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1984-04-17 第101回国会 参議院 大蔵委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月十七日(火曜日)    午前九時三十六分開会     ―――――――――――――    委員の異動  四月十三日     辞任         補欠選任      穐山  篤君     赤桐  操君  四月十六日     辞任         補欠選任      赤桐  操君     穐山  篤君  四月十七日     辞任         補欠選任      福岡日出麿君     海江田鶴造君      多田 省吾君     中野  明君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         伊江 朝雄君     理 事                 岩崎 純三君                 大坪健一郎君                 藤井 孝男君                 竹田 四郎君                 塩出 啓典君     委 員                 海江田鶴造君                 梶木 又三君                 河本嘉久蔵君                 倉田 寛之君                 中村 太郎君                 藤井 裕久君                 藤野 賢二君                 宮島  滉君                 矢野俊比古君                 吉川  博君                 穐山  篤君                 鈴木 和美君                 丸谷 金保君                 鈴木 一弘君                 中野  明君                 近藤 忠孝君                 栗林 卓司君                 青木  茂君                 野末 陳平君    国務大臣        大 蔵 大 臣  竹下  登君    政府委損        内閣法制局第四        部長       工藤 敦夫君        大蔵政務次官   井上  裕君        大蔵大臣官房長  吉野 良彦君        大蔵大臣官房審        議官       水野  勝君        大蔵大臣官房審        議官       山田  寛君        大蔵大臣官房審        議官       橋本 貞夫君        大蔵省主計局次        長        的場 順三君        大蔵省理財局次        長        志賀 正典君        大蔵省証券局長  佐藤  徹君        国税庁税部長  渡辺 幸則君        国税庁間税部長  山本 昭市君        特許庁長官    若杉 和夫君        特許庁特許技監  齋田 信明君        特許庁総務部長  小野 真魚君        特許庁審査第一        部長       野崎  紀君    事務局側        常任委員会専門        員        河内  裕君    説明員        行政管理庁行政        管理局管理官   稲葉 清毅君        科学技術庁振興        局奨励課長    岡崎 謙琇君        法務大臣官房司        法法制調査部司        法法制課長    原田 明夫君        外務省条約局国        際協定課長    西村 六善君        文部省学術国際        局研究協力室長  西尾 理弘君        文部省社会教育        局社会教育課長  藤村 和男君        文化庁文化部著        作権課長     吉田  茂君        通商産業省機械        情報産業局総務        課長       熊野 英昭君        建設省計画局総        務課長      浪岡 洋一君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○各種手数料等の額の改定及び規定合理化に関  する法律案内閣提出衆議院送付) ○特許特別会計法案内閣提出衆議院送付) ○株券等の保管及び振替に関する法律案内閣捉  出) ○参考人出席要求に関する件     ―――――――――――――
  2. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  各種手数料等の額の改定及び規定合理化に関する法律案及び特許特別会計法案を便宜一括して議題といたします。  両案の趣旨説明は前回聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 穐山篤

    穐山篤君 最初に、我が国工業所有椎現状といいますか、ごく最近の出願状況あるいは審査状況、さらには登録状況というふうなものを中心にして、現状をかいつまんで御説明をいただきたいと思います。
  4. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) お答え申し上げます。  出願状況は、最近時点では、特許実用新案が四十数万作、それから四法合計では六十万を超えるという状況です。これは非常に多いわけでございまして、世界特許出願が大体年間百万件でございますから、日本で四割を占めている。さらに特徴はふえていること。世界先進国は大体横ばっていますが、日本だけはふえておる。大体平均しますと、年率四、五%でふえておるということ。したがいまして、審査期間が非常に長期化する様相を帯びてきておる。現在は二年三、四カ月でございますけれども、このままいろんなスタッフとかあるいは施策とかが横ばってしまいますと、七年にも八年にも十年後にはなるという非常な問題を抱えております。  それから同時に、問題点として申し上げれば、民間から特許情報へのニーズが非常に高まっておる。ところが、件数が非常に多いものですから、なかなか手作業ではこれに応じ切れない。民間からの特許情報に対する非常に強い期待といいますか、ニーズに十分こたえられていないところが問題。それから国際的に見ますと、先進国後進国からいろんな意味協力を求められています。先進国からは、実際問題として日本特許情報をチェックしないと先進国特許審査ができなくなっておりますが、膨大な量とともに日本語という壁がありまして、これに対して先進国特許審査が非常に困難を来しておる。それから後進国の方も同様でございます。特に、後進国はお金もないし人もないということで、よりその問題が非常に 求められておる。こんなところがかいつまんだ特許行政上の問題点でございます。
  5. 穐山篤

    穐山篤君 今、ごく簡単に説明があったんですが、出願というのが非常に多い、これからも伸びるであろうというお話があるんですが、さてその結果、登録をされた割合、それからまだ審査中というものもあるだろうし、出願によりましては拒否されたというふうなものもあるだろうと思うんですが、そういう状況はどうでしょう。
  6. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 大体こういうようなパターンになっております。特許実用新案の典型的なものに例をとりますと、出願が一〇〇ありますと六七%ぐらい審査請求というものが出てまいります。その六七%ぐらいの審査請求のうち登録になるものと拒絶になるものとはおおむね半々程度でございます。したがいまして、出願から登録になるものを考えますと三割強、三割五分前後というふうになりましょうか、三割ぐらいになります。
  7. 穐山篤

    穐山篤君 それから出願割合――発明に興味のあるといいますか、個人、それから中小企業団体あるいは会社、それから大企業というふうに分けて最近の傾向は割合でどうなんでしょうか。
  8. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) おおむね申しますと、個人中小企業関係が二割四分ぐらいでございます。大企業関係がその逆数で七割六分ぐらいでございます。
  9. 穐山篤

    穐山篤君 それからもう一つお願いしたいと思いますのは、出願というのは物の発明あるいは方法発明、生産の発明、こういうふうに分かれているようですが、これを分類してみて、この四十万件というのは大体どんな割合になるんでしょうか。
  10. 齋田信明

    政府委員齋田信明君) お答えいたします。  特許法では、発明は物と方法の二種類に大別できます。先生のおっしゃいましたとおりでございます。その方法がさらに物を生産する方法と普通の方法とに分かれております。それで物の発明は大体七〇%を少し切りまして六七%ぐらいです。したがって残りの数三三%ぐらいが方法でございますが、その中で単純な純粋の方法が一八%、それから物を生産する方法発明が一五%と、こういうふうになっております。  今、大体特許出願が五十七年度は二十四万件ございますが、それを今の割り振りで割ってみますと、物の発明が大体十六万件ぐらい、それから方法発明が四万を少しオーバーするぐらいでございます。それから物を生産する方法発明が四万を切るくらい、このくらいの数でございます。
  11. 穐山篤

    穐山篤君 先ほど長官の方から現状と同時にあわせて問題点というものが指摘をされました。その問題点、先ほど四つか五つぐらいお話があったわけですが、第一に審査に非常に時間がかかるというお話があったわけですが、これは件数が多いということも一つあるんでしょうけれども、制度面、体制上の問題もあると思うんです。この審査を促進をする方法として幾つかアイデアがあるんでしょうが、最大考え方といいますか、これからの計画は何に重点を置いているんでしょうか。
  12. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) いろんなものがありますが、何といっても決め手といいますか、一番大きなものはコンピューター化と申しますか、あるいはデータバンクの構築といいますか、さらに言えば特許庁全体を電子化して処理していくということが最大のポイントだと存じております。
  13. 穐山篤

    穐山篤君 そこの点はわかりました。  そこで、今お話のありますペーパーレス化について今日まで特許庁で出されました資料を読んでみました。かなり御苦労されているようですが、これについての計画はどんな程度に考えられていますか。
  14. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) これは実はアメリカで我々より二年早くオールコンピューター化といいますか、ペーパーレス計画に着手しまして、我々は十分まずその計画を調査いたしました。既に今から言えば一年半前でございますが、まずアメリカ考え方が早かったものですからそれを徹底的に調査いたしました。そして同時に、日本についてそれをアプライする場合は必ずしも同じものではございませんので、このアプライについて約一年研究し、プランニングをいたしました。その結果、我々といたしましては、かなり長期にかからざるを得ないということで十年計画を作成いたしました。それをさらに三つに分けまして、一期、二期、三期と、三年、四年、三年というふうに分けまして、それぞれかなり細かく積み上げてタイミング、それから実際のプランニング、それからいろんな手順、それから予算的な考え方というものをかなり詳細に詰めまして、もちろんこれはローリングしていかなければなりません。絶対なものではございませんけれども、今の段階ではかなりの積み上げができております。これを実験しつつローリングしながら完成に向けて進んでいきたいと、かように思っているわけでございます。
  15. 穐山篤

    穐山篤君 そこで、今お話を承りましたけれども、これは我が国特許政策というものと、特許庁のみならずその他諸官庁を含めた情報機能というものを機能化させるといいますか、充実をするといいますか、そういうものとタイアップしなければ宝の持ちぐされということになるおそれがあると思うんですが、そういう点について何か新しい構想はおありになるんでしょうか。
  16. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) ちょっとお答えが、方向が違うかもしれませんが、その場合はまたお答えいたしますが、これは特許庁自身審査事務処理合理化といいますか、のためにまず行うわけでございますが、同時に冒頭申しましたように、民間企業から、民間といいましてももちろん官公立の研究所も含みますけれども、そういう方面から、世界特許情報を分析して整理していろんな形で技術開発の戦略を立てるときその他に使いたいという希望が非常に強いわけでございまして、同時にそれにこたえていく、つまり何といいますか、我々の持っている情報は全部、民間ほかの官庁を問わず、利用していただくという方針でやっております。
  17. 穐山篤

    穐山篤君 特許に関するものは特許庁基本に存在をしておって、それから発明協会というものもおありになるでしょう。それから特許情報センターというのもおありになりますね。そのほかに大企業発明グループが集まった団体もあるわけですね。特許庁はそれらの諸団体と有機的に連携をしているんでしょうが、今のお話につけ加えて、この三つなり四つのその団体とのかかわり合いはこれからどういうふうに、まあ整理、整とんといえば語弊がありますが、機能化していくのか、その点いかがでしょう。
  18. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 特許情報をどうして流していくのか、あるいは今先生がおっしゃった三つ団体をどう機能さしていくのかということでございますが、特許協会というのはそのほかの二団体どちょっと性格が違いまして、主として大企業特許関係者の集まるアソシエーションでございます。したがって、この団体とは我々は、先ほど申しましたように、企業が必要とする情報をできるだけ豊富に提供しようということですから、その情報ニーズのどういうふうな加工したものがいいのかとか、どういうものが企業が利用しやすいのかという点についてプランニング段階十分相談をしていきます。現に相談をしております。それからまた一部の仕事につきましても御協力を願うというようなこともあります。例えば分類づけというようなことですね。自分の出願に対しての分類づけ、そういうものも我々非常に事務効率に役立つわけでございます。そういう意味で現に御相談をしてまいっております。  それから発明協会日本特許情報センターというのは、これは主として言いますれば、我々の構築したデータバンク民間にいかに提供するかというチャネルでございます。これは従来から、大ざっぱに言いましてペーパーの形のもの、つまり特許公報というようなベーパーの形のものは主として発明協会のルートで流しております。それからオンライン情報といいまして、さらにそれを高度に加工いたしまして、いろんな組み合わせができるような加工をいたしましたものは、オンライ ンを主として用いまして特許情報センターを通じて流していくわけでございます。今後ともこの二つをどうするかという問題が実は課題としてあるわけでございます。  ここで非常に問題になりますのは、現にそうでございますが、高度加工オンライン情報というのが非常に優位に立っているわけでございます。端的に申しますれば、売り上げというと語弊はちょっとありまして、別に会社じゃないんですけれども、公益法人でございますが、売り上げ日本特許情報センター伸びが非常に著しいわけでございます。発明協会伸びはやや停滞をしておる。こういうような情勢でございます。したがいまして、今後特許庁情報がオンライン化するといいますか、データバンク化していった場合に、両団体の大きな変動といいますか、将来展望として大きな変化が予想されるわけでございます。そういうような見地もあります。  それからまた、いろんな情報ができるだけ効率的に一元化した方が、受ける側も能率がいいというようないろんな事情もありまして、その両団体についての情報の一元化というものを将来構想としては我々持っているわけでございます。
  19. 穐山篤

    穐山篤君 当委員会は、特別会計創設ですから、前段の方は、ペーパーレスの問題その他を除いて一応終わっておきたいと思うんです。  さてそこで、今回特別会計創設が提案をされているわけですが、この工業所有権制度とその特別会計導入というのは、ざっくばらんに申し上げて、十分なじむ話でしょうか、どんなものでしょうか。
  20. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) これは私どもは十分なじむと思っております。といいますのは、まず世界情勢を見ますと、主要国についてはアメリカあるいはフランス、あるいはイギリスも若干変形ではございますけれども、特別会計的な連営をしているわけでございます。大体先進国はやや半ばしているんじゃないかと思います。そういうようなこと。  それから日本の場合でも、歴史的に言いますと、かなり前から、具体的に言いますと、初代の長官高橋是清は常時、特別会計というものが非常にいいということを昔から言っていらっしゃいました。そういうことで特許関係につきましては、特別会計というのは、絶対に特別会計でなきゃいかぬということもないようでございますけれども、なじまないことももちろんないというのが今の世界情勢だと我々は思っております。
  21. 穐山篤

    穐山篤君 論争するつもりはありませんけれども、受益者負担というのが片方基本になっていて、それで工業所有権制度というものがありますね。今まで長い間一般会計処理をしてきたわけですが、なぜ今回特別会計でなければならぬのかというところがやや不鮮明ではないかなというふうに思うんです。特別会計のこの法案を見ましても、歳入分野でも歳出分野でもそれほど変化がないわけですね。そういうものをあえて特別会計、それも事業特会という形にしてあるわけです。これは大蔵省に聞いた方がよろしゅうございますね。どういうふうに理念的にお考えになりますか。
  22. 的場順三

    政府委員的場順三君) 先ほど来特許庁長官から御答弁がございますように、特許行政について特別会計を設けるということは十分に意味のあることだというふうに考えております。財政法によって特別会計を設けることができる場合というのは三つに区分をいたしておりまして、一つは「特定事業を行う場合」、それから「特定資金を保有してその運用を行う場合」、それに第三番目に「特定歳入を以て特定歳出に充て一般歳入歳出と区分して経理する必要がある場合」ということでございまして、今回のこの特許特別会計創設は第三番目の「特定歳入を以て特定歳出に充て一般歳入歳出と区分して経理する必要がある場合」ということに該当すると思います。  実態的には、先ほど来特許庁長官から御答弁のございますように、特許出願件数工業所有権出願件数等が大幅に増加している、このまま放置いたしますと処理年数が大幅に延びる可能性がある、また経済の国際化に対応いたしまして、日本特許というものを海外にも早く知ってもらう必要があるということから考えますと、特許料収入をこの際上げることによって必要な歳入を確保し、コンピューター導入でございますとかべーパーレスシステムの導入を行っていくということについて、特別会計を設けるということは十分に意味のあることであるというふうに考えております。
  23. 穐山篤

    穐山篤君 これに類似をしております特会というのは、例の自動車検査登録特別会計というものにほぼ性格が近いと思うんです。  さてそこで、この会計の内容でありますが、当然受入金というものが基本になりますね。それから従来のいきさつからいえば一般会計からの繰り入れがある。それからその他若干の必要によれば借入金もあるだろうし、そういうものが歳入全般になると思うんですね。これを特別会計独立採算制でやっていこうと。私は特許というものの性格からいってみて多少理念上疑念は残りますけれども、その問題は別におくといたしましても、一般会計からの繰り入れというものには一定の制限があると思うんです。その点について、一般会計からの繰り入れというのはこういう性格のものであって、こういう程度の金額であるというふうに縛りがかからざるを得ないと思うんですが、その点特許庁大蔵省の方から考え方をちょっと聞いておきたいと思います。
  24. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 先ほど世界先進国特許特別会計をやっているのと一般会計でやっているのと大体半ばしていると申しましたが、ほとんど収支相償うといいますか、俗に言えば独立採算という考え方はほとんど全部の先進国で実はとっているわけでございます。日本自身も過去百年、来年度百周年を迎えますけれども、百年の歴史をずっとプロットしてみますと、ほとんど収入支出をバランシングしているという百年の歴史がございます。もちろん絶対に収支相償わなければいけないという原則といいますか、原理があるわけじゃございませんけれども、日本の長い歴史あるいは世界先進国情勢というのは、そういうことでやっております。  そこで、今御質問の問題でございますが、我々は特別会計をいたしまして基本的には収支相償原則のもとに運営してまいりたいと思っております。これはまた十分成り立ち得る、国際的な料金水準あるいはいろんなものを勘案いたしましても十分に成り立ち得ると確信を持っているわけでございます。したがいまして、一般会計からの資金繰り入れというのは例外である。  どういう場合かといえば、そういう収支相償うという原則のもとに運用しますから、通常あり得ないわけでございますし、もちろん経費節減、あるいはどうしても必要な需要がさらに追加的に出てきた場合には、料金の問題ということを基本に考えたいと思います。しかし、不測事態というのは十分あり得ないとは申し上げられませんで、急激な出願の減少とか、あるいは何らかの事由で非常に支出がふえざるを得ないというようなことが突発的に例外的に出てくる場合もないことはないだろう。そういう場合でも、原則料金の問題あるいは経費節減で対処してまいりますけれども、どうしてもそれではやっていけないという場合にはやはり国としての根幹のこれは制度でございますから、そういうような例外的、突発的な不測事態に備えるために繰り入れ規定があるわけでございます。  こういうふうに我々は了解しておるわけでございます。
  25. 的場順三

    政府委員的場順三君) 一般的に申し上げますと、特許庁長官お答えになったとおりでございまして、本特別会計収支相償ということを原則にいたしておりますので、一般会計を定常的に考えているものではございません。  ただし、例外二つございまして、一つは五十九年度予算におきましても七百万円の一般会計からの繰り入れを計上いたしておりますが、これは 実は特許庁の職員に一般行政に相当する事務を行っていただくために、その部分を割り当てまして繰り入れているものでございまして、これは恒常的に繰り入れていく必要があるだろうと思います。その一般行政に相当する事務がなくならない限り必ず起こるということでございます。  もう一つは、先ほど長官お答えになりました中にもございましたように、定常的な状態では考えておりませんけれども、例えば災害でございますとか、あるいは不測事態というのは、不測というのは予測できないから不測でございますけれども、何らかの事由によりまして収支が大幅に変動し、借入金をすることも困難であり、あるいは直ちに料金値上げをすることができないというときに、臨時の特例の措置として一般会計から繰り入れすることはあり得るということでございますけれども、ただ、原則として収支相償でございますから、料金をもって受益者負担考え方歳出を考えていくということでございます。
  26. 穐山篤

    穐山篤君 今お話のありましたように、この予算を見ましても、一般会計からは七百万円ですよね、あとの九九・九%というものは特許印紙収入というものが基本になるわけです。  さてそこで、この特別会計制度を末長く維持していくためにどういう問題点があるかということになるわけですが、一般的な意味でいうと、あらゆる手数料が横並びで上がった、あるいは物価の上昇を考えてスライドをする、こういう一般論一つありますね。それからそのほかに、この特別会計を維持するために特別にといいますか、例外的に値上げをあるサイクルでやっていかなければ維持ができない、そういう問題に逢着をするような感じがするわけです。衆議院での答弁によりますと、この特別会計というものを常に黒字基調にするつもりはない、こういう説明があったわけですけれども、この特別会計性格から考えてみて、仮に黒字基調で常に予算化されるというのは適当ではないと、こう思いますが、特別会計を維持するためにどういうふうなことを常に考えていかなければならぬのか、その点特許庁の方から御返事をいただきたいと思います。
  27. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) これは、私どもはまず国全体の立場で考えますと、技術開発活動あるいは特許活動が盛んに行われること、これはもう国全体の国力の源泉でもございますし、またこの特許制度を発展させる上でも源泉であると思います。ただ、これは私の直接の所管とは言いにくいと思いますけれども、国全体としてはそういう心がけが要ると思います。  それから私どもの方の基本的ポジションとしては、むだのない能率のよい行政を旨とするということが基本でなければいけないと思います。それがないと能率が悪くて、その経費は全部出願に見てもらおうというのは、私は到底出願人の皆さんに納得していただけないのじゃないかと思います。したがいまして、その辺はむだのない能率のいい経営といいますか、運営というものを基本に持っていなければならないだろうと思います。  そういう観点で今度の問題について考えますると、先ほど申しましたように、現在の特許庁の課題を解く三つの課題についての基本がコンピュータ化、データ化でございますので、しかもこれについては我々多くの出願人の方々から非常な熱意を持って、ぜひ促進してくれ、もっと早くやるべきであったというような御指摘も受けております。そのために必要な負担はやるからというのがほとんどの出願人の御意向でございました。したがいまして、そういう負託にこたえるためにもできるだけ早くこの三つの課題につきまして解決しなければいけないわけでございますが、そのためにはかなり膨大な資金を要しますので、これについてはかなり大幅でございますけれども、値上げをさしていただきます。そして将来につきましては、これが十年計画で、先ほど申しましたように一段落といいますか、一応完成しますとあとは、定常状況に戻りますので、おおむねのことを申し上げますと、物価値上げ程度の範囲で済むのではないか、あるいは我々としてはさらに合理的な運営をいたしましてそれもできるだけ避けたいとは思いますけれども、物価値上げがあれば上げるということは考えないでいきたいと思いますが、おおむねのことを申しますればそういうような連営を考えておるわけでございます。
  28. 穐山篤

    穐山篤君 今度特許特別会計を新設する。そのかわりと言えば語弊がありますが、通産省が持っております機械類信用保険特別会計というものを廃止して、輸出保険特別会計に別勘定で組み入れをするということで行革の方針に沿ったと、こういうお話もあるところです。  さてそこで、少し不安に考える問題が一、二ありますので示してもらいたいと思うんですが、ある説によるとこういう話があるんですね。既に登録をされたもの、出願をし審査登録をしたもの、登録が終わったもの、既設の特許権の問題です。この情報というのは、ある意味では民間――民間団体と言えばちょっと語弊がありますけれども、特許庁ではない別の機関で管理したりすることが可能ではないか。しかしこれから出願をするであろう、あるいはこれから審査を受けるもの、これから特許権を得るもの、登録をするものは、これは権利にかかわる問題だから、これは特許庁本来の業務でいったらどうか。言いかえてみますと、特別会計が一定程度安定をした暁に事業団とか公団というものを唱えるものが間々あるわけですね。理屈の上からいってみて全くあり得ないとは言い得ないと思いますけれども、これは政策的な問題としてどういうふうに理解を今日的にはしているのか、あるいはそういうことは絶対にあり得ないことだというふうに言い切ることが可能かどうか、多少不安な点もありますので、考え方を聞かしていただきたいと思うんです。
  29. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) これは工業所有権制度というのは、国の産業政策といいますか、技術開発政策の根幹をなす制度だと私は思います。したがって、国が責任を持って遂行すべき行政分野であると私は確信をしております。それから先ほど来、諸外国のことを申しましたけれども、諸外国でも全部そういう例外なしにそういうもので運営をされておるわけでございまして、我々は公団化、公社化する必要は毛頭ないと思います。そういう必要性もないと思います。したがって、我々としては考えておりません。はっきり申し上げます。
  30. 穐山篤

    穐山篤君 じゃその点は確認をさしていただきます。  さてそこで、現状の要員構成の問題、それから先ほどからお話がありますペーパーレス計画というものが充実した場合の要員の問題というのは、働く立場の皆さんからいってみても問題でありますし、また我々といたしましてもその点十分に配慮をしなければならぬと思うんです。資料によりますと、特に技術系の審査、審判を行うところの要員構成でありますが、ごく最近の新規採用は数が限定をされておりまして、要員構成上、何というんでしょうかね、ちょうちん型といいますか、そういう状況になっております。  一つは作業の能率の分野で問題が起きる、あるいは将来の技術断層という分野でも懸念なしとしない。それから三つ目には、相当膨大な費用をかけて機械化を図るわけですが、そうなりますと、要員というものを思い切って減らすんじゃないかという心配をする向きもあるのは当然だと思うのですが、現状どういうふうに理解をして、将来、要員構成の問題についてどうされるのか、この機械化とあわせてひとつ計画を明らかにしてもらいたいと思うのです。
  31. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) この機械化といいますか、コンピュータ化、データ化はいろんな諸要因から必然の逆だと私は考えておりますけれども、その大きな諸要因の中の一つの大きな問題点が人間のマンパワーの問題でございます。率直に言いまして、現在の政府としての定員管理の状況、あるいは国民の皆さんの考え方からいいまして、できるだけ採用といいますか、定員の膨張は避けたいという今、状況でございます。特許庁としても例外ではございません。したがいまして、こうい うような状況、厳しい状況にありますので、何とかしてこういう状況にありながら、審査のおくれ、民間へのサービスの不十分を補うためにデータ化、コンピューター化を図る以外に方法がないということで発想をしたわけでございます。したがいまして、人間の増員は基本的に我々は極力ミニマムに抑えたいという基本精神を持っております。  しかしながら、率直に言いましてコンピューターが万能ではございません。特許庁かなりの、特に技術審査の部門におきましては、出願発明の内容を理解し、そして的確な情報検索を行い、公知先例があるか、ヒットするものがあるかどうかということを調査する。最後は全部人の判断でございまして、コンピューターで置きかえるわけにはまいらないわけでございます。そういう意味で、コンピューター合理化は大きいのでございますけれども、どうしても最後は人の判断が残ります。我々は増員事情は難しいことは承知しておりますけれども、何よりも一番大事なことは、制度が根幹の国の制度でございますから、迅速的確な処理をするというのが最後の目的でございまして、いかなることをしてもそれが達成しなければ我々は目的を達成してないわけでございます。コンピューターだけできても結局審査の的確迅速ができないということになれば、我々は重大なる責任を持たざるを得ないわけでございます。そういう意味で、必要なマンパワーは確保せざるを得ないということは我々としては考えております。  ただ、その場合でも、冒頭申しましたように、いろんな難しい諸条件がございますので、できるだけ民間活力といいますか、はっきり言えば、外注できるものもあるかもしれませんし、あるいは公益的な団体にある程度仕事を一部シェアしてもらうということもあるかもしれませんし、そういう方面の努力は最大限やっていきたいと思います。しかし、特許庁の業務というのは、冒頭申し上げましたとおり、国が責任を持って遂行する業務でございますから民間にお願いするのにも限界があります。何でも民間にやればいいという性格のものじゃございませんから、どうしても必要最小限な人間については確保しなければならないと、かように思っておるわけでございます。
  32. 穐山篤

    穐山篤君 現行二千名を擁する特許庁でありますが、先ほどから私も述べておりますように、審査の促進とか、あるいは特許国際化であるとか、あるいは特許権の安定的な権利の設定というふうな諸問題を国が直接担当するということになるならば、要員の問題というのは、合理化ばやりのときではありますけれども、十分にひとつ意を用いていただきたいというふうに考えます。  さて、時間がありませんので、現在の特許庁の建物はなかなか古典的でいいとは思いますけれども、今の業務量、作業量を見た場合に、あの建物でようござんすというわけにはいかないと思うんですね。それと同時に、業としております弁理士の皆さん方のこともあるわけですね。弁理士さんといいますのはおおむね五千人程度だそうですが、九九%の人が東京と大阪に配置されている。そうなりますと、機能する中心的な場所が東京であるということは間違いないと思うんですね。過去幾つかの計画がおありだったようでありますが、最終的に、新庁舎の建設、あるいはペーパーレスとのかかわり合いでどういうふうな建物にしていくのか。その点いかがでしょう。
  33. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 特許庁の新総合庁舎は、いろんな意味で、特にペーパーレスとの関係で必然であると思います。現在は大きくは二カ所、さらに倉庫的なものを入れますと三カ所に分かれております。そして非常に狭隘でありますし、特に溜池にありますいゆわる三年町庁舎は非常に老朽化しております。それで、特許庁というのは、極端に言えば特許実用新案、意匠、商標という仕事を全員が分担してかかっているわけでございますから、分散しているということの不利益はかなり大きいわけでございます。  それからさらに、コンピューター化に関連いたしますと、実は分散化していてはほとんど実現不可能に近いわけでございます。なぜならば、我々の情報の流通量というのは膨大でございまして、私も正確ではありませんけれども、日本の現在のいかなる企業、いかなる団体情報量よりもさらにその数十倍という量でございます。これは全世界特許情報を全部データ化しますので、さらに図形まで含めてデータ化しますから膨大な情報でございまして、これを通信回線で結んでやることは、不可能ではございませんが、大きなお金が要ります、通信回線使用料が。したがいまして、我我はブランチを持っているわけではございませんので、一緒にいるとそれはほとんどゼロになります、光ファイバーで結べば。さようなことで経済的な意味もあります。  それから、はっきり言えば、全庁のコンピューター化でございますので、いろんなレイアウトその他も白紙からやらなきゃいけません。そういういろんな諸要因から新総合庁舎は必然に近いと我我は思っています。できるだけ早く建設したいと思いまして現在研究中でございます。  それから弁理士の事務所の問題、これは弁理士会館の問題だと思います。この問題については、現在は特許庁の中の敷地の一部を一時使用という形で弁理士会館用に貸しているという関係にあります。  この問題はどうするかという点についてでございますけれども、これについてはいろんな実は意見が弁理士さんの中にもあります。したがいまして、弁理士制度なりあるいは弁理士会の重要性というのは我々よく承知しておりますので、今後また弁理士会の皆さんの御意見も伺いながら、これはしかるべく研究してできるだけ御便宜を図っていきたいと思いますけれども、現在、中へ取り込むのか、あるいは外へ弁理士さんが会館を欲しているのか、いろんな意見が今ございまして、現在その問題も含めて調整をいたしておるわけでございます。
  34. 穐山篤

    穐山篤君 最後に二つだけもう一度念を押しておきたいと思うのです。その一つは、特別会計制度を維持していくためには、先ほどむだは排していくというお話もありました。しかし、一般会計からの繰り入れというのは特定事務費相当額でありまして、それ以上のものを常に期待するわけにもいかぬ。そうなりますと印紙収入受け入れというものが基本になる。そこで、この会計制度を維持するためにしょっちゅう値上げをするというふうなことは痛手になるわけですね。大企業ならばある程度財政的にも方法があるだろうと思いますが、中小企業であるとか、あるいは一部の民間個人ということになりますと限界があると思うのです。したがって、そうしょっちゅう値上げが行われないように十分に対応を考えてもらいたいのです。場合によりますと、この手数料につきまして、大企業と中小企業出願についてはある程度の格差を、あるいは特別の配慮をしなければならないということも現実の面からは考えられるわけですね。そういう点について、ひとつもう一回その点を改めて答弁をいただきたいと思っています。  それから二つ目の問題は、私は特許の専門ではありません。商工委員会でやってもらわなきゃならぬわけですが、工業所有権というのはある意味で言えば排他的な権利であります。ところが、一方では産業の発展、発達というものに大いに貢献をしなければならぬ、あるいは発達、発展を促進する要因にもなってもらわなければ困る、こういう要素を二つ持っているわけですね。促進剤でありながら阻害の要因になっていないとも言えない。したがって、その意味では、こういう工業所有権のあり方の問題について開けた考え方をもはやすべきではないかという説もたくさん最近出ているわけですが、言いかえてみますと、特許についての再検討ということが実際の面からも考えられるわけですが、その点についてが二つ目。  それから最後にもう一つは、あくまでも要員の問題については職員に不安がないように、当然労使協議、話し合いという場があるだろうと思いますけれども、常に納得のいくような対応をしても らいたい。最後のところは注文として申し上げておく次第です。
  35. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 第一の中小企業関係あるいは料金の水準そのものの問題でございます。率直に言いまして、各国はほとんど収支相償原則で適用しております。幸いなことに、日本特許庁処理能率というとちょっと語弊がありますけれども、一人当たりの処理量は国際的に見て非常に高いわけでございます。大体三倍ぐらい処理しておるわけでございます。そうしますと、どういうことになるかといいますと、特許実用新案料金水準も、国際的に見て二分の一、三分の一、あるいは高い国から見ると六分の一と、非常に低い水準にございます。そういうような状況一つございます。  それからまた中小企業につきましては、実はアメリカとか主な国はないんですが、日本の場合、実用新案制度というものを実はつくっているわけでございます。この実用新案制度はなかなか便利なものでございまして、俗に言えば小発明と言われておりますけれども、ある場合には特許をとってもいいし、実用新案に向いても、どっちでも選択できる面が相当あるわけでございます。ただ、保護期間が十年と十五年とちょっと違いますけれども、それで中小企業の利用者が非常に多い。この実用新案については、先ほどのレベルよりさらに、料金が低くなりまして、いわゆる特許の半分以下ということになっておるわけでございます。  具体的に申しますと、今十年間フルにとって実は出願料と年金と両建てで十年間持っているわけですが、十年間で今九万円ちょっとでございます。したがって、一年に直しますと、実際は十二年ぐらいかけて出願をし請求をし、登録して年金を納めてから十二年ぐらいで九万円納めていただくことになっているわけですが、これが今度十四万円強になりますから、率は高いんですけれども絶対値というのは率直に言ってそれほど大きくないという問題もあります。  それから国際的に見てもかなり安い水準にあるということで、もちろん無制限に料金値上げの、幾らでも上げていいということは到底ないんで、一定の限界というものは当然あろうかと思いますが、現在の我々が計画しているのは、大体許容される範囲に入っておるのではないかと私は思っております。もちろん、今後とも経費の合理的な使用その他に努めまして、できるだけ大幅でないような努力はしていきたいと思います。  それから第二の問題は、特許政策の問題でございますが、先生おっしゃるとおり、特許制度というのは発明者に対して一種の独占的権利を与えると同時に、それを公開させまして、俗に言えば後に続く者がさらにそれを改良して乗り越えて、いい発明なり技術開発をしていくという両方の面を持って成り立っているわけでございます。これは恐らく特許歴史始まって以来の基本考え方でございますし、今後もこの基本考え方は続いていくんだろうと思います。そういう意味で、この問題は特に今基本的に枠組みが変わることはないと思います。  ただ、後進国あたりから技術移転といいますか、特許権について独占的になり過ぎて、極端な言い方をすれば輸入ばかりさせられちゃって、自国の産業の自立ができにくい面があるのではないかという提案が国際的にございます。この問題は調和させなければいけない問題だと思います。  これにつきましては非常に難しい問題がありまして、実は国際会議でかなり議論いたしておりますが、現在もまだ結論には至っておりませんが、我々としてもできるだけ技術移転について、特許問題を含めて、あるいは特許以外の面も含めて、後進国のそういう、何といいますか、発展について協力していく義務があろうかと思っております。  第三の労使関係ですが、これは先生おっしゃるとおり、当然でございまして、我々これだけの大幅なコンピューター化、データ化をやるわけでございますから、職員あるいは組合の協力なくしては実行できませんことははっきりしております。したがいまして、過去にもこの問題について随分具体的に――過去この問題立案いたしましてからもう一年半になりますけれども、終始、協議、話し合いをしてきております。  いろんな健康上の問題もありますし、仕事が変わることの問題もございますから、職員に不安のないように十分話し合って、とにかく我々の基本認識は職員の協力なくして実行できないということは肝に銘じておりますので、円満な話し合いをして納得づくで実行してまいりたいと思っております。
  36. 鈴木和美

    鈴木和美君 私は、まず最初に手数料のことについてお尋ねしたいんですが、さきの大蔵委員会の附帯決議などに基づいて政令、省令で今回やるようになったと思うんですが、これは何本でどのぐらいになりますか。
  37. 的場順三

    政府委員的場順三君) ちょっと質問を聞き漏らしたのでございますけれども。
  38. 鈴木和美

    鈴木和美君 大蔵委員会の附帯決議などに基づいて省令とか政令で今回やることになったわけですね、それは何本ぐらいございますか。
  39. 的場順三

    政府委員的場順三君) 今回、国会の御決議の趣旨を体しまして検討いたしました法律は全部で四十九法律でございますが、その中で、例えば額の改定を行うのが今回適当でないもの等を除きまして、全体として四十三法律を今回お願いいたしております。
  40. 鈴木和美

    鈴木和美君 政務次官にちょっとお尋ねしますが、政令とか省令に今度ゆだねることになったんですが、そのことは前回から議論されてきたことですから結構ですが、省令とか政令にゆだねちゃうと、今度は逆に国会のチェック機能が少なくなるんじゃないかと思うんですね。  そういう点は、政務次官、どんなにお考えですか。
  41. 井上裕

    政府委員(井上裕君) 政令、省令、私ども考えまして、それにいたしましても国会で皆さんに審議をしていただくのには関係ないと、こういうように私は考えております。
  42. 的場順三

    政府委員的場順三君) ちょっと補足説明をさせていただきますと、国会のチェック機能というのは大変大事であるということは十分承知しております。今回のこの手数料法等の一括法の改正は、御承知のとおり、五十六年五月十二日にございます当大蔵委員会の御決議の趣旨を体したものでございまして、その基本は実費を勘案して政令で定める額、あるいは実費の範囲内において政令で定める額ということでお願いをいたしておりまして、もともと実費ということの歯どめがございますので、国会の御審議についてこれを全く野放しにするとか、あるいはチェック機能がなくなるということではないというふうに考えております。
  43. 鈴木和美

    鈴木和美君 私どもも国会を通じてチェック機能が仮にないということになったとしても、いつでも議論できるわけですから、それはそれでやらさしていただきます。ただ心配は、政令、省令で何でもやるというようなことのないように注意していただきたいと思うんです。  特許庁長官にお尋ねしますが、先ほど穐山委員からの質問の中で、労使関係の問題ですが、衆議院の大蔵委員会がどっかで長官が答えられておったようですが、このコンピューター化がなかった場合の人数は千六百人とお答えがあったようですが、この算出根拠は何ですか、千六百人とはじいた根拠は。
  44. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) これは、もしコンピューター化をしないと、そして処理現状程度で維持していくためには、要員として千六百人ぐらいの増員が必要じゃないかとはじいたわけでございます。これはそれほど精緻にやったわけじゃありませんが、前提としては、今より率直に言いまして資料の量がふえますし、検索の量もふえますので、手作業でやると加速度的に事態が悪くなるわけでございます。そういう一人当たりの能率の低下も織り込みました。それから十年あるいは二十年先までの大体出願の量、これも予測いたしました。そうして一人当たりの処理量に換算いたし まして、そういうような増員がないと現状程度審査処理期間を維持できない、かように出したわけでございます。
  45. 鈴木和美

    鈴木和美君 国会での答弁ですから、なかなか時間もないし、細かに答弁はできないと思うんですが、    〔委員長退席、理事藤井孝男君着席〕衆議院の答弁などを聞いておりますと、またきょうの答弁でも、この要員問題については、ぎりぎりの線は確保せなきゃいかぬとか、最少必要人員は確保せなきゃいかぬという答弁なんですが、一年半ぐらい検討してきたわけですから、この庁舎ができて、コンピューター化が行われれば、大体どのくらいの人間が必要であるということをはじかれているわけでしょう。ぎりぎりとか何かというんじゃなくて、具体的な数字でお持ちになっているんじゃないですか。いかがですか。
  46. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 率直に言いまして、ある程度のものは持っております。しかしながら、先ほど来申しましたように、いろんな要件が変わるということももちろんありますけれども、どこまで定員化が必要か、どこまで外にお願いできるかというのはまだ精査してございませんということと、まあこんなことを言うと笑われるかもしれませんが、大蔵省とか行管もいらっしゃるものですから、我々別に掛け値なしのぎりぎりの数字でございますので、これを言いますと、予算要求がそれ以上できないということになりますので、ちょっと言いにくい面も実はございます。吹っかけるわけにはいきませんし、いろんな要件も変わりますですし、ここはしかしあえて申しますと、それほど大きなものではございません。
  47. 鈴木和美

    鈴木和美君 いろいろ事情がありましょうから、私の手元に後から教えてください。結構ですか。
  48. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 一つの試案として先ほどの前提がありますし、いろんな前提がありまして、一番の前提は、外部勢力をどの程度利用できるかというところの区別ができませんから、マンパワーという程度のことでございますが、おおむねのことはお話しできると思います。
  49. 鈴木和美

    鈴木和美君 それじゃお願い申し上げます。  次に、特許業界というか、特許関係団体というか、先ほど質問がありました発明協会日本特許情報センター、この法人があるわけでありますが、この法人の業務内容と現在の役員ですね、これを簡単にお話ししていただけませんか。
  50. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 発明協会の方はもう八十年の歴史がありまして、社団法人でございます。発明の奨励、制度の普及、あるいはいろんな公報類、あるいは雑誌、研修、書籍の出版というようなものを基本にしております。それから役員は、会長は井深ソニーの名誉会長でございまして、そのほか副会長、財界の方でございます。それから理事長、常務理事等もおりますが、これは財界じゃない方でございます。それから職員数は、たしか本部で約二百七十人前後おります。  それから特許情報センターの方ですけれども、これは先ほど申しましたように、特許情報を高度加工いたしましてオンラインで流す。もちろんバッチで流すこともできますが、オンライン及びバッチで流すということを主たる業務にしております。職員数は大体九十名ぐらいでございます。九十名ぐらいになりまして、会長は、現在、会長代行ということで長村さんがなっています。それから副会長は大体財界の方でございます。それから理事長以下の若干の常勤役員は事務方で占めております。大体こういう構成でございます。    〔理事藤井孝男君退席、委員長着席〕
  51. 鈴木和美

    鈴木和美君 もう一つお尋ねしますが、この発明協会特許情報センター特許庁とはどういう関係にありますか。
  52. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) これは発明協会の方は社団法人でございまして、特許情報センターの方は財団法人でございますが、我々は一応全般的な監督責任がございますのが第一点でございます。  それから第二点は、それ以上に日常業務が非常に密接な関係がございます。率直に言いまして、通常の役所とそういう公益法人の関係以上に、デーリーの仕事で非常な関係がございます。それはどういうことかと具体的に言いますと、発明協会については、特許庁の発行する公報の民間への提供の一種の版元みたいになっております。それから研修とか、あるいは出版とかで、我々は随分いろんな意味協力をいたしておるとか、若干の職員も出向きしておるとかということで非常な関係がございます。  それから特許情報センターの方も、これもほぼ同様なような意味で日常的に非常に深い関係といいますか、がございます。
  53. 鈴木和美

    鈴木和美君 しつこいようですが、監督というのはどういうことでありますか。特許庁発明協会特許センターとのお話を今、聞いたんですが、特許庁は監督をするという、この監督って何ですか。
  54. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) これは一般的に言いますれば、民法上認められているところのものでございます。したがって、決算とか、そういうものについてのあれをしております。
  55. 鈴木和美

    鈴木和美君 後ほど私の意見は述べますが、もう二、三質問しますが、この両法人が一元化再編問題で大変日刊工業新聞などを見ますと派手にやっていますね。何でこういうけんかが起きているんですか。けんかというか、トラブルというか、混乱というか、なぜ起きているんですか。
  56. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) けんかが現在起きているというふうには了解しておりませんが、歴史的に言いますと、俗に言えば、ある種のけんかが起きていたことも確かでございます。現在はほとんどありません。それはなぜかといいますと、率直に言いまして、両方特許情報民間への媒介といいますか、提供ということをしているわけでございまして、その関係で、はっきり言えば、こちらが伸びればこちらが引っ込むとか、お互いに仕事が競合するとか、そういうようなある意味の競争関係といいますか、そういうものが基本にあることは確かでございます。ただ、くどいようですが、現在時点でその辺がけんかをしているという事態はないと思います。
  57. 鈴木和美

    鈴木和美君 五十八年の四月二十六日でしょうか、通産省、それから特許庁ですな、ここが中に入って、両法人の一元化再編について覚書、確認書ができ上がっていますね。私、これを拝見して非常に不思議に感ずることは、特許庁が四月の二十六日でしょうか、一元化について何かコメントしたみたいですが、その二日後、二十八日にこの覚書ができ上がっていますね。非常に短時間にこれができ上がっているんですわ。ちょっと一般常識では考えられないんですが、なぜこんな状況になっているんでしょうか。
  58. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) まず特許庁の側の当時の考え方を申し上げますと、これから特許情報民間への提供、高度加工提供が、今後十年見渡しますと、非常に求められておりますし、情報量もふえてくる、コンピューター化に伴いまして。ということでございまして、これが民間への提供でお互いにむだな競争をしたり、トラブルが起こってはかえってよくないだろう、そして効率的でもないだろうということで、この両団体情報民間提供事業は一元化した方がいいじゃないかと、こういう発想をいたしたわけでございます。  ところが、同時に両団体とも、率直に言いまして、自主的といいますか、別に我々が強制とか強要したという発想じゃなくて、両団体の首脳も時を同じくしてそういうお考えになったわけでございます。そこで我々と基本的な気持ちにおきまして一致していたわけでございます。もちろん、我我日常しょっちゅう会っておりますし、意思疎通は十分いたしておるわけでございまして、そういう意味で、両団体の首脳と私どもとは、そういう方向がいいんではないかということについてコンセンサスができつつあったわけでございます。  そういう意味の、タイミング的にそういうコンセンサスがある程度できたところで要請を申し上げたものですから、同時に、はっきり言いますれば、それに対応する下準備といいますか、あるい は気持ちの整理というのもできていたというのが現状でございますし、したがって、我々としては、二日後に両団体の間でそういう確認書ができたというのは唐突と思っておりませんでした。
  59. 鈴木和美

    鈴木和美君 特許庁とこの両団体とは、先ほど監督という言葉をなぜ聞いたかと申し上げますと、そういう会計上とか決算とか、それはそれなりにわかります。同時に、指導とか調整とかあっせんとか、そういうこともおやりになっているんだろうと思うんです。  で、特許庁は、五十一年に、やはり中に入って、この発明協会とセンターがこういう仕事をやってて、お互いに分けてやったらいいじゃないかということをあなた方の方が指導して、そういう業務をやらせたわけでしょう。今度は、逆にあなたの方から統合した方がいいんじゃないかというふうに話が出たんじゃないですか。いかがですか。
  60. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 率直に言いまして、先生おっしゃるとおり、五十一年だと思いますが、ある種の調整案というのを出したわけでございます。ただ、この段階現状とでは大分事態が違っていまして、一番大きな変化コンピューター化の問題でございまして、当時は全くここまで今後来ることを考えていなかったわけでございます。したがいまして、そういう予想される事態の認識といいますか、これが全く違う事態になってしまったということが第一点でございます。  それから、その間に、率直に言いまして、事態が進行していまして、コンピューターをこっちは使う、こっちは使わないというような調整があったわけでございますが、こっちもコンピューターを使わないとなかなかうまくいかないというような事態も起きているわけでございます。そういうようなことで実際の進行もなかなか深刻な変化が起きてまいりました。  そういうような背景がありまして私の方は要請申し上げたんですが、くどいようですけれども、我々が押しつけているということは絶対にございません。客観的な事態変化と、それから両団体の首脳の考え方が一致してやった結果でございます。そこは御理解願いたいと思います。
  61. 鈴木和美

    鈴木和美君 この確認書を読みますと、これは氣駕さんという人と城下さんというんですか、この確認書を見ますと、(1)に、「この財団法人の設立発起人、その他財団設立に関し必要な事項は、特許庁の指示に従う。」と書いてありますね。これはどういう意味ですか。つまり特許庁がすべて命令してやらせるという意味ですか、これは。
  62. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 率直に言いまして、我我これをこういうふうに書けと言った覚えは全くないんでございます。全くないんですが、現実として両者で、こういう「特許庁の指示に従う。」という表現があることも事実であります。それで、率直に言いまして、こういうものにつきましては、絶対な権限が役所にあるわけじゃございませんで、両団体ともそれぞれ独立した法人でございますから、両団体の納得づくということが、我々の俗に言う行政指導といいますか、そういう場合でもベースになることは、もう先生御承知のとおりでございます。絶対に役所といえども無理はできないわけでございますが、しかし、いろんな意見の調整が、意見が割れましてどうしても問題点が整理したけれども意見の調整がつかないという場合に、時として、それじゃ役所の指示に従うように、一応仲裁人といいますか、ということで決めようということも時々あることも事実でございます。そういうような意味でおとりいただいた方がいいと思います。
  63. 鈴木和美

    鈴木和美君 発明協会というのは社団法人ですね。それで、現在私はトラブルがあると思っているんですよ。後ほど意見のときに述べますけれども、私は大変なトラブルだと思っているんですよ。  そこでお尋ねですが、社団法人の発明協会というものは、地方支部の会員もございますね、中小企業の方々もおいでですね。一般的に商法上から考えれば、社団法人というのは会員の意見、総会、定款、いろいろありますから、そこで決議されるというようなことがなければ事が運ばぬですね。この統合、一元化再編の問題について発明協会は、そういう会員による総会を開いて合意が成立したということにはなっていましょうか。
  64. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 先生おっしゃるようなことでございます、社団法人の性格というものは。したがいまして、会長のそういう、まあ契約というわけじゃございませんで、確認書というもの、覚書というものが、最終的に総会あるいは具体的には総代会というような立場ですけれども、そういうところで了承されなければならないことは当然だと思います。もちろん、今までにもいろんな会合でそういう趣旨なりそういう考え方は述べてこられたというふうに聞いておりますが、最終的な議決といいますか、そういうものはまだとれてないことは確かでございます。
  65. 鈴木和美

    鈴木和美君 この氣駕さんという人は、発明協会の役員か何かやられていた方なんですか。
  66. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 現在、理事をやっておるわけでございます。
  67. 鈴木和美

    鈴木和美君 当時、この確認書を結ぶときにはどういう役職であったんですか。
  68. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 当時、私の承知している範囲では、一種の参与的な立場にあったと思います。
  69. 鈴木和美

    鈴木和美君 つまり発明協会の役員でもない、同時に総会で指名されたわけでもない、そういう人が出かけて、いろんな話をして確認書を結ぶということについて、特許庁は何の不思議も感じないんですか。
  70. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) これにつきましては、会長同士の覚書が実は上にあるわけでございまして、それの補足の、一種の細則といいますか、補足的なものと了解しております。そこで会長が最も信頼の当時あった氣駕さんというのを指名したものと私は了解しております。
  71. 鈴木和美

    鈴木和美君 了解していると思うということでは困るんですが、お役所ですから、おたくの方は。この氣駕さんという人が、会長のそれこそ命令であるとかその総会で決まったとか、そういうものがなければ、だれが出かけていっても、あなた方信用してそう思ったといってやられるわけですか。
  72. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) これはあくまで特許庁が直接当事者になっているわけでは、まずございません。あくまで発明協会特許情報センターとの両方の関係でございます。したがって、率直に言いまして、私どもが、氣駕さんがそういう会長同士の覚書の補足確認書をとってはいかぬという立場に我々もないことも事実でございます。
  73. 鈴木和美

    鈴木和美君 いや、私が前段で聞いていることは、氣駕さんという人はソニー名誉会長・井深さんの信任が厚いのかどうか私よくわかりませんけれども、この人が、会長同士の覚書が締結されるまでの間に、あなた方との間に相当接触されているんじゃないですか、この氣駕さんは。その事実はありませんか。
  74. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) この段階で私は会ったことはありませんでした。したがって、当事者間では接触はかなりあったことは承知しておりますが、役所ベースでそれほど接触したという記憶はございません。
  75. 鈴木和美

    鈴木和美君 そうですか。
  76. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) はい。
  77. 鈴木和美

    鈴木和美君 じゃ、それは後からまた聞くことにして、もう一つ、さかのぼりますが、発明協会は社団法人であるというときに、会長が個人で、個人でですよ、会長が個人でいいとか悪いとか、このことをこうしようとか、覚書ですな、それを結ぶこと自身に対して特許庁は何の不思議も感じないんでしょうか。つまりそのことをやるかやらぬかという覚書を結ぶということは、社団法人である限り、会員の総会で何かあって、それで了解をもらって結ぶというのならわかるんです。ところが、そうでないという手続ですね、これは。そのことに対しては何も不思議は感じないんですか。
  78. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 総会というのは、年に通常一回とか二回定期総会があるわけでございまして、こういう全国的なものでございますから、臨時というのもそう簡単じゃないということも承知しております。  それから同時に、会長というのは執行機関として全般的な責任を持っているわけでございまして、会長個人というふうには私は考えておりません。会長そのものだというふうに了解しておりました。個人的立場とは考えておりませんでした。  それから、これはあくまで覚書であって俗に言えばエンドースされた契約という概念ではございません。先ほど申しましたように、これがエンドースされるためには当然総会の議決が要る、こういう性格のものとして了解しておりますので、これ自身に私自身違法性とかけしからぬという気持ちはございません。
  79. 鈴木和美

    鈴木和美君 この両法人の一元化再編という時期ですね、このことと、先ほど特会の二千億のコンピューターを入れる問題とのかかわりというものはあるんでしょう。ないんですか、これは。
  80. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) これはあると思います。私どもとしては、もう具体的にことしの後半、十二月ぐらいから一部コンピューター導入しますし、それからデータインプットも早ければ八月あたりから一部始める予定でございます。それから、何よりも十年先のビジョンも、先ほど来申しましたようにローリングはいたしますけれども、基本的な物の考え方というのは大体方向が決まっているわけでございます。そういうような状況を踏まえて、一元化した特許情報を効率よく民間に提供する方がいいんじゃないか、こういう基本的立場は持っていますので、こういうタイミングを含めましてコンピューター化と関係があることは当然でございます。
  81. 鈴木和美

    鈴木和美君 関係があるということで、この一元化再編の問題についてどのぐらいまでの時期にその一元化再編をしてもらいたいということ、特許庁としてはそのめどが、希望というか、ありますか。
  82. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) これは去年の時点、去年の四月ですから約一年前の時点でございました。そしてこういう問題はいろんな手続が要るし、あるいはいろんな内部的な話し合いも必要だということもよくわかっていましたから、かなり時間が要ることは承知しておりました。  それから一方、うちの方の施策の方も、もう早ければことし後半から動くということもわかっておりましたので、大体二年というものをめどにして準備期間にしてください、こういう希望を申し上げたところでございます。
  83. 鈴木和美

    鈴木和美君 どうも、私がこの問題をいろいろ聞いたり調べたところによりますと、もともと、先ほど穐山委員の質問に答えられた長官の話の中でも、大企業と中小というんでしょうか、それに分けてみると、出願件数が七〇%と二〇%ぐらいでしょうか、つまり大企業特許の作数が非常に多い。同時に敏速を要求します。そういう意味ではコンピューター化というものには私は一般論として反対じゃないんですよ。反対ではないんですが、どうもこの構想は、電気六社からつつかれて大企業中心に事が運ばれているような気がしてならないんですよ。その中にこの井深さんも一人入って、そういう将来のビジョンについて討論がしょっちゅうあったように思うんですね。しかし、この井深さんのやり方が私はどうも納得いかないんですよ。  日刊工業新聞の中にこういうことが書いてあるんですが、これが事実かどうかはっきりしてほしいんです。この井深会長が、日刊工業新聞の五十九年三月十三日版ですが、井深会長が発明協会の幹部職員を集めて、政府の認可団体が監督官庁の意向に逆らって生きられると思うのかと言って一喝したと、こう書いてあるんですよ。まことに、私から言わせると、一体どういうこっちゃとまず思うんですね。同時に、今度は下の方の記事は、事実、協会の地方支部会員業者の間から、統合問題では事務局のことだけがクローズアップされているが、我々会員こそが発明協会の本体である、その本体の考え方をほとんど聞いてないんじゃないかと言われていると書いてあるんです。  この事実を見ると、経済界が、産業界が確かにコンピューター化ということを希望することはわかるけれども、本当に末端の社団法人の会員についての意見をつぶさに聞いて、つまり中小企業ですよ、早い話がね、こういうことを切り捨てて、大企業だけのことで進んでいくというやり方に対して私はどうも納得できないんですよ。こういう事実、御存じですか。
  84. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) まず、中小企業と大企業の問題なんでございますけれども、これは電気六社の陰謀とか希望とかいうことは私の承知している限り断じてありません。  それからこの特許情報を実は欲しがっているのはどちらかといえば中小企業の方がより強いんでございます。というのは、大企業の場合は特許部員が三百人とか四百人とかおりますけれども、中小企業の場合は、会社によっては特許会員もいない、おやじさんが一人でこの特許問題をやっているというところも随分多いわけでございまして、そういうところに特許情報を的確に届けるというのは非常にニーズが強いわけでございます。  それから第三に、この問題がそういうふうになっているのはどういうことかといいますと、井深さんの感じはこうだと私は思います。率直に言いまして、十年先あるいはその前に大きな特許情報の変動が来る、そういう場合に今のような状況では非常に混乱するし、極端な言い方をすると、発明協会の方の情報活動が非常に衰退するおそれがあるという基本認識があるんだろうと思います。それで今のうちにそこはきちっと整理しておいた方が両団体あるいは特に発明協会にとってもいいんじゃないかと、こういう純粋な思いが井深さんにあると私は理解しております。  では、こういう時として新聞種になるのは何かといいますと、これは一つは、はっきりした具体案がいろいろ話し合っていますがまだ出ておりません、一年先ということもあるんでしょうけれども。そうしますと、組合は組合なりのいろんな不安があると思います。はっきり言えば、労働条件はどうなるのか、雇用はどうなるのか、あるいは地方支部が一体どういう位置づけになるんだろうか、こういう問題が出ることは当然だと思います。  それは、我々の方は、できるだけ具体的に両団体がそれぞれ自主的にお話し合う筋のものだろうと私は思っておりますが、同時に最後に申し上げたいと思いますのは、この特許情報は非常に有望な事業でございまして、率直に言いますと、現在発明協会特許情報センターを合わせて大体百億円の売り上げ規模を持っているわけなんでございますが、我々はいろんな推定をいたしますと、十年か十五年先か、その辺はちょっと明確にしませんけれども、その段階で一千億ぐらいの中小企業を含めた企業からのそういう特許情報ニーズがあると理解しておるわけです。したがいまして、この一元化する問題については、効率化という問題ももちろん当然あるし、混乱なく情報を提供するという任務もありますけれども、非常に成長性の高い分野だと思っているんです。したがって、我々直接の団体の責任者じゃないものですからあれですけれども、我々は全体的な立場に客観的に立ちますと、非常に有望な分野なものですから、基本的ないろんな問題はありますけれども、整理し、安心感を得て進める道はあるんじゃないだろうかというふうには確信しておるわけでございます。
  85. 鈴木和美

    鈴木和美君 特許庁も、この両法人の統合に対して積極的な援助というかアドバイスというか、そのことをやられているようですが、この覚書、確認書の中に、その両法人がお互いにお金も人も将来援助し合おうということが書いてありますね。お互いに金も人も持ってこないなら、何も集める必要もないんですよね。そうじゃないですか。何か合理的な基盤があるならいいんですけれども、お互い人も金も持っていって、発明協会発明協会で残るわけですね。ある一部分だけ持っていくわけでしょう。    〔委員長退席、理事大坪健一郎君着席〕 お互いに援助しましょうということになると、発明協会の方の側から見れば、人も金も持っていかれちゃった、その金はだれが稼いだんだということが当然あるんじゃないでしょうかね。いかがですか、そのことについて。
  86. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) これはいろんな人によって考え方はあることは否定できませんけれども、この新しい団体というのは発明協会が主体になってつくるという基本構想になっているわけでございます。そして、その新しい団体日本特許情報センターを吸収するという考え方になっています。それから多分、職員構成も、これは私ちょっと今ここではっきりは申し上げませんが、その両団体考え方ですけれども、冒頭申しましたように、発明協会の方が二百七十人おって、特許情報センターの方が八、九十人でございますから、人間的にも発明協会の方が多くなるわけですね、常識的に。これは断言はしませんけれども。そうしますと、普通の民間会社とは違い、株の支配とかなんかないですけれども、普通の民間会社でしたら大体これは吸収合併されるという感じになるわけですね。  ですから、これはいろんな見方がありますから、いやこれは反対だとか、これは損だとか得だとか、いろんな議論はあると思うのですけれども、私どもは率直に言いまして、両団体に含むところは全くないわけでございまして、両団体が発展していくように願っておるし、職員が充実した生活を送れるように願っているわけです、これは真実。したがって、ある意味では非常に客観的な立場に私は立っているわけでございますが、基本的に間違った選択ではないのじゃないだろうかと、私はそう思っています。しかし、いろんな話し合いとか安心感とが納得づくということのプロセスというのは、これは十二分に必要だろうということはよくわかっております。
  87. 鈴木和美

    鈴木和美君 はっきりしておきたいのですが、今回の一元化再編によって発明協会の主な三つの仕事のうち、どれが持っていかれて、それで残った発明協会はどういう仕事をやるということになりますか。
  88. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) これは両団体の最後のいろんな判断にもよりまして動く余地はあると思いますけれども、おおむねの考え方を申しますと、発明協会発明奨励あるいは制度普及あるいは研修事業あるいは出版というようなものが基本ベースになるのではなかろうか。それから新しい団体の方は、特許情報、特にコンピューターを使った特許情報の一元的機関になるのではなかろうか、こういうふうに大ざっぱに我々としては考えておるわけでございます。
  89. 鈴木和美

    鈴木和美君 つまりそういうことになると、発明協会に残ったところ、これは本当の発明奨励というだけであって、つまり企業体というか利益というか、そういうもの全部そっちへ持っていかれちゃうわけですね。一体何のためにこっちが苦労してやってきたのかということが職員の感情から出るのも当然だし、運営を見ても先行き私は大変心配をしているのですよ。そういうことから見たときに、もう少し会員とか地方の組織の人たちのそういう意見を十分聞いてから、特許庁状況を見ながらアドバイスするみたいな方法を私はとるべきだと思うのですよ。それがどうも不可解なんですよ。一挙に上の方でちゃちゃちゃちゃっと始めちゃって、それで押しつけてくるみたいな感じがしてならないのですね。こういうやり方というのは私はよくないと思うのですね。そういうことから見ると、これから私は混乱が続くのじゃないかと思うのですね。  そこで、科学技術庁が来ていると思いますが、科学技術庁にちょっとお尋ね申し上げたいのですが、発明協会日本特許情報センターの統合について、発明協会の側から何かお話があったでしょうか、なかったでしょうか。事実関係だけ答えていただけませんか。
  90. 岡崎謙琇

    説明員(岡崎謙琇君) 科学技術庁の奨励課長でございます。  ただいまお尋ねの点でございますが、科学技術庁といたしまして、発明協会を通じまして、発明協会事業変更等を伴う現在の検討事項につきましては、事実関係等を聞いております。
  91. 鈴木和美

    鈴木和美君 聞いておりますか。
  92. 岡崎謙琇

    説明員(岡崎謙琇君) はい。
  93. 鈴木和美

    鈴木和美君 それでは時間がそろそろ参りますので結論に入りますが、もう一つ先に聞いておきたいのは、発明協会発明奨励とか普及をやるという仕事であるならば、今度収入印紙で行われたものが特許印紙になるわけですね。この特許印紙はどこで売りさばきを今考えているわけですか。
  94. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) これは基本ベースといたしましては、従来の収入印紙と同様でございまして、全同の郵便局を利用して販売することを基本にいたしております。ただ、発明協会も非常に関係が深いものですから、印紙の販売を希望しているように聞いております。
  95. 鈴木和美

    鈴木和美君 どうもそこは私お願いと要望なんですが、発明協会の地方支部ですね、そこでも発明の奨励をやるわけですから、そこで印紙を扱うようにしていただきたいと思うんですが、これは大蔵省は特別そのことについて問題はございませんか。
  96. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) これは印紙の売りさばきの法律なり規則がございまして、これは要するに郵政省といいますか、具体的にさらに言えば、主要な郵便局と一種の契約といいますか、そういう関係に俗に言えばなると思います。したがって、率直に言って、特許庁自身特にこれはいかぬとかいいとかいう問題よりも、郵政省の方の判断になると思います。
  97. 鈴木和美

    鈴木和美君 それじゃ、どうぞ特許庁の方からも調整をされて、なるべく扱えるように御努力いただきたいと思うんです。  そこで、今まで私がずっと質問を申し上げてきた中で、問題がどうしても残るのは、六十年の三月ということをめどにして両者が話をしているようですね。話はしているようですけれども、中身に本格的に入っているとは私は思っていません。また見れません。なぜ見れないのかということは、発明協会発明協会でいろんな次の何周年かの記念行事があったりいろいろして、大変なこともありましょう。地方の会員の意見も聞かなきゃならぬのでしょう。そういうようなことから見ると、どうも六十年の三月はちょっと早過ぎるんじゃないのかなという気がしてならないんです。これを六十年三月と覚書をやったんだから、何が何でもそこに、つまり期日に合わせるというような指導じゃなくて、社団法人なんですから片方は、そういう意味で御指導をしっかりしてもらいたいということが一つなんですよ。  それからもう一つは、今度新しい統合されるところが財団法人ですね。これは何で財団法人というようにしたのか、この二つについて見解を聞かしてください。
  98. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 率直に申しまして、発明の奨励とか普及というのは、宮様を総裁に仰ぎまして、何といいますか、公益性というんでしょうか、そういう立場が非常に高いような仕事が多いんでございます。特許情報の方になりますと、語弊はちょっとありますけれども、かなりビジネス的な要素を持っております。それで、もちろん民間にこれを提供する場合、特許庁の相当な情報提供をするわけですから、株式会社で営利を目的とするわけにもまいらぬという考えで、公益法人がいいと思っておるんですけれども、その場合に機動力といいますか、財団法人の方がすぐれているんじゃないかというのが我々の考え方でございます。  それからタイミングの問題なんでございますが、これは実は先ほどからるる申しましたように、特許庁の要請で動いているわけでございますけれども、同時に両団体の首脳と一致してやっているわけでございまして、タイミングにつきましても、実は率直に言いますれば、両団体ともそう いう方針でいきたいという希望があったわけでございます。したがって、今私の立場から、まだ一年先なものですから、のんびりしてやったらどうというのもちょっとおかしな話だと思うんです。ただ、私の立場から言えることは、この問題について職員の間あるいは地方支部の間にいろんな問題点なり不安なり、はっきりさせてほしいことが多々あると思うんです。そういう問題を十分解決してやってもらわないといけないと思うんです、当然のことですけれども。そういう点については我々十二分に注意をしたいと思います。  それから先生ちょっと、誤解じゃないと思うんですが、こういう問題について会長ベースで何か急にちゃちゃっと決まったというふうに御理解され、おかしいじゃないかとおっしゃったわけですが、率直に言いまして、私、大局からは、これは間違っていないと思うんでございますけれども、やはりこういう問題につきまして、はっきり言えば合併とか、そういう問題につきましてはなかなかトップダウンでないと、もちろん最終的には組織全体のエンドースが要るわけですけれども、なかなかうまくいかないということも御理解願いたいと思うんです。しかし先生の御趣旨はよく体しまして、先ほど申しましたような意味の指導は十分やっていきたいと思います。
  99. 鈴木和美

    鈴木和美君 私は理解できません。それはソニー名誉会長だか何だか知りません、どんな偉い人か知りませんよ。しかし社団法人である発明協会の会長ですよね、会長が、理事とか常務とか職員とか、そこに何にも知らせないでおって、ある日突然判こを押すというようなやり方は、私は認めるわけにいきません。幾ら長官が合併問題だからと言うけれども、そういうものではないと思うんですね。  もちろん、この内在している問題は、大変なお金にも関することですから、いろいろありましょう。ありましょうけれども、社団法人としての手続を逸脱しちゃって、そして自分がこの気駕さん――だれも発明協会の人はわからないんですよ、この気駕さんというの。その人を任命して、ある日突然先行さしておって、そしてできたら、お役所に盾突く気かとおどして、そんなやり方をだれが信用できますか。幾らあなたがそうやったって私は納得できません。ましてや今度の法人は財団法人ですね。財団法人――まあ寄附行為でしょう。考えてみれば、大企業ですね、大きな寄附をそこに出してこれを運営していく、特権的なやり方じゃないですか。幾ら地方支部を大切にするとか、それから会員を大切にするとか言ってみても、私は結果として大企業中心のセンターになるであろうということははっきりしてると思うんです。  そういう意味で私は信頼できないし、だから現在両方とももめてるわけですね。発明協会の職員との間でももめてますね。それで、恐らく職員に知らせておったであろうという推測は皆さんされましょうけれども、私はここに資料を全部持っています。団体交渉で全部聞かれたときに、理事者側の方が、何の話も受けなかった、ある日突然そうなっちゃったんだ、こういうことを団体交渉で答えてますよ。同時に、労使間の円満な解決がない限り分離、統合には反対をしますと理事者側が答えてますよ。そういう状況が裏にあるわけですよ。それを、井深さんだか何だか知らぬけど、頭のいい人だか知らぬけども、そこだけを中心にしてものを運んでいくというやり方は、私は間違いだと思う。これからそういう意味では多少の混乱が私はまだあると思うんですよ。  だから、余り六十年三月ということを軸にして追い込んでいくと、結果としては私は大変な間違いが起きるんじゃないかと思うんです。しかし、あなた方は六十年三月、片方のコンピューターの十年の計画もありますから、これと連動しているわけですから、それは急ぎたいという気持ちはわかります。しかし、本当に円満な話し合いが行われるように指導しながら、それを見ながら、これは結果としてうまくいくように配慮してもらいたいと思うんです。いかがですか。
  100. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) こういう難しい、現実論としてはなかなかデリケートな問題がありますので、とにかく円満に、納得ずくで解決していくことが絶対の要件だと思います。そういう意味で遺憾のないように指導してまいりたいと思います。     ―――――――――――――
  101. 大坪健一郎

    ○理事(大坪健一郎君) 委員の異動について御報告いたします。  本日、多田省吾君が委員辞任され、その補欠として中野明君が選任されました。     ―――――――――――――
  102. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでは特許特別会計法案についてお尋ねをしたいと思いますが、第二次臨時行政調査会の答申では、特別会計制度について、「一般会計と比較して、特定事業についての事業収支や受益と負担の関係等をより明確に示すことができ」、このように言っております。また大蔵大臣も、今までの国会の答弁で、ある特定の人の利益を守るために一般財源を使うよりも、特定の人から料金を徴収して特別会計をもって賄う方がより国民のために負担軽減になるという場合は特別会計に移行する、こういうように言っておるわけであります。  大蔵省にお尋ねいたしますが、要は、特別会計制度というのは受益者負担原則とした制度である、こういうように理解をしていいのかどうか。
  103. 的場順三

    政府委員的場順三君) 一般特別会計というのは一般会計と区分してどういう場合に設けることができるかと申しますと、財政法規定がございまして、三つの場合に限定されております。それは一つは「特定事業を行う場合」でございます。「特定事業を行う場合」に一般会計と区分して経理した方がいいというふうになっております。それから第二番目が「特定資金を保有してその運用を行う場合」でございます。それから第三番目が、今先生御指摘のございましたように、「特定歳入を以て特定歳出に充て一般歳入歳出と区分して経理する必要がある場合」でございまして、今回の特許特別会計につきましても、特許料等の収入原則的な歳入といたしまして、特許にかかるコンピューター化であるとか、あるいは一般事務を進めていくということを歳出の内容といたしまして特別会計創設したものでございます。
  104. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 これは特許庁長官にお尋ねしますが、特許法第一条には、「この法律は、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もって産業の発達に寄与することを目的とする。」、このようにございますが、したがって、工業所有権制度というものは、言うまでもなく特定の受益者のための制度ではなく、産業技術政策の主要な一環をなす制度であり、公共の利益を追求する制度ではないかと思います。したがって今回、特別会計制度をとり、独立採算制をとるということが本来の制度の行き方を曲げてはいけないと思うんですけれども、そういう点では今後この運用にどういう配慮をもって当たるのか、これをお尋ねしたいと思います。
  105. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 基本的に工業所有権制度の骨組み、考え方が変わるものではないと我々は思っております。と申しますのは、収支相償うことを原則としてまいりますけれども、これは前にもお答えいたしましたけれども、国際的に見ても、日本歴史から見ても、大体その原則でやってきております。したがって、それ自身が直ちに公益性を破壊するものだとは私は思っておりません。    〔理事大坪健一郎君退席、委員長着席〕 要は、例えば、一部の人が御心配いただいているのは、より明確に出願人の負担でこういうものを運営していくということになると、出願人の言うことの影響力が強くなるんではないか、そして極端に言えば圧力とか何かで国の基幹的なこういう制度が出がってくるのではないかと、こういう御心配が一部の人に全然ないとは私は言えませんけ れと、我々はこれは若干誤解だと思っております。  我々の心構えとしては、断じてそういうことがないように職員を指導しておりますし、これが収支相償原則で運用するからといって、個別企業の利益あるいは産業団体の利益でこの制度が右へ行ったり左へ行ったり、あるいは運用方針が右へ行ったり左へ行ったりすることは断じていたさないという基本的構えで臨んでおるわけでございます。
  106. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 こういう特許特別会計制度というのがスタートすれば、常に赤字の危険性はないとは言えないわけでありますが、そこで、これには第七条で「収入支出状況により必要があると認める」場合には一般会計からの繰り入れとか、こういうような条文があるわけでありますが、これはどういうことなんでしょうか。
  107. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) この特許特別会計につきましては、基本的、原則的には収支相償で運用したいと思います。また、それを支える基盤、基本的に言えば、日本発明技術開発活動、あるいは国際的な料金水準、あるいは特許庁自身の国際的に見た能率のよさ、いろんな側面から、我々は収支相償でいける基盤が十分あると認識をしております。したがいまして、一般会計からの繰り入れを仰ぐということは原則として考えておりません。  しかし、先ほども申しましたように、極端なケースかもしれませんけれども、仮に大災害が起こったというようなことも絶対あり得ないわけではありません。そういうような場合に、一時的に単に経費の節約、値上げたけでやっていけない事態が全然ないこともないと思います。そういうような不測事態といいますか、予期した事態では私はないと思いますけれども、不測事態が起こった場合には、国の基幹的制度でございますので、それじゃ職員を首切ってしまうとか、あるいは仕事を十分にできないような体制にしてしまうとかいうことは、私はできないんだろうと思います。そういうような事態に備えたというふうに御理解いただきたいと思うんでございます。
  108. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 したがって、ある何かの理由で赤字が出た、そういうときに、本来ならば料金の値上げでやることが考えられると思うんですが、料金の値上げというものがある限度を超えると、工業所有権制度の本来のあり方に違反をする、そういうときには、財政のつじつまを合わせるよりも、この本来の制度を守るということを優先さして、そしてそういう場合には一般会計からの繰り入れの道も残してある。そのように理解をしていいわけですかね。
  109. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 当然、こういう国全体の基幹的制度でございますから、料金を幾ら上げてもいいということじゃないと思うんです。一定の限度があると思います。しかし我々は、現実論としてかなりその幅はあると思います。弾力的なシーリングといいますか、天井といいますのは十分まだ持っていると思います。したがいまして、一般会計から繰り入れることは考えておりませんし、かなりの期間にわたって我々十分な見通しを持っておりますけれども、しかしあえて申しますれば、理論的な意味で申しますれば、料金の無制限な値上げということはできないという限界は常識的にあると思うんでございまして、それを超えた場合に工業所有権制度はおかしくなってもいいかと言われると、そうはいかぬじゃないか。そういう御趣旨として先生おっしゃるならば、確かにそのとおりと私はお答えせざるを得ないと思います。
  110. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 今回の特許特別会計創設工業所有権制度の理念に反することのないように特に要望をしておきます。  それから第八条には「余剰金の繰入れ」ということがあるわけでありますが、これは翌年度に繰り入れる場合と、それからある一定限度を超えた場合に一般会計歳入繰り入れるという、そういう内容がある。もう一つは、「資金運用部に預託する」、こういうようなことも書いているんですがね。このあたりはどうなんでしょうか。これは当分の間は余剰金は余りないと思うんですけれども、将来余剰金が出た場合に翌年に繰り入れるのか、あるいは一般会計歳入繰り入れるのか、あるいは資金運用部に預託していろいろ運用していくのか、そのあたりの立て分けはどういうようになるんでしょうか。
  111. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) これは一般論といたしまして、収支相償原則独立採算的に運用いたす所存でございますけれども、しかし制度性格からいって、もうける、俗に言えばもうけるという運用をする必要もないと思っております。したがって、余剰金が出ることは予定はしておりませんけれど、しかし率直に言いまして、出願件数自身も変動するわけでございます。それで予想外に伸びてしまうこともありますし、それからコンピューター経費も、御承知のように、歴史的に見ますと予想よりもかなり大幅に下がることもあるわけでございます。そういうようなことで、不測といいますか、予想せざる余剰が出ることはあり得ないとは申しません。その場合に、翌朝に繰り越すのが一応の原則だと思います。しかし、なおかつそれを超えて、長期的に見てさらにそれに加えた余裕みたいなものが出てきた場合にどうするかという問題でございまして、これにつきましては、長期の料金の安定という見地もありましょうし、だから繰り越しをある程度持っててもおかしくないという面もありましょう。それから同時に料金が高過ぎるんではないかという御意見が世の中から出てくることもあると思いますし、まあそのときの情勢いかん、あるいは世の中の情勢いかんでは、国庫にある程度、一部を納付するということもあると思いますし、その辺はそういう事態が生じましたときに、諸般の事情を総合的に勘案して処理するべきものだと、こういうふうに理解しておるわけでございます。
  112. 的場順三

    政府委員的場順三君) 財政当局からも一言お答えをしておきたいと思います。  特許庁長官からの御答弁と同じでございますが、本特別会計収支相償というのを原則にしておりますから、一般会計繰り入れにつきましても、また剰余金の処理につきましても、原則として、一般会計から繰り入れたり、あるいは一般会計に剰余金を直ちに入れていただくというふうなことは考えておりません。  ただ、絶対ないかと言われますと、一般会計からの繰り入れにつきましては、先ほど長官からお話がありましたように、災害等不測事態が生じた場合に、歳入歳出あるいは料金値上げ等考えても間に合わないときにはございますし、それから剰余金収入につきましても、本特別会計の運用に支障がないように原則として翌年度に繰り越していき、かつまた、歳入歳出を見て料金の問題等にも考えをいたさなきゃいけないと思いますので、原則的には考えておりませんが、恒常的に余るようになったときにどうするかという話、これは理論的にはあると思いますけれども、原則的にはそういうことでございます。
  113. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 今後十年間で、コンピューター化の推進新規事業費あるいは特許庁総合庁舎の建設等のために約二千億円の追加資金が必要であると、こういう計画と承っております。そこで、この所要資金等は二回にわたる特許関係料金の引き上げ等で賄う計画のようでありますが、これは出願等が予想どおり伸びるということが一つの根底にあると思うんですけれどもね。  私は、いただきましたこの資料を見ておりますと、なぜ日本の国は特許が多いか。この「特許行政の抜本的強化と財政基盤の整備について」という資料の三ページには、「五つのポイント」として日本出願が多い原因が挙げられておるわけでありますが、その(4)と(5)に「未発達な特許管理・権利意識」と五番目が「相対的に安い出願経費」と、こういうことが書いてあるわけでありますが、今後この特許情報というものが全部オンラインに乗って情報検索も非常に容易になる、あるいは出願経費が二回にわたって五割、五割上がれば、これはもう倍以上になるわけですから、そう いうことが特許出願件数に影響を及ぼすであろう。我が国出願件数も今までのようにいつまでも伸びるわけではないんじゃないかと思うんでありますが、そういう意味で現在の特許庁のこの十年計画においては、こういう出願件数伸び等はどういう見通しを立てておるのか、これを伺っておきます。
  114. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) まずこの影響でございますけれども、特許情報民間に豊富に提供いたします、これは我々の義務と考えております。これは中小企業も大企業も含めまして、特許出願というよりは、どちらかといいますと請求率を低下させると思います。つまり特許登録になる歩どまりをよくするような効果が出てくると思います。これは出願よりむしろ請求率ということですから、収入面でいえば請求料に影響があると思います。一方我々の、逆に言えば、ロードは軽くなります。そういうような影響があると思います。  それから料金の値上げの方は、今度は出願にある程度関係はしてくるとも思いまして、いろいろ研究してみました。過去に特許庁の場合は一〇〇%、約倍に値上げしたこととか、五〇%値上げした歴史もありますし、それからこの間アメリカで五倍ぐらいに二年ちょっと前に値上げしたわけでございまして、その辺の事情も全部調査いたしましたところが、ほとんど有意な変化がないという状況でございました。我々の歴史でも過去にそうですし、いろんな聞き込み調査もいたしましたが、ほとんど有意な変化はないよというのが出願人の方の報告でございました。したがいまして、今の四倍も五倍もまたすればそれは別でございますけれども、今我々が考えている程度のものでございますと、余り料金の値上げの抑制効果は少ないんじゃないか、ネグリジブルに近いんじゃないかと、こういうふうに思っています。  ただ、問題は、今の出願が国際的に見て、はっきり言えば、むちゃくちゃに多いということは事実でございまして、これはいろんな背景があるわけでございますが、これはある程度収れんするんではないかという見方が、いろんな角度から一般的でございます。日本だけがこういうことで天井なしに伸び続けられるはずがないし、またそういう必要もないというようなことがほとんどの識者の指摘するところであります。したがいまして、我々はいろんな過去の回帰線、いろんなものを研究いたしまして、大体十年後におきましておおむね、特許実用新案でございますと、五十五万件あたりでほぼ横ばい状況、まあ微増ということはあり得ましょうけれども、になるのではなかろうか。こういうふうな測定をいたしておりまして、以上のいろいろな背景を全部計算をいたしまして我々はこの十年、二十年の収支を組み立てているわけでございます。
  115. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 今、あれでございますか、出願をしてそうして登録をされる、この登録率が我が国の場合はたしか衆議院の答弁では三割ぐらいと。これはどうなんですか、諸外国なんかと比較して三割というのは高いのか低いのか、これが将来には大体どの程度になると予想しているんですか。
  116. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 率直に言いまして、諸外国と比べて、ややよりも、ちょっとややぐらい登録率が悪い状況であります。したがいまして、これはまだ日本料金が安いというせいもあるかもしれませんけれども、特許管理といいますか、企業側の先行資料調査が十分でないというふうに理解しております。  将来は、先ほど来申し上げましたように、我々特許情報かなり低廉にいろんな加工したものを提供いたしますので、この登録率は必ず上がってくると思います。常識的に言いますれば、五割まではいきませんでしょうけれども、四割ぐらいには持っていけるんじゃないかと、かように思っています。
  117. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 ちょっとお伺いしますが、この特別会計収入でございますが、これには出願、査定のそういう料金と、それから登録した後の年金等の収入と、大きく分けて二種類あるんじゃないかと思うんですが、現在はこの比率は、収入の中での年金と出願、査定の収入というのはどの程度の比率であるのか。今後十年たってもその比率は余り変わらないんでしょうかね。
  118. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 現在は大体年金系統が五五、手数料系統が四五という比率でございます。これは戦後の十年ぐらいはさらに年金の方がもっと高くて六五と三五だったと思います。これのトータルとして収支相償ということで歴史的にも運営しておりますが、このウエートのかけ方というのは非常に政策マターになります。といいますのは、年金に傾斜いたしますと出願の方の抑制効果がはっきり言えばほとんど働かなくなります。それから出願の方にうんと傾斜しますと、今度は発明をうんと抑制してしまうというようなことになります。したがいましてこの辺はなかなか難しいわけでございまして、従来、率直に言えば、出願が非常に多いという背景もありまして、六五から五五になり、逆に手数料の方が三五から四五になったように、ややこんなにたくさん出されてはかなわぬという思いが多少出ていると思います。  それで、国際的に見てもこの辺はなかなか難しいあんばいのようでございます。国によってそれぞれ違います。しかし日本は総じて言えば非常に中庸をとっているように思います、国際的に見まして。したがいまして、現在のバランスというのは非常に中庸なバランシングだと思っていますので、おおむね今後大きな変化がない限りこのようなバランスが妥当ではないかと私は思っております。
  119. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 二千億の資金調達で十年間で二回の料金値上げ、ことし五割アップ、さらに六十二年ごろに五割アップという計画のようでありますが、大体この二回の値上げでこの十年間はやっていける自信があるのかどうか、その確信のほどをお尋ねしたいのと、その十年以降は、先ほどの御答弁では、上げたとしても物価の上昇程度で大体やっていけるという、この見通しはかなり確信があるものなのかどうかですね。大蔵省の財政再建のめどというのはかなり大幅にいつも狂っておるわけですが、ああいう不確かなたぐいのものではないとは思うんですが、その辺どうでしょうか。
  120. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 幸いに特許庁の方は支出面におきましても大体仕事の内容というのはわかっているわけでございます。多角経営をするわけではございませんし、大体支出の予測というのは非常に見積もりやすいわけでございます。問題はインフレ率でございますけれども、そういうものも織り込んでございます。  それから収入面の方でございますけれども、収入面も、幸いなことでございますけれども、技術立国ということで、特許活動、技術開発活動が衰える状況にこの十年やそこらはないと我々は思っております。そういうベースがありましてある程度かたく見ているつもりでございます。したがいまして、私どもとしては赤字になることはまずないと確信をいたしております。  それから十年たちましてコンピューター化なり総合庁舎ができますれば、定常状況に入りますので、できればインフレ率までもいかないように運営をしたいという気持ちは持っております。いってもインフレ率程度で大丈夫ではないかと、こういうふうに思っています。
  121. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 日本の経済の活性化あるいは技術革新の推進の上からいえば、できるだけそういう料金は安いにこしたことはないわけですし、そういう意味特許庁といたしましてもコストの低減には大いに努力していただきたい、このことを要望しておきます。  それから特許庁の総合庁舎でございますが、六十三年ごろを前提にしておるようですが、どれくらいの規模のものであるのか。ということは、ペーパーレスといってもかなりいろいろ敷地も要るんじゃないかと思うんですが、今回の特許庁の総合庁舎というものは大体何年ごろまで使えるものなのか、あるいはもう十年二十年三十年このくらいのスペースでいけるものであるのか、そのあた りはどうなんでしょうか。
  122. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) この面積につきましては、関係省ともまださらに細目調整をしなければならないのでございますが、我々の方の計画では、有効面積にして約五万平米強ぐらいが欲しい、こういうふうに思っております。しかしこれはまだ関係省庁との調整が要ります。  そしてこの先行きでございますが、これがコンピューター化の威力が一つ働きます。というのは、今のようにコンピューター化をしておりませんと、毎年六百平米ぐらい、公報とか紙とか、情報の量が、ほとんど紙でございますのでふえていくわけでございます。これはもう際限がないわけでございます。ところがコンピューター化になりますと、いっときややふえます。というのは、CPU、中央管理コンピューターセンターとか、あるいは各職員に端末機をほとんど配置しますので、一つ一つはそれほど大きくないんですけれども、全職員近くなりますので、その端末機のスペースとかありますけれども、それで十年間で完成いたしますと、あとはその紙のスペースの増大はほとんどブレーキがかかりますので、コンピューター化によってスペース的には長期的に安定すると、こういうふうに考えております。
  123. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 中小企業に対して手数料の減免等を含む助成措置を講ずべきではないかという、こういう意見があるわけですが、確かに日本の経済の発展に果たす役割からいえば、中小企業が非常に大事でありますし、そういう中小企業の技術革新、そういう意欲は大いに育てなきゃならないと思うんですが、その点諸外国の例はどうなのか。必ずしも料金を下げることだけではなしに、あるいは特に中小企業の場合は情報提供サービス、そういう点がおくれをとっているわけですから、そういう意味で中小企業においても大企業に劣らないように、いろんな情報がキャッチできるという、こういう体制をつくることもこれは中小企業に対する配慮ではあると思うんですがね。そういう点、特許庁としては、中小企業に対するそういう配慮を今後どういう方向で考えているのか、これを伺っておきます。
  124. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 諸外国で中小企業と大企業料金を差別している国は、唯一の国がアメリカでございます。ほかの国はありません。アメリカは事情がある程度ありまして、実は二年ほど前に出願料系統で五倍、それから従来は年金が実はなかったわけでございまして、年金をも含めると何と二十倍上げたわけです。そのライフサイクル、特許なりの十七年ですけれども。十七年の間の負担をむちゃくちゃに上げたという背景もあったと思います。そういう意味で中小企業のディスカウントといいますか、制度導入している唯一の例がアメリカでございます。  日本の場合は、まず絶対水準がアメリカよりかなり低いということもありますし、それから先ほども申しましたように、実用新案というなかなかうまい制度がありまして、これは中小企業の利用が多いんですけれども、この値上げ額は出願料系統で一件当たり二千四百円、それから年金でございますと、一年から三年目の年金で千五百円というアップなんでございます、五割でも。だから絶対額がかなり低いということ。  それから中小企業の方こそ迅速的確、早くやってくれというのを期待しているわけです。というのは、どうも中小企業の方がライフサイクルの短い発明が多いんです。それから同時に、中小企業のことを申しますと、中小企業の方が何か企業化、利益と直結している発明の率が多いんです。そういうことと、それから中小企業の方は特許管理者がほとんどいませんので、特許情報を安く迅速にうまく提供してくれという希望が非常に強いんです。そういうようないろんなファクターがありまして、中小企業の方もこれは負担していただけるんじゃないかと我々は思っています。  むしろ中小企業の場合は、先生のおっしゃっていただいているように、特許情報をどうやって活用するか、どうやって利用するか、どうやって自分の発明の方向を間隙を縫って持っていくようにやるのか、そして大企業の場合ですと、そういうものの職員も大勢いますので、特許マップなんというのをつくっていろんな枝葉を考えて、自分のねらう方向なんかをかなり精密に分析しているんですが、中小企業はまだほとんどそこまでいっていませんが、コンピューター化によりましてかなりできるものですから、そういうことをやっていただいて、そして情報のローカル化、中央と地方のギャップもなくしていくということが我々第一に必要だと思います。  そういう意味ではこのコンピューターというのは非常に便利でございまして、オンラインで、極端に言えば、沖縄から北海道まですぐ行けますし、あとはその利用の仕方をどうやって中小企業に普及していくのか、これに全力を挙げたいと思います。そういう意味で、我々としては予算もとっておりますし、新しく計上しておりますし、そういう面で大きな利益を中小企業に享受していただくように最善の努力をしたいと思っております。
  125. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 今回大幅な値上げが行われるわけで、それにふさわしい行政サービスの向上を伴わなければならないと思います。アメリカは中長期計画において機械による行政の自動化を進めつつ、一九八二年から八五年の四年間のみで特許審査官を八百七十五名も増員しておる。そういうことで、特許料金は値上げをするけれどもサービスは強化しておるわけでありますが、ところが我が国においては特許庁の定員は毎年削減をされております。昭和五十五年の二千三百六十七人をピークとして年々じり貧の状態でありますが、こういう点心配ないのかどうかお伺いいたします。
  126. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 今度料金を値上げして特別会計にするというのも、そしてそれに対して出願人の理解と協力が得られているのも、何といっても特許審査を迅速的確にやってくれる、そして必要な特許情報を高度加工したものを迅速低廉に供給してくれるという期待があるから支持していただいていると思うんでございますが、問題は、それをやっていく責務が我々に従来以上に大きくのしかかっているわけでございまして、全力を挙げてこれにこたえなければいけないわけでございます。  その場合に、ある程度コンピューター化をしましてマンパワーの節約をして、全力を挙げていくわけですが、我々予測しますと、ある程度のマンパワーの確保というのが必要になってきます。しかし我々は、先ほどから申しているように、できるだけ外部の力も利用しながらやっていきたいと思いますけれども、特許庁性格上、どうしてもそれにも限度がありますので、必要最小限のものは人間の確保というのも必要になってくると思います。それについては我々全力を挙げて関係部局にも御説明をして国民の期待にこたえていきたいと、かように決意している次第でございます。
  127. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 これはどうなんでしょうか、今までは一般会計だったわけですけれども、特別会計になるということは、そういう定員をふやすという点においては多少やりやすくなったと、そういう感じはあるんでしょうか。
  128. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 特別会計といえども、厳重な定員管理の政府の全体の方針でございますから、やりやすいということは一切考えておりません。ただ、我々としては十年計画をつくりまして、かなり詳細に合理化もし、そして綿密な検討をいたしましておりますので、そしてまた値上げというものについて、大幅な値上げを受け入れることの国民の期待というものが裏にありますから、迫力を持った説明なりお話し合いができると、こういうふうに思っております。
  129. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 我が国の場合は職員一人当たりの審査件数が非常に飛び抜けて高い、今さっきの御答弁だと三倍であるというようにね。これは理由は何でしょうか。非常に優秀だからなんでしょうかね。
  130. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) これはなかなか量的に分析はしにくいんですが、大きくは二つあると思います。一つ日本全体ですけれども、はっきり 言えば、非常な参加意識といいますか、全職員が特許庁全体にかかわっているんだという自覚をみんな持っています。外国の例を見ますと、率直に言えば、各セクション別に全体の仕事をうまく処理していく、全体の効率を挙げていくとか、こんなに滞貨件数がたまったら国民に申しわけないという気持ちは、恐らく一般職員にはないんだろうと思います。それは長官が考えることで、わしら関係ないというのが恐らく外国の多くの例だと思います。日本は率直に言いますと、極端な言い方をすれば、全職員がそういうことについて何とかせにゃならぬという気持ちを持っていただいています。これは私は一番大きいと思います。  第二は、勘がいいと申しますか、そこはあると思います。スキルフルといいますか、外国の場合だと何か積み上げてこういうふうに消していくわけですね。非常にステディーなんですけれども、順序よく消していく。ところが、日本の場合はぱっと勘が働いて、特許の場合に十も例を出す必要がないんで、もうそれがだめだ、先例があるということを一つ探せばいいわけですね。そうしますと、シラミつぶしに十探して一つを提供しなくてもいいわけで、一つあればぱっといけるというような、そういう勘のよさという、サーチの勘のよさというのは、どうも聞いてみますと抜群にいいようでございます。私の承知している範囲ではその二つが一番大きな原因だと思います。
  131. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 今後、特許審査そのものも、いろいろ外国の情報をキャッチするとか、大変高度な仕事じゃないかと思うんですね。そういう意味で、その仕事に見合う処遇をしていかなければいけないと思うんであります。その点がどうなっておるのか。  それともう一つは、ペーパーレスになってまいりますと、今までの書類を見るのと、コンピューターを使っていろんな情報を探すということになってまいりますと、健康との関係が出てくると思うんですがね、こういう点についてはどのように考えておられるのか。この二点をお伺いいたします。
  132. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 待遇につきましては、実は審査官につきましてはその技術の非常な高度性、専門性にかんがみまして特別付加給与をいただいています。今審査官になりますと八%、だから通常の公務員よりも八%アップした待遇を与えることができております。ただ、過去に非常に急増をしておりますので、なかなかポスト的な意味ではいろいろ必ずしも職員が満足している状況ではございませんけれども、総じて言えば一定の処過を受けていると我々は感じております。それから健康問題につきましては、主として映像で処理するようになりますので、これが目、あるいはさらに何というんですか、心理的な問題、あるいは端末機をたたくことによる問題というような問題がどこまで出てくるかということでございますが、我々はとにかく職員の健康を守ることを第一に考えておりますので、この点についてはまだ試行をかなりの期間、十年計画で、十年後にフル稼働に入っていきますけれども、その間がないの期間試行がありますので、その辺の状況を十分見ながら、もし必要ならば必要なインターバルの休憩――休憩というと余り休憩してもらっても困るんですけれども、映像を見る時間をある程度、何というんですか、一定の時間にして、ほかの仕事をうまくあんばいしていくというようなこともできますし、職員とも十分話し合いますし、それから労働省の方でもいろんな研究を今していらっしゃるし、まだ時間がありますので十分話し合って、健康を守るという立場に立って最適な仕事の組み合わせを考えていきたいと思います。
  133. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 今までのところ特に職業病的なものはないわけですね。
  134. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 今でも映像で一部やっていますけれども、一部の職員でございまして、しかもそれが一日じゅうというほどにはなっておりませんので、今現在映像処理で苦情が出ているわけではありません。そういう意味では現在において職業病的なものが発生しているとは我々は理解しておりません。ただ、若干タイピストでそういう苦情がある人も二、三いるようでございますが、その辺は十分現実処理として対応してまいりたいと思っています。
  135. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それから今後出願等も、書類ではなしに、フロッピーディスクですか、そういうもので出すと、こういうことになってまいりますと、犯罪ですね、オンラインで知らぬ間に特許情報が抜かれておったとか、そういうことの危険性があると思うんですけれどもね。こういう機械化に伴う犯罪防止対策というものは私は非常に大事だと思うんですがね。こういう点はどうなってますか。
  136. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 現在特許庁の場合は出願後一年半、特許実用新案でありますと、たつと公報に載せて全員が見れるような状況になっていますから、それから以降はおよそ秘密ということはないわけでございます。  問題は、出願から一年半の間は、公報へ載るまでの間は秘密を保持しております。それで、データを民間に提供するわけでございますが、これはあくまでそこで遮断をいたしますので、アクセスできないように処理いたしますので問題はないと思います。そういうことで処理したいと思います。
  137. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 特許業務の国際化の進展に当たって主要諸国の在外公館に特許専門官を配置する必要があるんではないかと、こういう意見もあるわけですが、こういうのは諸外国はどうなっているのかですね。日本としてはそういう必要があるのかどうか、この点はどうでしょうか。
  138. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 諸外国その他の例で特許専門官という特定の人を置いていることはないと思います。ただ、技術アタッシェという立場で各国置いてますし、日本でも置いてますし、それから現実に日本特許庁も、例えばジュネーブあたりでは国際会議がしょっちゅう行われますし、特許関係の国際機関もあるということで、技術アタッシェというあれじゃないと思いますが、一種の交渉担当者というようなことでジュネーブに置いてますし、それから今度はもっと広い立場の技術アタッシェ的な立場を兼ねながら特許庁の職員が海外にかなり出ております。そういうような実績がございます。  それから将来はアメリカとの関係で特許摩擦といいますか、企業間の摩擦がかなり出てくるおそれもありますので、そこをどうすればいいのかなあというのが課題にはなっております。しかし、一般的に専任の特許専門官を方々に置かなきゃならぬという状況ではないと思います。
  139. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 弁理士を代理人とする出願件数が大体昭和五十六年度で八〇%、五十七年度で七九・七%と、このように聞いておるわけでありますが、今後の推移についてはどう考えるのか。  また、工業所有権制度の円滑な運用には弁理士制度は必要不可欠のものであると思いますが、今後ペーパーレスに伴ってこの弁理士像というものがどうなるのか、このあたりはどのようにお考えでしょうか。
  140. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 弁理士を代理人とする出願割合は過去数年の傾向をとりますと上がってきております。特許実用新案で言いますと、四十年は七五%ぐらいでしたが、今は八五%ぐらいになっております。これはある意味ではいい傾向だと私どもは判断をいたしております。今後の見通しといたしましても落ちることはないと確信をいたしております。  それから情報化に伴いまして弁理士の果たす役割はむしろ増大するんじゃないかと思います。といいますのは、特許情報を的確に、いろんな先例とか公知事実とかというものが直ちに出てきますので、しかしそれが直ちに出てくるといっても、熟練した方と素人では熟練した方の方が的確スピードで出てくると思います。弁理士はそういう意味で熟練した方でございますから、的確スピーディーに出てくると思いますし、そういう豊富なデータをベースにいろんなアドバイスとか、あるいは明細書の修正とか更正がどうしたらいいかとい うことが弁理士らしい業務といいますか、そういうものがふえてくるんじゃないかと思います。したがって、問題は情報にうまく弁理士さんがアクセスできるようにする必要があります。といつのは、零細な弁理士さんの場合、全員が端末機を、映像を置けるかどうかという問題もありますから、できるだけその辺についてうまくやってあげるのがこれからの課題だと思います。
  141. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 現在の弁理士法は大正十年四月三十日にできた古い法律で、これが実情にそぐわない面も多々あり、改正ということがいろいろ論議されておるようでございますが、このあたりは特許庁長官としてはどういう点が問題であり、今後どういう改正を考えるのか、これをお伺いしておきます。
  142. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) これは現在弁理士会内部でも議論中でございまして、現在、庁と弁理士会で非公式な懇談会を設けまして今議論中で、なかなか私の方からこうせいとか、こうあるべきだというのを今言っている段階ではないんです。ある時期にはある程度整理して言わなきゃならないと思いますけれども、したがいまして、今の段階では弁理士さんの方のコンセンサスもまだないんですが、一応言われているのは三つの分類、ジャンルがあるわけです。  一つは、弁理士の職域保護をもうちょっと強化してくれないかという部門です。これが一番いろんな形で言われております。それから第二のジャンルは、弁理士の研修をもうちょっとして、何というんですか、立派な弁理士をさらに立派な弁理士にすべきだという研修問題。それから第三は、これはなかなか難しいんだろうと思いますが、今、弁理士というのは弁護士と同じように、個人で開業することで、法人ということはないわけなんですが、これからいろんな継続性とか出願人の場合でも突然亡くなった場合困っちゃうというようないろんな問題もありますし、継続性とか考えますと、ある特殊な法人組織的なもので弁理士業ができないんだろうかというような問題もございます。  大ざっぱに言うと、今出ているのはその三つぐらいで、それをどう整理するかというようなことでございます。これはあくまで特許庁がこうせにゃいかぬというところまでまだ詰めておりませんが、弁理士会の中でいろんな議論があってコンセンサスがないんですが、そういうようなのが今議論の種になっているところでございます。
  143. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 弁理士会の要望として、弁護士の場合は司法修習期間があるわけで、弁理士にはそういう研修がないわけでございます。アメリカ等ではパテント・オフィス・アカデミーというのがあるようで、有料で研修を受けているとのことでございますが、特許庁の中には何か研修所があるわけで、そういう特許庁の研修所を大いに活用してこういう研修制度をつくるとか、こういうことは弁理士のレベルアップに非常にプラスになってくるのじゃないだろうか。そういうお考えはありませんか。
  144. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) アメリカの場合、パテント・アカデミーというのは日本流で言えば特許庁研修所でございまして、そこで余裕がある場合には一般の方、つまり大部分は弁理士だと思いますが、弁理士の方も受講できるようになっております。ただ料金はきちっと取るよというようなことになっているようでございます。  日本の場合でございますけれども、確かに弁理士の研修を強化する方が私はいいと思っています。ただ、どういうやり方があるのかについてはまだこれから詰めなきゃいけないと思います。特許庁の研修所がいいのか、弁理士の研修所で講師の応援とか何かをした方がいいのか、あるいは発明協会とか、そういうところでも研修機能を持っていますから、一体どういう方法がいいのか、これから詰めていきたいと思いますが、いずれにしても、方向としては弁理士の研修を強化した方がいいんではないかと、かように考えております。
  145. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 今度のこのペーパーレス計画については弁理士会としては賛成であるのかどうかですね。それからそのペーパーレス化に伴う弁理士さんの研修をどう考えるのか。それと、先ほど、今後弁理士さんが端末機を取りつけるのに取りつけやすいようにするというか、取りつけが進めばそれだけ特許行政にもプラスになるわけで、そういう点の何か援助とかそういうものを考える余地はあるのか。その点どうでしょうか。
  146. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) なかなか補助という問題は率直に言って難しいのだろうと思います。しかしそうかといいまして、零細な弁理士さんが端末機、これ一台置けば年間二百万やそこらかかるのだろうと思います、いいやつは、いろいろありますけれども。そうなると収入面から置けないというのも十分あるわけでございまして、したがって、私どもとしては容易に利用する状況に置いてあげたい。各人がそれぞれ、零細な個人の家庭でやっているという率直に言えば弁理士さんも多いわけでございますが、そこまで全部やるわけにはまいりませんけれども、例えて言えば、弁理士会あるいはうちの閲覧所というようなところ、あるいは発明協会とか、あるいはJAPATICとかそういうような場、あるいはもっといろんなことが考えられますけれども、そういうようなところに来ればすぐ利用できるというようなファシリティーは提供できるのじゃないかと、そういうふうに考えております。  それから、もちろん研修はどうしても必要だと思います。これはどこでやるか、料金取ってやるのか、どこが主体になってやるのかという問題は別ですけれども、どうしてもコンピューター化に伴う研修は必須だと思います。
  147. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 特に技術も、非常に広範に海外の情報等もキャッチしていくということになりますと、弁理士制度というものも時代に沿って当然検討していかなくちゃいけないと思うのですね。私は、今の個人しかできないという、こういう点も、特許も非常に専門化してくると、ある程度組織的に弁理士も対応することが必要じゃないかと思うんですが、そういう点は、これはもうちょっと特許庁としても積極的に検討し、弁理士法の改正をもっと積極的に考えるべきじゃないか。何か今の長官の御答弁では、余りにそういう弁理士会から何も言ってきてないから特許庁としては余り動く気はないよと、そんなニュアンスだったんですが、もうちょっと積極的にやる必要があると思うんですが、その点はどうですか。
  148. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) ちょっと誤解があったようですけれども、積極的に取り組んでおります。  ただ、かなり弁理士という職域団体の利害もある問題ですから、我々が先走ってこうしたらいい、ああしたらいいというようなふうに持っていかない方がかえっていいんじゃないだろうかということをむしろ配慮しているだけでございまして、積極的に推進していきたいと思います。ただ、弁理士会のコンセンサスとかいろんなコンセンサス、あるいは世間の理解というものも、限界といいますか、そういうことも配慮しますけれども、とにかく前向きに取り組んでまいりたいと、こういうふうに思っております。
  149. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 審査期間でございますが、現在は二年三カ月ぐらいですか。現状のまま放置すれば十年後には七年になると。それはどういう根拠なんでしょうか、七年になるというのは。
  150. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) これはかなり精密に詰めてあります。出願件数がどうなるか、それから請求件数が、請求率がどういうふうに変化するのか、それからコンピューター化にもしませんと検索資料が累増しできますので、それの能率劣化がどの程度あるだろうかというようなことをすべて計算いたしまして積み上げたものを持っております。その結果が大体七年ぐらいと、かような状況でございます。
  151. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 技術の陳腐化が非常に激しいということを特許庁の資料にも書いてあるんですが、この陳腐化が激しいということは、概念としてはわかると思うんですけれども、何か数字的にこのように技術の寿命が短くなっているんだという、 何かそういう数字的なものがありますか。
  152. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 数字的に陳腐化が激しいというのは、むしろ償却の問題とか設備の問題の方は数字が出るんでございますが、特許庁の方では一般的なそういう技術なり製品のライフサイクルが短くなっているという現象から判断しているわけで、統計的数字を持っているわけではありません。ただ、大企業と中小企業と比べますと、中小企業の方が早いとか、それから意匠なんか特に早いとかということは一般論として言えると思います。
  153. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 特許は十五年ですけれども、納局途中でもう放棄するとか、そういうようなのはどうなんでしょうか。そういうデータはございませんですか。
  154. 齋田信明

    政府委員齋田信明君) お答えいたします。  存続期間。特許実用新案、意匠で申し上げますと、特許は一年目を一〇〇%といたしますと大体五年目で八〇%ぐらいになります。それから十年目で五〇%を少し割るぐらいになります。それから十五年目で一二%ぐらいでございます。  それから実用新案は存続期間十年でございますが、一年目を一〇〇%といたしますと、三年目まではもちろんそのままでございますが、あと五年目で七八%ぐらいでございまして、十年目で二八%ぐらいでございますか、三〇%をちょっと切るぐらいでございます。最後まで三割ぐらいは残っておるということでございます。  それから意匠は十五年でございますが、意匠が大体五年目で七五%、それから十年目で五〇%を少し切ります。それから十五年目は特許と大体同じでございますが一三%ぐらいまで存続しておると、こういうことでございます。
  155. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 技術の陳腐化が激しくなれば、特許審査、審判のスピード化が非常に望まれるわけですけれども、これは理想的なのは大体どの程度が一番いいわけですか。日本の国は大体どの程度を目指しているんですか。
  156. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 理想というのもなかなか難しいんですけれども、大体特許実用新案であれば二年だと思います。それから意匠ですともっと短くて一年半以内、商標も一年半以内と、かように考えています。
  157. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 我が国の場合はたしか出願をして一年半は全然公開しない、したがって特許のそういう権利がどうなるかということが確定するのはいずれにしても一年半以上かかっちゃうわけですけれども、この一年半という意味はどういう意味があるのか。技術の陳腐化が激しい、そういうときに我が国特許審査期間が諸外国から比べて非常に長いということは問題にならないのかどうか。ということであれば、一年半というのを短くするとか、そういう必要はないのかどうか、その点はどうなんでしょうかね。
  158. 齋田信明

    政府委員齋田信明君) 現在、出願をいたしましてから先生おっしゃるとおり一年半たって公開いたしております。その期間を短くすることは、これはもちろん必要でございますが、物理的に公開のための作業をいたします都合上、大体一年半ぐらいはかかります。  それからもう一つ世界の各国で優先権制度というのがございまして、これはパリ条約という国際条約によって決まっておるわけでございますけれども、お互いに優先権制度というのがございまして優先権を主張することができます。日本人が日本出願をいたしましてそれをアメリカに持っていきますと、日本出願した日がアメリカ出願したと同じような効果を持つような制度でございます。それがちょうど十二カ月でございます。そういうこともいろいろございまして十二カ月に作業の六カ月を加えますと大体一年六カ月ぐらいはかかります。そういうこと等々考えますと、各国とも公開制度をとっておりますところは大体一年六カ月で公開をいたしております。それが一つ。  それからもう一つ、そうだからといって、審査は必ずしも一年六カ月以降でなければならないということではもちろんございません。しかし、現在のところ一年六カ月を割るほどの審査能力がないということでございます。
  159. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それから特許情報を各企業が知るということは非常に大事なことではないかと思うんですけれども、このシステムが完成した暁にはどうなるのか。端末機が二千二十六台というように資料には書いてあるんですが、二千二十六台どこに置かれるのか。それと、現在のいわゆるJAPATICのオンラインサービスとの関係はどうなるのか。それとは別個に特許庁にセンターができて、それで各企業なりあるいは各地方なり、あるいは弁理士さんのところに端末を置くということになりますと、JAPATICのオンラインシステムとは二本立てになるのか、あるいはそのときは一本になるのか、その点はどうなんでしょうか。
  160. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 二千二十六台というのは、まだ決定じゃなくてもちろんビジョンでございまして、ローリングしていくことになります。ただ、人間の絶対値に比べてちょっと多いんじゃないかということがあるとすれば、実はかなりの部分を資料センターに置いておきます、それが二百二十八台ぐらいあります。したがって、全員に一台近いというよりは若干減量になりますけれども、それでも千八百台弱ぐらいでございますから、大半の職員は一人一台持っておるという状況です。これはもうほとんど全部ペーパーレスでやりますので、どうしても端末機がないと仕事ができないという状況で、やむを得ないと思います。ただ、これはお金が必ずかかるわけですから、むだなことはもちろんチェックしていきたいと思いますので、減ることも当然考えられますが、一応の配分はそういうことでございます。それから特許情報センターとの関係でございますけれども、これは全くダブることにはなりません。というのは、特許庁の場合は、特許庁ダイレクトベースでは、従来特許公報を見せていたわけですから、それにかわる情報サービスにつきましては、公的ベース、直轄で特許庁及び各地方閲覧所を通じまして民間に提供いたします。しかしJAPATIC、あるいは先ほど来御指摘のありました新団体に移るかもしれませんけれども、そこで提供するものは、さらに高度加工された情報企業に出します。これはもうける趣旨は全くありませんけれども、高度加工に伴う経費とか、あるいはオンライン通信回線費用とかかかりますので、実費程度はいただかなければやっていけない、かようになると思います。
  161. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 ひとつその点はできるだけ安いコストで情報が利用できるように一元化というか、そういう点に努力をしていただきたいと思います。  それでは、余り時間もないわけですが、特許をとりますと、使用する人はいろいろお金を特許権者に払うわけですが、我が国の場合は、大体外国との関係では今どうなんですか、前は大分輸入だった、最近は輸出が多いというような傾向はどうなんでしょうか。
  162. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) これは科学技術庁の方がより御存じだとは思うんですけれども、おおむねの傾向を申しますと、毎年の支払いベースでは、またいわゆる技術輸出よりも輸入の方が多いと思います。ただ、新規契約では、もう出す方が多くて受け取る方が少ないということでございます。ただ、その場合も分析を必要といたします。というのは、出す方の場合に、率直に言って、後進国にプラントを出す場合の技術料がかなり入っているんだろうと思います。したがって、先進国先進国日本アメリカのバランス、日本とドイツのバランス、日本とフランスのバランスだと、そこまで行ってないと思います。純粋特許ということになると、さらに日本の方がまだまだ悪いと思います。  ただ、考えてみますれば、フランスなんかは、蓄積ベースでも、最近時点でも収入の方が多いと思うんですけれども、世界を相手に技術を売り買いしていますから、日本収入の方が多くなったと威張れるとは思えません。むしろ逆に、支出が 少ないということは外国からどん欲に技術をとっていないということにもなるわけで、一概に表面的な数字だけでその国の技術がいいとか悪いとか、私は危険だと思います。典型的な例が、私はフランスのことを具体的にけちをつけるわけじゃありませんけれども、今のフランスのレベルでそんなに世界からどん欲に技術をとっておって収入超過になれるのかなという感じもしないではないのでございまして、なかなか難しい側面があります。ただ、傾向としては、受け取りと支出の関係は非常によくなっていることは言えます。それはもうはっきり出ております。
  163. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そこで、これは文部省にお尋ねしたいわけでございますが、日本のいろいろな技術の発展のためには、いわゆる産学協同ですかね、こういう点をある程度推進していかなきゃいかぬと思うのでありますが、そういう点で今まで国立大学における研究の特許権というのはすべて国に属することになっていたわけでありますが、しかしある意味では、その研究者にも属するようにもしていかなきゃいけない。さらには共同研究した場合には、内容によっては民間企業にもその功績の度合いによっては特許権も与える、こういうことでないと、何から何まで、ちょっと国が関与すると全部国に取り上げられるというのでは、共同研究は進まないんじゃないかと思うんですが、こういう意味で文部省としてもそういうものに対しては前向きに努力はしてくださっているようでありますが、その点はどういう状況でございますか。
  164. 西尾理弘

    説明員(西尾理弘君) 国立大学の教官が研究の結果出します発明、それに基づく特許の帰属の問題でございますが、これにつきましては、既に昭和五十三年に文部省で通知を出しておりまして、これによりますと、その大学の先生が国すなわち大学から特別の研究経費、あるいは特別の設備を措置していただいて、それに基づいて実施した研究の成果としての特許は大学すなわち国に属するが、それ以外のものについては原則として教官個人に属するものであるということで通知を出しておりまして、これに基づいて現在各大学におきましては発明委員会というのを設けておりまして、その委員会で、出てきた発明が国に属するものか、個人の教官に属するものか御審議いただいて、個人に属するものなら先生、国に属するものならば大学が管理するという形に振り分けておりまして、大学の成果がすべて国に属するということにはなっておりません。  そしてまた、産学協同ということで、私らは五十八年度から民間等との共同研究制度を発足させたわけでございますが、これによりますと、大学の研究者が相手方、民間企業等の研究者と共通の課題について共同で研究してそして共同の発明をした、それにかかる特許は大学側と民間側と共有するという道をも開いております。さらにはまたこの共同研究制度の中で民間企業側の研究者だけが独自に発明されたものにかかる特許につきましては、民間企業側の単独の所有もあり得るということで、そういう道も開いているというのが実情でございます。
  165. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 ちょっと二、三まだ質問が残りましたが、大体時間が参りましたので、これで終わります。
  166. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  167. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 速記を起こして。  午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時二十分まで休憩いたします。    午後十二時五十分休憩      ―――――・―――――    午後一時二十二分開会
  168. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。  まず、委員の異動について御報告をいたします。  本日、福岡日出麿君が委員辞任され、その補欠として海江田鶴造君が選任されました。     ―――――――――――――
  169. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 休憩前に引き続き、各種手数料等の額の改定及び規定合理化に関する法律案及び特許特別会計法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  170. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 私は、時間の関係で弁理士問題に絞って質問いたします。ただ、同僚議員から指摘がありました審査官など、特許業務に関与する職員の人数あるいは条件、健康、これらの問題については、私も同じ問題意識とまた要望を持っておることを冒頭に申し上げたいと思います。  それで、まず弁理士制度につきまして、これが高度の法律、技術、知識が要求されると同時に、工業所有椎関係事務は弁理士と有資格者のみが従事できるというぐあいになっていますが、工業所有権制度の円滑な運用に不可欠だと、もう既に答弁がありました。どういう理念と必要によってこの仕事の独占が認められ、有資格者にさせられるのか、この点について御答弁いただきたいと思います。
  171. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 今、先生がおっしゃいましたように、工業所有権に関しますいろんな出願その他の手続というのは、非常に技術的な、法律的な専門知識が、あるいは経験というものが必要とされる分野でございます。さような意味で、一つには、そういう資格を持ったきちっとした方に代理をお願いして、出願人が間違った人に頼まないようにというような出願人のための立場というのがあると思います。  それから二つには、特許庁の関係になりますと、出願人との応答のやりとりが円滑といいますか、スムーズにいくと結果的にはそれは出願人の利益にもつながるんじゃないかと、そういう目的があって、それの裏腹として代理人は原則として弁理士でなきゃならないと、こういうようなバランスになっているんじゃないかと了解しております。
  172. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 出願人の利益という意味では、国民の利益に直納していますし、それから円滑な特許行政協力して審査が促進されると、全体が進んで特許行政そのものが円滑にいくという、これも国益、そして国民の利益にもつながるという点で、弁理士業務が独占的にされるというぐあいだと思うんですがね。  そこで、弁理士を代理とする出願は、先ほども御答弁あったとおり、大変高い率に及んでおります。一見、私は弁理士制度の機能を果たしているように見えるんですが、ただ、よく実情を聞いてみますと、内情が形骸化されておって、弁理士制度自体が深刻な危機的状況にあるんじゃないか、こういう指摘があります。この弁理士制度の形骸化という指摘に対して長官はどういう御認識をお持ちですか。
  173. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) いろんな側面から議論がなされております。一番端的なのは、無資格者が、特許管理士というような一定の研修は受けているんでしょうけれども、そういうことでやっているんではないかという問題で、これはある程度出願人が知った上でやっているのか、頼んでいるのか知りませんけれども、一種の違法性を持っているわけでございます、状況によっては。この問題があります。しかし、これは現実論として、数はネグリジブル・スモールだと我々今のところ判断をいたしております。絶無ではないと思いますけれども非常に数が少ない。したがって、少なくとも形骸化していると言われるほど何か足をすくわれていることはないと思います。  次に、もうちょっと大きな問題、もうちょっとといいますか、かなり大きな問題として大企業出願の代理人という問題があります。これは二つありまして、社員代理といいまして、弁理士の資格のない者が特許部長とかにいまして、それが出してくるというケースが一つあります。これも我我好ましくないということで指導しておりまして、ほとんどゼロに近い状況になっておりまし て、これもまあいいわけでございます。  その次に問題は、弁理士資格を持っている会社の職員が、大きな企業にいきますと十人ぐらいは楽にいるわけでございますが、そういう社員である資格を持った弁理士が会社出願代理人をするというケースがあります。これは、状況によっては一人で数千件出すというようなケースがあるわけでございます。一人で数千件というと、一体チェックしているのか。弁理士法の精神からいえば、きちっと自分でチェックをして間違いない、リーズナブル、合理的なものであるということでやるはずなんでございますが、物理的に可能なのかという問題があるわけです。ただ、これもいろいろ事情を聞きますと、例えばAという会社特許部長が五千件出すという場合でも、社内に数人いるとか、あるいは社外弁理士を実質的に使っている、そうしてそれの名前が、あるA社で十人も二十人もの名前で特許代理人にするといろんな混線が起こるので、統制をとるために一人の特許部長か何かの弁理士が五千件を出しているというようなケース、これをどういうふうに考えるのか。  まず違法性の問題について言うと、一概に違法だと、こう言いにくいんでございます。しかし弁理士制度の精神からいうと、一人で五千件も出すのはいかがかというのは、当然常識的にわかるわけで、おかしいということになるわけです。ところが、さらに詰めてみますと、いや、これは実は十人ぐらいで分担した、しっかりした弁理士がやっているんです、ただ会社の名前のパイプとして一人の弁理士に集中しているんだ、実態的にちゃんとチェックしているんだ、一人当たりにすれば三百件とか四百件になっておるんですと説明されますと、実態的にもそれほどけしからぬと言いにくいというような問題があります。  いずれにしても、いろんな問題がありまして、確かに一部において、特に大会社出願が急増したこと、非常に急速に急増したこと。それから、こんなことを具体的に公の席で言うのもいかがかと思いますが、企業によっては、資格はないけれども特許部員の能力が向上いたしまして、余り弁理士さんに頼まなくてもできるんじゃないかというようなムードも多少出てきておるわけでございますが、そういうような背景のもとに、形骸化しているとまでは言いませんが、大会社特許部の充実に伴いまして、実質的に弁理士の仕事といいますか、実質的な意味でございますが、仕事が、何といいますか、俗に言えば侵食されているというんでしょうか、そういうケースはある程度認めざるを得ない、こんなのが今の状況認識でございます。
  174. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 具体的な中身についてこれからお伺いしますが、その前提として、大体弁理士一人当たり代理行為が普通にやって可能だという一応の水準があるんですね。人によって、能力やスタッフの体制などあるかと思いますけれども、大体年間何件ぐらいが普通きちんと仕事ができる範囲なんだろうか、これが一つです。  それから出願の上位企業、多い企業が大変ふえていますね。そういう企業について、先ほど言われた弁理士一人当たり代理申請件数がどれくらいか。これについてお答えいただきたいと思います。
  175. 小野真魚

    政府委員(小野真魚君) 弁理士一人が処理する年間妥当な件数でございますが、案件によってかなりばらつきございます。件数は、難易がございますので一概に申せませんが、月に十件ないし二十件ぐらいだと考えていただければよろしいんではないかと思います。  それから出願上位企業十社をとりまして、この十社の弁理士さんが年間何件出願しておるかという数字でございますが、特許実用新案だけの数字ははっきり持っておりませんが、四法、特実意商全体で年間約三百三十件という数字でございます。特許実用新案だけに限りますと、代理人の数のダブり等がございましてはっきりいたしませんが、二百件強ではないかというふうに思っております。
  176. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 それから大企業の中の弁理士さんで、先ほど長官は一人でやっておっても実態はまた別だと言われたけれども、一応形式的に考えまして、一人で代理人になっている件数、一番多いのが何件で大体十位ぐらいが何件か。これをちょっと言っていただきたいと思います。
  177. 齋田信明

    政府委員齋田信明君) 特許実用新案を足したものでお答えをいたしますと、大体一番多いのが一万四千件ぐらいでございます。一万件を超えておる方が四人ぐらいでございます。大体そんな感じでございます。
  178. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 一人で一万を超えている人が四人いるというので、それは大変ですが、ただいろいろ実態を見てみまして、何人か名前を出していますね。その名前で割ってみた数字で、それで一人当たり幾らかというのを見ましても大体一人二千件以上、それから多い場合は四千件近いと、こういうように私の得た資料でも出てくるわけですね。こういう実態、これは実際に特許庁特許の実務をやっていく上で果たして本当にうまくいくのかどうか。実際いろいろ必要があって来てもらいますね。呼び出していろいろやりとりする。そういうときに実際、弁理士さんは来れるのか来れないのか。そういう場合にはここでやむを得ず弁理士でない人を呼ばざるを得ないでしょう。そういう実態はありますか。
  179. 齋田信明

    政府委員齋田信明君) ございます。
  180. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 それから、ちょっと数字、これは確認するが、大変多いですね、大体十位以上で見た場合に、それが十社で全出願件数の二二%、代理人がついた件数のうち二五%というと、ほとんど圧倒的多数が大企業の、しかも名前だけという状況で実際の出願が行われているということが事実じゃないかと思うんですね。そして今、弁理士がいないでたまたまほかの人が出てくる。これは実際の特許の実務を特許庁がやっていく上で支障になりゃしないかどうか。それで果たしてうまくいってんだろうか。弁理士がついた場合とつかない場合で同じなのかどうか。むしろ同じだったら、そんな弁理士が特に必要不可欠な制度ですということはなくなってしまうわけで、その辺はどうですか。
  181. 齋田信明

    政府委員齋田信明君) 通常、私ども審査、審判をやっておりまして、いろんな仕事がございます。その中でもちろん大事な仕事、例えば権利範囲等に関する問題、そういう問題のときには当然代理人に来ていただいております。技術説明等ございます。そういう問題は代理人に立ち会っていただくこともございますけれども、発明者の方に直接来ていただくこともございまして、種々な仕事がございますんで、そのときに応じてやっております。
  182. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 実際支障にならないのかどうか、こういう指摘があるんです。私の入手した資料によりますと、先ほど長官言ったとおり、大企業特許課員の中には相当実務にも練達して、一見弁理士以上に手際よくできる人もいるかもしれない。しかし、一方では彼らの知識がたまたまうまくいったケースを唯一のものとし、それ以外絶対受け付けないという偏ったものであったり、公式には認められない便法を合法的手続と混同したり、あるいは特異なケースに当たった途端、なすすべなく立ち往生するなど未熟さを露呈することも少なくなく、公正で円滑な特許行政を進める上で決して弁理士にかわり得るものではないと、こういう指摘がされていますね。これは実際特許実務に携わる皆さんの意見です。この点どうですか。
  183. 齋田信明

    政府委員齋田信明君) 先生今おっしゃったようなケースが完全にないということはもちろん言い切れません。しかし、そういう場合にはまた再びその代理である弁理士さんをお呼びすることもございますし、現実にはそれ一回ではなくて何度も来ていただくというようなこともございますので、そういうことをやっております。  それからもう一つ、もちろん弁理士先生の中でも大変上手な方、それからまた初めておやりになって、かなりおいでになってまごまごされる方ももちろんおられますけれども、それはもちろん弁 理士先生の方がその企業の方々よりは、それは熟達しておられることは当然でございます。先生おっしゃったとおりでございます。
  184. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 実は、私も駆け出し弁護士時代は、法廷へ行ってうろうろしてましてね、随分裁判所に迷惑をかけたことがあるが、それは最初はそうなんですね。そんなものは数カ月あるいは一、二年やってればすぐなれてしまうことですからね。  そこで問題は、今答弁あったとおり、もう一度来てもらうとか、そのことがこの審理の遅延につながっているんじゃないかと、こう思わざるを得ないんです。しかも先ほど指摘したとおり一人で何千件、名前出ている人を割ったって、二千から三千件という、とても個人としては目を通せないような状況、そんな弁理士は、そんなと言うとこれは失礼だけれども、そういう弁理士さん、企業の弁理士さんは、実際今言ったような呼び出されたってそれは説明できないでしょうし、うまく処理できていけないと思うんですね。それがこんな状況で、多く扱っている上位十人で全体の五分の一か四分の一と。だから大企業のこういう代理人、弁理士を見てみれば、その割合は圧倒的に多いと思うんです。これが私が指摘した形骸化だと思うんです。それを改善しませんと、これはせっかく今この委員会で審議している特会なり、かつペーパーレスシステムになりましても、一番大事な人の問題で、弁理士制度というその制度の問題でこれがネックになりはしないか。  逆に指摘したいのは、今こういう状況にあると、形式的な代理人問題がありまして、現在でも形骸化しているそれが、今度ペーパーレスシステムになり、それからより複雑高度になっていきますと、完全に特許庁のそういう状況についていけるのは大企業ですね。そしてまた現にそれは大企業の要望でもあると思うんです。そうしますと、それについていける、あるいは対応できる、要するに直結できる大企業とそれにかかわる弁理士、これは形式的代理、それだけがどんどん先行してしまって、圧倒的多数の弁理士さん、そしてその弁理士さんに頼るべき中小企業なり普通の国民、これは今のままだとますます置いていかれてしまうんじゃないか。ですから、この形骸化という問題はそういう深刻な問題を含んでいるんじゃないかと、こう思うんですが、いかがですかb
  185. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) この点については先生と私、見解をやや異にするんでございますけれども、この特許情報のデータ化、コンピューター化につきましては、中小企業の方が現実的には直接的な利益がすぐ得られるわけでございまして、ギャップがむしろ縮まるんじゃないかと私は思います、弁理士さんも中小企業も含めて。情報の民主化といいますか、大衆化といいますか、あるいはローカル化といいますか、そういうものを含めてギャップがむしろ縮まるんじゃないかと私は期待しておるわけでございまして、結果としてそういうことにはならない。  問題は、ただ情報のアクセスをうまくできませんと、それは理念的には今私が言ったようなことだと思うんですけれども、じゃ現実に端末機が入るのか、どういうふうにどこで利用するのか、そこについて今後十分に検討していきませんと、理屈はそうだけれども現実はそうじゃなかったじゃないかということになりかねませんので、その点は今後の課題として十分認識しておりますけれども、理念的にはギャップがむしろ縮小するんじゃないかと思っております。
  186. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 弁理士制度が形骸化したままでこれに突入しますと、今言われたとおりたしか理念の面ではギャップは埋まるというでしょうけれども、ただ実際ごく一部の弁理士さん、これは何千万か億の単位で収入があるかもしれない。しかし、また圧倒的多数のそれに組み込まれない弁理士さんというのは、年間処理件数百件以下という人が随分ふえておりましょう。そういう人は追いつこうたって事務所体制をそういうふうに持っていけない。そうすると、ますます客が来なくなってくる、利用しようにもできない。となりますと、今ある形骸化というのは、せっかく期待する弁理士体制そのものが今度特許庁の新しい体制についていけないという、そういう状況になりはしないか。そういう心配はいかがでしょうか。
  187. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 確かに率直に言いまして、弁理士さん、かなり厳しい資格試験を通っているわけでございますけれども、お年のことを言っては申しわけないんですが、八十近いあるいは八十過ぎた方もかなりいらっしゃいまして、しかもそういう方で組織でやっていればまだ若い人も一緒に働いているのですけれども、個人でやっているような場合に、なかなかコンピューター、端末機についていけないケースはあろうかと思います、率直に言いまして。それで、ただ特にそういうコンピューターについては、平均的に言えば若さというものがある程度がなり影響しますので、そこは懸念してはいます。ただ、コンピューターの本格的稼働になるのはこれからまだ十年ぐらい先でございますので、その間かなりの時間があるということと、それからそういう零細な弁理士さんについて弁理士会あるいは発明協会、あるいはうちの資料館で十分端末機を備えられるように、提供できるようには考えたいと思っています。  それから、もちろん研修といいますか、研修ということも考えていますので、できるだけカバーはする努力はしたいと思いますけれども、じゃ落ちこぼれが一人もないのかねと言われると、これは年齢構成その他から見て一人もないとは私は断言できませんが、精いっぱいの努力をしたいと、こういうふうに考えているわけでございます。
  188. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 私が心配するのは、そういう年齢の問題とか、たまたま個人の能力や努力の関係でついていけないという人が出てくるのはどこでもあることですよね。それはごく例外なんです。ただ私が心配するのは、今、先ほど申し上げたような形式代理がまさに横行し大勢になっている。そういう中で、それに入り込まれない圧倒的多数の弁理士さん、この人々がその大勢についていけるのかどうか。これは自由業ですから客が来なければだめなんですよ。また能力がなきゃ客も来ない。こういう因果関係にあるんですが、今の実情は先ほど申し上げたとおり本当に年間百件以下。だから過密と過疎が起きているという、そして大多数が過疎の方に来ているということですね。この実態を見なければ、長官答弁したことが全く空理空論になってしまうと思うんですが、そういう実態を踏まえてどうですか。
  189. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 過密と過疎の問題があることも事実でございます。弁理士さんだけの分野をとっても、百人からのスタッフを抱えている弁理士事務所もかなりありますし、それから先ほど申しましたように、一人で自分の住所を事務所としてやっていらっしゃる方も随分いますから、そういう意味でそういう問題が生じていることは事実でございますし、それから先ほども申しましたように、会社、大企業かなり出願がふえたような背景もありまして、一人でかなり件数をやっている、実際は弁理士でないスタッフを活用してやっているような事例も当然あることは確かでございます。  しかし、それじゃこれをどうしたらいいかという課題になりますと結構難しゅうございまして、一人当たりの処理、常識的に言えば年間二百件とか言えるわけですけれども、スタッフを使った場合に、それは完全に一人でやったような場合で、タイプぐらいは外注に出して、あとは自分でやる場合ですから、かなり優秀なスタッフを使えばまた数字が上がってくるようなケースもありまして、弁理士さん自身も場合によってはそういうものを活用していらっしゃって、会社より規模は小さいんですけれども、さっきの会社のようなケースが弁理士さんの仲間でもある程度出ているような事情もあります。  そもそも一体一人で何件以上代理できるか、できないかという線引きが物すごく難しいというようなことで、しかし常識的に見て一人で千件も二千件もというのはチェックできないだろうというのは、これもまた常識なわけです。この辺は率直 に言いまして一つの良識の分野かなあと。もちろん我々も放置するわけじゃないんですが、法律的にこれをがちっとするにはかなり無理も出る。一言で言えば良識の分野かなというふうに考えているわけです。  対策もおいおい、いろんな意味では従来から社員代理の問題あるいは無資格代理の問題についてはいろいろやってきております。実績もあります。特に大企業の場合は出願の十年間における急増問題、それからそれに追いつかない。いろんな意味でそういうような社会的、経済的背景があって、ある程度常識の、違法ではないけれども、常識から見てやや常識的でないという事態が出てくることは認めざるを得ません。これも良識というラインでできるだけ正しい方向に持っていく努力は今後ともしたいと思いますけれども、法律的になかなからっとやるのが難しい、こんなふうに考えておるところでございます。
  190. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 あと後半にやります、もう時間ですから。
  191. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 まず、特許特別会計法案についてお尋ねしたいと思います。  たびたび収支相償ということを原則としてお触れになっているわけでありますけれども、収支相償うというのは、考えてみると、特別会計といわず一般会計といわず、とにかくすべて会計というものの基本的な建前、原則だと思いますね。したがって、収支相償なるがゆえに特別会計であるということは、これは言えないだろうと思います。しかもこれまでの経緯を考えてみると、実績は相当長期にわたっておおむね収支相バランスをしてきたということもあるわけですから、平たく言うとうまくやってきたわけですね。別に不都合があったわけではない。したがって、今回特に特別会計に変えるという必然性も収支相償からは出てこないと思うんです。  改めてのお尋ねになるんですが、なぜ従来うまくいっていたのに今回特許特別会計法案をお出しになったのか、この辺のいきさつを簡単に御説明願いたいと思います。
  192. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 収支相償だけで特別会計の理由にならないというのは、おっしゃるとおりだと私は思います。ただ、この問題につきましては、一つは受益と負担の関係を明確化したいことと、それから長期的な視点に立って効率的な運営をせざるを得ないという点がかなり重要だと思っております。  もう一つは、受益と負担の関係の場合に二つの側面がありまして、一つの側面は、受益があるんだから一般の受益のない人、つまり一般会計から持ち出すのはおかしいという考え方と、今度はもう一つ考え方は、かなりの負担を強いられるんだからそれが一般会計に流れてしまっては負担者としては困るという二つ考え方があるわけで、特に我々の立場から言いますと、今度出願人に対してかなり大幅な値上げを要請しているわけでございます。これはおおむねバックアップしていただいているんですけれども、その際はっきり言いまして、異口同音に皆さんがおっしゃるのは、それは我々は特許制度が迅速的確に動くために、また大事な特許情報を迅速的確にもらうためにある程度の負担はいいですよ、しかしそれはきちっとやってくださいよということをよく言われるわけです。これははっきり言えば全員一致の出願人の方の意見なんですね。  それから長期的、効率的という点について触れてみますと、これは十年間かけた膨大な投資だものですから、いろんな手順とか順序とか前後とかをきちっとしていきませんと非常なむだが出るわけでございます。途中で予算が切れたりしたら、はっきり言って大変なことになって、今までやったことが全く意味がない。極端に言えば、ソフトを開発したってハードのものが入ってこなければ全く空振りになる。そういうことで、それは一年一年の大蔵省の査定の前提ではありますけれども、しかし収入支出がある程度長期的に見当がついて、そうして大ざっぱなビジョンを組んでその中で査定をしていただくということは、我々としても長期的な見通しがついて効率的な事業運営ができる、こういういろんな側面があって今回特許特会をお願いしている、こういうふうに我々は考えておるわけでございます。
  193. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 長期的、効率的にやるというお話なんですが、仮に例えば特許業務近代化十カ年計画というものを閣議で決めて毎年の査定もそれに沿ってやられる。しかも収支の方は、従来の実績に見るように、これからもおおむね相伴っていくであろう。そう考えますと、近代化十カ年計画を決めれば済む話でもあったのです。そういったことも選択肢の一つとしては十分あり得るわけですね。
  194. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) その点だけでいろんな事情がもしなければ、長期的な見通しについてだけ議論していただくならば、近代化十カ年計画というものがあって、これについてはおおむねその負担は料金値上げでやりますよということがあって、そして近代化計画について大蔵省もきちっと認めていただいて、すればその限りではおっしゃるとおりだと思います。しかし、現実になりますとなかなかそうはいかないということもあるし、それから何よりもこういうぴちっとしたフレームワークでないとなかなか現実は動かない。それからくどいようですけれども、出願人の方も非常に要望なさっているというようないろんなファクターを考えると、総合的に、しかも現実論に立つと、特許特別会計が一番妥当じゃないだろうかと、こういうふうに今でも考えています。
  195. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 本音を言いますと恐らくこうだろうと思うのです。大幅に料金を上げるわけですね。そうすると増収になる。あの大蔵省のことだから、どこに利用されちゃうかわからない、これは特許特別会計で守っておかないとという不安感が非常に強い。私、平たく言ってそうだと思うのです。  大蔵省に伺いたいんだけど、もともと今回の特許特別会計というのは大幅な値上げ、しかも十年間にわたってさえも予想される料率の値上げ、それを片方に置いたある意味ではやむを得ざる人心安定化措置なんですね。こうなってくることに対してどうお考えになりますか。
  196. 的場順三

    政府委員的場順三君) 先ほどの御議論にもございましたように、収支相償ということだけではないと思います。しかし特許現状を見ますと、放置すれば相当大幅に審査期間が長引いて国の経済の先き行きに対して不安感を与え、あるいは対外的にも問題になる可能性がある。では、おっしゃるように一般会計で大幅に歳出をふやすことができるかという話になりますと、これは確かにバランス論がございます。  そこで、おっしゃるような意味で、一般会計の方で見ればいいという考えもあり得ますが、そこはバランスでそれぞれ重要施策がございます。  それから、まあ通産省の方のお考えとしては、あるいは先生おっしゃったような、一般財源とした場合には過去に若干使わせていただいておった例もございますので、そういう点もお考えになったのかという点は、それは裏側の事情としてあろうかと思いますけれども、事柄の重要性でこれは急速に整備をしなければならないという観点から参りますと、受益者負担という建前のもとに施策を充実していく、そのために特別会計を設置するというのは非常に理由があることであるというふうに考えた次第でございます。
  197. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 受益者負担ということで考えてまいりますと、まず収支分けていきますと、恐らく特許庁の仕事の支出の側を見ますと、大きくくくってみればこうだと思うのです。  出願審査特許登録、これが一つですね。二つ目は特許情報サービス、それから三つ目はいろんな審判、不服審判等も含めて、この三つだろうと思うのです、大きくくくれば。出願審査特許登録、これの受益者、これは言うまでもなく出願者でありますし、その負担が出願料、特許料、登録料という格好で見合っているのはこれはわかるのです。では不服審判等含めた審判、これは百六十九条で費用負担決めておりますから、それも適正 な考え方で負担を求める。ではしからば特許情報サービス、この費用負担はないんですね、今でもただで閲覧できるのです。したがって、受益者負担ということになると、特許情報サービスだけがなぜ負担がないんだろう。これはいろんな政策的な配慮があると思うのですよ。  したがって、特許情報サービスは、なるほどある受益者に対して負担を求めるべきであるとおっしゃったように、中小企業の方が大変メリットを受けるのです。という意味のメリットは確かにあるんですから、負担を求めるということになるのか。中小企業だって税金を納めているんだから、一般会計で吸って、その分は一般会計で埋めて、一般会計を含めた収支相償というのが本当の意味受益者負担も踏まえた公正な制度の立て方ではないか。どっちかの議論になると思うんです。今のところは特別会計でくくってしまいますと、特許情報サービスの方はただで、負担なしでサービスが流れていく。いかにも片手落ちに映るんですが、この点についてはどうお考えになりますか。
  198. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) やや先生特許情報出願審査と若干切り離されちゃった感じがございまして、実は我々としてはある意味では特許情報というのが特許行政の根幹だとさえ思っているんです。  それは、まずその情報は何のために使うかというと、ちょっと言い方は逆転するかもしれませんけれども、第一次的には実は特許庁審査の迅速的確のために構築するわけでございます、その特許情報は。民間にサービスするために第一次的にやるわけじゃありません。しかし結果として、何も順序はないわけですが、結果として民間に、非常にニーズが高いものですから、我々はサービスをしたい、こういうことになるわけです。  一方、民間の方も、じゃその特許情報サービスを何に使うのかというと、これは特許庁ほど一義的じゃないと思うんです。二つあると思うんです。一つは自社の特許申請を合理化したいということだろうと思いますが、もう一つは、それと絡みますけれども、技術開発戦略の構築に役立たせようという二つのねらいがある。  いずれにしましても、特許庁及び民間企業にとっても特許情報サービスと特許申請とか発明活動というのは密接不可分だと我々は思っているわけです。したがいまして、ここだけ受益者負担がないんじゃないかというふうには私どもは理解してないんで、一体のものとして考えている、こういうふうに思っておるのでございます。
  199. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 今おっしゃったことを平たく言いますと、特許権は保護してもらったけれども、ちっとも情報として流してくれなかったら特許権の意味なさぬではないかという意味では、出願者の利益にもなりますし、それに負担を求めることで大体話が丸く回っていくんだという意味だと思うんです。だけれども、特許の実施権――特許を得て出願者以外の人間が特許権を行使する権利のことですけれども、特許の実施権というのは、中を割っていきますと、法定実施権と強制実施権と許諾実施権と三つに分かれておりますね。問題はこの強制実施権なんです。  出願者が幾ら嫌だと言ったって、それが公共の福祉に役立つとなればやれと、こうなるわけでしょう。ですから、特許というのは出願者の利益をなるほど守るんだけれども、同時にこれを公共の福祉のためにどうやって生かしていくか。強制力を持った面がありますよね。だから特許法には特許権の「利用」ということをわざわざ一条に書いてあるわけです。したがって、出願者の利益即特許情報サービスを潤沢かつ的確迅速に流すというぐあいに短絡もできない。しかもそこにある受益関係があることはだれも否定ができない。  そこで、受益とおっしゃったんだから、この受益関係はどう考えたらいいのか。現実には、そうはいったって出願者の方にたくさん持っていけば収支相償でいけるんだ。いけるというのは実務関係で。少なくともこれだけの特許業務があります、それをだれの負担で賄っていくのかというのは、それなりにきちんとした議論をしておかないといけないところでしょう。今度は特許特別会計ということになると、その部分はもう切断して、今の特許料収入等全部ひっくるめて、それで賄いますということだから、特許情報サービスは将来ともただになる。しかも一般会計からは全然入ってこないんだから、まるでこの部分が積み残しになる。というのは、どこかおかしいと思いませんか。  しかも、これまでが収支相償でうまくやってきた。これから一般会計の中でそんなに特許業務だけ突出して予算くれませんというお話ですが、特許料収入を大幅に引き上げていけば、そういった予算だって組めないことはない。本当は従来のやり方の中で、特許業務近代化十カ年計画をつくって、それを足がかりにして料率値上げを国会に提案して、それでやってまいりますということになれば、むしろ従来の方が膨らみがあっていろんな受益関係を何となくふあっと包んでいくようなうまみがあったと思うんだけれども、いかがですか。
  200. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 大変難しい質問を受けております、率直に言いまして。ただ、私も理解がまだ十分できてない点もあるんですけれども、一つの見方として、特許情報についてはそれが価値があるんだ、必ずしも出願人と一〇〇%リンクしているんじゃないんじゃないか、したがってその部分については一般会計で負担してもいいじゃないか、一般公衆のためにそれは利用される部分もあるんじゃないか。こういうようなお考えも背景にあるんじゃないかと思うんですけれども、二つの点で必ずしもそう割り切るわけにもいかない。  と申しますのは、これは先ほど申しましたように、第一次的には審査チェックのバイタルな生命線なんですね。それで企業で言いますれば、バイブロダクションというんですか、副産物利用という見方もできるわけです。ですから、仮に公衆にサービスしようがしまいが、我々としては特許審査上、どうしてもつくらなきゃならない必然性を持っているわけでございますね。したがって、その部分を分けて、これは一般会計負担だ、これは出願人だというのはなかなか言えないんじゃないだろうかという気が一ついたします。  それから企業の方の特許情報の利用というのと、それは厳密に言えば、理念的には一部違う面が出てくるんです。ところが、現実は中小企業を含めまして、率直に言いますと、特許グループというのがあるんですね。大企業は全部反復して特許を利用し、情報を利用している人たちです。それから中小企業の方も、率直に言いまして、第三次産業とかいうのはほとんどゼロに近くて、みんな製造業です。しかも製造業の大体レギュラー的に我々のところに出入りというと変ですが出願する人は製造業の中の、七十万あるといいますが、大体四万から五万件の企業、これもほとんど反復しているわけです。したがって、言い方は悪いんですけれども、特許グループというんでしょうか、特許にしょっちゅう介入しているというところに着目しますと、これは情報だから違うんだ、これは審査出願、審判だから受益者がちょっと違うんじゃないかというのは、理論的にはわかるんですけれども、現実処理になりますと一体になっちゃって不可分になっているんじゃないだろうか、こういうふうに思うんです。ちょっと見当外れでお答えになっているかどうかわかりませんけれども。
  201. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 特許庁がおつくりになった「特許行政の抜本的強化と財政基盤の整備について」という資料なんですが、拝見しますと、「特許情報は、経済社会に不可欠な価値の高い情報であるにもかかわらず」云々とあります。しかも今回コンピューター化することによって特許情報そのものが非常に質の高いものになる。これは今回の十カ年計画のいわば目玉の一つなんです。それは特許業務から付随的に生まれてくるサイドビジネス的というにしては、今度のまさに目玉なんですね。だから、いいんですよ、やることはいいんだけれども、これを特別会計でくくって、まあ出願者頼 むぜと。それで出願者の方が、そういつだって大蔵省当てにならないから利用されないように頼むぜというのはどうなんだろうかというんです。  私は、この法案賛成であります。なぜ賛成かというと、今の行政の実態を見ると、それはそうだろうなと思うんです。思うんだけれども、本来そんな格好でいろんな一般会計特別会計が組み立てられていくというのは果たしていいことなんだろうか。特別会計というのは必要最小限度、あとはなるべく一般会計の中で、しかも五カ年計画、十カ年計画を使いながら、なるべく財政の柔軟性を保ちながら長期的な課題にもこたえていくというのが私は本当だと思うんで、内心では嫌な法律出しやがったなという気がするんだけど、実態から言えばそうなんでしょう。そうなんでしょうけれども、果たしてこれでいいんだろうか。この法案はこの法案として大蔵省の方にもお考えいただきたい気はいたします。これは私の意見だけにとどめます。  あとは手数料の問題でひとつお尋ねをしたいんです。  今回いろんな書き方があるんですが、一番典型的なのは、例えて言いますと、不動産の鑑定評価に関する法律を例にとりますと、従来は「政令で定めるところにより、三万五千円を超えない範囲内で政令で定める額」、それを今度は「実費を勘案して政令で定める額」、こう変えるわけですね。「実費を勘案して」というのはどういう意味なんでしょうか。
  202. 的場順三

    政府委員的場順三君) 「実費を勘案して」というのは、平たい言葉で言いますと、実費を考慮してということになりますから、考慮してという考え方から言いますと、実費を基準にして上下に幅があるのではないかという考え方になるかと思いますが、従来「勘案して」というのは、すべての法律例で「勘案」という言葉が使われております。ここで我々が使っております考え方は、実費を基準として端数整理的な意味での調整はあるけれども、ほぼ実費に等しい額でという意味で使っているつもりでございます。
  203. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 したがって、「実費を勘案して政令で定める額」というのは実費の近似値でありますという意味ですね。  そこで、昭和五十六年、各種手数料等改定に関する法律案に対する附帯決議、衆参両院でついておりますけれども、そこの中で「法定の手数料等と政令等で定められている手数料等との調整についても検討すること。」、これは衆議院であります。参議院の方は、「各種手数料等の金額については極力政令等にゆだねる方向で検討を進めること。」、こういう附帯決議がついているわけですね。今回の御提案はこれに沿っているんだという御説明だと思うんですが、この附帯決議のもう一つのところで参議院のを読みますと、「各種手数料等の算出に当たっては、政策要素、応益要素等をも含め、費用負担の適正化を期するよう十分検討すること。」、こうなっているんです。  そこで、この「費用負担の適正化」、意味するところは、政策要素と応益要素をどうやって評価しながら最終的な負担を求めるかという意味だと思うんですが、それは今言われた実費の近似値にいたしますという今回の規定といささか食い違うと思うんですね。実費の近似値ということは、応益負担だけを強調した内容ですよね。そうすると、政策的負担というのは、今回は全然入っておりません、大まかに申し上げまして。従来ですと「三万五千円を超えない範囲内で政令で定める額」ですから、範囲内で選択肢は幾つもあるわけですから、そこで政策的な要素、配慮を加えることはできたけれども、今度は違います、計算できっちりはじくんですと、この辺の違いですね。政策的な要素というのを何で今度はそぎ落としてしまったのか。
  204. 的場順三

    政府委員的場順三君) 手数料は、本来国が特定の者のために特別のサービスを提供する場合に、その費用を租税などの一般財源に求めることなく、そのサービスを受ける者からその費用を補てんしていただくというために徴収するものであると思います。したがいまして、手数料についてはその当該行政事務を行うのに要する実費というものをまず基本にして単価設定を行うことを従来からも基本にしておりますので、原則的に言いますと、適正な負担というのは実費主義によるということが適当だということで、「実費を勘案して」という条文になっているんでございます。  ただし、今おっしゃいました御決議にもございました応益負担、あるいは政策要素ということもございますので、実は法律は書き分けてございまして、実費の範囲内で政令で定める額というふうに書き分けてある条文もございます。その部分は従来からもそういうふうな考え方で来ておりますが、例えば福祉であるとか教育等の観点から、実費どおりに手数料を徴収することが必ずしも適当でないというふうに考えられるものについて、そういった要素を考えまして、実費の範囲内で政令で定める額というふうにさしていただいたもので、ただ原則はできるだけ実費をちょうだいするという考え方にしたために、法律の構成上は「実費を勘案して政令で定める」という条文が多くなっておりますけれども、御決議の趣旨は考えたつもりでございます。
  205. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 そこで、実費というのは一体何ですか。実費の範囲内で、あるいは実費の近似値でという、いかにも実費が既定のものとして手にとればわかるような感じでついつい話しがちになるんだけど、実費というのはどうやってつかむのか。これはわかるようでわからないんです。実費というのはいわば一つのフィクションでして、ある推定をするとこれが実費かもしれないなあ、その近似値を誤差の範囲内最小にしながらどこまで詰めていけるかなあという理論仮定が実費でしてね、したがって法律案に「実費」と書かれただけじゃ実は何にもわからないんです。  で、もう時間なくなりましたから一つだけ伺うんですが、この実費について今回はこういった書き方になりましたね。従来だったら、ある一定額の金額が書いてあって、その「超えない範囲内で政令で定める額」となっていますから、問題点があらわに出ないんだけど、今度は「実費を勘案して」でしょう。実費の近似値でしょう。実費のはじき方、はじき方はどうするかというマニュアルぐらいは、各省に示すと同時に僕らにも御提示なさる必要があったと思うんですが、この点だけ伺います。
  206. 的場順三

    政府委員的場順三君) 確かに各省とは実は御相談をしておりまして、それぞれの手数料につきまして、確かに先生おっしゃいますように実際の実費というのは一体幾らかという話、これ大変非常に難しゅうございます。したがって、その近似値があるいは理論値にならざるを得ないわけでございますが、その理論値についてはできるだけ合理的な考え方をするようにしておりまして、予算に計上されております人件費、その人件費の中で当該事務にかかわる分は幾らあるかということを割り掛けまして、まず人件費を出す。それ以外の庁費につきましても、当該事務に係る庁費についてそれぞれの要素を勘案して積み上げる。それで全体の事務に要した時間数で割り掛けるというふうなことを考えて、各省と相談しながらやっているわけでございまして、国会に確かに個別の計算の仕方についてお配りしなかったのは、当方のあるいは手落ちかもしれませんけれども、決してこれで大蔵省として何か若干高目の手数料を設定して、手数料を負担される方に重い負担をしていただこうということを考えているわけではございませんので、御容赦いただきたいと思います。
  207. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 結構です。
  208. 青木茂

    ○青木茂君 私は、商標登録についてお伺い申し上げます。  商標登録というのは非常に時間がかかるわけでございます。一つの実例で申し上げますと、ある商標登録出願が五十六年の四月二十四日にお出しして、ようやく五十九年の五月一日までに払えば登録になる、公告が五十八年十一月二十八日と、こういうことになっているわけですから、物すごく時間がかかるわけですね。そしてそれを今回の 措置でできるだけ短縮しようという御趣旨がこの法案の中にありますね。どうなんですか、再確認しておきますけれども、どれぐらいこれは短縮されるものなんでしょうかね。
  209. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 現在は大体二年ぐらいかかっておるわけです。それで、もちろん最後の登録までになるとまた手続がちょっと要りますけれども、決定までには二年ぐらい。これを目標としては一年六カ月ということに置いております。ただ、なかなかいろんな問題がありまして、暫定的には、中間目標としては一年七カ月ぐらいをセットしておりますが、最終的には一年六カ月ということで、それ以降はできるだけ短い方がいい。だから、一年六カ月までは現実ターゲットとして我々持っています。しかし、それで満足しているかというと、別に満足してはいませんで、さらに短くしたいということですけれども、具体的な一年というターゲットはまだそこまでできる段階に至っておりません。
  210. 青木茂

    ○青木茂君 こういうものは当然慎重にやっていただかなければいけないんですけれども、余りそれが長くなりますと、これだけのことをやっても二年のものが一年六カ月、大して短縮されないなという気がしないでもない。  それと、前々から問題になっておりましたお医者さんのレセプトに至っては一件七秒である。その落差が余りにも大きいではないか。両方とも慎重にやらなきゃいけないものなんだけれども、落差が非常に大きい。仮に二年なら二年といたしますと、その二年の間に出願者の運命が狂ってしまうケースすらあり得るわけなんですね。  一つ実例を挙げましょう。これは済んだことですから仮名でいいですね。仮にA氏としておきます。A氏は、年来の考え方といたしまして、日本の社会保障にはある程度自助努力が必要である。そのためには保険というのを、いわゆる個人金保険というのか、今までは死んだとき払う生命保険、それを生きている間にもらう保険という意味で生活保険という名称をつけて、それを前々から学術雑誌その他に発表しておったわけですよ。ところが、ある保険会社がこの生活保険の何々会社というわけで大々的にキャンペーンをやったわけです。そうなりますと、その生活保険という言葉を使ったA氏としては、生活保険ということを言うと、その社の、一つ会社のPRになってしまうんで、もうこの名称を使えなくなった。それで、そのことをその保険会社に抗議というか、そういう意向を漏らしたわけなんですよ。  そしたら、こういう返事なんですね。「登録申請はいかなる用語につき、何人がしようと形式手続を踏めば、可能であって、申請のみでは、何らの効果はなく、出願が公告され、登録されて始めて効果を生ずるものであって、右「生活保険」なる用語が登録の対象になるとも思われませんし、万一、公告にでもなれば当然異議の対象となるものと思料いたします。」と、こういうことなんです。  これは争いの理由にはなるわけなんですけれども、そこに二年なり三年なり期間があるわけですね。期間がありますと、大きな会社ですからあの手この手でいろいろなアタックがある。そういう中で、社会保障全体としてやろうと思ったことが一つ会社のPRになるなら意味ないというわけで、その人はそういうことにライフワークをかけようとしたのをやめちゃったわけです。職業転換をしてしまったわけですよ。そういうケースが実際あるわけなんです。  そうなりますと、時間がかかるから、出願から公告に至るまでの間の出願者の権利みたいなものですね、それを何とか保全するというのか、保護するというのか、そういう方法はないものでしょうか。
  211. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 当然すぐ考えつくのは、先願権というやつでございまして、これは商標もそうですけれども、特許実用新案もみんなそうですけれども、先願の地位というのは、仮に一年半か二年でやるとしても、一年半に先に出たか出てないか、商標で言えば、他人が仮に周知商標を持っていると負ける場合もあるんですけれども、先に出しても、しかし、それはあくまで周知商標になった場合には、出願より前だとか、そういうような先願権というものは当然維持されるわけでございます。それから公告になった段階からいえば、損害賠償請求権というのが発生いたします。それから登録になると、今度は御承知のように排除権とか仮差し押さえの問題もどんどん出てきます。  だから、そのときどきに応じて権利の態様は異なりますけれども、まるっきり最初から、出願のときから影響力がないというような構成にはなっていないわけでございます。
  212. 青木茂

    ○青木茂君 そういたしますと、この文面はどうなんでしょう。「登録申請はいかなる用語につき、何人がしようと形式手続を踏めば、可能であって、申請のみでは、何らの効果はなく」と、ここのところですね、これはいかがでしょうか。
  213. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) その意味、その書いた人の使っているものの排除権はないよということは言えると思います、確かに。
  214. 青木茂

    ○青木茂君 書いた人は、これはちょっと御説明しないとわからないが、本題をそれますけれども、これは何かの機会で大蔵省の保険局長に別の機会に伺いますから御準備を願いたい。  簡単に言ってしまえば、ライフ・インシュアランスという言葉を、会社の方は、生命保険と訳しても生活保険と訳しても訳し方の差である。ところが、出願者の方は、生命保険というのは死んでからもらうやつで、生活保険というのは、いわゆる個人年金として生きておるときにもらうんで全然性格が違うんだという、固有名詞か普通名詞かの論争ですから、これはここの問題ではないわけですけれども、そういう問題とあわせていけば、「申請のみでは、何らの効果はなく」という文面ですね、文面は必ずしも正確ではないということは言えるでしょうか。
  215. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 先願権はあるけれども、申請しただけで、おまえはまだ権利化してないし、公告決定にもなっていないんだから、おれが使おうということに差し止め請求とか損害賠償とか言ってくるのは困るよと、こういう意味なら正しいと思います。
  216. 青木茂

    ○青木茂君 それでは、その次に移ります。  「出願が公告され、登録されて始めて効果を生ずるものであって、右「生活保険」なる用語が登録の対象になるとも思われませんし、万一、公告にでもなれば当然異議の対象となるものと思料いたします。」、ここのところはいかがでしょうか。
  217. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) これは大体正しいと思います。異議は何人もできるということですから、異議の対象になるのは当然だと思います。したがいまして、おおむね正しいと思います。ただ、今の問題は、ちょっと商標のジャンルかサービスマークのジャンルかという議論はあると思います。そういうあれはありますけれども、本質的にはそう変わるものじゃありません。
  218. 青木茂

    ○青木茂君 そうすると、今の問題は、最近になりまして正式に登録されたわけですよ。その場合の異議ということになりますと、法律的にはどういうことになりますか。
  219. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 異議を出す方は、一定の異議の出す期間がありますから、その期間に異議が出れば、審査官としてはその異議に理由があるかどうかはチェックせざるを得ません。しかし、その期間を過ぎますと、自動的に登録になります。そういうような意味合いになります。
  220. 青木茂

    ○青木茂君 まあ、これは一つのケースで申し上げましたけれども、私が申し上げたかったことは、余り出願から登録までに時間がかかるということは、その出願者の進路というものに非常に大きな影響を与える、与えるからこれを短縮、二年を一年六カ月とおっしゃらずに、本当に急スピードで短縮する方向に持っていっていただきたい、こういう願いの例で、この事件そのものはどうだこうだというものではございません。できるだけひとつ短縮していただきたいと思います。  そこで御質問を変えます。  日本の場合、外国に比べて出願件数が非常に多 いというお話がございましたね。なぜ多いかということは五つほど理由があったようですけれども、この内訳はおわかりでしょうか。例えば特許実用新案と商標と、あれ四十万件ですか、その中でどういうふうな割合であるか。
  221. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 先ほど申しましたように出願が非常に多い、全世界で百万件出ているうち四十万件が日本だという意味合いの四十万というのは特許実用新案の合計で、意匠、商標は含まれておりません。  商標につきましても、特許ほどではないんですけれども、国際的に見て出願件数が非常に多いということはもう同じような事態にあります。
  222. 青木茂

    ○青木茂君 特許等はいろいろないわゆる発明ということを伴いますからこれは仕方がないにしても、今問題に出しました商標とか意匠、これは僕は多分に思いつきというのかそういうもので、もう全く何のためらいもなく出願してしまうという実情があるんではないか。それが異常にこの出願件数を何か膨張さしてしまう、だから料金も上げなきゃならなくなるというようなことになってしまうんではないかという気がして仕方がないんです。  ここに私、これは商標ですか、これの五十音順に並べ変えたデータがあるんですけれども、例えば「セイカッシャ」なんていうこと、こんな言葉まで出願になっていますね。「セイカツシャ」とか「シュフトセイカツシャノハジメテノセイカツエホン」なんていうのも出ていますよね。それから「セイカツ」という言葉まで出願されている。「セイカッブンカ」だとか「セイカツキョウイク」だとか、もうだれが考えても普通名詞だと思うものがどんどんどんどん出てきてしまっている。ここを何か最初の事前のところで、こんなのだめだというふうに仮にチェックできれば、これはかなり事務的な手数も減るんじゃないかと思うんです。とにかく出しさえすれば、正規のプロセスでもって全部審査はやらなきゃならぬわけですか。
  223. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 先生の今おっしゃったのはやや特異な分野なんです。商標といってもたしか三十四分類に分かれていまして、今先生のおっしゃったのは雑誌のたぐいだと私は思います。したがいまして、薬の場合とまた全然世の常識というのが違っていまして、薬ではとても認められないものが雑誌では認められる。これは一つは商標の場合、経済の実績といいますか、過去の経緯とか、いろいろなものを反映しないと秩序が保てませんので、聞いている先生方には生活と何とかというのは何で区別できるのかとか、一般名詞じゃないかとおっしゃいますけれども、雑誌という分野でそういうやや特異な現象がありますことは御了解いただきたいと思います。  そしてまた、その中で最後におっしゃった、申請があればみんな審査しなきゃいかぬのかというのは、もうそのとおりでございまして、残念ながら全部処理しなきゃならないと、こういうことでございます。
  224. 青木茂

    ○青木茂君 いや、実は私は、日本件数が非常に多いというのはマスコミの世界に非常に多過ぎるんじゃないかということなんですね。何となく思いついたものを全部登録しちゃって他社に使わせないようにするというようなところがあって、どうももう少し何とかならぬかという思いが常々したから申し上げたわけです。時間が来つつありますから次に申し上げます。  コンピューターをお入れになる。そうするとコンピューター化されまして、これが完全に稼働するまでを十年とお見込みですか。そうすると、それまで依然として二年だ、三年だという長期のあれがかかるんですけれども、コンピューターが作動するまで何とかこの二年というものを少しでも縮めていく、料金引き上げも一つの縮め方かもしれませんけれども、そういうことじゃなしに、事務能率を向上させるという意味で縮めていくという何か方法をお考えでございましょうかどうかということです。
  225. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 先生のおっしゃったのは当然でございまして、コンピューターができるまでただのんびりしているという気持ちは全くありませんで、現実論として、商標については、特許実用新案の方は残念ながらこの二、三年延びているんですけれども、商標関係については着実に減らしております。期間を逐次短縮しています。それをさらにコンピューター化によりまして一層促進しようということで、日々の日常活動の中で一日でも短くしたいという努力はあらゆる努力を傾けております。それで成果も上がっております。
  226. 青木茂

    ○青木茂君 そのあらゆる努力の一例はございませんでしょうか。
  227. 野崎紀

    政府委員(野崎紀君) 商標に関しましては、昭和五十一年から文字の商標に関しましては機械検索、コンピューターによりまして検索を始めておりまして、五十七年からは分類にわたりまして文字については検索を行っております。それが一例かと思います。さらに図形商標につきましても、同様にコンピューターによる検索ということを実現いたしたいと思いまして、これからの計画の中に入っています。
  228. 青木茂

    ○青木茂君 これは私が商標、商標と言ったけれども、これからの質問は商標だけでなしに全部を含めていただきたいんです。  とにかく、くどいようですがもう一回申し上げますけれども、時間がかかり過ぎるということは非常に影響するところが各方面に大きいということだけはくどくも辛くも念を押しておきたいと考えております。  それからもう一つ収支相償ですか、ちょっと一般の辞書にないような言葉なんですけれども、要するに収入支出のバランスということですね、簡単に言ってしまえば。そうすると、特別会計になさって収支相償で剰余金が出た場合、これはどう処理なさるおつもりですか。
  229. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) これは原則として翌年に繰り越します。
  230. 青木茂

    ○青木茂君 大蔵省の方で欲しいと思いませんか。
  231. 的場順三

    政府委員的場順三君) こういう財政事情でございますからお申し出ごもっともでございまして、そういう考え方もないわけではございませんが、ただ、この特別会計をつくりますに当たりまして、通産省ともよく相談をし、これはこういう時代の要請に応じて特別会計を設置するのであるから、たとえその剰余金が出たとしてもそれは翌年度に繰り越し、またその料金をどういうふうに算定するかというような見直しのときもございますでしょうし、またその歳出をどういうふうに考えていくかということもございますので、原則として一般会計繰り入れていただくということは考えておりません。ただ、先々の話、恒常的にという話になりましたときにまたよく相談をするということでございます。
  232. 青木茂

    ○青木茂君 これから情報化時代でどんどんどんどんこういうものがふえてくるとすれば、これは剰余金、電電並みに出るかもしれないんだから、そのときは大蔵省いただけるようにしておいて、原則としてというのはぴしっと押さえておいた方がいいですよ。それをもらえれば増税しなくて済むかもしれないんですから、余り増税増税言うよりも、そういうところからもらう原則を立てていただきたいと思いますね。  それから最後になりますけれども、これは大蔵省の方に念を押しておくということでございます。先ほど受益者負担特別会計をつくることは大いに理由があるとおっしゃいましたね。これは一般論として確認できますね。
  233. 的場順三

    政府委員的場順三君) 大変難しい御質問でございまして、受益者負担のものがすべて特別会計になじむかどうかという話は、それはその全体の規模であるとか、それからその長期的な見通しであるとか、そういったものを総合的に勘案する必要があると思いますが、本件の場合は、私は少なくとも特別会計として運用していくにふさわしいものであるというふうに考えております。
  234. 青木茂

    ○青木茂君 そういたしますと、先ほど大蔵側がおっしゃったのは、本件の場合に限りという意味 ですか。受益者負担特別会計をつくることは大いに理由があると。これはちょっと議事録との問題も絡んでくるけれども、本件にという前置きが入りましたかね。
  235. 的場順三

    政府委員的場順三君) それは今も申し上げたのと同じトーンでお答えしたと思いますが、特別会計にする必要性でございますね。それと、またそれから臨調答申というのが別にございます。できるだけ特別会計というのはという臨調からの答申がございますので、そういったもろもろの事案を考えて、なおかつ受益者負担という要素もあるわけでありますので、本件の場合は収支相償原則特別会計をつくり、早急にコンピューター化及び時代の要請に即応するような形で特別会計を設置することは意味があるというふうに考えておる次第でございます。一般論として全く同じようなケースが出てきた場合には、それは恐らくこれは前例になりますからそういうことになると思いますが、すべて受益者負担であるものは特別会計になるということではないと思います。それはもろもろのほかにも考えなければいけない要素があるということでございます。
  236. 青木茂

    ○青木茂君 では、この本件というものを一つの例といたしまして、とにかく受益者負担という理由がつくならば特別会計をつくることは考慮の余地はあるというのか、考慮の対象になるというのか、議論の対象になるというのか、それは考えていいですね。
  237. 的場順三

    政府委員的場順三君) 財政法特別会計を設置することができる場合というのは、三つ原則がございまして、特別な事業を行う場合、特別な資金を持ってそれを運用する場合と、それから特定収入をもって特定歳出に充てるということでございますから、それは議論の対象になると思います。なると思いますが、ただ全体としての特別会計の数をふやさないとか、臨調で一般会計の一覧性等を損なわないといったようなこととの調和の問題がございますので、それらも含めて議論をするということになろうかと思います。
  238. 青木茂

    ○青木茂君 もう時間が参りましたから、最後に、特別会計はできるだけつくらないというのが基本ですわね。だから、そういう基本があるときに、財政再建、財政再建と言っているこの国会で特別会計の議論が出てくるというと、我々としては非常に違和感を感じることは事実なんですよ。だから、余り特別会計を乱造しないようにということだけは念を抑さしていただいて質問を終わります。
  239. 的場順三

    政府委員的場順三君) 一言。  特別会計の数をふやさないということはもう仰せのとおりでございまして、本件もスクラップを考えて全体としての数がふえないように運用しております。
  240. 青木茂

    ○青木茂君 終わります。
  241. 野末陳平

    ○野末陳平君 まず、司法試験に関することからいくのですが、最近いわゆる外国人弁護士といいますか、日本人でない人が日本の弁護士事務所などに勤めまして、結構給料もらって仕事をしているという例が多いと思いますが、これはどうなんでしょう。実態はかなりわかっているんでしょうかね。
  242. 原田明夫

    説明員(原田明夫君) お答え申し上げます。  我が国におきまして、外国の弁護士と申しますか、法律家の資格のある人で日本の弁護士としての資格を有しない方々の活動の形態というものにつきましては、幾つかのものが考えられるだろうと思います。その一つは、外国の企業等の社員としてあるいは外国企業の社内弁護士として日本に滞在しておられる方、こういう方々が一つのグループ。それから二番目といたしましては、ただいま先生御指摘になりましたような日本の弁護士、日本で資格を持っている弁護士の法律事務所に雇われて、クラークと申しますか、事務員と申しますか、そういう形、あるいは研修員というような形で勤務している人たちという方がおります。それからさらには、比較的短期間特定の案件処理のために日本に滞在しているというような方々がおられると思います。  いずれにいたしましても、このような日本の資格を持たない外国の法律家につきましては、現在のところ法務省も監督する立場にございませんので、その実態を必ずしも掌握しているわけじゃないわけでございますが、いろいろなところで紹介されておるものを見ますと、このうち日本の法律事務所に雇われている外国の法律家の数は、数十名とも、また場合によっては何名を超えるとも言われている実情でございます。これらの方々は、主として外国の法律に関する下調べと申しますか、調査的な事務をやり、あるいはまた外国文で作成されます各種文書の起案等の仕事をしているというふうに承知しております。ただ、現実にどういう活動をやっているかということにつきましては、その実態を完全に掌握しているわけではございません。
  243. 野末陳平

    ○野末陳平君 かなり日本側にそういうニーズがある、そして重宝されているだろうということも想像できますけれども、実際はどうなんでしょう。それが日本で資格を取ったいわゆる日本人弁護士の業務を圧迫するとか、競合して今後大変だというような認識を日本人の弁護士が持っているのかどうか、その辺についてはいかがでしょうか。
  244. 原田明夫

    説明員(原田明夫君) その点につきましては、私ども現在、弁護士の団体でございます日本弁護士連合会の担当の方々と折に触れて話をするのでございますが、現在における姿が日本の有資格者と申しますか、弁護士の業務を圧迫する、あるいはそういうおそれがあるというふうな認識があるとは聞いておりません。むしろいろいろな形で助けてもらっている、役に立ってもらっているというふうに承知しております。
  245. 野末陳平

    ○野末陳平君 となりますと、日本で弁護士資格を持たなくても外人がそれなりに役に立ち、協調していけるのだったらば、それはそれでいいと思いますが、今後もしこれがふえていくなんていうことになった場合に問題が出るかもしれない。あるいは別に日本の司法試験をそういう日本人以外が受けてここで資格を取って弁護士を開ける、こういうようなことも考えられるのですか。
  246. 原田明夫

    説明員(原田明夫君) 将来どういうふうにこの外国の有資格者の活動の余地を認めていくかといいますか、どういうふうに対処していくかという面につきましては、いろいろ難しい問題もあるようでございます。と申しますのは、最近の実情でございますと、主としてアメリカを中心といたしまして、外国の大きな法律事務所から直接日本事務所を開きたいというような意向もあるようでございます。それに対しては、現状はできないことになっておりますので、それに対してどういうふうに対処するかという観点から検討すべきだということで、現在、日本の弁護士の活動につきまして大幅な自治的な機能を持って活動しております日弁連で真剣な討議が行われているというふうに承知しております。その過程でどういうふうにこれから外国の弁護士資格析の活動問題というものを取り上げ、かつ対処していくのかということが明らかになっていくだろうというふうに承知しております。  それから後段のお尋ねでございますが、外国人でも現在のところ司法試験を受けさせないという建前ではございません。受けたいという希望がある方には受けていただいておりますし、現に合格された方もございます。また司法研修所におきましても、これは最高裁の方の所管でございますけれども、外国人であっても司法試験に合格した者につきましては、これを司法修習生として受け入れて。研修してもらうという道もございます。
  247. 野末陳平

    ○野末陳平君 日本の司法試験を受けて合格した人については、外国人でも問題ないと思うんですが、外国の資格というのは必ずしもそれが日本的な意味で有資格者と言えるかどうか、非常にいろいろと事情があるようですから、それについてはやはり検討は要ると思うんです。しかし長い目で見れば、外国の弁護士、外人弁護士といいますか、そういう人たちの力も必要になってきて、またそういうニーズも出てくるだろうと思うから、 そういう方向はいずれ認めざるを得ないといいますか、日弁連との話し合いもあるんでしょうが、趨勢はそうだろうと思うんですが、そんなところの見通しを最後にお聞きして、次の質問に移ります。
  248. 原田明夫

    説明員(原田明夫君) その点につきましても、私どもの立場として現在、こうあるべきだということにつきまして、とりあえずはこの問題につきまして自治的に機能をもって解決すべき日弁連の検討結果を見守っているという段階でございまして、政府として、あるいは法務省としてこうだというラインはなかなか出しづらい段階にございますので、その点御了承いただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、基本的に先生御指摘のとおり、この問題は広い立場に立って対処していくべきだという点については、私どももそのように考えております。
  249. 野末陳平

    ○野末陳平君 じゃ、次は特許の方にいきたいと思いますが、法務省はもう結構です。  前の質問とも重複するところは、午前中ちょっと聞きましたので、その他のことで。  特許出願などの、実用新案を含めてですが、こういう手数料などなんですが、これはどうなんでしょう、今度の値上げなんぞを見ても、値上げそのものは好ましくないんでしょうけれども、これが適正なのかどうかというようなことで、なかなかよくわからないんですけれども、外国なぞと比べまして日本の場合は高いのか安いのか、その辺の比校はいかがでしょうか。
  250. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 外国に比べると、現在のベースで申しますと半分以下、極端に言えば五分の一以下のケースもありますが、平均すれば日本のよりも外国の方が二、三倍高いという状況でございます。
  251. 野末陳平

    ○野末陳平君 こういう一種の権利なぞと結びつくものは当然高いんだろう。外国がなぜそんなに、高いのか、その辺のことはわかりませんが、これはどうなんでしょう、そうすると特許庁としての率直な感想で、そもそもこういう手数料はそれに付随する事務量その他全部ひっくるめたらやや割安だという見方なのか、それとも日本日本の事情でこれでいいというか、その辺微妙なんですけれども、どうなんでしょうか。
  252. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 安い理由は簡単でございまして、各国――先ほどからややっこしい言葉とおしかり受けていますが、収支相償原則で運用しておるわけです。ところが、日本の探査能率といいますか、処理能率が大体二、三倍いいわけでございます。大体ほとんど六五%前後が人件費で占められているわけです。現在の欧州とかアメリカとの人件費比較もそんなに違わなくなりましたから、したがって料率も向こうは二倍から三倍、こういうことになります。  で、実際問題として、今の料金水準が妥当かどうかというのは非常に難しいんですけれども、るる御説明いたしておりますように、この特許権、工業所有権制度というのは、発明の奨励といいますか、産業の発達、そして技術立国というような趣旨が基本にあるわけでございまして、発明の抑制という思想はないんだろうと思います。むしろ奨励という思想はあっても、抑制という思想はないんだろうと思います。そうしますと、料金出願を抑制するためのブレーキとして使うというのは、どうも我々としてはとるところではないわけでございまして、したがいまして、我々は収支相償う範囲でいただければいいんではないかと、かように考えているわけでございます。
  253. 野末陳平

    ○野末陳平君 手数料を高くしたから発明にブレーキがかかるというふうには思いませんけども、ただ、コスト的に見て、もうちょっとこれが高くてもおかしくはないんじゃないかという気がしますので、しかし、今後のコンピューター化など、この特別会計によってどういうふうに推移するか知りませんが、今後とも、あれですか、手数料というのは安いままでできれば置いておきたいというのが特許庁基本の姿勢ですか。
  254. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 支出にバランスした収入をいただきたいというのが基本にあります。そして同時に、できるだけ国際的に見て能率のいい業務運営をしたいという気持ちが基本的にあります。そうしますと、そういうものを各国もとっていますので、日本が絶えず結果的に料率が国際的に見れば安くなっておるということを我々は念願して運営をいたしております。
  255. 野末陳平

    ○野末陳平君 まあ安いのは結構だと思いますけれども、さて、出願をしましても実は実施化もされない、あるいは却下されそうだというか、むだになってしまうとか、出願それ自体がですね。そついうものもまた多いんじゃないかと思いますね。  で、出願段階情報不足のためにとか、その他の事情でむだになってしまうというのはどのぐらいあるものですかね。
  256. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 出願を一〇〇といたしますと、審査請求が六七ぐらいのレベルですから、三割三分というのは出願はしたけれど審査請求をしないというケースになります。これがむだかどうかというのはかなり問題でございまして、一般論を言えばむだと企業は考えていないと思います。つまり第三者に少なくとも取られない保証があるわけでございます。そういう意味で請求をしないケースがあります。それからさらに、請求をして登録になるケースというのが請求したものの半分ぐらいでございますから、この請求したものの中では出願者としては全部登録したいと思うと思います。したがいまして、請求したものの約半分ぐらいは、まあむだといえばむだだったと、こういうことになろうかと思います。
  257. 野末陳平

    ○野末陳平君 今後、一元化で情報がどんどん提供されることによって、そういうむだといえばむだな部分というのはかなりなくなって、効率がよくなるということはもう間違いないんでしょうが、その辺もう一つ詳しく。
  258. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 結局、請求して半分しか登録にならないっていうのは、出願なり明細書のやり方が下手だったということもあるんですけれども、大部分は調査不十分、先行事例があるということが大部分でございますので、それが今度情報といいますか、データベースをつくりまして企業の方に提供を、民間に提供をいたしますので、自分でかなり精度の高いチェックができるわけでございます。その結果、そういうむだが相当大幅に減ると我々は確信をしております。
  259. 野末陳平

    ○野末陳平君 仮に、この特別会計を通して、今度コンピューターその他でもって事務能率を上げていくんですが、処理機関がもしなければ、このままでいきますと納税、今の特許庁の力から見て、どういうふうになっちゃうんでしょうかね。今でもかなり処理期間が長いという指摘がさっきからありましたけれども。
  260. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 特許実用新案に例をとりますと、今のままで人手もふえない、予算も余りふえないということになりますと、現在二年三、四カ月の処理期間が大体七年を超す、こういうふうに予想しております。
  261. 野末陳平

    ○野末陳平君 それはもう余りにも――それだったら出願したときには時代が変わっていて、次のを出さなきゃなりませんからね。そんなことがあっては全く意味がありませんが、いずれにせよ、出願する方にとって、そしてそれが日本の技術立国にプラスになっていくような方向であれば、これは当然やむを得ないと思っております。  特許について言いますと、最近日米間において特許の紛争というのが結構あるやに聞いて、この間うち日立その他でも問題になりましたけれども、まだほかにもあるというんですね。これはアメリカの国内法の問題と思いますけれども、日米間の特許紛争というものについては、特許庁としては直接関係ないまでも、どんなお考えをお持ちか、それを長官にお聞きしたい。
  262. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) これは逆に言えば日本でも、日本特許に抵触するものをアメリカが輸出してくれば押さえることができるわけで、アメリカアメリカなりにITCという制度でそういう手続規定がありまして、その制度自身が直ちにいけないと我々も抗議しにくいわけでございま す、特許権侵害したものを排除できるのは国際的な常識でございますから。したがって問題は、運用、そしてまた現実論として、これだけ技術競争が激しくなっておりますので、アメリカ側の業界が一生懸命これを利用して日本の進出を抑えようというインセンティブが働いていることも明白な事実でございます。現実に件数もふえております。我々としては重大な関心を持っております。アメリカ側も我々に不当と思われる場合は文句を言ってきますから、我々も逆に言えば、アメリカ側が制度自身が正しくないとか、あるいは運用が正しくないというときには遠慮なしにアメリカ側に文句をつける権利があると思うんです。そういう意味で我々としても情報の収集とか、そういうものを十分把握いたしまして、必要があればアメリカ側に文句を言うということはちゅうちょなくしたいと思っています。
  263. 野末陳平

    ○野末陳平君 そこの辺なんですね。つまり、特許を侵害されたとアメリカ側がいろいろ訴えてそれが紛争になっていても、本当の侵害なのか、それとも他に意図的なものがあるか、その辺のことわかりませんからね。その辺を今後どうしていくか、恐らく大きな課題になるだろうと思いますね。  反対に、今の長官答弁の中にちょっと出ましたが、アメリカ側が日本特許を侵害した結果ここで紛争になるというか、そういう事例も多々あるわけですか。
  264. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 私の承知している限り、あることは確実でございます、現に知っているものもあります。我々、直接所管はしていませんが、あります。
  265. 野末陳平

    ○野末陳平君 それだったら、そういうものは不勉強で余り知らなかったわけですが、日本特許のどういう点をアメリカは侵害しているのか。そんな傾向があるんですか。日本の場合がアメリカ特許を侵害するのは、大抵先端技術に関する部分ですね。アメリカの場合はどうなんでしょう。
  266. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 私の承知している限り、トップ先端技術では余り聞いておりません。一般的な技術の範囲の方です。いわゆる電子とかなんかのトップの先端技術でそういうことは特に聞いておりません。
  267. 野末陳平

    ○野末陳平君 いずれにしても、この日米間の問題は今後のことで、しかもこれはアメリカの国内法ということもありますので、特許庁が直接タッチするわけじゃないと思うんですが、どちらの国にせよ特許侵害ということが出てくるだろう、そういうふうに思いますので、これはひとつ課題として今後いろいろ検討をお願いしておきたいというふうに考えています。  それから今度は大蔵省の方に行きますが、証券局はいらっしゃっていましたかね。この間、時間なくてちょっと残してあるんですが、最近特に株式市場が活況を呈してまいりますと、もう昔から絶えないんですけれども、悪徳情報屋といいますかね、レポート屋、投資顧問業といいますか、こういう連中をめぐる投資家とのトラブル、つまり投資家が非常に損害を受けて泣いているといいますか、困っている、こういうのが多いと思うんですが、そういうのは大体どういうところに来るんでしょうか、つまり訴えが。大蔵省の証券肋なんかにも来るんですか。
  268. 橋本貞夫

    政府委員(橋本貞夫君) まちの投資顧問業者という業務をしておられる方々、証券取引法に言う証券会社という範疇に入りませんので、法令的に申しましても、私どもとは直接の関係ございません。  そういう方々との取引の関係でいろいろ苦情に近い問題が当局に持ち込まれることもございますし、また証券業協会の苦情相談室の方に持ち込まれることも幾らかあるように承知しておりますけれども、基本的には私どもの手の及ばない分野でございますので、一応は御事情をお聞きした上でお引き取り願っておる。そういう業態があるいは刑法にいう詐欺に近い疑いがあるというようなケースの場合には、警察庁の方においでになっていろいろ御説明されているというふうに承知しております。
  269. 野末陳平

    ○野末陳平君 直接大蔵省がどうこうできるものじゃないのは十分承知しておりますし、それからもともと投資家が無知であるのか、あるいは不注意であるのか、恐らくこれは投資家の責任だと思うものの、余りにもあくどい連中がばっこして、これが一向に後を絶ちませんから、そういう証券市場というもの、手をこまねいて野放しにしておくというのも好ましくないと思っているんです。  そこで、今回株券の保管についてこういう法律になりますと、この連中にどういう影響があるんでしょう。例えば簡単な話、こういう悪徳業者といいますか、この連中も株を預かったりしたことにしていますね、実際どうなっているか知らぬが。こういうことが全く締め出しでできなくなっちゃうのか。それとも、この連中はあくまで法律の外で、今までどおり人のいい投資家をだましながら飯食っていけるのかどうか。そこら辺は、今度の法律とのかかわりはどうなんでしょうね。
  270. 橋本貞夫

    政府委員(橋本貞夫君) 今回の法律につきましては、株式の取引自体をどうするという問題とは切り離しまして、取引の結果生ずる株券等の受け渡しを合理化していこうというものでございまして、なおかつ、この制度株券等の受け渡し面において利用するかどうかは、お客様方の任意にゆだねられておるわけでございます。したがいまして、投資家の方々がこれまでどおり株券の受け渡しをやろうということであればそういうふうになりますでしょうし、またこの制度を利用されるということであればそういう形になりますが、これらはいずれも株券の受け渡し等に着目しておりますので、ただいま御指摘のようなケースには直接当てはまらないと思います。  ただし、一般論として申しますならば、こういう制度を利用されたお客様方にとりましては、株券等が実際は動かないわけでございますので、株券等の持ち運びに伴って生ずるような事故あるいは苦情というものが大幅に軽減することになるんであろうか、そういうふうには思っております。
  271. 野末陳平

    ○野末陳平君 いずれにせよ、投資家がばかだったということでは済まないと思いますから、こういう悪徳業者について、これは証券局、直接取り締まりの対象にはできないまでも、あるいはこれが証取法違反あるいは刑事事件、そういうこともあるでしょうが、これは証券会社なども含めて、証券市場全体の問題として今後ともきちっとしておくべき課題だと思うんですね。何しろ入会金取るわ、顧問料取るわ、あるいは株を紹介して、何というのかな、売買の代行までもしたりね、株券預かると育って、実は買ってないとか、そういうのが絶えないようですから、ひとつそういう点に監視なり、何というのかな、警告なりはある程度――そうやってもどうしようもない。業者の方がもぐりでやってますから、どうしようもないという面もあるでしょうが、それにしても投資家を少しは目覚めさせる意味からも、常にその辺は頭に置いておいてほしいと思います。  大臣もいらっしゃったようですからこの辺で終わりますが、ひとつ一言でお願いします。
  272. 橋本貞夫

    政府委員(橋本貞夫君) 先生御指摘の状況はよくわかるわけでございますが、最初に申しましたとおり、法令の及ぶ限界というものがございます。したがいまして、目に見えた形ではできないかと思いますが、私どもとしましても、十分関心を持って見ておる状況でございます。
  273. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 最初に証券局の方に、先日の質問のできなかった点について二点。  まず第一点は、非常に高度技術化していく保管業務の中で、磁気ディスクパックだとか、磁気テープというふうなものに記憶させることで、株券等にかわって効力を持たせるというためには、別の法体系が必要で、私はこの制度はあくまで現物の預託というものを前提にしていると解するんですが、それでよろしゅうございますか。
  274. 佐藤徹

    政府委員(佐藤徹君) 御指摘のとおりでございます。
  275. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 それで次に、金融機関とは担保取引を中心にした本制度の運用について話をどのよ うに詰めているんですか。
  276. 佐藤徹

    政府委員(佐藤徹君) この制度の具体的な仕組みにつきましては、担保取引も含めまして、私どもの役所の機関であります証券取引審議会の専門委員会、これは河本一郎さんという先生委員長でございますが、ここで金融機関の方にも参加をしていただいて検討が行われ、制度要綱がまとまったわけでございます。したがいまして、基本的な点についての調整と申しますか、そこはやっておるわけでございますが、実務的あるいは技術的な問題の細部につきましては、今後金融機関も含めた関係者の間で引き続き検討を続けていくということで了解をいただいております。
  277. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 それじゃ証券局よろしゅうございますから。  特許庁長官にお伺いいたします。  再三の答弁の中で、今回の法案が出されることによってこの審査期間というふうなものは十年後には効果を出してくるだろうという、こういう表現で極めて慎重なんです。聞き方によってみると、途中ではふえるんじゃないかというふうにも思われます。それから特許で平均二・四カ月だと、こういうことも言われております。これのとり方なんですがね、例えば平均二・四カ月というのは年間の処理件数というもので審査請求の未処理件数を割った平均値の数だというふうに理解してよろしゅうございますね。そうしますと、今この法案が通りますと、大体この五年後はどうなるんでしょうか。特許庁の内部資料によりますと、現状では二・四カ月あるいは意匠の場合には二・一カ月。二・一ケ月というふうなのが出ているんですがね。十年後は出ているけど五年後は出てないんです。五年後はどうなんですか。早くなるんですか、遅くなるんですか。
  278. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 率直に言いまして、四法によって違いますけれど、一番ポイントになる特許実用新案については、五年後は若干延びます。二年十一カ月ぐらいになると思います。
  279. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 これね、平均値をとるから若干延びますという話しているんですがね、実態では延びるのは大変な延び方になっちゃうんじゃないかと、このままでいきますとね、思うんです。先ほど青木先生も実例を出してやっておりましたけれど、私も一つ。これは北海道の池田町が申請したやつなんです。池田町が昭和五十五年六月二十日に申請しました。申請番号が五万百九十四号。そちらの方にもお持ちになっておると思うんですが、これで結局五十八年の十二月二十六日に登録になっておるんです。そうですね。そちらにもございますね。そうすると、三年六カ月かかっている。特にこのうちで公告の決定から公告に四カ月、料金の納付から登録日までに四カ月、もう単なる事務処理のところでさえもこんなにかけるんですね。件数が多いからじゃ済まされないような気がするんですが、どうなんでしょう。平均なんかでは全然ない。割とスムースにいっているんですよ、これ。
  280. 野崎紀

    政府委員(野崎紀君) お答えいたします。  ただいま御質問のあった案件でございますが、池田町からブドウの実の形をかたどった図形の商標の申請でございますが……
  281. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 それはいいから、質問にだけ答えて。
  282. 野崎紀

    政府委員(野崎紀君) 御指摘のとおり、出願が五十五年の六月二十日、公告が五十七年の十一月二十六日……
  283. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 それいって、書いてあるんだから。
  284. 野崎紀

    政府委員(野崎紀君) 登録査定が五十八年の六月二十四日、設定が十二月二十六日と、こうなっております。御指摘のとおり、全体を見ますと三年六カ月、出願から登録証の交付まで、そういうことになっております。  で、商標の平均の処理期間ということで計算いたしますと、現在時点におきましては二年二、三カ月程度でございますが、先ほども特許お答えいたしましたように、未処理件数処理件数で割った数字が平均処理期間ということになっております。これに対応する期間といたしましては、出願からしたがって登録査定の日までということが対応するかと思います。そういたしますと、この具体的案件につきましては三年かかったということになるわけでございますが、これは実は図形商標でございまして、全体の傾向として申しますと、先ほどもお話いたしましたとおり、文字商標につきましては既にコンピューターによる機械化をやっておるわけでございますが……
  285. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そこはいいの。質問に答えて。
  286. 野崎紀

    政府委員(野崎紀君) 図形商標についてはそれをまだやっておりませんので、若干図形商標の方が長くかかる状況にございます。半年ぐらい長くかかっているのが実情でございまして、まあ三年というのは現状におきましてはそう長い審査期間ではないわけでございます。
  287. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 もういいや、それ。
  288. 野崎紀

    政府委員(野崎紀君) ただ、登録から…・
  289. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 質問に答えてないんだよ。
  290. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 野崎君、質問に簡潔にずばりお答えしてください。
  291. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 私が今聞いたのは――そんなことで時間をとりたくないからわざわざ書いたのをそちらに渡した。私の聞いたのは……
  292. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 丸谷君、答弁者の答弁を済ましてから発言してください。
  293. 野崎紀

    政府委員(野崎紀君) したがいまして、御質問のとおり、現在の状況で特にこれが長くかかっているという状況ではございません。
  294. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 私の聞いたのは、公告決定から公告までに四カ月、料金納付から登録日までに四カ月、単なる事務処理にどうしてこんなにかかるんだと聞いたのです。いつまでこんなことをやってたら時間がなくて何にもできなくなるじゃないの。
  295. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 私もかかり過ぎていると思います。  理由を言いますと、量が非常に多いものですから事務処理に手間取っているということ、それからコンピューター処理に今、登録原簿を打ち込んでいますのでその辺にかかっているんですが、それでも私は満足しておりません。したがって現在、事務処理の期間は、徹底的に合理化するように現実に作業に着手しておりますから、遠からずしてかなり短縮の効果が出ます。今までの状況は甚だ遺憾であるという状況であることは確かです。
  296. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 それで、これは商標登録の場合でこうなんですが、特許の方でも具体的な問題でやりたいんです。これは今問題になっておりますヨモギです。衆議院の方でもいろんな角度から取り上げられておりますが、これは期間の関係から言いますと、五十二年の二月の七日に出願されて、同時に審査請求が出ているんです。一年半で五十三年の八月二十八日の出願公開。この間に方式審査もあったでしょう。しかし大体そういうことでここまでは順調なんです。これからが非常にかかっているんですよ。今度はそういう事務処理の問題でないんです、ここでかかっているのは。ここでかかっているのは、結局、出願公開してから拒絶理由の通知が出ているんです。二回出ています。この第一回目のときが五十五年の十一月十八日、ここまでに二年三カ月かかるんです。こういうところで私は非常に時間を食っているんではないかなという気がするんですよ。それから五十六年の二月十日に補正書が出て、同じく十一月二十四日に拒絶理由の通知をもう一回出している。それに対してもう一回補正書が出ている。こういうやりとりをしていますから、それから後のところはこれは多少かかるのかもわかりません。  それで、決定から公告までこれは池田町よりも早いんですよ。三カ月で済んでいるんですよ、これ。だからけしからぬなと思って調べてみたんです。こういうことで、事務処理としてかかるのはあれとして、一番問題なのは審査官の手元での審査。これが非常に件数が多くて、三百件ないし二百五十件と言っていますでしょう、残っているのが。これが上から上から積んでくるから、拒絶証 書のこれを出すのに――拒絶の理由のないやつはすっといく、だから問題なくすっといくのも入れるから平均して二年四カ月というふうな上手なことを言って、みんな、おう二年四カ月平均が、意外に早いなと思うけれども、とんでもないんでね、普通のちょっとしたやつで七年から八年かかっているんです。かかっていますよ、五十二年からですから。まだ決まらない。まだ決まらないのは異議の申請が出たから、これはおたくたちの責任でないかもしらぬ。しかしそこまでの間でも六年も七年もかかっている。これが五年後はこのままでいくと二年九カ月になるということは、この種のものなら十年以上かかるということを長官は御答弁なすったと理解してよろしゅうございますね。
  297. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) あくまで我々の言っているのは平均でございます。しかし平均は、今先生の言われたように最短が平均ではございませんで、平均は平均でございます。したがって長いやつも短いやつもあるわけでございます。  ヨモギのケースでございますが、これは難件でございました、はっきり言えば。先生もう御存じだと思います。いろいろ問題視する議論もありましたし、難件でいろいろ慎重にやったケースだと思います。そういうことで、したがって、この二年十一カ月になるとひどいやつは比例して十年になるのではないかというのはちょっと、まあそういうのが難件で皆無とは申しませんけれども、幾ら何でも二年十一カ月が平均で相当数が十年かかるということはあり得ないと思います。
  298. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 二年四カ月かかったやつが二年九カ月になるというと、五年後でもたまらないなという感じを持つんです。しかし実際には、現員の中でやっていくとすれば、この間にコンピューター化していくんでしょう、プログラムをだれがつくるんです。別なところへ頼むんですか、どうなんです。
  299. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 基本的には外注へ出す予定でございます。現に作業をさしています。
  300. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そうするとそれは審査官の方ではそういうことはやらないんですか。本当ですか。いいんですか、長官、それで。
  301. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) こういうことでございます。やや整理して言いますと、ソフト開発は明確に外注に依存いたします。そこで問題は、ソフト開発はそれでいいんですけれども、分類整理でございますね、それはやはり審査官がある程度責任を持ちませんと、他人に任せるとどんな分類をするかわからないので、その作業はある程度出ます。しかもそれもできるだけ審査官のロードを軽減するように外部の協力を仰ぐようにいたしておりますが、最後の責任は審査官の手になりますので、そこに仕事がその部分について加重されることは確実でございます。
  302. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そういうことなんですよね。ところが長官答弁を聞いていると、そこのところを極めてぼかして十年後の話ばかりするわけだ。その途中の五年後は絶対労働過重にこのままでいけばなるんだということが見え見えなのに、そこのところは上手に避けて通って、十年後にこうなります、こうなりますと。だから私はこの法案を見て、それから御丁寧にコンピューターシステムに移るときの図解入りの資料もいただきましたが、あれを見ていて、それは外注しても何でも、あれですよ、審査官がどうしたってプログラムしなきゃならない面というのはあるんですよ。それでなかったら混線しちゃうでしょう。そうすればどうしても人員の問題を真剣に考えないと、十年先の話をしていてもこれはやめていく人もいるだろうし、もう大変なことになるんじゃないか。  それで行管からおいでになっていると思うんですが、今お話を聞いたようなことなんです。十年後にはそうなるといってもその間非常に大変なんです。今よりもっともっとおくれるんです。今でさえ特許というのは遅い。平均ではこんなに早く出ているといったって、普通そんなに早くないんです。私のところが三年半かかったようなもので、これは商標なんていうのは特許よりもっと簡単な、そういうやつまで三年半かかっているんです。そうすると行管の方でも、いわゆる定員法とかなんとかいろんな面倒なこともあるけれども、一時期特許というのが大変なんだということで人員の配慮についてもひとつよく考えて、長官の方に帰ったら言っておいてくれませんか。どうですか。
  303. 稲葉清毅

    説明員(稲葉清毅君) 行政管理庁といたしましても、工業所有権制度の重要性あるいは特許の迅速化、そういったようなことにつきまして従来から十分認識しているところでございます。したがいまして、現在の厳しい定員事情、昭和五十九年度には三千九百五十三人の減員をしている、五十八年度に比べて倍以上の減員をしているわけでございますので、そういう情勢の中でも昨年度の十六人より多い十九人の増員を認めてきているところでございます。  ただ、先生、今日の厳しい行財政事情の中で国家公務員数は必要最小限にとどめるべきであるというそういう見地から、行政の各般にわたって事務の簡素化、合理化あるいは定員配置の合理化民間委託等を積極的に進めて極力定員の縮減を図るというのが私どもの立場でございます。したがいまして、今後の審査の迅速化につきましても、特許庁の方から御説明がございましたペーパーレスシステム等の実施あるいは諸般の合理化の措置によりまして、処理期間につきましても一層の御努力がいただけるものと私ども存じております。
  304. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 十年後にはこの特別会計の上がりでシステム化は完成するから、そうなったら少し楽になると言うけれども、実際にはそんなに人員が減るとかなんとかということになかなかならないんですよ、行政サービスの方に回すから、今までのあれからいいますとね。  それで、今のおたくの原則論はわかります。ただ、国会の附帯決議でももう数回にわたって――これ見てびっくりしたんです。昭和三十四年以来ずっと質の向上、人員の増加、これだけ飽きないでよくやったと思うくらい附帯決議をやっているわけでね。これはもう少し重く見てもらわなきゃならぬ。というのは、裁判官とは性質が違いますけれども、それにしても審査官というのは速成でできないんですよ。相当勉強しなきゃならないし、研究機関には入らなきゃならぬし、ある程度の身分になってないとできないというふうなことで。ですからそういう点で、せっかく料金を高くするときですから、人員のことについてもさらに配慮をしてもらう。  大蔵大臣、ひとつそういう点について大蔵大臣の方でも、特にこの審査官のこういう仕事、これからの産業開発、産業発展のために非常に重要なところがおくれるということは、このことが日本の経済発展にも非常に響いてきておりますので、その点御配慮願うようにお願いいたしたいと思います。いかがでしょうか。
  305. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) 特許庁のいわゆる人員の問題でございますが、これは何年でございましたか、特許庁長官が十六年組の人でございますから、今若杉さんが二十八年ですから十二年ぐらい前だったと思いますが、あの行管長官が木村武雄さん、通産大臣が椎名悦三郎さん、そのときに何かの関係で間へ入らせられまして、片や百何十人、片やで、結局、足して二で割って百人にするとなんですから、二けたというので九十九人ということを覚えておりまして、そのときから多少コンピューターの話が出ておりましてそれでやれるという。お二人さんとも大変な大物さんでございますから、議論を聞いておったら、機械を入れるからいいじゃないか、いや機械が別に検査するんじゃない、これは検査したものの処理をするんだというような大変大時代的な議論があって、そばで聞いておったことを私も記憶しております。  今度、この特会というのは、大蔵省としては、私は顧みて、よくこれがここまで来たなと思うくらい両者で相当長い間詰められた話だと思っております。それが今度の特許特会となって、言ってみれば一つの画期的なことじゃないか。ただ、そういうコンピューター化の問題と人員の問題は、 それなりにバランスをとりながらやられる課題であるというふうに私も思っております。その当時のことを思い出しまして、私それ以上余り知識が進歩しておりません。ただ、年々附帯決議があることも承知しておりますし、機械が検査するものではないということも私も承知しておるつもりではございます。
  306. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 大蔵大臣から今御答弁のあったように、まさにその時期ふえて、それから全然ないんです。そしてむしろだんだんと年齢も高くなりますし、補充の方がたくさん補充しないので、どちらかというとそういう点で非常に今また同じように苦しいところへ差しかかっている。こういう状態でございますので、そのことはひとつ御理解をしていただきたいと思います。  それと、今申し上げましたように、審査官というのは特殊な仕事でございますから、それなりの権限もあるわけです。私、今非常に心配しておるのは、今のヨモギの問題を中心にしまして、農水省、通産省、いろいろ大きなキャンペーンを張ったりしてやっております。どうもその中で審査官の権限というものが横に行ってしまっているんではないか。特許審査って何なんだということを忘れて。農業がどうなったら大変だとか。それはもちろんそういう面もあります。それはそれでもって甲諭乙駁いろんなことがあるんですが、純粋にこれは特許の問題なんで、特許という形の中でやらなきゃならない審査官の権限が非常におかしくなっている。  例えば東京新聞、五十九年の三月十四日ですか、小此木通産大臣が「植物特許は当面見合せ」、通産大臣の意向と、これは東京新聞にそういう記事が出ております。内容を読んでみますと、見合わせとまで強くは言っていないんですが、「日本の農家経営に大打撃を与えるようなことは考えていない。農水省と十分協議して対処したい」と、こう言っているんです。一体何を協議するんです、通産大臣が。既に審査の手に渡って、もう異議の申し立ての段階まで来ているでしょう。この事案で何を通産大臣が農水省と相談することがあるんですか。長官、どうなんです。
  307. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) これはいろんな合意があると思いますが、別に通産大臣が直接農水大臣と協議するわけではございませんと思います。特許庁を通じてということだろうと解釈しておりますが、もちろん審査官独立てすし、法の制度があるわけで、それに適法な出願があれば、審査官は独立してその権限を行使するというのは先生おっしゃるとおりでございます。  ただ、種苗法と植物特許との関連というのは、法制度的にある程度問題があることも先生御承知のとおりでございます。それと同時に、審査官といたしましてはいろんな、何といいますか、状況調査といいますか、事が事だけになかなか世間的にもいろいろ問題視されるだけに、いろんな調査的なことを十分したいという気持ちはあろうかと思います。そういう意味では従来から農水省とも、大臣に言われるまでもなく、従来からかなり頻繁に、農水省と相談して決めるという意味じゃなくて、農水省にいろいろ情報提供をお願いして、そして遺憾なきを期したいという態度でやっておると、そういうことの反映でございます。確かに先生のおっしゃるとおり法律がありますから、しかも国会をきちっと通った法律があるわけですから、それにのっとってやるのは当然でございますが、いろんな農林業に対する将来の打撃とかなんかという問題になると、ある意味じゃこれは立法論になりますですね。こういう問題についても、それは通産大臣としては将来としていろいろ考えていこうという意味もあろうかと思います。そういう意味で、現在の法律制度のもとにおける審査官の独立した処理についていろいろそれを曲げるという意味でおっしゃったのじゃないと我々は了解しております。
  308. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 通産大臣は衆議院で、川俣議員から、あなたはわからないのだろうからと。通産大臣は何も特許のことわからないと、こう言っているんですよね。この人が言ったのはまだ許せるんです、わからない人なんだから、特許のことを。ところがよくわかっているあなたも同じことを言っているんだよ。これは染色体の問題のところで、今ペンディングになっていると。こういう問題については農水省とよく話をすると。ここでもしかしおたくは具体的な事案については言ってない。それで、私はこの具体的な事案について、これはもう審査官の手に渡っているんで、長官自体もそれに対して意見を言う権限はないということをこの機会にはっきり確認しておいていただきたい。
  309. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 具体的に事案につきまして素人の私が意見を言う理由は全くありませんし、そういう必要はないと思っております。
  310. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 ところが、衆議院のいろんな議論を聞いていると、五十二年の種苗法改正の当時に取り交わした合意メモがあるんで、植物新種の問題は特許でなくて品種登録でやるんだというふうに誤解している人がたくさんあるんですよ。一々僕は議員の論議の反論はいたしません。しかし、そういうふうに思って質問しているところが各所に出てきてますわね。あなたたちそれを黙って聞いていて、いやそれは間違いですとは答弁してないんですよ。そんなことございませんと言わぬで黙認しているんです。でしょう。そんな黙認していないと言えますか。
  311. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 黙認していないつもりでございます。私の答弁をお読みになるとおわかりになると思いますが、現在日本の法制では植物の新品種については種苗法と特許法が両方カバーしておりますと。ただ、特許法は抜群の新規性と進歩性というものがなければだめですと。それから一方、現実問題として、品種ですね、種じゃありませんで、品種というものについては、これは大した変化がない、かけ合わせるやつですから、これは種苗法でいくのが原則でございますと、こういうように明瞭にお答えしているつもりでございます。
  312. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 それで、実は五十三年のときも私はその問題について、これは新しいバイオテクノロジーの技術導入がもう目の前に来ている、早くこの問題について二つの法律の間で調整規定を設けておかなければ大変なことになるということを申し上げて、そういたしますというふうな大臣の答弁も出ているんですよ。改正法を論議しているときに、この不備なところは速やかに直しますという答弁、当時の中川大臣は随分渋ったけれども最後にはそういう答弁をしていますわね。  今長官のおっしゃったように、例えば今のこの問題ですね、ミブヨモギとクラムヨモギのかけ合わせね。これは種の交配じゃないんですよね。そうでしょう。細胞膜を酵素で破壊して十八の染色体を三十二までふやして、そしてつくり上げた新しい種の中の交代であっても、いわゆる日本における品種改良の理論とは別なものなんです。こういうものについては方法特許の問題もありますし、当然特許庁として取り上げるべき問題だと思ったから公告したんだと思うんですが、いかがですか。
  313. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 技術的なことは私も素人でよくわからないところがありますけれども、審査官の気持ちとしては、今先生がおっしゃったとおりだと思います。
  314. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 五十三年のとき、私はいろいろ権限の問題でも申し上げましたし、それから今も長官そういうふうにおっしゃっていただければそれでいいんですが、物すごい間違った考えのもとに大きなキャンペーンが行われている。それぞれ主観的には皆日本の農業、日本の国のことを心配してるんです、立場の違いはあってもですね。しかし、この種の問題になりますと、これはもう新しい理念ですね。染色体が違うんですから一種の創造なんです。雄雌かけ合わせたそういうあれとはちょっと違うんですよね。遺伝子の融合というのは今のところまだ基準がないんです。  僕が五十三年に早くつくらなきゃだめだと言ったのは――私たち自身ブドウの花芽を摘んで、あれは全部雄しべと雌しべのあれを摘んで、そして また別のやつで花粉交配する大変な仕事をやってきました。しかし、それはまだあれなんです、品種改良であり、新品種の育成なんですね、それでできてくるものというのはね。  しかし今度のこれなんか私調べてみて、全く異種のもので、我々も早くここへ到達したいなと思っているようなものです。この種のことが一般論の中へ埋没しますと――私もきょう友人にも電話したんです、そういう品種改良やっている連中に。こういうことが問題になって、特許庁が、巷間伝わる、新聞等によると、極めて歯切れの悪いような状況だったら、おっかなくて日本では出せない、アメリカへ持っていって、とって、それから、小島園芸局長が言ってるように、まさにアメリカから農産物として輸入させるんなら何でもないんだから、そういう方法でもとらざるを得ないと。そうなるとね、それは日本の農業のために、今論議されている次元からはるかに高いところで大変なことになるし、発明家が意欲をなくしていく原因にもなりかねないんです。ハイブリッドライスですか、ああいう問題もあるでしょう。  ですから、そこのところは、百年の歴史をもって、もう少し特許庁長官が毅然として審査官の権限を守ってあげないとね。それがよく相談しながらとかなんとかいう、長官は政治的な含みのあるお話もなさってるんだろうと思うんですが、それじゃ困ると思うんです。  で、一つお聞きします。一説には、余りこの問題で法理論で押すと、大きな圧力団体で議員立法で逆に押しつぶされてしまうことを心配して長官が歯切れのいい答えを出せないでいるんだという巷間伝わる声もあるんですが、そんなことありませんか。どうです。
  315. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 私もいろんなことが頭の中で駆けめぐりますから、全くそういうことがゼロとは言いません。現に日本の国会の中あるいは農水省――じゃない。農水省と言うと具体的になりますが、農民一般としては、およそ種子についてロイヤリティーを払うというのはあり得ないという、固定観念と言っちゃ失礼なんですが、産業界には逆にそういう観念はあり得ないんですけれども、農業関係ではおよそ人の発明したものでも自分がロイヤリティーを払ってやることは相ならぬというか、天地にあってはならぬという考えが相当根強くあることも事実なんです。それはもう否定すべくもない。  ところが、丸谷先生のおっしゃったような考えを逆にアメリカが――この間議会の立法調査局で日米欧のバイオテクノロジーのアセスメントをやりました。そのときはっきり書いてあるのは、特許関係、種苗法を含めた特許関係ではアメリカ有利である。なぜ有利か。バイオテクノロジーの発達についてなぜ有利かと言えば、我々の方が保護が強いからとはっきり言ってます。日本と欧州は保護が弱いから、その点はアメリカのバイオの方が発達する素地がある、だからバイオ全体の発達というものにとっては、明らかにこういうものの制度の保護が強い方が有利だとアメリカ自身の議会立法調査局は言っておるわけです、報告書の中で。  それは今丸谷先生がそういう趣旨もあるじゃないかとおっしゃったところなんです。そういう意見がありますけれども、同時に片っ方に、およそロイヤリティーなんか払うことはあってはならぬという意見もある。いろんな意見があることは先生もよく御存じのとおりで、私の方もそういうことがありますので、いろんなことをはっきり申しますが、広く議論をしていただきたいと全く国のために思います。  そういう意味でございまして、私の方もいろんなことは考えますからと言っておりますが、いやしくも審査官をディスカレッジするようなことは絶対いたしません。それはお約束いたします。
  316. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 ロイヤリティーの問題になりましたら、アメリカなんかは契約の中で自家採種はよろしいですよという契約をすることによってこなしていますでしょう。だから農民がそういう場合に全く使えなくなるような意見も出ていますが、そんなことにはならないんですよ。できないんです。例えばこの何とかヨモギですか、これなんかの場合、私のところでダイオウという薬草を池田町だけつくっています。こういうものは逆に契約栽培して一定のところにつくらせなければならない。そうでしょう。そしてそれは必ず全部買わなきゃならぬという契約栽培以外に成り立たないものです。これらが巷間言われているようなことには私はならないと思うんです、ならないものだと思うんですよ。ダイオウというのを私たちつくってみて、似たようなものですからね。  ところが、そこら辺は議論ができないんですよ。なぜなら、きょうだってもう時間ないんです。これは日本の将来、それから特にバイオテクノロジーを中心にしたこれからの特許と農業ばかりでございませんわね。そういうものとの調整規定をどうしていくんだと、それが本当に国益にはどうつながっていくんだと、こういう議論をこの国会の場でやらなかったらやるところないんです、本当は。ここでやらなきゃならないところなんです、こういう法案で。しかし、残念ながら、もう時間が来ちゃっているというふうなことなんで、これは法案通ってからでもじっくりやらしてもらうことが僕は日本の農業の将来のためにも必要だというふうに思っていますので、その点を御理解いただいて、それから植物特許の問題に移らしていただきます。  五十三年に論議し尽くしている、そしてその論議の問題の中で私たちの指摘したようなことが次次と現実の問題として心配したとおりになってきている。あのときもっともっとやって変えることを変えておかなきゃならぬかったかなというふうに思いました。あのとき、法制局来ておりますが、ちょっと済みません、長官が大変歯切れのいい答弁をしてくれたので、法制局の見解を聞かなくても済むようになりましたので、あと一つだけ。  この問題を中心にしてUPOVの条約に加盟しているから農産種苗法が当然一手にやるべきだというふうな意見が随所に散見されます。それはそうでないということは言っておったんですが、特に法制局に一つだけお聞きしておきますが、法制局長官が先日、川俣議員の質問に答弁しまして、「そこで、まず条約との兼ね合いでございますが、条約に日本が加盟いたしますときにいろいろと関係者の間で協議が行われまして、その結果、この条約に定める育成者の権利を担保するものは種苗法のみである」と、こういうふうに言っているんです。ここに言うところのこの「権利」というのは無体財産権ですか、何ですか、この権利は、法制局。ここで「権利」と言っているんです。五十三年には権利と言わなかったんです。権利の反射だという仕方で調整規定なくても特許法とはぶつからないという、こういう答弁をしたんです。ここで権利だとはっきり法制局長官は言っているんですが、これはどういう権利なんですか。
  317. 工藤敦夫

    政府委員(工藤敦夫君) お答え申し上げます。  ただいまの御質問は、ことしの三月二日の衆議院の予算委員会の茂串政府委員答弁であろうと思いますが、その中で、確かに「その結果、この条約に定める育成者の権利を担保するものは種苗法のみである。」というふうなことを引用してちょっと言われておりますが、権利といいますこの際の権利、五十三年の農産種苗法の改正の際の審議録を私も読ませていただいておりますが、あの段階におきましても、いわゆる法的な保護を受ける地位といったような議論があったかと思います。そういう意味で、ここでもいわゆるUPOVの条約におきましては育成者の権利云々ということがございますが、種苗法におきましては権利云々ということは使っておりませんで、保護というようなことを使っておりますが、実体的にそういう法的保護を受けます地位といったような意味で申し上げていると、かように思います。
  318. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 ちょっと納得できないのです、それ。どういう権利だと聞いているの、法的に。私たちはそれはそういう保護を受ける地位、要する にそういう面では権利の反射としてと、当時。というのは、そうしないと法的に整合性がないので、この整合性でぶつかるので、特許法と。当時、権利ということを慎重に表現を変えて使っていたんです。いいですか。そして、種苗法から権利と読み取れる文言ないんです。それなのに法制局長官が「権利」と言っているのですよ。法制局長官が「権利」と言えば、権利を守るというふうなことで、今起こるようなキャンペーンが起きてくるのは当然なんです。そういう点で、特許法にかわるべきものじゃないんですよということになっているはずなのに、これはちょっと私は今の答弁じゃ納得できないので、もう一回やってください。
  319. 工藤敦夫

    政府委員(工藤敦夫君) いわゆる新品種の保護に関する国際条約におきましては、「育成者の権利の承認及び保護に関し」云々というような表現がございます。それから種苗法におきましては、確かに先生おっしゃいますとおり、それと違いまして、例えば第一条の「目的」におきましても「新品種の保護」というような言葉を使っております。そういう意味で、先回、三月に衆議院の予算委員会で申し上げましたときの茂串長官答弁も「この条約に定める育成者の権利」というふうな言い方をしているところでございます。
  320. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 ちょっと時間があれなんだけれども、したらこれもう少し、あしたかあさってやらせてもらえますか。
  321. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 決められた時間でやってくださいよ。
  322. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 はい。もう一つ……。
  323. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) じゃ簡潔に一問。
  324. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 はい。  それじゃUPOVの条約との関係で言いますと、そのときも、例えば私はこの法律の読み方では、UPOVの条約の第二条の翻訳の仕方が違うんじゃないかということで指摘いたしました。「ヌ」というフランスの言葉は否定語なんだと。「ヌ・ドア・プレボアール・ク」、こういうフランス文の条約の本文を農水省は肯定語に訳して我我のところに資料を出してきた。それは違うと言ったのだけれども、そのとき外務省の小林俊二さんという説明員は、フランス語の場合の「ヌ」は否定語でございますけれども、ここにございます「ヌ――ク」というふうにした場合には英語のオンリーに当たるから肯定文でもよろしいんだと、こういう答弁をしているんだよ。それで外務省、じゃなぜ今度そのまま肯定語にしないで、今度の条文は、外務省が出した条文はこういう否定語にしたのですか。「同一の種類の植物の保護は、一の方式により行われなければならない。」と。  こういうふうに審議が足りないと、こういう問題、五十三年に大急ぎで入るといって我々に議決させた法律が、そういういろんな問題があるために五十七年まで入らなかったでしょう。だから、私はやっぱり審議時間というのは大事だ。そのときも審議の時間がなくて、時間ないと言ってもそれでも十時間やった、あのときはね。十時間やったけれどもそういうことだったの。
  325. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 簡潔にお願いします。
  326. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 なぜあのときの説明と違うような条約を約束したのですか。
  327. 西村六善

    説明員(西村六善君) あの当時も、今回におきましても、英語の原文とフランス語の文章とは全く同一の内容を持っているものでございまして、今先生がおっしゃられましたように、「ヌ・ドア・プレボアール・ク」という書き方にフランス語はなっているわけでございますけれども、その趣旨は今先生がおっしゃられましたような意味での否定形ということではございませんで、その一つのみを適用する、一のみを適用しなければならないという趣旨であるわけでございます。英語におきましても同じような言い方になってございまして、「メイ・プロバイド・オンリー・ワン・オブ・ゼム」というふうになってございます。先生御承知のとおりでございますが、このいずれの言い方におきましても、一つの個々の適用しかできないという趣旨になるわけでございまして、その趣旨を体しまして我が方がつくりました訳文におきましては、同一の種類の植物の保護は一の方式により行われなければならないというふうにしておるわけでございます。
  328. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 時間がないのでこれでやめます。
  329. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  330. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 速記を起こして。  丸谷君の質問はこれで終わりました。
  331. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 私は、手数料の方と特別会計と両方やりたいと思いますが、最初に、今回の手数料改定に際して、一つには「実費を勘案して政令で定める額」ということで三十七項目。もう一つは「実費の範囲内において」政省令で「定める額」の規定ということで二項目ということになっておりますが、「実費を勘案して」ということと「実費の範囲内において」ということとは、「勘案」と「範囲内」とはどう意味が違うんですか。
  332. 的場順三

    政府委員的場順三君) 非常に平たく申し上げますと、先ほどもお答えいたしましたが、「実費を勘案して」という場合は、実費を考慮してということになりまして、実費が基準になって、実費というのは実際に要する費用でございますが、実費を基準にして端数整理程度のところでとどまるということでございます。  「実費の範囲内」ということは、実費が上限になってその中で政策的要素を勘案して決めるということでございまして、法律で書き分けております趣旨はそういうことでございます。
  333. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 次に、今までは法律によって明確に金額が明示されていたというわけでありますが、これから政省令等で決定できるようになりますから、そこで経済情勢等の変化に応じ勘案してということですが、経済情勢変化に応じてというときの基本考え方、基準ですね。何かガイドラインがなければならないと思うんです。
  334. 的場順三

    政府委員的場順三君) 手数料につきましての基本考え方は、当該行政事務を行うために要する実費をもとに単価設定を行うことを従来からも基本にいたしております、したがいまして、実費の算定に当たりましては、人件費、物件費の各種の費目ごとの単価に所要時間あるいは人数等を乗じまして所要の費用を見積もりまして適正な金額を算出し決定することとしております。したがいまして、手数料の単価について基本的にはこのように算定されました行政コストの変動に合わせて改定されるものでございますので、物価上昇率等の特定の指標をガイドラインというふうにして改定を行っているものではございません。  なお、今後の手数料等の単価の改定に当たりましては、手数料単価と今申し上げました行政コストとが大幅に乖離を生じないよう機会あるごとに個別に見直しを行うということにしておりますが、全体としての経済情勢の急激な変動等特別な事情の変更がない限り、できればこれまで大体二年ごとに見直しをしてきておりますので、ほぼ三年ごとに一回程度一斉に見直すという方針でまいりたいと思っております。
  335. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 今、行政経費云々の問題があったのですけれども、例えば割賦販売法によっては、通産省の意見としては、五十年に定められて以来現行料金は九年経過している、多少高率になるかもしれないと、こうありまして、当初より値上げ要求を求めたわけではないと、こうあります。ということは、これは大蔵省の方針の方だけでそうなったということなんですか。一方では、経費の方から考えてみて、そんな必要ないとあり、片一方の方はやれというのがあるような感じがするんですよ。その辺のガイドラインが不明確じゃないか。
  336. 的場順三

    政府委員的場順三君) 今回の一括法を考える場合には、一体対象の法律が何本あるかということからまず始めまして、全体で四十九本ございましたけれども、その中で今回額の改定を行うことが適当でないもの、あるいは単独法で別途御審議をお願いするものを除きまして、全体として四十三の法律について規定合理化を含め一括法をお願いしたわけでございます。その場合、先ほど来 申し上げておりますように、行政コストと現実の単価とに乖離のあるものにつきましては、従来五十年、五十三年、五十六年というふうに三年ごとに改定をしておりますので、五十九年、今回改定をいたします際に横並びで見直しましてお願いしたものもございます。そういう考え方でやっておりまして、先ほどもお答えいたしましたように、急激な経済変動がなければ、今後とも三年に一度程度全体としての見直しを行わせていただきたいというふうに考えております。
  337. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 文部省お見えになっておりますか。  著作権紛争あっせん申請手数料というのがあります。今回の改定では現行二万円から三万五千円にということでありますが、過去三年間の申請件数はゼロだと聞いているわけです。このような手数料を値上げする意味はどうしてあるんですか、今まで三年間適用ゼロです。どうしてここで値上げしなきゃならないんですか。
  338. 吉田茂

    説明員(吉田茂君) 著作権紛争の解決あっせんの制度でございますが、先生御指摘のように五十六年度以降開始された案件の実績はございませんが、その前に昭和五十五年二月に開始された案件が一つ、それから五十五年九月に開始された件が一件それぞれあるわけでございます。その実績を見ますと、非常に案件の困難性もあったわけでございますが、あっせんの回数がそれぞれ四回あるいは九回と計算上の単価を大幅に上回っていたというような実態がありまして、その後五十六年に手数料改定が行われたわけでございます。この場合にも、こうした実績や計算上の単価に見合った急激な引き上げは避けたわけでございますが、今回の改定はその後の経済情勢等を踏まえて、実費を勘案して政令で定めるということになるわけでございます。  これは最近の例でございますが、この場合もさきの二件の例がございますが、それを踏まえますと相当の高額になるということも考えられますので、それによってあっせん制度が利用しにくくなることを避けるために最小限必要な単価による金額ということにいたしたいと考えておるわけでございます。
  339. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 実際、申請件数がゼロであったということであれば、今度の改保によっても値上げをしないという手数料もあるわけですから、今のように利用する回数が減るんではないか、御不便かけてはいけないということであれば、無理やりここで上げなくてもよかったんじゃないかと思うんですよ。
  340. 吉田茂

    説明員(吉田茂君) 著作権紛争の解決のあっせん制度につきましては、これは片方があっせんの申請をいたしましても、当事者のもう一方がそれを受け入れないという場合にはあっせんが成り立たない、こういうこともあって、過去の実績が最近はないということもあろうかと思いますけれども、今後さらにあっせんということが著作権紛争の増加に伴って考えられるわけでございまして、その場合には実費を勘案した適正な手数料を定める必要があるのではないかと、こう考えるわけでございます。
  341. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 伺っていることに対しての答弁じゃないようです。答えにくいことはよくわかりますから、この辺にしましょう。  実費の範囲内において政省令で定める額ということなんですけれども、社会教育法による社会通信教育認定手数料、それからもう一つは建設省ですが、土地収用法の事業認定申請手数料、この二つがございます。例えば社会通信教育認定手数料は、現行の一万五百円から一万六千円にと、こうなってくるわけです。もう一方も変わるわけでございますけれども、この上げ幅の根拠はどういうことなんですか。
  342. 藤村和男

    説明員(藤村和男君) 社会通信教育というのは、通信によって学習をしようとする人たちのためのコースを設けまして、通信によって学習をしていくものでございますが、これらの手数料につきましては、従前から通信教育の普及、奨励の観点から、実費よりはかなり安い値段で手数料というものを徴収していたわけでございます。  このたびの原案は、物件費の二分の一相当額を今度新たに取ってはどうかということで、一万六千円という額を設定したわけでございまして、このほかに人件費等も実際かかっているわけでございます。それらを含めますと、実際のコストは四万二千六百円ほどになるんですが、最初申し上げましたように、通信教育の普及とか奨励の観点から、物件費の二分の一相当ということで一万六千円という額にしたような次第でございます。
  343. 浪岡洋一

    説明員(浪岡洋一君) 土地収用法に定める事業認定手数料につきましては、今回の法律改正後、政令を改正いたしまして、大臣認定の手数料は現行の八万五千円から十一万円に、知事認定の手数料は現行の五万円から六万円に引き上げることを予定しております。  その積算に当たりましては、一件の申請につきまして、事業認定担当部局が申請書を受け付けてから認定を行うまでに要する平均的な時間数に一時間当たりの人件費単価及び物件費単価を乗じて得た額を合計し、これに見合う額を手数料額として定めることといたしております。
  344. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これで大変な金額に上がってくるということがわかったんですけれども、この各種手数料等についての大臣の提案理由説明で、所要の経費に係る実費により算出できるものについては実費を勘案して政令で定めると、こういうふうに言われたわけです。つまり、今回改定される各種料金の中には具体的金額が実費により算出できないというものがあるのかどうか、ここにあるのは所要の経費に係る実費により算出できるものはこういうふうにすると、こういうように大臣はおっしゃったということは、算出できないものもあるわけですか。その具体的なことをちょっとお伺いしたいと思います。
  345. 的場順三

    政府委員的場順三君) この一括法案は、各種手数料等の金額または限度額が法定されているものに実費を勘案し政令等で定める旨の規定合理化を行おうとするものでございます。しかし、規定合理化を行わずにこの一括法案の対象としていないものもございます。この一括法案の中に四十三法案ございますが、特許法等の工業所有権関係の四法については具体的な金額を定めさしていただいている部分がございますので、この四法はまず別でございます。  この四十三法以外に、従来手数料等の性格からその具体的な金額が実費により算定されていないものが特許関係四法のほか五法律がございます。この五法律は対象としていないということでございまして、今回対象とさしていただいております四十三法律の中では、特許関係四法を除けば「実費を勘案して」という規定か、もしくは「実費の範囲内」でということで、実費をもとにして決めることのできるものでございます。
  346. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 その次に、各種手数料等の見直しは、先ほどからお話があったように三年に一度、今後も三年に一度というお話でございましたけれども、毎年毎年改定するよりも何年かに一度の方が国民の立場、つまり納める方の立場からはいいと思いますが、三年にしていったというのは、これは立法のときの趣旨から何かあるんだと思いますが、その三年に一度とした具体的な理由を示していただきたいのと、これは政省令に移行した場合に今後短くなるようなことはあり得ないかどうか、これも伺いたいんです。
  347. 的場順三

    政府委員的場順三君) 変化の激しい社会でございますので、財政の建前からいきますと毎年見直すということも一つ方法がと思いますが、それではまた利用者の方々にも御迷惑をかけるということがございまして、従来から三年に一度ずつ見直してまいっております。五十年、五十三年、五十六年というふうに改定をお願いし、今回また三年目に五十九年ということの改定をお願いしているわけでございますが、今後も非常に経済に急激な変動が起こった場合は別でございますけれども、原則的に従来の例に準じて三年に一度程度改定を行わしていただくような方向でさしていただきたいというふうに考えております。
  348. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 従来の例に準じてということは、場合によると早くなることもあるんですかね、準ずるということになると。
  349. 的場順三

    政府委員的場順三君) 原則的には三年に一度ということで意識的に早めようとか、それ以外のところで考えようというふうには思っておりませんが、客観情勢が大幅に変わりまして、コストに比べて極めて割安であるというふうなことが仮に非常に明らかになった場合には考えさしていただくということは、理論的には起こり得ないことではないということでございまして、意図としては三年に一度ということでやらしていただきたいと思っております。
  350. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 法理論上はあり得るということですね。  次は通産省でしょうか、家庭用品品質表示法による家庭用品の品質表示手数料でございますが、この品質表示法の第十八条で、手数料とは「家庭用品の価格の百分の一をこえない範囲内において政令で定める額」と、こうなっているわけです。現実にはこの法制度は運用されていない、その手数料を定めた政令も実際ないということだそうでありますけれども、そういうようなものをこの一括法案にどうして加えたんでしょうか。運用もされたこともないし、政令もないというものが、どうしてここで一括法案に入ったのか。
  351. 的場順三

    政府委員的場順三君) 御指摘のとおり、家庭用品品質表示法というものは、この家庭用品の品質に関する表示の適正化を図り、一般消費者の利益の保護を図ることを目的とした法律でございまして、現在その法律は運用されていると聞いております。  ただ、御指摘のとおり、その手数料を具体的に徴収するような事態にはたち至ってないというふうに聞いております。  ただ、この法律を一括法案の対象といたしましたのは、この法律に基づく手数料が現在具体的に定められていなかったわけでございますけれども、手数料を徴収する事態も予定しておりますので、一括法案の対象として「実費を勘案して政令で定める」旨の規定合理化を行うというふうにさしていただいたところでございます。
  352. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 とにかく政令で定める額と言いながら、その政令はなかったし、運用もされたことがないものをまた入れるというのは、今度は絶対お取りいたしますと、こういうことでしょうな。
  353. 的場順三

    政府委員的場順三君) もう少し平たく申し上げますと、現在四十三法律を一括法の対象法律としてお願いしているわけでございますが、具体的に額の改定を行っておりますのは、先ほど来問題になっておりまする特許法等の四法を含め三十六法律でございまして、額の改定を行わずに規定合理化するという形でお願いしているものが七法律ございます。その七法律の中にただいま御指摘の家庭用品品質表示法があるわけでございまして、そういう事態になったときに、手数料を定める定め方をこの際決めさしていただいておきたいということでございまして、その実態が先に起こってくる話でございますから、そういう意味での規定の整理を行ったということでございます。
  354. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 規定の整理はいいけれども、何か今まで取らなかったものを今度は絶対に取りたいという感じを受けますね。  その次は、特許特別会計創設と引きかえに機械類信用保険特別会計が廃止になるということで、機械類信用保険の制度はもっともっと充実をということが、これは中小企業のためにも必要だというふうに思うんでございます。今度はその業務が中小企業信用保険公庫に移管するということだけれども、さらに充実した機機類購入等の信用保険にこれを移したときには多少は変貌さしていくということが必要じゃないかと思うんですねのこれはどうなっているんでしょう。
  355. 熊野英昭

    説明員(熊野英昭君) 機械類信用保険制度事業規模につきましては、おかげさまをもちまして、近年リース契約等の普及によりまして飛躍的な増大を示してきております。例えば責任残高で見まして、五十三年度約三千二百億円でありましたものが、五十八年度には九千九百七十六億円と三倍以上の伸びを示しております。今後もこの事業規模は着実に増大する見込みを持っておるわけでございます。  私ども、これらの今後予想される業務の増大に対処するためには、事務処理の一層の効率化が不可欠であると考えておりますが、今回の業務の移管を機といたしまして、大型コンピューターシステムの共同利用でありますとか、保険公庫の既存の組織の活用等を図りまして、一層の事務の効率化を図り、利用者、契約者の利便の拡大を図ってまいりたいと考えております。  また、地方の事務処理体制等につきましても、今度保険公庫の方にできます機械保険部の分室を設置いたしまして、地方在住の契約者に対する利便の増加を図ってまいりたいと考えている次第でございます。  いずれにいたしましても、この移管を機会に機械類信用保険制度、あるいは業務の一層の発展、充実のために努力をしていきたいと考えております。
  356. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いずれにしても、大変利用がふえているからこういうふうに保証額もふえるわけですから、一生懸命頑張っていただきたいし、もっと内容の充実にも精力的に取り組んでもらわないと、せっかく一つのことをやるときには転機があったときにやらなきゃなりませんので、よろしくお願いいたしたいと思います。  次は、手数料の引き上げによる増収分の問題について伺いたいんですが、今までの増収を見ますというと、五十三年度に改定されたときに百十二億円、五十六年度が四十一億円、それに対して本年は七十八億円ということです。大分前に比べて減っております、ふえ方が。しかしその中で、特許特別会計創設によって、そちらの方へ六十四億円行ってしまう。その分を除くと十四億円でございますから、前二回の改定と比較して大変少ないように思われるんですが、これはいかがでございますかb
  357. 的場順三

    政府委員的場順三君) 御指摘のとおり、五十六年度の改定では一般会計の増収が四十一億、五十三年度のときには百六億、今回は二億円ということになっておりますが、御指摘のとおり今回の改定は、従来一般会計に入っておりました特許関係手数料の引き上げ六十四億円を特別会計に移しております関係で、これは五十六、五十三とも一般会計に入っておりますので、その関係で一般会計が少なくなっているところでございます。したがって、仮に特許法関係の六十四億を特別会計でない、従来と同様の扱いに一般会計だというふうに仮定いたしますと、今回も六十八億円が一般会計に相なりますので、全体の額が一般会計が非常に少ないということではございません。ただ、これは会計整理の問題でございますので、実態的には、今回の手数料の引き上げは大部分多くのところ特許の関係でお願いをしているということでございます。
  358. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 この増収分七十八億のうち、一般会計分が四億円ですね。二億円じゃないですか。一般会計分は二億円じゃないですか。四億円ですか。
  359. 的場順三

    政府委員的場順三君) あるいはちょっと数字の読み間違いがございましたらいけませんので、もう一度申し上げますが、五十九年度は一般会計は二億円でございまして、ほかに特許関係で六十四億円ございます。
  360. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 さっき四億円と言われたから、あれと思ったんですけれども、増収分七十八億、そのうち七十六億がそうすると特別会計、二億円が一般会計。大臣の提案理由で述べられた、厳しい財政事情にもかんがみまして、各種手数料等の金額については全般的な見直しを行ったと。それにしては、一般会計で二億円というのはどういうんでしょうか、これは余りにも少ないんじゃないでしょうか。いかがでございますか。
  361. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) このたびの手数料、結局、費用負担の公正、適正化、今までの慣例によりますところのそういう目的で行ったものでござ いますので、歳入のいわゆる増収という目的でこれをとらえたということは、率直に言って、心はそこへ向いておりましても、この手数料の問題を歳入増の的にするということにはなかなかがっちりと踏み切れぬというところがございます。これは素直に申し上げます。
  362. 的場順三

    政府委員的場順三君) ちょっと補足説明をさしていただきますと、先ほど来問題になっておりますのは一括法関係の手数料だけでございまして、四十三法律が対象になっておりますが、全体としての手数料は法律に基づかない政令、省令等で変えさせていただくことのできる部分もございまして、今回はその一括法の七十八億も含めました全体としての手数料の増収額は百二億でございます。で、五十六年度の一括改定の場合にも、一括法以外に政令、省令で同じように改定を行っておりますが、それらを全部含めたところでは六十六億でございますし、五十三年度の一括改定のときも、同じような考え方をとりますと百六十七億でございますので、全体の金額、歳入の総額からいえば小そうございますけれども、できる限り努力をしたつもりでございます。
  363. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 私、今回の改正によるというふうに申し上げたつもりでございますけれども、今度の五十九年度予算の各種手数料収入は千四百九十三億円だと思いますが、そのうち一般会計分が九百十一億、特別会計分が五百八十二億、その中で特許特別会計分六十四億がありますから、それでも特別会計の方は全体で十二億円の増収となる。その中で食管特別会計分十億円ということだとそのほかたった二億円にしかなりませんけれども、一般会計分の方については、先ほどから申し上げているように、そう大きな赤字解消のためには役立っていかないというふうに思うんですけれども、この点は、こういう一括した法律案としての各種手数料等の額の改定及び規定合理化と、こう言っていながら実際には合理化の方向に向いていないというふうにしかとれないわけですね、結果的に。焼け石に水のような感じがするんですが、その点は不合理じゃないか、合理化じゃなくて不合理化じゃないかという感じがするんですが、いかがですか。
  364. 的場順三

    政府委員的場順三君) その点に関しましては、先ほど大臣から御答弁のございましたとおりでございまして、そもそも手数料というのはいかなる性格のものかということから考えますと、特定の便益を受ける人に政府として必要なコストを負担していただくということが基本になっておりますから、そこのところを改定することと歳入の増加を図るということとはあるところでは一致いたしますけれども、適正なコストを負担していただくということから考えました金額が全体の歳入から見て非常に小さいということはやむを得ないことであろうかと思います。  それから、もう一つ一括法をお願いいたしております趣旨は、これは五十六年五月十二日の当委員会の御決議にもございますように、「各種手数料等基本性格を明確にするとともに、その整合性を図り、より合理的なものとするよう努めること。」というふうな観点からもお願いをしているところでございまして、増収効果だけ、もちろん増収効果も一つでございますけれども、増収効果だけを念頭に置いているものではございません。
  365. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 この手数料等の法律案に関係する特別会計は既存のもので言うと、あへん、食管、自動車、空港、道路、こういう五つの特別会計がありますね。現存の我が国の経済社会の情勢から見ても、これらの特別会計を見ると特別会計にしておかなくてもいいんじゃないかとか、会計の規模を小さくしてもいいんではないかと思われるものがあるんですけれども、特にあへん特別会計、そんな大きな金額じゃありませんね、この特別会計の表を見ても。そういう点どうかということが一つ。  それから一般会計から特別会計への繰り入れを見ますというと、五特別会計のうちあへん特別会計以外の四つはいずれも一般会計からの繰り入れが大変大きくされている。食管は今までもさんざん触れられておりますからこれは申し上げませんけれども、自動車検査登録特別会計が本年度十三億九百万、空港整備特別会計が九百四十五億四千五百万、道路整備特別会計が一兆八千四百三十六億円、自動車検査登録特別会計会計規模が四百七億円で、それに対して前年度で剰余金が百八億もあるわけです。こういうものがあるのにさらに十二億九百万円も一般会計から繰り入れをしなきゃならない。なぜこういう剰余金が出るのかということと、今申し上げた各会計に対して、特別会計に対して一般会計からの繰り入れが大変あるということです。これは多過ぎるんじゃないか。道路整備についても二兆一千八百億というのが会計規模ですが、一般会計からは一兆八千四百三十六億円入っておるわけです。一般会計特別会計、全体で二十数億円が一般会計から特別会計になだれ込んでいるわけですから、これはもうちょっと考え直すべきじゃないかというようなことも思うんですけれども、そういうことを念頭に置いて、今のどうしてこうなのかということをお伺いしたい。
  366. 的場順三

    政府委員的場順三君) 大変難しい御質問でございます。  特別会計はそれぞれ財政法規定に基づきまして、理由のあるものについて特別会計として弾力的、合理的な運用を図るよう努めているところでございます。ただ、一般会計からいわゆる損失補てんのような形で繰り入れをせざるを得ないものもございますし、それから財源を一般会計から特別会計に付与するという形の繰り入れもございます。それはそれぞれの特別会計制度に基づいているところが多うございますが、従来とも一般会計特別会計通しまして、財政の健全合理化を図るためにこういった一般会計からの繰り入れ面につきましても合理化を行ってきているところでございますし、今後ともできるだけ合理化を行いたいと思っております。  ただ、御指摘のあへん特別会計、非常に小さな規模で歳出規模も非常に小さいではないかという御指摘でございますが、確かに御指摘のとおり歳出予算は十九億円弱でございます、五十九年度の歳出予算で。ただ、これはこういうふうに歳出規模は小そうございますという点が一つございますのと、臨調答申においても特別会計の見直しの推進ということを言われております、御指摘いただいているところでございます。しかしアヘンの購入、売り渡し等につきましては、麻薬単一条約によりまして国が独占権を有し、その業務を行うこととされております。またアヘンの大幅な価格変動、不確定な国内外の需給動向等予測不可能な事態等に効果的かつ適切に対処するためには特別会計による弾力的かつ円滑な事業の運営が必要であるということで現在まで運用しておりますが、御指摘のような点も踏まえまして所管の厚生省とも十分に相談をしてまいりたいと思います。  それから車検特別会計について一般会計からの繰り入れがあるではないかということでございますが、これは特許特別会計についても七条一項で一般会計からの繰り入れを七百万いたしておりますが、それと同種の繰り入れでございまして、一般会計歳入となる自動車重量税に係る事務費の財源に充てるための繰り入れを行っております。これは一般税収の納付の確認等の事務をこの特別会計の職員に行っていただいていることから必要となる繰り入れでございまして、本来の車検特会の業務にかかわるものではございません。いわば一般会計の仕事を車検特会にお願いしているという趣旨で繰り入れているものでございます。  いずれにいたしましても、特別会計歳入歳出全般につきまして今後とも御指摘の趣旨を踏まえ、その運営に万全を期してまいりたいと思います。
  367. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 先ほどの質疑で私は弁理士業務の実態について指摘をいたしました。これは私は単なる弁理士の職域確保という問題にとどまらず、国民の権利、それから国の特許制度の維持発展にかかわる極めて重大な問題だろうと思うわけであります。  最近の大企業特許出願件数の増大などから見まして、今度のペーパーレスシステムは大企業が独占しかねない、これは大げさに言いますとね。それで一般の国民、中小企業がはじき飛ばされてしまうかもしれないという、そういう危険も私はあり得ると思うんです。そういうときだけに弁理士制度がしっかりすることが大事だろうということだと思いますので、それを前提にあと若干の質問をしたいと思うんです。  いろいろ私は形骸化ということを言ったんですが、一つにはそういう大企業出願件数の増大と、もう一つは形式代理の問題、もう一つ特許庁や弁理士会自身の消極的な態度にも問題があったと思うんです。弁理士会はきょう来ておりませんので、特許庁で見てみますと、例えばこれは先ほども指摘しましたけれども、審査官が、弁理士じゃない、弁理士本人以外の無資格者と面接する行為などあったということはお認めになったんですが、そのほかにも無資格代理人の一部に電算機による事務処理上代理人コードを付与している、こう聞いておるんですが、そういう事実があるのか。あるとすればこれは弁理士法違反になるんですが、裁判所は絶対そんなことは放置していませんね、それが今まで放置されてきた事情は何なのか。
  368. 小野真魚

    政府委員(小野真魚君) 御指摘の弁理士資格を持っていない者が代理人コードを付与されておるケース、これは現実に存在いたします。ただし、これは企業内の特許事務の担当者が代理人コードを持っておるということでございまして、こういったケースはごくわずかですが、代理人コードを持たせおる。弁理士あるいはその出願人が、国とか公の場合を除きまして、それ以外でそうしたコードを持っておりますのは十四件でございますが、そのうち弁護士についてこういうコードがついている場合もございまして、ごくごく限られた状況でございます。  こうした代理人を相手に面接審査をどうするかという場合でございますが、弁理士資格を持つ代理人が出頭するように指導しておる次第でございます。
  369. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 いや、弁護士は有資格者ですからそれはいいと思うんですが、要するに無資格者の代理人ですね。仮に十四件であっても、そういうものに現実にコードを付与しているということは、それは公認したということですよね。    〔委員長退席、理事岩崎純三君着席〕 数少なくても、それを公認したということは全般に及ぶわけで、それが先ほど申し上げたような形式代理が実際横行して、それが弁理士制度の形骸化を余計進めていくものだというぐあいに思いますので、私はそれはやめるべきだし、それから今後の問題として、こういう無資格者に対する規制強化、これを行うべきだと思いますし、さらに文字どおりの無資格者だけじゃなくて、実質的には実際に自分が目を通すこともできないような形式代理、それについてもこれはメスを入れるべきじゃないかと、こう思うんですが、いかがですか。
  370. 小野真魚

    政府委員(小野真魚君) ただいま申しました代理人、これが社員で無資格の者が代理するということについては、できるだけ自粛するようにということで指導しておるわけでございますが、一般的に代理人に弁理士でない者が選ばれておるということが直ちに違法であるか。弁理士法によりますと、報酬を得る目的で業として代理をするということが違法になっておるわけでございますので、直ちに違法というわけにはまいらないわけでございますけれども、いずれにいたしましても、弁理士法、弁理士の制度の趣旨にかんがみまして、実質的に内容をチェックすることが不可能なような大量の代理を弁理士がしておるという事態は好ましい事態であるとは思っておりません。
  371. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 そんな回りくどいことを言わずに、だってコードをつくるんだから、これはもう大量にやっているに決まっているんですよ。しかも業としてやっているんですよね。たまたまあなたが言ったような違法であるかどうか、業としていない、そういう場合だってあることは当然ですが、    〔理事岩崎純三君退席、委員長着席〕 これはもう大量にまさに業としてやっている。報酬じゃなくたって給料もらったってそれは業だっていうことは、特許庁長官のそういう見解表明がありますからね。だから、それに対してそういう不明確な態度をとるから、だから私が先ほど申し上げたような形骸化が進んでいくんですが、長官、どうですか。それに対してこの際きっぱりとした態度を明確に打ち出すということが、特にこの本法案でさらに高度化、複雑化していくし、そしてまた余計弁理士制度の重要性が問題になってくるだけに、そういう態度は打ち出すべきじゃないんでしょうか。
  372. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 私の承知している範囲ではわずか十四人で、これは特定の人でございまして、違法性のない人、もっと典型的に言えば特許管理士というような、はっきり言ってちょっと問題のある人は入っていないんです、これは。それでむしろ私は将来コンピューター化になりますので、全部コード化したらいいじゃないか、そうしてきちっと実態を把握する。そして極端な言い方をすれば、極端でもないんですが、要するに今の段階だと、何とか管理士とかなんかいう人が出してきてもわからないんですね。ところが今度はコード化すればきちっとわかるわけです。年間百件も二百件も出せば明らかに今おっしゃるように業じゃないかということになるんです。そうなりますと、こちらもどこまで取り締まりができるかなかなか難しい点ですけれども、いろんな意味でそれに対して警告を発するとか、あるいはひどい場合は告発するとか、いろんな手ができるわけでございまして、私はむしろ今おっしゃったようなこととは逆に実態を把握してはっきりする。しかもせっかくコンピューターをやるんだから、一遍に出てきますわね。そういう方がいいんじゃないか、先生の趣旨に合うんじゃないかと、こういうふうに思っています。
  373. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 今後の問題はそういうことでしょうが、今までの問題はそれと違う次元の問題ですから、私は特許庁側の、それは一つの例であって、いろんな面にそういう甘さ、裁判所に比べて非弁活動に対する甘さがあったし、そういうことがいろんな問題を生み出しているのだということ、これは指摘にとどめたいと思います。  それからもう時間もありませんので、あと幾つか。今後本当に弁理士制度が有機的に機能していくという点でいろいろ言われておる問題で、例えば特許情報の利用について十分弁理士にそういう状況をつくり上げるということとか、それに関係して弁理士会館、これは先ほども問題あったんですが、どうするかということはまだ弁理士会自身で固まっていないということです。  ただ一つは、あの場所に置くべきだということ。例えばこれは法律条文上も所在地、要するに特許庁所在地に設置すべしとなっているのだから、よそへ追い出すわけにいかぬでしょう。だからそういう点で、私はむしろ積極的にこれはそこへ置くということを前提に話を進め、かつ弁理士会館自身、今申し上げたようないろんな面での情報の利用その他でうまくいくようなそういう体制が必要だろうと思うんです。ちょっと長官、目を丸くしておかしな顔していますけれども、所在地というのは民法上一番地でも違えば所在地が違っちゃうんですよ。だって、一番地でも違えば法人は登記し直さなければいかぬでしょう。だから、私は法律に忠実な態度としてはそういうことだと思うんですが、そのお答えをいただいて質問を終わります。
  374. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 弁護士の近藤先生に対して余り法律知識のない私が対抗するのはきついんですけれども、我々は行政区画と解釈しております。しかし別に弁理士会館がどうなってもいいという意味で申しているわけじゃないんでございまして、これについては近くにいた方がいいに決まっているわけでございますので、いろんな方面から議論をいたしますし、また関係各省の意見も聞かなきゃいけませんので、そういうことで密接 な連携体制があるということ、弁理士が重要な業務であるということに着目しまして、これについてはしかるべく今後検討の上善処したいと思います。
  375. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 ちょっと委員長、行政区画ということが出てきちゃったので……
  376. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 近藤君、簡潔に。
  377. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 民法五十条、「法人ノ住所ハ其主タル事務所ノ所在地ニ在ルモノトス」ということを初め、登記ではこれにかかわるんです。そのほか民法四十五条一項、二項、三項、四十八条、これはぜひ読んでいただきたいということを申し上げて質問を終わります。
  378. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 私は手数料の問題についてお尋ねしたいと思います。  今回の一括改正案ですが、中身を見ますと、実費を限度として政策的配慮を働かせるものと、実費を勘案して額を決めるものと、それから工業所有権関係で実額の入っているものと、大きく言えばこの三つに分かれるわけですね。政策的に配慮を加えるものはこの際除きます。実費を勘案して手数料を決めるということは、平たく言いますと、かかったものはいただきますよということですね。したがって、そこを流れている基本的な判断というのは収支相償うということです。特許料等工業所有権については先ほど来何遍も御答弁がありましたように、収支相償基本的哲学ですよね。そうすると同じなんです。片一方は実費を勘案して政令で決めるが、片一方は実額が入っている。この違いというのはどうして出たんですか。
  379. 的場順三

    政府委員的場順三君) 今御指摘のございました「実費を勘案して政令で定める額」という場合の実費というのは、特定のその事務に要する経費だけを具体的個別に取り出して計算したものでございます。確かに特許四法の手数料につきましては実額で定めておりますが、それはその全体としてやや長期的に見て収支相償ということで考えておりますが、特定の年次だけとれば若干その差があるということで、むしろ一括法でお願いをいたしております特許四法を除いた方の考え方の方がより厳密であるということだと思います。
  380. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 「実費を勘案して政令で決める額」の実費ですけれども、どうやって実費をはじくかというと、予算ベースではじくしかないんです。したがって、これは見積額なんです。特許法関係四法についても、これも見積額で基本的には収支相償うんですから同じことでございませんか。なぜ片一方が実額で片一方がそうなっていないんですかという質問なんです。
  381. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 特許関係出願料とか年金とか非常に多岐にわたっています。たくさんあります。それでトータルとして収支相償うという基本運営をしているんです。ところが、先ほども御説明いたしましたように、大きく分けて年金部分とそれから出願料部分とありまして、年金部分が先ほど言いましたように五五%、出願部分が四五%、年金部分のそれじゃ直接実費というのは何ぼかというと四五%の一割もあるかないかなんです。したがって、これの実費をしますと年金部分がぐっと小さくなって出願関係の手数料がぐんとふえるわけです。そうしますと先ほど申しましたように、これは各国とも非常に苦労した政策的な判断をしていまして、発明の奨励その他バランスをとってやっていまして、日本はいろんな各国の中間でちょうどよいバランスをとっているわけです、今。  したがって、これを実費で勘案しますると、今の特許庁出願料、年金その他体系ががたがたになりまして、極端な言い方すれば、非常な発明抑制料金体系になってしまうというような問題がありまして、実費を勘案してというのは、総合収支としては確かに特許庁はそういう建前をとっていますけれども、個別にそういうふうにいかないということでございます。そういう意味でまた金額も大きゅうございますし、多分国会の議決を得るような法律事項にしておると、私はそういうふうに理解しております。
  382. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 御説明ですけれども、「実費を勘案して政令で決める額」の実費というのは、例えば建物の費用、これは入っているんでしょうか。
  383. 的場順三

    政府委員的場順三君) 具体的な手数料の算定に当たりましては、減価償却費の考え方をとっておりますから庁費という形で入っております。
  384. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 ああ、そうですか。入っているのか。入っているんじゃしようがないな。前に入ってないという御説明を伺ったものですからね。  そうしますと実額で決める、片一方は決まって、片一方は政令で決める額になっているわけですね。こっちは三年後見直し、片一方は実額。そうしますと、実額で取ってスタートをするんだけれども、初年度、次年度、三年度と見ていきまして、その年度はきちんとその実額の合計額で特会としての収支がバランスをするということはなかなか考えづらいんです。これから建屋もつくります、したがって後半にはコンピューターも入れてまいります、いろいろな計画があると思うんだけれども、実際には初年度の方はなかなか費用がかかってこないから相当余ってきます。二年度も余ります。三年度は今度は月によって赤字ですが、通算してどうこうですというぐあいの、特会として見ますと、運営になるんですか。
  385. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) そこのところが我々甚だうまく調整をしておりまして、実はコンピューター化というのは常識的に、御存じだと思いますが、最初インプットとかソフト開発をやっております。そして実際のお金が一番かかるのはレンタル料なんです、フラットになった場合の。それは逐次しり上がりになってきます。それから十年後にフルになってきます。最初の段階というのは、どちらかというとコンピューター経費の方は緩いカーブで来まして最後に上がってきます。それで総合庁舎の方は、どちらかといえば、このコンピューター経費の立ち上がる前のところの大体三年ぐらいで経費が出るようにやっておりまして、それは先生確かにおっしゃるとおり完全無欠にならしていくわけにはいきません。だけど、ほぼならしたような状況で我々は料金設定をしており、収支を計算しておるところでございます。
  386. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 そうしますと、建屋の建設というのは実際にかかった資金ベースで見て特会の中に入ってくるという計算ですね。そうすると、ほかの費用の方は減価償却で考えております、特許特会の方は資金繰りの面でこれだけのお金がかかるのでという形で入ってまいりますと。入り方が違いますね。本来は同じベースで、特許特会の方も手数料の計算とすると減価償却ベースで手数料は計算しなければならないんではないんですか。
  387. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) そういうことで確かに事業、いわゆる事業といいますか経営といいますか、株式会社という問題で考えますれば、減価償却ベースというか、借り入れを長期にして減価償却ベースと言う方がどちらかといえば正確だと思います。しかし、我々の会計の場合は厳密な意味事業会計ではございません。そういうことと、先ほど申しましたように、コンピューター化経費の立ち上がりとそれから総合庁舎の立ち上がりがうまくクロスいたしましてなだらかに上がっていくということがあります。そして十年後はどういうことかといいますと、十年後はそれでほとんどの経費が、大きな投資が終わりますので、あとは大体先ほど申しましたようにインフレ率程度の調整で済むということで非常になだらかに行きます。  それで、確かに先生がおっしゃるように、それはおかしいじゃないか、じゃビルに関しては前取りじゃないかという議論があると思います。そこのところは確かに苦しいんでございますが、同時に先ほど申しましたように、この特許を利用する人というのはほとんど毎年同じ人なんでございます。ほとんど変わっていないんでございます。そういうことで繰り返し繰り返しこうなっているものですから、結局、同じ負担人だというようなのが大勢でございますので、厳密に理論的に言えば、問題なしとしないということはよくわかるんでございますが、現実感覚として大数観察をいたしますと、結局、総合的な収支相償というベース に乗っておると我々理解しておるわけでございます。
  388. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 やっぱり苦しいんでしてね。  建物というのは一遍建てたら何年もつんですか。その間ずっと人は変わらないというのはあり得ないんでありまして、今回の御提案でどうも私が理解できないのは、先に申し上げますと、手数料で建物を建てるというのはどうなんだろうか。本来だったら建物の方は別途財源措置を講じて建てて、したがって手数料の方は減価償却で逐次算入をするんだと。コンピューターの方はこれはもう時間で計算できますから直接手数料に算入したっておかしくない、建物まで手数料でつくっちゃう。どこかおかしいんじゃないかという気が私抜けないんですけれども、どうですか。
  389. 若杉和夫

    政府委員若杉和夫君) 純粋な経済計算をすればそういう御指摘の点があることは私も否定できないと思います。  ただ、くどいようですが、総合庁舎というのはコンピューター化に伴いましてどうしても建てなきゃならない必然性があるわけでございます。それでコンピューター化が建物なしには成就できないようなほど密接な関連があります。したがいまして、そういう意味でできるだけ早急に建てなきやいかぬ。  それから確かに五十年――常識的には鉄筋の建物は五十年償却であることは私よく存じております。しかし、五十年間に人が変わらないかとおっしゃると、それは苦しいことも確かでございます。恐らく九九%は実は変わらないんでございます。というのは、御承知のように大企業が七割五分出願をしておりまして、中小企業が二割五分でございます。七割五分の大企業はほとんど変わらないと思います。それから二割四分弱の中小企業の場合も、大体製造業のうちの約四、五万の人が入れかわり立ちかわり毎年顔を出しているのが実態でございますので、確かに厳密におっしゃると、その場合に受益者負担という観点からも、ややずれがあるんじゃないかという御指摘はよくわかるのでございますが、全般的な総合庁舎の緊急性、それから今のような特許出願人の現実的なサイクル化というものを考えますと、私は、何とか許される範囲に入っているんじゃないかと、こういうふうに考えております。
  390. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 時間ですからこれでやめます。  五十年、企業が同じ規模で存続するというのは、我々の経験に照らす限りほとんどないんです。相当のものが入れかわるんです。ですから、そういった御無理な御説明なさるお気持ちもわかるんですが、ただ、それもこれも何が問題かというと、この財政の窮迫なんですよ。本当は、工業所有権を確保し、利用する、国民経済は発展をする、そして一般会計の税収の中から建物はつくりましょう、減価償却で手数料はいただきますというのが本当なんだけど、そんなことがしてられない、もうきれい事が言ってられない今の財政の現状がこういうひずみになっていることは私よくわかるんです。わかるんですが、ひずみですよということはやっぱり言っておかないと気が済まないということであります。  終わります。
  391. 的場順三

    政府委員的場順三君) ちょっと一言だけ。  大変鋭い御指摘でございまして、ただ、「実費を勘案し」の「実費」は、これはやや発生ベース的に積み上げて計算をする。ただ、収支相償特別会計の場合は、毎年度、しかも十年ぐらいの年次で見た平均ベースの支出収入を考えているというところに若干差があるんだと思いますが、御指摘の趣旨、よくわかりますので。
  392. 青木茂

    ○青木茂君 この手数料法案趣旨説明にも、「国会の附帯決議等の御趣旨を踏まえまして」と、こうございますし、きょうもこの特許の問題で何となく附帯決議が出るような雰囲気もあります。だから、附帯決議について集中的にちょっと御質問を申し上げたいと思うわけでございます。  時間がございませんから、本来ならば最後に伺うべきことを一番最初に伺ってしまいますけれども、大蔵委員会におきまして、過去五年間、附帯決議というのは幾つぐらい――なきゃいいです。伺いたいことは、衆議院段階で附帯決議をつけて、それとほぼ同趣旨のものを参議院段階でもつけたというのが何%あって、逆に、参議院段階でつけたものを衆議院段階が慌ててつけたというものが何%あって、あるいは参議院のみ独自でつけたというものがどれぐらいあるか。これは質問通告してありますから数字が出ているんじゃないですか。
  393. 的場順三

    政府委員的場順三君) 大変申しわけございません。附帯決議について御質問があるということは承知をしておりましたが、具体的な数というものをちょっと調べておりませんので、申しわけございません。
  394. 青木茂

    ○青木茂君 その数を実はお願いしたつもりだったんですけれども、まあこれはしょうがない。  恐らくや、これは数字がないから想像ですけれども、衆議院でつけたものをほぼそのまま同趣旨で参議院はつけるんじゃないか。逆に、参議院の独自性を発揮した附帯決議は案外少ないんじゃないか。これ以上深追いをしますと、天に向かってつばして、また日経連を喜ばすだけですからやめますけれども、私は、参議院の独自性というのはこの附帯決議についてももっと発揮されなければならないんじゃないかというつもりで実は数字を聞いたんですけれども、いいです。  そういう意味で附帯決議を考えてみると、附帯決議なるものが非常に乱発をされまして、いわばインフレ傾向になる。インフレ傾向になれば価値が下がる。たくさんできると、中にはお経の文句みたいな附帯決議も出てくる。そうすると、都合のいいものは、合理化に関する御趣旨を踏まえましてと、こうきますね。都合の悪いものは、何かそのまま空文になってしまうというような傾向が私は出ているんじゃないかと思うんです。附帯決議というのは院の意思なんだから、どうなんでしょうね、あらゆる附帯決議がどう尊重されるか、こういうことなんです。
  395. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) 附帯決議は、おっしゃるとおり院の意思でございまして、それで極端に衆議院と参議院と――言ってみれば、これは予算等における同じ性格のものでございますが、委員長見解とか、そういうものは極端に違います。これは参議院のまさに独自性ではないか。決算も強度の差が著しいものが出てまいりますですね。これは私の経験からですからいささか政治家答弁になります。  それから、要するに、一般論としてのその法律の持つ執行に当たっての問題点の指摘というのは二重になる部分はありますが、そのほかに、どちらかといえば専門家が多いわけですから、専門的な分野からの附帯決議は、これは本院の方が多いというふうに感じております。  さて、そこで今度は、必ずこうして読みます、ありがとうございますと、こう申しますが、それがどういうふうに実行されておるかといいますと、これもまことにラフな感じで申し上げるんですが、税法等は翌年実現するというものは非常に少なくて、その数年後に実現してくるというのが税法などの持つ一つ性格かな、こういう感じがしております。それからもう一度次の機会に、何と申しますか、その法律の改正をお願いするまでには、それの努力をかなり密度濃く重ねないとお願いできないという傾向もあるのではないかというふうに私自身は感じております。したがって、税法等でいろんな附帯決議がありますと、これはこうなっております、これはこうなっておりますというようなこと、これはまだ検討中でありますとかいうような問題は、政府としても国会が始まる前には整理して構えておることは事実でございます。
  396. 青木茂

    ○青木茂君 どうでしょう、大臣、今申し上げましたように、事の濃淡はともかくとして、附帯決議というのはとにかく院の意思なんだから、それを尊重なさるという意味では、あらゆる附帯決議について、次の国会あるいは一年後、それはどうでもいいんですけれども、少なくとも経過報告はなさるということが私は院の意思を尊重するどい うことになるんではないかと思うわけなんですけれども、どうなんでしょう。それが実現するとかしないとか、これはいろいろな問題があると思います。あると思いますけれども、つけた附帯決議が一年たってこういうふうになっておりますよという経過報告はしていただいた方が、院の意思を尊重するということになるんじゃございませんかな。
  397. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) 執行に当たっての心構えというようなものは絶えず体していかなきゃいかぬ。それで、ある程度の時期を置いて改正をお願いするような問題は、その都度の要求に基づいて、それが附帯決議に対する今日までの進みぐあい――検討中というのもあります。それから、いつも非常に苦悩といいますか、苦吟いたしますのは、例えば税務職員の定員の問題とか、そういうことになると、附帯決議にこたえたとは言えないなと思いながらも御報告だけはきちんとする。だから、絶えず行政というものに相当な制約を与えておる。それはやっぱり議院内閣制のいいことかなあとも思います。私自身も附帯決議案をつくったときに大臣になったんでございますから、だから院に対する配慮として、いわゆる執行に当たっての心構えのような形のものをお答えするかどうかは別として、その都度要求に応じてお出しするという構えは絶えずしておるところでございます。
  398. 青木茂

    ○青木茂君 どうも私には、まだ慣れないからよくわからないんですけれども、附帯決議がついてそれが何かつきっ放しで終わってしまうもののパーセンテージの方が多いような気がするのですね。しかし、これは一問一答の問題じゃございませんから、これで終わります。
  399. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。  この際、既に質疑を終局いたしております株券等の保管及び振替に関する法律案を議題に追加し、三案を便宜一括して討論に入ります。別に御発言もないようですから、これより直ちに三案の採決に入ります。  まず、株券等の保管及び振替に関する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  400. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、各種手数料等の額の改定及び規定合理化に関する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  401. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、特許特別会計法案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  402. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、竹田四郎君から発言を求められておりますので、これを許します。竹田四郎君。
  403. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 私は、ただいま可決されました特許特別会計法案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合、参議院の会、新政クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。  特許特別会計法案に対する附帯決議(案)  政府は、本法施行に当たり、次の事項に配意すべきである。  一、特許特別会計の運営に当たっては、特許工業所有権の理念及び公共性が損なわれることのないよう十分配慮するとともに、技術の高度化と工業所有権制度国際化の進展に対応し得る体制を確立すること。  二、特別会計移行後に予定されているペーパーレスシステムの構築、庁舎の建設等の実施に当たっては、それらが今後の工業所有権行政を左右する重要な事業であることにかんがみ、綿密な計画の立案とその推進が行われ、かつ、迅速的確な事務処理ができるよう、人材の確保及び勤務条件の維持改善についても十分配慮すること。  三、特別会計への移行に当たり、中小企業に対する指導助成等、中小企業対策について特段の配慮を行うこと。  四、ペーパーレス化の実施等、環境の変化に弁理士が適切に対応し使命を達成できるよう、弁理士法の改正等弁理士制度の強化を図ること。    右、決議する。  何とぞ皆様方の御賛同をお願いいたします。
  404. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) ただいま竹田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  405. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 全会一致と認めます。よって、竹田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、竹下大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。竹下大蔵大臣。
  406. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って十分配意いたしたいと存じます。ありがとうございます。
  407. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) なお、三案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  408. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  409. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  租税及び金融等に関する調査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  410. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  411. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十六分散会      ―――――・―――――