○井上計君
大臣は先般の所信表明の中で、中小企業が従来我が国の経済発展に果たしてきた大きな役割、功績等につきましては評価をされております。この点については
大臣のお考えと全く同感でありますから、
大臣の御所見については敬意を表する次第でありますが、ただ中小企業関係の
法律、これは我が国の多くの中小企業関係の
法律というのは大変充実しておる。これは私もそのような評価をしております。事実先進諸外国の中でも我が国が一番であろう、これはこう私は感じておるんです。
ところが、それにかかわらず中小企業の大多数はまだまだ不十分であるという不満を多く持っておる。これもまた事実であるわけですが、その
原因はいろいろありますけれども、
一つは
法律はかなり充実完備しておるけれども、運用についてきめ細かさに欠けておる、あるいは末端の行政面では温か味がない、こういうふうなことも
原因だと、こう思うんですね。特に国と地方自治体と連動する施策については連絡が十分でないといいますか、思うようになかなか中小企業のそのような希望等について十分こたえていないというような面もありますので、それらの面はもっと今後改善をしていかなくちゃいかぬであろうと、こう思います。
それからもう
一つは、現在のように非常に環境変化、特に技術革新等の中で先行き不安というふうなことがますます増大をしておりますけれども、率直に申し上げて、通産省いろいろ御努力はいただいてはおりますけれども、産業の先取り政策といいますか、これらの面についてはまだ十分でない面があるんではなかろうかと、こう思います。
このようなことにつきまして今後ともさらに一層
大臣には大いにひとつ御努力をいただくということをまず前提として要望して、時間が余りありませんから、二つばかり具体的な点をさらにひとつ要望したいと、こう思います。
一つは、中小企業の事業用資産の相続、すなわち
承継税制の問題であります。これは私も個人的にもまた党としても長年にわたってこれらのものを要望し、また本院においてもしばしばあらゆる
委員会で発言をし、提案をしてまいりました。幸いにして五十三年の四月に一部改正され、さらに五十六年、当時の
中小企業庁長官の諮問機関として
承継税制問題研究会が設立をされ、それについての答申がなされましてから、昨年度、五十八年度から一部改正がなされたのであります。ところが、政府においても、また各政党においても
承継税制が実現をしたと、実施されておる、このようなことを唱えておる方が非常に多いんですがね。私は若干見解違いまして、
承継税制は依然として実現されていない、こういう見解に立っております。
その理由は、昨年度から改正されましたのは個人用の、個人の事業用資産については土地二百平米までのみがわずかに評価四〇%ということと、それから非公開株式の評価については長官の通達で一部これが評価方法が変わったと、大体相対的にせいぜい一二、三%か、多く見ても一五%程度しか減額されていないであろう、こう思いますから、まだまだ
承継税制と言うに至らない。さらにもっと今後とも軽減のための措置をしていく必要があろうと、こう考えるわけであります。現在の財政
状態など考えますと容易ではありませんけれども、何といっても
大臣がおっしゃっていただいているように、中小企業の従来果たしてきた役割、さらに今後我が国の経済発展のためには中小企業の振興発展こそ重大なかぎを握っておる、こういうふうなお考えからいたしますと、難しい情勢でありますけれども、今後ともさらに御努力をいただきまして、中小企業の事業がスムーズに後継者にひとつ承継できるように御努力をいただきたい。
大臣は明治以降百年以上にわたっての事業の経営者であります。しかも、三代目でありますから、恐らくその相続税については大変
大臣も困ったであろうと推察をしているわけでありますから、特にその点については御努力をいただきたいと、こう思います。民間の企業の活力、特に中小企業の活力をさらに発揮するためには同時にまた後継者の育成、多く抱えておる中小企業の
従業員への対策等々考えますと、私これは財政
状態が困難であればあるほど、ある
意味では、逆に今後金の卵を産む鶏をもっと育成していくためには、中小企業対策の振興、拡充、その中でも特に
承継税制は急を要するのではないかと、こう思っておりますので、ぜひひとつお願いをいたしたい、これが第一点の要望です。
もう
一つは、これも財政上大変困難な問題がありますけれども、機械等の設備の耐用年数の問題であります。我が国の耐用年数がアメリカあるいはイギリスあるいはフランス、西ドイツ等と比べて非常に高いということは事実、これは皆さん方御
承知のとおりです。若干アメリカやイギリス等と比べますと、我が国と、多少計算方法について違いがありますけれども、大体
日本と比べると大変短い。しかし、アメリカなんか以前は
日本よりか長かったんですが、この二、三年前から急に短くしておる。短くしておる理由は、国際競争力を保持するためと民間の活力をさらに発揮をするために短かくしたと、こういうふうなことでありますから、したがって我が国としても当然それを考えていくべきであろう。具体的に、時間がありませんからとやかく言いませんけれども、技術革新に
対応していくために、国際競争力を保持するために、やはり設備の更新はますます必要でありますし、また同時に、
日本のこれは大企業を含めてでありますけれども、企業が自己資金がまことに乏しいわけでありますが、資本の蓄積のためにもぜひこれは急を要する問題であろうと、こう考えますが、総体的な
意味でのひとつ今後とも御努力をお願いをするということと、さらに具体的に二点、
大臣のひとつ今後とも一層の御努力をお願いをいたしたいと、かように考えますが、御所見承ればなお結構です。