○
政府委員(梅澤節男君) まず前段の御
質問の点でございますが、御指摘になりましたように、今回御
提案申し上げております各
酒類ごとの税
負担の
引き上げ幅の中で、し
ょうちゅう甲類は
負担の
引き上げ幅三五%弱、それからウイスキーにつきましても、先ほど
委員が御指摘になりましたように、下級酒、つまり二級酒が三〇%弱、一級酒が二五%弱、特級が二〇%弱ということで従来の
引き上げの考え方とはむしろ逆の方向で御
提案を申し上げております。
これの基本的な考え方は、先ほどの御
質問にお答えしましたように、各
酒類間、それから同じ
酒類でも紋別間の
負担の格差を縮小する。これはこの後御
説明申し上げます
酒税問題懇談会におきましてもこの方向が示唆されておりまして、この方向に基づきまして昨年十一月の
政府税制調査会の中期答申もまとめられておるわけでございますが、その中でも、今後の
酒税のあり方として、その重要な一つの方向として、
酒類間の
負担格差縮小ということが言われておるわけでございます。私
どもはその考え方に沿いました案で現在御
提案を申し上げておるわけでございます。ただ、し
ょうちゅう乙類につきましては、本来でございますと、三五%台の上げ幅をお願いしなければならないわけでございますが、し
ょうちゅう乙類につきましては、
清酒と同じように原料米の特殊事情がございますので、これにつきましては、二五%弱の
引き上げ幅で調整をいたしております。
ただ、このようにいわゆる従来下級酒と言われ
てまいりましたものについて大きな
引き上げ幅をお願いしておるわけでございますけれ
ども、もともと現在の
負担率、つまり小売価格に占める
負担の割合が低い水準でございますので、例えばし
ょうちゅう甲類につきましては、三五%の
従量税率の
引き上げをお願いはしておりますけれ
ども、それをお認め願いまして、それが価格転嫁されたとしましても、小売価格に影響いたしますのは三・八%でございます。同じくし
ょうちゅう乙類で一・七%、ウイスキーの二級酒で四八%といった
程度でございまして、今回の
税率の
引き上げ幅のベースといたしました
ビールなり
ウイスキー特級、それぞれ二〇%弱の
引き上げ幅でございますけれ
ども、これらの
酒類になりますと現在の
負担割合がかなり高いものでございますから、小売物価に影響いたしますのがこれらの
酒類、
ビールとか
ウイスキー特級の場合は九%前後になります。その意味で小売価格に対するはね返りという点から見れば、今回のいわゆる下級酒の税
負担の
引き上げについては
ビール等に比べると低いということは御理解を賜りたいと思います。
それから後段の御指摘になりました
酒税問題懇談会でございますが、これは五十六年の
酒税法改正のときの国会の御
審議とか附帯決議等に基づきまして、酒
税制度を根本的に中長期的に考えるという
観点から、これは学習院大学の田島教授に座長をお願いいたしまして、五十六年の六月から約一年間検討作業をしていただきました。これは業界の方のほかに学識経験者も入っていただきまして、学識経験者の中にはアルコールの健康医学の
観点から精神医学者なんかも参加いたしていただいたわけでございますが、その座長の報告を要約いたしますと、三点に要約されると考えるわけでございます。
一つは、我が国の現在の酒
税制度を見ますると、諸外国と比べまして、一つの特徴として、
酒類の区別が非常に複雑であるという特徴がございます。現在、
酒税法で、
酒類については十種類十三品目という
酒類の区別が行われておるわけでございますが、これをもう少し簡素合理化できないか、簡素合理化する方向で検討すべきであると。それから先ほど申し上げました
酒類間の税
負担の格差を今後は縮小すべきであるという点。これが第一点。
それから第二点は、その
酒税の
課税方式でございますが、我が国の
酒税は
従量税率を基本といたしまして、ただ価格帯の広い例えば
清酒の特級とか
ウイスキー類等につきまして従価税を導入しておるわけでございますが、今後の方向としては、従量税と従価税を適宜組み合わせながら、むしろ価格帯の広いところには従価税の方式を広げていくといったような方向が示唆されておりますし、また
税制調査会の答申でもこの考え方が受け継がれておるわけでございます。
もう一点は級別
制度でございまして、なかんずく
清酒の現在の級別
制度につきまして、現在の級別が客観的基準を欠いておるといった問題が従来から提起をされております。この級別
制度の客観的基準の
見直しあるいは簡素化、存廃も含めたそのあり方の検討、それから、級別間の税
負担の格差の縮小。
おおよそこの三つの点がこの懇談会の座長のまとめとして要約をいただきまして、それが中期答申にほぼ今後の
酒税のあり方として御指摘をいただいていることになっておるわけでございます。
今回御
提案申し上げております
改正案では、率直に申し上げまして、
酒類間の税
負担の格差縮小の問題については、先ほど来申し上げているとおりでございまして、我々は、懇談会なり、この税調の答申の線に沿って御
提案申し上げておるわけでございますが、残余の問題、特に級別
制度のあり方の問題とか、あるいは従価
税制度を今後どういうふうに現在の酒
税制度の中で広げていくかといったような点につきましては、税調答申でも、価格帯の広いものについては従価税の
範囲を広げるようにという御指摘はいただいておりますけれ
ども、今回の五十九年度の
酒税法の
改正におきましては、種々検討いたしましたけれ
ども、具体的な結論といいますか、成案を得るに至りませんでした。これらの問題につきましては、引き続き検討をさせていただきまして、次の機会に、できるものはまた新たな角度から結論を見出しまして御
提案を申し上げたいと考えておるわけでございます。