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政府委員(山本昭市君) 最近の
酒類の
消費動向につきまして、
課税数量から全体をまず御
説明申し上げまして、その上で
伸び悩みの原因につきまして御
説明申し上げたいと思います。
まず、
酒類全体でございますが、
昭和四十七年度が五百七十万キロ
リッターでございまして、五十七年度が七百二十七万キロ
リッターでございます。十年間で一・三倍でございまして、年平均の
伸び率は二・五%でございます。ところで、このうち最近の五年をとってみますと、
昭和五十二年度が六百五十三万キロ
リッターでございましたものが五年間で一・一倍、年平均
伸び率にいたしまして二・二%ということでございます。まあ五十年代後半が若干
伸び悩みというような形になっているわけでございます。
次に、主要な
酒類につきまして申し上げますと、
清酒はこの十年間で約一割減でございます。したがいまして、年平均の
伸び率はマイナスの一・〇と、こういう
数字でございます。その中におきまして二級酒が若干
伸びている、その分
特級が減っている、一級はほぼ横ばいと、こういう感じでございます。
次に、し
ょうちゅうでございますが、これが最近非常に
消費の動向著しいわけでございますが、十年間で一・四倍という
数字になっているわけでございます。年平均の
伸び率は三・六%でございます。特に最近のこの五年間におきましては、
伸び率が六・八%というようなことでございまして、かなり急激な
伸び。実数で申しまして、
昭和四十七年度が二十二万キロ
リッターでございましたが、五十七年度は三十一万キロ
リッターということでございます。
次に、
ビールでございますが、この十年間で約一・四倍、年平均三・三%の
伸びでございます。
次に、
ウイスキーにつきまして申し上げますと、この十年間で二・四倍にふえておりまして、年平均
伸び率は九・〇%でございます。最近五年間の平均
伸び率は四・三と、
伸び率は高こうございますが、若干これも過去よりは、五十年代前半よりは
数字を減らしていると、こういう感じでございます。
次に、この
伸び悩みの原因についてお尋ねがございましたが、特にこの中で
清酒が
伸び悩んでおりまして、その理由は何かということでございますが、なかなか明確なことは申し上げられないわけでございまして、いろいろなものを読みまして研究してまいりますと、結果でございますが、まず
一つは食生活の洋風化ということの
影響があろうかと思います。特に新しく飲酒人口になってまいります若い世代が、これは戦後生まれでございまして、食生活の洋風化ということが
一つ挙げられます。
それから
消費の高級化志向の
影響でございまして、
所得水準が上がってまいりますと、しゃれたものを飲みたいというような感じがあるようでご
ざいまして、その点古い
清酒と申しますものが相対的にイメージダウンを来しているということでございます。
それから三番目が生活の簡便化と申しますか、生活志向が変化してまいりまして、特に最近におきましては、
家庭におきまして主婦がなかなかおかんをつけないというような
傾向もあるようでございます。したがいまして、酒、さかなの用意の煩わしさがないところの
ビールとか
ウイスキーが
伸びると、こんな感じも言われておるようでございます。
それから、これと
関係いたしますが、マイホーム志向の
影響、食事のときには団らんが中心になりまして、どうしても御主人が酒を飲むというような雰囲気はだんだん減ってきているようなことが
消費動向の調査でうかがわれております。
それから最後に、これは実は大きいと思うんでございますが、健康への関心の高まりでございまして、どうも
清酒が健康によくない、甘い感じが翌日の頭に残るとか、あるいは場合によっては糖尿病によくないというような、これは間違った見解でございますが、これはアルコール健康医学協会の調査によりますと決してそうではないのでございまして、アルコールすべてに共通をしているということのようでありますが、そういったようなことが挙げられておりまして、全体として特に
清酒の
伸びの鈍化が見られるということでございます。
なおまた、先般も
参考人でございましたか、
清酒業界の一部には原料米が高いということで、それに伴いますところの相対
価格の不利を主張する向きもございますが、この点につきましては基準点をいつにとるかという問題がございます。最近五年間で見ますと、
税率面におきましてかなりの配慮が行われております。今回御
審議いただいております
改正案につきましてもそういうことでございまして、これはそれほど大きな理由にならないのかなという感じを持っているわけでございます。
以上でございます。