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国務大臣(
竹下登君) あるいは後ほど補足をしていただいた方が適切かとも思うんでございますが、すべての問題、先ほ
どもおっしゃいました民生の安定に直接寄与し、将来にわたっての問題は別として、民生の安定の極限として人道的な問題ということになりますと、過般の食糧援助なんというのはその一番具体的な問題かもしれません。しかし、それとて
国際機関を通じてやるというような
方向で今日まで
努力しておるわけでございます。他のいわゆる援助案件等、民生の安定に役立つと同時に、将来は、これは遠き将来でございましょうが、
我が国の工業製品等の確かに大きな市場にもなり、また資源国へのいろいろな
協力は
我が国がエネルギー等資源を多様的に受け入れる対象をふやすというような
意味にも将来はなろうというふうに思って、そういう基本的な
考えはいつも維持していかなきゃならぬ問題だと思っております。
ところで、バイの問題になると、本
委員会におきましても、あるいは
国会内外において、一番近いところで申しますとフィリピンの問題がいろいろ
議論になったことは事実でございます。私
どもが最終的にフィリピン問題に踏み切りましたのは、商品借款というのはもっと最貧国であって、フィリピンは商品借款の対象とするにしてはもろもろの
条件が必ずしも最貧国でないじゃないか、こういう
議論もございました。しかしながら、現状のフィリピンの
経済というものを
考えるならば、せっかくお約束したものの中において必要な商品借款もやむを得ないであろうというふうに踏み切ったわけであります。
そうして今度は時期の問題でございます。時期の問題ということになりますと、アキノ事件とかいろいろな問題がございまして、フィリピンの新聞紙上等にもいろいろな
意見が出ておるというようなことも承知をし、現地の出先大使館等とも種々連絡を重ねまして、最終的には、いわゆる外交権はまさに
政府そのものにお互いあるわけでございますが、フィリピン国民というものの
経済の現状というものを
考えた場合に、この際これは踏み切るべきであるという結論に到達したわけであります。
その中の
議論の
一つといたしまして、選挙前は特定政権に対してのメリットを与えることになりはしないか、だから選挙後まで少なくとも延ばすべきだ、こういう御
意見も確かに
議論の中にございました。しかしながら、選挙ということを
考えてこれに対応するということは、また
一つには一方フィリピン国民全体の今日の民生、
経済を
考えておる
立場からすると、選挙ということを意識してそこに判断するということは、またある
意味において
政治というものの介入を肯定したことにもなる。いろんな角度からいたしまして、フィリピン国民全体の
経済情勢ということを勘案いたしました。
同時に、いま
一つは、当初から申しましておりましたIMFの
意見がどう出てくるか、こういう問題も当然のこと、緊密な連絡をとりながら意識して、およそIMFとフィリピン当局との間では諸
条件等が整う
方向に進んだということを見きわめてこれが妥結に踏み切ったということではなかろうかというふうに
考えておるわけであります。
で、インド、パキスタンの問題は、およそのことが当初からこの両国の間で
合意を得るべく
努力されておった問題ばかりでございますが、なかんずく若干の相違は国柄としてはございますでしょうけれ
ども、それぞれの例えば中立の代表としてのインドという
立場に対しても、双方の
意見交換の中で外交的にも大変意思の疎通が図られたというふうに私は承っておるという状態でございますので、私はこのインド、パキスタンの訪問に際しての間にいろいろ報道されました援助
問題等については、
国際的にも
国内的にも非常に理解をされてきておる問題ではなかろうかというふうに
考えておるところであります。
ちょうどたまたま、私もよくわかりませんけれ
ども、フィリピンの開票は今ごろ始まって何か本当の開票が出るのは一週間ぐらい先だなんて言う人もありましたが、相当な暇のかかるところだなという、これは選挙屋としてそういう
感じを持ちながらも、しかしあのときのタイミングというものは、フィリピン国民全体の今日の状態ということを
考えながら適切な時期の選択ではなかったかと、直接の責任者じゃございませんけれ
ども、そういう印象を私は持っておるところであります。