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1984-04-17 第101回国会 参議院 商工委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月十七日(火曜日)    午後一時三分開会     —————————————    委員の異動  四月十二日     辞任         補欠選任      松岡満寿男君     浦田  勝君      橋本  敦君     市川 正一君  四月十四日     辞任         補欠選任      浦田  勝君     松岡満寿男君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         斎藤栄三郎君     理 事                 降矢 敬義君                 森山 眞弓君                 高杉 廸忠君                 市川 正一君     委 員                 石井 一二君                 岩本 政光君                 杉元 恒雄君                 鈴木 省吾君                 松尾 官平君                 松岡満寿男君                 山本 富雄君                 梶原 敬義君                 対馬 孝且君                 福間 知之君                 田代富士男君                 伏見 康治君                 井上  計君                 木本平八郎君    国務大臣        通商産業大臣  小此木彦三郎君    政府委員        通商産業政務次        官        大木  浩君        通商産業大臣官        房長       福川 伸次君        通商産業大臣官        房審議官     棚橋 祐治君        通商産業大臣官        房審議官     山田 勝久君        通商産業省貿易        局長       杉山  弘君        通商産業省機械        情報産業局長   志賀  学君        通商産業省生活        産業局長     黒田  真君        資源エネルギー        庁長官      豊島  格君        資源エネルギー        庁長官官房審議  松田  泰君        官        資源エネルギー        庁石油部長    松尾 邦彦君        資源エネルギー        庁公益事業部長  小川 邦夫君        中小企業庁長官  中澤 忠義君    事務局側        常任委員会専門        員        野村 静二君    説明員        防衛庁装備局管        理課長      沼倉 吉彦君        外務省北米局安        全保障課長    加藤 良三君        外務省中近東ア        フリカ局中近東        第二課長     渡辺  伸君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○産業貿易及び経済計画等に関する調査  (日韓大陸棚に関する件)  (石油国家備蓄に関する件)  (放射性廃棄物に関する件) ○機械類信用保険法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、理事補欠選任についてお諮りいたします。  市川正一君が一時委員を異動されたことに伴い理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事市川正一君を指名いたします。     —————————————
  4. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) 産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は御発言願います。
  5. 対馬孝且

    対馬孝且君 きょうは、さきの当委員会におきまして質問の時間配分がございまして、約一時間二十分割り当てられましたから、一つ日韓大陸棚のその後の石油開発状況、それから石油備蓄状況、それから石油探鉱投資状況問題、加えて原子力発電の今後の対応、そしてむつ小川原の九電力の廃棄基地の問題、特に北海道幌延等もあわせまして質問を申し上げたいと思っております。  まず最初に、日韓大陸棚石油開発の問題でございますが、御案内のとおり、日韓大陸棚昭和五十三年から法案の審議に入りました。当時私も当委員会理事をやっておりまして、五十三年四月十七日の本会議で私も日韓大陸棚を本会議に立ちまして質問いたしました。記憶に新しい六月八日には強行採決。当時私は非常にむなしい思いをいたしたわけでありますが、そういう歴史を体験いたした一人でございますので、端的にお伺いしたいと思います。  お聞きしますと、三本のボーリングを行ったと、しかし商業化可能な石油量がいまだに発見をされていない。当時、政府長期エネルギー需給見通しから見ますと、国内石油供給量昭和六十五年度で百五十万キロリッター昭和五十七年度の実績は四十八万キロリッターですね。したがって、三倍以上となっているわけであります。しかし、最も期待されておりました日韓大陸棚試掘の結果が、現状はまさに供給目標を達成したとは言いがたいのではないか。しかも、ボーリング三本おろしていまだに一滴石油も出ていない。こういう問題になりますと、果たして当時の供給目標を設定した目標というのは一体正しかったのかどうか、こういう問題を含めて、まずひとつ考え方現状状態について、簡潔でよろしゅうございますからお伺いいたします。
  6. 豊島格

    政府委員豊島格君) 先生今おっしゃいましたように、日韓大陸棚法律それから開発協定というのができたわけでございまして、それに基づきまして日韓の両国の開発権者によって五十四年十月から第五、第七、第八小鉱区を中心に物理探査試掘等探鉱活動を続けておりまして、これまで先ほどの先生の御指摘のように三本の試掘を行った。これは第五小区域で一坑、第七小区域で 二坑の試掘をしましたが、商業化可能な石油天然ガスを発見することができなかったということは事実でございます。ただ、これにつきましてはまだ可能性があるということで、五十九年度の探鉱開発計画ということが現在進められておりまして、第五鉱区日本石油開発が従来の物理探鉱等の結果を踏まえまして一坑、五月から実際に試掘を行う、こういうことになっております。  それで、もう一つの点でございますが、実際問題として百五十万キロリットルという目標があったのが五十万キロも切っておるじゃないかということもまた切っておることは事実でございますが、石油探鉱につきましてはいわゆる実際掘ってみなければわからないという点もございまして、現在までのところ日韓大陸棚については十分その当時考えたほどの成果を得てないということですが、我々としては今後にさらに期待したいと、こう思っておるところでございます。
  7. 対馬孝且

    対馬孝且君 長官から今お答えをいただきましたが、これは私、本会議質問と、当時当商工委員会で約七時間二十三分私は質問に立っております。時間がありませんから、ここでポイントだけ申し上げます。  当時はこれは率直に申し上げまして、日韓大陸棚ボーリングをおろしたらもうたちどころに石油が出る、七億キロリッター、当時の河本通産大臣は私の質問に答えているんですよ。そう簡単にこの東シナ海に含まれる日韓大陸棚をなぜ急がなければならないかと各党みんな質問いたしております。しかしあれだけの状況からいきまして、もう約六年たって今長官の言うような、いまだに三本おろしてただ一滴も出ませんというような、この理屈は通らないですよ、はっきり申し上げて。それじゃなぜ強行採決までして急いだかという理屈にならないじゃないですか。当時私は随分、七時間二十三分質問しているわけですから。同僚議員も七時間づつやっているんですから。しかしどうしても急がなければならない、もっと慎重を期すべきではないかと言ったにもかかわらずついに強行採決、こういうふうになったわけです。ちょうど今第七区域でしょう、私持っていますよ、第七区域が一番共同開発の中ではむしろ可能性のある区域である、こういうことも言われまして、我々も随分これ質問を続行したんですが、ついに強行採決になってしまった。だからそれから見ますと、今のような法律を通すためにだけ、埋蔵量の可採は大体七億キロリッターあるという答弁、これに終始したわけでありますけれども、結果的には我々の言ったことと同じじゃないですか。我々は、試錐、ボーリングをおろしたからといってそう簡単に出はせぬ、もっとやっぱり総合的な、長期的な展望に立ってやる必要があるんじゃないか。まして中国との国際問題も絡み、尖閣列島という日本の重要な——当時中曽根さんが総務会長でありましたが、尖閣列島をめぐる日本の固有の領土権をめぐって相当の議論を私もここでやりました。したがって、そういう問題からいってやっぱり慎重を期すべきものであったにもかかわらず、結果は今言ったようなお答えですけれども、これでは当時の日韓大陸棚を行った私は基本的な態度が貫かれていないということに問題があるということで私は質問をしているわけです。  結果はどうだこうだという、それは地下数千尺のことですからとやかく私は言いませんけれども、基本的方向としては、流れとしてはそう二年も三年もかかる状況ではないというのが当時の答弁でしょう。もう六年間ですよ、率直に申し上げますが。ここにおります斎藤委員長だって、当時日韓大陸棚議論に参加しておりますけれども、私はこの点どうも不可解で、本当はこの委員会あたりでやるべき問題ではなくて予算委員会で一回質問したいと思ったけれども、国対、三役の関係上できなかったわけですけれども、これひとつもう一回考え方を、これからどういうふうにそれじゃ——その反省に立たないと、何か、いや結果はこうなってこれからだくだく物が出ますというようなことでは、私は納得できないですよ。どうですか、その点。
  8. 豊島格

    政府委員豊島格君) 今先生おっしゃいましたように、当時共同開発地域、この地域につきましてはエカフェの調査がございまして、現在ESCAPと言っておるわけですが、いわゆる東シナ海大陸棚北部で非常に有望な構造があるということで、その後行われたいろいろな調査でございますが、それによって確かに九州から沖縄方面にかけて、大体あるとすれば七億キロリッター埋蔵量も期待できるというようなことが言われたことも事実でございます。ただ石油開発につきましては先生十分御案内のとおりでございますが、いずれにしても構造というのは、上から見た場合に一つ褶曲構造といいますか、構造的にそこに石油がたまっておるというような可能性がある構造があるわけでございますが、これは物探とか何かでわかるわけですが、実際にそういう構造、金庫の中に石油があるかどうかということにつきましては、掘ってみなくちゃわからないと、こういうことなんでございまして、その点石油開発歴史、最近では探鉱技術が非常に進んでおりますが、いろいろな歴史を見ましても、今にもやめようかと思った最後の一発が当たったということもあり得るわけでございまして、必ずしもここがそうだというわけじゃないですが、そういうものは石油開発には若干つきまどうものだということを御理解いただきたいと思います。  それからもう一つは、我々だけでここは有望と考えたわけではなくて、韓国側がこの大陸棚に関しましてテキサコそれとシェブロン、これはSOCALの子会社でございますが、そういう石油開発の経験豊かなアメリカメジャーに対しても鉱業権を設定するということで、そういうことで開発を急ぐというようなこともございまして、そういう客観的な情勢から見て、我々もそういう観点からこの地区について可能性というのは日本だけの調査じゃなくて、諸外国メジャーもそう見ておったということからやったわけでございます。しかし石油に関しましてはただいま申し上げたようなことがあるわけでございまして、実際にはやっぱり可能性を追求して、実際試掘しなければわからないという、最終的にはそういう点もあることを御理解いただきたいと存ずる次第でございます。
  9. 対馬孝且

    対馬孝且君 これは当時の背景を私は率直に申し上げるんですが、当時私も私らの質問を読み返してみましたけれども、やっぱりメジャー背景がむしろ法律を急いだ、率直に言ってそうなんですよ。当時はこれはアメリカメジャーが世界の石油を支配しておった。その後産油国主導権をとった。当時はまだメジャーの方が主導権を持って、メジャー支配体制の系列の中に日本石油構造というのがくみされておった、これは間違いない事実ですから。そのことが日韓大陸棚をしてむしろ強行せしめた。私はその背景は、当時当委員会でも質問しているんですよ。結果は、今日になればもはやメジャーの力がなくなって産油国主導権を握ってしまった。そういう状態になりはしないかという質問を私はしているんですよ、会議録を見ますと。結果は、今になったら実際にはメジャーというのが、この間も「エコノミスト」に出ましたけれども、機能が低下をして実際産油国主導権をとってしまった、こういう実態に来ているじゃないですか。そこらあたりはやっぱり反省してもらわぬとね、僕ら言いたいのは。  ただここをなぜ僕は言うかというと、結果的にこれらを見ますと、時間もこれだけやるわけにいきませんけれども、実際三本の、私が間違いであれば指摘してもらって結構だけれども、大体ボーリング一本が二十億から三十億でしょう、正直に言って。したがって、三本ということは大体九十億ということですよ。これは日韓共同折半をしたとしたって四十五億から五十億の、現在実際に日石が使われたあれが六十二億ということになっていますね。これは間違いありませんね。これだけのやっぱりあんた金を使って、いまだにただ一滴石油が出ていない。それは公団といったって、これは後から申し上げますけれども、石油公団そのものは国が融資をして、投資をしているわ けです、そうでしょう。それがひいては、それは株式会社そのものに対してもちろん融資をしているわけでありますが、私はそのことよりも大事なことは、当時の基本的な考え方が実際にはそうなってないではないか。それは地下のことだからそれでいいというものでなしに、そういった背景というものをよく私は見てもらいたい。こういう反省に立って、今後やっぱり日韓大陸棚取り組みに当たってもらいたい、このことをひとつ率直に申し上げます。  この開発資金は間違っていれば別ですが、私の数字でいきますと、大体その額になっていますが、いかがですか。
  10. 豊島格

    政府委員豊島格君) 六十億ということで、日石が五十二億、それから布石四億ということでございまして、大体六十億程度投入していることは事実でございます。ただ一言申し上げさせていただぎますと、この金は全部民間企業の負担でございまして、国家資金は投入されておりません。
  11. 対馬孝且

    対馬孝且君 それはもちろんだ。私は後で申し上げますけれども、石油公団探鉱投資という関係からいけば、間接的にはやっぱりそれぞれ会社に融資をする状況になるでしょうと、このことを言っているんであって、そんなことは百も承知で僕は言っているんです。ただ問題は、当時の実態からいくとそういうことになってなかった。これをやっぱり率直に反省していただいて、今後の本格的な共同開発というもののあり方国際関係が絡んだわけですから、ただ日韓が当時急がねばならぬ、急がねばならぬと、ボーリングを一本落としたらすぐ噴水のように出てくるなんて、そんなごまかしなことを言ったって、結果的に国会で法律が通ってしまえば、何か知らぬ顔で通ってしまうという、こういうあり方を私は今言っているんですよ。やっぱりもっと慎重に審議を尽くすべきだったし、韓国まで調査団を出したらどうかという話も出ましたよ、はっきり申し上げて。まあ飛行機であのときは福岡から東シナ海すれすれまで行った、実際に調査団現地調査で。私も知っていますけれども、行ったけれどもやっぱりそれは空の上から海の底が見えるわけじゃないんだから、そんなことを言ったって、そうでしょう。これはただ現地調査という法律を通すための手段だけであって、私はそのことはいいとか悪いとか言っているんじゃなしに、今日になっても、今なお六年を経過をしてもただ一滴石油も出ていない、こういう問題を含めて今後の開発あり方についてひとついま一度見直しをしてみる必要があるのではないか、このことを言っているわけですから、ひとつこのやりとりをお聞きになった大臣として、この問題を含めてひとつ今後共同開発に対してどういうふうにお取り組みになる姿勢か、これをお伺いしたいと思います。
  12. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) この問題につきましては、当時ハウスは違いますけれども、私は与党の国対の副委員長としてこの委員会を担当いたしておったものでございます。対馬先生のおっしゃるような認識以外の理解でもって、私は私なりにこの協定が進むように努力いたしたわけでございますが、結果として油が出てこないという事実については非常に残念な気がいたします。しかし、考えてみますと、探鉱開発というものが、そこに必ずあるんだということになれば、これほどたやすいものはないわけでございます。資源の少ない我が国におきましては、資源そのものも少ないけれども、やはり供給先というものを多角的に求めなければならない。探鉱開発というものは非常にリスクの伴うものであり、金のかかるものであったといたしましても、我が国の場合はあえてこの危険を冒さなければならないこともあるわけでございます。そういう理屈を多々申し上げるわけではございませんが、この程度でも、日本の国の場合ということは、対馬委員も御理解いただけることと思います。結果としてもっと慎重を期すべきであるというような御意見については、十分それはそれとして傾聴に値するものでもございますので、今後大いに我々はかような意味で勉強していかなければならないと考えます。
  13. 対馬孝且

    対馬孝且君 一応大臣のそういうお答えがございましたから、私はきょうこのことを掘り下げてやろうとは思いませんけれども、問題は今言ったように、もちろん資源ですから、これは多角的にこの開発に取り組むということは結構ですけれども、余りにも当時の基本構想と結果が離れてくると、それこそ今の世の中じゃないけれども、やっぱりある程度の確信と展望というものを、なぜこれ私言うかというと、何回も強調するように、あえて強行採決までして行ったにしては、余りにも国民に対して結果としては通らない結果になっているんじゃないか。そこを言っているわけですよ。その意味大臣も、一応そこらあたりを見直してこれから検討してまいりたいという答弁ですから、ひとつそういう意味で慎重な開発に当たる場合の態度として取り組んでもらいたい、このことを申し上げておきます。今のことよろしゅうございますか、そういう慎重な態度開発に取り組んでもらいたい。
  14. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 先ほど私が申し上げたように、我が国資源の少ないいろんな条件ということもございますけれども、要するにこの問題はこの問題として今後慎重に勉強していかなければならない。これは先ほど申し上げたとおりでございます。
  15. 対馬孝且

    対馬孝且君 それじゃ、そういうことでひとつ今後の問題ということで改めて掘り下げて、時間を割いて検討してまいりたいと思っています。  次に、石油公団探鉱投資あり方についてちょっとお伺いをします。  まず、石油公団石油探鉱事業に対する融資はこれまで四千六百億円出していますね。返済は三百億しかない。石油開発時間がかかることを考慮してもちょっとこの三百億、四千六百に対する三百というのはおかしいんじゃないかという感じを私は持つわけです。したがって、自主開発原油輸入の総輸入量に対する割合が、最近十年以上にわたっていますけれども、私の調査では、大体九%程度より伸びていない。こういう点からまいりますと、石油公団の、つまり投融資成果ということが一体上がっているのかどうか。こういう問題についてはどのように認識をされているか、これをひとつお伺いしたいと思います。
  16. 豊島格

    政府委員豊島格君) 石油公団探鉱投融資事業につきましては、民間企業自主努力を前提といたしまして、これに探鉱資金の出資または貸し付けを行っておるわけでございます。  現在までのところ、どういう成果が上がっているかということでございますが、具体的に申し上げますと、生産プロジェクト、既に開発して生産ができるプロジェクトでございますが、これが大体石油ショックの起こりました四十八年に六プロジェクトあったのが、現在十五プロジェクトと倍以上になっております。  それから、供給地域でございますが、最初はアラビア石油、これは石油公団保証でございますが、九割以上が中東であったということでございますが、五十七年度には六六%ということで、七割以下に中東依存が減っておるということでございます。    〔委員長退席理事降矢敬義君着席〕  それから、開発した油田は年々井戸が減耗していくといいますか、生産も減っていくわけでございまして、これを補てんしつつ、現在生産力を高めておるわけですが、大体現在のところ、輸入は確かに先生がおっしゃいましたように、一〇%以下の三十二万バレルぐらいでございますが、潜在的には六十万バレルぐらいの供給能力を持っておると、現在のところそこまでちょっと持ってこれない事情があるものですから、そうなっております。  それから、石油危機が起こりました七三年、それから七八年でございますか、七三年か四年、それから七八年にかけましては、当時、一般の輸入は相当減ったわけですが、そのかわりに自主開発原油はむしろ比率をふやしたという、量もふえたということでございまして、そんなことから見まして比率が減らなかったり、影響度合いが少ない といいますか、自主開発原油をやっただけの効果はあったということが言えると思います。  そのほか試掘成功率、これはいろいろとり方がございますが、一応諸外国に比して遜色のない成果を上げておるということで、さらに将来の展望といたしましては、中国渤海湾プロジェクト珠江沖の新プロジェクト等々、今後生産の増をするものもございまして、そういう意味で、これまで石油公団探鉱投融資事業については、かなりの成果を上げてきておると私どもは考えておる次第でございます。
  17. 対馬孝且

    対馬孝且君 成果が上がっているということですが、これは私の調べによりますと、昭和四十八年から五十七年までの間に、これは石油公団探鉱投資総額というのが七千七百三十六億ですね。七千七百億、約一兆円近い石油公団投資で実際に得た、成功しているという今お話しですけれども、これはリッター当たりに換算したらどのぐらいにつきますか。私の数字が間違いであれば別ですけれども、七千七百三十六億、約一兆円ですね、石油公団の五十七年までの投資額が。これは年別にずうっと出ていますから申し上げても結構でございますが、恐らく、五十九年ですから、五十八年までは約一兆円近いんじゃないですか。それに対する公団探鉱投資をしたリッター当たり計算からいくとどういうことになるんですか。
  18. 豊島格

    政府委員豊島格君) ちょっと今計算をしないとわからないわけでございますが、公団の対象企業による輸入量というのは、たしか五十七年度までの累計で三億キロリッターぐらいだと思います。それに対して七千七百三十六億というのは事実でございますが、この割り算になろうかと思います。ただ、この計算といたしましては、探鉱をしてまだ探鉱中のもの、あるいはこの探鉱によって今後も開発に移行したものがさらにどんどん生産されていくということでございまして、そういう油田の将来の生産量を見なければわからないわけでございまして、探鉱生産までに至る段階でさらに開発という行為がございます。  そういうことがございますので、今の段階で従来の探鉱累計とキロリッターを割ってやるということは、いささかちょっと数字計算としては必ずしも、先生の御指摘のような計算もできるわけでございますが、別の観点からの何といいますか、評価が必要ではないかと存ずる次第でございます。
  19. 対馬孝且

    対馬孝且君 しかし、七千七百三十六億も——五十八年度、五十九年度でいうと、千三百億、千四百億ですから、二千五百億ぐらい加えますとちょうど一兆円になるんですよね。一兆円を今の数字で割ってみると、そう海外から実際に入ってくる輸入の原油よりもむしろ高いという、割高につくという、こういう計算になるんじゃないですか。私はこの点、投資をすることが悪いと言っているんじゃないんですよ。悪いということを言っているんじゃなくて、そういう公団投資をした結果というものがどのように将来の展望を発展さしていくかと、こういう意味でのもっと厳しい対応等が必要ではないのかということを考えるものだから御指摘を申し上げているわけです。    〔理事降矢敬義君退席、委員長着席〕  そこで、私は具体的に備蓄の関係をちょっとお聞きしますが、石油業界において石油消費量の低下を挙げて、五十七年十月には六千二十万キロリッターから、ことしの一月でいきますと五千二百三十九万キロリッター、したがって七百八十一万キロリッター、これが石油の備蓄量として減少さしている。一方、国の方は五十九年度は二百五十万キロリッターの積み増しをしています。五百二十万キロリッター、それから四百五十三万億円という安い民間備蓄を逆に取り崩している、これは私の調査の結果でありますが。そうなりますと結果的には千七百万キロリッターで千七百七十九億という莫大な高い国家備蓄の金をかけている。つまり民間備蓄の方が非常に安くて国家備蓄の積み増しというのは非常な割り高になっている、こういう不合理性が今日の時点で出ているわけなんでありますが、これは何が一体原因だというふうに把握をされておりますか。民間備蓄と国家備蓄の割合というものは高くありませんか、この点どうなんですか。
  20. 豊島格

    政府委員豊島格君) 先生質問の趣旨、理解を十分にしてないと申しわけないと思うんですが、民間備蓄につきましては備蓄法によりまして九十日分の備蓄をしろということを義務づけておるわけでございます。したがいまして実はこの五十五年、五十六年、五十七年と三年間消費量が減りまして、それに伴いまして民間はそういう意味から言いますと当然経済負担もございますので、実際は落としておるということが事実でございますが、これは法律上の義務は十分守っておるわけでございまして、計算いたしますと九十五日とか七日とか、実際上は経過的には持っておるということでございます。  それからもう一つ、コストの面でどうかという御指摘かと思いますが、民間につきましては私ども九十日のうち四十五日というのはランニングストックである、これはまあ特に義務がなくても操業上当然持つべきものでありますので、これを超える分、四十五日分につきまして実際問題として助成をしておるということで五〇%、五・五というのを利子補給をそれらの分についていたしておるということでございまして、五十九年度から若干その辺の助成を強化しようと、こう考えておるわけでございまして、そういう意味国家備蓄における全部自分の金で国が責任を持ってやるという場合と、民間がそういうふうな法律の義務に基づいて履行するのに対して、応分の助成をするということで若干予算ないし資金コストとしては同一には比較できないものではないか、こう思う次第でございます。
  21. 対馬孝且

    対馬孝且君 いや、同一には見られないということじゃなくて、端的に聞くんだけれども、国家備蓄と民間備蓄のコストの割合というものは、民間の方が相当安いんじゃないですかと、こう言っておるんですよ。その点どうなんですか。
  22. 豊島格

    政府委員豊島格君) 備蓄コストにつきましてはキロリッター当たり幾らかかるかということでございまして、民間備蓄タンク大体私どもキロリッター当たり四千八百円ぐらい。それに対しまして現在既に実施しております国家備蓄基地のむつ小川原でございますが、これの備蓄基地の借上料というのはキロリッター当たり三千七百円でございます。これだけ比較いたしますと確かに国家備蓄が安いということですが、国家備蓄基地の建設につきましては借入金で建設をやって、実際問題としてそういう利子補給が行われているわけでございます。したがってそういうコストを入れたらどうなるかということでございまして、これにつきましては、初年度と最初の三年間ぐらいは五千円を超えるぐらいになりますけれども、平均いたしますと大体私どもの現在の計算では四千円ぐらいということでございまして、いろいろ比較もあろうかと思いますが、決して国家備蓄基地の方が民間備蓄基地よりも、借上料その他のコストを入れて必ずしも高くはなっておらないというのが私どもの計算でございます。
  23. 対馬孝且

    対馬孝且君 これは私らの出した調査資料によりますと、逆にその土地の、例えばむつ小川原ならむつ小川原、苫小牧東部なら東部を買い上げをする買い上げの償却年限を何年に置くかということも一つはありますね。それからタンクの個数が、どのくらいの数を置くかということももちろんありますね。こういうものをずっとはじいていきますと、結果的には国家備蓄が高くなるんですよ、ここ五年ないし七年の兆候を見ていきますと、結果的に高値になっていく、こういう趨勢が出てくる。こういう数字がエネルギーフォーラムにも出ていますけれども、大体そういう趨勢が五年ないし七年には民間備蓄より国家備蓄の方が高くなる、こういうことはむしろ何が問題かと言えばやっぱり土地とタンクの関係というものをもっと精密に点検をしあるいはやり方を見直す必要があるのではないか、こういう提言をされているのです。私はその意味で今申し上げているわけですよ。しかし今言った中でも実際はこれを見てみる と四千円と四千八百円ですから、八百円というけれども、これからの実際の苫小牧東部あたりのあれを見ると逆に五千五、六百円になる、こういうことを言われておるのですけれども、私は北海道を例にとってしゃべっておるわけですけれども、こういう観点からいくと、やっぱり必ずしも国家備蓄ということが民間備蓄に比例をして安いのだということにはならない、このことを私は指摘をしておきたいという意味なんですよ。これが一つ。  それからもう一つは、時間もありますから、私の表によりますと、五十八年十二月段階では民間備蓄が九十七・七日、それから国家備蓄が千三百七十五万キロリッターで約二十四日分、これは間違いございませんか。
  24. 豊島格

    政府委員豊島格君) 第一の点でございまして、今後の建設されていく国家備蓄基地の実際のコストがどうかということになりますと、必ずしも現在のむつ小川原の場合と同じかどうかと言いますと、その辺は今後の問題でございますが、私どもとしてはできるだけ安くコストも下げるということの努力は最大限しなければいけない、こういうことで公団あるいは備蓄会社を指導しておるところでございますが、そもそもの議論としては、一言申し上げますと、国家備蓄につきましては一時的に民間の基地を使うということも可能でございますが、最終的にはやはりみずから持たなくちゃいけないということでございまして、そういう考え方のもとにできるだけ安くという努力をしていかなくちゃいけないということでございます。  それから第二の点につきましては、先生数字で結構かと存じます。
  25. 対馬孝且

    対馬孝且君 そうすると今後の国家、民間備蓄の趨勢でありますが、私はそういう確信を持って申し上げているわけですから、そういうこともひとつ配慮しつつこれらの対応に取り組んでもらいたいということが一つ。  それから今出ておる九十七・七日、通常当委員会でエネルギー庁が言っている民間、国家備蓄を合わして百二十日あると大体ベターである、こういうふうに今まで言われてきていました。これで見ますと、九十七・七日の二十四日ですからほぼ百二十日を達成するわけでありますが、より高いにこしたことはないでしょうけれども、備蓄趨勢としてはそういうふうに大体目標の達成ラインに到達している、こういう理解をこの点はしているんですか。
  26. 豊島格

    政府委員豊島格君) 当時国家備蓄を三千万キロリットル、六十三年度までに積むというときには、大体当時の消費量から見て民間備蓄九十日に対して三千万キロリットルが大体三十日分ということで百二十日ということを考えたことは事実でございます。ただその当時の世界のといいますかIEA諸国の備蓄の日にちというのは大体百二十日で、石油依存度あるいは海外依存度から見まして、大分日本の方が弱い脆弱な体質でございますが、そういうことはともかくとして、せめてIEA諸国の平均並みということでございました。ただし、その後もますます国際情勢その他を考えまして、備蓄の重要性がふえてきておりまして、現在IEAの平均は百六十七日になっておるわけでございます。そういう観点からいたしまして、石油のその後の需要が減ったということもございまして、三千万キロリットルというのは当時考えた三十日でなくて五十日を超える数字でございますが、やはり諸外国並みということまで考えますと、どうしても三千万キロリットルは要るということで、いまだそういう観点では十分でないということです。なお、五十日強ということになると百四十日ぐらい、IEAの計算ですと大体デッドストックを引きますので三千万キロリットル積み増しても、民間の備蓄と合わせまして大体百二十八日ぐらいでございまして、そういう意味で、現在既に目標を達成しているということではなくて、今後三千万キロリットルに向けて積み増すことによって、できるだけ世界的な水準に近づけるということが現在の目標でございます。
  27. 対馬孝且

    対馬孝且君 今長官からIEAは百六十七日というのは、今の段階で現在の百二十一日ですから百二十七日あるいは百三十日に近づけるという方針は私も了といたします。そうだとすれば、その石油備蓄を増大することは私も賛成ですから、これはセキュリティーから言って、安全保障の見地から言っても当然だと思うのです。ところが、ここでちょっとお伺いしたいんですが、石油業界が現在千五百万キロリッターの余剰タンクがある、こう言っていますね。一方、国の高額費用をかけて新規のタンクを建設するのは不合理ではないか。なぜそういうことを言いますかと申しますと、政府石油業界の石油が先高と見るとみずからタンクを利用するという、不安定だと称して、逆に私に言わせますと民間タンクを利用しないでいわゆるタンカーで現在備蓄をしている。これじゃ備蓄を増大したいという考え方を言っているけれども、私の聞いているのは現在民間のタンクは余剰タンクがたくさんある。それに対していまだにまだタンカーが実は実際問題としては備蓄でもって、私の指摘が誤りであれば別でありますが、五十八年度の時点で五百五十万キロリッターの原油を国家備蓄としてタンカーに十九隻備蓄をされています。五十九年度では八隻、陸上のタンクに切りかえた。六十年度においてはタンカー備蓄を全廃するという考え方に立っている。しかし現在、民間石油業界では千万キロリッターのまだ余裕のタンクがある。しかも原油一キロリッター当たりでいきますと年間二千円高くなる。タンカーの場合一キロリッター二千円高くなる。この計算でいきますと、年間百十億もタンカー備蓄のために高い負担増になっているんですよ。私はどうもこのやり方は納得できないね。備蓄は増大しなきゃならぬ、民間の余剰タンクはがらがらあいていると、キロリッター当たりで二千円も余計かかるタンカーの方に実は備蓄をしている。これはどういうことなんですか。政府はいつも口では行政改革だとかなんとかと言って公務員給与から始まって、すべてを抑制しておいて、ここへいくとさっぱり行政改革は出てこない。率直に私申し上げるんだけれども、私のこの考え方が間違いなら別で、一キロリッター当たり備蓄コストは陸上で四千九百円、タンカ−備蓄で六千九百円、先ほど言った、キロリットル当たり二千円格差がございます。これは間違いでしょうか。
  28. 豊島格

    政府委員豊島格君) 今、いろいろな御質問があったわけでございますが、一つはタンカー備蓄と民間タンクとの関係でコストはどうかということでございまして、まあ先生の御指摘のようなタンカー備蓄との差のこともございましたけれども、最近では油の価格が下がったといいますか、運航費も若干下がっておるというようなこと、あるいは実績から見まして現在二千円より少し差は小さくなっておりまして、千五百円程度という数字も出ておりますが、これは若干変動するものでございますので、二千円ぐらいのときもあったかと思います。それからタンカー備蓄、それだけ高くて民間に相当余裕があるのに、どうしてまだ積んでおるのかということでございますが、タンカー備蓄がそもそも始まりましたのは、先生案内のように、当時国家備蓄基地も完成しないということで民間にも空きタンクがないという時代において暫定的にやったわけでございまして、最高五十六年度末では三十五隻、九百九十万キロリットルをタンカー備蓄しておったわけです。しかし民間のタンクもあいてくる、あるいは国家備蓄基地もできるということで五十七年に八隻、それから五十八年度にさらに八隻おろしまして、五十九、六十で残りを全部おろすということで、従来タンカー備蓄非常に貢献をしたわけでございまして、一挙にやることについては影響もございますが、しかしそういうこともございますが五十九、六十で一切なくすということで現在進めておるところでございます。
  29. 対馬孝且

    対馬孝且君 長官ね、私はこういうことを言いたくないんだけれども、本当に現実にこれは新聞報道でも出ておりますけれども、間違いなら別だけれども、朝日新聞にこのようにちゃんと出てい るのは、現有タンカーの備蓄が三光汽船、ジャパンライン、川崎汽船、日本郵船、東京タンカー、親和海運、出光タンカー、山下新日本汽船、日正汽船、太平洋海運、二十七隻で、しかし今の朝日新聞見ると百六十億ですよ、はっきり申し上げて。私の計算でも百十五億というのを百六十億というの、間違いなら別だけれども。こうなるとやっぱり片方では先ほど言ったように人員整理から始まって、すべてを行政改革だ何だと言って思いを早めて、片一方ではこういうことがまかり通るというのは、これは何も政府として本当にマイナスシーリングに食い込んで、今や健康保険法や老人保険法で切り捨てまでやる。これは私に言わせれば海運業界を救うためにただやっているんだというふうに言われたってしようがないんじゃないですか。こういう意味ではやっぱり私はここで見直すべきであるということを言いたいわけです。一日も早くこれを解消するという方向に立って、むしろそれをほかに使えとは言わぬが、私は長官もおっしゃるとおり、やっぱり備蓄を百六十日なりIEAの方向へ近づけるためにも、むしろ民間備蓄タンクに切りかえていくべきではないか、そうすることがやっぱり我々のエネルギー供給、エネルギー需給見通しの政策に合致するのではないか、このことを申し上げているわけですから、いかがでしょう。
  30. 豊島格

    政府委員豊島格君) 御指摘のように、目的を達成するためにコストを最低限にするということは非常に大事なことでございまして、そういう観点からタンカー備蓄については過去における非常な功績といいますか、それなりの意義というのがあったわけですが、現在としては民間備蓄タンクも余っておるし、あるいは国家備蓄基地も出てきておるわけですから、できるだけ早くおろすということは必要だと思います。これまで二年間で十六隻おろしたわけですが、今後二年間で十九隻全部おろしちゃうということで、一挙に今の時点でおろすということが一番それは手っ取り早い方法であろうかと思いますが、いろいろと急激にやることにもあれでございますので、行政改革といいますか、行政の合理化というのも若干の期間も要るということもあろうかと思いますが、いずれにしましても、できるだけ早くおろすという考え方では先生のおっしゃるとおり実行したいと思っております。
  31. 対馬孝且

    対馬孝且君 今のやりとりを聞いておりまして、大臣お聞きになったとおりでありまして、少なくとも今言った私の考え方に立って、そういう特殊の業界を救うということの目的でなしに、やはり本来石油備蓄をして、そういう行政改革をおっしゃるならば、そういうむだを排除して、やっぱり本来の石油備蓄という方針に向かって対応すべきものである。この考え方についてひとつ大臣の感想を含めて結論をお伺いしたいと思います。
  32. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) この問題につきましては昨年八月の総合エネルギー調査会におきまして、厳しい財政状況に照らして、相対的にコストの高いタンカー備蓄の陸揚げの促進ということも指摘されているわけでございます。したがいまして、タンカー備蓄につきましては、政府としましては、五十九年度においても引き続き陸揚げを進める予定になっております。
  33. 対馬孝且

    対馬孝且君 むしろいま長官お答えになったように、ひとつ早期に全面切りかえに一段と努力をしてもらいたい、そのことを一つ大臣に申し上げておきたい。よろしゅうございますね。
  34. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 先ほど申し上げたように、段階的に進める予定ということになっておりますので、御理解願いたいと思います。
  35. 対馬孝且

    対馬孝且君 ひとつ段階を早期に全力を挙げて前進しますように特に申し上げておきます。  それで、次に、時間もあと少のうございますので、実は十三日付の新聞報道によりますと、下北半島に対しまして、いわゆる低レベルあるいは再処理基地としての適地であるということで、近く二十日ごろに東電の平岩社長が現地に赴く、こういう新聞記事が掲載をされています。これはなぜこれを質問するかと申しますと、私は今本当は原子力問題を実はやりたかったのでありますが、時間が余りありませんから、こっちの関係を申し上げますけれども、その前に一つお伺いしておきたいことは、放射性廃棄物の対策につきまして、大臣としてどのようにお取り組みになるか、これを一つまずお伺いしておきます。
  36. 松田泰

    政府委員(松田泰君) 放射性廃棄物の対策につきましては、五十七年の原子力委員会長期計画が現在定められている基本方針でございますが、現在我が国といたしましては、低レベルの放射性廃棄物につきましては、原則として海洋処分と陸地処分の両方を考えておる次第でございます。海洋処分につきましては、先生御存じのように、試験的処分から本格的処分に移すという方針でございますが、現在国際的な会議の場で検討が行われておりまして、関係各国が寄り集まって、科学的な方法についてのコンセンサスを得るという努力がなされている状況でございます。陸地処分につきましては、現在発電所のサイト内にそれぞれ貯蔵施設を置いてためている状況でございますが、永久的な処分をいたしますためには、サイトの外におきまして適当な時間貯蔵する貯蔵場所を定めて、そこに貯蔵するという方針で進む計画を持っているわけでございます。  なお、高レベルにつきましては、現在固化いたしまして、長期間貯蔵した後処分をするという方針のもとに固化技術の開発等につきまして、動然のパイロットプラントを建設中でございます。二〇〇〇年のできるだけ早い時間までに処分の技術についても確立したいという方針で臨んでおるわけでございます。
  37. 対馬孝且

    対馬孝且君 通産省、通産大臣よりもむしろ長官にお伺いしますけれども、五十九年一月二十六日付の報道によりますと、原子力環境整備センターに、つまり放射性廃棄物の施設貯蔵の問題の安全性を推進するために、「原子力環境整備センターに委託」という見出しで出ておりますね。これは間違いございませんか。
  38. 豊島格

    政府委員豊島格君) 低レベルの廃棄物処理に関しましては、原子力の環境整備センターに、いわゆる貯蔵に関するいわゆるシステム、これはどういうふうに運搬してどういうふうにやるかという問題あるいはその安全性の実証のための委託ということを現に五十八年度もいたしておりますし、五十九年度もそういうことで調査委託をするということは事実でございます。
  39. 対馬孝且

    対馬孝且君 そうだとすれば、今現在、ただいま、廃棄物問題については原子力委員会としても小委員会をつくって鋭意検討中であると。時間もありませんから私の方で申し上げますけれども、今、長官もお認めになったように原子力環境整備センターに委託をしていることも事実であります。そうだとすれば、ちょっと電気事業連合会が四月十八日に開く定例社長会の懸案となっておりましたウラン濃縮、使用済み核燃料再処理、低レベルの放射性廃棄物の貯蔵の核燃料サイクルの三施設を青森県下北半島太平洋岸に建設する方針を決め、平岩会長らが四月二十日に青森県に進出の意向を伝え、協力を要請するとの新聞報道がなされております。これにつきまして科学技術庁長官、通産大臣も基本的に了承を与えている。新聞報道が誤報であれば別ですが、こういう報道のあること自体が私はどうも納得できないのでありますけれども、片っ方で研究はやっぱり相当慎重に二年間かかって慎重を期せねばならぬ。今、長官もお認めになったように、片っ方は環境整備センターに委託をしている。しかも原子力基本法では言うまでもなくこれは自主、公開、民主と、これは原子力基本法の鉄則であります。そういう段階でどうして、これは読売新聞の報道になっておりますけれども、これが間違いであれば別ですけれども、私はそういうことはあり得ないと、こういう前提でお伺いするわけでありますが、この点どういうふうにお考えあるいは受けとめているのか、この実態が、一体こういう経過が本当になされておるのかどうか、あわせてこれはお伺いします。
  40. 豊島格

    政府委員豊島格君) 新聞報道でございますが、これにつきましては核燃料サイクルの確立と いうことからして低レベルの廃棄物につきましても濃縮とか再処理含めましてでございますが、立地地点をどうするかということは電力業界にとって大きな問題でございます。そこでその候補として十八日の電気事業連合会の社長会で青森県について核燃料サイクル施設を立地するという、そういう話し合いといいますか、そういうことが行われるということを聞いております。そこで、もしそれが行われれば、現地と交渉しようということが決定されれば平岩さんが、会長が行かれるということになろうかと思いますが、通産省といたしましてはまだそういうことに対してこれは民間がまずやることでございまして、オーケーを言ったとか承諾したとか、そういうことではございません。これから立地の交渉が始まることを見守っていくということ、もしそういうことになればそういう立場にあろうかと思います。  それから、もう一つの点でございますが、環境整備センターに委託費を出しておるじゃないかということでございますが、先ほど松田審議官からもお答えを申し上げましたように、低レベルの廃棄物の処理につきましては一定の方針のもとに進めることといたしておりまして、現在環境整備センターに委託をしておりますのは、それをいかに効率的に合理的にやっていくかというシステムないし方式についての検討をやっておるわけでございまして、安全性に関しましてもできるだけ能率よくやるということの研究をしておるわけでございます。そういう意味で立地地点についていろいろと電力会社が検討をし、またそういう地点について立地を求めでいろいろな交渉をするということ自身はそれ自身として大事なことであろうかと、こう思っております。
  41. 対馬孝且

    対馬孝且君 今、長官のお話を聞きますと、業界としてそういう検討をされるのは、これは横から検討されることは結構でございますけれども、業界の検討の段階であって、政府としてこれに了解を与えたという事実ではないと、これは間違いありませんね。
  42. 豊島格

    政府委員豊島格君) その立地地点の決定につきましては、電力会社が主体としてやることでございまして、当然地元との話し合いということが前提になるわけでございまして、そういう行為を、まだ地元との話し合いが具体的に行われ、また地元がオーケーという段階でない時点で政府がそういうところに立地を決定する、了解すると、こういう問題ではないということでございます。
  43. 対馬孝且

    対馬孝且君 府府としてそういう基本的了解を与えたという段階ではないと、明快な長官お答えですからわかりました。  大臣、科学技術庁長官は来ておりませんけれども、通産大臣長官が基本的に了承を与えたという報道になっておるものですから、これは大変なことだということでお伺いしておるわけでありまして、今の長官答弁どおりで結構だということですか。
  44. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 結構であります。
  45. 対馬孝且

    対馬孝且君 わかりました。そうすると、結果的に新聞は誤報であったということになりますね、いわゆる基本的な了解を与えてはいない、こういうことですから、わかりました。  そこで一つお伺いするのでありますが、かねて北海道の例の幌延の廃棄物貯蔵庫の問題、それから奥尻の島の、一応これも問題が出ました。これは前に、五十八年の衆議院の段階でも実は議論をされておる問題でございますが、その後、幌延の問題についてどのように当局として把握をされているか、これをひとつお伺いいたしたいと思います。
  46. 豊島格

    政府委員豊島格君) 幌延につきましては、確かに一時地元が誘致したといいますか、そういう事態があったことは事実だと存じます。ただ、現在のところ、電力会社と地元との間でこの話が具体的に進められているというふうには承知しておりません。
  47. 対馬孝且

    対馬孝且君 そうすると、その後の動きはないというふうに確認してよろしゅうございますか。
  48. 豊島格

    政府委員豊島格君) 特に動きはないと私どもは承知いたしております。
  49. 対馬孝且

    対馬孝且君 もう一つ。それじゃ、奥尻の問題もその後の進展はない、これは再確認の意味でちょっとお伺いしておきますが。
  50. 豊島格

    政府委員豊島格君) 同様に奥尻につきましても、具体的な進展はないと聞いております。
  51. 対馬孝且

    対馬孝且君 そうすると、五十八年の、昨年でありますけれども、衆議院段階で、今も、答弁がございましたけれども、これは、当時の河本通産大臣にいわゆる泊原発について私は当委員会質問いたしました。これは大分前であります。たしか五十五年の段階だと思いましたが、この質問の際には、このように答弁をされているわけです。あくまでも原子力開発という問題は、これは原子力基本法で言うまでもない、自主、民主、公開の原則である。もっと大事なことは、住民のコンセンサスを得ることが基本である。この住民のコンセンサスを得ずして、これらの問題を行うという考え方は毛頭私はないと、こういう鉄則的な、当時の通産大臣お答えでございますが、今、言ったむつ小川原の問題にいたしましても、あるいは幌延の問題にいたしましても、そういう基本を踏まえて、政府としてはそういう考え方でこれからも対応する、こういう認識は間違いございませんか。そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  52. 豊島格

    政府委員豊島格君) 核燃料サイクルの確立ということは絶対必要なことであることは間違いございませんが、ただ、その場合にどういう地点をやるかということにつきましては、当然のことながら、地元との十分な了解を得た上でやっていく、これはあらゆることに共通しておるわけでございまして、そういう観点から進められるべきものだと思っております。
  53. 対馬孝且

    対馬孝且君 これは、十三日の報道が出てから、現地から我々の方にも来まして、これはえらい大変なことだと。というのは、認識をもっと深くする意味——私、なぜ今の問題を、河本通産大臣の発言をとらえたかと申しますと、これは下北半島の場合は単に低レベルだけの問題じゃないんですね、大臣、そうでしょう。これは明らかにウラン濃縮、使用済み核燃料の再処理、核燃料サイクルの三施設、こういう基地ですから、これは単に低レベルの段階ではないんです。重要な、むしろ高レベル以上の問題を、ここで基地化しようというわけですから、それだから私あえてこの発言を今出しておるわけですから、今の長官の言葉では、十分住民の納得を得られるように行うことが基本である、こういう考え方お答え願いました。  そこで、大臣に、北海道幌延を、今あえてそれを出しましたのは、そういうことで、ぜひひとつ政府考え方を聞いてもらいたい、こういう不安感をなくしてもらいたいということで、今、私は聞いたわけでありますが、このむつ、下北半島の問題を含めて、先ほど申しましたように、住民のコンセンサスを十分得ることに全力を挙げる、この基本に立って慎重に扱ってもらいたい、この方針に変わりがないかどうかということをひとつ大臣から直接お答えをお願いしたいと思います。
  54. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) おっしゃるとおり、住民のコンセンサスを得るということが一番必要なことでございまして、もとよりそのような方向でやってまいる所存でございます。
  55. 対馬孝且

    対馬孝且君 よくわかりました。それじゃそういう方向であるという大臣の所信、方針を踏まえまして、我々も現地にそういう不安のないように対応するように、ひとつ我々も理解を深めてまいりたい、こう思っておるところでございます・  そこで、前回ちょっと時間がなくて聞けなかったんでありますが、ひとつ今までの当委員会との関連の中でお伺いしておきますが、石油のやみカルテル判決に対しまして、この前、公取委員長だけにお伺いしたものですから、通産省としてあのやみカルテル最高裁判決をどのように受けとめているかということが一点、これまず冒頭にひとつお伺いします。
  56. 山田勝久

    政府委員(山田勝久君) 本件は基本的には司法の問題でございますので、具体的論評は差し控えさしていただきたいと思いますけれども、この判 決の中で、行政指導というものにつきまして独禁法との関係について整理が行われております。  まずその内容でございますけれども、一般消費者の利益を確保し、国民経済の民主的で健全な発達を促進する行政指導を適法なものと判断いたしております。そして、適法な行政指導に従った事業者間の合意は、形式的には独禁法に違反するように見える場合であっても、その違法性は阻却されも、こういうふうにいたしているわけでございます。そういうふうに受けとめております。
  57. 対馬孝且

    対馬孝且君 この判決の基本というのは、言うまでもなくこれは消費者の保護という観点から非常に最高裁がウエートを置かれまして判決したことは間違いございませんね。消費者の保護、それから市場の競争の原理ということの二つを柱にこの判決がされたというふうに私は確認をして、判決を認識しておるわけです。その点もあなたは公表すべきものじゃないというけれども、判決したんだから公表もへったくれもないんだよ。最高裁が出した判決の認識を僕は聞いているんであって、その点はどうなんですか。
  58. 山田勝久

    政府委員(山田勝久君) 基本的認識については、先生の御指摘、私どもそのとおりだと思います。
  59. 対馬孝且

    対馬孝且君 そこでお伺いするんでありますが、この行政指導の限界というのをどの辺に通産省は認識をされているか、これひとつ聞きます。
  60. 山田勝久

    政府委員(山田勝久君) 行政指導論でございますけれども、私どもといたしましては、経済が非常に変動いたしている、そういう変動する社会に適切に対応していくためには、必要に応じまして行政指導というものを行っていくわけでございますけれども、その場合に、まさに事業者間で独禁法違反が行われることのないように十分注意をすることといたしておりますし、また公正取引委員会との連絡も十分図って対処していくわけでございます。  さて、その限界ということに整理をいたしますと、一つは、今申し上げましたように、独禁法違反を招かないという点、これは当然の限界でございます。それからもう一つ、行政指導の相手方の協力が必要でございますので、それもまた限界でございましょう。強制するとかいうことではございませんで、行政指導の相手方の協力ということが行政指導にとっては当然のことであり、また考えようによってはそれが一つの限界かと思います。こういったことを踏まえまして、社会経済の実態というものに応じて、適宜、適切な措置を講ずるということが肝要だと思っております。
  61. 対馬孝且

    対馬孝且君 そこでお伺いしますが、石油業法第十五条は、言うまでもなく、一つ生産調整ですね、いわゆる目標に対する数量の問題、それとやっぱり、つまり私も四十九年狂乱物価の際に、国民生活安定緊急措置法、それから石油業法第十五条によって、標準額を定めることができる、こうありますね。それから、著しく生産の高低があった場合に通産大臣の発議によってこれを調整することができる、こうありますね、これは間違いないと思いますが、私も四十九年以来この問題を取り上げてまいりましたから。  そこでお伺いするんですが、今回の判決を踏まえて通産省として、つまり石油業法第十五条による、経済の変動その他を踏まえて標準額を決めることができると、あるいは標準額を設定する、つまり私の言うのは、行政指導を行う必要性というものについての認識は変わっているか変わっていないか、この点ちょっとお伺いします。
  62. 松尾邦彦

    政府委員松尾邦彦君) 先ほども山田審議官の方からお話がございましたように、行政指導そのものは一般的に一定の要件のもとに必要なことがありますし、また必要なことについての適法性についても最高裁の判断が示されたと思いますけれども、石油につきましても今後とも流動的な国際情勢の中で機動的に内外の情勢に対応するための最小限度の介入は必要だと思っておりますけれども、具体的に今お示しございました石油業法十五条の販売価格の標準額、この設定の根拠を定めたこの十五条の規定を具体的にどのように適用するかにつきましては、そのときどきの内外の石油情勢を慎重に判断した上で適用すべきか否かを考えていくことにいたしたいと思いますが、いずれにいたしましてもこのような規定の発動あるいはそれに準ずるような行政指導を実施するに当たりましては、独禁法上問題を生ずることがないよう十分公取とも連絡調整を図りながら、一層配慮してまいるようにしたいと考えております。
  63. 対馬孝且

    対馬孝且君 あの判決を受けまして通産省側が、つまり行政指導に対する範囲あるいは具体的な指導要綱というのを出したというふうにお聞きするんですが、いかがでしょうか。
  64. 山田勝久

    政府委員(山田勝久君) 行政指導一般につきまして最高裁の判決というものを受けて、先ほど私御答弁申し上げましたように、時々刻々変わる情勢に応じて、いかなる場合に、そしてまた、あるいはその方法、社会通念上適正、相当と認められた方法、そういったような最高裁の判決の中のことを外しましてこれから適切に対処してまいるという方針でございまして、こういうことでございますという、より細かな方針をたくさんつくったということはございません。ただ、これを受けて一般方針として先ほど私御答弁さしていただいたようなことで対処をしていくということでございます。
  65. 対馬孝且

    対馬孝且君 そこで、もうちょっと具体的にそれじゃお伺いしますが、この間の、昨年の八月の石油の値上げの際に通産省がある程度上限、下限というわけじゃないけれども、つまり十八リッター千三百五十円をあるいは千五百円にするとか、例えば上限、下限を設定すると、こういう行政指導をされると、された例もありますね、率直に申し上げて。これはたしか五十三年のときに標準額六百三円というのをやった例があります。ああいう設定の仕方について、今回の判決、ちょっと大事なことなので聞いておくんですが、「標準額を定めることができる。」という、仮にあの当時十八リッター六百三円を定めたと、この六百三円を定めたこと自体が実は行政指導にも問題があるという理解ではないと思うんですけれども、それだからもう行政指導は一切やらないんだよという意味のことは言っていませんけれども、ある程度の行政指導を著しくやっぱり灯油価格なり、まあ北海道の場合、全国的にそうですけれども、灯油価格なりあるいはガソリン価格というものが上がってくると、上がってくれば、もちろん市場の競争の原理であるけれども、異常な高値を呼んでくるという段階になってきた場合については、やっぱり政府としては石油業法第十五条に従って当然行政指導をすべきものであるという私は考え方に立っておるが、この点いかがでしょうか。
  66. 松尾邦彦

    政府委員松尾邦彦君) 先ほど来お答え申し上げているように、最高裁の判決におきまして行政指導につきましては一定の要件、例えば一般消費者の利益を確保し、国民経済の民主的で健全な発達を促進する行政指導であれば適法だということは指摘されているわけでございますけれども、私ども先ほど申し上げましたように、石油に関する安定供給確保の要請にどのようにこたえていくかということにつきましては、基本的にはできるだけ市場メカニズムの中で達成することが基本であろうと考えております。ただ、内外の石油情勢は時に応じて大変大きな変化もいたすわけでございますので、仰せのように従来灯油の価格を初めその他の石油製品の価格につきましても、私どもとしましては、その時点におきまして最も適当だと考える方法によりまして指導を行い、あるいは石油業法の運用を行ってまいったわけでございますけれども、現時点で考えますならば、当面現段階で判断し得る内外の石油情勢のもとにおきましては、できるだけ市場メカニズムの中で価格形成が行われることが適当だという判断に立っておるわけでございます。
  67. 対馬孝且

    対馬孝且君 それじゃずばりお伺いしますが、行政指導の範囲、限界というのは、従来の通産省が行政指導を行った方針に変わりはない。ただ、その場合、公取との関係で独占との関係があるので、公取と十分連絡をとりながらカルテル協定に ならないように、行為にならないように行政指導はいたしてまいりますと、こういうふうに受けとめてよろしゅうございますか。
  68. 山田勝久

    政府委員(山田勝久君) そのとおりでございます。
  69. 対馬孝且

    対馬孝且君 それじゃこの問題を通しまして、ひとつ石油業法を見直すべきであると、これ駒沢大学の松尾先生が、こういう判決を受けまして、この際石油業法十五条を見直して検討、廃止すべきである、つまり言うならば行政指導の介入、あるいは量の調整、十五条はこの際見直すべきではないかという御意見に対して政府はどのようにお考えになっていますか。
  70. 松尾邦彦

    政府委員松尾邦彦君) ただいま仰せの先生の論文は直接私拝見したわけではございませんけれども、石油業法制定してから二十数年の時日を経まして、果たして石油業法は現状のままでよいのかどうかということにつきましては、かねて各方面から問題意識を指摘されているところでございますので、私どもといたしましては、現在石油審議会におきまして石油業法のあり方について御議論をいただいているところでございます。  ただ、従来五十六年十二月までの段階では石油審議会の小委員会におきまして、いろいろ客観情勢の変化はございましたけれども、石油業法は石油の安定供給を確保するという政策目的の観点から現段階においても存在意義を有しており、現代の要請に合うように行政介入を漸次縮小、緩和していくことによって対応すべきであるとの報告をいただいております。なお、この報告の後、現在もなお審議会においてあり方を具体的に御議論ただいておりますので、いずれその結論をいただきました段階でまた行政当局としての判断をいたしたいと考えておりをする。
  71. 対馬孝且

    対馬孝且君 それでは石油審議会の議を経て検討いたしてまいりたいと、こういうお答えですね。そうすると今の場合は石油業法を変えるという、当面変えるという考え方はないと、こういうふうに了解していいですね。
  72. 松尾邦彦

    政府委員松尾邦彦君) 石油審議会の御議論を経てその上で考えてみたいと思っておりまして、現段階で改正するということを行政当局として考えているわけではございません。
  73. 対馬孝且

    対馬孝且君 時間が来ましたから、大臣、今の答弁でよろしゅうございますか。一応、現段階では石油業法を変える考え方はないというふうに確認してよろしゅうございますか。
  74. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) そのとおりで結構であります。
  75. 対馬孝且

    対馬孝且君 質問を終わります。
  76. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。     —————————————
  77. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) 次に、機械類信用保険法の一部を改正する法律案及び繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。  両案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  78. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 機械類信用保険法の一部を改正する法律案に関しまして、本件に関して大臣の所信表明演説の中に、十五ページにちょっと書いてありますが、わざわざ行政改革の推進という名を打って書いてあるんですが、果たして機械類信用保険業務を中小企業信用保険公庫に移管することが、わざわざ行政改革推進というタイトルを打ってまでする値打ちがあるものかどうか、この点についてお考えをお伺いしたい。
  79. 志賀学

    政府委員(志賀学君) お答え申し上げます。  機械類信用保険制度と申しますのは、昭和三十六年度から発足した制度でございますが、この間現在までおかげをもちまして中小企業の設備の近代化、経営の合理化、あるいは機械工業の振興、そういった目的に即しましてかなりの成果を上げてまいったというふうに私ども思っております。  ちなみに、最近五年間の事務量の増加状況を見てみますと、包括保険契約数で申しまして年約九%、あるいは引き受け保険金額の伸び率、同じく五年間で年平均二三%というようにかなり急速に伸びてまいっているわけでございます。  そこで、私どもといたしまして、従来からこの事務量の増加に対応いたしまして、事務の合理化、効率化に努めてまいったわけでありますけれども、今後さらに中小企業の経営の合理化、設備近代化の意欲というものが引き続いて強いということを考え合わせますと、さらに今後事務量が引き続いて増加するであろう、こういう見通しを私どもとして抱いているわけであります。そういうことに対応して考えていきますと、より一層の効率化ということを図っていかなければならない。こういうことで、私どもといたしまして従来からいろいろ効率化のためにどのようにしていったらいいだろうかということについて検討してまいりました。  そこで、その結論といたしまして、このたびこの中小企業の信用補完という同じような業務をやっております中小企業信用保険公庫に保険制度というものを移管したらどうだろうか、そういうことによりまして、中小企業信用保険公庫が、現に従来の業務の遂行を通じまして、例えば信用の調査あるいは信用の審査、そういった点についてのノーハウの蓄積というのがございますし、あるいは保険公庫におきましてコンピューターの利用というのを積極的にやっておられるわけでありますけれども、そういった保険公庫の大型コンピューターの活用、あるいはコンピューター要員のマンパワーの利用ということも考えられるということで、そういう意味合いから、今後機械類信用保険制度の事務の効率化というものを図っていく場合に、やはり中小企業信用保険公庫に移管したらどうだろうか、こういう結論を得たわけであります。かたがた、保険公庫の方にお話を申し上げたところ、保険公庫の方でも喜んで引き受ける、こういうお話でございました。そういうことで、今回御審議をいただいておりますように、この保険制度を中小企業保険公庫に移管する、こういうことでお願いをしたわけであります。  ただ、同時に、他方におきまして、私ども通産省において特許制度、特許の仕事というのはこれまた大変事務量がかさんでおるわけであります。で、特許制度の合理化を図っていかなければいけない。そういうことから特許庁において特許特別会計を設ける、こういうことを検討してまいったわけであります。で、そういう特別会計の新設につきましては、この臨調の答申におきましても、特別会計の新設というものは極力慎重にしていかなければいけない、こういう方針が打ち出されておるわけでありまして、そういう面から申しまして、私どもの方といたしまして、先ほど申し上げましたように、事務の効率化という観点から、この機械類信用保険特別会計というものを廃止して、保険公庫の方に移すという要請、それから、かたがた特許の方の要請というのがたまたま合致いたしまして、両面総合的ににらみまして、今回のような方向に決めさせていただいたわけであります。そういう意味合いにおきまして、行政改革の趣旨にも合致する、こういう意味で私どもは考えているわけでございます。
  80. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 委員長、それぞれ大体のことはわかっておりますから、時間については、できるだけ聞いていることの要点を答えるようにこれからしてもらいたいと思うんです。  実は最後の臨調答申の中で、特別会計をこれ以上ふやさない、こういうことで特許会計を特別会計に持っていく、そういう点で一つどこかを持っていこうということで、これを公庫の方に移管するというのが一番大きなポイント、ウエートがここにかかっていると思うんですね。ですから、それはそれなりにはっきりそう言ってもらって、ただ、それを公庫に移管したから仕事ができると言うなら、それなら今までやっていたことが不十分であったのかということにもなりますし、どうも前のことは納得いきません。それはそれで大体のことはわかっておりますから。  ただ、人は三十四名ですか、移行するのは、出向するのは。
  81. 志賀学

    政府委員(志賀学君) 三十二でございます。
  82. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 三十二ですか。
  83. 志賀学

    政府委員(志賀学君) はい。
  84. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 その出向者については、あくまで身分は出向ということですね、永久に。そしてまた通産省に帰ったり行ったりするということ、こういう前提に立っていいんですね。労働条件についても全く同じですね。
  85. 志賀学

    政府委員(志賀学君) お答え申し上げます。  ただいま先生から御指摘ございましたように、三十二名の者がこの保険公庫の方に出向をするということで考えております。これは、業務を円滑にやっていくということによりまして、利用者に御迷惑をかけない、こういう趣旨でございます。  ただ、もちろん出向いたします職員につきましては、当然その復帰を前提にして、これは本人のもちろん希望にもよるわけでありますけれども、復帰を当然の前提にして出向ということになるわけでございます。
  86. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 一応その問題については、今さらなぜ移さなければならないかという点ではちょっと納得いかない点があるんですが、次に移ります。  繊維工業の構造改善法の一部改正に関する案でありますが、これはもう大臣に答えていただきたいんですが、大臣の所信表明演説の中で「新繊維産業ビジョンを踏まえ、繊維産業の先進国型産業への脱皮を目指すことといたします。」ということで、非常に厳しい繊維産業がこれからは先進国型産業への脱皮も可能だ、目指す、こういう強い目標を指摘されておるわけですが、果たしてそういう可能性があるのかどうなのか、この点についての中長期の見通し等について答えていただきたいと思います。
  87. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 我が国の繊維産業は、言うまでもなく、石油ショックなどによりまして深刻な不況に見舞われたのでございますが、最近ようやく回復の兆しが見えてまいりまして、業界といたしましても、前向きの構造改善に積極的に取り組もうという意欲が見えてきたわけでございます。我が国繊維業界が、自主的な構造改善努力によりまして五年間で技術力、創造性を生かした先進国型産業へと転換していくことも十分可能と思われる情勢にあるわけでございます。  したがって、政府といたしましても、今後五年間に構造改善の実効が上がるように積極的に支援してまいる所存でございます。
  88. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 そういうことで、例えばフランスとかどこか先進諸外国の中で、例えば今指摘されたような先進国型産業に脱皮をしたというような経験を踏まえてここで強調されているのか、あるいは日本独自でやってみせる、こういうことを言っておられるのか、そこのところをひとつお聞かせ願いたいと思う。
  89. 黒田真

    政府委員(黒田真君) 先進国型産業というふうに新しい繊維ビジョンの中で名づけておりますが、これは既にある先進国にその前例があるということでは必ずしもございませんで、先進国が持ついろいろなポテンシャルを生かして技術力あるいは創造性、そして人材あるいは非常に大きな、かつ深いマーケットというような先進国の持つ、先進社会の持つポテンシャルを生かすような、そういった産業になるだろう、なり得るんだ、こういうことでございます。これは特に先進国型と申しましたゆえんのものは、とかくどちらかといいますと繊維産業というものが発展途上国型産業というふうに従来イメージされてきたというようなことに対置する意味で先進国型と申しておりますが、特別のモデルが既に存在しているということではございません。そういう意味では日本が新しいものをつくり出していくということでございます。
  90. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 ぜひそういう方向で新たな決意をして取り組んでいただきたいと思うわけですが、実は私の地元で、下請工賃あたりというのはもう十年、第一次オイルショック以降は上がってないと言うんですね。それを一体、最低賃金すれすれで働いてもらって、どうしてカバーしているのかと、こう聞くと、とにかく機械入れたり合理化してやっと何とか企業を続けているという下請の経営者の嘆きを今よく聞くんですね。ですから、なかなか今言われているようにそうは簡単にいかないと思いますが、これから将来にわたっては長期ビジョンの中の答申でうたわれております「特定品目の輸入急増によって国内産業に重大な被害を生じるような場合にはMFAを適用した措置をとること。」もあり得るという指摘をされておりますが、この点についてはそういう方向で検討する余地はないのかどうなのか。
  91. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 我が国といたしましては、我が国繊維産業の創造性、活力を減退させるような輸入規制、そういう保護的措置は可能な限りやるべきではない、差し控えるべきであると考えているところであります。  しかし、いかなる場合においても国際繊維取り決めを発動しないということでもございません。輸入急増品目に対しましては、事態に即して実効ある適切な措置をとり得るよう引き続き輸入動向あるいは企業倒産状況等をも含めた国内需給状況等を注視してまいりたいと思っております。
  92. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 この問題については最後ですが、ぜひ下請の実態やなんか本当に一番苦しいところ、こういうところをよく見て、これから行政指導なりあるいはこれからの指導計画、こういうのをぜひつくっていただきたい、指導していただきたいと思うんであります。よろしくお願いいたします。
  93. 黒田真

    政府委員(黒田真君) 確かに下請工賃等についていろいろな問題があるということは、私どもも承知をしておるわけでございますが、やはりこれが繊維産業が先進国型というふうな脱皮をしていきます過程で、付加価値を高めていくというようなことに成功いたしますならば、もちろんその配分の問題というのもあるわけでございますけれども、パイを大きくすることによってまた工賃を引き上げ得るという可能性も出てくるわけでございまして、繊維産業が国際的にも十分立派に生き延びていけるものになっていく過程で、そういったいろいろな下請の工賃の問題等も解決さるべきだというのが基本に置かれる必要があると思います。もっとも付加価値がついたから自動的に下請のところにその恩典が及ぶというわけにも必ずしもまいらないかもしれませんが、その辺の問題につきましては、もし一方的な経済的優位性の乱用によって不当に低い水準の工賃を押しつけられるというようなことがありますならば、これは当然のことでございますが、取り締まり法規というものもございますので、関係の省庁と十分連絡をとるということをいたしたいと考えます。
  94. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 以上で急ぎ急ぎですが、機械と繊維は終わらしていただきます。  次に通産大臣に、所信表明演説の中で内需中心の経済運営をやる、こういうところが至るところ出てきておるのですが、先般七日の日に経済企画庁長官についてはこの辺については篤と聞いたのですが、通産大臣の決意を具体的に一体どこがどうするのか、こういう点についてお述べいただきたいと思います。
  95. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 実は昨日も通産省におきまして地方通産局長会議を開きまして各地域状況等をつぶさに聴取したのでございますが、我が国経済の回復はそれらの報告を聞きましても確かに緩やかなテンポではございますけれども、確実に回復していることは事実でございます。しかしながら、反面、中小企業の倒産が非常に多いということ、地域によって景気の回復とはいうものの非常にばらつきが多いというような動向がはっきりしていることは事実でございます。このため政府といたしましても、通産省といたしましても、内需を中心にして景気を確実に回復するということを持続的に施策を行っていかなければならないところでございますが、具体的には民間活力を喚起するために、第一に設備投資減税、例えばエネルギー関係投資減税、あるいは中小企業向けに対しましては、技術体化投資促進税制 というものを創設いたすわけでございます。  さらに二番目には、民間活力を旺盛にするために各種の規制を緩和してそこに民間の力を導入する、いわばそのような環境を整備するということが大切でございましょう。と同時に、このような経済情勢に対処して機動的あるいは弾力的な金融政策をとっていく、そして一方において中小企業に対しましては、五十九年度に通産省といたしましてさまざまな中小企業対策を施したわけでございます。通産省の予算の中においても石油特会を除いたあとの一般会計の半分はすべて中小企業対策費でございまして、このような方向によりまして今後景気の拡大、内需を中心とする景気の拡大というものを図ってまいる所存でございます。
  96. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 わからないことはないんですが、投資減税というのは、これは主に減価償却の特別償却制度が中心になっていると思うんですが、もうかっている企業は投資減税の影響を、恩恵をこうむるわけですが寸先般もここで申しましたように、赤字法人が半分以上占めているような状況の中でなかなか投資減税だけで、一つの大きな柱にしておりますが、それがことしの内需の喚起に間に合うかどうか。それから民間活力、いろいろな難しい規制を取っ払ってやると、こう言われておりますけれども、お題目みたいにいつも言われるのですが、それがことしの内需の拡大に一体間に合うのかどうなのか。それからやっぱり抜けていると思うのは、個人の消費ですね、個人の所得をいかに伸ばして個人の消費がいかに伸びるか、ことしがやっぱり一つの大きな勝負どころだろう、ここのところを一体大臣がどう考えるか、この三点についてもう一度お伺いしたい。
  97. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) さればといって投資減税というものは今の内需の拡大、景気の回復策に対して大変有効であるということが御理解いただけると思うのでございます。そこで別の面で実はけさの閣議でもって本年度の上半期における公共企業等の執行に関しまして、決定いたしたわけでございますが、それはまず「内需の振興に資するような執行を行うこととし、景気の動向に応じて機動的・弾力的な施行を推進する」、そしてさらに「各地域の経済情勢に十分配慮し、景気回復の遅れている地域においては、地方公共団体との緊密な連携の下に、必要に応じ、施行の促進を図る」等を決定いたしたわけでございます。これによりまして、本年度の上半期末における契約済み額の割合はおよそ七〇%を超えるとの見通しでありまして、この措置によりまして内需中心の景気回復がより着実なものとなるとともに、景気回復のおくれている地域の改善にも資するものと私どもは考えておるのでございます。
  98. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 個人消費の問題、その点についてはちょうど今ベースアップの時期でありますし、四・四%から非常に去年並みのような状況なんですね。この点についてはやっぱり国の経済をあずかる通産大臣としてはまあ一言これももうちょっと希望とすればもっと高目に出てほしいぐらいのことはここで言えないですかね。大臣に聞いているんですよ。
  99. 山田勝久

    政府委員(山田勝久君) 最近の個人消費の動きは大型小売店の販売額統計によりますと、最近ちょっと増加をいたしております。もっともいろいろ天候要因によって変動はございますが、緩やかに回復をしてございます。例えば今年に入りまして、一月は前年同月で四・七%と増加いたしておりますし、二月はこれはうるう年でありましたものですからちょっとよけいになっておりますが、七・四増加しております。それでこの春闘でございますが、新聞情報によりますと、昨年の四・四を上回りそうだということでございますけれども、こうした民間企業の労働者の賃金水準、これがまさに先生御指摘のように、個人消費の変動につながってくるわけでございますけれども、全体のカバレージをざっと見ますと、おおよそ四分の一ぐらいではないかと思います。しかし、民間企業における賃金の決定というのはそのときどきの経済情勢あるいは労使の自主的な話し合いというもので行われるべき問題と存じておる次第でございます。
  100. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 私も長い間賃上げの団体交渉や何かずっとやってまいりまして、その辺のことは労使で決まるかどうかということは言われなくてもわかるんですよ。ただやはり経済をあずかる通産省としては、例えばもうかっている電力なんかは出すとか、出せるところは出すとか、そういう前向きに国の個人の消費が伸びる、そういうところに結びつくような景気のいい話がどんどん出てきてほしいわけですね、どうでしょうか大臣
  101. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 景気回復の責任を持つ通産省といたしましては、やはり設備投資の推進であるとか、また個人消費の拡大をもとより大いに心がけていかなければなりませんけれども、先ほど申し上げましたような方針に沿って諸政策を進めてまいりたいと考えております。
  102. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 特に大臣、中小企業問題というのは非常に言葉では国の大もととずっと問題の展開をされておりますが、そして幾つかの柱を掲げておりますが、やっぱり中小企業に今もう少し活力を与えるとすれば内需が拡大し、個人消費が伸びてくる、ここが一つの大きなポイントであろうと思うのです。河本長官も、それはほとんど中小企業対策というのが、そこがポイントだとこう言われたのですが、大臣もその辺については異論はないと思うのですがいかがでしょう。
  103. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) もちろん同じであります。
  104. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 公共事業の前倒しの問題ですが、前倒しについてこれはわかるのですが、後半の落ち込みについては今何かお考えはお持ちじゃないですか。後の後半ですね、公共事業の発注。
  105. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 政府といたしましても、通産省といたしましても上半期七〇%を超すであろうという見通しにとどまっておりまして、後の半期につきましては現在のところ施策を及ぼしておりません。
  106. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 その辺が実際に私どもが業界の皆さんや何かと話していると、前に来るのはいいのだけれども後が手が浮いてしまう。ですから、そういう点では十日の政府と自民党の連絡会議の中で河本経済企画庁やら金丸総務会長ですか、この点について発言をされた。意地の悪い言い方ですが小此木通産大臣の話は出てないのですが、後半やっぱり国民生活に密着した、国民生活にかかわりある部分で、やはりそういう社会資本の投資をするような面での手は何らかの形で打たなければ、賃金が今このくらいの上昇率の中では、これは政府が言っている内需の拡大三・六%の見通しもなかなか厳しいような状況になってくると思うのですが、その点についてはいかがでしょう。
  107. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) もちろん上半期のことだけを考えて下半期のことだけは知らないよという態度ではございません。今後の経済動向、景気動向においてこれに対処していくという責任ある考え方を持っておるということは御理解願いたいと思うのです。
  108. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 中小企業の関係ですが、官公需の発注について、これも各自治体から官公需発注に関する法律の一部改正にかかわる意見書、これがどんどん今上がりつつあると思うのですが、もしまとめた数があれば県、市町村単位ぐらいまとめて知らしていただきたいのですが、ありますか。
  109. 中澤忠義

    政府委員(中澤忠義君) 各自治体から中小企業庁に寄せられております官公需施策に関する意見書でございますが、最新時点の四月十六日現在で県から出てまいりましたものが六件、市から参りましたものが十八件、町から参りましたものが二件でございまして、合計二十六件でございます。
  110. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 どうもこの点については通産省の方も鋭意指導を強めておられるようでありますが、聞くところによりますとまだまだ行き渡ってない、こういうことでありますので、ぜひさらに官公需の発注についてはできるところはどんどんやれ、こういう強い行政指導を切にお願いをしたいと思うのです。これはもう回答は要りません。  それから、最後になりますが、通産大臣、「省エネルギー及び石油代替エネルギーの推進につい てこというところで「LNG、水力、地熱等の石油代替エネルギーの開発、導入の促進については、昨年十一月に改定された石油代替エネルギーの供給目標の実現に向けて一層の努力を傾けてまいります。」と、こう言われておりますが、実は私も帰って驚いたんですが、私の地元の大分の、地元の各紙全部取り上げた内容なんですが、臨海産業地帯の六号地に九州電力がLNGの発電所を建設ということで、これが「突然の大幅延期」という大きな記事が出ているのですね。これは四月十日の記事ですが、これは去年の二月に九電と県と地元の大分市が協定に調印をした、半強引と思われるような節がやっぱりあるのです議会決議もですね。もちろん危険があるということで周囲の反対もあるのですが、そういう運動が一方でありながら、強引に決定をしたんですが、それが今度は大幅に延期と、早くて十月着工ですね。こうなっているんですね。だから、この点について、これは九州電力だけじゃないと思いますが、この点について、大臣の所信表明演説と中身は非常に関連がありますから、お聞きをしたい。なぜ一体こんなにおくれたのか。通産省は、やはりこれを建設を許可をした時点で、もう一年前ぐらいの話ですから、やはり今日の時点がどうして見抜けないのか、何というか、来た資料にぽっと判をついてやったのかどうなのか、この点についてお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  111. 豊島格

    政府委員豊島格君) 先生おっしゃいました新大分LNG火力でございますが、まあLNG火力、代替エネルギーということで促進しなくちゃいけないわけですが、実はこのLNGにつきましてはオーストラリア、それからカナダ、こういうところにソースを依存しておるわけですが、その二つのプロジェクトにつきましては、地元のいろいろな事情がございまして予定どおり進まないということで、いわばやむを得ない事情によって遅延せざるを得なかった、外国の事情もございましてもっと早目にわからなかったかという御指摘もあろうかと思いますが、そういうことでやむを得なかったんじゃないかと思っております。
  112. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 やむを得ないと思うと言われる結びですが、これは通産省が当事者でなければやむを得ないということは、これは言えるかと思うんですが、しかし、実際にこの建設許可を了承したのはやっぱり通産省ですからね。それはやっぱり地元民について反対運動もあるし、そして一方的に強引に短期間のうちに結びつけて、そして建設するということで協定をしながら、一方でちょっと相手側の事情でこれは延びますよ、これはやむを得ません、それはもうさっきの石油の話じゃないけれども、余りもう一年先のことが見通しが立たないというのは、一体どういうお仕事をされておるのか、この点について、通産省としてはやむを得ないだけでは済まされぬのじゃないですか。
  113. 豊島格

    政府委員豊島格君) 先ほど先生、許可とおっしゃいました。これは、実は電調審を通ったわけでございまして、電力会社が建設するに当たっての最初のステップとしてのオーソライズされたものですが、具体的にはまたそれに基づきまして、電気事業法八条許可等が要るわけです。確かにおっしゃいますように、見通しが悪いんじゃないかということでございますが、電調審を通るときには、一応の予定のところを記載しておるというのが実情でございます。したがって、それもなるべく予測と実態が合うということが地元の方々との関係からいっても、必要なことはわかっておりますし、そういう意味で全くやむを得なかったと言いっ放しにしてよろしいかどうかという御指摘があれば、その辺はもう少しちゃんと見通しがよくなくちゃいけないんじゃないかということも思っているわけです。ただ、いずれにいたしましても、電力会社が値上げを実施するに当たりましては、やっぱりLNGの問題につきましては、ほかの石油とか石炭等と比べまして、より固有のソースというものをやるわけでございまして、そういう意味で若干弾力性が欠ける点もあろうかと思いますが、地元のことも考えますと、できるだけ早く現地との折衝をうまくやって、この問題を解決していくということが必要かと思います。
  114. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 これは、大分合同新聞というのは、百二十万ちょっとの県民の中で約二十万部ちょっと読まれている新聞の一面なんですが、ちょうどLNGの発電所の下に地熱発電所八丁原の、これも大分県と熊本県の県境にあるのですが、二、号機着工もこれもおくれるという記事が載っているわけです。悪くとれば燃料確保の問題も確かにありますが、もう一つは電力需要が非常に今伸び悩んでおると、だからそういう状況の中であえて急いでいろいろ見通し立たないものを急いでつくる必要がないんじゃないかと、こういうような電力会社の見通しというか判断の上に立って決断をされた面も感じられるのですが、こういう点はもうないですね。
  115. 豊島格

    政府委員豊島格君) 昨年の十一月にエネルギーの長期需給見通しを見直しまして、エネルギー全体につきましてもあるいは電力につきましても需要がスローダウンするということは御指摘のとおりでございます。したがいまして、全般的な問題としては当然需要想定に基づく発電所の建設計画ということも全般的にはあり得るわけでございますが、本件につきましては地元との話し合いも進んでおったわけでございますし、主たる要因といいますか、基本的にはソースがうまくいかなかったと、LNGのソースの開発が予定どおり進まなかった。八丁原につきましても地熱発電も出ておりますが、これも思ったほど蒸気が出なかったということでございまして、この点に関しては私どもそういう供給源の問題が主たる原因だと御理解いただきたいと思います。
  116. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 なかなか電力会社、このLNGの発電所というのは基地から入れますと設備投資の金額が大きいから、周りの業者というのは、工事をやろうかという人は魅力のある仕事でありますね。いわばそういうところを一つの雇用効果というのは非常に少ないのですが、やっぱり目玉にして世論を吸いつけて、そして半強引にやはり協定に持ち込んだ内容と見ておるんですがね。ですからちょっとしたことでもう延ばしますよとか、やりませんよというようなことがよくあるのですが、こういうようなことのないように、これは余り業界の電力会社の勝手な、ちょっと油が上がったらもう電力料を大幅に値上げをしてくる。私がやっぱり前回大幅な電力料の値上げのときに通産省の公聴会に行ったのですが、私、調べてみましたら、電力会社というのは一番都市の中央部の一番いいところに支店を持ち、土地をどこでも持っておりますね。それからまたいい山を持っておりますし、水源涵養林みたいな形で伐期の来た切れる杉やヒノキをたくさん持っております。大変な財産を持っておりますけれども、普通の民間の企業だったらもうつぶれる、あるいは値をそんなに大幅に電力料を上げなきゃならないようなときには、これはもうそんな財産を一応国なら国に買ってもらって、そしてどうか電力料金を上げてくださいよと、これが普通なんです。ところがこれはもうちゃんと公共事業だとかなんとか言って、公益事業だと言ってこれはもうそのままにして上げるものはどんどん上げる。今度のやり方もわあわあ騒がしておって、そして勝手にちょっと見通しが狂ったからと言ってやめる。反対運動は一方ではある。これはもう勝手なやり方に対して、もう少し住民の立場に立った指導を通産省の方で強くしてください。そのことを要請をして、一言お答えをいただいて終わりたいと思います。
  117. 豊島格

    政府委員豊島格君) いろいろ電力会社、公益事業でございますので、そういう自覚のもとにやらなくちゃいけないということは先生御指摘のとおりでございまして、特に発電所の建設あるいはLNGの基地とか等々につきましては、当然のことながら地元の十分な理解、コンセンサスを得て進めなくちゃいけないということでございますが、これがせっかく得たものがまた予定が狂うということになりますと、その問題につきましては地元に混乱を招くというおそれなしとしないわけでございますが、そういう場合にもやはり計画を変更するとか、そういう場合にも十分地元の市町 村初め、地元の方々にも十分理解を得て混乱のないようにどうすればいいか、そういうことまで考えてやるように十分指導していきたい、こう思っております。
  118. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 ちょっと繰り返しますが、もう一分ありますから。  さっきのお答えは、地元ということは、例えば地元の契約当事者であります県、県知事あるいは大分の市長と九電側と十分相談をするように通産省の方で指導する、そして対処するということなんですね、LNGの問題についても。
  119. 豊島格

    政府委員豊島格君) LNG、本件についてはそうでございますが、全般的にいろいろな事情で発電所の建設を、工期をおくらせるというケースも出ておるわけでございます、ほかの地域でも。そういう場合に、十分そういう事情について御説明し、そういう地元の意見も伺ってよく理解を得て進めていく、そういうふうに従来から指導をしておるところでございます。
  120. 田代富士男

    田代富士男君 最初に私は、繊維工業構造改善臨時措置法改正案について質問をしたいと思います。  御承知のとおりに、繊維業界におきましては昭和四十九年度より施行されました繊維工業構造改善臨時措置法のもとに、異業種間のグループ化によります知識集約化を目指した構造改善を推進してきたわけでございますが、この間に二度にわたりまして御承知のとおりにオイルショックを受けたわけなんでございます。それに伴いまして、景気の後退や、また発展途上国の追い上げによります極度の業績不振といいますか、そういうものが目立ち、その進捗率というものは低迷していることは御承知のとおりでございます。  そういう意味から、この目的がどの程度達成されたのか、また五十四年の改正以降についてはどう評価しているのか、最初お答えただきたいと思います。
  121. 黒田真

    政府委員(黒田真君) ただいま御指摘ございましたように、昭和四十九年、現在のような法律の形をとりまして以後、たまたま石油ショックというようなことの影響を非常に強く受けて内需が低迷をいたしましたし、また御指摘のように海外の環境、近隣の発展途上国の追い上げも厳しいということで、非常に困難な状況にございました。したがいまして、そういった状況から繊維産業全体として構造改善の進捗が十分であったかということになりますと、それは全体として必ずしも十分とは言えなかったのではないかというのが全般的な評価のように思います。しかしながら、この法律の制度を利用いたしまして、事業者の構造改善努力による多くの異業種連携グループというものが現実にスタートもいたしております。また、必ずしもこの法律自身の制度を利用しておりません場合でございましても、この法律に示された考え方が生かされるというようなことがあったと思います。その結果、この新しい繊維法が目的といたします消費者ニーズに適合いたします製品を適宜、適量に供給するという体制は徐々にではございますが形成されつつあるように思います。  また、目を輸出に転じてみますと、一時非常に縮小傾向をたどっておりました輸出も、日本独自の技術開発力を生かしたような製品が大変健闘をいたしまして、予想外のというような形容詞が用いられるような健闘状況を示しておるところでございます。  また昨今、アパレル産業というものが、企業によって格差はございますけれども大変進展しておる、順調な成長をアパレル産業全体として示しているというようなことは、やはりこの法律、過去十年間の一つ成果というふうに言えるのではないだろうか、かように考える次第でございます。
  122. 田代富士男

    田代富士男君 ただいまお答えただいたとおりに、必ずしも十分とは言えないというのが現在の実態ではないかと思うわけでございますが、しかし、この構造改善事業の中核的存在といたしまして、繊維構造改善事業協会が事業を強力かつ計画的に推進する使命というものを担っているわけでございますが、具体的にその構成、規模、事業内容について伺いたいと思いますし、またその果たしてきた役割についてどのように評価しているのか、さらに今後この協会が行う技術指導員の研修事業内容、またその効果についてどのように考えていらっしゃるのか、あわせてお答えただきたいと思います。
  123. 黒田真

    政府委員(黒田真君) 繊維構造改善事業協会は、国が四十六億円を資本金として出資いたしておりますが、さらに、私ども川上と呼んでおります紡績あるいは合繊メーカーから、川中の織布あるいは編み物、そして川下のアパレルという広い繊維業界を挙げて出揃を行うという官民連帯の組織でございまして、現在約六十億の基金をもって仕事をしております。定員は四十九名ということで事業を実施しておるわけでございます。  この協会の業務といたしましては、繊維事業者が構造改善計画というものを行います際に、その資金の債務保証を行うということがまず第一でございます。また、新商品の開発あるいは需要動向の調査というものを行う際の助成ということも行っております。アパレル産業の人材育成というようなことが、その必要性がうたわれておるわけでございますが、そういった人材育成のための教材等を提供するというようなこともやっております。また、技術指導事業というものに対する助成もこの協会を通じて行うというようなことで、従来進めてまいりました繊維工業の構造改善におきます中核的な推進母体ということで、いろいろ業界のお世話をしてきたというふうに考えるわけでございます。  そして、今後新たに技術指導員の育成事業というものをつけ加えるようにこの法律をお願いをしているわけでございますが、その内容なりねらいはどういうことかということでございますが、従来から技術指導というものについて、零細企業に向けての指導を行ってまいりました。これはどちらかといいますと、非常に基礎的、基本的な技術というものを零細な人たちに対して指導するということでございましたが、最近は非常に、新しい技術というものを繊維産業に対しても導入すべきであるという要請が高まりつつあります。特に私ども、多品種少量短サイクル化対応というような言葉で呼んでおりますが、ほかの業界でございますと、フレキシブル・マニュファクチャリング・システムというふうな言葉が使われているかと思いますけれども、そういった目まぐるしく変わります需要というものに素早く対応できるような生産体制というものを、新しいコンピューター制御技術等々を利用しながら繊維産業にも導入をしていく必要があるじゃないか、こういう視点に立ちまして、むしろそういう高度の新しい技術というものを繊維事業者に指導し得る、あるいは普及できるようなそういう技術指導員というものを、この際育成しようということで新しい事業をお願いしているわけでございます。  若干細かくなりますが、具体的に申し上げますと、この繊維構造改善事業協会におきまして五十九年度からの事業として考えておりますことは、最新技術情報や生産工程管理技術などの習得のための技術指導員に対する研修業務というのが第一でございます。  それから第二に、新技術の開発導入状況など、研修の基礎となる情報の収集、調査等を行う技術情報調査業務というものも考えております。  そして第三に、研修業務の有効性、効率性を高めるため、一定以上の能力を持つ人材というものをあらかじめリストアップをいたします人材名簿というようなものを作成しようというようなことで、現在、業務の内容を考えております。  こういった新しく養成された指導員が全国にあります繊維業者を指導することによりまして、先ほど申し上げましたように多品種少量短サイクル化という、非常に目まぐるしい需要に対応するために要求されております生産体制に新しい技術を取り入れていくということにお役に立つのではないだろうかと、かように考えているところでございます。
  124. 田代富士男

    田代富士男君 今、具体的に御説明をいただきまして、広い繊維産業を挙げて仕事をしているん だと、そして今後新しい技術をこの繊維産業に導入をしていきたいという決意はわかりましたけれども、この構造改善の仕事に取り組んでいらっしゃいますけれども、私も調べてみましたけれども、なかなかこれが進んでない実情ではないかと思いますが、その進んでない点はどういう点であるかということを私なりに要約いたしますと、まず第一番目には商品企画力が不十分であるという点ではないかと思いますし、第二番目にはハード、ソフト両面の生産体制の整備がおくれていると、三番目には先端技術の導入がおくれていると、四番目にはファッション産業の国際的地位の確立がされてない、こういうことが要約すれば言えるんじゃないかと思いますが、それぞれについていかに施策を講じていかれるのか、お答えをいただきたいと思います。
  125. 黒田真

    政府委員(黒田真君) ただいま御指摘になられましたような諸点につきまして、我が国の繊維工業の知識集約化へ向けての構造改善努力というものが必ずしも十分ではないではないかという点は、昨年秋にいただきました繊維ビジョンの答申の中でも既に指摘されているところでございます。  したがいまして、このため今後、繊維工業というものが先進国型に脱皮をしていくために、構造改善を進めていくという際には十分ただいまのような問題点を克服するための努力が必要だというふうに考えるわけでございまして、政府といたしましても、かかる繊維事業者の自主的な努力というものを側面から支援をしていきたいというのが基本的な考え方でございます。  個別に若干ブレークダウンしてお答えをいたしますと、確かに商品企画力を強化する、そしてこれを具体化するためにはハード、ソフトの両面で生産体制というものを整備すべきであるということはまことに御指摘のとおりだと思います。特に近年、急速に多様化、個性化、高級化しております消費者のニーズというものに即応した商品というものを供給していくためには、生産側におきまして、従来の業種区分を超えた複数の異業種にまたがる企業が共同で商品の企画あるいは開発を行うと同時に、非常に多品種で、個々にはロットが小さいという商品を効率的につくり出していくという生産技術、そしてそれに見合った設備の導入というものが必要だと考えております。実は今申し上げたことは、この法律が予定をしております異業種連携グループを組織して、繊維事業者がそういう異業種連携グループを組織しますとともに、商品開発センターというものを設けて、ここで商品企画力を強化し、そこで開発された商品の生産のための新しい設備を導入する、こういった構造改善事業計画に対してまさにこの法律が財政的な支援も行おうというふうに定義づけておるわけでございまして、そのような観点から申しますと、この弱点を克服するためには、この法律が予定しております異業種連携グループというものによって構造改善事業を進めるということが一つの処方せんになる、かように考えるわけでございます。  また、確かに先端技術の導入というものが繊維産業においては立ちおくれているではないかと、他産業が既に最新の技術、エレクトロニクスあるいはロボットというような技術を導入している状況に比べるとどうも繊維産業は立ちおくれているぞというのが昨年の審議会等における評価と申しますか、でございました。したがいまして、こういった先端技術というものを繊維技術、繊維生産技術の中に取り入れていくということが重要であるというふうに考えまして、国の立場からも例えば自動縫製システムというようなプロジェクトに対して応援をしております。こういうことを通じて多品種少量短サイクル化に対応する技術というものが開発できるというふうに考えております。  また特に、中小企業者を頭に置いた場合には、中小企業技術改善費補助金制度というものの中に、特に産業活性化枠というようなものを設けていただきまして、電子制御式の編み機でありますとか、織機でございますとか、あるいは染色にそういった先端技術を導入する、こういうような技術を新しく開発するという中小企業者に対する補助金制度を設けているということもございます。また、そうしてそこででき上がりました設備というものを、新たに導入する際には中小企業新技術体化投資促進税制というものを今年度からつくっていただきました。その適用によってそういった近代化設備の導入の促進をいたしたいと、かように考えているわけでございます。  最後の、ファッション産業の国際的な地位の確立という関連といたしましては、近年いろいろ国際的にも日本のデザイナーの評価というものが高まりつつありますが、さらに一層国際感覚を醸成し、国際交流を促進し、そしてその中でまた日本の独創的な、しかし、同時に国際的に通用のするようなそういったデザインやファッションというものを開発する必要があるだろう、そういうような一つの盛り上がりの契機といたしましてワールド・ファッション・フェアでございますとか、ファッション・コミュニティー・センター構想というものを答申が打ち出しているところでございまして、私どもといたしましても五十九年度の予算で我が国繊維産業国際化対策調査委託費というようなものの予算措置もいただきましたので、こういうものを利用いたしまして業界の中での問題点を発掘するとともに、今後の方向についてのコンセンサスづくりを行うというような形で繊維産業が持っております御指摘のようなウイークポイントを一つずつ乗り越えていきたい、かように考えているところでございます。
  126. 田代富士男

    田代富士男君 今もお話がありましたとおりに、異業種連携グループを組織して、そして商品開発センター強化のために施設を導入して、このような対策を財政措置もやって対策をしていきたいとおっしゃるけれども、いかんせん、現在の繊維産業の業績不振というものは景気の低迷もさることでありますが、もう一つ考えなくてはならない点は、繊維製品の輸入の急増も大きく影響を与えているのではないかと私は思います。最近に至りまして、御承知のとおりに発展途上国におきましては低廉な人件費などによりまして価格競争力を加え、また技術やセンスも向上いたしまして、非価格競争力におきましても我が国の産業を脅かすまでになっているのが実情ではないかと思います。これはもう御承知のとおりだと思いますが、このような中で、今もいろいろ対策を申されましたけれども、この繊維産業の生き残る道というものはどうあるべきか、またどのように考えていらっしゃるのか、お答えただきたいと思います。
  127. 黒田真

    政府委員(黒田真君) ただいま御指摘ございましたように、発展途上国、特にアジアの近隣の発展途上国の繊維産業が力をつけてきているということはそのとおりだと思います。  そして、これは従来どちらかといえば価格競争力という点に秀でておったわけでございますが、さらに非価格競争力と呼んでおります品質、デザイン等についても追い上げを強めておると思います。これに対応して、日本の、我が国の繊維産業がいかにして生き残れるかということでございますが、そのためにはやはり常に一歩先んじた技術力あるいは創造性を発揮するということによりまして日本の一億一千八百万人の消費者あるいはさらには世界の消費者の持っております極めて多様化したニーズというものにこたえるという努力を常に先駆けて行うということによってのみ日本の繊維産業というものが生き残り得る。そしてこの昨年の秋のビジョンは、単に生き残れるというだけではなくて、先進国が持っているポテンシャルが十分に生かされるならば、まさにそれは新しい姿として発展し得るものなんだと、こういうことが指摘されているわけでございまして、決してそれは平たんな道だとは考えませんけれども、そういう新たな方向に繊維事業者の方々が自主的に対応をしていかれるならば、私どもは十分にそこにチャンスがある、さらには発展の可能性がある、かように考える次第でございます。
  128. 田代富士男

    田代富士男君 まあ、今後の道は平たんな道ではないけれども、繊維業界の皆さんたち自身が自 主的に対応していくならば発展の道がなされるかわからない。しかし、現実には輸出の問題を看過するわけにはまいりません。例えば、セーター類の輸入状況を調べてみましたら、五十六年、五十七年と二年続きの輸入激増の後、国内市場の供給過剰から五十八年度は減少をすると見られていたわけでございます。これは数字は御存じだと思いますが、それで一月から九月期、対前年度比では一二%減を数字で示しております。    〔委員長退席理事降矢敬義君着席〕 ところが、十月以降これが突如といたしまして急増いたしまして、十月からことしの一月までの対前年度比で四〇・二%増、こういう数字が出ておるわけでございまして、この数字は史上最高を記録した数字ではないかと思いますが、これは今後需給の失調を招きまして、この産業に甚大な影響を及ぼすことは、これは間違いないのではないかと思います。そのために実需に即応した秩序ある輸入を図られるよう適切な措置を講ずべきであると私は思うのでございますが、これはどうでしょうか。  それとあわせまして、またこのような繊維製品の輸入に関しましては、我が国輸入規制のないこと及び御承知のとおりに関税率が欧米諸国と比べまして低位にあるという状況を考えてみましても、今後我が国の繊維製品が国の内外の市場におきまして十分な競争力を持つために適切な育成のための措置をとるのが急務であるのではないかと思いますが、あわせてお答えただきたいと思います。
  129. 黒田真

    政府委員(黒田真君) ただいま御指摘になりましたセーター類の最近までの輸入状況ということについては私どもも十分承知をいたしておるところでございます。十年ほど前に非常に輸入が急増いたしました際には大変に思惑的と申しますか、見込み輸入というようなものが非常に起こった時期がございます。しかしながら、そのときの教訓もあり、その後の輸入というものは比較的需要に結びついたと申しますか、見込み輸入ではないというふうに了解しております。確かにセーター類の輸入が大変高い水準で昨年の暮れからことしの初めにあったことは事実でございますが、これはいわば非常に冬が寒かったというような状況一つにはあろうかと思います。またその主体は、例えば手編みのセーターというふうに必ずしも日本ではコストが引き合わなくなっているようなものに対して近隣の国に依存をしているというようなことも聞いております。また、多くのものが販売者等のブランドをつけているものもあるというふうに聞いているわけでございまして、まあそれぞれいろいろなルートが確立した中でたまたま需要にミートをした形で大きくなったという状況かと思います。もっとも、その状況が全く心配がないというわけではないと思うんでありまして、今後もこういう状況が続くようなことであれば多分需給の失調というようなことも懸念されるわけでございますが、現在までのところそれは懸念はございますけれども、現実に非常に需給が失調してマーケットが混乱しているという状況では必ずしもないということでございますので、私どもも直ちにこの段階で何らかの措置をとらなければならないというふうには考えておりません。  しかし、確かに心配はあるわけでございますから、こういった状況について関係者の方々に十分事情を承知していただいて、今後需給の失調というような事態がなるべく起こらないように関係者の協力を得たいというふうに考えております。  そしてさらに、より一般的な形で輸入規制を行っていない、あるいは関税率が低いという関連の御指摘がございました。確かに私ども今後の繊維産業の発展におきましてはできるだけ開放体制というものを維持しながら構造改善が進められるべきであるということを基本ラインに置いているわけでございます。この点は確かに欧米諸国等とは異なっている点でございますし、また関税率につきましても個々に見るといろいろございますが、総じて申しまして欧米よりは低い水準にある。これも歴史的に日本の繊維産業が国際競争力を持っていたという過去の事情を反映をしているというようなこともあるわけでございまして、なかなかこれを直ちに変更することもできないわけでございますので、    〔理事降矢敬義君退席、委員長着席〕やはりそういった現実の枠組みの中で、そして開放体制を希求しながら繊維事業者の行ういろいろな努力に政府が側面的に援助を行う。そして特に、私ども今後の五年間にとって一番必要なことはやはり技術力を高めていくことだと考えておりますので、先ほども申し上げましたような自動縫製システム初めもろもろの技術に対する支援措置というものを強化することによって我が国の繊維産業が常に発展途上国からの追い上げに対して一歩先んじ得るような地位を確保できるようにと、かように考えているところでございます。
  130. 田代富士男

    田代富士男君 今、大臣質疑のやりとりをお聞きいただいたかと思いますけれども、繊維産業が窮地に立っているわけでございまして、我が国の繊維産業の育成、振興のための基本的なスタンスにつきまして大臣の決意をお聞かせいただきたいと思います。
  131. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 我が国の繊維産業が石油ショックなどによりまして非常に深刻な不況に見舞われだということを私がしばしば申し上げているとおりでございますが、最近に至りましてようやく回復の兆しが見えてきておりまして、業界としても前向きの構造改善に積極的に取り組もうという機運が見えておったわけでございます。そういう我が国繊維産業が自主的な構造改善によって五年間で技術力、創造性を生かした、たびたび申し上げております先進国型産業へと展開していくということも十分可能と思われますので、政府といたしましても今後五年間に構造改善の実効が確実に上がりますように積極的に支援してまいる所存でございます。
  132. 田代富士男

    田代富士男君 次に、機械類信用保険法の一部改正案につきまして質問をしたいと思います。  通産省の説明によりますと、機械類信用保険の制度は政策的な意義も高く、その業務は近年急増しており、しかも今後とも増大が見込まれる現況にあると聞いております。このために中小企業信用保険公庫に移管して対処をするのだそうでありますけれども、どうして移管によって同保険業務が一層効率的、また円滑的に行われ、どうして業務量の増大に備えることができるのか、最初お答えをいただきたいと思います。
  133. 志賀学

    政府委員(志賀学君) お答え申し上げます。  私どもこの業務量の増大に対応いたしまして効率化を図っていくという場合に、やはりポイントはコンピューターの利用、導入だと思っております。もちろん役所の場合も既にコンピューターを利用しておるわけでありますけれども、大型コンピューターをさらに積極的に利用していくということになりますとおのずから限界がございます。そこで、中小企業信用保険公庫に移管いたしますと、保険公庫の方には大型コンピューターも入っておりますし、さらにコンピューター要員、専門の要員がかなりの数おられるというふうに承知しております。そういうことによりまして、まずコンピューターの積極的な、より広範な利用というものが可能になってくるというのが一点でございます。  それからもう一つは、この中小企業信用保険公庫と申しますのは中小企業についての信用の保険業務、これ当然やっておるわけでありまして、そういう面におきましてこの機械類信用保険制度とある程度似通った業務でございます。そういう面から申しますと、中小企業信用保険公庫が従来から培ってこられたそういった面でのいろいろなノーハウというものを利用さしていただくということも可能になってくるというふうに思っているわけでありまして、そういうようなことでこの際保険公庫に移管した方がより一層効率的な業務の運営ということが可能になるであろうというふうに判断いたした次第でございます。
  134. 田代富士男

    田代富士男君 保険対象機械類は、一つは割賦・ローン保証販売の対象といたしまして、御承 知のとおりに二十五機種、三十区分、またもう一つはリースの対象といたしましては三十二機種、三十二区分と、私調べましたらこのようになっております。これはどういう基準で選ばれたのかまずお伺いしたいと思いますし、それと同時に、この割賦・ローン保証販売の対象には含まれているけれどもリース対象には含まれてないもの、これは鉱山機械のようなものでございますし、この反対にリース対象の方に含まれておるけれども割賦・ローン保証販売の対象に含まれてないもの、これは御承知のようにコンベアー装置だとか自動組み立て装置、事務用装置だとかいろいろ——時間がありませんから省略しますけれども、御承知だと思いますから省略しますけれども、これらについてそれぞれ保険としての需要がないのかどうかお伺いをしたいわけでございます。まず、これから説明してください。簡単にお願いします。
  135. 志賀学

    政府委員(志賀学君) お答え申し上げます。  対象機種につきましては先生御指摘のとおりでございます。  そこで、そういう機種をどうやって指定したかということでございますけれども、これはまず法律に指定の基準が書いてございます。例えば中小企業の設備の近代化及び機械工業の振興に寄与する、あるいは中小企業の経営の合理化とソフトウエア業の振興に資する、そういった要件が法律に書いてございます。こういった要件に照らしまして、具体的に私どもといたしまして判断をしてまいっているわけでありますけれども、具体的に若干申し上げますと、例えば省エネルギー、省力化、安全化、そういったそのときどきの時代の要請に合致した中小企業の近代化、経営の合理化、そういった課題があるわけでありますけれども、そういった中小企業の課題に資するかどうかということが一点。それから、中小企業の購入利用比率が相当程度高い——中小企業の設備近代化が目標でございますから、中小企業の購入比率が高いかどうかという点もチェックポイントでございます。で、例えばおおむね七〇%前後、これを一応の私どもとしてはめどにしながら検討をしているわけでございます。  それから、三番目のポイントといたしまして、割賦・ローン方式あるいはリース方式による取引になじむようなものであるかどうか、それから一定の生産規模、例えば原則として百億円程度を私ども一応念頭に置いているわけでございますけれども、一定の生産規模が見込まれるかどうか、これはある程度の規模になりませんと大数の法則が働いてまいりません。そういうことから、ある程度生産規模が必要である、こういう考え方でございます。  それから四点目といたしまして、契約者などの要望が強いかどうか、そういったただいま申し上げましたようなチェックポイントに照らしまして、そのときどきに応じて機種についての検討を行って追加指定をしたり、あるいは削除をしたりやってまいっているわけでございます。  そこで、先生御指摘のように、この対象機種の中に、割賦・ローンにはあるけれどもリースにはないとか、あるいはリースにあるけれども割賦・ローンにないとか、こういう機種がございます。なぜそういうことになっているかということでございますけれども、一言で申しますと、その機械の取引の実態、そういったものの反映というふうに御理解いただければと思っております。あるいは、その取引の実態に加えて、あるいはその機械の性質、そういったものも反映してまいります。例えば鉱山機械というのは、これは砕石プラントとか砕石機とか選別機とか、具体的に申しますとそういうものでございますけれども、それは割賦・ローンにあってリースにはない、そういう機械、設備でございますが、これはなぜそうかということを申し上げますと、耐用年数がかなり長い、かつ構築物という性格が非常に強いわけでございます。そういうことから、こういうものについてはなかなかリースになじみにくいということで、この鉱山機械とかいうようなものは割賦・ローンにはあるけれどもリースにはない、こういうようなことになっているわけでございます。  逆に今度は、例えば商業用機械、これはガソリンの量器であるとか電子はかり、あるいは自動販売機、そういったものでございますけれども、商業用機械というようなものはリースにはあるけれども割賦・ローンにございません。これは、この商業用機械について申し上げますと、実は政策的に商店設備のリース制度、リースの促進であるとかあるいはボランタリーチェーン商店リースであるとか、そういった幾つかの政策的なリース制度というのがかなり先行してございまして、そういうことによってこういった商業用機械につきましてはリース取引が定着しているということでございまして、そういうことからこういった機械については割賦・ローンとしての需要はないけれどもリース制度としての需要はある、そういったことを反映して、リースの対象にはなっているけれども割賦・ローンにはないということになっているわけでございます。  まあ、そのほかについても大体おおむね流通の実態あるいは機械の性質によって、片方にあって片方にない、こういうことになっているわけでございます。
  136. 田代富士男

    田代富士男君 時間が余りありませんから、まとめて質問をいたします。まだ、あと随分ありますものですからね。  ここ数年におきます特別会計の決算におきましては、歳入予定額に対しまして返納金の割合が下降傾向にあるように聞いておりますけれども、実情はどうなっているのか。また、その理由は何であるかということをお尋ねしたいと思いますし、また、回収率の目標は策定されているのか。回収率を向上させることについて被保険者にどのように指導しているのか。また、公庫移管後について特段の心配はないのかという、この点についてもお願いいたします。  また、リースが特に低い理由は何であるのか。また、リースについては債権確保のための行き違いが原因で、まあ御承知かと思いますが、裁判ざたもあるようでありますけれども、そのために一々裁判というのも困ると思いますけれども、対策はないのか、この点もお尋ねしたいと思います。それとあわせて現行の特別会計における資本金が二十五億七千万円、これは御承知のとおりだと思います。そのうち特別会計の累積赤字のために十七億七千七百万円を取り崩しいたしますと残額が七億九千三百万円ほどになりますけれども、これが公庫へ移管後の機械類の信用保険におきます運営基金となるわけでございますけれども、この程度の運営基金で健全な信用力のある保険を行うことができるかどうか、この点はちょっと心配な面がございますから、これもお尋ねいたしますし、また将来の業務量の増大が予想されている中で政府の出資を仰ぐべきときもあるのではないかと思いますが、この点あわせてお答えただきたいと思います。
  137. 志賀学

    政府委員(志賀学君) 大分広範なお尋ねでございます。順次お答えしてまいりますが、まず返納金の割合が低下してきているんではないか。その実情なり見通しいかんということでございますが、まず返納金と申しますのは支払われた保険金のうち、その後回収された金額ということでございます。これは支払われた保険金のうち何年かにわたりまして回収されてくるということで、なかなか見通しが難しいわけでございます。いずれにいたしましても最近の状況を申し上げますと、五十六年度と五十七年度におきましては予算で見込んだ金額よりも実際の回収金の額が下回っております。ただ、これにつきまして私どもとしてこの五十八年度におきましては、例えばこの機械保険室というところで実は担当しているわけでございますけれども、その機械保険室の中に回収班といったような特別の班を設け、その回収手続の迅速化あるいはいろいろ調査をしてその回収を督促するわけでありますけれども、その実地調査の強化、そういったことをやってまいっております。その結果といたしまして五十八年度におきましてはほぼ予算どおりの回収状況になる見込みでござ いまして、事態は改善されてまいっております。  私どもといたしましてこういった傾向は五十九年度においても続けていかなければならないというふうに思っておりまして、これは保険公庫に移管した後もせっかくこの回収の成果というのが上がってまいっておりますから、これは保険公庫に移管した後もぜひそういった体制というものは持続してまいりたいというふうに思っております。  それから回収率の目標想定をしておるかということでございますけれども、これは予算策定に当たりましてある程度のやはり予想はしておるわけでございます。その予想数字と実績値が食い違っているけれどもどうかというのが先ほどのお尋ねであったわけでありますけれども、そういうことである程度の想定はやっているわけですけれども、ただ、率直に申しまして回収と申しますのは保険金支払い後数年間にわたって行われてくるということでなかなか確実な見通しを立てるというのは難しいところがございます。そこは御理解を賜りたいというふうに思っているわけでありますけれども、いずれにいたしましてもただいま申し上げましたようにこの回収率をできるだけ見通しどおり達成していくということのために、先ほど申し上げたような調査の強化あるいは体制の強化ということをやってまいっているところでございます。  次に、リースの回収率が割賦・ローンに比べて率直に申しましては低いわけでございますけれども、その理由はどうかということでございますが、このリース保険と申しますのはリース制度に乗っかっている機械、設備が例えば事務用機械、そういったものが非常にウエートが高こうございます。そういう持ち運びが比較的容易な物件でございますために何か事故がございました場合に債権者が持っていってしまうというようなことも間々起こりがちでございます。そういうようなこともございまして、このリース保険の回収率が割賦・ローンに比べて悪いということになってあらわれてきているというふうに思っております。私どもといたしまして、これに対する対策として保険契約者に対しまして、リース物件には統一シールを貼付するということによって第三者に対して物件の所有者を明確にするというふうなことを励行するように指導をいたしておりますし、あるいは事故が発生した場合にできるだけ早く物件の回収をするようにそういった指導も常時行っているところでございまして、そういう指導を通じて回収率、リースにつきましても回収率の向上に努めているところでございます。  先ほど申し上げましたように、五十八年度につきましては、リースについても回収率はほぼ予算の見通しに近い線でおさまっていくというふうに思っているところでございます。  それから、その次に運営基金の問題でございますが、先ほど先生から御指摘ございましたように、この十月一日から移管されるわけでございますけれども、その際に機械類信用保険特別会計の資本から累積損失を差し引きました約七億九千万円、これが機械類信用保険運営基金といたしまして、保険公庫の方に引き継がれるわけでございます。これで十分かということでございますけれども、移管時におきます支払い準備金として考えられますのは、ただいま申し上げました七億九千万円のほかに支払い備金あるいは未経過保険料、そういった金額を合計いたしまして考えていくことが必要でございますけれども、それらを合わせますと大体九十七億九千万円ということになります。それに対しまして、保険責任残高があるわけでありますけれども、大体準備率といたしまして九十七億九千万円で計算をいたしますと〇・九〇ぐらいの、そういう準備率になるわけでございます。これはことしの三月末の準備率は、計算いたしますと大体〇・八九四ということで、それに比べてむしろ改善しているということでございまして、私どもといたしまして一応上向きの傾向にあるということも考慮いたしますと、この七億九千万円の運営基金でとりあえずはいいのではないか、大丈夫ではないかというふうに判断をいたしております。ただ、もちろん今後の業務の推移いかんによりまして必要であれば運営基金の強化ということは当然私どもとしても考えていかなければいけないというふうに思っております。
  138. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、時間も余りありませんけれども、ここで機械類信用保険の近年の業務実績を報告をしていただきたいと思いますし、あわせて五十七年の法改正によりまして業務に追加されたコンピューターのプログラムについての実績がわかれば報告してもらいたいと思います。また、コンピュータープログラムにつきましては、急速に伸びていくものと予想されておりますけれども、料率等についても改善の余地はないのか、この点簡単にお答えただきます。お答えただいた後でコンピュータープログラムに関連しまして、パーソナルコンピューターの消費対策についてお尋ねしたいと思いますから簡単にお答えただきたいと思います。
  139. 志賀学

    政府委員(志賀学君) この機械類信用保険の制度の業務実績でございますけれども、おかげさまで非常に順調に伸びてまいっております。過去五年間を振り返ってみますと、包括保険契約の数におきまして、年九%の伸びで増加してまいっております。あるいは引受保険金額で同じように計算してまいりましても、過去五年間で平均して年二三%の伸びということで急速に伸びてまいっております。そのことは同時に、したがって中小企業の設備近代化あるいは機械工業の振興にこの制度というものが大変大きな寄与をしているというふうに私どもは考えているわけでございます。そこで、このコンピュータープログラムをこの制度の対象にいたしましたのが五十七年の七月からでございます。このプログラムの信用保険の実績も、中小企業におきます経営の合理化意欲というのが大変強いということを反映いたしまして、急速に伸びてまいっております。五十七年度におきましては、その引受保険金額の実績は約二十一億六千五百万円でございましたけれども、これが五十八年度におきましては、引受保険金額六十三億二千五百万円ということで、極めて大幅な伸びということになっているわけでございます。で、恐らく今後の中小企業の経営合理化の意欲ということを勘案いたしますと、このコンピュータープログラムの保険の伸びというものは今後も引き続いて高い伸びが続くであろうというふうに思っております。  そこで、その料率の問題でございますけれども、引き下げの余地がないかというお尋ねでございますが、率直に申し上げまして、コンピュータープログラムの保険制度というのは、先ほど申し上げましたように五十七年の七月から発足したばかりでございます。したがいまして、私どもとして、なおここしばらく、この状況を見て、その上で判断をしてまいりたいというふうに思っております。
  140. 田代富士男

    田代富士男君 関連しまして、パソコンについてお尋ねをいたしますけれども、パーソナルコンピューターは御承知のとおり最近の目覚ましい技術革新によりまして、一昔前の高価な大型コンピューターと比較いたしましても引けをとらないものがパーソナルユースで持てるようになりまして、爆発的なブームを起こしておりまして、今や低価格で種類も豊富に出回りまして、小学生、中学生もお年玉で買えるような時代に入ったことは御存じのとおりでございます。まずパソコンの流通の現状について御説明いただきたいことが第一点。  第二点は、出荷台数が二百万台、私が調べたのでは大体こういう数字が出ておりますが、そのうち約四〇%がホビー、ホーム用とのことですけれども、それがどの程度利用されているかとなると甚だこれは疑問の点があります。個人購入の大半が家の片隅でほこりをかぶっているというのが実態のようですが、どのように認識されていらっしゃるのか、これが第二点。  第三点は、大阪に本部のあります日本パソコン消費者協会、会員が一万数千名で構成されておりますけれども、昨年夏に実施しましたアンケート によりますと、ユーザーの三割がパソコンを買って腹を立て、二人に一人はパソコン用ソフトのお粗末さに幻滅しているという実態が明らかな数字として出されております。中でも、メーカーの宣伝に対しては、あたかもだれでも使えるかのごとく錯覚させまして、短所や使い勝手の悪さを隠した誇大広告をするものが全体の三割を占めていると。こういう現状をどう思っていらっしゃるのか、簡潔にお答えただきたいと思います。
  141. 志賀学

    政府委員(志賀学君) まずパソコンの流通の現状でございますけれども、現在、日本は一九六〇年代、七〇年代の第一次情報化革命の時代から第二次情報化革命の時代に入っているわけでございまして、そういった社会全般の情報化の流れに応じまして、このパーソナルコンピューターも急速に伸びてまいっております。そのパーソナルコンピューターの国内出荷台数と申しますのは、これは正式の政府の統計がございませんで業界統計でございますが、五十四年度におきましては約四万台でございました。それが昨年五十八年——暦年でございますが——になりますと、これは約八十六万台ということで非常に飛躍的な拡大を遂げているわけでございます。  ちなみに、五十三年度から五十八年の十二月までの期間の国内出荷累積台数を計算してみますと、これも百六十六万台ということで、先ほど先生が二百万台とおっしゃった数字、恐らくこの辺を念頭に置かれてのお話かと思いますけれども、非常に大幅な増加で、かなり社会の隅々にまで行き渡りつつあるということがこの辺の数字に出ているのではないかというふうに思っております。  この利用分野でございますけれども、同じく業界の調査、これは日本電子工業振興協会という団体の調査でございますけれども、このパソコンの利用分野といたしましては、まず事務用、これが四〇%、それから科学技術あるいは計測制御、これが二〇%、それから教育、家庭、趣味、そういった用途が四〇%ということで、先ほど先生四〇%とおっしゃいましたのは恐らく教育、家庭、趣味というこの辺のシェアをおっしゃったんだろうと思いますけれども、大体そんなような割合になっているわけでございます。  そこで、せっかくユーザーが買ってもなかなか使い方がわからないということでほこりをかぶっているのではないかと、こういうような御質問でございますけれども、これは恐らく、先ほど申し上げましたような事務用あるいは科学技術、計測制御用、これが大体合わせますと六割ぐらいになるわけですけれども、その辺は恐らく、ビジネスの分野でございますから、それなりに使われているというふうに思います。  もし何か問題があるとしますと家庭用あるいは趣味用というところではないかというふうに思っておりますけれども、いずれにいたしましてもパーソナルコンピューターというものの性格から申しまして、やはりある程度ユーザーとしてもそれに応じた所要の知識の修得というものが当然要請されるというふうに思っております。  ただまあ、そういう面におきまして、メーカーサイドにおきましても詳細な使用説明書をつけるとかあるいはパソコン教室を開催するとかということでやはりユーザーの方たちに、それなりの知識を修得していただけるようなそういう努力というものは当然必要だと思っておりますし、そういう努力はある程度すでに払われているというふうに思っております。  また、町をお歩きになりますとよく目につくわけでありますけれども、主なメーカーは展示場を持っております。その展示場に入りますと、その会社の職員の人がおりまして、いろいろ操作を教えてくれるとか、そういうこともやっております。そういうことを通じまして、やはりユーザーの方々に知識を修得していただく、そういった努力が必要であるというふうに思っているわけでございます。
  142. 田代富士男

    田代富士男君 今パソコンの業界では、新製品の開発の過当競争のあおりで既存の機種というものは御承知のとおりに一年たつかたたないうちにもう過去のものになってしまっております。これが実情でございます。今私が申し上げましたアンケートでも、一三%の人が知らずに古い機種を買わされて困ったというような声も聞かれておりますが、消費者を無視した詐欺行為であると怒る人が数字の上では四割にも上っております。技術革新によりまして高性能化してコストダウンされることは、これは当然喜ぶことでありますけれども、同時に旧製品に対する支援もメーカーのユーザーへの責任としてこれは忘れてはならないと思いますけれども、特に旧製品といえども技術的には部品の付加等によりまして性能アップが可能になりながらも現実ほとんどなされていない、これが実情じゃないかと思いますが、この点は甚だ遺憾でありますし、メーカーの責任をどう考えているのか、まず第一点お伺いしたい。  さらに、現状ではハードの開発のみが独走いたしましてソフト面の支援体制が極めて貧弱であるように思われます。そういう面でメーカーにおいてもソフトの開発を周辺のソフトハウスに任せっきりにするのでなくして、積極的な支援を図ることが必要ではないかと思いますが、この点が第二点。  第三点は、ソフト面では、このアンケートでもその品質に不満を漏らす人が三〇%あります。時間があれば具体的な数字を示したかったんですけれども、代表して申し上げますけれども、このように半数の多くに及んでおりますけれども、まずソフトの流通実態についても御説明をいただきたいと思います。ソフトの品質向上についてどう考えているのか、あわせて御答弁ただきたいと思います。
  143. 志賀学

    政府委員(志賀学君) パソコンの分野と申しますのは非常に技術進歩が激しく急速な分野でございます。そういったことを反映いたしまして次から次へ新しい製品が出てくる。新しい性能を持った、よりいい機械が出てくる、こういうことでございまして、そこのところで先生から御指摘がございましたように、旧製品に部品を付加することで性能向上が可能となるという場合もあるんじゃないか。そういうことがなされずに、その後次から次に新しい商品が出てくるというのはいかがなものであろうかと、こういうことでございますけれども、私どもといたしまして、確かにそういう面というのが否定できないのではないかというふうに思います。  ただ、このパソコンの分野と申しますのは、先ほど申し上げましたように、まさに急速な技術の発展過程にございます。そういうことで成熱した分野とはかなり趣が違うということは、やはり御理解を賜れれば大変ありがたいというふうに思います。ただ、いずれにいたしましても、先生から御指摘がありましたそういった問題点があるということは、やはり会社の経営者として十分念頭に置いてやっていくべき筋合いのものではないかというふうに思います。  それからソフトの問題でございますけれども、このソフトの開発というのは、これはソフトウエアハウスあるいはメーカー、いろんなところでやっているわけでございます。概括的に申しますと、OSといったような基本ソフト、これはメーカーが主としてつくっております。それからアプリケーションソフト、これはソフトウエアハウスでつくっておるというのが実態だろうと思います。ただ恐らく、このアプリケーションソフトの開発をするに際しましても、OSについての情報がメーカーの方から流れてまいりませんとなかなか有効にできないという側面がございます。そういうことから申しますと、先生御指摘のように、このメーカーとソフトウエアハウスが協力してソフトを開発していくということが必要であるというふうに思います。  それからソフトウエアの品質の向上でございますけれども、まあこの品質の向上につきましても、そのためにただいま申し上げましたように、メーカーとソフトウエアハウスの協力というのが必要でございますし、そういった方向を私どもとして進めていくという努力が必要だというふうに思っております。同時にまた、既に私どもといた しまして、情報処理振興事業協会という個体がございますけれども、そういった協会を通じましてすぐれた汎用ソフトの開発というものも政策的に進めているところでございまして、そういった努力も今後引き続いて進めてまいりたいというふうに思います。  なお先生からのパソコン用ソフトウエアの流通状況いかんと、こういう御質問がございました。これも日本情報処理開発協会の調査でございますけれども、五十七年度におきまして市場規模は、パーソナルコンピューター用のソフトウエアの規模は大体七十三億円程度ということになっているようでございます。いずれにいたしましても、この辺の市場規模も非常に急速に伸びているというのが実態であろうというふうに思っております。
  144. 田代富士男

    田代富士男君 今もいろいろ御説明していただきましたけれども、現在、御承知のとおりに、同一機種でありながら、そこに搭載される言語には製作時期によりましてバージョンの違いがあり、絶えず改良がなされておりますけれども、これがただいまもお話に出ておりましたけれども、積極的に公表されることはありません。外見的には全く同一でありながらユーザーにその違いがわからず、これはユーザー不在と言わざるを得ない実態ではないかと思います。通産省としてしっかり実態を把握すべきではないかと思いますが、この点についてもお答えただきたいし、また、製品の初期のものには通常の運用に支障のないものの、ある命令にミスがあり、それが後期の製品ではユーザーの知らない間に改良されているという実態がありますし、これはユーザー保護の立場からどうこの点をお考えになるのかお答えただきたいと思います。  このプログラム作成のための言語は各種存在いたしまして、これを全面的に統一するということは無理ではないかと、私もこのように考えております。  そこで、ソフトの互換性を保護しユーザーの利便に供するためには、基本ソフトの汎用化を図ることが重要になってくるのではないかと思いますけれども、このOSと呼ばれる基本ソフトによりましてハードの違いを吸収できるならば、先ほど私指摘いたしました新製品開発によりますユーザーの不利益をより少なくできるようになるでしょうし、また、ソフト蓄積にも多大なプラスになるのではないかと私は思います。現に、アメリカなどでは、御承知のとおりに、CPMなどの主要なOSのもとに多くのソフト蓄積がなされておりますし、また、この基本ソフトの国産化が急がれるべきであることは、御承知のとおりに、IBM事件の例を見るまでもなく重要であります。これはかなりの公共性を求められていることでありますから、これを各メーカーに任すのみではなくして、通産省が音頭をとって進めるべきであると思いますけれども、この点お答えただきたいと思いますし、時間もありませんから、最後に今の質疑を通じまして大臣お答えただきたいと思いますが、現に普及し、今後さらに普及していくでありましょうパソコンは、近未来に展開が予想されます高度情報通信社会の核として貴重な社会資本とも考えられるわけでございます。そのために総合的見地に立っての有効利用し得る方途を模索すべきと思いますけれども、見解をお聞きしたいと思いますし、また、高度情報化社会の展開に通産省の果たす役割をどのようにお考えになっておるのか。最後に小此木通産大臣の御見解をお聞きいたしまして私の質問を終わります。
  145. 志賀学

    政府委員(志賀学君) 先生からメーカーがきちんとした情報を流していないのではないか等々、幾つかのおしかりがございました。私ども今後日本の情報化を進めていくに際しまして、やはりハードウエアそれからソフトウエア両面についての消費者あるいはユーザーの信頼を確保していくということが極めて重要だというふうに思っております。そういう立場に立ちながら今後政策をとってまいりたいというふうに思っております。  そこで、OSなどの基本ソフトについての標準化についての御質問がございました。この点についてちょっとお答えをさしていただきますと、確かにパーソナルコンピューターが社会のいろいろなところに使われていくという場合に標準化という問題、お互いのその連係ができるように考えていかなければいけない。そういう面から申しまして、一つは標準化という問題が非常に重要ではないかと、こういうことが一つ考えられるわけでございます。そういう趣旨のお尋ねであったと思いますけれども、コンピューター相互の接続がうまくできるようにしていくためには、一つは確かに標準化という問題がございます。ただ、この標準化という問題は、一面において技術進歩とトレードオフの関係に立つものでございます。したがって私どもといたしましては、そのところはよく十分頭に置いて相互接続の問題を考えていかなければいけないというふうに思っております。  そういう面から通産省といたしましては昨年来、情報処理相互運用基盤研究会、これはインターオペラビリティー研究会と私ども俗称しておりますけれども、要するに、システムとシステムとの間の相互接続をどうやって確保していくかということを研究するものでございまして、その中では標準化という問題とともに、接続機器の開発といったような、要するに、接続を可能にするような技術開発というものもあわせて考えていくという方向で現在検討しているわけでございます。いずれにいたしましても、この高度情報化社会の到来を迎えまして、そのシステムとシステムとの相互接続の問題というのは極めて重要であるというふうに認識しておりまして、この研究会の答申を受けて必要な施策をとってまいりたいというふうに思っております。
  146. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 今後の高度情報化社会の展開というものは、産業構造の高度化と合理化あるいは国民生活の充実などに重要な意義を有するものでございます。通産省といたしましては、このような認識に基づきまして高度情報化社会の基盤整備あるいは最先端技術開発の推進、ニューメディアの振興等、今後諸般の情報化関連施策を積極的に推進してまいる所存でございます。
  147. 木本平八郎

    木本平八郎君 まずお伺いしたいんですけれども、繊維工業構造改善臨時措置法ですが、昭和四十九年に五年間の時限立法として成立したと思うんですけれども、それが過去これで二回目ですね、どうして延長せざるを得なかったか。時限立法だからそのときに終わるはずですね、どうしてなんでしょう。
  148. 黒田真

    政府委員(黒田真君) 現在の繊維工業構造改善臨時措置法の形になりましたのは昭和四十九年の改正によってでございます。そして、そのときは五年間という当初の予定期限がございましたが、ただいま御指摘のように、五十四年に延長いたしまして今回再び延長をお願いするということになっているわけでございますが、それは理由は何であるかと、こういう御質問でございます。  端的に申しますならば、事業者の構造改善意欲にもかかわらず、この十年間というものを振り返ってみますと、その間には二度のオイルショックもございまして大変厳しい状況下にあったために、必ずしも十分な対応が事業者の場合において行い得なかったというようなことから、現在までのところを振り返ってみますと、構造改善へ向けての一般的な流れはあるもののまだ十分とは言えない。したがって、昨年秋の新しいビジョンが出たこともございますが、さらにこの際五年間というものをお願いをいたしまして構造改善に一段と努力をいたしたいというのがこの理由でございます。
  149. 木本平八郎

    木本平八郎君 この法体のもともとの目的は、いわゆる構造改善というか過剰設備の廃棄だったと思うんですけれども、その辺はいかがでしょう。
  150. 黒田真

    政府委員(黒田真君) 繊維工業につきましては、戦後いろいろな政策がとられてきておるわけでございますが、特に構造改善対策というようなことを言い出しましたのが昭和四十年代に入ってからでございます。確かに一番最初の、昭和四十二年に最初に現在の法律のもとの形をお願いいた しましたときには特定繊維工業構造改善臨時措置法という形でお願いいたしました。その際には、繊維産業の国際競争力の強化ということ、設備の近代化、企業の集約化というようなハードの部門の強化というものがその中心に据えられたわけでございますが、それ以前は、非常に過剰設備処理型という後ろ向きのどちらかと言うと対応であったものが、昭和四十二年以降前向きのと申しますか、構造改善というような新しい言葉を使う繊維政策に移行したということでございます。
  151. 木本平八郎

    木本平八郎君 その辺は後でちょっといろいろと突っ込んでお聞きしたいと思うんですけれどもね。それで、今度出ています、どうしてこの法律を改正するかという趣旨には、何か技術だとかそういうソフトの開発とか、およそ構造改善とは全然違う方向になっていますね。これはこういう法律をそのまま改定していくんじゃなくて別の法律でやるべきじゃないかと思うんですよ。その辺はどうなんでしょう。
  152. 黒田真

    政府委員(黒田真君) 確かに四十二年当時に構造改善という言葉を最初に用いましたときには、ハード中心型の、設備中心型の観念だったように思います。しかしながら、四十九年の現在の形での改正法をお願いいたしましたときには、やはりハードだけの、設備面だけてはいけない、商品企画力というような、あるいは実需に即応するというようなソフトの面とハードの面のバランスがとれなければいけないということで、いわば構造改善というものの概念自身が四十九年に膨らんだといいますか、変更されたわけでございます。で、今回の延長に際しましても、そういったハードとソフトのバランスをとるという、そういう構造改善であるというところにつきまして特に変化をもたらしておるとは考えておりません。  ただ、昨年の秋の繊維ビジョンの中で、先進国型産業への脱皮というようなことを申しておるわけですが、そういった際には、特に新しい技術を繊維産業にどうアプライしていくかということが一番大きなかぎであろうということをうたっておるわけでございまして、そういう意味では従来の繊維工業の構造改善の概念は変わっておりませんが、その中で技術の果たす役割というものを非常に強調をしたというところが今回の特徴だろうと思います。  御指摘のように、それだけ考え方が変わったのなら新しい法律としてお願いをしたらどうだというお考え方もあろうかと思いますが、私どもは、現在の法律が一応そういう構造改善計画に沿ったものについては国が支援をするという、いわば一種の器を用意した法律でございますので、その指導理念というものには変化がございますけれども、形としては現在のものをそのまま活用させていただいてよろしいのではないかということで、従来の法律の延長という形でお願いをしているわけでございます。
  153. 木本平八郎

    木本平八郎君 御説明はそうだと思うんですけれども、それで今度の改正で、五年間で六十四年までにどういうふうに具体的におやりになるつもりなのか。ここにはさらに何か難しいことを、「生活文化的ニーズを充足する情報・技術集約型産業」ですか、それからなんとかいろいろ難しいことを書かれていますけれども、もう少しわかりやすく簡単に言っていただいたら、どういうふうに持っていこうとなさっているのかということをお聞きしたいんです。
  154. 黒田真

    政府委員(黒田真君) 確かにいろいろ若干わかりにくい単語を利用しているかもしれませんけれども、要は国民のニーズに即応した衣服を供給できるそういう産業になってほしいということだと思います。そして、従来とかく繊維産業というもののイメージが、近代社会の発展の初期に繊維産業から入っていったという歴史的な経緯もございまして、発展途上国にふさわしい産業あるいは発展途上国が得意な産業であって、先進国ではもうあきらめなければならない産業ではないだろうか。したがって、これを国境、水際で守るというような考え方がやや一般的だったかもしれませんが、最近の状況をいろいろ考えてみますと、私ども衣服をまといますのは、決して寒いからとか暑いからとかいう生活ニーズというものよりは、やはり文化に支えられ伝統に支えられたファッションを着るというような様相が非常に強くなってきているわけでありまして、そういうことになりますと、単に労賃が安いところでつくられたものが国民のニーズにかなうということでは必ずしもないではないかということで、若干開き直ったような議論ではございますけれども、一部安いものを発展途上国に譲った後は、むしろその国民の需要するところの衣服を供給できるのは、まさにその先進社会たる日本の繊維産業こそ供給できるんだと、こういうような考え方で整理をいたしまして、この五年間の間にいわばそういった役割を十分果たし得るようなそういう繊維産業になってほしい、またなれるはずだ、それに対して政府も支援しようと、こういうことでございます。
  155. 木本平八郎

    木本平八郎君 ぜひそういう方向でやっていただきたいと思うんですけれども、ところが普通考えますと、十年間過去一生懸命おやりになったものがあと五年間延ばして果たしてできるんだろうかという極めて素朴な疑問があるわけですね。その辺はどういうふうにお考えですか。
  156. 黒田真

    政府委員(黒田真君) この過去十年間、昭和四十九年から今日までの十年間というのは、まことにだれも予想することができないような大変激動の十年間でございまして、確かに当初の期待、目標どおりに事は運ばなかったわけでございますが、今後の五年間というものをひとつ全力を挙げてそういった新しいビジョンにかなうようなそういう繊維産業に脱皮できるはずだし、また、しなければ日本に繊維産業が発展する余地はないじゃないか、こういうことで努力をしてもらいたいということでございます。
  157. 木本平八郎

    木本平八郎君 私、よくこの法律とか政治の世界というのはわからないんですけれども、普通考えますと、少しずつしみしみと金を出していくんじゃなくて、やるんなら、やはり五年なら五年でだめなら初めから十年で思い切って金もぼんと出すというふうなやり方の方がいいんじゃないか。どうもその場逃れのような、その場しのぎのようなことが繰り返されているという感じがするんですがね。その辺はどうでしょう。
  158. 黒田真

    政府委員(黒田真君) この現在の法律は、繊維事業者が業種を超えてある種のグループを組む、そういったグループの進めます構造改善計画というものに政府が支援をするというその根拠をつくっておるわけでございます。  したがいまして、あくまでも根本は繊維事業者の自主的な努力と申しますか、自主的な発意にあるわけでございまして、それが一定の要件にかなえば国としても応援をしようと、こういうことでございます。決して資金を必ずしもけちったわけではございませんでして、過去の実績を見ますと、むしろ用意したお金に対する利用実績というものが低いという実績があるわけでありまして、その辺から事によると制度の要件が少し厳しかったのではないかというような御批判もございまして、実は五十四年の延長に際しましては要件の一部の緩和、手直しというようなことも行っていただいたわけでありますが、私どもといたしましては、やはりそういう新しい考え方が繊維工業全体を誘導した効果というものは非常に大きかったと思うんです。そして、しかしこの制度に乗って政府の支援措置を受けた者は必ずしも多くはなかったかもしれない、そしてその理由の中にはあるいは繊維業者の方に不況の原因からくる、非常に目先のことに追われて余力がなかったと、こういうこともあって十分進まなかったのではないだろうか。しかし、昨今、状況も少し明るさが出てまいりましたし、新しいビジョンも打ち出されたので、これから大いにやろうということで大いに意気も上がっているというのが現状でございます。
  159. 木本平八郎

    木本平八郎君 私の感じではどうも、これは必ずしも通産省に限らないと思うんですけれども、法律をつくって法案を通すまでは非常に熱心にやられると、それで予算がついて、あとは何となく業界任せになっちゃって、それで五年たってまた だめだから延ばしてくれというふうなことが割合に多いんじゃないかという気がするわけです。むしろ、これが通った後、どういうふうにして行政指導してその目的を達していくかという、その目標管理というか、目標意識みたいなものがお役所には非常に少ないんじゃないかという気がするわけです。  それで、今回は相当な決心でおやりだろうと思います。それで、六十四年までにぜひこういう水準まで、先ほどおっしゃっていたニーズに即応した繊維産業ですか、国民のニーズに即応した繊維産業に持っていきたいという非常に厳しい御決意のようですけれども、それでもしも六十四年までにその水準まで達せられなければ、もうこの法律はそこでエキスパイアさせられるおつもりですか、その辺お伺いします。
  160. 黒田真

    政府委員(黒田真君) 確かに、目標管理というお言葉ございました。ある意味でこのビジョンというものは目標を抽象的ではございますが掲げていると思います。これをさらにブレークダウンしてといいますか、手をとって役所がどこまで入っていくべきかという点については、私どもは必ずしも役所主導型がいいとは考えないわけでございまして、あくまでも民間主導型のいろいろな発意、創意工夫というものを私どもが支援させていただくと、こういうことを主体に考えているわけでございます。しかし、さわさりながら、極めて抽象的なビジョンが現実に個々の事業者にとってどういう活動に翻訳されるかという点、若干の距離もございますので、私ども現在、繊維業界を指導といいますか、慫慂しておりますのは、繊維の場合、特に川中と呼ばれております部分では産地が形成されております。そして、産地ごとに非常にたくさんの事業者の方々が集まって、それなりに集積のメリットを生かしながら発展をしておられるという状況がございます。したがって私どもは、ひとつこの際、五年間を見通した産地ビジョンというものをおつくりになったらいかがでしょうかと、そういう産地の方向性、目標を掲げることによって、まあ、先生のお言葉を使わせていただけば目標管理というようなこともできるのではないだろうかというようなことで、現在、法律は御審議ただいている途中ではございますけれども、それぞれの産地がおおよそ五年先を見通した産地のビジョンづくりというものに力を入れているところでございます。  しからば、五年たって六十四年にできなければこの法律はそこでやめてしまうのかと、こういうことでございますが、まあそれはその時点でまた考えることになると思いますが、むしろ私どものお答えとしては、いや、もう六十四年にはちゃんとした格好でそれぞれのビジョンを達成してもらうんだと、達成した上でこういう応援が要らなくなるというのが実は一番好ましい状態だというふうに考えたいわけでございます。
  161. 木本平八郎

    木本平八郎君 今のそういうなんでぜひ進めていただきたいと思うんですがね。  ただ、私の考えでは、この繊維産業がなかなか立ち直れなかったというか、非常に難しかった原因の一つにやはり日本が先進国、まあ後進国も含めてですけれども、唯一の繊維の輸入制限をしてない国ですね。普通は輸入制限して、クローズしてそこで内部の改造をやるというのが本当なんですね。それをやらずに頑張ったと、その点は私は非常に立派だと思うんです。さすが通産省だと思うんですけれども、やはり今後ともそういうフリーのままやっていただきたいと思うんですけれども、私はやっぱりそこに非常に苦労があったんじゃないかと思うんですけれども、その辺どういうふうにお感じになっているか、御意見を伺いたいのです。
  162. 黒田真

    政府委員(黒田真君) 確かに繊維産業というものにつきましては、各国ともいろいろな保護措置を講じているところでございます。  自由貿易をうたったガット体制のもとでも、繊維につきましては国際繊維取り決め、MFAというふうに略称しておりますが、こういうものがつくられておりまして、現在先進諸国で国境での輸入制限を行っていない、MFAを援用していない国は日本とスイスだけであるというようなことでございます。そういうような状況にございますので、国内産業の一部からはぜひ日本の場合においてもMFAを援用をして輸入制限を行うなり、輸出国側での自主規制を行うようにしてほしいという強い要望があることは事実でございます。しかしながら、繰り返し御答弁いたしておりますように、輸入制限というものは一たん実施いたしますと、なかなかこれを解消しにくいという事情もあるようでございますし、また広範に波及をするというようなことにもなりますし、またその輸入制限下での構造改善努力というものはややもすれば安易に流れるというようなことも批判されているわけでございまして、私どもとしてはできるだけ開放体制を維持する中で、構造改善を進めながら発展途上国の追い上げには一歩ずつでも先んじながら進んでいくという形での対応を期待しているわけであります。しかしながら、しからばMFAは一切発動しないかということになりますと、それは私どもにも権利といいますか、国際的にも認められているところでございますから、余りにひどい事態になればそういうことにならざるを得ないかもしれない。しかし、我々としては決して水際での輸入制限が好ましいと考えているところではないので、その点については、ひとつ輸出国の側でもしかるべく協力をしてほしいというようなことをあらゆる機会を通じて呼びかけていると申しましょうか、理解を得るという形で今日まできておるわけでございまして、基本的な考え方は今後も維持をしていきたい、かように考えております。
  163. 木本平八郎

    木本平八郎君 それで、ちょっと時間がなくなったんで私の一番言いたいことに入りたいんです。  繊維産業の一番の大きなガンというか、問題は私はメーカーサイド、生産サイドじゃなくて、むしろ流通サイドにあるんじゃないかという感じがするわけです。それで一番、簡単に言いますと、例えば今我々の家のたんすの中にもうみんな衣料がいっぱい入っているわけですね。これはどうしてもこれだけあると新しい物を買うわけにいかない、といって流行おくれになったからといってどうも惜しいからついついたんすの中に入れて置く。そうするとどうしても購買が起こってこないわけですね。したがって、これを救世軍のようなもので全部集めて、非常に衣料に困っているところへただで持っていってやったらいいじゃないか。アメリカは現にそれをやって、ニューイングランドとかノースカロライナの方に、繊維をうまく高級化したわけですね。そういう例があるんで、この辺も少し日本でも考える必要があるんじゃないかと思うんですがね。これは私のちょっと意見だけにしておきまして、肝心の流通の問題ですけれども、どうも私は結論から言って、百貨店の返品制度というのが一番繊維——繊維だけじゃなくて、食料、雑貨もそうですけれども、一番繊維産業が大きな被害を受けているんじゃないかという気がするわけです。現実に、例えば先ほど調べてくれと言ったんですけれども、なかなかいい例がないでしょうけれども、一万円なら一万円のスポーツシャツは、私の感じではメーカーサイドでは千円ぐらいでつくられているんじゃないかと思うんです。それが問屋を経てなりして返品があって、百貨店で一万円だと。現実に一万円のやつがバーゲンで三千円で売られているというケースがあるわけですね。今、百貨店の店頭で売られているのは、商品力とか製品力じゃなくて、もうむしろPR、宣伝広告だとかブランドだとか、あるいは百貨店が何とかの催しを、チャリティーセールか何かやっているとか、そういうことによって売れている。したがって、もうもはやメーカーサイドの問題じゃない、例えば商品の競争力とか価格競争力じゃなくて、それ以外のもので売られている。したがって、結論的に言えば、こういうメーカーサイドでこういうことを幾らやってみても、もう繊維の業界自身の体質改善にはならないんじゃないかという私は感じを受けているわけです ね。その辺、いかがでしょう。
  164. 黒田真

    政府委員(黒田真君) 確かにおっしゃるとおり、流通にいろいろ問題があるということは、特に繊維に関連して指摘をされていると思います。  確かに、生産サイドの努力というものに比べて流通マージンの方が非常に大きいということはかねがね御指摘あるところでございますが、これは繊維品というものがある意味で流行の変化も非常に激しいわけでございますし、販売のリスクが大きいということのように思います。  これは私どもが調査したわけではございませんが、民間団体の調査によりますと、例えば主要な衣料品の百貨店における小売マージンというものは大体三分の一、三四、五%ではないだろうかというような調査もあるわけでございます。これが高いか低いかということになりますとなかなか難しいわけでございまして、経済企画庁がいろいろな品物について物流、南流の経費を調査したようなものがございます。これで見ますと、繊維品は水産物に次いで高い比率を示しております。  この辺はやはり商品が非常に多様であり、なかなかマージンを多くつけてみても実際には売れ残ると、あるいはその期待した値段で売れないという形で実現するマージン率が高いかということになると、多分そうではなくて、実現した段階では多分平均化するんだろうと思うわけでございますが、当初値段をつける段階でのマークアップというものは高くなっているように思います。  それで、返品の問題もこれはいろいろ指摘されております。返品問題について取引改善というような枠組みの中で私どももいろいろ議論をしているところでございますが、そもそも買い取りで契約をされているのか、委託販売であるのか、もし委託販売契約であれば返品ということはあり得ないわけなんでありますが、どうもそこら辺のところが実は契約の段階からはっきりしていない。そして最近は、百貨店等においては、貸し席業というと言葉が悪いわけでありますが、相当アパレルメーカーの方の力がついてまいりました結果、実際上は売り場を貸しているような形をとりながら、形式だけは仕入れをし返品をするというふうな例もあるやに聞いておりまして、なかなかここら辺のところは私どもも実態をつかみかねておりますが、中に不当な返品の例というものがいろいろあるということも事実のように思います。非常に不当なケースというものは独占禁止法等の対象にもなり得るわけでございまして、今後、こういった問題はいつも注意をしながら改善をしませんとどんどん悪い方に流れていきがちなものでございますので、私どもも及ばずながら業界の努力を中心に据えながらこれを支援しているということでございます。
  165. 木本平八郎

    木本平八郎君 そういうこと、今のような方向でぜひ指導していただきたいと思うんです。  それで、繊維業界における、あるいは百貨店における返品というものは委託販売じゃないわけですね、あれは。もう完全に力による流通支配なんですね。だから、あれはもうコマーシャルから外れている。それを、何か委託販売という言葉があるものだからついつい返品も認めていますけれども、あれはもう力による、暴力だと私は思うわけですね。ぜひあの辺にメスを入れない限り、私は繊維工業というものはまず立ち直らないんじゃないか。これを五年間延長しても、まず多分六十四年に廃案になるでしょうね。私はそう見ていますがね。  というのは、私は実は繊維にも少し関係していたことがあるわけです。それで、キューバのサンタクララのあの大きな総合繊維プラントも、私、現地へ建設にも行きましたけれども、東洋紡ですけれども、物すごく優秀ですよ。それに関連して福井の染色工場なんかも見に行きましたけれども、それはもう、彼らも自慢していたけれども、世界一ですよ。例えば三菱アセテートの富山工場に行きますと、無人工場で真っ暗な中で人間が歩くところだけ電気をつけているんですね。それで、がたがたやっていて、切れたらロボットがさあっと来て糸をつないでいる。あの水準を見ますと、日本の繊維というのは、商品とか企画とか、そういう点ではもう世界一だと、何にも保護することない、補助することもないと。ここに法案に出されていますね、何か技術指導だとか研修だとか。そういう余分なことをやる必要がないというのが私の感じなんですね。むしろ日本の繊維メーカーはもう十分に国際競争力がある、もうオープンしてでも大丈夫だと、問題は流通だと。  例えば、輸入の繊維が余り入ってこないですね。これもやはり、水際までは入ってくるんだけれども、一たん中に入ったら、この流通のジャングルの中でもみくちゃにされてどうしてもだめなんだというふうに私は解釈しているんですが、その辺、いかがでしょう。
  166. 黒田真

    政府委員(黒田真君) 御指摘のように、確かに流通のところが非常に難しくなっているという状況があるように思います。しかしながら、これも非常に長い時間をかけてでき上がっておるものでございまして、なかなか、政府が指導をすることによってこれが一挙に変わり得るというものかということになりますと、率直に申し上げて非常に難しい状況があるわけでございますから、やはり根本は業界の自主的な努力というところに据えまして、実は繊維取引近代化推進協議会というようなものを組織して関係の方々にお集まりいただいて、一歩でも二歩でも前進をしようということを心がけておりますし、役所のできることは大したことではございませんけれども、これを側面からバックアップするとともに、意識の高揚と申しますか、に努めているところでございまして、なかなか動きは遅々たるものでございますけれども、何とかこの辺の改善に努力をしたいというふうに考えるわけでございます。
  167. 木本平八郎

    木本平八郎君 それでは最後に大臣にお聞きしたいんですけれども、いわゆる繊維業界に対して、特に私が今、関心を持っている流通部門に関して今後どういうふうに指導されていくおつもりなのかということをお伺いして、私の質問を終わりたいと思うんです。
  168. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 繊維取引の近代化は繊維工業の構造改善のために非常に重要でございます。通産省といたしましては、昨年十月の審議会の答申を踏まえながら、繊維取引近代化推進協議会に対する指導、支援等によりまして業界の自主的取り組みを積極的に支援してまいる所存でございます。また、経済的優越性を乱用した不公正な取引につきましては、関係当局と連絡をとりながら、独占禁止法、下請代金支払遅延等防止法の厳正な運用によりまして今後も対処していく所存でございます。
  169. 市川正一

    市川正一君 私、三十分で大臣の所信並びに法案について質疑を行うことになるわけでありますが、まず通産行政の重要な部分にいわゆる防衛産業問題があります。大臣の所信とかかわってこの問題について——大臣韓国での会議から帰国されたばかりでありますが、基本姿勢としてお伺いをいたしたいのであります。  政府は昨年、国民世論と野党の反対を押し切ってアメリカに対して武器技術供与に踏み切りました。これに関連して、日米武器技術共同委員会、JMTCなるものが設けられておりますが、それは何をするものか、外務省にまず伺いたい。
  170. 加藤良三

    説明員(加藤良三君) 武器技術共同委員会は、日米両政府間のいわば協議の場でございます。また、その武器技術共同委員会日本委員部が三省庁の代表者が討議して各省の判断を持ち寄る場と観念されるものではないかというふうに思います。
  171. 市川正一

    市川正一君 そうしますと、我が国の現行法では武器輸出の可否の権限は通産大臣にあるはずでありますが、このJMTCで合意したものの輸出の可否もやはり通産大臣が判断をなさると思いますが、そうですか。
  172. 杉山弘

    政府委員(杉山弘君) 武器技術の輸出の問題につきましては、外国為替及び外国貿易管理法によりまして通産大臣が仰せのとおり許可をいたします。
  173. 市川正一

    市川正一君 そうしますと、このJMTCの場合もそうだというふうに確認をして間違いござい ませんね。
  174. 加藤良三

    説明員(加藤良三君) 先ほど申し上げましたとおり、武器技術共同委員会、これは協議の場でございまして、そこに三省庁の代表者が出ておる、そしてその省庁の意見を持ち寄ってそこで一種の識別を行うという機関でございます。したがって、そこでの識別ということはこれは法的拘束力を有するということではございません。
  175. 市川正一

    市川正一君 ちょっと一番最後のところがわかりにくかったんですが、聞こえるように言ってください、識別云々のところ。
  176. 加藤良三

    説明員(加藤良三君) 私の御説明が多少明確さを欠いたかと存じますのでもう一度説明をさせていただきたいと存じます。  JMTCと称するもの、日米武器技術共同委員会は「供与されるべき武器技術を識別する」ということが交換公文に書いてあるわけでございます。この「識別」ということは、識別でございまして、そのことが法的拘束力を有するというものではないということを申し上げたわけでございます。
  177. 市川正一

    市川正一君 そうすると、通産省の御答弁と今の外務省の答弁と練り合わすと、こういうことですか。JMTCに通産省の代表が参加しているから、ここで合意したものは通産大臣が承認したものと同様の効果があるというふうに解していいんですか。
  178. 杉山弘

    政府委員(杉山弘君) 武器技術共同委員会で三省庁の代表が集まりまして、日本側がアメリカ側に供与することが安保体制の効果的な運用に資するかどうかという観点から今外務省から御答弁がありましたように識別をいたすわけでございますが、それだけで武器技術の輸出が可能になるわけではございませんで、申し上げるまでもございませんが、先ほど御答弁いたしましたように、外国為替及び外国貿易管理法によりまして通産大臣が許可をいたしまして初めて対米武器技術の供与が可能になるわけでございます。
  179. 市川正一

    市川正一君 そうしますと、このJMTCが供与すべき技術を決定する際は全員一致制をとるんですか。
  180. 加藤良三

    説明員(加藤良三君) JMTCの具体的運用をどのようにするかということにつきましては、これはまだこれから詰めていくべき課題でございます。  いずれにせよ、JMTCの場において三省庁の代表を含めてこれは協議が行われるという性格のものでございます。
  181. 市川正一

    市川正一君 おかしいと思うんですね。三者代表が入って識別する、そして最終的には通産大臣だ。その場合に、全員一致制でなければ、通産大臣の承認権限を守るためにはJMTCにおける通産省の代表あるいは通産大臣の拒否権がないとこれは実際には保障されないことになるわけでありますが、大臣、そういうことになると思うんですが、大臣のお立場からごらんになってどうでしょう。
  182. 杉山弘

    政府委員(杉山弘君) 繰り返し御答弁申し上げるようなことになりますが、武器技術共同委員会では三省庁の間にどういう武器技術を供与することが安保体制の効果的運用の観点に資するかどうかという観点からの識別をやるわけでございます。で、そのこと自身で直ちに武器技術の供与が可能になるわけではございませんで、通産大臣が許可をして初めて可能になるわけでございます。  で、外務省が御答弁申し上げておりますように、武器技術共同委員会での識別というものはそれ自身通産大臣の許可の権限を拘束するものではないということは申し上げているとおりでございまして、通産大臣もまた別の立場から判断をすることは当然あり得ると思いますが、ただ、実際問題といたしましては通産大臣の意を受けました通産省の代表者がこの武器技術共同委員会にも出席いたしておりますから、そこで十分通産省としての立場を述べて識別に当たる、こういうことになろうかと思います。
  183. 市川正一

    市川正一君 そうすると、詰めた結論を伺いたいんですが、要するに全会一致制がどうか、そこもまだこれから話しするんだと、こうおっしゃっている。そこはまあおいておきましょう。  そうすると、最終的には通産大臣の独自の御判断もあると、こうおっしゃった。そうすると、通産大臣としてはその識別に対していわば拒否権を発動する、言いかえればこれはノーだと言うことも論理的にあるということと理解してよろしゅうございますね。
  184. 杉山弘

    政府委員(杉山弘君) ぎりぎり詰めた議論として法的なことをおっしゃるとすれば、先ほど来外務省が御答弁しておりますように、武器技術共同委員会では識別だということを言っているわけでございまして、法的な拘束力がございませんから通産大臣の決定を法的に拘束するものではないと思いますけれども、実際問題の運用といたしましては、先ほど御答弁申し上げましたように私どももこの委員会のメンバーの一人でございますから、そこでの議論を十分踏まえて運用するということになりますので、実際上としてはほぼ通産大臣はこの委員会で識別されたものについて許可を与えるということになろうかと思います。これが通常予想されるケースだと思います。
  185. 市川正一

    市川正一君 要するに論理的につじつまが合わぬですよ。だから私がそういういろんなことを——まあ全員一致制がまだどうかというのもわからぬというのは、それはおかしいんです。それはさておいても、通産大臣にお伺いしますが、通産大臣としては最終的に独自の判断で、いわば権限を持っていらっしゃるこの武器供与問題についてノーと言うこともあり得ると、論理的にですね、というお立場で臨まれるのかどうか、そこの所見をお伺いしたいと思います。
  186. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 論理的につじつまが合わないということが私にはよくわかりませんけれども、要するにたびたび申し上げておりますように、通産省も外務、防衛と一緒にこの委員会に入っているわけであります。そしてその通産省の入っている人は私の代理で入っているわけでございまして、そこで決まった結論を最終的に私が許可を与えるということはよく御理解いただけることと思います。
  187. 市川正一

    市川正一君 非常にこれトリックがあるわけですが、私はやっぱりそういうことをあいまいにして進めていくというのは、結局今の法体系をなし崩し的に変えていくものである。そして武器技術供与に関してはそれを例外にするという措置をとろうとなさるものであるということを私は重ねて指摘しておきたいと思います。  もう一つ伺いたいんでありますけれども、アメリカに供与した武器技術をアメリカが第三国に供与するということは、これは武器輸出三原則に照らしても絶対に認められぬところであります。これは去年大いに議論になりました。しかし、政府はこの点極めてルーズであり、あいまいであります。  そこで伺うのでありますが、もし仮にアメリカが第三国供与という場合に、その許可はどこがやるんですか、大臣にお伺いします。
  188. 杉山弘

    政府委員(杉山弘君) むしろ外務省から御答弁をいただくのがよろしいかと思いますけれども、この交換公文上はそういう問題について日本側の事前の同意を必要とするということになっておるわけでございまして、今先生のお尋ねは法的にどこが許可するかという話だといたしますと、それは政府間の約束の問題になるかと思いますので、直接日本の国内法の問題ではなかろうと思います。
  189. 市川正一

    市川正一君 それなら、どこも決めるところないんですか。要するに責任はなくて、政府間の話だったら内閣総理大臣ということですか。あなたら次から次に、入れかわり立ちかわりやるけれども、私が聞いている問題について責任ある——ちょっと、やっぱり今のお答えでいいんでしょう。どうなんですか、外務省は。文句あるのかいな。
  190. 加藤良三

    説明員(加藤良三君) 今般、対米武器技術供与の道を開くに当たりまして、私どもはこれをMDAAと、日米相互防衛援助協定の枠組みに乗せて実施するということを申し上げてまいりまして、その結果が昨年十一月に締結された交換公文にも 盛り込まれているわけでございますが、そのMDAA一条の規定によりまして、米側が我が方から供与を受けましたところの武器技術を第三国に移転しようとする場合には、これは我が国の事前同意にかからしめられている。したがって、我が国の同意というものがなければそれは出すことはできないと、歯どめがかかっているわけでございまして、その点は今後、例えば個別の案件というものが出てきた場合にしかるべく取り扱われるべき問題であるというふうに考えております。
  191. 市川正一

    市川正一君 そうすると何ですか、やっぱり最終的には通産大臣、通産省になるんですか。
  192. 加藤良三

    説明員(加藤良三君) 私が申し上げておりますのは、昨年の十一月の取り決めの中にも明示してございますように、米側に対して供与される技術については実施のための細目取り決めが必要になってまいります。その細目取り決めを締結するというような段階において種々適切な対応がなされるべき問題であろうというふうに考えるわけでございます。
  193. 市川正一

    市川正一君 それでどこが決めますのかと聞いてます。それを答えてくださいな。どこが決めますのか。
  194. 加藤良三

    説明員(加藤良三君) 我が国から米軍に対していかなる武器技術を供与するのか、供与を受けたいかということについて米側から個別、具体的な要請が全くない現段階において、それがどの省庁の所管する技術になるか等々、まだ全く分明でございません。したがいまして、今一概にどこがどうだと、どの責任において出す、出さないを決めるということにはならないと思いますが、いずれにいたしましても実施のための細目取り決め等を締結していく過程において処理されるべき問題であるだろうと考えております。
  195. 市川正一

    市川正一君 そんなばかな話はないですよ。まだそういうケースがないからわからぬと、出てきたら考えると、大臣、そうでしょう。そんなあほな話はないですよ。一体、そういう第三国——こんなこと我々は認めませんよ、野党は。しかし、そういうことが出てきた場合に、一体それをどこが判を押しますか、それはやっぱり通産大臣じゃないんですか。そのときになってみぬとわからぬというようなことを外務省が、あなたそんないいかげんなことを言うたら困りますよ。はっきりしてくれ。
  196. 加藤良三

    説明員(加藤良三君) それは実は私ちょっとつけ加えさしていただきたいんでございますが、第三国移転ということにつきましては、これはアメリカに対してのみ武器技術供与の道を。開いたこと、他の地域に対しては引き続き武器輸出の三原則が堅持されているということ等を踏まえて検討することになるということを申し上げているわけでございます。したがいまして、こういう問題が今後処理されることになりますと、いずれにせよ日本政府として米国に対してそのようなことを認めるか認めないかという点に立って、今私が申し上げましたような点を踏まえて判断がなされるということになるわけでございます。
  197. 市川正一

    市川正一君 そうすると、第三国にそれを転用するということはないと、こう断言されたと伺っていいわけですね。
  198. 加藤良三

    説明員(加藤良三君) 私が申し上げましたのは、第三国移転ということを考えるに当たっては、今回日本政府が武器技術の供与の道を開いたのは、アメリカに対してアメリカの国防能力の向上に資し、日米安保体制の効果的な運用に資するという観点に立つものに限って行うということを言った、そういう事実、及び他の地域に対しては引き続き三原則等が適用になっているということを勘案して慎重に判断するということを申し上げたわけでございます。
  199. 市川正一

    市川正一君 あなたとやりとりしていると時間だけが進行して、くるくるくるくる変わるわけですが、大臣、結局こういう第三国に転用するということは、本来あってならぬのですね、そうでしょう。大臣もそういうお立場だと思うんですが、違いますか。
  200. 杉山弘

    政府委員(杉山弘君) ただいま外務省からお答えをいたしましたように、従来日本には武器輸出三原則と、それに政府統一方針ということで極めて厳格に武器技術の対外供与の問題については取り扱われてきたわけでございますが、それを米国との関係におきましては安保体制の効果的な運用に資するという観点から、例外的に武器輸出三原則等の例外として認めたわけでございますから、絶対にないのかというようなお尋ねについては、絶対にあり得ないということも今直ちにはお答えできないかと思いますけれども、ともかく以上申し上げましたような趣旨から、極めて慎重に判断されるべき事項であろうということは申し上げられると思います。
  201. 市川正一

    市川正一君 本当はこれもうストップものですよ。もうあなた、ちょっと本当はとめて予算委員会だったらやってもらわぬとならぬのだけれども、きょうはもう法案もあとありますから進みますけれども、本当にそれは絶対ないのかと言ったら、いや絶対ないとは申せませんと。そんなら、そのときにだれが一体それを決めるのかと言ったら、それはもうそのときになってみぬとわかりませんと、そんなばかげたことないですよ。  そこで、じゃアメリカがそれをやっているかどうかということについて、いわば供与された武器技術が転用されていないかどうかということをやはりちゃんとチェックする必要があると思うんですね。そうしたチェックシステムと、それが効果的に作動する保障があるんですか。外務省にこれは聞きましょう。
  202. 加藤良三

    説明員(加藤良三君) ただいまの御質問に直接お答えいたします前に、先ほどの私の答弁を少し明確にさしていただきますと、第三国移転の問題について、それをどのように扱うかというような点、これは当然日本政府全体として、先ほど申し上げました三省庁が少なくとも中心となってこれは決める、その後通知するということは、それは外務大臣から米国に対して、要するに日本政府から米国政府に対してその点を知らしめるということになるんだろうというふうに考えております。  なお、米側との間でそのような第三国移転についての合意ができました場合には、これは日本政府と米国政府との間の合意でございますから、それは当然守られなければならないもので、そこには日米間の信頼関係というものに従っての処理が当然想定されるということになるだろうと思います。
  203. 市川正一

    市川正一君 結局アメリカ任せということをあなたは言っているだけのことですよ。ですから、私はやはりアメリカへの武器技術供与をこの際再検討すべきだということを改めて要求いたします。  で、この問題と関連して防衛庁に伺いたいのでありますけれども、対米武器技術供与は既存の技術の供与だけではなしに武器技術の共同研究まで広がっている。特に、二月には第五回日米装備技術定期協議が開かれ、防空システムについて日本の専門家による技術検討グループが設置されたというふうに報道されておりますが、どういう研究をやるんですか。まず、それをお伺いしたい。
  204. 沼倉吉彦

    説明員(沼倉吉彦君) 今先生お尋ねのものにつきましては、これは防空分野の技術研究協力を進めるためのタスクフォースチームということなんでございまして、今回は二月二日、三日に第五回の日米装備技術の定期協議を開いたわけでございますけれども、そのときに防空構想にかかる装備技術につきましての、日米でこれからの技術交流をしていくに当たっての留意すべき点というところにつきましての意見交換を従来してまいりましたので、それにつきまして、今後はより一層交流が可能な項目があるかどうか、これからの項目として何かあるかということを調査するための実務レベルでのグループを設置したということでございまして、いわゆる武器の共同研究開発を行うというような機関をつくったものではございません。
  205. 市川正一

    市川正一君 伺いますが、ここでは共同開発もやるんですか。
  206. 沼倉吉彦

    説明員(沼倉吉彦君) この場所では、ただいま申し上げましたように、共同研究開発をこのグル ープでやる趣旨はございません。
  207. 市川正一

    市川正一君 このグループには当然民間企業なども参加することになると思うんですが、どうですか。
  208. 沼倉吉彦

    説明員(沼倉吉彦君) 参加いたしません。
  209. 市川正一

    市川正一君 そうすると、これはどこが責任を持ってやるんですか。
  210. 沼倉吉彦

    説明員(沼倉吉彦君) これは、私どもの防衛庁の技術研究本部、それから各幕の技術担当者が行うグループでございますから、防衛庁で行います。
  211. 市川正一

    市川正一君 何ができるのか、そういうことを実務レベルでやるんだという場合に、共同開発という意味は、何もそこでテストをしたりなにするんじゃなしに、共同開発のテーマについても話は全くやらぬのですか。
  212. 沼倉吉彦

    説明員(沼倉吉彦君) 今後の技術交流のためにどういう項目があり得るかということをお互いに意見交換をし合うわけでございますから、そういうような意見交換をして今後の交流可能な項目を探し合うグループでございます。
  213. 市川正一

    市川正一君 その中には当然共同してやろうということも含まれるわけでしょう。
  214. 沼倉吉彦

    説明員(沼倉吉彦君) 共同研究が可能なものも、将来そういうものがあるかもしれませんが、ここではそういうような共同研究をやる可能性のある項目というのもあるかという、その項目を探すわけでございます。
  215. 市川正一

    市川正一君 そういう共同でやっていく項目も探すということやね。そうですね。
  216. 沼倉吉彦

    説明員(沼倉吉彦君) そういうものもあるかと存じます。
  217. 市川正一

    市川正一君 あるかと存ずるって、あるということやないか。  そこで、私、外務省に伺いたいんですよ。  先日、本委員会で我が党の橋本委員が、イランから、自衛隊のC1輸送機とそれから三次元レーダーの輸入を要請したことに関連して質問いたしました。  改めて確認をしたいんですが、外務省は当然これを拒否されたと思うんですが、いかがですか。
  218. 渡辺伸

    説明員(渡辺伸君) お答え申し上げます。  本件につきましては、イラン側から極めて非公式な形で言及があったものでございまして、したがって、我が方より特に回答も行っておりません。
  219. 市川正一

    市川正一君 そうすると、もしも、極めて非公式でない形で話があったとしますと、イランは今イラクと戦争中であって、武器輸出三原則でいう国際紛争当事国でありますが、したがって武器の輸出が認められないというのは当然だと思うんですが、いかがですか。
  220. 渡辺伸

    説明員(渡辺伸君) ある国が武器輸出三原則上の国際紛争の当事国であるかどうかという点につきましては、具体的な輸出申請がなされた段階で、なされた時点で国際情勢等に照らしてケース・バイ・ケースで判断されるということになっておりまして、このような輸出申請がなされていない現時点では、イランについてがかる判断を国会の場で行うことは必ずしも適当ではないかと存じます。
  221. 市川正一

    市川正一君 通産省に伺いますけれども、C1という航空機は、単なる輸送機ではなしに、貿易管理令にいう軍用機であり、武器に該当すると思いますが、いかがでしょう。
  222. 志賀学

    政府委員(志賀学君) このC1が武器に当たるかどうかという御質問でございますが、これは既に数年前にもやはり、これは昭和五十一年でございますけれども、衆議院の予算委員会で御質問ございました。そのときもお答え申し上げたわけでありますけれども、C1は武器には当たらないということを御答弁申し上げたわけでございます。現在もそういう考え方でございます。
  223. 市川正一

    市川正一君 それは極めて論弁です。C1輸送機というのは自衛隊のC46にかわる機種として昭和四十一年ごろから開発が進められたもんです。設計に当たっては、自衛隊からの多面的な要求スペックに基づいたもので、完全な軍用機です。  ここに私、自衛隊の装備年鑑のコピーを持ってきました。これによりますと、「その特色は、ローディングシステムに配慮を置いていること。尾翼の下の後部扉が開いて、カーゴをのみこみ、パレットにのせればりゅう弾砲でもジープでも短時間、能率的に搭載して空中投下が可能。」と、ここで明記されているんです。また、C1は今自衛隊しか使っておりません。その誕生からその仕様の実態からも、結局これは軍用機であり、武器であるということは明々白々たる事実じゃないですか。しかも、人を直接殺傷することを目的とした兵員、火器を戦場の真っただ中に運び込むそういう武器だということは、この事実に基づいて明白じゃないですか。  そこで、防衛庁に伺いますが、去る四月八日の読売新聞がここにありますけれども、それによりますと、防衛庁はイランからの打診のあったC1輸送機と三次元レーダーについては、輸出に伴う軍事機密の流出は避けるべきだ、そういう判断から輸出には応じられないという方針を固めたと報道しておりますが、この点どうですか。
  224. 沼倉吉彦

    説明員(沼倉吉彦君) 今お尋ねの件でございますが、防衛庁といたしまして、現在までイランからこちらに対しましての三次元レーダーあるいはC1輸送機の輸出につきまして具体的な要請を何らいただいておるわけではございません。したがいまして、確定的なことを現在申し上げる立場にもないということで御了解いただきたいと思います。
  225. 市川正一

    市川正一君 そうすると、この四月八日の読売の報道は、これは誤報なんですか。
  226. 沼倉吉彦

    説明員(沼倉吉彦君) 私どもの方に直接そういうお話はございませんので、その新聞記事の正誤についてはお答えすることを差し控えたいと思います。
  227. 市川正一

    市川正一君 これは重大な、しかし、防衛庁の方針を報道しているんで、あんたは読んだんでしょう、読まぬと、いいかげんなことを言わぬといてくれよ。
  228. 沼倉吉彦

    説明員(沼倉吉彦君) その新聞の記事は読ませていただいております。
  229. 市川正一

    市川正一君 そうすると、じゃ、そのC1輸送機と三次元レーダーにはどのランクの、またどれぐらいの機密があるんですか。
  230. 沼倉吉彦

    説明員(沼倉吉彦君) 個別の装備の機密に関しましてはお答えすることを差し控えさしていただきたいと思います。
  231. 市川正一

    市川正一君 機密があるかどうかも国会で言えぬ、それで通産省は、これは軍用機と違うと言う。そんなあほななめた話はないじゃないですか。しかも、二重、三重にそういう形で国会を、国民を、いわば愚弄するもんだと言わざるを得ぬのです。  私は、C1輸送機などは貿易管理令でいう軍用航空機そのものであり、そして、またイラン、これが仮にイラクの場合でも同じです。そういうところへ、三原則でいう紛争当事国に対してどこから見てもこれらを輸出することがあってはならぬと、こう思うんでありますが、以上の議論を踏まえて、大臣いかがでしょうか。
  232. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 先日もどなたかの質問で、私はお答えしたと思うんですが、イランからその件について非公式な申し出があったことは事実でございます。駐日イラン大使から通産省の首脳に対しまして、去年の暮れとことしの三月あったことは事実でございます。  しかしながら、全くの非公式な話でございまして、これが先ほども外務省からも話がありましたけれども、輸出申請、その他のことに、具体的なことになってまいりますれば、それはその段階で慎重に検討する、これはだれがやるわけではない、私がやるわけでございますから、私にお任せ願いたいし、私も信用してもらいたいし、また御安心願いたいと存じます。
  233. 市川正一

    市川正一君 法案の質問が時間が参りました賛成法案でありますので一言だけお聞きさせていただきます。  私、今回の法改正の基本となっております去年 の十月三十一日付けの繊工審とそれから産構審この合同答申を拝見いたしました。非常に際立った特徴があると思うんです。それは繊維産業を取り巻く環境が厳しい、そしてすべての繊維事業者が現状のままで事業を継続するのは困難である。また、転廃業を余儀なくされるということまで言い切っておるんです。これについてはもう時間がありませんが通産ジャーナルに紹介されておりますところの通産省の生活産業局高瀬総務課長もこれが答申の重要なポイントの一つだと、こう言っておられる。政府が答申で特にこの点を強調した意図というものは那辺にあるのか、それをお聞かせ願いたい。
  234. 黒田真

    政府委員(黒田真君) 昨年の秋にいただきました答申に盛り込まれております新繊維ビジョンというものは、従来とかく衰退産業というふうに考えられておりました繊維産業につきまして、先進社会が持っているポテンシャルを生かせば再生の道がある、発展の道があるということをうたいとげていることが大きな特徴でございます。しかし同時に、そういった発展の可能性はあくまでも可能性でございまして、現在繊維産業に従事しておられる方がそのままで新しい発展の可能性を享受し得るものではない、そこには非常に厳しい対応が迫られているということを特に強調しているわけでございまして、その対応がもしできない、そういった事業者は繊維産業に生き残るわけにはいかないだろうということをこの際繊維事業者に対する一つの指針として強くはっきりと表明すべきであるというのは、実はこれは業界の関係者を含む審議会のメンバーの一致した見解でございました。したがいまして、私どもは今回の答申の一つの重要なポイントであるというふうに考えて、そういった記事になっていると思います。
  235. 市川正一

    市川正一君 最後です。私があえてなぜそういうことをお聞きするかというと、この答申の中にも、例えば異業種の垂直連携がさまざまな形で進められたとか、あるいは技術開発成果が結合され新商品が生まれたとかいうことがあるのですけれども、じゃそれが一体どういう内容なのかということについて総括がないのですよ。ですから今までそういう資料を要求いたしましたけれども、なかなかいただけなかったのですが、この機会にぜひ今後資料提出に積極的に御協力いただいて、あえてそういうことを言わざるを得ない、私はそれは何かの伏線であろうかと思うのですけれども、きょうはもう時間がありませんから資料をちょうだいいたしまして、また今後よくお話をさしていただくということをここで申し述べて私の質問を終わらしていただきます。どうもありがとうございました。
  236. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) 他に御発言もなければ、両案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  237. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、両案についてこれより討論に入ります。  御意見のある方はそれぞれ賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  まず機械類信用保険法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  238. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  239. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  240. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十五分散会      —————・—————