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神谷信之助君 これは
昭和二十九年から六百円で始まって、その後ずっと何回か改正してきましたね。特に当
委員会でも何遍もそういった問題が
議論になって、初めは一千万円未満と一千万円を超えるというニランクだったけれ
ども、例のあの四十九年から五十二年にかけての大企業の横暴に対する怒りというか、世論が高くなる中で、ここでランクが一億円以上、十億円以上、五十億円以上というランクになったんでしょう。それで今現在に来ているのだけれ
ども、支店がずっと多いところもあって大変な
負担だと言っても、支店が多ければそれだけもうけるためにつくっているんで、損するためにつくっているんじゃないんで、だから大きな
負担だと言うわけにはいかぬと私は思う。この点は私は、従来からの経過もあるし、今後ともひとつ
考えてもらいたいというように思うんです。
きょうは、特にちょっと問題にしたいと思いますのは、生産森林
組合の問題なんですよ。時間の関係もあるので林野庁からは来てもらいませんでしたが、林野庁を呼んでいろいろ聞いてみますと、この生産森林
組合というのは非常にうまいこといっているところもありますよ。困難なところもある。非常に格差が広いですね。
生産森林
組合というのは、もう御
承知のように、先祖伝来の山に入会権を持っていて、薪にしたりいろんな雑木林みたいな形で、あれでしょう。しかし、薪、炭つくったりするのがもう振るわなくなって、それで林業振興政策の
一つとして、三十五、六年ごろからですか、生産森林
組合をつくっていくという方向になったと思うんですよ。そうしないと山をどんどん勝手にそれぞれが分割をして売ってしまえば、これはもう林業が破壊される。林業をやるには
一定の面積を持った山地が必要なんですから、林地が必要なんですから、だからそういう山林の崩壊を防ぐためにも生産森林
組合をまずつくってきたという歴史的
経緯がありますね。
これに対していろんな補助
制度や、同時にまた、税の減免
制度も行ってきているという経過をたどってきているんですが、ただ、早くっくったところですと、もう二十年を超えますから、ぼつぼつ立木として売っていけるということになりますね。遅いところはそうもいかないし、杉なんかでは二、三十年程度よりも五十年以上あるいは百年近く持っていれば、うんと銘木になって値が高くなりますね。だから、そういういろんな経営の差が出てくる。したがって、形やその他を中心にしたところでは、まだまだ立木として販売をするまでに至らない。そういう赤字の生産森林
組合というのが半分以上、圧倒的に多いですね、大体。松山なんか持ってマツタケなんかがとれるところは、これは収入がありますよ。だから、早くやって、ぼつぼつ年間に何本がずつ立木を切って、そして植えかえていくという、そういうところへ来ているところもある。だからこれは千差万別なんです。
しかし、現実に見ますと、これは京都の和知町の、ある生産森林
組合の貸借対照表と損益計算書ですが、出資額が四千七百二十八万ですか——ということになるんですね。しかし、出資といっても現金を出したわけではなしに、先祖伝来の山を出資額に充てているだけですから、それで出資額となります。あとは結局公租公課を払う。若干の間伐を売って、その収入で公租公課を払うということで経理をやってきているんですが、この
組合の場合は、五十八年の二月までのあれですが、六万二千円、年間で利益が黒字になっている。ところが、前年の借金があって、四万五千円で、差し引き一万六千四百六十六円ですか。ここではいままでは二万円か、
均等割が。今度十二万円、二万円が六倍になっている。そうすると、一万六千円のやっと黒字が出たやつが今度はもう赤字に転落をしていくわけですね。こういう
状況がある。これはまだ黒字の方ですけれ
ども、間伐売らなければそうはいかない。そうすると、その量で違ってきますね。間伐をどれだけするかは後の樹木の育成にも関係がありますから、好きほうだいにやるというわけにもいかぬしという問題もあるでしょう。だからそうもいかない。
そういうことで、実際に生産森林
組合の方では、現場へ行ってみると、もうかなわぬと言うわけです。それで都市化が進んでくるんだし、森はかなわぬと。実際に
事務所があるわけじゃない、専務さんは一人いるけれ
ども、これは世話役をやっておるだけで、あとはもう皆それぞれ別の仕事をやっておる、こういうことですから、もうこれ以上赤字で、税を払うために金を出し合って倍金をしたりしなければならぬなんていったら分けてしまおうかということにもなりかねない、そういう
状況が生まれている生産森林
組合というのもある。しかし、
日本の林業をやはり守らなければならない、そのために今日までも国としても
一定の投資もやってきた。御
承知のように、林業というのは目に見えてすぐ経済効果が上がるわけじゃない。だから、今はそういうことでつぶしてしまうというわけにはいかぬというのが実態ではないかというように思うんですよ。
そこで、単刀直入に申し上げますが、減免条例、都道府県民税も市町村の
住民税の場合も、減免のありますね、特別の事情がある場合というのが。これの乱用はできないにしても、そういうそれぞれの生産森林
組合の実態を一番よく知っているのは都道府県であり市町村である現場の方ですね。だから、そういう実態に応じてそれぞれが、これは条例に基づき減免
措置をする弾力的運用を行う、そういうことが必要ではないか。これは野放図にするわけにはいかぬ、いろいろな均衡を失するわけにいかぬと思いますが、画一的な形で生産森林
組合に対してはどうというわけにはいかない。もうかっている生産森林
組合もあるし、そうでないところもあるし、実際に二人なら二人で中心になってその山を支えているそういうところもあるし、全員がほとんど面倒見切れないというそういう
状況の中で年に十日なり二十日なり労力奉仕して、とにかく先祖伝来の山を守っていくという生産森林
組合もある。千差万別とまでいかぬけれ
ども、相当いろいろな実態が違うので、こういう問題については、先ほど言った減免のあの条項を、それぞれの実態に応じて都道府県、市町村において弾力的に運用するということが可能でではないのか、あるいは何とかそういう方法を
考えてみる必要があるんじゃないかというように思うんです。この点、ひとつお答えいただきたい。