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政府委員(黒田真君)
ただいま御指摘になられましたような諸点につきまして、
我が国の繊維工業の知識集約化へ向けての
構造改善努力というものが必ずしも十分ではないではないかという点は、昨年秋にい
ただきました繊維ビジョンの答申の中でも既に指摘されているところでございます。
したがいまして、このため今後、繊維工業というものが先進国型に脱皮をしていくために、
構造改善を進めていくという際には十分
ただいまのような問題点を克服するための努力が必要だというふうに考えるわけでございまして、
政府といたしましても、かかる繊維事業者の自主的な努力というものを側面から支援をしていきたいというのが基本的な
考え方でございます。
個別に若干ブレークダウンして
お答えをいたしますと、確かに商品企画力を強化する、そしてこれを具体化するためにはハード、ソフトの両面で
生産体制というものを整備すべきであるということはまことに御指摘のとおりだと思います。特に近年、急速に多様化、個性化、高級化しております消費者のニーズというものに即応した商品というものを供給していくためには、
生産側におきまして、従来の業種区分を超えた複数の異業種にまたがる企業が共同で商品の企画あるいは
開発を行うと同時に、非常に多品種で、個々にはロットが小さいという商品を効率的につくり出していくという
生産技術、そしてそれに見合った設備の導入というものが必要だと考えております。実は今申し上げたことは、この
法律が予定をしております異業種連携グループを組織して、繊維事業者がそういう異業種連携グループを組織しますとともに、商品
開発センターというものを設けて、ここで商品企画力を強化し、そこで
開発された商品の
生産のための新しい設備を導入する、こういった
構造改善事業計画に対してまさにこの
法律が財政的な支援も行おうというふうに定義づけておるわけでございまして、そのような観点から申しますと、この弱点を克服するためには、この
法律が予定しております異業種連携グループというものによって
構造改善事業を進めるということが
一つの処方せんになる、かように考えるわけでございます。
また、確かに先端技術の導入というものが繊維産業においては立ちおくれているではないかと、他産業が既に最新の技術、エレクトロニクスあるいはロボットというような技術を導入している
状況に比べるとどうも繊維産業は立ちおくれているぞというのが昨年の
審議会等における評価と申しますか、でございました。したがいまして、こういった先端技術というものを繊維技術、繊維
生産技術の中に取り入れていくということが重要であるというふうに考えまして、国の立場からも例えば自動縫製システムというような
プロジェクトに対して応援をしております。こういうことを通じて多品種少量短サイクル化に対応する技術というものが
開発できるというふうに考えております。
また特に、中小企業者を頭に置いた場合には、中小企業技術改善費補助金制度というものの中に、特に産業活性化枠というようなものを設けてい
ただきまして、電子制御式の編み機でありますとか、織機でございますとか、あるいは染色にそういった先端技術を導入する、こういうような技術を新しく
開発するという中小企業者に対する補助金制度を設けているということもございます。また、そうしてそこででき上がりました設備というものを、新たに導入する際には中小企業新技術体化
投資促進税制というものを今年度からつくってい
ただきました。その適用によってそういった近代化設備の導入の促進をいたしたいと、かように考えているわけでございます。
最後の、ファッション産業の国際的な地位の確立という関連といたしましては、近年いろいろ国際的にも
日本のデザイナーの評価というものが高まりつつありますが、さらに一層国際感覚を醸成し、国際交流を促進し、そしてその中でまた
日本の独創的な、しかし、同時に国際的に通用のするようなそういったデザインやファッションというものを
開発する必要があるだろう、そういうような
一つの盛り上がりの契機といたしましてワールド・ファッション・フェアでございますとか、ファッション・コミュニティー・センター構想というものを答申が打ち出しているところでございまして、私どもといたしましても五十九年度の予算で
我が国繊維産業国際化対策
調査委託費というようなものの予算措置もい
ただきましたので、こういうものを利用いたしまして業界の中での問題点を発掘するとともに、今後の方向についてのコンセンサスづくりを行うというような形で繊維産業が持っております御指摘のようなウイークポイントを
一つずつ乗り越えていきたい、かように考えているところでございます。