれからPRをしていかなきゃいかぬだろうと思っております。
  164. 原田立

    ○原田立君 大臣消防庁長官も答えてもらいたいのですけれども、例えばスプリンクラーをつけなきゃいけないと、やっぱり大分大変お金がかかるらしいですね。それでまた、それを取りつけるために店も二カ月とか三カ月とか休業しなきゃいけないとなると、大変な痛手だというので廃業しちゃうというのもあるらしいです。  そこで、このスプリンクラーの設置なんというのは最低条件として必要だと思うんですよ。こういうようなのについては、私企業ですから自分の力でやれと言えばそれきりな話なんですけれども、準公的なものがあるわけなんですから、そういうのは例えば政府関係金融機関の貸付金の金利を安くしてやって、もっと大いにやれというふうにやるとか、何かそういう誘導作戦をしてやらないと、いつまでたっても古ぼけたままで、下手をするとまた事故の種になる恐れがあると思うのですけれども、そこら辺の御配慮はいかがですか。
  165. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) おっしゃられておりますスプリンクラーをつけるということがホテルなり旅館にとりましては非常に大きい金のかかる仕事だと思っております。そのために「適」マーク制度の判定項目であります消防用の設備あるいは消防の避難施設、そういうものに対しまして中小企業金融公庫なり国民金融公庫なり、あるいは環境衛生金融公庫なりなどの政府関係の金融機関からそれぞれ長期低利の資金を融通をいたしているわけであります。五十八年度からはさらに、旅館、ホテルなどで「適」マークの制度によって不適の判定を受けたものに対しましてこれらの特別融資の制度を創設をいたしたわけであります。そういうことをやりまして、一日も早くつけるように我々の方も願っているわけですが、これらの金融機関というのはもう御案内のとおり政府関係機関でございまして、政策金融の中でどういう措置をしていくかということも一つの問題であろうと思います。しかし、事は大変重要なことでもありますから、おっしゃられましたことを関係の各省にお伝えをいたしまして、改善が図られるものなら、そういうふうな努力をするようにお願いをしていきたいと思っております。
  166. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 原田さん御指摘のことは私どもも随分聞いたり見たりしておりまして、大変重要なことでございまして、今、長官から答えたように、ある程度のいろいろな融資の策を講じているようでございますが、なおそういう万全を期して設備をしようという人たちに積極的な意欲を持たせるように努力をしていきたいと思っております。これは自治省だけでできる問題でございませんで、関係各省とも話し合って促進をしていきたい、このように思っております。
  167. 原田立

    ○原田立君 地方公営企業の財政赤字が自治体財政を大きく圧迫していることはもう十分御承知のとおりでありますが、五十六年度の累積欠損金は一兆三万四十六億円と、一兆円台に上っているわけですけれども、このうち交通事業、病院事業、上、下水道の四事業で全体の九二%、九千四百七十九億円に達しているわけでありますけれども、経営の健全化という面からいくと非常にマイナスになっているのじゃないかと思いますけれども、いかがですか。
  168. 土田栄作

    政府委員(土田栄作君) 御指摘のとおりでございますが、御案内のように、公営企業の大部分は複式経理をやっておりますので、累積欠損金は、要するに減価償却費の見合いの分が十分内部的に資金がたまらないということでございます。経営が厳しいという実態は御指摘のとおりでございます。
  169. 原田立

    ○原田立君 自治体病院について調べてみますと、五十六年度の累積欠損金は二千七石六十九億円でありまして、全体からいくと二六・七%になって、年間赤字額三百三十四億で四〇%、こうなっているわけでありますけれども、赤字事業数についても、五十七年度、一般病院、精神病院、結核病院合計三百九十二病院に対して五十八年度四百六十二事業と、七十事業も赤字病院がふえている。御存じでしょう。これの原因は一体どうしてなんですか。
  170. 土田栄作

    政府委員(土田栄作君) 私どもは、実はこの決算統計というもので三月三十一日に締めましたものを七月ごろ検収するという形をとっておりますので、その数字を見ないとはっきりしたことはわかりません。恐らく先生のおっしゃっておられますのは、全国の自治体病院協議会におきます決算見込み額調べのことをおっしゃっておられるのだろうと思いますが、実はこれは十一月三十日現在でとりますために、半年分は実績、それから残りの半年分はその推計ということであります。  そうしますと、各病院につきましては、料金収入の方は非常にかた目に見積もる、それから歳出の方はいっぱいいっぱい全部出すという計算をいたしますので、一番決算の状況として悪くなればこういうことになるだろうということでございまして、私どもの感じでは、これほど悪くはならないのではないかというふうに考えております。  ただ、五十八年度におきましては、御案内のとおり、五十七年度ベアがありませんでしたが、五十八はベアを実施いたしますので、その分だけ公立病院の歳出が膨らんでまいります。その分につきまして公立病院の経営が苦しくなってくるということは事実でございます。
  171. 原田立

    ○原田立君 それで、五十七年度の累積赤字三千百三十七億円、それから病院数にすると四百六十二病院、六五・二%が赤字病院、この数字を見ただけでも大変な問題だと思うのです。この累積赤字はふえる一方でありますし、自治体病院の経営の健全化については今後どう対処されるのか。もう時間がありませんから、ここで私言いますから、答えだけ言ってもらいたいと思うのですが、やっぱりお医者さんも確保しなきゃいけないでしょう。看護婦さんもしなきゃいけないでしょう。それから救護もしっかりしなきゃいけないでしょう。それが大都市ならばいいけれども、中都市、小都市、僻地と、こうなってくると、そうはなかなかいかない。そうすると赤字がどんどんふえてくる。また、僻地、離島なんかへ行くと、医者は、もう六十五歳以上が三割以上もいる、行く人もいないというようなことで、大変経営自身にも苦慮している。経営も苦慮しているし赤字もふえるし、そうすると自治体病院がやっぱりその地域の中核をなしているわけなんですから、そこが力が弱くなっては困るわけなんです。大いに力をつけてやらなきゃいけない。それに対してはどういうふうな手だてを講じられるのか。それで自治大臣の方も関連して御答弁をいただいて私は終わります。
  172. 柳沢健一郎

    説明員柳沢健一郎君) 自治体病院が公的に使命を十分達成するために経営の健全化、そして適正な医療が確保できるために、従来から厚生省といたしましては、救急医療でありますとか、あるいはがん診療でありますとか、あるいは小児医療等、いわゆる政策的医療を担当する部門あるいは僻地医療を担当する部門につきましては、その当該の特殊診療部門に対しまして逆常費を助成するなどの措置を講じてきたところでございます。  今、先生御指摘ございましたようなそういう客観情勢にもございますので、これらの措置につきましてさらに充実を図るなどいたしまして、経営の改善に努めるように厚生省といたしましても指導をしてまいりたいと考えております。
  173. 土田栄作

    政府委員(土田栄作君) 公立病院全部で九百六十四あるわけでございますが、この中で非常に立地条件がいいところとか、それから院長さんの名声を慕ってくるところとか、そういうところは非常に経営がよくて黒字でございます。ですから、必ずしも僻地だから経常が悪いということではありませんで、逆に大都市でも非常に経営の悪い病院もあるということでございまして、そういうふうに個別の問題でございますので非常に対応が難しいわけでございますが、私どもとしましては公立病院の経営健全化のためにいろいろな指標をつくりましてお配りして、それと比べてそれぞれの病院で悪いところを直してくれという指導をいたしますとともに、今御指摘がございました不採算医療といったようなものにつきましては、これはどうしても公的負担が必要でございますので、地方財政計画上、所要の算入措置を講じ、その一部について地方交付税措置を講ずる。これについてはできるだけ実態に即して充実を図ってまいりたいと、このように考えております。
  174. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 自治体病院は地域医療の基幹病院として大きな役割を果たしておりますし、また僻地医療を初め、医療に恵まれない人たちのために相当の役割を果たしているのでございまして、そういう意味から自治体病院の健全化を図っていかなければならないと思います。  私の乏しい経験でございますけれども、昨今、これまで非常に赤字を出していた自治体病院もかなり立ち直ってきているという例を随分見聞きをいたします。もちろん、立地条件とか医療機器初め、医療設備あるいは医師の問題、いろいろありますけれども、私はやはり自治体病院の責任者の経営能力というものが相当影響していると思うのです。そういう面から、そうした自治体病院の院長あるいは事務長、そういう人たちの指導力が発揮できるように自治省は面倒を見ていかなければならない、指導をしていかなければならないと思っております。  いずれにしても、自治体病院、公立病院の置かれた立場というのは地域医療から見て非常に重要でございますので、国民の健康を守る意味からも、ひとつもっともっと充実をしていくように図っていきたいと思っております。
  175. 中野明

    中野明君 三点ほどお尋ねをいたします。  まず一点は、地方制度調査会、けさほど来、同僚委員の方からいろいろ質疑が出ておりましたが、本年の二月二十九日に第二十次地方制度調査会が出発をして、この総会におきまして総理も発言をしておられますが、地方分権推進ということについて繰り返し提言をいただいておりますがと、総理も、いみじくもこうおっしゃっているわけです。ところが、けさほど来の議論にもあるとおり、遅々として進んでおらないのが実情でありまして、せっかく地方制度調査会が結論をまとめて答申をなさってもそれが実行できないで今日に至っていることはまことに残念でございますが、ぜひ田川自治大臣におかれましては、この地方側度調査会というものが英知を集めて出された結論というものに全力を挙げて取り組んでいただきたいと思いますが、まず第二十次にもなっているのですが、今回の地方制度調査会では主としてどのようなことを検討なさろうとしておるのか、この辺からお聞きしたいと思います。
  176. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) ただいまお示しのように、第二十次地方制度調査会、去る二月二十九日に発足をいたしました。  同日の第一回総会におきまして内閣総理大臣の方から諮問といたしまして、「最近における国民世論の動向と社会経済環境の変化に即応した地方行財政制度のあり方」という諮問が行われたわけでございます。大変幅の広い諮問でございますので、同日の総会におけるフリートーキングにおきましても、あるいはさらにこれを受けました第二回の三月十六日の総会におきましても、どういう点に重点を置いて行うべきかということについての御意見が出ております。さらに、近く四月中に第三回の総会開きまして、ここでもう一度フリートーキングをしていただきまして、こういった幅広い諮問事項に対してどういう事柄を重点に審議をしていくかという具体的な審議項目をお決めをいただくと、こういう手はずになっておるところでございます。
  177. 中野明

    中野明君 そこで、伝えられるところによりますと、総理は現行の地方交付税制度のあり方ということについて自治省に検討をゆだねたというんですか、検討するようにというようなそういう趣旨の発言をされたと、このように伝えられているのですが、自治省としてはどのような問題意識をこれに持っておられますか、ちょっと。
  178. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 交付税制度につきましては、御案内のように、昭和五十年度以降、地方財源の巨額な不足に対して交付税特別会計の借り入れによる補てんという措置を続けてまいりました。しかしその結果、大変な交付税特会の借り入れ残高を抱えるに至りまして、こういうやり方を今後とも継続するということにつきましては地方財政にとってもこれは問題であるということで、五十八年度限りでいわゆる借り入れ方式は打ち切りにいたしまして、五十九年度から新たに国の一般会計との間で必要な特例措置を講ずるという方式に変更することにしておるわけでありますが、これからの岡、地方の財政を展望いたしますと、いわゆる増税なき財政再建路線のもとで、国の財政も大変な収支の状況になるようでありますが、これに応じて地方財政についても非常に収支が厳しい状況になる。特に歳出については、国との関連で抑制基調を今後とも継続していかなきゃいけないということが見込まれます。  そうした中で、地方税制、地方交付税制度その他、国庫支出金制度、こういった地方財政制度をどう持っていったらいいのかということは非常に大きな課題であろうと思います。そういった地方税財政全体の中で、特に交付税制度につきましては、これまでの借入金方式をここで打ち切って新しい方式に移行するということを決めた際でもありまして、私どもとしては、できれば、今後の地方財政を展望しながら、交付税制度のあり方につきましても地方制度調査会で幅広く御検討いただきたいという気持ちを持っております。
  179. 中野明

    中野明君 自治大臣地方交付税制度というものを現状のままでいいとは思っておられないと私は思うのですが、御所見をちょっと聞きたいんです。
  180. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 地方交付税制度は、御承知のように、戦後のシャウプ勧告による地方財政平衡交付金から、昭和二十九年、その当時変わりまして今日に至っております。  私は、地方交付税制度はその前の地方財政平衡交付金に比べてやはり非常にいい点があると思うのです。こういう制度をこれからどういうふうに変えていくかということは、私素人でございますから、確たるあれはありませんけれども現状でいいというふうには考えておりません。これまでいろいろ御意見が出ましたように、地方の財政基盤確立していく上で、現状を打破していかなければなかなか難しいのではないかと思っております。  ただ、さっきもちょっと個人的な意見を申しましたけれども、胴の財政上なかなか率が上がりませんから、そういう面で交付税の税率でも上げるということができれば非常にいいと思っておりますけれども、これも国の財政上なかなかいかない。  私は就任してまだ三カ月余りでございますが、地方制度調査会の有力なメンバーの方々も個人的に大変御懇親いただいている人が多いものですから、そういう方々の御意見を伺いながら、今後の方向だけでも何かつけていかなければならないとは思っております。何せ就任して大部分は、同会でこうやって皆さんから御質問を受けて一日過ごしているような状態で、せめて夜と思いましたけれども、なかなか相手の都合もつきませんので、国会のある程度の山が過ぎましたら、そういうような方々の御意見も聞きたい。今のような状態をいつまでも続けていたのではいけないという気持ちだけは抱いているつもりでございます。
  181. 中野明

    中野明君 この調査会には引き続いて委員になって努力なさっている方もおられますし、せっかくの御努力をお願いしたいと思っております。  では次の問題に入ります。  これは自転車の駐車の問題なんですが、きょうから御承知のように春の交通安全連動がスタートするわけですが、これの重点項目としての一つに二輪車の事故防止ということが挙げられております。確かに、第二次交通戦争と言われるような時代になっておりますので、この安全、人身事故防止、交通事故防止ということは非常に重大な問題になってまいりましたが、一時大きな問題になりました駅ターミナル周辺における放置自転車の駐車ですね、これが大問題になって、最近は徐々に駐車場なんかも整備されて変わってきつつあるように思いますが、私はまだまだ行き用いていないように思いますし、もう道路がほとんど通れないほど自転車の駐車でふさがれているという地域も数多く見かけます。  そこで第一点として、自転車というものについて、この自転車というものをどこに駐車するのかという基本的な問題もございますが、特に駅ターミナル周辺の自転車の置き場所、仮に駐車場を置くとした場合には、その駐車場をだれが設置するのかということでございますが、国がやらなきゃならぬのか地方自治体かという施設の設置者の問題、あるいは自転車を自分で利用するのですから利用者自身がやはり責任を持たなきゃならぬのかと、こういう問題もあります。山間部に行きますと、もう全部一般の個人のお店が有料で預かっているというような地域もいまだにたくさんありますが、そういう点について現行法ではどういうふうになっているのでしょうか、そこら辺、まず御返事いただきたいのです。
  182. 津田正

    政府委員(津田正君) 自転車の駐輪場の問題につきましては、御承知のとおり、昭和五十五年に自転車の安全利用の促進及び自転車駐車場の整備に関する法律という法律がたしか議員立法でつくられておるわけでございます。  そこで、まず責任の問題でございますが、地方公共団体または道路管理者は、自転車の駐車需要の著しい地域について一般公共の用に供する自転車駐車場の設置に努めるものとするということでございまして、最終的には地方団体がと思います。  ただ、この整備の問題で一番重要なのは、駐車場をつくる場所というのが駅前であるとか百貨店であるとかスーパーマーケットであるとか、そういうような一等地につくらなければならぬ。その土地の確保ということが非常に重要でございます。そういうことで、この法律におきましても、駅前につくる場合には例えば国鉄等の鉄道用地というものに余裕があればそれを地方団体に貸すとか売るとかしてほしいということも書いてございますし、また百貨店等についてはまず自分の責任で駐車場を設けるべきだと、このような考え方に立っております。  いずれにしましても最終責任は地方団体にあるかと思いますが、駐車場整備の特殊性と申しますか、まずスペースを確保するということが非常に重要な問題でございますので、鉄道事業者あるいは百貨店等の協力というものを得なければ進まない、かように考えております。
  183. 中野明

    中野明君 今も御答弁にありましたように、問題はやはり用地の確保、これには莫大な財政的な負担がかかるわけですが、その辺が大きなネックになっていると思いますが、何かこの辺に手当てはしているのでしょうか。
  184. 津田正

    政府委員(津田正君) 自転車駐車場の整備には若干国の補助もございまして、これは事業としては街路事業の一環でございます。国の補助金が参りますと、それの地方負担についてはいわゆる公共事業債というもので手当でいたします。補助金のない単独事業につきましては、これは一般単独事業債、特に私どもとしましては、自転車駐車場あるいは自転車道の整備のための一定枠の地方債を確保しておるわけでございます。そのほか、財源としましては交通安全対策交付金あるいは公営競技のいわゆる振興会からの金を使いまして、法人としまして自転車駐車場整備センターと、こういうものも設けられておるわけでございまして、これらの制度を活用して整備を進めていっておるものでございます。
  185. 中野明

    中野明君 そこで、最初に申し上げましたように、思うように用地のスペースが確保できないということで道路へはみ出したりあるいはいろいろ問題が起こっているわけですが、きょう私特にお尋ねをしたいのは、駐車場もさることでございますが、置き去りの自転車、特に学校を卒業されたりあるいは会社が転勤になったりしてそのまま――時代が変われば変わるものでして、自転車なんかは、とられても届け出が出ぬというようなことでほったらかしになっている。この放置の自転車の処置ですね、これに保頭を痛めているようです。結局これは遺失物ということになるのでしょうか。そうすると、警察の方で六カ月は置いておかにゃならぬ。ところが、それを駐車場の管理者が警察の方に言ったら、そんなの置くところがない、そんな自転車をもう何十台もあるいは何百台も置くところがないので、そっちで適当にやってくれというようなことで、この放置の自転車の処置に大弱りになっているようです。  これは変な話ですが、最近は、ずるい人は自転車なんか買うのはばかだ、拾ったと言って警察へ持っていったら半年後にはただで自分の物になると、そういうようなことをまことしやかに言っている人もおるぐらいに自転車というのは時代の変遷とともにほったらかしになるものかなと思っているのですが、放置された自転車の処理の問題で何かいい方法を考えられないものだろうか。警察も困っておられるのじゃないかという気もするのですが、この辺いい知恵はないか、どうお考えになっているか、御返事いただきたいのです。
  186. 久本禮一

    政府委員(久本禮一君) 先生御指摘のとおり大変厄介な問題でございまして、また私ども関係自治体等と御相談をしながら、頭を痛めておる問題であることは御指摘のとおりでございます。  率直に申しまして、なかなかこれずばりという対策はないのが現状でございますけれども、やはり自転車対策全般は、駐車場を整備して円滑に自転車の利用が促進されていくということの中で処理されるのが望ましいということでございます。ただ、現実は道路に放置されておるものが多いということでございますが、その中で放置されているものとそうでないものとを見分けるということがなかなか個々の自転車にとっては難しいという状況がございます。したがいまして、なかなかすぐ目の前で見分けて処理をするということは大変困難な現状でございますけれども自治体等ともいろいろ協議をいたしまして、やはり適当な時期にその辺の見きわめをして処理をするということを地道に繰り返していくということによりまして、少しでも事態を改善させるということが必要ではなかろうかというふうに思っております。  その他、これは直接交通の問題ではございませんけれども、例えば防犯登録等の施策を活用いたしまして、持ち主を早く発見をして持ち主に引き取ってもらう等の処理をするということも間接的には一つの効果もあろうかと思っておりますけれども、これがそういった放置自転車の決め手であるというものは率直に言ってございません。やはりいろいろな施策を地味に繰り返すことによって、逐次そういった状況の改善を図っていくということではないかと考えております。
  187. 中野明

    中野明君 私も時々気にして、行ってみるのですけれども、もうほこりまみれになりまして、半年以上は使ってないのじゃないかというようなのがあるものですから、かえってそれが駐車場の邪魔になって問題になっているし、同時に、適切にやっているところは何かシールでもつけさして、そしてそのシールのないのはもうだめだとかいろいろやっているようですが、いずれにしても遺失物として行ったものの処置が鉄くず屋に行っているというような現状であります。これが競売ということは、今御答弁にもありましたようになかなかこれ難しくて、ひょっと競売にしておれのやと言ってきたら、これまたそこに厄介な問題が起こりますし、何とかこの辺を解決しないと、やはり我々の頭が古いのか知りませんが、せっかく使える自転車を鉄くずで売ってしまうというのは日本のように資源のない国としていかがかという感じがあるのですが、この辺ちょっと競売になれるような方策というのですか、有効に使えるような方策というものを何とか考えていただくわけにいかぬだろうかというのが私のきょう言いたい主眼なんですが、もう一度局長の方から御答弁をいただいて、大臣も何かお考えがあればおっしゃっていただきたいと思います。
  188. 久本禮一

    政府委員(久本禮一君) これは、先生御指摘のような考え方は確かに今までもしばしば耳にしているところでございまして、そういうことも何らかの打開策にならないかという着意で考えたことございますが、率直に言って、なかなかこれはという形に踏み切りにくい現状でございますが、ただあきらめずに、そういう点も踏まえまして、今後私どもといたしましてはいろいろ勉強をいたしてまいりたいというふうに考えております。
  189. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 私も電車で行き来しておりますから、今中野さんがおっしゃったことをいつも見聞をしておるわけでございます。  私は、駅前の自転車の問題は駅前全部禁止したらどうかという考えなんです。乗り物に自分で乗るオーナードライバー、あるいは自転車、オートバイに乗る人の心理は、私自身も現在も運転しておりますけれども、乗る人の心理としてはできるだけ近いところへ行って置いていこうというのが心理なんで、二百メーター、三百メーター、わずかな距離を歩こうとしないのですね、乗る人は、オーナーの人は。それで駅へ集まってしまうと思うのです。ですから、駅の周辺は全部禁止さして、一定の距離、三百、四百、五百メーターぐらいの距離に置くところを考えたら、もう少し整理ができるのではないかというふうに私は個人で思っているわけです。なかなかこれ警察の問題、駅の方々、民間鉄道、国鉄の問題ございますからできませんけれども、私はそういうことが一つの解決方法じゃないか。  それからもう一つ、放置を一台でも二台でも認めるからそこへ集まってしまうのです、群集心理で。放置したやつが数台あれば、ああここは置いても結構見逃されるのだということで置いてしまうわけですね。  それからもう一つ、放置の自転車の処理というのは、これは開発途上国へどんどんまとまったらやってしまう。それは、例えば今中国に本を贈る連動御存じでしょう、公明党の方ですから。これ一生懸命やっていますよ。中国には本がないからどんどん日本から古い本があったらもらいたいと、こういうことでみんな協力して今やっているじゃありませんか。それと同じで、やっぱり中国あたりへ自転車やったら喜ぶと思うのです。ですから、そういうものをまとめては中国なりほかの東南アジアの国にやったらどうかというのが私の考え方でございます。
  190. 中野明

    中野明君 放置の問題はやはり乗っている人のマナーにも関係があるのですが、何とか、どういうのですか、遺失物とかあるいは極端な言い方をしたらごみ扱いになっているのですね。これは我々の子供時代では考えられないことなんですが、その辺を含めて、これなかなか、大臣もあっさりおっしゃっていますけれども、そう簡単にいきません。お互いに発想として私たちも結構な発想だと思いますが、何とかこの知恵を出して考えてもらいたいものだなと、こう思っております。  それでは、時間の関係でもう一問、地方公務員の研修制度の問題でお尋ねをしたいと思います。  国家公務員も地方公務員も一緒ですが、やはり公務員としての責任と使命を果たすために資質を向上していただかなきゃならぬことは事実ですし、いろいろの問題が公務員自体に、新聞なんかでも大きく報道されているように、初歩的などうしてこんなことが起こるのだろうかというような問題もあります。そういうことを含めまして、やはり自治体職員の研修ということについては法でも決められているようでございますが、最近、市町村大学校ですか、これの建設が報じられております。この市町村大学校の建設計画と構想はどうなっておりますか。その辺ちょっと。
  191. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 市町村大学校の建設計画につきましては、研究会をつくりまして二年ばかり議論してきたわけですが、市町村の職員というものの資質を向上させようじゃないかと、特に市町村というのは最近非常に重要な使命を地方行政の上で担わなければならなくなったというので、この市町村の職員の研修というものをどういうふうにするかということを議論してきたわけですが、一方、自治大学校というのがございまして、この自治大学校で中堅幹部の高度な研修というのをやっておるということでございますので、特に実務研修というものを中心にいたしましてこの市町村大学校というものを構成したらどうかというのが研究会の結論でございますので、例えていいますと、市町村が行政をするに当たりまして、実務研修、市町村職員の場合では、条例をどのようにつくっていくのか、あるいはまた最近では、商店街の活性化をどういうふうにしていくのか、あるいは情報公開にどういうふうに取り組んでいくのか、そういう実務研修の課題というものを主としてやっていって、自治大学校との間で機能を分担しながら、先生がお話しになられますように、市町村職員の資質の向上に努めていこうというのが今のところの結論でございます。
  192. 中野明

    中野明君 今おっしゃったように、自治大学校というものが現在ございますので、それとの役割分担ということも必要でしょうし、自治大学校が現在よりも拡充されて、そして市町村大学が仮にできたとしましても、今までのことをお聞きしてみますと、研修人員にこれ限りがあります。全国三千からの地方自治体がありますし、これからコンピューターの時代にもなり、どんどん行政のあり方もニューメディア時代に入って変わっていくわけです。そういうことになりますと、やはり研修を受ける人は限りがありますので、どうしても全体のレベルアップをしようとしたら、私たちが思いますのに、代表選手が研修を受けて、その人が帰って講師になって、自分の自治体、市町村でもう一度習ってきたことをやるとか、あるいは自治省の方で、地方自治体自身が職員の研修をしようとすることに対してどういう手助けといいますか、手をかすというんですか、それができるのだろうということで、例えば中央でやっている、大学校でやっている研修のテキストなりあるいは器材を貸与するなり、いろいろ何らかの方法をとって資質を向上さしていく。もちろん基本的な問題も大切でありますが、技術的な問題も含めて研修をさせるという、そういうお考えはどうなんでしょう、ありますか。
  193. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 先生がお話しになられますように、地方公務員の研修と一口に申しましても、中央で行う研修とそれぞれの任命権者がそれぞれの場で行う研修というのがあろうかと思います。ただ、その両者というものをどういうふうにシステム的に結びつけていくかというのが非常に重要なことでございますので、先生が今お話しになられましたように、講師の派遣をどういうふうにしていくのかとか、あるいはまた研修テキストをどういうふうにつくっていくのかとか、そういうような知恵の出し方というのはいろいろ考えていかなければならないだろう。そのときに中央の研修機関がそういうふうな側面において役割を果たしていく、地方の研修というものを手助けしていくというような結びつきというものを考えていかなければ研修効果というのは上がらないだろうと思います。そういう意味におきまして、今度市町村大学校というものをつくるときには、そういう面についても配慮していこうじゃないかという議論が調査研究委員会の中で十分行われておりますし、そういう面もこれからの検討課題だと、具体化していくことについては検討課題だというふうに考えております。
  194. 中野明

    中野明君 特に最近は行政改革ということが叫ばれまして、民間の活力を最大限に利用するというのですか、民間の活力というものをやはり行政の中に生かしていくという上において、大臣も御存じのように、国鉄の職員の人もデパートヘ出ていって、そして現場でサービスの研修を受けたりしてやっているようなことも伝えられておりますけれども、やはりこれからは、民間というのは非常に厳しい中でやっておりますので、そういう民間の研修機関ですか、それを利用させるとか何とか、今、地方公務員の皆さん方、一生懸命やっておられますが、民間はもうどんどん進んでいってますので、民間の活力を導入するという上で、民間の研修機関の利用とかあるいは民間企業との人事の交流といいますか、そういうことを含めてどんどんやっていかれるべきじゃないかと、このように思うのですが、お考えがありましたら。
  195. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 地方公共団体、行政体でございますけれども、一面経営体という側面も持っておりますので、先生がお話しになられますように、やはり地方公共団体が行政を行うに当たりましてはできるだけ少ない経費で効率を上げていかなければならない。そのときに民間企業というものの仕事の仕方というのも大いに参考になるだろうと思います。  最近、地方公共団体におきましても、そういう意味におきまして、民間企業に職員を派遣して民間企業のやり方というものを勉強するとか、あるいは住民に接する態度についても学んでくるとかというようなことが行われるようになっております。民間企業だけではなくして、より高度な知識を修得するために大学に派遣するようなことも最近行われておりますし、そういうふうに学との交流とかあるいは民間との交流というのも、これから大いに進めていかなければならない課題だと思います。  それと、先生がお話しになられますように、人事交流の話になりますと、ぼちぼち最近地方公共団体でも民間から人材を得ているようでございますけれども、これからの課題といたしまして、そういうことも考えていかなきゃならないし、遠からずそういうようなことが現実の大きな課題になってくるだろうというふうに思います。中央官庁における一つの問題意識として我々も持っていかなくてはならないというふうに思います。
  196. 中野明

    中野明君 地方に行きますと特にそうなんですが、役所でお役人の人からいろいろ言われたことというのは非常に重みをなしておりますので、その人がかなりの知識を持っておられて、いろいろやってくれるということが一つの信頼につながっていくわけですので、私、この地方公務員研修の問題を通じて、最後に大臣の御見解をお聞きしておいて終わりたいと思います。
  197. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 民間経営を地方行政あるいは中央行政に反映をさしていくために風間経営の勉独もさせるという御意見は私も全く同感で、こういうような空気を地方公務員の研修にぜひ吹き込んでいったらいいのじゃないかと、こういうふうに思っております。  自治大学にしても、これからできると予想されています市町村大学にしても、私は、一カ所に各自治体の選ばれた人が一緒に集まって勉強するというのは大変いいことではないか。いろいろ今公務員部長が言われましたけれども、そのほかに、私は自治大学の様子を見まして、やっぱり一定期間あそこへ寝泊まりして、そうして研修をする、そうして他の自治体の人に接触をする、これが見えない大きな効果があるのじゃないか。お互いに自治体の幹部としてあるいは職員として知り合って、将来意見も交換できるということは、なかなかこれは得られない機会でありまして、そういう意味で、こうした研修制度というのは伸ばしていくべきではないか、このように思っております。
  198. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、明七日午前十時、委員会を閉会することとし、これにて散会いたします。    午後四時二十分散会