○野末陳平君 詳しいことはわかりませんから、いずれにしても、有効にコンピューターを使って人員不足をカバーしてもらいたいとは思うんですけれ
ども、もちろんそれで機械がすべてやれるわけじゃないから、本当は人員をふやす方向を行革にこだわらずとらないと、恐らく今に行革、行革で税務署員をふやさないことがかえって間違いだというような世論も出てくるかもしれないと思ったりしているんですよ。必要なものはふやせ、要らないものを削るのが行政改革だ、こういうのが正論だと思いますが、いずれにせよ、機械化の方は今後さらに進めていただきたいと思います。
そして、たまたまその機械化に
関係が出てくるかどうか、そこが微妙なんですが、せんだっての本
会議でしたか、
竹田先生が医療費控除の年末調整のことでちょっと触れましたけれ
ども、あれも別に医療費控除の
還付請求がふえたから人手がかかってしようがないというんじゃないんです。なぜ人手がかかるかというと件数がふえたからじゃないんですね。解釈をめぐって、要するに何が医療費がというその解釈の違いでもって
適用基準が非常にあいまいな部分があり過ぎる。つまり税務署員の個人的な判断にゆだねられる部分が多過ぎるんですよね。そこがむだな時間を食っちゃうことなんですね。
そこで、
政府税調答申では、足切り限度額を
引き上げようというようなことがありましたね。ですけれ
ども、確かに私もそれも必要だとは思ってはいるんですが、しかしそれ以前に大事なことは、医療費というものはこういうものだというのを、素人、つまり納税者にわかるようにきっちりと決めることの方が先だと思うんですね。
例えば現場で必ずもめているというか、おかしい、こうなるんだけれ
ども、病院に行くのにタクシーに乗って領収書があれば認めるんですね。ところが、自家用車に乗って行けばガソリン代じゃ認めない。これは確かに認めにくいけれ
どもね。そうなると、タクシーの領収書を集めて行ったんだと言ったやつの勝ちだからね。一々それが病院に行ったかどうかという証拠までなくて、領収書があるかないかが問題になってしまっているんですね。あるいは医者だって領収書をくれない医者もいる。そうすると、気が弱くて領収書をもらえ
なくて、家計簿を持っていった場合、家計簿を認めている係と全然認めない係とはっきりあるわけだね。年によって違う、税務署によって違っている。これでもって医療費控除というのを
法律で決めて
還付請求だといっても、結局こういうことでむだな時間を食っているとしか思えないんですよ。
ですから、僕は医療費控除はもちろんいいんですが、足切り限度額を
引き上げたところで何にもプラスない。それよりも、タクシー代なんかもうだめならだめでいいと思うんですね。はっきり医療費にふさわしい中身を決めて、それが余り個人の主観でどっちにでもなる、マルかバツかになるというような、こういうあいまいな決め方がまずい。
薬代だってそうだからね。薬局の領収書が全部いいとは、もちろんそんなことは通用するはずないけれ
ども、薬によっていいか悪いかと素人には判断できない。となると、これは絶対領収書が必要だ。これも条件です。そうなると、お医者さんに義務づけをするのかどうかという問題にまで発展するでしょうけれ
ども、これも真剣に検討しなきゃだめだと思いますね。
それから医療費の枠というものをきっちりと決めて、ここまでというふうに、素人でも玄人でもそんなに解釈の相違がないというところまでやれるかどうか、やらなきゃだめだと思いますね。それができれば年末調整もそんなに難しくなかろう。もし
還付請求のあの行列がなくなれば、これもまだお互いに納税者の方だって非常に便利だと思いますわ。
そこで提案ですけれ
ども、主税局に
お願いするのは、医療費控除といって、交通費からあれやこれや、付き添い、
差額ベッドとか、いろんなことを言いますけれ
ども、しかし
適用基準というのが解釈の違いによってまるで違ってしまうんです。この部分が広過ぎる。これがここ五、六年いろいろな現場で聞いたり見たりして
感じたことなんですね。だから、その辺をきっちり詰めて、そして次の段階は領収書の発行の義務づけか、あるいはそれを年末調整でやってもらえるのかどうかというその検討を本格的にすることも、今後の納税者に対するサービスと同時に、
還付請求を生かすための大事な課題だと思うんですよ。それについてのお
考えと今後の検討方針を聞いて、終わりにしましょう。