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1984-02-23 第101回国会 参議院 地方行政委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年二月二十三日(木曜日)    午前九時三十二分開会     —————————————    委員異動  一月十二日     辞任         補欠選任      井上  裕君     上田  稔君      名尾 良孝君     岩上 二郎君  二月二十三日     辞任        補欠選任      上田  稔君     海江田鶴造君      松浦  功君     志村 哲良君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長        大河原太一郎君     理 事                 岩上 二郎君                 真鍋 賢二君                 志苫  裕君                 三治 重信君     委 員                 井上  孝君                 加藤 武徳君                 海江田鶴造君                 上條 勝久君                 古賀雷四郎君                 志村 哲良君                 出口 廣光君                 吉川 芳男君                 秋山 長造君                 小山 一平君                 佐藤 三吾君                 中野  明君                 原田  立君                 神谷信之助君    国務大臣        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    田川 誠一君    政府委員        警察庁長官官房        長        太田 壽郎君        警察庁長官官房        会計課長     立花 昌雄君        自治政務次官   伊藤 公介君        自治大臣官房長  矢野浩一郎君        自治大臣官房審        議官       津田  正君        自治大臣官房審        議官       土田 栄作君        自治大臣官房審        議官       吉住 俊彦君        自治大臣官房会        計課長      大塚 金久君        自治省行政局長  大林 勝臣君        自治省財政局長  石原 信雄君        自治省税務局長  関根 則之君        消防庁長官    砂子田 隆君        消防庁次長    坂  弘二君    事務局側        常任委員会専門        員        高池 忠和君    説明員        国土庁長官官房        防災業務課長   松本 和雄君        大蔵省主計局主        計官       藤井  威君        大蔵省主税局税        制第三課長    津野  修君        建設省道路局道        路防災対策室長  和田  惇君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○地方行政改革に関する調査  (地方行財政消防行政警察行政等基本施  策に関する件)  (昭和五十九年度自治省関係予算及び警察庁関  係予算に関する件) ○地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る一月十二日、井上裕君及び名尾良孝君が委員辞任され、その補欠として上田稔君及び岩上二郎君が選任されました。     —————————————
  3. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事岩上二郎君を指名いたします。     —————————————
  5. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) この際、田川国務大臣及び伊藤自治政務次官から発言を求められておりますので、順次これを許します。田川国務大臣
  6. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) ごあいさつを申し上げます。  このたび、自治大臣国家公安委員会委員長を命ぜられました田川誠一でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。  地方行政委員会委員各位には、かねてより地方自治行政並びに警察行政推進に当たりましては格別の御尽力を賜っており、厚くお礼を申し上げます。  後ほど所信を申し上げることとしておりますが、最近の地方自治行政を取り巻く環境は、その厳しさを加えつつありまして、地方財政再建等、多くの課題を抱えております。また、警察は最近の犯罪増加傾向と悪質重大な事件事故の多発する状況を抱えております。  私は、今後これらの地方行財政上の諸問題の解決と治安の維持に最大限努力を傾注してまいる所存でありますので、委員各位格別の御指導、御協力を心からお願い申し上げ、私のあいさつといたします。
  7. 大河原太一郎

  8. 伊藤公介

    政府委員伊藤公介君) このたび自治政務次官を命ぜられました伊藤公介でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。  地方行政委員会先生方におかれましては、日ごろ豊富な経験と高い識見を持って、我が国地方自治の進展のために常日ごろから大変な御尽力をいただき、心から感謝を申し上げる次第でございます。  浅学非才でございますが、これからは委員各位の御指導、御鞭撻のもとに、地方特殊性を生かした活力ある地方都市発展のために、政務次官としての任務を十分果たしてまいりたいと思っております。今後ともどうぞよろしくお願いをいたします。     —————————————
  9. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 地方行政改革に関する調査議題といたします。  地方行財政消防行政警察行政等基本施策について、田川国務大臣から所信を聴取いたします。田川国務大臣
  10. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 委員各位には、平素から地方行政及び警察行政推進格段の御尽力をいただき、厚くお礼を申し上げます。  この機会に所管行政の当面する諸問題について所信一端を申し上げ、各位の深い御理解格段の御協力を賜りたいと存じます。  最近の我が国における社会経済情勢を見ますと、人口の高齢化経済成長安定化経済サービス化など、さまざまな面で成熟化が進み、住民は単に物の豊かさを求めるだけでなく、ゆとりとか潤いあるいは安らぎといった心の豊かさを重視し、快適な生活環境や個性的な文化活動など生活の質的な向上を求めるようになっております。このような住民のニーズに的確に対応するためには、住民に最も身近な政府である地方公共団体の役割がますます重要なものとなっており、地域社会における人々の参加と連帯を進めつつ地方分権推進を図っていくことが肝要であると確信しております。  しかしながら、地方行財政を取り巻く環境には依然として厳しいものがあり、多様化する行政需要に対応し、地域社会の健全な発展を図るためには、長期的な展望のもとに行財政改革推進し、地方財政健全化に努めることが必要であると考えます。  私はこのような認識のもとに、地方自治を真に国民に定着したものとするため最大限努力を傾注してまいりますとともに、明年度における所要地方行財政施策を講じてまいる所存であります。  以下、その概要について御説明申し上げます。  まず、地方行政住民期待にこたえて個性と活力のある地域づくり推進していくためには、それぞれの地域の特性を生かしつつ、その総合的な整備を図る必要があります。  このため、潤いのある町づくり地域文化振興充実など、新しい分野の行政を含めた総合的な地域振興策推進指導に積極的に取り組んでまいりますとともに、地域社会の均衡ある発展に不可欠な地域経済振興を図るため、広域的かつ総合的観点に立脚した地域経済活性化対策を一層推進してまいりたいと考えております。  また、過去十余年にわたり広域市町村圏施策推進してきたところでありますが、明年度におきましても、広域市町村圏における各種行政サービス中心となる田園都市中核施設整備につきましては、引き続き助成措置を初め所要財政措置を講ずることとしております。  次に、地方財政に係る施策について申し上げます。  まず、明年度地方財政対策につきましては、地方財政健全化を図る見地から、これまでの地方財政措置の方式を見直すことといたしました。すなわち、昭和五十年度以降続けてまいりました交付税特別会計借入金による地方交付税特例増額を原則として取りやめ、これにかえて法律の定めるところにより地方交付税特例措置を講ずるものとし、あわせて既往の借入金について、国と地方負担区分整理を行い、その元利償還の責任を明確にいたしました。このような考え方に立ち、昭和五十九年度に見込まれます財源不足額一兆五千百億円につきましては、地方交付税特例措置額建設地方債増発により完全に補てんすることといたしております。  また、明年度地方財政計画につきましては、以上のような地方財政収支面における不均衡の状態にかんがみ、国と同一の基調によりながら、次の基本方針に基づき策定することといたしております。  その第一は、歳出面において経常経費投資的経費を通じて徹底した歳出の抑制を行いつつ、限られた財源地域住民の福祉の確保住民生活に直結した社会資本整備住民生活安全確保等に重点的に配分することであります。  第二は、歳入面において地方税制改正受益者負担適正化等による収入確保を図るほか、地方交付税特例措置建設地方債増発等により必要な地方財源確保することであります。  第三は、地方行財政運営合理化を図るとともに、国庫補助負担基準改善等財政秩序確立を図ることであります。  この結果、明年度地方財政計画規模は、歳入歳出とも四十八兆二千八百九十二億円となり、前年度に比べて八千三十二億円、一・七%の増加となっております。  なお、地方公営企業につきましては、その経営の健全化を図るため、引き続き交通及び病院事業再建を促進するとともに、上下水道等住民生活に直結した事業中心地方債資金確保する等、必要な財政措置を講ずることといたしております。  次に地方税について申し上げます。  昭和五十九年度の地方税制改正につきましては、最近における地方税負担状況と厳しい地方財政実情にかんがみ、住民負担の軽減及び合理化を図るため、住民税所得割について、課税最低限引き上げ等中心として減税を実施するとともに、低所得者層に係る非課税措置基準額引き上げる等の措置を講ずる一方、法人住民税均等割税率引き上げ自動車税及び軽自動車税税率調整並びに非課税等特別措置整理合理化等を行うことといたしております。  また、基地交付金及び調整交付金につきましては、基地所在市町村実情にかんがみ、所要の額を確保することといたしております。  さて、我が国を取り巻く厳しい環境の中で、行政国民期待にこたえていくためには、国、地方を通じ簡素で効率的な行政を実現するとともに、国民に身近な行政は、地方公共団体が自主的、自律的に処理することのできる体制強化し、地方分権を一層推進することが必要であると考えております。行政改革は今日における政治、行政上の最重要課題であり、政府におきましては、去る一月二十五日に「行政改革に関する当面の実施方針について」を閣議決定し、その着実な推進を図ることといたしております。  地方公共団体における行財政運営につきましては、自主的、自律的な減量化効率化努力が求められるところでありまして、事務事業合理化組織機構の見直し、補助金整理等行政改革を積極的かつ計画的に推進するよう強力に指導してまいりたいと考えております。  また、かねてより、国と地方公共団体の間の事務、権限の再配分、地方公共団体組織職員等に関する必置規制整理、国の地方出先機関整理縮小地方財政基盤確立などに努めてまいったところでありますが、今後とも、国、地方間の機能分担適正化し、地方行政充実させるためさらに努力してまいりたいと考えております。  次に地方公務員行政について申し上げます。  かねてより、公務員秩序確立公務の公正かつ効率的な遂行の推進に努めてまいったところでありますが、今後ともこの方針に基づき、公務能率向上、厳正な服務規律確立、正常な労使関係樹立等を図るとともに、地方公務員給与及び退職手当について適正化を強力に進めることとし、また定員管理につきましても、その適正化を一層推進し、もって住民期待信頼にこたえるよう、さらに積極的に取り組む所存であります。  特に、給与水準が著しく高い団体等に対しましては、計画的に是正措置を講ずるよう、引き続き個別に助言指導を行うことといたしております。  また、地方公務責定年制度につきましては、昭和六十年三月三十一日から円滑に実施されるよう地方公共団体に対し所要助言指導を積極的に行ってまいりたいと考えております。  消防行政について申し上げます。  我が国消防は、戦後自治体消防として新たな出発をして以来、既に三十五年を経過いたしましだが、その間、住民生活安全確保を目指して消防に関する制度施設装備等は着実に整備充実されてまいりました。しかしながら、近年、国民生活を脅かす災害の要因は増大するとともに、複雑多様化する傾向が見られます。  このような状況に対応し、災害から国民の生命、財産を守るためには、今後とも消防科学化近代化推進するとともに、住民事業所及び消防機関が一体となった地域ぐるみ消防防災体制確立することが一層重要であります。  まず、消防機関施設、設備の重点的な整備を進めるとともに、消防職団員専門的教育訓練充実処遇改善に努め、さらに地震、風水害等の大規模災害に備えるため、情報連絡体制充実防災資機材整備を図るなど総合的な防災体制整備推進してまいる所存であります。  また、ホテル、百貨店等、多数の人の出入りする建築物における防災安全対策を一層推進するとともに、防火管理制度整備及び指導体制強化を図ってまいりたいと存じます。  次に警察行政について申し上げます。  申すまでもなく、治安確保は、法治国家の根幹であり、国民の豊かで平穏な生活基盤をなすものであります。  幸い我が国治安のよさは国際的にも高い評価を受けてきたところでありますが、治安水準は一たん悪化するとその回復が容易でないことは、諸外国の現状が教えるところでありますので、今後、国民各位の一層の理解協力を得て、治安確保に万全を期してまいる所存であります。  まず、最近の犯罪情勢について申し上げます。  刑法犯認知件数は、昭和四十九年以降増加傾向を示し、一昨年は三十三年ぶりに百五十万件を超えたところでありますが、昨年は、これをさらに上回っております。また、その内容につきましても、コンピューター犯罪クレジットカード犯罪等の新しい形態の犯罪が多発しているほか、各種国際犯罪金融機関や深夜スーパー等を対象とする強盗事件あるいは多数の死傷者を伴う大規模事故事件が多発しているところであります。  このような厳しい情勢に対処するため、捜査体制充実強化科学技術導入等を図っているところでありますが、今後もこれらの施策を一層推進してまいる所存であります。  また、最近特に、武装化傾向を強め対立抗争が激化しつつある暴力団に対しては、組織の根絶を目指し、集中取り締まりを強力に推進してまいる所存であります。  少年非行は、依然として増勢を続けており、中学生非行増加女子非行増加校内暴力事件の多発等憂慮すべき状況にあります。このため、少年補導活動強化するとともに、少年社会参加活動等少年非行防止のための諸活動推進しているところであります。殊に、少年の健全な成長にかかわりのある風俗環境等が悪化の度合いを深めておりますので、有害環境の浄化について積極的に取り組んでまいる所存であります。  覚せい刑事犯は、厳しい取り締まりにもかかわらず、依然として多発しており、最近では、とりわけ女性への浸透が目立つとともに、乱用者による犯罪事故も依然として後を絶たない状況にあります。このため、関係機関とも密接な連携を図り、密輸入事犯水際検挙に努めるとともに、暴力団中心とする密輸・密売組織摘発等取り締まり徹底し、あわせて覚せい剤を拒絶する社会環境づくりに取り組んでまいる所存であります。  次に道路交通問題について申し上げます。  我が国における運転免許保有者数は四千九百万人に達しようとし、また、車両保有台数も六千万台を超えるなど、道路交通情勢は、過密化複雑化が進みつつあります。  このような情勢のもとで交通事故による死者数は、一段と増勢を強め、昨年は九千五百二十人に達するなど極めて深刻な事態を迎えており、交通安全の確保は国の緊急的課題となっております。  かかる状況に対処し、今後は、交通安全施設整備を重点とする道路交通環境整備運転者教育充実、効果的な交通指導取り締まり活動推進等の諸施策強化するとともに、長期的な視点に立って新たな施策の検討についても積極的に取り組み、交通死亡事故抑止の実効を期してまいる所存であります。  次に当面の治安情勢でありますが、極左暴力集団は、本年も新東京国際空港に対する反対闘争を当面の主題課題としながら、テロ、ゲリラヘの動きを強めており、引き続き凶悪な事件を敢行するおそれがあります。一方、右翼も活動を一段と先鋭化する傾向を示しており、警戒を要するものがあります。  警察としては、こうした動向に対処するため強靱な体制確立し、法と秩序を破壊する暴力行為取り締まり徹底を期する所存であります。また、多様化する災害に適切に対応し得る災害警備体制充実強化にも積極的に取り組んでまいる所存であります。  以上、警察当面の諸問題について申し述べたのでありますが、流動する社会情勢に的確に対処し、治安の万全を期するためには、警察体制整備充実を図り、警察官資質向上を図ってまいることが肝要であります。  このため、昭和五十九年度においては、厳しい財政事情のもとではありますが、現在の治安水準を維持するために、緊急かつ最低限必要な地方警察官五百五十六人の増員を行うことといたしたいのであります。  また、警察官資質向上を図るため、警察教養徹底処遇改善に配慮するとともに、警察職員規律の保持並びに士気の高揚についても一層努力をいたし、もって国民信頼にこたえてまいる所存であります。  以上、所管行政の当面の諸問題について、所信一端を申し述べましたが、委員各位格別の御協力によりまして、その実を上げることができますよう一層の御指導と御鞭撻お願い申し上げる次第であります。  ありがとうございました。     —————————————
  11. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 次に、地方交付税法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。田川自治大臣
  12. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) ただいま議題となりました地方交付税法の一部を改正する法律案提案理由とその要旨について御説明申し上げます。  今回の補正予算において、昭和五十八年分の所得税特別減税措置等によって所得税が減額補正されたこと等に伴い、地方交付税においても、当初予算計上額に対して三百二十二億百九十五万円の落ち込みを生ずることとなってまいったのであります。  しかし、現下の地方財政は、当初予算に計上された地方交付税総額を減額できるような状況ではありませんので、昭和五十八年度分の地方交付税について、総額特例として加算すべき額を三百二十二億百九十五万円増額し、地方財政運営に支障のないようにいたしたいのであります。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  13. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  14. 志苫裕

    志苫裕君 まず、国税が減ったので交付税法改正という段取りになったわけですが、ちょっと国税の方から——大蔵省来ていましたかね。ちょっとお願いします。  これ中身を見ますと、自然減収の分と、それから政策減税に基づく政策減収分の両方にまたがっておるわけですが、私の理解が違っていますか。千五百億円の減税を決めたころのお話では、当初予定額確保できる、大体そんな脈絡で話があって、そのように承知をしておったんだけれども、これは交付税で三百五十億というと一千百億ぐらいになりますかね、三税の方が。ちょっと済みませんが、それがどういう事情でどの税がどの程度落ち込むということになったんですか。
  15. 津野修

    説明員津野修君) 昨年の千五百億円の所得減税が決まりましたのが昨年のほぼ十一月ごろであったかと思います。その当時、当委員会でも税収の見通しにつきまして御質問がございまして、当時私どもがお答えいたしましたのは、税収がこの当時判明いたしておりましたのが九月までの税収でございました。したがいまして、その時点での税収は三分の一程度が判明していた段階でございます。そこで、その後、年末のボーナスの動向とか経済動向とかいろいろ不確定要素もあるということでございましたものですから、税収が当初予算額を達成できるかどうかということにつきましては、我々といたしましては達成できることを期待しておったわけでございますけれども、何分不確定要素が非常に多いということをその時点にいろいろ御説明さしていただいたという記憶がございます。
  16. 志苫裕

    志苫裕君 それで、ちょっと済みませんが、予算委員会でやればいいんだけれども、今わかっているのは十二月末だ。そうしますと、十二月末の租税収入状況、どんなになっているんですか。
  17. 津野修

    説明員津野修君) ちょっと今答弁漏れになりましたけれども、減収を立てておりますのは所得税減税の千五百億と、それから源泉所得税の千百億、合わせまして二千六百億の補正では減収を見込んでおります。  したがいまして、十二月末の税収状況を申しますと、現在の時点で判明しておるところでは、三税収入中心に申し上げますと、これは所得税法人税、酒税でございますが、前年比三・四%の伸びでございます。これは当初予算伸び率が五・九%、補正予算伸び率で見ますと四・八%、これ全体でございますが、ということになっておりますことから見ますと、若干低い状況になっているということでございますが、その十二月末時点での、現在での進捗割合は、当初予算に対しまして五四・八%、補正予算では五五・四%という状況でございます。これは前年同月に対しまして、当初予算ベースでは一・三%、補正後では〇・七%進捗率が落ち込んでいるという状況でございます。
  18. 志苫裕

    志苫裕君 法人税も、私の手元にあるのは、進捗割合が前年同月に比べますと法人税でも二・七%も落ち込んでいるでしょう。それは、こっちは全然関係がないんですか。
  19. 津野修

    説明員津野修君) 今、三税のちょっと収入を申しましたが、法人税の方も御指摘のとおり、十二月末では二・七%進捗率が落ちております。
  20. 志苫裕

    志苫裕君 それは今度のこの千百億に入ってないのですか。
  21. 津野修

    説明員津野修君) 今、千百億の減収額を見込みましたのは所得税の源泉分だけでございまして、法人につきましては補正を立てておりません。
  22. 志苫裕

    志苫裕君 それで、そういうふうにちょっとこれよりも落ち込んでいくんだろうと思うんですが、後で調整行われるんですが、俗に言う若干の食い違い。それは微調整というまさに範囲ぐらいの数字に言うんですが、この程度の落ち込みというのはどうなんですか。微調整の範囲内なんですか、範囲外なんですか。
  23. 津野修

    説明員津野修君) 法人税収についての御質問でございますが、法人税収につきまして十二月末現在では、現在回復基調にございます景気の実態というものが、まだ反映が必ずしも十分になっていない。特に六月から八月まで——前年でございますが、この間の落ち込みがかなり著しいものでございまして、そのリカバリーがまだできていないというところで十二月末までの法人税税収が低調になっておるという状況でございます。それで補正予算では、特に法人税につきまして減収を立てていないわけでございますが、これにつきましては今後、各種の民間の経済機関等の調査、あるいは改定経済見通し、あるいは主税局で行っております大法人に対する聞き取り調査、それからこれまでの課税実績、そういうようなものを勘案いたしますと、必ずしも大幅にそれを下回るというようなことはなくて、当初予算法人税収の見積もりを上回るということはなかなか期待できないかもしれないけれども、それほど大きな落ち込み、下回るというようなことはないということで補正を立てなかったものでございます。
  24. 志苫裕

    志苫裕君 そうすると、五十八年経済見通しを狂わせるほどの、変更するほどの見通しの誤りはないと、こういうふうに見ておけばいいんですね。
  25. 津野修

    説明員津野修君) 御質問の趣旨がちょっと何でございますが、この法人税収につきましては、当然改定後の経済見通しを前提にいたしまして補正予算を組む段階で検討いたしておりますものですから、特にそれに影響するというようなことはないかと思います。
  26. 志苫裕

    志苫裕君 いずれにしても、そっちが狂えば交付税狂ってくるわけでして、狂ってきてさあどうするかと、こういうことで対策が出てくるので、少しその辺を聞いておくんですが、これは後ほども自治省にも関連をするんですが、じゃ大蔵省のところ、ちょっとそことめておきましょう。  自治省、地方税収入の見通しはどうなっているんですか。予定額確保できると。国税の方は補正予算組む計画なんですけれども、地方税の方はどうなっているんですか。
  27. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 地方税収入状況でございますけれども、都道府県の税収状況が十二月末の数字がまとまっております。それによりますと、地方財政計画計上額を達成をいたしますためには、前年度の収入に対しまして三・三%の伸びが必要なわけでございますが、それに対しまして実績の方は四・五%の伸びとなっておりますので、趨勢といたしましては計画計上額をほぼ達成できるものというふうに見込んでおります。  ただ、まあ今国の方の税収のお話がございましたが、法人関係税におきまして多少問題がなきにしもあらずということがお話がありました。それにつきまして我が方も多少心配をしているわけでございます。しかし、全体といたしましてはほぼ計画を達成できる趨勢にあるということでございます。
  28. 志苫裕

    志苫裕君 十二月末の、これは私、手元に道府県民税しかない。道府県民税でいいわけですが、法人の(A)分の(C)だから地方財政計画に対する十二月までの収入額累計、これが道府県民税で八二・二%、事業税で八二・九%、こういう数字が出てますが、念のために、五十七年はその数字に見合うものは幾つだったんですか。
  29. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 法人の県民税につきましては、五十七年度は八四・一でございますので、やっぱり去年よりもちょっと下回うておるということだと思います。  それから、事業税につきましては、去年が八四・三に対しましてことしが先ほど先生お示しの八二・九でございますから、一・四ポイントほど落ちておるということでございます。
  30. 志苫裕

    志苫裕君 ですから、県民税の場合も八四・一で約二%でしょう、二%。さっき国税の場合が二・七か、それから事業税で八四・三と八二・九だから一・幾らですね。これは三月にならぬとわからない話だけれども、やっぱり落ち込みの見通しなんですね、これは。
  31. 関根則之

    政府委員(関根則之君) ただいまの、多分ごらんいただいている資料だと思いますけれども、まあ年度によりましてこの進捗状況というのは、前半が少しのろのろとしておりまして後半急速に進捗率が上がってくるということがあるわけでございます。したがって、私どもとしては全体の累計でどうなっておるかということをむしろ主眼に置いておるわけでございますが、それを見ましても、やはり道府県民税につきましては十二月末で対前年度一・四%しか伸びてない。予算は三・七%見込んでおるわけです。それから、事業税の方は、予算は一・七%を見込んでおるのにちょうど一〇〇・〇ということで、去年と同額であるというような状況でございますから、まあ確かに心配はしておりますが、実は最近十一月、十二月にかけまして大分対前年度の伸びが急速によくなってきておりまして、法人住民税におきます十二月分の単月での対前年同月の伸びは一八・一%を示しておりますし、法人事業税におきましては同じく二三%の伸びとなっておる。そういうふうな、最近ここへきて急速に景気の回復基調が着実になってきておりますので、そういうものが単刀で見ますとあらわれているんではないかと思います。このような調子で好調に推移いたしますれば、まだ多少期間もあるわけでございますので、今までのおくれを何とかカバーできるんではないかなという期待を持ちながら、今慎重に見守っておるということでございます。
  32. 志苫裕

    志苫裕君 皆さんの期待は、五十七年度の予算の例がありますから、予算組んでおるときから狂っておるんですから。仮に二%、今二%というと四百億くらいになりますか。どれくらいの落ち込みになるんですか。
  33. 関根則之

    政府委員(関根則之君) そうですね、事業税の総額が法人事業税で約三兆円でございますから、一%で三百億ということですから、それの二%ということになりますと六百億程度の数字には、計算としては出てくると思います。
  34. 志苫裕

    志苫裕君 減収が出なきゃそれで結構ですが、減収出た場合はどういう対応で臨みますか。
  35. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 年度途中に大幅な税収の減が生じた場合には、従前でありますと補正によりまして交付税の増がありますから、それを引き当てに基準財政収入額の再算定を行うというようなことも行えたんですが、最近は補正増ということもありませんので、専ら減収補てん債の発行で当面をしのいでいく、減収補てん債の償還費を交付税で将来算定していくというような方法をとっております。  五十八年度の税収状況につきましては、ただいま税務局長から御答弁申し上げましたが、財政局としては個々の団体ごとに税収状況のヒアリングを行っております。具体的な減収補てん債の必要があるかどうかについてのヒアリングを行っております。現在までのところは一、二の団体で最終的に減収補てん債をお願いせざるを得ないかというような意向を漏らしているところもありますけれども、そう大きな額ではありませんし、まだどうするかはもう少し一月期までの税収の確定を見きわめたいというような動きであります。  御案内のように、昨年度の場合には大変な減収になりまして、最終的に六千五百億円弱の減収補てん債の発行を行ったわけですけれども、今年度の場合は今のところ、もし申し出がありましてもその額は極めて少額にとどまるのではないかと、このように見ております。
  36. 志苫裕

    志苫裕君 それでは交付税の方へちょっと入りますが、八百三十二億、このうち国税自然減収に見合う分が三百五十二億円ですが、これは従来はどういう処置をしましたか。過去何年のときにどんな措置をしたか。
  37. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 年度途中に税の自然減収に伴う交付税の減額、あるいは所得税の年度内減税に伴う減額についてどのような対応をしたかという点について最近の例を申し上げますと、五十二年度、それから五十三年度、それから五十六年度、それから五十七年度、四つ例がございます。  この中で、五十二年度と五十三年度、それから五十六年度は、いずれも所得税の年内減税が行われまして、この減収額については交付税特別会計が借り入れをしてこれを補てんする、そうしてその借入金の償還については全額国の一般会計が負担する、こういう処理がなされております。  それから、国税三税の自然減収に伴って交付税の減を生じ、これについて補てん措置を講じた例としては、五十二年度、五十六年度、それから五十七年度と三回ございますが、若干処理の仕方は違うんですけれども、基本的な考え方としては、やはり減収額は交付税会計の借り入れで補てんするあるいは国の一般会計が減額しないで立てかえる形をとる、そうしてその補てん分については実質的に二分の一を国の一般会計が持ち、二分の一を地方が持つという扱いがなされております。
  38. 志苫裕

    志苫裕君 今も話があったように、自然減収の場合は特会借り入れで二分の一というルール、それから政策減税による減収の場合も特会が借り入れて、それは国策に基づくものだから国がみんな持つと、こうなっているんですね。今度のはちょっと違うわけで、今度は両方にまたがっておるんですが、両方で八百三十億のうち国が持つ分というのは三百二十億ですね。これは根本的に違っておるわけだけれども、その間の事情をひとつ説明してください。
  39. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 今回御審議をお願いしております地方交付税法の一部改正法の内容として、交付税補正に伴う減額のうち三百二十二億円を国の一般会計の負担で補てんするという内容のものでございますが、今回の法律改正の前提となりました交付税の減額の内容について若干説明を申し上げますと、補正予算によって減額されます交付税総額は八百三十二億円でございます。そのうち国税三税の自然減収に伴う減少額、自然減収が一千百億円でありまして、それに見合う交付税の減額は三百五十二億円になります。それから、いわゆる所得税政策減税、年内減税の千五百億円、これに伴う交付税の減が四百八十億円になります。両方合わせまして八百三十二億円でございます。  従来の方式、従来のやり方でまいりますと、この減収額につきましては交付税特別会計で借り入れをして、そしてその償還費について自然減収分は二分の一を国が持つ、それから政策減税に見合う分は全額国が持つというような扱いがなされてきたわけでありまして、五十八年度の場合も、そういったやり方、方式の是非についても議論がなかったわけではないんですけれども、今回は、昭和五十七年度の国税三税の最終決算に伴う交付税の精算増加額が約五百十億円見込まれております。すでにこれは確定しております。そこで、この五百十億円を、通常であればこれは交付税法の規定によりまして、翌々年度までに交付税特別会計に繰り入れるということになっております。ですから、翌々年度までということですから、五十八年度あるいは五十九年度、少なくとも五十九年度までには繰り入れなければいけないと、こういうことになっておったわけであります。  交付税の精算金をどの年度で繰り入れるかについては過去いろいろ例がありまして、翌年度でこれを使用したこともありますし翌々年度に繰り入れた場合もある。まあ二通りありますけれども、今回五百十億円を五十九年度に繰り入れて五十九年度の地方財政対策の原資として使うべきか、補正の補てん要因として、補てん対策として使うべきかという点について、これまたいろいろ議論があったんですけれども、まあ後でまた御審議をお願いすることにしておりますように、交付税特別会計の借り入れを五十九年度から廃止したい、財政再建の軌道を確実にするために、地方財政基盤強化するためにこの際この特会借り入れ方式というものを取りやめにしたい、こういう考え方が同時に政府部内で固まりつつありましたので、そこで五十八年度の減収に伴う補てんあるいは減税に伴う補てんについては借り入れでない方法で対処したいということで、政府部内で意見の一致を見たわけであります。  そこで、五百十億円についてまずこれを五十八年度で使う。これは計算過程を申しますと、精算金でございますから自然減に充てるのが筋でございます。そこで自然減に伴う三百五十二億円にまずこの精算額を充てる。そうしますと百五十八億円余ってまいります。その百五十八億円、これには手をつけずに翌年度に繰り越して四百八十億については別途国から全額もらうべきだという議論もあり得たわけでありますが、部内的にはそんな議論もあったわけですけれども、御案内のように国の方の財政状況も大変逼迫しておりまして、補正予算の編成をどのようにして行うかでぎりぎりの選択を迫られておったもんですから、この百五十八億円を四百八十億円の所得税減税に伴う減収額に充てまして、なお不足する額三百二十二億円については、これは借り入れではなくて、いわば現ナマで一般会計の負担で補てんする、こういう取り扱いにいたしたわけであります。  私どもは、今回の処理につきまして、何といっても交付税の減額は全額パーフェクトに補てんしたいという考え方で臨んだわけです。といいますのが、五十七年度の補正の際に、御案内のように千五百二十四億円一たん決定した交付税を減額したわけであります。その背景には給与改定の見送りという事情があったわけでありますけれども、いずれにしても、国税三税の減収に伴う減少額を完全に補てんし切れなくて、千五百億円余りは、結局、結果として減額にせざるを得なかったわけでありますが、五十八年度は当初から交付税が前年対比で四・九%減っておりますし、今年度の財政事情大変厳しい状況にありますので、私ども何としても補てんは完璧に行いたい、それを最優先させたわけです。そうして、国の財政事情との兼ね合いで、今申しましたように精算額を四百八十億円に充てまして、残余については一般会計の負担で補てんする。いずれにしても特会借り入れによらないでこの穴埋めをする、こういう方針で臨んだところであります。  したがいまして、内容的には、従来借入金を使い、そうしてその償還費は政策減税分については全額国が持つという、そういうパターンを完全にはとり得なかった、借り入れという方式をとらなかったこともありまして、従来のその方式がとれなかったわけですけれども、私どもとしては、今の国の財政状態のもとで、少なくとも減額する交付税については完璧に補てんするという措置として、今年度の場合これがぎりぎりの措置ではなかったか、このように考えているところでございます。
  40. 志苫裕

    志苫裕君 いろいろ聞いていますと、まああらゆることを考えてね。  ただ、指摘をしておきたいのは、後段ちょっとあなたが触れた、五十九年から新しい制度といえば制度ですが、制度改革をする、借り入れをやめてというのは、それは五十九年からやろうということなんですよ。法律も別にそれはできたわけじゃない。皆さんが大蔵省と話をしてそういうことをしようと言っておるんであって、だれもそれまだ認めたわけじゃない。ことしの措置というのはあくまでも現行の仕組みのもとでやっておるわけでしょう。  現行の制度というのも、これは四十九年の後半から地方財政こんなになって、五十、五十一はとりあえずのこと、しのいで、五十二年から、三年もなるんでこれはもう本格的な制度改革をすべきだとわれわれが言うたのに、ここでも随分議論があったのに、いや、これが制度改革です、交付税会計で借りて、二分の一で金利は全部国が持ってくれてると。その二分の一もだんだんおかしくなって、もうそういう継ぎはぎだらけのことをやめたらと言って、来年かう——いずれこれは交付税で議論になるんですが、そういう制度をやろうかと言っておるちょうどこれ端境期なんですけれども、この端境期に来年の措置を先取りをしてみたり従来のルールはやめてみたりというふうに、これごちゃごちゃになっているわけです。それを説明するのに、財政局長、随分長いわかりにくい説明を時間をかけてやっておったわけだけれども、財政局長、本当にこれ考えてごらんなさい。  五十八年の財政対策を見ますと、五十六年の分の八千五百億円をここへ持ってきて、そうして五十七年の五百億も持ってきたわけですね、これは場合によれば五十九年に多分使う金でしょう。そうすると、実に何とこの昭和五十八年度というのは地方財政四年分のやりくりしているわけだね。五十六年分、七年分、八年分、九年分、これみんなここへ持ってきてやりくりしているという形になるでしょう。随分異常と言えば異常で、猫の手を借りようと何しようと、しゃばじゅうの道具みんな持ってきて何とかここのところをやりくりしておるという印象ひときわなんですが、異常と言えば異常だし、めちゃくちゃと言えばめちゃくちゃだし、なかなか承認できにくいという感じがするんですが、これはやっぱりこの四百八十億円、最低限丸々は国が持つべきだ。それは、減税そのものは国の政策によって、地方自治体の対応能力のないところで、大きい意思で意思決定が行われていくわけであって、結果的には、それは住民も恩恵は受けるんだけれども、それは少なくとも自治体の政策ではない、自治体の意思決定ではないということになりますと、やっぱり現行制度——今お話のように五十二年、五十一一年、五十六年、五十七年減税なかったけれども、この間に積み上げてきたそれはやっぱり一種の制度だ、来年からのことは別にしましても。それをここで簡単に壊すということは、これは承認できない、実際の話。大蔵省、あなたじゃちょっとこれ高いレベルの話になっちゃっているんだろうが、従来この政策減税が行われた場合の財源手当てというものは、何か書いたもんであったんですか、どうだったんですかね。
  41. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 別に自治大臣、大蔵大臣の覚書で、所得税政策減税の場合の減収は国が全責任を負うというふうなものが、書いたもので確認されているわけではございません。ただ、五十二年度初めてでございましたけれども、三千億円の所得税減税が行われたときに、私どもはそれは、今先生御指摘のとおり、地方が頼んでやってもらったわけじゃない、国の方の政策として減税されるんで、それの減収額を地方に負担させるというのはおかしいじゃないか、これはやはりきちっと国が責任を負うべきだと私ども主張しまして、当時まあいろいろ議論あったんです。大蔵省の方の主張からしますと、政策減税とは言い条、所得税のいわゆる物価調整減税的な意味があるならば、所得税全体が伸びている中の一部調整的な減税なんだから、それは当然地方もつき合ってしかるべきだと、それを国が全部かぶるというのはおかしいという議論を大蔵省側はしておりましたけれども、ともかく当時の財政状況のもとで、三千億円の所得税減税については国の政策としてやるんだから地方の負担分は国が責任を負うんだという議論の結果として、九百六十億円について完全補てんが行われたと。それが五十二年にその議論が行われまして、その実績を踏まえて五十三年の場合も、翌年でございましたから、それはそのときの経緯もあるからそうだということで、当省も特に異を唱えたことはなかったわけです。それ以後、五十六年の場合もそういうもんだということできたわけです。  それでは、今回何でそうしなかったんだというおしかりかと思います。  実は、五十九年度の地方財政対策の基本的な論議というのは、いつもそうですけれども、補正予算の議論とある程度税収見通しなどが関連しますので、並行して議論しているわけであります。今回も並行して議論しておりまして、借入金による処理をするかどうか、早い段階では私どもは、場合によってはもう来年からやめるにしても借り入れてこの際はけりをつけといて、来年からきれいさっぱり借り入れやめるということもあり得るじゃないかという議論もしたわけですけれども、まあ借入方式やめようということでこれから行こうということに政府全体そういう方向を確認するのであるならば、まあいいことは早くから始めたらどうだ。五十八年度もこれ以上の借り増しはもういかぬ、そのかわり国の方もつらいけれども現ナマ出す、一般会計だけは何とかやりくりして現ナマ出すということで、実質的には五十八年度補正と五十九年当初というのは同時決着でございますから、そういう形で決着しようということになったわけです。  そこで、そうなると形はきれいだけれども、金目でやや損しているじゃないかという御指摘があるんだろうと思います。確かに百五十八億円だけ、実際、精算金の中から政策減税に当てられておりますから、それだけ地方財源がへこんでいるじゃないか、将来を見通した場合にそれだけ損したじゃないかというおしかりがあるんだろうと思うんです。事実そういうおしかりをあちこちで受けているんですけれども、ただ、これにつきましては、これまたいろいろ立場立場で言い方があるんでありますが、五十七年度の補正措置を講ずる際に、税収見積もりは大蔵省当局も非常に慎重にされまして、結果として五百十億円の交付税の精算増になったわけです。もしあのとき、五十七年度の補正のときに、的確に三税の見積もりがなされていれば五百十億円の精算は出てこなかったわけです。実際には、結果としてはそれは出てきたと。その五百十億円は、五十七年度は交付税特会が借り増ししているわけで、それだけ余計借りたわけですね、結果として。その五百十億円余計借りた分の二分の一は国が持つということで決まっているわけです。  それで、これも後で御審議いただくことになりますが、その国の持つ分は今度は国の一般会計に引き取ってもらうわけですけれども、いずれにしてもその際にもし歳入——国税三税の見積もりが的確でありせば、その五百十億円の二分の一、二百五十五億円は国としては負担しなくて済んだはずなんですけれども、まあ今になってみればそれは負担が決まっちゃって、それを国の債務として引き継いておりますから、見方によっては、私どもは国の歳入見積もりがちょっとかた過ぎたために二百五十五億円もうけたと言っちゃ変ですけれども、余計いただいたという計算にもなっているわけです。  まあそういう議論をした結果として決めたわけじゃありませんけれども、その辺でやりとりとしてはいろいろな要素があって、ともかく、先ほど申しましたように、五十九年度から交付税特会の借り増しは、これ以上借り増したら大変なことになるということで、ここでもう踏み切りをつけようという決意をしたものですから、そこでいろいろ細かいお金の議論をすると議論はあったんですけれども、ともかく五十八年度については精算金と足らざる分は国の方で一般会計が全部がぶって負担して、とにかく補てんするということで決着したわけでございます。  ですから、私どもも、国が政策減税した場合にそれによる減収額を国が責任を持つべきだと、その基本的な考え方を放棄したわけではございません。これによってそういうことはもう考えないということで決めたわけじゃなくて、いわば大きな方式の変更に踏み切ろうというときの処理としてこういう選択をしたわけでございます。いろいろ御批判はあろうと思いますけれども、私どもは私どもなりに一応金の勘定をしながらこういう決断をしたところでございます。
  42. 志苫裕

    志苫裕君 いや、それは、あなたは日ごろわかりやすいことを言うんだが、全くきょうはわかりにくいのばかり言っておる。  それで、従来のやつは皆さんルールだルールだと言って、それは制度だと言うから私もこだわっておるのです。従来のやりようが制度だと言うのであれば、あれでしょう。自然減収の三百五十億円の二分の一でしょう、国が持ったのが。それから、政策減税の四百八十億まるまるでしょう。それを両方足せば幾らか、五百五十億ぐらいにはなるんじゃないですか。五百五十億円損したんですよ。あなたは百五十億とかだんだん値切って物を言っているけれども、そういう見方だってできるわけなんです。まあ来年以降の制度改正を、大蔵大臣に言わせると制度改革をやったと言って自画自賛しておりますが、しかし、それはまだ法律として当院に回ってきているわけでもないんだし院が了承したわけでもないんだし、自治省と大蔵省が話をしたからといって地方自治団体がうんと言ったわけじゃないんだ、これは。しかも、地方自治体は現行の交付税法によってそれなりの財源保障がされているわけであって、そこで皆さんが事務方として自治省でやっておるのです。どうもこれは納得ができない。  まあそればかり言っておってもしようがないんで、これ大臣にも後ほどこの問題で触れておかなければならぬのは、財政局長も当初言ったけれども、これからまた減税政策というのはあるわけで、少なくとも政策減税の分について言えば、わずかだけれどもことしはやっぱり完全に国が見なかったわけであって、いろんなやりくりした結果、これは今後にやっぱり大きい問題になりますよ、これは。この点は大臣来たらまた聞くけれども、今後の政策減税についての自治団体側あるいはその所管をする自浄省の心構えとしては、これを前例とせずという形で、国の意思でやるなら国側で持てという建前はきちんとしてなきゃいかぬですよ。その点局長から伺っておいて、これは大臣にも確認しますが、どうですか。
  43. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) ただいまお尋ねの点は交付税制度の基本にかかわる問題だと思います。  現行制度では、国税三税、これは一種の国と地方の共同税とでも言うべき性格のものだと思いますけれども、それを国が六八、地方三二という割合で分かち合っているわけです。ですから、国の方がいろいろな事情で政策的な減税国税三税についておやりになる場合には、当然国の持ち分の範囲内でおやりになるなら国の問題ですけれども、そういうことは法律技術的にはできませんから、全体を通じて所得税なり法人税なり酒税なりについて政策減税が実際には行われる。そうなれば、その行われた分の三二%分、地方の持ち分、これについてはやはり基本的にはそういう政策を選択した国の方の責任で措置されるべきだと、このように思います。私どもは交付税制度発足以来、ずっと一貫してそういう考え方で今日まで来ております。この考え方は今後とも堅持されるべきである、このように思っております。
  44. 志苫裕

    志苫裕君 ちょっとこの辺自治大臣がさっき所信表明しているときに、ああなるほどそうかなと思った。従来の借り入れでやっていたやり方を地方交付税特例増額といって、来年からやろうと言っておるのを特例措置と、こういうわけ。特例増額というのと特例措置というものの食い違いがわかったんだけれども、ことしの三百二十億というのは特例措置の方なんですね。特例増額じゃないんですね。来年の法律用語の分なんですか、これは。
  45. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 言葉の使い方としまして、特例措置という概念の方が特例増額より広いと思います。特例措置というのは、言葉としてはあくまで特例でございますから、上も下もある、増も減もあり得るわけです。特例増額はまさに増額でございますから増しかない。五十年度以降とられてきた措置というのは借り入れによる加算でございますから、これは特例加算であって加算しかなかったわけです。  今度御審議お願いしようとしております新しい法文では、交付税総額について、地方交付税の安定確保のために必要がある場合に、法律の定めるところによって、特例措置を講じ得るようにしていただきたいと考えております。その場合は、五兆七千億円弱の借金を交付税会計は現在抱えておりますから、将来財政事情がいいときにはその借金を減らすという意味で特例減額も場合によっては必要だと、安定確保のためには必要だという時期も来るんじゃないか。すぐにそういうことにならないと思いますけれども、そういったことも含めて特例増額特例減額も交付税総額の安定確保のためになし得るようにしたいというのが、今度御審議お願いする内容でございます。  今回御審議お願いしております交付税法の一部改正法案は、これは特例増額でございます。穴のあいたものを埋めるという特例増額でございます。
  46. 志苫裕

    志苫裕君 これはまた自治大臣の出席を願ったところで続けますが、ちょっとあと幾らも時間がないんで私も簡潔に聞きますから簡潔にお答え願います。  雪が大変な状況でして、ことしは雪のみならず、夏から雨が降ったり、大水が出たり、山が焼けたりというようなことで大変なんですが、自治省にまず、ことしのこの災害——雪はまだどこまでいくかわからないけれども、もうめどはついたと見ていいんじゃないかという状況で、自治体のいわば追加財政需要をどの程度と見ておるかという大まかなつかみ方をひとつ伺いたいことと、それから俗に特交というのは、追加財政需要は別に地方財政計画ではありますが、ここで言う特に雪に関連をして、自治体も往生しておるわけで、そういう財政需要を特交の配分で処置ができるのかどうか、その辺の見通しのことと、建設省か国土庁、どっちがおいで願っているのかな——両方ともいらっしゃいますか。災害対策本部のある国土庁でも建設省でもいいんですが、そちらさんの方で、特に交通確保のため、国県道の財政の需要はどういう見込みで、それは確保できるかどうか、ちょっと双方からお答え願えますか。
  47. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 今年度の豪雪は、地域によって若干違いがありますけれども、全体として相当大規模なものでございまして、特に山陰、新潟、北陸地域中心に、速報ではありますけれども、いわゆる五六豪雪をどうも上回るような降雪状態になっているようであります。  そこで、私どもとしましては、現在、その豪雪に伴う除排雪経費がどの程度必要になっているかの実態調査を行っております。この二十日現在の調査をきょうまでに提出していただくように調査票を出しまして、現在集まってきております。これを至急集計して必要な措置を講じたいと思っております。まだ全容はわかっておりませんが、例えば新潟県の南部地域中心に、自治体は五六豪雪のときよりも上回る出費を余儀なくされているようであります。これについては、私どもはまず普通交付税で除排雪経費を、これも五六豪雪のときの経験に徴しまして、その後普通交付税の寒冷補正係数を引き上げて、言うなれば五六豪雪のときの特交総額に匹敵するぐらい、あるいはそれを上回る程度の除排雪分を地方交付税で既に算入しております。  しかし、今回はそれでも到底足りないようでありますから、それを充ててなお足りない部分については第一次的には特別交付税で対応したいと、特別交付税にも枠がございますから、できればさらに幅広い国全体としての対応をお願いしたいということで、国土庁にも検討をお願いしておりますけれども、ともかく私どもの守備範囲の特別交付税の中でできるだけの対応をしていきたいと、このように考えております。  その計数的な詰めは現在行っておりますが、先ほど申しましたように、地域によっては五十六年豪雪を上回る状況になっている、非常に深刻な状態にあるということを御報告さしていただきます。
  48. 和田惇

    説明員(和田惇君) 国県道の除雪費につきましてお答え申し上げたいと思います。  先ほど御説明がございましたように、このたびの豪雪は全国的に大変長期的にわたりまして多量の降雪があったわけでございます。二月十五日現在で私ども、都道府県で観測いたしております累計降雪値、これは毎日の雪を足し合わした値でございますけれども、これについて報告を求めておりますが、過去五カ年の同日の平均値を約五〇%ほど上回っておるという状況でございます。こんな中で私どもは全力を挙げまして冬季交通確保に全力を尽くしておるわけでございます。  建設省といたしましては、一般国道それから道府県道につきまして補助を行っておるわけでございますけれども、この除雪費につきましては、二月十五日現在で調べたわけでございますけれども、五十六年度の予算の大部分が使用されている状況でございます。現在除雪費の使用状況調査をするわけでございますけれども、できるだけ最終の除雪費の額を把握したいと考えております。今後の除雪のためにはほかの道路事業費からの予算流用、それから道路整備特別会計予備費などもございますので、そういったようなものの使用を検討しておるわけでございます。いずれにいたしましても、今後とも除雪費の確保につきまして適切な対応を図ってまいりたいと、かように考えております。
  49. 志苫裕

    志苫裕君 国県道の方は、特に県道の場合は制度がございますから、総枠が足りなければ、今お話しのように、少し工夫をしてほかの会計から持ってくるなり省庁全体の財布の中で考えるということだから、これはまあ大体安心できるのかなという判断なんですが、財政局長、問題は、我々も雪国に住んでいまして、また自治体からも強い要望ありますので、国土庁にある災害対策本部にお話ししますと、やっぱり自治体、特に市町村道の場合には特別交付税の中で措置をしてもらうというところからなかなか外へは出にくい。問題は特交でけりがつくのかどうかということになるわけです。  特交と言っても、特交というのはふえるわけじゃないんで、あれ総枠が決まっておるんでして、ゴム風船みたいなもので、一方膨れりゃ一方減るんですから、総枠は同じわけです。  しかも、ことしの雪を見ますと割合に広範囲でしょう。雪がもともと余計積もるところに余計降るのも降っただし、もともと何も降らぬところに降ったのもこれ降ったになるわけで、経費はかかるわけですね。そういう意味では、割合に広範に恐らく需要が出てくることは容易に想定できます。それに、ことしいろんな、前半ですが、災害も多かった。それだけを見ても、しかも雪だけを見れば五六を上回る、場合によれば三八よりももっとひどくもありますから、そういう状況を見ると、どう考えてみたって枠は決まっておるんだから総枠ででこぼこをつけるということでは賄いにくいだろう。なるほど今お話しのように、五六の例もあるので交付税の需要算定をそれなりに厚みを持たしておるというようなことを言うんだけれども、私そう思って念のために私の出身県である新潟の分だけでも事前に、きょうあたり報告来るというやつを事前に県からもらって、新潟の例で言えばこんなことになっていると、現在までにどれぐらいお金を計上をして、これからあとどれぐらい見込まなきゃならなくて、交付税には幾ら算定されておって、差し引き足らぬのがこれぐらいになるという数字を、県分、市町村分を今あげておいたんですが、これを五六の例と見比べていきますと、それよりも自治体の需要は多いだろうというふうに考えると、もうおのずから総枠足りませんということで、五六の場合の例の特例措置の方に、自治体もそうだが、自治省あたりも働きかけなきゃならぬし、それをまた受けとめる方の建設省なり災害対策本部の国土庁なり、あるいは予備費を握っておる大蔵なり、そういうところではもう詰めに入ってもいい時期に来ておるという感じがするもので、念のために新潟の資料をあげておいたんだけれども、だれにやったんだか、それちょっと見ませんでしたか。見てどんな感じでした。あれは全国的に推計の材料になるんじゃないですかね、局長。
  50. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 新潟県の速報値みたいなものをいただきまして、これを拝見しておりますと、既に普通交付税を相当増額したにもかかわらず、さらに自治体の所要経費がこれを上回っている、五六豪雪の際よりもっとはみ出しが大きいという状況になっております。これは、恐らく新潟県、特に新潟県の中南部地域が非常にひどいようですが、こういうことを我々がいままで聞いておった感じとこの数字とは一致いたします。  ただ地域によって、前回の五六あるいは三八豪雪と比べますと、やはり今回の豪雪は、全国的に雷は多いんですけれども、地域的な傾向としては新潟県南部から富山あたりが非常にひどいようです。それから、北陸を中心に山陰地方まで広がっていると、こういう傾向でありまして、ほかの地域、特に今度は東北北部から北海道の方の状況がどうなっているのか、このデータがまだ入っておりませんから、全国的に普通交付税で見た分の上回る分が前回を上回るのかそれ以内なのか、その辺がまだつかみかねております。
  51. 志苫裕

    志苫裕君 災害対策本部、ちょっとその点の検討はどうなっていますか、市町村道の検討は。
  52. 松本和雄

    説明員(松本和雄君) お答え申し上げます。  市町村道の除排雪経費につきましては、第一次的には自治省におきまして適切に措置していただくようにかねてから御要望申し上げておるところでございますが、御案内のとおり、今冬の積雪は、例年に比べましてかなりな水準に達しております。所によりましては五十六年の水準を超えるところもかなり出てきております。また、雪の降り方も、いわゆるドカ雪型ではなくて断続的に降り続けるということになっておりまして、これが今冬の積雪の一つの特色であろうかと思っております。  このようなこともありまして、関係地方団体などからは、どうしても除排雪経費がかかり増しする、特に市町村道につきましては、先ほど御指摘もありましたような特別の措置を講じてほしいというような声も数多く寄せられております。  ただ、このような措置を検討いたします場合には、まずもって具体的に各地域におきます積雪等の状況を把握する必要があります。現在、建設省と共同で調査を急いでおります。調査結果を踏まえまして、関係省庁と十分協議をして対応してまいりたい、このように考えています。
  53. 志苫裕

    志苫裕君 大蔵省、何かありますか、発言
  54. 藤井威

    説明員(藤井威君) 今、国土庁、建設省から御答弁がありましたような調査が行われておること、我々も承知いたしております。その調査結果を見て検討してまいりたいと思っています。
  55. 志苫裕

    志苫裕君 じゃ時間が来まして、あと一つ二つ通告しておいたけれども、またこの次の機会にしてください。  いずれにしましても、特にこれも自治大臣来たらやりとりしますが、財政局長、私は特交の総枠ではちょっと無理じゃないかと。五十六年のときに二百何十億ぐらい、雪の分、特別上積みがあるようですが、ちょっとそれでは賄い切れない心しかも、後半でという感じもいたしますので、これは自治大臣にも要望しますが、自治省の方でも五六の例に倣いまして自治体に、雪国の自治体の住民にひとつ迷惑をかけないということで、ひとつ対応してもらいたいと思います。時間も迫っておりますので、よろしくお願いします。
  56. 原田立

    ○原田立君 過日、政府は、地方財政健全化に資するためという理由で交付税特別会計の借り入れをやめ、既往の借り入れの元利償還を国と二分の一ずつ負担する等の内容で地方財政対策を発表しておりますが、この内容は国の財政難を理由とした地方への負担増を強要する、そういうものと私ども受け取るんですけれども、所見いかがですか。
  57. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 五十九年度の地方財政対策におきまして、五十年度以来続けられておりました交付税特別会計の借り入れによる交付税特例増額方式を原則として廃止する、そして五十九年度以降は必要な特例措置をいわば一般会計の枠内で行っていくというふうに変更しようと考えておるわけですが、これはやはり、これ以上借り入れを続けるということは、その借り入れの負担あるいは元金負担あるいは利子負担、これが国のみならず地方財政にとっても非常に大きな問題を残す、地方財政基盤を揺るがしかねないおそれがあるということで、言うなればこれは地方財政の将来の基盤を健全に保つという配慮からも今回の新しい措置をとることにした次第でございます。
  58. 原田立

    ○原田立君 ですから、新しくやったのは地方への負担増を強要しているんじゃないかと、この指摘に対してあなたは答えてない、まだ。それから、地方、国との財政負担については、今も言うたように、当初は元金は二分の一負担、利子の負担については全額国の負担、今まではそうだったわけですよ。ところが、今回は元利とも二分の一は地方負担となっており、五十九年度の地財対策でも三千六百三十八億円を地方負担に加算算定したと明記されているんでありますが、これは明らかな地方負担増となっていくんじゃないですか。
  59. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 確かに五十七年度までは交付税特別会計借入金の利子は全額国が負担しておりました。五十八年度の地財対策におきまして、いろいろの経緯を経て、特会の借入金の利子につきましては国と地方の元金の負担割合に応じてそれぞれ国、地方が負担するという方式に改めました。この点は、確かに地方財政にとっては従来に比べて後退だという御批判をされてもやむを得ない措置でありますが、国、地方を通ずる現下の財政状況のもとで私どもはやむを得ざる選択というふうに受けとめたわけであります。  なお、五十九年度におきましては、新たな借り入れを行わないということとの関連においてと申しましょうか、十一兆五千二百十九億円の交付税会計の借入金につきまして、これを国、地方のそれぞれの負担分に分けて、国の負担分五兆八千億円余りのものについてはこの機会に国の一般会計に引き取っていただく、振りかえていただく、こういう措置をとることにいたしました。そういたしますと、当然それは国の借入金になりますから、その分の利子は国が当然負担いたします。元金も利子も名実ともに国の債務になるわけです。そういう整理の機会に、地方の負担分として交付税特会に残る分については、この機会に利子の方も五十八年度同様に地方が負担するということにしたわけです。負担区分を明確化するこの機会に、利子についてもそれぞれの負担原則を明らかにしたということでございます。したがいまして、その意味で確かに利子分だけは地方の負担がこれからずっとふえていくじゃないかという御指摘、そのとおりでございます。私どもはその利子の負担を前提にして地方財源総額を計算して、そして地方財政運営に支障のないように必要な措置はとっていきたい、このように考えているところでございます。
  60. 原田立

    ○原田立君 五十九年度の財源不足一兆五千百億円のうち、交付税の増額三千四十九億円、建設地方債一兆二千五十一億円で補てんしているとしておりますが、交付税増額の中身に疑問が実はあるわけでありますが、特例措置として三百億円予定しておりますが、この三百億円は後年度返済すべきもので地方負担には変わりはない、こういうふうに思うんですが、どうですか。これが一つ。  それから、歳出面についても、財源不足を理由に地方単独事業の切り込みから対前年比はマイナスとなり、地方の景気対策、住民サービスの低下につながることが強く懸念されておりますが、こういう地方単独事業の切り込みということも、地方の独自性というものを、地方自治の趣旨というものを壊すような行為につながるんじゃないか。  一方では、各自治体とも財源確保対策として公共料金の値上げに走ろうとしている。これはもう新聞等でも盛んにいろいろ推測されておりますけれども、こういうことになれば住民サービスの低下につながることが非常に強く懸念される。  以上、その三百億円の問題と単独事業の切り込みと公共料金の値上げと、三点について御説明を願いたい。
  61. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) まず、五十九年度の地財対策におきまして千七百六十億円の特例措置が講じられることになっておりますが、そのうち三百億円については昭和六十六年度以降精算するということにしております。  今回、交付税特別会計借入金による特例加算方式を改めまして、交付税総額特例措置を毎年度法律で定めるという新しい方式に移行しようと考えているわけですが、新しい方式というのは、やはり今後の国、地方の財政を見通しながら、地方財政運営に支障が生ずる場合には交付税特例増額を行う、また地方財政事情が許せば交付税の安定確保のために時には交付税の減額も行う。いずれも、増額の場合も減額の場合も、交付税率、三二%の基本は変えないということでやりまして、その特例分は昭和六十六年度以降、増額の場合も減額の場合も精算するという考え方をとっているわけであります・ただし、今回、五十九年度の千七百六十億円につきましては、そのうち千四百六十億円につきましては、これは過去の経緯で、いわゆる覚書に基づく臨時などがありますので、それ相当額は一応これは精算から除外する、いわゆる地方がいわばもらいっ放しにして、三百億円だけを新しい方式に基づく精算にしようということでございます。ですから、これ返すんだから借りたと同じじゃないかという御指摘かと思いますけれども、減額の場合は返してもらう、増額の場合は返すという、そういう特例措置を今回やろうということでございます。これは、基本的にはこういう厳しい財政状況のもとで交付税の安定確保をしていこうという考え方の一つのあらわれと御理解いただきたいところでございます。  それから、地財対策を立てる前提となりました五十九年度の地方財政収支見通しの中で地方の単独事業を三・三%も減らしているのは地方施策の低下につながるんじゃないかという御指摘でございます。  実は五十九年度の地方財政収支の見通しを立てるに当たりましては、御案内のように国の財政は大変な抑制基調で運営されております。予算編成、大変抑制基調で編成されたわけでありますが、地方財政につきましても、今日の増税なき財政再建路線のもとで対応するためには国も地方協力しなきゃいけないということで、地方財政についても極力歳出の抑制を図るという基本的な考え方に立ってそれぞれ見積もりを行ったわけです。ただし、地方の一般単独施策につきまして、地方の教育とか福祉関係などの一般単独施策につきましては、私どもはそれぞれ必要な増加枠を確保したつもりでございます。ただ、投資的経費の中の単独事業につきましては、御案内のように、最近ここ数年間は国の公共事業をはるかに上回る形で地方財政計画上は単独事業の増額を図ってきたわけなんであります。  しかし、決算を調べてみますと、地方財政計画ほどには単独事業が実際伸びていなかった、そのために地方財政計画と決算との乖離が非常に大きくなっておりまして、その決算乖離につきまして臨調その他でたびたび指摘されるようになっております。私どもはこの機会に、現在の決算と地方財政計画の積算内容等をいろいろ比較分析しまして、どうも説明のつかない乖離については乖離を是正したいという考え方で五千八百億円ほど減額したわけです。それから、いわゆる減額と、形の上では減額になりますけれども、事業を減らすというそういう意図のもとに減額を立てたんじゃなくて、地方財政計画と決算との開きをこの際調整すると、乖離を是正するという趣旨でこれを行ったわけです。  このようないわゆる規模是正、乖離是正というのはこれまでも常に行ってきておりまして、主として人件費で、五年ごとに行われる給与実態調査の結果による人員乖離について、しばしばこれまでも規模是正を行ってきております。これは増員ではなくて規模是正であります。同じ考え方で、単独事業につきましても実態と計画とがかなり開いてきたものですから、これを是正するということで今回五千八百億円調整したわけであります。そうした上で三千億円の新たな見地に立った「まちづくり特別対策事業」を計上するということで、スタートラインを一応調整した上で必要な増額を図るという考え方に立っているところであります。  それから最後に、使用料とか手数料等のいわゆる住民負担の問題でございますが、これにつきましては今回国の予算でも同じ基調に立っているわけですけれども、各種行政サービスのうちにはやはり直接受益住民の方に経費の一部を負担していただく方が公平であると考えられるものが少なくないわけであります。そういったたぐいの行政経費につきましては、コストの上昇に応じて使用料や手数料等の負担をこの際お願いしたい、適正化したい、こういうことで増を見込んでおります。私どもは決して大幅な増を見込んだわけではございませんで、経費の増に対応して必要な増加を見込んだということでございます。    〔委員長退席、理事真鍋賢二君着席〕
  62. 原田立

    ○原田立君 一番最初に質問した財源不足一兆五千百億円、その穴埋めを交付税の増額三千四十九億円、建設地方債増発一兆二千五十一億円、こういうことだけれども、その三千四十九億円については、交付税会計の償還方法の変更による千二百八十九億円と五十九年度の地方交付税交付金の特例措置の千七百六十億円、合計三千四十九億円ですけれども、この千七百六十億円の内訳である既往利差臨特九百二十五億円、既往地域特例臨特三十五億円、財対臨特五百億円、合計千四百六十億円、これに三百億円を上乗せしていわゆる千七百六十億円と、こうしているわけなんだけれども、今言った既往の臨時関係ですね、これは今後も十分こういうようなこと等は確保されて進んでいくんですか。
  63. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) このいわゆる利差臨特あるいは地域特例臨特、財対臨特と、いずれもこれは過去の経緯がありまして、自治大臣と大蔵大臣の覚書によって臨時として地方にいただくという確認がなされております。  今回の特例方式の採用に当たりまして、いわゆる臨時方式はやめる、交付税総額特例加算、特例減額という方式で交付税の安定確保を図るということにしたわけでありますが、その際に、当然、特例措置を講じた額については将来、三二%変えないわけですから、精算があるわけです。精算の際には私どもは、過去の約束でありますから、お約束に基づく額はカウントさるべきであると、このように考えております。
  64. 原田立

    ○原田立君 あなたは三二%は変わらないんだと、落ち込みはしないんだと、こういうことを言ってるけれども、足らなくなったときには臨時関係でかさ上げしてあげましょうと。ということは、一生懸命地方団体が節約して黒字にしたと、こういう余裕金が出たという場合にはそれはちょっとはねますよという、そういう裏があるんじゃないんですか。    〔理事真鍋賢二君退席、委員長着席〕
  65. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) この点につきましては、例えば利差臨特などは、覚書の中に、地方財政が将来健全化されるあるいは制度の抜本改正が行われるというような場合には、これはやりませんということを書いてあるわけです。要するに、地方の方が財政がよくなってくればそれは出しませんと、それまでは出しますと、こういう表現になっております。  それから、地域特例臨時の方はそういう留保はついておりません。その一定額を出すということをはっきり約束しているわけです。ですから、その辺は地方財源が不足するような事態の場合には議論がないと思いますけれども、地方財政収支がある程度好転して、将来に備えて交付税が多少リザーブできるような状態になったときには、確かに国庫当局の立場からすれば、もういいじゃないかという主張が出てくる可能性はあります。  私どもは、その辺の状況認識にもよりますけれども、この約束の原点に立って必要な主張はしていきたいと、このように考えております。
  66. 原田立

    ○原田立君 政務次官もひとつ十分心得ておいてもらいたいんですけれども、自治省は地方団体の味方であるわけでしょう。大蔵省、国の財政が困っていることはわかりますけれども、それに攻め込められちゃって、地方財政が窮屈になるような方向に賛意を表するようなそういう自治省であっては困るんですよ。おたくの、自治省でやっぱりからっと盾になって守ってもらわなければならないと思う。あえて二、三の点を申し上げたんだけれども、借り入れの問題にしても、従来三二%は地方交付税とはっきりしている。だけども、今度は借金をした分は、半分は残しておいて半分は一般会計に入れて、利息は地方負担ですよと、こう言う。何となく既得の、既往の地方自治団体をしっかり守ってやろうとしてきたのがこう削られたと。だんだんだんだん削られてくるようなそういう心配をするんですよ。  あなたは、いろいろ聞きたかったんだけれど、自治省の石原財政局長は、借金依存体質を改善する方向の方法であって大変結構な方法であるということをあなたは言ったというんですけれども、そうすると、それじゃ余り国の方の大蔵省寄りのべったりの考え方で、どうも私は納得しがたいんですよ。そういう両面についてのお答えを願いたい。
  67. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) もちろん私どもは、基本的な立場といたしまして、政府部内において地方の立場に立って地方行政が安定した運営ができるように必要な財源確保する、制度的な盾になっていくという決意で臨んでおります。  正直申しまして、最近の状況は、国の財政が御案内のように大変な状況になっております。そうした中で、私どもが従来の主張を従来の考え方のままで貫き得ないようなところまで国の財政が落ち込んでいることは事実であります。そうした中で我々がどこまで地方のために地方の立場に立って主張するか、この辺は大変苦しい立場に立たされる場面がふえているわけです。私どもはそうした中で、やはり当面の問題だけでなくて将来の地方財政も考えながら地方財政の基本だけは守っていきたい。国の財政が苦しくなってきますと、いろんな要求、いろんな主張が出てくると思いますけれども、そうした中でやはり地方財政の将来の基盤というものをしっかり守っていかなければならないという考え方を貫いていきたいと思っております。  そういった意味で、交付税特別会計の借り入れをやめるということは——やはり借り入れというのは、国の一般会計の財源の制約を受けない、それとは別のところから財源を持ってくるわけですから、当面は確かにやりくりはそれだけ楽になるわけですけれども、その結果交付税特会の借り入れが十一兆五千億にもなってしまった。これを今後どんどんふやしていった場合どうなるんだろうか、このことが果たして地方財政のためにプラスになるのだろうかということを考えざるを得ないところまで来た次第でございます。そういうことで、いろいろ考えながら、やはり今日の事態というのは、私は地方財政の殻の中だけでは問題は解決できない、国そのものの財政を直してもらわないとこれからの地方財政というのは安泰でいられなくなるという気持ちも私は持っております、個人的には。  そこで、今回借り入れをやめて、特例措置を一般会計の枠内といいましょうか、一般会計の負担で特例措置を講じていくという方式に移行するということは、それだけ確かに苦しくなることは事実でありますけれども、私は、将来の地方財政にとって問題のより基本的な解決に近つぐ通じゃないかというようなことも私自身は考えております。  いずれにいたしましても、不当な負担転嫁などを地方に押しつけるというようなことについてはあくまで反対していきたいと思っております。国、地方を通じて、増税をしないで財政を立て直す方式を政府は採用しています。この方針地方にも御協力いただかなければできないわけですから、その限りにおいて、地方財政計画などにおいて歳出を抑制基調で積算せざるを得ない、この点は御理解いただかなければならないと思います。  私どもは、国の財政の立て直しのために地方が犠牲になるというようなことは、絶対にこれは排除していきたいと思っております。
  68. 原田立

    ○原田立君 先ほど志苫委員の方からも質問があったんですけれども、地方交付税の減額、すなわち自然減収分については三百五十二億円、政策減税分については四百八十億円、八百三十二億円が減額されての額でありますが、この上記の補てん措置としてですね、五十八年度における特例加算額三百二十二億百九十五万円ですか、それと——まあ一つずつ聞きましょう。これはもうこのままで、地方団体はまた国の方へ返すようなことはしなくてよろしいんですね。
  69. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 今回法律改正お願いしております三百二十二億百九十五万円の加算額については、これは一般会計の負担でございまして、将来精算とか返還とかいう問題はございません。
  70. 原田立

    ○原田立君 もう一つの五十七年度決算に伴う精算分ということで五百九億九千八百五万円が計上されているんですけれども、この計上の仕方は私は非常にまずいんじゃないかというふうに、こう私は思うんですよ。というのは、これは五十九年分として残しておいてよいものであって、それを五十八年度の補正のその補てんの中身にするというのは、先ほどの説明があったけれども、従来のやり方からすると、早手回しに先食いしちゃっているという、そういう印象がぬぐえない。地方団体の財源だとしてこれはがっちり残しておいて、五十九年度に使うべきような性格の金ではなかったのか、またそういうふうな主張を自治省はしたのか、頑張ったのか、その間の経緯、お考え方を聞かしてもらいたい。
  71. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 補正段階で交付税の減少を生じた場合の対応の仕方として、過去の例なども先ほど来御答弁申し上げておりますが、五十八年度の場合、考え方としては、税の自然減収に伴う交付税の減三百五十二億円、これについては過去の交付税の精算増があればそれを引き当てにする、いずれもこれは精算増減の結果生じた、いわば自然増減の結果生じたものでありますから、これを引き当てにするというのは、これは筋道として問題ないと思うんです。要は、政策減税分について過去の自然増の結果として生じた精算額を充てることの当否ということではないかと思います。  先ほども御答弁申し上げましたように、補正の段階で交付税の減額を生じまして、従来であれは、こういう場合には交付税特会でもってすっかり全部借りちゃいまして、そうして後、償還の段階で自然減の分は二分の一国庫負担、政策減税分は国が全額負担というやり方をとってきたわけであります。私は、考え方としてはそれも一つの正しい考え方だと今でも思っておりますけれども、五十八年度につきましては、この補正予算と同時に五十九年度の地方財政対策の論議を進めておりまして、交付税特会の借り入れが余りにも大きなものになってしまったために、これ以上の交付税特会の借り増しはできれば避けたいという考え方を私どもも国庫当局も持った次第であります。そういう背景のもとで、三百五十二億円の自然減について五十七年度分の精算増を充てるということを考えたわけです。  なお、精算増の交付税をどの年度に繰り入れるかにつきましては、現行の交付税法では翌々年度までに繰り入れるということになっておりますから、五十七年度分の精算額は五十八年度でもよし五十九年度でもよしと、五十九年度より後には持っていけないわけです。法律上は五十九年度までに繰り入れろと書いてありますから、どちらの年度に使うかというのは、結局そのときどきの扱いの問題であろうと思います。  私どもは、五十八年度の財政状況、あるいは五十九年度以降交付税特会の借り入れを行わないことにしたいという考え方を持っておったという背景のもとで、この五百十億円の精算額については、まず三百五十二億円の自然減に伴う減収に充てることにしたわけであります。そうして百五十八億円余りが出ますから、その百五十八億円は政策減税に充てまして、なおかつ足りない分三百二十二億円を国の一般会計の負担で補てんする。そうして五十八年度については交付税の減は来さないようにして財政運営に支障なからしめることにするということにしたわけであります。  したがいまして、この段階でいま問題になるとすれば、百五十八億円を政策減税に振り向けたという点についていろいろ御批判が出てくるであろうと思いますけれども、言うなれば大きな方式の変更を前にしての処理として、私どもは五十八年度の国、地方を通ずる財政環境のもとではこういった方式で御了承いただかざるを得ないと、このように考えた次第でございます。
  72. 三治重信

    ○三治重信君 どうも余り質問の範囲が限られているんで同じようなことになるかもわかりませんが、私は、地方交付税制度をこうして今度五十九年度から改正されるということについてはまあ賛成であります。しかし、今まで足らない分を借金で賄ってきたという理由はどういう理由なのか。それはもうどうも、一般経費の金を財投なんかで借りて特会で処理してきたというのは、財政当局とすると一般財源に充てる交付税財源借入金でどんどこどんどこ借りてきて、もうこれ以上借りると元利償還に困っちゃうからというようなことで、その反省はいいんだけれども、地方交付税のプラスアルファの金というのは、これみんな一般財源でしょう。そいつをみんな借入金でやるという精神というのは、財政当局としてどういうことなんですか。
  73. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) ただいまの御指摘が財政担当者としては最もつらい御指摘でありまして、それなるがゆえに今回この改正を決意したわけでありますが、実は、交付税特別会計借入金によって交付税の不足を補う、こういう方式は、交付税制度ができましてから初めて導入したのが昭和三十九年度でございます。人勧に伴う給与改定の実施のためにどうしても地方財源百五十億ほど足りなくて、当時の国庫の財政の状況からそれを手当てできないということで、交付税特別会計が借り入れをしてこれを賄う、しかしその借り入れたものはなるべく早く翌年度以降の交付税の増の中で返していくという考え方のもとに借り入れが行われたわけであります。事実、三十九年度に借り入れた金額は、その後たしか六年ぐらいの間だと思いましたが、全額交付税会計の負担で返還を完了しております。  それからまた逆に、地方財政収支を見通して、交付税に若干余裕があると考えられたときには、将来に備えて交付税特例減額をしたこともあります。昭和四十三年度、四十四年度、四十五年度と、三年度にわたって交付税特例減額したわけです。その減額した分は、昭和四十六年のニクソンショックのときの交付税の不足のために全額返してもらっております。  そういうように、交付税というのは三二%として定率で決まっておりますけれども、その時々の地方財政収支の状況によっては増額の特例を講じざるを得ない場面がありまして、その際に、国の一般会計の負担で特例措置を講じたこともありますけれども、多くの場合交付税特別会計の借金で当面をしのいでいる。しかし、なるべく早くこれを交付税会計で返していくという運用がなされておったわけです。ですから、そういう意味で、この短期の変動に対応するための借り入れあるいは特例減額というか留保というのは、私は、交付税制度財源保障機能を全うする上でこれは必要であったんではないか、やむを得なかったんではないかと思うのであります。  問題は昭和五十年度以降でございます。第一次石油ショックの後の地方財政のピンチの際に、国の方も大変なことになったわけですが、交付税に大穴があきまして、一兆一千億円余りの交付税の減額が五十年度補正段階で生じたわけです。ほかに手だてがなかったために交付税特別会計で借り入れをいたしました。当時の考え方としては、近い将来景気が回復して状況がよくなるだろうと、そうしたら交付税会計で返していったらいいじゃないかという考え方を持っておったわけであります。ところが、五十年度以降の財政は、御案内のように、ますます収支不均衡が拡大していきまして、借りたものが返せない状態になってしまった。そこで、五十三年度にはこういう交付税特別会計が借り入れによって交付税の必要額を賄うというのをいわばルール化したわけであります。その当時のルール化の前提としては、近い将来税制の抜本改革があるんじゃないかと。当時、政府の税調を中心に大型消費税の導入を前提とした議論が行われておりまして、そういう抜本的な税制改正によって国、地方を通ずる財政状態の改善が図られるんじゃないかということを期待しながら、五十三年度に特別会計の借入金による特例加算ということがいわば法律上の制度としてでき上がったわけです。しかし、当時の考え方としては、これもなるべく短期で終わらせたい、終わらせなければいけないという考えでおったんですけれども、それが事志に反しまして、その後ずるずるとこの借り入れによって交付税特例増額をしなければ地方財政運営ができないという状態が続いて、五十八年度まで立ち至ったという次第でございます。  五十九年度は、歳出を極力抑制するという前提のもとで、地方税収についてもある程度期待できる、それから交付税の原資の状態も前年度よりもかなり改善されるというようなことから、地方財源の不足額が前年度の半分以下に減るという状況になりましたので、この機会に、交付税特会の借金による交付税特例増額という方式は、先生御指摘のとおり、非常に不健全な方式でありますから、この機会に廃止したいということにいたした次第でございます。
  74. 三治重信

    ○三治重信君 そうすると、前は一時的に借りたこともあると、それから余って預けておいたときもあるしということなんで、まあそれはそういうふうな弾力的なやつでやってきたんでいいんだが、特別な五十三年の大変な歳入欠陥によって借り入れに手をつけたら、それがまあ習い性になってしまったと。  そうすると、五十三年以降だけで十一兆円も借りたわけなんですか。
  75. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 十一兆五千二百十九億円は、主として五十年度以降の借り入れでございます。
  76. 三治重信

    ○三治重信君 五十年度以降にしても、八年間で十一兆というわけだから、一年平均すると一兆何千億という金を借りて、とうとう払い切れなくなって棚上げするというサラ金財政の典型的な特会になったんだと思うんですけれども、これまた六十五年まで棚上げというのはどういう考え方ですか。
  77. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 五十九年度から新たな借り入れは行わないということにいたしたわけであります。新規借り入れしない。その機会に、現在の借入残高につきましては国、地方それぞれ振り分けまして、そうして、そのそれぞれの責任で償還することにしたわけですが、現在の国、地方の財政状況からいたしますと、直ちにこの償還をしていくということは非常に困難な状況にあるということで、そこで「一九八〇年代経済社会の展望と指針」、これは現在政府の中長期の経済財政運営の指針になっているわけですけれども、このいわゆる八〇年代の展望と指針によりまして、国の財政を昭和六十五年度までに立て直すということが想定されております。そこで、六十五年度までの間に歳入歳出を通ずるいろんな改革が行われるであろう、また行わなきゃならないという考え方のもとに、これまでの交付税特会の借り入れについては六十六年度以降に償還をしようということにいたした次第でございます。
  78. 三治重信

    ○三治重信君 そうすると、少なくとも六十四年までは今度やる特例措置で、とにかく年度ごとの一般会計の予算の範囲でやっていこうと、こういう決心をしたと、こういうふうに理解していいわけですね。
  79. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) そのとおうでございます。  なお、これからの地方財政状況どうなるかにもよりますけれども、私どもは地方財政の将来のためには、事情さえ許せば、地方財源強化が図られる、地方財源充実される場合には借金を早く返したい。ですから、六十六年度以降に償還を繰り延べてはおりますけれども、その前にでも事情が許せば少しでも借金を減らすということも考えなきゃいけないと思っております。
  80. 三治重信

    ○三治重信君 それで、何というのですか、棚上げした半分のやつの利子は、結局特例措置を加えた地方交付税の中で先天引きされる、そしてその残った分が毎年交付金額として配分される、こういうことになるわけですか。
  81. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) そのとおりでございます。
  82. 三治重信

    ○三治重信君 それで、一つの借金財政から脱出するという決心をされたのは非常にいいわけなんですが、そこでもう一つ突っ込んでいくというと、こういうふうに借金やったりなんかするというのも結局どうなんですか、地方財政計画という、架空と言っちゃ悪いかもしれぬけれども、都道府県から政令都市それから市町村まで全部含めたのをひっくるめて歳入が幾ら歳出が幾らという財政計画でやって、それで足るの足らぬのと、そういう枠というのか、そういうような仕組みで、何というのですか、交付税特会を窮屈にしてしまっているんじゃないか、こういうふうにも感ぜられるわけなんです。地方財政計画というものが余り四角四面で、計数できちんと歳入歳出事業の内容が決められたために、地方交付税特会というものが非常に窮屈になってしまった、こういうふうにも理解されるわけです。  しかも、地方財政計画といっても、都道府県それから各市町村それから政令都市、こういうふうにピンからキリまで、また各地方自治体の態容が非常に違うのをひっくるめた地方財政計画というものがもっと弾力性があればいいんだけれども、非常にその数字を固定してしまってやるというところにこの地方交付税制度というものが非常にまあ借金という逃げ逃れでやらざるを得なかった、こういうふうに解釈できるわけなんだと思うんですけれども、地方財政計画というものを余りリミットにやらぬで、大体のめど、いわゆる政府経済見通しがどんなに一生懸命になってつくっても違うと同じように、地方財政計画でも、何というのか立国の予算、一つの会計制度予算と同じような格好で決めているところに、私は大きな問題があると思うんですが、どうなんですか。
  83. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) このいわゆる地方財政計画と言われるものは、法律的に申しますと、地方交付税法第七条の規定に基づいて政府が毎年度、次の年度——来るべき年度の地方団体全体の歳入歳出の見通しを提出することが義務づけられております。この交付税法第七条の規定に基づいて毎年度作成して国会に提出しているものがいわゆる地方財政計画でございます。  では、この種のものをつくること自身についてそういった必要性があるのかどうか、また逆に、その地方財政計画地方の実際の財政運営の実態に合ってないという場合にはむしろこれは世間をミスリードするというデメリットの方が大きいじゃないかというような御批判もあるわけであります。しかし、今日の状況では、地方交付税が法定税率のままでは地方財源足りないという状況が続いていることも事実であります。その場合に、政府として地方財政にどのような措置を講ずべきかという指針を、目安をつける場合にほかに方法がないわけです。地方の実績を使うわけにいきませんので、やはり地方財政計画歳入歳出をひとつ理論計算をする。例えば歳入について言えば、地方税は標準税率税収の見積もりを行う。それから、歳出について言いますと、例えば給与費などについては国家公務員の給与に準じて地方公務員給与が支給されるという前提で給与費の計算を行うという一つの理論計算、これをしないと、地方財源不足があるのかないのかあるいはどの程度の額になるのかということについてそのコンセンサスが得られない。我々、国庫当局といろいろ議論する場合の共通の場がなくなってしまうわけであります。どうしても一つの共通の物差しというものを持って議論しなきゃいけない。また、地方団体にしましても、国の財政措置の基本になるものがはっきり示されておれば、それを見ながら自分のところの財政運営を行っていけるというメリットもあります。  そういうふうなこともありまして、私どもは、やはり地方財政の現状におきましては、この地方財政計画はどうしても必要であると考えております。もちろん、その積算内容につきましては、常に地方財政の実態あるいは国、地方を通ずる財政経済状況というものを踏まえて妥当なものにしていかなきゃなりませんけれども、この地方財政計画そのものは、今の我が国の現状におきましてはどうしてもこれはやめるわけにいかない、必要なものである、このように考えております。
  84. 三治重信

    ○三治重信君 財政計画というのも、地方交付税があるわけなんだから、地方交付税で配分するのに、地方の財政需要なり基準を出していくというのは、それから地方の各自治体ごとの歳入を見てやっていくというのは、これは昭和十五年の地方財政交付金を内務省が考え始めたときから、それは地方公共団体財源のあるところ、ないところ、まあ非常に千差万別である。したがって、財源のないところを助けていくという、そして地方自治発展を図るということが地方財政交付金の構想の重立ったものであり、しかも地方財政交付金をやるときのいわゆる地方財政需要を算出をする基礎としていろいろ係数をつくったというのは非常に科学的な行動だと思うんですがね。それだからといって、それからはじき出された数字が——そういう財政計画というものをぽくはつくらぬでもいいと言ったのはちょっと言い過ぎかもしらぬけれども、そういう財政計画というものはたとえあるにしても、交付税の配分基準として必要なものにしても、それを収支プラスマイナスを億単位まできちんと決めて、それで多いの少ないの、これは国が面倒見なくちゃならぬの何のというまで余りリミットにやるところにも私は問題があるんじゃないかというのが一つ。  そして、もう各千差万別なんだが、一つの基準で大体各個別にその足らぬ部分というものの大きな結果は地方交付税でやれば大体においてならされて、結果の違いというものはわずかなものになってくるわけなんだから、それは個別審査でその不足の分は、何というんですか、借り入れなりそれから地方債なり一般の個別の財源を見るという、調整するという格好でいかぬと、余り国の方が交付税地方の財政需要のプラスマイナスをきちんと億単位までやっちゃうというと、これは依存というか、地方公共団体交付税をもらうための財政の形になってしまって、どうも自主的な努力というものが、私は、交付税余計もらうような格好した方がいいというような格好になりはせぬかという感じを持つわけなんですが、その点はどうなんですか。
  85. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 確かに今の地方財政制度というものは地方税制中心にして交付税がこれを補完する、その交付税についても三二%という一定率がありまして、基本的にはそれで地方財政運営していくんだという建前になっていると思うんであります。  ただ、その今の地方税制なり今の交付税制度なりで地方財政運営に大きな支障がある場合には特例措置を講ずる。じゃ、どのようなときが支障が生ずる場合か、特例が要る場合かということは、交付税法第六条の三第二項に定めがありまして、おおむね普通交付税の一割を超える程度の財源不足が二年以上引き続いて、三年以降もそういう状態が続くような場合には制度改正あるいは交付税率の変更ということを命じているわけですが、その思想というのは、それ以外の、それに達しないような少々の増減の場合は現行の制度の中で地方が自主的に財政運営を行っていくべきだという考え方に立っているんだと思います。  ただ、では収支の不足がない場合は財政計画も何もつくらぬでいいじゃないかという言い方もあるんだろうと思いますけれども、やはりそういう状態にあるのかないのかを常に検証をしていく必要がある。そして国、地方財政全体を通じて歳入歳出がどういう姿になるのかの展望を国が示すことは、地方団体にとっても財政運営上必要であるというようなことから、現在は大きな財源不足が生じないときでも地方財政計画は常につくられてきたわけです。地方交付税法第七条の規定による収支見通しというのは常に提出を義務づけられているわけです。  ですから私は、先生御指摘のように、基本的には、今の交付税制度のもとでは、小さな増減まで一々追いかけていって国が調整するということは、地方自治の本旨からいって望ましいことではない、相当程度以上の収支の不足が生じた場合に特例的な対応をするんだということに限定すべきだという御趣旨がと思います。その点は私どもも全くそのとおりだと思っております。  ただ、残念ながら五十年度以降の地方財政はいわゆる微調整では対応できないほどの状態になっているということで、今苦慮しているわけであります。私どもとしては、経済状態がよくなって、また税制改正が行われても微調整で済むような地方財政状況に一日も早くなることを願っているわけであります。
  86. 神谷信之助

    神谷信之助君 今度の改正案、これは五十九年度の地方財政対策、これとやっぱり相互に関連をしておると私は思うんですが、従来の地方財政対策の路線を根本的に変えるものだと、そういう意味では非常に重要な今提案されている法案だし、あすの閣議ですかで決定され、提出されるであろう五十九年度に係る交付税法改正案や地財計画、これと相まって大変重大な問題だというふうに思います。したがって、そういう角度から幾つかただしていきたいと思うんです。  まず最初には、そういう観点から交付税制度そのものについてやりたいと思います。もう一つは特別交付税制度そのものです。大体二つに分けて議論をしたいと思います。  最初の交付税制度の問題ですが、今回の措置は、国の所得税減税に伴う減収の補てんと国税三税の自然減収に伴う減額補正、この二つに分かれています。ですから、まず最初に所得税減税に伴う補てん措置についてお聞きをしたいと思います。  これは、まず所得税減税に相当する分というのは四百八十億円ですが、本来、これは少なくとも国の一般会計から支出すべきものという考え方は、今までの議論を通じて、自治省自身の考え方は変わっていないというように思うんですが、この点はどうですか。
  87. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 交付税制度の本質とも絡みまして、国が政策的な減税を行い、その結果として交付税減収を生じた場合には、基本的には国の責任でこれが補てんされるべきである、このように考えております。
  88. 神谷信之助

    神谷信之助君 ですから、先ほどからもお話がありましたが、五十二年度の補正で、このときは三千億の所得税減税に伴って九百六十億円の交付税減額をした。これは全額特会の借り入れで穴埋めをして、一般会計から臨時として繰り入れるという方法をとってきていますね。だから、このときはわが党を含めて野党のすべても賛成をしたと思うんです。ただし、国の責任を明確にして、そしてそれに伴う措置を行ったということだったと思うんです。五十三年補正のときも、これは交付税九百六十億円の減で、これは特会で全額借り入れてその償還はすべて一般会計から臨時として繰り入れていくということでしたから、このときも私ども賛成をしました。ここまではそういう措置で、所得税減税に伴う減額分については国が全額責任を持つと。もちろん、当時も我々は、先ほどもありましたように、交付税特会が財投資金、政府資金から借り入れるということそれ自身について一定の議論、これをしたことを覚えています。本来は国の一般会計で支払うべきだ。しかし、借り入れてもあと償還すべてを臨時として繰り入れるわけですから、その点で賛成をしたわけですね。ところが、五十六年補正で初めて変化が起こって、四百三十九億円の減に対して、特別減税分の百五十四億円については一般会計で負担をしていくが、残りの二百八十五億については二分の一ルールが決まったということで、それにここで変わってきたわけですね、二分の一ルールが。ですから、これに対しては野党の各党は全部反対をしたわけです。だから、半分は今度は自治体の方に責任を転嫁しているという問題が新しく出てきたんですが、今回はこれさえも後退をしてしまった。そして五百十億の、交付税の増分といいますか、精算分というものをこれに全部投入してしまうという措置をしたわけです。  それについて今までの御説明聞いていますと、いろいろ国の財政の状況からやむを得ざるものありというわけでありますけれども、ここのところで私は、考え方自身が所得税減税に伴う補てんの責任は国にあるという原則をずっと今まで曲がりなりにも貫いてきて、そうして、我々は反対をいたしましたけれども、国の財政も事あり、したがって国と地方が折半をいたしましょう、しかし利子の方は国が全部を持ちますよと、曲がりなりにも何とか辛うじて、国が補てんをする責任があるんだということを堅持をしておりますという答弁ができたと思うんです。ところが、今回の措置は全然それがないんです。この点についてはどういうようにお考えですか。
  89. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 先ほど来御説明を申し上げておりますように、五十八年度の交付税の減額に対する補てん措置につきましては、結局、五十七年度の精算増五百十億円をどう使うか、今回の減収にこれを充てることの是非ということに尽きると思うんであります。  私どもも、当初の段階では、従来の方式に従って減額については交付税特会で借り入れをして、その借入金の償還については、いわゆる税の自然減収に伴う分は二分の一国庫負担、それから政策減税対応分は全額国庫負担という方式による処理ということも、早い段階では内部で考えないことはなかったんですけれども、ただ、この補正措置と並行して論議しておりました五十九年度の地方財政対策におきまして、交付税特別会計借入金をこれ以上ふやすべきでない、ここで借り入れ方式に一応区切りをつけて新たな方式による地方財源交付税の安定確保方式に移行すべきだと、こういう考え方が政府部内で固まってまいりましたので、この借り入れによる補てんということをどうしても避けたいというのが国庫当局の非常に強い意向があり、私どももこの今日の状況ではやむを得ないと判断したわけです。  そこで、借り入れによらないで対応するとなると、結局、交付税の精算増五百十億円をまずこれに充てる、その場合に三百五十二億円の自然減に見合う分に精算額を充てる、これは事柄の本質から言って特に議論はない。従来の思想を変えるわけでありませんからこれは問題ないと思うんでありますけれども、問題は、政策減税に伴う減収分にこの一部を充てることの是非ということでありますが、結論的に申しますと、五十八年度のこの補正予算の締めくくりの段階で、国の財政事情も非常に逼迫しておりますが、最終的に交付税減収額を全額補てんする、これは何としても私どもは頑張りたい、実現したいと考えております。そうして、かつ借金をしないで補てんするということは、足らざる分は国の一般会計の負担でこれを補てんしてもらわなきゃいけないということになるわけですが、ここで二百億、三百億という一般財源を国庫当局から引き出すということは、正直言いまして非常なことだったわけです。国の財政事情からすると大変な状況にあったわけですけれども、ともかく借金をしないで補てんするということに全力を注ぎましてこの必要額を引き出すということにしたわけです。その過程で、精算額で自然減に充てた残余について一部政策減税分に充当するということを五十八年度の措置としては考えざるを得なかった。従来からの私どもの基本的な考え方を変更するわけではありませんけれども、五十八年度の措置としてそうせざるを得なかったというのが実情でございます。
  90. 神谷信之助

    神谷信之助君 いや、従来からの、政策減税に伴うものについての補てんは国の方が行うんだと、そういう立場を変更するものではないんだといっても現実にはそうなっておるわけでしょう。だから、例えば自治、大蔵の両大臣の合意があって、今回に限りそうはしておるけれどもということが明記されたようなことがあるわけでもなし、結局、財政運用の技術論で、現実の実態とそれに伴う技術論で、もうなし崩し的にといいますか、今までは二分の一まで来ておったけれども今度はもう全部国は責任持ちません、知りませんよと、しりふこうにもしりふく財源がないんだからしようがないじゃないかといってしりまくられて、そういう原則自身も跡形もなく消えてしまう。そこが私は問題だと思うんですよ。そういう考えを捨ててはおりませんとおっしゃったって現実そうなってきているんだし、今回に限りそうなんで将来のそういう政策減税についての補てんはこういう措置はとりません、これは国が責任を持ちますということがはっきりしているなら、考え方は変えておりません、現在の国の財政状況からとりあえずとった便宜的、一時的措置でございますと言うことはできるでしょう。そうじゃないんですよ、これ。どうなんですか。これからも政策減税がやられたら、そのときは、やっぱり全部もうそういうルールができたんだから、そういうルールが変わったんだからこれはもう自治体が責任持ちなさいよと、こういうことになるんじゃないですか。
  91. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 先ほど申しましたように、私どもは、交付税制度の本質的な理解から、一般論、原則論としては、やはり国の政策減税による減収は国の責任で補てんさるべきであると、こういう考え方は捨てておりません。今後ともそれを貫いていきたい、頑張っていきたいと考えております。  ただ、五十八年度につきましては、先ほど申しましたように、交付税特会の借り入れという方式をここでもう廃止したい、原則として切りかえたいという背景のもとで五十八年度の穴埋めをどう処理するかということとの関連で議論をしたわけでありまして、確かにこの政策減税分の一部が精算増によって補てんされているという形になっておりますから、五十八年度の今回の措置については、政策減税は一〇〇%国の責任で補てんすべしという形が一部貫かれていないわけでありますけれども、これは五十八年度の財政環境のもとでのやむを得ざる措置というふうに私どもは理解しております。交付税制度の基本は、やはり政策減税は国の責任で補てんさるべきだという考え方は、今回の特例措置によって将来にわたってそれを変更するということじゃなくて、私どもはその基本は今後とも堅持していきたい、今回の特例措置はあくまで今回の特例措置として御承認いただきた。いと、このように考えているところでございます。
  92. 神谷信之助

    神谷信之助君 だから、そういうことをおっしゃるならば、交付税特会の借り入れをしないということにするんで、それとの関係でこうなりましたとおっしゃるそれは、たまたま五百十億があったからそういうことも言える、五百十億なかったらどないします。交付税会計は借り入れしない、穴埋めは一般会計からはいま言った三百二十二億ぐらいしかできぬ、あと二百億分も引っ張り出してくるのは大変なことでございますと、こうおっしゃる。なかったらどうする。なかったときは、特会の借り入れしないんだから、一般会計から無理に何が何でもちゃんと出してくれますと、こういうことになるのかどうか、この辺はどうですか。
  93. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 五百十億というものが現実にもう早い段階からはっきりしておりまして、それを前提に置きながら具体の論議が行われたものですから、なかったらどうするんだと言われてもなかなか答えにくいわけですけれども、事柄としては、もしそういうものがなくて、かつ、借り入れをしないということであれば、その分も含めて一般会計の負担をふやしてもらうという主張をせざるを得なかったと思います。
  94. 神谷信之助

    神谷信之助君 大臣が見えましたから、大臣質問の時間の制限もありますから、ちょっと中途半端で困るんですが、このところが大問題で、あと今度は自然減の分についての補てん問題も交付税問題では残っています。したがって、これは五十九年度の特会の借り入れ、これから借り入れをしないというその原則自身の当否についても議論をしなきゃならぬということだけ、これは後の機会にしたいと思います。
  95. 志苫裕

    志苫裕君 今、自治大臣所信表明がございましたので、本当はじっくりまずは新大臣の所信を伺いたいところですが、いろんな日程もありまして、所信のほどはいずれ後刻じっくりお伺いするとしまして、とりあえず法案にかかわってお伺いします。  自治大臣、あんまり細々した地方税財政の仕組みを承知をしておるとは伺っておらないので、私の方から少し説明を加えて判断を求めます。  いろんな法律地方財政の一年間の収支を見積もってそれに対する必要な財政の保障をしてもらって地方財政は船出をしておるわけで、その途中で、財政保障をしておるところの国の財政がぐあいが悪くなって減ってきた。そのうちの一定割合を地方交付税で自治体がもらうことにして仕事をしておるわけですから、途中で仕事をやめたとかいうわけにこれはいきません。そこで、従来あるいはまた現行の法律では、そういう財政保障機能というものを法律に持たせ、また事実上、収支見積もりなり関連法案を国会でも了承を与えているところへ減ってきたわけですから、従来は我々は、法の建前か隻言えば、国の責任によって減額が生じた場合には国が全額面倒見るということを建前として承知をしていました。ところが、そのうちにだんだん財政がおかしくなるもんで、それでも自治省側、国の側が、これがルールですと、事実上の制度ですとやってきましたのが自然減収の場合には半分国が持ちます、とりあえず銭がないんで変則的な借り入れという措置はとるんですが、半分は国が持つ。政策減税の場合は、これは国の政策なんですから、自治体が国税減らすと言ったんじゃないんですから、政策減税の場合には全額国が持ちますということを例としまして、ほぼルールとして、事実上制度に近い形で今日まで進行してきたわけであります。  ところが、ことしになって、来年からの制度改正なども頭に入れながら、過去のルールも頭に入れながら、それであとはえたいの知れぬ大蔵省との折衝、力関係だね、言ってみたら。そういうふうなものでごちょごちょっとひねくり回してみたらわけのわからぬ措置になって、従来のルールは事実上破棄はされておるし、一部新しい制度は採用されておるし、何のことはない、国の責めを果たすべきところを相当部分地方の負担において国の政策が遂行されるという形になっておるわけで、これは自治体側としてはとても承服はできない。それは去年の余りが少しあったんだからことし使うといいましても、それは大福帳じゃあるまいし、そういうものでもないというふうにも考えるわけで、この点はどうも我々としては承知ができない。  特に政策減税というのはこれからもあり得ることです。また、与野党限らず景気政策一つ考えてみても、積極的にやるべきだ、これはもう院の意思にもなっておるわけですからこれからも出るでしょう。しかし、政策減税はやる、それのはねっ返りから来るところの減収分、これは自治体の方で何分よろしくという悪例になってはこれはとんでもない。その悪例をしかも新大臣がつくったとあっては、これはあななどのくらい大臣続けるかわからないが、初めての例を残すことになって大変不名誉な話だ。しかも私は、去年の地方税六百億円、これはまだ発効しないんですが、これの法案審査を本委員会でいたしましたときに、あれ十一月の何日でしたか、当委員会において、そのことはもうすでに予見されますので、従来の例をも指摘しながら、これの政策減税分のはねっ返りは従来の例に倣って全額国において措置すべしということを大臣にも強く要求し、また大臣も財政局長も——そのときは大蔵省主計官来ておったかな、さように心得ておりますというような話だった。ところが、でき上がったものは心得ておるじゃなくて心得違いになっているわけで、その点まず大臣からひとつお答え願いたい。
  96. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 志苫委員のおっしゃることは全くそのとおりだと思いますし、年度途中に国の政策減税に伴う地方税減収については、当然これは国がこれを補っていくのが当たり前のことである、これは全くそのとおりだと思います。  ただ、御指摘のように、国の財政も地方の財政もともに非常に厳しい情勢でございますし、志苫委員地方の立場から、また地方団体のことをお思いになってそのような御意見を述べられていらっしゃるということは、私ども大変うれしいことでございます。ただ、そうかといってそのまま私どもの主張ばかりを続けていくわけにもまいりませんで、五十七年度の決算を見てみますと、国の税収の自然減に伴う地方税減収を補ってもなお余りがありますので、そういうことでございましたので、国の自然減に伴う地方税減収を補てんをしたというのが実情でございまして、地方の立場から考えますとおっしゃるとおりだと思います。  しかし、今ここで幾ら私ども地方の立場だけを考えてみても、国の立場を考えていかなければなりませんので、私どもは、今志苫委員がおっしゃったような御批判も想像をしながらこのような処置をとったわけでございまして、何分御了承をしていただきたいと思っております。
  97. 志苫裕

    志苫裕君 大臣、ちょっと違うんだな。思いやり——何か国にもアメリカの思いやり予算というのがあるわな。地方が国のことも考える、国が地方のことも考える、それはそれぞれ車の両輪でいろいろと考えていかなきゃならぬ点はあります。しかし、今大事なのは、自治体の財政事情、財政運営について、いや多いとか少ないとか、とことこが月給が高いとか、むちゃくちゃな村長室の部屋をつくっておるとか、いろんな語がありますね。私は、自治体側がいろいろとこの自治体の財政運営について工夫したりしなきゃならぬところがありますが、しかし国と地方とのそれぞれの領域というのははっきりしているわけでありまして、それぞれの責任分担、役割分担、それに伴う財政のそれぞれの分野というものがあるわけで、国が勝手に足したり引いたり、おまえ余っているから取り上げるとか、そんなものではない。自治体も一つの政府なんですから、建前からいきまして、これも立派なローカルガバメントなんでありまして、その辺をどうも自治行政に携わる者が何か国との一体化というものでどんぶり勘定にしているんじゃないかということが非常に私ども気になるところなんです。  今のお話の点は、私は、政策減税分については、これはやっぱり国の政策なんだから、国が現ナマつけて、これだけのことをしますという建前は建前で貫くべきだと思うんですよ、これは。  あと、地方財政全体について今大臣は、五十七年分に少し余りが出たのであればそれはそれで地方財政全体にその分だけふえたわけだから、国から行く金をその分国も困っているときだからかげんするという、トータルとして句となくもっともらしいように見えるけれども、私は、国と地方との役割分担というものからいきますと、どうもそのところがけじめがついていないという気がしてならぬのですよ。まさか自治大臣がのっけからそういう答弁が出るとは思っていなかったんだが、あなた余り自治体のことを、どこかいたことはないだろうし、自治体のことを余り詳しくないんじゃないかと思って、そういう思いで聞いていましたが、国も苦しいときは地方も我慢しましょう、語感としてはわかる。しかし、地方地方で自分の領域を自分で節約したりするその領域はちゃんとある。地方地方の責めを果たす、国は国の責めを果たすというこのけじめをつけておかぬといけませんよ。そのけじめがないから、地方はやたらと補助金をくれと言ってみたり、国は、余っているそうだから取り上げるぞというルーズな感じになるんじゃないかと思うんですよ。そのけじめははっきりつけてください。今後だって、あなたの話だと、政策減税を例えば来年もやるとした場合、あなたのその流儀でいったら、政策減税を行ったことによって交付税の減が見込まれる、地方財政全体としてどこか節約するところがないか、節約分をまずつくって、そうして国の減収に見合う分の補てん措置を講ずることになっちゃいますよ、ことしのはね返りで。減税、例えば来年やって一千億だ、地方財政節約で八百億やれ、二百億円だけ園が面倒見てやろうという、こういうルールになることを一番心配して言っているわけです。この点はどうですか。
  98. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 志苫委員のおっしゃることは全くそのとおりでありまして、国と地方との役割分担というのは明確にしていかなきゃならぬ。特に、これからの地方財政を見ますと、経費も節約をしていかなきゃならぬし、なかなか大変でございます。そして、国のしわ寄せを受けるというようなことも随分あると思うんですね。ですから、そういう意味で、私どもは地方と国との役割分担、特に行政事務の配分なんかもきちんとやり、補助金の縮小、整理をやっていただく。ちょうど行政改革が非常に叫ばれておりますから、そういう面も絡んでやっていかなければならない。ただ、ことしの今度の予算の編成につきましては、先ほど申し上げましたように、非常に厳しい中で私どもも決断をしなければならなかった特別の事情もございますので、その点はひとつ御了承をしていただきたい。今後はこういうことのないように私どもも頑張ってまいるつもりでございますので、ひとつ御理解をしていただきたい、このように考えております。
  99. 志苫裕

    志苫裕君 だから、あなたに、今ちょうど同僚委員が質問しておるところなんだけれども、たまたま五百億円というものがあった、たまたまあったという論理でいきますと、節約も可能だろう、たまたま節約できそうだというようなことになって、新しい政策減税による交付税の減額が出てきた場合にその論理が一番怖い。国は自分の予算で今やっているんですけれども、地方の場合には、今あらかじめ決められた、約束をされたルールで走っておるわけですから、途中で変えるとか途中幾らか召し上げるとかいうことはできない。実は、わずかな額だけれども、五十六年の補正かな、そのときにちょっとやりましたけれども、あれだって大問題になったわけだけれども、この点だけ約束してくださいよ。今後、政策減税が提起をされてそれのはねっ返りがこういう形で問題になる場合、これはやっぱり国の政策でやるんですから、国がやっぱり財源もしかっと持ってもらうということで、自治省としては、政府、大蔵に対してその立場は断固として守る、これを約束してください。
  100. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) おっしゃるとおり頑張ってまいります。やってまいります。とにかく私が就任した当時、もう予算が始まっておりまして、十分理解もしてない点も幾つかございますので、御了承をしていただきたいと思います。
  101. 志苫裕

    志苫裕君 それは、ひとつお約束をしてもらいますが、就任早々だったそうだけれども、そうすると、就任早々の人に余り財政局長以下サポートが悪いんじゃないかな。財政局長のあたりから弱気になっているから、こういっていたらくになる。  その点はひとつ強く要望しておきまして、二つ目は、雪が大変たくさん。何せことしの雪は、大臣の選挙区の神奈川まで雪が降ったんですから、これは事ほどさように、当初予定をしなかった財政需要というものがかさんでおるわけなんです。金がないからといって道路をあけないわけにいかぬのでありまして、雪国の暮らしは必死でありますから、そういう意味で先ほども事務方に伺っておったんですが、さまざまな追加財政需要でウンカのごとく特交に群がって、おれのところにもくれ、おれのところにもくれと言ってくるだろうと思うんですよ。  最小限、市町村道の除雪、これは生活の根幹ですから、幸いにして国道の場合にはそういう補助の制度ございまして、先ほど建設省、国土庁に伺ったところでは、もう経常の予算ではとても三分の二も食っちゃって残りは余りないけれども、関連の他の予算を少し融通してもらうとか、あるいは道路整備の特別会計から、道路のいま残ったものだから、別の会計から回してもらうかということで、何とか大なべの底をかき集めてれば幾らか出ますから、そういう雰囲気で安心はしている。しかし、市町村道は、まず第一義的には特別交付税で財政需要の加減を自治省さんがやって、その結果、それで賄い切れるものやら、枠がはみ出ることになるので、国全体として、政府全体として何か知恵を働かさなきゃならぬものか。幸い五十六年、年度で言うと五十五年度ですが、五六豪雪のときには国の予備費に手をつけてもらって、特別の市町村道助成制度で豪雪対策を期してもらったわけです。その例があるものですから、自治体側は、何とかそれの発動をということで、強いまなざしを向けておるわけです。  私の判断でも、特交というのは、あるといえばあるし、ないといえばない、枠は決まって、これはふえないんですから。ゴム風船の一方が膨らまれば一方はすぼまるだけですから、そこで先ほど財政局長の答弁でも、交付税で賄い切れるかどうか、賄い切れなければ、政府全体としてそれに対応するような要望なども国土庁とも話をしておるというお話であったんですが、この点についてひとつ大臣の、何というか、対応をまずお伺いしたい。
  102. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 豪雪に対する対応につきましては、衆議院でも同じようなお話もございまして、私ども自治省の範囲でできることはやらなければならないと思いますが、お話のように、なかなか、特別交付税も前年度よりもかなり減っておりますし、昨年いろんな災害も起こりました。そういうことで限られておりますので、私は大蔵大臣ともすでに話をしておりまして、この問題は、地方の皆さんに、少しでも豪雪地帯の被害に何とか間に合うように早く措置をしなければならない、こういう話を合しつつございまして、関係方面と十分話し合いをして手当てをしていきたい、このように今せっかくやりつつございます。
  103. 志苫裕

    志苫裕君 その点は、今、大臣のお話で大いに期待をしたい、このように思います。  大臣、私はたまたま新潟の産でして、雪というものに対する認識を、自治大臣がかわると一席ずつ講義するんですが、きょうは余り講義する時間がありませんけれどもね。十センチぐらいしか積もらぬところが二十センチ降るとこれは大変ですよね。三メートル降っているところは去年と同じく降っても、これは大雪なんです。三メートルのところがやっぱり四メートルにならなきゃ大雪だと言わないのを私は腹立っています、率直に言ってね。三メートルも降ったら、いつでも大雪なんです。しかも、これは毎年降るんです。雪というのは、あれ始末に負えぬのは、じわっと降ってきて、音もなく降るんだ。それで三メートル、四メートルというところに三カ月も四カ月も暮らすという状況は、普通の立法ではなかなか対応できないんです。災害というと、やっぱり何か急激な変化があって、しゃばじゅうめちゃめちゃに壊すというイメージなんだ。ところが、雪の災害というのは、静かに降って、いつの間にか自分を潜してしまう。それで、歳月がたっと、また何にも周りに変化がないんだな、これ。こういう状況なんですよ。なかなかこれについての理解が弱く、何か、しゃばじゅう壊さないと対応してくれない。ことしは幸か不幸かと言われるんですが、ことしの雪だって清津峡温泉で雪崩がわっと来たんで、何だか新聞にもちょっと出て、政府も慌てて災害対策本部なんて——あれ雪崩でもなかったらつくられないんじゃないかと思うくらい。そこのところはひとつ認識を改めてもらいたい。雪を取り除く仕事は大変なことなんですよ、これ本当に。  そういう意味で、ひとつせっかく、暖かいところの大臣のようだけれども、ひとつ特にそういう点の理解を深めて、先ほども答弁がありましたが、三メートル、四メートルのところで、道路幅十メートル、十五メートルの道路の雪を取り除くという量は相当なものなんです、これは。一年に霞ケ関ビルの三つも四つも動かしている勘定なんですから、あれは。この辺の点をひとつ特に理解をしてもらって、特交をはみ出る分について何としてでも確保するということを強く要望して、私の質問を終わります。
  104. 原田立

    ○原田立君 大臣、八〇年代は地方の時代と、こう言われて久しいんでありますけれども、現在、自治体は多額の借金を抱えて困難な状況は、もう大臣、担当大臣ですから十分御承知のとおり。そこで、その上、国の財政難等から地方自治の負担増は年を追って増大しておりますが、このような地方自治にかんがみ、中長期的な地方行政、財政のあり方についての御所見をお伺いしたい。
  105. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 私は地方自治体に勤務したこともございませんし、地方議員の経験もございませんで、志苫委員がおっしゃられたように、全く地方行財政には素人でございます。でありますから、私の申し上げることが当たっているかどうかわかりませんけれども、地方自治がしかれて三十年になります。そして、地方の時代と言われておりますけれども、決して地方自治が十分その使命を果たしているとは思っていないんです。憲法の条項の中に一章、地方自治が書かれておりますね。戦争放棄と地方自治とが章を挙げて憲法に書かれているというのは、戦前の憲法と非常に大きな違いがある一つの点だと思うんです。そのくらいに憲法に一つの条章が書かれているという地方自治を見てみますと、私は決して十分なものではないというふうに思っております。  そういうことを考えていきますと、これからの地方自治は、先ほどもちょっと触れましたように、国と地方との役割分粗を明確にするとともに、やはり国の仕事のために地方が負担を随分している、財政的な負担までしなければならないようなふうになってきているということを除いていかなければならない、こういうこと。それから補助金整理縮小、軽減もやっていかなければなりませんし、そういうようなことをもっと推し進めていかなければならない、こういうふうに見ております。  それからもう一つは、私は、シャウプ勧告によって地方財政平衡交付金ができた、そして地方財政平衡交付金から地方交付税制度ができた、そういう一連の財源確保の、地方財源の保障措置というんですか、そういうものを見ておりまして、やっぱり地方団体の中には国から交付されるものを安易に考えている前もまたある。あるいは起債を受けるその起債について、ただ起債というものは後で返さなければならぬという意識がなくなっている、麻痺されている面も多少ある。ですから、そういう面で、地方自治体に別の面からの自主性、自律性というものを持っていっていただかなければいけないんじゃないかというようなことも考えております。  そういうような考え方を私自身は持っていることを、十分ではございませんけれども、御披露申し上げます。
  106. 原田立

    ○原田立君 財政再建の基本的見解として、臨調答申に沿って、政府部内においても何か二つの考え、すなわち、大型間接税の導入という増税路線、あるいは景気刺激策で国民の所得をふやし税の自然増収を図るという拡大路線、二つあることを承知しておりますけれども、大臣は一体どちらの方を主におとりになってやるんですか。
  107. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 私も、経済のことも本当に暗いので自信を持って申し上げるわけにはいきませんけれども、景気刺激政策というものもある程度加味してやっていかなければならぬ。しかし、中央、地方を通じて、やっぱり切り詰めるところは切り詰めていかなければならぬ。まだ中央、地方を通じて行政の面で節約をしなければならぬところがかなりあるんじゃないかと私は見ているわけでございまして、まあ一律に、緊縮政策がいいかあるいは景気刺激政策をもっと積極的にとるべきがいいか、どちらを重点にやっていくかと、こうお聞きになられても、私はどっちを重点と言うわけにはまいらない、今、両方加味して臨んでいかなければならない時期ではないだろうかというふうに思っております。
  108. 原田立

    ○原田立君 二十一日の日に地方財政計画を発表しておりますけれども、国の財政危機を理由に地方への財政負担割合がだんだん高まっているというふうな感じを持つわけです。  いまも財政局長にはちょっと質問しておったんですけれども、従来あったいろんな施策がだんだん削られていっちゃって、裸の王様じゃないけれども、はっと気がついたときにはもう素っ裸だったというような、そういうふうになりはせぬかという不安というか心配というか危惧というか、そういうものを持つんですけれども、田川自治大臣は、なってまだわずかだというふうに仰せになるけれども、歴代続いているわけですから、そんなふうなことになっちゃ困るわけなんです。  今度の五十九年度の借換債です。借りかえの問題ですね。あれなんかにしても利息分のやつを今度はがばっと地方団体が持たなければいけないという、なんかこれは大変革だと思うんです。それをおやりになる時期になられた大臣、それなりの御使命があっておやりになるんだろうと思うんですけれども、だんだん裸にされるんじゃないかという不安があるんですけれども、そんなことはないというふうに断言してもらうとありがたいんだけれども、いかがですか。
  109. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 地方側の立場に立てはいまあなたがおっしゃったような見方も出てくると思いますけれども、仮にそういうような情勢になろうとしても、私どもはそういうことのないようにできるだけ頑張ってまいるつもりでございます。  これからの地方自治体を守っていくためには、私ども幾つかやらなければならないことがありますけれども、できるだけそのような御心配をかけないように頑張ってまいるつもりでございます。
  110. 原田立

    ○原田立君 その点せっかく御努力願いたいと思うんです。  前の山本大臣のときにもずけずけずけずけ物を言った。大臣はもうある程度の期間になれば、時期が来るとどんどん交代しちゃう。だから、うまいこと言っても後また変革されたんじゃ、変えられたんじゃ困るんだなんというようなことも言ったことがあるんですけれども、そんな失礼なことは申し上げませんけれども、そんなことあってはならないという点で再度申し上げるわけであります。  また、志苫委員から豪雪対策については特別措置せよということについて、せっかく努力中であるということでありますが、大変ありがたいことだと思うのでありますが、私は実は福岡にいるんですけれども、三井三池有明鉱の坑内事故によって八十三人の死者が出た。  御承知のように、大牟田はまた、都市再建対策で、その主柱である炭鉱がこんなになって実は右往左往して大変な大騒ぎをしておる。それから、大体九州は余り雪の降らないところでありますけれども、どさっと雪が降って農家のビニールハウスがみんなぺっちゃんこになっちゃった、こういうところもある。特交は六%の枠は決まっているんですから、そうするとこっちの方に強くすればこっちは薄くなる、あっちにやればこっちは薄くなる、こうなってしまうんですけれども、当然特例措置をしていただいて、そうしてそういうようないわゆる普通のところですね、そういうところでの特交の支出が変なふうなアンバランスにならないようにぜひしてもらいたいと思うし、特に、私は福岡の男ですから大牟田の都市再建対策について非常に心配しているわけです。これは大臣が答弁するのがだめならほかでも結構、だれでも結構だから、大臣もあわせて答弁してもらいたい。
  111. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 先般、有明鉱ですか、炭鉱の災害がございまして、その対策をどうするかということについて国会でもお尋ねがあったわけですが、あの一番大きな影響は鉱産税の減収ではないかと思うんです。これについては、いまの普通交付税の計算の仕組みの中で大部分は対応できると思っております。それ以外のいわゆる諸対策について関係地方団体の要した経費等を調査しておりまして、できればこの三月に配分する特別交付税の中で対応していきたいと思っております。  それから、ことしの雪は、確かに沖縄県以外は全部雪が降っております。そこで、これも豪雪地帯がどうしても重点になりますけれども、それ以外の地域についても雪害の態様に応じて、たとえば農作物被害等については所要措置を講じていきたいというように考えております。
  112. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) いま局長が言ったような線に沿いまして、私もできるだけ皆さん方の御要望に沿うようにひとつ頑張ってまいるつもりでございます。     —————————————
  113. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 次に、地方行政改革に関する調査議題といたします。  昭和五十九年度自治省関係予算及び警察庁関係予算の概要について、政府から説明を聴取いたします。矢野自治大臣官房長
  114. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 昭和五十九年度の自治省関係歳入歳出予算につきまして、概要を御説明申し上げます。  第一に、一般会計予算でありますが、歳入は二千二百万円、歳出は九兆一千五百五十七億一千七百万円を計上いたしております。  歳出予算額は、前年度の予算額七兆七千九百三億五千百万円と比較し、一兆三千六百五十三億六千六百万円の増額となっております。  また、この歳出予算額組織別の額を申し上げますと、自治本省九兆一千三百七十一億四千五百万円、消防庁百八十五億七千二百万円となっております。  以下、この歳出予算額のうち、主な事項につきまして、内容の御説明を申し上げます。  最初に、自治本省につきまして、御説明を申し上げます。  まず、地方交付税交付金財源の繰り入れに必要な経費でありますが、八兆八千八百六十四億円を計上いたしております。  これは、昭和五十九年度の所得税法人税及び酒税の収入見込み額のそれぞれ百分の三十二に相当する金額の合算額八兆七千百四億円と昭和五十九年度の特例措置額一千七百六十億円を合算した額を交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れるためのものであります。  次に、借入金等の利子の財源の繰り入れに必要な経費でありますが、一千八百二十九億円を計上いたしております。  これは、地方交付税交付金に係る借入金及び一時借入金の利子の支払い財源交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れるためのものであります。  次に、国有提供施設等所在市町村助成交付金に必要な経費でありますが、百九十九億五千万円を計上いたしております。  これは、いわゆる基地交付金でありまして、米軍及び自衛隊が使用する国有提供施設等の所在する都及び市町村に対し、助成交付金を交付するためのものであります。次に、施設等所在市町村調整交付金に必要な経費でありますが、五十二億円を計上いたしております。  これは、特定の防衛施設が所在することに伴い税財政上特別の影響を受ける施設等所在市町村に対し、調整交付金を交付するためのものであります。  次に、新産業都市等建設事業調整分の利子補給に必要な経費として、百二十三億九千九百万円を計上いたしております。  これは、新産業都市、工業整備特別地域等の建設、整備の促進を図るため、建設事業債の特別調整分について利子補給金を交付するためのものであります。  次に、地方公営交通事業再建債の利子補給に必要な経費でありますが、十億七千六百万円を計上いたしております。  これは、地方公営交通事業再建を促進するため、再建事業を経営する地方公共団体が起こした再建債について利子補給金を交付するためのものであります。  次に、再建地方都市バス事業の車両更新費の補助に必要な経費でありますが、二億二千七百万円を計上いたしております。  これは、財政再建を行う地方都市バス事業を経営する地方公共団体に対する当該事業の車両更新費の補助に必要な経費であります。  次に、公営地下高速鉄道事業助成に必要な経費でありますが、八十億八千七百万円を計上いたしております。  これは、公営地下高速鉄道事業債の支払い利子に相当するものとして発行を認めた特例債の利子の一部について、地方公共団体に助成金を交付するためのものであります。  次に、公営企業金融公庫の補給金に必要な経費でありますが、百五十億一千二百万円を計上いたしております。  これは、公営企業金融公庫の上水道事業、下水道事業、工業用水道事業交通事業、市場事業、電気事業及びガス事業に係る貸付利率の引き下げのための補給金を同公庫に交付するためのものであります。  なお、このほか、同公庫につきましては、出資金を増額するための経費七億円が大蔵省所管産業投資特別会計に計上されております。  次に、広域市町村圏等の整備推進に必要な経費でありますが、十二億六千九百万円を計上いたしております。  これは、田園都市構想に即し、地域社会の総合的な振興を図るため、広域市町村圏等における田園都市中核施設整備計画の策定に対する補助及び当該施設整備に対する助成交付金の交付に必要な経費であります。  次に、選挙に関する常時啓発に必要な経費でありますが、八億六千四百万円を計上いたしております。  これは、選挙人の政治常識の向上を図り、選挙をきれいにする国民運動及び政治倫理化運動を推進するために要する経費について、都道府県に対し補助する等のために必要な経費であります。  以上が自治本省についてであります。  次に、消防庁について、御説明申し上げます。  まず、大震火災対策に必要な経費として、四十一億六百万円を計上いたしております。  これは、震災等大規模災害に備えるため、消防防災無線通信施設整備及び耐震性貯水槽、コミュニティー防災センターなど震災対策のための諸施設充実を図るとともに、防災知識の啓発及び消防防災対策調査推進するために必要な経費であります。  次に、消防施設整備費補助に必要な経費として、百二十八億七千二百万円を計上いたしております。  これは、市町村の消防力の充実強化を図るため、消防車、防火水槽などの消防施設地域実情に応じて重点的に整備するとともに、林野火災等に対する防災対策の推進を図るために必要な経費であります。  第二に、特別会計予算につきまして、御説明を申し上げます。  自治省関係の特別会計といたしましては、交付税及び譲与税配付金特別会計があり、交付税及び譲与税配付金勘定と交通安全対策特例交付金勘定があります。  まず、交付税及び譲与税配付金勘定の歳入予定額は二十一兆七百八十億六千万円、歳出予定額は二十一兆五百七十億六千万円となっております。  歳入は、地方交付税交付金及び借入金等利子の財源に充てるための一般会計からの受け入れ見込み額、地方道路税の収入見込み額、石油ガス税の収入見込み額の二分の一に相当する額、航空機燃料税の収入見込み額の十三分の二に相当する額、自動車重量税の収入見込み額の四分の一に相当する額、特別とん税の収入見込み額等を計上いたしております。  歳出は、地方交付税交付金、地方譲与税譲与金及び借入金の償還財源等の国債整理基金特別会計への繰り入れ等に必要な経費であります。  次に、交通安全対策特別交付金勘定の歳入予定額は七百二十五億九千八百万円、歳出予定額は六百七十三億二千二百万円となっております。  歳入は、交通反則者納金の収入見込み額等を計上いたしております。  歳出は、交通安全対策特別交付金等に必要な経費であります。  以上、昭和五十九年度の自治省関係の一般会計及び特別会計予算の概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  115. 大河原太一郎

  116. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) 昭和五十九年度の警察予算案につきまして、概要を御説明申し上げます。  昭和五十九年度の警察予算総額は一千五百六十二億九千五百余万円でありまして、前年度予算額一千五百六十六億二千百余万円に比較しまして、三億二千六百余万円の減額となっております。  次に、その内容の主なものにつきまして御説明申し上げます。  第一は、警察庁一般行政に必要な経費五百八十七億七千九百余万円であります。  この経費は、警察庁、警察大学校及び地方機関の職員並びに都道府県警察の警視正以上の警察官の職員俸給等の人件費、都道府県警察官五百五十六人の増員に必要な教養経費等のほか、警察庁、警察大学校及び地方機関の一般事務経費であります。  第二は、電子計算機運営に必要な経費四十五億六千五百余万円であります。  この経費は、全国的情報管理システムその他のために設置した電子計算機組織運営に必要な電子計算機の借料とそれに付随する消耗品購入費等であります。  第三は、警察機動力の整備に必要な経費百二十三億七千九百余万円であります。  この経費は、災害対策の一環ともなりますヘリコプター、警察車両の購入、警察装備品の整備及び警察通信施設整備並びにその維持管理等の経費であります。  第四は、警察教養に必要な経費二十九億六千余万円であります。  この経費は、警察学校入校生の旅費と警察学校における教養のための講師謝金、教材の整備費等であります。  第五は、刑事警察に必要な経費七億六千五百余万円であります。  この経費は、暴力団犯罪及び一般犯罪の捜査、取り締まり指導、連絡等に必要な旅費、物件費並びに犯罪鑑識に必要な法医理化学器材等の整備費、消耗品費、死体の検案解剖の経費のほか、犯罪統計の事務等に必要な経費であります。  第六は、保安警察に必要な経費一億七百余万円であります。  この経費は、青少年の非行化防止、風俗取り締まり、麻薬、覚せい剤、密貿易、けん銃等銃砲危険物、公害等に関する犯罪の捜査、取り締まり指導、連絡等に必要な旅費、物件費等であります。  第七は、交通警察に必要な経費一億八千四百余万円であります。  この経費は、交通安全に関する広報及び運転者対策等に必要な物件費並びに交通取り締まり指導のための旅費等であります。  第八は、警備警察に必要な経費五億九千三百余万円であります。  この経費は、警備警察運営に関する会議、指導、連絡等の旅費、器材類の整備等に必要な経費であります。  第九は、警察活動に必要な経費百四十七億九千三百余万円であります。  この経費は、犯罪の捜査、取り締まり警察活動に必要な旅費及び捜査費であります。  第十は、警察電話専用回線の維持に必要な経費三十八億六千三百余万円であります。  この経費は、警察電話専用回線を維持するために日本電信電話公社に支払う、いわゆる警察電話専用料であります。  第十一は、犯罪被害給付に必要な経費五億六千二百余万円であります。  この経費は、殺人、傷害等の犯罪により死亡しまたは重障害を受けた場合、その遺族または被害者に対し国が一定の給付をするために必要な給付金及び事務費であります。  第十二は、千葉県警察東京国際空港警備隊に必要な経費五十八億八千八百余万円であります。  この経費は、千葉県警察東京国際空港警備隊の維持、運営に必要な旅費、物件費及び空港警備隊員の人件費等の補助金であります。  第十三は、船舶の建造に必要な経費二億二千八百余万円であります。  この経費は、警察用船舶の建造に必要な経費であります。  第十四は、科学警察研究所に必要な経費八億三千九百余万円であります。  この経費は、警察庁の附属機関として設置されています科学警察研究所職員の職員俸給等人件費と鑑定、検査、研究に必要な機械、器具類の購入費、維持費、その他一般事務経費であります。  第十五は、皇宮警察本部の一般行政に必要な経費四十七億五千百余万円であります。  この経費は、皇宮警察本部職員の職員俸給等人件費のほか、その他一般事務経費であります。  第十六は、皇宮警察本部の護衛、警備に必要な経費一億五千四百余万円であります。  この経費は、皇居の警備及び行幸啓の護衛に必要な経費であります。  第十七は、警察庁の施設整備に必要な経費三十四億九百余万円であります。  この経費は、直接国庫の支弁対象となっております都道府県警察学校等の施設整備に必要な経費であります。  第十八は、都道府県警察費補助に必要な経費二百二十一億九千七百余万円であります。  この経費は、警察法第三十七条第三項の規定による都道府県警察の一般の犯罪捜査、交通指導取り締まり、外勤警察活動、防犯活動等の一般行政費の補助に必要な経費であります。  第十九は、都道府県警察施設整備費補助に必要な経費百九十二億七千三百余万円であります。  この経費は、警察法第三十七条第三項の規定による都道府県警察警察署、派出所、駐在所、待機宿舎等及び交通安全施設整備費の補助に必要な経費であります。  以上、昭和五十九年度の警察予算案の内容につきましてその概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  117. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 午後五時に再開することとし、休憩いたします。    午後一時休憩      —————・—————    午後五時一分開会
  118. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  上田稔君及び松浦功君が委員辞任され、その補欠として海江田鶴造君及び志村哲良君が選任されました。     —————————————
  119. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 地方交付税法の一部を改正する法律案議題といたします。  休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  120. 神谷信之助

    神谷信之助君 午前中の質疑で、所得税減税に伴う減収分の補てんについては、五十二年度、五十三年度、五十六年度、これは全額国の責任で補てんをするというのが今日までの例です。それが今回になってそういう措置をとられないことになった。その原因は、交付税会計からの借り入れをもう今後はやらないという五十九年度以降の地方財政対策、それに向けての転換を行ったことにある、こういうことです。しかし、それならば、ちょうどことしは五百十億という交付税の精算分があったけれども、なかったらどうするんだと言ったら、そのときは何としても国にちゃんとしてもらいますというわけです。そういうことになってきますと、これは交付税会計からの借り入れをやめてしまうということは、今後の地方財政対策を進めていく上で非常に重要な転換になってくるということを指摘をしておかなきゃいかぬというように思います。まだ後の、次は自然減収の問題でありますから、それも含めてやった上で、改めてそのことについて議論したいと思うんです。  この自然減収の方でありますけれども、これもよく考えれば、地方の責任で生じたものではなくて、国が国の予算を決めるときの税収の見積もりを誤ったり、あるいは政策上の失敗なりによって生じたもの、そして地方自治体に対する財源対策としては地方財政計画政府の責任でおつくりになっているんであって、これは自治体のそれぞれの要求なり自治体の意見に基づいてつくられたものではない。その地方財政計画に基づいて自治体は仕事をやっている。ところが、誤ってそれが減収になったというわけですから、これは地方の責任というよりは明らかに国のそういう政策決定の誤りだと、責任がそこにあるんだということ、こういうように思うんですが、この点はどうですか。
  121. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 国税収入の見積もりが的確でなかったということのために年度途中において減収になり、結果として交付税の額に減額を生ずると、こういった事態についての対応の仕方でありますが、確かに国税三税の見積もりは国の責任において行うわけであります。それが年度途中において達成されない結果として交付税に減少を生じるという場合には、やはり基本的には国の責任で何らかの補てん措置を講ずるべきであろうと、このように思います。  従来からも、減少が生じた場合には、当該年度の資金措置としてはこれまですべて必要な対応をしてまいりました。問題は、その補てん措置を講じたものを借入金で補てんした場合に、その償還について国が全額持つのかどうするのか、これもかねてから議論があったわけですけれども、国、地方の財政状態を彼此勘案して、これまでの扱いとしては、二分の一国が持つという取り扱いが、これまである程度定着してきたということであろうかと思います。国が政策的に減税を行った場合と、それから経済見通し等の経済情勢の変更等によって税収の見積もりに変動を生じた場合と、この点では若干事情が違うということで扱いを変えてきたわけでありますけれども、その年度の財政運営に与える影響としては、地方団体の側から見れば差はないわけでありますから、少なくとも資金的な措置としては、やはり同様に国の責任で財政運営に支障の生じないような措置を講じなきゃならない、このように思います。
  122. 神谷信之助

    神谷信之助君 今局長がおっしゃったように、少なくとも自治省の側としては、これは国の方で負担を、補てんをしてもらいたいという立場を貫いてこられたと思うんですよ。ですから、五十年度の補正のときは一兆一千五億ですか、これの減収になりましたが、全額を特会で借り入れて、そして二年据え置き十年返還、利子は全額国が負担をする、問題は元金をどうするか、こういうことで、この年には決着はつかなかったでしょう。そして、五十三年度以降返還のときに自治、大蔵両大臣で協議しようということになって、とにかく二年間は国が持つべきだという態度で頑張って、しかし国の財政がどうもぐあいが悪いということで押し切られて二分の一ルール、そういうことになってきたわけですね。だから、そういう点では、税の自然減収の場合もこれは国の責任で補てんすべきなんだ。減収するという見込みならば地方財政計画をつくるときに初めからそうすべきなんだ。そうすれば、財源不足はここで補てんをどうするかという問題もまたはっきりするということになるわけですから、こういう点が五十二年でもやられてきたと思うんです。五十二年の第二次補正で、交付税では二千六百七十八億の減額措置をしなきゃいかぬ。このときは、一般会計からの繰り入れと後年度において精算はしないという特例を設けた、これは法的拘束をしないんだと言いながらも、結局は二分の一負担、元金については二分の一負担になったわけですけれども、いずれにしてもこういう状況で、元金については二分の一を持ち、利子は全額国が持ちます、自然減の場合ですね、ということをやってきたのが、今度はこの二分の一さえも守れないという結果になってきているわけですよ。  それで、この点は先ほどから同僚議員が自治省の弱腰をひったたくことで盛んに言っておられたんだけれども、大体、我々が心配をしていたときのように、二分の一を国が負担をするというあのルールをつくるときに、当委員会でも野党の側から強く指摘をしていたのは、その次にはこれが外される、そういう心配があると言ったのを、自治省の方は、いや、そうじゃなしに、六条の三の二項に基づく制度改正として法改正をちゃんとして法律に明記をしたんだから、この二分の一ルールというのが破れるはずはないというように今までおっしゃってきたんですよ。しかし、恐らくそんなことにはいかぬ、今の国の財政状況を言ったら、サラ金財政でますます大きくなってくるし、そしてそのしりは結局いや応なしに自治体の方へ、地方団体の側にかぶさってくるに決まっている。だから、それよりも必要なことは何か。それは、交付税率の引き上げを含む行財政制度の根本的改革を早くやる必要があるじゃないかというのが我々の主張だ。だから、五十年度以降これで十年間何らその点での対策はやらないで、そしてじんぜん日を送ってきて、とうとう外堀から内堀まで埋められてしまうという状態になっておるのが今日の段階ではないかと、こう思うんですが、この点の認識はどうですか。
  123. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 五十年度以降の地方財政状況に対応してこれまでいろんな措置を講じてまいったわけですが、私どもはその間幾たびか、交付税率の引き上げを含めて制度の基本的な改正ができないかということで、政府部内では議論もし要求もしたわけであります。しかし、それが結果として実現しなかった最大の理由は、地方も大変な状況にあるけれども、それ以上に国の方が大変だという大蔵側の主張もあって、結局、国、地方を通じて財政収支のバランスがとれるような制度の抜本改正ができるまでの間はこの借り入れによる措置でつなぐということで、今日まで来てしまったわけであります。したがって、こういった状態については、私どもも決してこれが望ましい姿、最善の措置と考えていたわけではありません。そういう措置で今日までつながざるを得なかった理由というのは、やはり国、地方を通ずる大変な財政収支のアンバランスと財政の構造的な収支不足、こういったものが大きな壁になってきているということはもう否定し得ないところであります。  そうした中で、地方としての地方のサイドに立っての主張を貫き得なかったという点について御批判をされる点は、私どももこれは甘んじて受けざるを得ないと思いますけれども、ただ、我々もいろんな努力をしましたけれども、やはり国の財政状態というものが非常な危機的な状況に陥っているという中で、どうしても地方だけの、地方サイドだけの論理を貫き得なかったということなんでありまして、まあ弱音を吐くわけじゃありませんけれども、結局、この問題の基本的な解決を図るとなると、国を含めた財政改革といいましょうか、基本的な問題の検討がないとどうしてもこれが実現できないということを痛感している次第であります。
  124. 神谷信之助

    神谷信之助君 先ほども、私の質問の後、また同僚議員が言っていましたが、この五百十億というような財源がなかったという場合は一体どうなるか。そしたら、それは以前もやったやり方からすれば減収補てん債、いわゆる自治体の借金でしてしまう以外にはなくなってくるでしょう。あるいは今度は、地方財政全体の対策としてだんだんそういうことが強まってくれば、地方財政計画全体の構造をぐっと変えてしまう、できるだけ圧縮する。それから、五十九年度の財政対策で明らかになってきたように、中央の方、政府の方は責任を持たない。今度は、五十九年は三百億、それは臨時のいままでの約束ですから、だから三百億だけにして、あとは全部地方債。交付税特会で借り入れるということであれば個々の自治体の借金ではないんです、国と交付税会計との関係ですから。五十九年の地方財政対策というのは自治体にみずからの借金を押しつけるわけです。それでなくても公債費がどんどんどんどん年々増加をして財政の硬直化がきつくなってきていますね。  この間、三重、和歌山回ってまいりましたが、やっぱりそういう心配をなさっているところにさらに地方債が押しつけられる。今までなら半々に分けるということ、交付税特会分と財源対策債、それをつらくしたような分け方もした力、上下ありますけれども、今度みたいに八割までが地方債で処理するというようなことはない。だから自治体は借金づけで、国がみずから借金して困っているからといって、人の方まで借金を押しつけるというのは思うひどいものだというように思うんですよ。  だから、本当に今度の場合は特例措置というならば、今年度に限りますというまだ一札でもとっていろんならいざ知らぬけれども、ことしはありませんね、それは。来年はそれならいいのかと、来年は国の財政がようなるか、ようならぬに決まっているでしょう。もし政策減税をやるとかやったんだったら、またおまえのところの責任でやれと、今度は財源ありませんと。国が責任を持て、おれのところは赤字で困っているんだ。それはおまえ欲しかったら自分のところでやったらええやないかと減収対策を押しつけられるのに決まっているんです。だから、ことしに限る特例でこれは政府が責任を持つべきものだということをはっきり確認をしてやっていろんならまだしもです。そうじゃない。今度の補正でこれやって、その手法、やり方は今度五十九年度の本格的な地方財政対策にそのまま生きていると、これからは地方財政対策はこうですよ、いままでのように甘やかしはしませんなどと——甘やかすどころの騒ぎじゃない、自分のところの責任を人になすりつけている、そういうことになっているんでしょう。だから私は非常に大変な問題だと、これからの地方財政対策にとって非常に重大な問題だというように思います。  これは局長もおっしゃるように、いままでは交付税率を五%上げるということで具体的に大蔵省と折衝してなかなか通らなかった。しかし、そういう攻撃的にやったから二分の一ルールということでそこまでに食いとめられたのだけれども、だんだん国の財政の方に物わかりがよくなってくると、次から次とやられて今日の事態になってきたというように思うんです。上の方でもっとやらなきゃいかぬので、これはこういった点は、後、大臣が見えてから指摘をしたいと思うんです。  そこで、もう一つの問題は特別交付税の問題なんです。  御承知のように、豪雪で自治体にたくさん予定をしていない持ち出しがふえています。ことしは豪雪だけじゃないですね。去年ずっと幾つも災害がありました。だから夏も冬も年じゅう災害がありました。したがって、衆議院でも私どもの経塚議員も指摘をしましたが、きょうもまた同僚議員からも特別交付税にさらに上乗せをするようにというのが共通した意見として出ています。  私は、特別交付税というのは、これの使い方というのは、一つは、本来なら普通交付税で見るべきものだけれども、いわゆるそういう財政需要に該当するのだけれども、全国的に見れば普遍的ではないと、非常に一部の限られた財政需要だからそういうものについて特別交付税で処理をしようと、その部分とそれからもう一つは、予想してない災害なんかが起こったときの手当てをする、これはもう予測できないのだから普通交付税で見るわけにいかぬ。それに同和関係があると思うんですよ、大きく言って。しかし類型的に言えばその二つだろう、こういうふうに思うんですね。これは間違いないでしょう。
  125. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 御指摘のとおりであろうと思います。  すなわち、特別交付税の機能は普通交付税を補完するということでありますが、その補完する内容としては、算定技術上の制約からくる普通交付税の足らざる分を補うという面と、それから時間的な制約からくる要因をカバーするという二つの面に大きく分類できると思います。
  126. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうしますと、私はあなたの言う言葉で言えば、時間線要因とこうなるのだけれども、予測しがたい必要経費というのですか、需要、これは特別交付税でと、これは予測できないのですから少なくて済むかもわからぬし、たくさん要るかもわからぬ、こうなりますね。しかし、枠はもう決まっているわけだ、特別交付税の枠はね。しかし、こっちの方は、これは普通交付税で処置をするにはなじまない、必然性はないというようなもの。本来は普通交付税で見なきゃならぬけれども、制度的にそのことがやりにぐいというもの、技術的にですね。しかし、災害の方が多かったらこっちがふえてこっちの方が減るということが私はわからないんです。本来は普通交付税で見るべきものなんです。しかし、臨時的に向こうの方がわっとふえたら、こっちの方は技術的に補完せざるを得ないようなものが今度は減ってしまう。だったらこっちへ入れてもらっておいたらそんな辛抱せにゃいかぬことはないわけです。そういう形じゃないかというふうに思うんですよ。  その点で具体的にひとつきょう言いたいのは、上水道と簡易水道です。  それで、これ一般会計からの繰り出しについては、地理的な条件とかそれから採算性の問題とかいうことを考慮して、そうして繰り出すことのできる三つの基準というのをお決めになって、それを超える上水道なり簡易水道については一定の特別交付税での処置をするというようになさっていると思うんですが、この点どういう状況か説明してもらいたいと思います。
  127. 土田栄作

    政府委員(土田栄作君) 上水道事業の高料金対策としての繰出基準でございますが……
  128. 神谷信之助

    神谷信之助君 できるだけ簡単にやってください。
  129. 土田栄作

    政府委員(土田栄作君) 資本費と給水原価と、それから家庭用料金と、この三つの指標をとりまして、最新の決算によります全国平均の数値というものをベースにいたしまして、毎年それぞれの金額というものを決めております。で、その金額以上のものにつきまして特別交付税による措置をすると、こういうことでございます。
  130. 神谷信之助

    神谷信之助君 それで五十八年度の基準は、資本費でいうと一立方当たり八十円以上、給水原価では百六十円以上、家庭用料金では百四十円以上、この三つの料金をそうやって今のに対して特別交付税措置をすると、こういうことのようですが、これは繰り出す額のどれだけを特交で措置されるんですか。
  131. 土田栄作

    政府委員(土田栄作君) 五五%ということでございますが、これは稼働率が六〇%以上のものにつきましてでございまして、その下のものにつきましては一定の逓減率を掛けるという方法でございます。
  132. 神谷信之助

    神谷信之助君 五五%……
  133. 土田栄作

    政府委員(土田栄作君) 三〇%……
  134. 神谷信之助

    神谷信之助君 いやいや稼働率はいいですよ。五〇%以下はいいですよ。今の超えているもの、稼働率六〇%以上で、……
  135. 土田栄作

    政府委員(土田栄作君) 五五でございます。
  136. 神谷信之助

    神谷信之助君 それで、今おっしゃった繰出金に対する交付税の率ですけれども、これは毎年、先ほどおっしゃったように、基準も変わるし、それから交付税で補てんをする率も変わると、こうなっているわけですね。両方動く。それで基準の方も毎年上がっていくわけだし、それから補てんをする方の率もずっと変わってるんですよね。四十四年から五十年度にかけては二分の一、上水道でね。それから五十一年から五十五年は三分の二、五十六年度は〇・五五となっていますね。  簡易水道の方はどうですか、四十九年ぐらいからでいいです。
  137. 土田栄作

    政府委員(土田栄作君) 簡易水道につきましては五十七年度が七〇%、五十八年度は五五%ということでございますが、五十八年度につきましては適用すべき単価を若干引き下げまして、算入率が下がる分はリカバーするような方法を講じております。
  138. 神谷信之助

    神谷信之助君 こうやって毎年率が変わるんですが、これはなぜですか。
  139. 土田栄作

    政府委員(土田栄作君) この特別交付税措置昭和四十四年度に初めて創設されまして、当初は五〇%、つまり二分の一でございました。その後、特別交付税総額状況が毎年変わってまいりますので、そういうふうな特別交付税総額状況等にかんがみまして、変遷を経て今日の措置内容になっております。ですから、上がりました時期もありますけれども、特別交付税総額が非常に厳しくなってきたということから算入率自体についても制約が加わってきていると、こういうことでございます。
  140. 神谷信之助

    神谷信之助君 それはおかしいですよ。大体これは高料金システムをとらなければ経営がやっていけない、独立採算だからというところでしょう。地理的条件も悪いあるいは人家がまばらという地域で、したがって原価も高くなるし、料金も高くなる。しかし、均衡を失するような料金になってもいかぬ。だから一定の水準で考えて、それを超える場合には一般会計の繰り出しをやってカバーしなさい。独立採算で本来は繰り出しをしたらいかぬけれどもやりなさいと。やった分についてはそのかわり、本来は普通交付税に計算したいんだけれども、全国的に言うたら少ないから、特交で見ましょう。そうすると、特交で見ようというのは、今言ったようにふえたり減ったりする。何でふえたり減ったりするかといったら、特交の枠がないから災害が多いときには減る。そんなだったらたまったものではない。当初、先ほど言ったような理屈ですよ、いかがですか。
  141. 土田栄作

    政府委員(土田栄作君) 特別交付税によります措置は、いまお話のありましたように、高料金対策として地方団体が支出いたしますことに対しまして、国としての措置をやるわけでございますけれども、そういう措置をやっております団体自体というのは、交付税に算入されておりません留保財源がございますから、留保財源から充当する余地もあるわけでございまして、そこのところを勘案しながら、もう一つは特別交付税総額というものをにらみながら算入率というものを決めてまいっておると、こういうことでございます。
  142. 神谷信之助

    神谷信之助君 あなた方は、何かそう言うとすぐ留保財源、留保財源と言って、それがあるんだからそれでやったらよろしいと。しかし、留保財源はどこにもあるんですが、大体こういうところの自治体というのは財政力の弱いところでしょう。ただ、京都の綾部市なんかは——近畿では京都市それからその次が神戸市。これはやはり三番目に地域が広いんですよ、一郡一市で合併しているんだからね。だから上水道は中心部だけであとは簡易水道ですね。これはもうおくれて布設する。つくればつくるほど値が上がってくる。これは一世帯百万円を超えるような負担をしなければいかぬというようなことが起こってくる。しかも、補助対象になるのは給水人口百人以上ですからね。だからそうなると、その地域は相当広域で簡易水道なら簡易水道をつくらなければいかぬ。だから経費は年々上がるわけです。だけど、ほかの地域と同じ市民の間で値段にそう大きな差をかけてはいかぬしというところで起こったんでしょう。水道が普及するにつれて料金格差が問題になって、したがって高料金対策を考えざるを得なくなり、そこから特別交付税で裏打ちをするということをおっしゃっていた。対象になっているのはそういう自治体が主ですから、富裕な自治体がありますか。富裕な自治体があれば、それはそこのところはおっしゃるように、留保財源があるじゃないかと、二五%あるじゃないかと——綾部市の税収は一体どれだけあるか、交付税に頼らないと生きていけないような自治体です。だから、簡易水道をうんとたくさん持たなければならない地域的に広大で山地の多いそういう自治体ほど財政力は弱いし、税収は少ない。それで逆に経営は困難になって高料金にならざるを得ない。おまえのところは二五%留保財源を持っているんだからそれでやりなさい——学校一つ建てるにしても、出張所も余計よその町よりも要るわけで、いろいろそういう余分な経費が要るわけでしょう。それを何でもかんでもそこへ持っていってしまう。そんなやり方は私はないと思うんですよ。だからこれはこの矛盾を解決するというのは、きょう皆さんもおっしゃっていたけれども、やはりことしのように夏も災害があったし、十一月には災害で夏までのやつは一定の特交をお出しになっているんだし、そうしてあと今度は雪が次に出てくると、こうなってきたら、当然やらなきゃならぬ。本来ならそういうときこそ普通交付税で見て——交付税制度というのはそういう財政力の弱いところに援助してやるべきシステムなんだから。ただ、それが数が少ないからといって特交で見ると、特交は災害が多い年になったら減らされると、これはもう私は、均衡ある地方財政の補てん、保障義務を持っておる交付税制度をみずから崩壊さしているんじゃないかと、こういうように思いますが、いかがですか。
  143. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 特別交付税は、先生も御指摘のように、交付税総額の六%というふうに枠が決まっておりますから、交付税総額の増減に応じて特交の総額も増減する。それで一方、特別交付税で対処すべき特別の財政需要はその特交の総額に比例して増減してくれない、それはまた別の天然現象その他によって増減が生ずるわけですから、常にこの問題は出てくるわけです。  特別交付税制度のあり方としまして、かねてから議論があるにはあるんです。現在、六%の総額のうち一定部分は、むしろ災害その他に経験的に対応すべき部分は、年度間調整をしたらどうだと。災害の多いときには借り入れる、あるいは少ないときには積み立てておくという、いわゆる交付税の積み立て借り入れ方式を特別交付税の部分だけについて切り離してやったらどうだと、こういった御意見が昔からあるんです。私は一つの議論であろうと思うんです。  ただ、まあ私どもがそういった議論、かねて実はこれは昭和三十年代の末期のころに大蔵省が非常に強く熱心にそれを主張したときも、どうもその議論は、交付税そのもののいわゆる年度間調整、結果的に交付税総額が国の財政の影響をストレートに受ける危険があるというような判断から、それを特別交付税に限っての年度間調整方式も私どもは同意しなかったわけです。やはり、まあつらいけれども特別交付税の枠内で対応する方が長期的にはベターである、こういうことで今日まで来ております。  問題は、そうは言いましても、特別交付税の総枠の中で対応し切れないような大きな大災害が起こった場合どうするかということは今日でも常にあるわけです。例えば一つの例としては、古くなりますけれども、伊勢湾台風のときとか非常に大きな災害があった場合には国庫による特例措置が数多く講じられまして、実質的に特別交付税の対応し得ない部分が救済されたということがあります。  そこで、今回のような豪雪というふうな事態が起こった場合に特別交付税の枠内で対応できるのかできないのか、こういうことが現実の問題になっていると思うんであります。この点については、いわゆる五六豪雪あるいは五十一年度ですか、あのときの豪雪、さらに古くは三八豪雪というふうな経験がありますけれども、いずれも過去の大きな豪雪の際には特別交付税だけでは結局対応し切れないということで、国庫補助金特例でカバーしていただいたわけであります。まあ今回もそういう事態ではないかという御指摘が非常に多いわけでありまして、私どもいまの実感としてはそういう感じを強く持っております。  そこで、そういうことで、いずれにしても特別交付税、総枠が決まっておる中で年度によって変動する要因に対応するために、どうしてもその変動要因以外の部分については影響を受けざるを得ないわけです。しかし、私どもはその際でも、例えばこの公営企業の繰出金などは一つの繰出基準というものを自治省として定めております。これは公営企業の経営の一つの経営原則を踏まえて繰出基準というのをつくっておりますから、その繰出基準によって特別交付税で対応するという部分については、長期的にはこれは普通交付税の状態や特交総額状況によって算入率を調整せざるを得ないんですけれども、私は、年度年度によってしょっちゅう上げたり下げたりというのは、これはよくないと思っております。  実は、土田審議官からも御答弁申し上げましたが、かつて三分の二まで算入率を上げておったのを現在五五%に下げておりますのは、率直に申しまして、特別交付税全体の事情や普通交付税の算入状態を勘案してこの率を決めたんですが、ただ、今年度雪が多くなったから減らしたということではなくて、私どもはこの率は、いろいろ多少中長期的な展望を持ちながらこの算入率でいきたいと。ただし今回、上水道について言いますと、稼働率要素を取り入れたのはことしの特交が足りないために取り入れたんじゃなくて、やはり本来そうあるべきだと、非常に過大な投資、利用可能性の少ない投資を少し考え直していただくという意味合いも込めてこの稼働率要件というものを導入したわけなんであります。したがって、私はこの公営企業繰出金に対する特交の措置率というのは、各年度年度の災害その他の事情によって上げたり下げたりはすべきでないと、中長期的な展望を持ってこれは対応していかなきゃいけないと思っております。  それならば、災害が多かったときの調整というのはどこでやるんだということになると思いますけれども、それはこういったある程度ルール的な算定要素ではなくて、個々の団体の個別の財政事情というものをどうしても勘案しながら対応しなきゃならない部分がありますけれども、そういう部分で調整せざるを得ないんじゃないかと、このように考えております。
  144. 神谷信之助

    神谷信之助君 いや、基準をちゃんと決めて、そして高料金に対して繰り出しを認め、それに対する措置をやってきていると。それは、これずっと見るとあなた、たとえば資本費ですと、五十二年度三十五円、五十四年度は五十円、五十五年は六十円、五十六年六十五円、五十七年七十五円、五十八年は八十円、毎年のように上げているんですよ。給水原価も家庭料金も同じように。だから、片一方でこれを上げ、片一方で算入率を変動するというのは一つ筋が通らない。私はそう思うんです。それは裕福な、財政力のある団体ならまだわかる。大体、特殊な例あるかもしれぬけれども、総じてそうではない団体だ、こういうものに頼るというのは。今日、こういう高料金を取らざるを得ないというところは。財政事情の豊かなところはそんなに料金高くしないですよ。だから、そういう基準を上回るようなところに対して繰り出しをしてやるのに対して私はどうかというように思うのと、そこでもとへ戻るんですけれども、災害が多かったとき一体どうするかと。それはいままであったように、特別交付税の枠というのは六%と決まっているんですから、だから急に言われてもそれはできないと。伸びるわけがないわけです。だからそういう場合には、先ほどもあったけれども、大臣は努力する、頑張りますとおっしゃったけれども、他の会計からのいろんな措置を総合的にやって考えてもらうということが一つあるんですよ。  問題は、ことしの場合は現に五百十億という財源はあるわけです、精算に回した五百十億が。それをことしは減収補てんの方に食ってしもうたわけだ。それはことしのこれに充てることも可能である。これはそのうちの六%にしかなりませんから、それで足るか足らぬかという問題。あるいは来年度に使うこともできた。それは財源対策のための地方債、自治体に対する借金を、わずかであるけれども、五百十億だけれども減らすことはできただろう。ところが、国の財政がどうにもならぬからといってがあっとくる。国の方はそれでいきますよ。現場の第一線の地方公共団体はそんな強引にいけませんわ。だから、そのことをやっぱり考え、それらも含めて考えて地方財政対策というものを考えないともう大変なことになってしまう。先ほども言いましたように、それだけにとどまらず、これは根本的なこれからの地方財政対策になるというふうに思うんですよ。その点が私は極めて遺憾だというように思うんですが、どうですかね。
  145. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 先ほど繰出基準の単価が毎年動いているじゃないかというのは、これはまあ後で必要があれば補足答弁いたしますが……
  146. 神谷信之助

    神谷信之助君 いや単価じゃない、その条件、基準です。
  147. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 基準は、資本費とか給水原価とか家庭料金とか、それぞれの全国平均値をとって、それを上回る分について繰り出しをするという基準を持っていますから、その全国平均値というのは当然、毎年度毎年度見直していきますから、そういう意味での変更であると。特別交付税を減らすために単価引き上げているんじゃなくて、その繰出基準そのもののベースになっております全国平均値が年度によってスライドしていくと、このように私は理解しております。  それから、今の後のお尋ねでございますが、五十八年度の措置として五百十億円の精算額を特交に使ったらよかったんじゃないかという御意見ですが、かつて年度途中に交付税の増額がありまして、その一部を災害その他の事情を勘案して特別交付税に充てて、いわば特別交付税分だけはその年度で使って普通交付税分を翌年度へ繰り越したというようなこともあります。そういう財政状態であれば、私はことしのようなときには恐らくそういう対応をしていただけたんじゃないかと、すべきであったんじゃないかと思うんですが、ただ、先ほど来るる申し上げておりますように、五十八年度の国の財政状態のもとで何としても減税あるいは減収に伴う交付税の減額を完全に補てんすると、このことを何としてもやらなきゃいけないと私ども考えまして、その際、五十七年度の精算額五百十億円が既に決まっておりましたので、これをまず充て、足らざる分を国の一般会計から引き出したということでありまして、まあ確かに、ことしの豪雪等の事情を勘案すれば、先生の御指摘したような措置の方がより望ましい、より地方にとってはありがたい措置であろうと思いますけれども、今年度の財政状態のもとでは残念ながらそういう方向がとり得なかったということで御理解を賜りたいと思います。
  148. 神谷信之助

    神谷信之助君 それで、ことしの五五%というのはもう仕方がないとしても、節水の方は八〇ですか、高いところはね、ということになっても、それは済んだことでありますから、来年度はこの点見直しをする考えはありますか。少なくも検討する考えはありますか、引き上げの方にね。下げる方じゃないですよ。
  149. 土田栄作

    政府委員(土田栄作君) まず、繰出基準となります単価につきましては、これは毎年、供給原価が違ってまいりますので、決算統計で置きかえてまいるということでございます。  それから、施設利用率によります調整につきましては、これはそれぞれの施設自体の適正な投資規模であるかどうかということを考えて、算入基準というもので決めている問題でございますから、ことしの算定の結果を踏まえまして、さらにもう一回各地方団体の意見は聞いてみたいとは思います。
  150. 神谷信之助

    神谷信之助君 それじゃ大臣、お越しになって早速ですが、時間の関係もありますから二、三お伺いしたいと思うんです。  まあ第一の問題は、さきにも同僚議員からも質問がありましたけれども、今度政策減税とそれから税の自然減収分、これは穴あいたと、この穴埋めをせんならぬと、こうなったと。従来は国の政策によって減税した分については、これは国が責任を持つということで、五十二年度、五十三年度、五十六年度と全部国が責任を持って処理すると、こうなってきているんですよ、政策減税の分。しかし、税の自然減の補てんの場合、これは大蔵省と自治省とが大論争ずっとやってきている問題ですね。もう御承知のとおりです。我々の方は自治省と一致をして、地方財政計画を見積もったのは政府なんで、各自治体が決めたわけではない、それが今度は思惑どおりいかなかった責任というのは政府の政治の結果なんだから持つべきだと。当初はそういう方法をやっていましたが、結局国の財源はないからということで、元金の方は二分の一国が持つけれども半分は自治体持てと、こういうまず外堀を埋められました。しかし、利息は全部国が持ちますと、こうなっている。それでずっときて、しかもそれは交付税法の六条の三の二項でいけば、本来交付税率を引き上げるか行財政制度を根本的に変えるかせにゃいかぬじゃないかと我々がやかましく言ったら、二分の一ルールを制度化しているんで、これはこれで六条の三の二項に違反をいたしませんと言って強弁をしてこられた。我々はこれに不満ですが、しかし考え方としては、政策減税の分も自然減収の分も、これは本来国が責任を持たなければいかぬものだという立場は一貫して貫いてこられた。ところが、今回はとうとうそれが貫けなかった。それは何でと言うたら、五十九年度以降は交付税特会からも借り入れをしないということになって、それでちょうどたまたまうまいぐあいに五百十億円精算分が残っていたと、それでやりましたと、こうなんですよ。これは私は重大な問題だと思う。というのは、政策減税それから税の自然減収は自治体が見積もったんじゃない、国が見積もったやつの見積もりの誤りですから、この二つは国に責任があるのだということをもう言わぬ、地方に責任がございます、自分ところでみんな責任持ちましょうと、こういうことになってくる。これはもう重大な政府の政策の自治体財政に対する責任転嫁で、これはもう地方自治の破壊につながると思う。国の責任のしりぬぐいは全部自治体側にやらすというのは、いかに国の台所がきつくてもけしからぬというように思うんですよ。  だから、これはその点ではいままでもそういう動きはあった。利子を全部自治体に持てとか、去年も、五十八年度を決めるときにありましたよ。それでも、曲がりなりにも歴代の自治大臣は頑張ってきたけれども、幸か不幸か、新自由クラブ出身の田川さんになったらこてんといかれたと、こうなった。私、これは本当に重大な問題だと思うんですが、大臣はどういうようにお考えでしょうか。
  151. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) いま神谷委員がおっしゃった考え方というのは、今後も私ども守っていかなきゃならぬ問題であると思います。そして、今回の予算編成の中で、このようなまあ緊急処置と申しますか、特別な処置をとらなければならなくなったということは、先ほどもここで申し上げたとおりでございます。  私が自治大臣になったからこういうことになったのではないかと、衆議院の予算委員会でもそれに似たような御質問が野党から出ましたけれども、まあ私が就任したからということでなくて、私が就任する前からこういうような傾向はかなり事務当局同士で煮詰まっていたようでございます。  そういうことで、今回の五十九年度の処置につきましてはことし限りで、これからこういうことのないように、中央の国の分担と地方の分担とは明確にやっていくことを、私が政治生命かけてと言うと大げさになりますけれども、ひとつしっかりした姿勢で取り組んでいくということを申し上げておきたいと思います。
  152. 神谷信之助

    神谷信之助君 いままでは、だから所得税減税をやると、その分は地方の側からいうと収入減になる。だから国民の要望からいえば所得税減税賛成だけれども、地方財政の面からいったら、地方自治体の方からいうと、それをどうしてどこがどう見てくれるのだという不安がある。それは国が責任持つのだと、それだったらみんなが喜ぶからどんどんやれと、こうなる。ことしはこれやらぬでしょう。五十九年度また所得税減税をやると、今度は——今、政府原案出ていますが、それでは足らぬ、もっとやれと、予算修正やったりあるいは年度途中で補正やったりするかもわからぬ。特に年度途中で補正があったりすると地方財政計画の歳入部分というのは減収しますからね、そうすると、そのときには国の財政は豊かになっているかというとそうじゃない、こっちも余裕財源はない、これは先ほども話があったように、結局その減収補てん横ということで借金をおまえのところそれぞれやれと、こうなる。だから、こうなってくるとたまったものじゃない。今度の措置が、大臣おっしゃるように、今回は特別のことだと、もう以後は絶対やりませんという一札はないでしょう。今までは特別のことだ、今年限りだということになっている何か一札とっていますか。ないわけで、それで来年になったら国の財政が豊かになってそんな心配いらぬという保証とかもはっきりしていないから、同じ状態はもっときつい、ひどくなる。こうなると、ことし限りだと言って、大臣は努力します、頑張りますとおっしゃるけれども、客観的な条件というのはよくなるんじゃなしに悪くなるということになると、私は、これは本当に重大な問題だというように思います。  第二は、大臣お越しになったらということで残しているんですけれども、来年度の地方財政対策で、それが影響しているからこういう措置になっているのだけれども、交付税特会の借り入れはやらぬと、これからは。これを両大臣の合意で明らかに文書でやっているわけでしょう、今後はもうやらないと。こうなるともう私は大変なことになると思う。今みたいな事態が起こったときに交付税会計では借り入れをしない、それなら一般会計から繰り入れるか——それはできません、こうなってしまう。本来は、交付税会計は何も借り入れする必要はないわけです。それは一般会計から補てんしたらいい。できなければ行財政制度を根本的に見直すべきだ。だから当委員会では、五十年度以降こういう事態が起こった当初から、交付税率の引き上げと同時に、補助金に頼らなきゃならぬような地方財政というのは根本でおかしい、だから国税地方税のやり方を変えろ、同時に仕事の分担も変えると、そうして国と地方事務分担をはっきりし、それに必要な財源措置をちゃんとせいと、とにかく中央の省庁へ行って頭を下げて補助金をもらわぬことには仕事ができぬようなばかなことがあるかという、そこのところを早くやらなければこれは解決しないということを強調したけれども、これで十年やってできなかった。そうして、あげくの果ては、もうこれからは借金はまかりならぬ。私はもう二、三年前、四、五年になりますか、交付税特会がどんどんどんどん借り入れをふやしていくことについて危険を言ったわけですよ。というのは、あれはどんどんふえましても実際上関係ありませんからね。  それから、自治体の方の今やっている借金の相当部分、何割ぐらいになりますか、これは政府の指示で借金をしているわけです。財源対策債、それから減収補てん債だとかというような穴埋めのための借金。だから自前で借金をしたというのは、自治体の借金のうちでどのぐらいになりますかね。まだ私計算していないけれども、そんな七割、八割ぐらいまで行きますか。そんなには行かぬか、もっと少ないかなあぐらいだと思いますよ。だから、そういうことを考えますと、大体今まで十一兆から借金がふえるのを見逃してきたのは政府であって、それをやめて——大体自治体の方がのんびりし過ぎておるからもう全部借金をやらすし、こうなってしまった。五十九年は不足額の八割が地方債でしょう。自治体自身が借金しなければいかぬ、こういう根本的な転換になっているんですよ。この点についてはどういうようにお考えですか。
  153. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) ちょっとその前提になる問題について初めに私から御答弁申し上げますが、五十九年度の地方財政対策におきまして、一兆五千百億円の財源不足について建設地方債増発一兆二千億円余りで対処した、交付税特例の方が少ないというこの点をしばしば御指摘になっていると思うのでありますが、従来、財源不足に対して補てん措置を講じようとする場合には、ます手順として、建設地方債について、財源不足の計算の前提としては昭和三十年代の一番起債の充当率を低くしたときの前提で根っこを計算するわけです。具体的には、公共事業の場合二〇%。そこで、それに対して建設地方債の活用をするという形で財源補てんをしておりますから、財源不足額が小さいときには地方債の活用による部分の方が、そちらの方は公共事葉が決まれば絶対額が決まってきますから、どうしても金額が大きくなるわけです。そして、それで足りない分を交付税特例措置で対応するという形になっておりますので、過去五十年度以降も財源不足の非常に大きいときには、起債の方が決まってしまいますから、そうすると残りの交付税で対応する額が非常に大きくなる、傘として高くなる。それから、財源不足が小さくなりますと、起債部分は固定的ですから交付税特例部分も小さくなる。これは五十四年度、五十五年度、五十六年度と、大体財源措置をごらんいただきますとわかりますように、年々財源不足が減ってきますと、その減った分は交付税措置の方で減っているわけです。起債の方はそれほど変わっていないというこれまでの扱いになっております。  基本的には、五十八年度の場合も、財源対策としてまず建設地方債の活用をできるだけ図る。御承知のように、国の場合には建設国債も一〇〇%充当でありますが、五十八年度の場合、建設地方債の活用は九〇%の充当でありました。大蔵省は九〇とか九五とか一〇〇とか言っておりますが、それを今度八五に下げているわけです。下げて残余は交付税特例にした。ですから、起債の依存度は五十八年度の場合も五%引き下げるという努力をしているということをひとつお聞き取りいただきたいと思うのです。
  154. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 特会の借入金をもう新たに行わないというそういうようなことはどうかと、こういう御質問ですね。  これは私もこういう地方財政の見直しが行われるということについては、地方財政の、何といいますか、借入金依存体質というものを変えていかなければならない。これをこのままいりまでもやっていくことは地方財政基盤を揺るがすことにもなりかねない。こういう意味から、もうそろそろこういうことはすっかり変えていく必要があるのではないか、こういうふうに私はこの問題を見ているわけでございます。
  155. 神谷信之助

    神谷信之助君 これは財政局長、もうちょっと大臣に教えてやらなければいかぬ。そんなものあなた、いままでの交付税特会の借金というのは自治体の個々の借金じゃないでしょう。今度あなた方が五十九年やるというのは自治体に借金をさすんでしょう、会計上の操作じゃないでしょうが。それがあなた、交付税の方が少なくて借金は多うなる。要するに、借金が多うなることを問題にするのです。あんな一兆二千億、何も借金でしなくて交付税でくれたらいい、交付税率上げて。その方が自治体は自由に使えますから。借金では、建設地方債でやってもみんな使い道は決まるんです。自由に使える金はないでしょう。自主財源をどれだけもっとふやしてほしいというのが、どこの自治体でも皆さんにお願いしているところでしょう。借金をもっとさしてくださいというよりも、まず自主財源をふやしてください。それは借金するよりは自分の自前の金でやった方がいいんですよ、利息も何も要らぬのだから。だから、そこのところをおいて、今度は、一般の借金じゃないんで、自治省の中にある帳簿の上にある交特の会計の借金が自治体にかわっていく。たまったもんじゃないと言っていますよ。  時間がありませんから次の問題に行きますがね、これはいずれにしても交付税の議論でまたやります。  それからもう一つ、大臣、問題にしたのは、特別交付税というのは六%というふうに財源が決まっていますね、袋が。この決まっている袋は、どう使うかというのはあるけれども、大きく言って、一つは予測しない災害の折に使います。もう一つは、本来なら普通交付税で計算をして、見なければいかぬのだけれども極めて一部で特殊的な例なんで、だから普通交付税の方で計算をするにはなじまないので、こういうものは特別交付税で見ますと、こうなっている、まあ大きく言ってね。ところが、災害がうんとふえますとこっちが減るわけです。そうしたらこれはたまったものじゃない。それだったらこっちは初めから普通交付税に入れてくれたらいいわけだ。数が少ないからといってこっちへはみ出されて、それが災害の起こるたびにこうなるんじゃたまったものじゃない。だから、災害については六%の中で一定の枠をつくり、その残りの枠で特殊な要因に基づく手当てをなさっているわけです。だから、その枠を超えるようなときには、これは先ほど大臣も全力を挙げて努力しますとおっしゃったけれども、別枠で上乗せをしないことには、当然もらうべき交付税にいろいろ変動が起こってきますよ。そうなりますよ。だから、この点では絶対ここのところは努力してもらわなきゃいかぬ。財政局長も、これも大体こっち側の、当然やらにゃいかぬ、補てんせにゃいかぬ方の恒常的な部分についてはもう事前に年度の初めにおいて一定の基準をつくってやっておるので、それに余り影響しませんという意味のことをおっしゃるけれども、そうは言っても減っていくことは事実なんでね。だから、その点をこっちへ寄らぬように、災害災害で足らぬ場合は足らぬ前として別枠を取ってくるという以外ない。まあ努力なさるというようにおっしゃっていましたから、その点をひとつお願いしておきたい。
  156. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) ちょっと一部分よく私も理解できない、御質問の趣旨がよくわかりませんので今局長に聞いたら、努力していくべきだという話をしましたけれども、正直に申し上げますが、こういうような雪害なんかで突発的にいろいろな被害が各自治体に起こっている際でございますし、特別の場合には特別に処置できるように努力をしていかなければならない、このように今後も努力してまいります。
  157. 神谷信之助

    神谷信之助君 もう時間が来ていますから一言だけ言っておきますが、先ほど申し上げたのは、その問題で京都府の綾部市会の方から全員一致で意見書が総理大臣、自治大臣、大蔵大臣、厚生大臣あてに行っております。というのは、繰り出している分に対する交付税の算入率が低い、五五%です。だから、それをひとつ引き上げるようにしてくれという要望です。先ほど聞いたら、来年度また検討するときに検討しますからという話ですから、この点はひとつ大臣も含んでおいて努力をしてもらいたい。よろしゅうございますか。
  158. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 努力をいたします。
  159. 神谷信之助

    神谷信之助君 では終わります。
  160. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  161. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  162. 志苫裕

    志苫裕君 社会党を代表して、地方交付税法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。  この法律は、国税減収に伴って生ずる地方交付税の減額分を補てんしようとするものでありますが、このような事由による地方財政の補てん措置は、原因者が国であり、かつ交付税法の建前からして、当然に国の責任において措置すべきものであります。  従来は、借り入れという変則的な形ではあるが、政策減税の場合は全額、自然減収の場合は半額を国が負担することを例として、ほぼルール化してきたところであるが、今回はそのルールをも破棄し、しかも国の責任を地方公共団体に大幅に転嫁していることは到底容認できない。  特に、国の政策減税相当分を地方の負担において措置することは今後に悪例を残すものであって、国と地方の役割分担からいってもゆゆしき問題である。昭和五十九年度以降、地方財政対策の改変が企図されているが、それはこれから国会の審議にねだねられるものであって、その制度改革を事実上先取りしていることも国会軽視として見逃すことができない。  以上をもって討論を終わります。
  163. 原田立

    ○原田立君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました地方交付税法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行うものであります。  地方財政は、国の経済政策の失敗から、昭和五十年度以降、毎年大幅な財源不足を生じております。日本国憲法の第八章地方自治の本旨に照らしても、地方財政健全化財源不足対策は緊急を要する最重要課題であります。  現在、地方自治は、交付税特別会計の借り入れ十一兆五千二百億円、地方債三十八兆四千億円、その他一般借り入れ七兆五千八百億円を含めると、五十七兆五千億円もの借金を抱え、危機的状況下にあるのであります。政府のやっていることは、国の財源難を理由に、従来の交付税特別会計の借り入れについては、元金の二分の一、利子については全額国が負担するのが基本ルールであったはずであります。ところが今回、元利とも二分の一を地方に負担させるという施策は、地方財政の根幹を揺るがすものであり、断じて認められるべきものではありません。  また、地方交付税の減額措置にしても、ただ単なる数字合わせにすぎず、有効な対策は何一つ打ち出していないのであります。五十八年度地方交付税の補てん措置として、八百三十二億円を減額するとしておりますが、中身は従来と違ったものになっております。政策減収分については全額、自然減収分についても二分の一、国が負担することになっているにもかかわらず、今回の法案における補てん内容は、五十七年度決算で生じた精算分を充当しております。この精算分は、従来の慣習から言えば、五十九年度会計で計上されるのが筋であります。  このように、一方では負担増を強いられ、他方では歳出の大幅圧縮など、危機に追い込まれています。地方自治確立のための地方財政充実こそ大切であります。この大目的に立ってみても、今回のやり方は、将来にわたって、いわゆる裸の王様にしかねまじき内容を含んでおり、到底容認することはできません。  以上の理由により反対を表明し、討論を終わります。
  164. 神谷信之助

    神谷信之助君 私は、日本共産党を代表して、地方交付税法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。  この改正案は、昭和五十八年度の所得税減税に伴う地方交付税四百八十億円の減額と、国税三税の自然減収に伴う地方交付税三百五十二億円、合わせて八百三十二億円の交付税減額分を、五十七年度の交付税精算分五百十億円と一般会計からの特例加算三百二十二億円で補てんするため、所要改正を行おうとするものであります。  しかし、今回のこの措置は、地方交付税の補てんを、まず地方の固有財源である五十七年度の交付税精算分で埋めさせ、その残りを国が補おうというやり方になっています。これは、国の負担を地方に転嫁する以外の何物でもありません。  この地方交付税減額のもとである所得税減税は国の政策として実施されたものであり、その補てんは、当然、国の負担で行うべきことは今さら言をまつまでもないのであります。  この委員会における先ほど来の審議でも明らかなように、従来、所得税減税による補てんは、昭和五十二年度、五十三年度、五十六年度と、すべて全額を国が負担してきたのもこの考え方によるものであります。なぜ今回はこのような当然の措置をとらないのか、全く不可解であります。  また、もう一つの交付税減額のもとである国税三税の減収も、これまた地方の責任によって生じたものではありません。まして、国の立てた地方財政計画に基づく地方財政運営を保障する責任は国にあります。したがって、この補てんも当然国の負担で行うべきものであります。  この点では従来、政府は、自民党を除く各党の反対にもかかわらず、例の二分の一のルールを適用して、国と地方が二分の一ずつ負担する方式をとりつつも、こうした中でも利子については国が全額を負担してきました。我が党が今まで政府のこうした措置に反対してきたのは、二分の一といえども、国の負担と責任の地方への転嫁を容認することは到底できないからであります。今回の措置は、従来のこうしたやり方からさえも明らかに後退するものであり、絶対に賛成することのできないものであります。  この際、五十七年度の交付税精算分五百十億円は、雪害、災害対策など、五十八年度の新たな行政需要に充てるか、あるいは五十九年度一兆五千百億円に及ぶ地方財源不足対策に充当し、地方の財政負担の軽減に役立てるべきであることを主張して、私の反対討論を終わります。
  165. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  166. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。  地方交付税法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  167. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  168. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時十一分散会      —————・—————