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政府委員(
若杉和夫君) 第一の
中小企業関係あるいは
料金の水準そのものの問題でございます。率直に言いまして、各国はほとんど
収支相償う
原則で適用しております。幸いなことに、
日本の
特許庁の
処理能率というとちょっと
語弊がありますけれども、一人当たりの
処理量は国際的に見て非常に高いわけでございます。大体三倍ぐらい
処理しておるわけでございます。そうしますと、どういうことになるかといいますと、
特許、
実用新案の
料金水準も、国際的に見て二分の一、三分の一、あるいは高い国から見ると六分の一と、非常に低い水準にございます。そういうような
状況が
一つございます。
それからまた中小
企業につきましては、実は
アメリカとか主な国はないんですが、
日本の場合、
実用新案制度というものを実はつくっているわけでございます。この
実用新案制度はなかなか便利なものでございまして、俗に言えば小
発明と言われておりますけれども、ある場合には
特許をとってもいいし、
実用新案に向いても、どっちでも選択できる面が相当あるわけでございます。ただ、保護期間が十年と十五年とちょっと違いますけれども、それで中小
企業の利用者が非常に多い。この
実用新案については、先ほどのレベルよりさらに、
料金が低くなりまして、いわゆる
特許の半分以下ということになっておるわけでございます。
具体的に申しますと、今十年間フルにとって実は
出願料と年金と両建てで十年間持っているわけですが、十年間で今九万円ちょっとでございます。したがって、一年に直しますと、実際は十二年ぐらいかけて
出願をし請求をし、
登録して年金を納めてから十二年ぐらいで九万円納めていただくことになっているわけですが、これが今度十四万円強になりますから、率は高いんですけれども絶対値というのは率直に言ってそれほど大きくないという問題もあります。
それから国際的に見ても
かなり安い水準にあるということで、もちろん無制限に
料金値上げの、幾らでも上げていいということは到底ないんで、一定の限界というものは当然あろうかと思いますが、現在の我々が
計画しているのは、大体許容される範囲に入っておるのではないかと私は思っております。もちろん、今後とも
経費の合理的な使用その他に努めまして、できるだけ大幅でないような努力はしていきたいと思います。
それから第二の問題は、
特許政策の問題でございますが、
先生おっしゃるとおり、
特許制度というのは
発明者に対して一種の独占的権利を与えると同時に、それを公開させまして、俗に言えば後に続く者がさらにそれを改良して乗り越えて、いい
発明なり
技術開発をしていくという両方の面を持って成り立っているわけでございます。これは恐らく
特許の
歴史始まって以来の
基本的
考え方でございますし、今後もこの
基本的
考え方は続いていくんだろうと思います。そういう
意味で、この問題は特に今
基本的に枠組みが変わることはないと思います。
ただ、
後進国あたりから技術移転といいますか、
特許権について独占的になり過ぎて、極端な言い方をすれば輸入ばかりさせられちゃって、自国の産業の自立ができにくい面があるのではないかという提案が国際的にございます。この問題は調和させなければいけない問題だと思います。
これにつきましては非常に難しい問題がありまして、実は国際会議で
かなり議論いたしておりますが、現在もまだ結論には至っておりませんが、我々としてもできるだけ技術移転について、
特許問題を含めて、あるいは
特許以外の面も含めて、
後進国のそういう、何といいますか、発展について
協力していく義務があろうかと思っております。
第三の労使関係ですが、これは
先生おっしゃるとおり、当然でございまして、我々これだけの大幅な
コンピューター化、データ化をやるわけでございますから、職員あるいは組合の
協力なくしては実行できませんことははっきりしております。したがいまして、過去にもこの問題について随分具体的に――過去この問題立案いたしましてからもう一年半になりますけれども、終始、協議、話し合いをしてきております。
いろんな健康上の問題もありますし、仕事が変わることの問題もございますから、職員に不安のないように十分話し合って、とにかく我々の
基本認識は職員の
協力なくして実行できないということは肝に銘じておりますので、円満な話し合いをして納得づくで実行してまいりたいと思っております。