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1984-03-31 第101回国会 参議院 地方行政委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年三月三十一日(土曜日)    午前十時開会     —————————————    委員の異動  三月三十日     辞任         補欠選任      水谷  力君     上田  稔君  三月三十一日     辞任         補欠選任      上田  稔君     海江田鶴造君      中野  明君     服部 信吾君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長        大河原太一郎君     理 事                 岩上 二郎君                 真鍋 賢二君                 志苫  裕君                 三治 重信君     委 員                 井上  孝君                 加藤 武徳君                 海江田鶴造君                 上條 勝久君                 古賀雷四郎君                 出口 廣光君                 松浦  功君                 吉川 芳男君                 秋山 長造君                 小山 一平君                 佐藤 三吾君                 中野  明君                 服部 信吾君                 原田  立君                 神谷信之助君    国務大臣        自 治 大 臣  田川 誠一君    政府委員        自治大臣官房長  矢野浩一郎君        自治大臣官房審        議官       津田  正君        自治大臣官房審        議官       土田 栄作君        自治大臣官房審        議官       吉住 俊彦君        自治省行政局長  大林 勝臣君        自治省財政局長  石原 信雄君        自治省税務局長  関根 則之君        消防庁長官    砂子田 隆君    事務局側        常任委員会専門        員        高池 忠和君    説明員        経済企画庁調整        局財政金融課長  服藤  収君        厚生省保険局国        民健康保険課長  阿部 正俊君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方税法等の一部を改正する法律案内閣提出  、衆議院送付) ○消防施設強化促進法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  地方税法等の一部を改正する法律案議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 中野明

    中野明君 法律の本題に入る前に大臣お尋ねをいたしますが、自治大臣に就任されて、今日まであなたの立場地方自治を見てこられたと思うんですが、地方の時代と言われてからかなり日にちもたっておりますし、たびたび「地方自治本旨」という憲法の精神の言葉が飛び出してくるわけですが、大臣立場から我が国地方行財政制度というものをごらんになって、どう見ておられるのか、率直な御意見を最初にお聞きしたいと思います。
  4. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 我が国地方自治は、御承知のように、戦後、占領政策一環として新しい制度がしかれたわけでございますが、特に私は、憲法地方自治が一章を設けられている、戦争の放棄と同様に一つの章を設けられているというのは、やっぱり大変大きなウエートを占めているんではないか、こういうふうに私は思っております。  御承知のように、戦前地方自治という言葉はたしかあったように記憶をしておりますが、戦前地方自治は、いわゆる中央政府行政を能率的に行う便宜的な地方自治と言ってもいいと私は思っているわけでございます。戦後の地方自治は、よく御承知のように、住民自治団体自治二つの側面を持って発足をしたわけでございまして、先般も申し上げたと思いますけれども地方分権を推進するためにいろいろな施策が講じられております。私は、一般的に言いまして、日本地方行政水準とかあるいは住民意識と申しますか、そういう二つ一つの基準として見てまいりますと、やはり一定の進展をして今日まで来ていると思っているわけでございます。しかし、いわゆる「地方自治本旨」という憲法に明記されている一つ趣旨から見ますと、必ずしも私どもが理想とする地方自治水準まで行っているかどうかということはやはり考えざるを得ないのでございまして、そういう意味で、地方自治を推進していくには、まだ幾つかのやらなければならない大きな点がたくさんあると思うんでございます。  そういう意味で、先般も申し上げたかもしれませんけれども、私どもは、住民に身近な行政住民に身近な地方団体にこれを処理できるように進めていかなければならない。またもう一つは、地方財政の基盤というものを確立をしていかなければならない、このように考えているわけでございます。そして、それでは、おまえはどういうふうにやっていかなければいけないかと、こういう点を私は、臨調でも指摘をしておりますし地方制度調査会でもいろいろと建言をされております機関委任事務整理統合化とか、あるいは事務財源の移譲であるとか、あるいは国の関与の整理縮小をもっと図っていかなけりゃならぬとかというような点をさらに力を入れてやっていくべきではないか、このように思っております。  ちょっと、十分申し上げることができたかどうかわかりませんけれども、そのような考え地方行政財政に臨んでいるつもりでございます。
  5. 中野明

    中野明君 今の大臣の御所見で、現状認識をシビアにしておられるということは感じますが、私たちもやはり現在の地方行財政の姿を見ましたときに、なお中央集権的な状況が色濃く残っている、このように感じざるを得ないわけであります。大臣が就任されて、その面につきましてさらに力強い御努力と前進があるように、最初に特に要望しておきます。  それからもう一点、基本的な問題なんですが、行政改革というのが今国、地方を問わず政治に課せられた大変な課題でございますが、大臣として、地方行政改革状況といいますか、私たち立場から見ましたら、やはり住民に身近なだけにいろいろ言われておりますけれども地方行政改革の方が国の行政改革よりもかなり私は進んでいるんじゃないかというふうに見ているわけですけれども大臣立場から、地方行政改革と いうものを、国とストレートで比較対照するというのはちょっと語弊がありますけれども、どのようにお感じになっておりますか。
  6. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 地方行政改革がどの程度進んでいるかという御質問でございますが、なかなかこれは難しい御質問でございまして、一般的に申しますれば、今中野さんがおっしゃったように、私は中央より地方の方がよく努力をしているんではないかというふうに、感じとしてはそのように思って見ているわけでございます。これはもう卑近な例かもしれませんけれども、これは行政ではなく議会の方から見まして、日本国会議員定数を減らしたことはない。しかし、地方議会議員定数をどんどんどんどん減らしているということ、これはどこから来ているかというと、やっぱり財政面から、減らさざるを得ないという一つ地方の自主的な考えで、そのような措置をとっておられるんではないかと思うんです。都道府県を見ましても、私どもは一、二、民間経営と同じような気持ち行政改革をやっているというようなところを耳にしておりますが、とにかく地方団体では必要に迫られてやらざるを得ないというのが実情ではないか、こういうふうに見ているわけでございます。  ただ、御承知のように、地方公共団体それぞれ置かれた環境さまざまでございますので、財政的な余裕のある地域ではどうも思い切ってやってないという地方団体も、これもあるように見受けられますが、今おっしゃったように、感じとして全体を眺めてみますと、むしろ国よりも積極的にやっているんではないか、またやらざるを得ない状態に置かれているというふうに見ております。  そこで、私ども地方行政財政に当たる者は、三千三百余の地方団体が一体どういう環境に置かれているかという実情を我々がよく把握することが大事な点ではないか、このように考えて、見ております。
  7. 中野明

    中野明君 今、例として地方議員定数のことにお触れになりましたが、財政的な面だけで定数云々というのはちょっと異論のあるところでございますが、しかし最近の地方行政改革を見ましても、大臣も御承知のように、東京では品川区が非常に画期的に積極的に努力をされているんですが、この品川区の行政改革の推進の姿というもの、労働組合の皆さんも一緒になってやっておられるというこの姿について、大臣の率直な御感想を。
  8. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 御指摘のように、地方議員定数縮減は、確かに財政的に考えてこういうことをやるということはおかしいことでございますが、私はやはり一つの、行政改革というのは住民の代表である議会が率先してやらなければなかなかこれできないことであって、そういう姿勢の意味から議会が率先して議員定数縮減をやっていくということが、今度は行政改革がやりやすくなるんではないかと。議会が何にも改革をしないで、そして職員に対して機構を縮小しろとかあるいは人数を少なくしろとかということを幾ら言っても、なかなかこれは実現できない。だから、そういう意味議員定数縮減していくということは意味があるんではないか、こういうふうに見ているわけでございまして、品川区の具体的な例につきましては率直に申しまして私もよくわかりませんので、ちょっと品川区の例についてはよくわかりません。申し上げることができませんが、もし自発的に議会定数縮減したということであれば、私はやっぱり同じそういうような気持ちからおやりになっているんじゃないか、こういうふうに推測をするわけでございます。
  9. 中野明

    中野明君 自治省の方で、大臣詳しくお知りにならないようですので、自治省関係政府委員の人で、品川区の行政改革のあり方についてどういう御感想を持っておられますか。
  10. 大林勝臣

    政府委員大林勝臣君) 私どもも、かつて行政改革実情につきましては二年間に一回程度の全国的な調査をいたしてまいったわけであります。ことしにつきましても、五十八年度の行政改革実情につきまして近く調査を用意をしておるところでありますが、品川区の行政改革についての具体的な内容については私どもも詳細には承知しておりません。ただ新聞等でいろいろ報告をされておりますところを見ました場合に、先ほど委員の仰せのとおり、この行政改革というのは、まず最初行政の担当すべき範囲、こういったものを踏まえながら、結局は住民理解職員理解、こういうものが一番の先決であろうと思います。  御案内のように、昭和四十年代、大変な経済伸展に伴いまして、どうしてもやはり住民の方が行政にもたれかかると、こういう傾向が非常に強かったわけでありまして、結局、地方行政改革を進める場合に、何か改革をしようとすると一部住民からいろんな苦情が出るというのが非常に大きなネックになっておったわけでありまして、品川区のように官民一体となってそういう方向に理解を示されているということにつきましては、私どもは大変評価申し上げておるところであります。
  11. 中野明

    中野明君 大臣、私申し上げているのは、行政改革というのは、第三者が云々するんじゃなしに、結局、行政を担当しておる、行政立場におる行政官の人が一番よくわかっていると思うんです。そこから行政改革をこういうふうにやったら一番いいという、そういう出発がないと、周りから、やれやれと言ってもこれは進むものじゃないという基本的な立場から品川区の例を挙げたわけでして、ここは区役所で働いている職員人たちの中から、組合一緒になって、どこにむだがあるのか、どれだけのことができるのかということを長年にわたって積み上げて話し合ってきた結果、一定の答えが出てきたということで、それが本当の行政改革の姿じゃないだろうかと思って申し上げたんでありまして、国の方としても地方としても、行政改革というのはもうこれ国民の一致した強い要請でございますから、それをやはり行政立場におられる人がみずから改革に対する考え方を前進させなければ、外から幾らやかましく言っても進むものじゃない。そういう立場品川区のことを申し上げたわけですので、御了解をいただきたいと思います。  それでは法律中身について入らしていただきたいと思いますが、大臣趣旨説明の中で、「最近における地方税負担状況及び厳しい地方財政実情にかんがみ、住民負担軽減及び合理化を図るため、個人住民税について、基礎控除等所得控除の額の引き上げ市町村民税所得割の税率及びその適用区分調整、低所得者層に係る非課税限度額引き上げ等措置を講ずるとともに、法人住民税及び事業税の一部納付後の徴収猶予云々と、このようにうたっておられるわけです。要するに地方税負担状況及び厳しい地方財政実情にかんがみて、住民負担軽減及び合理化を図るため、このようにおっしゃって、今回この地方税の一部を改正する法律が出てきているわけですが、中身を見ますと、税法上とられた措置というものは減税増税の抱き合わせ、こういうことになっているわけでございます。国民要望というのは、やはり景気浮揚のために、そしてまた何年間も、過去六年も減税がなかったということで実質所得が低下し、何とか減税をしてもらいたいという要望であるわけですが、この税法上とられた措置を見てみますと、減税増税の抱き合わせで、大ざっぱに言いますと、プラマイゼロということになるわけですが、このような減税のや力方というものについて大臣はどうお考えになっておりますか。今後ともこういうやり方でないとできないものかどうか、その辺も含めて御答弁お願いします。
  12. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 中野さんよく御承知のとおり、地方財政の置かれた立場というものは予想以上に厳しいものがございまして、五十九年度の地方財政の歳出の見直しを随分やりましたし、かなり厳しい状態に置かれているわけでございまして、そのような厳しい状態の中に、与野党合意の中から国税地方税とも減税をやらなければならないというようなことで、御提案しているような減税措置を講じたわけでございまして、それに対して地方団体住民のサービスをやる上にど れだけ財源を賄っていくか、穴埋めをしていかなければならないかということで鋭意検討をした結果が、今御指摘のような財源措置を講ぜざるを得なくなったということでございます。  ただ、私どもとしては、できるだけ個人負担——せっかく減税をしたのでありますから、個人負担をかけないように、また、できるだけ税目考え増収措置をとったというのが今回の措置でございまして、どうぞこの点はひとつ御理解をしていただきたい。かなり我々も深刻に考えてこのような財源措置を講じたということでございます。ひとつ御理解をしていただきたいと思っております。
  13. 中野明

    中野明君 大臣のおっしゃっていること全然僕は否定するつもりはありませんのですが、結局、政治というものはやはり国民の率直な感情といいますか、せっかくの減税がこういうやり方で今後ともやられるということになると、喜びといいますか、ようやってくれたという喜びが消えてしまうんじゃないだろうか。片方で減税をしてくれてありがたいように見えているけれども、その裏腹で増税で持っていかれると、この気持ちの方が私は非常に大きいんじゃないかということで、努力されたことはわからぬでもないんですが、将来また減税のときも当然出てくるでしょうが、いつもこういうようなやり方が当然だということになりますと、減税もまたなかなかこれ問題があると思うんですが、こういうパターンでこれから先もやらざるを得ぬとお考えになっているんですか、どうですか、その辺を。
  14. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 中野さんもよく御承知だと思うんですけれども、今のような地方財政の現況から見ますと、今度とったような措置がこれはもう本当にぎりぎりの線ではないかと。ただ、いつまでもということではございませんで、これは地方財政状況がもう少しよくなってくるということでございますれば、このような措置をとらないで、今度のような方法をとらないでやることもできると思いますが、今の状況から見ますと、本来なら減税をやるような状態ではないと思うんですね。  その証拠には、今回の国税地方税を通じて、昨年与野党でいろいろと練って、そしてこういう国民要望にこたえて、数年間減税やらなかったから何かやらなきゃならぬということで、その合意を踏まえて減税案ができたわけです。その与野党話し合いの中で、私ども野党として加わりましたけれども減税をやろうということは合意できるけれども、それでは財源を一体どうやってこれをやっていくか、どうやって埋めていくんだという話になりますと、野党の中でも話し合いがまとまらない。それぞれこうしたらいいだろう、ああしたらいいだろうというような案は出るけれども野党の中でさえも一本化できないというような非常に難しさがある。国、地方を通じての厳しい財政の中で財源措置についてはなかなかいい考えが見出せないということは中野さんもよく御承知だったと思うんです。そういうことで政府も非常に苦慮をしてこういうような考え方を打ち出さなければならなくなったということでございまして、環境さえ切り抜いていけばもう少し御納得がいける手段も講じられたんではないかというふうに考えております。
  15. 中野明

    中野明君 今の状況、僕らもわかっているんですが、一たん予算を組んで、予算を組んだ後から財源をその中のどこから見つけるかということになると、今大臣のおっしゃっているとおりだと私は思うんです。  しかしながら、これから予算を組むという段階において、これだけは減税をして、国民の期待だから、長い間できてないんだからやるということになると予算組みようもある。私どもはそういうふうに感じるものですから、組んで発表した後から削るということになると、それはとてもじゃないが、各党がそれこそ知恵を絞られたけれども、それは無理だということになっていくわけでして、その辺を今後、閣内におられるわけですから、やはり国策としてこれだけのことはやらなきゃならぬということになりますと、予算の組む前ならば、私は、五十兆円の中ですから一兆数千億の予算の組み方はできたんじゃなかろうかという意味で申し上げているわけでして、今後のひとつどうか御努力の一助にしていただきたいと思います。  それで、自治省にお伺いをするんですが、当初、住民税の三千億円の減税ということが決まりまして、それに対して財源を見つけなきゃならぬというようなそういう形になって、自動車運転免許税等を含めまして五千七百億円ぐらいをお示しになったというように伝えられているんですが、それが結局二千七百億円になった、こういう状況のようですが、その間の事情をちょっと御説明いただけますか。
  16. 関根則之

    政府委員関根則之君) 住民税減税はいわば至上命令のような形であったわけでございますが、その財源をどうするかということで、そのめどが立たないことが、ここ数年来、国会における御論議の中でも中心的な議題になってきたわけでございます。それほど財源の見つけるのが非常に難しかったということだと思います。  私どもは、やはり減税をいたします以上、その財源につきましても、ストレート個人所得なりあるいは生活なりに直接の影響を与えることをできるだけ避けていきたいという考え方をもちろん持って臨んだわけでございますが、そういう考え方から、どういう税目があるのかということにつきまして幅広く各方面に御検討をいただいたわけでございます。  地方税は、御承知のとおり、県税で十三税目市町村税で十三税目あります。既存税目だけでも二十六あるわけですから、それは当然のこととして対象にいたしましたし、そのほかにも何か考えられるような税目はないかということで検討をしていただいたわけでございます。  最終的にだんだん議論が詰まってまいりまして、最後に残りましたのが法人住民税均等割自動車関係税と、それから電電公社納付金の問題、それから社会保険診療報酬事業税非課税の問題、もう一つが新しい税としての自動車運転免許税の問題、この五つが最後に絞られたような形で残ってきたということでございまして、私どもの方として検討項目としてはお願いしましたが、それを全部やってくれと、全部やって五千七百億、そういう増収額を確保していただきたいと、こういうお願いを実はいたしたわけではございませんで、長い間の議論の中からその五項目が最終的に残って、さらに現実の問題としては、最後の詰めは二項目に絞られて今御審議お願いをしている、こういうことでございます。  その間におきましては、大衆課税といいますか、所得の著しく低い人たちに過重な負担を及ぼすような税というものはできるだけ避けていった方がよろしいという大臣の御指示もございましたし、また新しい税をこういう状況の中でつくるのはいかがかといったような議論もございまして、いろんな議論の集約の結果、現在御提案を申し上げている二税目に集約されたということでございます。
  17. 中野明

    中野明君 この自動車運転免許税というのは、これ新設ということですが、これはやはり自治省発想ですか。
  18. 関根則之

    政府委員関根則之君) この問題は随分前から実は経緯があるわけでございまして、当初、もう今から十年以上前だったと思いますが、国税におきまして、印紙税一環として自動車運転免許課税をしたらどうかということを政府税調の中で議論したことが実はございます。  そのほかに、地方サイドといたしましては、やはり何らかの形で運転免許課税ができないかという議論はずっと続けてきた経緯がございます。直接のきっかけになりましたのは、一昨年でございますけれども衆議院大蔵委員会の中に減税のための特別小委員会というのが設けられまして、そこで与野党先生方に、専門的な立場の方々でございますが、委員になっていただきましていろいろ御審議をいただいた中で、この問題を減 税の財源として考えられないかという議論が出てきたわけでございます。したがって、自治省プロパーに、ほかはだれも言ってないのに自治省だけが出していったというものではございませんで、長い経緯を持ち、各方面からのいろいろな御提案の中から生まれてきたものというふうに私ども理解しております。
  19. 中野明

    中野明君 先ほどの答弁にもありましたように、自動車運転免許税というのは今日大衆課税の最たるものだと思いますので、こういう発想はやはり引っ込めていただきたいと、このように私は強く思っております。  今のお話の中で電電公社の問題が出ました。これにちょっと触れてみたいと思いますが、先日も私、本会議お尋ねをしたんですが、明確な御答弁がなくて、今後のことについて大臣答弁をされたんですが、私は非常にこれ当初から不都合なことでけしからぬと思っているんですが、昭和五十六年度から四千八百億を取って、もう二度とこういうことはいたしませんと言っておったのが、ことしになって急に税外収入ということでまた二千億、いままでとは状況の全然違うやり方で二千億召し上げるということは、これはもうとんでもないことでして、もともと電話加入者に還元すべきが筋です。その次に筋としては、これ地方固定資産税に相当するものですから、納付金となっておりますが、純然たる地方固定資産税に相当するもの、長い間のこれは懸案で要望です。それを二分の一減額をして、それをそのままにしておって、そして国の方はいただきますよと。ですから二重、三重に筋が違うんですね。第一義的には電話利用者に還元すべきもの、第二の優先順位としては地方の固有の財源ですから、まずそれに、国も苦しいかしらぬけれども地方も苦しいのですから、これに充当する。そして第三番目に、まだそれでも余裕があるというならば国の方も納入してくれ、これなら私わかるんですが、一番目もだめ、二番目もだめ、三番目だけと。  この電電公社納付金について大臣は、閣議で決定するんでしょうけれども、抵抗されたんでしょうか、どうなんでしょう。おれのところの方が先だと、このように主張なさったのかどうか、その辺のいきさつはどうなんでしょうか。
  20. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 納付金制度につきましては、自治省としてはできるだけ固定資産税と同じようにこれをいただきたいということはかねがね主張していたわけでございまして、これからのことにつきましては、もう民営化されるわけでございますから、固定資産税として当然地方団体財源としていただかなければならないと、このようなことは私ども主張をしているわけでございまして、これからのことにつきましては、参議院の本会議でもお答え申し上げましたように、我々としては一〇〇%固定資産税としていただかなければならないと、このように考えているわけでございまして、閣議で云々ということはちょっと御質問趣旨がわかりませんけれども自治省としてはもう一貫して固定資産税と同じような実態で、納付金においても二分の一では不都合であるということを主張し続けてきたと、このように私は就任当時から事務当局から聞いております。
  21. 中野明

    中野明君 私の言葉が足りなかったかもしれませんが、本当に筋の通らぬ話でして、今まで四十八年から、電電公社納付金をさせるときから考えたらもう相当な金額になるんですね。ですから、それだけでもおかしいんです。だけれども、それは一遍だけだから、緊急異常事態ということで、私どもも文句はあったですけれども、引き下がったわけですが、今回はこれ二度目ですし、しかも重要な住民税減税をするときに当たって財源一つとして、せっかく自治省要望の中に挙げておられて、六百億ぐらいに大体なるようですが、これは大変な財源です。それをそのまま、しかもその理由は公共の云々という当初から一貫して変わらない理由で、そして国の方はそんなことは関係ありませんよと、ちょっともうかりそうだからちょっとくれと、これでは筋も通らぬし、また実際に、大臣は筋を通す方だということを私聞いておりますけれども、現場で働いている人だって、一生懸命に努力して働いて、そして利益が出てきたら、当然払うべきところを抑えられて、利用者にも還元できないで国の方が自分の一方的な都合で持っていった。この辺に、最初に私質問しましたように、何かしら地方よりも国が優先で、本来の地方の固有の財源まで抑えておいて持っていくという、こういう姿勢というものは、私は非常に不満ですし、地方自治に対して本当に考えておるんだろうか。それは車の両輪というようなことも言われたり、あるいは最も住民の身近なところの民主政治の出発ですとか、いろいろ言われているんですが、言葉だけに聞こえてしょうがないんです。そういう点、もう済んだことでしょうけれども、今後の問題として、大臣として、これが一つの例と言ったら語弊がありますけれども、こういう姿が至るところにあるような気がしてならぬので、大臣御在任中に一つ一つそういう点は、田川さんがなられたということでかなり期待は大きいと思います。それだけに、率直に、今まで外から見ておられたのが今大臣になられて、率直に地方自治本旨ということについて取り組んでいっていただけるわけでしょうから、何か一つ筋を通したお仕事を残していただきたいし、実現していただきたい。歴代の自治大臣もかなり努力はなさったようですけれども、限界があったように思いますが、異色の大臣でございますので、その辺はひとつ力強く主張をしていただきたい。大蔵大臣も何回も国会で、もう二度とこういうことはいたしませんと答弁をして、もうこれきりですからと、今回だけはと言っていたのが、またことしでしょう。だから何か私は、経営形態を変更するどさくさに紛れて二千億ふんだくったんじゃないかという気がして腹が立ってしょうがないんですが、要望も含めて、もう一度大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  22. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 中野さんに余り評価をされても期待をされても困りますけれども、大変徴力でありますけれども、できるだけひとつ頑張っていきたいと思います。予算編成の段階におきましては、広く地方財政全般に関して大蔵省との折衝もしなければなりませんし、ある面では譲らなければならないということもございますし、そうした面で大変御不満の点もあると思います。  今回の電電公社の問題につきましてはいろいろございましたけれども、これからのことにつきましてはひとつ御期待に沿うように、基本的にこの問題はすっきりと解決していける、またいかなければならないと、このように考えておりますので、ひとつ御理解をいただきたいと思います。
  23. 中野明

    中野明君 確かにこれだけの問題ではありませんから、折衝なさって、いろいろのいきさつはあったと思いますけれども、やはりさっき私が説明をいたしましたように、一番筋の通らぬ、もう本当にこれは自治省としては最後まで頑張ってほしかったなと、そういう感じを僕は持っているものですからあえて申し上げているわけです。  それでは、次に参ります。  事業所税のことについてお尋ねをいたしますが、御承知のように、課税団体の範囲というものが現在決められているわけですが、やはりかねがねから要望の強い人口二十万以上の市と県庁所在地、そこに全部適用するようにすべきだというのが、これはよく言われていることなんですが、それをやりますとどの程度増収になりますか。
  24. 関根則之

    政府委員関根則之君) 約三百二十億円程度の増収が期待できると思います。
  25. 中野明

    中野明君 そのことについては、税調あたりではどんな議論がなされておるんですか。
  26. 関根則之

    政府委員関根則之君) 基本的には自治省といたしましては、課税団体の範囲を広げてくれ、広げるべきだという考え方のもとに各方面に説明をし、お願いをしておるところでございます。税調にも、制度改正が行われるたびに私どもは、検討課題として検討お願いをしてきたところでございますが、基本的には、この前の最初にできました——昭和五十一年だったと思いますが、そのときに人口五十万以上という大都市を中心に物を考 える、それを少し広げて三十万にその翌年に拡大をしたわけでございますけれども、そもそもの発想が相当大規模な都市というものを頭に置いてこの税というものが構成されたんですよと。それが年を経るに従ってずるずると広がっていってしまうということはやはり問題があるんではないかという考え方が基本的にあると思います。  それから、人口二十万に下げた後、さらにそれが広がるのか広がらないのかという問題も、それと関連してございます。そもそも税の性格としてどういう性格のものなのか、あるいはほかの税、例えば都市計画税なんかと機能的にどう違うんだと、その辺の分界について議論がございました。  特に最近におきましては、増税なき財政再建の基本的方針との兼ね合いにおきまして、拡大される都市にとりましては、税そのものとしては単なる拡大で済むわけですけれども、新たに課税されることとなった都市にとっては全く新規の税がそこで課税されるというような形になりますので、やはりその都市にとっては新税ではないかと、こういった議論も実は最近ではなされております。そういった議論が主な議論ではないかと思いますが、そういった議論いろいろございまして、最終的には引き続き検討していくべき事項であるということで、直ちに実施せいというところまでの結論がいただけなかったというのが経緯でございます。
  27. 中野明

    中野明君 やはり今の議論一つ議論かもしれませんが、不公平税制という立場から見ましても、そしてまたそういう隣接のところへ事業所が逃げていくという、そういう不合理もあるわけです。あそこへ行ったら税金が要らぬからとかそういうことで、やはり非常に民間企業というのは営利を目的にしておりますから、一銭でも税金の安い方がいいんですから、そういういろいろなことがあるんですが、今後見直す考えはございませんか。
  28. 関根則之

    政府委員関根則之君) 私どもといたしましては基本的に、人口二十万程度の集積のある都市にはこの事業所税を拡大をしていってしかるべきであるという基本的な考え方を持っておりますし、二十万に達していなくても県庁所在都市につきましてはいろいろと都市施設の整備等に要する財源が、現在課税団体となっております三十万都市と大体同等ないしはそれ以上の財政需要もあるというような事情もございますので、そういったものについては何とか拡大できないかという基本的な考え方を持っておりますので、なかなか難しい問題ではありますが、引き続き拡大について努力をしてまいりたいと考えております。
  29. 中野明

    中野明君 頑張っていただきたいと思います。  では国民健康保険税に入ります。  今回、課税限度額を引き上げられることになっているんですが、過去の例を見ましてもそんなに大幅に引き上げたという例はないんですが、今回一挙に七万円も上げて二十八万から三十五万に引き上げるということにこの原案はなっていますが、過去と余りかけ離れているんですが、その理由を御説明いただきたい。
  30. 吉住俊彦

    政府委員(吉住俊彦君) 御指摘のとおり、過去の傾向から申しまして、二十八万円から三十五万円へ、引き上げ幅は相当大きいのは確かでございます。ただ、これは申すまでもなく課税限度額でございまして、いわば天井でございます。だから、それ以内のところで各地方団体が判断される余地は残されているということでございますが、一口に申しまして今回の改正は、これは国民健康保険料とも同一歩調での改正でございますけれども、一言で申しますれば、政府管掌の健康保険、いわゆる政管健保の最高標準報酬というのが大幅に引き上げられまして、その結果、頭打ちになる方々のウエートがそれだけ減る。これは厚生省の方では今年の十月から実施されるようでございますけれども、そういうものとのバランスを見ながら三十五万円という線を決めさしていただいた。これがその経緯でございます。
  31. 中野明

    中野明君 七万円上げて三十五万円ということなんですが、その根拠というのはそれだけですか。
  32. 吉住俊彦

    政府委員(吉住俊彦君) ただいま申しました標準報酬、政管健保におきましては最高月額四十七万から七十一万に引き上げられる。その結果、その負担額は現行二十四万五千円から三十六万九千円、それはかなり三十五万円という数字には近いわけでございますが、そういう事情もにらみながら、また、その頭打ちになる人たちの割合でございますが、これが現在、国民健康保険ではこの改正をやることによりまして大体四%程度になるわけでございますが、政管健保の方では現在が約四%、改正が行われますと一%に減る。そういうような数字をにらみながら三十五万円という限度額を設定させていただきたい、かような考え方でございます。
  33. 中野明

    中野明君 大臣、私この限度額を引き上げるということ、これも状況によってはやむを得ぬことかもしれませんが、その前に一番問題で不満が多いのは、要するにこの所得の把握、俗によく言われているクロヨンとかトーゴーサンとか言われていますね、これが解決しない限りこの問題はいつまでも尾を引くと思うんですね。結局あらゆるところへこれが波及していっているわけです。ですから、国保に入っている人で、自分は当然保険に入っているんですから所得があれば払わなければいかぬ、これはだれも皆異議がある人はないと思うんですが、この不公平、それが不満のもとになっているわけですね。これは小さな話を申し上げれば、保育園に子供を入れても全部基準はそこから来ているんです、保育料でも所得の把握によって。ところが、本当はあるのかどうか知りませんけれども所得の少ない人は安いんですね。健康保険料もそうなんです。それを解決せずにこの限度額だけ上げるということは、これはいかがなものかという感じを私は強く持ちます。これは大蔵大臣も認めているくらいですから、大臣もクロヨンとかいうのはお認めになっているでしょう、どうですか。
  34. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) そういうようなことを言われていることはよく承知しております。
  35. 中野明

    中野明君 ですから、それをほっておいてこれだけやるということは、本当に不満が残るんですね。しかも今回の所得税の減税でも、いわゆる中間の人たち所得が五百万から七百万とかこういう人たちが一番苦しいと、だから減税幅も多く見てあげようということで、子供の学校とかいろいろ一番経費のかかる層だというのが年収五百万から七百万というところなんですが、その辺に所得税では片方でちゃんと減税をして配慮をしておいて、裏ではこういうところをぼんぼん持っていくということになったら、言葉の上で、苦しいから所得税で配慮しましたよと、だけれども片方ではいただきますよ、もう全部同じことになってしまうんですね、最初から申し上げているように。その辺の配慮というものを考えたりし、今のいわゆる所得の把握というものができていない、そういうことになりますと、同じ国保に入っておっても、もちろん我々も国保に入っているわけですが、非常に現場へ行ってみて不満があるんです。もうあそこは少ない、あれだけ大勢の家族でしているのに、保険料は安いのに我々はというようなことで、非常にちょうどの線の人に不満が多いことは事実です。そういう点も考慮してこの七万円ということになったのかどうか。先ほどお聞きしたら、もうほかの健康保険との関係だけでバランスというんですか、つき合いというんですか、せざるを得ぬということでこうなったというようなことですが、そういうことを考えますと、非常にこれは一挙に七万円を上げるというものはおかしいんじゃないかなという感じがするんですが、もう一度お答えいただきたいと思います。
  36. 吉住俊彦

    政府委員(吉住俊彦君) 確かに、御指摘の税務執行上の問題といたしまして、所得の把握、所得の捕捉という重要な問題があることは事実でございます。ただ、国民健康保険税はほかの普通の税目とやや性格が異なっておりまして、実態はこれは社会保険料の一種である、税金という衣をまとっているけれども社会保険料だ、こういうふうに理解しているわけでございまして、結局、国民健 康保険の被保険者という集団の中でどういうふうにその負担を配分するかという問題でございまして、普通の税金とはその点やや性格を異にしている。そういうこと、そういう経緯から、ただいま先生おっしゃいましたように、ほかとのつき合いと申しますか、ほかの方々もほかの保険で負担をしていらっしゃるわけでございますから、やはりそのつき合いと申しますか、均衡ということは考えなければならないということで改正をお願いしているわけでございますが、所得の捕捉、これは重要な問題でございます。これからも十分不公平なことのないように指導してまいらなければならない重要な問題であるという認識に変わりはございません。
  37. 中野明

    中野明君 これは自治省だけの問題じゃありませんけれども、そういうことがあって最前線で非常にこれは不満と不信のもとになっているということだけは改めて御認識をいただきたいと思うわけであります。  それから、この限度額を引き上げるということによって、低所得者ですね、一番最低の方に何か恩恵を与えるような措置はとれなかったのかということなんですが、上だけ限度額を上げた、それはいいと思うんですよ、保険ですしね。そのかわりに、上が上げたから下の方の人は少し恩恵があったと、こうなら、上げられた方も納得できるんですが、その辺の対策はとられなかったでしょうか、どうでしょうか。
  38. 吉住俊彦

    政府委員(吉住俊彦君) ただいまの、限度額を引き上げることによりまして、それだけ高額所得者の負担が大きくなるわけでございますから、先ほど申し上げましたように、社会保険料はその集団の中で配分するわけでありますから、高所得者の負担が上がればそれがかなり薄まりますけれども、自動的に低所得者の負担は少なくなる。つまり、一定の医療費の何割かをみんなで持ち合うということでございますから、片一方が上がれば片一方が下がる、こういうことで、間接的には、一つには低所得者の負担が軽くなるということは言えるわけでございます。そのほかに従来から、これは保険料の方も同じでございますが、低所得者に対しましては、一定の基準をもちまして応益割の一定割合を軽減するという仕組みを従来からとってきております。その減額の基準を今回二万円引き上げることにいたしておりますので、その点は低所得者対策としてまた別個に改正をしなければならない、こういうふうに考えております。
  39. 中野明

    中野明君 僕の申し上げているのは、なぜそういうことを心配するかと言いますと、限度額を引き上げたことによって国庫の補助金が削られるんじゃないか、そうすると何もならぬということで申し上げているんですが、その辺どうですか。
  40. 阿部正俊

    説明員(阿部正俊君) 限度額の改定と申しますのは、自治省の方から御説明がございましたけれども、その点ちょっと補足いたしますと、特に今回の医療保険制度改革の中で退職者医療制度というふうなものがつくられる予定になっておりまして、特にこの制度は、被用者保険と国民健康保険との間の機能としては財政調整的な機能を持つわけでございますので、そのためには負担関係の物差しといいましょうか、というものが被用者保険と国民健康保険との間である程度均衡がとれたものになっていないといけないというふうな事情がありますこともありまして、特に三十五万ということになったということをつけ加えさしていただきたい。  それから、先生のお尋ねになりました国庫補助との関係でございますけれども、今申し上げました退職者医療制度の創設がございますと、これは医療費が非常に高いクラスでございまして、しかも保険料負担の方は、年金受給者等でございますので、そう多額の保険料負担は行われていないということで、どちらかといいますと、国民健康保険制度の中では財政的にはかなり持ち出しの多い一つの集団でございます。この方々につきまして、被用者保険サイドの方の負担で給付が行われるような仕掛けになりますので、国保の本来といいましょうか、自営業者等の方々の集団をとってみれば、それなりの財政的な改善が図られるという効果をもたらすわけでございます。  そういったふうなこととか、それからもう一方、医療費問題というのはこれから先行き非常に大事な行政的な課題でございますけれども、これにつきましていろんないわゆる適正化対策というものをかなり強力に推進するんだというふうなさまざまな方策が今予定されておりますけれども、そういったふうな対策をとることによりまして財政的な効果というものが相当見込まれるであろうというふうな前提に立ちまして、国の財政状況等もございますけれども、国庫補助の合理化というものが図られたということでございますので、三十五万円に上げる分があるのでその分に見合う分を国庫補助を下げたというふうなものではございません。あくまでもその限度額の改定といいますのは、他の医療保険制度との一つのバランスといいましょうか、それから国民健康保険の中での各市町村の国保の中の集団間の負担の均衡といいましょうか、そういうふうな観点から行われたものでございますので、それぞれいわば別個の観点からの方策であるというふうに御理解願いたい、こんなふうに思います。
  41. 中野明

    中野明君 いろいろ言われましたけれども、結論として、国保財政がそれだけ限度額が上がることによって少しは豊かになる、その分国庫補助は助かりますと、そういうことですか。
  42. 阿部正俊

    説明員(阿部正俊君) 繰り返しになりますけれども、国庫補助の削減というのを、限度額の改定を前提といたしまして、財政効果があるのでその分下げたというふうな関係にあるものではございません。ただ、個々の市町村の、先ほど自治省からも御答弁がございましたけれども、三十五万円というのはあくまでも一つの上限でございますので、個々の市町村がどういうふうな限度額を設定するかということは定かではないわけでございますけれども、しかもどの程度の上限に設定するかというのは、個々の市町村の医療費の状況だとか財政状況に応じて決まっていく問題だと思うんでございますけれども制度的には国庫補助の合理化というものと上限の改定というものは特段の関係は持っていないというふうに理解しております。
  43. 中野明

    中野明君 それで、私の主張したいのは、要するに低所得者という人たちに、何かせっかく限度額が上がったんだから、この人たちに少しでも配慮が欲しかったということを言いたいわけですが、国保税というんですか、料のところもあるんですか、滞納の率というのは大体どれぐらいになっていますか、金額と率をちょっと説明してくれますか。
  44. 阿部正俊

    説明員(阿部正俊君) 国民健康保険料、税、先生御承知のように料という形で取っているところもあるんでございますけれども、両方合わせまして、五十六年度でちょっと申し上げさせていただきますと、減免の分でございますけれども、調定額が一兆五千億余でございまして、そのうち収納額が一兆四千五百億、未収額が八百三十億程度でございます。収納率が九四・五二%という数字が出ております。
  45. 中野明

    中野明君 最近何かマスコミが報じたところによりますと、一部の地方自治体で国保税の滞納を理由に国民健康保険証を渡さなかったというようなことが大問題になっておったようですが、この実情はどうなんですか。
  46. 阿部正俊

    説明員(阿部正俊君) 先生御指摘になられたのは、多分新聞等で報ぜられました北海道の小樽市の例ではないかというふうに思いますが、このケースの実情を聞いてみますと、次のようなことでございます。  国民健康保険税の滞納というのは、これは非常に、ある意味ではゆゆしき問題だと思っております。保険といいますのは、やはり一〇〇%みんなで出し合うから成り立つのが保険でございますので、いわば事情はともかく、結果としてある人は納めていないということであると保険というのは本来成リ立たないわけでございます。やはり一〇〇%目指して収納というのが本来のあり方だと思 うんでございますが、そんなこともありますが、ただ、最近収納率というのが総体的に落ちてきておることも確かでございまして、小樽市の例もかなり、九〇%前後に落ちてきているというふうな状況の中で、この収納対策というのが非常に国保の最大の課題だという実情はあったようでございます。ただ、事情を聞いてみますと、被保険者証の交付がなかったケースというのが相当あるわけでございますけれども、このすべてについて滞納だから渡さなかったのだという事実はございません。ただ、被保険者証の更新なり交付という場合に、保険料が納められていない世帯につきまして右から左に自動的に被保険者証を郵送するというふうなことでは、やはり資格確認があくまでも不十分でございますので、そういう方々については一度市役所の方に出向いていただきまして、確認した上で被保険者証を交付しようというふうなやり方をとったということでございまして、そういったように御来所をいただいた方々について、滞納されているケースについてはその席で国民健康保険制度の内容の、趣旨の御理解をいただくなり滞納の解消なりについて御協力を求めた、こういうふうなことでございます。  ただ、余り長期にわたりまして被保険者証を交付しないということは被保険者の受療の機会を閉ざすことにもつながりかねない面がございますので、小樽市の市役所の方でも、余り長期にわたる者については各個別に自宅を訪問いたしまして、確認した上で被保険者証の交付をやっておったということでございます。  ただ、そういう場合でもお留守だったり、どうしても確認できなかったケースというのが数十世帯最後まで残って、その方々については、大体一年ぐらい被保険者証の交付が結果としてなかったというふうなことになったわけでございますけれども、現在では、確認された方について被保険者証の交付がないというケースはすべて解消されておるというふうに聞いております。
  47. 中野明

    中野明君 極端な例なんでしょうけれども、一年間も確認作業が手間取るということは、これは問題だと思いますね。今後そういうことのないように、これは本当に大変な問題だと思いますので、確認作業その他について遺漏のないようにお願いをしたいと思います。  それでは、自動車税について質問をいたしますが、大臣もあちらこちらよく走っておられるので御存じでしょうけれども、東京とか大阪とかいう大都会を除いて、今の交通体系というのは、もうこれは自動車に頼らなければどうしようもないと。私も四国の片隅に住んでいるわけですが、もう鉄道は通ってない、今あるのもやめようと言われている。それで、バスは二時間に一本で終バスは八時ごろ、もう八時過ぎたら商店街もそれこそ火の消えたようなものですね。そういうような現状の中で自動車、特に軽自動車とかモーターバイクというのはもうこれは住民の足であり、生活の必需品ですね。生活の一部になっています。だからこれは、先ほど局長も免許税のときにおっしゃったように、大臣が就任になって、大衆課税はやめろと言われて免許税は引っ込めましたというようなお話なんですが、明らかにこれは大衆課税です。間違いありません。これをまた大幅に値上げをされるというのはこれまた筋が通らぬ話で、どうなんですか。この辺の議論はどこまで——まず大衆課税と思っておられるのか、思っておられないのか、その辺から。
  48. 関根則之

    政府委員関根則之君) 自動車の、生活をする上での必需性につきましては、私どもも十分承知はしているところでございます。  それから、大衆課税であるかどうかということでございますが、納税義務者の数が極めて多いという意味において、広く一般国民に御負担お願いしている税である、そういう意味において一般国民大衆を相手にしている税だということは確かでございます。  ただ、大衆課税という言葉には、論理的な意味とはちょっと違った情緒的な意味といいますか、そういう意味がむしろ表へ出てきているような言葉でございまして、まあ、あこぎな税といいますか、ほとんど担税力のない人まで無理やり取ってしまうというような感覚の受けとめ方のされる言葉でございますので、私どもはそういう意味での大衆課税とは考えておりません。
  49. 中野明

    中野明君 それで、この自動車はある程度私もわかりますが、軽自動車とかあるいはミニバイクですか、そこらはどうなんでしょうか。  前には、御案内のように、自転車税とそれから荷車税が廃止になりましたね。あの廃止になった理由は—理由といいますか、廃止になったいきさつをちょっと説明してくれますか。
  50. 関根則之

    政府委員関根則之君) 昭和三十三年だったかと思いますが、自転車荷車税が廃止をされたわけでございます。  一口に申し上げまして、当時の理由といたしましては、極めて零細な税負担課税であるというようなことが主だった理由だったと思いますが、反面、多少まあ地方財政も充実期でございまして、そういったことも背景といたしまして、減税財源がほかに得られだというような、あのときには振りかえ措置をとっておりまして、たばこ消費税の税率を別途上げているわけです。その補てん分といたしまして、そういうことができたということも一つの可能条件を形成していたのではなかろうかというふうに考えます。
  51. 中野明

    中野明君 徴収費用、これも理由の一つになってなかったですか。
  52. 関根則之

    政府委員関根則之君) 当時、自転車はたしか二百円の税額だったと思いますので、それに比べまして徴税経費が割高になってしまうと、税額に比べて非常に割高になる、そういう議論はございました。
  53. 中野明

    中野明君 当時の記録を見ますと、大臣答弁で、奥野さんでしたか、徴税のために収入の二割ぐらいが使われているということ、これが一つのやはり理由になっておったように私読ませていただきました。  そういうことになりますと、現在、バイクは七百円ですか、この七百円に対して徴税の費用、徴収する費用はどのくらいかかっていますか。
  54. 関根則之

    政府委員関根則之君) 各団体によりましていろいろまちまちでございます。徴税経費の計算というのは、一人の職員がいろんな税目を持っていたりいたしますから、それの費用配分等がなかなか難しゅうございまして、また、もちろん市によって給与水準等が違う、職員の配置の仕方も違うということからまちまちでございます。われわれもいろいろ抽出調査等をやって試算をいたしておりますが、結果としては、必ずしもきれいに御説明できるような数字は出てきておりません。  平均をとりまして八百円程度の数字が出てきておりますが、市によりましては、例えば小松市が三百四十七円でありますとか、熊本県の八代市、これが二百七十六円でありますとか、その程度で上がっている市もありますということでございます。
  55. 中野明

    中野明君 大体私の聞く範囲では、多いところはやっぱり一〇〇%を超えているところもあるようです。実際に私の住んでいる高知市では徴税費が一台に五百三十一円かかっております。これは五十七年ですから、五十八年度はもっとふえているようです。もう大体こんなことで、現場の担当者は、じくじたるものを感じております。率直に話をしてみて、果たしてという気持ちは持っているようですけれども、自分の方からそんなことは言い出せないと言う、地方財政の現状から見て。しかし、いかがなものかという考え方を持っているようです。  こういう実情を見ましたときに、やはりいつまでもいつまでもそういうことを続けでいいものかどうか。地方税法の五条にもうたわれているとおりでありまして、ミニバイクですか、これはもう廃止する時期に来ているんではないだろうか。もうとてもこれがなかったら生活もできないという、それこそ大衆課税になっておりますので、その辺、廃止するという方向で検討されるお気持ちがないかどうかです。大臣からも御答弁いただきたいんですが、どうでしょうか。
  56. 関根則之

    政府委員関根則之君) そういうお話は、実は地方団体課税当局からも私ども聞くことがあるわけでございます。  ただ、子細に検討をいたしておりますと、バイクの徴税費の算定の際の割り掛け方がちょっと強過ぎるんじゃないかと思われるような計算もいたしておりますので、まあまあ平均的には、私どもは十分徴税費を賄うに足る範囲内での収入があるというふうに考えているわけでございます。  そこで一方、必需品だからやめるべきではないかということでございますが、確かに必需品につきましてはできるだけ税はかけたくないというのが基本的な考え方ではございますが、税というのは、地方財政が今こういう厳しい状況ですから、いろいろ無理なところまで御負担お願いしているというようなところもあるわけでございまして、例えば住居にも固定資産税課税をしているというのはまさにその一つの典型的な例ではないかという感じがいたしております。  また、ミニバイクはやっぱり自転車とはちょっと違いまして、資格を持っている人しか乗れないというような限定性もございますし、それから購入価格等も、確かにスーパーで売っているようなミニバイクは三万円とか四万円ぐらいで買えるというようなものもあるようでございますけれども、五十cc平均をいたしますと大体十三万円ぐらいの数字も、私どもの方では出ておるわけでございます。多少のスピードも出ますから、道路損傷の点も自転車とはちょっとけた違いに大きいということも言えると思いますので、そういった関係、それからやはり田舎に行きますと、小さな税金ではございますが、それなりにやはり貴重な財源になっているというような面もございますので、従来からの経緯もございますので、思い切ってそれじゃこの際やめてしまえというわけにはなかなかまいらない税であるというふうに考えておるわけでございます。
  57. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 今税務局長が言ったとおりでございますけれども、自転車に似たような、ちょっとそれに毛の生えたようなものでございますので、地方財政の今後の状況を見まして、やはり一つの研究課題としてやっていかなければならない問題ではないだろうか、このように思っております。
  58. 中野明

    中野明君 先ほど局長も申されましたように、現場で徴税に当たっている人たちは非常にじくじたるものがあります。そういう声をやはり敏感に受けてあげるということも大事なことの一つであります。  現場には非常にまじめにやっている人がおりまして、本当に細かいことなんですが、限られた予算で——一例を挙げますと、大臣、老人福祉電話というのがございますが、それが結局今までは市役所の所有になっておりましたので、電話の基本料がいわゆる営業用ということで高い基本料を払っているわけです。ところが、実際使っているのは老人のひとり家庭で使っているわけですから、それでそれを住宅用にしろということをやかましく言ったんですが、法律改正が要るとか何とか言ってえらいやかましいことになりまして、三年もかかったんですが、やっとそれがおさまりました。そうすると、現場の担当者がすごく喜んで、例えて言えば、一つの市で三百台老人電話があったその基本料で、一台七百円違いますから、それで新たにまた何十台がつけられるということで、非常に喜んで礼を言われたことがあります。それほど現場の人は限られた予算で何とか住民にもっとサービスができないかということで苦労している。そういう姿を見ますと、やはりバイクの税金七百円もらうのにもうほとんど徴税費用にかかってしまう、こういう税金はどうなんだろうかと首をかしげている現場の人たちの声というものは、これは無視してはならぬと私は思うんです。  今、大臣が将来の研究課題とおっしゃっておりますので、どうかひとつその辺は、こういう税金について上げるというんですが、これは据え置きぐらいにしてあげた方がいいんじゃないか。こんなものまで上げるというのはどうかなということなんですが、この据え置きの問題はどうですか。
  59. 関根則之

    政府委員関根則之君) 御指摘をいただきましたように、今でも徴税経費との兼ね合いで税額が小さ過ぎるではないかというような話もあるわけでございますので、ひとつ御勘弁をいただきたいと思う次第でございます。    〔委員長退席、理事真鍋賢二君着席〕
  60. 中野明

    中野明君 据え置いたらやめにゃいかぬようになりますからね。  それでは住民税に入りたいと思います。  住民税課税最低限を引き上げることになったんですが、やはり生活保護を下回っております。まことにけしからぬことだと思っておりますが、この生活保護基準以上にするという目標は捨てていないんでしょうね。
  61. 関根則之

    政府委員関根則之君) 基本的な考え方としては、やはり生活保護基準を下回るような課税最低退の設定の仕方というのは私どもとしてはできるだけ避けていきたい、できることなら生活保護基準を上回るような課税最低限を設定していきたいという願望は持っております。
  62. 中野明

    中野明君 その願望を持っておられるのでしたら、今回、低所得者に対する配慮として非課税措置をとっておられます。ところが、今までは単年度限り、いわば時限立法的なものでございましたが、それを今度は「当分の間」と、このようにおっしゃっているんですが、これは今の御答弁とちょっと一歩後退しているんじゃないかというような気がするんですが、なぜ「当分の間」というふうにされたんですか。
  63. 関根則之

    政府委員関根則之君) 先ほども申し上げましたように、願望としては持っておるわけでございますが、現在のような厳しい地方財政状況の中では、生活保護基準を上回るような課税最低限を設定し得るほどの減税財源の確保ができない。非常に悲しいことながら、やりたいけれどもできないという状況にあるわけです。    〔理事真鍋賢二君退席、委員長着席〕  そこで、しかしそうは言いましても、課税最低限を生活保護基準以下に設定した場合に、その課税最低限を上回った者からはすぐ住民税所得割をいただいていいかというと、そこに現実的な問題が生じますので、非課税措置というものを講じまして、生活保護基準程度の収入しかない人からは税金はいただきません、こういう仕組みをとっているわけでございます。それを五十六年度以降、各単年度の措置としてとってまいりましたが、今回の改正におきましては、思い切ってと申しますか、非課税限度額を二百万円に一応設定をすることといたしまして、これが昭和六十年度におきましては給与所得控除の影響が出てまいりますので、二百二万一千円に自動的になってくるということが予定されているわけです。そうなりますと、単年度の措置ではなくて、複数年度にわたってこの非課税限度額が機能するということが言えるものでございますから、単年度限りの措置ではなしに「当分の間」ということで設定をさせていただいたということでございます。
  64. 中野明

    中野明君 とにかく生活保護基準を下回っているということは、これはもう話にならぬということはもう基本的な認識として持って、財政事情がやむを得ぬからこうなんだという御説明ですけれども、わかりますよ、財政事情が厳しいことは。ですけれども、やはりそこは一緒にするべきだと、それが整合性がとれているという考えをどこまでも堅持していただいて、一日も早くそのような状態にしていただきたい。これ要望しておきます。  じゃ時間が来ましたので、法人税に関する問題、一点だけお尋ねしますが、法人税の対象企業のうちで赤字の法人割合というものが非常に最近ふえているという報告のようですが、何か三割から五割に上がったというようなことなんですが、その理由はどうなんでしょう。
  65. 関根則之

    政府委員関根則之君) 赤字法人企業の割合は、昭和四十五年当時は約三割程度でございましたけれども、最近は非常にふえてまいりまして、五十七年度の統計におきましては五三%の企業が 欠損を生じている、赤字であるということでございます。
  66. 中野明

    中野明君 それは何か特別に理由があるんでしょうか。
  67. 関根則之

    政府委員関根則之君) 格別私ども的確な理由ということを把握いたしておりませんけれども、まず法人数が急激に増加をしてきているという問題が私は背景にあるんではないかと思います。小さな、いわゆる法人成りと申しますか、昔は個人企業としてやっていたものが法人成りをしてきている。そういう小さなものでの赤字企業の割合というのが相当出てきておりますので、そういうものがベースにあるのではなかろうか。もちろん景気の停滞等が影響をしていることも当然のことながらあろうと思います。
  68. 中野明

    中野明君 それで、赤字法人ということになりますと、この赤字法人が支払う地方税というのは法人税と住民税均等割だけということですね。非常に衆議院でも議論になったんじゃないかと思いますが、今回のこの程度の引き上げ状態で果たしてこれいいんだろうか。例えて言えば、資本金五十億円を超える法人はたった百二十万円を今度三百万にするわけですか、それきりしか納めない、赤字だった場合。こんなことでいいんだろうかという素朴な疑問を持つわけです、外形課税とあわせて。
  69. 関根則之

    政府委員関根則之君) 赤字法人に対します課税のあり方というのは、これは基本的に国税地方税を通じまして大問題であろうと思います。したがって、そういう基本問題につきましては税制調査会におきましてもこれから取り組んでいただかなきゃいけない。今までも議論は実はしていただきました。しかし、問題が大きいだけになかなか簡単に結論が出せる問題ではないわけでございます。  そこで、今回の改正で均等割引き上げお願いをいたしておりますが、確かにこの引き上げの理由の一つには、赤字法人が非常にふえてきている、それで赤字の場合にはほかの税をほとんど納めないで、もちろん固定資産税等は納めていただいていますが、収益に対する課税としてはほとんどほかに何もない、これはやっぱり問題があるのではないか、そういう観点から均等割はせめて少しふやしていただきたい、こういう考え方がございましたが、これだけで赤字法人対策というものが地方税のサイドから解決したものというふうには私どもは全く思っておりません。もっと基本的な、全般を通じての考え方のもとに将来にわたって対策を講じていかなきゃいけない。  その中で一つ考えられますことが外形標準課税事業税の外形標準課税という問題でございまして、この問題につきましては税制調査会でも今までも議論をしていただきました。これからも十分議論をしていただいて、私どもとしてはそれが実現する方向で何とか解決策が講じられないか、今後研究をし努力をしてまいりたいと考えております。
  70. 中野明

    中野明君 この問題についての大臣の御見解を伺って私の質問を終わりたいと思います。
  71. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 今局長が言いましたように、私も同様に考えております。
  72. 原田立

    ○原田立君 経企庁来ていますか。——本当は河本長官が一緒に座ってもらってお伺いしたいところなんですけれども、課長さんですから答弁が中途半端というと言葉は失礼ですけれども、言えない面もあるだろうと思います。そのときにはひとつ大臣の方も閣僚で同じレベルですから御答弁いただきたいと思います。  本年度の実質経済成長率三・四%はほぼ達成可能とし、来年度は四・五%の目標を掲げておるのでありますが、最近の景気動向を見ると、経企庁の月例経済報告あるいは大蔵省の法人企業統計あるいは日銀の企業短期経済観測調査——短観と言っていますが、それぞれ発表されている中身が、景気の回復あるいは上向き、こういうふうに判断をしているんですね。で、僕はその点について、そう言い得るようなところもあるかもしれないけれども、まだかすかな動きであって、こう大きく、大きくというのでしょうか、景気の回復は上向きだと、こう威張って言えるようなところじゃないんだろうと思うんですけれども、いかがですか。
  73. 服藤収

    説明員服藤収君) 我が国の景気は、昨年の二月ごろを底にいたしまして回復に転じたわけでございます。その先導役になりましたのが海外景気の回復を背景としました輸出の増加であったわけでございます。これがその後内需の拡大にも徐々に波及をいたしまして今日に至っているわけでございます。  現時点での景気の現状ということになりますと、先般、国民所得統計の速報が発表されましたけれども、そういったものの推移で見ましても、地域とか業種によってばらつきはございますが、総じて申し上げれば緩やかながら着実な回復過程を歩んでいるというふうに見ているわけでございます。
  74. 原田立

    ○原田立君 いわゆる内需拡大の景気回復に向かっているということも言えると思うんですね、やや。雇用者所得や消費支出の点についてはこれは伸び悩み、〇・四%増の微増ですよ。それから、いわゆる完全失業率、これも二・七三%といって、我が国においては高い方の部類です。こういうふうな実態から見ると、景気が上向いたということはちょっと言いにくいのじゃないか。
  75. 服藤収

    説明員服藤収君) 確かに経済のある特定の分野等を見ますと、先生御指摘のような点もあるわけでございます。所得の動きというものを、毎月勤労統計調査というのがございますが、これに出ております現金給与総額の推移で見てみますと、名目の動きでは五十八年九月以降大体三%前後、実質では一%前後、いずれも前年同期に比べてでございますが、伸びとなっております。緩やかな伸びを示しておるということが言えようかと思います。  こういうふうに所得が動いているというふうなこともありまして、個人消費、これは月によりましてはいろいろ不規則な変動はしておりますが、大きな傾向としてとらえますと、緩やかに増加しているというようなことが言えるのではないかと思います。今後、景気回復が一層確実なものになるにつれまして所得個人消費とも着実に増加するのではないかというふうに期待をしておるわけでございます。  また、お話ございました雇用情勢の点でございますが、おっしゃるように最近の失業率二・七三%というふうに高い水準にあるわけでございます。労働力需給といったものもなお緩和した状態が続いているというようなことが言えようかと思います。しかしながら、そうした中にありまして、有効求人倍率などを見てみますと、ここ数カ月、わずかずつではありますが、着実に改善の一途をたどっております。また、所定外労働時間などを見ましても、前年同期に比べてニケタの伸びというふうになっているわけでございます。これは景気がよくなりますれば所定外労働時間、超過勤務というものがふえていくわけでございまして、あるところまで来ますと物理的に超勤をする限界というものが参りまして、それがいずれは雇用者の増加というようなものに結びついてくるわけでございまして、現在のような景気の動向、回復過程、これが続いてまいりますれば、いずれは、徐々にではありますけれども、失業率の低下等に結びついていくものと期待しておるわけでございます。
  76. 原田立

    ○原田立君 行き詰まった財政を再建するには景気を浮揚させて税の自然増収を図るということが経企庁長官の主張であり、考え方のようでありますが、具体的にはいかなる政策、施策等をもって自然増収を図るのか。歳出の合理化だとか税体系の見直し、経済活力を拡大して税の自然増収を図るというような三点挙げているようであるが、特にその三点目の経済活力を拡大して税の自然増収を図るということを基本に置いていると、こういう考え方を示しているわけでありますけれども、これについてはいかがですか。
  77. 服藤収

    説明員服藤収君) 財政再建の問題でございますが、これは長期的な取り組み方といたしまして は、いわゆる「展望と指針」で示されているとおりでございます。  まず歳入歳出両面にわたりまして厳しい見直しを行う。それを通じまして財政改革に取り組んでいくということ。それから、私ども大臣が申し上げておりますように、税体系の見直しというのも一つやり方でございましょう。さらに、円滑な財政再建を図るためには、我が国のすぐれた潜在的な活力というものを十分に引き出すということが大事ではないかと思っております。そのことによりまして、経済のインフレのない持続的な成長というものを図れば税収を安定的に確保できるようになるのではないか、またそういったためにいろいろ努力をしていくことが重要ではないかというふうに考えております。  当面具体的にはどうするかということでございますが、政府といたしましては、今これ数年ぶりで景気が回復過程にあるわけでございますから、この動きというものを注意深く眺めながら、国内の民間需要、これを中心としました景気の持続的な拡大というものを図ることを目的としまして、今後とも景気動向に応じて、適切でそしてまた機動的な経済運営に努めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  78. 原田立

    ○原田立君 課長さん、あなたも余りぼろを出さないような答弁の仕方をしているけれども、河本さんこういうふうに言っているわけですよ、景気浮揚を図って税収を上げていく。現実には、もう局長先頭になって、ばんばん増税を図っている。やっていることと全然話が違うんですよ。それで、局長にはまだ聞くけれども大臣、河本さんのこういう考え方とあなたのお考えとはいかがですか。
  79. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 私も専門家じゃありませんから余り自信持って言えませんけれども、河本さんがおっしゃっている景気浮揚考え方というものは、ある面については私は賛成でございます。ただ、今国の財政を見ますと、やはり歳出の抑制、切り詰めというんですか、歳出カットというのはやっぱり思い切ってやっていかなきゃならぬ。そういうことと、それと景気回復のいろいろな活力を出していくための景気対策というものと、ある面ではやっぱり矛盾するところがあると思うんです。ですから、そういう意味では、河本経企庁長官のおっしゃる、例えばよく国会なんかで取り上げられております思い切った減税やるというようなことについては必ずしも全面的に賛成できない面もありますけれども、どちらかと言えば、やはり今企業の活力をつけていくあるいは購買力に刺激を与えていくというようなことは当然考えていかなければならない、まあこのように思っております。
  80. 原田立

    ○原田立君 所得税、住民税減税は行うが、その財源減税以上の増税によって穴埋めされているのが今回の地方税法改正案の中身であります。今の景気回復の最大の問題である個人消費の拡大という点から今回の増税予算について一体どう見ているのか、また、個人消費の伸びは期待できるのかどうか、これひとつそっちの方と、それから局長と、あと結論的に大臣からお聞きしたい。
  81. 服藤収

    説明員服藤収君) 今回の税制改正、特に個人の消費に絡みます税制改正が個人消費にどういう影響を与えると考えるかという、まず第一点の御質問でございますけれども、酒税とか物品税などの増収、これはいずれにいたしましても物価の上昇にはね返ってくるわけでございますから、その分だけ実質可処分所得というものの伸びが抑えられるということになろうかと思います。  しかしながら一方、所得税、住民税減税というものが、こういった酒税とか物品税、いわゆる間接税の増収を上回る規模、倍近い規模で行われるわけでございますから、この減税というものは直接的には家計可処分所得の伸び、これを押し上げる効果を持つ。それが消費支出にはプラスの影響を持つのではないかというふうに考えます。  結局、いずれにいたしましても間接税の増収額というものが所得税、住民税減税額の半分以下であるというようなことでございますから、両者を総合いたしますと、ネットの効果では個人消費に対しまして好影響を与えるというふうに見ておるわけでございます。  さらに、御質問の第二点の、今後の個人消費支出をどういうふうに見ているかという点でございますが、これにつきましては、生産が非常に順調なテンポでふえている、それから企業の収益というものも改善をしている、企業収益が改善しますと、いずれこれが従来の例からいきますと所得の増加に結びついてくるわけでございます。さらに、物価の安定、これも五十八年度二%前後というのは非常に超安定な状態であるわけですけれども、五十九年度におきましても、従来のものから比べますと非常に安定した状態が続くというふうに見込まれておりますので、それやこれが相まちまして、五十九年度の個人消費支出につきましては緩やかな増加を今後とも続けていくのではないかというふうに見込んでいるわけでございます。
  82. 関根則之

    政府委員関根則之君) 住民税減税について申し上げますと、昭和五十九年度では減税額は三千百二十九億になるわけでございます。その分、個人所得課税というものが軽減されるわけでございますから、その実質の個人所得というのは、手取りがその分だけがふえていくということになると思います。  一方、増収におきましては、直接個人に関する問題といたしましては、自動車関係税お願いをいたしております増収額でございますが、これは千三百五十億でございまして、減税額に対する割合としては四三・一%ということでございます。四五・七%を法人関係税の増収ということでお願いをいたしておりますので、その意味から、住民税減税額を丸々個人所得に関係する税目で増収を図っているということではございませんので、その差の部分というのは何らかの形で消費の拡大要因としてカウントしてもいいものではないかというふうに考えます。そういう意味におきまして、今回の減税が消費についてマイナスの効果を持つということには考えておりません。  それから、基本的、長期的な問題といたしましては、やはり地方財政も国の財政もそうでございますけれども、これがしっかりしておりませんと、まさにこのままの状態で置いておきますと経済の足を引っ張ってしまうというような大変な状況に落ち込んでいるわけでございます。今やはり長期的に財政として考えていかなければならないのは、財政の立て直しを早くやって、経済的な、政策的な面に財政が寄与し得るようなそういう体質をつくっていくということが必要なことであろうということでございまして、そういう意味から減税財源をある程度、別途他の税目によって補てんといいますか、確保しなければいけないという状況にあるものということにつきまして御理解をいただきたいと思います。
  83. 原田立

    ○原田立君 大臣、今の関根局長の答弁は僕は非常に不満です。  もう一つつけ加えて、臨調の答申でも増税なき財政再建ということを言っているわけですよ。減税実施に伴う宇野党間の合意事項でも増税はしないと、こう言っているわけです。にもかかわらず大蔵省における間接税の大幅引き上げ、今ここでやっているところの地方税引き上げ、これは明らかに、減税は確かにしたけれども減税の穴埋めは増税でしているんですよ。これは、こういう姿勢は明らかに今まで言ってきたことと逆なことであって、公約違反だと、答申無視だと、僕はこういうふうに感じるんです。また、そういう意見も多くの国民の皆さんお持ちです。あわせて御答弁願いたいと思います。
  84. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 増税なき財政再建という言葉だけ見ますと、今、原田さんおっしゃったように、また国民の皆さんがお考えになっているように、増税もやっているじゃないかというような声になってくるかもしれませんけれども、臨調で言っている増税なき財政再建というのは、全体としての税負担の上昇をもたらすような税制上の新たな措置は基本的にはとらないという意味にも とれるわけでございまして、今回の減税を埋めるための増収措置というものは、税の負担率の上昇をもたらすものではないというそういうことから見ますと、おっしゃるように、増税なき財政再建には反しているということは必ずしも言えないんではないかというふうに思うわけでございます。
  85. 原田立

    ○原田立君 じゃ、具体的に言いますよ。  改正案では、今局長も言ったけれども、五十九年度、初年度は個人住民税減税三千百二十九億円、そして実質三百五十六億円の減収、六十年になると一体どうなんですか、あなた六十年の話何にもしなかったけれども、六十年は個人住民税減税三千百五十三億円、合計プラスマイナスすると六十年度平年度は三百十四億円の増収でしょう。これがずっと続いていくわけでしょう。明らかに増収じゃないですか。こういう今大臣も言っているように、低いところは上げたんだと、上へ上げるようなことは余りしないんだと、こう言っているんだけれども、今おたくの方でもらった資料からいっても、明らかに平年度は三百十四億円の増収ですよ、いかがですか。
  86. 関根則之

    政府委員関根則之君) 両年度を通じて見ますと、わずかではありますが、減収が立っておるということでございます。ただ、平年度三百十四億ということでございますが、確かに数字はそのとおりでございますが、この背景といいますか、計算の過程には、国税におきます法人税率の二年度限りの税率の引き上げの影響が昭和六十年度で六百七十信実は入っているわけでございます。もちろん二年経過した後でどうするのかという話についてはいろいろ議論はあると思いますが、現在御提案を申し上げている法律そのものは、あくまでも二年間の時限法として、臨時の措置としてお願いをしておりますので、私ども税制を考える場合にそういう前提で物を考えておるわけでございます。したがって、この三百十四億が将来永遠にずっと平年度化してつながっていくというふうには考えていないわけでございます。
  87. 原田立

    ○原田立君 そういうインチキは私は許さない。法人均等割の税率引き上げで確かに五十九年度三一・九%、それから自動車税、軽自動車税については四二・一八%の増収、合計七四・一%になるわけでありますが、六十年度では法人均等割は四七・五%、それから自動車、軽自動車税は四五・一三%、合計九二・六、七%賦課している。明らかにこれは増税じゃないですか。
  88. 関根則之

    政府委員関根則之君) 昭和五十九年度と六十年度とによって数字が違うわけでございますが、平年度化いたします昭和六十年度におきまして、もちろん自動車関係税引き上げの効果等が多少ふえてまいりますし、それから法人均等割の額につきましては五百億近く上昇をしてまいります。しかし、それだけでは減税財源を充足することができませんので、別途国税の税制改正に伴うものが五百八十一億円入ってきておりますので、それがないと逆に減税額に比べまして三角が出てしまう、こういうことになるわけです。  それで、その法人税率の改正に伴うものというのは、あくまでも二年間の臨時的な税率改正ということになっておるということを申し上げているわけでございます。
  89. 原田立

    ○原田立君 車の問題で聞くんですけれども、車、営業用と自家用とありますね。営業用も自家用も車においては変わりないわけですね。営業用はそれで利益を生み出していくというそういう問題もあるでしょう。それから自家用となると何か生活必需品的なものになっていくでしょう。  それで私が言いたいのは、今度の法律の上であらわれてきているのは、営業用でのアップ分はほんのわずかなんですね。理屈はわかるんですよ。営業用の方の関係でアップ幅をうんとしたならばそれだけ原価がまた高くなって利用者が減るというような問題が出てくると思う。だから少しでもいいんだろうと思うけれども、じゃ、個人用の自動車はもう明らかに余分のものを持っているんだからぱっとかけてもいいんじゃないかという理屈にはならぬと思うんです。それで、今この表を見てみると、営業用については百十万八千台あって、そして自家用車については三千三百四十四万九千台ある。べらぼうな差があるわけですね。台数でいつでも三・二%対九六・八%と、こういうふうになっている。税収見込み額では、営業用のが〇・五%のアップでありながら自家用車については九九・五%だと、全部合わせるとですよ。これは非常に不合理ではないですか。さっきあなた答弁している中で、こういうのをやるのは当然なんだ、当たり前なんだというような意味のことを言ったけれども、ちょっと言い過ぎじゃないのかというふうに僕は思うんですが、いかがですか。
  90. 関根則之

    政府委員関根則之君) 自動車税の税率の引き上げにつきましては、当然のことだから当たり前だというふうに考えているわけではございませんで、もちろん税負担引き上げるわけでございますから、私どもといたしましては、納税者の方々にお願いを申し上げていると、そういう気持ちでいるわけでございます。  問題は、営業用のアップ率との兼ね合いの問題でございますが、営業用を低くしておいて自家用車はどんどん上げてもいいんだから自家用車の方に割り掛けをしてそれで上げたと、そういう考え方は実は私ども持っておりません。やはり自動車税というのは定額税率でございますので、この前、昭和五十四年度に見直しをさせていただいて以来、現在の税率が設定されておるわけでございますが、その後における物価の上昇割合でありますとか、あるいは自動車購入価格の引き上げ率でありますとか、そういうものから判断をいたしまして、自動車については大体一五%ぐらいお願いをしたいということでお願いをしているわけでございます。  その際に、営業用についてどうするのかという議論が出てまいりまして、これは従来の改定の際には原則として据え置きという措置をとったこともあるわけでございます。過去二回ほど原則据え置きというやり方をしておりますが、しかしそれを今回も据え置きという議論も実はあったんですけれども、余りにも今回また据え置きをやりますと営自格差が広がり過ぎるという問題が生じます。やはり、確かに公共料金に多少反映する問題ではありますが、多少とも少し御負担お願いできないかという考え方がございまして、五%という税率でお願いをしているわけですが、これは我々から考えますと、物価上昇等から考えれば、営業用にも実は一五%ぐらいのお願いをしたいところでございますが、そういった公共料金との兼ね合いを考えまして五%程度にとどめさしていただいたということでございまして、それを下げた分を自家用車に乗せるということはいたしていないわけでございます。
  91. 原田立

    ○原田立君 とにかく、あなたの言っていること、それからもらった資料なんかから見てみると、非常に矛盾なんですよ。自家用は、台数は先ほど申し上げたとおりですけれども、改正法によって今回徴収されようとする税額が九千六百五十四億三千三百万、自家用がね。それで、営業用の場合には二百一億七千五百万。これを率で見ますと、さっきも言ったように、自家用が九九・五%、営業用が〇・五%だ。非常に台数が違うんですからこうなるのかなと思うんですけれども、それにしても自家用の車、あるいは軽自動車も全部含みますけれども、要するに昔の自転車あるいは原付自転車と同じみたいになっているわけでしょう、自動車、軽自動車。  それで、もう一つ言いたいのは、原付自転車五十cc以下が千三百四十五万台あるわけですよ。現行は八十六億六千二百万円の税を取っているんですけれども、今度は改正すると百二十三億八千万円の増になるわけです。これはどこからどう見ても、減税だなんというよりか、要するに取れるところから取れ、大衆課税みたいなそういう感じがしてくる。先ほど中野委員からも指摘ありました、昭和三十三年のときに自転車荷車税が免除になった。あれはあの理由の中に、郡さんが大臣だったですけれども、あの中に言っていますよ。要するに大衆課税的な要素を帯びてきたからこれはやりません。そのかわりたばこ税の方を二%です か、これだけ増を図って穴埋めしますと、こういうふうな言い方をしているわけだ。私が言いたいのは、そういう大衆課税的な考え方自治省は持ってもらいたくない、政府は持ってもらいたくないと。だけれども、今度はあえてこれをやっておられる。私ども賛成するわけにはいかぬのです、これ。  いろいろ意見も感想要望一緒に述べたんですけれども、これは大臣、もう時間がないから、大臣答弁を伺って終わりにしましょう。
  92. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 自動車関係税につきましては、今日本における自動車の利用位置からいいますと、先ほど来お話のありましたように、生活必需品というふうになっているという見方もありますけれども、私は必ずしも、日本とアメリカと比較して、アメリカにおける自動車を持たなければならないという立場日本における自動車を持たなければならぬという立場とちょっと違うと思うんですね。アメリカはそれこそ鉄道網の普及率もありませんし、これは自動車がなければ絶対困るわけです。日本の場合は必ずしもそうではない。しかし、日本の経済力から見て、また生活水準から見て、自動車の普及率というのは目覚ましいものがあることはもう周知のとおりでございまして、そういう意味からしますと、同じ自動車の普及率から見ても、この自動車の保有者にかける税金というのは、アメリカと日本と見てやはり差があるんではないかと思うんです。  今も税務局長から説明がありましたように、定額課税であり、しかも五十四年から以降据え置きになっているというようなことから見れば、今回の課税は、利用者にとって、ユーザーにとって何とか御理解をいただける課税ではないか、こういうふうに思っているわけでございまして、税率を上げることが当然とはもちろん思っておりませんで、できれば国民の皆さんに負担をかけないように努力をしなければならないけれども、これが直ちに大衆課税になるということは、ちょっとこれはもう自動車の免許税とは随分違うものではないかというふうに私は認識しているのでございます。ちょっと長くなりましたけれども、ひとつ御理解をしていただきたいのでございます。
  93. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後零時四十分まで休憩いたします。    正午休憩      —————・—————    午後零時四十分開会
  94. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  地方税法等の一部を改正する法律案議題といたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  95. 神谷信之助

    神谷信之助君 第一の問題は、申告納税制度環境整備ということで改悪をなさっている問題で、お尋ねをしたいというふうに思うんですね。  まず最初に、今回の改正理由を聞きたいと思うんですけれども大臣提案理由の中に、納税制度の改悪、とりわけ税金訴訟の手続の重大な変更について一言も触れておらない。局長の補足説明でももちろん、変えるということだけで理由の説明はない。これは、私は重大な変更だと思うのだけれども、わざわざその理由の説明がなされなかった理由は一体何か。まずその点をお聞きしたいと思う。
  96. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 御指摘の点が提案理由の説明に入っていなかったということにつきましては、特別に他意があるわけではございませんで、私どもといたしましては、環境上、また事務上というような点でございましたので、詳しくは申し述べていなかったということでございまして、格別に問題があったわけではないのでございます。
  97. 神谷信之助

    神谷信之助君 大臣提案理由の説明の中では、「地方税における納税環境の整備を図るため、官公署等への協力要請等に関する規定を設けることとするほか、更正等によって」と言って、あと過少申告加算金の問題が出てくる。これは、事務的ではない重要なことであって、訴訟の手順の変更は、これは国民に何の関係もない単なる事務的な変更と言うのか、はっきりしてもらいたい。
  98. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 提案理由の中にごく簡単に述べておりますけれどもい先ほど申し上げましたように、決してこれは軽視をするというようなことではございませんで、一つ一つ具体的にこれを書かなかったということにすぎないのでございます。
  99. 神谷信之助

    神谷信之助君 先ほどの返事は単なる事務的な変更です、手続の変更です。単なる事務的な変更ですかと言っているんですよ。
  100. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 環境という言葉を入れたはずでございますが、環境の整備とか、それから事務的な問題とかというようなことを申し上げたわけでございまして、ただ単に事務的なということを申したんではございません。
  101. 神谷信之助

    神谷信之助君 それじゃ、まず私は、基本認識というものをはっきりさせる必要があると思うんですよ。戦後の申告納税制度、すなわち戦前はお上が税金を決めるという賦課制度ですね、課税制度。それが戦後、国民が自分で税金を計算をして確定をする、そういう申告納税制度。これが、言うように根本的にまで変わったんですね。だから確定申告書として出すわけです。これは、主権在民をうたった今日の憲法に沿ってこのように変更されたものと、こういうように我々は考えますが、この認識は同じですか。
  102. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) そのとおりでございます。
  103. 神谷信之助

    神谷信之助君 ところが、今回の改正は、この根本認識を覆すような重大な変更である。納税者は国民です。その納税者に新たな義務を課したり、あるいはまた不当な税の決定に対して訴訟を起こしている原告側に重要な権利侵害をもたらすような内容を持っているそれは単なる事務的なものなんですか。その辺の認識はいかがですか。
  104. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 今回の改正の趣旨というのは、税の公正化ということを主眼に入れたのがこの環境整備の問題でございまして、決して主権在民に反する あるいは納税者を一方的に義務づけるということではない。このように認識をしております。
  105. 神谷信之助

    神谷信之助君 税の公正化を図るためだとおっしゃるんでしょう。しかし、不公平税制というのはこれでなくなりますか。例えば使途不明金なんかがこういう改正で解決しますか。  公平を期するためにとおっしゃるけれども、不公平はそんなことによって直るのですか。国民が言っている不公平というのは、大企業に対する特別な減免や、あるいは物すごい巨額な脱税や、あるいは使途不明金といって使途を明らかにしないで、しかも政治献金をしたり日本政治を汚すために使ったり、こういうことがある。これを何とかしてくれというのが国民の税に対する公正な要求でしょう。
  106. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 私が税の公正化ということを申し上げましたのは、広い意味ではございませんで、徴税の面で、給与所得者の徴収と、あるいはまた違う面の例えば申告納税、そういう面とのできるだけ均衡を図っていかなきゃならぬという意味で申し上げたのでございまして、広く不公平税制と言えば、世間に言われておりますようないろいろな問題がほかにございまして、そういう広い意味ではないのでございます。
  107. 神谷信之助

    神谷信之助君 大臣のおっしゃる意味からいうと、私の言う方が狭い意味なんです。申告納税制度で大企業も申告をしておるわけです。毎日毎日汗水垂らして働いている業者の皆さんも申告しているわけです。同じ申告納税制度の中で不公平がある。問題は、それがでかいんでしょうが。大企業の申告の方は不正をそのまま野放しにしておいて、それで一体、野放しにしているやつは今度の改正によってそういう野放しにならぬで、大企業の不正な申告は摘発することができるというこ とかと言っているんです。
  108. 関根則之

    政府委員関根則之君) 今回の納税環境の整備につきまして、それで大企業の方の問題が片づくとは考えておりません。あくまでも不公平是正といいますか、税の公平確保のために、申告の際にも必要な帳簿なりあるいは資料等の保存をお願いしたいということをお願いをしているわけでございますが、これだけですべての税の公正さといいますか、不公平税制是正と言われているものがすべて解決するというふうには考えておりません。  特に、大企業につきましては、従来から記帳義務は当然のことながらあるわけでございまして、その記帳そのものが何かおかしなことがあった、あるいは使途不明金等があったり明確でない経費の支出があったと、それは実際の税務調査なり何なりというものでこれから正していかなければならない。そういうものであろうと思います。
  109. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうすると、今回の改正は、大企業のそういう不正な行為に対する是正を求めるための改正ではなしに、一般中小零細業者に規制を加えるという、そういう改正だというんですね。
  110. 関根則之

    政府委員関根則之君) 資料の保存義務につきましては、これは今までそういう義務が課されていなかったのが中小企業の分野でございますので、そこに効果があらわれてくる、こう思います。しかし、例えば証拠申し出の順序の規定等につきましては、これは大企業まで全部含まれて今度の改正の影響を受けるわけでございますので、そういう意味においては、ただ単に中小企業だけを対象にした納税環境の整備の改正ではないと考えております。
  111. 神谷信之助

    神谷信之助君 今おっしゃいましたから、その次の問題に具体的に入りますが、保存義務の問題ですね。これは今まで中小業者、零細業者なんかはつけていない、それに義務づけたんだと。なぜですか。
  112. 吉住俊彦

    政府委員(吉住俊彦君) お尋ねは、記録の保存義務の方だと理解いたしますが、確かに義務づけではございますけれども、先日佐藤委員お尋ねにもお答えいたしましたように、申告納税制度の根幹というのは、最後には申告書を書いていただくということにあるわけでございますので、その申告書を書くに際しまして何もなしては書けない、これは当然でございます。やはり、それなりに基礎資料、月計表、日計表あるいはその基礎をなします個々の伝票、そういうものが背後にないと正しい申告書は書き得ないという意味で、当然、取引をなさる以上、そういう書類、帳簿をお持ちでございますので、そういう書類、帳簿、伝票、そういうものをある年限保存していただきたいという趣旨の改正でございます。
  113. 神谷信之助

    神谷信之助君 今のは質問に答えてない。理由を聞いているんです。だから、正確な申告をする場合に、当然いろんな資料があるだろう、その資料に基づいて申告なさっているんだろう。だから、正確な申告をする上での潜在的な義務は今まであるわけだ。正確を期するためにはいろんな資料に基づいて出してやる、それは当然だろう。今度はそれを法定化するんですね。義務を法定化する理由を聞いているんだ。
  114. 吉住俊彦

    政府委員(吉住俊彦君) 確かに、おっしゃるような内在しているという点は確かでありますけれども、従来からそういうことでございますけれども、さらにそこを一歩進めまして、やはりこの申告の裏づけになる資料を保存していただくことによりまして、税務調査に際しましてもその正確性が担保されるというところに、今回改正の効果を期待いたしているわけでございます。
  115. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうすると、記録を保存しておけば、税務調査の場合にその書類を見てちゃんと実額課税をする、そういうことになるというんですか。ちゃんとこれからはそれに基づいて実額課税をいたします、推計課税は入れません、そのつもりで義務化をお願いしたという意味ですか、今おっしゃったのは。
  116. 吉住俊彦

    政府委員(吉住俊彦君) そのような記録がございますれば、事実上税務職員はそれを拝見いたしまして調査さしていただくことにはなろうと思います。ただ、青色申告のような法定された帳簿じゃございません。それぞれの取引に応じましていろんな書類があろうかと思います。したがいまして、その中には取引に余り関係ない、所得の計算に余り関係ないような資料もまじっていることもあるかと思います。そういうことでございますので、拝見はいたしますけれども、また、これケースはまちまちでございまして、拝見いたしましてもなおかつ全体像が明らかにならないというような場合も、それは否定できないと思います。したがいまして、保存しておけば、そのままで課税が行われてそれで終わるということはないということでございます。
  117. 神谷信之助

    神谷信之助君 あなた現場の実態を知らぬですよ。税務署の署員が来ても、そういう資料なんか目も触れない。何ぼ資料があろうと目も触れない。自分のところの推計課税は正しいんだと言って押しつけてくる。青色申告の場合にもそうですよ。具体的に帳簿なんか見ないです、青色申告も。だから、これは別の意図があってそういうことを考えているんじゃないかと思うんだが、それは別にして、この条文で四十五条の四は都道府県民税の方、七十二条の五十五の三が事業税、三百十七条の八が市町村民税、これらはいずれも「自治省令で定めるところにより、その年においてこれらの業務に関して作成し、」云々とありますね。この自治省令で何かの作成を規定をするおつもりですか。
  118. 吉住俊彦

    政府委員(吉住俊彦君) 条文には「業務に関して作成し、又は受領した帳簿及び書類を保存する」ということでございますから、読み方といたしましては当然、業務に関して作成した帳簿及び書類というふうに読むことを期待して改正をお願いしているわけでございます。
  119. 神谷信之助

    神谷信之助君 「作成し、又は」だろう。作成した書類、帳簿……。
  120. 吉住俊彦

    政府委員(吉住俊彦君) 解釈といたしましては、つまり「帳簿」「書類」というのは「作成」と「受領」とに、両方にかかるというふうに読むということで改正をお願いしているわけでございますが、そういう読み方のもとに自治省令では何を定めるかということでございますが、それは保存期間でございますとか保存の対象となる帳簿、書類の種類などを定めようというふうに思っております。
  121. 神谷信之助

    神谷信之助君 今のあなたの「作成し、又は受領した帳簿」ですか、作成した一受領したとかとなるんじゃないでしょうか、日本語では。それは、その問題、別にします。  この中身も今おっしゃっていますが、これは自治体ではもう実際にどんどん事務が進行しているんですか。
  122. 吉住俊彦

    政府委員(吉住俊彦君) この部分の改正規定は、御案内のように、明年の一月一日から適用するということを予定いたしておりますので、もちろん省令は早くつくりたいと思いますが、その間がないの準備期間もございますので、その間に準備をしていただくということになろうかと思います。
  123. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうすると、省令の中身はまだ決まっていない、具体的には。
  124. 吉住俊彦

    政府委員(吉住俊彦君) 幸いにして法律を通していただきましたならば、すぐにつくりたい、こう思って内々準備はいたしております。
  125. 神谷信之助

    神谷信之助君 ところが、岡山の市議会で、この間の二月議会、これに三十一号議案として「個人市民税の納税義務のある個人事業所得者等は、取引に関して受領し、又は作成した記録及び書類の保存をするものとし、個人市民税について申告書に所得金額の計算過程を明らかにする書面の添付を求めることとする」という条例の改正案を提案した。この事実はどうですか。
  126. 吉住俊彦

    政府委員(吉住俊彦君) 毎年の制度改正に際しましては、実務上の便宜を図るために、地方税法がもし改正されたらこういう手続をとった方が妥当であろうという意味で、いろいろ実務的な連絡は地方団体といたしているわけでございますが、 私どもといたしましては、ただいまおっしゃいましたようなケースは初耳でございますし、当方から、そういうふうな条例をつくれと、つくった方が適当であろうと言った覚えはございません。
  127. 神谷信之助

    神谷信之助君 ところが、この議案の提案について総務委員会で、中央文書に基づいて税法改正の先取りをしたいと言って提案しています。あなたは今説明で、この法律が成立をしたら、それを進めていくための事務的な打ち合わせをなさっている。その場合、言うならば予想される省令の中身についてお話になっているわけでしょう。だから、それに基づいて条例をつくっているんだ。しかし今、私が先ほど質問したら、省令の中身法律ができてから検討します。実際はそうじゃなしに、もう議会にわざわざこういうふうに条例を変えていきますという提案をやっている。これは一体どういうことなんですか。国会審議抜きで、事実上はどんどん実務的には進行している。ちょっと早まって議会提案して見つかったと、こういうことじゃないですか。
  128. 吉住俊彦

    政府委員(吉住俊彦君) 打ち合わせを行ってはおりますが、その打ち合わせの段階におきましては、自治省令の中身はまだはっきりしたものとなっておりませんので、そういう指導とか通知、お知らせをしたことはございません。
  129. 神谷信之助

    神谷信之助君 これは実際には岡山の民主商工会から抗議をされて、そしてその後議運の理事会で撤回をされたんですようっかりしていたら法律ができる前にもう条例改正が行われてしまう、こうなるんだ。  そこで、この岡山の市議会提案をした中身ですが、この保存義務を課している趣旨は一体何かと言えば、個人市民税について申告するときに所得金額の計算過程を明らかにする書面の添付を求めるのだと。申告に添付を求める、単なる保存じゃないんですよ。添付を求める、こういうように条例改正の案を出していて、実はこの記録の保存義務というのは、そういう保存をさして、そういうことに使おうというつもりなのかどうか、この点はどうですか。
  130. 吉住俊彦

    政府委員(吉住俊彦君) 保存義務とは一応無関係のものでございます。ただ、地方団体の機能といたしまして申告書をお出し願うとき、申告書だけではなかなかわかりにくい。だから、物によりましてはあるいは添付を求めることがあるかもわかりませんが、それは直接今回の保存義務とは関係がございません。
  131. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうすると、単なる保存義務じゃなしに、それぞれの自治体ごとで申告をするときに添付することを義務づける、要求するということもあり得るという、こういうことですか。
  132. 吉住俊彦

    政府委員(吉住俊彦君) 現在の申告書の提出に当たりましては、例えば源泉徴収票の添付を実際実務上求めていることもございますし、そういう意味で、何もかも添付なしで出すのだということを申し上げているんじゃなくて、それは必要によりまして、申告書だけではわかりがたい、もう少し中身を説明していただきたいという意味で、それは添付を求めることがございます。ただ、それは直接この保存義務がない場合でもあり得ることでございますので、そういう意味でこの保存義務とは一応無関係のものであるというふうにお答えした次第でございます。
  133. 神谷信之助

    神谷信之助君 そこに問題があるんですよ。内在的義務が今度法定化されると、それが立法の段階ではいろいろ御説明なさるけれども、それが今度は実際に法律として成立をしたら、いろんなところにいろんな形でひとり歩きをする。だから、申告者が必要とあれば自分でつけて持っていくでしょうし、その説明資料に基づいて説明をするでしょう。それを義務化するということは別の問題なんだ。  それから、今大蔵委員会でやっているあの所得税法の改正の中にも、確定申告書への資料添付義務というやつが出ているでしょう。所得税の場合はそれがあるけれども地方税の場合は添付の義務がないわけです。出されてないんだ、保存義務だけでしょう。添付の義務まではないわけだ。しかし、向こうにはあるんだから条例でそうなさってもよろしいということになっていけば、これはもう大体国税並みにやろうということになることは目に見えているんだ。この点はいかがですか。
  134. 吉住俊彦

    政府委員(吉住俊彦君) かなり技術的なことになるわけでございますが、申告書の様式は、これはまた自治省令で定めているわけでございます。その様式の中で、そういう必要な書類を添付しなさいということは付記できる仕掛けになっております。  実際問題といたしましては、御案内のとおり、所得税の申告書をお出しになった方は住民税については申告書の提出を要しませんので、その意味では所得税と異なりまして、一度あっちへ出していただければ、うちはあえてそれは求めませんということではございますけれども、理屈の上では、省令といたしまして、申告書の中で必要なものは添付していただきたいということが書ける仕組みにはなっているわけでございます。
  135. 神谷信之助

    神谷信之助君 だから結局、実質的に帳簿の作成義務を課すようなことになっていると。それやらなければ推計課税でやっちゃう、こういう危険が一層もう明らかになってきていると思うんですよ。だから、領収書一枚なくなったとか、あるいは長時間働いて疲労して、そして記録できなかったとか、あるいは間違えて書いたとかいうようなことで、それじゃおまえは証明する資料がないんだからと言って当局側の推計課税、物差しで決めた税額を押しつける、そういう道具立てをつくってしまうということになると思うんですが、この点はどうですか。
  136. 吉住俊彦

    政府委員(吉住俊彦君) そのような条文ができました場合に個々の運用をどうするか、あるいは運用全般にわたってどういう基本的な立場で臨むかということに関する御質問であろうかと思いますけれども、ごく一般的に申し上げまして、権限を越えたような振る舞いかないように、やはりそれは税務当局、課税庁側としても自戒していかなければならないでありましょうし、そのような行き過ぎがないように指導してまいらなければならないものであろうと、そういうふうに考えております。
  137. 神谷信之助

    神谷信之助君 問題は、実際上、実際に執行される段階でどうなるのかということがわからないと、この法律を認めてよいかどうかというのはわからない。その中身法律ができてからだというと、実際どうなっていくのかというのは疑問点、問題点として残っているだけで、これでは本当に私は審議を進めることというのは非常に困難、できないというように思うんですがね。  その次の問題に行きますが、「所得割を課されたもの(これに準ずる者として自治省令で定める者を含む。)」とありますが、この部分は、「準ずる者」というのはどういうことですか。
  138. 吉住俊彦

    政府委員(吉住俊彦君) ちょっとややこしい説明になるわけでございますが、その点わかりやすくするために平たく申しますので、多少不正確になることはお許しいただきたいと思います。  俗に赤字を出しますと、赤字は繰り越し控除の制度がございまして、翌年、翌々年と繰り越しができる。その結果、単年度の所得だけをとってみれば納税義務が発生したであろうに、赤字を繰り越して合算しますと、これ赤字でございますから納税義務が発生しない。ところが、その単年度単年度をとってみますと同じ程度の所得を得ていたと。この保存義務を課される人と同じ程度の所得を得ていたということがあるわけでございますので、そのような純損失などの繰り越し控除を受けた方でありましても保存義務を課されるということでバランスを図りたいと、こういうふうに考えているわけでございます。
  139. 神谷信之助

    神谷信之助君 ちょっともう少し具体的に聞きますが、国税の方は三百万ですか。
  140. 吉住俊彦

    政府委員(吉住俊彦君) はい。
  141. 神谷信之助

    神谷信之助君 そういうことですね。  そうすると、住民税とか事業税はどれだけになるんですか。
  142. 吉住俊彦

    政府委員(吉住俊彦君) ただいま御指摘をいただきました三百万円という基準は簡易な帳簿をつ ける基準でございまして、この点は地方税では規定をいたしておりません。
  143. 神谷信之助

    神谷信之助君 国税では簡易な帳簿をつける義務、こうでしょう。それから、こっちの方でそれを押しなべて言う、保存義務を持つものという意味でいうと、住民税では幾ら、事業税では幾らということになりますかということ。
  144. 吉住俊彦

    政府委員(吉住俊彦君) 個々の人々によって異なるわけでございますが、とにかく前々年中あるいは前年中に、平たく言えば所得があって住民税なら住民税を課された人、それから事業税なら事業税を課された人という意味でございますので、それは先生おっしゃるのが、収入金額の方からいってどうかということであれば、これはもう人によってまちまちでございます。
  145. 神谷信之助

    神谷信之助君 標準世帯四人家族でいったらどうなりますか、住民税の場合ですと。
  146. 吉住俊彦

    政府委員(吉住俊彦君) これ事業所得者でございますから、端的に申しますと、改正法で申しますと二十六万円掛ける四ということになりまして、それ以上の所得を持っていた人、前々年中、前年中——失礼しました。二十六万は新しい規定でございまして、それぞれの年の控除額で計算をしていただければ結構かと思います。
  147. 神谷信之助

    神谷信之助君 それじゃ、こういう聞き芳しましょうか。  地方税の、保存義務を課せられる者というのは一体どのくらいの人数になりますか。
  148. 吉住俊彦

    政府委員(吉住俊彦君) この人数の点は、そのように区分した統計を実は持っておりませんので、はっきりしたことは申し上げかねるわけでございますが、いわゆる事業所得者等という範疇に入る方々、しかも所得税の方は所得税で義務がかかっておりますので、そういたしますと所得税の失格者が中心になると思いますが、所得税失格者は七十六万人程度でございます。
  149. 神谷信之助

    神谷信之助君 だから、例えば具体的に言いますと、お年寄り夫婦二人で内職で生活なさっていると。こうなりますと、今度の案でいけば非課税限度額が二十九万の掛けるニプラス九万だから六十七万でしょう。すると六十七万を超える夫婦二人で内職の収入があったらそれは記録保存義務があると、こういうふうになるわけですか。
  150. 吉住俊彦

    政府委員(吉住俊彦君) ただいま収入とおっしゃいましたが、恐らく所得意味であろうと思いますが、おっしゃるとおりでございます。
  151. 神谷信之助

    神谷信之助君 だから、こういう人たちにまで記録の保存義務を課して、そして、いやおまえ内職だけじゃないだろう、ほかに所得あるだろうとかどうだとか言って詰めることが一体税の公平になるのかね。片一方では何億という脱税をやっている、それは野放しで手がつけられない。そういうのが一体税の公正なのかどうかということ。これ大臣どうお考えになります。大臣、これは政治の問題です、技術の問題じゃない。
  152. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 税務局長、まずお答え願います。
  153. 関根則之

    政府委員関根則之君) 大企業の方につきましても、これは主として国税が当たるわけでございますが、税務調査についてはこれからも力を入れて、できるだけ実調率などを上げていくということを通じまして所得の正確な捕捉をしたいということでございます。  また、中小企業の、今お示しの老夫婦だけでやっているような事業でございますけれども、これは自分で事業をやる上でつくったいろいろな取引関係の記録をしばらく持っていていただきたい、そこへしまっておいていただきたいと、こういう義務でございますので、それほど大きな義務を課するというものではないというふうに私ども考えております。
  154. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 私、公正という言葉を使いましたのは、例えば給与所得者なんかの徴税が非常に正確になっているという意味と比較して申し上げたわけでございまして、今、神谷さんがおっしゃった大企業云々のことは、またこれは別の問題でございまして、やはり給与所得者と一般の申告納税、一般事業をやっていらっしゃる方々との関係、バランスを見ますと、もう少し正確にやった方がよろしいんではないかと。これは単に納税者に厳しくするということではなくて、また記録の保存によって、徴税側に錯誤があったというような場合にも一つの証拠的な資料にもなるんではないかと、こういう意味のことを申し上げたわけでございます。
  155. 神谷信之助

    神谷信之助君 今言いたいのは、本当にわずかな収入で暮らしを立てている人たちにまで記録の保存義務を課して、取引なさったら資料あるんでしょう、集めて残しておいてくださいよ、一枚でもなくしたらえらいことになるということになるのでしょう。記録を残すというのはそう簡単なものじゃないんだ。我々記録を残すといったって、日記なかなかつけられませんよ。いろんな資料があったって、そうなかなか一枚もなくさないで残すということはできやせぬです。だから、個人でやろうとしてもなかなか困難な問題ですよ。だから、そんなところにまで義務を課さなくっても、もっとランク上げて上のところでやるという方法もあるでしょう。なぜ、そういう零細な営業なさっている、あるいは内職をやっているようなところにまでそういう義務をつけなきゃならぬのかという問題言っているんですよ。ただ、それは時間がありませんから次へ行きます。  次、立証責任の問題です。この時期おくれの問題ですが、ここで「遅滞なく」というのは一体どれぐらいを指すんですか、あるいはその判断はだれがするんですか。
  156. 吉住俊彦

    政府委員(吉住俊彦君) 通常、法令用語といたしまして「遅滞なく」という言葉を使う場合には、当事者の事情の許す限り、できる限り早くという意味で使うようでございます。ほかに、速やかにですとか直ちにとか、似たような言葉がございますが、「遅滞なく」と申しますと、ただいま申し上げたような意味で使う場合が多く、つまり当事者の側において正当なあるいは合理的な理由がありましておくれるということは許されるという意味合いをも含んでいるというふうに理解いたしております。結局、今回のこの地方税法の改正規定と民事訴訟法の規定がリンクするわけでございまして、民事訴訟法百三十九条によりまして、時期におくれた攻撃または防御の方法として考えられるかどうか、あるいは却下されるかどうかというふうに結びついていくわけでございまして、「遅滞なく」と申しましても、それは訴訟の審理状況、事件の状況によってまちまちでございまして、最終的には裁判官の判断にゆだねられるべきものというふうに理解しております。
  157. 神谷信之助

    神谷信之助君 今度、十九条の十四の、訴訟にかかわる規定を創設するということは、これは裁判長が判断をする上に新しい拘束を行うということになりはしませんか。
  158. 吉住俊彦

    政府委員(吉住俊彦君) 裁判官は法の適用を使命といたしておりますので、その法律にのっとって適用するということでございますので、法律が変わりますれば、拘束と申しますか、それを法律趣旨に従ってやっていくという意味合いでは従来とは異なってくる、これは一般論として当然でございます。ただ、今少しお示しをいたしましたように、民事訴訟法百三十九条には、故意、過失があったのかどうかとか、あるいは訴訟の判決を遅延せしめると認められるかどうかとか、あるいは却下することを得てございますから、できるという意味で、しなくてもいい、してもいい、こういうことに相なるわけでありまして、その範囲におきましては、依然として裁判官の最終的な判断によって事が進んでいくという意味では拘束はされない、ぴっしゃり拘束はされないというふうに考えております。
  159. 神谷信之助

    神谷信之助君 拘束されなきゃつくる必要はない、だから民訴法の百三十九条で、あるわけだ。故意なり何なりと判断をすれば却下をすることはできる。だから、それがあるんですから、民訴法の百三十九条だけならばその条文に基づいた判断を裁判長がやる。ただ、今度は地方税法の新しい規定があれば、その規定に基づいて、被告側が事実について主張した場合に原告側が遅滞なく事実 の主張と論証をせにゃいかぬ、証拠を出さなきゃいかぬと、そうしなければ却下されることになりますよと、こうなる。だから、そういう故意とか、ここで幾つか理由が民訴法百三十九条にありますが、それ以外の理由がつけ加わるわけでしょう。裁判長に当然これに反すると却下される。そうすると、いままでの税金訴訟で、民訴法百三十九条でそうしてやってきた税金訴訟が、新たにこの条文を加えることによって、証拠の提出がおくれたという理由で却下される。これは、どんどんそういう状況が、そういう結果が生まれることは予想されると思うんだが、どうですか。
  160. 吉住俊彦

    政府委員(吉住俊彦君) 結論的には、条文が改正されました以上、従来のやり方と変わることは確かでございまして、却下することができるということで却下される場合は出てまいると存じます。
  161. 神谷信之助

    神谷信之助君 それが大問題なんですよ。申告納税制度のもとでは、納税者の申告によって税額が確定をするというのが大原則なんですよ。だから、確定申告を出したその納税者に対して税務当局が、いやおまえの収入はもっとあり、したがって税金をもっと払うべきだという決定をした。そうしたら、そのことを決定をした課税庁側がそのことを証明をする資料を出す、証拠を出さなきゃならぬ。したがって、立証責任が課税庁側にあると言うことができる。これがいままでの民訴法百三十九条を含めた訴訟指揮になってきているわけですね。  ところが今回の規定は、税務当局の主張が合理的なものかどうかという判断をする以前に納税者側から反対の主張と証拠の提出を行えと、こうなる。そうしたら、課税庁側が二百万なら二百万という税金の更正決定を行ったその根拠が明らかにならないのに、それの反論の証拠を出せ、主張せいと言って、もうだめ。何を根拠にやっているのかわからぬので、課税庁側の主張が間違っているという論証はできない。そうすれば、主張もできないあるいは証拠も提出しない、だから却下、敗訴。裁判負けてしまう。税金裁判をもうしたらいかぬということになる。そういう危険を招く問題だなと思うのだけれども、どうですか。
  162. 吉住俊彦

    政府委員(吉住俊彦君) 立証責任の転換をめぐりましては、いろいろ議論があったところでございますけれども、一般的に納税義務者に立証責任を負わすべきであるという議論、それに対しては慎重でなければならないという議論、いろいろございました。昨年の十一月の税調の中期答申を若干引用さしていただきますが、現段階におきまして……
  163. 神谷信之助

    神谷信之助君 そういう原告側に立証責任を負わすべきだという議論もあります。それは知っています。  問題は、国民が主権者であり、その国民がみずからの資料なり何なり、帳簿なりその他に基づいて申告をする。これは正しいものという前提に立って自主申告納税者は申告できるわけだ。それに対して、間違っていますよと言って、課税者側は、間違っているという主張の根拠を持って税の更正決定やるわけです。そうじゃなしに、原告の側がまず立証しなければいけませんよという態度は、大体虚偽の申告をするという前提に立っているのですよ。お上が税金を決めて税金を取り上げるという、そういうかつての思想に立っている。だから、今までの自主申告納税制度はそれで来ている。  しかも、私はもう時間がないから言いますが、民訴法の百三十九条というのが、故意に裁判を遅延をしたり混乱させたりするについてもうだめと、こういうのでしょう、本来。ところがこの問題は、故意に遅延するいかんにかかわらず、証拠を出すのをおくれたらけしからぬ。現実に裁判の実態、最近はどうなっているかというと、遅延するのは課税庁側なんですよ、引き延ばしているのは。更正決定をした税額の、それの証拠を一つ言うと、その根拠を言うと、それに対して原告側が反証を挙げてその主張は成り立たぬということを明らかにする、そうするとまた次の主張をするわけです。ずるずる引き延ばす。実際、原告側はどうかというと、更正決定受けて、とりあえず借金をしてでも払って、そして裁判やって早く決着をつけて、ちゃんと正しく税金は戻してもらおう、だが、利子もふえるのだから、裁判延ばしたら延ばしただけ原告側は、逆に言ったら損な実態というのが現在の税金裁判の実態です。遅延をわざわざさしているのはだれかと言ったら、課税庁側です。  それを、税調答申にもあるように、何か原告側が、納税者側が故意におくらして引き延ばしているかのような、そういう主張も一部あって、幾つか理由挙げていますが、そういう理由も知っています。だからということで、こういうことが行われてきているのですが、これはまさに、何といいますか、これから推計課税をどんどん行い、そして最後は、それに対して不服だといって仮に裁判を行っても原告側が不利になる。当事者対等主義をそれで覆す。大体、権力持っている者と一国民とが裁判争うというのは大変なことなんですよ。だから、従来の裁判における裁判長の訴訟指揮というのは、私がさっき言ったようなのが大体、慣行になってきているんですね。それを覆そうというわけですから、これはまさに推計課税やられて文句を言ったって、裁判でやろうといったって税金裁判成り立たぬようにしてしまう。こういうような重大な問題を私は含んでいると思うんですよ。  そこでもう時間ありませんから、この問題の最後に、大臣、こういう立証責任の実質的な転換を行うような規定を、法制審議会とかあるいは法曹の三者協議にかけることもなしに、行政庁が一方的に今回の法改正をするということは、私は問題だというように思うんですが、これは別に日切れとは関係ないですからね。もう時間ないから言いますけれども大蔵委員会でもそういうように言っていますからね。きょうやらなきゃこれでどうにもならぬという、裁判が混乱するというような問題でもない。そういう問題ですから、また、日本弁護士連合会の方も強い意見を持っているわけですから、あるいはその他のいろんな団体が反対意見を持っているんですから、これは国民の裁判受ける権利、これにかかわる重大な問題だし、納税者が本当に納得をして、そして納税をしていくというそういう環境をつくる、そういう意味での納税環境の整備をつくる上でも、私はもう一遍これは分離をして、そして事前の論議を十分行った上、国会に出し直すというようになさったらいかがか。この点について、ひとつこの問題の最後としてお聞きをしておきたいと思います。大臣
  164. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) せっかくの御意見でございますけれども、御承知のように、既にこの地方税の改正法案は、税制調査会初め関係の諸団体の意見も十分お聞きしながらこの案をつくって、国会にお諮りをしておりますのでございまして、どうぞひとつ御理解をしていただきますようにお願いを申し上げる次第でございます。
  165. 神谷信之助

    神谷信之助君 税調初めいろんなところの意見を聞いているとおっしゃるが、聞いている側の、意見を聞いた人の側というのはどういう側かといったら、税金を取る側ですよ。税金を取られる側に聞いたことはない。そして、これらの問題の紛争が起こったときに、その衝に当たる法曹界の代表なんかの意見は聞いてない。税金を取る方の側だけ意見聞いて、そして提出しているというのは、これは私は重大な問題だし、田川自治大臣の時代にそういう国民の権利をゆがめるような、そういう悪法をつくったというこの批判は、これは避けることができないだろうということを申し上げておきます。  その次、時間がありませんから減税の問題、それから増税の問題、これに移ります。  これは、先ほどから同僚議員もずっとおっしゃっていましたけれども、一口に言って、減税をなさったけれども、実際上はそれ以上の増税ではないのか。逆に、聞き方を変えて言うと、今回行われた住民税減税規模、これを五十九年度が三千六百四十二億円、これは去年の六百億を含めて。 それから六十年度は三千七十二億円と、こういうことだし、それから増税は、五十九年度が二千四百四十一億円、六十年度は三千九百五十三億円。だから、六十年度が平年度だというようにさっきもおっしゃっていたが、結局増税の方が多いということになっていますね。この理由については、先ほど税務局長もいろいろ、るるお話しになってましたけれども、しかし国民の側から言ったら、減税をこれだけして逆に増税はこれだけ余計しますと、こうなっているんですね。  そこで大臣、お聞きするんですけれども、与党の当時の幹事長が胸を張って、景気浮揚に役立つ大型減税と、こうおっしゃったのです。こういう抽象的なお答えですから、私どもはそれは信用するわけにはいかぬ。一体、財源をどうするかというのがはっきりしない。これだけ減税やるけれども、片っ方で増税しますよと、差し引き増収にならぬといかぬということは税調会長もしばしば言っていました、私ども予算委員会で、実際に。だから、差し引き税がふえるような、収入が減るような、そんな減税やってもらって国民はたまったものじゃないというように、去年の暮れにもやりました。だから、そういう減税とは名ばかり、言うならば看板倒れというか、羊頭狗肉というか、インチキ減税でこれをやられたというように思うのですけれども、やっぱり大臣、これでも政治的には減税だ——理屈の問題じゃないですよ、国民の感情、政治の面ではやっぱり減税だと。政治家である田川さんは、どうお考えになりますかね。
  166. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 国、地方を通じて、この厳しい財政状況の中から、今回国会にお諮りしております減税案というものは相当思い切った減税ではないかというふうに思っております。もちろん、これを埋める財源についての方法はいろいろと考え方がございますけれども地方税におきましては、できるだけ低所得者に御迷惑のかからない、御負担のできるだけかからないように、また個々に御負担がかからないようなことを配慮して、お諮りしておりますような案になったのでございまして、減税規模につきましても従来にない大きな規模であると、もちろん国民の側からすれば減税が多ければ多いほど、これにこしたことはありませんけれども、今の地方財政の現況から見ますれば、相当思い切った減税の規模であると、このように認識をしているわけでございます。
  167. 神谷信之助

    神谷信之助君 今、低所得者層には十分配慮したやり方を……
  168. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 十分とは言いません。
  169. 神谷信之助

    神谷信之助君 十分じゃない、少々配慮した……。しかし、実際、二つほど例を挙げますと、例えば低所得者の負担は、言うなれば最低税率の引き上げで上がるわけですよ。それで片一方、増税の方を見ると、これは例えば自動車、軽自動車の税の引き上げのように大衆課税で、こっちの方は、先ほども議論があったように、がばっと上がってきておる。中小企業者に対しては法人住民税均等割引き上げられて、これも負担がふえる。こうなりています。だから、総体的に見ますと、弱い者いじめなんですよ。例えば自家用の自動車千五百ccを持っている人は、今度は五千円自動車税上がる。ところがこれは、いわゆる非課税世帯、税金の払えない人でも車を持っているんだから、これは丸々五千円の増税です、減税がないんだから。もともと税金払うだけの力がないんだから。独身者でいいますと、年収五百万円以下の人は、減税分は帳消しになって増税になるんですよ。これは自動車一台だけの、自動車税だけの話でそのようになるんですよ。  あるいはまた、こういうふうになりますね。五十八年度の収入、勤労者のその所得に対して今年度住民税徴収をする、こうなりますが、五十八年度の民間給与のベースアップは全国平均で約四%ぐらいでしょう。したがって、去年五十八年度年収、当初五百万円の人が四%アップになったら五百二十万円になる。そうしますと、五十八年度の住民税は、所得割の方は十八万七千九百円。ところが四%のベースアップが昨年あったがために税金は、減税があるにもかかわらず、実際上税金の方は十九万一千九百二十円と、去年に比べて増税になるんですよ。だから、低所得者の方にできるだけ、十分とは言わぬけれども、配慮をしたとおっしゃるけれども、実際見てみるとそうなんです。だから、住民税減税したと言うけれども、去年払った住民税よりことしの方がふえるわけです。それは収入がふえますからね。収入がそのままだったら、それは減税だと言えるでしょうが、収入がそのままでは生活できるはずはない、生きていく値打ちないんだから。だから実際上、個々人の生活からいうならば、今度の減税というのはインチキ減税だというふうに思わざるを得ない、こういうように思うんですが、大臣いかがですか。
  170. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 計算の根拠は後ほど税務局長から説明をいたしますけれども、神谷さんがおっしゃった御認識と私どもの認識とは多少違うのでございまして、今回の減税に対する財源処置につきましても、先ほど申し上げましたように、できるだけ個々人に負担が多くかからないように配慮をしたつもりでございまして、例えば法人均等割の税率のアップにいたしましても、こういうことを配慮をした処置でございまして、御指摘自動車におきましても、先ほどもちょっと申し上げましたように、自動車税は五十四年からずっと据え置かれて、財源の処置ということももちろんありますけれども、もうそろそろいろいろな情勢の中にこれを再検討しなきゃならぬと、こういう定額の税を少し見直してあげるような処置をとったわけでございまして、そういうことを配慮したということを指して私が先ほど申し上げたようなわけでございまして、おっしゃるように、減税をした、そしてその減税をしたことによって、国民負担がその財源処置によってふえたというようなことはないと私は信じておるのでございます。  あと、税務局長から答弁させます。
  171. 神谷信之助

    神谷信之助君 いや、結構です。  結局、大臣、そういう答弁しなきゃならぬということは、減税財源を新たな税に転換をするといいますか、それで埋め合わせをする、地方税だけじゃなしに、国税減税まで含めましてね。そういうところに私は問題があると思うんですよ。だから、これは改めて言うまでもありませんが、我が党は既に衆議院予算の組み替え要求をいたしましたように、軍事費を一兆二千億円削るとか大企業に対する特権的な減免税にメスを入れるとか、あるいは海外の経済協力にメスを入れるとか、やっぱり、いままでの歴代の自民党の内閣では聖域になっているところにメスを入れなければ、それ抜きにして同じ中でやれば、こっちを減らせばこっちがふえる、そういうことにしかならない。特に軍事費なんかは、兵器なんかあれでしょう、どんどん日進月歩しますから、アメリカで次の新しい兵器が開発されたら、今まで使ってきたやつは日本に売りにくるわけだ。そうしないと兵器工場は困りますからね。飛行機業も全部中古です。それで次の兵器に交代してくる。だから、そういう一番最大の浪費がそのまま残されて、そしてこういうことが国民の方に回ってこないからこういう問題が起こるんですよ。これは見解の相違とおっしゃるんだけれども、しかし私はその方向をとらない限り、何ぼ低所得者に何とかと言っても、結局は片一方では増税にならざるを得ない。減税してもらったというのは、去年納めた税金よりことしは減ったと、そういう実感が持てなくてどうして減税と言えるかというのが国民の感情だということを申し上げておきます。  時間がありませんからその次の問題に移りますが、法人税の均等割の問題です。これは二年連続のアップになっていますね。だからこれは中小企業にとっては大変厳しいものになってきているのですよ。しかも、あれを見てみますと、資本金一千万円以下の従業員五十人以上というところで五十七年度に比べると十三倍にも上がる、こういう状況です。だから、そういう中小企業にとっては大きな負担がふえるけれども、大企業の方は資本金五十億円以上で従業員数が百人以上というこの クラスでは、五十七年度に比べてわずか三・七五倍です。だから、定額の均等割なんだけれども、これを見ても二回、これで二年連続の均等割引き上げが中小零細企業には負担が大きくて、大企業の方には痛くもかゆくもない程度なんです。こういう点について、これは始まりからそうですから、これはやっぱりそういう状況がずっと続いてきているという点は、これはいかがなものかと思いますが、どうですか。
  172. 関根則之

    政府委員関根則之君) 確かに、昨年の引き上げ率を設定をいたしますときに、大企業の引き上げにつきまして率を落としまして設定をいたしましたから、今年度、昭和五十九年の、今お願いしております定額の引き上げ率は、小企業から大企業まですべて同じ率でお願いをしているわけでございますけれども、五十七年、五十九年を比較しますと、今お話のあったような傾向は出ていると思います。問題は、絶対額が、昭和五十一年度以降、相当均等割を上げてまいっておりますので、大きな企業につきましては相当な額になっております。わずかというお話もございましたけれども、三百万を超えるような額になるわけでございますので、特に支店数等の多い企業については実質的に相当大きな負担になるというような問題もあったわけでございまして、そういった点を考慮して今回の税率設定をお願いしているわけでございます。
  173. 神谷信之助

    神谷信之助君 これは昭和二十九年から六百円で始まって、その後ずっと何回か改正してきましたね。特に当委員会でも何遍もそういった問題が議論になって、初めは一千万円未満と一千万円を超えるというニランクだったけれども、例のあの四十九年から五十二年にかけての大企業の横暴に対する怒りというか、世論が高くなる中で、ここでランクが一億円以上、十億円以上、五十億円以上というランクになったんでしょう。それで今現在に来ているのだけれども、支店がずっと多いところもあって大変な負担だと言っても、支店が多ければそれだけもうけるためにつくっているんで、損するためにつくっているんじゃないんで、だから大きな負担だと言うわけにはいかぬと私は思う。この点は私は、従来からの経過もあるし、今後ともひとつ考えてもらいたいというように思うんです。  きょうは、特にちょっと問題にしたいと思いますのは、生産森林組合の問題なんですよ。時間の関係もあるので林野庁からは来てもらいませんでしたが、林野庁を呼んでいろいろ聞いてみますと、この生産森林組合というのは非常にうまいこといっているところもありますよ。困難なところもある。非常に格差が広いですね。  生産森林組合というのは、もう御承知のように、先祖伝来の山に入会権を持っていて、薪にしたりいろんな雑木林みたいな形で、あれでしょう。しかし、薪、炭つくったりするのがもう振るわなくなって、それで林業振興政策の一つとして、三十五、六年ごろからですか、生産森林組合をつくっていくという方向になったと思うんですよ。そうしないと山をどんどん勝手にそれぞれが分割をして売ってしまえば、これはもう林業が破壊される。林業をやるには一定の面積を持った山地が必要なんですから、林地が必要なんですから、だからそういう山林の崩壊を防ぐためにも生産森林組合をまずつくってきたという歴史的経緯がありますね。  これに対していろんな補助制度や、同時にまた、税の減免制度も行ってきているという経過をたどってきているんですが、ただ、早くっくったところですと、もう二十年を超えますから、ぼつぼつ立木として売っていけるということになりますね。遅いところはそうもいかないし、杉なんかでは二、三十年程度よりも五十年以上あるいは百年近く持っていれば、うんと銘木になって値が高くなりますね。だから、そういういろんな経営の差が出てくる。したがって、形やその他を中心にしたところでは、まだまだ立木として販売をするまでに至らない。そういう赤字の生産森林組合というのが半分以上、圧倒的に多いですね、大体。松山なんか持ってマツタケなんかがとれるところは、これは収入がありますよ。だから、早くやって、ぼつぼつ年間に何本がずつ立木を切って、そして植えかえていくという、そういうところへ来ているところもある。だからこれは千差万別なんです。  しかし、現実に見ますと、これは京都の和知町の、ある生産森林組合の貸借対照表と損益計算書ですが、出資額が四千七百二十八万ですか——ということになるんですね。しかし、出資といっても現金を出したわけではなしに、先祖伝来の山を出資額に充てているだけですから、それで出資額となります。あとは結局公租公課を払う。若干の間伐を売って、その収入で公租公課を払うということで経理をやってきているんですが、この組合の場合は、五十八年の二月までのあれですが、六万二千円、年間で利益が黒字になっている。ところが、前年の借金があって、四万五千円で、差し引き一万六千四百六十六円ですか。ここではいままでは二万円か、均等割が。今度十二万円、二万円が六倍になっている。そうすると、一万六千円のやっと黒字が出たやつが今度はもう赤字に転落をしていくわけですね。こういう状況がある。これはまだ黒字の方ですけれども、間伐売らなければそうはいかない。そうすると、その量で違ってきますね。間伐をどれだけするかは後の樹木の育成にも関係がありますから、好きほうだいにやるというわけにもいかぬしという問題もあるでしょう。だからそうもいかない。  そういうことで、実際に生産森林組合の方では、現場へ行ってみると、もうかなわぬと言うわけです。それで都市化が進んでくるんだし、森はかなわぬと。実際に事務所があるわけじゃない、専務さんは一人いるけれども、これは世話役をやっておるだけで、あとはもう皆それぞれ別の仕事をやっておる、こういうことですから、もうこれ以上赤字で、税を払うために金を出し合って倍金をしたりしなければならぬなんていったら分けてしまおうかということにもなりかねない、そういう状況が生まれている生産森林組合というのもある。しかし、日本の林業をやはり守らなければならない、そのために今日までも国としても一定の投資もやってきた。御承知のように、林業というのは目に見えてすぐ経済効果が上がるわけじゃない。だから、今はそういうことでつぶしてしまうというわけにはいかぬというのが実態ではないかというように思うんですよ。  そこで、単刀直入に申し上げますが、減免条例、都道府県民税も市町村の住民税の場合も、減免のありますね、特別の事情がある場合というのが。これの乱用はできないにしても、そういうそれぞれの生産森林組合の実態を一番よく知っているのは都道府県であり市町村である現場の方ですね。だから、そういう実態に応じてそれぞれが、これは条例に基づき減免措置をする弾力的運用を行う、そういうことが必要ではないか。これは野放図にするわけにはいかぬ、いろいろな均衡を失するわけにいかぬと思いますが、画一的な形で生産森林組合に対してはどうというわけにはいかない。もうかっている生産森林組合もあるし、そうでないところもあるし、実際に二人なら二人で中心になってその山を支えているそういうところもあるし、全員がほとんど面倒見切れないというそういう状況の中で年に十日なり二十日なり労力奉仕して、とにかく先祖伝来の山を守っていくという生産森林組合もある。千差万別とまでいかぬけれども、相当いろいろな実態が違うので、こういう問題については、先ほど言った減免のあの条項を、それぞれの実態に応じて都道府県、市町村において弾力的に運用するということが可能でではないのか、あるいは何とかそういう方法を考えてみる必要があるんじゃないかというように思うんです。この点、ひとつお答えいただきたい。
  174. 関根則之

    政府委員関根則之君) 均等割というのは、収益が上がっているか否かにかかわらず御負担お願いする税でございますのでい実際には赤字を出して大変苦しい企業なり、今御指摘のありました生産森林組合等、大変御負担が難しい面もあろ と思います。ただ、そういう性格の税として、いわゆる企業活動と地域における地方公共団体行政サービスの受益との関係に着目して、べた一律でお願いしている税でございますから、税の性格から、ひとつ御理解をいただきたいと思いますが、今お話のありました、そうはいっても個別の問題で対応する方法もあるではないかというお話でございますが、お話ありましたように、地方税法に基づきまして、災害その他特別の事情がある場合には減免することができるという規定もあるわけでございます。もちろん、条例に基づきまして地方公共団体の長が課税権者として具体的な判断をしていくわけでございますが、そういった一般的な原則に則って、災害その他特別の事情がある場合には減免措置というものも講じられるものというふうに考えます。
  175. 神谷信之助

    神谷信之助君 それでは、その点はひとつよろしくお願いしておきたいと思います。  最後大臣日本の民主主義の土台の重要な一つは、私は地方自治だと思います。その点は同感だと思うんです。だから、地方自治を確立するとか、地方自治を守るとか擁護するとかいうことはよく言われるんですけれども、しかしそれには私はやはり財源が伴わないと、これは絵にかいたもちになる。そのそれぞれの個々の地方自治体が自分の固有の財源として自主的に使える金といえば、この地方税による収入と交付税収入ですね。それからあとはいろいろありますが、大きく言ってそれでしょう。ところが、その中心である地方税の決定がきょう三月三十一日にあるんですよ。私の地元の京都府民も京都市民も、これは審議に直接は参加していない。本来は、京都府民が払う税金は京都府議会で決めなきゃならぬ。京都市民が払う税金は京都市議会で決めればいい。それは市民の代表、府民の代表。ところが、実際はそうじゃないわけです。もう微に入り細に至るまで決めますから、後はそれになぞらえた条例をつくり、あるいは当面必要な範囲内で専権事項として処理をされているんですよ。僕は、これが非常に大きな問題だと思うんですよ。京都市なら京都市で、こういう仕事をやります、そのためには、これだけの仕事をやるんだから費用がかかる、その費用はひとつ皆さんの税金でやりましょう、どういう形、どういう税金をやりましょうかということを自分たちで決めて、そしてその仕事をやっていけば、これはまさに地方自治が確立をするという状況になると思うんです。といって、野放しというわけじゃないですよ。  だから、国の方で決める地方税法というのは、地方税はこういう税目です、それからその課税対象はどれがどうです、課税範囲はどうなんです、そして標準税率はこうですよと一定の基準を示して、それに基づいて、それぞれの自治体が住民の要求にこたえるための財源をどう確保するか、それはそれぞれの地域の住民議論をしながら決めていく、その形が議会だと思うんです。ところが、もうそれ抜きでこうなりますから、地方税の納税意識というのは、持てという方が無理なんです、自分が決めていないのだから。それは、そこから選出された神谷が議論に参加しておるじゃないかと言われればそれまでです。そうじゃない、本当は。もっと実際にその京都市でどういう仕事をやる、そのためにどういう金が要る、それじゃひとつ税金をこれだけ出そう、そして別に交付税という財源調整あるいは財源保障機能を持った制度、これによってどれだけの財源が来る、これは国の補助事業としてやりましょう、足らぬものはこれだけあるんだけれども、これだけひとつ持とうじゃないかというのが本来だと思うんですよ。僕は、この点を解決しないと、そこにメスを入れないと、本当に地方自治の確立はないと思うんです。逆に、今の制度ですと、親の方がチャンバラ好きで、おもちゃの鉄砲を打ちよる、飛行機ばかり買うもんだから、逆にこっちは赤字になってしりぬぐいをさせられる、こんなばかな話はないというのが今日の私は姿だと思うんですよ。この点について大臣の所見をお聞きしたいと思います。
  176. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 地方財政基盤を強化していくには、地方の自主財源というものを充実していかなければならないという点については、全く同感でございます。地方税をどういうふうにして、住民意識と相まって税目を定めていくかということは、国と地方との関係もございますから、一概に私どもだけでこれを決めるわけにはまいりませんで、広く、これから大きな問題として解決をしていかなければならない宿題であると私は思っております。  ただ、一般的に将来の地方行財政をこう見てまいりますと、国会やあるいは地方行財政に関係のある人たち地方自治に対する関心度と一般の国民地方自治に対する関心度というのは随分開きがあるんではないかと思うんです。ですから私は、これからの地方行財政地方自治を進展させていくには、国民地方自治に対する理解度というものをもっと広げていかなければならないと思うんです。それは簡単なことじゃないと思います。ですから、そういう意味で、地方自治に対する国民理解度という、こういう運動といいますか、非常に長い運動を続けていく必要がある。今いろいろ論議しているのは、大体国会とかあるいは地方行政に関係のある団体で、地方自治がいかに重要なものであるかということが論議されている。しかし、国民一般はどうも地方自治に対してまだまだ理解度がそれほどいってないというふうに私は見ているんですけれども、そういう点を留意しつつこれから地方自治に対処してまいりたい、このように思っております。
  177. 神谷信之助

    神谷信之助君 もう時間がありませんから、最後だけ一言で言いますが、今申し上げたように、例えば地方税というもののぎりぎり決着を国会で決めてしまうという制度、仕組みになっているというのは、逆に言うと、地方自治というのは、あるいは自治体というのはまだ赤ん坊で任し切るわけにいかぬという思想があるんですよ。だから、その考え方——お上の方で決めてやるからその範囲内でやりなさい、こういう考え方が根底にあるところに、おっしゃるように、地方自治の意識を植えつけていくとかどうとかいっても、なかなか困難なことだ、人間の意識変革というのはやっぱり一定の経験を必要としますし、そういう経験なしにお上で決めてもらいますでは、なかなか地方自治の意識というのが育つわけはないという点をちょっと申し添えまして、もう時間ですから私は終わります。     —————————————
  178. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 委員の異動について御報告いたします。  上田稔君が委員辞任され、その補欠として海江田鶴造君が選任されました。     —————————————
  179. 三治重信

    ○三治重信君 まず第一に、大臣にちょっと地方の行革について特にお願いといいますか、決心を聞きたいわけなんですが、今、国の方は、定員の削減や機構改革方面に今国会で随分かかっておりますね。地方について打そういう行政改革についての法案は出てこないわけなんですが、国とともに地方行政改革をやっていく必要があると思うんです。殊に政府のやる事業、国全体でやる行政の三分の二は地方がやるというふうに書いてあるんですね。国民に対する行政の実質上、大体三分の二は地方がやっているんだ、そういうことからいくというと、国が三分の一しか全体としてはやっていないんで、行政改革をずっと進めていこうというのに地方行政改革について関係法案一つも出ないんだが、これを行政指導だけでやっていけるのかどうか。また、それを年次別にどういうふうな行政改革をやろうとしているのか。そういうふうなことについて、ひとつ御意思を伺いたいと思います。
  180. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 地方自治体の行政改革は、地方自治体がそれぞれの立場でやっていかなければならないと思いますけれども、御指摘のように、国と地方との関係はいろんな面で結びつかれておりますから、やはり国が地方行政改革をやりやすいようにやってもらわないと、なかなか実施できないと思うんです。  御承知のように、国の行政の中に縦割り行政が非常に強くこびりついておりますから、地方でこれを簡素化しようと思っても、国の機関委任事務あるいは必置規制その他によってなかなか簡素化できない面も随分あると思います。ですから、そういう面で地方の行革を進める上には、それぞれ地方団体が独自でやらなければならないと同時に国が地方の行革をやりやすいようにもっと配慮をしてやらなければ、なかなか地方の行革も推進ができかねるというふうに見ているわけでございます。
  181. 三治重信

    ○三治重信君 国が許認可事項やそれからいろいろ定員の配置、そういうようなものを各法律で引っ張っていく、それを改革しなければということで、これは我々の方も、許認可事務の整理や行政改革をやる上についての国の方については鞭撻をしてまいりますが、地方独自でやれる問題とすると、やはり給与の不均衡是正ですね。まあ退職金は大分直ったかもわかりませんが、こういうようなものに対する是正措置、これは聞くところによると、地方交付税の特交の配慮とか、それから起債の許認可についての手かげんをやるというようなことが言われているんですが、そういう地方でやる基本的な給与ベースの是正とか何かというような問題についての是正措置についての裏づけというんですか、何カ年計画というようなことについての方が、これが一番最初じゃないかと思いますが、それはどうなんですか。
  182. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 三治さん御指摘の、国の公務員のよりも大幅に給与を上げたり退職金を非常にたくさん出しているというようなそういう例から、もう少し規律を正して行政改革を進めていかなければならないという御意見は同感でございます。そういう問題につきましては、私が就任してまだ三カ月に足りませんけれども自治省地方の給与の適正化ということにつきましてはかなり広くいろいろな面から検討をしておりますし、情勢も把握しているようでございまして、これは制裁処置ということでなく、やはり非常に国家公務員より高い給与を出しているような地方団体財政力は非常に裕福であるという認定に立って対応をしておるわけでございまして、決して中央から地方に対して制裁処置を講ずるということでなく指導しているつもりでございます。随分、地方団体自治省行政指導に協力をしてくれておりまして、一般的にはいい傾向に行っているように私は見ているのでございます。
  183. 三治重信

    ○三治重信君 大臣のおっしゃるように、私も今回初めて、せんだっても地方行政視察に行ったんですが、県は県なりに行政改革の推進本部とか行政改革のプランをつくっておるわけなんですが、どうもそれにしても形だけでなまぬるいような気がするわけなんです。そこへ、何というんですか、余り中央庁が強力な指導というのは官治行政の強化みたいにとられるかもしらぬけれども行政改革というのは天の声だと思うのですよ。だから、そういうものについて、行政改革というのは天の声なんだからそれをやるように、やはり県知事なり市長なりが議会の協力を得てやりいいように基本的な線を示していった方がいい。そう言っちゃなんだけれども、なかなかこれは抵抗の強い問題だと思うのですよ。そういう意味において、やはり行政改革が、形だけは機関をつくったり何カ年計画というのをつくっているようなんだけれども、まだどうも腰が入ってないというような感じですね。したがって、ひとつ行政改革について本気に取り組む姿勢というものを数項目なりアウトラインを示して、そしてやってもらうような姿勢を示すということが必要だと思うのですが、そういうことがもう行われているのか、またこれからやろうとするのか、まあそうは言わぬでじっと見ているということなのか、どうなんですか。
  184. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) これは手をこまねいているわけではございませんで、国、地方を通ずる行政改革は至上課題として私どもいろんな面で検討をしているわけでございまして、三治さん御指摘のような考え方で今後も処してまいりたいと思っております。例えば高給与の問題にいたしましても、私自身は非常に厳しい態度で臨んでいるつもりでございまして、今後地方行政改革を推進するためにはかなり思い切った態度をとっていかなければなかなかこれを推進することはできないと、御指摘のように私も思っておるわけでございます。  それから、やはり行政改革を推進していくには先頭に立つ人がみずから率先してやっていかなければ、陣頭指揮でやっていかなければこれできないことでございまして、特に、都道府県におきましては知事さんの政治姿勢が随分影響があると思うんです。中には随分私どもびっくりするほどやっていらっしゃる県もあるように聞いておりますが、そういう面は私どもがひとつ叱咤激励して、やっていくように今後も努力をしてまいります。
  185. 三治重信

    ○三治重信君 自治省の具体的な指導なり裏づけのは地方交付税法案の審議のときに譲りまして、自治省のやれる行政措置のことについてはそういうことに譲りたいと思います。  そこで、地方税の具体的なことなんですが、自動車税を今度値上げするについては、前に決めたときから見ると、自動車そのものの値段も上がっているし物価も上がっているからそれの客体の値上げについて比例的に上げるんだ、こういう一通りの説明ですね。そうすると、自動車税というものはそもそもいかなるものと、自動車税というものをどういうふうに考えているか。自動車そのものの値段が上がったから、前のときには五十万円の値段のものについて一%かけていた、最近では百万円になったので〇・五%になったから、一%かけるためにそれを倍にするんだ、こういう説明になるんです。そうするとそれは、自動車税そのものは何のために、何の目的で自動車というものに税金をかけるのか、ちょっと疑問に感ぜざるを得ぬ。自動車税というものは何のためにかけるんだと私が言う意味固定資産税との関係なんです。物の値段が上がるものをそのときのかけた率と同じように上げていくんだということになれば、これはどうしても固定資産税も、土地の値段は自動車の値段以上に上がっているわけなんだから、上げぬとこれは理屈が合わぬじゃないか。だから自動車税というものはそもそも何だということ。
  186. 関根則之

    政府委員関根則之君) 自動車税のそもそも税の性格は何だということになりますと、私どもは、やはり一つには資産保有というものに着目して課税する税ですよと、資産税的な性格も一面にありますということと、もう一つ、道路を走ることによりまして道路を損傷させる、道路維持補修のために金がかかる、そういった道路損傷負担金的な性格を持つものですよと、こういう説明をしてきておりまして、現在においてもそういう考え方が、一応この物の考え方の基本としては成立するものというふうに考えておる次第でございます。  ただしかし、そうは言いましても、これは定額で課税をいたしておるわけでございますから、固定資産税のように一律一定の率で、常時値段が上がれば自動的に税金の方も上がっていくという性格のものにはなっていないわけでございます。しかし、一定の期間を置きまして物価なり取得価格なりというものがほどほどに上がってまいりました場合には、逆にそのまま税額をいつまでも据え置いておきますと実質的な税負担率が下がっていってしまうという問題が生じるわけでございますので、適当な期間経過後に、いろいろな物価水準所得水準も関係があるでしょうし、国民の生産活動、そういったものとも当然関連が出てくるでしょう。直接的には自動車の購入価格等との関連を考えながら手直しをさしていただくと、こういう考え方で来ているわけでございます。  固定資産税は率で決まっておりますので、これは一々税率の手直しをする必要はございませんで、率さえそのまま維持をしていきますと、土地が上がりあるいは建物の建設費が上がってくるに従いまして税負担が上がってくると、こういう形になってきまして、前と後ろとで税負担のバランスというものは自動的にとられてくると、こうい う性格のものですから、税率を適当な期間で上げなければならないという必要性はないも のというふうに考えております。
  187. 三治重信

    ○三治重信君 そうすると、値段が上がったなんというと、固定資産税の方の率が決まってから、客体の値上げのやつは何回やっているのか。それ以後、今回かけるまでに、固定資産税は。
  188. 関根則之

    政府委員関根則之君) 固定資産税の現在の税率が設定をされましたのは昭和三十年であったと思いますから、その後約二十年経過をいたしておりますので、三年ごとに評価がえをやっておりますから、七回ほどの評価がえに基づきまして根っこの価格が上がってきていますから、実質的な負担額というものは七回値上げがなされておるということになると思います。
  189. 三治重信

    ○三治重信君 それから、自動車税は道路を利用することによって税金をかけるというようなお話があった。そうすると、自動車重量税との関係はどうなるのか。
  190. 関根則之

    政府委員関根則之君) 自動車重量税は国の方の税金でございまして、構成といたしましては一般的な普通税という構成をとっておりますが、実際の運用におきましては八割程度が道路目的財源として使用されておる、そういう性格であるわけです。一方、地方税の方の自動車税は普通税でございまして、特に道路の建設のためにという目的を限定された税としては考えていないわけでございます。しかし、当然地方の一般財源でございますから、その使い方は自由ではございますけれども、道路建設等の財源につきまして、道路特定財源地方の場合には四割程度しかございませんので、その残りは一般財源なり起債なり、起債の場合にはその償還財源として一般財源が必要でございますから、そういったようなものに充てられている部面もあるわけでございます。そういう目的の違うといいますか、使い道の違う税であるということだと思います。
  191. 三治重信

    ○三治重信君 自動車重量税が目的税だというのはちょっとおかしいと思うんです。具体的に全部自動車道路の建設や補修のために自動車重量税は全部使われているのか。それでまた、それにしてもその自動車税というのは一般税で、自動車重量税というのは目的税だと、だから一般税としても、道路使っているから自動車税をかける、それからまた自動車重量税として、これは道路を使うから特別道路財源としてやるというのはどうも二重のような気がする。自動車税と重量税とは二重になるんじゃないですか。
  192. 関根則之

    政府委員関根則之君) 先ほどもお答えを申し上げたつもりでございますが、重量税というのは、税の立て方としては普通税として立てられていると思います。ただ、実際の運用につきましては、これは国税でございますから私が答弁能力を持っているかどうか問題がありますが、八割程度のものは道路目的財源として使われるという原則が何か立てられているようでございます。ただ、実際にここ数年来、ややオーバーフローをしている、道路目的財源がオーバーフローしているというような問題等もございまして、貸し借りの問題も起こっているようでございます。  ただ、そういうことを申し上げたわけでございますけれども、二重に課税されているではないかというような趣旨のお話でございますが、やはり国は国の行政目的がございまして、その財源を調達するためにその一環として自動車重量税をいただいておる。別途、地方地方地方道の整備もございますし、またその道路以外のいろいろな行政目的を持っておるわけでございますから、そういう立場から税金の御負担お願いをしているということでございまして、同じ自動車課税をされるという、二つ方面から課税をされるという意味では二重に税金がかけられているということは言えるかもしれませんが、それぞれの違った目的、それぞれの使途を別にして課税をしているものでございますので、そういうことがあるからといって直ちにその税について問題があるというふうに私どもは認識をしていないわけでございます。
  193. 三治重信

    ○三治重信君 じゃ、自動車重量税で譲与税が出るから直接ここでお伺いしておきますが、この中で、譲与税についての交付のやり方について若干改正になったというんですが、これ年間もらう金額は全然変わらないわけでしょう。
  194. 関根則之

    政府委員関根則之君) 地方へ配分いたします総額につきましての異同は全くございません。譲与の時期と時期ごとに譲与をする額を少し手直しをいたしておるということでございます。
  195. 三治重信

    ○三治重信君 自動車税について文句を言うのは、余りにも自動車について一から十までたくさんあって、増税になるときになるというと必ず自動車税が出てくるわけだから、これはちょっと文句を言いたくなるわけなんで、余り、何というか、安易な税の取り立てたと、こういうふうに思わざるを得ない、こういう気持ちからやるわけなんです。  そこで大臣、もう一つまた立てようとして挙がったのに、自動車免許税を地方税でやろうとする。これは今、女の人でもお嫁に行く道具としてみんな自動車免許取ってから行くということで、ペーパーのが多いわけですよ。お嫁に行くためには自動車の免許も取っていなきゃいかぬ。自動車を持っている人が免許を取っているわけでも何でもない。これは若い者の一つのステータスシンボルとして持っているのであって、そんなものに地方税の恒久財源として新しく立てるなんというのは完全におかしいし、それから、免許取るときに結局免許取得税なり切りかえ税として、これは印紙税のように、手数料的なものとしか考えられないものを地方税として取るという構想そのものがどういうことなのか、おかしいと思うんだが、それはどうですか。
  196. 関根則之

    政府委員関根則之君) 現在、手数料として警察の方でいただいておりますのは、直接その運転免許証を発行するのに必要な経費に見合う分だけだというふうに私ども承知をいたしております。いわゆる財政負担的な意味での、財源調達という意味での税負担お願いをしていないわけでございます。  自動車運転免許税につきましては、五十九年度の税制改正に当たりまして審議項目としては御審議をいただいたわけでございますが、結果的になお検討すべき問題があるということで、具体的な御提案は申し上げていないわけでございます。  しかし、どういうそもそも考え方なんだということでございますが、自動車免許税を考えるとするとすれば、やはり運転免許を取得することによりまして運転をするという利益が本人には発生をするわけでございますので、そういう利益が発生するという点と、一方におきましては、やはり確かにお嫁入り道具としてペーパードライバーでしまっておく運転免許取得者も多いとは思いますけれども、まあまあ一般的には運転免許を取った人は何らかの形で運転すると、運転をするということになればやはり交通事故をたまには起こすこともあるでしょうし、交通の取り締まりの対象にもなる、あるいは道路の安全施設もそのために必要になってくるというそういう行政経費も最近ばかにならなくなってきておりまして、交通安全対策なりあるいは交通取り締まりに要する経費というのは最近都道府県で大体三千億ぐらい全体でかかっておると、そういったこともございます。そういった面から考えまして、自動車運転免許を取得する方に何ほどかの税負担お願いしてもいいんではなかろうかということが税を仕組む上で考えられましたので、検討課題としてお願いをしたということでございます。  なお、もちろんこれにつきましてはいろいろと検討すべき事項がございますので、私どもとしては今直ちにこれができると、そんなふうに簡単に考えているものではございません。
  197. 三治重信

    ○三治重信君 これはひとつぜひそんな発想はやめてもらいたい。運転免許を取れば運転免許税自動車買えば自動車取得税、それから自動車税、自動車重量税、それから走ればガソリン要るからガソリン税、軽油を使えば軽油取引税といって、自動車を運転する者から取る。もう物を持つこ から取る。走れば道路を使う、交通取り締まりをやる——交通取り締まりといったって、ネズミとりやっちゃ一生懸命取り締まりの金を稼いでやって、それであんまり不必要なところまでゴーストップがかかってかえって交通渋滞になるんだね。ネズミとりで金あんまり集めるものだからかえって要らぬところまでどんどんどんどんゴーストップつくって、そうして渋滞をむしろ余計さすようなことをやっているわけなんで、あんまり自動車から金を取ることによって世の中がだんだん渋滞してにっちもさっちもいかぬようになるというのが我々の考え方なんですよ。  もう少し、いかに自動車から取りやすいからといって、あれもこれもというふうにピンからキリまでつくるという発想は、これは安易につく発想であって、これはもう大臣、せめて自動車免許税なんという発想だけは断然やめてもらわにゃならぬと思うんだが、それはひとつ大臣、もうやりませんということを言ってもらわにゃ困るんだが、どうなんですか。
  198. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 自動車に関係する税が多いというのは全く御指摘のとおりで、私も個人的にも随分多いなと思っております。  ただ、ちょっと今税務局長も触れましたように、交通安全対策というのはただ取り締まるだけじゃなくて、積極的な運動をやらなければならない時期に来ていると思うんです。そして、これはむしろ警察より自治体が交通安全対策を本気でやっていかなきゃならぬ、それをやれば相当の交通事故が防ぐことができると私は思うんです。そういう意味で、免許を取った者にも応分の負担をいただきたいという構想が出てくるんだと思うんです。今説明がありましたように、具体的にこれが議題に上ったわけではなくて、一つ税目の選択の参考として出たものでございます。  それから一方、こういう税金は、免許に税金かけるのはいかぬと、今、三治さん御指摘のような有力な御意見もあるわけですから、これはもう慎重に扱っていかなければならないと思うんです。  私の個人的な意見は、私は警察の方も担当しておりまして、そして自治省と両方担当してまして、ちょうど自治省と警察とが真っ向から意見が違ったときもあるわけで、なかなか難しい立場にあるわけでございますが、慎重にこの問題は扱っていくべきだと、このように申し上げさしていただきます。
  199. 三治重信

    ○三治重信君 次に、今指定都市制度がありますね。この間、大都市の指定都市の人たちからいわゆる税の税源の配分を変えてもらわにゃ困るという陳情が我々にあったわけなんです。そうすると、見てみると、何というのか、大都市制度の方は、仕事をやるのはある程度県がやるやつをかわって大都市でやれとこう言われる。保健所の仕事とか、まだそのほかのやつでもいろいろあると思うんです、福祉関係やその他で。ところが、財源を見ていくというと、大都市というものは全然何にも余分な税源は一つもないですよね。そういうような気がするんです。だから指定都市制度というものはどういう御利益があるのか。  ただ、そういうものについて、どうも聞いてみると全然特徴がない。利益もなければ、ただ名前だけ大都市というふうになっているだけのような気がするんだが、それは自治省の方としては、大都市制度、あれは人口百万近くから上ですか、そういうものをつくったりした根拠、またそれはどういう御利益が実際において大都市にあるのか。今聞いてみるというと、大都市はむしろみんな地方交付税の対象になっている。僕は、大都市は地方交付税の対象にならぬために大都市というような制度をつくって、そして自主財源でやれるようになったために指定都市制度があって、そして県が市町村を通じてやるやつを、県を通さないで国が直接補助金なんかも流されるようになっている制度だと思っていたんだけれども、それはどうも違うような気がするんだが、どうなんです。
  200. 関根則之

    政府委員関根則之君) 現在の税法におきましても直接、税ではございませんが、譲与税の面で道路譲与税等は、県のやっております道路の管理を大都市がやることになっておる、それに見合う分についての道路譲与税は、直接その分について大都市へ譲与するといったような制度もできているわけでございます。税源は地域によって偏在をいたしておりますが、もともと大都市は、ほかの山間部の町村等に比べますと税源はわりかしあるところでございますので、一概に大都市の税収が非常に不公平に少な過ぎるではないか、こういったことは、大都市の方はよくもう少し充実してくれということをおっしゃるんですけれども、特に大都市を不利に扱っているということは全くございません。物によっては、今申し上げましたように、機能差に応じました譲与税の取り扱いの差を設けておるというようなこともしておりますし、あるいは財政局長から御答弁があるかもしれませんが、交付税の算定等につきましては、機能差に基づく財政需要の見積もり等はちゃんとやっておるというわけでございます。そういう意味におきまして、問題は、地方税全体が非常に歳出総額に比べまして少ないという問題が基本的にはあるものというふうに考えておりますが、この点につきましては、大都市と他の都市とを問わず、今後、地方税の拡充強化という大きな課題として取り組んでいかなければ解決しない問題であろうと思います。
  201. 三治重信

    ○三治重信君 今の説明では、どうも県と市町村のほかに指定都市をつくった理由が一つも浮かび上がってこないですね。県と市町村だけあればそれでいいんじゃないか、何もちっとも変わらぬじゃないかということについての説明にはならぬと思うんですが、これは行革をやる一つの視点ではないかと思うんですよ。人口百万からあるところというのは、いわゆる百万以下の県も数県ぐらいあるし、これが二百万、三百万となれば、中堅以下の県と人口から見れば同じぐらいの実力もあるようになる。だから、財源からいってみてもそういうことになる。そうすると、県を通してやるよりか、それだけの大都市についての仕事は県を通さぬでやるようにせいということの利点があってしかるべきだと思うんです。ところが、財源的に見るというと、県税市町村税と全然変わらない、特別市は全部特別何も財源もらっているわけじゃない。それは、都市ということのために事業所が多かったり人間が多かったりするための税金の上がり方は多いかもしれないけれども、道府県のように特別の税金がない。むしろ県の仕事と町村の仕事とあわせて大都市にやらせるというならば、その財源としても府県と市町村の財源をこね合わしたやつが特別に配慮されてしかるべきだと思うんですが、どうもその点、今度の行政改革から見ても、いわゆる中途半端な大都市行政ではないかと思うんです。ここは一つ県が余分になったと見るか、あるいは、いやそうは言ってもそうはいかぬから、やはり市は市だというふうに見るかによって、中途半端なために、県、市町村という行政と大都市指定都市というものをつくってはみたがいいが、取り扱いに困っているのが現状ではないかと思うんですが、行政改革について明確な区別について府県行政との重複関係をもっと整理する考え方はないんですか。
  202. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) いわゆる指定都市制度が設けられているゆえんのものは、大都市地域におきましては都市そのものの行財政能力が非常に高いということと行政の質が非常に高い、この両面から一元的に行政が処理できるようにできるだけ制度の特例を設けよう、こういう意味地方自治法に十数項目行政機能の差が認められている、そしてまた道路法その他の個別法規でも機能差が認められている、こういうことで、現在、いわゆる都市行政については一般の都市と異なりまして、大都市地域ではかなり大都市指定都市が一元的に処理している実態にあると思います。  こういった実態に対応して、財源面での措置をどうするかということでの御指摘だと思いますが、この大都市指定都市制度、さらにはその前にありました特別市制の議論以来、指定都市については税制上も別の税体系を認めてはどうかという議論があるわけですけれども、しかしこれにつ ではまた別の面で、同じ都道府県の区域内において指定都市とその他の市で別の税体系、税制をしくということはいかがなものかという全く税プロパーの論議もあって、なかなか結論が出ないで今日に至っているんだと理解しております。  しかし、財政需要の面では、行政機能の特例に応じて需要が普通の市町村と違ったものがあるわけでありますから、先ほど税務局長からも御答弁申し上げましたように、地方交付税の算定上は、いわゆる行政機能差というものを相当充実した形で措置をしてきております。その結果として、現在、指定都市がいずれも地方交付税の交付団体になっているということではないかと思います。  この点、このような財政需要を地方交付税の算定を通じて補正係数によって措置することがいいのか、独立税で措置するのがいいのか、この議論に戻ってくるのだと思いますけれども、これらについては非常に長い歴史がありまして、税制上なかなかメリット、デメリットありまして、結論が出ないで今日に至っている。しかし、行政改革の面からするならば、いずれにしても行政が一元的に効率的にできるようにしなければいけない。そういう意味で、私どもは交付税の算定あるいは地方債の配分その他の面で、指定都市については相当その特殊性について配意してきているつもりでありますし、今後もそういった基本的な考え方で対処していきたい、このように考えております。
  203. 三治重信

    ○三治重信君 今の御答弁は余り承服しかねるわけなんです。大都市というものは財源もあれば、そこから国税も一生懸命取り上げているんだから、そいつをまた自治省を通じて交付税で金をやらなくちゃ財政ができぬようなのは、何のために大都市指定都市制度をつくったのか。指定都市をつくったというのは、国から別に独立してちゃんと地方行政ができるためではないかと思うんですが、そういう議論をやっていくとまた時間がかかるからいいんですが、そういう問題意識を持っているということだけ、ひとつよく覚えておいてもらいたいと思う。  どうも地方交付税というものが、基本的な面は地方交付税の審議のときにやるけれども、とにかく地方交付税というものがほんのわずかしか行かない。不交付団体は、県だと東京都だけだ、地方だとほんの二けたぐらいしか不交付団体がない。そうすると、自治省が交付税で金が足りるの足らぬのというふうなことを全部面倒を見なければならぬというのは、何か非常に事務が重複過ぎるというような感じを持つわけですが、大都市制度というものについて行革の俎上でひとつ考えてみたいと思います。  それから、話があっちこっち飛んで申しわけないんですが、超過課税というものについて、何というんですか、「地方財政状況」のところに説明が載っているわけなんだが、この中でやはり一番目につくのが道府県民の法人税割、それから市町村の法人均等割についての超過課税をやっているのが非常に目につくわけなんですが、今度、法人税なんかを二・五倍にしていくというと、こういう超過課税との関係はどうなるんですか。
  204. 関根則之

    政府委員関根則之君) 今回の法人均等割の税率設定に当たりまして、表でお示しをいたしております一千万以下で五十人以下のところにつきましては均等割二万円を五万円に上げましたけれども、これはあくまでも標準税率として示しているものでございまして、それを超過をいたしまして、課税を条例で定めることによりまして設定することができるわけでございます。その幅につきましては、二割増しという限度を設けまして、二割増しの範囲内におきまして各地方公共団体実情に応じて自主的な税率の決定を行うことができる、こういう形にしているわけでございます。
  205. 三治重信

    ○三治重信君 超過課税の基準はそれでいいんですか。今そうやって超過課税やっているでしょう。そこへ今度は、今度の法律で二倍半にまでしていいといったときには二倍半の中へ入っちゃうだろう、超過課税が。そうすると、そのやつはまたその上へ、二倍半やった上にまた超過課税をやるということなの、そのままやる……。
  206. 関根則之

    政府委員関根則之君) 現在、超過課税をやっておりますが、今度の標準税率の引き上げ幅が相当大幅でございますので、超過課税をやっておりましても、今回改めた後の標準税率以上の税率で設定していた市町村はないわけでございます。したがって、標準税率でいきましても、今まであった税率よりもすべてが上へ行くわけでございます。その上へ行った標準税率につきまして、一・二倍の範囲内におきまして必要があれば税率を設定することができる、超過課税を行うことができる、こういう仕組みになるわけでございます。
  207. 三治重信

    ○三治重信君 だから、その仕組みはいいです、それで。仕組みはそれでいいんだが、法人税を二倍半にして、さらに超過課税制度としてあるから、超過課税やっているところはその上にさらに法人税の超過課税をしていいぞ、こういうことですか。
  208. 関根則之

    政府委員関根則之君) 端的に申し上げまして、そういうことでございます。
  209. 三治重信

    ○三治重信君 そういうことをやらぬと今度の増税の分が全部純増にならぬから、法人税の超過課税やっているところは、法人税の均等割を二倍半にしてもさらにその上に超過課税をやらぬと二倍半やっただけの税金は入らぬから、これはもうやむを得ぬ、超過課税は従来どおりやらすんだということか。そこでならすという考え方は全然ないのか。
  210. 関根則之

    政府委員関根則之君) 超過課税の問題と今回の税制改正に伴う増収額とは直接関係をいたして我々は考えておりません。と申しますのは、すべて減税に伴う減収額でありますとかあるいはその財源を確保するための税制改正による制度改正増減というのは標準税率ベースでやっておりますので、標準税率で今までもやっており、今回改正後も標準税率で税率を設定した場合には十分——十分と申しますか、ほどほどの減収をカバーすることができるであろう、こういう想定でやっておるわけでございます。超過課税まで含めて減税の減収額を補てんするという考え方には立っていないわけでございます。
  211. 三治重信

    ○三治重信君 よくわからぬが、どうもそうすると、法人税二倍半上げても、さらに超過課税やっているところはみんな超過課税やらぬと収入確保ができぬような説明になるような気がするんだが、むしろ自治省の方とすれば、超過課税やっているところは、法人税割を今度は二倍半上げるんだから、超過課税はやめなさいというふうな線が出るのかと思っていたら、どうもそうでもないようだ。それでいいの、・そういう理解で。
  212. 関根則之

    政府委員関根則之君) 私どもの方で増減収額を判断をいたしますのは、今までも各地方団体におきまして標準税率で課税がなされていたものということを前提に、その減税によりまして減収が生ずるそれを補てんするためには標準税率の二倍半の引き上げが必要である、こういう判断をしているだけでございまして、そういう基準的な、基本的な物の考え方とは全然別に、いわゆる地方団体課税自主権の範囲内におきまして、できるだけ地方団体実情に応じまして税率については自主的決定ができるようにする、そういう意味で超過課税制度というものは残っているわけです。したがって、そういう意味での超過課税制度というのは今回の改正後の法人均等割につきましても残しておかざるを得ないということで残しているということでございます。
  213. 三治重信

    ○三治重信君 今度、住民税事業税の帳簿の証拠書類を保存することを義務づける規定が新しく設けられたわけなんですが、それについて自治省の省令で中身は決めるということになっているんだが、その中で、保存期間についてなんか、何というのですか、今はコンピューターなんかで会計帳簿をやっていくという格好になってくると思うんです。だから、証拠書類を残せといっても帳面とか何かというものがなくなって全部コンピューターでやるような場合の規定の仕方とか、そういうのが省令でいくだろうと思うんですけれども、そういうものの保存期間というものがどの範囲で決められるのか、ひとつ……。  それから、申告制度をやる場合の記帳義務、これは国税と同じ範囲か、それとも国税よりか下の——何か国税は三百万円以上とかいうのだけれども国税よりか下の百万円とか二百万円以上に記帳義務を事業税について課していくのか、その点とういうふうに……。
  214. 吉住俊彦

    政府委員(吉住俊彦君) まず第一に期間の問題でございますが、現在、青色申告者について、やはり同じような記録の保存義務がございまして、それは七年というふうに定めてございますので、そういうものとのバランスからいいますと、それよりは短い年限を決めたいというふうに思っておりますが、これは国税の方と歩調を合わさなければならないという問題もございまして、大体そういう方向で私どもは進めたいということでございます。  それから今、先生のおっしゃいました記帳義務、所得税の場合には所得三百万以上というその種の記帳義務は地方税法にはございません。規定するつもりはございません。  それからコンピューターを使った場合はどうかということでございますが、それは取引に関しましてコンピューターで打ち出した伝票がございますれば、それは対象になるという方向で考えたいと思います。ただ、テープがどうなるかとかディスクがどうなるかというのは、これはちょっとボーダーラインで、これから十分検討さしていただきたいと思います。
  215. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  216. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 御異議ないと認めます。  本案の修正について、神谷信之助君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。神谷君。
  217. 神谷信之助

    神谷信之助君 私は、日本共産党を代表して、我が党提出の地方税法等の一部を改正する法律案に対する修正案について、その提案理由と概要を御説明いたします。  御承知のとおり、政府提出の地方税法等の一部を改正する法律案は、四年ぶりに住民税課税最低限を引き上げ、約三千億円の減税を実施するとしていますが、これは国民の強い減税要求にこたえるものとは言えません。  まず第一に、減税といいながら、他方では大衆課税である自動車税、軽自動車税、あるいは中小企業に相対的に負担の重い法人住民税均等割の二年連続の引き上げなどで、ここ十年来最大規模の大増税を行っていることであります。  第二は、住民税減税そのものも、これまでの減税見送りによる実質増税を償えない不十分な規模にとどまっていることであります。それは、課税最低限の引き上げを行ったにもかかわらず、依然として生活保護基準額を下回り、そのために非課税限度制度を存続させていることからも明らかであります。また、市町村民税所得割の最低税率の引き上げども、低所得者層への負担を強化するもので容認できるものではありません。  第三に、 「納税環境の整備」と称して、憲法の民主主義に根差した申告納税制度の抜本的改悪を図っていることであります。これは、中小零細業者への徴税強化を目的としたものであり、特に帳簿、書類の保存の義務づけや課税処分取消訴訟における原告側に対する一方的な制限などは、申告納税制度を根本から覆すものであり、直ちに撤回すべきものであります。  このような問題点を持つ政府案を修正して、住民税減税の規模を拡大するとともに、抱き合わせ増税を中止して国民減税要求に真にこたえる、また、申告納税制度を守るというのが本修正案の提案理由であります。  次に、本修正案の概要について御説明申し上げます。  第一に、基礎控除、配偶者控除、扶養控除を各三万円引き上げ、二十九万円といたしております。また、老人扶養控除等についても所要の引き上げを行っております。これらにより、減税規模は政府案よりさらに三千億円増加し、約六千億円となる見込みであります。なお、三控除の引き上げにより、給与所得者の標準四人世帯の課税最低限は二百七万九千円となります。  第二に、障害者控除、老年者控除、寡婦(寡夫)控除、勤労学生控除についてそれぞれ三万円引き上げ、二十七万円にするとともに、特別障害者控除も三万円引き上げ、二十九万円とすることにしております。  第三に、市町村民税所得割の最低税率は二%に据え置くとともに、税率適用区分も現行どおりといたしております。  第四に、賦課制限率の引き下げは行わず、現行の八〇%に据え置くことにしております。  第五に、自動車税、軽自動車税の引き上げは行わないことにいたしております。  第六に、法人住民税均等割については、資本金一億円以下の中小企業についてのみ現行どおり据え置くことにしております。  第七に、納税環境の整備に関する部分の改正は行わないこととし、関連条項である第十九条の十四、第二十条の十一、第四十五条の四、第七十二条の四十六などの改正規定をすべて削除いたしております。  なお、本修正に関して必要となる新たな財源は、我が党の予算組みかえ提案を実施すれば十分に生み出すことが可能であります。  以上が本修正案の概要でありますが、何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  218. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) これより原案並びに修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  219. 志苫裕

    志苫裕君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。  行政改革の名のもとで、政府の経済財政政策を初めとする縮小均衡化政策は、国民生活はもとより、国、自治体間の税財政関係にも多くのひずみ、矛盾をもたらしております。とりわけ、昭和五十九年度に至っては、臨調答申の言う「自立・自助」を、何らの基盤整備を行うこともなく、国、自治体間の税財政制度ストレートに持ち込んでおることから、それは地方自治の発展を大きく阻害するものとなっております。  すなわち、政府地方税制改正は、基本的思想の全くないままに取りやすいところから税を取り立て、声の大きいものには優遇し、あげくの果ては、地方自治の基礎になる市町村の税財政について、これを全く軽視しているところに最大の特徴があります。  以下、具体的な反対理由を申し上げます。  第一は、税制改正の基本的思想の問題であります。三千百三十億円の減税に対し、当初はこれをはるかに上回る五千七百七十億円もの増税案を公表したあげく、世論の強い批判に遭ってこれを圧縮せざるを得なくなり、二千七百二十億円の増税にとどまる結果となっております。この間、自治省提案した増税内容と縮小の経緯には、税制改正に対する思想的な裏づけは皆無に等しいのであります。  第二は、市町村の減収補てんの問題であります。国税重視、地方税軽視という国の態度は、市町村において九百四十八億円もの減収を全く補てんしていないことに端的に示されております。  第三は、極めて不公平ともいうべき個人住民税減税内容の問題であります。減税規模が我が党を初めとする国民的要求とは隔たったものであることは申し上げるまでもありませんが、これと並んで、今回の改正内容は、最低税率の〇・五%引き上げ、賦課制限率の引き下げなど、低所得者の負担強化、高額所得者優遇の典型的改正案と言えます。この点では、皮肉にも無思想の改正内容においてただ一つ思想のある改正というべきでありましょう。  第四は、申告納税にかかわる記帳義務等、納税 環境の整備の問題であります。このような改正は、税務行政を権力化し、申告納税制度の根幹を揺るがすばかりか、訴訟手続変更は裁判の対等性をも損ねるものであって、全く不要の改正であります。  この他、自動車税、とりわけ個人取得の定額課税引き上げなど、税を取りやすいところから取り立てる点では、今回の改正は際立った内容を持っております。  しかも他方では、法人税率の引き上げに対し、地方税における法人課税の強化を放置したことから、その配分割合は低下する一方となり、産業用電気税、新聞、一般放送事業など及び社会保険診療報酬に対する非課税措置等の特例措置を放置するなど、地方税制改正に求められている今日的課題からはほど遠いものと言わざるを得ません。  この際、政府は、地方税源の充実、不公平税制の是正、安定的税収確保のため、指摘したような改革を行うことはもとより、法人事業税における外形標準課税の導入を図るなど地方自治の基盤たる税財源の充実強化を図るべきであり、それらを強く主張し、私の反対討論とします。  なお、共産党の修正案は、多くの点で共通認識を持ちますが、若干整合性の点と法人課税の見直し等について触れていないので同意することができません。  以上であります。
  220. 真鍋賢二

    ○真鍋賢二君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、政府提出の地方税法等の一部を改正する法律案に賛成、修正案に反対の意を表するものであります。  政府案は、個人住民税について課税最低限度額を引き上げること等により負担軽減を図ること、地方財政の現状を考慮し、法人住民税均等割及び自動車税等における税率の適正化並びに納税環境の整備を図ること等を主な内容とするものであります。  現在、個人所得に対する税負担軽減を求める要請は極めて強いものがあります。政府案は、この国民の要請にこたえ、所得税の減税とは別途、非常に苦しい地方財政状況にもかかわらず、最大限の努力をいたし、個人住民税において三千百億円余の大幅減税をあえて実施しようとするものでありまして、私は政府の決断を高く評価するものであります。  もとより、地方行政は教育、福祉、環境整備など住民の日常生活に欠かすことのできない大切な仕事を行っております。減税によってこれらの行政水準が低下することは許されません。今回の政府案はこの点にも留意し、地方行財政の運営に支障を来さないよう適切な措置を講じておるのであります。  政府案は、国民負担軽減地方財政状況を配慮したもので、現時点では極めて妥当な措置考えるものであります。  以上の理由により、私は、政府原案に賛成し、修正案に反対いたします。
  221. 原田立

    ○原田立君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となっている地方税法等の一部を改正する法律案に対して反対の討論を行います。  地方財政は、昭和五十年以来、毎年大幅な財源不足を続け、借金は交付税特別会計が十一兆五千億円、地方債を合わせると五十四兆円にも達する膨大な借金となり、財政運営は極めて厳しい状況下にあります。五十九年度についても一兆五千億円の財源不足額が見込まれております。しかも、五十九年度以降は交付税特別会計の借り入れをやめ、その大半を地方債で賄うことになり、ますます借金体質の度を深めております。  増税なき財政再建の確立、地方財政の健全化、借金体質の脱却という点からも、交付税率の拡大、交付税の大幅な増額等の特例措置を早急に検討実施すべきであります。  以下、地方税に関する具体的問題について指摘したい。  まず第一に減税規模についてであります。減税の実施については、景気浮揚に役立つ相当規模の減税を行うとの合意にもかかわらず、初年度三千六百億円、平年度で三千億円にとどまっています。また、減税分をすべて増税で穴埋めをしているではありませんか。減税どころか実質増税であり、景気浮揚には全く役立っておりません。だから、現在大切なことは、景気浮揚を図り税の自然増収をすることこそ先決ではないでしょうか。そのためにも大幅な減税を実施すべきであります。  第二に、減税に伴う財源についてでありますが、改正案では、減税の穴埋め財源として自動車税、軽自動車税の引き上げで初年度千三百二十億円、四二・二%、平年度で千四百二十三億円、四五・一%と、約半分近くを自動車税の引き上げで賄っております。また、減税による不足分を税の引き上げで対処しているが、初年度は三百五十六億円の減収になっているものの、平年度は逆に三百十四億円の増収となり、明らかに増税以外の何物でもありません。自動車税は調整としているが、自動車、軽自動車の普及等から考えても、調整に名をかりた大衆課税であり、取りやすいものから取るという政府の姿勢は断じて容認できるものではありません。また、自家用車と営業用車の引き上げ率が自家用一五%に対して営業用五%と、大幅な差を設けております。一体いかなる理由、基準でこのような差を設けたのか、ますます格差は拡大するばかりであります。しかも、営業用では車の台数三・二%に対して税額では〇・五%、自家用車等は九九・五%を負担することになります。今後はこのようなへんぱは避けるべきであると思います。明確なる負担基準を示すと同時に早急なる改善を強く求めます。  第三に、課税最低限の引き上げについてでありますが、改正案では、基礎控除等引き上げ課税最低限を現行の百五十八万四千円から百八十八万八千円、六十年度からは百九十一万二千円に引き上げることにしていますが、生活保護基準額百九十三万八千円にも達しておりません。政府は、生活保護基準額との関係で、やむなく非課税措置をとり対応しているにすぎません。しかも、あくまでも「当分の間」という仮の措置であります。一時的、その場しのぎ的な措置ではなく、低所得者層に対する配慮として課税最低限の引き上げを再検討するとともに、少なくとも生活保護基準額を完全に上回る引き上げをすべきであります。  第四に、法人住民税についてでありますが、法人住民税については均等割税率を一律二・五倍引き上げていますが、中小零細企業に対する配慮が足りないということであります。五十八年度の引き上げ率を見ると、資本金一千万円以下の小企業の場合、県民税は二倍、市町村民税は二倍と六倍との大幅な引き上げに対して、資本金五十億円超の大企業では一・五倍であります。このような経過を無視して一律二・五倍の引き上げを行うことは、小企業、零細企業への過酷な仕打ちとしか考えられません。改定を強く求めます。  最後に、電気税の非課税措置及び三公社の特例措置についてでありますが、近年、電気税に関する非課税措置については一、二品目にとどまっており、今回も人工軽量骨材の一品目であります。しかし、七十七品目の中には、多くの品目で検討してもしかるべきものもあります。この際、残り品目について整理合理化の基準を根本的に見直すべきであろうと思うのであります。また、三公社に対する特例措置については、国の財源難を理由に四千八百億円を国庫納付金として徴収、五十九年度でも二千億円を納付予定しています。三公社の市町村納付金地方固定資産税に相当するものであります。地方財政逼迫の折でもあり、再建中の国鉄を除き、電電公社、専売公社の二分の一特例措置は廃止し、全額地方財源に充当すべきことを主張し、なお、共産党提案の修正案にも反対の意思を表明して、私の反対討論を終わります。
  222. 神谷信之助

    神谷信之助君  私は、日本共産党を代表して、地方税法等の一部を改正する法律案に対する日本共産党の修正案に賛成、政府原案に反対の討論を行うものであります。  まず、政府原案に対する反対理由の第一は、政府の本格減税との宣伝にもかかわらず、実際は大幅 な増税との抱き合わせ減税となっていることであります。それは、減税規模三千七十二億円に対し増税は三千九百五十三億円と大きく上回り、ここ十年来の最大規模の増税となっていることを見ても明らかです。これでは減税どころか増税ではありませんか。しかも、増税の大部分は一般国民の犠牲によって進められようとしています。市町村民税所得割の最低税率の引き上げ、中小企業に比較的負担の重い法人住民税均等割の二年連続大幅引き上げ大衆課税である自動車税、軽自動車税の税率の引き上げなどは国民負担を一層重くするものにほかなりません。ところが、政府はその一方で超高額所得者には数百万円単位の減税となる賦課制限率の引き下げを行おうとしています。これでは不公平税制の是正どころか拡大ではありませんか。減税財源確保のためにも、不公平税制の是正のためにも大企業や資産家優遇の税制こそ見直すべきであります。  反対理由の第二は、住民税減税そのものも、この数年来の減税見送りを償うにはほど遠い規模にとどまっていることであります。このことは、各種控除の引き上げ幅が少ないために依然として課税最低限は生活保護基準を下回り、ことしも非課税限度額を設けざるを得なくなっていることにあらわれています。その上、見過ごすことのできないのは、この非課税限度額を今年度限りではなく、「当分の間」と規定して制度化しようとしていることであります。これでは来年度以降の減税見送りや生活保護基準以下の課税最低限をも認めることになるではありませんか。我が党はこのようなことを断じて認めることはできないのであります。  反対理由の第三は、納税制度の改悪の問題であります。この改正案の中には、納税者に対する帳簿や書類の保存の義務づけ、訴訟における立証責任の事実上の納税者への転換、官公署、政府関係機関の協力など、納税制度の基本にかかわるような改悪が盛り込まれています。政府は、税制調査会の中期答申や国税への右へならえをその理由に上げていますが、このような改悪は戦後の納税制度の中核である申告納税制度、すなわち憲法の主権在民に沿って国民が自分で税金を計算し確定することを基本とする納税制度に天下り課税を持ち込むものにほかなりません。しかも、このような重大な改定を法制審議会や法曹関係団体との事前の協議もなしに国会提案し、日切れ法案と抱き合わせで、慎重な審議の時間的保障にも欠けるなど、手続においても民主主義を否定するものとなっています。こうした改定は一日を争うものではありません。当然、目切れ法案と分離すべきものであります。  次に我が党の修正案でありますが、六千億円の住民税減税の実施、自動車税など増税の取りやめ、納税制度の改悪の削除を内容とするものであり、これが実現すれば、国税減税と相まって国民の消費を刺激し、景気回復に大きく役立つことを確信するものであります。  以上、政府原案に反対、日本共産党の修正案に賛成の態度を明らかにして討論を終わります。
  223. 三治重信

    ○三治重信君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となっております地方税法等の一部を改正する法律案について反対の討論を行うものであります。  反対の第一の理由は、個人住民税減税規模が不十分なことであります。政府は、基礎控除等の諸控除の四万円引き上げを中心とする課税最低限の引き上げにより、平年度約三千百億円の住民税減税を行うこととしております。この減税規模は、昭和五十五年以来の減税の見送りの中で、実質可処分所得の伸び悩みから税負担軽減を切実に求めてきた国民の声に明らかに反するものであります。国民のこのような要求にこたえるためには、少なくとも四千億円以上の住民税減税を断行すべきであります。  反対の第二の理由は、住民税減税を実施する見返りとして、政府は、その財源法人住民税均等割引き上げ自動車税、軽自動車税の引き上げなどの増税に求めていることであります。さらに、市町村民税所得割の税制改正により、適用課税所得を三十万円以下から二十万円以下に改め、最低税率を二%から二・五%に引き上げることなどにより、約一千億円の増税を行うこととしたことであります。減税財源は、増税によってではなく、第一義的には、歳出の徹底的な抑制、行政改革の断行にこそ求めるべきであります。政府は、増税を実施する前に、地方公共団体に対し、高額給与、限職金の是正、事務事業の徹底的な見直し、地方公務員の大幅削減などの行政改革の断行を強く求めるべきでありましょう。  反対の第三の理由は、減税財源を仮に増税に求めるとしても、地方税体系の見直しを行うのではなく、財政のつじつまを合わせるために、取りやすいところから取るという政府の安易な姿勢に対してであります。特に、今や大衆課税となっている自動車税、軽自動車税を引き上げることは国民負担増を強いるものであり、問題です。政府は、同じ資産税でありながらも、自動車税の税率が三倍近く引き上げられているのに比べ、固定資産税の税率が当初より低くなっている現実を注視すべきであります。  取りやすいところから取るという政府の姿勢は、地方税体系のひずみを拡大するものであり、改めるべきであります。  最後に、共産党の修正案には反対であります。  以上で討論を終わります。
  224. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  225. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより地方税法等の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、神谷信之助君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  226. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 少数と認めます。よって、神谷信之助君提出の修正案は否決されました。  それでは、次に原案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  227. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、志苫裕君から発言を求められておりますので、これを許します。志苫君。
  228. 志苫裕

    志苫裕君 私は、ただいま可決されました法律案に対し、自由民主党・自由国民会議日本社会党・公明党・国民会議日本共産党及び民社党・国民連合の各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読します。    地方税法等の一部を改正する法律案に対す    る附帯決議(案)   政府は、左記事項について、善処すべきであ  る。  一、国、地方間における租税配分を抜本的に再   検討し、地方自治体の一般財源の強化を図る   こと。  一、個人住民税については、引き続き低所得者   層の負担軽減に努めること。  一、法人事業税の外形標準課税については、財   源確保の安定化等に資するためその実現に努   めること。  一、地方税非課税等特別措置については、税   負担の公平を確保するため、積極的に整理合   理化に努めること。  一、事業所税については、都市施設の整備の必   要性等を考慮し、課税団体の範囲の適正化に   努めること。  一、生活環境施設及び市町村道を整備するた   め、税源配分の見直しにより、一般財源の強   化を図ること。  一、帳簿・書類の保存義務、課税処分の取消訴   訟における証拠の提出規制等いわゆる「納税   環境の整備」の規定の実施については、申告   納税制度趣旨に則り指導を旨とし、納税者   の過大な負担となることがないよう配慮し、   適正な運用に努めること。  右決議する。  以上であります。  何とぞ御賛同いただきますようお願いいたします。
  229. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ただいまの志苫裕君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  230. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 全会一致と認めます。よって、志苫裕君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、田川自治大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。田川自治大臣
  231. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を尊重して、善処してまいりたいと存じます。
  232. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  233. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  234. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 次に、消防施設強化促進法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。田川自治大臣
  235. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) ただいま議題となりました消防施設強化促進法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  市町村の消防施設の整備につきましては、昭和二十八年の消防施設強化促進法の制定により、国庫補助制度の確立を見て以来、逐次その充実強化が図られてきたところでありますが、昭和四十九年度には、人口急増市町村における消防施設の整備を促進するため、これらの市町村の消防施設の整備にかかる国庫補助率を二分の一以内に引き上げることとされ、昭和五十八年度まで特例措置を講じてきたところであります。しかしながら、昭和五十九年度以降においても、なお相当数の人口急増市町村の存在が予想されますので、これら市町村における市街地の拡大等に伴う消防施設整備の緊急性にかんがみ、国庫補助率の特例措置を延長する必要があります。  以上が、この法律案を提出いたしました理由であります。  次に、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。  人口急増市町村における消防施設の整備を促進するため、これらの市町村における消防施設の整備にかかる国庫補助率を二分の一以内とする措置を引き続き昭和六十三年度まで講ずることといたしますとともに、政令で定める市町村について、この補助率を七分の三以内とする特例を定めることといたしております。  以上が、消防施設強化促進法の一部を改正する法律案提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。     —————————————
  236. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 委員の異動について御報告いたします。  中野明君が委員辞任され、その補欠として服部信吾君が選任されました。     —————————————
  237. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  238. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 速記起こして。
  239. 志苫裕

    志苫裕君 きょうは余り時間もないんであれですが、自治大臣は役人の経験ありますか。
  240. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) ありません。
  241. 志苫裕

    志苫裕君 それは大変いいことだと思うんです。自治省の役人はそれでも少しはましなんですけれども、一般に、国の役人は自治体のことをわかっているようでいて、やっぱり発想方法が、お上があって地方があるという発想が強いんですね。ですから、これから自治大臣、どれくらいの任期おられるのかわからぬけれども、思い切って、やっぱり民間人でありますし、言論界出身の方でもありますし、しかも連立の片一方を担いでおる責任者ですから、これは大いに——ここしばらく、いわば役人答弁というのをあなたも随分お聞きになったと思うんですけれども、なかなか踏み出すということはできない人種なんですね、これ。そういう意味で、自治大臣でおられるうちに、大胆に提起するものは提起していただくということをこの機会に要望をしておきたい。何かを残してもらいたい。  そこで、こう言うと私もちょっと矛盾があるんだが、これは社会党の方針というよりは一般的に、私は、自治省が例えば消防強化のかさ上げのような補助金の仕事はしないでもいいんじゃないかという感じがするんですね。  ちょっと財政当局に聞きますが、自治省は補助金というのはどれくらい持っていますか、自治省所管の補助金総額どのくらいになっていますか。
  242. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) とっさの御質問で、ちょっと資料手元に持ち合わせておりませんが、自治省所管の補助金はほとんどが消防関係でございます。そのほかに、行政局関係で田園都市中核施設あるいは公営企業関係等、若干の補助金等を持っておりますが、全部加えまして恐らく二百億程度であろうかと記憶いたしております。
  243. 志苫裕

    志苫裕君 とっぴな質問をしましたのは、いわゆる補助金の整理縮小とか財源配分のやり直しとか、いわば分権を推進をするためにそれが不可欠だと。やっぱりお金のあるやつは一番強いんで、権限だけもらったって何にもならないわけですから、そういう意味では、財源のありようということはしばしばここでも議論をいたします。そういうことを言っているなら、いっそのこと、自治省がそう言っているんだから、まず自治省にある補助金から丸裸になってその分の財源の移転をやったらどうか。財源の移転もできないで丸裸になったんでは自治体全体で損じますけれども、しかしそれぐらいのことは大臣、やっぱり積極的に提起をしていって、財源の振りかえをする。そうすれば一応自主財源で、あと交付税か何かで特定の地域の財政需要を見ていけばいいわけですから、そういうありようを追求をするというのが実は私の持論なんです。現行制度環境も整わぬのにそれやれば損するばっかりですが、そうかといって、どこかが踏み出さないとそいつはなかなかいかないという意味で、私は、このかさ上げ措置そのものは自治体のためにはなりますが、しかしこういう措置は、いつまでも親元に何か面倒見てもらうというふうなシステムというのは、基本的には余り私自身好きじゃないんですが、大臣、その見解はどうですか。
  244. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 基本的には私も賛成でございます。私も不勉強でまだ自信持ってお答えはできませんけれども、消防に対する補助金も奨励的な意味で補助をしているわけで、基本的には、地方交付税で大体見ているわけでございまして、思想としては市町村が自主的にやれるような、そういうような仕組みになっておりまして、環境が整いますれば、できるだけ地方が独自にいろいろなことをやっていける、これが好ましいと思っておるわけでございます。
  245. 志苫裕

    志苫裕君 一応基本的な問題意識だけは提起をしておきます。  しかし、与えられた条件のもとではあった方がいいというまことに矛盾した話になるわけですが、そこで今度の法案は従来のものの延長ですが、行革絡みの御時世で何か少しごくわずかに値切っ て、値切り効果がどれぐらいあるのかわからぬぐらいの値切り方ですが、ちょっとそこへ入る前に、今、いわば消防力の基準、この物差しに比べてどの程度のレベルにおるんですか、全国的な状況で。
  246. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 消防力の基準に関しましては三年ごとに調べておりまして、ちょうどことしが消防力の全国の基準の調査をする年になっております。  そこで、三年前の消防力の基準の調査結果から申しますと、それは五十六年の四月一日現在ですが、消防ポンプ自動車で八七・九%、小型動力ポンプで六七・九%、はしご自動車で五七。七%、化学消防ポンプ自動車で五四・〇%、救急車で九九・五%、消防水利で六五・九%となっておりまして、職員数につきましては、現有車両ということでございまして、それを有効に操作するに必要な人員から申しますと七七・九%、約八割充当されておるという状況でございます。
  247. 志苫裕

    志苫裕君 今伺ったところでは、主な物差しでいうと水利が一番悪いのですか。
  248. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 一番悪いのはむしろ化学消防ポンプ車でございまして、それが五四・〇%でございます。ただ、この化学消防ポンプの自動車につきましては、石油コンビナート地域におきますこういう科学的な必要な消防というのは九割方充当されておりまして、そのほかの地域における化学消防車がなかなか充当されないという状況の中で五四・〇ということになっております。  お話がございました消防水利の問題ですが、これは基本的にいろんな問題ございますけれども、今の消防の中にあります消防施設の補助金百二十八億ぐらい五十九年度で、今予算審議を願っておりますが、その大半が実はこの消防水利と申しますか、防火水槽が必要だということで、大変その希望が多いものであります。これは消防水利自身が、少なくとも消防ポンプ車が参ったときに四十立方メートルぐらいの水が即座に放出できるような態勢にもっていきませんと、消火能力が大変落ちるものですから、そういう意味での消防水利の議論をしていきますと、どうもまだ六五・九%ぐらいしかなっていないという状況であります。
  249. 志苫裕

    志苫裕君 それで、この法案自体は、一遍に急速に人口がふえているところはお金がかかるだろうからというんで上積みをするんですが、いわゆるここで言う人口急増の地域とそうでない地域といいますか、まあ都会と田舎と言ったらいいのかな、例えば人口急増地域ではどういうものが一番よく充足されておって、一番悪いのか。それから、ちょっとこれ在郷の方へ行くとどういうものがよくてどういうものが悪いのか、何かそういう特徴ございますか。
  250. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) どうも人口急増地域だから特別にこういうものが特に足りないんだということは余りございませんで、一般的な市町村における消防の基準に対する考え方というのは、大体なべて市町村は同じような傾向にあるというふうに申し上げて差し支えないだろうと思っております。
  251. 志苫裕

    志苫裕君 これは、個々に見ますとどれぐらいになるのかな。ならして見ると七、八割というところなのか。金目でするとどうなるかわかりませんが、これあれですか。よく言われる話ですが、一番新しい数字でいいんですが、交付税で需要を見込んだものと実際に消防力の充実の経費に充てた分との開きはどれぐらいになっていますか、毎年。
  252. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 今お話がございましたように、消防費にかかります財源というのは市町村の独自の財源でおやりになるということになっておりますから、交付税の措置によってその拡充が図られてきているわけであります。  五十七年度の決算で見てみますと、消防費に充当されました一般財源というのは七千七百六億でございます。この額に対しまして、消防費にかかります基準財政需要額で計算いたしますと八千七百六十三億充当いたしていることになっております。結果的に申しますと八七・九%、比率からもそのぐらいのものだというふうに理解をいたしております。この比率は、ここ二、三年の間、大体同じぐらいで推移をいたしております。
  253. 志苫裕

    志苫裕君 これは、消防をやっている者からすれば、むしろ見込んだよりも逆に一〇〇を上回るくらい、一般財源何に使ってもいいわけですが、やってほしいと思うだろうし、そうでないほかの分野からすれば、そこを削ってでもほかの公共事業なんかに回したいとかいうようなことなんですが、財政ずらっと見て消防の方に、しかも先ほど言いましたように、消防というのは直接、命にストレートにつながっておるわけで、少々道はできなくたってしばらく不便忍べば済むんだけれども、こっちの方は下手すりゃ命を落としちゃうんですから、そういう意味ではもうちょっとこっちの方に力を入れぬかなというふうに全般的に考えてもいいことなんだけれども、何となくそういうふうに振り分けにならないというのはどの辺に原因があると思うんですか。
  254. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) これは決算全体を見てみないとわかりませんが、恐らく市町村の中でどういう事業が優先的に行われるかということの取捨選択はなされているのだと思っています。ただ、私も実は市町村におりまして、いろいろな経験から申しますと、市町村というのはどうも国の補助金が先につく方に充当するというのが大変多うございまして、そのためには消防の補助金は、御案内のとおり、全体でもことしお願いをしているのは百六十六億ぐらいの補助金でありますが、きわめて小さい。そういうことがございますと、やはり一般財源でそれのあとをぬぐうといたしましても、割合にそれが充当率が低くなるというのが一般的な傾向じゃなかろうかと思っております。
  255. 志苫裕

    志苫裕君 私もそう思いますね。どこの県でもそうです、市町村でもそうですが、やっぱり財源配分を優先的に考えるのは、国の補助金がつくかつかないかで、まあ十円あれば百円分の仕事ができるんだというこの論理で自治体をここしばらく運営をしていると思いますね。それ結果、もともと自分の固有事務でイの一番目、二番目に責任を負わなければならぬ仕事の方が少しずつ後回しになっていくという自治体行政のゆがみが、私は消防にあらわれてるんじゃないかと、こういう感じもしますので、これはまたそれぞれ自治体固有の判断のことではあるけれども、やはり生命、財産、安全というものについては、もう少し重みを置く価値観というものをせっかく指導してほしいと、このように思います。  そこで、今度政令事項になりますが、指定要件。これは従来五年刻みで見たのを三年刻みで見たことによって、それは五年刻みなら年率二%へもっていけば二、五の十だ、三だから二、三が六と、これは算術は合うんですが、どれ何か特別に、五年で刻んで見る場合と三年で刻んで見る場合に一長一短どっかにあるんじゃないか。私も何か判断つかないですけれども、これ何ですかね。
  256. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) どうしてこれを三年にするかという議論が当然この問題として提起をされているわけですが、今、日本の国全体の人口の増加というのを見てみますと、このごろは年率大体〇・七%ぐらいになっているわけであります。それを一%と考えましても、人口急増というのはその倍ぐらいで二%かなということで今やっておりますが、そういうふうに実は人口自身が余り動かなくなっている、ふえなくなっているという状態を見ますと、むしろ短い期間でやる方が実態に合うのではなかろうか。五年という長い時間で見るよりもむしろ三年で見ることの方が実態に合いそうだという感じがいたしまして、実は三年にいたしております。  御案内のとおり、義務教育施設も、実はこれは三年になっておるわけであります。そういういろいろの事情を考慮いたしましてこうなりましたが、現実に、じゃこれを三年と五年でどう違うだろうかということを算定して見ますと、今までどおりの形で指定をしますと、五十九年度の指定というのは百七十ぐらいにしかならない。今度のよ うな指定をしますと百八十ぐらいになります。正確には百八十一なのですが、そういう形になりますから、むしろやはり三年にした方が実態に合っているかなという気がいたしております。
  257. 志苫裕

    志苫裕君 わかりやすく言って、損か得か考えてみようと、もらう方から見てですね。もらう方から見て損か得か考えてみようということになると、細かい刻みの方が得だと、五年だと、ふえたら減っちゃったというような、そういう数字が出るかどうかわからぬが、ちょっと私はそれ判断がつかぬので、ちょっと人口動態が、今も言いますように年率で全国平均で〇・七ぐらい、それを二%というんだから、それが急増なんでしょうが、ちょっと済みませんけれども、私も人口動態がわからぬ。なるほど感じとしては、最近人口の移動、集中、過疎というこれがかつてのように急激ではない。緩やかになったとかUターン現象もあるとか、いろいろなことも言っているようですが、ちょっと指定団体の数で推移を言ってみてくれますか、いつごろは幾らくらいだったが、いつごろは幾らだという何か適当なくくりをとってもいいですから。
  258. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 人口急増のために補助金を出しておりますが、それの推移を見てみますと、五十四年度は二百四十三でございました。それが五十五年度には二百二十四、五十六年度には二百十、五十七年度には百九十五、五十八年度では百九十、こういうことになっております。
  259. 志苫裕

    志苫裕君 それで、これでいくと五十九年に——百八十一。大体十ずつ減っているんですね、これは。最初は二十ぐらい。それでいくと、五年ぐらいたつと、大体もうこういう仕組みは要らぬという判断ですか。
  260. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) この法案が、まあ五年後に日本の市町村がどういう状態になっているかというのがありましょうし、そういう点では、市町村におきます人口急増の分布図あるいは状態、それがどういうふうになるかというのが一つの問題ですし、さらには消防力がどのくらい整備されているだろうか、そういうところでどのぐらいになるだろうかというのがやはり一つの問題になりますから、そういう点を見ながら、この法律が六十四年度に参りましたときにもう一度判断をしてみなきゃいかぬと思っております。
  261. 志苫裕

    志苫裕君 感じとしては五年ぐらいで廃止がなという感じですか、どうですか。
  262. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) これはちょっとわかりづらいのですが、今の、例えば五十九年度にこれから指定しようというところを見てみますと、千葉でありますとか埼玉でありますとか神奈川でありますとか、そういう大都市の周辺に非常に大きな分布をなしておるわけですから、あながちこの五年後に今度はどういう社会動態があるのかというのは、ちょっと今のところ予測しかねますので、五年後にいいのか悪いのかということについては即断をいたしかねるところであります。
  263. 志苫裕

    志苫裕君 時間もないのでこればかりやっておれませんので、それはその辺を伺っておく程度にしましょう。  この機会に要望をいたしておきますが、例の臨調答申にもかかわって、消防に関するいろいろな許認可事務のようなものの整理といいますか、そういうものが行われておりますが、どんなものが検討のテーマになっているのか。私は、要望としては、整理合理化、簡素化ももちろん大事ですが、手を抜いたために人間の命にかかわったということは、これは大事なことでもありますから、これはやっぱり慎重な対応をしてもらいたい、こういう感じですが、いかがですか。
  264. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) おっしゃられているとおりだと私たちも思っております。  いま臨調答申の中で私たちの方がこれから措置をしなきゃならない問題の中に、御存じのように、許認可の整理統合、合理化の問題ございますし、特殊法人の整理合理化という問題もございます。事務的な意味での文書をどうするとか簡素化するというような話は、これはそれなりに私たちでできることはやりたいと思っておりますが、特殊法人のようなものになってまいりますと、今お話がございましたが、消防の器具というのは実際はつけてしまいますと試すことができない。冷蔵庫でありますとか何かのように毎日使ってどうだこうだと判断ができない、そういうこともありまして、検査機能でありますとかそういうことにつきましては、もう少し関係の機関との間で協議をして決めていきたい。閣議でもやはりこれは六十年度末までに法案を出すようにということでございますから、一応そういう格好の中で進めていきたいと思っております。  そのほかのいろいろな、例えば保安四法の関係で各局にまたがる問題でありますとか、これは今検討委員会をつくっておりまして、逐次その中で解決をしていきたいというふうに思っております。
  265. 志苫裕

    志苫裕君 大臣、この点は私らも、要りもしない手続を残したり、また許可認可を与えるために余計な人間を置いたり、そういう検査をするような団体に自治省の余った人間の行き場所をつくったりという、そのことを別に賛成しているんじゃないんですよ。賛成しているんじゃないんですが、しかしちょっとしたことでやっぱり安全にかかわる、人命にかかわる問題は、そういうものでは測定ができないという分野も多いので、これはやっぱり大臣もよく目を配ってほしいと思いますが、いかがですか。
  266. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 御指摘のとおりでございまして、警察とか消防とか国民の生命、財産を守る仕事については十分慎重にやっていかなければならない、このように思っております。
  267. 志苫裕

    志苫裕君 次に、消防職場あるいは消防職員、団員の安全衛生の問題に少し触れますが、私も幾つか今、事例を持ってきているんですが、それを述べておる時間はないようなんで、やっぱり注意はしてるんでしょうが、あっちで火事があった、地下鉄が爆発をした、煙に巻かれたというようなことで、ずっと事故は続いておるようで、非常に気の毒だし、残念だと思いますが、前からよく議論しているんですが、これ決まりつきませんか、危険職種の指定問題は。
  268. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 労安法の適用をどういうふうにするかという問題がやはりございまして、今おっしゃられましたように、消防自身が国民の生命なり財産というものを守るという見地から、災害現場で危険が予想されるようなところで現実職務の遂行をいたしておるわけでして、一般の民間の事業とはやはり異なっている形態の中にあるようにも思いますし、警察における体制がどうか、非常に似ているということを再三ここでも申し上げておるんだと思いますが、そういうものとの間でどういうふうな措置をしていけばいいのかという問題がございまして、直ちにこれをどういうふうにやるかということをお答えをすることはできないのであります。  どちらにいたしましても、消防職員の安全というのは大変大事な問題でございまして、そういう問題がありますたびに、あるいは前にお話を申し上げたことがあるかもしれませんが、安全管理体制というのをどうするかというのを考えまして、さきに安全管理体制の一例を示しながら各消防本部の独自の整備計画に期待をいたしているところでございます。
  269. 志苫裕

    志苫裕君 それで、五十六年、特に宮崎の事故でしたか、あれ以来、ここでも安全問題について論議がひとしきり重ねられて、皆さんの方でそれなりの研究会のようなものをつくって、手元にもいただいておりますが、いわば安全管理に関する一応枠組みは皆さんの方からお示しになった。しかし、私の見るところでは、ありがたい通達やモデルはもらったけれども、現場は余りようやってない、率直に言って。しかし、抑えつけてこうやれという上下関係でもないもんで、現場が怠けているといえばそれは怠けているだけの話だし。だけれども、やっぱりいざというときに命を犠牲にするのは実際にこの消防職員なんでね。しかし、消防の職場はその辺の一般の職場と違って、割合に上意下達の方が強くて、命を粉にする職員の意 見は何となく出にくいというふうな、昔から伝わっておる職場の秩序も災いをしているんだと思うんだけれども。  皆さんの方がいろいろこの研究会で安全管理規程をおつくりになったので、私もずっと読んでみますと、法の適用があるかないかの違いだけであって、法の適用があろうとなかろうとやっていますね。前書きに、例えば安全規則の安全管理規程のように、これは何々法第何条に該当があるのでと言っているのと言ってないのの違いだけだ。まくら言葉法律を置いているかどうかの違いだけでしょう。そこまでやっぱり気を配ってきておるんだから、それならいっそのこと危険職に指定をして、少し監督官庁が変わったりしますけれども、これはやったらいいじゃないかなというふうに思うんです。これは前にも、労働省からも来てもらって、前の長官のときでしたか、やったんだけれども、私はこの機会にもう一度、皆さんここまで踏み込んでいろいろな規程を出しているんだから、危険職種と指定をして法の適用をさせるということをした方がいいと思いますよ。  そこで、なぜ私そう言うかというと、法律の適用がないんだが、あるのと似たようなことをしていると言うんだけれども、適用があるのとないのでは、やっぱり微妙な違いがあちこちに出てきているわけです。ですから、労安法に基づくものであるというようなことが消極的に触れられておるが、積極的に解さないこういうこの規程の性格になっているところに私も不満が残るわけでして、この点で二つだけ言いますが、一つは、職員の意見聴取の義務といいますか、意見聴取の仕組みがそう積極的でないという点が一つの特徴ですよ。  もう一つは、書いてあると言えば書いてあるんだけれども、当局の安全配慮義務、訓示規定としてはあります。訓示規定としてはあるけれども、当局の安全配慮義務というようなものがもう一つ明確でない。ここのところをもうちょっと明確にしておいてくれた方が現場は安心するのではないかと思いますね。極めて客観的に見て、ああこれ仕事のためにけがした、犠牲になったんだがなと思っても、なかなか公務災害の認定を受けるには手間がかかったりしましてやきもきする結果もあることなどから見て、職員の意見聴取の問題と当局の安全配慮義務、この二つの点を皆さんがおつくりになってお示しになった規程に関して意見を述べながら見解を聞きたいんですが、いかがですか。
  270. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 消防は、御案内のとおり災害の現場におきましてやはり部隊活動をしておるわけであります。そういう点から申しますと、やはり指揮者が常に職員の安全について配慮をしていくというのが私は大変大事なことだと思うし、そのほかに、指揮者以外に安全責任者というのをつくってもなかなか二元的になってうまくいかないだろうということも考えられるわけでもあります。私たちが今各公共団体にお示ししております消防の安全規程をごらんになるとおわかりいただけると思いますが、そういう意味で安全関係者会議を開いてそういうところでいろいろな議論をしていく、そういうところの所属長あるいは消防長が指定する者が出てきていろんな議論をして、皆さんの意見をまとめながら、そういう会議で話をして安全対策をつくっていくというのは、私はこの中でやはりやっていけるだろうと思っております。そういうのは、先ほど申し上げましたように、どちらにしましても消防というものの一つの特異性ということから出ておるわけでして、そういうことがうまくこういう安全者会議において吸収されるということを私たちは願っておるのであります。  それからもう一つは、先ほど申し上げましたように、安全に対する配慮というのはどんな場合でも大変大事なことでございまして、特に消防の本部長であれ——この中では総活安全責任者が、消防の次長がやることになっておりますが、そういう人たちの配慮というのは、やはり大変私はこれからの消防行政を進めていく上にとって、なくてはならない大事な一つ考え方でもありますから、そういう点をやはりこの中に盛り込んでおるつもりであります。
  271. 志苫裕

    志苫裕君 いや、それはあなたは盛り込んでおるつもりだろうけれども、私が読むとだめなんで申し上げておるんですが、職員の意見聴取のところを見ますと、挙手もしくは回覧でやれというんでしょう。あなた、偉い人が見ている前で挙手せいっと言ったって、ちょっと不満があったってそれは別の手を挙げますわ。そういうことなども含めて、職員が相互間に果たして話をできるか。なるほど消防が部隊行動をするということは皆さんがしばしば繰り返しておるんですが、職員の間に十分な意思疎通、コミュニケーションがあったからといって部隊活動がとれないわけでもないんです。ある国には警察さえも軍隊さえも団結権あるんですから、それはそれなりに自己規律というようなものを持つわけだし、社会的責任も負うわけだから、そうその辺のところを絶えず心配をして、どうもこの安全規程——この危険職種の指定も何となく渋る、あるいは意見聴取等々の諸問題についても何となくこう渋るというふうなのは、私は根限は一つだと思うんだけれども、きょうは問題の指摘だけにとどめておきます。  ただ、私は、これだけは御注意なすってください。それは、ああいう部隊活動をしておるんだから、親方が立派で、諸君の命はもらった、おれが一切責任持つ、けが一つさせないというようなことを言ったって、事故が起きますと、おまえ悪かったんじゃないかとこう言うわけでして、現にそういうケースたくさんある。一切それはおれが悪かったんだと、おれが配慮が足らなかったとなかなか言う人は少ないんだ。そのときになると逃げ腰になって、あいつはどこかバンドの仕方が悪かったんじゃないかとか、とめ金が悪かったんじゃないかとか言うわけです。でありますから、やっぱりそれは職員のそういう自分の命にかかわることですから、創造性が発揮できるような環境がいいと思うんです。  で、安全管理規程ができた、仮につくっておきますね。なまじつくったことが職員の自己責任、規程どおりやっていなかったじゃないかという自己責任の追及の道具にこういう新しい規程が使われるという面もないわけじゃないんで、これのねらいとするところは、結局突き詰めて言えば安全にあるわけですから、その辺の点は、本来のあり方と離れていわば管理面だけで——管理というのは安全管理じゃなくて労務管理です。そっちの方にだけ、人事管理、職員管理にだけこれがなっていかないような配慮を強く求めたいと思いますが、よろしいですか。
  272. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) お話のように、私たちの方が一例として出しましたこの規程自身につきましては、先ほどから申し上げておりますように、あくまでも職員の安全をどうするかということのためにつくられたものでありまして、職員の管理を強めるということのために設けたわけではありませんので、その点は十分に私たちの方も考えたいと思っております。
  273. 志苫裕

    志苫裕君 事前にお示ししておいたんだけれども、埼玉県伊奈町のいわば消防職員の宣誓書なるもの、これについての皆さんの見解、所見はどうか。
  274. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 実は、いただきましたこの宣誓書を見せていただきましたが、この中身自身を見てみましても、私たちとしては別に特異なものだと実は思っていないわけでして、御案内のとおり地公法の三十一条で、職員というのは条例の定めるところで服務の宣誓をしなければならぬと、こう書いてございます。そういう規定がございまして、その宣誓の方法は条例に任せるということになっておりますが、消防職員の場合は、特に消防業務というのは、先ほどからお話し申し上げておりますとおり、生命、身体、財産というのを災害から守るという、そういう精神のもとに行動しておるわけでありまして、その職務のやはり特殊性と申しますか、そういうことを十分に考えてみなければいけませんし、職員自身もそういう自覚の上に立ってやはり行動していただき たいと、こう思うわけであります。そのために前に通達を出しまして、一般職員と異なるような服務宣誓を行うということもこれはあり得るんだということで書いておりまして、警察におきましても大体これと類似の宣誓をしているわけでございますから、この点については余り問題がないのではないかというふうに思っております。
  275. 志苫裕

    志苫裕君 問題があるから指摘しているんで、問題のない頭の方がどうかしているんです。  私も昔県庁の役人でしたから、これに似た宣誓をしましたよ。それはどういう宣誓かというと、私は日本憲法及び法律を遵守し——大体こういう文章です。命令、条例、規則及び規程を忠実に擁護し、何々の任務を自覚し、全体の奉仕者として誠実かつ公正に云々というような、大体そういうことですよ。ところがここに入っておるのは、「その規約が消防職務に優先して従うことを要求する団体又は組織に加入せず、」というんです。わかりやすく言うと、悪い仲間にならずにということなんだ。この消防職員といえども結社の自由があるんです。このことはこの委員会でも、法制局長官も出まして、ただ問題になりますのは地公法で言うところの当局との団体交渉の地位に立つというところ、これはないと皆さんおっしゃっている。だから、あるようにしようじゃないかといろいろ議論もしていますけれども、そのことは一応現行法があることは承知をしておる。その問題を除けば、結社の自由があるんですから、それは「消防職務に優先して従うことを要求する」という文句を入れなければ、結社の自由、憲法違反になるものだからそういう文章をわざわざ入れておるんですけれども、あなた世の中に、消防職員が懇親会でも何でもいい、つくるとする、それがわざわざどんなことがあっても、ジャンと鐘が鳴るうとも、それよりもこのグループの方針の方が優先するなんて、火を消しに行っちゃいかぬなんて、そんなばかばかしい規約を持った団体をつくるわけはない、これは。  きょうは時間があと一分しかないんで、これは私は今後少ししつこく取り上げていきたいと思うんです。ただ、あなたのところがつくったんじゃない、まさかあなたのところがひな形を出したんじゃないでしょうね。
  276. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) これは実は大分昔のものでございまして、一般的なモデルの形として都道府県に消防庁が出したものであります。ただ、これは御案内だと思いますが、実は警察と全く同じ文章になっておりまして、例えば警察の方につきましても、警察職務に優先してその規律に従うべきことを要求する団体または組織に加入せず、何物にもとらわれず、不偏不党と、こう書いてありまして、大体それと形を一にしているものなのであります。それはやはりどちらかと申しますと、先ほどからも申し上げておりますように、消防職員自身の一つは職務の特殊性から来ている問題だと私は思っておりますので、今のところはこれで問題がないのではないかと思っております。
  277. 志苫裕

    志苫裕君 だから、皆さんがこういうものを指示した後にこの議会でも委員会でもいろいろ議論になって、昔からそだったと言えばそうなんだけれども、結社の自由はある。例えば消防協の問題をひとつ念頭に置いて言えば、皆さんの方もその後ILOへ追加情報を送って、消防協に入ったこと自体が何らかのペナルティの対象にならないという情報まで送るように事態は変わっておるんだから、私はそういう背景を指摘をして、いまだにこういうばかばかしいことをやっておることについて問題を提起をしたわけで、時間が来たからやめますが、最後にただ一つでいいですが、ここでも私は機会さえあれば一言で言いますが、どうですか、例の消防職員の団結権問題、皆さんの今までの答弁では、結論を得るための検討を促進すると、そういう追加情報をILOに送り、この委員会でも御答弁をいただいているんですが、何か促進されていますかな。
  278. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 追加情報を送りました後で、御案内のとおり、国内における公務員問題の協議会におきまして、そぞれの関係団体の意見を聴取して現在まで来ております。この問題は、大変古くから難しい問題でございまして、私たちも誠意を持ってこれに当たっていきたいというふうに思っております。
  279. 原田立

    ○原田立君 火災は大変怖い話でありまして、その発生は極力とめていかなきゃならぬと思うんです。    〔委員長退席、理事真鍋賢二君着席〕  ところで、ごく一般論から言いますと、マル適カードというのがありますね、ホテルやなんかにある。あれは非常に信用度が落ちてしまって、皆さん方も大変お困りなんだろうと思うけれども、現状はどうですか。
  280. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) マル適の問題に関しましては、御案内のとおり、昭和五十五年の十一月に川治で発生いたしました火災を契機といたしまして、五十六年度からマル適制度をやっておるわけであります。五十八年の九月の末現在で、旅館、ホテルに関しましては七七・一%の交付率であります。ただ、おっしゃられておりますように、最近そういうマル適があっても火災が起きるじゃないかという議論がございます。この問題は私の方でもいろいろ大変心配をしておりまして、いろいろと調べておりますと、むしろそれは運用と申しますか、そういう点にやはり重大な問題がございます。例えば警報装置の電源を切っておくとか、そういうことをするためにせっかくの避難ができないというようなことがございまして、人命上はまさに避難が一番大事なのにそれに対応できないという状態が生まれてきておる。そういう点で、ある意味では大変困った現象だと思っておりまして、これに対しましては各消防長さん方に、そういうことがないように十分に査察するようにということを私の方で申し上げております。
  281. 原田立

    ○原田立君 そういうのはもう厳重におきゅうを据えてやらなきゃいけないと思いますけれども、おきゅうを据えていますか。
  282. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 各消防の本部においてそれぞれそういう措置をとっておるというふうに私たち考えております。
  283. 原田立

    ○原田立君 考えてますじゃなくて、実際実情を掌握していただきたいと思うんです。  それから、雑居ビルの火災発生というのは、毎回大きなビル火災の発生は雑居ビルなんですね。これの改善方の指導は十分なさっているだろうと思うんですけれども状況はどうですか。
  284. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 雑居ビルに関しましては、今お話がございましたように、大変私たちも心配をいたしているわけであります。防火管理者がそれぞれ異なっておって共同防火管理ができないということもあったり、いろんなことをしまして運用上困っております。そういう点で、最近、複合の用途の防火対象物に関しまして危険度の評価基準というものを今検討を進めておりまして、    〔理事真鍋賢二君退席、委員長着席〕 それができ上がりましたら、マニュアルをつくって各消防の方にお示しをしたいと思っております。
  285. 原田立

    ○原田立君 現行法でも、例えば非常階段なんかには物を置いちゃいけないとか、もっと通路幅をきちっととっておかなきゃいけないとかなっているわけですね。ところが、実際には避難通路なんかはもう荷物がごっちゃになっている、こういうのをしばしば耳にするわけです。それはやっぱり直さなきゃいけないと思うんです。これはもう緊急かつ敏速にやらなきゃいけないと思うんですけれども、いかがですか。
  286. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) おっしゃっているとおりだと思っております。
  287. 原田立

    ○原田立君 それなら、それ即時に実行してくださいよ。  それから私は、消防職員やあるいは消防団員の人たちが一生懸命やっているのは十分承知しているんです。ところが、福岡で起きた事件で、ちょっと不用意な発言だなというのが実は一件あったんです。場所等を余り言うとあれですから申し上げませんけれども、一たん火災が鎮火したと認定した、ところが埋もれ火があった、またぼっと燃 えちゃって、それで消防車の出動があったと。そのときに、まだ危ないから残っていてもらいたかったんだと、こういうふうに言ったら、そんな見えないところはどうしようもないじゃないかというふうにその指揮者が言ったというんです。それが新聞にも出ましたですね。ちょっとひんしゅくを買っているわけなんですけれども、こんなような不用意な発言、一生懸命やっていながらこんな発言をしてひんしゅくを買うなんて、これはもう本当に損な話です。よくそういうところはきちっと指導してもらいたいと思うんですが、どうですか。
  288. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) まさにそのとおりだと思います。十分指導していきたいと思っております。
  289. 原田立

    ○原田立君 下部の中ですから、たまには出るんだろうと思いますけれども、非常に私は残念に思うんです。そういうことのないようにしていただきたい。  それから、これは大臣にもお伺いするんですけれども、消防関係予算でありますけれども自治省の今回五十九年度の予算は一七・五%の伸びになっているんですけれども、消防庁はマイナス五・七%、これはマイナス五・七%ということは、もう消防力が充実しちゃって予算が少なくなっても構わないんだと、こういうことが理由なのか、あるいはまた、緊縮財政の折だから自治大臣もやむを得ずこういうふうに減額したのか。片一方は一七・五%プラスですよ。消防庁は五・七%マイナスですよ。これはちょっと問題じゃないかと思うんですが、どうですか。
  290. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 消防の予算につきましてマイナスになりましたのは、御案内のとおり、現在の国の財政が大変厳しいという中で補助金を削減をする。特に、御案内のとおり、消防庁の予算というのは大部分九割までが補助金でございまして、しかも内容が奨励的補助金だということで、一割削減の表面に立たせられているのは事実でございます。しかし、現実にいろいろの、先ほどから申し上げておりますように、消防力自身が現実にまだまだ十分なところにまで行っていないというのは事実でございまして、そういうものを早く到達させなきゃならぬという観点から申し上げますと、やはり余り大きな削減というものはしない方がいいんだと思っておりますが、こういう厳しい情勢でありますので、やむを得なかったと思っております。  ただ、こういうものの中でもやはり若干めり張りをつけなきゃいかぬのだろうと、そう考えまして、補助金の中でも特に重要な点についてはむしろ増加をする、公共団体とのいろんな話し合いの中で、その辺のところは少し要望を落としておいても公共団体に迷惑をかけないというのは若干切ると、そういう形の中で操作をいたしまして、一応一割削減の中でも補助金についてその程度の六・二%の減でとどめたというのが実態でございます。  いずれにいたしましても、市町村におきます消防の行政がこれによって遅滞をするということがないように十分配慮をしていきたいと思っております。
  291. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 今、消防庁長官が言ったとおりでございますが、国の方針に従いまして、補助金の整理合理化をしなければならないという趣旨からこういう金額的には減るようになりました。しかし、これは決して消防を軽視しているというものではございませんで、今も説明がありましたように、十分消防の充実に配慮をしてやったつもりでございまして、どうぞ御理解をいただきたいと思います。
  292. 原田立

    ○原田立君 大臣、そう言いますけれども自治省予算が一七・五%プラスですよ。消防庁は五・七%のマイナスですよ。二割も違うんです、これはちょっと問題だと僕は思うんです。  それから、消防庁長官、あなたの説明の中でちょっと聞き損なったんだけれども、大震火災対策に必要な経費、これは六・八%減ですよ。それから消防施設等整備費補助に必要な経費、これは六・二%減ですよ。それから、その他の経費を含めて消防庁合計が結論的に五・七%減。大震火災対策に必要な経費とか消防施設等整備補助に必要な経費、これはこんな減額でいいんですか。
  293. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) もともと予算というのは多々ますます弁ずでございまして、大変多ければいいというのは通常なのだと思いますが、先ほど申し上げましたこういう国の財政状況のためにこういうふうにせざるを得なかったと思っております。ただ、この大震火災の中にも、先生御案内のとおり、一般的な分はともかくといたしまして、強化分については、ことしで、五十九年度でこの時限法の期限が来るものですから、強化地域についてはともかく高めたいということで、これは若干伸ばしてございます。  それから、無線のようなものがございますが、これは特に災害がありましたときの住民の避難でありますとか情報の収集でありますとか、そういうことがありますから、むしろ市町村の無線については二三%ほど伸ばしたつもりでございます。  さらに、昨年のいろいろな災害を見てみまして、林野火災が大変多かったということもございまして、来年度は林野火災についても相当伸ばしてございます。もちろん、これはヘリ基地でもつくって、その中で十分な消火対策に充てようということを考えておるわけでして、そういう点で消防の少ない予算の中ではありますが、若干重点的に緊急性の高いものに重点配分をしながら全体的な予算を組んだというのが実態でございます。
  294. 原田立

    ○原田立君 私が中身で言おうと思ったことを先にお話があったんですけども、消防防災無線通信施設整備費、これが全体では一〇二・八%ということなんですけども、県分が六八%、市町村分が一二三・三%、こういうふうに片っ方は高い伸びになっているし、県の方はがくっと少ないけど、これは一体どういう理由なのか。また、特殊災害用消防施設等整備費補助金でありますけれども、今もあなたからお話があったように、全体では一〇三・六%でありますが、林野庁分が一五六・五%、これに対して石油コンビナー十分は五〇・三%と少ないんですね。どうしてこういうふうな差があるんですか。
  295. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 無線の方の県分と市町村分に関しまして、お話しのとおり県分を落としてございます。県の方の施設整備というのは、現在おくれておるというよりも、ほとんど三十九都道府県の中では無線ができ上がっておるわけであります。これは都道府県と市町村を結ぶ無線であります。で、国と都道府県とを結ぶ無線は、これは完全に各県にはできておりまして、都道府県が市町村との間で結ぶ無線、これが実はできてないところが今、七県あるわけです。七県のうち、今度の予算では、一県はともかくやらせようと思っております。ですから、残り六県ほどはまだそういうことにならないんですが、そういうところの県の言い分というのは、どちらかといいますと、警察無線で大体今のところは間に合うという感じでありますとか、あるいは災害というのがここしばらくないということの安心感から来ているものではないかというふうに思います。  それから、市町村分をふやしましたのは、先ほど申し上げましたように、昨年の日本海の中部地震のときの避難の問題、情報の提供の問題、いろいろございました。あるいは山陰の豪雨がございまして、島根県の三隅町というところが、無線があったために被害地におった住民の方々がそこの無線によって全部救出されて、みんなが避難できた。そういう点から考えますと、むしろ市町村の無線というのを大幅に整備していかなきゃならぬだろう。市役所の役場と個人の家あるいは集落、そういうものとの間で無線を強化していくことがこれからの住民の生命というのを守る上には大変大事だという観点から市町村を伸ばしたわけであります。  それから、特殊災害の方の問題は、林野分につきましては、先ほど申し上げましたように、昨年の十二件にわたります林野の同時多発の火災がございました。これにヘリコプターを飛ばせようと 思うのですが、自衛隊が飛んでいけるのはいいのですが、なかなか基地が山林火災のところにない。そのために相当時間かかって基地から飛ばなきゃならぬという問題が起きてまいりました。そのために、むしろそういういつも多発するような林野地帯においてはこの際ヘリ基地をやはりつくっておいてもらって、そこにいろいろな空中消火剤でありますとか、そういうものを備えつけてもらうということが大変大事だということで林野分をふやしました。  コンビナー十分は、実はこれはコンビナート自身の内容を見てみますと、今のところ七十八の消防機関の中で、三点セットと申しますか、石油コンビナートの対策として必要な消防設備があるわけですが、その充当率がおよそれ〇%になっているわけであります。今いろいろ聞いてみましても、この程度で来年度は市町村の中では間に合うという形がございまして、この部分を落としたというのが実態でございます。
  296. 原田立

    ○原田立君 予算が少ないんで、現にあるところだけ充当したとか、あるいはもう現在できているからほんのわずかにしたとか、いろいろ御説明があったけれども、とにかく一遍火災が起きると何もかもみんななくしちゃうわけなんですから、ひとつそんなことがないようにしてもらいたいと思います。せっかく御努力願いたいと思う。  それから、消防施設強化促進法に基づく人口急増市町村への特別措置が実施されておりますけれども、市町村数にして毎年減少している。五十四年度が二百四十三市町村、五十五年度が二百二十四、五十六年度が二百十、五十七年度が百九十五、五十八年度が百九十、五十九年度は百八十一というふうになっていると聞いておりますけれども、また予算額にしても五十六年度が三十一億八千五百五十二万でピークであって、あとは五十七年度は二十五億、五十八年度は二十三億、五十九年度は二十一億と、こう減少傾向になっている。これはこういうようなことで、なおきちっと火災予防で人口急増市町村に対することは十分できるんですか。
  297. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) お話しのように、人口急増分の予算額が年々減ってきていることは事実でございます。来年も、お話しのように二十一億ということになるわけですが、一応私の方で人口急増市町村に該当するような町村からの要望をとってまとめてみますと、来年度は二十一億ぐらいでおおよそ間に合うという感じがございまして、この程度にいたしたわけであります。
  298. 原田立

    ○原田立君 私が少ない点のことを言うと、大体それで間に合っているんだとかいうようなことをあなた言うけれども、そういうふうな言われ方すると、意見言ったってもう何にも通じないという感じがして、何というか、何となく嫌らしい思いをする。やっぱり少しは真剣に受け入れてもらいたいと思う。本法案の改正に伴って特例補助二分の一の対象となる市町村は百八十一団体とか聞いておりますが、また政令で定める補助率七分の三の対象は約二十団体、こんな話を聞いていますけれども、間違いありませんか。
  299. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 来年度人口急増市町村として一応対象になりますのは、お話しの百八十一の団体、市町村でございますが、そのうちで、お話しの七分の三の適用になる公共団体は、政令市が一つございまして、そのほかに市町村で二十二で、合計二十三でございます。
  300. 原田立

    ○原田立君 今までのは特例補助率二分の一以内と、それから三分の一の補助と、この二種類でしたね。それが政令で定める市町村に対しては七分の三以内と、こういうふうなのを設けた理由は何ですか。
  301. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) これは全く国の財政が悪くなったということの一語に尽きるのでして、私たちはできれば全体が二分の一の措置ができるのが一番望ましいと思っております。しかし、現実にこういう財政状況でありますので、若干の市町村に我慢をしていただこうということを考えざるを得ませんでした。考えざるを得ませんでしたというのは、昨年もやはり義務教育施設がございまして、そのときも、この財政力指数の高いところあるいは政令市に対しまして三分の二の補助金でありますものを七分の四に落としたという削減のいきさつがございまして、そういうものとのはずを合わせたということになったわけであります。
  302. 原田立

    ○原田立君 理由がよくわからないんですね。財政のためだと、こう言うんだけれども大臣財政のためにこういう消防力の力量をトーンダウンさせるということはよくないと思うんです。やっぱりある程度、現状維持していくか何とかしていかなきゃいけない。三分の一でしょう、一般が。特例で二分の一があったわけです。で、財政力がきついからというので七分の三つくったわけです。何か小手先で消防行政をいじくっているという、そんな感じがするんです。そんな気はないんだろうと思うけれども大臣、もう少し力強くやってもらいたいと思うんですが、どうですか。
  303. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 上げ幅を削ったわけで、今あるのを削ったということではないんで、二分の一にかさ上げするのを二分の一まで行かない、その中間をとったということでございまして、今長官が説明したように、文部省の関係でもそういうようなことをやっておるわけでございまして、これもただ補助だけでありまして、先ほど来話がありましたように、全体的には、かなり消防の施設その他については地方交付税の中に含めて算定をしているわけでございまして、この点はひとつ御理解をしていただきたいのでございます。
  304. 原田立

    ○原田立君 せっかくのお話だけれども、余りよく理解できませんね。  消防費の財源の中で、地方交付税の基準財政需要額と消防費決算額を対比すると違うんですが、どうして違うんですか。
  305. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 消防の決算状況を見てみますと、五十七年度の決算では一般財源で七千七百六億でございまして、これにかかわります基準財政需要額で、交付税で計算をしておりますのが八千七百六十三億ございます。そういう点では、私はもう少し公共団体の中でも、交付税自身が特定財源ではありませんけれども、消防にもっと充実されるような予算の使い方をしてほしいと思っております。基準財政需要額でせっかくこれだけ一千億の返りがあるというのは、大変私は残念なことだと思っていますし、公共団体の方でもこの額が消防のために有効に使われるようにひとつ配慮せられるようにということで、私の方でも実は市町村に申し上げているわけでもあります。  さらに、先ほどのお話にもございますが、補助金はそういう状態にありますけれども、交付税の中では昨年よりも単位費用を上げまして、なおかつ消防を充実していこうと、こう思っておりますので、御理解を賜りたいと思います。
  306. 原田立

    ○原田立君 今も話のあったように——金額はもう言うのはやめましょう。基準財政需要額と決算額とでは五十四年度が九〇・五%使われている。約一〇%使われていない。それから五十五年が九二・二%、五十六年が九〇・二%。一般の地方交付税でしたら自由な財源で使われることなんですけれども、消防費と、こういった場合には当然それは一〇〇%使っていいんじゃないでしょうか。それが今、せっかく指導していると言うけれども、現実に約一割、六百六十四億、五百八十八億、八百十一億、こういう多額のお金を残しているなんという、そういう行政やり方は根本的に改める必要があるんじゃないか。どうですか。
  307. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 私も全く同感でございます。この額が、先ほども申し上げましたように特定財源ではないのですけれども、ともかくこういうふうにせっかく財政当局の方でも基準財政需要額を決めていただいているわけですから、あとう限りこれをぜひとも消防のために使っていただきたいものだと思っております。公共団体自身でもそれぞれの事情はあろうと思いますが、やはり何といいましても住民の身体、生命、財産に関する予算でありますから、そういう点を考えて、十分に消防の用に役立つように予算の使い方をし ていただきたいと思っております。
  308. 原田立

    ○原田立君 それで、例えば水槽付消防ポンプ自動車、交付税単価は千三十七万円、補助単価は八百七十七万二千円、化学消防ポンプ自動車は交付税単価は千四百八十九万円、補助単価の方は一千八百五十六万四千円、要するに交付税単価の方がぐっと多いのもあれば補助単価の方がぐっと多い場合もある。実際調べてみたのでありますけれども、そういう差があるわけです。そういうようなところが私非常にはてなと思って、おかしいなという感じを持つんです。  それから、五十八年度の場合の引き上げ率は、一〇一・七%、一〇一・六%、一〇一・五%というように、そのくらいの引き上げ率になっているんですけれども、ところが何と五十九年度は、これはどうしてなんですか、この予算単価の増が何にもない。どれもこれも全部ゼロです、五十八年度から五十九年度を比べて。これは少しおかしいんじゃないかと思いますが、どうですか。
  309. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 補助基準額につきましては、毎年度、実は補助金で購入した消防施設の価格調査を行っているわけであります。今年度、五十八年度は価格調査を行いました結果、先ほどお話がありましたが、平均一・七%引き上げたわけであります。ことしもいろいろ消防施設の価格調査をいたしましたところ、実勢の価格と余り変わっていない、合致しているということがございましたので、昭和五十九年度は単価の値上げをやめたわけであります。
  310. 原田立

    ○原田立君 大臣、さっきから言っているように、この予算の額が、消防の施設費が、僕は横並びていくか多少増加していくか、そういうことがあってしかるべきだと思うんですよ。ないしはもう少し手厚くしていくとかね。それが減額になっていくということはどうしても理解しがたい。やっぱり火事になっちゃって一瞬にして財産ゼロにするなんというようなことがあっちゃならない、そのためにもきちっとした処置がなされていなければならないと思うんです。そういう意味で、消防庁の予算について今後の基本的な姿勢をお聞きしたい。
  311. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 先ほども申し上げましたように、決して消防施設整備について軽視をしているわけではございませんで、地方交付税の中にも、先ほども指摘があったように、実際に決算額等にあらわれているのを見ますと使ってないくらい、そういうような結果からああいう決算額が出てくるわけでございまして、かなり自治省としては、消防施設の整備について配慮というか関心を持って重視しているわけでございます。  ただ、補助金から見ますと、先ほども指摘のように、国の一般の方針から減額せざるを得ないような状態になりまして、しかしこれでいいというわけではございませんで、今後も引き続いて、消防の業務に対して支障のないようにひとつ頑張ってまいりたいと、このように思っております。
  312. 神谷信之助

    神谷信之助君 時間が余りありませんから、端的にひとつお伺いいたします。  この法案が成立をして削減する国庫負担の額というのはわずか三千万七千円ですか、極めてわずかな金額です。しかし一方、五十八年度版の消防白書を見ますと、五十七年度中における火災における損害額というのは千四百九十億七千三百万円、死者は千八百四十九人だし負傷者は八千百十二人という数字が出ています。このように、消防体制の充実を図ってはきておりますけれども、今なお人命を失うあるいは物損がある、非常に大きな火災が全国的に発生をしておるという状況なんですね。そういう状況で、わずか三千万七千円、それを削るために法律をつくる——継続はいいです、延長はね。延長なら簡単で、時間かけて議論する必要もない。もっとふやせぐらいの議論をやる。ところが、それを削っちゃうというようなものを出されているということについて私は大変な問題だというように思うんです。  先ほど大臣もおっしゃったように、交付税では見ておるけれども、それがちゃんと決算見たら使われてない、何とかもっと消防の方を重視をしてもらいたいと言っておるが、国の方もわずか三千万七千円削るだけのやつ、それも削っていきますよと、こういうことなんですね。  先ほど話がありました、何で使われないのか、これ今まで当委員会で私も何遍も言ったことですよ。それは、やっぱり自治体にしたら自主財源の枠が決まっています、少ないですから。そうなれば、できるだけたくさんの事業をしようとしたら、補助の有利なやつにその自主財源をちょびっとずつつけてできるだけ仕事をやっていこうと、こういうように考えるのは当たり前なんで、そういう補助事業の少ないこの消防の問題は、もうそっちよりもこっちだと、こうなる。それで、火災が起こったらそれは大事だ、大変だと言うけれども、のど元過ぎたら忘れてしまうんで、だからなかなかそうは簡単にいかぬと、こういう状況ですからね。逆に言うと、そういう人命も失い経済的にも大きな損失を伴うような消防体制を一日も早く完備をしていくというためには、逆にもっと補助体制を強化せざるを得ぬと、今の自主財源の少ないという条件のところですよ。そこのところを私はひとつお考えいただくことが大事ではないかというように思うんですが、この辺について大臣考えいかがですか。
  313. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) お話がございましたように、私たちも、この法律の改正に当たって、単純に延長できれば一番望ましいことだと思っております。  ただ、御案内のとおり国の財政事晴が悪いということもありますし、臨調の答申の中の地域特例に関します部分の答申の中にも、期限が来たときには見直しなさいというようなことがいろいろ書いてございまして、そういう点から、いろいろ内部的な議論をしながらここまで詰めてまいったわけであります。大変私たちも、先ほど申し上げておりますとおり、単純延長して全体が、人口急増市町村について二分の一が守られれば一番いいのですが、やはりなかなかそうもいきませず、昨年の義務教育施設のときの減らしたということもございまして、十四分の一ほど、財政力のいいところについては御勘弁を願うということにならざるを得なかったわけであります。そういう点をひとつ御理解いただきまして、この七分の三以内に引き下げました点について御了解を得たいと思います。
  314. 神谷信之助

    神谷信之助君 これは、消防施設等の整備費を見ますと、結局昭和五十六年度をピークに年々減ってきていますね。だから、来年度予算は最高時に比べて二割近くの大幅な削減になっている、比較すると。だから、この点で見ても私は重大だと思いますが、同時に、今おっしゃった臨調の第一次答申では、補助負担率の地域特例の問題で、これは終期が来たら廃止を含め抜本的な見直しを行えと、期間中はかさ上げを引き下げろと、こういう答申があった。だからそれに忠実に従って削られたと、三千万七千円でも削りましたということになるんだろうというように思うんですが、これでいきますと、廃止を含め抜本的な見直しでしょう、だから今度は少し、三千万七千円ということですけれども、その次は廃止という方向になっていくんですか、この臨調方針でいくと。
  315. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 私たちは、先ほどから申し上げておりますとおりに、そう簡単に考えているわけではないのでありまして、これから、五十九年から五年間で、六十四年度までの推移をひとつ見たいと思いますが、その六十四年の時点における市町村の人口動態というのがどうなっているだろうか、急増市町村の実態というのがどういう形におさまっているか、そういうことも考えなければいけませんし、あわせて市町村の消防力というのはどの程度充実されているだろうか、整備状況はどうなっているだろうか、その辺も考えながら、やはりその時点で考えてみるべきことだと思っております。
  316. 神谷信之助

    神谷信之助君 時間がありませんので次に移りますが、そういうことでずうっと進んで、消防力の基準、それから整備充実状況、こういうのを見てまだ検討せざるを得ぬというのはわかります。  ただ、私はきょうは一つの問題だけ出しておきたいのは、都市の巨大化が進行していますね。特にその中で超高層ビル、それから地下街、こういう新しい環境が特に大都市中心に起こってきておる。こういう状況が起こっていますね。東京都でもえらいビルがどんどんでき出してきている。こうなりますと、これは新しい超近代的なビルなんだから整備一切整っておるということになるのかもしれぬけれども、何ぼ設備が整っても火災が起こらぬという保証はないんで、火災が起こったときにそれに対応しなきゃいかぬのが消防署の方ですから、そうなると、もう時間がありませんから簡単にしますけれども、低いところならば、はんと割ったらすぐ割れるガラスも、高くなれば高くなるほど風圧に耐える特殊なガラスになるわけでしょう。だから、はしご車で上がって、そしてガラスを割ろうと思ってもガラスが割れない。だから今、東京都の消防庁の方では爆発物を使ってやろうかという研究もやっているそうですけれども、そういう新しい問題も起こってくるという、そういう研究もやって新しいものもつくっていかなきゃいかぬと、こうなってくるわけです。はしご車の方も十階、十一階ぐらいまで何とか行くけれども、そのもっと先へ行きますからね。だから、二百四、五十メートルというような高層ビルができてき出したら、これはもう、はしごだけではどうにも格好つかぬ。いざとなればヘリコプターの救出もせにゃならぬ。片一方、今度は防火体制をちゃんとするから、防火壁をだっとつくって、いざとなれば防火壁だと。そうすると、そこの空間は密室になって煙その他の被害も出てくるし、どうにもならぬという状態も出てくる。だから、そういう点を考えると、この辺の対応というのは、地域で言えば特殊な条件ではあるけれども、それにはそれなりの消防力を備えなきゃならぬという問題も起こってくる。この辺についての対応というのはどういうように考えていますか。
  317. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) おっしゃられますように、最近、超高層ビルがあちこちに建ってまいりまして、全国で今四十八ぐらいあると、こう言われております。百メートル以上の高層ビルが四十八ぐらいになったというのは、戦後、私は大変な一つの革命みたいなものであろうと思っております。  そのために、おっしゃられましたいろいろな消防のための設備が必要になってまいります。それは単に消防だけではなくて、ビルの所有者自身についてもいろんな問題が負荷されてまいりますし規制がかけられるというのは、私はやむを得ないことだと思っております。ただ、これが無限に高くなるかというと、なかなかそうもいかないだろう。要するにビルの構造は、御案内のとおり、いろんな点で厳しくなればなるほど余分な部分がふえてまいりまして事務室はとりづらくなりますから、結果的にはある程度の高さまで行けばもうとまるだろう、その限界が大体今のサンシャインシティではなかろうか。二百二十六メートルぐらいありますが、あれが大体一番いいところじゃないだろうか。そう思っておりますから、あれに対応できる消防計画と申しますか、そういうことがこれからの消防の課題だと思っております。それにうまく対応できるようにやはりやらなきゃいけませんし、その中におられる人の生命も考えて、やらなきゃいけません。そういう点を考えながら消防計画を今練っておりますし、そういう点での対策というのが一番大変なのは今の東京都であろうと思います。何といっても東京都だと思いますが、そういう点を考慮しながら東京都でもいろんなことを今考えておりまして、これらのものが全体的にうまく総合的に組み合わされて、これからのそういう対策ができていくものだというふうに思っております。
  318. 神谷信之助

    神谷信之助君 報道によりますと、超高層ビルの防火担当者は、設備も訓練も万全だというように、みんな異口同音に言うらしいですね。しかし、実際はどうかというと、現在使っている部屋では訓練のときにスプリンクラーを作動させて室内を水びたしにするわけにいかないので、いつも末端試験弁でテストするだけだと。だから、実際に火災が起きたときに排煙設備とかが訓練のときのように作動するのかどうかというのは訓練できぬと言うんですよ。超高層ビルだから、もし火災でも起これば大変なことになるから、それなりの近代的な防火設備はしているだろう。しかし訓練ができなければ、そして実際に作動させて点検することができなければ、これは前のホテル・ニュージャパンじゃありませんが、役に立たないわけです。その後の起こったいろんな火事の報道を見ていましても、訓練をよくやっているところでは人身事故はほとんどない。だから、訓練をやらなきゃどうにもならぬが、訓練ができないような状態一つある。これも私は一つの大きな問題だというふうに思うんです。だから、どのような訓練をどういう形でやれるのかということも研究し、そしてそういう超高層ビルに対する特別の対策というものも考えなきゃならぬのじゃないかというように思うんですが、この辺はどうですか。
  319. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) おっしゃっているとおりだと私も思います。そういう点で、これからの超高層ビルについてのいろいろな施設整備というのは考えなきゃいけません。  もう一つは、今お話がありましたように、十一階以上につけているスプリンクラーが本当に作動するだろうかというのは大変問題ですが、そのためにと言っては非常に問題がありますが、常にそういう試験することができないものについて 国自身が検定協会をつくりながら、そこでやはりよいものを売っていくということをしているわけでして、大体今までのところ、火事になりましてスプリンクラーが動かなかったという例はございませんでした。非火災報みたいに、鳴らなくてもいいときに鳴っているというのはありますが、スプリンクラーから水が出なかったという例はございませんから、おおむね試験の結果としてはうまく作動するというふうに思っております。  いずれにいたしましても、そういういろんなことを考えましたり、あるいは現実にはそういう中につけますじゅうたんだとか、あるいはいろんな合板だとかそういうものに防炎のものを張るとか、いろんなことがやはり法律上は義務づけられているわけですから、そういうことをみんなで守れば、人命上は、ある程度最低限の損害で済まされるんではないか、そう思っております。
  320. 神谷信之助

    神谷信之助君 そういう点では、検査といいますか、点検が非常に大事なんで、ニュージャパンは若干極端な例だけれども指摘をしても言うことを聞かぬ、こうなっているんですから。だから、指摘をしても言うことを聞かなければどうするというやつをびしびしやらなければ、これはだめです。今までの超高層ビルの火災原因を見ると、放火とたばこの火というのが皆さんの資料では多いようですから、だからこれはなかなか完全になくすというのは難しいわけですから、そういう点が一つです。  それから、去年の八月十六日ですか、名古屋の地下鉄で火災が起こった事件がありますね。これは真昼でありながら、二人の消防職員が黒煙に直面をして、とうとう焼死をするという極めて痛ましい事故が起こっています。地下街の火災の場合は特に一酸化炭素等の煙による被害がもう急速に起こるという状態のようですが、名古屋の地下鉄のその火災で、一体どういうものを生かしていこうといいますか、教訓を得られておるかという点はいかがですか。
  321. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 名古屋の市営地下鉄の火災につきましては、私たちも大変遺憾なことだと思っております。とうとい消防士の方が二人亡くなられましたわけで、非常に残念だと考えております一こういうところがいろいろな——の火災の原因を見てみますと、整流器につながっているコンデンサーが非常に劣悪化しておったということがその原因であったようでありまして、そういう点から考えますと、常にそういう予防査察というのが必要だろう、特に地下鉄に関する予防査察というのと、地下における防災センターと申しますか、やはりそことの連携が非常によくできる ようなシステムにしておかなければだめだろう、しかもそれを察知した消防が入るときには、やはりちゃんと命綱、そういうものも完全に点検をしながら、みんながうまく消火に当たれるような方法をとってあげなければいけないだろうと思っております。  特に、今お話がございましたように、地下街では一たん火災が起きますと内部に煙が当然に充満をしてくるわけでありますから、そういう中にいる人たちがパニックを起こすこともありましょうし、そういう点で、よく情報の連絡をしてあげて、住民の退避をまず一番先に考えなきゃならぬというのも一つの教訓であろうと思います。  それから、これから地下街というものにつきましては、相当の配慮をしながら、本当に公益上やむを得ないというもの以外はやはりつくるべきではないんだ、こう思っております。余りこういうものができ過ぎて、実際避難をするときになかなか避難できないということも多いわけですから、最近では運輸省、建設省、警察との間でいろんなことが議論されまして、むしろ不必要に地下街をつくるのをやめようということまで考えておるわけでありますから、どっちにしましてもそういう訓練の問題、警報の問題、伝達の問題、防火センターとの連絡の問題、消防に対するいち早い伝達の体制、そういうことが大変大事なことだと思っております。
  322. 神谷信之助

    神谷信之助君 もう最後ですが、超高層ビルを建てる場合、あなたがおっしゃるように、一定の容積制限などありますから、それからまた経済性の問題もあるから、一定の高さ以上には高くならない。しかし、大体、現在までのところは十一階ぐらいのところ辺で消防計画というか、消防体制ができる、そういうぐらいのやつが、どんどん高いのができてくるというときに、それなりに消防の方は対応せにゃいかぬ、財政負担も要るわけですね。ですから、できてから、先ほど言いましたように、これからガラスを爆破するもの研究しようかなというんじゃなしに、研究されて、できてもちゃんと安全に処理ができるということならいいけれども、できてからどうのこうのと言って研究をせんならぬというのは若干本末転倒しているんじゃないか。だから、超高層ビルの建設等に当たって消防側の意見というようなもの、あるいはそれに対して必要な体制、またそれの財源、これは火災保険の体制、税金をつけたらどうだとかいろんな議論もやりましたが、そういったもの、あるいは建築する者に対して一定のものを負担をしてもらうとかいうようなことも考えるとか、そういうことも含めてちょっと検討していかないと、どんどん建てられるわ、後から追いかけてるわ、消防何しておったんやと怒られるわと、私はたまったもんじゃないと思うんですが、この辺いかがですか。
  323. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 御案内のとおり、今一番はしご車で長いのが四十六メートルでございますから、十五階までしかはしご車は伸びないことになっている。それ以上になりますと、いろんなことでむしろ危険でしょうから、なかなかできないということがあります。そういうこともありまして、十五階以上のところについては附室をつくらせるという仕掛けによって、住民を安全に特別な避難階段の方に誘導して、そこからおろさせるということを高層ビルでは考えておるわけではあります。  今考えておりますのは、ワンフロア作戦といいますか、火事が起きたらそのワンフロアで完全に消しとめるというための防火区画を完全につくって、その中でおさめてしまう、そういうことを、そういう高い建物を見まして、基本として今やっているわけであります。このワンフロアの作戦というのは、むしろ低くても、ホテルでも適用されるわけでありますから、超高層ビルになればなるほど、やはりワンフロアでおさえてしまわなければいかぬ。そういう訓練を現実に東京消防庁などはやっているわけであります。そういうことを通じて、それに必要な資金と申しますか、そういうものが必要であれば、それに対応するようなことをしていかなければいかぬと思っておりますが、これはまた消防だけの問題ではございませんで、建築基準法の問題その他もいろいろございますから、よく話し合いをしながら、その中で解決をしていきたいと思っております。
  324. 三治重信

    ○三治重信君 ごく簡単にお尋ねをいたしますが、今度の改正案で、五十九年から六十三年までの時限立法みたいになっているんですが、六十三年以降は、いわゆる補助金の整理とかいうようなことからいって、やめるというふうなことで了承していいわけですか。
  325. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 人口急増市町村に対します消防施設の整備の財政上の特例措置という問題につきましては、市町村自身が、特に人口急増のところでは消防設備だけではなくて、いろんな点で整備をしなきゃならぬ問題が出てくるわけであります。そういう点から考えますと、五十九年度以降においてもなおかつ相当数の人口急増市町村が出てくるわけでありますから、この法案が通りました後で、六十三年までの五年間だということの中で、その六十三年になってみまして、その次をどうしようかというのは、やはりそのときの市町村の人口急増の実態あるいは消防力というものから考えましたときの整備の状況、そういうものを考えながらその時点で考えていきたいと思っております。
  326. 三治重信

    ○三治重信君 この防火基準の適格表示制度ですね。これは五十六年から始めたようなんですけれども、さらに五十八年度から劇場や百貨店や映画館、スーパー等にも拡大された。その実施を見て、「適」マークという、こういうようなものの効果というものはどういうふうに評価しているんですか。
  327. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 御案内のとおり、川治のプリンスホテルの火災がありましてから、住民に安全に泊まっていただけるようにという最低基準の二十四項目というのをつくって、「適」マークの交付をいたしているわけであります。旅館、ホテルにつきましては七七%ほどに交付をしておりますが、現在、お話のように、劇場でありますとか公会堂でありますとか百貨店でありますとか、そういうところにもう少し拡大をして、そういう住民の安全を図っていかなきゃならぬということを思っております。  そういう点で、五十八年度以来これの指導をしてまいったわけですが、五十八年の十二月の末日で見ますと、三四二%と低いわけであります。しかし私は、こういう「適」マークというのは、ある意味では住民の方々が、この「適」マークがあるかないかということによって、この建物の中で是正されるべきものがあるのではないだろうかということを考えていただく、そういうための一つの情報公開みたいなものでございますから、それらに従いながら、住民の方々はこういう安全基準でいいかどうかということをお考えいただく、消防機関の方は、そういう施設上非常に足りない部分があるならどしどしとやはり是正措置をしていく、そういうことのために使われるという意味で効果があるだろうと思っております。
  328. 三治重信

    ○三治重信君 臨調なんかで、許可認可の整理合理化等で指摘されておりますように、石油化学プラント等に対する保安四法の規制による許認可の統合というのか、実行上の問題、これは協議するというふうになっているんですが、これは実際問題として、工場、事業場の方では災害が起こるたびに、それぞれ役所ごとに取締法だの安全衛生の取り締まりだの災害防止だと、こういうようなことで、一々別々にやられちゃ大変だということがあるわけなんですが、こういうものの関係行政機関の協議はその後どうなっておりますか。
  329. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 臨時行政調査会の方からいろいろな御指摘がございまして、今、自治省と通産省と労働省と、それに行政管理庁が合わさりまして、保安四法に係る許認可について検討を進めております。局長レベルから成ります保安四法関係の許認可事務合理化連絡協議会というものと、関係課長のレベルから成ります検討委員会を設置いたしまして、現在、鋭意検討を重ねており ます。今のところ一昨日、第三回の検討委員会をやっておりますが、逐次この検討委員会を開きながら、対策を決めていきたいと思っております。
  330. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  331. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 御異議ないと認めます。  本案の修正について、神谷信之助君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。神谷君。
  332. 神谷信之助

    神谷信之助君 私は、日本共産党を代表して、消防施設強化促進法の一部を改正する法律案に対する修正案に関し、その内容と提案理由を御説明いたします。  修正案の内容は、人口急増市町村の消防施設に対する国庫補助率の特例措置を、政令で定める市町村についても例外扱いとせず、従来通り適用するというものであります。  質疑の中でも明らかになったように、国民の生命と財産を火災等から守る消防施設の整備の現状は、最小限度の基準を定めた「消防力の基準」さえも満たしてはおりません。  臨調行革のもとで消防施設等整備費は、昭和五十六年度をピークに年々減らされており、来年度予算は最高時と比べて二割近くの大幅な削減を余儀なくされているのであります。予算が一・四倍に増額された昭和五十三年度から五十五年度にかけての「消防力の基準」の充足率の引き上げがわずか二、三%であったことを考えれば、二割近い予算の削減は、いつになれば基準に達するのか見通しさえ立たない現状であります。  特に、補助率が引き下げられる市町村の消防施設整備の状況は、他の市町村に比べて進んでいるとは言えず、項目によっては全国平均を下回っているところもあるのであります。この上、現行制度より補助率を引き下げることは、基準の充足をいよいよ困難にするものと言わなければなりません。  人口急増市町村の財政負担軽減し、消防施設整備を促進するという特例措置趣旨に照らしても、現行制度のままでの延長こそ火災から国民を守る最小限の条件であることは申し上げるまでもありません。  何とぞ慎重審議の上、御可決あらんことをお願い申し上げます。
  333. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ただいまの神谷君提出の修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から本修正案に対する意見を聴取いたします。田川自治大臣
  334. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) ただいまの消防施設強化促進法の一部を改正する法律案に対する修正案については、政府としては賛成いたしかねます。
  335. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) これより原案並びに修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  336. 神谷信之助

    神谷信之助君 私は、日本共産党を代表して、政府提出の消防施設強化促進法の一部を改正する法律案に反対、我が党提出の修正案に賛成の討論を行います。  政府原案に反対する理由は、人口急増市町村の消防施設に対する国庫補助率の特例措置の適用期限延長は当然としても、一都市町村の補助率引き下げという改悪を行おうとしていることであります。これによる国庫負担軽減額は、わずか三千万七千円であります。  昭和五十八年版消防白書によれば、昭和五十七年中における火災による損害の額は千四百九十億七千三百万円、死者千八百四十九人、負傷者八千百十二人となっております。  言うまでもなく、消防の任務は、火災等の災害から国民の生命、財産を守ることにあり、このためにわずかな金額を惜しむことがあってはならないものであります。消防白書の現状は、政府案のような国庫補助の削減ではなく、逆に補助率の引き上げなど、消防施設強化促進のための予算措置が必要であることを示しています。  政府案は、臨調の第一次答申における「補助負担率の地域特例については、終期到来時には廃止を含め抜本的な見直しを行うとともに、財政再建期間中現行の嵩上げ率を引き下げる。」を忠実に実行したものであり、将来、かさ上げそのものを廃止する布石となるものであり、到底我が党の容認し得ないところであります。  我が党の修正案は、政府案における補助率の引き下げをやめ、せめて現状を維持させようとするものであり、人口急増市町村の要望にかなうものであります。  以上で、修正案に対する賛成、政府原案反対の討論を終わります。
  337. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  338. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより消防施設強化促進法の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、神谷信之助君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  339. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 少数と認めます。よって、神谷君提出の修正案は否決されました。  それでは、次に原案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  340. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、真鍋賢二君から発言を求められておりますので、これを許します。真鍋君。
  341. 真鍋賢二

    ○真鍋賢二君 私は、ただいま可決されました法律案に対し、自由民主党・自由国民会議日本社会党、公明党・国民会議日本共産党及び民社党・国民連合の各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。    消防施設強化促進法の一部を改正する法律    案に対する附帯決議(案)   政府は、消防体制の整備と消防力の増強を図  るため、次の諸点について善処すべきである。  一、市町村の消防力整備年次計画の作成等によ   り「消防力の基準」ができる限り速やかに達   成されるよう指導するとともに、消防財政を   充実するため、自主財源の増強、国庫補助の   拡充及び良質な地方債資金の確保を図るこ   と。  一、地震による被害の防止と軽減を図るため、   情報の収集・伝達体制の確立、自主防災体制   の整備等を促進するほか、大震火災対策等震   災対策については、総合対策の整備に努め、   所要財源の確保を図ること。  一、火災予防上必要があると認める場合等にお   ける消防機関の行政措置命令については、適   時適切に行えるよう関係法令について検討す   ること。  一、石油プラント等に対する保安四法の許認可   事務の整理合理化に当たっては、国民の生   命・財産の安全の確保に支障を来たさないよ   うにすること。  一、防火管理を業務内容とするものの防火管理   上の位置付けを明確化するとともに、業務受   託者の教育体制の整備、情報伝達システム、   機器の改善等火災発生に対する即応体制の整   備等について指導の万全を期すること。  一、消防職・団員の処遇の改善を図るため、消   防職員の勤務体制の改善、職場環境の整備、   人員の確保等に努めるとともに、消防団員の   公務災害補償の充実、若年団員の確保等に努   めること。   なお、消防職員の団結権については、他の公  共部門の労働基本権問題とあわせて誠意をもっ  て検討すること。  右決議する。  以上であります。  何とぞ御賛同いただきますようお願いいたします。
  342. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ただいまの真鍋賢二君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  343. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 全会一致と認めます。よって、真鍋賢二君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、田川自治大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。田川自治大臣
  344. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を尊重して、善処してまいりたいと存じます。
  345. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  346. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君)  御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十六分散会      —————・—————