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政府委員(
佐藤徹君) 非常にたくさんの点に言及されたように思いますが、まず
証券会社の社会的信頼の点から申し上げますと、実は個人のことで恐縮ですが、私は今から六年前から二年間、証券局の総務課長をやっておりました。当時と今との業界の
状況、あるいは役所の行政の
中身を比べてみますると、
証券会社に対して、こういうことはやっちゃいかぬとか、ああいうことはやっちゃいかぬとかいういわゆる規制の
部分の割合が非常に減ってきているように思います。それは
証券会社自体が努力をし、役所もそういう方向で行政をした結果、それなりにある
程度社会的な地位も自覚し、立場も認識をして、だんだん
投資家に信頼をされるようになってきたということの
一つのあらわれではないのかなというふうに思っております。
他方、今その証券業界でもう
一つの非常に大きな問題として認識されておりますのは、
銀行とか信託
業務とか、そういったいわゆる他の
業務分野との垣根の問題があると思います、確かに。
これは、
一つには国内の要因として非常に
国債がたくさん出てきた。
国債については、もともと
銀行が扱ってもおかしくないということで、証取法六十五条でも除外
規定が置かれているようなものでございますから、
議論はいろいろありましたけれ
ども、これだけの量の
国債を国内で円滑にさばき、
流通を円滑にやっていくためには、
銀行も入ってきた方がいいんではないかということで、そこは両業界が一緒になってやりましょうやと、こういうことになったんですが、関連いたしまして、本来の
銀行業務、それから本来の証券
業務の中間にあるいろんな
業務についてだんだん競合する度合いが強くなってきている。お触れになった
中国ファンドなんかも、そういう
意味では投資信託ですから本来の証券
業務の中の問題ですけれ
ども、実際の
投資家の目から見た認識としては、やや
銀行の預金に近い性格もあわせ持っているというような認識のされ方をしているんだと思いますが、そういったことが
一つございます。
それからもう
一つは、インターナショナルという
意味の国際化が、これはいや応なしにどんどん進んでいるわけでございますけれ
ども、
外国の
銀行と証券の区分というのは
日本と全く同じという国は
一つもありません。どこの国でも独特の長い歴史の積み上げてその仕切りはいろんな形をとっておりまして、一番
日本に近いのは
アメリカなんですけれ
ども、
アメリカでも
銀行と
証券会社の位置づけは
日本とは
かなり違っております。それからヨーロッパ大陸ではもともと
銀行、証券という区分がないわけで、
銀行ライセンスを持っておれば、証券
業務のうちマネージャー
業務まではできるということになっております。いわゆる
株式のブローカーは別でございますけれ
ども。そういったふうに国によって非常に違いますが、全般として言えることは、
外国の
銀行は
日本の
銀行よりも、
日本では証券
業務と認識されている
部分に
かなり実際問題として参加していると、こういうことは言えるんだろうと思います。
国際化をしていきますと、そういう世界の資本
市場の中でいろいろ商売をやっておるわけでありますから、
日本の
制度はこうだからそういう話はちょっと契約はできませんねと言ってみれば、それは商売から抜けるよりほかはないわけですから、そういった
意味で、
日本でも
銀行と証券の垣根を少しずつ低くしていくということが、国際場裏で
日本の経済が一層発展するためにはやはり必要になってくる。そういったことから俗に言う垣根問題というのが出てくるわけであります。
したがって、全体としてはそういった国際化、あるいは規制を緩和していくという方向をにらみながら、しかし、午前中も
大臣もおっしゃいましたように、国内でいろんな混乱や摩擦が過度に起こっては困るわけでありますから、そういった点を考えながら、徐々にそういった方向に近づけていく努力を個別問題ごとに毎日毎日やっていく。そういうことしか国のとるべき態度としてはあり得ないんじゃないだろうかというふうに考えておりまして、そういった
意味で、新聞なんかですとやや両業界の争いみたいなとらえ方もあるわけでございますが、私は別に争いということじゃなくて、世界の中の経済の実態、それから
日本の
市場の実態にどうやったら沿った方向で摩擦が少なく変化していけるか、そういう問題というふうに認識をして物事を
処理してみたいなと思っております。