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1984-07-31 第101回国会 参議院 大蔵委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年七月三十一日(火曜日)    午前十時三分開会     —————————————    委員異動  七月三十日     辞任         補欠選任      赤桐  操君     八百板 正君      青木  茂君     木本平八郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         伊江 朝雄君     理 事                 岩崎 純三君                 大坪健一郎君                 藤井 孝男君                 竹田 四郎君                 塩出 啓典君     委 員                 梶木 又三君                 河本嘉久蔵君                 倉田 寛之君                 中村 太郎君                 福岡日出麿君                 藤井 裕久君                 藤野 賢二君                 宮島  滉君                 矢野俊比古君                 吉川  博君                 鈴木 和美君                 丸谷 金保君                 鈴木 一弘君                 多田 省吾君                 近藤 忠孝君                 木本平八郎君                 野末 陳平君    国務大臣        大 蔵 大 臣  竹下  登君    政府委員        内閣法制局第三        部長       大出 峻郎君        大蔵政務次官   井上  裕君        大蔵大臣官房会        計課長      朝比奈秀夫君        大蔵大臣官房日        本専売公社監理        官        小野 博義君        大蔵大臣官房審        議官       角谷 正彦君        大蔵省主計局次        長        平澤 貞昭君        大蔵省関税局長  矢澤富太郎君    事務局側        常任委員会専門        員        河内  裕君    説明員        厚生省薬務局監        視指導課長    中井 一士君        自治省税務学府        県税課長     前川 尚美君        日本専売公社総        裁        長岡  實君        日本専売公社総        務理事      岡島 和男君        日本専売公社総        務理事      西村 忠弘君        日本専売公社総        務理事      森  宗作君        日本専売公社理        事        遠藤  泰君        日本専売公社理        事        丹生 守夫君        日本専売公社理        事        友成  豊君    参考人        塩業審議会会長  河野 一之君        元臨時行政調査        会参与      中橋敬次郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○たばこ事業法案内閣提出衆議院送付) ○日本たばこ産業株式会社法案内閣提出、衆議  院送付) ○塩専売法案内閣提出衆議院送付) ○たばこ事業法等施行に伴う関係法律整備等  に関する法律案内閣提出衆議院送付) ○たばこ消費税法案内閣提出衆議院送付) ○連合審査会に関する件     —————————————
  2. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨日、赤桐操君、青木茂君が委員を辞任され、その補欠として八百板正君、木本平八郎君が選任されました。     —————————————
  3. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) たばこ事業法案日本たばこ産業株式会社法案塩専売法案たばこ事業法等施行に伴う関係法律整備等に関する法律案及びたばこ消費税法案を議題といたします。  この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席いただき、まことにありがとうございます。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。  議事の進め方といたしましては、委員からの質疑にお答えいただく方法でお願いいたします。  それでは、これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 丸谷金保

    丸谷金保君 まず、大蔵省に、これはどこかわかりませんが、法案と別に、緊急な問題なのでお尋ねいたします。  現在、文部省関係オリエンタルマシン社から購入した機器についての贈収賭事件というのが起こっております。国立学校のほかに、現在までの状況によりますと、大蔵省中央官庁でもこの会社から各種の機器購入しているというふうに聞いております。これは内閣委員会の方でやっておるんですけれど、大蔵省購入しておれば購入方法価格等についてもしかるべくきちんとやっているだろう、そうするとはっきり差が出てくるから、ひとつぜひこのことをお聞きしておいてほしいと、こういう依頼がございましたのでお伺いするんですが、オリエンタルマシンから大蔵省購入したワープロその他の機器一台ごとの単価、御調査になっていると思いますのでお答えを願いたいと思います。
  5. 朝比奈秀夫

    政府委員朝比奈秀夫君) 御答弁申し上げます。  オリエンタルマシン社から、調査いたしましたところ、ワープロそのもの購入いたしました実績はございません。それからそのほかの事務機械についてはどうかということをあわせて調査いたしましたが、大蔵省本省にはオリエンタルマシンからの購入実績はございませんでした。  ただ、関係機関を含みます全体といたしましては、例えば昭和五十八年度では三千四百万円というようなその他の事務機械消耗品などの購入実績がございました。その内容でございますが、せん孔機とかシュレッダー、そういった少額の事務機械消耗品、そういったものでございました。
  6. 丸谷金保

    丸谷金保君 それは大蔵省関係機関ということでございますか、その三千四百万というのは。
  7. 朝比奈秀夫

    政府委員朝比奈秀夫君) さようでございます。大蔵省関係の例えば国税庁とか、そういったところでございます。
  8. 丸谷金保

    丸谷金保君 昭和五十八年三千四百万ということなんですが、大蔵省購入する契約相手としては、このオリエンタルマシンは、Cクラスでいわゆる五百万以下、随契の場合には百六十万以下の契約をする相手ということになっております。したがって、大蔵省関係の各それぞれの部局というか、外郭、まあ国税庁その他も同じような契約クラス内容でないかと思うんです。これはちょっと本省ではおわかりになりませんか。
  9. 朝比奈秀夫

    政府委員朝比奈秀夫君) 先生指摘のように、随意契約の場合は百六十万以下というその点は、同じ取り扱いでございます。ですから、高額の事務機械につきましては、いわゆる一般競争入札、こういう形でやっている点は同様の取り扱いになっております。
  10. 丸谷金保

    丸谷金保君 その一般競争入札なんですが、その場合も金額によってランクがございますでしょう。大蔵省本省の場合に、Cクラス五百万以下、競争入札でもこういうランクづけがございますわね、機器購入等については。それは横並びなんですか、その点も。百六十万はわかったんですが、五百万の方です。
  11. 朝比奈秀夫

    政府委員朝比奈秀夫君) 基本的には先生指摘のような点で共通かと思われますが、その金額の刻みにつきましては出先ごとに若干の違いがあるようでございます。
  12. 丸谷金保

    丸谷金保君 その問題は、そうするとできれば次回までに、きのう質問通告申し上げましたように、機器とメーカーと、それから一台ごと金額オリエンタルから購入した分ですね——これは今おわかりになっていますか。通告では申し上げておいたんですけれども
  13. 朝比奈秀夫

    政府委員朝比奈秀夫君) オリエンタルマシンとの取引につきましては、そういう若干の取引がございましたが、その細目につきましては、非常に膨大な、非常に多方面にわたる消耗品機器その他ございますものですから、御答弁を差し控えさせていただきたいと思っておりますが、先生質問のような取引に関する問題、そういった点につきまして先生からの事前の御指摘もございましたものですから調査いたしました。その結果によりますと、一応法令に基づきました適正な契約が行われている、こういうことで、私どもとしては特別の問題点はない、かように考えております。
  14. 丸谷金保

    丸谷金保君 適正に行われているだろうとは私も思うんですよ。ただ、そういうほかで問題になっているので、同機種のものであれば必ず差があるだろう。というのは、今までの内閣委員会等で明らかになってきたことは、大体少し高く買っているんですね、実際の相場よりも。そして、その差額が贈賄資金として流れているというふうに言われているんです。そうすると、大蔵関係のところで買った場合は高く横並びでなくて必ず低くなっているんじゃないか。こういうふうに思いますんですが、私は、例えば相当高額な機械についてぐらいはおわかりになるかと思うんですが、きょうはよろしゅうございます。それは後で資料をちょうだいできますか。細かい資料だと思いますので。
  15. 朝比奈秀夫

    政府委員朝比奈秀夫君) 丸谷先生からせっかくの御指摘がございましたものですから、今般の事件にかんがみましていろいろと調査をいたしてまいりましたが、今後とも十分契約事務全般につきまして、さらに厳正な管理を行うように努めてまいりたいと思います。  それから先生の御要望の資料につきましては、できる限りの内容整備いたしまして先生のところに御説明に伺いたいと思っております。
  16. 丸谷金保

    丸谷金保君 それじゃ本論に入らせていただきます。  まず、大臣にお伺いいたしますが、今回の塩専売法案の旧法と最も違うところは、第一条に目的規定を設けたことである。塩専売事業、塩の問題です。公益専売であるものを明らかにしたところにあると思うわけなんです。したがって、附則第二条の「国内塩産業自立化目途が得られた段階で、この法律について検討を加え、必要に応じ所要措置を講ずる」ということも、第一条にある「国民生活の安定に資することを目的とする」公益専売の精神は生かしながら検討するということであると思いますが、いかがでしょうか。  また一方、専売制度あり方についての閣議決定臨調答申趣旨がこの法律の中ではどのように盛られているか。  この二点について。
  17. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 第一の問題は、丸谷委員指摘のとおりであろうと考えております。  それから臨調答申の問題は、塩専売制度あり方については、累次の閣議決定におきまして、国内製塩業自立体制確立を促進しつつ専売制度を廃止するとの基本方針のもとに具体的な施策検討を推進することとしております。  また、臨調答申では、「国内塩産業自立体制確立に向けての諸施策を一層推進する」こと、二番目に「自立化目途が得られた段階で、現行塩専売制度を廃止する」こと、塩専売制度が廃止されるまでの塩専売事業特殊会社が実施することという提言でございます。  したがいまして、今次改正にそれをそのまま当てはめてみますと、一つには、買い入れ数量割り当て制度、それから販売特例塩制度、それから元売人商売買制度等自立促進のための措置を引き続きまたは新たに講ずることとしていること、それから二番目には、自立化目途が得られた段階塩専売法について検討を加え必要に応じ所要措置を講ずるという検討条項を先ほど仰せられましたように設けておりますことと、それから三番目には、塩専売事業所要措置を講じた上で日本たばこ産業株式会社に行わせること、すなわち特殊会社に行わせること。その三つからしてその趣旨は生かされておるというふうに理解をいたしております。
  18. 丸谷金保

    丸谷金保君 次に、臨調委員にお尋ねいたします。  五十七年七月の第三次答申によりますと、塩専売事業国内塩価格国際価格水準に引き下げ、国内塩産業自立体制確立して専売制度の廃止を図るように答申をしております。そしてその可能性につきましては、省エネの新技術導入等を中心とした合理化によって達成できるとしております。塩産業自立目途が得られた段階でと言いますが、一体その目途が得られるのはおおよそ臨調としてはどのくらいたつと得られるというふうにお考えになって答申したのか、お考えを伺います。
  19. 中橋敬次郎

    参考人中橋敬次郎君) 臨調におきまして、私どもは第四部会において議論した者の一人でございます。そういう点で御了解をいただきたいと思います。  ただいま御指摘のような五十七年の第三次答申内容におきまして、国内塩産業自立化目途が得られるということを一つめどといたしております。それにつきましては、既に御承知のように、我が国塩産業状態を見まして、ほぼ食用塩国内産の塩につきましては国際価格と十分競争し得るという段階に達しておりますけれども、なお輸入塩をそのまま使ったりあるいは粉砕して使ったりするというような、いわば水産加工用等分野におきましての輸入塩国内塩との比、較等について見ますれば、なお乖離がございます。そういう点につきましても、先ほど大臣からもお話がございましたように、二回にわたるところの閣議決定の線に沿って、いかようにしてそういうような合理化の線を進めたらいいかということにつきまして、塩業審議会においてもいろいろその方途を御指摘になっておるようなところでございまして、そういうような問題についての生産面合理化、ただいま丸谷委員答申の中でお示しになりましたような合理化の線を進めるならば、そういう食料用国内産の塩の問題につきましても、かなりの努力をすれば国際価格についても十分競争し得るというような展望を得ておりまして、その線に沿って努力をいたしました暁においては、専売制度というような制度によらないで十分国内塩産業というものが、生産そしてまた流通の問題についても、相当の努力を加えれば十分成り立ち得るという判断に立ったものでございます。  しかし、それにつきまして一体どういうような年限をめどにしておるかという御質問でございますけれども、それにつきましては、いろいろ生産面においての合理化設備投資の問題あるいは流通関係合理化の問題、さらには海外塩の事情というようなものがいろいろ相関連して行われるものでございますから、そういうような我が国内産産業界が十分国際的に自立し得るというようなめどというのは、年限的にはそのとき想定をいたしておりません。ただ、そういうような環境状態が十分そういう自立を達成するような状態になったならばというようなことで答申をいたしておる次第でございます。
  20. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、いつごろそうなるかわからないけれど、なったときには専売制を廃止してもいいんではないかと、こういうふうに理解してよろしゅうございますね。
  21. 中橋敬次郎

    参考人中橋敬次郎君) 答申の文言にもございますように、また丸谷委員指摘のとおり、「塩産業自立化目途が得られた段階で、現行塩専売制度を廃止する」というふうに書いてございまするから、おっしゃるとおりでございます。
  22. 丸谷金保

    丸谷金保君 私、この点でこの法案の全体を通じて一番疑問に思うのは、臨調答申に極めて忠実にならんとして答申の線に沿うような法案として出てきていると思うんです。しかし、全部そこのところへいくと全然その目途がいつのことかどうしてもわからないんです。これは当然臨調論議の中でも問題になつだろうと思うんですけれど、四十六年に今の製塩法に切りかえたときも五年後、そうしたらオイルショックでだめだったとか、さらに五年後また第二次オイルショックでだめだったとか、次から次へと外的要因が変わることによってだめになるんです。なぜそういうことになるんだ。片っ方は、外国製塩というのは、海の水と太陽と風力ですね、大体製法が。ランニングコストはかかるけれど、製造原価というのはほとんどただに近いものなんです。どんなに合理化していっても、今日本でやっている製塩というのは工業塩ですよ、これが一緒になるということが一体考えられるんだろうか。合理化は確かにできていきますよ、合理化はできていく。しかし、それは一方では、輸送コストだろうが何だろうが、外国から入ってくるものの合理化だって進むわけなんです。何か外国の方の製塩事業はここにとまっていて国内塩業だけが合理化を進めていけば近づくんだというふうな、妄想と言っちゃ少しオーバーかもしらぬですが、幻想の上に立って塩産業自立ができるというふうにお考えになっているんではないかというふうに思う。臨調答申そのものが極めて何か自信のない、よく読んでみると、答申なんです。その点はいかがなんですか。一体真剣に塩の問題、新技術の問題、国際的な塩業の問題、いろんなことを臨調の中でうんと議論されてこういう答申が出てきたものなんでしょうか。
  23. 中橋敬次郎

    参考人中橋敬次郎君) 重ねて申し上げますけれども我が国におきますところの一般用の塩の需要約百七十万トンのうちでも、家庭用塩の約四十万トンを含みますところの非常に精製した塩の分野におきましては、企業企業的な努力によりまして十分国内生産塩競争力を持てるようになったというような理解をいたしております。  塩の面につきましては、何といいましても、価格とその塩の持っておりますところの質と申しますか、純度と申しますか、そういうものとの相関連によりまして国内産の塩と輸入塩との間の競合関係が起こる分野がございます。その中でも特にソーダ原料にいたしますような工業塩につきましては、これは幾ら国内産分野において努力をいたしましても、とても経済合理性からいいまして拮抗するということは無理とは考えられますけれども、それ以外の、先ほど申しましたような輸入塩を粉砕しましてある程度の純度を高めることによりまして使っておる分野におきましては、なおまた相当いろいろな合理化、科学の利用なりあるいは生産規模の増大というようなことによって、価格国際価格さや寄せするという展望があるというふうに私どもは見ております。  その一つ参考といたしましたものについては、塩業審議会におきますところの技術的な検討、それから漸次価格がその分野においての国際価格へのさや寄せがだんだんと行われてきた。もちろん御指摘のように、原料面におきましての石油危機の際においての問題において挫折した時期がございまするけれども、そういった努力を積み重ねることによりまして、目標に達するようなことを十分やり得るというような展望に立ったわけでございまして、その点に関しましては、いろいろ議論をいたしたというふうに記憶をいたしております。
  24. 丸谷金保

    丸谷金保君 食用塩については自立可能性があるということですね。今のところ食用塩については専売以外では特例塩それから特殊用塩というようなものしかやらせてないわけなんですよ。やらせてないから自立できるということを言われるんだと思いますが、原塩が安けりゃ、もし全く自立化さしてしまってオープンにした場合には、外国から原塩を買ってきて別な会社が大きなスケールで別にやることも可能だし、既にもう国内企業もどんどん外国へ行ってやっていますからね。現況での特例塩だとか特殊用塩というふうなものでなくて、一万七千円なんていう話を出していますけれども、私はなかなかそう簡単ではない。したがって、臨調もそういう点ではそう簡単なようには書いていませんわね。冒頭に戻りますけれども、そういうふうにできるようになったときにはやるべきだと、こういうふうに理解して先に進ませていただきます。  それから今もお話に出ていましたけれども塩審議会のことなんです。構成についての問題もあるんですが、時間の関係でそれは今回割愛していきます。  五十六年の審議会答申の中で「当面の施策」として、「価格政策による合理化の誘導」と題し、近い将来国内塩価格国際水準に接近するとした上で、当面五年後に達成さるべき新しい目標価格水準を明示して、合理化努力を促進するよう答申しております。達成目標を明示して、これを五年と区切るからには審議会としてそれなりの理由があったと思います。その理由をお聞かせいただきたい。  それからまた、イオン交換膜技術我が国の独創的な基礎技術というふうな考えをお持ちのようですが、一次、二次のオイルショックのために自立化を目指す答申基本的方向が十分に達成しなかったとも申しておりますが、果たしてオイルショックや、それから後段指摘するような市場競争環境整備その他、この答申に盛られておるような原因のみで達成できなかったんでしょうか。私は、我が国塩産業の持つ構造的な問題、今も申し上げました海水と風と太陽でつくる塩に対して、構造的な面で果たして問題はないか。専売制を廃止するという基本方針に対してはもっともっと論議を重ねる必要のある問題じゃないか。どうもそこのところの構造的な原因というふうなものに対するメスの入れ方が足りないまま何か作文的に五年と。そして五年、五年の区切りがいつもできていないんです。そしてできない理由外的要因だと。今度もまたそういうことになるんじゃないですか。どうなんです。
  25. 河野一之

    参考人河野一之君) 国内塩業自立という問題は、丸谷先生のおっしゃいますように随分古くからの問題でございます。戦後、二十四年に自給方針を立てて、その当時はまたいわゆる塩田でございました。それから塩田から枝条架になりまして、それからイオン交換樹脂膜になったのが四十六年。それで、その間何回もありまして、おっしゃるとおり五年ごとにやってきたわけでございますが、五十六年の塩業審議会答申、これはいわゆるオイルショックに基づく国内塩業の非常な困難、危急というものに対処いたしまして新しく立てられた計画でございまして、御承知のように目標を五年後に置きまして、粉砕塩、輸入する粋砕塩価格に二割の関税をかけたもののところまで持っていくというのが方針でございます。  そういたしまして、五十七年にはそういう目途のもとに、六十一年に一万七千円ということになりますが、五十七年には二万二千二百円、それから翌年には千円下げ、さらにことしは千三百円ということでずっときております。これは御承知のように、イオン交換樹脂膜、新膜新電槽などの発達、殊に燃料転換が非常に大きかったと思います。そういうことで、現在の七社の状況を見ますというと、もう相当状況はよくなっております。それで新しく検討いたしますと、今のトレンドでいきますと、六十一年には一万六千円まあ少し上ぐらいのところまでいくんじゃないかというふうな感覚を持っておるわけでございます。  したがいまして、それで自立できるかということになりますと、これは私はまだまだ問題がある。と申しますことは、関税二割を下げていく問題がございます。それを下げるんでないと外国から輸入する粉砕塩とは競争ができないわけで、この問題につきましては、恐らく来年ぐらいの間に新しい計画をどうするかということで考えられることと存じます。  構造的な問題と、こうおっしゃいますけれども塩業審議会でこれまで検討いたしたところによりますと、粉砕塩ぐらいまではとにかく持っていける。しかし六百万トンにも及ぶソーダ塩競争するということは、これは技術上もほとんど不可能である。殊にイオン交換膜からできますかん水についてはいろいろな來雑物がある。この問題がありまして、この來雑物をどうするかということが非常に大きな問題のように私は聞いております。しかし、国内食料用塩の自給に関しましてはまあまあできるんじゃないか。もちろんそこに規模の問題はございます。私はそういうふうに考えております。
  26. 丸谷金保

    丸谷金保君 公社からちょうだいした資料によっても、五十八年度二万一千二百円と徐々にまた下がってきましたわね。しかし、これにしても、四十六年につくった目標値から見ると倍以上しているんですよ。それでようやく今度は一万七千円という一つ目標価格が明示されました。これも答えを出しておいて、そしてそこまでは六十一年には達成できるだろうというふうなものであって、大体二〇%の関税関税をかけるから、だから競争自立できるんだということは私はおかしいと思うんですよ。自立できないから関税かけるんでしよう。  これは大臣にお伺いしたいんですが、一体これからの国際化情勢の中で、国内自立化して、自立化できたんだから関税で守ってくれというふうなことは、経済の原則の上では私は成り立たないと思うんです。大臣の言われているようなナショナルセキュリティー、そういう角度でならわかるんですよ。そういう角度であれば、当然専売制は外すわけにいかないものなので、私はそういう二〇%の関税で守るのが自立化だなんて、そういう理論はちょっといただけないし、また非常に危険な理論だと思う。最初からそういうものを当てにして、そして目標値を立てて、そこまでいけば国内産業は自立できたという塩業審議会答申、このものに非常に疑問を持つんです。審議会の方からさきにちょうだいしてもいいんですが、関税の問題が出ましたので、それもあわせてひとつ。
  27. 友成豊

    説明員(友成豊君) 塩業政策を実行いたしております立場ということで私どもの方からお答えさせていただきます。  先ほど河野参考人の方から御説明申し上げましたように、六十一年度一万七千円というのは関税相当二〇%を加味してあるということでございます。ということは、六十一年度一万七千円達成された段階において自立化したということではございません。河野参考人が申しましたように、関税相当二〇%分がゼロになるといいますか、関税相当でない裸での輸入塩プラス粉砕塩コストというところまでさらに合理化を進めていって達成したい。その達成された段階において、初めていわゆる国際競争力がつくのではないだろうか。したがって六十一年度一万七千円は途中の経過でございまして、決してそれで自立化したということではございません。  関税問題についきましては、先生おっしゃられますように、本当に塩に関税がかけられるのかという問題がございます。現在は専売物資ということで関税は実行上はゼロでございます。それから諸外国におきましても、ほとんど塩は自給しておりますので、ほとんどの国が関税ゼロでございます。ただ、一部の国においては若干関税ございますけれども、そういったような先進国等は全部関税ゼロといったような現状を見ますと、将来、塩に関税がかけられるかという問題は大変問題ではないだろうか。やはり関税はかけられない。関税はゼロであるといったようなことを前提に自立化へ向かっての努力を重ねていくということであろうかと思っております。
  28. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうしますと、河野参考人に重ねてお伺いしますけれども、今御答弁のありましたように、ここに審議会が当面の目標としている五年というのは、要するに中間的な目標だと。これを自立化目標にするということじゃないというふうに理解してよろしいわけですね。
  29. 河野一之

    参考人河野一之君) 御指摘のとおりでございます。中間の目標でございまして、その先、関税二〇%をとれるところまで持っていかなければいかぬと思っております。
  30. 丸谷金保

    丸谷金保君 それで大臣にお願いしたいんですがね。  今、両参考人から冒頭に一応の見解を述べてもらいました。質問に答えてもらいました。というのは、結局、これからの公社なり大蔵の考え方であって、塩審議会あるいは臨調答申がこうだからという答えはいただけないと思うんです、今のお二人のお答えを聞いていて。それほど確たるものでないということが今の答弁の中から聞き取れるんです。ですから、いろいろ記録を見ていると、臨調答申に沿ってとか、塩審議会答申を尊重してということを言っておりますけれども、極めてその点では確たるものでないんだということで、確たる答弁はやはり政府当局からやってもらわなきゃならぬというふうにお願いしたいと思いますが、いかがですか。
  31. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 臨調答申の大筋はこの法律案の中に盛られておる。しかしながら、今の丸谷委員御議論なすっておりました関税、かつては財政関税、あるいは今はある意味において国内自立化とか、競争力とか、そういうことからする一つ制度として見ることもできるでございましょう。そういうのを前提に置いて中間的目標値が定められておる。したがって、その限りにおいては、一つの流れは臨調で明示され、それに従った法律ができておるが、その時期をそれこそ確たるとらえ方をするのは、これは私どもに課せられた責任であろうという事実認識は、これは持っていないといけないというふうに私も今の御議論を聞きながら感じさしていただきました。
  32. 丸谷金保

    丸谷金保君 どうも両参考人には大変御多忙の中、都合つけて出ていただいてありがとうございました。以上でお二人に対する質問は終わりますので、どうぞお引き取り願って結構でございます。
  33. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 参考人の方々には、長時間にわたり御出席をいただき、法案審査に御協力いただきましてまことにありがとうございました。退席していただいて結構でございます。
  34. 丸谷金保

    丸谷金保君 次に、法制局にお伺いいたします。  この会社は、商法の準則主義によるところの設立された普通の会社とは異なって、特別法に基づいて設立された特殊会社でありますが、それにしましても株式会社なんです。これに公益事業たる塩専売事業の製造者指定等の行政行為まで行わせるのは、憲法第六十五条「行政権は、内閣に属する。」、あるいはまた六十六条の後段に抵触しないかどうか。恐らくこういうことも十分論議されていると思いますので、その御見解をお願いいたしたい。さらにまた、たばこ事業にあっては、小売店の許可等の行政行為は大蔵大臣が行うことになっているのに、塩事業としても同様に行政行為を大蔵大臣が行うことにならないで会社に委任しているという問題。さらに一歩進めまして、こういう特殊法人でこういう行政行為が憲法上疑義がないとしても、会社専売事業を行っている間は株式の公開と民間に放出するというふうなことは、財政区分はきちんとしてあるとはいっても、やはり問題があるのじゃなかろうか。経営権は会社なんですから、どうなんですか。こういう点について、これは法制局の見解をまずお聞きしておきたいと思います。
  35. 大出峻郎

    政府委員(大出峻郎君) お答えを申し上げます。  最初の問題でございますが、まず一般論として申し上げますというと、先生ただいま御指摘ございましたように、憲法第六十五条は「行政権は、内閣に属する。」、こういうふうに規定をいたしておるわけであります。また同じく憲法第六十六条の第三項でございますが、「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。」、こういうふうに内閣の責任が規定をされておるわけでございます。  したがいまして、国の行政事務といいますのは、これは内閣の統括のもとに国の行政機関なりあるいは権限の委任を受けた地方公共団体の機関において処理されるのが通常でございますが、国の行政事務でありましても、内閣としてその処理について責任を負い得るようなそういう仕組みのもとでありますれば、国の行政機関あるいは地方公共団体以外のものにその処理の権限を委任するということも不可能ではないというふうに考えられるわけであります。  ただ、このように考えましても、これは広く国の行政事務とはいいましても、その中には非権力的なものもございますし、あるいは権力的な要素を持ったものもあるわけであります。この後者の方のいわゆる権力的な性格のもの、こういうものにつきましては、これは行政主体が優越的な意思主体として、いわば公権力の主体として私人に対するものでありますから、国民の権利義務に関連するということにもなります。国または地方公共団体以外のものにこれを委任する場合には、非権力的な行政事務を委任する場合に比べますというと、一段と慎重な配慮が必要であろうというふうに考えるわけであります。  すなわち、まず当該行政事務の処理に当たっての公正性の担保、あるいはその事務の処理の判断の客観性の担保というようなことが必要であろうと思います。  また第二に、当該行政事務の処理に対する国の監督体制の確保、こういうことについて十分な考慮が加えられているということが必要ではないかというふうに考えるわけであります。  そこで、先ほど御指摘ございましたいわゆる新法人に塩専売事業を行わせる、その塩専売事業の中に行政事務にかかわるものも含まれているということでございますが、これについては、この改正案におきましては、従来、専売公社が有しておりましたいろんな行政行為に係る権限をできるだけ縮小、緩和するという方向で検討を加えたわけであります。  それでもなお、存置の必要のあるものにつきましては、一つは、営利追求原理からの影響を遮断して、公正性の確保を図るためのいろいろな措置を講じたということであります。例えば大蔵大臣の指名に係る塩専売事業責任者制度というようなものを設けまして、この責任者に行政的な事務の処理をしていただくというようなこと、あるいは業務方法書等を通じまして、行政行為の基準の客観化を図るというような配慮もいたしたこと、あるいは製造者の指定等の行政行為については、大蔵大臣の事前承認制にするというような配慮を加えたこと、さらに会社の行政行為に対する大蔵大臣の取り消し命令権というような、一般の監督規定よりもさらに強い監督規定などを設けるというようなこと等を種々講じまして、先ほど申し上げましたような意味での公正性の担保なり、あるいは内閣がひいては責任を負い得るようなそういう監督体制というようなものを制度的に設けておる次第でございます。  このような形でございますので、憲法六十五条なり、あるいは六十六条なりとの関連におきましては、特に法律論としては問題がないというふうに考えられるというふうに思います。  以上でござます。
  36. 丸谷金保

    丸谷金保君 それからもう一つ、株式の公開の問題、これは法制局の方としてどう思うかを聞きたいのです。
  37. 大出峻郎

    政府委員(大出峻郎君) 株式の公開をするということと専売事業との関連でございます。これは先生承知のところでございますが、法案の中におきましては、まず区分経理というような形で、たばこ事業とそれから専売事業との関係というものは経理的には区別をするという措置を講ずる。あるいは株式の関係におきましても、塩専売事業を行う方の関係の資本の根拠等につきましては、株式制度から切り離すような措置を講ずる等のことをやっておるわけであります。  したがいまして、この辺は大蔵省の方からお聞き取りいただきたいと思いますが、仮に株式の処分をするというようなことがありましても、それによって塩専売事業の運営に影響を与えるというようなことがないような種々の配慮を加えておるということでございます。
  38. 丸谷金保

    丸谷金保君 それで、大臣にお伺いしたいんですが、ここのところが非常にわからないわけです、私。要するに会社の性格なんですが、公共企業体から特殊会社になるということはわかるんですけれど、この会社は破産能力はあるんでしょうか。普通の会社ですと、赤字が出たりなんかして、いよいよになったら破産することができるんですよ。新会社が株の公開をして専売事業もやっているという場合に、破産能力があって破産しちゃったら全部パアになるんですよ。区分経理しているからこれは別だ、そうはならないですね。全部清算法人なり何なりでもってさらけ出さなきゃならぬでしよう。どうしても専売をこの会社がやっている限り株の民間放出ができたらおかしいじゃないかと私は思うんですが、一体この会社はどうなんですか、破産能力はあるんですか。
  39. 小野博義

    政府委員(小野博義君) たばこ産業株式会社につきましては、所要の部分について特別法に基づいて設立される特殊会社ではございますけれども、一般的には商法に準じて設立されている会社でございますので、万々一そのようなことはあり得ないとは存じておりますけれども、観念的には破産ということも考えられないことではございません。
  40. 丸谷金保

    丸谷金保君 私の聞いているのは、考えられることであるとかないとかじゃなくて、破産能力を持っているのかということです。いわゆる当事者能力です、そういう意味での。商法上の法人としての破産能力。今のように破産することは考えられないこともないと。たばこの方も自由化して大きな赤字が出る、やっていけなくなったら株式会社ですから、破産になるんです。そのときに、経理区分しているから塩の分は別だというふうな措置がとれますか、一つ会社で。そんなことが、今度逆に言うと、民法上許されるかということです、商法上もね。それだから私は、塩をやっているうちは株の放出というのはおかしいと。国が全部株を持っているうちはいいですよ。破産しても総体的な全額出資の株主である国が責任を負わなきゃならぬと思うけれども、これは株が民間に分散しちゃうとそうはならないんですね。大株主の国だけが、いや絶対これは残していこうと言ってもほかの株主がやめたと言や、やまるんです。塩だけ別だというわけにいくようになっていますか。どうもそういうあれが読み取れないんです。
  41. 小野博義

    政府委員(小野博義君) 日本たばこ産業株式会社法によりますと、当分の間三分の二、将来にわたって恒久的に二分の一の保有制限があるわけでございましで、株主としての責任は当然政府がその半分を負っておるわけでございます。  それからまた、一応塩事業に関しましては、いわゆる株式会社の資本金とは別な塩専売事業運営基本金でございますか、これを資本と申しますか、元手といたしまして運用することになっておりますので、直接株主とは関係がなく、一応遮断されているわけでございます。それからまた新法の五十七条によりまして、「会社が解散した場合又は塩専売事業が廃止された場合における塩専売事業に係る財産については、会社は、別に法律で定めるところにより、国に納付するものとする。」というふうに書いてあるわけでございますが、そういったようなことを総合的に勘案いたしまして、それからまた破産と申しましても、そこへ至るまでにはいろいろな時間的な経緯があるわけでございます。その間において塩専売事業について国としてどういうふうなあり方考えるかということを当然検討していくべきものであろうと考えております。
  42. 丸谷金保

    丸谷金保君 要するに、その場合においては破産能力はあるけれども、国としてはそうはさせないために当然やらなきゃならぬと。もちろんそれはやらなきゃならぬと、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  43. 小野博義

    政府委員(小野博義君) 塩専売事業につきましては、先ほど先生の御指摘にございましたように、第一条に公益目的を掲げておるわけでございます。したがいまして、塩専売事業が、将来自立化めどが得られた段階において、その塩専売事業あり方についてどうするかという問題がございますけれども塩専売事業が国民の重要な基礎物資である塩の円滑かつ安定的な供給に必要であるとされる限りにおきましては、それについて公益目的を達成するための責任は国にあるのだろうというふうに考えております。
  44. 丸谷金保

    丸谷金保君 破産能力という言葉がいいか悪いかはわからないんですが、私は国だとか地方自治体は破産能力はない、法人だけと思っておるんです。会社はあると思っておるものですから、これが会社になるので、そこのところはどうなるのだと。今の答弁で、最終的にはやはり国が責任を持つのだということが明らかにされましたので、それはそれで理解いたします。  そうしますと、今度は会社の設立に当たって公社の職員は会社の職員になるんですね。役員はどうなるんですか。
  45. 小野博義

    政府委員(小野博義君) ただいま先生おっしゃいましたように、公社の職員につきましては、会社法の附則によって新しい会社の職員になるという規定がございますけれども、役員につきましては、特段の規則を設けておりませんし、また根拠法規が違うわけでございますから、公社の役員としての身分は失われ、新たに新会社の役員が選任されることになるわけでございます。
  46. 丸谷金保

    丸谷金保君 それで、実はこの間から非常に気になっていたことについてこの機会に申し上げておきたいと思います。というのは、これは塩よりもたばこの方なんですが、答弁を聞いていると、今の公社の役員の方たちが先行きに対して非常に自信のない答弁をしているんですよ。葉たばこについては外国の方が品質がいいし、値段も安いし、なかなか大変だと、自立していくということになると、ということを含めて。経営陣が最初からそんなふうに考えていたらこれは私大変だなと思ったんです。そしたら今のお話を聞いて少し納得したんですが、最初から経営に自信のない者を役員にするようなことをしたら困りますよ。だから、公社の総裁は任せておけと。非常に熱心に働く中間管理職がたくさんいます、公社ね。  それからいろいろ参考人のきのうのお話もございました。公社の労働者みんな頭もいいし、器用だし、その限りにおいて能率は上げられる。優秀な最も頭のいい労働者を抱えている。しかも十万の末端小売流通組織を持っている。それから膨大な資産を株式として今度は受け取る。この会社が先行き大変だなんというふうな声がどこから出てくるんだと思うんですよ。  小さい話ですけれども、私たちのやっているワイン業界なんか、とてもたばこ産業の葉たばこの差どころじゃないですよ。カリフォルニアのワインのブドウの原料なんてキロ二十円ぐらい、今我々が池田町で買っているのはキロ百八十円です。キロ二十円とキロ百八十円です。山梨に行くと三百円ぐらいの原料、まさに十倍ぐらい。それでも関税なんか、税法の関係から言うと、従量税、従価税の関係からいくと、むしろ外国から入ってくるボトルワインの方が国内でもって有利な商売ができるようになっているんです。これは大蔵委員会で前に酒の問題のときに申し上げました。そんな中でもみんな闘っているのから見れば、とてもじゃないけれども、今のたばこ産業の中で先行き大変だなんというふうなことを言う者は全く経営者としての資格がないと思うんです。バイオテクノロジーだってありますし、葉たばこの問題だって、経営の幅を広げること、いろいろなことの中でやれないようなばかなことはない。私に任せてごらんなさい、ちゃんとうまくやってみせるから、あなた方やれなかったらね。  従来の答弁では、私どうも納得できないんで、総裁おやめになるのかどうかわかりませんけれども、新しい会社ができるのについてもう少し自信のある御答弁が一回できませんか、心配ないと。
  47. 長岡實

    説明員(長岡實君) 今日に至るまでの私の答弁が先行きに対して全く自信がないというふうな印象をお与えいたしたとすれば、それは大変申しわけなく存じております。私が申し上げたのは、来年の四月一日から輸入が完全に自由化された場合に従来とは違った環境が出てくる。この違った環境は相当厳しいものがある。しかし厳しいから自信がないというのではなくて、その厳しい環境を切り開いていくだけの努力をしなければならない。これはたばこ産業関係する各分野で皆一致協力して合理化を進めていくことによって競争に負けないようにしていくんだという意味の意気込みは申し上げたつもりでございますけれども、その厳しいという方だけを大変強く印象づけるようなことになったとすれば申しわけないと存じております。決して自信がないということを申し上げたつもりはございません。
  48. 丸谷金保

    丸谷金保君 大変だ大変だということを何回も言っておりますよね。大変だけれども、我々が後を引き受ければそんな外国たばこなんかに負けないんだと、もう一遍ピシッとそう言ってくださいよ。
  49. 長岡實

    説明員(長岡實君) 私どもといたしましては、ただいま御審議いただいております新しい制度が誕生いたしました暁においては、公社約四万の職員が一致団結して必ず将来を切り開くように努力いたしたいと存じます。
  50. 丸谷金保

    丸谷金保君 そこで、大臣、ちょっと塩の問題にまた戻りまして、私の体験を踏まえて御質問申し上げたいと思います。少し長くなりますけれども大臣にこれは理解していただかなければならない問題です。  実は、私は、昭和四十七年に「ワイン町長奮戦記」という本を読売から出して、十万ほど売れました。この中で塩の問題を取り上げているのです。「笑われるかもしれないが、”浪の花”には塩の甘みがある」。このごろの塩はまずくなったということを書いているんです、一連の公社塩が。これについては随分あっちこっちから文句が来ました。塩が甘いというのは何だということで抗議の手紙がございました。しかし、これは私だけでないんですよね。大臣が尊敬しているであろう吉田茂さんの息子の健一さんが「すべて本当にうまいものは、肉でも、魚でも、あるいは水も塩も甘い。それは砂糖が甘いのとは違ったもので、塩の良し悪しもそれでわかる。かつては日本の塩にもその甘さがあった。その本物の塩にもう一度お目にかかれるとは思わなかった」。というのは、これは特殊用塩のことを言っているのですが、甘さ。  そうするとこれは私だけのあれでなくて、こういう感覚が今の公社のイオン塩にはなくなってきている。私が感じただけじゃないんですよ。今に始まったことでない。私は四十七年に書いている本なんで、当時既におかしいと思ったんです。調べてみますと、イオン塩というのは四十六年から始まったんじゃなくて、前からずっと少しずつだんだん出てふえてきておりました。だから私がおかしいと思ったのも別に不思議はなかったし、イオン塩だけでなくて余り精製した塩というのは同じようにやはりうまみがなくなっていたんです。ただ、それでいいのかということになりますと、白米、白砂糖、パンの精粉も余りし過ぎてしまったらいけない。同じジャンルの中で塩の問題も、国民の健康あるいはまた国民の嗜好のバラエティーというふうな面からも、この機会にもう一遍原理原則に立ち戻って考えておかないと、国会でこういう問題についての論議をする機会はもうないのではないかと思いますのであえて申し上げます。  大臣、どう思いますか。昔の塩と今のさらさらとした塩、食塩、食卓塩、精製塩とあります公社から出しているもの、味が違ったとお思いになりませんか。大臣の昔なめた塩と比べて。
  51. 竹下登

    国務大臣竹下登君) ぜんざいでもお汁粉でも、あるいは一般的に甘いと言われるスイカでも、お塩がそれに添加されることによって大変いい味になるということはいささかの体験がございます。私のところも田舎でございますから、終戦直後海岸へたき木を持っていって塩たきをしまして、それで物々交換でございました。さあ、そのころの塩の味と今の味と——うちへ帰ってもう一遍賞味してからお答え申し上げたいと思います。
  52. 丸谷金保

    丸谷金保君 今、私は吉田健一さんのことを申し上げた。「週刊朝日百科」の中でもこう書いてあるんです。「イオン式塩は、塩化ナトリウム純度九九パーセント以上に精製され、海水中にある他のミネラルは、ほとんど含まない。このため、料理用語で「塩が立つ」といわれるあだ辛味がきつく、         にがり以前の塩田製塩の苦汁入りのものと比べ味が変質しているといえよう。本格的な調理人は、苦汁の入った、料理の味にまるみをもたせる塩を求めて苦労している」。これは個人的な見解だけでなくて、相当権威あるところの記事の中にもそういうことが明らかに出ている。  こういうことで、客観的にまずくなったということについて、それから塩が変わってきているということに対する批判がいろいろな角度であるということは、なめてみなくても、まず御理解いただきたいと思うんです。  それから、ちょっと先ほどお願いした資料を各委員さんに、大臣にもおあげしていただきたいと思います。
  53. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 委員部、それを配ってください。
  54. 丸谷金保

    丸谷金保君 大臣に特に聞いておいていただきたいと思うのですが、公社の食用塩というのはほとんど過去二十年来横ばいなんです。消費が余り伸びていないんです。家庭で大体三十万トンですか。ところが、最近出回ってきた特殊用塩、これは非常に伸びているんです。これは一体どういうわけだろうか。これは国民の間にイオン交換樹脂膜塩に対する不安というか、不信感というか、そういうものが底流にある。水道の水が心配になってきて水が随分売れるようになったというふうなことと同じで、味だけでなく、考えるようになったんじゃないかと、実はそう思うんです。  で、昭和四十六年の十二月に塩の近代化臨時措置法というのができまして、従来の流下式塩田からイオン交換膜を使う製塩に変わりました。これは大体純度が九九・五%の塩で生産コストは安く、さらさらして、取り扱い輸送コストも安いというような経済的な大きなメリットもありましたので、政府は純粋だ安全だということで国民を納得させて、これこそ安い輸入塩に対抗できると、四十六年にはそういう大きなうたいで始めました。これは先ほど申し上げましたように、オイルショックでその最初の揚げた旗はおろさざるを得なくなりましたけれども、それにしても、大体五万トンくらいの従来の流下式塩田ですと、生産量を上げるのに五百人の人間と百六十万平方くらいの塩田の広さが要るというのが、わずかな土地と、それに百六十人くらいで十八万トン工場でできるんですから、これは画期的な製塩法だということになったのも無理ないんです。  しかし大臣、ここで私たちが考えなきゃならないのは、赤ちゃんの母体の中で育てられた間の羊水、これが今おあげしましたミネラルです。有機物はまだこのほかにたくさんある。海水に非常によく似ていると言われているんです。これはいろんな形で研究も発表されておりますが、地球の大体三分の二は海ですし、私たち人類を初め三十億年くらい前には全部海の中に住んでいて、陸に上がってきてからまだ幾らもたってないと、長い生命の歴史の中ではそう言われております。したがって、どなたも生命の起源というのは海にあるということを言っておりますし、人間のふるさともそういう意味では海ではなかろうかと思うんです。海水の中には、そういう点で塩のほかにいろんなミネラルあるいは有機物というふうなものが溶け込んでおるわけです。今お手元に配ったミネラル類でさえも六十種類以上、こういうことが発表されております。またそれは人間の体液とも非常に似ている、海水のバランス、ミネラルバランスというふうにも言われておるのです。つまり海水というのは決して塩化ナトリウムが溶けているだけのものではない。生命を維持するのに必要ないろいろな微量要素をたくさん含んで、そして我々日本人はそういう塩を何千年も食してきたんです。  岩塩の成分から言えば、イオン塩にもよく似ているじゃないかという議論もあります。ただし肉食をするヨーロッパの人たちは、そういうミネラルや微量要素というのを肉や臓物の中からもとるのです。穀食中心である日本人とはそういう点でのバランス要素が違うというふうに見なければならぬ。これを単に栄養学の立場だけで、塩からは塩化ナトリウムだけとればいいんだというふうなことで、ほかのミネラルはほかの食品からとればいいんだというふうなことは理論としては成り立ちます。しかし実際はほかの食物自体も非常に変わってきているのです。にがりでつくっているお豆腐が凝固剤に変わってきました。それからまた同じように米も真っ白になってきました。昔は大体七分つきだった。それから加工食品がうんとふえております。加工食品の中に入れる塩はほとんどイオン塩です。こういうことでいいんだろうか。そのため結局足りなくなった微量要素——例えばことしの春に、消費者団体がうんと反対しました十一品目の食品添加物の追加承認を厚生省がした。しかし、その中の銅だとか亜鉛といったようなものを、これは乳幼児のといいますか、医学界からの要請もあって、調製用の粉ミルク、要するに乳児用粉乳の中に新たに添加しているのです。これは人間の母乳にはあるけれど、牛乳にはまるでないというふうなことで。そういう微量要素が必要だということで、こういうものもつけ加えておるような時代になってきております。  こういうことで、いろんな消費者運動や市民運動の中でイオン塩に対する疑義が出てきて、これが特殊用塩が出てきた原因一つでないかというふうに、これは私の感じですからそうでないという意見もございましょうけれども、そう思います。  大臣は、アサリの実験とか金魚の実験、こういうものを消費者団体その他がやられたことを御存じですか。特殊用塩を使ったのと公社のイオン塩を使ったのとでアサリや金魚で実験して、当時新聞なんかにも出ました。いろいろあるのを御存じないですか。
  55. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 新聞で見たことございますが、詳しくそれを読んだことはございません。
  56. 丸谷金保

    丸谷金保君 これは私の部屋でアサリの実験をやったんです。公社の人の立ち合いでやりまして、こういうことが出ているのです。当時、私の部屋でやったことも新聞に出ています。私は当時、北海道新聞で見たんです。そのくらい地方にもその記事は流れました。  これは塩化ナトリウム一〇〇%に近い化学塩と、私たちはそう称しているんですが、それと、幾分の微量要素、にがりなんかを入れた微量要素を含む塩化ナトリウム九一%の自然塩と称するものと、この二種類を入れた約三%の濃度の水溶液にアサリを浸しての実験なんです。三分後には最初の変化があって、いわゆる自然塩の方では八割のアサリが足を出した。入出管というんですか、伸ばして自由に水を噴き出したりするようになったんです。これに対して化学塩、イオン塩の方ではわずかしか出てこなかったんです。これを何回やってもそういう結果が出たんです。三十分たちますと両方とも出る。片っ方は早くに出ていますけれども、イオン塩の方も全部呼吸をするようになりました。しかし、どうしてもイオン塩の方が見ていると元気がないんです、呼吸の仕方が。これは明らかに違う。海水に近いのは自然塩の方だということがこれでわかると思うんです。  それから金魚もそうなんです。金魚を水道の水の中に入れると、これは塩素なんかが入っているので弱って死んでしまう。しかし、その死にかけた金魚を同じように三%の塩水の中に入れると元気を取り戻す。これは常識的に皆さん覚えていることですが、これも先ほどの二種類の塩で一%濃度の塩水をつくって実験してみましたら、いわゆる高純度の塩水につけた方は六日目で死にましたけれども、一方の自然塩の方のやつは活力を得てずっと生きている。こんなのは家庭でも簡単にできることでよくやります。私がやっただけでなくて、至るところで消費者団体がこういうのをやっているんです。  ですから、こういうふうに食品としての塩というものについて、果たして塩化ナトリウム九九・五%、純化したものだけを食していくことがいいんだろうかどうだろうか。私たちはできるだけ自然をあるがままに受けとめて、自然界のバランスをなるたけ壊さないで次の世代に生命体そのものを移していくという責任があると思うんです。しかし、残念ながら、こうした問題については、塩の問題も経済性だとか自立だとか、いろんなことは論議されますけれども、こういうことが真剣に論議されないんです。白米が悪い、こういうことは言われるようになりました。白砂糖より黒砂糖がいいということも一つの常識になってきましたけれども、塩の問題はどういうものか、そういう国民的なコンセンサスを得ないままここに来ているんです。  しかし、味が違うということだけは皆さん気がつき出しているんです。これはある有名な料亭の主人が言っている言葉です。味の専門家です。塩は食べ物の風味の中心ですから、その微妙な味わいは大きく食物を左右します、料理において塩は命と申せます、純度の高い精製塩では味が直線的で丸みがなく、風味が生かされません。  しかし今、どちらかというと、そういう特殊用塩というのは高いんです。大体今、家庭で使う塩が三十万トン、人口一億で割りますと、一日に八グラム程度ですよ。四人家族でも三十グラムで、月に一キロは使わないんです。この月に一キロしか使わない塩は、百円なら安いから買おう、三百円なら高いから買えないというような商品ではなくなってきているんです。塩の問題は、イオン塩、それでもって外国の塩とぶつけて勝負ができればいいんだ、安けりゃそれで自立できたんだという論点だけでやることに対して私は大変心配を持っているんです。イオン塩というのは日本でしかやってないんです。そうすると、これを何十年か何百年がこういう塩だけ食わされることによって、国民の体位なり何なりに影響する。今はあらわれてないけれども、食品添加物の中にそういうのがたくさんあります。  そういうことに対する、科学万能でない、生命の神秘とか、そういう命に対する恐れというふうなものを、食品を扱う者としてはいつでも忘れてはいけないことだと思うんです。どうも塩の論議をずっと聞いていましても、そういう視点が一つ抜けたまま行ってしまうような気がするんで、特にこれは大臣にだけはどうしてもこういうふうな問題もあるんだという観点で国民全体のために考えていただかないと、国民がモルモットになるようなことはやっぱりしちゃいけないと思いますんです。  大変長くなりましたけれども、そういう視点のとらえ方に対して、まあ確たる御返事もなかなか大変かと思いますけれども、御感想がありましたらお聞かせいただきたいと思います。
  57. 竹下登

    国務大臣竹下登君) おっしゃいますように、私どもも従来いわゆる経済合理性の角度以外からほとんどこれを考えたことがなかったわけであります。それを天然とか自然とか、そういう角度からの、食品産業とでも申しますか、の中の塩の位置づけというものも、丸谷博士の門下生にならにゃいかぬかなあと、こういう感じがいたしましたので、素直な感想を申し述べます。
  58. 丸谷金保

    丸谷金保君 それじゃ各論に入ります。  十七条の特殊用塩の問題、前段で申し上げたんですが、「用途又は性状が特殊な塩であって」云々という規定がありますが、旧法では、専売制という中で、民間に一般の食用塩をつくらせず、特殊の調味料、香辛料等ならよいということで規定された条文として理解されてきました。しかし、昭和四十六年以後、各種の食用塩に対して許可が出ているんです。一方では、専売公社も川崎の日本食塩製造でつくる精製塩には、イオン塩を使わないで輸入原塩を真水に溶かして再製したものを使うというふうなこともやっております。  ですから、公社の売りますそうした川崎の日本食塩に委託してつくっている塩、精製塩と、今の特殊用塩の中には、性状、用途、どちらも食塩として使っておりまして、まさに同じようなものがあるんです。ところが、この川崎の日本食塩で製造しているのだけは特殊用塩と言わないんです。これは一体どういうことなんですか。
  59. 友成豊

    説明員(友成豊君) 十七条で書いてあります「会社又は会社の委託を受けた者でなければ、塩を再製し、又は加工してはならない。」、この本条に基づきまして現在、先生おっしゃるとおりに、日本食塩製造株式会社に特級精製塩なり精製塩なりあるいは食卓塩等を委託いたしております。  それからいま一つ、この新法でいきますと、十七条のただし書きの方で規定されます特殊用塩、これは現行専売法ではこういう規定がございませんので、公社の委託を受けた者でなければ再製または加工してはならないという現行塩専売法に基づきまして委託という形でやっております。そういう形という意味では、現行法では一緒、法律上の取り扱いは一緒でございます。  ただ、新法におきましては、日本食塩製造株式会社に委託します分についてはこの本条で、それから現在いろんなたくさんな特殊用塩が出回っておりますゴマ塩だとかあるいは味塩とか、あるいは先生おっしゃるようなにがりを添加した塩とか、そういったものにつきましては、現行塩専売法での法律がございますので、こういうものをつくりたいといって委託の申請がございますと、自動的にそれを許可するというような形でやっておるという実態に照らしまして、そして行政改革という趣旨を踏まえまして、今回新法では単に届け出で処理するという形にいたしたわけでございます。  したがいまして、新法後におきましてどういう形になるかということになりますと、出てくるものは同じように輸入した塩をもとに加工しているんではないかという面では、先生おっしゃるとおりでございますが、ただこの本条で言いますように、日本食塩の方につきましては、公社の塩を渡しまして、売るんではなくて渡しまして、それに再製をお願いする、再製を委託するという形で処理いたします。それに対しまして、いわゆる特殊用塩につきましては、公社から売り渡された塩を原料に処理していく、再製していくということで違いが出てくるということになろうかと思います。  そういう意味では、先生おっしゃるとおりに、「性状が特殊な塩であって」と、こういう面においては、いわゆる食塩、並塩といったような基本塩種を公社が七社に製造さして売っているという面からいきますと同じでございますけれども、公社から売り渡した塩をもとにつくるか、あるいはこの本条の方でいくかという違いになるかと思います。そういう意味で、大蔵省令の方ではそういうものは明らかにしていきたいと、こういうふうに考えております。
  60. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、この十七条、「用途又は性状が特殊な塩」を特殊用塩というと。用途と性状が特殊だということでしょう。川崎工場へ私も行って見てきましたが、あれと、いわゆる特殊用塩の——そりゃ香辛料やなんかを入れたのは別ですよ。それ以外に出回っていますわね。用途と性状のどこが違うんですか。どうして片方が特殊用塩で片方は特殊用塩でないんですか。この法から言えば、相変わらず旧法と同じような、しかも今度は前と違って届け出制になったでしょう。どんどんやれるんですよね、届け出て。
  61. 友成豊

    説明員(友成豊君) ただいま御説明申し上げましたように、用途または性状という観点から、日本食塩に委託してつくっている特級精製塩なり精製塩なり食卓塩といったものと、それからにがりを添加した塩等では用途、性状のどこが違うんだという面につきましては、先生おっしゃるとおりに、この規定の仕方から見まして、特に違いという言い方は非常に難しいかと思います。ただ、先ほど申し上げましたように、公社の塩をただ再製、加工する、この十七条の本条の方でございますけれども、本条でいくのが日本食塩でございまして、それから公社から売り渡された塩を買い取ってそれを原料ににがりを添加するというのが特殊用塩、こういうことでございます。
  62. 丸谷金保

    丸谷金保君 どうもよくわからないんですがね、説明を聞いても。  だからそうすれば、公社の委託を受けたものは精製塩であり公社塩、まあ公社塩には変わりないですわね、精製塩であると。公社の委託を受けないものは特殊用塩だというんならいいんですよ、売り渡したものは。性状と用途が特殊な塩とあるから迷っちゃうんですよ。だから、この文章はちょっとおかしいんでないですか。医薬品に該当する塩その他公社が売り渡してつくった塩はその限りでないとか、その再製または加工するものはその限りでないというならわかるんですが、この文章からいうとちょっとおかしくないですかな。
  63. 友成豊

    説明員(友成豊君) いわゆる「用途又は性状が特殊な塩で」という意味の裏には、基本的な塩種、国民が大体こういうものは通常使うというようなことで求めている塩、私ども基本塩種と言っているわけでございますが、それについては公社に供給責任があるだろうということで、一般家庭で使われる塩ということで食塩というものを出し、あるいは業務用で使われるであろうという性質の塩ということで並塩を出し、それからそれ以上に精製した塩、それをもっと精製した塩、あるいは食卓でさらさらと振って使う塩というようなものは、どの家庭でもかなり使われるものでございますので、これにつきましては日本食塩に再製委託を行いまして、その塩を公社の責任において全国に供給するという形をとっているわけでございます。  そういう基本的な塩種に対しまして、特に味の素といいますか、グルタミン酸ソーダがまぶしてある塩の方がいろんな料理で非常にいいんだとおっしゃる方もおれば、いわゆるゴマ塩みたいなものをお結びにつけたいんだというようなことで求めているお客さんもおりますし、あるいはにがりの多い塩が欲しいんだというような特定の方々に供給するというようなことで、そういう分野につきましては、公社が一手にやるというよりは、そういう特殊な地域なりあるいは特殊なところだけにやっていくものについては、民間に任じた方がいいだろうというようなことで、私ども現行専売法の中でも自由にどうぞということで委託をどんどん出しまして、現在特殊用塩ということでやっているわけでございます。その分をこのただし書きの方でできるだけ事務を簡素化しようというようなことで届け出制に一段落としたと、こういうことでございます。
  64. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうしますと、どうしてこういうのを全部任しちゃって特殊用塩で供給を全部しないんですか。川崎工場に委託してわざわざ外国の塩を公社が輸入してこれを食塩につくっているんでしょう。そうですわね。それは自立化に逆行するんでないですか。公社自身が輸入して食塩をつくっている。
  65. 友成豊

    説明員(友成豊君) その自立化と申しますのは、国内の海水を原料にいたしまして塩をつくっているそういう企業、具体的に申しますと、現在七社が製造している基本的な塩種につきまして、これを輸入塩に対抗できる状態に持っていきたいということで現在合理化を進めているわけでございますけれども、おっしゃるとおりに日本食塩に対しまして、現在公社が輸入した塩を原料にいたしまして特級精製塩なり精製塩なりといったものをつくって売っているわけでございます。この分につきましてなぜ日本食塩の方にやっているかということにつきましては、先ほど申し上げましたように、特級精製塩なり精製塩あるいは食卓塩といったものが全国的に需要があるものですから、これを供給せざるを得ない。ただ、その数量は非常に少ない。食塩や並塩に比べまして大変少ないという面からいきますと、いわゆる塩のコストは、生産費よりはむしろいわゆる物流費にかなりコストがかかります。そういったような点を考慮いたしますと、わずかの量のものを全国へ回送いたしますについては発送元が一カ所の方が安いというようなこともございまして、それで長年にわたりまして川崎にございます日本食塩に再製委託を行っております。そういうことでございますので、再製委託をするについては、原料費の一番安いものを使った方が総コストとして安くなるものですから、そういうことで川崎という点からいきますと、横浜に輸入塩を入れてきますのでそれを使うのが一番安い。  したがいまして、これを七社でつくらしたらどうなんだという問題が一方あろうかと思います。これは数量が多ければ七社でも製造は技術的に可能でございますので、それはやろうとしてやれないわけじゃございませんけれども、ただ現在の七社に配分することについてのいろんな問題、あるいはいわゆる物流面から見てどこでそれを発送元にしてやったら一番いいかといったようないわゆるコストの問題、そういうものを考えますと、やはり現行どおり日本食塩でこういう特殊な塩をつくって全国に回送するのが一番いいということで現在そういう形をとっているということでございます。  そういう意味で、自立の問題は七社の自立の問題と、それから全体を供給していくという供給責任の面から公社は現行そういう形をやっているということでございますので、これをやっているから自立化に逆行するんではないかということには直接につながらないかと私は考えております。
  66. 丸谷金保

    丸谷金保君 公社自体が特殊用塩やなんかに売り渡すやつは、これはわかりますよ。だけど、公社自体が買ってつくらせるのに輸入塩を使っている。そうしたらその分だけ余計に七社でつくらしたらいいんじゃないですか、そんなことしないで。どうなんですかね。
  67. 友成豊

    説明員(友成豊君) 先ほど御説明申し上げましたように、特級精製塩あるいは精製塩あるいは食卓塩というのは、七社に配分すると、数量が非常に小さいものでございますので、むしろそれのコストが非常に高くつくということがございます。そういうことと、それから発送元は一カ所にしておいた方が物流コストが安くつくといったような、そういうコスト面からの検討の結果、現在のような形をとっているということでございます。何というんですか、技術的にとか、あるいはいろんな意味で七社がつくれないということではございません。つくろうと思えば、これはつくらせることはできます。
  68. 丸谷金保

    丸谷金保君 いや、私のお聞きしていることはそういうことでないんですよ。六十一年をめどにしてできるだけ自立体制に進もうとしているんでしょう。要するに、国内塩産業自立していくということは国内で塩をつくるということでしょう。そうすれば公社がみずから外国から塩を買ってきて、その方が安いからそうやっているんだということは自立化に逆行しないか。自立するということは国内でつくるということですよ。公社が自分で買ってきてクリーニングして精製塩として売り出していく。今の公社のシステムからいけば七社体制をもっと広げてやっていかなきゃならぬわけでしょう。それを何で公社自体がよそから買ってきて、その方が安いからなんていうことになって、それが自立化と矛盾しないということになるんだろうか。いや、七社に買ってきてやれというんじゃないんですよ。国内で七社につくらせりゃいいんじゃないですか、イオン塩でもって堂々と。
  69. 友成豊

    説明員(友成豊君) 先生おっしゃられますとおりに、七社で現在海水をもとに塩をつくっているわけでございます。それが自立化するんであれば、日本食塩につきましても、海水からつくるかあるいは日本食塩自体をどうするかという問題はあろうかと思います。先生おっしゃるとおりに、一つの私どもの今後の自立化における製塩企業は、日食を含めまして、どうあるべきかというのが一つの大きな課題であることは先生おっしゃるとおりでございます。したがいまして、今後自立化が具体的になっていく段階においてはこの問題は避けて通れない道というふうに思っております。
  70. 丸谷金保

    丸谷金保君 それで、十八条に行くんですけれども、用途または特殊な塩に準ずる塩を輸入する者はこの限りではないということで、要するに十七条の特殊用塩業者が直接輸入してもよいようにこれは読めるんですよ。これはいかがなものなんですか。
  71. 友成豊

    説明員(友成豊君) 先生おっしゃるとおりでございます。輸入できます。この条文に該当する分につきましては輸入が可能でございます。
  72. 丸谷金保

    丸谷金保君 それではますますわからなくなるんですよね。自立化を進めると言いながら、そういう輸入の道もどんどん開いていくというのはどういうわけなんでしょうか。
  73. 友成豊

    説明員(友成豊君) ここで言います塩は特殊用塩でございまして、基本塩種にかかわる塩ではございません、いわゆるガーリックソルトとかああいったもの。新法第二条で言う塩の定義がございますが、この塩の定義に該当するものは全面的に禁止といいますか、専売権の中に入っているわけでございますが、その中でも、塩という言う方よりはいわゆる調味料という言い方、あるいは眼鏡をふく薬品の素材にするとか、そういった塩という認識よりは、むしろほかの調味料だとかあるいはそういう原料としての、薬品名か何か知りませんけれども、そういう名前のものをここで想定しているわけでございます。そういうものが入るのはもう自由で結構だ、届け出だけでいいんじゃないか、こういうふうにランクとしても行政改革の精神に沿って落としたということでございます。
  74. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、それはあれでしょう、今の法律で言っている、塩化ナトリウム四〇%以上のものを塩と言うという中に属するものでいいわけなんでしょう。
  75. 友成豊

    説明員(友成豊君) そういうものの中でも、ここでまた若干大蔵省令で少し具体的に規定いたしまして、先ほど私が申し上げましたように塩という認識よりはむしろ調味料だとかそれ以外の認識になるようなものを輸入するのはフリーに、できるだけフリーにしていきたいというようなことでこういう規定が設けられたということでございます。
  76. 丸谷金保

    丸谷金保君 皆さんの方は非常にまじめに考えてそういうふうにするんですがね。私が心配するのは、そうするといわゆる原塩にちょっと手を加えて、原塩ににがりを少し余計に入れて特殊用塩じゃないか、輸入許可せいと。いろんなことをみんな考えますよ、業者の方は。そして今度の新会社を通さないでもそれはできるじゃないかと。こんなことになると塩専売は、国に属すると言いながら、ここのところから崩れていってしまうということを心配しているんですがね。
  77. 友成豊

    説明員(友成豊君) この省令の決め方いかんによりましては、先生おっしゃるような問題になるかと思います。しかしここで想定いたしておりますのは、先ほど来申し上げますように、にがりをちょっとつけたぐらいじゃやっぱり塩は塩という認識でございます。しかしガーリックソルトとか、いろんな意味での調味料みたいなやつについては自由にしようということで、そこのところの歯どめをこの省令において明確にしておくということでございます。そういうことで、先生の御心配のようなことにならないようにこの省令の決め方については配慮してまいりたいというふうに考えております。
  78. 丸谷金保

    丸谷金保君 しかし省令というのは法律の範囲内で決めなきゃならぬですよね。特殊用塩ということで、にがりがちょっと入ったのも認めているんでしょう。外国からそういうふうなものが入ってきた場合に、それは特殊用塩でないからだめだということが法的規制としてできますか。
  79. 友成豊

    説明員(友成豊君) 大変法律論的なお話申し上げて恐縮でございますけれども特殊用塩というのは、この新専売法で申しまして、新専売法が適用されますと、十七条ただし書きで指定されるものを特殊用塩と言うわけでございます。外国に同じものがありましてもこれは特殊用塩じゃございません。したがいまして、外国から入れてくるときにはこの十八条の方で規制するということでございます。したがいまして、特殊用塩というのはあくまでも日本国内においてこういう形でやられたものが特殊用塩でございまして、外国にあるものは特殊用塩じゃございません。
  80. 丸谷金保

    丸谷金保君 ようやくわかりました。そういうことね。そうすると、問題は、この法律でいろいろ論議してみても、省令が出てこなきゃわからないんだよね、全然。今の説明を聞いたらわかりますよ。なるほどそれはそうでしょうね。そういうふうに決めればね、省令で。  そうすると、一体この塩の関係で政令、省令は何本ぐらいつくるつもりなんですか。随分そういうところの委任事項ばっかりなんですよね。
  81. 友成豊

    説明員(友成豊君) この専売法に関しましての政令、省令の数は大体四十五ぐらいになろうかと思います。
  82. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、省令、政令がちゃんとしないと、本当のこの全貌というのは、それだけ委任事項でやってくると、非常にわかりにくいですわね。これをこう審議して一生懸命法文で勉強してやってみても、四十五本もこの法律一つについて出てくるということになると、余りにも何というか、委任事項が多過ぎるという感じがいたします。  これはちょっと大臣にお願いしておきます。最近、立法府に対して行政府の方が政令委任事項というふうなことでできるだけそっちに移していくという傾向が強いような気がするんです。これは立法府としては厳にできるだけ狭くやってもらうというふうでなければならないと思うんですよ。安易に政令委任事項をどんどんふやしていくと、これだけ読んでいてもわからないんですよ。今説明聞けばわかりますけれどもね。  要するに、法案の審議の段階ではよくわからなくて、政令なり省令が全部出そろわなきゃ、ああ、なるほどとならないような審議の仕方というのはちょっと問題がある。本来なら、そうしたらそういう政令なり省令もさっと出てくるような形の中で法案審議ができないと困るんですよね。ところがこれは「公布の日から施行する。」というのなら、来年の四月までの間につくるんでしよう、全部できているわけじゃないんでしょう。じゃ、今その四十何本出してくれと言ったら出せますか。出せないですわね。出せますか。
  83. 小野博義

    政府委員(小野博義君) 政省令につきましては、今回の法案におきまして一定の事項について、ただいま公社の方から御答弁がございましたように、例えば塩専売法に関しましては政令で九項目、省令で三十六項目、合わせて四十五項目の委任事項があるわけでございますけれども、いずれも細目的内容あるいは手続的な内容考えられるものでございます。本来、政省令につきましては、法案が成立いたしましてから、その法案御審議の過程でいろいろ出た、こういう委員会等の場で出た御議論等も踏まえまして制定していくべきものと考えておりますので、確かにおっしゃるように現在四十五項目耳をそろえて出せと申されましても、いささか申しわけございませんが、できない点でございます。  ただ、例えば先ほど来問題になっておりました十八条の大蔵省令等の問題でございますけれども、今後いろいろな医薬品の開発とか、あるいは食品の開発とか、いろんなものが出てくるだろうと思います。したがいまして、現在認められております特殊用塩に準ずる塩に類似するものが今後ともいろいろ出てくる可能性があるわけでございます。そういう場合に、それらを全部法律で書くということになりますと、対応が必ずしも弾力的にいかないというようなことがございまして、省令に委ねることとしておるわけでございますが、一般的に申しまして、そういったような立法技術上の理由によるわけでございまして、抽象的、一般的な基準につきましては御審議いただいております法律案に留保されていることでございますし、ただいま御審議いただきましたようなことも踏まえまして、今後省令、政令等を考えていこうというふうに考えております。
  84. 丸谷金保

    丸谷金保君 次は、今回の法案でかん水を外しましたですね。かん水を外したことについては衆議院で、今かん水を製造している者は一人もいないんだというふうなこともあるから、外しても実害がないというような御答弁もしているんです。ただ、これはちょっとおかしいなと私は記録を読みながら思ったんですがね。法律で禁止しているからだれもやらないんですよね、つくっていないんだ。それなのに、一人もつくっている者がいないから外してもいいという理論というのはおかしいんですよ、つくらせないような法律にしておいて。これから出てくるんじゃないんですか。出てきてもいいんですか、それは。いいということに理解してよろしいんですか。
  85. 友成豊

    説明員(友成豊君) 私、衆議院大蔵委員会でこのかん水権の問題、御説明申し上げたわけでございます。先生おっしゃるとおりに、かん水の許可を与えている者は現在ゼロであるというふうに申し上げたわけでございます。  それからいま一つ、かん水は日本の周囲の海水からかん水をつくりますので、それで対応できれば、その分、外国からの輸入の塩に打ちかつわけでございますので、そういう意味で、かん水をつくることについては積極的な意味もあるというふうにお答え申し上げたわけでございます。  で、先生おっしゃるとおりに、かん水の製造許可を与えておりましたのは、塩田製塩時代、塩田からかん水をつくっている人たちにかん水の製造許可を与えておった。塩田が廃止になりまして、現在かん水の製造許可を与えている者はございません。そういう意味で許可はないと、こういうふうに申し上げたわけでございます。  今後、かん水をつくる者ができていいのかということにつきましては、そういう民間において安いかん水をつくるという研究開発が進められることは、日本にとっても非常にいいことではないかというふうに私は考えております。
  86. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、かん水がよくて、どうして塩をつくったらだめなんですか。かん水まで認めるのなら、それでどんどんそれができてきていいというなら、一歩踏み込んで、塩をつくるのがどうしてだめなんですか。
  87. 友成豊

    説明員(友成豊君) 塩につきましては、専売法の第一条にございますように、国民生活に大変重要な物資であるというようなことで、これを安定的に供給し、安価な価格で供給しようということでございまして、塩ということになりますと、そういう全体の立場から国が責任を持ってやっていくということでございますので、塩の製造に関しましては、新しい第五条でございますか、「会社又は会社の指定を受けた者でなければ、塩の製造をしてはならない。」ということで、この供給の方をがっちり押さえているということでございます。
  88. 丸谷金保

    丸谷金保君 かん水まで認めて——こういうものは加工なんかに、みそか、しょうゆに使えるでしょう。そういうふうなものに使っていくことの道は開いたんですね。
  89. 友成豊

    説明員(友成豊君) 現在、塩を溶かしまして使っている分野といたしましては、先生おっしゃるとおりに、ソーダ工業が一つございます。それからいま一つは、いわゆるしょうゆのもとといいますか、に使われているという意味では、かん水、塩で購入して、それを溶かすというよりは、海水からそのままここにかん水をつくるという意味で利用できるのは、今想定されるのはソーダ工業界なり、あるいはしょうゆの業界ということではなかろうかというように思っております。
  90. 丸谷金保

    丸谷金保君 みそなんかちょっと無理な面もあるように聞いております、かん水から即というのは。もうちょっと手を加えれば使えるという塩どかん水の真ん中くらいまでですけれども、そういうもの、ここまで認めるんなら、民間の活力に期待して、例えば私先ほど申し上げたように、塩は安いからだけで売れるんじゃないんですよ。少し高くてもこれはおいしい塩だというのがあれば売れる。來雑物はだめかしらぬが、不純物の入っている方がおいしいんです。あれは不純物という名前そのものが私おかしいと思うんですよ、不純物という言い方も。何か不純物の方が來雑物より悪いように聞こえるんです。あの名称も変えなきゃならぬと思うんですが、今は仕方がない、不純物と言います。  そういうものが少し入っている方がいいと言う人たちもいる。そういうのをつくる。これまで、かん水を民間の活力に期待するというんなら、当然一歩踏み込んでもしかるべきだけれども、そういうふうにはなってませんわね、法律は。それで販売しなきゃいいんでしょう。かん水をつくってて、それで夢中になってやっているうちに塩になっちゃった。これはどうしますか。
  91. 友成豊

    説明員(友成豊君) かん水をつくってほっておいたら塩になったということでございますが、その人がその塩をなめるのは法違反にはならないんじゃないかと思いますけれども
  92. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、なめてみたらとてもうまかった、近所に配ったらどうなるんです、ただで。
  93. 友成豊

    説明員(友成豊君) 売らなければいいんじゃないかというふうに思いますけれども、売買行為が伴いますと、専売法で規制がございますので、できませんけれども、自家消費といいますか、そういう面でやられる分には、この法律違反にはならないというふうに思っております。
  94. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、それを研究しようというグループが集まってつくって、会員の中だけで頒布したらどうなりますか。
  95. 友成豊

    説明員(友成豊君) 先生おっしゃるとおりに、現在そういうグループがございまして、伊豆大島と高知県の方で実際にやっている状況でございます。公社はそれを認めております。
  96. 丸谷金保

    丸谷金保君 あれは試験機関ということで、数量制限がありますわね、何トンまでという。今度もやっぱりそういう枠をかけていくんですか。
  97. 友成豊

    説明員(友成豊君) 今回は、この法律によりますと、届け出るということでございますので、現行のように許可ということにはならないかと思います。  ただ、私どもの方は、全体の需給の責任がございますので、多分届け出の中で年間の見込み数量とか、そういったものは公社として承知しておく必要がございますので、そういう面でとるということはあろうかと思いますが、いわゆる何トンが許可数量だということにはならないと思います。
  98. 丸谷金保

    丸谷金保君 大臣、こういう新しい形で進みつつあるんです、塩の産業というものは。これは公社の専売制の中で、昔からの日本の沿岸で塩をたくといった時代から、塩づくりが皆禁止されて、専売法一本になって、イオン塩になりました。こういうのに対する、何といいますかな、新しい形の抵抗運動が起こってくるんじゃないか。この場合、今のお話を聞いていると、これは自治体なんかでやればできることになるんですよ、売らなくてもいいんですから。全国の海を持っている津々浦々でそういうのが起こったら——特に林業の方でいえば、間伐材なんか始末に困っている。それならみんな持ちよってやるべえ。燃料だって、極端に言えば投げるやつですよ。  こういうふうな形で、平がまなんかで届け出制でやっていくと、どんどん起こる。これが起こったときに、あわててそれはいけないんだと言ってまた新たな法律をつくらないで、そういうのはそれでいいじゃないかということで、今認めているように認めていくことができるでしょうか。それは三十万トンのうちの二十万トンもできるなんということになると、これはまた今のような問題が出てきますよ。供給責任の問題がありますけれども、そうでなく、何といいますか、一つの民族運動と言うと大げさだけれども生産運動としてそういうものが各地に、隣の村よりうちの塩の方がうまいんだぞというふうな形でできてくるのについては、どういうことになりましょうか。それは結構なことだということになるか、それは困るんだということになるか、どちらになるでしょうね。そういう可能性はあると思うんです。
  99. 友成豊

    説明員(友成豊君) 私ども、先ほど申し上げましたように、伊豆の大島なり高知なり、あるいはそのほかでもこういうことをやりたいという人がいろいろと私どもの方に相談に来ております。私どもの方でいろいろ検討してみますと、コストが大変高くつくという面で非常に現実的でないというふうに思っております。これがコストの面で解決されれば、安くてうまい塩が供給されるという面で非常に結構ではないかと思いますけれども、現実的に考えますと、余りにもコストがかけ離れ過ぎておりまして、抽象論としてはそういうことはございますけれども、現実的ではないんではないだろうか。ですから、抽象論としてどうだと言われますと、それはそれなりに結構なことではないだろうかというふうに私どもの方は見ておるわけでございます。
  100. 丸谷金保

    丸谷金保君 これは、同じことでも大臣から御答弁してもらうと重みが違いますんで。  今そう言っているんですよね。だから、コストが高くつくからとても実際問題としてそうはならないだろう。しかし、コストが高くてもやりたい者はやるんですよね。それはそれでいいということを言っているわけですね。大臣、そういうふうに理解してよろしゅうございますね。
  101. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私も終戦直後、先ほど申し上げましたように、海岸へ塩たきに行きましたが、海岸端というのは余り間伐材もないし、山の中から持ってきましたから、大変コストは高いものについただろうと思いますけれども、あるいは自然回帰運動とか、あるいはコスト的にさらにダウンするとかということがあるとすれば、やっぱり専門家のおっしゃったとおり、いいことじゃないかなという感じはいたしますが、法律上、僕は知識がちょっとこれはございませんので、今の専門家の御意見と同じ考えの系列の中で理解をした、こういうことでございます。
  102. 丸谷金保

    丸谷金保君 時間がなくなりましたんで、まだ実は塩の方で会社の附則三十二条の問題だとか、ソーダ工業だけどうしてこんなに安くしているんだとか、それから守秘義務の問題とか、たくさんこの法案の中でやらなければならない問題もあるんです。まだ十問ほど残っているんです。  しかし、きょうは厚生省に来ていただいているんで、厚生省に一問だけ。  塩の中に長生塩というのがありますね。これは四十六年の薬務局長通達に違反しませんか。
  103. 中井一士

    説明員(中井一士君) 先生指摘の長生塩という塩があるのかどうか……
  104. 丸谷金保

    丸谷金保君 あるんです。
  105. 中井一士

    説明員(中井一士君) それは名称でございましようか。
  106. 丸谷金保

    丸谷金保君 はい。
  107. 中井一士

    説明員(中井一士君) そうでございますか。私、ただまそのものを承知しておらないわけでございますが、仮に当該の塩が明らかに食品であるという前提に立って考えますと、長生塩という名称で販売することは医薬品として販売することには必ずしもならない、このように理解いたしますが、そういう前提に立って考えますと、四十六年の薬務局長通知に直接抵触するものではない、このように、ちょっと即答でございますが、今理解しております。
  108. 丸谷金保

    丸谷金保君 これは日本天然瓦斯興業株式会社というところが食添カリウム、硫酸マグネシウムだとか、炭酸マグネシウムを添加して長生塩というんです。ただし逃げはあるんですよ。これはここの土地が同じ名前なんですね。土地が同じ名前だけれども、しかし、土地が同じだからといって、そこの長生村とか長生産というのならわかるけれども、長生塩とつけたら、これは会社は別なんですから、やはり薬事法の問題は残ると思うんです。あなたが今ひっかからないと言うから、この問題はちょっと時間かけて、これがひっかからないのなら、どうして延命茶なんというのがひっかかるのかわからないんですよ。同じなんです、長生とか延命とか。いけないと書いてあるでしょう、薬務局長通達の中には。塩ならひっかからないと。食品ですよ。食品衛生法で届け出たものの中でひっかかるのはたくさんあるんです。ですけれども、一応ひっかからないという答えだけをきょう聞いておきます。  それじゃ、よしておきましょう。きょうは。
  109. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十分まで休憩いたします。    午後零時十二分休憩      —————・—————    午後一時十三分開会
  110. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、たばこ事業法案日本たばこ産業株式会社法案塩専売法案たばこ事業法等施行に伴う関係法律整備等に関する法律案及びたばこ消費税法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  111. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 日本たばこ株式会社法案についてお伺いしたいんですが、第三条に株式の処分のことについて載っております。この第三条の株式の処分のところでありますけれども、それについて具体的にはどういうものがあるのかをお伺いをしたいと思います。
  112. 小野博義

    政府委員(小野博義君) お答え申し上げます。  会社法第三条に規定します株式の処分と申しますと、観念的には国が株式を保有しないこととなる理由すべてを指すというふうに考えられるわけでございまして、株式の譲渡以外に、例えば贈与であるとか、あるいは完全な所有でないという意味において質権の設定等が観念的には考えられるわけでございます。しかしながら、国の財産の場合にございましては、財政法第九条によりまして、「法律に基く場合を除く外、これを交換しその他支払手段として使用し、又は適正な対価なくしてこれを譲渡し若しくは貸し付けてはならない。」とされているところでございまして、本会社の株式について現実問題として申し上げますと、譲渡以外には考えられないというふうに考えております。
  113. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 株式の譲渡以外には考えられないということですと、商法の二百七条で言うところの質入れであるとか、二百十二条に株式の消却のことが規定されておりますが、こういったことは、質入れの方は今言われましたんですが、消却の方はどうなるんでしよう。
  114. 小野博義

    政府委員(小野博義君) 質入れにつきましては、ただいま申し上げましたように、国がこの株を質に入れなければならないということは現実問題としては考えられないと思います。  私今商法を手元に持っておりませんで申しわけございません。消却という意味が例えば将来における減資という意味であるとすれば、理論的にはあり得ることであろうかと思っております。
  115. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これの中で「予算をもって」ということでありますから、これは今までもこういう例はございます。したがって、予算書の中に出てくるだろうというふうに予想しているんですけれども、こういうふうに株式の処分について譲渡以外には考えられない。理論的には今言った質入れの問題や消却の問題等も入るけれども、しかし譲渡以外に考えられないというなら、そういうふうにはっきり書かれればよかったんじゃないかというような感じがしてならないんですけれども、この立法の趣旨はそういう点ではどういう意味になるわけですか。
  116. 小野博義

    政府委員(小野博義君) 「処分」という用語を用いましたのは、実態的には譲渡以外にはなかろうかと思いますけれども、一般の通例に従って「処分」という用語を用いたわけでございますが、この三条のそもそもの立法趣旨といたしましては、あるいは御質問趣旨とややずれるかもしれませんけれども、私ども考えておりましたのは、本会社の株式の売却と申しますか、譲渡と申しますか、これにつきましては、それにより得られます収入が国の歳入の一部を形成するというものであることから、これを国の歳入予算の一環として取り扱うことが適当であるということが一つでございます。    〔審員長退席、理事大坪健一郎君着席〕  また、本会社は事業の経営に当たりまして事業関係者に十分配意する必要があるため、政府に対し、会社の発行済株式の常時二分の一、当分の間につきましては三分の二以上の保有義務を課しているところでございます。したがいまして、その売却の妥当性につきましては、我が国のたばこ産業の現状を考慮しながら、かつ財政収入をこれに依存することの是非も含め判断する必要があるというふうに考えておるわけでございます。  以上の二点からいたしまして、本会社の株式の処分、実態的には株式の売却になるかと思いますけれども、売却につきましては、単独の議決案件として処理することをせずに、売却限度数を予算をもって国会議決の対象とすることとしたものでございます。
  117. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 株式の種類をどうなさるのか、これが一つ問題が出てくると思います。それは額面の株式にするのか記名にするのかということになるわけですが、例えば国際電信電話株式会社法、すなわちKDDの法律によれば、この法律の第四条やあるいは日本航空株式会社法の第二条、こういうのを見ると記名にするとか、そういうことがはっきり出ているんでございますが、またこのようなことの規定を置かなかった、記名株式にするとも言ってないし無額面というわけでもないしということは、どういうことを想定しておられるんでしようか。
  118. 小野博義

    政府委員(小野博義君) 政府が出資しております特殊会社の株式につきましては、ただいま先生が御指摘ございましたように、国際電電とか日本航空のように記名株式に限定している例もあるわけでございます。会社の株式の発行につきまして、無記名株式の発行を排除し、記名株式に限定する規定を設けるという趣旨といたしましては、株主の資格について一定の制限を設けた場合に、その趣旨の徹底を期するためのものであるというふうに考えられるわけでございます。ところが、日本たばこ産業株式会社の場合におきましては株主の資格に制限を加えていないわけでございます。したがいまして、あえてこのような規定は設けなかったわけでございますが、なお御案内のように、商法におきましては、株式については記名式を原則としておりまして、無記名式の株券については定款に定めがある場合に限り発行することができるということになっておるわけでございます。  それから額面株式のお話も受けたように思っておりますが、額面株式につきましては、各特殊会社法の規定を見ますと、限定規定があるものもございます。例えば日本航空とか沖縄電力とか電源開発、それから限定規定のないものは、先ほど例に挙げられました国際電電とかあるいは現在参議院において審議中でございます電電株式会社法とか、あるいは既に解散した日本硫安輸出株式会社等の例もあるようでございます。  いずれにしましても、額面、無額面の別につきましては、商法の百六十六条によりまして定款の記載事項でございますし、しかも定款の作成、変更につきましては、大蔵大臣の認可を効力要件としているわけでございますので、会社法にあえて規定することはしなかったものでございます。
  119. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 今の答弁でわかりました。そういう点から株主資格の制限や株式の譲渡制限、そういう特別規定を置かなかったということもよくわかってまいりました。  次は第七条のとこでありますが、第七条では「会社の取締役及び監査役の選任及び解任の決議は、大蔵大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。」、こういうふうになっております。この中に代表取締役の選定が入っているかどうか。これは商法では二百六十一条に出てくるわけでありますけれども、それを含まないというふうに解釈していいのか。含まないと解釈すればそれはどうしてか。例えば日本航空株式会社法では第四条で会社の取締役、代表取締役云々の選定、解任の決議は運輸大臣の認可を受けなきゃならないと、はっきり代表取締役ということを日本航空株式会社法では言っているわけですが、この中には代表取締役の選定についてありません。含まないということになるとこれはどういう理由なのかですね。
  120. 小野博義

    政府委員(小野博義君) ただいま先生が御指摘になりました七条におきましては、取締役の選解任決議につきまして大蔵大臣の認可を受けなければならないということにしておるわけでございますけれども、取締役会によって選定されました代表取締役の選定につきましては大蔵大臣の認可は必要としないこととしておるわけでございます。  ただいま日本航空の例をお挙げになりましたけれども特殊会社の例を見てみますと、例えば東北開発とか電源開発のように直接任命というような形もございますし、日本航空のように取締役について認可を条件とする上にさらに代表取締役につきましても認可を条件とする、その他いろいろの形がございます。  この日本たばこ産業株式会社の場合、このような制度といたしました理由につきましては、取締役につきましては、新会社我が国たばこ産業の健全な発展を図るという使命を担った法人であること等にかんがみまして、業務執行に関し新会社の意思を決定する機関、即ち取締役会を構成するものとしてその適正さを確保するという観点から、その選解任について大蔵大臣の認可にかからしめることとしたわけでございますけれども、代表取締役につきましては、ただいま申し上げましたように、大蔵大臣の認可を受けて選任された取締役会がその中から互選によって選定することから人事の適正は十分担保されているというふうに考えられますこと、それから経営層の内部のコンセンサスを確立し、また経営の自主責任体制を確立するということのためには、人事について取締役会の自主性と責任に委ねることが望ましいというふうに考えましたこと、それらを考慮いたしまして、大蔵大臣は代表取締役の人事に関与しないこととするのが適当であるという判断から大蔵大臣認可とはしなかったものでございます。
  121. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 一般法においてこれをやるということでわかりました。  その次に伺いたいんですが、設立手続につきましての商法との対比なんですが、商法に一般の株式会社の設立手続が出ておりますけれども、それに比べて大分違っているような感じがあります。その点について、これは一般的な質問でありますけれども、どう異なっているか、まず伺いたいんです。
  122. 小野博義

    政府委員(小野博義君) お答え申し上げます。  新会社の設立手続と商法上の設立手続の異なる主な点について御説明申し上げます。  まず第一点は、一般の会社におきましては、商法の百六十五条によりまして発起人が設立事務を行うわけでございますけれども、本会社の場合におきましては、大蔵大臣が任命いたしました設立委員が行うこととされておるわけでございます。  また、定款につきましては、商法百六十七条により発起人の作成いたしましたいわゆる原始定款につきましては公証人の認証が必要でございますけれども、本会社の場合におきましては大蔵大臣の認可を得ることとしておりますので、公証人による定款の認証は不要となっております。  それから第三点といたしまして、一般の会社におきましては発起人は現物出資ができる、また言いかえますと、発起人だけが現物出資ができるということに百六十八条二項で定められておるわけでございますが、本会社の場合におきましては、現物出資をなし得るのは専売公社のみでございます。  それから第四点といたしまして、発起人につきましては会社の株式の引き受け義務があるわけでございますけれども、設立委員には株式の引き受け義務がございません。また設立に際して発行する株式の総数は公社が引き受けることとしておるわけでございます。商法の規定によりますと、先ほど申しましたように、発起人に株式の引き受け義務があるほか、発起人がすべての株式を引き受けないときは、株主を募集しなければならないこととなっておるわけでございますけれども、公社がすべて株式の総数を引き受け、直後に国に引き渡すわけでございますが、そういう意味で設立委員と発起人との違いがあるわけでございます。  それからまた、第五点といたしまして、変態設立事項即ち商法の百八十一条によりまして現物出資をする場合には、その現物出資される財産につきまして検査役の検査が必要なわけでございますが、本会社の場合においてはこの変態設立事項の調査を必要としないこととしております。  それから第六点といたしまして、会社はたばこ事業法施行のときに成立することになっておりますが、一般の株式会社におきましては、商法の五十七条によりまして設立の登記をしたときに成立するということになっております。  主な点といたしましては以上のような点でございます。
  123. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 そこで、設立委員が、はっきりと附則の第二条で「会社の設立に関して発起人の職務を行わせる。」ということになっているわけですよね。    〔理事大坪健一郎君退席、委員長着席〕 「職務を行わせる」ということになっている。しかし、今の答弁の中で、百六十九条による発起人の株式引き受けはありませんということなんですが、その株式の引き受けがございませんというのは、商法の適用除外が附則の第十一条にございますが、その中には百六十九条は入っておりません。確かに、今言われた検査役の問題とか、そういう百八十一条等は第十一条にありますが、百六十九条の問題はないわけです。どうして入れなかったんでしょうか。
  124. 小野博義

    政府委員(小野博義君) この会社の場合におきましては、発行される株式はすべて専売公社が引き受けるという第五条の規定があるわけでございます。設立委員は第二条の規定によりまして、会社の設立に関して発起人の職務を行わせるわけでございますので、あえてこの十一条において百六十九条を除外いたさないとしても方向性上矛盾は生じないというふうに考えております。
  125. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは裁判してみなければわからないところなんですね。そうなると、はっきりと法律の中で百六十九条の適用除外を入れておいた方が本当はよかったんでじゃないかと思うんですね。わざと抜いたのか、第五条があるからこれでいいやということで。何かそういうところ、法制上ではしっかりとした方がよかったんじゃないかという感じを受けてなりません。  それから設立委員は、商法の百九十二条、百九十三条、百九十四条というふうにずっとございます、いわゆる発起人の引き受けの問題もございますが、特に百九十三条の損害賠償責任、第三者に対するものがございます。こういうところを見ると、そういう責任を負う余地が設立委員にはあるんですか。発起人の職務を行わせるというからには、職務の中に、設立委員は、発起人に悪意または重大な過失があるときに第三者に対して連帯して損害賠償の責任を負うということになっておりますから、そういうことは万が一ないかもしれないけれども、あった場合は、設立委員は発起人と同様にその責任は負うんでしょうね、除外規定はないんだから。
  126. 小野博義

    政府委員(小野博義君) 商法上、発起人の責任につきましては、ただいま先生お話しございましたように、百九十二条、百九十三条、百九十四条があるわけでございます。その百九十二条につきましては、先ほど御説明申し上げましたように株式の引き受け義務がないわけでございますから、これは理論的に関係がないと申しますか、その責任がないということだろうと思いますけれども、百九十三条並びに百九十四条等につきましては、観念上は設立委員にもその責任があるというふうに考えておるわけでございます。しかしながら、現実問題といたしましては、主務大臣が任命した設立委員でもあり、また設立過程において主務大臣が適切に関与するわけでございますので、そのような事態は万々起こり得ないとは考えておるわけでございます。
  127. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 理論的にそういう答弁であれば納得はできます。万々起こり得ないから書いておかなかったということかもしれません。よくわかりました。  問題は、もう一つは附則の第四条第二項のところに、会社設立に際して発行する株式につきまして、商法では、御承知のように二百八十四条で二分の一を超えないというようになっているんですが、この場合は、それにもかかわらず「二分の一を超える額を資本に組み入れないことができる」、こうなってくるわけです。これは資本を充実させるということが株式会社をつくっていくときに一番大事な点でありますし、何かあったときのことを考えれば、二分の一以上のものを資本準備金としておかなきゃならないはずだと思うんですね、あるいはほかのものにしておかなきゃ。そうしておかなきゃならないのが、二分の一を超えるまで資本に組み入れないことができるとさしてきたのはどういうことになりますか。どうしてこうしたのかということ。だから、一般の会社とは違うことはわかるけれども、そういうような資本の充実の規定をやらなくてもよろしい、こういう考えなんでしょうか。それとも物すごく現在資産があるから、それに見合うだけのものがあるんだからいいじゃないかという考え方でいかれるのか。どっちなんでしょう。
  128. 小野博義

    政府委員(小野博義君) ただいま先生の御指摘のように、会社法の附則四条二項におきまして商法の例外規定を設けて、「発行価額の二分の一を超える額を資本に組み入れないことができる」ということにしておるわけでございますけれども、資本金を幾らにするかという問題は、法律上は設立委員会において定款をもって定め、それを大蔵大臣が認可することになっておるわけでございますが、資本金につきましては、日本専売公社の資産と申しますのは重要な国民の財産でございますから、今先生がおっしゃいましたような資本の充実ということは非常に重要な観点でございます。一方で、新会社の場合に、今後配当等をやっていくわけでございますので、資本金が非常に過大と申しますか大きくなりますと、将来の経理経営の健全性に問題を生ずるという面もございます。そういうようなことから資本金が幾らであるべきかということを考えていくべきだと思いますけれども、新会社の場合、専売納付金率法定制以降の公社の経営努力で生み出された利益を資本金として整理することがどうかというふうな議論もございますし、先ほど申し上げたように、資本の額が余り過大になりますと、配当等の面で問題があるというようなことでこの規定を置いたわけでございます。  ただ、この規定によりまして資本に組み入れられなかった部分につきましては資本準備金として経理することを予定しておりますので、単純に社外流出が可能であるというような形にすることは考えておりません。
  129. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 今の話は後でまた追及しますけれども、二分の一を普通は超えない額になっているわけですね。超える額ということは、これは株主の利益の保護等いろいろなことを考えていくと、何かおっかない感じがしたものですから伺ったんですが、次に移ります。  一つは、今度政府の株式の保有比率を段階的に引き下げるようにするということであります。会社の経営、そういうことや、たばこ産業に与える影響等を配慮して政府の保有比率を一〇〇から三分の二にして二分の一に引き下げる、こういうことなんですけれども段階的にするという今までの答弁からは、そういういろいろなものに与える影響への配慮ということだったんですが、それだけですか、ほかにもあるかどうかお伺いいたします。
  130. 小野博義

    政府委員(小野博義君) 今回の法案におきましては、当分の間三分の二以上、また将来ともに二分の一以上の保有を義務づけておるわけでございますけれども、民間活力の導入という見地からいたしまして、できるだけ早く新会社の株式を放出すべきであるというのも一つ考え方であろうかと思いますが、他方、今次改革におきましては、長い期間にわたり専売制度、公社制度のもとで行われてきたたばこ事業が、政府関係特殊法人であるとはいいながら株式会社組織で運営されていくということになるという、非常に大きな変革なわけでございます。そういう意味で、当該新会社の株式の放出につきましては、たばこ事業関係者にとって不安がないような会社経営、すなわち新会社が新会社法あるいはたばこ事業法に掲げられた公共目的を念頭に置きながら、なおかつ合理的企業経営ができるかどうかということを見きわめた上で逐次行われるべきものだというふうに考えております。
  131. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 政府が株を一〇〇%持った場合、それから三分の二持った場合、二分の一持った場合、この三つがありますけれども、それの相違点はどういうことになりますか、政府にとり、また新会社にとって。
  132. 小野博義

    政府委員(小野博義君) 二分の一以上の場合からまず申し上げますと、二分の一を持っておれば、通常の商法の決議におきましては過半数を制しておるわけでございますので、二分の一以上保有している株主の意に反する決議が行われることはまずないと思います。ただ、例えば役員の解任でございますとか、定款の変更でございますとか、商法上三分の二以上の特別決議を要する場合が幾つか置かれております。そういう場合におきましては二分の一では足りないわけでございまして、三分の二あればこれは完全にそういう特別決議につきましても、株主として意思を通すと申しますか、その株主の意向が反映されるということになるわけでございます。そういう商法上の意味におきましては、三分の二と一〇〇%の間には特段の差異はないというふうに考えております。
  133. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 ですから、今の逆に、役員の解任とか定款の変更とか、こういう特別決議権を保有しておきたいという考えが大変強いから、当初から二分の一にしないで、一〇〇%、三分の二というふうなものをお考えになってこの法案の提出ということになったのかどうかですね。
  134. 小野博義

    政府委員(小野博義君) 先ほども申し上げましたように、今回の会社につきましては非常に大きな変革であるということから、関係者の不安等も多いわけでございますし、さらに会社の経営のあり方あるいは経営の実態等、いろいろ考慮すべきところも多いわけでございます。そういう意味で、将来における万々一の場合に備えまして特別決議を含めて株主としての権利が行使できるようなことを担保するために、当分の間三分の二という規定を置いたわけでございます。
  135. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 私はだからそこに大変問題があると思うんですね。国際競争力をつけ、外国企業にも負けないようにやっていこうということになれば、あくまでも政府の方で何から何まで特別決議権を担保してずっとやっていくというよりも、会社自立する力というか、活性化ということから考えると、そういうのはちょっとどうかなという感じがしてならないわけです。つまり特別決議権を担保しているところの言い分を十分聞かなければすべてやれないということになるわけでありますから、この点でこの「当分の間」ということが大変なことになるわけでございますが、大蔵大臣は衆議院において、一〇〇%から三分の二にするまでの、二分の一にするまでの間、これは六月二十九日の御答弁でありますが、三年か五年というような答弁をしている。したがって三分の二にする時期、二分の一にする時期、今まではいろいろ新会社の経営の実態とか、たばこ事業の実態を総合的に勘案して決めるという答弁と大蔵大臣の三年から五年という答弁があったんですが、これは三年から五年ということで間違いがないと、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。
  136. 小野博義

    政府委員(小野博義君) 私、衆議院におきまして大臣の答弁をそばで伺ってたわけでございますけれども、三分の二から二分の一へいたしますことにつきましては、新会社の事業運営が軌道に乗って、将来にわたり我が国たばこ産業の健全な発展の目途が明らかになるまでの間、三分の二以上の株式保有を政府に義務づけているわけでございますが、今後の厳しい環境のもとにおいて新会社がたばこ事業関係者と十分協議を重ねつつ、たばこ事業の効率化、合理化に真剣に取り組んで、こうした努力を通じて新会社の安定的な事業運営の見通しが得られた段階で速やかに政府保有割合の見通しを行うべきものと考える。さらに新会社の経営者とされましては、三年なり五年なりの間に会社経営のめどを立てたいとお思いになることは当然であろうと思われるけれども、現段階においては、その新会社の事業規模であるとか、葉たばこ農業の規模等事業経営の基本にかかわる問題があり、現段階でははっきりとした見通しをつけがたい状況にあるというふうに理解して伺っておったわけでございます。
  137. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは衆議院におきまして宮地議員の質問に対して、めどが余りにも抽象的じゃないか、こういう御質問がありまして、それで質問者も交え、また当局も交えて、まず非公式の協議を行いました。その結果、五年、三年ということは大蔵大臣がそれを断定するわけにもいかないであろう、しかし総合的に見て新会社の経営者としては、新会社発足後三年あるいは五年の間に経営の安定を図りたいという意欲を持って経営に当たるということが当然じゃなかろうか、そこに最大公約数を置きまして、それで新会社の経営者としての意欲をここで推しはかって、したがって現段階ではっきりした見通しはつけがたい状況にあるということで、統一的な考え方として御理解をいただこうということで合意に達しました、大変苦心してつくった答弁でございます。
  138. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 わかりました。  大変苦心してつくった答弁と言っても、答弁だけじゃなくて、実行していただかなければ何もなりませんので、その点よろしくお願いをいたしたいと思います。  それから次は、株式を放出する、その際に考慮することについていろいろ伺いたいんです。現在予想されている資本金が一千五百億円ということも伺っている。純資産額はどのぐらいあるかというと、一兆一千六百二十億円あるという話でございますが、そうなるとちょっと計算しただけでも、新株、今度出る株は商法によって五万円以上の額面にならざるを得ません、額面にしても、無額面にしても。そうなりますが、一株五十円として計算した場合も、大体一兆一千六百二十億円だと一株当たりの純資産は三十八円ぐらいになる。しかしこれはあくまでも帳簿価格上の話ですから、五倍や六倍には動いているでしょうし、もっといっているかもしれません。五倍としたら二百円近くということですから、二百円近くになると現在上場されている株式会社の中でも日石とか、そういうところや指定銘柄の中でも三井物産とか、東京海上あたりと同じぐらいになってきます。大体どのくらいの評価水準になるだろうというふうに思っておりますか。
  139. 小野博義

    政府委員(小野博義君) お答え申し上げます。  ただいま先生がおっしゃいました一兆一千六百二十億という数字でございますけれども、これは五十九年度の予算ベースの見込みの数字でございます。したがいまして、将来決算が出た段階で変わることがあるべしということでお答え申し上げたいと存じますが、この一兆一千六百二十億のうち四百億円につきましては、別途塩専売法によりまして塩専売事業の運営基本金として新会社に拠出されるわけでございますので、これをまずたばこ事業から除外いたしたい、除外するわけでございますが、そうしますと残りが一兆一千二百二十億になるわけでございます。その中で未払い地方たばこ消費税であるとか、あるいは現在、公社は国と同じように、一般の会社と違いまして退職給与引当金等を積んでいないわけでございますけれども、今回商法に基づく会社になるとまた法人税等を納めるというようなことがございまして、退職給与引当金を積む必要があるわけでございますが、そういったいわば負債性のもの、これが約四千百億あるわけでございます。こういうのを差っ引きますと、狭義の純資産と申しますか、あるいはたばこ事業に係る純出資財産と申しますか、これは七千百二十億ということになるわけでございます。  それから資本金の千五百億と申しますのは、さらにこれから五十四年度、つまり専売納付金率が法定されまして以降の五十四年度から五十九年度までのたばこ事業に係る利益の合計額五千五百九十億、これを差っ引いたものが千五百三十億になるわけでございますけれども、おおむね千五百億円程度が上限になろうかというふうに思っております。  これは先ほどちょっと御説明申し上げましたように、今後任命されます設立委員会において定款をもって定められるわけでございますが、千五百億円が一応上限といたしまして、仮に千五百億円を資本金の額といたしますと、それに対するたばこ事業に係る出資財産の価額が七千百二十億でございますので、先ほど先生がおっしゃいましたような固定資産の評価とかいう問題ございますけれども、それを省略いたしまして考えますと、千五百分の七千百二十でございますので、四・何倍ということで大体二百二、三十円ぐらい、五十円といたしまして二百二、三十円というのが一株当たりの出資財産の額ということになろうかと思います。
  140. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 今のは五十円株に直した場合ですね。
  141. 小野博義

    政府委員(小野博義君) さようでございます。  それから商法で言う五万円でございますと二十二、三万ということでございますけれども、五十円ということで申し上げたわけでございます。
  142. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 私はそういう点で見るとかなりこれはいい方ですね。どうも話は別になりますから後にしますけれども、実際として、資本金の額が、もう一度資産を再評価していくと、恐らく資本が過小過ぎはしないかという心配が出てくる感じがしてならないんですよ。放出されたときには急騰するというものにならざるを得ないだろうという感じが、だからするわけです。資産に対して資本が余りにも少ないということは、これは役員の不正が起こりやすいということになってまいりますので、この点はお考え直しをしていくか、再評価をして一遍どうなるかということを試算されるかなさる必要はないんですか。
  143. 小野博義

    政府委員(小野博義君) 一般の商法の場合、例えば新たに設立される場合に発起人が現物出資をするというようなことがあるわけでございますけれども、そういった場合その現物出資については正当な評価が要求されておるわけでございます。これにつきましては、一般の他の株主が金銭で出資するわけでございますので、そういう金銭で出資した株主とのバランスをとって資産が過大に評価されたりすることがないようにというような配慮から行われるものであるというふうに理解しているわけでございます。  今回の日本たばこ産業株式会社につきましては、出資者は公社だけでございますし、その引受人は最終的には政府だけになるわけでございます。そういう意味で他の株主とのバランスということを考慮する必要は必ずしもないものというふうに考えております。また商法が評価を適正にすべしと言う考え方は資本の充実という考え方にあるわけでございまして、現時点におきましては、公社といたしまして少なくとも過大評価というようなことは行われていないということでございますので、あえて再評価をするまでの必要性はないというふうに考えております。  それからもう一つ、払込資産額あるいは総資本に対して資本金が非常に過小である場合に問題ではないかということでございますけれども、資本金の額を非常に大きくいたしますと、将来配当等の問題が生じた場合に会社の経理を圧迫するというような面もあるわけでございます。先ほど申し上げましたように、資本金に入らない部分につきましては、資本準備金として経理することを予定しておりまして、そのことによっていたずらに社会に流出するというようなことは防げるというふうに考えておるわけでございます。
  144. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 株式市場の評価価額の水準にもよると思いますけれども、この株式を放出すれば相当の売却収入が得られるはずですね。財政収入の確保の観点から考えると、そういう株式を放出するということがあり得て当たり前だと思うのですが、そういうことはあり得ないかどうか。
  145. 小野博義

    政府委員(小野博義君) 先ほど御説明申し上げましたように、株式の放出につきましては、特殊会社とは言いながら、八十年続いた専売制度が廃止され、三十五年続いた公社が株式会社になるというようなことから、この会社の株式の放出については、たばこ事業関係者にとって不安がないような会社経営、すなわち新会社が新会社法あるいはたばこ事業法に掲げられた公共目的を念頭に置きながら、なおかつ合理的企業経営ができるかどうかを見きわめた上で逐次行われるべきものであると考えている、こういうふうにお答え申し上げたわけでございますけれども、そういうことも含めまして検討すべき問題であるというふうに考えております。
  146. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 その際、株式の放出先については制限をすることがあるかどうかということと、いわゆる非居住者ですね、外国人に対する株式取得による影響があるかもしれません、それをどう見るか。この二つを伺いたいんです。
  147. 小野博義

    政府委員(小野博義君) 仮定の問題でございますが、株式の放出につきましては、これは国有財産でございますので、どういう価格で放出するか等につきましては、国有財産法の手続にのっとって公正に行われなければならないというふうに考えておるわけでございます。しかしながら、放出先につきましては、法律上特段の制限を設けておらないわけでございます。
  148. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 一株当たりの利益金は一体どのぐらいになるつもりでございますか。
  149. 遠藤泰

    説明員(遠藤泰君) ちょっと調べますのでお時間をいただきたいと思います。
  150. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 次は、新会社の事業の範囲の拡大の問題について伺いたいんです。  特殊会社制度とした根拠として、法案の中では合理的な企業経営が可能となるということが一つの旗頭になっておりますけれども、当事者能力の付与、それから企業の自主性を尊重する、そういうことから公的規制を必要最小限とすることがうたわれております。業務範囲の拡大もその一つであると言われておりますが、この中に「会社目的を達成するために必要な事業」ということをうたっているわけですね、法律に。具体的にはどのような業務が加わるとお考えになっておられるんでしようか。
  151. 長岡實

    説明員(長岡實君) 業務範囲の拡大の問題でございますが、現在、公社といたしましては、社内に事業開発委員会というものを設けまして、公社が持っております技術とか資産といったような諸資源の中からどんなものが事業開発に向くかということを詰めておる段階でございますが、機械の輸出、技術輸出、あるいは喫煙具類の製造、それから育種苗技術の活用、それからたばこというものの持ちます有用成分の総合利用、小さなものかもしれませんが、私どもの持っております資産の土地建物の高度利用等々、将来事業化の可能性があるものをいろいろと探求をいたしておる段階でございます。
  152. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 大多数が今のたばこ事業をやっていくに際して研究開発あるいは附帯的に起きてきたものから出ているのですが、土地建物の利用というのは、日本航空がホテルを子会社でやらしているように、日本たばこホテルなんというものができるということ、そういうことですか。
  153. 長岡實

    説明員(長岡實君) そこまで広げるつもりはございません。ただ、私どもの持っております資産を有効に活用したいという程度のものであると御理解いただきたいと存じます。
  154. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 この間も質問にちょっと出ていました、たばこの銘柄の入ったTシャツを売るのかというのが出ていましたけれども、確かにホテルやそのほかいろんなところで、外国へ行きましてもありとあらゆる種類の銘柄が入ったTシャツが売られていますね。そういったTシャツとは限らないけれども、喫煙用具、ライターであるとか、あるいはパイプであるとか、そういったようなものは附帯する事業の方に近くなってくるわけです。そういうようなものに確実に手が入っていくのかどうか。
  155. 長岡實

    説明員(長岡實君) ただいまお挙げになりましたような点は、私どもの事業範囲の拡大の中で比較的取り込みやすい分野のものではないかというふうに考えております。
  156. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 この第五条の第二項で、「大蔵大臣の認可を得なければならない。」ということが出ているわけでございますが、この認可のあり方です。全部大臣が見ておやりになるわけではないわけでございますから、大蔵省のしかるべきところでやるんでしょうけれども、その認可のあり方、ここまではいいという、ここから先はいけないという、何かそういう基準づくりというか、アローアンスのあり方というか、そういうものがあるのだろうと思うのですけれども、まだお考えになってないんなら、なってないで結構ですが、どうですか。
  157. 小野博義

    政府委員(小野博義君) 先生御案内のように、外国の大きなたばこ企業、例えばBATとかフィリップ・モリスとかレイノルズですとか、ああいうところは全くたばこと関係のないビールであるとか、石油であるとか、不動産であるとか、海運であるとか、そういうところまで手を伸ばして、いわば経営の多角化をやっているわけでございます。そういう意味から申しまして、新会社国内企業においてこれら外国企業との競争に勝ち抜いていくというためには、可能な限りの事業範囲の拡大を通じて国際競争力を強化するということが必要であるわけでございますが、一般の株式会社でございますれば、その事業範囲は株主総会において定款をもって自由に決定できるわけでございますけれども、新会社につきましては、我が国たばこ産業の健全な発展を図るという政策目的を達成するために設立された特殊会社なわけでございます。また、したがいまして、拡大さるべき事業につきましては、設立目的を達成するために必要な範囲ということで目的達成業務を入れたわけでございます。  もちろん、これの認可の運用に当たりましては、新会社の国際競争力の強化に資するもの、それから本体の業務に悪影響を及ぼさないようなもの、それからもう一つは、新会社が製造独占を与えられているわけでございますので、そういう独占利潤をバックといたしまして、民業を圧迫するということは独禁法上の問題もございます。そういったようなことを考慮いたしまして認可すべきものというふうに考えておりますけれども、具体的にどのような事業が認可申請として出てくるかということは、まだ必ずしもはっきりしておりません。したがいまして、こういうものにつきましてはケース・バイ・ケースというふうに考えておるわけでございます。
  158. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 今の答弁で相矛盾しているものがございました。一つは、本来の製造独占という公取法違反のことを平気でやるわけでありますから、そういうことがあるんだから余りにも民業を圧迫することはしたくないという一方の縛りがありながら、他方では国際競争力をつけてこの会社が利益を上げていくという目的を達成するためには、ありとあらゆることを考えなきゃならないという、こういう二つの矛盾した話があるわけです、答弁に。ですから、本来言うと、製造独占そのものというものが、将来はこれは改善されなければ事業の拡大はできないということに答弁は聞こえたんですけれども、製造独占をしなければやれないほど専売公社は今まで研究開発やすべての点においてさぼってきたのかということになるわけでありますし、また国際競争力を持つだけのものがないから、場合によったら、まるっきり違う事業の方にも手を出すかもしれない、それは会社目的を達成するためであれば仕方がないという場合も出てくるだろうと思うのです。そういうことになると製造独占ということがまたひっかかってくるわけです。  両面何か相矛盾する答弁をいただいたので私は頭がこんがらがっちゃっているのですけれども、その右から左までの振れがある答弁ですが、一体どの辺を歩こうとしているのか、ちょっと大臣認可の点でございますが、お願いしたいです。
  159. 小野博義

    政府委員(小野博義君) 私の御説明が不十分だったようで申しわけないのでございますけれども、今後国内市場において外国製造たばことの競争が行われるわけでございます。そういう中で製造独占を与えておるわけでございますけれども、独占利潤というものがそれほど巨大に積み重なるというふうなことは余り考えられないというふうに思っております。したがいまして、さはさりながら、この会社が製造独占を与えられておりますけれども、独禁法の適用除外ではないということは今回の特殊会社という性格からして当然のことでございますので、そういう独占利潤が仮に生じた場合に、それを背景にして民業を圧迫するということは好ましいことではないということは言えるわけでございますけれども、常識的に申しますれば、目的達成業務という範疇に入ります限りにおいて、今回の制度改正の趣旨にもかんがみまして、できるだけ新会社に自由に腕を振るってもらうことが望ましいわけでございますので、これにつきましては、できるだけその会社の自主性を尊重しながら運用してまいりたいというふうに考えます。
  160. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 よく納得できないのだけれども、しようがない、納得したような顔して先へ進みます。  さっきの商法の百六十五条の七人以上の発起人がいなければならないなんていうことを特例として抜いてあるなんていうことはございませんし、何か法的にこれはおかしな法律ができちゃったなというふうに思ったのですが、今の答弁聞いていてもよくわからないのです。  次は、専売公社の関連会社へ今まで出資されておられる財産目録、去年の三月三十一日現在の五十七年度の財産目録で関係会社株式を七億七百万円持っておられる。その具体的内容はどんなふうでございましょうか。
  161. 丹生守夫

    説明員(丹生守夫君) お答え申し上げます。  現在十六社公社のたばこ事業に直結している事業を営んでいるわけでございますが、たばこ配送に関係しまして五社ございます。それからフィルターの製造に関しまして五社ございます。それから香料の製造で一社、それからたばこの包装材料の製造に関しまして一社、それから工場の関連のメンテナンスを主としました業務につきまして三社ございます。そのほかに、最近発足いたしました製造たばこの輸出会社が一社でございまして十六社でございます。
  162. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 今後こういうところに対して特殊会社になっても出資はそのまま継承していくのか、それとも縮小の方向をたどるのか、拡大の方向をたどるのか、その辺の方針を明らかにしていただきたい。
  163. 長岡實

    説明員(長岡實君) 今回の制度改正によりまして、先ほど申し上げましたような関連会社への対応につきましては、基本的には変更するつもりはございません。関連会社への出資はすべて新会社が引き継いで出資者になるわけでございます。新会社の事業範囲が拡大された場合に、新しい事業を行おうとする場合にどのような形をとるか、新会社がみずからの事業として行うのか、あるいは既存の出資会社に行わせるのか、さらに新しく出資会社を設けるかといったような選択があろうかと存じますけれども、それはその事業の内容にもよるものと思われますので、新しい事業を開始いたします場合に、その都度その事業の性格がどういう方式に適するかということを考えました上で具体的に判断してまいりたいと考えております。
  164. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 現在資金の三分の一以上出資している会社だけでも八社あるようでありますから、大変な影響力を会社は持つわけでありますので、慎重にお願いしたいと思うんです。  それから輸入製造たばこが今度は今までの公社購入から国内販売、このルートのほかに、特定販売業者から国内販売というふうに変わるわけですから、そういうのも加わってくるわけです。たばこ配送会社もその点では大きな影響を受けてくるんじゃないか。むしろたばこ配送会社へ頼むよりクロネコか何かへ頼んだ方がいいんじゃないかなんという声があるくらいでありますので、そういう点の外国たばこの輸入自由化に伴う流通部門への影響ですね、これはどうお考えでしょうか。
  165. 森宗作

    説明員(森宗作君) お答えいたします。  現在は、この輸入品につきましては、公社が一手に輸入しまして販売をいたしておるわけでありますが、今後法律改正になりますと、外国メーカーは恐らく現在の輸入代理店というものを特定販売業者としまして、この特定販売業者が販売店に対して販売を行うというふうになると思います。  この場合に、この販売のルートとしましては、取引の流れと商品の流れというものがあるわけでございますが、取引の流れとしましては、この特定販売業者が直接販売店あるいは卸を通じまして販売店の方と取引をするということでございます。  一方、物の流れの方は、これもまた自由に、流通網と申しますか、配送網を選択できるわけでございますが、現在のところ今使っておりますたばこ配送会社を使うのか、あるいは新しい流通組織というものをつくるのか、この辺について必ずしも態度を明確にいたしてないというところでございます。私ども今後情勢の推移を見守っていく必要がございますが、内々はこの配送会社というところとの話し合いというのを現在持ちながら最終的な腹決めをしようというような状況であるようでございます。
  166. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 現在、流通業者というのは物すごく変わってきたことは御承知のとおりだと思いますけれども、へたなところへ頼むよりも、あるいは国鉄へ頼むよりも、宅送業者に頼んだ方が確実、正確だ、前の日、新幹線で帰ってきたら翌日の朝は品物が届いていたなんということはどこにもあるわけであります。そういう時代に変わってきて、しかも配送ルートというのは物すごく細かくできているわけです、今。御承知のように、お米屋さんを押さえているから、そこからばあっと打っちゃうと路地隅までわかるというような時代になってきていますからね。何かそうなるとただのたばこ専門の配送会社というものでいくのがいいのかどうかということは、よほど考えなければならないところにきているだろうというふうに思います。  その次に伺いたいのは、外国のどこのメーカーがどこの企業と組んで日本の市場への売り込みをしようとしているのか、実態を聞きたいんです。
  167. 長岡實

    説明員(長岡實君) 現在、輸入品につきましては公社が輸入販売を行っておりますけれども、大手外国メーカーは、販売促進活動につきましては、外国メーカー及び輸入代理店である商社がみずからあるいは子会社を通じて行っている現状でございます。  これが制度改正後にどうなるかということでございますが、輸入品は一般的には輸入代理店が特定販売業者となりまして輸入を行い、この特定販売業者が直接あるいは卸売販売業者を通じて小売業者に販売するということになるわけでございます。  今後とも我が国の市場における外国メーカーの販売促進活動は輸入品の九六%のシェアを占めております米国の大手三社が中心でございますけれども、この米国の大手三社の輸入代理店である商社との関係を申し上げてみますと、フィリップ・モーリス社は我が国のマーケットを東西の二つの地域に分けまして、東の地域は東京から以東というか、いわゆる東日本。それから西の方は名古屋以西のような感じでございます。東京という大都会を含む地域とそれから名古屋、大阪等の大都会を含む地域に分かれると申し上げてよろしいと思いますが、東の地域は三井物産の子会社で物産プロモーションという会社を利用いたしております。それから西の方は日商岩井の子会社でNIたばこ株式会社というのを使用して活動を展開しております。次のR・J・レイノルズ社でございますが、これは輸入代理店が三菱商事でございまして、その子会社のエム・シーたばこ株式会社を使用する。それから三番目のブラウン・アンド・ウィリアムソン社は輸入代理店である泰東という会社をそのまま使用して活動を展開しているということでございます。
  168. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 それらのビッグスリーの海外への進出と方法、それからその状況、これはどういうふうにおつかみになっておりますか。
  169. 長岡實

    説明員(長岡實君) ビッグスリーの海外進出につきましては、市場の状況企業の経営戦略等により、輸出、ライセンス製造あるいは資本進出等いろいろの形をとりながら、ヨーロッパ、中南米を初め自由世界のほとんどの国に進出をいたしております。現在ビッグスリー三社で統計をとりますと、自由世界に限られますけれども、自由世界諸国のたばこ市場の約半分、五〇%を占めているのが現状でございます。
  170. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 先ほどちょっと私は伺ったんですが、製造独占を今度するという法律です。国際競争力付与ということと製造独占とどうも私はぶつかり合ってしまって話がよくわからないんですが、製造独占とした理由を詳しく伺いたい。
  171. 長岡實

    説明員(長岡實君) 今回製造独占を新会社に付与させた理由というのは、いわば政策的な御判断でございますから、大蔵省からお答え申し上げるのが筋かもしれませんけれども、製造独占と国際競争力との関係という点につきまして私から申し上げますと、たばこをつくる事業というのは農産物加工業の一種であろうと存じますけれども、規模の利益等の影響する範囲が大きゅうございます。そういったような意味で、今回私どもが三千億本を超える公社の規模の製造独占のまま新会社に移行していくということは、そういう意味で一つ競争力を持つということが言えるのではないかと存じます。
  172. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 実際言うと、葉たばこの耕作面積、一農家当たりの単位というものを思い切って今の十倍、二十倍、五十倍にさせるというような穴を開けてあげなければ、これはだめだろうと私は思うんです、どうしても国内葉たばこは高いですからね。今までの質疑でも三倍の値段だという。それを国際競争力をつけるような葉っぱに育てていこうとしたら、耕作面積を一軒当たりのものを今の何十倍持たせるということしか手はないだろうというように思います。そういう点の配慮等はなさるつもりがあるんでしょうか。国際競争力のことをさんざん言われているだけに、根っこのことについてもお考えがあるだろうと思うんでございますが、どうでしょうか。
  173. 長岡實

    説明員(長岡實君) 国際競争力考えます場合に、原料でございます葉たばこの価格が国際的に割高である、これがある程度ハンディキャップになっているということは事実でございます。将来にわたって輸入自由化後に外国の巨大資本と競争してまいりますためには、その原料部門である葉たばこにつきましても現状のままでいいというわけにはとてもまいらないと存じます。  したがいまして、各分野にわたってこれから行わなければならない合理化の中には、葉たばこ耕作部門についても合理化をお願いせざるを得ないということで、現在公社と耕作団体との間で協議を重ねておる段階でございますけれども、その協議を重ねておる方向といたしましては、これは率直に申しまして、現在の一戸当たり耕作面積を何倍、何十倍というふうに大規模に広げていくことは無理でございますけれども、基本的な方向づけとしては、全国的に主産地形成を図りながら、その主産地の中ではたばこの一戸当たり耕作面積をふやしていくということは、一つ目標として考えながら合理化を進めてまいるつもりでございます。ただ、それからまいりましても二倍にするのもなかなか大変かもしれませんです、一戸当たりの耕作面積でございますが。
  174. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 第四条に商号の使用制限があります。これは不正競争防止法という法律もあるわけでありますから、商号についてはこういうことをなさるのはよくわかるんですけれども、それじゃもう一つ会社ができると今の専売公社が使っているあの「専」という字を書いたようなマークですね、商標というんでしょうか、ああいうようなもの、この商標についてはどうなさるおつもりでございますか。商標法の施行令を見るというと、商品区分ごとに届け出をしなきゃだめなんだと。そうすると、化学品から、肥料から、お菓子からパンまでありまして、三十四類あるわけですね。三十四全部そういうものをおとりになる予定なんでございましょうか。それともそういう届け出はしないでいく。届け出をしないでいくというと、同じマークをつけたまんじゅうなんかができて、たばこまんじゅうなんということになりかねないんですが、いかがでございますか。
  175. 遠藤泰

    説明員(遠藤泰君) お答えを申し上げます。  ただいま先生お尋ねの点につきましては、まだ細部的には今検討中ではございますが、基本的な考え方といたしましては、新会社になりました際に私ども、ただいまお話のように、商標あるいは特許等専売公社として登録しているものはいろいろございますが、これは法律的には新会社法の十二条によりまして一切の権利義務を承継するということで、新会社のものとして承継できるわけでございますが、手続といたしましては、新会社の名前において登録を要するのではないかというふうに考えております。なお、その場合には、これも新会社法の附則十六条の六項におきまして、その場合の登録免許税は特に課さないというふうなことが定められているところでございます。  なお、先ほど先生からお尋ねのございました、一株当たりの利益はどうなるのかという点につきましてもお答えさしていただきたいと思います。  実はこの点は、試算するにつきましては、当然のことでございますけれども、一体利益額をどう見るか、資本金との関係で株式数をどう見るかというふうな試算上の前提を置かなければならないように思います。率直に申し上げまして、新しい制度へ移行後の会社の財務等の見通しにつきましては、ただいま現在未確定な部分が多うございまして、これを定かに見通すことは困難でございますので、先生の御質問の試算をいたしますための一つ方法といたしまして、五十八年度の決算におきます利益が八百七十億ほど出でございますが、こういうものから、新たに制度改正に伴いまして、印紙税、登録免許税等の諸税を払うこと、あるいは税制度の改正等に伴いまして利子負担等が生じてくるといったふうなものを控除し、さらにこれから法人税、事業税等の利益課税というものを控除して考えますと、一応現在の八百七十億というのが新しい制度のもとでは税引き後の利益として三百億ぐらいになるんではなかろうかということが考えられます。  それから株式数につきましては、これは額面をどうするかということはございますが、仮に千五百億円の資本金といたしまして、これを五万円株ということで想定いたしてみますと、発行株式数が三百万株になろうかと思います。したがいまして、利益を三百億円と置きまして三百万株の株式ということになりますと、一株当たり一万円ということでございまして、株の額面が五万円でございますから、これに対する一万円は一応二〇%の利益率というふうに考えられるのではないかというふうに思います。
  176. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 予想でございますからあれですが、今の質問でよくわかりました。  商標法に基づく商標の届け出も、むだかもしれませんが、すべておやりになっておいた方がいいんです。というのは、とんでもないものに同じ商標が使われたり同じ名前が使われますと、これは非常に迷惑をするということになるからです。NHKなんかは商標法違反ですよね、あれ。NHKという名前は先に日本発条が使っていたのを後から使ったんでしょう。それでどなり込んでいったら怒られちゃったんですから、あれ。そういうふうなこともありますから、ちゃんと先にやっておかないといけないし、同じようなマークは調べておかなきゃいけませんし、すべてにわたってとっておかないと、これはトラブルが起きたときには動きがとれなくなるだろうと思います。そういう点では十分気をつけていただければと思います。  それから後、きょうすぐ出るもんじゃありませんけれども、配当性向等もわかればお伺いをしたいと思います。お答えがきょうは出ないだろうと思いますので、出なければ後でも結構でございます。
  177. 遠藤泰

    説明員(遠藤泰君) いましばらくお時間をいただきたいと思います。
  178. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 以上で私の質問を終わります。
  179. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 質問に入る前にちょっと。  私の手元に今、次回の大蔵委員会という文書が回ってきておるんですが、これによりますと、次回、大蔵大臣に対する質疑と同時に総理大臣に対する質疑も行うと、こういう予定なんですね。委員長、理事会は朝やったきりですね。そのとき決まったもんなんでしょうか。というのは、これを決めるんであれば意見があるんです。
  180. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  181. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 速記をつけて。
  182. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 ということは、まだたくさん質疑がありますので、そのことも改めて申し上げたいと思います。  今まで前回、前々回と質問通告をしておきましたが、残った問題が大分ありますので、それについて最初に質問したいと思います。  一つは、二交代制問題で、これは前回の私の質問に対しても、今国内で婦人労働者が二交代を行っている職場については確たる資料もないということで、これは人類の進歩から見まして大変問題のあることだと思うのです。そこでこれは公社にお伺いしますが、今後特殊会社の移行に伴って当然、工場も含めた統廃合問題、そして機械の高速化、連続化、こういったことが進んでいくことは今までの討議で必然であります。となりますと、二交代も一国会理化ということで、国際競争を進めていくということでさらに進んでいくんじゃないか、こう予測せざるを得ないのです。  そこで一つは、他の工場へも婦人の二交代制も含めた二交代制が広まっていくものかどうか、それから現に行われている工場でも日勤枠が縮小していくことになるんじゃないかということを予測せざるを得ないのですが、その点どうですか。
  183. 西村忠弘

    説明員(西村忠弘君) お答えいたします。  公社は昭和四十六年以来、新規投資に伴いまして二交代化を逐次やってまいりました。今後も一層機械設備が進歩してまいりますので、そういう競争力の培養のためには、世界の情勢を見ながら、工場の近代化を進めていかなきゃならぬと思っておりますけれども、そういう中で、今後逐次そういう近代化のテンポに合わせて二交代化は拡大していく予定でおります。  それから二交代化を実施いたしましたのは、従来の工場がワンシフトの工場でございましたから、そこに新たに二交代を導入するとなりますと、従来の条件とその時点から急に変わるわけでございますので、そういう変化に対して対応できないいろいろな職員の実態がございます。そういうことを考えて私どもは、全二交代が原則なんでありますけれども、一部どうしても日勤帯を導入しなきゃならぬ職員に対して、影響排除の条件としてどういう配慮をしなきゃならぬかということにつきまして、労働組合からも非常に強い要求があり、数次にわたる二交代化の導入に当たりまして本当に真剣な詰めを行ってまいりました結果、現在約三分の一の職員が日勤帯で従事しております。  そういう点で、基本原則はオール二交代の原則なんでありますけれども、どこの工場も従来は三分の一程度の二交代でない職員というのがいるわけでありますが、今後はだんだん世代の交代に伴ってそういう条件がなくなっていく職員等もふえてまいりますので、そういう面では二交代の部分が増大してくる、ワンシフトの日勤帯職員というものは減っていくというふうに私ども考えております。
  184. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 そうしますと、他の工場への波及ということと同時に、現にやっているところでは日勤枠が狭まっていくと、こう聞いてよろしいんですね。
  185. 西村忠弘

    説明員(西村忠弘君) よろしゅうございます。
  186. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 そうでありますと、特に婦人の場合にはいろんな影響が出てくると思うんですね。そういう点への配慮が必要だと思うんです。  そこで具体的にお聞きしますが、関西工場で現に二交代勤務に従事している人数はどれくらいおりましょうか、妊婦がですね。
  187. 岡島和男

    説明員(岡島和男君) 現在、関西工場で二交代で勤務している方で妊婦の方という数字は、手元に数字を掌握しておりません。
  188. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 これは質問通告しておいたんですが、私の調査では少なくとも三名はおると、こう思うんです。そこで体に差しさわりが実際出ているんではないか。一つはいろいろ体を縮めたり体を反らしたりということで、現に妊婦の胎児への影響等が実際仕事上出ているんではないか、その辺の認識が一つです。  それからもう一つは、やっている仕事に耐えられない場合には他の軽作業等への転換がなされるということですが、大体そのための業務転換の三基準大要素というのがあると言われておりますが、その中身ですね、これをお答えいただきたいと思うんです。
  189. 西村忠弘

    説明員(西村忠弘君) 御質問の後の方の三基準大要素について先に御説明申し上げますが、先ほどの二交代導入に当たりまして、どうしても二交代に耐え得ないような状況を持っている事情につきまして、どういう基準で日勤帯を決めていくかという要素として三基準大要素というものがあるわけでございます。  三基準と申しますのは、本人の健康状況、定期健康診断において、どういう系統の職務で、こういう職務のこういう方についてはこういう配慮をしなきゃならぬという労働協約上の約束がございます。それに該当する項目のある方。第二点は母子家庭でどうしても二交代の非常に不規則な時間帯の勤務というものに支障があると言われる方。三番目は、一応業務上の必要で二交代をするわけでありますから、二交代工場が成立するためには一定の条件というものが満たされないといけません。この点を三基準と申しまして、これらの基準に照らし合わせて、今度は個々の工場の地域によりまして、あるいは職員状況によりまして、これは全国一律ではとても話し合いの基準としては適当でありませんので、各工場においてどういうことを優先的に日勤常勤務の条件とするかということを労働組合と協議いたしまして、大要素なり、あるいは工場によりましては八要素のところもございますが、その要素を決めて、これに基づいて労使協議で個人別に状況を見て決めているというのが実情でございます。  今申し上げましたのは二交代及び日勤帯の条件でありまして、先生お話しのありました妊婦につきましては、このうちのどれに入るかということは、工場の個々の条件の大要素の中で検討をするということになっております。
  190. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 もう一点の方。
  191. 岡島和男

    説明員(岡島和男君) 一般的なお答えで恐縮でございますけれども、公社におきます労働条件は私どもは常に注意を払っているところでございます。特に女性労働者が多いわけでございますから、女性保護の観点から、特に妊婦につきましては健康診査をいたしておりますが、この健康診査措置というのは私ども企業より充実したものというふうに思っております。  それから妊婦の通勤緩和措置というのもとっておりますが、これまた他企業と比べまして手厚い措置になっているんじゃないか。そういう中で個々の具体的な方について私現在、一々状況を詳しく承知しているわけではございませんけれども、現場において十分な健康管理を行っていると、このように承知している状況でございます。
  192. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 先ほどの三基準大要素ですが、だからお腹が大きくなった、赤ちゃんができた、一定の勤務がなかなか困難だというだけでは、要するに一つの要件にはまっただけではなかなか日勤にかえてもらえないという状況があって、もともと基準自身がかなりきついんじゃないかということで、日勤にかわることをあきらめちゃっている状況があるんだということを聞いておりますので、ひとつこれは今後の対策として十分頭に置いていただきたい、こう思うんです。  それから実際、本当にお腹に差しさわりのあるような仕事をしているという現状も、これは実際私も聞いておりますので、ひとつこれは実情を十分把握していただきたいと思うんです。  それから、これは衆議院でも指摘があったんですが、なかなか席を離れにくい、トイレに行く時間などもない、それに対して、そんなことはないというのが公社のお答えだったんです。ところが、私のところにこういう手紙が来ております。赤ちゃんを企業内保育所に預けて授乳、お乳をやる必要のある婦人労働者ですが、こういう手紙が来ているんですね。「私は七ケ月間、四ケ月からはじまって、子供を企業内保育所に入所させて働いていました。当然の権利としてある授乳時間の後補充がないため、仲間に負担をかけて一日二回(四十五分間ずつ)職場をはなれなくてはなりませんでした。毎日毎日がとても苦痛でたまりません」というので、自分のお乳をやる気がなくなって、ミルクをやるようになる。こういう指摘があるんですね。  となりますと、人員配置そのものが、そういう妊婦の人がおり、授乳に行くという時間を考えてない人員配置になっているんではないかということが、何人かの方から指摘をされ、かつ手紙が来ているんですが、その辺の実情はどうなんでしょうか。
  193. 西村忠弘

    説明員(西村忠弘君) これは衆議院の方でもお答えをいたしましたことですが、私ども昭和三十年代以来、ある意味では非常に厳しい労使関係の中で本当にきめ細かい詰めをやって今日ルールを積み上げてきたわけでございまして、今御指摘のそれぞれの時間帯に応じた離席交代の運用ルールというものも、これはもう何度も激論の末決めてきたことでありまして、赤ちゃんをお持ちのお母様がお乳をあげれないような勤務条件は全然私どもとっておらないと思っております。労働基準法で決められた授乳時間をきちんと履行しておりますし、これは離席の中でも割と長い時間帯でございますから、機械の一台当たりについております人員が非常に少のうございますから、その少ない人員からそれだけの時間を抜けましたら仕事にはなりませんので、そういうものの補充ルールというものもちゃんと労使関係の中で決められてきております。その情報は、先生の得られた内容というのはどういうことか私どもにはよく理解できないのでありますけれども、なお、これは京都工場でございましょうか。
  194. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 はい、そうです。
  195. 西村忠弘

    説明員(西村忠弘君) であれば、また京都工場の実情をよく調べてみたいと思います。
  196. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 私も授乳に行けないと言うんじゃなくて、行っておるんですよね。ただ、行く場合の精神的な苦痛なんです。行った場合、後補充が十分できていないという、こういう指摘なんですね。今、西村理事、それはできているはずだとおっしゃるんだけれども、そしてそれは労使の関係できちっとできているはずだとおっしゃるんですが、しかし現状はこういう面があるということですので、これは今後二交代制を——私は二交代制をもっと広げることには賛成はできませんけれども、しかしやらざるを得ない、こうおっしゃるんであれば、そういうようなまだ公社の幹部がつかみ切ってないことにも十分に耳を傾け、かつ目を大いに開くということが私は必要ではないか、こう思うんです。  そこで、もう一つの問題は、ストロンチウム90というのが使われておるようですが、これは人体への影響がないということで使っておると思うんです。しかし、これは母体への影響もないと言えるのかどうか、これが一つ。それから使用後の廃棄処分はどうなっていますか。
  197. 西村忠弘

    説明員(西村忠弘君) ストロンチウム90につきましては、巻きたばこの品質を均一に仕上げるために新しく開発された検知センサーでありまして、欧米諸国で使われ始めました。それで、私ども昭和四十年代の初期ごろからこれらの導入を図りましたが、実はこれの導入に当たりまして、同じく労働組合の中で、日本は特に核アレルギー的な機運がありますので、私ども労使一緒になって諸外国の実態を調査に歩きました。そういう意味で、ほとんど問題なく使われているということがわかりましたけれども、一応その上になお安全をとるために、外国で使われている線量の約五分の一の線量でセンサーの役割を果たすような機械を我が社独自で開発いたしまして、現在それを使っております。そういう意味で、この線量は本当に薄い線量でありまして、一般の大気中で受ける放射線量とほとんど変わりないぐらいの安全なものだと思っております。しかし、一応しかるべき管理官庁には我々のこの使用のあれを届け出まして、人体に悪い影響がないようにという点については十分な配慮を行っているつもりであります。  なお、この使用後不用となった線源につきましては、日本アイソトープ協会に引き渡すことによってこの処理をさしていただいております。
  198. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 第一回目から大変いろいろな職場の労働条件の問題を指摘してきたんですが、これは今まで議論されているとおり、何しろこれから統廃合、そして機械の高速化、これ以外に国際競争力に打ちかっていく道はもうない、必然の道だと思うんですね。そして、そうであるがゆえに統廃合問題も含め、職場の条件も含め、いろんな不安が現場にあるからであります。  そこで、これは前回もお聞きした問題ですが、第一線事業所の業務遂行体制整備等の概要について、資料としてはこの一枚の紙べらしか出されていない。本体についてはお出しにならない。前回では他党にも行ってないというようなお話だったんですが、どうもそうでもないんじゃないかという気もするんです。  で、問題は、ですからこれは理事会として、もとのやつをお出しいただくかどうかという問題ですが、ただ、前回からの議論とそれから昨日の関野参考人の御意見を聞いておって、私はもう一つ資料の問題として大事な問題があるということを指摘せざるを得ないんですね。  で、前回も私が指摘しましたように、この概要を具体化していく、今度はどこをどう統廃合していくのか、こういう具体的にその内容が示されている。お示しになったのは販売組合の役員、耕作組合の役員、各政党の先生方、それから労働組合ということを指摘いたしました。それについて、前回、対策委員会を持っている政党にはお話しをしたと。ところが、それがこの第一線の概要なのか、あるいはその具体的な統廃合の中身なのか、ちょっとそこが混線していまして、委員長からも混線しているんじゃないかと言われましたけれども、確かに混線しておったんですよ。  で、前回私はこの概要の方だけで質問を終わったんですが、しかし昨日関野参考人は、一週間前に統廃合の中身の説明を受けたと、こうおっしゃっているんですから、私の得ている情報では、今言ったとおり販売組合、耕作組合、各政党の先生方、労働組合というところにすでにこの具体的な統廃合の中身が示されておるんですよね。それを前回お答えになったと思うんですが、まずいかがでしようか。
  199. 岡島和男

    説明員(岡島和男君) 私どもが各党に示したものは、先生ただいま申しました一枚紙でございます。  それから各先生方に示したものはどうかというお話でございます。これも一枚紙でございますが、各先生ごとには、例えば御出身の場所のところがどうであるかとということはお示ししましたが、全体、日本全国はどうだというようなことはお示ししてない、こういう状況でございます。
  200. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 そうすると、部分的にどこがどう統廃合されるという部分はもうすでに示されているということ。それから先ほどの関野参考人の、要するに販売組合の役員さんにはこれは全貌を示してあるんじゃないでしょうか。これはそう理解せざるを得ませんですね。
  201. 岡島和男

    説明員(岡島和男君) これはそのとおりでございます。
  202. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 そうおっしゃいますと、こちらの方からはそんなの示されてないとおっしゃるんだけれども、これは論理的に申しますと、そして答弁を私なりに解釈しますと、もちろん労働組合にも示されているはずですよね、そして耕作組合にも。そして、私の情報では、それと並んで各政党へもということですから、これは説明が行っていると理解せざるを得ないんですよ。これは今もある一部の先生には部分的に行っておると、統廃合の具体的な中身が。となりますと、全部が全部知っているかどうか、これはまだ答弁ありませんからわかりませんが、一部の人にはこれから進んでいく具体的な合理化の中身がわかっており、そして大体この辺からなんだけれども、一部わかっていないといいますと、国会の質疑として、これで本当に公正なんだろうか、国会として、この専売公社廃止によってどうなっていくのかという見通しについて十分共通の認識によって議論したことになるんだろうか。こういうことを私はこれはどうしても指摘せざるを得ないんですよ。ですから、その辺をひとつ明白にしていただきたいと、こう思うんです。
  203. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  204. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 速記を起こして。
  205. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 そして、混線がありまして、その資料の問題と、私も前回混線しておったからこの資料の問題だけの指摘をしたんですが、その後の、昨日の関野参考人の意見で、今言ったとおり統廃合の全貌は示されたというんですよ。個々の先生にも部分的だけれども示されているとなりますと、公社はそういうものを既にもう持ち、かつそいつが部分的に示されておるというのは事実だと思うんです。となりますと、大蔵委員会としてそういった全貌をつかむ必要があるかどうか、そのことを少なくとも議論をする必要があるんじゃないでしょうか。
  206. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) ちょっともう一遍速記をとめて。    〔速記中止〕
  207. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 速記を起こして。
  208. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 それからもう一つ、先ほど地域によって、先生方に関係のある地域によって部分的だけれども示したと、こう答弁しましたね。
  209. 岡島和男

    説明員(岡島和男君) これは各党の先生方それぞれ地域の御出身でございますから、一番関係の深い地域についてはその部分に限ってお話をしたということでございます。
  210. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 ですから、それをある程度総合すれば全体というのは出てくる、政党としてはわかるんだと思うんです。となれば、政権党である自民党さんは全部どこかに関係ありますから、それはそれぞれの先生に話せば総合されるでしょう。党として総合できるわけで、やっぱりわかるんだと思うんですね。となりますと、だから今の答弁から推測できるのは少なくとも——野党の方はわかりませんよ。野党の方はわからぬけれども、少なくとも与党である自民党には、個々だといったって、総合すりゃ全部具体的な中身、どういう統廃合していくのか、具体的に説明したということになるんじゃありませんか。となれば、野党が知らないまんま一番最初の合理化が進む、そのことが全然国会の知らないまんま進んでいくということに対して私は承服できないんです。
  211. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) もう一遍速記をとめて。    〔速記中止〕
  212. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 速記を起こして。
  213. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 委員長、速記をとめた時間は、質問の時間に入るんですか、入らないんですか。
  214. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 若干考慮します。
  215. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 委員長の方から、前回理事会で、「専売公社の支所の統廃合等の合理化問題については、専売労使間の協議進展に合わせて、適当な時期に報告を求める」ということを私は知らされました。ただ、私は今まで指摘したような観点から、そのことには納得できませんので、この中身を当委員会として全員が知ることが必要であるということで、この問題に限って質問を留保します。次に質問を進めたいと思うんです。  次は、先ほども指摘があった外国たばこ会社のわが国における販売戦略についてであります。  まず広告宣伝費でありますが、公社の五十八年度のテレビ、ラジオなど宣伝費は約二十七億円、ビッグスリーの我が国内における宣伝費は約二十億円で、たばこ一本当たりで見ますと、外国たばこのシェアは小さいですから、ビッグスリーの宣伝費は公社の一本当たり約四十倍の計算になるんです。しかもアメリカのたばこ会社は本国内ではテレビ、ラジオを媒体とする広告宣伝は禁止されてやっていない。この点では衆議院でも我が党の正森議員が指摘しました、テレビ、ラジオによる宣伝禁止は世界的な流れではないかと。この点、アメリカの会社我が国内において認められている広告費の自主規制基準は甘いんではないかと、こう思うんですが、その点の規制の再検討ということは考えられませんか。
  216. 長岡實

    説明員(長岡實君) アメリカと我が国では広告宣伝に対する規制の仕組みが違いまして、今近藤委員もおっしゃいましたように、アメリカであればテレビ、ラジオの広告宣伝は禁止されるけれども、その他のものについては制限がないと。我が国の場合にはテレビ、ラジオまで含めまして自主規制措置でやっておるということでございまして、この点は今日に至るまでの日米貿易摩擦の過程におきましてもなかなかアメリカの理解が得られなかったところでございます。法律で禁止されていないならば何で広告宣伝に規制をするんだ、これはもしかすると外国企業にだけそういう規制をかけて、我が専売公社は自由にやっているのではないかといったような誤解まであったようでございますが、その点については十分に説明をいたしまして、その点を外国のメーカーも理解いたしまして、現時点はもちろんのこと、今後輸入自由化が行われた後におきましても、今の自主規制措置でやっていこうという気持ちになっておるところでございます。  これが甘いかきついかという点は、これは一種の水かけ論のようになるわけでございますけれども、私どもといたしましては、現在の自主規制措置は、たばこという商品の広告宣伝について社会的にも糾弾を受けない、節度ある範囲内というふうに理解をいたしておりまして、大変甘いという考えも実は私どもといたしては持っておりません。その範囲内で外国から来ておる会社に対して、今のように何本当たりということでまいりますと、公社に比べまして非常に緩い基準のようではございますけれども、全体の枠の中でやっていただくということで協力を求めながら、今後もこの方向で進めていくべきではなかろうかと考えている次第でございます。
  217. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 現に既に代理店あるいは販売促進会社国内でいろんな活動をしておるようであります。その各社の主な状況を公社でつかんでいる範囲でお答え願いたいんですが、例えば製品貸与とか見本たばこの過剰投入とか、現在既にそういう動きがあるんではないかと、こう聞いておるんですね。その点の実情と対応策、どうでしょうか。
  218. 森宗作

    説明員(森宗作君) お答えいたします。  外国メーカーは輸入代理店であります大手商社と販売促進活動につきましていろいろな活動を行うことを契約いたしておりまして、現在その商社なり、その子会社がそういった活動を行っておりますが、先ほど先生指摘の見本たばこの配布といったようなものにつきましても、これは先ほど総裁が御説明しました内外共通の基準の中で過度なものは行わないというようなことになっておりまして、社会的な常識に基づいたような形によって行われるというような規定がございます。この規制の基準の中に、販売店に対して値引きになるような便益を供与しないとか、そういうような表現等がございますが、こういうことでございますので、この枠をはみ出たようなそういった活動というものはお互いに規制をしようというようなことでやっておるわけでございます。
  219. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 規制しようとしてやっておるというんですが、現状、既にはみ出している部分があるんじゃないか。例えば今言った見本たばこですね、単に渡してくるならいいんだけれども、過剰にやっていけば、これは一種の値引き等々になると思います。その点、例えば製造たばこの広告宣伝及び販売促進に関する基準というのができていますね。その中に、見本たばこの提供については提供対象、提供数量を制限するとか、あるいは販売店に対しては値引き等の経済的便益を与えてはならない、こんなのがありますけれども、現実にもう既にそれを超えたような実情を公社はつかんでいるのではないかと私は思うのです。  現在でもそうだとなりますと、これから自由化になり、それぞれお互いに競争しますと、公社も、相手がそうやっているのならということで、それに引きずられてどんどんそういう過剰になり、過剰競争をやっていく可能性が出てくるんじゃなかろうか。そういう点まず現状がどうなのか、現状もし超えている部分があるとすれば、私は超えている部分があると思うんですが、それに対してどう対処するのか。この点が問題だと思うのです。
  220. 森宗作

    説明員(森宗作君) 私ども、そういった点につきましても、今後の制度改正、いわゆる輸入自由化ということをうたいまして、仮にもそういうようなことがないようにということで、最近におきましても、外国メーカーに対しまして、こういったことにつきましての自主規制というものを十分守っていくようにというような呼びかけも行っておるわけでございます。制度改正後におきましても、私どもはこういった自主規制というものを加えましてこれに対応したいというふうに考えておるわけでございます。
  221. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 私の質問は、現に外国会社が先ほど言ったような基準を超えてやっているのがあるんじゃないか。例えばブラウン・アンド・ウィリアムソンは泰東が代理店になっておりますけれども、活動の中で製品貸与が目立つというような実情とか、現に見本たばこの過剰投入がある現状、そういうことの把握はされておるんではないかと聞いておるのです。
  222. 森宗作

    説明員(森宗作君) 私どもとしましては、現実にそういった実情について把握しておるわけではございませんが、特にそういったような心配がこれからあるわけでございますから、そういった点につきまして、最近各三大メーカーでございますか、そういったところの代理店に来ていただきまして自粛するような申し合わせをやったわけでございます。  なお、こういったことにつきましていろいろ問題があります際には、この基準にもありますように、委員会というのがございます。そういった委員会の中でこういったものをさらにお互いにいろいろ協議いたしまして自粛するというような形も整えておるわけでございます。
  223. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 時間ですので……。
  224. 木本平八郎

    木本平八郎君 私は質問通告していた順番を変えまして、経営の問題からまずお聞きしたいんです。  今度株式会社になるわけですから、株式会社というのは、先ほど同僚議員の質問にもありましたように、そう簡単につぶすわけにいかないということなんで、これからの官民挙げての一番の大問題は、まずこの新会社自立さしていくことだろうと思うわけです。そこで、一たん今回は公社を特殊法人にしますね。特殊法人にして将来完全に民営化しようということが意図されていますね。これは大体いつごろが目標になっているのか、感触だけでいいんです。それは検討されてなきゃされてないで結構ですけれども、まずお聞きしたいんです。
  225. 小野博義

    政府委員(小野博義君) ただいまの御質問の点でございますけれども、今回輸入の自由化に伴いまして、公社を合理的企業経営が最大限可能な特殊会社とするという方策をとったわけでございますが、現在、割高な国産葉たばこを抱え、かつ外国巨大たばこメーカーと競争していくという状況におきましては、この特殊会社に製造独占を与えていくということが必要であるという判断に立っておるわけでございまして、将来、今回の措置が民営・分割へのワンステップという位置づけはしてないわけでございます。
  226. 木本平八郎

    木本平八郎君 それでは将来は、私はどうしてもこれは自立していかなければいかぬと思うわけですけれども、その質問はちょっとおきまして次に進みたいのです。  専売公社が一応新会社になりましても、公共性という問題もありますし、大蔵省としては非常に貴重な担税商品だということもあるでしょう。私がおそれるのは、将来財政上の都合ですぐ値上げしてくるとか、そういうふうな会社の自主性を無視して親父の方の都合でいろいろやられる可能性もあるんじゃないかと思うわけですね。公共性ということは確かにあるのですけれども、今見ていましても、私ははっきり言って、民営化するには賛成ですけれども、余りにもまだがんじがらめだという感じがするわけです。しかし、がんじがらめというのも、過渡期ということもあるし、公共性ということも考えれば、この程度はまずスタート段階としてはやむを得ないのじゃないかと思うわけですけれども、その辺で今後、大蔵省の監督態度がこの会社を殺すも生かすも生殺与奪の権を握っているんじゃないかという感じがするのですが、その監督の大方針、その辺どういうふうにお考えになっているか、ちょっとお聞きしたいんです。
  227. 竹下登

    国務大臣竹下登君) おっしゃる意味は私もよく理解できますが、したがって先ほど申しましたように、今日までの日本のたばこ産業を支えた三つの大きな集団といえば公社そのもの、労使、それと葉たばこ耕作、小売店でございます。それらに対しての激変緩和とかいろいろなことを考えて、ですから臨調答申から見れば後退しておるという批判も受けました。こういうふうにして特殊会社にしかも可能な限りの自主性を与えよ、商法と労働三法でございましょう。したがって、とにかく干渉とか、そういうことが可能な限り少ない形で自主的な運営にゆだねるということをまずは基本方針として持っていなければいかぬ、こういうことをお答えしながら自分にも周知徹底さしておる、こういう段階でございます。
  228. 木本平八郎

    木本平八郎君 今後大蔵大臣がおかわりになっても、ぜひそれを守っていただきたいと思うのです。  その次に、資金繰りの問題なんですけれども、今専売公社というのはたばこの方は非常にもうけておりまして、ほとんど自己金融ですね、一兆一千億ぐらい何か純資産を持っていて預金も何千億かありますね。相当いいわけですけれども、今後葉たばこをストックしていかなければいかぬ。これは過剰在庫は別にしても、二年分ぐらい必要だそうですね、製造在庫が。それから小売店だとか、いろいろ販売金融から見ていくとすれば、相当資金調達が大変だ。三年間は何か政府の保証で銀行借り入れができるらしいのですけれども、長期的にどうなのか。率直に言って、外国のメーカーは、このたばこ会社は資金繰りで行き詰まるだろうということ空言っているわけですね。資金繰りというのは一番怖いわけですけれども、その辺どういうふうに検討されているか、ちょっとお聞きしたいんです。
  229. 長岡實

    説明員(長岡實君) 今木本委員がおっしゃいましたのは、現状では専売納付金というのが一種の後払いみたいになっておりまして、その後払いで一挙に納める時期には公社としては資金繰りがつきませんで、運用部から融資を受けるというのが現状でございます。それが、制度が改まりますと翌月末でございますか、に納めていくことになる。しかも移行の時期には五十九年度分の後払い分と、それから六十年度分の月々の分と出てくるものでございますから、一挙に資金繰りは非常に苦しくなる。そういったような面につきまして、今回の制度では三年間に限って運用部からまた融資が仰げるような過渡的な措置にはなっておりますけれども、一般論といたしましては、私ども株式会社組織で事業の運営をいたしていくわけでございますから、一般の金融のルートの方に資金繰りを求めていくということは当然でございまして、そういう方向での準備と申しますか、勉強を現在行っている最中でございます。
  230. 木本平八郎

    木本平八郎君 これから株式会社でやられるわけですから、いつまでも親に甘えずに自分の信用で市中から調達するということはぜひ堅持していただきたいと思いますね。  その次に、非常に失礼なんですが、当然のことを申し上げるんですけれども、今度の新会社は、私は東京工場も見学させてもらいましたけれども、この技術水準は思ったよりも高い。それから外国なんかの話を聞きましても、メーカーとしての実力というのは相当彼らも認めているということですね。ところが、私率直に言いまして、営業の方はだめなんじゃないか。とにかくあなた方は半分役人ですから、役人に前垂れがけやれといったってどだい無理だ。例えば小売店に売ってやるとか荒らしてやるとかいう態度でしょう、今まで少なくとも。頭を下げて売っていただくか買っていただくというなにはないと思うし、ここ五年や十年多少心を入れかえてもちょっとそれは無理なんじゃないかという気がするわけです。したがって、ここでむしろ新会社はメーカーに徹していくということがいいんじゃないかという気がするわけですね。これは後で営業関係の方でちょっと申し上げますけれども外国との競争が今後あるわけですから、外国との競争面というのは私は営業面だと思いますね、販売面だと思うわけです。その辺でどうなのかということですね。その辺どういうふうにお考えになっているか、ちょっとお聞きしたい。
  231. 長岡實

    説明員(長岡實君) 大変厳しい御指摘を受けたわけでございますが、今から三十五年前に大蔵省専売局が日本専売公社に変わりましたときから、営業等の分野につきましては、前垂れがけでやっていかなければいけないということで進んでまいりまして、実は私事になりますが、私は公社の経験がまだそれほど長くございませんので、私から申し上げるのはいかがかと存じますけれども、私が公社に参りまして見ましても、営業の部門というのは製造その他の部門と職員の気質も違っております。何といいましても第一線で物を売らなければいけないという訓練を受けながら今日に至っておりますので、一方においてまだまだ武士の商法ではないかという御指摘を受ける分野も残っておるかもしれませんけれども、一般論といたしましては、営業の分野の職員が一番大蔵省専売局から公共企業体に変わっていった精神を理解し、また必要に迫られてそういうような仕事になれてきておると思います。しかし、今後はその必要性はますます強まってくるわけでございますけれども、私どもといたしましては、現在までにいろいろと積み上げてまいりましたノーハウもございますので、営業分野は私どもの営業分野として外国に負けないようにやっていきたいというのが基本的な考えでございます。
  232. 木本平八郎

    木本平八郎君 ぜひそういうふうにしてやっていただきたいと思います。この問題ちょっと後でもう一度触れたいと思うんですけれども、その前に、現在公社が研究所とか機械工場とか印刷工場とか、こういうふうなものを持っておられるわけですね。これが私よく詳しくは知らないんですけれども技術水準その他が非常に高いということなんで、むしろこの際こういうものを全部分離して、そして独立会社にして、それでどんどん国際競争をやらしていく。例えば機械工場なんかは、今公社に遠慮しててなかなか売れないけれども、別会社にすればどんどん輸出できるわけですね。研究所なんかも相当レベルがあるから、これを新会社にも売るし外国にも売るということで分離していく。ということは、新会社の規模が非常に大きいわけですね。マネージメントから考えて、もっとスリムにしておかなきゃいかぬのじゃないか。人員の問題その他もあるでしょうけれども、とりあえずは離して、独立できるものはどんどんやっていった方がいいんじゃないかと思うんですけれども、その辺はいかがでしょう。
  233. 長岡實

    説明員(長岡實君) 基本的な考えといたしまして、中央研究所あるいは機械製作所といったような私ども機関が相当な水準に達しておることは御指摘のとおりでございますが、それだけにまた、私どもといたしましては、新しい会社の重要な財産である、頭脳部分でもあり、その他の面におきましても、私どもにとって大変大切な存在だというのが基本認識でございます。  もちろん、これから激烈な競争のもとに仕事をやってまいります場合に、とかくそういった一種の基礎的な分野についての配慮が怠りがちではないか、資金の投入についてもそちらの方がなおざりにされる心配はないかという御指摘であろうと存じますけれども、これは新会社の経営陣がそういうことがないように、会社の財産であるそういった分野に対する配慮なり投資なりを怠らないようにしていくことが会社の将来を支えていく大事な要素でございますので、私どもといたしましては、将来ともに中研とか機械製作所といったような機関につきましては、新会社の重要な財産として育てていきたいというふうに考えております。
  234. 木本平八郎

    木本平八郎君 そのお考えでやっていただければ一番いいと思うんですけれども、並行的には例えば病院なんかでも独立させるとか、そういったことも検討していただく必要があるんじゃないか。  それから、これは後でもひっかかってきますけれども、要するに私一番恐れているのは外国との競争なんですね。そのためには受けて立つということもありますけれども、守らざるを得ないという面もあるんで、ぜひ海外に進出するとか、海外に出ていって買収して海外の市場をやっていくとか、やられっぱなしじゃなくて出ていくということも当然考えていただきたい。今、日本たばこ輸出インターナショナルですか、あの程度のものじゃなくって本腰を入れて海外進出も考えていただきたいと思うわけです。  次に、営業の方に移らしていただきますけれども、たばこは御存じのように完全な単純商品なんですね。今までの公社の扱いというのは大体サービス、公共サービスが普通なんです。ところが、公共サービスというのは地域に密着性がありますから非常に強いんですけれども、商品というのは安いところにどこでも流れていくわけです。こういう極めて流動性の高いものを抱えてこれから経営をやっていかれなきゃいかぬ、競争していかれなきゃいかぬということなんですね。その点で外国から見れば極めて入ってきやすい分野なんですね、これは。  そこで私また先ほどの問題に返りまして、同僚議員からの質問もありましたけれども、今五社の配送会社がありますね。ところがこれは配送だけで、販促もやらなきゃ代金回収もやらない、営業はやらないわけですね。ところが、将来の形としては、公社はメーカーに徹して、それで問屋をつくって問屋に売り切る、消費税その他税金は全部工場出荷したときに払ってしまって、あとは問屋が自主的に自分の小売店を使ってやっていくという形がいいと思うんですね。  とりあえず私、これは一つの提案なんですけれども、今の新会社の、将来の形ですけれども、新会社の営業をどんどん出向きして、こういう五社にてこ入れして、そしてこれを問屋化するわけですね。問屋が配送機能からすべてを問屋機能をもってやる。これはもちろん新会社の直営の販売網なわけですね。外国のメーカーは勝手に自分でつくればいいわけです。もちろん小売店は共用するということになるでしようけれども、そういうふうにやっていくと非常に営業面の厳しさがそっちの方は出てきますね。公社の方は一番不得意の分野をとりあえず強化できるというか、切り捨てるわけじゃないですけれども、やれるんじゃないかと思うんですが、その辺いかがでしょう。
  235. 長岡實

    説明員(長岡實君) 先ほどの営業部門をどう考えるかという御質問とやや性格が似ておる御質問のように私、受け取ったわけでございますけれども、確かに営業部門をどうするかという考え方の中には、木本委員のおっしゃったようなお考え方もあろうと存じます。  ただ、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、今日に至るまで公社になってからもう既に三十五年の経験を持っておりまして、その間に原料調達から小売店への卸まで一貫してやってきた経験がございます。その経験の蓄積の中である程度いろいろとノーハウその他も持ってきておるわけでございますけれども、今回の法律改正によりまして、今までに比べて自主性が付与されていくということになるわけでございますので、私どもといたしましては、その新しい会社が製造から販売まで一体となった商品開発を初めとした全社的な経営努力と申しましょうか、そういったようなことによって流通自由化後の激しい競争の中に対処してまいりたいという考えを持っております。
  236. 木本平八郎

    木本平八郎君 それは非常に結構なんですけれどもね。私の民間におった感覚からいけば、公社さん、今新会社として、外国メーカーのあの恐ろしさというのを余り御存じないんじゃないかという不安があるわけですよ。それでもうやかましく申し上げるわけです。  それで、小売価格の問題ですけれども、この法案によると、小売価格大臣の許可事項になっていますね。ところが、私、これはフリーにした方がいいんじゃないかと思うんですね、将来。どうしてかと言いますと、末端価格をフィックスしておきますと非価格競争になるわけです。宣伝広告になるわけですね。先ほどもちょっとお話がありましたけれども、この宣伝広告になるとこれまた、最近国鉄さんも相当上手になられましたけれども、こういうたばこ会社外国メーカーの比しゃないと思うんですね。そういうことを考えますと、結果的には、一時的にはこれは非常にいいようなんですけれども、長い目で見ると、どんどん公社が弱められていくんじゃないかという危惧を抱くわけですね。これは今お答えをなにしても、ここには書いてますから、どうしようもないというお答えしか返ってこないと思うんですけれども、ぜひその辺は考えていただきたいと思うわけです。  それから次に、これは外国メーカーの場合もそうですけれども、納付金と消費税ですね、今これは別々に払っていますね、地方となにと。ところが、今度は民営会社になって独占だというものの、今のところ自治省がうるさいから大変だという話なんですけれども、新会社は工場出荷のときに消費税も全部一括して払ってしまって、あとは大蔵省と自治省の間で話をつけてちゃんと分けてくれというふうな合理化も、ぜひお願いしていかなきゃいけないんじゃないかと思うんですね。外国なんかのメーカーの場合でも、こういうことをやると非関税障壁だとかなんとか言うに決まっているわけですね。そういう点からも、いろいろ行政の方の都合もあると思うんですけれども、これは公社に努力をお願いするしかないと思うんですが、大蔵省の方で相当技術的に難しいのかどうか、ちょっと御意見を承りたいんです。
  237. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) 今おっしゃるように、いわば国が一本で取りまして、それで地方に譲与税という形で配付するということは、理論的にはあるいは実際的にも可能なことは可能でございます。  ただ、この問題につきましては、今御指摘の点も含めまして、たばこ消費税制度への移行に際しまして中でいろいろ議論はしたことはございますけれども、ただ、地方たばこ消費税は、御承知のように、昭和二十九年創設から一貫して地方の独立税としてやってきているという経緯がございます。しかも地方自身が徴税権を有すること自身がいわば地方自治の原点といいますか基盤であると、そういうふうな形での地方サイドの強い御意見もございまして、従来同様、独立の地方たばこ消費税という形で今回も維持するという形で法案を出しているわけでございます。
  238. 木本平八郎

    木本平八郎君 それは将来の課題として——これは案外大変だと思うんですね、手数としては。だから合理化という点からぜひ大蔵省も新会社を応援していただきたいと思うんです。  それから、これは意見なんですけれども、現在全国に三十一万台の自販機があるわけですね。これは一台五十万円ぐらいして、耐用年数が五年から七年ぐらいだということなんですけれども、これは販売面においては非常に大きな今一つ競争の武器だと思うんですね、外国メーカーに対して。外国メー力一はこれから設置していかなければいかぬわけです。計算していませんけれども、一台五十万円のものをそんな三十万台じゃなくて一万台置くだけでも大変なことになるわけです。そういうことで、この耐用年数のある間に自販機を利用して、そして競争に勝つんだということはぜひ真剣に検討しておいていただきたいと思うんです。このアドバンテージというのはもうあと五、六年しかないわけですからね、ぜひこれをお願いしたい。  次に、今度の法案でいろいろあるんですけれども、消費者にとってのメリットというのは一体何だろうか。間接的にはありますよ。将来の税負担だとかなんとか間接的に減っていくだろうということはありますけれども、何か特別に消費者としてはこういうメリットがあるという点がございましたら教えていたたきたいんですがね。
  239. 長岡實

    説明員(長岡實君) たばこは嗜好品でございますので、消費者にとりましては、自分の好みの製品ができるだけ安い値段でしかも円滑に手に入るということが一番望ましいんだと思います。従来も私どもはそういう点につきまして一生懸命努力してまいったつもりでございますけれども制度改正が行われまして輸入自由化が行われますれば、我が国のたばこ市場の中でいろんな種類のたばこが入ってくる、種類がふえてくるということ。また競争関係を通じまして、私どもといたしましても、今の消費者の方々がどういうたばこを好んでおられるかということにつきましては、敏感に反応して新製品の開発をしてまいりませんと競争に負ける。輸入会社の方もと申しますか、外国のメーカーの方も、恐らく我が国の市場の中でどういったような傾向のものが好まれるかということを十分に研究して製品の投入を行ってくるんではないかということが予想されますので、そういったような競争関係を通じまして、いわば多様化の時代と言われる今日において、消費者の方々の好まれるような種類のたばこがいろいろと出てくる、それがまた円滑に供給されていくということが一つの大きなメリットではなかろうかと考えております。
  240. 木本平八郎

    木本平八郎君 今でも五十種類ぐらいあるわけで、それ以上多様化する必要はあるかどうか。これはちょっと別の問題として次に移ります。  それで、ついこの間東京工場へ行きましていろいろ聞いたら、ブレンダーですね、たばこのテストをする人。あの人たちは何か一日に百本ぐらい吸っているらしいんですね。物すごいヘビースモーカーなんですけれども、そのブレンダーでずっと専売公社にいてその前から歴代ブレンダーでおった者に肺がんで死んだという人は一人もいないそうですね。僕はちょっとびっくりしたんです。私もかつてたばこを吸っていたのをやめたんですけれども、これは重大なことだと思うんです、国民としては。今まで吸い過ぎに注意しましょうと、まあこれはいいですけれども、肺がんになるということで思い込んでいたわけですね、私なんかも。ところが、一日百本何十時間吸っている人で肺がんで死んだ例がないというのは、これは大変なことだと思うんですね。  私、情報の偏りということで非常にびっくりしたんですよ。これは戦時中に我々は一方的にしか情報を聞いてなかったもので、鬼畜英米なんて言っていたわけですね。ところが、ふたをあけてみたらとんでもなかったというのと同じで、一方的に何かたばこの害毒ばかり言われて、大丈夫だというふうなデータが全然示されてないんですね。これは脅迫みたいなものでおどかされている。だから、両方のデータを出してもらって、吸うか吸わないかは消費者の方で、国民の方で判断するのが本当じゃないか。一方的に悪い悪い、肺がんだ肺がんだと言われてやられていたというのは非常に奇異な感じがするわけです。奇異な感じというか、今後こういう両方のデータを出していただかなきゃいかぬじゃないか。今までは公社だったから出せないということもあるでしょうね。しかし民間会社になればこれを出してもいいんじゃないかと思うんです。その辺はちょっと調査していただいて、事実なら発表していただいた方がいいんじゃないかと思うんですがね。いかがでしょう。
  241. 長岡實

    説明員(長岡實君) 喫煙と健康の問題は、実はたばこを製造し販売していかなければならない新会社にとりましても、ある意味では非常に気の重い問題と申しましょうか、一つの大きな負担になる問題でございまして、これを無視するわけにはまいりませんし、国民の中で非常に関心が高まっている問題につきましては、私どもとしても対応を誤ってはならないというふうに考えている次第でございます。  御指摘のとおり、たばこ肺がん説その他につきましては、これは疫学的に一種の統計学的と申しましょうか、そういったような資料がございまして、肺がんになる方は喫煙者の方が非喫煙者よりも相当数が多いとかいったようなことは、一応数字として厳然として出ております。ただ、私が聞いておりますところでは、本当の病気の原因というものを医学的に立証するためには、疫学的な数字だけではなくて病理学的な解明が必要であるというふうに聞いておりますけれども、その病理学的な解明の方はまだ進んでいないということのようでございます。  また一方、喫煙と健康の問題につきまして、たばこが心理的にといいますか、精神的な面で安らぎを与えるとか、あるいはストレスを解消するとかいったような、なかなか計量的に把握できない効果というものは確かにあるんだろうと思い良す。それはまた回り回って健康問題にも影響が出てくるんであろうと思います。そういったようなことにつきましては、私どもはいろいろ外部にも委託いたしまして研究を進めております。そういったようなものがもし本当に国民の皆様にお示しできるようなものができますれば、これは今お話がございましたように、あるいは積極的にそういう報告を発表しながら考えていかなきゃならない問題だろうと存じます。現在のところはまだ、一方において公表されております疫学的な数字と同じような精度での研究結果がまだ出ておらないというのが現状でございます。
  242. 木本平八郎

    木本平八郎君 最後に葉たばこ関係でちょっと質問したいんです。もう連日この問題は各委員からいろいろ提起されていますので、問題の所在はもうはっきりしているわけですけれども、私これを見ていまして非常に感じるのは、米とか繭、養蚕ですね、あれに次いで行政がその産業をつぶした典型的な例としてこれが歴史に残るんじゃないかという気がするわけですね。今までのなにを聞いていますと、私の感じでは、一部分の、怠惰とは言わないけれども、非常に生産性の低い農家を基準にして救済策が講じられている。したがって、減反にしても篤農家というか、極めて一生懸命熱心にやっている農家が犠牲にされているんじゃないかという気がするんです。米なんかもそういう感じがするわけです。この感じが合っているかどうかはちょっと別にして。したがって、今のような状況を続けると、十年後になれば確実に、今でもそうでしょうけれども日本の葉たばこ農業というのは国際競争力を失ってしまう。新会社としてもずっと扶養家族というか、重荷を背負っていかざるを得なくなるんじゃないかという気がするわけですね。  そういう点で、いろいろお考えになっていると思うんですけれども、私の理解しているところでは、たばこもナス科ですからいわゆるいや処すると思うんですね。連作はできないんじゃないか。あるいは農薬が今非常に発達していますから、いや地を消すうまい薬もあるようですけれども、農家によって、おれは薬を使って連作するというところがあってもいいし、いや、土地が広いからどんどん変えていくんだ、三年ごとに変えていくんだというところがあってもいいし、これは自由に任せるべきじゃないか。それで適地適作というのが行われていると思いますけれども、耕作面積の割り当てというのはやめるべきじゃないかという気がするんですよ。むしろ何等葉とか部位ですね、この部分の何を何キログラム来年は幾らの値段で買います、幾らおつくりになろうといい。つくって、今度専売でなくなったわけですから、要らぬものは捨てちゃってもいいわけですね。これだけを納めてください、買いますという方向で持っていった方が、農家のつくる方としてはいいものをつくろうというなにが出てくるわけですね。いいかげん水もやらないというのは、余りいいものができずにいい値段で買ってもらえないということになっていくと思うんですね。そのくらいの競争原理は導入していかないと、これは業界全体がつぶれちゃうという感じがするわけですね。  そこで、私の一つのアイデア、提案なんですけれども、例えば仮に十二万トン来年買うと。ことしも十二万トン買った——十四万トンだったですかね。来年十二万トン買うと決めたら、十万トンは今までどおり実績に従って特等、一等、二等ですか、ずっとあって、これを何キログラム単価幾らで買いますということで契約するわけです。あとの二万トンは、私もよくわかりませんが、この辺の部位のこれを何トン、この辺のやつは幾らというふうに決めて、それをいいものから順番に二万トンまで買いますということにするわけですね。そうすると、ある農家は、単純にしますと千キログラムは約束で買ってもらえる。あとの二百はいいものができれば二百キログラム買ってもらえるということですね。ところが、この農家は歩どまりをよくしようと思って千五百キロつくった。千二百売れば、三百は捨ててしまうわけですね。ところが、よければ千五百全部買ってもらえるわけです。あるいはそれを見越して二千キログラムつくるかもしれない。その残ったものはこれは輸出できるのじゃないかという気がするんですね。仮に五分の一の値段であっても、全部コストはもうカバーされているわけだから、あと残ったものは安くても売ってやれるんじゃないか。  要するに、そういう具体的なアイデアは別にして、少し競争原理を入れていくというのが本当に農家のためじゃないかという気がするんですね。今のように過保護のままやっていると業界はつぶれてしまうと私は思うんですけれども、最後にその御意見をお伺いしまして私の質問を終わります。
  243. 長岡實

    説明員(長岡實君) たばこ、葉たばこにつきましては、制度改正が行われましても、従来の専売制度が廃止されましても、国内的には製造独占であり、葉たばこ耕作農家はたばこの用に供する葉たばこは売ろうと思えば新会社にしか売れないといったような制約がございまして、全量買い取り制度が維持されておるわけでございますが、今木本委員がおっしゃいましたような一種の競争原理を耕作農家に働かせる必要がないか。いわば温室育ちで、何をつくってもいいんだということでは、いつまでたっても合理化が図られないのではないかという点につきましては、実は私ども現行制度のもとにおきましてもそういった問題意識も持っておりまして、御承知のように、葉たばこには葉分け等級別というのがございます。一番いい等級にランキングされたたばこと、それから最下等のたばことの間の価格差と申しますのは、たしか私の記憶では一対十ぐらいの開きがございまして、普通の商品の価格差の中ではその価格差が大変広がっている分野にあるのではなかろうかと思います。  そういったようなことで、耕作農家の方も、いいものをつくれば高く買ってもらえるといったような問題意識は持っておりまして、そういうことを通じて篤農家と申しますか、一生懸命にいい葉たばこをつくられる農家が生き残っていくという道は一応入っておるわけでございます。
  244. 野末陳平

    ○野末陳平君 きょうはたばこ消費税に関してやります。きょうも輸入たばこのことが出ていましたけれども、まず公社の総裁に聞きます。  先日は、幾ら輸入たばこのシェアが拡大してもまあ五%ぐらいだということでしたが、これは平均すればそうなんでしょうけれども、年代などによっては大分違うだろう。そこで今後、新会社になっていって、消費が伸び悩んでいるそういう現状を背景にして、主に重点的なターゲットというのはどこに絞ろうという考えですか、戦略的に。
  245. 長岡實

    説明員(長岡實君) 御質問趣旨は、輸入品がどんどんふえていった場合に、    〔委員長退席、理事岩崎純三君着席〕国内のマーケットで国産品が輸入品に侵食されないようにする対抗銘柄というようなものを一体どこに求めるかということだろうと存じます。  これにつきましては、現在、我が国の喫煙者の方が吸っていただいているたばこの中で、マイルドセブンが一銘柄で四二%を占めておるといったようなことがございます。そういう主力銘柄というのが幾つかございまして、その主力銘柄を考えますと、現在の時代に適応した、ニコチンタールの量も余り多くなくて、むしろ軽い方でございまして、なおかつ、のまれる方がその味を楽しんでいただける特性を持っているものだと思います。ですから、私どもといたしましては、現在まで相当な強味を発揮して、相当なマーケットシェアを持っている商品を中心に置きまして、最近のアメリカ、主としてアメリカでございますが、アメリカのやり方を見ますと、ファミリーブランドと申しますか、主たるブランドを中心にして、それを少しずつ変えていった品種、例えばキャビンで申しますと、最初にキャビン100いうのが出まして、次にキャビン85が出て、キャビンマイルドが出て、またマイルドの長いのを出すといったような、そういう一種のファミリーブランド化という傾向が進んでおりますので、私どもといたしましては、中心に置かれるべき主力銘柄をまず確定して、それのファミリーブランド化を考えながら、その輸入商品との競争考えていくというのが一つ考え方ではなかろうかと存じます。
  246. 野末陳平

    ○野末陳平君 これは新会社も抜かりなく頑張ってくれると思いますけれども、法人税をたくさん払ってもらわなきゃならないから負けてもらっちゃ困るんです。  ただ、たばこ好きといろいろ話してみると、今の方針も当然考えられるようですが、これからはヤングと女だからね。極端に言えば、そこが伸びていかなかったら、ある年代以上は、きのうも参考人先生が話していたけれども、どうも長年吸いなれた味というのはそう変えられないというんで、そうなると中年以上は期待できない客だから、輸入たばこに勝つためにはヤングと女をねらうしかないと思うんですよ。その方が寿命が長いしね。そうすると、商売から考えて、ヤングと女というのは輸入物に絶対弱いから、あちらさんは宣伝のやり方から包装からかなりあか抜けているし、それから前回質問価格差のことをちょっと触れましたけれども価格差で動かないのがまたヤングと女だから始末が悪いんだよね。要するに、見えで吸うというか、しゃれて吸うというか、余りみんなが吸ってないたばこを開発してきてみんなに広めたりとか、ただで宣伝係も引き受けるような時代です。  そこで心配は、輸入たばこもかなり強力にやってはくるにしても、ヤングと女性相手の対策というもので負けちゃうと致命的じゃないかと心配しているわけですよ。今後お客として、そういう若い人、婦人の喫煙者、それをふやすということは非常に大事なんで、その点についてもいろいろ考えているんですか。
  247. 長岡實

    説明員(長岡實君) 先ほど私が申しましたのは、あくまで市場の相当部分を占めている現在の状態をどう守っていくかという問題でございまして、新しい動きに対して私どもは当然のことながら敏感に反応していかなきゃならないと存じます。若い人たちの中で非常に新しいものに飛びつく傾向があることも承知いたしております。私どもといたしましては、若向きといいますか、要するに新しいものを好む人たちに対してどういうものがアピールするかという研究は十分にやっておるつもりでございます。  新製品の投入の問題につきましては、実は、現在の約五十という銘柄でも少し多過ぎるのではないかという批判もございますし、私ぐらいの年齢になりますと、まさにそういう考えを持っておったわけでございますけれども、いろいろ世界的な趨勢を見ますと、例えば人口が我が国の倍であるアメリカは銘柄としては五十の倍の百ではなくて、たしか二百ぐらいあるというふうに聞いておりますし、世界的な傾向として銘柄の多様化、少品種多銘柄といったような傾向があるようでございまして、そういったようなこともあわせ考えますと、    〔理事岩崎純三君退席、委員長着席〕私どもといたしましては、比較的若年の層に対して、そういう人たちがどういう商品を好むかといったようなことも十分に研究して新製品の投入を図っていきたいというふうに考えております。
  248. 野末陳平

    ○野末陳平君 輸入たばこの作戦なども見ながらやるんでしょうけれども、もう今からいろいろ手を打っておいた方がいいと思いますから、あえて言ったんです。  さて、消費税の方ですけれども、問題は、新制度になって輸入たばこの地方消費税をどういうふうにしていくかというのが大変だろうと思うんですね。先日、藤井先生が、これが非関税障壁となって、また文句を言われるんじゃないかというようなことで質問なさっていましたが、同時に非常に難しい問題があるんです。現行制度で、輸入たばこに関しての地方たばこ消費税、どういうふうに納税システムがなっているか、公社に聞くんですが、これを簡単にお願いします。
  249. 森宗作

    説明員(森宗作君) 現在の地方たばこ消費税の納税システムでございますが、公社の営業所におきまして、毎月の道府県別の販売実績、これは輸入品を含んでおります、さらに市町村別の販売実績、こういったものを集計いたしまして、道府県たばこ消費税につきましては、主として支社、地方局という段階で管内の分を取りまとめまして、市町村のたばこ消費税につきましては、この下の組織でございますが、該当する営業所がそれぞれ毎月、月末までに申告納付するという形になっております。
  250. 野末陳平

    ○野末陳平君 そうすると、今まで公社は徴税機関だなんて悪口も言われているけれども、この税に関する限りは輸入たばこに関してもきちっとしているわけだよね。ですから、漏れなく全部納税できているんですが、新制度になりまして国産たばこに関しては新会社が全部責任持ってくれるんですが、今度輸入たばこに関しての地方たばこ消費税というのはどういうふうな徴税システムになるのか、それをちょっと自治省に説明してもらいたい。
  251. 前川尚美

    説明員(前川尚美君) 日本専売公社がたばこの製造、輸入、販売を独占しております現行制度のもとでの地方たばこ消費税の申告納付のシステムについては、今専売公社の方から御答弁のあったとおりでございまして、今回、地方たばこ消費税につきましては、日本専売公社の経営形態の変更に伴います所要の調整を行うということでございまして、課税のシステムといたしましては、これは従来の基本的枠組みをそのまま続けるということでございます。  お尋ねの点にかかわるわけでございますけれども、今後たばこの輸入が自由化されますと、輸入業者がたばこを輸入して直接小売販売業者に売り渡す、あるいは卸売販売業者に売り渡すというような流通の過程が考えられるわけでございます。が、この場合に、今地方税法で予定しております地方たばこ消費税の申告納税の手続といいますのは、日本たばこ産業株式会社が製造いたしますたばこ、販売いたしますたばこと同様の全く同じ手続によるということになるわけでございます。  具体的に申し上げますと、流通の最終段階で課税をいたすことになりますので、輸入業者、法律的には特定販売業者ということになっているわけでございますけれども、が小売販売業者に売り渡す場合にはその段階で課税をされることになっていく、あるいは特定販売業者が卸売販売業者に一たん卸売をした後、その卸売販売業者からさらに小売販売業者に売り渡すという場合には、その卸売販売業者に納税義務が生ずるというような形になってまいるわけでございまして、それぞれの小売人の営業所の所在する道府県に対しまして道府県たばこ消費税、それから同じく小売人の営業所の所在いたします市町村に対しましては市町村たばこ消費税をそれぞれ納税していただく、そういう手続になっているわけでございます。
  252. 野末陳平

    ○野末陳平君 システムとしてはそうだけれども、今度はたくさん納入業者が出てくるわけだから、輸入たばこに関しては。しかも都道府県四十七と、それから市町村が三千幾つですか、ありますね。それだけの大小の自治体全部がたくさんの業者を相手にそういう徴税事務を行うわけでしょう。となると、今までは公社があったからコストがゼロに近いというか、まあゼロなんでしょうね、で税金が来たと。しかし今度はそういう事務量もふえたりして、相手もたくさんになるから、徴税コストというのもそれぞれの自治体にかかってくるんじゃないかという気もするんですが、それはどうなんですか。
  253. 前川尚美

    説明員(前川尚美君) 御指摘のとおり、現在申告納税義務者は日本専売公社一社でございますから、そういう意味では徴税コストはかかっても、これはごくごくわずかなものということが言えるわけでございます。今後輸入業者がふえてまいりまして、それぞれ申告納税するということになりますと、確かに申告書を受け取る地方団体側では申告件数が増加してまいりますから、そういう意味では徴税のコストというものも全くふえないというわけではないと思いますが、お伺いしておりますところの現在の輸入の実態等々をあわせ考えますと、当面私どもとしては、それほど大きな徴税コストの増加が出るものとは考えておらないわけでございまして、人員増の点につきましても増加することなく対応できるものというふうに考えております。
  254. 野末陳平

    ○野末陳平君 コストは大したことないと。しかし、それは輸入たばこのシェアがどの程度になるかという今後のことも考えなきゃいけませんから、今は幾らとも言えないでしょうが、それはそれほどではないということであれば、むしろコストの問題よりも、確実に徴税できるかということの方が当面は問題だと思うんですね。業者の方からいっても、かなりこれは面倒くさいことなんでしょうが、しかし今度は集める方からいっても、果たして徴税漏れがなく確実に、要するにお客さんが買ったら、買ったということは税金を納めたわけですけれども、それが全部自治体に入っていくかどうか、そこの不安というのはどうなんですか。いわゆる悪質なのに至っては脱税もやるかもしれないね。そうでなくても事務煩雑で、だって一月分を翌月の末にという、こういう面倒なことをきちっきちっとやれるかどうか。その辺非常に難しいんですが、その辺の心配はどう見ていますか。
  255. 前川尚美

    説明員(前川尚美君) 先ほどもちょっと申し上げましたが、今回の輸入たばこの自由化に伴いまして、確かに納税義務を負う卸売販売業者までの間において地方たばこ消費税が課税前のたばこが流通するということになるわけでございます。今後その流通のシステムがどういうふうな形になっていくのか、今の時点で私どもちょっと予測できない点もあるわけでございますが、しかしそういう事態も予想されるわけでございますので、小売販売業者を除きますたばこ販売業者に対しましては、その本店所在地の都道府県知事に対しましてたばこの購入販売に関する事実を記載した書類を提出していただく。またその書類の提出を受けました都道府県知事は、たばこの数量等、その記載事項の中で必要なものを関係ある都道府県知事に通知をするということによりまして、都道府県相互間の横の連絡を通じてチェックするシステム、体制を一つとっておるわけでございます。  また、特定販売業者及び卸売販売業者に対しましては、たばこの貯蔵、販売に関する事実を帳簿に記載していただくということを考えております。また、これらの方々が小売販売業者にたばこを売り渡します場合には、売り渡し数量等を記載いたしました書類を徴して保存していただくということで、地方団体において必要があって調査を行う場合には、十分にその基礎的なデータが得られるシステムというものを考えておるわけでございます。  そういうようなことによりまして、私どもは地方たばこ消費税の捕捉については確実にこれが行われるというふうに考えておる次第でございます。
  256. 野末陳平

    ○野末陳平君 大臣ね、今までの公社が全部集めてくれるということから考えると、この新制度における、特に輸入たばこに関する地方たばこ消費税というのは非常に煩雑な、業者の方にも集める自治体の方にも物すごい煩雑なあれやこれやという問題がありそうに今から思えるんですね。極端な場合は、いろいろ書類、帳簿をどうしたとか要求しなきゃならない、あるいは調査にも行かなきゃならないなんということだってあり得るだろう。そこまであるかどうか、それは今後のことですがね。  そこで、大臣、どう考えても今のやり方は今後問題が出てくるんじゃないかという危惧の方が大きいんですが、今までの自治省の説明をお聞きになってもわかるとおり。だから非関税障壁だというような見方もできれば、あるいは徴税システムが複雑で、これはそこにむしろいろいろな徴税漏れを初めとする問題が起きて、かえって公社の方がよかったということにこれに関してはなるんですよね。もちろんこういう新制度にしたんですから、そういうことがあっちゃいけないんですが、どうなんでしょう。  これ行革で始まって、臨調答申からは後退している、そういう批判はあるものの、もうここまで来た以上、新会社に頑張ってもらうとしても、この輸入たばこについてのこの辺の問題はほっておいていいかどうか、そこを非常に心配しているんですが、大臣のお考えは。
  257. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今度の制度改正に伴いまして消費税制度へ移行するわけでございますから、今まで扱っておる専売公社、これは別といたしまして、税体系の簡素化、それに納税者の事務負担の軽減、それから徴税事務の簡素効率化ということからすれば、輸入たばこにかかるものを含めて、それで現行の地方たばこ消費税を国税に一体化して譲与税化したものでその後まさに譲与していくという考え方、これは議論をいたしました。  で、最初、その場合、移行する新会社といえどもこれは的確にやれるだろうかとか、そういうような議論も、まあ幼稚な議論のようですけれども、これを積み重ねていく過程ではやりました。事務当局、なかんずく専売公社、そして自治省と協議いたしましたら、私どもが懸念しておるよりははるかに自治省当局では自信を持っていらっしゃるという印象を受けたことは事実でございます。  そうなりますと、その議論の中での結論としては、昭和二十九年からとにかくずっと地方の財源として定着した制度だということが議論の末には、流れとしてそういう方向へ議論しているうちに打っちゃったと、私はこういう感じが率直にいたしました。普通の議論は、ほかの税についてもある議論、時としてある議論でございますが、基本的な論議を重ねていくと、地方自治の本質、そしてまさに独立税というところへ、この議論の流れとしてはそちらの方へ移行していくという印象、私が最終的にこの実際の協議に加わっておったわけじゃございませんけれども、私自身が見ておった印象としてそうなって、かくしてこの形で御審議をお願いしておる。しかし、私ども考えておる以上に、地方自治体の徴税事務等に対する自信は大変おありになるなという印象は私も強く持ちました。
  258. 野末陳平

    ○野末陳平君 だから、その自信のとおりにうまく確実に徴税できていけばいいと思いますがね。でも、これはやってみなきゃわからぬことですから、うまくいくように自治省にお願いするしかないけれども、ただ、仮にいろんな事情から徴税コストはかかってくるわ、あるいは調査その他が必要になってきて人手もかかるわなんというと、行革に逆行していることになるし、それだけはないように自治省にひとつお願いしておきますよ。もっとも、自治体によっちゃ暇なのいっぱいいるから、ほんと言って、いろいろ問題あると思うんですが……。  大臣ね、さっき一元化したらという意見も出たようなことをおっしゃいましたが、もともと所得税、住民税だってもう一本にしなきゃおかしいと思うんですよ、機械化になるとともに。ただ、それも自治体の立場を考えてできないと。しかし、それが、逆に言えば、むだになっているという面はいつまでもほっておけないんで、僕個人の考えでは、こういう地方たばこ消費税なんかに関しては独立税としないで、むしろ一本にしちゃったらどうかと思っていたんですね。それが大臣のお答えを聞けば、それほどの心配、危惧もないとおっしゃるから、そのままお答えを聞いておきますが、今後やってみて、いろんな問題が出てきたというときに、これは検討するに値する課題じゃないかと思うんで、もしそうなったときにはどうなんですか、自治省、そして大蔵省ともにこれを検討すべきじゃないかと思うんですが、それをお互いにお答えいただいて終わりにします。
  259. 前川尚美

    説明員(前川尚美君) 地方税の問題でございますが、自治省の方から答弁さしていただいて恐縮でございますけれども先生の御指摘、それから大蔵大臣の御答弁の中にもございましたように、地方税といいますのは、これは地方公共団体の自治的機能、権能の中のすぐれて基本的なものであるというふうに私考えているわけでございます。  確かに、御指摘ございますように、国税、地方税で課税客体なり課税標準なりが共通しているものについては、徴税機構を一本化した方がよりベターじゃないかという御議論も過去ずっといろんな機会にございました。  しかし、さっき申しましたような地方自治の観点、地方公共団体がみずからの財政を保持するための財源、税というものをみずからの力で努力して徴収する、確保するということが、これは外国の例を引き合いに出すまでもございません、私は地方自治の基本であるというふうに考えるわけでございまして、そういうことで、地方自治というものが確固たるものとして確立されて初めて国政というものもそういう意味ではうまくいくのではなかろうかという気さえするわけでございます。そういう意味で御論議はいろいろございますけれども、私ども地方自治の立場から、地方税というものをそういう意味では大事にしていきたいと考えているわけでございます。  ただ、そのことが行政的に非常にむだを生ずるということがあってはなりませんし、地方たばこ消費税についていろいろ御心配、御懸念がございました。非関税障壁ではなかろうかという外国からの指摘を受けるというようなことがあっても、これは一方のマイナスでもあろうかと思うんです。そういう点、税でございますから、課税の公平を確保するということ、これは何をおいても必要な基本的な事柄でございますけれども、その要請と相並ぶ範囲内でひとつ合理化、合理的簡素化できるものは積極的にそれに取り組んでいくという努力が私は必要だと考えております。そういうことで今後とも努力をさしていただきたい、こういうふうに考えております。
  260. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いろいろこの問題、今野末さん、住民税、所得税、それからまた法人税、法人事業税、いつでも議論のある問題でございまして、結局、従来の流れを見てみますと、両省のいわゆる徴税事務にかかわる人が共同の研修をいたしましたり、それから相互の連絡、情報交換というようなことを次官通達でございましたか、あるいは国税庁長官の通達でございましたか、こちらの方は、そういうものを出して積み重ねを今日やって、おのおのの地方自治の独立と国税の立場をそれなりに守りながらも有機的な連絡調整が行われておる。そして、割に絶えず情報提供、交換、それから共同研修というようなものは進んでおるというふうに私は見ておるところでございます。
  261. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 五法案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。     —————————————
  262. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 次に、連合審査会に関する件についてお諮りいたします。  健康保険法等の一部を改正する法律案について社会労働委員会に対し、日本電信電話株式会社法案、電気通信事業法案日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法の施行に伴う関係法律整備等に関する法律案について逓信委員会に対し、それぞれ連合審査会の開会を申し入れることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  263. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  264. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四分散会