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1984-05-10 第101回国会 参議院 商工委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年五月十日(木曜日)    午前十時開会     ―――――――――――――    委員の異動  五月十日     辞任         補欠選任      佐藤栄佐久君     内藤  健君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         斎藤栄三郎君     理 事                 降矢 敬義君                 森山 眞弓君                 高杉 廸忠君                 市川 正一君     委 員                 石井 一二君                 岩木 政光君                 亀井 久興君                 杉元 恒雄君                 鈴木 省吾君                 内藤  健君                 松尾 官平君                 松岡満寿男君                 山本 富雄君                 梶原 敬義君                 対馬 孝且君                 福間 知之君                 田代富士男君                 伏見 康治君                 井上  計君                 木本平八郎君    衆議院議員        商工委員長代理  渡辺 秀央君    国務大臣        通商産業大臣  小此木彦三郎君    政府委員        経済企画庁国民        生活局長     及川 昭伍君        通商産業政務次        官        大木  浩君        通商産業大臣官        房長       福川 伸次君        通商産業大臣官        房審議官     棚橋 祐治君        通商産業省産業        政策局長     小長 啓一君        通商産業省機械        情報産業局長   志賀  学君        中小企業庁長官  中澤 忠義君    事務局側        常任委員会専門        員        野村 静二君    説明員        警察庁刑事局刑        事企画課長    三上 和幸君        経済企画庁国民        生活局国民生活        政策課長     長沢 哲夫君        法務大臣官房司        法法制調査部司        法法制課長    原田 明夫君        大蔵省証券局企        業財務課長    中島 公明君        大蔵省銀行局中        小金融課長    朝比奈秀夫君        国税庁直税部法        人税課長     谷川 英夫君        文部省初等中等        教育局中学校教        育課長      遠山 敦子君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○割賦販売法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  割賦販売法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 福間知之

    福間知之君 最初に大臣に総括的に二問お聞きをしたいと思います。  御案内のように、近時、消費者産業その最たるものである割賦販売の業態というもの、いわゆる花形産業一つとして異業種をも含みまして重要な関心が高まっておりまして、信用情報についての十分な基盤もないままに参入をしてきている状態であります。したがって、そこには各種の混乱も見られるのが現状であります。ちょうどこの姿は数年前にいわゆる大型店が進出をして既存の小売業とのあつれきがちまたに巻き起こったという姿に似ているわけでありまして、こういう状況を放置をしていくということは決して好ましくないと私は思うわけであります。この点について、基本的に行政当局としてどういうふうな見解を持って対応されようとしているかお聞きをしたいと思います。
  4. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 現行法のもとにおきましても、例えば割賦購入あっせん業に必要とされる登録を新たに行うことにつきましては、中小商業者等への配慮から慎重な運用を行ってきておりまして、改正法のもとにおきましても中小商業者等への影響を十分考慮した運用を図っていく所存でございます。今回の法改正によりまして、リボルビング方式割賦購入あっせんにつきましても登録を要することとなるのでございますが、この登録の可否を判断する際にも中小商業者等への影響を十分考慮する方針でございます。
  5. 福間知之

    福間知之君 少しく具体的な対処策についてお触れになりました。これは後ほど順次ひとつお聞きをしてまいりたいと思いますが、もう一つ信用業者間の競争が激化してくるに伴いまして、いわゆる信用供与姿勢がそれぞれの企業によって安易に流れ過ぎる。そして、ユーザーである消費者の歓心を買うべく便利性だけを強調するような傾向が見られるのではないか、むしろ消費者側からすれば、便利性も結構だけれども、それ以前にその信用供与に伴う金利ができる限り低い方が望ましいわけです。そういう面での競争が十分に行われないで、安易な便利性の追求ということで目先をごまかすというふうな傾向がなきにしもあらずでありまして、結果において、消費者もそれに惑わされて購入したが後ほど支払いに困難を招来する、こういうふうな問題が起こっておるんじゃないか、これはマクロで言えば一つの社会的な問題だというふうにも思います。例の話題になっているサラ金におけるそれと類似した状態になっておるんじゃないか、そういうふうに思うわけです。御案内のとおり、アメリカではこの種の傾向についてローンシャークだと、ローンの地獄だというふうな時代にも入っていると言われているんですけれども、我が国においても信用供与業務が拡大するにつれてその種の社会的風潮に陥らないかどうか懸念されるわけですけれども当局としてはどういう御見解ですか。
  6. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 割賦関連取引が近年非常に増加を示している反面、確かに福間委員指摘のような問題が引き起こされていることも事実でございます。こうした状況に対しましては、この改正法案に基づきまして信用供与適正化を図ってまいる所存でございます。
  7. 福間知之

    福間知之君 そこで、当局にお聞きしますが、クレジット利用そのものは結構ですけれども、契約を締結する場合に、割賦販売の総額が個人で数千万円というふうな高額になるケースもあると耳にするわけです。そんなにたくさんあるとは私個人も思わないんですけれども、まあないことはないということのようです。こういうふうに当初から金額を完済するという見通しがないままに信用供与するというのは一つの異常な姿ではないか、そういうふうに思います。まあ平たく言えば商人道を踏み外した商売の姿勢だ、こう言われてもやむを得ないわけでありますが、この点、今回の改正案の四十二条の三におきまして、支払い能力を超える購入防止について努力規定訓示規定が設けられておるわけですけれども、この程度規定では目的を果たして達し得るのかどうか疑問を感ずるわけですけれども、いかがですか。
  8. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 先生指摘のように、支払い能力を超えます購入防止のための規定は四十二条の三ということでございまして、それが訓示規定になっておるのは御指摘のとおりでございます。ただ、訓示規定になっておりますのは、支払い能力を超えた購入につきましてはその購入者の責任でもあるわけでございますので、またその罰則担保規定を設けるということは構成要件が不明確であるというような点もございまして訓示規定にとどめておるわけでございます。ただ、近年割賦関連取引分野でも多重債務者発生の問題が大変大きな問題となっておるわけでございまして、この四十二条の三の規定に基づきまして、クレジットカードの発行とかあるいは個々の取引段階におきまして信用情報機関利用等によりまして過剰な与信が行われることのないよう厳に業界及びその関連企業指導してまいりたいと考えておる次第でございます。
  9. 福間知之

    福間知之君 そういうことも一応わかるわけですし、さらに五十八年十一月に施行された貸金業規制法でも同種の規定を置いておりまして、さらに通達によって当該資金需要者に対する一業者当たり貸付金額について五十万円まで、あるいは年収額の一〇%に相当する金額という定めがあるようであります。今回の改正法におきましても同様の措置がしたがって考えられるべきではないかというふうにも思うわけですけれども、いかがですか。
  10. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 私ども法律の場合には、頭打ち規定を設けることにつきましては、物販の場合には多少問題があるのではないかと思っておりますけれども多重債務者発生にならないように、私どもとしましてはできるだけ業界関係方面指導してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  11. 福間知之

    福間知之君 余り法的に強い規制をすることは望まないという気持ちは私も同感なんですけれども、しかし、サラ金業でいろいろと問題が提起されてきたように、私はやはり、先ほどの局長答弁と、また今の、頭打ちを余りしたくないという考えのようですけれども、しかし、やはりこれはある程度規制をする方が結果として消費者を保護することにもなるし、あるいはまた、中小業界に損害を与えない、あるいはトラブルを生じさせないということに通じて、結果として業界の長期にわたる繁栄というか、そういうものにもつながる、そういうように私は思いますんで、規制貸金業の例があるようにある程度はもうはっきりした方がいいんじゃないか、こんな気がするわけですけれども
  12. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 先生指摘のように、今回改正法で新たに設けられました過剰与信防止規定につきまして、その厳正な遵守を指導することによりまして、安易な与信に起因いたします不良債権発生防止に努めてまいりたいと考えておるわけでございますが、また、その過剰与信防止実効性を担保するためにも信用情報蓄積を進めることが非常に重要ではないかと考えておるわけでございまして、信用情報機関連携強化を図ることが重要であると私どもは思っておるわけでございます。そのため、そういう方面指導につきましても十分強化をしてまいりたいと思っておる次第でございます。
  13. 福間知之

    福間知之君 そこで、クレジット会社は、今日、一見堅調に業績を伸ばして推移しているように見えるわけですけれども、昨年あたりから不良債権の急増という現象が見えるわけでありまして、これがまた経営の足かせにもなっておるようでありますが、それらはいわゆる競争の激化に伴ってカード会員の獲得ということに際して審査がややルーズに流れているんじゃないかというところに起因する面があります。そこで、各企業入会審査システム強化するということに当たっておるわけですけれども、特に不良債権、つまり多重債務者を出さないためにいわゆるスコアリングシステムチェックシステムというものを企業ごとに確立をして実施に移っているようであります。しかし、その場合に各社間にこのスコアリングシステムのあり方にばらつきがかなり出ておりまして、業界全体として見た場合に十分に機能を果たしているのかどうか疑問があるようでありますけれども、この点について当局としての、何といいますか、目安づくり基準づくりというものについて指導性を発揮すべきではないか、こういうことはいかがですか。
  14. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 先生指摘のように、確かにスコアリングシステム等につきまして各社ばらつきがございます点は御指摘のとおりでございます。したがいまして、そういう点につきましては、今後の検討課題としてよりその適正な信用情報蓄積できるような方向で私どもといたしましても行政指導に努めてまいりたいと思っておるわけでございます。先生がおっしゃいましたように、私どもとしましては、実質的には過剰与信防止実効性を担保するということが極めて重要な政策課題ではないかというふうに思っておるわけでございまして、そのためにも信用情報蓄積が不可欠ではないかと思うわけでございますし、またその前提といたしまして信用情報機関連携強化ということも必要ではないかというふうに考えておる次第でございます。
  15. 福間知之

    福間知之君 後ほど質問する答弁を先取りされたようでありますが、まあこの過剰与信防止あるいは信用情報蓄積とか横断化、そういう問題についてまた後ほどちょっと指摘をしたいと思いますけれども。  さてそこで、昨今通信回線自由化という波に乗りまして、公衆電気通信法の一部が改正されて、クレジット産業信国産業におきましては、いわゆるNTTにおけるCAFISシステム、これは主に銀行系クレジットが採用しているシステムですが、さらにアイ・ビー・エム系CATNETシステム、これは信販系、今ここでいわゆる割賦販売業の大宗をなすものでありますけれども、それぞれがこの両回線を持って一種のオンラインを形成しよう、こういう状況になっています。これによりまして磁気テープ交換からオンラインが可能となって、時間的にも人的にも省力化が進んでまいっています。  そこで、同ネットワークシステムの利点として、限度額チェック不正使用防止等によるいわゆる事故防止のほか、分割払いの手続のスピード化などが指摘されておるわけですけれども、ちょっとわかったようでわからないので、当局としてはこういう機械化といいますか、そういう実情についてどの程度把握されていますか、概略わかっていればお聞きしたいと思います。
  16. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) ただいま先生も具体的にお話しになりましたように、実際のカード有効性チェックであるとか、あるいは与信限度額チェックをいたしますいわゆるクレジットカードオーソリゼーションという言い方をしているわけでございますが、そのオーソリゼーションの問題に関しまして、従来より、より迅速化合理化を図るためには機械化が必要であるということを認識をしておるわけでございまして、一部の企業におきましてそれぞれオーソリゼーションのための加盟店端末設置をするというような個別的対応も見られておるわけでございます。  さらに先生指摘のように、ネットワークシステムといたしまして、いわゆる電電公社中心CAFISというシステムと、それからアイ・ビー・エム中心CATNETという両ネットワークが存在をしておりまして、それぞれが加盟店消費者利便性とかあるいはクレジット企業を含めたトータルコスト観点から具体的な利用が図られておるわけでございますが、私どもといたしましては、その両ネットワーク相互利用ができるような形、つまり相互乗り入れを図っていくことが望ましいというふうに考えておるわけでございまして、その点は先生の御指摘のとおりでございます。
  17. 福間知之

    福間知之君 そういう観点からもこのネットワークに関して問題になる一つは、各業者ごと利用システムが異なっている、それではCAT機能がさらに汎用化して利用されるということを阻害するんじゃないか。新規加入会社に対してのコスト負担の面を考えましても割高になるというふうなことで、システムをより普遍的に活用していくというためのルール化当局として指導をされるというふうな御意向はないかという点。
  18. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 先生指摘のように、関係業界によって構成をされておりますシステム化推進連絡会というのができておりまして、そこの段階で、先ほど申しました加盟店端末につきましては、その加盟店端末共同端末化ということについての検討が行われておるわけでございまして、昨年の十一月より加盟店共同端末設置が開始をされ、徐々にではございますけれども、その展開が行われているところでございます。  それから、先ほどのシステム間の相互乗り入れの問題につきましても、現在その連絡会の場を通じまして両システム供給者間で話し合いが持たれておる状況でございます。
  19. 福間知之

    福間知之君 そういうことで昨年十一月からですか、具体的に手を染めつつあるということで、それは結構だと思うんです。  そこで、先ほどちょっと触れたNTT系銀行クレジットCAFISと、それからアイ・ビー・エム系信販系CATNETですね、大きくこれ大別されているわけですけれども、これの今後の展開については、そのまま放置していいのか、何かそこにやはり行政面で一定の配慮をしなきゃならぬというふうな事態が考えられるのかどうなのか、これは始まったところですから私どもちょっとわかんないんですよ。これは今単にこの割賦販売業におけるシステムの採用というにとどまらず、御案内のとおり回線自由化に伴いまして、通信衛星をも含めて、特にアメリカ関係企業日本への参入というものが積極化してまいりまして、そういうマクロで見ても私どもはこれどういうことになっていくのかなあという、いわゆる懸念を持っているんですけれども、まあこの場は一応この割賦業に関してのみにとどめますけれども、将来的な一つ展開について心配もあるし、あるいはまた確信もあるでしょうけれども、どういうふうな今御感想を持っていますか。
  20. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 先ほどもちょっと触れさしていただきました、関係業界によって構成をされておりますシステム化推進連絡会の場におきましても、ネットワークの実質的な一元化を実現するために必要な作業を行うよう要望が出されておるところでございます。これを受けまして、ユーザーがいずれのシステムを選択しても問題がないように両システム供給者間で話し合いが持たれるということでございますので、私どもはしばらくその成り行きを見守ってまいりたいというふうに、考えておる次第でございます。
  21. 福間知之

    福間知之君 願わくは消費者にとって便利さがかえって不便にならないようにこれはあってほしいし、またそこにそれぞれのシステムが競合する余り社会的に不公正が生じないようにあってほしいと思うんです。現に、今問題になっている電電の民営化問題に絡みまして、アメリカのATTとそれからそれに関連した分割された会社との関係は大変な事態になっていまして、新規参入会社長距離の光ファイバーを引いて、そのもうけのいいところだけ仕事としてやり出したと。結果として、もう電話番号ですね、長距離にかける場合、あるネットワーク利用すると二十から、二十一から電話番号を固さにゃいかぬというような事態が出ているのです。今、日本は大体長距離でも九つか十ですわね。プッシュホンでやったらさらに早い。二十から二十一電話番号かけなきゃ通じない、非常に不便が出てきているんですね。それは一つの例ですけれども、この場合はそうにはならないんですが、かなりこの問題が通信回線利用という面では予期しないような事態が出るという危険も一応は想定しておかなきゃならぬ、こういうふうに思うわけでして、十分ひとつ推移を見守って適切に対処を願いたいと、こういうふうに思います。  それから、先ほどの消費者個人信用情報の面でございますけれども、既に触れられたように、この個人信用情報機関能力強化、あるいはまた横の連携一体化というふうなことが必要だと、こういうふうにおっしゃられていますから、それはそれで基本的に私結構だと思います。特にこのうち、今大蔵省関係消費者金融の面で三つ機関があるようであります。それから、通産当局関係信用販売業務の面で二つですか管轄下にはあると、こういうように言われていますが、これにいかなる違いがあるのか、かねて一体化が望まれながら、言葉は悪いですけれども大蔵省主導のもとに再編を嫌っている通産省としては一体化に反対だと、むしろ情報交換程度でないと困ると、こういう御意思をお持ちのようですけれども、役所間の権限争いが昨今その他の面でも感じられている時期でございますけれども、何か合理的な解決ということについて必要性はないのかどうか、お聞きをしたいと思います。
  22. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 先ほどの御質問の答弁の中で述べさせていただきましたわけでございますが、多重債務者発生防止をしていくためにも、金融物販の枠を超えまして、消費者信用全般にわたって信用情報蓄積整備を進めていくことが必要であるという点につきましては、先生の御指摘のとおりであるわけでございます。  また、昨年の七月に私ども産業政策局長私的諮問機関といたしまして、消費者信国産業懇談会というところでいろいろ議論した結果レポートをまとめたわけでございますが、そのレポートの中におきましても同じような認識から「個人信用情報の内容は、基本的には、クレジット消費者金融ともに同質であることから見れば、将来的には双方の情報を総合的にとらえるべきであろう」という旨の提言がなされておるわけでございます。通産省といたしましては、消費者金融分野を含めた信用情報機関連携強化につきまして、これは今後の課題といたしまして関係省庁とも連絡をとりながら取り組んでまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  23. 福間知之

    福間知之君 これは大蔵当局、御答弁願います。
  24. 朝比奈秀夫

    説明員朝比奈秀夫君) 小長局長が御答弁されましたように、私どもといたしましても過剰貸し付けに、よるいわゆる多重債務者発生防止いたしまして、消費者信用市場の健全な育成、これを図っていくことが大切である。そのためには個人信用情報システム整備充実、またできるだけ一元化というものを図ってまいる必要があるのではないかと、そういうような観点から最近の状況を見ますと、そういった信用情報機関はいろいろ業種別に幾つか設立されて、それぞれ相互に無関係に独立して運営されている、こういう状況にございます。そういう実情でございますので、これを十分な効果を上げさせるような機関とするためには、少なくとも、その機関の統合ということはなかなか難しいとは思いますが、情報の一元的な活用、利用、そういったものはぜひとも望ましいことではなかろうかと考えております。そうして、そういった方向へ向けて通産省を初めといたしまして、経企庁、行政管理庁、その他関係省庁ともいろいろな観点から連絡調整をとりつつそういった方向へ努力してまいりたい、そういうことで積極的に信用情報機関一元化に向けまして支援を行う、こういうことで充実整備に努めてまいりたいと考えております。
  25. 福間知之

    福間知之君 金融問題研究会ですか、等での答申等もちょっと勉強さしてもらいましたけれども、今さしあたっての御答弁としては両当局ともその程度だと思うんですがね。やはりこれ時間があれば今後一遍お聞きもしたいし、これは考えようによればまたプライバシーの問題にも関連してまいりますので、非常にデリケートなんですけれども、しかし、割賦業というものが発展すればするほど一面において大事なことですから、今後のひとつ適切な対応をこの際はお願いをしておきたいと思います。  ところで、大蔵の方にお聞きしたいんですけれども、最近首都圏消費者金融専門業者構成しているところの個人信用情報センター、いわゆるJDB、ジャパン・データ・バンクが外資系消費者金融会社加入申し込みについて態度を留保していると、こういうふうに報じられていますけれども、その理由として先ほど触れました大蔵系三つ通産系二つ情報機関分野調整ができるまで結論を控えると、こういうことのようですが、これはプライバシーの侵害を防ぐのがねらいなんでしょうか、あるいはその後事態に何か進展でもあったんでしょうか。これは考えようによれば、今国際摩擦、特に日米間の経済摩擦というものが諸般の面で出来をしていますけれども、そのひとつになりかねない、そういうように思うんですが、大蔵当局事態についてどういうふうに考えていますか。
  26. 朝比奈秀夫

    説明員朝比奈秀夫君) 首都圏を対象にいたしましたJDB、これは個人信用情報を収集いたしまして、消費者金融専業者に対する情報提供を行っておりますが、これは株式会社となっておりまして、純粋な民間機関でございます。それで先生指摘のように、外資系貸金業者に対してはその参加を認めておりませんが、その説明といたしましては、そのJDBの会員資格には他の信用情報機関の会員でないことということが条件になっております。したがいまして、そういった不法入会を認めないというような意味で断っているというふうに聞いているわけでございます。しかしながら、今後、御指摘のような多重債務者発生防止していくということは非常に大切なことでございますし、今後幅広い業態によって信用情報機関というものが活用されていくということは大変に望ましいことだと考えております。したがって、その外資系貸金業者に対しましても十分に個人信用情報機関が活用できるように、できるだけこの貸金業業界その他を通じまして指導していきたい。その結果、各機関相互間の情報交流も徐々に進展していく、こういうことを期待しているものでございます。
  27. 福間知之

    福間知之君 ちょっと実態も余りわかりかねるんですけれども、私の視点は、先ほど言ったように、この種の問題で余り煮え切らない態度をとっていると、アメリカからさらに過大な要求というものが出されてくるぞ。だからやはり、先をよく見きわめて対処していかないといかぬぞ。例えば、特定不況産業に対する対策をしようという場合でも、一種の委員会なりプロジェクトなりつくって通産当局でもやろうとすると、そんなことにまでアメリカは今くちばしを入れてきてるんですからね。ちょっと私らから言えば論外なんですけれども、それほど今貿易摩擦解消というにしきの御旗のもとにかなり過大な要求を性急にアメリカがやってきている。そういうような危険を感ずるわけですから、そんなものがこんなところにまで来られたら、さらにまた事態は悪い方向に発展するようじゃかえっていけない、こういうふうに思いますので、やや先見的なお取り組みをひとつお願いしておきたい、こういうふうに思います。  次に、これは通産当局にお聞きしたいんですけれども、先般衆議院の商工委員会小長産業政策局長答弁された中で、クレジット産業の度を超えた債権取り立てを防止するために、クレジット産業にかわって貸し金返済を求めたり、あるいは適切な取り立て方法を指導したりする機関の設立を関係業界に働きかけていくという趣旨の方針というか、答弁が行われたんですけれども、具体的にはこれはどういうことなんですか。
  28. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 衆議院段階のその御質問の趣旨は、債権の保全とか、あるいはコンサルティング機能を有します第三者による債権の共同管理システムについて検討したらどうかというような御質問であったわけでございますが、私どもは、その問題に関しましては、不幸にして多重債務を負うに至った消費者にとっても、またその債権を回収しようとする割賦関連業者にとっても、そういうことは必要なんではないだろうかというふうに考えておるわけでございまして、今後の課題といたしまして、諸外国の状況等も調査をしながら、また関連業界の意向も十分踏まえながら前向きに検討してまいりたいというような趣旨の答弁をしたわけでございまして、その考え方は変わってないわけでございます。
  29. 福間知之

    福間知之君 これは悪意で言われたことではないんで、また今の御答弁もありましたように、そういう考えのもとに対応したいということですから、その限りで了とするわけでありますが、現在、この焦げつき債権回収の業務というのは、弁護士法で規制されておりますね。違法な取り立てから債務者の人権を守るために、債権回収の代理を弁護士以外の者が行うことは禁じられています。  しかし、現在のような消費者信用分野において焦げつき債権が大量に発生したり、あるいは大量処分が必要な時代というときにおきまして、従来と変わらないような手段では対応力に限界がある。今お触れになりましたようにアメリカの場合の例でも、公正債権回収行為法なるものが存在していまして、弁護士の指導、助言のもとで債権管理のために調査を行ったり、回収は弁護士が法的手段をもって行うということですけれども、こういうことを勉強して日本でも適切なひとつ体制をつくりたい、こういうことですか。
  30. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 第三者によります債権の共同管理システム的なファンクションは絶対必要であるというふうに私ども認識をしておるわけでございますが、具体化するということになりますと、先生指摘のように、さしあたって弁護士法との調整の問題もあるわけでございますし、幾つかの問題があるわけでございます。したがいまして、私どもは今後の課題といたしまして諸外国の状況もよく調査をしながら、また関連業界の意向も踏まえまして、前向きに検討してまいりたいということで作業を続けたいと思っておる次第でございます。
  31. 福間知之

    福間知之君 そういうことがたくさん起こるようじゃ実際は困るんで、望ましいことでないですけれども、しかし、この業務が拡大すればするほど、これは並行してその種の対応がやっぱり避けられない、こういうふうに思いますので、せっかくひとつ早い時期での対策をお願いしておきたいと思います。  次に、このクレジット時代の幕あけに伴いまして、先ほど来言われている個人信用情報の収集という業務が非常に活発化すると同時に、重要性を増してまいります。  それと並行して、いわゆる個人プライバシーというものが明らかに保護をされるということでなければ一面ならないわけであります。本法の第四十二条の四におきまして信用情報の適正な使用が規定されております。しかし、他人に名前を使用された、あるいはまた、クーリングオフを行使したら、それ以降クレジット契約を拒否されたというふうなトラブルがあることから、情報チェックの一環として、本人への情報公開、場合によってはフィードバックということが行われなければならぬのじゃないか、あるいは同姓同名で悪用されたというふうなこと、あるいは既にお金は返済したけれども、これは誤認識で相手方で返済されたことになってない、再請求が来る、こういうふうなこと、こんなことがないようにしなければならぬのですけれども、どのようにチェックし、適正を期すか、お伺いをしたいと思うんです。
  32. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 先生指摘のように、改正法案の四十二条の四に基づきまして、割賦取引関連業者及び信用情報機関に対しまして、信用情報の適正な利用指導してまいりたいと考えておるわけでございますが、具体的にそのプライバシーの保護の問題に関しましては、業者が購入者信用情報信用情報機関登録する際に当該購入者の承諾を得るようにすることが第一点。  それから第二点といたしまして、業者及び信用情報機関信用情報が関連のない第三者に漏れることのないよう適切な管理を行うというようなことにつきまして指導をしてまいりたいと考えておるわけでございます。
  33. 福間知之

    福間知之君 抽象的にはそういうことでございますが、今御指摘になったように、第三者に情報が漏れることのないようにするというようなこと、あるいはまた個人情報を記録しておくことを本人の承諾のもとに行うこと、あるいは本人から内容変更、情報が誤っているぞと、内容を変更してくれと、こういう削除要求や訂正要求があったらそれを可能にするというようなことも必要だろうと思うわけですけれども、万一これに反した場合、業界側で、これは罰則は特にないんですよね。やはり極端に言えば、実効性を担保するために、先ほど局長も触れられた、私も触れたような二つ、三つの大前提について実行が行われない場合には一定期間の業務停止等、罰則を設けることがやはりプライバシーの流出を防ぐということで必要じゃないかと、こう思うんですけれどもね。
  34. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 先生の御指摘の点も一つの御主張だとは思うわけでございますけれども、本法案におきまして信用情報の適正な使用等のための規定訓示規定になっておりますのは、制裁規定を逆に設けて厳しく規制をするということになりますと、かえって信用情報の円滑な蓄積が妨げられるんではないか、その結果といたしまして別の法目的でございます多重債務者発生の未然防止というのが図れなくなる可能性も出てくるんではないかという点も勘案をいたしまして、私ども訓示規定ということにとどめておるわけでございます。  ただ、先生も御指摘のように、信用情報の適正な使用を図るということは、当省といたしましても大変重要な問題だと受けとめておるわけでございまして、プライバシーの保護の問題につきましては、先ほども申しましたように、業者が購入者信用情報信用情報機関登録する際には当該購入者の承認を得るようにすること等を中心にいたしまして、具体的な指導をすることを考えておるわけでございます。
  35. 福間知之

    福間知之君 これだけやっているわけにいかぬので余りやれないんですけれども情報の漏れが非常に多いということは事実だと思うんです。これ今局長さん、大臣さんも言うに及ばず、最近は例のダイレクトメールは大はやりですわね。我々の家なんというのは見るのに面倒くさいくらい来るから捨ててしまう以外にないんですけれども、それは極めて単純な話ですけれども、だからそういうことは深胴部分ではもっときめ細かく私はやはり進んでいると見るべきだと思うんです、これは日本の社会だけじゃないですわ。だから、このプライバシーの保護の問題というのはクローズアップしてきているわけで、訓示規定で当面いくというのは、それはやむを得ぬかもしらぬけれども、これよほど考えないと将来大問題になると思いますよ。私は実態としてこれはもうかなり進行しているというふうに見るべきだと、こういうことだけひとつ申し上げておきたいと思います。  そこで次に警察庁にお聞きしたいのですけれども、昨年警察庁が御発表されました八三年犯罪事情によりますと、キャッシュカードが現在九千万枚出回っている。一方、クレジットカードも五千万枚余り出回っている。これらが今の世の中を流通しているわけですけれども、いわゆるプラスチックマネーと言われるものに絡んだ犯罪がふえているというふうに開いているのですが、それの内容、状況についてお伺いをしたいわけです。  アメリカでは先般人気を集めましたいわゆるコンピューター犯罪の映画である「ウォー・ゲーム」というのがあるわけですが、そこに見られるようなコンピューター、端末のパソコンなどが普及するにつれまして犯罪が発生する土壌が広がってくる、こういうことになると思います。事実日本でも、我が国でも初めて本格的なコンピューターの知能犯罪は、例の電電公社の元職員によりましてデータ通信の盗聴やCDカードの偽造、こういう事件が起こりまして現金を引き出したということであります。これに対して裁判所の判決も出されたところでございますけれども、このような事態に対しまして警察当局も今日のエレクトロニクス、コンピューター時代に対処するために、コンピューターの専門知識を捜査員にひとつ身につけてもらう、そういうふうな訓練もいよいよ始めているようですけれども、実態はどうなっているのか。  また、コンピューター犯罪というものが今後ふえていくというふうに推察すれば、結果として信用供与というものが命である割賦販売業クレジット業などのあり方といいますか、経営にも影響が出てくるというように考えます。もともとこのようなコンピューター化が進んでいく時代の中でクレジット産業等において必要な法制度等の整備あるいはその準備というものはおくれているんじゃないか、こういうふうに思うわけですけれども、いずれにしろコンピューターを利用したカード犯罪というものに対応するための法律上の整備、これについては必要があるのかないのか、これは通産当局についてもお聞きをしたいところでありますけれども、両者で御見解を伺いたい。
  36. 三上和幸

    説明員(三上和幸君) キャッシュカードあるいはクレジットカード利用した犯罪の発生状況でございますけれども、他人のキャッシュカードを使って現金を盗み出す等のキャッシュカードの不正利用犯罪でございますが、昨年六百四十二件把握をいたしておりまして、前年に比べまして三六%の増加となっております。  一方、クレジットカード利用の犯罪でありますけれどもクレジットカードシステムを巧みに利用し、支払う意思あるいは能力がないのにカードを使って加盟店等から多額の商品等をだまし取る、こういった事件も急増をしております。昨年は八千十九件、検挙被疑者が四百六十七人に上っておりまして、前年に比べまして件数で二八%、人員で一〇八%の大幅な増加を見ております。被害額の面でも四億七千万余になっておりまして、前年に比べ三六%の増加という状況でございます。  また御指摘もありました本格的なコンピューター犯罪と申しましょうか、御指摘のありましたような電話を盗聴いたしましてキャッシュカードを偽造した事件等、本格的な事件、これも御指摘のありましたような事件が発生をいたしておりまして、ただ件数全体としては現在までのところそう多くはございません。しかし、今後のコンピューターの一層の普及あるいは利用の多様化というようなことからいろいろな問題が生じてくるおそれがございます。まあこういったコンピューターの普及、これは社会に占めます、非常に中枢的な機能を果たしてきつつあるということだと思います。  一度この種の犯罪が起きた場合に、社会がこうむる損害というものは極めて大きくなることが予想されるわけでございます。その面では、まずこういった犯罪が起こらない、起こさないといいましょうか、未然に防止する対策ということが最も重要になるというふうに思います。このような観点から、法の整備も含めて検討していくことが必要であるというふうに考えております。  また、警察におきましては、コンピューター犯罪等の、こういった非常に専門的な犯罪というものが増加する傾向にありますので、コンピューター犯罪に対します捜査要領と申しましょうか、そういったものを十分備えた捜査員を養成をいたしたいという観点から、警察庁及び都道府県警察において研究会等を設置して調査研究に当たるとともに、警察大学校に各都道府県警察からの担当者を集めまして所要の教養を行うなど、この種犯罪に対する捜査員の養成を進めているところでございます。
  37. 志賀学

    政府委員(志賀学君) 私の方から、やや一般論の立場に立つかもしれませんけれども、コンピューターセキュリティーの問題、コンピューターセキュリティー対策という面からお答えをさせていただきたいと思います。  私どもといたしまして、先生案内のように、日本の経済社会、急速に情報化が進んでいるわけであります。  例えば、汎用コンピューターの設置台数で申しまして、一九七一年では一万二千台でございました。それが八二年になりますと十一万台を超えるというような形になっておりまして、非常に社会のいろいろな面でコンピューターが利用され始めてきている。現在、国民生活に欠かせません交通機関あるいは電話あるいは金融サービス、いろいろな面でコンピューターが利用されているわけでございます。また、先ほど来問題になっておりましたけれども、いろいろな個人情報あるいは企業情報、それがコンピューターの中に膨大に蓄積されている、こういう形になってきているわけでございまして、したがいまして、一たびコンピューターシステムが正常に機能しなくなるということになりますと非常に大きな影響が出てまいります。あるいは情報が漏えいするということになりますと、これまた個人あるいは企業に対して非常に大きな影響が出てまいります。  そういう意味におきまして、犯罪に限らず、一般的にコンピューターシステムが正常に機能するように、あるいは蓄積された情報が他に漏えいしないように保っていくということは極めて重要であるというふうに私ども思っているわけでございまして、そういった面での重要性というのは、これから日本の社会がますます情報化が進んでまいりますので、その重要性というのは今後ますます強まってくるというふうに思っているわけでございます。  そこで、具体的な対策といたしまして、現在私どもがやっておりますのは、これは昭和五十二年に電子計算機システム安全対策基準というものをつくり、これを公表しております。それに基づきまして、このコンピューターシステムを設けて活動をやっている事業者に対して指導をやっているわけでございます。  また、今申し上げました安全対策基準をベースにいたしまして、これは五十六年からでございますが、情報処理サービス事業電子計算機システム安全対策実施事業所認定制度というものを発足さしておりまして、要するに、こういう電子計算機システム利用してやっております事業所について、その安全対策が適正であるかどうかということについて認定をして、適正にやっておるということになりますと、これは優良な企業であると、事業所であるという、言ってみますとお墨つきを出すというような形で安全対策の推進に努めているところでございます。  さらに昨年十二月に、私どもの産業構造審議会情報産業部会におきましてコンピューターセキュリティー対策についていろいろ検討をし 報償をいただいております。私どもといたしまして、この報告、答申に沿いまして、今後さらにコンピュターセキュリティー対策を進めてまいりたいというふうに思っているわけでございます。
  38. 福間知之

    福間知之君 今の局長のお話あるいは警察当局のお話もありましたけれども当局としてもこの種のこれからの事態に対する予想をやっぱり厳しくされているんじゃないかと、こういうふうにお伺いしまして、ぜひひとつそういうことで先手を打って対策を講じていかれるように、特に要望しておきたいと思います。  これは、まあこの業務の問題だけじゃありません。志賀局長おっしゃったとおり、これは大変な新しい情報化社会に突入していくわけなんで、ぜひお願いをしておきたいと思います。  ところで、これはもう経企庁にお伺いすべきなんですが、通産当局にちょっと聞いておいてください、きょう経企庁呼んでおりませんからですね。  経企庁の国民生活審議会で、先般消費者取引に使われる約款の適正化につきまして報告が提出されました。その中で、コンピューターの不正使用などで他人の預金を引き出したとき、現在の約款では、その預金者は犯人が逮捕されないとそのまま損害をこうむりかねない規定になっている。これは改めるべきではないか、こういうふうになって答申に触れておるようです。  そのため、当面消費者あるいは行政当局の二者間で意見調整や約款トラブルの審査をする専門の機関設置を唱えておるんですが、まあ今後これ具体的にどういうふうに展開していくのか、あるいは立法措置等も含めてやはり考えるべきではないのかというふうにも思うんですけれども、これは通産当局の方では御承知かと思うんですけれども、どうですか、御存じないですか。――そうですか。じゃ、もうやめておきましょう。  まあそこで法務当局にお聞きしますけれども、こういう状況に対しまして最高裁が、先般、訴訟の事件が大都市に集中する傾向が最近ある、主にこれはクレジット犯罪の場合ですよ。そういう実情にあるので、全国に展開している簡易裁判所あるいは地裁や家裁等の支部、この配置を全般的に見直す方針を決めたようです。そのために法務省と日弁連と法曹三者で検討したらどうか、こういう議題を提起していると言われてますけれども、その実情はいかがですか。
  39. 原田明夫

    説明員(原田明夫君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘いただきましたように、最高裁判所におきまして、全国の簡易裁判所の配置と申しますか、そういうものの適正な形を得たいということで検討しようという意思を表明されまして、そのことを御指摘のような法曹三者協議の席に正式議題として取り上げるように申し出がなされております。  先生指摘のとおり、特に昭和五十七年に簡易裁判所の事物管轄と申しますか、簡易裁判所に訴えを提起することができる総額が、従来三十万円でございましたものを九十万円にいたしました。そのこととも関連があるんでございますが、割賦販売に絡む紛争、またサラリーマン金融等に絡む紛争等の少額の民事事件がかなりの勢いで増加していることが数字的にもあらわれております。  特にそのような事件は大都市周辺と申しますか、大きな簡易裁判所に集中するという傾向があるようでございます。この点につきましては、最高裁判所当局におきましても、予算面その他の設備面で対症療法と申しますか、できるだけ裁判所に訴えを提起される方々の便になるように、裁判の遅延を起こさないように、いろいろな観点から対策を講じようということで努力はしているものと承知しております。  ただ、抜本的に考えてみますと、金国の簡易裁判所の位置及びそのそれぞれの管轄の範囲ということは、戦後間もなく法律で定められて以降、抜本的な見直しがなされておりません。これにつきましては、従来各方面から見直しをやるべきじゃないかという意見もございまして、過去も何度かその試みがなされたようでございますが、最近の先生指摘のような事情も踏まえまして、対症療法では間に合わないような事態が出ているんではないだろうか。特に全国的に見ますと、交通事情が相当変わってきております。それから行政区画も相当変わってきております。また、人口の分布状況と申しますか、また、その動態も変わってきておる。弁護士の在住といいますか、事務所が置かれている状況も戦後三十七、八年の間に相当変わってきておる。そういう状態で、現在の簡易裁判所の配置でいいのだろうかという点につきましては相当疑問もあるということで、これをかなり大幅な規模で見直しをするべきだという状況になってきたわけでございます。  先生指摘のとおり、去る二月二十日に法曹三者協議という場にこの問題を正式に議題として取り上げるようということで最高裁判所から話が出されまして、現在これにつきましては、弁護士の全国団体でございます日弁連においてどのように取り扱うかということについて協議中でございます。  この法曹三者協議と申しますのは、昭和五十年の三月に正式に設けられたものでございますが、従来からもとより司法制度の改革に係る法案あるいは施策を講ずる場合には、裁判所それから弁護士の団体であります日弁連、法務省で協議を事実上やってきたわけでございますが、国会御方面からのお話もございまして、司法制度についての法案をつくるとか、あるいは基本的な制度改革をやるという場合には、法曹三者と我々申しておりますが、裁判所、弁護士、それから法務省の間で十分協議をしなさい、するべきだという御指摘もございまして、正式にそういう会が設けられたわけでございますが、その会の運営の形といたしましては、やはり一方的に話を持ち込んで多数決原理で決めてしまうということではなくて、いわば議題にすることも含めてよく三者で話し合いまして、こういう議題をするべきだというコンセンサスを得て、かつまたその協議の形もできるだけそれぞれの関係者が納得の得られるものをつくるべきだという観点から協議をする形になっております。  そういうわけで、裁判所が提起いたしましてもすぐそこで協議が始まるということはございませんで、日弁連におきましても各単位台の御意向もございましょうし、日弁連の対処方針というものがつくられて、そこで正式議題になっていくということになるわけでございます。  現在、日弁連におきましては、そのための作業を鋭意進めているというふうに承知しております。それができた段階でこれが正式議題ということになって協議されていくものと承知しております。  ただ、先生指摘のように、この問題は国民全般の立場から極めて重要な問題でございまして、もとより法改正を要するということでございますので、最終的には法制審議会の議論を経なければいけませんし、また、関係地元の方々の御意見も十分集約していく必要があると思いますので、いずれはそういう形になっていくと思いますが、とりあえずは法曹三者ということで、直接司法制度の運営にタッチしている者の間で意見調整をして、どうあるべきだということを話し合っていこう。そして国民全般が納得の得られるといいますか、公平かつ与えられた人的、物的設備のもとで、十分社会的な機能も果たしていけるような裁判制度のための改革を実施したいということでこれから努力していこうという段階にございます。  よろしくお願いいたします。
  40. 福間知之

    福間知之君 お話を聞けば聞くほど非常にこれは重要な問題だと。法務省当局も珍しい問題でこの委員会で今立派に御答弁をされましたけれども、時間がありませんのでこれ以上続けるわけにいきませんが、さらに重要性を再認識しまして、ひとつ適切に、できるだけ早く対処願うように要望しておきます。  次に、大蔵と通産にちょっとお聞きをしますけれども、産構審の消費経済部会の基本政策小委員会におきまして、いわゆるローン提携販売に関して抗弁権の接続問題が扱われたと聞いております。当時の審議状況からしまして、当然ローン提携も規制対象に入るのではないか、入れるべきではないか、こういうように一般的に予想されておったんですけれども、今回の法改正では除外されてしまいました。その理由はどうかということ。聞くところによりますと、全銀協からの反対がかなり強かったと。これはまあ大蔵当局は全銀協を通じて言わしたんではないかと、こういうふうにも勘ぐられておるわけですけれども、つまり銀行の提携ローンに抗弁権を接続することは、借り主あるいは提携先との折衝や機械処理上の問題、延滞管理などに多くの業務上障害を生ずるおそれがある、銀行は提携ローンに消極的にならざるを得ないというふうな理由を挙げておられるようですけれども、だとすればこれはいささか御都合主義的であって、信販会社としては同じ条件にあるんじゃないか。なぜ同様な扱いにしなかったのか。  まず通産、次に大蔵からお聞きしたい。
  41. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 福間先生指摘のように、確かに産構審の答申の中ではそういう議論がされていることは事実でございます。ただ、産構審の中では余り法律的な側面からの議論というのはされなかったものですから、その後法制局の審議等々調整の過程に、ローン提携販売につきまして抗弁権の接続の規定は適用されないということになったわけでございますが、その理由といたしまして私ども二つの理由を挙げておるわけでございます。  第一は、ローン提携販売につきましては、抗弁権の接続にかかわるトラブルがほとんど起こっていないという事実があるということが第一点でございます。  それから第二点は、ローン提携販売につきましては、販売業者が購入者による代金支払いのための金銭借り入れを保証しておるわけでございまして、貸付業者は、購入者に債務不履行があった場合にはその販売業者に保証債務の履行を求めることになるわけでございます。したがいまして、販売業者と購入者の二当事者関係が復活をすることになるわけでございまして、貸付業者が介在することによりまして抗弁権が切断されるといったような問題は少ないんではないかというふうに考えたわけでございます。  したがいまして、以上二つの理由から抗弁権の接続規定は適用しないということにしたわけでございますが、先生ちょっとお触れになりました全銀協サイドからの反対とか、そういう事実はございません。
  42. 朝比奈秀夫

    説明員朝比奈秀夫君) ただいまの小長局長からお答えになった御答弁と私どもと全く同じになるわけでございますが、基本的に法律上の性格が異なるという面のほかに、ただいまお話しになりましたようなローン提携販売につきましては、個品割賦購入あっせんの場合に主婦連の方とかそちらの方からいろんな御指摘がされているようなそういったトラブルが現実問題として起こってきていない、こういう点が一つ。  それから、今詳しく局長から御答弁がありましたが、割賦販売法による規制になじまない、その保証契約が特別に付加されておりますので、そういった点があろうかと存じます。  いずれにいたしましても、私ども、こういった問題について十分政府部内で調整をして主務官庁である通産省の方でお決めいただいたことでございまして、特に私どもの方といたしまして強い反対をした、あるいは全銀協を通じてどうこうした、こういうような実情はございません。
  43. 福間知之

    福間知之君 時間がありませんので、一応聞いておきますけれども、これは現在問題は余り起こってないということは事実でしょう。しかし、だからといって将来このままでいいのかというと、どうもそうでもないようなちょっと危惧を感じますので、一応これは聞きおく程度にしておきまして、それで納得できるわけじゃありません。  また、小委員会の審議の中で、銀行系カード会社が行っているいわゆるマンスリークリア方式についても、これは割賦購入あっせん契約に準ずるものとして規制対象に加えるべきだと、こういう議論があったと聞いていますんですが、改正案には入っておりません。消費者の側から言いますと、これはカードで商品を購入することには変わりないんでありまして、銀行系のそれであるか信販系のそれであるかわかりません。また、購入した商品に瑕疵がある場合、これはもう区別して扱われちゃたまったものじゃありませんので、今回の法改正で欠落させた理由は一体何なのか、この点これは通産当局にお聞きしたいと思います。
  44. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 福間先生指摘のように、本件につきましても産業構審議会の議論の中ではいろいろな議論が行われたことは事実でございます。ただ、その銀行系クレジット会社の行いますマンスリークリア方式の取引につきましては、第一に消費者トラブルがほとんど起こっていないということ、それから第二に、割賦取引の有するリスクから購入者を保護することを目的としております本法つまり割賦販売法になじまない面もあるんではないかということ、これが第二でございますが、その二つの理由によりまして本規定を及ぼさないこととしたわけでございます。
  45. 福間知之

    福間知之君 五十二年の国会での附帯決議もあるようでして、そういうふうに聞いておりますので、当面当局の御説明で私も理解はできるんですけれども、先ほどの問題と合わせまして今後事態の推移を十分注意深く見守っていただきたい。消費者の側に立って、トラブルがそういうことが理由で起こるということであってはやはり法改正で少し手落ちがあったということになるわけなんで、そういうことのないことを祈りますけれども事態の推移をひとつ見守っていただきたい、そういうふうに思います。  次に、前払式特定取引、いわゆる百貨店の友の会だとか、それよりも冠婚葬祭互助会等を区別する理由について、みずからの商品の販売を行わないとあるが、商品購入者、役務の利用者がその商品や役務を入手するのが目的である以上この提供義務は当然負うべきではないか。しかし現状は、目的が成就されないことが確定したときあるいはまた目的の商品や役務が得られなかったときのみ解除権など、現実にはしかし無視されているんじゃないのか。したがって、政府は約款の改定を急いで行う必要がありはしないだろうか。そして、前払式特定取引を前払式割賦販売に含めるか、または同様の規制を行うべきではないか、こういうことについてはいかがですか。
  46. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 先生指摘の約款改正につきましては、三月からもうすでに実施をしておるわけでございますが、従来の約款の解約制限条項を改めまして、解約は消費者の申し出によりまして自由にできるということにしておるわけでございます。したがいまして、先生の御懸念の点は相当解消されておるんではないかと私どもは確信をしております。
  47. 福間知之

    福間知之君 次に、これからの問題としていわゆるリース取引についての規制問題があると思うんですが、消費者リースという概念が今日必ずしも定着していないのではないかというふうにも思われます。自動販売機などの契約にリースが行われているわけですけれども、多くの場合に買収権つき賃貸借として実質的に割賦販売と同じ効果を上げているのじゃないかと思うんです。問題なのは、このリース契約について買い主はリース事業者に対して瑕疵の主張ができないという、そういう状況にあるんじゃないかと思うんですが、その点が一つ。そのために消費者救済ができないでいる、こういうことにつながっていくのじゃないかと思うんです。こういうリース取引について、消費者保護という観点から一定の措置を講ずる必要があるんじゃないか。これは問題も今までないことないそうですが、そういう事態についての認識とこれからの考え方はいかがですか。
  48. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 先生指摘のいわゆるリース関連の取引、いわゆる買収権つきの賃貸借などがこれに該当するわけでございますが、これは一般の賃貸借とは異なっておりまして、賃貸された物品が最終的には購入者のものになるというような契約が同時に行なわれる取引である場合が多いわけでございます。そういう場合は、使用料の支払いでございましても実質的には販売代金の分割払いというのと同様のものであるわけでございますので、一般の割賦販売と経済効果は全く同じであるというふうに私ども認識をしておるわけでございます。したがいまして、こういう取引につきましては割賦販売であると解釈をしておりまして、本法の適用があると考えておる次第でございまして、消費者保護の規定は適用されるわけでございます。
  49. 福間知之

    福間知之君 消費者保護の規定が適用されるということだからいいと思うんですが、審議会でもこれは議論になって結論は次回に持ち越していると、こういうことになっていますが、そうなんですか。――まあそれはいいです、調べればわかることですから。  それから次に、時間がありませんので先にまいります。同じように産構審小委員会の答申段階で、いわゆる役務関連取引適正化について、これは旅行のあっせん、ツアーのあっせん業だとかゴルフ会員権の問題とか、あるいは教育機器と家庭教師を派遣しましょうという併用業務ですね、そういうものが考えられるわけですが、この役務関連取引適正化についての問題でございます。小委員会の議論でも役務を規制対象に入れることで進んできたように聞いているんですが、立法段階で落ちた理由ですね、立法の段階でこれがネグレクトされた理由、技術的に詰めができなかったというふうなことも開いていますけれども、一応理由をお聞きしたいと思います。
  50. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 先生指摘のように、産構審の答申の中では役務を対象にすべしという有力な意見があったことは事実でございます。ただ、これも法制局等を中心といたします内部調整の段階で、今回は役務を対象に加えることから見送ったというような次第でございます。  その理由といたしましては、役務につきましてはさまざまな形態の取引が存在をしておるわけでございまして、さらにその実態を解明する必要があるのではないかという点が第一点でございます。  それからまた、その役務に関連した消費者トラブルにつきましては、支払い方法、つまり割賦とかというその支払い方法のあり方というよりは、むしろ提供される役務の内容に関連して発生している場合が多いんではないかという二つの理由によりまして、今回の改正からは見送りまして、今後さらに実態を調査しながらどのような規制を行うのが妥当であるかということにつきまして引き続き産業構造審議会等の適切な場で検討を続けてまいりたいと思っておるわけでございます。  たまたま先生はゴルフの会員権等の具体的な事例に言及されたわけでございますが、私どもさらに実態を解明しながら検討する必要があると考えております点につきまして二、三具体的な事例で言わしていただきますと、例えばスポーツクラブ等の場合につきましては、役務の提供業者と購入者との間に媒企業者とか、あるいは取次業者等が介在している場合が多いわけでございまして、そういうものに対してどういうふうに対応するのがいいのかという問題があるということ。  それから第二に、ゴルフ会員権といったような場合につきましては預託金というようなものが存在するわけでございますが、その場合の価格をどういうふうにとらえて、また、手数料率をどのように算定したらいいのかというような問題があるということ。  それから、第三点といたしまして、会員権とかあるいは継続的役務につきましては、前受け金保全措置のような前払取引にかかわる規制が必要なものがある場合もあるんではないかというような点があるわけでございまして、そういう点はいわゆる支払い方法に関するというよりも、むしろ役務の内容そのものに関連した事項ということになるわけでございまして、さらに調査検討が必要であるということでございます。
  51. 福間知之

    福間知之君 ここで結論が出そうでもありませんから、これ以上これ触れませんけれども、先ほど触れましたし、今、局長言われたように、こういう役務関連取引に関してトラブルというものが少なからず発生してきている。冠婚葬祭の互助会なんてそんなにたくさんあるとは思わないんだけれども、今おっしゃったようなスポーツクラブとか、ゴルフの会員権だとか、あるいは住宅あっせんの関連とか、最近これは切実だと思う。あるいはまた、場合によっては医療だとか運送だとか教育関連というふうに考えられる範囲でもそういうふうにありますね。こういう実態をじゃひとつ調べて、またしかるべきときにお聞きをしたいと思います。  それから、次にこれと関連して、いわゆる現行法では商品というのは形のある動産だと、こういうことになっておりまして、それ以外のものは必要が生じた場合に追加する、こういうふうになっているわけですけれども、これは考え方を逆にして、原則としてはあらゆるものを指定しちゃって、それで不必要なものを除外する、こういうふうな規定の仕方に変えたらどうか。こういうふうな意見を持っているわけですけれども、どういうことなのか、どういうように考えるかということ。  それから、最近、消費者の苦情として、指定商品にない新しい製品が次々に登場をしてきている、その取り扱いについての疑問が出ていること、あるいはサービスの附帯した指定商品の契約はふえているということ、あるいは指定商品からは外されているけれども、役務の販売がふえている。これは先ほど来申したことを整理すればそういうことじゃないかと思うんですけれども消費者保護の目的で定められたところのクーリングオフ制度の適用について、なかなか今言ったような事情から的確には行われない、消費者は必ずしも十分保護されていない、こういう苦情が消費者センター等に出ているようですけれども、その実態についてつかんでおられますか。あるいはまた、どのようにこれ考えていかれようとしていますか。
  52. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 先生現行法の指定制度を廃止をして、いわゆる裏返しに全体を対象にするというような考え方はどうかという御所論でございますが、私どもの考えでは、この割賦販売法という法律は、国民の権利義務関係に変更を加えまして、あるいはまた新たに義務を課するというものであるわけでございますから、規制の対象というものは必要のある部分に限定をいたしまして、かつ、いやしくも過剰規制にはならないようにするということに留意していくというのが必要なんではないかというふうに考えておるわけでございまして、したがいまして、割賦取引の実態があるものについて、かつ消費者とのトラブルが生じ、または生じるおそれが強いものを政令で指定するという考え方をとっておるわけでございますが、その考え方の方がすべてを勘案した場合の考え方としては適当ではないかというふうに考えておるわけでございます。  それから、いわゆるその非指定商品とか役務附帯商品等についてトラブルが増加しておるんではないかという御指摘でございますが、商品につきましては、従来から割賦取引の実態があり、かつ、その消費者とのトラブルが生じ、または生ずるおそれが強いものを政令で指定しておるということにつきましては先ほど申し上げたとおりでございますが、今後とも問題のある商品につきましては、必要に応じて追加をして指定をすることにしてまいりたいと思っておるわけでございまして、今回の法改正におきましても、いわゆる消耗品についても問題がある場合には指定し得ることとしておるわけでございまして、その面からも消費者保護の充実を期しておるわけでございます。  それから、役務関連取引の中でも特にトラブルが多い役務附帯商品につきましては、これは塾と教材といったような場合がこれに該当するわけでございますが、そういう役務附帯商品につきましては、関連の省令を改正いたしまして、附帯役務を明確に契約書面に記載させることによりまして、取引の明確化を図っていきたいというふうに思っておるわけでございますし、また同時に、業者に対しましても取引適正化のための指導を徹底してまいる所存でございます。
  53. 福間知之

    福間知之君 その点はもうそれでとどめておきたいと思います。  次に、大蔵あるいは国税当局含めてお聞きしたいんですけれども、最近、信販会社におきまして、貸倒引当金の過剰計上あるいはまた利益の計上漏れ、そういうことでのトラブルがあったと聞きますが、これは信販会社、国税当局との間で税務計算方式に多少のそごもあるということが理由であったんでしょう。これについては追徴金という姿で終わっているようですけども、一般的な企業と信販会社という性格の企業と必ずしも同一視できないという面があるんじゃないかというふうな気もするんですけどもね、端的に言えばクレジット会社、信販会社というのは、これは一般の企業なのか、金融会社なのか、税法上あるいは行政上その位置づけというのはどういうふうになっているのかということが一つ。  それから、さらに有価保証券報告書等につきましても各信販会社ごとに作成の仕方に相違があったりして、消費者の側から見ればその企業実態というものを把握しにくいという点があるんじゃないか。また、銀行などからこういう企業に融資するにしましても、そこらあたりが必ずしも判然とつかみ得ないという結果になっているんじゃないか、こういうことが言われているわけですけども、信販という業務が拡大していくという時代の趨勢の中で、あんまり隠し立てをする必要もないと思うし、むしろそれは堂々と実態を開示して、そうして世間に信用を得ると、こういうことにしていくべきではないかと思うんですけども、そういう点での有価証券報告書のつくり方、決算のつくり方等の標準化、こういう点について大蔵当局はどういうふうに考えておられるかお聞きをしたいと思います。
  54. 谷川英夫

    説明員(谷川英夫君) すべての法人といいますのは、やはり税法に従いまして適正に申告をするということになっているわけでございます。この点につきましては、信販会社も全く一緒でございます。  先生指摘の貸倒引当金でございますけれども、税法上信用販売会社といいますのは、割賦購入あっせん業というのに該当することになっておりまして、法定引き当て率が千分の十六というふうに定められております。それから過去三年間の貸し倒れ実績によることもできるということになっているわけでございます。  我々といたしましては、税法上適正に申告をしているかどうかということを十分にチェックいたしておりまして、問題がありました場合には調査等によりましてこれを是正するというふうにいたしている次第でございます。
  55. 中島公明

    説明員(中島公明君) お答えいたします。  私どもの所掌しております証券取引法におきましては、上場会社を初めといたしまして、公開の市場で資金を調達している企業に対しまして有価証券報告書の提出というのを義務づけているわけでございます。現在、有価証券報告書を提出しておりますいわゆる信販会社というものは約十社近くあると思いますけれども、確かに先生指摘のとおり、経理の仕方なり、あるいは表示の方法についてかなりばらつきがあるというのが実態でございます。  有価証券報告書の制度と申しますのは、投資者に対して投資判断のための資料を提供するということが目的でございますから、できるだけ投資者の利便と申しますか、投資者にとって利用しやすい形での報告ということを考えますと、同一の業種に属する企業につきましては、少なくとも基本的な部分につきましては統一的な形での作成が行われるということが望ましいと私どもも考えているわけでありまして、この点も先生指摘のとおりでございます。私どもといたしましては、そうした観点から、かねてから業界に対しましてそういった問題提起をしております。  それから、有価証券報告書につきましては、公認会計士が監査しているわけでございますが、公認会計士が組織しております公認会計士協会の中に信販・クレジット業部会というようなものをつくっていただきまして、そうした場で統一化のための検討をお願いしているというのが実情でございます。  一口に信販と申しましても業態にいろいろ差があるようでありまして、なかなか難しい問題もあるようでございますけれども、やはりそういった基本的な部分については統一化が図られるということが望ましいわけでございまして、現在、公認会計士協会等におきましてそういった検討が進められているところでありますので、私どもといたしましても財務内容の適正な開示という観点から、この問題に適切に対応してまいりたい、かように考えております。
  56. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) ただいま大蔵省サイドからの答弁があったわけでございますが、私どもといたしましても経理基準の標準化を図るということは、資金調達の円滑化を図っていく上で極めて重要な課題だというふうに認識をしておるわけでございまして、通産省といたしましてもこのような考え方から、昨年の十月以来、割賦販売審議会におきましてこの問題について審議を重ねておるところでございまして、この答申を得次第、経理基準の標準化が図られるよう関係業界指導してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  57. 福間知之

    福間知之君 大蔵にもう一点お伺いしますけれども、現在このクレジットカードにおいては、これまでの経過措置もこれあり、それを尊重して、手数料の表示方法が実勢金利よりも非常に低く出るいわゆるアドオン方式、これが依然として使われていると聞いております。そのために消費者が判断を誤ったりする結果を招きまして問題になっている――問題になっているというよりも、問題がある。この際、アドオン方式の使用禁止を徹底すべきじゃないか。既にもう五十一年に他の金融機関におきましては使用禁止となっているわけでございますが、この点は大蔵当局としてどういうように認識しておられますか。
  58. 朝比奈秀夫

    説明員朝比奈秀夫君) 私ども貸金業規制法を昨年、公布施行いたしまして、それに伴う政省令、通達も整備いたしまして昨年十一月一日から施行しております。その中で、金利の表示につきましては、先生指摘のような、消費者を誤らせる、あるいは勘違いをさせる、こういう事態を避けるために、必ず年利建てで、年率で表示しなさい、そういう指導をいたしております。そういう規定を設けて、それに伴う指導をいたしております。  その前は、金利の表示につきましては、アドオン方式ならまだいい方でございまして、そのほか、例えば一万円借りると一カ月たばこ一箱分の金利、そういうような表示も間々見られたわけでございます。ということで、今後は年利建てですっきりさせるというようなことをやっておりまして、その違反については検査でこれを指摘していく、こういうような方針で臨んでおります。
  59. 福間知之

    福間知之君 特に問題はありませんか。
  60. 朝比奈秀夫

    説明員朝比奈秀夫君) 現在まで各財務局、各県などでいろんな検査をした結果は、各業者ともこの年利建ての表示に従って営業を行っている、店頭の表示、顧客との契約その他すべて年利建てで行っている、こういうことを聞いております。
  61. 福間知之

    福間知之君 次に、リベートの問題について通産当局にお聞きしたいんですけれども、年間ほぼ九兆円と言われる多額な販売額に達していると言われる新車中古車販売業界におきましての問題です。  割賦あっせんをする信販会社等が車の販売業者に消費者の負担で巨額のリベートを払っていたことが昨年明るみに出ました。通産当局もこれは放置できないということで対処されたようですけれども、一体どういうふうになったのか。  時間がありませんのでちょっと先につけ加えますが、これまで最高三〇%台であった金利を半分ほどの一六、七%に引き下げたということのようです。そういうことになっているのかどうかですね。
  62. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 先生指摘のように、クレジット業者が過当競争によりまして多額のリベートを販売業者に支払うという取引慣行というのは、関連業界の健全な発展を阻害するだけではなくて、当該業界に対する消費者の信頼も失いかねないことになるわけでございまして、当省といたしましても、こうした取引慣行の是正及び割賦手数料率等の適正かつ確実な表示についての指導を昨年九月から行っておるわけでございます。その後、関係業界においては、取引慣行是正の趣旨を徹底するとともに、割賦手数料率等の表示の方法について改善を図っているわけでございますが、たまたま先生指摘の具体的な率の点でございますが、この点につきましては、私どもといたしまして、昨年九月の通達の実施状況のフォローアップという意味で、現在、実態の把握に努めておるところでございます。
  63. 福間知之

    福間知之君 私が申したように、仮に五月一日から最高三〇%を半分ぐらいの一六、七%に引き下げたということだとすると、金額にして一%が約二百億円に相当すると言われています。ざっと計算しただけでも今まで三千億円近くが消費者の財布から余分に流出をしていた、こういうことになる。したがって、これは自動車の販売に限らず、他の商品の分野においても同じようなことが考えられるわけで、だとすれば、これは消費者の側から見てやはり利率についての相互比較ができるような、そういう指導をやる必要があるんじゃないか。これは他の業種についても通産当局は知っておられると思うんですけれども、これは十分推察できますので、これひとつ十分関心を持って対処願いたいということです。  さらに、訪問販売業の場面において意図的に指定商品以外の商品を売り込む、こういう節が十分あるわけであります。かなり高額な商品が多いということから解約をしなきゃならぬというふうな事態になったときにも、二〇%からの多額の手数料を取られる、こういう事態が出ているようです。二〇%からの手数料を多額の商品についてその解約料として取られればそれだけ業者の経営が成り立つわけでありまして、こうした点についての是正も必要じゃないかと、こういうふうに思うわけでありますが、見解を伺いたいと思います。  それから、もう一点、ちょっと先ほど忘れたんですけれども、例のクレジットの伝票をつくるときの印紙ですね、これについては負担がかからぬようになるということでよろしゅうございますね。
  64. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 御指摘の解約手数料の適正化の問題に関しましては、個々の事案ごとに検討をすべきものと私どもは考えておるわけでございます。  先生の御指摘のように、個別的には問題となる事例というものも幾つかあることは十分承知はしておるわけでございまして、従来からも関連の業界あるいは個別業界に対しまして適正化指導を行ってきておるわけでございますが、今後ともこうした指導の充実を図ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、クレジットカード利用した取引における販売業者が交付する書面に収入印紙を張る必要があるのかないのかという点についての御質問ではないかと思うわけでございますが、今回の法改正によりまして、御指摘のような負担を関連業者に課すことにならないよう関係当局とも協議をしながら法の運用検討してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  65. 福間知之

    福間知之君 この販売業者が、契約解除の際に購入者に請求する金額はもちろん制限されております。第一は商品が返品された場合、これは当該商品の通常の使用料の額となっておるわけです。目安としてその商品がリースされている場合はそれを基準に、それ以外のときは減価償却費、金利、マージン等に見合った額となっています。しかし、消費者センター等に持ち込まれている苦情を聞いてみますと、その計算たるやかなり乱脈であるというのが実態のようです。四割から五割も高く払わざるを得ない。だとすると、もう買い取った方が気がきいてると、ましだというふうなことにもなりかねませんが、これは業界指導を通じましてもう少し適正にやっていく必要があるんじゃないか、そういうふうに考えますが、いかがですか。
  66. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 先生の御指摘のとおりでございまして、先生の御指摘の御趣旨を踏まえまして、私どもといたしましては、業界あるいは個別企業に対する指導の充実を図ってまいりたいと考えております。
  67. 福間知之

    福間知之君 次に、現在強制執行認諾文言付公正証書作成ということが行われておるわけですが、この委任状がクレジットの申込書と一緒、一つづりになっているわけであります。この一つづりのためにこの公正証書の委任状は一番下の方にくっついている、一般的に。そのためにセールスマントークによって十分説明されなければ消費者の方は知らぬ間に公正証書が作成されている、こういうこれは現実の姿なんです。それはちゃんと見て確認しなかったのが消費者が悪いんだといえばそれまでだけれども、なかなかそうも言い切れません。  そういう点で、これは別々にしたところで、消費者は二度書きする手間は要るけれども、より明確になって責任のある商行為として適正じゃないか、こういうふうに思うんですけれども、いかがお考えでございますか。その点だけお聞きします。
  68. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 強制執行認諾文言付の公正証書作成に関する委任状については、御指摘のような問題があることは私どもも十分承知をしておるわけでございます。ただ、先生が今お触れになりましたように、委任状の部分を別葉にするということにつきましては、記載が二度手間になるのではないかということ。その結果、かえって繁雑となる面もある。また、記載ミスを生ずるおそれもあるといったような問題もあるわけでございます。  したがいまして、購入者が委任状について十分な理解を得られるように説明等を行うことを関連業者に対しまして指導することによって対処してまいるのが適切ではないかと考えておる次第でございます。
  69. 福間知之

    福間知之君 質問した趣旨を踏まえまして、このままでいいかどうか一遍考えてもらいたいということであります。  次に、本法第一条の中小商業者の安定、振興ということに関連しまして、消費者信用事業の分野が今日大きな発展を遂げていますけれども、このことは金融機関など大企業新規参入などがあったからだとも言えます。しかし、その反面競争の過当な激化が懸念されておりまして、それが先ほど来も触れました消費者の側から見ても種々の問題を醸し出すことにもつながっております。  もともとこの消費者信用事業の分野というのは、戦後からいち早く手をつけてきた、むしろ中小企業の事業として出発し、発展の端緒をつくったと。その中小企業の協同組合やあるいはまた一般的な株式会社、こういうものが、昨今の情勢の中ではかなり経営上も厳しい環境にさらされるに至った。先ほど触れた本法第一条の目的に照らしまして、今後どういうふうにその点を観察し、あるいはまた必要な施策を講じていくか、そういうことについての抱負をお伺いしたいと思います。
  70. 中澤忠義

    政府委員(中澤忠義君) 中小団体が行っておりますクレジット事業は、現在でも日本専門店会連盟あるいは日本商店連盟という小売団体が展開している例がございます。これらのクレジット事業は御指摘ように非常に地域に密着した事業といたしまして、その組合員の中小小売商の販売促進あるいはその組織化という面に非常に貢献をしておるわけでございます。したがいまして、これらの中小クレジット団体にとりましての情報技術の革新あるいは消費者信用の一層の展開ということは、今後ますます競争が激化する中で、非常に厳しい現実であるということと認識しております。  したがいまして、私どもといたしましては、流通段階に対しましては特別な金融あるいは税制措置を講じておるわけでございますけれども、今後の問題といたしまして、中小小売団体のクレジット事業に対します施策は、さらに強化をしてまいりたいと思っております。  特に商工組合中央金庫の組合金融を通じましてこれらのクレジット団体には助成を図っていく方針でございますし、また五十九年度におきましては、中小クレジット団体がこれらの環境変化にどのような形で的確に対応していくべきかということにつきまして、その方策につきましての調査研究を特に行うという予定にしておるわけでございます。
  71. 福間知之

    福間知之君 今中小企業庁長官が申されましたように、ぜひひとつこのように、さらにまた積極的に対応願いたいんです。  御案内のとおり、五十二年の分野調整法成立に際しましても、衆参の商工委員会で銀行系のクレジットカード割賦購入あっせん事業進出について、中小に悪影響が及ばぬように必要な対策を講ずることと、こういう附帯決議も行われておりますし、昨今の事情から、このことは一層切実感を持ってひとつ対応願いたい、そういうふうに思います。  そこで、本法の第三十三条の二におきましても、この中小企業への影響を考慮しまして新規参入登録を拒否すると、こういう定めもあるわけであります。最近の新聞論調見てみましても、割賦販売法改正を、この今回の改正を契機として銀行系カード会社などの登録についての、まあ憶測記事かもしれませんが、一定の論評が載っておるわけでございますけれども、このことがまた中小業者に不安をかき立てる、こういうふうなことにもなっておるようであります。ぜひこの点については、先ほどの御答弁がありましたように、また当委員会での決議、過去の決議にも照らしまして善処を願いたい、そういうふうに申し上げておきたいと思います。  それから次に、今も触れましたように、銀行系のクレジット会社割賦購入あっせん方式を認めないという今日までの方針によりまして中小クレジット団体会社が何とかやれてきてるんじゃないかと、こういうふうに思います。日専連とか日商連というのがそれに当たるわけですが、その結果全国どの地域におきましてもクレジット利用が可能になって、今日中小関係の団体は千五百を数えるということのようであります。で、今後この中小関係業務をさらに円滑に、あるいはまたきめ細かく発展させていくために末端の加盟店カード処理のためのCATシステムを導入する、やがてこれはオンラインでコンピューターと結びつきまして機能強化拡大させていく、こういうことになるわけでございますけれども、この点について、これは資金面その他いろいろな助成が必要だと思いますが、中小企業庁あるいは通産省当局としてこのプロジェクトについてどのように支援をされていくか、お考えをお聞きしたいと思います。
  72. 中澤忠義

    政府委員(中澤忠義君) オンライン利用いたします情報システム化の問題は、中小団体にとりましても非常に重要な課題になっております。このために中小企業施策といたしましても幾つかの対策あるいは制度を設けておるわけでございますが、第一には金融面ということにつきまして、中小企業金融公庫あるいは国民金融公庫におきまして流通近代化貸付制度という制度のもとに長期低利の融資を行うということにいたしております。また、特に小規模な事業者、企業者に対しましては、都道府県からの設備貸与という形で有利なリースの制度を活用できるということもこれを補完する形で設けております。  また、先生指摘のような共同設備、共同施設ということにつきましては、特に組合を形成いたしました場合には中小企業事業団によりまず高度化融資、これは特に長期低利な融資でございますけれども、これも活用できるという形が現行の制度でも設けられております。  また、本年からは特に流通段階におきます情報化設備、あるいは電子計算機等の導入が中小小売商にとって重要であるということから、中小企業新技術体化投資促進税制を新設いたしまして、中小小売業者につきましてはPOSシステム、いわゆるPOSシステムは販売時点の情報管理システムとして最近急速に進展しておるものでございますけれども、これを税制上の優遇措置に取り入れる、あるいは電子機器を利用いたします設備の導入に対しましては、これもこの税制のもとに採用するということで、流通段階情報機器の導入が中小業者にとりまして導入しやすい形を本年からスタートしたわけでございます。  以上のような形あるいは制度を背景にいたしまして、中小小売商が大企業の流通競争の中におきまして十分対抗していき得るような制度的な整備を考えておるわけでございます。
  73. 福間知之

    福間知之君 先ほど通産当局一つ印紙税の答弁が漏れておりましたから、念のため御注意申し上げておきます。  最後に、時間が参りましたので、加盟店の問題についてお伺いしたいと思います。これは大臣にひとつ総括してお伺いしたいと思います。  今回の改正法案が成立をいたしますと、かなり業界に大きな影響を及ぼすことになると思います。したがって、信販業界としては既に着々と法改正後の新事態対応すべく新しい企業戦略といいますか、経営施策の練り直しにかかっていると聞いております。既に、個品の割賦購入あっせん、債権の買い取りの抑制だとか、総合割賦購入あっせん強化だとか、あるいはまた末端の加盟店の見直しというものに取り組んでおるようであります。とりわけ契約解消を含む加盟店の対策というものは、加盟店側にとっても大変重要な問題でありますし、すさまじいまでに事態が進行しているようであります。具体的にはどういうふうな業種業界でこれが対象になっているのか。そうなると場合によっては売り上げがかなり減ってしまったり、あるいは資金力の乏しい業者は苦況に追い込まれる、こういう事態になるわけで、既にそういう事態が始まっているとも聞いておりますが、問題は、新しい法律の趣旨に沿って新しい事態展開していくというのはこれは避けられないことで、当然といえば当然ですが、問題は余りにもドラスチックにそれが社会的不安あるいは業界における波乱を招いてはこれいけないんでございますが、したがって慎重な対応こそ望まれるんですけれども当局としての見解を伺い、今後の適切な処置を希望して質問を終わりたいと思います。
  74. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 今回の割賦販売法の改正は、購入者保護の徹底を図るために必要最小限の規制を課そうとするものでございます。この改正によりまして抗弁権の接続規定等が整備されまして、商品等の供給を適正に行えない、さらには詐欺等の違法行為を行うような販売業者につきましては、その適正化が図られることを期待いたしておるものでございます。したがいまして、資金力の乏しい販売業者といえども正常に商品等の供給というものを行っているものであれば、御懸念のようなことはないものと私どもは考えておる次第でございます。
  75. 福間知之

    福間知之君 終わります。
  76. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩      ―――――・―――――    午後一時九分開会
  77. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  割賦販売法の一部を改正する法律案を議題とし、休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  78. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 私は、消費者保護、購入者保護の観点に立ってこれから幾つかの質問をいたします。  時間も下がっておるようでありますし、当初一時間の予定でしたが五十分に短縮をされまして、したがって簡単に聞いてまいりますので答弁の方もひとつ要領よく核心に触れていただきたいと思うのであります。  最初に通産大臣にお伺いしますが、これからのクレジット業界の展望、それから動向について一体どう大きくとらえておるのかということが第一点。  それから、私は五十七年度の決算の、上場信販会社七社の決算書類しか今手に入ってないんですが、できれば五十八年度の決算状況、五十七年はちょっと悪い、こういう傾向の収益力の低下が目立つというようなことでありますが、五十八年度は一体どういうようなことになっているのか、少し資料があれば報告をしていただきたいと思います。  次に、これは大臣に、ぜひ考えていただきたいし、御答弁をお願いしたいのでありますが、ことしの正月に通産省のある幹部が、クレジットライフという新聞に載っている記事でありますが、日本割賦協会の新年会に行きまして、ここであいさつをしているんですが、これは大きな見出しで、景気回復の原動力にぜひクレジット産業がなってほしい、こういうような言い方をしているわけであります。一方では大変消費者の側、購入者の側では多重債務の問題や苦情が非常に起こっております。こういうような状況の中で、あたかもどんどんやれ、こういうようなことを意味し、それがまた我が国のことしの経済を引っ張る原動力になるというような唆しに近いようなごあいさつをしている記事が載っておるんですが、これは消費者購入者を、国民をちょっと愚弄しているような私はとらえ方をしたのでありますが、この点について最初にお伺いしたいと思います。
  79. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) クレジット産業は近年急速な拡大を示しておりまして、割賦関連取引の取り扱い高が昭和四十八年には約四兆四千億円でありましたのが、昭和五十七年におきましては約十三兆六千億円に達しておるのでございます。  そういう中でも割賦購入あっせんが飛躍的な伸びを示しておりまして、昭和四十八年には割賦関連取引全体の八%を占めるにすぎなかったのが昭和五十七年には四一%を占めるに至っておるのでございます。  今回の法改正によりまして基本的な法制あるいは信用情報機関整備が進めば、割賦関連取引がより一層国民生活に浸透していくものと予測されるものと考えます。  五十八年度等の数字につきましては政府委員から答弁させますが、なお今委員お示しの、何でございますか、パンフレットに、通産省の幹部があるところでそのようなあいさつをしたということでございますが、それを私見ておりませんけれども、私に善意に解釈さしていただけるならば、このような方法を善用して、いわば内需の拡大に資すればという真心を示したものであると私は考えておりますので、御理解のほどをお願いしたいと思います。
  80. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 先生指摘の五十八年度のクレジット会社の決算状況でございますが、実は手元にその資料は現在有しておりません。即刻また調べた上で御報告をさせていただきたいと思います。ただ、全体の傾向といたしましてこの信販業界につきましてもかなり過当競争が激しい状況でございますので、一般的な収益状況というのはむしろ悪化の方向にあるんではないかというふうに推測をしております。
  81. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 次に移りますが、大臣が、先ほど通産省幹部の発言が、善意に解釈して、善用して真心でと、こういうことのようでありますが、ぜひそのような姿勢でやはり消費者購入者保護の立場に立った通産省姿勢大臣からぴしっと一本通していただきますように心からお願いするものであります。  次に、総合的な包括規制法のようなものの制定、この件について若干質問してみたいと思います。  読売新聞の三月の十四日の社説に出ております――これは衆議院の商工委員会でも多分質問が出たんではないかと思いますが、「「消費者信用法」に一本化を」という社説でありますが、ここに書いてある内容については省略をいたしますが、いずれにしても通産省大蔵省サイドからいろんな法律を次々につくっていくと。そして近年における信用供与の形態が次々に新しい商品が出てきて、それを後から個別に法律をつくって追っかけていっているような状況だと。こういうことに対して、例えばイギリスの消費者信用法の、トータルでひっくるめた信用法のようなものをひとつ考えたらどうか、こういう提言でありますが、私もまさにそう思うのであります。次から次に法律が出て、なかなか専門家じゃないとわからないようなこういう状況でありまして、この点について通産省の今後の中長期の考え方についてお考えを開かせていただきたい。
  82. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 先ほど大臣からの説明にもございましたように、割賦関係取引というのは近年急速な拡大を遂げておるわけでございまして、その一方で、割賦購入あっせんのように消費者利益の保護のための法的手当てがないものにつきましてトラブルが急増しておる。そういう問題に緊急に対処するためにということで今回割賦販売法の改正を御提案申し上げているわけでございますけれども、なお先ほど先生の御指摘になりました包括的な消費者保護法的なものについての考え方でございますが、そうした声がマスコミを初めといたしまして存在をしておるということは私どもも十分承知はしておるわけでございます。ただ、いずれにいたしましてもこの問題につきましては将来の課題といたしまして関係各省とも十分に相談をいたしまして慎重に検討してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  83. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 局長、将来各省庁で話をするということですから、ぜひこの場限りじゃなくて今言われたとおり本気に取り組んでいただきたいと思います。  次に、抗弁権の接続に際して若干意見を申し上げて答弁をお願いしたいと思います。  抗弁権の接続の内容についてでありますが、その範囲を支払い停止というような消極的なものに限定をするのか、そうじゃなくて割賦購入あっせん業者に対しても売り主と同一の共同責任を負わせるのか、この改正法案ではどうもはっきりしないのであります。この点についてどのように考えておられるのか。  また、消費者トラブルを処理する上で、事実上販売店と一体となって信販会社相互依存をしている以上、信販会社与信業者に対して直接の権利を否定する理由は認められないと思うのであります。したがって、具体的に以下三点について当然消費者の保護の観点からこの法案の運用をすべきではないかと思うのであります。すなわちその三点とは、一つは瑕疵の補修及び瑕疵のない商品の供給義務、次に製品の欠陥に起因する拡大被害の損害賠償義務、それから三番目に過払い購入者への返還義務、この点について通産省のお考えを、異論はないと思いますが、お伺いをいたします。
  84. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 改正案では購入者は販売業者に対して主張できる事由をもちまして割賦購入あっせん業者からの代金の支払い請求に対抗することができるということになっておるわけでございます。具体的には、商品の引き渡しがないとかあるいはその商品に瑕疵があるといったような場合、さらには販売契約の錯誤、無効、あるいは詐欺等を理由とする契約取り消しのような場合にも購入者あっせん業者からの支払い請求を拒むことができるということになっておるわけでございます。ただ、割賦購入あっせん業者に対する損害賠償請求については、改正法ではこれは認めていないわけでございます。これはあっせん業者が与信的な側面からのみ取引に参加しているということが一つの理由で、また購入者はそもそも販売業者に対しまして損害賠償請求を行うことができ、あっせん業者に対してももし請求を認めることといたしますと、いわゆる自社割賦に比べましてより多くの利益を購入者に与えることになるのではないかという点もございまして、直接その損害賠償請求を認めることは認めていないということであるわけでございます。ただ、改正法における損害賠償請求についてこのような考え方の整理をしておるわけでございますけれども、個別の事案ごとに裁判所が損害賠償請求権をも購入者に与えるということを排除しているものではないということは申し添えさしていただきたいと思うわけでございます。  それから過払いの点でございますけれども、この点に関しましては購入者は販売業者に対しまして売買契約を解除することによりまして既払い金の返還訴求を行うことができるわけでございます。もちろん販売業者が倒産しているような場合などにつきましては、このような請求権の実現は困難ということになるわけでございますけれども、これはいわゆる自社割賦の場合においても同じなわけでございまして、このような場合にあっせん業者へだけ返還請求を認めるというようなことをやりますと、自社割賦に比べまして購入者をより有利な状況に置くことになるのではないかということで、これは妥当ではないというふうに考えておるわけでございます。
  85. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 ここのところは私は一番これから問題が出てくるような気がします。ですから裁判所で出る結論を見てということに最終的にはこれは幾つかそういうものが出ればまたそういう対応をするようになるのではないかという気がいたしますが、どうもあっせん業省とそれから販売業者との関係というのは、これからだんだん消費者信用事業はどんどん進んできますと、もっともっと不離不可分の関係にこれはなってくると思いますね。あっせん業者も販売業者をやっぱり十分選択をするようになってくると思いますし、だからそういうことからいたしますと、先ほど言いました三つの点はもう既に先取りとして消費者保護の観点から通産行政の中でぴしっとやっていくと、こういう姿勢を持ってもらいたいわけですが、重ねてお尋ねします。
  86. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 先ほど先生の御指摘の商品の引き渡しがない場合とか、あるいはその商品に瑕疵があるといったような場合につきましては、購入者あっせん業者からの支払い請求を拒むことができるということでございます。  それから、前にも説明をさしていただいたわけでございますけれどもあっせん業者というのは、結局、与信的側面からだけその取引に参加をしておるということでございますから、このあっせん業者に対しまして販売業者に対する損害賠償請求権と全く同じものを認めるということになりますと、これはいわゆる自社割賦の場合に比べまして購入者により多くの利益を与えるということになるので適当ではないというふうに考えておるわけでございます。しかし、全体といたしまして、私ども消費者保護ということはこの法律の改正の基本的な理念ということになっておるわけでございますので、その理念を踏まえまして現実には対処してまいりたいと考えておるわけでございます。
  87. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 同じ関連ですが、あっせん業者と、販売業者との関係というのは、これからまた時代が進んでいくに従って、これは鶏か卵がわからない。結局、ただ与信を与えるだけに存在しているのではない、あっせん業者は。やはり販売業者と組んで、そして自分も利益を追求していく、こういう関係ですから、単に一方的に与信を提供するだけではない、非常に不離不可分の関係に進んでくる、そういうとらえ方を私はむしろすべきではないのか、そういう点で先ほどからくどいように言っているわけでありまして、ぜひこの点について突っ込んだ検討をお願いをしたいと思います。
  88. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 今度の改正法の中でその抗弁権の接続ということを規定をしようとしておりますのも、まさに与信業者とその販売業者とのある意味での取引関係を念頭に置きまして、消費者保護の観点から抗弁権の接続ということを認めておるわけでございます。したがいまして、その考え方は今度の改正法案の中にも生きておるわけでございますけれども、ただ、それをさらに突っ込みまして損害賠償請求までも与信業者に対して行うことができるようにするかどうかという点に関しましては、やはり、現行法の考え方あるいは改正法の考え方からして限界があるのではないかというふうに考えておるわけでございますが、先生の御指摘は頭に置きながら今後の法律運用をしばらく見守ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  89. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 次に、改正案ではセールストークについても抗弁を主張することができるような内容になっているととらえておるのですが、この点についてお伺いしたいと思うんです。
  90. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) セールストークに限らず立証は個々の裁判での問題であるわけでございますけれども、そういう意味では一概には論ぜられない面というのがあるわけでございます。  なお、口頭での契約事項でございましても購入者が抗弁できるようにしたというのは、口頭での約束でございましても契約には変わりがないということが第一点。それから第二点といたしまして、契約事項のすべてを書面に書くのは事実上困難であるというのが第二点でございますが、その二つの理由によりまして口頭での契約事項でございましても購入者が抗弁し得るということにしたわけでございます。
  91. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 そのときに、不履行に関する立証の仕方ですね。購入者消費者が立証の仕方について何らかの目安といいますか、簡単な、一般にこれならいいという普遍的な大体そういう目安みたいなものを指導する気はないかどうかですね。
  92. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 個別の問題は個々の裁判での問題ということでございますので一概には論ぜられないわけでございますけれども、今度の改正法案でも、割賦購入あっせん業者に対抗しようとする購入者は業者の求めに応じて対抗事由を記載した書面を提出するよう努めなければならないというふうにされておるわけでございまして、この書面につきまして、一般の消費者がその仕組みであるとか、あるいはその書面の入手方法等につきまして十分に理解をし、抗弁を円滑になし得るように私どもとしてもいろいろ配慮をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  93. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 実はこの点について、連休で私の選挙区に、郷里に帰ったんですが、私も大分県の消費生活センター、ここに行っていろいろ事情を聞きました。あるいは自分のところの信販会社に行っても相談をいたしたところなんですが、ここに大分県消費生活センターの苦情処理の約千四百項目にわたる相談の内訳、そこで過剰なセールストーク、ほとんどが家庭の主婦が問題になっているのは口先三寸にひっかかって、そして後からこれはクーリングオフも知らないで相談に行っているという例が非常に多いんですね。ですから、この点は一つは事件が起きて事後よりも事前に一体この点についてどうするかという行政指導を強めていただかなければならないと思いますが、特にこのセールストークあたりでひっかかる率が非常に多いわけですから、この点について消費者購入者にやっぱり意識を喚起するような行政施策を早急にとっていただきたいと思うんです。この点についていかがでしょうか。
  94. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 先生の御指摘のように、購入者にとって購入意思の確認といいますか、それは大変重要なポイントでございます。その購入意思が的確に確認できるよう私どもといたしましても側面的にいろいろ行政指導をしてまいりたいというふうに思っております。
  95. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 次に移りますが、抗弁をするときにおける書面提出の問題なんです。これは私も先ほどこの書面をちょっといただいたんでありますが、これは社団法人全国信販協会がつくって、通産省の産業政策局の消費経済課が指導しております「「売買契約の解除」「商品の瑕疵」、「商品の引渡しの遅延」の状況説明書面」これが抗弁書のもとになるんだと思いますが、これの入手方法ですね、これをもらうときに一体どこから、本当に気安くぽっと手に入るようになっているのかどうなのか、それが第一点と、それからこの内容ですね。この内容を見ますと、もう虫眼鏡で見なきゃならぬような小さいのでごちょごちょごちょごちょ書いておりましてね。例えば通産省でこれを政策立案している皆さん方の奥さんにこれ見せて御意見聞いたら、はあこれですか、よくわかりますというような内容ならいいんですが、これは一般的に、これ見て、これ書くのにまただれか人に頼みに行って書かなきゃならぬような、よく見て書けばいいんですが、こういうような内容になっておるんです。もう少しこの点は、普通の我々のサイドで見ますと、こんなややこしいことというのはもう煩わしくてなかなかよっぽどのことじゃないとやらない。これについてもっと何か簡単でもっとわかりやすくて使いやすいものを考えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  96. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) まず第一に、その書面のより容易に入手できる方法いかんというという先生の御指摘でございますが、これにつきましては、例えば信販会社の本店とかあるいは支店、あるいは全国信販協会などの業界団体の窓口、あるいは国及び地方公共団体の消費者相談窓口等に書面を備えおくようにしたいと考えておりますし、それから販売店に請求すれば容易に入手できるというような体制づくりも考えていくというようなことで関連業界指導してまいりたいと思っておるわけでございます。  それから第二の御指摘の書面についてできるだけ簡潔なものにすべきという御指摘でございますが、まさにそれはおっしゃるとおりでございます。私どもといたしましては、その当事者間での問題の解決が迅速かつ円滑に図られ、購入者の権利が不当に制限されることのないようにしなきゃいかぬという観点から、書面につきましては一定の書式を定めまして、御指摘のとおりできるだけ簡潔なものとするよう関連業界指導してまいりたいと考えております。
  97. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 それでは、例えばそういう県なら県の消費生活センターに行けばあるとか、またそういう方向をとっていただくと同時に、そういう宣伝も一応皆さんが、消費者がわかるようにこれもあわせてぜひ考えていただきたい。それから簡潔にぜひやっていただきたいんです。これを見ますと、消費者の側からつくったんじゃなくて、まあややこしくしておって、だからもうこれなら業者の側に立って有利に――これだったらややこしいから、なりますよね。これはぜひもう局長の奥さんにまず見せて、これでおいどうかと、まあそこからひとつ始めていただきたいですね。よろしくお願いいたします。その点いいですね。
  98. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 先生指摘のとおり、内容がより簡潔に消費者にとって使いやすいものになるよう関係業界指導してまいりたいと考えております。
  99. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 次に、クレジット契約をするのは大体夫が知らない間に訪問販売なんかで普通奥さんがやって、まあ名義は夫の名義にする、そこで、電話で会社なら会社に行っているときに、こうこうこういうことでということで電話を信販会社はかける、で確認をする。そこで家庭のトラブルもないことはない、こう聞いておりますが、できれば売り買いをしたときはそこで本人が契約をするような形が好ましいと思います。そうしますと、今度はまたいろいろ逆の問題も出てくる可能性もあると思うんですが、この点についてひとつお考えをお伺いしたいのが第一点。  それから、電話で確認をするというやり方は、これはまあクーリングオフの期間もちょっと長くなっておりますし、往復はがきでちゃんとやると。そうしますと、家で夫婦そろって中身を見て相談をする間もありますから、これはマイナス面もあるかと思いますが、これはこれからどんどんトラブルがふえている状況でありますから、往復はがきをもって確認をする、こういう制度に変えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  100. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 御指摘のとおり、電話によります意思の確認というのがトラブルの原因になっているケースがあるわけでございますので、従来から購入者に対しまして詐欺的行為を防止するためにも、購入者の契約意思の確認を厳格に行うよう関係業界指導してきておるところでございます。ただ、個品割賦購入あっせんというのは、消費者にとっても簡便な手続で信用を享受し得る便利性というのがあるわけでございますので、先生御提案のようなはがき等の書面による確認を必要とするとした場合に、その便利性を損なうことになるという問題もあるんではないかということも指摘されるわけでございます。したがいまして、今後とも手続の簡便性は維持しつつも購入者に対しまして意思の確認を厳格かつ確実に行うよう徹底を図ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  101. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 なかなか電話は便利ではありますようですが、内容がよくわからぬのを仕事しているところへ電話がけられて、ああそうかそういうことかというようなことで中身もわからぬままやっぱりやっている例だってたくさんあると思いますよ。特に私どものところも、たくさん地域が重なって、塾つきの教材で百五十世帯ぐらい一緒にひっかかったのが出ておるんですが、そういう場合でも、家内が言っていろんならそれはよかろうというような形で、中身も見ないままやっているケースが大分多いと聞いておるんですね。  ですから、ここのところは確かに電話で確認というのは問題があるのは事実なんですね。ですから、そこを一体どうするかという問題については真剣に考えてもらいたいんですよ。いいでしょうか。
  102. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 先生指摘のように、一方において手続の簡便性を維持しながらそして他方において意思の確認を厳格かつ確実に行うという二つのある意味では矛盾した要請をどういうふうに解決していくかという問題であるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、契約意思の確認を厳格に行うよう関係業界に対して指導はしておるわけでございますけれども、その徹底を一層図ってまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  103. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 もう時間がありませんから先に行きますが、先般、私はそういうことで地元に帰って地元の信販会社と話をしておりましたら、この名義貸しの問題で大分事件が起きております。自動車会社が最終的にはとにかく印鑑と、車を買ったようにしてくれというようなことで、ざあっと買ったような形にして信販会社に報告をして、これの確認もいいかげんなものでしたんですけれども、結局はどこかに夜逃げをするような形で問題になる。そして信販会社と名義を貸した一般の消費者との間で今裁判ざたになっているんですがね。こういうような悪質な販売店、こういうクレジットにかかわる販売に対する何というか、罰則規定みたいなものを考えたことはないか、あるいは考えられないか、僕はやっぱりこれは当然厳しくやるべきだ、こう思うんですが、善意の第三者を守る立場に立ってもぜひやっていただきたいんですが、いかがでしょう。
  104. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 通産省といたしましては、従来から信販会社に対しましてただいま先生指摘のような名義貸し等によります悪質な販売業者等を加盟店にしないように指導を行ってきたところでございます。今回の改正法案にも抗弁権の接続規定というのが設けられておるわけでございますが、この接続規定が設けられた反射的効果といたしまして、加盟店審査がより厳しく行われることになるんではないか、そういう形で悪質な販売業者が結果的に排除されることになるんではないかという点を期待している面もあるわけでございますが、今後とも加盟店に対する審査指導を充実をいたしますとともに、いやしくも加盟店の悪質な商法に加担することのないよう厳重に信販会社指導してまいりたいというふうに考えております。
  105. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 経済企画庁おいでですか、何かあと時間の関係で先にやってもらいたいということですので経済企画庁の方に質問したいと思いますが、苦情相談について、国民生活センターのオンライン化といいますか、端末機を入れて、現在岩手、東京、石川、奈良、兵庫、大阪、神戸市、宮城、この三つに端末機でつないでもう各地の状況がすぐわかるようにやって、そして将来これは全国各県にそれを網の目を張っていこうという方針のようでありますが、その点はいかがでしょう。現状とお考えですね。
  106. 及川昭伍

    政府委員(及川昭伍君) 全国の消費生活センターは現在二百五十九カ所に及んでおりますが、そこで一年間に扱っております消費者の苦情相談は、五十七年度で二十三万件になっております。それらの情報相互に交流することが非常に大事だと思っておりまして、既に数年前からファクシミリ網は設置しておるわけでございますが、情報化に対応しましてコンピューター・オンラインシステムを使ってさらに情報の交流を確実、迅速にいたしたいと考えておりまして、五十九年度から、御指摘がありましたような形の消費生活センターとモデル的にオンラインシステムを始めたいと思っておるわけでございます。両三年中には全国にそれを張りめぐらしたいと思っております。
  107. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 ちょっともう一度聞きますが、両三年中ということですか。――そうするとその後、三年後には全国二百五十九カ所の消費生活センターにはもう全部端末、オンラインでつながることになるということですか。
  108. 及川昭伍

    政府委員(及川昭伍君) 当面第一次的に政府側として考えておりますのは、全国の二百五十九の消費生活センターといいますと、都道府県のサブセンターやら市町村立センターやら全部含めたものでございますので、私どもとしては都道府県のメインセンターまでは私どもの補助金やその他を活用して結びたいと考えております。都道府県内のそれぞれのセンターまではあるいはオンラインシステムによって結ぶことが効率的なのかあるいは電話によることが効率的なのか、それぞれの県内の判断があると思いますし、事務量の問題もあると思いますし、事務量とコストとスピードの問題があるかと思いますから、そこのところは各県にお任せしたいと思いますが、少なくとも都道府県メーンセンターとの間では、そのような形で国側の支援も含めてシステムをつくりたいと考えております。
  109. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 もう一度、くどいようですが、それは全国の各県に所在する中心のセンターには国の経費で一応計画するということですね。
  110. 及川昭伍

    政府委員(及川昭伍君) 全額国の経費といいますよりは、国の補助金を使いまして計画していきたいというふうに考えております。
  111. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 その補助金の内訳といいますかね、割合は大体どのくらいになるんですか。例えば地元負担ですね。
  112. 及川昭伍

    政府委員(及川昭伍君) 二分の一補助金でございます。
  113. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 それは二分の一の補助金といいますと、二分の一地方自治体が出すということにならなければ、向こう三年にこれは全部入るということにならないわけですね。そこのところは地方自治体に対して企画庁の方は大体合意は取りつけているんですか。
  114. 及川昭伍

    政府委員(及川昭伍君) 消費者行政の総額の予算の中でこのネットワークに振り向ける予算はそれほど多額のものにはならないというふうに考えておりまして、コンピューターを国民生活センターに既に設置しております。端末機の導入の代金でございますので各都道府県それぞれ合意を得ておりまして、むしろある公共団体等では全額自分の経費でやりたいから早急にやってくれというところもありまして、そういうところにはそういうところで応じているという状況でございます。
  115. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 そうだと思いますよ。それは問題が多いし、東京で起こったのがもうあの田舎の大分で九州で起こる、事例が非常に似ている。だから、やっぱり早く情報は知りたい、処理のやり方も知りたい、こういうことですからね。地方自治体としては、自力でも早くやりたいという考え方も出ると思います。ですから、こういういいことですから、お金は生きたように、限られたお金をどう使うか、これは問題ですから、ぜひ早く、二分の一とは言わずもう少しやるから早くせいと言うぐらいの姿勢をとっていただきたいんですが、もう一度企画庁の決意を聞いて次に移りたいと思います。
  116. 及川昭伍

    政府委員(及川昭伍君) 消費者行政を担当している私どもとしても、できるだけ早くオンラインシステムを全国に張りめぐらしたいと考えております。ただ、今、今年度は実験的にと申しましたのは、物理的な、コンピューターは仮にあるとしても、それのソフトシステムを一方で用意していかなければならないわけでございまして、例えば相談にしても、相談の事例をどういうキーワードで選び出すようにするかとかあるいはインプットの仕方をどうするか、それをコンピューターのソフトシステムとどうするかということが、実験をしながら開発していかなきゃならないということでありますので、当面は今年度は八つか九つのところにいたしますが、いずれ今年度中にはそういうシステムは完成すると思いますので、その後早急に、できるだけ早く全国にネットワークが組めるようにいたしたいと考えております。
  117. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 では、ちょっともとに返りますが、局長、割賦債権がこれからどんどん横行してきますと、これが転売をされて悪い整理屋みたいな、あるいは悪いところにそれが回っていく。そうすると、やっぱりそれをもとにして購入者消費者に不測の不利益が生じるような、こういうことというのがこれから心配をされるんですが、この点についてのやはり何らかの形の規制を早目に考えておった方がいいんではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  118. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 割賦関連取引において、先生指摘のような割賦債権が転売されることにより購入者が過酷な取り立てに苦しむといったような事態発生を、これまでのところまだ私どもは把握をしてないわけでございますが、今後かかる事態発生するようであれば、その事態を調査の上、適正化のための所要の指導を行ってまいりたいと考えておるわけでございます。
  119. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 事態の把握というのは――ないかと思いますが、非常に似たケースですね、整理屋がかんだりいろんなそういうサラ金の債権の取り立てに似たケースというのがやっぱりたくさん出ておりますよね。ですから、当然これはどんどんそういうことが横行してくる、出る可能性が非常に強いし、出ていると思いますが、ぜひこの点について鋭く注意をして問題の起こらないように処理をしていただきたいと思います。  次に、文部省おいでですから、ちょっと一点質問をいたしますが、アメリカでは消費者信用、クレジットに関して中学校、高等学校、義務教育段階である程度の、高等学校段階でやっぱり知識を植えつけるために教育がなされているやに聞いておりますが、ほとんど、先ほどちょっと申しましたように、我が国では、普通うまい話を持ってこられれば、子供を持つお母さん方というのは一回で引っかかるケースというのは非常に多い。特に子供の教育に関した問題とか、こういうケースもありますし、全体の消費者信用の問題がどんどんこれから進んできますと、これは国民がもう少しこの問題について知識がないと、なかなか生活を守れない。先ほども言いましたように、とにかく書面をつくるにしてもなかなか、もうめんどくさいわというような、そこまで消費者信用、クレジットの問題について生活がついていってないわけです。ですから、もちろん社会教育の場でこれから通産省もやってもらわなきゃいけないんですが、子供の教育の場でこのクレジット教育をもう少し取り上げてもらうことはできないか、この点についてお伺いしたいと思います。
  120. 遠山敦子

    説明員(遠山敦子君) 消費者保護とか正しい消費のあり方などの消費者教育につきましては、学校教育では小学校、中学校、高等学校におきまして、それぞれ社会科とか家庭科を中心にいたしまして、児童生徒の発達段階に応じて適切な指導を行っているところでございます。一方、義務教育でございます小中学校段階では、国民として必要な基礎的、基本的な内容を確実に身につけさせるということが必要でございまして、教育内容の精選ということに今取り組んでいるところでございます。  小中学校の教育の中でもいろんな事柄を教えてほしいと各方面から御要請があることも事実でございます。他方、申しましたような学校教育のあり方という角度で精選を行うという両面の要請にどうこたえていくかということは大変大事でございます。  そうした中でクレジットカードに関する知識を正課として学習させていくということにつきましては、この時期の子供の発達段階でございますとか、あるいは義務教育としての教育内容のあり方など広く検討しなくてはならないことがございまして、困難な面が多いというふうには考えます。  しかしながら、高等学校におきましては、このクレジットカードを含めました現代の社会にふさわしい健全な消費生活に関する知識を、主として商業科等の職業教育の中で指導しているところでございます。
  121. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 現状はわかりましたが、子供の教育の場でいろんなことを詰め込んでおりますが、しかし一体どう人間が生きていくか、どう生活をするか、家庭を守るか、ここが基本でありますから、やはりそこを抜きにした教育なんというのは、やっぱり生きることを抜きにした教育はあり得ないと思うんですね。ほかの知識を幾ら入れたって家庭がばらばらになれば、それでおしまいですからね。ですから、今の答弁の内容をもう少し突っ込んで、正課の中で必ずきちっと教えていくように取り組んでいただきたいと思うんです。いかがでしょう。
  122. 遠山敦子

    説明員(遠山敦子君) 冒頭にも申し上げましたように、消費者教育の基本的な事柄につきましては教育を十分やっているわけでございます。ですからクレジットカードという特定の事柄についてさらに詳しくということになりますと、これはなかなか難しいというふうに申し上げたわけでございます。
  123. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 ちょっと時間が来て申しわけありませんが、クレジットカードと言わなくて、これからの消費者信用が、先ほど大臣が冒頭に言われましたようにもう十三兆円産業、それがどんどん伸びてくる、こういうことでどんどん追っかけてくるわけですね。ですからアメリカでも正課の中で取り入れだということを聞いておるわけなんです。ですからクレジットだけ、要するに消費者信用の問題全体について時代を先取りをするというか、まあ先取りじゃありませんが、やっぱりそのことについて知識を広めるために取り入れてもらう、こういうことですから、これはいいでしょう。
  124. 遠山敦子

    説明員(遠山敦子君) 御趣旨は大変よくわかります。そしてまた、その角度での消費者教育という面で、学校教育の中に社会科とか家庭科を通じて指導してまいるという方面を一層前向きに指導してまいりたいという面では先生の御趣旨と同じでございますが、一層詳しくとか、あるいは内容についてのさらに突っ込んだということになりますと、これはなかなか検討を要する問題であるというふうに考えます。
  125. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 いいですか、もう難しいことを考える必要はないと思うんですね。私にも中学校や高等学校を卒業した子がおりますけれども、全然知りませんよ、普通、学校でやったかどうかわからないと。要するにいろんなことを頭で知識を、学校の勉強、数学がどうだ英語がどうだとかを覚える前に、これは生活に直結している問題ですからね。クレジットもそう、金利、サラ金の問題もそうなんですね。こういう問題、金利が一体何分、どのくらいに高利貸しの金利はどうなっている、そういう問題なんかも全然知らない。だからぼろぼろぼろぼろ引っかかって、今大変な悲劇が出ておるわけなんです。だから、言っていることはよくわかるがなかなか検討してみなきゃわからないとこう言っておりますが、現実は非常に厳しい状況になっておりますから、これはもう余り検討を時間かけてしなくて、今、実社会の中にぽっとあなたが飛び込んでいって、そしてそこで文部省が判断をすれば早く結論出ると思うんですよ。だから現実に即応した物の考え方、教育の仕方をぜひ取り入れていただきたい、こういうことをお願いしておるわけです。
  126. 遠山敦子

    説明員(遠山敦子君) 各学校段階におきまして、発達段階に応じた教育の内容というものを精選して取り組んでいくという大きな要請がございます。繰り返しになりますけれども、そのような要請と、それから現実の社会でのいろいろな問題点とをどういうふうに教育の中で実現していくかという大きな問題になるかと思われます。  しかしながら、この問題につきましては金融の問題でありますとか、経済、社会の問題、あるいは市場の状況とか、非常に広い角度の知識をバックとして、そういうものを教えていかなくてはならない。では、そういう知識をバックとしたいろいろな中身を小学校段階、中学校段階というようなところで本当にきっちりと教えていくことができるかというようなことも考えなくてはならないと思いますので、御意思、御主張の点はよくわかりますけれども、私どもとしては、今そういうふうに考えている次第でございます。
  127. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 もうわかったらひとつそのとおりに、わかった趣旨に沿ってやってください。検討をまじめにしてください。  最後に大臣、冒頭にもちょっと言いましたが、消費者保護行政が各省庁、特に大蔵省、通産省絡んでばらばらなところもちょっとあるようですし、大臣中心になって消費者保護の観点から、そういう大きな観点から行政一丸となってやっていただきたいんですが、大臣の決意を最後にお尋ねして終わりたいと思います。
  128. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 通産省といたしましては、従来から消費者保護、この充実を図るために取引関係適正化、製品の安全性の確保、あるいは品質表示の適正化等を図るとともに、消費者の啓発、苦情処理等を行ってまいったところでございます。  消費者保護につきましては、御指摘のとおり、政府全体が整合性をとりながら推進していくべきでございまして、今後とも関係各省と十分な連絡をとりながらその推進を図ってまいりたいと存じます。
  129. 田代富士男

    田代富士男君 最初に、私は金融物販を含めました消費者信用伸展の現状と、それから将来の展望、また現在ばらばらに行われております消費者信用の統一、規制につきましてまとめてお尋ねをいたします。
  130. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 消費者信用の取扱高は昭和五十年に十兆円であったわけでございますが、昭和五十七年には二十六兆円となっておりまして、大変急速な伸びを示しておるわけでございます。その中で物販の取扱高は昭和四十八年には約四兆四千億円ということであったわけでございますが、昭和五十七年におきましては約十三兆六千億円というふうになっておるわけでございまして、急速にその規模の拡大を示しておるわけでございます。  中でも割賦購入あっせんが飛躍的な伸びを示しておるわけでございまして、昭和四十八年には割賦関連取引全体の八%を占めるにすぎなかったわけでございますが、昭和五十七年には四一%というような大きなシェアを占めるに至っておるわけでございます。  今回の法改正によりまして基本的な法制あるいは信用情報機関整備が進むことになるわけでございますので、物販はより一層国民生活に浸透していくのではないかと私どもは予測しておるわけでございます。  なお、御指摘消費者信用に関します包括的な立法についてでございますが、そういうような声が一都にあることは十分承知をしておるわけでございますけれども、本件につきましては将来の課題といたしまして慎重に検討する必要があるのではないかと考えておるわけでございます。
  131. 田代富士男

    田代富士男君 午前中からも質問がなされておりますとおりに、さまざまな消費活動が展開される中で、消費者による苦情相談が相当数に上っている、このように思うわけでございます。まあ、これは思うだけじゃなくして、これが実態でございます。そういうところから、その苦情の実態の中で、特にクレジット関係ではどうであるのか。また、さらに信用問題も一番基本になっておりますが、この販売信用にかかわる消費者トラブルとしてはどのような事例があるのか、あわせてお答えをいただきたいと思います。
  132. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 通産省消費者相談室におきます相談件数によりますと、契約関係のトラブルは昭和五十三年度に約千九百件であったわけでございますが、昭和五十七年度には約三千九百件と倍増をしておるわけでございます。これらのうちでもクレジット関係のトラブルが大きな割合を占めておるわけでございます。このような動向は経済企画庁関係の国民生活センターで行った調査結果からも認められるわけでございます。  それから第二に、先生の御質問の販売信用にかかわる消費者トラブルの例でございますが、信販会社の介在する取引において、商品の引き渡しかないとか、あるいは商品の修補がなされてないにもかかわらず信販会社から支払い請求がされるといったトラブル、あるいは支払い能力を顧みない購入の結果といたしまして支払い不能に陥った事例など数々あるわけでございまして、今回の改正ではそのような問題についての法的措置が講ぜられたものでございます。
  133. 田代富士男

    田代富士男君 今お答えいただきましたとおりに、いろいろなトラブルが多発している中におきまして、御承知のとおりに通産省の消産懇、また産構審の答申におきまして規制の対象として指摘されていたにもかかわりませず、今議題に供されておりますこの改正案には取り込まれなかった契約形態があります。  御承知のとおりに、ローン提携の販売における契約の解除等の制限、またその損害賠償等の額の制限、そして支払い遅滞のときの損害賠償等の額の制限、また抗弁権の接続、またマンスリークリアカードにおける抗弁権の接続などが規制対象とならなかった。これはどういうことでこれが規制対象にならなかったのか、お答えいただきたいと思います。
  134. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) まず、ローン提携販売につきまして契約の解除等の制限等の規定が及ばないという形になったわけでございますが、その理由といたしましては、ローン提携販売におきます金融機関購入者との関係は、金銭消費貸借契約に基づく関係なわけでございます。したがいまして、この分野につきましては、銀行法とかあるいは貸金業法等の業法や、あるいは利息制限法、出資法等が存在をしておるわけでございますので、このような金融秩序の中で当該貸金業務の適正化が図られているという現状から、この本法の対象とすることにはしなかったわけでございます。  それから、第二の抗弁権の接続規定につきまして、ローン提携販売を適用しないということにいたしましたのは二つの理由があるわけでございますが、第一は抗弁権の接続をめぐるトラブルは、ローン提携販売につきましてはほとんど起こっていないということが第一でございます。  それから第二といたしまして、その販売店が購入者による金銭の借り入れを保証しておるわけでございまして、購入者支払いをしない場合、貸付業者は保証債務の履行をその販売店に求めるということになるわけでございまして、その場合にはその販売店と購入者との間の二者関係が復活をするということになるわけでございます。したがいまして、抗弁権の切断をめぐる問題は少ないのではないかと考えられるわけでございまして、以上二つの理由から、抗弁権の接続規定をローン提携販売には適用しないということにしたわけでございます。
  135. 田代富士男

    田代富士男君 今度は、産構審の答申におきまして触れられない割賦購入あっせんにおけるリボルビング方式カードの債務充当のみなし規定消費者保護の立場から設けられましたけれども消費者保護の立場を言うのであるならば、私今も質問いたしましたとおりに、ローン提携販売やこのマンスリークリアカード規定の方が大切ではないかと思うわけでございます。いろいろな理由を言われましたけれども、本当に消費者保護という立場であるならば大切じゃないか、これ改めて私は申し上げておきたいと思います。  そこで、今さらのことでありますけれども一応伺いますが、通常の月賦契約といわゆるクレジット契約とはどこが違うのか、まあこれは質問に簡単にお答えいただきたいと思いますけれども、また、いわゆるクレジットが今日まで発展してきた理由、ここらあたりもあわせてお答えいただきたいと思います。
  136. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) まず第一の御質問でございますが、通常の月賦契約というのはその販売店がみずから信用を供与する、いわゆる二者間の契約なわけでございますが、いわゆるクレジット契約と申しますのは、購入者と販売店との間に与信者でございます信販会社が介在をいたします三者間契約である点が大きな相違点ではないかと考えるわけでございます。  それから、我が国にクレジット販売が非常に発展しておる理由といたしましては、これは購入者側の事情とそれから企業努力と両面から挙げられるわけでございますが、購入者側の事情といたしましては、現金では購入することが困難な高額商品への需要が高まっているということが第一、それから第二に、消費者の借り入れに対する抵抗感が少しずつ薄くなってきておるということ、それから第三といたしまして、返済原資となります可処分所得の増加が見られるといったようなことが購入者側の事情として挙げられるわけでございます。  それから企業サイドの理由といたしましては、金融機関と比べまして簡易な申し込み手続で金が借りられるということ、それから加入店数の増加によりまして取扱窓口が増加をしておるということ、それからクレジットカードの発行等によりまして顧客の組織化などが見られておるというようなことか企業努力のあらわれとして挙げられるのではないかと思うわけでございまして、以上両面からの理由によりましてクレジット販売の伸展が見られるんではないかと考えておるわけでございます。
  137. 田代富士男

    田代富士男君 今クレジット契約につきまして両面からの御説明をいただきましたが、クレジット契約のうちの個品割賦購入あっせんに関しましてお尋ねをしたいと思いますけれども、これはまず販売店が消費者クレジット契約、それがどういうものであるかということを説明も恐らく最近はやってきておりません。したがって、消費者は数枚のワンセットの伝票に一回あそこで記入させられるわけだ。そのクレジット契約という形は実は二つの契約、まあ局長も御存じのように、商品購入とそれから立てかえ払いという、この二つの契約が同時に行われているというようなことは恐らく全く意識はないと思うんです。消費者の立場からするならば、単なる月賦購入ぐらいの認識しか持ってないわけなんです。こういうところが圧倒的に多いのではないかと思いますし、今局長が両面から御説明をされましたけれども、こういうようなことに対して通産省としてどのように認識をしていらっしゃるのか、お答えいただきたいと思います。
  138. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 先生指摘のとおりの事情が現実に存在しておると思います。通産省といたしましても、業者が購入者取引を行うに際しまして、購入者が当該取引の仕組みを正確に理解できるよう説明を行うことにつきまして、関連業界指導してまいりたいと思っておるわけでございます。  それからまた、同時に、私どもといたしまして、今先生の御指摘のような事情があることを踏まえまして、今回の改正法案の中で、自社割賦等、割賦販売に適用されております購入者保護規定割賦購入あっせんにも同様に及ぼすということにしたわけでございます。
  139. 田代富士男

    田代富士男君 ただいま局長からも御答弁いただきましたとおりに、通産省といたしましても私の今指摘した事実はお認めいただいたようでございまして、十分な認識を持たずに契約する方が多いのが実態でございます。そこで、このように十分な認識がないままに契約が行われた場合、そのクレジット契約の錯誤の可能性について通産省見解はどうでありましょう。
  140. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) クレジット契約の申し込み書面には信販会社名を記載されておるほか、購入者の契約意思の確認も信販会社によってなされておるわけでございます。しかしながら、クレジット契約は与信業者と販売業者が異なるわけでございますから、購入者にとりまして契約の仕組みがわかりにくい面があるわけでございまして、その複雑さがトラブルの原因になっていることも先生の御指摘のとおりでございます。したがいまして、購入者取引を行うに際しまして取引の仕組みを説明するなど、十分対応いたしまして、関係業界指導してまいりたいと考えておるわけでございます。
  141. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、民法の九十五条の錯誤の規定がございますけれども、こういう規定の上から今指導していくとおっしゃいましたけれども、やはりこれ一番大事なことじゃないかと思うんですが、どうでございましょうか。
  142. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 具体的な事案が錯誤になるかどうかというのは、実は裁判所によって判断をされる事項ということになるわけでございますけれども先生の御指摘のように、個別取引におきましてそういう誤解に基づく契約の締結というようなことにならないようにいろいろ関連業界指導してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  143. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、販売会社から消費者に対しまして、このクレジット契約による買い物については商品の瑕疵や、あるいは未到着があっても、購入者は信販会社とは別途立てかえ払い契約をしているので、あなたは支払いの義務が残り、信販会社から当然請求書が回ってくるという抗弁権の切断についての説明が口頭によって行われていないというこのことと、今の私申し上げました民法九十五条の錯誤のここのところは重要な関係があるのではないかと思うわけなんです。そういうところから今日、昭和三十六年にこの現行の割賦販売法が成立しましてから割賦販売が発展してきたわけでございますけれども、この発展の裏には法律上の重要な権利義務が知らされずにいたということが今日大きな問題になっているところではないかと思うわけでございまして、そういう立場から、消費者の立場に立って考えるならば、万一商品に瑕疵があった場合でも支払いだけは続けていかなければならないということであるし、もし十分にそのことが認識されていたならば今日のような割賦販売がここまで来てなかったのではないかと思うんですけれども通産省といたしましてはどのようにこの実態を考えていらっしゃるのか、ここらあたりをまとめてお答えいただきたいと思います。
  144. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 近年クレジット販売が急速に発展してまいりましたのは、販売店にとりましては小さな資金力で信用販売ができるというメリットがあるわけでございますし、購入者にとりましては簡易に信用の供与が得られるというメリットがあるわけでございます。信販会社は手数料の収益を上げ得るといったようなメリットがあるわけでございまして、それぞれ契約当事者が便益を享受し得るという取引形態であることから今日のような急速な発展を見ておるということではないかと考えるわけでございます。  ただ、それに伴いまして、ただいま先生の御指摘のように、実際にその販売店から消費者に対しまして商品の引き渡しがない場合や、あるいは引き渡された商品に瑕疵がある場合にも別途信販業者からの代金の支払い請求は続いておるといったようなトラブルが多発しておる点もあるわけでございます。したがいまして、そういう問題に対処するために、今回の法律改正におきまして割賦購入あっせん利用した購入者が販売業者に対して主張できる事由をもちまして割賦購入あっせん業者からの代金の支払い請求に対抗することができるものとすることにしたわけでございまして、そういう措置をとることによりまして今後のクレジット販売の健全な発展のための基盤が整備されることになるんではないかというふうに考えておるわけでございます。
  145. 田代富士男

    田代富士男君 今も局長からお話がありましたとおりに、片方では信用の供与が得られるし、片方では手数料の収益が上げられるという、こういう相関関係は理解できるわけなんですが、そういう立場から、現時点においては契約そのものは有効だと。有効であるとしましても販売店やあるいは信販会社はともかくも、消費者においては今申し上げたような、その程度認識すら持っていない。そういう認識すら持ってないような契約によって、今年間十兆円を上回るくらいの取引がどんどん行われているということは、このまま放置してよいのか。私はこれはゆゆしきことであると思うんですけれども、一体どこにその欠陥があるのか、これ大臣いかがでございましょうか、このまま放置してよいのか、欠陥がどこにあるのか。これはやっぱり大臣からお答えいただきたいと思います。
  146. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 欠陥ということを率直に言えば、余りにも便利さというもののゆえに、それ自体が欠陥ということになることもございましょう。しかしながら、この便利さというものがますますこのクレジット販売の今後の発達ということを促すとすれば、それに関する何らかの意味の、先ほども議論がございましたけれども、社会教育も必要でございましょうし、またさらにいろいろな制約等もございますけれども、何らかの意味での学校教育も必要でございましょう。今後そのようなことは十分我々として検討していかなければならない問題であると考えておるものでございます。
  147. 田代富士男

    田代富士男君 今、この問題点は、便利さというものが欠陥を呼んでいるということですけれども、もうちょっと大臣、ここらあたり具体的に説明していただけませんか、ただの便利さが即欠陥につながるという。
  148. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 突然の御質問でございますので、詳しいことを考えぬままについ思いつき的な答弁をいたしましたけれども、やはり便利さのゆえの欠陥と言うといかにも唐突な言い方でございますけれども、しかし人間の本性といたしまして、やはりこのクレジット販売の発達ということは、先ほど局長が言いましたとおり、それなりの要素があるわけでございまして、その集約としての便利さということがつい私が思いつくままに申し上げたことでございます。
  149. 田代富士男

    田代富士男君 まあ、そういう思いつきじゃなくして、ひとつ答弁を丁寧にお願いいたします。  それで、今大臣もお答えになっていたとおりに、これには社会教育も必要であるというような御答弁でございましたし、そういう意味からもこのクレジット販売あるいは契約について、消費者に対する啓蒙というものを図っていかなくちゃならないじゃないかと思いますし、ちょうど今法改正の時期に来ておりますし、通産省としても大臣自身が社会教育が必要であると言われておりますから、どのように取り組んでいかれるのか、これもお尋ねしたいし、昭和三十六年から現行の割賦販売法が出されまして、クレジット販売の拡大によりまして、これ大げさに言うならば日本の社会もいよいよ本格的な契約社会の時代に入ったということが言えるのではないかと思います。それはとりもなおさず社会全体が問題であり、これを解決するには社会教育以外にはないとおっしゃるとおりに、学校教育にもあるのじゃないかと思いますし、今同僚議員からもこのことについてお尋ねがあったことでございます。私もこの問題につきましては正規のカリキュラムを取り入れるというような前向きにこれはやるべきじゃなかろうか。今、同僚議員の質問に対しまして消費者教育の基本的な問題は、その児童の発展段階に応じながらやっているんだという、そういう趣旨の答弁がなされたわけでございまして、このような問題を正規のそういうような教材として入れるということについてはまだ明確なあれがなされなかったのですけれども大臣自身がこの社会教育が必要であるというそういうようなことでありますし、やはりこれは我々議員がこういう質問だけでなくして、通産省として文部省とこの問題については突っ込んだ話し合いをして、こういうような、十兆円以上の産業に発展したこの中から事故を起こさないためにもやるべきじゃないかと思いますけれども大臣が今社会教育が必要であるとおっしゃいましたから、改めてこの問題を含んで大臣のお考えいかがでございますか。大臣から、社会教育が必要だとおっしゃいましたが……。
  150. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 今先生指摘消費者啓発に努力をしなければいけないという点は御指摘のとおりでございまして、通産省といたしましても従来からテレビ、ラジオ、パンフレット等を活用いたしまして消費者教育の徹底に努めてきておるわけでございますが、先ほどの大臣のお話もございまして、今後とも私どもはその消費者教育の徹底に、より力を入れてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、消費者の啓発のためには学校教育の段階から積極的に取り組まなければいけない、先生の御所論には私ども異存はございません。賛成でございます。そのためにも今後関係省庁に働きかけて、この問題についても前向きに取り組んでまいりたいと思う次第でございます。と申しますのも、結局これからのクレジット社会の健全な発達のためには消費者の啓蒙と、その前提となります学校教育の段階からの教育ということが極めて重要な課題ではないかと考えるからでございます。
  151. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) いわばクレジット社会の先進国であるアメリカにおいても、既にそのような学校教育ということが行われているということを私どもは聞いております。そのような意味において、日本が今や十兆円を超すような取引高が今後もふえるということは確実に予想されるとすれば、通産省といたしましてその意味での消費者を啓蒙するための、もっと若い時代からの教育というものが何らかの意味で必要であると思います。しかし、先ほども文部省の課長が答弁いたしておりましたように、それはそれなりのいろいろな難しい問題も背景にあるとすれば、我々は関係省庁連絡をとりながらも、これを慎重に検討していきたい、かように考える次第でございます。
  152. 田代富士男

    田代富士男君 この問題は特にお願いをしておきたいと思います。  引き続いて、あっせん業者は販売店における個々の売買には全く関与しているわけではないわけでございまして、ともかくこの消費者保護の観点から抗弁の接続が認められたわけでございますが、この際、無過失責任の追及を含め消費者と信販の利益の均衡をいかに実現していくのか、これはやはり指導官庁が通産省でございますけれども、具体策をお伺いをしたいと思います。  また、それに関連しまして購入者の正当な権利の主張というものは当然保障されなければなりませんけれども、同時に購入者の抗弁の乱用、これも慎んでいかなければならないのではないかと思います。抗弁の乱用が多発することになりますと、かえってあっせん業者であります信販会社消費者対策を強めることになる、そういうおそれがあると思いますけれども、これもあわせて通産省見解をお聞かせいただきたいと思います。
  153. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 抗弁権の接続の規定におきまして、消費者あっせん業者の利益の均衡をいかにして図り実現していくかというのが大きな課題なわけでございます。したがいまして、今回の抗弁権の接続規定を設けるに際しましても、私ども考えましたのは、あっせん業者は売買契約の直接の当事者ではなくて、与信の側面においてのみ取引に関与をしておるということでございますので、結論的には購入者割賦購入あっせん業者からの代金の支払い請求を拒むことができるという抗弁権の接続規定をこの本法の中で設けることにしたわけでございまして、したがいまして、そのあっせん業者に対します瑕疵修補請求等の請求を行い得ることにはしていないわけでございます。  また先生も御指摘のように、購入者が抗弁を主張する際には、それがまた権利の乱用ということになってもいけないわけでございますので、あっせん業者からの求めに応じまして抗弁事由を記載した書面の提出に努めるべき旨を規定をしておるわけでございまして、購入者あっせん業者との間での問題の迅速かつ円滑な解決が図られるよう配慮しておるわけでございます。また、その購入者が確実にこの書面を提出するよう今後関係消費者団体等を通じまして指導、啓発を図ってまいりたいと考えておるわけでございます。  それからもう一つ、バランスをとる話といたしまして、少額の取引につきまして抗弁権の接続を認めるというようなことにいたしますと、いたずらに社会的コストの増大をさせるということにもつながる点がございますので、購入者保護の必要性と社会的コストを考慮いたしまして、抗弁の接続規定の適用につきまして一定の金額の下限を設けることにしておるわけでございます。  以上、三つのような観点から両者につきましてのある種のバランスをとる努力をしておるわけでございます。
  154. 田代富士男

    田代富士男君 抗弁の接続内容につきましては、契約を書面その他で明らかな事項のみに限定をしないで、消費者トラブルの原因となっている、いわゆるセールストークを含めることにしたことが、消費者保護という立場から評価できるわけでございますが、私はこのセールストークのゆえに、かえって紛争をこじらせるのではなかろうかと心配する一面もあるわけなんですが、そういう意味で今回の法改正を機にセールストークのあり方や、あるいは契約書や、あるいは説明書のあり方が消費者に理解されるように改善されることを期待したいと思いますが、通産省としてどのように取り組んでいかれるのか、お答えいただきたいと思います。
  155. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 今回の法改正によりまして信販会社、販売会社はともにクレジット販売の適正化について一層の自覚が望まれることになるわけでございますけれども通産省といたしましても改正割販法の厳正な運用を行うとともに、セールスマン登録制度の充実やあるいは資質の向上のための教育などを通じますセールスマンの資質の向上、販売業者による消費者に対するクレジット契約についての説明等の指導を通じましてクレジット販売の適正化に努めていく所存でございます。
  156. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、通産省の、同僚議員の質問にもお答えされておりましたけれども、口頭でも契約は契約であると、そういう意味で、書面では全部書けないというような、そういう答弁も聞いておりましたけれども、立証が可能な限り購入者が抗弁できるというのが通産省の考え方ではないかと、私はそのように理解をしておりますけれども、立証可能なセールストークというのはどういうことを言うのであるか、購入者の立場でどうすることができるのか、ここらあたり、ちょっと突っ込んだ質問でございますけれども、お答えいただきたいと思います。
  157. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 購入者は抗弁する際に販売業者との間で生じておる事由を記載した書面をあっせん業者の求めに応じて提出することに努めるという努力義務といいますか、訓示規定がこの本法で設けられておるわけでございますが、この書面の提出を徹底させることによりまして、抗弁権の乱用というのは相当抑止することができるのではないかというふうに考えておるわけでございます。  それから、先生指摘の、具体的なセールストークの問題でございますが、その辺の実際の挙証責任というのは結局購入者側にあるわけでございまして、その購入者側が不当な抗弁の主張をするというようなことがもしあるといたしました場合には、結果的には抗弁をした当初からの遅延損害金というようなものを徴収されることにもなるわけでございますし、したがいましてそういう面からの乱用につきましては、おのずから歯どめがあるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  158. 田代富士男

    田代富士男君 次に、指定商品についてお尋ねをいたしますけれども、指定商品について、その指定が行われるまでにどのくらいの時間が費やされているかが一つの問題であるんじゃないかと思います。例えば、自動販売機につきまして、第一号のトラブルが発生してから指定までにどれだけの日時が費やされるのか、また、指定された時点でどれくらいのトラブルが発生しているのか、まずここらあたりをお答えいただきたいと思いますし、そのような状態で指定されているのではいかにも遅きに失するのではないかと思うわけでございますが、これは一つの例として自動販売機を出したわけでございますが、自動販売機に限らず、指定商品の指定というのを迅速に行うよう心がけるべきではないかと思いますが、あわせてお答えいただきたいと思います。
  159. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 先生は自動販売機の例を御引用になったわけでございますが、自動販売機につきまして、最初のトラブルの発生から指定までの間にどれだけの日数がかかったかということにつきましては、これは私どもも完全に掌握しているわけではございません。ただ、割賦販売が行われていた実績があり、かつ昭和五十三年の一月から十月までの間に八百件を超えるトラブルが発生したというようなことから、昭和五十四年に割賦販売法の対象として指定したという事実はあるわけでございます。  それから、その指定商品の政令指定の問題でございますけれども、当該商品が割賦で取引されておる実態とかあるいはトラブルの発生状況を勘案をしながら、今後とも迅速に政令指定を行っていく所存でございます。
  160. 田代富士男

    田代富士男君 消産懇あるいは産構審のそれぞれの答申におきまして、いずれも最近トラブルが急増しております。御承知のとおりに、学習塾あるいは美容あるいは旅行、こういうものの役務関連取引規制の対象に加えるよう求めてきたんですけれども改正案ではこれが全く無視された形になっております、御存じのとおりだと思いますが。  その理由としては、役務といってもその態様はさまざまであり、共摘要因を取り出して割賦販売法規制することは難しいと感じたということのようでありますけれども、その無視した実態は何であったのか、ちょっと詳しくお答えいただきたいと思います。
  161. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 先生指摘のとおり、産権審の具体的な議論の過程で、役務は対象にすべきであるという有力な意見が存在しておったことは事実でございます。したがって、それを踏まえまして通産省といたしましても役務を法律の対象に追加することを検討してきたわけでございますけれども、御指摘のように、役務につきましてはさまざまな形態の取引が存在をしておって、さらにその実態を解明する必要があるということが第一点。  それから第二点といたしまして、役務に関連したその消費者トラブルは、支払い方法のあり方というよりはむしろ提供される役務の内容に関連して発生している場合が多いということ。その二つの理由によりまして、今回改正の対象としては見送った次第でございます。  さらに、先生がちょっと個別の役務の内容について詳しくとおっしゃいますので、もうちょっと敷衍をさせていただきますと、今後さらに実態を解明をしながら検討する必要がある点は次の三つぐらいではないかと考えておるわけでございます。  一つはスポーツクラブ等のように役務の提供業者と購入者との間に媒企業者、取次業者等が介在するものにつきましてどのように対応すべきかという点が第一点。  それから第二点といたしまして、会員権のように預託金が存在するものにつきまして、その価格をどうとらえ、また手数料率をどのように算定すべきかという点。  それから第三点は、会員権あるいは継続的役務については前受金保全措置のような前払取引にかかわる規制が必要なものがあるのではないかといったような点につきましてさらに詰める必要があるという点、その以上三点でございます。  それからまた、役務につきましては、全般的にその支払い方法のあり方というよりも、むしろ提供される役務の内容に関連してトラブルが発生しておるんではないかという指摘があるわけでございまして、その具体的な事例といたしましては、例えばゴルフ場が当初の契約どおりにオープンされてないというようなこと。それから総合美容におきまして効果がないばかりか、逆に肌を痛めてしまったというようなトラブルがあるわけでございますが、そういう問題に対してどう対応していくかというのがこれからの検討課題ということでございまして、少し時間をかけてその実態を踏まえ、そしてその規制のあり方について詰めを行ってまいりたいと考えておるわけでございます。
  162. 田代富士男

    田代富士男君 これは、努力されている通産省に私がこういうことを言ってはまことに失礼かと思いますけれども、同僚議員の質問に対しましても、この役務の関連取引規制の対象に加えられなかったことに対して、法制局との内部調整の段階で見送られたと、こういう御答弁がされておりまして、今局長からいろいろ御説明をいただきましたけれども、私はこれ、少なくとも法制局との打ち合わせの段階というものにつきましては、ある程度もう内部においては、まだ煮詰まらない段階で法制局との打ち合わせも個々にあるでしょうけれども、そうじゃなくて煮詰まったものを法制局との打ち合わせと、我々も議員である立場から推測をいたしますれば、我々自身の作業をやっている関係からしましても推測はつくわけでございますけれども、ここで役務、役務という言葉ばかりが先行をしておりまして、そして最後の段階まで勉強してきたと言われるけれども、見送りをしたということ自身が、これは努力をされている通産省に対して申しわけないけれども、これこそ後手後手の対策ではないかと私は思うんです、これは失礼な言い方であるかわかりませんけれども。だからここらあたりは、小此木通産大臣大臣に就任される前から作業が進められていたから、大臣自身としてはここらあたりの作業の実態ということを御存じなかったと思いますけれども、私は、役務の中身について十分に通産省段階で掌握をし対処してなかったということは、怠慢と言えば失礼かわかりませんけれども、努力が足らなかった、それがまた今回もこの改正案に盛り込むことができなかったという、これだけは認めざるを得ないと思うんですけれども、だからここらあたり、私まことに申し上げにくいことだと前もって言っておりますけれども、いかがでございましょうか、大臣
  163. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 田代委員いろいろ御意見ございましょうけれども、今、小長局長が説明いたしましたように、事務当局としてはいろいろとこれを盛り込むことに努力したと思うのでございますが、結果的には、この法案の中に入れられないということは甚だ残念なことだと思います。  しかし、通産省といたしましては、今後この問題は十分検討することにしておりまして、役務取引においても早急に消費者保護が図られるように、私といたしましても事務当局を今後大いに督励してまいりたいと存じます。
  164. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、役務の問題が先送りになったということは、これは定義づけといいますか、そういうものが難しい面もあっただろうと思いますけれども、役務を規制の対象にしないで済まされる現在の段階ではないと思うのです。まず、局長一言どうですか、これは対象外にしているけれども、それで許される段階であるか段階でないか、一言。
  165. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) もう先生指摘のように、役務に関しましてさまざまなトラブルが発生しているということは当省としても十分承知はしておるわけでございまして、先ほど大臣の御説明にもございましたように、今後さらに実態を調査をしながら、どのような規制を行うのが妥当かにつきまして引き続き産業構造審議会等の適切な場で検討をすることにしてまいりたいと考えておるわけでございます。
  166. 田代富士男

    田代富士男君 今、申されたとおりに、この問題は放置するわけにはまいりませんし、産構審等で検討すると言われますけれども、これは放置できない現段階ですから、見通しとするならば、いつごろまでに大体見通しができるのか、可能性だけでもお開かせいただきたいと思います。
  167. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 抜本的な規制のあり方について今の産業構造審議会等の場で検討するわけでございますが、当面、緊急に措置すべき事項といたしましては、役務に関連する消費者トラブル、これは教材と塾のように商品に役務が附帯をしておるといったような場合に多発をしておるわけでございまして、したがって、こういう緊急の課題につきましては、今後、附帯役務を明碓に契約書面に記載させること等によりまして取引の明確化を図るとともに、業者に対しましては取引適正化のための指導を徹底するというようなことで当面対応してまいりたいと考えておるわけでございます。
  168. 田代富士男

    田代富士男君 おおむねいつごろ。
  169. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 基本的な方向につきましては、これから鋭意努力かつ精力的に検討を続けてまいりたいと思います。
  170. 田代富士男

    田代富士男君 これ以上言ってもむだだと思いますので……。  そこで、通産省の考えには、商品と役務が付随する場合には附帯役務を契約者に明記させることによって役務について契約履行が行われることを期待しているようでありますけれども、この役務だけの場合にはどうするか、問題が残るのではないかと思うんです。まずこのことをお答えいただきたいと思います。  これはどこに問題があるかといえば、役務関連トラブルが多発しているわけでございますから、この割賦販売法の改正と並行いたしまして、別個、それはそれで消費者保護という目的も示されておりますとおりに、保護のための立法を検討していくというような、そういう何といいますか、複眼的な視点を忘れたからでありまして、まさに木を見て森を見ざるのたぐいではないかと思うわけでございます。  そこでこの際、この割賦販売法とは離れるけれども、役務について言うならば、一々の役務を事細かに法律で書くことが難しいということであるならば、観点を変えて、法定品質表示制と同じように、役務の共通の要素というものがあります。そのような共通の要素を摘出いたしまして、一般的な定義を定めて、法定役務の具体的な内容は個個の販売会社が契約書などで明示することとしまして、あるいは、さらにできるかどうかは検討することとして、それを通産省などに登録をさせることとするようなことをすれば、ある程度どのような問題でも対応できるんではなかろうか。それが一応法律で、どんな多様な形態の役務でも法律でこれは押さえることができるのではないかなという、これは一つの私なりの、トラブル起きている問題解決のための解決策はこういうものができないものだろうかという一つの考えなんですけれども、これに対して指導官庁として、通産省としてお考えを聞かしていただきたいと思います。
  171. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 役務に関連した消費者トラブルというのは、先生も御指摘のように支払い方法のあり方というよりは、むしろ提供される役務の内容に関連して発生しておるというのが多いわけでございます。したがいまして、御指摘の役務の共通の要素を抽出をして一般的な定義を定め、法定役務の具体的内容は個々の販売業者が契約書などに明示をするといったような先生の御指摘は、大変貴重な御指摘ではないかと思います。したがいまして、その御指摘の点も踏まえまして今後さらに検討を続けてまいりたいと考える次第でございます。
  172. 田代富士男

    田代富士男君 ここで関連をいたしましてちょっとお尋ねをしたいと思いますが、詐欺まがいの悪質な手口で、強引で巧妙な勧誘で商品を押し売りすることが問題になっております訪問販売、また羊頭狗肉の批判が強い通信販売、これを規制しております訪問販売法の強化、改正についてお尋ねをしたいと思います。今、議題に供されている法案とこれは関連がございますからお尋ねをしたいと思いますけれども、まず、トラブル多発の状況はどういう状況であるのかお答えいただきたいと思いますし、その中で特に割賦販売にも見られる役務に関するトラブルの現状はどうなっているのか、これをお答えいただきたいと思います。この点どうでしょうか。
  173. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 訪問販売、通信販売にかかわりますトラブルを防止し、購入者等の保護を図るために、昭和五十一年に訪問販売等に関する法律を制定いたしまして、その厳格な運用を図ってきたことは御承知のとおりでございますが、しかし、訪問販売につきましては、近年、取引量の増大もございまして、消費者トラブルが増加しておることも事実でございます。ただ、通信販売につきましてはトラブルは横ばい傾向というような数字でございまして、ちなみにちょっと数字を述べさせていただきますと、通産省消費者相談室への苦情相談案件の推移で見ますと、昭和五十一年の段階では全体の相談案件が四千七十三件であったわけでございますが、訪問販売に関します相談案件は百九十二件ということで全体の四。七%ということであったわけでございます。五十八年度の数字で見ますと、全体の相談案件が七千八百五十二件でございますが、そのうち訪問販売に関するものが千六百二十件ということで全体の二〇%のウエートを占めておるわけでございます。この数字からもわかりますことは、訪問販売に関します消費者トラブルが増大をしておるということでございます。  他方、通信販売の方でございますが、五十一年の段階では全体の四千七十三件の中で通信販売に関する照会は二十八件でございましたが、五十八年の段階では全体の七千八百五十二件のうち八十八件ということでございまして、全体の中の一・一%程度のウエートということでございまして、こちらの方は横ばいというぐらいの感じではないかと思うわけでございます。  なお、このうち役務についてのトラブルはどうかという先生の御指摘でございますが、これにつきましては現在のところまだ実数を把握していないのが現状でございまして、今後把握に努めてまいりたいと考えております。
  174. 田代富士男

    田代富士男君 この役務の問題についてもこれは大いに関係がありますし、これは早急に掌握をお願いしたいと思います。こうしたトラブルの解消のために、訪問販売というこれは一つの特性でございますけれども、特性から現金取引についてのクーリングオフの適用の可能性について、こういう問題も含めまして、今回、今改正をされる割賦販売法と同程度強化、改正を行うべきではないかと、そうしなければこの問題もさらに大きな問題に、今訪問販売の方は増大をしてきているということでございますし、この問題も看過できない問題であります。それで関連してお尋ねをしたわけでございますけれども、この点はいかがでございましょうか。
  175. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 現金取引へのクーリングオフの適用につきましては、取引の安定性を著しく阻害するおそれが強いという問題がございます。したがいまして、私どもといたしましては、現金取引へのクーリングオフの適用は大変問題ではないかと考えておるわけでございます。ただ、いずれにいたしましても消費者が不測の損害をこうむることのないように現金取引にはクーリングオフが適用されないんだということを周知徹底をしておくことが必要なわけでございますので、その面におきます消費者啓蒙に努めてまいりたいと考えております。
  176. 田代富士男

    田代富士男君 次に、クレジット産業のための基盤整備についてお尋ねをしたいと思いますが、通産省として個人信用情報機関整備の必要は認めていらっしゃいますけれども、具体的にはどうなっているのか、特に御承知のとおりに社団法人日本割賦協会、株式会社日本信用情報センター、また社団法人全国信販協会の三者間の合意についてこの三月中に一応実現するはずの約束になっていたということを私は聞いておりますけれども、現在どこまで進展をしたのか、いつまでに実現する予定であるのか、またその場合にプライバシー保護についてどのように配慮していくのか、特に信用状況登録に際しまして購入者の承諾を得る必要があることは通産省としても認めているようでありますけれども、具体的にはどう対応することができると考えていらっしゃるのか、お答えをいただきたいと思います。
  177. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 昨年の七月、産業政策局長私的諮問機関でございます消費者信国産業懇談会が、多重債務者発生を未然に防ぐためには与信の際に申し込み者の信用状況を十分に調査をする必要があり、そのためには既存の情報機関を統合する方向整備を進めていくことが望ましいという旨の報告をしておるわけでございますが、その報告を受けまして通産省といたしましては、先生も御指摘の既存の機関でございます日本割賦協会及び日本信用情報センター並びに関連業界に対しまして信用情報機関整備のための体制づくりを進めるよう要請を行ったところでございます。その結果といたしまして、二つ機関及び現在独自の情報機関を持たない全国信販協会が、販売信用分野における信用情報機関整備統一を図ることで基本的に合意に達したわけでございます。これは昨年の十一月の時点のお話でございますが、その基本的な合意を踏まえまして、現在その実現化への具体的な話し合いが進められておる状況でございます。したがって、近々そのための具体策について合意する見込みであると私どもは聞いておるわけでございまして、まあ五、六月ごろには合意するんではないかなというのを期待しておるわけでございます。  それから、もう一つプライバシーの保護の点でございますが、業者が購入者信用情報信用情報機関登録する際には、当該購入者の承諾を得るようにすること、それからまた、業者及び信用情報機関信用情報が関連のない第三者に漏れることのないよう適切な管理を行うべきことなどを通産省といたしましても、関係業者、関係団体に対しまして指導をしていく所存でございます。
  178. 田代富士男

    田代富士男君 さらに、その場合に信用情報のリーク対策につきましては罰則規定がないけれども、これに対してはどのように対処されますか。
  179. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 御指摘のように、信用情報の適正な使用等のための規定改正法訓示規定となっておることは御指摘のとおりでございます。ただ、制裁措置を設けまして厳しく規制をいたしますと信用情報の円滑な蓄積がかえって妨げられる結果になると、これはひいては別の法目的でございます多重債務者発生の未然防止を図れなくなるおそれもあるんではないかということでございまして、したがって、私ども訓示規定というのが当面の最も望ましい解決策ではないかというふうに考えておるわけでございますが、ただ、信用情報の適正な使用を図ることはもちろん重要な問題であるわけでございまして、例えばプライバシー保護の問題に関しましては、先ほども御説明しましたような二つの点を踏まえて具体的な指導を続けてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。  なお、ちなみに貸金業規制等に関する法律につきましても同様な訓示規定があるわけでございます。
  180. 田代富士男

    田代富士男君 これは午前中にも、午後でございましたでしたか、ちょっと同僚議員からも質問が出ておりましたけれども、新しい業界のこれは帯といたしまして、割賦販売業界も経理が統一的でないために、例えば投資とか金融などの面からもおくれておりまして、経理基準の統一を急ぐべきであると私は思います。同僚議員の質問は、有価証券の報告書がばらばらであるというような、それに対する質問でありましたけれども、内容的には同じような趣旨のものでございますけれども、やはりこれは今さっきも消費者保護の立場からいうならば、何人もわかりやすいように統一すべきではないかと思いますけれども、ここらあたりに対するお考えはどうでしょうか。
  181. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 先生の御指摘のとおりでございまして、経理基準の標準化を図ることが資金調達の円滑化を今後図っていく上からも大変重要な課題ではないかと考えておる次第でございます。したがいまして、当省といたしましても、昨年十月以来割賦販売審議会におきまして、この問題につきまして慎重審議をいただいておるところでございますけれども、この答申を得次第経理基準の標準化が図られるよう関連業界指導してまいりたいと考えておるわけでございます。
  182. 田代富士男

    田代富士男君 それから、クレジット産業の健全発展のためには、やはり一つは、小売業者の、小売商業といいますか、小型のそういう小売商業の育成、特に中小小売商の育成というものが必要ではないかと思うわけでございます。これは、私が言うまでもありませんが、少なくとも割賦販売法強化、改正に伴いまして加盟店審査基準の強化が図られると思いますけれども、それに合致する中小小売商の育成等がなければ、これはまた手落ちが出てくるのではないかと思います。ここらあたりに対する育成、また通産省としての配慮に対する対策といいますか、そういうものはどのようにしてやっていただけましょうか。
  183. 中澤忠義

    政府委員(中澤忠義君) クレジット産業の健全な発展に関連いたしまして、先生ただいま御指摘のように、中小小売商の育成が非常に重要な地位を占めておるということは、まことに私どもも同感に思っております。  五十九年度の予算におきましても、中小商業施策全般につきまして抜本的な強化を行っておりますが、特に地域社会のニーズに応じました新しい商店街づくり、これを行うためのいわゆるコミュニティーマート構想につきましては、商店街の組織化の推進と並行いたしまして重点施策に取り上げております。予算額にいたしますと三五%強のアップ率になっておるわけでございます。  また、中小小売商業の場合には、その担い手となっております従業員の資質向上が非常に重要でございます。したがいまして、五十八年度から既に若手後継者体験研修という事業を通じまして、販売に当たります若手の従業員の能力アップを行っておりますけれども、これをさらに五十九年度から業種別に研修事業を実施することにいたしまして、すぐれた販売員を育成するということに力を入れてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  184. 田代富士男

    田代富士男君 もう一つは、中小クレジット団体の育成ではないかと思うわけでございます。  そこで、五十九年度の中小小売商業新業態開発調査研究事業では、具体的にはどういうことを行われるのか。このクレジット団体との関連ではどうなのか。御説明をいただきたいと思います。
  185. 中澤忠義

    政府委員(中澤忠義君) クレジット団体に対する強化策といたしましては、従来金融面につきまして商工中金の組合金融の助成を行っております。これに加えまして、新たに五十九年度から、先生がただいま御指摘になりました新業態の強化対策、新業態の開発調査研究という事業を中小小売商業につきまして行うことにしております。  この具体的な中身でございますけれども小売業の場合におきましては、新しい情報化の進展に伴いまして小売業全体の健全な発達のためにいわゆるニューメディアを用いましたホームショッピングでございますとか、あるいはクレジット事業、これがどのような形で展開するか。現状の中小小売商業者の実態調査を行いますと同時に、将来の計画につきまして具体的な提示を行う、このための調査研究を行うことにしておるわけでございます。中小クレジット団体の情報化進展のための環境変化に的確に対応するために基本的な調査研究を行うということが今回の調査の眼目でございます。
  186. 田代富士男

    田代富士男君 この中小クレジット団体保護に関連をいたしまして、衆議院、参議院の商工委員会でそれぞれ過日附帯決議がなされております。  まず、衆議院の商工委員会では「銀行系のクレジットカード会社割賦購入あっせん事業への進出については本法」というのは、五十二年の分野調整法「の趣旨に則り適切な措置を講ずること。」、それに対して参議院の商工委員会におきましては「中小企業者等の割賦購入あっせん事業が、銀行及び銀行系クレジットカード会社の同事業への進出により悪影響を受けることのないよう、必要な対策を講ずること。」、通産省としてこの附帯決議について尊重していく決意を持っていらっしゃると思いますけれども、この点に対しての決意はいかがでございましょう。
  187. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 私どもといたしましては、昭和五十二年に中小企業分野調整法が成立した際の国会の附帯決議の精神を踏まえまして具体的な対応を考えておるわけでございますけれども、現在御承知のように、銀行系クレジット会社には分割払いは認められていないわけでございます。これは、まさにこの附帯決議の精神に基づいてとられた措置ということになっておるわけでございます。  このような経緯から、当省といたしましては、既存クレジット業界の過当競争中小クレジット団体への配慮等から、銀行系クレジット会社割賦購入あっせんへの進出につきましては、今後、割賦販売審議会での検討に際しましても、十分慎重に対処してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  188. 田代富士男

    田代富士男君 ではこれは最後に大臣にお答えいただきたいと思いますが、今も、五十二年春の衆参の商工委員会におきまして附帯決議が提出されたわけでございます。これは、このことを今局長も尊重をしてやっていくということでございますし、割賦販売法の施行、運用とその周知徹底ということがこれ大事でありますし、そして商業モラルの高揚を図っていかなくちゃなりませんし、そして消費の回復に伴う景気振興に持っていかなければならないと思いますけれども、これもあわせまして大臣の決意をお聞きいたしまして、私の質問を終わります。
  189. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) このたびの割賦販売法の改正を機会といたしまして、消費者保護の一層の充実が図られることはもちろんのこと、信販会社としては、よりよい加盟店を選択するように努め、また販売店としても、よい品物を供給するよう努めることによりまして、商業モラルの一層の高揚が図られるものと考えるのでございます。  通産省といたしましては、改正法案が期待された効果を十分に果たしますように、関連事業者及び消費者に対しましても、この周知徹底に努めるように努力をいたす所存でございます。
  190. 市川正一

    ○市川正一君 去年の五月十七日の本委員会において、私は、消費者保護の上から割賦販売法の改正が緊急に必要であり、重大問題であるということを指摘いたしました。政府も、六月の懇談会の結論を受けて、改正案を提出することを約束されました。で、今回こうして本改正案が提出されたことに対しまして、大いに我が意を得たものであると同時に、関係方面の御努力を多としながらも、その内容、運営において一層充実を図る立場から若干の質問を行うものであります。  本法案に入る前に、まず私、前払式特定取引として本法律による規制の対象ともなっておりますいわゆる冠婚葬祭互助会の問題ですね、これについて伺いたいのであります。  互助会は御承知のようにことしの四月一日から新しい標準約款、これに基づいて営業をいたしておりますが、これは去年の九月二十日の割賦販売審議会の答申を受けて、従来の標準約款に基づく営業に問題があった点を改めて、そして消費者保護の立場から実施されたものと、私はこう理解しておりますが、いかがでしょうか。
  191. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) そのとおりでございまして、昨年の二月、割賦販売審議会の下に消費者代表も加えました約款問題分科会を設置いたしまして、九月、その答申をいただきました。その答申を受けまして、業界において、標準約款を改正いたしまして、本年三月末から実施をしておるということになっておる次第でございます。
  192. 市川正一

    ○市川正一君 そうしますと、新しいこの標準約款は前払式特定取引における消費者保護の徹底を図る上で効果がある、こう通産省も認められたもの、言いかえれば俗に言えば通産省がお墨つきを与えたものと、こう理解してよろしゅうございますか。
  193. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 互助会につきましては、解約が制限的になっているといったようなトラブルが起きておりまして、契約約款の適正化が求められておったわけでございます。したがいまして今回の改正約款におきましては解約の自由化、それから役務表示の明確化、その二つの点を中心といたしまして、消費省保護の徹底を図ったところでございますので、消費省保護の面では相当な前進があったんではないかと我々も思っております。
  194. 市川正一

    ○市川正一君 そうしますと、相当の前進があった、そうするとなお前進すべき余地、もっと言いかえれば、なお改善すべき点もあるとすればなお改善すべきである、こういうお立場として以下お話を伺いたいと思うんですが、よろしゅうございますか。
  195. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 個別具外的なお話を伺った上で考えたいと思います。
  196. 市川正一

    ○市川正一君 この新しい標準約款によりますと、これまでの消費者トラブルの経験を踏まえて、これを防止する立場からつくられたと、こうされております、今局長も触れられたのでありますが。  そこで、まずその運用についてなんですけれども、今のいわゆる互助会の企業数とその法人の種類別の内訳及び契約件数、前受金の残高、こういうところで結構ですから、業界の概況をごく簡単にお聞かせ願いたいと思います。
  197. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 互助会の業者数でございますが、昭和五十九年三月末の段階で四百八社でございます。そのうち株式会社が三百十六社、有限会社が七十六社、合資会社が三社、その他十三ということになっております。  それから、契約件数は五十八年の九月末現在でございますが、千四百六十六万件、前受金の残高は五千十八億円でございます。
  198. 市川正一

    ○市川正一君 今お答えがありましたように、私も若干細目調べてみましたが、いわば四百八社のうち圧倒的多数が、ほとんどすべてと言っていいほど株式会社ないしは有限会社でございます。言うならば利潤の追求を目的とする営利会社そのものと言わなければならぬ。これは私実際の営業の活動内容を見ましても、冠婚葬祭請負業というべき実態でありまして、互助会というのは、戦後いろいろの歴史があるようですけれども、発足の当初は確かに力の弱い者が相互扶助の立場から力を合わせていく性格があったとしても、今ではそれとかけ離れたものになってきておるわけですね。そう見ますと、互助会という紛らわしい名称は解消すべきじゃないかという世論も耳にいたします。例えば、前払式冠婚葬祭請負約款というふうに約款を変えた方が実態に合うんじゃないか。無用の誤解や無用の期待をここに抱かせないで済むんじゃないかという声も聞きます。さらにまた、企業の性格からして互助会という表示は外すように指導した方が私は適切でないかと思うのですけれども、こういうあたりはどういうふうにお考えでしょうか。
  199. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 確かに先生の御指摘のような側面もあるわけでございますけれども、互助会につきましては、昭和四十七年の割賦販売法の改正によりまして前払式の特定取引業としての許可を要することとされたわけでございます。それから十余年が経過をしておるわけでございまして、営利企業としての認識はほぼ世間に定着してきたんではないかというふうに私どもは考えておるわけでございます。ただ以前から○○県○○互助会というような県というような言葉が入っておるために、公益事業的な錯覚を与えるような名称を使っておる互助会が一部にあったことも事実でございまして、したがってその点につきましては、そういう名称の適正化指導しておりまして、現在ではそのような○○県という、県というような言葉を使っている互助会はないという現状でございますので、相当改善されておるんではないかと考えておるわけでございます。  ただ当省といたしましては、消費者が互助会の性格とか契約の仕組み等について正しい認識をもつことができるように消費者の啓発に努めてきておるわけでございますけれども、今後ともこのための努力は続けてまいりたいと考えておるわけでございます。
  200. 市川正一

    ○市川正一君 営利会社であるという認識は定着しつつあると言うけれども、そうじゃないと思うんです。やはり看板に偽りありという意見もあながち私は間違いじゃないと思うんです。  この点は今局長指導に当たりたいというふうにおっしゃったので、私そういう立場で今後の指導のあり方を注目したいと思います。  内容に入りたいんですけれども、今回の約款改定の目玉の一つが先ほどおっしゃったように、役務内容の明確化ということにございます。  ところが標準約款の第七条を見ますと、役務の内容について記載することになっておりますが、「別記」ということだけで、その後、どこにも「別記」がないんですけれども、この「別記」はどうなっておりますか。
  201. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 御指摘のような役務表示につきましてはその明確化を図るよう従来から指導をしてきておるところでございますし、また、昨年九月に出されました割賦販売審議会の答申でも「消費者が、提供される役務について、十分理解し得るよう配慮すべきである。」という指摘がされておるわけでございまして、その答申を踏まえてより明確な表示がなされるよう業界指導しておるところでございます。  この役務表示の方法の標準化の問題でございますけれども、標準約款にもその基本的な事項を盛り込むことにつきましては今後の課題として取り組むよう業界指導しておるところでございます。
  202. 市川正一

    ○市川正一君 業界指導すると言うのだけれども、「別記」できっちり示さぬことには指導にならしまへん。それあなた業者任せということに実際なりますよ。  それでここの審議会の答申はこう書いています。  1の(1)のところでありますが、「約款に契約の対象となっている役務の内容を明確に記載することはもちろんであるが、加えて別紙(パンフレット等)に、一般的に冠婚葬祭に必要なすべての役務を表にし、○(契約役務)と×(契約外役務)で明確に表示する等により消費者が、提供される役務について、十分理解し得るよう配慮するべきである。」と、こう述べております。また、その(2)でも、「提供される役務の具体的内容を、各企業ごとに一定のランク付けに従い明確にし、これを約款、パンフレット等に表示する必要がある。」と述べております。ですから、標準約款でどうしてこれを具体化しなかったのかということをお聞きしているわけです。
  203. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 消費者サイドからの要望に緊急に対応するということで、この四月から実施をしております新しい標準約款におきましては、まさにその解約の自由化というところが一番要望の強いところです。それを踏まえてやったということでございまして、したがいまして、今先生の御指摘の問題につきましてはまだまだ検討すべき課題が幾つか残っておるわけでございます。  したがいまして、私どもは、役務の内容の標準化につきまして、具体的に少し検討をいたしまして、それを具体化してまいりたいと思っておるわけでございますが、ただ、審議会の答申でも、この標準約款の中に必ずしもはっきり書けということまでは言っているわけではないわけでございまして、標準につきましては必ずやるわけでございますが、それは標準約款の中に具体的に書くのか、あるいは別の行政指導の中でそういうことを指導していくのか、その辺のやり方につきましても今後さらに検討していきたいというふうに思っているわけでございます。
  204. 市川正一

    ○市川正一君 小長さん非常に率直にお答えになったので、要するに緊急にやったんで、いろいろまたこれから充実させるんだと、そういう意味で、今の役務の提供の問題についてもその一つだというふうにおっしゃって、充実していただくことを、私、今お答えいただいたので結構でございますけれども、ただ、私が言っているのは、別紙と、こう書いてあるので、その別紙のところをきっちり出してくださいと、    〔委員長退席、理事降矢敬義君着席〕 消費者トラブルの最大の中心一つがこの問題にあるんですから。ほかにもこれからお聞きする解約の問題いろいろやりますから、そう慌てずにお答え願いたいんですが、だから、そういうふうに、これは、ぜひ充実をお願いしたい。  また、答申の1の(4)で、お手元にあると思うんですが、指摘しております「施行時には、契約時におけると実質的に同等の役務を提供することが必要である。」というこの部分の具体化は標準約款の中には何も触れてないんですが、これはどうなっているんでしょうか。
  205. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 先生指摘のように、「施行時には、契約時におけると実質的に同等の役務を提供することが必要である。」というその文言は入ってはおりませんけれども、私どもの理解では、この八条の「役務提供の時期」の中に「取決めの日に契約に従って役務を提供します」というふうになっておることは今の考え方を敷衍したものではないかというふうに理解をしておるわけでございます。
  206. 市川正一

    ○市川正一君 ではないかと、こういうふうにおっしゃるんじゃなしに、私はこれ非常に大事な問題だと思うんです。  例えば、互助会の契約の多くの場合は、契約直後に役務の提供があるというケースよりも、五年なり、場合によっては十年後にわたって役務の提供を予想して契約するケースが圧倒的です。そうしますと、実質的同等というのは、例えば今十万円相当の商品や役務もインフレの激しい時代には十年後には二十万円を支払う必要に迫られるかもしれません。そういう場合には、施行の際に、その時点での十万円相当になるのか、あるいは二十万円になった価値のものを提供するのかというのは消費者にとって非常に深刻な問題なんですね。ですから、これは当然後者でなければならぬのですが、私は、局長おっしゃるような、かと思うというんじゃなしに、やっぱりきっちり実質的に同等の役務の提供を約款に明記をすべきだと、こう思うんですが、そのように処理なさっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  207. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 互助会が契約時と実質的同等の役務を提供することは当然のことではないかと思っております。これは、具体的にはあらかじめ契約時に定められた役務内容を何年後であっても提供をするということを意味するわけでございまして、このことは約款上も明記されていることであると考えております。言葉は違いますけれども、明記されておると考えております。  ただ、消費者にとりまして実質的同等なのかどうか必ずしも評価できない面があるわけでございまして、そういう意味では役務表示のより一層の明確化を図ること、それから、表示方法の標準化を進めるということが重要でございまして、それらの点につきましては、具体的な対象になっております役務の内容を十分理解し得るよう消費者の保護の充実を図ることとしておるわけでございます。
  208. 市川正一

    ○市川正一君 私、聞いたのは、やっぱり標準約款にきちっと書いておかないといけないと。それは常識だと言うけれども、そんなもの常識だったら何でトラブルを今までやったんですか。やっぱりそれは明記してないから後でごたごたが起こるんです。  だから、ついでにもう一つお聞きしますけれども、明記する必要がある問題として、答申の中には施行時の見積書提出の問題があります、御承知だと思いますけれども。施行が契約時から見ると相当期間経過していることもあって、契約時に内容をきっちりすると同時に、施行時に改めてその内容を確認するとともに、例えばオプション費用ですね、これは説明はいたしません。それからグレードアップ費用ですね、そういうことを明示することを内容とした見積書の提出を義務づけることが消費者とのトラブルを避けるし、また納得のいく役務の提供を保証することにつながると思うんですが、この点いかがでしょうか。
  209. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 見積書の提示というのは施行という事実行為のためのことであるわけでございまして、私法上の権利義務関係を定めます約款にはなじまないんではないかというふうに考えておるわけでございます。ただ、施行後の精算の際の明細書を提示するということともあわせまして、確実にこれらが提示されるよう業界指導してまいるということにしていきたいと思っております。
  210. 市川正一

    ○市川正一君 私、やっぱり標準約款に明記をしておかないと、それはいかぬということを重ねて主張したいと思うんです。  もう一つ、重ねて聞きますが、提供される役務に含まれてはいるが、消費者が不要な役務、こういうようなものがあります。また提供される役務には含まれていないが、消費者が必要とする役務があります。これを交換することができるようにしてほしいというのは、これまた切実な要求なんです、いろんなケースの説明は私、省きますけれども。また、これもトラブルの原因の一つになっておるので、これを改善する必要があると思うんですが、首がしげておられるけれども、説明しないでもわかりますでしょう、花嫁衣装がどうだ、こうだというのは。
  211. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 御指摘のようなニーズが存在していることにつきましては我々も認識をしておるつもりでございます。  ただ、それも標準約款の中に書き込む事項なのかどうか、消費者の利便のために指導をすべき内容なのかどうか、その辺についてはさらに検討を要するんではないかと思っております。
  212. 市川正一

    ○市川正一君 一番最後の問題については検討なさるということですが、    〔理事降矢敬義君退席、委員長着席〕 その前の二つの問題については、これは私は標準約款で、ぜひ明記していく方向で御検討願いたいと思います。  いずれにせよ、こういう役務内容の明確化という点では、標準約款の第七条から第九条にかけてはかなり私が指摘したような問題を消費者サイドから見ると、国民の間にはいろいろやっぱり関心と要望が強まっているということを指摘した上で、もう一つの言うならば目玉になっております解約の問題でお聞きしたいと思うんです。  新しい標準約款の第十四条の(2)で「加入者の申出により解約することができ」るようになったという点は確かに一歩前進であります。この点は午前中の同僚議員からも質問があって、局長は、これは自由に解約できるということなんだというふうにいわば言明をなすったわけでありますが、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  213. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) これはまさにそういうことでございますが、ただ、一つ御注意をいただきたいのは、改正前の約款による契約につきましては新しい約款を遡及させることはできないわけでございますので、その点は別だということが第一点。  ただ、今回の約款改正に至った背景から見ましても、改正約款の趣旨に沿って解約を認めていくよう指導してまいるということで御理解をいただきたいと思います。
  214. 市川正一

    ○市川正一君 後者に述べられた点については後でもう一度お聞きするつもりです。  そこで、解約の問題に関連してでありますが、まず、(1)の前段によりますと四カ月プラス二十日、そうしますと最短百四十日で失効する、契約解除になるという第十四条の(1)の前段の部分です、標準約款の。質問の趣旨は御理解いただけましょうか。標準約款の第十四条の「解約及び払戻金」の部分でございます。そうしますと、これは必ずしも消費者が失効することについて明確な認識を持っているとは言いがたい状況があります。もちろん約款をよく読めばわかるじゃないかというふうなこともありますけれども、なかなか読みづらいという面もあるわけですね、理解しがたい。で、消費者の身になって考えますと、ここでは民法の原則、つまり催告してもなお支払いかないときには、次に解除の通知をし、これが到着して契約が失効することにすべきではないか。現在使われている約款ここにありますけれども、例えば関西の、固有名詞は挙げませんが、有力な企業でも、(1)の前段に加えて失効するときは改めて通知することを明示しております。そうしますと、こういうケースから言うと、現状よりも後退することになってしまうんですね。ですから、私はこの十四条の(1)の前段の部分は民法原則のように修正すべきでないかと思うんですが、この点はどうでしょうか。
  215. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 現行私法の考え方から言いまして、一方の当事者に債務不履行があった場合に、他方の当事者がそれを理由として契約を解除し得るというのは当然なわけでございます。このことから考えまして、標準約款の条項としましてはこ十四条の一項の規定で妥当ではないかというふうに考えておるわけでございますが、ただ、現実の問題といたしまして、互助会と契約を締結をしておる消費者は互助会にとって役務を提供する相手方であるわけでございますから、互助会としては契約を継続させる方が有利であり、簡単に失効させるというようなことは通常考えられないんじゃないかということが事実関係としてはあるのではないかと私どもは思っております。
  216. 市川正一

    ○市川正一君 いろんなケースがありますから、その事実関係のあのケース、このケースというふうに言うと際限がないわけですから、やっぱりこの点では民法原則に基づく段取りを踏むべきだという点を重ねて主張したいと思うんです。  まだ大分ありますので先へ進みますが、催告書の場合でも解除通知の場合でもいずれもそうでありますが、契約が解除された場合に消費者に幾ら戻されるのかという、その金額を明示して、受取期限がいつまでかを明らかにするという必要があると思うんですが、そういう点はどうでしょうか。
  217. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 今先生指摘の問題につきましては、標準約款上は具体的な明文規定というのはないわけでございますけれども、これは個々の約款の中では、その問題は具体的に明文規定として掲記をされておるわけでございます。
  218. 市川正一

    ○市川正一君 私、第十四条に幾つか問題を感ずるものですから引き続きお伺いいたしますが、もしこの第十四条の(1)をこのままにしておきますと、最短で百二十プラス二十で百四十日で失効するわけでありますが、消費者の方は、いついつまでに支払ってくださいという通知だけでは、その日から失効して、十四条の(1)の下段で定める時効期間が始まるなどということをにわかに理解しがたく、結局請求する権利が消滅してしまうおそれがあるという懸念を持つわけであります。その結果、今度は、従来のように一定の中断期間があってもまた掛金を払えば復活するという、いわば継続措置をとる契約ができなくなってしまうという、そういう不合理さがこれに伴ってはこないか。  そうしますと、これは今までというか現行やっていたやつよりも後退してしまうことになる。ですから、その復活を認める必要があるんじゃないかと、こう思うんですが、その点は御検討いただいているでしょうか。
  219. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) ただいま先生の御指摘の問題は標準約款に記載すべき事項かどうかという点につきましてはさらに検討が必要ではないかと思いますけれども、現実には復活は認められる場合がもう大半ということになっております。
  220. 市川正一

    ○市川正一君 そうすると、私はそういうことを明記しておくべきだという意見ですけれども、明記してなくても実際には復活しているという理解でよろしゅうございますね。
  221. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) その御理解で結構でございます。
  222. 市川正一

    ○市川正一君 そうしますと、五年間の消滅時効の問題でありますが、結局、一方の当事者は消費者である加入者です。ところが、時効による利益を享受するのが互助会の企業であるというふうなことを考えてみますと、消滅時効は民法の言っている十年とする必要があるんじゃないかという考え方も成り立つんですが、この点はどうお考えでしょう。
  223. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) この時効の点につきましては、改正前の標準約款では明示されてなかったわけでございますが、約款上明示してない場合にあってもこの契約には商法が適用されるということでございますので、商法の五年の時効ということになるわけでございます。今回の改正でこれをはっきり明示をいたしましたのは、消費者にこのことをあらかじめ知らせるべきであるというふうに考えたからでございます。  先生指摘の、民法の時効である十年を適用すべきであるということでございますが、これはやはり契約の性質から申しましても、商法を適用することに問題はないんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  224. 市川正一

    ○市川正一君 やっぱり一般消費者になるんですか、いわゆる商取引じゃないんでね、国民生活、冠婚葬祭というこういう問題を前提にした契約なんですから、私はその商取引じゃなしに、やっぱり商法でなしに民法原則で適用すべきだということを重ねて主張します。これはその議論を尽くすとどうも時間を費しそうなんで声を大にしてもう一度言っておきます。  結局、私は第十四条の(1)のこういう内容がそのまま続くならば、消費者が事実上掛け捨て状態にある延滞掛金ですね、これが例えばある一社では数億円とも言われる巨額なものになっておるんですね。そしてこれがもう五年を経過すると互助会企業の利益として、雑収入として取り込まれてしまうんです。これはまさに企業本位、消費者犠牲の条項と私は言わざるを得ぬと思うんですが、やはりこの部分は改正の必要がある、こう私考えます。ぜひこの問題についてひとつ指導監督官庁である通産省として、ぜひメスといいますか、光を当てていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  225. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 時効の問題は、結局一方における消費者保護の観点と、一方における取引秩序の安定維持という問題との接点をどの辺に見出すかという問題だと思うわけでございますが、私どもといたしましては、その点に関しましては商法上の取り扱いというのが適切ではないかというふうに考えておりまして、五年という時効を言っておるわけでございます。  先生のせっかくの御指摘でございますが、その点につきましてはやはり商法原則に従って対処するのが適当ではないかと思っておるわけでございますが、冒頭申しましたように、今回の約款改正というのは互助会をめぐります現下の最大の課題でございました解約の自由化というのを行ったこと。それから役務表示の適正化を一歩進めたことということで評価をいただけるんじゃないかと思っているわけでございますけれども、なお、その役務表示の方法の標準化といったような問題に関しましては、役務表示の明確化の一環といたしまして、今後とも引き続き業界連絡をとりながら検討を進めてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  226. 市川正一

    ○市川正一君 その実態に入ってみると、結局いろんな問題があるということを私は言っているんで、解約の自由あるいはその役務の標準化、いろいろ看板は――中身は問題があるということを申し上げているんで、さらに続けますと、そういう点では第十四条の(3)の解約払戻金の支払い期日を六十日以内ということになっています。これも本来ならば速やかに返すべきであり、長くとも二週間ぐらいの期間に返すべきだと思うんですが、この点はどうでしょうか。
  227. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) この点につきましては、実際の商取引の実態等を踏まえて標準約款上は六十日以内に原則としてお返ししますというふうに書いておるわけでございますけれども、最近では実際には即刻返されている事例の方がふえてきている現状にあるようでございます。
  228. 市川正一

    ○市川正一君 もう一点伺いますが、第十四条(4)の規定に「加入者本人以外の解約の申出、及び取立委任については、」云々という規定がございます。これは何を意味しているのか、この規定が動くときはどういうときなんで、また、なぜその必要性があるのかという点ではどういう御理解でしょうか。
  229. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) これは現実に互助会相互の過当競争なんかの一環といたしまして、互助会が他の互助会に属しておる権利の買い取りをやるといったような場合が想定をされておるわけでございまして、その場合には本当の加入者、つまり消費者の意思を十分確認した上でないと事を誤るおそれがあるというような事態を想定いたしまして書いておるわけでございます。
  230. 市川正一

    ○市川正一君 その点は「互助会通信」というのがございまして、これの三月十日号を見ますと、この互助協会の基本問題検討委員会の委員長である平田正彦氏が業界内部のシェア争いの防止策だと本音を述べているんですね。今上品というか、局長おっしゃったけれども、そういうことなんですよ。だから企業消費者との間の契約の問題に企業同士間の争いの言うならばとばっちりを持ってくるというのは、私は消費者不在の互助会の企業エゴの最たるものだと言わざるを得ぬのです。ですから、この条項があるために本人に確認することを理由に解約に手間取ったり、あるいは払戻金の支払いがおくれたりすることがあってはならぬと思うのでありますが、こういう条文は改善するか、あるいはまたいっそ削除した方がいいんじゃないかと思うのですが、この点はどうでしょうか。
  231. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) これはその審議会の具外的な議論の中でも消費者サイドの御意見といたしましてそういう業者間の過当競争、その結果として消費者の方に迷惑がかかる点については指摘もあったわけでございまして、消費者委員から具体的にひんしゅくを買った事実もあるわけでございますけれども、現実そのような事態も存在しておるわけでございますので、今この段階でこの標準約款からなくしてしまうのもいかがかという感じがしておる次第でございます。
  232. 市川正一

    ○市川正一君 最後でありますけれども、適用時期の問題です。先ほど触れられましたが、例えば旧約款に基づく加入者には適用しないということになりますと、では何のための改定なのかと言わざるを得ぬのです。ですから私は、やはり消費者保護の根本の立場に立つならば、旧約款による契約でも今度の新約款で消費者に有利な部分は適用さるべきではないか。例えば先ほど大見えを切られた自由に解約できるというあれをここに適用すべきですよ。そうでないならば何のために、今までそういう問題があったから今度はよく改善したと、それはもう今までのものには遡及しないというならば、私はやっぱり仏つくって魂入れずやと思います。この点はぜひ、先ほどのようにただし書き条項みたいなことは言わずにちゃんと適用するように努力をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  233. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) これは契約上の問題でございますので、その新しい改正約款の中でそういうことを具体的に書き込むことは非常に問題でございますけれども、今回の約款改正に至った背景からいたしましても、改正約款の趣旨に沿いまして解約を認めていくよう指導してまいりたいと考えております。
  234. 市川正一

    ○市川正一君 私、非常に細かく各論的にお伺いしたゆえんは、この互助会の問題についてはかつて本委員会で取り上げたこともございまして、全国各地で多くのトラブルが続出しておるんです。私、きょうここに持ってまいりましたのは、京都の弁護士会が実際に手がけた事件を踏まえ、そしてまた法律的にも詰めた上で体系的な意見書として出しております。通産省の方にも届いておると思いますが、これもその一つでありますが、そういう多くの世論となっているからであります。そして、きょう提起されております法案ともかかわり合いがありますので、あえて各論的に詳しくやりとりをさせていただいたんでありますが、ぜひ大臣におかれてもこの問題について関心を持って、私が提起した問題についての御検討を今後賜りたいというふうに希望するものでありますが、いかがでありましょうか。
  235. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) いろいろ御議論を承りまして、今後役務表示の方法の標準化については、役務表示の明確化の一環として、引き続き御議論を踏まえて業界連絡を綿密にとりながら検討していきたいと存じます。
  236. 市川正一

    ○市川正一君 残された時間で、改正案そのものについて、今までも同僚議員がいろいろ御質問ありましたので、ダブらない形でお聞きしたいんですが、まず、抗弁権の接続の問題であります。  これについては、政令によって結局金額の足切り、先ほどの局長答弁によりますと、一定の金額の下限を設けたというふうになっておりますが、私はこれは抗弁権の接続を事実上骨抜きにするものであるというふうに考えますが、これは撤廃すべきだというのが私の意見なんですが、いかがでしょうか。
  237. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 先生指摘のように、法案では下限額を設けることとしておるわけでございます。これは、その割賦購入あっせん業者は売買契約の直接の当事者ではないわけでございますから、購入者から受けた抗弁につきましてそれが妥当であるかどうかの調査を行う必要があるわけでございまして、少額な取引について抗弁権の接続を認めた場合には、いたずらに社会的コストを増大させることになるという業界側の事情があるわけでございます。  他方、購入者の側におきましても、一定の金額以上の取引について抗弁権が接続されることを強く期待しているんではないかということもございまして、その両者の事情を総合的に勘案した結果といたしまして、抗弁権の接続についても下限を設けたということに相なっておるわけでございまして、ただ、その下限を設けることによりまして、この抗弁権の接続そのものが骨抜きになるというようなことには絶対ならないと私どもは確信をしております。
  238. 市川正一

    ○市川正一君 私は絶対になるおそれがある。消費者の身になって考えますと、やっぱり金額の多少にかかわらず期待したものが入手できないという点では変わりがないんですね。さらに割賦販売したものが全部トラブルになるわけじゃないんです。先ほど抗弁権の乱用云々というやりとりがありましたけれども、私は抗弁権を行使されて困るほどそういうトラブルがあるならば、そのトラブルの発生しやすい品物を売っている販売店を加盟店にしている信販会社自身の問題だと思うんです。だから、この点では私は第一号の規定は削除すべきであるというふうに重ねて主張します。  もう一つの問題は、信用情報の適正な利用の問題でありますが、この問題とプライバシーの保護との関連であります。法案では第四十二条の四で規定がありますが、この規定訓示規定といいますか、あるいは業者のモラルの問題としての域を超えておらないと思うんです。これでプライバシーが守られる保障があるのかどうか、私ははなはだ疑問でありますが、この点はどうお考えですか。
  239. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) プライバシー保護の問題に関しましては、当省といたしましても大変重大な問題というふうに受けとめておるわけでございまして、改正法案四十二条の四の規定に基づきまして、業者が購入者信用情報信用情報機関登録する際には、当該購入者の承諾を得るようにすること、それからまたその業者及び信用情報機関信用情報が関連のない第三者に漏れることのないよう適切な管理を行うべきことなどにつきまして指導をしてまいる所存でございます。
  240. 市川正一

    ○市川正一君 それでいけるんですかと言って私は聞いているんですよ。それは書いてあるんです。書いてあるのでいけますかと言っている。これね、朝日新聞の去年の四月七日ですが、サラ金業界のトップ企業である武富士が、業界でつくっている信用情報機関のデータを悪用して、自分のところの営業拡大に不当に利用したことが明るみに出て大問題になりました。ですから、これはもう理論的可能性でなしに、現実のそういう事態が起こっておるんです。ですから、今局長が読まれたあの条項の、言うならば訓示的、精神的な定めだけで効果は上がらぬというおそれを私は感ずるんです。局長は先ほども同僚議員の質問に対して、これは衆議院でも同じ答弁をお読みになったか、お答えになっておりますが、厳しく規制をいたしますと逆に信用情報の円滑な蓄積が妨げられる、こうおっしゃっている。もちろん罰則さえ強化すればそれで乱用が避けられるというわけでもありませんけれども、しかし信用情報の円滑な蓄積がこれでは目的化されて、プライバシーが多少侵されてもそれはやむを得ぬというような趣旨に受け取れる先ほどの答弁は私は問題だと思う。私はその真意をただしたい。
  241. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) プライバシーの保護というのは大変重要な課題、問題であるわけでございますし、一方、多重債務者防止するためにも適切な信用情報蓄積が必要なわけでございまして、その信用情報が円滑に供給されるスキームも考えていく必要があるわけでございまして、その辺のニーズをどの辺で調和を図っていくかということが課題ではないかと思うわけでございます。したがいまして、具体的には本法に規定しておりますこの程度訓示規定でもって両様の目的を達し得るんではないかというふうに私どもは考えておる次第でございます。
  242. 市川正一

    ○市川正一君 繰り返しますけれども、実際にそういうケースが全国で続発しているわけですね。これも去年の十一月十七日の朝日新聞でありますが、ミス情報がひとり歩きして、そして「覚えのない請求・ブラックリスト入り」クレジット紛争が続発しているという事件が出ておるんです。ですから私は、率直に言って、今の局長答弁というのは円滑な蓄積という名のもとにプライバシーに対する厳格な取り決め、これをやっぱりないがしろにする姿勢と言わざるを得ぬのです。  最後に、私もう一問お聞きしたいのは、先ほども同僚議員から質問のありました役務関連取引の問題ですね、これが審議会の答申にあるにもかかわらず入ってないと、もちろん拙速は慎むべきでありますけれども、先ほど局長は鋭意精力的に取り組むと、こうおっしゃっている。その鋭意精力的に取り組んで、大体年内にはこれはめどをつけるという御意思なんですか、それとも先のことはやってみんとわからぬということなんですか、そこらをはっきりしてほしいんです。
  243. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) その問題に関しましては、先ほどもちょっと説明もさしていただきましたように、役務に関連した内容というのはかなり複雑多岐にわたっておりますので、実態調査も並行して行う必要もございますし、それを踏まえた規制のあり方につきまして具体的な検討をしていくことになるわけでございますので、この時点におきまして何月何日までということはちょっと申し上げかねるわけでございますけれども、私どもといたしましては、消費者保護の観点からもこの問題については精力的に取り組んでまいりたいと考えております。
  244. 市川正一

    ○市川正一君 私が本改正案について去年質問したときは、六月の答申を受けて、それで次の国会を目指して云々という御答弁をいただいているんですよ。そして、これ出てきたわけでしょう。今もっと火急の役務関連取引については、せめてこの秋にはめどをつけたいぐらいのところは大臣どうですか、やっぱり秋には一定のめどをつけるというところまでひとつ追い詰めると、我々もその協力、援助、激励しますがな、というあたりで決意を承りたいんですが、いかがでしょうか。
  245. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 今後も引き続き検討するということで私先ほどお答えしたわけでございますが、なるべく早くめどをつけるように事務当局を督励いたします。
  246. 市川正一

    ○市川正一君 最後です。なるべく早くという、大体秋ごろめどにひとつ頑張るということですか、そう理解してよろしゅうございますか。
  247. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) なるべく早くめどをつけるように事務当局を督励いたします。
  248. 市川正一

    ○市川正一君 終わります。
  249. 井上計

    ○井上計君 午前から同僚議員の大変活発な質疑展開されました。同僚議員はまことによく勉強しておられる、よく調査をしておられると非常に敬服をしております。同時に、あわせて大臣また政府委員側も的確な御答弁がなされておりまして、もう問題点はほとんど解明をされたと思いますので、私は質問というより、むしろ若干の意見を加えてひとつ一、二お伺いをしたいと、こう思います。  先ほどからずっと伺っておりまして改めて感じたことでありますけれども、物品販売というのは古来物々交換から発生をしておるわけであります。したがって、必要な物をいわば正当な対価で交換をする、これが通貨に変わったわけでありますから、本来物を買うというのは、自分が欲しい物あるいは気に入った物、これに対して正当な対価を直ちに払って買うというのは、これはもう本来物品購入の本筋であるわけでありますが、それが近代になってクレジットあるいは割賦販売という形で金がなくっても必要な物を買えるようになった、そこにいろいろな問題が発生をしておるということであろうと思います。もちろん、これはある意味では大変いいことでありますから、これが消費を伸ばしておりますから、私はこれがだめだということじゃありません。ただ、しかし、この割賦販売法にいたしましても、あるいは同僚議員と大臣政府委員質疑を聞いておりまして感じますことは、この割賦販売法の制定あるいは改正あるいは質疑の中にも多く感じられますのは、余りにも消費者保護というものが強く出過ぎておって、消費者が全部善で企業は実は悪が多いと、こういうふうな前提があるんではなかろうかという実は懸念がするわけなんです。私はあえて率直に申し上げますけれども消費者が、もちろん多くの消費者は善です。しかし、消費者の中にも実は悪があるんですね。それから企業も全部が善だとは言いません。企業の中にも悪質な者がおります。その辺のことを考えていかないと消費者保護が行き過ぎになると、逆にまた消費者の大変なマイナスが起きるおそれがある、これを強く感じるわけですね。  先ほど、なぜこのように割賦販売あるいは貸金業等が伸びたかということを局長からも御答弁が同僚議員の質問に対してありました。いただいている表を見ましても特にこの数年は異常な伸び方である。五十年と五十七年を対比しますと、物販については伸び率が五十年単位で八・七%ですか、平均して、年率平均一二・五%伸びておるということは、恐らくこの二、三年は一五、六%の平均年率伸び率ではなかろうかと、こう推定をされる。供与額の十三兆六千億円というのは、五十七年の十三兆六千億円というのはGNPの約五%程度を占めておると、膨大な金額になっておるわけですから、これがいい悪いは別にして、さらに消費者保護が行き過ぎてこれからこれらのものがさらにこういう伸びが続いたとすると、これは逆にまた大きな悲劇を埋蔵していく原因になるんではなかろうかと懸念もいささかするわけですね。  先ほど、こういうふうに伸びた原因について局長の御答弁がありましたけれども、可処分所得が将来的にやっぱり計画立っていくようになった、あるいは消費者のこういうふうな借り入れ、あるいは割賦販売ということについての抵抗感が薄らいだ、あるいは業者の企業努力があった、同時に高額商品が非常にそれによって手に入りやすくなった、こういう御答弁がありました。それから、大臣の御答弁の中に私は本当に同感であったんですが、便利さが進んだと、こういう御答弁がありましたが、便利さが逆に消費者のそのようないわば悲劇を生み出したということも言えないでもなかろう、こう思うんですね。私は、これらのほかにやはり何といっても業界の過当競争が非常に強くなった、これがいわば無計画なといいますか、事情を特に説明しない、あるいは事情をわからない消費者にどんどん押しつける、売りつけるというような傾向も強くなっておると思いますし、それからさらにもっと無計画な、いわば最初から支払いの計画等全く持たないような、能力を持たないような消費者がこの数年急速にふえていることも事実なんですね。サラ金地獄、随分最近悲劇が方々で言われておりますが、サラ金でいろいろな悲劇を起こしておる人たちは全部実はクレジット利用しているんですね。だから、そこにやはりそういう問題も今後考えていかなくちゃいかぬであろうと、これは私の要望でありますし、また私の意見でありますけれども消費者保護はもちろん十分に考えていかなくちゃなりませんが、余り行き過ぎたいわばできるだけ安易に買えるように、あるいはもっと簡単に買えるようにということになってくると、ますますそういうふうな知識のない、あるいはまたそういうふうなことを全く考えない消費者が無理にそういうふうな悲劇を起こすような、そういうふうな要因をつくるんではなかろうか、こういう懸念もしながら今後特に行政指導等を行っていただきたいと、こう思いますけれども、これ意見でありますから、まあ御答弁あってもなくても結構でありますが、大臣あるいは局長はどうお考えでありましょうか。
  250. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 確かに健全なクレジット社会というものを実現させるためには、すべての人の良識が必要だと思うんでございます。  井上委員おっしゃるような、確かに消費者が善で、企業の方が悪であるという考え方は多少はあるようでございます。あたかも――これはあるいは問題発言になるといけませんから言っていいかどうかあれですが、皆様方の中にはそういうことはないけれども、社会のごく一部には政治倫理の上でもって与党が悪で野党が善だと考えがちの向きもないとは言えないのでございます。それとこれとは別でございますけれども消費者企業との関係はやはりそのような多少似通った感じがないとは言えません。しかしながら、このようなクレジット社会を健全に発展させるためには、お互いの良識、お互いの倫理が何といっても必要でございまして、こういう中で今後、好むと好まざるとにかかわらず、このようなクレジット社会というものはますます倍増していくと思うんです。そのためには、先ほど申し上げたような意味での社会教育あるいは、学校教育とは言わないまでも、何らかの意味での倫理教育というものがさらに一回必要であると私は考えるものでございます。
  251. 井上計

    ○井上計君 大臣が今おっしゃった野党がすべて善で与党が全部悪だと私は思っておりませんけれども、いわばこの問題等について企業消費者との間に一般的な風潮としてそういうふうな何か通念があり過ぎるような気がするんです。私は、やはりこれはお互いが心していかなくてはいかぬであろうというふうに思います。  私は、個人的なことを申して恐縮でありますが、もう三十年近く前になりますけれども、信販の協同組合に実は関係をしたことがあります。そのころの経験から考えて、現在と違ってこういうふうなクレジット社会がもちろんまだ未成熟のときでありますからいろんな問題がありましたが、その当時の記憶を呼び起こすと悪質な消費者がその当時もいたんですね。全く現金で買えない、買う力がない、しかしクレジットなら買える。それで、返すことも全く考えないで買って、中には買ってすぐまた質入れをするというふうな人もおりましたし、あるいはおくれて払わない、外務員が集金に何回行っても会えない、金がないから払えないと断る、何回行っても留守なので隣の家にこうこうで集金に来ましたと、おられぬから連絡をしてくださいという言づけをしたら、隣へそんなことを言って名誉を棄損したと、けしからぬと、こういうふうなことで大変な抗議が来て、名誉を傷つけたのだから支払いをもっとまけろだとか、実はこんな人もいたんです、その当時から。だから、そういう人が多いとは言いませんけれども――プライバシーとかいろいろと言われましたけれども、それらの問題も、必ずしもプライバシーを守ることが逆にそういうふうな消費者を守ることとはすべてが一致しないということもあろうと、こう思うんですね。  それからもう一つ、大体この物販等については、高額商品を一度に買えないから分割で買うというのがそもそもの形なんですね、筋から言って。ところが、最近は、ただ単に耐久消費財等の高額商品だけでなくて、実は安い金額の日用品までクレジットで買っている人が非常に多くなったんですね。そこにやはりクレジット販売の、またそういうふうな問題点も起きておると、こう思うんです。  そこで考えなくちゃいけないのは、先ほど来、同僚委員からいろいろと質疑が行われておりますのは、役務の問題を、役務関連の事業を同じようにやはり消費者保護ということで考えていくと、私は功罪相当はする結果になるんではなかろうか。物というものは買って残りますからやはり支払いという義務が生じていますけれども、常にありますけれども、旅行だとかあるいはその他のサービス等で、いわば一瞬のうちにもうそれがなくなって、実は払うことがばかくさいと言うとおかしいですけれども、形がないわけですから払うのが嫌になるようなことがあるわけです、人間というものは。そういうふうなもの等を考えると、先ほどからいろいろと、特に市川委員から同じように早く消費省保護の観点から秋まで云々ということがありましたが、これはぜひ慎重にひとつお考えになるべきであろう。だから、もちろん役務の問題等についても考えなきゃいけませんけれども、余り行き過ぎた消費者保護はかえって消費者を困らす結果になるんではなかろうか、大きな社会問題に進展をするんではなかろうかという懸念をしますけれども、これは局長、いかがですか。
  252. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 先生指摘の中で、最近特に消費者トラブルの面で問題になっております役務というのは、商品に付随した役務、例えば教材と塾といったような関係で問題が生じている場合が多いわけでございます。したがって、こういう問題に関しましては、商品に関連した役務ということでございますので、現行法の体系の中で省令の改正等を通じまして緊急に対応してまいりたいというふうに思っておるわけでございますが、役務プロパーの問題に関しましては、先ほど述べさしていただきましたように、割賦販売法のいわゆる支払い条件だけの問題ではなくて、むしろその役務の内容自体に関係した問題というのもあるわけでございますし、さらに先生指摘のいわゆる無形財産的な性格というのも別途あるわけでございますので、そういう出題も踏まえまして、今後、規制のあり方につきまして早急に結論を出すべく努力をしてまいりたいということでございます。
  253. 井上計

    ○井上計君 そこで、これはひとつ重ねて確認のためのお伺いなんですが、先ほど来行われました質疑の中でやはり抗弁権の問題がありました。これについては、書面で抗弁権は提出する、これはもうわかります。それから、接続の問題であります。これもわかります。  そこで問題は、抗弁権の主張できる期間をある程度限定する必要があるんじゃなかろうかと思うんですね。ある程度限定をしないと、相当古くなって云々ということになった場合に、実は事実関係を証明できないとか、そういうふうな問題が起きるので、抗弁権の主張する期間を限定しておかないと逆にまたトラブルの原因になるんではなかろうかと思うんですが、これについてはどうお考えなんですか。
  254. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 抗弁権の接続の規定をそもそも設けましたのは、あっせん業者と販売業者との間に密接な取引関係が存在をしておる、したがって購入者は商品の引き渡しがない等の場合には通常の割賦販売と同様に商品代金の支払いを拒むことができるというふうな期待を持っているにもかかわらず、形式的にはあっせん業者は売買契約の直接の当事者ではないということのために、現行私法上は購入者支払いには応じざるを得ないという危険から購入者を保護しようという観点でこの新しい改正案の条項ができておるということでございますが、先生指摘の期間を限定するということは、やはり法の建前からいたしますと問題ではないかというふうに考えるわけでございます。  と申しますのは、販売業者との間で問題となるべき事由が生じており、またその購入者が当該事由に関して正当に自己の権利を主張し得て、さらにまたその立証もなし得ることができる以上は、その事由をあっせん業者に主張することに対しまして期間の限定を設けるというのはどうも適当ではないんではないか、妥当ではないんではないかというふうに考えるわけでございます。  これは、欧米におきましても抗弁権の接続というのは認めておるわけでございますけれども、同様な考え方から、抗弁権の接続に関しましては期間の限定を設けていないのが現状でございます。
  255. 井上計

    ○井上計君 了解いたしました。  ここに関連をいたします、先ほども同僚委員からやはり質問がありましたけれども、ますますこのようないわばクレジット割賦販売等々の信国産業分野が今後とも発展をしていくであろうことはこれは当然だ、こう思います。そのために、このような分野の発展のためにいろんなことを考えていかなくちゃいけませんが、同時に、何といいましてもこれらのものが発展をするということは、どちらかというとやっぱり大企業のシェアがどうしたって広がっていくということになっていくと思うんですね。したがって、中小の小売商に対する今後の振興政策、振興施策というものが従来以上にさらに必要ではなかろうか、このように考えるわけですが、中小の小売商というのは団体によってクレジット等々行っておりますけれども、やはり中小小売商の本質は何といっても対面現金販売にあるわけなんですね。したがって、それらの施策を通産省として、中小企業庁として、特にお考えいただいておりますけれども、今後もさらに積極的にひとつお考えをいただかなくちゃいかぬ、このように思うわけですが、大臣あるいは中小企業庁長官からひとつ抱負等についてお聞かせをいただきたい、こう思います。
  256. 中澤忠義

    政府委員(中澤忠義君) 先生指摘のように、中小小売商を取り巻く環境は非常に厳しい状況にございます。一つは、ただいま先生が御指摘になりましたクレジット販売、信用供与に伴います大きな流通革命でございますし、もう一つは高度情報化革命と申しますか、ニューメディア等に代表されます無店舗販売もこの中小小売商の販売に対して大きな新しい波になっておるというふうに考えております。  中小小売商が商業段階で占めますウエートが非常に大きいだけにこういう新しい変革に対して中小小売商がどのように対応していくかということはまさに新たな課題でございまして、中小企業政策の中でもこの商業政策が特に緊要であり、また大きなウエートを占めつつあるというふうに考えております。  私どもといたしましては、一つはこのような新しい流通段階に対しまして中小小売商が集団化あるいは共同化という形で新しい商店街づくりをするということも一つの方法でございますし、またニューメディア等の問題に対しましては、この及ぼす影響を的確に把握しましてどのような対応策をとるべきか、これ自体が非常に流動的な問題でございますので、この調査研究がまず必要であるというふうに考えております。  また、信用供与面につきましても、クレジット団体等を通じまして中小企業施策あるいはその組織化という面から見ましても非常に重要でございますので、できる限りの手当てをしていくというような形で総合的な小売商業対策、中小小売商業対策を展開してまいるという所存でございます。
  257. 井上計

    ○井上計君 今、長官お答えいただきましたけれども、今おっしゃったように今後ともいろんな情報網の拡大あるいはニューメディア時代等々から無店舗販売がもう必然的にふえるわけですから、それらになかなか対応するような資力もまたノーハウも中小の小売商は持たないということになってまいりますから、格段のやはり指導が必要であろうというふうに思います。  そこで、私は、これは個人的な全くの持論というか、感じでありますけれども、今後三次産業の中で、中小小売商のもっと発展策を考えていかなければ、ただ単にこれは中小小売商という問題だけでなくて、国家的に大変なことが起きるんではなかろうかと、こういう感じがしておるわけであります。  なぜかと申しますと、簡単に申し上げますと、一つはますます高齢化社会が進んでいく中で、仮に六十蔵で企業を定年で退職しても、年金等によっての生活は不可能でありますから、どうしても第二の職場を求めなくちゃいけないわけです、十年ぐらい。第二の職場をどこに求めるかといいますと、どうしてもやはり中小、特にサービス業あるいは小売商業という分野になっていくであろう、こう思います。  それからもう一つは、ロボット等による省力化がますます進んでいくであろうと思いますが、仮に十年後、これは通産省中小企業庁がどのような推定をされているかわかりませんが、私のこれは推定では、大体十年後、二次産業に入るロボットは大体一千万体ぐらいになるのではなかろうか、こう考えるんです。一千万体としますと、一体のロボットの労働力換算がどの程度かわかりませんけれども、仮に三人としても三千万人の労働力に換算される。現在の二次産業の全労働力よりも実は多いわけですね。そうはならぬでしょうけれども、ラフな言い方ですが、数字から言うとそういうことが起きるわけですから、したがって今後高齢化社会の到来によるいわば老齢、高齢の労働力、それからロボットによって二次産業から実は排除されるといいますか、過剰となってくる若年労働力、そのようなものをどこに吸収をしていくかという大きな雇用問題、これも考えた場合にやはり三次産業における中小分野というものを発展をさしていかなくちゃいかぬ、こう考えるんですね。  そういうふうな長期的な、やはりいえば三次産業あるいは流通産業あるいはサービス産業というふうな面の今後の政策をぜひひとつ、――もうお立てになっておると思いますけれども、積極的に立てていただくことが現在いろいろ論議しておる当面の問題のまた解決の一つの方法であろうと、こう考えるんですが、これらのことについては大臣や長官はお考えでありましょうから、御答弁いただければ結構ですけれども、まあひとつ私見として申し上げておきますので、今後のまた大いに検討していただく中の何かの一つの足しにしていただけばと、こう思います。これは希望であります。  そこで、商店街等の今後の問題等でありますけれども、今年度予算で中小企業庁、特に画期的な政策として出しておられますのはコミュニティーマートの問題等ありますけれども、これも大いに結構ですが、数としてはまだこれは試験的な方法で少ない。これは当然ですが、同じ条件の商店街というのは、全国に何千、何万という商店街がありますけれども、実際はないんですね。全部違うわけです。仮に五万の商店街があれば大体五万とおり条件が違う、こう考えていいと思うんですね。したがって、その地域に合った、あるいはその周囲の条件に合ったそういうふうな商店街の発展政策というものを考えていかなくちゃいかぬであろう。従来とかく政府の指導というのは画一的になっておりますから、そういう面で、大変いい政策でありいい指導であるけれども、しかしうちの商店街はこれは適用しないんだ、これはだめなんだということもあるわけですね。このようにケースことによって違うということも考えていただきながらひとつ指導をお願いをいたしたい、こう思います。  それから、そういうふうな商店街の近代化についてのいろんな金融等の施策、助成政策でありますけれども、まあ商店街近代化に対する高度化資金等はこれはもっとこの際考えて範囲を拡大していかぬといかぬと思うんですね。例を挙げますと、土地だけ――どう言っていいですかね、要するにその施設によって収益をもたらさない、いわば返済計画がそれだけでは立たないようなものについては大体対象にならぬわけですね、簡単に言いますと。これは例えて申し上げますと、これは大臣の地元でありますが、全国的な模範商店街と言われておる一つの横浜の伊勢佐木町ですね、あそこはやはり――まあ最近ちょっと行っておりませんけれども、自動車で行った場合非常に不便でしょうがない。かなり遠いところに仮にでは伊勢佐木町の商店街が駐車場をつくってそこからお客さんを送迎バスで送るというような方法、これも高度化資金の対象になるかというと恐らくならぬと思うんですね。それらのものがやはり商店街の発展のためと町づくりのために一つの方法、必要であろう。で、ある既存の商店街の中でお客さんがずっと来ても、ちょっと赤ん坊を預ける場所がない、あるいはトイレに行こうと思っても公衆便所がないという商店街が随分あるわけですね。したがってどうしてもどっか大型店に行くというふうなお客が多いわけです。ところが、ある商店街の中で一軒廃業したところがある。その店を買い取ってそこにお客の休息所あるいは託児所、あるいはそこにちょっとした休憩所、トイレをつくる場合に、じゃ対象になるかというとやっぱり高度化の対象にならないんですね。そんなふうないろんなケースがありますが、そこまで今後振興政策として考えていく必要があるんではなかろうかと、こう考えております。  意見だけになりましたが、お答えいただければ結構ですし、またお答えなくても今後のひとつ通産行政、中小企業対策の中で十分そのお考えをいただきたい。  以上申し上げて終わります。
  258. 中澤忠義

    政府委員(中澤忠義君) 各地域におきます商店街の問題がそれぞれさまざまな問題を抱えておるということはまさに御指摘のとおりでございまして、その地域に応じた問題を解決するために長期的な見通しあるいは計画をつくっていくというその必要性は私どもも痛感しております。  五十九年度から商業近代化地域計画、この計画を抜本的に拡充いたしまして全国で年間に三土地域の計画をつくれる形にいたしました。また、各地区の商店街計画の再開発手法を開発するためにその町の計画づくりのための手法あるいは町づくりのリーダーを育成するということにつきましても基本的な構想あるいは調査研究費を新たに設けたわけでございます。  また、高度化融資の弾力的な活用が非常に効果があるということは御指摘のとおりでございますので、小売商業店舗等の集団化事業につきましての高度化予算につきましては本年度からその融資条件、要件を非常に緩和したという形になっております。  先生ただいま具体的に御指摘になりました駐車場あるいは共同施設等の問題でございますが、これは商店街等がその組合事業といたしまして共同施設という形で設けます場合には、駐車場につきましても無利子で長期の融資が適用し得るという形になっておりますし、また現にそのような形で顧客の便宜のための駐車場を設置するという傾向が最近出ております。また、緑地でございますとか、あるいは多目的ホールというような直接販売、小売に関係ない施設につきましても、商店街が商店街計画の一環としてつくる場合にはこれも高度化事業の対象にするという形で運用してまいるというふうに考えております。  御指摘のように、最近は単に物を売る商店街あるいは小売という段階から、非常にニーズが多様化しておりますので、顧客がその場所で憩いあるいは買い物を楽しむという施設が重要になっております。そういう施設を含めたところの商店街計画、長い意味でのコミュニティーとしての買い物広場というようなセンスを取り込みまして、全国の商店街の振興を図ってまいりたい、かように考えております。
  259. 井上計

    ○井上計君 どうもありがとうございました。  終わります。
  260. 木本平八郎

    木本平八郎君 私は今の井上議員の質問と同じように、どうも今度の法改正消費者過保護の面が強過ぎるんじゃないか。そのためにかえってコストが上がってきていると、結果的には消費者のために余りなってない面があるんじゃないかという感じがするんで、その辺に的を絞って少し質問さしていただきたいと思います。  まず第一に、クーリングオフの期間なんですけれども、衆議院の商工委員会でクーリングオフの期間を四日から七日に延長されていますね。どうもこれは改悪じゃないかという気がするんで、ひとつどういう経過でこうやられたのか、議事録見てもよくわからないものですから、その事情をちょっと御説明していただきたいと思いまして渡辺さんに来ていただいたわけですが、よろしくお願いいたします。
  261. 渡辺秀央

    衆議院議員(渡辺秀央君) 大変冒頭に恐縮でありますが、本来衆議院の梶山商工委員長がお伺いをすべきところでございましたが、所用がございましたので私がかわりましてお伺いをさしていただきましたことをお許しを賜りたいと思います。  今ほどの御質問でございますが、クーリングオフ期間を四日間から七日間に延ばしたということは改悪ではなかろうかという御指摘でございますが、実は大変な改善をいたしたというふうに衆議院側では自負いたしておるわけでございまして、むしろ消費者擁護が一層図られている、と同時に消費者擁護が図られているという反面、その裏側にはいわゆる販売をやっていく人たちの商業道徳というものがそこに裏づけられていく、その期間が保証期間というか、あるいはまた責任期間というものがそういう形の中に保証されているということは、正常かどうかは別として、ある意味においては、消費者擁護という意味においてこれは非常にむしろ消費者に喜んでいただける措置ではなかろうかということで、今までは御案内のとおり諸外国の例を見ましても大体四日間というようなことでございました。しかし最近におきましては、欧米諸国におきましては、アメリカはまだ短いようでありますが、ヨーロッパなどは、特にイギリスなどは十四日間か十七日間でしたか、というような非常に長期間のクーリングオフ期間を置いているわけです。我が国においては販売秩序あるいはまた消費者もかなりりレベルも高いこととなりますから、そこまで延ばさなくても大体各機関、各消費者団体やいろんな団体等で話し合われていることを背景として考えたときに、大体七日間というのがおおよその合意点ではなかろうかということで、政府側はここにおられますけれども、政府の方は四日間という提案でありましたが、これは一気に委員長の責任において与野党一致して、この際ひとつ七日間でこの法案の運用、あるいはまた消費者のこれに対応する形を見詰めてみょう、こういうことで実は行ったわけでございまして、どうぞひとつ参議院の諸先生におかれましても御理解をいただきまして、衆議院側の考え方にひとつ、ぜひ御同調賜りますようにこの際お願いも申し上げたいと思います。
  262. 木本平八郎

    木本平八郎君 いや私はこの法案には最終的には賛成することになっているのです、安心して……。今の衆議院側の考え方と私の考え方の相違点を少しすり合わして将来のためにぜひこの場で時間をおかりしたいと思うんです。今先ほど消費者団体その他からの要望もありというか、そういう御意見もあって、それを勘案して決められたと言うのですけれども、具体的に何かそういう要望というか、ものがありましたですか。
  263. 渡辺秀央

    衆議院議員(渡辺秀央君) 国民生活審議会消費者政策部会というのがございまして、そこで答申が昨年の十二月の九日に行われているのです。  その中で私どもは参考にさしていただきましたが、その審議会の答申でも延長するように検討する必要があるというようなことを結論づけておりますし、それから東京弁護士会でもクーリングオフ期間を七日間とすべきであるというふうにおっしゃっておられます。  ちょっと例を申し上げますが、東京都の知事さんもこれ少し延長したらどうかというようなことをおっしゃっておられるのですね。しかも生活を守る都民会議というのがあるのですか、ここでもそういう七日間とはおっしゃっておりませんが、期間延長を求めておられます。最後に日本消費生活コンサルタント協会というのがございまして、ここでも七日間というふうに明確に御要望しておられる。これらのことを考えてみまして私どもとしては七日間という案をとったわけであります。
  264. 木本平八郎

    木本平八郎君 雰囲気としてそういう雰囲気があるということは私もよくわかるのです。  ちょっと通産省へお聞きしたいのですが、七日という根拠、これは外国が七日間とかなんとかいう、そういう漠然としたことじゃなくて法律改正するわけですから、例えば今までの四日間でどうも五日目に駆け込んできたケースが非常に多いとかあるいは二日目、三日目、四日目の解約状況こうだと、ミスしたのがこれだとか、あるいはシミュレーションやってみたかどうか知りませんけれども、シミュレーションでやって見るとやはり七日が妥当であるとかいう、何かそういうデータがおありになるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  265. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 私どもといたしましても四日という場合に、最近休日が非常にふえておる、特に土曜日が休日になるようなところも相当ふえておるというようなこともございまして、四日目が最終日になるような場合にそれが翌日が休日であるということになりますと、郵便局から反対の意見を出そうとしてももう閉まっておるというようなことで四日は事実上かなり問題があるなどいう感じは私ども認識としては持っていたわけでございます。  ただ具体的に七日がいいのか、もうちょっと長い方がいいのかということになりますと、結局消費者保護の観点取引秩序の安定ということとの接点をどの辺に見つけ出すかということになるわけでございまして、そこで諸外国の実例等も参考にしたわけでございますが、先ほど渡辺先生からお話もございましたように、一部十四日というような長いところもございますけれども、大体が七日であるというような事例も頭に置きまして衆議院側の御修正に結論的には賛成ということになったわけでございます。
  266. 木本平八郎

    木本平八郎君 その四日間ですね、連続して休みになるというケースは日本ではないと思うのです。土曜日日曜日が仮にあったとしても、月曜日には間に合う。大体クーリングオフというのは文字どおり頭を冷やすわけでしょう。買ってああしまったと思って気がついて、四日間で気がつかなかったのが七日だったら気がつくということはおよそ考えられないわけです。これ外国の場合今先ほど渡辺先生がちょっとおっしゃいましたけれども、外国の場合は日本と違って、これは女性の方もおられるので余り何ですけれども、大体被害者は女性の方が多いわけですね。私の経験でも日本の女性というのは世界一優秀だと思うんですよ。というのは、財布を握っているというのは日本の女性だけですよね。一部ユダヤ人の人もありますし、華僑の奥さんもありますけれども、外国で、欧米では少なくとも女性に財布を渡しているなんというケースはないわけですよ。ということは、女性の衝動買いをみんな信用していないからなんですね。アメリカ人もそうですよ。日本人だけなんですよ。だからこれだけ高学歴で、それだけしっかりして経済観念のある女性を相手にわざわざ七日にする必要はないと。私は外国の場合はやっぱり女性の能力のなさという点から七日とか十四日――いや、これは褒めているんですよ。日本の女性は優秀だから必要ないんじゃないかと思うんですね。その辺はいかがですかね。
  267. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 私どもの消費相談室に持ち込まれておりますいろいろな相談作数などの実例で見てみますと、クーリングオフ関係の申し立ては、昭和五十七年でございますが全体の件数百三十一件ばかりございます。その中で十日以内というのが九十九件ということでございますが、そのうち四日以内というものは八十七件ということでございます。ただ、これは四日以内ということになっておりますのは法律が今四日以内でございますから、特にこれは有意的な別の意味を持っている四日だと思うわけでございます。したがって、十日以内というところで九十九件ぐらいある種の相談があるということは、先ほどおっしゃった優秀か優秀でないかという点についてのコメントは差し控えさしていただきますけれども、御勘案いただく必要はあるんではないかと思う次第でございます。
  268. 木本平八郎

    木本平八郎君 それでは肝心のところに入りますけれども、要するに四日間と七日間というのは極めて私の今了解している範囲ではエモーショナルに決まったという感じがあるんですけれども、ところがこれは皆さん取引余り御存じないんじゃないかと思うんですけれども、これ四日と七日というのは、大変な取引の、いわゆる商売人としてのコスト計算は大変な差が出てくるんですよ。ちょっと御説明しますと、例えばクーリングオフが七日間ありますと、セールスマンにしても営業部にしても、これ売買報告書を社内でつくれないわけですね。仮売報になっちゃうわけですね。それから書類上の手続も社内の手続も全部ペンディングになっちゃうと。今コンピューターありますね。コンピューターにも入れられないという問題があるわけですね。それから受け渡しが自分でリスクをとって早目にやる人、会社があるかもしれませんけれども、普通は七日間様子を見ていて大丈夫だといってからしか渡さないわけですね。その受け渡しというのは取引上の大体四大条件の一つなんですよ。御承知だと思いますけれども、値段と、支払い条件と、それからもちろんスペックありますね、仕様書、仕様とそれから受け渡し条件というのが大変なんです。例えば皆さん買い物されるときにも、一年後にラジオ渡しますと言われたらよほどの特殊な国じゃない限り買わないですね、今の日本じゃ。普通は物によって違いますけれども、例えば十日なら十日、きょうから十日以内に納品しますということになるわけですね。これは売る方の都合で、あした、普通は二、三日のうちに全部納品するんですけれども、余裕を見て十日ということを言っているわけですね。四日間のクーリングオフだったらあと六日あるわけですよ。割合に余裕があるんですね。ところがこれが七日になりますとあと三日しかないわけですよ。デリバリーの期間が半分になっちゃうんですね。そうしますとメーカーとか販売業者の方は常に在庫を持っておかなきゃいかぬという問題があるわけですね。そうすると、金利も倉敷料もかかってくると。それから三日間で間違いなくさっとデリバリーするためにはそれだけのやっぱり態勢を整えなきゃいかぬわけですよ。トラックとかなんとかずっといろいろなものを置いておかなきゃいかぬしね。こういう問題もあると。それで、これは私のこれ想像なんですけれども、どうもそういうクーリングオフを四日から七日に延ばされると私が営業部長なら多分二%ぐらいコストをアップするでしょうな。そうしますと、先ほど百三十何件あるとおっしゃったけれども、聞いてもだめだと思いますけれども、大体、総契約件数全体の中でこのクーリングオフが発生しているのは、解約は何%ぐらいかということをまずお聞きしたいと思うんですけれども、これは多分だめでしょう。まあそれはいいですわ。それで、私は本当にわずかこの〇・一%くらいだと思うんですよ、せいぜいあって。〇・一%の人を救済するために、九九・九%の消費者が二%ずつコストアップになるんですよ。これは十二兆円ぐらいでしょう、今、十三兆円ですか、それの二%というのは二千六百億でしょう。去年あれだけ騒いで減税したのが千五百億くらいですね。それよりも倍近いものが、これは、ぽっと国民経済から消えちゃうんですよ。こういうことをお考えになってこの七日にされたのかどうか。七日にされる過程でそういう計算というか、考慮、配慮があったかどうか、ちょっとお聞きしたいんですが。
  269. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) その点に関しましては、私どもといたしましてもそのクーリングオフの延長に伴いますコスト要因というものを全く考えなかったわけではないわけでございますけれども、衆議院サイドでこういう御提案が内々ありましたときに、私どもも関連業界とは内々すぐ相談をしたわけでございます。その議論の中で、業界の皆様方は、コスト要因ということよりも、むしろ消費者保護の観点とそれから取引秩序の維持という観点とでどの辺で接点を見つけるのかということでの議論はあったわけでございますけれども、諸外国の実例等から見まして七日ということがある種の既定事実としてあるわけでございますから、七日に収れんすることにつきましては格別の反対議論というのはなかったという経緯でございます。
  270. 木本平八郎

    木本平八郎君 それから、七日というのは、実際に取引をやってみたらわかりますけれども、皆さん買い物をされたときにわかるんですけれども、人間というのは四日か五日たってきますと心変わりがしてくるんですね。購買意欲がなくなってくるということもあるし、それからほかの要因で、例えばステレオを買おうと思っていた、ところが何か娘がピアノを習うと言い出したんでついついそっちに金が要るんでこっちをキャンセルしてこっちだということだって起こってくるわけですね。それからもう一つは、例えばオリンピックの場合、極端ですけれども、オリンピックがあるからテレビが欲しい、テレビを買いかえようというわけですね。ところが、それが一週間後ということになりますとやっぱりじゃやめたということにもなりかねないですな。そういう商習慣で人間の微妙な購買心理というものを考えますと、こういうことをやることによって私は取引が減るんじゃないか。減ることは構わないということかもしれませんけれども、やはりひとつのこういうクレジットの生活というものを健全に発達させていくには私はやっぱりこれはマイナスに働くんじゃないかと思うんですけれども、その辺はどういうふうにお考えでしょう。
  271. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 結局、クーリングオフの期間の問題というのは、重ね重ね申し上げておるわけでございますが、消費者保護の観点と流通秩序の確立維持の観点とどの辺で妥協させて接点を求めるかということに尽きるわけでございますが、確かに、購買心理の側面から言いまして、だらだらとクーリングオフの期間が延びておりますとその購買意欲が減殺する面というものもあるわけでございます。ただ、それが四日が七日になったことによってどれだけマイナスになるかという点につきましては、私どもは、これは画一的なデータを持って申し上げておるわけではないんでございますけれども、四日が七日になる程度の話でございましたら流通秩序の維持の観点から見て非常に大きなマイナスがあるということにはならないんではないだろうか。むしろ、消費者保護の観点から見てその辺が適当であるということでございますと、長い目で見たクレジット社会の構築という点から見ました場合には、むしろプラスの要因として働く要素の方が大きいんではないかというふうに判断をしておるわけでございます。
  272. 木本平八郎

    木本平八郎君 こういう水かけ論みたいな議論になっちゃうんで幾らやってもこれはしようがないんですけれども、ただ、これは、私はぜひ通産省としてフォローしていただきたいと思うのは、これはやかましく言っているように、日本の場合は諸外国とちょっと違うと思うんですよ。日本では割合に情報も徹底しておりまして、例えばクーリングオフの制度があるということを知っているのは半数以上おるわけですね。そうすると家庭内では二人おればどっちかが知っているということなんですね。しかもこういう解約の何を見てみましても、要するに値段が高かったとか、不必要な物を買われたとか、いろいろなことがあって、気がつかなかったとか、そういう申し出するのを忘れたとかというのは割合少ないですね。だから解約する人は四日間でやっていると。多分七日に延ばすと六日目、七日目に解約というのは多いかもしれません。多いかもしれないけれども、一年間ぐらい一応、統計とるのは大変かもしれないけれども業界がどっかに頼んで二日目、三日目、四日目、五日目と、七日目と、いつに解約の申し出が多いかということをフォローしていただきまして、もしも、もうほとんどが四日間で終わっているならもう一度四日に縮めることをお考えになっていただきたいと思うんですよ。これはみんながそれであれば、何も流通秩序の問題にもならないわけですからね。やっぱりコストをできるだけ、こういう時代ですからね、コストを上げないということをぜひ考えていただきたいと思うんですね。  それで、それではこの問題につきましては、次に移りまして、次の問題もやはりコストに関する問題なんですけれども、先ほど井上議員からもありましたけれども、抗弁権の接続の問題その他、同僚議員からも朝から大分質問があったわけですけれども、これもやはり先ほど期限は設ける必要ないと、こうおっしゃってましたけれども、これは私、業界に聞いたわけじゃないですけれども、私の営業感覚としては、こういう制度を設けられると信販会社というのは必ずリスクを見込むわけですよ。これはいつ来るかわからない。リボルビングなんかの場合だったら五年後にまたやられるかもしれないということになりますと、やはりリスクを採算に見込んじゃうわけですね。まあこれどのぐらい見込むか業種によって違うと思いますけれども、少なくとも一%、二%じゃないだろうと思うんですよね。こういうふうなことが行われると、やっぱりクレジット取引というのは縮減の方向で、決して拡大の方向には向かないと思うんですよね。その辺はどういうふうにお考えでしょうね。
  273. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) その点に関しましては、先ほど井上先生の御質問に対してもお答えをさしていただいたわけでございますけれども、やはり期間を限定するというのは適当ではないというふうに考えておるわけでございます。しかも、これは抗弁権の接続の例は、欧米にもまさに前例があるわけでございますけれども、欧米の場合にも接続について期間の制限というのはやってないということでもございますので、私どもとしましては、その欧米の前例等も踏まえて、本件については消費者保護の観点からも、また法律の建前からも、期間については限定すべきではないという考え方をとっておるわけでございます。
  274. 木本平八郎

    木本平八郎君 欧米というのは非常に結構なんですけれども、しかし、現在日本が経済とか取引ではもう世界一進んでいるんですよ、特にこういう商品の部門につきましてはね。いつまでも舶来思想じゃやっぱりどうしようもないんじゃないか。欧米との差ですね。きのうもデンマークの人に聞かれたんですけれども、なぜ日本の経済がこんなに発展したんだと。みんな驚異なんですね。トップランナーが後からついてくるランナーのまねをする必要ないと思うんですよ。その辺がどうも何か、まあはっきり言ってこの件については、そこまで突っ込んでお考えになってないんじゃないかという私は非常に懸念するわけですね。  まあこれは、またこういうことを繰り返してもしょうがないので、また次に移ります。  次もまたコストの問題なんですけれども支払い遅延の損害金のペナルティーを六%というふうに設定されましたね。これは一体どういう根拠でされたのか、ちょっとお聞きしたいんですが。
  275. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 六%というのは、いわゆる法定利率を採用したわけでございますけれども、これは金銭にかかわる果実を考慮する必要がある場合には原則として利用されるものでございますので、その点から見て妥当ではないかというふうに考えたわけでございます。
  276. 木本平八郎

    木本平八郎君 この六%というのは、業者が調達する調達金利以下なんですね。大体七%とか八%ぐらいの資金コストがかかっている業者も相当あるわけですね。そうすると、六%というのはコスト割れになるということが一つと、それからどうもこういう低いコストに設定するということは、一見消費者保護のように見えるんですけれども、実際は悪徳消費者を助長するということだけで、決してプラスにはならないという感じがするわけです。  これちょっと適当な例じゃないんですけれども、簡単にさっさっとやったんで、これ計算は多少間違えているかもしれませんけれども、例として申し上げるんですけれども。例えば、ここに年利一八%で二十回払いで十万円の品物を買うとするんですね。この場合、ちゃんと二十回払いまじめに毎月払っていきますと、それの支払う金利は一万六千五百円になるわけです、これ切り上げましてね、一万六千五百円なんです。ところが、非常に頭のいい悪質なやつがおりましてね、十回払いの契約にしておくわけですね。一万円ずつ払いますという十回払いにしておいて、それで全然払わないわけです。払わずにずっと督促されても知らぬ顔していて、二十カ月目にぼんと全部払っちゃったと。そうしますと、ここで手数料というか、一八%の金利分と延滞金が六%ですね、遅延金。これを合わせますと、両方合わして一万六千三百円にしかならないんです。さっきの一万六千五百円に対して二百円安くなるんですね。こういう計算が成り立つわけですよ。  これは例ですから、余り数字にこだわってもらっちゃ困るんですけれども、これはやはり遅延金が安過ぎるからこういうことが起こるんですがね、この点はどういうふうに通産省としては検討されてますか。
  277. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) ちょっと前提として少しお答えをさしていただきたいわけでございますが、契約解除等の場合におきます損害賠償の請求額でございますが、請求額の場合のベースは、割賦販売価格ということがベースになるわけでございます。割賦販売価格というのは資金調達コストとか、あるいは利潤等がもう含まれる価格でございまして、それをベースといたしましてそれに六%の遅延金利が上乗せをされるということでございますから、制限額としてはそんな低過ぎるということでもございませんし、また一方貸金業法の対象になるような高過ぎるということでもない、ちょうどほどほどのところではないかなという感じが私どもしておるわけでございます。
  278. 木本平八郎

    木本平八郎君 いや、そういうベースであれば六%でも三%でもいいんでしょうけれども、どう考えても、例えばローン提携の場合は三〇%取れるわけですよね。ペナルティーが三〇%でしょう、今法定的には。そういうものに比べて、片一方は三〇%取っておいて、片一方は六%と、これは管轄が違って大蔵省は高くって通産省安いということかもしれませんけれども、どうもこれはおかしいんじゃないかという気がするんですがね、その辺いかがですかね。
  279. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 先ほどの割賦販売価格の中に盛り込まれるべき割賦販売手数料というのは、これが実は制限がないことになっておりまして、そちらの方でまあ調整可能といいますか、ある種の計算というのは行われるわけでございますので、表面から見るほど両省にアンバランスがあるということではないというふうに考えております。
  280. 木本平八郎

    木本平八郎君 そこの手数料が青天井だと、これ消費者保護にならないと思うんですけれども、ここまで非常にきめ細かくいろいろ規制されるんなら、その辺もやはり限度をお決めになった方がいいんじゃないですかね。
  281. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) もちろん消費者保護の観点を並行して考えなきゃいかぬわけでございますし、現実に青天井とは言いましても、非常に競争の激しい分野でございますので、現実にはそんな高いことにはなっていないわけでございます。
  282. 木本平八郎

    木本平八郎君 ぜひそういうふうに指導していっていただきたいと思うんですね。  それで、これ私ね、なぜこういうことをしつこく申し上げているかというと、これ実際にビジネスをやっている人間の感覚では、こういうものを見ますとすぐリスクヘッジを考えるわけですね。リスクヘッジというのはコストを上げちゃうわけですよ、多分、私具体的に聞いていませんけれども、信販会社を呼んで聞けば、みんなもう今そろばんはじいて何%アップにしてやろうかという、やっているに決まっているんですよ。これはコストが上がる、必ず上がるわけです。で、コストというのは一遍上がりますとなかなか下がらないんですよ、今の日本の経済構造だと特に。やはり時間がかかるということですね、下がっていくのには。やっぱりそれから競争があると、これで徐々にしか下がらない。ところが上がる方は簡単に上がるんですよ。衆議院でこれはっと決められると、すぐそれでぱあんと二、三%すぐ上がっちゃうんですね。その辺をよくやっぱり考えていただかないと、消費省保護とか何とかという美名に隠れて決して消費者のためにならないんですね。その辺はぜひ考えていただきたいと思うんですけれども、ちょっとその辺の御意見もう一つだけ聞かせてください。
  283. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 木本先生のコストマインドをお踏まえいただきました消費者保護の観点、大変私どもも傾聴させていただきました。それで、具体的にこれから法の施行に入るわけでございますけれども、クーリングオフの問題につきましても現実の動きというのをフォローアップをよくやりまして、それがコストに対してどういうはね返りになっていくのかということにつきましても勉強もしながら今後の対応を考えてまいりたいと思います。
  284. 木本平八郎

    木本平八郎君 ほかにもまだ例があって、どうしてコスト高になるかということ、これに関していろいろあるんですよ。ちょっと簡単に申し上げますと、例えばサラ金業者が、払わないと借り主に販売会社と空契約をして、それから信販の方につなぐわけですね、それで信販会社がその販売会社に売った代金はサラ金業者がさっと結託して持っていくと。サラ金業者と販売会社とそれからそのサラ金を借りていた三者が結託して信販会社を陥れるという手法が、これは現実に起こっているんですけれども、こういうものも今度の抗弁権の接続でもっともっとどんどん起こってくる可能性があるわけですね。そうすると、信販会社としてはそのリスクを見込まなきゃいかぬ。現実に例えば百貨店のクレジットで百貨店から物を買わせておいて、それを何というんですか、キャンセル屋が後ろへ回ってキャンセルしてそれでサラ金の方を払っていくというふうなことがあるわけですね。こういう問題これが全部コストにはね返ってくるわけですよ。したがって、しつこいようですけれども、ぜひその辺のことを含んでいただいて、今後行政を指導していただきたいと思うわけです。  それで、なるべく時間を早く終われということですから、簡単に最後に行きますけれども、もう一点、ちょっと釈迦に説法になりますけれども、要するに皆さん御存じのように、経済というのは統制されたらされるほど供給側が強くなるわけですね。今で言えば販売、売る方がやっぱり強くなっちゃうんですね。結果的には統制があると、消費省保護のようなことでも、統制というものがあるとどうしても消費者が損するというのは経済原則なんですね。この辺はやはりよほど考えていただかないと、消費者のためだと思っていても、統制というもの自身がコスト高にしていくと。したがって、競争というのは自由なほどいいというのは当然のことなんですね。したがって、行政指導とか法規制というのは市場機能の不完全性を補完するという最低限度にとどめるべきだということなんですね。ところが、これ非常に不謹慎な言い方をしますけれども、私国会へ来て非常に感じるのは、国会全体にそういうコストアップとかエフィシェンシーという考え方が非常に少ないですね。それで何か正義の味方みたいなものがさっと通っちゃうというふうな感じがして非常に不安なんですけれども。そういう統制されている方ですけれどね、通産省は非常に統制が少ない方だと思いますけれども、その辺は、統制するとどうもそっちへ供給側が強くなるということについては何か感触をお持ちだったらちょっと御意見伺いたいですがね。
  285. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 通産行政の基本的な視点といたしましては、自由経済社会の中において競争原理をできるだけ発揮をさせまして、その中において民間活力をどう発揮させていくかというところに行政の基本的な視点というのがあるわけでございます。ただ、消費者行政の分野につきましては必要最小限の規制というものはやむを得ないものと考えておるわけでございまして、今回考えております四つばかりの割賦販売法の改正の視点につきましても必要最小限の、しかも緊急を要する規制措置ということで消費者保護の観点から考えようとしておるわけでございますので、基本的な考え方は自由競争原理、その中において民間活力の発揮ということを通産行政のポイントとしておることをぜひ御理解をいただきたいと思う次第でございます。
  286. 木本平八郎

    木本平八郎君 それでは、最後にちょっと意見を交えて御意見あればお伺いしたいんですけれども、要するに最近の日本の家計というのは、目立たないようですけれども、極めて家計の借金の内容といいますか、家計の内容が義務的だとか、あるいは既に契約してもう払わざるを得ないと、固定的な貯蓄――これは国民経済的に言えば貯蓄ですね。そういうようなものがどんどんふえて、自由裁量的というか任意に貯蓄できるというものを上回っちゃったわけですね。したがって、家計が極めて硬性化している。しかも住宅ローンだとか消費者ローンがどんどんふえてきて家計にほとんど弾力性がなくなっている。したがって、ちょっと不況になる、あるいはちょっと給料が遅延する、ちょっと不測の支出ができるとすぐ家計が回らなくなってしまう。私は多分これがサラ金地獄の一番の発端じゃないかという気がするんですね。こういうふうな極めて流動性が低下してきて、しかもそういう流動性に対する抵抗力を家計が失っているわけですね。しかも、今後とも日本クレジット業界というのは五十兆円ぐらいまでふえていくだろうと言われているわけですね。これはアメリカ的になる、どんどんふえていくわけですね。アメリカのように長い伝統があって、そして順調に徐々に成長していった業界というのはいいんですけれども日本のようにこういうふうにもう今でもアンバランスを持ちながらこれで五十兆円まで伸びていくということになると、どこかで大きな破綻が来るんじゃないか。しかもまだ、先ほど日本人の奥さん非常に優秀だと言いましたけれども、やはりクレジット生活、ローン生活に余り経験がないわけですね。それでまあしっかりしていてもついついこれ衝動買いに入ってしまうということもあるわけですね。その辺、やはり先ほどとは逆に日本の経済、社会、家計の特殊性というものを考えて行政をやっていっていただかないと、下手なことをすると日本の家計というのは非常に危機にあるというふうに私は感じるんですがね。まあ御意見があればお答えいただいて私の質問を終わります。
  287. 長沢哲夫

    説明員(長沢哲夫君) 今先生が御指摘になりましたような問題は同様な分析を五十八年度の国民生活白書でやっておりまして、確かに御指摘のように貯蓄を自由裁量的な貯蓄とそれから義務的な貯蓄に分けて推移を見てみますと、平均的な勤労者家計の場合ですけれども、ここ両三年義務的貯蓄の方が上回るようになっておるんです。さらに最近の動きとしては、クレジットとか月賦とかそういう消費者信用を非常に活発に利用されるようになって一部の家計ではやはり借り過ぎという状態、それがサラ金問題、いろいろな社会問題にもなっておるというのはおっしゃるとおりだと思いますが、こうした状況対処して消費者保護の観点からは、一面ではただいまもお話がありましたように、いろいろ法規制を通じて消費者保護を図っていくという仕事が大事だと思います。もう一つの柱は消費者教育、消費者に対する普及啓発活動がもう一つの柱になっております。こうした家計の状況対処していくのに一番大事なことは、やはり消費素自身が家計の運営や行動に当たって、もう少しバランスや合理性を考えるようになることだと思いますので、私どもとしては消費者教育の面でクレジットの問題等を強化していくというような対処が一番大事ではないかというふうに考えております。     ―――――――――――――
  288. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、佐藤栄佐久科が委員を辞任され、その補欠として内藤健君が選任されました。     ―――――――――――――
  289. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ米あり〕
  290. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  割賦販売法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  291. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、高杉君から発言を求められておりますので、これを許します。高杉君。
  292. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 私は、ただいま可決されました割賦販売法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合、参議院の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     割賦販売法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一、マンスリー・クリア方式などによる信用販売については、その契約形態、経済的効果が、割賦購入あっせんと類似していることにかんがみ、これら取引についても消費者保護の観点から適切な対応に努めること。  二、役務関連取引における消費者トラブルが多発していることにかんがみ、役務附帯商品について取引の対象を明確化する等消費者保護に必要な当面の措置を講ずるとともに、役務については、所要の検討を早急に行うこと。  三、割賦販売業者等が、強制執行認諾文言付公正証書作成に関する委任状を購入者から取得する場合には、購入者がその内容を十分理解できるよう説明等を行うよう指導すること。  四、中小企業省等の割賦購入あっせん事業の振興を図り、銀行及び銀行系クレジットカード会社の同事業への進出により、中小割賦購入あっせん業者が悪影響を受けることのないよう、必要な対策を講ずること。  右決議する。  以上であります。
  293. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) ただいま高杉君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  294. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) 全会一致と認めます。よって、高杉君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、小此木通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。小此木通商産業大臣
  295. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重して、本法案の適切な実施に努めてまいる所存であります。
  296. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  297. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれで散会いたします。    午後五時二十四分散会      ―――――・―――――